くにさくロゴ
1962/05/08 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 本会議 第18号
姉妹サイト
 
1962/05/08 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 本会議 第18号

#1
第043回国会 本会議 第18号
昭和三十八年五月八日(水曜日)
   午前十時二十六分開議
  ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  昭和三十八年五月八日
   午前十時開議
 第一 日本銀行政策委員会委員の
  任命に関する件
 第二 国務大臣の演説に関する件
 第三 甘味資源特別措置法案及び
  甘味資源の生産の振興及び砂糖
  類の管理に関する法律案(趣旨
  説明)
  ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、故議員手島栄君に対し弔詞贈呈
  の件
 一、故議員手島栄君に対する追悼の
  辞
 一、日程第一 日本銀行政策委員会
  委員の任命に関する件
 一、日程第二 国務大臣の演説に関
  する件
 一、日程第三 甘味資源特別措置法
  案及び甘味資源の生産の振興及び
  砂糖類の管理に関する法律案(趣
  旨説明)
 一、請暇の件
  ―――――――――――――
#2
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告 は、朗読を省略いたします。
   ――――・――――
#3
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第四番、地方選出議員、栃木県選出、坪山徳弥君。
  〔坪山徳弥君起立、拍手〕
  ―――――――――――――
#4
○議長(重宗雄三君) 議席第百五十五番、地方選出議員、福岡県選出、小宮市太郎君。
  〔小宮市太郎君起立、拍手〕
  ―――――――――――――
#5
○議長(重宗雄三君) 議長は、本院規則第三十条により、坪山徳弥君及び小宮市太郎君をいずれも法務委員に指名いたします。
   ――――・――――
#6
○議長(重宗雄三君) 議員手島栄君は、去る四月十八日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。ここにその弔詞を朗読いたします。
  〔総員起立〕
 参議院は議員正三位勲一等手島栄君
 の長逝に対しましてつつしんで哀悼
 の意を表しうやうやしく弔詞をささ
 げます。
   ――――・――――
#7
○議長(重宗雄三君) 伊藤顕道君から発言を求められております。この際、発言を許します。伊藤顕道君。
  〔伊藤顕道君登壇、拍手〕
#8
○伊藤顕道君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、参議院議員手島栄君は、去る四月十八日、病気のため急逝せられました。同僚議院としてまことに痛惜哀悼にたえません。
 手島君は、明治二十九年鳥取県米子市に生まれ、大正十一年東京帝国大学を卒業され、直ちに逓信省に入り、昭和十八年退官されるまでの二十有余年間、逓信事業の発展に精根を傾けられ、その間、経理局長、航空局長官、逓信次官等を歴任、生来の卓越された識見と剛毅濶達をもって、常に敏腕をふるわれ、ことにその実行力は抜群であって、つとに省内随一の切れ者として高く評価されていたのでありまして、その逓信行政に残された功績は、まことに目ざましいものがありました。
 逓信省退官後も、国際電気通信株式会社社長、全日本空輸株式会社監査役、日本郵便逓送株式会社顧問、全国特定郵便局長会顧問等の要職につかれましたが、昭和三十一年七月参議院通常選挙にあたり、全国区から立候補して本院議員に当選せられました。
 自来、君の信条とする逓信精神に徹するとの初心を貫き、終始逓信委員会に所属され、逓信委員長、理事、政策審議会副会長として、常に、郵政事業、電信電話事業、電波行政等、逓信関係の国政の審議と党務に専念せられたのであります。昨年七月再度当選せられた直後、池田内閣の改造にあたり、君の最も関係の深い郵政大臣に抜擢されたことは、君としてもさぞかし御満足であったことでありましょう。
 しかるに、郵政大臣の重責遂行の中途において病魔に襲われ、画期的な規模と内容を盛った昭和三十八年度予算の編成を契機に、みずから閣僚を辞任せられましたが、辞任後においても、高邁なる識見と豊富な経験とを国政に反映せられんことを念願されておったでありましょうが、病状にわかに革まり、忽焉として幽明境を異にされました。
 手島君のごとき人材を失いましたことは、国家のため、本院のためにも、まことに惜しみても余りあるところであります。
 ここに、同君の御逝去に対し、つつしんで哀悼の誠をささげますとともに、衷心より御冥福をお祈りする次第であります。(拍手)
   ――――・――――
#9
○議長(重宗雄三君) 日程第一、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件を議題といたします。
 内閣から、日本銀行法第十三条ノ四第三項の規定により、大久保太三郎君を日本銀行政策委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。
 本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#10
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
   ――――・――――
#11
○議長(重宗雄三君) 日程第二、国務大臣の演説に関する件、
 篠田国務大臣から、都内における幼児営利誘拐事件及び埼玉県下における女子高校生殺害事件について、発言を求められております。発言を許します。篠田国務大臣。
  〔国務大臣篠田弘作君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(篠田弘作君) 最近相次いで発生し、世間の注目を浴びております二つの事件につきまして、特にこの機会に、事案の内容と捜査の概要について報告いたします。
 まず第一は、都内台東区において発生いたしました幼児営利誘拐事件でございますが、これは去る三月三十一日午後六時ごろ、台東区立入谷南公園内で遊んでおりました四才になる村越吉展ちゃんが行方不明になった事件でございます。同日午後八時十分ごろ家人から下谷北警察署に対し、迷子としての届出がありましたので、同署においては、直ちに都内各警察署に手配し、同人の発見に努めましたが、発見することができなかったのであります。翌四月一日に至りまして、四囲の状況を判断いたし、誘拐の疑いがあると認め、警視庁本庁から捜査員を応援派遣し、幼児誘拐事件として捜査を開始したのであります。
 その後、四月二日から被害者宅に恐喝的内容を含む電話が連日十数回かかってきたのでありますが、同月七日に至る間、同一人と思われる男が九回にわたり身のしろ金五十万円を要求して参りましたので、この電話の男を容疑者と判断し、これに捜査を集中したのであります。その間、犯人は三回にわたり現金の引き渡し場所を指定してきたのでありますが、これらの場合にはいずれも犯人を特定し得るような状況にはなかったのであります。
 その後、四月七日午前一睡二十五分ごろ、九回目の電話で、「被害者宅から約三百メートル離れた昭和通りの品川自動車株式会社の横に駐車している小型貨物自動車の荷台に子供のくつを置くから、母親が一人で来て、そこに金を置いて帰れ。子供は金を受け取ってから一時間以内に返す場所を指定する。これが最後だ」という旨を述べてきたのであります。当時、被害者宅には捜査員六名が待機しておりましたので、母親が自動車で出発すると同時に、裏手から現場に急行したのでありますが、母親の到着がわずかに早く、捜査員の到着する直前に、置いていった現金五十万円を犯人に持ち去られてしまったのであります。その後、犯人から被害者方に対する電話はありません。
 そこで、去る四月十九日、それまでの捜査経過とともに、吉展ちゃんの特徴等を詳細に発表し、さらに同月二十五日、犯人の恐喝電話の録音を報道機関の協力を得て放送いたしまして、広く一般の御協力を期待いたしたのであります。これに対しましては、特に全国的に多大の御支援をいただいているところでありまして、この機会に国民の皆様方に心から感謝の意を表する次第であります。
 今後、警視庁をはじめ関係警察が一体となりまして、本事件の解決に努力いたす所存でございます。
  ―――――――――――――
 次は、狭山市における女子高校生殺害事件についてでありますが、これは、本年五月一日午後八時ごろ、埼玉県狭山市大字赤坂の中田栄作氏から、四女の川越女子高校入間川分校一年生中田善枝さんが夕方になっても学校から帰らない上に、自宅に恐喝内容の手紙が届けられた旨、狭山警察署に届出があったのであります。その状況から悪質な営利誘拐の疑いが認められましたので、直ちに極秘裏に捜査を開始したのであります。
 文面には、二十万円を五月二日夜十二時に指定の場所に持参すれば子供を返すと記載されていましたので、その時間に、被害者の姉登美恵さんが、指定場所である同市堀兼の雑貨商佐野屋前に行くとともに、捜査員四十名をその付近に張り込ませ、犯人の逮捕をはかったのであります。同夜午前零時十五分ごろ、登美恵さんの立っている場所より三十メートルぐらい離れた茶畑の中から犯人が声をかけ、その後十分ぐらいにわたって、姿を見せないまま、「こっちへ持って来い」と再三再四要求したのでありますが、これに応じなかったところ、「もう帰るぞ」と言って犯人の声が絶えたので、現場に張り込み中の捜査員は警笛を鳴らして追跡したのでありますが、ついに犯人を逮捕できなかったのであります。
 その後、狭山市内一帯を広範囲に捜索中、五月四日午前十時三十分ごろ、同市入間川の麦畑農道に埋められていた被害者の死体を発見したのでありますが、死体を解剖した結果、死因は扼殺であり、さらに暴行されている事実、及び、死亡時刻は食後三時間ぐらいであることが判明いたしたのであります。したがって、犯行時刻は五月一日午後四時前後と推定されるに至ったのであります。
 以上のような状況から、犯人は、学校より帰宅途中の被害者を暴行殺害したものと認められるのでありまして、埼玉県警察といたしましては、目下全力をあげて捜査中であります。
 以上二つの事件を通じまして、犯人逮捕の絶好の機会に捜査の不手際から犯人を逃走させましたことは、まことに遺憾に存じておる次第であります。
 第一の事件の発生後、警察庁におきましては、この種事犯の防止と早期に事件の解決のため、全国警察に対し所要の指示をいたしたところでありますが、さらに今回の事件の発生を見ましたので、事態の重要性にかんがみ、五月六日、緊急国家公安委員会を開催いたしまして、両事犯を具体的に検討し、捜査の不手ぎわについて反省を行なったのであります。
 国家公安委員会といたしましては、さしあたり、両事件について関係警察を督励いたしまして、事件の早期解決に全力をあげる所存であります。また、今後は、今回の事件を教訓といたしまして、あらゆる事態に対処する捜査能力の向上をはかり、もって国民各位の御期待におこたえいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   ――――・――――
#13
○議長(重宗雄三君) 日程第三、甘味資源特別措置法案及び甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案(趣旨説明)、
 両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者から順次趣旨説明を求めます。重政農林大臣。
  〔国務大臣重政誠之君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(重政誠之君) 甘味資源特別措置法案につきましてその提案趣旨を御説明申し上げます。
 甘味資源の生産の振興につきましては、昭和二十八年以来、てん菜生産振興臨時措置法に基づき、寒地におけるテンサイの住産振興のための措置を講じてきたところであり、また、昭和三十四年には甘味資源自給力強化総合対策として、国内産糖製造事業の自立基盤を確立するため、砂糖の関税及び消費税の振りかえを行なうとともに、日本てん菜振興会を設立して試験研究の拡充強化をはかる等の諸般の措置を講じてきたところであります。
 寒地テンサイについては、近年、天候その他の理由によって若干停滞の気味にあるものの、今後の伸長を期待し得るものがあり、西南諸島におけるカンシャ及びカンシャ糖、澱粉を原料とするブドウ糖についても急速な生産の伸長があり、さらに暖地においてもテンサイ作の導入の試みがなされてきているところであります。この間にあって甘味資源作物の導入がその農業経営の改善と農家所得の安定に果たした役割は、寒地テンサイにあってはその耐寒性作物であることと畜産との有機的結合による輪作体系の合理化によって、また、サトウキビにあっては他に対比すべきものがない主要な商品作物として・それぞれまことに大なるものがあったと考えられるのであります。したがって、今後におきましても、農業経営の改善と農家所得の安定のために、その地域における生産を振興することが必要とされる適地におきまして、これら甘味資源作物の生産を振興して参ることが必要であり、また、これとあわせて、その甘味資源作物を原料とする砂糖類製造事業につきましても、その健全な発展をはかるべきことは言うを待たないところであります。他方、農産物についても今後国内生産保護のための所要の措置を講じて、可能なものについては、できる限りすみやかに輸入自由化を行なうことが要請されておりますし、また、消費者の立場を十分考慮することも必要であると考えられるのであります。
 以上の諸点を十分配慮し、今後における甘味資源対策の基本として、本法案を制定いたしまして、適地におけるテンサイ及びサトウキビの生産を振興するとともに、テンサイ糖工業、カンシャ糖工業及びブドウ糖工業の健全な発展をはかるため、所要の生産奨励、政府買い入れ等の措置を講ずることにより、農業経営の改善と農家所得の安定及び国内甘味資源の国際競争力の強化に資するよう措置する所存であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、政府は、砂糖類並びにテンサイ及びサトウキビについて、農業基本法第八条の重要な農産物として、同条の規定によりその需要及び生産の長期見通しを立て、これを公表することといたしております。
 第二に、適地においてテンサイ及びサトウキビの重点的な生産の振興をはかることとし、その区域内の農業経営の改善をはかるため、甘味資源作物の生産を計画的に振興することが特に必要と認められる一定の区域をテンサイ生産振興地域またはサトウキビ生産振興地域として農林大臣が指定し、指定を受けた地域を管轄する都道府県知事は、毎年、生産振興計画を立て、農林大臣の承認を受けなければならないものとし、国は、その計画の実施に要する経費等につき必要な助成を行なうこととしております。
 なお、農林大臣が生産振興地域の指定を行なうにあっては、関係都道府県知事の意見を聞き、また都道府県知事からも指定の申し出をすることができることとといたしております。
 第三に、生産振興地域の区域内における甘味資源作物の生産振興とテンサイ糖工業及びカンシャ糖工業の健全な発展を確保するため、その地域内における製造施設の設置及び変更につき、農林大臣の承認制をとることとしております。
 第四に、政府は、砂糖の価格が著しく低落した場合において必要があるときは、テンサイ糖製造事業者及びカンシャ糖製造事業者から、農林大臣が定める最低生産者価格を下らない価格で生産者から買い入れたテンサイまたはサトウキビを原料として製造されたテンサイ糖またはカンシャ糖を買い入れることができる制度を設けております。
 なお、当分の間は、糖価の低落以外の特別の事由がある場合にあっても特に必要があると認めるときは、所要の政府買い入れを行なうことができることといたしております。
 第五に、カンシャ及びバレイショの需要の確保をはかるため、砂糖の価格が著しく低落した場合において必要があるときは、ブドウ糖製造事業者からブドウ糖の政府買い入れを行なう制度を設けております。
 ブドウ糖の政府買い入れにつきましても、当分の間は、糖価の低落以外の場合においても、ブドウ糖工業の合理化を促進するため特に必要があるときは、所要の政府買い入れを行なうことができることといたしております。
 第六に、甘味資源に関する重要事項を調査審議するため、農林省に甘味資源審議会を設置することといたしております。
 第七に、本法の附則によりまして、食糧管理特別会計法の一部を改正し、同会計に砂糖類勘定を設けて損益の明確化をはかることといたしております。
 以上がこの法律案の主要な内容でございます。
 以上をもちまして甘味資源特別措置法案の趣旨説明といたす次第であります。(拍手)
  ―――――――――――――
#15
○議長(重宗雄三君) 衆議院議員芳賀貴君。
  〔衆議院議員芳賀貢君登壇、拍手〕
#16
○衆議院議員(芳賀貢君) ただいま議題となりました「甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案」につき、提出者を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 わが国における甘味資源としましては、テンサイを原料として製造したテンサイ糖、カンシャを原料として製造したカンシャ糖、及びカンショ、バレイショを原料とする澱粉から製造したブドウ糖等でありますが、その生産量は、昭和三十七年度において、テンサイ糖十六万トン、カンシャ糖六万トン、ブドウ糖六万トンで、合計二十八万トンであり、これに沖繩で生産されたカンシャ糖十四万トンを加えても四十二万トンであり、国内需要量百六十五万トンの二五%にすぎず、毎年百二十万トン以上を輸入に依存している状況であります。
 これら甘味資源のうち、テンサイ糖については、北海道における寒地農業の重要作物として、昭和初年から奨励せられ、砂糖の自給化政策の一環として、昭和二十七年にはてん菜生産振興臨時措置法が制定され、今日に至っているわけであります。次に、カンシャの生産につきましても、奄美諸島及び沖繩における重要な作物であり、その農家所得の中に占める比重はきわめて大きいものがあります。さらにブドウ糖の生産につきましては、カンショ、バレイショ生産農家の所得の安定のため、澱粉需要の確保の見地からも、大いに振興する必要があることは、論を待たないととろであります。
 政府は、昭和三十四年に甘味資源自給力総合対策を決定し、十年後の昭和四十三年度における砂糖類の総需要量を百五十二万トンと推定し、テンサイ糖については、北海道三十万トン、府県十万トンで四十万トン、カンシャ糖については奄美諸島六万トン、沖繩十四万トンで二十万トン、ブドウ糖については十五万トンで、合計七十五万トンの生産目標を立て、自給度五〇%の達成を指向したのであります。
 しかるに、その後この長期計画の実施状況は不振をきわめ、すなわち北海道のテンサイについては、昭和三十七年度の計画面積五万三千ヘクタールに対し、作付面積は八三%の四万四千ヘクタールであり、テンサイ糖の生産目標二十万トンに対し七〇%の十四万トンと、大きく下回っている実情であります。また府県のテンサイ糖については、三十七年度の生産目標十万トンに対し二二%の一万三千トンという状況であります。しかるに、国内における砂糖類の需要の増加は著しく、三十七年度において百六十五万トンに達し、長期計画による四十三年度の需要見込みの百五十二万トンをすでに大きく上回っている現状であり、今や長期計画そのものを全面的に改訂すべき事態に直面しているのであります。
 このような甘味資源の生産の不振につきましては、政府の長期計画の策定がずさんであったことは、もちろんでありますが、この計画達成のための施策に積極性を欠き、ことに畑地改良等の生産基盤の整備の立ちおくれ、テンサイ生産者価格の低価格、さらには国内糖業対策の不徹底等、政府の無為無策に起因するものと指摘せざるを得ないのであります。現に北海道においては、原料の生産振興を度外視して、政治的な工場の過剰誘致が行なわれ、結果的には、製造業者は、原料不足による砂糖のコスト高で経営難に陥り、生産農家は、原料の価格が安いため、生産意欲が減殺されている実情であります。また、府県においても、政府の呼びかけにこたえて、テンサイ糖製造に乗り出した民間会社も、原料不足により、大分県のテンサイ糖工場のごときは操業中止のやむなきに至り、生産農民及び会社の損失はもちろんのこと、暖地テンサイ生産の前途に暗影を投じている状態であります。かかる結果を招来した政府の施策の失敗は、国民の批判の前に、十分反省せらるべきであります。
 しかるに、最近における政府の甘味資源対策を見ると、輸入砂糖については、現行の外貨割当制を廃して、自由化の実施を急いでいる模様であります。砂糖の自由化について政府の方針には明確な根拠がなく、単に自由化率九〇%達成のために、甘味資源の保護対策を犠牲にするかの態度が濃厚であります。しかも、わが国の砂糖価格は世界最高の価格であり、その主たる原因は税の過量によるものであります。すなわち、砂糖一キログラム当たり関税が四十一円五十銭と消費税二十一円を合わせて六十二円五十銭であり、このような国民食生活の安定を無視した政府の砂糖政策の誤りこそ、自由化以前に解決すべき重要な課題であります。
 翻って、欧米諸国における砂糖政策の状況を見ると、砂糖の輸入を自由化している異例は全く少なく、あるいは政府輸入の制度をとり、あるいは輸入割当制、高率関税等の措置を講じ、国内甘味資源の生産振興に対し、強力な保護政策をもって国内自給度の向上に努めている実情であります。ことにイタリアにおいては、第二次世界大戦直後の一九四六年のテンサイ糖の生産量が二十七万トンであったのを、十カ年後の一九五四年には百四十万トンの生産量に躍進させ、砂糖の自給化を完成した事績に徴しても、その国における政府の政策実行に取り組む熱意こそが生産発展の成否を制することが実証されるのであります。これに反して、政府の態度は、池田首相初め、甘味資源生産振興についての対策及び砂糖価格の安定についての明確な対策もなく、国内態勢未整備のままで、いたずらに自由化だけを強行せんとする意図については、国民大衆の立場からも理解に苦しむところであります。わが党といたしましては、甘味資源の生産振興と糖業発展を国の施策として積極的に進めるためには、砂糖の自由化は行なうべきでない旨を、ここに明らかにしておくものであります。
 以上申し述べました現状と観点に立ち、今後の甘味資源対策を強力に進めるためには、すなわち、砂糖類の需給及び価格を安定させるために、政府が砂糖の輸入を行なうとともに、砂糖類を管理することとし、国内のテンサイ及びカンシャの生産の振興並びに糖業経営の健全化に必要な措置を講じ、もって農業経営の改善と農家所得の安定をはかり、あわせて砂糖の自給度の向上と国民の食生活の安定に資するために、この法案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律の内容について概要を御説明申し上げます。
 第一は、砂糖類需給計画の策定でありますが、農林大臣は、砂糖審議会に諮り、砂糖類の需給見通し、砂糖類の生産目標、テンサイ、カンシャ及びブドウ糖原料の澱粉の生産目標、砂糖類の輸入見通し等の重要事項について、毎五カ年を一期とする長期需給計画を定め、これに基づく毎年度の需給計画を具体的に定めて、施策の方向を明らかにして、これを公表することといたしております。
 第二は、テンサイ及びカンシャの生産振興についてでありますが、その生産条件が、テンサイまたはカンシャの栽培に適しており、農業経営の改善により生産が増大する見込みが確実であり、さらに製糖企業が成り立つだけの生産量を確保し得る見込みのあること等を考慮し、農林大臣は、都道府県の区域につき生産振興地域の指定を行なうものであります。次に、生産振興地域の指定を受けた都道府県知事は、甘味資源生産振興審議会に諮り、生産振興計画を定め、農林大臣の承認を求めることとしております。
 第三は、砂糖類の製造施設の承認制でありますが、現在の製糖工場は原料不足等の理由から不安定な経営に陥っている現状であり、これら製造施設の合理化はもちろんでありますが、設備が過剰とならないよう、原料の生産に即応し施設の設置または変更につき農林大臣の承認を要することといたしております。
 なお、ブドウ糖の製造施設についても同様の承認を要することといたしたのであります。
 第四は、生産振興地域内において生産されたテンサイまたはカンシャの集荷及び販売については、生産者団体を通じて一元的に行なわれるようにいたし、また生産者団体及び製造業者は、これらの事項につき契約を締結するようにいたしたのであります。
 第五は、砂糖類の政府買い入れの措置についてでありますが、国内産テンサイ糖及びカンシャ糖にあっては砂糖製造業者の申し込みに応じて政府買い入れを行なうことといたしております。またブドウ糖については、市価が低落して、ブドウ糖の生産の確保と価格安定のため必要と認める場合は政府買い入れを行なうこととしております。
 第六は、テンサイ及びカンシャの生産者価格及び砂糖類の政府買い入れ価格についてでありますが、まず、テンサイ及びカンシャの生産者価格については農業基本法に基づく選択的拡大の重要作物とみなして、生産者米価の算定と同様に、生産費、所得補償方式に基づき生産者価格を定めて告示することといたしました。
 次に、テンサイ糖及びカンシャ糖の政府買い入れ価格については、テンサイまたはカンシャの生産者価格に砂糖の製造経費及び政府への売り渡しに要する経費を加えた額を基準として定めることとしております。なお、ブドウ糖の買い入れ価格については、農産物価格安定法に基づく、カンショ、バレイショ澱粉の政府買い入れ基準価格に所要の経費を加えた額を基準として定めることとしております。
 第七は、砂糖の政府輸入についてでありますが、政府は毎年需給計画に基づき、必要量の砂糖を輸入することとし、政府以外の輸入は認めないことにいたし、また関税については、政府輸入の立場から、これを免除することといたしてあります。
 第八は、砂糖類の標準販売価格についてでありますが、砂糖の販売価格が国民食生活に及ぼす影響等を配慮して、標準販売価格の算定については、国産砂糖の生産費、家計費、物価事情等を参酌して価格を定め、告示することといたしました。なお、農林大臣は糖価安定のために必要な勧告を行なうことができることとしております。
 第九は、砂糖類の政府売り渡しについてでありますが、政府は需給計画に基づき、その所有する砂糖類を売り渡すものとし、渡り売し予定価格については、標準販売価格を基準として、それぞれ定めることといたしております。
 第十は、助成措置についてでありますが、国は毎年予算の範囲内で、生産振興地域の都道府県に対し、生産振興計画の実施に要する経費の助成を行なうこととし、及び砂糖類の製造施設の設置につきましても必要な資金の融通のあっせんを行なうものといたしました。
 第十一は、砂糖審議会等の組織についてでありますが、甘味資源の生産振興及び砂糖類の需給計画に関し、テンサイ等の生産者価格、砂糖類の政府買い入れ価格及び砂糖の標準価格の決定に関する重要事項を調査審議するため、農林省に砂糖審議会を設置することといたしております。
 また、甘味資源の生産の振興対策及び原料の集荷販売等に関する重要事項について調査審議するため、生産振興地域の都道府県に甘味資源生産振興審議会を設置することといたしました。
 第十二は、行政機構等についてでありますが、本法案の円滑な運用をはかるため、食糧庁に、砂糖所管部の新設及び、これに伴う定員の確保を行なうための農林省設置法の改正、砂糖類の政府管理に伴い砂糖類管理勘定を設けるための食糧管理特別会計法の改正、政府が砂糖の輸入を行なうため、関税免除のための関税定率法の改正、その他諸規定の整備を行なうことといたしております。
 以上、本法律案の提案の趣旨とその内容の概略を申し述べた次第でございます。(拍手)
#17
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。渡辺勘吉君。
  〔渡辺勘吉君登壇、拍手〕
#18
○渡辺勘吉君 私は、日本社会党を代表し、内閣提出の甘味資源特別措置法案につき、内閣総理大臣及び関係大臣に対し若干の質問をせんとするものであります。
 まず、池田総理にお尋ねいたします。
 政府の糖業政策は一貫性を欠き、その施策の重点を巨大糖業資本と海外対策に置き、その結果、国民経済の健全なる発展に至大の悪影響をもたらした責任はきわめて重大であるといわざるを得ません。特に、砂糖の貿易自由化が政策のスケジュールに上って以来、国内甘味資源保護対策不備のまま、単に自由化率九〇%大台を実現するために、アメリカ等諸外国の圧力に迎合して、重油、自動車等、重化学製品等をあと回しにして、輸入砂糖の外貨割当制を廃して自由化実施を急ごうとしながら、ちょうど、ヘビのなま殺しのように、出しては引っ込め、また、出したまま引っ込みもつかずに、たなざらしをしたまま、いたずらに混乱を引き起こした政治的無定見さを指摘せざるを得ません。
 先進諸国においてさえ、砂糖の完全自由化に踏み切ってはおらず、国内糖保護に強力なる施策を講じております。特に砂糖の値段は、国際的投機商品として価格変動も激しく、国内価格がそれによって激動するので、生活不安を極力阻止しようとするのが各国における砂糖政策のねらいでもあります。
 こうした国際情勢のもとに、総理は、わが国の糖業政策として、砂糖の貿易自由化と国内甘味資源振興とをいかに有機的に結びつけようとするのか、その具体的な見解をまずお伺いをいたします。
 次に、砂糖の国際貿易における日本の地位は、世界第三位の輸入国であります。しかるに、これに対する砂糖の国内自給度向上のための見るべき一貫した施策のないことは、きわめて遺憾であります。
 政府は、昭和三十四年の二月に、甘味資源自給力強化総合対策を決定し、十年後の自給度五〇%達成を目ざしてスタートを切りました。しかるに、その後幾ばくもたたない今日、すでに需要量は十年後の見込みを大幅に上回る一方、生産は年次計画をはるかに下回り、目標であるところの自給度は低下し、輸入依存度を高める結果を招来いたしました。この三、四年のわずかな期間に、北海道では、政治的な角度から工場を過剰に引っぱり込んだ結果、原料不足による製造は非常に経費高となる結果、経営難に陥り、生産者農家は原料価格が安いので生産をする意欲を喪失せんとしているのが現状であります。また、目を南方に転ずれば、大分のテンサイ糖工場は、原料が不足で、昨年の十一月から工場が全面閉鎖をし、暖地テンサイ生産の危機感を誘発しております。したがって、今やこの無責任きわまる長期計画そのものを抜本的に改正せざるを得ない最悪事態に直面しております。この政府の失政に対し、国民の批判はまことに痛烈であることを総理は肝に銘ずべきであります。それというのも、この計画達成の具体的な裏づけがなかったことを指摘せざるを得ません。特に、生産振興のための畑地改良事業等の生産基盤の整備や、あるいは生産者価格の不当な低さ等、施策に一貫性なく、見せかけのごまかし農政の矛盾の現われであると言わざるを得ません。政府は、本法案で、砂糖類、テンサイ、サトウキビを農業基本法の重要農産物に規定しておりますが、はたしてこれに値する積極的財源の裏づけがなされておるのかどうか。私の総理に対する質問の第二点は、これを実施するための国内甘味資源振興の具体的対策はどうかということであります。
 砂糖の消費者価格は、日本が世界で一番高い。一般消費者の家計を圧迫しているのはもとよりのこと、零細な菓子類、カン詰等の加工業者は、砂糖加工製品の貿易の自由化と原料糖の高値の二つに締めつけられ、工場閉鎖、操短等に追いやられつつあります。総理は、衆議院の本会議において、国民の食生活に安い砂糖を供給することを自由化の理由としてあげておりますが、本法案には何ら販売価格の規制が取り上げられていないのは一体どうしたことでありますか。適正なる消費者価格を、貿易自由化によっていかなる道筋をたどって安くするのか、その構想の具体的内容を明らかにしていただきたい。なお、最近の砂糖の消費者価格の高騰と、これに対する今後の見通しを経済企画庁長官にお伺いいたします。
 総理は、さらに、農家の所得確保をはかると言明しておりますが、とれと小売価格を安くするということは二律背反するものというべきであるが、これを総合的に解決するには、あるいはイギリスのように輸入砂糖の国家管理を中心とする措置以外に適正なる施策はあり得ないと思うが、総理の御所見はいかがでありますか。
 最後に、総理に伺いますが、粗糖超過利潤の政府吸い上げは行政措置にゆだねられておりますが、これによってきわめて明朗ならざるやりとりがかわされておるやに伺います。政府としては、テラ銭かせぎのような、あなたまかせの無責任さであるといわざるを得ない。かつて昭和三十年の第二十二国会で・砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置法案が提案されましたが、審議未了となった経過があります。輸入差益金の処理は、こうした立法措置によるべきものであると思うが、御所見はいかがですか。
 以上四項目にわたる質問に、総理のそれぞれ明確にして具体的な答弁を求めます。
 次に、経済企画庁長官にお伺いいたします。関税一括引き下げ問題を協議するガット閣僚会議が来たる十六日からジュネーブで開かれますが、これは、あらゆる貿易品目について五年間に関税を現行の半分にしようというアメリカの提案であるが、さきに来日したハーター特使も日本に協力を強く要請しております。しかし、万一これを受け入れた場合、国際競争力の弱い日本農業が根底からゆさぶられることは自明のことであります。特に、砂糖、酪農製品においてしかりでありましょう。とれに対処する政府の基本的態度はどうでありますか。
 次に大蔵大臣に伺います。本法案提出の過程において、砂糖消費税を一部生産者に対する生産振興助成金の財源とする目的税設定の構想が伝えられましたが、これを実施する意図があなたにおありですか。アメリカでは、一九四八年砂糖法の制定によって、テンサイ及びカンシャ生産に対する補助金のひもつき財源として砂糖物品税を徴収し、これを生産者農民に交付しております。わが国も法的にひもつき財源を確保して生産振興に積極的に寄与すべきものと思うが、御意見はどうでありますか。これが第一の質問であります。
 次は、たとえばイギリスのように、政府が連邦産の砂糖を一括買い上げ実施をしておりますが、わが国も輸入糖は政府が直接一括買い入れの建前をとり、関税はこれを全免し、生産者農民の所得確保と家計費安定に寄与する標準販売価格設定のための財政措置を政府の砂糖類管理勘定で処理することが適切と思うが、御意見はいかがでありますか。
 農林大臣にお伺いいたします。農林省は昭和三十六年の十二月に、精糖業界に対し、「昭和三十四、三十五年度における輸入糖による精糖業者の超過利潤の算出及び拠出の公正な確保について」と題する通達を出しております一そして輸入粗糖の超過利潤三十六億一千七百万円のうち、精糖業者の納税額を差し引いた十八億三千七百万円を三十七年度から三カ年に分けて、これを拠出させることを命じているのであります。その後この十八億三千七百万円がこの通達どおり業界から拠出されているかどうかをまず伺います。農林省のずさんなる算出措置が原因で、半額の九億円が会社のふところに残されることになりそうだと伝え聞きますが、事実とすれば、これは行政上の重大なる責任問題であります。納得のいく数字をあげて、具体的な御答弁を求めます。
 次に、国内甘味資源振興対策についてでありますが、国内自給度の目標を長期計画では一体どう見ておりますか。また長期需給計画をどのように計数的に見ておられるかをお伺いたします。長期生産振興計画樹立の裏づけとして、特に生産基盤整備事業にどれだけの財政金融措置を踏まえているのか、具体的構想をお尋ねいたします。
 イタリアでは一九四六年の生産わずか三十万トン足らずのテンサイが十年後には百四十万トンになり、国内で完全に自給化をしております。これはイタリア政府の農業政策に対する愛情ある措置がこれの根本をなしているにほかなりません。顧みてわが国の農政はどうですか。かつて大豆が農産物の中で貿易自由化の第一号として強行された結果、大豆、菜種は、政府の意図する方向とは逆に、年々その作付反別は減反し、畑作農民の作付放棄の傾向が見受けられる等、政府の農業政策いずこにありやと言わざるを得ないのであります。
#19
○議長(重宗雄三君) 渡辺君、時間が参りました。
#20
○渡辺勘吉君(続) 次に、この法案がどうしてこうまでおくれたかということであります。すでに、従来施行のてん菜生産振興臨時措置法は、時限法として、すでに三月で切れている。政府は四月早々には生産者価格を告示すべきものが、そのまま空白となって今日に至っております。生産者農民や関係者の政府に対する不信感は想像を絶するものがあります。その責任を一体どう考えているかお伺いをいたしたい。
#21
○議長(重宗雄三君) 渡辺君、時間が参りました。
#22
○渡辺勘吉君(続) 最後にお伺いいたします。総理が国会で言明したように、この法案のねらいが農家所得の確保にあるとするならば、政府の告示する最低生産者価格とは、生産費所得補償方式で算出した価格でなければ、これは、うそになります。私はうそは申しませんと総理はしばしば公言しているが、そう言いながら、うそをついたら、これほど悪質きわまるうそは、ないでしょう。あなたは池田内閣の閣僚として、総理に、うそをつかせないためにも、生産費を償い、所得を補償する生産者価格を告示すべきだと思うが、御意見はいかがですか。納得のいく具体的な答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 私に対する御質問は四点でございます。
 まず第一点は、砂糖の自由化と甘味資源増強対策についてでございます。これのことにつきましては、先ほど農林大臣より甘味資源特別措置法の提案理由で申したとおりでございます。すなわち、農業経営の改善と農家所得の増大を期しつつ、他面、製糖事業の合理化、発展を企図して、国際競争力を強くしていこうというのが、今回の目的でございます。したがいまして、私は、今後この措置法によりまして、安い、安定した砂糖を供給し得ると考えておるのでございます。なお、いろいろな外国との関係がありまして、国内施策と同時に、関税制度につきましても相当の改正を加えたいと考えております。
 第二の、砂糖の需給見込みの相違、これは御承知のとおり北海道と府県につきましては、お話のとおり、天候の関係、労働力の関係、あるいは肥料その他の関係によりまして、予定どおりには行っておりませんが、琉球及び奄美大島では予定以上に行っております。こういう農産物の生産の予定というものは、他の工業品のごとく予定どおりになかなかいかない。ことにテンサイ糖につきましては、北海道においては相当の実績をあげておりまするが、内地におきましてはテンサイ糖の生産につきましてはまだ十分の経験がございません。したがいまして、内地、ことに暖地のテンサイ糖につきましては、イタリアその他の例を見まして今試作研究中でございます。私は、この甘味資源特別措置法を施行いたしましたならば、相当の効果をあげ得るものと考えておるのであります。
 なお、第三の、砂糖価格が高いという問題は、御承知のとおりに、さきにもお話がございましたとおりに、原料糖に対しまして百三、四十%の関税をかけて、おります。関税の高いことにつきましては万人の認むるところでございまして、今後、財政の許す限り、砂糖関税の引き下げ、消費税の引き下げも考えていきたいと思います。ただ、お話のように、これを国家管理にして販売価格を指定するということは、われわれの経済自由の原則から見れば賛成できないのであります。私は、各国がやっておりまする砂糖の管理とか専売ということは、そうしてまた百二、三十万トンの砂糖を輸入する一わが国において、いわゆる切符制度、割当制度が、産業の振興と価格の低下にいかにじゃまになったかということは、十数年来の経験からもおわかりいただけると思うのであります。
 なお、第四点の、超過利潤を吸い上げるということにつきまして、法律によってやったらいいじゃないか。いろいろ議論はございましょう。すなわち、昭和三十四年、三十五年におきましての砂糖会社の特別利益を出してもらう。これは、あとから出てくることでございますから、昔のように、臨時利得税とか、ああいう法律を設ければ別でございまするが、私は、そういう法律を設けることは適当でないと思います。また、三十七年度におきまして原料糖価が非常に上がりました。普通の二倍半から三倍にも上がっておるわけなんです。これは、キューバ問題とか、あるいはヨーロッパの厳冬、非常に寒かったためにテンサイができなかった。こういう関係で、通常価格の二倍半ぐらいに上がっております。しかし、これも長続きはいたしますまい。したがって、私は、この三十七年度におきましての特別の利益につきましては、今の吸収するという意味でなしに、精糖、テンサイその他の甘味資源の開発のために協力してもらうという建前で取っていきたい。しかし、こういう制度はそれ自体よくない。そこで、自由化をいたしまして、経済を正常な姿に持っていこうというのが、今回の甘味資源特別措置法案を提出した理由であるのであります。
 以上、御質問の四点につきましてお答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(宮澤喜一君) 国際原糖の価格は、御承知のように、大体従来、常識的に、一ポンド三セントぐらいと考えられておったわけでございまして、それに対応いたします国内の精製糖の卸売価格は、大体百二十円前後であろうということが経験的に出ておったわけでございます。で、御承知のようないろいろな事情によりまして、国際原糖の価格が、昨年の半ばごろから非常に高騰を始めまして、本年の四月ごろには、ニューヨークの相場が七セント四十ぐらいになっております。それを反映いたしまして、国内の卸売価格が百四十円ぐらい、小売価格は百五十五円をこえたと存じます。この一両日の相場を見ておりますと、ニューヨークで八セント五十というような、さらに高騰を続けておるというのが、ただいまの現状であります。私ども、国内施策としてこれに対応する方向としては、先ほど総理が触れられましたように、一つは、やはり非常に高いところの税金、ことに関税をどういうふうに処置していくかということであると思いますし、もう一つは、それまでの間、製糖業者の持っておりますところのいわゆるスリッページを減らしていく、こういう方法であろうと思います。で、近い将来に、自由化との関係で関税制度を一部改めます点について、国会の御審議を仰ぎますときに、同時に、今後、関税率は一定額以内で行政府が自己の判断で引き下げ得る、こういう権限を国会に要請する法律案をあわせて御審議をいただきたいというふうに考えますので、そういう形で、税金、なかんずく国内糖との関係もございますから、まず関税率を引き下げていくべきではないか・こういうふうに考えております。
 それから、ガットとの関係でございますが、農業製品、農産物につきまして、米国と欧州共同市場及び欧州共同市場内部にいろいろな意見の相違がございますから、閣僚会議で、どのようなふうに推移するかは予測が困難でございます。しかし、国際商品協定の対象となり得るような農産物、すなわち、穀物でありますとか、肉でありますとか、あるいは御指摘の砂糖などにつきましては、一応そういう形で国際商品協定の形で処理しようではないかという意見は、各国の間にかなり共通しておりますし、なかんずく砂糖につきましては、輸出国が多く低開発国でありますために、ガット関係にない、いわゆる互恵関係として、輸入国が関税を引き下げなければならないという関係にはございませんから、国内的な事情は別といたしまして、一括引き下げとの関係で関税の引き下げをしなければならないということにはなってこないというふうに考えるわけでございます。酪農製品につきましては、確かに多少事情が異なりまして、これは一括引き下げの対象になるというふうに考えますけれども、わが国の場合、農業の構造改善ということが何よりもこの際大切でございますから、酪農製品については本来自由化を早急にいたすべきものではないと第一に考えますし、第二に、一括引き下げが行なわれました場合にも、農業製品、工業製品について、一定率の免除、エクセプションが認められるわけでございますから、酪農製品などがまず最初にこの免除の中に入るべき項目である。したがって、引き下げの対象にいたすべきものでない、こういうふうに考えております。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(田中角榮君) 渡辺さんの御質問は二点でございますが、第一点は甘味資源の振興対策の財源措置についてでございまして、政府としましては、毎年度予算に必要額を計上して参るという方針をとっておるわけであります。それから財源措置につきましては、他の国でもやっておりますように、目的税式のものにしてはどうか――そのような議論がありましたことも事実でございますが、財政運用の弾力性を失うという問題もありますし、それから財源額と所要支出額というものが見合う必然性もありませんし、また受益者と負担者とが一致をしないということもありますので、原則的に申し上げましたように、毎年度予算の範囲内で重点的に措置をしていくという方針でございます。
 第二点目の食管の中における砂糖類勘定、この問題については、国家管理方式のようなお考えが述べられましたが、この問題につきましては、第二の食管を作るというようなお考えにも通じているようでございますが、総理が述べられたように、政府としては、第二の食管というようなものを作って、国家管理をしていくというような考えにはなっておりません。(拍手)
  〔国務大臣重政誠之君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(重政誠之君) 第一の御質問の点は、超過利潤の徴収を十八億円ときめているが、それがその半分の九億円はどうも取るやら取らぬやらわからぬというようなことになるのではないかという御質問でありますが、そういうことにはなりません。十八億円ときめました――約十八億円でありますが、これは全額を拠出をいたしてもらうつもりであります。なお、こういうものは法律によって徴収すべきものではないかという御意見でありますが、一応私どももそういうことを考えたことがあるのでありますが、しかし、これは御承知のように、過去の利潤でありますから、それを法律を制定して、過去にさかのぼってこれを徴収するということは、なかなか立法上困難がありますために、行政上の指導といたしましてこれを徴収することにいたしております。念のために申し上げますれば、現在までに四億三千万円の徴収をいたしております。残額は今後これを徴収する考えであるわけであります。
 それから第二の御質問――砂糖の自給策について、今までの長期見通しが誤っているのではないかということであります。現在御承知のとおりに、計画といたしましては、需要量の約五〇%を国内で生産するという計画であったのでありますが、今日までの実績におきましては、約三〇%の自給率を上げたにすぎないのであります。その点は遺憾の点がございます。が、一方におきまして、当時最高の需要額百五十万トンが現在すでにもはや百六十五万トンになっておる。需要の面におきまして非常に見込みが違っておるという点がございます。それからまた、生産の面におきましても、いろいろお述べになりましたように、政府としても生産対策等を立てておるのでありますが、どうもその運用が十分でなかったという点は反省をいたしておる次第であります。三十八年度に、本年度におきましては、約二十億円を計上いたしまして、助成も総合的に助成をいたしまして、その効果をあげるつもりでおります。
 それから生産基盤の強化の措置をどういうふうにするかということでありますが、この問題も、三十八年度からは所要の予算を計上いたしまして、総合的に生産対策を行なう、あるいは機械の導入をやるなり、あるいは土地改良をやるなり、そういう方向で進めていきたいと、こう考えております。
 さらに、最低価格を告示することになっておるが、それは、その最低価格は所得補償方式によってやるべきではないかという御意見でありますが、これは私どもはそういうふうに考えておりません。所得補償方式にはよりません。パリティ価格を基準といたしまして、物価その他の経済情勢を参酌をいたして基準価格をきめる、こういう考えでおる次第であります。(拍手)
  ―――――――――――――
#27
○議長(重宗雄三君) 小林篤一君。
  〔小林篤一君登壇、拍手〕
#28
○小林篤一君 私は、ただいま議題となっております甘味資源特別措置法案について・政府側に質問をいたしたいと思います。
 まず総理大臣に、北海道におけるビートのことについてお尋ねいたしますが、北海道におけるビートは、さきに政府が長期の増産計画を立てられまして、耕作奨励に声を大にしてかけ声をかけておられますが、この奨励に対しての基本の法律が本年三月で期限切れになって、ただいま、先ほどもお話がありましたように、空白状態であります。本年のビートの生産者価格は、今もって決定しないままになっておるのであります。政府は、法律が空白になることは、あらかじめ予想ができたはずであります。にもかかわらず、行政指導も行なわないで、いたずらにこれを遷延して、生産者は不安動揺を来たし、ひっきりなしに農林省に押しかけて対策を要望しておるのであります。こういう状況にしておいて、政府がビート耕作を奨励しても、安心して耕作できないではありませんか。北海道におけるビート耕作者の間には、政府は信頼するに足らないという不信の念が浸透しつつある状況であります。ビートは耕作者も喜んで耕作をする、工場も採算がとれる経営をするというには、政府の保護助成がなければ成り立たないことは、ヨーロッパ各国の例を見ても明らかであります。この点、総理大臣もよく御存じのはずであると思うのであります。しかるに、これに対する対策も確立せず、法律も空白のありざま。政府はいかにこれを弁解しても、怠慢のそしりは免れ得ないのではありませんか。
 砂糖の貿易自由化の必要は今始まったことではなくて、五、六年前から政府部内から放送されておったのであります。砂糖の貿易自由化のいかにむずかしいかということを物語っているのであります。ヨーロッパの実情に照らしましても、砂糖の貿易自由化は、耕作者にも工場側にも無理がかかるということは、これはもう明らかなんであります。総理は、貿易の自由化九〇%にするため、砂糖の貿易自由化をするように指示しておられるが、これを乗っけるための基礎工事ができていないではありませんか。いまだ基礎工事の設計すらもできておらぬではありませんか。地盤が弱くて貿易の自由化を建設するだけの基礎工事はできないではありませんか。ただいま砂糖は世界的減産により国際相場が高騰を来たしておりますが、貿易の自由化には絶好の機会であると称している者が政府部内にあります。もしそういう考えで自由化した場合、砂糖価格が下落した場合は、混乱を招くことは明らかではありませんか。そうなってから対策を立てるにしても、従来の例から見まして、相当の期間を要しまして、耕作者も工場も多大の迷惑をこうむるのであります。砂糖政策は、砂糖の相場が変動してもこれに対応するだけの政策の確立が肝要であります。何はともあれ、貿易の自由化は突然起こった問題でもなく、北海道のビート長期八カ年計画を樹立してからも、すでに数年を経て、しかもなお今日のありさまでは、生産者としては心外千万であります。ビート耕作面積は、伸びるべきものが伸びないのは、よって来たる原因がここにあることを自覚しなければならぬと思うのであります。この際、すみやかに砂糖政策を確立して、農家が安んじてビートの生産に従事でき得るようにし、しかる後に、必要があれば貿易自由化に踏み切ってもよろしいのではないかと思うが、いかがお考えでありましょうか。政策の確立については、ビートの耕作者も、工場も、消費者も一貫したものでなければならないが、その基本的な考えについて確固たる所信をお伺いいたしたいのであります。
 次は、農林大臣にお尋ねいたしますが、質問の第一は、農林大臣は、ビートでは引き合わなくとも、酪農を兼営すれば引き合うとのお考えでありますが、この考え方は、農家は戦前からもち聞き飽きているはずであります。手一ぱいの耕作をしている者に酪農をやれと言っても、一升ますには一升五合は入らないのであります。土地を貸したり、売ったりして、そうして余力をこしらえて酪農をやろうとしても、土地を売ったり、貸したりしたら、今の制度では再び手に入らないで、二、三男の分家に事欠くことになるのであります。また、土地を売って余力を作り、酪農をやることは、かえって損であるというデータもあるのであります。酪農をやるには、ビートを作るより牧草を作るほうがよいということも考えられておるのであります。また、酪農をやらなければ、堆肥ができないなんというお考えもあるかもしれませんが、無畜農家が堆肥増産の品評会で一等をとった例すらもあるのであります。家畜がおらなくては堆肥ができないなんという考え方は、これは、しろうとの考え方であります。あくまでビートはビートそのもので採算がとれるのでなければならないのでありますが、今なお農林大臣は、酪農をやることによってビートは引き合わなくてもよいとお考えでありますか、どうでありますか。
 質問の第二は、現在の工場で足らない原料ビートは急速に増産させると申しておられるようでありますが、そんな手品師のようなことがどうしておやりになれるのでありますか。工場を建てれば直ちにでも増産できるようなことを言う人もありましたが、工場を建てても、一向に増産されないではありませんか。トラクターのような大農機具を入れれば増産されると思って、ある会社は、一億数千万円を投じて集荷区域内各町村にそういう大農機具を投入しましたが、即効薬には何の役にも立っておりません。また、土地改良をいたしましても、五年輪作、七年輪作というようなことを考えますれば、二年や三年で急に増産されないのであります。もし凶作でもあってほかの作物が大減収にでもならない限り、急激なる増産はできないと思います。ビートを増産しようとするには、一定の計画を立てて、それに基づいて、しんぼう強くやらなければならないと考えるのでありますが、農林大臣は・何か手っとり早く増産できるような即効薬でも持っておられるのであるか、これをひとつ伺ってみたい。
 質問の第三は、工場の規模であります。これについては、無定見と申しては失礼かもしれませんが、何か十分なる御計画がないように思われるのであります。私は、去る三十五年四月、衆議院の農林水産委員会に参考人として出席を求められた際に、こういうことを申しておきました。もし砂糖が貿易自由化がなされた場合を予想すれば、原料一日二千トンの能力を持って、操業百二十日、一操業期二十四万トンを必要とする旨を申し上げたのであります。今日では、これでは不足であるかもしれません。現在の工場が私の考えと同じであったかどうか知りませんが、どの工場も、少し手を加えれば、一日二千トンの能力にはなるように、ちゃんとできているのであります。何もそれは言うてはおりませんけれども、そのくらいのことは、言わなくとも皆考えておられる結果であろうと私は思うのであります。私がドイツに参りました三十二年ごろは、一日二千トン以下の工場は二千トン以上に整理統合していると言っておりましたが、このごろドイツから見えた方の話では、三千トン以上に拡張しているとのことでありますが、農林大臣は、北海道のビート工場はどのくらいの規模が適当であるとお考えでありましょうか、それをお伺いいたしたい。
 質問の第四は、ビートの生産者は、ビートの告示価格は、先ほどもこれは渡辺議員からも申されましたが、生産費所得補償方式によって算定をしてくれということを希望していることは、農林大臣も御承知のとおりなんでありますが、法案によれば、農業パリティを採用されることになっているが、何ゆえ生産者の希望を採用されないのであるか、その理由を明らかにしていただきたいのであります。
 質問の第五は、農家の作付計画というものは、北海道農家においては、秋の収穫が終わったときに種の準備をするのであります。そのときにあらかじめ翌年の計画を立ててあります。でありますから、ビート価格の告示は、その時期、すなわち秋には翌年の分を告示してもらいたいというのがほんとうの気持なんでありますが、これに対してどうお考えになっておるのでありましょうか。
 質問の第六は、工場はビート糖の販売については、それぞれ販売系列を持って販路の拡張をやって、メーカーなどはみなその系列によって使いなれた砂糖を買ってそれを使っておるのであります。政府の買い上げた砂糖を売る際、この系列を混乱させることになりますというと、せっかく販路拡張に当たった系列の商社もメーカーも迷惑するばかりでなく、さらに今度は新たに販売の費用をかけてその費用がかさんでいくのであります。政府は安く売らなければならぬような結果になるのではありませんか。農林大臣はどういう売り方をしてこの弊害をきたさないようにされるおつもりでありますか、その考えをお伺いいたしたいのであります。
 質問の第七は、従来、ビートの告示価格をきめる際、足らない分は工場に補給させるつもりで安い価格で告示しておられたように私は見受けるのであります。告示価格は再生産の可能な価格として決定すべきである。ことに法律案では、砂糖の価格が著しく低落した場合に政府が買い上げることになっておりますが、その買い上げ価格算定にあたって、告示価格を上回って原料を買った分については、上回った分はコストの算定から除外することになっております。それに、告示価格に上回って会社が買うというようなことはできないのであります。そこに大きな矛盾ができます。あくまで工場負担に期待しないで告示価格というものを作るべきであると思うのでありますが、これはいかがでございますか。
 質問の第八は、従来、政府は増産奨励については工場側にもその一翼をになわせることにしているのであります。これは、北海道のビートの増産長期計画の内容には、土地改良の費用を政府において負担するもののほかに、会社側の負担すべき金額をちゃんと計上しているのでありますが、工場の経営不振の場合は負担できないではありませんか。こういう不確定財源を当てにすることは、いたずらに生産者の不満の原因になるのであります。私は、工場が増産奨励をやることに反対するものではありませんが、政府の責任においてやるべきであると思いますが、いかがでありましょうか。
 質問の第九は、砂糖価格が著しく低落した場合は、政府において買い入れる道を開いております。たいへんけっこうでありますが、その買い入れの告示価格で売りたいというものがあればいつでも買い入れるというふうにお考えでありましょうか、どうか。著しく価格低落した場合とは、何を標準にするのであるか、これも明示していただきたいのであります。
 以上で農林大臣に対する質問を終わります。
 次は、大蔵大臣に一点だけ簡単に質問いたします。
 ビート工場の設備には普通三十億円かかります。澱粉工場もほんとうに合理化すれば四億円ぐらいかかるのであります。それを何百万円ぐらいよりかからない設備も一緒くたにして、共同利用設備資金は農業近代化資金で融通することにしておられるようであります。農業近代化資金を融通するにつきましては、地方庁としては、利子補給の負担の関係もあり、割当を受けたワクの関係もあり、貸付をする団体間の均衡の関係もありまして、スムーズにいかないのであります。そこで、大口のものは農林漁業金融公庫の資金を融通すべきであると思いますが、大蔵大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 ちょっと時間が過ぎまして申しわけありません。これをもって私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 貿易為替の自由化は、われわれ年来の基本政策でございます。したがいまして、砂糖の自由化につきましても、これが九〇%をこえるかこえないかによってきめるべき問題ではございません。数年前からいろいろ考えておったのでございます。
 しこうして、御質問のてん菜生産振興臨時措置法が去る三月末日をもって失効いたしました。したがいまして、今回法案を、それにかわるべき、また砂糖自由化に対しましての一連の法案を御審議願っておるのであります。その間の空白があることはお話のとおりでございます。しかし、農家並びに製糖業者の間に立ちまして、農林省は、この空白の間におきましても、テンサイの価格の決定につきまして適正に行なわれるようただいま指導しておるところでございます。なお、今後、価格の変動につきましては、もちろんこれは原糖の国際価格の変動もありまするが、また国内におきましても、砂糖以外ブドウ糖等の関係もございますので、私は、今回の法案によりまして、国際的にも国内的にも安定した措置がとれることを期待し、その方向に向かって努力する考えでございます。(拍手)
  〔国務大臣重政誠之君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(重政誠之君) お答えを申し上げます。
 酪農の経営とビートの生産とを結びつけるのは不適当ではないかという御意見のようでありましたが、私はそう考えておりません。もちろん、ビートの生産と酪農の経営とを結びつけるにつきましては、具体的には労力及び資金その他の経営条件を勘案してやらなければならぬことでありますが、原則的には、やはりこれはビートの生産と酪農というものは兼ねていくべき筋合いのものである、こう考えております。
 それから、ビートの生産についての即効薬はないかということ、これはもうそのとおりでありまして、なかなかそう即効薬はないのであります。が、先ほども申しましたとおり、私どもといたしましては、何と申しましても、第一は土地改良をやらなければならぬ。さらには、労力不足のおりからでありますから、省力栽培の技術の普及をやらなければならぬ。さらには農業機械の導入等、あらゆる手段を講じましてその生産の増強をはかる所存でおるわけであります。
 さらに、ビート糖工場の適正規模はどうかということでありますが、現在のところ、私どもは一工場十五万トン前後のものが北海道においては適当であると考えておる。これが二十万トンになり、二十万トンをこえることができれば、さらにけっこうであろうと思うのでありますが、しかし、原料生産の状況ともにらみ合わせて考えなければならぬことでありますので、その程度のことを考えております。さらに、これらの工場についての合理化も促進をして参りたい、こういうふうに考えております。
 ビート価格の告示について生産費所得補償方式をとらない理由はどうかということであります。砂糖はやはり商品であります。需給を別にして生産費所得補償方式で考えるということは、とうていこれは実情に沿わない、こう考えておりますから、先ほども申しましたとおり、パリティ方式を標準として考える、こういうことにいたしております。
 さらに、ビート価格の告示は、前年の秋ごろがいいのではないかという御意見でありましたが、私どもは、早ければ早いほどいいということでありましょうが、それはなかなかむずかしいのでありますから、少なくとも四月中、播種前にこれはいたすべきものである、こういうふうに考えております。
 それから政府の買い上げ等は、現在は入札でいたしております。このビート糖の政府の買い上げたものを払い下げるのは、入札制によっております。ただし、これは加糖練乳用のビート糖は別でありますが、その他のものは、すべて入札によっておるのでありまして・お話のように政府が買い上げる対象となった会社と、生産者の便宜から申しますれば、それぞれ販売のルート等もありましょうが、しかし、それは会計法の関係もございまして、そういうふうには参りません。
 それから、土地改良の助成金のほかに、各製造工場等が負担をしておる部分があるが、これは政府が負担すべきではないかというふうな御趣旨であったと思いますが・政府は御承知のとおり、土地改良法によりまして、土地改良の助成施設によりまして、一定の比率によって負担をいたしております。あるいは県の負担をしておるもの、あるいは地元の負担もあるわけでありますが、便宜、工場がビートの奨励のために、農家の負担部分をみずから負担をしておるというような例があるように思うのでありますが、その部分を政府に負担をしろと言われても、これはちょっと筋が違うと思うのであります。
 最後に、政府が買い入れるのは、著しく糖価が低落した場合に、賢い入れるということになっているが、それはどういう標準で著しく低下をしたと見るかというような御趣旨であったかと思うのでありますが、これは生産者の価格を基礎といたしまして、国内糖の標準買い入れ価格が一応の標準となると考えるのでありまして、その内容につきましては、今後におきまして十分検討をいたしていきたい、こういうふうに考えているのであります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(田中角榮君) ビート工場、澱粉工場等の設備資金の金融につきまして、農林漁業金融公庫を使ってもっと手厚い方法はできないかということでございますが、御承知のとおり、一般の株式会社式なものの工場等につきましては、北海道東北開発公庫及び開発銀行等から融資が行なわれておるわけでございます。また、農業協同組合関係の施設については、農林漁業金融公庫からの融資が行なわれておったわけでございますが、昭和三十六年に設備近代化資金制度ができましたときに、これに移行していくという基本的な考え方をとっているわけでございます。結論として申し上げまして、一般のビート工場及び澱粉工場等の設備資金を、農林漁業金融公庫から融資をするということは、現在考えておりません。(拍手)
#32
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
   ――――・――――
#33
○議長(重宗雄三君) この際、お諮りいたします。
 千葉信君から十日間、村上義一君から十四日間、いずれも病気のため請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十一分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト