くにさくロゴ
1962/02/05 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 本会議 第6号
姉妹サイト
 
1962/02/05 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 本会議 第6号

#1
第043回国会 本会議 第6号
昭和三十八年二月五日(火曜日)
   午前十時二十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第六号
  昭和三十八年二月五日
   午前十時開議
 第一 昭和三十五年度一般会計歳
  入歳出決算、昭和三十五年度特
  別会計歳入歳出決算、昭和三十
  五年度国税収納金整理資金受払
  計算書、昭和三十五年度政府関
  係機関決算書
 第二 昭和三十五年度国有財産増
  減及び現在額総計算書
 第三 昭和三十五年度国有財産無
  償貸付状況総計算書
 第四 昭和三十五年度物品増減及
  び現在額総計算書
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、飼料需給安定審議会委員及び鉄
  道建設審議会委員の選挙
 一、豪雪対策確立に関する決議案
 一、日程第一 昭和三十五年度一般
  会計歳入歳出決算、昭和三十五年
  度特別会計歳入歳出決算、昭和三
  十五年度国税収納金整理資金受払
  計算書、昭和三十五年度政府関係
  機関決算書
 一、日程第二 昭和三十五年度国有
  財産増減及び現在額総計算書
 一、日程第三 昭和三十五年度国有
  財産無償貸付状況総計算書
 一、日程第四 昭和三十五年度物品
  増減及び現在額総計算書
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。大竹平八郎君から、海外旅行のため、十日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
 欠員中の飼料需給安定審議会委員及び来たる十六日任期満了の鉄道建設審議会委員各一名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
#7
○村上春藏君 飼料需給安定審議会委員及び鉄道建設審議会委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#8
○中村順造君 私は、村上君の動議に賛成をいたします。
#9
○議長(重宗雄三君) 村上君の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 よって議長は、飼料需給安定審議会委員に森部隆輔君、鉄道建設審議会委員に寺尾豊君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#11
○議長(重宗雄三君) この際、お諮りいたします。
 豪雪対策確立に関する決議案(館哲二君外十四名発議)は、発議者要求のとおり、委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。館哲二君。
  〔館哲二君登壇、拍手〕
#13
○館哲二君 ただいま議題となりました、自由民主党、日本社会党、公明会、民主社会党、第二院クラブ及び日本共産党の共同提案にかかります「豪雪対策確立に関する決議案」について、発議者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
   豪雪対策確立に関する決議
  今次の北陸を中心とした全国にわたる異常な豪雪は、多数の人命を損傷し、国民の生活及び経済に深刻かつ著しい影響を及ぼしている。
  よつて政府はすみやかに対策を樹立し、次の諸施策を強力に遂行すべきである。
 一、交通及び生活必需物資の確保、物価の抑制、保健衛生の維持等の応急措置の強化並びにこれに必要な財政金融の確保
 一、なだれあるいは異常積雪による被害の防止、被害建造物のすみやかな復旧及び各種生産の回復確保並びに融雪期における災害の防止
 一、災害又は豪雪に関する法律の適用に当つての本豪雪に対する特段の配慮と必要な立法措置
 一、恒久的な豪雪地帯災害対策の強力かつ早急な実施
 右決議する。
    ―――――――――――――
 今回の北陸地方を中心として裏日本一帯及び九州をも襲いました豪雪は、すでに皆様のよく御了承のとおり、近年まれに見る激しいものでありまして、その降雪区域の広範なこと、また、その降雪量の多大であること、また、降雪期間の長かったことにおいて、従来の常識を破る著しいものであります。
 北陸地方などの豪雪地帯は、去る三十五年の歳末から三十六年の年頭にかけての豪雪によりまして、きわめて苦い経験を得ておるのであります。これによりまして、交通施設の除雪態勢の強化に相当の努力が払われましたが、いまだ拡充に着手して間もない時期に、さらに今次の豪雪に見舞われて多大な被害をこうむったことは、まことに遺憾にたえないところであります。私はまず、不幸にして罹災せられました方々に、心からお見舞を申し上げるのであります。それとともに、現地の第一線において連日復旧作業に挺身しておられます自衛隊あるいは地元消防団その他の関係の諸君の御労苦に対しまして、皆様とともに深甚なる感謝の意を表したいのであります。
 今回の豪雪は、地域によりまして差はありましょうが、一月十一日夜半から降り始めまして、おおむね三日ずつ三回にわたって猛吹雪になったのでありまして、過去の最も激しい豪雪と見られております昭和十九年−二十年の交、また昭和三十五年−六年の交におきます集中的な降雪でも、せいぜい三日くらいでとまったのでありますが、今回のように三回も連続して猛吹雪となったということは、ほとんど例を見ないのであります。この記録的な豪雪のために、二十三日夜以来、北陸、上信越線の長距離列車は、ついに全面的に運転が休止せられ、また、一時はわずかの区間列車さえ通れない全くの不通個所が続出いたしまして、今日に至るまで実に二週間にわたりまして、日本の国の半分は半身不随の状況を継続しているのであります。また九州地方におきましても、全く他と孤立してしまった地域さえ生じているようなありさまであります。さらにまた、二月に入ってからも断続的な降雪が続きまして、日本海方面、特に山陰地方では猛吹雪に見舞われているという状況であります。
 したがいまして、その被害は、昨四日の夕方現在では、死者、行方不明者が百六名に達しており、また全半壊などを含めまして二千五百七十四戸の家屋の被害を出しているというようなことでありまして、現地住民の方々は、生命の危険に脅かされながら、除雪作業などのために全く疲労困ぱいしているありさまであります。しかも他面、これらの状態が長期にわたりましたために、生活必需物資とか産業用の原材料の枯渇、また製品の出荷難、操業度の低下、また決済資金や操業資金の調達難、家畜飼料の欠乏、小中高等学校の長期休校によります学力の低下、また屎尿処理の遅延、その他各般の問題が深刻化する様相を呈しまして、生活上、経済上から、きわめて憂慮すべき現象が現われているのであります。
 これに対しまして政府においては、二十五日調査に着手せられまして、災害対策基本法による北陸地方豪雪対策本部の設置、また政府調査団及び河野木部長の現地調査、あるいは災害救助法発動の拡大運用、自衛隊などの増派、民間及び地方自治体に対する雪害資金の緊急融資など、さしあたり緊急を要する応急措置に努力せられておるのでありますが、しかし鉄道の回復さえまだ十分でなく、幹線交通路から遠く離れた地区の問題があるほか、現になお降雪がまだおさまらない状況であります。さらには、今後残された多くの重要な問題を考えますときに、事態は、はるかに深刻であり、したがって、一そうの強力な施策が望まれるのであります。特にこの際考うべきことは、豪雪の被害は、風水害等と違いまして、融雪期が終わるまで警戒を要することはもちろんでありますので、これらに対しまして、今日からすみやかに万全の配慮を加えてもらいたいのであります。さらにまた、去る三十六年十月の第三十九国会におきまして、雪害対策に関する本院の決議があったのであります。その決議において、地帯なるがゆえにこうむっている不利な経済条件を克服して地域格差を解消せしめるべき根本的対策の実施が強調されたいきさつから見ましても、一そう総合的な強力な対策がすみやかに実施せられなければならないと存ずるのであります。
 以上申し上げましたような趣旨から、今回この決議案を提出いたした次第でありますが、次に、決議案に掲げました四項目について簡単に申し上げてみたいと思います。
 第一項は、財政的金融的裏づけを十分伴った応急措置の強力な実施であります。これにつきましては、政府もかなり努力をされておりますけれども、ただいま申し上げましたように、まだ被災地の交通麻痺が長期にわたり、なお降雪のおそれがあるという状況だけに、その影響が深刻でありますから、たとえば緊急物資の輸送費増高分の補助とか、地方公共団体の行なら除雪事業はすべて補助をする、あるいはまた補助率を引き上げるなどの強力な措置を促しまして、一日も早く交通路を復旧して、被災者の生活及び産業経済を正常化せしめるよう、政府に強く要請したいのであります。
 第二項は、直接的な被害の防止と被災建造物のすみやかな復旧並びに生産の回復確保についてであります。今後多発を予想されるなだれ、あるいは異常積雪による人命、家屋あるいは公共土木施設、農林水産業施設などの被害は、できるだけこれを防止しなければなりません。異常積雪のもとに置かれた現地においては、多くの困難を伴うでありましょうが、関係各機関が連絡を密にして、可能な応急措置を適宜実施することによって、被害を最小限度に食いとめることは、きわめて必要でありまして、政府の積極的な措置、援助、監督を求めたいのであります。また、不幸にして災害を受けた施設や産業に対しましては、そのすみやかな復旧をはかり、各種生産の回復確保をはかるよう、査定を急ぎ、必要な金融措置を講ずるなど、万全の方途をとられたいのであります。
 さらに強調いたしたいのは、融雪期における災害であります。融雪災害は例年大なり小なり発生しているのでありますが、本年は例年とは比較にならない規模の災害の発生が予想せられるのでありますから、洪水予防などに特に警戒を怠らないよう、遺憾なきを期していただきたいのであります。なおまた、農林関係では、果樹や苗木、幼齢林などに、倒伏、折損、凍害など、また、炭がまの倒壊などの被害を生じているものと考えられます。万一また融雪がおくれまして農耕の遅延を来たす場合には、消雪促進の措置をとる必要が起こることも考えられるのであります。
 第三項は、災害関係法律あるいは豪雪だけを対象とした法律の弾力的な運用、並びに今次の豪雪害に即応した立法措置を促したものであります。災害対策基本法は、豪雪災害を含めることを明示しておりますが、その他の災害関係法、たとえば昨年制定されました「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」のごときは、豪雪災害に対し、必ずしも適合していないと存ずるのであります。ただ、堆積土砂や湛水の排除はこの法律を適用するが、除雪事業は適用されないことになっているのであります。その理由は、おそらく今次の豪雪のような激甚な場合が予想されなかったことと、被害の態様が、一般の災害に比べまして、かなり性質を異にしているからであると思うのであります。また、昨年制定されました豪雪地帯対策特別措置法第十四条によりますと、同法に基づきます基本計画によって実施する事業については、国の負担割合または補助率の特例を別の法律で定めることとなっているのでありますが、地域指定や基本計画の作成がおくれているために、これらの立法措置はまだ行なわれていないのであります。今次の災害がきわめて激甚であることにかんがみまして、政府は、災害の実態を精査せられまして、実情に沿って現行制度を最大限に弾力的に運用せられるとともに、必要な立法措置について鋭意検討を加えられまして、その実現を期せられたいのであります。
 第四項は、恒久対策の強力かつ早急な実施を促したものであります。この問題につきましては、一昨年十月、第三十九国会に衆参両院でそれぞれ決議が行なわれました。次いで昨年の四月には、議員立法によりまして、今述べました豪雪地帯対策特別措置法が制定公布されたのであります。この法律は、御承知のように、審議会を設けて、地域を指定して基本計画を定め、雪害の防除その他産業などの基礎条件の改善に関する総合対策を実施するという趣旨の法律であります。ところが、その後の施行状況を見ますと、審議会委員の任命が昨年の十二月、以後二回の審議会を開いて、現在、小委員会で地域指定の基準を検討中という段階であります。今次の災害を考えますとき、政府におかれましては、できるだけ迅速にこの恒久対策の実施に遇進せられることを望んでやまないのであります。
 以上、提案の趣旨、議案の内容を申し上げたのでありますが、何とぞ各位の御賛同をお願い申す次第であります。(拍手)
#14
○議長(重宗雄三君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。武内五郎君。
  〔武内五郎君登壇、拍手〕
#15
○武内五郎君 私は、本院の各会派を代表いたしまして、ただいま提案になりました豪雪対策確立に関する決議案に対し、賛成の意を表するものであります。
 今次の東北、信越、北陸、山陰及び九州地方にわたる日本海沿岸地方一帯を襲った異常なる豪雪の災害は、多数の人命を損傷し、住み家も破壊し、交通運輸は全く閉塞して、国民の生活、経済に対し、きわめて深刻な影響を及ぼしております。私は、まず、尊い人命を損傷し、また住宅を損壊された多くの方々に対し、心から深甚なる弔意とお見舞の言葉を申し述べたいと存ずる次第であります。
 今回の豪雪は、いわゆる積雪寒冷地帯といえども、きわめて異常な事態であって、特に北陸、信越地方は、半月以上降り続いて、稀有の豪雪となったのでありまするが、かつてこの地方の持つ昭和二年、昭和十五年、さらに昭和三十五年、六年の驚異的豪雪の記録がありまするが、今回は、これらの記録をはるかに凌駕いたしまして、全く想像しがたい状態に相なったのであります。この豪雪は、いわゆる里雪といわれておりまするが、山間の深雪地帯はもちろんのこと、従来、浅雪地方の平野部においてさえ異常な豪雪に見舞われたのであります。交通運輸はすべて閉塞して、人々は、雪の中に埋没された家屋の中で、食糧は絶え、電灯は消えて、空腹と暗黒の中で不安におののいているのであります。思うだに凄絶をきわめた状態であるのであります。ことに国鉄は大きな打撃を受け、北陸、上信越各線は積雪に閉ざされて、列車は立ち往生し、あるいは大幅運休を余儀なくされ、ほとんど麻痺状態に陥り、今日いまだ復旧の見込みは立たないのであります。また、道路の交通も途絶し、市町村部落は完全に孤立化し、日常の生活必需物資は窮乏の一途をたどり、諸物価は急騰して、人心はまさに不安の極限に達しているのであります。
 私がここで詳細にわたって被害状況を申し述べるまでもなく、あらゆる報道機関を通じてすでに皆様御承知のことと存じまするがゆえに、きわめて簡単にしたいと存じます。ただ、二月四日八時警察庁の発表によりますると、人的被害等は、死者、行方不明百人をこえ、住宅の倒壊破損約一千百戸をこえ、通信施設は損壊一万八千百四十九回線等であり、住民の日常生活はもとより、学校教育の休業、商工業等の各種産業活動は窒息状態となって、直接の物的被害のみならず、操業の停滞中止に伴って、産業、経済、社会の損失はきわめて大きなものがあるのであります。
 かくのごとく急迫したる豪雪による被害に対し、まず第一にとられなければならないことは、除雪態勢を強化して、膠着状態にある作業の推進をはかり、自衛隊員、地元民等の献身的協力と相待って、さらに大量の機械の投入によって機動力の増強をはかり、鉄道、道路の交通運輸を確保するにあると考えるのであります。かくして孤立した市町村部落を救出し、人心の不安を取り除き、生鮮食料品、燃料、衣料品等の補給と品薄による諸物価の高騰を抑制し、物資の確保と流通の円滑化を期さなければならないのであります。伝染病発生防止のため、医薬品の充当、救護施設の補充等、保健衛生の維持管理が重要な問題になって参りました。すでに富山県、石川県におきましては、集団赤痢が発生しておりまするが、防疫対策は、特に屎尿、塵芥等の処理について応急の処置を講ずる必要があるのであります。また、長期間にわたって余儀なく授業を休んでいる学校に対しては、一日も早く、これが正常な授業に復帰するよう特別の配慮を講じなければならないと存じます。さらに、商工業者等に対しては、操業の低下、または操業休止に伴って、製品のキャンセル、手形の渋滞、倒産などの事態を防止するための、国民金融公庫、商工中金、あるいは中小企業金融公庫等による低利融資はもちろん、国税の減免、猶予等の処置を講じなければならないと考えるものであります。ことに重大なことは、それら企業の従業員に対する賃金の不払い、並びに交通杜絶によるやむを得ざる遅刻、欠勤等について、賃金カットの行なわれざるよう政治的配慮が必要であると存ずるものであります。
 以上は、現在当面する事態に対する可及的応急対策によって、人心の安定をはかることが喫緊の措置であると考えるのでありまするが、
 さらに、私の最もおそれる問題の第一は、この豪雪がなだれの脅威となり、学校等公共建造物、住宅等の倒壊、破損の続出することであります。すでに鉄道沿線を初め、段丘傾斜地域では、なだれの被害を生じておりまして、危険が切迫しておるのでございます。
 第二は、融雪期におけるいろいろな災害の発生であります。河川のはんらん、長期の湛水、堤防、鉄道、道路、橋梁等の損壊、学校等公共建造物、住宅等の倒壊、破損等のほか、融雪期のおくれ等によって、農作物の病害並びに冷害等による被害の現われてくることであります。かつて、昭和八年から九年にわたって、東北、北陸地方に大冷害と融雪期の氷害が招来して、農作物の収穫は皆無にひとしく、昭和の飢饉として騒がれたことが思い出されるのであります。当時、政府は、この重大なる事態に驚き、雪害対策を推進するとともに、特殊会社である東北振興をおこして、積極的対策の実行に入った歴史がございます。
 今回、政府は、この豪雪の災害の範囲のきわめて広く、かつ深刻なる事態にかんがみまして、災害対策基本法に基づく北陸地方豪雪非常災害対策本部を設置いたしまして、豪雪被害地に、緊急融資、物資の輸送、調査団の派遣等、救援措置をとっておりまするが、風水害、大火等による災害の場合に比べまして、その救援態勢はきわめて遅々として、多くの批判を免れないのであります。私は、この際、政府は応急対策の強化充実をはかって、民心の安定を期することを強く要望せざるを得ないのであります。したがいまして、今回のような豪雪害に対しては、単に国鉄または自治体だけで処理することは不可能のことでありまして、この際、政府は、豪雪地帯に対して、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」を適用し、激甚災害に指定し、被災者に対する特別の助成措置を講ずることが特に緊要であると考えるのであります。単に、事務的な基準にこだわることなく、この法第二条の「国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認められる災害」という法の趣旨に照らして、今回の豪雪による災害の対策を急速に確立されんことを切に望む次第であります。
 次に、私は、雪害防除の恒久的対策の必要を考えるのであります。私は、風水害と同様、雪害にも恒久的対策を講ずることが必要であると信ずるものであります。たとえば、国鉄において、気象観測に敏感なる対策を考究するとともに、いたずらに東海道新幹線の建設のみに重点を置くようなことなく、豪雪地帯において機動力のある除雪車の新造配置、流雪溝の構築及び凍雪害を除くためのポイントの電熱装置への完全切りかえ等が必要であると同時に、防雪林、なだれ防止の構築、積雪地帯の鉄道の複線化等を早期に完成をはかり、除雪機械の能率を倍増して、輸送の確保を期すべきものであると存ずるのであります。また、道路整備につきましては、雪害道路特別法による流雪溝の完備と、除雪機械の整備は、すでに進められておるのでありますが、五カ年計画もいまだはなはだ微温な状態であって、この計画において、流雪溝の整備等の除雪事業について見まするときに二百四十二億円、除雪機械の整備に五十二億円が組まれておりまするが、三十八年度を含む過去三カ年の投入額は、除雪、防雪等に対して百十五億円で、計画の四七%、除雪機械装備に二十六億円で、計画の四八%であって、その進捗率はきわめて低いものであります。また、住宅建設については、住宅金融公庫住宅の標準建設費につきましても、北海道における防寒住宅は、別にこれは配慮されておりまするが、積雪地帯と無雪地帯とは全く同じ標準単価で取り扱われているのであります。積雪地帯の住宅建設にあたっては、基礎、構造とも、無雪地帯に比して堅牢充実しなければならないのでありまするが、無雪地帯と同率の建設費で行なわれるときには、その内容がきわめて低下したものができ上がるのであります。このことは災害復興住宅あるいは公営住宅においても同様であり、積雪地帯に対しては、防寒住宅建設と同様の標準額に引き上げるべきであると存ずるものであります。雪害対策に関しては、さきに第三十九回国会に「雪害対策に関する決議」が衆参両院において全会一致で行なわれ、かつ四十回国会には、豪雪地帯対策特別措置法が議員立法で提案の運びとなり、可決成立を見、三十七年四月五日法律第七十三号として公布施行されておりまするが、この法律は、政府の提唱する重要政策と密接に関連するものであることを、ここに指摘しなければなりません。すなわち政府は、近年、地方工業地帯の開発、地域格差の是正を大きく取り上げているのであります。従来、積雪地帯は産業の発達が停滞的であり、また、住民の生活水準の向上が阻害されているのでありまするが、雪害はこの格差を生み出す重要な要素でありますが、他面、この地方に降り積もる雪は、利用開発がよろしければ、豊富な水資源となって、産業の発達と食糧の供給に重要な貢献をすることができるのであります。したがって、この法律は特別法ではありますけれども、積雪地帯における政府の施策にとって最も重要な施策の基本となっておらなければならないのであります。ところが、遺憾ながら、豪雪地帯対策審議会の組織をようやく見たのでありまするが、その審議会をわずか二回だけ開いて、きわめて緩慢な状態の運営であります。この法律の骨子は、豪雪地帯の指定であり、基本計画の樹立決定と事業計画の作成実施に必要な資金の確保によって、基本計画に基づく事業の効率的な実施をはかることでありまするが、これに必要な政令はいまだ決定を見ないのであります。これは何ゆえ雪害に対するこの重要な具体的計画が敏速に確立されないのか。その原因は、豪雪に関する調査研究がいまだ不十分なことであると存ずるのであります。寒冷害に対しては、満足というまではいかないまでも、一応の調査、研究が行なわれておりますが、雪に関する調査、研究は皆無といっても差しつかえないのであります。かかるがゆえに、私は、政府が真に豪雪地域に対して災いを転じて福とする積極的施策を実施するためには、調査研究機関を完備充実し、気象現象の把握、鉄道、道路の交通の保全、建築物の構造研究、豪雪災害に対する保全資源の開発、経済研究等を検討し、その成果の上に抜本的恒久的対策を講ずることを、強く要請する次第であります。今日、雪の中に埋もれて不安におののく国民が、雪害を克服して立ち上がる政策の樹立を強く期待しているのであります。
 以上をもちまして、本決議案に対し賛成の意を表するものでありますが、この際、特に、豪雪地帯において、昼夜極寒をいとうことなく、一意除雪並びに交通確保のために努力されております地元の方々、及び自衛隊、消防団員等に対しまして、深く感謝の意を表しまして、討論を終わる次第であります。(拍手)
#16
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#17
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
 ただいまの決議に対し、内閣総理大臣から発言を求められました。池田内閣総理大臣。
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(池田勇人君) 今回の雪害は、まれに見る大規模なものでございまして、被害を受けられました県民の方々の御困苦に対し衷心より御同情申し上げる次第でございます。
 政府といたしましては、との豪雪の事態をきわめて重大視し、直ちに現地に災害調査団を派遣し、その状況を調査するとともに、災害対策基本法を初めて発動し、北陸地方豪雪非常災害対策本部を設置し、対策に万全を期しておるのであります。
 当面の問題といたしましては、積雪のために交通輸送が途絶して、陸の孤島と化した地区の方々のために、特にこの際必要なことは、生活必需物資の手配、医療品等の輸送、郵便物等の輸送でありますが、これにつきましては、国鉄の緊急輸送、自衛隊のヘリコプターによる航空輸送等により、その対策に万全を期しております。さらに、海上保安部の巡視船、自衛隊の輸送機も待機を命じておる次第でございます。
 次には、途絶した鉄道及び道路の除雪を一日も早く行ない、その機能を回復することでございます。このために政府は、自衛隊に対し災害出動を命じ、その機械力を十分に活用しております。現在において除雪に従事している自衛隊員は一万二千名余に上り、車両等二百台が動員されておりますが、今後必要があると認める場合におきましては、なお動員を増加する心組みでございます。国鉄、建設省におきましても、その機能を十分に発動し、鉄道、道路の輸送がなるべくすみやかに回復するよう努力をいたしておるのであります。
 なお、災害に伴う現地の経済の正常化を確保するために、政府は特に中小企業金融について、国民金融公庫、中小企業金融公庫、中小企業信用保険公庫並びに商工組合中央金庫よりの緊急融資を手配する等、災害における資金の融通に遺憾のないよう措置いたしました。また、公共団体に対しましては、災害つたぎ融資、交付税交付金の繰り上げ交付を行なっておるのであります。第二に、取引の安全を確保するために、手形の決済期限の延長について現地金融機関に所要の指示を行なうとともに、輸出クレームに対しまして災害証明書の発行等所要の処置を講じておるのであります。災害地における救助を要する県民の救助のためには、今回は特に県知事の判断で災害救助法を発動できるように措置いたしました。すでに新潟、福井の両県において、十一市、十一町、五カ村に救助法を発動しておるのであります。
 被害地における屎尿処理問題等、環境衛生の保持に関しましては、最も重要なことでございまして、今後特に配意する所存でおるのであります。
 現在なお断続的に降雪がありますが、政府といたしましては、今後予想されるなだれ、地すべり、融雪による洪水、家屋の倒壊等について、万全の措置を行なう所存であります。
 以上が、本災害に対する政府の施策及び今後の方針の大要でありまするが、河野国務大臣は、非常災害対策本部長として、先般北陸三県を視察したのでありますが、昨日より再び新潟県下の視察におもむいておりますので、さらに詳細につきましては、河野本部長より適当な時期にお聞き取り願いたいと存じます。
 政府といたしましては、ただいまの院議の御趣旨を十分に尊重いたしまして、さらに災害地に対する措置についても万全を期する所存であります。また、さらに今後とも予想される豪雪による被害の恒久的対策として、豪雪地帯対策特別措置法等に基づく諸施策をすみやかに実行に移すよう努力をいたしたいと存じます。(拍手)
     ―――――・―――――
#19
○議長(重宗雄三君) 日程第一、昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十五年度政府関係機関決算書、日程第二、昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算書、
 日程第三、昭和三十五年度国有財産無償貸付状況総計算書、
 日程第四、昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書、
 以上四件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。決算委員長鈴木壽君。
    ━━━━━━━━━━━━━
#21
○鈴木壽君 ただいま議題となりました決算関係四件につきまして、決算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十五年度政府関係機関決算書は、昭和三十六年十二月二十三日国会に提出せられ、自来二十二回にわたり委員会を開き、さらに三班の委員派遣により現地調査を行ならなど、慎重に審議を重ねたのでありますが、その詳細につきましては、会議録によって御承知願いたいと存じます。
 本委員会が、本件審査の過程において明らかとなった事実及び会計検査院の指摘した事実等にかんがみ、内閣に対し警告を発し、財政処理の改善を促すことを必要と認めた事項は、大体次のとおりであります。
 すなわち、国の予算その他財政の基本に関しては、財政法の定めるところにより万遺憾なきを期すべきこと、予算の編成にあたっては、歳出の適正を期すべきはもちろん、歳入についても見積もりの正確を期すべきこと、農地の売り払い等について国損を招いている例があるので、すみやかに改善措置を講ずべきこと、農業災害補償制度の抜本的改正を行なうべきこと、基地周辺の民生安定に対する諸般の対策、及び、火薬爆発、各種交通事故等の災害の防除、救助及び補償等について特段の対策を樹立すべきこと、国鉄は、五カ年計画、安全運転、綱紀の粛正等に特段の努力を必要とすること、会計検査院の指摘する不正不当事項は、なお相当の件数、金額に上っているので、政府はさらに一段の努力をもって綱紀の粛正と不当事項の一掃に努むべきであることなど、十七項目に及んでおりますが、これは審査報告書に掲げてありますので、ごらんを願いたいと存じます。
 委員会は、去る十二月十四日締めくくりの総括質疑を行なった後、質疑を終局し、一月二十四日討論に入りました。この討論の中で、各党各派の委員よりそれぞれ適切な意見が述べられましたが、そのうち特にここで申し述べたいことは、決算の提出手続に関し、現在の報告扱いから正規の議案扱いにすることの必要が強調されたことであります。このことについては、以前に池田総理の所見をもただし、総理より、真摯な態度をもって検討する旨、約されている事柄でもあります。
 かくて討論を終わり、採決の結果、多数をもって、審査報告書のとおり、異議がないと議決いたしました。
 次に、昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算書、昭和三十五年度国有財産無償貸付状況総計算書、昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書の三件につきましても、異議がないと議決いたしました次第であります。
 以上をもって御報告を終わります。(拍手)
#22
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 四件全部を問題に供します。四件は、委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#23
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって四件は、委員長報告のとおり決せられました。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト