くにさくロゴ
1964/12/04 第47回国会 参議院 参議院会議録情報 第047回国会 内閣委員会 第4号
姉妹サイト
 
1964/12/04 第47回国会 参議院

参議院会議録情報 第047回国会 内閣委員会 第4号

#1
第047回国会 内閣委員会 第4号
昭和三十九年十二月四日(金曜日)
   午後二時九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         下村  定君
    理 事
                石原幹市郎君
                小柳 牧衞君
                伊藤 顕道君
    委 員
                栗原 祐幸君
                源田  実君
                塩見 俊二君
                林田 正治君
                村山 道雄君
                辻  武寿君
                田畑 金光君
   国務大臣
       法 務 大 臣  高橋  等君
       建 設 大 臣  小山 長規君
   政府委員
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  鹽野 宜慶君
       法務省民事局長  平賀 健太君
       建設大臣官房長  前田 光嘉君
       建設省計画局長  志村 清一君
       建設省都市局長  鶴海良一郎君
       建設省河川局長  上田  稔君
       建設省住宅局長  尚   明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊東  清君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      伊藤 栄樹君
       法務省刑事局参
       事官       海治 立憲君
       法務省入国管理
       局次長      富田 正典君
       公安調査庁長官  吉河 光貞君
       公安調査庁次長  宮下 明義君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建設省設置法の一部を改正する法律案(第四十
 六回国会内閣提出、衆議院送付)(継続案件)
○法務省設置法の一部を改正する法律案(第四十
 六回国会内閣提出、衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(下村定君) これより内閣委員会を開会いたします。
 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は、第四十六回国会に衆議院において修正議決の上本院に送付せられた議案でありますが、すでに提案理由の説明及び修正の趣旨説明を聴取いたしておりますので、先例によりこれより質疑に入ります。政府側出席の方は小山建設大臣、前田官房長、鶴海都市局長、小場営繕局長、三橋道路局次長、上田河川局長、尚住宅局長、小林文書課長、吉兼人事課長、上条建設研修所長でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○伊藤顕道君 私は、この法案に関連いたしましてまずお伺いしたいのは、提案理由の説明を先般承っていますが、その提案理由の説明によりますと、特にこの法案で改正にあたって重要と思われる点は、本省のいわゆる事務を大幅に地方建設局に委譲するものであると、こういう点にあるのではなかろうかと思うのですが、まず、この点からお伺いしていきたいと思います。
#4
○国務大臣(小山長規君) いまおっしゃいましたように、建設省の本省が持っておりました仕事のうちで地方建設局に回したほうがよろしいと考えられるものを、地方に分掌させるといいますか地方に移す、こういう考え方でございます。それと、ほかにございますが、たとえば建設大学をつくるとかでございますね。
#5
○伊藤顕道君 現在の地方建設局の実情を見ますると、現在ただいまでは大体道路とか河川、こういうものの直轄事業の実施を所掌しておると、こういうことなんですが、今回権限委譲に伴って住宅とか都市計画、こういう関係をも含めておろうと思うのですが、そうして一般行政事務とさらには補助金関係の事務についても本省より地建に委譲しようとしておることが見受けられるわけなんです。今回こういう特に委譲を行なわんとするその理由は一体那辺にあるのか、この点をまず明らかにしていただきたい。
#6
○国務大臣(小山長規君) その理由は、御承知のように、今度行政管理庁も臨時行政調査会も言っておりますように、本省はできるだけ企画とかあるいは統制の事務をやって、それから具体的な実施の事務は、地方に移したほうがいいというふうに言っておりますが、やはりそれと同じような考え方で、補助金の事務だとか、そういったようなことは、むしろ地方の建設局に移したほうが地方公共団体のためにも便利である、わざわざ東京まで来て、そして多数の日時と金銭を使うよりも、付近の地方公共団体は大体まあそこで用が足せるというふうにしたほうが便利である、こういう趣旨であります。
#7
○伊藤顕道君 まあその点については、私どもは実際考えを別にしておるわけですが、この点については後ほどお伺いすることにして、そこで、まず、建設行政を建設省としては実施してきておるわけですが、地方建設局は、いまも御指摘あったように、強化する必要がある、こういうことはほんの一つの理由で、臨時行政調査会の検討の中でもそういう方向を明示しておるということの一部御指摘はあったわけですけれども、それだけではないと思うのです。一体どういうところに根拠があるのか、そういう点をお伺いしておきたいと思います。
#8
○政府委員(前田光嘉君) ただいま大臣から答あったと同じ趣旨でございますが、さらに具体的に申し上げますと、国の行政準務を能率的に、しかも地方の実態に即して運営するということが主体でございまして、そのためには、実施事務をできるだけ現地に近いところで処理するということが国民の最も要望するところだろう、こう思いまして、現地にある地方建設局に建設省の仕事の実施に関する部面の仕事をまかせるというのが最近における一つの方向でもあり、建設行政をさらに一そう徹底するために必要である、こう考えまして、地方建設局の従来やっておった単なる直轄事業の施行ではなくて、地方におけるそれ以外の一般的な行政及び補助に関する仕事をさせるようにしたらどうだろうか、さらに現在やっておりますところの地方建設局の所管しておる直轄事業の関連性から見ましても、都市計画あるいは住宅というような仕事は、道路なりあるいは河川の総合開発関係の仕事と非常に関連も深うございまして、こういうものを地方の実情に合わして運営していくためには、建設省におきましても、単に直轄事業ではなくて、同時に、同じところにおきまして直轄事業、道路、河川等に非常に関係の深い開発項業を一緒にやるということが、最近における開発事業の広域的な処理というふうな面から必要一ございますので、そういう面からもこの措置をとったわけでございます。しかも、同時に、最近特に本省におきまして建設関係の仕事が多くなってきましたので、さらに本省における企画、統制という面を推進するためにも、すっきりしまして、実施事務は地方におろすということのほうが、本省における建設行政の推進にも役立つ、こういう考えから、地建に本省の実施事務をおろすという措置をとったわけでございます。
#9
○伊藤顕道君 いま盛んに広域行政ということが言われておるわけですが、と同時に、地域の特性に応じた行政の実施、こういうことも盛んに出てくることばですが、そこでお伺いしたいのは、今回の地建の強化ということもその線に沿ってのことであろうとは思いますが、この点はどうなんですか。
#10
○政府委員(前田光嘉君) 仰せのとおりでございます。
#11
○伊藤顕道君 しかしよく考えると、この広域行政の実施というその名に隠れて、実際は逆に地方公共団体の権限を引き揚げる、地方建設局の権限強化ということは表面のことであって、結局逆に地方公共団体の権限をかえって引き揚げる結果になるおそれがある。このことは、ことばをかえて言うと、中央集権につながるものであると、こういうふうに見られるわけです。こういう点については、どう理解したらいいのか。
#12
○国務大臣(小山長規君) これは、地方公共団体の仕事を取り上げるのでなくて、建設省が持っている仕事の分担をどうするかという問題でありますから、地方公共団体の権限等には関係ないわけでございます。
#13
○伊藤顕道君 これは、こういう質問を出すと、建設省では、いまの大臣の御指摘のような御答弁があろうかと思うのです。ところが、後ほどだんだんに順を追うてお伺いたしたいと思っておりますが、実際に私どもは、たとえば当内閣委員会の委員派遣等で全国を回って、そのつど必ず県当局とも会って、いろいろこういう事項については特にいろいろ意見を承っているわけです。また事情も詳しく承っております。そういう中からは、どの県でも、多少のニュアンスの違いはあっても、帰一するところ、みなこれは二重行政とか二重監督という弊を強く訴えておるわけです。いま建設省としてはさようにお考えあっても、実際に地方公共団体にある責任者である皆さま方の話を総合すると、いまの大臣のお答えでは理解できないわけです。大臣としては、また建設省としてはさようにお考えでしょうけれども、実際地方を回ってみると、だいぶ違いがあるわけです。ニュアンスの違いがあるということだけではなくて、相当開きがあるわけです。こういうことについては、一言でなかなか説明できぬと思いますから、順を追うてだんだんにお伺いしたいと思うのですが、大体広域行政の名のもとに、いまも申し上げたように、地方建設局の強化――これは建設局に限らず、農林省の地方農政局の職務、事務の拡大、こういうことも同じ例になると思うのですが、地方農政局などに当たってみても、なかなか容易でない事態が見受けられるわけです。
 そこで、さらにお伺いするわけですが、建設省として、ただ通り一ぺんに、これは地方公共団体の権限を取り上げるのでなくて地方建設局の強化だ、それは文字どおりの解釈をすればそうなるのです。実情はそうでないということをいま訴えてお伺いしているわけです。この点もう一度ひとつ。
#14
○国務大臣(小山長規君) こういうことではないかと思います。いまおっしゃいました二重行政という問題とからんでまいるわけですが、地方の権限を建設局が奪って建設局のところに集中するものでないことは、いま申し上げたとおりですが、二重行政ということばをおっしゃいますことは、府県の側なりあるいは市町村の側からいえば、地方建設局に行ってさらにまた行かなければならぬ、こういう意味では二重行政になるおそれがあるわけであります。ですから、そこのところが全然ないとは言えないのでありますが、それはいまあとで事務局から説明させますけれども、極力ないような配慮をしてあるわけであります。そういう点はなお事務当局から説明させます。
#15
○政府委員(前田光嘉君) ただいま大臣から話のありましたとおり、地方建設局においてものごとをできる限りきめていくということにすれば、二重行政の心配もなくなり、しかも、直ちに現地に即応した行政ができてわれわれの企図するところも実現されますので、今回の事務委譲にあたりましては、そういう方向において行政を運用するつもりでございます。
 この方法といたしましては、地方建設局長に法律上権限を委任することもできます。これは、たとえば道路法、河川法等の規定によりまして、従来ならば建設大臣の権限だったものを法律上地方建設局長の権限にするという措置を講じます。それから、法律上は大臣の権限でございましての、これを決定する一われわれは専決処分と申しておりますが――この専決処理を行なう権限をできる限り、従来本省の局長あるいは課長が決裁しておったものを地方建設局で、局長限りで決裁させるという方向をとりまして、大臣から話しましたとおり、現地に関するいろいろな行政事務を現地で即決していくという方法にいたしまして、二重行政の弊を避けて、現地の実態に即した行政運用をはかりたい、こう考えております。
#16
○伊藤顕道君 いまも大臣からちょっと御指摘ありましたように、二重行政というのは、結局、地方建設局にも交渉し、本省にも交渉する、むろんそういうことも含まれておると思うのですが、さらに、このことを角度を変えて言うと、結局、いままでは本省だけで済んでおったものが、今度は地方建設局にも交渉する。地方建設局は権限が限定されておりますから、大きな問題については本省にも交渉しなければならない。しかし、いきなり本省交渉ではだめなんで、地方建設局にまず交渉する。それで、大きな問題はいま一ぺん本省にも交渉するということになり、一度だけでは済まされない。かように一度で済むことが二度、三度ということになると、非常に複雑になることはもう明らかなんです。と同時に、経費もかかるわけですね。こまかいことからいいますと、本省に行くのには、やはり通信費が要る。電話なら電話料がかかる。直接行けば交通費がかかるというふうに、いままでは本省だけで済んでおったものが地方建設局も通るということは、かようにして一つの案件でいろいろ複雑なことで日をむなしゅうしていることによって、非常に仕事が滞積する、非能率化ということがそこから当然生まれてくると思うのですね。したがって、このことは非常に仕事を複雑にし、そしてかつ非能率であるということは、各都県の知事や副知事さんの異口同音の声であるわけです。ごく最近も九州へ行ってまいりましたけれども、やはり各県とも、最初に申し上げたわけですが、県の事情が違いますから、ニュアンスは多少違うのですけれども、帰一するところ、みなそういう声がある。こういうことから推して、再考を要する問題ではなかろうかと私ども思うのですが、このことについてさらにお答えをいただきたい。
#17
○国務大臣(小山長規君) 大部分の事務的な仕事は逆じゃないかと思うのであります。と申しますのは、いま補助金の交付だとか申請だとかいうことで、建設省では、あるいは予算の時期だとか、配分の時期になりますと、各府県から専務官が廊下に並んでいるわけですね。あれなども、地方建設局に委譲しておけば、全部地方建設局で片づく問題なんですね。この人たちは、もう今度の事務委譲ができれば地方建設局で済んで帰れる人たちなんです。そういう人たちがいまはわざわざ本省に来ている。これは非常にむだなことだと思うのであります。それから、むろん地方建設局に委譲しましても、それは事の軽重によっては、あるいは政治的判断を要するとか、あるいはどうしても納得できないというような問題が起こって、その場合には地方建設局では済まないから、本省まで持っていかなければならぬ問題があるかもしれません。しかし、大部分のものは、書類の整理だとか、そういうものが大部分でありますから、そういうものはむしろ建設局に移したほうが、地方公共団体のほうからいっても非常に事務能率があがりましょうし、本省のほうからも事務能率があがる、こういう考え方で今度の事務委譲の案ができているわけであります。
#18
○伊藤顕道君 これはやはり見方、角度、そういうものが違うわけですね。本省にあって、特に大臣とか次官とか官房長になると、そういう最高幹部の方が計画し、企画をし、これを見るのと、実際地方へ行って、さてその政治の対象である地方公共団体、こういう方々の率直な意見を承ると、繰り返し申し上げているように、いままで申し上げてきたような点を強く指摘し訴えているわけですね。この提案理由の説明によっても、本省の事務を地方建設局に委譲することは、結局、行政の相手方である地方公共団体とかあるいは住民、こういうものにも利便を与えることになるのだ、こういうことになっているわけですけれども、そういう考えであるならば、むしろ私は逆に考えて、地方公共団体にできるだけ事務を移譲したらどうか。地方公共団体に事務を移譲するということは、地方公共団体の権限を強化することに通ずるわけですね。このほうがむしろ必要じゃなかろうかと思うんですが、この点はどういうふうにお考えですか。
#19
○国務大臣(小山長規君) 地方公共団体に移譲し得るものであるかどうかという問題なんですけれども、いまここで問題になっておりますのは、建設本省が持っている権限を地方局に分掌させようということなんでありまして、本省の権限と地方公共団体の権限をどうするかという問題は別の問題だと思うのであります。それで、この中でそれでは移せるものがあるのか、地方公共団体に移せるものがあるのかといいますと、幾らかのことでその点は考えております。ちょっと官房長から。
#20
○政府委員(前田光嘉君) 地方公共団体と国との仕事の分界につきましては、臨時行政調査会におきましても検討されておりまして、むしろ建設省関係の仕事は、ほかの省の仕事と比べまして、地方公共団体にやらしている仕事が多いのでございます。そうして、ただいま大臣が申し上げましたように、今回の地建に委譲する問題は、建設省として、国として、全国的見地から、あるいは地方公共団体の間に関係する問題ということから、国が措置すべきものについての出先機関への委譲でございますが、しかし、さらに臨時行政調査会等の意見もありますので、公共団体に移譲してもいい、あるいは許認可の事務につきまして、実態に沿うように公共団体自身に移譲する点も検討いたしております。さらに、今回の移管事務の大部分は、都道府県に対する補助が大部分でございまして、この都道府県に対する補助でございますので、これはその当該都道府県には移譲することができませんので、これは国で処理する、しかしそれは実態に合うように地建に持っていく、こういうつもりでございます。
#21
○伊藤顕道君 さらにお伺いいたしますが、この改正案によって事務が大幅に地方建設局に委譲されるということでありますが、そこでお伺いしたいのは、地方建設局には一体どういう事務が委譲されて、それで本省にはどういう事務が残されるのか。もちろんこまかいことは必要ありませんから、この際この大綱について、大体現在の建設局事務のうちでこれとこれとこれは地方建設局に委譲する、そうしてこれとこれとこれは本省に存置しておく、こういうことをこの際、大綱でけっこうですから、御説明いただきたいと思います。
#22
○政府委員(前田光嘉君) 原則を申し上げますと、建設省本省で従来から持っておりました事務のうちの企画、統制に関する事務は、これは従来どおり本省で持ちますが、実施の事務は原則として地方建設局へ委譲するという方針でございます。
 ただ例外的に本省に留保しますものは、ただいま申し上げました企画、統制に関するもののほかに、二以上の地方建設局の所管に関する事務、具体的に申し上げますと、建設業者の団体に関する業務で、その区域が二以上の地建にわたっているものとか、あるいは不動産鑑定士等の関係の仕事で、地方建設局の二以上にわたっているもの、こういうふうなものでございます。それからまた、特に公益法人の設立の認可とかあるいは土地収用の事業認定等、かなり重要度の高いものにつきましては、これは具体的な処分でございましても本省に留保したいというふうに考えております。この例は若干ございます。それからもう一つは、他省と共管の仕事がございます。たとえば運輸省との共管を要する事業がございますが、これも運輸省との折衝の問題もございますので、これは本省に残しておきます。それから、統計事務のようなものは、これは本省で集計すべきものでございますので、こういうものは本省に残します。さらにもう一点、高度の技術を要する問題につきましては、もちろん地建の技術がだんだん進歩してきますればこれは地建に委譲しますけれども、現在のところ、たとえば土地区画整理事業の設計認可等、かなり高度の技術を要するものにつきましては本省に残しておく。それ以外の実施事務等につきましては、原則として地建におろすという趣旨でございます。
#23
○伊藤顕道君 いままでお伺いしたようなことを要約すると、結局、常識的に言って、本省の事務の大幅のものを地方建設局に委譲するが、結局地方建設局はもちろん一階ではない、二階でもない、中二階的な存在となる、こういうふうに考えられるわけです。と申しますのは、先ほども御指摘申し上げたように、いままで本省だけで済んだものが、まず必らずと言っていいくらい地方建設局をまず通さなければならぬ。それで小さな問題はそこで解決するとしても、重要な案件については、権限に限定がございますから、結局本省へと、一階から二階へ上がる中間的な、中二階的な存在だというのは、そういう意味なんですが、こういうことになろうかと思うんです。そうだとすると、一階と二階があれば、中二階は必要ないと思うんです。こういう点はどう理解したらいいか、御説明いただきたい。
#24
○政府委員(前田光嘉君) ただいまお話しの点につきましては、地方建設局におきまして与えられた権限は、専決と申しますか、局長だけで決裁するというふうにいたしますと、本省へ来る必要ございませんので、処分が早くできます。それから本省における処理すべき事務と、地建における事務とを明確にいたしておきますから、一定の事務は地建で済む、一定の事務は本省へ行くというふうに明確になりますので、その点は従来よりは地建で処理される分量が大幅に多うございますので、むしろ行政が簡単明瞭に、しかも現地で積極的にできるというふうに考えております。
#25
○伊藤顕道君 たとえば補助金の関係事務につて考えてみますると、まず、予算の要求の査定、この程度のことは地方建設局において決定を見ておると思うんです。さて、今度は最終的決定ということになると、これは地建ではなかなかできないことで、結局、本省で最終的に検討して決定と、そういうことになろうと思う。ということは、ことばをかえて言いますと、重大な行政については地建の局長では処理できない、こういう面が相当あるんではないか、こういうことも当然考えられる。したがって、先ほどから御指摘申し上げておるように、従来本省だけで済んだものが地建をどうしても通さなければいかぬ、そのためにひまもかかる、労力も要る、経費もかかる、しかし予算の増はない。現在でもなかなか事務過重であって、容易な運営はなかなか困難視されておるわけです。これはすでにできておる地方農政局を何カ所か視察してみていろいろ事情を承っても、人手不足に相当悩んでおられる。非常に忙しいようです。こういうことは地方農政局……行政の面は違いますけれども、形はやはり地方建設局の権限強化ということになれば、同じことと見て差しつかえないと思いますね。同じような方向に行くであろう、こういうことが憂慮されるし、また、地方の各県当局と会って、いろいろ事情を承ると、そういう中で出てくる大きな問題の一つは、そういうことでもあるわけです。この点はどういうふうに理解したらいいか。
#26
○国務大臣(小山長規君) この点は、補助金に関して申し上げますと、一般的な基準を示しまして、そしてワクを与えまして、その範囲内で地方建設局が専決する、こういうことになりますから、非常に特殊な問題のものは別としまして、大部分のものは地方建設局限りでできる、こうなるわけであります。なお、必要ならば補足して説明させます。
#27
○政府委員(前田光嘉君) 補足さしていただきますと、補助予算をつくりますときには、まず地方建設局におきまして公共団体、都道府県の意見を聞いて案をつくりますが、予算が確定いたしますと、これを配賦する基準を本省においてきめまして、そうして、いまも大臣が申し上げましたように、地方建設局に地方のワクを与えまして、各公共団体への具体的な割り当てにつきましては地建で案をつくります。そうして、これを大蔵省と折衝のために本名で調整をして、大蔵省と実際の実施計画を確定いたしますが、実際の交付の事務等は全部地方建設局で処理させますので、従来に比しまして非常に早く仕事ができると考えます。
#28
○伊藤顕道君 なお、いままでの問題は、角度を別にして後ほど承ることにして、今回の委譲事務を処理するためのいわゆる定員関係について二、三お伺いしたいんですが、今度のすべての地方建設局を通じて、数字に間違いがあれば御指摘を願いたいんですが、六百八十八人の定員増を必要とする、こういうことであるようですが、これらの人員は本省から振りかえられるもの百十二名のほかは、地建、木局内の振りかえ、それと、さらには特別会計職員の振りかえ、こういうのでまかなわれることであって、要は、新規の定員増は行なわれていないというふうに見られるのですが、もしそうだとすると、これではなかなか事務の処理は円滑にいかないと思うのですが、その必要はないものかどうか。こういうことで十分足りるのかどうか、こういう点が明らかでないので、この点を明らかにしていただきたい。
#29
○政府委員(前田光嘉君) お話しのとおり、建設省の原案につきましては、六百八十八人の定員の増加を考えておりますが、しかし、これを充足する方法といたしまして、ただいまお話しのございましたように、本省から百十二名、それから特別会計から三百四十七名を出しまして、新たに委譲された事務に従事させます。このために、本省につきましては従来の実施事務がそれだけなくなりますので、当然その人たちを出せます。さらに地建につきましては、特別会計あるいは一般会計からの委譲をすることにつきましては、地建の仕事の合理化と申しますか、たとえば仕事の規模を大きくするとか、あるいはまた、着工の方法を改善いたしまして、それだけの人員を出してくれるという判断のもとに出したわけでございまして、これによりまして仕事のやり方を改善することによって十分仕事ができていくという判断からこの数字を出したのでございます。
#30
○伊藤顕道君 現在の地建は直轄事業だけを扱っておると思うのですが、今回のこの改正案がもし通れば、結局、一般行政事務が大幅に増加される。この増加された一般行政業務を担当するのは、本省から回される百十二名だけということになるわけですが、こういう程度の定員配置によって、委譲された大幅な一般行政事務の処理が円滑にいくとはどうしても考えられないわけです。それは大臣や官房長はこれで十分だとお考えになるかもしれませんけれども、現地ではそういうふうには考えていないようです。先ほどもちょっと指摘したように、農林省関係のいわゆる地方農政局の面を幾つか視察してきたわけですが、その事務の運営等については相当人手不足を訴えておる、こういう実情です。農政関係が特に忙しくて建設のほうは心配ないといえば話は別ですが、そういうことはない。やはりそれぞれみんな分野分野で多忙な行政事務を担当しておると思うので、同じことを繰り返すのではなかろうか、こういうふうに考える。この点はいかがですか。
#31
○国務大臣(小山長規君) これは本省から出しますのは、若手の精鋭を出すわけでございます。それから、建設局におります職員の中で研修することによって事務にだんだんなれてもらうという前提になっておるわけでありますから、したがって、最初はそれはなれない仕事をするわけですから、最初の間は幾らか混乱が起こるかもしれませんけれども、研修を済ませばそんなに長い間混乱することはない。幾ら何でも、半年もすれば、相当優秀な人たちが建設局におるわけですから、そういう点はないと思っております。
#32
○伊藤顕道君 大臣はそういう心配はないと言われるでしょうけれども、繰り返し申し上げるように、地方農政局の事情を承ると、現地の地方農政局ではそういうことは言っていない。非常に多忙な毎日を送って労働過重にもなる、そういうことを訴えているわけです。したがって、その実情から推せば、地方建設局に大幅な事務が委譲されて、本省からわずか百十二名ということになれば、同じ轍を踏むのではなかろうか、こういうことが当然に考えられるわけです。わけて、特別会計職員は大幅に配置がえになるように承っているわけですが、こうなると、あとに残された直轄事業の実施は一体どういうことになるか、直轄事業の実施には非常な支障を来たすのではないか、こういうこともあわせ考えられるわけです。この点はどうなります。
#33
○国務大臣(小山長規君) その点は、いままでたとえば直轄にしておりましたものを請負のほうに回すとか、あるいは同じ請負であっても少し規模を大きくするとか、そういうふうな合理的な方法は幾らもあろうかと考えております。
#34
○伊藤顕道君 そこでさらにお伺いしますが、本省から百十二名が転出するとのことでございますが、具体的にはどの局からどのような職員を転出させるのか、また、地方建設局にどのように配置するのか、こういう具体的な面についてもこの際承っておきたいと思います。
#35
○政府委員(前田光嘉君) 本省から委譲される事務の量を勘案いたしまして、各局からそれぞれその仕事の分野に応じて出すつもりをいたしております。たとえば計画局からは五名、都市局からは二十五名、河川局からは三十八名、道路局からは二十二名、住宅局からは十五名、官房からは七名、合計百十二名、これは府県に委譲する行政事務及び補助事務の分量に即応し、同時に本省における今後の仕事にたえる点という点を考慮いたしまして、一応さっきお話しした数字でございます。さらに、地建につきましては、新たに計画管理部を設け、各道路部及び河川部にも所要の課を設けますので、その地建の仕事の量に応じまして、先ほど申し上げました全体としての六百八十八名の増員部分を適宜配分をしたいというふうに考えております。
#36
○伊藤顕道君 そこで、次にお伺いしたいのは、地建の定員を今後充実していかなければならぬわけです。そのとき、考えてみると、地方公共団体にも優秀な職員がおろうと思います。そういう人の中から人材を摘出してこれに充てよう、そういうお考えも一つの考えだと思うのですね。こういうお考えがあるのかないのか、こういうことについてもこの際承っておきたい。
#37
○国務大臣(小山長規君) 地方公共団体からですか。
#38
○伊藤顕道君 地方公共団体の職員がおるわけです。その中から適当な適任者を選んで地建に充当するのも一つの方法であるということをいま申し上げた。そういうことをなさるお考えが現在あるのかないのかということを承っておきたい。
#39
○国務大臣(小山長規君) これは地方公共団体の都合も考えませんと、こっちが優秀だからということで抜いてしまいますと、向こうのほうがかえって困るわけでありますから、そこで、その点はやはり地方公共団体と相談をしながら、あるいは連絡のためにこちらから出すかわりにそっちのどういう人をよこしてくれないかというような交換の場合はありましょうけれども、優秀なものをいきなり引き抜いていくという考えは持っておりません。
#40
○伊藤顕道君 このことについては、あとからまた関連の項でお伺いしたいと思いますが、いまお伺いしたのは、後ほどお伺いするであろうところの、全国知事会でもいろいろこの法案に反対して要請書が出ておるのは御存じだと思う。その一節に、地方公共団体の職員の中から有能の士を引き抜かれると、あと地方公共団体の運営に非常に支障を来たす。どうせ引き抜く場合優秀な人材を引き抜くであろうから、そういうことは一切避けてもらいたいということを言っておるわけですね。そこで、このいい悪いは別として、まず大臣にそのお考えがあるかないかをお伺いしたわけですけれども、無断では採用しないということであるから、まあまあその点はよかろうと思いますけれども、やはり一国の本省のほうから地建を通じて県のほうへ交渉すれば、県のほうはどうしてもお義理でも何か出さにゃならぬというようなことにもなりかねないわけですね。だから、一応連絡して了解を得て、もしよければとるということのようですけれども、それは立場が違うから、地方公共団体は目につけられれば出さざるを得ない羽目になろうかと思うんです。そういうことのないよう、この際十分心していただきたいという意味からいまお伺いしたわけなんです。そういう心配はないということになれば問題はないわけですが、ひとつそういうふうに、やはり一国の省もしくはその省の出先である地方建設局から頼まれりゃ、何人のうち何分の一かは出さにゃならぬという羽目になろうと思うんです。どうせ引き抜くのは、始末に負えない人をとるんでなくて、人材中の人材をとるであろうから、あと地方公共団体は非常に困る。こういうことを知事会は強く文書にして要請を出しておるので、御存じだと思うんですが、こういう点はくれぐれもひとつ御要望申し上げたいと思う。そこで、なお引き続いてお伺いしたいんですが、法務大臣もお見えになっておりますので、私の本日の質問はこの程度にとどめて、次回引き続きお伺いしたいと思います。
 以上で終わります。
#41
○委員長(下村定君) 他に御質問はございませんか。――他に御発言がなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#42
○委員長(下村定君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、昨日に引き続き、これより質疑を行ないます。
 政府側出席者は、岡橋法務大臣、鹽野司法法制調査部長、平賀民事局長、大沢矯正局長、武内保護局長、八本入国管理局長、常田同局次長、古河公安調査庁長官、目下同庁次長でございます。
 では、これより順次御質疑のおありの方は御発言を願うわけでございますが、その前に、昨日の委員会における鶴園委員の質疑について、二、三答弁の保留がございましたようですから、この際、政府当局から説明を願うことにいたします。平賀民事局長。
#43
○政府委員(平賀健太君) 昨日お話しのございました賃金職員の数字でございますが、本年の十月一日現在で調査いたしましたものによりますれば、昨日お尋ねの、税務署通知に使用しております賃金職員は百三十七名であります。それから、登記簿と台帳の一元化の作業のために採用いたしております賃金職員は四百五十七名であります。それから、そのほかの関係で百九十九名の賃金職員を採用いたしておりまして、合計では七百九十三名でございます。
 それから、いま一点お尋ねがございました司法書士の最近の認可されておる数、並びにこの司法書士の総数の増減の状態でございますが、最近数年間、毎年認可されております司法書士の数は、三百名ないし四百名の範囲内でございます。ところが、この司法書士の中には、毎年なくなられたかあるいは廃業をされる方などもありまして、総数におきましては、ほとんど増減がない状況でございまして、大体一万二千名前後でございます。
 以上のとおりでございます。
#44
○委員長(下村定君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#45
○委員長(下村定君) 速記を始めて。
 では、順次御質疑のおありの方の御発言を願います。
#46
○伊藤顕道君 前回に引き続いて若干質問したいと思いますが、この前は破壊的団体、すなわち右翼の暴力団についての若干の質問をしたわけですが、さらに二、三この問題でお伺いしたいと思います。
 いま特にお伺いしたいのは、暴力団が間々バーなどを経営しておるわけです。そして暴利をむさぼるということが間々新聞等でも聞いておるわけですが、そこでまずお伺いしたいのは、先般オリンピックがあったわけですが、若干新聞報道等もあったわけですが、その開催中に外人客の被害もある程度あったのじゃないかと思いますが、その点はどうであったか、もしおわかりだったら御報告いただきたい。どういうような実情であったか。
#47
○説明員(海治立憲君) 御説明申し上げます。
 暴力団の資金源につきましてはいろいろなものがございまして、進法な麻薬取引であるとか、あるいは売春のあっせんであるとか、また、その他一般の市民に対し恐喝的行為などによって収入を得ておるものもございます。それからまた、その収入自体、収入を得る行為自体は直ちには犯罪視できないような簡取引的な行為によって収入を得ておるようなものもあるようでございます。飲食店などを経営しておるものもございます。
#48
○伊藤顕道君 いま数字等がなければあとでもいいんですが、いま私がお伺いしたのは、暴力団でバーなどを経営しておる向きがある。先般オリンピックが開催されたその期間に、外人客がたくさん来ておったわけですが、こういうバー等に入った外人客の被害の問題はどの程度あったのかなかったのか、もしあったとすればどの程度かということをいまお伺いしたわけです。突然で、数字等がおわかりでなければ、あとでもけっこうです。もしおわかりだったら、……これはもし数字があまりおわかりなければ、たいしたことはなかったとか、そういう抽象論でもけっこうです。数字はあとでお知らせください。これは関連があったからちょっと承っただけで……。
#49
○説明員(海治立憲君) オリンピック関係の外国人の客が暴力団経営のバーでどういうような被害を受けておるかというお尋ねでございますが、実は、オリンピック関係の外国人の選手、あるいは観光客がバーに入りまして、相当高い料金を取られたというような話は聞いておりますが、はたしてそういうバーが暴力団の経営しておるものかどうかというようなところは確かめておりませんわけでございます。またそのほかには、暴力団関係のバーで特別なオリンピック関係の事件が起こったという報告は聞いておりません。したがいまして、まとまった資料もないわけでございます。
#50
○伊藤顕道君 次に、芸能界と暴力団の黒いつながり、こういうような問題について一、二お伺いしたいのですが、最近の新聞報道によりますと、金沢市で歌謡ショーが最近開かれた。この暴力団が関係した興行主がいわゆる著作権法造反で逮捕されておる。それから、先般九州で大相撲がございましたが、その際、熊本市で開催のはずであった大相撲の興行が暴力団がいわゆる主催ということがわかったので取りやめになった、こういう報道もあったわけです。というふうに、全国各地で暴力団主催の興行が非常にいま話題になっておるわけです。これはまあ、こういうものの興行元になれば収益が多くて、いわゆる正業の隠れみのとして当然暴力団がこういうものに目をつけるであろうことは容易に想像がつくわけです。ただ、ここで問題なのは、こういうあまりに多い芸能界と暴力団との黒いつながり、これは昔から長い間続いてきたわけですが、昔からあることだという、ただそれだけで済まされない問題だと思う。やはり対策が当然あってしかるべきだと思うのですが、こういう点はどうなっておるのか、ひとつお聞かせいただきたい。
#51
○説明員(海治立憲君) 確かに御指摘のとおり、この暴力団関係と申しますか、いかがわしい団体が芸能人の興行を主催するというような事例は実際にあるようでございます。しかしながら、芸能界とそれからいわゆる暴力団とが、はたしてどの程度強く結びついておりますのか、その結びつきのしかたが必然的と申しますか、外からの力で断ち切りがたい程度のものかどうか、そういう点につきましては、私どものいままでの捜査の結果で判明しているところでは、まだ究明し尽くされていないということでございます。
#52
○伊藤顕道君 まだ実態を正確につかんでいないとのことでございますが、一つ、二つの例を申し上げると、昭和十二年の十一月に、長谷川一夫が京都で暴力団に顔を切られた事件、それから二十八年の一月に鶴田浩二が大阪で暴力団四人に重傷を負わされている。また、昨年二月に笠置シヅ子が東京の山一ホールで数名の暴力団から祝儀と称して金をせびられておる。また、最近には、昨年の十二月でしたか、力道山の傷害致死事件、こういうふうに、ずいぶん例を拾ってみるとたくさん問題が多いわけです。
 で、暴力団組織の興行権というのは地方に行くほど強化されて、ほとんど地方興行で暴力団の関係のない地方興行はあり得ないとまで、相当暴力団に興行権が握られておる。そこで、この興行権は、実は暴力団同士の抗争――おもな争いの原因になっておる。こういうことも聞いているわけなんですが、こういうことについては何か手は打っておられるのですか。まだ実態をつかんでいないから、したがって対策もないのか。しかし、ずいぶん長い間こういう問題が続いておるわけですから、大体方向は出ていると思うのですが、こういう問題についての対策は一体あるのか、考えているのかないのか、こういうことについてお伺いしたい。あまりにも問題が多過ぎますから、そこであえて伺うわけです。
#53
○説明員(海治立憲君) 御指摘のような事件が発生しましたつど、検察当局といたしましては、徹底した捜査を行なってまいっておるわけでございます。特にことしの夏、全国的に暴力関係の検事を配置いたしまして、専門的に資料を集積し、暴力団の実態を検討するということに努めておりまして、中央において開かれます検察官の各種の会同におきましても、暴力団その他の暴力犯罪の取り締まりの重要性を強調いたしまして、先ほど先生の御指摘のような事例が発生しました際には、その捜査にあたって、事件の表面にあらわれたところのみならず、その背後にある暴力団の組織、あるいは上部の者との共犯関係、資金源などについてできるだけ努力を払って究明をするということに配意はしております。
#54
○伊藤顕道君 前にも一つ、二つ触れましたけれども、暴力団のいわゆる入場税脱税という問題も相当あるわけです。それから、先ほど指摘申し上げました著作権法違反、あるいは入場券押し売り、あるいは会社とか商店に招待券を押しつけて祝儀をせしめる、こういう悪質な、もう公然と法律を無視した行為が続出しておるわけです。断じてほうってはおけない問題だと思うんです。で、招待券など無理やりに押しつけられても、その受けたほうの会社とか商店などはいわゆる後難を考えてまあ泣き寝入りで、無理やりに祝儀を出すと、こういうことがいまの世の中に相当数あろうと思うんです。まあ新聞などに出るのはほんの一端にすぎない。これはゆゆしい問題だと思うんですね。公然と法を無視しておるこの現実は許せないと思う。こういうことについても十分手を尽くしてしかるべきだと思うんですが、こういう点はいかが対策を講じておられるか、現在どういう手を打っておられるか、こういうことについてお聞かせをいただきたい。
#55
○説明員(海治立憲君) 暴力団が会社などに寄付を強要するということもよくあるようでございますが、ただ、この被害を受けました会社などが届けをしないというようなことがかなりございまして、非常に捜査がむずかしいと思います。しかしながら、こういうことが行なわれておるのではないかということは、過去において案際に実例もございますし、また、いろいろの点から臆測されるところでございますから、先ほど申しました暴力団取り締まり対策の一つの方法といたしまして、そういう批判についても、徹底した取り締まりを行なうという考えのもとに私どもの仕事を進めているわけでございます。
 また、脱税問題なども、最近実際にいわゆる暴力団の収入に対しまして、それを税法違反として捜査をしておるというような実例があります。今後こういう点についてもますます努力をするという覚悟でやっておるわけでございます。
#56
○伊藤顕道君 さらに方面を変えてお伺いしますが、最近の労働争議とかあるいは大衆運動、こういう際には、必ずと言ってもいいくらいにいわゆる暴力団が介入してくる。こういう事例が相当特徴的に見られるわけです。特にその尤なるものが、有名になった三池争議とか過年の安保闘争、こういうものには目に余るものがあったと思います。これはいろいろ原因はありましょうけれども、結局、政府並びに警察が手ぬるい、そうして資本家も金をやったりして甘やかしている、こういうことも相当有力な誘因になっているのではないかということを、実際問題を通して、われわれどもはそう考えざるを得ないのですけれども、こういう点についてひとつ実情を明らかにしていただきたいと思うのです。
#57
○説明員(海治立憲君) 労働争議に暴力団が介入するという問題につきましても、具体的ケースで、暴力団の所属貝と思われる人物が暴行、脅迫などの乱暴をしたという場合には、これに対して厳正な取り締まりを行なっているわけであります。また、その犯罪を実際に行ないました者とその背後関係につきましては、非常に究明にむずかしい点があるということは、先ほど申し上げましたけれども、しかし、この関係をあくまでも究明することが必要であるという考えのもとに、個々の事件の捜査に当たって取り調べの徹底に努力をしております。
#58
○伊藤顕道君 まあ、三池ではあのような忌まわしい問題があったわけですが、特に久保さんがああいう犠牲になったわけですけれども、その犯人はわかっているのに逮捕してない。社会党とか組合が言い出したり、証拠を出して初めて逮捕するというような実情。まあ、デモなどでは公安条例違反などでもすぐ逮捕される。逮捕された幹部はなかなか釈放されない。こういう事態があるのですが、右翼の場合は、どうもこういう点が、なれ合いではないかと思われるほど、さように甘やかされた面が、われわれの目で見られるわけです。こういうのは一体どういうわけだ。それはほんの一部の例にすぎないとおっしゃるのか、現実にわれわれはそういう問題をたくさん知っているわけであります。その点はいかがですか。
#59
○説明員(海治立憲君) やはり証拠に基づいて捜査を進めるわけでございまして、この証拠のある限り、取り締まり当局といたしましては、差別をつけることなく捜査を徹底していると考えます。
#60
○伊藤顕道君 どうもいままでの御答弁では理解できないのですがね。なお、具体的な問題としてひとつお伺いしたいのですが、例の安保闘争のときの六・一五問題、これは最もいい例なので、また、私はこの身をもって体験していることなのでお伺いしますが、いい例の一つとして、六・一五のあの際に、いわゆる新劇の人たちが隊伍を正しく堂々と組んで、ほとんど御婦人の方が多かったわけなんです。そこへ例の暴力団が、いわゆるプラカードの先へ何か金具のついたようなもので、なぐり込みをかけた。そのときにも、あの門の前には警官隊が相当集まっておったわけですけれども、だれ一人、これをにやにや見ておって、助けようとしない。私はまあ危険をおかして先頭に立って、何とか措置するようにと言うたが、なかなかそういうことには無関心でおったわけです。結局、目前の現行犯の――新劇のあの御婦人に何の罪もないわけですわ――それをこん棒でなぐりつける、目の前でそういうことをやっておっても、別にそれをとめようともしない。むろん逮捕などはしない。そこでわれわれは直接に指揮官に交渉して、最終的には何人かの警官でそれを取り巻いて、麹町署に連行する。もちろん手錠などはむろんかけない。どうも言動が怪しいので、私は同士と三人であとを尾行していったわけです。ところが、天下の公道を私どもが歩いていくのに、警官はわれわれ三人を来てはいかぬ、道路上でわれわれを拒否したわけです。歩行させない。しかし、ばかなことをしては困るということで警官を説得して、ようやく三人であとをついていった。ところが、もう実にずさんです。中には一人、二人逃げるものもある。警官はこれを追おうともしない。途中の商店でキャラメルとかその他買い食いするものもある。これを見て見ぬふりをする。公衆電話をかけるものもある。これも黙視している。何ら引きとめようとしない。ようやく麹町署に入ったわけですが、中は騒然としておる。これが逆に組合のものであったらそういうことはしない。手錠をかけるとか、あるいは腕をかけるとか。むろん途中で買い食いなどは許すべくもない。こういうふうにわれわれ三人は麹町署まであとをつけてその挙動をこの目で確認してきたわけです。もちろん麹町署長に厳重に注意したわけですけれども、そういうふうに、善良な市民を保証する立場にある警官が、そういう暴力団に対しては実に甘やかした態度としか見られぬ行動があったわけです、現実の問題としてこれは。これは私はもう誠心誠意をもって応えられるわけです。この目で見、体験してきたわけですから。そういうふうに、こういう問題は数限りなくあるわけです。だから、見方によると、暴力団と警官はなれ合いではないか、仲間ではないかというふうにさえ極言が出てくるわけなんです。こういうことに対してやはり毅然たる態度をもって臨むべきであるし、また、そうなければならぬと思うのですが、こういうことに対する基本的な態度というものは現在確立されておるのかどうか。こういう点を明らかにしていただきたいと思います。もしそういうことでそれが間違っておるということであるならば、こういうことを二度と繰り返さないことが必要になると思いますが、御意見はいかがです。
#61
○国務大臣(高橋等君) 御指摘のような事件が、これは私初耳でありますが、あるといたしますと、これはほんとうに遺憾なことだと思います。法務省といたしましては、右と左とか問わず、そうした違法行為につきましては差別なく厳正に取り締まるということを方針としてこれは常に指示もいたしております。その方針でまいっておるのでございます。なお、そうしたことのないように、機会を見て私からももう一度注意を促しておきたい、こう考えます。
#62
○伊藤顕道君 まあ、大臣からいま一応の御答弁あったわけですけれども、なかなかもって、そんな、もしあったらというような御答弁ですけれども、これはもう歴然たる、厳然たる事実であって、仮定じゃないのです。もう現実の問題としてあまりにも有名な問題だ。これはもう大衆監視のもとでのできごとでありますから。過去の問題ですからそれでいいということはないと思うのです。こういう問題を十分究明してあやまちを二度と繰り返さざるよう十分心すべきであろうと思うのです。そういう意味で、古い問題ですが、お伺いしたわけですが、現在はそういうことが根絶されたということは、最近の事例からも言えないわけです。
 そこで問題を変えてお伺いいたしますが、最近ソ連の政変がございました。また、中国では核実験があったわけです。こういうことが国内治安上重要な転機となっているのではなかろうかと私どもには考えられます。こういう点に対して、大臣としてはどのように把握なされておるか。
#63
○国務大臣(高橋等君) ソ連の政変、中共の核爆発というものが日本共産党に対してどういう影響があるか。それがどういう行為にあらわれるだろうかということでございますが、取り上げて申し上げますような新しい事態は起こっておりません。ただ、共産党の内部におきましては、中共、ソ連の接近その他というようなきざしがあることに対しまして、いろいろと今後の行き方を検討しておるんでございますが、ただいま特に治安上この問題が影響を持っておるという状況は、まだあらわれておらないというように御了承願いたいと思います。
#64
○伊藤顕道君 そこで、なおお伺いしますが、いまソ連の政変とか中国の核実験と申しましたが、特に後者の、中国の核実験の問題があってから、右翼の間には相当ある変わった動きが見られるのではなかろうかと、いろいろな点から察知できるわけです。
 ちょうど明治維新の百周年が昭和四十三年に当たる。だから、この際、この四十三年を期して昭和維新を断行して四十五年の安保改定期を乗り切るべきであると、そういうような主張があるとか、強まっているんだ、そういうようないろいろな報道を聞くわけです。こういう問題については、大臣としてはどのように把握なさっておるのか。また、そういう動きは現実にはないのか。もしあるとすれば、どういうものなのか。こういう点について間々そういう報道を目にしておりますので、この際明らかにしておきたいと思います。
#65
○国務大臣(高橋等君) 公安調査庁の長官から答弁させます。
#66
○説明員(吉河光貞君) 御指名によりましてお答え申し上げます。
 中共の核爆発、実験がわが国内におきまする右翼勢力にどのような影響を与えたかというような御質問の趣旨が第一点であるやに承ります。
 現在までのところ、さほど留意を要するような大きな動きはあらわれていないというふうに存ずるわけでございます。現在右翼勢力は、右翼団体の安保改定闘争以来の統一行動の進展とかに基づきまして左翼の革命情勢が逼迫したというような判断に立ちまして、非常に焦燥感にかられまして、左翼との対決、反共活動を活発に進めるというような動きから、相当右翼陣営は動きが活発になっております。昭和四十五年の安保再改定に際しまして、日本共産党方面では、これは政治的決戦の時期であるというようなことも申しております。また、この間開かれた九党大会では、日本が安保体制で行くか中立で行くか、道の分かれる一つの焦点、重要な焦点であるというようなことで、一つの目標といたしまして闘争を進めるというような動きに対しまして、右翼陣営におきましてはこれに対抗いたしまして、その二年前である昭和四十三年、これは明治百年際、昭和維新を断行してこれをもって左翼に対決するというようなことを言動として云々するものがあります。しかし、右翼陣営が左翼との対決意識、共産革命近しの焦燥感にかられまして、全般としてやや活発化しつつあるということが言われるのではないかと考えるのであります。また、これと関連いたしまして憲法改正を説く。その言うところは、結局、明治憲法への復帰というような趣旨で憲法改正を説くというような動きもないわけではございません。実は、こういうようなムードの中で実際に行動に出る、過激な行動に出るものは、実は思慮分別の浅い青年のようなものがやはり右翼の第一線に立って無分別な行動に出るというようなおそれもございますので、この面につきましても、十分注意しておるわけでございます。
#67
○伊藤顕道君 では、次にお伺いしたいのは、現在政界、財界の一部と結びついたいわゆる暴力団は相当数あるのではなかろうかと思うのですが、この点についての実情はどうですか。
#68
○説明員(吉河光貞君) 右翼の資金源の問題にからみまして、あるいは財界と非常に深い結びつきがあるのではなかろうかというような趣旨も一応考えられるのでございますが、実際のところ、全般といたしまして右翼陣営は非常に資金難にかられているというのが実情ではなかろうかと考える次第でございます。右翼団体といたしましては、機関誌代、広告料、いろいろ営む各種事業による収益というようなものがあると一応申しております。そのほかに、団体本来の入会金とか、構成員から取る会費、それから寄付金というようなものがその財源になっているというふうにいわれておるわけであります。ところが、右翼団体におきましては、正規の入会金とか会費というものが規定どおりなかなか集まってないようでございます。大部分は機関誌を発行いたしましてこれを各方面に配る。で、その広告料と申しますか、を取るというような意味で、あるいは誌代を取るというような意味で、若干の寄付金を集めている。そしてそれを財源にしているというようなのが主たる動きではないか。実はそういうようなわけで、右翼全般といたしましては財界と深い結びつきがある。で、相当多額な金が財界方面から右翼に流入しているという動きはまだ認められていないのであります。ここに申します右翼は政治的な意味の右翼でございますので、麻薬、売淫、賭博というようなもので資金をかせぐというようなことはいたしていないようでございます。ただ、三無事件でも御承知のとおり、有力な財界人が、川南さんのような方がこういう団体の破壊的な活動に参加いたしまして、みずから資金を提供するというような動きは十分注意しなければならぬ。で、大きな破壊活動をやりますにはどうしても相当の資金がなければならぬ。この意味で、そういうような事例については特に私ども警戒いたしておる次第であります。
#69
○伊藤顕道君 結局問題は、資金源の問題と、いわゆるその発生源を浄化すると、こういうことに要約できようと思うのですが、この前、暴力団をいわゆる撲滅するためには資金源を断つことがきわめて大事であるという大臣からの御答弁も一日の委員会であったわけです。そこで、この資金源を断つというような問題については後刻お伺いすることにして、そこでなおお伺いしたいのは、いままで実際問題として暴力団に政治家として花輪を贈ったり香典を贈ったりした実際の例があったわけです。現在も絶対にないということは言えないと思うのですが、そういう事例を私は知っておるわけなんですが、こういうことは、やはり政治家とて暴力団の結びつき、また資金源を断つということが大事だ。資金を一番暴力団は熱望しておる。そういうようなことから、資本家から一部資金も回る――こういうことがいい悪いは別として、現実に行なわれておることもまた事実であろうと思うのですね。したがって、そういう認識の上に立って暴力団対策を講じておられるとは思うわけですけれども、こういう問題についてはどういうふうにお考えになっており、そうして対策としてはどういうふうに手を打っておられるか。その概要をこの際御説明いただきたいと思います。
#70
○国務大臣(高橋等君) 右翼と政治家が手を組むということになりますと、これは非常に恐しいことで、過去においてわれわれ苦い経験をなめた歴史を持っておることは詳しく申し上げるまでもありません。したがいまして、われわれといたしましても、こうした右翼の政治介入ということは極力これを排除をいたしてまいっておるわけであります。――これは法務省がとやかく権限を持ってやられることではまずないと思うのでありますが、われわれの党の立場、要するに自由民主党のほうの立場を申し上げますと、党の近代化のためにいまいろいろと脱皮工作をやっておるわけであります。――その中の重要な項目の一つは、そうした勢力に影響を受けない党をつくっていこう、これが結局、いま政権を担当しておりますのがわが党でございますから、そういうところへ十分なる戒心をいたしてまいっておる。これを御了承願っておきたいと思います。
#71
○伊藤顕道君 この暴力団の一掃にはこれという特効薬というようなものはないと思うのです。この方法ならもう絶対に撲滅できる、そういうものはないとは思うのですが、したがって、先ほど来指摘されておる資金源を徹底的に断つとか、あるいは従来行なわれてきたいわゆる取り締まりを着実に徹底的に行なっていく。そうしてさらに大事なことは、一般の市民が安心して当局に協力できるような態勢をつくることが大事だと思うのです。やはり市民の、そうして国民の協力なくしてはなかなか万全の策を講ずることはできないと思うのです。ところが、うっかり協力するとお礼参りで殺されたというような、鳥取で起こったような事件も起きてくるわけですね。うっかり協力するとお礼参りをやられる。最悪の場合は殺されたり、現に先日鳥取でそういう事件があったと思うのです。したがって、このお礼参りなんということを考えると、国民もうっかりうかつには当局に協力できない。そういうところに一つのいわゆる遺漏があろうと思うのです。したって、こういう点についても十分な配慮が必要であろうと思う。いわゆる安心して当局に協力するためには、どうしてもお礼参りなどが絶対に行なわれないように、協力した市民を保護する責任はあろうと思うのですね。もう絶対心配ない、お礼参りなんてたんか切って言っても、りっぱに保護してくれるのだ、そういう安心感がないと、なかなか積極的には協力しない。小さな問題でも、すりが向こうから逃げてきておる。それを追っかけてくるのを知っておって見て見ぬふりをする。そういうことでは、まあ一つの例ですが、なかなか成果をあげることはできないと思うのですが、こういう点についてはどのようにお考えになり、どういう手を打っておられるのか、あと田畑委員も質問があっておりますので、時間の関係もありますから、この問題を最後の問題として、本法案に関係しては本日はこの程度にとどめておきます。
#72
○説明員(伊藤栄樹君) 私から御説明申し上げます。ただいまお尋ねいただきました点は、私ども取り締まりの任に当たっております者にとりましても最も大事なことと日ごろから考えておるところでございます。この防遏のためには、常にまず第一に市民といつも密接いたしまして、その協力を得る一般的な風潮を醸成するということはもちろんでございますが、警察当局とも常に密接に連絡をとりまして、かりにお礼参りというような事犯が起こりました場合には直ちに検挙いたしまして、私ども検察の立場といたしましても、法の範囲内におきまして相当厳重なる処分をいたすということを励行したいと、こういうふうに存じておるわけで、毎回会同のつど、検事正、次席検事、さらには最近におきましては暴力団取り締まりを専門とします検事の会合におきましても、その点を十分に徹底をはかった次第でございます。今後ともおことばの趣旨に沿って徹底した取り締まりを行なっていきたいと、かように存じておるわけでございます。
#73
○田畑金光君 私は二点についてお尋ねしたいのですが、最初は入国管理事務所の問題でお尋ねし、次にはいま伊藤委員の御質問の公安調査庁関係について若干お尋ねしたいと思うのです。
 最初にお尋ねしたいのは、今回のこの提案で、出張所を新しく三カ所設けることを提案しておりますが、この場所選定の基準はどういう点に置かれているのか、その点をまず最初にお尋ねします。
#74
○説明員(富田正典君) お答えいたします。入管の出張所の新設の基準につきましては、特に法令上一定の基準というものがあるわけではございません。港出張所の仕事といたしましては、入港してくる船舶の寄港地上陸の処理、あるいは出港の場合の上陣許可証の回収、その他乗客の入国申請、出国申請の処理ということが大体おもな仕事になるわけでございますが、そのほかに、やはり出張所の近傍に居住いたします在留外国人の管理という仕事もあるわけでございます。そういう意味におきまして、大体がやはり川入国する船舶の数というものが一つの重要な基準にはなりますが、そのほかにも在留する外国人の数でございますとか、あるいはその出張所の所在というものが、たとえば裏日本の非常に密入国の多い場所におきましては、この出張所の存在というものが非常に密入国者に対する心理的牽制になる。そういうような意味におきましても新設を考慮する要素というものがあるわけでございます。また、いろいろ刑務所の所在地などにおきましても、刑務所に入っている者に対する在留関係のいろいろな調査が参りますので、その調査をする。そういったいろいろな要素を加味して毎年予算で交渉いたしまして、大蔵当局との交渉の結果、いろいろの要素を総合して出張所の新設が認められていく、こういうような状況になっているわけでございます。
#75
○田畑金光君 御承知のとおり、経済発展とともに、特に臨海工業地帯というのが非常に盛んになってきたわけですが、たとえば昨年は新産都市の指定、十三カ所の指定などが行なわれて、この指定地域を見れば、多く臨海工業地域が中心となって指定を受けているわけです。それは海に臨んでいるということ、海に面しているということは、客観的にも工業地帯としての条件を備えた非常に重要な要素であることは御承知のとおりでありますが、今後地域の発展に応じて、あるいは港の、いまお話しした諸般の条件を備えるように港がなってきた場合には、当然入国管理事務所出張所の新設、増設というのは考えていくべきじゃないか、こう思っておりますが、
   〔委員長退席、理事小柳牧衞君着席〕
当局の方針はどういうお考えなのか、お聞きしておきたいと思うのです。
#76
○説明員(富田正典君) お説のとおりでございまして、われわれといたしましても、新産業都市に指定されて、その港湾所在地あるいは背後地域にどんどん工場が新設されていく、ひいては外国船舶の入港が増加してくる、そのために港湾の施設がいろいろ拡張されてくる、そういうような従来の実績及び将来の発展性、そういうものを考慮いたしまして、いろいろそういう条件を備えている港がございますので、その中から適当なものを選んで新設していくということに相なる次節でございます。
#77
○田畑金光君 新設については先ほどいろいろな基準があげられていましたが、それらの基準に該当するところであるならば、来年度もあるいはその次の年もというように、計画的に今後増設していく方針なのか、また、つくるといっても、増設するとしても、新設するとしても、大蔵省との予算折衝というのがまず一番の制約になるわけでありますが、大蔵省の考え方は、その辺弾力的に法務省の要望にこたえ得るようなゆとりを持っておるのかどうか、この辺ひとつ聞かしておいてもらいたいと思う。
#78
○説明員(富田正典君) 柳承知のとおり、わが国の産業もどんどん発展しておりますし、それに伴いまして外国からの出入国船舶というものの数も非常に増加しております。したがいまして、われわれのほうとしても、そういうような経済の伸長、それに伴う外国の出入国の船舶の増加、こういう事態に対処いたしまして、出張所を置かなければならない、置くべき港の数というものはやはり年々増加してまいります。これに対処して、出張所を毎年少しずつでも、予算と港の設置の必要性とのバランスはございますが、
   〔理事小柳牧衞君退席、委員長着席〕
出張所を毎年ふやしていきたいと考えておりますし、大蔵省のほうにおきましても、予算の制限内におきまして、毎年、要求どおりじゃございませんが、われわれの要望を、不満足ではございますが、満たしてくれておる状況にございます。
#79
○田畑金光君 私、福島ですが、福島県のことを例にとってたいへん恐縮ですけれどもね、福島に小名浜港があることは御承知のとおりです。この小名浜港の事例を見ますと、昭和三十八年一月から三十九年の一月まで一カ年の統計を見ますと、外国船が三十隻、外航船が五十七隻、計八十七隻に及んでいるわけです。外国船の内訳を見ますと、韓国、ノルウェー、フィリピン、ソ連、中国、イギリス、ギリシア等多くの国にわたり、また、二十カ国の外国人が上陸し、この傾向は、年とともにたくさんに、相当数にのぼってきておるわけです。この一年間の外国人の上陸だけを見ても、千二両名、こういう統計が出ておるわけですが、こういう場合に、しからば外国人の上陸手続はどうするのかとこう聞いてみますと、船が入ってきてあわてて仙台に電話して、仙台のほうから入国審査官がやってくる。まあ、三日間の上陸を認めるというような非常に現実に即さない姿が現実にとられておるわけでありますが、こういうようなこと等は、もっとその港の状況やその地域の工業的な発展等々を考えたときに、臨機応変の措置――と言っては、予算を伴い法事を伴うことでありますからできないでありましょうが、もっと現実に即して解決を急ぐ必要があるのじゃなかろうか。今回三つの港に出張所を設けるについてあなたのほうから出されたこの三つの港の出入国数、入港船舶等々資料がありますが、この三つの港の条件は、いま申し上げた小名浜の港なんかは十分満たしておるわけで、おそらく小名浜港だけでなく、私はほかを知りませんから申し上げておるわけでありまするが、その他の地域にも相当ありはしないかとこう思っておるわけですが、こういうような場合はどのように考えておられますか。
#80
○国務大臣(高橋等君) 出張所の設置基準につきましては、いま御説明をさしたとおりであります。やはり相当な発展によって出張所を設置せにゃいかん個所が年々ふえてまいっておることは事実でございます。ただいまお話しの小名浜港のように、背後に工業地帯がありまして、港湾施設も逐次整備されて、入港船舶もここ二、三年の間には三倍程度となると見込まれておるのであります。
 一方、福島県内には、約二千八百人の外国人が在留しております。出入国管理及び外国人の在留管理の両面から見まして、ぜひここは山出張所が必要なところであると考えております。来年度の概算要求において、仙台入国管理事務所の小名浜港出張所の新設を、ただいま予算要求をいたしておる次節でございます。
#81
○田畑金光君 大臣の答弁でこれはよくわかりましたが、いまさら申し上げるまでもなく、この地域は昨年新症都市に指定をされ、小名浜港のバック・グラウンドは御承知のように常磐炭田地域であるわけです。ことに炭鉱の不況に伴って、産炭地振興の一環として、企業誘致というのが積極的に進められておるわけで、既存工場としても、たとえば口入水素のような化学工場があるし、最近は堺化学だの、東邦亜鉛、あるいは新日本化学等という化学工場、また来年からは三菱金属製錬というような工場も現に新設されておるし、あるいは、既存工喝としては呉羽化学、呉羽油化、また近く十条製紙も進出する。あの辺一帯、目ざましい工業的な准出を進めておるわけですね。工業的な発展を遂げておるわけです。でありますから、こういう地域については、聞くところによれば、この一両年来政府に対し、すみやかにひとつ出張所の新設をはかってくれ、こういうことを県を通じ強く要望されておると、最近私も聞いたわけでありまするが、どうかひとつこの点についてはいま大臣の御答弁のように、来年を目途にして、ぜひ実現できるように――これは単に私は小名浜のことしか知らぬから小名浜のことを例にあげたのでありますが、そのほかの地域についても、ひとつ十分検討されて、こういう機関については、必要あるわけでありますから、ぜひ積極的な施策を今後ともとっていただきたい、このことを強く要望申し上げておきたいと思います。
 次に、私は若干、先ほど御質問のありました公安調査庁についてお尋ねをしておきたいと、こう思うのです。
 まず初めにお尋ねしたいことは、あるいは伊藤委員から前の委員会でお尋ねがあったのかもしれませんが、当日私はいなかったので、あらためてお尋ねをしますが、公安調査庁の増員、今回二百名なされておるわけです。この二百名は、中央、地方にどのような配分をされるのか、また、公安調査庁のお仕事というのは――私は公安調査庁の問題で質問をするのは初めてですが、破防法を中心として、これの所帯官庁であるというわけですが、破壊的、暴力主義的団体を対象になされておるわけですね。破壊的、さらに暴力主義的団体ということになれば、この法律の答議されたときのいろんな記録などを読むと、共産党であり、最近、先ほどお話がありましたいわゆる行動右翼、右翼ですね、この二つの団体がその対象になってきようと考えるわけです。今回のこの二百名の増員というのは、この対象別に見たときに、共産党関係の仕事あるいは調査にこの程度、あるいはまた行動右翼についてはこの程度、こう仕事の上から見ると割り振りがなされようと思っておりますが、どういう計画でこの増員を配置されるのか、これをまず承っておきたいと思うのです。
#82
○説明員(吉河光貞君) お答え申し上げます。
 今回増員をお願いした二百名は、本年度において必要最小限度の定員でございます。いずれも公安調査官でございまして、この公安調査官は、第一線の調査に従事するものとしてお願い申し上げている次第でございます。この調査官のうち四〇%を、最近非常に勢力を増大してまいりました右翼諸団体の調査に充てたいと考えております。残りの六〇%を日本共産党その他左翼諸団体の調査に振り向けたいと考えている次第でございますが、この二百名の配置につきましては、私どもの役所といたしまして、関東、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道及び四国と、八つの公安調査局がございまして、これが中心となりまして、各地方の県における地方調査局を指導しながら仕事を進めておるわけでございます。この八つの公安調査局にこの定員を割り振りたい。現在のところ大体の予定でございまして、概数でございますが、関東に六十七名、近畿に三十九名、中部に二十一名、中国に十六名、九州に二十五名、東北に十七名、北海道に八名及び最後に四国に七名、以上二百名というような予定になっております。実施の場合には多少増減があるかもわかりませんが、大体この予定を立てて配置いたしたいと考えておる次第でございます。これらの人数を振り割りました基準は、それぞれの骨内における右翼並びに左翼勢力、調査を要する団体の動き等を勘案して定めたものでございます。
#83
○田畑金光君 最小限に必要な人員の増加をはかられた。これは、まあいつの場合でも定員増を要求する場合は、どの官庁だっても、どの部局だっても同じことだと思いますが、ただ昨日も鶴園委員からも質問がございましたが、従来の定員が千八百十五名、今回二百名増員ということになれば、一割強の定員増をなさるわけであります。最近の社会的な情勢、あるいは社会経済的な背景、あるいは政治的な動きなどを見たときに、急にと申しますか、これだけ一時に大量の増員をしなければならない情勢というのは、何を基準に、どういう動きを見てそのように判断なされたのか。それとも、先ほどお話がありましたように、一九七〇年前後は、左翼陣営から見ても、右翼の陣営から見ても政治的な決戦の年である、したがって、このような大事な時期に直面して、当局としても、この破防法の運用を全からしめるためには、この運用に遺憾なきを期するために、いまから定員を増加し、訓練をし、調査活動の徹底を期さなければならないのだ。このような判断に立たれてこの増員ということになったのかどうか。この辺の、ひとつ増員に踏み切られた一番大きな社会的な背景、政治的な背景は何をお考えになっておられるのか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
#84
○国務大臣(高橋等君) 公安調査庁の仕事は非常に広範にわたっておりまして、現在の数をもちましても非常に手薄を感じておったんであります。ことに、最近におきまする右翼分子による過激行動がたくさん起こっております。また、日本共産党の顕著な党勢拡大等もございまして、破壊的団体の規制に関しまする調査事務を一そう充実強化する必要があるのでありまして、また、調査に当りましては人権を尊重いたしまして、公共の秩序安全のために慎重な行動配慮をもって調査を進めていくということも必要でございます。したがって、こうした目的のためにこのたび二百人の増員をいたしたい、こう考えている次第でございます。ただいま御指摘の、特に何年か先の問題を憂慮してあらかじめ職員の訓練をするとかなんとかいうようなことは、そういうことは全然他意はないのでございます。
#85
○田畑金光君 最近特に右翼の行動が活発になり、したがって、危険視されてきているということが一つ、もう一つは、共産党党員の著しいふえ方にかんがみて、共産党の対策を講ずる必要があるというお考えでございます。しからば、その右翼の最近の動きというものがどういう面でどのように活発になってきているのか。特に昨日主要右翼団体一覧表ということで資料をいただきましたが、こういう右翼団体の最近の動きというものがどういうようになっているのか。これを個々の団体についてお話するなんというようなことは時間がかかるので、総体的に見て、全般的に見た場合、一体最近の動き、右翼はどういう方向にどんな問題を取り上げて、また横の連携はどのような形でこれが行動しつつあるのか。また、社会的な、特に暴力主義的な活動という面から見た場合にどういう点について――先ほど労働連動の面というようなお話がありましたが、労働運動の面だけでなく、その他の面にあるかと思いますが、どういう面に行動右翼が今後破壊主義的な行動をやってくる危険性があると皆さん方は見ておられるか、これをひとつ御説明願いたいと思います。
#86
○説明員(宮下明義君) ただいまのお尋ねの、最近における右翼団体の動きの概観につきまして、先ほど伊藤委員の御質問に対して、長官からお答えを申し上げましたところに概略尽きていると思いますが、私からも少しく補足して申し上げますと、最近における右翼団体の動きの底流に、左翼系団体の計画をいたしております日本における共産主義革命の危機感、焦躁感というものが底流になっておりますことは申し上げるまでもないところと思います。したがいまして、右翼団体の全般の動きの底流には、これらの左翼の団体に対する反共活動がまず第一に考えられなければならないと思います。昨年大阪で起きました日本共産党好坂議長の襲撃事件とか、あるいは右翼団体が、たとえば仙台における日教組大会に、ことばは語弊がございまするが、なぐり込みをかける、あるいは原水爆禁止の大会に押しかけて妨害行動をするというような表面的な動きがございまするが、これらはすべて右翼団体が全般的に抱いております左翼革命に対する危機感ということで、非常な危機感、焦躁感にかられまして、このような行動に出ておるわけでございます。しかも、この傾向が最近ここ一、二年来少しく強くなってきておるように考えておるのでございます。
 第二番目には、この右翼団体が全般的にこのような左翼勢力の伸長を許しておるのは政府の施策あるいは保守党の施策が悪いんだ、こういうことを申しまして、政府非難あるいは保守党非難の動きをいたしておるものがございます。御承知のように、昨年、当時の河野建設大臣の私邸の放火事件、あるいは福島における当時の池田総理の襲撃事件等は、こういう御向であらわれてきた動きであろうと思います。今回三重を中心にいたしまして国民同志会の関係者が起こしております、現在改札及び検察で捜査中でございますが、韓国の警備艇に体当たりをする、あるいは東京の韓国の代表部に焼き打ちをかけるというような事件が現在捜査中でございますが、彼らの考えでは、これらの行動によって、日韓会談に対する政府の態度、日本政府の施策をあきたらないといたしまして、それを突き上げるというような考え方からこの行動に出ておるようでございます。反共活動と同時に政府批判の動きが次節に出てきておるということも注意を要する点でございます。
 第三には、国家革新運動と申しまするか、日本の現状に非常な危惧感、不安感を持ちまして、昭和維新を断行するんだ、ことに昭和四十五年の安保改定の時期を前にいたしまして、日本の体制の維新をはかるんだ、あるいは明治維新百年祭が間もなく参るわけでございまするが、そのころを期して日本の体制の革新をはかろうというような寄り寄り論議をいたしておる動きがございます。しかしながら、この昭和維新運動というようなものは、まだそれぞれの団体が具体的な行動計画までは至っておらないように思います。先般の三無事件等は幾ぶんこの傾向の事件であろうと思いますが、いまのような国家革新運動、昭和維新運動というようなものは、各団体がいろいろ討議はいたしておりまするが、まだ具体的事実までには発展をしておらないように思います。しかしながら、一般に右翼団体全体が漸次そのような考え方を持ってきているということは、注意をしなければならないと思います。そのような論議の末、あるいは右翼陣営の連合と申しますか、大同団結と申しますか、そういうような動きもあらわれているような状況でございます。先ほど長官も申し上げましたように、昭和四十五年の現行安保条約の期限が切れます年を目当てにし、あるいは明治維新百年祭を目当てにいたしまして、いまの日本の現状が非常に共産革命に近づきつつあるというような焦燥感を持ちまして、次第に右翼関係者がやや矯激な行動に出るきざしが見えますので、私どものほうでは十分注意をいたしているわけでございます。ことに、こういう団体全般がそういう傾向にございますと、その団体に属しております思慮分別の至らない若い連中が、その雰囲気を受けまして矯激な行動に至るおそれがございますし、また、各団体がそういう青年を訓練いたすために塾、道場等を設けまして、若い青年の訓練等もいたしておりまするので、このような方面に対しましても十分注意をいたさなければならないと考えております。
#87
○田畑金光君 いわゆる暴力団というのは全国に五千以上の団体があり、暴力団員というのは十六万以上もいると、こういわれておりますが、この行動右翼というのは一体幾らぐらいの団体があって、これに所属する団員というのは幾らぐらいいるのか。五年前と今日とではどの程度ふえてきたのか。特に安保の当時と今日とはどのようにその数は動いているのか。これを簡単に数字だけひとつ教えてもらいたいと思います。
#88
○説明員(宮下明義君) 公安調査庁で調査をしあるいはその動向を注視をいたしております団体は、一般に世間一般がただ古型的という団体をすべて見ているわけではございませんで、やはり破防法に基づきまして、破防法に規定されております衆力主義的な破壊活動に出るおそれを内包している団体を調査をし、あるいはその動向を見ているわけでございます。したがいまして、ただいまお述べになりました暴力団全般を公安調査庁が調査をし、動向を見ているわけではございません。したがいまして、公安調査庁がその動向を見ております団体は、おおむね二十前後、右翼の団体員の総計が約一万近い数と考えております。
#89
○田畑金光君 私がお尋ねしたのは、特に安保の前後と今日とではどのようなふえ方をしているか、これをお聞きしたわけです。いまの一万人あるいは行動右翼の二十幾つかの団体が、最近の数年間にどのようなふえ方をしておるのか、あるいは安保の騒ぎの当時と幾らも変わっていないのか、その辺を承っているわけです。
#90
○説明員(宮下明義君) 公安調在庁におきましては、破防法に規定してあります暴力主義的破壊容疑団体を内部的に公安調査庁長官が指定をいたしまして、全国的に、第一線の調査官にその調査を下命をいたしておるわけでございます。これは、その破防法に基づく調査が、一面憲法上の団結権あるいは思想の自由というような問題とも関連いたしますので、慎重な態度をとって、ただ一人の調査官の判断だけで、ある団体をいわゆる正式な調査をすることをとめておるわけでございますが、このような指定をして調査をしております右翼団体が、先ほども長官からお答え申し上げましたように、現在右翼関係で十ございます。安保当時におきましては、ただいま手元に持っております資料が昭和三十六年でございますが、この当時はこの指定団体が五つでございましたが、現在はその倍の十の団体を指定をして調査をいたしておるような状況でございます。
 それから、こういう指定をして調査をしております団体のほかに、右翼と目される団体でその構成員が暴力的な刑事事件を行ないましたり、動向を注意しなければならない団体があるわけでございますが、これが三十六年当時は十七団体ぐらいでありましたのが、現在は大体二十団体ぐらいにふえておりまして、その構成員も、三十六年当時、これらの団体構成員が一万三千ぐらいでごさいましたが、現在はこういう動向を注視をしておりますこれらの団体の構成員の総数が一万七千ぐらいになっておると考えております。
#91
○田畑金光君 右翼の動きというものは大体お話でわかりましたが、次にお尋ねしたいことは、この破防法ができた当時は、この破防法の対象というのは主として共産党あるいは共産党員を対象にしていたと私は思うわけです。当時は、記憶も薄らぎましたが、火災びん闘争とか、あるいはいろいろ山村工作部隊などと非常に共産党も激しい動きを示していたわけです。この破防法制定当時の、すなわちわが国が講和条約で占領政策から独立の方向に移行するあの歴史的な時代と、十四年を経過した今日の共産党のあり方、動き等を見た場合に、当局としては共産党の動きについてどのように判断しておられるか。特に最近は、申すまでもなく、皆さんが専門的に研究あるいは調査しておられるように、いまの日本共産党も中ソ論争の影響を受けていろいろ内部闘争を続けているわけです。その主流派は中共派といわれ、あるいは分裂し除名された派はソ連派と、こういわれておりますが、この間の白丸の第九回党大会の報告案なんかを見ましても、いわゆる中共派といわれている、いわば一番激しい共産党員――派でありましょうが、その中でわれわれが特に注目することは、中共派であり、中共の路線を受け継いではいるが、その中にこういうことを言っている。「日本の革命の個々の具体的戦術については、中共路線の教条主義的適用によって生じた綱領路線からの逸脱や偏向の是正をはかっていくこと」、必ずしも中共路線そのままを日本に持ってきようということでもないようであります。
 それでまた、われわれが特に最近の日本共産党の動きとして注目したのは、本年春の四・一七ストのときのあのストライキに対してこれをやめさしたというこのことですね。こういう問題等についても、この間の大会では自己批判をして、共産党が間違っていた、われわれの指導が誤っていた、こういうことも自己反省しているようです。それに対しては、経済闘争を過小評価したり、それに政治闘争を機械的に押しつけたりすることはやめよう、こういうようなこと等も自己反省の中に入れておるわけでありまするが、とにかく私がお尋ねしたいのは、この破防法ができた昭和二十七年当時、しかも法律の、この破防法の主たる対象が共産党であった、しかしその後は、先ほどのように右翼というものが対象になり、先ほどの御答弁を聞いてみると、むしろ右翼を重点に置くというようなお答えのように聞こえますが、それはそれとして、この破防法制定当時の共産党の内部の動き、周囲の情勢と今日とは、私は相当共産党の内部の中にもあるいは周囲の情勢の中にも変化が生まれておるとこのように見ておるわけでありますが、この点については、ずばりお尋ねすれば、破防法制定当時と今日との事情は何も変化はない、こういう判断に立って公安調査庁は動いて、おられるのか、これを承っておきたいと思うのです。
#92
○説明員(宮下明義君) 田畑委員の御質問の点にお答えをいたします前に、最近の日本共産党の動向のごくあらましを申し上げまして、私どもの観察しておりますところを述べたいと思います。
 日本共産党が考えております日本の革命は、三十六年の前回の第八回党大会で綱領を採択をしておるわけでございますが、その現在日本共産党が持っております綱領に基づいて日本の革命運動を進めておるわけでございます。日本共産党が考えております日本の革命は、日本の支配権力は、アメリカ帝国主義とこれに従属的に結びついている日本の独占資本の二つの敵なんだ、したがいまして、この二つの敵を駆逐し、あるいは打倒をいたしまして日本に新しい人民民主正義革命をなし遂げまして、これを急速に社会主義革命に転化をいたしまして、日本に社会主義体制、共産主義体制を確立するのであるという二段革命方式をこの綱領ではうたっておるわけでございます。日本共産党は、この綱領の示しております方向に向かいまして日夜行動をいたしておるわけでございますが、それに至ります方法として現在日本共産党が極力力を入れております点は、第一には、みずからの強大な党の建設をはかるということと、第二には民族民主統一戦線を日本につくり上げるのだ、この統一戦線を基礎にして民主連合政府をつくり、統一戦線政府をつくり、ただいま申し上げましたような革命に行くのだと、こういうことを申すのでございます。日本共産党が累次にわたる党員倍化連動をいたしまして、現在党員が急速に増加して、大対現在では十一万くらいの党員と私どもは考えております。今回の九回党大会で、共産党のほうでは、自分たちの党員は十五万人になったということを申しておりますが、私どものほうでは、脱党者あるいは動かない党員等もおりますので、大体は十一万くらいと考えております。しかしながら、アカハタが約十六万、それからアカハタ日曜版の読者が六十万近い数にのぼっておりまするが、これらの状況を考えますと、共産党の強大な党建設ということも着々成果をあげつつあるように考えるわけでございます。
 なお、この統一戦線戦術といたしまして、御承知のように、共産党は共産党の指導下に動きます各種の大衆団体をつくってそれを動かしておるわけでございますが、たとえば民主青年同盟、この同盟員もすでに十万をこえたわけでございます。また、婦人の党員あるいは同調者を結集いたしました「新日本婦人の会」の会員も五万をこえております。あるいは中小企業者を結集いたしました民商――民主商工会の連合会の団体がございます。これも五万近い会員を擁しております。また、生活困窮者を結集いたしました「生活と健康を守る会連合会」というのがございますが、これも大体同じような数でございます。その他、あるいは日中友好協会、あるいは日本平和委員会、あるいは各労働組合の中にたくさんの党員を送り込みまして、こういう党の指導下にある、党の影響下にある団体を、一つの闘争目標に向かって統一戦線をつくって、これをアメリカ帝国主義及び日本の独占資本に反対する民族民主統一戦線として結集をしていく、そうして、その中核には労農同盟が中核になりまして、ただいま申し上げましたような日本の革命を成就しようという計画で現在着々事を進めておると考えるのでございます。したがいまして、ただいまお尋ねがございましたように、昭和二十六年、七年当時のいわゆる左翼冒険主義で、共産党員が地下にもぐりまして地下組織をつくり、非合法組織をつくり、軍事組織をつくり、火炎びんをほうっておりましたあの当時の暴力革命方式の動きと現在とでは、違った動きをいたしておるわけでございます。しかしながら、私どものほうで、それならば日本共産党が現実に暴力革命方式を捨てたのかという点をいろいろ検討をいたしておりまするが、たとえば第八回党大会のあとで、党の機関紙のアカハタに、その八回党大会を振り返りまして社説を掲げておりまするが、結局、日本共産党が暴力を使うかどうかということは、支配階級――相手力の出方によるのだということを申しております。したがいまして、綱領あるいは八回の九党大会の政治報告等に、明らかに暴力革命の段取り、手段等は掲げておりませんが、その綱領において暴力革命方式を依然として堅持をしておるのだという観察をいたしておるわけでございます。御承知のように、最近、日本共産党は完全に中国共産党に同調する傾向を示しております。また、われわれが日本共産党の内部を見ておりますと、最近各地の組織、各地の細胞あるいは委員会等で、寄り寄り暴力革命の論議をするものがふえてきております。また、御承知のように、日本共産党が、最近昭和四十五年の安保条約期限が切れる年が一つの政治的決戦の時期であるということを公開演説会で町坂議長も公然と申しまするし、この時期に向かいまして着々と準備を進めておるという状況であろうと考えておりますしたがいまして、いまお尋ねがございましたように、昭和二十六年、七年当時の切迫した極左冒険主義の動きと現情とではやや異なるとは思いまするが、ただ、申し上げましたような党自体の拡大強化、統一戦線の拡大強化ということを通じまして、日本の革命に向かって着々行動を展開をしておるというふうに考えておるわけでございます。
#93
○田畑金光君 私、時間がありませんから、二段革命方式とか一段革命方式などとか、あるいは革命のあり方について、平和革命か暴力革命か、プロレタリアの独裁か、今日いろいろな問題があって、それからいろいろ共産党に対する分析等がございましたが、そういう本質的な問題は、私はもう時間の関係がありますのでやめます。われわれも、本の上では若干勉強をしておりますが、そういうようなことはさておきまして、私がお尋ねしたいのは、要するに、いまの次長のお答えは、破防法制定当時と今日とでは、今日であっても共産党については本質的に変わらない、こういうお答えがあったろうと思うわけです。それはさておきまして、次に私がお尋ねしたいのは、先ほど右翼のことを尋ねたときに、次長からちょっと御答弁がありましたが、その問題について若干お尋ねしたいと思うのです。
 すなわち、共産党であっても、あるいは右翼であっても――行動右翼であっても、その隊員の動き、党員の動き、あるいはその団体の効き等、実情調査をするについてはあくまでも基本的な人権を尊重するという立場でわれわれはやっているんだ、こういうようなお話がございましたが、破防法の第三条によれば、第一項に、「この法律による規制及び規制のための調査は、第一条に規定する目的を達成するために必要な最小限度においてのみ行うべきであって、いやしくも権限を逸脱して、思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあってはならない。」、このように基本的な人権を尊重するというたてまえで公安調査庁はその権限の行使をなされておると思いますが、もう一度あらためてひとっこれは長官なり大臣から、公安調査庁が今日までこの法律に基づく権限の行使についてはどういう心がまえでやってこられたかをひとつお尋ねしておきたいと思うんです。
#94
○説明員(吉河光貞君) お答えいたします。
 私、この破防法の立法に関与いたしたものでございますが、この第三条に書かれておりまする憲法の保障する基本的人権の保障と暴力主義的な破壊団体の調査というものをいかに調整するかということが、この立法の最も大きな眼目となったのでございます。したがいまして、占領当時に行なわれておりました最高司令官の指令に基づく団体等規正令というような立て方はとらない、あくまで日本国憲法の精神に照らして合憲なものをつくりたいというふうな念願でありました。したがいまして、ここでは客観的に暴力主義的な破壊活動という行政上の概念を設定いたしまして、その内容といたしまして、刑法の各条項に書かれている悪質かつ重大な犯罪――内乱、外患、殺人、放火というような犯罪を政治的な目的を達成する手段として行なうというような活動を暴力主義的破壊活動といたしました。こういう活動を団体の活動としてやる団体につきましては、すでに結社の自由の最も極端な乱用であり、むしろ民主主義の敵であるというふうに考えて、こういう団体につきまして必要最小限度の規制を加えるというように考えたのでございます。で、破防法に規定いたしておりまする破壊的団体の規制――解散等を含みます。国民に与えられた結社の自由に対する法的な保護を剥奪いたします。そして、解散を命ぜられた結社の存続、再建等結社のためにする行為をなすものについては、処罰されるたてまえになっておるわけです。したがいまして、規制については、非常に厳格な条件が課せられているわけでございます。第一は行為の暴力性に関する条件、第二は目的の政治性に関する条件、第三は主体たる団体性に関する条件、第四は行為の危険性に関する条件でございます。まあ、通常、左翼にいたしましても右翼にいたしましても、その主張なりあるいは主義なりを貫徹するについて、またはこれに関連いたしましていろいろな暴力主義的な事犯に出る事例が放免されるわけでございます。しかも、これらの暴力主義的な行動が多かれ少なかれこれを行なうものの所属する団体組織を背景として行なわれていることは御案内のとおりでございます。
#95
○田畑金光君 ちょっと、長官の御答弁でたいへんどうもけっこうなお話を承りますが、私がお尋ねしておるのは、端的にあの三条によれば、要するに、共産党であろうと右翼の団体であろうとも、この法に基づいて調査活動その他をやるについても、その対象になる人方の基本的な人権はあくまでも守らなければならないということを第三条に書いているわけです。したがって、私がお尋ねしているのは、先ほど来いろいろ右翼についてはいまこういう動きがある、左翼についてもいまこのような動きがある、こういう御説明でよくわかりましたが、しからば、かような調査をなさるについてはどのような方法で調査なされておられるのか。その調査の方法等と、第三条に基づく調査をするにあたって基本的な人権はあくまでも侵さないというたてまえで調査をなされたのかどうか、そういう点を私は率直に承っているわけです。
#96
○説明員(吉河光貞君) わかりました。お答え申し上げます。公安調査官の調査は、法律上の強制権を持たないあくまでも任意の調査でございます。公安調査庁といたしましては、この調査官に十分なる研修、訓練を加えまして、憲法その他の規定を教育いたしまして、基本的な人権を守る趣旨をよく教育している次第でございます。調査官に対しましては、調査をするにあたりましては、自分の五感でまず調査しろ――自分で見、自分で聞き、自分で感ずる、五感による調査をまず第一にやれ、次には、対象団体の内外の構成員、その他の構成員、その他の方の自発的な任意の協力を得て、団体の実態に関する資料なり情報を入手する。こういうふうに申しておりまして、決して権限を乱用をして協力を強制してはならないということを厳重に戒めて調査を進めている次第でございます。
#97
○田畑金光君 よくわかりましたが、擬装党員をつくって、共産党員だということで共産党の内部の事情を調査するというようなことは、これはいまお話のあったような、あるいは第三条の基本的な人権を侵害しないという立場で調査をやれ、こう言っているが、また長官は、いまお話を承ると、基本的人権をあくまでも守るようにやってきた。調査官自体で調査しろ、また、範囲を広げても、対象団体の内外から自発的な協力を求めて情報を聞いてくれ、この程度のことならいいのですが、ある団体の動きを調査するために擬装の党員に仕立てたりあるいは擬装の団員に仕立てたりして、そして調査をさせるということは、一体これは基本的な人権を尊重するという立場の調査なのかどうか、これを端的に承っておきたい。
#98
○説明員(吉河光貞君) お答えいたします。御質問の趣旨まことにごもっともでございまして、公安調査庁といたしましては、さような擬装党員を仕立てて対象団体に送り込むというようなこは絶対いたしておりません。
#99
○田畑金光君 絶対に送り込んでいないというならばわかりますが、まさかそんなことはあるまいと思うが、しかし、私はつい最近そういう人に実は会っているわけです。これは擬装党員として活動してきたけれども、やはり何年か活動しているうちに、ほんとうに周囲もそう信用してくる、しかし自分の仕事を考えてみると、まことに自分のやっていることに耐え切れなくなって、こういうことで脱党する。脱党するについても、生命の危険を感ずるのでお寺の中に何年か入っていた。ほとぼりがさめたので、もう自分も年をとったし正業につきたい。こういう人が実は私のところに仕事の相談に来たわけですよ。私はその人の履歴吾を見て、公安調査庁にかっていたということを初めて知ったわけで、こういう事情なんだ、こうだんだん聞いてみたら、履歴書にもこういうようなことを書くことはどうかと思うというような話もしておりましたが、しかし、ある人と相談したら、田畑さんならばわかってくれるだろう、こういうようなわけで、私のほうに現に相談に来た者もあるわけです。しかし、これは事の真偽はこれはどうせあれですよ、こういうようなことは、これは第三条の権限の行使という点から見た場合に、あくまで基本的な人権の尊重というたてまえで見た場合に、そのような形で擬装党員となって仕事をやらせられ、その個人の人間性を全く喪失させられて、そうしてまた、それが長く続くはずはない。その人間の一体自分の保障、生活の保障をどうするのかという問題も当然出てこようと思うのです。また、そのような方法まで講じて調査をするということが、はたしてこの破防法の、あくまで基本的な人権を守りながら調査をやるというこの精神に合うのかどうか、こういうことを私は深く疑問を感じているわけです。たとえば、これも皆さんのほうからいただいた資料を見ますと、第八回党大会以降の日共の基本的動向、この資料の三十三ページによると、共産党自体も「偶発的な機会にたよっていた党内「スパイ」の摘発について中央、地方党機関の権限を強化し、容疑者に対しては尾行、張りこみなど組織的、系統的な調査を行ない摘発にのりだし、また「スパイ活動」に対しては、アカハタ等において徹底的に暴露するとともに、関係機関に対する抗議、攻撃を活発化した。」と書いておるし、また別のところでは、「経常内党組織の秘匿については、細胞、党員の擬装名の使用を徹底させたほかに、」と書いてあるわけです。これはお互いさまだということにはなっておる、表現は。だから、私がいま申し上げたようなことは事実でないとすれば、これはけっこうなことでありますけれども、こういうようなこと等は、私冒頭申し上げましたように、破防法について実はお尋ねすることは初めてでありますけれども、こういうような事例は破防法のもとでも私は許されないことじゃなかろうか、こう考えておるわけで、この点について大臣の御見解を承りたいし、あるいは私の尋ねておるのは、長官の先ほどのきっぱりとした、そんななことはないという断言どおり、なかったかもしらぬが、しかし、かりにそんなことがあれば、さような人については、政府の責任において、あなた方の責任において、その人の身分の保障なりその他を考えてもらわなければ困ると思うのです。
#100
○国務大臣(高橋等君) お尋ねの点は、ただいま長官がお答えしたとおりでございます。
#101
○田畑金光君 大臣、どういうことですか、まだおわかりにならなかったのですか。
#102
○国務大臣(高橋等君) お尋ねの点は、ただいま長官がお答えしたとおりでございます。
#103
○田畑金光君 もう一度長官にお尋ねしますが、長官としてはこのようなことは絶対にやっていない。しからば、先ほど具体的にいろいろなことをお聞かせいただきましたが、微に入り細にわたりいろいろな情勢をお聞かせ願いましたが、この調査というのは、先ほど長官がお話しのような範囲の中の調査でこれだけの情報を得られたのかどうか。この点あらためて承っておきたいと思います。
#104
○説明員(吉河光貞君) 御質問のとおりでございまして、外部から擬装党員を仕立てて対象団体に送り込む、あるいは職員を擬装党員に仕立てて対象団体に送り込むというようなことはやっておりません。
#105
○田畑金光君 私はそのようなことのないように、また、あっては許されぬ、こう思いますので、この問題はこの程度にとどめておきたいと思います。どうかひとつ、昨日来いろいろ質問されましたが、公安調査庁の今回の職員の増員が二百名もなされておるわけで、この問題については、質問しますと、あるいはまたわれわれが掘り下げますと、いろいろな見方も出てくるし、意見もあるし、批判も出てくるわけで、当局におかれても、十分私が先ほど質問したような点等について留意をされてやっていただきたい、このことだけを強く希望申し上げて、私の質問はこの程度で終わることにしておきます。
#106
○委員長(下村定君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言なければ、本案の審議は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト