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1963/12/12 第45回国会 参議院 参議院会議録情報 第045回国会 文教委員会 第2号
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1963/12/12 第45回国会 参議院

参議院会議録情報 第045回国会 文教委員会 第2号

#1
第045回国会 文教委員会 第2号
昭和三十八年十二月十二日(木曜日)
   午前十時十八分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 十二月十一日
  辞任      補欠選任
   斎藤  昇君  宮澤 喜一君
 十二月十二日
  辞任      補欠選任
   宮澤 喜一君  斎藤  昇君
  ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長     中野 文門君
   理事
           北畠 教真君
           二木 謙吾君
           吉江 勝保君
           豊瀬 禎一君
   委員
           久保 勘一君
           中上川アキ君
           野本 品吉君
           小林  武君
           千葉千代世君
           成瀬 幡治君
           米田  勲君
           柏原 ヤス君
  国務大臣
   文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
  政府委員
   文部政務次官  八木 徹雄君
   文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
   文部省初等中等
   教育局長    福田  繁君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○委員派遣の報告
○教育、文化及び学術に関する調査
 (教職員定数に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
 委員の変更について御報告いたします。
 十二月十一日、斎藤昇君が辞任され、その補欠として宮澤喜一君が選任されました。また、本日、宮澤喜一君が辞任され、補欠として斎藤昇君が選任されました。
#3
○委員長(中野文門君) 一昨十日の委員長理事打合会について御報告いたします。
 今国会の委員会の運営について御協議願った結果、本日の委員会は、派遣委員の報告並びに教職員の定数問題で質疑を行なうこと、十七日は、付託請願の審査を行なうことに決しました。
 以上御報告いたします。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(中野文門君) この際、理事の補欠互選についておはかりいたします。
 委員の変更に伴いまして理事に欠員を生じましたので、その補欠互選を行ないたいと存じますが、互選の方法は、成規の手続を省略し、便宜、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認めます。
 それでは、私より北畠教真君を理事に指名いたします。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(中野文門君) 文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
#7
○国務大臣(灘尾弘吉君) 一言ごあいさつを申し上げます。
 去る七月の第二次池田内閣の改造に際しまして、また文部省の仕事を担当することに相なりました。さらにまた、先般の衆議院の総選挙のあとの第三次池田内閣の成立に際しまして、引き続いて文部省の仕事を担当することに相なりましたような次第でございます。本日、皆様方にごあいさつを申し上げることができますことをまことにしあわぜに存じております。
 文教行政の重要な使命にかんがみまして、その責任の重いことを痛感いたしておる次第でございます。いろいろな、なさなければならないことがたくさんあるわけでございます。御承知のとおりの不調法者でございますので、その責任を全うするために最善の努力をいたさなければならないと存じております。誠心誠意職務に精励をするつもりでございますので、どうぞ何ぶんの御協力、御鞭撻を心からお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願いいたします。
#8
○委員長(中野文門君) 次に、文部政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。
#9
○政府委員(八木徹雄君) いま大臣からお話のありましたように、私も七月三十日に政務次官に就任をいたしまして、また今回引き続き拝命をいたしたわけでございますが、その間もっと早くごあいさつに参らなければならなかったのでございまするが、御承知のような状況でございましたので、その機会を得ないで、ほんとうに御無礼をいたしておりまして、申しわけないことと思っております。微力な男ではございまするが、皆さまの御愛顧をいただきながら職責を果たしたい、また、できるだけひとつ皆さんと文部省との間、特に大臣との間の橋渡し役をいたしたい。元気でございまするので、ひとつ遠慮なく使っていただきたいと思います。どうぞ今後とも何かとごやっかいをかけるかと存じますが、よろしくお願いいたします。
  ―――――――――――――
#10
○委員長(中野文門君) それでは、先般、当委員会として行ないました委員派遣につきまして、この際、派遣委員の報告を聴取することにいたします。
 まず、第一班から願います。
#11
○吉江勝保君 去る十一月二十四日から六日間、宮崎、鹿児島両県下の教育状況について、国政調査をいたしました結果を御報告申し上げます。
 一行は、豊瀬、野本、高山の各議員と私、それに滝調査員が随行いたしまして、両県下の実情を見たのでありますが、今日は、見たり聞いたりした実感を中心として、ごく大切な問題のみを御報告いたしたいと思います。
 御承知のとおり、参りました宮崎、鹿児島の両県は、日本列島の最南端に位置し、地形的にはもちろん、今日までのところは交通、産業、文化の面においても全くの僻地となっております。たとえば県民所得にいたしましても、昭和三十六年度において宮崎県は一人当たり平均九万二千円、鹿児島県は七万八千円となっており、全国水準の六四%あるいは五四%とそれぞれ低く、鹿児島県のごときは県予算の九二%を交付税や補助金、負担金に仰ぎ、自己財源はわずかに八%という実情であります。したがいまして、中学校卒業生の高校就学率も本年度宮崎県四七%、鹿児島県五六%と、全国平均六六・五%をはるかに下回っております。また、中学や高校卒業後の就職についても、県外就職が七〇%ないし八〇%の多きを占め、そのほとんどが関西、中京地区に就職しております。両県の卒業生が質朴で忍耐強いということで、産業界からは大いに歓迎されていると県当局では自慢しておりますが、確かに日本の産業を支える人づくりを両県は行なっているわけであります。もちろんこの状態は満足すべきものではなく、そこで今日までは、おくれた農業県でしがなかった両県が、産業開発に力を入れたり、農業近代化を促進したりしているわけであります。特に宮崎県では、日向、延岡地区に新産業都市建設促進法に基づく新産業都市、宮崎、小林地区に低開発地域工業開発促進法に基づく工業都市の建設を押し進め、また他方では、全国にあまり例を見ない高等営農研修所を設置して、自営農業者の養成に努力しているわけであります。この宮崎県高等営農研修所は、県独自の力で中学卒業生を二カ年間全員寄宿舎に入れて、二十四時間教育をもって近代農業のやり方を教え込むというもので、その完備した施設、設備、広大な農場、張り切った指導職員等の姿には目をみはるものがありました。県当局は、この卒業生が村に入って新しい村づくりを行なう中心になることを期待しているのであります。
 次に、教育の一般的問題の中から特に取り上げたい点の第一の問題は、両県が雨量の多い湿潤地帯であり、加えて白アリの被害のために老朽校舎が非常に多いということであります。本年度並みの老朽校舎改築補助費のワクではその解消に二十五年かかるとのことであります。現在、老朽校舎の補助対象は四千五百点以下となっておりますが、鹿児島県では三千三百点以下がやっと対象となっておるという状況で、私どもの見た県立指宿高等学校等は、白アリ被害のために、いつ校舎が崩れるかもしれないという危険な状態であました。これを要するに後進地域で、特殊な条件を背負っている県に対しては、現在よりもよほど強力な補助措置をすべきであるということであります。このまま放置すれば、教育格差はますます広がるばかりであります。
 第二には、小、中学校における持別教室や理科設備の不足の問題であります。小学校においては、情操教育の重要性から音楽、図工等の教育に力を用いておりますが、音楽室がないために隣の教室に迷惑をかけたり、オルガンを毎時間持ち歩いたりしております。また中学校では技術、家庭科が新設されたものの、満足な工作室や家庭科の教室がないということで、教育効果を高めるために関係者が最も頭を痛めている問題でありました。
 第三には給食の問題であります。学校給食は、今日社会的に大きな関心を呼んでおりますが、体位の向上の面からも、しつけの面からも、両県では非常に重視しており、その普及率も相当よいところまできております。しかし市町村側からすれば、施設設備費補助が実際の三分の一、四分の一の状態であるのを二分の一程度にはしてほしいという問題、学校側からすれば、栄養士や給食従事員が不足しているため、特に女の担当の先生方が給食に責任を負わされ、授業のほうが、どうしても犠牲になるとの訴えがありました。それにしても、先生方が熱心に研究して、物資の高くなったおりから、安くて栄養のあるものをと心がけて一ヵ月分の献立をつくり、児童を通じて家庭に配り、家庭の献立との調和をはかっているということを聞いて参りました。今後は物資の共同購入、共同調理や栄養士、給食従事員の給与の国庫補助制、また、なま牛乳の使用の問題等々、もう一歩進んで施策を進めるべき段階であると考えるのであります。
 第四点は、僻地教育の問題であります。両県とも僻地学校は、学校総数の三〇%内外を示しております。特に鹿児島県では離島地域に多いのであります。短い日程の関係上、私どもは残念ながらその実情にあまり接することができませんでしたが、幸いにも一つだけ、宮崎県の高城町立四家小学校を調査することができました。
 この小学校は、一級地指定の学校でありますが、生徒数二百六十二人、校下の戸数百六十一戸で、ほとんどが国有林で占められているために、所得は少なく出かせぎの父兄が多いのであります。生活保護、準要保護児童は二五%、他に一〇%以上の境目の児童があるようであります。無医村であるために、町費で養護教諭を置いております。また週五日制の完全給食も行なっております。
 ここで大いに感銘したことは、このような悪条件にありながら、校長以下の諸先生やPTAが一丸となって学校づくり、人づくりに懸命になっておられる姿であります。まず、学校全体が実に清潔であり、特に整とんされております。校庭にはたくさんの草花が植えられ、廊下には鉢植えの菊が数多く飾られており、花一ぱいの環境で子供たちは教育を受けております。校長の指導方針としては、とかく僻地の子供たちは、一般的に従順ではあるが、明朗、積極さに欠け、ものを言わないので、言葉の教育に力を入れているとのことでした。PTAもそれに呼応して、せめてよい本だけでも読ませたいと、少ないPTA会費から図書室充実のために年間五万円ずつ寄付をし、そのおかげで図書室は子供のためのよい本がたくさんあり、子供用の字引き等も何十冊とそろえられておりました。このように子供の教育に積極的に取り組んでいる教育実践は、すでにその実を結んでおり、私どもがこの学校を訪れる行きも帰りも、三々五々下校する児童たちのすべてが、はっきりと「さようなら」のあいさつをしてくれました。道徳教育や、しつけ教育の重要性が強調されておりますが、その実際は、このような清潔で花一ぱいの環境の中で、毎日の実践を通じてこそ初めて実を結ぶものであり、私どもは、このような学校のあることを非常に心強く感じ、天下に紹介したいのであります。
 ここで要望された諸点を要約いたしますと、僻地学校には、県費負担の養護教諭をぜひ配置してほしいということ、研修費を特に増額してほしいこと、僻地教員住宅のない場合は、僻地住宅手当を支給してほしいこと、学校給食に対する特別な補助を考えてほしいこと、また、PTAからは、国有林の開放、さしあたっては国有林の原木を払い下げてもらって、子供たちの体位の伸びのために小さくなった机やいすの改造をやりたいという希望が述べられました。
 第五点としては、これは両県からの要望のまとめになりますが、教職員定数の引き上げと標準法改正の実現、施設基準の改訂、産振関係の施設設備費国庫補助率の引き上げと県財源の裏づけ、自営者農業高校の設置等について、たびたびの陳情を受けました。
 次に、大学関係について申し述べます。まず、宮崎、鹿児島両大学についてでありますが、両大学とも学長以下学部長、事務局長その他の方々と十分な懇談をして参りました。ここで総体的に申し上げたい点は、まず第一に、施設が十分でないこと、特に宮崎大学は劣悪で戦前のままであり、学生が大学へ入っても、両親や友人に記念の写真をとって送るための背景がないために、県庁等の建物の前でとるという笑い話を披露されました。私立の学校はもちろん、公立の高等学校や中学校にも及ばない状況であります。したがって、問題の第一点は、教室や実験室はもちろんのことですが、学生のための図書館や学生会館、寄宿舎、その他の福利厚生施設を整備し、学生が愛校心を持って勉強に励む環境をつくってやることを考えるべきだと思います。この点、鹿児島大学の学生会館は、食堂、談話室、会合室等を備え、池や庭をしつらえたよい環境づくりを心がけている点、その運営はりっぱであると感じました。
 第二は、教官の問題であります。いわゆる地方大学は、戦前の専門学校、旧制高校、師範学校の集合体であり、教官定員もその実態を受け継いできているため、講座制の大学院、大学に比して非常に不足している。この格差の是正を漸次やってほしいという要望であります。これは特に、宮崎大学のような三学部しかないところでは、教養課程の充実の面で非常に困るようであります。この点、鹿児島大学では文理学部があるために、カバーされておりますが、この文理学部も、将来は理学部と経済学部へ再編成の意向を示しております。ともかく教養課程の教官を充実して、教官と学生が、もっと接し合う時間を多くすることは、人づくりの根本であると考えるのであります。
 第三は、大学運営の基本に関した問題でありますが、私どもは大学の人々との懇談の中で、特に感じた点として、従来、大学の率直な意見や要望が私どもの耳に入ってこない、もっと直接的に話し合う機会をお互いに持つように工夫することが大切であり、わけても大学の人事管理面においては、全般的に見て閉鎖的で流動性を欠くものがありはしないか、また理工学部系統では、待遇上民間との間に大きな開きが生じ、教官後継者の養成が非常に困難になってきている等、重要な問題があると思います。
 また、大学の財政につきましても、現在、大学の収入支出は、御承知のように非常に細部にわたって拘束を受け、ために自主的運用を行なって、教育効果を上げたいとする大学首悩陣の意欲をそいでいる結果になっております。したがって、これらの重要な問題は、もっと突っ込んで検討をお互いが行なうべきじゃないかと感じた次第であります。
 次に、国立工業高等専門学校についてでありますが、宮崎県は、明年度ぜひ都城に設置してほしいと完全な準備をしております。敷地も見て参りました。また、鹿児島県では、すでに本年度から発足し、ただいま隼人町の非常によい場所で建設工事が進んでおります。これらの後進県には、ぜひりっぱな工業高専が生まれることを期待するものであります。
 なお、ここで文部省所管の学校ではありませんが、日本でただ一つの航空機乗員を養成しております運輸省所管の宮崎航空大学校の問題に触れたいと思います。本校は、民間航空界の飛躍的発展にこたえて、パイロットを養成するために設立されてから十年になります。定員は三十名で、短大卒程度の者を二年間実地の基礎について教えておりますが、練習機、教官等の不足で非常に困っております。しかも^現在の年間需要百五十名の五分の一程度しか応じられず、防衛庁に委託したり、防衛庁をやめた人、もしくは外国人パイロットを雇って急場をしのいでいるありさまであります。航空機の事故の大半はパイロットにあると言われておりますが、この大切な人命をあずかる職業教育機関が、このままでよいはずはありません。これはさきに二つの商船大学校が国立商船大学となって充実の方向をとったように、国立大学に切りかえて充実してもよいのではないか、とにかく私たちも政府も、緊急に検討すべき問題だと考えます。
 次に文化財関係についてであります。いろいろと調査しましたが、その中でひとつ宮崎市郊外にある特別史跡西都原古墳群の管理保存の問題は、取り上げる必要があると思います。この三百に余る西都原古墳群のほとんどは、民有農地の中にあり、どんどん削り取られて小さくなっております。西都原の管理者も、このままではどうにもしようがない、責任が持てないと言っております。そこで、全地域を国で買い上げ、農地の部分は耕作者に利用させつつ、管理を万全にする方途を講じてほしい。土地は今のところ非常に安く、全体で三千万円ぐらいであると言っておりました。文化財保護委員会でも、早急に検討してもらいたい問題であります。
 最後に、本委員会でお考え願いたいことがあります。私どもは、さきにも申し上げましたように、僻地の多い両県を調査いたしたものの、実は見なければならない離島は行っておりません。次の機会には、ぜひとも日程を十分にとって、離島の調査を行なってほしいと思うのであります。
 以上で報告を終わります。
#12
○委員長(中野文門君) 御苦労さまでした。
 次に、第二班の報告を願います。
#13
○二木謙吾君 第二班の調査報告を申し上げます。
 久保、米田、小林の委員方と私に、調査室から生田調査員、法制局の河野参事が随行いたしまして、去る十一月二十五日から二十九日に至る五日間、広島、山口両県における教育行政の一般、大学の現状、文化財の保存保護の状況等についての調査をいたしました。
 教育一般問題については、それぞれの県教育委員会において、知事以下関係者から実情を聴取し、また市長その他教育関係者と懇談の機会を持ちました。
 視察個所といたしましては、生徒急増対策の一環として設置されました広島県立宮島工業高等学校と、あるいは炭鉱閉山により多くの問題が起きている小野田市の本山小学校に参りました。大学につきましては広島大学、山口大学工学部及び山口県立医科大学の関係者と懇談をいたしてまいりました。文化財につきましては、広島県の巌島神社、山口県の秋芳洞、萩城址その他国宝、重要文化財、史跡等の保存保護の状況を視察いたしました。以下、各項目について、その概要を御報告申し上げます。
 最初に、教育一般について申し上げます。まず広島県におきましては、永野知事以下、教育委員会の関係者から現況報告を聞き、懇談をいたしましたが、その際の問題点と要望事項の概略は、次の諸点であります。
 その第一点は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正についてであります。終戦による児童、生徒の激増が、現在は高等学校に移り、義務教育諸学校においては、児童、生徒数の激減となった機会に、現行の標準法を再検討し、学級規模の適正化については、一、学級編制基準の標準を年次計画により、少なくとも昭和四十三年度までに、最高一学級の生徒数を四十五人とすること。二、複式学級及び単級学校の編制基準の標準をすみやかに二十五人及び十五人とすること。また教職員定数の改訂については、一、小学校においては専科教員、中学校においては技術、家庭科教員及び生徒指導主事の増員をはかり、新教育過程実施に必要な教職員を確保すること。二、特殊学級の増加をはかること。三、小規模学校の教員及び養護教員、事務職員を増加すること。四、あて指導主事を定数外とし、この増員をはかること。なお、これに関連し、義務教育費国庫負担法については、現行の実員実額制を堅持されたいということでありました。
 第二点は、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案についてであります。本法律案は、第四十三国会で審議未了となったが、来年度分から、ぜひとも給与できるような措置を講じてほしいということであります。
 第三点は、公立文教施設整備のために、新たな五ヵ年計画を実施してほしいということでありまして、国庫負担金の現行暫定最低基準を学級当たりの基準に改めるとともに、特別教室についても、教育上必要最低限度の教室が確保できるよう基準改訂をしてほしい。また、危険校舎改築が完全に行なわれるよう措置するとともに、小学校屋体整備についても、国庫負担の対象となるよう措置してもらいたいということであります。
 第四点は、義務教育学校における通学費の補助についてであります。町村合併の促進等により、学校統合が積極的に推進され、遠距離通学者が多くなり、そのため、市町村においては、通学者の交通費の一部負担を余儀なくされて、その額も相当額にのぼり、市町村財政に少なからぬ影響を与えている現状であるとのことでありまして、小学校においては、十三校で八百十人となっておりまして、一人当たり月額二百三十七円、年間においては二百三十万円余となっております。また、中学校では、二十五校で二千二百八十一人となっておりまして、一人当たり月額五百六円で、年間においては一千四百十一万余円を負担いたしているとのことでありまして、通学費の助成に国の適切なる措置を考慮してほしいとのことでありました。
 第五点は、私立学校に対する国の助成の問題でありますが、本県の場合、私立学校は目下、百四十六校の高等学校のうち、三十七校の多きを数え、その生徒数の割合は二対一の比率となっておりまして、私立学校の教育において占める比重が大きいことからいたしまして、今次の生徒急増対策についても、施設整備などの充実に、周到な計画を立てて受け入れに万全を期しているが、昭和三十七年度から昭和三十九年度までの施設等に要する経費は、私立学校の負担可能額を差し引いても、約五億四千万円の不足ができるとのことで、私学に対する地方交付税の基準財政需要額をさらに増額されたい、また、産業教育振興費の補助金の増額等でございました。
 次に、山口県について申し上げます。本県におきましては、現況報告を聴取後、県教員組合と、県教職員団体連合会より陳情がありましたが、その際、県教員組合より、特に炭鉱閉山による児童生徒数の減少に伴う教員配置に関して、現地視察の要望があり、予定を変更し現地の小学校に参りましたが、その状況について御報告をいたします。
 本件については、北海道、北九州等の炭鉱地帯においても、石炭の不況、石炭産業の合理化の推進に伴って、しばしば起こっている問題であります。私どもは、小野田市の本山小学校に行き、関係者からその事情を聞きましたが、この地方の場合は、市唯一の産業である石炭産業が、合理化あるいは大きな落盤事故等の、昨年暮から急激に相次いで閉山が起こり、炭鉱離職者のうち、働く意思の強い者は新しい職へ移り転出をいたし、残った者は失業保険を受けているか、失業対策で生活している現況であるとのことでありました。なお、今後ますます要保護、準要保護の児童、生徒が増加するということは必至であるという深刻な状況でございました。教員の配置に関しては、教育委員会の配慮により、ただいままでのところ、特別な問題はないようでありました。本山小学校の場合においては、昭和三十七年四月、三十二学級で千四百四十九名の児童がおりましたが、本年九月には二十八学級で七百四十七名という状況で、その後も相当の転出に次ぐ転出で、残っている生徒数もだんだんと減少をいたしておる状況であります。また、学校給食があるので、かろうじて生活困窮者の欠席も少ないといわれておりました。このような状況のため、学校全体に学習意欲が低く、学力が低下しておりますが、幸いなことに、今までのところ、非行少年はほとんどないとのことでありました。この悲しむべき状態に児童、生徒を置かなければならない現況については、早急に国としての対策を立てて処置すべきであるということを痛感いたした次第であります。次に、山口県において問題となったこと並びに要望のおもな点は、次のとおりであります。
 標準法の改正及び教科用図書の無償措置に関する法律案の問題については、広島県と同様でありました。なお、公立文教施設整備の新計画の樹立と義務教育諸学校施設費国庫負担法の改正について、特別教室の整備充実、現行基準の是正等を含めた新年次計画を樹立するとともに、義務教育諸学校施設費国庫負担法の抜本的改正を行なってもらいたいということであります。
 また、地方財政法の一部改正に伴う財源措置と公立高等学校施設の整備については、一、地方財政法の一部改正により増大する都道府県負担の経費に対して、起債、地方交付税等国の財源措置を強化されたい。二、都道府県の実情に即し、建築単価、設備基準単価をさらに引き上げるとともに、構造比率是正をしてほしいとのこと。三、事業費の七割を補助対象としている現行補助方式の不合理を是正し、全事業量を国庫負担の対象としてほしいとのこと。四、校地購入に要する経費を含めた起債のワクを大幅に拡大し、財源措置を強化するとともに、過年度分の事業についても、財政措置の補正を行なうこと等の要望がございました。
 次に、大学について申し上げます。広島大学におきましては、学長をはじめ、各学部長、事務局長と懇談をいたしましたが、大学教官の待遇についての問題が話題となりました。そのおもな点は、次のとおりであります。
 給与面については、戦前においては裁判官以上の水準にあったが、現在では、はるかに下回っており、特に少壮教官においては、その差がはなはだしく、また、他の職域、実業界の給与とを比較いたしますと、その不均衡は、より以上のものであり、これがため優秀な教官の確保、研究者としての後継者の養成に重大な支障を来たしておるとのことでありました。また、旅費、研究費の増額についても、種々と説明がありましたが、その際、旅費の少ない例として、教官の旅費は、年間を通じて約一万五千円余であり、これでは年二回の学会に、ほとんどが会場は東京であるので、交通費だけで一ぱいとなり、宿泊費は自己負担となっているとのことでありました。その他、老朽施設、設備の更新、整備、学校の厚生補導に従事する教官数の充実のための定員増加、理工科系の実験実習助手の確保対策等について、早急に適切な措置を講じてほしい旨の要望がありましした。
 次に、山口大学工学部でございますが、当学部は、昭和十四年設置されました学部工業専門学校が、昭和二十四年山口大学に包括せられ、同学工学部となったものでございます。学生数は六百三十六名、学科は機械工学科をはじめといたしまして六つあり、また、工業短期大学部二百四十一名を併置しております。当工学部は、山口市にあります本部とは離れて宇部市にありますが、その占める位置は、海辺の工場群とは反対の丘陵地帯にあり、そこからは宇部市はもとより、はるかに瀬戸内海も望まれ、樹木も多く、閑静でありまして、学問をする場といたしましては好環境下にございます。しかし、一たび校門を入りまして驚いたことには、建物の大半が、これが大学とは思われないほどに老朴化しているということであります。関係者の説明によりますと、当学部の校舎のほとんどが戦時中のものであるためで、使用建材が至って粗悪であり、たとえば窓のレールは竹製で、そのため修理ができず、天井が紙製のため雨漏りがひどく、その対策に苦慮いたしておるとのことでございました。また、ここでもさきの広島大学において問題点としてあげられましたが、あとに続く研究者、教官を志望する者少なく、また実習実験助手の不足は、広島大学以上に深刻なる問題となっておりました。
 次に、山口県立医科大学について申し上げます。本大学は、戦時における国家非常の際の国策として国の要請に基づいて設立された医科専門学校でありまして、山口県としては、戦後の学制改革の際、いち早く本校を含めた十学部よりなる山口大学を計画したのでありましたが、実現に至りませんでした。その後、昭和二十七年医専が県立医科大学となりましたが、県としては国立山口大学の設立経緯から、これの国立移管を念願といたし、本大学の施設整備計画を年次的に立てて、移管の実現に鋭意努力をして今日に至っておるという状況でありまして、その経緯から、今日の科学の驚異的な進歩と医学の高度化の要求に応じた教育研究施設として国立移管が望ましいと感じた次第であります。なお、御承知のとおりでありますが、文部省の昭和三十九年度概算要求として、本大学の移管に伴う経費約一億円が要求してあります。
 次に、文化財について申し上げます。文化財の保存保護状況については、県教育委員会において両県下の実情を聴取いたしましたが、特に問題点となっていることは、建造物の解体修理、建造物の防災施設の整備、民俗芸能の保護措置、埋蔵文化財の発掘調査等でありまして、その大部分は予算的措置によって解決すべき問題でありました。
 広島県においては、国宝厳島神社を見てまいりました。すでに御承知のとおり、ここの本社及び社殿は、平安末期ないし鎌倉初期の造営になるものでありまして、神殿周囲の室町末期に建てかえられた回廊とともに、すべてが国宝に指定されております。その他、大鳥居、五重塔末社等九件が重要文化財に指定されております。また、宝物類も多く、国宝、重要文化財に指定されているものが四十件をこえておりまして、平安時代から鎌倉、南北朝時代にかけての刀剣甲冑類が有名でありますが、中でも平家納経が特筆されるものであります。
 平家納経について少し御説明を申し上げますと、この経本は、三十三巻よりなっておりまして、願文一巻、華経三十巻、阿弥陀経一巻、般若心経一巻と、すなわち法華経三部経に願文一巻を加えて、厳島社神の本地である観音三十三応身の数に仕立てたものであります。各巻とも金銀の優美な金具をつけた表紙と見返しには、経意に沿った唐絵風、大和絵風のけんらんたる絵が描かれ、本紙には表裏に金銀切箔、野毛、葦毛を散らし、木軸、水晶軸には金銀の装飾具をつけ、あるいは螺鈿で飾るなど、現存装飾経本中の白眉のものでありまして、これら三十三巻を納める経箱、唐櫃とともに国宝に指定されているものであります。これらの国宝、重要文化財の保存保護については、宮司をはじめ、関係者は非常な細心の注意と努力を払ってはおりますが、特に建造物等については、何ぶんとも潮風が直接当たっておりますので、回廊等は相当にいたんでおり、修復を計画しているとのことでありました。
 なお、防災施設については、昭和二十五年より昭和三十四年にわたって、警報装置、避雷設備、消火設備等を、国費一千五百万円、県費三百万円、町費九十九万円、所有者五百八万余円余りで一応は整備されておりまして、毎日数回の訓練をいたしているとのことで、消火栓の放水を実施して見せてくれましたが、水圧は相当強く、発火場所には必ず数本の水が届くとのことで、一応は被害を最小限度にとめることはできるようでありますが、何ぶんとも非常に古い木造の建物でありますので、一朝有事の際には、どの程度の消火力があるかとの危懼の念を持った次第であります。
 山口県におきましては、わが国最大の鐘乳洞で、特別天然記念物の秋芳洞に行き、地下の幽幻な景観と秋吉台の天然記念物の石灰岩地方特有の奇観を見てまいりました。この秋吉台には青少年宿泊訓練所、科学博物館、国民宿舎等がありまして、観光地であるとともに、県下の教育の場ともなっておりました。
 また萩市におきましては、史跡萩城趾、松下村塾、伊藤博文旧宅等と、現在、文化財保護委員会に重要文化財として指定を申請中の東光寺を視察いたしました。ここでは天然記念物の見島牛と東光寺の重要文化財指定についての陳情がありました。見島牛は、昭和三年に日本和牛の原形をなすものとして天然記念物の指定を受けて今日に及んでおりますが、他品種との交配を禁じられているため、品種改良が不可能になっております。そのため最近の畜産界の目ざましい進歩の恩恵にあずかることができず、農耕用として生産されているばかりではなく、肉牛としても島外に出ているが、市場価値は低く、飼育して、多大の経済的損失をこうむっているとの現状でありまして、経済動物である家畜を天然記念物に指定することに問題があるので、指定を解除するか、または保存のための買い上げ飼育などの根本的解決を望んでおりました。また、東光寺は、元禄年間に建造されました大雄宝殿、総門、三門及び鐘楼等で、現在は、市指定文化財でありますが、これを国の重要文化財として指定されたいということであります。なお、大雄宝殿の屋根その他の腐朽破損は非常にはなはだしく、堂内も荒れはてておりました。指定すべき重要文化財であれば、早急に措置すべきであるということを痛感いたしました。
 以上、御報告申し上げます。
#14
○委員長(中野文門君) 御苦労さまでした。
 以上で派遣委員からの報告を終わりましたが、ただいまの報告に関し御質問がございましたら御発言願います。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(中野文門君) 別に御質疑もなければ、派遣委員の報告は、これをもって終了いたします。
  ―――――――――――――
#16
○委員長(中野文門君) この際、現在当委員会に出席中の文部省関係の人々を御報告申し上げます。
 蒲生文部大臣官房長、福田初等中等教育局長、村山大学学術局審議官、臼井体育局学校給食課長、杉江管理局長、菅野管理局計画課長、岩田管理局助成課長、宮地文化財保護委員会事務局長、須賀文化財保護委員会記念物課長、以上の人々であります。
 次に、教職員の定数に関する件について調査を進めます。御質疑のあるお方は質疑を願います。
#17
○米田勲君 きょうは文部大臣、あるいは政務次官等も出席してもらって、当面している幾つかの問題について質問するつもりでありましたが、何か理事の話を聞くと、予算委員会への出席でやむを得ないということでしたので、主として福田初中局長に対して質問をいたします。
 まず最初にお聞きをいたしますが、福田初中局長も知っているように、昭和三十四年度から昭和三十八年度までの五ヵ年間、われわれの立場から言わせると、日本の経済成長の実績の状態から言っても、あるいは世界の先進諸国の教育の実情から言っても、きわめてこれは消極的な計画であるとは考えたけれども、とにもかくにも小、中学校における学級編制については逐次改善してきた。このことは、一応その努力を認めるわけであります。特にこの三十八年度の予算案の審議の時期に、この委員会でいろいろ話をした際に、初中局長は記憶をしていると思うが、議事録に載っているはずですが、いろいろな話の経過は省略するが、今後五ヵ年間の計画を立てて学級の編制を改善し、四十五名を目途にやっていきたいという大臣の答弁があったわけです。これはわれわれの主張とはだいぶほど遠いのであるが、しかしいずれにしても、この三十八年度の五ヵ年計画が終わるや、次五ヵ年計画を立てて学級の編制を改善していくということであったので、一応その計画を了としておったのであります。
 ところが、通常国会に出されてきた教職員の標準定数法案は、御承知のように問題点があって、すでに衆議院で廃案になってしまって、われわれの手元には回ってこなかった。臨時国会にも再提案されたが、これまた廃案になってしまっている。こういう経過から見て、この国会に対して前回、前々回の廃案になったこの法案を提出する意図が文部大臣のほうにあるのかどうか、政府側にあるのかどうか、もしあるとすれば、その提出法案の内容は二度廃案になった法案と同様のものであるのかどうか、それをまずお聞きします。
#18
○政府委員(福田繁君) 私から申し上げるのもいかがかと存じますが、私どもとしては、前の国会に提案申し上げました標準法の改正につきましては、現在の段階において一日も早くこれを成立していただいて、各都道府県なり一般の教育界の不安を解消したいということで一ぱいでございます。
 したがいまして、国会のほうの情勢等が提案を許されるならば、私どもとしては早急に国会提案をして成立をはかりたいという気持でございます。その際に、内容の問題でございますが、私どもとしては現段階においては、この前の法案と同じ内容であると考えております。
#19
○米田勲君 この法案が通過するのに困難であったことの理由は、私はたくさんなくて、たった一つだと思っているわけです。われわれ野党側も、その一つのことを重大視して、この法案の修正を主張しておったわけです。その修正がほとんどいれられる余地がないような状態であったので、われわれとしては、あくまでも抵抗しようと考えたために、衆議院で、すでにこれは廃案ということになった。その問題点の最大なるものは、初中局長何だと思いますか。この法案の一番われわれが問題にしている点は何だとあなたは思っておりますか。
#20
○政府委員(福田繁君) 定数法につきましては、まだ国会で十分御審議をいだいたわけではございませんので、詳細な御意見は国会で伺っていないのであります。しかしながら本会議での論議等を通じて私ども思いあたりますのは、いわゆる定員制の問題であろうかと思います。
#21
○米田勲君 初中局長にお尋ねをしますが、先進諸国の実情から考えても、許されるならば、これは経済的な条件その他の問題もあると思うが、許されるならば、学級の編制というのは、小中学校においては、三十名程度の編制を行なって、教師の教育力が一人々々の子供に徹底していくということを期待すすべきだと私は思います。だから、われわれ日本の文教教育を考えているもの、あなたのように日本の文教行政の責任を負っている立場のもの、ともにそういうことを、まず前提として考えなければならない、私はこう思う。ですから、かりに国が一つの学級編制の基準を示したとしても、各都道府県の自治体の理事者が財政の乏しい中で努力をして、国の示す基準よりも、もっと改善された条件に学級の編制がされていくことはきわめて望ましいことであって、むしろわれわれは、そのことに対して最大の援助を与えるのが国会並びに文部省の仕事でないか、こういうふうに考えるわけです。ところが、このせっかく学級の編制を改善していこうという法案の中に、それとは逆な形が現われてきているということは、これは大きな私は矛盾だと思うわけです。もちろんこの法案の十一条にある文章そのものは、読みようによっては、どうでものがれ道はあるけれども、この条文は、この法案の提出に先立ってすでに閣議で決定をしておる政令の改正案、つまり、国で示す基準を上回って教職員の定数を配置している部分に対しては、国は半額国庫負担をしない、それは都道府県費でみたらいいだろうというやり方を行政措置することをきめておる。そういうものを裏づけして、そうして十一条を並べて、この法案を出してきている。この点が、私はこの法案の中で、最大の難点だと思うわけです。
 少なくもこういうふうに学級の編制を改善していこうとする意図があるなら、現在示される基準を上回っている――十幾つかの県だと思うが、やはり従来どおり、実績の半額国庫負担のこの政策を踏襲していくことが大事だと思うわけです。もし、政府なり文部省が、政令で先ほど私が申しましたようなことを措置すれば、さなきだに困っておる自治体の財政状況でありますから、必ず短期間のうちにがたがたと、せっかく改善して努力をしていった都道府県の自治体のこの仕事が、国の示す低い基準にまで逆戻りしてしまうということになることは、これは当然なんです。そういうことを初中局長は予想できないかどうか。そういう措置をすることが、日本の教育を改善していこうとするものの立場から、一体許されていいのかどうかという点等について所見をただしたい。
#22
○政府委員(福田繁君) お説の点は、私どもよく理解ができるのでございまして、この問題については、教育的な観点と、もう一面財政的な問題と、二面あるわけでございます。したがいまして、教育的な観点のみから考えました場合には、各府県ができる限り定員を充実していい教育をやりたいという意欲は、これはそぐべきではない、また押えるべきではないと、その点は同感でございます。
 しかしながら、一面においてこの定数法の効果といたしましては、これによって国が負担いたしますところのいわゆる給与の半額負担、この問題は、都道府県の財政問題にとっては非常に大きなウエートを占める問題でございます。したがって、今回私どもが計画いたしております法案では、従来よりも小学校、中学校の定数については、かなり小規模学校等にも充実し、いろいろな点において、できる限り改善をはかっていくという方向において、内容的には、かなり私は充実した法案になっておると考えております。
 したがいまして、それ以上に、さらに都道府県において、これを上回って置きたいというところは、まあかりにあるといたしましても、それよりも、むしろ現在御指摘になりましたように、現行法においても、相当たくさんの過員をかかえておる。これは東京、大阪のような財政力十分な県を除きましても三千五、六百人の過員をかかえておる。したがって、この過員の分については、現在半額の交付税はつかない。したがって、国庫負担は二分の一と申しましても、交付税などの裏づけがないわけでありますから、財政的にはかなり府県の重荷になっている。しかも今後数年間の間には、これに加えて、さらに生徒児童の減少のしかたが非常に各県によって、まちまちでございます。したがって、急激に生徒児童の数が減るところにおきましては、かなり――どういう定数をとりましても、かなり教職員の定数というものが、へこんでしまうという問題が起きるわけでございます。そういうときに、現在の現員と定数との差異を、どう処置するかという問題は、やはり非常に都道府県の財政問題として大きな問題であろうと思います。
 そういった意味で、御指摘のありました現在の過員にあわせて今後児童生徒が急激に減少するために起こって参りますところの定数を上回る、いわゆる過員というものを、これをあわせて国庫負担の対象にし、しかも交付税で十分裏打ちをして財源措置を十分にしてやるということが、今後都道府県の財政力をみる上において非常に私は肝心な問題であろうと思います。
 そういった意味で、私どもの計画では、現在の過員も今後起こるべき過員も、財政的には、これを国庫負担と交付税の裏打ちをして、都道府県が困らないようにしよう、こういう計画でありますから、ここ五年ないし七年間の問題としては、私はそのほうが一番大きな問題であろうと思います。そういった救済措置を講じて、一面都道府県の財政の救済をいたしますと同時に、できる限り教育効果も高まるようにして参りたいという計画でございますから、お話しの点は、私どもは十分考えながら今度の計画を進めてまいりたい、こういうように考えております。
#23
○米田勲君 初中局長にお伺いしますがね、日本の法律の上で、あるいは先進諸国の小、中学校の実情の上で、あなたらがいま法案の中に盛り込んだ五ヵ年計画の、この学級編制の改善の条件と比べて、これははるかにその程度が劣っていると私は考えておる、これはいろいろな理由があるということは認めても、条件としては劣っているということをあなた自身は認めますか。
#24
○政府委員(福田繁君) ちょっと御質問の趣旨がわかりかねますが、私どもとしましては、現在の最高五十人を四十五人にするということによりまして、現在は五十人というきまりでありますけれども、実際は小学校は三十九人、中学校においては四十三人か四人でございます、全国平均は。したがいまして、今後五年間に五人それぞれ引き下げるということによりまして、実態は小学校においては三十五人以下、中学校においては四十人以下になることは、これは明らかでございます。そうした場合に、いま直ちにではございませんが、数年先には、欧米諸国でとっておりますところの大体四十人という標準と同じになるのじゃないかというように考えております。
#25
○米田勲君 いま説明の中にあった、国で示す基準をこえて教職員を配置している自治体に対しては半額国庫負担をしないという政令を出そうとする意図は、これは文部省が自発的に考えたものなのかどうか。文部省が積極的、自発的に考えたものなのかどうか、その点をはっきりしてください。
#26
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、現在の過員と今後起こるべき過員は、これは暫定的に五年間ないし七年間は、まるがかえにするわけでございます。それ以上に上回って置きたいというものについては、これは都道府県自体の自己財源でやるより仕方がないというような関係で、これは政府として閣議決定をしたものでございます。
#27
○米田勲君 私の聞きたいのは、日本の教育を改善していかなければならぬという最大の責任を負っておる文部省が、自発的に、積極的にそういう措置をとることをきめたのかどうかという点が問題だと思っているのです。あなたは、政府が考えたんだとか、閣議できまったと言う。そんなことはぼくは知っているんだ。それを文部省が自発的に考えたのか、その点を聞いている。
#28
○政府委員(福田繁君) まあ自発的と申せば自発的だと考えております。
#29
○米田勲君 初中局長だから、徹底的な話は君にしてもうまくないけれども、もってのほかだよ。文部省自体が積極的、自発的にそういうばかなことを考えるということはもってのほかだ。私は今まで、よそのほうの省、たとえば大蔵省あたりから横車を押されて、いろいろな予算折衝の過程でやむなくそういう条件をのまなければならんかったのではなかったかと同情的に考えておった。しかるに、今聞いてみたら、文部省が自発的に、積極的にそういうことを考えて閣議に持ち出したという答弁だから、これは最も重大だと考える。あとから文部大臣にこのことを特にあらためて聞くことにいたしたいと思います。
#30
○豊瀬禎一君 関連。今の米田君の質問に関連して、荒木文部大臣が委員会において、私が、文部省基準より上回っているところは、教育効果を高めるために、奨励こそすれ、押うべきではないと思うがどうかという質問をしたのに対して、大臣は、国でできないことをやっていただいておるのですから、それは感謝こそすれ、そういうことに対して財源措置その他で押えるべきではない、こういう答弁をしておるのは御存じですか。そういう舌の根のかわかないうちに、文部省が自発的、積極的に基準よりもよい実績を努力した県は自前で勝手にやりなさい、こういうことを大臣が自発的にやったとすれば、当委員会における大臣見解とはなはだ食い違うと思うのですが、その食い違いのよしあしは別にして、御存じですか、当委員会の答弁を。
#31
○政府委員(福田繁君) あるいは荒木大臣がそういう御発言をなさったかもしれませんが、そのことと各都道府県の置きました定員について国庫負担を全部つけるという問題は別の問題で、国庫負担の問題の最高限度という問題は財政問題でございます。したがって、まあいろいろ地方によっては事情は異なりますから、県の事情に応じて、国から負担してもらわないでも自発的にやれるというところにおきましては、これはそういうことはあり得ると思います。そういう定数を押えるべきでない、こういう意味ではなかったかと思っております。
