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1964/12/03 第47回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第047回国会 社会労働委員会 第1号
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1964/12/03 第47回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第047回国会 社会労働委員会 第1号

#1
第047回国会 社会労働委員会 第1号
本国会召集日(昭和三十九年十一月九日)(月曜
日)(午前零時現在)における本委員は、次の通
りである。
   委員長 田口長治郎君
   理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
   理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君
   理事 田中 正巳君 理事 河野  正君
   理事 小林  進君 理事 長谷川 保君
      伊東 隆治君    大泉 寛三君
      大橋 武夫君    倉石 忠雄君
      藏内 修治君    齋藤 邦吉君
      坂村 吉正君    高橋清一郎君
      高橋 禎一君    竹内 黎一君
      地崎宇三郎君    中野 四郎君
      西岡 武夫君    橋本龍太郎君
      藤本 孝雄君    粟山  秀君
     山口喜久一郎君    伊藤よし子君
      大原  亨君    高田 富之君
      滝井 義高君    八木 一男君
      八木  昇君    山口シヅエ君
      山田 耻目君    吉村 吉雄君
      本島百合子君    吉川 兼光君
      谷口善太郎君
―――――――――――――――――――――
昭和三十九年十二月三日(木曜日)
    午前十時二十四分開議
 出席委員
   委員長 田口長治郎君
   理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
   理事 亀山 孝一君 理事 田中 正巳君
   理事 河野  正君 理事 小林  進君
   理事 長谷川 保君
      藏内 修治君   小宮山重四郎君
      竹内 黎一君    地崎宇三郎君
      中野 四郎君    西村 英一君
      橋本龍太郎君    松山千惠子君
      滝井 義高君    八木 一男君
      山田 耻目君    吉村 吉雄君
      本島百合子君    吉川 兼光君
      谷口善太郎君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 神田  博君
        労 働 大 臣 石田 博英君
 出席政府委員
        厚生政務次官  徳永 正利君
        厚生事務官
        (大臣官房長) 梅本 純正君
        労働政務次官  始関 伊平君
        労働事務官
        (大臣官房長) 和田 勝美君
 委員外の出席者
        専  門  員 安中 忠雄君
    ―――――――――――――
十一月十三日
 委員伊東隆治君、大泉寛三君、齋藤邦吉君、高
 橋清一郎君及び高橋禎一君辞任につき、その補
 欠として熊谷義雄君、亘四郎君、西村英一君、
 小宮山重四郎君及び松山千惠子君が議長の指名
 で委員に選任された。
同月十八日
 委員大原亨君及び滝井義高君辞任につき、その
 補欠として阪上安太郎君及び重盛寿治君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員阪上安太郎君及び重盛寿治君辞任につき、
 その補欠として大原亨君及び滝井義高君が議長
 の指名で委員に選任された。
同月十九日
 委員滝井義高君辞任につき、その補欠として阪
 上安太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員阪上安太郎君辞任につき、その補欠として
 滝井義高君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 山村新治郎君及び小川三男君が議長の指名で委
 員に選任された。
同月二十日
 委員西岡武夫君、橋本龍太郎君及び滝井義高君
 辞任につき、その補欠として三池信君、村山達
 雄君及び重盛寿治君が議長の指名で委員に選任
 された。
同日
 委員三池信君、村山達雄君及び重盛寿治君辞任
 につき、その補欠として西岡武夫君、橋本龍太
 郎君及び滝井義高君が議長の指名で委員に選任
 された。
同月二十七日
 委員亘四郎君辞任につき、その補欠として稻葉
 修君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員稻葉修君辞任につき、その補欠として亘四
 郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十日
 委員西岡武夫君辞任につき、その補欠として赤
 澤正道君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員赤澤正道君辞任につき、その補欠として西
 岡武夫君が議長の指名で委員に選任された。
十二月二日
 委員藤本孝雄君辞任につき、その補欠として赤
 澤正道君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員赤澤正道君辞任につき、その補欠として藤
 本孝雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月二十六日
 日雇労働者健康保険の存続に関する請願(天野
 光晴君紹介)(第一一号)
 国民健康保険事務費の国庫負担に関する請願(
 田中伊三次君紹介)(第一二号)
 日雇労働者健康保険の改善等に関する請願(中
 島茂喜君紹介)(第一三号)
 衛生検査技師法の一部改正に関する請願外四件
 (久保田円次君紹介)(第一四号)
 同外二件(坂村吉正君紹介)(第一五号)
 同(田中伊三次君紹介)(第一六号)
 同外八件(長谷川四郎君紹介)(第一七号)
 同外二十九件(福田赳夫君紹介)(第一八号)
 同(藤枝泉介君紹介)(第一九号)
 同(森下元晴君紹介)(第二〇号)
 同(金子一平君紹介)(第三四号)
 同外六件(東海林稔君紹介)(第三五号)
 同(小川半次君紹介)(第八六号)
 同(田口誠治君紹介)(第八七号)
 同(中澤茂一君紹介)(第八八号)
 同(遠藤三郎君紹介)(第一二九号)
 同(山田彌一君紹介)(第一三〇号)
 同(谷垣專一君紹介)(第二八九号)
 動員学徒、女子挺身隊、徴用工犠牲者援護に関
 する請願(田口長治郎君紹介)(第二一号)
 日雇労働者健康保険の改善に関する請願(重盛
 寿治君紹介)(第三六号)
 戦争犯罪裁判関係者の補償に関する請願(進藤
 一馬君紹介)(第三七号)
 診療報酬引き上げに関する請願外二十件(本島
 百合子君紹介)(第三八号)
 同(沢田政治君紹介)(第一三一号)
 同(臼井莊一君紹介)(第二八八号)
 北海道、東北地区に国立重度精薄児施設設置に
 関する請願(森田重次郎君外三名紹介)(第五
 五号)
 サリドマイド児救済に関する請願(小川半次君
 紹介)(第八五号)
 日雇労働者健康保険の改善に関する請願外一件
 (井岡大治君紹介)(第八九号)
 同外一件(中澤茂一君紹介)(第九〇号)
 同外四件(久保田鶴松君紹介)(第一三四号)
 同外一件(平岡忠次郎君紹介)(第一三五号)
 同外百三件(松原喜之次君紹介)(第一三六
 号)
 同外五件(阪上安太郎君紹介)(第二九〇号)
 同外六件(八木一男君紹介)(第三〇四号)
 公衆浴場営業用上水道及び下水道料金減免に関
 する請願(増田甲子七君紹介)(第一二七号)
 身体障害者福祉拡充に関する請願(古井喜實君
 紹介)(第一三二号)
 精薄児施設草の葉学園の社会福祉法人認可に関
 する請願(増田甲子七君紹介)(第一三二号)
 失業保険の適用範囲の拡大充実に関する請願(
 井出一太郎君紹介)(第二〇七号)
 同(小川平二君紹介)(第二〇八号)
 同(吉川久衛君紹介)(第二〇九号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第二一〇号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二一一号)
 同(下平正一君紹介)(第二一二号)
 同(中澤茂一君紹介)(第二一三号)
 同(羽田武嗣郎君紹介)(第二一四号)
 同(増田甲子七君紹介)(第二一五号)
 同(松平忠久君紹介)(第二一六号)
 原爆被爆者援護法の早期制定に関する請願(井
 出一太郎君紹介)(第二一七号)
 同(小川平二君紹介)(第二一八号)
 同(吉川久衛君紹介)(第二一九号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第二二〇号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二二一号)
 同(下平正一君紹介)(第二二二号)
 同(中澤茂一君紹介)(第二二三号)
 同(羽田武嗣郎君紹介)(第二二四号)
 同(増田甲子七君紹介)(第二二五号)
 同(松平忠久君紹介)(第二二六号)
 身体障害者に対する強制義務雇用及び安全就業
 に関する請願(江田三郎君紹介)(第三〇〇
 号)
 精神上に著しい欠陥ある者を収容する老人ホー
 ム設置に関する請願(小沢辰男君紹介)(第三
 〇一号)
 国民健康保険制度の改善促進に関する請願(加
 藤高藏君紹介)(第三〇二号)
 業務上の災害によるせき髄障害者援護に関する
 請願(藏内修治君紹介)(第三〇三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十一月二十六日
 医学部卒業生の実地修練制度廃止に関する陳情
 書(東京都新宿区信濃町全国医学部長会議慶応
 義塾大学医学部松林久吉)(第一一五号)
 小児マヒ国産生ワクチンの投与に関する陳情書
 (札幌市議会議長斉藤忠雄)(第一一六号)
 精神薄弱者福祉対策に関する陳情書(十都道府
 県議会議長会代表大阪府議会議長中井信夫外八
 名)(第一一七号)
 看護婦の需給対策に関する陳情書(十都道府県
 議会議長会代表大阪府議会議長中井信夫外八
 名)(第一一八号)
 老人福祉対策に関する陳情書(宮城県栗原郡一
 迫町社会福祉協議会長佐々木賢芳)(第一一九
 号)
 保険医療政策に関する陳情書外四十八件(高松
 市天神前一丁目二番地の十四香川県医師会長三
 宅徳三郎外五十八名)(第一二〇号)
 失業保険制度の改正反対に関する陳情書(小樽
 市議会議長赤坂健一郎)(第一二一号)
 日雇労働者健康保険の改善等に関する陳情書(
 洲本市議会議長社家直美)(第一二三号)
 同(芦屋市議会議長鶴田秋太郎)(第一二四
 号)
 同(兵庫県議会議長石井武夫)(第一二五号)
 同(明石市議会議長増本正治)(第一二六号)
 同(山形県最上郡大蔵村議会議長柿崎伝八)(
 第一二七号)
 同(兵庫県加東郡社町議会議長山田亭三)(第
 一二八号)
 同(宝塚市議会議長出口春雄)(第一二九号)
 同(新庄市議会議長高橋喜一郎)(第一三〇
 号)
 同(福岡県田川郡方城町議会議長山本石男)(
 第一三一号)
 同(山形県北村山郡大石田町議会議長佐藤茂兵
 衛)(第一三二号)
 身体障害者雇用促進法の改正に関する陳情書
 (米子市議会議長中島邦美)(第一三四号)
 失業対策事業就労者の賃金引き上げに関する陳
 情書(新津市議会議長石山常一)(第一三五
 号)
 結核医療対策に関する陳情書(東京都北多摩郡
 清瀬町議会議長陸田良雄)(第一三六号)
 清掃施設の整備に関する陳情書(全国都市清掃
 会議会長東京都知事東龍太郎)(第一三八号)
 最低賃金法の改正に関する陳情書(宮城県議会
 議長門伝勝太郎)(第一三九号)
 せき髄損傷患者の援護対策に関する陳情書(小
 田原市風祭四百十二番地全国脊髄損傷患者療友
 会長和泉政雄)(第一四〇号)
 重症心身障害児童の収容施設設置に関する陳情
 書(中国五県議会正副議長会議代表鳥取県議会
 議長木島公之)(第一四一号)
 原子爆弾被害者援護法の早期制定等に関する陳
 情書(唐津市議会議長宮崎芳郎)(第一四二
 号)
 同(東京都北区議会議長阿子島直助)(第一四
 三号)
 原子爆弾被害者援護法の早期制定に関する陳情
 書(半田市議会議長関正計)(第一四四号)
 同(札幌市議会議長斉藤忠雄)(第一四五号)
 同(宮城県議会議長門伝勝太郎)(第一四六
 号)
 同(鳥取県議会議長木島公之)(第一四七号)
 同(小樽市議会議長赤坂健一郎)(第一四八
 号)
 同(福岡県田川郡香春町議会議長大場正夫)(
 第一四九号)
 全国一律最低賃金制の確立に関する陳情書(岡
 山市小橋町百七十六番地箕浦敬人外三十一名)
 (第一五〇号)
 同(川内市議会議長堀之内武義)(第一五一
 号)
 同(長崎市議会議長住田政之助)(第一五二
 号)
 国民健康保険の市町村事務費全額国庫負担に関
 する陳情書(枚方市議会議長多田周太郎)(第
 一五三号)
 国民健康保険の国庫支出金補助率引き上げに関
 する陳情書(群馬県碓氷郡松井田町議会議長猿
 谷環)(第一五四号)
 重症心身障害児施設びわこ学園の国立昇格に関
 する陳情書(福井県議会議長山本宇平)(第一
 五五号)
 国立公園内各種施設整備事業の国庫補助金増額
 に関する陳情書(関東一都九県議会議長会常任
 幹事東京都議会議長大久保重直外九名)(第一
 八三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田口委員長 これより会議を開きます。
 この際、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。
 一、厚生関係及び労働関係の基本施策に関する事項
 二、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項
 三、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項以上各事項についてその実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#4
○田口委員長 この際、厚生大臣より発言を申し出ております。これを許します。厚生大臣神田博君。
#5
○神田国務大臣 第四十七国会における社会労働委員会の御審議に先立ち、この機会に厚生行政の当面する問題につきまして、所信の一端を申し述べたいと存じます。
 まず医療費の緊急是正については、私は就任以来、できるだけ円満に解決したいと考え、鋭意努力してきたつもりでありますが、答申以来すでに半年余りを経過しており、もはや実施時期の遷延は許さるべきではないとの判断に基づき、所要経費を補正予算に計上し、すみやかに実施に移す方針といたしました。
 医療費の引き上げ幅につきましては、中央社会保険医療協議会の答申及びその基本的な考え方を尊重するという態度をとってきたつもりでありますが、いわゆる八%といわれる算定の基礎をし細に検討いたしますときには、なお多少の修正を加えても差しつかえないと思われる点もあり、これらの点をなるべく現実に即して考えることを基本として、また一方、各種保険財政もかなり悪化した状態に置かれている実情等から種々検討した結果、政府としては、九・五%の引き上げを行なうことに決定し、今国会において御審議を願っている補正予算に所要経費四十五億円を計上した次第であります。
 緊急是正として改定を行なう項目については、中央社会保険医療協議会の答申に沿って、原案を同協議会に諮問し、明年一月一日より緊急是正が実施できるよう取り計らう所存であります。
 次に医療保険の財政状況について申し上げます。
 最近医療保険は各制度とも収支状況が悪化しており、ことに、政府管掌健康保険、日雇労働者健康保険は大幅に収支の均衡を失し、また、石炭山健康保険組合等の弱体な健康保険組合の財政も窮状に追い込まれております。このまま推移すれば、各制度とも赤字が大幅に増加し、財政上きわめて憂慮すべき状態になるので、今後国庫補助の大幅な増加その他収支両面にわたって各般の強力な施策を実施し、すみやかに財政の健全化をはかりたいと考えている次第であります。
 国民健康保険については、世帯員の七割給付の実施計画の推進につとめるとともに、最近の医療費支出の増加等に伴って保険財政が窮迫している現状にかんがみ、財政健全化に努力する所存であります。特に、近く行なう予定の医療費の緊急是正に伴う被保険者の保険料負担へのはね返り分については、全額国で補助するたてまえでその所要額を今回の補正予算に計上いたしております。
 また、いわゆる一万円年金を主眼とする厚生年金制度の改善につきましては、できるだけ早い機会にその実現を期したいと存じます。
 厚生行政につきましては、以上の問題のほか、国民の保健と福祉の向上をはかるため当面解決を迫られている問題が少なくありません。御承知のように、いまやわが国の経済的諸水準は急速に西欧先進諸国の域に迫るに至っているのでありますが、このような経済発展は反面において広範かつ急激な社会変動と国民生活における変化をもたらしつつあり、経済開発に対し、社会開発の立ちおくれが指摘されております。したがって今後社会開発を推進し、経済成長に伴うひずみを是正するようつとめるとともに、予防的な社会開発施策を強力に展開することにその重点を置く必要があると考えるのであります。このような意味におきまして、国民生活の基盤である生活環境の整備、国民の保健衛生、児童の健全育成等の諸対策を充実し、また心身に障害を持つ人々、母子家庭、老人、その他低所得世帯に愛情のこもった政治を強力に行なっていくことが、今後の厚生行政の大きな課題となっているのであります。
 私は今後とも誠意をもってこれらの問題の解決に努力する所存でありますが、ここにあらためて各位の一そうの御支援、御協力を切にお願いする次第であります。(拍手)
#6
○田口委員長 労働大臣より発言の申し出があります。これを許します。労働大臣石田博英君。
#7
○石田国務大臣 第四十七回臨時国会の開会にあたりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 新内閣におきましても、引き続き労働行政を担当することになりました。前内閣で労働大臣に就任した際申し上げましたように労働問題はますます重要性を加えつつあり、今後とも誠意と熱意をもって取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 私はかねてから労働行政は人についての行政であり、人間としての労働者を尊重するという基本原則に基づいて、すべての労働者がその意思と能力とに応じ、経済発展への自由な創意と努力を発揮する機会と条件を整え、これによって労働者が人間として充実した生活を享受できるようにすることがその目的であると考えております。
 私はこのような基本的考え方に立って、労働行政を進めてまいりたいと考えておりますが、この際労働行政の当面する諸問題について所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。
 まず、雇用対策について申し上げます。
 最近の経済成長に伴い、雇用失業情勢は引き続き好調に推移しておりますが、反面、若年労働者、技能労働者を中心とする労働力不足は、中小企業、農業等の経営に深刻な影響を与えるなどの問題を提起いたしております。同時に、大都市への労働力の過度集中は、社会的弊害をも生みつつあります。さらに、今後数年後には、新規労働力の減少により本格的な労働力不足の情勢に推移するものと思われます。
 このような情勢の中で、今後均衡ある経済発展を維持するためには、労働力の流動化を促進し、その有効活用と質的向上をはかることが肝要であると存じます。
 このため、地域別産業別雇用計画を樹立しこれを指針とする労働力需給の計画的調整、労働市場センターを軸とする職業安定機構の整備充実等、今日の実態に即した雇用対策を推進してまいる所存であります。また、この際中高年齢層労働者の雇用促進を積極的に推進すべきものと思い、このため、中高年齢層の適職の開発、従来の賃金体系や定年制の改訂等の検討にも真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、わが国産業が開放体制下のきびしい国際経済競争に伍していくためには、必要な技能労働者を質量の両面で確保することの緊急性にかんがみ、公共職業訓練の拡充整備、事業内職業訓練の実施促進、技能検定の拡大実施につとめるとともに、民間の行なう技能向上施策を積極的に助成してまいる所存であります。特に公共職業訓練につきましては、就職が困難な中高年齢失業者に対する転職訓練を強化充実し、また、事業内職業訓練については、中小企業の事業主の行なう職業訓練に対する助成を強化してまいりたいと考えております。
 次に、労働災害防止対策について申し上げます。
 昭和三十八年の労働災害は、死傷件数七十五万件、災害によってなくなった人が六千五百人、これによる経済的損害は二千三百億円という状態になっております。
 人間尊重をたてまえとする労働行政が、人の命を大切にするということから出発しなければならないことは当然のことであります。このような観点から、私は労働災害の防止のためにできる限りの努力をいたしたいと考えております。
 具体的施策といたしましては、労働災害防止計画を樹立の上、これを軸として人命尊重観念の高揚、科学技術の進歩及び国際的水準に即応する安全衛生基準の確立、行政体制の整備等をはかってまいりたいと考えております。また、先国会で成立した労働災害防止団体等に関する法律に基づく労働災害防止団体の充実強化につとめ、実効ある災害防止活動の推進をはかるとともに、関係労使が自覚と責任により自主的災害防止活動の積極的展開をはかるような機運の醸成にもつとめてまいりたいと考えております。
 労使関係につきましては、近時労使の間で徐々に話し合いの空気が生じつつあることは、まことに喜ばしいことであります。
 労働組合運動の歴史的発展にはいろいろな段階がありましょうが、わが国の労働組合もいまや九百万をこえる大きな社会的存在となったのであります。私は今後わが国が欧米先進国に伍して発展を続けていくためには、使用者と労働組合の双方に経済のにない手、社会の構成員としての責任をになっていただくことが必要であると考えます。そのため労使が相互信頼を基調とし、人間尊重、国民経済という共通の基盤に立ちつつ、話し合いによって問題を合理的に解決するという機運の醸成に今後ともじみちな努力を重ねていきたいと考えております。
 次に、労働者財産形成制度でありますが、これは西ドイツの例等を参考として労働者の生活の長期的な安定をはかるという見地から、労働者に住宅、貯蓄等の財産を形成せしめようとするものであります。
 さらに根本的には、国民の大多数を占める労働者にみずからの努力によって自己の生活の安定をはかることを期待しようとするものでありますが、当面はまず労働者に自己の住宅を建設する意欲を促進し、住宅事情の緩和にも資するなど、わが国の実情に適し、実現可能なものから実施してまいりたいと考えております。しかしながら、何と申しましても、この制度は、その意義と必要性について幅広い各層の理解と支持が必要でありますので、よろしく御支援、御協力くださるようお願いいたします。
 ILO八十七号条約批准問題につきましては、これをできる限り早期に批准するという政府の基本方針には変わりはなく、できる限りすみやかに関係案件の成立を期するために、引き続き一そうの努力をいたす所存であります。
 なお、賃金問題につきましては、最低賃金制につきまして、昨年八月の中央最低賃金審議会の「最低賃金制の今後のすすめ方に関する答申」に基づき、本年十月には同審議会からさらに「最低賃金の対象業種および最低賃金額の目安について」の答申をいただいておりますので、これらの答申の趣旨を十分尊重して、最低賃金制の実効ある拡充につとめてまいる所存であります。
 さらに、労災保険制度につきましては、五人未満の零細企業をも含め、全業種全労働者に労災保険を強制適用すること、遺族補償及び障害補償の年金化をはかること等をはじめとして、労災保険制度全般の近代化をはかるため法律の改正を準備中であります。関係審議会の答申を得た上、成案を得て次期通常国会に御審議をお願いする考えであります。
 また、失業保険制度につきましては、制度の拡充と給付の適正化をはかる観点から検討をいたしており、港湾労働者の確保と港湾労働秩序の近代化のための制度の確立につきましても目下鋭意検討を進めております。
 以上、当面の問題につきまして所信の一端を申し上げました。
 労働行政の推進につきましては、各位の御意見を十分拝聴しながら一そう力を尽くしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
#8
○田口委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午前十時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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