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1964/12/17 第47回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第047回国会 本会議 第10号
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1964/12/17 第47回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第047回国会 本会議 第10号

#1
第047回国会 本会議 第10号
昭和三十九年十二月十七日(木曜日)
    ―――――――――――――
  昭和三十九年十二月十七日
   午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但
  書の規定により議決を求めるの件
 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改
  正する法律案(内閣提出、参議院回付)
 法務省設置法の一部を改正する法律案(第四十
  六回国会、内閣提出)(参議院送付)
 中小企業危機打開に関する決議案(小川平二君
  外八名提出)
   午後六時五分開議
#2
○副議長(田中伊三次君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
#3
○副議長(田中伊三次君) おはかりいたします。
 内閣から、米価審議会委員に本院議員丹羽兵助君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(田中伊三次君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
     ――――◇―――――
 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を
  改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
#5
○副議長(田中伊三次君) おはかりいたします。
 参議院から、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案が回付されました。この際、右回付案を議題とするに御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(田中伊三次君) 御異議なしと認めます。
 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
#7
○副議長(田中伊三次君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#8
○副議長(田中伊三次君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
 法務省設置法の一部を改正する法律案(第四十六回国会、内閣提出)(参議院送付)
#9
○小沢辰男君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、第四十六回国会内閣提出、参議院送付、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#10
○副議長(田中伊三次君) 小沢辰男君の動議に御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○副議長(田中伊三次君) 御異議なしと認めます。
 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#12
○副議長(田中伊三次君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長河本敏夫君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔河本敏夫君登壇〕
#13
○河本敏夫君 ただいま議題となりました法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。詳細は会議録によって御承知を願うこととし、以下簡潔に申し上げます。
 本案は、定員を五百八十六人増員し、名古屋及び福岡両刑務所の位置を改め、八戸港ほか二カ所に入国管理事務所の出張所を増設することなどであります。
 本案は、前国会において本院を通過した後、参議院において継続審査となり、十二月十五日参議院より本院に送付され、同日本委員会に付託、本日、質疑を終了、討論もなく、採決の結果、多数をもって原案のとおり議決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○副議長(田中伊三次君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#15
○副議長(田中伊三次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 中小企業危機打開に関する決議案(小川平二
  君外八名提出)
          (委員会審査省略要求案件)
#16
○小沢辰男君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、小川平二君外八名提出、中小企業危機打開に関する決議案は、提出者の要求のとおり委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#17
○副議長(田中伊三次君) 小沢辰男君の動議に御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○副議長(田中伊三次君) 御異議なしと認めます。
 中小企業危機打開に関する決議案を議題といたします。
    ―――――――――――――
中小企業危機打開に関する決議案
右の議案を提出する。
昭和三十九年十二月十六日
提出者
小川 平二 二階堂 進
小平 久雄 中川 俊思
早稲田柳右エ門 板川 正吾
久保田 豊 中村 重光
麻生 良方
賛成者
内田 常雄 外二十九名
―――――――――――――
    中小企業危機打開に関する決議案
  わが国の中小企業は、経済的社会的にきわめて重要な地位を占めるにもかかわらず、従来から構造的基盤が弱体である上に、近年の労働力不足、技術革新の進展等、中小企業をめぐる環境は著しい変化を見せつつあり、加うるに最近、金融引締めの浸透によるひつ迫が本格化し、中小企業の倒産、関連倒産は件数、負債金額ともに毎月記録更新を続ける実情にある。
  このような中小企業の危機は、もしこのままに推移すれば、わが国経済にとつてゆゆしき問題であるばかりか、深刻な社会問題となることが憂慮される。
  よつて政府は、この事態に対処するため、経営指導を積極的に進めるとともに、特に左記事項につき緊急に検討を加え、すみやかに遺憾なき措置を講ずべきである。
     記
 一 金融対策として次の措置を講ずること。
  イ 中小企業向け財政投融資を大幅に増額し、特に関連倒産の防止に必要な融資を強化し、旧債の償還猶予等融資条件の緩和を図ること。
  ロ 一般金融機関の中小企業向け貸出割合の引上げにつき強力な指導を行なうとともに、歩積両建の自粛の徹底について厳重に監視し、今後の推移によっては独禁法に基づく特殊指定とすること。
  ハ ヤミ金利の取締りを強化するとともに、最高金利の是正を行ない、一方中小企業金融機関のコール運用の適正化を強力に指導すること。
  ニ 信用補完制度を拡充強化し、小規模事業に対する金融の円滑化を図るため小口保険制度を改善充実すること。
  ホ 中小企業の近代化設備の融資の貸付条件の緩和を図ること。
 二 下請関係につき、代金の支払並びに取引条件の適正化等を図るとともに、下請事業者に対し受注あっせん機関を設置すること。
 三 倒産予防のため、主要地区ごとに政府出先機関、地方公共団体、政府関係金融機関、一般金融機関及び中小企業団体等よりなる合同相談の機構を整備充実するとともに手形取引の正常化について緊急に検討すること。
 四 法人税等の徴収猶予及び延分納措置を徹底するとともに、中小企業の自己資本充実のための税制上の措置を講ずること。
 五 小規模事業者の相互扶助の制度の確立を図ること。
 六 倒産の実情を調査し、その原因を究明して将来の対策を講ずること。
  右決議する。
―――――――――――――
#19
○副議長(田中伊三次君) 提出者の趣旨弁明を許します。小川平二君。
  〔小川平二君登壇〕
#20
○小川平二君 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党共同提出にかかる中小企業危機打開に関する決議案について、三党を代表してその提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    中小企業危機打開に関する決議案
  わが国の中小企業は、経済的社会的にきわめて重要な地位を占めるにもかかわらず、従来から構造的基盤が弱体である上に、近年の労働力不足、技術革新の進展等、中小企業をめぐる環境は著しい変化を見せつつあり、加うるに最近、金融引締めの浸透によるひつ迫が本格化し、中小企業の倒産、関連倒産は件数、負債金額ともに毎月記録更新を続ける実情にある。
  このような中小企業の危機は、もしこのままに推移すれば、わが国経済にとつてゆゆしき問題であるばかりか、深刻な社会問題となることが憂慮される。
  よつて政府は、この事態に対処するため、経営指導を積極的に進めるとともに、特に左記事項につき緊急に検討を加え、すみやかに遺憾なき措置を講ずべきである。
     記
 一 金融対策として次の措置を講ずること。
  イ 中小企業向け財政投融資を大幅に増額し、特に関連倒産の防止に必要な融資を強化し、旧債の償還猶予等融資条件の緩和を図ること。
  ロ 一般金融機関の中小企業向け貸出割合の引上げにつき強力な指導を行なうとともに、歩積両建の自粛の徹底について厳重に監視し、今後の推移によっては独禁法に基づく特殊指定とすること。
  ハ ヤミ金利の取締りを強化するとともに、最高金利の是正を行ない、一方中小企業金融機関のコール運用の適正化を強力に指導すること。
  ニ 信用補完制度を拡充強化し、小規模事業に対する金融の円滑化を図るため小口保険制度を改善充実すること。
  ホ 中小企業の近代化設備の融資の貸付条件の緩和を図ること。
 二 下請関係につき、代金の支払並びに取引条件の適正化等を図るとともに、下請事業者に対し受注あっせん機関を設置すること。
 三 倒産予防のため、主要地区ごとに政府出先機関、地方公共団体、政府関係金融機関、一般金融機関及び中小企業団体等よりなる合同相談の機構を整備充実するとともに手形取引の正常化について緊急に検討すること。
 四 法人税等の徴収猶予及び延分納措置を徹底するとともに、中小企業の自己資本充実のための税制上の措置を講ずること。
 五 小規模事業者の相互扶助の制度の確立を図ること。
 六 倒産の実情を調査し、その原因を究明して将来の対策を講ずること。
  右決議する。
以上であります。
 御承知のとおり、わが国の中小企業は、その数において圧倒的な比重を占めるのみならず、工業生産、販売、輸出等の面におきましても、わが国経済の発展に大きく貢献しているのでありまして、その地位と役割りは経済的にも社会的にもまことに重要なものであることは、多言を要しないところであります。しかしながら、今日においてもなお大企業と中小企業の間には、生産性、資本装備率などの面において、大きな格差が見られるのであり、他方、近年の労働力の不足とこれに伴う賃金水準の上昇、技術革新の進展等によってもたらされた市場構造の変貌などを通じまして、中小企業のよって立っていた経済的社会的存立基盤は著しい変化を見せつつあります。
 かかる変化に対処して、中小企業の設備の近代化、経営の合理化を推進し、その体質の強化をはかることは、わが国経済の国際競争力の強化、経済成長の維持、あるいは物価の安定等、基本的な経済政策を推進する上において緊急の課題でありまして、政府が今日まで中小企業の近代化を最重点施策の一つとして推進してまいりました趣旨もここにあると信ずるのであります。
 しかるに、最近の中小企業の動向を見ますと、昨年末以降一年に及ぶ金融の引き締めは次第にその浸透の度を深め、多くの中小企業が、生産売り上げは伸び悩み、決済条件も悪化を続け、資金繰り困難は増大するなど、逼迫した情勢に直面しつつあります。企業の倒産もこの夏以来再び増勢に転じ、件数、負債金額とも、月を追うて増加する状況にあります。
 かような状況に対処して、政府が中小企業向け財政投融資を増額して、政府関係中小企業金融機関の貸し出しワクを八百億円増加し、さらに中小企業向け特別買いオペレーション五百億円を実施するなど、中小企業金融の円滑化につとめるとともに、下請代金支払遅延等防止法の運用を一そう厳正にして、親事業者に対する指導取り締まりを強化しつつあることは、まことに機宜を得た措置であると考えるものであります。しかしながら、現在の事態は相当に深刻なものがございます。最近においては中堅クラスの企業の倒産もかなり発生しており、関連下請企業は数十社、中には数百社に及ぶものもあるのでありまして、健全な中小企業に連鎖的に倒産が波及するような事態を生ずることととなれば、わが国経済界の全体にとってもまことに重大な問題といわねばなりません。
 かような事態を防止して、健全な中小企業の成長発展をはかることは最も緊切な課題であり、政府においてあらゆる施策を集中し、難局の打開につとめることが重大な責務であると考えざるを得ないのであります。
 以下、決議案に取り上げました各施策項目について順次簡単にその趣旨を御説明いたします。
 まず第一に、金融対策であります。
 健全な中小企業が不幸な連鎖倒産を引き起こすことのないよう、特に政府関係中小企業金融機関を通じて、関連倒産の防止に必要な融資を適時適切に行なうことが、何よりも緊急の対策であることは言うまでもありません。その際、旧債の償還猶予、あるいは貸し付け限度の特例、担保条件の緩和等、融資条件の緩和についても同時に十分な配慮を行なうことが必要であります。
 しかして、これら中小企業向け金融の円滑化を期するためには、財政投融資の大幅な増額がぜひとも必要であります。政府はすでに年末、年度末中小企業金融緊急対策として、政府関係中小企業金融機関の貸し出しワクを増加し、財政資金による特別買いオペレーション実施を決定しておりますが、今後の推移に応じて特別買いオペの追加等を弾力的に考慮するとともに、来年度の財政投融資においても、その画期的増額をはかることを強く要請いたします。
 一般金融機関の中小企業向け貸し出しについては、従来から政府当局においてその貸し出し割合の引き上げを指導しておりますが、現実には都市銀行、地方銀行とも中小企業向け貸し出し比率は低下の傾向を示しておるのでありまして、今後一そう強力な指導を行なうよう要望いたします。
 歩積み、両建ての問題については、本年六月各金融機関において不当な拘束預金の自粛を進めることが決定され、一般銀行については来年五月末、相互銀行、信用金庫については再来年五月末を目標に全廃を期することになっており、これが計画どおり達成されることを強く期待いたしますが、実効をあげることが困難であると認められた場合は、独禁法に基づく特殊指定として、公正取引委員会の監視を行なうこととすべきであると考えるのであります。
 最近の金融逼迫に関連して、やみ金利の横行が問題とされていると同時に、コール市場資金の月中平均残高が一兆円をこえる状況となっておることが注目されます。コールローンは資金需給の状況を集中的に反映するものでありまして、これに直接の規制を加えることはきわめて困難であり、また適当でないと考えますが、中小企業者の専門の金融機関である相互銀行、信用金庫はもちろん、中小企業向け金融の大きなにない手である地方銀行等においても、コール運用の適正化をはかって、中小企業向け融資の増大に努力することが望ましいのでありまして、この点に関する政府当局の強力な指導が必要であると考えます。特に、昨日から預金準備率の引き下げも実施されたことでありますので、これによる余裕資金とコール運用の適正化と相まって、中小企業向け貸し出しの増大となることを期待するものであります。
 次に、信用保証保険による中小企業の信用補完の制度については、最近の金融繁忙に対処してその一そうの拡充強化が必要であります。特に小規模事業者に対しては、制度の改善充実をはかり、信用保証協会の無担保、無保証人の保証により、簡易な融資を行なう制度を設けることを強く要請いたします。
 設備近代化のための各種の融資制度につきましては、融資条件を極力緩和して、生産性の向上、体質の強化に資することが必要であります。
 以上、金融面の対策について説明申し上げましたが、第二には、下請関係の合理化、下請代金支払い条件等取引条件の適正化が重要かつ緊急の問題であります。下請代金支払い条件等、取引条件の適正化に関しましては、政府においても下請代金支払遅延等防止法の運用の強化に努力しておりますが、その指導体制を充実し、指導取り締まりを強化し、悪質な親事業者に対する勧告公表等を積極的に実施すべきであると考えます。特に下請事業者に対する受注あっせんの機関の設置を推進することは、関連倒産の波及を防止するためにもぜひとも必要だと信ずるのであります。
 第三に、関連倒産の予防のためには、政府において関係機関の連絡を密にし、中小企業者の相談に応じて適切な対策を実施するよう努力しているところでありますが、さらに充実した合同相談の機構を地区ごとに整備することを強く要望いたします。
 また、企業の連鎖的な倒産がいわゆる融通手形の乱発など手形取引の乱脈により引き起こされる例が少なくないことにかんがみまして、手形取引の正常化の問題も政府において緊急に検討を進めるべき重要課題であると信じます。
 第四に、税制対策であります。中小企業者の自己資本の不足が、金融逼迫、関連倒産のあおりに対して抵抗力を持ち得ざる大きな原因であり、中小企業の自己資本充実のためには税制上格段の措置を講ずべきであります。また、すでに国税当局の実施している税の徴収猶予及び延分納措置につきましても、運用の緩和と徹底を要望するものでございます。
 次に、小規模事業者につきましては、特にあたたかい配慮を行なうべきであることを強調いたしたいのであります。倒産件数の調査にあらわれない負債金額一千万円未満の小規模零細事業者の倒産は、なおかなりの数にのぼるものと推測されるのであります。少なくとも現在従業員に対して、政府が推進している退職金共済制度のような相互扶助の制度を確立することは、ぜひとも早急に実現を期すべきであると確信するものでございます。
 以上、最近の中小企業の当面する困難な事態に対処して、政府において緊急に措置すべき施策を述べたのでありますが、根本的対策の樹立のためには、倒産の実情の調査、原因の究明にさらに努力を傾けるべきであると考えるのであります。業種ごとに、あるいは地区ごとに不況の実態を把握して、将来の対策を講ずるため、一そうの努力を続けることを最後に強く要請する次第であります。
 以上が本決議案提出の趣旨であります。議員各位の満場一致の御賛同を切望して、趣旨弁明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○副議長(田中伊三次君) 討論の通告があります。これを許します。板川正吾君。
  〔板川正吾君登壇〕
#22
○板川正吾君 私は、ただいま議題となりました中小企業危機打開に関する決議案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党を代表して賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 御承知のとおり、中小企業は、わが国の産業分野の中で、生産、流通、雇用等、国民経済のあらゆる領域にわたりその基礎を形成し、生産においては全生産額の五〇%、雇用においては全労働者の八〇%、貿易においては輸出総額の五〇%を占め、わが国の社会経済上きわめて重要な役割りを果たしているのでありますが、中小企業の賃金、生産性等は大企業に比較して依然として低く、大きな格差があるのであります。
 このような産業構造の二重化を解消し、国民経済の均衡ある発展をはかることが中小企業問題解決の基本的態度でなければならないことは、あらためて申し上げるまでもありません。
 このような見地から、昨年第四十三国会において中小企業基本法が制定され、中小企業の進むべき道が明らかにされ、中小企業政策の目標が示されたのでありますが、その後の推移を見ると、中小企業基本法の精神は現実の政策において必ずしも十分に生かされているとは一声えず、したがって、中小企業の体質改善も、中小企業の振興も十分の効果をあげているとは言えないのであります。
 加うるに、最近、高度経済成長の過程において、技術の革新、本格的な開放体制への移行、若年層を中心とする労働需給の逼迫等、国民経済の上に重大な情勢の変化があらわれ、これが中小企業に及ぼす影響は特に著しいものがあり、かつて豊富低廉な労働力によってその低い生産性を補ってきた中小企業の存立基盤は、根底から失われてしまったのであります。
 このような状況のもとに、昨年末からの金融引き締めは最近ようやく本格的に浸透し、資金繰りの逼迫は中小企業に手痛い打撃を与え、構造的要因と相まって、中小企業の倒産は月を追って激増しているのであります。すなわち、東京商工興信所の調査によると、負債一千万円以上の倒産は、本年四月、三百三十二件、負債金額は三百六十四億円で、戦後最高の記録といわれましたが、八月には三百七十二件、九月には三百七十九件、十月には四百四十九件、十一月には実に五百十八件、負債金額は五百九十億円という激増ぶりを示し、さらに本日の新聞によると、十二月の倒産は、十一月をはるかに突破すると報道いたしております。月月戦後最高の倒産記録を更新し続けている状況であります。本年十二月までの累計は、およそ四千件、負債金額の統計は四千二百億円をこえるものと推定されております。これは昭和三十四年の倒産件数一千百六十六件、同三十五年の一千百七十二件、同三十六年の一千百二件に比較すれば、実に四倍に近い倒産件数であり、事態の重大さがいかに深刻であるかがうかがわれるのであります。さらに、本調査の対象から除かれている負債一千万円以下の倒産を加えれば、おそらく膨大な数になると思うのであります。過去における倒産企業の九〇%以上は、資本金一千万円以下の中小企業が占めていたのでありますが、最近は相当数の中堅企業にまで倒産が波及しつつある状況でありまして、まさしく中小企業の危機といわなければなりません。
 いまや中小企業の危機打開は、一刻の猶予も許されない事態であるというべきであります。このような中小企業の危機に対処して、政府はすみやかに抜本的対策を講ずべきでありますが、まず直接的な効果をもたらす金融対策について、適切な措置を早急にとる必要があるのであります。
 申すまでもなく、中小企業の体質改善には、財投資金に負うところが非常に多いのであります。しかるに、財政投融資は年々その規模が拡大してきたにもかかわらず、中小企業向けの融資比率は依然として横ばい状況であることは、まことに遺憾であるといわざるを得ません。したがって、この際中小企業向け財政投融資を大幅に増額することがまずもって必要であり、とりわけ中小企業の危機が集中的にあらわれると予想される年末、年度末には、その拡充強化をはかり、倒産及び関連倒産を未然に防止するよう措置すべきであります。
 さらに、全国銀行の中小企業向け貸し出し比率は、昭和三十年には三六・三%であったものが、三十五年には一三・五%と低下し、三十八年には二六・四%となり、さらに最近では二四%を下回っているといわれております。全国銀行の中小企業向け貸し出し比率の推移を見ると、不況時には比率が低下し、好況時にはそれが横ばいとなり、金融引き締めのつど、逐年その比率が低下しておる実情でありますから、この際、政府は、強力に全国銀行の中小企業向け貸し出し比率の引き上げをはかるよう指導することが絶対に必要であります。
 さらに、倒産原因の中には、高率のやみ金融にたよったことに基因するものが少なくないのでありますから、この際政府は、やみ金利の取り締まりを強化し、同時に、現在認められている最高日歩三十銭の金利は、過去のインフレ時代ならともかく、今日においては、経済の実態から見て過当と思われますので、すみやかに金利の最高限を引き下げるべきであると思うのであります。
 さらにまた、中小企業金融機関のコール運用は、本来、中小企業に貸し付けるべき資金を振り向けているものであり、これは中小企業金融機関としての本来の使命に合致せざるものといわざるを得ません。この際政府は、中小企業金融機関のコール運用の適正化について強力な指導を行なうべきであります。
 また、中小企業の中でも、特に基盤の脆弱な小規模事業については、その金融の円滑化に格段の対策を講ずべきであり、このため、無担保、無保証の特別小口融資制度を設けることが必要であることは言うまでもありません。
 また、小規模事業者は、事業者であると同時に勤労者であるにもかかわらず、一般勤労者のように各種保険等相互扶助の制度もなく、また、農民に適用されている災害保険的制度もなく、全く裸のまま倒産のあらしの前に立っているのでありまして、まことに不平等であるといわざるを得ません。よって、政府は、小規模事業者の相互扶助の制度を早急に確立すべきであると存じます。
 なおまた、中小企業の中でも、特に重要な地位を占めている下請事業については、現在下請代金支払遅延等防止法がありますが、この法律の効果には多くの疑問があるのであります。
 加うるに、倒産の事例の中には、親事業者の倒産により下請事業者の連鎖倒産が非常に多い実情にかんがみ、この際、下請関係の適正化を強力に推進するとともに、下請事業者に対する受注あっせん機関を設置し、下請事業の振興をはかることが必要であると思うのであります。
 また、現在の倒産の中には、一時的な資金繰りの逼迫によるいわゆる黒字倒産も少なくないのでありまして、こうした企業には、事前にしかるべき手段を尽くせば倒産に立ち至らないで危機を乗り切ることができる事例が多いと思うのであります。
 こうした倒産予防を目的として、主要地区ごとに、政府出先機関、地方公共団体、政府関係金融機関、一般金融機関、中小企業団体等よりなる合同相談機構を早急に整備充実し、もって、中小企業の要望にこたえられるよう措置すべきであると存じます。
 なお、政府は、過去において、社会的に影響力の大きい倒産については一応の調査を行ない、対策を講じてきたようでありますが、全般的な倒産状況の把握は、民間企業である東京商工興信所の調査にまかせており、政府としての実情把握ははなはだ不十分であります。従来の倒産状況は、公定歩合の操作に比例して増減していたのでありますが、最近は、公定歩合の引き下げにもかかわらず、逆に倒産件数は増加するという注目すべき特異な傾向を示しているのであります。この際政府は、政府みずからの手によって、倒産の実情を調査し、その原因を究明して、将来の対策を講ずべきであります。
 以上の諸対策は、中小企業の今日の危機に対処し、当面緊急を要するものばかりでありますが、要は、政府の中小企業対策に対する熱意いかんにかかっていると思うのであります。
 中小企業の盛衰は、とりもなおさず、わが国経済の盛衰であり、ひいては国民の福祉を左右するものであります。中小企業の危機打開に関し、本院にかような決議案が提出されたことは異例のことであり、この意味においても、政府は、決意を新たにし、全力をあげて中小企業の危機打開に取り組むよう強く要請するものでもります。
 以上、本決議案に賛成の意を表し、私の討論を終わります。(拍手)
#23
○副議長(田中伊三次君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案を可決するに御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○副議長(田中伊三次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 この際、通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。通商産業大臣櫻内義雄君。
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#25
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま本院において議決せられました決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、今後の施策の上に万全の措置を講ずる所存でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#26
○副議長(田中伊三次君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時三十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 高橋  等君
        通商産業大臣  櫻内 義雄君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  鍛冶 良作君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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