くにさくロゴ
1964/12/17 第47回国会 参議院 参議院会議録情報 第047回国会 大蔵委員会 第5号
姉妹サイト
 
1964/12/17 第47回国会 参議院

参議院会議録情報 第047回国会 大蔵委員会 第5号

#1
第047回国会 大蔵委員会 第5号
昭和三十九年十二月十七日(木曜日)
   午後二時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十六日
    辞任         補欠選任
     栗原 祐幸君     堀本 宜実君
 十二月十七日
    辞任         補欠選任
     堀本 宜実君     栗原 祐幸君
                牛田  寛君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         村松 久義君
    理 事
                柴田  栄君
                日高 広為君
                成瀬 幡治君
                天田 勝正君
    委 員
                大竹平八郎君
                岡崎 真一君
                栗原 祐幸君
                佐野  廣君
                津島 壽一君
                鳥畠徳次郎君
                西川甚五郎君
                林屋亀次郎君
                堀  末治君
                野溝  勝君
                鈴木 市藏君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  田中 角榮君
   政府委員
       大蔵政務次官   鍋島 直紹君
       大蔵省主計局次
       長        鳩山威一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵省主計局法
       規課長      赤羽  桂君
       農林省農林経済
       局保険管理課長  池田 正範君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査(当面の財政金融
 に関する件)
○農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるた
 めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事柴田栄君委員長席に着く〕
#2
○理事(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 本委員会の委員の異動について報告をいたします。
 本日、牛田寛君が選任せられました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(柴田栄君) この際、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 当面の財政金融に関する件について御質疑の要求がございました。これを許します。成瀬君。
#4
○成瀬幡治君 大臣にお尋ねいたしますが、この前、木村委員の質問に対して、例の預金準備率の引き下げの問題にからんで、あるいはあなたの新聞記者会見の記事もここに持っておりますが、その点はそれとして、山際さんがおやめになって後任の方が決定したと聞いておりますが、山際さんはどんなふうにおやめになったにしろ、おそらく病気だと言うでしょうけれども、そういうふうな理由でございますか。
#5
○国務大臣(田中角榮君) 山際日銀総裁は、十一月の末ごろだと思いますが、昭和三十一年だったと思いますが、十一月の三十日に就任をしてからちょうど八年になりました。その間において、私よりも任期の短い理事にやめてもらったり転出をしてもらったりいろんなことがありましたので、十一月の三十日を越したら勇退をしたいと、こういうお活がございました。しかし、十一月の三十日というと、もう十二月を一日前にしての話でございますから、十二月一ぱいというものは非常に金融上重要なときでございますので、ひとつ十分金融対策について御協力をいただきたいと。これ内閣人事でございますので内閣でひとつ検討はいたしますが、とても十二月というような、十二月の少なくとも仕事が全部終わらないと御要請をいれることはできないかもわかりませんと、こういうことは申し上げておきました。そして十二月一日付で山際総裁から辞表をいただきました。これは非常に微妙なものでございますので、非常に重大な人事でございますので、この問題に対しては慎重ということで今日まで来ましたが、今日、ざっくばらんに申し上げますと、新聞に報道をされたりということがございますので、非常にびっくりいたしたわけでございます。そして総理にも二、三日前には話しておきましたので、それですぐ山際さんにお電話を申しまして御意思を聞いたわけでございますが、辞任をせられるという気持ちに対しては変わりはございませんし、それでいろいろ内閣の中で検討しました結果、後任に現三菱銀行の頭取を起用するということで、本人が受けられるならばということで、三菱の宇佐美さんに私が連絡いたしまして、受諾の御承諾がございましたので、直ちに持ち回り閣議で決定をしたと、こういうことでございます。
#6
○成瀬幡治君 私は、病気なら別に理屈を申し上げる必要は全然ないと思います。しかし、いまお聞きしますと、すでにもう十一月三十日を期してやめたいというようなお話があり、しかも十二月一日にはあらためて辞表等が提出されておったということになると、あなたがおっしゃるように金融の非常に重要な段階だということはだれでもわかっておる。特に中小企業の人たちの立場からいえば、倒産はそこから来たといえば、いろんな理屈があろうけれども、金融引き締めも一つの原因だろうと思います。さっと勇退だと、後進に道を開くんだから勇退だというと非常にきれいなことばですが、気持ちとしては非常に残念に思っておるわけです。大体こういうことは、金融引き締めとか窓口規制その他の問題は、何といったって、法的には日銀に全部責任があるわけです。ですから、端的に伺いますが、単に後進に道を開くだけの理由なのか、もっとこういう倒産等その他いろんな、あなたが予期しない、摩擦ということばが当たるかもしれませんけれども、若干そういうような責任を感じられての辞任でしょう。
#7
○国務大臣(田中角榮君) 後段の理由は絶対にないと信じております。また、今度の預金準備率の引き下げは総裁の責任でおやりになったことでありますし、十三月中の金融の問題に対しても十分めどをおつけになっていることでありますし、私も十二月一日付の辞表をお預かりしましたときには、少なくとも十二月の金融繁忙期というか、重大なときを考えまして、とにかくいますぐどうするというわけにもまいりませんので、十二月一日から関西旅行をされたと思いますが、十二月一日に関西旅行をされ、八日にこちらに帰られた。それから御自分でもずっとやっておられたわけでございまして、いま少し病気で寝ておられるようでございますが、そういう意味で、責任を感じておやめになったということではなく、これは先ほど申し上げたとおり、ちょうど八年間やっていただいた、こういうことになります。こういうところにウエートを置かれて辞任をせられたと、こういうことを信じておりますし、日銀総裁が経済状態その他の何か責任を負われておやめになったという筋は絶対に考えておりません。これはなかったというふうに考えております。
  〔理事柴田榮君退席、委員長着席〕
#8
○成瀬幡治君 あなたはそれでは、この辞任をすなおに勇退されるというふうなことに、まことによい時期だというふうに判断をされている。すなおに――もし責任だということになると、田中大蔵大臣もやめなければならぬことになる、そうはいかぬと思うが。まことにすなおな勇退で、時期も適切、よい時期におやめになった、そういうふうにすなおにお受け取りになりますか。
#9
○国務大臣(田中角榮君) 私は全くすなおに受け取っております。一部では、これは私が個人的に耳にしたことでございますが、日銀総裁はIMFの総会がお済みになったらおやめになるのだ、ということを日銀に出入りする人たちから聞いたこともありますが、そんなことはありません、いやしくも日銀の総裁の人事というものは、挙止進退は総理大臣にも匹敵するほど重要なものである、そう思っておるので、どこにもそういうことはございませんし、こんなことはないということは私ども強く否定をしておりましたし、私は就任をしたころからそういう話がございまして、「山際さんはおやめになりたいというようなことがあるのだがどうですか」、「これはあなた方どこから聞いてくるかわからぬが、そういうことは考えておりません」、少なくともまだ池田内閣の状態でございましたし、池田、山際両氏は御承知のとおり刎頸の交わりでもございまして、総理からもそういうことは全然承わっておりませんから、そんなことはないと歯牙にもかけず私はやっておったわけでございますが、ただ、IMFの総会の前、IMFの総会のあとごろにはいろいろな話は耳に入りましたが、格別そういうことを信じておりませんでした。
#10
○成瀬幡治君 このことで議論をすれば私の意見のことにもなりますから、控えたいと思いますが、あなたのほうが、それは適切な時期であるというふうに判断をされたということは、八年もおやりになった本人がすなおにおっしゃるから、私もすなおに受け取ったのだ、こういうことで、お答えはわかりました。
 次に、お尋ねしたい点は、倒産がたくさん出てきましたね。ちょっと驚いたのは、サンウエーブの問題にしろ、あるいは日本特殊鋼、日本で一番古い鋼なんかを扱っている会社が倒れた。そうして負債が百億以上にふえてきているわけですね。ずっとそのよってくる原因は、一番大きな原因は何だとつかんでいますか。
#11
○国務大臣(田中角榮君) いろいろな原因がございますし、まだこれらの会社の倒産した実態というものを私はよく承知をいたしておりません。ただ、おぼろげながら、大ざっぱな状態は知っております。こういう関連倒産をも引き起こしやすいこれらの中堅以上の企業が倒産をするということは、非常に大きな影響がありますので、私は、大蔵省の事務次官、銀行局長、日銀の佐々木副総裁、日銀総裁、そういう方々や、各都市銀行の頭取の皆さんにも御協力を要請してございます。
 新聞に出なかったので、まあ大体私たちがやらないことでも新聞に出るのですが、あの問題やっても出なかったのですが、これはこの倒産問題に対しては、ホテル・オークラで、私も朝早く出かけまして、私のほうからは事務次官、それから銀行局長が出まして、それで日銀副総裁にも出席を願い、各銀行の頭取も全部、十何行か出席されたと思います。いろいろ話をしまして、とにかく倒産をしないで済むというものであるならば、これぜひひとつ食いとめてもらいたい。しかも、率直に申し上げて、どうもメーン・バンクがいいと言えばやりますが、というようなことを巷に聞くが、あなた方は大なり小なりこういうものをお持ちになってるんでしょうと、メーン・バンクだけは、きのうは三菱であってもきょうは富士である、あしたは住友になり、あさっては三和になるというものではあるかもしらぬ。これは都市銀行全体として、金融界全体として考えてもらわなきゃ困る。私はこういうことを言った。人がころんだようなつもりになってやられては困りますよと、激しいことでございますが、そういうことで積極的に御支援を願いたい、こういうことで、具体的な事例を全部出しまして、そこで全くざっくばらんなお話をいたしました。こういう問題について、私も十分考えましょう。特に日銀さんが個々の倒産その他に対していろいろ口をきくことは、いままで例がなかったとは言えますけれども、日銀さんもこういう問題に対して、ひとつ口をきいてもらうこと、また興長銀の代表も出ておりましたので、昔は河上さんのころは、興銀が中心になってそれぞれの設備投資をするときも調整をしたけれども、倒産なんていう問題になると、これは真剣に取り組んでもらったはずなんですから、ひとつ興長根も積極的に中心になられて検討してもらいたい。これはもうできるだけ協力をいたします、協調融資の制度もとりまして、やむを得ざるもの以外はやります、こういうことで別れておるわけであります。その間倒産をしたものに対しては、これくらい要請されておって、このくらいわれわれも前向きであるにもかかわらず、倒産に余儀なくいったということに対しては、大蔵省にひとつ報告をしてもらいたい、こういうことまで言っております。これは普通からいうと、銀行の動きに対してそういうことを言うのはどうも行き過ぎだというふうに言われるかもわかりませんが、これはもう暮れになって金融調整下にありますので、大蔵大臣としても、どうしてもこういう配慮を、必要とするという判断に基づいて、そういう要請をしております。その前も個々の問題に対していろいろやりました。ですから、まあその結果、なお出ておる。
 ただ、何が一体原因かという問題ですが、これは非常にむずかしくて言いにくい問題ではございますが、ただ日本特殊鋼の問題に対して、私も何とかしてくれ、とにかく代表産業であるからということで、私も少し検討もし要請もいたしまして、ただこの問題に対して、まあ例になるかどうかわかりませんが、メーン・バンクであった三菱銀行と第一銀行でございますか、名前違うかもわかりません。私がいま覚えておるのはそうでございますが、半年間にわたって経理検査を行なったのです。半年間において専門家が行って経理検査を行なったことは事実であります。しかも、その日本特殊鋼という会社は、銀行から派遣された常務取締役が二名もおるそうでございます。名前はさだかにしておりませんが、おったそうでございます。きっと銀行から行ったんだから経理担当常務だと思います。それで、半年間二行の専門家が徹底的に経理を洗って、その結果百五、六十億の負債ということがわかり、そのうち十五、六億は融通手形であったということがわかったようです。私は、その銀行の方々の名前は、あなたは何びとであるかということまでは聞きませんでしたが、はっきり申し上げました、銀行の代表者であるという四、五人の人たちに、「あなた方は融通手形が出ておったことを知っておったのですか」、「遺憾ながら知りません」、こういうことであります。「だれが一体はんこを押して、だれの名前で、だれが融通手形を出したのですか」、こういうところまで言いましたけれども、御返事はございません。私ども裁判所でも検察庁でもございません、株主でもございませんので、追及することはできませんでしたが、そういう事情を聞いた後は、私何とか倒産を食いとめられないかということで各銀行に要請いたしました。ついに更生会社に入って、特設ポストに入ったということでございます。私ども経理の内容は調べておりませんので、とにかく指摘をすることは困難でございます。非常に遺憾なことでございますが、半年間、大きな都市銀行の中の二行が専門的に調べておって、その間救済の手段も十分あったと思いますが、しかる結果、なお倒産にひとしい更生会社法の申請をしたということは、はなはだ遺憾だと、私はそう思っておるだけでございまして、それ以上内容をつまびらかにするいま段階ではございません。しかし、銀行局には、十分この内容を調べて、上場会社であるから当然証券局にも資料はあるはずだし、こういうものをひとつ十分考えてもらいたい、こういうことを言ってございます。
 そのほか富士車輛の問題、サンウエーブの問題についても、私がいま申し上げた程度のことは、私ども日常聴取しておりますし、また関係当局に、何とか特設ポストに入れないようにということで懇請もいたしました。再建をする場合でも、中小企業その他に対しても十分配慮してもらいたい、今日などサンウエーブなんかの関係、中小企業の名簿を大蔵省に届け出てくれと、銀行局をして可能な限りの措置をとらしたい、こういう措置を考えておるのでございます。
#12
○成瀬幡治君 私は、たまたま名前をあげたからですが、大臣はこすいですよ。大体、個々の対策をどうこうするということを聞くわけではない。一般論として、最近零細、中小企業が倒れていったから、中堅企業が倒れるようになったのか、その原因は、ただ単に運営が悪いと、重役さんのやり方が悪いから倒れたんだ、責任はあげて政府の経済政策じゃないのだ、あげて会社の経営者の責任だというふうなのか。たとえば、ここに出てくる今度窓口規制をおやりになって、そしてやられて、その次には公定歩合の引き下げをおやりになるだろうと思いますが、そういうことが間接ではなくて、直接の原因のうちの一つの理由でございましょうし、そのうちの大きな役割りを果たしはしないか。原因を聞いておるのです。あなたは対策をおっしゃる。そんなことは私は聞きたくない。個々の原因はどうでもいいのです。総体的につかんで、零細企業から中堅企業に来ておる、そしてこれが倒れた、関連産業にも影響を大きく及ぼしてくる、どうしたらいいかという政治の面として、金融を大きく、それは日銀はおやりになるけれども、大蔵大臣が全責任でおやりになるくらいの姿勢でやっておみえになると思う。だから、どうしたら、よってくるその原因は何か、それはどうしたらいいという対策がその次に出てくると思うが、まずその原因をどうつかんでおみえになるか。
#13
○国務大臣(田中角榮君) 私は、先ほどあなたが個別の名前を引例されながら、すぐ、一体これらの会社はどうして倒れたと、こう聞かれたと思いましたので、私の知る限りるる誠意をもって述べたわけでございまして、遺憾ながら方角が違っておって、まことに恐縮でございます。
 全般的にどうかというと、私、予算委員会でも質問を受けておりますが、私自身非常に検討しておるのですが、どうも銀行局やその他から出てくる答弁書にも、どういうことが原因かということが、どうもはっきりした実は姿勢が出てこないわけであります。引き締めも滲透をいたしましたし、しかし、金融引き締めというものが直接の原因であるとも書いてない。私自身もいろいろな例を見てみますと、私が、どうも田中が調査したところは全部とんでもないものばかり調査しているのではないか、そうおしかりになるかもわかりませんが、私がいままで調査をした、私の目で、私が数字を験算をしてみたものの中には、もちろん金融調査というものの影響がないということは考えません。それはあるでありましょう。あると思います、これはまじめに。また、政府の指導よろしきを得なかったということも、それは事実だろうと思います。しかし、金融調整を一年間しなくても、しなかったならばこれは一体つぶれなかったかといいますと、必ずしも自信がないのであります、それは。ここでもっていま調整を全部解除をしてしまっても、一体このままいけるのかというと、どうもなかなかむずかしいものもあるようであります。
 これはどういうことかと申しますと、一割の配当をしておりながら、大蔵省で調べましたら、十年間一割ないし一割五分の配当はタコ配でございましたというものもあります。どうも遺憾ながら、こういうものはとても助けることはできない。それから、在庫品、倉庫の中にあるものを伝票操作をしながら、伝票でもって売ったことにして、帳簿上は第二会社に売ったことにして、利益を計上して、こうやっておりますが、どうもその品物が時代おくれになって売れなくなった。ですから、たなおろし資産が他人の名義に決算上はなっているということを長いこと続けてこられて、そのまま参ってしまった。それから、問題の中に融通手形が非常に多いということは、もう悲しいことでありますが、融通手形というのは銀行はわからないかといいますと、わからないのです。
 融通手形を出したのには二つの理由があります。一つは完全にやむにやまれずに融通手形を出したというのと、一つは銀行側が商手でなければ割り引かない、こういうことを言うものだから、商手を偽装して手形を出したと、こういう二つの原因であります。融通手形のうちには、自転車操業をやっておりますから、そのうちにはどれが融手か、どれが商手かわからなくなってしまって、よく調べなければわからぬ、こういうのもございます。
 一体なぜそんな融通手形がわからぬのかというと、これは税法とか、いろいろなものが非常にむずかしい制度にありますので、結局は会社の経理というものは経理担当者だけが――よろしゅうございますか。経理担当者という一つかみの人だけが経理をやっておるので、どうも社長自体が経理の実態をつかんでおらないというものもございます。中には銀行を五つ、六つ、七つやっておるのですが、各銀行に出ておるバランスが違う。みな違う。これは全くたくましい技術でございまして、私にはよくわかりません。税務署に出すのもまた違うと思うのです。ですから、そういうものが、特に普通の状態で考えられない状態もあります。これは事実であります。私は例証を申し上げてもいいくらいなものでございます。
 ただ、北九州の関連倒産とか、それから京都とか名古屋の企業の元請が倒産したことによって関連倒産をしたというものもございます。ですから、少なくとも黒字倒産というものは絶対起こしてはいかぬということと、もう一つ、いわゆる倒産をする会社が少なくとも一年、二年、三年間ぐらいの間で何とか努力をすれば正常な経営状態になり得ると、こういうものは絶対つぶしてはいかぬということで、調整下にありながらも、きめこまかい配慮という名において、実際は調整に入らないときよりも金はよけい出ているという面もあるわけでございます。ですから、いろいろな措置をとっておりますが、どうもはなはだ遺憾でございます。
 いずれにいたしましても、政府はもっとより善導しなければならないし、誘導もしなければならないでしょうし、どんな場合でも、いかに自主的、民主的にといいましても、政府はやはり目標を出して、政府の成長率が七%というのだから、せめて一四%以上、倍以上になった企業には金は貸せませんよというようなことがやれればよかったかわかりません。そのために私も多少そういうことを過去二年間に出したわけです。そしてどうしても資本金と年間の水揚げ料のバランスは一体どうあるべきかということや銀行借り入れ、いわるる資産と借り入れ金とのかね合いはどうあるべきかということと、いわゆる年間においては何回の回転というものを基準にして融資をすべきか。私は世銀融資方式を採用してはどうですかというテーマを投げたことがありますが、ついに今日の段階であるということは、私自身もいかぬし、みずから自分がもっと、何と言われても、批判があっても、やはり言うべきは言わなければならなかったというようなこともしみじみ感じているわけでございますが、いずれにしても、倒産は未然に防げるものは全力をあげて防ごうという姿勢に立っているわけであります。
#14
○成瀬幡治君 時間がございませんから、私は簡単に、端的にお聞きしたほうがいいと思う。
 そこで、構造要因の問題として倒産は必至のものだ、だから物価手当てが必要だというようなことを是認されれば、これは問題は別だと思う。それはアフタケアの問題になるから、それは別だと思うんですが、しかし、そういうことではなくて、中小企業から中堅企業の倒産が出るようになってはたいへんなことだと思うんですよ。そこで、その原因は何だと突きとめていって、そうしてその対策は何であるかということを、私は政府として立てなくちゃならぬと思う。
 いまお聞きしておりますと、融手が非常に悪いということだけはわかった。それも一つの大きな原因になっているというふうに承りました。とすれば、融手は、これはもう何ともチェックのできぬものだ、これは融手であるのか融手ではないものなのか、これはわからぬものだということだけでは、私は済まされぬ問題だと思う。これが一つの中堅企業の倒産をしている大きな原因とするなら、手形法の問題についてはどういうふうにお考えになっているのか、そのことを承りたい。
#15
○国務大臣(田中角榮君) ですから、私は二年前から手形法の問題を言っているんですが、手形法は法務省の所管でございまして、これはもう法制審議会において二年も三年も、あるいは五年もかかるので、私はほんとうに参ってしまったんです、事実を申し上げて。それで、法務省にさんざん頼んだんですが、なかなかうまくいかないということで、今度は別にできることでやろう、手形用紙を特定をして銀行名を書かなければいかぬ、これは場合によっては、大蔵省の印刷局でもって刷ろう、これくらいのことをいま考えております。これはもう刑法の改正とか、そういうものは法務省の関係の者がより慎重にしなければならぬということはわかりますが、それだけに傾いておらないで、ひとつぜひそれはやらなければいかぬという考え方で、いま事務当局も立案をしております。
 それから、手形法自体や小切手法というものは、これは理論的に非常にむずかしいものがあるようでありますが、しかし、現状に対処できるように、事態に即応するように、暫定的でも少なくとももっときびしくしなければならぬということも進めております。
 それから、融通手形が現在出ているものに対しては、融通手形が一番簡単だから、金がないからしようがない、そんなことを言っておれないので、融通手形というものは早く回収してもらって、いま融通手形は一切締めますよと言えば、これは倒産に拍車をかけるようになりますから、いま出ているものをどの程度やるか。融通手形というものに対しましては、通産大臣にも私は強く言ったんですが、とにかく行政指導で、融通手形というものによって倒産をしたようなものに対しては、これは金融は将来できなくなりますよ、ですからひとつ十分考えるようにということをやはり行政指導しようということであります。
 最後にはどうなるかというと、やはりこれは皆さんの意見を十分聞きますが、やはり世銀方式に近い融資基準をきめざるを得ないと思います。自己資本というものが、いま倒産をした中で、明治、大正、昭和を通じまして資本金はほとんど変わっていない、資本金の少ないものはいいんだ、日本銀行と私の会社だけです、こういって、資本金の何十倍も取引をしておって、年間水揚げの六カ年、七カ年分が倒産をしたときに負債だったというようなものに、金融上の措置といのは可能性があるのかといったら、私は必ずしも結論を出せないのです。ですから、少なくとも資本金の何倍といのものが限度だ――これは昔は、御承知の戦前は優良企業は資本金の二十倍を限度としておりました。ですから、資本金の二十倍ということになるのか、十倍ということになるのか、それは別でありますが、自己資本金に対する外部負債というものに対しては、単に金融機関だけではなく、自由企業においても、他人資本を導入するというならば、私はそういう限度を、やはりむずかしいことではありますが、やはりある程度きめなきゃならないと思います。同時に、銀行借り入れ、他人の資本に依存するものはやはり幾らでなきゃいかぬという率もきめざるを得ないと思うのです。非常に大きな問題であります。激しい発言だとお取りになるかもわかりませんが、事実に対処してはそういうことが必要であります。
 これは大蔵省では資本金に対しては、届け出でありながら、内容をこまかく検査をしております。増資をする場合でも大衆に迷惑をかけぬ、社債を発行する限度においては確実に償還できるということに対して、非常にこまかく制限をしております。ところが、銀行借り入れというものは、これはどうもさっぱりセーブをしておらぬ。銀行とは自由に話し合いでやるべきだと、ここにやはり問題があります、これは。ですから、私は、社債の限度額をきめるというほど厳密なものであるということになると、資金の統制理論にもつながると思いますが、やはり外部資本の依存度というもののリミットはきめなきゃいかぬ。そうでないと、いま言ったように、常識で考えられないような状態でもってどんどんと事業を拡張して、それで三機関の資金量をふやさぬのが悪いとか、融通手形を出しても金を借さない金融機関が悪いと、こういうことでは、責任の所在は明らかになりませんから、やはりある限度、これは私は来年からどうしてもつくらざるを得ないだろう。ただし、大蔵省がつくるということよりも、日本銀行とか各金融機関が自主的にやはりそういうものをおつくりになるということが一番いいんだろう。そういうことをもしおやりにならないというならば、オーバー・ローンの解消とかオーバー・ボローイングの解消、これはほとんど演説ばかりしておっても実効はあがらぬということになるわけでありますので、やはりそういう問題は、むずかしい問題ではありますが、やはり検討して、ある意味においてはやはり政府が指導的な方向も出さざるを得ないのではないか。非常に慎重に考えておりますが、そういう気持ちでございます。
#16
○成瀬幡治君 せっかく力を入れてお話しになったが、やるということになれば、ほんとうにやれるかやれないかという問題が大きな問題なんですよ、あんたが最後におっしゃったように。あなた自身も反省をしておいでになると思う。たとえば手形の問題は法制審議会でどうもならぬとおっしゃるが、この融手が中堅倒産の一つの大きな理由なんだということを政府が発表をし、そしてこうこうの理由だから早くやれというようなことになれば、法制審議会のほうもこの問題は別個に、何らかの形でも、全体の手形法の改正をしなくても、何か便法で私はやらざるを得ないということになると思うのですよ。そうすると、これはあんた、経済のことには無関係で融手を出したらおかしい話ですからね。ですから、そういうような私はやり方があると思う。ここで国会答弁で事を済まそうとするならば、いろんなことがあると思いますけれども、ほんとうにやろうとしたなら、やるということになるなら、誠心誠意やろうとするなら、二年、三年かかるなんてはかなことはないと思うのですよ。それは誠心誠意やっておらぬ証拠だと思うのです。怠慢の証拠だと思うのです。と同時に、いまあなたがおっしゃった貸し付け金の制限をするなんておっしゃるが、これは都市銀行は自由にやれるわけなんです。だから、もしあなたがおっしゃるようなことを実際にやろうとしたら、どうやってやるんだ、いつやるんだということを、大臣、自主的にやってくれたら非常にいいだろう、おれはこっちのほうでほえている、そうしたら向こうのほうが何とかやってくれるだろう、これを期待して言っておられるのか。そうじゃなくて、ここら辺がやまで、やらなきゃおれのほうではこういうことをやるぞ。これは銀行法の改正もからんでまいりますけれどみ、そこら辺はどういうふうにせられていますか。
#17
○国務大臣(田中角榮君) 手形法の改正とか、それから小切手法の改正に対しては、真剣なんです。銀行局に対しては声を大にして、テーブルたたいてもやっているのですが、なかなかたいへんでございます。全く遺憾ながらであります。私は本件に対しては二年前から言っているのです、実際。ですが、非常にむずかしい。慎重でなければいかぬ。他の法律とのバランスとか、罰則がありますから、非常にむずかしい問題であるということはわかります。わかりますが、この間も私は倒産の問題を検討したときに、とにかく一体どうなっておるのだ。閣議でも歴代法務大臣に何回か頼んでありますし、この間いよいよ詰めましたら、ざっくばらん過ぎるかもわかりませんが、どうも大蔵省の銀行局でもってそれは困るというような話をしておったので、ついわれわれもやれませんでしたという法務省当局の話がありました。私は、銀行局の中でそういう事実があるならば処罰をする、こう言ったのです。そんなこと絶対ありません。私も裁判する気持ちもありませんから、とにかくまじめにものを考えてくれ、こういうことで真剣にやっておるのでございますが、私の非力ということもありますし、こういう制度の改正が非常に技術的にむずかしい問題であるということもよく理解ができるわけであります。ですから、法律によらない、とにかくこういう手形用紙を使わなければだめだということを銀行協会できめてくれればいいんです。銀行協会でもって手形用紙をつくりますなどと言ってきましたけれども、だめだということで、印刷局で刷ってやるというようなことを、刷ってやれと、こういうことを言っておるのですが、まあまあひとつ御了解いただきたいと思います。
 それから、その次の問題でございますが、これは民主政治の中でありまして、大蔵大臣が銀行法改正などと言うと、アドバルーンを上げているんだ、何だかんだと。そんなことを幾ら言われても、大蔵大臣は職務に忠実でなければいかぬ。そのとおりであります。日銀法も銀行法の改正も、一年、二年前から私が言っているんですし、なかなか、督励はしているのですが、大専業だけになかなかこれが私の思うように進んでいかぬ。しかし、それは遺憾でありますし、慎重にしなければいかぬ。
 ただ、今度のようないろいろな事例が出てきておりますので、銀行協会でもって自主的におやりくださいませんか、こういうことを銀行協会に強く言っております。あなた方銀行協会でおやりになれない、何かつくってくれたほうがいいというんなら、銀行法を改正して、少なくとも銀行協会というものを法制化します。そして銀行協会に、直接的に大蔵省がやるよりも、銀行協会というものの力で、弁護士会のように、当然間接的にコントロールするように法制上やります。これは、いま証券取引法において証券取引上の権能を強化して随時会計検査を行なえるというようなことをやりたいと言っているのです。だが、なかなかどうも私たちがやりますと、こういうことでなかなか大蔵省にやってくれというようなことはあまり好まないのです。そういうことで今日まで来たわけであります。
 ですから、私は、四十年度予算の編成に際しまして、これからのことを考えますときには、やはりまじめに考えて、これは世論の支持も得なければなりませんが、事実を訴えて皆さんでおやりくださいませんか。どうしてもだめであるというならば法律の改正もやってもよろしゅうございます。法律の改正が待てないというなら、一応お互いの間で基準だけをきめて、とにかくこれを守るようにしたいということはやりたいと思います。そんなこといまになって考えているのか――去年の八、九月のIMFの総会へ出ない前に、世銀方式を私が経団連とあそこに出したのですが、にべもなく断わられた。こういうことを考えることは、また大蔵大臣が資金統制を考えているのですかと、こういうことで、まあとにかく、そんなことも考えても、もしその場合にもっと手きびしくやっておれば、非難は受けたかもわかりませんが、倒産というものはもっと避け得たかもしれませんが、そういうことに対しては、私自身も、民主政治の中にあって行政権の限界がどこにあるか、どこまで拡大すべきか、どこでセーブしなければならぬか非常に悩んでおりますが、いずれにしても、何にも策を持たないというわけではございませんので、御声援があれば、私は多少非難せらるべき状態であっても、現状に目をおおわないで、前進的な態勢をとりたいということを明らかにしておきます。
#18
○成瀬幡治君 佐藤内閣の一番の柱ですし、田中さんが政治力がないとは私は思いません。汗を流して一生懸命答弁なさるから、誠心誠意ということもわかります。しかし、三年たってもできなかったということに対して、これは事実三年たっても何にもできていないという事実も知っておるのです。ですから、融手の問題とあなたがおっしゃった資金の関係の問題は一連の問題であって、片方やったら片方やらぬでもいいという問題でないと思う。ですから、そうあなたも大蔵大臣何年おやりになるか知らないけれども、大体通常国会までには目的を達したい、おれの大臣やっているうちに。二、三年大蔵大臣やっているうちに、しゃべったことがとうとう実ったというくらいのことをやってください。そうでなければ議論してもしかたがない。
#19
○国務大臣(田中角榮君) 私はいまほんとうに誠心誠意お答えしておりますので、うしろから事務当局が、融資ルールについては、目下金融制度調査会において具体案を検討中でございます、来年夏までには結論を得たいと思います、こうくる。これじゃなかなか来年夏ということでは、あなたは通常国会を前にしてと、こうおっしゃった。新しい日銀総裁もできたことでございますから、今度はいたします。しかも、この方は民間の出でございますから、民間の協力を得られると思います。これは誠心誠意、タイミングを失うことのないように大いに努力いたしたいと思います。
#20
○成瀬幡治君 最後に一つだけ。公定歩合の引き下げの問題とうらはらになるのは、やはり国際収支の問題が非常に大きな問題だと思う。そこで、新聞は一カ月中くらいに引き下げをやろうかというような、これは予想記事だと思うのです。あなたが話をしたわけじゃなくて、新聞が予想したと思います。これはまた先にいったらたいへんなことだと思いますけれども、一番あなたがめどに置いておるものは何ですか。公定歩合の引き下げを、これは日銀がやられるけれども、しかし、あなたの了解がなければやられないということはわかっておりますが、あなたが一番基調に置いておるものは何ですか。
#21
○国務大臣(田中角榮君) これはもう国際収支の安定であります。
#22
○成瀬幡治君 いま黒字になっておる。国際収支でも、私は資本収支、総合収支の問題になってくると思いますが、それをもうちょっと懇切に話してください。
#23
○国務大臣(田中角榮君) 大体、金融調整をやっておりますのは、三つの理由に基づいております。その一つは国際収支の長期安定、その第二は物価の安定、第三は正常な経済成長の確保ということでありますから、その中の国際収支の安定を重点に置いております。国際収支の中ではやはり、総合収支もさることながら、貿易収支をまず、絶対にバランスをとるというのではなく、黒字にしなければならない。貿易外収支も、少なくとも最小限いまよりも赤字がふえないようなことを考えなければいかぬ。それよりも一歩進めまして、貿易外というものは安定をしなければいかぬ。バランスをとらなければいかぬ。第三の段階においては、イタリアのように貿易外収支と貿易収支と両方合わせて黒字の要因となり、もちろん経常収支はバランスするのではなく黒字になる。そしてもちろん資本収支というものはできるだけ外国から金を借りないでいいようになって、総合収支はもちろん黒字だ、こうなることが長期安定ということでございます。国際収支の長期安定ということになります。しかも、それが漸次拡大しつつある。それはそういう一体例はあるのか。西ドイツが一番高い例であります。ですから、そういう状態になって、しかも、その中で余裕がだんだんとできるならば、逆に外国に資本を輸出をしたり外国に投資をしたりということができるようになれば、これはもう物価も安定しますし、国際収支もよくなりますし、世界から日本の評価も高くなりますし、貿易も拡大するし、こういうことになるわけでございますので、まあさしあたり貿易収支を大幅に黒字にし、同時に経常収支をバランスないしは黒字にしたい、これがめどであります。
#24
○成瀬幡治君 大臣、ずっとあなたは、私がこれとこれと、こう二つなら二つの条件を出すと、それが時期にもなるから大臣が答弁をしにくいと思うけれども、あなたは、貿易収支が黒字になった――もう一つは貿易外収支ですね、貿易外収支。経常収支は、これは黒字になることは私はあり得ないと思うのです。
#25
○国務大臣(田中角榮君) バランスする。
#26
○成瀬幡治君 バランスがとれるということ、それはよくわかりますが、これは黒字になることはあり得ない。もっと条件として、あなたがずっと物価も云々ということを言わずに、国際収支なら国際収支がこうなれば公定歩合は自分としては引き下げれらる条件があるのだという、ぎりぎりのことを話してください。そう長い話はいいですよ。
#27
○国務大臣(田中角榮君) いや、そう端的に申し上げられるほど簡単な話じゃないのです。御質問していることが膨大もないことを御質問しておられるので、やはりこれだけ短く答弁するには相当の技術を要しているわけであります。ひとつ御了解を願いたいと思います。これは何十年来の議論でありまして、なかなか簡単に結論が出ないものに対してお答えしようというのでありますから、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
 これは確かに、いつ公定歩合を引き下げられるか、これは公定歩合操作の問題は、先ほどあなたが言ったとおり、いつごろ下げられると言ったらたいへんなことであります。同時に、日銀の仕事でありますから、これは申し上げられる段階ではないのでありますが、いつまで金融引き締めをやるのか、いつごろになれば金融をゆるめられるのか、こういう金融政策の方向からいいますと、少なくとも七月のケネディ・ショックということでもって、アメリカから資金が入らぬということが原因で株価も暴落したのでありますから、少なくとも、アメリカから入らなかったけれども同じ金をヨーロッパ市場で調達した。同時に、今度は利子平衡税の問題、なかなかむずかしいけれども、一%少なくとも負担をするということであれば、アメリカ市場では相当のものが出る。負担をすることはおかしいじゃないかというが、ただやはり公定歩合が引き上げられなかった時代の一%、イギリスが公定歩合七%引き上げてポンド防衛をやっているときの一%、これはまた話が違うわけであります。だから、状態が非常によくなっている。七月は貿易収支がバランスして、八月には経常収支がバランスして、十二月までは輸出期でございますから、十二月の末は確かに好調でございますが、これは年度間を通じて一億五千万ドルの総合収支の赤字でございましたが、一億五千万ドルの赤字で済むのかということを昨年の十二月からことしの一月ごろは皆さんに言われましたが、大体とんとんにいくことは間違いありません。一−三月の輸入期を見てもとんとんになる、一億五千万ドルは、よくなったわけであります。その上に、うまくいけば三、四千万ドルよくなるということは事実であります。
 そうであれば、すぐでも金融を緩和すべきだ、過去の例からいうと。ただ、うしろにもう二つくっついている。安定成長ということ、物価の安定、これがあるから、なかなか引き締め解除にならないということであります。七%の実質成長率の見込みが一〇%になっておりまして、不況下にあるということでありますから、こういうことの見通しが幾らかつくときになれば、しかも安定的な方向が確保されるとしたら、やはりそこらが金融緩和のめどだろう。しかも、金融緩和は、そういうめどがつかないからといっていつまでも引っぱっていられるものではない。これは国際情勢の問題もありますので、それでだめだったら別の薬を使わなければならない。そういうこともあるから、そういう情勢を十分勘案しながら金融政策を展開していきたいと思います。
#28
○野溝勝君 一つだけお伺いしておきますが、大臣は、なかなか国際金融の問題などは一ぺんで回答ができる問題ではない。それはそのとおりだと思いますけれども、あなたは口を開くと、健全財政健全財政で、国内の健全財政をするには、国際収支とのにらみ合わせをやっていかなければ健全財政は成り立たないと思います。その健全財政の、健全金融でもよろしいが、この財政金融の健全の柱というものは、あなたのおっしゃるとおり貿易収支の問題だと思います。その貿易収支の問題について私はひとつお伺いするのですが、貿易は予想どおり現実にいっておるかどうかということが一つ。今後の見通しはどう思うかという点、この点をひとつお伺いしたいと思う。
#29
○国務大臣(田中角榮君) 貿易収支につきましては、年度当初におきましては六十二億ドルでバランスをすると言っておりました。ところが、現在は、輸出は大体六十八億ドルくらいのベースになるというふうに考えております。ですから、非常に有史以来高い輸出率です。現在の対前年度比の輸出率の伸びは二二・五%という非常に高い状態でございます。こういう状態において貿易収支が黒字になっており、経常収支がバランスをしておるというのであるから、今度公定歩合等を相手が引き上げると、必ずしもいままでのような輸出が伸びるということはないかもしれぬという議論が起こってきたのは、こういうことであります。まあしかし、私は、年度間を通じまして六十二億ドルでバランスをするものが、少なくとも輸出は六十八億ドルになり、輸入はうまくいけば六十六億五千万ドルくらい、こういうところでないかというふうに考えておるわけであります。でありますから、まあ貿易収支は年度間を通じますと相当な黒字ということになるわけでございます。まあ将来もそうあれかしということでありますので、金融調整をなかなかゆるめられない、長期的な見通しを確保するまではと、こういう考え方に立っておることは事実でございます。
#30
○野溝勝君 そこで、私の心配することは、政府の予想どおりよりは輸出貿易がうまくいっておると、こういいますが、いまの国際関係をあなたが見れば、御承知のとおり欧州においてもアメリカにおいても非常な不平等取り扱いをしておるわけですね。この事実ですね、これについてずいぶん努力されておるようだが、依然として改たまっておらぬわけですね。そうすると、一体貿易の行き先というものは、何といいますか、私は非常に不安でならぬのですよ。いまは六十五億ドルいったとか、六十八億ドルいったとか、二億ドル超過したとか言っておりますが、その点ですね。それといま一つ、実際考えなければならぬのは、これでいままでは相当輸入を食いつぶしておる、原料においても。けれども、もう大体食いつぶしたのだから、これから先は相当原料輸入もしなければならぬと思う。こういう情勢には来ておるわけですね。そうすると、結局、貿易などはあなたの思っているように、これから先そう簡単にはいかぬと私は思う。
 そこで、あなたが長期の金融の問題に対して慎重を期さなければいかぬと言うのだけれども、慎重を期するのか、金融を緩和するのか、さっぱりいまのところ様子がめちゃくちゃだというのだけれども、この点はそれは国際金融の問題、経済の問題とにらみ合わせなければならぬから、そう金融を引き締めるとかあるいは緩和するとかいうようなことは言えないけれども、大体どういう一体方向でやろうとするのですか。私は、将来はともかくとして、現実にそういう問題に直面していますね、一体どういうふうに考えておられるのですか。あなたは神様じゃないから、それはなかなかあなたの思うようにはいかぬけれども、しかし、大体非常に迷っておるのだよ、緩和をするのか、一体このままで引き締めて調整をしていくのか。特にポンドの引き上げが相当問題をいろいろ波及しているわけです。ですから、こういう点をお聞かせ願いたい。私はこの問題について論議をしていれば相当時間がかかりますから、ひとつこの点をお伺いしておきたいと思う。
#31
○国務大臣(田中角榮君) 迷っておるということはございません。むちゃくちゃであるというわけでもないのです。とにかく開放経済に向かっておりまので、昨年度末から引き締め政策をやってきたわけです。ところが、昨年よりは非常に貿易収支も経常収支も総合収支もよくなってきておると。よくなってきておりますから、ここでもって物価などが非常に落ちつきかげんになって、国内が正常な成長経済の方向になって、しかし、国内経済が締まっていくということであるならば、金融を緩和してみたいということです。緩和をすべきであります。
 一年間も引き締めておって緩和ができないというのはどういうことかというと、輸出も好調でありますけれども、いま言うように、ポンド防衛という問題が、影響はたいしてないと思うのですけれども、あったら困るという問題、八条国に移行したので、十四条国と同じようにあと戻りができないというようなこと、あなたが御指摘になったように、輸入在庫水準が低いのです。ですから、金融緩和をすると輸入はどっと入ってきて、また国際収支が悪くなる。ならないという保証があるかという問題。七%の実質成長率でもって押えてきて、金融調整を一年間やっておるにもかかわらず、実質一〇%の成長率である。これが四十三年までの五カ年、中期経済計画においても実質八・一%であります。八・一に五をかけて、それから今年度の一〇%を引くと、あと平均すると七・七%であります。一体七・七%に押え得るのか。ですから、この問題が片づかぬから、自由民主党も中期経済計画をそのままのむわけには相ならぬ。政府も、答申を受けましたとはいいましたけれども、これを政府案にはしないと。まだするところまでいって、ないというようなのは、そういういろんな問題があるのです。
 一面においては、全く金融緩和をしなければならぬ。倒産、不況感がある。非常にむずかしい状況であります。ですから、倒産をしていくような、不況感のあるようなところには金を出そう。しかし、いまでさえも押え切れないようなところは押えよう。二兎追っているわけです。
#32
○野溝勝君 どっちにいくのか。
#33
○国務大臣(田中角榮君) それはどっちもやらなければいかぬと。そういうところが非常にむずかしいところでありまして、方向としてはこれ以上締めていくということはありません。ですから、少なくとも金融調整の中で預金の準備率は引き下げたんですから、だんだんと緩和の状態に向かいつつあると、これだけは間違いはございません。どうしてもまだ締めなければならないような情勢があれば、別なものでもってまた知恵を出していろいろなものを調整をしていくということであって、このまま一年も二年もまだ金融調整が続けられるというようには考えておらないわけであります。
#34
○野溝勝君 これを大臣、ひとつ答えてください。大体、国際収支の内容がよくなった、こういうバロメーターは、やはり私は保有ドルの問題が問題点だと思います。保有ドルというのは、日本でどのくらいありますか。それは借款の面やその他のものを入れないで、裸のものを言ってください。それによって評価できるのです。
#35
○国務大臣(田中角榮君) それは野溝さん御承知のとおり、裸のところは外国にも教えないことになっている。これは相手のある話でございますから、これはひとつどうぞ……。これは国会においても長いことの慣例でございますので。大体野溝さんはお聞きにならなくてもおわかりと思いますから、申し上げません。ただ、外貨準備高は十一月末で十九億二千四百万ドルということでございます。
#36
○委員長(村松久義君) その程度でよろしいですか。
#37
○天田勝正君 ちょっと、委員長に聞きますが、時間はどうなんですか。
#38
○委員長(村松久義君) 時間は、ちょうどいま予定の時間です。余っているとすれば二、三分ということです。
#39
○天田勝正君 今期国会、これしか一般財政金融の問題で質問する機会はないと思いますので、時間はもう切れたという話ですが、私だけで切ったわけでもないし……。
 それで、三点一緒に伺います。総論がありましたから、私は各論でお聞きするのですが、連鎖倒産もいろいろな型があって、実は地域的に零細企業ともいうべきものが集団化しているところは、大企業につながっておらないで、昔風の問屋式なものにつながっている。これは大臣御承知の、あなたの選挙区である見附、お聞きになったと思いますけれども、これなどはむしろ、少し政治の場面にもってくるのがおそいがゆえに、かえって手が打てない例の一つだと思います。もちろん大系列につながっている工場も中にあるのでありましょうが、あれだけの町で七千人の繊維労働者をかかえており、かつ、企業が二重倒産した。こういうことでありますから、てんやわんや、こういうので、ところが、労組のほうは幸い全繊同盟につながっておりましたけれども、どうも経営者のほうはそこまで進んだ状態にない。中央につなげるにも、あなたがそこから出ている大臣で、しかも担当大臣ともいうべきものでありながら、一向に経営者のほうからは訴えてはこないで、大騒ぎをいたした結果、全繊同盟加盟の者が一緒にいこう。しかも、だれが考えたって労働賃金の圧迫によるものではないのでありまして、多少昔よりもよくなったけれども、一般の繊維労働者筋よりずっと低いのでございます。御承知だと思いますが、低いから賃金圧迫による経営難ではない。これはじわじわと、大系列からではなくして、全体のしわのごとくに寄ってきた経営難、こういうことなんですね。ようやくこのごろそういうことで半分くらい目ざめたようなかっこうで東京へ来まして、あなたもまたお会いになり、かつはある種の約束をされたんでありますから、私はこまかいことはきょうは言いません。しかし、多種多様なるそういうしわ寄せというものがあるんじゃないか。このことは担当通産省はもちろんでありますが、大蔵省においてもよく必得られて、ひとつ今後対処してもらいたい。これは希望であります。
 次は、日鋼に次いでサンウエーブ、これまた一つの特殊の形態でありまして、山口自転車が倒産をし、そして当然労働省が、ああいうかなり全国的に足を持っておる企業の倒産でありますから、力を入れていただくべきでありました。しかし、実際にはあれはどう処置したかというと、まず失業対策のほうでは労働組合が中心になって工員をサンウエーブへ入れたものなんです。これは私は商工委員会にも出て通産大臣にもよく話し、これはもとの大臣なら実は知っておるわけです。そういう形態で新しいサンウエーブ、これはどう考えても伸びる産業なりというので、まず失業対策のほうは政府の肩がわりをやった。そして途中の賃金ストップ等は労働金壷などを利用しまして、これもやった。いわば倒産しておった会社が責任を負うべきものと、労働省が世話してくれるべきものを肩がわりをして処置をした相手が、そのサンウエーブがまた倒れる。こういうようなことでありまして、たいへんなことです。これはもうすでに大臣は先手を打って、すぐ資料を全部集めるということでありますから、私はそれを期待しておりますので、次の機会にでもこの点についてはお話し願いたいと存じます。
 それから、第三の問題は、きょうこれはあなたのほうへもやっぱり回ったと思いますが、いますでにできておる不渡手形の処理を一体どうするか、これが一つ問題だと思う。さらには、根本的な法律改正等が出されましたけれども、現在出ており、かつはいま暮れに迫って出つつあるものを一体どうするか。このことはできるならば、あすに迫っておりますけれども、あすまでのこの臨時国会で何らかのひとつ立法をすべきではないかということも思量いたしまして、すでに自民党のほうにも社会党のほうにも実は言っているのですが、われわれのほうとしては、手形整理協会法案なるものを出した。これを言っているというと時間がありませんから、内容までは言いません。そういうもので、この種のものはわが党がどうのというべき筋のものにあらずと考えまして、さきに言ったように、自民党及び社会党に提示いたしていま話し合っておる。しかし、素案のときはすでにこれはよろしいという答えは実は出ておるわけであります、自民党のほうからは。そういうことで、そういうものが出たら、どこから出ようとも――われわれのほうも、民社党で出すということももちろん望んでおりますが、協力を得て共同で出したい、こういうことでありますから、ひとつあなたのほうもそういう場合には急速に間に合うものとして、抜本的なことはさることながら、急送に間に合うものとしてひとつ御提案願いたいと思うのですが、これらの点についてどういう所見を持っておられるか、伺いたい。
#40
○国務大臣(田中角榮君) 一番目の問題につきましては、できるだけのことをしたいと思います。
 それから、第二の、サンウエーブその他倒産会社の下請企業その他に対しましては、いまリストの提出も求めておりますし、関連の企業に対する救済融資その他に対しては、金融機関の格段の御協力を得るように措置いたしたいと思います。
 第三の、手形の問題につきましては、事業団構想ということで、私も勉強いたしました。全部勉強して読みましたが、非常に何らかの措置を必要とするということはお説のとおりであります。ただ、事業団のものでやった場合に……
#41
○天田勝正君 整理協会です。
#42
○国務大臣(田中角榮君) 協会、整理協会でもなかなかほんとうにうまくいくのか、どうか、いろいろな問題がございますが、いま私のほうとしても、御提示いただいたものを検討いたします。私のほうでも十分読んでおります。私自身がこれを読もうということでやっております。何かそういう方法ではなくても、別にいい方法があるのか。一番内容を知っている金融機関が一番いいのだということを大蔵省の事務当局も言っておりますが、それだけでは救済できないというならば、一体どうすればいいのか。具体的な問題でありますので、十分ひとつ検討してみたいということでございます。
#43
○天田勝正君 では、時間だそうだから、私はこれで……。
    ―――――――――――――
#44
○委員長(村松久義君) 農業共済再保険特別会計の歳入不定をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案を議題といたします。
 本案は、昨十六日、衆議院から送付され、本委員会に付託されました。本案につきましては、去る八日、提案理由の説明を聴取いたしております。
 では、本案の補足説明を聴取いたします。主計局法規深長赤羽桂君。
#45
○説明員(赤羽桂君) 農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案の提案の理由及び概要を補足して御説明申し上げます。
 昭和三十九年度におきましては、西日本、東北の長雨、山陰、北陸の集中豪雨、台風二十号、あるいは北海道冷害等農作物災害が発生いたしまして、この結果、同会計の農業勘定における再保険金支払い見込み額は、合計におきまして、当初予算額五十六億八千三百万円に対し、支払い見込み額百二十八億三千八百万円となり、差し引き七十一億五千四百万円の不足を生ずる見込みでございます。
 その内容について申し上げますと、水稲におきましては、当初予算額四十三億四千七百万円に対しまして八十七億四千二百万円、陸稲におきましては、当初予算額二億七百万円に対しまして五億四千二百万円、麦におきましては、当初予算額八億円に対しまして三十一億七百万円、蚕繭におきましては、当初予算額三億三千万円に対しまして四億四千六百万円ということに相なっております。
 右に対する財源でございますが、まず、この会計におきましては、かかる災害の場合に備えて再保険金支払い基金勘定を設けており、当初予算においてそれから農業勘定に繰り入れる等いたしまして、予備費として使用し得るようになっているわけでございますが、この額が十億五千二百万円、予備費自体といたしましては二十億四千六百万円ばかりございますが、内九億九十三百万円は麦の未経過再保険料でございますため使用できないわけでございます。また、三十九年度の補正予算におきまして再保険金支払い基金勘定からの繰り入れ、これは昭和三十八年度の農業勘定における決算上の剰余金でございますが、二十四億六千八百万円並びに三十八年度分の共済掛金の国庫負担分の精算分がございます。それが十七億五千百万円を一般会計から繰り入れる措置をいたすこととしております。以上を通算いたしまして、なお十八億八千三百万円が不足する見込みでございます。このため、農業共済再保険特別会計の農業勘定に対し、一般会計から繰り入れを行なうことができることとする法律を制定する必要があるわけでございます。
 なお、この繰り入れ金は、保険計算の長期均衡性にかんがみ、後日、被害率が少ない年等ございまして、余るということも予想されますので、一般会計へ繰り戻すことといたしておりますが、その場合は、農業共済再保険特例会計法第六条第二項の規定によりまして、同勘定から再保険金支払い基金勘定に繰り入れる金額をまず控除して、なお残余がある場合に限り、これを一般会計に繰り戻すことといたしておる次第でございます。
 以上、農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案の提案の理由及び概要を補足して御説明申し上げた次第でございます。
 なお、本案成立の上は、北海道におきまする水稲の共済金支払しにつきましては おそくとも十二月の二十日ごろまでに最終認定を行ない、十二月末日には被害農家に対し支払いが終わるよう準備を進めております。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
#46
○委員長(村松久義君) 以上で補足説明は終わりました。
 では、本案の質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#47
○成瀬幡治君 大体、私たちも、農業災害等が地域的にどこがひどいかということは承知しておりますが、あなたのほうで今度保険金を主として支払われるところが、北海道と二、三大きいところはどのくらいの金額になるか。水稲とか、陸稲とか、麦とか、繭というようなことは、資料としていまいただきましたし、あなたもお話しになりましたから、わかりましたが、地域別ならどうなるかということをお話し願いたい。
#48
○説明員(池田正範君) 地域別の状況を申し上げますと、ただいまお話のございました北海道が、一番多うございます。ことしの再保険金のトータル百二十八億になっておりますが、これはまだ、御承知のように、統計調査部の推定実収高がきまりませんで、最終的に再保険金の支払いの額が認定されませんので、したがいまして、ここで申し上げております百二十八億という数字は、あくまでも過去の実績と、それから十月半ば現在における予想収穫高をベースにいたしまして、おおむねこの辺の見当であろうという推定をもとにしたものでございます。ですから、具体的にきまりました場合は、多少違ってまいりますことを御承知いただきたいと思います。
 で、北海道が約六十二億程度でございます。これは水稲、陸稲、麦、繭を全部まぜた合計額でございます。それから、宮城県の四千九百四十四万円でございます。それから、福島県が四億三千百十六万円でございます。それから、香川県が三億六千六百万、長崎県が七億三千二百万、宮崎県が約四億九千万でございます。以上のようなところが、おもに大きなところでございます。
#49
○成瀬幡治君 いま、補足説明の中で、今月中には渡るようにするというふうに承ったのですが……。
#50
○説明員(赤羽桂君) 準備を進めておりますと申し上げましたのです。
#51
○成瀬幡治君 準備を進めております……。
#52
○説明員(赤羽桂君) はあ。
#53
○成瀬幡治君 あなたのほうは準備を進められるのですが、実質的に、あなたもテレビ――テレビはごらんになるひまはないかもしれませんけれども、新聞あるいはラジオ、テレビ、あげて、北海道の農民がどうにもならぬと、夜逃げしておるというようなひどいことになっていますね。そういうもののあるときには、保険というのは一つの大きな、何というのですか、頼みの綱なんですよ。命の綱なんですよ。それが、準備を進めるぐらいではおそ過ぎるのですよ、実際のことをいうと。国会がなかったということは、そうかもしれぬけれども、とにかくたいへんなことだと思うのだけれども、いつ渡るんですか、ほんとうに。
#54
○説明員(池田正範君) 準備を進めているということを、さらに具体的に中身を割って申し上げますと、実は今月の二十二日に、農林省の統計調査部の推定実収高が正式に公表されるわけでございます。したがいまして、手続的には、二十二日以降にそのデータをもとにいたしまして、農林省の認定行為をいたしまして、これは地元の連合会との間の話し合いをいたしますが、その土で認定行為をいたします。それから支払いをするというかっこうになりますが、ただいま御指摘いただきましたような現実の問題もございますものですから、実は内部的には、推定実収高が北海道につきまして固まる前に、減収の部分についてだけ早急に取りまとめがすでに済んでおります。したがって、再保険金を支払いますための直接のデータだけは切り離しまして、すでに地元から出てきております連合会の認定量と農林省の認定量との間のただいま照合をいたしまして、おそらく、手続的な問題としては二十二日の公表後ということになりますが、その間に内部的には地元との間の連絡をいたしまして、年内の支払いはまず間違いなくできることと考えております。
#55
○天田勝正君 ちょっと関連して。それで、統計調査部の推定実収高だが、それは北海道だけでしょうか。
#56
○説明員(池田正範君) そうです。
#57
○天田勝正君 さきに主要なる県ということであげられた四国及び九州の各県は、すべてが麦であって、長雨の影響なんです。そうして、ここへきて影響未定なるものは北海道だけ、他は全部、数字も、それから支払い準備もできておるはずです。法律が本日成立すれば、もうあしたでもすぐ全部支払いができる、概算などということでなくて、正式な支払いができる、こういうふうに私どもは解釈をしておるのだが、そのとおりでしょう。一番おそい北海道でも、今月末までには支払いを完了する、こういうふうに受け取っているのだが、どうです。
#58
○説明員(池田正範君) ただいま天田先生の御指摘のとおり、麦につきましては、九月下旬に農林省の最終認定がすでに済んでおりまして、大部分の県ではすでに共済金の支払いを終了しております。それから、北海道だけは、麦につきましては、御承知のとおり収穫期がおそいということと、それから米の冷害がありました等の関係で、共済団体側の損害評価の事務処理が若干重なったということのために、十二月二十日ごろまでには共済金の支払いが行なわれる見込みでございます。
 それから、水稲につきましては、北海道はただいま申し上げましたように、十二月二十日ごろまでにはいまの最終認定を終わりまして、年内の支払いを何とかしたい。これは大体できる予定でございます。それから、その他の諸県につきましては、早場地帯の東北北陸は大体共済団体の損害評価を終わっておりますので、これは統計調査部のほうの減収調査の確定を待ちまして年内に最終認定ができるようにしたい。大体それもできると思います。それから、おそ場地帯につきましては、これは年内にはちょっとむずかしゅうございますので、明年一月下旬に農林省の最終認定を待ってすみやかにこれも共済金の支払いを完了したい。おそらくこの一月下旬、もう少し繰り上がってやれるように、なるべく現在急いで作業しております。
#59
○委員長(村松久義君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#60
○委員長(村松久義君) 速記を始めて。
 では、他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて差しつかえございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(村松久義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「なし」と呼ぶ者あり)別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#62
○委員長(村松久義君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(村松久義君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
 この際、暫時休憩をいたします。
   午後三時三十四分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト