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1963/12/18 第45回国会 参議院 参議院会議録情報 第045回国会 予算委員会 第4号
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1963/12/18 第45回国会 参議院

参議院会議録情報 第045回国会 予算委員会 第4号

#1
第045回国会 予算委員会 第4号
昭和三十八年十二月十八日(水曜日)
   午前十時四十六分開会
  ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十八日
  辞任      補欠選任
   小林 英三君  佐野  廣君
   草葉 隆圓君  谷村 貞治君
  ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長     太田 正孝君
   理事
           大谷藤之助君
           斎藤  昇君
           平島 敏夫君
           村山 道雄君
           戸叶  武君
           羽生 三七君
           小平 芳平君
           市川 房枝君
           高山 恒雄君
   委員
           井上 清一君
           植垣弥一郎君
           江藤  智君
           加藤 武徳君
           金丸 冨夫君
           木村篤太郎君
           小柳 牧衞君
           小山邦太郎君
           木暮武太夫君
           後藤 義隆君
           河野 謙三君
           郡  祐一君
           佐野  廣君
           塩見 俊二君
           杉原 荒太君
           館  哲二君
           鳥畠徳次郎君
           谷村 貞治君
           山本  杉君
           吉江 勝保君
           稲葉 誠一君
           大倉 精一君
           木村禧八郎君
           瀬谷 英行君
           豊瀬 禎一君
           藤田藤太郎君
           松本 賢一君
           山本伊三郎君
           鈴木 一弘君
           中尾 辰義君
           森 八三一君
           田畑 金光君
           鈴木 市藏君
  国務大臣
   内閣総理大臣  池田 勇人君
   法 務 大 臣 賀屋 興宜君
   外 務 大 臣 大平 正芳君
   大 蔵 大 臣 田中 角榮君
   農 林 大 臣 赤城 宗徳君
   通商産業大臣  福田  一君
   運 輸 大 臣 綾部健太郎君
   郵 政 大 臣 古池 信三君
   労 働 大 臣 大橋 武夫君
   建 設 大 臣 河野 一郎君
   自 治 大 臣 早川  崇君
   国 務 大 臣 佐藤 榮作君
   国 務 大 臣 福田 篤泰君
   国 務 大 臣 宮澤 喜一君
   国 務 大 臣 山村新治郎君
  政府委員
   内閣官房長官  黒金 泰美君
   総理府総務長官 野田 武夫君
   大蔵省主計局長 佐藤 一郎君
   文部政務次官  八木 徹雄君
   厚生政務次官  砂原  格君
   自治政務次官  金子 岩三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十八年度一般会計補正予算
 (第2号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十八年度特別会計補正予算
 (特第2号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十八年度政府関係機関補正予
 算(機第2号)内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(太田正孝君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和三十八年度一般会計補正予算(第2号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題といたします。
 前回をもちまして、三案の質疑は終了いたしております。よってこれから直ちに討論に入るはずでございますが、戸叶君から、議事進行についての御要求がありますので、これを許します。
#3
○戸叶武君 議事進行に関し、国会運営、特に予算委員会の運営について、予算委員会の理事として、若干の発言を行ないます。
 国会の正常化は、国会が平静なときにこれを確立せねばならないとの信念のもとに、今回は、与野党協力してこの委員会の運営に当たりました。第一に、国会の審議権の尊重としての言論の尊重という建前から、理事会の話し合いにおきまして、自民党の配慮、社会党の譲歩で、制約された時間内にスムーズに審議を行なったことは、今回の私はある意味における成功であると思うのであります。ただ、ここで私たちが遺憾とするのは、問題は、政府と国会、すなわち内閣と国会との関係であります。
 終戦後十八年間経過いたしましたが、この段階で、国民主権のもとにおける国の最高機関としての国会と国の行政権並びに国の重要政務を執行している内閣との関係において、掘り下ぐべき問題が幾つかあると思うのであります。
 その第一に、私たちが資料要求として政府に求めたいのは、内閣総理大臣の衆議院に対する解散権の行使に対する憲法上の根拠並びに解釈についての資料要求であります。私たちは、事衆議院に関する問題であり、衆議院段階において十分な論議をなされることと、これを見守ってまいったのでありますが、これは、国会のあり方として両院に関係もあることでありますから、この機会に、通常国会等においては、これは十分論議されなければならないと思うのであります。
 憲法解釈については、占領時代に、GHQのホイットニー氏が、政府に向かって、憲法第六十九条の規定による解散権の行使を進言しております。これが議院内閣制における議会政治における解散のあり方における原則でなければならないと思います。議論は抜きにしますが、憲法第七条の規定の内容は、天皇が国民のために国事に関する行為を行なう場合は、内閣の助言と承認により行なう、その行為を十項目上げているだけであります。憲法解釈上の重要な問題が尽くされていないときに、すでに憲法改正の問題すら話題にのぼっておるのでありますが、私たちは、憲法擁護の建前と国会の民主的運営という形から、この解散権というものが内閣総理大臣にある伝家の宝刀だという考え方によって、問題の焦点というものが国会で十分論議が尽くされず、主権者としての国民に対して判断の資料も与えられず、そして解散が行なわれ、何のための解散か、わからぬというような印象を国民に与えるということは、政府並びに国会、共同の責任を負わなければならないのでございまして、今まで幾たびか、これは問題になりましたけれども、この問題に対して、私たちは、この機会にあたって、参議院のたてまえから、客観的に慎重審議する機会を持ちたいと思いまするので、新憲法後における今までの解散に対する政府側の態度、憲法上の解釈、そういう資料も全部取りまとめて私たちに提出してもらいたいと思います。
 次に、予算編成の問題でありますが、岸内閣以来、この本会議並びに予算委員会の論議を通じて、予算編成というものは、憲法並びに国会法に従って、年内においてこれを取りまとめ、印刷物にして、通常国会が審議に入る前に提出されるという原則が確立してまいったのでありますが、今回におけるところの重要な段階における解散並びに総選挙によって、予算編成というのもずいぶんおくれてまいったと思うのであります。いま、われわれが政府がつくり上げたところの予算案に対する機械的な審議というだけでなく、政府が予算大綱を示し、そうして予算編成の最終段階において政府与党だけでもってこれをつくり上げるというのでなく、議院内閣制のもとにおいては、やはり責任ある野党というものも、これに対するところの予算要求というものを出して、具体的な想見の交換というものを行なっていかなければならない段階が来たと思うのであります。そういう点からいたしましても、野党側がこの予算審議にあたっての資料を得ることにおいてきわめて困難な状態にあります。われわれは政権を取っておりません。そうして行政の中に足を踏み入れておりません。したがって、政府与党並びに政府においては、この予算編成にあたって。多数党の基盤の上に立って、そうして独走している傾きがあるのでございます。しかも、この予算委員会の臨時国会に入る劈頭において、予算委員長もこのことを考慮し、委員長としての見識のもとにおいて、政府の資料をすみやかに取りそろえて出すことを要望しておりました。これは、理事会だけの問題でなくて、今後この予算委員会の運営並びに国会におけるところの論戦等の場合におきましても、具体的なデータを通じて、論議が私たちによって追及されなければならない。その場合において一番困るのは、たとえば、経済はおれにまかせろ、数字に強いといわれる池田さんは数字を乱発しますけれども、きのう稲葉君が質問において具体的に示したように、その数字の出所がどこから出たのか、どういう背景のもとにおける数字か、そういうことが明瞭でなくて、数字のマジックによって、問題が解明されないという傾きもあるのでございまするから、今後政府が、物価問題なりあるいは金融問題なり、きわめてデリケートな段階になって、きょうなんかも、池田内閣始まって以来の株の大暴落を来たしております。この深刻な世相を背景にして、政府側の一言一投手、これが経済社会に及ぼす影響というものはきわめて甚大なのでありますから、ケネディ・ショック以来公定歩合の引き上げの前後を通じて株価に与えた影響というものは、政府の責任は甚大であります。私たちは、それらをめぐっても、政府諸公の言動並びに国会における答弁の内容、それらに対するところの具体的な資料なしには、今後論議が、権威ある議論というものは進められないと思いますから、事前にその資料を取りそろえるなり、それから、総理大臣の国会における質疑討論の中において示した数字はどこから、いつ、どういう資料から出たということを明確にするように、そのあとでもってすぐ資料を出してくれるように、そういう形によって、野放しな論議でなく、きめのこまかい論議を深めていきたいと思います。
 こういう点で、これは委員長を通じ、政府側に十分この意味を伝達してもらいたいと思うのでありまして、この国会の権威というものが守れるか守れないかは、国会における審議権というものが十分機能を果たしているかどうかという一点にかかっていると思いますので、これは、私たちからだけでなく、委員長からも、国会と内閣の対決という形において、対決というか、ほんとうに国の最高機関としての国会と行政府とのなれ合いでなく、この議院内閣制のもとにおける政党主義の多数派におけるところの恣意のまま政治が行なわれるという態度でなく、政治の姿勢を正す意味において、委員長にで毛、この機会に、政府側に向かって、十分われわれの、特に野党側から要求しているところの資料要求に対しては、政府側は十分これを取りそろえて…してくれるようにお願いしたいと、こういうふうに思います。
#4
○委員長(太田正孝君) ただいまの戸叶君の、委員長を通じ、また委員長に対する御要望の趣旨は十分尊重いたします。その趣旨を政府にも申し上げまして、今後の参議院予算委員会の審議の万全を期するよう努力いたす考えでございます。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(太田正孝君) これより直ちに討論に入ります。討論の通告がございますので、これより順次発言を許します。どうか賛否を明らかにしてお述べをお願いしたいと存じます。大倉精一君。
#6
○大倉精一君 私は、日本社会党を代表しまして、昭和三十八年度一般会計補正予算三案に対し、反対討論を行なうものであります。
 まず、冒頭に一言申し上げたいと思うことは、本予算案に対する政府の態度であります。本予算案は、本年十月の臨時国会に対して政府の提出した昭和三十八年度補正予算各一号と、内容においてほとんど同一のものであります。臨時国会においては、政府は、国会に対し、特に緊急の措置を要するものとして、すみやかなる成立を要請したのであります。当時わが党は、長雨による農業災害対策あるいは民間給与に比し著しく低賃金に抑えられている公務員諸君の給与改定等、重大案件を緊急に措置をしなければならない必要にかんがみ、政府の要請にもこたえ、すみやかに審議に入り、成立すべしという、野党としては異例とも言われたほどの協力態度を決定、政府並びに与党に特に強く申し入れたのでありますが、しかるに政府は、国会に対し、すみやかなる成立を要求しておきながら、すでに異常なる物価騰貴が物語っているごとく、内閣の一枚看板である経済政策の失敗を野党から追及されることを回避するため、突如として衆議院解散を強行したのであるが、かくのごとき態度は、党利党略以外の何ものでもない。解散権の乱用によって、ただにわが党の協力申し入れをじゅうりんしたばかりでなく、さらに、一日も早き成立を望んでいた公務員諸君や災害地の住民諸君に対し、深刻なる失望と国会不信の思いを与えたものであります。国会正常化を口にする政府与党の資格はどこにありやと言わなければならないと思うのであります。政治権力を握る政府としましては、立法府に対するかかる不謹慎きわまる態度は、民主政治のために断じて許しがたき不信行為であり、この際、国民諸君とともに、厳重に政府与党の反省を求めるものであります。
 反対の第二の理由は、本補正予算の性格についてであります。さきにも一言したごとく、物価の異常なる値上がりは、まさに罪悪であり、経済政策の破綻を立証しているものであることは明らかであります。池田総理は、いささかも反省の誠意を示さないばかりか、かえってますます傲慢不遜とも見られる態度をもって国民に臨んでおります。すなわち、いたずらに数字を羅列して真実をごまかそうといたしております。昨日の本委員会において、総理は欠席をされておりましたが、わが党の稲葉委員の質問に対して、宮澤経企長官は、初めてあいまいと矛盾の一端を率直に明らかにされたのであります。池田内閣の誇る三年間における倍増政策の実体はかくのごとくであり、わが河上委員長がかつていみじくも指摘したとおり、所得倍増ではなく、物価と格差と不安の倍増でありまするが、この政策をほめておるのは、皮肉にも池田総理ただ一人だけであり、総理の言をもってすれば、外国人もほめておるそうでありまするが、いかんながらわが国においては、世をあげて非難を集中しているのは周知の事実であります。
 さらに、総選挙に公約した公共料金の問題についても、総選挙後の今日において、公然としてなしくずしに値上げをしようとしておることは、本国会における総理の発言から明らかなところであり、まさにもって選挙民を愚弄するものと言わなければなりません。かかる性格によって裏づけされておる、本予算案に対しましては、国民の名のもとに反対せざるを得ないのであります。
 反対の第三の理由は、国家公務員給与改定の内容についてであります。本年八月に人事院勧告が発表をされましたが、わが社会党は、この勧告を批判する態度を明らかにしたのであります。すなわち、人事院の調査が実態を正確に把握していないことが第一。第二点は、民間給与に比し勧告の水準が低いこと。第三点としましては、勧告時期がおそきに失していることを指摘したのであります。しかるに、政府が提出した給与改定案は、さらに一そう勧告案を下回り、五月の実施勧告を一方的に十月実施としたのであります。先般の衆議院予算委員会において、給与担当大臣である大橋労働大臣は、国家公務員法の人事院勧告を尊重すべしという趣旨の規定は、ただに給与改定の内容のみでなく、当然実施時期をも尊重さるべきものという趣旨の答弁をしておられるのであります。実施時期が五月と十月では、受け取る側にしてみれば、たいへんなる損失であることは言うまでもないことであります。加うるに、公務員諸君が最も関心を持っておる較差是正についても、わずかに一千四百円より配慮されておりません。政府は、ただに法の精神をじゅうりんするばかりでなく、罷業権を剥奪されておる公務員を遇する一片の愛情すら持ち合わせていないのであります。愛情なき政治のまかり通るところ、断じて人づくりも国づくりもないことを総理はとくと銘記すべきであります。
 反対の第四の理由は、政府の人命軽視の態度であります。池田内閣の列車ならぬ経済政策の暴走によって、いまや国民の生命は、生産第一主義、企業採算第一主義の犠牲にさらされるに至っておるのであります。ききの国鉄の三河昂事故から今回の鶴見事故に至るまで、さらに続く数回にわたる連続事故、たまたま一方くしくもときを同じくして発生いたしました三池三川鉱の大惨事、続いて起こった糒炭鉱の爆発、この現実は、一切の弁解の余地のない、悲しむべき、そしてまた憎むべき人災であることは、疑う余地のないところであります。国民ひとしく恐怖し、憤激を禁じ得ないこれら世紀の大惨劇に対して、だれ一人として責任をとるもののないことは、一体どうしたことでありましょう。いかにもっともらしい言辞をもって責任をあいまいにしようといたしましても、だれがどんな責任をとるべきかは、国民がよく知っております。本補正予算においても、国鉄新幹線工事の穴埋めとして四百四十三億円を計上しておりまするが、あえて言うならば、新幹線の予算ほど不可解なものはないと思うのであります。当初約二千億円の計画予算が二回も手直しをし、最終完成までには約二倍、実質四千億近くに膨張することは必至であります。何千億という巨額の予算が二倍も見込みが違うこと自体、まさにもって異常な事実と言わなければなりません。当初のどんぶり勘定的な予算、国鉄の機材運営の重大なる欠陥、関東軍と言われた新幹線総局によるずさんな経理、はては総局長以下の汚職の続発等々、国民感情としては、理屈を抜きにして、何としても納得のできない穴埋め予算であると言わなければならないのであります。しかも、新幹線工事のために現実に修繕費が大幅に犠牲になり、さらに、総裁の言う企業的精神を発揮するのあまり、国鉄本来の使命である公共性の影が極端に薄くなり、もうかる急行列車をふやして、大衆のための普通列車や通勤列車が犠牲になっている。あるいは、利潤追求のために民間分野にまで手を伸ばす等、あまりにも企業精神に過ぎる国鉄の現状は、あらゆる禍根の根元になっていることは疑いのない事実であります。この際、国鉄のあり方は、人命尊重を重視して、抜本的に再検討さるべきでありますが、政府の事故防止の本源をあえて正そうとしない態度は、まことに遺憾千万と言わなければならぬのであります。また、三池三川鉱の空前の惨事に対しましても、政府は、石炭鉱業合理化事業団から整備資金十億円を繰り上げ融資したのみで、その後の保安対策あるいは遺族補償対策、さらには罹災者救済対策等について、何ら人間味のある手当てをしていないのであります。政府は、現在の石炭合理化計画に再検討を加え、これまた人間を大事にすることを基調とする抜本的対策を樹立すべきであると信ずるのであります。ただに人命尊重をいかに繰り返すといえども、現実には、貧乏人は麦を食え、物価の値上がりは当然だと公言する池田総理は、しょせんは物に偏重する冷徹なる資本主義のチャンピオンであり、人命尊重第一主義の政治を望むことはしょせん無理であるかもしれないのであります。
 以上、反対の理由を明らかにし、討論を終わるものであります。(拍手)
#7
○委員長(太田正孝君) 平島敏夫君。
#8
○平島敏夫君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております昭和三十八年度一般会計補正予算第二号ほか二件について、賛成の意を表したいと思います。
 まず、一般会計補正予算につきましては、歳入歳出の追加額はそれぞれ千二百四十二億円でありまして、法人税の増収七百七十六億円を中心とし、所得税、酒税、物品税、関税等の増収をもって財源といたしております。歳出の主要な項目は、第一が公務員の給与の改善、第二が食管会計への繰り入れ、第三が農業共済再保険特別会計への繰り入れ、第四が災害復旧費の追加であります。
 第一の公務員の給与改善は、去る八月十日に行なわれた人事院勧告を尊重して、十月一日からこれを実施しようとするものであります。民間給与の伸びを考慮いたしますると、当然の措置と思います。ただ、この際一言いたしたいことは、公務員の給与ベースの改定は、ここ一両年ほとんど年中行事のようになっておりますが、これは、申すまでもなく、民間給与の引き続く上昇に影響されたものであり、さらに、その基礎には、消費物価の高騰と、それほど急激ではありませんが、卸売り物価の上昇傾向があるのであります。物価上昇と賃金上昇の悪循環を断ち切り、経済の安定した成長を確保するために、政府としては、来年度予算の編成にあたって、物価の安定に格段の措置を講ずることはもちろんのこと、全体として財政が景気の異常なる上昇を刺戟することがないように、十分な配慮をお願いしたいと思います。
 第二の食管会計への繰り入れは、本年度差米の政府買い入れ価格が引き上げられました結果でありまして、これも当面不可欠の措置でありますが、食糧管理のための国費が毎年多額にのぼるだけでなく、年々その額が増大しているのを見るとき、食管制度のあり方について検討を加える必要があると思うものであります。
 第三の農業共済再保険特別会計への繰り入れは、四月から六月にかけての長雨などによる麦の減収に伴い、同会計の再保険金が当初の予定をはるかに上回ったので、財源の不足を補てんするための措置であります。
 また、第四の災害復旧費の追加は、本年度発生災害についてすでに予備費をもって、応急の措置を講じた以上に必要とされる経費と、過年度災害復旧の事業を促進するための経費を内容としたものでありまするが、これらの支出は、いずれも必要不可欠のものでありまして、適切な予算措置として賛意を表するものであります。
 以上のほか、歳入面において、所得税、法人税及び酒税の増収を計上した結果、法律の規定に従って行なわれる地方交付税交付金の増額、また公務員の給与改善に関連する各種特別会計の補正が行なわれることになっておりますが、これまた当然の措置であります。
 最後に、政府関係機関の予算の補正につきましては、国鉄において、東海道新幹線の建設に予定以上の経費を必要とすることが明らかとなりましたので、その不足分を追加することといたしております。また、電電公社においては、道路整備事業に伴って電信電話の支障移転工事が予定以上に増加したため、工事の進捗に支障を来たしますので、所要の補正をいたしております。いずれもやむを得ない支出増として賛成をいたします。
 最近新聞が報ずるところによりますると、東海道新幹線が東京、大阪間を三時間半で走ることには、技術的になお検討すべき点があるということが明らかになったということでありまするが、国民に大きな期待を持たせていた快速度がにわかには実現できないということは残念に思うところでありまするが、しかしながら、三河島、鶴見のようなあの大事故を見て、国民がいま最も要望しておることは、運転の安全性を確保することであります。今回の予算補正にあたって、私は、新幹線の基礎施設が安全性の点で何らの危惧もないように、慎重を期して工事の完成をはかっていただきたいと、強く要望いたすものであります。また、電信電話事業におきましては、道路建設との計画上の照応がきわめて重要であることを痛感いたします。今回の予算補正も、道路整備事業と電信電話事業の計画上のそごに原因するものも少なくないと思うのであります。そこで、来年度の予算編成には、電信電話事業の先行的投資について十分な配慮を行なうことを政府に要請いたすものであります。
 以上、若干の要望を申し添えまして、昭和三十八年度一般会計補正(第2号)ほか二件に賛意を表するものであります。
 これをもって私の賛成討論といたします。(拍手)
#9
○委員長(太田正孝君) 鈴木一弘君。
#10
○鈴木一弘君 私は、公明会を代表して、ただいま議題となっております昭和三十八年度一般会計予算補正(第2号)等の三案に反対の討論をいたすものであります。
 今回の補正予算案は、公務員の給与改定、災害復旧等の事業費の追加計上など、急を要するものが含まれております。このような予算案に対して、あえて反対する理由をここに簡単に申し上げます。
 まず、現時点に立って経済政策を見てみると、政府の所得倍増政策の失敗から、大企業偏重となって、中小企業、農業の立ちおくれと物価高を招いたことは周知の事実であります。しかも、国際収支の悪化に対処するため、政府が景気を抑制する方向に向かうことを明らかにした以上、そのしわ寄せが中小企業や低所得者層にあらわれることは必至であります。したがって、急激なてこ入れが第一次産業や中小企業になさるべきでありますが、なおも国際収支の悪化を心配せず、物価高に対しても、何らの見るべき施策のない現政府の考え方は誤りであります。今回の補正予算案の構成がそのような考えのもとにつくられてある以上、反対せざるを得ないのであります。
 したがって、ここに提言することは、中小企業金融のワクをはっきりと拡大して示し、また、政府も力を入れている歩積み、両建ての廃止も、明瞭に具体策を示すべきであるということであります。農業災害にしても、六分五厘の金利を払うというような高利の共済金でなく、三分なり、それ以下というような特別の措置を講ずるべきであります。
 次に、国家公務員の給与改定でありますが、去る八月十日に行なわれた人事院の勧告は、五月にさかのぼって実施すべしとあったのであります。ところが、三十八年度補正予算案においては、実施時期を十月一日としております。しかも、その理由は、中央、地方を通じての財政上の問題と、一般経済事情に及ぼす影響を考えたとのことであります。すでに三十五年より引き続いて、勧告は五月実施となっているのに対して、いつも十月一日実施となってきたのであり、今回も、そのままの惰性のように、十月一日実施となったことは、はなはだ政府の怠慢ということになると思われます。もし政府において誠意というものがあれば、五月実施が不可能ならば、九月実施とか八月実施に踏み切れたのではないだろうか。現在の政治に欠けるのは勇断であり、しかりとすれば、この給与改定においても、欠けるものは勇断ということになると思うのであります。
 その上に、池田首相は所得倍増とうたっているが、このままでいけば、物価上昇もあって、公務員の給与の実質倍加は不可能ではないか。消費者物価も、十一月現在で、対前年同月比では、東京で八・四%、全都市平均七・八%の上昇を示しております。現在の人事院の無力から、勧告も六・七%のアップであり、その上、十月一日実施では、実質所得の増加は望めないということになるのではないか。こういう状況の給与改定は低きに過ぎるという点で、われわれは承服できないのであります。
 以上、意見を述べて、反対の討論を終わります。(拍手)
#11
○委員長(太田正孝君) 高山恒雄君。
#12
○高山恒雄君 私は、民主社会党を代表して、政府提出の昭和三十八年度予算補正三案に対して、反対の態度を明らかにいたします。
 今回の政府案は、すでに総選挙前の臨時国会に提出されて流産となり、あらためて本国会に提出されたものでありまして、補正内容の大半は、既定経費の不足分の補てんであります。すなわち、食管会計への繰り入れ、農業共済再保険への繰り入れ、災害復旧事業費の追加、また、国鉄と電電公社の工事費の不足額の追加がそれであります。
 わが党は、これらについては、財政法第二十九条の規定に見合うものとして承認いたします。私どもは、食管会計のあり方、東海道新幹線の竣工時期や、今後の所要経費の見込みについて、多くの論点を持っておりますが、これらについては、いずれも明年早々の通常国会における審議にゆだねることにいたしたいと思います。
 しかしながら、政府案について、いかんとも承認しがたい点が二つあります。
 その第一点は、公務員の給与改定、その第二点は、財政融資計画の追加として、中小企業向け融資を落としている点であります。この双方とも、こう申し上げただけで、政府は私が述べようとするところがすでにおわかりだろうと思います。それは、わかり切った補正措置でありますが、政府案は実施していないのであります。
 すなわち、第一点として、公務員給与の改定については、政府は人事院勧告を尊重したと言いながら、実施時期を五月一日でなく、十月一日に繰り下げることによって、勧告の実質を少しも尊重していないのであります。勧告は、民間給与との水準の較差及び四月一日現在における過去一年間の消費者物価の値上がりと生計費の値上がりに基づいて六・七%のベース・アップ、このほかに通勤手当、期末勤勉手当の増加を提示しております。ここに示された民間給与との較差、物価と生計費の上昇が、四月一日現在をもちまして全く固定しており、くぎづけになっているならば、財源上の理由によって実施期間を十月一日に繰り下げても、勧告の実質を必ずしも尊重しなかったとは言われないかもしれません。しかしながら、四月一日より十月一日までの六カ月間に、毎月、勤労統計で見るように、民間給与水準は上昇しています。消費者物価も上昇しております。したがって、十月一日にさかのぼって六・七%の比率のベース・アップを行なうという、その比率は、人事院勧告の指示した比率とはすでに意味が違っています。すなわち、名目上は六・七%でも、実質はすでにそれ以下になっているのであります。私は、このようなごまかしが人事院勧告の尊重というべールをかぶって横行することは、ゆゆしき問題であろうと思います。これこそ、政治と行政の民主化のとりでとしてわが国民がかち得た民主的制度を政府が骨抜きにすることであって、私ども民社党は、これを断じて容認することはできないのであります。しかも、五月一日にさかのぼって、九月までの半年間の所要経費は、一般会計分で約二百二十億円でありますが、この金額は、今年度の租税の自然増収をもって優にまかない得るものであることは、政府はよく承知しているはずであります。
 第二点は、政府は、政府関係機関予算の補正として、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金の三機関に対する財政融資を行なっておりません。政府は、年末融資として、短期資金の放出を、三機関に対する貸し付けと、市中金融機関に対する買オペという形で行なっております。これは、中小企業の年末資金の需要増という季節的な現象に対する例年の手当てであって、別に政策金融ではありません。私が申し上げたいのは、池田首相の総選挙中の公約にあったとおり、中小企業政策の革命的前進は目下の急務なのです。それは、所得倍増計画のアフター・ケアということを離れて、明年度上期は明らかに金融引き締めの時期であり、その期間は、明年度一ぱい、中小企業に対して継続しそうな気配が濃厚になってきておる現在、中小企業政策の第一弾は、まず低利なる長期資金の供給から始めるべきが当然であり、補正予算の編成のときこそ、これを実施すべき絶好の機会であると思うのであります。政府が意図されておる年末六百五十億円のこの短期融資は、おそらく明年の金融引き締めが最も強化されてくる時期に引きあげとなるでありましょう。私は、最近の郵便貯金の増加にかんがみまして、三機関に対して合計一千五百億円程度の資金運用部資金を融資する余裕はあるはずだと考えております。すでに十六日には、自民党の明年度予算編成大綱が発表され、今週中には、政府のそれも発表されましょう。私は現在の派閥的均衡の上に乗る池田内閣としては、経済刺戟を避ける予算編成と称しながら、実質は、各方面の圧力に迎合した総花式無性格予算が編成されるおそれが強いのであろうと考えるのです。そこには、社会保障も文教も、若干の予算の増額が計上されるかもしれません。しかしながら、この補正予算の公務員給与改定のように、勧告尊重という名前の勧告軽視と同様な予算編成が、すなわち偽善が横行することを私は最もおそれます。先日の総理の所信表明が実質よりも形容詞のほうがにぎやかであったということと同様なことが予算編成で行なわれますならば、全く国民が迷惑するのであります。
 私は、政府に対して強く警告を申し上げて、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)
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#13
○委員長(太田正孝君) ただいま委員の変更がございました。
 小林英三君が辞任され、その補欠として佐野廣君が選任されました。
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#14
○委員長(太田正孝君) 鈴木市藏君。
#15
○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になっております三十八年度補正予算三件と、それに関連する財政投融資計画に反対します。
 まず、この補正予算は、その中心的眼目である国家公務員の給与改定について、国家公務員の正当な要求に全くこたえていません。しかも、きわめて不十分で、欺瞞的ともいえる人事院の五月実施改定の勧告をも無視しているのであります。国家公務員の賃金は、民間労働者の賃金に比べて相当のへだたりがあるばかりでなく、この給与改定によってさらに較差が拡大し、上に厚く下に薄い身分制を給与の上からも強めることになり、加えて、物価値上げのためにますますその生活は苦しく、下級の公務員は、勤続十四、五年でわずかに二万円足らずの賃金で暮らさねばならぬという状態を依然としてしいられるのであります。だからこそ、公務員労働者の一率五千円アップの要求は全く正しく、この特別国会の会期中、次々と国家公務員の賃金引き上げの請願が続きました。わが党に関して言えば、衆参両院を通じて三十万通以上に達しているのであります。政府は、この実情を無視し、正当な要求には一顧も与えず、今回の給与改定を行なおうとしておりまするが、それは、国家公務員を依然として低賃金に縛りつけることによって、全労働者の低賃金制を固執し、高度成長政策による独占の利益に奉仕することをはかったものであります。本来、政府が公務員の生活の実態を知るならば、三十八年度当初予算において、五千円一率賃上げを計上しなければならなかったのであります。
 日本共産党は、この討論の機会を通じて、三十九年度一般予算作成のとき、国家公務員の賃金要求を認めるべきであるということを強く主張します。
 また、食管特別会計への繰り入れでありまするが、そもそも本補正を余儀なくせざるを得なかったのは、政府の生産者米価に対する低価格政策の矛盾を示すものであり、当初予算に計上した見込み額が過小であったことの失敗を糊塗しようとするものであります。この一事をもってもうかがえることは、政府の米価政策のねらいが、生産者米価は低く、消費者米価は引き上げて、農民と一般消費者に負担を転嫁し、食管制度を将来廃止しようとする、その政策的な伏線が本補正予算の性格に出ていると言わざるを得ません。
 また、長雨による麦の被害を補償する点においても、農民の切実な要求に正しくこたえていません。労働者には低賃金、農民には低米価、この搾取と収奪の政策は、池田内閣の高度成長政策遂行のための一貫する基本的かつ現実的な政策であり、それは、本補正予算においても明瞭であります。
 また、日本国有鉄道に対して、東海道新幹線増設に四百四十三億円を追加計上していますが、昨日の本委員会で質問したごとく、政府が国鉄に追加すべき緊急な資金は、東海道新幹線の赤字埋めにあるのではなく、大都市周辺の通勤、通学の輸送の緩和と安全のために、線路の容量の増大と、踏切をはじめとする全線にわたる保安施設の整備及びこれを確保するための人員の増加でなければなりません。これは緊急を要するものであり、今日国鉄事故を防ぐために国民が真剣に要求しているものであります。その反対に、東海道新幹線は、急ぐ必要のないものであります。一体政府は、なぜ国民の不安を解消することにこたえないで、あえて不急な個所に資金を投じようとするのか。おそらくは、世界銀行の借款に見合うための政治的資金以外の何ものでもないと言わざるを得ません。そのようなことは、断じて許されるものではありません。
 これを要するに、本補正予算は、一見単純な内容のごとく見えまするが、その支出面において、国家公務員、農民の切実な要求にこたえておらず、補正を必要とする緊急性にもこたえておりません。また、その財源において、税の自然増収を充てるということは、来たるべき三十九年度予算案が、自然増収という名の税収奪の一大強化を行なうための前ぶれであり、三十八年度当初予算と一貫する対米従風、独占資本本位の収奪予算であることに本質的な変わりはありません。
 よって、共産党は反対をします。
#16
○委員長(太田正孝君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって討論は終局したものと認めます。
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#17
○委員長(太田正孝君) ただいま委員の変更がございました。
 草葉隆圓君が辞任され、その補欠として谷村貞治君が選任されました。
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#18
○委員長(太田正孝君) これより三案の採決を行ないます。
 すなわち、昭和三十八年度一般会計補正予算(第2号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して問題に供します。
 三案を原案どおり可決することに賛成の方は起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#19
○委員長(太田正孝君) 多数でございます。
 よって三案は、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三案の議長に提出する審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(太田正孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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