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1964/12/10 第47回国会 参議院 参議院会議録情報 第047回国会 内閣委員会 第5号
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1964/12/10 第47回国会 参議院

参議院会議録情報 第047回国会 内閣委員会 第5号

#1
第047回国会 内閣委員会 第5号
昭和三十九年十二月十日(木曜日)
   午後二時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月七日
    辞任         補欠選任
     栗原 祐幸君     上林 忠次君
 十二月八日
  委員小西英雄君は逝去された。
 十二月九日
    辞任         補欠選任
     山本伊三郎君     千葉千代世君
 十二月十日
    辞任         補欠選任
     上林 忠次君     鳥畠徳次郎君
     塩見 俊二君     栗原 祐幸君
     辻  武寿君     鬼木 勝利君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         下村  定君
    理 事
                石原幹市郎君
                小柳 牧衞君
                伊藤 顕道君
    委 員
                栗原 祐幸君
                源田  実君
                鳥畠徳次郎君
                林田 正治君
                三木與吉郎君
                鬼木 勝利君
   国務大臣
       法 務 大 臣  高橋  等君
       大 蔵 大 臣  田中 角榮君
       建 設 大 臣  小山 長規君
   政府委員
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  鹽野 宜慶君
       法務省民事局長  平賀 健太君
       法務省刑事局長  津田  覺君
       建設政務次官   白浜 仁吉君
       建設大臣官房長  前田 光嘉君
       建設省計画局長  志村 清一君
       建設省河川局長  上田  稔君
       建設省住宅局長  尚   明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  清君
   説明員
       法務省矯正局長  大沢 一郎君
       法務省人権擁護
       局長       鈴木信次郎君
       公安調査庁長官  吉河 光貞君
       公安調査庁次長  宮下 明義君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○法務省設置法の一部を改正する法律案(第四
 十六回国会内閣提出、衆議院送付)(継続案
 件)
○特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○建設省設置法の一部を改正する法律案(第四十
 六回国会内閣提出、衆議院送付)(継続案
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(下村定君) これより内閣委員会を開会
 いたします。
 議事に先立って、一言申し上げます。
 一昨八日、本委員会の委員小西英雄君には逝去されましたので、ここに、委員会として黙祷を捧げ、深く哀悼の意を表し、御冥福を祈りたいと存じます。どうぞ皆さま、御協力をお願いいたします。
  〔総員起立、黙祷〕
#3
○委員長(下村定君) 黙祷終わります。御着席願います。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(下村定君) まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る七日、栗原祐幸君、九日、山本伊三郎君、本日、辻武寿君、上林忠次君、塩見俊二君が委員を辞任され、その補欠として、上林忠次君、千葉千代世君、鬼木勝利君、鳥畠徳次郎君、栗原祐幸君が選任されました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(下村定君) 法務省設賢法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き、これより質疑を行ないます。
 政府側出席の方は、高橋法務大臣、監野司法法制調査部長、平賀民事局長、津田刑事局長、大沢矯正局長、武内保護局長、鈴本人権擁護局長、吉河公安調査庁長官、宮下同次長でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#6
○伊藤顕道君 前回に引き続いて、法務大臣を中心に二、三の問題について、なお質問を続けたいと存じますが、まずお伺いしたいのは、この一日の当内閣委員会で、大臣は、私の質問に対して、暴力団を取り締まり、これを制圧するためには、まず何といっても、その資金源を断つ必要があると、こういう意味の御答弁をなさっておるわけです。そこでお伺いするわけですが、この麻薬の密売ということについても、これは暴力団にとっては重要な一つの資金源になるのではなかろうかと考えるわけです。この点についてはどのようにお考えになっておるか、まずこのことからお伺いいたします。
#7
○国務大臣(高橋等君) お尋ねの、麻薬が暴力団の資金源になっておりますことは御指摘のとおりであると思います。しかし、過去におきましては、相当な麻薬の検挙件数があったのですが、近来は非常に麻薬関係の事件は減っております。これは相当根が断たれてきておるのではないかという、いま見方を私たちはしているわけでございます。詳しくは事務当局からお答えいたさせます。
#8
○政府委員(津田覺君) ただいまお尋ねの麻薬につきましては、麻薬自体として取り締まりを強化いたしまして、昨年度におきましてはかなりの数にのぼっておりましたが、本年に至りましては、麻薬自体の犯罪は非常に減っております。昨年同期のほぼ半分ぐらいになっているように思います。しかしながら、一方御指摘のように、麻関係が暴力団の資金源になっていることも、これは過去においては肝炎でございます。神戸その他の地区につきましては、暴力団関係の麻薬の売り渡しというようなものにつきまして、これを検挙いたして、現在起訴いたしておる事件もございます。しかしながら、御承知のように、麻薬自体がそもそも非常につかまりにくい犯罪でございますが、暴力団の資金源として完全にその麻薬事犯を把握しておるかどうかという点については、やはり若干の疑問もあるのではないかと思います。もちろん麻薬につきましては、その面を考慮に入れて厳重な取り締まりを行なっておるわけでございます。
#9
○伊藤顕道君 この麻薬の取り締まりについては、厚生省とか警察庁、大蔵省あるいは海上保安庁、それと法務省、法務省はまあ入国管理局だと思いますが、その他国有鉄道の公安本部、まあこういう各部局で取り締まり体制をしいておると思うわけですが、こういうことについては了解しているんですが、これは具体的にどういう横の連携をとりながら、いわゆる取り締まり体制を強化しておるのか、そういうことについてひとつ御説明いただきたいと思います。
#10
○政府委員(津田覺君) 麻薬につきましては、御指摘のように、各省の緊密な連絡を要することにかんがみまして、中央に麻薬対策推進本部というものがあることは御承知のとおりでございまして、これによりまして随時会合をいたしまして、麻薬に関する諸般の情報、その分析及び将来の対策を検討いたしておりますが、各地区におきましても、厚生省の地区連絡会議がございまして、ただいま御指摘になりまして関係各省の出先が集まりまして具体的に協議をいたし、その協議に基づいて種々の対策を講じておるわけでございます。
#11
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、一時少年少女の間に、いわゆる睡眠薬遊びですか、睡眠薬を使用して非常に憂うべき傾向が出てきたわけですけれども、これはまあ幸いに薬事法とか、法はそれに対応して少し強化されてきたとか、あるいは民間の協力によって、大体これは、まあ現在は下火になっておるということなので、ほっとしたわけですけれども、さて、子供の遊びの睡眠薬はこういうことになったのですが、ところが、おとなのこの睡眠薬に何千倍かするいわゆる猛毒のある麻薬については、国内で比較的関心が薄い、こういう事態であろうと思うのです。もし数字に間違いがあったら御訂正いただきたいんですが、大体私の調べたところによると、中毒者は約四万ぐらいあると、それから常用者が二十万、そうして愛好者は五十万もあるといわれておるわけですが、これはごく最近の数字がおわかりでしたらあわせてお教えいただきたいのですが、こういうことで、これはまあ表面に出た数字であろうと思うのですが、実際にはまだまだこれをはるかに上回っておると考えられるわけです。こういうことになると、これは容易ならぬ事態であるのですが、先ほどの御説明で、本年は麻薬自体の犯罪は昨年の二分の一ぐらいになったということでたいへんけっこうなことですが、だからといって油断はならぬと思うのですが、こういう実態についてひとつ御説明いただきたいと思います。
#12
○政府委員(津田覺君) 先ほど申し上げましたように、麻薬関係におきましては、本年上半期におきまして検察庁の受理人員は七百五十三人で.こいまして、昨年の同期は二千二百九十二人ということでございますから、まあ二分の一かむしろ三分の一に近いような数字になっております。そこでただいまお尋ねの中毒者の件でございますが、これは把握しにくいのでございまして、あるいはただいまの御説明になりました数字そのものが正確であるのかもしれぬと思いますが、私どものほうで考えておりますのは、従来ありました名簿、あるいはこれがいろいろ死亡したりいろいろなことになっておりますが、それから推測いたしますと、まあ一万名内外ではないかという感じなんでございますが、これはどうもあまりはっきりそうであるというふうに確信を持って申し上げられる数字ではございません。
#13
○伊藤顕道君 これはちょっと古い数字ですが、三十六年度に観光日本で大体四百万の利益をあげたといって、政府も、また当事者も鼻高々であったわけです。たいへんけっこうな傾向だと思うのですが、しかし、この四百万の収入があったということについては、いろいろ予算を使っておるし、多くを言いませんが、そういうのを差し引くと、わずか数十万の利益にしかならない、ところが、この麻薬の密売については年間七百億と、こういうものが、しかも第三国人によって持ち去られておる、こういう事態は、これは日本経済の推進という意味合いからも、これはなかなか大きな問題だと思うのですが、こういうことについて法務省で把握しておる、実態をひとつお聞かせいただきたい。
#14
○政府委員(津田覺君) ただいまのお話しの数字は、私どもも一応は承知いたしておる数字でございますけれども、この実態に至りましては非常にわからない。で、ただいまおあげになりました数字は巷間伝えられておる数字ではございますが、実態はどうしてもこれはわかりません。
#15
○伊藤顕道君 そこでお伺いしたいのですが、昭和三十七年五月七日に衆議院の本会議で麻薬対策強化に関する決議案、この決議案が全会一致で議決された事実があったわけです。そこで、このことはたいへんけっこうなことで一歩前進であろうと思うのですが、そこで、この決議案に終わってしまったんでは全く意味がないわけで、政府もこの決議案の心を心として、この決議案を具体的にどのように実現すべく努力されてきたか、どのような対策を打ってこられたか、こういう点についてひとつ御説明いただきたいと思うのです。
#16
○政府委員(津田覺君) ただいまこれは法務省としても中心でございますが、政府全般としてももちろん対策があるわけですが、その一環といたしまして考えておりますといいまするか、現に講じておりまするところの点は、不正麻薬の大部分が国外から搬入されておる実情でありますので、密輸組織の徹底的糾明、これは全国各地におきまして密輸団を検挙いたしております。これをさらに徹底する。それから、要注意船舶・航空機等に対する監視を厳重にする。それから情報の収集活動を強化する。それから密輸関係者の厳重処罰、こういうことによりまして密輸事犯の根絶をはかる、これが第一でございます。
