くにさくロゴ
1963/12/13 第45回国会 参議院 参議院会議録情報 第045回国会 大蔵委員会 第2号
姉妹サイト
 
1963/12/13 第45回国会 参議院

参議院会議録情報 第045回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第045回国会 大蔵委員会 第2号
昭和三十八年十二月十三日(金曜日)
   午前十時二十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 十二月十日
  辞任      補欠選任
   高橋  衛君  鳥畠徳次郎君
 十二月十一日
  辞任      補欠選任
   太田 正孝君  栗原 祐幸君
  ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長     新谷寅三郎君
   理事
           柴田  栄君
           西川甚五郎君
           柴谷  要君
           渋谷 邦彦君
   委員
           青木 一男君
           川野 三暁君
           栗原 祐幸君
           佐野  廣君
           鳥畠徳次郎君
           日高 広為君
           木村禧八郎君
           佐野 芳雄君
           野々山一三君
           野溝  勝君
           大竹平八郎君
           鈴木 市藏君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣 田中 角榮君
  政府委員
   大蔵政務次官  齋藤 邦吉君
   大蔵省銀行局長 高橋 俊英君
   国税庁長官   木村 秀弘君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       坂入長太郎君
  説明員
   大蔵省主計局主
   計官      松川 道哉君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業共済再保険特別会計の歳入不足
 をうめるための一般会計からの繰入
 金に関する法律案(内閣送付、予備
 審査)
○砂糖消費税法の一部を改正する法律
 案(内閣送付、予備審査)
○租税及び金融等に関する調査
 (税務行政に関する件)
 (年末金融等に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、高橋衛君が辞任ぜられ、その補欠として鳥畠徳次郎君が、十一日、太田正孝君が辞任ぜられ、その補欠として栗原祐幸君が、それぞれ選任ぜられました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(新谷寅三郎君) 農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案は、去る十日、予備審査のため本委員会に付託せられたものであります。
 それでは、両案につきまして順次提案理由の説明を聴取いたします。齋藤政務次官。
#4
○政府委員(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案外一法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 まず、農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。
 昭和三十八年度におきましては、長雨等により麦の被害が異常に発生したことにより、農業共済再保険特別会計の農業勘定における再保険金の支払いが増加し、多額の財源不足を生ずることが予想されますので、その不足を埋めるため、昭和三十八年度において、八十八億一千万円を限り、一般会計からこの会計の農業勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。
 なお、この繰り入れ金につきましては、将来、この会計の農業勘定において決算上の剰余を生じた場合には、再保険金支払い基金勘定に繰り入れるべき金額を除き、残額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
  ―――――――――――――
 次に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案につきまして、御説明いたします。
 この法律案は、最近の国際糖価の高騰に伴い、国内糖価も相当な値上がりを示しておりますので、これが消費者の家計に及ぼす影響をできるだけ少なくするため、砂糖消費税の税率を精製糖について一キログラム当たり五円、再製糖及び黒糖についてそれぞれ四円引き下げ、その他の砂糖類についてもこれに準じて税率の引き下げを行なおうとするものであります。
 以上が、農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案外一法律案の提案の理由でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同下さいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(新谷寅三郎君) これで提案理由の説明は終わりましたが、両案につきましての審議は後日に譲りたいと存じます。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、租税及び金融等に関する調査の中で、税務行政に関する件を議題といたします。
 本件につきましては質疑の要求がございますので、これを許します。木村君。
#7
○木村禧八郎君 国税庁長官にお伺いします。
 まず最初に、税務行政についてお伺いいたしたいのですが、どうも徴税行政がやや行き過ぎの感があるような事態があるように思われますので、具体的に伺いますので、ひとつ御答弁願いたいのです。
 最初に、ことしの二月の十八日、清水川崎税務署長が川崎の中原民主商工会と川崎の民主商工会、それから川崎建設労働組合の人たちと会って、三つの点について話し合いをして了解を遂げたという事実があるかどうか。その三つの点というのは、第一は、皆さんの自主申告は尊重し、単なる資料扱いはしません。第二は、更正決定、それから事後調査はやらない精神で行ないます。第三は、そのために話し合いを中心にして、商工会の窓口を通じて事の処理に当たります。この三つの点について話し合いの結果約束をいたしたということを聞いているのですが、そういう事実があるかどうか。この点について、まずお伺いしたい。
#8
○政府委員(木村秀弘君) そういうお約束は、いたしたことはございません。
#9
○木村禧八郎君 ないですか。
#10
○政府委員(木村秀弘君) ございません。
#11
○木村禧八郎君 それでは、その二月の十八日に、中原民主商工会や川崎の民商あるいは川崎の建設労働組合の人たちと会った事実は御存じですか。
#12
○政府委員(木村秀弘君) 会った事実はございます。
#13
○木村禧八郎君 その会ったときのいろいろな話し合いの経過を御存じですか。
#14
○政府委員(木村秀弘君) ただいま木村委員から御指摘のございました三点について、民商側からこういう申し入れがあったことは事実でございますが、税務署長がこういう約束をした事実はございません。これは署長に確かめております。
#15
○木村禧八郎君 私は民商の人たちからその事実は伺ったわけですが、そういう約束をしたというんです。ですが、これはさらに私は調査をしてみなければならぬと思いますが、そのときの模様がニュース映画にもなっているといわれているんです。その約束をしないとおっしゃいますけれども、その証拠には、三月十五日の確定申告期には、税務署側がわざわざ商工会の窓口を設けて、係官が事務を遂行していると聞いているんですが、そうですか。
#16
○政府委員(木村秀弘君) その事実は、私は存じません。
#17
○木村禧八郎君 それでは、そういう事実はないというんですね、約束をした事実がないと。それから、三月十五日の確定申告期に、商工会に窓口を設置して、係官が事務を遂行している事実もないと。両方そういう事実はないというんですね。
#18
○政府委員(木村秀弘君) 第一点については事実はございませんが、商工会に税務署の署員が参りましたかどうか、その点については私は事実を聞いておりませんので、存じません。
#19
○木村禧八郎君 その窓口を設けて係官が事務を遂行しているというんですが、その事実を知らないわけですか。そういう事実はないというわけじゃないんですね。知らないと。
#20
○政府委員(木村秀弘君) そういう事実がないと申し上げたのではなくて、そういう事実を聞いておりませんので、知らないと申し上げたんです。
#21
○木村禧八郎君 調べてみてください。――あったらどうします。
#22
○政府委員(木村秀弘君) 税務署の職員が納税者の団体、あるいはたとえば青色申告会であるとか、あるいは法人会とか、あるいは納税貯蓄組合であるとか、その他のいろいろな団体のところに行って税務の指導をするということは、従来ない例ではございません。したがって、私はこの民商がそういう健全な納税団体だとは思いませんが、あるいはそういうところへ署員のだれかが行って、そして指導をしたりあるいは相談に応じたかどうか、その辺のことは私は存じません。いずれ調べてみたいと思い・ます。
#23
○木村禧八郎君 まだ重要な質問があるのですが、その前に、いま民商が健全な納税団体でないと言われましたが、どういう証拠によってそういうふうに断定されたんですか。
#24
○政府委員(木村秀弘君) それは一々事実を申し上げるにはあまりにも事実が多過ぎますので、具体的な実例は申し上げませんが、概括的に申して、この民商は、従来から現在に至るまで、民商の会員の申告の水準というものが一般の納税者の方々の申告水準に比べて異常に低いという点、あるいは税務署の職員が調査に参りました場合に、調査に対して悪質な妨害あるいはいやがらせ、調査の拒否等を行なった事実が、数えあげることができないくらいたくさんあるわけでございまして、私はそういう意味でこれが健全な納税者の集まりということはできないと申し上げたのでございます。
#25
○木村禧八郎君 もう少し具体的に。確定申告が一般の人より少ないといいますが、どのくらい少ないのですか。
#26
○政府委員(木村秀弘君) 若干実例を申し上げますと、昭和三十七年分の確定申告の状況について申し上げますと、全国的に見まして、税務署が調査を行なったもののうちで調査額以上の申告をお出しになっている納税者の比率、これが全国的に見まして八七%でございます。それに対して、たとえば大阪国税局管内の特に民主商工会の加入者の多い十の税務署におきます平均を見ますというと、四七%でございます。したがって、約半分。それからまた、税務署が調査を行なわなかったもののうちで、前年の額以上の申告をお出しになっておる方々の全国平均が六一%でございます。それに対して、さっき申し上げた十署の平均が二五%でありまして、これも半分以下。こういう数字になって、これらをひっくるめまして合計しますというと、全国平均が七二%で、それに対して十署平均が三八%、こういう比率に相なっておる。また、最近調査をいたしておりますたとえば大阪の城東税務署の民主商工会の会員の確定申告額に対するこの調査をした結果の調査額の比率を見ますと三一四%、したがって約三分の一の申告しかいただいておらぬことでございます。また、同じような数字が、たとえば新潟県三条では二一四%、東京の中野では二三九%と、非常に申告水準は低いということがいえます。
#27
○木村禧八郎君 こういう傾向はいつごろから始まったのですか。ずっと前から……。
#28
○政府委員(木村秀弘君) これはずっと前からこういう傾向がございます。特に昨年始まったとかことし始まったとかいうことではございません。
#29
○木村禧八郎君 いま私は川崎の民主商工会のことを伺ったのですが、いまのお話を聞くと、全国的に民主商工会ということにつきまして健全なる納税団体でないという断定をいまの資料をもとにして下しているわけですね、全国的にね。そういう態度で民主商工会というものに対処しておられるわけですね。
#30
○政府委員(木村秀弘君) 私はいま民主商工会の会員の申告水準が異常に低いということを申し上げたわけでございまして、私が健全な納税者の団体と認められないと申し上げましたのは、原因は先ほど申し上げましたように、税務の調査に対する妨害、いやがらせ、あるいは拒否その他数々の行為、あるいはそういう会員の行為を扇動する事務局と申しますか、民主商工会の事務局、あるいは東京にあります全商運の指導、そういうものを指摘して健全な納税団体とは認められないということを申し上げたわけでございます。
#31
○木村禧八郎君 これは非常に大きな問題ですから、また、時間がありませんから、十分にはっきりさせなければなりませんが、健全である、健全でないというそのけじめは、これは取るほうから見る場合と、徴収される側から見る場合と、かなり違うと思うのです。その点は、取られる側に立ちますと、税法そのもの以外に大きな問題があるわけです。たとえば物価がどんどん上がっていく、名目的所得がふえてくる。しかし、大蔵省も調査されたように、基礎控除がそれにつれて十分に引き上げられない。そこで、最低生活費にまで課税されることになってきますね。そういうような事実があるのです。そうすると、非常に苦しいわけですから、過少申告云々と言いましたけれども、それは厳重に調べてごらんなさい、過少申告は程度の差こそあれみんなあると思うのです。それはなぜ出てくるかといえば、税金そのものが重いからそういうことが出てくるという問題もあると思うのです、その以前に。ですから、納税者としては、やはり自分の生活を守るために、何とか許された範囲で課税は少なくしたいと努力するのが、これはあたりまえだと思うのですよ。それからまた、健全なる納税団体といっても、たとえば取るほうの税務署には非常に、税務署が行けば何でも見せてくれる、協力してくれるが、今度税法というものをよく研究した結果、こういうふうにすればもっと税金が安くなるのである、そういう場合、こういう民主商工会というものをつくって、そしていろいろ税法を研究し、合法的にこういうふうに税金が安くなるのを、税法を知らなかったからこんなに税金をたくさん取られた、そういうのもあるわけです。ですから、これは簡単に断定できないと思うのです。取られる側と取る側との立場が違うわけですから。そこのところは、なぜ民主商工会というものができて、そうしてなるべく合法的に納税者の立場を守ろうとしておるか、なぜそういうものができたかということをよくやはり考える必要があると思うのです。その間に、あるいはいろいろいまお話ししたようないざこざもあるかもしれません。私も聞いております。しかし、その場合に、何というのですか、大所高所に立った、いまの日本の税金負担というものが戦前に比べ、諸外国に比べ、まだ絶対的に重い。これは税制調査会の答申にもはっきりあるわけです。そういう前提に立って、そういう税務行政をやらないと、ただ税法できめられてあるのだから、こうやれば納税者が税金が軽減されるのだけれども、税法を知らないから、法律どおりにやればこれだけ徴収額が多くなる、納税率を上げればそれだけ成績がよくなる、こういう立場のみで税を徴収されたのじゃならないと思うのです。
 ですから、先ほど数字をあげて、過少申告の例を大阪とか、新潟とか、いろいろあげられましたが、こういうことを断定する場合にも、その前提として、いまの税法の矛盾というものをよく木村長官だって御存じのはずなんですよ。それは税法として、法律ができてしまっておりますから、それを忠実に執行するのが税務官吏であるといえばそれまでですが、それだけではほんとうに国民に心から信頼されて、そうして税金を納めるという形にならない。しょっちゅう取られる、そういう形になって、税務官吏に対してしょっちゅう不信感を抱き、そうしてそれが反感になり、調査に来れば、それを信頼していれば喜んで応ずるでしょう。ところが、厳重に調査してうんと税金を取られるのじゃないか、そういう恐怖があるから、どうしても調査をなるべく拒否したり、されないようにするという努力が生まれてくる、こういうことになると思うのですから、その点はやはり単なる税金を取る機械みたいに、税法できめられているから、納税者の生活のことも考えないで徴税強化をするというようなことはないように、十分にその点は判断されて、健全であるとかないとかということについては、やはりそういう点について判断をする必要があると思う。その点いかがですか。
#32
○政府委員(木村秀弘君) ただいま木村委員が御指摘になりました物価高であるとかあるいは税金が重いということ、これはいろいろ批判の余地もあろうかと思います。私はやはり何といいましても執行の部面の責任者でございますからして、立法府で立法せられた税法が守られているかどうかということ、また税務機関自身が守ることは当然でございますけれども、一般の納税者の方々にも税法を守っていただくということ、この基本が確立されておれば、小さな面において、実際に経費がよけいかかったとか、あるいは売り上げが伸びなかったとか、そういうような具体的な問題については幾らでもお話し合いなり御相談の余地はあろうと思います。ただ、基本的に税法を逸脱する、税法に基づく税務の調査を妨害したり忌避したりするということについては、これははっきりいたさなければなりませんので、その点をかねがね心がけているわけでございます。
 また、法律上認められている税法上の特権、特典、そういうものにつきましては、われわれとしても一般の納税者の方にこれをよく知っていただくためのあらゆる広報活動を行なっているのでございますけれども、また全国の税務署を開放いたしまして匿名の相談を現在受け付けております。そういう面で十分実行をしているつもりでございます。ただしかしながら、法律上認められておらないいわゆる脱税につきましては、これはそういう団体が脱税の指導をするということになりますというと、これを見のがしておくわけにはいかないというふうに考えております。
#33
○木村禧八郎君 税法が完全に守られているかどうか、税務執行の立場にある者としてはこれはもう当然そういう立場で行なわれるものと思うが、それはしかし理屈であって、そんなら日本の税務行政において全部完全に守られているかどうか。そんなことを言えば、こまかくとらえてごらんなさいよ。はたして全部税務行政が公平に行なわれているかどうか、非常に疑問ですよ、そういうことを言ったらいま法人関係を見てごらんなさい。いまの人員で法人を全部調査できますか。できっこありませんよ。そんなことを言ったら、それは理屈になってしまうので、ほんとうに公平に税務行政が行なわれているかどうかということになると、厳格にいえば、税法に無理がある場合には、幾らやってもできない場合もあるんですよ。そこで、そこにある程度弾力性を考えなければならぬというあれも出てくるのですが、立場としては、税法を完全に実施する、その考えを否定しちゃいけないと思う。税務官吏も税務行政上それを否定したのじゃ困ると思いますが、実際の場合には、やはり理屈をいえば、ものすごい不公平、不均衡、大きな脱税が見のがされているのですよ。そういう頭があるから、また非合法にも脱税が行なわれている、あるいは合法的にも大きくある大会社には税務署長等を通じて非常な減免税が行なわれ、あるいは零細企業、中小企業、中小企業のほうにはそれほど十分に減税が行なわれていない、そういうふうな不公平、不均衡、そういうものが非常にあるわけですね。
 そういうことから、やはりなるべくいまの税法のもとで税金の負担を軽くできないかということで、いろいろ納税者としても、税法に暗い人もおりますし、記帳も十分できない人もありますし、ですから、そういう仲間が集まって、そういう組織をつくって、それで税務署と交渉に当たってもらうということは何ら差しつかえないと思う。ですから、私は健全なる納税団体であるかないかということを判断する場合に、いま私が申し上げたようなことも頭に置いて、そうして判断しませんと、頭からきめつけて反税団体だということでやると、しょっちゅう紛争は絶えない。そういう紛争がしょっちゅう起こっていると、税務官吏に対する一般の納税者の不信感というものがだんだん広がってくると思うのですよ。そういう点から私は御質問しているんです。
 そこで、次に、時間がございませんから伺いますが、九月二日に川崎税務署の人たちが約四十名、二人一組、二十組に分かれて抜き打ち調査をしたということが新聞にも報道されております。こういう事実はあるわけですか。
#34
○政府委員(木村秀弘君) ただいまの御質問でございますが、二人以上を一組として三十七年分の所得税の事後調査を行なうということはいたしております。
#35
○木村禧八郎君 これは事前に連絡して調査されたのか、いきなり行って突然調査をやられたわけですか。
#36
○政府委員(木村秀弘君) 事前には、原則として、この団体の会員には知らしておりません。
#37
○木村禧八郎君 どうして知らさないんですか。
#38
○政府委員(木村秀弘君) 従来の例を見ますというと、事前に知らせた場合には、税務の調査の職員がその当該納税者の宅に参りますというと、民商の事務局員または会員が十人、多いときになると二十人くらい集まってきまして、その調査官の周囲を取り巻いて大声で、耳もとに口を寄せて大声でどなりつけるとか、あるいは机や床を踏み鳴らす、あるいは写真機、テープレコーダーを持ち込んでいやがらせをするとか、またひどいときになりますというと、つばをひっかけたり、暴行を加えたりという例が過去においてもございました。そういう事実がここにおいてございますので、事前に連絡いたしておきますというと非常に不安を感ずるという面がございます。したがって、民商会員の宅に調査に参りますときには、原則として事前に知らしておりません。
#39
○木村禧八郎君 そういう事実に基づいて、突然調査をする。それで、ほかの人には事前に連絡するわけですか。
#40
○政府委員(木村秀弘君) これは場合場合に応じて違います。連絡をするのを原則にいたしておりますけれども、しかし、連絡をしたがために調査の目的を達することができないというようなおそれのある場合には、連絡はいたしておりません。また、ただいま申し上げたような事例の場合にも、連絡はいたしておりません。
#41
○木村禧八郎君 この突然調査によって――これはまあ多くは商人ですわね。商人が多いのですよね。いろいろなやはり商売上、迷惑をこうむる。それからまた、お客さんが来ている場合とか、それから家族のうちでいろいろ病人があったり、いろいろ都合があると思うのですよ。そういうとき、やはり原則としては、納税者との間に事前にこれから調査に行きますという形でやるのが正しいのではないですか。
#42
○政府委員(木村秀弘君) それは仰せのとおりだと思います。原則としては、やはり事前にお知らせをして、納税者の方の御都合を伺って、それから参るのが、これは常識上当然そうあるべきだと思います。しかしながら、先ほども申し上げましたような場合には、連絡をしたがために調査の目的を達することができないという結果になりますので、連絡はいたしておりません。
 なお、突然伺っても、商売上何らかの差しつかえがある、あるいは病人があってきょうは手が省けないというようなときには、もちろんこれはその実情に応じて調査を打ち切って帰っております。
#43
○木村禧八郎君 この突然調査は強制調査なんですか。
#44
○政府委員(木村秀弘君) 所得税法の規定に基づく調査でございます。
#45
○木村禧八郎君 六十三条でしょう。そうすると、六十三条は強制調査なんですか、これは。
#46
○政府委員(木村秀弘君) 強制とか任意とかということになると、まあことばをどう解釈するかでございますが、しかし、その規定の裏に罰則がついておるという点を見れば、あるいは強制ということがいえるかもしれませんし、あるいはその査察の場合のように、裁判所の令状をもらって踏み込むというような面と比べれば、任意といえるかも存じませんが、われわれは所得税法六十三条の規定に基づく調査と言っております。
#47
○木村禧八郎君 大体、本人の承諾なくして、そして突然行って調査するということは、どうも強制調査のような姿に見えるのですが、そうじゃないですか、実際のところ。
#48
○政府委員(木村秀弘君) 事前に連絡をするということは、法律上の要件にはなっておりません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、まず相手方の御都合を伺って調査に参るということは、これは常識上そうあるべきだと思います。しかしながら、法律上の要件になっておらないという点から見ましても、先ほど申し上げましたように、やはり事前に連絡をすることによって調査の目的は達せられないというようなことが予見されます場合には、やむを得ず事前に連絡をいたさないでおります。
#49
○木村禧八郎君 この民商会の人に限って、ほかの人と差別して、区別して、事前に連絡をしないで突然調査をやるということでございますが、まあそういうことになった経緯ですね、これはいま始まったことじゃなく、いろいろな経緯があってそういうことになったと思うのですよ。
 それで、もう一つ伺いますが、この湘南商工会と藤沢税務署、それから戸塚税務署との間に、数年にわたりまして約束と慣行があったということを聞いておるのですが、その約束慣行は、第一は、税務一切は湘南商工会と話し合って解決する、問題は必ず会を通して解決する。それから、第二は、調査は事前に連絡し、突然調査はしない。第三は、反面調査は例外的にのみやる。こういう約束と慣行があったと聞いておるのですが、それは事実ですか。
#50
○政府委員(木村秀弘君) 湘南商工会のほうでそういう主張をされておることは私も存じておりますが、税務署側としてはそういう税法に沿わない違法なり、お約束をしたことはございません。
#51
○木村禧八郎君 しかし、それはいままでそういう慣行があったんじゃないですか。そうでなければ、湘南商工会の場合は九月十一日に突然調査をやりだしたというのですが、その前はそんなに紛争が起こっていなかったんじゃないですか。こういう大体の慣行があって、話し合いがあって、湘南商工会を通じて話し合いをして、そして調査をやってきたんじゃないですか。ところが、それはちゃんと文書に書いて判こを押してそういう約束はしなかったかもしれませんが、しかし、大体話し合いでそういう慣行があったので、従来はスムーズにいっておったところが、さっき木村長官がお話ししましたように、いつごろからそういうふうに判定をされたのか存じませんが、民主商工会というのは健全なる納税団体ではない、そういう立場に立って、そして一律的にどこでも、従来は事前に連絡しておったのが、今度それをやめてしまって、そして突然調査をやりだした。従来は連絡してやっておったのが、それを今度突然調査に切りかえた、そういうことになったのではないですか。
#52
○政府委員(木村秀弘君) ただいまも申し上げましたように、そういうお約束をしたことはございません。ただ、税務署の、これは必ずしも同じ人が同じポストにおるわけではありませんので、あるいはお知らせした時代があったかもしれません。それは私は存じませんが、事実としてお知らせした時代があったかもしれません。
#53
○木村禧八郎君 それは非常に重要じゃありませんか。よく調べてください。お知らせしたこともあったかもしれませんと。……納税者の立場に立てば、そういう口約束でも、大体の慣行でもあれば、それに基づいてやはり調査に来るときには事前に連絡があるものと、こう了解するのがあたりまえじゃないですか。それが署長さんがかわるとか、あるいは長官がかわるとか、それによって今度事前に連絡しないで突然調査に切りかえるということでは、ますます対立、紛争が激化する。これははっきりひとつお調べになって知らせていただきたいのです。その点、いかがですか。
#54
○政府委員(木村秀弘君) 事実は調べてみます。しかしながら、今後におきましても、いまのような調査の拒否、妨害、いやがらせ等が続く限りは、事前通知はいたさないつもりでございます。
#55
○木村禧八郎君 それによって非常な多くのフリクションが起こっているわけですが、あなたはそういう事前通知をやらないで、今後民主商工会については突然調査の原則でやっていく、ほかの人には、民主商工会でない人には連絡をしてやっていく、その意図はどこにあるのですか。私は冷静に考えまして、何かそこに、民主商工会はたとえば共産党と関係があるとか、共産党の人の指導を受けているとか、そういう先入観念がある。先入観念というか、事実あっても差しつかえないのですが、共産党は憲法にちゃんと認められた合法政党なんですし、そういう指導を受けても何ら差しつかえないし、また税務について税法その他詳しくない人がそういう人の指導を受けて、記帳のしかたとか、あるいは税法を知らないために軽くなる税金も軽くならないというようなことがありますから、何ら差しつかえないと思うのです。
 しかし、何かそこに、われわれは共産党ではありません。社会党で、党派は違いますけれども、しかし、あまりに行き過ぎておるような感じがするのです。何か民主商工会を破壊してしまう。不健全なそういう納税団体を破壊してしまう。そのことによって、それが反作用で今度は他面に、そういう不当なと思われる、たとえば徴税について国民が正当な権利を行使してこれを阻止するという、そういうあれを、何というのか、水をかけて、全体が何か民主商工会をものすごく他と差別して、そうしてわれわれから見ればちょっと行き過ぎのような形の反面調査をやったり、その反面調査をやるために、商売の人が銀行に行かされたり、問屋さんに行かされたりして、非常に商売に差しりかえるとか、そういう不利が生ずる。そういうことで民主商工会をやめなさい、やめれば事前通知をするとか、民主商工会を脱退すれば話し合いに応ずるとか、そういうようなことを言った事実もわれわれ聞いておるのであります。何かそこに非常な政治的な意図があるように思われるのですが、その点はどうなんですか。
#56
○政府委員(木村秀弘君) 私は、執行の責任者として、かねがね税務の組織あるいは税務の活動というものは無色透明でなくてはならぬということを主義としておるのでございます。税務が特定の政党に対して反感を持ったり、特定の政党に対して親和感を持ったりということは許されるはずのものではございません。したがって、先ほど御指摘になりました第一点の、何か既成観念、先入観念を持って、それが特定の政党に関係しておるからこれを排撃するのだとかというような気持ちは毛頭ございません。ただ、この団体が反税的な活動を行なっておる、したがって、この反税活動に対して税務当局がこれをおそれて引っ込んでおったのでは、善良な一般の納税者の方、税務の調査に対して帳簿も提示され、また質問にもお答えになる、こういう方々に対して非常に不公平である、税務の公平を疑われる原因ともなりかねませんので、先ほど申し上げましたような幾多の税務妨害の事例のございますこの種団体の行動に対して、私たちは断固として対決をしていくつもりでおります。
 それから、第二点の、民主商工会の組織自体を破壊する目的じゃないかという御質問でございますが、私はそういうつもりはございません。民主商工会が行なっておる反税的な行為、これをやめてもらいたい。こういうことをやりさえしなければ、その他のいろいろな民生活動をおやりになることは、これは私はけっこうなことだと存じます。また、税務署の職員が脱退したならば話し合いに応ずるというようなことを言ったというお話でございますが、私はそれは事実ではないだろうと思います。おそらくそういう反税的な行為をする団体に加盟して、そういう反税的な行為をやめなさい、そういういやがらせなり妨害なり、そういうことをおやめになれば十分話し合いに応じましょう、ということを申し上げたのであろうと思います。
#57
○鈴木市藏君 関連。いま、民主商工会を脱退すれば税務問題については相談に応ずる、そう言った覚えはないと言っておりますが、この間、私は十二月九日に中野に行ったのです。中野に行ったところ、その事実がある。民主商工会の脱会届けを税務署に出して、しかも複写をとって出しておるというようなことが、会員等から直接資料として提出をされているわけです。それだけではないのです。この民商にいつ入ったとか、民商をやめなさいとか、そういうことを個々の会員に向かってねらい撃ちに話をしてくるという事実は、全国的にそれこそ枚挙にいとまがないくらい多数あるんです。だから、いま長官は、脱会をすすめたとか、脱会をすれば税の問題については相談に応ずると言ったことはないだろうとおっしゃった。これは水かけ論になる危険があるので、ここでははっきりとその事実があるかいなか、双方にわたって調査をしてもらいたい。このことについてどうでしょう。
#58
○政府委員(木村秀弘君) 脱会届けを税務署に出されたということは私は聞いております。その事実はございます。しかしながら、それをお出しくださいと、税務署で脱会届けを持ってきてくださればどうこうしましょうということを申したことはございません。それから、あなたはいつ民主商工会に入会されましたか、あるいは現在会員ですか、ということはお尋ねをしております。これは、たとえばわれわれが普通の納税者の方のお宅へ調査に参りましても、あなたのほうの税理士はどなたですか、あなたはまだその方に御相談をなさっておられますか、ということを聞くのと同一でございまして、これは別にそういうことを聞いて悪いとは考えておりません。ことに、先ほど申し上げましたように、民商に入会をしたその年から申告ががた落ちになっている事例が非常に多いのでございまして、そういう意味で、前年度の所得の調査をいたします場合に、いつお入りになりましたかということを聞くのは、執務上の参考として私は許されておると思います。
#59
○木村禧八郎君 私の質問の一番の基本は、所得税法六十三条の運用の問題なんですよ。それは調査質問権が法律で認められているからといって、それをたてにとって行き過ぎると、これは非常に重大な問題、これは憲法にも触れる、結社の自由なりあるいは人権の尊重の規定にも反するんじゃないかと思いますので、その運用は非常に重要だと思うのです。このことからやはりいろんな紛争が起こってきているんです。先ほど長官は、たとえば民商あたりで調査に行っても調査を拒否される、あるいは大ぜい人が、民商の事務局員が来て、取り巻いていろいろやると、いろいろ言われますが、そこで、あなたが言った、断固として戦うというのですけれども、そういうことによってほかの一般の調査に悪影響を及ぼすといけないからと言うんですけれども、これはまたそういう立場だけから考えてはいけないと思うのです。ものには両面があるんで、もう一つの立場で考えないと。民商をひどくあなた方が六十三条に基づいて厳重に調査をしたり、それから突然調査をしたり、反面調査をして、非常に恐怖感を抱かせることによって、他の納税者が当然税務官吏に対して、たとえば帳簿を検査に来たとき、きょうは都合が悪いとか、この帳簿は立ち会い人がいなきゃ見ちゃ困るとか、そういう当然主張し得ることまでも、恐怖感から主張できない。そこで、だんだん税務官吏が横暴になりまして、職権を乱用して、それでお店へ行って黙って帳簿を見る、そういうようなことになる危険性もあるんですよ。そういう半面もあなた考えなきゃいけないんであって、ですから、何かわれわれ見ると、たとえば一罰百戒という言葉がありますが、民商をうんと徹底的に六十三条に基づいて調査を厳重にやって、そしてみせしめにそれぞれやっておいて、ほかの納税者に恐怖感を抱かせて、ふるえ上がらせて、そうして徴税強化ができるように全体の仕組みを持っていく。どうもそういう懸念もうかがわれるのです。ですから、そういう半面もやはり考慮に入れる必要があるのじゃないですか。それがときによって非常に悪影響を及ぼすと思うのです。
#60
○政府委員(木村秀弘君) 一般の納税者の方に一体どういう感じを持たれるかという点については、私たちはむしろ非常に神経質に考えておるわけでございます。私たちの判断では、ややもすれば起こりがちな、要するに集団の圧力に対して税務調査を省略するというようなことになっては、かえって税務の調査に協力をしていただいておる大部分の善良な納税者の方に対して非常に不公平な感じを抱かせる。これはやはりこういう点はよほど考えて、むしろそういう集団的な威圧、いやがらせ、妨害というものに対しては敢然と立ち向かっていくというだけの心がまえを税務の執行面では必要とするのではないかというふうに考えておるのでございます。しかしながら、一般に調査が行き過ぎて、そのために善良な納税者の方に心理的に動揺を与えるというようなことは十分注意をいたさなければなりませんので、その点についてはわれわれも平素十分心がけると同時に、また従来のような調査というものよりもむしろ相談なり指導というものを先行させるべきだという趣旨で、先ほども申し上げましたように、全国の税務署を開放して匿名で相談を受け付ける制度もつくり、そうして納税者はどこの税務署に行っても、自分の名前を名乗らないで税務の相談をしていただく、また税務署におきましても、通常資力のある納税者ならば税理士にかかって専門的な知識を得られる、そういう程度のことは税務署においでになっても積極的に教えて差し上げるようにいたしておるわけでございます。一般的に調査一本やりということにはいたしておりません。
#61
○木村禧八郎君 私は、民商を反税団体あるいは健全なる納税団体と認めない、そういう立場から、他のいわゆる善良なる納税者との均衡上徹底的に調査をさせるように指導をすると、そういうことはあなた言われましたが、それが非常に問題だと思うので。それが行き過ぎて、かりに健全なる納税団体でないと認めた民商に対して不当に圧力を加えることがあってはならぬと思うのです。かりにそう認めても、たとえばいまあなたが非常に気負い立ったような言い方をしましたので、なお奇異に感ずるのです。そのために何か徹底的にやっつけるというような言い方ですよ、表現が。そういうように税務署員を指導をしているような行き方は、そうなると、たとえば六十三条で家族の貯金なんかは、これは私は調べられないと思うのです。六十三条で調べる対象が規定をされております。そういう預貯金まで調べている。これは行き過ぎですよ。
 それから、納税者に会う態度ですがね、非常に反税団体あるいは健全なる納税団体と認めない、そういう民商の会員に対する税務署員の応待のしかたが、非常に私は横暴であるように感じたのです。特に私はそういう点から、政党の立場は違いますけれども、これは私はあまり行き過ぎではないか。それをあなたのほうで健全なる納税団体と認めないで、そしてさっき言われたように、他の善良なる納税者との均衡もあるので、徹底的にやらなきゃならぬという立場でやられておられるということは聞きましたが、それにしても、あまり行き過ぎじゃないか。そういう具体例がたくさんあるわけですよ。非常に納税者に対して無礼な態度がたくさんある。
 さっき言ったように、家族の預貯金まで調べる。あるいはいろいろ具体例を私は資料としてもらったのですが、たとえば渡辺新二という署員、これは藤沢の場合ですが、九月の十一日に渡辺新二という税務署員があるお店へ来まして、店主が調査を許可するともなんとも言わないのに、いきなり帳面を取って、「さあ調査をやろう」。「まだ調査していいとも悪いとも言っていないではないか。他人の家に来てそんなかってなことが許されるか」と、こう抗議したら、あやまったとか。また、この渡辺という人ですが、九月の十一日にあるお店へ行ったら、店主が不在であった。留守のお嫁さんに「調査に来ました」と言った。お嫁さんが「主人がいなくてわからない」と言ったら、「店番をしていてそんなことがわからないのですか。それくらいわかるでしょう。あなたはもう成人じゃありませんか。だらしがないですね」と言ったとか。あるいは内山さんという事務官が来て、これは九月十一日、金子鉄工所というのですが、突然来て、主人が「忙しいから、都合のいい日に来てください」と言うと、「仕事中でもかまいません。やりましょう。質問に答えてください」。主人が「精密な仕事をしているので、仕事中答えるなんてできない」そうして主人がおこったら、帰ったとか。こういう事例が非常にたくさんある。それから、税務署員が来て、主人がかしこまって応答しているのに、ポケットへ手を入れてごう然としている。「無礼じゃないか」と言ったらそうしたらそれをやめてあやまった。そういう事例がたくさん資料として私のところへ来ております。
 それは長官がいまお話しのような非常な高姿勢で、民商の会員に対しては、これは民商は健全なる納税団体でないという断定をして、そういうように指導しているでしょう。その指導が末端にいきますと、いまお話ししたような非常な行き過ぎが出てくる。これは基本的な人権にも関係のあることですし、民商は、これは結社の自由は認められているのですから、民商であるからといって、そんなに目のかたきにしてやっていくということは、全体の税務署員に対する一般納税者の感じというのはいい感じは持てない。そうでなくてさえ、皆さん一般の人は税務官吏に対して、これは第一線で働いている税務官吏の人には非常にお気の毒ですけれども、あまり好かれていない仕事をおやりになっているわけですからね。そういう指導のしかたというのは、私は問題じゃないかと思うのです。もっとデリケートにいろいろな事態を考えながら、長官としては今のような、さっきお話ししたような断固としてやっつけてやるというような態度で指導されては、これは私は弊害があると思いますよ。ですから、この点は今後十分に、親のかたきじゃないのですから、同じ日本国民なんですから、それに対してはもっとよく、六十三条の法律で調査権が認められているからといって、使えば何でもできるのだ、弾圧できるという考え方、それがあっても、国民が主人公なんですから、税務官吏は奉仕者なんですからね。憲法にちゃんと定めてあるでしょう、官吏は全体の奉仕者なんです。国民が主人公なんですよ。その主人公に対して、あなたがさっき言ったようなことを指導してまいれば、税務官吏はまるで自分が主人公のようになって、六十三条をかさに着てやるようなことになると非常に弊害が多い。それはいろいろな行き過ぎもあったかもしれません。いろいろないきさつがあったかもしれませんが、少し極端過ぎますよ。それが私は一般の納税者に与える影響、それから税務官吏に対する一般国民の感じですが、そういう非常な不信感を生む。まるで鬼みたいな存在になってしまう、こわくてね。
 それから、もう一つ、行き過ぎの一つの例と思われますのは、藤沢と川崎の税務署の玄関に、今回の調査に関連した用件で来署する湘南商工会事務局員の出入をお断わりしますということが、税務署の玄関に張られている。これも少し行き過ぎじゃないですかね。何か親のかたきでも討つようなやり方で、対抗的になってきている。この事態は決して好ましい事態ではない。そうしてまた、経費も非常にかかる。税務署からのいろいろな宣伝ビラを新聞紙に折り込んで十万枚も配って、いろいろ民商に対して、われわれに言わせれば、戦闘をやっているという感じを抱かせる。それで、われわれの聞いた範囲では、川崎、中原、藤沢ですね、そういうところでは、そういう民商の人たちと――この民商の人たちはみんな零細な商人なんですよ。そういう人たちとの間でこういう対立がしょっちゅう起こっているということは、これは好ましいことじゃないですよ。われわれもこういう事態を見聞して、ほうっておくわけにはいかないし、また法律上、税法上あなたのほうで連絡しなければならぬ点はあるでしょうが、それにしても少し行き過ぎだとわれわれは思うのです。あまりに敵対意識というか、対抗意識ですか、それで奉仕者であるべき税務官吏がまるで主人公である。国民と逆の立場に立って、通告もしないで突然調査をやる、あるいは反面調査をやる。反面調査というのは商人にとって致命的ですよ。これはよほどよくお考えになっておやりになりませんとね。それは銀行に行ったり、問屋に行ったりしてごらんなさい。これは致命的ですよ。そういう生活権のこともよく考えておやりにならなければいけないのじゃないかと思うのです。
 そういう点について、それはまだいろいろな事例がございますが、時間がございませんから一々あげません。また、さっきお話ししましたように、約束をしたのに、した事実がないということを言われますから、今後われわれもやはり現地に行って調査をしてみたいと思っております。その調査に基づいてまた質問をしたいと思うのですが、結論として、さっきお話ししましたように、公務員は奉仕者なんです、全体の奉仕者でなければならぬのですから。その立場を忘れて、六十三条を乱用してあまり強圧的にやる、非常に無礼にわたる事例が非常にたくさんあるのですよ。この点を厳に慎まなければならぬと思いますが、その点について一言お答えを願いたいと思います。
#62
○政府委員(木村秀弘君) 私はかねがね、税務の調査をいたします場合に、六十三条ですね、法律に基づいている調査ではあっても、権力的な面を出さないように、できるだけ納税者との応接等に当たっては、相手方にいい感じを持たれるように非常にやわらかい態度で、また相手方の言われることも十分お聞きして、そうしていささかも権力的な面をむき出しにすることのないようにという指導をいたしておりますしかしながら、最終的な――先ほど申し上げましたような調査の妨害なり、拒否なりという最終的な場面に臨みますというと、どうしても権力にたよらざるを得ないという場合が出てくると存じます。
 また、川崎、藤沢の両税務署で、今回の事件に関連しては民商の方にはお目にかからないという張り紙を出したことも私は存じております。これは、この民商自体が従来のような反税的な行為をしないと、税務の調査に協力してもらうという前提に立てば、いつでも撤回をするはずのものでございます。ただ、一方において妨害をしつつ、集団的に会わせろ、あるいは集団的に話し合えということでは、これはお目にかかれないということを申しておるのであります。
 また、ビラを十万枚まいたという仰せでございますが、これも、まずビラをまいたのは民商でございまして、これが十五万枚ばかりビラをまいた。その内容が事実無根のことを書いておりまして、一般の納税者の方にそういうビラを読ませて誤解を受けられてはいけないということで、やむを得ず当方においてもビラを配ったと、こういう事実でございます。
 また、反面調査でございますが、先ほど申し上げましたように、民商の会員の調査にあたりましては、一般的な指導として、税務署には帳簿を見せるな、あるいは税務署の署員の質問には答えるなというのが原則になっておるようでございます。したがって、調査に応ぜられない方につきましては、その取引先なり銀行なり、いわゆる反面から調査をいたしていかなければならないのでございまして、むしろ、そういう問題については、民商の側でそういうふうにしむけておる面があると思います。
#63
○鈴木市藏君 この問題についてちょっと、資料がありますので、きょう委員会で正式に質問をされていますので、委員長もひとつ、先ほど木村委員から言われました、この資料を提出しますから……。これは藤沢と川崎のです。
 それから、この問題について、事実問題についてはたくさんあるわけですが、きょうは時間がありませんので、事実問題についての私は特徴的なものを一、二申し上げて、また次の機会に、これはひとつ私自身も調査を行ないまして、また本委員会の問題にしたいと思って、特徴的な事実についてだけ質問したい。
#64
○木村禧八郎君 委員長、ちょっと。先ほど事実問題について、中原税務署長さんと商工会の人との間に話し合いをしたか、そういう約束をした事実があるとかないとかありまして、私は、委員会の決定として調査に行くことで、これは御異議がある方もおおりかもしれませんが、私も大蔵委員の一人として、やはり調査に行きたいと思います。その点御了解を願いたいと思います。
#65
○委員長(新谷寅三郎君) その問題は、大蔵委員に違いないのですから、大蔵委員として行かれるのは御自由だと思います。もしも大蔵委員会を代表してというようなことになる場合は、一応理事会で相談をした上で取り計らいたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
#66
○木村禧八郎君 大蔵委員として行く場合は大蔵委員として。委員会の場合は御了承を得ることにいたします。
#67
○鈴木市藏君 先ほど木村委員が申されましたけれども、民主商工会というのは別に共産党の支持団体でもなんでもございません。これははっきり言っておきます。自主的な団体です。そうしてこの民主商工会は税金の問題については次のような三つの原則をもってずっと今日まで活動してきた団体であるということは、長官、ご存じだろうと思います。一つは税制の民主化という問題、一つは税務行政の民主化、適正な税金、この三つを目標にしている団体でありまして、決してあなたが言っているような反税的な団体ではない。それから、納得のいく調査と納得のいく税金は払いますということは、いつでも言っているわけなんで、だから、決して民商が反税的な団体であるとか、あるいは特定政党云々というようなことは、全然これは誤解もはなはだしい問題ですから、まず最初にこのことについて、長官は民主商工会を何か特別な反税的な団体であるかのごとく、さっきの木村委員の質問に答えては、これと対決していくというようなことを言っておりますけれども、これは非常な私は暴言に類する発言だと思います。あなた、一体、民主商工会の性格をどういうふうにお考えになっていますか。
#68
○政府委員(木村秀弘君) 私は、先ほどもこの民商の問題でお答えをいたしましたように、民商が頭っからたとえば特定の政党と関係があるとか、あるいは頭から反税団体であるとかいうことを申しておるのではございません。そうではなくて、種々の実例を、事実を客観的に見ますというと、民主商工会の事務局員または会員の反税的な行為が枚挙にいとまがないくらい多いのでございまして、そういう事実から帰納して、私は民主商工会は反税活動を行なっておるということを申し上げたのであります。もちろん、税制の民主化、税務行政の民主化、適正課税というような看板については、私もよく存じております。しかしながら、その行なっている事実が客観的に見てどう判断したらよいかということは、この掲げられているスローガンとは別だろうと思います。
#69
○鈴木市藏君 それは、あなたは客観的、客観的と言いますけれども、それがつまり主観であって、事実について、なぜ一体最近民商の代表の皆さんと話をしないか。私はどこの税務署へ行っても、話し合いをしなさい、民主主義の原則は話し合いだ、なぜ一体話し合いをしないのかというぐあいに言っている。いつでも拒否しているのは税務署のほうの側です。先ほど資料として提出した川崎税務署の場合、あるいは藤沢の場合も、民主商工会の会員が立ち入るべからずということを言っている。まるでもう物売り押し売りと同じようなぐあいに、こういうふうにやっているところのこの態度の中に、話し合いを拒否する、一切の話し合いには応じないということを、あなた、自分たちの方針としてきめているのじゃないか。あるいは進んで民主主義そのものを破壊しよう、反税的な団体であるということを、あなたたちの税務署がみんなもう手紙に書いているわけです。だから、そういう点から見ると、民商そのものを破壊しようと考えている意図があるのではないか。この点については先ほども説明がありましたけれども、もう一度はっきりと事実に基づいて、民主主義を組織的に破壊をしようとか、民商そのものをつぶしてしまおうという考えがないとするならば、民商の代表と話し合いをするということについて今後どういう態度をとるか、もう一度はっきりとお答えを願いたいと思う。
#70
○政府委員(木村秀弘君) 話し合いでございますが、これは私が先ほども申し上げましたように、民商自体が反税的な行為をやめて、税務の調査にまず協力をしていただく、税務署員が行ったときに、ばり雑言を浴びせるとか、あるいは調査を拒否して、三回行っても五回行っても、多いときになりますと十回行っても、何ら、居留守を使われるとか、あるいは帳簿は民商にあるのだからそっちへ行って調べろ、おれば知らないというようなこと、あるいは居留守、病気であるとか、何回行ってもそういうことで、調査にならない。いま御指摘になりました藤沢でございますが、五十五件について事後調査を行ないまして、平均四回お宅へ伺っておりますけれども、調査が完了したものはわずか一件でございます。そのほかは全部調査の拒否を受けておる。こういう態度をまず改めていただいて、税務に協力してやろうと、調査にも応じようということになりまして、それで税務で調べました内容が事実と違う、あるいはこれは経費が少ないじゃないかというような具体的な問題について御質問なり御意見があれば、十分お話し合にも応じます。また、税務署においでになれば、もちろんお話し合いに応ずることは当然でございます。しかしながら、その前提として、まずそういう従来あります、現在行なわれております数々の反税的な行為をおやめください、そうすればいつでもお話し合いに応じます、というのがわれわれの態度でございます。
 また、組織破壊の問題でございますが、これもそういう結社をつくるということに対してとやかく申しておるのではございませんで、従来のように、そういう結社をつくって集団的な行動によって税務の調査を妨害する、あるいは圧力を加えるというようなことについては、これはそういう行為をやめていただきたいということを申しておるのであります。
#71
○鈴木市藏君 それでは、もう一度さっきのことについて確認をいたしますが、中野の税務署では個々の会員に対して民商を脱会しなさい、民商をやめるならば税の問題については相談に応じますというような甘言、また一つには脅迫もまじえて、そして民商の会員が脱会した届けの写しを税務署に提出しているということについて、長官はその事実があるということを言明いたしましたが、なぜ一体税務署が民商の脱会届けを受け取る必要があるのですか。あるいはまた、そのこと自体は、民商をおやめなさい、民商という団体から抜けなさいと、こういうことを税務署の署員が個々の民商の会員に言って歩いているということを裏書きするものだと思うのです。もしこの事実がはっきりとした場合に、あなたは一体どういう処置をとるのか、この辺のところを質問したい。
#72
○政府委員(木村秀弘君) 先ほども申し上げましたが、民商を脱会したという文書を税務署にお持ちになったことは、これは私も聞いております。税務署は民商を脱会しなさいというのではなくて、民商の行なっておる反税行為を、ああいう行為はやめなさいと、そういう行動をともにしちゃいけませんということを勧奨しておるのでありまして、受け取られる側でどう受け取られるかわかりませんが、われわれの指導としてはそういう指導をいたしております。
#73
○鈴木市藏君 それでは、民商を脱会しろということは、あなたの考え方では、これは税務署員としては行き過ぎの行動であるということをお認めになりますか、脱会をすすめるということは。
#74
○政府委員(木村秀弘君) 繰り返すようでありますけれども、民商の行なっておるような反税行動に参加しては困るということを申したのであります。
#75
○鈴木市藏君 それを言っているのではない。脱会をすすめるような行為は行き過ぎだとお認めになるかどうかということを聞いているのです。
#76
○政府委員(木村秀弘君) 脱会そのものをすすめるということは、これは税務からはみ出しておると思います。
#77
○鈴木市藏君 行き過ぎですね。もしそのような事実があるとするならば、調査の結果でもいいです、そのような事実があるとするならば、あなたはどういう処置をとるかということを聞いているのです。
#78
○政府委員(木村秀弘君) 脱会自体をすすめるというようなことは行過ぎであるということで指導を加えたいと思います。
#79
○鈴木市藏君 それで、二つ目の問題で聞きたいのですが、「中野民主商工会の皆さんに」という手紙が、商工会にずっと税務署長の名前でもって行っている。あるいはまた、川崎の中原の民主商工会についても、前後三回にわたって署長の名前で手紙が行っている。御存じですね。
#80
○政府委員(木村秀弘君) 存じております。
#81
○鈴木市藏君 では、この手紙の内容については知っているだろうと思いますが、こういうことが書いてある。反税的な行為を組織的に行なっている。税務行政を正しく実施するようにという国税庁の統一した方針に従った仕事をわれわれはやっておるのだから、会員個々に対するそういう手紙を全部送っている。したがって、あなたたちは民商の会員であるから、反税的な行為を組織的に行なっておるのだから、事前通知はいたしませんということまで、ちゃんと書いた手紙を前後三回にわたって会員個々に送っているというこの事実はどういうことなんですか。
#82
○政府委員(木村秀弘君) それは先ほど申しましたように、民商でもって組織的に反税的な行為を繰り返しておりますので、その会員の反省を求めて、われわれのやっている調査に対して協力をしてもらいたいということを訴えているわけであります。
#83
○鈴木市藏君 それは明らかに、つまり組織破壊、たとえば労働組合にしても政党員にしても、個々の政党員、個々の組合員に対してどんどん手紙を送って、しかも税務署ですから、鬼といわれている税務署から三回にわたって手紙が来てごらんなさい。皆ふるえ上がっちゃいますよ。こういうことでいやがらせをやる、脅迫をやる。これは何とあなたが強弁しようとも、その根底にあるのは、民商を破壊しようという意図から出ているものと言わざるを得ない。もしそうでないとすれば、このような手紙を出したことは行き過ぎだということをあなた自身はお認めになるかどうか。
#84
○政府委員(木村秀弘君) いやがらせや脅迫を受けているのはわれわれ税務の末端の職員でございまして、これは単に調査のときのみならず、夜間等においても尾行がつく。あるいは職員が転勤をいたしますというと、その転勤先に何か調査表のようなものを送ってくるとかなんかして、前の署でもってどういうことをしたとか、こういうことをしたとかいうようないやがらせをするとかということで、むしろわれわれのほうでそのいやがらせ、脅迫を受けている。私は先日も川崎の税務署に行って第一線の調査の職員に聞いたところによりますというと、その職員は町ぐるみ民商というような地域に一歩足を踏み入れるというと、何かアメリカ映画の恐怖の町に足を踏み入れたような異様な圧迫感を感ずるということを言っておるのでありまして、むしろそういう意味でわれわれのほうが脅迫を受けていると思います。
 それから、個々の会員である納税者に文書を一々出したということは、私は税務の立場にある職員として、そういう法律に反したような反税的な行為をしないようにということをおすすめするのは当然の責務だと心得ております。
#85
○鈴木市藏君 それをつまり民商の会員をねらい撃ちにやっているというところに、特別な意図を持っているというふうに私たちは見ているわけです。しかも、先ほどあなたが言ったつまり川崎の中原税務署は、昭和三十五年度には国と県から優良納税組合で表彰されている。昭和三十四年には川崎市から表彰されている。国と市と町から表彰されている。こういうつまり優良納税組合が、それがごく最近になってからこのようなトラブルが次から次へと起きてくるという事実の中には、これは税務行政の中に、むしろ事を好んで、先ほど言ったように、事前通知も全く行なわないで、民商の会員をねらい撃ちに抜き打ち調査をやってくるということからこのようなトラブルが起きてきたと見ざるを得ない。あなたは中原民主商工会が三十五年度に国と県から表彰を受けたことを知っていますか。
#86
○政府委員(木村秀弘君) 私はまだそういうことは存じておりません。
#87
○鈴木市藏君 そういうことなんですね。そういう事実も知らないで、すべてこれ民商なるがゆえに反税的な団体だというふうに規定することは正しいかどうか。こういうことをそのままにしておいて、いまのようなやり方は許されませんよ。
 それから、次の問題に移ります。十月二十二日の解散を直前にした国会で、本院の、参議院本会議で、木村委員の質問に田中大蔵大臣が答えている一節がある。官報に載っている。「ただ、御承知のとおり一部に反税闘争というようなものを目的にした団体等がつくられておりますが、それらのものについては断固たる処置をとってまいるという考え方でございます。」ということを参議院の本会議で答えている。私はこのことは非常に重大、だと思います。大蔵大臣がこういうことを言うというのはどういうことかと大蔵大臣に聞いた。そうすると、大蔵大臣は「いや、私は知らぬよ。あの答弁を言ったのは、とにかく事務官が書いてきたから、それをそのまま読んだのだ」という、こういうことを言っている。つまり、大蔵大臣にこういうことを言わしめているのは、あれは国税庁長官か事務官のメモに従って私はこういうように言ったというのです。あるいは国税庁当局かどうか知らぬけれども、いずれにしても事務官のメモで答えて、大蔵大臣自体は知らないと言っておりますけれども、しかし、ここで大蔵大臣に、一部反税闘争のようなものを目的とした団体ということを本会議の席上で公然と言わしめているという、このこと自体が非常に重大なんだ。あなた方は大蔵大臣あるいは池田総理大臣に向かって、民商は反税団体だというPRを行なった事実はありますか。
#88
○政府委員(木村秀弘君) 私は、上司である大蔵大臣あるいは総理大臣に対して、民商の行なっている活動の状況について御報告をしたことはございます。
#89
○鈴木市藏君 いや活動の報告ではない、反税団体であるということを言った覚えはないかと聞いているのです。
#90
○政府委員(木村秀弘君) 言葉をそのまま覚えておりませんけれども、反税的行為を行なっておるという事実を申し上げておるのであります。
#91
○鈴木市藏君 そういうことから、全国各地の税務署長が一斎にいきり立った。大蔵大臣だけがそう言っているんじゃないのです。八月十五日には、首相官邸で三十分にわたって、民主商工会とはかくかくのものであるというスライドを総理大臣に見せているのです、黒金官房長官も列席し。こういうことをやって政府と与党との間にPRを行なって、そうして上から網をかぶせるように、民商の弾圧については総理大臣も承知しているんだ、大蔵大臣も承知しているんだ、だから諸君たち全力を尽くして犬馬の労をとれというぐあいに、各税務署税務署に向かって号令を発しているとわれわれは理解するがね。そのような号令を発しておりますか、どうですか。
#92
○政府委員(木村秀弘君) 先ほども申し上げましたように、大蔵大臣あるいは総理大臣に対して、われわれの職務の内容を報告する際に、民主商工会の行なっておる活動状況を報告すると同時に、また全商連でつくっておりますスライドを見せて、そして、実際こういうものでございますという報告をいたしております。
 なお、民商に対する態度といたしましては、先ほど来申し上げましたように、その反税的な行為がやまない限りは、われわれとしては現状の態度を変えるつもりは、ございません。
#93
○鈴木市藏君 それで、時間的な関係がありますので、私はこの事実問題については、明らかに民商なるがゆえの差別待遇を行なっている、差別的な取り扱を行なっていると思うのです。この点については、六月十七日と、また七月の六日と、二回にわたって、国税庁長官、あなた自身に私と同僚議員が会って、このような差別待遇はやめろと言ったことについて、あなたがはっきりと言明したことがある。民商なるがゆえに特別の差別は行なわない、民商の脱会などをすすめるというようなことは行き過ぎだが、そのような事実があるならば取り締まる、こういうようなことをあなたは六月の十七日と七月の六日の二日にわたっての私たちの会見のときには言明されたと、記録も残っておりまするが、今日においてもその考え方に変わりはありませんか。
#94
○政府委員(木村秀弘君) 私は確かにそういうことを申し上げましたが、それは言葉が一部分でございまして、その次に、結果から見まして現在の民商会員の申告水準が異常に低い、また調査に対する協力が得られなということで、結果から見て差別待遇をするような結果になりますと、こういうことも同時に申し上げておるつもりでございます。また、脱会につきましては、先ほど申し上げましたように、脱会そのものということではなくて、そういう反税行動をともにするということについての警告を発しております。
#95
○鈴木市藏君 十二月の六日、あまりのひどさに、私たちが中野の民主商工会から出されました資料に基づいて中野税務署長に面会に行ったことがある。そのときの事実というのは驚くべきものです。とにかく署員はスクラムを組んで私たちの前に立ちふさがり、これだけではなくて、民主商工会の会員は直ちに税務署から退去してくださいというプラカードを掲げて出てくるわけだ。しかも、そのプラカードが――私たちの行った日は十二月の六日ですよ。ところが、そのプラカードの日付が書いてある。その日付はいつかというと、十一月の十三日の日付のプラカードを、十二月の六日に行った私たちの目の前にぶら下げた。十一月の十三日に中野民主商工会が何か中野税務署に大挙して押しかけてくるといったような風評が前々からあったわけだ。その用意をしていました。どうです、十二月の六日に行ったのですよ、私たちは。それが、十一月の十三日のプラカードをぶら下げて、直ちに退去せよというような、こういうことをやっている。これなんか、いかに事実問題として民商を敵視しているかということの末端における端的なあらわれだと思うのです。そして、こういう事実から見て……。
 それからまた、いまはまだ任意調査の段階です。先ほどの質問の中にもありましたとおりに、まだ任意調査の段階であるにもかかわらず、すでにもう警察官が介入をしているわけです。中野においても、数名この問題により逮捕されている。川崎においても同様です。いままでの歴史にためしがありますか。任意調査の段階で、警察官が介入をして逮捕するといったような、いままでそういう事実がありますか。
#96
○政府委員(木村秀弘君) 私はあまり古いことは存じませんが、過去におきましても、一部の税務署では、やはり警察の協力を願ったという事実はございます。
 それから、先ほどのプラカードでございますが、民商会員が集団で税務署に会見の申し込みあるいは威圧を加えるという事実は、何度も何度も繰り返されております。で、その関係で、十一月十三日でございますか、その日のものがあったのは、それを利用したのじゃないかと思います。
 それから、任意調査とは申しましても、先ほど来申し上げましたように、税務の調査に対する妨害あるいは拒否等が行なわれ、中野、川崎等におきましてはそれが行き過ぎておる。たとえば中野では脅迫をする、あるいは川崎におきましては実力をもって追い出す、押し出すというような事態にまで発展する例がしばしばございます。中野、川崎におきましては、先ほど委員から御指摘のように、逮捕をされております。その他の税務署におきましても、そういう暴力行為等が予見される場合には、警察の援助と協力を求めなくてはなりません。
#97
○鈴木市藏君 それから、本年の九月の某日ですね、中野税務署長は、管内の税理士の会合で、いよいよ中野民商をつぶすことになった、したがって、君たちのところまでいま調査の手が回らないのだということを広言したということが伝えられている。この事実はその日にその話を聞いた人から中野民商の会長のところまで伝わってきているわけです。話が来ているわけです。つまり、九月にすでにもう中野民商を今度はとっちめるのだ、やっつけるのだということを、署長が公然と税理士の会合でしゃべったということから、ずっと運動は伝わってきているわけなんです。決してあなた方の一方的な調査だけでなく、事実をよく見て、下部末端におけるところの税務行政の事実をよく見て、あなた自身もよく調査をして、そしてこういう行き過ぎのないように厳重に今後の指導をやってもらわなければ、あとを断たなくこういうものが起きてきますよ。もし、あなたが民商を一方的に反税的な団体であるときめつけて、これと対決してくるということになりますと、これは民商の会員というものは、生活と権利及び営業を守るために断固としてやはり戦わざるを得なくなります。そういう事を好むようなことは、税制民主化の一体本旨ではないと考える。このことについては答弁が要りません。今後の税務行政の中でしっかりとこの点はあなた自身も改めてもらう必要があるということを考える。
 そこで、ここで税務行政の現在合理化の方向を盛んにあなた方が進めておられると思うけれども、この税務行政の合理化の問題について、三つの点についてお答えを願いたい。一つは、自主的申告納税制度を根本的に改悪しようと考えているのではないか。二つの問題は、天下り課税をねらいとしていまやってこようとしているんじゃないか。この二つの問題をあなた方が考えているために、これに民主的に抵抗している団体である民商がじゃまになってきているので、この民商に攻撃を加えることで反動的な税務行政の合理化の突破口にしようと考えているんではないかと判断せざるを得ないような事実がたくさん起きてきているわけです。この税務行政の合理化の問題について、以上三つについて国税当局がどういう考え方を持っているか、はっきりとお答え願いたい。
#98
○政府委員(木村秀弘君) 私は全く逆の考えを持っております。立法府で制定をされた税法の基本精神である自主申告納税制度を、半歩でも一歩でも前進させるように心がけておるのであります。したがって、申告納税制度を改悪する、やめる、天下り課税にするのだというようなことは全く予想もしたことはございません。
 ただ、御承知のように、申告納税制度は、あくまでも納税者の善意に信頼をしておる制度でございますからして、これを正確な申告が出ないようにするというような運動があるとするならば、やはりこれに対しては徹底的にこれを直してもらうということによって申告納税制度を前進させることができると思っております。
#99
○鈴木市藏君 私はこれでもう時間がありませんので、私の予定時間は三十分でしたが、若干過ぎて申しわけないと思いますので、やめますけれども、先ほど木村委員も言ったように、この事実についてはたくさんの問題がありますので、私もまた大蔵委員の一人として調査に行きますから、もしこの委員会としての調査をやる場合には、ひとつ理事会の決定で私も加えてもらいたいと思います。
#100
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、税務行政に関する調査は、本日のところこの程度にいたします。
  ―――――――――――――
#101
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、年末金融等に関する件を議題といたします。
 本件について質疑の要求がございますので、これを許します。野溝君。
#102
○国務大臣(田中角榮君) あなたの質問の前に、できればごあいさつをしたいと思います。
 総選挙終了に伴いまして、第三次池田内閣発足に際しまして、引き続きまして私が大蔵大臣を拝命したわけでございます。当委員会につきましては、引き続きます通常国会にも、法案その他たいへんお世話になると思いますが、私も政府委員も誠意をもって御説明に当たりたいと存じます。変わらざる御支援、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
#103
○野溝勝君 予算委員会の日程の都合もありますので大臣に対する質問は、また次回において詳細にすることにいたしまして、ごく簡単に二、三の点をお伺いしたいと思います。
 さっそくでございますが、年末金融の問題についてですが、年末金融といいましても、政府の考えている程度の金融では、年末金融は容易でないと思うのです。特に、中小企業などでは、相当倒産が続出しているのでございます。まあこまかいことは銀行局長から聞きますが、とにかくかような倒産の多い事実を目の前に控えまして、いま政府の考えているようないわば資金事情、資金融資、昨日の衆議院の本会議におきまして池田総理が中小企業年末融資の問題についてお答えになった程度であるとするならば、とても今年の年末金融といたしましては、あまりに微力ではないかと思います。なるほど、確かにふえてはおります。が、いま申したように、倒産が多い事情から見て心細い。
 こまかく申し上げるまでもなく、大臣のほうではお手元に資料を持っておいでですから、私はここで詳しく申し上げませんが、まあ一つの例だけ申しますると、中小企業金融公庫のほうに対しましては四百三十五億、商工中金に対しては四百二十二億、国民金融公庫に対しては六百七十億、その他市中銀行、あるいは地方銀行、あるいは相互銀行、信用金庫等もありますが、それはまあ省略いたします。政府関係の金融機関におきましては、以上申した予算であると思います。そうすると、なるほど中小企業金融公庫においては昨年度よりは平均一七%増になる、商工中金は二一%、国民金融公庫は一九%という増になってはおりますが、いま申したような国内の中小企業の倒産情勢、これに処するにこれではあまりに情けない政府の公約である。中小企業育成としても非常に微温的だと思います。これに対して、大蔵大臣、このほかにまだ何か考えておるのかどうか、これで年末金融の問題は終末なのか、その点の考えですね、あなたにお聞きしたいと思います。
#104
○国務大臣(田中角榮君) 年末金融につきましては、いま野溝さん申されたとおり、政府としましても重大な関心を持って遺憾なきを期したいという基本的な考え方を持っておるわけであります。政府関係三機関につきましては、いま仰せられたように、四百億の資金追加を行なうとともに、市中金融機関の保有の金融債を二百五十億買いオペによって資金供給をし、なおそのほかに、都市銀行につきましても、今度の準備率引き上げは、適正のものを除きまして、特に大口の貸し出しというものの抑制をはかる意味において行なわれたものでありますから、中小企業の小口のものに対しては十分の配慮をするように、特に皆さんからは、銀行法の一部改正をして、その資金量の三〇%を中小企業に貸し付けるように法定をしろという議論さえもあるのでありますから、これが年末の中小企業金融対策に対しては十分遺憾なきを期するようにという大蔵省側の意向も十分伝えており、各都市銀行もこれに対して了承をいたしておるわけであります。なお、そのほか中小企業専門機関であるところの相互銀行、それから信用金庫、信用組合等に対しても、年末の金は一時出すことであって一月、二月になれば還流する金でありますから、これがそのまま滞留をして貸し出しが自動的にふくらむという性質のものでもありませんので、年末の金融に対しては遺憾なきを期すようにということを十分言っておるわけであります。
 そのような意味から考えまして、第三四半期の三公庫の計画と市中金融機関の年末金融対策を総合的に判断をしますときに、現在の状態において中小企業に対する年末融資は十分遺憾なく配慮できるという考え方に立っておりますが、しかし、これから二十日までの期間における中小企業の資金の需要の状況等は日々十分調査をしながら年末金融の遺憾なきを期して参りたいと、このように考えておるわけでございます。
#105
○野溝勝君 大蔵大臣、私はむしろあなたの言葉じりをつかまえてどうというような気持ちはありはしません。御承知のとおり、いま不渡り手形がたくさん出ておりますね。倒産が非常に多いのですよ。これは戦後最大です。中小企業のことは、私が言わぬでもあなたおわかりだと思うから、私あまり言いませんが、こうした事情のもとで、幾ら、政府関係の金融機関だけでなく、市中銀行であるとか、あるいは地方銀行、あるいは相互銀行、信用金庫等が、一月、二月は還元する資金であるからということであっても、最高金融機関である日銀が金融の引き締め方針を示し、窓口規制をやっておる今日の状態では、大臣が言われるようななまやさしいものではないと思うのです。そこで大蔵大臣、最悪の場合、あなたはその場合にどういう一体措置をとるか、そういう点についても考えを大蔵大臣たるべき者は持っていなければならぬと思う。その点、私は腹蔵なくお聞きしておきたいと思うのです。
#106
○国務大臣(田中角榮君) 私は、この間準備率引き上げに対して、十分市中金融機関の預金の状態、貸し出しの状態等を調査をいたしたわけでありますが、御承知のとおり、生産が非常に伸びておりますので、この製品に対する融資等が相当大口に行なわれておりますので、こういう面に対しての引き締め的な効果を求めて準備率の引き上げをあえて行なったわけであります。しかし、御承知のとおり、金融機関の資金量は、貯蓄が非常に伸びておりますので、現在の段階において中小企業の年末金融に足りないという状況ではないのであります。で、特に十二月から一月に対しての売りオペの時期にもあったわけでありますが、そういう問題に対しても配慮をいたしておりますし、大口の貸し出しに対してなお相当の規制をやりましたが、銀行も資金を持っておってこれを貸し付けないというわけにはいきませんので、その意味では中小企業に対して対象を広げていこうという金融機関全部の考え方でもありますから、私は今の段階においてはこの措置でまかなえるという考えであります。
 しかし、先ほど申しましたように、これから二十日までの中小企業の資金需要の状況を日々の日表をつくりながら検討しておるのでありますから、その面においては三公庫の資金というよりも、必要やむを得ざる資金に対しましては、金融機関に対して大蔵省の意向を伝えることによりまして、私はあなたがいま申されたとおりの金融対策はできるという考え方を持っておりますし、ある時期に来て調査が十分行き届けば、そのような措置もとりたいという考え方を持っておるわけであります。
#107
○野溝勝君 その心がまえをお聞きすれば、年末に対する金融の最悪の事態に対する不安も少し取り除けますので、大臣はさような気持ちであくまでも中小企業経済界並びに金融界の混乱を起こさぬように、善処を特に望んでおきます。
 次に、私が申し上げたいことは、金融機関、特に日本銀行が預金準備率の引き上げをやったのでございますが、金融調整につきましては、公定歩合の引き上げだとか、あるいは預金準備率の引き上げだとか、あるいは買いオペとかいう問題がありますけれども、一昨年はこれを同時にやったのですね。今回は預金準備率引き上げをやった。うわさによりますと、早々に公定歩合の引き上げがあるのじゃないかといわれておりますが、いずれにいたしましても、一昨年の同時にやったときの経過が、いわば産業界に及ぼした影響あるいは金融界等に対してどういう結果であったか、私どもはその間をつぶさに知ることはできませんが、金融財政の主管である大臣は、その同時にやった後の動きに対しどう考えているか、お聞きしたい。
#108
○国務大臣(田中角榮君) 過去において引き締めのときに、十二月に公定歩合を引き上げたこともあります。その結果、非常に立ち直りが早かったという結果は出ておりますが、今度の場合は、差し迫ってどうするという考え方よりも、開放経済に向かいまして、長期拡大安定的な国際収支の見通しをつけるためには、適切な施策を予防的にも行なわなければならない、こういう考え方に立っておるわけであります。私が七月すでに閣議で、開放経済体制に七月一日から移行する、こういうことであるならば、国産品愛用運動を起こしましたり、あるいは輸入抑制をはかりましたり、いろいろな問題に対する施策を行なうべく発言しておる、その一環としての準備率引き上げということになったわけであります。しかし、先ほどから申し上げましたように、この大きな目的を達成するために、一時的にも健全な金融政策をとることによって積極的に、近代化や開放体制移行に対する対応体制がおくれておる中小企業にしわ寄せをされてはならないということを非常に強く考えておりますので、準備率の引き上げというようなことを行なう反面、総理大臣は来年度の中小企業金融対策に対しては革命的というような抜本的な積極的な施策をとるということを明らかにいたしておりますし、私も一面、準備率の引き上げによって、中小企業の年末や、また一月からの三十八年度四四半期の中小企業に対する貸し出しが抑制をせられたりして、より大きく格差を露呈するようであっては困るということで、金融機関に対しても中小企業に対する貸し付けを相当積極的に指示しておるわけでございます。なお、それだけでなくて、地方銀行が、今まで制度の上で禁止せられておりまして、中小企業に対する固定資産の取得のために貸し出したものを長期的な貸し付けとすることができませんので、三ヵ月、二ヵ月の短期で切りかえておったということで、非常に中小企業の資金コストも上がったりして非常に困っておるものに対しましては、事実に徴して、かかるものに対しては長期に切りかえてよろしいという、いままでとしては相当思い切った措置も選挙中を通じてやっておるわけでございます。でありますから、中小企業に対しては、少なくともいままでのおくれを取り戻すように、開放体制に対して十分対応できるようにという基本的な姿勢をとっておりますので、私、実際におきましても、中小企業に主としてしわが寄るというようなことは絶対に避けて、大企業、基礎産業の生産の積極化によって国際収支が悪化したり物価が上がったりしないような目標を置いて、施策を行なっておるわけであります。
#109
○野溝勝君 実は大臣ともう少し質疑をしたいと思うのですが、時間が非常に制約されておりますが、今特別国会ではあなたとの質疑はこの機会だけだと思うのです。ですから、私はあと要点だけをお聞きしますから、お答えも率直に要点だけにお答え願いたいと思います。
 年末金融の問題につきましては、あらましの話を聞きましたが、あとで銀行局長からゆっくり聞きます。年末金融と関連があるのですが、預金準備率の引き上げ、いわば、引き締めの動きも関係がありますからお聞きしたいのですが、特に私心配なのは、大臣、来年は開放経済の時期なんでございますが、政府はあまり開放経済のことばにとらわれ過ぎはしないですかね。というのは、実際日本の国際収支の事情から見て、体質の脆弱なだけに、不安でならぬのです。たびたびの機会に総理並びに大臣にも私は申し上げておきましたが、貿易の自由化にしろ、あるいはガットの問題にしろ、あるいは八条国移行の問題にしろ、開放済経の前提条件としてであろうが、一歩誤ると国際収支に大きな穴が起こりはせぬかということを私は強調し、その老婆心から政府に反省を促してきた。ずいぶん心配をして、大臣にも申し上げておいたわけであります。この点は大臣御承知だと思うのですね。ところが、今日この状態はどうでございますか。貿易の関係にしても、貿易外収入にいたしましても、それは総合収支では何とかかんとか理屈をこねくり回してきました。私は日本の健全経済は貿易の輸出入のバランスが正常にいかなければならぬと思うのです。これはどこの経済でも同じだと思うのです。ところが本年度輸入において五億ドルも超過しようという、政府の見通しでは五十二億ドルよりも五十七億ドルにならんとする、こういう状態。片方、ストックはたくさんある。さらに生産の原料はどんどん輸入する。ばく大な資金を流す。どうするのですか。これじゃ私は不安でならぬのでございます。
 だから、こういう点をしっかり考えてもらわぬと、昨晩の新聞記者のラジオ懇談会じゃございませんが、日銀が財政の緊縮を特に政府に要望するなんということは珍しいことだと私は思うのです。さもなければ、金融だけをどう引き締めたところで、財政のほうで放漫にやられたんでは、とても日本の経済はもたぬのです。ところが、きょうの新聞を見て私は残念に思った。またガソリン税を引き上げる。道路、港湾、あるいは住宅等の施設はよろしいが、それに対して膨大な予算をまた組む。そうすると、あなたの考えておるような三兆三千幾らという予算ではできないことになる。また膨大な補正予算が提出されると見ている。一般予算は中くらいにしておいて、補正予算でぐっと出す、こういうような腹じゃないかと、いままでもそうだったから私は思うのです。まさに財政と金融の調整が伴わないようなやり方をしたんでは、日本金融財政はとんでもないことになると思うのです。この点は真剣に考えてもらわなければならぬのです。この点は総理にも、本委員会あるいは機会を見て私は真剣に申し入れるつもりです。重大な時期に来ていると思うのです。大衆投資家の不安、証券界はどうです。金融界だって、預金があるぞと大臣は言われますけれども、あれは含み預金ですよ。そういう点から見ると並みたいていじゃないのです。この時期は日本経済の大きな危機だと思っております。一つどこかの銀行でパニックが起こったらどうするかです。いま証券界でも地方の小さいものにはパニックが起こっております。例をあげろといえば言いますけれども、金融上に影響があるから、きょうは控えておく。そうした事情を、大臣、真剣に考え、特に大臣は虚心たんかいにものを言う法だし、また主張もする方だ。その点では、与野党を通じまして、あなたに対しては期待と好感を持っていると思うのです。正直でよい大臣だということ、あけすけに言うよい大臣だという、こういう期待を持っているだけに、ひとつあなたは単なる自民党の大臣としてでなくて、この情勢分析を誤らないように、十分財政を金融との調和を完全にはかつて施策をとるように、私は強く要望しておくものであります。この点に対するあなたの最後の見解をお聞きしまして、私のきょうの質問はこれで終わりたいと思います。
#110
○国務大臣(田中角榮君) お話にございましたように、開放経済に向かうのでございますから、戦後四回目の国際危機を招いてはならないということは、戦後の三回の問題に対する比重のようなものではないわけでありますので、財政の責任者としては特に戒心をいたしております。昭和三十九年度の予算編成につきましても、財政金融はまさに一体という原則を貫き、しかもいやしくも財政によって景気を刺激したりするようなことは断じてあってはならないという考え方であります。でありますから、財政及び財政投融資等につきましても、健全均衡の線はあくまでも守るという考え方を基本にいたしておるわけであります。そのような基本的な姿勢に立ちながら、現象化を露呈してから手を打つというようなことではなりませんので、ただいまからもうすでに預金準備率の引き上げというような措置を行なったわけでありますが、このような事態を十分直視しながら誤りなき財政金融政策を立てて対処してまいるという考え方でおります。
#111
○野溝勝君 これは答弁はなくてよろしいのですが、大臣御承知のとおり、今度のジョンソン大統領も外駐している軍の引き揚げをやろうという方向を示しておりますが、これは相当日本財政に響きます。三億何千万ドルの特需というものがありますが、これなども国際収支にどんどんと響いてくるのですから、そういう点も見通しを立ってびくともしない態度をとっていただかないと困りますよ。
#112
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#113
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。
#114
○佐野芳雄君 それでは、局長にこの際お考えを聞いておきたいと思うのですが、大臣に実はお尋ねしたいことがあったんですが、それはこの際お預けにいたします。
 そこで、いま野溝さんのお話の中で、大臣は年末金融については心配はないのだ、預金が伸びているから銀行もそんなに窓口は苦しくないのだというようなお話でした。確かに預金の残高はふえてきているのですが、しかし、いま大蔵省がいろいろ御苦労願っているように、あるいは銀行でも自粛すると言っておりますけれども、いまなお歩積み、両建てがなかなか改善されない。この歩積み、両建てを実際に預金残高に計算いたしますと二割ないし三割は減るわけなんです。そういうような事情ですから、年末の金融引き締め、窓口規制等によって、だんだん年の瀬が迫ってくるとともに中小企業の金融難はきびしくなってきていると思うのです。特に具体的にあらわれている例は、コールレートがすでに三銭になってきている。このことは、長い間続けてきた正常なレートがくずれてきている。この点については一体大蔵省はどういうふうにお考えになりますか。特に銀行局長に伺いたい。
#115
○政府委員(高橋俊英君) 年末の金融対策といたしましては、やはり政府機関の資金状況もさることながら、民間の資金供給がやはり非常に大きなウエートを持っているということ、これらにつきまして大臣からも説明があったかと思いますが、本年度の場合は、年末金融につきまして民間の金融機関もかなり積極的といいますか、協力的でありまして、昨年の全国銀行、相互銀行、信用金庫、これらを合わせました年末の中小企業向け貸し出しの実績は四千三百億円程度でございましたが、今年度の場合、これに対して六千六百億円の、一応貸し出し増の予定をいたしております。この増加割合はかなり高く、いまの情勢から判断します限り、年末を迎えまして特別の混乱を来たすようなおそれは非常に少ないのではないかと思います。準備預金率の引き上げを行ないましたが、これは実際にその積み増しをするのは来年の一月に入ってからということでございまして、これは平残ベースの所要量を確保すればよろしいのでございます。ですから、年末金融には格別の影響を与えないであろうと、われわれも、また日本銀行もそういうように見ておるわけでございます。全体としての金融情勢としては、まあ言ってみれば、明らかに行き過ぎの傾向があらわれております。その辺先ほど御質問にございました国際収支不安、物価の問題、そういうことも、やはりそういうことの裏に財政もあるかもしれませんが、金融面の、銀行の貸し出しの貸し進みがやはり一つの生産の急上昇をささえる原因になっておるということでございますので、どうしても全体としては引き締めの方向に行かなければなりませんけれども、さしあたり年末の金融だけをとらえてみますれば、中小企業関係につきましては、あまり特別の心配はないのじゃないかというふうに考えております。
#116
○佐野芳雄君 こまかい質問はやめますが、お考えを聞きたいのは、約一年近くもコールレートは安定してきておったのでありますが、年末にコール市場が多忙になるのは、いつの場合にもあり得ることですけれども、少なくとも一年間は安定してきておる。それが、年末だからという理由にならないと思うのですが、最近また非常な高騰を続けてきておる。これについて大蔵省はどうお考えですか。
#117
○政府委員(高橋俊英君) やはりその資金需要の全体が、大企業といわず中小といわず、供給を上回っておるというような情勢が続いております。この一年間ばかり、お説のように、いわゆる金融正常化政策というのを進めてまいります過程におきましては、コールレートをなるべく高くしない、安定させる、できるだけ低いほうがいい、それは金融全体の構造からいいまして、そうあるのが望ましいのでありますが、そういった政策をとってまいりましたところ、ほかの面でいろいろと不都合な、不安の状態が生まれてきた。そういうことから引き締めの体制がとられた。そうなりますと、銀行筋では、特に都市銀行等におきましては、これから先は、どうしても引き締めになれば金詰まりにならざるを得ない、ある程度の金詰まりにならなければ、引き締めにならないわけでありますから、そういうことを見越しますと、コール等に対する取り手の需要が強気になり、出し手の側がまた強気になる、そういうことからレートがどんどん反騰に転ずるのでございますが、これはどうも必要悪といいますか、やむを得ない。そういうコールレートが高くなりますと、都市銀行も自分の貸し出しを、三年も長く大企業に貸すというような態度をとれなくなる。公定歩合こそ据え置かれておりましても、何しろ七千億に及ぶところの外部負債を抱えておる。日銀貸し出し以外に大きな借り入れをしております。その中の主要部分がコールなどでございますが、そういうもののレートがある程度上がってくるということは、引き締めの反映ともいえることでございまして、先を見越して、すでに上がる傾向があらわれてしまっておる、こういうふうに見ておるわけでございまして、コールを特にここで押えるという措置をするということは非常に困難でもありますし、場合によっては適当でない、コールの上がることによって大企業向けの貸し出しが押えられるというふうな傾向もございますので、取り立てて人為的な政策をとらないほうがいうのじゃないかというふうに考えるわけであります。
#118
○佐野芳雄君 局長にそういう説明を長々と聞いているのじゃないのです。おっしゃるような資金上窮屈になってくるということは、中小企業のほうに金融難が起こってくるという事実が生まれてくるのじゃないか、こういうことを心配しておるということを申し上げておるのであって、その点については先ほど大臣が適切な措置をとるということを言われたので、期待したいと思いますが、非常にきびしい条件が生まれてきておる、そういうことからコールレートが高くなってくるのじゃないか、その点を十分お含み置きを願いたいのであります。そうして大臣が言われたように、あくまでも中小企業への金融に悪い条件がかぶさってはいけないので、最善の努力をしてもらいたいと思います。
 そうして、この機会に一つだけ注文しておきたいのですが、最近すでにいろいろいわれておりますいわゆる歩積み、両建ての規制の問題です。これは本委員会におきましてもすでに取り上げておりまするし、またがって大蔵省の銀行局のほうでは抜き打ち検査をやったことがあるようでありますが、その後一向に改善されていない。できるだけ早くもう一度抜き打ち検査をして、その実態を本委員会に報告する用意があるかどうか、その点、聞いておきたい。
#119
○政府委員(高橋俊英君) その歩積み、両建て、これは拘束預金ということになりますが、その行き過ぎを是正していくということにつきまして、私どもは今日まで最善の努力を尽くしてきております。すでに相互銀行には一般の……。
#120
○佐野芳雄君 答えは簡単でよろしい。一般検査をやる意思があるのかないのかを聞いている。
#121
○政府委員(高橋俊英君) 必要に応じまして検査をいたしますが、ただ、ああいう特殊な検査というものにはばく大なエネルギーを要します。何しろ貸し出しの件数があまりに多過ぎる。したがって、両建て預金の何といいますか、形態、内容というものはたいへんな量でございますので、サンプル調査にすぎませんが、サンプル調査をすることはときどき必要に応じてするつもりでございます。ただ、それだけでは足りない、全体としての拘束預金を減らす措置を考えていきたいと思います。
#122
○佐野芳雄君 局長からそういう説明を聞かなくても、議論すれば私どもでわかるものがあるので、次の機会に譲って、もう一ぺんあなたとじっくり議論をしたいと思います。質問を終わります。
#123
○野溝勝君 具体的な問題でございますが、大体いまもお話ありましたように、年末だけでなくて、中小企業の倒産が多いのです。この件数は大体おわかりだと思いますが、どのくらいあると思いますか。
#124
○政府委員(高橋俊英君) ここでは倒産といいますか、手形交換の不渡りを出した件数を申し上げたいと思いますが、最近のところでは、大体十月、十一月いずれも、枚数にいたしまして、交換高の全体の枚数が大体八百八十万枚ぐらい、そのうちに八万一千枚ぐらいが不渡りの届け出数になっております。
#125
○野溝勝君 前年と比較してどうなんですか、どのくらい不渡りが多くなっておりますか。
#126
○政府委員(高橋俊英君) 前年の場合も十月には八万二千五百九十枚、十一月は七万枚余りでございます。月によって多少上下はございますが、傾向的には大体似た、若干全体の枚数がふえたに応じてふえておるという程度でございます。
#127
○野溝勝君 これは私の調べた統計ですから、もっと資料を集めてもう一回お聞きしたいと思いますが、私の聞いたところでは、十万を突破しておるということを聞いておるのです。しかし、私の調査がまだ不十分でありますならば、あえてあなた方のいまの数字を認めることになるわけでありますが、私も責任ある資料と思っているが、この相違に対しては一回再調査したいと思います。
 そこで、特に今度の不渡りの特徴は、いわゆる中小企業でも上部の面が比較的多いのです、不渡りが。たとえば富士ホーニングをはじめ相当有力メーカーに多いわけです。それだけ金融事情というものが、中小企業といいましても、零細企業はもちろんでございますが、上部のほうへ発展してきているのです。この倒産の理由を聞きますると、大体富士ホーニングを例にあげますと、富士ホーニングは日綿が親会社であったようでありますが、この日綿の親会社が大事なところへいって手形の裏づけを拒否するというようなことがこういう原因になっておる。さらに大同製鋼などにおきましても、子会社がつぶれております。多くは大事なところで親会社が拒否のため不渡りを出し倒産している。これらは親会社が当初においては子会社に対しあるいは関係会社に対しまして、盛んに親会社の指示する生産をしいておいて、どたんばへ来てこういう手を打たれるのです。親会社の責任だと思うのです。そういう点、特に金融機関の衝に当たられておる銀行局は、巨大メーカーに対してもう一年なら一年ないしは半年なら半年ぐらいの期間をおいて、子会社の設備改善前に連絡協議すべきである。もし迷惑かけた場合の責任は親会社が負うべきである。それを手形の裏づけができぬとかというようなことをいって拒否するがごときは罪悪である。これは不親切だと思うのですね。そういう見通しを完全にやってこそ健全な産業といえるのです。どうも親会社の思惑だけで、まだよいんじゃないかしらというのがはずれて悪くなると、どたんばへ行ってばんとやられるというのは、こういうことでは中小企業なり下請業者はやっていけない。これに対して銀行当局は単に金融をしてやるというだけでなくて、そういう注意も与えておく必要があると思うのですが、この点はどうですか。中小企業局あたりとも連絡をとって十分やっていただきたいと思うのです。この点のお考えはどうですか。
#128
○政府委員(高橋俊英君) いまのお話のようにできるだけ努めたいと考えます。ただ、いろいろ不渡りを出すに至るまでの過程というものがいろいろ複雑な事情がございまして、銀行取引も必ずしも一様でございません。数行から取引している場合もございます。それから、銀行が非常に丹念に状況を調査をしていればよろしいのでございますけれども、思わざる穴があいておったということがあとからわかったというふうな、金を借りるときに非常に赤字が累積しておるということを正直に出すと信用が得られませんので、企業側としてもできるだけそれを隠そうとする。銀行もその内容の本体をあるいはつかみ切っておらぬということがございます。そのあとからだんだん資金繰りを見て、おかしいということになる。これをふたをあけてみたらたいへんな赤字で救いようがないということで、結局不渡りの処分をせざるを得なかったというふうに聞いております。結局まあできるならば内容をよく把握させるようにし、また銀行としても企業の内容をよく把握しておれば、十分前から警告を与えておくことが必要だと思いますが、案外そうではなくて、まぎわにおいて、中には今まで持ってきた資料と非常に違っておるというケースが多いものですから、急速に不渡り処分がされてしまったということが多いだろうと思います。なるべくそうでないように銀行としては企業の内容をもっとほんとうのところを把握し、したがって、悪化の傾向があるときには前々から警告を与えた上で不渡りの処分をするということが適切であるということは申すまでもございませんので、できるだけそのように指導していきたいと思います。
#129
○野溝勝君 いま局長が、これは金融当局としては必要なことだと言えば言えるのでありますが、そこまで行政は親心を出さなければいかぬと思うのです。局長が努めて善処するということを言いますから、そういうことを善処して、なるべく危険負担を少なくするように努力してもらいたいと思います。
 それから、不渡りに対するいろいろな事情があると言われますが、確かにそのとおりです。だから、大同製鋼の下請の会社の不渡りの問題、あるいは富士ホーニングの日綿親会社に対するいろいろの問題、不渡りの問題等について、詳細な私は資料を持っておりますけれども、きょうはそれは省略さしていただきますが、いつかの機会にそれは質問したいと思います。
 次に、私の申し上げたいのは、いま同僚委員から歩積みの問題を徹底しろとか、あるいはコールの問題を処理しろとかという話がございました。私はそれはそのとおりだと思います。けれども、あの歩積みの問題を解消せよと主張したのは不肖私でございます。もう十年前から戦ってきている。金利でもうけたり、そのほかに歩積みで個人資金を押えたり、二重にも三重にも金融機関が利益を取るということは、企業が成り立たないと思う。その問題は、十年間主張してきました。このことは記録がある。ところが、それを今まで処置しなかったところが、高橋君が局長になってから、とにかく少しでもやったよ。その点は私は高橋君は大衆的に関心を持っている行政家と思っている。私自身は、その点では他の委員諸君にも公言しておきたいのです。あなたがよく手をつけてくれた。しかし、あれではまだ足りない、こう思うのです。だから、もう一段と努力を願いたい、こういうわけなんです。
 それから、コールの問題などについても、確かにいろいろ事情もありますが、しかし、これから国際競争をやっていこうというのには、金融原則をはずれた動向は改めるようにすべきであるのです。どこの国際市場といいますか、金融市場でもあります。であるから、まねなければならぬということはないと思うのです。十分ひとつここら辺も配慮を願いたいと思っております。
 まあいろいろお聞きしたいことがございますが、銀行局長には年末金融の措置誤らざるように、この際は当面の問題としてお願いしておきます。さらに、あなたは、金融当局としては、大蔵省の主計、主税、あるいはその他財政方面の当局の方々と折衝する場合があるのでございますが、その際には、金融と財政の調整ということに対して極力ひとつ、予算の点についても、先ほど大臣にも申し上げましたとおり、特に中堅当局でございますから、誤りなきを期していただきたいと思います。
 銀行局長に対する質問はこの程度にし、私は最後にここで、議題外ではございますが、一言申し上げておきたいことがあるのです。それは主計局長が来られるとよかったのでございますが、地方税に対しまして、これもやはり金融財政ですから関連はありますから、減税をするのはまことにけっこうです。住民税の減税、ガス、電気、たいへんけっこうでございます。しかし、地方の財源がそれによって三百億近くも減るのでございますから、その場合に対する財源をどうするかということを、私は政治というものは考えなければならぬと思うのです。きょうは主計局長も大臣もおりませんので、主計官にその点をこまかく聞くのは無理でございますが、これはあなたから質問で答弁を得ようとは思いません。しかし、財源の問題を何とか心配してやらなくちゃならない。私は戦後の内閣の地方財政大臣ではございましたが、地方財政法を制定しました。その際には、中央の行政の委任事務及び中央官庁の事情によりまして施策をやる場合におきまして、地方の財政に影響するようなことは、これは中央で負担するということをきめたわけなんです。ところが、それがその後行なわれておらない。これじゃ地方財政は運営できません。減税することばけっこうだと思うのです。大賛成なんです。けれども、地方の財源というものも考えてやらなきゃならぬので、こういう点に対して大問題になっております。地方行政委員会などでも、全国の市町村長からも猛運動が来ています。だから、私のときにはそういうことを制度化しているのです。あなた方は自民党に持っていって正式に申し込んだらいいじゃないか、わが党のほうは私の立案したとおり一貫しています、自民党が実行しないからだ、皮肉のようでございますと言ってやりました。そのとおりでございます。委員長、財政法を見てごらんなさい。だから、そういう点を、主計官、議題外のようではございますが、金融財政と関連がありますので、特にあなたを通しまして、大臣やそれから主計局長に申し入れておいて反省していただきたい。
#130
○説明員(松川道哉君) せっかくの御意見の開陳でございますので、私の職分をいささか越えるかと存じますが、私どもの考え方をちょっと御披露さしていただきたいと思います。
 国、地方を通じまして税金の負担をなるべく軽くしていきたいという要望が、国民、地方住民の側にあることは、私どもよく承知いたしております。また、他方、国の行政水準も、地方の行政水準も上げていきたいという要望が、同じように国民、地方住民の間にあることも、よく承知いたしております。で、減税をいたします際にも、行政水準を上げようという要望と、租税負担を軽くしようという要望とを、どう調和させるかということが問題でございます。この点につきましては、国のみならず、地方のほうも、県の段階、市町村の段階、それぞれに同じように常に配慮していかなければならない問題であろうと思います。ただいま御指摘のように、三十九年度において相当額の減税がただいま検討されておりますが、私ども、この結果、地方財政の運営に支障を来たすようなことがあってはならないと、そのように考えまして、地方の財源が減税後においてもどのくらい伸びるであろうか、地方の行政がどのくらい伸びるであろうか、この中にはただいま野溝委員御指摘の国からの補助金その他によってふえます分も入れまして、どの程度ふえるか、それを彼此勘案しながら、国としてどのような措置をとるべきか、この点慎重に検討いたしておる最中でございます。
 なお、本日の野溝委員の御意見は、帰りまして、局長、大臣にもお伝えいたしたいと存じます。
#131
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、年末金融等に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきたいと存じます。
 次面の委員会は、十二月十六日(月曜日)午後一時から開会いたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後零時五十四分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト