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1964/12/15 第47回国会 参議院 参議院会議録情報 第047回国会 運輸委員会 第4号
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1964/12/15 第47回国会 参議院

参議院会議録情報 第047回国会 運輸委員会 第4号

#1
第047回国会 運輸委員会 第4号
昭和三十九年十二月十五日(火曜日)
   午後二時十分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 十二月十四日
    辞任         補欠選任
     江藤  智君     大谷 贇雄君
 十二月十五日
    辞任         補欠選任
     大谷 贇雄君     江藤  智君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野上  進君
    理 事
                天埜 良吉君
                天坊 裕彦君
                吉田忠三郎君
    委 員
                江藤  智君
                加賀山之雄君
                河野 謙三君
                木暮武太夫君
                平島 敏夫君
                松野 孝一君
                相澤 重明君
                小酒井義男君
                浅井  亨君
                中村 正雄君
   政府委員
       運輸政務次官   大久保武雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       運輸省海運局参
       事官       高林 康一君
       運輸省船舶局登
       録測度課長    春永 盛生君
       運輸省船舶局検
       査制度課長    佐藤美津雄君
       運輸省船員局長  亀山 信郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
 (海運行政に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野上進君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○中村正雄君 運輸大臣並びに運輸省の海運関係の政府委員及び水産庁の方にお伺いしたいわけですが、前月行政管理庁から内航海運及び船舶安全に関する行政監察結果に基づく勧告というものが出されております。この内容に盛られておりまする問題点につきましては、おそらく両省の間でいろいろ検討されて、すでに改善されている面もあると思いますし、また改善の計画をされておる点もあると思いますので、それらの状況について御説明願いたいと思います。
#4
○説明員(佐藤美津雄君) ただいまちょっと局長が出ておりますので、かわってお答えいたします。
 船舶の安全に関しまして私のほうの担当になっております事項が三点ございまして、一つは内航船舶に対する満載喫水線の指定範囲の拡大ということが第一点でございます。それから第二点は、無線設備の内航船に対する拡大ということが第二点でございます。それから第三点は、危険物運送に際して検査を受けていない船があるようだが、それに対する措置をとられたいというのが第三点でございます。
 それで、第一点の満載喫水線の標示に関しましては、私どものほうで、この前四十三国会で船舶安全法の改正をしていただいたとき、そのあとの内航二法について御審議いただいた際に、附帯決議として御指摘いただいた点でございますが、三十九年度に予算をいただきまして、そうして内航船舶の運行実態の調査をやっております。これは、満載喫水線を実はつけておりませんので、どういう喫水状態で船が動いているかという実態をまず把握する必要があるということで、実態調査を行ないました。それから第二点は、日本沿岸の気象海象の調査をやっております。これは、灯台から資料をいただきまして、過去十年間の資料をわれわれの船の安全の面から見直すという意味で、資料をつくっております。それから、それに基づきまして、第三に小型鋼船に対しましてただいま基本的考え方の構想をまとめておる次第でございます。小型鋼船に対しましては、そういうことで、一応の結論を取りまとめ中という段階でございます。したがいまして、できるだけ早い機会にこれを公表できるようなふうに取りまとめまして、行政指導によって積極的に周知をはかり、一応行政指導でございますけれども、それによって満喫の標示をやれるようにしたい、こういうふうに考えております。なお、小型船で相当遠方まで出る船もございますので、私のほうとしましては、来年度日本沿岸及び太平洋海域の海象気象をやはり同じ面から見る必要があろうということで、実は予算要求をやっておりまして、来年度にこれの実態調査をやりたいと思っております。そういたしますと、大体満載喫水線というものの義務範囲の拡大ということにつきましては一応のめどが得られるということで、その結果を待ちまして法改正まで持っていきたい、こういうふうに考えております。これが第一点でございます。
 それから第二点は、無線設備の拡大の点でございます。これにつきましては、私のほうで、一九六〇年の海上人命安全条約が来年の五月二十六から発効することになっております。したがいまして、救命、消防、その他のいろいろの省令の改正をただいま進めておる次第でございますが、それに伴いまして、いままでいろいろの点を御指摘いただいておりますので、そういうものを含めまして規則の整備をやっております。したがって、内航船及び機帆船につきましても、その船舶安全説備という面から総括的にこれを見直しまして、それで一応十分な安全性を持てるように、規則の面で準備中でございます。
 それから、第三点は危険物の運送でございますが、これは中に検査を受けないで航行している船がたまたまあったようでございます。それにつきましては、法の励行を、各危険物の団体、それから船主の団体に対しまして一応注意を喚起すると同時に、われわれのほうの役所のほうも、一応検査機関である海事検定協会というのが政府の代行機関でやっておりますが、そこから資料を一応海運局のほうに出して、それから私のほうに検査の資料をいただくというように改めまして、これの万全を期するというふうに、これは通牒でも措置しております。
 船舶安全につきまして、私のほうの関係は以上でございます。
#5
○説明員(春永盛生君) 局長にかわりましてお答え申し上げます。まず機帆船の登録につきまして、今回御指摘を受けたわけでございます。これにつきまして、現在改善措置をとろうと思っております。これを御説明申し上げます。
 第一に、新たに汽船、帆船の別を決定する。船舶につきましては、主として帆をもって運航できる船舶のみを帆船とするよう指示することにいたしました。第二に、現在稼働しております船舶につきましては、勧告の趣旨に従いまして、検認または次回改測の際に改善をはかることにいたしました。しかしながら、これが実施にあたりましては、対象船舶の多くが零細業者でございますので、関係諸法令を新たに適用いたしますと船主経済に非常に影響が及びますので、これらの船舶の現状を調査しながら、円滑に改善を行なうように措置したいと考えております。第三に、船舶法、関係省令における汽船、帆船の別につきましては、他の海事法令との関係を考慮しながら、適正な改正を行なうよう検討を進めることにいたしております。
 以上でございます。
#6
○説明員(亀山信郎君) 行政管理庁の勧告に盛られましたうちで、船員関係について概括的に申し上げます。
 まず第一は、ただいま船舶局のほうから御説明のございました船舶の安全の登録の問題でございますが、関係法令に影響があるというのは、船舶職員法上の資格に重大な影響があるわけでございます。小型船のうちで帆船の資格を持っておりますものにつきましては、おおむね船長は小型船舶操縦士ということになっております。もちろん、ある程度以上の推進機関を持っておりまする帆船につきましては、丙種機関士の乗り組みを法律は規定しておりますが、船長は小型船舶操縦士、これが全部帆船の資格を取り払って汽船ということになりますと、汽船のほうでは、二百トン以下の汽船はすべて丙種航海士――小型船舶操縦士よりも一段ランキングの高い船舶職員を乗り組ませる必要が生じてくるわけでございます。
 そこで、現在そういう帆船に乗り組んでおります小型船舶操縦士がどのくらいあるかということについては、精密ないま検討を進めておりますけれども、資格変更を要求されるものは、直ちにもし帆船を汽船に登録がえをするとすれば、一万人をこえるのではないかというふうに考えられる次第でございますので、この帆船の登録を改めていくということにつきましては、いま言った事情も勘案しまして漸次これをやっていく。また、私どものほうとしても、その小型船舶操縦士が丙種航海士の資格を取り得るように講習を行なうとか、あるいは試験内容について十分検討するとか、そういう措置を講じていきたい、かように考えて、現在具体的な方策を検討しておる次第でございます。
