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1962/02/13 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 本会議 第7号
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1962/02/13 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 本会議 第7号

#1
第043回国会 本会議 第7号
昭和三十八年二月十三日(水曜日)
   午前十時十八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第七号
  昭和三十八年二月十三日
   午前十時開議
 第一 文化財保護委員会委員の任
  命に関する件
 第二 国務大臣の演説に関する件
 第三 奄美群島復興特別措置法の
  一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 第四 日本専売公社法第四十三条
  の十九の規定に基づき、国会の
  議決を求めるの件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員辞任の
  件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
 一、日程第一 文化財保護委員会委
  員の任命に関する件
 一、日程第二 国務大臣の演説に関
  する件
 一、日程第三 奄美群島復興特別措
  置法の一部を改正する法律案
 一、日程第四 日本専売公社法第四
  十三条の十九の規定に基づき、国
  会の議決を求めるの件
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第五十四番、地方選出議員、熊本県選出、北口龍徳君。
  〔北口龍徳君起立、拍手〕
    ―――――――――――――
#4
○議長(重宗雄三君) 議長は、本院規則第三十条により、北口龍徳君を法務委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○議長(重宗雄三君) この際、お諮りいたします。
 千葉信君から、裁判官弾劾裁判所裁判員を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、
 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
#9
○中村順造君 本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#10
○村上春藏君 ただいまの中村君の動議に賛成いたします。
#11
○議長(重宗雄三君) 中村君の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 よって議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に稲葉誠一君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#13
○議長(重宗雄三君) 日程第一、文化財保護委員会委員の任命に関する件を議題といたします。
 内閣から、文化財保護法第九条第一項の規定により、河原春作君、矢代幸雄君を文化財保護委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。
 本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#14
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#15
○議長(重宗雄三君) 日程第二、国務大臣の演説に関する件。
 軍政農林大臣から、農業基本法に基づく昭和三十七年度年次報告及び昭和三十八年度農業施策について、発言を求められております。発言を許します。重政農林大臣。
  〔国務大臣軍政誠之君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(重政誠之君) 先般、国会に提出いたしました「昭和三十七年度農業の動向に関する年次報告」及び「昭和三十八年度に講じようとする農業施策」について、その概要を御説明いたします。
 申すまでもなく、これらの報告及び文書は、それぞれ農業基本法第六条及び第七条に基づいて、政府が毎年、国会に提出するもりの三十七年度分であります。
 まず、「昭和三十七年度農業の動向に関する年次報告」について御説明いたします。
 この年次報告は、「第一部農業の動向」と「第二部農業に関して講じた施策」に分かれております。「第一部農業の動向」においては、農業基本法の趣旨に沿い、農業の生産性及び農業従事者の生活水準の動向を中心課題として、それに関連する農業の動向を分析するといち考えのもとに、現状において利用可能な信憑性のある統計資料に基づいて、できるだけ客観的に実態を把握し、これについての政府の所見を明らかにすることとし、検討分析の対象は三十六年度を中心に、可能な限り三十七年度にも及んでおります。
 その概要を申し述べますと、三十六年度には、下期の景気調整にもかかわらず国民経済は前二年に続き著しく高い成長を遂げ、これに伴って農産物需要の高度化や農家人口の移動、さらには国際環境の変化等、農業をめぐる諸条件の変貌は著しいものがありました。その中にあって、農業はそれ自身としてはかなり高い成長を示し、農業の生産性も農業従事者の生活水準も向上をみたのであります。しかし、他産業と比較した場合には、その急速な成長に農業が歩調を合わせられなかった点も見受けられます。また、農業自体について検討しますと、種々問題と思われる諸現象がみられるのであります。
 まず、農産物の需給と価格についてみますと、野菜、果実、畜産物などいわゆる成長農産物の需給と価格の不安定な変動が目立っており、その背後には、これら農産物の需要の変化に対して、生産、販売、流通面での対応が必ずしも円滑に進んでいないといろ事情があると思われます。
 次に、農業生産についてみますと、気象災害に加えて耕地転用の増加、裏作の減少等もあり、耕種生産が停滞的であった反面、畜産等の伸長によって、農業生産はほぼ国民所得倍増計画で予想した伸び率を示しております。しかし、畜産、特に養鶏、養豚の伸長は飼料輸入の増大を招いております。また、成長農産物の新しい産地の形成への動きがみられますが、まだ産地として十分定着するに至らないものが少なくありません。農業技術の面では、農家人口の流出に伴う農繁期労働力の不足と農業労賃の高騰等の諸情勢の中にあって、労働節約的栽培法の普及や機械化の進展にはかなり著しいものがあるとはいえ、まだ一貫した機械化作業体系は確立されていない現状であります。
 次に、農業経営の動向についてみますと、中小規模農家の兼業化の傾向と経営規模の大きな専業農家の上向き傾向とが目立ってきておりますが、全体的には、農地移動はやや活発化しているものの、なお非流動的であり、地価の水準もまだ高く、また、経営高度化のための資金の供給について量的にも制度的にも問題があり、さらにすぐれた経営担当者の養成と確保の必要等、経営条件はなおきびしいといわざるを得ません。以上は第一部の概要であります。
 次に、「第二部農業に関して講じた施策」について申し上げますと、これは第一部と同様、昭和三十六年度を中心として必要な限り三十七年度にも及んで、政府が農業に関して講じた諸施策をできるだけ客観的に、農業基本法に掲げる施策の事項に従って記述したものであります。
 最後に、「昭和三十八年度において講じようとする農業施策」についてその概要を申し述べます。
 この文書は、年次報告にかかる農業の動向を考慮して、来年度において政府が講じようとする農業施策を明らかにしたものであります。
 最近における農業の動向は、ただいま御説明したとおりでありますが、このような動向に対処して農業の一そうの発展をはかるためにも、また、最近における国際環境の変化に適応して農業の国際競争力を強化するためにも、生産、価格流通、技術、経営の各面にわたる体制の整備をはかることが必要でありますが、なかんづく農業構造の改善をはかることがきわめて重要であると考えられます。したがって、政府としては、今後、構造改善に関する諸施策を根強く展開することが必要でありますが、この際特に留意すべきことは、農業者が安心して構造改善を進めることができるような基本的条件を着々整備して参ることであると存じます。
 このような考え方に基づき、昭和三十八年度の農業施策としては、生産の選択的拡大、生産基盤の整備、技術の高度化、経常の近代化等、農業の構造改善をはかる上において重要と思われる諸施策を推進することとし、特に構造改善を進めるについて不可欠な長期低利資金の確保を第一義として取り上げ、同時に、価格安定と流通の合理化に関する施策を一段と拡充強化する等、農業の構造改善を安定的に進めるための体制を整備することをその基本方針としております。
 との文書においては、以上の基本方針のもとに、昭和三十八年度において講じようとする諸施策を、おおむね農業基本法第二条の項目の分類に従って、農林省所管事項にとどまらず各省所管事項を含め、農業に関する施策全般について記述いたしております。
 以上、年次報告及び三十八年度農業施策について、その概要を御説明した次第であります。(拍手)
#17
○議長(重宗雄三君) ただいまの演説に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。安田敏雄君。
  〔安田敏雄君登壇、拍手〕
#18
○安田敏雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま説明のありました農業基本法に基づく昭和三十七年度農業年次報告及び昭和三十八年度農業施策に関連して、政府の農業政策に対する方針並びに具体策について、質問を行なうものであります。
 質問に入ります前に、報告と施策について少しく意見を申し上げます。
 年次報告は、農業白書ともいわれるものであって、農業基本法施行後第二回目の公表であります。公表後の新聞その他の世論によれば、「農政当局のみずからの慰め」「見せかけの繁栄と白書」「達成にほど遠い農基法の課題」及び「農業政策はこれでよいのか」というように、痛烈な批判を浴びております。特に、格差縮小の問題、価格、流通対策の不備については、激しく非難されていることであります。政府はこれらの世論にすなおに耳を傾け、農民のために抜本的な農政を確立せんことを、まずもって要望するものであります。(拍手)
 年次報告は、一応日本農業の現状を詳細に説明しておりますが、客観的な分析に乏しいことであります。具体的にいえば、政府の農業政策がはたして農業基本法の予想する方向に動いているのか、動いているとすれば政策上の効果がどのような成果となって現われているのか、また動いていないとすれば政策上の欠陥がどこにあるのだ、ということが明らかにされておりません。ことに不思議なことは、講じました政策が、あれもこれも行ないましたと報告しておりますが、その結果がどうなったかということの説明が欠けておりまして、施策が基本法の目標とする路線に乗っているのかどうかが明瞭でないことであります。
 次に、新施策は、構造改善をするための長期低利の金融制度創設以外注目すべき政策は見当たらず、単に新年度予算と法案の説明を受けているという感じであります。池田内閣が、苦悩する農業の重要課題に対して意欲的な取り組みが乏しいことを痛感するものであります。
 質問の第一は、年次報告の作成と農政審議会のあり方についてであります。年次報告の作成は、農林省の各部局が縦割り行政に沿って、列挙方式をとり、総括したものを、調査機能を持たない形式的な審議機関たる農政審議会に付議承認を求めたものでありますから、客観的に妥当な意見は生まれないし、農林省当局のひとりよがりに陥る危険性もあるのであります。そこで、年次報告の権威をより高めるためには、農政審議会に調査機関を設置し、農林省の各部局より資料を提出させ、これを総括したものに審議会自体で批判検討を加えたものを公表し、その後の農政の方向を打ち出す仕組みでなければならないと存じます。農林大臣の所見と、経済一般から見た観点に立って経企長官の意見をお伺いいたします。
 なお、今回の報告に対して農政審議会の意見が報告されていないが、私は当然意見があってしかるべきだと思いますけれども、この点についてもあわせて農林大臣の答弁を求めます。
 質問の第二は、農業所得とこれに関連する問題についてであります。報告は、農業生産の増加と農産物価格の上昇によって農業所得は堅実な伸びを示し、農業外所得も増大したので、農家所得の伸びはめざましく、農民所得の上昇率は前年に比し四%増加し、三十六年度の農家所得は全国平均四十五万九千円に達したので、国民所得倍増計画の年成長に相応する高さにあるから、農業従事者の生活水準の上昇は大きかったと評価しているのであります。しかしながら、このことは、農業基本法が実施されてその効果が上がったことに基因するものではなく、また農業本来の所得が急速に伸びたことを物語っているものでもありません。それらは主として農業外の兼業勤労収入がふえた結果であって、農業を主婦や老人等のいわゆる三ちゃん農業にまかせて、農業本来の従事者が農業外のかせぎに出ていったからであります。明らかに、農業の収入では家計費がまかない得ないから、農業外の収入に依存せざるを得なくなったという、現実の結果にほかならないものであります。それでも農家が他産業従事者との所得格差をどうにかころにか保ち得たのは、農業外のかせぎに負うところが大きかったことを、政府は特に銘記されたいのであります。
 また、年次報告によれば、農業経営の変化に伴い、第二種兼業農家が増加し、それが上層農家に及んで、その分岐点が一町五反に上昇し、過半数を兼業農家で占めるに至っているとしております。まさに池田内閣の農政が中農層以下六割の農民を切り捨てる傾向が現われてきたことを証明するものであって、総理のしばしば言われるように、農村は民族の苗しろなどとは断じて言えないことであります。
 そこで、第一点としてお尋ねしたいことは、総理は、農村の発展こそが所得格差を縮小し近代国家を作るものであると主張せられておりますが、兼業農家が農村の発展に通ずることになるのか、それとも、兼業農家を減少して、しかる後に農業生産を高めることによって農村の発展をはかろうとするのか、だとすれば兼業対策にどのように対処するのか、総理の基本的考え方をお示しいただきたいと思います。
 第二点として、農村から他産業への職業的移動人口は、三十六年まで三カ年間に三十三万、三十六万、四十万人と増加しているのであります。その中で臨時工、社外工が非常に多いことであります。これらの雇用関係はおおむね不安定のため、経済の変動いかんによっては、いつ首切りになるかという心配がつきまとうので、農民は農用地を手放すことができません。したがって、母ちゃん農業や三ちゃん農業にまかせていたのでは生産性は上がらないし、農業発展の損失ともなるのであります。しかるに、現在各企業はエスカレーター式年功序列型賃金制度をとっているために、これらの臨時工を正規な社内工として採用することは困難なことであります。問題解決のために、労働大臣の考え方をお尋ねいたします。また、農業より移動せる賃金労働者の生活安定のためにも、全国一律最低賃金制の確立が必要と考えますが、あわせて所見をお伺いいたします。
 質問の第三は、他産業との所得格差の縮小についてであります。報告でも、一般の産業情勢が芳ばしくなかった昭和三十六年度においても、格差が是正されるに至らなかったことを告白しているのであります。ちなみに、農産物販売額年間七十万円以上の農家は、全国で六万六千戸であって、全国六百万農家に対して、まことに僅少な数字であります。日本農業の零細性を一そう浮き彫りにしたものであって、これでは、他産業との格差を縮小するなどということは、木に縁って魚を求めるのたとえのごとく、不可能なことであると言わねばなりません。新しい施策では、政府は、生産の選択的拡大を柱として構造改善を推進せんとしておりますが、はたして所得格差の是正が可能かどうか。かりに可能なりとするならば、昭和三十六年度就業人口一人当たりの実質国民所得の前年度上昇率、非農業一〇%、農業四%を、三十七年度以降三十八年度に及んで、どの程度縮小させる目標を定めているのでありますか。また、その目標を達成し得る可能性について、総理及び経済企画庁長官の答弁を求めるものであります。
 第四の質問は、農産物の需給と価格についてお尋ねいたします。
 年次報告は、三十六年度の農業所得が増大したのは、農畜産物価が八・七%と戦後最高の値上がりを示したことが大きかったとしており、反面、全体的に成長農産物は価格の騰落が激しかったと説明し、その原因を、需給変化の激しさと、生産条件の不安定によるものと報告していることであります。しかるに、現在、主要農畜産物の価格は、その八割までが農安法、畜安法、繭糸価格安定法、食管制度等によって、それぞれの基準価格をささえられているはずでありますが、その基準価格が現状の実態とかけ離れているため、それが営農上に差しさわりがあることを反省しないで、価格変動の原因を、需給事情と生産条件に基因するとの政府の見解は、断じて容認しがたいことであります。
 古くから世間では、一般的に農産物の値段は、小売値段を百円とすれば、農家手取りは、四分の一に当たる二十五円以下であって、お百姓さんは気の毒だといわれているのであります。こんなことでは、たとえ生産性を高めても、農業では食っていけるはずはないのであります。価格変動の激しさは、政府の価格政策の不備と、流通機構対策の欠除によるものであって、歴代保守党内閣の責任といわなければなりません。池田内閣も、しばしば政策の欠陥を認めて、先年、当時の農林大臣であった河野さんが、市場制度の改革を断行するとの方針から、その可否は別といたしまして、国営市場開設を提唱した経過がありますが、今日に至ってもいまだに具体策が講ぜられず、単なるアドバルーンに終わりつつあることは、まことに惜しみても余りあることであります。また、乳価問題にいたしましても、乳業メーカーの色物重点の販売策が消費の伸び悩みを生み、政府が生産予察を誤って、乳製品の輸入を行なう失政を犯したことなどが重なり合って、乳価値下げの原因となっていることであります。牛乳生産の伸びは、農林省予想一三%に対し、実績一五%増であって、決して生産が過剰であったとは考えられません。まさに酪農農民を犠牲にした乳業資本擁護の行政といわなければなりません。
 次に、新政策によれば、農畜産物については、価格の安定と流通の合理化をはかり、食管制度に検討を講ずると述べております。その施策のいずれも、単なる拡充策であって、抜本的な解決策とは考えられないのであります。農畜産物の価格については、政府は、米以外には、わが党の主張する生産費及び所得の保証方式をとっていないところに問題があるわけでありますから、政府が、ほんとうに本気になって農業の発展を期するならば、当然、わが党の主張をいれて、現在より以上高い次元において、確たる価格形成を確立すべきものと考えるものであります。
 特にこの際、政府がすみやかに実施されたいことは、牛乳についてであります。牛乳は、将来、需要の面で、十年間に四倍も伸びるといわれておりまして、国民食糧として、米と肩を並べて重要な柱でありますが、三十七年度原料乳基準価格は、一升五十二円であります。これでは、全く生産者を無視した赤字価格であって、酪農の発展にも大きな支障を生ずるものでありますから、当然、生産費所得保証を建前とする基準価格を定めるべきであります。
 いま一つは、繭糸価格についてであります。この基準安定下位価格は十七万一千円となっておりますが、近来、内外需要の増大により、市場取引価格は三十万円をはるかにこえておりまして、あまりにも現実とかけ離れております。この際、実勢に見合う大幅な改定をすることが妥当だと思います。以上、農林大臣の所見をお伺い申し上げます。同時に、乳価と繭糸価、これらについて経企庁長官の御意見をあわせてお示し願いたいと思います。
 次に、流通機構のあり方については、その内部に前近代的な多くの慣習が残っていて、あらゆる面に近代化の必要が迫られております。抜本的な改革の必要を痛感するものであります。また、食管制度は堅持していくことを建前に検討するのかどらか、あわせて農林大臣の所見をお聞きいたすものであります。
 質問の第五は、貿易の自由化、特に農業に及ぼす影響についてであります。年次報告は、日本が英国、西ドイツに次ぐ農産物の主要輸入国として輸出国から期待されている旨が明らかにされておりますが、自由化が国内農業にもたらす影響については、少しも触れていないことであります。たとえば、昨年政府が輸入した乳製品が国内酪農を圧迫したことに対しましても、反省がないことは、まことに遺憾なことであります。農業政策が一貫性のある堅実な歩みをしているかどうかの有無は、自由化によってためされることを想定いたしますとき、農業が生産性の向上によって国際競争力を強化するとの構想、それだけでは、農業の貿易問題は解決できがたいのではないでしょうか。むしろ国際競争力をつけるためには、農畜産物の集荷、処理、加工及び販売面での合理化こそ、喫緊の要件であることを信じます。現実に、成長農産物としての果実、畜産物が、自由化の必然性に、危機に追いこまれている状況でありますから、慎重な対策を必要としなければなりません。たとえば、酪農製品は輸入額が少ないからといって、一部工業製品の身がわりとして自由化品目に加えてはなりません。腰をすえてじっくりと酪農の育成をすれば、農地は狭くても、土地の集約化の可能性は高まりますので、低い生産費で大量に乳製品を供給するようになれることと確信するものであります。また、バナナ、甘味資源等の自由化が、果実、テンサイにもたらす悪影響は、はかり知れないものであります。この際、IMF八条国移行の問題とも関連して、農畜産物の自由化対策について、総理並びに農林大臣の基本方針をお伺いいたします。
 次に、質問の第六として、農業構造改善事業に触れてみたいと思います。
 農業基本法制定後、政府が一枚看板として推進して参りました構造改善事業は、地区指定をめぐって多くの混乱を経て参ったものでありますが、農林省が現地におもむき、総力をあげての説得指導の結果、十二月末、パイロット六十二地区、一般指定百六十五地区の計画承認を終わり、政府もようやく面目を保ち得たわけであります。報告によれば、この事業は、従来の農村関係の補助をはるかに上回る高率補助事業であることが強調されているだけで、計画地区においての混乱または返上の状況、理由が説明されておりません。私はどういう点にこの事業の不備があるかを知りたかったのでありますが、まことに残念でなりません。次に講じようとする施策によれば、低利の金融制度を確立する、地方交付税の算出基礎に所要経費を算入する、起債の対象とする、というような条件緩和策をとっていますが、補助率は依然として二分の一であり、事業の大半は農民の負担であります。構造改善の本質は、日本農業の宿命といわれる経営規模の零細性を克服することにありますから、国の責任における農用地の拡大と、農民の自主的共同経常を中心として、構造改善は推進されるものと信じます。いたずらに主産地形成や適地適産を押しつけ、価格保証の裏づけもせず、農業構造を改善させようとして、その事業費の大半を農民に負担させるところに、混乱が生ずるのであります。政府が真剣に構造改善に取り組む覚悟ならば、国の責任で資金調達を行ない、国有地の開放利用を積極化し、もって農用地の拡大を推し進め、基盤整備を行ない、その上に農民の責任で農業経営を推進するということでなければならないと確信をいたすものであります。この際、事業の補助率を大幅に改定する必要を痛感するものでありますが、農林大臣の答弁を求める次第であります。
 質問の第七は、軍事基地周辺の営農阻害の補償問題についてであります。年次報告は、軍事基地周辺の農村の実情を報告していないことは、片手落ちの報告といわなければなりません。先年、池田総理は、国会の答弁で、軍事基地周辺の損害補償について、一文惜しみをして百害あってはならないことを明らかにしております。営農阻害の補償交渉が地元農民と施設庁との間で妥結した際でも、大蔵当局の容喙によって予算措置が渋滞し、問題の解決がつかない場合があります。ききの総理の言明と食い違うものでありますが、総理の善処を要望し、その見解をお伺いいたします。
 最後に、新政策の裏づけとなる予算についてお尋ねいたします。国民所得倍増計画は、特に農業と他産業との格差是正の必要を明らかにしておりますが、本年度農林予算は二千五百三十一億円で、総予算の二兆八千五百億円に比し、八・九%に当たります。これを三十六年度一〇・九%、三十七年度一〇%と比較すれば、農林予算の割合は低下しているのであります。また、農業基本法第四条は、農業生産性の向上と他産業従事者との所得の均衡をはかるために必要な財政措置を講ずべきことを規定しておりますが、その第三年目に当たる本年度農林予算が総予算の八・九%と、実質的にはともかく、名目上でも一〇%の線を下回っていることは、まことに遺憾なことであって、政府の農政に対する熱意を疑わざるを得ません。しかも、予算の中心になっている構造改善事業は、前にも申し上げたように、補助率が二分の一という線が破られず、また、米麦を除いて、成長農産物といわれる畜産、果樹、蔬菜等に対して、思い切った価格安定の措置が講ぜられていないのであります。はたしてこの予算で所得格差是正の目的が達成せられますか、まことに憂慮にたえないところであります。総理の御答弁を求めます。
 終わりに際しまして申し上げたいことは、農業基本法制定後三年目にして農政と農業の矛盾が現われて参りました。農基法は、もはや中農層以下の農民追い出し政策ではないかと農民は知ってきているのであります。自民党池田政府の高度経済成長政策は、常に明るい面と暗い面がつきまとっているのであります。その暗い面にある農民にとっては、所得倍増計画は、もはや構想でも計画でもなくて、幻想に終わるやもしれないことを私は憂えるものであります。最近の経済合理主義にのっとる自由競争の渦巻きの中で、農業がたとい生産性を上昇したといたしましても、現実のもろもろの仕組みのままでは、農業は他産業に追いつくことができるかどうか、まことに疑わざるを得ないのであります。私は、むしろますます格差が拡大していくものとしか考えられないのであります。ここに抜本的な農業保護政策の確立の必要性を政府に要望し、私の質問を終わるものであります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点は、農業と他産業との格差の問題、そして農業自体の兼業関係と承知いたしております。
 御承知のとおり、国民生活の安定と向上のためには、高度経済政策が必要であることはもちろんでございますが、高度経済成長政策を行ないますときに、直ちに問題になるのは農業関係でございます。したがいまして、私は、所得倍増政策を打ち立てると同時に、農業に対して、基本的な、抜本的な政策を確立しなければならぬということを唱えたのであります。その結果といたしまして農業基本法を制定いたしまして、着々農業の発展のためにやっておるのであります。しかし、いかんぜん、農業には、御承知のとおり、自然的、社会的、経済的非常な難点があるのであります。しかも、片一方の工業その他の商業におきましては、私の想像以上な成長を遂げたのであります。想像以上の成長、すなわち、三十四年、三十五年、三十六年の成長は一五%程度の成長でございまして、世界の歴史にないそういう成長に沿って、農業との間の格差は、それは予定よりも縮まりません。これは農業の持っておる内在的な原因でございます。しかし、経済の成長がほんとうに安定して参りますと、だんだんその格差が縮まっていくと私は考えておるのでございます。また、縮まらすようにするのが政策の根本であるのであります。したがいまして、そういうふうに農業自体をりっぱな企業としていく場合におきましては、やはり選択的の拡大とか、あるいは農業基盤の強化等、いろいろの施策をしていかなければならない、それがだんだんその緒についておるのであります。こういう過程のときにおきましては、経営規模が一ぺんに大きくなるわけじゃございませんから、だんだん経営規模が大きくなると同様に、兼営農家がふえてくることは当然の結果でございます。しこうして、兼営農家のほうに対しましては、やはり兼業する場合の雇用の機会の増大とか、雇用条件の拡大をはかっていくことは当然やらなければならぬ仕事であるのであります。したがいまして、私は、経済の安定成長に伴って、だんだん格差が減っていきますし、減っていくような施策を今後とも強力に進めていかなければならぬと考えておるのであります。
 なお、農産物の自由化につきましては、たびたび申し上げておりますとおり、日本の農業がりっぱに立ち行く見通しをつけながら自由化を進めていくという考えでございます。
 なお、基地付近の産業に及ぼす影響について、政府はこれが対策を講ぜよ。――この基地付近におきまする農業を初めとし、他産業の育成、あるいは受けられた損害に対しての補償は、最近とみに事務は進捗しておると考えております。(拍手)
  〔国務大臣重政誠之君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(重政誠之君) 第一点は、農政審議会を活用するために事務局を設けるべきではないかという御質問でありますが、現在、農政審議会の運用は、必要に応じまして専門委員を任命せられまして、専門事項ごとに十分審議をせられており、さらに農林省におきましては、大臣官房に審議官を置きまして、それぞれその事務をとらしておるわけであります。農政審議会も、数回にわたりまして熱心に論議をせられて国会に提出する原案が作られた次第であります。しかし、御報告申しました年次報告が完璧であるとは申されたのであります。それは、まだ本年が第二回であります。これは年とともに十分に完璧を期していきたいと考えておるのであります。現在のととろ、事務局を特に設けなければならぬというような考えは持っておりません。
 それから、所得の格差が縮小しておらぬではないかという御質問であります。これはただいま総理から詳細お述べになりましたとおりでありますが、これは長い目で見ていただかなければならぬと思うのでありますが、年次報告で報告をいたしておりますとおりに、農業におきましても、大体この倍増計画で計画をせられております生産性の向上は、四%程度のものは生産性は向上いたしておるのであります。さらに、農業の所得につきましても、私どもの調査によりますと一一七%の増加がある。そして、そのうち農業外の所得を除きまして、純粋農業の所得としては七・九%、約八%前後のものが所得が増大をいたしておるのであります。そういうわけで、農業としては農家所得も生産性の向上も十分ではございませんが向上いたしております。しかるにその所得の格差が縮まらないというのは、先ほど総理の御説明のとおりに鉱工業、商業、第二次、第三次の産業の方面の所得の伸び、生産性の伸びというものが飛躍的に伸張をいたした。そこで関係的にその格差が縮まらぬという次第であろうと思うのであります。しかし、これは決して満足いたしておるわけではございません。さらに農業構造の改善事業等を進めて、農業の体質の改善によってできるだけこの格差を縮めていきたい、こう考えておる次第であります。
 次に、価格政策について、すべての農産物について生産費所得補償方式を採用しなければだめではないかという御所見でありますが、これはお言葉を返すようでありますが、私は、農産物の価格政策は現在農安法及び畜安法において採用いたしております支持政策、価格支持の方式というものが、私は原則的にならなければならぬと思っておるのであります。米につきましては、特にこれは農業所得の重大な部分を占めておるわけであります。農家所得の形成上から見ましても、また零細な経営規模から見て、その生産性が非常に低いというような点から見まして、これは他の農産物と別個の取り扱いをいたして生産費所得補償方式を採用いたしておるものと考えるのであります。
 牛乳につきまして、一升五十二円は安過ぎるのではないかというようなお話もございますが、これは御承知のとおりに、審議会におきまして十分御審議を願って、現在のところは五十二円ということになっておるわけであります。当然これはいろいろの条件が変わって参りますれば、あるいは値上げになるというようなことになるかもわかりませんが、いずれこれは近く審議会において御審議をして御決定をいただくことになると思うのであります。
 食管制度の問題について、これは現行の制度をそのまま維持するかどうかという御質問でありましたが、これは御承知のとおりに、前農林大臣の時代に農林省内に松村懇談会を作りまして熱心に長期間にわたって御審議を願い、その結論、御答申を得たのでありますが、御承知のとおり、これは三木の意見が出たわけであります。その三つの御意見がありますが、大体その過半数以上と申しますか、八、九割の委員諸君のお考えは、現行の制度はある程度のこれは改善の手を加えるべきであるというのが、私は大体その御意見のように受け取っておるのであります。そこで、私どもはこれは実に重大な問題でございますから、さらにでき得るならば、法的の正式の調査会をお作りを願って、そして十分に御審議を願って結論を得たい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なお、貿易自由化の対策についていろいろ御意見がございました。総理から御答弁のございましたとおりでありますが、現在私といたしましては、貿易自由化というのは、これは国策であり、また世界のこれは大勢であり、日本としてはやらなければならぬ問題であるから、農産物はその全部がこの例外であるというわけには参らないと思う。できるだけこの方針に従いまして、段階的に、あるいは関税政策あるいはその他の経済政策を樹立いたしまして、段階的にこれらの農産物の自由化を実施して参ったことは御承知のとおりであります。しかしながら、米麦でありますとか、あるいは酪農製品というような農家所得の形成上重大な農畜産品あるいはまた農業経営上の日本の特質からいたしまして、その生産性が非常に劣っているというようなものを、現時点において直ちに自由化するということは適当でない、こういうふうに考えておるのであります。しかしながら、だからといって、しからば、酪農製品のごときものも自由化しないから、永久にこのままでいこうというような前提で酪農経営というものをやってはならない。これはあくまでも経営の合理化をやる、構造改善を推進をいたしまして、その生産コストのダウンをやる、そうして国際的の競争力を強めていこう、こういう方向に進まなければならぬと考えております。
 構造改善事業推進について、農民の負担が多過ぎるから、これを軽減する必要がある、そのためには、政府は五割の補助率をさらに上げる考えはないかという御質問がございました。これは、そういう負担軽減の声もいろいろございますので、今回政府の補助率は五割として、各府県において二割程度の補助率のかさ上げをひとつやってもらいたい、こういうことで、特にこの構造改善をやっている、土地基盤整備をやっている方面に対して、地方交付税をその方面にさいて、これを財源として、二割程度のかさ上げをしてもらうことに関係大臣と意見の一致を見て、すでに各府県にその通知を出したようなわけであります。さらには、御承知の低利及び長期の金融制度を創設いたしまして、資金面におきましても、これを援助していく、こういう方策をとっておるのでありますから、私は相当農家の負担は軽減せられるものと考えておるのであります。
 農林予算についていろいろお述べになりましたが、私の見るところといたしますと、三十八年度の農林予算は、三十七年度に比較いたしまして、表面上は三十八億円の増となっておりますが、実質的には約三百億円余りの予算増になっておると考え、そのものが新しい政策に使われておる、こういうふうに見ておるのであります。それは申すまでもなく、食管会計への一般会計からの繰り入れがっ減たこと、さらに災害の予算が減ったことというようなことによりまして、実質的に三百二十億円、まあ三百億円余りのものが実質的には農林予算が増加をしている、こういうふうに考えておるのであります。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) 所得倍増計画におきまして、第一次産業、第二次産業、第三次産業の毎年の実質の個人所得の伸びは、大体五・五――第一次だけが五・六でございますが、五・五というふうに想定をしておったわけでございます。そこで、ただいま安田さんの仰せになりましたように、昭和三十二年の基準年次から三十六年度までの伸びを見てみますと、第一次が八であり、第二次産業が八・九でありますか、九・九でございますか、第三次が七・九と、こういうことでございますから、これで見る限り、格差というものは確かに縮まっておらない、第一次と第二次との間では縮まっておらないではないかという御指摘は、その間に関する限り、そのとおりであります。その場合、先ほど、三十六年度のごとき鉱工業生産が沈滞した年であっても、というふうに仰せられたわけでありますが、それは、景気調整が現実にとられましたのが三十六年の秋ごろでございましたので、その結果が出て参りましたのは、御承知のように三十七年春だいぶ途中になってからでございました。したがって、三十六年度の第二次産業の所得は実は非常に高かったわけでございます。そのことが、第一次と第二次との格差が御指摘のように縮まらずに、若干ではありますが開いたという結果になったと分析をしております。したがって昭和三十七年度は、私ども国民総生産を実質で四余り、名目で六余りと見ておるのでありますが、農業の個人所得は、その間にあって八・九ないし九%の増加がある、成長がある、このように見ております。これはやはり三十七年度には鉱工業生産活動が相当低かったということの一つには反映でありますが、他方には、米価等を中心とするところの農業所得を増大させる要因が強かった、こういうことであったと思うのでございます。
 それから自由化の問題について御指摘がございましたが、多少具体的に申し上げますと、今年の秋ごろには、わが国として残存輸入制限をいたすべき品目について、ある程度の考えを確定をいたしましてガットに示す必要があると思います。その際に、しばらくして自由化するものと、当面自由化いたさないものとを分けていかなければならないと思っておりますが、自由化は日本経済のためではございますけれども、しかし、米麦については問題がございません。問題は酪農製品であろうと思いますが、これを中心として農業の構造改善をやるということのほうが、当面わが国の経済を健全にするために、より必要であるというふうに考えます。したがって、私どもは酪農製品は当面自由化しないものとして残存輸入制限の中に入れたいと思っております。そういう決心をいたしておりますし、また、実はガット当局などとも、多少将来のことですが、そういうことについての接触を始めておりますが、私どもはそれができると、当面自由化しない残存輸入制限の中に置くことができると、こういうふうに見通しております。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(大橋武夫君) 農業から他産業へ出ました労働者の中には、いわゆる出かせぎという形のものがかなりありますので、統計上で見ますと、常用名義で採用されるものの割合が低くなっておると思われます。しかし、いわゆる木工あるいは木採用などの常用労働者の割合は、数年来漸次上昇をいたしております。労働省といたしましては、交通不便な農村地帯に職業安定協力員を配置するなど、職業紹介機能を拡充し、また、技能のない者に対する職業訓練を強化し、さらに農林省が三十六年度から全国都道府県及び市町村の各段階に設置しております農業労働力調整協議会への積極的な協力を行ないます等、農業から他産業への転職の円滑化にあわせまして、その転職者の雇用形態の改善に努めているのでございまして、今後も努力をいたしたいと思います。また、これらの労働者の中には、労働条件について問題のある場合も少なくございません。この点につきましては、総合的な産業政策を通じて、これが根本的解決に努力されるのはもちろんでございますが、これと相待ちまして、特に労働基準法に基づく監督を通じて、法に定める労働条件の確保に努め、中小企業労務管理改善指導、その他の行政指導を通じまして、これらの労働者の労働条件の向上と生活の安定に努めて参りたいと思います。特に最低賃金制につきましては、適用労働者の拡大の計画を立て、これを推進いたしているのでありますが、さしあたり、この方針を進めて参りたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(重宗雄三君) 牛田寛君。
  〔牛田寛君登壇、拍手〕
#24
○牛田寛君 私は公明会を代表して、ただいま説明のありました農業年次報告並びに農業施策について、総理大臣及び農林大臣に重点的に質問申し上げたいと存じます。
 質問の第一は、所得格差縮小の目標と、その見通しについてであります。
 農業と他産業との所得格差を縮小することは、農業基本法の根本問題でありますが、わが国農業の理想的なあり方として、この格差をどの程度まで縮小させるべきであるか、その目標と、これに到達するのはいつごろになるか、その見通しを立てられているかどらか、この点を明らかにしていただきたいのであります。
 質問の第二は、農業の生産性についての問題であります。
 近代化、協業化等が進んでいるにもかかわらず、農業の生産性は他産業のそれに比べてますますその格差が増加しつつあります。製造業に対する比較生産性は、三十五年度において二五・九%、三十六年には二五・三%、また、非農業に対して、三十五年には二八・六%、三十六年に二七%と、低下しつつある事実が報告されております。兼業農家数の増加、また、その規模が拡大しつつあることが、農業と他産業との生産性格差の拡大に大きく影響していると考えられるのであります。これは高度経済成長がもたらした労働力の急速な移動から生じました生産の頭打ちであると見られるのでありますが、政府はどのようにこれに対処されるのかを承りたい。また、農家数増減の分岐点にある一・五町を中心とする経営規模の専業農家層は、零細兼業農家と大規模農家との谷間にあって、その経営の悪化が著しいと見られるのでありますが、これらの成長過程における犠牲者に対して、政府はどのような援助の手を差し伸べられるのか、この点を明らかにしていただきたい。
 第三は、農業機械化と生産性の向上について質問いたします。報告には、「機械化の進展や省力栽培法の普及等によって、農業の生産も生産性も全体としては引き続き上昇した」と、このように述べているのでありますが、同時にまた、「近年の農業機械化は動力耕耘機の導入を中心に急速であるが、小型機械では、それによる生産性の向上に大きな期待を寄せることは困難である。生産性の向上は大型機械の利用にまつことになる」と、このように報告しております。農機具の物価上昇も加わり、中小農家は過剰投資による経営の圧迫を見ておりますが、このような機械化政策の矛盾を政府はどのように解決されるのか、伺いたいと存じます。
 第四は、経営模規の拡大についてであります。
 兼業農家数の増加に対して、上層農家の経営耕地の増加はなお停滞している実情と見られますが、大規模農家の経営規模拡大について、さらに強力に推進すべきであると考えますが、この具体的対策を伺いたいと思います。なお、報告には、「第二種兼業農家の経営耕地面積の合計は全耕地面積の約二五・五%にあたる。これを三十五年二月現在で算出した一四・八%に比べると、約二カ年の間に全耕地面積の約一割がさらに第二種兼業農家の経営耕地面積となったことがわかる。このような背景のもとに、最近請負耕作の問題が発生してきていることは注目すべきことである。」と、このように述べているが、この請負耕作の事例は、現在何件に達しているか、伺いたい。また、この請負耕作の合理的な解決については、農地法との関連においても、政府はどのように考えておられるか、承りたい。
 また、農業経営の協業化は、経営規模の拡大とともに重要な問題でありますが、その進捗状況については、きわめて簡単な報告にとどまっているのであります。協業化の進捗状況を、特に主産地形成との関連において農林大臣より明らかにされたいのであります。
 第五には、農家蓄積資金の流出の問題についてであります。
 すなわち、農家預貯金の大部分は農協への預貯金でありますが、報告には、この農家預貯金の農業外の流出を指摘しております。すなわち「農協の余裕金は三十六年度末約五千五百億円、このうち八五%は信連預金とし、系統内にある。しかし信連段階では四千億円の余裕金のうち五〇%が系統外に流出している。」と報告されているのであります。また、農林中金段階では二千三百八十億円の余裕金が、非所属団体への貸し出し、有価証券保有の形で、農業外で運用されているのであります。今年度におきましては、農林漁業経営構造改善資金融通制度が設けられ、長期低利の財政資金の見通しがついたとはいえ、実情は、農業構造改善事業について三分五厘の低利資金ワクでございまして、これが三十六億円、この制度資金全部では二百五十六億円程度でありますから、系統金融段階での外部への資金流出を防ぐべきであると考えるのであります。政府は、これら系統外へ流出する資金については、利子補給等の措置によって、長期低利融資として、経営構造改善の資金需要に充てるべきであると思うが、いかがでありますか。
 第六には、制度金融の利用効率についてであります。
 農業近代化資金等においても、報告には、「総花的に融資が行なわれたきらいがある」と述べておりますが、一部には融資後の使い方に多くの問題を残しているように見られるのであります。この点については、農業技術の指導体制の完備と相待って、むだのない資金運用に努力すべきであると考えるが、御所見を伺いたい。
 第七に、貿易自由化の問題についてであります。
 砂糖の自由化を目前に控え、他の農産物についても、いずれは自由化に踏み切らざるを得ない情勢にあることは言うまでもないことでありますが、政府はこの際、国内農産物に対する自由化の影響を明らかにするとともに、国際競争力の弱い農産物に対して、単なる保護政策にとどまることなく、積極的な強化育成のための対策を進めるべきであると考えるが、いかがでありましょうか。
 最後に、利害のからみ合う農業施策の実施にあたっては、政府は、今までのように、利害関係者に対していたずらに右顧左眄することなく、国民的見地から、厳然かつ公正なる態度を要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 農業と他産業との格差はどの程度が適当か、また、それはいつごろできるか、という御質問でございますが、これは、他産業と農業との格差はないにこしたことはございません。均等でいくのが理想でございます。しこうして、いつかという問題は、できるだけ早いほうを望みますが、何分にも、政府はこの格差をなくし、しかも早くなくすることに努力をいたしますが、主体は、やはり農家自体もお考え願わなければならぬことなのでございます。政府は、そういうことが実現するように、極力お助けするという立場で進んでいきたいと考えております。
 なお、兼業農家についての問題でありますが、これは、農業の近代化、合理化の過程においては、自立経営農家ができると同時に、兼業農家が存在し、また増加することは、過程上やむを得ないところであるのであります。したがいまして、われわれは、兼業農家がすみやかに協業化される、一緒になって農業を営まれるように、しかもまた、兼業農家で他の職業につかれる方に対しましては、雇用の改善、雇用機会の増大等々努めていきたいと考えておるのであります。
 なお、農業資金のことにつきましては、全く同感でございます。
 その他の点につきましては、農林大臣からお答えいたすことにいたします。(拍手)
  〔国務大臣重政誠之君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(重政誠之君) お答え申し上げます。
 農業の近代化、機械化が漸次進捗するにかかわらず、農業生産性は低下をしておるではないかという御意見でございましたが、農業の就業人口が減少し、他産業に流出をいたしておるにもかかわらず、投下資本が漸増をいたし、技術が進歩いたしまして、農業生産は年々増加をいたしております。生産性は向上をいたしておるのではないかと思うのであります。
 それから、経営規模の拡大の問題についての御意見でございましたが、一町五反歩以上の農家の経営規模は漸次増加をいたしております。一町五反歩未満の農家の経営規模は減少をいたしておるのであります。漸次、基盤整備、その他農業構造改善事業の推進をいたしまして、この経営規模の拡大に努めたいと考えております。
 それから機械化の問題について、動力耕耘機が小型では一定の限度がある、大型の耕耘機にすべきではないかという御意見でありますが、これは全く同感でございます。
 それから資金の問題について、農協系統の資金が他方面に流出をいたしておるのを、これを農業方面に還元する方策を講じたらどうか、こういう御意見でありましたが、これは御承知のとおり、本年も五百二十億、昭和三十八年度において農協の資金を近代化資金として使うことになっておるのであります。できるだけ、これは御趣旨に沿って、農村に還元をいたしますように努めたいと思います。
 制度金融の利用効率が悪いではないか、むだのないように資金の運用をすべきである、という御意見であります。これはもう全く同感でございます。できるだけそういうことに努めたいと考えております。
 貿易自由化の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでありましで、段階的に、大なる影響の及ばないような方策を講ずるべきものは講じまして、今日まで自由化して参っております。今後におきましても、できるだけあらゆる施策を講じまして、やはり段階的に自由化できるものは自由化する、しかし、米麦あるいは酪農製品のような、農家所縁形成上重大なもの、あるいは日本の零細農業の特質上、生産性が非常に劣っておるというようなものは、現時点においてこれを自由化することはできない、こういうふうに考えておる次第であります。
 最後に、農業政策実施上について、公正に勇敢な態度をもってやれという御激励でありまして、まことにありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(重宗雄三君) 天田勝正君。
  〔天田勝正君登壇、拍手〕
#28
○天田勝正君 私は、民社党を代表して、農業年次報告について、他の議員と重複を避けながら、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 口頭報告は簡潔でございましたが、文書報告はきわめて膨大でありますので、その詳細について批判を加える時間の余裕はございません。これを一音にして評するならば、施策は講じたけれども結果は不成功であったという告白であろうと存じます。
 すなわち、農業基本法の最大の眼目である所得格差については、すでに指摘がございましたとおり、就業者一人当たりの所得は、非農業に対しては二七%、製造業に対しては二五・三%という工合に、むしろ低下いたしておるのであります。このことは、農業施策が他産業の成長に対応して立てられておらないことを示すものであります。経済の変動と農業の変貌を追いかけながら、なお及ばなかった、こういうことであろうと存じます。しかるに、三十八年度において講じようとする農業施策を見ますると、融資の点を除きまして、ほとんど三十七年度の施策の引き継ぎにすぎないのであります。しかも、政府は、三十八年度はわが国経済は調整期を脱して上昇傾向にあると言うておるのでありますから、この状態では、ますます他産業と農業の格差は開く一方でありましょう。
 そこで、総理に伺いますが、以上申し述べた状態から、三十八年度の予定施策は不十分なものと思われますが、この際直ちに改定する気持があるかどうか、または、実施して見て、経過を見て、年度途中においてこれを改定するお気持があられるかどうか、まず伺いたいと存じます。
 質問の第二点は、農林予算は三十七年度に比べて三百二十三億円の実質増加であると誇っておるのでありますが、給与改定を物価値上がりによる予算効果の減殺を見込んだ場合に、三十七年度と比較して、実質的効果の増減は一体どうなるか。本来、公務員の給与は、昨年五月からこれを値上げすべきであり、そうすれば、農林関係の三公団、農業機械化株式会社、あるいはテンサイ振興会等に至るまで、同様に給与改定が行なわれるのであります。また、物価の値上がりは政府もこれを認めておるのでありますから、これまた実質効果は減殺されると思うのであります。政府は、卸売物価は横ばいだと言いますけれども、しかし、施策を受け入れる側の農家、あるいは地方公共団体は、卸売物価では仕事ができないのであります。でありまするから、この点を見込んで、予算効果についてはむしろ私は減ると思いますけれども、これに関する所見を承りたいと存じます。
 質問の第三点は、施策の基礎統計はきわめて粗雑であります。また、ことさらメーカーに都合のよい数字を並べているという節が見られます。例をあげれば、三十六年度下期において豚肉生産者価格は半分以下に暴落いたしまして、養豚農家は崩壊に瀕したのであります。ところが、統計にはその実態は全く現われておらないのであります。農民がこれを見れば、あきれ果てるほかはないでありましょう。また、乳製品の在庫については増大したと強調いたしまして、あたかも乳業メーカーの乳価値下げの肩持ちをしたかのごとくであります。乳製品在庫の増大は大メーカーだけが叫んでおるのでありまして、実際には、ランニング・ストックは皆無ではございませんか。このような実態に合わない統計はどこから算出されたのでありましょうか。明らかにされたいのであります。
 質問の第四点、今回の年次報告は、農業従事者の教育、すなわち農村人づくりを重視したことが特徴と思われます。これは池田内閣の人づくり政策の一環と理解いたすのであります。池田さんがあまり人づくりを強調いたしますから、これはどうも、産めよふやせよということで、日本は再び人口膨張政策をとり始めたのではないかと憂えられた外人があるそうであります。私は、地域職域においてりっぱな有能な人を育成することについて、この際かれこれ申し上げません。しかし、民主政治のもとにおける人づくりは、何よりも役所が庶民を主権者として扱うことが先決であると思うのであります。庶民が役所へ参った場合、主権者として扱われた記憶のある人はまずあるまいと思います。これは、敗戦によってあらゆる階層が打撃を受けた中で、特高を除く官僚組織はそのまま存続したばかりか、戦後、物資不足のおりから、生活全般が統制されまして、その扱い者が官僚であったということから、民主政治にそぐわない風潮が生まれたものだと存じます。特に、お上にへり下だる習慣に閉じ込められて参りました農民を相手とする農林官庁は、まつ先にこの点を改めまして、公僕精神に徹し、農民と一体となって努力をするという態度でなければ、足らない予算の中に農民の協力を得ることはできないし、農村を再建せしむることも望めないと思うのでありますが、この点について総理及び農林大臣はどう考えておられるか、お述べ願いたいと存じます。
 次に、流通機構について伺いたいのであります。わが国の流通機構は、独占資本の支配が進みつつある一方、不合理な封建的な取引慣行が残存いたしているのであります。農産物について言えば、家畜の袖の下の取引や、牛乳が生産者価格の三倍に売られておるなど、世界にその例を見ないのであります。これは、労賃が低いわが国で、サービス料金の上昇ということでは説明できないのであります。肉の生産者価格が暴落しても、消費者の価格は大して下がらない、野菜の消費者価格が暴騰いたしましても、市場における農民の取り分はきわめて低いのであります。わが党は、このことについて、一昨年以来、生鮮食料品の流通及び価格の追跡調査を行なうべきであるということを主張して参りましたが、一向これが実行されておらないのはどうしたわけでございましょうか。これを行なうなうば、生産者、消費者両方の利益が守られると信ずるのでありますが、政府のお考えを承ります。
 なお、これに関連して経済企画庁長官に伺いますが、先進国の中には、消費者省を設けまして、国民生活を守り、適正価格の維持に努めていると聞きますが、わが国では、このようなことはどうもささいな問題として軽視するきらいがあります。この際、管理食料を除く日常生活物資全般にわたって、流通と価格の追跡調査を行なうべきであると存じますが、その用意があられるかどうか承ります。
 最後に、報告によれば、最近の脱農農家数は年間十万戸をこえ、兼業農家数は全体の七三%、うち第二種兼業が四三%をこえるに至った。こういう状態の中に、土地保有については、かって、一町歩以下は減少、それ以上は増加、この状態が、現在はその増減の分岐点が一町五反に上昇し、所得増加の下限もまた一町から一町五反とはね上がって参ったのであります。さらに都市近郊では、三町歩以上の上層農さえも逆に減少の傾向が現われたのであります。今や農村は、上層下層あげて不安動揺の中におののいているのであります。しかるに、政府は、かつて講じた施策、今後講じようとする施策を通じても、土地保有については全くほおかむりであります。かくすれば、来年報告を受けるときは、所得不安は二町歩の線まで上がって参るでありましょう。一体、政府はその施策によって所得増加の下限を幾らの土地保有と考えておられるのか、承りたいのであります。
 さらに問題は、農業に愛情と熱意とを持ちながら、生活のために余儀なく脱農もしくは兼業農に転落している小農について、何らの考慮が払われておらないことであります。これは人道上からもきわめて重大なことと言わなければなりません。わが党は、これら熱意を有する小農に対して、土地面積の制約を受けない畜産、養鶏等の専門農業に育成すべきであると主張して参りましたが、農林大臣のこれに対する見解を承りたいのであります。
 現在わが国の農業は、手おくれと見当違いの農政によって、ますます窮地に追い込まれているといっても過言でありません。私は、昔、監獄で、はやった歌を思い起こします。「無期は出て行く、有期は残る、中の宙ブラリンが死んで出る」というのであります。どうか、かような状態に立ち至らしめないように、有効にして手早い施策を実施されるよう希望いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点は、われわれの農業政策が不十分、不完全であるという御非難でございまするが、私は、日本の農業をりっぱな企業にするためには、今やっておりまする農業の構造改善政策を強力に進めていくよりほかにないと思います。もちろん、構造改善政策を進めていきます場合に、いろいろな新しい施策をつけ加えていくことは必要でございます。そのために今回も農業の近代化資金制度を設けたようなわけでございます。いたずらに農業の改善政策を変更するということはよくない。私は、構造改善政策を進めていくことが農業をりっぱな企業にするゆえんであると考えております。また予算の面につきましても、従来に劣らない相当の金額をつけておることは、先ほど農林大臣がお答えしたとおりであります。
 なおまた、公務員のあり方につきましてのお話でございます。お話のように、公務員は全体のために奉仕するということを憲法で規定されているのであります。われわれ公務員は、常に全体のために奉仕する公僕であるという精神に徹するよう、われわれは指導して参っているのであります。(拍手)
  〔国務大臣重政誠之君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(重政誠之君) お答え申し上げます。
 統計が不備ではないかというような御意見でございましたが、申すまでもなく、農林統計は、統計法に従いまして、それぞれ生産あるいは消費、在庫調査等をやっているのでありまして、虚偽の報告等はやらないことに――制裁を加えることになっておるわけでありますから、現在のところでは、私はこの統計をもとといたし、さらに畜産物については農林省の畜産の関係者によってさらに調べる、こういうことであるから、まずこれで統計としては一応正確を期することができるのではないか、こういうふうに考えているのであります。
 それから先ほどの牛乳の問題に関連いたしまして、酪農製品の買い上げをやった際に在庫調査をやったら、その在庫調査が十分でないじゃないかというような御意見でありましたが、これは御承知のとおりに、乳製品の買い上げは、審議会で定められましたその支持価格を割った場合にやるのでありまして、直接に在庫の量というものが買い上げの発動をやるかどうかということには関係を持っておらないことであります。しかしながら、申すまでもなく、これは値段が下がることは、在庫が多ければその圧力があるから下がるということになるわけでありますが、直接の関連は持っておらないことを申し上げておきます。
 それから流通機構の改善、市場の物的設備の改善だけではいけないのではないかというような御意見もありました。もちろんお説のとおりであります。取引の方法、その内容について、さらに改善を加えていかねばならぬ、こういうふうに考えて、その方向で進んでおるわけであります。中央卸売市場審議会等に諮りまして施策を進めて参りたい、こう考えております。ことに追跡調査をやる必要があるではないかという御意見でございましたが、これは昨年追跡調査を実行をいたしましたが、その結果に基づきまして十分に検討を加える所存であります。
 それから土地の最低限の所有面積が漸次減っていきはしないか、これをどう考えておるかという御質問のようでございましたが、現行は、御承知のとおり、最低は三反歩未満は土地の移動は認めない。零細経営はやらせないようにする。それから最高は、従前は三町歩となっておったのでありますが、先年の農地法の改正によりまして、自家労力で所要労力の半分以上を充足して経営ができる者については三町歩以上であってもいい。これは当然農業近代化の進むにつれましてその要請がございますので、そういう改正をいたしたような次第でございます。
 さらに根本的な問題は、農地制度の研究会を今設定いたしまして、あらゆる部面について今検討いたしておるところでございます。いずれ成案を得ましたら、また御審議をわずらわすことになろうかと考えます。
 兼業農家、ことに第二種兼業農家が増加の趨勢にあるが、これらは専門農家の育成に努めなければならぬではないか、熱意と愛情をもって専門農家を育てろ、こういう御意見でございます。全く同感でございます。ただ、兼業農家、ことに第二種兼業農家をそのまま存続をして、これを専門農家に仕立てるということは、これはちょっとそう簡単には参らない、また、そうすべきものでもないと考えるのでありますが、専業農家の数はできるだけふやすように、そうしてこれは減らないように、あらゆる政策を用いまして育成をしていきたい、とう考えておる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(宮澤喜一君) 追跡調査につきましては、私ども消費者の立場からも最も関心を持っておるところでございます。たとえば昨今のような非常に気象状態が異常でありまして、生鮮食料品の生産流通供給機構について問題を露呈するときでございますが、私ども、農林省に特に御依頼をして、今回の問題についても、生産者の立場ばかりでなく、消費者の立場からも御調査を願いたいということをお願いをいたしまして、幸いにして農林当局におきまして、そういう気持で協力をしていただいておりますので、昨年のような追跡調査を、そういう立場から農林省においてやっていただくということで、当面進んで参りたいと思っております。
#32
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#33
○議長(重宗雄三君) 日程第三、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。方行政委員長石谷憲男君。
  〔石谷憲男君登壇、拍手〕
#34
○石谷憲男君 ただいま議題となりました奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について、委員会における審査の経過と結果について御報告いたします。
 本法案は、奄美群島の産業振興の促進に資するため、現行法の一部を改正して、奄美群島復興信用基金の融資業務に要する資金として、国の出資学三億二千万円を三億七千万円に増額するとともに、これに伴って奄美群島復興信用資金の資本金の額を改めようとするものであります。
 地方行政委員会におきましては、篠田自治大臣より提案理由の説明を聞いた後、当局との間に、奄美群島復興計画並びに今後の対策等について熱心に質疑応答を重ね、慎重審査を行ないました。その詳細については会議録によってごらん願いたいと存じます。
 かくて二月五日質疑を終局し、討論に入りましたところ、西郷委員は、自由民主党を代表して本法案に賛成の旨を述べられ、あわせて各派共同提案にかかる附帯決議案を提出されました。
 その内容は、
  奄美群島復興特別措置法に基く復興計画とこれに伴う国の財政援助は、昭和三十八年度で終了の予定であるが、同群島の現状はなお本土との間に著しく格差があることにかんがみ、政府は引続き次の措置を講ずべきである。
 一、奄美群島の自然的条件を充分に活用し、基幹産業の積極的な振興をはかることを重点とし、あわせて復興計画を補完して所期の効果を充分に達成せしめることを目的とする次期計画をすみやかに樹立し、これが実施を推進するため従前同様国の助成をすること。
 二、奄美群島経済の発展に重要な要素をなす産業資金の融通を円滑にするため、奄美群島復興信用基金を今後も引続き充実するとともに同群島の経済発展に積極的に寄与せしめるよら特段に配意すること。
 というものであります。
 採決の結果、本法案は全会一致をもって政府原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 また、西郷委員提出の右の附帯決議案は、全会一致をもってこれを委員会の決議とすることに決定した次第であります。
 右決議に対し、篠田自治大臣より、決議の趣旨を尊重し、善処する旨を述べられました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#35
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#36
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#37
○議長(重宗雄三君) 日程第四、日本専売公社法第四十三条の十九の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐野廣君。
  〔佐野廣君登壇、拍手〕
#38
○佐野廣君 ただいま議題となりました日本専売公社法第四十三条の十九の規定に基づき、国会の議決を求めるの件につきまして、その内容、委員会の経過及び結果を御報告申し上げます。
 日本専売公社小名浜工場は、昭和二十七年、海水直煮加圧式製塩工場のモデル・プラントとして設立され、その後、塩業整備に伴い、各種塩の製造試験工場として運営されて参ったものでございますが、その設立の本来の目的である海水直煮加圧製塩方式の。パイロット・プラントとしての使命はすでに達成され、また今後、塩の製造試験工場として運営していくことにも問題がございますので、この際、同工場を廃止するために不要となる同工場用財産を処分するため、日本専売公社法第四十三条の十九の規定に基づき、国会の議決を求めたものでございます。
 本委員会の審議におきましては、当工場廃止後の職員の配置転換、当工場払い下げの予定価格、塩の需給状況及び今後の塩業整備合理化方策について質疑がなされました。その詳細は、会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終了し、討論採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#39
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本件を問題に供します。委員長報告のとおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#40
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は全会一致をもって委員長報告のとおり可決せられました。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後零時三分散会
 
ソース: 国立国会図書館
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