 それから麻薬密売の手口は、ますます隠微あるいは巧妙化してくるわけでございますので、従来にも増しまして密売事犯の検挙を励行するとともに、取引関係者に対する視察内偵を厳重にいたしまして、密売組織の絶滅をはかるためのいろいろな方策を講じております。
 それから矯正施設に収容中の麻薬中毒者に対しましては、特定の矯正施設に集中拘禁いたしまして精神療法であるとか、カウンセリングであるとか、作業療法というようなものを中心にいたしました特殊の治療処分をいたしまして、さらに集団治療を強化して矯正の効果をあげる。なお、出所後の保護観察にあたりましても重点的にこの面を観察いたしまして、アフターケアの面を重視して再び麻薬中毒におちいることのないようにする、こういうようなことを法務省としては考えております。これらのことを対策推進本部等におきまして十分相互に連絡をいたしまして、ほかの各省−対策とあわせて行なう、こういうことになってるわけでございます。
#17
○伊藤顕道君 この麻薬についてはいわゆる医薬品として高い治療価値があるので、主としてインド、トルコ、こういうところから毎年その原料あるアヘンを五十トンぐらい輸入しておるとか、この数字は間違いがあったら御指摘いただくわですが、こういうように医療品としての価値はかにあるわけですけれども、ただこれを反復繰返すと非常に中海癖を生じて結局緩慢な自殺行にもなりかねない。こういうおそるべき面を持ておるわけです。そこで、アメリカあたりではの密売、特に未成年者に密売した場合には絞首一というようにほかの国でも非常に極刑をもって臨んでおるわけなんです。これはまあアメリカで特に間接の緩慢ないわゆる殺人行為という表現で出しておるわけですが、確かに緩慢な殺人行為ひとしいと思うのですがね。ところが、最近目でも麻薬を取り締まるについては法改正によって強化してまいりましたけれども、まだまだ手ぬるい。そこで一時は、日本は麻薬の天国だといわれるぐらい国際的に非常に密売が日本へ日本へとしかけてきておったわけです。先ほどの説明は、幸いに本年は昨年の約二分の一だと、だいぶ激減してきたということで、これはたいへんけっこうなことだと思いますけれども、麻薬の取りまりについてはもちろん法務省だけでなく、先ほど指摘申し上げた各官庁で横の緊密な連携のもとに対策を一段と強化してついには撲滅にまでいなければならぬと思うのです。
 先ほど大臣もちょっと御指摘があったように、いまは少ないがこれは様子を見ておって、また、盛り上がるおそれなしとしないわけですね。したがって、決して楽観は許されぬと思うのですが、こういうことについてやはり何といっても対策方法を厳重にして対策を強化する以外に別に妙はないと思うのですが、こういうことについて法務省としてはどのようにお考えか。
#18
○政府委員(津田覺君) 麻薬関係の犯罪の科刑、法定刑の問題につきましてはしばしば論議されたところでございまして、すでにヘロインの営利目的の輸出、輸入、製造につきましては無期まであるわけでございます。したがいまして、この上の刑を考えるかどうかということにつきましてはいろいろ関係の方々について御意見がございます。死刑もいいんではないかという御意見もございますが、他の特別法間における体系全般を見まして、かつ刑法との関係を見ます場合に、いま直ちに死刑を採用することがいいかどうかは十分検討を要する問題だと思われます。したがいまして、問題といたしましては、やはり厳重に検挙ができる、とにかく麻薬事犯は必ず検挙されるという態勢にもっていくことが一番大切であって、法定刑だけの威嚇をもってしては非常な利益の前にはやはりかなり効果が薄いのではないかということを考えておりますので、極力検挙という面に重点を置くというふうに進んでいるわけでございます。
#19
○伊藤顕道君 この麻薬の密売については、日本の場合は第三国人を頂点として十三段階の卸売りを経て末端の消費者の手に入ると、こういうことを聞いているわけです。このことについてのひとつ具体的な理解を得たいので御説明いただきたい。
#20
○政府委員(津田覺君) 従来ただいまお話しの十三段階を通じておったというようなことは事実のようでございますが、最近は必ずしもそういう段階ばかりではなくて、その段階のうちで省略されているというものもあるやに見受けられるわけでございますが、何と申しましても非常に極秘の間に行なわれるわけでございますから、なかなかその事態の把握は困難でございます。
#21
○伊藤顕道君 そこで憂うべき事態であるのは末端の暴力団の場合ですね。手段方法としては中毒患者をまずつくる。麻薬を支給しなければもうどうにもならぬということを利用していわゆる売春とかその他の犯罪を示唆している、こういう事態があるわけです。これはもう人道上ゆゆしい問題だと思うのですが、これは新聞などでもこういうことがときおり問題になって出てくるわけです。まあ新聞などに出るのはほんの一端であろうと思うのです、隠れておる事実が多いわけで。そこでこれをこのままほうっておくということは人道上の重大問題であろうと思うので、その立場からこのような事実に対してどういう対策を考えておられるのか。こういうことについてお聞かせいただきたい。
#22
○政府委員(津田覺君) ただいま御指摘のような形態は確かにございますし、従来は非常に多かったわけでございます。現在でももちろん絶無とは申せませんが、現在は非常にその組織がつぶされまして、むしろ麻薬は輸入あるいは入手したが売り先がないというような事態で検挙されたという事例がかなり出ております。したがいまして、もちろん御指摘のようなことが絶無とは申せないのですけれども、非常に少なくなっていると思われるわけでございます。その点はむしろ暴力団のほうは非常に、前回申し上げましたように、あちらこちらで検挙されておりますし、また、頂上作戦というものも行なわれておりますために、むしろ暴力団自体に内在するところのいわば再建工作というのですか、びぼう策と申しますか、そういうことに重点が移っておりまして、いまのような麻薬の密売によって利益を得て太っているというような形態は非常に表面に出てこなくなったというふうに現在は考えております。
#23
○伊藤顕道君 そこで時間の関係もございますから、麻薬に関する限り最後に一点をお伺いしたいと思いますが、この麻薬の取り締まりについては、先ほども私が御指摘申し上げたように、厚生省をはじめとして法務省も、もちろん各官庁広範にまたがっておるわけであります。そこでお伺いしたいのは、こういう各省庁に広範に分かれておるこの取り締まり機関を一本化して、そうして取り締まりの実質の強化をはかるべきであろうと思います。もちろん先ほどの御説明では麻薬対策推進本部があって横の連携をとりながらやっているという御説明はありましたけれども、これは何といっても各省庁みんな関係があるわけですね。そうして広範にわたっておる。こういう機関を一本化して機構の一本化ということは考えておるのかどうか。そうしていま現在はどういう方向に進んでおるのか、こういうことについて明らかにしていただきたいと思います。
#24
○政府委員(津田覺君) 確かにその麻薬対策推進本部ができましたのも、非常に緊密と申しますか、一本化的な緊密をはかりたいという一つの趣旨にほかならないわけでございます。しかしながら、御承知のように、麻薬につきましては正規の麻薬もあるわけでございまして、やはりそういう面を考えますと、この取り締まり機関だけで全体を運営するということはとうていできないわけでございます。何と申しましてもやはり厚生省管下におきまして麻薬対物で、麻薬そのものに対する関係におきましてはどうしても厚生省自体のような機関が行なう必要があるということになります。一方取り締まりの面は主としてそういうところの犯罪、犯罪と犯人との関係におきましては、これは警察あるいは地方の麻薬の取り締まり関係の職員、こういうような者が主として当たることになりますし、それに関連しまして税関でございますとか、海上保安庁、国鉄というものが関係する。そこでそういう取り締まりの面におきましては、検察庁のほうにおきましてこれをできるだけ地方、中央について一体化するということをやっておるわけです。で、したがいまして、一般行政的な面、ことに正規の麻薬に関する面、まあ麻薬そのものに対する面につきましては、主としてこれは厚生省のほうの何としてやっていくという現在の組織は、一面においてやや取り締まり一本化から考えますと非能率な面があるかもしれませんが、やむを得ないのではないかというのが現在の実情であります。
#25
○伊藤顕道君 それでは次の問題をお伺いしますが、少年院とかあるいは少年鑑別所、この関係職員の定員増をはかって教化活動の効果をはかりたい、こういう意味の提案理由の御説明を先日伺ったわけです。そこでお伺いするわけですけれども、この五十人増ということですけれども、これは主要の少年院に、しかも二十数カ所に分散して配置する、分けて配置するということなんですが、この程度の増員で教化活動の充実がはたしてはかれるかどうか。公、安調査官は二百名も増員して云々ということであるので、これは相当強化されるであろうことは、いい悪いは別として、非常に現在少年問題が、いわゆる非行問題で非常に憂うべき事態になっておるわけです。青少年の教化問題についてはゆゆしい問題の一つになっておるわけです。そういう時点に立って、二十数カ所の少年院はわずか五十名の定員増で、これで教化活動の充実をはかれるとお考えなのかどうか。この点を大臣はいかようにお考えなのか、ひとつお考えをお聞かせいただきたい。
#26
○国務大臣(高橋等君) 御指摘のように、少年院にいたしましても必要な職員の不足というものは目立っております。また、少年鑑別所におきましても人数が足りませんために非常に簡略な鑑別しかできないというような状況にあるのであります。できる限りこれらにつきまする補充をいたしまして、少年院におきましては少年の更生保護の道を講じ、鑑別所におきましては正確な鑑別をやっていきたいというので、年々これが増員について法務省のほうといたしましても努力をいたしてきておりますが、御指摘のように、十分なる人員が充足できませんことを非常に残念に思っております。その他は事務当局より御説明いたさせます。
#27
○説明員(大沢一郎君) 今回の増員を要求しております数がわずか五十人でございますが、少年院の教化活動を充実するために、まだまだ人員の不足であるということは御指摘のとおりでございます。われわれとしましては、かような状況をなすべく早く一挙に解決いたしたいと存ずる次第でございますが、まず今回の五十人のほうをしぼりまして、重点的に。この五十人をお願いいたしましたゆえんのものは、少年院の指導体制を確立いたしますために、院生五十人ないし四十人というものの組の単位をつくりまして、それについてそれぞれ担当教官を配置いたしまして、寮の生活指導を徹底していくという方針をとりました。ところが、さような状態で人員配置いたしますと、現在少年院の教官で五十名の不足が出てくるわけでございます。それを現在やりくりいたしまして行なっておるわけでございますが、そのために少年院の教官が週休のとれない者も出てきたわけであります。さような意味で、かように寮単位をとって生活指導を強化するという方針をとりましたために、現在教官が週休が月に二回くらいとれないというような状況に立ち至りますので、この人員を補充いたしまして、そしてこれをいただきますと、週休制の確立、いろいろ教官も過重勤務におちいらずに少年院の、寮生活の指導の強化ができるという考え方で、とりあえず五十名の増員をお願いいたしたいという考えでおるわけであります。なお、少年院は、寮におきまする生活指導のみならず、その他教科教育あるいは職業教育を充実しなければならぬ面が多々あるわけであります。現在ではさような生活指導の教官を少年五十人に対しまして大体三名つける勘定になっております、三交代で勤務いたしますので。ですから、それらの者の日勤時間にいろいろなその特別の教化活動に当たるわけであります。かような形でいきますと、間違っているかもしれませんが、私の考えで考えまして、小学校の先生が何もかも教えるという考え方でなく、中学校、高等学校のようにその専門学科の教官を今後は増員していきたい。そして第二段にさような専門的な技術指導に当たる者、あるいは教化活動に当たる者というものを明年度以降におきまして要求していくつもりでおるわけでございます。
#28
○国務大臣(高橋等君) ちょっと補足して申し上げますが、いま局長から御説明申し上げましたように、これはもうほんとうに最小限度のとにかくびぼう策といいますか、でありますので、来年度以降十分なる予算要求をしていきたいということを申し上げたんでありますが、来年度要求いたしております予算の増員要求は、少年院の教化活動の充実に百五十八名、教官は百二十九名、技官が四人、その他が事務官ということになっておりまして、鑑別所のほうは八十六人、御存じのように、諸経費節減のために増員関係は非常にむずかしいと思うのでありまして、どうも法務省関係はどういうものか、従来私は仕事のわりに手薄であるように見受けますので、特に何とかこれを認めるようにということを目下大蔵大臣と折衝を非公式にいたしておるという状況でございます。
