くにさくロゴ
1962/03/09 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 予算委員会 第10号
姉妹サイト
 
1962/03/09 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 予算委員会 第10号

#1
第043回国会 予算委員会 第10号
昭和三十八年三月九日(土曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月九日
  辞任      補欠選任
   丸茂 重貞君  仲原 善一君
   郡  祐一君  鈴木 恭一君
   河野 謙三君  鹿島 俊雄君
   古池 信三君  紅露 みつ君
   加藤 武徳君  北口 龍徳君
   太田 正孝君  横山 フク君
   田畑 金光君  赤松 常子君
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木内 四郎君
   理事
           大谷藤之助君
           川上 為治君
           斎藤  昇君
           平島 敏夫君
           北村  暢君
           横川 正市君
           小平 芳平君
           大竹平八郎君
   委員
           井上 清一君
           鹿島 俊雄君
           木村篤太郎君
           草葉 隆圓君
           小林 英三君
           小柳 牧衞君
           紅露 みつ君
           下村  定君
           杉原 荒太君
           鈴木 恭一君
           館  哲二君
           仲原 善一君
           松野 孝一君
           山本  杉君
           横山 フク君
           吉江 勝保君
           近藤 信一君
           瀬谷 英行君
           羽生 三七君
           松澤 兼人君
           牛田  寛君
           鈴木 一弘君
           市川 房枝君
           赤松 常子君
           永末 英一君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   内閣総理大臣  池田 勇人君
   外 務 大 臣 大平 正芳君
   大 蔵 大 臣 田中 角榮君
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
   厚 生 大 臣 西村 英一君
   農 林 大 臣 重政 誠之君
   通商産業大臣  福田  一君
   運 輸 大 臣 綾部健太郎君
   郵 政 大 臣 小沢久太郎君
   労 働 大 臣 大橋 武夫君
   自 治 大 臣 篠田 弘作君
   国 務 大 臣 近藤 鶴代君
   国 務 大 臣 志賀健次郎君
   国 務 大 臣 宮澤 喜一君
  政府委員
   内閣官房長官  黒金 泰美君
   内閣法制局長官 林  修三君
   内閣法制局第一
   部長      山内 一夫君
   総理府総務長官 徳安 實藏君
   総理府特別地域
   連絡局長    大竹 民陟君
   警察庁長官   柏村 信雄君
   防衛庁長官官房
   長       加藤 陽三君
   防衛庁防衛局長 海原  治君
   防衛庁経理局長 上田 克郎君
   防衛庁装備局長 伊藤 三郎君
   防衛庁参事官  麻生  茂君
   防衛施設庁長官 林  一夫君
   防衛施設庁労務
   部長      沼尻 元一君
   経済企画庁調整
   局長      山本 重信君
   外務省アジア局
   長       後宮 虎郎君
   外務省アメリカ
   局長      安藤 吉光君
   外務省条約局長 中川  融君
   大蔵省主計局長 石野 信一君
   大蔵省主税局長 村山 達雄君
   大蔵省銀行局長 大月  高君
   中小企業庁長官 樋詰 誠明君
   労働省労政局長 堀  秀夫君
   自治省選挙局長 松村 清之君
   自治省税務局長 柴田  護君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  説明員
   自治大臣官房参事
   官       松島 五郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十八年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十八年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十八年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。市川房枝君。
#3
○市川房枝君 最初に、自治大臣及び総理大臣にお伺いしたいと思います。
 地方議会の議員の方々に対する報酬及び国会議員の歳費についてのことに関してちょっと伺いたいと思います。
 近く国会議員の歳費が大幅に上がるようでありますが、そうなりますと、これにならって地方議会の議員の方々の報酬も値上げされることは、これはいつもの例で、はっきりしております。前の自治庁長官でありました石原さんに、三十五年の予算委員会で私伺ったのでありますが、この地方議会の議員について大幅に値上げされることは望ましくない。だから府県議会議長会の事務局長を呼んで警告をしたとおっしゃったようなことがございましたが、もしそうなりました場合に、自治庁長官はどういうふうに御処置なさろうとしますか。それをお伺いします。
#4
○国務大臣(篠田弘作君) 御承知のとおり地方自治団体の議員の報酬は、地方自治法二百二条によりまして条例できめることになっております。その額をどのように定めるかにつきましては、議員報酬の性質上、こういう点にしろ、これ以上はいけないという基準は、非常にむずかしいわけであります。しかしながら、昨年の十一月自治省におきまして地方の府県会議員の報酬につきまして、大体このぐらいがいいじゃないかというその基準、このぐらいという意味は、府県の部長の最高額程度がいいのじゃないかということで相談をいたしまして、自治省の見解を各都道府県に連絡をしたことがございます。ただいまおっしゃったように国会議員の歳費の値上げに従って地方団体の動きも活発になると思いますが、これにつきまして必ずしも今より絶対に上げちゃいけないとか、そういうような考えは持っておらないのでありまして、地方の自治団体の良識に待ちたい。こういうふうに考えておるわけであります。
#5
○市川房枝君 今お話によりますと、地方の県の部長と同じくらいという標準をお示しになったということでございますが、それもどういう根拠といいますか、あるいはそれに対して県会議員側で何か不服があるようなことをちょっと新聞で見たのでありますけれども、その点はいかがでありますか。
#6
○国務大臣(篠田弘作君) 地方の議会によりましては、国会議員以上のような待遇をしようとしているところもあるわけであります。あまり財政豊かでない県につきましては、また非常に少ないというような、いろいろなことがありまして、野放図にしておきますと、とんでもないお手盛りがそこで行なわれる。それで、まあ議員でありますから普通の事務官と同額には論じられないと思いますか、国会議員などの場合と違いまして、県会議員の場合は、いわゆる開会の日数等から見まして、国会議員のようにもう半年も国会に縛りつけておるというようなことはないわけです。そういうようなことをいろいろ考慮いたしまして、まあ幾ら高くても常勤の部長以上取るということは適当でないのではないか、これも、何も特に合理的な基準というようなものがあるわけではありませんが、そういうようないろいろ相談をいたしまして、これ以上はちょっとまずいのじゃないか、世間に与える印象からいっても、常識からいってもまずいのじゃないかと、自治省としてはそういう考えをしておる。そうやれということを言ったわけじゃございません。自治省としてはこのくらいが適当と考えておるといういろいろ問い合わせがありましたが、それに対する回答でございます。
#7
○市川房枝君 部長級と同じくらいというと、大体どのくらいでございますか。そしてそれよりも全体としては現在多いのか少ないのか。大体その辺がおわかりになりましたら……。
#8
○国務大臣(篠田弘作君) 部長級と同じくらいといいましても、私は、はっきり部長の給料を知っているわけじゃありませんけれども、大体多いもので七、八万くらいじゃないかと思います。数字が必要であれば事務当局から説明させます。ところが、もうこれをオーバーしているものがたくさんあり、さらにそれを値上げをしようという動きもあるわけであります。だから大体その程度の基準を示していけば、それ以上上げるということは、一応通達してありますから、なかなか、何と申しますか、常識で考えて一つのブレーキになるのじゃないかと、こういうふうに考えましていたしたわけであります。
#9
○市川房枝君 今度国会議員が上がりますと、上げることになるのでしょうが、部長のほうはやっぱり公務員のほうで、そんなに上がらないわけでございましょう。そうすると、勢いそれよりも高くなるということになりそうですけれども、どうなんでしょう。
#10
○国務大臣(篠田弘作君) これは、先ほど申し上げましたように、条例で定めることでございますから、それを絶対禁止するという方法はないわけでございます。したがいまして、その府県の世論等にもかんがみまして、府県に自主的に良識をもってやってもらう。あまり干渉いたしますと、また自治体に対する干渉である、民主主義に対する中央官庁の干渉という非難もまた起こってくるでありましょう。そういう意味におきましても、あまりにも常識はずれな、これは見のがしておいては他の地方団体に影響してまずいというものにつきましては、私のほうとしても特に反省を促すとか、注意を喚起するということはありますけれども、そうでないものは自主的にその良識に待つ、こういったようなことでございます。
#11
○市川房枝君 総理にお伺いしたいのでございますが、国民の大多数は、国会議員及び地方議会議員の歳費、報酬等の値上げを、お手盛りと称して賛成していないと思います。しかし、法的な手続からいえば、議員自身がきめるということになるのは、これは当然なんですけれども、総理も議員の一人でおいでになりますし、また自民党の総裁として、国民からそういう声が出てくるのはやむを得ないとお思いになりますか。お考えをちょっとお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(池田勇人君) 御承知のとおり、法律できめることでございますから、お手盛りと申しましても、だれもきめようがないわけでございます。それからお手盛りといいますが、これは当然法律的にそうなっているわけでありまして、どうもお手盛りという言葉がいかがなものか。私は、議員各位の報酬は、労力に対して決して高いとは思いません。今度上がっても、それは当然と思っております。民間の会社の重役等から考えまして、私は、お手盛りだからといって、低過ぎるくらいのお手盛りと考えております。
#13
○市川房枝君 今、総理のおっしゃいましたように、議員の歳費がどのくらいが適当か、私のようなものには今でも多過ぎるのですけれども、いなかと東京と両方に生活をお持ちになって、そうして国会活動をなさろうという力にとっては、あるいは足らないかもしれません。それならば、私やっぱり国民の間からそういう声を出させないように、これだけ要るのだということで納得させるということが必要じゃないかと思うのです。まあ婦人団体では公聴会を開いて、あるいは第三者にいろいろ、諮問機関といいますか、そういうのを作って、これだけ要るのだ、あるいは今お話のように、民間の会社の重役なんかはこのくらいなんだというふうなことで、そういうふうな数字を出して、そして納得させるような手続等、これは別に法的にはなくても、それは諮問機関でいい、決定権は国会なり地方議会にありまするから、一極のまあ諮問機関の程度でもかまわないと私は思うのですけれども、そういうような方法を講ずるというようなことはいかがでしょうか。この問題は、国民の国会議員に対する信頼の問題に関係することなんで、非常に重大な問題だと実は考えておるのですが、その点についての総理のお考えを伺いたい。
#14
○国務大臣(池田勇人君) 私は、別にそういう必要はないと思います。ただ、国民に納得いくようによく知ってもらうことが必要だと思います。いかにもこそこそやるような格好にとれるのがお手盛りのおもなる非難の原因だ、正々堂々とやっていけば、私はそう国会議員の歳費が高過ぎてどうこうということはない、しかもその高いとかお手盛りとか言うのは、いつのときにも特殊の団体から出るようでございます。特殊の団体。一般の国民はそう思っていないのでございますが、ある人が二、三人で言い出すと、そうだ、そうだということがあって、毎回見ておりますが、今回なんかももっとPRが足らない、初めから正々堂々と組んでいけば、国民は納得すると思うのですが、どうも両方とも少し、何といいますか、気が小さ過ぎるのじゃないでしょうか。正々堂々とやったらいいと思います。
#15
○市川房枝君 お話のように正々堂々とやれば、国民の間からそういう声が出てこない、だから何とかお手盛りという言葉を国民に出させないようにする、これは国民の中には、もう何といいますか、前にはそう言ったのだけれどもしようがないといいますか、というので声が出てこないということもあるかもしれませんが、しかし、私どもが民間でいろいろなところへ行きますと、まっ先にそれを言われるのであります。ですから総理のところへはそういう声は届いていないのかもしれませんけれども、私のところへは、ずいぶん届いておりますので、ひとつこれは総理にもその点を、自民党の総裁としてお考えおきをいただきたい、こう思います。
 次は、地方選挙に関連した幾つかの問題についてお伺いしたいと思います。
 最近幾つかの知事選挙が行なわれまして、いずれも自民党知事が御当選になりました。その原因はいろいろありましょうけれども、その中の一つとして、総理はじめ閣僚の方々あるいは自民党の幹部の方々が選挙の応援演説で、その地方の有権者に対して、中央につながる政治と、自民党の知事をお出しなさい、そうすれば補助金だの起債だのあるいは交付金等で便宜が得られる、中央につながる政治ということをおっしゃっておるようでありますが、そうしてそれが非常に一般の有権者から聞きますと、ちょっとそうらしくも聞こえて、それが非常に効果があったように言われております。まあこの問題については、実は一昨日の参議院の地方行政及び選挙法の特別委員会でも、野党の力から自治大臣あるいは選挙局長に対して質問がございましたが、これはそのときにも話が出ましたけれども、一種の利益誘導であって、まあ選挙違反といいますか、利益誘導なら選挙違反になるのですけれども、こういうことも言えますが、それよりも大事なことは、やっぱりそういう補助金とか交付金とか、いろいろそういうことは法律でちゃんときめられておって、知事なら、自民党の知事になったらそれが左右できるのだ、少し多くしてもらえるのだ、社会党の知事ならばできないのだという印象を私は国民に与えるということは、結果において政治に対する不信といいますか、あるいは政党に対する信用の問題もありますけれども、そういうので非常に重大な問題なので、自民党の幹部の方がある程度それらしきことをおっしゃってもこれは選挙でありまするから、ある程度まあ私やむを得ない点もあるのかもしれませんけれども、少なくとも総理及び閣僚の方には、自民党の出身でもおいでになりまするけれども、やはり日本の政治を担当しておいでになる限りは、国民全体のための政府であり、総理でおいでになるわけです。そういう点で総理や閣僚が私はそういうことを選挙においてやはりおっしゃることはいかがかと思いますけれども、いかがでしょうか、これは総理から伺いたい。
#16
○国務大臣(池田勇人君) 私も自民党員でございますから、自民党員の資格で言うことは何ら差しつかえない。また、実際においても大臣と政調会長では、政調会長のほうがよく響くかもしれませんが、それは官にあるなしにかかわらず、自民党員として実際においてやりいいのじゃございますまいか。私はわが党の政策を一つにする人が中央、地方におってよく話をするということが政治がやりいいんじゃないか。民主主義の政治、それがベターであると私は言っている。ベストじゃなく、ベターであります。これはやはりそうではございますまいか。私はそれだと思います、国民は。しかも政府の政策が悪ければこれはもう問題になりません。政策のいいときに、そうして着々実績を上げているときに同志が野党を制するのは自然の勢いだと思います。
#17
○市川房枝君 今総理のおっしゃいました個人的に知り合っているということは、ある程度意志の疎通をはかるということは私認めるのですけれども、しかし、それだからといって、法律できまっているいろいろなそういう事柄があたかも左右できるようなふうにおっしゃるということになると、法律は一体何のために作ってあるのだ、幾らでもそういう法律にきめてあったって自由にできるのか、こういう疑問を持つのですけれども、これは自治大臣、この間の選挙法改正に関する委員会では、その点は自治大臣がはっきりとそういうことはあり得ないとおっしゃったのですが、もう一度お考えを伺わしていただきたいと思います。
#18
○国務大臣(篠田弘作君) 元来、中央の政府と地方の自治団体との間に対立というような関係はないわけでございます。できる限り中央と地方というものが意思の疎通をして、円滑な政治並びに自治行政をやるということが望ましい政治の姿であります。そういうことからいえば、中央政府と対立的な立場にある地方団体よりも、中央政府と意思疎通をしておる団体のほうが円満なる地方行政が行なわれるということは私は実際上言えると思います。しかしながら、だからといって法律に上って規定されておる交付税であるとか、その他いろいろなものがいわゆる与党の知事でないから、市町村長でないからといって、それを、区別をして、法律にきめられておりますところのものを減らすとかあるいはそれ以上にふやすとか、そういうことは実際上ありません。しかしながら、選挙でありますから、これはいずれの政党においても非常にオーバーな言動が行なわれておる。たとえば野党などではかって自民党に対して国賊であるとか、あるいはまた、資本家の犬である、代弁者であると相当口ぎたないことが言われております。しかし、これは言っておる人自体が必ずしも口で言っても国賊だと思って言っておるわけではありません。先般のどこか衆議院か何かの予算委員会におきましても、やはり総理大臣に向かって、お前はサル回しのサルだなんという実に失礼なことを言った議員もおる。聞いておる本人もそういうことを言われても自分がサル回しのサルだとは思っていないし、それから言っておる人も総理がサル回しのサルだと考えて言っておるわけじゃありません。そういうことは選挙の一つの何といいますか、戦術といいますか、行き過ぎと思いますが、そういうことでおそらく強調されるのじゃないか、こう思います。しかし、令申し上げたように、選挙にはそういうことがありがちなことでありますが、できるだけそういうオーバーな言葉はお互いに慎んで、そうしていわゆるフェア・プレーで政策を訴えて選挙をやるという姿が私は一番望ましいのじゃないか、こう考えております。
    ―――――――――――――
#19
○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がありました。丸茂重貞君、郡祐一君、河好謙三君、古池信三君、加藤武徳君及び太田正孝君がそれぞれ辞任され、その補欠として仲原善一君、鈴木恭一君、鹿島俊雄君、紅露みつ君、北口龍徳君及び横山フク君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#20
○市川房枝君 今の自治大臣の御答弁で、あり得ないということは一応私納得するのですが、総理の御意見は何だかあり得るような響きを持っておるのですが、私はもちろん総理は自民党の総裁であられますし、自民党の立場でいろいろおっしゃることはもちろんあり得るのですけれども、やはりしかし、さっき申しましたように、総則という立場は私多少別になるのじゃないか、国民としては。自民党の総裁というのでしたら、自民党の方たちだけが総裁としてのつながりがあるわけですけれども、総理という場合には社会党の方だってあるいはその他の方だってみんなつながりがあるわけですから、そういう意味の総理の言動といいますか、そういうものに対しては私はやはり多少違って考えていただきたい。さっきの御趣旨は私はわかりますけれども、やはり総理としては正しい政治をやっておるのだ、こういうふうな印象を国民に与えていただきたい。選挙の結果は結局国民が批判するのでありますから、それはいろいろなお考えを伺い、各党の政策も尊重した上で決定する、主権者は国民でありますけれども、しかし、政府当局としては、私はこの問題について心配をしておる実は一人なんでございます。近く統一選挙が参りまして、知事初め各市町村の選挙が行なわれますが、それに対してもやはり中央につながる政治ということで何かそのほうが、うまくいくような、得のいくようなことについては、私は日本の政治の将来にとっては非常は心配する者ですが、政党の幹部の方とは申しませんけれども、総理並びに閣僚の方には今度の選挙の応援に際してその点の考慮を少し払っていただきたいと思いますが、いかがでしょうね。
#21
○国務大臣(池田勇人君) わが党の知事だから法律を曲げてとかなんとかいうことは毛頭考えておりません。それはもうそういうことは当然あり得ないことでございます。しかし、早い話が、私はたびたび知事会議を開きますが、わが党でないところの知事の人は私は顔をよく知りません。おいでにならない。ある知事は――現職でございますが、私は通産省におられたときに一ぺん顔を見たことがございますが、知事になってからほとんど知事会議に来られません。また、この近くの、今度やめてどこかへ行かれるとか聞いておりますが、その知事もほとんど知事会議に出てこられません。これじゃどうでございましょうか。この現実の姿々言うわけです、現実の姿を。九州のある県の知事も私は顔を知りません。これはどうでしょう。私は地方自治、国の政治がよくいく上においては、閣僚も党三役もあるいは府県知事、府県議長等はたびたび顔を合わせて、東京へ来られても努めて閣僚、総理にお会いになる努力が必要だと思いますが、公式の会議にでも他党の知事はおいでにならぬ場合が多い。こういうことは現実の問題として、やはり同志つながることが、地方、中央は一体であるべきなんです。もちろん自治というものを阻害しようとは思いません。そういう点をよそから見ると、やはり同志つながるということをいうのじゃございますまいか。私もそういう経験を持っておりますから、選挙に行ったときには、総理大臣としてではございません、総裁として、できるだけよく知った人をお選び下さったほうが仕事がお互いにやりいいということを言っているのであります。
#22
○市川房枝君 今のお話の社会党系の知事の方がそういう公の会合においでにならない。これは私はよく存じませんけれども、その会合自身がやはりいわゆる中央と地方政治というもののつながりの公のものであれば、私は出ておいでになるべきだと思いますし、まあ私はどっちの党にも属しておりませんから、無所属の立場で申し上げるのですが、やはりそれはおいでになるべきですが、しかし、総理はやはり日本の国の全体の政治をやって下さるのですから、社会党の知事が来ないから社会党の知事のところは知らぬ顔をして、顔も知らない、何も話に乗らないということでは、やはり一国の総理としては私どもは不満だと思うのです。ですからそういうことに、国民の中からいいますと、自民党、社会党でいいますと、国民のうちの三分の一はやはり社会党、三分の二が自民党だとこれは大まかに言えるのです。そうすると、三分の一の国民は、社会党を支持した国民は何となく別者のような感じを持つ、これはやはり望ましいことではないのじゃないか。一応主義は違い、政策は違っても、選挙で自民党がお勝ちになって、そうして池田さんが総理におなりになって政治をやって下さるということは、これは一つの民主主義のルールとして当然受け入れるべきだ。そうすれば、あとは自民党の総裁というときと総理というものはやはりある程度使い分けていただかなければならない。これが国民の私は希望ではないかと思います。これはまあ一応希望として申し上げておきます。何かそれについてありましたら。
#23
○国務大臣(池田勇人君) 当然のことでございます。当然のこと、それだから私はベターということを言っておる。よりやりいい点があります。そうでしょう。やはり直接に陳情なさったときには、ああそうですかとその県の関心が深くなる。どこでも同じように、太陽のように総理というものは国民に差別を置くべきものじゃございません、与党であろうが、野党であろうが。しかし、政治する上においてつながりの濃いほうがやりいいということで、法律を曲げたり何かするものじゃございません。だからちょいちょいおいでになってその県の民情をお話し下されば、それだけ気がそこへ向く機会が多い、それを言っている。来ないから何もしないというわけじゃない。これは法律、政令その他において万民共通の政治をしなければならない。その共通の政治をするとき早く手が届くとか、たびたびその県のことを考えるというのでベターと言っておるわけでございます。だから一国の総理としてはそれが何党であろうとも、かえって反対党のほうが気配りすることが多くあるべきなんです。そういうものです、総理というものは。それにはやはり気を配ることを多くしなければならない反対党のほうの人がたびたび来るようにして下さればいいので、それがいかないという現実を言っているのです。
#24
○市川房枝君 お話を伺っているうちに、これは自治省のほうの関係になりましょうか。社会党知事の場合と自民党の知事の場合と地方への補助金とかいろんなもので何らかの違いがありましょうか。具体的な数字ということになりますと今すぐに伺えないでしょうけれども、一応自治大臣はどうお考えになりますか。
#25
○国務大臣(篠田弘作君) それは違いはありません。ただ、今総理がおっしゃったように、総理大臣といたしましても、政府といたしましても、一応国民を相手にしているわけでありますから、これは平等なわけです。ところが、どんな愛情の深い母親でも、すやすや寝ている子供を起こしてまで、お前背中がかゆいか、手がかゆかいという、そういう母親はないわけです。やはりはっきり言いますと、子供が夜中にむずかる。お母さん背中がかゆい、あるいはおしりがかゆいと言うから、母親は眠いのだけれども目をさましてかいてやる。すやすや寝ていてそばへも来ないで、どこもかゆいと言わない子供に、わざわざ母親が眠い目をさましてかくということはない。実際言えばそういうことと同じでありまして、決して愛情の問題において区別をするとか、施政の面において区別をするとか、あるいはまた、先ほど申しましたように、豪雪地帯であるけれども、知事が社会党だから予算をやらないという、そういうばかなことは世の中にありません。ただ、今申しましたように、中央と地方の姿というのは、対立の姿ではなくして、円満に疎通する姿で地方行政というものが行なわれ、政府の政治が行なわれることが望ましいのだ。そういう意味において、愛情は持っているのだけれども、やはり今言ったような実情が実際問題としてあるということは私は否定できないのじゃないか、こう考えるわけです。
#26
○市川房枝君 今の自治大臣の母親の例はあれですけれども、私から言うと、すやすやよく寝て、あまり何も言わない子供のほうが丈夫だということになりますね。そうじゃありませんか。
#27
○国務大臣(篠田弘作君) 丈夫だというのじゃない。
#28
○市川房枝君 いや、私の立場で、母親の立場で批評すればそういうことになる。そうすればやはり社会党の知事のほうが丈夫だということになってしまう。
 次は、この間からの選挙で、知事では三選、四選の方が当選した。現職の方が当選しておいでになりますが、自治大臣は、衆議院の委員会で、三選以上は望ましくないということをおっしゃったようでございますが、今でもそうお考えになっておりますか、その点。
#29
○国務大臣(篠田弘作君) 三選以上は望ましくないなどということは、一度も申したことはありません。速記録をお調べになればよくわかります。ただ、社会党の阪上安太郎議員の質問に、知事が四選も五選もやる者がある、これに対して、非常な弊害があるのだ、自治大臣はどう考えるか、こうおっしゃいました。そこで私は、こういうふうに答えております。まあ三選くらいまでは常識上いいのではないか。ということは、やはり三選くらいやらないというと、公約の実行ということも完全にいかないかもしれない。三選ぐらいまでいいのじゃないか。四選、五選ぐらいになれば、あるいは何らかの弊害がそこに伴うかもしれない。しかし、この弊害というのは、ものさしをもってはかることのできない弊害である。弊害と同時に、またプラスも起きてくる。それだけ四選も五選もされる知事でありますから、やはり県民の信頼もあるでありましょう。そういう意味において、ピッチャーというものは必ずしも二回でやめなければいけない、三回でやめなければいけないというものじゃない。完投できるピッチャーは完投させてもいいじゃないか。しかし、完投させるか、三回で交代させるかということは、県民の判断することであるから、県民がそれを判断してやるべきである、こう答えているわけであります。
#30
○市川房枝君 三選でも、四選でも、五選でも、有権者から選ばれて出るのだから一向差しつかえない、それだけそういう人たちは能力があるのだ、こういう意見もありまして、そういうこともあり得るかもしれませんけれども、ただ、私は現職の知事というものは非常に強い。結局四六時中選挙運動やっていることにもなるし、あるいは公費でもって、選挙運動をやっている、こういうことになって、新しい人と同じベースでの、同じスタートに立っての運動ではない。そういう点で、何選か重ねられた方が必ずしも有能な方とは言えない。いやそればかりでなくして、やはり長くなれば、ことに知事の権力は強いのであります。市町村長の権力は強いのでありますから、やはりそこは水がたまって、それが濁ってくる。そういうことも常識的に言えるのでありますし、適当な機会にやはりかわってもらうほうがいいのじゃないか。しかし、なかなかこれは今申したような現職の知事が強いというようなことから、遠慮をしていたという結果、なかなかむずかしいことでありますし、結局、これは私は法律でもって、やはりまあ二選までは私もいいと思いますけれども、三選以上は、継続しての立候補は禁止するというような法律、これはアメリカの州知事の選挙の場合には、一期で忌避するという法律を持っているところもございますけれども、せめて三期以上は忌避するというような法律があったほうがいいと私は思うのでありますが、これは総理はいかがお考えでしょうか。
#31
○国務大臣(池田勇人君) まだ、この問題につきましては、私は世論は一致してないと思います。やはり、こういう問題から世論が沸きまして、理屈の問題ではないのでございますから、やはり国民感情、世論に聞いてからやるべきだ。今、こういうことにつきましてこうだと言うことは、少し早過ぎはしますまいか。
#32
○市川房枝君 この地方選挙にも法定選挙費用が決定されておる。これも国会議員と同じことに、法定選挙費用が約倍額になりましたが、有権者の数によって計算がなかなかむずかしくて、ちょっとわかりにくいんです。そういうためか、あるいはどうせ法定選挙費用なんていうものはうそだというような、十倍、二十倍と使うのだということがありますのか、これは新聞、ラジオなどでも地方選挙法定費用なんていうのをあまり書いておいでにならないのでございますが、この間、実は東京都の今度の候補者であります東さんと坂本さんにおいでいただいて、私どもで実はお話を伺ったんです。そのときに、東京都知事の選挙の法定選挙費用は幾らかということを伺ったのですが、御存じなかったんです。そして、その席上で、だれがおっしゃったということは申しませんけれども、自民党が十億円くらい、社会党でも四千万円くらいはどんなにしても使うだろう、こういう話でございまして、そうすると、法定選挙費用から見ると、ずいぶん多いわけであります。こんな工合に、地方選挙も国会議員の選挙と同じことに非常に金がかかる。出てほしい人は金がないし、出てもおっこっちゃうというような現状では、やはりほんとうにいい人が出ないで、地方の一番民主主義政治からいえば基本になる自治体の議員の方々の質が低下するというようなことにもなるのではないか。この地方選挙にも非常に金が要るという傾向に対して総理はどんなふうにお考えになっておりましょうか。
#33
○国務大臣(池田勇人君) 選挙に金がかからないことが一番望ましいことでございます。東京都知事の選挙も、候補者が何も金持ちではないようでございますから。しかし、実際問題としては、やはりポスターその他でかなりかかるようでございます。そこで、少ないに越したことはございませんが、それができないときには、やはりどこへどれだけ要ったということがはっきりすることが望ましいことだと思います。私は東京都では買収とかなんとかいうことは、ほとんどあり得ない。そこで、数百万の分を買収でどうこうということはできない。金がかからない。しかも、かかった金は明らかになることが望ましいと思います。
#34
○市川房枝君 今の総理のお答えは、私、このあとで昨年の参議院選挙の際のお金の問題に関連してもお伺いしたいと思います。地方選挙に関連して、もう一つ記号式の投票の問題についてちょっと伺いたいと思います。昨年の選挙法の改正で、地方自治体の首長の選挙には記号式を採用できることになり、すでに実施したところもありまして、そこでは有権者から非常に歓迎されている。たとえば山形市の市長選挙の際には、選挙と同時にアンケートを投票者に配りまして、記号式についての意見を求めておりますが、それによりますと、八〇%は賛成しているわけであります。有権者ばかりでなく、選挙事務が非常に簡単になるといいますか、やりよくなりますので、その選挙事務当局者もこれを歓迎しているようであります。ところが、東京都においては選挙管理委員会でこれを記号式を採用しようと、そう決定しましたところが、東京都議会で反対がある。都議会の中の社会党議員の方々のほうは賛成なんでありますが、自民党のほうが反対、その反対の理由も、時間がありませんから、こまかく申し上げませんけれども、私どもから言うと、ずいぶんおかしい反対なんです。つまり、名前をはっきり書かせることによって名前を覚えさせる。記号式でまるをつけるのでは忘れられちゃうんだということが一番根本の理由みたいに見えるのでありますが、これは候補者の立場を考える。選挙というものは、主権者である有権者の立場で、有権者の望むというか、その便宜を考えてやるべきである。その候補者の立場からということは、単に記号式ばかりではありません。選挙法の一切の規定がそうでありまするが、私は間違っているんじゃないかと思うのでありまするが、総理は、この都議会の自民党と同じように、記号式の問題についてお考えになっておりまするか。それから、私は、もし御賛成ならば、今からでもおそくないので、全国で首長の記号式、せっかく昨年の選挙法の改正でこれをいいとして取り上げたんでありますから、それをできるだけ採用するように、その勧奨をしていただきたいと思うのであります。これは総理と自治大臣と両方からお答えをいただきたい。
#35
○国務大臣(池田勇人君) これはその地方の条例によってきめることでございまして、総理大臣がこうしろああしろと言う筋合いのものではございません。
#36
○国務大臣(篠田弘作君) これは選挙法の改正によりまして、記号式を用いてもいいことになっておる。現在まで記号式を用いてやりました選挙は五市二十九カ町村、今後またさらにやろうとしているのが七市十七カ町村、きわめて、全国三千五百の市町村から見ますと、実にりょうりょうたるものであります。それは記号式がいいという御議論で、もちろん選挙法の改正、記号式を使うことになっておりますが、記号式を使うか使わないかということは、ただいま総理大臣が申しましたように、地方自治団体においてそれを決定することになっております。新しい制度というものは、一方において非常にいい面も考えられるのでありますが、また新しい制度に対する確信と申しますか、そういうものをはっきりつかまない間は、またある意味における不安というものもあるわけでございまして、そういうものを総合して地方の自治団体が判断をしてやっておるわけであります。したがいまして、今行なわれる記号式も、非常に数の少ない町村長であるとか市長であるというものに限られて行なわれておるという、そういう状態でございます。
#37
○市川房枝君 次には、昨年の七月一日に行なわれました参議院議員選挙の結果について幾つか尋ねたいと思います。
 自治大臣はあの選挙、まあ選挙を所管しておりますから、昨年の参議院の七月選挙の選挙費用の届け出についての総計といいますか、一体法定の選挙費用の届け出、全国区はどのくらい、地方区はどのくらい平均してかかっておりますか、お調べになっておりますか。これは選挙局長でけっこうでございます。
#38
○政府委員(松村清之君) この全国区に関しましては中央選挙管理会が所管しておりますので、その届け出を受理しました場合にはこれを調べております。ただ地方区に関しましては、これはそれぞれの都道府県の選挙管理委員会まででございますので、私どもは、直接これに必要がある場合を除いては、タッチしておりません。
#39
○市川房枝君 今、選挙局長は、地方区は直接担当していないから知らんとおっしゃるのですが、しかし選挙を総括しておるのは自治省の選挙局なんで、一体選挙費用をおきめになるについては、そういうことは選挙局でおやりになるのでしょう。調査をなさるわけでしょう。だから、その結果がどうなっているかということまで当然私はなさるべきだと思うのですが、その数字なんかも全然ございませんか。全国区のほうはありますか。
#40
○政府委員(松村清之君) まあもちろん選挙の仕事は自治省の担当でございますので、地方選挙に関する部分ももちろんあずかるべきであると思いますけれども、必要があります場合を除きましては、先ほど申し上げましたように、全国区については直接管理しておりますので数字を握っておりますけれども、地方につきましては、必要のある場合それぞれの都道府県の選挙管理委員会から聴取するだけでございまして、必ずいつも全国の地方の問題を掌握しておるということはやっておりません。
#41
○市川房枝君 今お話しのように、全国区は中央選挙管理会、地方はそれぞれの都道府県の選挙管理委員会で扱っておいでになるのですが、昨年の地方区で、まあ福井、秋田はまだ一部手に入っていないのですが、長崎のは四月に公報に発表するというので、これもないのですが、他のは私のところに一覧表というのですか、ここにみんな持っておるのですが、公報に発表の形式は、衆議院のときに比べましてたいへん見よくなりまして、これはたいへんけっこうだったと思います。ところで、その法定の選挙費用は、昨年の選挙法の改正で実情に合わせるということで約二倍になって、御承知のとおり、全国区は六百五十万円、地方区は東京の六百三十万円を最高として定められておるのですが、その皆さんのを拝見しますと、これは公開されておりますから、拝見して一向差しつかえないわけでありますが、東京地区について申しますと、安井謙さんは四百四十七万二千一円で、法定選挙費用のこれは七割九厘、和泉覚さんは六十八万四千六百三十七円、法定選挙費用の一割と七厘、石井桂さんは三百九十二万三千四百六十七円で、六割二分二厘、岡田宗司さんが二百九十五万七千六百四十一円で、四割六分九厘、野坂参三さんは三百十九万三百三十五円で、五割六厘、これを平均しますると四割八分三厘、法定費用の半額にもなっていないのであります。まあ全国区、地方区全部のほうの平均、それを私どもがとってみたのですが、全国区のほうでは五割三分、地方区は四割九分六厘、それを合わせて平均しますと四割九分八厘ということにしか達しておりません。七月選挙で、選挙をなさった閣僚の方は近藤鶴代さんお一人ですが、近藤さんの届出の選挙費用も百七十四万一千百四十八円で、岡山県の法定三百七十五万三千四百円の約半額にしかなっておりません。まあこの届出は出納責任者の真実の記載がされていることを誓う旨のちゃんと捺印がしてあるのですが、これは事実が記載されておるとお思いになりますかどうか。総理がどっかへ行っておしまいになったのですが、これは自治大臣と総理とお二人から、この届出の法定選挙費用、約半額にしかなっておりませんが、それをどういうふうにお考えになりますか、伺いたい。
#42
○国務大臣(篠田弘作君) 選挙費用というものは、人によりまして、非常にたくさん使う人と非常に少ない人があるということは、もう御承知のとおりであります。あなたなんか非常に少ないほうに入るだろうと思います。そういう意味におきまして、選挙の法定費用がきめられたから、それを目幅一ぱいに使わなければならぬというものではもちろんないわけであります。ただ、従来の法定選挙費用というものは、いかにも実情から見て少な過ぎる。しかし、その少ない中でも、それで間に合わしておった人ももちろんそれはたくさんあるだろう。しかし、あまり実情に即さない線で選挙費用を引いておきますというと、違反が非常に多くなる。それはわざわざ違反を作っている格好になる。それではまずいから、実情に適した、物価であるとか、あるいはまたその選挙区の状態に適したような選挙費用にしようというのが今度のねらいでございます。そこで、今参議院の東京の地方区における選挙費用というものは、新しい法定選挙費用よりも少ないじゃないかと、しかし、これはもちろんだんだん公明選挙もうたわれてきておりますし、選挙民も候補者も非常に自粛した選挙をやるようになってきておりますから、法定選挙費用に満たなくても決して差しつかえない、それは事実である。こういうふうに私見ております。ただ、参議院全国区の選挙費用を見ますと、その六割までが前の法定選挙費用を、改正前の選挙費用を六割の人がオーバーしておる、こういう事実であります。そういうことを見ると、以前の選挙費用がやはり実情に合わなかったんではないか、改正したほうがよかった、こういうふうに考えておるわけであります。
#43
○市川房枝君 自治大臣はこれを事実だとおっしゃるし、また、そうおっしゃるよりほかないのだろうと思うのですが、これは常識としては、これくらいで参議院の選挙は済むのなら、候補者の皆さんそんなに苦労なさる必要はないのでありまして、民間でというか、私なんかもう耳に入ってくるのでは、やはりあの参議院選挙も少なくとも五千万円−一億以上使っているとおっしゃる。それはその選挙期間でなく、その前の運動も入っているのでしょうけれども、これは私にはどうもそう思えないのです。もしそうであれば、これ、事実であれば、たいへんけっこうだと思うわけなんです。これは総理いらっしゃったら、もう一ぺん伺ってみますけれども。それから、これは衆議院の選挙のときに私が調べたところによりますと、法定選挙費用はあのときは八十万円くらいでしたか、皆さんの届出を拝見しますと、大体七割、八割ですね。多い方で九割くらいになっておったんです。これももちろんそれが事実だとは私思いませんけれども、今度の選挙では五割しか書き出しておいでにならない。半分しか書き出しておいでにならない。今お話しのように、多少全国区は前の法定選挙費用よりもオーバーしている方があるかもしれませんが、全体とすれば、やはり半額で済んでいる。なぜ法定選挙費用を引き上げる必要があったのか。この結果から見れば、前のままでよかったんじゃないかという私は結論に達するのですが、なるべく法定選挙費用は少なくて済むほうがいいんで、私はむしろこういう状況なら、法定選挙費用をもう少しお下げになったらいいと思うのですが、いかがでしょうか。
#44
○国務大臣(篠田弘作君) 参議院地方区の選挙で五千万円かかるとか一億円かかるとかいうような話を今されましたが、私自分の経験からいいましても、それは全く夢のような話で、そういう、よく新聞などが二当一落とか、いろんなことを書きますけれども、そんな金、一体どこからだれが集めてくるのかということを非常に疑問に思うのです。それであなたは一体、失礼ですけれども、参議院議員としてやっておられるのですけれども、そういうことをあなた自身、自分の経験から信じられるかどうかということを、たいへん失礼な言い分だけれども、私ひとつ伺ってみたいということが一つと、それからもう一つは、ちょうど私が昭和二十四年に当選をいたしました。そのときの法定選挙費用が私のところで九十万円強です。しかし、私はそのとき二十万円しか金を持っておらないから、融通がつかないから二十万円であります。そのかわり、共産党も社会党も全部トラックに乗ってマイクを使いましたが、私はバスへ乗って、汽車に乗りまして、メガホンでやりました。それでも、選挙は当選しようと思えばできるのです。だから、五千万円だとか一億円だとか天文学的数字を並べて、選挙というものは金がかかるのだということを、国会みずからがそういうことを承認するようなことは、私は非常に選挙界の公明のために嘆かわしいことである、こう思います。一体、市川先生自身が参議院議員として、そういうばかげたうわさをお信じになるかどうかということを、私のほうから御質問申し上げたいくらいであります。
#45
○市川房枝君 私は、それはどうして調べるといったって調べようがないのですね。そんなことあるまいと、こう思うのですけれども、いろいろなそういううわさが耳に来るものですから、それで今申し上げたわけであります。
 総理がおいでになりましたから、総理からちょっと。総理、さっき届出の法定選挙費用にちゃんと書けばいいんじゃないかと、こうおっしゃったのですが、私、参議院の選挙の七月のものを調べてみて、今申し上げたのでありますが、やっぱりこれは、この前衆議院のときにも伺ったのですが、法定選挙費用の届出というものは、これは正しいとお思いになりますか。こんなこと伺うのはやぼかもしれませんけれども、ちょっと。
#46
○国務大臣(池田勇人君) 私に関する限りは、正しくやっております。この前の衆議院のときも、選挙区へ帰りませんし、届出した事実は知っておりますが、どういうふうに使ったかは、一切存じません。届出は正しくやっておると思います。もちろん法定選挙費用以内であります。篠田君が昭和二十四年のことを申しましたが、私も昭和二十四年に初めて立ちまして、そして、大蔵次官の退職金七万円で、公債で立候補の届出に使った。兄貴から二十万円もらったので、十分済んだ経験を持っております。選挙には、私は金がかからない。私の申告は確かに間違いない。人さんのことは、私は総理大臣として、どうこう言うわけには参りません。
#47
○市川房枝君 総理の、この前の衆議院の選挙のときは、伺いました。そうであろうと私思うのですが、今伺ったのは、今度の参議院選挙の届出の問題でして、それは私、総理として日本の政治をあずかっていて下さる方からいえば、やっぱりそういうものに対して、人のことは知らぬとはおっしゃれないので、届出、そうかといって、それは正しいとおっしゃる以外に、うそだとか言えないと思うのですが、一ぺんそのことを伺います。
#48
○国務大臣(池田勇人君) 私は人を疑うことはいたしたくないのでございます。正しく行なわれていることと思うし、また、皆さんもそうやっておられると信じております。それをとやかく言うことはいかがなものかと私は考えます。
#49
○市川房枝君 そうなるようにひとつお骨折りをいただきたいと思うのですが、その皆さんの届出の収入の欄を見ますと、主たる寄付者として、氏名、金額を記入することになっておりまして、政党からの公認料はたいてい出ております。しかし、政治団体からの選挙に関する寄付として届け出されたのに、もらった御本人の収入の届出には記入されておりません。お名を出すのはいかがかと思いますが、やっぱり公開されておりますものですから、私が見つけたのをちょっと申し上げますと、東京都の日本橋の広瀬ビルにある政治団体正峰会、この団体から都選管への参議院選挙についての収支報告書が出ております。この正峰会を見ますと、ここは銀行、会社から千二百二十万円の寄付を受けておりまして、その中の一千万円を、選挙直前の五月十八日付で、東京都からの立候補者の安井謙氏に寄付として支出しております。それで、その届出には、安井さんの名前で受け取りがついております。ここに持っておりますが、その受け取りには、政治活動資金として、と書いてあります。しかし、参議院の選挙の費用として政治団体から届け出られておりますが、その安井さんの御自身の収入にはそれが書いてございません。安井さんは当時の自治大臣でおいでになり、公明選挙運動の本家本元でおいでになったわけでして、この予算委員会でも、公明選挙をやると宣明された方でございます。この寄付は、これは安井さんの収入の部に書くべきであるか、書かなくてもいいのか。選挙局長でよろしゅうございます、どうぞ。
#50
○政府委員(松村清之君) これは、それを授受した場合に、政治資金であるか、選挙資金であるかということによって、これは違ってくるだろうと思います。これは、受け取った方がそれを政治資金として考えておられますならば、これは選挙の収支の報告の中におそらくお書きにならなかったのではないか、そういうふうに推測いたします。
#51
○市川房枝君 まあそれは書かなくていいというようなお答えですけれども、もし選挙の受け取りの中にお書きになれば、これは税金はかかりませんね。しかし、そこに書いてなければ個人の収入ということになれば、これは所得税を払わなければなりませんね。これはもう一回選挙局長と大蔵省主税局長と、両方から。
#52
○政府委員(村山達雄君) お答えいたします。現在、候補者がもし法人から金をもらったというふうにいたしますと、これは所得税法で一時所得としての課税対象になりますが、ただし、公職選挙法の百八十九条によって報告いたしますれば、その分は非課税になります。もし個人からもらいますと、これは一応贈与税の対象になります。もちろん課税されますが、これまた公職選挙法によって届け出ますと、贈与税もかからない、こういうことになっております。それから、政治団体からもらいました場合は、法人からもらった場合と同様でございます。したがいまして、公職選挙法で届け出てあればかかりませんし、そうでなければ、一時所得としての課税の対象になります。
#53
○市川房枝君 それでは局長さん、今の安井さんの場合には、一千万円に対して書いてないのですから、報告してないのですから、やはり税金の対象になりますね。
#54
○政府委員(村山達雄君) これは具体的な問題でございますので、その詳細な問題を見ませんとわかりませんが、法律的には、今申し上げましたように、届けてなければ、一応課税の対象になり得る、ただし、その場合にも、それぞれ金額によりまして、控除とか、あるいは半分にするとか、いろいろなことはございますが、そういうことでございます。
#55
○市川房枝君 安井さん個人の場合には、こういうことが書いてあります。個人の収入――収入の仕方が前と違いまして、その他の収入というのがこのごろできております。これは、その他の収入というのは、個人負担のことをさしているのです。前にはそういう欄がなくて、勘定して足らないのは個人負担だと、こういう解釈だった。その個人負担のところに、その他の収入として、安井さんは五百万円とお書きになっておりますけれども、これはもらったとは書いてない。その他の収入です。だから、これはやっぱり入りませんね。もっとも、一千万円からすれば五百万円まだ足らないのですが、これは主税局長にもう一ぺんお願いしたいのですが、選挙の際に、いわゆる政治献金、選挙献金というものと税金との関係を、出すほうともらうほうと両方について、もう少し詳しく伺いたい。
#56
○政府委員(村山達雄君) まず、出すほうでございますが、これは法人、個人を通じまして、選挙資金として出したからといって、損金にはなりません。ただ、法人につきましては、こういうことはございます。これは事業の遂行上、いろいろな経費を要することは当然でございます。そこで、税法は執行側とその法人側の手数を省く意味で、二種の概算控除をやっております。すなわち、所得の百分の二・五と資本金の千分の二・五の合計額の二分の一に達するまでは、その使途のいかんを問わず、これは事業上必要な経費として寄付をしたのであろう、こういう推定のもとに、法律でその限度においてはだれに出そうとも損金に認める、こういうことになっております。それをこえますと、その分は全部課税になる。個人につきましては、必要経費には認められません。そこで実際問題といたしましては、会社なり個人なりが出費になっておりまして、その使途を言わないものがあるわけでございます。これはあえて政治資金だけではもちろんないわけでございまして、いろんな取引上の信義のために言わないことが多くあるわけでございます。こういう場合には、残念ながら経費として認めないで、税のほうでは、その段階ですべて課税を済ましているわけでございます。したがいまして、税の関係に関する限り、その支払った側で取り漏れがないような措置になっておるということでございます。受け取ったほうにつきましては、先ほど申しましたように、公職選挙法によって届け出れば、それは所得税あるいは贈与税の課税対象外である、かような仕組みになっております。
#57
○市川房枝君 今正峰会の政治団体のことをちょっと申し上げたのですが、参議院選挙で支出をした政党並びに政治団体は、それを中央選管なりあるいは都道府県選管なりに届出の義務がありますね。ところが、実際問題としては、届け出ていない団体がたくさんある。今度の結果で見まするというと、もちろん党は届け出ておいでになります。しかし、自民党のたとえば派閥の中では、池田さんの宏池会、三木さんの新政治経済研究所は出ておりますが、ほかの派閥の周山会とかあるいは蓬庵会、あるいは第一国政研究会、国際政治経済文化研究会、あるいは睦政会、この間解散されましたけれども、岸さんの十日会というようなものは、実は出ていません。それで、政治資金の規正法による定例の届出、上期、下期にわたっての届出は出ております。それで、選挙費用がそこの中に含まれていると思うのでありますけれども、それでいいのかどうか。まあ総評も選挙についての届出は今度は出ておりません。定例のほうでは出ております。そういう点、これは選挙局長にお伺いします。
#58
○政府委員(松村清之君) 今お話しのように、政党、政治団体は年二回定例に政治資金の報告をいたしますとともに、選挙に関して収入、支出がありましたならば、その選挙の際、終わりましてこれを届け出ることが義務でございます。それで、今お話しのように、確かに昨年政党、政治団体の中で、定例報告をしながら参議院の選挙についての収支報告をなされていないものも若干見受けられます。先ほど申しましたように、私どものほうの資料といたしまして、参議院の全国区の資料がありますので、それによっての私どもの推測でございますけれども、実は定例報告をいたします政党、政治団体に対しましては、必ず選挙に際して収支があったならば報告をするようにということを、都道府県の選挙管理委員会から個別的に連絡もし注意も申し上げております。したがって、おそらく今お話しのように、参議院の選挙について収支報告のなかったというのは、私どものはこれは参議院の全国区でございますから、参議院の全国区についての収支報告というものが実際なかったのではなかろうか、そういうふうに推測をしているようなわけでございます。
#59
○市川房枝君 その定例の中に入っていると思うのですが、私はまだそこまで調査をしていないので、それはまた別の機会にお伺いします。
 それから、この間の参議院の選挙から寄付の禁止の幅がやや拡大されました。公職選挙法の百九十九条の二項及び三項で、国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金または資本金等を受けておりまする会社その他の法人は、当該選挙に関し野付をしてはならないし、またもらってはならないという規定が追加になったのであります。この禁止の範囲の拡大の結果を、私昨年の予算委員会で総理とそれから安井自治大臣に伺ったのですが、その影響が、そう禁止することによって、いわゆる選挙に金がかからないといいますか、減るといいますか、相当影響があると思うと、こういうふうなお答えをいただいたのですけれども、さて済んでみた結果、どの程度その禁止規定が影響があったかということがおわかりになりましょうか。数字的にもし伺えれば、なおけっこうですけれども、これは総理なり自治大臣から伺いたいと思います。
#60
○国務大臣(池田勇人君) 補助金、負担金あるいは利子補給を受けている会社は従来は出し得た。従来どのくらい出していたか知らぬが、今度は出し得ないから、その差額はあることになりますが、総理としてそれを調べたことはございません。
#61
○国務大臣(篠田弘作君) 従来、今総理が申しましたように、そういう団体から若干の寄付があったと思います。しかし、今回は法律によってそれが禁止されたのでありますから、寄付がなくなったということは事実であります。従来そういう団体から幾ら寄付があったかということは私存じませんが、もし事務当局でわかっておりますれば、事務当局で調査した上で報告さしたいと思います。
    ―――――――――――――
#62
○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。田畑金光君が辞任され、その補欠として赤松常子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#63
○市川房枝君 この禁止に触れて寄付した会社その他の法人、受け取った政治団体及び個人も、これは罰せられることになっているのですが、しかし、だれがそれを発見するか。今総理も自治大臣も、よくわからないとおっしゃったのですが、一体これは違反だといって罰せられた例がありますかどうですか。
#64
○国務大臣(篠田弘作君) そういう、選挙法によって禁止された諸団体からおそらく寄付を受けた者もないだろうし、寄付した者もないと思います。しかし、もしそういう事実があれば、それはやはり選挙法違反によって捜査されるわけでございます。
#65
○市川房枝君 時間が終了しましたので、途中なんですが、ただ最後にちょっとつけ加えたいと思いますが、一体その禁止規定に違反をしているのかどうかということは、やっぱりこの会社、法人はそれに該当しているということがはっきりしなければならないので、その名簿というものが要るはずですね。そういうものは一体自治省でお作りになっているかどうか。それから、その名簿は、この規定から見ると、一年ごとに変わっていくことになっておりますね、そうすると、いうと、一年ごとに変えなければならぬということにもなるわけですが、これは地方選挙にもこの禁止は適用されるわけなんです。地方選挙でもそういった用意をしておるのかどうか。これはお返事を伺うまでもなく、実はそういう名簿を私はほしいといって昨年のときからお願いしてあるのですが、いまだにその名簿は実はできていないのです。だから、調べようがないと思いますが、結局、この法律は、規定をしても、法律で文句としてはりっぱに規定している。国民はこれによって選挙費用は少しは減るのかという期待を持っているわけですけれども、実際問題としては、結局、この規定があっても、これは何にもならぬ。そして、さっきのように、届出は、選挙に関する届出はしないで、そうして定例のほうへ届け出れば、選挙費用をどこからもらったって、禁止の規定があるところからもらったって、一向かまわないのだ、こういう実情だと認定して、昨年予算委員会で、この規定は、規定をおきめになっても実際は何にもならない、ただ文句だけといいますか、というように私は申し上げたのですが、今その金のことを調べてみて、やっぱり私の予想が間違っていなかった、あの規定はたいして何にもならない、選挙費用をほんとうに少なくするためにはもっと進んだ立法をしなければならぬ、こういう感じを持つわけですが、自治大臣、いかがですか。
#66
○国務大臣(篠田弘作君) そういう団体、公社等のそういうところでは、もちろん選挙法によって禁止されておるのでありますから、寄付はいたしません。
 それから、どこにどういう補助金なり助成金なり、行っておるか、これは各省にまたがっております。これはまた地方に行っております。地方の自治団体力またそれに応じて補助を与えておる。このリスト等を出せとおっしゃっても、なかなか急には出せません。これは実際問題として全国の問題ですから、出せません。
 いま一つは、そういうような禁止規定があるけれども、これは空文であって守られないのだという断定は、市川先生らしくないと私は思います。あなたは公明選挙を推進される最もトップを行かれる、婦人団体としては最もわれわれの御信頼申し上げておるほんとうに清潔な政治家だと私は考えております。それがどうも公明選挙運動というものは実際はできないのだというような印象を与えることで断定されるということは、そうするとあなたのおやりになっておる公明選挙は何も役に立たぬじゃないか、法律を作っても公明選挙運動をやっても役に立たぬじゃないか、そういう印象を与えるそういうお言葉は、私ら自治省として公明選挙運動の推進をやりまたその片腕となり片足となって働いておられる市川先生のお言葉とも思えないと私は考える。そこをひとつ、ここでなくてもよいのですが、とくと御懇談申し上げたいと思います。
#67
○委員長(木内四郎君) 市川君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#68
○委員長(木内四郎君) 次に永末英一君。
#69
○永末英一君 自治大臣のお時間の都合があるようでございますから、地方自治からお伺いいたします。
 このごろの地方選挙で、自民党は、国に直結する地方自治ということをうたい文句にしておるようでございますが、そういうことを選挙民に印象づけることによって、憲法が認めておる地方自治の本旨、すなわち、自主財政、自主組織、自主行政、いわゆる自治の三原則にも違反しておるように思うのでございますけれども、総理大臣は、これについてどのようにお考えですか。
#70
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど市川委員の御質問に対して答えたとおり、われわれは、政党政治ではありまするが、やはり中央と地方とは相連絡し、相協調し、助け合っていくところに地方自治の円満な発展もあり得ると思います。しかし、それは、党が違うから自治がこわれるんだというような意味で言っておるわけではございません。
#71
○永末英一君 金の鎖で地方団体を国が縛ろうといたしますと、先ほど総理のお答えのように、顔をつなぐほうがベターだというような考え方も出てくる。まず第一に地方団体に豊かな財源を与えることが必要だとわれわれは思うのでありますけれども、そういう意味合いで、国と地方団体がそれぞれの租税を取り、また、最終的に国と地方団体がそれを使っておりますけれども、三十七年度における比率は、国が七〇%を取り、地方が三〇%を取る。ところが、支出におきましては、国が三七%使い、地方が六三%を使っておる。三十八年度はどのようになるお見込みでありますか、自治大臣。
#72
○国務大臣(篠田弘作君) ただいまおっしゃったように、収入の割合は七〇%対三〇%、支出の割合におきましては、三十八年度におきまして国が三五%、地方が六五%、大体そのくらいの見込みであります。
#73
○永末英一君 ところが、地方でやっておる仕事の七割以上が国の委任事務だと、こういう工合に地方の団体の責任者は感じておるわけである。そうしますと、その与えた事務に応ずる財源を与えなければならぬけれども、今三十八年度の見込みでもまだ少ない。つまり、国が与えている委任事務に見合うだけの財源を与えるべきだと自治大臣はお考えになりませんか。
#74
○国務大臣(篠田弘作君) 国が委任をしておる事務にふさわしい財源を与えるから、実際におきまして収入の面におきましては、国税と地方税におきまして、国税のほうが七〇%取っております。地方税は三〇%しかありません。しかし、国がいろいろな事務を委任しておるのでありますから、それに対する財源として今度は使う場合は、逆の姿になって、国が三五%しか使わない、地方に六五%の財源が行く、こういう格好になっております。
#75
○永末英一君 国というのは地方団体の上にワクとしてあるだけであって、実際は仕事をやるのは地方団体ならその地方団体のやる仕事ははっきりわかっておるから、それに対して財源を見るというのが私は地方自治の本旨ではないかと思う。わが国におきましても、そういう工合にやっておった時代があった。ところが、このごろは、国のほうで税金を大きく取ってそして事務を与えておるから、その幾らかを国で見てやるということで、いわば地方自治を侵害しておるように思われてならぬけれども、一体国は税金を取り過ぎておると私は思うのですけれども、自治大臣と大蔵大臣は、この点についてどういうふうに思いますか。
#76
○国務大臣(篠田弘作君) 地方自治体の総和が国であります。地方自治体というものが存在しなかったら国は存在いたしません。そういう意味におきまして、私たちは、地方自治体の上に国というワクがのっかっておるということは考えておりません。国と地方自治体とは一身同体のものであると、こういうふうに考えております。ただし、仕事の面におきまして、あるいはまた徴税の面におきましては、国と地方自治体というものの関係ははっきりしておるわけです。そこで、もしそういう面におきまして財源が偏重をするとか、あるいは今あなたがおっしゃったような場合がある場合には、地方交付税をもって処理しよう、こういう格好になっております。
#77
○国務大臣(田中角榮君) 地方自治体の健全化、健全な育成発展をはかることは、政府もつとに考えておるところでございますが、御承知のとおり、地方は自治体でありますので、自発的な立場において健全な成長をはかることを原則といたしておるわけでございます。国の委任事務につきましては、これをまかない得るよう交付税等の措置をとっておりまして、これが地方に過重であるという考え方はとっておりません。ただ、原則的な考え方を申し上げますと、戦後非常に確立をせられたと言われておる新しい制度についての地方自治体というものと財源確保という問題を考えますと、問題がたくさんございます。古い行政区画によって戦後の地方自治体がそのまま認められておりますので、東京や大阪と比べて、鹿児島や青森や鳥取のように、一体自己財源だけでもって地方と中央との格差をなくしながら飛躍的な発展ができるのかということを考えれば、当然問題がございます。でありますから、長い議論として、国が取っておる税の相当部分、特にたばこ消費税のような問題を地方に委譲してはどうかというような議論が長く行なわれてきたのでございますが、じゃこの理論のとおり国が取っておる税金、酒の税でも、またたばこの税でも、地方で売られるものはそのまま地方でもって取るというふうにやって、あなたが考えるように、われわれが考えるような、地力の格差をなくしながら均衡ある発展ができるかというと、事実はじいてみると、全く逆な結果が出るのであります。
 そこで、これらの財源確保をする場合にはどうするかという具体問題として、富裕県と貧弱県との間の財源調整を行なわなければならないと、こういうふうに考えておるわけでございますが、財源調整を行なうということになると、これはもう口で言うだけであって、反対が非常に強くてどうにも実行が期せられないということで、現行の制度、いわゆる主税の三〇%近いものを地方に還元する、その上になお特別交付税制度でもって、公共事業その他府県が行なわなければならない事業の負担金に対しては、起債、特別交付税の制度で調整をしていこう、そこで均衡ある発展をはかるということに理論的にも実際的にも調和を取っているわけでございます。現在のものが万全のものであるとも考えておりませんが、二八・九%を二九%にし三〇%にすれば格差がなくなり、また地方財源というものが豊かになるのだというふうに端的な結論も出ないのでございまして、地方制度調査会等で十分検討いただいておりますし、地方の自治体をこのまま存続をし、地方自治の発展を期していくために、地方財政の確立を将来ともはかるということを考えて、税制調査会等にも税制のあり方がいかにあるべきか、中央と地方の配分率はどうあるべきかということについての真剣な討議をお願いしているのが現在でございます。
#78
○永末英一君 今お二人からお話がございました。地方交付税は、これは法律できめておるものでございます。法律できめておれば、地方団体側から見れば、地方交付税のその部分は自分たちのものだ、いわば地方団体全体の共有財産だという感じを持っておる。一体この地方交付税の部分というものは、国のものだとお考えですか、地方団体のものだとお考えですか。お二人に……。
#79
○国務大臣(篠田弘作君) これは法律によってきめられておるものであります。地方から考えれば、もちろん地方固有財源としてすでに計算済みのものであります。しかし、交付税にしましてもあらゆる国の予算にいたしましても、地方のものであるとか国のものであるというような対立的な立場でものを考える必要はないのであります。すべてこれは国民のものであります。
#80
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、地方自治の発展、地方財政の確立、中央と地方との調和をとるために法律で定められたものでありまして、地方に交付せられるべきものは、国の財源として受け、これを法律に基づいて地方に交付すべきものでありますから、法律上国の財源であります。
#81
○永末英一君 お二人ともいささか感覚が違う。自治大臣は、地方固有の財源だと思うということがやっぱり建前。大蔵大臣は、国の財源である、こういう考えでございまするが、もし自治大臣の言うように地方固有の財源である、こういう観点に立つならば、たとえば年度末になって三税の増収が決定する。政府は補正予算を出す。その場合に、次年度にこれを繰り越してそれだけ繰り込むということをやっておるのは、自治大臣、どう思いますか。
#82
○国務大臣(篠田弘作君) 初めから補正予算を組むということを考えて予算は組んでおらないのであります。したがいまして、何らかの事情によって途中において補正予算を組むその場合、当然パーセンテージでもって交付税というものがはじかれてくるわけであります。それがかりに年度の半ばといったようなまだ仕事でもいろいろたくさん残っているというときに出てきまして、あるいはそういうものの額が少なくて十億とか二十億とかいう程度のものであれば、それはもちろんその当該年度において配付するということは私は当然だと考える。しかしながら、今回のごとく、すでに年度末において補正予算が組まれ、百数十億といったように大きなものが出てきたときに、これは地方の固有の財源であるから、交税付であるから、急いで日にちもないけれども交付して年度に使わせるというやり方は、これは何もそういうやり方をとらなくても、先ほど申しましたように、当然これは地方に配付をされ得るものでありますから、これは少し時間をおいて十分研究してやる。あるいはそれがまた来年度においていろいろな単位費用の引き上げとかその他の面において使われてくるというようなことのほうが、私は総理大臣じゃありませんが、ベターであると思います。
#83
○永末英一君 国にも地方にも会計年度というものはちゃんと作ってあるんですよ。建前をくずして会計年度をあいまいにすることがベターであるなんというのは、それは地方団体の指導者のあなたの見解であるとは思えません。もう一度見解を伺います。
#84
○国務大臣(篠田弘作君) そのために建前をくずすという意味ではありません。そのために立法措置をするわけであります。国会の承認を得て明年度に繰り越す、こういうことでありますから、別に地方の建前をくずしたとは考えられません。
#85
○永末英一君 私どもは、そういう考え方に反対でありますが、この機会にだんなに国のほうのやり方でもって地方団体が苦しんでおるかということをひとつ自治大臣から明らかにしていただきたいと思うんです。たとえば、国庫補助負担を伴う公共事業を地方団体がやっておりますが、その中で、普通建設事業については、今度の財政計画では大体二五・九%程度の伸びを前年度に比べて見ておる。ところが、補助負担を伴わない普通建設事業は二〇・一%程度の伸びしか見ない。つまり、補助をやるものについての伸びは多くて、補助を伴わないものは少ない、こういうことになりますと、やはり国のほうのひもつき行政というものの力が強まっているように思われるが、自治大臣の見解はどうですか。
#86
○国務大臣(篠田弘作君) 補助を伴うものは、当然国がそれだけの補助をするわけですから、仕事もしやすいわけです。補助を伴わないものは、町村固有の財源もしくは起債等によってやらなければならないから、地方の事情によってはそんなに大きなワクを持つことができないということは、これは実情であろうと思います。それがどういうふうになっているかということは、事務当局から説明をいたさせます。
#87
○説明員(松島五郎君) 国庫補助を伴う公共事業等の伸びに対して地方の単独事業の伸びが少ないじゃないかというお尋ねであります。これは、それぞれの基礎に従って積算をした結果でございまして、最初から少なくするとか多くするという考え方を持っていたものではありません。できるだけ地方の単独事業のワクは広げて地方の行政水準の向上をはかっていきたい、かように考えておるわけでございます。ただ、具体的な数字を申し上げますと、単独事業の中でも非常に大きな割合を今日占めております高等学校の急増問題等につきましては、本年に至りましてから事業計画を改定いたしました結果、前年度の額とほぼ同額程度を明年度見込むことにいたしてございますので、その額が横ばい程度でありますために、その他の部面においては、国庫補助を伴うものと、ほぼ同様でございますけれども、全体通計いたしました場合には、御指摘のような数字になっているわけでございます。
#88
○永末英一君 積算した結果出たんだからというのは、これはお答えにならぬのであって、地方団体が予算を組むときには、やはり補助事業と補助でないものと見合いながらやっておる。ところが自治大臣、あんた、補助をやるものが多くなるのはあたりまえだなんというようなことを言われたのですけれども、地方団体は補助をもらって、その補助事業をやるについて超過負担をやっておる。超過負担には、どういうものがあって、どれだけになっておるか御存じですか。
#89
○国務大臣(篠田弘作君) 超過負担がどうなっておるかということは、事務当局をしてお答えさせます。
#90
○説明員(松島五郎君) 超過負担がどうなっておるかというお尋ねでございますが、超過負担という概念は、なかなかむずかしい問題がございます。国庫補助基本額そのものが実態に合わないために超過負担が生ずる場合もございますが、地方団体の経費の算定の仕方という原因から、いわゆる国庫補助基本額をこえておるという場合もあるわけでございます。昭和三十六年度の決算につきまして、具体的な事項を拾い上げまして、私どもがかって調査をしたことがございます。その結果によりますと、都道府県を例にとって参りますと、保健所運営費におきましては、実績額が九十一億円、これに対応いたします国庫負担基本額が五十九億円で、三十二億円、実績が国庫負担基本額をこえておる、あるいは農業改良普及職員費において、実績額が四十六億円で、国庫負担基本額が三十億円、十六億円こえておる、あるいは住宅建設あるいは学校建設費におきましても、その単価において二割程度実績が上回っておる、こういうような超過がございます。
 しかし、それがすべて超過負担として国が財源措置をすべきものであるか、あるいは地方団体独自の見解でもって基本額をこえて支出したものであるか、この辺をどの線で押えるかということは、なかなかむずかしい問題でございます。しかし、私のほうといたしましては、できるだけ国庫負担基本額が実態に即するようにしていただくことを各省にもお願いをいたして努力をして参っておるのでございまして、昭和三十八年度の国庫予算編成におかれましても、小中学校の校舎等を初めといたしまして、あるいは公営住宅の建設費等につきましても、それぞれ相当の単価引き上げ等が行なわれてきているわけでございます。
#91
○永末英一君 補助事業についても、地方団体は四苦八苦して超過負担をやって事業をやっておる。やりきれないところは補助事業を返上しておる、こういう実例は御存じだと思うのです。いわんや補助を伴わない、いわゆる単独負担事業については、今度の三十八年度の財政計画でも、全部の伸びが一五・三%であるのにわずかに六%のアップしか見込み得ない、こういう地方団体は財政状態にある、こういう状態で、自治大臣はよろしいと思われますか、大蔵大臣は、こういう状態でほうっておいていいと思いますか。
#92
○国務大臣(篠田弘作君) 地方の自主財源の強化につきましては、従来からいろいろ努力を続けているわけであります。税制調査会の答申を基礎といたしまして、国、地方団体間の税源の再配分等について、また独立財源の強化をやっているわけであります。また、昭和三十八年度におきましては、地方税の負担の軽減をはかるために、電気ガス税の減税をやったり、そのために専売益金の一部譲渡を受けまして、その補てんをしている、こういうように十分ではございませんけれども、誠意をもちまして、その強化をはかりつつある状態であります。
#93
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、この数年来、経済の好況と相待ちまして、また、交付税その他の処置によりまして、地方の財政状況はとみによくなっているわけでございます。まあ、今年度の地方財政計画の中における単独事業総額は三千百九億でありまして、三十五年対比約三倍にふえておるわけであります。こういう意味で補助事業の伸びよりも、単独事業のほうが伸びが多いじゃないかと……。
#94
○永末英一君 反対々々……。
#95
○国務大臣(田中角榮君) いやいや、あなたの言われているのは、補助事業が、国からやる補助事業費のほうの伸びよりも県で単独で行なわなければならない事業、いわゆる国の事業の補助のついておらない事業のほうがより多いということで、国はもっとめんどうを見ればいいじゃないかというお話でございますが、これは先ほど申し上げましたように、地方財政そのものがよくなっているということで、全般的な議論としては、単独事業をやり得る範囲が伸びて参っておるわけでございます。
 しかし中には、先ほど申し上げたとおり、都道府県の中に非常に格差がございまして、実際補助事業さえも消化困難であって、返納しておる例もございます。これらの問題に対しては、このまま放置すれば格差是正というようなことや、低開発地方の開発促進ということも行なわれないわけでございますので、これらの問題に対しては、現在考究いたしております。しかし上下水道、その他民生安定、生活に直接関係のある事業等の計画執行にあたっては、起債ワクをきめるとき等に、特別の配慮をいたす等の措置をとっておるわけであります。
#96
○永末英一君 大蔵大臣、地方は単費の事業をやれないで困っているのです。そこを間違いないように御認識いただきたい。地方財政はよくなっていると言いますけれども、これは地方団体が四苦八苦して収入をふやそうとしている、たとえば比率は多くございませんけれども、市町村民税、これの取り方は、本文方式とただし書方式があって、本文方式のほうが少しゆるやかです。しかしそれにもかかわらず、ただし書方式をとっている地方団体の数がきわめて多いのであります。自治大臣御存じですね。どのくらいありますか。
#97
○国務大臣(篠田弘作君) よく承知しております。それで、できるだけ本文方式に直していきたいというふうに考えております。また、直しつつある町村もあります。しかし現状をもってしましては、そういうふうにいたしますと、住民税を納める町村民の数が非常に減るわけです。そうしますというと、結局所得税を納めているという者に非常に負担がかかりまして、村民税といったようなものの趣旨からいたしまして、公平でないということが一つと、それからまた、そういう少数な人間にだけ過重な負担を負わせましても、村の財政というものは必ずしも成り立っていかない、こういうところから、徐々に改めつつはありますけれども、現状では、そういう状態にあると、こういうことであります。
#98
○永末英一君 ただし書方式では、まだだめだというので、準拠税率をこえて取っている団体がたくさんあるわけであります。こういう団体が、主としてわが国の産業構造上、どういう地域にあると自治大臣はお考えですか。
#99
○政府委員(柴田護君) 産業構造の悪い、財政の悪い貧困な町村、そういう地方ほど超過課税をやっている、あるいはただし書方式でも、非常にきつい課税をやっている、こういうような実態になっております。
#100
○永末英一君 非常に苦しい団体が、特に開発の程度の低いと思われる地域に多いことは明らかだと思うのです。しかも、住民が今度は、地方団体の行なう事業について税外負担をになわされておる。これについて、わかっておることをひとつ自治大臣にお答えを願いたいと思います。
#101
○国務大臣(篠田弘作君) 低開発地域ほど苦しんでおるわけであります。したがいまして、地方の財源というものをふやしていくためには、そういう低開発の地域を開発しまして、そして、いわゆる地元の力による財源というものを養っていかなければならぬことは第一であります。それから、そのためにいろいろな新産業都市であるとか、低開発地域の開発であるとか、辺地の開発であるとかいうような構想、またそういうものを実現しつつあるわけであります。
#102
○永末英一君 大体、今までの質疑を通じて、総理大臣、非常に地方団体が財政困難である状況がよく浮き彫りにされたと思うのです。で、私どもは、自治大臣が言っているように、これを住民の頭にぶっかけるなんというようなことは、これはできない。やはり国の財政の立て方を地方団体に向けて、もっとプラスになるように切りかえていかなくちゃならぬと思うのです。たとえば交付税率にしても、たばこ消費税の上げにしても、あるいはまた、資金運用部資金が財政投融資のワクで、池田首相のいわゆる産業地域育成政策のためにのみ使われるのでなくて、昔は地方債の引き受けばかりやっておったわけでありますから、こういう点について、新たな観点から地方団体の財政を豊かにする必要が私はあると思いますが、これについて、池田総理のお答えを願います。
#103
○国務大臣(池田勇人君) 過去十年、二十年、戦前の状態からずっと考えてみますと、私は地方の自治は、よほど財政的にも進んでいったと思います。ことに戦後非常に苦しかった状態も、過去三年ぐらいは非常によくなってきた。赤字団体は、ほとんどなくなりました。このごろは、決算で黒字団体が相当出てくるようになりました。それは多いにこしたことはございません。多いにこしたことはございませんが、しかし国の財政だって、御承知のとおりそう楽ではない。
 ただ、先ほども触れたようでございますが、地方団体につきましても、非常に差がある。特別交付税というもので、その差を埋めておりまするが、富裕府県の財政というものは、国の財政よりもよほどある。したがって、富裕府県の職員は、国家公務員よりも非常ないい待遇でございます。こういう点を見ますと、私は地方財政全体をよくすることはもちろん必要でございますが、地方各府県間の差を調整することが、ぜひ必要だと思って、私は四、五年前ぐらいから、もう大蔵省におりますときも、あるいはまた、総理になってからも言っておるのでございますが、なかなか大蔵大臣が言っているようにむずかしいことなんです。だから、私は国と地方との財政をどうするかというときには、今の三十八年度の状態では、私は地方財政のほうが楽だと思います。――国よりも。しかしその全部が楽かというと、先ほども申し上げましたように、四十数府県の間には、かなり差がございます――かなり差がある。それをどうして直すかということは、地方財政の今後の問題と同様に、格差というものをどうするかということが、一つの懸案だと思います。
#104
○永末英一君 財政問題については、必ずしも総理の見解と私どもは一致しておりません。しかし、最後に私が地方自治の問題でお伺いしたいのは、何か現在のたくさんの都道府県のやっている行政が、たとえば河川にいたしましても、河水統制の面から見ると、あるいはまた地域開発の面から見ると、ずたずたにされすぎているから、これを国の直轄河川にしてしまったらいいじゃないかとか、道路も国道にしたらよくなるとか、あるいはまた、各省官庁の出先機関があっちこっちにございますが、これを統合して、一極の地方統合官庁みたいのものを作ってやったらいいじゃないかとか、あるいはまた、地域開発にいたしましても、そういうような気味合いの意見が出ておりますが、一体、地方団体から行政能力を国に移したら、とたんによくなるものかどうか。これは行政の根本問題でありますので、池田総理からお答え願います。
#105
○国務大臣(池田勇人君) ものによりけりと思います。このごろ、水の問題が非常に必要になっている。こういう問題につきましては、私は明治時代の河川行政を改むべきときがきたと思います。また道路にいたしましても、少なくとも国道という道路につきましては、国か持ってやらないと――今のあなたがおっしゃったように、一級国道でも――このころはそうでなくなりましたが、二級国道は、そうでございます。国道が改修されたからといって、その町の人が非常な負担をするということは、これは私はよくないと、だから国道については、一級二級を問わず、できれば国でやるというような方法でやっていくべきもので、何も一緒にすればいいというわけじゃございません。時代の進運に沿いまして、河川とか道路行政なんかは、私は再検討するときがきたと思います。
#106
○永末英一君 大蔵大臣にちょっと伺いたいのでありますが、政府関係の金融機関、たとえば農林中金などから金を借りる場合に、地方団体が利子補給をしたりというようなことをやっておることがあるのですね。そういうことは、ちょうど今銀行の歩積み、両建ての問題がやかましいのでありますけれども、大蔵大臣、そういう状態がいいとお考えですか。
#107
○国務大臣(田中角榮君) これは理想的には、政府関係機関のみならず、金利が低下して合理的な金利になることが一番好ましいことでありますし、また政府も、そのような環境作りに鋭意努力を続けておるわけでございます。
 が、しかし、現実の問題として、御承知の政府原資はできるだけ預金者の利益になるように、一定限度以上の金利の確保をはかっていかなければならないのでありますから、一般会計から繰り入れるというものに限度があることを考えますと、当然政府関係機関といえども、資金コストというものはゼロではないわけでございます。でありますから、現在の資金コストが高いという面からの議論もございますし、第一、貸出金利が非常に高い。特に農業関係などは、自分の金が自分のところでもって使われるのに、往復手数料を取られるということで、非常に高いものになっておるというようなものに対しては、鋭意にこれが合理的な制度改変をしつつあります。
 こういう金利の体系の中にありまして、どうしてもやらなければならない農業構造改善事業その他やむを得ざる、また繰り上げ、仕越し等の事業に対して、急を要するために、地方は議会の議決を経て利子を補給しておるという例があるようでございます。好ましいことではございません。好ましいことではございませんが、背に腹はかえられないということで、政府の、また県の計画からいうと、十年のものを五年間に縮めたほうがいい、三年間でやるものを、一年間でやるほうが、より災害防除等については効果がある、これをまた、上下水道その他に利用するということで、そういう工事を併用することがいいのだという観点に立って、特別に議会の議決を経ておるのでありまして、必ずしも利子補給をしておるということが悪いことだとは言い得ないと思います。これはものの重要度によって、議会が自主的に議決をする問題でございますから、これは金利をずっと下げまして、仮定の問題でありますが、一割の金利が三分になっても、三カ年分を一年に繰り上げてやろうという場合には、少し高い金利、市中金利を抱き合せて工事を行なうという現象が起こるわけであります。これはケース・バイ・ケースで検討しなければならないというふうに考えておるわけであります。
#108
○永末英一君 地方団体に、あまり背に腹はかえられないというような感じを持たせないようにやっていってほしいと思うのです。
 次に、防衛問題について伺います。イギリスの下院において、ソーニークロフト国防相が不信任案を食らいました。もっとも保守党が多数でございますから、否決されましたが、一兆八千億円の予算を組んだにかかわらず、二百字ぐらいしか説明しなかったというのが一つの悪い印象だったようでございますが、わが池田総理もあまり国防の問題はよく言われない。公式にはみずから発言されることは少ないのであります。しかし、イギリスの場合でも核戦争にどう処置するかということが一番の焦点であった。これはカナダにおきましても、フランスにおきましても、同じだと思うのです。ところで、わが国の防衛に対する考え方は、政府が発表いたしておりまする第二次防衛力整備計画によりますと、わが国に対し起こり得べき脅威に対処して有効な防衛力の整備をはかる、これがどうも政府の考えのようでございます。それでどうするかといいますと、在来型兵器の使用による局地戦以下の侵略に対し有効に対処しよう、こういうのでありますけれども、この想定以上の脅威がわが国に来るというような場合には、わが国の防衛の最高の責任者である総理は一体どうしようとお考えになっているのか、明らかにしていただきたい。
#109
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がちょっと受け取りにくいのですが、日本の防衛というのは、御承知のとおり、安保体制によって確保しているのであります。しこうして、われわれが今自分で防衛しておるのは、今申されるように、日本に危害が加わった、こういうことでありますが、日本の危害がどういう程度のものが、想像以上とおっしゃいますと、ちょっと私もわからないのですが、われわれは日本の国土の防衛ということを主にしておるのであります。
#110
○永末英一君 私が想像以上と申しましたのは、わが国の自衛隊は在来型兵器だけで対処しよう、こういうわけであります。在来型兵器で対処しようというのには、それに見合うだけの脅威であるということを想定しておられると思うのです。ところが、それじゃ対処し得ないような脅威が来るかもしれない。そういう場合は考えておられるのですか、おられないのですか。
#111
○国務大臣(池田勇人君) そういう場合も考えまして、先ほど申し上げましたような日米安保条約によって守っておるのであります。
#112
○永末英一君 総理のお答えによりますと、日米安保条約によって核兵器もしくはミサイル攻撃のたてとする、そのほかのところは今の自衛隊のような姿で対処しよう、こういうことでございますと、私どもはそういう考え方ではいけないと考えておりますけれども、この場合話を進めまして、それではいわゆる在来型兵器、通常兵力というものを自衛隊としては増強する方針であるのかどうか、防衛庁長官に伺いたい。
#113
○国務大臣(志賀健次郎君) 第二次防衛力整備計画に基づきまして、通常兵器の質的な改善、また強化をはかって参る所存でございまして、それに見合う予算として、わが国の経済力に見合った漸増の方針をもって通常兵器の増強に当たっておるわけでございます。
#114
○永末英一君 経済力に見合う漸増ということでございますが、いつも国力国情に応じてと、こういう程度の話なんですね。ところで、それは一体わが国の経済力でやっていくのか、よそから買い込むのかということは、国の防衛を考える上において重要な私はポイントだと思う。来月あなたのほうの陸幕長がヨーロッパへ行って何かそういう点の調査をしてくるように伝えられておりますが、それはどういう目的がありますか。
#115
○国務大臣(志賀健次郎君) 大森陸上幕僚長のヨーロッパへ参りますのは、だいぶ前々から招待がございまして、それによって参るものでございまして、特殊な使命も何もございませんけれども、一般的に申しまして、軍事情勢なりいろいろなことは目にも触れることでありまするし、またそれなりに勉強して参ると思いますので、通常兵器の改善なりその他の目的であちらに参るわけではないのであります。
#116
○永末英一君 勉強しちゃいかぬと言いませんけれども、忙しいこのときに勉強だけしに外国に行くなんということば、これはあまりやらぬほうがいいのじゃないかと思うのですが、それはそれとして、ひとつ伺っておきたいのでありますけれども、もし国内生産でやろう、こういうことになりますと、これはあなたの自衛隊のいろいろな兵器というものは、その多くの部分がもう更新期に入っている、あるいはまた型式を変えつつある、こういうことであります。そういう点で、一体どういう工合に国内生産をやろうとしているのか、あるいはまたどういう形式でやるのか、この辺がよくわからない。たとえば、104Jがもうじき二次防によりますと満杯になりますけれども、これを続けてやるのかやめてしまうのか、いろいろ議論されているが、この点どうですか。
#117
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま御指摘になりました104Jが二次防で二百機の生産を終わった後につきましては、現在どういうふうにこれを切りかえるか、あるいは続けて参るかについては、まだきまっておりません。
#118
○永末英一君 あなたの持っておられる銃砲弾は保有量が約九万三千トンだと伝えられております。ところが、そのうちで小銃弾、機銃弾等は口径が変わってきている。新しい型のそういうものを装備しよう、こういうことになると、相当問題がこんがらがってくると思うのですね。こういう生産を国内でずっとやっていこうという御計画ですか。
#119
○国務大臣(志賀健次郎君) 現在新しい機関銃、それから小銃の試作もしくは生産をいたしておるのでございますが、従来使用いたしておりまする小銃なり機関銃の口径と全然変わりません。たしか七・二六ミリだと覚えておりまするが、現在作っておりまするのも同じ口径でございます。ただ、試作もしくは本格的な生産に入りました新しい兵器のたまが、小さ目になった。これは爆薬が非常に力がありますので、今日持っております同じ口径のたまより小さくなるということの変化はございますが、それ以外には変化がないのでございます。
#120
○永末英一君 口径は小さくなります。それで、しかもそれは今まで持っておったのと比べると、アメリカ軍の持っている小銃弾、機銃弾の大きさと同じになってくる。こういうことになると、何かどうもそういう点でも防衛についてアメリカに依存をしているような姿が出てきているように思われてならぬのです。あなた、自主防衛とよく言われますけれども、自主防衛とは一体、この点についてはどういうことですか。
#121
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま申し上げたこと、訂正いたしますが、七・六二と申しましたか。
#122
○永末英一君 二六……。
#123
○国務大臣(志賀健次郎君) それでは七・六二と訂正いたします。
 私の申しております自主防衛は、御承知のとおり、一般的な傾向としまして、アメリカの対日援助の減少しておる傾向は御承知のとおりでございます。したがって、こうした情勢に対処するためにも国産化を極力推進しなければなりません。現に飛行機、それから艦艇、その他戦車、相当広範にわたりまして国産化が推進せられておるのでございまして、どうも同じような文句を言うようでありますが、やはり日本の経済の力なりあるいは日本の持っておりまする技術能力というものの範囲内でやらざるを得ない。そういうことで装備の充足をはかって参るというのが私どもの考えであり、また二次防の中で現に実施されつつあります自主防衛の内容でございます。
#124
○永末英一君 わが国の自衛隊だけでいろいろな兵器を使おうとして、それを国内生産で私企業でやらそうとすると、たとえば大量に作っているほかの国と比べると非常に単価が日本は高い。しかも、それをやらそうとすると、いろいろの問題が起こってくる。ところが、これを国内の私企業にやらすと、死の商人の役割を日本の産業に負わせるのかということになりますが、その辺の考え方について、政府はどういう指導をされておるか、防衛庁長官と通産大臣にお伺いいたしたい。
#125
○国務大臣(志賀健次郎君) お話のとおり、日本の防衛生産の発注量なり、あるいはまた生産単価の問題で、引き合わないものがたくさんあるのでございまして、こういうものを推進することは非常にむずかしい。そこで、通産省とも緊密に――これはむしろ通産省の所管でございますが、防衛生産の育成、設備資金の融資あるいはあっせんとか、そういうものを通産省でも大いにやってもらっておるし、またわれわれのほうとしましても長期一括契約の方式を作りまして、防衛生産が犠牲を少なくして、また犠牲を負わしてはいかぬと思うのでありますから、安定して防衛生産が伸びて参りまするように最善の努力をいたしておる次第でございます。
#126
○国務大臣(福田一君) ただいま防衛庁長官からもお答えをいたしましたが、通産省としては、防衛庁の整備計画に基づきまして、航空機その他の軍備については、国産すべきものときまっておるものについてこれを国産することによっていろいろの措置を講じておる、こういう方法でございます。
#127
○永末英一君 通産大臣、その防衛庁の連絡等に基づいてやっておると、こういうことですが、そうすると、輸出ということは通産省としては一切考えない、こういうことですか。
#128
○国務大臣(福田一君) 兵器の輸出ということについては重点を置いておりません。
#129
○永末英一君 重点を置いておりませんという御答弁ですが、輸出をしている事実はございますね。
#130
○国務大臣(福田一君) ものによって兵器と認むべきかどうかということについての議論はあると思いますが、どういうものをさしておいでになるのか、それを承ってお答えをいたしたいと思います。
#131
○永末英一君 そんなこと、私に聞くより、あなたのほうがよく知っておるわけであって、したがって、日本の防衛生産というものは、防衛庁だけで考えられるものじゃなくて、やはり国の全体の計画の中でも考えなくちゃならぬ問題だと思う。その考えようによっては、とんでもない問題がわが国の経済に起こるということをわれわれは心配しておるわけなんです。その一つの例としてバッジについて伺います。
 防衛庁長官は、今年の三月末ごろまでにバッジの形式をきめ、それを採用することを決定するというような意見を、これまで外に向けて発表せられておるようでございますが、非常にもやもやしておる。昨年の秋、このことをきめるために、あなたのほうの丸田空将補が訪米をして帰って参りました。ところが、どういう工合にこれをするかということについての報告書は、出たのですか出ないのですか。
#132
○国務大臣(志賀健次郎君) 丸田空将補を中心とするグループをアメリカに派遣いたしましたのは、結論を求めるために派遣いたしたのではないのでありまして、かつてグラマン、ロッキードの機種選定の場合においても、まず第一回目を、調査団というか、基本的な調査というか、そういうものを派遣いたしたのでございまして、今回もそれにならいまして丸田空将補を中心とするグループを派遣いたしたのであります。まあいろいろな案を作っておるのでございまするが、まだ私の手元まで報告書は――報告書と申しましょうか、その一つのレポートは私の手元にはまだ届いておらないのでありまして、目下航空幕僚監部におきましていろいろ慎重に検討いたしております。この前もちょっと触れたと思いまするが、現在バッジ・システムの機械というか、三種類ございまして、この三種類の機械がいずれも完成したものはないのでありまして、いずれも開発研究中――ある部分はできておるけれども、それ以外の問題の点については目下開発研究中ということでございまして、これを三つの組織を見本として並べて、比較検討して、これがいいとかこの点が欠陥があるとか、そういうふうに簡単にはいかないのでありまして、非常に慎重を要するのであります。かつてのグラマン、ロッキードと同じように、開発研究中のものをどれを選ぶかということでございまするから、最も慎重にやるということで、鋭意空幕僚監部が中心になりまして、いずれは報告書は私の手元に出ると思いまするけれども、その最後の作成に取りかかっておる段階でございます。
#133
○永末英一君 丸田調査団が単に調査に行ったのなら、報告書は早く出されなくちゃならない、調査だけですから。何らかの決定権を持っておるのなら、それは空軍の幕僚部といろいろ話をするかもしれません。任務は何だったのですか。
#134
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま申し上げたように、このバッジ・システムというのはアメリカの三つの会社が開発研究中でございまして、これらの会社について、あるいはまたアメリカの軍がそれぞれ開発をいたしておる機械でございまするから、軍当局のいろいろ説明を聞いたり、現地で調べたのでございまするが、丸田君が参りました当時、全然できていない資料もあれば、あるいはまた開発中のものもございまして、そういうものを丸田調査団が帰りましてから、アメリカから取り寄せて、それらについて検討いたしておる最中でございます。
#135
○永末英一君 バッジは相当な多額の費用を要するものです。バッジを採用することによって、どういう利点があると防衛庁長官はお考えですか。
#136
○国務大臣(志賀健次郎君) これは永末さんは専門家でございますからよく御承知のとおり、今日の航空戦闘機のスピードが非常に高くなっておる。今日われわれの常識で見ておりまする航空戦闘機は、音速の二倍から二倍半でございます。二倍から二倍半の音速の航空機を、これを防空上、またこれを要撃する戦闘機の運用について考えてみますると、今日持っておりまするレーダーに関するいろいろな組織、これでは間に合わなくなる。戦闘機のスピードに合わせるために、このシステムがどうしても必要であるというので、第二次防にこれが策定せられておるのでございまして、今日の飛行機にも、異常なる軍事科学の発達に即応するためにこのバッジ・システムを導入しようというのが、一つの二次防に策定せられたバッジの導入でございます。
#137
○永末英一君 バッジ・システムはまだ世界にもあまりないわけですね。完全なものは一つもないと言ってもいいでしょう。今に、早くなるだろうという見込みです。現在わが国の持っておるレーダー・システムによる通信の設備を改善すれば、時間は少しは違うかもしれませんけれども、間に合うという考え方を防衛庁長官はどう考えるか、重ねて伺います。
#138
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま申し上げたように、軍事科学の進歩は文字どおり日進月歩でございまして、むしろ今日からこうした問題を考えて、また対処しなければ、そのときになって間に合わないのでございます。これは半年や数カ月でできるものであれば、お説のように、必要な場合においてこれを考えてもよろしいのでありますが、相当な年月を要するものでございまして、これを導入するということがきまりましても三、四年かかる。第二次防の終了をいたします四十一年度までこれが歳月を要するのでございまして、そういう観点から、鋭意、また、慎重に検討をいたしておる最中でございます。
#139
○永末英一君 兵器の進歩は、あなたのおっしゃるとおり、まことに日進月歩、三年も四年もかかってバッジというようなものを買い込んでいるときには、それに似合うような人間の乗ったおそい飛行機がふらふらと飛んでくるとお考えですか。
#140
○国務大臣(志賀健次郎君) 今日NATOにいたしましても、それ以外の国国におきまして、このバッジの導入の問題が真剣に考えられておるのでございまして、バッジを導入した後に人間の乗らない飛行機が出るだろうから、そんなものは要らないのだという思想は、おそらく世界のそれぞれの国にないと思うのでありまして、われわれは今日からバッジの問題を真剣に考えることこそ、日本の防空についての非常にこれは大事なことだと考えておるのであります。
#141
○永末英一君 わが国においても、エレクトロニクスの技術は非常に進歩をいたしておる。国産できませんか。
#142
○国務大臣(志賀健次郎君) この機種の問題が、慎重審議の結果、見通しがつきますれば、おそらくロッキード104のように、ほとんどは国産化せられるものと私は理解をいたしておるのであります。
#143
○永末英一君 ロッキード104は国産化ではなくて、その重要な部分はアメリカのものを使っていることはあなた御承知のとおりじゃないですか。バッジも、そうやって重要な部分をアメリカのものをもらってくるというのでは自主防衛と言えぬと思うのですが、いかがですか。
#144
○国務大臣(志賀健次郎君) お話のようになりますれば、完全にそれは自主防衛かもしれませんけれども、日本でできないものはアメリカから最小限度これは輸入いたしまして、極力日本の科学技術の許す範囲内において国産化に努力をいたしたいというのが私の考えておるところでございます。
#145
○永末英一君 かつて、グラマン、ロッキード機種選定にあたって、国民に非常な疑惑の念を与えた。これが政界等にいろいろな疑惑の念を与えたことは、ひいてはわが国の防衛という問題について、国民が非常な不安と疑惑を持ったことになります。このバッジの問題にいたしましても、私は似かよった雰囲気があると思います。したがって、この問題をもやもやと続けておれば、ますますこの疑惑は深くなる。あなたはいつごろまでにこれを決定しなければならぬとお考えですか。
#146
○国務大臣(志賀健次郎君) すみやかに決定いたしたい方針で、航空幕僚監部を督励いたしておるのでございますが、きわめて近い将来に結論を出す方針でございます。
#147
○永末英一君 アメリカの次年度の予算で援助をもらうことと見合いながら進めようなんというようなお考えはございますか。
#148
○国務大臣(志賀健次郎君) 現在そのようなことは考えておりません。
#149
○永末英一君 今まで防衛庁なり政府の言っておりますところによりますと、極力国情に応じた自衛力を最小限度やるのだ、こういうことで、あるいは国民所得の防衛費が何%であるとか、あるいは予算が幾らだというような言いわけをしておる。こういう考え方からいたしますと、何か日本のこの防衛力というものは、必要性を満たしているのではなく、可能性の範囲で埋めているのだ、こういうような印象を受けるのでありますが、総理大臣はこの点についてどうお考えですか。
#150
○国務大臣(池田勇人君) 防衛に必要な最少限度を確保していこうというので、可能性の問題ではございません。
#151
○永末英一君 あるアメリカの責任ある地位にある国防関係の人は、ある書物を書きまして、「最少限度」というような表現の仕方は、実は防衛を考える上にあまり意味がないのだ、こういうことを言っておりました。つまり最小限度ということで、予算、あるいはまたそういうような国民所得というものを考えているのなら、これは必要性を満たすのではなくて、やはりでき得ることをやっている、可能性を満たしているとわれわれは考えるのですが、総理大臣、重ねてお答えをいただきます。
#152
○国務大臣(池田勇人君) 前に答えたとおりでございます。われわれは必要な限度においてやる、必要な限度で不可能なものじゃできません。必要な限度であって可能なものであります。
#153
○永末英一君 私は、総理大臣に、よその国でもやっていることであるし、やはり十分に国民の協力を得なければ国の防衛は全うし得ないとわれわれは考えているから、そういう姿勢をとることを強く望んでおきます。
 この機会にひとつ伺いたいのでありますが、いつかアメリカの会計検査院が、日本の基地で働いている労務者一千八百人が過剰である、こういうような報告をいたしたと外電が伝えております。これによって、来年度のアメリカの会計年度が始まりますれば、日本の基地内労務者についてもいろいろな影響が出てくると思います。政府はこれに対してどう対処するお考えか、伺いたい。
#154
○国務大臣(志賀健次郎君) お話のとおり、新聞の報道を見まして、直ちに在日米軍司令部のほうに照会をいたしたのであります。しかるところ、在日米軍司令部のほうでも、全然本国政府からの連絡も報告もないということでございまして、また、在日米軍司令部としましても、今日一千八百人の過剰な、むだな人間を使っているとは考えておらない、かような報告を受けた次第でございまして、新聞報道によりますというと、会計検査院が指摘したということでございまして、これがアメリカの国会で承認したということに立ち至っていないようでございまして、今後新しい情報が参りますれば、防衛庁といたしましても万全の措置をとって参りたいと考えている次第でございます。
#155
○永末英一君 日本の基地は私どもは漸減されていくであろうと思うし、また、させるべきだと思う。その場合にこの問題は必ず起こってくる問題であります。政府は十分慎重にひとつアメリカに対しても連絡をして、これらの労務者の生活が脅かされないようにする義務があると思います。それを要望しておきます。
 次に移ります。三月五日、沖繩のアメリカのキャラウエー高等弁務官がゴールデン・ゲート・クラブでしゃべりました。そのしゃべったことは、沖繩の自治権というのは神話であり、存在しないのだというような見解を中心に談話を行ないました。これについて政府はどういうような見解をお持ちか、外務大臣に見解を伺いたい。
#156
○国務大臣(大平正芳君) 一昨年の六月、池田・ケネディ会談の合意に基づきまして、去年の三月ケネディ大統領の声明がございます。それは施政権者としてのアメリカが、必ずしも保有しておる必要のない行政機能を、いかなる状況のもとに現在以上に、琉球政府に移譲するかどうかということにつきまして、引き続き検討を行なう必要があるという意味の声明がございまして、この問題は、琉球政府とアメリカの間におきまして、引き続いて検討が行なわれておると承っておるわけでございます。今御指摘のキャラウエー高等弁務官の御発言は、そういう自治という意味は、いかなる制約も受けない完全な自治ということはないのだという趣旨でございまして、施政権者としてのアメリカの統治下にある琉球政府の自治権というのは、おのずからそこに限界があるんだという意味のものとして私どもは受けとっております。
#157
○永末英一君 昨年の九月に日米協議が沖繩に関して行なわれたときに、政府は閣議決定をして、そのあとで、その閣議決定の中で、沖繩住民の自治権の拡大について建設的提案を行なうものとする、こういうことをあなたのほうで決定しておられるわけです。その自治権という政府の見解も、キャラウエー高等弁務官の言っているのと同じことを考えているのですか。
#158
○国務大臣(大平正芳君) 去年の九月の閣議決定は、先ほど私が申し上げた池田・ケネディ会談の合意に基づきまして、その趣旨を確認したものでございまして、今置かれている状況のもとにおいて、どうして自治権の拡大をはかっていくかということにつきまして、もちろん政府といたしましても建設的な提案をいたしたいと存じておるわけでございますが、その後アメリカ政府と打ち合わせましたところ、せっかく今琉球政府とアメリカ政府の間で検討をいたしておるということでございますので、その検討の結果を拝見した上で、私どもとしても、随時建設的に御提案申し上げる機会があろうかと思っております。
#159
○永末英一君 私の伺っているのは、国会におきましても、沖繩の施政権の返還に対する強い希望はたびたび論議がなされてきたわけであります。したがって、自治権というのは、高等弁務官が言うように、高等弁務官の権限の範囲内における一種の行政能力を認める、彼の認める範囲においてあるんだというようなことではなく、やはり将来は施政権を沖繩の同胞諸君が自分の手で持つに至る過程においてその権利の実現をはかっていく、こういう意味合いにおいて自治権が考えられてきたと思うのです。政府はどうお考えになりますか。
#160
○国務大臣(大平正芳君) それはもうあなたが言われることは当然と考えておるわけでございまして、施政権の問題につきましては、アメリカ政府も、琉球諸島が、日本に施政権が返ってきた場合に、他の地域とあまり落差がないようにしなきゃならぬという、その場合の困難を減殺するために沖繩政策というものはやるんだという基本方針をアメリカも出しておるわけでございまするし、私どもも、そのことを信頼して沖繩に対する経済、社会援助というものを続けていくということをやっておるわけでございます。将来施政権の返還というものを展望しながら、現実におきましては、今あなたが御指摘のとおり、沖繩の住民がみずからの自治権というものを効果的に拡大していくということ、そういう方向で沖繩政策というのは進めるべきものだと考えております。
#161
○永末英一君 政府は、その自治権の拡大について建設的提案を行なったことがありますか。
#162
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、今米国政府と琉球政府との間で検討が重ねられておるようでございます。そういった結果も拝見した上で政府として考えていきたいと思っております。
#163
○永末英一君 まだ見ている、やってないという工合に承るのでありますが、同時に、この高等弁務官は、沖繩の政府、さらに立法院が無能力であり、非能率だということを、強く例をあげて指摘をいたしております。こういう見解について政府はどうお考えですか。
#164
○国務大臣(大平正芳君) 自治を主張する以上、それにこたえるだけの能力、能率というものを前提として持たなけりゃならぬことは当然のことと思うのでございまして、高等弁務官が言われたことは、おそらくそういう自治を要求する場合の前提要件につきまして、まだ満足すべきものでないという意味のことを言われたのではないかと私は思います。
#165
○永末英一君 政府は、沖繩の政府や、あるいはまた立法院が行なっていることについて、高等弁務官と同様な見解を持つかどうか、伺いたい。
#166
○国務大臣(大平正芳君) 政府としては、琉球政府が行政機能を充実させていきまして、内外の信頼にこたえていただくように希望いたすわけでございまして、高等弁務官が言われたのは、どういう事実を踏まえて言われたのか、その一つ一つの事案に対して、私どもは、調査団で派遣した諸君の見解というものを突き合わしてみないと、今あなたの言われたことに的確に答えられぬと思うのです。私どもといたしましては、琉球政府が年とともに行政機能を充実していき、自治の拡大のにない手として信用していただくように希望している次第です。
#167
○永末英一君 政府は、沖繩の問題については、わが領土の一部としていろいろな措置も講じようということでやってきている。その一部についてそういう非常な強い非難が下されている。これは重大問題だと私は思うのです。もし外務大臣が言うように、調査をして、そうして弁務官が言っている非難に値しないという場合には、政府は強くアメリカ側に抗議をする意思があるかどうか、総理から伺いたい。
#168
○国務大臣(池田勇人君) もちろん調査いたしまして、事実無根であったり何かしたら抗議をする、あるいは反省を促すことは当然でございます。ただ、問題は、程度問題でございまして、どれだけ責任体制が整っているかということ、これは先進国並みに要求するか、あるいはああいう他国の施政権下にある立法院その他の問題でございますから、程度問題ではございますが、しかし、キャラウェー高等弁務官の言われたことについて、われわれは無関心であり得ないということは当然のことで、十分調査してみたいと思います。
#169
○永末英一君 政府は、ことしの施政方針演説の中で、総理は一言も沖繩の問題に触れない。外務大臣は経済援助だけを触れた。一番重要なこの問題については触れていないという、政府の身がまえというものがこういういろいろなことを起こすと思う。私は、やはり率直に沖繩住民の意思を体して、そうして沖繩住民が望んでいる施政権の返還に通ずる行程においてこの自治権の問題を考えていくということを、強く要望しておきます。
 次に移ります。毎年春になりますと、公共企業体の職員に対して、政府並びに政府機関が、給与問題でいろいろな紛争を起こすわけでありまして、毎年の行事のようになっている。総理は、こういう行事のようになっている状態をいいとお思いですか。
#170
○国務大臣(池田勇人君) 私は、いいとは思っておりません。
#171
○永末英一君 一般公務員の給与に対しては、大体年内にその給与の引き上げの勧告が人事院からなされ、補正予算が組まれる。そうしますと、公企体の職員もこれに見合って、当然のバランスがとられなくちゃならぬ。ところが、ことしのように、全くゼロだというような回答をするところに、やはりこの問題が紛糾する一つの大きな原因があると私は思いますが、政府はどう思いますか。
#172
○国務大臣(大橋武夫君) ただいまこの問題につきまして調停が進行いたしております。おそらく終局においてゼロということはないものと思います。
#173
○永末英一君 わけのわからん態度ですね。去年でも仲裁裁定が出たときに、公労委の委員長が、政府はやはり自主団交をもって問題を煮詰めてきなさい、煮詰めないでおいて調停だ、裁定だというのはいかん、こういう意見の発表があったことは御存じだと思うのです。なぜ自主団交をもっと煮詰めて、賃金問題の焦点を浮き彫りにされなかったか伺いたい。
#174
○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては、各企業体の理事者がそれぞれ対応する組合に対しまして、自主的に十分に団体交渉を進められることを希望いたしておることは申すまでもございません。今回の交渉におきましても、相当長期間にわたって交渉が行なわれておったのではなかろうかと、こう思うのでございますが、しかしなお、結論に到達することができませんので、各企業体とも調停手続を申請中のように聞いております。
#175
○永末英一君 労働組合側は仲裁を求めておる。ところが政府側は一方的にこれを調停に持ち込んでいる。そうして第三者の機関でやる、こういう工合に逃げを打っているように思える。そういうようなやり方は一体この問題を解決するために適当だと思いますか。
#176
○国務大臣(大橋武夫君) もともと自主交渉によって解決を見出されることが望ましいのでございます。しかし、当事者の考えによりまして、当事者だけの自主的交渉だけでは限界があり、これ以上は第三者であるところの公労委の立ち会いによって調停手続の過程でさらに話し合いを継続していこうということを考えられる場合もあろうと思うのでございまして、私は今回各企業体が調停を申請されましたのは、この調停という新しい交渉段階においてさらに話し合いを進めることが問題を解決するために適当である、かような判断でやられたものと考えております。
#177
○永末英一君 労働組合側は三十七年度の問題として要求を出しておるわけであって、これが三月三十一日を過ぎますと、今までの例によれば次年度の問題としてしか解決がつかない。これじゃどうも実態に即さない決定になってくると思うのです。労働大臣はそれぞれの直接の責任者ではないのでありますけれども、政府の代表としてこれが三月三十一日までに何とかめどがつくように誠意をもって努力をする意思はありませんか。
#178
○国務大臣(大橋武夫君) 今広い意味における交渉中でございまして、これが今年度において今年度の賃金の問題となるかならないかということは、その結果によるものでございます。しかし、とにかく事柄が事柄でございますので、政府といたしましては、できるだけすみやかにこの問題が解決することを期待していることは申すまでもございません。
#179
○横川正市君 関連して。人事院の勧告を実施される時期について問題になったわけでありますけれども、調停ないしは仲裁等で問題が解決をする運びの中で、賃金の要求される期日の起算点が、たとえば昨年の五月と起算された場合に、それに遡及して賃金問題を解決する意思があるかどうか、この際お伺いしておきたいと思います。
#180
○国務大臣(大橋武夫君) これは交渉ないし仲裁がいかなる結果になるかということによると思うのでございまして、政府といたしましては仲裁裁定あるいは交渉の結果が、財政上資金上不可能の内容を持つ場合におきましては、公労法の規定もございますので、所要の手続をとらなければなりません。しかしながら、いやしくも仲裁裁定の内容につきましては、従来から政府はできるだけこれを尊重し、そしてその内容をできるだけ実現するように努力いたしたいという方針には変わりはございません。
#181
○永末英一君 労働大臣は早く解決するように期待をするということですが、あなたが政府関係機関のすべての状況を一番よく御存じだ。そういう立場で解決するように誠意をもって努力する意思はないか伺います。
#182
○国務大臣(大橋武夫君) 各当事者に対しましては、政府としてできるだけすみやかに解決いたすようにかねてから期待をし、そしてまた希望をし、できるだけ努力するようにお願いをいたしておったのであります。しかし、ただいま公労委の調停手続に入っておりますし、公労委に対しましては事務当局を通じまして政府も早期解決を希望しておるということを始終連絡はいたしております。しかし、何分独立機関でございます。それ以上の具体的な交渉は、ちょっと政府といたしましてもどうということはやれないような立場にただいまあるように考えます。
#183
○永末英一君 労働大臣が誠意をもって事に当たっていくという気持を十分くんでおきます。
 次に、景気の見通しについて伺いたいのでありますが、総理は施政方針演説で、わが国経済は秋を待たずして好況に転じ得るものと信ずるという信念のほどをお示しになりました。なかなかあのときから経済状態、いろいろ変化が出てきているんじゃないかと思いますが、この時点においてあなたがなおかつこの信念をお持ちなら、具体的にこうなるのだという見通しをひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
#184
○国務大臣(池田勇人君) 秋を待たずして、とこう言っているのですから、何月からとは言えませんが、おおむね私は過去十数年間日本の経済に一番タッチしている人といい得ると自負しております。経験率から申しまして、私は日本人というものは、何としてもいわゆるポテンシャルなものを持っておる。創造力を持っておる。そうして私はその創造力をできるだけ発揮するように財政金融政策もやっておるのであります。それが時に行き過ぎがありますが、行き過ぎがあると同時に、非常にこの一時はちょっと試運転しますけれども、日本人というのはまたすぐやり出すのが今までの例です。しこうして財政金融もこれに対応して、やはり三%とか四%の成長率では、これはもうよそでは景気がいいといいますが、日本人あたりはこれは不景気だというのですから、そのレベルからいってだんだん七、八%くらいになってくるだろうということを昨年の暮から考えておりましたが、大体卸売物価もこの一月くらいは三十五年を一〇〇として九八、九%が一〇〇に戻りまして、重要産業である繊維も底をついて上がり、鉄鉱も大体底をついたと考えてよろしゅうございましょう。したがって、景気のあれを左右いたしまする機械の受注は相当昨年に比べて上向いてきております。また投資予測も相当の期待ができるようになっております。したがって、昨年は個人消費が伸び、輸出が伸びたのでございますが、御承知のとおり、設備投資や在庫投資の伸び方が非常に少ないということで、横ばいの状態でございましたが、今年は個人消費、そうしてまた政府の財政投融資、また輸出も割に順調でございますので、もうこの辺で底をついて、上向いてきている情勢へだんだんきておると思います。したがいまして、御審議の予算が通り、そうして政府が適当な財政金融政策をやっていくならば、これは私は秋までを持たなくて、国民が秋までも持たずに上向いてくると期待して努力して下さるものと私は思っておるのであります。
#185
○永末英一君 総理のお話伺っているというと、名人芸みたいなものでありますが、われわれはやはり客観的に現われた資料に基づいて推測をする以外に方法はないと思うのです。今総理のお話にございました機械受注の状況を見ましても、私どもは、どうもこの三十七年度の第三・四半期以来まだまだ下降しているように思われてならない。そういう統計数字が出ておるのでありますが、このままでいきますと、秋ごろはまだまだこれが現実化していくわけでございますから、上に上がってくるように思えない。経企庁長官はこの見通しどう考えますか。
#186
○国務大臣(宮澤喜一君) 機械受注は大体半年くらいの先行性があるといわれておるわけでございますが、簡単に過去を振り返りますと、したがって三十六年の夏過ぎまでは前年度比が当然一〇〇を上回っておったわけでございます。三十六年の暮ごろになりますと、それが一〇〇を少し割りまして、三十七年じゅうはだんだん下がっていきまして、夏近くには対前年度比四〇幾つというような月が数カ月ございました。それからあと、秋ごろからそれが若干回復いたしまして、暮ごろには六〇とか、七〇ということに、昨年の暮でございますが、なりまして、この一−三月の見通しでは一三〇というような数字が一応出ておるわけであります。しかし、これは年度末の関係もございますから、官公需、電電公社等の官公需でありますとか、電力会社の年度末のいろいろ発注でありますとか、そういう多少季節的な要素がございますから、一三〇は少し多過ぎると思います。しかし一〇〇を上回ったところはたしかであろうと思います。したがって、半年くらいの先行性を考えても一応底は昨年の十月、十一月ごろにあったと考えてよろしいと思いますから、それから考えますと、設備投資、鉱工業生産等が大体秋を待たずして上向くであろうということは、今総理が答弁されましたとおり裏づけられると思います。
#187
○永末英一君 どうも同じ統計表を見て違った解釈ができるのはおかしいと思うのでありますが、私どもの知っておるのでは、そんなに、あなたの言うように一三〇なんて上がっているように思えない。たとえばそういう生産をやっていくといたしましても、これは生産をやっていこうとしますと輸入がふえてくる、輸入が激増する要因の一つになってくる。ところでそういう面では一体国際収支というものはこのごろの状況を見ていると、必ずしもフエーバーではないと思うのです。この国際収支の見通しについて大蔵大臣はどう考えますか。
#188
○国務大臣(田中角榮君) これは国際収支の改善をやって参ったわけでございますが、昨年の夏以来、国際収支の状況は非常によくなって参りましたことは、御承知のとおりでございます。IMFのスタンドバイ・クレジット三億五千万ドルを使わないで、一月の十八日にそのまま見送ったわけでありますし、なお、昨年から問題になっておりましたアメリカ三行からの借款三億ドルも二月の末日をもって自力で返済をいたしました。なお、七行借款のうち、三十七年度中に返済をすべき三千三百万ドルだと思いますが、これに対しても、年度末に本年度分を返済いたしまして、年度末外貨の収支は、おおむね十九億ドルを越す程度でございます。三十八年度の貿易収支、また貿易外収支等を検討いたしてみているのでございますが、おおむね政府が考えておりますように、輸出五十二億ドル程度の目標を達成できるように諸般の施策を進めておりますので、今年度を通じて国際収支が悪化をするような状況は招いてはならないという諸般の施策を講じております。結論的に申し上げますと、国際収支は今よりも悪くならないだろうというふうに考えているわけであります。
#189
○永末英一君 先ほど申しましたように、もう少し在庫が底入れをして、生産が再開されて、これでやっていくとすると、輸入が少しふえてくる。ところが、大蔵大臣、今年全部を通じて言われたんですが、現在の信用状やあるいはまた通関額等を見ていると、非常にいきなずんでいるというように見られる、それにもかかわらず、非常に調子よくなっている、こういうようにお考えですか。
#190
○国務大臣(田中角榮君) これは諸般の環境整備を行なっておりますから、施政方針演説で述べられたとおり、景気見通しの立っておりますとおり、税収等の基礎数字として発表しておりますとおり、日本の経済は上向きになるような施策を行なっておりまして、これに対しては、三十八年度の一般会計の支出等につきましても、例年のように、自動的にこれが執行せられていくというような考え方ではなく、昭和三十八年度予算の執行に対しては、四月から、民間の設備投資等とも見合いながら、相当計画的な支出を行なっていくという考えでありますので、景気は上昇していくという考えでございます。なお、輸出振興策につきましても、御審議を願っているものも多々ありますし、なお、行政権内ででき得る問題に対しても、諸般の施策を今進めておりますので、輸出が伸びないというような観点には立っておりません。特にアメリカとの貿易につきましても、昨年の九月のIMFの総会、十二月の日米経済閣僚会議の検討等、現在まで引き続いて交渉し、かつ検討をいたしているのでございますが、今年度の輸出が当初四十七億ドルが四十八億ドル、四十九億ドルになり、やがて五十億ドルになるという状況を考えてみましても、これは確かに一、二月輸入がふえているという面もございますが、輸出が頭打ちであるというような考えには立っておりません。
#191
○永末英一君 御説明を聞いていると、はなはだ楽しい話になりますがね。そんなに楽しくなるのだったら、今度の予算に見るように、大きな刺激政策をとらなくてもいいんじゃないかと思うんです。ところで、池田さんがこの内閣をとってからの国民総支出がどういう工合になっているか、傾向を見ますと、こうなっているんですが、個人消費のほうがだんだんと下がってきている、それから民間総資本形成は上がってきている。つまり、そういう効果が国民総支出の面に見ると出てきている。そうしようというので、池田内閣は、内閣結成以来、経済政策をとってこられたんですか。
#192
○国務大臣(池田勇人君) やはり経済全体を大きくする場合におきましては、しょせん設備投資が将来への生産の増加に先立つというのが順序でございます。したがいまして、昭和三十四年、三十五年、三十六年と設備投資は非常に多くなっておりまして、国民の総生産のうちに占める設備投資の割合、個人消費の割合は、お話しのとおり生産が非常に伸びていく場合においては個人消費はおくれますから、その割合が伸びる率が少ない。しかし、三十七年度のように、そう生産が伸びない場合には個人消費がずっと伸びていくわけでございます。そこで、ほんとうに伸びる国、あまり伸びない国を見ますと、比較は、総生産に占める設備投資がどれだけで、個人消費がどれだけということで大体わかるわけであります。最近の状況で見れば、イギリスやアメリカなんか、あまり伸びない国は、やはり七〇%から七五%、伸びたドイツなんかは六五%、日本は伸び方が非常に多いから六〇%くらいもございましたが、伸びるときは五一、二%、あるいは五〇%を割るときもありましたが、今度は五四、五%になります。しかも、そういうことを考えて、昭和三十八年度の個人消費はかなり伸びると見ておるのであります。個人消費は累年伸びる、設備投資は去年は頭打ちだ、こういうことであります。これは日本の経済の動きの当然のところであります。今国際収支の問題をお述べになりましたが、日本の経済がどうかということについては、外国の相場ですぐわかるわけであります。日本が発行しようとする国債とか政府保証債の発行条件から、日本の信用がどうだということがすぐわかる。一も二もない。昨年の一月に発行したマルク債と今年発行しようとするものとは、よほど条件が違う。本年なんかは、ニューヨーク市場で引っぱりだことは申しませんが、自分のところでひとつ引き受けてやりましょうという。国内ではユーロ・ダラーの規制などを大蔵大臣がどんどんやっておる。規制をしても、どんどん日本に預けようとしておるということは、国際収支心配ない、日本の経済は健全な発展をしておるのだ、これは人が言っておる。私は、輸出がどう、輸入がどうというようないろいろなことは、何せ国民自体を信用し、世界の人がどう見ておるかということを見ながら、大体の日本の経済の動き、どんどん伸びていくにつれて、個人消費が上がっていく。これは非常にいい現象で、外国人は、驚くべきことだ、うらやましい状態だ、こう言っておるということを聞いておる。これからだんだん個人消費がふえていく。
#193
○永末英一君 池田総理は、外国人がこう言っておるというお話ですが、由来隣の家の台所は豊かに見えるのが通例でありまして、私どもはやはり、日本人――われわれかどう受け取っておるかということを、一国の総理としてちゃんと考えてもらわなければならない。たとえば三十七年度においても、確かに名目消費の増加はあった。ところが、実質の消費はそれに見合うだけ伸びていない、こういう事実がある。あるいはまた、国民の可処分所得というのは、実質所得に比べて伸び、が下回っておる。あるいは、平均消費性向はむしろ三十六年度に比べて上回っておる。つまり、使わなきゃならぬという気持になっておる。家計の黒字は、黒字ではございますけれども、鈍化いたしておる。つまり、こういうことでございますから、巷の雑誌でも、家庭の主婦が、総体的に、給料額は上がったけれども気分は苦しい、こういうことを訴えておる。この気持は御存じですか。
#194
○国務大臣(池田勇人君) いろんなことを言っておられることは、私も十分承知しております。しかし、日本の消費が数年前に比べて非常に悪くなったとか、あるいはいろいろな欲望がございますから際限はございますまいが、日本の国民生活が上がってきておることは、これはもうどこを見てもおわかりだと思います。テレビの問題、ラジオの問題、あるいは耐久消費財の伸びなんということは、たいへんなものじゃありますまいか。いろいろ言っておられますが、わが党の政策について、ほんとうにこれはどうもこうもならぬと思われる人は、これは政党が違えば別でございますが、大体よくなった――外国人に聞いても、この統計を見ても、言っております。私は、国民がほんとうに実態を知ってもらいたい。そうして正直に議論してもらいたい。反対せんがための反対じゃ進歩がない。悪いところを反対するのが進歩のもとであります。初めからきめてかかってどうこういうのは、進歩にならない。国民がよく御存じだと思います。
#195
○永末英一君 反対のための反対ではなく、あなたは未来水劫総理大臣をやられるわけじゃない。やはり、今の政策の結果を受けるというのは、これは国民なんであります。たとえば、昨年確かに貯蓄は伸びた。ところが、貯蓄性向はかえって下がっている。このことは、あなた方よく御存じだろうと思います。御存じだからこそ、今度の税制で、いわゆる政策減税と称して、資本蓄積のために利子や配当の減税をやって、大衆の所得税にはあまり配慮しなかったということが出ているでしょう、どうですか。
#196
○国務大臣(池田勇人君) 貯蓄性向が下がったとおっしゃいますが、それはどれだけ下がっておりますか。それは、四、五年前から比べると、だんだん上がりまして、昭和二十六年が一番上がったと思います。当時一〇%をこえております。二十七年が、一〇・四%というのが、一〇・一二%ぐらい、ちょっと下がっておりますが、大勢としてはそう動きは忍ばないと思います。これは私はずっと前の数字で覚えておりますが、ところが、四、五年前に比べてこれだけ消費水準が上がっても、貯蓄性向というものは、わが国の歴史から見ても、世界の傾向から見ても、そう落ちておりません。政策減税といって大所得者に対しては配当や何かで減税したと言われますが、配当の点について申し上げますと、源泉で取って総合のときに返す――何のために取るか。総合を納めぬ人は、源泉で取られて、総合を納めなければ、別に申告しなければ戻してもらえない。これは、これだけ株式投資が普及しているときに、総合を納めない零細な人に、初めから一〇%取って、申告すれば戻してあげますという制度は、よくございません。源泉で取らなければならないのはできるだけ少なくして、だから大納税者には何も配当所得の減税になっておりません。大納税者でない、総合所得を納めない一般の低階級の人は、配当を一割取られるのを五%にする、これは大衆にはたいへんな減税であります。投資信託というのは、無記名でありますから、これはやりようがございません。建前としてはそう考えておりますが、どこをとって金持の減税をしたと言われるか。特に、今までは三十万円を、今度は五十万円にする。東一郎、二郎、百郎までやって分割しておったのを、今度は認めないのでありますから、課税の適性をして、一人五十万円以下の分は完全に免税します。それ以上総合して何千万というのはやりません。非常に税制の合理化であり、大衆への奉仕である。金持には奉仕しない、この原則は、これは今度の税制でよく現われていると思うのでございます。源泉所得を納められる人に対して減税をしたいというのはやまやまでありますが、しかし、所得の少ない人で相当の所得税を取られる人を少なくしようというのが今度の税制で、これは政策減税とか何とかいいますが、歴史から見て、田中大蔵大臣のときにはよくやったと、私は歴史が証明すると思います。
#197
○永末英一君 日本の経済の一番の力というものは、われわれ日本人というものが非常に貯蓄心が旺盛であって、これが一番大きな資本力の基礎になってきたと思う。その貯蓄性向が経済の伸び率に比ベて非常に低く、しかもそれがなずんでおるというのは、重大問題だと思うのです。そういう意味では、この点を考えておられると思うから、私どもは政策減税をあなた方が強行されたと思うのです。何も、今総理大臣が言われたように、大金持とか貧乏人とかいうことを言っておるのじゃないのです。財政の組み方の面でいろいろな配慮がそこに出てたのは、こういう数字がなければ踏み切らぬのじゃないかと思ったからであります。
 時間がございませんので、もう一つ総理大臣に聞いておきたいと思うのでありますが、中小企業基本法をお出しになった。私どもは、特に経済の格差というものを考えたときに、この基本法をいよいよ現実化していく過程において、小規模事業者について特に配慮をやらなければならぬと考えております。この点について総理大臣が、どのような構想をお持ちか、この際伺っておきたい。
#198
○国務大臣(池田勇人君) お話しの点は、従来から特に力を入れておるわけでございまして、たとえば商工会法を制定するときは、これはほんとうに零細な人を一緒にして何か施策を講じようというので、商工会法を選挙に使うとかいう批判がございましたが、やはり小規模営業者に対しての一つの施策だったと思うのであります。その後におきましても、小規模に特に注意いたしておる。また、中小企業基本法で一条しか置いてないじゃないか、こう言われますが、これは条文が一条とか五条という問題じゃない。心がまえだ。だから、私は、中小企業の中のほうは、これは割に手が届きます。しかし、小のほうがなかなかむずかしい。そこで、協力関係、いろいろな点で、あるいは大小事業者の協力を促進する、こういう方向で力を入れていきたいと考えております。
#199
○永末英一君 時間がなくなりましたが、もう一つだけ大蔵大臣に聞いておきたい。商工中金という政府の機関でありながら、これから業者が金を借りる場合に、歩積みをやらしている例があるんですね。先ほど農林中金の例を申し上げましたが、こういうものはどうもおかしいと思うんです。この点について大蔵大臣のお考えを承って、質問を終わります。
#200
○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。歩積み、両建て頭金は、慣習上認められるものを除いてはできるだけ廃止をするようにということを厳重に通達をいたしております。のみならず、三月一日から日銀、大蔵省共同で窓口検査を行なっております。なお、先日の金融懇談会におきましても、これからの貸し出し、特に中小企業を対象としたものに対しては、歩積み、両建てというものに対しては厳重に配慮をしてもらいたい。まあ中小企業に対しましては、歩和み、両建てというのは、借り主の意志に反して歩積みを要求しておりながら、実際真実をばらしてしまうとあとのたたりがこわいということで、なかなか捕捉しがたいわけでございますが、同じ人でもって、同じ銀行でもっと借り入れと定期預金がある場合には、定期預金に見合う額に対しては当座借主と同じような状態で一銭七厘なり一銭八厘なりの低利のものでやるべしということまで具体的に指示をいたしておりますし、今御指摘になりました中小三公庫等からの貸し出し、特に商工中金等から貸し出すものに対しての代理貸しの窓口でありますが、自分が抱き合わせで借りるものに対して歩積みを要求する、これでもいけないことだと思っておるにかかわらず、政府関係機関から貸し出したものに対してさえも歩積みを要求するということがもしありとしたなら、これはもうほんとうに行き過ぎでありますから、かかる問題に対しては、場合によっては取り扱い店の業務を停止をするというぐらいな強い態度をとっておるわけであります。
#201
○委員長(木内四郎君) 永末委員の質疑は終了いたしました。
 本日は子の程度にいたしまして、明後十一日(月曜日)午後一時から開会をいたします。
    午後一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト