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1962/01/26 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 本会議 第5号
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1962/01/26 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 本会議 第5号

#1
第043回国会 本会議 第5号
昭和三十八年一月二十六日(土曜日)
   午前十時七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第五号
  昭和三十八年一月二十六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件
  (第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関
  する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)、
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。永岡光治君。
  〔永岡光治君登壇、拍手〕
#4
○永岡光治君 私は、日本社会党を代表して、主として国内問題を中心に、以下数点にわたり、池田総理以下関係閣僚に対し、質問を行なわんとするものであります。
 質問の第一点は、ILO八十七号条約批准に関する問題についての政府の態度についてであります。今回の施政演説におきましても、池田総理は、「ILO八十七号条約については、でき得る限り早急にその推准をいたしたい政府の基本方針に変わりはありません。関係法案とともにこれを本国会に提出する」と言っているのでありますが、これは、これまで幾たびか同じことを繰り返してきたのでありまして、関係法案とは一体どのような法案を言うのでありましょうか。もし、従来とられて参りました一連の改悪法案と同様のものを意味するのでありまするならば、ILO八十七号条約とはいかなるものか、その内容を十分に御承知になっていないのではないかと思うのであります。そもそもILO八十七号条約というのは、結社の自由と団結権の保障に関する条約でありまして、すなわち、組合員になろうとなるまいと、役員にだれを選ぼうと、これは自由なのでありまして、直接にも間接にも、政府あるいは使用者がこれに何らの制約も加えてはならないという趣旨のものであります。したがいまして、組合員は、その組織の役員を選ぶにあたりましては、その職場からたとい馘首された者でありましても、これを自由に役員に選ぶことができるというのが、その趣旨になっているのであります。したがいまして、ILO八十七号条約批准にあたりましては、この精神に抵触する公労法、地公労法、国家公務員法、地方公務員法等の関係条文を削除すれば足りるのでありまして、きわめて簡単なのであります。ところが政府のこれまでとって参りました態度は、これに便乗して、鉄道営業法を改悪して罰則を強化したり、公務員の政治活動制限をさらに強化したり、新たに内閣に人事局を設け、現在人事院の持っている公務員の任用基準、公務員の懲戒の基準、公務員試験の実施等に関する権限を人事局に取り上げまして、公務員の生殺与奪の権を時の内閣が握ろうとしたり、等々の一連の改悪法を同時に提出いたしまして、労働運動の弾圧を企図して参ったのであります。一体、結社の自由なり団結権を保障するILO八十七号条約を批准するのに、鉄道営業法の改悪がなぜ必要なのでありますか。また、ILO八十七号条約と公務員の政治活動制限強化をするのとはどういう関連があるのでありますか。さらにILO八十七号条約と内閣に人事局を設けるということとはどのような必然的な関係があるのでありましょうか。このような筋の通らないむちゃくちゃなことを強行して批准をおくらすものでありますから、ILOの国際舞台におきましても、日本政府の頭の悪さが笑い草になっているのであります。しかも、ILO八十七号条約批准の遅延が、日本国に対するガット三十五条援用のよい口実を諸外国に与えているに至りましては、まさに愚の骨頂と言わなければならぬのであります。このような日本政府の頑迷固陋な態度に対しまして、昨年十一月のILO理事会は、すみやかに批准せよと第十二回目の対日勧告を行なったのであります。馬の耳に念仏ということわざがありますが、一体、政府は、この勧告をどのように受け取っているのでありましょうか。しかも重大なことは、この理事会の席上、スイス代表のモリ氏は、次期国会、すなわちこの国会を意味するのでありますが、この国会で批准されないならば、最後の手段として、日本へ実情調査団を派遣すべきであると付言されているのであります。もしそのような事態になりますれば、世界にも、まれなできごとでありまして、ILO理事国たる日本にとって、まことに不名誉きわまるものでないかと思うのであります。
 そこで、総理にあらためてお尋ねいたしたいのでありますが、ILO八十七号条約批准案はいつ国会に提出するのでありますか。その時期、また何日までに批准したい意向なのか。与党の総裁をも兼ねていますあなたから、御決意のほどをお伺いいたしたいのであります。また、国際舞台でこれほど問題になって批准を催促されているのでありますから、とにかく批准を直ちに行なうことが緊急の問題と思うのでありますから、関係法案とは、政府与野党間に異論のない、すなわちILO八十七号条約に直接抵触するところの法律の改正に限定すべきだと思うのでありますが、総理の御見解はいかがでありましょうか。もしそうでなく、また、この前と同様一連の改悪法案を用意しているのでありますれば、その法案とILO八十七号条約との関連、及び、その批准と同時にそれらの法案の改悪を必要とする理由を、明確に御答弁いただきたいのであります。
 次に、農業問題についてお尋ねをいたします。
 今度の予算案に旧地主関係調査費が一億八千九百万円計上されております。さきに農地被買収者問題調査会を設けまして、二年間の年月をかけまして調査を行なったのに、今度は一体何を調査しようというのでありますか。前回の調査と今回の調査とどこが違うのでありますか。明らかにしていただきたいのであります。もっとも、昨日の新聞によりますと、農地被買収者に対する報償については何らかの措置をとる必要があるが、なお、具体的措置が必要なので、そのための予算を計上したと、政府の見解を池田総理が述べることに、与党と政府の間に意見が一致したと報道されているのであります。しかし、政府と与党の間では、それにもかかわらず、この見舞金的な報償という考えがとられることになったけれども、政府側は必ずしも報償を行なう前提で農地調査をやるというところまでは踏み切っていない。政府と自民党側とになおも考え方の食い違いがあるのだと、こう書いてあるのであります。四月の地方選挙を控えまして、選挙対策の一環であるかもしれませんけれども、一体この報償の精神はいかなるものでありましょうか。何ゆえに地主に報償を行なわなければならないのでありましょうか。その、他に及ぼす影響はきわめて大きいのでありまして、この点についての総理の明快なる御答弁をお願いを申し上げたいのであります。
 次に、農産物輸入自由化と構造改善についてお尋ねいたします。
 わが国の低貸金の社会的基盤は農家の低所得の零細経常にあります。今日農村では、農家には嫁に来る者がないということで、農村青年は、東京とか大阪とか、大都市に出る傾向が強くなっております。そのため、農村県の人口は毎年減少する反面、大都市は人間がはんらんいたしまして、交通麻痺状態、住宅難という、ばかげた現象が起きているのであります。お嫁に来る人がないような希望のない農村青年に人づくりを求めても、求めるほうが無理じゃありませんか。何よりもまず農村青年に希望を持たさなければならないと思うのであります。それには農家の収入を増す政策をとることであります。農家も文化生活ができるだけの農業所得が得られるよう、抜本的な政策を急速に樹立し、かつ実行に移すことであります。そのためには、農産物輸入の自由化をやめ、農業に大きな行政的投資を投入いたしまして、日本農業を思い切り近代化することであると思うのであります。そうして農家収入の低貸金を一掃する必要があると思うのでありますが、総理及び農林大臣の所見を承りたいと思うのであります。
 次に、農業改善についてでありますが、現在の政府の農業改善事業は全く農村の実情に沿いません。そうして農民の抵抗にあって行き悩みの状態にあるのでありますが、これを根本的に改正する必要があると思うのであります。現在の構造改善事業は、その一地区事業費がわずか一億一千万円、しかも、そのうち国の補助は、平均してたった四千五百万円であります。したがって、改善事業をやる場合、関係農民は大きな負債を負わねばならぬのであります。農産物価格が不安定なために、この負債の償還も容易ではないのであります。しかも政府が上から構造事業の基準を定めて押しつけて参りますので、農民側の希望する自主的計画がそれに乗らないという、うらみがあるのであります。さらに、池田総理の農民六割切り捨ての言明によりまして、農民は、構造改善事業で農業から切り捨てられるのではないか、このような不安もきわめて深刻なものであります。そこで私は、まず構造改善事業を単に行政措置によってこれを行なうのではなく、よってもって立つところの根拠法を立法化する必要があると思うのであります。そうして、その政府の責任を明らかにすべきだと思うのであります。また、この法律の中へ、農業機械化センターの設置、あるいは小農を盛り上げるための経営共同化の促進援助などの、きわめて魅力的な農業近代化を行なうべきだと思うのでありますが、農林大臣の所見を承りたいと思うのであります。また、この事業のワクを拡大いたしまして、補助率は少なくとも八割に引き上げ、ことに土地基盤整備は全額国費負担として、補助残の融資は、金利は三分五厘程度、少なくとも長期、たとえば三十年以上の償還期限とするなど、農民負担を軽減いたしまして、農業投資を増強させるよう国の援助を強化すべきであると思うのでありますが、農林大臣の所見をあわせてお尋ねいたしたいのであります。
 さらにまた農産物価格の安定が根本的に重要であります。政府は、構造改善事業の中で、主産地形成と称しまして基幹作目をきめきせておりますが、その指定した基幹作目に対して価格の責任を負うのが当然ではないでありましょうか。農業基本法下の政府の農政では、畜産、果樹、てん菜などを選択拡大させる方針をとっているのでありますが、その選択拡大の農作物が、あるいは昨年末見られましたように乳価の切り下げにより、あるいは四月には砂糖やバナナなどの自由化で買いたたきにあった、こういうことで、どうして一体、選択拡大ができるでありましょうか。私は理解に苦しむのであります。政府は、農民の所得補償の見地からも、主要農産物に対し、生産費及び所得補償の原則によるところの価格支持制度を確立すべきだと思うのでありますが、総理及び農林大臣の責任ある御答弁をお願いいたしたいのであります。
 次に、中小企業問題についてお尋ねをいたします。
 最近の公定歩合引き下げ措置等によります金融緩和を、政府は、はかってきたのでありまするけれども、中小企業にはまだ及んでいないのであります。年度末を控えまして、中小企業の金融難は依然として深刻なものがあります。一方、貿易自由化に対処いたしまして、大企業は、政府の支援のもと、独占集中をさらに一そう強化するための合理化政策を推進しつつあります。このしわ寄せばもっぱら中小企業に寄せられます。そして受注量の削減、コスト・ダウンの要請による受注単価の一方的引き下げ、検収期間並びに手形サイトの長期化、手形受取比率と売掛金の増大など、代金決済の悪条件が長期化して参りました。この面からの資金繰りの悪化、採算の悪化の傾向は、きわめて顕著なものがあるのであります。政府はこの中小企業の年度末金融難に対処いたしまして、資金運用部による特別買いオペを中心に、約二百五十億の資金手当をもって一時を糊塗しようとしているのでありますが、これでは中小企業はとても年度末の危機を乗り切ることは困難であります。そこでこの際、政府は、中小企業の年度末金融難打開のために、一歩進んで、二月なり三月なりに実施する日銀の買いオペ、これに中小企業金融機関の保有する政府保証債をも対象に加えるべきだと考えるのでありますが、総理及び大蔵大臣の見解をお尋ねいたしたいのであります。
 また、代金決済の悪化に対し、さきに社会党が提案をいたしまして、その修正成立を見たところの下請代金支払遅延等防止法が、必ずしも適正に施行されていない現状にかんがみまして、政府はすみやかに公正取引委員会の機構を拡充強化いたしまして、中小企業に公正な取引の機会を確保するために、本法の完全実施を期し、大企業の不当取引を強力に規制すべきであると考えるのでありますが、これに対する通産大臣の具体的措置についてのお考えをお伺いしたいのであります。
 次に、雇用問題についてお尋ねいたします。
 一昨年あたり、雇用問題の将来には、かなり明るいきざしが見えたかに思われましたが、それもつかの間、池田内閣の経済政策、所得倍増政策の失敗によりまして、雇用問題は再び悪化して参りました。一千万人に及ぶといわれる不完全就労者、半失業者が、ちまたにあふれているときに、労働省は失対打ち切りを策しているようでありますが、半失業状態の労働者に対する適切なる対策を講ずるはもちろんのこと、失対打ち切りはこの際取りやめるべきではないかと思うのでありますが、総理のお考えを承りたいのであります。さらに雇用問題の中で当面している大きな問題に、合理化の名のもとに行なわれようとしております炭鉱労働者の首切り、金属鉱山労働者の首切り、電信電話労働者の整理問題があります。石炭労働者の首切り問題に関しましては、昨日衆議院の本会議におきまして、総理及び大蔵、通産両大臣より、善処方の答弁がありましたが、もともと職場転換の確保の具体策もなく、七万人にも及ぶ膨大な首切りを強行することは、けだし無謀きわまるものと言わなければなりません。かつては黒ダイヤの産業戦士としておだてて使いながら、今日はこれを弊履のごとく捨て去り、食うに職なく、妻子と別れのみじめな生活に追い込むような政策で、なんで人づくりができるでありましょうか。これら石炭労働者に対する職場確保から人づくりは始めなければならぬのであります。したがいまして、これが対策は、ひとり経営者にまかせるべき筋合いのものではないのであります。政府の政策として対処して参らなければならない問題と考えます。すなわち、これが失業防止のための抜本的エネルギー対策を講ずるとともに、不幸にして生ずるであろう離職者の職場確保については、さらに特段の措置を講ずべきものと考えます。職場の確保、失業中の生活保障等につきましては、今後関係委員会におきまして慎重審議が行なわれるでありましょうが、政府はこれら労働者の声を聞き、実態に即した対策の樹立に理解する態度をとるべきことを強く要望するものであります。また、貿易自由化のしわ寄せとなって苦しんでおります金属鉱山労働者の職場確保の問題につきましても、右と同様の適切な対策を要望しておきます。
 電通合理化についてでありますが、電電公社並びに政府は、本年四月から電信電話拡充第三次五カ年計画を実施に移そうとしておりますが、電電公社の策定によるところの本計画は、の拡充、電話加入者の架設時の負担金、電話料金などについても、必ずしも国民の要望に即応したものとは言いがたいのでありまして、特に、全国の市外通話を画一的に自動化するの余り、農山漁村におけるこれらサービスが、都市に比較いたしまして、はなはだしく停滞するなどの多くの問題があるのであります。したがいまして、この際、国会の審議を通じまして十分検討の必要があると思うのでありますが、郵政大臣の所見を伺いたいのであります。また、特に農山漁村の小局に自動化が進むにつれまして、現在郵政省において委託経営いたしておりまず電信電話に従事する労働者に深刻な影響が及ぶのでありまして、郵政、電電公社同者合わせまして約三万人に及ぶ配置転換不能者が出ることになるのでありますが、この対策につきましても、郵政及び電電公社間の意見が、いまだに統一されていないということを承っているのでありますが、これは本計画実施の上での致命的な欠陥であるのでありまして、この際、公社、郵政省のいずれに雇用されているとを問わず、関係労働者の雇用問題を総合的に解決するように、計画策定に際し十分配慮すべきものと思うのでありますが、郵政大臣の御答弁をあわせていただきたいのであります。
 次に、公務員の給与問題について質問をいたします。
 われわれは先国会において、昨年八月出されました人事院の給与改定勧告に対し、その資料のとり方に不満があり、上厚下薄、特に初任給の低いことを指摘して参りました。また、政府より提出されました給与法改正案が、人事院勧告案をさらに下回る不当なものであることも追及したところであります。政府はこの際、先国会に提出されたと同様、人事院勧告を下回る改正案を撤回いたしまして、初任給引き上げを含めた人事院勧告の完全実施をするよう、給与法の改正を行なうべきであると思うのでありますが、いかがでありますか。人づくりを強調するところの政府みずからが公務員法の精神を踏みにじるようでは、人づくりを求める資格もなければ、だれも相手にしません。誠意ある総理の御答弁を求めるものであります。
 さて、農村なり、あるいは中小企業等の問題について触れましたが、これらの問題の基本をなす経済問題について、少しばかりお尋ねをいたしたいのであります。
 御承知のように、今わが国の経済で最も問題となっておりますのは、政府の施策が国際収支の均衡に重点が置かれたため、国内経済に大きな矛盾が生じていることであります。それは、国内経済軽視の結果、経済成長率は急激に低下いたしまして、そのために生産設備の過剰が表面化いたしまして、操短、人員整理が深刻な問題となっていることであります。しかも、こういう背景の中で、政府は大企業本位の経済政策に終始し、自由化を目ざして企業の合理化を推し進めているのであります。その結果、経済二重構造の態様はますます救いがたいものになっていくことであります。ことに、国民生活の面におきましては、一方に巨大な資本の存在と、他方に零細な企業、膨大な貧困大衆の存在を認めざるを得ないのであります。要するに、総理の提唱されました所得倍増政策は、その当初の宣伝にもかかわらず、国民の所得格差、地域の経済格差を救いがたいものにまで追い込んでしまいました。これをいかにして是正していくのか、具体的な重点政策の一、二を総理よりお示しをいただきたいのであります。さらに、今総理がとらなければならない措置は、国民の消費購買力の増大、つまり国内市場を豊かにすることだと思うのでありますが、その基本的な考え方をもあわせて総理からお伺いいたしたいのであります。
 最後に、住宅、宅地問題についてお尋ねをいたします。
 この数年間における宅地価格の異常な高騰は、国民大衆が直面している住宅難を解消する上に大きな障害となっております。民間の自力による住宅の建設、国や公共団体等によるところの宅地造成や住宅建設は、宅地価格の高騰によりまして非常な困難な壁にぶつかっております。この主要な原因は、池田内閣による高度成長政策の結果と、地方産業開発政策の貧困と、農村振興対策の貧困等のために、産業と人口が都市に集中する結果となったことにあります。との原因を改めない限り、宅地価格の高騰は今後も続くと考えられるのでありますが、建設大臣は、池田内閣の政策と関連をいたしまして、この問題をどのように考えているのでありますか、お尋ねをいたしたいのであります。政府は、一時的な措置といたしまして、宅地の国または公共団体による先買権を初め、行政的な措置を講じて宅地価格を押える考えを明らかにしていますが、これはあくまで、総合的な国土開発計画のもとに、長期的な見通しを持って実行しなければならないと考えるが、この点についての政府の所信をただしたいのであります。
 戦後十七年を経過いたしました今日において、住宅難は解消されません。ますますきびしいものになっております。政府の調査によりましても、全国世帯の一二・五%に当たる世帯が住むに家なき状態であります。東京、大阪では、その二〇%の世帯が住宅難に置かれているのであります。ところで、公団住宅の入居基準はかなり高いものになっておりますため、入居基準に達しない低所得層は、高額の権利金、敷金等のほかに、坪当たり二千円以上にも及ぶ高家賃を支払っても、民間の貸家なり貸間を利用せざるを得ないのでありまして、このために、さなきだに低い生活水準をさらに低下せざるを得ない状態にあるのであります。これらの住宅対策の抜本的な具体策を建設大臣よりお示しをいただきたいのであります。
 以上をもって私の質問は終わりますが、どうぞ答弁漏れのないようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 ILO八十七号の批准につきましては、施政演説で申し上げましたごとく、できるだけ早く今国会に出す考えでございます。なお、国内法の改正につきましては、公務員あるいは公共企業体の正常な労使関係並びに業務の正常な運営を確保するために、この条約に抵触する部分の改正及び国内法の整備を私はする必要があると考えます。したがいまして、そういう趣旨によって御審議を願いたいと思います。
 なお、農地被買収者に対しまする報償については、昨日衆議院の本会議において申し上げましたごとく、何らかの措置をとる必要があると思います。したがって、そのためには実態を具体的に調査する必要があると考えて、予算を計上したのであります。従来調査したではないか、こういうお話でございますが、前の調査はほんとうに抜き取りで、しかも十分な調査ではございません。私は、実態をよく調査して、また、いろいろな世論もございますので、世論を調査して、この被買収者に対する措置には、できるだけ適当な、万人の納得し得る措置をとる考えでおるのであります。
 次に、農村に対しましては希望を持たすことが必要でございますので、農業基本法を制定する等、農村の近代化あるいは農村の収入増加に努めておることは、御承知のとおりでございます。
 中小金融、失業対策、炭鉱離職者対策につきましては、関係大臣よりお答えをさすことにいたします。
 なお、公務員の給与改定につきましては、人事院の勧告に基づきましてさきの国会に提案いたしましたのを、今回御審議願うことにいたしておるのであります。
 なお、経済の二重構造につきまして、いろいろ議論があるようでございますが、この二軍構造をよくすることが、いわゆる所得倍増計画の基本であるのであります。私はだんだんよくなっていっておると考えております。
 なお、国内の国民消費の増大につきましては、私は国民消費の増大をじゃまするものじゃございません。適正な健全な国民消費の増大があってこそ、圏内経済の発展があるのであります。ただ問題は、わが国のように原材料を輸入しなければならぬ国といたしましては、国際収支を見ながら国民消費の増大を考えていくことが適当であろうと考えます。(拍手)
  〔国務大臣軍政誠之君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(重政誠之君) お答えを申し上げます。
 農業収入の増加をはかりますことは、これは農政の最も緊要な目標であるのは、申すまでもないのであります。その収入をはかりますためには、先ほど総理の御答弁にありましたとおりに、先年、農業基本法が制定をせられまして、その線に沿って諸施策を実現に移しておるわけであります。申すまでもなく、農業の生産性の向上、農業経営の近代化ということがその中心になるものであります。農業構造改善が何と申しましても根本的な問題である、やらなければならぬ問題であると考えるのであります。
 そこで、政府といたしましては、各地方の実情に即応いたしまして、農業の体質改善、構造改善事業の推進をいたしておるわけであります。ところが、これには農家が相当の資金を投入することになる関係上、いろいろの心配もあろうかと思うのであります。そこで、今回三十八年度におきましては、この構造改善を推進をいたします上において最も重要であり基本的な問題であると考えます、いわゆる低利長期の資金の融通制度の確立をいたすことにいたしたのであります。近くこれらは法案を本国会に提案し、あるいは予算にもそれぞれの所要の経費を計上をいたして、御提案を申し上げまして、御審議をわずらわすことになっておるのであります。同時に、流通機構の改善をやりまして、そうして生産農家にも、また消費者の方面にも、両者に、無用の経費と申しますか、むだを省いて、生産者、消費者ともに利益を得るようにいたしたい。さらには、現在やっております農産物の価格安定の施策をさらに拡充して参りたい。こういうふうに考えておるわけであります。
 第二の御質問は、農業構造改善事業の事業資金一億一千万円というのは、事業量が少ないではないか、補助金は四千数百万円で補助率が少ないじゃないか、農家の負担が多過ぎるではないか、という御質問であったわけでありますが、そういう要望はいろいろ地方からもございますので、今回は、政府の補助率五割のほかに、各府県においてこの補助率のかさ上げができるような方法を講じたい、こういうので、自治大臣とも相談をいたしまして、地方交付金をその方南に特別に増額交付をすることにいたしまして、ことに土地の基盤整備というような問題については府県において補助率のかさ上げができるようにいたしたいというので、目下検討をいたしておるような次第でございます。
 それから、地方の実情に合わないで、画一的に構造改善の計画をやっておるのではないか、こういうような御非難があったわけでございますが、これは、農林省といたしましては、一応の基準を示しているわけであります。決して画一的にその計画を進めるというようなことはいたしておりませんが、ややもすればそういうような誤解があるようであります。しかし、これは前国会において御賛成をいただきまして、地方農政局が近く設置せられることになるのでありますが、こういうことによりましても、さらに地域農政、地方の実情に即して、この構造改善事業を推進をいたしたい、こう考えている次第であります。特にこれらの問題につきまして法制化する必要があるとは、現在のところ、私は認めておらないのであります。
 第三の問題で、農産物の価格対策についての御質問でございましたが、御承知のとおり、これは食糧管理法あるいは農安法、畜安法等によりまして、米麦その他主要な農産物、畜産物につきましては、すでに価格安定の政策をやっているのであります。しかし、さらにこれらの農産物の価格安定策は一段とその内容も整備をいたし、また拡充もいたしたい、こういうふうに考えている次第であります。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(福田一君) 自由化によって、中小企業が圧迫されることがないようにしなければならないというお話、ごもっともでございます。そこで、政府といたしましても、中小企業の近代化、高度化をはかるような予算措置も十分とりまして、その他の施策によって、仰せのことがないように努力をいたすつもりでございます。
 なお、中小企業の金融の問題につきまして、お話のとおり、昨年末に、二百五十億円のいわゆる財政資金による追加を行ないました。また、百五十億円の買いオペをやったのでございますが、御心配のような、年度末の金融が心配な点もございますので、ただいまわれわれといたしましては、大蔵省と折衝しまして、財政資金の追加なり、あるいは買いオペをやることについて、相談をいたしているという段階でございます。
 なお、中小企業が大企業から非常な圧迫を受けるようなことになっては困るではないか、したがって、公正取引委員会の機構を改正してはどうかというような御質問でございますが、ただいまのところ、公正取引委員会の機構を拡充強化する必要があるとは認めておりません。将来そういう必要があれば、もちろん考えることにいたすつもりでありますが、特に親企業が下請企業に対しまして支払いを遅延するというようなことをいたしている例もないわけではありません。そこで、そういう場合にあたりましては、法律の趣旨に基づきまして、親企業に対しまして、そういうようなことをしないように、いろいろの勧告もいたしたり、措置も講じているわけでございますが、ただいま仰せになったような、御質問の御心配があることについては、われわれも十分頭の中に入れて、そうして中小企業を育成というか、あるいは保護するというような方針をとりたいと考えている次第でございます。(「議長、買いオペの答弁がありませんよ」と呼ぶ者あり)ただいま私が申し上げたとおり、買いオペの問題につきましては、今大蔵省と交渉をいたしているという段階でございます。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(大橋武夫君) 失業対策事業につきましては、近年各方面から制度の刷新が強く要望されておりまするので、今国会におきまして改善案の御審議をお願いいたすつもりでございます。
 その内容は、中高年令の離職者等、再就職の困難な失業者に対しまして、特別の職業指導、職業訓練を施し、その再就職に努めますとともに、現行失業対策事業につきましても、就労者の性、年令、体力等の実情に対応した運営をはかるようにいたそうというものでございまして、失業対策事業の打ち切りというようなことは、全然考えておりません。
 次に、石炭合理化に伴う離職者対策としては、経営者の善処を要請するばかりでなく、政府もこれに努力をすべきであるという御意見は、全くそのとおりに存じます。そこで、政府といたしましては、合理化計画に見合う再雇用計画を策定し、この計画に基づきまして、石炭経営者にその離職者を関連産業等へ就職させるように努力をさせますとともに、政府関係機関で率先して炭鉱離職者を採用するようにいたしまするほか、安定した転換職場の確保に努めて参りたいと思っております。また、これら離職者に対する職業訓練、職業紹介等につきましては、炭鉱離職者求職手帳制度を創設し、これを一段と強化することといたしており、また新たに就職促進手当の支給を行なうことにより、一定の求職期間中の生活の安定をはかりますほか、住宅対策についてもこれを一段と拡充強化いたし、もって遺憾なきを期しているのであります。以上の諸対策によりまして、炭鉱離職者に対して安定した転換職場を十分確保し縛るものと確信をいたしております。
 また、非鉄金属鉱業等においても離職者の発生を見ておりますが、これら離職者につきましても、石炭離職者に準じて離職者対策を強力に推進することにいたしたいと存じまして、近くこれに必要な法律案を提出する方針でございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(田中角榮君) 一―三月中の中小企業金融対策は、日銀買いオペ等の措置によって資金確保をはかれというお話でございますが、通商産業大臣がお答えをしたとおりでございます。中小企業金融の円滑化と資金確保につきましては、格別の配慮を政府はいたしております。中小三公庫の資金確保に努めるとともに、地方銀行、相互銀行、信用金庫等にも、中小企業向け融資の促進円滑化と資金確保をはかっておるわけでございます。
 なお、日銀の買いオペにつきましては、中小向け百五十億を行なったわけでありますが、加えて全般的金融市場の緩和をはかりながら中小企業金融の円滑化をはかって参りたいというので、合わせて年末一千億の日銀買いオペを行ないました。また、一−三月の状況も考えながら、現在、一月五百億、二月五百億の買いオペを考えておりますし、なお、その後の状況によりましては、さらに買いオペ制度の弾力的運用をはかって参りたいと考えております。なお、特別中小企業向けの買いオペや売り戻しの延期等が必要であれば、随時適切に措置をして参るつもりであります。(拍手)
  〔国務大臣小沢久太郎君登壇、拍
  手〕
#10
○国務大臣(小沢久太郎君) ただいま永岡議員からお尋ねのありました、電電公社が現在進めておりまするいわゆる第三次五カ年計画は、公社予算等の関係で国会の御意向を承る機会もあることとは存じます。しかし、この計画は、先ほど仰せになりましたように、都市にのみ集中しているものではございませんで、全国的な要望に答えようとする案でありまして、われわれといたしましては、ぜひとも推進したいというふうに思っておる次第であります。その計画の進展に伴いまして剰員問題が生ずるわけでありますが、郵政省といたしましても、また電電公社といたしましても、十分連絡をとりまして、諸対策について慎重な検討を進め七おります。特にその際生じまする過員につきましては、配置転換及び職種の転換等、電話交換に従事するところの職員の取り扱いは十分温情をもってこれをあっせんする方針でありまするけれども、別に適切な対策を考えまして、その措置に万全を期しておる次第でございます。なお、先ほどのお話のうちに、郵政と電電公社との間に意見の不一致があるのではないかということがございましたが、そういうことはないことをつけ加えまして、答弁といたします。(拍手)
  〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(河野一郎君) 住宅の対策につきましては、従来と多少変えまして、主として低領所得者を対象とする住宅の建設に重点を置いて参りたい。あわせて所得の多少上の人につきましては、宅地対策をもってこれに充てたいということにいたしたいと思います。そういうような方針で、明年度の予算におきましては、建設する数量はたいして増加いたしませんけれども、質の向上には相当に留意をいたして参りたいということにいたしております。そこで問題は、宅地対策が一番大きな問題になると思うのでございます。この宅地の対策につきましては、第一は、従来の主として東京、大阪というような大都市におきましては、これら都市内の住宅もしくは工場等を周辺の都市に計画的に分散をするように造地をして参りたい。この方面を公団等を指導いたしまして、相当大規模にやって参りたいという考えでおります。ここに宅地も相当造成をして参るようにいたしたい。またお話にありました宅地の制度を整備する、これにつきましてはいろいろ御意見もございますし、また政府におきましてもいろいろな角度から検討いたしておりますが、これらは主として審議会におきまして各方面の御意見を、目下御協議中でございますが、これらの答申を得た上で、いずれ法律を必要とするものにつきましては法律、その他施策を必要とするものにつきましては施策をして参るということにいたしまして、宅地、住宅を相当の程度に基本的に改善をして参りたいという所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(重宗雄三君) 森八三一君。
  〔森八三一君登壇、拍手〕
#13
○森八三一君 私は第二院クラブを代表いたしまして、さきに行なわれました政府の施政方針演説に対しまして、若干のお尋ねをいたしたいと思います。
 まず第一に、日韓両国の国交正常化の問題であります。
  〔議長退席、副議長着席〕
政府の格段の御努力によりまして、この多年の懸案がいよいよ解決点に近づいて参りましたことは、まことに御同慶の至りであります。同時に、この間努力をされました閣僚の御苦労を多とするものであります。しかしながら、その妥結正常化の具体的な内容に関しまして新聞紙上で報じておりまするところでは、国民感情にぴったりしないものがあろうと思いまするし、昨日の松澤、安井両議員の質問に対しましても、このことにつきましては全体として解決するという、きわめて抽象的な総理のお答えでございましたが、その程度のお答えでは、とれまた国民感情としては一まつの割り切れぬものが残っておるように思うのであります。もちろん、事、外交のことでございまするので、現に交渉が進行しつつありまする過程におきまして、国内に意見の対立のありまするような印象を相手国に与えますることは厳に慎しむべきことであろうとは存じます。私もその点については十分心得ておるつもりではございますが、日韓両国の多年にわたる問題を正常化しようということになりまする場合、昨日もあげられました竹島問題、李承晩ラインの問題等、このことにつきましては、その前に具体的な政府の所信を明らかにしておかなきゃならぬと思います。このことは、国会の国民に対する厳粛なる義務でもあると存じまするので、あえて重ねてお尋ねをいたしたい。
 竹島の領有権に関しまする問題でありますが、このことにつきましては、仄聞いたしまするところによりますると、国際司法裁判所に提訴し、韓国がこれに応訴をすることを条件として、日韓問題を解決しようとしておられるというように承るのであります。あるいはまた、与党内の一部には、この鳥の解決について共有説が出ておるとも承っております。私はこの点に関しまして、日本国民として、政府並びに与党の態度をまことに遺憾とするものであります。すなわち、竹島はまさに父祖伝来のわが日本の固有の領土であります。竹島は行政上は島根県の五箇村に属する疑問の余地なき日本の領土であります。しかるにこれが、昭和二十七年一月十八日、当時の李承晩韓国大統領が朝鮮半島周辺の公海上に不法なるいわゆる李承晩ラインを設定をいたしました際、たまたまこの島が李承晩ラインの内部に入ってしまったことに端を発し、紛争を起こしております。これに対しまして、当時日本政府も、一月二十八日、文書をもって抗議を行ない、その後引き続いて抗議を重ねて参りましたが、韓国側もそのつどこれを反論して、昭和二十九年ごろからは韓国官憲が向島に常駐してこれを占拠し、灯台を設置し、わが国漁船を銃撃するなどの実力行使をするに至りました。ところで、およそ近代国際法では、領土取得の要件として、1国家としての領有の意思、2その意思の公示、3適当なる支配権力の確立をあげております。しかるに竹島の領土取得に関しましては、すでに明治三十八年一月二十八日の閣議決定によって、国家として領有の意思確認が行なわれ、続いて同年二月二十二日には、島根県告示によりまして国家の領有意思の公示が行なわれております。次に、適当なる支配権の確立につきましては、明治三十八年八月には島根県知事松永氏、続いて翌三十九年三月には島根県第三部長神田氏一行四十数名が向島を実地調査し、さらに同年五月十七日には竹島の面積が官有地として土地台帳に記載されております。下って昭和十五年八月十七日に至ると、同島は舞鶴鎮守府に海軍財産として引き継がれ、この海軍用地の使用権は、当時竹島のアシカ漁業権の所有者でありました八幡長四郎氏に与えられております。以上述べました事実は、竹島に対してわが国が継続的に支配権を行使したことを明白に立証するものであります。同時にまた、この間において韓国からは、同島の領土権に関して何らの異議も申し立てられてはおりません。かかる事実は、明白に、近代国際法の観点よりして、竹島がわが国固有の領土でありますることを厳粛に立証するものといわなければならぬと存じます。
 しかるに、竹島の領有権に関する政府、与党の態度を見まするのに、あるいは日韓共有とするなど、われわれの国民感情からいたしますると、まことに軟弱の感を払拭し得ぬ次第であります。竹島が明白にわが父祖伝来の日本領土でありますることについて、この際、池田首相より確信ある御答弁を得たいと思います。
 また、李承晩ラインは、これまた明白な国際法違反であります。首相は去る十八日の記者会見で、漁業問題、すなわちこの李承晩ライン問題が、わがほうの要求のとおりに妥結に至らなければ、請求権問題を御破算にしてもいいと述べられておりますが、首相の李承晩ライン問題に対する確固たる信念を承りたい。
 以上、竹島問題と李承晩ライン問題について、具体的にいかなる内容で解決をはかろうとされているのかをお伺いいたします。
 次に質問の第二点は、国家行政組織法第八条の、いわゆる各種審議会についてであります。
 行政管理庁の昭和三十七年三月十五日の資料によりますると、この種の審議会の数は約二百工費八十の多きに上っております。もとよりこれらの審議会の性格も決して一律のものではございません。大別いたしますと、調査諮問、資格得喪、訴願裁定その他等に区分ができるもので、その重要性あるいは必要度においてそれぞれ段階がありますることは当然でございますが、これらのうち、昭和三十五年から昭和三十六年九月に至りまするまでの間に、ただの一回も開かれなかった審議会が二十二に及んでおります。これら審議会の会合が、ただの一回も開かれなかったことにつきましては、もとよりそれ相応の理由のあることとは存ずるのではありますが、世上、開店休業の審議会がそのまま無為に放置され これらの放置によりましていたずらに国費を浪費しているという非難の高いことにかんがみまして、行政整理の一環として、これを適切に整理するととが急務ではないかと存ずるものであります。また、これら審議会のうち、国会議員がその委員に加わっておりますものが約十八に及んでおりまして、立法府と行政府との関係に、あるいは不明朗な混淆を来たすおそれなきやを憂うるものでございます。すべからく立法府の議員たるものは、行政機関の構成員として行政権の内部に深入りすることは極力避けるべきだと思います。むしろ国会議員本来の職責は、国権の最高機関たる国会の大所高所の立場から、審議会の答申に基づく行政施策を厳格に批判審議することにあると思うのでございます。この点について、行政管理庁長官の明快なる御答弁を得たいと存じます。
 また、審議会の答申を政府が軽視する、あるいは尊重しないままに、審議会の民間側委員諸君との間にしばしばトラブルを生じた例も再三にとどまらぬ状態であります。これについても、今後このような紛争を重ねぬよう、一段と適切なる措置が望ましいと考える次第であります。すなわち審議会の答申は、全的にこれを採用するの態度に出すべきではないかと思うのであります。政府の都合のいいところは採用するが、都合の悪いところは不問に付するというところに問題があるかと思います。この点に関しましては、特に総理より御答弁をお願いいたしたいと存じます。さらに、審議会委員にして、多い者は一人で二十幾つの審議会の委員を兼務している例がございますが、その人の委員としての適当であるとか不適当であるとかということをここで論ずるのではございませんが、一般世間では、あたかも、審議会委員とすることによって、その人の社会的、経済的地位を保障するためのものではないかとの憶測が生じております。これについても、何らかの是正措置が必要ではないかと思われるのでございます。でき得る限り一人一役の原則をとるべきではないかと思うのでありますが、この点、あわせて御答弁をいただきたいと存じます。
 質問の第三は、選挙制度についてであります。
 民主政治の健全な発達と正常な運営が公明な選挙に出発いたしますることは、申すまでもございません。であればこそ、公明選挙推進のために年々多額の予算が計上せられ、不断の努力が払われて参っておる次第であります。このことは、全国民の選挙に対する深い理解と認識がなければならぬことでありまして、英国など先進諸国の例に見ましても、一朝一夕にして達成し得るものではなく、根気よく努力を積んでいかなければならぬことでありまするが、同時にまた、選挙法に規定する形式を整備いたしますることも、また大切なことであろうと存じます。政府がさきに選挙制度改正審議会を設置されましたゆえんも、またここに存するものと了解をいたします。当面すみやかに改正せられなければならぬ問題点は、定数是正、金のかからぬ選挙であるための資金問題、愉快に行なえる選挙であるための運動方法や取り締まりの問題を初めといたしまして、数多くの問題があるとは存じますが、最も大切な基本的な問題は、政党政治のもとで民主政治が健全な発展をいたしまするためには、政党が国民的政党として成長発展し、その政党の主義、主張、政策が、国民主権者の正確な自由な審判によりまして、公正に政権が授受されるルールを確立することではないかと存ずるのであります。これがためには、現行の中選挙区制度はすみやかに改善さるべきであり、理屈をつければいろいろの問題や利害得失はあろうとは存じますが、一区一人の小選挙区制を断行すべきときであろうと存じまするが、御所見はいかがでございましょうか。ところが、今回発足した選挙制度改正審議会の総会では、このことはあと回しでよいというような印象を受ける御発言であったということであり、新聞紙は、この問題を取り上げることは池田内閣の生死に関連する危険を包蔵しておるから、ことさらに回避したのであると報じてもおります。私は、国政進展のために身を挺して努力されておりまする総理が、そんなけちな理由で回避されたものだとは存じませんが、一体このことにつきましていかに対処されようとするのか、総理の所信をお伺いいたします。
 第四に、国民の体位向上、医療行政問題についてお尋ねをいたします。
 総理は、つとに人つくりを提唱され、人つくりは国づくりの根幹であると申されております。まことに同感と申すほかはございません。さらに総理は人つくりの主たる対象は青少年であるとし、そのための政府の施策として、青少年教育の指導者、教育者の自覚を喚起し、その資質の向上、道徳教育の充実、科学技術教育の振興、育英事業の拡充、私学の助成強化、教科書の無償供与、学校給食の拡充等までもおあげになりまして、人つくりの重点をもっぱら教育面、精神面にのみ志向されておるような印象であります。元来人つくりは、ことわざにも申しまするが、「健全なる精神は健全なる身体に宿る」というのでありまして、優秀な日本人を育成するためには、何よりも、その土台となる健全なる肉体を持つ青少年を育成することが先決問題ではないかと存じます。そして、このためにこそ、国民の厚生、医療面に対する国の積極的施策が望まれる次第であります。幸いに総理も、さきの施政演説におきましては、医療面においても一段とその前進を期すると言明されておることは、まことに意を強うする次第でございます。つきましては、これに関連して、次の諸点について総理並びに厚生大臣の御所信を承っておきたいと思います。
 まず、国民健康保険の内容改善でございますが、これは、当然将来にわたって相当な財政負担の増額を伴うものでありますが、これについての総理のお考えのほどを伺いたい。次に結核対策でありますが、幸いに近年結核患者の死亡率は逐次低減の方向をたどってはおりますが、これに反して、患者の数はかえって逐年増高をいたしておるのが現状でございます。この際、結核対策を一そう強化する必要があると存じますが、この点に関する厚生大臣の御所信を伺いたい。
 さらにまた、人つくりに対する総理の一方ならぬ御熱意に反し、現実の世相は、日に日に宵少年犯罪の激増を訴えております。私はこの際、政府の精神衛生対策の飛躍的拡充並びにその養護施設の強化等が緊要であると存ずるものでございますが、これに対し総理並びに厚生大臣の具体的な方針をお聞かせいただきたいと存じます。
 質問の第五は、農業基本法運営上の問題であります。このことは、ただいまも永岡委員から御質問がありました。お答えはございましたが、あのお答えをもっていたしましては十分に理解するわけに参りませんので、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
 前近代的な日本農業を国際農業に太刀打ちのできるように近代化して参りますることは、きわめて重要な当面の農政問題であり、直接する農民諸君も、目まぐるしく変転する経済社会に処しまして、自立するために懸命の努力を払って参りました。しかしながら、著しく立ちおくれておりまする日本農業をそこまで持って参りますることは、農民の自主的な努力だけではいかんともするすべがありませんので、政府、政党に対しまして、農業の進むべき新たな方向を明示すべしと要求し続けて参りました。それが必ずしも万全な、十分なものとは言えないまでも、一昨年六月、農業基本法として法制化せられたのであります。農民諸君は、その間努力をいただきました政府、政党に対しまして、限りなき感謝と本法に対する期待をいたしておるのが現状であります。政府も私どもも、本法の運営が農民の期待を裏切ることのございませんように万全を期さなければならぬと存じます。本法の前文には、本法の目的を達成することは国民の責務に属するものであると宣言をいたしておりますることからいたしましても、当然なことであり、特に心すべきであると思います。もし不幸にして農民諸君の失望を買うようなことでもありますれば、そこには実に憂うべき事態が生ずるでありましょう。私は、戦前、農村の不況に際しまして発生いたしました幾多の不法事件を想起し、はだえに泡するものであります。農業基本法はすでに実施二年を終え、まさに三年目を迎えようといたしております。経済、産業の発展成長は、国民諸君の勤勉と相待りまして、予期以上の進展を示しております。農業もまた、相当な成長はいたしておりますものの、他産業との間における所得の格差はいよいよ拡大の一途をたどっております。農業基本法の第一条の目的はまさに絵にかいたもちの感を呈しております。この際、政府の指導に基づいて、まじめに農業生産に取り組んでおる農民諸君、すなわち正直者がばかをみないようにすることであり、そのためには、それが対策の全部であるとは申しませんが、当面、何といたしましても、重要農産物に対する価格の安定施策を講ずることではないかと存じます。すでに、政府はもちろん、国会におきましても、この点に留意いたしまして、先刻も重政農林大臣お答えのとおり、食糧管理法、重要農産物価格安定法、畜産物価格安定法、あるいは大豆等の交付金法などを制定いたしまして、対処いたしてはおるのでありますが、要はそれら、法律規定の運用に関する態度であります。最近における具体的な政府のやり方を見ますると、過去におけるそのものの農民手取りを基準として安定せしめるということであります。これでは低所得が確保せられるということでありまして、前進はありません。また輸入競合物資との関連で安定せしめるということであります。これでは立ちおくれておるわが国農民は浮かぶ瀬がございません。また、第二次、第三次の使用者の採算を基準として安定せしめるということであります。これでは農家の所得は補償されません。これらの方法が取られておると思われます。かようなことでは、生産農民諸君は犠牲を負わされるだけで、喜んで再生産に取り組む意欲を喪失するばかりでなく、その生活をすら維持するわけにいかぬと思います。
 そこで、お伺いいたしたいことは、重要農産物に対する価格安定についての具体的な政府の態度であります。私は、米に見るごとく、生産費及び所得補償方式の理念に基づくべきであると存じますが、いかがでございましょうか。国会が立法に際しまして、政府提案に対し、再生産確保を旨として定むべしというような修正を行なっておりまするゆえんも、ここに存すると思うのであります。先ほどの永岡議員に対する御答弁にはこの点に十分にお触れになっておりませんので、重ねて、この点について確固たる具体的なお答えをいただきたいと思います。
 さらに、前にも申し述べましたように、前近代的な日本農業を、引き合う農業、国際競争にたえ得る農業に発展せしめることは、農政上の最重要な基本的課題であります。政府が農業構造改善事業に熱意を示されておりますことは、私の多とするところであります。ところが、当然歓迎されなければならぬ、喜ばれなければならぬはずの、この大切な事業が、農民諸君からは迷惑がられたり、忌避されたりしている事案を見ますことは、まことに不思議なことであり、率直に反省すべきであろうと存じます。その理由として、第一に、計画が地域の実態を無視して、政府の一方的な構想が押しつけられておることであり、天下り的であります。第二は、計画の実施にあたりましては多大の資金を必要といたしまするのに、その手当が不十分であり、経済的な負担が多いことであります。第三に、もちろん、計画の樹立については、どこまでも細心の注意を払って、確実な実効の伴うものでなければならぬことは申すまでもありませんが、ともすると、実態をきわめるのでなく、書類の形式や、つじつまを合わせることに終始し、しかも、その複雑多岐であることに奔命これ疲れてしまっておるということであります。これらの問題の是正解決なしには、本事業の推進はきわめて困難であり、無理押しをいたしますると農村農家に借金を累積させるという、事、志と違った結果が生ずるでありましょう。資金量にいたしましても、国家財政等の現状から非常に困難とは存じまするが、本事業を推進するためには、その手当きわめて不十分であります。国家財政の現状からいたしまして、さらに一段の考慮を払わなければならぬことであり、投融資の面から見ましても、全体融資の過去十年間の平均を見ましても、農林水産業に対しては七%、中小企業に一四%というような事実を見まするとき、もちろん私は、業態間に対抗的なぶんどり的な考えを持つものではございませんが、農業基本法とその実施の責任を持つ政府の態度としては、納得いたしかねるのであります。これらの問題点につきましてお答えをいただきたい。
 最後に、協同組合に対する課税の問題であります。本件は、総理が大蔵大臣当時から、毎年のように私も質問をして参ったことであります。すでに総理が大蔵大臣のとき、その趣旨を理解いただきまして、非営利特殊法人に対する税の軽減を行なわれました。当時、私は、軽減ということでは協同組合組織の本質上納得いたしかねる、全免すべきであると申し上げた記憶を持っております。たしか、大臣からは漸進的に解決するという趣旨の御回答があり、私もそのお答えに満足して推移を見守って参ったのでありますが、一向に漸進の事実が現われて参りません。今さら申し上げますることは釈迦に説法の愚でありまするから、かれこれは申し上げませんが、各種協同組合は本質上営利追求の機構ではありません。年度末、計算上の残余分は組合員に帰属するものであり、帰属した時点において課税の対象となるべきもので、協同組合非課税は所得に対する脱税ではございません。戦前、産業組合に対し非課税制度を適用して参りましたのも、現に海外においても同様の措置がとられておりますることも、その趣旨によるものであります。今日、中小企業といわず農林漁業といわず、零細企業振興の対策として協同化が推進され、協同組合運動が助長されておりますることは当然なことでありまするが、その本質を曲げた課税を行なわれておりますることは、まさに画龍点睛を欠くと申さなければなりません。私は、直ちに本件の合理的な解決を望むものではありまするが、この際、何でもかんでも明昭和三十八年度から実現せよとは申しません。すみやかに御研究をいただき、実行を求めたいと存じますが、大蔵大臣の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
 以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 日韓問題につきまして、竹島問題、季ラインの問題についての政府の態度について御質問がございました。この季ライン問題、あるいは竹島問題は、日韓国交正常化の前提に横たわる懸案でございます。したがいまして、この両問題が請求権あるいは法的地位の問題と一括して、国民の納得のいく解決を見なければ、正常化を期し得ないのであります。私は、竹島問題で共有化というようなことは考えたこともございません。われわれの従来の主張を全面的に認めてもらうよう努力を続けておるのであります。また李ライン問題も、私は国際的に合法的なものとは考えておりません。ただ両脚の利益のために、やはり永続的魚族保存等の観点から、両方の利益になるようなことで考えていきたいと思います。
 また、審議会につきましては、審議会の答申を尊重するかどうか――答申に対する政府の態度につきましては、できるだけ尊重いたします。しかし政府は、責任を持って国政をあずかっておるのでございまするから、審議会の答申だからといって、すぐこれを政府の意に反してまるのみにすることは、国民に対して忠実でないと考えます。答申は尊重いたしますが、それがどういう問題で政府の施策と合致するかどうかは、やはり別個の点から考えなければならぬ問題と思います。
 次に、人つくりの問題につきまして、精神面でなしに、具体的あるいは健康、社会保障的な問題を考えたらどうか。――これはごもっともでございまして、やはり国民の創造力を十二分に発揮さすという環境を作ることが人つくりでございます。それには健康が第一であることは申すまでもございません。したがいまして、今回の予算におきましても社会保障関係に力を入れたのも、やはり人つくりのもとをなすものと考えたからでございます。
 選挙制度につきましての御質問がございましたが、私はこの前の選挙制度審議会に参りまして、何も、こうしてくれ、ああしてくれと言った覚えはございません。小選挙区の問題はいろいろ厄介な問題で、時日はかかりましょう。しかし、当面の問題としては、不正の問題とか、あるいは政治資金の問題等も早くやっていただきたいということを申し上げたので、不正の問題につきましては、私は私個人の考えは十分ございますけれども、今ここで個人の考えを、総理大臣、総裁として申し上げることは遠慮さしていただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣川島正次郎君登壇、
  拍手〕
#15
○国務大臣(川島正次郎君) 審議会、調査会の整理につきましては、全く森さんの御意見に同感であります。現在多数ありまする中には、比較的重要でないもの、並びに活動していないものがございます。これらのものにつきましては、すでに行政管理庁からそれぞれの官庁に対しまして勧告をいたしておるのであります。なるべくすみやかに実現するようにこれから努力をいたします。
 なお、お話のうちにありました、国会議員が審議会、調査会に入る問題につきましては、大体国会議員が入っていますのは、地方制度調査会、選挙制度調査会、並びに幾つかありまする地方開発審議会などでありまして、そういった審議会は、地方の事情に通暁しておる国会議員に御参加願うことが会議の成果をあげるゆえんでもあるし、また、円滑に会議を進めるゆえんでもありまして、大きな意味を持っておるのであります。しかも、それらの国会議員が参加している審議会は、いずれも法律で規定しておりまして、そのうちの相当部分が議員立法によってできているのでございます。したがいまして、今後必要によりましたら国会側とよく相談をして取り扱いたいと、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣西村英一君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(西村英一君) 人つくりの問題につきましては、ただいま総理からお話がありましたが、御説のように、やはり医療面及び厚生面につきましても人つくりと無関係ではございません。したがいまして、厚生省といたしましても、国民の体位の向上につきましては非常に意を用いておるのでございまするが、また、国民諸君も非常に理解がありまして、戦後の国民体位は非常に向上をいたしておるのも御案内のとおりでございます。幼少年の健全育成、あるいは児童福祉対策等も強力に進めておる次第でございます。
 それからお話がありました国民健康保険の給付の改善の問題でございまするが、国民健康保険は、御承知のように、低所得者が非常に多いのでございまして、また、給付の改善につきましても、はなはだ遺憾とするところが多いということで、これに力をいたしております。さしあたり明年十月から、国民健康保険の医療給付を七割として給付の改善を実施するつもりでございます。
 次に、結核対策につきましてお尋ねがありましたが、御承知のように、結核の問題は、日本では亡国病といわれておるくらいひどかったのでございますが、政府は非常にこれに力をいたしまして、年々莫大な金をこれにつぎ込んでおるのでございます。明年度におきましても、二百二十数億という国家財政をつぎ込んで結核の撲滅を期する次第でございまするが、まず第一に、やはり何と申しましても、健康診断、予防接種を確実にやるということ、それからもう一つ、やはりその感染源を断たなければなりませんので、病気にかかって開放性の患者の方は強制入所をさせる制度がありまするから、これを強力に推し進めて参りたいと思っております。明年度におきましても、本年度よりその強制収容の患者を五割ぐらい多く増したい、かように考えて予算の措置を講じておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣重政誠之君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(重政誠之君) お答えを申し上げます。
 農産物価格安定の政策を政府はいろいろやっておるが、米について現在とられておるように、生産費所得補償方式を米以外の農産物についてもとるべきではないかという御質問であったかと思うのでございますが、これはまことに重要な問題でございまして、十分検討を要する問題ではございますが、現在のところ、私といたしましては、米は別といたしまして、その他の農林水産物というものは商品でありますから、商品という性質をやはり加味して価格維持の政策はいかなければならない。先ほどもいろいろお述べになりましたとおりに、今や世界の流れは、貿易自由化をどうしてもやらなければならない。日本にとりましても、日本のような資源の乏しい国におきましては、貿易によって立つという意味からいきましても、どうしてもこれは世界の大勢に従ってやらなければならぬと思うのであります。その場合に、農産物あるいは水産物、林産物であるがために、これが鎖国的な政策をとることは、私は許されないと思うのであります。米麦あるいは酪農製品あるいは農産物加工品というような、重要なるこういうものにつきましては、貿易の自由化は現在のところはなかなかできない。しかし、かと申しまして、たとえば酪農製品について申しましても、豪州の二倍以上もするようなチーズやバターを、いつまでもこれは外国と交渉を断って、日本だけでそういう値段のものをいつまでも作っていくということが、一体できるかできぬかということを考えてみますというと、あくまでもこれはその生産のコストを低下するべく構造改善を実行し、あらゆる面におきまして農業の近代化をはかりまして、国際的に競争のできるような畜産物を作るということを目標としてやらなければならぬと私は思うのであります。こういう意味からいたしましても、やはり商品としてのこれらの性質というものを十分加味いたしまして、そうして価格維持の政策を行なう、根本的にはやはり生産性を向上せしめる対策を講じていくという方策をとらなければならぬ、こういうように私は現在のところ考えておるのであります。
 第二に、先ほども御答弁申し上げましたが、それが不十分だからというので、さらに御質問があったわけでありますが、構造改善事業の推進につきましては、御承知のとおりに、その実施する基準というものを一応政府は示しておるのであります。これは決して画一的にこれを強制いたしておるものではございません。地方の実情に応じまして構造改善の計画というものは立てていくべき筋合いのものでありますが、一応の基準を示しておる。ただ、その運用がややもすれば、御非難のありましたように、どうも押しつけがましくなるおそれがありはしないかということを、私も心配をいたしておるのであります。これは、できる限りそういうことのないように努めたいと思うのであります。これらの点は、ことに地方農政局が設置になりますれば、現在より以上にその地方々々に即応した農政が実行でき、構造改善計画が実行できると考えておるのであります。また、資金の問題につきましても、どらも資金が不十分ではないか、ことに農業と中小企業との財政投融資を政府がやっておるが、農業のほうが少ないというようなお説もあったかに拝聴をいたしましたが、中小企業の方面に財政投融資が振り向けられましても、その中には、やはり食品加工でありますとか、あるいは合板でありますとか、その他農林関係の中小企業の金融は、そちらのほうでまかなってもらっておるのであります。でありますから、これは必ずしも比べてみて多いか少ないかということは、にわかには申されませんが、ただ、農業の金融は、どこまでも長期であって低利であるということが原則でなければならないのであります。他の中小企業のものよりさらに一そう低利長期の資金が必要であることは、森さんも十分御承知のとおりであります。でありますから、今回もその点に重点を置きまして、構造改善の資金融資制度の創設をいたしたような次第であります。一億一千万という事業資金が少ない、こういうお言葉でありますが、私はところによれば少ないかと思うのであります。しかし、できるだけ私といたしましては、一億一千万という、予算の平均の金額で制限をすることを避けて、必要なところは一億二千万でも三千万でも予算の範囲内において運用ができるような方法を講したい、こういうふうに考えておる次第であります。
 さらに補助率につきましては、先ほど御答弁を申し上げましたとおりに、県の段階におきまして政府の補助率以上にかさ上げをしてもらう。そのために地方交付金の中から、特にその方面に資金源として府県に交付をしてもらうように、今交渉検討いたしておるような次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(田中角榮君) お答えをいたします。
 ただいま、第一点につきましては、軍政農林大臣からお答えをいたしましたが、構造改善事業の地元負粗金といいますか、地方公共団体の所要経費につきましては、交付税算定の際の財政需要として織り込む措置を考慮いたしております。
 第二点は、各種協同組合は、本来非常利組織であるから非課税措置をとるべきである、こういうお話でございます。特に政策減税を施行しておるときであるから、政府はこれに踏み切れというお話でございます。現行税法では、たとえ公益法人でも、収益事業から生じた所得につきましては、法人税を課税するということになっておるわけであります。しかし、協同組合は非常利組織でありますので、種々な面において特別措置等をとっていることは御承知のとおりでございます。今般も税制改正がありますので、農業共済制度の健全な運営に資するため、農協の行なう建物更生共済につきまして異常危険準備金制度を認めることにいたすというようなことで、課税の特例を順次拡大して参りたいということを考えておるわけであります。
 その他特別にとっております特例に関しては、森さん十分御承知のとおりでございますので、省略をいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(重宗雄三君) 永末英一君。
  〔永末英一君登壇、拍手〕
#20
○永末英一君 民主社会党を代表いたしまして、池田内閣の施政方針について質問をいたします。
 池田首相は、施政の中心に人つくりを置いております。これまで、経済は私におまかせ下さいと言って参りました経済主義の池田さんが、人間を政治の中心に置きましたことは、大できであります。しかしながら、その置き方に対しては賛成することができません。われわれ民主社会主義者は、人間は存在しているがゆえに尊厳である、その尊厳な人間の自由の発展を保証することが政治の任務であると考えております。ところが、政府のように、技術教育の振興や道徳教育の充実を大きな柱として取り上げているのでは、まだまだ人間を手段として考えていると言わなければなりません。大衆社会における人間疎外の現象は、部分人間として技術を教え込んだり、上から道徳を押しつけたりすることによって、なくなるものではないのです。政治の役割は、単に首相の言うように、人つくりの環境と条件を整えるにとどまるべきものではなくして、人間行動の集中的表現として、政治は実現すべき価値を明示し、その価値実現の過程において、みずからの責任を明確にすべきであります。政治が低姿勢で、常に責任を回避するような態度でありまするならば、ちまたに一億無責任時代の歌がはんらんするのも、理由のないことではないと言えるでありましょう。池田首相は、このような人つくりに対する政治の身がまえに対してどう考えているかをお伺いいたしたい。
 昨年末、ナッソー会談におきまして、アメリカはスカイ・ボルトの開発を中止し、かわりにポラリスをイギリスに与えることを取りきめました。この会談後、アメリカはフランスにも同様な申し入れをいたしましたが、ド・ゴール大統領はこれを断わりました。これはNATO内部における核兵器の管理について、自国への一元化を主張して参りましたアメリカと、独自性を主張する国々とのかけ引きの一例でありますが、これを見ましても、強大なソ連の力の脅威を痛切に感じているNATO諸国においてすら、自国の安全を第一義に考えていることがわかるのであります。中ソの論争も、自国に対する核攻撃の脅威の度合いの差異から来るものとも考えられます。このように見て参りますと、国内秩序も、国際秩序も、究極においては、遺憾ながら、理性ではなくして、軍事力によって規定せられていることが現実であると言わなければなりません。世界政府のもとに平和が確保されるようになるまで、また国連の現状におきましては、各国は自国の安全をみずから守る責任を持たなければならないと、われわれは社会主義インターとともに考えております。しかも、国の防衛は、国民の国を守る決意に力の源を発しております。だからこそ、いかなる国の指導者でも、自国の防衛について常に国民に現状を知らせ、その支持協力を求めているのであります。ところが池田首相は、わが国の安全に対しまして、施政方針演説では「安保体制の確立によって、わが国自身の安全を保障し」というだけであって、防衛のために政府は一体何をしてきたか、また、何をなそうとしているかについて、国民に一言も明らかにしようとはいたしておりません。防衛について政府が無責任な態度をとっていればこそ、かえって無責任な非武装平和論が横行するのであります。池田首相は、この際、日本の平和と安全についての問題点を率直に国民に説明する責任を果たすべきであると思いますが、いかがでありますか。
 昨年秋のキューバ事件のとき、政府は、キューバのミサイル装備は、今まで世界の平和をささえてきた国際的均衡を著しくくずすからという理由で、アメリカのとった措置を理解をいたしました。これは、明らかに力の均衡論の立場に立つものであります。その立場に立っているとするならば、わが国の自衛力は西側にどのような力を寄与しているかを国民の前に明らかにすべきであります。具体的には、キューバ事件のとき、NATO諸国もワルシャワ条約各国も完全な戦闘準備体制に入りました。極東におきましては、アメリカ第七艦隊も在日米軍も戦闘準備体制に入りましたが、そのとき、一体わが国はどんな準備と体制に入ったのか、これを報告をしていただきたい。
 核兵器とミサイルによる全面戦争を避けようとする米ソ両国の態度は、在来兵器による局地戦争の危険性を増大いたしました。NATOにおけるヨーロッパ各国の「楯の軍隊」としての在来軍事力の増強や、ソ通のキューバへの軍事援助の増大、また、中印紛争や中ソ論争に現われた中共の態度などは、これを物語っております。アメリカが他国への軍事援助を減らしながら日本にパートナー・シップを呼びかけていることは、その原子力潜水艦のわが国寄港がうわさになっておりますとき、一体日本に何を要求しているのか、これを明らかにせられたい。
 第三回日米安保協議委員会におきまして、志賀防衛庁長官は、自主的に防衛計画を推進したいと述べたと伝えられております。これが、これまでのアメリカ依存の装備や訓練を改めようとするのか、今後の自衛三隊の任務とその規模、また、アメリカからの古い供与兵器の更改期に入っているとき、一体、政府はわが国国民経済にどんな犠牲を強いようとしているのか、明らかにしていただきたい。
 アメリカの共産圏政策は、ソ連に対しては融和、中共に対しては封じ込めであります。さきの日米安保委員会におきまして、中共政権に対する評価について日米周に意見の差異があったことや、また、中共がすでに実験用原爆装置を保有していることなどが話されたと伝えられております。これについて、政府は事情報告をまず第一に願いたい。
 われわれは、中共の膨張政策が極東の平和に大きな脅威を与えると考えております。しかし、中共を隔離すれば足りると考えているものではありません。アメリカの言いなりに中共封じ込めに参加することが、かえって極東の平和のためにならないことを、政府は率直に主張すべきであります。北京政権を国連に加盟させ、軍備縮小、核兵器拡散防止について、公の舞台で話し合うべきであります。しかしながら、軍事力だけで平和が保たれるわけはございません。アジアにおける平和な環境を作るためには、経済の交流が必要であります。わが国と中共との経済交流を盛んにして、平和のきずなを強くすべきであります。民間貿易だから責任ないという態度ではなく、政府間協定に踏み切るべきであります。さらに、アジアの平和のためには、東南アジアの経済開発が必要であります。これは、単に商業ベースのみでなく、身銭を切っても努力すべきであると考えますが、政府の見解はいかがでありましょうか。
 日韓の問題は、単なる戦後処理ではございません。未来に向けて、わが国の安全、極東の安全に対して、きわめて重要な問題でございます。われわれは、日韓国交正常化のために交渉は進めるべきであると主張して参りましたが、同時に、韓国の政権が韓国人民の意思に底礎されなければ、いかなる交渉も砂上の楼閣に終わることを、政府に警告をいたして参りました。われわれは、安定した民主的政権の樹立と見合いながら慎重に一切の懸案の同時解決をはかるよう、政府に要請して参りましたが、なぜ政府は、請求権のみを分離して話し合いがまとまったかのように発表したのか。また、われわれが警告いたしましたとおり、軍事政権内部に起こった混乱にぼう然としているようでありますが、政府はその見通しの悪さに対してどのような責任を感じ、また、今後交渉をどう進めようとするのか、明らかにしていただきたい。
 さらに、北朝鮮に対してどのような接触と関係を持とうとするのか、伺いたいのであります。
 核兵器の禁止は、わが日本国民の悲願であります。しかし、政府が西側の一員であるということを固守する余り、世界の舞台においてこの悲願を現実に達成するにあたって積極的な行動の場を与えられることがなかった。政府は、一体これをどう考えているか。パグウォッシュ会議の提案である自動地震観測装置を、米ソの提案を待たず、わが国の領土内に設置するよう申し入れるべきであるとわれわれは考えているのでありますが、政府の見解はいかがであるか。
 三十八年度の予算は、自民党の党利党略によって、何でもかでも総づけ予算として編成されました。社会資本の充実とか、貿易自由化に備えて国内産業の体制を整備するとかを名といたしまして、あるものは半年分、あるものは急造の何カ年計画の初年度分、また、あるものは実施に至らない調査費として、新規事業メジロ押し、押すな押すなの盛況裏にすべて組み込まれました。これでは、三十九年度以降の財政の膨張が思いやられる。あとは野となれ山となれ予算、無責任予算と言われるゆえんであります。これによって、圧力諸団体は要求をいささか満たしたかもしれませんが、圧力のない一般大衆はかえって迷惑をこうむろうといたしております。
 第一は、一般消費者の迷惑についてであります。政府は、三十八年度の消費者物価が約三%程度上昇すると見込んでおります。池田首相がいわゆる所得倍増政策をとってから、年々六ないし七%の消費者物価の上昇を見ております。卸売物価は確かに軟調かもしれませんが、大衆の経済感覚に直接響くのは消費者物価であります。要するに、設備投資から財政による経済刺激へと経済政策の重点は変わってきておりますが、あの手この手によります信用創造によって、結局一般大衆には消費生活への電荷をもたらす結果を招いているのが、池田施政の姿であろうと思うのであります。本年度における日本銀行の買いオペを見込んだ政府保証債の増発や、産投外債の発行なども、同じ作用をもたらすものと考えます。消費者価格の上昇が予想を上回わったときには、インフレのない正常な経済と胸をたたいております大蔵大臣は、一体どのように責任をお感じになっているか。
 第二は、中低所得者に実質上の増税を行ないながら、経済効果のわからない利子・配当課税の減税を強行したことは、何としてもいただけません。消費者の経済力に経済のささえを期待しておきながら、こういう措置をするのでは、大衆が「ハイそれまでよ」と、裏切られた気持になるのも無理はないではありませんか。政府の見解は一体いかがでありましょうか。
 財政投融資が一般会計以上の伸び率を示しましたことは、政府の景気刺激政策への執着を物語るものであります。三点をお伺いいたします。
 第一、財政計画の資金配分の基準は全く不分明であります。政府は、これを明らかにする意思はないか。
 第二、財投資金による景気刺激政策は、長期的に見れば、必ず通貨の購買力を減ずる結果になります。長期的な資金を出している郵貯の預金者、厚生年金・簡保資金の拠出者の利益を守る手段を講ずる意思はないか。また、郵貯法を改正いたしまして郵貯利子を法定からはずそうとしていると伝えられておりますが、先年行なったように、低金利政策の名のもとに預金金利をいち早く下げるということはないかどうか。
 第三、最近の財投資金の使途について見ましても、また、三十七年度予算第二次補正のやり方に見られるような、一般会計から産投会計への繰り入れについて見ましても、財投の一般会計化は著しいものがあります。この点について、国会の議決事項にするつもりはないか、伺いたい。
 最後に、予算の目的についてであります。日本経済の二重構造を是正し、暗い谷間にある国民の暮らしに暖かい太陽を当てることがそれであると、われわれは考えております。格差の是正のかけ声は上がっておりますが、実が伴っておりません。予算の大盤ぶるまいの陰に忘れられた国民があります。二、三の例をあげて政府の見解を伺いたい。
 中小企業予算はわずかに全体の〇・四%、スズメの涙であります。政府はこれをせめて三百億円程度に増額する意思はないか。また、中小企業関係三公庫に対する財政投融資関係はきわめて渋い。このままで今年は突っ切るつもりかどうか。
 さらに、政府が立案中の中小企業基本法が国会に提案せられるにあたって、次の諸点を組み入れる用意があるか伺いたい。
 一、中小企業者組織規定、二、小規模企業対策の確立、三、大企業の圧迫排除規定、四、中小企業の産業分野の確保、五、中小企業金融資金の確保等を明記すること、六、基本法の関連法案を明らかにすること。
 さらに、老齢、母子、障害など各種福祉年金は少しずつ増額されたが、物価の値上がりを考えれば涙金程度のものである。これを大幅に増額すべきではなかったか。また、価格低落に苦しむ農家の牛乳には見向きもせずに、学校児童に日本の牛乳ではないユニセフの脱脂粉乳を飲ませるというのはどうかと思うが、低所得者層の妊産婦や乳幼児にミルクを支給せぬことになっているのはどうしたことか。
 なお、住宅については、公営住宅等の単価を上げることは悪いことではありませんが、しかし、今もっと必要なのは量であります。
#21
○副議長(重政庸徳君) 永末君、時間が参りました。
#22
○永末英一君(統) 住宅のない国民は勝手に苦しめという趣旨であるか。
 環境整備や国づくりは緊急事中の緊要事であります。ところが予算を見ると、これではとうてい福祉国家の最低水準すら作れないと思われます。なぜもっとふんばらなかったのか。こういう重点の置きどころについて、いささか狂っていると思われるが、この点についての御答弁を願いたい。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 人つくりにつきましての御批判がございましたが、私の気持は施政演説で申し上げたとおりでございます。われわれは、われわれ社会人が近代市民として自粛自戒し、そうして国民のよりよき代表となって民主主義の発展に努力する、これがわれわれの決意、考えであるのであります。
 なお、防衛力につきまして、施政演説でやらなかったという御非難でございまするが、われわれはもう日ごろから、防衛力は国力国情に応じて、そうして必要最小限度の防衛力を漸進的にふやしたい、こういう考え方に変わりはないのであります。
 なお、東南アジア対策について、身銭を切ってでもやれというお話でございますが、まあ、その切り方でございます。私が言っておりますとおり、日本の繁栄は、世界の繁栄、ことに東南アジアの繁栄なくして日本の繁栄栄期待できない。この気持で言っておるのでございます。これは御回惑いただけると思います。
 なお、核実験停止問題につきましては、お話のとおり、われわれ日ごろからの悲願でございまして、これにつきましては私は大賛成をいたしているのであります。
 その他の点につきましては、関係閣僚よりお答えさせます。(拍手)
  〔国務大臣志賀健次郎君登壇、拍
  手〕
#24
○国務大臣(志賀健次郎君) お答えいたします。
 第一点は、キューバ事件の発生に際して防衛庁のとりました措置でございまするが、事件が発生と同時に、慎重に検討を加えた結果、御承知のとおり、自衛隊法第八十四条で、領空侵犯に対処するために、戦闘機部隊は常に緊急態勢をとっているのでありまして、この戦闘機航空部隊に対しまして警戒をさらに厳重にすべしという命令を私は発しました。したがって、陸及び海に対しましては格別の命令は発しないのであります。
 第二点のお尋ねでございますが、さきの日米安保協議委員会におきまして、私は第二次防衛力五カ年計画の実施状況を説明いたしたのであります。これに対して若干の質問がございましたが、改まっての要請もなければ、また私から何らの注文もいたしません。したがって、わが国の防衛力の増強について何か注文があったかのような説は、全然根拠のないものでございます。ただ、今後わが国の防衛力の漸増につきましては、わが国の独自の立場からこれを検討して、しかも国民経済の発展に見合ってこれを実施して参らなければなりません。こういうことに相なりますれば、ただいま御心配のようなことは起こらないと思うのであります。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(大平正芳君) アメリカの日本に対する期待という点についての御質問でございますが、たびたび申し上げてありますように、安全保障上の協力は日米安保条約で明確に定められております。安保条約を作るにあたりましていろいろ討議されました結果、日米間では二国間の集団安全保障体制をとろうという進路がきまったわけでございますので、その線に沿って、ただいままで平和を守ってきたわけでございます。したがって、日本に対する軍事的な協力につきましては、安保条約の領域を出ないわけでございまして、日米間にこれを改定しようとする意図は両方とも持っておりません。
 それから日韓交渉につきましては、過去にこだわらず、未来の展望に立って進めるべしという御意見に同感でございます。先方の政権の安定を待ってやるべしという御意見でございまするが、韓国が安定政権を作るべく、韓国人が自主的な御努力をされておりますことは、御案内のとおりでございまして、私どもが先方の政権の安定度につきましてとやかく申し上げるのは賢明でないと思います。また、私どもは請求権を分離してきめたわけでは決してないのでございまして、たびたび申し上げておりますように、全懸案を一括してきめるという大方針によってやっているわけでございまして、請求権につきましては、今、この程度のものはどうであろうかということで、その素材を調整しているという段階でございます。今後の交渉につきましては、きのうも申し上げましたように、ただいまのスケジュールによりまして、来週からは漁業問題の討議に入ろうと思っております。
 北朝鮮の政権とただいま接触する意図は持っておりません。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(田中角榮君) 永末さんにお答えをいたします。
 予算に対しましては、まず第一番目に、景気刺激を行ない、総要求に対して総づけをしたというお話でありまして、その陰に一般大衆の減税その他において迷惑をしているのじゃないかというお話でございましたが、所得税の減税につきましては、政府といたしましても、総理がたびたび申し上げておりますように、最重点的に考えておりまして、昭和二十五年以降、減税額をたんねんに合計して見ますと七千四百億に達しておりますし、減税総額約一兆一千億のうち、七〇%は所得税の減税を行なっておるわけであります。また、来年度におきましても、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除等、十分ではありませんが、政府が考えておる基本線に沿った減税を行なっておるわけであります。政策減税が必要であるという点につきましては、自由化に対応し、また、きのうもきょうも総理からお答えになったとおりであります。
 それから、予算に対して非常に無責任な予算ではないかというお話でありますが、無責任ではなく、政府は責任をもって組んだ予算であります。しかも、非常にむずかしい国際情勢の中にあって、また日本の戦後の歴史からいっても、新しい第二の飛躍をしなければならない年でありまして、今度の予算は、これから十年、二十年のわが国の将来をトするものであって、無責任な立場で、選挙目当てのような態度で組んだものでは絶対にないことを、明らかにいたしておきたいと思います。
 なお、この予算に対する原則的な考え方につきましては、健全財政を堅持をしながら、しかも租税収入を含む経常収支の範囲内で支出をまかなっておるのでありますし、これが後年度においてたいへん大きくふくれるのではないかというような御心配がありますが、この問題に対して御心配のないような健全性をあくまでも将来とも貫いて参る、しかも自由化その他にりっぱに対応していかなければならない、こういう深刻な考えをもって組んだのでありますから、もう少しひとつ予算の内容に対してつまびらかに御検討を賜わりたいと考えるわけであります。
 なお、財政投融資の問題について、国会の議決案件にする考えはないかということであります。本件に関しては衆参両院において何回か議論になったものでありますが、財政投融資は、御承知のとおり、一般会計と民間資本の活用まで広範にわたって組まれるものでありますし、なおこの大きな財源になる郵便貯金その他、産投会計原資に対しても、個々のケースとして国会の議決を得、国会の承認を得、また一般会計予算と同時に参考資料として提案をし御審議をわずらわしておるのでありますので、これを財政法改正等をして、一般会計予算、特別会計予算に合わせて国会の議決案件にする考えはありません。しかも、これらの問題は長期低利に、また先ほどからも御議論があるように、中小企業三公庫に対しても、必要があれば随時資金を繰り入れたり、弾力的な要請にこたえなければならないのでありますし、テンポの非常に速い経済情勢に対応していかなければならないことを考えますと、私は国会の議決案件にすべきではないという考えを明らかにいたしておきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣編田一君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 大企業と中小企業の格差を是正しなければならないというお話はごもっともでございます。このためには中小企業の生産性を向上させ、所得水準を向上させることが必要でございますので、今回、われわれといたしましては、中小企業基本法を制定すべく今国会に提案をいたしました。さらにまた、中小企業近代化、高度化をはかりますとともに、中小企業投資育成会社を設置したり、あるいはまた管理者や技術者の研修制度を一そう充実し、さらにまた小規模な事業に対しまする経世とか技術の指導等ももっと充実するために、予算を十分計上いたしたつもりでございまして、予算は昨年度に比べまして四一%ふえておる次第であります。
 さらにまた、仰せのとおり、金融問題は非常に重要でございますので、昨年度に比べまして、中小企業金融公庫、国民金融公庫、あるいはまた商工中金等を通じて貸し出しますところの貸し出しワクは、一五%ふやしまして、三千百八十八億円にいたしておるのでございますが、しかし、これだけでもって十分であるかどうかは、年度のうちにおきまして金融情勢その他を見た上で適当にまた処置いたして参りたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○副議長(重政庸徳君) 千葉千代世君。
  〔千葉千代世君登壇、拍手〕
#29
○千葉千代世君 私は、日本社会党を代表して、教育の基本方針並びに当面の文教問題について、池田総理及び関係閣僚に質問いたします。
 まず第一に、人づくりについて池田総理にお尋ねいたします。
 池田総理は施政方針演説の中で人づくりについて力説されましたが、大きなかけ声にもかかわらず、その内容はすこぶる抽象的で、どこに何を訴えているのか、またその裏づけがどのようになされているのか、政治的責任も明らかにされず、幾多の疑問が残されています。池田首相は、人づくりのもとであるわが国の基本政策に対して一体どのように考えておられるか、教育の基本政策を明らかにしていただきたいと思います。
 わが日本社会党は、日本の文教政策の基本は、憲法に示された国家理想と教育基本法の原則をもとにして、その上に立つ人づくりであり国づくりでなければならないとの観点から、鋭意努力を続けております。すなわち、国民主権制度を軸とする民主主義、戦争放棄を建前とする平和主義、生活権と自由尊重の人権主義、この三つの国家理想を国民教育の目標として、敗戦後の教育実践は、六十万の教師と国民の皆さんによってささえられ、着々と日本の民主化が進められていることは、今さら私が申し上げるまでもありません。しかるに、池田首相は昨年来から急に人づくりを騒ぎ出したことは、一体何を意味するものでございましょうか。池田首相が昨年九月人づくりを諮問した経済審議会の人的能力部会の答申案には、今後の人づくりを、経済、特に生産という立場でとらえ、技術革新と労働需給の変化に対応して、これからの教育訓練や企業経営のあり方など大きく変わっていかなければならないことを指摘しています。なるほど技術革新といい労働需給ということは、生産を高める重要な要素であることは、今さら申し述べるまでもございません。しかしながら、労働者の権利が保障されるという前提がなければ真の労働需給の計画は成り立たないし、利潤の配分が特定資本にのみ重点が置かれるということでは、健全な経済の発展とはいえないと思います。さらに問題点を掘り下げてみると、政府はこれから十年間に国民総出産を二倍にする計画を立てたが、その生産拡大に多くの労働者が必要であり、新規の労働者でこれを充たすことはむずかしいので、経済成長に必要な人的能力という面から人間をまずとらえ、その価値や環境、条件を考えるのであるから、それには、能力の背景にある評価の方法や社会的制度、慣行、教育訓練の方法等に、多くの矛盾が生じてくるのは当然であります。つまり、これこれの人間をという一定のワクを政府で作り、その鋳型に人間を当てはめていくことが、池田総理の言ういわゆる人づくりであるとするならば、私が冒頭に述べた教育基本法の精神とは、全く相反すると言わなければなりません。特にここで問題となることは、教育がその手段として最大限に利用されるということであります。昨年の参議院選挙に先だつ五月の末、池田総理は、大学は革命の手段に使われている実情だなどと放言しております。わが国の真の独立のために安保条約に反対して、怒濤のように国会を取り巻いた国民のあのような姿を、私は忘れるととができません。学生たちは、いても立ってもいられぬ青年の平和への熱情が行動となり、あの国民運動の中に参加したのであります。こういう姿をとらえて、急に革命云々と言い出した一部の政治家がありますが、そんなうろたえた幼稚な認識の上に立って学生運動の弾圧を考え、ひいては大学管理法に及ぶに至っては、まことに、さたの限りであると言わなければなりません。(拍手)しかも政府は、青年に精神のよりどころを与えるなどという理由で、青年憲章を作成中と聞きますが、それが事実とすれば、いかなる機関でこれを作り、その内容はいかなるものであるか、池田総理にこの際明かにしていただきたいと思います。また、文部省は、自民党政調部会に人づくり要綱案なるものを示して、この具体化を急いでいるということですが、そのとおりであるとすれば、この要綱の内容を明かにするとともに、教育基本法の関連について文部大臣に説明していただきたいと思います。なお、これらの人づくり構想は、決して新らしい問題ではなく、実はサンフランシスコ条約締結以来の既定のコースであり、日米安全保障条約に制約された教育の方向であることは、次の事実が証明するものでございます。
 すなわち、教育二法を初めとし、任命制の教育委員、教育の内容を変える教育課程の改変、学力テスト、高等学校の再編成、さらに、今国会提案を一応は見合わせてはいるものの、すでに用意が整えられ、折あらばその提案の機会をねらっている大学管理法の改変といった一連の文教政策に現われていることは、はっきりとその意図を見抜くことができるのであります。その意味から、このたびの特定政党の独断による人づくり構想は、民主的な教育と逆行することがおびただしく、文部省が特定政党の片棒をかついで、みずから教育の中立を侵していることにほかならないではありませんか。まして権力を持った者が、あらゆる手段をめぐらして、自分の都合のいい型に追い込んでいくということは、まさに教育の中立の侵害でなくて何でございましょう。
 わが国の教育は、明治以来、政治権力の支配が強く、自由な人間形成を阻止し、幾多の弊害を生みました。その最も大きなものは、軍閥と財閥と権力が結託して起こしたあの太平洋戦争であります。それゆえに、自由にして創造的な教育活動によってのみその正しい機能を発揮することが、今こそ大切なことであると信ずるものでございます。したがって、人間を経済に従属させたり、政権の交代のたびに教育方針がネコの目のように変わることは、国家の基本を危うくするもので、きわめて重大なことでございます。このことは、社会党が政権を取ったときでも、同じことが言えるでしょう。イギリスでは、保守党、労働党のいずれが政権を取ったときでも、事、教育の基本に関しては、どちらも私しないという不文律が固く守られております。教育の中立とは、まきにこのことでございましょう。池田総理は、人づくりの過程において、教育の中立をいかにして守ろうとなさるおつもりか、その点、明らかな御答弁をいただきたいと思います。
 次に、すし諦め学級の解消と教員の整理について質問いたします。
 総理は、人づくりに必要な環境と条件について触れられましたが、その具体的な裏打ちはなされているとは思われません。特に教育条件の根幹である文教予算は、国家予算のわずか一二・三%にすぎないのであります。三十八年度の文教予算の性格を一口に言うならば、七千名の義務制教員の首切りと十万人の中学浪人の続出を認めた内容であるところに問題があります。終戦後から長い間、すし詰め学級が問題となりながら、その根本的な対策もないままに今日に至りました。そうして本年度は多数の教師の首切りが出ようとしております。すでに、富山、長野で問題化したほか、各県に波及しようとしています。しかも、そのしわ寄せば、婦人教師の犠牲によって行なわれていることも、見のがすことができません一定年制は現在ないのにもかかわらず、内規とか申し合わせ等により、実質的に定年制をしいているのが、全国の実情であります。また、年令もまちまちであります。男女六十才は、東京のほかわずかの県にすぎず、ひどいのになりますと、婦人四十才ですでに勧奨退職がなされているのであります。首切りという犠牲によって教育をさきえるのではなく、政府はこの際、学級定員を減らし、その数は一学級当たり四十人として、児童一人々々の個性を十分に生かす教育を行なうべきだと思います。いわゆる欧米並みの学級編成をなす絶好のチャンスだと思います。私は先般、各党の婦人議員とともにアメリカの学校を視察いたしました。いずれの学校も二十五人から三十人、あるいは三十五人という程度で、先生と生徒の心の触れ合いが十分に生かされ、はりはりとした教育の現場を見て、私は日ごろから、アメリカの外交や平和問題等に強い批判を持ち、かつ反対するものでありますが、しかし、この学級定員と奨学金の充実、また、高等学校には全県が入学できることや、州の自治権を生かして教育の中央統制を許さないということなどは、まことにうらやましいと思いました。また、世界の情勢は、一学級当たりの人員は四十人以下にするという傾向に向かっております。すでにスエーデンでは二十一人、スイス二十四人、ソ同盟三十人、イギリスは小学校四十人、中学校三十人となっており、近い将来の英米においては、三十人以下を目標として努力しているということでございます。このように、先進国では、学級の規模を小さくして、教育効果を最大限に上げることが真剣に考えられているのに、文化国家を自負する日本の教育水準は、まことにお粗末きわまれりというほかはありません。人づくりを力説される池田首相は、一体、教育費は国家予算の何。パーセントが適当とお考えでありましょうか。それから、教師の首切りを行なうつもりかどうか、行なわないと言明できるかどうか、はっきりしていただきたいと思います。また、一学級四十名の学級編成にする考えはあるのか、全然ないのか、御答弁していただきたいと思います。
 次に、教科書無償について、文部大臣並びに大蔵大臣にお尋ねいたします。
 憲法に示されている教育の機会均等と義務教育無償の原則が、今日、国によって完全に踏みにじられている教育行政の中で、私は、その一つの教科書無償について質問いたします。わが日本社会党は、早くから教科書無償の配布を要求してきました。昨年の国会では、教科書無償法案と銘打って政府から提出されましたが、内容は調査会の設置法案で、この調査会の答申を待ってきめるというお粗末なものでありました。しかも、驚いたことには、教科書には全く無関係な銀行や鉄鋼会社の役員が五名も入っておりますのに、最も関係の深い現場の教師や民間の教育団体の代表が一名も入っていないのは、まことに了解に苦しむものであります。教科書無償法案提出に際し、その予算獲得のため、自民党首脳部を納得させるのに用いたといわれている無償給与実施要綱案問題点という資料の中に、教科書の国定化について次のように述べられております。
 学習指導要領の基準にのっとり、厳格に実施されているので、内容的には国定と同一である。また、今後企業の許可制の実施及び広地域採択方式整備のため行政指導を行なえば、国定化に近い五種程度に統一できて、国定化の長所を取り入れることは、現行制度においても可能であるといっております。国定化の長所とは一体何をさしているのでありましょうか。文部大臣に答えていただきたいと思います。なお、聞くところによれば、文部大臣は、いつか松山市において、指導要領に準拠して検定を強化する、全国どこでも同等の実力がつく教科書を作る、さらに一歩進めて、国定化も考えており、それは私の将来の理想であると言明いたしております。文部大臣は、現在もなお国定化が理想であると考えておるのかどうか、あらためてお聞かせ願いたいのであります。
 また、大蔵大臣は、義務制諸学校の教科書を直ちに全額無償にする予算を組む用意がないか、そのことについて答えていただきたい。
 教育は、言うまでもなく、国民のためのものでございます。すなわち、国民一人々々の仕合わせのためのものでなければなりません。教科書も同様であります。教科書が一部の権力者、たとえばヒットラー、ムソリーニ、日本のかつての軍財閥のようなものの手に握られてしまうと、国民のためのものから権力者のためのものにたちまち変えられてしまう、国庫教科書がそれであります。日本は、終戦まで、文部省選定の教科書により、政府の思いのままの思想教育を行なってきたのでございます。すなわち、「ススメ、ススメ、ヘイタイ、ススメ」という短い文章の中に、戦争にかり立てられ、死に追いやられた日本の民衆のみじめな姿を、私たちは、はっきり見ることができるのであります。再びこのようなあやまちを繰り返さないために、わが日本社会党は、教科書の国定化に強く反対するものであります。
 次に、高等学校入学について質問いたします。
 本年は史上最高といわれるほど高等学校への進学の門は狭く、たいへんきびしいものがございます。当の子供たちはもちろんのこと、親の不安はまことに深刻でございます。黙ってはいられない、もの言えない子供たちにかわって、何とか当局に訴え、学校を増設してもらおうと、みんな心をこめて一千万署名の運動に父母が立ち上がったのも当然のことと思います。しかるに、文部省は、これらの陳情者に対してはまことに冷たく、面会を拒み続け、国民の願いをすなおにくみ入れることさえしない、まことに遺憾な態度を示したのでございます。つい、この間、高校入試のトップとして、東京学芸大学付属高校の入学試験がありました。付属中学からの進学を一部除いて、一般からの募集定員七十名に対し、千八百十五名の応募者があり、開校以来の競争率であると報じられております。また、けさのラジオ・ニュースでは、東京都の私立高校の志願者が、ある学校ではすでに十三倍に達した、今年は昨年の二・六倍を上回り、三倍になる見込みだといっています。昨日の御答弁の中で、入学率九六%で心配はないのだとおっしゃいましたが、けさ足元からくずれているこの現実を何とごらんになりますか。この子供たちは、みんな学校だけの勉強では足りないからと、家庭教師を頼んだり、予習の塾に通ったり、お正月も夏休みもなく、いたいけな心身をすり減らして、親子ともども不安な毎日を過ごしてきたのであります。また、この反面には、おうちが貧しいために、高等学校に行きたくても行けないで泣く子供と、やりたくてもやれない親のせつなさに苦しんでいるたくさんの国民がいることを忘れてはなりません。育英資金制度の抜本的な改正を強く望むものでありします。
 本年の全国の公私立中学校の卒業生は二百四十七万五千人で、昨年より二八%増加しております。このうち、進学志望者は約百七十四万で、昨年よりも五十万も多い予想となっています。このままいくと、この三月は一体どうなるか、心配でなりません。
#30
○副議長(重政庸徳君) 時間が参りました。
#31
○千葉千代世君(続) 昭和二十二、三年生まれの子供の高校入学については、この子供たちが包まれていたときからわかっていた事実ですが、文部省は、高校急増計画として、わずかに二百六十三校の増設を打ち出しただけで、実際に必要な二千八百校増設とは、およそほど遠い対策しか立てておりません。きのうの答弁の中でも、政府は……
#32
○副議長(重政庸徳君) 時間が参りました。
#33
○千葉千代世君(続) 国の補助金と地方交付税と起債によって十分まかなうと説明をされましたが、その大半は地方自治体の責任に転嫁されています。また、その予算算定については、進学率を、当初六〇%であったのを六一・八%に手直しし、入学率を九六%に押えたなどと答弁されましたけれども、たいへんな誤算でございます。進学率は年々上昇して、最低六六%ですから、すでに五%弱の開きがあります。のみならず、事業費の五カ年計画の総額を当初より百二十九億円増しとなっていますが、材料費の値上がり等を考慮しますと、とても政府の言っているような、なまやさしいものではございません。ましてや、国民の願っている全入の希望とは全く違って、その願いは葬り去られたと言っても過言ではございません。これからの複雑な社会を自分の力で正しく判断して生きていくためには、高校卒の基礎知識を必要といたします。したがって、子供を高校へ入れるようにと、非常に広範な国民各層の要求の上に高校全入問題が生まれたのであります。
#34
○副議長(重政庸徳君) 千葉君、時間が参りました。
#35
○千葉千代世君(続) 文部大臣は、全国の高等学校の生徒の全入問題についてどのように考えているか、その見解を示していただきたいし、大蔵大臣は、そのための予算措置をどのように考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 私が人つくりということを言い出した理由については、これは、日本がりっぱに福祉国家を現出し、世界の信用を高め、世界の繁栄に協力するためには、人つくりが必要であると考え、そうしてまた、そのことは国民全体がお考えになると私は判断したのであります。したがいまして、私が人つくりを言い出しますと、ほうはいとして世論がわいてきておるではございませんか。政治家は必要なところをまずもって言うことが政治家の任務であります。決して私は人つくりというものを、唯物史観の方々が言うように、一定のワクに入れて、これを経済的手段にしようなどということは、毛頭考えていないのでございます。私は、教育の政治的宗教的中立は文教の基本方針であるということは、はっきり申し上げておきます。
 なお、大学の管理運営につきまして、私が言い出しましたら、どうです。みんなそうだと言って、大学自身が今までの管理運営について欠陥があった、われわれは大学自由の基本に立って管理運営につきまして十分適正を期すると、各大学言っておるではありませんか。これは時代の要求であり、大学関係者が目ざめた証拠であります。これを言うことは政治家として当然のことであります。ただ私は、こういう重要な問題につきましては、大学自身がまず十分反省し、自戒し、検討した上、そうしてまた中教審の答申とにらみ合わせて、今後十分盛り上がる態勢ができるまで、しばらく様子を見ようというのでございます。また英国の例を引いて、英国におきましては教育問題で与野党が争わないと言っております。そのとおり、英国には道徳教育があり、法制的に義務教育に二時間入れております。しかるに、日本では道徳教育というと、内容も何にも考えずに、すぐ反対するような政党があったのでは、どうしてもうまくいかないのは当然であります。これはイギリスの例をひとつごらん願ったらいいでしよう。
 なお、教育費の問題につきまして御質問でございますが、私は国力に相応して教育費は相当出しておると考えております。日本の予算に対する教育費の割合は、ソ連は知りませんが、その他の国では日本が第一と考えておるのであります。しかもまた、今問題になっておりまする高等学校への入学率六一%、六四%と議論があるようでありまするが、先進国のドイツやイギリスやフランスが、高等教育を義務教育を終えた人の何割が受けておりましょう。三割か三割五分です。大学の教育は何パーセントかというと、英米独は六、七%であります。日本は一二、三%、英米に対しましてほとんど倍近くの高等大学教育を受けておるということは、日本の誇りであるのであります。したがいまして、教育費につきましては、こういう非常にいいところを続けていきます。ただ問題は義務教育の教員の数でございます。数十万人の義務教育を受ける人が減ってくるのでありますから、教員が減るのは当然でありますが、できるだけ減らないように、失業者の出ないように努力することは、文部大臣から答えさすことにいたします。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇、拍
  手〕
#37
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。
 人つくりにつきまして、文部省として型にはめた人間像を示したおぼえはございません。要綱案などとおっしゃいますが、どういうことでありますか、よく理解しにくいのであります。ただ、人つくりという受け取り方でございますが、先刻総理からも申し上げましたとおり、全体主義国ならいざ知らず、また日教組ならいざ知らず、型にはめた人間像を予定したものはあるはずがないのであります。憲法の趣旨、教育基本法の第八条が示す態度、あるいは第一条が定めております教育の目的に沿って人つくりが行なわれるべきことは、当然と心得ております。条件を整備するという角度から、たとえば、指導者の養成と資質の向上、道徳教育と教育内容の改善、充実、科学技術教育の振興、教育の機会均等の推進、文教施設設備の整備など、そういうことについて与党に説明したことはございます。
 次に、生徒数が減少するので、これに伴って小、中学校で首切りがありはしないか。そういうことに対してどう考えるかというお尋ねかと存じます。御指摘のとおり、三十八年度は約九十三万人、小学校で五十八万中学校で三十五万、この児童生徒が減少しますので、三十七年度の基準そのままで参りますと、数字的には二万一千人の教職員が余ることに相なります。そのことが首切りの心配だとおっしゃる点かと思いますが、これに対しましては、三十八年度は一学級の編成を法律どおり最高五十人とすることにいたします。また、教職員定数の充足がおくれている府県の教職員の充足をはかります。また、小規模学校の教員の充実、特殊学級の増設などの措置を講ずることとしておりますので、約一万八千人の教職員の増加が必要となる計算に相なります。その結果、定員の上では約三千人程度の減少が予想されるという算術になるわけであります。ところが、高等学校教員の急増に伴いまして約四千人の交流をすることによって、中学における教員の減少の中から交流する対策を考えております。また例年一万人以上の自然退職者があることは千葉さんも御承知のところでございます。そういうことを考慮に入れますと、三十八年度としましては、相当数の新規採用を見込みましても、いわゆる首切りは避けられる勘定でございます。三十九年度以降につきましては、千葉さんは四十人ぐらいの学級編成をお考えのようでございますが、現実問題としては、なかなか言うにやすくして実行困難な数字かと思います。日本の現状、実力等から考えますれば、私は、さしあたりの目標を四十五名ぐらいに置きたい。そのための立法措置は、できれば今国会で御審議をわずらわしたい。かように考えておるわけでございます。
 次に、教科書無償のことについて、検定制度ないしは国定化するのじゃないかというお立場からの御心配の御質問でございます。いわゆる国定化をする意思は、就任以来いまだかつて考えたことがありません。ただ、私、本会議場でも申し上げた記憶はございます。それは、御案内のとおり、学校教育法二十一条、四十条及び五十一条は、明らかに小学校、中学校、高等学校における教科書は文部大臣の検定をしたもの以外は使っちゃならない。文部大臣が、文部省が著作権を持っているもの以外も使っちゃいけない。まあこういうことでございまして、その検定を受けました教科書以外は使わないという建前は、法律上明らかであります。その検定のものさしは何だというならば、学校教育法二十条に、小学校について、小学校の教科に関することは、文部大臣がこれを定めよと、その責任を明らかにいたしております。それは学習指導要領という形で具体化されておる。それをものさしにして、文部大臣の検定したもの以外は使っていけないという現行制度そのものが、実質的には国定みたような意味がございます。こう申し上げました。そういう現行法の定めております線に沿って、よりよき教科書を作る努力をいたしたいとは思いますけれども、いわゆる国定などということをしようという考えは、私の念頭に本来ないのでございますから、その点は誤解をお解きいただきたいと思います。
 次に、高校急増に関連した御心配と思いますが、高校全入運動なるものがあることは、私も承知いたします。また、千葉さん御指摘のとおり、一般に申しまして、中学校卒業者をなるべく高等学校によけいに収容するという努力は、文部省が責任をもってやらねばならない、都道府県もまた直接の施設責任者としてやらねばならぬことと思います。その点は同感でございます。ただ、言われるところの、高校全入運動なるものについては、多少の疑問を私は持っております。その前に、高校急増対策が十分でない意味で、新聞に出ております、ある特定学校の競争率が非常に高いことを指摘されまして、これは対策が十分でないからだというふうな御心配でございましたが、これは親ないしは本人の名誉欲と思いますけれども、有名校に殺到するという一部の一時的な現象でしかない。昨日、辻さんにお答えいたしましたとおり、また、千葉さんもすでに数字をあげて御指摘になりましたとおり、九六%の入学率は確保できるめどをもって、財源措置は講じておりますから、今までと同じように、一時的には一部の有名校にたいへんな入学難の現象が新聞等で現われましょうけれども、結果は、国公私立のいずれかにおさまる、定時制を含めまして、九六%の入学率を確保することが可能であると考えておるのであります。したがって、高校全入運動は、いかなることを目標としておるかは、さだかではございませんけれども、千葉さんが御指摘になりました、陳情団を私がけ飛ばしたというお話ですが、そのとおり、け飛ばしました。それは、務台理作という人が団長でございまして、高校全入運動全国協議会の会長の務台理作さんは、毎度申し上げますように、日教組の倫理綱領を通じて、教員の使命観は共産党のお先棒かつぎを作るにあり、そういうことを書いて与えた学者の一人でありますから、その方が全国協議会の会長であります限りは、あの運動は、はたしてまじめな意味であろうかどうか、私自身疑わしいと思いましたから、お断わりをいたしました丁御了承をいただきたいと思います。(拍手)
  〔米田勲君発言の許可を求む〕
#38
○副議長(重政庸徳君) 米田君、何ですか。
#39
○米田勲君 ただいまの文部大臣の答弁中には、不適当かつ不必要な言辞があったと思います。議長においてこの点を調査の上、善処されんことを望みます。
  〔「賛成」「反対」と呼ぶ者あり〕
#40
○副議長(重政庸徳君) 議長は、速記録を調査の上、善処いたします。
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(田中角榮君) 私に対する御質問は二点でありますが、その一点は、三十七年度予算から始めました義務教育教科書無償に関する予算を、一挙に全額にできるようにふやしてはどうかという御意見でございますが、御承知のとおり、国の財政と合わせながら、漸次これは完成して参るという方向をとっておりまして、三十七年度予算に計上しております額は七億でありますが、今度の三十八年度の予算として国会の審議をお願いしておりますものには、二十七億一千万円を計上し、一年から三年までの無償を考慮いたしているわけであります。予算の状況等も勘案しながら、できるだけ早い機会に完全無償を行なって参りたいという考えでございます。
 第二点は、高校生急増対策の問題でございます。この問題に対しては、きのう及びきょうの二回にわたって、十分お答えになってはおりますが、大蔵省として相談した立場もありますので、あらためて申し上げますと、総事業費三十六年から四十年までの分五百五十三億円を、六百八十二億円に増額いたしたわけであります。しかも、御承知のとおり三十七年の追加起債といたしまして、建物五十八億円、それから土地の代金二億円、計六十億円を措置いたしておりますし、三十八年度におきましては、工業高校に対する国庫補助金の増額と合わせて、起債九十億円の措置を行なっているわけであります。
 なお、私立学校の急増対策に対してはどうするかという点でありますが、私学振興会に対して、政府資金の増額、私立工業高校に対する補助金の措置等を行なっておりますので、文部大臣の答弁とあわせてお考えいただけば、高校生急増対策に対する措置は完全であると考えていただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○副議長(重政庸徳君) 野坂参三君。
  〔野坂参三君登壇、拍手〕
#43
○野坂参三君 私は、日本共産党を代表して、日韓会談の問題について、若干池田総理に質問したいと思います。
 総理は、施政方針演説の中で、世界の平和と繁栄は、アメリカと西欧諸国、それに日本を加えた三本の柱でささえると言っておられます。これは重大な発言であります。ここには、社会主義諸国はむろん、中立諸国さえ、全く無視されております。すなわち、全世界の国々と平和的に共存して、平和と安全をはかるというのではなく、アメリカ帝国主義を中心とした侵略的な力の政策に追従して、社会主義諸国と力によって対決するかまえを露骨に示したものであります。これは、日本の平和と繁栄どころか、戦争と反動の道にほかなりません。池田内閣が日韓会談を急いでいるのも、このような方針を実現するためであります。
 そこで、まず最初にお聞きしたい。アメリカの忠実な手先で、朴一派の実権者であり、日韓交渉の当事者であった金鍾泌は失脚しました。
  〔副議長退席、議長着席〕
あなた方がつい数日前まで、非常に安定していると言っておられた朴政権が、今や崩壊の前夜に立っています。総理は、今後韓国の事態に対して、はたして確たる見通しがありますか。あれば言って下さい。今からでもおそくはありません。日韓会談は直ちに打ち切るべきです。総理の所信をお聞きしたい。
 第二に、総理は、日韓会談が韓国と日本の人民の親善友好の関係を確立するためであるかのように言っておられるが、はたしてそうであるか。日朝両国の関係でわれわれが特に銘記しなければならないことは、日本の軍国主義者が朝鮮を植民地化し、三十六年にわたって徹底的な略奪を行なった上に、関東大震災では多数の在日朝鮮人を虐殺し、太平洋戦争においては、三百万の朝鮮人を拉致して、奴隷労働を強制するなど、数限りない犯罪行為を行なってきたことであります。この事実を朝鮮人民は永久に忘れないであろうし、またわれわれ日本人民も忘れてはならないのであります。朝鮮人民に対するこのような非道の数々について、総理は真剣に反省しておられるかどうか。この壇上からはっきりと答えていただきたい。
 しかし、私はあなたの言葉だけを聞きたいのではない。行動の上に反省の実を示してもらいたいのであります。行動で示すということは、何よりも、朝鮮人民が自分の手で南北朝鮮の平和的統一と真の独立を一日も早く達成するように、日本が全面的に協力することであります。これこそ日本と日本人民が朝鮮人民に対して持っている最大の歴史的責務であります。この責務を果たしてこそ、初めて両国人民の真の友好親善関係の基礎が打ち立てられるのであります。日朝両国人民の願っていることも、まさにこのことであります。これに対する総理の見解をお聞きしたい。
 第三に、今日、朝鮮の自主的、平和的統一の条件は全く成熟しております。すなわち、北朝鮮政府は、南北間の話し合い、経済、文化の交流、自由な往来などを通じて統一を達成しようと、繰り返し呼びかけております。さらにまた、相互不可侵、自由な総選挙、連邦制に対する具体的で漸進的な政策を示しております。また他方、南朝鮮でも、これに呼応して、李承晩政権の崩壊以来、統一を目ざす運動が南朝鮮人民の間に大きく発展していることは、皆さんもよく御存じのとおりです。ところが、このような統一の機運を妨害し、押えつけているのは、ほかならぬアメリカ帝国主義者であり、そのかいらい朴一派であります。日本の政府も、アメリカに加担して、その妨害に積極的に協力しているのであります。したがって、アメリカ軍が朝鮮から撤退し、朝鮮を朝鮮人民自身の手にゆだねるならば、その平和的統一が急速に実現することは、火を見るよりも明らかであります。
 そもそも統一朝鮮の独立ということは、カイロ宣言、ポツダム宣言、その他の国際法と条約によって決定された、第二次大戦の戦後処理の問題であります。そして国連憲章は、このような戦後処理の問題に国連は介入すべからずと、はっきり規定しております。私がここで指摘したいことは、今日アメリカは、国連の決議をたてにとって、韓国政府をでっち上げ、国連軍の名で韓国を占領していることであります。これは明らかに、以上の国際法や条約を踏みにじり、国連憲章にまっこうから違反する不法かつ不当な行為であります。このようなアメリカの行為を擁護するために日米政府が常に引き合いに出している国連決議なるものは、以上の国際法や国連憲章に優位することはできないのであります。この点について総理は一体どう考えておられるか、答弁を求めます。
 第四に、日韓会談は過去の犯罪行為の上塗りをするものであります。それは、崩壊に頻する朴政権にテコ入れし、南北朝鮮の分裂を固定化し、アメリカの軍事的植民地支配を助けながら、日本の独占資本が再び朝鮮に侵略する足がかりを作ろうとするものであります。政府がどんなに詭弁を弄しようが、日韓会談がアメリカの指図のもとでの東北アジア軍事同盟を事実の上で作り上げることを目ざしているのは、明らかであります。まだ会談が妥結していない現在でさえ、韓国の軍用機が勝手気ままに日本の基地に出入りしております。日本の自衛隊と韓国軍が、アメリカの指揮下で、対島海峡の共同封鎖その他の合同演習を繰り返し行なっております。もし日韓会談が成立した暁においては、今日のこのような事態がさらに公然と大規模に行なわれ、制度化されることは、何人も疑う余地がありません。日韓会談は、アジアの平和に寄与するどころか、アジアの緊張をますます激化させるものであり、わが国の安全を脅かし、わが国をアメリカの戦争に引きずり込んで、国民に再びおそるべき悲劇をもたらすものであります。それと同時に、国内の反動政治、軍国主義体制を強め、勤労人民に対する徹底的な収奪をもたらし、人民の生活と民主主義を一そう抑圧するものであることを、私は特に強調したいのであります。
 以上、日韓会談は、日朝両国人民の真の親善友好という点からいっても、朝鮮の平和的統一という点からいっても、日本とアジアの平和と安全という点からいっても、人民の生活と民主主義という点からいっても、さらにまた国際条約と国連憲章の上からいっても、絶対に許されないものであります。私は、日韓会談の即時打ち切りを、池田総理に繰り返し要求するものであります。この要求を掲げ、今、日韓会談反対の大衆闘争が全国に盛り上がりつつあります。この要求は、平和と独立を願うわが国民の声であります。総理の答弁を求めます。
 最後にお聞きしたい。最近、北朝鮮政府が、日韓会談に関して声明を発表しました。その中で、日朝両国間の重大な諸問題は、当然朝鮮が統一された後に公明正大に解決するのが原則であると……
#44
○議長(重宗雄三君) 野坂君、結論に入って下さい。時間が来ました。
#45
○野坂参三君(統) 強調しつつ、次善の策として、南北朝鮮と日本の三者会談を提唱しているのであります。この提案は、社会主義諸国が一貫してとっており、キューバ危機の克服以来、一段とはっきりしてきた平和共存政策の具体的な現われであります。
#46
○議長(重宗雄三君) 野坂君、時間がきました。
#47
○野坂参三君(続) これは、日本の立場から言っても、国際緊張を激化させないで、日朝両国間の諸懸案を、正しく、しかも現実的に解決する上に、最も時宜に適した提案であります。この三者会談さえ総理が拒否するのであれば、それこそ、口先で何と言われようが、実際は、平和共存を否定し、ケネディの封じ込め政策の片棒をかついで、緊張の激化と侵略の意図で日韓会談を進めているのであると断ぜざるを得ないのであります。
 総理の答弁を求めます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 御質問の第一点の、韓国政権への批判は、私としては差し控えます。ただ、朴政権は、憲法制定、いわゆる文民政権への移管に非常に努力を払っておられることは申し上げ得ると思います。
 第二の、朝鮮を併合してからの日本の非行に対しては、私は寡聞にして十分存じておりません。しかし、われわれとしては、数十年間朝鮮を支配し、そうして今度の戦争の結果、国家として独立したのでございますから、こういう昔からの関係を考えて、特に共存共栄の線で国交を正常化いたしたいと努力いたしておるのであります。
 次に、南北統一の問題につきましていろいろ御意見があるようですが、国連の決議によって、それに従って韓国は合法的に成立し、また、五十六カ国から承認を受けているこの事実を、私は否定できないと思います。
 その次の、日韓の国交正常化につきましては、これは国民の声であります。正常化すべしという国民の声であると私は確信を持っております。
 なお、日韓会談につきまして、北鮮の声明につきましては、その声明の真意が私には了解できませんから、日韓会談を打ち切る気持はございません。三者会談をやる考えもございません。(拍手)
#49
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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