#29
○委員長(下村定君) 本案に対する質疑は、都合により、後刻続行することといたします。
    ―――――――――――――
#30
○委員長(下村定君) 次に、去る七日衆議院から送付せられ、本委員会に付託せられました特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。田中大蔵大臣。
#31
○国務大臣(田中角榮君) ただいま議題となりました特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 政府は、本年八月十二日に行なわれました人事院勧告に基づいて、九月一日以降一般職の職員の給与を改定することとし、別途法律案を提出して御審議をお願いいたしておりますが、特別職の職員の給与の額及び国会議員の歳費の額につきましても、一般職の職員との均衡等を考慮して所要の改定を行なおうとするものであります。
 以上が、この法律案の提案の理由であります。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#32
○委員長(下村定君) 本案の自後の審査は、都合により、後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#33
○委員長(下村定君) それでは先刻の法務省の設置法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。
#34
○伊藤顕道君 私は、ときどき少年院とか、少年鑑別所を訪問してその実態を伺っておるわけです。いろいろその実情を見ますると、非常に人手不足なんです。ということは、裏を返せば、職員が非常に過重労働、ずいぶん苦労をされておるわけです。しかもただ単に過重労働でなく、非常に責任が重いわけです。よく悪質な少年などは逃亡する事件もときどきありますし、逃亡したらなかなかその責任も負わされなければならぬし、そこで日常の勤務状況はこうやって定員が少ないために、ずいぶん苦労されておるわけですや。それにもかかわらず、待遇のほうはあんまりかんばしくないということでそういうずいぶんお気の毒だということを直接私どもは訪問して承知しておるわけです。しかも近ごろ少年の犯罪の傾向として非常に凶暴、粗暴の方向に流れておる。件数も多いし、したがって、人員についても激増しておる憂うべき事態になっておるわけです。そこで繰り返し申し上げるわけですが、われわれが考えて、あまり必要はないと思われる公安調査官などは二百名も増員、しかもこういう必要な面にはわずか五十人で、しかもこれは全国二十数カ所の少年院に配置されるということになるわけです。いま大臣から説明がございまして、来年度の予算には十分考えておるということなのですが、ひとつ要望を含めてお願いするわけですが、来年度の予算はこれからきまるわけなんですが、ここで確固たる信念でここで青少年に対する対策を、これは文部省とか、厚生省、法務省等、あらゆる関係の省庁にまたがる問題ではございますけれども、法務省は法務省としての独自の立場からこういう面の少年対策については十分関心を持たれて、強固な態度で抜本的な対策を講ぜられるよう、先立つものは予算ですから、ひとつそういうことをかみしめて、しっかり取り組んでいただきたい。これは要望ですが、それに対しての大臣の決意のほどをいま一度はっきりさしていただきたい。そうして来年度の予算ははたしてどうなるかということを見きわめたいと思います。
#35
○国務大臣(高橋等君) 全くありがたいおことばで、私も何とかして、先ほど申しましたように、その実現について努力をいたしたいという決意に燃えております。ただ、来年度の特殊事情から、非常にむずかしいところをやらねばいかぬという点を心配をいたしておることをお伝えいたしておきます。
#36
○伊藤顕道君 次に、お伺いしたいのは、女子少年院というのがあると思いますが、女子少年院と医療少年院、こういうところには、女子少年が収容されておると思うのですが、これは男女で比較してはもちろん少ないと思うのですが、こういう実態を概要だけ、ひとつよく実態を知りませんので、一応大要をかいつまんで御説明いただきたい。
#37
○説明員(大沢一郎君) ただいま御指摘のございました女子少年院、あるいは医療少年院、これは少年院のただ種別のうちの一つでございます。女子少年院は女子少年のみを収容する、医療少年院はいわゆる医学的な治療を要する者、身体的ないわゆる内科的、外科的疾病、あるいは精神科的な疾病、つまり精神異常に近い者、あるいは薄弱者という者の男女の少年を収容する施設でございます。これは女子につきましては、全国各矯正管区内に一カ所ずつ設けまして、その管内の女子を収容しておるわけであります。また、医療少年院につきましては、各管内に一つずっというわけにはいきませんので、東京、大阪、名古屋あるいは福岡という、特殊な大きなところに独立の医療少年院、あるいはまた福岡は、福岡の少年院の一角に医療部というものを設けまして、そこに数名の医師を配置しまして、各科医師を置きまして、さような医学的な治療を要する少年を収容しておるわけでございます。
#38
○伊藤顕道君 それでは次の問題をお伺いしますが、検察庁の定員増と裁判の迅速化、こういう問題について一、二点お伺いしますが、裁判の迅速化、こういうことは国民あげての年来の強い要望であるわけです。提案理由の説明によりますと、法務省としては、繰り返し申し上げるように、公安調査官の二百名の増員ということを考えておきながら、ここにはむしろ重点はないようなんですが、われわれとしては、公安調査官二百名増員より裁判の迅速化、こういう観点からもっと強化してしかるべきだと思う。提案理由の説明では、検察庁には九十一人の定員増があるわけなんですが、これで裁判の迅速化がはかれるかどうか、こういう点はいかがですか。
#39
○政府委員(津田覺君) 今川の検察庁の増員、ただいま御指摘の九十一名を出しておるわけであります。このうち交通関係の増加に対処するためのもの、これは副検事十人、検察事務官七十一名であります。地方裁判所における公判審理の迅速適正化に資するためのもの、検事五人、一般事務官五人ということになっております。もちろん交通関係事犯の増加に対処いたします副検事につきましても、これは事件の迅速処理をはかるためのものでもあることは当然でございますが、三として地方裁判所における公判審理のためのものとしましては、ただいま申し上げました検事及び一般職員、つまり検察事務官の増員になるわけです。この公判審理の迅速の問題につきましてはしばしば国会においても御議論がございますし、また、本年八月に終了いたしました御承知の臨時司法制度調査会におきましても、この問題が非常にやかましく論議をされたわけでございます。裁判所におきましてももちろん公判審理の迅速化ということにつきましてはいろいろの方策を考えておるわけでございまして、その面におきましては相当数のやはり裁判官の増員も必要であります。したがいまして、これに伴う検察官の増員ももちろん必要である。しかしながら、現在におきましてその増員がどうして一挙に実現しないかということは、やはり何と申しましても裁判官、検察官になる法曹有資格者の供給源が少ないということになると思います。供給源さえあれば、これは裁判官にしても検察官にしても当然相当数の増員をすべきものであるという結論は、政府、一円においてももちろんはっきりいたしておるんでありますが、問題は供給源との関係。それで今回の五人と申します検察官の数は、非常に数字的には少ない数でございますけれども、これはやはり検案自の供給源をにらみ合わせますと、検察官のみ公判関係のものを増加しても、これに伴う裁判官が増加いたしませんと公判審理の迅速化が行なわれないわけです。すなわち公判審理の迅速は、裁判官に対しまして増加があって、それに対応する検察官の増加ということになるわけです。したがいまして、今回の数字は裁判官の数字とにらみ合わせた結果、このような程度にとどまっているわけであります。問題は、何と申しましても有資格者の増。したがいまして、裁判官、検察官の数の増加ということが必要である、先決であるという意味におきまして、この数字が自然にしぼられるということになるわけでございます。
#40
○伊藤顕道君 次に、貧困者の訴訟援助、こういう問題について一点だけお伺いしますが、貧困者の訴訟については刑事と民事とあるわけですが、刑事裁判については国選弁護人の制度はあるわけですが、これもまことに不十分であって、民事については民事訴訟法上の「訴訟上ノ救助」の規定があるわけですが、これを見てもどうもしっかり、これでもうだいじょうぶだというところまではまだまだきていないわけです。曲がりなりにもこういう精神を汲んで、結局扶助協会というのがあるわけですが、その扶助協会の実態もどうもあまりぱっとしていない存在である、こういうことで、どうも法の精神にかなわないと思うのですが、こういう貧困者の訴訟援助という問題も人道上から見て非常に大きな問題の一つだと思うのですが、こういう点をどのように考えておられるのか、裁判の迅速化にももちろんつながる問題の一つとしてひとつ御説明をいただきたい。
#41
○説明員(鈴木信次郎君) ただいま御指摘の法律扶助制度、これは現在の民事訴訟に関する長年の弊を直すためにきわめて重要な制度でございまして、わが国におきましては昭和二十七年に日本弁護士連合会の中に法律扶助協会という財団法人が創設されました。同協会におきまして扶助を必要とする事態、すなわち勝訴の見込みがあり、しかも本人はこの費用の負担に耐えない者につきまして、民事訴訟法上のいわゆる狭い意味の訴訟費用だけではなくて、弁護士に対する手数料、謝金それから裁判所に提出されますところの保証金、これらのものを本人のために立てかえて支出するという制度をつくったものでございます。そうしてこれに対しまして当初のうちは、国庫の補助金というのは全くなかった関係もありまして、その運用に相当無理があったのでありますが、昭和三十三年になりまして初めて国庫からこれに補助金を交付するということになりまして、初めは年額一千万円、一時八百万円に落ちたこともありますが、大体一千万円程度の補助金が交付されていたのであります。ところが、これでもどうも不十分で、御指摘のように、貧困者の権利を守るためにはどうも十分でないというので、本年度三十九年度の予算におきましてこれが従来の一千万円から五千万円に増額されまして、その結果、現在、本年度からは相当の成果をあげておるというふうに私ども考えておるわけでございます。
#42
○伊藤顕道君 人権擁護の問題になりましたから、この点でいま一点お伺いしますが、民間で考えられておるのは、人権擁護運動が一つあるわけです。それと人身保護とかあるいは貧困者の訴訟援助、いま私がお伺いした問題、こういうものが幾つかあるわけですけれども、いずれも形式的であって徹底を欠いておる、そういうふうに私どもには見られるわけです。また、憲法で保障している人権擁護の問題は一つの大きな問題だと思うのですが、こういうことについて大臣としてはどのようにお考えですか。そうして今後の憲法についてはどういうお考えを持っておられるか、こういうことについてひとつ所見をお伺いしておきたいと思います。
#43
○国務大臣(高橋等君) 人権擁護の問題は、これは国民の基本人権に関するきわめて重要なる問題でございます。したがいまして、これが取り扱いにつきましては、正権に、そうして迅速に扱うようにするということ、及び検察官その他の面におきましても十分人権擁護の問題を念頭においてそれぞれの活動その他をするように、十分に使命を達してまいりたいと思うのでございます。ただやはり、中には問題が起こるることもございますが、この点は非常に遺憾に存じて、常に注意をいたしております。
#44
○伊藤顕道君 もう時間はこざいませんので、最後に一点だけお伺いしますが、ことしの九月、臨時行政調査会が「行政機構の統廃合に関する意見」こういうものを出しておるわけです。これを拝見いたしますと、法務省関係の一分野にこういう勧告の理由が明細になっているわけです。「法務省および地方法務局の出張所を統合して1人庁を廃止するとともに、唯一に関する事務に必要な司法書士について嘱託制を採用すること。」そして詳しく理由をあげておるわけです。
 さらに、いま一つの問題としては「法務省人事において、幹部職員に判検事出身者以外の一般専門職員を登用する範囲を拡大する改善をはかるべきである。」こう明確に勧告をしておる。
 そこで特に第二の問題として、幹部職員の現状は一体どうなのか、私どもよく知らないわけです。現在法務省の幹部職員の判お出身者、検事出身者、そして第三には判検事を除いた一般の系統の方、これは現状では一体どうなっておるか、まずそのことをお伺いをしたい。大体の比率でいいです。
#45
○政府委員(鹽野宜慶君) 法務省の所管の事務の中には、法律関係の非常に精緻な問題を処理するような仕事、それから検察関係に関する仕事等いろいるの仕事がございますので、そういう事務につきましては法律の素養の非常に高い者あるいは検察関係の事務に精通している者をもってこの事務を処理させるという必要のある部分がかなり多いのでございます。そういう経緯にかんがみまして、従来から法務省の定員のうちある部分は検事をもってこれに充てるという措置が認められていわけるでございます。これは認められたころから見ますと、多少の人数の増減はございますが、現在認められておりますのは百三十三名でございます。実際にいまおりますのはそのうちの、百二十八名ということになっております。ただいま御指摘のこういうふうに検察あるいは裁判の出身者が幹部におりまして、一般職からあがってくる人がそういうポストにつけないという問題についても御指摘があったように承りました。その点につきましては、法務省におきましても従前からいわゆる上級試験、公務員の上級試験に受かってきた者を逐次採用しておりまして、その者が次第に成長してまいりまして、現在では相当のところまで来ているわけでございます。しかしながら、御承知のとおり、法務省におきましては一般の各省と比べますと、検察を担当しております関係もございまして、職員の年齢あるいは地位というものが他省よりも比較的上になっているわけでございます。そこで現在の段階では、まだいわゆる六級職の出身者が本省の課長というところまでには至っておりません。しかしながら、だんだんそういう職員が成長してまいりますので、将来は多少ずついままで検事あるいは裁判官出身者が占めていたような地にがそいう人によってだんだん貫きかえるということができるように相なると思っております。
#46
○伊藤顕道君 そうしますと、検事については大体百三十三人であるが、現状は百二十八名、判事については約三十名、それと判検事以外の者についてはいまの段階では課長以上の者におりません、そういうふうに理解していいわけですか。
#47
○政府委員(鹽野宜慶君) ただいま私の御説明の至らないところがございましたと思いますが、百三十三名と申しますのは、現在検事をもってあてている数でございます。したがって、裁判官出身の方で法務省のほうに来て回ってきてくださった方につきましてもその中に含まれているわけでございます。その数が百三十三名で、実員が百二十八名、かようなことに相なっております。
#48
○伊藤顕道君 そこで最後にお伺いしますが、この臨時行政調査会の勧告では、繰り返し申し上げるように「一般・専門職員を登用する範囲を拡大する改善をはかるべきである。」こう明確に勧告しておるわけですね。そこで、この勧告に対する現状は、いま御説明があったからよくわかりました。そこで企後はどういう、勧告に対する法務大臣のお考えを最後にお伺いしておきたいと思うのです。
#49
○国務大臣(高橋等君) ただいま事務当局より御説明をいたしましたように、非常に高度の法律知識といいますか、判検事の関係の職務になれた者を充てねばならない仕事が多いことは事実でございます。しかし、臨時行政調査会が申しておりますことは、これはもう当然なことを言っておるのでございますから、でき得る限り将来そうした方向にもってくるという考えは、これは私は十分もって運営をいたしていくつもりでございます。
#50
○鬼木勝利君 時間もあまりないようでございますから、簡単にお聞きしたいと思いますが、公安調在庁の二百名増員でございますが、現在まで公安調査会といいますか、審査会でございますか、取り上げられて、ここで審議された例がございますか。監野調査部長にお尋ねします。
#51
○説明員(吉河光貞君) お答え出し上げます。公安調査庁の任務は、破壊活動防止法の主管官庁といたしまして、破壊的容疑団体の規制に関しまして調査を行い、暴力主義的破壊団体に対する規制処分を請求することでございます。開庁以来現在までのところ、規制処分の請求をしたものはございません。
#52
○鬼木勝利君 そうしたこの公安調在庁の調査、に対して、いま二百名増員しなければならないという根本的な理由ですね。それをひとつ明確にお聞かせ願いたい。
#53
○説明員(吉河光貞君) ただいま申し上げましたとおり、公安調査庁は発足以来今日まで規制処分の請求をしたことはないのでございますが、これは破壊的団体の規制ということが非常にきびしい条件が課せられておるわけでございます。現在までのところ、この条件を完全に充足すると認められるような破壊的団体があらわれていないというふうな理由によるものと考えるのでございます。しかしながら、近い将来破壊的容疑団体として規制処分を請求しなければならないというような危険性は現在も存在するものと考えているわけでございます。それで公安調査庁といたしましては規制処分の請求をするにつきましては、規制の条件を十分に充足することを各種の証拠を収集して実証しなければならないというたてまえになっておるわけでございます。規制のためには、十分な調査をしなければならないのでございます。暴力主義的な破壊団体となる疑いのあるような団体、つまりその構成員が、暴力主義的な破壊活動を行なった、あるいは将来、さらに引き続きこれを行なう客観的な容疑があるというような場合におきましては、公安調査庁といたしまして、その団体を破防法上調査を要する団体といたしまして、十分な調査を開始するわけでございます。かくして、いよいよ規制をしなければならない段階になりましたときに、十分な証拠をそろえて規制ができるように準備を進めているわけでございます。最近、公安調査庁の調査の対象となる団体が、相当その勢力を増大しております。新たに発生した団体で調査を要する団体も、相当ふえておるような状況でございます。詳しく申し上げれば、日本共産党、これは調査の対象団体といたしておりまするが、昭和三十四年八月当時の党員の数から見ますると、現在は二倍以上、二・七五倍の党員となって、その総数は、十一万をこえるというような状況でございます。また、朝鮮総連、これも調査を要する団体として調査を進めておるわけでございますが、その勢力も、相当拡大しておる状況でございます。また、右翼のほうにつきましては、現在、調査を要する団体として十団体を調査いたしております。これも、昭和三十一年当時におきましては、わずかに三つの団体にすぎませんでした。それが六団体となり、最近におきましては、ただいま申し上げたとおり、十団体にふえました。その構成員も相当ふえている状況でございます。かような団体を対象といたしまして、その中央、地方、下部組織、あるいは団体の目的、または団体の機関、役職員、構成員というようなもの、及びこれらの団体によって行なわれる具体的な活動というようなものを調査し、把握する、そうして団体の実体を解明していくということには、非常な人数の手不足を感じている状況でございます。申し上げれば、公安調査庁は、発足当時、二十七年に定員が千七百二名でございました。その後、最近までに総員千八百十五名となりまして、差し引き百十三名の増員となっておるわけでございます。この十二年間にわずか六・六%の充員を見たにすぎないのでございます。これらの定員すべてが、公安調査官ではございません。調査に従事する公安調査官は、発足当初は千三百十二名でございました。その後、事務官からの組みかえが七十八名ございまして、これを入れまして百九十八名増員となっておるわけでございまして、現在の定一貝は、発足当時の定員の一五%増千五百十名でございます。まあ私ども、全国に公安調査付あるいは地方公安調査局というような組織を持って、調査を進めておるのでございますが、この局長以下十人というような小さなわずかの定員を持っている局が、全国で三十一局、ほとんど過半数以下のものが十人局というような状況でございまして、現在、私どもが調査の対象としております対象団体につきまして、十分にその実体を解明するということには、多大の困難を感じている状況でございます。したがいまして、必要最小限度、本年度におきまして二百名の公安調査官の増員をお願いいたしたい、かように考えておるわけでございます。
#54
○鬼木勝利君 大体、あなた方の御苦心はわかりましたが、現在千八百十五名で、しかも十二年間に六・六%の増加である。来年度に急に二百名もふやす、いままではそれで用が足りて、今回二百名も急にふやさなければならないという根拠が、私まだどうも納得いかないのですが、聞くところによると、民間人に頼んで情報収集などをやらしているというようなことも聞きましたが、そういうことありますか。
#55
○説明員(吉河光貞君) 私どもの公安調査官の調査といたしましては、公安調査官自身が、自分の五感に訴えて調査するということがまず第一であります。
 第二は、調査対象団体内外の関係者に任意の協力をお願いしまして、情報なり資料を入手するというような調査をいたしております。
#56
○鬼木勝利君 いや、私のお尋ねしているのは、そうじゃなくして、特定の民間人に委嘱して情報収集などをやっているような事、実はないかということをお尋ねしているのですよ。それをはっきりしてください。それはだれだって、調査する場合には聞き込みもやるだろうし、巷間の人にものを尋ねることもあろうし、そういうことを委嘱――それは委嘱じゃない、尋ねるのであって、聞き込みという、そういうことを私は言っているのじゃない。
#57
○説明員(宮下明義君) 公安調査庁におきます調査の方法は、ただいま長官からお答えをいたしましたように、調査官自身が、自分の五感を働かせて、情報あるいは資料を集めてくる作業と、もう一つは、対象団体側の組織の中の人たちの任意の協力を得まして、それらの人々から任意に情報、資料の提供を受ける、二つの調査、方法をとっておるわけでございます。そうして私どもの基本方針といたしましては、お尋ねがございましたような
 一般民間人に調査を委託するというような方法はとりませんで、調査官自身が直接調査をする、あるいは直接、対象団体側の人たちから資料の提供を受ける、情報の提供を受けるという直接調査の方針をとっておりますので、お尋ねのような、一般民間人に委嘱をする、委託調査というような方針はとっておらないのでございます。
#58
○鬼木勝利君 その任意の協力ということに対して、私ちょっと納得がいかないのですが、これは、いつの場合でも、任意ということばは、非常に便利なことばだと思うのですが、ある特定の団体でもかまいません。個人の場合でもいいですが、調査を依頼でなくして、向こうが任意に協力をするような情勢にこちらが差し向けて、そうすると向こうは相当の日数やあるいは経費を使って、そして協力をし、それはしかし任意であると、そういうような場合が考えられるんじゃないですか。
#59
○説明員(宮下明義君) 私どもが情報の提供を受け、あるいは資料の提供を受けております相手方は、対象団体の中で活動をしております諸君でございます。したがって、その人たちがその対象団体の中でいろいろの組織活動あるいは表面の活動をいたしておりまして、自分自身で承知をしておる事柄、あるいは自分自身が持っております資料を提供をしていただくわけでございますので、特にこちらから、こういうことをして、相当長期間情報収集をして、それを提供してくれというような頼み方ではないわけでございます。したがって、対象団体側の中で動いておる人たちが日常活動をして承知しておることをこちらが聞くと、こういう調査方法をとっておるわけでございます。
#60
○鬼木勝利君 その点について公安調査庁の調査は、先ほどからお話しになっておりますように、破壊的団体の規制に関する調査をやるんだと、その業務の充実をはかるために役人をふやすんだという御説明で、その点はわかるんですが、その調査の対象が破壊的団体の規制でなくして、あるいはそれも含んで逸脱した内容を持った思想調査というようなことに行き過ぎがあるんじゃないかというような気持ちもないでもない。そういう点をひとつ御返答願いたい。
#61
○説明員(吉河光貞君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の点は、私どもが非常に関心を抱いて注意し、警戒しているところでございます。私どもは破防法によりまして、暴力主義的な破壊活動というものを行ない、あるいは将来引き続いて行なう危険性のある団体という、客観的な容疑を基礎にいたしまして、特にこういう団体は破防法上調査を要する団体であるというふうに長官から指定をいたしまして、それに基づいて全国の公安調査官がその団体についての調査をするということにいたしまして、公、安調査官が自分の一存でかような調査をしないように統制をしておるわけでございます。いわゆる破壊的な団体とはかかわりのないような一般の団体とか個人の思想を調査するというような、いわゆる思想調査は絶対にやらないように注意しております。
#62
○鬼木勝利君 それはもう当然そうなければならぬ。その点を私はいま追及しているんですが、公安調査庁の長官が指定をするといういまのお話でございましたが、公安調査庁長官が指定をする――何を根拠に指定をする。その点ひとつ。
#63
○説明員(吉河光貞君) これは指定と申しますが、内部的な事務取り扱い上の問題でございまして、一つのある特定の団体の構成員が、政治的な暗殺その他破防法の暴力主義的な破壊活動に該当するような疑いの深い行為を行なったという場合に、それが団体の活動として行なわれた容疑がありまする場合には、これを破壊容疑団体といたしまして調査する、こういうような意味合いでございます。
#64
○鬼木勝利君 それは長官が指定する、それは破壊的な容疑が濃厚である場合、それは結果をだけおっしゃるのであって、未然にそういうことのないように調査をするのだということに解釈しなくてもいいのですか。いまあなた結果論をおっしゃっているのだ。長官が指定する。それは破壊的暴力行為の一容疑が濃厚であるから長官が指定をする。それまでの過程というものはだれがやるのか。調査をする人が調査をしたその結果を長官が判断するのじゃないですか。その点ひとつはっきりしてください。
#65
○説明員(宮下明義君) 公安調査官の調査権限の根拠は、破壊活動防止法の二十七条でございます。二十七条には公安調査官は、暴力主義的破壊団体の規制に関し必要な調査をすることができると規定されているわけでございます。したがいまして、この法律上の文理解釈といたしますれば、個々の調査官が自分の合理的な判断で暴力主義的破壊団体の容疑を認定した場合には、その認定に基づいて調査官が調査権を発動することができると考えます。このことはちょうど検察官あるいは司法警察職員が犯罪ありと思量するときには捜査をすることができるという規定が刑事訴訟法にありますのと同じ関係にあると思います。しかしながら、この破防法の運用といたしましては特に破防法の二条、三条で、憲法上の各種の基本的な人権との関係を十分に考慮いたしまして、破防法が実施に行き過ぎがあってはならないという規定がございますので、公安調査庁におきましては、この調査権の発動を、個々の調査官の認定にませませんで、大体第一線からの報告を検討いたしまして、内部的に公安調査庁の内部におきまして、内部規制として長官がこれは公安調査庁で、たとえば日本共産党はこれこれの理由があるから調査対象団体として全国的に全庁的に調査するのだという内部的な決裁をいたしまして、それで全調査官に調査を命じているわけでございます。したがいまして、法律上は個々の調在官が法律に基づいて調査権を持っておりますのを内部的に統制をしている、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。
#66
○鬼木勝利君 いまのお話を、承っておりますと、破防法による団体規制に関して調査をするのであるが、大体いまの御説明でわかりましたが、民間人には頼まないで、そして基本的には直接調査をするのだ。任意の協力は得るけれども特に委嘱したことはない、そういうことになりましてね、ことし急にこの二百名増員とおっしゃっておるが、いままで調査上お困りになった、特にこういう点で困った、そういう点がありましたら、それをお聞かせ願いたい。
#67
○説明員(宮下明義君) ただいま御審議を願っております法案におきまして、公安調査庁公安調査官二百名の増員の御審議を願っておるわけでございますが、その必要性、増員の根拠につきましては、先ほど長官からお答えをしたとおりでございますが、具体的にそれならばどうなんだ、どう困っているのだ、こういうお尋ねでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、われわれの調査対象団体の一つでございます日本共産党の党勢増加というものも、現在非常な勢いで増加をしておるわけでございます。われわれは昭和二十七年の発足当初からほとんど目ぼしい増員がございませんでこの調査に当たっておるわけでございますが、対象団体側の党の勢力がどんどんふえておりますし、しかも現在は共産党側のほうが統一戦線戦術をとっておりまして、昔のように非合法の地下の、ただ共産党独自の地下組織だけで動くのではございませんで、いろいろな団体の中に浸透をしてまいりまして、幅広い民族民主統一戦線をつくっていく活動をいたしておりますので、その調査面もおのずから非常に広範にわたってまいるわけでございます。なお、最近は、この共産党側のほうで非公然化という傾向を非常に強めてまいっておりまして、たとえば特殊の細胞、特殊の党員等は極秘に隠してしまう、党の会合にも出席をさせませんで非常に秘密のうちにそういう組織を隠すというような非公然化の強化の傾向もございまして、われわれの調査は一そう困難になってまいっております。したがいまして、こういうふうに党員がどんどんふえてまいり非公然化を強めておりまして、われわれの調査力は一向ふえておりませんので、だんだんにわからない部面が多くなってきておる、全体の党の組織あるいは党員等でわれわれのつかめない分野が次第にふえてきておるわけでございまして、この点を私どもは非常に心配をいたしておるわけでございます。実際の実情を十分御了承いただきまして御理解をいただきたいと考えております。
#68
○鬼木勝利君 ただいまの御説明は、いま本年急にそういう理由がね、突然招来したわけじゃなくして、私は過去にもそういうことはずっとあったと思う。どうもそういう点がはっきりしないと思うのですが、こういうことを私がお伺いするのは、これは本法案の趣旨が、人権の尊重、民生の安定、治安維持と、こういうその根本的な理由のもとに皆さんが調査していらっしゃるので、これは国民と表裏一体のものでなければならぬと私は思う。ところが、先ほど長官の御説明は、まことに簡単に御答弁がありましたが、国民の生活、行動状態、あるいは思想の調査を私は事実やられたことがあるんじゃないか、そういうような懸念がある、だからこれをくどくお尋ねしておるのですが、たとえばわれわれの宗教団体というような、創価学会なんかも、何かマークしているんじゃないか、あるいは調査をされた事実があるんじゃないか、そういう考えを私らは持っているのです。その点についてひとつ明確な御答弁を願いたい。できれば大胆にお願いしたい。
#69
○国務大臣(高橋等君) 創価学会につきましては、現在におきましても過去におきましても、御指摘のようなことはいたしておりません。創価学会は破防法の運用上調査を要する団体ではありません。したがって、調査の必要がないのでありますから、一切調査をいたしておりません。以上申し上げます。
#70
○鬼木勝利君 いや、当然私はそうあるべきで、もしそういうことがあったならば、あるとするならば私は断じて承知しない。いまの大臣の御答弁を私はそのまま拝聴いたします。ところが、いま大臣の御答弁は、学会に対してはそういうことは毛頭ない、調査の対象になるべきはずはない、これは当然なことであります。ところが、その個々の問題で、これは大臣は申すに及ばず御列席の皆さん方は、そういうことは当然ありません、あるべきはずがないとおっしゃるが、現地に参りまして個々に当たってみるというと、やはり思想の弾圧、信教の向山を束縛するような事例がないでもない。そういう点について、徹底したあなた方はこれが指導、指示をしていらっしゃるかどうか、その点をひとつ承りたい。
#71
○説明員(吉河光貞君) お答え申し上げます。この点は一番大事な点だろうと考えておりまして、私ども全国の研修員を幾通りかに分けまして、中央に集めまして研修いたしております。破防法運用の精神として決して思想統制にわたるような思想調査は絶対にしないように十分訓戒し、また、趣旨を徹底さしております。なお、御指摘の点、ごもっともでありますので、今後の運用におきましても、その点は十分戒心して運用していくつもりでございます。
#72
○鬼木勝利君 それは申すまでもなく、憲法第二十条によって信教の自山ということは、これは何人に対してもこれを保障する、これは三歳の童子でも平和国民であるならばわかっておるはずです。ところが、現地において、あるいは刑務所とか、あるいは少年鑑別所とか少年院とか、そういうところへつとめておるところのわれわれ学会員が、一社会人となり、一個人となって、制服を脱いで、そうして信教の話をすることに対して規制をしている事実がある、そういうことに対してどういうふうにお考えであるか、その点をはっきり承りたい。
#73
○説明員(吉河光貞君) 公安調査庁といたしましては、絶対にそういう事実はないと確信いたしております。
#74
○鬼木勝利君 これはもうあなたはあるだろうなんということは言えないと思う。そんなこと、言ったら承知しない。ところが、先ほどから私が申し上げますように、やはり末端においては――末端ということばは悪いかもしれませんので取り消しますが、現地においては、やはりそういうことが間々あるのです、間々。これは個人の信教を束縛するのであり、人権を私は無視するものである。およそ国民は全国民一人として宗教を持たないものはいない。ひとりわれわれの学会員にのみそういうことを、差別待遇をするということは、これはもってのほかであり、ただいまの御答弁によって今後そういうことのないように、なお厳重に指導したいということでございましたが、この点もう一度はっきり承りたい。
#75
○国務大臣(高橋等君) ただいま仰せのようなとが、公安調査庁関係で起こるとは毛頭考えておりません。が、その他いろいろな点でそういうような事態が万々、ありますれば、私のほうでは厳重な戒告を与えて、そういうことのないように十分な指導をいたす、こういう方針でございますので、恐縮ですが、そういう事態が万々一ありましたら、どうぞお知らせをお願いいたしたいと思います。
#76
○鬼木勝利君 公安調査庁のみに限らず、法務省関係で私は一応お尋ねしたのですが、いまの大臣の御答弁でまことに私も満足に思います。なお、そういうことがありました場合には、逐一大臣にお話し申し上げたい。
 次にお尋ねしたいことは、刑務所あるいは少年院、その他ですが、差し入れの場合に、これはかつて大沢矯正局長にもお尋ねしたことがあるのですが、これは雑誌とか、書無類ですが、今日どういうふうになっているのですか、自由ですか、むろん検閲はあると思いますが、どうですか。
#77
○説明員(大沢一郎君) 書籍の差し入れにつきましては、本人の教化上支障ありと認めるもの以外につきましては許可しておる次第でございます。
#78
○鬼木勝利君 かつてあなたにも私はお話を申し上げたことがあるのですが、これを差しとめられた、非常に困ったというような事実もあるのです。そういうことは今後厳重にないように取り締まっていただきたい、この点。
#79
○説明員(大沢一郎君) 違法に、またゆえなく差しとめるというような間違いのないように、さらに戒心するように注意したいと思います。
#80
○鬼木勝利君 いや、あなたはゆえなく差しとめるとおっしゃるが、ではゆえある差しとめとはどういうのですか。
#81
○説明員(大沢一郎君) 最近一番たくさん入ってまいりますのが週刊誌等でございます。これらのものにはわいせつにわたるおそれのあるもの、つまりあれだけ外部から遮断せられて、囚禁せられた者に、いまのたいへん挑発的な記事も写真もあるのでございますし、また、犯罪の残忍な記事等もあるわけでございますので、さようなものが収容している者に有益とは考えられません、むしろ有害であると考えられるので、かようなものは依然として差し入ればとめるということはやむを得ない処置かと思います。また、一部問題になりましたのは、非常に信教の自由に関しまして、他の者に影響を与えるもの、これらのものにつきまして、独居房等におります者はこれは許可する、しかし、雑居の者には他の者が好むと好まざるとにかかわらず、その影響を受けなきゃならぬというような状況にあります場合には、一時とめざるを得ない。そして独房等に移しましたときはそれを許可するというような方法をとっているわけでございます。
#82
○鬼木勝利君 他の者に影響を与えるということをあなたはおっしゃっているが、どういう意味ですか。影響を与えるというのはどういう影響ですか。宗教心の他の者に影響を与えるというのは。
#83
○説明員(大沢一郎君) 信教の自由という意味で、本人の必要なものは本人だけはそれを読ますという方針でございまして、押しつけるということもこれまた避けなければならぬ。現在、宗教教化にいたしましても、希望する者にそれを聞かすという方針をとっております。本人が希望しない者にはそれを聞かさないという方針で、要するに本人の自由意思を尊重するというたてまえですべてやっていきたいというふうに考えております。
#84
○鬼木勝利君 あなた考え違いしているので、私の聞いているのはそうじゃない。差し入れしているところの書籍に対して、ゆえあったならばこれを許さない、そのゆえというのはどういう意味か。ところがあなたは、それは影響すると、こう言う。Aという者がBという者に書籍を差し入れしたからといって、それは関係ない、ほかに影響はしない。かりに影響しても、その人がそれを読んでこれはいいと思ったら、大いに共鳴するならばますますけっこうじゃないか。どういう意味で影響ということを言うのですか、どういう基準で影響ということを言うのですか。あなたの言うことは論旨が不徹底ですよ。
#85
○説明員(大沢一郎君) 本人の自由をできるだけそういう教化面では尊重したいという意味で申し上げたわけであります。
#86
○鬼木勝利君 それではもうちょっと先までお尋ねしますが、教戒師を刑務所あたりへ呼んでいる。これもあなたにいつかお尋ねしたところが、これは自分たちが呼んでいるのじゃない。全日宗連が何か組合みたいなものをつくって、それに入っておれば入ってこられるのだ。だったらそれは拒否していいわけですね。各人の思想が違えば、信教が違えば拒否していいわけですね、その点ひとつ。
#87
○説明員(大沢一郎君) 各刑務所、少年院等の宗教教化につきましては、収容者から希望がありますれば、その宗教あるいは宗旨のいかんを問わず、われわれはできるだけその関係の指導者をお呼びしまして、その話を聞かしてもらうという方針をとっているわけでございます。しかし、刑務所に入っております者が現在刑務所関係、少年院合わせて七万五千、それらの者がそれぞれ各人の選ぶ宗教なりがあるわけでございます。各所でそれぞれアンケートをとりまして、希望するものをあげまして、それによりましてその関係の方々に来ていただくわけでございます。一日のそれぞれ日課もございます。ですから、大体日曜日等を多くそれに充てるわけでございます。それに、われわれといたしましては、いつ幾日来ていただきたいということも具体的にはきめかねますので、さような宗教教戒師の方々が各都道府県で会をつくっておられますので、これこれの時間にこれだけの希望者があるということで、時間割り等を御相談願っているという状況でございます。その皆さまに、じゃあうちのほうはいつがいいということをお話し願って、そしてその時間にその方に来ていただく、またそれを聞きたい者をそのときに集めるという方法をとっているわけでございます。
#88
○鬼木勝利君 どうもあなた、私の問いに対して的確な答えをなさらぬが、だから、自分が求めない、自分が好まないところの話だったら聞く必要がないのじゃないですか、その点は自由ですかと聞いている。その点を答えてもらわなければ。
#89
○説明員(大沢一郎君) 自己の聞きたくない宗教講話等は聞かなくてもいいということになっております。
#90
○鬼木勝利君 だったら、したがって、それは自分の求めるところの宗教を、だれでも要請すれば行けるわけですね。
#91
○説明員(大沢一郎君) さような方針でおります。
#92
○鬼木勝利君 この前のお話では、何か組合に入っておかなければ、全日宗連に入っておかなければ来られないんだというようなお話を承ったのですが、もう一度その点を念を押して、要請があれば行って宗教講話等も聞けるわけだと私は思う。それが民主的だと思う。その点、ひとつ矯正局長。
#93
○説明員(大沢一郎君) ただいま御指摘のとおりに行なわれているはずでございます。ただ、過去におきまして時間割り等の話がつかずに、また、その会にはその派の方がお入りになっておらないというようなわけで、時間割り等で話がつかずに一時ごたごたしたことがございます。その際に、話し合いがつかなければというので、こちらで時間をまた組み適しまして、その要請に応じたこともあるのでございまして、要するに、刑務所等の日常日課の中にどういうふうに当てはめるかということについては、いろいろそのときも問題がございましたが、希望があるのに全然聞かせなかったというようなことはございませんし、今後もさようなことのないように十分やっていけるつもりでおります。
#94
○鬼木勝利君 あなたは、過去においてはそういうことがあったという事実を認めておられるようだが、時間割りの都合がつかなかったなんて、そんなことはおかしいと思う。ほかの宗教だったら時間割がつくけれども、日蓮正宗のほうは時間割りがつかない、そんなことはあるはずがない、そういうことが差別であって、そういう点、われわれはあなた方の頭を切りかえていただきたい。
#95
○説明員(大沢一郎君) 時間割りがつかなかったと申しますのは、たとえばさような宗教講話を話す時間が日曜日の午前十時から十二時までというふうに刑務所の中できめました場合に、毎週十時から十二時までの時間を当てるということで、その時間割りでひとつ皆さま方で何時から何時まではだれが来る、次の日曜日はどこが来るということを御相談願いたいということできめていただくことにいたしましたが、日蓮正宗の方はお入りなっていなかった。一緒に御相談願いたいというので、御相談願ったのでございますが、なかなか話し合いがつかなかったということがございまして、そうしてまた、さようなお話し合いがつかないので、われわれとしましては、別にまた職員の配置等も考えまして、その時間をこしらえまして各人の要請を満たしたという事例があるということを申し上げたのでございまして、今後も必要なものはわれわれのほうも勤務配置のつく限りその要請を満たしていきたいというふうに考えております。
#96
○鬼木勝利君 だんだん時間がないようですから、あまりくどく申し上げたくないのですが、最後にお尋ねしたいのは、公安調在庁には左翼、右翼を担当している方がいると思うのですが、警視庁の公安課との連携はあるのですか、あるいはあなた方独自でやっておられるのか、この点をちょっと、警視庁の公安課のほうは主として思想関係じゃないかと思うのですが、戦前の特高みたいなものじゃないと、そう私は思うのであって、その点どういうふうになっておりますか。
#97
○説明員(宮下明義君) 破防法の中に、暴力主義的破壊団体の規制に必要な証拠を収集する場合は、必要があれば、警察と資料、情報の交換をするという規定がございます。したがいまして、公安調査庁におきましては、われわれが調査をいたしております団体の証拠関係で警察と連携をとることがございますが、警察のほうで、どういう方針で公安情報関係を運用いたしておりまするか、私のほうとは違う関係でございます。
#98
○鬼木勝利君 最後に、公安調査庁の二百名増員に対して私どうも納得がいかないのだが、問題は、先ほども申しましたように、国家の安寧秩序、治安維持、民生安定を目的とした皆さん方の活動ですから、特に国民と表裏一体となっていただいて、戦前の特高みたいな、そういうものに逆戻りするような、特高更新というようなことのないように運営していただきたいと思う。どうも国民は非常に不安であって、何だか不気味な感がないでもない。それについて最後に、もう一度長官から御答弁を願います。
#99
○説明員(吉河光貞君) 私どもは終戦前、過去におきまして、非常に苦い経験を味わったことを深く反省しております。破防法におきましても、あくまでも思想ではなくして、客観的にあらわれた暴力主義的な破壊活動というものを基礎といたしまして、団体としてこれを行ない、現在また将来の危険性について、私どもは十分調査を進め、思想調査とか思想統制するあるいは昔、終戦前の過去におきまして行なわれたような行き過ぎというようなものを絶対に繰り返さないように、私ども日ごろ注意して破防法の運営に当たりたいと考えます。
#100
○鬼木勝利君 あなたのその御答弁は全くそのとおりでなければならぬし、私らもそう考えているのですが、ややともすると、先ほど申しましたように、それがだんだん現地に参りますというと、あるいは実際問題にぶつかった場合に、逸脱した行為になりやすい、戦前の特高のようになりやすい、戦前の特高なんというものは、国家権力を持ってやったのですけれども、今日は、そういう国家権力を持ってやるべきものではない、ことに思想の自由を束縛するということは、これはとんでもないことなのです。法務省自体が法を破るというようなことになるのであって、その点は私は十分皆さん方に進言して置きたいと思う。ことに思想団体――宗教団体なんかに対するところの調査とか、弾圧とかというようなことば、もってのほかだと思う。最後に、総締めくくりとして大臣からこの点について御答弁を願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#101
○国務大臣(高橋等君) ただいま公安調査庁長官の申したとおりでございます。また、鬼木さんのお述べになったとおりに考えます。私は厳重な態度で実行していきたい、こういう決心で責任をお預かりしているわけでございます。
#102
○委員長(下村定君) 他に御質疑ございませんか。――他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認めまして、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。伊藤君。
#103
○伊藤顕道君 私は、本法律案について日本社会党を代表して反対の討論を行ないたいと思います。本案中のいわゆる登記専門職員の定員増あるいは刑務所の移転あるいはまた、入国管理事務所の出張所の設置、こういうふうに部分的に見ると実情に対応するための必要措置と考えられるものもございますけれども、反対の最大の理由は、公安調査官について二百名という異例の定員増を行なわんとするこのことであります。日本が敗戦という高価な代償と、そして国民の努力とによって民主国家としての基礎を現在築きつつあるわけです。こういう中で公安調査の名のもとに、一般善良なる国民に至るまで思想調査とか、行動調査を行なっていることはこれは周知の事実でありまして、新憲法下においては絶対に容認できないところであると言わざるを得ないわけです。元来、公安調査官の権限、そして職務は憲法で保障されておる国民に最も重要な基本的人権に深い関連を持っておるものでありますが、したがって、人権とは常に競合する場合が非常に多いわけであります。過去の事例によってもこのことは明確に裏書きされておるところだと考えておるわけです。そこでこのようなものは必要最小限度にとどむべきであって、そして国民生活の安定向上に最重点を置いた政治の姿勢を持たなければならない、かように私どもは考えておるわけです。
 前内閣は、経済政策の失敗から物価高騰、中小企業の倒産、悪質犯罪の増高、こういう事態が現在起きつつあるわけですが、こういう事態を引き起こしておきながら、その反面、公安調査官の定員増によってこれを防ごうとしておるそのこと自体はまことに本末転倒というべきであって、ここに政治の姿勢の誤りがある、かように考えられるわけであります。この公安調査庁あるいは内閣の調査室あるいは警察庁、このことについてはいずれも同様な手段、方法によってばく大な国費でかような調査を進めておるわけでありますから、いまさらここに二百名という異例の定員増をやる必要は毛頭ない、かように断定せざるを得ないわけです。かような観点から、私ども社会党としては本案に反対の意思をここに明確にしておきたいと思います。私の討論を終わります。
#104
○鬼木勝利君 私は、ただいま議題となりました法務省設置法の一部改正法案に対しまして、公明党を代表いたしまして反対の意を表するものであります。
 本案の改正の中でも、刑務所の移転とか、あるいは出入国管理事務所の増設等につきましては必要なことであると考えるのであります。ただ、公安調査庁の人員二百名の増員ということが何としても納得ができないところであります。元来この公安調査庁は、治安維持、左右両翼対策のもとに設置せられているものと考えるものでありまするが、その存在は何とも不気味であり不明瞭な点が多いのであります。また、両翼対策と申しましても、その他国民の行動やあるいは思想の調査などを行なっていることもあるかに考えられるのであります。こうした公安調査庁の活動は、民主国家、文化国家を任ずるわが国において、私は好ましい存在ではないと思うのであります。むしろ、憲法において基本的人権を守られている国民生活に不安感を与えるものと言わなければならぬと私は思うのです。大体以上の理由によりまして、今回の二百名増員ということは、わが党といたしましては遺憾ながら反対をせざるを得ないのであります。
 以上、私は本法案に反対するものであります、
#105
○委員長(下村定君) 他に御発言がなければ討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。法務省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願いま
  〔賛成者挙手〕
#106
○委員長(下村定君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願います。
    ―――――――――――――
#107
○委員長(下村定君) 次に、建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、これより質疑を行ないます。
 政府側出席の方は、小山建設大臣、白濱建設務次官、前田官店長、多治見会計課長、小場営繕局長、国宗河川局次長、小林文書課長、吉兼人事課長、上条建設研修所長でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#108
○伊藤顕道君 前回に引き続いて、二、三質問を続けたいと思いますが、時間も相当たっておりまするし、また大臣もあまりお見えになりませんから、まず比較的軽い問題から二、三お伺いして、残りの問題については、次回で十分お尋ねしたいと思います。したがって、次回には大臣、必ず最初から出席なさるよう、いまからひとつ心がけていただきたいということをまずもって要望申し上げて、質問したいと思います。
 この提案理由の説明の一節に、「建設研修所を建設大学校に改める」ということでございますがてこでお伺いするわけですが、この建設研修所の賛成とか、訓練の概要について、そして、訓練、養成の成果について、ごく概要でけっこうです。まずもってお伺いしたいと思います。
#109
○政府委員(前田光嘉君) 建設研修所は昭和三十二年に設置されまして、建設に関する建設省内の職員、公共団体の職員等につきまして、その仕事を遂行する上について必要な理論及び実際の実務について研修をいたしております。で、自来拡充強化をいたしまして、現在の課程は養成科、本科、高等科、別科及び産業開発青年隊の訓練といりふうに分けて、それぞれ訓練及び養成をやっております。まず、昭和三十九年度の概要を申し上げます。養成科におきましては、初級と中級に分けまして、初級におきましては五十名、中級は七十五名、これらの者につきましてそれぞれ半年間の訓練をいたします。これらは、高等学校の卒業程度の者に対しまして必要な訓練をいたします。また、本科におきましては用地関係それから総合計画関係、都市計画関係、土木関係、道路、河川、建設機械、建築、営繕、それぞれの科目に分けまして、二十名、多い場合には百十名というクラスを貫きまして、一カ月あるいは半年、二カ月というふうに、それぞれの科目に応じまして訓練をいたしておるわけでございます。これらも高等学校卒業程度以上で、しかも三年以上の経験ある者につきまして訓練をいたしておるわけでございます。高等科につきましては、特に重要構造物につきまして、これは少数でございますけれども、特別に訓練をいたしまして、大学卒業程度以上の者につきまして、訓練をしておるところでございます。そのほかに新規採用職員とかあるいは特別のものにつきましては、特別の別科という短期間の訓練もいたしております。さらに、川三面、測地、こういう関係の訓練もやっておりまして、これらは専門的な立場もございますので、人数は比較的少なうございますけれども、半年程度の訓練をいたしまして、最も必要な測量関係の訓練及び養成を行なっております。さらに産業開発青年隊につきましては、これは幹部及び一般の職員につきまして同じくこれは一年間あるいは三カ月という長期にわたりまして訓練をいたしておるわけでございます。
#110
○伊藤顕道君 近ごろ研修所等を大学校と改称する例は非常に多いわけです。そこでお伺いするのですが、このたび建設研修所をどうしても大学校と改称しなければならない理由は一体那辺にあるのか、また、その必要性は一体どういうものか、こういうことについて明らかにしていただきたいと思います。
#111
○政府委員(前田光嘉君) ただいま御説明いたしましたように、建設省の研修所の内容は非常に充実しておると考えております。他の各省の同種の機関に比べまして、その機構、内容、訓練の実態につきましても非常に進んでおります。そこでたとえば消防大学校とかあるいは警察大学校とかあるいは気象大学校とか海上保安大学校、自治大学校、これらに比べまして、何ら内容において遜色のないものでございますので、それと同じ名前をつけることによりまして、受講者の気持ちにおきまして、あるいは訓練における態度におきましても、同じくプライドを持って勉強ができる、同時にここの終了した者に対する一般の評価も高まる、こういう観点から現在の研修の実態に即して他の各省庁の同種の訓練機関、養成機関と合わせまして、大学校と名前を変えるわけでございます。
#112
○伊藤顕道君 そうしますと、他の省庁のそれに比較して決して遜色はない、むしろまさっておると、こういうことであるからその名称を変更したいと、いま官店長の御答弁を要約するとそういうことになるのですが、それだけですか。
#113
○政府委員(前田光嘉君) 先ほど申し上げましたように、名前を変えることによりまして、さらに内容の充実もはかり、養成を受ける研修生の士気の高揚にも資したいということでございます。
#114
○委員長(下村定君) ただいま予算委員会での答弁を終わり、小山建設大臣、上田河川局長、志村計画局長、尚住宅局長が御出席されました。御報告をいたします。
#115
○伊藤顕道君 発言を求めておるのです。許可しますか……。
#116
○委員長(下村定君) どうぞ。
#117
○伊藤顕道君 そこで研修所を今回大学校と改称する、私ども何もそれに反対の立場でお伺いするわけではないのです。そこを誤解のございませんように。それでは、研修所が大学校に一足飛びになるわけですから、教育、訓練の内容とかあるいはまた組織、定員等についても、大学校ですから大学校にふさわしい内容の充実、改善があってしかるべきだと思うのですが、この点はどのようにお考えですか。
#118
○政府委員(前田光嘉君) 研修所は、発足以来徐徐に充実につとめてまいりまして、特に一昨年よりは大学校にする予定によりまして、人員及びその内容を強化いたしました。本年度におきましては、研修所は職員、部長、課長、教官等を入れまして百二十二人の陣容を持っております。組織も大学校にいたします場合には、現在の組織を強化いたしまして、総務課、教務課あるいは研修につきましては、計画管理部、建設部、測量部、沼津の分校、それから青年隊の中央訓練所というふうに強化をいたしまして、これだけの陣容をもってすれば相当充実した建設に関する研修教育ができるというふうに考えております。
#119
○伊藤顕道君 今回の地方建設局の所掌事務のうちから産業開発青年隊に関する事項が除かれるということでございますけれども、これは一体どういうわけなのか。大体本省の事務の一部を地方建設局に委譲しようという、そういう本法律案にいささか反する面があるわけですが、この点はどのように理解したらよろしいか。
#120
○政府委員(前田光嘉君) 青年隊の訓練につきましては、従来各地建でやっておりましたが、その経験に徴しまして、さらにこれを充実するためには一カ所に集めて徹底して訓練するほうがよろしい、こういう結論に達しましたので、先ほど申し上げました建設大学校の中に青年隊の特別の訓練所を設けまして、これは場所は現存静岡県にございますが、全部まとめまして訓練をするということから、この際、地建における訓練を新しい建設大学校の中の訓練所にもっていくということでございます。
#121
○伊藤顕道君 産業開発青年隊を強化するためには一本にまとめたい、それは了解できますが、それでは強化するための対策としては、一カ所にまとめただけではそのこと自体が強化ではないと思うのですね。一カ所にまとめるということも必要でありましょうが、それだけではないと思います。ほかにどういう対策があるのか、こういう点についても御説明いただきたい。
#122
○政府委員(前田光嘉君) 一カ所に集めて徹底した訓練を行ないますが、特に重点をおきましたのは、最近の建設業の実態にかんがみまして機械の操作についての面に重点を置く、オペレーターを養成をする、こういう点に重点を置きまして、必要な機械及び設備を充実しております。そういう意味におきましても、この新しい訓練所で新しい設備をもった中で充実した訓練ができるということから、機械における訓練ということに重点を置いていくのが今回の訓練所の一つの大きな特色だと考えております。
#123
○伊藤顕道君 それでは大臣がお見えになりましたので、二、三お伺いしたいと思いますが、大臣ですから基本問題についてお伺いいたしますが、本法案は最初第四十四通常国会に提案されたと思う。ところが、当時全国知事会等から猛烈な反対があった。そして最終的には目礼一致した見解のもとに廃案となったものであろうと思うのです。かような経緯のあるものが前国会に再提出されたわけです。前国会では私は全然質疑する機会をもちませんでしたのでそのことをまずお伺いしておきたいと思うのですが、こういう反対で廃案になったものを前国会に再提出したのはいかなる理由であったのか、この点をまずもってお伺いしておきたいと思います。
#124
○国務大臣(小山長規君) 私の記憶に誤りがないとすれば、廃案になりましたのは、この法律案が悪いからだということではなくて、法律案を、審議しておる衆議院の内閣委員会でいろいろの都合でとうとう審議に至らなかったということであったと思います。なお、再提出をいたしましたのは、私どもの建設省としては、やはりこういうふうな事務の配分をすることが事務の能率にもなるし、あるいはまた、事務の能率の向上にもなりまするし、国民に便を与えるものであるという信念に変わりありませんので、そこで前国会にお願いをしまして、衆議院で審議の結果、一部の事務委譲については適当でなかろうという衆議院の修正がありまして、それが参議院に回ってきた。そうしてそれが継続審査になっておる、こういうことであります。
#125
○伊藤顕道君 ただいまの大臣の答弁では――二つのことを私はお伺いした、一つは全国知事会の強い反対があったということ、そして二つには与野党一致した見解で廃案になったということ。後者の分についてはただいま御説明があったわけですが、全国知事会の強い反対についてはいかようにお考えなんですか。
#126
○国務大臣(小山長規君) 御承知のように、全国知事会から要望が出てまいりましたし、それから強い決議もいただいたわけでありますが、その内容については了解がついておると了承しているわけであります。それについては官房長からお願いをいたします。
#127
○政府委員(前田光嘉君) 補足させていただきます。
 知事会の意見のおもなものは、要するに二重行政ではないか、二重監督の弊害をなくしてもらいたいということでございまして、われわれもその後いろいろ地方自治体等と検討の結果、ただいまのような案にいたしまして、運用につきましても、先般申し上げましたように、できる限り地方建設局長に委譲したものについてはそこで処分専決といたしまして、二重行政の弊のないように運営をする。もう一点、地方公共団体からこの事務の増加のために職員を引っぱってくるということは非常に迷惑であるからというような御意見がありましたので、それにつきましても、十分に公共団体と話し合いの上で、必要なものがあればお互いに了解をし合った上で人事異動は行なうということでありまして、これらの点につきましては、当初は反対でございましたけれども、最終的には御了承を願っておるというふうにわれわれは解釈をいたしております。
#128
○伊藤顕道君 全国知事会から強い反対があり、要望もあった、二重行政、二重監督の弊におちいるから、こういうような意味で反対があったということですが、その反対に対してはどのような検討を加えてどういうふうに処理したのか、それを伺いたかったわけです。ところが、四十四国会に提出して強い反対があった、そうして四十六国会に出した。それでは具体的には、四十四国会に出した法案と四十六国会に出した法案とでは、そういう知事会の強い反対があったのだから、反対の心を心として何か具体的に改めた点などがあったのか、ないのか、こういうことにはいささかもお触れにならなかったでしょう。こういうことはどうでしょう。反対が出ておってそれを十分検討したと思うのですが、その検討の結果はどうなったかということを聞いておるのです。
#129
○国務大臣(小山長規君) 知事会の反対のうちのいまの二重行政という点については、たとえば委任の範囲が明確でないということでありますとか、それから地方建設局長の職務権限が明確ではないのではないか、したがって、二重行政になるのではないかという多分に――多分にというと語弊がありますが、内容の説明がこちらも舌足らずであったのでああいうことになったのだと思いますが、その後たとえば委任事項は政令なら政令でこういうことをやる、あるいは大臣権限を地方建設局に譲る場合は、たとえば通達あるいは告示でこういうことをやるというふうに、内容を一つ一つ詰めてまいりましたので、その点は解消したというふうに了承しております。それから知事側で要望のありました事項の中で、現在は建設省に置いておくほうがいいと思うけれども、将来は地方に持っていったほうがよいのではないかというようなのが一つ二つありまして、この問題は将来の検討にしよう、こういうことになっておるわけであります。
#130
○伊藤顕道君 大臣の御説明の意味はよくわかりますけれども、私がお伺いしておるのは第四十四国会に出して知事会から強い反対があった。それで十分検討して四十六通常国会に出したと思うのですが、四十四国会に出した法案自体と、次の国会に出した法案自体では、どのように検討の結果変わったのか、変わらないのか、そのままなのかどうなのかということの御説明がないと、検討の結果どうなったかということはわからない。話し合いだけじゃ……。
#131
○国務大臣(小山長規君) その結果、法案には手を加えないで出したわけであります。
#132
○伊藤顕道君 そうしますと、大臣としては、大臣の答弁の意味はわかるのです。答弁の意味はわかりますけれども、あれだけ強く反対したわけですから、何か法案自体に改まった点があるのではなかろうかと考えたわけです。そこであえてお伺いしたわけなんですが、大体の、これは建設省に限ったことはございませんけれども、各省庁の事務当局としては、機構の拡充とか、あるいは人員の増加、こういうことは前々から前向きで考えてきておると思うのです。したがって、そういう機構の拡充、定員の増加、こういうことを内容とする法案にはきわめて積極的で熱意を持ってきたと思うのですが、本案は逆ですね。本省の権限の多くを地方建設局に委譲しようとするわけですね。これは通常考えると逆の傾向なんですが、したがって、建設省自体の中にこの法案についてはきわめて批判的なものがあったというふうに漏れ承っておるわけです。この点を明確にしていただきたい。
#133
○国務大臣(小山長規君) 私の承知しておるところでは、内部にはそういうことがなかったと思っておりますが、ただ組合のほうで、労働強化になりはせぬかというような点で心配された向きがある、こういうふうに了承しております。
#134
○伊藤顕道君 いま私が事務当局内に委譲について反対のあったのは、ただ本省の権限が縮小する、そのことに反対しておるということではなくして、むしろ事務の委譲の結果起きるであろうところの地方建設局あるいは工事事務所の事務処理の増加あるいはまた処理の複雑さ、こういうことを心配するのあまりの反対があったと、そういうふうに聞いておるわけです。この点はどうです。
#135
○国務大臣(小山長規君) いま私が申し上げた、つまり労働強化になるのじゃないかというようなことばで申し上げましたが、そのほか、いまおっしゃったように、事務が渋帯しやしないだろうか、あるいはなれない仕事をやるわけでありますから、ある程度事務が渋滞すると思いますが、そういうようなこととか、あるいはある程度配置転換しなければなりませんから、そのために多少研修の期間が必要なわけです。ですから、そういうことのために多少の不安はあったのではなかろうかというふうに了解いたします。
#136
○伊藤顕道君 当時の建設大臣は河野さんであったと思うのですが、これは事務処理を合理化していくからその心配はないのだ、あるいは地方から本省へ陳情するのについては、地方建設局の職務委譲に従って、できるだけ中央への陳情を押えてもらうとか、地方建設局をして押えさせる、こういうことで、要は事務の合理化をはかることができるから、そういう点は何ら心配ない、事務は複雑化せぬ、こういうことでこの法案の成立を推進した、そういう意味にこれも漏れ承っておるのですが、こういう点はいかがなんですか。
#137
○国務大臣(小山長規君) これはおっしゃることは二通りあると思います。
 一つは、内部的に事務のふなれ、あるいは配置転換などによる研修というような問題があって多少不安があったのじゃなかろうかというような点が一つ、それはないようにいたすことにいたしておりますがそのほかもう一つは、地方の公共団体がつまり建設局に寄ってさらにまた本省に来なければならないというような複雑化はないかという点の心配があったと思いますがその点は御承知のように、多少はやはり残ると思いますが、大部分地方建設局で済むものは地方建設局限り、それから地方建設局長の権限でないものは、地方建設局に寄らないでよろしい、こういうふうに交通整理してありますから、まずまずその心配はないと思っております。
#138
○伊藤顕道君 大臣の御説明はそういうことなんでしょうが、いざ立案に着手してみると、省内部からも、あるいは地建側からも強い反対が起こった。特に地建の企画寮長会議などが持たれて、その室長会議では、本省側は主として事務官陣営が中心だろうと思います。地建側はいわゆる技官陣営が中心だろうと思う。したがって、事務官陣営が技官陣営に入ってくるわけでありますから、そこに非常に混乱が起きて、事務自体も非常に複雑して、そういう人出関係も非常にかんばしからざる方向に行くのじゃなかろうかという、そういう考え方からの反対であったと聞いているわけですが、この点はどうなんですか。
#139
○国務大臣(小山長規君) 私もまだ建設省に来ない前にそういう話を聞いたことがありますが、やはり時がたつに従って皆さん建設省におられる方々も法案の内容がわかってまいりまして、そういう心配もだんだんなくなったとみえまして、私が就任してからもこれは出すことがわかっているし、継続審議になっているのでありますが、何らそういう話を聞かずに済んでおります。
#140
○伊藤顕道君 いまも申し上げたように、地建は大体現場の仕事が中心であったと思います、従来は。したがって、当然の結果、技官が地建では中心になるのですが、それに反して本省では事務が主体になる関係上、いわゆる事務官陣営が当然中心となる。したがって、事務系統の仕事の多くが地方建設局へ委譲されようとするのでありますから、現状のままではとうていこなし切れぬから、本省から事務系統の人も行くだろう。こういう関係でいままでは大体建設というのは現場の仕事中心ということが言えたと思います。名前の示すごとく建設で、建設は結局現業の仕事ということになりますから、本省はさることながら、地建ではいわゆる技官が当然仕事の性質上中心にならざるを得ない。そこへ今度は現場の仕事のほかに事務系統の仕事も入ってくるということでなかなかうまくいかないのじゃないか、調和もとれないのじゃないか、こういうことが、その当時あなたは大臣として君臨しておったわけではないので、そのときのことを追及する意図は毛頭ございませんが、理論として考えても当然考えられることではなかろうかと思うんですが、この点はいかがですか。
#141
○国務大臣(小山長規君) 先ほども申しましたとおり、私も衆議院に長くおるわけでして、いろんなことは聞くわけですけれども、確かに去年あたりはそういうような話をちらほら聞いたことはあります。ところが、私が大臣になってからもう約五カ月ばかりですけれども、私もずいぶんあちこち歩きましたし、また、職員の諸君ともまるで友だちみたいに話をする連中もおりますけれども、そういう話は幸いにしてと申しますか、まだ聞かないで済んでおります。同時に、これは理論上の活をされましたが、地方建設局の仕事は確かに事務が加わりますけれども、やはり技官がやる仕事というものは相当量従来と同じようにあるわけでありますし、あるいは場合によっては、本省から移す仕事の中にも技術の仕事は相当あるわけでありますから、したがって、技術関係の仕事の量が減るということはないわけですね。ただ、地建全体でいえば、減らない上にさらに事務の仕事がふえてきたということはあるわけです。その間に技術の人といわゆる事務系統の人とが一緒に、従来とは違っておるわけですから、その面でおそらく御心配なんであろうと思うんですけれども、こういうものは本質的なものじゃないと思うんですね。やっている間にはお互い気心がわかってまいりますし、それから技術の人が持っていないいい面を事務が持っている場合もあります。事務の人が持っていないいい面を技術の人が持っている面もあるわけですから、これはそう本質的な心配をすることではない、こういうふうに思っております。
#142
○伊藤顕道君 時間もだいぶたってまいりましたし、まだ次回がございますから、最後に本日のところ一点だけお伺いして、あと自余の問題については次回に譲りたいと思うんです。
 そこで、最後の問題をお伺いしますが、いま大臣から御説明ございましたけれども、私ども地方建設局とか地方農政局、こういうところをよく回るわけですが、先日も九州で地方農政局でいろいろ要望を承ったわけなんです。まず人手不足で非常に困った、仕事の――これは一足先に農林省の本省の仕事の一部が地方農政局に委譲されたわけですね。したがって、地方農政局についてはもうある程度試験済みなんです。やってみるとなかなか容易じゃない。特に人手不足を訴えておるわけですね。それから本省との連絡等のこと、それから地方からの補助費の問題、なかなか四苦八苦しておる。建設局に提案のような仕事量が増加されれば、定員を思い切ってふやせば話は別ですけれども、新規採用はなくしていわゆる配置転換法でまかなおうとしておるわけですね。そこに無理があるんではなかろうか。こういうことが苦慮されるわけです。そこで、職員などでも心配しておるものは、そういうことで配置転換、しかも予算の関係で本省におった人の一部がどこへ行くかわからない。もしこの法案が通れば、そういうことになる。配置転換の問題は起きるし、仕事量がふえるということは、いわゆる過重労働になる、こういうことが一つの大きな問題点になっておると思うのです。これはどなたがどう考えてもどうしても複雑になるし、そうして過重労働になるということはいなめない事実じゃなかろうかと思うのですが、この点を明らかにしていただきたいと思います。
#143
○国務大臣(小山長規君) これは一面はおっしゃるような点はあると思います。と申しますのは、人によってなれない仕事を研修を受けてやらなければならぬわけでありますから、なれるまでにはやはり多少の負担がかかるかもしれません。がしかし、このことのねらいは、事務を合理的に、ひとつ能率的にやろうということは、内部の能率もありますけれども、やっぱり外部の地方公共団体その他が、たとえばいままで東京まで来て、ごらんになっておると思いますが、本省にずらっと並んで順番を待って書類の決済を受けておる。まるで本省の廊下が銀座通りみたいになっておる、ああいう状態がなくなるわけですね。ですからそういう意味で確かに利害得失はありますが、利のほうがはるかに多い、こういう観点からこの法律案をお願いしておるわけでございます。
#144
○伊藤顕道君 大臣はそういう点確信ありげな御答弁のようですが、私どもは本省の事態とは関係なく、繰り返して申し上げるように、地方農政局などを回った、要望の大きなものの中には非常に仕事の量がふえる。人手不足で過重労働になっておるということを強く訴える。いろいろございますが、なるほど地方建設局をつくれば、当時の河野大臣が言われたとか、言われる中央までの陳情はある程度食いとめられるでしょう。しかし、地方建設局で中央への陳情を食いとめるということは、地方建設局の仕事がそれだけ激増するということを意味するわけですね。しかも定員については、繰り返し申し上げるように一名の増員もない。配置転換によってまかなおうとする、この辺に地方を回ってみるとなかなか大臣の言われるようなことはうなずけぬわけです。それは理論として承りますけれども、実際実情に当たってみると、なかなかそういうなまやさしいものじゃないということなんですね。
#145
○国務大臣(小山長規君) この本省から移します仕事に対応する人間は事務官、技官にわたって、まあこの計算が正しいか何かは別として、ともかくそれに対応する人間は移すわけですから、地方建設局にいままでおられた方々がいままでよりも忙しくなるということはないということにしてあるわけですね。実際問題として起こります問題は、先ほど申し上げましたように、地方建設局の仕事で今度変わった仕事をする人が出てくるわけですから、この方々は研修の期間なれない仕事をするわけですから、多少の苦痛ばあるわけです。しかし、それは要するに研修が終われば解決する問題じゃなかろうかというふうに思っておるわけです。
#146
○委員長(下村定君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#147
○委員長(下村定君) 速記を始めて。
 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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