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1963/12/13 第45回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第045回国会 内閣委員会 第2号
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1963/12/13 第45回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第045回国会 内閣委員会 第2号

#1
第045回国会 内閣委員会 第2号
昭和三十八年十二月十三日(金曜日)
   午前十時五十六分開議
 出席委員
   委員長 綱島 正興君
   理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君
   理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君
   理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君
   理事 田口 誠治君 理事 山内  広君
     稻村左近四郎君    小笠 公韶君
      塚田  徹君    坪川 信三君
      藤尾 正行君    湊  徹郎君
      渡辺 栄一君    久保田鶴松君
      中村 高一君    永井勝次郎君
      受田 新吉君    山下 榮二君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 大橋 武夫君
 出席政府委員
        人事院総裁   佐藤 達夫君
        人事院事務官
        (給与局長)  瀧本 忠男君
        総理府事務官
        (内閣総理大臣
        官房公務員
        制度調査室長) 岡田 勝二君
        大蔵事務官
        (主計局給与課
        長)      平井 廸郎君
 委員外の出席者
        専  門  員 加藤 重喜君
    ―――――――――――――
十二月十三日
 委員受田新吉君辞任につき、その補欠として西
 村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
 委員西村榮一君辞任につき、その補欠として受
 田新吉君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出第一号)
 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第二号)
 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出第五号)
     ――――◇―――――
#2
○綱島委員長 これより会議を開きます。
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、この三法案を議題といたしまして、質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますから、これを許します。田口委員。
#3
○田口(誠)委員 公務員の給与の問題に対しては、政府はしばしば本会議等で人事院の勧告を尊重して云々という、こういう表現で趣旨弁明をされておりますが、実際に入ってみますると、一昨日提案された内容を見ましても、そのとおりでございますが、ここ四カ年間引き続いて、人事院の勧告を尊重すると言いながらも、尊重していない提案をされておるというのが実態でございます。したがって、私は、きょうは具体的なことについてはあまり質問に入らずにおきたいと思いまするが、基本的な問題について、給与大臣に相当突っ込んだ説明を求めたいと思うわけでございます。
 まず第一に、人事院の勧告の問題からいきたいと思いまするが、人事院の勧告の給与額にいたしましても、非常に国家公務員といたしましては不満でございます。しかも、この不満な給与額を、なお五月実施というのを十月実施に今年で四カ年引き続いて延ばしておるというのが実態でありますので、政府としてはどうしてこういうような処置をとらなければならないのか、この点をまず明確に最初にお伺いをいたしたいと思います。
#4
○大橋国務大臣 田口先生の御質問にお答えいたします前に、一言ごあいさつを申し上げさしていただきます。
 このたび第三次池田内閣におきまして、引き続き労働大臣の職を汚しますとともに、公務員制度に関する事務を担当いたすことと相なりました。皆さまには従来から格別御指導をいただいておるのでございまするが、まことに不敏ではございまするが、誠意と熱意を持って事に当たりたいと存じまするので、相変わらず御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
 ただいま田口委員の御質問でございましたが、御承知のように、一般職の国家公務員につきまして人事院の勧告を実施いたします場合は、必ずこれと並行いたしまして、特別職の国家公務員やまた地方公務員の給与につきましても、これに準じた改善がなされることが例となっておるのでございますので、したがって、実施の時期を五月一日といたしまするというと、国、地方を通じまして今年度内一千億をこえる巨額の経費を必要といたす計算でございます。現在の財政事情のもとにおきましては不可能であるという結論に相なったのでございます。したがって、政府といたしましては、このような財政上の困難と、当面必要といたしまする他の重要施策との関係を総合勘案いたしました上、本年の勧告による給与改定の実施時期は、これを十月一日にするという決定をいたした次第でございます。
#5
○田口(誠)委員 ただいまの回答からいきますると、人事院の勧告の五月一日実施を十月一日実施にするという提案をしたということは、すなわち原資の問題にあるという御答弁でございまするが、毎年五月実施を十月実施ということになりますると、ここで考えてもらわなくてはなりませんことは、今年六・七%という引き上げを行ないましても、これを一年にならしますると、その六〇%程度になるわけでございまして、結局四%ぐらいしか上昇しないという、収入面ではそういう実態になるわけなんです。したがって、現在のように物価が上昇をし、また民間給与との格差を是正するというこの精神から、人事院が勧告をした、この勧告の精神によりましても、当然五月から実施をして、そうして格差を是正するというこの線までは、政府としても取り上げてもらわなくてはならないと思うのです。それを十月実施ということになりますると、収入面では四%ぐらいしか上がらないということになりまするので、こういうようなからみ合わせの点について、労働大臣はどういうようにお考えになるか、この点もお伺いいたしたいと思います。
#6
○大橋国務大臣 御趣旨は、まことにそのとおりと存じております。政府といたしましても、国家公務員法の趣旨に従いまして、人事院の勧告を実施するにあたりましては、当然五月一日実施という勧告であります以上は、これをそのとおり忠実に実行することが必要であると考えておるのでございます。
 今回の決定にあたりましても、さような考えをもちまして極力努力をいたしたのでございますが、先ほど申し上げましたような事情で、かような結果になりましたことにつきましては、まことに遺憾であると考えております。しかし、これはこういうたてまえでよろしい、また今後とも実施時期についてはこういう例を引き続き行なうというようなことでは決してございませんので、将来はできるだけ人事院勧告をそのとおり実施するように一そうの努力をいたしたいと考えます。
#7
○田口(誠)委員 これは大蔵省の関係でないとお答えしにくいかもわかりませんけれども、私は、実際に原資が足らないから、十月実施でなければできないのだというこの理由を、もう少し詳細に承りたいと思う。それで、私どもは、当然毎年人事院のほうから勧告があるのでございまして、その勧告の内容は五月実施ということになっており、当然五月実施ということは、これはもう年中行事のように勧告されておるんだから、したがって、そういうようなことも頭の中に入れて年間の予算というものが組まれなければならないと思うのですが、ただ提案される時期になりまして、予算がないから、それでやむを得ないから十月実施にしたんだということだけでは、これはなかなか今年あたりはおさまりがつきません。おさまりのつかないという理由は、四年間もこの五月実施が十月実施に延ばされておるということと、そうして特に今年は物価の上昇によって労働者の実質賃金が下回ってきておるという点から、何といっても五月実施にしてもらわなければならない、六・七%の上昇は完全に獲得しなければならないという最低の線があるわけなんです。したがって、御案内のとおり、国家公務員のほうでは、現在の給与そのものが非常に低いので、それで五千円の一律アップということを要求して、いま戦いを進めておるさなかでございまして、そういうさなかにおいて、わずか六・七%のベースアップをするのを、なお五月実施を十月実施に値切るということは、今年としてはどうしてもおさまりがつかないと思いまするので、もう少し具体的に、どうしてもこういうような理由からできないのだという、納得のいけるような御答弁をいただきたいと思います。
#8
○大橋国務大臣 先ほど申し上げましたるごとく、今年度の財政全体を検討いたしましたところ、各般の重要施策に相当な財源を必要とする事情もございまするので、中央、地方を通じて一千億をこえまするベースアップのための財源措置が事実上至難であるというのが、今回の事情でございます。
#9
○田口(誠)委員 抽象的な回答で、ちょっと私の受けようとする回答には合っておりませんが、大蔵大臣でなければ数字的にいろいろ説明がしていただけぬかもわかりませんけれども、いずれにいたしましても、これは、給与大臣としておそらくこれではいけないというようにお考えになっておられると思いまするが、現在、国家公務員の場合、初級、中級、上級の国家試験を受けた人たちが民間の企業へ引き抜きをされておるというのが実態であるわけです。私、昭和三十三年からのを一応調べてまいりましたが、上級試験の場合には、昭和三十三年には千七百五十一名合格をしておる中で、採用者数というのは七百六十一名です。それから三十四年は千五百九十六名のうちで七百十六名の採用数、それから三十五年には千三百七十人の合格者の中で六百五十六名の採用数、三十六年度は千五百三十名の合格数の中で八百二十七名、三十七年度は千五百三十三名で八百二十三名というように、数字的にいきましても、非常に合格数と採用数というのが相違があるわけなんで、約半数でございます。これはどういう理由かと申しますれば、公務員の給与があまりにも悪い、公務員の労働条件があまりにも悪いということから、民間企業のほうへ引き抜かれておるというのが実態であるわけです。したがって、私は将来の問題として憂慮しておりますることは、何と申しましても、公務員は国民の善良な奉仕者であって、優秀な人材を集めて、そうしてそれぞれの仕事をしてもらわなければならない重要な役割を持っておられる。この公務員が待遇が悪いということから、民間企業のほうへ優秀な人材がどしどしと引き抜かれていくという実態を私は考えましたときに、将来を非常に憂えるわけなんです。したがって、原資がないとか、どう資金面をひねくってみても十月実施よりできないのだということでは、私は、将来こういう理由では絶対にいけないと思いまするので、善良な国民の奉仕者として重要な役割を果たしていただく公務員諸君の優秀な人材を集める面においても、現在のような考え方に立っていただいては、全く将来が案じられるのであって、したがって、給与大臣としては、こういうような角度からはどういうように将来の展望を立てられておるのか、これも承っておきたいと思います。
#10
○大橋国務大臣 御指摘のように、給与関係の理由によりまして優秀なる人物が民間に転出するという点は、これは一部の官庁におきましては痛感いたしておる点でもございまして、この点につきましては、やはり給与の問題に関係がありまするので、それぞれの官庁から人事院に対して検討を申し入れておる事実もございます。人事院におきましては、これらの問題につきましても絶えず研究をしておられるのでございまするが、また適当な機会に適当な勧告が措置されるということもあるのではないかと思います。しかし、いずれにいたしましても、勧告の実施について御指摘のような中途はんぱな処置しかできずにおるということは、まことに遺憾でございます。今後とも努力いたしまして、将来は人事院の勧告をできるだけそのとおり実施するようにいたさなければならぬと考えます。
#11
○田口(誠)委員 労働大臣も、現在の公務員の採用状況から見て、優秀な人材が労働条件が悪いということから民間企業のほうへ引き抜かれておるという点について憂慮されておることは、答弁の中からくみ取れるわけでございまするが、しかし、そう考えておられても、毎年毎年同じようなことを繰り返しておっては、いつこの問題が解決できるか、この点を私は真剣に考えてみましたときに、何といっても昨年までは三カ年間続いたのでございまして、よく石の上にも三年と言っておりまするが、四年目のことしは、これは何とかかっこうをつけてもらわなくてはならないと思うのです。したがって、予算上の数字の面についてのこまかい検討は、ただいまの大臣との質疑応答の中では具体的にできないといたしましても、万が一昭和三十八年度の予算の中において補正をするということができないとすれば、これは昭和三十九年の予算の中へ予算化をして、それから昭和三十九年の四月から遡及精算という便法もこれはあり得るわけなんです。こういうことは外国ではなされておる国もあるわけなんですから、やはりほんとうに現在の国家公務員あるいは地方公務員の給与が低いのだ、そうして労働条件が悪い、労働条件が悪いということから優秀な人材を得ることができないのだということを真剣にお考えになれば、ただいま申しましたようなことも考えていただかなければならないと思うので、私は、そういうことも含めて、今年の十月実施を五月実施ということに修正をすることができないかどうか、この点をもう少し突っ込んでお聞きをいたしたいと思うのです。
#12
○大橋国務大臣 来年度予算につきましては、この年末中に編成を終わりたいということで、ただいまそれぞれ準備をいたしておるところでございます。先ほど申し上げましたごとく、今年度の補正予算においては五月実施の措置が不可能であるという結論になっております。
 明年度そういう遡及実施のための予算をとってはどうかという点でございまするが、政府といたしましては、ただいまのところでは、やはり来年度の予算編成の考え方として、そのような考えをただいまの段階では持っておりませんということを申し上げておきます。
#13
○田口(誠)委員 それでは、とにかく公務員の給与が低いということはおわかりになっておられるし、それから労働条件が悪いということから優秀な人材を得ることができないということも、これも十分に御認識をいただいておるところであるし、そこで、人事院の勧告をしたものをなお値切って提案をしなければならないというような事情に実際にあるとするなれば、それでは来年度の予算の中で考えて、そうして五月から実施をするという決定をして、資金の面についてはその後遡及精算ということもでき得るのだから、ほんとうに真剣にこの点をお考えになれば、ただいまのところではそういうことは考えておらぬけれども、やはりそういうように努力するというような、こういう御回答があってしかるべきだと思うのですけれども、そうでなしに、ただそういうことは考えておりませんだけでは、御心配になっておることが、真剣にそのことを心配されて給与大臣としてまじめに取り組まれておるかという、その誠意を疑うわけなんです。したがって、この点についてもう一度ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#14
○大橋国務大臣 私の立場といたしまして、御説のような御提案につきまして、今後十分検討はもちろんいたしたいと思います。
#15
○田口(誠)委員 人事院の総裁がお見えになりましたので、総裁のほうへ伺いたいと思いますが、一昨日提案された公務員の給与の問題につきましては、人事院の勧告を下回る提案がされておるわけなんです。それで、その点についていままで給与大臣と質疑をいたしておるわけですが、原資の関係からどうしても十月実施をするより方法がないのだというお答えが終始続いておるわけなんです。したがって、人事院としてのお考えを承りたいと思いますることは、五月実施という勧告を出していただいておるにもかかわらず、十月実施という提案をされたことは、本年で四年続いておるわけなんです。したがって、五月実施を十月実施に五カ月ずらすことにおきまして、人事院が今年勧告いたしました六・七%のベースアップも、これは公務員の年間の収入面からいきますると、四%ぐらいの上昇にしかならないということなんです。したがって、非常に労働条件が悪いということから、ただいまも国家公務員の上級試験を受けられた受験数と、そして合格数と、それから実際に採用された数を比較して申し上げたのですが、年々その数が下がっておりまするし、国家公務員の上級試験なり中級試験なり初級試験を受けて、そして試験が受かったにもかかわらず、民間企業のほうに労働条件がいいということから引き抜かれておるために、半数くらいしか公務員のほうの採用率になっておらないわけなんです。こういう点を考えてみますると、将来の人材を得るという点につきましても、非常に憂慮される面がございますし、そして毎年五月実施を勧告していただいても十月実施ということになりますれば、これは全く人事院のお考え方も、非常に遺憾な内容になっておると思うのですが、今日までの経過と、それから将来もこのままでいきますると同じようなことが続くと思いますので、こういう悪循環を断ち切るために、丹来どういうような構想を持っておられるのか、それと、今度提案されておる政府案に対して、人事院の総裁としてどういうように遺憾の意を持っておられるのか、この点を率直にひとつお伺いをいたしたいと思います。
#16
○佐藤(達)政府委員 ただいまお話に出ましたように、われわれ試験のほうの面から見ましても、相当民間のほうに横流れをしておるという事実は数年続いておるわけです。それは、やはりいま御指摘の給与その他の待遇の問題ということが大きな要素になっておる。これは間違いないものと確信しておるわけでありますが、そこで給与の問題につながってまいります。しかし、民間を上回るような給与をきめて、そしてそれらのものを給与面で民間と競争して公務員のほうへ確保しようというような、大それたことはできないことは当然でございますので、せめて民間水準並みの給与だけは保障したいというたてまえで従来やってまいりました。それが、最近では毎年四月現在で官民給与を比較して、ことしの場合は七・五%の格差が出たという以上は、そのときまでにさかのぼって、わがほうの案では五月に遡及ということになっております。五月にさかのぼって、せめて公務員の給与を民間並みに追っつかせないことにはとうてい話にならぬというのが、この勧告の施行期日の五月に定められた理由でありまして、これは理の当然のことで、どなたが見ても御理解いただけることだと思います。したがいまして、われわれとしては、従来これが残念なことに十月に切り下げられてきて、いまお話しのように三回続いて、今度が四回目、それが一種の慣習法的なことになってしまったのでは、われわれの立場としてはたいへんなことだということで、特にことしは、大橋労働大臣もおそらく証言をしてくださると思いますが、少なくともあらゆる努力をしてまいったはずであります。しかし、残念ながら力及ばず、結局原案においてはいま御指摘のような内容の案になってしまった。これはまことに遺憾だと考えておるわけであります。
 そこで、こういうことが将来またずっと続いていいのか。そういうものであってはならない。さらにまた覚悟を新たにしておるわけでありますけれども、さて今度はしからば、何か方式といいますか、やり方の面で、そういうことのないような方法が考えられるのじゃないかという、おそらく最後のおことばではなかったかと思うのであります。これは当面浮かびますことは、勧告の時期の問題、それからさかのぼらせ方の問題ということにだんだん煮詰まってくるのじゃないかと思いますが、これはまたこれとして、われわれのほうでもずっと昨年以来、特に熱心に何か改善の方法はないかということで取り組んでまいっておりますが、なかなかこれは、われわれがいわゆる四月調査としてやっております六千何百の事業所をつかまえて、二十八万人の労働者の給与を克明に調べる、こういう調査の規格を落とさない限りは――規格を落としてしまえば、これはたやすくできるかもしれませんが、規格を落とせば、今度は勧告の権威というものを失うことになります。規格だけは決して落としたくない、従来どおりやはり維持していきたいという、その板ばさみの間においていろいろ考えてみますと、なかなかこれならばという案が出てこないということで、目下そのほうはそのほうとして苦慮しておりますが、何分毎年施行期日が切り下げられておるということだけは、今後も何とかしてわれわれの考える筋のとおりに運ぶようにありたい、そういう念願を持っておるわけでございます。
#17
○田口(誠)委員 公務員は非常に賃金が安い、生活面に困っておるということから、五千円の一律ベースアップを要求しておることは御存じのとおりですし、それから、私はいまそこまでは質問には入らないつもりでございますが、比較対象の取り方においても、指数の取り方においても、私どもは私どもなりにやはり人事院の数字の取り上げ方については不満を持っておるわけなんですが、その不満のある数字の取り方あるいは比較のしかたでもって出されたそのものが、なお値切られておるというこの現実の姿が、四カ年も続いて提案されてきておるということは、これは非常にむずかしい、むずかしいと言っておっても話になりませんので、何とかこれを打開する方法を考えなくてはならぬと思うのです。したがって、抽象的なことでなくして、私は先ほど具体的なものとして、万が一昭和三十八年度の補正予算では予算面で何ともならないということがあったとしても、やはり人事院の勧告は尊重をして、そうして昭和三十九年の予算の中に予算化をして、そして昭和三十九年の四月から五月実施を遡及精算をしてでも、やはり人事院の勧告は尊重しなければならない、こういう主張をいたしたのですけれども、その点については考えておらない、また、いまここで労働大臣のほうからその点について明確に確約することはできないというような態度をとっておられるのですが、私は、この短い期間でこの問題を審議するには、もう少し真剣になってこの打開策を考えてもらわなければならないと思うのです。したがって、人事院の総裁としては、非常に遺憾の意は表されましたが、政府が人事院の勧告どおりに提案をしなかったこの事実に対しては、どのように政府へ人事院の勧告の内容をそのまま実施するように反映の努力をされたか、この点もこの際お伺いをしておきたいと思います。
#18
○佐藤(達)政府委員 これは、われわれは四月の調査に基づきまして、八月までの間全く血のにじむようなあらゆる努力と誠意を傾注して、いかなる形のものが今日の公務員の給与として適切であるかということをやっとつくり出して、自信のある案を、また筋の通った案と思われるものをつくったのでございまして、国家公務員法には、なるほど人事院の権限としてはただ勧告をすることだけであって、勧告の実現について努力をするなどということは書いてございませんけれども、しかし、あれだけ熱意を注ぎ、また誠意を持って、これが正しいとわれわれが責任を持って提案した勧告は、そのままの形で実現すべくあらゆる努力を払うことは、事の責任を感ずる者の当然のことだと思います。したがいまして、私としては、特にまたことしは四回目ということもございますし、できる限りの努力を昨年よりも――率直に申しますと、昨年以上に努力をしたつもりでございます。しかし、その努力をどういう形でやったかというようなことをここで一々申し上げるのは、すでに死児のよわいを数えると同じようなことでもございます。またこの場で申し上げるには適しないと思います。しかし、できるだけの努力はいたしました。その努力を少しでもおくみ取りいただいて、せめて国会では勧告どおりの法律案を仕上げていただきたい、こういうふうにお願いするほかはございません。
#19
○田口(誠)委員 私どもは一昨日も委員長に対して、修正をするように正式に理事会で申し入れはしてございますし、いませっかくその点について各党とも努力をされておるわけなんですが、こういう段階において人事院の総裁として、政府に対して何かの具体的な働きかけをしてもらうことが、私どもの修正をする目的を達成することに大いに役立つと思いますが、現在の段階においてはもう投げやりであるのか、努力中であるのか、その点も明確にしてもらい、ひとつ約束をしてもらいたいと思います。
#20
○佐藤(達)政府委員 おことばを待つまでもなく、まことにこれはあたりまえなことでございまして、投げやりでおるなどということは絶対にあり得ないことであります。なお努力は継続をしておる、これはそうでございます。しかし、今回国会の御審議に入ったわけでありますから、今度はこの場においてさらにひとつお願いをさせていただきたい、こういう気持ちでおるわけであります。
#21
○田口(誠)委員 そこで、労働大臣どうですか。私のほうからどういう角度から質問申し上げても、今年は予算の面から何ともならぬということだけなんですが、これではことしは実際においておさまりません。それは去年もおととしも同じこと、人事院の勧告があり、また給与の提案のある時期には、特に公務員の方からは強い要求と戦いが進められてきておりますけれども、昨日、一昨日あたりの真剣な戦いというか、私どもに努力してくれという要請をしてこられる人たちの態度は、いままでに見られぬ真剣さがある。したがって、私は、今年は何といってもこの要求をどれだけか消化してやる努力をしなければおさまりがつかないというように判断をいたしておるのでございますから、予算がないから十月実施にきめたので、これ以上は何ともならぬのだということでは、これ以上話になりませんので、これをどう解決するために努力をしていただくのか、そういう努力目標というか、大臣としてのここ二、三日の行動の構想を承って、そうして私どももともにそのほうに努力をしていただきたいと思うのですが、どうですか。先ほど御回答のあった以上のことは答弁できませんですか。
#22
○大橋国務大臣 御指摘のように、年年五月一日実施という勧告を十月一日実施にいたしております。それもことしは四年目であるわけでございまして、私もこの勧告を受け取りました当時、公務員制度の担当という自己の立場も考えまして、何とか今年は例年と違った線を出したいというので努力いたしてまいりました。ことにただいま田口先生が御指摘のことでございますが、私に対しましても、公務員の代表の方々からは非常に熱心なお呼びかけがございまして、私もその真剣なお訴えに対しまして、ことしは何としてでも変わった線を出さなければならないということを痛感いたし、それに従って最後まで努力いたしてまいったわけなのであります。しかしながら、結局閣議の決定といたしまして、財源措置の関係上、まことに遺憾であるが、十月一日以降の実施ということはやむを得ないということに相なりました。これは、私も公務員の皆さまに対しましてはまことに相すまぬことでありますし、また私自身といたしましてはきわめて不満に感じておるわけでございます。しかしながら、いろいろ国の重要な施策等の関連もありまして、かように決定いたしたのでございます。ただいま政府の法案を提出いたしておるという立場で、これ以上この内容の変更について私から申し上げますことは困難であると存じます。
#23
○田口(誠)委員 労働大臣にはこれ以上質問申し上げても、困難、困難と言っておられるんだが、しかし、この委員会で困難、困難でやっておっては進まないので、何とか打開の道をつくっていかなければならないと思う。もちろん、私どもが理事会で修正を申し入れてから、自民党の理事さんのほうでも非常に努力されておる事実は見てはおりますけれども、しかし、まだあまり内容的に進んでおらないようでございます。それで、労働大臣の言われるように、気持ち的には努力するという考え方には変わりはないけれども、実際的には予算の面からもうお手上げだ、こういうように受け取れる表現をしていただいた御回答では、私のほうの質問のこれからの進め方も非常に困るわけなんで、なんとかその辺のところを、この二、三日のうちにこの問題とどういうように取り組んでいこうとされるのか、もう少し誠意のあるところを述べていただかなければ、もうこれでお手上げだということでは、これはことしはおさまらないと思う。そういう点から、私しつこくこの点をお伺いしておるわけです。もう少し意のあるところを率直に述べていただきたいと思います。
#24
○大橋国務大臣 国家公務員法の規定によりますと、政府は人事院の勧告を尊重し、これによりまして公務員の給与に関する法案を国会に提出する、国会におきましても人事院の勧告を尊重され、この法案を審議決定されるということでございまして、法律の最終的な御決定は国会の権限でございます。国会の御審議の過程におきまして、国会の御意思を最終的に決定される前に、いろいろ案の内容につきまして改善の努力を続けられるということは当然のことと存じます。また、これは予算に関係する法案でございますので、その内容につきましては、やはり政府の立場というものもあるのでございまして、いずれ最終的にはそういうお話が進行いたしまするならば、政府としても最後的な意思表示をしなければならぬ時期があらためてあろうかと存じます。私自身といたしましては、最終的に法案の決定いたしまするまで、なお許された範囲内におきまして、できるだけ人事院勧告の実現ができまするように努力はいたしたいと思います。しかし、いま政府を代表いたしまして答弁をいたしておりまする際に、政府提案についての修正案につきまして、こうしてはどうかということになりますと、先ほど申し上げましたごとく、政府の現在行なっております決定について御説明を申し上げる以上のことは申し上げにくい状態にあることを御了察賜わりたいと思います。
#25
○田口(誠)委員 労働大臣も私どもの正式な理事会における申し入れに対して努力をするというお考えであるようでございますので、その点に大きな期待をかけていきたいと思います。
 そこで、私は、今日までの実態から、公務員が民間給与との格差是正をしてもらったんだ、してやったんだとはいうものの、事実はされておらないという点から、今回を含めて将来の問題も考えて、総裁にお伺いをいたしたいと思うのですが、過去三カ年間五月実施が十月実施になったことによって、実際に公務員の一年を通じての収入の面からいきますると、これは六〇%ぐらいの引き上げにしかなっておらないということなんです。今年の例を引きますれば、六一七%の引き上げであっても、四%ぐらいの引き上げにしかなっておらない。こういうことになりますると、過去三カ年間というのは、人事院のほうでいろいろな資料あるいは対象事業等で調査をされて、そして格差のパーセンテージを出されて、それに合うところの勧告をされても、事実は、公務員の収入の一年間の実態からいきますると、勧告の六〇%ぐらいしか上がっておらない。四〇%というのはもう三年間貸しがあるということなんです。こういうような実態でございまするので、この人事院の勧告を出される場合にも、こういうことを加味して金額をふやす、率をふやすというようなことはできなかったものかどうかということ、そして将来も、今年五月実施ということになりますれば、来年度勧告のあった場合でも五月実施というのは確保できると思いまするけれども、万が一それがどれだけでもずれたような場合には、年間の収入の面からいきますると、民間の給与との格差の是正にはなっておらないということなんです。だから、格差是正をするのだ、してやったんだといっても、されておらないというのが事実なんですから、そういう点を勘案して、率の上において、金額の上においてお考えになったことがあるのかどうか、将来のものも含めてひとつ御意見をいただきたいと思います。
#26
○佐藤(達)政府委員 人事院の気持ちといたしまして、おことばのような方向へ持っていきたいのは、ほんとうにやまやまの気持ちを持っておると申し上げてよいと思います。ただしかし、たとえば過去三年間に実施期日が切り下げられたための、ことばは適当かどうかしりませんが、いわゆる公務員の受けた損失――勧告から見て損失というものがあるわけです、それを一種の補償のような形でまかなってやる、これはいま申しましたように、そういうことができればと思いますけれども、その場合には、技術的にも過去にさかのぼるということはいろいろたいへんなこともございますが、それともう一つは、やはりこの勧告に対する立法化というのは、そのつど国権の最高機関としての国会がおきめになってしまったということが、憲法のたてまえからしては非常に大きな――これが遺憾ながらということばで表現したらまたおしかりを受けることだろうと思いますが、これは大きな一つの事実として認めざるを得ない、尊重せざるを得ないというようなことがございまして、過去のことについては、いろいろそういう点を考慮いたしますと、思うようにどうもこれは踏み切れないことであるというふうに私は考えております。
 それから、たとえばことしの分はどうだ、ことし現に政府原案で切り下げられておるのではないか、切り下げられた場合にはこれこれの一時金なり何なりでまかなえという一つの補足的な条項を勧告につけるべきであるということも、当然思い浮かぶところでございますが、しかし、これは私どもの立場としては、国家公務員法にありますとおりに、内閣に対しても勧告いたしますけれども、国会に対しても直接勧告を申し上げておるわけであります。したがいまして、私は先ほど、この国会の御審議の段階におきまして、どうぞひとつ勧告どおりの法律ができますようにお願いいたしますと言っておるのは、私どもが国会に対して御提出申し上げたその勧告をひとつ生かしていただきたいという意味で申し上げておるのでありますから、それを早回りして、国会で御査定になるかもしれぬ、この場合にはこうしてくださいなどということは、ちょっとわれわれの立場としては顔も立ちませんというような気持ちがいたします。そういう筋合いでありますから、ひとつここでよろしくお願いしますということを重ねて強調しておきたいと思います。
#27
○田口(誠)委員 人事総裁のほうは、せっかく努力をして出された勧告が曲げられるという点について非常に遺憾の意を表しておられるし、それから国会に対しても政府に対しても勧告しておるのだから、そのように実現されることを強く望んでおられるということは、御答弁の中で明確になりましたし、それからいま審議の過程においても、やはり人事院として努力する面があれば努力するということについてはやぶさかでないということも、先ほどからの御答弁の中にあるわけでございまして、そのお考え方については十分に了承するわけですが、具体的な面についてはあとからまた委員がかわって質問を申し上げますが、ただ私は、今度の勧告の問題に取り組んで、新しく認識をしてびっくりいたしましたことは、一万二千円以下の国家公務員が約六千名もおるというようなことは、私自身が知らなかったわけです。だから、実際に公務員の給与が低いのどうのと、いろいろことばの上ではいままで何回か言っておりますけれども、実情を見ますと、ただいま申しましたように、一万二千円以下の人たちが六千名もおるし、それから昨日来給与袋を私たくさんあそこに持ってきております。三十七才、十四カ年勤続、それで給与がどれだけ、扶養家族がどれだけといって、給与袋をたくさん持ってきておられるが、その内容を見ますると、私は、この給料ではとても東京都内で生活をしていこうとするには無理であるということが明確にわかっておるわけです。それで私は、一々給与袋の内容を御披露申し上げてもよろしゅうございますけれども、これは申し上げなくとも、自信を持って、公務員の人たちが、私どもの給料はこのとおりでございます。もう一度私どもの給料の安いところを認識していただいて、私どもの給料を上げてもらわなければ困るのだ、五千円の一律アップというのは無理からぬ要求であるということを立証づけるために、きのう一日だけでも二千袋の給与袋が私の事務所のところへきておるわけです。私はそのうちの特にこれではえらいと思うのを抜いて、そこへ百四、五十枚持ってきておりまするが、非常に給与は安いです。これは人事院の勧告をやって毎年ベースがどれだけになったと言っておりまするけれども、実際において各省ごとの公務員の給与のバランスもとれておりませんし、それから常識的に考えられない非常に安い人もおるというようなことであるから、私はそういうような点を勘案して、今度の勧告の内容にはちょっと筆の足りない面もあるように考えております。それで、勧告をされるまでに、こういうような実態は十分に御認識の上で勧告をされてあるのかどうかということも、ここで、将来の問題もございまするので、総裁のほうから御回答をいただきたいと思います。
#28
○佐藤(達)政府委員 いま給与の一万何千円という額をおあげになりましたが、それはおそらく本俸をつかまえてのお話かと思いますが、とにかく低い方々がたくさんおられるということは、遺憾ながら現実であります。給与袋のお話がございましたけれども、これは給与袋を拝見すれば同じ感じを持つわけです。ただしかし、先ほどのおことばにもありましたように、しからば基礎的な資料その他の面においてもう少し再考する余地はないかということであったと思いますが、これは年々ここで御審議をいただき、また、私どもは非常にひんぱんに組合の代表の方々とも会って批判を受けてきております。その批判の中にはまことに適切なものもあります。それは徐々に取り入れております。したがって、その意味の配慮は怠っておりません。ただ、大きな原則といたしまして、民間の給与をめどにしております。私どもは、民間を含めての賃金政策を人事院が率先して推進していこうというような大それた立場にはございません。したがって、公務員法の定める趣旨にしたがいまして、せめて民間給与に見合わしていきたいというたてまえを堅持してまいっておるわけであります。したがいまして、そういう大きなワクの中での合理性の増進という意味で努力を続けでおるわけであります。
#29
○田口(誠)委員 私は基本的なことだけで終わりたいと思いますので、この辺で終わりたいと思いまするが、人事院総裁としても、従来勧告の内容が政府の提案として出されてきておらないという点の不満と、今回の場合の不満もあるし、それから審議の過程においていろいろと話し合いをされる面についても協力するということは、明確にここでお答えになっておられるし、それから労働大臣も、最初には資金の面で何ともならないという御答弁でございましたけれども、やはりそれはそれとして、こういう実態を何とか打開をしなければならない、この打開をする努力についてはやぶさかでないということも明確にお答えになっておりますので、したがって、私どもといたしましても、一昨日申し入れをいたしました修正案の実現のために努力をいたしたいと思いますので、どうかそういう点に全面的に努力をしていただくことをここで重ねてお願いを申し上げて、私は基本的な面だけできょうの質問を終わり、他の方から具体的な面について質問をしていただくことにいたしたい。
 これで終わります。
#30
○綱島委員長 受田委員。
#31
○受田委員 大臣時間がないそうですから…………。
#32
○綱島委員長 大臣は十二時十分くらいまでで退席をされる予定でございますので、はなはだ恐縮ですけれども、その御予定で御質問を願います。
#33
○受田委員 今度の当委員会に提案されております三つの給与法案について、総括的に大臣にお尋ねをいたします。
 この一般職、特別職、防衛庁職員の給与法のバランスを前提にして提案されているかどうか、お答えを願いたいのです。
#34
○大橋国務大臣 御質問の趣旨がはっきりしないので、なんでございましたら重ねてお尋ねいただきたいと存じますが、政府といたしましては、これらの法案は、それぞれの職務に従われる公務員の方々の責任、職務、こういうようなものにどれも適切な額であると、かように存じて提案いたしておるわけでございますから、一応バランスはとれておるという考えのもとに提案しておるわけでございます。
#35
○受田委員 特別職の内閣総理大臣が四十万円、一般職の行政職五等級一号俸が一万五百円、こういうことになっておるわけです。この一万五百円で生きる方法としては、住宅はどの程度のところにあり、また食生活――もちろん独立青年の十八歳を基準とした標準生活費は出されておりますが、政府の出された一万五百円の生きるための基礎的な数字、それぞれの衣食住生活を通じての基礎的なものをどこへ置いておられるか、これで生きることができるのかどうか。住まいはどの程度までを認めて一万五百円と出てきたのか、一万五百円であれば結婚ができるのかどうか、こういうことも含めて御答弁願いたい。重ねて、総理大臣の四十万円は何を基礎にしてこの数字が出たか、お答え願います。
#36
○大橋国務大臣 ただいまの御質問の一万五百円というのは、十八歳の中学卒業生の初任給でございます。これは、こまかく何が幾らという計算は別にいたしておりませんが、大体国内の通常の地方における生計費というものは一応考え得るという考えで積算されたものと思っております。
 それから内閣総理大臣の四十万円、これはその職務と責任の重要性にかんがみまして、政府関係機関や、あるいは民間給与とのバランス、及び諸外国の実例などを考慮いたしまして、適当であると考えた次第でございます。
#37
○受田委員 本年までは二十六万円であったのが、一挙に十四万円上がったわけです。急激に上がるような事情がどこにあったか。また、諸外国との比較、他の公社、公団等の責任者の給与あるいは民間の重役、こういったものを比較にしたとおっしゃるが、民間で総理大臣の四十万円、国務大臣の三十万円というものに当たる会社といえば、すばらしく大企業であるわけです。その大企業を比較して総理や国務大臣の給与をきめる。それから低いほうの者は大企業を比較しないで、人事院勧告の三十人とか五十人とかいう低いところを含めたものを基礎にして比較する。比較の対象が違っていますね。比較するのならば、上も下も同じ立場で比較しなければならない。特別職の高給者は、特別のばかげた給与を支給しているごく限られた大企業を対象にして、さらにそれよりも上回る支給をしている。低い給与の者は、ほんの数十人の低いところを含めた民間給与を対象にしてきめておられる。そして高額の人は実にりっぱな官舎を持っている。低額の者は官舎すら与えられないで、住宅難にあえいでおる。したがって、実際生活では、三畳の間を五千円も六千円も出して、俸給の半分を住宅費に払うというような実態である。こういう驚くべき政府の給与政策の矛盾を私は徹底的に突かなければならぬと思います。恵まれざる低給のサラリーマンの生活実態と、雲の上に住むような限られた特権階級の給与とを比較されて、この三つの法案をお出しになったのかどうかを私は非常に懸念しているわけです。少なくとも国民の全体の奉仕者となって国家の公務に従事される立場からは、生活権というものを前提にして、低額所得者である薄給のサラリーマンを十分優遇して、そして位人臣をきわめた方々は、その生活を極度に節減して、ヨーロッパの指導者のような、あの清貧に甘んずる指導的態度をもって国民に臨むというのが、私は政治の姿勢を正す上においても大事なことじゃないかと思うのです。基本的問題として、ここに非常に大きな矛盾がひそんでおると思うのです。総理大臣に四十万円、あなたも三十万円、これで十月からいただけることになる。内心じくじたるものを感じておられるだろうと思う。片や一万円そこそこで国家の公務に精神、肉体を提供して、かつ結婚さえできない。住宅もろくに与えられないで、どうして生きるか、四苦八苦している大衆のこの矛盾をどう考えておられるか、基本問題としてお答え願います。
#38
○大橋国務大臣 先ほど来申し上げましたごとく、一万五百円というのは、十五歳の中学卒業者の初任給でございまして――先ほど十八歳と申しましたのは間違いでございます。十五歳の中学卒業者の初任給でございます。大企業等をも含めまして、まず日本の全般的な初任給の水準としては、常識的に見て大体適当であろう、かように考えるのでございます。
 なお、国務大臣等の俸給につきましては、先ほど来申し上げましたるごとく、その職務と責任等から考え、また諸外国の例、それから民間の給与などから考えましても、特に不当なものとは考えておりません。
#39
○受田委員 あなたの御答弁でたいへん大きな矛盾があるわけです。今回の人事院勧告で、あわせて報告の資料としてお出しになったものの中には、規模五百名以上の会社に従業する人々に対する新卒事務員の初任給は一万八千円となっております。これと、それから七等級二号俸に始まる上級職試験に合格した公務員の一万七千百円、合格せざる者は、中学校、高校あるいは短大を出て初級、中級で上がった者は、それよりも二号俸、三号俸低いわけです。さらに、いまの大企業で三十万も三十五万も社長手当をとっておるものは、もっともっと大きな企業であるわけです。そういうものを一方では比較して高級特別職の給与をきめた。下のほうは、低い数十人の従業員のおるところを基礎にした報告に基づいた給与が支給されておる。こういうところの矛盾がある。住宅というものは、イタリアのごときは全公務員にりっぱな公務員住宅が支給されておる。日本の国では住宅施策が全然立ててなくて、住宅手当制度も設けてない。こういう矛盾というものを解決してから法案をお出しになるべきだと私は思うのですが、どうして生きていけということを仰せられるのか、私はわからない、低額所得者の実態をよく知っているだけに。高額所得者のこのばかげた給与との矛盾を大臣に解決してもらわなければいかぬと思う。驚くべき高額所得者の上昇率、総理大臣の四十万というものの数字をいまいろいろあげられましたが、これは明日までに大臣のほうで御尽力を願って、四十万にきめた算定基礎、それから人事院総裁は、勧告の中に、いろいろ大学の総長の問題についても触れてみたいけれども、今度は遠慮をされたとあるが、法案として今度お出しになった政府のお考えの中に、特1、特2という十七万と十八万が現われておる。これは何を算定基礎にされたか。それから、その他の特別職の昇給が相当大幅になっておるが、これも職務の度合いによるなどといえばいいかげんなものになるわけですが、いままでの場合と今度の場合との特別職の俸給決定の算定基礎を、数的根拠を示して、明日この法案が通るまでにお示しを願いたい。納得しないままで大ざっぱに俸給をきめて、これを国会にのめという行き方は、あまりにも強引過ぎますから、これを次回の委員会までにあるいは法案を通す委員会までにお出しを願いたい。
 それからもう一つ、時間が来ていますが、大臣、あなたに伺いますけれども、大事な問題は、この勧告の実施期の問題です。これはしばしばみんなで議論されていることでございますが、いつも五月を基準にして勧告され、実施が十月という慣例ができるということは、非常に重大な問題になってくると思うのです。もう勧告はいつされても十月から実施だという慣例を尊重されるような形で今後もいかれるとするならば、勧告の意味もなさぬし、政府も信用できなくなってしまう。こういう勧告の実施時期と、それから法案に出された施行期というものとの関係は動かすことができないものかどうか。五月にしたら、予算上の支給に過去五カ月もさかのぼることは困難だという事情があるなら、そういうものは抜きにして――まだほかにここに書いてある財政事情とか、いろいろな他の事業との関連など言うておりますけれども、そういうものをいつもこじつけにされたのでは、もう人事院が勧告を五月実施にしても意味をなさないわけです。人事院は今後十月を実施の時期としての勧告の立案がえをされるようにされなければならぬと思うのですが、これは国政の上の重大な問題点でありますので、大臣、この実施期については、こうして毎年こういう形をとらなければならぬものか、あるいはまたさかのぼってやれる道もあるものか。それからもう一つ、総裁として、勧告どおりに実施されないというこういう慣行がある以上は、勧告の実施時期を十月なら十月として、その時期にもっと高い給与額で勧告するという手だてを打つべきではないか。この問題は、もうくどくど議論することはいやでありまするから、はっきりお二人の御答弁をいただきたいと思います。
#40
○大橋国務大臣 御要求の資料につきましては、明日までにできるだけ提出するようにいたしたいと思います。
 それから、実施時期に関連する御質問でございますが、私どもといたしましては、過去の実績は、不幸にして四年間、ことしを入れますと四年目になりますが、続いておりますが、これは決して慣行とは考えておりません。あくまでも人事院勧告の実施にあたりましては、この実施時期についても、勧告どおり実施するのが当然であると考えておるのでございます。ただ、年々いままでの実情から申しますると、財源難のために実施期がずれておることは事実なのでございます。この点について、実施期について検討の余地はないかというような点も考えられるわけでございますが、五月一日ということに相なりますると、御承知のとおり、ほとんど新年度の大半をカバーする長期でございます。しかも、一カ月前に新年度の予算が成立をいたした。そこへ十一カ月分の給与ということになりますと、先ほど申し上げましたるごとく、政府といたしましては、単に一般職の職員の給与を措置するだけでなく、特別職並びに地方公務員などの分をもあわせて考えなければなりませんので、かように相なりますると、相当まとまった金額に相なりまするので、財源上いろいろ難点がある場合が不幸にして多かったわけでございます。したがって、勧告の時期並びに実施時期等につきましても、もう少し実行しやすいものを選ぶ余地はないか。これにつきましては、政府といたしましても、いろいろ研究をいたしておりまするし、また、人事院におかれましても、そのお立場に基づいて御検討を続けておられるようでございまするが、ただいまのところ、なお具体的な結論を得ておられないわけでございまして、この点は今後とも検討を進めてまいりたいと思います。しかし、その検討がいずれになるにせよ、それと関係なく、実施時期は、五月実施という勧告ならば五月実施に努力をしなければならぬというのは、これは申すまでもない点でございまして、今年十月一日実施を決定したからといって、来年以降もやはり十月一日実施であるということは、政府といたしましては全く考えておりません。来年におきましては、なお完全実施に十分努力をいたすつもりでございます。
#41
○受田委員 いま大臣は、この勧告の実施時期を五月としておることは、実際問題としては非常に不便である、それについては、この勧告の実施時期について人事院等でも考えてもらいたいという御相談もしているということでございましたが、人事院としては、実際に政府がいつも予算編成上の都合等を勘案して、十月という言い分を持っているんですが、このことについて、十月実施の勧告で、そして五月実施とした場合と比較して、その間の大体の賃金の上昇率を加味した勧告をされるということが不可能なのかどうか、人事院として、十月実施の勧告の線で立案が可能であるかどうか、これをひとつ、せっかくいま大臣からそういうお話が出ておるのですから、技術的な問題として御答弁願います。
#42
○佐藤(達)政府委員 問題の根本は、いまおことばにちょっと出ましたように、今後の予測を固めて、その予測に基づいて、うしろ向きでなしに、前向きの方向の勧告をしたらどうかということが、第一に考えられることであります。ただ、それにつきましては、いまの予測というものがどの程度に正確性を持つかどうかという点について、私どもの立場としては非常に大きな危惧を持っておる。人事院の勧告というものは、どなたがごらんになってももう指をささせないというところまで的確な、確実な資料をさらけ出して、そうして初めて信頼性があり、権威があるものだということから申しますと、この予測を加えるということは、そこにまた水かけ論が発生して、また値切られるという可能性が出てきやしないかということを非常におそれるわけであります。したがって、予測はちょっとこの際取り上げる勇気はない。そうすると、大体現状の形で、さかのぼり形式というものをどうしてもとらざるを得ない。きのうも予算委員会でちょっと申し上げたのでありますけれども、いま四月調査で八月勧告、さかのぼり方があまりにその間の幅が広いじゃないか、これはもうちょっと縮められないかということが、第二のキーポイントになると私は思うのであります。ところが、これは調査能力の問題になる。調査の規格を下げれば、また権威の問題、信頼性の問題になりまするからということで、いま目下非常に苦慮しておるところであるということであります。
#43
○受田委員 大臣はけっこうです。あしたまた……。
 人事院総裁、私は、四月現在という形をもっとおくらせて、十月実施に適当な時期を選んで調査されるという方法、そういう手段方法はないものかどうか、お答え願います。
#44
○佐藤(達)政府委員 最も極端な例、これは私が過日発言したということで、ちょっと新聞に出まして相当センセーションを起こしたのでありますが、そのときの発言そのものではないのですけれども、たとえばいまのおことばの十月実施ということをめどにしますと、最も理想的な形は、九月に調査して、十一月に勧告して、十月実施という形が、これはもうきわめて抽象的な理想論でありますけれども、一応考えられる。そうすればさかのぼり方も一カ月で済む。それから、今後の新年度の予算編成にもまあすれすれで飛び乗りができるだろうということが考えられるがということをちょっと会見のときに話したのです。そこで、佐藤総裁は十一月勧告説を唱えたということが報道されて、今度はまた組合の諸君から、それではもうたいへんな労働強化になってたまらぬということで、だいぶ文句を言われたのですけれども、これはしかし一つの考え方としてそういう考え方があるわけであります。いまの先生のお話の十月実施ということに合わせて万事うまくやろうということでは、その点が一つ考えられる。しかし、これは先ほど申し上げましたように、調査能力からして、とてもそんなことはもう言うだけのことで実行は不可能である。したがって、結論は、いつを調査月にするかということが一つ、それから、調査月をきめて、その集計をどの程度にスピードアップできるかという問題と、この二つに煮詰まってくるのじゃないか。調査月の選択というのは、またこれは公務員の諸君の関係から言いますと、民間の給与との比較をいつにつかまえるかということは、これはいろいろ利害得失がなかなかむずかしい問題、そういう点は、理論上の問題ではありませんけれども、実行上は相当考えなければならぬということと、それよりも、第一に出てまいりますのは、スピードアップをどの程度にできるか。それで、私どもは、半分冗談でありますけれども、どういう形でいま調査しているかと申しますと、六千何百の事業所について二十八が人という多数の民間の労働者の給与を克明に調べている。このたてまえは私はくずしたくない。このことがあって、初めて権威があり、信頼性があるということで、その集計事務をスピードアップするとすれば、現在は電子計算機などをできるだけ使っておりますけれども、まだそれ以上に使えるかどうか、統計局にもお願いしなければならぬ。統計局の事務の都合はどうか。人事院が全部そういう集計機械を備えておれば、それだけ予算をちょうだいすればけっこうですけれども、現在ではよそにお願いしてやっておるということです。それから、調査そのもののいわゆる調査員の動員にいたしましても、人事院には、全国八カ所にそれぞれ二十人そこそこの陣容を持つ地方事務所がありますが、それらの人では手に余るので、現在は都道府県の人事委員会と共同作業で、かろうじて夜を日に次いでやっておるという状態です。ですから、その点は予算をもっとちょうだいして、人員を十倍にしたらよくはないかということは考えられますけれども、その辺の調整によってどのくらいスピードアップができるかという問題も、いま克明にやっているわけです。そういうあらゆる点を勘案いたしまして、これは結論を出さなければならぬ。これは率直に申しまして、調査時期あるいは勧告時期をずらすということは非常に困難だという感じをいま持っております。
#45
○受田委員 この勧告の実施時期と実際に政府が措置される実施時期について、いつも毎年繰り返されて、国民に疑惑を与えておる。また、公務員にも非常に不満を持たし、国会でもこの議論ばかり繰り返すということは、実際問題としてはなはだ遺憾です。
 それで、いまあなたのお説の、二つの行き方がある。つまり、予想によるところの十月実施と、調査時期を半年おそくしてやる、二つの方法がある。その二つの方法とも適切でないという結論が出ておるのか、なおこれは十分検討の余地があるかということです。
 それから、政府として、五月にさかのぼって追加払いをすることが技術的にも困難な点がないとすれば、これは一番簡単にいくわけですけれども、よく考えてみると、六カ月も前の給与を半年後に追加して払うだけの値打ちは、もうその時点においては、相当価値が減耗されているわけですから、はっきり言うならば、勧告の日を実施するような形に持っていって、それが実際に支給される時期とあまりずれないような形でやるのが一番筋が通る。そういうところをひとつ政府部内でいま検討しておるということでございますから、総裁としても、毎年これを繰り返すことのないような適切な措置をおとりになるように要望しておきます。よろしゅうございますか。
#46
○佐藤(達)政府委員 承りました。
#47
○受田委員 承りましただけでなく、承ってどういうふうに検討するか…。
#48
○佐藤(達)政府委員 承りまして、なお検討を続けます。
 ただし、念のために申し上げておきたいのは、われわれの勧告時期、調査時期が悪いから十月でけっこうだということに考えていただいては非常に困る。現在の調査時期、現在の勧告時期においても、ぜひ五月にさかのぼるべきものだとわれわれは確信しておりますし、それが絶対に不可能だとは思っておりませんから、そこのところだけは十分御念頭に置いていただきたい。
#49
○受田委員 それでは、きょうはこれでおきますが、おしまいに、これも明日資料をお出し願いたいのです。
 公務員の住宅手当が支給されていない、しかしながら、現実に公務員はどのような住宅事情にあるのか、これを実態調査をされておると思いますので、数字を資料としてお示しいただきたい。
 それから、公務員のうちで、上級公務員はおそらく官舎、公舎を持っておると思います。そういう公営の住宅を持っている人々はどういうところに非常に多いかを検討してみたいと思いますので、公営住宅の分布図。それから実際に公務員が住宅にどのように苦労しておるかというアウトラインの資料でけっこうですから――これは実際は人事院が調べておられるのならば人事院の資料でけっこうです。政府が建設省、厚生省、労働省等で調べられた資料があれば、住宅手当を支給するための大事な資料になりますので、お出しを願いたい。これを持っておらぬようなことであれば、住宅手当を支給することが可か否かという議論が成り立たぬわけで、やってないとするならば、さっそくやってもらわなければいかぬ。
 これだけを要望しておきまして、本日の質問は終わらしていただきます。
#50
○綱島委員長 それでは本日はこの程度にとどめて、次会は、明十四日午前十時理事会、十時半委員会を開催することといたしまして、これにて散会いたします。
  午後零時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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