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1964/12/19 第47回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第047回国会 石炭対策特別委員会 第8号
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1964/12/19 第47回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第047回国会 石炭対策特別委員会 第8号

#1
第047回国会 石炭対策特別委員会 第8号
昭和三十九年十二月十九日(土曜日)
   午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 有田 喜一君
   理事 壽原 正一君 理事 中川 俊思君
   理事 中村 幸八君 理事 多賀谷真稔君
   理事 滝井 義高君 理事 中村 重光君
      西岡 武夫君    廣瀬 正雄君
      三原 朝雄君    井手 以誠君
      岡田 春夫君    田原 春次君
      細迫 兼光君    細谷 治嘉君
      松井 政吉君    八木  昇君
      伊藤卯四郎君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        文 部 大 臣 愛知 揆一君
        厚 生 大 臣 神田  博君
        通商産業大臣  櫻内 義雄君
        労 働 大 臣 石田 博英君
        自 治 大 臣 吉武 恵市君
 委員外の出席者
        大蔵政務次官  鍛冶 良作君
        大蔵事務官
        (主計局次長) 鳩山威一郎君
        大蔵事務官
        (理財局次長) 佐竹  浩君
        文部事務官
        (初等中等教育 福田  繁君
        局長)
        文部事務官
        (体育局長)  前田 充明君
        厚 生 技 官
        (環境衛生局
        長)      舘林 宣夫君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  尾崎 嘉篤君
        厚生事務官
        (社会局長)  牛丸 義留君
        厚生事務官
        (保険局長)  小山進次郎君
        厚生事務官
        (年金局年金課
        長)      曾根田郁夫君
        農林政務次官  舘林三喜男君
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  大慈弥嘉久君
        通商産業事務官
        (石炭局長)  井上  亮君
        通商産業事務官
        (鉱山保安局
        長)      川原 英之君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      有馬 元治君
        自治政務次官  高橋 禎一君
        自治事務官
        (財政局財政課
        長)      岡田 純夫君
    ―――――――――――――
十二月十九日
 委員岡田春夫君及び松井政吉君辞任につき、そ
 の補欠として田原春次君及び細迫兼光君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員田原春次君及び細迫兼光君辞任につき、そ
 の補欠として岡田春夫君及び松井政吉君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月十八日
 一、石炭対策に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭対策に関する件(石炭対策の基本施策)
     ――――◇―――――
#2
○有田委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長が所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 石炭鉱業調査団の答申を中心に石炭対策の基本施策について質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
#3
○多賀谷委員 昭和三十六年から炭労が石炭政策転換闘争と称して、キャップランプをつけ、きゃはんを巻いて上京して以来、この問題は大きな政治問題になりました。そうして本院においても、本会議で石炭危機打開の決議案をなし、さらに三十七年においては、ゼネストを前にして総理と炭労とが会見をするという状態が起こり、ここに第一次有沢石炭鉱業調査団の編成を見て、そうして有沢第一次答申は、私企業の範囲における決定版であると公称せられた答申が出たわけです。この答申がわずか二年にして崩壊をしたというこの原因はどこにあるか、これを大臣はどういうように把握されておるか、お聞かせ願いたい。
#4
○櫻内国務大臣 非常に広範囲な御質問でございまして、簡単に一言でお答え申し上げることに戸惑うわけでございますが、経済成長施策の遂行に伴う労働力の不足、あるいは社会経理の行き詰まりというようなことがおもなる原因になっておると思うのであります。答申の目標といたしました人員整理が逆に労務者不足の現象を呈したというのも、そのあらわれではないかと思います。また、千二百円の炭価の引き下げを目標にいたし、能率もあげてまいりましたが、会社の経営がうまくいかないというのもそのあらわれではないかと思うのでございます。もちろんそれだけが主たる原因だとは言い切れません。いろいろな諸事情が総合された結果が御指摘のようなことに相なった、かように認識をしておるような次第でございます。
#5
○多賀谷委員 大臣のおっしゃったことは、根本的原因からくる結果についてお話しになっただけで、たとえば労働者の不足であるとか、あるいは経理状態が悪化したとか、これはあらわれた結果です。その根本原因は何であるかというと、これは第一次有沢答申が、自由企業であるということを忘れておる。すなわち、私企業でありますから自由競争をするわけです。スクラップにおきましても、計画的に会社はいたしません。幾ら役所が計画的にスクラップをして、そうしてそのスクラップは年次四十二年までに逐次行なうといいましても、現実の会社は一斉に競争を始めるわけです。ですから各社とも、政府の計画ではたとえば三十九年度にスクラップをする予定の会社でも、その炭鉱は三十七年度においてスクラップをする、こういうように一斉に各会社がスクラップ競争をしたところに第一の原因があると思う。歯どめのなかったところに、私はこの答申の失敗があったと思うのですよ。結局幾ら計画をしても、会社は私企業ですから、一人が走ればついて走ります。ですから競争におくれないように一斉に三十七年から三十八年においてスクラップがあらわれてきた、こういう状態です。あれだけ解雇に対して反対をしてきて、そうしてこの国会を取り巻いたあの労働者が、山を見限って離山をしていくということは、私は、全く考えられない状態がきた、こういう感じです。とにかく百年もおそらく続くであろうといわれた炭鉱、そうして二本の立て坑を建設して、その竣工した翌年にスクラップというのですから、これはだれが考えてもたいへんな状態だと想像をしたわけです。そこで労働者のほうは、あれだけ炭鉱に執着をしたけれども、もうこれではいかぬと見限って、そうして早くやめたほうが勝ちだという空気が醸成された。私が非常に遺憾に思いますことは、総理にもこの点だけは個個の問題ですが、ぜひ聞いていただきたいと思うのですが、たとえば大正炭鉱です。これは佐藤総理大臣が通産大臣のときに、この炭鉱の再建のために労働者の半数を解雇する、こういう合理化案を、当時の通産大臣、またわれわれを含めて説得をしたわけです。そのとき労働者の多くの人々が反対をした、そうしてやっと半数の人々が賛成をしてくれて山を守ってくれた。ところがその山を守ってくれた労働者は、その後非常な苦労をいたしましたが、ついに御存じのようにこの十五日に会社は解散をいたしました。ところが前にやめた労働者よりも、あとにやめた、すなわち炭鉱と運命をともにした労働者のほうが退職金が少ないという状態が起こっておる。だから結局、最後まで山を守った者は損をするという現象になっているのです。そういう状態になれば、だれでも少し危険信号が出れば早くやめる。いまのうちに退職金をもらっておかなければ、山と運命をともにしたら退職金をもらいそこねるという空気になるのはあたりまえです。ですから、これは単なるムードではないのです。現実の姿が、早くやめたほうが得だ。ですからわれわれも、個人で相談においでになればほんとうに困るんですよ。ですからそういう現実面として、ただ空気じゃなくて、現実的に炭鉱の閉山までいた者は損をするという状態になっておる。これが最も離山を多くした原因ではないか、こういうように私は判断をするわけです。そこで第一次答申の失敗は、結局プランはできたけれども歯どめがなかった、こういうことに尽きると思う。そこで第二次答申も、私はその面において、ただ答申に終わり、机上プランに終わっては、これは全くあれだけ御足労をかけ、約五カ月間心労をわずらわした学者先生方にはなはだ申しわけないと思う。一体第二次答申に対して政府はどういうように基本的にお考えになっておるのかお聞かせ願いたい。
#6
○櫻内国務大臣 第二次の答申は、言うまでもなく、十六日に私が受け取ったのでございまして、まだ十分この内容について検討はできておりません。しかしながら、ただいま第一次から第二次に至る経緯についてのお尋ねがございましたが、それらの点につきましても、何項目かここに書かれております。そして、今後の方針としては、この総論の中に、労働者の離山ムード、出炭の不振、保安条件の悪化、鉱害処理のおくれ、産炭地域における、炭鉱を中心として生活する中小商工業者の窮状等について、根本的には炭鉱経営の不安定ないし企業収支の悪化について触れておられるのであります。したがって、この答申に基づいて、石炭鉱業の安定化のためには、まず第一にはこのように悪化した企業収支の改善をはかって、そうして従業員の方々が安心してこの石炭鉱業に今後においても従業できるような、そういう環境、条件をできるだけすみやかにつくっていかなければならない、こういうふうに、答申を受け取った一応の検討としては考えておる次第でございますが、いずれにしても非常に広範囲にわたるところの、また詳細にいろいろと分析をされたところの答申書でございまして、ここで軽率に、簡単には申し上げかねると思いますが、一応お答えとしては、企業の安定のために努力をいたしたい、こういうことになろうかと思います。
#7
○多賀谷委員 四十年度予算編成を前に所管の通産大臣がそんな腰まえでは、私はできないと思うのですよ。これは調査団の答申というけれども、率直に言いますと、各官庁と調査団の合作ですよ。大臣は逐次聞いておられるのですよ。私は形式論を言っておるのじゃない。実際がそうなんです。ですから、少なくとも所管大臣は、この点とこの点はいつやるんだ、この点は何年度から予算を組むんだ、もうこれをずっと見て、これは四十年度はとてもむずかしい。これは四十一年度だ、いや、これは四十年度から実施するんだ、こういう少なくとも、大蔵省は別としても通産省の腹がまえがきまっておらなきゃならないでしょう。その答申はなるほど十六日にされたけれども、逐次いままで経過があるでしょう。この予算編成期に入った時期においてもう大臣は適格な指示をしないと、予算要求だってできませんよ。ですから、答申が出たら、答申は形式的にざっと見れば、この項目はこうだということはぱっと入っているくらい勉強されておかなければ、この困難な石炭危機は乗り切れませんよ。ですから、この答申を一体どういうふうにするのかお聞かせ願いたい。
#8
○櫻内国務大臣 多賀谷委員のお尋ねについては、非常にお答えにしにくい点がございます。これは私がいま申し上げるまでもなく、この調査団におきましても、また石炭鉱業審議会におきましても、十六日の答申が出る直前まで、たとえば価格差補給金でやるのか、あるいは炭価の引き上げはどうするのか、あるいは利子補給はどの程度か、またいずれをとるがよろしいかというような、最も焦点となるべき点についても議論が百出しておったことは御承知であろうと思うのであります。したがって、通産省の責任ある立場といたしましては、この答申のいかんにかかわらず、石炭についてはどう考えるのか、こういうことでもちろんわれわれとしてはいろいろな積算をしておったのでございまして、すでにこれは御承知であろうと思うのでありますが、百三十七億円に及ぶ概算要求はしておりまして、この答申の中にある事項につきましても当然考えられるような問題点につきましては、いずれも通産省独自の見解の上に計数をはじいておったような次第でございます。したがって、お話のように通産省は逐一報告を受けておって、それがそのまま今度の予算の折衝にすぐ反映できるのではないか。この調査団の報告を逐一受けまして、そしてその計数をはじくというようなことはいたしておりません。しかし、通産省の責任として計数を立てたものはいま申し上げたようなことに相なっておる次第でございまして、答申に伴う手直し等につきましては、本日の予算原案ができるに際しまして間に合うものはある程度織り込むようにいたしております。
#9
○多賀谷委員 きわめて不明確な答弁だと私は思うのです。他の関係の省との関連においてまだ意見がまとまらぬというなら別として、少なくも通産省としてはまとまっておらなければならぬですよ。もう十六日から十七、十八、十九日にきているわけです。事態は切迫しているわけですよ。私たちも第一、炭価の値上げの問題、これについては議論があります。これは根本的にはむしろエネルギー調整をおやりなさい。なぜ日本の炭鉱だけがこういう苦しみを負わなければならぬのか。御存じのように、いま日本の炭価は外国に比べて決して高くありません。大体イギリスでトン当たり六千円。西ドイツで五千五百円、日本において消費者平均で四千三百円です。ところが重油はイギリスが一キロリットル当たり一万三千円、西ドイツで八千円から九千円しております。日本においては六千五百円。これはC重油です。そして西ドイツにおいては一億四千万トン、イギリスにおいては一億九千万トンから二億トン、こういうように使っておるわけでしょう。ですから、こういった西欧の国において、もちろん西欧の国でも石炭の状態についてはいろいろ問題があるのだけれども、しかし現実こういう政策が行なわれておるわけですね。しかも御存じのように、答申が出されました三十七年においては、月の能率が二十四・九トンでありました。いま答申の最終年度の三十八・六トンに近づいて三十八・一トンになっているでしょう。労働者のほうは四十二年を待たずして人間も減ったし、能率もあげておる。そして炭価も千二百円引きをした、こういうように努力をしておるのに、企業の大手十七社のうちで、この答申をもってしても十一社はつぶれるであろうと、こういっておる。それは石炭協会の有力な社長が言っておるのです。この第二次答申をもってしても、十七社のうち十一社はつぶれるであろう、こういうような事態になっておる。それなのに、まだ通産省は、これについて的確な判断が大臣にできぬというのは、私は石炭に対する熱意がないと疑わざるを得ないのですよ。一体なぜ総合エネルギーの中における石炭の位置づけが日本だけできないのか、これをまずお聞かせ願いたい。
#10
○櫻内国務大臣 いま、この答申に基づいても十一社とか十二社つぶれるであろうというようなお話がございましたが、私の承知しておるのでは、この答申を実行していく以上におきましては、まず大手の十二社、十三社は企業の安定をするであろう、たしかそういうふうになっておると思います。
 それから、総合エネルギーの中の石炭の位置づけについてのお話でございますが、私がしばしば申し上げておるところでございますが、国内エネルギー資源として石炭はきわめて重要である、したがって国家も非常な犠牲を払いながらこの石炭企業の育成に努力をしておるのだ、こういうことを申しておるわけでございます。もとより電力あるいは石油の関係それから天然ガス、それらをみなにらみ合わせて、今後もっと掘り下げた総合エネルギー施策の必要は当然でありましょう。あるいは今後の原子力の関係もよく頭に置いて遂行していくべきであるとは思いますが、しかし現状におきまして、有力なる国内資源のエネルギー資源である、こういうふうに考えております。
 さらに、先ほど申し上げたことに少し付言をしておきますが、私がいかにも石炭施策に不熱心のように御指摘でございました。しかし十六日の答申を受けまして、そしていま私自身がその答申に基づいて完全にこれらを施策の上に反映しておるのだ、こう申すほうがかえって軽率ではないか、こう思うので慎重にお答えを申し上げておるようなわけでございますが、予算のほうにつきましては、先ほど申したとおりに、必要のあるものにつきましてはすでに追加要求をしておる。その追加要求の総額につきましては六十二億円ほどになっておりまして、当初の概算要求とともに百九十九億円、約二百億円という、通産省の予算要求の中では最大の額を占めておるような次第でございますので、一言つけ足してお答えをさしていただきたいと思います。
#11
○多賀谷委員 私の意見を述べながら質問をすると非常に時間がかかるが、しかし若干意見を述べないと質問にならないので、時間の関係で非常に困っておるわけですが、ごく簡単に意見を述べながら質問をしたいと思うのです。
 御存じのように、欧州では石炭というのは総合エネルギーの中で判断をされておる。そこでいわばエネルギーの調整金という形では直接ないでしょうけれども、イギリスにおける重油に対する関税処置、あるいはまた西ドイツにおける重油消費税の形、こういう問題が出ておる。日本においても、御存じのように、通産省の所管の銅地金並びに銅鉱石を輸入する場合には国内産のものとプールすることになっておるのです。こういう制度があるのに、なぜ石炭は他の重油等のエネルギーと調整できないのか、こういう点を私は質問をいたしたいと思うのです。これがどうしてできないのだろうか。しかも日本の石炭は非常に高いというなら別として、また能率が悪いというなら別として、能率はいま西欧並みになっておる。そうして第二次答申をもってしても多くの企業が救われないということを現実に有力な経営者が叫んでおる。一体通産省はそれらの点についてどう考えるか、お聞かせ願いたい。
#12
○櫻内国務大臣 エネルギー資源の施策いかんによりましては、日本の産業全般に影響の大きいことはいまさら申し上げるまでもないと思うのであります。そこで施策について非常に慎重を要するわけでございますが、いま外国の事例で、プール計算をしておるじゃないか、あるいは日本の銅の場合などを御指摘でございました。私もそういうような思い切った措置があまり影響なくでき得ますならば、それも一つの考え方かと思います。しかしなかなかそこまで踏み切れませんので、現状におきましては、プール計算とは若干違いますけれども、重油の関税を取って、その関税の還付というような形におきまして、そういう面で多少油と石炭の調整がされておる、こういうことでございます。
#13
○有田委員長代理 多賀谷君にちょっと申し上げます。神田厚生大臣がお見えになっておりますが、十一時半に御退場になりますので、もしおありになるならば神田厚生大臣に・・。
#14
○多賀谷委員 基本的な問題をさらに質問いたしたいと思いますけれども、いま委員長からお話がありました厚生大臣の時間の都合がございますので、厚生大臣に一点だけ質問し、他の分を滝井委員から質問をしていただきたいと思います。
 労働者が一番炭鉱に対して不安を持っておるのは、何といっても将来性の問題です。いまつとめておる炭鉱で自分が一生つとめ抜くことができるかどうかというのが、これは何といっても私は、日本の雇用形態が終身雇用制である以上、当然な不安だと思う。最も働き盛りの中年になって、ぽんと炭鉱が閉山になる。これはだれの身になっても非常につらい。そこで、将来の炭鉱のビジョンというものが問題です。
 厚生大臣に私がお尋ねしたいのは、Aという炭鉱がつぶれ、しかし自分はBという炭鉱に行く、こういうふうに炭鉱労働者は転々とする。そこで退職金というものを通算するという制度も必要でしょう。しかしいま考えられるのは、やはり年金の問題です。とにかく炭鉱労働者になれば老後に年金がもらえるのだという夢があれば、私は若い労働力も導入することができると思うのです。それがいまのような状態では、御存じのように、退職金もほとんどもらえず、厚生年金も、今度お上げになるわけですけれども、しかし一万円ベースといわれるのは、いまからかける人は確かに将来一万円になるのですけれども、現在の諸君が、あるいは受給されている諸君が、すぐ一万円になるわけじゃない。そこでどうしても、全労働者について厚生年金を引き上げるということが必要でしょうが、少なくとも地下産業の労働者というのは、御存じのように特殊労働者です。ですからこの特殊な労働者、あれだけ高熱で、しかも危険度の多い仕事に参加した労働者のいわゆる報酬として、老後だけは安定だという保障をしてやりたい。それがためには、どうしても養老年金であるとか、あるいは厚生年金というものの抜本的な対策が必要ではないか、こういうように考えるのですが、大臣はこの答申に労働対策として書かれております「現在予定されている厚生年金保険法の改正後の措置のほか、炭鉱労働者に対する特別の年金制度についてなるべくすみやかに検討する。」この答申を受けられて、どういうように対処するつもりであるかお聞かせ願いたい。
  〔有田委員長代理退席、壽原委員長代理着席〕
#15
○神田国務大臣 ただいま多賀谷委員がお述べになりましたように、炭鉱の性質上、炭鉱労務者のいわゆる労務問題と申しましょうか、将来の年金の問題、ことに現在置かれている環境、そういう点について、私はやはり多賀谷君と同じような考え方を持っております。特にわが国の炭鉱の賦存度が御承知のとおりの状況でございますから、どうしても一定のところに終生を打ち込むということはむずかしいのじゃないかと思うのです。いま提示されたような問題が、やはり今後継続していくと思います。そこでこういう労働条件の悪いところに終始される労務者の将来というものについては、私は十分政府の政策として考えていくべきことだ、こういうふうに考えております。ことに、石炭調査団からいまお読みになったような答申も出ておりますから、十分ひとつ検討いたしまして、まだいろいろ御相談をする機会もあろうかと思いますが、検討したい、こういうふうに考えております。
#16
○多賀谷委員 この第二次有沢調査団の答申を見て、労働者の離山ムードをとめることができるかどうかという点について、私は非常に疑問を持っているんです。これにはかなり期待をしておったと思うのです。要するにこの答申が出ることによって、それがよければ自分は炭鉱におる、悪ければ出ていくという労働者が相当私はいたと思うのですよ。ですからこの答申に期待をしておった労働者を裏切らないためには、一番の問題は賃金でしょうが、その次は何をいっても老後の問題です。これを政府が早急に検討を約するかどうか、そうして四十一年度にはこの制度を実施する、こういう約束ができるかどうか、これをひとつお聞かせ願いたいと思う。
