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1963/12/17 第45回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第045回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
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1963/12/17 第45回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第045回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号

#1
第045回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
昭和三十八年十二月十七日(火曜日)
   午後一時二十三分開議
 出席委員
   委員長 小泉 純也君
   理事 青木  正君 理事 宇野 宗佑君
   理事 辻  寛一君 理事 渡海元三郎君
   理事 畑   和君 理事 堀  昌雄君
      上村千一郎君    押谷 富三君
      鍛冶 良作君    亀岡 高夫君
      久保田円次君    島上善五郎君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 早川  崇君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      日原 正雄君
        自治事務官
        (選挙局長)  長野 士郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 衆議院議員の総選挙の管理執行状況等に関する
 件
     ――――◇―――――
#2
○小泉委員長 これより会議を開きます。
 この際自治大臣より発言を求められております。これを許します。自治大臣早川崇君。
#3
○早川国務大臣 このたび第三次池田内閣の自治大臣に就任することになりました。
 選挙の関係も私の所管になるわけでございます。はなはだ微力で経験不足でございますが、できるだけ最善の努力を尽くして、選挙の公明化に向かって努力いたしたいと思います。
 どうぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたします。
#4
○小泉委員長 これより、公職選挙法改正に関する件について調査を行ないます。
 まず、本件に関しまして、衆議院議員総選挙の管理、執行状況等に関する件につき、政府より報告を聴取いたします。長野選挙局長。
#5
○長野政府委員 お手元に御配付をいたしました「衆議院議員総選挙、最高裁判勘裁判官国民審査結果の概要(速報)」というのがございます。それから、この前要求がありました投票状況でありますとか、ポスター掲示場の数、立会演説会の聴衆者数に関する調べ、こういうものを一応お手元に差し上げておるのでございますが、この際お断わりを申し上げたいのは、まだ資料も十分整いませんので、立会演説会等につきましては、今回の総選挙におきますところの数字が十分でないのでございまして、御要求とややはずれるかもしれませんが、従来までの、三十五年までのものしかいまのところ報告ができないというようなかっこうでございます。資料が整い次第、正確な資料にいたしまして御報告を申し上げたいと思いますので、御了承をお願いいたします。
 選挙の結果の概要の速報でございますが、これはもうすでに先生方御存じのとおりでございまして、ほとんど申し上げることはないのでございますが、この中で二、三私どもが見まして今回の選挙の特色と申しますか、そういうふうな感じのあるところを申し上げてみたいと存じます。
 まず一二ページでございますが、一二ページに参りますと、各党派別の候補者数がございまして、前回との比較が出ておるわけでございます。今回の選挙は、総体といたしまして候補者の数が非常に少ないと申しますか、前回に比べましてしぼられておるということが一つの特徴であろうかと思います。ただ新人と申しますか、新しい立候補者の方がわりあいに多くなっておるということも一つの特徴ということに相なろうかと思います。
 それから次のページを開いていただきますと、その関係の競争率という欄がありますが、したがいまして競争率につきましては、率という点だけから見ますと今回が一番低いと申しますか、そういう形に相なっておるわけでございます。
 その次に一四ページを見ていただきますと、投票の結果についての調べでありますが、選挙当日の有権者数というのがございます。選挙当日の十一月二十一日現在の有権者の数は、一番下のところを見ていただきますと、全国で五千八百二十八万一千六百八十五人、こういうぐあいになっておりまして、前回の総選挙と比較いたしますと、三百九十六万八千六百九十二人の増加と相なっておるわけであります。
 それから、その次のページをあけていただきますと、投票の結果の投票率というものが出ております。その最初の三行目、Aの欄の一番下を見ていただきますとわかりますように、今回の選挙は、男子の投票率が七二・三六%、女子の投票率が七〇・〇二%でありまして、全体の投票率は七一・一四%となっております。前回の選挙の投票率が七三・五一%でございますので、その点からいいますと、二・三七%だけ投票率が下回ったということに相なるのでございます。その中でも、各都道府県別に出ておりますが、従来の投票率よりも高まっておるところもございます。たとえば最初のところの北海道でございますとか、あるいは岩手県、秋田県、山形県等は、むしろ前回よりも投票率が上回っております。福井県もそうでございますし、三重県もそうでございます。和歌山県、鳥取県、岡山県等もそうでございます。多少そういうところが出ておるわけでございますが、全体としては、大都市を含みますところの選挙区におきまして、やはり依然として投票率が低いということが、投票率を低くいたしました大きな原因でございます。
 次のページを開いていただきますと、投票率上位県というのがございまして、その一番上位県は常に島根県ということになっておりますが、島根県といいましても、今回は多少投票率が下回ったのでございまして、八五・一一%ということに相なっております。これはその下に大都市の投票率がございますが、投票の割合は非常に低うございます。
 次に、もう一枚開いていただきますと、一七ページに、戦後の総選挙の投票率が出ております。今回の総選挙は一番下に書いてございまして、七一一四%でございます。これは最初の第二十二回の総選挙七二・〇八%、それから第二十三回が六七・九五%でございまして、その意味でいいますと、戦後の二番目に低い投票率に相なっておるのでございます。ただ今回の選挙におきましては、男女の投票率の差というのが一番しまいの欄に書いてございますが、男女の投票率の差は非常に縮まってきておる。ということは、逆に婦人の方々の政治的な自覚が高まってきたというふうに言えるということにもなるかと思います。それからまた投票時間の二時間の延長ということが、そういう意味では婦人の方の投票をしやすくしたということになるかもしれないということでございます。
 その次には選挙区別、党派別当選人数というのがございます。これはご存じのとおりであります。
 それから一九の二というページがございます。これを見ていただきますと、年齢段階別当選人数というのがございます。今回の選挙では、前回に比べまして二十五歳から二十九歳、あるいは三十歳から三十四歳というような若いお方が当選をなさっておることが一つうかがわれます。しかしながら逆に今度は、七十歳以上というところもふえておりますので、両方に広がってきたというような形がありますというふうにも言えるわけでございます。
 それから二枚あとの二一ぺ−ジを開いていただきますと、戦後の新前元別当選人数というのがございます。これを見ていただきますと、今回の選挙におきましては、一番当選の割合の多いのは前議員と申しますか、現議員の割合が一番多くなっております。絶対数からいいますと、新人のほうの数がふえておるわけでございまして、パーセンテージも前回よりはもちろん上がっておるわけでございます。新人のほうも相当ふえておる。結局は元議員というようなところが従来に比べて減っておるというような形がうかがわれるのでございます。
 二四ページに婦人の当選率が書いてございますが、これは婦人の当選人の数は、候補者の数は少のうございましたが、前回の選挙の場合と当選人の数は同じでございます。そういうかっこうでございます。
 それから二五ページになりますと、府県別党派別の得票数というのがございます。自由民主党の最終トータルは、これで見ますと、全体の得票率の中の五四・六七%を占めております。それから社会党が二九・〇三%、民社党が七・三七%、共産党が四・〇一%、それから諸派が〇・一五%、無所属が四・七七%で、無所属の得票割合がふえている。そういうことが各県別にうかがわれるわけであります。
 それから各選挙区別に立候補者の得票数その他が出ておりますので、ごらんをいただければけっこうだと思っております。
 そのほかには、最高裁判所裁判官の国民審査の内容につきましても、うしろのほうにつけておりますので、ごらんをいただきたいと思います。
 それから、ほかにお配りいたしました資料の中で、選挙区別公営ポスター掲示場数調べ、二枚続きになっておるのがございます。これをごらんいただきますと、たとえば北海道の一区におきましては、掲示場の数が千五百二カ所、投票区が四百七十三でございます。平均いたしまして、一区では三・一八カ所ということに相なっております。大体一投票区に三カ所余というようなかっこうでそれぞれ掲示場が配置されておるわけでございます。これで見ますと、島根は全県一区でございますが、島根県の掲示場の数が三千五百七十、私のちょっと見ましたところでは、これが一番数が多いということに相なります。
 それから東京におきまして、たとえば東京の三区あたりを見ていただきますと、二百九十四、これはちょっともう少し確かめてみたいと思いますが、今調べをしておるのでございますけれども、東京は三カ所ということで、非常に数が少のうございます。その辺の間に掲示場の数があったというふうにうかがわれるのでありまして、一番下を見ていただきますと、掲示場の総数が全国で十四万六千二百四十、投票区の数が四万五千九十四、平均いたしまして三・二四三カ所ということに相なっております。たとえば秋田県等の欄を見ていただきますと、秋田県では、秋田県の一区で二千十四カ所、五百一投票所、平均いたしまして四・〇二、その上の宮城県も四・〇九、投票区当たりの掲示場の数も、非常に努力してふやしておるところもございます。
 その次の表は、各県平均の数をお示ししたものでございます。
 その次には、投票状況というのがございますが、これはもう少し詳細な資料をいま集めておりますが、これを見ていただきますと、前回と今回の差が出ておるわけでございます。午前十一時現在におきまして、今回は二三・二%、したがいまして、前回と比べますと七・二%投票率が下回っております。十五時現在におきましては、さらにその差が開きまして一六・三%、十八時現在におきましては――これが従来の投票の締め切り時刻であったわけでございますが、一六・二%ということになっております。それが二十時現在、要するに二時間延長の間に一四%近く取り返しまして、七一・一四%まで高まった。こういう形が出ておるわけでございまして、これを見ますと、十一時までの投票率の低かったものが、午後六時ごろから八時ごろまでの間に非常に高くなりまして、投票率が非常に回復しておるという状況がわかります。要するに朝の投票が減りまして、その投票が夕方に回ったとでも申しましょうか、そういう形がわかると思います。
 その次には、立ち会い演説会の聴衆者数に関する調べでございますが、これは先ほどお断わりいたしましたように、今回の選挙の分がまだ数字がはっきり固まりません。まだ報告漏れの県が非常に多くございまして、資料としてお示しするわけに参らなかったわけでございますが、全体といたしまして、いままでの状況からいたしますと、大体一回当たりの平均聴衆者数というものが、二十七年の選挙からこれまでの間に、途中で上がっているところもございますが、三十五年で聴衆者数がきわめて下がっておるというかっこうであります。二、三の県で報告の参りましたもので見ましても、やはり今回はこの三十五年の立ち会い演説会の聴衆者数をさらにある程度下回るのではないか、これは二、三の県でございますので、全体としてはわかりませんが、そういうふうに思われるような節がございます。立ち会い演説会の聴衆者の数が非常に少なかったのではないかというふうに考えられる点がございます。
 以上、簡単でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。
    ―――――――――――――
#6
○小泉委員長 自治大臣の時間の関係がございますので、他の報告はあと回しにいたしまして、直ちに大臣に対する質疑に入りたいと存じます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#7
○堀委員 自治大臣にお伺いいたします。今回の総選挙に関する問題もいろいろございますけれども、これらにつきましてはまだ法務省の担当者が入っておりませんから、その他の問題からお伺いをいたします。
 第二次選挙制度審議会は十一月下旬をもって委員が任期満了となりまして、現在は選挙制度審議会は空白の状態になっております。そこで自治大臣としては、第三次選挙制度審議会を大体いつごろから発足をさせることを考えておられるか、最初にお答えをいただきたいと思います。
#8
○早川国務大臣 年度が改まってから発足いたしたいと思います。
#9
○堀委員 年度が改まるというと、来年の四月からということでございますか。
#10
○早川国務大臣 そのとおりであります。
#11
○堀委員 前回の選挙制度審議会の最終のときには、私ども選挙がありましたので出席いたしておりませんけれども、すみやかに引き続き案件の処理をするために第三次選挙制度審議会を開いてもらいたいという要望がたしか出されておったように記憶をいたしておりますけれども、その点については審議会の希望をどうお考えになったのか。
#12
○早川国務大臣 要望は承知いたしておりますが、一応第二次審議会の結論も出まして、さしあたって新年度まで特に審議会で御審議を願う案件もありませんので、新しい年度とともに始めたいという私の意向であります。
#13
○堀委員 いま大臣のお話では、新しく何か諮問する問題もないからというようなお答えがありましたけれども、御承知のように、選挙制度審議会は第一次、第二次とやってきた中で、特に選挙区制の問題等については、いまだ結論に至らないままに実は継続をしておる案件があるわけです。さらに選挙法の各種の案件につきましても、この間の委員会におきましても、今回の特例については、もちろんいろいろな問題がありましたから、それに関連をする部分が急いで審議をされた経緯はありますけれども、現行選挙法の中におけるいろいろな言論、文書その他の活動を自由にする等の問題と罰則の緩和等が引き続き問題として残されておりますし、さらにその他公明選挙等の問題についても、当然やはり持続的に論議をされる性格のものであり、また選挙制度審議会設置法に基づきまして、審議会は独自に、また今回の選挙との関連を考えながら調査、審議をすることができることが定められておるわけでありますから、私は、自治大臣が、いま新たに調査をすることがないから、このままで来年の四月まではやらないのだとおっしゃることは、やや現在の審議会というもののあり方を十分に御理解されていないのではないかという感じがしてなりませんけれども、いまの私が申し上げたような諸問題等についても、これは急ぐ必要のない問題だ、当分はほっておいてよろしい、こういうお考えですか。
#14
○早川国務大臣 選挙法改正の一切を審議会にかけなければならぬというようには理解しておりません。したがって、第二次審議会の御答申の中で、規制の問題は臨時国会で提案いたしましたし、さらに通常国会で若干の手直しがあるかもしれませんが、定数是正の答申を尊重して次の国会に出したいと思っております。また選挙法の特例の立法は議員立法で、皆さま方の非常な御苦心の結果でありまして、非常にいい面があると私は思います。そのいい面は政府の責任におきまして通常国会に出すということは、別に審議会の議を経なくてもでき得るものと考えておるわけであります。
#15
○堀委員 定数是正についてはなるほど答申が出されたわけですが、選挙の一番重大問題というのは、これまでの審議会の経緯は、区制等の問題を含めて根本的な問題を論議するというかっこうで来ておったわけでありますから、私は、いまの大臣の御答弁を聞いておりますと、ともかく当面やらなければならない問題は一応終わったということで、区制等は当分触れなくてもよろしい、こういう理解のしかたで、この問題は年度が変わるまでは見送られる、こういうふうに理解をしてよろしいというわけですね。
#16
○早川国務大臣 私は、答申の出たものを逐次実行していきたいというのが私の考えです。次から次へ、区制の問題とか、目まぐるしくいくのよりも、ちょうど年度の変わりごろ、またイギリスの総選挙も来年ありますし、そういったいろんな予算もつけた上で、審議会の委員の人たちも多少新しい顔ぶれも入れて、装いを新たにしていきたい。それには来年四月ころが適当ではなかろうか、かように考えておるわけであります。
#17
○堀委員 それも一つの考えでございますから、それはそれといたしまして、もう一つ、いまの御答弁の中で、選挙法の問題は、何もすべて審議会にかける必要はない。私もそれはそう思うのですが、それに関連をして、実はこの間ちょっと新聞に出ておりましたけれども、自治大臣は、参議院全国区については比例代表制をとることを政府としては検討さしたい、これについては、選挙制度審議会の議を経ずして、政府側として処理をしたいというようなことが、実は新聞報道されておるわけでありますが、事の真偽についてひとつお伺いをいたしたいと思います。
#18
○早川国務大臣 実は、私もびっくりしたのですが、あの新聞社の記者に会ったこともなければ、しゃべったことももちろんございません。この制度というものは、長所と欠点がございます。欠点が長所を上回ってきて、国民の大多数がこの制度を改めなきゃならぬというようなときに初めて改革すべきものだ、いわんや、個人の利益や政党の利益によって選挙制度のようなものはいつも改革すべきものではないと私は考えておるわけであります。実は、参議院の全国区の比例代表制というのは、臣になる前に、党の近代化の三木調査会大で、私は、参議院の地方区を小選挙区にし、全国区を比例代表にしたらどうかという意見を出したことはあります。また、衆議院につきましては、中選挙区、ハーゲンバッハ・ピショフ方式による移譲制度が、政党と個人というものを調和させる意味で一つの考え方ではなかろうかということを、大臣になる以前に、個人の意見として主張したことはございますが、政府として、選挙制度審議会にかけないで参議院の全国区の改革という大きい改革をやるという記事は、全然私の関知しないところであります。
#19
○堀委員 その次に、今回の総選挙に際して、やはり御承知のように、依然として選挙違反はあとを断たないという姿が各地にあらわれておるわけですが、今度の総選挙の選挙違反のいろんな実情等はこれからまだ――実はあなたはお急ぎのようですから、先に警察庁に聞けばよかったのですが、時間がなくなりますので、その話を聞かないでお伺いをするわけでありますが、これらの問題について自治大臣としては、どういうふうな感じを持っておられるか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
#20
○早川国務大臣 まだ最終的な結果が出ておりませんが、最初のころは前回より検挙件数は少なかったので、非常に私は喜んでおりましたが、最近になりまして、前回よりも、これは各党共通でありますけれども、二割ないし三割近く選挙違反が、前回の同じ時期と比べますと多いということでありまして、非常に遺憾に思っております。
#21
○堀委員 もちろん、われわれも選挙違反が多いことは遺憾だと思いますが、遺憾に思うというだけでは、やはり私は問題が解決をしないと思っております。われわれが選挙が終わりますたびごとにいろいろとここで論議をして、まあそれなりに選挙法等も改正をされて、そういうことがなくなるような努力をしておるにもかかわらず、だんだんと違反件数がふえるという原因は一体どこにあるというふうにお思いになりますか。
#22
○早川国務大臣 いまのは検挙件数でありますから、最終的に裁判が確定しなければ、ほんとうに選挙違反がふえたかどうかということはできないと思いますので、その認定は今後の問題でありますが、やはり私は、いまの日本の選挙法は、世界的に見ると、非常にあらゆることを禁止した、しかも、刑罰がかなり重い選挙法だと思っております。したがって、選挙法のいろいろな改革を叫ばれますけれども、いかに選挙法を改正して罰則を強化いたしましても、その裏をくぐったりいろいろやる人があれば、とてもこれはだめなんで、要はルールを守るということがいかに大事なことか、たとえルールを破って当選したって名誉じゃないんだという法治国民としてのほんとうの、立候補する人も投票する人もそこまで自覚していくという過程が根本だと思うのでありまして、これにはやはり実は非常に月日がかかるわけなんです。民主主義になりまして、まだほんとうの意味では十七、八年でございますし、私は、今回のこの結果に対して、非常に遺憾でありますけれども、失望はしておりません。自治省としては、みんなが選挙法を守るという、選挙法を守る友の会というものを少なくとも一千万人はつくりたい、そうして非常に選挙違反をするような人があれば、かえって投票が得られないのだという姿に持っていくというのが根本の問題であると思いまして、現在努力をいたしておるわけであります。選挙法のいろいろな罰則の改正は、それと並行して、また、付随的に考えるべきものじゃなかろうか。いずれにいたしましても粘り強く努力いたしたいと思っております。
#23
○堀委員 選挙の問題については、いまお話しのような具体的な問題が今回の選挙では少し出てまいりました。名前はあげませんけれども、自由民主党で非常に大きな買収案件が伝えられた方は、やはり今回の選挙では当選をしておられないということは、これは私、やはり選挙民がようやくこれらの大がかりな買収等による選挙に対して適正な批判を加えるという形になったと思いますので、そういう意味では、公明選挙の自覚というものがやや前進をしてきておるということを、私も今度の選挙で認めるべきだというふうに考えておるわけであります。片面、選挙のたびに、いろいろな角度から新たな方法によって選挙違反を行なうというような問題が出てくるということについては、私どもとしては非常に残念な問題でありまして、やはりこう考えてみると、この問題というのは、どうも選挙民の側にでなく、選挙をする者の側にもう少し考え方を正さなければならぬ問題が残されておるということで、このことは、政治家の側の問題として、確かに私どもがさらに謙虚に考えてみなければならぬことだと思うのであります。
 その次に、実は、今回の選挙で、私どもが非常に気がついた点を二、三申し上げて、今後の対策等についても伺っておきたいと思いますることの一つは、新しい団地が都会の周辺にできますと、そこに相当集中して移転が行なわれて、新しい団地が形成をされます。ところが、その新しい団地の人たちに対して一ぺんだけ、補充人名簿に登録をしなさいという何か印刷物が、新聞の折り込みか何かで配られる。そうすると、そのために、非常に遠方の役所まで行って手続をしなければ実際上できないというような取り扱いが行なわれており、最近団地の居住者というのは共かせぎをしておる人が非常に多いために、そうなると、補充人名簿に登載を希望しておっても、なかなか遠方の市役所まで行って手続をするというようなことが不可能なために、大きな何千名も入っておるような新しい団地において、実質的には、なるほどもとの地域にはその選挙権が残っておるかもわかりませんけれども、数千名の者が実は投票権を持たないというような現象が都会周辺の団地で生じておるわけであります。これは私も実は気がつきませんで、その新しい団地に行って、すでにその団地というのは四月に完成して入居をしておるところでありましたが、演説をしておりましたら、その中から出てこられた方が、実はそういうことで私が気がついて行ったときには、もう締め切り後でありました、この団地の中では政治的に非常に熱心な人が多いけれども、そうかといって、毎日のつとめの際に、もとの居住地まで戻って投票をするのはなかなか困難なので、何らか新しい団地については、その団地に出張をしてそういうことが処理できる程度の配慮を地方自治体として行なうべきではないだろうか、こういうような御意見がありました。私は、きわめてもっともなことだと思います。選挙権というものは国民にとってきわめて重大な権利でありますので、そういう面について、今後自治省としてこれらの取り扱いをどういうふうに処理をされるのか、お伺いをしておきたいと思います。
#24
○早川国務大臣 実はきのう団地の代表者が来まして、いろいろ話しましたのですが、団地の人の投票率が少なかった場所が非常に多いようであります。それは団地の人たちは、その地域社会となじまないのですね、これは団地族と言われたりしまして非常に悪いことだ。やはり自分たちの地域になじみ、その地域からだれが立候補しているかというような、いわゆる共同社会の溶け込みに努力してもらいたい。これがこの問題にかかわらず、投票率の悪いという汚名を返上するゆえんだ、こういう啓蒙をやろうと言って代表者が帰りましたが、補充名簿の問題は、基本名簿制度にあわせて根本的に検討すべき点がおっしゃるとおりございますので、できるだけ検討いたしますと同時に、団地に投票所を設けるということも逐次やっておりまして、五千、六千の有権者のある団地がどんどんできておるわけでありまして、一部投票所を設けておる。ひばりケ丘などは設けておりますけれども、まだ投票所を設けておらぬところもございますので、そういう便もはかってまいりたいと考えておるわけでございます。同時に、根本的には、団地におる人がもう少し村会議員選挙、市長選挙、衆議院選挙を身近に考えて、自治体に溶け込むということがやはり根本的に重要な問題になってくる。このことはよく団地の代表者に私からも申しておきました。
#25
○堀委員 いまの後段のほうの問題はそれでよろしいのですが、前段の、要するにせっかく政治意識があるのに、いろいろな条件のために選挙権を――いまのお話と逆ですね、政治的な関心がありながら投票ができないという問題のほうに私は比重を置いていまお伺いをしておるわけであります。今後やはり団地の中に投票所をつくるということも非常に重要でしょうが、何か補充人名簿制度自体の中にも問題があるわけです。そこら辺を含めて、もうちょっと便宜がはかられるといいますか、地方自治体の側がそういう点、重要なことなんですから、少しサービスをするかっこうで、団地で、出かけていってそういうことができるようにするとか、非常に小さなところは別ですが、二千人、三千人と有権者があるところで実はそういう事態が起きておるものですから、今後ともひとつ善処してもらいたいと思います。
 それに関連をして、これまでたびたび論議をされてきました名簿の問題ですけれども、各地の選挙管理委員会からカード式といいますか、新しい形の選挙人名簿にしてもらいたいという要望がたびたび出されて今日に至っておるわけですが、自治省側としては、この基本名簿の作成のあり方等について早急に結論を出して、そういう人口の移動あるいは膨張というようなものに適応した、合理化された名簿の制度というものを、もうここらで踏み切ってやってもらわなければならぬ段階にきておると思うのですが、自治大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
#26
○早川国務大臣 日本の制度は非常に進んだ徹底したものでありまして、アメリカのごときは申告制度でありますから、全体の人口からいうと投票率も日本よりもはるかに悪い。日本は七一%といいますけれども、諸外国から見れば非常にいいわけです。しかし、なお基本名簿制度にいまいろいろ不備な点がございます。この機会に、御要望のとおり十分再検討いたしまして、世界で最もすぐれた制度にしたい、かように考えておるわけであります。
#27
○堀委員 最後に一点だけ。今回の選挙問題の中でどうも私どもが納得できない案件が一つ出ておりますので、ちょっとお伺いいたしたいのですけれども、実は今回の選挙運動に際して、労働組合に所属している人が、運動員としてある候補者の選挙に従事した。この人たちは労働者でありますが、普通のときならば有給休暇がありますから、会社を休んで運動に従事しましても、生活が保障されておるものですから、そのままで済んでおったのでありますが、たまたま本年は四月に地方選挙がありまして、そのためにこれらの熱心な人たちが、地方選挙で有給休暇をほとんど使い果たしておった。そこで、今回の衆議院選挙に際して、この人たちが同じように選挙運動に従事する場合、会社を休んでいけば当然そこで賃金カットという現象が起きてくる。これついては、何日も給料なしで働いてもらうということが社会通念上非常に気の毒だというので、ごくわずかな、日に三百円なり五百円なりというような、別にそれらの人の報酬に見合うということではないけれども、あまりにお気の毒だというかっこうで、その賃金カット分に対する多少の埋め合わせというような気持ちで費用が支払われておる事実があったようです。ところが、これが買収というかっこうの案件として、各地で大々的な処理をされておるという実例が実は出てまいっておるわけであります。この点については、順序が逆になっておりますので、ちょっとまずいと思いますけれども、なるほど現在の選挙法では、労務者に対する報酬と、その届け出が行なわれておる選挙運動に従事する事務者に対しては報酬が支払われるということになっております。それ以外には報酬を支払うあれはありません。ところが逆に買収とい規定のほうは、二百二十一条で「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは」云々を約束したものというような形で規定をされておるわけであります。そこでこの規定は、最初に当選を得もしくは得しめ、また得しめない目的を持って行なう行為を実は規定しておるのであって、その人たちはすでに自発的に運動員として来ておって、そしてそれは当然自発的に当選を得しめる目的を持って動いておった者が、ただそういう賃金カットとい実情があったので、その人たちにその事後において報酬の一部というようなものが支払われたという場合に、これを買収と理解するということは、われわれ常識で考えて、まことにどうも法律の案文を逆にひっくり返して使っておるというような感じがしてならないのです。これは自治大臣というよりは国家公安委員長という立場でということになるかもわかりませんが、これは最終的には裁判の問題でありますが、われわれは立法者の立場として、この法律の趣旨というものは、そういうものを規定をしておると思わないんですけれども、大臣はどうお考えになるか、ちょっとお答えをいただきたい。
#28
○早川国務大臣 具体的なケースによって判断しなければなりませんが、一般論としては労働組合なら労働組合、あるいは保守党であれば後援会、その会員がある特定のあれに選挙運動するために日当を出した。労働組合が出したという場合には、やはり保守党の後援会員に後援会が出したと同じように違法だと思います。ただその具体的なケースで、選挙に関係しないで、だれに投票するとか、ばく然と言うのであれば、これはまた別個の問題でありますから、具体的なケースによって判断しなければならぬ問題じゃないでしょうか。
#29
○堀委員 いま違法であるとおっしゃることは、私もその違法については見解は同じなんですよ。報酬が出せるものは規定されておるのですから、それ以外に報酬を出したということは違法だ。その違法はわかるけれども、その違法がストレートに二百二十一条の買収だということになるという点には、私はちょっと疑問があるんです。買収というのはこういうものだという規定が二百二十一条にあるわけですね。確かに片一方から見ると違法なんですよ。私も適法とはちっとも思っていない。違法ではあるが、二百二十一条にストレートにそのまま該当する性格かどうかという点についてちょっと疑義があるわけです。これはおっしゃるように個々の、ケース・バイ・ケースの問題として考えなければならぬ問題だと思うんです。だからわれわれ法律というものを専門的に見ておる中で、ややここには法律の不備があるという感じを、私は今度の案件の中で持ったわけです。なるほど買収というものなら、明らかに私ども買収というものはよくないと思っておりますから、これは断然禁止しなければならぬことですが、どうも買収の意思が全然ない。片一方にもそういう意思がないし、受けたほうにもその意思が全然ない。そこでこの問題が捜査される段階では、そういう悪いことをしたと思わぬから、こうでした、ああでしたとどんどん話をすれば、片っ端から買収容疑でどんどんあれをしていくということが、私はどうもちょっと行き過ぎではないかという感じがしてならぬのです。違法だという点については私も同感であります。しかし、それを買収容疑ということで片っ端から全部手を拡げていくというあり方というものは、私、やや行き過ぎのような感じがしてならぬものですから、その点のあなたの感じをお伺いをしたわけです。だから、その点をちょっとお答えをいただきたい。
#30
○早川国務大臣 私も多年選挙をやっておりますが、いま仰せのように、買収といえないけれども、ある運動員に旅費を支給した、これは警察や検察では買収ということで、報酬支給を買収とやっておるようでありますが、なお私どもその点は一般論で、常識論でありますから、刑事局長からお答えさせます。
#31
○日原政府委員 お話をお聞きいたしまして、私どものほうの立場としてはやはり選挙運動、つまり投票を得または得せしめる目的でもって、これは選挙運動者であるから当然最初からそういう目的なんだというお話でございますが、そういう目的でやはり金銭が渡された、その渡された金銭は選挙法上正当に支払われることのできる費用じゃない、こういうことになりますと買収になるというふうに解釈をいたしておるわけでございます。
#32
○堀委員 事務当局の解釈は、ですから違法はすべて買収だ、その買収の定義のほうからいくのではなくて、違法のほうからいくという感じが私どもするのですが、時間がありませんから、ここでこれ以上議論いたしませんけれども、私今度これを見まして、費用の出方の問題はなるほど確かに違法な問題があるけれども、その間に、そういえばそれは非常に複雑だということになるかもしれぬけれども、何かその買収という問題と違法な費用の支出という中に、実際問題としてギャップが残されてあるような感じがしてならないのです。ですから、ほんとうは少しも買収する意思がない、しかしいまのようなことで、規定外だから買収だという解釈のしかたは、やや飛躍があると思います。しかし、これはいまここで論議してもしかたがありませんから以上のことにしておきますが、私ども今回の選挙の中で、そういうことで、実は予想せざる形で、何か革新政党の側に買収事件が一ぱい出たような印象が与えられておるわけですが、実は私どもの側は買収などというものは一件もしていないのであって、新聞に報道されたものはいずれも、これまで別にそういう意識を持っていないものだから、その程度のことを買収だと思っていないのが買収だという点に、何か非常に革新政党が今度買収をやったというような疑いが生じておるものですから、その点については、結果としてはそういう取り扱いがされておるけれども、われわれはそういう意識がなかったという点を申し述べて、あと他の質問者に譲りたいと思います。
#33
○小泉委員長 それでは、自治大臣のほうに参議院の予算委員会からさいそくが来ておりますから、これでひとつ自治大臣は退席してください。
#34
○小泉委員長 それでは、先ほど中止いたしておりました提出資料の説明を続けます。日原刑事局長。
#35
○日原政府委員 選挙違反の取り締まりの状況について申し上げたいと思います。
 お手元に選挙違反の検挙状況の数字がございます。これは十二月十五日現在の数字でございます。個々の数字は読み上げるのを省きまして、合計は、一番右の端にございますように一万三千六百八十件、検挙人員は二万八千五百四十六人ということでございます。検挙面から見ました違反の状況でございますが、これは現在まだ取り締まり継続中でございますので、この数字も途中における集計数字で、確定的なことは現在のところまだ申し上げられません。ただ、現在までの数字で見ますと、買収と利害誘導、これが全体の検挙件数の八〇%を占めておりますが、一万九百三十九件、人員のほうで申しますと二万五千五百九十七人ということで、九〇%を占めております。それから昭和三十五年の総選挙の同じ時期におきます検挙状況と比較いたしますと、件数で三〇%、それから人員で二三%の増加になっております。具体的な数字を申しますと、同時期における数字が一万五百五十五件、人員が二万三千三百八人ということでございまして、件数のほうは三〇%増、人員は二三%の増加になっております。なお、臨時特例法によりまして、選挙運動用ポスターを公営掲示場以外の場所に掲示することが禁止されましたので、その関係で、ポスターの掲示に関する文書違反、それから自由妨害事犯、こういうものは、前回と比べまして減少いたしております。
 以上、はなはだ簡単でございますが、現在の状況を申し上げました。
#36
○小泉委員長 本日の質疑は、この程度にとどめます。
     ――――◇―――――
#37
○小泉委員長 この際、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。
 公職選挙法改正に関する件につきまして、閉会中もなお調査いたしたいと存じますので、議長に対しその旨申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○小泉委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
  午後二時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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