#32
○豊瀬禎一君 あなたとその適否、内容について、荒木さんの答えたことですから論争しようと思ってない、そのことを御存じですかと聞いている。荒木大臣のそのことは御存じですかと聞いている。
#33
○政府委員(福田繁君) そういう趣旨のことを答弁されたようにも記憶しておりますけれども、はっきりは覚えておりません。
#34
○豊瀬禎一君 よく調べていただくと同時に、そのときの荒木さんの答弁は、今あなたが、だろうと思って解釈したことと全く逆で、米田委員が主張しておることと同じことであったということを付言しておきますから、よく調べておいてください。
#35
○米田勲君 その問題は、とにかく大臣がくるまで保留をしておいて次に移りたいと思います。
 先ほど初中局長は、国会の情勢が許すなら、この教職員の標準定数法案を提案してすみやかに可決を願いたいと言っておるが、一体、文部省は国会の情勢を見きわめた上でなければ法案は出してこないのかどうか、これはどうもわからぬ。文部省は積極的に法案を御審議願って、すみやかに可決してもらわぬと日本の教育は困るんだという、そういう気持がほんとうにあるなら国会の中の政治情勢なんて問題ではない。出してきてみんなに説得をして、そして議員の理解を得て、すみやかに議決をしてもらう努力をすべきだ。議会の情勢がよくなるのを待って、できるならこの法案を出したいなんという、そういうなまけたようなものの考え方は、私に言わせるとけしからぬと思うがどうかね。なぜ出してこない、数日を経たのに、それをお聞きします。
#36
○政府委員(福田繁君) 御承知のように、今度の特別国会におきましては、政府は全般として提出法案を非常に制限をしているというような事情でございます。したがって、私どもとしては出したいのはやまやまでございますが、そういういろいろなことから、まだお許しが出ないのでございます。
#37
○米田勲君 私はこの廃案になった法律案を、この特別国会に積極的に提案をしてこない文部省の態度は納得ができないということを、まず冒頭に申し上げておいて、ひとつ聞きたいことがある。片方でそういう態度を示しながら、文部省は一方では都道府県教育委員会に対して妙なことを指示しておる。他の委員の方は御承知かどうかわかりませんが、私が入手したこの文部省の指示した文書によると、もっぱら首切りの準備工作を指示しておる。ちょっと長くなるけれども、参考のために、文部省というものは、どえらいものを計画をするところだということを理解願うために一部分を読んでみますと、こういうことを指示しておる。「勤務実績が良くない場合、勤務実績の良否は、任命権者および市町村教育委員会が判断すべきであるが、その判断は勤務成績の評定の結果や勤務実績を判断するに足ると認められる事実にもとづいて行なわれなければならない。」まず、こういう説明を加えている。「勤務実績がよくない場合」、それから「心身の故障のため職務の遂行に支障があり、またはこれに堪えない場合」、第三は、「その職務に必要な適格性を欠く場合」、ここがどうも内容を読んでみると、文部省は何をねらっているのだか、きわめて疑義がございます。「(一)、(二)のほか広くその場に必要な適格性を欠く場合を分限処分の事由としているが、どのような事実があれば適格性を欠くものであるかという判断は、具体的には微妙な問題である。一般的に適格性を欠くとは、当人の素質、能力、性格等その職に適しない色彩ないし、しみの附着している場合で、簡単に矯正することのできない持続性を持っている場合でなければならない。」、諸君、こういう文章が指示事項の中に書かれている。これはよくあとから確かめてみなきゃならぬ。第四は、「職制もしくは定数の改廃または予算の減少により廃転または過員を生じた場合」、こういう場合をこう列挙しておきながら、結局そのあとに分限免職の手続という段になってくると、十二月中にはここまでやれ、一月中までにはここまでの仕事を完了せよ、二月上旬にはここまでの仕事を完了せよ。結局、首切りの準備指令を出しているものと内容は同じなんだ。私はどうもこの文部省のやり方について、一つは、二回の国会で標準定数法案が廃案になったとはいいながら、この国会に対して積極的に提案をしてこないでおいて、一方には教員を首切るために都道府県教育委員会に対して期日を指定しながら、着々と準備工作を行ない、しかも、その中には「色彩」だとか、「しみ」だとかいって、きわめて疑義のある内容を盛り込んで教員を処分し、首切りをしようとする指示を出しているように、この文章は理解できる。一体これはどういう意図でこんなものを、いまどき都道府県教育委員会に示達したのかどうか、その意図をはっきり説明してもらいたい。私の言うような、そういうひどいことでないというなら、そのないという理由をはっきりしていただきたい。私は誤解しているのかもしらん。答弁を願いたい。
#38
○政府委員(福田繁君) 私のほうでは、先月二十二日に、都道府県の人事給与主管課長会議を開催したわけでございますが、当面のいろいろ事務的な打ち合わせがございますけれども、その際に各都道府県が一番問題にしておりますのは、定数法がはたして成立するかしないかという見通しの問題でございます。御承知のように、現在の段階においては、各都道府県ともに来年度の予算の編成についての下交渉なり、知事部局とのいろいろな折衝をやっておりますが、その際に、二月にきまるであろうところの都道府県の定数及び予算について、現行法で組むべきか、あるいは改正法に従って組むべきかということは非常に重要な問題でございます。したがって、そういうような関心を持っておりまして、いろいろなやり方について各県みなまちまちに迷っているというような状況でございます。また一面において、せっかく新卒を各都道府県で採用内定をしているにかかわらず、それがはたして何人決定できるかというような問題もかかえております。そういうことで、打ち合わせをしたわけでございますが、一部の府県からは、もし通らなかった場合には、これは年度末にあわてて定数を整備するといってもなかなかできないというようなことから、やはりいろいろな最悪の事態を考えて、いろいろな対策をいまから考えておくべきじゃないかというような声も出ておりました。私どもとしては、別に首切りを指示するということではございませんけれども、いろいろな場合を想定して、分限免職の場合もあり得るということは、一応、想定して対策を考えていく必要があるだろうという意味合いにおいて、いま、お読みあげになりましたのは、地公法二十八条の分限免職の該当事項に関する規定だと思いますが、そういうことについての説明もいたしたのでございます。それが真意でございます。
#39
○米田勲君 この指示事項は、御丁寧にも、そのことが裁判になった場合の対策までこまごまと書いてある。文部省というところはどんな場所なのか。この文章を見ると疑義が起こってくるのですよ。大体、学校の教職員の身分に関することは、文部省の所管事項じゃない。都道府県の所管事項なんです。その都道府県に対して、こういうことを示達したあと、裁判対策までこまごまと書いてある。訴訟を起こしてまでも首を切れと、こういっているのと同じことなんです。全く不明朗な文部省のこの役人的な態度、政治家には理解ができないんですよ。こんなばかなことを、大体、教職員として適当でない者だとか、教職員としてはとうてい健康上その他の理由で教壇に立つことができないような者を、都道府県の教育委員会がそのままにしておくはずはない。いまさら文部省からこんなつまらないことを積極的に示達する必要がごうもない。従来ともそういう該当者がおれば、それぞれ適当に処置されているものなんだ。それを、何がゆえにこんなことを好んで、首切りの準備指令でないと言いながら、明らかにこの内容を見れば首切りの準備指令じゃないですか。しかも御丁寧に、裁判が起こるであろうことを予想して、その裁判に勝つためには、すでに首を切るときからこういう準備を、こういう書類を、こういう書類の上での文章を整備しておかなければならぬというところまで示達しておる、まことに奇怪しごくである、私はこういう文教行政のあり方に対して最も強く反発を感ずると同時に、これは改革する必要があると考えるが、初中局長相手では、役人であるからものにならない、これは文部大臣とよくこのことについて話し合ってみなくちゃならない。文部省は教員の首を切るところではない、文部省は学級の編制を悪くしていくところではない、自治体のやっていこうとすること、都道府県の教育委員会のやっていこうとすることに対して、あと押しをして財政的な援助をし、必要予算を見積ってやってよりやりやすくするようなサービス機関が文部省なんだ、その文部省が何事ですか、こんなことをやり始めて。大体、役人の頭というものはこの程度のものなのですか、けしからぬ次第だ。特に私はきょうあなたにここだけは聞いておきたい。「その職に必要な適格性を欠く場合」の中に書いてある「当人の素質、能力、性格等その職に適しない色彩ないし、しみの付着している場合」として、「色彩」と「しみ」、わざわざ点を打ってある、大事なところだというので。これは一体、われわれには理解できないことなのですが、口頭で何か補説をされたかどうか、同日補説をしないとすれば、このことは一体何を言うのか、どうも理解ができないので、説明をしてもらいたい。
#40
○政府委員(福田繁君) 別にそういうことについて詳しく説明したわけではないと思いますが、書いている表現を見ますと、そういう本人の能力、性格等について欠陥がある者というように読めるのでありまして、そういういろいろな欠格条項のある者については適格性を欠くという判定をするのが普通だと思います。
#41
○米田勲君 初中局長の言うとおりなら、この文章は、「当人の能力、性格等が教職員となっておるのに適格性を欠いておる」と、こう書けば端的にわかる。ところが、あなたのほうの書いているのはそうじゃないのだ。「素質、能力、性格等その職に適しない色彩」というのは何ですか、この「色彩」というのは。こういう、人の首を切ろうというときには疑義の起こらないようにすべきだ、何かしら、ばく然と「色彩」なんという言葉で書かれたのでは、むやみに首を切られるおそれがある、私はそれを言うのだ、だから、こんな「色彩ないし、しみの附着している場合」なんというのは、何のことだかもう少し説明してくれなければ困る。大体、文章というものは受け取った本人が理解できなければ困るのだ、日本語は。何を書いておるのか、何を意図しておるのか、何を指示しておるのかわからぬような文章をもらっても迷惑なんだ。このことについて特に補説をしたり解説をしないと言っておるが、われわれには少なくともわかるようにしてもらいたい。こういう指示を都道府県教育委員会に出しておるということは、日本の文教行政上重大なことなんだ、教職員の首切りに関連をしているその中に、この「しみ」だとか、「色彩」だとかいう、きわめてわからない言葉を使って指示しているのを、この委員会でひとつわれわれに理解できるように明確にしてもらいたい、その責任があるはずだ。
#42
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げた程度でございまして、能力、性格等について教職員として適格性を欠くということについて、まあこういう表現は適当でありませんけれども、書いたものだと思います。
#43
○米田勲君 私の聞いておることに答えてくれていないよ、委員長。私は「適しない色彩ないし、しみの附着している」という、この「色彩」と「しみ」が問題だと言っている。なんのことやらわからないと言っている。これを書いて点まで打った限りでは相当意図があるのだ、これは。それを明確に言えないのか。僕が言ってあげてもいいよ、これは文部省が何をねらったのかということを。しかし、君自身の口から言うべきだ、これは。答弁をしてもらいたい。
#44
○政府委員(福田繁君) 私どもとしては、誤解のないように申し上げておきますが、三十八年度末の人事に関して首を切れというような指導をしたわけではございません。いろいろの場合を想定して、十一月末の段階においては非常に定数法の見通しが私どもとしてはできないというような状況でございましたので、やはり各県の人事行政がスムーズにいくのには、いろいろ最悪の事態を考えてやっておかなければならぬというような声から、こういう参考資料を差し上げたのでございまして、この一々のことばについて適当でないところがあるかもわかりませんが、これはむしろ地公法二十八条の解釈そのものになると思いますので、これはむしろ地公法二十八条一項の解釈について、各府県がどういうぐあいにきめるかという問題であろうと思います。
#45
○米田勲君 これは参考資料だなんて初中局長言い出しておるが、これもごまかしだ。都道府県教育委員会の責任者を集めて、こんな文書を渡して参考資料に出したのだというような逃げ口上を使ったって、それは許さぬぞ、そんなことは。示達したんじゃないか。参考資料なんていうことをこの委員会で言ったのは取り消せ。さらにです、私はいま言っておることは理解できない。委員長、私の聞いていることに的確に答えてくれるように注意を与えてくれませんか、あの男に。私は「しみ」と「色彩」を聞いておる。何のことなんです、具体的に言うとこれは。「色彩」とは何を具体的に言うのか、「しみ」とは。たくさんの例でなくてもいいんです。たとえばこういうのは「色彩」で、こういうのは「しみ」だ。こういうふうに説明してもらえば、ああそうですかとわかる。そういうふうにひとつ説明してください。
#46
○政府委員(福田繁君) これは適格性を欠くそれぞれの具体的な事実についてあげなければわからないと思います。表現は「色彩」とか、「しみ」とかということを使っておりますけれども、具体的な事実そのものが適格性を欠くかどうかということを判定しなければならぬと思います。
#47
○米田勲君 委員長の注意がないものだから、ずうずうしくまたあんなことを言っている。私はまじめに聞いておるのです。およそ教員の首切りに関係している文章なんです。その中に教員としてふさわしくない不適格な条件があれば、これはしかたがないですよ、やめさせられても。しかし、普通のやり方でやれば、あやまちというものは人間だれでもあるのだ。だから、それをいろいろ説得をしたり、注意を与えたり、戒告をしたりして、そしてその誤りを繰り返さないようにしてやって、一生懸命に仕事に励ますというのが常道なんだよ。それをこういうやり方でばつばついま首を切るという準備行動に入る指示をして、その指示の中に、しかもきわめてわけのわからないことばを使っているから私は問題にしておる。何べん答弁しても私の言っておることに答えないのであれば私は考えがありますよ。「しみ」だ「色彩」だというのは、具体的に教職員のどういう状態、どういう条件になっておる教員を、ここでいう「しみ」であり、「色彩」であるというのか。ぜひとも説明さしてもらいたい、委員長。
#48
○委員長(中野文門君) 福田局長、よく質問に対して表現の的確な御答弁に努力してください。
#49
○政府委員(福田繁君) お答えいたします。「色彩」とか、「しみ」とかいうような表現は、先ほど来申し上げておりますように、適切な表現でないかもわかりませんが、上のほうの「当人の素質、能力、性格」というような問題について欠陥があるということでございますから、したがって、考えられる問題としては、本人自身の性格などに非常に教職員としての不適格の要素を持っているというような場合を指すのでございまして、具体的には「しみ」も同じことだと思います。「色彩」とか、「しみ」とかいっても、それは欠陥の事実の具体的問題でございますから同じに考えていいと思います。そういう性格について非常に、早い話が、精神的な欠陥もあるでございましょうし、いろいろな肉体的な欠陥、そういう具体的な事実があった場合には、それはやはり適格性を欠くという一つの要素、要件になろう、こういう趣旨でございます。
#50
○米田勲君 私はいま初中局長の答えたことばの中に、この文章は表現としては適当でないということばをみずから言われている。適当でないならばこのことばを削除するかどうか。公文書として示達をした文書の中に、適当でないとみずから認めるような文章が入っているのであれば、それを取り消す余地があるかどうか、それをまず聞いておく。
#51
○政府委員(福田繁君) 先ほどから申し上げておりますように、公文書としてこれは通達を出したというようなものではございません。先ほど申し上げましたように、資料として差し上げたものでございまして、この「色彩」とか、「しみ」ということが適当でなければこれは訂正いたします。
#52
○米田勲君 そうすると、この文章は、その辺の街頭でビラまきをしているようなものと同じような、そんな種類のものとして渡したのですか。あなたのいまの表現だと、街頭で、よく駅前あたりでビラまきがされているが、あれと同じ、似たようなものですか、答弁してください。もっと大事なものでないですか。
#53
○政府委員(福田繁君) 参考資料としてお渡しをしました。
#54
○豊瀬禎一君 ちょっと関連して。参考資料か通達か別として、それを都道府県教育委員会の出席者に渡すときに、あなたは出席していましたか。
#55
○政府委員(福田繁君) 私は会議の最初には出ましたけれども、あとのほうは、私はほかの会合に出ましたので不在でございました。
#56
○豊瀬禎一君 それの説明をしたのはだれですか。
#57
○政府委員(福田繁君) 地方課長と思います。
#58
○豊瀬禎一君 その説明の際に、いま米田委員が指摘しておる「色彩ないし、しみ」というところに点が打ってあるはずですが、その際に、そのことに対して全然説明が行なわれなかったですか。
#59
○政府委員(福田繁君) その点は聞いておりません。
#60
○豊瀬禎一君 その書類は、あなたは参考資料といっているけれども、県教委に対しては早急に市町村教育委員会にその書類を示達して、米田委員が指摘したように、十二月段階、一月段階、二月段階、三月までにこれこれを完了せよ、このことを早急に準備させるように取り計らうように示達していないですか。
#61
○政府委員(福田繁君) これは資料でございますから、都道府県教育委員会から市町村教育委員会にこれと同じものを示達するということはないと思います。ただ、県の教育委員会におきましては、定数法の関係で、この年度末の退職者その他の調査は進めておりますので、そういうことに関連していろいろな調査はやっているかもわかりませんが、これ自体を示達するということはないと思います。
#62
○豊瀬禎一君 市町村教育委員会に示達されたと県教委が言っておるとすれば、それは文部省が言っておることと全く逆で、うそですか。その責任、あなたは持てますか。
#63
○政府委員(福田繁君) 私が言っていることはうそではないので、ございまして、都道府県の教育委員会が自発的に退職者なり、年度末のいろいろ調査をいたしますから、それに必要なことは、これは都道府県教育委員会から市町村の教育委員会に指示をすると思いますけれども、それ以外のことは私どもとしては関知をしておりません。
#64
○豊瀬禎一君 文部省の県教委に対する期待可能性を言っているのではなくて、この書類を地方教育委員会に示達して、文部省が指示したそれぞれの時期設定の段階における書類調製、伝達その他をきちんとやらせるために、地方教委にそれを徹底させなさい、こういう指示があったと県教委が言っているのは全くうそですかと、こう聞いている。文部省はそういうことをやらなかったかと聞いているのですよ。
#65
○政府委員(福田繁君) これは資料ではなくして、一応やはり最悪の事態に備えていろいろな準備をしなければなりませんので、こういう場合の、万が一、分限退職などの必要の生ずる場合には、やはり市町村教育委員会を通じて事前に調査をしておくということは、これはありますと思います、その点については。
#66
○豊瀬禎一君 福田さん、大事な問題ですから率直に答えてください。期待可能性としてあり得るだろうという問題じゃなくて、このまま印刷して、このままやりなさいと、そのような用語は別にして、その示達の内容を地方教育委員会に早急に伝達し、周知徹底について当日示達されたと、こう県教委では言っているのですが、その示達をした覚えはないですかと、こう聞いているのですよ。わからなければ、そのときにその書類を説明したのを後刻調べてもらって、後日に譲ってもいいですよ。
#67
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたとおりでございますが、なお詳細なことは調べてお返事をしたいと思います。
#68
○米田勲君 いまの豊瀬君と初中局長の応答の中で話されていることは事実に反している。この文章は、委員長読んでおられないだろうけれども、「その手続に遺漏なきを期せられたい。」とか、「市町村教育委員会に対し、その旨を周知させる。」、それは「十二月中に終了のこと」、それから「分限免職に相当する勤務実績不良または不適格を判断する基準(別紙参考資料参照のこと。)を作成し、市町村教育委員会に配布し、該当者の有無を報告するよう指示する。(一月中に終了のこと。)」、まだ以下たくさんありますが、ちゃんとこういうふうに都道府県教育委員会に参考資料として渡して、あと都道府県教育委員会の責任でどうなるかわからぬなんというしろものではなくて、はっきりちゃんとこの文章の中にはすべてのことを指示しているのですよ。それなのにああいう答弁をするのですが、この初中局長の答弁は、先ほどから聞いてみても誠意を持って事実を言わないという傾向が非常に強いのですが、委員長どうですか、この文章の中に、いま一部を申し上げましたが、はっきり書いてあるのです。しかるに豊瀬君に対する答弁はああいう言い方をしている。事実と違っているじゃありませんか。初中局長、それを率直になぜ認められないのだ。この文章はだれが考えたって、都道府県教育委員会が何をするかはわれわれの関知するところではないなどと言えるしろものではない。「市町村教育委員会に対し、その旨を周知させる。」、あるいは「報告するよう指示する。」、その期日まで限っている、そういう文章を手渡しておきながら今のような答弁をするのは不届きである。なぜ率直に事実をわれわれに言えないのか。国会に対して事実を言えないとあれば、言えませんと答えてください。私は別途の措置をとらなくっちゃならない。この国会へ来て事実は申し上げられないのですということだったら話にならないのです。もう一度私の言っていることだけに答えてください、その事実を申し上げられないのかどうか。
#69
○政府委員(福田繁君) 先ほど豊瀬委員の御質問に対しましては、御質問の内容が、この資料をそのままというような表現ではなかったと思いますが、この資料を市町村教育委員会に示達するように命令したかというお話でございましたので、それは私のほうはやってないということを申し上げたわけでございます。ただ、こういう事態については非常に困難な事情があるので、都道府県教育委員会は市町村教育委員会にいろいろ事前に準備をする意味において指示し、用意を進めるというような打ち合わせなり、指示は、各都道府県において進めるべきだということには、これは指示をしております。しかし、それは具体的にこの資料そのものを各教育委員会から市町村教育委員会に出したということではないわけでございます。その点でございます。
#70
○米田勲君 初中局長の言っていることは詭弁ですよ。豊瀬委員の質問に対して答えたことと、いま答えたことは違う。さらにいま答えたことばの中に都道府県教育委員会にそんな命令は出したことはないと言っているが、それはきまった話です。文部省に教員の身分をどうこうせいという権限は法律にいっていない。そんなものを命令できる立場じゃない。しかし、実際には参考資料などというつまらないものでなくて、都道府県教育委員会は申すに及ばず、その教育委員会の手を通じて、市町村の委員会まで全部これと同じことをやらせるように指示しておる内容を持っているものであることは間違いないはずです。その権限があるなしでなく、その言いわけをどうやろうとも、実際問題としては、市町村教育委員会にまで都道府県教育委員会を通じてこのことをやらせるように意図してこの文書は渡されている、それだけは認めるか、どうですか。
#71
○政府委員(福田繁君) それは指導上の資料でございますから、都道府県教育委員会がその必要な向きは、各市町村教育委員会に対して事情を詳しく周知させる手続はとると思います。
#72
○米田勲君 委員会で堂々めぐりをやっておっても、時間の制約がありますので、先のほうにもどりますが、私は「色彩ないし、しみ」の問題だと思う。どうしても首切りにつながってくる。米田は「色彩ないし、しみ」があるというようなあいまいなことをやられたのでは処置ないですよ、こんなばかな話はない。与党の委員も真剣になって、こういうばかなことを指示しているのですから考えてもらいたいですよ。人の首を切るときには、よほどでなければ切れないという考え方に文部省は立つべきなんです。その重大なことをしようとしている文書の中に、「色彩ないし、しみ」というきわめてあいまいな言葉を使って、それに点まで打って重要ですぞと指示しておった、それに解説もしない、補説もしない。相手がわかったかどうか私もわかりませんが、さて、われわれがわからぬからここで具体的に説明せいと言ったら、それは不適格なんだという説明です。不適だということと「色彩ないし、しみ」ということとは用語が違います、はっきり。教員として不適格という断定のしかたと、「色彩ないし、しみ」なんということは、その持つ意味と内容が常識的に違う。なぜ、福田初中局長がみずから発したこの重大問題を明確にこの委員会で答えようとしないのか、私はどうしてもわからない。自分らが何か間違ったことを意図しているのではないか、そういうおそれがあるものだから、われわれが追及すると、こういうことですと、ばっと答えられないのじゃないかという、そういう逆に私は疑義を持ってくるのです、ますます。色彩があるとか、しみがあるとかということで、むやみやたらにまともな教員の首を切ってしまうのではないかという考えに走ってしまう。われわれをそういう考えに走らせないために、ここで明確に、「色彩ないし、しみ」とは具体的な教員の活動の中でこういうことをさしているのです、そのことを抽象的にはしみ、色彩と書いたのだ、こういうことはぜひこの委員会で説明してもらいたい。そうでなければ、こんなのがれ口上で委員会が乗り切れましたと、ゆうゆうと文部省に帰られたのでは、われわれの一分が立たぬ、はっきりしてもらいたい。
#73
○政府委員(福田繁君) これは先ほど申し上げましたように………。
#74
○米田勲君 先ほど言っているとおりじゃだめですよ。
#75
○政府委員(福田繁君) その不適格な場合の具体的な内容でございますので、表現が適切でなければ、これは訂正いたします。
#76
○米田勲君 委員長、具体的な内容の「しみ」、「色彩」がわからないのだというのです。具体的な内容であるということだったら、その具体的な内容を具体的に言いなさいよ。「色彩」とは、たとえばこういう行動、こういう性格、「しみ」とはこういう行動、こういう性格、そう言ってもらわなければわからないでしょう。ここにいる人だれ一人理解してないでしょう。今までに彼は何べんでも答えているが、だれか一人わかっている人ありますか。わからないでしょう。福田君だけだ、わかっているのは。こんなばかな話がありますか、一体。答えられないなら答えられないと言いなさいよ。政府委員として不適格だとわれわれは主張しますから。初中局長答えるまで私はやりますよ。許さぬぞ、そんなごまかしで渡ろうというのは。委員会が晩までかかろうが、めしも何にも食わないでやる。人の首を切るときにこんなばかな不見識な軽率なことを指示しておって、それで渡ろうなんというおこがましい考えは許さぬ、絶対に、何べんでも聞きますよ。しつっこくたって、言うまで。答えなさい。
#77
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#78
○委員長(中野文門君) それでは速記を起こして。
 米田委員と当局との質疑の内容に関する資料を、全委員になるべくすみやかに御配付願います。
#79
○米田勲君 次の問題は、これは初中局長にも記憶を呼び戻してもらって、はっきりここで答弁を願いたいんですが、昨年のたしか十一月ごろの、ここの委員会での話だと思うんですが、経過から申しますと、三十六年度の文教関係の予算を審議した分科会でこの問題がまず論議された。それは、小規模学校に対する政令の廃止です。この問題は、当時、初中局長であった内藤君と荒木文部大臣が、いろいろ質疑応答の結果、いま直ちにこの政令を廃止するというわけにはいかぬ。ですから五ヵ年計画がいま進行中だから、三十八年度になれば五ヵ年計画の最終末の完成ができる、その時期にあわせてこの小規模学校に対する政令を廃止するようにしたい。だから即刻やめいという私の主張は待てと、こういうざっくばらんな話ではなったわけだ。けれども私も譲歩して、それじゃその時期にひとつ廃止するようにしてもらいたいということでおさまった。ところが、去年の三十八年度の予算案に対する概算要求を文部省が出した、それを見たところが、その約束が守られていないのです。それで、この委員会で私は大臣に追及したら、その後の状況としては、政令を一気に廃止するということは、いまの段階ではいろいろな事情があってむずかしいので、二分の一、つまり二校に一人、学級担任外の教諭を配置するというふうに内容を改正したいという話が出た、そのときの話は、もう一年だけ待ってくれ、ことしから廃止するという約束ではなかったかという私の話に対して、もう一年待ってくれ、ことしは二分の一にすると、こういうことであったので、私はやむなく二度目の譲歩をして、去年はそのまま過ぎて、三十九年度予算案の編成の時期からは、この小規模学校に対する政令は廃止されるという約束ができておるものと私は判断している。その私の判断に間違いなく作業が行なわれているかどうかということをお聞きしたい。それが一点。
#80
○政府委員(福田繁君) 確かに米田委員からそういう御要望もございましたし、当時の御質問のことも大体まだ記憶いたしておりますが、あの当時、私お答え申し上げましたのは、大臣も同席されておったように記憶いたしておりますが、これは政令は直ちには廃止はできない。そこで、三十八年度においては、二分の一までこれを充実するという案になっておりますし、三十八年度は二分の一、それから三十九年度以降については、全般の定数の計画もいま相談をしているので、できる限り研究いたしますということであったと私は記憶いたしております。したがって、米田委員の御記憶のように、一年待って必ずそれを全部廃止するというふうに私は申し上げたことはないと、私自身も記憶しております。したがって、三十九年度以降については、今度の定数法が改正になりました暁においても、やはり一挙に廃止はできませんので、徐々にこれを充実していくという考え方でいきたいと思っております。
#81
○米田勲君 それは私は約束と違うということをはっきり申し上げたい。三十六年度の予算委員会の分科会の速記録を持ってきてもらいたい。そのときに、明らかに五ヵ年計画の終わる三十八年度において、この政令の廃止の問題は考えるから、今年度、三十六年度でこれは廃止せよというあなたの主張は待てということを文部大臣が言われて、そのときは私は了承したんです。それを荒木文部大臣はちゃんと知っている、それを失念して事務当局が概算要求の中に盛り込まなかったから、それで私は食言だといって主張したのです、そのときに。しかし、その二分の一にことしはし、来年は廃止をするというふうな説明であったから、私はそのとき了承したのであって、初中局長のいま言うように、二分の一にはするが、来度はそんなものは廃止するというようなものではないというような説明をしたのだったら、私は絶対にそこで引かなかった。予算委員会の分科会の速記録にちゃんと載っておる。私はあのときに食言たぞの言って責めた。文部大臣は食言をするのかと言って責めた。その責めた私がそのときに譲歩したのは、ことしから、三十九年度から廃止になるなという、答弁の中から理解をしたから譲歩したのであって、いまごろになってそういうことを言わないというような言い方をするのはけしからぬじゃないか。大体、去年から廃止すべきなんだ、これは。約束どおり、文部大臣の答弁が明らかに分科会であったのだから、そのとおり三十八年度予算からやるべきだったんだが、説明を聞くと、それも無理からぬことだというので私は一年待とうと考えた。ですから、これは全国の都道府県の教育委員会の人たちも、政令は三十九年度で廃止になる。小規模学校をたくさんかかえたところはそれで救われる、そう思っておる。それを、いまの話を聞くと、そんなことを言った覚えはないという答弁をするからには、三十九年度の予算ではこれを廃止するような準備の対策は予算案の内容にも含まれておらぬと私は見る。それでは約束が違うじゃないか。そういう委員会で一度約束をしたり、国会の速記録に大臣の答弁として明らかに載ったことを、約束にたがえて、こちらが譲歩して一年待ち、二年待ちしておるものを、いまさらになってそういうことを言うのはけしからぬではないか。私はまずそういう約束を破っておるということで納得ができない。もう一つは、教育的に考えても、このことはもうこの政令を出してから相当長い年数になるのです。文部省のものの考え方がおかしいのではないか。まず、文部省は口を開けば僻陬地の教育の振興を主張しておる。僻陬地教育の振興。小規模学校というのはおおむね僻陬地の学校なんだ。それから文部省がやっておる学力テストだって、結果を見れば、僻陬地の小規模学校の成績が悪いことは何度やったって明確に出てきておる。そういう実情と、この政令を出してからよほどたっておるということと、さらに定数がすでに改善されてきておる。五ヵ年計画で改善し、さらに五ヵ年計画を新たに立てようとする時期にもきておるのに、いまだにまだこの政令を固執してこれを廃止しようとしないことは、日本の教育に対する積極性があまりにもないのじゃないか。特に僻陬地教育に対して文部省が言っておることと違うのじゃないか。どこの県でもこの政令のためにたいへんな苦しみになっておる。文部省の初中局長であった内藤君がこの問題を三十六年度の予算の分科会で説明をしたときに、何でこの政令を出したかと私が聞いたら、こういう答えだ。一校に校長を置けば、あと残りの二校はその校長が監督してやれば経営はできる。そういう判断に立ってこの政令を出したのだ、こう言うから、私はそのときに、いまも忘れないが、そういうばかなことを言うなら、北海道へ来なさい。車に乗せないで歩かせて、一校から他の三校に歩かせて監督指導ができるものかを身をもって知らせてやるから来い。それで内藤氏は参って、三十八年度のこの五ヵ年計画が完成するときまで待ってくれ。北海道は、その実情は行ってみなくてもわかる。そういうことで私はやむなく二年間待とう、こうなった。そういう経過のあるものを、しかも去年の経過があるでしょう。そういう一方に国会での約束を積み重ねておる問題でもあり、僻陬地教育の振興という立場から考えても、これはもはや廃止すべきものなんだ。たとえ、いままでずっとそういう積み重ねの約束がないとしても廃止すべきものだ、それをまだ固執をするということは、どちらから考えてもけしからぬじゃないかというのが私の意見です。初中局長の再答弁を求めます。
#82
○政府委員(福田繁君) 御熱意のほどは私もよくわかりますし、事情もわからぬでもないのです。しかしながら、速記録をごらんいただけばよくわかると思いますが、私かつて調べたときには、たしか三十八年以降におきまして、これをできるだけやるということを、当時の内藤局長でありますか、述べておったと思います。それを受けまして、私はこの前の三十八年度予算のときに、できるだけ今後充実をはかっていくように努力いたしますということを申し上げたわけでございます。その点は約束が違うとおっしゃいますが、決して約束を、そういうように私は約束違反だというようには考えていないのでございます。できる限り充実していきたいという考え方は私ども持っておりまして、校長だけでなく、一般教員についても、今後の定数法改正におきましては、五学級以下の場合には定数を増加していく、そういう定数の充実をはかりながら、できる限り校長も五学級以下の場合には充実していく、しかし、なかなかこれは一ぺんに廃止するように関係省との話し合いがつきませんので、文部省だけの問題ではございません。自治省も大蔵省もあるわけでございますから、そういう努力をしてみましても、全般的な情勢から一挙にいかないという場合は、漸進主義でいくよりしかたがないと考えております。できる限り努力していきたいと思っております。
#83
○米田勲君 三十六年度の予算案の審議のときの話は、廃止をするということをめぐって、直ちに廃止を私は主張したのです。そういうことをめぐっていまの答弁が出てきておるのであって、これを三十六年度以降、何年たつかわからぬが適当に何とかしようというような話し合いの結果出てきた答弁ではないのです。直ちに廃止すべきなんだ、僻陬陣地教育のために。そういう私の主張は、三十八年度についてはそのとき必ず速記録に載ってますよ。私は忘れないのだから。そのとき、三十八年度になれば五ヵ年計画の完成する時期だからということを言っているのです。そういうことを強調して、その時期にこの問題を考えるから、直ちにやれという米田の主張は待てと、こういう話になって私は了承したのです。だから文章がどうのこうのと言っても、そのときのお互いの約束は、廃止の時期を三十八年度の五ヵ年計画の完成の時期に合わせてやろうということになっておったことは間違いないのです。それを文部大臣が去年の十一月のときですか、やはり思い起こして答弁をしておる。ですから、私はこれは約束どおり一応この政令は廃止し、あらためて、必要があるなら定数標準法案の中でも、また不利益な処置を受けようとしている小規模学校はそういう二重にやる必要はないのじゃないか。まず約束どおりこの政令は廃止する、すでにこの政令を出してから相当長い年数たっているのですから。ですから、これを廃止していくということをぜひやってもらいたい。きょう即答できなければ、次の「しみ」と「色彩」のときの話は合わせてこの話をぜひ解決をつけてもらいたい。私は標準定数法案の中で、新たな角度から検討ができることだから、この政令はこれは約束どおり廃止をするということで終止符を打ってもらいたい。そこを強く言って、この次に回します。
 その次もう一つ。産炭地の小中学校における教員の問題なんですが、先ほど二木さんからの視察の報告の中の文章にもありましたが、私は産炭地のどまん中におりますからよく知っているのですが、確かに炭鉱が合理化や閉山で職を失った人がどんどん出ました。ですから当然その地域の小中学校の生徒数は大きく減っている、これは認める。ただ、そこで私の心配することは、いわゆる役人の机上の仕事で、人数が何ぼになったから学級はこれを統合してしまえ、そうすると、教員の定数からはじき出すと何名余るこの教員をよそへ転出と、こういうふうにやってもらっては困るということを文部省に理解してもらいたいのだ。その理由はいろいろある。時間がないから詳しくは言わないが、学校の教育というものに携わった経験のある人ならみんなわかるのだが、平生の状態であっても、長い間習った先生、長い間親しんだ先生が転任するということは、子供の心境に非常に大きな動揺を与えるものです、平生の場合でも。ましてや親が合理化や閉山で職を失う、そういう事態になっているときに、同時に自分の親しんだ先生や、習った先生がやめていってしまうということは、これは二重の精神的な動揺が起こってくる。一つは親の生活が成り立たないという状態になってきますから、決定的な不安動揺が起こってくる。一つは、そのために形式的な算術計算のようにして、ああ、何人だから何ぼの学級編制だ、そこで、割り当ての教職員は何名余るからこれを転出と、こういうふうにやられては、実際、産炭地の子供の教育上非常に憂慮すべき事態が起こるということを深く理解してもらいたい。特に私は産炭地のいまの学校に残って通っている子供たちの実情を見ますと、これは子供の教師が一人々々ふだんよりももっと的確にその子供の性格、その傾向、その家庭の状況、環境に合わせながら、一人々々を最も親切に愛情をもって見きわめて指導し、話し合いの相談相手になってやれるという愛情がいまこそ大事なのです、産炭地においては。ですから、私はこの産炭地の合理化、閉山等で児童が激減した学校については、教職員の配置のしかた、学級の編制のしかたにおいては、暫定期間中、特別の措置を講じてもらいたい。そして大体落ちつきが出てくる時期まで、人数はたとえ少なくて、多少教職員の配置が上回っておっても、十分にその子供たちを善導して、不良化をしたり、あるいは非行少年に落ちて行ったりすることを最大限これは防ぎとめなければならない。そういう特別な産炭地の学校には任務が起こってきておるということを考慮して特別措置をしてもらいたい。学級の編制とそれに対する教職員の配置に対して、暫定期間、特別措置をしてもらいたいというのが私の主張なんです。その具体的な措置、暫定措置のしかたについてはいろいろな案があるでしょう。しかし原則的に暫定指置をある期間講じてもらいたい。特別措置を講じてもらいたい。こういうことについて初中局長の見解をただしたい。
#84
○政府委員(福田繁君) 産炭地の事情は私も若干わかっているつもりでございますが、まあ定数の配置につきましては、御承知のように、県全体の問題でもございます。したがって、配置がえ、学級編については、第一段階として県がどういう方針でいくかということにもよろうかと思います。したがって、特別な扱いと申しましても、どういう特別な扱いができるのか、まだ私ども検討いたしておりません。したがって、県の教育委員会からも具体的なお話をまだ伺っておりませんので、検討してみたいと思います。
#85
○米田勲君 この炭鉱の合理化、閉山の問題は、政治的な問題にまで発展し、社会問題にまで発展した問題なのです。だから、私は積極的に文部省が先ほどのような、こんな文書を出す余裕があるなら、産炭地の学校の教育は特別に見なければならない。ですから、私の言うような措置を都道府県が積極的にとっても、その定数の問題については国が十分に考えるから、そういうふうに処置しなさいという、それこそ指示、示達すべきことなのです。県が言って来ないからどうなるかわかりません、そういうことでは、初中局長、あなた方の立場が立たないではないですか。もっと積極的にそういうことは考えるべきではないですか。私はそういう主張をひとつここで言っておきます。それから、そういうことは県全体の問題だというが、もし産炭地の生徒が減ってくる。学級の編制を前の基準どおり、ものさしに当てはめて統合してしまう。その学級の数に対する教員の指数というのはわかっているのだから、それに当てはめると何人浮いてくる、じゃ転出だ。こういうふうにやらない場合には、そういうところに余分の定数を食うわけです。余分に定数を食うのだから、その分を国が見てあげますという裏づけが必要なのです。もし、国がそういうもののめんどうは特別にみないのだ、特別措置はしないのだということになれば、県の中のどこかにしわ寄せがいくんですよ。それはわかるでしょう。どこかに必ずしわ寄せがいくんです。ですから、私は積極的に産炭地の教育の実情を考え、それの対策を考えるなら、私の言ったような特別措置を暫定期間とることに腹をきめて、それの具体的な措置はどうしたらいいのかわからぬ、そんなことを言う初中局長ならやめてしまったほうがいいですよ。私は具体的な特別措置のとり方というものを要求したんですよ。学級の編制がいくらいくらになったら、それは一学級として認めないという従来の方式でなく、産炭地についてはこれこれまでは認める。それから学級の編制を認めたことについて教員を何人ならという、五人なら五人のうち一人だけは転出をさしても、四人は、余分であっても、さらにこれを配当しておくというようなことは、私は考えれば幾とおりかの案が出てくると思うんです。そんなことはどうしたらいいのかわからぬというようなむずかしい問題ではない。ですから、私は県が言ってこないからわからぬだとか、県のほうでどんな考えを持っているかわれわれは知らぬのだ、県全体の問題だからというように投げやりをしないで、この場合、文部省としては、産炭地の教育の実情を考えて、暫定期間特別措置を教職員と学級編制については講ずる、その具体的な問題については、具体的に検討して、次の委員会に、こういうふうに措置をしたいという答えをしてもらいたい。これが私の希望なんです。どうですか、その希望に対する答弁は。
#86
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、まだ、その県の教育委員会からどうしたいとか、あるいはどうするというようなお話しを伺っておりません。したがって、県の教育委員会のほうの事情を聞いてみた上で十分検討したいと思います。
#87
○米田勲君 このことについては特に消極的なんです、あなたは。首でも切ろうというときには積極的なんだ。文部省の態度はさか立ちしていますよ。ほんとうに日本の教育を考えているのかどうか、どうも疑義がある。県が言ってくるまでもない。文部省に言っていっても聞いてくれるのか、聞いてくれないのかわからなければ、県の中では四苦八苦して何かしなければならぬ。そういうことはわかり切っているじゃないですか。ですから、そういうところに対しては特別な措置を暫定期間とるからということで、どういう実情でどういうふうにやるのか、意見を述べてこいというふうに手を差し延べたらどうですか。それをやらないで、言ってくるまでだまっている、そういうことですか。
#88
○政府委員(福田繁君) そういう問題も含めて、いろいろ各県の事情を検討して、さらにまた一月の主管課長会議で打ち合わせするというのがこの主管課長会議の趣旨でございます。したがって、具体的な問題があれば、今の配置転換等の問題も当然に県としても一月に持ってくると思いますから、その上で検討したいと思います。
#89
○米田勲君 これはそんな一月だとか何とかいう、ゆうちょうなことをしてもらっては困る、一日々々が子供の教育なんですから。そうしてだまっていると、都道府県は財政上の問題もあるし、市町村教育委員会も定数の問題があるものだから、どんどん事務的にやる傾向がなきにしもあらずなんです。それは子供の上にいい結果を及ぼしていない。だから、一月の主管課長会議なんというのはだめですよ。次の委員会でこのことに対する文部省の基本的な考え方を追及します。そのときにきょうのような答弁をしたのでは私は承知できません。ほんとうに日本の教育の現場の実情を考えたら、都道府県教育委員会が言うまでもなく、積極的にこういうことは解決の方向に実施すべきだ。
 委員長、時間の関係がありますので、以上のことを一方的に言ったんですが、次の委員会では徹底的にこの問題を取り上げて、具体的な措置を要求します。以上。
#90
○委員長(中野文門君) 他に御質疑の方もありませんので、本日の委員会はこれにて散会いたします。
  午後零時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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