#17
○神田国務大臣 期限つきのお答えをここにしろということは、そこまで考えておりませんが、しかし問題の性質上、答申も受けて勧告を得たわけでございますから、急いでひとつ検討してみたい。まだ答申後間もないことは、御承知のとおりでございます。それから期待されていることも事実だと思っております。あたたか味をもって十分ひとつ善処しよう、こういうふうに考えております。
#18
○多賀谷委員 労働者の心理からいうと、いま猶予のできない時期なんですね。ですからこれをゆっくりおやりになっておったんじゃ意味がない。そのときには労働者がもういなくなるわけです。この答申を契機に一斉に作業を始めるという、こういう体制が望ましいのです。ですから特別委員会か何か持たれて、あるいは労働省と一緒に厚生省のほうで何かそういう制度を持たれて、あとから出ます石炭鉱業の退職金の基金制度というものと一緒にして、直ちに厚生省と労働省のほうで委員会を持たれるなり、あるいは調査会を持たれるなりして、発足される意思はあるかどうか、これをお聞かせ願いたい。これは猶予はならないのですよ。ゆっくりどっかの隅でやっておったのでは、労働者のほうはどんどん出ていくわけですからね。
#19
○神田国務大臣 これから進めていこうということになりますれば、いまお話しのように、これは労働省と十分連絡をとる問題もございます。また労働省の側でも当然そういうふうに考えておると思いますから、政府部内の意見をひとつまとめまして、いまお話しのように、逃げていってからになっては何にもならぬわけですから、十分検討して、そして期待をされておる点にこたえていきたい、こう考えております。
#20
○多賀谷委員 これは御存じのように、金の要るのはすぐじゃないのです。ですから制度を早くつくって、今度の通常国会の中ごろでもいいですから法律をお出しになれば、実施は四十年の九月からでもいいのです。とにかく制度を早くつくって乗り出すということが必要じゃないか、こういうように思うのです。
 もう一点、これは有沢先生からも聞き、フランスでもこういう制度をとっていると聞くのですが、御存じのように炭鉱は、若いうちは請負給ですから、賃金が高い。ところが年次生活費が、学校に子供が行くとかいうふうになって多く要るところになると、賃金が低下するわけです。ましてや五十を過ぎますと坑内に入れない。そうしていわば地上勤務になるとか、あるいはわりあいに軽い勤務になる。そうすると賃金はがた落ちをする。いま年功序列賃金の問題がかなり大きな問題になっているのですが、逆を行っておるわけです。そこで西ドイツでは、五十歳から厚生年金と併給をしているのですね。働きながら養老年金をもらっておる、こういう状態です。日本でも御存じのように、法律は、最初できました昭和十七年には、五十歳から坑内夫は厚生年金がもらえるようになっておった。それを昭和二十九年に改正して、五十五歳にしてきたわけですね。私は、これは今後の賃金政策とからんでひとつ考慮をしていただきたい、こういうように思うわけです。ひとつ検討を約してもらいたい。
#21
○神田国務大臣 いまのような例も含めて、それからまた、いま例をあげられたフランスとか西ドイツとか、いろいろ国々の特質もあり、いろいろな立法例があろうかと思います。そういうことを十分参考にいたしまして、そうしてひとつ答申にこたえたい、労働者の期待に沿いたい、こういう気持ちでございます。
#22
○多賀谷委員 大臣御存じのように、門鉄志免を民間会社に払い下げるという問題で労働者が反対しましたね。反対した根拠は何かというと、率直に言うと、共済年金です。国鉄におりたい、それは、年金がつくのだ、こういうことですよ。それは単純ですわ。民間会社に行けば年金をもらえなくなる。ですから私は、いま炭鉱労働者を集める道は、最も大きなファクターは、若い労働力はこれだと思う。ひとつ十分検討を推進をしてもらいたい。
#23
○壽原委員長代理 滝井委員。
#24
○滝井委員 いま厚生年金については多賀谷さんがお尋ねになりましたが、大臣御存じのように、厚生年金法の改正というのが次の通常国会に出てくるわけです。今度の改正というのは、いわば日本の厚生年金制度に非常に大きな方向転換を与える画期的な改正であることは、大臣御存じのとおりであります。というのは、企業年金というものが今度できてくるわけです。いわゆる調整年金ができてくるわけです。したがって、退職金というものが今後くずれていくことになるわけです。そういうときに炭鉱労働者の問題が偶然に登場してきているわけです。多賀谷君が御指摘になったように、かつて五十才からもらっておったものを改悪をして五十五才にしたという歴史的な経過もあるわけです。そこで、厚生年金法を改正してそのあとにやるというのでなくて、いますぐ金が要るわけでないのだから、国会に提出する前に、この際すみやかにひとつ御検討になって、次の通常国会にはあわせて出していただきたいと思うのです。もし大臣のほうでお出しにならないとすれば、率直に言いますが、われわれのほうで出します。そして、それをのんでくれない限りは、厚生年金法を通すわけにいかぬということになるわけです。強引なことを言うようにあるけれども、片や瀕死の急病ですから、これがいま多賀谷さんが言うように石炭企業の難山ムードを防ぐ重要な歯どめであり、若い労働力を炭鉱に導入する一つの重要なてこになるとすれば、やはり緊急性を持っているわけです。それを、厚生年金が今度通って、そのあとでゆっくりということになると、その後には今度は国民年金が出てきて、なかなかそんなことに手が回らぬことになってしまうのです。だから、この際はひとつ、速急なことを言うようにあるけれども、やはり政治は緊急性のものから先に解決しなければならぬので、この点はもう一回ひとつ考え直して、年金局長が来ておればよくわかるのですが、御相談になってきめていただきたいということだけを要望しておきます。
  〔壽原委員長代理退席、有田委員長代理着
  席〕
 次は、時間がありませんから、まず第一が水道、第二番目が炭鉱の医療問題の中における健康保険組合の財政の問題、この二つを先に尋ねます。
 そこで、先に、共通の土俵で議論をしなければなりませんので、通産省のほうにちょっとお尋ねしておきたいのですが、炭鉱の終閉山という場合に、終山というのはこれはわかります。もう掘る石炭がなくなったのは終山です。閉山というのは、いままで三千人、四千人使っておった第一会社が、急激に今度は百人か二百人の第二会社に縮小してしまった、こういうときはこれは閉山と言うのか言わないのかということです。これは今後の政策を立てる上に非常に重要な問題点になってくるわけです。これをまず先に明らかにしておいていただきたい。
#25
○櫻内国務大臣 解釈の問題でございますので、場合によっては政府委員からお答えさせますが、いま御指摘のように、何千人かを雇っておった山が百人二百人になる、こうなりますと、これは縮小というふうに私は解釈をいたしますが、もし私の解釈が不十分でございますれば、政府委員をしてお答えさせます。
#26
○滝井委員 その前に労働者は全部退職金ももらって、そしてその第一会社とは縁が切れてしまっておるわけです。そうして、全く重役構成も何も違った新しい第二会社に雇用されるわけです。新しくできたわけです。そうすると、それは縮小ということになると――これはいままで終閉山ということばを至るところで使ってきているわけです。だからあなたの言うように、それはもとの山が生きておるのだということになると、失業保険その他の関係も全部違ってくることになるわけです。
#27
○櫻内国務大臣 いま御質問を詳しく承れなかったので、お答えが不十分だったと思います。局長がおりますので、政府委員からお答えさせます。
#28
○井上説明員 お答え申し上げます。第一会社が縮小ないし閉山をいたしましてあとに第二会社ができました場合には、これは鉱害処理等の面では一応閉山扱いをいたしております。しかし先ほど大臣お答えになりましたように、この閉山あるいは第一会社から第二会社への移行というような形態にはいろいろなケースがございます。ピットを一部閉鎖するというような考え方もありましょうし、あるいは閉山の形をとる場合もありましょうし、あるいは閉山の形をとらないで第二会社になる場合もあります。しかし、おそらく私の想像では鉱害にからんだ御質問だと思いますので、その場合にはいわゆる閉山扱いにいたしております。
#29
○滝井委員 いいです。鉱害に関連をしたときは、第一会社が第二会社になった場合には、それは縮小ということもあるけれども、鉱害に関連しては閉山である、こういうことですね。これは政府の統一見解として了承して差しつかえありませんね。政府の統一見解として了承して差しつかえないかどうか。
#30
○櫻内国務大臣 さように考えてよろしいと思います。
#31
○滝井委員 これで統一見解が出ました。そこで神田厚生大臣になるわけです。
 この答申において大臣に関係するところは水道です。あとの鉱害のことはまた櫻内さんにお尋ねしますが、厚生大臣所管の水の問題は命に一番関連するところです。先般、といっても今年の三月に、炭鉱が終閉山をして、そして市町村に水道を移管する場合にはこういう処置をとるという政府の統一見解を出したわけです。そのときに炭鉱の終閉山というのがあったのを、終閉山というのを私が主張して消したわけです。そしていかなる形であれ、炭鉱の持っている水道を市町村に移管する場合には、その水道についてはまず二割五分の補助をいたします、さらに残りの七割五分については起債を認める、その起債の償還にあたっては、元利を特別交付税で見ます、こういう約束ができたわけです。そこで今度の答申ではそうした終閉山がまた生き上がってきているわけですが、しかしいまのように、鉱害に関しては、これは第二会社になっておっても、継続ではない、終閉山になります、こういうことになれば問題なく適用されることになるわけです。そこで厚生省としては、まず第一に、水道の補助率というものを大幅に引き上げるということを、とにかくこの前の三月の時点において約束をされておるわけです。その水道の引き上げがない限りにおいては、昭和四十年度以降においては、自治省としては、特交では認められませんというのが自治省の見解です。そこでこれはまずあなたのほうが水道の補助率の引き上げを約束をしなければいかぬことになる。その水道の補助率というものは、一昨日の有沢答弁によるとどういうことになったかというと、鉱害の補助率は特鉱並みにいきます。こうなっておるわけです。特鉱の水道の補助率は知っておるでしょうな。
#32
○神田国務大臣 有沢調査団の答申もいまお述べになったとおりで、十分いま検討を加えておりますが、われわれといたしましては、来年度の予算に補助率の引き上げをひとつ予算化したい、こういうことで折衝を進めております。
#33
○滝井委員 特別鉱害の補助率は、当初特別鉱害の法律ができたときには、上水道は五割だったのです。ところがこれが三十一年に改正をされて、国が八割五分見ることになっておるわけです。そこで有沢さんは、一昨日、私たちの補助率の引き上げというのは特鉱並みです、こうおっしゃっておるのです。この点を通産省なり厚生省が堅持をしておいてもらわぬことには、なかなか問題が進まぬことになるわけです。一体水道の補助率は幾ら出しているんですか。
#34
○神田国務大臣 三分の二ということに交渉をいま進めておりますが、調査団の答申がそういう意味だというならば、ひとつまたそういうことで考えなくちゃならぬと思いますが、いま三分の二ということで・・。
#35
○滝井委員 いま言ったように、特鉱は八割五分ですからね。三分の二だったら七割にならぬわけです。非常に低いのです。だから、これはひとつ頭の切りかえをやっていただいて、答申を尊重するのですから、まずこれをがんばってもらわなければならぬということが一つです。これはぜひがんばってもらわなければいかぬところです。これはいま大蔵省がおれば確認をしなければならぬことになるわけですが、そうしますと、いまあなたのほうは補助率の引き上げというものをがんばるということは明白になってきた。三分の二を要求しているんですからね。有沢さんよりか低い七割前後を要求している。有沢さんは八割五分でよろしい、こうおっしゃっているんですから、これはどんなことがあったって三分の二を下がったらいかぬし、三分の二以上にしてもらわなければならぬということは確実です。
 もう一つ水道に、特別鉱害の水道の復旧の問題、いわゆる閉山炭鉱の移管の問題が起こっておるわけです。これは十八日までに政府の統一見解をしてもらうことになっておるわけです。きょうはもう十九日ですから、一日過ぎておるわけです。この問題は一体どういうことになったのかということです。
#36
○舘林(宣)説明員 お答えいたします。特鉱水道でありまして閉山に伴いまして市町村移管の形になる水道の修理復旧の費用に対する国庫の補助並びに起債に対する措置の問題でございますが、これに対しましては、大蔵並びに自治両省と検討をいたしておるわけでございますが、遺憾ながら今日までのところ事務的に最終的に固まった意見ができ上がっておらないのでございます。基本的な考え方といたしましては、補助金として政府としてもある程度配慮する必要がある。ただ従来、特別鉱害として市町村水道に対する補助が行なわれてきておりますので、その分との重複がない形で国庫補助の扱いをいたしたい、かような方向で現在話し合いが進められております。
#37
○滝井委員 予算が閣議できょう三時から決定されるわけです。こういう緊急な問題、これはすでに国会がことしの三月から問題にしているわけです。そんなに目の玉のひっくり返るような大きな問題ではないわけです。しかし、現地においては非常に緊急性を要請されている問題です。こんなものをどんどん引っぱる必要はないんです。引っぱるならもうちょっと大きい問題のところで、厚生年金の国庫負担をどうするか、医療費の財政負担をどうするかというところでひとつ厚生省と大蔵省とが血道を上げてもらいたいんです。こんなところはもう即断即決でやってもらいたい。みんな気息えんえんたる状態にあるんですよ。それを、この水の問題をじんぜん日を過ごしていくというなら、これは処置ないです。だからきょうは、ひとつここで、やるならやるということをはっきり言ってもらいたいんです。私たちはわざわざきょうは佐藤内閣の不信任案をかけてやってもらっておるんですからね。やらなかったら不信任を出すぞということで、きょうは総理大臣にも来てもらうということでやっている。真剣ですよ。産炭地の議員は、少なくとも石炭関係の議員というのは、ここにいらっしゃる人はみんな真剣にやっているんです。だからこそわざわざ理事会を開いて、十八日までに政府の統一見解を出してもらいたいということを言っているんです。それをまだじんぜん検討するといって、いつまで検討したらいいんですか。だからきょうは、やるならやる、やらないならやらないということをはっきり言ってください。いまできなければ、総理が来ればまた聞きますからね。総理が来るまでにひとつやってくれますか。大蔵省はどうしているのですか。大蔵省、ちょっとこっちへ出てきてください。けしからぬ、大蔵省は。それでは、三時の閣議決定前までにもう一ぺんこれはやりますから、ひとつ留保しておきます。
 次は、炭鉱の健康保険の問題です。御存じのとおり、炭鉱の健康保険組合というのは、労働者がぐっと減ったし、それから継続給付が多くなってきた。そうして、もう全く火の車になってしまっております。現在、健康保険に対する補助というのは、二億円昭和三十九年度の予算には組んでいるわけです。ところが大蔵省のほうで、ことしの予算要求というのは三割増が限界だというので、三割増加すれば六千万円程度増加するから、二億六千万円かそこらしか要求できないことになるわけです。それでは十六万人の炭鉱労働者をかかえている炭鉱の健康保険組合としては、どうにもならぬという状態です。しかも、この二億円余りの金というものは、そのほかに駐留軍の組合等も苦しくなっておるし、その他の合同的な組合がたくさんあるわけですが、そういうところも苦しくなっておるわけです。そこで、これについては、やはりこの答申を契機として、佐藤さんではないけれども、心を新たにして要求のやり変えをやる意思があるのかどうかですね。
#38
○神田国務大臣 いまもお話がございましたように、実は来年度といたしまして七千万円ほど増額要求をしております。そこにいま有沢調査団の報告が出たわけでございまして、一体該当者がどういうことになろうか。これは滝井さんがお述べになりましたが、炭鉱労働者全部が該当者ではないと私は思うのです。ですから、そういう所要人員の調査も必要だろうと思いますが、いまの実際のお話としては、七千万円増額しておる、それでまかなっていきたいと思っております。しかし、お話のようにまかない切れないのだということであれば、十分検討しまして、いま予算折衝中でございますから――明日は内示があるということでございますが、御承知のように、明日の内示で予算が終わるわけではなく、いつもの例からいえば、第一次査定、第二次査定というようなものを経て固まってまいりますから、おそらく一週間ぐらい時間があると思います。十分ひとつ調べてみたいと思います。
#39
○滝井委員 小山さんいらっしゃっているが、これだけではもはやいかんともしがたいと思うのです。七千万円ぐらいの増だと、二億七千万円ですね。御存じのとおり、戦後炭鉱が傾斜生産をして、そうして労働力の確保をはかったときには、炭鉱に行けば住宅がある、それから食糧がある、年金も五十からもらえるのだ、そうしてそこには山の中でも病院があるぞ、こういうことでみな行ったわけです。ところがいまや住宅は、戦前、戦後間もなく建てたもので荒廃をしている、医療機関もばたばたと倒れてしまってない、行ったって古ぼけた炭住と労働強化以外に何もないというと、そこには離山ムードが起こるなといっても起こるですよ。だから、まず生命を守る医療、落盤があった、ガスが爆発したといったって、医療機関がなかったら話にならぬですよ。そういう点で、やはりこういうヒューマニズムに通ずるところは、勇断をもってまず優先的に処理すべきだと私は思うのです。これは小山さんのほうで事務的にどうですか、二億七千万円だけをみなもらったところで焼け石に水だと思います。といって、お隣の通産省の井上さんのほうでこの予算を確保するなんというようなことは、とても本家本元に火がついているときに手が回らない。やはりだれかが横から手をかしてやらなければならぬということだと思うのです。農繁期のネコの手も借りたいというところです。まあ小山さんのほうがネコの手になったのでは非常に失礼だと思うのですけれども、そういうところですよ。だからやはりネコの手でも貸してやる必要がある。どの程度貸してやりますか。
#40
○小山説明員 この問題については、私ども、滝井先生仰せのとおりだと考えております。元来、今度の答申をいろいろおきめいただく過程におきましても、われわれはこの問題を単に配分問題として考えてほしくない、そういうことになれば、結局組合同士で足を引っぱり合うことになって、炭鉱の組合だけについて特別ということがおのずから行ないにくくなる。しかしながら炭鉱の組合問題というのは、これは特殊の問題なんだから、その意味で大体いままできまっているものの配分としては考えないで、ワクそのものをどういう形でもいいから確保するということに重点を置いた考え方にしてほしい、こういう考え方でございました。不幸にして、どうもそこまで踏み切った答申内容にならなかったわけでございますけれども、実体はそれには変わりはございません。したがって、大臣の御指示を得て追加要求をする準備に取りかかっております。金額はまだ未定です。
#41
○滝井委員 ぜひひとつ、そこらあたりはヒューマニズムをもって、同時に勇断をもって追加要求をしていただいて、何らかやっぱり生命だけは最小限に守れる体制をつくっていただきたいと思うのです。
 それから最後に、この前予算委員会のときに私が御指摘を申し上げておりましたが、学校における先先方が生活保護事務を非常にたくさんやらなければならぬ。その場合に学校の先先の身分をそのまま確保しながら、何か厚生省で御協力を得る方法はないか、これをひとつ至急御検討願いたいということをお願いをして、神田厚生大臣も文部省も、十分両者の間で連絡をとりながらこの問題の検討をしてみようというお話があったのですが、何か御検討ができたでしょうか。
#42
○神田国務大臣 こまかいことは政府委員から答弁させますが、両省協議いたしまして、滝井さんの最も心配されたといいますか、御例示されたようなことを十分支障のないようにしたい、文部省で十分配慮したい、厚生省もお願いしましてそういう話し合いになっております。詳しいことは社会局長からひとつ・・。
#43
○牛丸説明員 主として産炭地の児童の教育扶助の問題でございますが、現在扶助につきましては社会福祉事務所がその事務をやっておるわけでございますが、教育扶助につきましては学校長にこれを委託することができるというような法律の規定にもなっておりまして、学校の先生方に実際の事務を手伝っていただいています。これは教育上の問題としても、実際にそういう児童の実態を知っておられる方は第一次的には先生でございますので、直接学校にそういう経費を交付いたしまして、そして学校から扶助の実施をしていただくということが実際に即しているということで、従来そういう実務が行なわれてきているわけでございます。それで、一般にそうでございますが、特に産炭地域におきましては、被保護者の家庭の児童が非常に多いということから、その事務が非常に繁雑であって、先生の本来の任務である教育にも支障があるのではないかというのが、ただいまの滝井先生のお話の焦点であろうかと思います。文部省のほうとも私ども連絡いたしまして、これは一般的な教職員の定員以上に、特に産炭県でございます福岡県なり長崎県というようなところには、定員のほかにカウンセラーとして特別の配慮をしていくということでございますので、私どものほうからもこれは実施の面ではぜひ学校を通じてやっていわだいたほうがいいことでもございますし、文部省とも連絡いたしまして、定員がはたしてどの程度かということはこれは私ども直接の問題ではございませんが、十分配慮するというお話でございますので、一応その実施は文部省のほうにお願いをしている、こういう実情でございます。
#44
○滝井委員 それではこれはあとで文部大臣がまいりましてから、また、社会局長だけでもおっていただいて少し詰めてみたいと思います。
#45
○有田委員長代理 伊藤卯四郎君。
#46
○伊藤(卯)委員 神田厚生大臣は十一時半までということだそうでございますので、一点だけお伺いしたいと思います。
 御存じのように、炭鉱には若い労働者が就職を求める者がほとんどないということになっております。それから熟練技能工もだんだん山から去っていくというので、今日、労働者を確保するということが炭鉱の大きな一つの悩みになっております。そういたしますと、来年度の生産計画も人的にくずれてくるということになります。そこで私は一昨日有沢団長に、炭鉱の老齢年金制の問題が答申書に出ておりますので、この問題は炭鉱の労働者に特殊な老齢年金を制定することであるのか、たとえばABCの山を転々として移り変わっておっても、それは勤続年数が加算されてそれに老齢年金を支給して老後の安定というものを確立してやる、そういう意味においての老齢年金制であるかどうか、こういうことをお聞きしましたところが、そのとおりです、こういう答弁をされておりました。そこで、ちょうどいま予算の編成期でありますから、この有沢答申を受け取られた神田厚生大臣は、その有沢答申の趣旨を具体的に生かすことについて、予算編成にあたってそのようなことを十分お心得になって予算要求をしておられるかどうか。それから同時に、それに伴うそのような法律を来たるべき通常国会に提案をされる準備をされる用意があるかどうか。この点は生産計画と炭鉱に労働者を定住させるという上についてきわめて重要な石炭政策の一環でありますから、この点についてひとつ厚生大臣のはっきりしたお答えを伺っておきたいと思います。
#47
○神田国務大臣 ただいまの伊藤さんのお尋ね、さっき多賀谷さんからもるるお聞きのとおりでございます。炭鉱労務者について今度の有沢調査団がひとつ特別な年金を検討しろ、こういうことがありますので、私はその趣旨を十分くんでまいりたい。私、非常に熱心な意欲をわかしております。しかし、すぐこの国会に間に合うかどうかということは、これから各省との連絡もございますし、いろいろ立法例等も調べて、できればやはりりっぱなものにしていきたい、こう考えております。これはさっきもお話がございましたように、すぐ予算措置をしなければならぬ問題でもございませんから、とにかくそういった熱意を込めまして、誠意をもってひとつ検討したい、こう考えております。来国会に出すんだというようなことは、まだこれから手がけるわけでございますから、そこまで間に合うかどうかということを申し上げる準備がないわけでございます。
#48
○伊藤(卯)委員 熱心にやりたいという気持ちはわかりますが、私が言っておるのは、先ほどお聞きのとおりに、単に炭鉱労働者の定住の問題のみを言っておるんじゃなくて、四十年度の石炭の生産計画に重大な関係を持つ、いわば石炭国策に重大な関係を持っておるものであるから、したがって単に厚生省だけの問題ではなくて、あるいは通産省あるいは佐藤内閣全体の石炭国策に大きな関連を持つ問題でありますから、厚生大臣はその指導的立場に立って、しかも法律を出すという場合には当然予算が伴うものでありますから、したがって予算編成の現在において、そのようなお考えがあるとするならば、当然予算折衝の上においてそういうものをお考えになって、この折衝をされなければならぬと思うし、したがって、法律提案の問題はもちろん各省との関係がありますから、それは各省と御相談になるということは当然でありますが、第一に申し上げた予算の問題がありますから、そういう心がまえで大蔵省との間にこれらの問題についての予算折衝に十分責任を持って、これは大きな問題であるから折衝していきたいという、そういう点においての強い信念というか、そういうものをお持ちになって進められるお考えであるかどうか、いま一度この点についてもう少し責任を持てる明確な点をひとつお示し願いたい。
#49
○神田国務大臣 雇用の充足からいっても、また現在労働されておる労務者の立場から考えましても、有沢調査団がこのような、検討しろというような答申を政府に出されておりますから、期待されておる点が私は多いと思う。そこでいまお話がございましたように、私としてはそういう気持ちを持っておる、非常な熱意を持っておる、しかしこれをどういうふうに持っていくかといいますと、まだ資料が十分出てないということ、それから御承知のように、年金でございますから、さしあたってすぐ年金をやるんだということにならぬわけでございます。立法の準備をする、成案を急ぐといたしましても、資料等を集めて検討するのに相当の時間がかかるんじゃなかろうか。また年金にいたしましても、一体どういうような実施方法にするか、どういう額にするかというようないろいろ重要な案件がございます。そういうものを固めてまいりますのにやはり相当時間がかかるんじゃないか。また、おそらくこれは社会保障制度審議会にもかけなければならぬ問題じゃないかとも考えております。やる熱意は十分でございますが、いますぐ来年度の予算折衝までするといいましても、ちょっと資料が間に合わないんじゃないか、こう考えますので、立法措置をするそういう資料を十分集めていく、検討していく、こういうこと以上にここで申し上げる自信がないといいますか、材料がないと申しましょうか、これはあけすけのお話を申し上げておるわけです。おっしゃる気持ちは全く同感でございます。非常に考えておりますが、さてそこで予算といいましても、対象、目標がすぐつかめないものでございますから・・。お気持ちはよくわかります。先ほど多賀谷さんにもお答えしたとおりでございます。また多賀谷さんから言われた点も十分了承いたしておりますから、誠意を持って検討する、こういうことでひとつ御了承願いたいと思います。
#50
○伊藤(卯)委員 その熱意を大いに期待いたしますから、われわれを失望させないようにひとつ検討してもらいたいということを希望しておきます。
#51
○有田委員長代理 農林政務次官が見えておりますけれども、通産大臣が余儀ない事情のために正午までよりおれないので、この際通産大臣にできるなら質問を集中していただいたらどうかと思います。多賀谷真稔君。
#52
○多賀谷委員 厚生大臣の時間の関係で私の質問が中断したわけですが、もとに質問を返して石炭に対する基本政策についてお尋ねいたしたいと思います。
 西欧の情勢と比べてどうも一本最も大きな線が抜けておる、こう感ずるわけです。実は大臣は当日お聞きであったかどうかわかりませんけれども、この答申は根本的な問題に欠けておるのじゃないかという質問をした際に、実はと言われて有沢団長は、イギリスは大体二億トンという石炭、西ドイツは一億四千万トンという石炭を生産をするということが国民的決定を見ておる、こういう表現を使われた。でありますから、そういうエネルギーにおける基本政策ができ、さらにその中における石炭の位置づけが確立しておるならば、私たちはこんなに苦しんで答申を書きません、ところが日本においてはそのエネルギーにおける石炭の位置づけというものが確立していないんです、こういうお話をされたわけです。むしろ逆に有沢団長から政府並びに国会に対して、その位置づけを早く確立しろ、こういう要請があり、提言があったように聞いておる。そこでそれについて通産大臣は、所管大臣としてどういうようにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。
#53
○櫻内国務大臣 私はいまお尋ねの点については閣議でも発言をしておるのでございますが、今回の調査団の派遣の経緯をひるがえってお考え願えばわかりますように、国会におきまして決議が行なわれ、それから八月十一日の閣議の決定を見て、第二次調査団の派遣になっております。でありますから、私は、石炭産業の重要性につきましては、国会も政府もともに、国内エネルギー資源として非常に重点を置いておるんだ、だから決議もあり、閣議の決定もあるのだ、こういうふうに考えておるのでございまして、有沢団長がどういう見地から御発言があったか私つまびらかにいたしませんが、少なくとも国政全般から見まして石炭施策を非常に重点的に取り上げられておるように、また今回の概算要求をごらんいただきましても、通産省の要求の中の非常に大きな部分、大体三分の一くらいを占めておるという点からお考えを願いましても、その位置づけはきわめて重要なものとなっておると、かように存じます。
#54
○多賀谷委員 通産大臣に私の質問の趣旨が十分に的確におわかりになっていないようですが、有沢さんの言われるのは、イギリスでは二億トン、西ドイツでは一億四千万トンを掘らなければならぬという、国の、国民的決定がなされておる。日本においては、五千五百万トンという話があると同時に、五千万トンという話もある。極端にいえば、三千五百万トンでもいいという話がある。こういう根本がふらふらしておったのでは答申の書きようがないじゃないですかと、こういうのですよ。ですから、日本は今後エネルギーはどんどん伸びる。輸入エネルギーもどんどん入れなければならない。そうして御存じのように、石炭に換算して三十八年度は二億トンである。ところが四十三年は三億トン、五十年度五億トンというように、どんどんエネルギーの需要が伸び、輸入エネルギーにまつ依存度が高い。こういう中で、石炭は五千五百万トンなら五千五百万トンを必ず掘るのだという、こういう決定がないから、根本的に三千五百万トンなり、あるいは五千万トンなり、五千五百万トン、あるいは六千万トンという議論が出ておるから、答申の書きようがないじゃありませんか、こうわれわれは反論を受けたわけですよ。そこで、一体、今後どんどん伸びていくエネルギー、エネルギーというのは国民生産と同じように伸びていくのですから、大体成長率と同じように伸びていくのですから、この想定はわりあいに簡単なんです。ですから、こういう中で今後どれだけ国産エネルギーを掘らなければならないのか、水力を含めてどういうふうにしなければならぬのかということがはっきりしやすい産業です。その点をいま国の決定として決定してないからむずかしいとおっしゃるのですから、一体政府はこれを受けてどういうようにお考えになっておるのか、どういう機構でこれを決定されようとしておるのか、いつまでにこれを決定されようとしておるのか、これをお聞かせ願いたい。
#55
○櫻内国務大臣 私、実は多賀谷委員のおっしゃっていることを取り違えたわけではないのであります。すでにこの答申にも明白でございますように、四十二年の五千五百万トンという目標は、これははっきり確立されておると思うのであります。それで、この答申の中にも、現在の時点においては五千二百万トンの出炭ベースは、これはやむを得ないというような見解がどこかに書かれておったと思いますが、現在いろいろな諸事情が起きておるために、これはやむを得ない。しかし四十二年の五千五百万トンの目標というものは、これは確立されておる、こういうふうに解釈をしておるのでございまして、実はこれはもうはっきりしておる、こう思っておったので、他の角度からお話を申し上げましてたいへん恐縮でございました。
#56
○多賀谷委員 大臣は、四十二年度における五千五百万トンの旗をおろさない、こういうことをはっきりおっしゃったわけですが、しからば四十三年度以降のビジョンというものは一体どういうようになるのか。いま労働者のほうは、炭鉱の将来はどうなんですかというのが一生かけての問題ですよ。それから新鉱開発をする人々だって、一体いま新鉱開発をここの時点でするといたしましても、五年あるいは六年、長くは十年以降でないと石炭は出ないのですよ。ですから、ばく大な投資をして新鉱開発をする、しかしそのときには石炭は日本の国が守ってやらぬということでは、もう投資をする人々はいなくなる。意欲がなくなる。現実にほとんど新鉱開発というものは行なわれないじゃありませんか、特殊な会社以外には。ホテルを建てる金があっても、ボーリングをする会社はないですよ。こういうような状態になっておる。だから四十三年度以降のビジョンは、いまないにしても、一体いつの時期に、どういう機関を設けてそれを決定するのか、これをお聞かせ願いたい。
#57
○櫻内国務大臣 お話しのごとくに、長期の施策が必要なことは言うまでもございません。しかしながら、今回の答申にも明らかなように、エネルギー事情及び経済情勢はなおきわめて流動的である、こういうふうに調査団も判断をしておりました。しこうして政府は、今後とも石炭鉱業審議会を中心として、総合的な調査、監視及び指導を適切に実行せよ、こういうふうに申しておるのであります。私といたしましても、非常な変動のある実情からいたしまして、長期施策の必要は痛感しておりましても、なかなか立てにくい。したがって、石炭鉱業審議会あるいは国会がすでに強い要望をされております総合エネルギー対策審議会と申しましょうか、いま一応、立法措置を伴わない、そういう機関を設けた次第でございますが、この石炭鉱業の審議会と総合エネルギーの審議会、これらをにらみ合わせて、すみやかに長期的な施策あるいは見通しを持つべきである、これは多賀谷委員の御指摘どおりだと思います。
#58
○多賀谷委員 石炭鉱業審議会は、そのときどきの流動性に対処する、いわゆる対症療法ですね。ですから長期の見通しというのは、いまおっしゃったようなエネルギー審議会ならエネルギー審議会の機関を立法化して、やはり長期の展望を立てるのだ、こういうような情勢にないと、大臣、いま新鉱開発せよといっても、新鉱開発をしても、石炭がだめなときは土地だってほとんど無価値になるのですよ。アパートだってほとんど無価値になる。現実に長崎の離島でも無価値になったアパートがあるでしょう。土地だけ買えば、その土地は閉山のときに売れるというような地区ならば、逆にいって、そういうところに開発すれば、建物ができて掘れなくなるということになる。ですから、きわめて長期の展望の要る状態になってきている。昔のように、すぐ斜坑を掘って、近くから掘っていけばいいというような炭鉱の方式でなくなっている。初めから立て坑を掘って、百万トンなり二百万トンの規模で開発していくわけでしょう。ですから、最初からぽんと投資がかかるわけでしょう。新しい炭鉱は、逐次に伸ばしていこうというような投資方法ではなくなっている。ですから、炭鉱企業というものは、いまから投資をする人でも、二十年、三十年の後がはっきりしないと投資できないのですよ。ですから、やはり審議会は権威あるものとして法制化をして、十分な予算を立てて、そうして長期展望を与えてやらないと、いまから炭鉱へ入ろうとする労働者もそうだし、企業家も企業意欲は全然燃えてこない、こういうことを言っておるわけです。ひとつエネルギー総合審議会は立法化をして早急に出してもらいたい。
#59
○櫻内国務大臣 総合エネルギー審議会のことにつきましては、ただいま強い御要望でございましたが、従来もそういう御要望があるのであります。ただ私としては、立法措置なしに審議会を発足せしめましたのは、これは緊急を要する、法律をまつまでもない、こういうことですでに発足をせしめた次第でございます。立法措置の必要があれば、これはすみやかに検討し提出いたしたい、こう思います。
#60
○有田委員長代理 多賀谷君、通産大臣は正午から一時まで、よんどころない用があるらしいのですが、もう一問なら一問にして・・。
#61
○多賀谷委員 現実にいわゆる行政措置として立法化を伴わないで発足した調査会が、後に立法化されて、さらに編成がえをし強化されるという事例は幾らもあるわけですから、やはりこれは電力あるいは将来の原子力、さらに天然ガス、あるいは国内産の石油、あるいは海外に投資をする、たとえばアラビア石油のごとき石油、あるいは輸入エネルギー、こういう総合的なものをやるわけですから、私はやはり権威づける意味においても、あるいは今後の予算獲得の面においても、これはひとつ立法化で打ち出していただきたいと思う。そうして単なる通産省の行政措置の一機関ということでなくて、将来の日本のエネルギーをどうするかということですから、この方向いかんによっては投資が行なわれるかどうかという問題ですから、ひとつ立法措置も考えて、ぜひ大きな調査会をつくっていただきたい、これを要望いたします。
  〔有田委員長代理退席、壽原委員長代理着席〕
#62
○櫻内国務大臣 ただいまの御指摘の点につきましては、関係各省もございますので、すみやかに意思統一をいたしまして、そのような方向で検討いたしたいと思います。
#63
○壽原委員長代理 田原春次君。
#64
○田原委員 農林政務次官に一つだけお尋ねいたします。
 炭鉱地帯における農地の問題であります。終山、閉山、廃山した後において事業家はほかに行ってしまいまして、土地だけが農民によって守られておるのであります。これは漸次陥落してくるわけですね。これに対する処置に対して、農林省はどういうふうに通産省と話をされておりますか。補助または補償、それらの数字をひとつ明らかにしていただきたい。
#65
○舘林(三)説明員 産炭地におきまして、石炭採掘のあとの田畑が陥没した場合は、もちろんいわゆる鉱害でございまして、鉱害の場合にあるいは道路とか、あるいは私いま申し上げましたように農地とか、あるいは学校とか、その他いろいろな被害があるわけでございます。農林省といたしましては、そのうちの農地につましての責任を分担しているわけでございまして、農地の鉱害復旧ということにつきましては、ただいままで全力をあげているわけでございます。と同時に、農地の単なる鉱害復旧にとどまらず、その他産炭地における農地の生産力、土地の生産力を高めるためには、当然に鉱害復旧とあわせまして農業の構造改善を行なうとか、あるいは農地の基盤整備を行なうというようなことにつきましても、総合的に今日までやってきているわけでございます。
#66
○田原委員 全国的に見て、どのくらいの予算をこれにつぎ込んでおりますか。
#67
○舘林(三)説明員 ただいままで産炭地域の土地改良事業として、国営または県営といたしましては昭和三十八年度は八十八地域でございまして、事業費は八十八億でございます。
 それから先ほど申し上げました産炭地域の農業構造改善事業につきましては、昭和三十六年から三十八年度まで、計画地域は九十四カ所、実施地域が三十九カ所でございまして、また、その他パイロット地域が四カ所ございます。そしてその事業費が三十七年度実施地域につきましては五億二千万円でございますし、三十八年度実施地域につきましてはやはり五億三千万円でございます。パイロット地域につきましては一億五千四百万円でございます。
#68
○多賀谷委員 産炭地における鉱工業の誘致といいましても、なかなか困難です。あとから質問いたしますけれども、事実上非常に困難です。そこで本来は、あれは鉱山というよりも炭田という名前が出たぐらい、大体たんぼの下というほうが九州地区では多いのです。山と言わないで、炭田だと言っている。それは畑の下を掘った。われわれのおります筑豊炭田でも、穂波町とか穂嘉町とか、稲の穂という字が大体つく。そういうふうに美田の下を掘っておる。そこで炭鉱がなくなったあと、工業の誘致といっても限度がある。そこで結局農業振興もあわせてやる必要があるのじゃないかということがいわれておるわけです。それがために、この答申でも産炭地農業について書いてあるわけです。これはいわば全国的な視野でいろいろ産炭地構造改善事業等が行なわれておるのでしょうが、筑豊炭田でいいますと、比較的消費地が近い。あるいは北九州であるとか、あるいは福岡地区であるとか。ですから、これはひとつ産炭地農業として、佐賀炭田もそうですか、特別な処置を講じていただきたい、こういうように考えるわけですけれども、次官、どういうふうにお考えですか。
#69
○舘林(三)説明員 多賀谷委員からお話しのとおりに、わが日本の炭田の状態を見ますると、文字どおりいわゆる炭田でありまして、多賀谷委員の筑豊炭田とか、あるいは私のところの佐賀炭田とか、あるいは常磐炭田とか、大体私は美田の中に炭田があるような気がするのです。さような意味で、鉱害復旧と申しましても、大半はやはり農地の鉱害復旧だという感じがするのです。さような意味から、農地の鉱害復旧につきましては、ぜひひとつ来年におきましてはその補助率をふやすとかいうようなことも考えておりますし、また単に復旧だけにとどまらず、先ほど田原委員にお答えいたしましたように、やはり農業構造改善とか、あるいは土地基盤の整備ということにつきましても、他の一般の農地に対する割り当て率よりも私は若干ふえておるというような感じがいたします今後におきましても、いま多賀谷委員のお話のとおりに、やはり何と申しましても、工場誘致というものは言うにやすく行なうにかたいような実情でございますので、ぜひ農地の生産が上がるというような意味で努力いたしたいと思っております。
#70
○多賀谷委員 この点、政務次官はことに被害炭田のまん中におられるわけですから実情をよく御存じですので、農林省も産炭地の問題は何か自分のところでないような顔をしないで、ぜひ産炭地振興について努力していただきたい。実は、御存じかと思いますが、産炭地域振興法という法律に農業がないんですよ。鉱工業としか書いてない。そこでわれわれなぜ農業を入れないかというので苦心惨たんして、農林省はあまりいい顔をしなかったと見えて、「等」ということばをあとから入れた。「等」は農業だ、こういう苦しい答弁をされたわけですが、これはやはり農林省もひとつ肩を入れていただいて、産炭地域振興法の一部改正をして、堂々と農業というのを入れていただきたい。ことに、御承知のように、幸いにして九州の炭田あるいは常磐炭田、宇部炭田はかなり消費地に近いのですから、ひとつ格段の努力を願いたい。二点ですね。法律の改正の中に、われわれ議員立法でもいいですから入れますから賛成されるかどうかということと、特別の処置を再度お願いいたしたい。
#71
○舘林(三)説明員 「等」というものをさらにはっきりと「農業」と入れるかどうかということにつきましては、農林省といたしましては、先ほど申し上げましたように、決して農業というものを鉱害復旧の中で軽視する意味ではありません。これだけたくさんの費用をかけまして土地基盤の整備をやっておりますし、土地改良をやっておりますから、当然私も農業におきましても力を注ぐべきだと思います。さような意味で、私ここで大臣に相談もいたさないで答えるのはどうかと思いますけれども、私としては賛成でございます。ただ、これを法律に入れないから、明示しないから農林省は熱意がないということは絶対にないと思うのです。私も農林省に入りましてしばらくしかたちませんけれども、農地の鉱害復旧につきまして、いろいろ関係の局長あるいは課長等の意見を聞きましても、相当熱意を持って通産省と手を握ってやっているということだけは、多賀谷委員も御了解願いたいと思います。それから予算につきましては、来年度の鉱害復旧につきまして、あるいは最高限度の問題とか、あるいはまた補助率の問題というようなことにつきまして、通産省と手を組んで、いま大蔵省に要求中でございます。むしろ御援助をお願いしたいと思っているところであります。
#72
○多賀谷委員 それで実は答申の中に、もちろん鉱害復旧については、「復旧に対し、大幅な補助率の引き上げを行なう。」これは一体どういう意味ですか。私は具体的に有沢団長にこの前聞きました。そういたしましたところが、特別鉱害並み、御存じのように、戦時中の乱掘による特別鉱害並みとおっしゃった。これについては農林省は特別鉱害並みでいかれるつもりであるかどうかお聞かせ願いたい。農林省の決意です。
#73
○舘林(三)説明員 来年の予算におきまして、鉱害の補助率につきましては、いままで会社のほうの負担が三割五分だったのを今度一割にする、そうして国と県で九割にするということを要求中でございまして、当然これはこういくべきだと思っております。
#74
○壽原委員長代理 細谷君。
#75
○細谷委員 自治大臣がお見えになりましたので、十分時間もありませんようでありますから三、四点にわたって御質問したいと思います。
 今度の答申にも書いてございますように、産炭地の振興をやらなければならぬ、こういうことでございますけれども、鉱産税をはじめ税収等はどしどし減っていってしまう。他方、失業対策事業なり生活保護等で支出はどんどんふえる、こういうことでやらなければならぬ産炭地振興というのが今日できない実情にある。そういうことでございますから、この答申書の中でも明瞭に、「新産業都市建設、低開発地域工業開発等他の地域開発政策と比べ、急激に落ち込んだその経済水準を回復して」いかなければならぬ特殊な緊急性を持っているんだ、こういうことが書かれてございます。そしてこの振興対策の中にも産炭地振興対策といたしまして、この産炭地では前向きの公共事業、道路をはじめ工業用水等の公共事業をやらなければならぬわけでございますが、それに対して「当該事業に要する経費については、国の負担率、補助率の引き上げを行なう。」こういうふうにはっきりと答申の中に書かれてございます。これについて自治大臣として具体的にどう対処されていかれる御方針か、お尋ねいたします。
#76
○吉武国務大臣 産炭地振興について格別の配慮をするようにという答申でございますし、また私も産炭地につきましては、特別の処置を講じていかなければならぬと思っております。それには、一つは産炭地に産業を起こす、つまり新産業都市と同じように、ひとつ国の力をもって産業を起こすということが、何といっても必要なことであろうかと思いますと同時に、さしあたり御指摘になりましたような租税の減収等も相当ございますので、これに対する処置というものも考えなければならぬかと思います。新しく産業を起こすための処置につきましては、これはいろいろとまだ検討しなければ、ここでお話を申し上げるわけにまいりませんが、いま減収等に伴う地元地方団体の財政につきましては、御承知のように、交付税におきましても、あるいはまた特別交付税におきましても考慮していかなければならぬ、かように私は存じておるわけでございます。
 それから最後に御指摘になりました公共事業に対する補助率のかさ上げ等につきましては、これはやはり新産都市と同じようにというおことばと同じように、将来に検討を要する問題であろうかと思います。いまここで私のほうの自治省としてどうするというわけにはまいらぬかと思っております。
#77
○細谷委員 きょうの新聞にも書いてございますが、自治省としては新産都市のかさ上げによる地元負担の軽減、こういうような立法措置もやらなければならぬ、こういうことで大蔵省と折衝しておる、大蔵省はこれを拒否するんだ、こういうふうに新聞に書かれてございます。それほど新産都市の財政負担の問題については自治省が努力しておるし、与党の部会でも検討するやに承っております。ところが、この答申に書いてありますことは、そういう問題よりももっと緊急なんだ、こういうふうに書かれてございます。いまの大臣のおことばでは、新産都市にそれほど熱意を入れておるなら、もっと緊急な特殊性を持っておるこの産炭地の公共事業、こういうものについてはっきりと負担率なり補助率の引き上げを行なう、こういうことでございますから、もっとはっきりとした決意で臨んでいただかなければならぬと思うわけでありますが、重ねて具体的に大臣のこの点についての決意なり御方針を承りたいと思う。
#78
○吉武国務大臣 産炭地振興につきましては、すでに産炭地振興法に基づいてそれぞれの産業の振興の処置がとられております。それでなおかつ不十分であるということであれば、またさらに考えなければなりませんけれども、一応そういう法的処置に基づいてやっておることでございますから、将来の問題としては検討をいたしますけれども、いま直ちにこれに対して具体的に御返事を申し上げる段階には至っておりません。
#79
○細谷委員 大臣の産炭地の実情認識というのが非常に誤っておる、あるいは不十分だと、こういうふうに申し上げなければならぬと思うのです。産炭地の振興は別の法律でやっておると、こういうことでございますけれども、焼け石に水というにも及ばないというのが現況でございます。だから、この答申の中でもはっきりと、個々の事業を指定しよう、そして指定したものについては負担率、補助率を上げよう、こういうふうに書いてあるのです。かさ上げじゃないのですね。これは新産都市でお考えになっておるような内容よりもっと個々の事業について負担率と補助率を上げていこう、こういうことなんです。大臣はあるいは御存じないかもしれませんけれども、低開発、こういうようなことで県の段階においてかさ上げの補助等がとられております。ところが、筑豊地区、これは福岡県でございますが、福岡県はそういう措置がとられておりません。ですから、年々数億円、十億円近い金がそういうことで――産炭地が非常にひどい状態にありながら、県の負担等はむしろ低開発の他の県よりも自主財源を負担していかなければならぬという実情にあります。緊急性を認めておりながら、一般の水準よりももっと産炭地の県は悪い取り扱いを受けておるというのが現況なんです。そういうことでございますから、新産都市の問題にそれほど取り組むならば、やはりこの問題について自治省も積極的に取り組んでいただかなければならぬと思う。実情はてこ入れどころではなくて、どしどしまた奈落の底に落ちていこう、こういう現況であるわけでございますから、具体的に今度の四十八通常国会に新産都市以上の緊急性を持ってこの問題に対処するんだという決意を明確にお聞かせいただきたいと思うのです。
#80
○吉武国務大臣 新産都市は御承知のように、各地域における産業立地条件を考慮して、そうして総合的な計画のもとに進るようということでございます。ところが産炭地は、炭鉱地帯が合理化によって閉鎖をする、そのあとの救済として、産炭地振興として何とかそこに産業を興そうじゃないかということで、多少私は新産都市のやり方とは違うと思います。しかしながら、そういう産炭地につきましても、何か救済というか、新しく産業を興すという意図のもとに産炭地振興法というものができて、いま処置を講じておるところでありますから、それによってあるいは公共投資の必要もあるかもしれません。あればそれに対するまた特別の処置を考えるかどうかということになるかもしれませんけれども、新産都市と多少趣が違いますから、すぐ産炭地に計画的な新産都市のような総合計画を立てて公共投資をしていくというふうにはまいらぬかと思うのであります。
  〔壽原委員長代理退席、有田委員長代理着席〕
したがいまして、それは各地区によっても違うでありましょうし、一律一体にいくわけではございません。できるだけそこに産業を誘致しようという意欲のもとに、産炭地域振興法に基づいてそれぞれ地元の方なり、あるいは通産省においても努力されておりますから、その御努力をまちまして、私どもとしては地方財政の窮乏については特別の配慮をいたしておるわけでありまして、産業を誘致して、その産業に伴う公共投資ということは通産省のほうなり、あるいは建設省のほうでもまたお考えになっておるかと、かように存じております。私といたしましても、この問題については実は地元の山口県でも小野田地区は、御承知でございましょうが、約三十ばかり集団的にやりました炭鉱がほとんどつぶれてしまいました。まるきり火が消えたようでございます。これに対して、いまそこに産業を誘致しようということで西部石油の誘致をお願いしておるわけでございまして、実情は私も存じていないわけではございませんけれども、新産都市とは趣が違っておりますので、いま直ちにそれと同じような計画で進めるということにはまいらぬかと思います。よく通産省とも相談をいたしまして研究をさしていただきたいと思います。
#81
○細谷委員 大臣のおことばの前段はそのとおりなんです。私の申し上げているのは、新産都市そのものと違うんだ、趣が違うんだ、深刻さが違うんだ、そういうことは大臣と全く同一意見なんです。ですから新産都市のようなことをやりなさいと言っておるのじゃありません。答申も大臣が言うように、私が言うように書いてある。特殊な緊急性を持ってこれに対処しなさい、こういうことを言っているのです。したがって後段のほうになりますと、これはおかしいのであります。大臣は石炭をやっておったし、石炭地のことはよく知っておるとおっしゃっておられましたけれども、私はやはり認識が足りないんじゃないかという気がいたします、大臣がおっしゃるように違うのですから。産炭地の振興というのは、低開発地域とかあるいは新産都市と違うのです。そして特殊な緊急性を持っているのですから、ひとつ負担率も上げよう、補助率も上げてほしいというのが答申の内容でありますから、違うという認識の上に立って、そうしてこれを前向きにどういうふうに対処していくかということについて、具体的にお考えをいただきたいと思います。ちょうど大蔵政務次官もいらっしゃっておられますから、この問題について大蔵省の所見もこの際伺っておきたいと思います。
#82
○鍛冶説明員 ただいまのお話ですが、新産都市についても、決して大蔵省は否定しておるわけではございません。できるだけのことはやりたいと思っております。したがって産炭地についても十分考慮しておるわけでございまするが、どれくらいのことをするかということは目下検討中でございまするので、できるだけひとつ御意思に従ってやりたいものだと心得ております。
#83
○細谷委員 したがってということではなくて、繰り返しますけれども、特殊な緊急性、そういうことをひとつ十分に御理解いただいて、認識いただいて具体的に答申を尊重して対策を講じていただきたいということを特にひとつお願い申し上げておきたいと思います。
 そこで次にお尋ねいたしたいことは、先ほどもちょっと大臣のことばにもあったわけでありますが、この答申の中に、大臣もおっしゃるように、今後も交付税の配分にあたってさらに一そう手厚い措置を講ずるということと、地方債発行の許可についても特別に配慮をする、こういうことがこの答申に書かれてございます。この産炭地の実情は、こういう答申のこの程度のことでは、今日の産炭地の実情にはまだまだ足りないのだ、こういう認識に私は立っております。この問題について自治大臣は先ほど一言言われたのでありますが、この問題で、この程度のことで今日の産炭地が救えるのかどうか、この点について大臣のひとつ所見をお伺いします。
#84
○吉武国務大臣 御指摘のように、産炭地は惨たんたる状況でございまして、私は北九州にも参りまして事実見たこともございます。また自分の地元におきましても目の前に見ておりまするので、よくわかります。したがいまして、私はあとう限り地方交付税におきましては、その地元地方団体の状況を勘案いたしまして特別の配慮をいたしておるつもりでございますし、また今後といえどもよりよくこれにつきましては努力をする所存でございます。
#85
○細谷委員 よりよく今後努力したい、こういうことでありますけれども、交付税の配分につきましても、交付税率というものは国税三税の二八・九%ということにきまっております。また、この答申の中ではいろいろな、いわゆる地方債の元利償還、こういう問題も全額交付税でひとつ措置したらどうか、こういうことが書かれてあるわけであります。一体こういうことについて、具体的には数字を把握しておらないと思うのでありますが、新聞等で拝見いたしますと、自治省は交付税率を三〇%にするということを大蔵省に要求している、こういうことでございます。これに対して大蔵省はかなり強い抵抗を示しておる、こういうふうに新聞に書かれてございます。ところが、私がお聞きしたいのは、三〇%というのはこの答申が出ない前であります。そういうことも考慮してということかもしれませんけれども、何もかも交付税で見ろ、交付税で見ろというのが現況である。これがやはり今日の地方財政の窮迫をした大きな原因ではないかと思うのですが、こういうものを考慮されて交付税率三〇%として、その実現のために努力をされておるのかどうか。こういう問題を、自治省としてはどういうふうに受けとめていかれるのか、もう少し具体的にお尋ねしたいと思うのです。
#86
○吉武国務大臣 交付税率の引き上げにつきましては、御承知のように、目下三〇%に引き上げようということで努力をしております。これはいつかも申し上げましたように、今日の地方財政は非常に窮迫をしておりまして、私どもの推算では約千百五十億あまりの、いわゆる財政需要と収入との間に開きがございまして、これをどうしようかということで実は苦慮しております。今回の三〇%の引き上げによりまして、もしこれが実現をいたしたといたしましても、わずか二百六十億あまりにしかならないのであります。それではそれだけ、千百五十億足りなければ、それに見合う交付税率を要求したらどうかということは当然の御要求かと思うのでありまするが、御承知のように来年度の予算は、大蔵大臣の言を借りるわけじゃございませんけれども、自然増収わずか四千七、八百億しかございませんし、自然増を差し引きますと、使えるものは六百億しかないわけでございます。その中で千何ぼ足りぬから、それだけを交付税率で引き上げてよこせといいましても、現実としては不可能に近い問題でございまするから、非常に窮乏いたしておることはよく存じておりまするけれども、少なくとも三〇%程度はぜひひとつ実現をしたい、こういうことでぶつかっておるわけでございます。したがいまして、その中でどれだけ産炭地に使うか、こう申されましても、そこまで一々こまかく積み上げた要求でないものでございまするから、獲得いたしました上において、この産炭地につきましては格別の配慮をしていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#87
○細谷委員 産炭地の教育の関係でございますけれども、就学奨励というのがいろいろとございます。給食の問題、あるいは文具費の問題、修学旅行の問題、いろいろございます。これは文部省から国の補助というのがございます。ところが、現在は二分の一の負担なんです。しかも例年どおり基準単価が低い。そういうことでございますので、産炭地の財政ではその二分の一を負担することが不可能な現況にございます。そういう問題について、しかも産炭地の教育が陥没しておる今日では、青少年の不良化というのが急速に進んでおる。こういう現況でございまして、これは教育の問題でございますけれども、地方財政の負担の問題も非常に大きなかぎになっておると思うのです。こういう問題について、たとえば交付税等においてどういうふうにこの答申を受けて対処されるおつもりなのか。二分の一の負担というのは厳としてあります。このために国庫補助も要らない、負担できないのだから要らないというのが現況でございます。こういう産炭地の実情を十分にくんで完全に補てんしていただくことが、当面の急務ではないかと思うのです。補助率についてはもっと上げてほしいということで、文部省当局も四十年度予算では五割を八割ということで予算要求をされておるやに承っておるのでありますが、残りの二割負担、現在の五割負担が不可能な現況にある。これがやはり教育の陥没の大きな原因になっておる。そういうことでございますから、今年度あるいは今後、地元負担の分について、産炭地の窮状から、交付税等で完全に穴埋めするおつもりなのかどうか、この点をひとつお尋ねしたいと思います。
#88
○吉武国務大臣 産炭地におけるそうした小学校あるいは中学校などの給食の状況も、私は非常に気の毒な状況であろうと思います。これは文部大臣のほうにおいて目下検討を加えられておるようでございますが、十分に行き届かない点もあろうかと思います。そうすれば勢い地元公共団体においてまかなうようなことになるかと思いますが、これらにつきましては、先ほど来申し上げましたように、産炭地の地方公共団体の財政の状況を考えまして、交付税等においてできるだけの考慮をしていこう、かように存じておるわけでございます。
#89
○細谷委員 重ねてでございますけれども、一昨日ですか、有沢調査団がこちらにいらっしゃいまして、いろいろと具体的な内容の御質問もしたのでございますが、その節、産炭地の生活保護等については、基準内については完全に交付税で埋めておる、こういうことが言われておりました。いま私がお聞きした就学奨励関係については、できるだけということばでありますけれども、これこそ産炭地の実情からいって、地元負担の分については完全に負担してやるのが妥当ではないか、こう考えるのですが、いかがでございますか。完全に穴埋めしていないでしょう。
#90
○吉武国務大臣 いままでもでき得る限りの配慮はしておったつもりでございますが、今後なお一そう配慮をするつもりでございます。
#91
○細谷委員 なお一そうということも抽象的でございますけれども、声が大きいし、非常に熱意を持っておるようでありますから・・。この問題については、生活保護よりも、ある意味では国家百年の大計という点から重要でありますから、就学奨励関係についての地方負担分については、特別交付税等で完全に穴埋めをしていただくように、ぜひ大臣、決意をしていただきたいと思います。
 もう一つお伺いしたい点がございます。この答申でも、産炭地振興の問題についての一つの重大な阻害、と言うと少しことばが言い過ぎますけれども、問題点は、総合的な行政体制の整備をはかることが必要なんだ、そこが欠けておるのだ、こういうことを言っております。私はその根本的な原因はやはり、中央官庁の縦割りというところにあるのではないかと思う。振興事業団を一つの例にとっても同様でございます。こういう点について、やはり産炭地の実情をまともにかぶっておるのは地方公共団体でございますから、自治省としても、これをどう受けて具体化していくのか、こういうことがきわめて大切な体制上の問題であろうと思いますが、これについての大臣の所見をお伺いいたします。
#92
○吉武国務大臣 細谷委員は産炭地における地元の公共団体の行政にきわめて御経験の深い方でございますので、そういうおことばの出ることもごもっともだと思っております。私もあるいはそういうことがあり得ると思いますが、要するに地元のこうした住民に直結する問題は、地方公共団体が世話していかなければなりませんし、地方公共団体の世話をされる仕事について責任をもって指導いたしまするのが自治省でございまするから、それら関係地方公共団体の要望を聞きまして、できる限り御要望に沿うように努力するつもりでございます。
#93
○滝井委員 ちょっと自治大臣に二点だけお尋ねをしたいのです。
 その第一点は補助率の問題ですが、最近無資力の炭鉱が急激に増加してきておるわけです。先日予算委員会等で、大ざっぱに言って、現在無資力で復旧しなければならぬ炭鉱はどの程度あるかと言ったら、七十一億くらいあるというお話があったわけです。そうしますと、御存じのとおり農地の復旧をやるにしても、あるいは水道の復旧をやるにしても、下水道の復旧をやるにしても、学校の復旧をやるにしても、一たび炭鉱が無資力になると、何ら陥没に対して影響を与えなかった県なり市町村に負担がかかってくることは、もう御存じのとおりでございます。たとえば、先日から問題にしております水道の問題をとってみますと、炭鉱が無資力になる前は、二割五分の国の補助がございます。そうして七割五分というのは、鉱業権者が全部見るたてまえなんです。ところが、炭鉱が無資力になりますと、七割五分の鉱業権者の持ち分のその半分を国が持つわけです。その半分の三七・五というものは自治体が持つ、市町村が持つことになるわけです。そこで、その市町村の持った三七・五というこの鉱業権者の持ち分の半分を、一体どういうふうにして国が処理してくれるかというと、これは非常に複雑な処理のしかたになっておるのです。私はこういう複雑なことはやめてもらいたいということのための質問をするわけです。その自治体すなわち市町村の負担する三七・五については、その三七・五の八割は起債で見てくれるのです。そうして、その起債で見た八割の五七%を、今度は普通の交付税で見てくれるわけです。それから三七・五の八割を起債で見ますから、残りの二割があるわけです。この残りの二割については、その二割の八割を特別交付税で見てくれるのです。こういう仕組みになっておるのですよ。炭鉱が無資力になってしまいますと、こういうむずかしい仕組みで、結局自治体の負担を軽減をしてやることになっておるわけです。このベースはどういうことになるかというと、結局ベースは全部自治体、自治省のベースでとにかく炭鉱のあと始末をしようというベースなんです。このことは、ちょっと見たら非常にいいようでありますけれども、国家的な施策で炭鉱がつぶれて、そしてしかも施業案を許可するときに、その財力その他を国がよく見もしないで、施業案だけで許可をしておるわけです。自治省なり自治体にはその責任がないわけです。かかってこの責任は通産省、国家にあるわけなんですが、自治体と自治省のベースで非常にややこしい手続で解決されるわけです。こういうところに事務の複雑化が起こってきて、自治体も自治省もたいへんなことになるわけです。そこで私は、こういうことをやめにしてもらって、この際、今後非常に無資力が多くなるのですから、そこで七割五分の鉱業権者の負担分は、鉱業権者が無資力になったときには、それを折半ということでなくて、その七割五分のたとえば八割とか九割は国が見てやる、あとの一割は自治体でやりなさい、こういう形にしてもらえば非常に事務が簡素化するわけです。そうして、それを起債とか交付税とかということを言わずに、起債なら起債で一本にしてしまうようにしてもらいたい。そのかわり初めから負担率を非常に軽くするということなんです。さいぜん私が述べたような、起債でやって、普通交付税、それから特交方式をとっても、自治体の持ち出しは三七・五のうちの三八・四は自治体がやはり持ち出すことになるわけです。非常に複雑な手続を経ても三八・四を持ち出すことになるわけですから、どうせ持ち出すなら、事務を簡素化して、自治省と通産省のベースでなく、大蔵省のベースで、むずかしいところは国のベースで解決してもらって、そのしわを自治体に寄せずに、この際大幅な折半方式でなくて、国が八割か九割も見ます、自治体はその一割を見なさい、こういうことで解決してもらうと、この無資力の事務が非常に簡素化して、能率が上がってくるわけです。ですからこういう起債をやり、特交をやり、普通交付税というややこしい隘路を、回り道をせずに、ひとつ簡明直截にやることができないかどうかということです。
#94
○吉武国務大臣 滝井先生のなかなかお詳しい御意見につきましては、私は敬意を表する次第でございます。そういう複雑な方法はできるだけ簡素化することはけっこうだと思います。しかし、こうした鉱害の復旧という問題は、やはりそれを施行しておりました民間の責任ということも考えませんと、掘ってもうけて、そうしてしまいに金がなくなったらほったらかしにして逃げていく、こういうことでは私はいかぬと思います。したがいまして、でき得る限り、民間でやったそのあとの責任は民間が負う。しかし実際上やっていけない問題もございましょうから、これは政府がめんどうを見ていくというようなところから、いま複雑化とはおっしゃいましたけれども、そういうような状況になっておるわけでございまして、この鉱害の復旧の問題は通産省のほうにも関係のあることでございまして、掘るときは掘って、そうしてあとはみな自治省なり地元の公共団体がしりをぬぐっていく、こういうことでは私はやはりおもしろくない、かように存じまして、通産省ともよく相談をしながらあと始末をしていくように努力をしたいと思います。
#95
○滝井委員 民間がやったことは民間が処理をするのは当然です。私がいま言ったのは、もはや民間が処理できない無資力のものがすでに七十億から八十億あるという現実にあるわけなんです。その場合に、この無資力の鉱害の復旧というものは、少なくとも相当の部分が自治体にかかってくる。しかも、その自治体にかかってきた金のやり繰りについては、起債だ、特交だ、普通交付税だと、非常にややこしい手続を経なければならぬ。どうせ自治省が出す金だって国がお出しになるわけです。それならば、この際交付税とかなんとかむずかしいことを言わずに、単刀直入に金のいくということになると、補助金でやるより以外にないわけです。どうせお金を出すのですから、それでやってもらったほうがいい。そうすると大臣、少し理解違いがあるようですが、大臣のほうも余裕が出てくるわけです。特交なんかというのは別のことにやれるわけですから、大臣のほうもいいわけなんです。市町村と大臣のほうが被害者になっておるわけです。それは国の大蔵省と、水道ならば厚生省、家屋ならば建設省、こういうところでひとつ取引をしてもらって、自治省と自治体にしりがこないような制度を確立してください、それのほうが事務が簡素化して能率があがりますよ、どうせ国が金を出すのですから。そこを私は言っておるわけです。そこは大臣は簡明直截に賛成をしてもらって、われわれと一体になってしてもらわなければならぬ。それを大臣がおかしな言い回しをされることは、理論が合わなくなる。だから私はいまの折半の原則を少なくとも七、三とか八、二とかいうくらいにして、どうせこれは国が持つんですからお持ちになったらいいと思うのです。そうしてただ自治省が持つか、大蔵省の直接補助金で出すかという違いはあります。しかし、それは他の方面で調整ができると思うのです。そうむずかしい事務を自治体にやることは問題だと思う。実にややこしいのですよ、無資力になってこれをやることについては。交付税の算定の基礎を出さなければならぬし、普通交付税と特交ですから、いろいろ計算をやらなければならぬ。そういういろいろ計算をやるよりも、簡明直截にして、無資力になった、それならば国が八割なり九割見ましょう、あとの二割は自治体が全部やりなさい、こういうことのほうが非常に簡単にいくわけです。それを特交とか何とかつけて恩を着せるので、ますます陳情政治が行なわれるし、むだな経費がかかるわけです。だから補助金できちっとしてもらえば、陳情にこなくてもいいのです。無資力になったら自動的に金が通産省のほうに八割か九割入っていく、こういう形になるわけですから、そのことをやってもらいたいというのです。いままでのように二億か三億の無資力の復旧ならいいのです。ところがこれから来年度、おそらく十五億とか何とかいうような非常に大きな額になってくるわけです。それが学校から、農地から、上水道、下水道と多岐にわたってきますと、市町村の事務というものはたいへんなんです。そういう点なんです。大臣、どうですか。
#96
○吉武国務大臣 御趣旨はよくわかりますし、私のほうも迷惑千万でありますから御賛成をしたいのでありますけれども、しかし無資力であるからそれを国がすべてしょっていくということになりますと、まだ数多くの炭鉱もございます。できるだけ掘ってもうけるんだ。もうけて損をしたときには逃げれば、どうせあとはみな国がめんどう見てくれるということになりましては、やはりこれは秩序が立ちませんから、でき得る限り無資力であっても追求をして、民間業者に責任をとってもらう。そうしてそのできないものをいろいろな形でめんどう見ていく。これは私は鉱害復旧等につきましては、通産省で責任をとって善処してもらいたいのは、私も異議はございません。こういう問題を特交で見るということははなはだおもしろくないと思いますけれども、ただ滝井さんは、無資力が七十一億かあってどうにもならぬから、ひとつ国で簡明率直に補助金で見ろ、こうおっしゃいますけれども、それをうっかりやり出しますると、民間の業者の中には、もうけるだけもうけて、あとは野となれ山となれ、全部国がしょってくれる、こういうふうになりまするので、そこは多少むずかしくなっても、民間の人にもできる限り、ないといっても、私はいろいろな状況があると思います。実例を知っておるわけではございませんけれども、いろいろな問題があろうかと思いまするから、そう簡単に無資力であるからこれを国のほうでめんどうを見るというふうには割り切れないものがある、かように存じます。
#97
○滝井委員 大臣は少し誤解をしておるのでありますが、私は有資力の場合は、たとえば水道でいえば二割五分を国が補助して、七割五分を鉱業権者が持つ、このたてまえは、補助率二割五分を引き上げるという問題がある。このときには七割五分がくずれます。これはいま有沢調査団は二割五分を特交並みに上げなさい、こういう主張をしているわけです。それは別においでおいで、現実に無資力になったときです。これは無理にするわけじゃない。客観的に見て無資力やむなしという認定を通産省が下した場合においてさえ、自治体と自治省がそのしりぬぐいを、少なくとも水道の場合三七・五についてはしなければならぬ。国はもちろんその場合六二・五を見てくれるのです。しかし、自治体が見なければならぬというところに問題があるのです。自治体は一体なぜ見なければならぬのかということです。むしろ自治体は被害者です。被害者が金を出さなければならぬ。そういう理論があるので、国としては気の毒だから、特交やらあれで見てやろうということになっておるのです。大臣、誤解をしている。鉱業権者とは関係ないのです。
#98
○吉武国務大臣 御趣旨の点は、私ははき違えて言っておるわけじゃございませんので、どうせできなければめんどうを見ていかなければなりませんが、ただ、できないときには全部いつも国が見るということになりますと、現在やっている炭鉱もまだたくさんございまするし、やるだけやって、あとは資力がないということになったら全部国が見てくれるぞ、こういうことになったのでは困るから、やはり多少の不自由さはあってもやむを得ませんよ、こういうことを言っているわけでございます。補助率の引き上げその他の点は、それは考えなければならぬ点はあろうかと思います。ただ割り切ってよろしいというわけにはいかぬところを御了承いただきたいと思います。
#99
○滝井委員 その場合、鉱業権者とは何も関係がないのです。鉱業権者は無資力になって手を上げてしまって、この者は無能力者である、鉱害復旧の能力なしという認定をしたあとの問題を私は言っているのです。認定をしておって、お金を交付税とかあるいは特別交付税でまかなってくれておるわけです。その分を、そういう事務的なめんどうなことをやらずに、補助率でおやりになったほうが、どうせ金を出すのですから、いい。ただそれが大蔵省の補助金で出てくるか、自治省の交付税で出てくるかの違いだけです。ところが自治省にしてみれば、事務がないほうがいい。交付税の事務はややこしいですからね。補助金だったら、簡単に済むわけです。しかも現金がすぐくるわけです。二月からいろいろややこしい計算をして持ってくるというめんどうなことを、炭鉱のしりぬぐいをする自治体に負わせなくてもいいじゃないか、こういうことを言っているわけですよ。だから論理はちっとも間違っていないのです。大臣がいやいやそんなことはない、いままでのとおりでいいということのほうがむしろおかしいのですよ。これはその分だけ大蔵省からもらえば、大臣のほうは財源の余裕ができて、他の仕事ができる。無資力はあくまでも無資力で、その無資力のものを無理に有資力にしてくれと言っているわけじゃない。だから無資力でも追求していけば金があると言うけれども、無資力と認定したものは、もはや追求しても金が出ないですよ。その点は少し誤解があるのじゃないか。
#100
○吉武国務大臣 私が申し上げておるのは、無資力はあるいは追求しても出ぬかもしれません。けれども、そういう鉱害は、大体経営した企業者自身に責任がある問題であります。それをやむを得ぬから国が見ておる。やむを得ぬから見ている方法としては、地方交付税等において気の毒だから見る、こういうかっこうになっておる。それを大っぴらに初めから鉱害復旧ができなかったら全部国が補助で見ますよ、こういうことになりますると、民間業者の責任というものは薄らぐことになると思う。また地元の公共団体といえども、平素産業と一体となってやっておるわけでありますから、そういう鉱害についてあらかじめ平素から考慮をしていくという配慮がないと、どうせさようなことになって金がないのだったら、国が大っぴらに補助をしてくれる、こういうたてまえは私はあまり好ましいことではない。だから御不自由はあるかもしれませんが、ある程度やむを得ませんよ、こういうことを申し上げておるのでありまして、結果から見るとめんどうくさい、こうお考えになるのもわからぬことはございません。通産当局とも考えて検討はいたしますけれども、そうものごとを割り切っておやりになりますと、世の中には無責任者がどんどん出てくるおそれがございますので、多少不自由な点はやむを得ぬのではないか、こう思って私はお答えをしているわけであります。
#101
○滝井委員 補助率で見てやることにした場合であっても、起債、特交、普通交付税で見る場合でも、鉱業権者にはちっとも影響はない。無資力になってしまってからあとの処置をやるわけですから。だから、その点は、有資力の場合はあくまで追求していくわけです。無資力になったら追求のしようがないのですよ。その点は誤解がないように・・。ただ、事務の簡素化をするために、そうしたほうがいい。そのほうが自治省も楽ですよ、自治省の財源に余裕が出るわけですから。事務当局が説明したらよくわかるのですよ。大臣はちょっとこだわっておるようでありますが、だからこそお宅のほうとしては、たとえばこの前私がお願いいたしました特別鉱害でやった水道については一割五分の補助でよろしい、そのかわり八割五分については起債を見て、その八割五分の元利償還は特交で見てください、こう言っておるわけですよ。ところが補助率の二割五分を一割五分に下げるということについては自治省は絶対反対だ、水道の補助率をまず上げてください、上げることを約束しているじゃないか、そういう主張です。なぜかというと、特交でものごとを考えられることは、自治省みずからの財源をはき出すことになるから非常にたいへんなことなんです。そういう前提がちゃんと事務当局にあるのです。だから私は事務当局の前提を十分考慮して、何もかも特交、普通交付税で解決する方式というものはよくない。しかも、こういうように炭鉱が非常な危機に直面したときには、ややこしい事務まで負わせることはよろしくないので、やはり簡明直截のほうがガラス張りでものがいける、こう主張しておる。事務当局に聞けばよくわかりますが、事務当局も同じ主張をしておる。大臣だけが違った主張をされておるのであります。そういうことから事務当局は補助率の引き上げを、干天に慈雨を望むがごとく非常に望んでおる。だからそれをしなければ、特鉱水道は片づかぬと頑強に柴田局長以下がんばっておるんです。そして大蔵省は補助率は上げられぬということでがんばる。だから厚生省やわれわれはいまサンドイッチになっておる。そういう形なんですよ。それはそれでいいです。
 次は、この有沢さんの答申の中にこういうことを書いておるのですよ。四十七ページです。「道路、工業用水等の公共事業のうら産炭地域振興上とくに緊要と認められる個々の事業を指定し、当該事業に要する経費については、国の負担率、補助率の引き上げを行なう。」と断定している。そこで「産炭地域振興上とくに緊要と認められる個々の事業」というものを指定をする場合に、一体どういうものを指定するかということです。どういうものを指定するか、ここには「道路、工業用水等」と、こう出ている。それでずっと前にいきますと、道路、工業用水と、それから用地が出ているのです。十一ページの下から五行目くらいになると「道路、工業用水、工業用地等産炭地域の産業基盤の整備を急ぎ、」と書いて、これらの産業基盤の整備というものは「新産都市建設、低開発地域工業開発等他の地域開発政策と比べ、急激に落ち込んだその経済水準を回復して前述のようなコミュニティの崩壊をくいとめなければならない特殊な緊急性を持っている」ものだということを書いてくれているわけです。それから別に水道についても、これは補助率の引き上げをやりなさいということを別のところで書いてくれております。そこで自治省として「産炭地振興上とくに緊要と認められる」指定をするものは、一体何々を指定をするつもりなのか。この指定によって補助率の引き上げの指標がきまってくるわけです。これを大体どういうところだというアウトラインをお示し願って、もうきょうの三時に予算の大綱が決定してしまうのですから、おおよその腹がまえはできておると思うのです。大みそかですからね、きょうは。
#102
○吉武国務大臣 調査団の答申は、昨日の閣議によってこれを取り上げられただけでございまして、これによってどういうものが指定をされるかどうかは、今後の検討にまつものだと思います。まだ通産省からもお話を聞いておりません。ただ私は、産炭地の振興の問題で私自身も非常に苦労をしておるのでありまするけれども、口で産炭地振興といういいましても、具体的にそれではどういう事業を持ってき、どういうことによってやるかということが非常にむずかしいのであります。私も自分で炭鉱をつぶした経験もございまするし、何かこれにかわる仕事を始めて、そうして労務者をそれに従事させていきたい、そうしてまた、地元の町にもお世話になったから何とかしようと思っていろいろ考えてみまするが、ただ口では言えまするが、具体的になるというと、なかなかむずかしい問題でございます。北九州はまた事情は多少違うかもしれません。したがいまして、ただ新しいところに新しい事情をつくるような、新産都市のような計画でありまするというと、道路についてはどう、港湾についてはどうというふうにあらかじめこれが考えられるかもしれませんけれども、産炭地振興というのは、その地域地域で非常に事情が違う。しかも、それに一体どういう産業を持ってきたらいいかといって、頭で考えてすぐその産業が出てくるようなものじゃございません。小野田の先ほど申しましたところも、二十幾つか三十あまりの炭鉱がつぶれてしまった。その土地があいている。しようがないので考究いたしました結果は、ひとつ繊維工場を持ってこようじゃないかということで、まだこれもやっとやや話の目鼻がつきかけたというようなところでございまするから、いま調査団から報告があった中で、これとこれとは指定をして、これについては何分の補助をいたしますというふうにはいきかねるむずかしい問題でございますけれども、しかしながら産炭地振興については私は熱意を持っておるものでございますから、今後ともひとつ努力をいたしたい、かように存じます。
#103
○滝井委員 この問題は今後というよりか――個々の事業というのは公共事業の中の個々の事業ということだと思います。そうしますと、今度の二十八、九日くらいまでにまとまる予算の中で、当然このものとこのものくらいは補助率の引き上げについては大蔵とやはり最終的な折衝をやって腹を固めようということになるのじゃないでしょうか。それが四十一年度とか四十二年度とかになるのではなくて、今年度において、四十年度の予算編成上の問題になるのじゃないでしょうか。私たちはそういう理解をしているのです。有沢さんもそういう理解をしているのです。それを今後という、いわゆる今度の四十年度ではなくて、四十一年、四十二年というようなことでは、たとえば道路のごときは産炭地振興上基幹的なものだということは、山口県においても、福岡県においても、佐賀県においても、みんな言われておるところですが、そういうものについて考えないということになると、非常に問題だと思うのです。これは今度の予算折衝で指定をお考えになってやるわけでしょう、そうじゃないのですか。
#104
○吉武国務大臣 調査団の答申につきましては、もちろんいつまでもほうっておくわけではなくて、できるだけ早く取り上げていく所存ではございましょう。しかしながら、いま申しましたように、新産業都市でさえ、一昨年法律が通って、その後地元その他において具体的の計画が立てられて、ようやく今日その計画が出て、近くこれを承認しよう、こういうことになっている。工特法はことしの春通りましたけれども、まだその計画は出そろわないという状況でございまして、調査団の報告が出て、すぐ各産炭地全部の具体的な計画が出てくるわけではございませんから、先ほど申しましたように、いろいろ事情は地域地域によって違うでございましょうし、その具体的な問題を見ました上でひとつ善処していくよりほかないのじゃないか、かように存じております。
#105
○滝井委員 そうすると、これはますます昨日の有沢さんにわれわれが聞いたのとはだいぶ違ってきたわけです。そうすると、答申が出ても、これからこれを検討して――個々の道路に恣意的に補助率を増すというわけにはいかぬのです。補助率は法律できまっておりますから、したがって当然道路なら道路、水道なら水道の補助率を上げるについては、法律の改正を必要とするわけです。いまのような吉武自治大臣のお考えだと、これは今度の四十八通常国会においてそういうものはやらないんだということになりかねないわけですね。そうすると、われわれがいままで有沢調査団に聞いた話とだいぶ違うわけです。それを今度の国会でおやりになるわけでしょう。四十八通常国会でそれぞれ検討をして、緊急なものは指定するというのは、道路を指定したり、工業用水を指定したり、上水道を指定したりして補助率を上げるわけですから、それを今度の国会でおやりになると私は理解しているのですが、そうじゃないのですか。
#106
○吉武国務大臣 調査団の答申につきましては、先ほど申しましたように、できるだけ取り上げられるものは取り上げていくということだと思いますが、いま御指摘になりましたような問題は、個個の具体的な事例を見ないとわかりません。これは通産省のほうでおそらくやっていることだと思いますが、私のほうではまだそういう計画を見ておりませんから、私のほうでは考えていない、こいうことを申し上げているわけであります。
#107
○滝井委員 そうすると、これはますますおかしいことになっちゃったのですがね。
 通産大臣がちょうどいらっしゃったからちょっとお尋ねしたいのですが、通産大臣、この答申を見ていただきますと、四十七ページから八ページにかけて下から二行目に、「道路、工業用水等の公共事業のうち産炭地域振興上とくに緊要と認められる個個の事業を指定し、当該事業に要する経費については、国の負担率、補助率の引き上げを行なう。」こうなっておるわけです。それから水道等をごらんになっても、補助率の引き上げをうたっておるわけです。鉱害復旧についても、補助率の引き上げをうたっているわけです。そして一昨日、有沢さんは、鉱害復旧については特鉱並みという言明をされたわけです。そうすると、いま地方自治体に関係のある道路とか水道とかというようなものについて、自治大臣は、いま自治省としては、それはもう有沢調査団の答申は尊重しなければならぬけれども、現在は考えていないというわけです。そうしますと、何かうまくわれわれはキツネにつままれたような感じがするわけです。非常にこれは早くやらなければ、気息えんえんたる状態、瀕死の状態にあるんだから、産炭地振興その他は急速にやらなければならぬというので、ことしの夏以来、有沢さんをお願いしておやりになった。そうして答申が出た。ところが、それは自治省としては尊重しなければならぬけれども、こういう点についてはいま考えていないということになれば、一体道路や何かができなければ、いまのままで産炭地の振興というのはできなくなっちゃうんです。だからひとつそういう点は、一体通産省としてはどういうように考えて、そうして自治省なり大蔵省を推進しようとしておるのか。
#108
○櫻内国務大臣 お答え申し上げます。
 通産省といたしましては、産炭地域振興公共事業促進に必要な経費として、十億四十七万八千円を要求しておるのでございます。その内訳は、産炭地振興公共事業促進費として十億、その事務費として四十七万八千円、こういうことに相なっております。
#109
○滝井委員 そうすると、この十億と四十七万の事務費をもって、道路とか工業用水とか水道とかということをおやりになることになるのですか。その補助率のアップの経費にこれが充当されるということになるのですか。
#110
○櫻内国務大臣 滝井委員の御指摘のとおりでございまして、補助率のほうは大づかみに申し上げまして、現行の一割アップの要求でございます。
#111
○滝井委員 そうしますと、たとえば水道のようなものは、二割五分、その一割だったら、二七・五になる。この程度ですか。
#112
○櫻内国務大臣 詳しくは政府委員からお答えさせます。
#113
○井上説明員 お答えを申し上げます。
 ただいま大臣が御答弁になりましたように、一応予算要求としては十億程度を要求いたしております。なお、これにつきましては、答申に書いてありますように、道路とか工業用水その他の公共事業についての補助率アップというふうに考えておりますが、その答申に書いてありますような指定したものについてだとかいうような具体的な内容につきましては、今後さらに関係省と打ち合わせて実施したい、こういうふうに考えております。
#114
○滝井委員 いや、これはなかなか、われわれも初耳で、そういう補助率の予算というものは、水道ならば厚生省、それから道路とかその他は自治省にいくものだと考えていままで議論をしておったわけです。そうしますと、結局予算の窓口というのは通産省一本にしぼられる、こういうことなんですね。そうするとこれは上水道もみんな十億の中には入っておるわけですね。道路、工業用水、飲料水、それがみな入って十億になるのですか。
#115
○櫻内国務大臣 滝井委員のおっしゃるように、すべて通産省が計上して要求しておるわけではないのでありまして、上水道につきましては厚生省のほうで措置をいたしております。
#116
○滝井委員 そうしますと、水道だけが厚生省で、他の道路、工業用水それから工業用地というものは、通産省が窓口になっている、こういうことですね。
#117
○櫻内国務大臣 御指摘のとおりでございます。
#118
○滝井委員 わかりました。それならば、わかりましたので、吉武自治大臣のほうも、それからその他工業用水は通産省自身だと思いますが、ひとつ関係各省に十分パイプを通していただいて、いまのように自治省がどこに計上しておるかわからぬというようなことではこれはたいへんなことだと思いますから、十分ひとつ意思の疎通をはかりながら予算の確立を要望して、総理大臣が参りましたので、あとの人にかわらせていただきます。
#119
○有田委員長代理 多賀谷真稔君。
#120
○多賀谷委員 昭和三十六年、総理が通産大臣時代から、われわれ一緒になって、いわば与野党一緒になって非常に努力をし、そうして石炭鉱業調査団の第一次答申を受けたわけですが、その後、残念ながら、わずか一、二年を経ずして、その答申が向くようにと考えておった状態にならず、ここに再び答申を仰がなければならぬような状態になったわけです。これについて、なぜ第一次答申が崩壊をしたか。この原因については、いろいろあるでしょうけれども、現在総理になられた佐藤さんから、当時の通産大臣時代を経て今日の状態をどうお考えになっておるか、まずその所感をお聞かせ願いたいと思うわけです。
#121
○佐藤国務大臣 多賀谷さんも御承知のように、当時石炭問題が、エネルギー対策のその一部としてたいへんな問題になってきた、こういうことで、通産省自身が、総合エネルギー対策樹立の必要を感じた。そうして、その場合に占むる石炭の役割りというもの、これをひとつ考えてみよう、これが第一次の石炭調査団ができたゆえんだと思います。当時もなかなか苦しい状況に置かれていたその石炭でありますが、その後経済の非常に急激な、また高度の経済発展を見たその結果、また計画どおりに進まないで、その間に相当の懸隔を生じた。これを今回の第二回目の調査団はいかに見るかという、こういうことで、今回またこれを派遣して、その調査報告を願った次第であります。
 私、これを考えてみますのに、いろいろの原因はある、かように考えますが、その大まかな原因は、どこまでも、経済成長が、私どもが予想したより以上のものであった。その結果、石炭にこういう現状のような結果を生じたのじゃないか。これを見ますると、労務の面においては、これはもうわれわれが計画したよりも早目にその数を減らしております。いわゆる生産性は、そういう意味では向上したということが言える。しかし当時考えました五千五百万トンというものは、なかなかこれの確保はできておらない、なかなか困難な状態になっておる。その一面というか他面、石油の事情はこれまた非常な変化を来たしておる。第一次調査団が報告をしたときのような重油の状態ではない状態であります。ここらあたりも一つの問題があるだろうし、また、労務者の数は減ったが、その賃金そのものはこれまた一般の物価の上昇等と比べて予想以上のものがあった。とにかくこれらのものの全部一々あげてみると、ずいぶん計画にそごを来たしておりますが、その計画のそご、それは要するに高度経済成長がもたらした結果ではないだろうか、かように私は思うのでありまして、今回の調査団の報告、まだ十分検討する時間を持っておりません。しかしながら、ただいま申し上げるような点が主眼ではないだろうか、かように私は考えております。
#122
○多賀谷委員 どうも総理から新説を承ったわけです。石炭鉱業が今日自立体制ができないというのは、根本的には高度成長政策の結果である、こういうお話でありましたが、それでよろしいのですか。
#123
○佐藤国務大臣 ただいま申し上げますように、高度経済成長の結果エネルギー源に変化を生じた、かような意味であります。これは直接石炭産業自身が高度経済成長したというわけじゃないので、大まかに申しまして全部に関係した高度経済成長の結果、ただいま申すように予想以上のものが出ておる、あるいは予想したとおりになっておらない、こういう結果を招来した、かように私は見ております。
#124
○多賀谷委員 そうしますと、総理のお考えである高度成長政策というものは、あまりいい政策でないということになるわけですね。
#125
○佐藤国務大臣 議論はいかようにでも立ちますが、石炭産業そのものの立場から見ると、高度経済成長は役立たなかった、こういうことだと思います。ことに、先ほどちょっと私が触れたのは、重油の値段が予想したよりももっと安くなっておる。これはその特殊な事情にもよるでしょうが、そういう点が一つありますね。高度経済成長の結果所得の平準化が各方面で呼ばれておる、そういう結果ですよ。この産業に不相応――不相応ということばがいいかどうか知りませんが、とにかくふつり合いな賃金の上昇もあった、こういうようなことが重なり合ってきておるのだ。これはやはり、他のほうが非常なブームを来たしておる、そういう場合に石炭産業自身もそれを追っかけたいという気持ちから、ただいまのような結果が出ておる、こういうことを申し上げたいのであります。
#126
○多賀谷委員 過去のことを時間がないのにいろいろ論議してもいたし方がないと思いますが、私は、有沢第一次答申が計画したものが予定どおり実行されなかったその第一の理由は、自由競争であるということを忘れておったからだと思う。自由競争ですから、一社が走ればほかも全部ついて走る。有沢答申では三十九年度にスクラップをする予定の炭鉱が、全部三十八年度に集中をする。四十年度を待っておれないというので、三十八年度にスクラップをする。労働者も、こういう空気ならたいへんだというのでやめていく。こういういわば自由競争であるという前提に対して歯どめがなかった。労働者の心理を理解しなかった。そこで総くずれをしたという形になったと理解をしているのです。それはまあ、私は過去のことについていろいろ論議をしても時間がありませんから、次に第二次の有沢答申に基づいて質問をいたしたいと思います。
 一昨日有沢団長に来ていただいて私たちが質問をしたのですが、欧州においてはイギリスにおいて二億トン、西ドイツにおいて一億四千万トンという石炭を掘っておる。そうして重油の値段も日本よりも各国において非常に高い。そうして石炭の値段はむしろいま合理化がされて、日本の場合は欧州に比べて低くなっている。能率も欧州並みになってきた。それなのになぜ日本ではこんなに苦しんでおるのですかと、こう質問をいたしましたら、有沢さんのほうでは、それは根本的に石炭の位置づけが日本においてはできていないんです、西ドイツにおける一億四千万トン、あるいはイギリスにおける一億九千万トンから二億トンというのは、これだけ掘るのだという国民的決定があるのです、日本におきましては五千五百万トンという人もあるし、いや三千五百万トンという人もありますし、また五千万トンという人もあり、そういう不安定な状態の中では作業できないのです、非常に困難なんです、ですから国が五千五百万トンなら五千五百万トンを掘れという大方針を決定しておれば、われわれは容易に作業できるのです、この方針について根本的にいろいろ異論を唱えられますから作業は非常にむずかしいのです、こうおっしゃったわけです。そこでまず国会においては、われわれを非難するよりも、さらにこの基本的な政策を、原則を確立してもらいたいと、いわば開き直った形で一昨日提言があったわけです。そこで総合エネルギー政策の確立、ことに石炭の位置づけ、これを不動のものにしてもらいたいということがありましたが、それについて総理は今後どういう対策で臨まれるつもりであるか、これをお聞かせ願いたい。
#127
○佐藤国務大臣 今日までのところ、これはもう政府は一貫して、五千五百万トンということを基本的な不動の姿勢だということを申しております。今回の有沢調査団が結論を出すにいたしましても、この点について事前に再三内容を聞かれた、こういうことはございますが、これは五千五百万トンだ、こういうことを申しました。この点については今回の答申もそのとおりになっておる、かように私は理解しておるのです。ところがこの五千五百万トンについては、これはあまり基礎的な考え方で変わってはいないだろう、これは第一回以来今日まで続いてきている。ただ、いま御指摘のごとくこれは自由競争だ、そういう点から、この五千五百万トン維持が非常に困難になっている。これは過去の実績が示している。これは多賀谷さんも専門でいらっしゃるからよくおわかりだと思う。それをいかにして確保するかということが、今日の課題になっている。しかもただいまの炭鉱の経営状態がいわゆる日本の場合に大手、そういう考え方できているが、いわゆる五千五百万トン出すという場合、中小炭鉱の果たす役割りも非常に大きいと思う。まあ大体どのくらいになっているかわかりませんが、中小炭鉱もいまなお三割五分あるいはその前後のものを供給しておるに違いないと思う。これがいつも、労務の問題におきましても生産の面においても、また炭鉱維持の面におきましても一番問題を投げかけておる。ここらに、炭鉱自身の面でもいわゆる自由競争がある。しかし私は自由競争の立場で経営されることが望ましいと思っておる。自由競争の立場でやるのが本筋だと思っておる。その立場にあるこれらの事情を考えたときに、石炭問題のむずかしさがあると思います。基本的には、御指摘になるように重油がいかに安かろうが、とにかくこれは外貨支払いを必要とするものだし、国内産業である石炭というものを育成強化しなければならないという国の基本的態度がある。この国の基本的態度、そうしてさらに国内における自由競争の立場、その経済の自由の原則のもとにおいてもこの整理をやっていく、そこらに一つのむずかしさがあるのだ。今日までいろいろの説がなされておりますが、私はどうも考えてみて、石炭産業があれだけ高度化してあれだけ生産をあげたにかかわらず、他の産業に追随ができない。これは結局他の産業の高度経済成長、それに追いつかなかった結果だ。このひずみを一体どうしてくれるか。それで今回の第二次石炭調査団の骨子もやはり他の産業に追随していく石炭産業のあり方というものを考えておると思います。したがいまして、賃金等も相当なところでちゃんと考えられ、また経営の面においても炭価引き上げなども、これはやはり石炭のわが国産業における位置づけをしようというその熱意のあらわれだと思うし、ことに利子補給などの制度に至っては、私はたいへんな奮発だ、かように考えておるのであります。だから、ただいま言われるような基本的な石炭と取り組んでおる態度そのものについては、疑問はないのじゃなかろうか。ただいままでのところ、私はこの有沢調査団の全部を全面的に実施するとは申しませんが、しかし少なくともこの調査団の趣旨は尊重すること、これは当然でありますし、私自身が第一回から今日また第二次の調査団の報告を受けるというたいへん因縁のある産業でもあります。で、この調査団自身がただいまのような処置をとられるということは、これは位置づけしようとして努力されておる。だから調査団に対して皆さんがお聞きになって責められることは、調査団としてもお困りだろう。むしろこれは政府におきまして、関係各省において真剣に考究すべき問題だ、かように私は思います。
#128
○多賀谷委員 そういたしますと、総理は五千五百万トンは不動のものである、こういうお話であり、さらに石炭の位置づけはできておる、こうお話しになりましたから、私はそれを前提に以下質問をいたしたいと思います。
 今度の答申を策定するにあたって、いわば出産体制の確立、自立の面において大きな二つの主張があったやに聞いておりますし、事実問題としてこの答申の総論においてそのことが触れられております。すなわち、一方においては全体のエネルギーの調整という面から重油消費税という形態で資金を集めて、それをいわばプール的に政策的に有効に使おうという議論と、そうでなくて、炭価の値上げを原則として、あと漏れる分については利子補給あるいは既往債権のたな上げという方式でいこうという二つの主張がある。しかし欧州において行なわれておる重油消費税、いわばエネルギー調整金という形のものは、根本的にいろいろ検討をしなければならない問題であるから将来に残したと書いてある。そこでこの大きな二つの主張に対して答申は、炭価の引き上げあるいは利子補給、さらに既往債権の特殊の会社におけるたな上げという問題が書いてある。この二つの原則のどちらを政府はとられんとするのか、これをお聞かせ願いたい。
#129
○佐藤国務大臣 この席に通産大臣がいると、その研究の結果を十分お話しすることができるだろうと思います。冒頭に私申しましたように、調査報告を昨日受けたばかりでありまして、私まだ十分閣内の調整もはかっておりません。これは正直に申し上げるのです。それで、ただいまいずれをとるか、こういうことを申されましても、まだ結論が出てない、かようにお答えする以外にはございません。今日までいろいろ、昨日も閣議に一応の報告がありましたけれども、その場で直ちにきめる、こういうものではない。これはたいへん重要な問題でありますし、とくと政府は研究したい、しかる後に方向をお示ししたい、かように考えております。
#130
○多賀谷委員 その細部の点は別ですけれども、この石炭企業の自立の根本的な原則、これは二つありましたけれども、そのうち答申はいわば炭価値上げの方式を採用したわけですね。総理はしろうとでないのですよ。しろうとでないのですから、いままでずっと自分で石炭を見てこられ、そうして党内で野におられても常に関心を持って見てこられたと思うのです。ですから、この答申が出てきた以上、これはもういかに研究したかなんということではなくて、総理自身がこれはこの方向でいくのだ、それだけの用意と識見があるはずですから、ここではっきりおっしゃってください。
#131
○佐藤国務大臣 これは大事な点でございます。先ほど来申しておりますように、石炭のエネルギーにおける位置づけはできておる。同時に、私どもが自由競争の立場でこれを守っておるのだ、資本主義のもとにこれを守っておるのだ、この二つははっきりしておるのです。したがいまして、ただいま助成あるいは炭価を引き上げる、こういうことを絶対の条件と考えるかどうか、あるいはもっとまた別ないい名案があるかどうか、こういうことも考えさせていただきたいのです。先ほど来申しますように、国内資源はどうしても活用していかなければならない、外貨を必要とするものとは比べものにならぬということを申しました。その意味における政府の助成は必要だということを申しておりますが、幾らになり、いかにするかということはなかなか困難な状態だ。さらに、先ほど来、多賀谷さんもよく御承知のように、大手あるいは中小、そういう山を分けて説明もしておりますし、また石炭の需要の方途もよほどただいま変わっておりますから、そういう実情などもとくにわれわれが考えていかなければならない。先ほど申しましたように、大体わが国の特殊性、その立場から重油が非常に安くなっておる。これだけは見のがすことができない。第一次調査団の報告以下にどんどん下がってきておる。それが石炭自身の競争力を弱めておる理由でもありましょう。しかし、今日の段階になってきて炭価を引き上げることの影響もやはり考えていかなければならない。どういう結論を出すか、その辺は通産省において、担当しておるその行政官庁においてよく各界をにらみ合わしてきめるべきことだ、かように私は申しておるのでありまして、私が調査団の報告を全面的に否定をしておるわけではない。とにかく、ただいま言われましても簡単には結論が出ておらぬ、こういうことであります。たいへん御不満だと思いますが、私は率直にただいまのことを申し上げる。きのうのきょうでありますよ。本来その趣旨はよくわかって、おっしゃるように平素からこれは研究しておるだろう、かように言われますが、そのとおりでありますけれども、今日私責任の立場にありますので、各省の意見を総合調整する役も、これはたいへんな仕事でありますから、そういう意味で私は率直に申し上げておるのです。御了承いただきたいと思います。
#132
○多賀谷委員 総理がお話したなっているように、日本の石油価格というのは世界にまれに見る低い価格になっておる。イギリス等はC重油で日本の倍くらいの価格になっておる。これは政策的なものも含まれておるでしょう。西ドイツだって五割くらい高い、こういう中にあるわけです。ですから、たとえば電力会社等で六十億も炭価の値上げによって損失が多くなる、こういうお話をされておりますけれども、とにかく千二百円引きをしたという事実を忘れては困るわけです。逆に言うと、千二百円下げたというだけ、逆に電力会社、電力企業に貢献をしておるともいえる。立場をかえていえば。しかし北海道電力等を聞きますと、あるいは経理の苦しいところもあるでしょうが、有沢調査団に聞きましたら、大体九州は現在の電力料金でできる、こう言う。ですから、ほんとうに産業界全体の協力があれば至難でないと思うのですよ。その協力体制のないところに問題がある。石炭業界は石炭を守ってくれと言うけれども、残念ながら、ほかの業界全体が、何とか一致して石炭を守ってくれという声を聞かない。総理は五千五百万トンは必要だ、これは不動の原則だと言われるけれども、日本の経済界あげて擁護しようという体制にない。それを私は非常に問題だと思うのですよ。それかといって、じゃ、もう炭鉱は要らぬのかとだれに聞いても、いや、それは必要だと言う。しからばどうしてくれるかという、こういう問題になるわけですね。そこで、この問題は重大な問題ですが、労働者も炭鉱企業家も実際は、これによってほんとうに救われるかという点については疑問を持っているんですよ。一息はつくだろうという気持ちはある。しかしやはりもとのもくあみに化するのだという考え方が、かなり大勢を占めておるんですよ。この答申ですら、そうなんですよ。ですから、この答申ですら――総理は上回って政策をされるなら別ですよ。上回って政策をする気持ちがあればこれは考え直してくれ、それは政府として長い間御苦労をかけたけれども、別に案がある、こうおっしゃるならいいけれども、まさかこれを下回った政策があるとは考えないけれども、一体、総理はどういう考えで、まだきめてない、こうおっしゃるのですか。
#133
○佐藤国務大臣 ただいま重大な発言をなさいました。有沢調査団は、これは電力業界は今日の料金のもとにおいて吸収し得る、こういう発言でございます。私も実はこの点を一つの問題にしておるのです。これは別に議論を申し上げるわけではございませんが、私、確かに各会社とも重油が安いことによる利益というものは、有沢調査団が計算したときよりも、会社においてはその利潤を出したはずなんです。その利潤はいかに消化されたかということですね。これはおそらく電力業界も組合も、賃金にも必ず影響してきておると私は思います。これを否定することはできないと思う。とにかく、もうかった会社においてはこれは処分済みの利益なんですね。それで今回新しく二百円あるいは三百円というと、それだけの負担増になる、こういう事柄が電力会社として主張するところのものであります。私はこれは別に議論を申し上げるわけじゃなくて、過去の蓄積あるいは利益というものがいかに処分されたかということを考えてくると、安いがままでとにかく処分を見た今日だ、したがってエネルギー源が今度は高くなる。そこに一つの悩みがあるんだと思うのです。ただいま言われるごとく、通産省自身は、総合エネルギー官庁として、各方面にとにかく石炭の困っている事情も十分了解さすようにあらゆる努力をしておると思う。電力会社は一番大きな消費者でございますから、電力関係がこれを了承しなければならない。そういう観点からものを見る、あるいは鉄は一体どうなのか、ガスはどうなのか、さらに鉄道はどうなのか、石炭を大口に消費しておるところのものが必ず価格が上がることによって影響を受けることは当然なんで、それぞれがみんな石炭の重要性は知っておる。エネルギーにおけるわが国の位置づけは知っておる。しかしながら、そう簡単に結論を出し得ないのは、自分自身の利潤の配分そのものが今後いかになるかというそれの悩みだと思う。したがって私どもが力でどうこうということはなかなかむずかしいんですよ。したがって、これはむしろ私が結論を出さなくて、それぞれの方が事情についての十分の理解と同情を持たれることが、石炭問題解決のゆえんではないだろうか、かように私は思うのです。
 これは私、ひとり価格についてのみ申し上げるわけではありません。おそらく多賀谷さんのほうからも後に石炭労務者の確保、若手の労務者をどうして確保するかという意味から、給与、賃金についても必ず御希望が出てくると思いますが、あらゆるものを総合的に考えて初めて石炭問題は解決するんだ、かように思います。そういう立場にある政府だ、したがってただいまこの問題を円満に推移さしたい、かような意味で私が結論を出しておらない、こういうことを申しておるのでありまして、私が非常な不勉強でそうしておるわけじゃない、むしろ勉強の結果あちらこちらを心配している、今日当面しておる物価問題にも関連してまいりますし、あるいは高度経済成長政策にも関連してくる問題だ、かように考えていろいろくふうしておる。
 いままでお答えしたところで、大体私が考えているところの筋のものはおわかりだろうと思う。これはもう賢明な多賀谷さんですからおわかりだろうと思いますが、が、そこらをしばらく時間をかしていただきたい。それまで私なかなか結論を出さないということを申し上げておるのであります。私は、今回の調査団の一行の中に、私自身の個人的によく知っておる人もあります。その人は私の所見をあるいはどこかで散見したのでしょう、きのうあたりから非常に心配して、結論を出したゆえんをこまかく説明してくれております。あるいはまた炭鉱業者自身も、大手も中小企業もあわせて、今日の非常なむずかしさについていろいろ説明しております。また消費者である方面からもいろいろ話を聞いておる、かような状態でありますから、真剣に取り組んでおること、これが必ず通産大臣やあるいは労働大臣その他にも反映してくる、かように思いますので、昨日閣議をやったばかり、そういう状況で、これを早急に解決しなければならぬこともよく知っておりますし、いずれ予算編成も身近になっております。そういう際にいかにこれと取り組んでおるか、それが具体化してまいるか、それまでお待ちを願いたいということを申しております。
#134
○有田委員長代理 総理の約束の時間がきましたので、もう一問だけ・・。
#135
○多賀谷委員 私たちは炭価引き上げ方式で救われると思わないのです。やはり総合調整の中で解決する以外にないんじゃないかという党の基本的な態度です。しかし当面答申が出ておりますから、大臣どうお考えですか聞いたわけです。大臣の御苦労もわかるわけですが・・。
 そこで、この答申がくずれる次の大きな要素は、いま御指摘のありました労働力の確保ができないんじゃないかということです。いま労働者は、この答申の出方いかんによって自分の一生の身の振り方をきめたい、こう言っている。まず第一に炭鉱にビジョンがない、だから自分が一生つとめられる炭鉱が見つからないわけです。一生保障してやる炭鉱が、現実においてそう多くはありません。ですからこの問題をどう解決するか、日本の終身雇用制のもとにおいて、炭鉱労働者は転々として職をかわらなければならぬという運命にある。第二は賃金の問題ですが、賃金の問題をどうするか、こう考えるわけです。そこでこの二点について、第一点の問題は年金あるいは退職金の通算制の問題、ドイツ等に行なわれている養老年金の問題、第二点は賃金の問題、これをひとつお聞かせ願いたい、かように思います。
#136
○石田国務大臣 御指摘のように石炭の労働者諸君は、第一次有沢調査団の予想した以上の速度をもって減少しております。そして当初はその離職者に対する対策が労働行政の中心でございましたが、これからは国が要請する五千五百万トンという石炭の出炭量を維持するために、いかにして必要な、優秀な石炭の労働力に山に残ってもらうか、新しく入ってもらうかということが大きな問題に相なりました。
 そこで、第一の問題は、老後の保障の問題でございます。これについて現在すでに厚生年金において、抗内労働に対しては、ある程度の割り増し保障のようなものをいたしておりますが、それでは不十分であるからさらに検討をするようにということが、調査団の報告にもございます。その方向に向かって所管官省である厚生省と協力をして努力をしていかなければならぬだろうと思っております。また、退職金等につきましても、最低保障のような処置をも考究しなければならないのではなかろうかと存じておるのであります。そうしていまお話にございましたように、坑内労働、特に石炭の労働が転々とした場合、それをやはり通算して保障していくというような形を考究していかなければならぬのじゃないだろうかとも思っておる次第であります。
 それから賃金の問題でございますが、石炭の賃金は、従来は重基幹産業の上位にありました。それから諸外国におきましても、重基幹産業の上位にございます。労働の質から考えて、それが適当な位置づけであろうと私も考えておるのでありますが、現在は下位に移行しております。そこで、これがそのあるべき姿に近づいていくようになっていかなければ石炭労働が確保されないということは、私どもは一貫してこの委員会その他国会の御質問にもお答えをしてまいりましたし、委員会等についてもそういう方針で接触いたしてまいりました。
 もう一つは、この石炭産業を救ってまいりますために、そしてその調査団の報告に基づいて再建いたしてまいります場合には、やはり平和な状態、労使間の平和な状態が必要であります。その平和な状態を確保するのには、ただいままで申しましたような具体的な条件の整備とともに、石炭の労使がみずからの置かれておる地位と、そしてその受けておる社会的ないろいろな条件、そういうことを理解して、そうして平和のうちに石炭産業の再建に努力をしてもらうということも、またこれは必要であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
#137
○佐藤国務大臣 いま労働大臣がお答えいたしましたように、ただいまの問題点の主たるものは、いかにして労務を継続さすか、いわゆる若手の就職ができるか、こういうことですね。若い人にかわっていきましても、とにかく労働力がずっと継続していく、そういう意味のことに最善の努力を払っておる、こういうことです。
#138
○多賀谷委員 最後に、産炭地振興についてお尋ねいたしたいのですが、総理、昭和三十六年に筑豊に見えたときに、この荒廃した状態を放置することは全く政治家の恥であり、かように放置する者は政治家としての資格がない。これは総理、いまの総理ですが、当時の通産大臣、また私たち政治家も含めてそういうようにお話しになった、こう思っているわけです。しかし一向産炭地の状態はよくなりません。ますます深刻の度を加えておる。
 また、私が非常に残念に思いますことは、総理も非常に御苦心をくださった大正炭鉱も、あの昭和三十七年に合理化するときに半数の人を首を切った。何とか山を再建したいというので大きな合理化をやったわけですけれども、山と運命をともにしてその後残った人は、前の人々よりも退職金が非常に少なくて、ほとんどもらえない。要するにいま炭鉱は、終山時にやめた者は一番ばかを見る。早く見切りをつけて出て行った者のほうが、退職金がいいという状態になっているわけです。ですから山が終わったときにおる人間は、全く何ももらえないという状態になっている。それが離山を一そう促進しているのです。ですからこの二点の問題についてどういうようにお考えになるか。
 産炭地振興もこの答申にはかなり書いてありますが、これは、問題は文章でなくて、政府の姿勢だと私は思うのです。社会開発を言われるならば、いま一番日本の陥没地帯であるこの産炭地に対する総理の決意をひとつお聞かせ願いたいとともにわれわれが政治家として非常に胸を痛めておる山と運命をともにした者ほど条件が悪くほうり出されるという問題について、どういうようにお考えであるか、この二点お聞かせ願いたいと思います。
#139
○佐藤国務大臣 産炭地振興に政府が非常な努力をしておることはおわかりだと思います。
 まず政府機関等をそこへ配置しよう、あるいは自衛隊あるいは学校等々、いろいろくふうしておる、研究所などもそういう意味でつくっておる。やはり何といっても工業用水の確保と、それから交通整備をすることが何よりだと思います。筑豊のごとく北九州に接続していて、北九州であれだけ人が集まっておる、もしもベッド・タウンになるならば、これは道さえつくなら、交通の便が与えられるなら、必ずその土地の使用も変わってくると思います。私はそういう意味で一そうその方面の努力をすべきだと思います。最近も飯塚に学校をつくるという話があり、それがまだ文部省のほうで決定を見ないというようなこと、これなども私まことに残念に思いますから、急速にひとつ進めたい、かように思っておりますが、これは具体的な問題で個々の問題について取り組む以外に方法はございません。企業団地あるいは中小企業機械団地、これなども直方を中心にしてつくる計画がある。また北海道にもそういう意味の機関を設置する。これは就職あっせんの機関だと思いますが、そういうようなものをつくっていって、そして地方の方も、今日まで石炭に依存したものを他に振りかえるという、そういう意気込みがないと、なかなかこれに対処していけないんじゃないか。せっかく政府も産炭地振興、疲弊から救おうというその努力は払っておりますので、地方の方もやはり新しい方向へ目をつけていただきたい、かように思います。
 またもう一つの問題で、最後まで残った者がばかを見るのだ、こういう点、これは私も大正炭鉱についてはまことに遺憾に思いますが、しかし他の炭鉱は必ずしもそういうものばかりでもないだろう。ことにこの時代でも五つ前後のものは黒字であるはずだ、そういう炭鉱について魅力が失われるという、そういうことも必ずしもないだろう、かように私は思いますし、全部が全部黒字になればいいが、なかなかいまの状況ではそこまでの期待は期待薄かと思いますけれども、しかし第一次、第二次調査団を派遣してそしてこの事業を継続していこうという、政府自身もそういう熱意を持っておるのでありますから、また経営者自身がそのときに非常な不幸な状態になっておる、あるいは労働者自身もそういう不幸な立場にあってもやはりしんぼうしていただくような、何と申しますか更生の方法が国として十分考えられればひとつごしんぼう願いたい、かように私は思います。いずれにしても、やめる山というよりも、山を存続さす、いかにして存続さすか、そのほうを積極的に考えるべきだ、かように思います。
#140
○有田委員長代理 滝井義高君。――滝井さん、総理の約束の時間がだいぶ超過したので、一問だけにしてください。
#141
○滝井委員 いや、そう制限しなくたって・・。
#142
○有田委員長代理 ひとつ約束だから・・。
#143
○滝井委員 三時から閣議があるので、まだ時間がありますよ。ちゃんと紳士的にいきますよ。われわれのところはほんとうに命にかかわる大問題ですから、少し落ちついて聞いてもらいたいと思います。政治家はあわてると事を仕損じますから。
 簡単に聞きますが、佐藤総理の五千五百万トンが基本的に不動のものであるということばを聞いて幾ぶん安心をしておるわけです。しかし、実際は五千五百万トンの石炭が出ていないわけです。現実には五千二百万トンがやっとなんですね。しかもその五千二百万トンというのは、第一次調査団の答申以来、五千五百万トンを確保するためには炭鉱の機械化を推進し、同時に、生産性の向上をはかるために技術の開発をやる、こういうことを基本にして、いわば五千五百万トン以上の石炭は掘っていこうということを考えておったわけです。ところが現実に五千五百万トンの炭が出ているというのは、一体機械化が進み、生産性向上のための技術開発が進んだから出ておるのかというと、そうではないのです。どこに一体その出ておる主たる力があったかというと、三十九年においても十六万人の炭鉱労働者をかかえ、しかもなお組夫を二万二千人もかかえながら、いわば労働力に依存をして日本の石炭の五千五百万トン程度が確保されておるということなんです。その出炭の主柱である労働者が炭鉱に魅力を失い、炭鉱経営者に不信を抱き、政府の施策に不信を抱いたところに、離山ムードが起こって、いまのように総くずれ状態になっておるわけです。
 そこで当面する政策としては、いかにして労働力を確保し、落ちついた環境を炭鉱につくるかということが、当面緊急な問題点です。これはさいぜん石田さんも言われましたが、この点についてはあとで石田さんに詳細にお聞きいたします。これが一つです。
 いま一つは、少なくとも石炭の長期ビジョンとして、石炭鉱業がエネルギーの安定供給の一環をになうためには、やはりそれだけの社会的な信用というものをつくってもらわなければならぬ、それは機械化が進み、技術の向上が石炭山で進まなければいかぬわけです。どちらもこの政策は金の要る政策になってきているわけです。労働力を確保するためには生活環境を整備しなければならぬ、これも金が要ります。それから一方機械化を推進し、技術の向上をするためにも金が要るのです。このどっちもがいまお手上げになっておるところに日本の石炭産業の危機があるわけです。そこで当面佐藤内閣としては、このむずかしい二つの方程式を同時に解決しなければいかぬわけです。労務の問題については、これはあとで石田さんに詳細にお聞きいたします。
 そこで佐藤総理にお聞きをいたしたいのは、急激ないまのような労務体制のもとで、労務体制をある程度整備しながら機械化と技術の更新をやるためには、相当の投資が要る。まず第一に要るのはどういうところに要るかというと、この石炭の技術を研究する機関、こういうところに金がちっとも集まってこないのです。これは石炭業者が納付金を納めることになるが、納付金が集まらないのです。国の補助金もやらない。だから石炭技術を研究しようにも、研究ができないのです。これは四億か五億の金を三十九年から四十二、三年までにつぎ込んでもらえば何とか学者はやろうと言っているのだが、その金がない。炭鉱業者は出せない、こういう問題が一つある。
 それからいま一つは、機械化を推進しようとすれば掘進が進まなければいかぬ。掘進が進むと同時に機械化が並行するところに、山の近代化と機械化が行なわれるわけです。掘進を進めて機械化をやるためには、四十二年か三年までに有沢調査団は千三百億円の金が要ると言っているのです。そうするといまの五千二百万トン出している炭鉱のうちの八割というものは、四十二年になったら黒字になります、二割はなおいろいろ養生をしてあげなければならぬが、しかし八割は自立ができるのだ、こうおっしゃっておるわけです。そこで私は労務の問題はとにかくとして、そこらあたりの石炭山自体の緊急な対策というものを、佐藤内閣として、ほんとうにこれはふんどしを締め直して、池田さんが心を新たにしたように、あなたも心を新たにしてやっていただけるかどうかという点です。
#144
○佐藤国務大臣 心は何ぼでも新たにしますが、心を新たにしたってなかなかできないのです。しかし私は第一次調査団――今日までのところ、生産性の向上は非常に私どもの予期以上に向上した、かように思います。その際もいわゆる機械化あるいは近代化というものはよほど進んだ、かように思います。調査団が言うとおりでも必ずしもない。ただいま生産性の向上、これはこの上ともやりたいとおっしゃるのだが、はたしてできるかどうか、これは日本の炭鉱の特殊性だろうと思います。そういう意味で私は所要な資金はとにかく出す、その考え方でただいまもおりますし、またこの産業が、先ほど多賀谷さんにお答えしたように、必要な産業だろうということを申しておりますから、その点では従前よりも強力に推進するものだ、かようにお考えになっていいかと思います。
#145
○滝井委員 従前よりか強力に推進していただくという言質を得ましたので、今後それが具体的にどうあらわれるかということを期待をして佐藤さんを信頼したいと思います。
 もう一つは、いまこういう石炭政策を強力に推進していく上において、どうしても需要業界の協力なくしては石炭政策の安定はあり得ないわけです。石炭政策の長期ビジョンの確立はあり得ないわけです。
 そこでこの際もう一つお聞きしておきたいのは電力とか鉄鋼とかガスというようなものが、これは炭価を上げる、とすると、なおここらについては関係各省との調整を必要とするそうでございますが、いずれにしても、これは需要業界に相当の負担をかけなければならないことは客観的に明らかであります。具体的にどうかけるかということは別として、明らかであります。とするならば、これらの需要業界が負う出血については、ある程度の施策はやっておかなければならぬと思う。たとえば開発銀行の利子等の需要業界が借りているものをどうするかとか、あるいは重油の税の還付制度をつくっているのですが、こういう問題をどうするかとか、これはいろいろ具体的な問題が出てくるのです。当然総理としては、それらの需要業界の出血については高度の政治的な配慮はやる意思は十分ある、こういうことと理解して差しつかえございませんか。
#146
○佐藤国務大臣 需要業界の協力がなければこれはできないという、先ほど来多賀谷委員に私がお答えしたのもその点に重点を置いております。したがいまして、あらゆるくふうをして、そうしてただいまおっしゃるように、当然これは出血なんだ。だからその出血に対する対策を立てろ、それが協力なんだ。これならば、これは別に協力を求めなくても当然できることなんだが、そういう方法をとらないで協力を求めるのが、いわゆる協力なんだ、かように私は思いますので、先ほど来まだ結論ははっきりさしておりませんという、そういう点が明確でないのは、多賀谷さんからずいぶん私追い詰められましたが、お答えしなかったのですが、私はむしろ正直にお答えをしておる、かように思います。どうかそういう意味で、各業界の協力を得たい。これはただ単に経営者ばかりじゃございません。やはり労働者自身も各業界の方も、炭鉱労務者に対して格別の御同情を賜わるように、どうか社会党の方にも御協力を得たい、かように私はお願いします。
#147
○滝井委員 わかりました。そうしますと、大臣としては、具体的にすぐに右から左に協力した者に手厚い保護はいかぬかもしれぬ。とにかく精神的協力もひっくるめて、需要業界の協力を得たい。しかしそれについては非常に長期の展望に立って、政治でございますから、必ず出血した者については、政治としては当然考える、こう理解して差しつかえないですね。
#148
○佐藤国務大臣 出血、出血言わないで、とにかく協力さす。これが私どもの政治でございますから、そういう意味でよろしくお願いしておきます。
#149
○有田委員長代理 伊藤卯四郎君。
#150
○伊藤(卯)委員 時間がないそうですから、一点だけ。
 石炭問題は総理も御存じのように、三十三年以来重要な政治問題、社会問題として取り上げられて、その間二回にわたって有沢調査団も出しております。しかるに依然として解決、安定の方向は今日まで出ておりません。私は三十七年の通常国会におきまして、池田総理にこういうことを要請しました。石炭問題を安定化するということは、それぞれのエネルギーの数量、価格を総合調整して、それで一つの安定計画を国策としてやらない限りは、この安定はできない。今日までのように自由放任のばらばらな状態において、これがどうして安定対策が立つかということを質問しましたところが、池田総理は最後に、伊藤さん、それをやります、こういう非常に強い答弁をされておりました。それから昨年の通常国会におきましても、池田総理、ああいう確約をされたが、一年たっても依然としてそれが具体的に政府として施策の中にあらわれてこないがどうしたんですかということを言いましたら、いや近く出しますと言われたが、これまた一年たっても実行できないで、それで池田総理は引退されるということになりました。私がいま申し上げたようなことを政府がやらない限りにおいては、石炭はもちろん、エネルギー界の安定は不可能であります。すでに御存じのように、油においては欧州各国と比べて、日本は倍近く安く入っておる。これと石炭を競争させて、どうして石炭の安定化ができますか。その他、エネルギーすべてばらばらですよ。これでどうして一体エネルギー界を安定さすか、石炭を安定さすか。私は、手品師だっていまのようなままにしておいたらできないと思います。だから今日のような状態におとしいれておるのは、歴代の政府のエネルギー政策、石炭政策に対する無策、無能であったと私は極言をしなければなりません。いまのままにしてやれるというお考えが佐藤総理にあるなら、お聞かせ願いたい。いまのままにしてやれない。やはりそういう総合エネルギーの計画的な調整、あるいはそうした位置づけをやらぬ限りは不可能であるから、今度はそれをやるつもりである、やらなければだめだというようなことをお考えか、どっちかをはっきりこの機会にお聞かせ願いたい。
#151
○佐藤国務大臣 専門家であられる伊藤さんですから、なかなか手きびしい御批判でございます。しかしただいままで私が説明したごとく、また政府がやっておりますごとく、いわゆる総合エネルギー対策、これは政府も非常に真剣に取り組んでおる問題であります。産業構造審議会におきましても総合エネルギー部会を持っておる、これはそのあらわれであります。今日までも電力あるいは鉄鋼等の大口消費者の協力を得ておるということは、ただいま言われたような池田総理がやると言ったこと、それを実施しておる、かように思います。しかし先ほど来皆さま方からお尋ねのありますのも、この政府の総合エネルギー対策をもっと強力に明白にこれを推進しろ、こういう一言に尽きるのじゃないか、かように思います。したがいまして私は、先ほど来穏やかな表現はいたしておりますが、これなくしては、需要者の協力なくしては、石炭問題の解決はできない、これが私の信念でもありますので、前質問者お二方と同様、伊藤さんにもこの協力をお願いしますが、これは政府が率先してやるべき事柄でございます。同時に経営者ばかりでなく、組合側の協力、理解がなければこれはできることじゃございません。事柄は他の方向であるようでございますけれども、ただ、石炭労務者だけの苦しみを見のがすような産業労働者であってはならない。お互いが助け合うという気持ちが必ず出てくるだろう、かように思いますので、御協力のほどを願いたい。もちろん政府が責任を持って推進していくことには変わりはございません。その点を重ねてお答えをいたします。
#152
○伊藤(卯)委員 不十分ですけれども、約束どおり一問ですから、いずれ通常国会で・・。
#153
○有田委員長代理 八木昇君。
#154
○八木(昇)委員 三時までしか時間がないそうでございますから、労働大臣にちょっと要点だけ三つばかり御質問いたしたいと思うのです。
 先ほどほかの委員から質問があっておりましたように、今度一体政府は炭鉱労働者の問題についてどうしてくれるだろうかということを、これはもうほんとうに真剣になって注目していますね。そこで今回労働者に対する対策というものが相当思い切った施策が施されないと、これはずるずると離山ムードは続いていくであろうし、ましていわんや若い新制中学あたりを出て間もなくというようなぴちぴちとした労働力というものは、現在ももうほとんど入っておりませんが、これから後これが炭鉱に入ってくるなんということは全然期待できないんじゃないかと私は実は思っておるわけであります。
 そこで一つは賃金の問題ですが、実は有沢さんの答申によりますと、今後の炭鉱の賃金について年間七%ということを今度答申しておるわけですね。ところが七%というのは、賃金上昇率を指示したものではないのだ、これは誤解がないようにという話でございます。今後の炭鉱の経理改善の見通しの係数として一応取り入れたものである。企業によって七%以上のベースアップも十分考えられる。そういうようにできる限り労働条件をよりよくしたい、こういう考え方、しかし企業によっては七%すらも出せないところも中には出てくるだろう。しかしそういう企業はおそらく私はつぶれると思うのですが、そういう有沢答申の趣旨らしゅうございますが、先ほど労働大臣の御答弁にもありましたように、重要基幹産業の中で、いま炭鉱労働者の賃金は低位にある、こう言われたのでございます。そうしますと、これを少なくとも上位に持っていかなければなりませんが、一応七%の賃金上昇率を基準と考えた場合に、それではとても追いつけない。今後そういうような程度の考え方では、炭鉱のいまの状態から判断するに、労働力の確保はとうていできないんじゃないかと私は思うのでございます。この点についての労働大臣の率直な御見解をまず承りたいと思います。
#155
○石田国務大臣 第一次有沢調査団の報告に基づいて、石炭の合理化が進みました。そうして石炭産業の従業者一人当たりの出炭量というものは非常にふえてまいりまして、欧米の水準に十分達するようになりました。他面その結果、鉱山の保安状態もあまりよくありません。事故が多くなっております。いろいろな点から見まして、これ以上労働側にしわ寄せをされることは、私ももう可能の限度を越えておると思うのであります。したがって、そういう見地に立つことが一つと、もう一つは、先ほども申しましたように、石炭労働というものに対するわれわれの考え方あるいは対策の重点というものは、はっきり移行いたしました。かつては離職者対策であったものが、現在は労働力確保という点に入ってまいりました。第三番目には、その労働力も現在平均年令は三十七歳をこえておる。若い労働力の新しい導入を常に考えなければならぬ、そういう点に基づいて報告が出されたものと思うのであります。私の考えとしては、七%がいいか悪いかという問題よりは、かつてはわが国において重基幹産業の上位に石炭産業の賃金がありました。欧米にあってもそのとおりだ。それに近づいていくんだという方向が明らかにされる必要があるんだと、私は常に考えておったのであります。そこで他の重基幹産業の平均の賃金上昇率に幾らかでも足されれば、その足された分まで近づいていくわけであります。そういう考えで取り扱われるべきだと私は考えておりますし、そういう考えで折衝をしました。しかしながら、いろいろ計算の根拠を示さなければならない点からいって、そういう一応の数字が出されたものだと思うのでありますが、しかし石炭産業の賃金の問題を考えれば、やはり重基幹産業にだんだん近づいていくという姿勢が示されることが、その速度は別でありますが、しかし近づいていくという姿勢が示されることが必要であろうと私考えておるのであります。
#156
○八木(昇)委員 そこでこの際一番大切な問題は、炭鉱の最低賃金というものをひとつ抜本的に樹立してもらいたいということなんでございます。それは近く最低賃金法について労働省としてもお考えがあるようでございますが、前の大橋労働大臣も現行法は、これは国際的に持ち出して最低賃金制でございますと言えるしろものではもはやなくなっておりますということを認めておられたわけです。ところが近く予想される最低賃金の改正にあたって、一体炭鉱最低賃金についてどういう考え方を持っておられるのか。現在では一万六千円であろうかと思うのでありますが、それでは問題にならない。特に炭鉱の場合には、若いうちに働かなければなりませんし、年をとってくると、他産業と違って年功序列型でなくて、逆に賃金が落ちていくという形でありますから、どうしても若い労働力を吸収するためには、この最低賃金制というものは特に炭鉱にとって重要である、こう考えておりますので、最賃法の改正にからんで大臣のお考えを承っておきたい。
#157
○石田国務大臣 私は現行の最低賃金法を提出した張本人でございます。そのときにも答弁を申しましたが、その現行最低賃金法が近代工業国家における国際的な水準に合っておるものだとは、私も思っておりません。しかしながらわが国のいろいろな特殊的な事情その他から申しまして、漸進的にこれが処理せらるべきものであるという立場から、あの法律を提出したのであります。法律施行後時期を経過いたしまして、すでに適用労働者の数もかなりな数にのぼり、最低賃金制というものに対する各界の理解も深まってまいりました。したがって今度は、現在業者間協定を中心といたしますものから、他の三条項に基づくものもだんだんふえてまいる、そういった方向に引きずっていくべきものだと思っておるのであります。そうしてそういう方向に移していくことを通じながら、最低賃金法の改正をいま検討されておるところでございます。
 それから石炭の最低賃金についてでありますが、若い優秀な労働力を石炭産業に導いていきますためには、やはり最低賃金法が最低賃金のかなりの妥当な線を示すことは必要であろうと思っておるのであります。そして、先般、昨年でありますか、それに基づいてただいまお話しのようなことに相なっております。それに引き続きまして、他のよく似た産業について最低賃金法、最低賃金の制定の協議がいま進んでおる過程でございます。その協議の成立を待ちさらに具体的な方法について検討いたしたい、こう考えておるのでありまして、いま金属工業関係の最低賃金の審議が進んでおる段階でございますので、その様子も見た上で考慮をいたしたいと考えております。
#158
○八木(昇)委員 さらに突っ込んで具体的にもう少し最低賃金について、各国の実情等との比較においていろいろ質疑をしたいのですが、時間を制約されておりますので省きますが、いま申し上げましたように、特に炭鉱の最低賃金というものについては特段の配慮を、ひとつこの機会にぜひ払ってもらうようにお願いしたいと思うのであります。
 そこで、次に炭鉱の災害に関連して少し聞きたいと思うのでありますが、それは昨年の三池炭鉱の大爆発の後に引き続いて発生した例の一酸化炭素中毒患者の問題であります。これなどを見ましても一酸化炭素の単純なる中毒だけでなくて、爆発を伴っておりますので、爆発によるところのショックというものを受けてああいう病気になっておりますので、したがって三年間たってもほとんど痴呆状態から脱し切れないという人がおそらく相当数残るであろうということを、労災病院の院長も言っております。そうなりますと、やはりこういった一酸化炭素中毒患者、これらの人に対する現行労災法のいろいろな適用ではきわめて不十分ではないかということを痛切に感じておるわけであります。でき得べくんば、こういうようなものについては単独立法が望ましいと私は思いますが、それができないにいたしましても、現行法のままであると働いておった当時の賃金の六割でございますかを、年金として受けるわけでございますが、しかしそれでは物価の上昇によるスライド制が十分に確立されておりませんし、それから世間の生活水準がどんどん上がっていくのに追いついていけない、こういうことにもなるわけであります。そこでこれまた、幸い政府は労災補償法の改正について用意をしておられる。これは全産業の労働者に適用する、あるいは農業従事者にも適用したいということを労働大臣は発表しておられるのでありますが、それもさることで、これは当然やっていただかなければなりませんが、もともと非常に高温多湿なところで働いておる炭鉱労働者の職業病的な問題をもひっくるめて、特に当面する問題としては一酸化炭素中毒の問題等について、一体どういうお考えをお持ちになっておるか。炭鉱労働者がこれらのいろいろな問題について、いまこそ着目をしておるときであります。これについて前途を悲観するとどうにもならぬというときでありますから、いまがチャンスだと思いますので、ちょっとお考えを示していただきたい。
#159
○石田国務大臣 先ほどもお答え申しましたように、石炭産業における労働災害は増加をしております。そういう危険な状態において多くの人々に就業を求めるといっても、人道的見地からは言うまでもなく、必要な労働力確保という点からいっても、これはきわめてよくないことでございますから、そういう点に極力改善を加えていかなければならないことは言うまでもありません。御承知のごとく、ただいま労働省では労災法の改正を意図いたしております。その改正にあたっては、いまお話しのような趣旨を十分組み入れるように努力いたしたいと存じております。
 それから同時に、具体的な事例として、ただいま当面をいたしております三池炭鉱の爆発災害を受けられた方々に対する措置は、法の許す限り、あとう限りの措置を経過的にはとってまいりたいと存じております。
#160
○有田委員長代理 多賀谷真稔君。
#161
○多賀谷委員 実はいまの災害にからんで、組夫といわれる人々の災害が一般の鉱員の二倍になっておるのです。本来これはおかしなことで、組夫はそんな危険な個所で働くようになっていないのですよ。ところが、現実に本鉱員の二倍の災害率が出ておるというのは、これは私は単に保安局だけの問題でもないし、あなたのほうは職業安定法の問題でもあるし、どうも再検討する必要があると思う。一つは、いまあります法律の中においてもできるという問題それからもう一つの問題は、現行法ではむずかしければ、実は、職業安定法の施行規則を昭和二十七年か八年に変えたために、この組夫、下請というものがルーズになっておる。本来職業安定法のもとの規則でありますとかなり規制できたものが、法律を変えて非常にルーズにしたのですよ。ですから、ほかの産業は別としても、少なくとも炭鉱企業においては、危険な個所に組夫を入れ、しかも保安教育はほとんどやらない。そうしてこれが離職した場合には、あなたのほうは離職者として扱ってくれるけれども、石炭局のほうは炭鉱離職者としても扱わぬのですよ。組夫というものは炭鉱労働者の外に本来置いておる。本来外に置いておって、災害は二倍もかかっておる。こういったことは、これは通産省の所管でありますけれども、労働大臣としても、組夫対策というものについては真剣に考えてもらいたいと思うのです。とにかく新聞を見ても、何々鉱山が爆発した、そして何々組夫と、こうくるわけです。これはもうどこかで違反があったという証拠ですね。大体組夫はそんなあぶない個所に行くことになっていないのです。しかし、現実はそういう状態です。いま御存じのように労働力が足らぬという時代ですから、どうしてもこれは本鉱員にする運動をやはり行政官庁として積極的にしていただきたい。こういうように思うのです。そこで私は一昨日有沢さんにこの組夫の規制をなぜ徹底的にやらないのですかと言ったら、実は組夫自身が本鉱員になるのをいやがるのだ、こういう話がありましたが、私は本質を取りかえておると思う。組夫の場合は支度金がもらえるのです。大手炭鉱は自分の常用する場合には、いろいろな関係があって、支度金は出し切らぬわけです。ところが組夫を雇う場合には、どんどん支度金を使って雇ってくるわけです。本鉱員はなかなか雇えぬけれども、組夫は集まるという状態になっておる。それはどういうことかというと、やっぱり遠因は支度金の問題です。ですから、これらの点を十分検討をして、ひとつ組夫の問題について対策をお願いしたいと思う。
 それからもう一つ、産炭地振興を言いましてもなかなか仕事がないのですよ。そこで実際は、私は例の緊急就労対策事業をもう少し高度化して、これをかなり恒久化する必要が逆に出てきておるのではないかという気持ちすらある。そうして、むしろこれのほうが安定した仕事として私はやってもいいじゃないかという気持ちすら最近はある。それはみんな五十歳以上です。職業訓練所の訓練生の第二期の生徒は、飯塚の職業訓練所でもかつては四十歳ぐらいが四十六歳である、やがて五十歳になるでしょう。訓練生の平均年齢ですらそれですから、一般に訓練所に入らない離職者の年齢というものは、停滞をしておる人々は相当高年齢者になっているのではないか。ですから、新規企業が来ても子弟は雇えるけれども、本人は雇えない。ですから、これをもう少し効率的に、いますぐとは言いませんけれども、労働者の構成から実態上検討する必要があるのではないか、こういう気持ちがあるわけです。この二点、ひとつお聞かせ願いたい。
#162
○石田国務大臣 組夫の問題、特に組夫には災害が多い、これは御指摘のとおり事実でございまして、訓練を受けないで入るのでございますから、その入る場所を間違えて適当でないところに入れれば、事故が多くなるのはきまっております。これは私の直接の所管ではございませんけれども、その実情にかんがみて、その顕著なところについては、経営担当者を基準局に招致いたしまして一々注意いたしております。さらに御指摘の問題の整備等について努力をしたいと思っております。
 それから緊急就労事業は、御承知のように法律上の期限が終わりまして、いま予算的措置として行なわれておるのであります。これをやることが現在の産炭地振興の目的に沿うかどうかということについては、いましばらく検討をしなければならぬ問題だと思うのでありますが、ただいまの状態を少しでも改善する方向において検討をいたしてまいりたいと考えております。
#163
○多賀谷委員 文部大臣にお尋ねをいたしたいのですが、石炭鉱業調査団答申の中に、文教対策といたしまして、現在産炭地における社会環境あるいは家庭環境の悪化、いわば教師の肩に社会教育、家庭教育、さらに本来の学校教育と相重なった重荷がしょわされておる、こういう点が答申に指摘されております。大臣もお聞き及びのように、最近の非行化は集団化の傾向を見せておりますし、また子供が家庭から逃避したいというような気持ちになっておることも御存じのとおりです。そういう中で、このいわば炭鉱労働者及び離職者のスクラップでなくて、次の世代の若い子供までがスクラップされようとしておる。ある養護学校の状態を見ますると、五十三名の生徒のうちで、実は五十一名が生活保護世帯、こういうことになっております。そういたしますと、結局家庭の非常に貧困であるということが知脳指数にも非常に影響をしてきておるということを示すわけでありますが、この産炭地における、いわば特殊的な状態の生徒を教育するために、あるいは補導するために、ここに「いわゆるカウンセラーなどの増員を図り、これを重点校に配置する等極力非行少年対策上効果があがるよう配置する。」こういうように書かれておるわけでございますが、この「など」ということについて、どういう意味ですかと調査団に聞きましたところが、それはその他の必要な教職員を増員してという意味であって、そのことを提案をし全委員の了承を求めた、そうして文章はあまり長くなるから簡潔にということで「など」という表現をいたしたわけです、こういう御答弁がございました。そこで現実の問題として学校の先生方の増員を行なう必要があるのではないか、こういうように考えるわけですが、これに対して大臣の御処置を承りたい。ことに答申を受けられた大臣は、どういう方法で具体的におやりになるか、お聞かせ願いたいと思います。
#164
○愛知国務大臣 有沢報告書にこの教育対策が取り上げられましたことは、私どもとしても非常に喜んでいるわけでございます。したがってここに取り上げられた項目については、一つ一つ適確に実施をいたしたいと考えております。
 そこで、いまお尋ねの点は、一つは教職員の問題と、その中に含まれるカウンセラーの問題でございますが、教職員の定数の問題については、かねがね予算委員会や特別委員会でも質疑応答がかわされたわけでございますが、昨年末の標準法の施行令に伴いまして、これは産炭地その他の生徒児童数が急激に減少するような場合の特別の配慮を加えております関係上、たとえば福岡県の産炭地域に例をとりますと、おおよそ三百人近くの定数の過員と申しましょうか、普通の場合だったら認められないような定員が認められておって、その中ですでに具体的な措置が講ぜられておると考えております。
 それからカウンセラーについては、特にカウンセラーということばをあげて答申もせられておるわけでございますので、実はカウンセラーのほうについては、特にこの四十年度におきましても概算要求をしておるものに含まれない分がございますから、追加要求を四十年度の予算についていたす手続を、現に報告書は正式に一昨日出ましたので、さっそく手続をいまとっておるところでございます。
 それからそのほかの、たとえば給食の問題、就学奨励の問題等につきましては、大体この四十年度に概算要求しておりますわれわれの考え方を裏打ちされたような次第になっておりますので、この点は非常にうれしく思っておりますので、四十年度の予算編成がいよいよきょうから始まるわけでございますが、この報告書を強力なたてにして財政当局に対して強く要求いたしたいと考えております。
#165
○多賀谷委員 私は、単に過員対策ということでなくて、もう少し積極的に産炭地教育を取り上げてもらいたいと思う。たとえば知能が非常に低くても、工作等は一人前にやれるそうですよ。ですから算術や読み方はあまりできなくても、工作をやらすと一生懸命、学校の普通の授業が終わってもやっておるそうです。ですから知能指数が低い、そういう施設がないものですから就職しても普通の就職はできないのです、中学校を卒業しましても。卒業したといっても普通の学力程度ないわけですから。それを普通の標準の教育をしましてもなかなかむずかしいでしょうから、そういう子供にはやはり手先を使ってやる仕事、それから勘で覚えさせる仕事、かなりまだ日本ではそういう仕事が職場にもありますし、そういうことをやらせると、学校にむしろ進んで来るようになる、こういう点も指摘されるわけです。ですからただ学校の先生が余っておるからその対策だということでなくて、あり余っておるから、あるいはたまたま対策であったということでなくて、ひとつ産炭地教育というものを積極的に取り上げてもらいたいと思う。単なる過員対策でありますと、率直に言いまして、中学校あたりになりますと、御存じのように教科の問題がございますから、必ずしも学級のいわゆる充実した編制ができない。ですからそれらの面についても全体の中で、日本全体の教育を平等にされておるのですからなかなかむずかしいでしょうけれども、これはもう特殊な陥没地帯だ。とにかく生活保護の子供が十人おりましてもたいへんですよ、五十名のうち十人おりましても。それが三割、四割あるいははなはだしきは五割をこえるという状態ですからね。ですから私は、その地域においては全体がいわば特殊教育的な教育をやらなければならぬという実態のもとに、積極的に取り上げていただきたいと思う。ただ先生が余っているからその処置のために幾ら増したのだということではいかない、教材にいたしましても、中学の教科の問題にいたしましても。それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
#166
○愛知国務大臣 ただいまの定員の問題につきましては、たまたま定員の問題が解決できるその範囲内で特殊の措置ができるというように結果論としてなっておるわけでございますが、しかしそれではこの答申のような考え方が充足できませんので、先ほど申し上げたとおりカウンセラーを中心にいたしまして、特にあらためて予算の追加要求等もいたしております。
 それから特殊の児童並びに特殊教育という問題は全く御同感なのでありまして、たとえば福岡県に例をとりますれば、福岡県教育委員会とも十分御連絡をしているはずでございますが、特殊学級というようなものを相当増加したらばいいのではないか、適地に適切な処置という意味で、特殊学級を相当多くつくったらいいのではないかということも相談を進めているようなわけでございます。先ほどお示しがありましたが、たとえば手でやることならば非常に興味を持って手工というようなことをやって相当の成果があがっているような実例を、私も聞いているようなわけでございます。そういう意味の特殊の学級にして、特殊教育をするということはたいへん効果のあることではなかろうか。いままで足らないところがございますれば、そういう点に特に重点を注いでまいりたいと思います。
#167
○多賀谷委員 特殊学級の創設もさることながら、私は特殊学級的に扱ってくれと言うのです。そういうかなり貧困者の多い、学力程度の低い児童を多く持つ学校は、学校全体としてひとつ特殊学級的に扱ってもらえないだろうか、いわゆる文部省の基準による特殊学級も必要でしょうけれども、全体的にそのように扱ってもらえないだろうか。そうすると、やはり工作の先生とかあるいはそれに関連する先先は増してもらって、そしていわば就職をしても、普通のありきたりの教育よりも、本人にとっては充実した教育をしてもらったことになるし、いわゆる雑役のような仕事でなくて、将来自分の就職場をほんとうに見つけ出すことができるのではないか、こういうことを言っておるわけです。ですからそれをひとつ特別に御考慮願いたい。これを最後に質問いたしたいと思います。
#168
○愛知国務大臣 この産炭地の児童生徒の状況というものは、ほんとうに気の毒な状況でございますから、私は多賀谷さんのお説に、趣旨において全く賛成なのであります。こういうところの問題のとらえ方については、よほど特殊的な考え方でやっていかなければならぬ。その地帯全体、あるいは子供さんたち全体をとらえて、それは日本全国画一の方式をもって当てはめようと思っても、これはとても無理だということは私も十分認識ができるわけでございます。御趣旨に従いまして、さしあたり有沢報告が完全に実施できるように、まずそこから手始めに十分な努力をいたしたいと思っております。
#169
○滝井委員 実は私非常に勉強してきたわけですが、政治というものは一つ一つ掘り起こしていかなければならぬと思います。この前も予算委員会で御質問を申し上げまして、少し私研究をしてみたわけです。今度の調査団で「カウンセラーなど」という中には、カウンセラーを必要と認める各学校に配置するということと、それから特殊学級とか特殊学校には、養護教員と事務職員を配置する、それから教育委員会にもカウンセラーを置くんだ、こういうのが「カウンセラーなど」ということになるんです、という御答弁が有沢調査団からあったわけです。そこで、いまの愛知さんの御答弁で、できるだけこれを実現をしていきたい、答申の精神を実現をしていきたいということになりますと、そういうことになるんだろうと思うんですが、炭鉱地帯については、すでに昨年の標準定数法ができてから、なお相当見ているということでございます。そこで私、少し福岡県の実態を、なかなか資料が集まらぬですが、もぐって調べてみた。すると三十八年度において三百九十五の過員がある。それは三十八年五月一日現在で過員がある。そうすると、それを五分の一ずつ減らしていくことになるから、三百九十五に五分の四をかけて三百十六になるわけです。そしてさらに小学校と中学校とを標準定数法の基本方式でいく分と、さらに今度はそれらの地域について人口が急激な減少をしたり、産炭地のような特殊な状態が起こったということで、標準定数法でいまの法のワクの中で見得るもの、いわば最低保障ですか、こういうものを加味して、それぞれ小学校、中学校の定数を出しているわけです。そして昨年、正確に言うと五百六十三、約六百程度出してくれたわけです。これは何も福岡県だけでなくて、最近のベビーブームが退潮期にありますと、どこでもこういう状態は日本全国起こっているわけです。そういういわゆる小学校年齢の人口の急激な減少と、それから同時にいま一つは、産炭地にもそういう特殊な事情が加わった。しかしそれは現在の法律の、標準定数法のワクの中で見得るものであって、特に緊急を要し、失業と貧乏が渦巻いて、そして子供その他にも重要な影響が及ぶ、地域も家庭も学校もみんな荒廃している、こういうものに対する特殊な政策ではなかったわけですよ。そこで、いま多賀谷君の言うように、標準定数法で見得るものは六百であるけれども、さらにもう一つ、それに積極的な政策面を炭鉱地帯に加味をしてもらいたいというのが私たちの要求であり、有沢調査団のいまの「カウンセラーなど」というところに文教対策としてあらわれてきておると私は思うのです。そこでそれを実施をしてもらうということが必要である。そうすると六百人の教員をよけいに配置をした、平均的に見るとこうだという問題、これは平均ではいかないんですね。むしろこの際、これはあるいは法律を改正して特別な立法をつくらなければならぬのかもしれぬけれども、産炭地で相当、立法をやらなくても行政措置でたいがいできてくる。たとえば緊急失対事業のごときも、法律をつくっておった、ところが法律がことしの十二月十七日で切れるのです。ところが閣議決定で法律と同じようにやるんだということさえできるわけですから、だからこういう緊急の場合だったら、私たちは閣議決定してもらえば文句を言いません。法律ができなければ、やむを得ないのですから、緊急な場合だから、法律はそれはもうあとででも追ってもらうことにして、緊急な措置としてやってもらうためには、たとえば小学校を、産炭地については、やむを得ぬですから閣議決定で最高四十人にしよう、こういう手だってあると思うんです。それから各学校に、生活保護者その他が多いんですから事務職員を必ず一名ずつやるんだ、それから養護教員を一名ずつ配置するんだ。それからいま愛知さんが言われるように、学校全体が特殊学級化しているんだから、その中で特にはなはだしい児童だけを集めて、知能が低くなっている児童も集め、体力の弱くなっている児童も集めて特殊学級をつくる。そうすれば、それに特殊学校と同じように教員を二名配置するんだ、これは二名あるわけですからね。そういうやっぱり臨機応変の措置をとれば、私はいけるのじゃないか。先日参議院で何か四十年度については九百名程度やるんだ、三十九年度に六百名よけい配置したのをひっくるめて九百名やるんだということで、私また九百名で計算してみた。そうすると筑豊でどの程度の過員がなお出てくるかというと、それをやってもらっても中学校で百三十名余るんです。いまの九百名を平均的に分けたとしても、小学校で二百四十余るんですね。そうするとこういう先生方は、これはもう首を切られなければならぬということになるんです。そうすると一方産炭地の教育については、いま言った法律のワクの中では相当のまあ温情のある文教政策を推進するという政策は受けておりますけれども、それでもなお不足している。そこで私はこれをもっと具体的に調べてみようというので、カウンセラーを置いている学校と置いていない学校を調べてみた。そうするとカウンセラーを置いている学校はぐっと非行少年、触法少年が減っておる。そうして置いてないところは依然として停滞しておる。それでそれをさらに、福岡県の中でも比較的産炭地の影響を受けていない福岡、久留米の地区と北九州、筑豊と調べてみた。警察で調べてもらってみましたらどういう結果が出たかというと、筑後地帯は、これは農村地帯で産炭地の影響を受けぬので一八%しか非行少年、触法少年がいないんですね。ところが産炭地と北九州になると三一・二%になってくる。ほとんど倍近く出てきておるのです。それでその三一・二%のまん中でカウンセラーを置いておる学校になりますとぐっと減っているのです。そこでカウンセラーを私はどの程度置いておるかと思って調べてみると、鞍手郡一部にたった一人しかいないんですね。これでは私は焼け石に水だと思うんです。そこでこの前予算委員会でも申し上げましたとおり、できれば四十三年、石炭の合理化の進行する四十三年までの暫定的な措置でもいいから、この有沢答申の精神にのっとって、少し思い切った積極政策を、愛知さんおやりになる必要があるのじゃないか。佐藤さんの最高のブレーンとして社会開発を推進される愛知さんとしては、やはり人間優先、歩行者優先の政治というものを――私はまず日本の若いこの民族の躍動する姿というものは、これは文教政策からしか出てこないと思うんですよ。そういう意味で、私はいま一番日本民族の危機的な状態が起こっておると思う。この産炭地で、あなたの社会開発の理想を一応ここでテストしてみる必要がある。どの程度あなた方の政策がいけるか、人間尊重がいけるかという、こういう経済のひずみから人間にひずみがきておるのをやるのが一番いいのじゃないか。これをひとつ、もうちょっと積極的なことを、いま私が調査したことからもやってもらいたい。それに対する御答弁と、いま一つは、その八十万の筑豊の人口のある中で、学芸大学が一つあるだけなのに、それが廃止されようとしておる。それが最近風のたよりに聞くと、何かあいまいもことしておるのです。これは学芸大学でなくてもけっこうだと思うのです。少なくともあの荒れ果てた川筋気質の文化のかおりの少ないところにたった一つ、産炭地の子弟があこがれの的にしておるその大学がなくなるということは、これはもう政府の文教政策、人間開発の精神を疑われてもしかたがないと思うのです。ここでそれについてはやはり責任を持つという御言明をいただきたいと思います。まずこの二点をお答え願いたい。
#170
○愛知国務大臣 前段の御質問、御意見の点は、私はその趣旨におきましては滝井さんと全く同じ結論だと思うのでありますけれども、全国的な教職員の定員の問題がございますので、どうもうまく理解をしていただけないうらみがあると思います。と申しますのは、今年度は福岡県内で全部で約六百名、来年は九百人――九百人ということはまだはっきりきめておりませんが、少なくとも九百人にはなるであろうというような過員の吸収を行なうつもりでございますが、その範囲内で、あらためて閣議決定をいたしませんでも、最高四十人の児童の定数ということが現にもう行なわれておりますので、これを認めておりますから、あらためて閣議決定というようなことまで必要はないじゃないか、こういうふうに見ておりますので、実際のこの現場での措置につきましては、観念論は別として、まあ結論は同じような結論が私は出ておると思っております。
 それから第二の学芸大学の点は、これもお気持ちは非常によくわかるわけでございますが、あとどういうふうなかっこうにしたらいいかということについては、私どもの考え方もさることながら、やはりこういう問題は地元の御意向というものを十分尊重したい。つきましては、たとえば県教育委員会等でひとつ積極的な案をつくっていただければ、これにできるだけの御協力をして、中央、地方と緊密な連絡の上に、しかるべき公的のあとの機構をつくるように心がけてまいりたい、こういうふうな気持らで私は事務方とも相談をしているわけでありますので、御了承を賜わりたいと思います。
#171
○滝井委員 これでけっこうです。
#172
○有田委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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