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1964/12/03 第47回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第047回国会 石炭対策特別委員会 第3号
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1964/12/03 第47回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第047回国会 石炭対策特別委員会 第3号

#1
第047回国会 石炭対策特別委員会 第3号
昭和三十九年十二月三日(木曜日)
   午後零時四十一分開議
 出席委員
   委員長 中村 寅太君
   理事 上林山榮吉君 理事 壽原 正一君
   理事 中川 俊思君 理事 中村 幸八君
   理事 多賀谷真稔君 理事 滝井 義高君
      金子 岩三君    藏内 修治君
      周東 英雄君    田中 六助君
      西岡 武夫君    藤尾 正行君
      三原 朝雄君    井手 以誠君
      細谷 治嘉君    伊藤卯四郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       岡崎 英城君
        通商産業事務官
        (鉱山保安局
        長)      川原 英之君
 委員外の出席者
        通商産業技官
        (石炭局炭業課
        長)      久良知章悟君
        労働事務官
        (職業安定局雇
        用調整課長)  遠藤 政夫君
本日の会議に付した案件
 石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出第三号)
     ――――◇―――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
#3
○多賀谷委員 延長を求める法案ですが、従来の保安買い上げの実績についてまずお述べ願いたいと思います。
#4
○川原政府委員 お答え申し上げます。
 この臨時措置法は御高承のごとく昭和三十六年度から行なっておりますが、今日まで行ないました内訳といたしまして、総計から申しますと、三十九年の十月末で七十炭鉱、生産トン数にいたしまして、これは一年平均でとっておりますが、百二十一万トンに相なっております。その内訳としましては三十六年度十炭鉱、三十七年度に三十九炭鉱、三十八年度に十四炭鉱、三十九年度つまり今年十月までに七炭鉱を買い上げております。
 なお、その交付金の数字でございますが、現在までに整理交付金といたしまして五億三千三百万円、それから離職金といたしまして一億二千八百万円、これは三十六、七、八の三年間の累計でございますが、計六億六千二百万円、かような数字に相なっております。内訳で申しますと、三十六年度が一億九百万円、三十七年度が三億一千七百万円、三十八年度が二億三千五百万円、三十九年度はまだ進行中でございますが、予算といたしまして一応予定しておりますのは一億七千万円であります。
#5
○多賀谷委員 トン当たりの買い上げ金額の最低と最高をお示し願いたい。
#6
○川原政府委員 お答え申し上げます。
 保安臨時措置法に基づきまして廃止勧告をいたしまして、これを受けました炭鉱につきましては、過去三年間の生産実績の平均一年分に対し、採掘権の場合にはトン六百円、租鉱権の場合にはトン四百円の数字をかけましたものを支払うことに相なっております。
#7
○多賀谷委員 私は、いま質問の要点がちょっと違っていたのですが、いわゆる合理化事業団における合理化臨時措置法による買い上げ、封鎖ですね、封鎖金額のトン当たりの最高と最低を聞きたかった。
#8
○川原政府委員 たいへん恐縮でございますが、石炭局のほうでやっておりまして、その数字をただいまちょっとつまびらかにいたしません。
#9
○多賀谷委員 これはいわゆる債権者に、合理化事業団の買い上げのように、いわば三割というわくがない。そこで債権者の同意に非常に困難を来たしておるように聞いておる。それで、事実そういうような状態で保安買い上げができなかった事例があるがどうか、これをお示し願いたい。
#10
○川原政府委員 債権者の反対のために買い上げができなかった事例は、私の記憶いたしております限りではございません。
#11
○多賀谷委員 鉱山の廃止勧告をこの法律でやったけれども、買い上げができなかったという例です。
#12
○川原政府委員 廃止勧告をいたしましてもこれを受けない、つまり廃止勧告を受諾しない場合にはこの買い上げができないわけでございますが、過去におきましてそういう事例は四件ほどあるように記憶いたしております。
#13
○多賀谷委員 その四件は、鉱業権者としては買い上げをしたいと考えておっても債権者のほうが同意しない、こういう実例じゃないですか。
#14
○川原政府委員 それは私の記憶いたしました限りでは、鉱業権者が拒否をした例でございます。
#15
○多賀谷委員 鉱業権者の理由はどういう理由ですか。
#16
○川原政府委員 これは保安不良のゆえをもちまして、廃止の勧告をいたすわけでございますが、その際に、あくまでも自分はやるということで受けないわけでございます。
#17
○多賀谷委員 そうして、それは操業を続けたわけですか。それとも合理化事業団の買い上げになったわけですか。
#18
○川原政府委員 四つのうち二つにつきましては、自然休止をいたしました。それから他の二つについては縮小いたしまして操業いたしますが、これに対しては元来保安法上の規制を加えまして、場合によりましてはいろいろと修正命令をしたり、あるいは停止をしたり、そういう措置できております。
#19
○多賀谷委員 自然休止をするのに買い上げに応じないというのは、どういうわけですか。
#20
○川原政府委員 実はその辺の理由は、こちらでもよくわからないのです。
#21
○多賀谷委員 これはやはり債権者との話がつかないのじゃないですか。私が知った事例でも、まず保安不良だというので廃止はしたのです。廃止はしたけれども、買い上げまで三年ぐらいかかったのです。それが結局債権者が、一銭も入らぬから同意しないわけですね。そこで、役所が廃止は親切にやってはくれたけれども、買い上げに乗らないわけです。だから労働者のほうは全く困っておる。何ももらえぬわけです。実は非常に労働者とともに困った例があるわけです。ですからこの自然休止というのも、結局債権者が判をつかなかったというところに起因しておるのじゃないですか。
#22
○滝井委員 ちょっと関連して。
 その点、こういう場合があり得るわけです。いま多賀谷さんの言うように、債権者が判をつかなかったという場合もありますが、いま御説明のように、採掘権についてはトン六百円と、租鉱権については四百円の場合があるわけです。その場合に、過去の三年間の出炭の実績というのが、租鉱権者ですから非常に小さい場合があるわけです。そうしますと、額が五十万とか三十万になってしまう場合があるわけです。出炭実績が非常に少ない。そうすると、その鉱区をもうやめよと言われても、三十万か五十万ではとても売れない。売ったって、そんな金は租鉱権者に一文も入ってこない。御承知のように、めんどうくさい手続きをしなければならない。債権者も取らなければならないし、書類も出さなければならない。めんどうくさい手続きをして三十万か五十万の金をもらっても、自分のものにならぬならもうほったらかしておけ、こういうことになるわけです。そうしますと、その影響がどういうところに出てきたかというと、こういう炭鉱というのは非常に浅いところを掘っておるわけです。だから、十軒二十軒の家の下を掘って、そして家を傾けてしもうておって、保安の勧告を受けたわけです。そうしてこれは当然保安上、まずその金は、そういう十軒二十軒のくしゃくしゃにした家の鉱害賠償に充てなければならないことになる。ところがいま言ったように、三十万か五十万では充てようがないわけです。そこでほっぽり出してしまう。そこで保安の勧告をしたためにどういうことになったかというと、その十軒か二十軒のてんやわんやにされた家は、そのままほっぽり出された。そしてそれは、金が少ないということと、もう一つは保安の勧告をする前後において、この山はやったりやらなかったりしておるわけです。財政的に苦しいものですから、保安の措置もしないような山です。したがって、従業員は恒常的に仕事をしていない。ある者は失業保険をもらい、ある者は炭鉱にときには来るが、ときには緊就というか、拾い仕事みたいなことをしておるということで、すでに勧告を受けていよいよ手続きをするときに、保険をもらっている、こういう勧告が常にある。これは、労務者が失業保険をもらっているとだめなんですね。こういうとにかく小さな山というのは、いよいよ最後の断がきちっといくまでは時間がかかる。ですから、非常に大きな変化が起こってきているわけです。おそらくその二つのうち、一つは私の経験ではそういうのがあると思うのです。そうしてあなたのほうが保安の勧告をして、家をくしゃくしゃにされた人たちがいまみんな泣いています。王手は打てないのです。やりようがない。しかもいま多賀谷さんの言うような債権者の問題、そういうものがあるはずですが、そういうのがあるかどうか。
#23
○川原政府委員 たいへん具体的にお示しをいただきまして恐縮でございますが、現在まで、先ほど申し上げました四件、そのほかに、多賀谷先生の仰せになったのは、差し押えがあって鉱業権の消滅ができなかったような事例であろうかと思いますが、これにつきましても、若干時間がかかりましたことはたいへん恐縮でございますが、債権の処理について種々交渉を続けまして解決を見ておるように聞いております。
#24
○多賀谷委員 今後この法律延長によって、買い上げ、いわば封鎖炭鉱はどのくらい予定されておるわけですか。
#25
○川原政府委員 これはただいまいろいろ申し上げましたように、場合によりましては拒否するというような事例も従来若干ございました。正確に見通すことは困難であると同時に、一応従来までに調査いたしまして、必要であるというものにつきましては、大体終末に近ずいておるように思っております。ただこの法案の提案の際に申し上げましたように、最近の新しい事態が出てきたというようなことから考えまして、現在私どもで考えております予定数としましては、来年度つまり四十年度に十万トン、その次の年に十万トン、第三年目は五万トン程度を予定いたしておる次第でございます。
#26
○多賀谷委員 三十九年度は何万トンですか。おそれ入りますが、三十六、三十七、三十八年のトン数をひとつ・・。
#27
○川原政府委員 三十六年度が、若干の出入りがございますが、実績といたしまして二十万九百九十二トン、それから三十七年度が五十二万九千、それから三十八年度が三十万六千八百七十トンでございます。三十九年度はなおまだ進行中でございますので、最終的な数字は明確でございませんが、予算的に考えておりましたのは二十万トンでございます。
#28
○多賀谷委員 久良知さんにお尋ねしたいのですが、最近第二会社から、あるいは第三会社へと移る。その第三会社的なものがまだ相当今後整理をされる状態にあるのではないかと思うのですが、これが合理化事業団による廃止になる場合もあるでしょうし、あるいはまた保安法の勧告による廃止になる場合もあるでしょうし、まだかなりあると思うのですが、合理化事業団の関係の買い上げ、封鎖というものはどういうように考えられておるか、これをあわせて御説明を願いたい。
#29
○久良知説明員 御承知のように、今度の第二次調査団のいろいろな検討の過程におきまして、前回の調査団の当時には三十七年から四十二年までの間に約千五百五十万トンの閉山がやむなく発生するであろう、その中の約千二百五十万トンにつきましては、これはいわゆる新方式によりまして合理化事業団が買い上げるというふうな内容を答申の中に、直接ではございませんが、間接的に盛られて、おるわけでございます。その後、先生御承知のようないろいろ石炭鉱業を取り巻く環境条件の悪化によりまして、閉山の量も当初予想しました千五百五十万トンをかなり上回るのではないか、数百万トン上回るのではないかということが必至の情勢にあるわけでございますが、どの程度上回るかということは、やはり今後、今度の調査団の答申にどの程度の対策が盛られるかということに非常に大きな関係があるわけでございます。現在ここで、どのくらいそれがふえるでしょう、四十年から四十二年の間に閉山量がどれくらいになるでしょうという数字については、まだはっきりとした見通しを申し上げる段階にないわけでございます。千五百五十万トンをかなり上回るものになることは必至でございますので、先生おっしゃいますように、調査団以後第二会社になったものの一部には、場合によりましては閉山に至るものも可能性としては考えられるわけでございます。
#30
○多賀谷委員 三十七年から三十九年度までに申し込んでおるものはどれくらいあるわけですか。
#31
○久良知説明員 実はその関係の資料を持ち合わせておりませんので記憶で申し上げますが、ただいま千二百五十万トンの新ワクと申し上げたわけでございますが、これに対しまして、三十九年度までの予算で千百五十万トンいただいておるわけでございます。千百五十万トンのワクに対しまして、ことしの申し込み分だけで約百万トンほどオーバーしておる。つまり申し込み分だけで大体千二百五十万トンになっておるというところでございます。
#32
○多賀谷委員 保安臨時措置法の廃止と合理化法の廃止と、大体法律は同じ時期まで延長されるわけでしょう。ですからやっと同一のレベルに達したわけですけれども、今後好むと好まざるとにかかわらず、かなりの政策をやっても閉山をする炭鉱が相当多いのじゃないか、私はこういうように考えるわけです。画期的な政策と言っても、第一、今後中小企業において労賃の差による競争というものは、労働力が不足している今日においてほとんど不可能であるという面から、あの危険な作業に行くということが非常に困難で、労働力の面からくずれていくということになると、山の中でもいわば低い水準にある山はつぶれていくのじゃないか、こういうように考えるわけです。
 そこで、いま買い上げのトン数を聞いたわけですが、これは保安のほうだけ聞きましてもあまり意味がないので、やはり合理化のほうと関連をして聞かないと数字の把握が正確でないと思いますから、これはまた別の機会に質問をいたしておきたいと思いますが、とにかく千二百五十万トン以上にかなり上回る数字のいわば買い上げといいますか廃止を予定をし、そのことが第二次調査団の答申にあらわれる、こう考えてもよろしいですか。
#33
○久良知説明員 調査団の答申の中に直接その数字が盛られるかどうかは疑問でございますが、やはり調査団の判断をいたします根拠には、ある程度具体的なトン数をもちましてその閉山を考えた上での答申は当然出されると思います。
#34
○多賀谷委員 ですから、四十年度の予算要求には、百万トンでなくて相当のトン数を予定されるわけでしょう。
#35
○久良知説明員 御承知のように、現在の基本計画が新ワクにつきましては千二百五十万トンということになっておりますので、先ほど申し上げましたように、予算上の基本計画のワクに対する余裕というのは約百万トンでございますので、通産省から大蔵省に対します予算の要求は、現在のところは百万トンで出ておるわけでございますが、調査団の結論に従いまして当然、八月に要求いたしております概算要求にある程度追加要求ということが考えられるわけでございますが、その追加要求の中で、三十九年度につきましてはかなり大幅な量を調査団の答申後に正式にお願いをするというふうに考えているわけでございます。
#36
○多賀谷委員 次に組夫の問題を一、二点聞いておきたいと思います。
 鉱山保安臨時措置法でもあるいは合理化法に基づく扱いでも同じですが、鉱山労働者に対する金銭の支払いの中に、その他離職金の交付がありますが、組夫はどうなっておるか、これをお聞かせ願いたい。
#37
○久良知説明員 買い上げの場合には、申し込みの日または申請の日から三カ月間引き続いてその鉱山に従事しておりました鉱山労働者ということになるわけでございますが、組夫につきましても、やはり三カ月以上その鉱山で働いておる人については離職金が出るわけでございます。
#38
○多賀谷委員 それは間違いありませんか。
#39
○久良知説明員 間違えました。ただいまのは労働省関係のものでございまして、石炭局関係と申しますか、新方式による買い上げの離職金につきましては、組夫については適用がないわけでございます。
#40
○川原政府委員 保安臨時措置法によります場合も同様な扱いでございます。
#41
○多賀谷委員 労働省関係は組夫も同じように扱ってくれるわけですが、通産省関係のほうは組夫はいわば本鉱員とは別な扱いをしておる、どうもこの点が納得できないわけです。そうして労働者のほうは、いわばああいった臨時的なものはあまり好まないのです。通産省のほうはむしろ組夫は確保してくれ、そうしないと仕事にならぬ。仕事にならぬなら、仕事になるように金銭の支払いをやればいいけれども、金銭はくれぬ。これはいまから質問を続けていきたいのですが、どちらかはっきりさせたらいいと思う。われわれは組夫というものはなくしなさい、こう言っている。これは保安教育なんかしてないのです。ですから、最近の統計を見てごらんなさい。一体組夫はどのくらい災害にあっているか、ひとつお聞かせを願いたいと思う。最近の死亡のかなりの部分は、組夫が災害の対象になっておる。普通は少ないのですが、死んだ場合は、これは組夫であるか本鉱員であるか戸籍はよくわかる。ですから災害が起こったときに、本来組夫の仕事は災害個所には少ないはずであるのに、組夫がずいぶん災害にあっておるという事実は、非常に大きな問題だと思う。大体、鉱山労働者としての保安教育なんかしてないのです。してないものが災害にあっているのはけしからぬ話である。こういうように考えるわけですが、ひとつ現在一般の従業員の災害と組夫の災害、それからその組夫はどれくらい使っておるのか、これらをお知らせ願いたい。
#42
○川原政府委員 まず最初に労働者の数について申し上げます。三十九年現在におきまして、これは全労働者でありますが、十六万六千八百という数字になっております。その中で請負夫が二万二千五百十八ということに相なっております。請負夫が全労働者に占めます割合は、三十九年の一月から九月までの平均でまいりまして、一三・五%という数字でございます。
 次に、ただいまお尋ねのございました災害でございますが、ここに持ち合わせております数字によりますと、実働者千人当たりの死亡率でございすが、常用夫が一・九一でございます。それから請負夫が二・九六、職員が一・五二、かような数字に相なっております。
#43
○多賀谷委員 鉱山保安法で、組夫は本来災害個所に入るようになっていないでしょう。その災害個所に入るようになっていない組夫が、なぜ普通の常用より倍も災害率があるわけですか。
#44
○川原政府委員 これは石炭鉱業合理化臨時措置法の関係に相なりますが、請負を使います場合に、その作業につきましては、御高承のように採炭、掘進、仕繰り、運搬等の起業的あるいは臨時的なものに限定をいたしまして、通産局の承認を得るという制度に相なっております。保安法におきましては、この保安法の二十三条の二によりまして、その指揮命令系統、訓練その他の問題につきまして届け出をとりまして、もしこれが妥当でないという場合には、これを修正させるというようなことによりまして、むしろその保安の管理面を保安法によって規制いたしておるわけでございます。
#45
○多賀谷委員 その鉱山保安法二十三条に「鉱業権者は、省令の定めるところにより、鉱山において坑道の掘さく、鉱物の運搬その他の作業にその使用人以外の者を従事させるときは、当該作業にその使用人以外の者を従事させることに伴い保安のため講ずべき措置」云々とある。本来坑道の掘さく、運搬、こういうように臨時的なものを考えているわけですね。それらのものがなぜかような倍もの災害率があるのか。率直に言って、われわれ新聞を見て、死亡者何々組と書いてあれば、はっとしますよ。これは一体どこに欠陥があるのか。非常に大きい問題です。この連中はもちろん賃金も安いし、そうして十分な手当がない。そうして通産省の法律は、大体合理化法にしても、鉱山保安臨時措置法にしても、これは労働者とみなしていないのです。ですから、金銭の支払いもしない。そういういわゆる鉱山労働者とみなしておらない者が、なぜ多く死ぬのか。これは非常に大きな問題だと思うのです。もう少しはっきり解明を願いたい。
 一体省令で定めるところの業種以外で、実際災害が起こって、そうしていわばその業種以外に使われておった、こういう場合がどのくらいあるのか、ひとつ件数でお示しを願いたい。すなわち、鉱山保安法に指定をする以外の作業でどのくらい災害率があって、そうして示した作業、すなわち許容した作業でどのくらいの災害率になっておるのか、これをお示し願いたい。
#46
○川原政府委員 ただいまの御質問にあるいは取り違いがあるかもしれませんが、保安法上規制をいたしておりますのは、石炭規則の三百九十八条によりまして、先ほどの二十三条を受けまして「鉱業権者は、坑内における作業であって作業期間が一月以上のものその他鉱山保安監督局長が鉱山ごとに指定する作業を請け負わせて行なおうとするときは」ということで、保安法上職種を限定していないと思います。
 なお、この請負組夫の対策につきまして、これまでいろいろと、数次にわたり保安上の措置を強化してまいったわけでございますが、最近におきましても、これは御高承のような、高松炭鉱のガス爆発というような事例が起こりまして、これに対しまして私どもといたしましては、各監督局におきまして具体的に、従来ももちろん厳重にやっておるのでありますけれども、やはり請負組夫の作業個所に対しますチェックを特に厳重にやるという意味をもちまして、必ず鉱業権者側の係員も二重にチェックをするという、二重チェックの制度を特に厳密にやるような措置を監督局をして示達させております。もちろん、この多賀谷先生の御指摘になりました請負組夫の教育につきましても、特に係員が巡回してまいりますときに、現場において教育をするようにということで、特に厳重にチェックするように示達いたしますと同時に、そういう方針でやっておるわけでございます。
#47
○多賀谷委員 実際上、採炭をやっておるでしょう。そうすると、一体何のために、保安の観点からあるいは職業安定法の観点からも、同じような仕事をさしておるのか。これは職業安定法にも違反であるし、鉱山保安法のいわば作業の規制をやった趣旨にも反するわけです。あなたのほうは、こういう職種はよろしいと職種を示達しておるでしょう。この点ひとつお示し願いたい。
#48
○川原政府委員 その点につきましては、石炭鉱業合理化法のほうで、そういう職種の指定をやっております。ただいま、もちろん、お話のごとく、この職種を一時的、起業的、臨時的なものに限定いたします関係上、一般の採炭には従事していないと私は考えております。ただ、撤収に伴います場合の残炭、そういうものに限定をいたしまして、これは石炭局のほうで承認をいたします場合に、そういう点の規制を加えておるわけでございます。
#49
○多賀谷委員 局長、知らぬかもしれませんが、各山に行ってごらんなさい。みな各山の所長なり課長のところには出炭をみな出してあって、何々組何々組と書いてある。恒常的な制度ですよ。何々組の出炭が幾らと書いてある。それはどこの炭鉱に行っても、各山の黒板には何々組の出炭幾ら、こうあるのです。ですから撤収作業というのじゃなくて、山自体が、もう組夫が常用化されることによって山が継続しているという状態です。ですからこの問題は、どちらかにはっきりしなければいかぬことです。組夫というものを全部本鉱員になおせばいいのです。かつては、労働者が余っておるという中で、組夫を入れて、首を切るときには組合も、それはいわば臨時的なものからやってくれと言って、労働組合もあまり本鉱員に入れることを好まなかった時代もある。それは率直にある。しかし、今日は人が足らないという時期ですから、やはりそれは本鉱員にして、そうして訓練をするということが必要じゃないですか。むしろ時期的にいって、どうせ自分のところの山は長くないんだから臨時のものを使っていこうということで、また労働組合のほうも、組夫を本鉱員にすることによって合理化が逆に起こる、こういう事情であったことは了察できるわけです。しかし今日は全体的に足らぬわけですから、むしろそういった組夫という労働者は本鉱員にするんだということに踏み切ったほうがいいんじゃないか。どうも政策が常におくれておるものですから、国会で問題になったとき、法律をつくったあと、全部波を追っていっていないのです。波のあとあとにいっておる。不況政策をやったらそのときは好況だという形になっておる。それがいろいろな問題を惹起しているわけです。ですから、いま労働力が全体として足らないという時期に組夫という制度を残しておくことが間違いじゃないか、こう思うわけですが、これはどうも保安局長だけじゃないのですけれども、しかし保安の面が一番重大ですよ。職種についても、実は鉱山保安法の二十三条の二の改正のとき、あなたは逃げられましたが、むしろそれは合理化法だとおっしゃられましたが、この職種を書くときに本委員会で大問題になったのです。八谷鉱山保安局長でしたけれども、これは字句を入れるか入れないかということで非常に問題になったことをわれわれは記憶しておるわけです。ですけれども、「省令の定めるところにより」というのは、やはりこれははっきり職種も書くんですということで実はこの法律が了承されたわけですよ。そういう経緯がある。それからもう一つ、撤収作業というのは一番危険です。この撤収作業のような一番危険な熟練度を要するものに、なぜ組夫を使うのか。それらの点についてもひとつお聞かせ願いたい。一体組夫という問題を保安法上どう見るかですね。
#50
○川原政府委員 この保安法上の観点からいたしますと、先ほど来いろいろ御指摘がございますように、組夫については、どうしても臨時的に出入りのある労働者でありますから、保安的な指揮系統がしっかりする、そうして保安教育その他が十分に行なわれるという点にむしろ重点を置いて規制をいたしておるわけでございまして、そういう意味からこの三百九十八条におきましても、届出の義務といたしまして、「保安に関する指揮および監督に関する事項」、「鉱山労働者の教育に関する事項」、それから機械、器具等の中で保安に関係のあるものの調達に関する事項というような、むしろ保安管理という面で規制をいたしておるわけでございます。その職種につきましては、保安法上は、こういう作業はどうということは直接には規定をいたしておらないわけでございますが、合理化法で承認をいたします際にそういう限定を加えるということにいたしております。
#51
○多賀谷委員 これは今後有沢答申がどういう形でこの組夫の問題について出るか、きわめて私は重大な問題だと思うわけです。次官もおられますが、最近能率が上がったと言っておる。しかし経理は悪いと言う。どこに原因があるか。あれだけ調査団が当初予定しておる以上にも能率が上がっておるのに、経理が悪い。それは物価も上がっておる。それから賃金も実際は労働者の労力がないものですから、どんどん流出していくから、ある程度上げざるを得ない。ところがもう一つは、能率が見せかけの能率である。組夫は能率を計算する場合に入ってないのです。ですから、この炭鉱はかなり能率が上がっておると言っても、それは組夫が入っておらない。組夫を入れればそれほど上昇していない。ところがその組夫だって、金を払わなければいけないでしょう。そこで労務費で払わないで、経費で落としておる。そこで経理が悪い。能率は上がっておるけれども、経理が悪いというのは、こういうことなんです。ですから、日本の炭鉱の実態を把握する場合に、全く個々別々でわからないのですね。役所としても掌握できない。この炭鉱は能率が上がっておるといっても、組夫がかなり多ければ経理状態は悪いはずです。ですから、日本の炭鉱を指導する場合には、やはり何と言いますか、経理面についても、あるいは労働者の面についても、統計をとる場合に、あらゆる点において画一しなければ私はわからぬと思うのです。よく役所は行政指導しておると思うのですよ。これは一つ一つ見なければわからぬのですからね。ですから、こういう点は私は非常に今後の問題点だと思う。そうして、組夫の状態をこのまま放置しておっていいかどうかです。とにかく、離職金なんか出す場合にはやらないわけですよ。いわゆる通産省のいま出ております鉱山保安臨時措置法にしても、石炭鉱業合理化法にしても、これは労働者の対象から除かれておる。労働省はその点は親切に、組夫でも炭鉱労働者として同じ扱いをしてくれておる。本来これは主客転倒しておりはしないですか。労働省のほうはむしろ、職業安定法の関係からいえば困った存在なんですよ。こんな組夫なんかというのは、実は安定行政からいえば困っておるのです。それでもめんどうを見てくれておる。通産省のほうは、自分のところは炭鉱を維持するために必要だというならば、金ぐらいやってもいいでしょう。同じような扱いをしていいでしょう。一体、次官はどういうふうにお考えでしょうか。
#52
○岡崎政府委員 先ほど来からの先生のいろいろ御指摘になりました点について、通産省としてのいろいろものの考え方、調査のしかた、そういう点についても相当考慮すべき点があるように思いますので、将来十分にその点につきまして深甚の考慮を払っていきたいと思います。
#53
○多賀谷委員 いずれ有沢答申が出ますと、今後の石炭政策に関連をして大きな部分を占めるわけですから、私はやはりこれらについてもいずれかはっきりさすべきだと思う。全体的な問題として、ことに二倍も災害率があるという、こういう状態は放置できない。ですから、組夫を相当入れなければならない炭鉱は、もう閉鎖するなら閉鎖してもやむを得ぬのです。こういうような労働条件で放置しているのですからね。まあ組夫だっていろいろあるわけです。ですから、最近の組夫が社会環境に及ぼす影響というものはものすごいものですよ。第一、教育でもそうてす。ふらっと来るのです。知らぬ子供がすわっておるわけです。きみはどこから来たのかと言ったら、どこどこから来ました。学籍簿も何も持ってこない。それで先生はそこに照会して、その学籍簿がよその学校からきたころには生徒がおらぬのですよ。こういう状態。それから、入れ墨なんか入れておるわけです。非常に環境を悪くしておる。昭和の時代に入ってから各山とも、ことに戦後はそういう点に非常に注意を払って、入れ墨なんか入れておったら大手なんかは雇わぬというくらいに、いわば環境の整備をしたわけです。それが最近全くくずれているのです。ですから優秀な鉱員は、それを見ただけで出ていくわけです。とてもこんなところで子供の教育はできぬと言って連れて行くわけです。そうして炭鉱はその日その日をかせいでいるという状態です。
 私は組夫の一点について申し上げましたが、その他災害の問題。災害が相当頻発しているし、頻発する可能性が出てきている。ぼくは名前は言いませんけれども、この石炭特別委員会が九州に調査に行ったときに、三池のような災害が二、三カ所起こるような可能性があったということを報告しております。それはたまたま人がいなかった、あるいは不幸中の幸いにしてそのときは休みであったとか、そういうことで事件は起こらなかったが、三池と同じ規模の災害が二、三カ所実は起こる可能性があったのです。災害そのものは同じものが起こっているわけです。ただ人が死んでいない、こういう状態で救われているわけです。最近は保安が非常に悪くなっている、こういう状態になっている。これらをひとつ十分考慮していっていただきたいと思います。
 質問はあと後日に譲って、きょうはこれで終わります。
#54
○中村委員長 次会は来たる七日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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