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1947/09/25 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 商業委員会 第10号
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1947/09/25 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 商業委員会 第10号

#1
第001回国会 商業委員会 第10号
昭和二十二年九月二十五日(木曜日)
    午前十時五十五分開議
 出席委員
   委員長 喜多楢治郎君
   理事 笹口  晃君 理事 佃  良一君
   理事 細川八十八君 理事 福永 一臣君
   理事 中村元治郎君
      佐竹 新市君    林  大作君
      師岡 榮一君    山口 靜江君
      岡野 繁藏君    坪川 信三君
      鈴木 仙八君    關内 正一君
      辻  寛一君    前田  郁君
      松崎 朝治君
 出席政府委員
        商工政務次官  冨吉 榮二君
        商工事務官   松田 太郎君
        商工事務官   和田 太郎君
 委員外の出席者
        議     員 海野 三朗君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 百貨店法を廢止する法律案(内閣提出)(第六
 二號)
 財團法人理化學研究所に關する措置に關する法
 律案(内閣送付)(豫第一六号)
    ―――――――――――――
#2
○喜多委員長 これより会議を開きます。
 百貨店法を廃止する法律案、財團法人理化學研究所に関する措置に関する法律案の両案を一括議題といたして質疑に入ります。委員の発言は順次これを許します。この際委員外海野三朗君より質疑の申出がありますのでこれを許します。海野三朗君。
#3
○海野三朗君 財團法人理化學研究所に関する措置に関する法律案につきまして、政府御當局にお伺いいたしたいと思うのであります。
 理化学研究所は学問の研究、科学の研究に没頭してきておる研究機関であります。その研究機関が、今日この法案によりますと、会社組織にしようというお考えのようでありますが、会社組織になりますと、營利を第一といたします。營利を第一といたしますと、研究はどうなつていくかと申しますれば、学者の研究は、すべてただちにもうかるものでなければこれに会社が力を入れないということになつてきます。從つて基礎的研究のごときは、これを疎んずることになつてまいります。從つて学問は年一年と歪められまして、いわゆる曲学阿世の学問になつてくるのであります。科学の研究は曲学阿世ではいけないのであります。学問の道は利害関係によつて曲げられてはいけないのであります。それでありますから、理化学研究所が株式組織になつて營利会社になるということにつきましては、そもそも研究本来の目的を没却することになると考えます。産業の再建、科学技術の振興に資するために、この法案を政府御當局がお出しになつたようでありますけれども、それは産業の再建にはならない。科学技術の振興にはならない。産業の再建、科学技術の振興には御承知のごとくもつとほかに途があると考えます。学問の研究に從事する者が、会社組織をやつて、その一員として働く、これはそもそもその研究本来の目的を没却するものでありまして、科学技術の振興にならないと私は考えるのでございます。多年科学技術の研究に没頭してまいりましたこの海野三朗が、過去における生きたなまなましいところの経験から、この株式組織になつた營利会社になるということは、私はどうしても理解できないのでございます。政府御當局のこの点に対する御所見をお伺いいたしたいと存じます。
#4
○松田政府委員 理化学研究所の株式会社に改組いたしますにことにつきましての根本趣旨は、先般商工大臣から提案理由において説明いたしましたように、今日の産業の振興並に科学技術の向上をはかり、またこの両者が相まつて初めて真の産業の復興ができるということは、今さら申し上げるまでもないのであります。理化学研究所はそういう意味におきまして、大正六年創立以来、約三十年間というものは、この基礎的な科学の研究、さらにはこれを産業に移してまいるということをやてまいつたのでありますが、御承知のように、終戦後のいろいろな社会情勢からいたしまして、戦時補償特別措置法の施行によりまして、戦時保険金が打切りになり、あるいはまた從来その所有いたしておりました株式が非常に価値が下りましたような関係で、いわゆる相當の特別損失を生み出すというようなことになりまして、どうしてもこの理化学研究所というものは、今後何らかの形において改組をしなければならぬような状況になつたのであります。もちろん從来理化学研究所に対しましては、一方國から補助金を出しておりましたし、また寄付金等も集めることができたのでありますが、だんだんと最近の状況からいたしまして、國の補助金も多くを期待することが非常に困難になつてまいりました。また同時に寄付の募集というようなことにつきましても、やはり同じような理由によりまして、非常に困難になつてまいつたのであります。そうかと申しまして、この大事な理化学研究、ひいては産業に対する新しい活力を見出す意味のこの研究というものを、おろそかにすることができないことは、ただいまお話の通りであります。そういう意味でこの理化学研究所をどういう形で再出発をすべきであるかということについては、いろいろ考えてみたのでありますが、大體二つの途があると思うのであります。一つはいわゆる國立の研究所のように形にいたしまして、あくまで國家が直接関与して行つていくという途であります。それからもう一つは、こういう營利法人と申しますか、株式会社組織でいくという二つの考え方があるのであります。第一の國立の研究所にいたしたらどうかということにつきましても、いろいろ検討してみたのでありますが、とかく從来の國立研究所ということになりますと、自然ある制約を受けてきましたり、それからまたほんとうに國家全體の皆様のお力というものを、十分その研究機関内部に移していくということも、なかなか簡単に円滑にいかぬような場合もあります。またどうしてもこういう研究所である以上は、民主的にしかも國民の総意というものがそこに盛りこまれるような形にしていく必要があるのじやないか。そうなれば、この際いわゆる國立の研究所ということでいくよりも、從来長い歴史をもつた理化学研究所の本来の性格、言いかえれば民間機構としての性格というものを十分伸ばしていくようにしていく必要があるのじやないか、こういう意味におきまして、國立研究所という点は別にいたしまて外の形態をとるようにいたしたのであります。それではこれはどういう形でやつたらいいかということになるのでありますが、どうしてもこの研究機関というものは、今申しましたように、國家的にいろいろ保護をしてもらうということがだんだんとむづかしくなつてくる以上は、一方において研究の経費を自分で生み出すということを、やはり考えなければならぬのであります。また同時にこの研究されたものがただ研究に終る、言いかえればいわゆる象牙の塔に閉じこもつたような研究に終つたのであれば、ほんとうの研究として意味がないのでありまして、あくまでその研究は産業界に非常な貢献を来し、それによつて新しい意味の産業の復興ということが、この文化國家建設の上から申しましても大事なことであります。戦時中のことを考えましても、そういう基礎的な研究並びにこれをほんとうに産業にそのまま移していくという点の欠けておつたような点が、やはり今日の事態を来しておるのじやないか。そういう意味からいたしまして、どうしても研究機関というものが産業と直接結びつく。それから同時にその結びついたことによつてある程度の利益というものを生み出して、それをこの研究所の研究費にまわしていくということにいたしますことが、研究所が今後独自の存在を必要とする上から申しましても大事なことでありますし、それから今申しましたように、その研究を単なる研究に終らさないという上から申しましても必要なことでありますので、これを從来の公益法人である財團法人から、今後營利法人であるところの会社組織にいたしたいと考えたのであります。会社の中にも、御承知のようにいろいろ種類がありますが、できるだけ一般に広くこの研究所が進んでまいりますためには、やはりいわゆる一般の株式会社にいたした方がよろしいじやないかというような観点。これを要するに、この研究所が同時に自分で研究所を賄つていくだけの力をつくりたいという点が一点。それからもう一つは、これをあくまで産業の實際に結びつけてまいりたいという点。この二つの点をかみ合わせまして、こういうような形にいたした次第でございます。
#5
○海野三朗君 ただいまのお話によりますと、産業の再建のために学問と實際とを結びつけていこうというお考えのようでありますが、しからばたとえば電気試験所のごときそういうふうなものをも營利組織におやりになつたらいいのではないか。この理化学研究所だけ、そういうふうにもつていきなさるというお考えが、奈辺にあるのであるかと申しますと、つまり経費の上でやつていけないのだというお話のように伺います。経費が足らないから營利会社にするとおつしやるのでありますが、營利会社にいたしましては、科学技術の振興にはならないのであります。もし学者の研究をして、ほんとうに役立たしめようというお考えでありますならば、学者が商売をしてどこに成功いたしましようか。研究というものと企業というものと、これを商品化することは、皆専門が違つておるのであります。理化学研究所で考えたことを、すぐ企業化して商品化していくということは、専門がはずれておるのでありまして、理化学研究所のような研究機関は、あくまでも研究に邁進すべきものであると思います。これを企業化するのは、企業の専門家がございます。また発明したことを商品化するには、商品化するような専門家がございます。これをごつちやにしてお考えになるところに、科学技術の振興に対しては、少しピントがはずれておるように私は考えるのであります。またもう一つ、象牙の塔にはいつてはいけないというお話でありますが、近視眼的に、今研究をしてすぐもうかるというようなことであれば、ほんとうの研究であるというふうにお考えになつておることが多い。たとえば原子力の破壊にいたしましても、原子力の破壊というと、まるで学者の研究のための研究であると世の中では見ておつたのではありませんか。ところが研究というものは、まつしぐらに研究していく、その研究してゆく間に應用というものがその副産物に出てくるのでありまして、もうけんがための研究ではいけないのである。目的を没却するのである。もうけんがための研究では、学者がいわゆる曲学阿世の徒になつてしまう。せつかくの政府當局のお考えは、この理化学研究所を生かさんとなさつて、かえつて学者を殺してしまう。ほんとうの科学技術の振興に寄与することにはならないと私は考えるのでありますが、政府御當局のお考えをお伺いしたいのであります。
#6
○松田政府委員 お話の点ごもつともと存ずるのでありますが、今度の改組にいたしましても、一應株式会社組織にいたしましたからと申しまして、何もいわゆる營利会社的な性格に全部してしまうつもりではないのであります。もちろんそういう組織でありますから、そういうようにお考えになりますことも、御無理ならぬことと思うのでありますが、まず第一にやはり組織の問題と最も関係の深いことは、この会社を實際運營してまいります人の問題にも関係してくると思うのでありますが、大體今日の構想におきましては、從来理化学研究所を担當しておられる方にやはり中心になつてこの会社運營にあたつてもらうことにいたしております。そうしてこの会社の内容につきましては、大體今の構想といたしまして、いわゆる基礎的な科学的な研究をいたしまする研究部というものと、それからこれを事業化してまいります上の事業部という二つの部門にわけて運營してまいりたいと考えております。なおこの事業の点につきましても、今お話のように、この会社が直接事業をいたすというのを原則といたす考えもないのでありまして、特にこの会社がたとえばペニシリンの問題でありますとか、あるいはワクチンの問題でありますとか、そういうように、この会社で特に研究をしていく。また實際問題として事業をいたしてまいります上においても、その会社が特別にやる方が適當であるというようなものをここでやらせまして、その他の問題につきましては、たとえばこの研究部でいろいろ研究しまして特許権を得たというような場合には、この特許権をできるだけ多く民間の優秀な企業の方に譲るなり、あるいは特許権の實施権を設定すなりいたしまして、それによる収入をやはりこの研究機関の將来に備えてもつてまいる。それからあるいはまたいろいろ各企業におきまして、研究はもちろんそれぞれいたしておられますが、やはり理化学研究所の指導を仰ぎたい。あるいは斡旋によつていろんな知恵を借りたいというような場合も起つてまいりますので、そういうものにつきましては、やはりできるだけの指導ないしは斡旋をいたしまして、またそれによる収益というものも指導料その他の形で得たい。それからまた國の直接の課題、あるいはそれぞれの企業におけるいろいろな研究の過程におきまして、この理化学研究所の方にひとつこういう点において委託をするから研究してもらいたいというようなことで研究の委託を受けることも、從来からいろいろ例もありますが、今後もできるだけお手傳いをいたしたいと考えておるのであります。そういう意味からいたしましても、ある意味の経費を賄いたいというような意味で、株式会社にいたしましたからと申しまして、何でもかんでも自分のところで營利のみにはしつて、ほんとうに將来を考えての基礎的な研究をおろそかにして、ただ眼前もうける仕事のみにはしるという性格のものではないようにいたしたいのでありまして、今申しましたように、あくまでも基礎的な研究というものは、從来通り続けてまいりまして、またその研究の過程におきまして、いろいろな企業方面からの依頼等に應じての研究等も併せてやつてまいる。そうしてどうしても理化学研究所自體として、やはりこれを事業化してよいものについては、最小限度に限りまして、そういうことをしてまいるという方針でわれわれも考えますし、また理化学研究所自體としても、そういう考えでおられるのであります。そういう意味でございますので、お話の点については。もちろんわれわれといたしましても、今後理化学研究所と一緒になりまして、十分その点は注意もいたし、また今日の御発言に対しましては、十分その旨を今後の政策を實行してまいる上についても考えてみることはもちろんでございますが、大體の考え方といたしましては、今申しましたような線に沿つていく。言いかえれば今の御質問の趣意に副つてまいるように努めてまいりたい。かように考えております。
#7
○海野三朗君 今日まで理化学研究所はいろいろの発明をいたしました。そうしてそれを企業化しておりました。ところが、その結果はすでに御承知のことであると思いますが、学者が商売をしてうまくいつたためしはありません。そういう点については、政府御當局はどういうふうにお考えになつておられましようか。事業部には専門家を入れて、この運營をさせていこうというふうにお考えになつておるのでありましようか。もう一つは、とにかく根本の原則が株式会社にするということそのことが、産業の再建、科学技術の振興にはならないのであります。いくらそこに御注意なさつても、初めのスタートがちよつと違つただけで、明治以来少しづつ違つてきたために、今日日本のこの悲しむべき現状を招来してきた。この初めの出発が大事なのでありまして、この根本を誤りますと、將来取返しのつかないようなことになつてしまう。せつかくの学者をみな殺してしまう。私はそれを懸念するのであります。御當局の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#8
○松田政府委員 お話の点は私も感をひとしくするのでありまして、とかく研究に専念する方が、そういう商売の方に手を出すと、言いかえればもち屋はもち屋でやるのが必要なんでありまして、特にこういつた理化学のように研究のきわめて根本的な、しかもまた將来の日本の産業の進むべき途を卜するような大事な研究機関というものが、そういつた事業の方に手を出し過ぎて、それによつて本来の歩むべき途を逸脱するというようなことは、お話のようにこれは慎まなければならぬことは當然と思うのであります。またこの事業をいたすについても、先ほど申しましたような趣旨でありますので、ただいま實は理研の本来の歩むべき途、指導方針というものを十分に理解をし、かたがた今申しましたような範囲において、この事業の運營をしていく、いろいろそういう事業方面の関係の人選等についても、理化学研究所としては、非常に所長を初めといたしまして心配をして考えておられるのであります。もちろん理化学研究所といたしましても、今のお話の点については、われわれと同様に、十分心配もし、注意をしておられまして、今お話の、あくまでこの本務の研究というものに力を注ぐということは、將来といえども少しもかえずに進んでまいりまして、ただこの理化学研究というものが、先ほど申しましたように、ほんとうに國その他の補助というものに限りがあるために、独立自營してまいるために、最小限度におきまして、今申しましたような事業も行つていきたい。結局そうすることが、理化学研究所が今後真にいろいろな研究を、経費等の面に煩わされずに、安心してその研究に没頭する人は研究に没頭できるというような體制をとらざるを得ないというような観点から、こういつた組織にしていきたい。今お話のような点は私は同感で、その点につきましては、先ほど申しましたように、お互い十分注意いたしたいと思いますので、その点は何分の御了解を願いたいと思います。
#9
○海野三朗君 るる説明を承りましたが、要するに産業の再建、科学技術の振興には、株式会社の組織ではだめであるということを申しました。しからばどうすればいいかということにつきまして、私の所見を申し上げてみたいと思います。この理化学研究所というものは、政府が直接官のものになさつて研究をやらせていただく。そうしてその間にいろいろな有益なることが出てまいりますから、そのときこそ、これを企業家なり事業をやる方面の人に任せまして、それからあがるところの利益は、理化学研究所に寄附をさせる、そうして政府の経費をいくらでも軽減するという方面にもつていかれるべきものであると私は考えるのであります。今日までの理化学研究所を見ますと、とかく象牙の塔にたてこもつておると一般の人から見られております。研究に対してはどうしてもその経費がまわらない、しかしながら、實に偉大なる研究を今日までなしておるのであります。象牙の塔にたてこもつておると政府が、また一般の人が考えております研究から、あにはからんや、實にすばらしいところの研究を完成しつつあるのであります。たとえば尾形輝太郎博士のあの原子力の應用たる感光色素の研究のごとき、農業にいたしましても、あるいは医薬にいたしましても、アメリカの陸軍省の衞生局からすでに證明をしておりますように、非常なるすばらしい感光色素を二千三百種類を彼が合成しておるのであります。これを合成したからというて、ただちにそれを理研の商売にするということは、その研究を鈍らせるのである、尾形博士にはますますその研究の方向に一遂に進んでもらわなければいけない、もうけなどということを考えてはいけない、そういうふうに私は考えます。ゆえに政府御當局におきましても、理化学研究所というものに対しては、これを政府がしてやる、官のものにしてやる、そうしてそれから発明したところのものは、民間の人にこれをやらせる。そのときに民間でこれをやる人が金を出して研究所に寄付をすればいいのである。そういうふうにもつていかれたらどうかと考えるのであります。今ここに産業の再建、科学技術の振興に資するために株式会社の組織をおやりになるということそのことが、根本において將来非常な間違いを来すもとであると思います。もしこれを会社になさるというお考えがいいのであるならば、電気試験所のごとき皆民間に、株式会社にしておやりなさつたらいいでしよう。あるいは東北の金属材料研究所のごときものも株式会社にしておやりなさつたらいいでしよう。私はそういうふうに考えます。根本の考えがこれではいけないのではないか。科学技術の振興に対しては、もつとほかに途があるのでありまして、株式会社にして營利を目的とする研究所ということにされるお考えそのものに、私ははなはだ疑問をもつておるのでございます。これを建設的な意見として申し上げましたのは、この理化学研究所を官營にする。そうして学者に自由に研究させる。世界各國の科学研究費を見ますと、國の総豫算の三%ないし五%に及んでおります。わが日本におきましては、二千億に近い豫算を使つておりながら、科学研究費は一億円に足らない。前年度におきましては、實に五千九百萬円の科学研究費しかあてておりません。一パーセントにも足らない、一億円にもならないようなこの科学研究費を、政府としては今まで出しておられるのである。そこを考えますと、世界各國のこの研究費という点から見ますと、まことに私は政府御當局が産業の再建が大事だ、科学技術の振興が大事だということは歌に歌つておるものであつて、ほんとうにわかつておられることではないと私は思う。この意味におきまして、理化学研究所をつくてくださつて、これを官營にするということには何ほどお金がかかりましようか。わずかの金に困つたために、根本の大道を誤つては將来いけないのである。日本再建のためには少しでも間違つた道を行くのはいけないのであるというふうに私は考えるのでございます。政府御當局の御所見をお伺いいたしとうございます。
#10
○松田政府委員 最初申し上げましたように、この問題の解決につきましては、國立研究所と申しますか、國家の研究所にいたすことも考えてみたのであります。御承知のように、先ほど来金属研究所でありますとか、電気試験所でありますとか、その他の從来の國の研究機関のお話があつたのでありますが、何分にも理化学研究所というものは、御承知のように歴史的に見ましても、ほんとうに民間の創意によつて、できるだけ自由奔放にいろいろな点について羈束されずに、根本的の研究から始めていこうというのがこの生立ちでありまして、從つて今日まで理化学研究所の進んでまいりました道は、そういつたような性格に基いて進んできておるのであります。もちろんこれに対して、先ほど来申し上げましたように、國家的にも相當補助金も出しますし、その他民間のそういうものに対する非常に理解のある方々からは寄附金等を出してもらいまして、そうして相まつてこの研究というものが進んでまいつたのであります。また御承知のように、從来はその研究を實施いたしますために、一方において理研工業株式会社なり、あるいはその他三十數種の小会社をつくりまして、そこでいろいろ研究されました結果というものが實施されるというような方法もとり、また先ほど申しましたような特許権の實施もそういう所でさす。つまり研究機関と、その研究機関独特の専属工場というものを二つ併わせまして、これが研究と産業化とのつながりというもので進んでまいつておるのであります。そういう意味で、これはあくまでも民間の機構として、また今申しましたような意味合から発足してまいつておるのであります。從つてこれをこの際國立の機関に直してしまつた方がよいのか、あるいはあくまでそういつたような性格というものを今後もできるだけ生かしていくか。しかしそれにつきましては、お話のような点がございますので、あくまでその運營については、今申しましたように、研究をあくまでも中心にする。そうして從来小会社その他において實施さしたものが、最近の独占禁止法その他いろいろ法律の関係上、そういうことができなくなつてまいりましたために、結局それをひとつの会社組織にして、そうして今申しましたような從来やつてきたようなやり方を一つ機構内でやつてみようというのが、この会社組織を選びました次第でありまして、その点につきましては、われわれといたしましても、國立研究所にした方がよいのか、こういう機構にした方がよいのか、それについていろいろ私たちも研究いたし、また理化学研究所當局の方ともいろいろ相談いたし、またいろいろアメリカ等の例を研究してみたのでありますが、やはりこういつたような会社組織で進んでまいつております例も、相當あるようであります。それでもある意味では、一つの新しい試みということにはなるのでありまするけれども、その点につきまして、今申しましたような趣旨のもとに、あくまでその研究に實體を置くと同時に、その實施化をはかつてまいるという点を考える。しかしながら、そうかといつて、くどいようでございますけれども、ただ形はたしかに營利会社でありますけれども、營利を目的とする實際の会社ではないのであります。あくまで實際は研究を中心にして、その研究を實際今後も十分続けていける範囲においての事業的な性格も併わせて行い得るというような體制にいたしたのであります。國立研究所等の問題につきましても、お話の点まことにごもつともな点もあると思います。この研究所その沿革その他も考えまして、今申しましたような行き方によつて伸ばしていく方が、この場合におきましては、國立研究所に形を変えますよりも、一層効果があがるのではないだろうか、かような考えのもとに立案いたしたい次第であります。
#11
○海野三朗君 過去の實績ということをおつやいましたが、過去においては理化学研究所が商売をやらないで、ほかの民間会社にそれとやらしておつたように承知いたしております。理化学研究所そのものがやつたのではなくて、理化学研究所がほかに会社をつくつて、民間の人にこれをやらせたものであると承知いたしておりますが、在来の性格とおつしやいますけれども、その性格が今度こそ一変するのであつて、在来の性格は、私は理化学研究所が商売しておつたのではないと考えておりますが、そこはいかがでありましようか。
#12
○松田政府委員 その点は私の申し上げ方が足りなかつたかもしれませんが、まさにおつしまる通りでありまして、結局理化学研究所は、財團法人、いわゆる公益法人でありますために、みずからは事業を營むことができませんので、別に理研工業株式会社というものを設立いたしまして、またその理研工業株式会社の傘下に相當數の子会社ができ、また理研は理研としてそのほかにいろいろ自分の発明を實施さすような会社もつくりまして、そういつた理化学研究所に直接関係しておりまする別な会社において研究の成果を實施させたり、それからまたそういう直接関係してない他の会社等につきましても、その特許なんかについての発明の實施権等は設定をいたしてやつたのであります。その点は今お話の通りであります。しかしながら、今回もでき得べくんば、從来のような形で進めていくことが、一つの行き方かと思いますけれども、最初申しましたように、今度の特別措置法と申しますか、特別損失補償の制度でありますとか、あるいはその他独占的な形態というものを、今後企業の上に認めることがいけないという状態になつてまいりましたために、理研が事實上においてそういう形をとつてまいりますことができなくなつたのであります。言いかえれば、理研工業株式会社も、これは一應閉鎖されるような状態になつておりまして、從つてその発明研究等につきましては、できるだけ広く一般の企業に實施してもらう。そしてそれによつてそれぞれの経費を得るというようなことを原則としておりますることは、先ほど申しました通りでありますが、しかし中にはやはり理研自體が事業としてやつた方がいいという性質のものにつきましては、理研で行うこともあり得る、また認めていいのではないかと思つておるのであります。しかし行き方といたしましては、その事業の面につきましては、他の一般車業会社に対する指導なり研究の斡旋なりということを本来の建前にしてまいりまして、どこまでもその中心は基礎的な研究におきまして、その基礎的な研究をあくまで今後進めていきます上においての経費その他の財政上の問題を賄つてまいるという趣旨で、広い意味での事業といいますか、詳しく申せば最初申したような考え方に基きまして事業としてまいるという趣旨でございます。
#13
○海野三朗君 ただいまのお話承りましたが、特許でありますが、学者がやりましたことを特許をとつた。そうしますと、今日までの理研のあり方といたしまして、その特許権を民間に實施させておつた。その結果がはなはだまずいことはすでに御承知のようであるとは思いますが、この理化学研究所におつて発明して特許をとつたといたしても、その特許は理化学研究所がこれを自由にすることはできないので、発明者そのものに特許権は帰すべき性質のものであります。それを今日まではみなことごとく理研がこれをとつて、そうしてろくすつぽ商売もできないくせに、いろいろな所に手を出しておつたわけでありまして、前の研究所長なんかもほんとうにお大名の商売をやつた。あの實績をごらんなさつたら、理研が商売をしたらだめだということがおわかりになるのではないか、私はそういうふうに考えます。企業と商品化、研究所というものは、判然と区別をして出発なさらなければいけないのであるというふうに、私は考えるのでありますして、今の特許のことにつきましても、政府御當局はどういうふうにお考えになつているのでありましようか、たとえば感光色素とかペニシリンというような特許は、みな理研がとろうとしておりますが、それで学者自身がくさつている。今日もう理研の会社は大分くさつております。私はみんなに会つていろいろ話を聴いてるますと、理化学研究所自體が今日借金で苦しんでいるから、そうでもあるかもしれませんけれども、この理研のあり方というものに対して、もつと政府が真剣に考えて、これをたたき直していかなければいけないのじやないか。私は学者からいろいろ意見を聴いて、ただいまこういうことを申し上げるのでありますが、この点につきましては、ただ政府御當局は、漠然と会社にしようとお考えになつておりますけれども、これをもう少し切下げて考えてみますと、他日これは實に困る問題になる。せつかくの学者をみんな殺してしまう。これは日本の産業再建どころか、あまり役に立たなくなつてしまうということを私は思いますがゆえに、この点を申し上げるのでございます。どうぞ政府御當局のその点にたいしてのはつきりしたお考えをお伺いいたしたいと思いのでございます。
#14
○松田政府委員 理研の特許の問題につきましては、お話のように、ペニシリンの問題にいたしましても、ワクチンその他いろいろ重要な研究があるのであります。これについては、理化学研究所として、特許権をもつている場合が多いと思いますが、もちろん発明者は研究所内にいる各研究員の方が発明者であるのでありますが、これはおそらく特許法等の関係から、理化学研究所の方と発明者との間における契約によつて、理研が特許権をもつているというような形になつていると思うのであります。結局その場合に、そういつた特許権を實施をする場合に、ほんとうにその實施の上において適當なところにこの實施権を設定するのが必要じやないか。それをただ理研が特許権だけを握つておつて、そうしていかにも独占的なと申しますか、何かそれを種としてひともうけをしようというような考え方は、まことにけしからぬというお話のように承りましたが、もちろんこういつた特許権につきましては、先ほど申しましたように、現にたとえばペニシリン等の例をとりますと、現在相當研究と同時に、これは私から申し上げるまでもなく、製造工程において、非常なむずかしい工程をたどりますために、それについてはわざわざ今の理研にこれを實施化いたしますための工場等をもつているのであります。從つてそういうようなものにつきましては、理研においてただ商売という意味でなくて、その製造過程において特殊な工程等を必要とするために、理研でやらしてみたらどうかと思つているのでありまして、その他の特許権等について、ただこれを理研が特許権を握つておつて、そうしてあまり實効のあがらぬような方法で、理研が自分で實施のために事業をするというようなことは、これはお話の通りに、十分慎まなければならぬのであります。そういつたぐあいに、ほんとうに理研が實際問題として自分の所でやるのが適當なもの以外は、極力その實施に必要な工場等にこれを移してまいりたいと考えております。現にこの暮から明年いつぱいにかけましての一年間の計画を見ましても、この理研において實際自分で仕事をしてみたいと思つておりますのは、ペニシリンとワクチンとこの二つだけのようであります。この他の事業は、ここで實際自分でやる事業としては考えてはおらぬのであります。もちろん今後におきましても、御趣旨の点またお話になるまでもなく、理研本来の精神というものに立帰りまして、できるだけその研究に主力を注ぐ。そうしてその成果というものについては、いろいろな方面もありましようが、それに対する研究を密にいたしまして、研究の斡旋なり、連絡なり、そういうことによつて、適當なそれぞれの機関において、これが十分實施ができてまいるように、そういうことによつて、本来の産業の振興ができるように、言いかえれば理研というものは二、三の例を除いてはやむを得ないが、あくまでその研究を中心として、その研究の成果を他の適當な方面におわかちする行き方でまいりたい。かように考えております。
#15
○海野三朗君 何度申し上げても同じことになるのでありますが、産業の再建、化学技術等の振興のために、これを株式会社になさることは、これは間違つておることであるということを私は申し上げる。学者は研究が専門であつて、企業家はその研究を企業化する。商品化するのは専門が違うのである。この根本の考えをよくきめていただかければならないということを私は申し上げまして、皆様委員諸君の御判断をお願いいたしたいと思うのであります。こういうふうにやつてまいりますと、どうしても將来まだ研究もたくさんありますが、せつかくのこの科学技術の振興にはならないのである。根本が間違つておるのである。それよりも、むしろ政府御當局がこれを取上げて、そうして自由に研究費は年々一千萬円なら一千萬円、二千萬円なら二千萬円というものを与えてやらせなさい。そうしてそのうちから企業化すべきものは専門家にやらせる。そういうふうにもつていつた方が、学者をほんとうに活かす途であるということを申し上げまして、政府御當局の再考をお願いして、私の質問を打切りたいと思います。
#16
○冨吉政府委員 すでに松田君からいろいろ御説明を申し上げまして御了解のことと思いますが、私はこの際一言申し上げておきたいと思うことは、海野君のいわゆる科学技術振興に関する御所論に対しましては、全幅的な賛意を表するものでございます。ただこのことが、日本の産業の再建、技術の振興に逆行するというお説に対しては、多少私ども見解を異にいたしております。御承知の通り、わが國の科学技術振興に関しまする経費が、諸外國に比べて非常に少かつたということは、わが國の資本主義が非常に後進資本主義であつたこと、資本それ自體がいわゆる商業資本主義に移行いたしまして、産業が完全なる基礎をもつて発展をいたさなかつたという、この客観的な條件の上に立つて、歴代政府がさような方策をとつたことと、私どもは理解いたしておるのであります。しかるに、今日におけるわが國の現代の経済諸情勢なりというものから考察いたしますならば、今後における状態は、少しく変つてくるのじやないかということを考えております。これは科学技術振興に関して、政府といたしましては、これを國有にしてすることも確かに正しいことであり、これは私どもは基本的には非常な賛意を表する。しかし現實の段階における政治上、もろもろの情勢から判断いたしまして、にわかにそこまで至らないことは、十分御寛恕願わなければならない。もう一つは株式会社は一體營利を追求する。資本というものは利潤を追求することを本能とすることは、われわれの持論でありますので、當然株式会社が營利を目的とすることは、いうまでもございませぬが、しかしわが國の経済と再建と、將来における國際的な地位というものから顧みて、私は日本の株式会社というものが、從来のようないわゆる利潤追求というようなことを考えておつたのでは、日本再建に役立たない。やはりこの株式会社それ自體が、組織としては利潤追求の組織であつても、それはおのずからやはり國家再建の要請を担うという、一つの厳然たる理想がなければならぬものである。かくまた政府も指導をいたさなければならぬと考えておるのであります。さらにまたすでに海野君御承知の通り、政府におきまして科学技術振興に関する支出のパーセンテージが低いのみならず、わが國の株式会社と比較するならば、おそらく研究費、調査比の比重というものは、むしろ政府の豫算における比重より以上に、科学技術等に対して從来軽く取扱つておつたと私は考える。これはいろいろ外國の会社の状況等も照し合わせてみたのでありますが、そういう結論に到達したのであります。これは今後わが國の科学技術振興、産業再建の上の重大なポイントであろうと思う。從いまして、今後のわが國の諸種の株式会社のあり方というものについても、從来考えてきた株式会社のあり方というものは、やはり修正してまいらなければならぬという建前になるのだと思うのであります。端的にただちに營利を抜取つて、公共事業としての國家経營ということもまことに結構でございまするが、やはり一つの歴史的段階があるということを私どもは考えて、ただちにそのことを實行し得ないことになつておるのじやないか、こう考えます。この意味において、海野君の熱烈なる科学技術振興の意見に対しては敬意を表し、また將来陥るであろうところの、この理研の弊害に関しましても、十分に警戒をいたしますが、ただそのことによつて日本の科学技術が著しく後退するという御所論はいま少しく御考慮を願わなければならぬではなかろうか、こういうふうに考えておることを申し上げておきたいと思います。
#17
○笹口委員 理研の新会社設立の問題につきましては、これは非常に議論もありますし、また私どももただいま海野代議士からお話がありました諸点については、非常に傾聴しておつたわけでありますが、また同様な考え方をもつておりますが、これをここで議論をいたしておつては、なかなか議事が進みませんので、われわれといたしましても、理研そのものをもう少し根本的によく調査もいたし、そうして將来進むべき方向が、政府提案のごとく株式会社組織によるべきか、または海野代議士御所論のように、國有にすべきか、これは非常な重大な問題だと思うのであります。わが國の科学振興のために、大きなわかれ目となるべき問題でございますので、この点については、國として手を尽して調査もいたし、また研究もいたさなければならないことと考えますが、本日はその問題はこの程度にしていただきまして、委員長の方で、その實地調査その他につきまして、しかるべくお取計らいをお願いいたしたいのであります。
 この場合百貨店法の廃止に伴いまする問題につき、さいわい冨吉政府次官がお見えになつておりまするので、一言だけお尋ねをいたしてみたいのであります。百貨店法の成立をしたまでの間の事情はよく了承いたしておりますし、また先般水谷商工大臣から御説明もあつた通り、これは百貨店と小売商人との深刻な争いの結果、百貨店法という法律ができたのであるというふうに私どものは了承いたしておるのであります。独占禁止法その他によりまして、百貨店法一連の法律が、ここで廃止に相なりますることは、やむを得ないことでございまするが、その後における百貨店と小売商人との関係が、いかようなことになつてくるか。もともと資本主義的に相當高度に発達しておりまする百貨店と、まだ資本主義のごく初歩の段階におるところの小売商店が、同じ條件のもとにスタートを切ることになれば、これは小売商人が圧倒されることは、理の當然でございます。ここに過去における百貨店反対運動の歴史があるわけですが、この場合裸となつた百貨店が、今後手足を伸ばして、小売商人を圧迫するというようなことが豫測せらるるのでありまするし、またこれは必然だと考えておりまするが、これに対して政府が常に言われておりまする中小商工業の振興、殊に商の部分に対しまして、かような圧迫が加わつてくるということに対して、いかような御対策をおもちになつておるか、この場合お伺いをしておきたいのであります。
#18
○冨吉政府委員 大臣が御説明申しました通り、百貨店法はこれを廃止すべき段階に到達したと、政府は見ておるのであります。と申しますのは、独占禁止法その他の法律案によつて、百貨店法がもつていた性格は、十分に實施し得るので、むしろ重複するというふうに考えております。いま一つは、試験でございまするが、とにかくわが國の生産が三分の一に現在のところ制約を受けておりまするし、なお相當長い將来に向つて、わが國においては國内消費が非常な制約を受けるであろうことは、言うまでもないことと思います。そのときにおいて、大體私見を申せば、商業人口というものはやはり縮小の一途をたどるよりほかにしかたがない。そしてできるだけこれを生産方面に転換せしむるという努力を政府はすべきではなかろうか、むしろ商権擁護ということよりも、進んでこれを積極的な生産面に活用するという努力をすべきものであろう、こういうふうに考えております。從つてこの百貨店の廃止により、ただちに御杞憂になるがごとき、中小商業の圧迫という問題は起らないのではなかろうかと考えておる次第であります。
#19
○笹口委員 政務次官から今御意見を伺つたのでありまするが、私どもも大體において政務次官と同じような考え方をもつておるのでございます。しかし細部にわたると、多少異論もあるわけでございます。殊に政府といたしまして、今後の商人のあり方について、ただいま冨吉政務次官が意見をお述べになられたのでございますが、大體の方向は正しいとしても、しからば残されたるその商業人口、それに含みまする人々の今日までの商権擁護的な古い封建的なえ考方でおりますものをいかに指導していくか、またいかに助成をしていくか、百貨店が巨大な資本力を擁して、この物の少い時期の商売に狂奔しておりまするが、やはり何といつても、そのもちまする巨大な資本は、相當大きくものを言うのでございます。たとえば現在行われつつある繊維製品の登録の場合などを見てみましても、百貨店は費用に構わずして、もうすでに一箇月前こういう問題がまだ一般の商人には全然わからない時代からしまして、衣料品の登録制が實施されたならば、ぜひともわが百貨店に登録を願いたいということを新聞広告しておる。一般商人は、最近になつてようやくその實態をつかみ得て、辛うじてその競走場裡にまかり出るということで、非常なそこに條件の差があるのであります。少くとも私どもが今後の商売のあり方を考えてまいるならば、百貨店であろうとも、普通の小資商店であろうとも、同一の條件のもとにおいて自由競争を行わしめるようにしなければならないのにもかかわらず、今申し上げましたような、非常なハンデキヤツプのついた競争をすることになる。それは何が原因であるかといえば、百貨店のもつ巨大な資本力というものが原因になることは言うまでもないのであります。そこで私どもが考えますのは、この百貨店というものをわくをはめてどうこうというようなこと、これが独占禁止法と抵触いたしますから、この法律が廃止されることは當然でございますけれども、少くともこれに伴つて一般の中小業者が、ある程度百貨店と同じ條件のもとに、自由競争場裡に出られるように助成をする必要があるのではなかろうか、また指導をする必要があるのではなかろうかと考えるのであります。たとえば専門店制度を助成する、あるいはマーケツト、アーケード、チエン・ストア、そういう組織を勧奨するというように指導して、でき得る限り高度の資本主義的な形態にもつてまいることによりまして、競争の條件をひとしくさせる必要があるのではないかと考えますが、さような点について、政務次官はどう考えておられるか、伺いたいのであります。
#20
○冨吉政府委員 和田政府委員から御答弁申します。
#21
○和田政府委員 百貨店法が廃止になりましても、百貨店が今後一般商業の面に非常に進出をしてまいりまして、中小商業を圧迫するのであろうという心配も一應あるわけでありますけれども、今日のところでは、御承知の通り、臨時資金調整法でございますとか、臨時建築等制限規則というようないろいろな規則がございまして、百貨店の店舗の新設、増設に要する資金の関係、あるいは建設資材についていろいろの掣肘もございますので、今日の状況におきましては、この法律が廃止せられたからといつて、百貨店がただちに中小商業を圧迫するほど進出を見ることはないのではないかと一應考えております。御承知の通り、中小商業に関する問題は、ただいまのところでは、戦前における中小商業問題とは、著しくその様相をかえてまいつておるのでございまして、戦前のように、同業者が非常な過多に陥つて、その結果経營が非常に困難である、從つて百貨店の進出、あるいはいろいろな消費組合の進出に対しまして、単なる商権擁護の見地から論議せられた情勢と、はなはだしく様相を変貌いたしておることは御承知のことと存じましす。今日中小商業あるいは広く商業にとりまして、最も大きな問題は、その製品の配給につきまして、重点的に購買者を指定と言いますが、切符制度によりまして品物を最も重点的なところに配給する。あるいはさらに価格の面におきましても、公定価格というものが行われております現状におきましては、これらの配給制度並びに公定価格の維持という面におきまして、いかにすれば商業者が最も適正な仕事をすることができるかという方向におきまして、中小商業問題を考えなければないと思うのでございます。そこで一番問題になりますことは、今日切符制度等が行われて配給制度が實施せられておりますけれども、ややもすればその品物が計画通りに流れずに、横流れをする。あるいは価格の面におきましても公定価格よりも高いところで販売せられるというような問題がございますと、これはひいてもつてまじめな商人に対しましても、その商業全體に対する信用という面からいたしまして、はなはだおもしろからぬ問題であらうと思うのでございます。從つて今後商業を健全に発達させますためには、今日何と申しましても流通秩序を確立いたしまして、計画通り重要な方面に品物が流れ、しかもその価格は公定価格を維持せられておるという面に努力を注がなければならないと思うのでございます。その意味合におきまして、先般来流通秩序確立方策が政府において決定せられまして、これが實現に向つて著々進めておるような次第でございます。
 なお登録制度の問題につきましても、これも流通秩序確立の一方策といたしまして、切符制度を最も有効に實施いたしますために、近く資力等の適當な人たちを登録しまして、その線に從つて一定の物資を流すという方法がとられておりますが、これも流通秩序確立のためにやむを得ないところでございまして、ただ、ただいまお話がございました繊維につきまして、百貨店がこれらの事情を早く知りまして、相當早くから手を打つておるが、一般商業者部面におきましては、それが遅れておるということでございまして、あるいはそういうような實情もございましようが、この登録は一應近く登録を受けますに適當な資格を審査する方法でございまして、その方法によりまして登録せられましたものが、その下からの豫約の數に應じまして、今後割當を受けるという問題ではないのでありまして、一應登録をうけました以上は、他の一定の基準によりまして割當數量がきまるわけでございますので、その点は百貨店が先にいろいろ運動をしたということによりまして、今後の配給の數量をその數によつて減らしてもらうというようなことはないのでございます。
 なお中小の商業につきまして、百貨店と同じ立場に立ちまして公正な取引をやらせるということは、今後われわれとしても十分努力をしなければならないところでございまして、これらの方法といたしまして、ただいまございます商工協同組合法による組合を結成いたしまして、いろいろな協同事業をやつて事業の合理化をはかる、あるいは今お話の通りチエーン・ストアでございますとか、ブランタリー・チエーン、あるいはそれぞれの店を、できるだけ専門店化するというようなことによりまして、経營の合理化をはかつていくということは、ぜひ行わなければならないと思いまして、今後そういう面におきまして、十分の努力をいたしたいと考えております。
#22
○林(大)委員 私はおもに資料の御提出をお願いいたしたいと思います。大體この百貨店法というものは、私の海外における経験から申しますと、欧米におきましては、多分百貨店法があると思います。この欧米における百貨店法の内容をお知らせ願いたいのであります。と申しますのは、百貨店というのは、いわゆる今までの一等國以外の國におきましては、欧米資本主義國がそこへもつていつて百貨店を設置いたしまして、そして自分たちの資本、もしくはその土着資本と協同経營することによつて成り立つておるその形が、いわゆる世界の百貨店の今まである形であります。日本におきましては、欧米先進國と同様な意味における百貨店が今まで行われておつたのであります。その意味において、今この百貨店法を廃止する、しないという問題は、私の見解では百貨店法を廃止することによつていわゆる独禁法に触れていくという意味に解釈するのでありますが、それが触れないというためには、逆に相當な根拠の示さなければいけないような立場にあると私は思うのであります。その意味において、どうかひとつ欧米の百貨店法の内容の大體と、今議論の中心点になる資料をなるべく早く御提出願いたいのであります。
 それから第二は、百貨店の販売いたしておりまする品物の、委託の部分と、自己が買持ちして考る部分との比率でも金額でもよろしゆうございますが、なるべく詳しいものをいただきたいのであります。これは私戦争前の経験でございますが、松坂屋などにおきましては、ほとんど七割に近いものが委託販売をしておるのであります。いわゆる大きい看板を前にしまして、そしておれのところでなければ売れないという意味から、委託を中心にして口銭稼ぎをしておるというのが、百貨店の半分以上の仕事であつたのであります。そして今後もそういうことがどんどん行われる可能性、見透しは十分にある。そういう面から申しますと、中小商業者を非常に圧迫をすることは明らかでございますから、どうか戦前と戦後の百貨店の委託荷と買持販売荷物との内容を研究をしていただきたい。それからアメリカには百貨店に類するもので、通信販売の本部というものがたくさんあります。將来日本の百貨店はおそらく通信販売というようなことにも相當乗り出していくだろうと思うのであります。そうすると、この面でも小さな商業者が片つぱしから食われていくという状態になりますものですから、どうかひとつアメリカの通信販売に関する規定なども、一應御研究になつて、御提出を願いたいのであります。
 それから次に理研に関する資料のいただきたいものを申し上げます。理研を株式会社にしなければならないねらいは、今議論されておるほかにあることを、私も大體想像しておりまするが、一體理研の研究の今までの科目の中で、平和的なる研究として將来大いに伸ばすべきものと、それから多少忌避さるべきものとの研究の分類をしていただきたいのであります。そしてその順位などをつけてくださつて、必要なら秘密会でもつてこの分は大いに伸ばします。この部分はだめですと、サイクロトンのごとくすでに禁止されてしまつたものもある。こういうわけでありますから、その内容の研究をしていただいて、お示しを願いたいのであります。そうすることによつて、先ほど海野さんのお話のあつたように、政府機関にすることもできるでありましようし、また私の考えでは大学にこれをわけて、各大学の各課にわけるべきものも多々あると思いまするし、また株式会社が利益追求の機関であつて、いくら政府委員がうまく御答弁になりましても、これが研究の目的とマツチしないことは、これは正直のところはつきりしておるのでありますから、株式会社にするものは、いわゆるその技術を一つの採算経營として独立さすということに考えて、株式会社ではいけない、大学に入れるなり、國家の機関にするなり、あるいは新しい形であるところの公團にするなり、古い形である一つの株式会社の脱出形態である營團にするなり、また先ほど申し上げたような洗い直した意味において研究所という財團法人としていくなり、もつと内容を分析して、よくG・H・Qとお渡りになつて、自信のあるところでもつて出直していただきたい。これははなはだ失礼な言葉でありますが、こう私は希望するのであります。
 最後にこのまま放つておいたならば閉鎖期間に指定されることが明らかであるかどうかということも、この次の機会でよろしゆうございますから承りたい。そうしてその根拠なども承りたい。閉鎖機関の項目の中にこういうものがはいり得るかどうかという点も、私は疑問をもつておりますから、大體そういうふうな材料を一應整えていただいて、それから本格的な議論をするのでなければ、いたずらにいやこれを法律にするのだ、いやそんなものはいけないのだというようなところでは話にならない。こういうふうに私は感じますので、はなはだ恐縮でございますが……。
#23
○喜多委員長 林委員、この回答は次会でよろしいですね。
#24
○林(大)委員 次会で結構です。
#25
○喜多委員長 他にも御発言もあるようですが、本日はこの程度にいたしまして、去る八月十四日承認を得ました輸出産業調査のため委員を現地に派遣いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○喜多委員長 御異議なしと認めます。つきましては衆議院規則第五十五條により委員派遣承認を求めたいと思いますが、申請書は委員長および理事に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○喜多委員長 ではさよう決定いたします。
 本日はこれをもつて散会いたします。
    午後零時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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