 次に、内航船員の需給実態の把握について勧告がなされておりますが、この勧告の内容は実はまことにごもっともでございまして、その点につきましては私ども頭を下げておる次第でございます。ただ、内航船舶の今後の趨勢につきましては、内航二法が成立いたしまして、それに基づく船腹の合理的な調整が行なわれ、スクラップ・アンド・ビルドが行なわれるというふうな方策が総合的に進められようとしておるのでございますので、それらの施策と見合って必要な船員数はどのくらいであるか。つまり、最高適正船腹量というものが最近きめられておりますから、それによって、必要な船員はどうであるか、またスクラップ・アンド・ビルドがどう進められるか。と申しますのは、小型船をつぶして、やや大型のものに切りかわっていくだろうと私どもは考えております。したがって、三隻の船をスクラップにして一隻の新しい近代化された船をつくるということになりますと、三隻の合計乗り組み員より非常に少なくて済むのが新しくビルドされた船の必要な人数と、こういうことになりますので、そのスクラップ・アンド・ビルドの計画等も十分伺いまして、それよって内航船員の需給の見通しを立てていきたい。
 なお、勧告に指摘されております統計方法の改善等については、この勧告の線に沿って、実態の把握あるいは合理的、科学的な方法を講じるように配慮をしていきたいと思っております。
 それから続いて、内航船員の教育研修の問題でございますが、これも、かねて船員局としては、非常に力を入れておるところでございます。で、勧告には、海員学校で乙種の免状の講習をやっておるけれども、それの応募状況、したがって、そこで講習を受けて船舶職員になる数が非常に少ないではないか、もっとこれを活発にやれ、こういう趣旨のことがあらわれておりますが、この御指摘もごもっともでございまして、これにつきましては、現在、一般的な内航船員の不足状態から、とにかく講習を受けるとなると、一定期間下船をいたしまして学校へ通うわけでございまして、その余裕がないということ、あるいは船主がまだ認識が不足しておる、あるいは海員学校における乙種免状の講習に際しまして宿泊施設その他の講習生の利便をはかる施設が十分整っていないというような原因もあるわけでございますので、これらの原因に対応した方策を考えて、海員学校の講習の内容を充実していきたい。
 また、地方団体あるいは民間団体で行なわれております海技従事者の国家試験受験のための講習というものにつきましても勧告は指摘をしておりますが、本年十月、ついせんだってでございますが、関係者の意向もありまして、財団法人日本船舶職員養成協会という全国的な民間団体及び地方公共団体の行なう船舶職員試験受験のための講習会の内容を高めていくためのいろいろの方策を立て実行する団体を設立いたしました。当方といたしましては、この協会の指導をいたしまして、民間の行なう講習内容の充実をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。
#7
○説明員(高林康一君) 行政管理庁の勧告では、ただいまの船舶職員関係のほかの事項といたしましては、特定港の指定改廃の問題、あるいは特定水域の整備の問題、それから離島航路の補助の問題というようなことが指摘されておるわけでございます。このうちの特定港の指定改廃につきましては、現在特定港が五十八港ございますけれども、これが実情に合わないようなところがある、また新たに追加指定すべきところもあるという御趣旨でございますけれども、確かにこのような御趣旨の点が非常にございますので、私どもといたしましても、来年度予算におきまして、これらの新たな追加を要しますような特定港について、この港長業務の執行体制を確立すべく要求中でございます。
 第二に、特定水域の整理改廃の問題でございますが、この場合に、特に勧告において指摘されておりますのは、すでに掃海が完了いたしました狭水道、これについて、漁船の航行との関係もありまして、これを画検討、整理すべきではないかということでございます。この点につきましては、私どももかねてそのように感じておりましたが、この勧告があります前でございますが、九月に各地方海運局に、この整理改廃の必要の有無を本年末までに調査の結果をまとめるようにということで通牒を発しておきまして、現在それを取りまとめ中でございます。この月末までにそれが完了いたします予定でございますので、それによって至急この整理改廃とかあるいはまた新設というようなことについて措置を進めたい、こういうふうに考えております。
 第三には、離島航路の問題でございますけれども、勧告によりますれば、現在の離島航路の経営が非常に困難であって、しかも国の補助が十分でない、したがって一そう国の補助を強くすべきであるという御趣旨でございますけれども、この点につきましても、私どもといたしましては、離島航路は、地域住民の生活の安定、また離島の振興というような観点から一番重要な問題だと考えておりますので、離島航路のいわば整備に関する長期計画と申すべきものを策定いたしまして、それによって補助というものをさらに強化してまいりたいというふうに考えて、現在折衝中でございます。
 以上でございます。
#8
○中村正雄君 いま全般の御説明を聞いたわけですが、十一月に勧告が出されておりますので、以来あまり日もたっておりませんので、資料の収集とか今後の対策を検討中ということで、具体的な問題についてはあまり明らかにされておりませんが、一般的にお伺いしたいのは、この勧告に示されました問題点を解決するためには行政指導道なり予算措置だけでできるのか、あるいは法令の改正も必要なのか。もし法律の改正が必要な面があれば、どういう点が必要なのか、あるいは改正してでもやる必要があるのかないのか、この点を政務次官にお伺いしたいと思います。
#9
○政府委員(大久保武雄君) 各項目につきまして十分検討いたしました上、法律の改正を要するものがありました場合は法律を改正いたしまするし、また予算等の要求の必要がありますものはこれを要求いたしまして、できるだけ将来に向かって万全を期したいと考えております。
#10
○中村正雄君 対策についてはまだ検討中ということも、日がないのでわかりますけれども、これを解決するのにどの法律を改正しなければならないかというようなことは、おそらく三つの問題点であるのでもうはっきりわかっておると思うわけなんです。したがって、もしこれを全部解決するとすれば、この法律は改正しなければならないという問題点ぐらいはわかっていると思うのですが、その問題点をお示し願えませんか。
#11
○説明員(春永盛生君) お答え申し上げます。まず、帆船の登録につきましては、行管から指摘されたところでは、船舶法から汽船、帆船の別をなくせ。これはもう現在では汽船、帆船を区別するのはおかしいじゃないかという指摘を受けております。これは法律事項でございますので、省令で汽船、帆船の別を示されておりますので、省令より汽船、帆船を削るということになると思います。その場合、この船舶法をベースにしての汽船、帆船が適用されておる法律に、船舶職員法、それから船員法、船舶安全法等がございます。したがって、船舶法の省令から汽船、帆船を削除すると同時に、それらの法律は一部改正が必要だと思います。
#12
○説明員(佐藤美津雄君) 内航船舶に対する満載喫水線の指定範囲の拡大と、それから無線設備の拡大は、船舶安全法の改正を要します。
#13
○説明員(高林康一君) 特定水域につきましては、特定水域航行令という政令がございます。それは改正すべく準備中でございます。
 それから特定港の問題につきましては、港則法別表に掲げられておる問題でございます。したがって、現在の法形式におきましては、港則法別表、法律そのものの改正を要するということになります。ただ、全般的に港則法、港域法の関係につきましては、これ以外の点でも検討を要しますので、場合によっては政令に落とすということも検討中でございますので、そういう意味で港則法、港域法を全面的に改正することも検討しております。それとあわせて、一環としてやっていきたいと考えておる次第でございます。
 離島航路の問題につきましては、予算の結果によりましてでございますけれども、現在も予算の範囲内において補助することができるという離島航路整備法がございます。それによって措置し得る面と、それから若干手直しを要する面とございますので、でき得ればこれを改正したいというふうに考えておる次第でございます。
#14
○中村正雄君 いま各課長から御報告のありましたように、四つないし五つの法律を改正しなければならない、勧告を実施するについては――こういう説明があったわけですが、政務次官にお尋ねしたいのは、やはり勧告は当然実施しなければならないわけでありますので、いま説明のあったような法律は改正してこの勧告を実施する、こういう決意があるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
#15
○政府委員(大久保武雄君) 検討の上、できるだけすみやかなる機会に法律改正の手続をとりたいと思っています。
#16
○中村正雄君 いまの政務次官の御答弁を前提にして、具体な問題について二点ほど伺いたいと思います。
 第一点は勧告の第一にありまする船舶安全の確保についての項でありますが、そのうち特に、近来、勧告にも示されてありますように、帆船から鋼船に大体もう船が移行されております。ところが、実際海難の統計等を見てまいりますと、小型鋼船の中で特に五百トン未満の小型鋼船、これは海難件数が非常に多い。三十八年に、たとえばいわゆる砂利船といわれております小型鋼船、三十八年の統計を見てまいりましても三千百五隻登録されておる船舶があるわけですが、このうちで無線を備えておりますのはわずかに二十七隻しかない。それは五百トン未満の小型鋼船に無線を強制的に備えさせるためには法律改正が要るわけでありますが、このような海難の統計から見まして、小型鋼船について強制的に無線をつけるためにはやはり法律改正が絶対必要じゃないかと思うのですが、この点についてどういうふうにお考えになっておるか伺いたいと思います。
#17
○説明員(佐藤美津雄君) お答えいたします。先生のおっしゃるとおり、実は無線の設備は船舶安全に対しまして非常に有効でございますので、拡大をしたいというふうには考えておりますが、また小型船は実は無線を有効に使えないというような面も、沈没が早いとか海難につきましてはいろいろの要素があり得る。したがいまして、私のほうの最初の問題としまして、いわゆるSOSについては、この前も実は国会で指摘を受けたわけでございますが、これを沿岸の船、漁船、そういうものに対しましてすぐつけさせるように、ただいま規則の整備中でございます。いずれそれらを含めまして、一方におきましては、無線につきましては、中波、長短波、そういう波の問題がございますが、それからその緊急の通報の確立の問題、そういうものは目下解決しようと思っておる次第でございます。
#18
○中村正雄君 再度お尋ねしますが、いわゆる砂利船といわれております小型鋼船では、現在一%前後しか無線を備えていないわけなんですね。海難の統計を見ますと、一番多いわけなんですね。これに対しまして無線をぜひとも強制的につけさせようとすれば、何か無理があるわけなんですか、どうですか。
#19
○説明員(佐藤美津雄君) ただいま申しましたように、非常に近い沿岸の船あるいは平水のようなところを走る船につきまして実際無線が非常に有効かどうかということが、実は私のほうもはっきりつかんでおりませんが、少なくとも有効であろうということは考えております。したがって、先ほど申しましたように、とりあえず、SOS、これをつけさせる。したがって、その関係法律の改正も必要でございますので、十分に検討を進める、こういうふうに考えております。
#20
○中村正雄君 この点については、現在やはり一%近いものでも無線を備えつけておるわけですからね。やはり一番海難の多いこういう船舶についての海難防止策について、早急に一ぺん検討されて結論を出してもらいたいと思います。
 第二の点は、船員局長にお尋ねしたいのですが、ただいま船員の、特に内航船員の養成について御答弁がありました。内航船員なり漁船船員というものの現在教育なり研修につきましては、お話のありましたように、漁港等にいわゆる塾的な私は教育機関がほうぼうありますね。これはいろいろ程度の差もあり、中にはいかがわしいものも私はあると思うわけであります。で、これを統合するために、先ほどお話のありましたように、統合というよりも、指導するために、船舶職員養成協会という一つの法人をつくって、これによってやると、こういうお話でありますが、こういう法人をつくって指導に当たらせるということについて、各船主なりあるいは地域等のいろいろな話を聞いてみますると、あまり賛成しておらないような空気があるわけなんです。したがって、それよりも、勧告にもありまするように、現在の海員学校の講習なり研修というものは、大体大企業、外航船員、これに限られたような形になっておるわけなんですが、これをやはり何らかの方法を講じて拡充して、内航の船員や漁船船員をやはり教育研修するという方向に持っていくのが最も妥当な方法じゃないかと思うのですが、海員の学校の内容の拡充、設備の拡充等を漁船船員、内航船員に及ぼすようなことは、運輸省じゃ考えておらないわけなんでありますか。
#21
○説明員(亀山信郎君) 内航船員、漁船員についての国の養成機関は、現在漁船につきましては水産高校あるいは水産大学等が数も相当たくさんございます。そういう方面から漁船の幹部になる方々の養成をする。内航船につきましては、特に文部省の商船大学あるいは商船高等学校、あるいは運輸省の海員学校、海技大学校、こういう機関は、特に外航船だけをやるということを正面からうたっておりませんが、御指摘のように、その主力は外航船の船員の養成に当たっておるのでございます。特殊な内航船員だけの養成機関といたしましては、現在海技大学校にあたります特修科――乙種船長並びに乙種一等航海士、一等機関士というものの養成を行なう海技大学校の特修科というものがございまして、また児島、小樽、門司の各海員学校の乙二の講習科がございます。これは全体の規模から見ますと、御指摘のように小さいものでございまして、現在民間及び地方公共団体の行なう講習によって小型、丙種あるいは乙二まで講習を受けて受験いたします者が二万名をこえております。したがいまして、これらの民間講習をすべて国でやるというふうなことは、かえって実情に合わない面も出てくるのではないか。と申しますのは、こういう民間の講習会は、中には現在いかがわしいものがあるという御指摘でございましたけれども、地方公共団体が主催をする、あるいは漁船関係で申しますれば漁業協同組合が主催をする、それに対しまして海難防止会から補助金の出ておるのもございます。また、水産庁のほうの予算で若干の補助が公共団体に出され、その面からの指導もしていくという体制になっておるのでございまして、私どもといたしましては、国の機関におきましても、今後内航船の養成について、ことに能力の向上、資質の向上ということについて十分力を入れていきたいと思っておりまするが、民間でやるものをすべて国に移すというふうなことは実際問題として非常に困難である。また、民間の講習会を先ほど申し上げましたように育成指導をいたしましてりっぱな内容のものにしていくことによって内航船の船員の養成はできるのではないか、かように考えておる次第でございます。
#22
○中村正雄君 御答弁のとおりに実施されれば、これはけっこうなことですが、民間のやっております講習会を廃止しろという主張をぼくはしているわけじゃないのですが、これもやってもらわなければ現在の希望を満たすことはできないと思うわけですが、全国に約十ヵ所あります海員学校自体のむろん外航船員の養成も大切なことでありますけれども、やはり内航船員の養成もやっておりながら――勧告にあるように、これはまあ経済的な事情もあろうと思います。しかし、これはやはり設備の拡充その他によって私は勧告に示されておる点も解決できるんじゃないか。民間の講習会等を指導するということも大切でありますが、やはりこのことは国自体の責任でもあるわけでありますので、海員学校の拡充によって内航船員の再教育あるいは教育をやるように御考慮願いたいと思うわけなんです。全般の問題としては、先ほどお話にありましたように、検討中、計画中、準備中ということでありますので、すべての問題についてここで答弁を求めようとは思いませんが、一応勧告にあります内容を私なりに拝見しましても、当然いままで運輸省なり水産庁でやっておらなければならない点も指摘されておるわけでありますので、これは早急に問題点を解決して、そうして二十一日から通常国会も召集されますので、通常国会中にはおそらく問題点は解決されると思いますので、解決されました問題については逐一この委員会で報告願いたいということをお願いしてこの勧告についての質問を終わりたいと思うのですが、ただ、これに直接関係ありませんが、一点だけ遠洋漁業におきまする船員の医療問題について質問したいと思うのです。
 運輸省なり水産庁の方はこれは御承知だと思いますが、たとえばことしの北洋のサケ・マス漁場、五月から八月まで約三ヵ月間でありますが、あの出動船員の数を見てみましても、五万名から六万名が大体あの漁場で漁業に従事しているわけなんです。そうしますと、おとなだけ五万ないし六万といえば、大体中くらいの衛星都市に当たるわけなんですね。ところが、ここで働いております漁船員たちの、たとえば病気になった場合、けがをした場合、医療問題がどうなっているかといえば、御案内のとおり、母船に診療所があって、大体一人のお医者さんがついているという程度で、結局、ことしの状況を見てまいりましても、母船は十隻内外、たしかことしは十一隻だったと思いますが、十隻内外の母船に医者が一人ついておる。しかも、医療設備というものはほとんどないと言っていいような状態ではないか。しかも、四十八度以南の漁場には、これは協定等もありまして、母船は一隻も入っておらない。そうなりますと、こういうところでけがをしたり病気をしたりした場合には、何ら施すすべがない。これは一つの企業の問題というよりも、私は人権の問題じゃないかと思うのです。ことし、これは海難による死亡もありますけれども、北洋サケ・マス漁場で死んだ人は約六十人おるわけなんです。これは海難による死亡者も含まれておると思いますが、そうして急患等が出た場合、保安庁の巡視船の「宗谷」「つがる」等をことしは使って内地に送還した、こういう経過があるわけなんですが、あまり世間には知られておらないと思うのですけれども、五万、六万という人が三ヵ月なり半年問故国を離れた海の上で仕事に従事して、医療設備については原始時代と言っても過言でないような、お医者が十人か十一人で、これで手が回るはずはないと思うのです。したがって、こういう問題については、人権の問題でありますので、少なくとも、会社につくれということは不可能かもわかりませんが、国自体で病院船等のひとつ建造を考えたらどうか。そうして、やはりそこでけがをしたり病気になった場合は直ちに治療できる施設だけはしなければ、これは私はゆゆしい問題じゃないかと思うのです。したがって、いま日本には病院船はありませんが、運輸省でいろいろ船舶の建造等も計画しておるのであれば、少なくとも、こういう地域に五万、六万という人が一定期間働くのであれば、それの医療問題だけやはり解決をつけるという施策が、これは案外政策の問題じゃなくて人道上の問題であろうと思うのです。したがって、それを解決するとすれば、少なくとも母船に必要な医療設備を設けるような病院的な設備をつくるか、あるいは別に病院船的な船を建造するか、二つに一つしかないと思うのですが、これについて運輸省どうお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。
#23
○説明員(亀山信郎君) 北洋漁業に参りましておる漁船船員の医療関係について、私も先生のお話を承知いたしております。海上保安庁の巡視船の特別な援助によりましてかろうじて内地へ連れて帰ったというような例も、海上保安庁から伺っております。それから母船の医療設備に対して非常に患者が多いということ、それからまたその患者をお医者さんが見た結果では、むしろ独航船に戻さないほうがいい、治療を続けたほうがいいと思われるものでも、設備がないために独航船に帰るものもあるということを聞いております。そこで、いま御指摘の、病院船を何らかの法的な措置で建造することを考えてみたらどうかということでございますが、私どもも十分考えていかなきゃならない問題であるというふうに考えておりますので、厚生省の保健当局ともよく連絡いたしまして、将来の問題として、かかる社会的な意味の医療施設というものをどうやってつくって、どういう主体が運営したらいいかというようなことも含めて検討したいと、かように考えております。
#24
○中村正雄君 大臣がいらっしゃらないので、政府次官にお尋ねするわけですが、この問題はことしに始まった問題ではなくして、いわゆる遠洋漁業が始まって以来懸案の問題であって、おそらくこの問題についての解決策については、戦前は海軍に病院船があったわけですが、戦後はそういう船は日本に一隻もない。したがって、これは法的措置をしなくても、予算措置なり行政措置で、私は病院船の建造なり、あるいは行政指導によって必要であれば、母船に少なくとも小さな病院的な施設程度のものはできると思うんですね。今後検討するというような問題じゃなくして、やろうと思えば来年度でも私はできる問題だと思うんですが、この問題について政務次官どうお考えです。
#25
○政府委員(大久保武雄君) 北洋漁業に従事される方々の御苦労がまことに甚大なものがあることは承知いたしておりますが、そういう方々がまことに健康上の保障なくして御活躍をいただいておりますことは、私どもといたしましても、種々これからそういう方々の健康を保障するために万般の策を講じなくてはならぬと存ずる次第でありまして、中村さんの御指摘は、まことに私どもといたしましてもごもっともでもあり、また私どものこれから十分考えていかなければならない方向を示唆しておられますように存ずる次第でありますので、私どもといたしましても、せっかく十分検討を具体的に進めまして、御趣旨に沿って努力をいたしてみたいと考えておる次第であります。
#26
○中村正雄君 ここでイエス、ノーの答弁を求めても無理でありますので、懸案の問題でありますが、少なくとも来たる通常国会の開会中にはこの問題をどう処置するかということの結論を早急に出してもらいたいという希望をつけて、私の質問を終わります。
#27
○相澤重明君 前回の委員会で、神戸港におけるインドネシア軍用船の転覆しておることについて、なぜ早くこれを排除しないか、こういう質問を申し上げておいたのですが、きょう御報告いただくことに私希望しておったのですが、間に合いますか、政務次官はこれお聞きになりましたか。
#28
○政府委員(大久保武雄君) 承っております。
#29
○委員長(野上進君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#30
○委員長(野上進君) 速記を始めて。
#31
○相澤重明君 先ほど御質問しましたように、前回の当委員会で、神戸港内におけるインドネシア軍用船の転覆事故については、九月一日の台風の時期だったのですから、それから思うと、九月以降にすればもう三ヵ月余もそのまま放任されておるということは、どういう外交上の手続があるにせよ、また運輸省の港の管理者との関係がどうあるか知らぬけれども、現実に神戸の港の出入する船舶は非常な困難を来たしておる。そのために幅を狭められて、そうして出入に困難を来たしておる、こういうことを言われておるわけです。同時にまた、この岸壁を持っておる会社側は、その船がじゃまをしておるために浸水をしておる、こういうことまで言われておるのですから、まあ早くこの障害物を除くということが港の需要供給をよくする。ましてや年末を控えて、私は港にとっては大事なことだと思う。そういう意味で、前回の委員会で私から質問をして、各省庁と打ち合わせをしてそして報告してもらいたい、こういうことを言っておったわけです。きょうそれが、私も出席がおそかったから、打ち合わせも不十分だったかもしれぬけれども、そういう点は、やはり行政上やり得る手続は最大に速度を早めてもらうということが最も必要ではないかと思うのです。もしその軍用船が転覆しておって、それにまた日本の船なり外国の船が衝突した場合に起きた損害を一体だれが払うのか、こういうことが私は問題になってきやせぬかと思う。これは外国の船だから、インドネシアに、今度は衝突をして損害が起きた場合に、損害補償ができるのかどうか、これもずいぶんむずかしい問題になってくると思う。ですから、やはりそういう問題については、早く障害物を除去することを、日本の手では直接できないかもしれないけれども、インドネシア政府に話をして、そして三ヵ月も四ヵ月も港の中へ放任するなんということは、私はけしからぬと思うのです。そういう意味で、政府の善処を要望しておったのですが、この際政務次官のお答えをいただきたいと思う。
#32
○政府委員(大久保武雄君) ただいま御指摘のように、インドネシア軍用船の転覆は、神戸の一部航路筋を閉塞している状態でございまして、これは日本の船舶並びに産業に至大の迷惑を及ぼしております次第でございます。相手の船がインドネシアの軍用船でございますので、若干交渉に手間取っておるようでございますが、すみやかに委員会におきまして、この善後措置の状況を御報告申し上げる機会を得たい、かように考えております。
#33
○相澤重明君 政務次官の誠意ある答弁で、私も了承いたしますが、この港の長といい、港の管理者といい、国のやはり努力がなければできない仕事がたくさんあるわけです。さっき中村委員からもこの船員の問題あるいは行政管理庁の勧告についてもいろいろ質問がありましたが、国がやらなければならない仕事は国が率先してやらなければそういう問題は解決されないわけです。さらにその上に外交交渉の問題が入るわけです。ですから、外交交渉の問題があるといいながら、現実に目の前にあることであるから、そういう点については、私は前回の当委員会で申し上げておったのですが、いまの政務次官の御答弁で、私も政府の意のあるところを了解いたします。ぜひそういうようなことの一日も早くなくなるように努力をしていただくことにして、私のきょうの質問を終わります。
#34
○江藤智君 いまのに関連いたしまして。これは政務次官は御承知なんですか、この問題は。
#35
○政府委員(大久保武雄君) 事故のあったことは知っております。
#36
○江藤智君 これについては、政務次官御専門なんですけれども、日本の港ですね、港のもう領海も領海一番大事なところで沈んでいることについての処置というものは、当然これはとられるように私は思うのですけれども、これはさっそくお調べくださいまして、しかるべき処置がとれると思うのですが、問題はその処置のしかたがおそいんじゃないかという気がするのですが、いずれにしても至急ひとつ御調査願って、また御報告をお願いいたしたいと思います。
#37
○政府委員(大久保武雄君) 先ほど答弁いたしましたとおり、その点はごもっともでございますので、至急調査いたしまして御報告いたします。
#38
○委員長(野上進君) 他に御質疑はございませんか。――本件に関する調査は本日はこの程度とし、次回は十二月十七日午後一時に開会することとして、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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