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1962/02/28 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第6号
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1962/02/28 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第6号

#1
第043回国会 法務委員会 第6号
昭和三十八年二月二十八日(木曜日)
   午前十時二十二分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 二月二十八日
  辞任      補欠選任
   竹中 恒夫君  手島  栄君
   井川 伊平君  田中 啓一君
   谷口 慶吉君  小沢久太郎君
   徳永 正利君  重宗 雄三君
   青田源太郎君  鈴木 万平君
   大谷 贇雄君  椿  繁夫君
   山口 重彦君
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     鳥畠徳次郎君
   理事
           後藤 義隆君
           松野 孝一君
           稲葉 誠一君
           和泉  覚君
   委員
           杉浦 武雄君
           吉武 恵市君
           椿  繁夫君
           山高しげり君
  国務大臣
   法 務 大 臣 中垣 國男君
  政府委員
   警察庁刑事局長 宮地 直邦君
   警察庁警備局長 三輪 良雄君
   法務大臣官房司
   法法制調査部長 津田  実君
   法務省民事局長 平賀 健太君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  説明員
   法務省刑事局刑
   事課長     羽山 忠弘君
   法務省刑事局公
   安課長     川井 英良君
   法務省入国管理
   局次長     富田 正典君
   労働省労働基準
   局監督課長   小鴨 光男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○商法中改正法律施行法の一部を改正
 する法律案(内閣提出)
○訴訟費用等臨時措置法の一部を改正
 する法律案(内閣送付、予備審査)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (立川基地における射殺事件に関す
 る件)
 (外国人登録及び出入国管理に関す
 る件)
 (労働争議における暴力事件に関す
 る件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 本日は、去る二月二十五日本委員会に付託されました商法中改正法律施行法の一部を改正する法律案及び同日予備審査のため付託されました訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案をそれぞれ議題とし、順次提案理由の説明を求めます。中垣法務大臣。
#3
○国務大臣(中垣國男君) 商法中改正法律施行法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
 本年二月十日、門司市、小倉市、若松市、八幡市及び戸畑市の五市が合併して北九州市となり、同市は、本年四月一日から地方自治法第二百五十二条の十九による指定都市となり、区を設けることになりました。他方、商法においては、同一市町村内においては同一商号の登記が禁止され、同一市町村内で他人の登記した商号を使用する者は、不正競争の目的をもってその商号を使用する者と推定されております。また、営業を譲渡した者は、同一市町村及び隣接市町村内においては二十年間同一の営業を営むことができないこととなっております。
 従来、東京都内の各区、京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市の各区は、商法中改正法律施行法第五条第二項の規定によりまして、ただいま述べました商法の規定の適用については、市とみなされてきたのであります。したがいまして、北九州市に区が設けられるのに伴いまして、北九州市の各区についても同様の措置をとることが必要になったのであります。そこで、商法中改正法律施行法第五条第二項に列挙されています市にさらに北九州市を加えることにしたのであります。
 以上がこの法律案の内容であります。なにとぞ慎重審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願いいたします。
 次に、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
 この法律案は、訴訟費用等臨時措置法の規定による執行吏の手数料及び立替金の額を増加しようとするものであります。御承知のとおり、執行吏の手数料及び立替金については執達吏手数料規則に規定があるのでありますが、現在、その額については、訴訟費用等臨時措置法の定めるところによることとなっており、現行の額は、昭和三十年九月一日から施行された同法の改正規定によるものであります。しかし、この額は、現在の経済事情にかんがみますと、低きに失するうらみがありますので、このたび、消費者物価その他諸般の事情を参酌し、差押、仮差押、競売等についての手数料及び立替金である書記料についてほぼ二割五分程度の増額を行なおうとするものであります。
 以上が訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願いいたします。
#4
○委員長(鳥畠徳次郎君) 以上で両案の説明は終わりました。両案に対する質疑は、いずれ後日に譲ることにいたします。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 稲葉君から発言を求められておりますので、これを許します。
 なお、ただいま政府側の出席を御報告いたします。中垣法務大臣、平賀民事局長、津田司法法制調査部長、以上が法務省でございます。それから警察庁は、三輪警備局長、宮地刑事局長、以上が出席であります。
#6
○稲葉誠一君 それでは、大臣にお尋ねするんですが、きょうは最初に、この二十五日ですか、米空軍の立川基地で起きました日本人の射殺事件に関連していろいろお尋ねをするわけです。しかし、これは現在捜査中の事件ですし、いろいろ捜査の内容等に立ち入ってお聞きすることについてはもちろんどうかと思う点がありますから、そういう点については私のほうも心得てお聞きをいたしますが、一般的な問題等が中心になってお尋ねすることになるかと思います。
 大臣、このデビットソン軍曹、これがピストルを発射したわけですね。ピストルを発射した一つの法的な根拠はどこにあるんでしょうか。
#7
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。
 この問題につきましては、まだ実は私警察庁から報告を受け取っておりませんので、ただいまのような御質問に対しまして明確なお答えはできかねると思うのであります。
#8
○稲葉誠一君 それじゃ、一般論としてアメリカの軍人が日本人に対してピストルを発射し得るいろいろな場合があると思うんですが、そいつはどういうふうな根拠に従ってそれができるんでしょうか。
#9
○国務大臣(中垣國男君) 一般論として米国軍人が日本人にピストルを発射し得る場合はどういうときかということでありますが、そういうことにつきましても、まあ個々の具体的な問題があればお答えしやすいと思うのでありますけれども、一般論的にはちょっとやはり明確にお答えいたしにくいと思うのでありますが……。
#10
○稲葉誠一君 そんなことはないんじゃないですか。日米行政協定の第十七条の改正、これに伴って刑事裁判権の行使に関する協定が日本とアメリカとの間にあるわけです。この中にアメリカ軍が武器を使用し得る根拠、そういうふうな具体的な場合、これらが規定してあるんじゃないですか。大臣でなければほかの方でけっこうですが。
#11
○説明員(羽山忠弘君) 刑事警察権の行使についての規定があると思いますけれども、ピストルを撃っていいというような規定はないように思います。
#12
○稲葉誠一君 「行政協定第十七条の実施に関し日米合同委員会において合意された事項の送付等について」というので、これはまあ最高裁判所ですが、これは各高裁の長官なり地裁の所長に刑事局長の通達を昭和二十八年十二月十二日最高裁刑一第一七三六〇号で出しておるわけです。その別添として「裁判権分科委員会刑事部会における行政協定に関する事項」、こういうのがあるわけです。「千九百五十三年九月二十九日の日本国とアメリカ合衆国との間の行政協定第十七条を改正する議定書及び公式議事録に関し裁判権分科委員会刑事部会の日米両国の委員によって以下の手続、定義及び解釈に関する事項が合意された。」こういうのがございますでしょう。その中に武器の使用の点について規定してあるのじゃないですか。
#13
○説明員(羽山忠弘君) ただいまの合意事項はございます。
#14
○稲葉誠一君 この中に武器の使用について規定してあるでしょう。ちょっとその点御説明願えませんか。
#15
○説明員(羽山忠弘君) どの点でございますか。
#16
○稲葉誠一君 これは、7の(施設又は区域外における合衆国軍隊の当局による逮捕等)の(b)のおしまいのところにあるのじゃないですか。
#17
○説明員(羽山忠弘君) 「この場合において合衆国軍隊の法律執行員は、合衆国軍隊の守則に従い、且つ、日本国刑法第三十六条第一項又は第三十七条第一項に該当する場合のほかは武器を使用してはならない。」と、こういうふうになっております。特にこういう場合はピストルを撃っていいというような規定にはなっていないと思うのであります。
#18
○稲葉誠一君 ピストルを撃っていいとはいっていないでしょうけれども、何々「のほかは武器を使用してはならない。」というのだから、その二つの場合は武器を使用してもいいという反面解釈がそこで出てくるわけじゃないですか。
#19
○説明員(羽山忠弘君) そういう御趣旨でございますならば、まさにそのとおりでございます。
#20
○稲葉誠一君 ちょっと私もよくわからないのですが、私が読み上げた「裁判権分科委員会刑事部会における行政協定に関する事項」というもののでき上がった経過とかなんとかをちょっと御説明願えないでしょうか。津田さんのほうがいいですか。
#21
○説明員(羽山忠弘君) これにつきましては、むしろ外務省またはただいま仰せの津田部長のほうがよろしいかと思います。
#22
○稲葉誠一君 今の行政協定に関するところの合意書、これは津田実氏が日本を代表して協定しているわけなんです。津田さんちょっと席をはずしておられますが、もう帰ってこられると思いますから、津田さんが帰ってきてからそれじゃまた詳しくお尋ねしたいと思います。警察庁の刑事局長にお尋ねするのですが、日本におきまする警察官職務執行法、ここで警察官が武器を使用できる範囲が規定されておりますが、これについてちょっと御説明願えないでしょうか。
#23
○政府委員(宮地直邦君) これは警察官職務執行法に第七条として規定しておりますが、これに一般原則を規定しております。なお、それらの解釈が「兇悪な罪」というような点がいかに当たるかというような点につきましては、内部規定におきましてこれを具体的に書いてあるわけでございます。
#24
○稲葉誠一君 警察官職務執行法の第七条の本文のただし書きをみると、「但し、刑法第三十六条(正当防衛)若しくは同法第三十七条(緊急避難)に該当する場合又は」云々「を除いては、人に危害を与えてはならない。」こういうふうになっているわけですね。この原則は正当防衛と緊急避難の場合には該当するとこれははっきりしているわけですけれども、それじゃ正当防衛が限度を越えたいわゆる過剰防衛になってきたというような場合に、あるいは過剰防衛を越えてさらに正当防衛が成立しない、これはちょっと場合が違いますが、そういうふうな場合には、この原則からいっても日本では警察官は武器を使用することが原則として許されないわけですか。
#25
○政府委員(宮地直邦君) 御指摘のとおり、これはこの規則に反した場合は過剰防衛等となるわけでございます。
#26
○稲葉誠一君 いや、この規則に反した場合は過剰防衛になるというのは逆じゃないですか。そういう場合ももちろんありますね。そういう場合もあるし……そうですか。この規則に反した場合には過剰防衛になる、したがって、その武器の使用というのは警察官職務執行法による正当な武器の使用とは認められないと、こういう解釈になるわけですか。
#27
○政府委員(宮地直邦君) お説のとおりであります。
#28
○稲葉誠一君 普通、たとえば窃盗犯人が逃げているという場合に、警察官が捕逮するために威嚇射撃をすることもあり得ると思いますが、そういう場合はどういうふうにしてやるわけですか。たとえば空に向けて撃つとか、いろいろ方法はありますけれども、どういうふうに指示をしているのでしょうか。
#29
○政府委員(宮地直邦君) これは抽象的にはこの七条によるわけでありますが、個々具体的な場合によってこれはきまってくると思います。窃盗犯と申しましても、相手が凶器を持って積極的に抵抗してくる、あるいは人数その他いろいろの具体的状況によらなければその正当性を立証することはできませんけれども、あくまでも警察官の使命から見まして、その事件の措置に必要なる限度、あるいはその職務執行によって正当防衛なり緊急避難に必要なる限度というものはあることは当然だと存じます。
#30
○稲葉誠一君 二月二十五日の立川基地の日本人の射殺事件、これはもちろん窃盗犯人だったわけですが、だから日本人にもある程度の責任はもちろんあるわけですが、この事件の現在の捜査はいったいどういうふうになっておるのでしょうか。捜査ですから、いろいろな面において機密であって言えない場合もあると思いますが、差しつかえない範囲といいますか、そういうもので現在どういうふうになっているかということをちょっと御説明願いたいと思います。
#31
○政府委員(宮地直邦君) 起こりましたのは、もう新聞等におきましてこの事件につきましてはその概要は御承知のことと思いますので、それを前提として申しますというと、事件は、二月二十五日の午前二時四十五分ごろにデビットソン軍曹が不審者二名を基地内において発見いたしまして、一名逃げ出しましたために、立川市の谷貝(二十一才)がその基地内で射殺され、一名は他の憲兵によって現場におきまして逮捕され、これは直ちに日本警察に、これは日本人でございますので、引き継ぎを受けたわけであります。その事実を知りました警視庁におきましては、これは日本人が基地内におきまして窃盗犯を働いておる事件でございますので、警視庁におきましては直ちに捜査一課長並びに鑑識課長を立川基地に派遣しまして、基地司令官の承認のもとに現場におきます実況検分を行なっておるのでございます。
 なお、この窃盗犯人の捜査にも必要がございますので、射撃をいたしました同軍曹の出頭を立川署に求めましたところ、これは当日午後三時ごろ立川署に参っておるのでございます。
 なお、この事件の捜査につきましては、まだ完了いたしておりませんけれども、この裁判権がいずれにありやいなやというような問題がございますので、その事実関係につきまして今詳細に日本警察と米軍当局との間に連携を取りつつ事案の真相を究明いたしているのでございます。
#32
○稲葉誠一君 その谷貝というのは、逃げるときに何か凶器を持っていたのでしょうか。
#33
○政府委員(宮地直邦君) 射殺されました者のほうは凶器は持っておりませんで、あとから隠れておりましたのを発見されました赤間というほうの者が登山用のナイフを持っておったのでございます。
#34
○稲葉誠一君 登山用ナイフを持っていた人は、サックに入ったままで持っていたのじゃないでしょうか。
#35
○政府委員(宮地直邦君) それらの点につきまして多少現在事実につきまして供述におきまして完全な一致を見ていない点がございますので、それらの点につきましても十分捜査をいたしているところでございます。
#36
○稲葉誠一君 その一人の人がつかまって、片一方は逃げて行った。そうすると、逃げて行ったのは一人で、憲兵は、MPですか、そのときは二人いたのですか。そこはどうなんですか。
#37
○政府委員(宮地直邦君) 今までのわかった範囲で申しますと、デビットソン軍曹はジープに乗りまして警らをいたしておった。その途中において前方に不審者を認めたので、その地点に参りまして停止をして、人影を認めたので、英語と日本語――と申しますか、その軍曹の知っている限りの日本語において、出てこいという趣旨を伝えた。それと同時というか直前に、ジープにおきます無電をもって、司令部に対しまして、不審者がいるから応援を求めたのであります。それで、一人が――射殺されております谷貝が出て参り、それが逃げましたときにはデビットソン軍曹一人である、こういう状況であると現在私のほうは承知いたしております。
#38
○稲葉誠一君 裁判権の有無が問題になっておるということですね。これは具体的にはどういうことで裁判権の有無が問題になるのでしょうか。そこら辺が行政協定なり今の合意書、そういうふうなものとの関連で裁判権の問題について――これは警察当局にお聞きするのはあるいはちょっと筋違いかもしれませんが、警察当局としては、どういう点が問題となっておるのか、どういう点がどういうふうになれば日本に裁判権があって、アメリカにまた逆に裁判権があるのか、この点はどういうふうにお考えになっておりましょうか。
#39
○政府委員(宮地直邦君) 同軍曹等の行動が御指摘の日米議定書におきます公務中の問題になりますというといたしますならば、これは第一次裁判権が米軍側にあるということになるのでございます。したがって、公務中であるかどうかということはあくまでも正確なる事実の認定の上において判断せられるべき問題だと存じますので、そういう点におきましてわれわれのほうは慎重にこの捜査を進めておるわけでございます。
#40
○稲葉誠一君 第一次の捜査は、これは率直に言ってやはり警察にあるわけですね。今、法務大臣に聞くというと、この事件については何ら報告を受けていないと法務大臣は言うわけですよ。これは検察庁に報告するのは今の警察の建前では義務ではないかもしれませんが、これは検察庁の下にあるわけじゃないから、義務じゃないかもしれませんが、これは検察庁に全然報告しないのですかどうですか。
#41
○政府委員(宮地直邦君) 警察庁におきましては、現在この事件は捜査が完了いたしておりませんから、いわゆる刑事訴訟法上の送致はいたしていないということだと存じますが、本件の事案の性格にかんがみまして、われわれのほうにおきましても事実上事務当局同士におきましては法務省と連絡をとっておるのでございます。
#42
○稲葉誠一君 法務大臣が来られたから、法務大臣にお尋ねすることになると思いますが、そうすると、実況検分なんかやる場合は、検事は立ち会っているのですか。
#43
○政府委員(宮地直邦君) 本件の場合、検事が立ち会ったかどうか存じませんけれども、当日の正午ごろ――翌日だったか、ちょっと不正確で存じませんが、警視庁の捜査一課長並びに鑑識課長が実況検分を基地の憲兵司令官立ち会いのもとに行なったようでございます。
#44
○稲葉誠一君 じゃ、お尋ねしますが、法務省当局は、公務執行中なら第一次裁判権はアメリカ側にある、これは行政協定に書いてあることですが、その公務執行中ということをどういうふうに解釈しておるわけですか。法務大臣でわからなければ、どなたか……。
#45
○国務大臣(中垣國男君) 調査部長から答弁させます。
#46
○政府委員(津田実君) 協定にあります「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」につきまして公務執行中というのは、単に公務に従事している時間、すなわち正規の勤務時間中ということではなくて、公務執行の過程においてという意味に解釈しております。
#47
○稲葉誠一君 さっき刑事課長に聞いたのですが、アメリカの軍隊の法律執行員が武器を使用することが一応認められている規定がありますね。合意書の七条(b)項、この中に書いてある「合衆国軍隊の守則に従い、」という「守則」というのは何ですか。
#48
○政府委員(津田実君) これは、合衆国軍隊におきまして歩哨その他勤務に就いておる者については守るべき規則が抽象的にあるいは具体的にきめられておるわけでございます。これをさしておるわけでございます。
#49
○稲葉誠一君 その合衆国の軍隊の守則というのは、日本の法務省当局というか、警察庁当局、そういうところでは具体的には持っていないんですか。
#50
○政府委員(宮地直邦君) 本件の事案の措置に関しまして、今お尋ねの守則の問題でございますが、きわめて重要なる判断の基礎となるものといたしまして、立川警察署長におきまして、この空軍のその場合における拳銃使用に関するいわゆる規則及び同軍曹の勤務割と申しますか、平たいことを申しますと勤務の基礎となるものにつきまして、目下文書をもって請求をいたしておるのでございます。
#51
○稲葉誠一君 それはこの事件が起きてから初めて請求するのですか。一体、ふだんそういうふうな合衆国基地があれば、そこに合衆国の軍隊がいていろいろな事件が起きるわけですが、守則というものは日本の警察当局というのは握っておらないのですか。事件が起きて初めて照会して回答をもらうという形をとっているのですか。
#52
○政府委員(宮地直邦君) 一般的な守則につきましては私のほうは持っておりますが、なおその具体的事件についての判断の資料としてはそのほうを必要と思い、要求したわけであります。
#53
○稲葉誠一君 たとえば三沢なら三沢にも基地がある。私も三沢に行ってきたのですが、あそこにもいろいろな事件が起こる。それから板付にもピケ隊が来たらピケに向かって的砲したという事件があるでしょう、十一月の初めに。その基地におけるアメリカ軍隊のいわゆる守則というふうなものを常時日本の警察がキャッチしていなくて、十分な治安の保持というのはできないのじゃないでしょうか。これは何もアメリカに変な遠慮をする必要はないのじゃないでしょうか。そこら辺のところはどうなっているのですか。事件が起きて初めて頭を下げてもらってくるというのはおかしいのじゃないですか。
#54
○政府委員(宮地直邦君) ただいまのは、一般的な武器の使用につきましてはわれわれのほうは知っておりますが、特定の場合の武器使用というようなことにつきまして確認するためにおいて請求していることであり、ことに今度の場合には、その場合における勤務というようなものを必要と思いましたので文書で請求した、こういうことなんでございます。
#55
○稲葉誠一君 一般の場合の武器の使用、これはアメリカのどういうふうなものなんですか。一般の場合の武器の使用についての守則があるでしょう、アメリカのほうに。それはどういうものなんですか。私ら見たことないのでわかりませんけれども、あればちょっと御説明願いたいのですが。
#56
○政府委員(宮地直邦君) 今私ここに持っておりませんが、空軍におきましては一九六三年に出しました「武器の認可及びその使用」という規定があるのでございます。こういうものにつきましてはわれわれのほうは承知いたしておるのであります。
#57
○稲葉誠一君 それには武器の使用についてどういうふうに書いてあるのですか。資料がないですか。法務省のほうにあるのじゃないですか。法務省のほうにあればちょっと説明してくれませんか。
#58
○政府委員(津田実君) これは、ただいまのところ若干の抜粋がございますが、誤りがあるかもしれないと思いますので、正確なことはまた後刻正確なものについて申し上げることにいたしたいと思います。
#59
○稲葉誠一君 前にちょっと刑事課長に確めたのですが、日本の刑法の三十六条の第一項、三十七条第一項に該当する場合にはこの反面解釈として武器使用が認められる、それに該当しない場合には武器の使用は認められない、違法だ、こういう解釈になると思うのですが、刑事課長もそういう答えでしたが、それでよろしいですか。
#60
○政府委員(津田実君) 私はこの問題について最近の所管でありませんので、かつては所管でございましたが、最近のことについてははっきり申し上げかねるので、正確なことは申し上げかねますが、一応この合意事項によりましてさように合意されておるわけでありまするが、しかし、御承知のように、刑法三十五条の正当性の問題は、合意されているといなとにかかわらぬ問題ですから、そのほかに正当性があるかどうかということは別に判断する必要があると思うのでありますけれども、一応はもちろんこの合意書によるべきものというふうに考えております。
#61
○稲葉誠一君 正当性の問題は違法性阻却の問題ですか。
#62
○政府委員(津田実君) 違法性阻却の問題だと思います。
#63
○稲葉誠一君 三十六条、三十七条は責任阻却の問題ですか。
#64
○政府委員(津田実君) 正当性の問題は、あらかじめこれは法律できめることもできませんわけでございますが、三十六条、三十七条、つまり緊急避難なり正当防衛の問題につきましては、これは当然初めからわかっていることであります。しかしながら、個々の点についてはもちろん具体的にあてはめの問題があるわけですが、正当性の問題はあらかじめこういう場合というふうにきめられないものですから、それは当然刑法三十五条はかぶるというような考え方であります。
#65
○稲葉誠一君 あなたが当事者となって合意した、今のやつは。こういうのもありますね。「改正行政協定第十七条および公式議事録に関する政府の解釈等」というのもありますね。その中で公務執行中ということに対する統一解釈みたいなのをきめているわけです。これが前にあなたが言われた、公務執行中というのは、「時間中と解すべきではなく、公務遂行の過程においてという意味」だと、こう言われたのは、これに基づいて言われているわけですが。
#66
○政府委員(津田実君) 具体的に合意があったかどうか、ちょっと私記憶いたしておりませんが、公務執行の過程においてということの解釈につきましては、ジラード事件の際に問題になりまして、日本側はこの解釈を通しておるわけでありますけれども、アメリカ側においては必ずしもこの解釈によっているかどうかわかりません。しかしながら、ジラード事件は少なくともそういうことを頭に置いた上で解釈されたものと日本側では考えておるわけであります。
#67
○稲葉誠一君 ジラード事件のことを僕は聞いているんじゃないんですけれども、日本はこの解釈を順守しているけれども、アメリカ側は必ずしもこいつを守っていない、こういうふうに言われるのですか。どういうわけですか、ちょっと説明して下さい。
#68
○政府委員(津田実君) 「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」ということの協定の解釈論になるわけであります。その解釈論については、日本側は公務執行の過程においてという解釈論をとっております。ところが、アメリカ側では、かつては勤務時間中という解釈をとっておったケースもあるわけであります。しかしながら、それは先ほど申しましたジラード事件におきまして日本側は強くこの解釈を主張して解釈されたものですから、自分はアメリカ側においてもこの解釈をとっておるというふうに解釈しておるわけですけれども、その解釈についての合意はないと私は思っております。
#69
○稲葉誠一君 ジラードの場合は、休憩時間にやったからということが問題になった事件ですね、たしか。
#70
○政府委員(津田実君) ジラードの場合は、休憩時間でありません。正規の歩哨に立っているときであります。しかし、日本側の主張としましては、これは正規の職務執行行為ではなくて、いたずらであるというふうに認定したわけであります。その点において公務執行等からはずれるという解釈をとったわけであります。
#71
○稲葉誠一君 これを見ますと、「公務遂行の過程において」という意味は、「例えば、立哨中の兵士が挙動不審の者を発見し、これを誰何したが逃げ出したので守則に従って威嚇のために銃を発射したところ、過ってその者に傷を負わせたような場合がこれに当る。これに反し、勤務時間中であっても、食事のために帰宅すべく自動車を運転中過って人を轢いたような場合にはこれに当らない。」こういう解釈が出ていますね。これは政府の解釈があって出ているのですが、そうすると、今の立川の問題は、銃の発射が威嚇のために撃ったのであるかどうかというところに重点があるわけですか。そこはどういうふうになってくるのですか。公務執行中と解するか解しないかの基本的な解釈の分かれ道はどこにあるのですか。
#72
○政府委員(津田実君) これは具体的事件に即してあらゆる点を考えないと解釈はできないと思いますので、事実は私は承知いたしておりませんので、申し上げかねるわけであります。
#73
○稲葉誠一君 じゃやはり警察庁の刑事局長に聞く以外にないわけですか。どうですか。
#74
○政府委員(宮地直邦君) 公務執行中ということの解釈につきましては、今津田政府委員からお答えになったとおり、われわれのほうにおきましても、公務執行中というものの解釈につきましては、公務の単なる時間中というふうな意味には解してはおりません。やはり公務というものの内容の個々の具体的な場合によって検討をすべきものであろう、こういうふうに思いまして、先ほども御答弁申し上げたような意味において捜査を行なっておるようなわけであります。
#75
○稲葉誠一君 それじゃちょっと話は別になるのですけれども、公務執行妨害罪の場合の公務、これは保護法益でありますね。この場合の公務執行というのはどういうものですか。これと違うのですか。この場合の公務執行とは違ってきますか。
#76
○政府委員(宮地直邦君) ただいまのお尋ねの日本警察官に対する公務という場合におきましては、単に警察官に暴行を働いたという意味においてこれは公務とはならない、やはり警察官がいかなる任務を持っておって働いておったかということが判断の基礎になるとわれわれは解釈しておるのであります。
#77
○稲葉誠一君 警察官がいかなる任務を持っていたかという判断は、警察官が外形的に適法な行為をやっていると見られればいいわけなんでしょう。実質的に違法な行為であっても、外形的に適法だと見ればそれは公務執行妨害罪の保護法益になるんじゃないですか。そこはどうですか。
#78
○政府委員(宮地直邦君) 外形的に見られる場合、たとえば警らの警察官というような場合には、これは外形的に判断せられることが従来の判例等になっております。しかし、一般にその他のような場合におきましては、その警察官の任務がいかなるものであるかというようなことが問題になってくることもあるのでございます。
#79
○稲葉誠一君 あんまり同じ問題やっていてもあれですから先へ進みますが、結局、私のお聞きしたいのは、立川基地の場合でも、窃盗犯人を見つけて誰何するまでのことは適法な公務の執行だとだれが見ても考えられる。ピストルを発射したことが、そこにたとえば故意があって、未必の故意か確定的の故意か、いずれにしても作為というようなものが客観的に推定されるような形ですよ。これは人を殺してやろうという一つの何といいますか希望的意思というものでなくて、そこまで強くなくて、法律的故意だから、もっとずっと段階が低い場合ですがね。誰何まではいいけれども、誰何して逃げていった。そこで、ピストルを撃つときに、前から撃ったのか、うしろから撃ったのか。うしろから撃ったんでしょうけれども、胸部に心臓部を貫くような形でピストルを撃っているわけですよ。だから、自分がピストルを撃つことによって相手に当たることは考えられるわけで、相手が死ぬかもわからないという形でその伍長ですか、考えたとすれば、いわば日本流の刑法でいえば殺人罪ですわね。そこで、こういうような場合でも一体公務の執行中と言えるんですか。
#80
○政府委員(宮地直邦君) この具体的の場合につきましてでございますが、やはりいかなる状態において拳銃が発射されたかということにつきましては、きわめて重要な意味を持っておりますので、そういう点につきましては今慎重に連絡をとって調べておるところでございます。
#81
○稲葉誠一君 これは慎重に調べるべき事件ですから、慎重に調べるのはけっこうなんですけれども、一体、公務執行中という解釈が、違法な公務執行であった場合、そこでピストルを射つということが殺意的なものがそこにあってピストルを撃った場合、ジラードの場合は勤務時間中であったけれども、あれは、何といいましたか、からかうつもりですか、いたずらにやった、こうなるわけでしょう。だから、この場合も、誰何するまではいいけれども、誰何して逃げていく者に対して、そこで威嚇射撃で空へ撃つとか地に撃つということになれば話はわかるけれども、胸部を目がけて撃ったという形になっていた場合には、いたずらとは違うにしても、そこにジラードの場合と同じように公務執行からはずれることが当然考えられてくるんじゃないかと私は思うのですが、まあ事実関係を調べなければわかりませんが、そういう点については、どういうふうにお考えなんですか。
#82
○政府委員(宮地直邦君) 今御設問のように、まず第一に、公務なりやいなやという問題、次に、公務であったとしても、これが過剰であるかどうか、また、過剰となるならば、これが公務でなくなるのかどうか、これらの問題につきましては、今後の日米行政協定の通常の手続によってさらに論争があるかと思いますので、今申しましたように、事実関係におきまして慎重な捜査をとりたいと考えております。
#83
○稲葉誠一君 そうすると、前にお話ししましたように、この七条の(b)項で武器を使用する場合が限定されておる、それは正当防衛の場合だ、過剰防衛の場合には武器を使用することに入らないと、こうなってくると、過剰防衛の場合にはピストルを使用したことは違法になってくる。こうなってくると、それはいわゆる公務執行中という概念には入らないんだ、したがって、日本側に裁判権が出てくるんだと、こういうふうに論理的に考えていいのですか。それも一つの材料として考えていいのですか。それだけがすべてだとは言いませんけれども、そこはどうですか。
#84
○政府委員(宮地直邦君) 公務というものを非常に端的にいいまして狭く解釈した場合におきまして、公務ということに違法を規定してあるわけはございませんので、違法行為をしたときには直ちにこれは公務執行以外になるというふうな考え方をする人もあるわけでございます。それらの問題をめぐりまして、具体的事件の適用にあたりましては、あくまでもケース・バイ・ケースでこれを検討しておるのが現在までの警察の取り扱いの態度であります。
#85
○稲葉誠一君 それじゃ、公務執行中であるかどうかは、最終的にきめるのは一体どことどことが集まってどういう機関でどういう決定によってきめるのですか。
#86
○政府委員(津田実君) 具体的事件につきまして米軍側から公務証明書を出してきた場合、公務証明書を日本側の調査の結果にあてはめてみてそれが日本側で正当であるというふうに判断した場合は、別に問題はないわけであります。日本側が正当でないというふうに判断いたしました場合におきましては、これは合同委員会の系統の機関において討議をする、こういうことになると思います。
#87
○稲葉誠一君 合同委員会の系統の機関というのは何でしょうか。具体的にどういうふうな構成のものが今あるのですか、ないのですか。なくて、また何かのときにこういう事件が起きたときにそいつを作るのですか。そこはどうなっているのですか。
#88
○政府委員(津田実君) 合同委員会の下部組織におきましては、刑事裁判権分科委員会というものがございますが、刑事裁判権分科委員会で討議をする、最後には合同委員会で討議する、こういうことであります。
#89
○稲葉誠一君 今のは日米合同委員会裁判権分科委員会刑事部会というのでしょう。民事部会もあるのですか。刑事部会は一体だれが構成員なのですか。
#90
○政府委員(津田実君) 現在は、刑事裁判権分科委員会という独立の分科委員会であります。民事は別にございます。刑事裁判権分科委員会でありまして、日米双方に委員長がいるわけですが、日本側の委員長は刑事局の総務課長であります。そのほか外務省あるいは警察その他の国内機関の係官で構成されております。アメリカ側におきましては、アメリカ側の法務部長その他しかるべき者で構成しているわけであります。
#91
○稲葉誠一君 大体わかりました。
 それでは、一般論をお聞きするわけですが、今アメリカ軍が日本に駐留している。これはいわゆる治外法権を持っているわけでしょう。治外法権というのの具体的な意味はどういう意味でしょうか。
#92
○政府委員(津田実君) 治外法権という言葉は非常に考え方がむずかしいので、内容はいろいろございます。たとえば外交官、大公使のごときものは、ほとんど絶対的な治外法権を持っております。しかしながら、合衆国の軍隊の構成員につきましては、これはその治外法権の内容と申しますか、治外法権という言葉が当たるかどうかは問題ですけれども、その内容は、全部協定によって定まっております。協定でカバーできないものについては国際法がカバーしている部分もありますけれども。そういう意味におきまして、大公使のごとき絶対的な治外法権というものはないわけであります。
#93
○稲葉誠一君 その治外法権という言葉の解釈にもよるわけですし、いろいろありますけれども、行政協定というようなものでそれができている。そうすると、結局、アメリカ人が日本人に対して犯罪を行なった場合と、日本人がアメリカ人に犯罪を行なった場合と、いろいろあるわけですけれども、そういうふうな場合には、一般的にはどういうふうになっているわけですか。第一次裁判権がアメリカにある場合もあるし、日本にある場合もあるし、両方競合する場合もあるわけでしょう。こういうふうな場合について、ちょっと概略説明願えないでしょうか。
#94
○政府委員(津田実君) 詳しいことは、現実に協定に入らないと申し上げかねますが、大体の場合は、日本人がアメリカの軍事裁判所でさばかれることは絶対にありません。それからアメリカの軍人、軍属、家族の問題であります。これにつきましては、いろいろ段階が違うわけでありますけれども、主として公務執行中の作為または不作為から生じたものについては、アメリカ側に第一次裁判権があり、日本側に第二次裁判権がある。これに反しまして、公務外のものにつきましては、日本側に第一次裁判権があり、アメリカ側に第二次裁判権がある。そういう意味で両者が競合しているわけであります。それから日本の法律に照らしてのみ犯罪になり、アメリカの法律に照らしては犯罪にならないものについては、日本側の裁判権のみがあります。アメリカ側においてのみ犯罪になり、日本側においては犯罪にならないものについては、アメリカのみに裁判権がある。大体そういう仕組みになっております。
#95
○稲葉誠一君 日本側に裁判権がある事件の場合に、いわゆる通告制度というのがあるのですか。これはどういうのですか。
#96
○政府委員(津田実君) 通告制度というお尋ねの御趣旨でございますが、事件が起こった場合はお互いに通報し合うという意味ならば、そういうものはございます。
#97
○稲葉誠一君 通告制度という言葉があるいは悪いかもわかりませんが、アメリカ人の事件で日本に裁判権がある場合でも、一定の期間内に処理しなければならないという規定があるわけでしょう。ありますね。その点についての説明を聞いておるわけです。
#98
○政府委員(津田実君) この点につきまして私どもが合意しました当時のことを申し上げますと――現在につきましては若干違っておるかもしれません。合衆国軍隊は日本に駐留しておるわけでございますが、これは軍の性質上非常に移動性の激しいものであります。したがいまして、一定の期間内に日本側が処理しないと、その軍人が他方に移駐するようなそういうような異常な事態が起こるわけであります。したがいまして、軍隊のいわゆる迅速を尊ぶということを日本側も加味いたしまして、一定の期間内に処理をする、こういうことを合意しておるわけであります。それがただいまおっしゃることであるとすれば、そのとおりであります。
#99
○稲葉誠一君 その一定の期間ということは、最初のころとあとのほうとちょっと変わりましたね。ちょっと日数が延びたんじゃないですか。
#100
○説明員(羽山忠弘君) お答えいたします。ただいまお尋ねのとおり延びたのでございまして、それはたしか三十五年のときに協議いたしまして、若干延ばしたように思っております。
#101
○稲葉誠一君 これは三十五年の十二月二十一日でしょう。A号事件について十日間にしたわけでしょう。それはわかりますが、そうすると、そのときの身柄は――アメリカ人か犯罪を起こしても、一定の短い期間内でしょう。七日もあるし、五日以内もあるし、二十日以内もあるでしょうし、十日というものもあるでしょう、犯罪によって。その間に日本側が処理しなければいけないわけでしょう。その間の身柄はアメリカ側にいるわけでしょう。逮捕した場合じゃなくて不拘束の場合は、当然アメリカ側に勤務しているわけでしょう。
#102
○説明員(羽山忠弘君) そのとおりでございます。
#103
○稲葉誠一君 現実問題として、そういうふうな非常な短い期間がきめられておるけれども、取り調べは全然できない、結局取り調べができなくて、きまった期間内に起訴がきまらないというと、どうなんですか。
#104
○政府委員(津田実君) 身柄につきましては、日本側で拘束したこともありますが、いろいろな手続等の問題もありますので、アメリカ側に拘束させているのが通常でございます。通常の勤務に就いておるわけではなくて、現にアメリカ側が拘束しておるわけであります。それに対して、日本の検察庁への出頭、あるいはこちらから出向いての取り調べ等については十分日本側が権利を留保しておりますから、その点は何ら問題はありません。ただ、その期間の点でございますけれども、先ほど申しました理由でそういうふうにきめておるわけでありますが、その期間内にどうしても捜査ができないというようなことは、実際問題としてはほとんど起こらない。と申しますのは、事件の性質上非常に単純な事件が多いわけでございまして、そういう意味におきましてその捜査期間というものは相当であると思いますが、それによりまして直ちに起訴するということではなくて、裁判権を行使するという通告を日本側がすれば、日本側の第一次裁判権が留保されていくわけです。その点においては何ら不都合はないわけであります。
#105
○稲葉誠一君 原則としては、期間内でなければアメリカに戻っちゃうのでしょう、裁判権は。そこはどうなっておるのですか。
#106
○政府委員(津田実君) 行使通告をすれば、戻ることはありません。
#107
○稲葉誠一君 それじゃ大体わかりました。そうすると、非常に短い期間内に日本に裁判権があるアメリカ人の事件でも調べなければならない。調べができない場合には、その行使通告をするというと、アメリカ側のほうに裁判権が移っちゃう。現実の適用は別として、規定の上ではそうなっておりますと、こういうふうに承っておきます。
 そこで、特にお聞きしておきたいのは、一般論になってくるんですが、日本におきますアメリカ人のいわゆる刑法犯ですね、刑法犯に限定をいたしました犯罪の特に件数であるとか、これはこの前も刑事課で発表したことがありますが、その中で特に起訴率ですね、起訴率がどういうふうになっているかということをお知らせ願いたいのです。
#108
○説明員(羽山忠弘君) 合衆国軍隊構成員等の犯罪事件の統計によりお答え申し上げます。昭和二十八年十月二十九日から昭和三十七年十二月三十一日までの統計でございますが、総数が四万六千五百四十六人でございます。そのうち、刑法犯と特別法犯に分けまして、刑法犯が二万四千八十五人でございまして、特別法犯が二万二千四百六十一人、起訴総数が千四百五十四人でございます。刑法犯の起訴が千二百三人、特別法犯の起訴が二百五十一人、その起訴の内訳でございますが……
#109
○稲葉誠一君 詳しいことはいいですよ。パーセンテージがわかりませんか、刑法犯の。
#110
○説明員(羽山忠弘君) 刑法犯のパーセンテージと申しますと、大体二万四千人のうちで千二百でございますから、五%ということになっております。
#111
○稲葉誠一君 これは今言ったアメリカ人の犯罪起訴率が五%、百人のうち五人でしょう。一般の日本人の犯罪とは違うかもしれませんが、日本人の犯罪の起訴率は一体どうなっているんですか。犯罪白書がありますが、ものすごい起訴率ですよ。五割をこえているんじゃないですか。大体五割です、道交法を除いて。一般の刑法犯の起訴率が五割で、このごろ実に起訴が多いですよ。昔ならば執行猶予になるものをぽかぽかみな起訴しておりますよ。法務大臣が検察のあり方についていろいろお考えになっておるので、別な機会にお尋ねしますが、非常に起訴率が高いでしょう。ところが、アメリカの犯罪になってくると、日本人の起訴率が五割なのに、五%というのは一体どういうわけですか。
#112
○政府委員(津田実君) 確かにそのパーセンテージは御指摘のとおりであろうかと思いますが、これはアメリカ軍に対する裁判権行使を日本側がしたほうがいいか、アメリカ側にまかしたほうがいいか、刑事政策上の問題が非常にあるわけであります。というのは、具体的の例を申し上げかねますけれども、一般的にアメリカ軍の処罰のほうが重いわけです。そういう意味において、犯罪について日本側で処罰するよりもアメリカ側で処罰させるほうが再犯の防止その他の点において適当であると判断されるものは相当ある。そういうものについて日本側で裁判権を行使しないという態度をとるほうがいいか、絶対日本の国民感情その他から照らして日本側が裁判権を行使すべきだというものについては裁判権を行使しておるのであって、それを決して野放しにしておるというわけではないのでありまして、そういう意味におきましてパーセンテージの違いを生ずるわけでございます。
#113
○稲葉誠一君 そうすると、日本側で不起訴にしたのは、起訴が五%なら、九五%は不起訴でしょう。その九五%の不起訴は、アメリカへ持って帰ってアメリカ側で処罰しているんですか。その点、具体的なことがわかっているんですか、そこまでのことが。
#114
○説明員(羽山忠弘君) 日本側で不起訴にいたしましてアメリカ側の処罰にまかせたものにつきましては、その処罰の結果の通知を受けております。
#115
○稲葉誠一君 きょうはそのことが問題でありませんから、適当にして打ち切りますけれども、今津田さんが言われたのは、アメリカのほうが刑が重いからと言うんでしょう。確かに刑が重いでしょう。刑が重くても、仮釈放がアメリカ側のほうはものすごく多い。懲役が十年でも、一年くらいで出ておるんじゃないですか。それはちょっとオーバーかもしれませんけれども、日本の仮釈放と全然違うでしょう。懲役百年なんてのがあるでしょう、アメリカでは。それが結局仮釈放でどんどん出ちゃうので、宣告した刑だけでアメリカのほうが重いとかなんとかいうことは言えないんじゃないですか。これは刑事課長がよく知っているでしょうけれども。
#116
○政府委員(津田実君) そのとおりでございます。確かにいろいろ仮釈放はございますが、それにしましても、アメリカ側のほうが、たとえば軍籍剥奪であるとか、給料の罰俸でございますとか、そういう付随の効果も相当たくさんあるわけでございます。その意味におきまして、全体を勘案してきめるのが相当であるというふうに考えられます。なおそれから、アメリカの軍隊の構成員の犯罪のうちには、一応犯罪の形で上がってきていますが、非常に軽微のものが相当たくさんあると思うわけです。そういう意味もありまして、このパーセンテージというものは必ずしも不当であるとは考えられないというふうに思うわけであります。
#117
○稲葉誠一君 アメリカのそういうふうな事件を不起訴にする場合には、アメリカの軍当局といろいろ連絡してその意見を聞くとかなんとかということをやる場合もあるんですか。たとえば、その人のふだんの性行がいいとか悪いとか、将来アメリカへ持っていってアメリカの軍人として再び使うとか使わないとか、こういうようなことを聞いてそれで判断するんですか。
#118
○説明員(羽山忠弘君) 処分に際しましてアメリカから特に要請がある場合にそれを考慮することはございますが、たとえば普通のどろぼう事件というふうなつまらぬものにつきましては、あまり日本人と違ったような取り扱いはしていないように承知しております。
#119
○稲葉誠一君 それじゃ、きょうの基地に関連しての問題は、行政協定の十七条関係の処理を私も十分検討してまた別な機会にお尋ねしたいことが相当あるわけですが、いずれにいたしましても、ひとつ厳正に捜査を続けてもらいたいと、こういうふうに考えます。
 それからこれに関連して、ちょっとテレビで見たら、アメリカの基地の情報部長ですか、何とかというのが、これは正当行為なんだから処罪される理由はないとかなんとか発表していますね。それをお聞きになりませんか。立川の基地の何とかというのが。
#120
○政府委員(宮地直邦君) 私ども正式には聞いておりません。
  ―――――――――――――
#121
○稲葉誠一君 それじゃ、別の問題に移ります。今の行政協定の関係の方はもうけっこうです。
 二番目の問題で、外国人登録法の関係、特にまたこれに関連して一つのケース、これについて質問をいたしておきますが、「外国人登録法違反事件の処理状況」、これについての法務省刑事局の表をいただいたんですが、これで見ますと、普通の事件と比べて起訴率はどういうふうになっていますか。第一表です。
#122
○説明員(羽山忠弘君) 必ずしもはっきりした傾向が認められないように思うのでございますが、念のために起訴率のパーセントを申し上げますと、昭和三十年が三八・六%でございまして、三十一年三六%、三十二年三〇・九%、三十三年三六・二%、三十四年二八%、三十五年二八・四%、三十六年三一・七%、こういうふうな数字に相なっております。
#123
○稲葉誠一君 一般の刑法犯の起訴率は非常に近来高くて、これは犯罪白書の六十二ページを見ても、大体五〇%ですね。四八%ぐらいになっているでしょう。それから比べると、外国人登録法の起訴率というのは低いわけですね。相当程度低いわけですね。これは事実が現われておるわけですから、そう承ってよろしいですか。
#124
○説明員(羽山忠弘君) 一般の犯罪の数字よりは下回っているように考えます。
#125
○稲葉誠一君 この中で、「犯罪の嫌疑なし」というのが相当ありますね。相当というか、たとえば三十六年に八百五十二件あるわけですが、こういうのは一体何なんですか。たとえば外国人登録証明書を持っていないということ、不携帯で調べるわけでしょう。持っているか持っていないか調べるわけなんで、これは結果として犯罪の嫌疑なしというのが出てくるのはどういうことなんです。どこかに捜査の欠陥がなくちゃこういう結果は出てこないですね。一応警察としては立件して送ってきているわけでしょう。
#126
○説明員(羽山忠弘君) 一つ一つのケースを報告を受けて検討したことがございませんので、全く想像するようなことになるのでありますが、登録証明書の不携帯の嫌疑で取り調べましても、たとえば本人が密入国者であったというような場合には、初めから登録証明書を持っていないわけでございますので、犯罪の嫌疑なしという処理をいたすことになるかと思いますが、そのような結果ではないかと考えます。
#127
○稲葉誠一君 それはちょっとおかしいのじゃないですか。密入国で外国人登録証明書を持っていない。犯罪の嫌疑があるなしそれ以前の問題でしょう。一種の不能犯みたいなものでしょう。犯罪が成立しないのも何もみんなひっくるめちゃって検察庁でやっていますね。これはやっていることは私もよく知っていますが、そういうふうなことで犯罪の嫌疑なしというのがあるんですか。あるいは入管の次長のほうが詳しいかな。ちょっと違いませんか、今の。
#128
○説明員(羽山忠弘君) これは、先ほど申し上げましたとおり、一々ケースに当たっておるわけじゃございませんので、全く想像でございますので、その点御了承いただきたいと思います。
#129
○稲葉誠一君 じゃ、入管の次長のほうに。次長は専門だから詳しい……。
#130
○説明員(富田正典君) この処罰状況については検察庁でやっておりますので、私も全く正確なことを申し上げることができないのでございますが、ただいま刑事課長が説明したようなことにつきましてときどき耳にするのでございます。最初調べたときに、うちに忘れてきたとか、ちょっと今都合で持っていないと言うけれども、いろいろ調べておりますうちに、それが密入国で初めから携帯しておらなかった。密入国でございますので、全然携帯していないわけでございます。そうしますと、不携帯が嫌疑なしになって、密入国のほうで処罰されるというようなケースがしばしばあるやに聞いております。
#131
○稲葉誠一君 それはここで議論してもあれですけれども、そういうものは、厳密に言うと、犯罪の嫌疑なしというよりも、もう一つ以前の問題なんじゃないですか。犯罪不成立じゃないのですか。持つも持たぬも密入国ならばそういう問題は起きないのじゃないですか。それはいかがですかね。その他にもいろいろありますね、犯罪の嫌疑なしというのが。どうしてこう犯罪の嫌疑なしというのが出てくるのです。おかしいじゃないですか。
#132
○説明員(羽山忠弘君) もし時間の余裕をいただけますならば、調査して正確なところをお答えいたします。
#133
○稲葉誠一君 今ここでそんな時間はないので、調査するのはまたきょうじゃなくていいですがね。だから、これはやっぱり警察の捜査が相当ずさんな形で行なわれているのじゃないですか。だからこういう嫌疑なしが出てくるのじゃないですか。しかも、起訴猶予も相当ありますね。ということは、警察がたいした事件でもないのにうんと立件して送っているのじゃないですか。だから嫌疑なしが相当出てくるのじゃないか。したがって、起訴率がほかの事件よりずっと悪いという形になってくるのじゃないですか。そこはどうですか。
#134
○説明員(羽山忠弘君) 稲葉委員も御承知かと思いますが、警察に対して微罪処分を許しておる若干の罪種があるわけでございます。外国人登録法違反につきましては微罪処分を許しておりませんで、どんな事件でも一応検察庁に送るということになっておりますので、その結果起訴猶予が多いのではないかと考えます。
#135
○稲葉誠一君 微罪処分というのは普通の刑法犯にあるので、特別法の場合に微罪処分ということはありますか。普通はないのじゃないですか。
#136
○説明員(羽山忠弘君) これは正式にやっていると申しますか、事実上の運用で自然にそういうことになっているようでございますが、最近、御承知のように、自動車事故が非常に多うございまして、軽微な傷害までを、たとえば全治三日間というような傷の事件というものを検察庁に送られますと、検察庁のほうの受け入れ体勢が十分でないというような事情で、やむを得ず軽い傷害の場合は警察限りで処分をするというようなことにならざるを得ないような状況になっておりまして、そういうような点で、たとえば道路交通法につきましては現在そのようなことをやっておるところもあるようでございます。
#137
○稲葉誠一君 「外国人登録法違反通常の第一審の科刑調」がありますね。司法統計年報によるところの刑の調、これは起訴されたものですよ、起訴されたうちの九割以上が罰金ですね。ほとんどそうですね。ちょっと見て下さい。どうですか。
#138
○説明員(羽山忠弘君) 御指摘のように、罰金が多くなっております。
#139
○稲葉誠一君 多くなっているじゃなくて、たとえば昭和三十五年には、起訴された総数が五千百四十二人ですか、そのうちに罰金が四千八百二人ですか。そうすると、もうこれは九割五、六分じゃないですか。九割五、六分のものがほとんど罰金ですね。そうですね。
#140
○説明員(羽山忠弘君) さようでございます。
#141
○稲葉誠一君 それじゃ、出入国管理令のほうですね、これはまあ相当起訴率は高いですね。八割ぐらい起訴していますね。これは普通の犯罪よりずっと起訴率が高いのですが、これは「犯罪の嫌疑なし」というのは何なんですか。どういう場合に犯罪の嫌疑なしというのが出てくるのですか、出入国管理令違反で。
#142
○説明員(羽山忠弘君) その点も、正確なことはまた調査をいたしましてお答えさしていただきたいと思います。
#143
○稲葉誠一君 それじゃ、第三表があるでしょう。「出入国管理令違反通常第一審終局・略式事件終局被告人の科刑調」、これを見ても、どうですか、外国人登録よりは重いけれども、たとえば三十五年が、総数が七百七十一ですか、罰金が百四十、公判を開いたものもありますけれども、四百三十五は執行猶予ですね。ほとんどの事件が執行猶予になっておる、あるいは罰金だという形で、いわゆる軽い罪というか、そういう方面の中に入ってくるのじゃないですか。軽い重いということの判断はちょっとむずかしいけれども、実際の裁判の結果から見るというと、これも八割ぐらいかな、八割以上、九割近くが執行猶予並びに罰金じゃないですか。どうですか。
#144
○説明員(富田正典君) 入国管理局のほうで退去強制の事件を扱っておりますケースを通じて感じたところを申し上げたいと思います。出入国管理令違反の事件についても、相当執行猶予が多うございます。これは、入国してきたその動機において、戦前に別れた夫に会いたいであるとか、あるいは朝鮮で一人で生計を営むことができない未成年者が親をたずねてきたとか、そういうようなケース、いろいろ気の毒な事情がございますので、出入国管理令違反については執行猶予が相当多いのではないか、こう想像しております。
#145
○稲葉誠一君 今の実際の量刑、これについて、第一線の警察庁警備局長はどういうふうにお考えですか。ちょっと無理かもわからぬけれども……。
#146
○政府委員(三輪良雄君) 警察といたしましては、犯罪の容疑がありますると、捜査をして検察庁に送りますので、この刑が重かるべきであるとか、重いことを望むとかいうことはございません。先ほど来非常に軽微な犯罪だというふうにおっしゃいまするけれども、私どもは、法定刑につきましては相当に重いのでございますし、また、出入国管理令にいたしましても、外国人登録法にいたしましても、国の利益から考えて重要なことであると考えて捜査をいたしますし、犯罪の事実があると送っておるのでございます。したがいまして、結果的にいろいろ事情を参酌をされまして裁判において軽くなることがありましても、これについて警察が不満を申す筋ではございません。
#147
○稲葉誠一君 大体今のは総論的なものでありまして、今度は具体的な事件に入っていきます。その前にお聞きしておきたいのですが、外国人関係が警察庁で警備局の扱いだということですね、これはどういうわけなんでしょうか。
#148
○政府委員(三輪良雄君) 外国人に関しましてすべて警備局で扱っておるというわけではないのでございまして、いわゆる刑事犯罪につきまして、たとえば外国人が殺人を犯したとかいうふうな問題でありまするならば、これはもう刑事局の所管でございます。あるいはまた、保安局で扱っております法令違反、あるいは交通局で扱っております道交法違反、そういうものの取り扱いは、それぞれの局でやるわけでございます。ただ、出入国管理令あるいは外国人登録法というような特殊の、これは外国人の身分につきまして特別な法があり、その法自体を犯したという者につきましては、これは一般刑法犯と性質を異にいたしますので、警備局が扱っておる。事務上のこれは便宜のためにそうやっておるわけでございます。
#149
○稲葉誠一君 そうすると、警備警察の警備局の仕事というのは何なんですか。警察法との関係でどういうふうになっておりますか。
#150
○政府委員(三輪良雄君) 警察庁組織令というものに警備局の扱います仕事がきめられておるわけでございます。その中で、外事課で扱います仕事の中で「外国人に係る警備情報の収集、整理その他外国人に係る警備情報に関すること。」それから「次に掲げる犯罪の捜査に関すること。」ということで、「外国人登録法」「出入国管理令」その他いわゆる警備事件、つまり集団的な事件で警備実施をいたしますことに伴います犯罪捜査でございますが、そういうものに関係する犯罪で「外国人に係るもの」というものを外事課が扱うのでございます。
#151
○稲葉誠一君 外国人のことだから、外事課が扱うのは当然ですよ。そうでなくて、外国人登録法の関係を警備関係で扱うということの意味がよくわからないんです。これはただ便宜だけですか、もっと考え方があるのですか。
#152
○政府委員(三輪良雄君) 実際に密入国をして参ります場合に、いわゆる諜報、謀略と俗に申しますわけでございますけれども、そういう任務を持った者もあるわけでございます。また、これは直接に麻薬を持ち込みますとか、あるいは、生活ができないために入って参りました結果やむを得ずでございましょうけれども、犯罪の種になるというような者も入って来る。いずれの場合も国として望ましくないわけでございます。そういう意味で、外国人がそういった形で入って来るということが直接国の利益から見て望ましくない、不利益になるというふうな考え方から、特にそういうものを含む外国人登録法、出入国管理令に関する犯罪を警備局で扱う。これは部内の所掌事務のことでございますので、これをまた刑事局につけるということが不可能だというようなことではもちろんございません。
#153
○稲葉誠一君 そうすると、外国人登録法というのは、外国人登録そのものよりも、日本に入って来る外国人が諜報活動なんかする、あるいは麻薬を持っていたりなんかする、そういうようなことがあるから、そいつを発見するためには外国人登録法というのは必要だ、こういうふうなことにもなるのですか。
#154
○政府委員(三輪良雄君) 先ほどもお答えしたことの繰り返しでございますけれども、そういうことのために必要だと申しておるのではございませんで、そういうことも含む法令違反だという性質でございますので、これは外事課で扱いますほうが適当であるという考え方から、外事課、警備局に所管をさせておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
#155
○稲葉誠一君 法務大臣にお伺いをしますが、公安警察とよく言いますね、これはどういう意味でしょうか。
#156
○国務大臣(中垣國男君) 公安課長が来ていますから、そのほうから答弁させます。
#157
○稲葉誠一君 こまかいことはいいのですよ。公安事件というのは検察庁でもあるわけですよ。具体的にどういうふうなものを言うのかというのです。これは大臣はそういう点は詳しいんじゃないですか。
#158
○国務大臣(中垣國男君) 公安問題といいますと、大衆運動であるとか、あるいは労働運動であるとか、そういったような非常に大ぜいの人でやっておるそういう運動等を対象として検察行政をやっておるというふうに考えております。
#159
○稲葉誠一君 そうすると、外国人登録の関係は、どこへ、ここへ入るのですか、公安関係へ。
#160
○国務大臣(中垣國男君) 今は入っていないようであります。
#161
○稲葉誠一君 今は入らないというと、どうなんですか、戦後はずっと入っていたのですか。
#162
○説明員(川井英良君) 終戦後数年間公安課で今申しましたような事件を取り扱っておりましたけれども、昭和三十年前後だったと思いますけれども、刑事課のほうへ所管がえいたしまして、ただいま私ども所管ではございません。
#163
○稲葉誠一君 じゃ、具体的な事件ですが、去年の二月一日に、水戸の朝鮮人学校、これに入っていた安という十九才の少年、これを警察庁で逮捕したことがありますね。これはどういうふうなことから逮捕したのでしょうか。
#164
○政府委員(三輪良雄君) これは、今お話の水戸にございます朝鮮中高級学校の高等部三年の安承鐘という人でございますが、端緒は、実は道路工事中の茨城県の石岡市の地先で自動車が疾走いたしまして、道路工事中だということでバウンドしたのでございましょう、うしろのトランクからカバンが一つ放り出された。しかし、自動車はそれに気がつかずに走り去ってしまい、その番号もわからなかったそうでございますが、道路工事をしていた人夫の人から遺失物として警察に届け出があったわけでございます。これを調べてみますというと、手紙、写真、そういうものがたくさん入っておりまして、その中で、この人のものであるというふうに考えられるわけですけれども、その手紙の中に密入国をして来た疑いのものもあるということでございまして、これを関係の市役所あるいは入国管理局等に照会をいたしましたが、登録していないというようなことを確かめました結果、これは密入国の疑いがあるということで令状を受けまして、ただ、学校におりますところで学校で逮捕するということは適当でないということで、すぐに執行いたしませんでしたけれども、たまたま自動車で出るということを聞き込みまして、学校の外に出ましたときに逮捕をいたしたというようなことでございます。これは、検察庁に送り、起訴をされまして、有罪の判決が出、執行猶予でございまして、後に入管に送られて仮放免になっているという状況でございます。
#165
○稲葉誠一君 そうすると、これは密入国の疑いですね。これは密入国したことですから、その事実はあとで裁判で明らかになったのですが、つかまったときに外国人登録証明書を持っていないわけでしょう。持ってなければ、もうそのことからして密入国だということは大体わかるのじゃないですか。これは本人は、密入国じゃない、外国人登録証明書を持っているのだ、どっかにあるのだとか、そういうようなことを言ったのですか、あるいは、密入国の事実を認めたのですか。
#166
○政府委員(三輪良雄君) 密入国の事実を本人が密入国したことは認めたようでございまするけれども、しかし、これが裁判になりますというと、これを客観的に立証する資料が必要でございますので、そういう資料をととのえて裁判に送ったということでございます。
#167
○稲葉誠一君 密入国したという事実、これを客観的に証拠をととのえるというのは、一体何をととのえたらいいのですか。外国人登録証明書を持っているか持っていないかということは、密入国であるかどうかということの一番大きな証拠じゃないですか。しかも、本人は外国人登録証明書を持っていなかった。現実に持っていない。密入国の事実を認めておる。そのほかに付加して一体何を警察としては調べなきゃならない必要があるんですか。
#168
○政府委員(三輪良雄君) しばしばあることでございますけれども、これは以前からこちらにいたということを言う場合もございます。したがいまして、いつ入国し、自来どこに住んでおってそして今回のことになったという過程を証明いたすのでございます。そういうことのために、韓国におりましたこと、それがこちらに入国をいたしましてからその学校の寄宿舎におりましたこと、そういうことを立証いたして有罪になったと聞いております。
#169
○稲葉誠一君 その少年が韓国にいたことを立証するというのを一体どうやって立証するんですか。本人なり本人の父親以外に――父親は千葉にいたんです。それ以外に立証する方法はないんじゃないですか。本人は逮捕しておる。密入国を認めておる。千葉におる父親はその事実を認めているんでしょう。それだけでも十分なんじゃないですか。そのほかに、それほどまでに熱心に捜査をやらなきゃならない――これはまたあとでもっと聞きますけれども、必要が一体あるんですかね。強盗殺人でもあるまいし、あなた、そうでしょう。そんなに警備関係ってのはひまなんですかね。何だか一生懸命になってやっていますね。本人の自供、あるいは父親の密入国したという事実の自供、その裏づけが合っておる。それ以外に一体何が必要ですか。
#170
○政府委員(三輪良雄君) これは、犯罪事実でございますから、何年何月に入って参りまして、それ以来どこにいた、また、六ケ月たったならばだれでも登録しなければいけないということになるわけでございますから、いつ入って、いつまでの期間にどれだけたって、その間に登録されていなかったという事実を立証いたしたわけでございます。
 たいへん警備局がひまであるというようなことでございますけれども、たまたま一つの事件が実は必要以上に捜査されたということでそういう御注意であろうかと思いますけれども、これはまた逆に、本人がそういうことを認めましても、後に裁判上争われる、物証がないというようなことで事件が成り立たないこともあるわけでございまして、その限りで必要な捜査をいたすわけでございます。
#171
○稲葉誠一君 今ちょっとはっきりしなかったんですが、今警備局長の話だと、その調べ、捜査全体に何か本件の場合に行き過ぎがあったということで、何か私が質問したようなことでそれを肯定しているようにとれたようなあなたの答えだったように思うんですが、はっきりしなかったんですが、これはいずれあとでして参りますが、しかし、これは、外国人登録証明書を持っていなかったことは事実でしょう。それなら、そのことだけでも犯罪になるんじゃないですか。どうですか、本件の場合。
#172
○政府委員(三輪良雄君) 犯罪になりまするけれども、密入国をしていつ密入国をしていつまでそこにいたということになりますると、これは密入国をした事実が明らかになるわけでございまして、裁判上は争いのないところになるわけでございます。登録証明書を持っていなかった、あるいは、本人がそこで言ったということだけでは足りないということにされることが多いのでございます。
#173
○稲葉誠一君 二月一日に逮捕して二月二日の朝早くこの朝鮮人学校を、これは茨城県警ですか、警察官が百人行ったか百五十人行ったか争いがありますが、とにかくトラックに乗っていって家宅捜索をやりましたね。これは事実でしょう。
#174
○政府委員(三輪良雄君) 私の聞いておるところでは、九十六人行ったと聞いております。
#175
○稲葉誠一君 その九十六人の警察官が家宅捜索に行く必要は一体どうしてあるんですか。密入国で、事実を認めておる。外国人登録証明書を持っていないから、密入国の事実がかりにくずれたとしても、外国人登録法違反で処罰はできる。しかも、父親のほうはその事実を認めておる。こういうふうな中で百人もの警察官が学校に出かけていって家宅捜索をしなきゃならないという理屈は、一体どこに生まれてくるんですか。いや、何も警備局がひまだということを言っているんじゃない。こんな事件で、私が前に聞いていたことを見れば、外国人登録法の事件は結果としてたいしたことないじゃないですか。九割五分以上が罰金かなんかになっている。出入国管理令にしても、これは起訴率は高いかもわからぬけれども、ほとんどの事件は執行猶予、罰金の事件です。そういうふうな事件に百人もの警察官を動員していって証拠の補強をやらなければならない筋は常識的に考えられないのですよ。何でこんなものに百人もの警察官が行ったのですか。しかも、これは完全武装しているんでしょう、このおまわりさんたちは。そこまで調べていないのかどうかわかりませんが、トラックに何台ぐらい乗って行ったんですか、これは。
#176
○政府委員(三輪良雄君) 今のお言葉の中に出入国管理令がかりにくずれてもということでございますけれども、第一線の警察官がいざ捜査いたすということになりますれば、そういうことがくずれないようにやるわけでございます。なぜ大ぜい持って行ったかということを私ども聞いてみましたけれども、しばしば学校に対します捜索等におきましては、正式の令状を持って行きましても、若い学生たちの何といいますか抵抗にあうというようなこともこれはもう東京ばかりじゃなしにしぱしばあることであるのでございます。したがいまして、そういうことをおもんぱかって、万が一そういうことになりますと、お互いに不幸でございますので、五十六人という者はこれは学校に行ったわけではなくて、学校の付近で待機をいたしております。なお、八名ずつの十六名の制服警察官が実際に捜索をいたしましたのは、本人の居室と職員室でございます。そこで、その付近に妨害がないように配置をし、実際に捜査に当たりましたのは、私服員が二十五名でございます。十三名と十二名であったかと思いますが、そういうふうに承知をいたしているのでございます。
#177
○稲葉誠一君 一体百人の警察官が何の証拠を集めに行ったのですか。具体的に何と何を集めればいいのですか、この事件で。
#178
○政府委員(三輪良雄君) この生徒は、先ほど申しましたように、入国しましてから一年近くは学校の寄宿舎にいるのでございます。そこで、通常考えられますことは、この学校にその生徒がいるということを照会をし、公式の証明をもらうということができれば、それで足りるべきものでございます。しかしながら、不幸にしてこの学校は、他にも実は北鮮帰還の申請をいたしました機会に密入国で登録していないというような生徒が出て参りまして、市役所から告発を受けたというような事例もございます。また、先生の中でそういった人もあります。あるいはまた、官公署等に連絡に参りまして、何かありましたときに警察との連絡をよくいたしますために、この官公署の、何と申しますか、見取図でございますとか、あるいはその関係者はどこに連絡すればいいかというようなことを御連絡する連絡票というものをお願いをいたしてございますけれども、これもまた自分のところはそういうものを出さないということであったようでございますし、また、数え上げるようでございますけれども、一一〇番で火事があるということでかけつけてみましたときにも、実験室で生徒がやったことだから警察に入ってもらわない、われわれのほうでやるというようなことを言って、捜索といいますか、現場検証を拒んだこともあるというようなことでございましたので、そこで、警察としては、そういうふうな普通のお願いで事が済むと考えなかったようでございまして、学籍簿でございますとか、本人がそこにずっとおったということを証明できます本人が出席をしている出席簿でございますとか、そういうものを入手するということで行ったようでございます。したがいまして、実際に押収いたしましたものも、学校の生徒がその本人がそこにずっとおったということを立証いたします関係簿表を持って参りまして、これは学校はもちろんお困りでございますので、その該当部分を翻訳して報告書を作り、これを検察庁に送りまして、現物は翌日お返しをするというようなことをいたした次第でございます。
#179
○稲葉誠一君 そうすると、この被告がその学校に在籍していたことを調べるのですか。そのことのためですか。だから、出席簿とか学級日誌ですか、そういうふうなものを押収するために行ったということですか。そうすると、最小限何を押収すればいいんですか。最小限ですよ。
#180
○政府委員(三輪良雄君) 実際に押収いたしましたのは四種類の今言ったような帳簿でございまして、それを押収するためにまさしく行ったのでございます。
#181
○稲葉誠一君 それは学校の校長なり担任なりに来てもらえば、あなた方が来てくれと言えば、来てくれるのじゃないですか。かりに来てくれなければ、そのときに押収するなら押収するでいいんじゃないですか。学級日誌や出席簿を改ざんするわけはないじゃないですか。改ざんすれば、かえって本人のために不利になるんじゃないですか。どうしてそういうだけの手続をとらないのですか。それは来てくれと言えば、電話一本で来るでしょう。見せてくれないときに初めて行ったっていいんじゃないですか。そんなにまでして急いで証拠保全しなければならない事件ではないですよ。これは、改ざんされるとか、どこかに隠してしまうという危険でもあったのですか。出席簿、学級日誌、こういうふうなものは、学校として当然備えつけなければならないもので、こういうものをかりに改ざんするなりあるいは隠してしまうということになれば、それじゃ本人が不利になるのですから、そういうふうなことをやりっこないじゃないですか。しかも、千葉の父親のところも家宅捜索をやった事実がありますね。学校の担任なら担任に来てくれとか、あるいはだれかが一人か二人行って見せてくれと言って断ったら、そのときはまた別に考えればいい。どうしてそういう手続を踏まないのですか。
#182
○政府委員(三輪良雄君) 私も全く同じように考えるのでございまして、そこで聞いてみたところが、先ほど申しましたような、従来の警察から見ると非協力的だったというのでございます。そのあとで、昨年の三月ごろでございましたか、総連の幹部の方々が私たちのところに抗議に見えましたけれども、そのときに私も率直に言ったのですけれども、平素からお互いにもっと理解を深めておけばこういうことはなかったと思う。そういう意味で、お互いにやはり求めてもっと気楽に話し合えるような仲になるべきではなかろうか。まあ今回のことはいかにも大上段で、私も簡単に話をしてやればいいではないかという一般的な感じはするのでございます。そこで、抗議に見えた方にはそういうことを私はお話をし、その限りでは御同感であったようでございました。
#183
○稲葉誠一君 千葉のほうの家宅捜索をやったというのは、どういうわけですか。千葉は父親がいますね。そこも同時に家宅捜索をやったのですね。何でそこまでやる必要があるのですか。
#184
○政府委員(三輪良雄君) そこではやはり手紙等がありまして、実際の事件にも一部それを立証に使ったようでございます。一番関係の深い場所というと、実際に住んでいるのは学校でございますけれども、父親のところでありますので、両方を捜索したというふうに聞いております。
#185
○稲葉誠一君 これは朝早く六時ごろ行ったわけですね。これはあなたのほうに言わせれば、授業が始まっちゃ学生に迷惑だからというので、朝早く行ったのかもしれませんが、こんなに百人もの警察官が行って、ほかに密入国の人がいる。そこにいるんなら別ですよ。逮捕に行ったというのなら話は別ですが、ほかにすでに逮捕されて自白しているところに行って、百人もの警察官が取り巻いて、中に二、三十人入ってあちこち家宅捜索をやる。それが学生である子供たちに一体どういう影響を与えるか、こういう点はあなたはどういうふうにお考えですか。また同時に、近所の人たちに対してどういうふうな影響を与えるとあなた方はお考えですか。
#186
○政府委員(三輪良雄君) 朝早く参りましたのは、まさしくお言葉のとおり、起床時間後で授業の始まる前であるという時間を見て、できるだけすみやかに捜索が終わりますような必要な人数を持っていったと聞いているのであります。もちろん、繰り返し稲葉委員がおっしゃるように、電話一本で向こうが来てくれるということで、そういうことが学校の生徒にも近所にもわからないようにやれたということであるならば、それがより望ましかったことは申すまでもございません。しかしながら、先ほど来、るる申し上げておりますような従来の関係でございましたので、必要な人数を持っていっております。しかしながら、必要な人数以外は付近に待機させたというような配慮はいたしたのでございます。
#187
○稲葉誠一君 これは、行った警察官は武装して行ったんですか。
#188
○政府委員(三輪良雄君) 武装とおっしゃいますけれども、警察官がピストルを持つのは制規の服装でございまして、このときに特に拳銃をはずして行ったという報告を払い聞いておりません。街頭のデモが道路一ぱいに広がるというようなときに規制をする、そういうような場合に非常に危険だということで特に拳銃を持たずに出る場合もございますけれども、しかし、拳銃を持って出るということが常装でございます。
#189
○稲葉誠一君 そうすると、あなたのほうの調べでは、前にこの学校の教師と先徒が密入国ですか、外国人登録ですか、そのことで自首をしている事実があるんですが、こういうことは調べがついていないんですか。
#190
○政府委員(三輪良雄君) これは先ほどお答えした中に申し上げたとおりでございまして、自首と申しますけれども、北鮮帰還をするというその機会に実は申し出たわけでございますので、市役所から告発があったのでございます。そういうことがないのに進んで申し出たというわけではございません。
#191
○稲葉誠一君 あなたのほうの説明を聞くと、いかにも市役所がそいつを発見してそうして告発したような印象を与えるわけですね。私が聞いておるのは、そういうことではない。北鮮帰還のときに自分のほうから申し出たんじゃないですか。そういうときに市役所のほうから法違反だというので告発したんじゃないですか。
#192
○政府委員(三輪良雄君) 今私が申し上げたのもそういうことでございまして、北鮮帰還ということの必要からどうしても登録をしたという事実が必要である。そのために、自分が登録をしていない、密入国だということを申し出たのでございます。
#193
○稲葉誠一君 言葉の争いは別として、そういうふうな形で、北鮮帰還の場合であったとしても、この学校の教師なり生徒というものは自分のほうから進んで自分のほうの違反事実を告げておるんじゃないですか。そういうふうな形で協力をしているわけだ。あなたのほうの説明を聞くと、そうでないし、まるであなたのほうが行って発見して告発したような印象を黙っていれば与えるわけですよ。これだけ協力しておるんだから、電話一本で、あるいは電話じゃまずいと言えば、だれかが行ってそこのあれをくれと言えば、そこで話がつくんじゃないですか。出席簿、学級日誌、家庭調査簿、こういうものを見せてくれと言えば、見せますよ、だれでも。どうしてそういうことをしないのですか。同じことを繰り返してもあれですけれども。
 で、話は逆になりますが、あとで県警の警備部長、これが抗議に行ったときに陳謝をしておる事実はあるんですか。
#194
○政府委員(三輪良雄君) 陳謝をしたというような事実は聞いておりません。
#195
○稲葉誠一君 これは順序は逆になりますけれども、二月九日に労働組合の人たちかその他の人たちが行ったときに、警備部長が陳謝をしておるんじゃないですか。新聞に出ておりますよ。この茨城県の新聞に。一九六二年二月十一日新いばらき。「県警が陳謝状、朝鮮人学校の捜査で」と出ておりますよ、ちゃんと。陳謝の文言までありますよ。いいですか、陳謝の文言はこういうのですよ。「今回の朝鮮人学校捜索事件については、民族教育を弾圧するとか日韓会談反対を弾圧するとかその他の政治的意図に基づいて行なったものではない。ただし、大部隊を持って行き、そのような意図があるような印象を与えたことは遺憾であった。このことは警察当局の朝鮮総連に対する理解の不足に基づくものであり、今後は相互によく話し合い理解を深めてこのようなことの起こらぬよう努力したい。」こういうような文書を高橋警備部長が取りかわしているのじゃないですか。
#196
○政府委員(三輪良雄君) 言葉のニュアンスは違いますけれども、私お答えいたしましたように、電話一本で話がつくというような関係であることは望ましいし、また、そうであったことがよかったということは同感であるということをお答え申し上げたのであります。そういう意味のことをあるいは言ったかもしれませんが、文書を取りかわした、もしくは陳謝をしたというふうな印象を持ったことは私は聞いておりません。むしろ私の受けた印象では、そういうことはなかったのではなかろうかというふうに思っております。
#197
○稲葉誠一君 そうすると、高橋警備部長、これは茨城県の県警ですか、高橋警備部長がみんなが抗議に行ったときにどういうようなことを言っていたというのですか。あなた自身が警備局長が考えていることを今私どもは聞いているのじゃなくて、警備部長は一体そのときに何と言ったのですか。新聞によると「県警が陳謝状、朝鮮人学校の捜査で」「さきに県警本部が朝鮮中高級学校を大部隊をもって捜索したことにともない朝鮮総連や日朝協会は連日抗議を続けてきたが、九日県警本部は次の陳謝状を朝鮮総連代表に手渡した。」、これは前にも言った二月十一日の新聞新いばらきにこうなっています。これは明らかですよ。お見せしてもいいですよ。この新聞に出ていますよ。だから、このときに、自分のほうは遺憾だった、それは誤解に基づくかもしれないけれども、とにかく民族教育を弾圧したりその他の政治的意図に基づくものじゃないけれども、そういうような意図のあるような印象を与えたようなことは済まなかったのだ、今後はそういうことのないようにする、こういうようなことを言っておるのじゃないですか、警備部長は。そのときに立ち会った人は一ぱいいますよ。県の労働組合会議、あそこは県評ですか、事務局長なんかもそのとき立ち合っておりますよ。その間の経過をあなたはどういうふうな報告を受けておるのか、警備局長は。それは自分に都合が悪いから、その点を報告しなかったのですか。
#198
○政府委員(三輪良雄君) 陳謝状ということが一般の新聞に書かれたとすると、陳謝をしたという印象を与えるかもしれないと言わざるを得ないわけでございますけれども、しかし、事柄の内容は、今申しましたように、あるいは稲葉委員が先ほど来申されるように、もっとお互いの話し合いでうまくいかなかったかと思うことはこれは全く同感であると思います。そういう意味で、今後は話し合ってやっていこうということを申したということは十分考えられるのでございまして、しかし、陳謝状を与えたというようなことであるならば、これはその旨はっきり報告が来ると思うのでございますけれども、私どものほうにはそういう報告を受けていないのでございます。
#199
○稲葉誠一君 あなたのほうの報告では、一体この家宅捜索に行ってどことどこの部屋を家宅捜索をしたという返事でしたか。二つあるということでしたね。どことどこですか。
  〔委員長退席、理事後藤義隆君着席〕
#200
○政府委員(三輪良雄君) 職員室と、本人の泊まっております寄宿舎の部屋と聞いております。
#201
○稲葉誠一君 職員室へ入ってきていろんな書類を押収したわけですね。家庭調査簿というのは、ほかの学生のことも記入しておるのだから、これは見せないことになっているのじゃないでしょうか。非公開のものだからといって断わったのじゃないのですか。出席をしていたかどうかということを調べるのは、出席簿だけを見ればいいのであって、あるいは学級日誌を見ればいいのであって、秘密になっておる家庭調査簿、そういうものまで押収していかなければならなかった理由はどういうわけですか。
#202
○政府委員(三輪良雄君) これはあとで部隊に持って参りましたものをよく捜査した結果、これとこれとあればよかったということになったと思いますけれども、捜索に参りましたときは、本人がそこにいたということを立証するに必要と思われるこの四種類を押収したわけでございまして、その場合に、学校として通常非公開とされるものでありましても、これは必要とあるならば持ってくることになると思いますけれども、具体的にあとから考えてそれを除いても立証に十分であったというふうなことになるかならないか、ちょっと私はわかりませんので、お答えいたしかねます。
#203
○稲葉誠一君 何か土足でみんな上がっていったんですね、職員室から寄宿舎まで。家宅捜索に行くときは急ぐかもしれませんけれども、学生ですよ。子供が一ぱいいたのです。そこへ土足でどんどん入っていって家宅捜索をやっていいということになっておるのですか。警察はどういうふうに教えておるのですか。
#204
○政府委員(三輪良雄君) 土足でひとの家に入るということはもちろん工合が悪いですけれども、普通の西洋風の建物であればくつのまま入るわけですから、おそらくそういうふうな状態であればくつのままで入ったであろうと思います。民家のような畳のところへ土足で入るということはあり得ないことでございます。
#205
○稲葉誠一君 あり得るあり得ないということではなくて、土足で入ったという事実は調べたことがありますか。
#206
○政府委員(三輪良雄君) 土足で入ったというお話は今までどこからも聞いておりませんし、そういう報告も受けておりません。そこで、申し上げたような一般の洋風の建物、このような建物でくつをはいたまま上がったというような状態であったのではないかと私は想像で申し上げたわけであります。
#207
○稲葉誠一君 これは学校ですよ。学校の職員室や寄宿舎に土足で上がるということはないでしょう。ちゃんと脱いでスリッパをはいて行くでしょう。それを土足で入ってどんどんやったんでしょう。途中で文句を言われて、抗議を受けて、あとでは脱いだのです。これは脱ぐのがあたりまえですから脱いだのですが、この寄宿舎には学生が百三十人から百五十人くらいいたわけです。そこにも土足で上がってきたということです。そういう事実もあなたのほうでは聞いておりませんか。
#208
○政府委員(三輪良雄君) はい、同様でございまして、聞いておりません。
#209
○稲葉誠一君 家宅捜索をやっても、すでに本人は二日前の日につかまっておるでしょう。本人がいないところで、これは帰るからということで荷物は何もなかったのじゃないですか。そんなところへ一体何人も警察官が行って何で家宅捜索をしなければならなかったのですか。結局何にもなかったのでしょう、本人の部屋からも。
#210
○政府委員(三輪良雄君) 何にもなかったと聞いております。しかし、結果が何にもなかったと申しましても、そこでずっと生活をしておったいわば本拠でございますので、結果がなかったから初めからやるべきでなかったということにはなるまいかと思います。
#211
○稲葉誠一君 それは、捜査ですから、捜査の目的とやったのちの結果とは別の問題で、結果がなかったからといってそれでそのこと自身を云々するのはこれは間違いですがね。これはわかりますが、しかし、本人がつかまったときに、もう十日前からここにいないのだ、何にも荷物はないのだということを言っておるんじゃないですか。はっきりわかっておる。父親のほうもやっておるのですから、そういうことがわかっておるのに、なおそういうことで土足で入ってあっちこっちひっかき回した、結局そういうことになるのではないですか。
 女の子の寄宿舎がありますよ、食堂をはさんで。そういう女の子の部屋に入ったのですか、入らないのですか。
#212
○政府委員(三輪良雄君) 本人の部屋に入ったということで、他の部屋に入ったということは聞いておりません。むしろ入らなかったというふうに聞いております。
#213
○稲葉誠一君 女の子は寄宿舎に入っておった。だから、家宅捜索をやるからというので全部で百人くらい行ったので、入ったのは百人ではないのですけれども、非常にこわがったりして、女の子が外へ出て便所へ行こうとしたら、便所へ行ったらいけないと言って女の子が出てくるのをとめたというそういう事実を当時聞いておるのですよ。そういう事実を聞いておりますか。
#214
○政府委員(三輪良雄君) そういう抗議を受けたということは聞いておりますが、それに対してはそういう事実はないという報告を受けております。
#215
○稲葉誠一君 家宅捜索に行った人はみんなその朝鮮人学校の詳細な見取図を持っていたというのですね。どうしてこんなよその学校のこまかい見取図までが警察の手に入っているわけですか。ふだんから見取図を一生懸命作っておるのですか。どういうわけで見取図が警察の手にあったのですか。
#216
○政府委員(三輪良雄君) ふだんから作っているということはございませんが、先ほど申しましたように、実はそういう官公衙等につきましては、それぞれそういうものをお出し願い、あるいは責任者等をお出し願う意味で、連絡票等をお願いしている。それは出していないということはお答えしたとおりでございます。完全な見取図を持っておったということでございますけれども、これは本人の部屋を捜索するわけでございまして、それがわからないということではいけないという限りで必要な場所のことをあらかじめだれからか聞いておったものと考えます。
#217
○稲葉誠一君 官公衙の見取図というのと学校の見取図とは、僕はニュアンスが違うと思うのです。学校とは、子供たちが勉強するところでしょう。どこが部屋で、どこが寄宿舎で、どこが女の寄宿舎で、どこに便所があって、どこに食堂があるとか、こまかい見取図というものを一体警察がどうして手に入れているのですか。そんなものを、あらゆる官公衙の見取図を手に入れる必要があるのですか。どうなんですか。
#218
○政府委員(三輪良雄君) 必要と申しますと、結局、何といいますか、そこで火事が起こる、事件が起こるというときに、どこの部分で起こったというようなことがわかれば都合がいいという意味で、必要といいますか、お出し下さる限りそういうものを持っているということがあることは繰り返し申し上げたとおりでございます。しかし、今回の場合につきましては、その中に入って捜索をするのでございますから、そういう意味でどことどことを捜索をするということが必要があるわけでございます。そうでなければ、御指摘のように他の部屋にもみな入っていくということになりかねない。そういう意味で、その建物の内容をわかる限り調べたのだと思いますが、これは別に学校としても秘密のことではございませんので、関係者から聞けば簡単にわかることだと思います。
#219
○稲葉誠一君 火事の場合に、見取図なんかないと困るでしょう。それは困りますよ。それは一体警備警察の仕事ですか。
#220
○政府委員(三輪良雄君) 警備警察で必要とすると申し上げたのじゃございませんので、これは、地元の外勤が普通のうちに連絡をすると同じような意味で、所轄の外勤が連絡することでございます。先ほど申し上げましたのは、警備警察に協力しないと申し上げたのじゃございませんので、警察からそういう連絡をいたしましても御協力はいただけなかったという事実を申し上げたのでございます。
#221
○稲葉誠一君 そうすると、学校や役所、こういうところは火事が起きたりその他のことが起きるといけないから、全部見取図というようなものを警察は所轄を通じて持っているのですか。これはそういうやり方をしているわけですか。
#222
○政府委員(三輪良雄君) これはもちろん全国的なことではございませんけれども、こういうものだそうでございますが、これにごく概要の、こんなところですからそう詳しく書けるわけじゃございませんが、だれが責任者であるというようなことをお出し願う。これはいわゆる戦前にございました戸口調査というもの、今ございませんけれども、巡回連絡ということを外勤が普通のうちにもやりまして、そこでたとえばそのうちにある貴重品、時計の番号とかそういうものを控えて、警察で持っていてもらいたいということであれば、そういうものは進んでお書き下さり警察が持っている。そこで、盗難が起こった場合に、その番号で手配をするというようなことがある、それと同じことでございます。
#223
○稲葉誠一君 それじゃ、同じことを聞いてもあれですから、話をあれしますが、今の段階で県の警備部長が陳謝をしたと新聞には出ていますけれども、これは、あんたに言わせれば、陳謝というところまではいっていないのだ、お互いに理解が足りないから、理解を深めるようにしたいという意味のことを言ったんだ、こういうことですね。そういうようなことの警備部長からの報告はあったのですか。
#224
○政府委員(三輪良雄君) そのあとで参りましたときにそういう程度のことを口頭で聞いておったかとも思いますけれども、報告書としてはそういうことを受けておりません。前に口頭で聞きましたときにも、陳謝状を出したような表現でございますれば、非常に耳に残って私も重ねて聞くわけでございますけれども、そういう意味のことをかりに言ったというような話であれば、あたりまえの話でございますので、気にとめていなかったという意味で、今正確に本人から聞いたかどうかという記憶がないくらいでございます。
#225
○稲葉誠一君 結局、この事件はそうするとどうなったのですか。どうなったというのは、これは最終的な裁判もそうですけれども、その過程――身柄がどうなったとか、これは少年でしょう、家裁へ送ったとか、警察官がどの程度の勾留をしたということはわかっているのですか。
  〔理事後藤義隆君退席、委員長着席〕
#226
○政府委員(三輪良雄君) 二月一日に逮捕いたしまして、三日の午前十時に身柄をつけて送致を地検にいたしております。三日から十日間検事勾留がありまして、十二日起訴……
#227
○稲葉誠一君 ゆっくり……。
#228
○政府委員(三輪良雄君) もう一ぺん申し上げますと、二月一日の午後四時五分に逮捕いたしております。三日の午前十時に身柄付水戸地検に送致いたしております。三日から十日間検事勾留がついたようでございまして、二月十二日に起訴になっております。出入国管理令第三条、第七十条第一号、外国人登録法第三条第一項の罰条のようでございます。十五日に保釈金十万円で保釈いたしております。同日東京入管に収容されております。二十一日に仮放免になりまして、指定の住居は父親方ということになっております。三月三日に懲役六カ月、二カ年間執行猶予というのが水戸地方裁判所で出まして、確定をいたしておると聞いております。
#229
○稲葉誠一君 そうすると、まあ結論的には執行猶予ですね。ことに少年でもあるし、結論的に執行猶予になるということも、大体のことは今まで前に私が質問した中でわかっているのじゃないですか。警察は専門なんだから、どの程度の事件はどうなっているかわかっているわけですね。結論的に執行猶予になるような事件に、百人近い警察官が行ってがらがらやって逮捕して、しかも家宅捜索をやるというふうなことは、少し常識をはずれているのじゃないか。これではそのほかの目的があってやっているのだということに考えられてもしようがないのじゃないか。これは強盗殺人とか放火とかこういう事件なら別ですよ。そんな事件に百人もの警察官が行くということは考えられないのじゃないか、常識で。どうしてこういうようなことがあるのですか。これは尼崎事件でもそうだったですよ。人数は違うかもしれませんが、片っ方は罰金でしょう。片っ方は処分がまだ保留でしょう。尼崎のやつはあれだって家宅捜索に十人もの警察官が行ってがらがらひっかき回す。今度のやつは百人近い警察官が行ってがらがらひっかき回す。結果としてはたいしたことはない。見通しとしては常識的に判断がつくのに、こういうふうなことを警察がやる。それじゃいかにも学校が何か悪いことをしておるような印象を世間に与える以外の何ものもないのじゃないか。こういうようなことをやれば、結局日本と朝鮮との親善関係というふうなものも阻害されてくるのじゃないですか。どうなんですか、こういうことは。
#230
○政府委員(三輪良雄君) 先ほど冒頭に意見を申し上げたわけですけれども、結果が執行猶予になるとかならないとかいうふうなことにつきましては、私どもは異論を申す筋はございません。それから実際の刑がどうなるかということに必要な捜査員が必ずしも比例することもまあないと言うとおかしゅうございますけれども、その事件そのものを立てるということでその具体的ケースに必要な人数をそのときに充てるのでございます。したがって、殺人事件でも、非常に簡単な事件でございますと、捜査員はごくわずかできまりがつくということもあるわけでございます。それからまた、このような大ぜいの警察官が行って学校を捜索したということは、結果的には望ましくなかったではないかというお言葉につきましては、私は同じく遺憾だということを申し上げるわけでございます。もっとお互いがあらかじめ理解を深めて、お話のように電話一本で済めば、それにこしたことはなかったわけでございます。したがって、今後そういう点でお互いに理解を深めようと言ったことは、十分考えらることでございます。御指摘のように、日韓といいますか、朝鮮といわずどこといわず、日本の国との間の親善関係を保持していくという上については、これは警察の措置としても慎重にしなければならぬことは御指摘のとおりでございます。そういう意味で、御注意は十分承って今後の仕事の上に現わしていきたいと思います。
#231
○稲葉誠一君 学校が家宅捜査を受けたのは二月二日ですね。ところが、三月になってこの学校は火事が出て焼けちゃったですね。これはどうしたのですか。これについては三月一日の真夜中に火事が起きて焼けたようです、全部。これについての調べはどうなっておるのですか。
#232
○政府委員(宮地直邦君) ただいま稲葉委員から御指摘のように、本校の火事が発生したと思われる時刻は、三月一日の午前零時三十分ごろであります。水利のはなはだ悪い所でございまして、三月一日の午前二時三十分ごろ鎮火いたしましたけれども、宿舎を一棟全焼いたし、校舎の一部に火が移りまして、三分の一ぐらいを焼失いたしております。この事件につきましては、きわめて綿密な調査を行ないましたが、当時いろいろの風評もございましたが、警察といたしましては、失火あるいは放火、その他構造上の欠陥、電気関係、そういうものを一つ一つつぶして参ったのでございますが、結果といたしましては、これはことしの二月になって事件を検察庁に送致いたしておりますが、火の取扱者の失火、取り扱いの粗漏ということ以外に原因が考えられないということになっております。
#233
○稲葉誠一君 それはいろいろなうわさがあったというのですけれども、一月前に百人の警察官が行って家宅捜査をやった。一月たったらその学校が燃えちゃった。いろいろなうわさが立つのは常識だと、こう思います。ことに日韓会談が進行している中において、それに反する勢力に対してのいわばできごとですから、そういういろいろなうわさが出るのは私は無理もないと、こう思うのですが、この学校は学生が夜警をやっていたんじゃないですか。夜警をやっていて、回って五分か十分たってから火が出たんじゃないですか。
#234
○政府委員(宮地直邦君) 発火を学生がまず発見をしたということは事実だと思います。と申しますのは、これは三月一日に第一回の実況検分を行なっておりますが、二日以降になりましたら、関係者は、一切の責任は校長にあるのだからということにおきまして、警察官の質問と申しますか、その火災原因の捜査に関しましては口を緘して言わない。そのために、今申したように、われわれのほうの判断といたしまして、第一次の発見者は学生であるというふうには思うのでございます。しかし、そのときの状況等について遺憾ながら的確にお答えするような資料がないのであります。
#235
○稲葉誠一君 ことしの二月に送致したというんですか。これはこっちのほうで質問するということがわかってから送致したんじゃないですか。あまりかんぐっても悪いけれども、それはそうでなくてもいいんですが、被疑者はだれになっていますか。不詳ですか。
#236
○政府委員(宮地直邦君) 炊事婦三名を被疑者として事件送致をいたしておるのでございます。
#237
○稲葉誠一君 おかしいじゃないですか。失火の場合に三名が被疑者になっているんですか。しかし、そういう火事の被疑者の送検の仕方というのはあまり例がないんじゃないでしょうか。三名のうちだれか一名失火の責任があるとすれば、あとの二名は失火の責任はないわけです。山火事だってそうじゃないですか。山火事だって、山へ行った二人がたばこのすいがらを捨てた、どっちが捨てたかわからないということになれば、両方個人責任がわからないんだから、両方とも結局送検できなくなってしまうんじゃないですか。三名立てたというのはどういうわけですか。ちょっとはっきりしませんね。
#238
○政府委員(宮地直邦君) これは、われわれのほうの捜査で承知いたしております。ということは、火点が炊事場の上部からまず発見されたということにつきましては、もうすべての関係者の意見は、それはあとで供述を翻された方もございますが、一応われわれのほうは事実だと思っております。他の一々を申し上げますと長くなるのでございますが、他の原因を一つ一つつぶしていきまして他に想像できないのでございます。なお、炊事婦等の供述におきましては、煙突が詰まっておった。掃除を長期間していなかった。なお、その当日は――これは五個のかまどがございまして、その煙道が一本になって外部に出ておるところがございますが、その当日は、残灰と申しますか、取る予定日になっておった。ところが、その予定日にもその措置をしていなかった。こういう事実から総合的に判断いたしまして、三名の共同責任、こういうふうに認定したわけでございます。
#239
○稲葉誠一君 これは事実の認定ですから、ここで論戦しても始まらないことですが、一年以上かかったわけですね。一年以上でなく、約一年ですね。その間警察はほかの事件もたくさんあるわけですが、本件の捜査をどの程度やったんですか。あまり熱意を示さなかったという説もあるんですけれども、どうなんですか、その点は。
#240
○政府委員(宮地直邦君) 捜査の結果におきまして長期間にわたりましたことは御指摘のとおりでございますが、警察が本件に関しまして関心は常に持っておったのでございます。ただ、稲葉委員御承知のとおり、火災事件の捜査というものは、あらゆる捜査の中でも最も困難な捜査であるということは一般でございますが、特に本件におきましては、現場におきまして第一回の検分におきまして校長の言われた言葉が、第二回以降におきましては否定されている。そしてあらゆる職員がまあ普通の火災の場合であったならばいろいろ言われる場合においても、一切そのことを言われなかったというこういう一つの事実がございます。また、これは不幸にして調書にとることができなかったのでございますが、その当時午前二時ごろに学生がなぐられたことがあるとか、あるいは水道の蛇管をこわした者があるとか、いろいろのことを学校の当局者が言いまして、調書にはとっておりません、 とれなかったのでございますが、そういうことを一々調べて、事実そういうことを言われました以上、捜査官といたしましては、それが事実であるかどうかということは別問題といたしまして、この際つぶしていかなければならない。そういうことにおいて非常に捜査といたしましては労力をかけておるのでございます。なお、おくれましたのは、最後に、このかまどの築造に当たりました者の所在が不明であったのでございます。名前はわかりましても所在が不明であって、ようやくその築造に当たりました者を本年の一月の半ばになって発見したということが今御指摘の二月に送ったということの最大の原因でございます。
#241
○稲葉誠一君 じゃ、最後に一点ですが、ここでとにかく朝鮮学校が火事になったわけでしょう。それから去年ですか、おととしですか、東京の朝鮮総連の本部が焼けましたね。これは放火だという認定を一応しているわけでしょう、警察当局は。どうなんですか、その後の捜査は。
#242
○政府委員(宮地直邦君) 東京総連の火災が起こりましたけれども、これが放火でないと申しているわけではないので、これもまたあらゆる角度から検討を加えておる事件でございますが、不幸にして結論を得ないということなんでございます。
#243
○稲葉誠一君 直接きょうのあれじゃありませんけれども、これはモンタージュ写真まで作って配布しているのじゃないですか。本部の火災事件は一応放火だという形で捜査しているのじゃないですか。こういうふうに日韓会談を中心としてやっている過程で、朝鮮人の学校が焼ける、総連の本部が焼ける、何だかどうもおかしいという印象を与えるわけですね。朝鮮の本部のやつは、今の進行状態は結論を得ないでわからないというのですか。
#244
○政府委員(宮地直邦君) 結論といたしましてはわかっておりませんが、あそこに置かれております石油カンとか、あるいは通常発見し得ないめがねとか、そういう遺留物をもちましてわれわれのほうは捜査をしておるのでございますが、御指摘のとおり、結論が出ていないということでございます。
#245
○委員長(鳥畠徳次郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#246
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて下さい。
#247
○稲葉誠一君 朝鮮人学校の家宅捜査の事件は、これで終わります。
#248
○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、暫時休憩いたします。
   午後零時五十三分休憩
   ――――・――――
   午後二時五分開会
#249
○委員長(鳥畠徳次郎君) 委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、調査を続行いたします。
#250
○稲葉誠一君 東京の江戸川区葛西に本社がある日本ロール製造株式会社、ここで争議が起きているわけですが、この争議に関連をして、警察のあり方の問題、あるいは労働基準行政のあり方の問題について、少し質問してみたいと、こう思います。
 最初に、基準局関係の方に質問いたしますが、この会社について労働基準局でいろいろ調べたりなんかしたことがありますか。基準法上何か問題になったところがこの会社にはあるか、その点お尋ねしたいと思います。
#251
○説明員(小鴨光男君) ただいま先生申されましたロール工場については、三十四年以来、基準法に基づきますところの監督を亀戸監督署において実施しております。私どものほうの監督では、基準法全般にわたります定期監督と、その工場に特有な部門についての部分監督と、二つかね合わせてやっておりますが、現在まで定期監督が三回、それから申告に基づきますところの監督を一回実施しております。
#252
○稲葉誠一君 その結果として、基準法上問題になる点があって、それでたとえば是正を命じたとか、そういうふうなことがありますか。
#253
○説明員(小鴨光男君) これらの定期監督におきましていろいろ違反が出たわけでございますが、共通して言えますことは、特に基準法のうちの災害防止関係の条項――安全部門あるいは衛生部門におきますところの違反が相当数出ております。簡潔に申し上げますと、電動機あるいは旋盤あるいはグラインダーというようなものの安全装置がつけられていない、あるいは通路が確保されておらない、あるいは鋳物工に対する防じん用のマスクを使用しておらなかったというような違反が出ております。
 それから三十七年の七月に、江戸川の第二機械工場で申告を受けまして、これに基づきます監督を実施した結果、年少者――十八歳未満でございますが、この四名に対しまして休日労働をさせている、それから年少者一名に対しまして深夜業をさせておったという違反がございます。
 特に安全衛生上の違反が多うございますので、基準法に基づきます機械的な監督のほかに、三十七年度は個別の安全指導事業場に指定いたしまして、特に指導を兼ねまして安全面の強化をはかっております。
 大体以上のような状態でございます。
#254
○稲葉誠一君 安全衛生面で非常に欠陥があるようにお伺いするのですが、何か死亡事故があったことがあるのですか。
#255
○説明員(小鴨光男君) 昨年昭和三十七年の十月に、同じ江戸川の第二機械工場におきまして、十八才未満の者を起重機運転の業務につかせておった。結局、技術が未熟なために墜落して死亡したという事故が発生しております。私どものほうでさっそく監督いたしまして、基準法の六十三条の違反、すなわち、年少者を危険な業務に就かせてはいけないという条項の違反といたしまして、三十七年の十二月十五日に当工場の工場長を送検しております。
#256
○稲葉誠一君 その送検した結果はどうなりました。
#257
○説明員(小鴨光男君) これは東京家裁によりまして、年少者でありますから家裁でございますが、罰金五千円に科せられました。
#258
○稲葉誠一君 家裁で罰金五千円というのは、だれを被疑者にしたのですか。事業主じゃないのですか。
#259
○説明員(小鴨光男君) この工場の工場長と安全管理者、この二名を被疑者にいたしまして送検したわけであります。
#260
○稲葉誠一君 少年で罰金五千円というのは何ですか。二人を送検したのでしょう。それは少年じゃないでしょう。
#261
○説明員(小鴨光男君) 送検しましたのは、もちろん工場長であります。年少者にかかわる犯罪でございますので、家裁のほうに私どものほうは送検したわけであります。
#262
○稲葉誠一君 わかりました。
 今の工場が、特別な指導を要するすなわち安全何とか工場と言われましたけれども、もっと具体的に言うと、どういうことなんですか。いわゆる要注意工場というような形で呼んだほうが早いのじゃないですか。
#263
○説明員(小鴨光男君) おっしゃるとおりに、三回にわたります定期監督において大体同じような事案が出てきておりますので、こういうものにつきましてはもちろん最終的には司法事件によって処理をする、そういう意味において、要注意工場であるということは言えます。ただ、基準法だけの問題について監督をいたしましても、いわゆる指導を要する部分もございますので、そういう面についても特別に私どものほうでは行政上の指導という形で安全上のいろいろの注意をする。こういう意味で、そういう要注意工場については、安全指導事業場というふうに特別に指定いたしまして、監督のほかに指導を実施しておるわけでございます。
#264
○稲葉誠一君 それは安全衛生上だけの問題でなくて、ほかの問題についてもいろいろこの工場は私どもが調べた範囲では違反事実が多いわけですね。そういうことについてお調べになったかどうかをお尋ねするわけですが、安全衛生関係以外について調べたり行政指導をしたりしたことがありますか。
#265
○説明員(小鴨光男君) 先ほど申し上げました定期監督は、いわゆる基準法全般にわたる監督でございます。安全衛生上の問題のほかに、労働時間がどうなっておるとか、あるいは賃金の支払いはどうなっておるとか、そういう問題も当然含まれるわけでございます。これらの監督におきましては、先ほど申し上げました年少者の時間の違反というもののほかは、現在は出てきておりません。
#266
○稲葉誠一君 その賃金の問題について、これは基準法の二十七条ですね、「一定額の賃金の保障をしなければならない。」と、こう規定してあるわけですが、ここでは完全な請負制で、賃金が固定給部分が全くきめられていなくて不安定だ、こういうことになっておるようですが、この点を調べたことはないのですか。
#267
○説明員(小鴨光男君) 賃金規則が現在どうなっておるかという一点について、これは後刻調査して御報告したいと思いますけれども、監督の結果としては出てきておりませんが、今御指摘の二十七条の問題で、全くその給与が出来高払その他請負制という形でやっておる場合におきましては、労働者の保護に欠ける部分もございますので、二十七条では一定額の保障給を定めておかなければならない、こういうふうになっております。現在、班長以上の方については、大体百人ぐらい該当するそうであります。これは日給月給制度。それから屋内従事者とかあるいは見習い、雑役夫という者については大体やはり日給月給的な固定給を持っておりますが、それ以外の者で純然たる請負給という者があるという報告を受けましたので、これについては現在二十七条との関係において亀戸監督署において調査中でございます。
#268
○稲葉誠一君 この請負給ですね。単価の決定基準、これはもちろんその製品のサイズや形状できまるのですが、基準が非常にずさんなんで、それで経営者、会社側に従順な者にはその査定が非常にいいけれども、組合活動をやっている人に対しては査定が悪い、差がつけられている、こういうような事実があって、これは不当労働行為になるわけですが、こういうような事実についてもまだそこまでは調べていないわけですか。
#269
○説明員(小鴨光男君) 監督署におきましてその辺のところはつかまえておらないようでございますので、さっそく指示いたしまして調査いたしたいと存じております。
#270
○稲葉誠一君 それから基準法の三十四条の三項で休憩時間利用の原則、これがありますね。これはもう当然過ぎるくらい当然なんですが、この工場では休憩時間に工場外に出ることについても一々使用者に届け出るというようなことを行なっているようですね。昼休みの外出すら許可を得なければならないというふうになっているようなんですが、これは「休憩時間を自由に利用させなければならない。」という原則との関係はどうなんですか。
#271
○説明員(小鴨光男君) 御指摘のとおり、休憩時間の自由利用については三十四条に規定しているところでございますが、その趣旨とするところは、いわゆる完全な労働時間からの解放ということで、その利用ということを使用者は労働者の自由にまかしているわけでありますが、ただ、一方、工場の管理権と申しますか、職場秩序の維持というような観点から、あまり遠くへ行ってしまっては困る、また、新しい労働時間に入る場合に困るというような面もございますので、外に出るときに、許可という形でなくて、一応届ける、そういう形は管理権上ある程度認められるのではなかろうかというのが法施行以来のわれわれの行政の運用の中身でございます。そういう意味において、疲労の回復という形での自由利用は保障されておりますが、管理権上の制約というものが一方にあるというふうに解せられるのではなかろうかと存じております。
#272
○稲葉誠一君 これは一般的な法の解釈としては当然であるのですよね。ただ、この工場の場合には、届け出るという程度ならば、当然管理権の範囲になるわけですけれども、そうじゃなくて、一々非常に厳密な許可制にしておって、許可を得ないというと休憩時間に外へ出られない。それは遠くへ行くというわけじゃなくて、ちょっと近所へ出るのにも許可を得ないと出られないというような形になっているようなんですね。そうなっていると、これはやはり休憩時間自由利用の原則に対して違反をしている、こういうことになる。こう見ていいですか。
#273
○説明員(小鴨光男君) 先生おっしゃいましたような事案が事実であるとすれば、あるいは管理権上の制約を逸脱している部分もあろうかと思います。そういう点については、あらためて指示いたしまして調査したい、こういうふうに考えております。
#274
○稲葉誠一君 それから、これは寄宿舎があるわけですね。これはあなたのほうでも御調査になってわかっていると思うのですが、寄宿舎では、いわゆる自治の原則が基準法上認められておりますね。九十四条第二項ですね。「使用者は、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない。」、これは個人の自由と権利の尊重から原則になっておるわけですが、この会社では、会社側が室長というのを任命する。そうすると、この室長の中からまた寮長を選ぶということをやっているようですね。これはどうなんでしょうか、寄宿舎の自治ということとの関連において。
#275
○説明員(小鴨光男君) いわゆる労働者の私生活の自由といいますか、その点に対しての干渉がありとすれば、これは九十四条違反ということになってこようと思います。その具体的な内容が第二項に今稲葉先生おっしゃったことを規定しているわけでございますが、そのことが経営者の管理権に基づきます寄宿舎の建物の管理、そういう意味でいわゆる管理者というようなものを置くならば、これはさしつかえないと思いますが、それが全くいわゆる私生活の干渉というような形で入ってきており、その実態が私生活を侵しているという事例がございますれば、当然九十四条二項の違反になるというふうに解釈いたします。
#276
○稲葉誠一君 それは事実関係をあなたのほうでも監督署を通じてなり東京の基準局を通じてよく調べていただきたいと思いますが、さらに非常におかしい、どうも前近代的だと、こう思うわけですね。これは昔の近江絹糸においてもやっておったことがあるのですが、寮内において寮の人が、たとえばここは六人以上集まるときには集会の届をして許可をとる。これが集会届を寮長に出すならある程度わからないこともないのですが、会社に許可の届を出す。そうでないと、その寄宿舎の中で集会が持てない、こういうふうになっているのですね。これはあなたのほうでも調べてもらいたいが、私のほうで調べた範囲内ではそうなっている。集会結社の自由ということからいっても憲法に違反する、こういうふうに考えるのですが、この点について監督署で調べたことがないですか。
#277
○説明員(小鴨光男君) 最近までの報告では、その点の報告はございませんので、その事案について判断を下すことはちょっと差し控えたいと思います。御指摘のことについては、また後刻調査いたしたいと思います。
#278
○稲葉誠一君 ここの監督署は亀戸ですか。亀戸管内というのは、いわゆる町工場というと語弊がありますが、民間工場が非常に多い所ですね。いろいろあなたのほうでも忙しいことはわかりますが、今秋の指摘したようなこと、そういうようなこと、まだほかに休業保障なんかの点があるのですよ。休業保障は六〇%以上出さなければならないでしょう、二十六条で。ところが、六〇%までいかないで休業保障を出しているというようなこともあるのですね。こういうような点もありますから、そういう点については、ぜひ早急にしかもひとつ厳重に調べていただきたい、こういうふうに考えます。その点はひとつお約束願いたいと、こう思いますが、どうですか。
#279
○説明員(小鴨光男君) 後刻調査いたしまして御報告申し上げたいと思います。
#280
○稲葉誠一君 今度は、労働争議に対する警察の態度を中心としてお聞きするわけですが、労働争議に対する警察側の基本的な態度、これはどういうものなのでしょうか。これは概略御説明願いたいと思います。
#281
○政府委員(三輪良雄君) 労働争議と警察の関係でございますが、正しい労働争議について警察が干渉するというつもりも毛頭ございませんし、また、そういう立場にないわけでございます。ただ、はなはだ遺憾なことでございまするけれども、いずれの側にも争議遂行に伴います違法行為が発生をすることが争議に伴って多いことは御承知のことかと思います。労働争議に伴いますものといえども、違法行為が起こりましたものについては、これは警察本来の職分といたしましてこれを捜査し、検挙するということになるわけでございます。でき得べくんぱ、そういうことが予防できますように、警職法に基づきまして、そういう事態が起こるおそれがある場合には、事前に警察官を近くまで配置をして、そうして必要な予防措置をとる。しかしながら、これは、繰り返して申しまするけれども、争議のいずれの側に立っていずれの側の有利にはかろうというようなことではございません。本来の警察の厳正公正な立場に立って行なうものであることは申すまでもないのであります。
#282
○稲葉誠一君 この会社の争議の中で、これは第一組合があり、途中から第二組合ができたわけですが、会社側が臨時守衛という形で、どういう人かよくわかりませんが、相当腕っぷしの強いのを雇い入れた、こういうことは警察のほうでは、これは小松川警察ですね、のほうでは十分探知していたわけですか。
#283
○政府委員(三輪良雄君) 承知はいたしております。
#284
○稲葉誠一君 その臨時守衛と言うのか何て言ったらいいのかわかりませんが、それらの人たちは、一体いつごろから何のためにこの争議の中に臨時に雇われるようになってきたんでしょうか。
#285
○政府委員(三輪良雄君) いわゆる臨時守衛というものは十二月の二十三日に何か十名雇い入れたということでございます。それが次第にふえまして、二月十九日から二十五日現在までで申しますと四十三名、最大のときが二月五日から十八日までは五十名であったというふうに聞いておるのでございます。何で雇ったかというお尋ねでございますけれども、これは推測でございますが、第一組合ができますと翌日第二組合ができ、自来争議を重ねておるということで、その間に工場内の建物とかあるいは会社幹部の自宅に対するデモといいますか、そういうものもあったりいたしまして、何かそういう会社幹部に対する警護といいますか、そういうもの、あるいは会社内部を守りますのに従来の守衛では不足であるというようなことで、社長の個人的な知人の武井という人の何か関係の者のようでございますが、そういう者を雇ったというふうに聞いておるのでございます。
#286
○稲葉誠一君 そのデモですね。争議の中で組合員がデモをするわけでしょう。それはそのデモそのものがまさかいけないということを言っているわけではないでしょうね、警察は。
#287
○政府委員(三輪良雄君) 今申し上げたのは、警察が言っているわけじゃございませんので、会社側が雇ったと言っておると聞いておるのでございます。
#288
○稲葉誠一君 そうすると、最大五十名ぐらいいたというのでしょう。そういうことは、警察はどこから調べてきても自由ですけれども、どこから調べられたのでしょうか。
#289
○政府委員(三輪良雄君) 会社側から聞いておるようでございます。
#290
○稲葉誠一君 どういう人たちですか、この人たちは。
#291
○政府委員(三輪良雄君) 先ほど申しましたように、武井プロダクション友の会というところの武井という人が何か世話をした人だということでございます。
#292
○稲葉誠一君 これはまあ抽象的に言えばそうらしいですけれども、具体的にはどういう人たちですか。なかなか腕っぷしの強い人たちが集まってきたのですが、何か入れ墨した人も来たようです。
#293
○政府委員(三輪良雄君) 個々個人個人につきましてその経歴等については存じておりません。
#294
○稲葉誠一君 個々個人々々の経歴、そんな詳しいことを調べることは別として、具体的にどういう人たちだということは、プロダクションだけでなくてふだん何をしておる人かというふうなことは、あなたのほうでわかっておるのじゃないですか。
#295
○政府委員(三輪良雄君) この人たち自身一人々々についてはわかりませんけれども、主として沖仲仕だとか土建関係者というようなもので構成しておるようでございますから、おそらくそういう人たちであろうかと思います。
#296
○稲葉誠一君 この人たちが雇われたすぐだから去年十月の三十一日、組合員が入構するときに支部の組合員に襲いかかって暴行を働いた。それで組合側の新井という副委員長が一週間くらいのけがを受けたり、その他数名の者が突き倒された、こういうふうな事実があるようですが、そのことについてお聞きですか。
#297
○政府委員(三輪良雄君) 昨年十月ということでございましたが、私お答えいたしましたように、この人たちが入りましたのは十二月の二十三日でございますので、今のお言葉は十月ということで、私の聞き違いでないならば、聞いておりません。
#298
○稲葉誠一君 あなたのほうの調べでは十二月二十三日に雇い入れた、こういうことですか。こういう調査ですね。
#299
○政府委員(三輪良雄君) さようでございます。
#300
○稲葉誠一君 これはちょっと違うのじゃないですか、事実関係が。十月に雇い入れたのじゃないですか。十月二十六日に組合幹部の解雇を通告した。その後十月三十日に十二名の臨時守衛を雇い入れた、こうなってきたのじゃないですか。その点あなたのほうでお調べになっておりませんか。
#301
○政府委員(三輪良雄君) 私先ほどまで承知をいたしておりましたのは、現在おります臨時守衛というものについて聞いたのでございますが、ちょっと訂正をいたします。昨年の十月三十一日の事柄で、そのときにも臨時守衛数名というものがおったようでございます。これはしかし今のとは全然違って、その後一度臨時守衛をやめたというふうに聞いております。したがいまして、臨時守衛というお尋ねに対しまして十二月二十三日に初めてと申したのは正確を欠きます。ただいまおります者を入れたのが十二月二十三日というふうに聞いております。
#302
○稲葉誠一君 十月三十一日にとにかくそういうふうなことがあって、新井副委員長以下がけがをした。それで、そういうふうなのを取り締まってくれ、会社側のそういう暴力行為を取り締まってくれということで組合側がすぐ小松川の警察署に抗議を申し入れた、こういう事実はあるのじゃないですか。
#303
○政府委員(三輪良雄君) ただいまのことは、十月三十一日に抗議を受けたということを聞いております。これは、この事件を告訴するということをそのとき言われたそうでございますが、現在まで告訴は受けていないようでございます。この点について当時調べたところでは、その本人は守衛の許可を受けないで入門しようとした。そして、守衛に阻止をされたが、なおも入ろうとして押し合ったということで、へいに体や頭をぶつけられたということでございましたが、御本人も、今聞いたところによりますと、必ずしも暴行を受けたということを言っていなかったし、守衛のほうも、阻止をしたが、とめるという行為を越えて積極的に暴行を加えたというような事実もうかがえなかったので、捜査を打ち切ったということを聞いておるのであります。
#304
○稲葉誠一君 へいに頭をぶつけられたというのは、一体、だれがだれにぶつけられたのですか。
#305
○政府委員(三輪良雄君) 要するに、今申し上げたように、一人が入ろうとした、それを阻止をする、なおも入ろうとするという関係でもみ合ったわけですから、本人がそういう際に頭をぶつけたということでございます。したがいまして、これは臨時守衛とのもみ合いの結果そこにぶつけられたということになるわけでございます。
#306
○稲葉誠一君 臨時守衛ともみ合ったら頭をぶつけられた。たまたま頭がぶつかったというのですか。臨時守衛のほうで故意に頭をぶつけたのじゃないのですか。
#307
○政府委員(三輪良雄君) これは、要するに力と力のぶつかり合いでございますので、そういう際にもみ合った結果なったということで、当時、警察が両方側から事情を聞きましても、特に事件として立てる、事件とするに至らないというように判断したようでございます。
#308
○稲葉誠一君 事件とするに至らないと判断したと、こう言われるのですが、そのとき小松川警察署に抗議したですね。抗議の内容はどうでした。
#309
○政府委員(三輪良雄君) 先ほど申し上げましたように、この事実について告訴をするから取り締まってもらいたいということのように聞いております。
#310
○稲葉誠一君 告訴をするから取り締まってくれ。告訴がないから警察は取り締まらない、こういうことになるのですか。
#311
○政府委員(三輪良雄君) そういうことじゃございませんが、先ほど申しましたように、当時警察が聞いたところでは、事件に立つに至らない。しかし、告訴が出まして、なお個人的にいろいろ聞かしていただくということになると、事件に立って送検するということになるかもしれませんけれども、その後告訴が出ていないというふうに聞いておるのでございます。
#312
○稲葉誠一君 ことしになってから特にいろいろそういうところが激化をしてきた。一月の十一日に、これらの連中が、これは全金支部の執行委員会をやろうとしたその会場の付近にたむろしておって、会場に入ってくる執行委員一人一人に、顔を覚えておけ、外で会ったらただじゃおかないぞ、こういうふうなおどかしをかけていた。そして、このことに対して抗議するために本社のほうに向かった組合の抗議団に対しても襲いかかって、この寒いのに泳ぎたいのかといって腕をつかんで池のはたまで引きずっていって三名の負傷者が出た。こういうようなことについては、調べはついているのですか。
#313
○政府委員(三輪良雄君) それは聞いております。ただいまの事件につきましては、大体おっしゃるようなことであったようでございまして、今入っております臨時守衛のうち十五、六名につきまして捜査をいたしておるわけでございます。これについては、二月の四日に告発を受理いたしておるのでございます。
#314
○稲葉誠一君 労働争議のときに組合側が執行委員会を開くことは当然過ぎるくらい当然なんですが、その会場の付近にたむろしておって、入ってくる人に、顔を覚えておけ、外で会ったらただじゃおかないぞとおどかしておる。しかも、中の者の腕をつかんで池のはたまで引きずっていってけがをさせた、こういうような行為が行なわれておる。その後の捜査はどうなっているのですか。
#315
○政府委員(三輪良雄君) これは、大体臨時守衛十五、六名の範囲の中で確定をするというふうな捜査をやっているのでありますが、一般的に申しまして、これは被害者側のほうがこういうのにやられたというような御協力をいただいて、それによって捜査もスムーズにいくわけでございますけれども、今までのところ、そういう意味で被害を受けた方々からの十分な御協力がいただけないというようなことを聞いております。しかしながら、そういう中でもこれを捜査いたしまして、近く割り出しができ、事件が立つものと思っております。
#316
○稲葉誠一君 被害者の協力というのは、私も関係してよく知っていますが、こういうふうなことになると、警察は被害者を何人も何人も呼び出すわけです。証拠を固めるためかどうか知りませんけれども。こっちは。ピケを張っていて、人数が足らなければピケが破られる形になってしまう。そこを来い来いとわいわい言われて、行けなくなると、被害者が協力していないから捜査が進まない、こういうのでは、少し話が違うのじゃないかと思うのです。そういうことではなくて十分証拠の関係は固められるはずだと、こういうふうに思うわけです。被害者の協力というのはどの程度のことなんですか、この場合。
#317
○政府委員(三輪良雄君) まず、被害を受けたという事実がございますならば、その事実をでき得る限り――相手の名前はわからぬということはございましょうけれども、こういう風体の者にこういうことでやられたということをはっきり被害者の方からお聞かせを願う、そうしてそういう風体の者について特定をするということに捜査というものはなるわけでございます。全くそれがなければできないということでもございませんけれども、また、今のように警察に出てそういうことを述べる時間がピケ等の関係で惜しいというようなことでございますけれども、しかし、これはやはりそういう事件があって、警察としてこれを事件に立てるということにつきましては、これは被害を受けた方々からそういう意味の御協力はぜひいただきたいと思うのでございます。
#318
○稲葉誠一君 何かこれらの人たちは、鉄棒かなにか振り回して工場を飛び回って作業中の組合員をおどかしている、こういうことなんです、私どもの調査では。これはあぶなくてしょうがない、安心して仕事もできないということになっているわけです。一体鉄棒を振り回してあちこち飛び回ったりしているという事実を、警察はどうしてそのままにしているのですか。
#319
○政府委員(三輪良雄君) ある暴行がありまして――あとに事件が幾つもあるようですけれども、その際に、そういうものを持ってけがをさしたということはあるようです。しかし、常時鉄棒を持って作業中の者をおどかしているということですけれども、会社側としては、作業を妨げられないためにそういう警備員を入れるということを言っている関係から、作業をやっている者にそういう者が常時おどかしをかけておるというようなことはないのではなかろうかというふうに考えます。
#320
○稲葉誠一君 これは全然実態をつかんでないのじゃないですか。実際に作業をしている組合員のところにやってきておどかしている。だから、しょうがないから、機械をとめて抗議する。今後こういう連中を工場に入れないでくれ、こういうことを確約させたり組合側ではやっているのです。これは少しこの小松川警察なりその他のところで調べれば、すぐわかることですから、今私が言ったことについては、もっとよく調べてもらいたいと思います。
#321
○政府委員(三輪良雄君) 組合とおっしゃいますけれども、実は第一組合は作業に入っていないわけでございますので、今のお言葉は、第二組合からそういうことが出たということでありまするならば、私の聞き方が悪うございますので、よく調べてみます。
#322
○稲葉誠一君 一月の二十三日に、全金の中央執行委員長である参議院議員の椿繁夫さんや都会議員の人たちが小松川警察署長の荒沢茂、この人に会って、こういう連中の排除を要請しましたね。このことについて、あなた方はどういう報告を受けていますか。
#323
○政府委員(三輪良雄君) お言葉によると、暴力団を雇っておるから、こういうものは排除してくれというようなことであったようでございます。署長といたしましては、なるほど個々に見まして暴力事犯が現に起こっておりますので、望ましくない者も多いわけでございます。そういう者が現実に法律を犯し、罪を犯し、もしくは犯すことがきわめて明らかな場合に、これを制止したり、あるいは検挙したりするということは、これは当然なことでございますけれども、全体としてそういう者を雇うべきでないということを、これは事実上の勧告としてはいたしておるわけでございますけれども、警察の権限といたしましてそういう者を雇うことをとめるということはできないという趣旨でお答えをいたしたようでございます。現に、会社側に対しましても、そういう者が乱暴な行為に出ないように、あるいはまた、構内を警備するということであるならばやむを得ないけれども、そういう者が構外に出て今いる第一組合のピケにトラブルを起こすというようなことを絶対にしないようにという警告はいたしておるようでございます。
#324
○稲葉誠一君 今の局長の言われた事実上の警告、これは、具体的には、争議は相当長くなっているわけですが、いつごろだれがどこでだれに対して文書なりあるいは口頭なりそういうふうな形でやったんですか。
#325
○政府委員(三輪良雄君) これは文書でやるというような趣旨のものではございませんので、副社長その他の幹部を警察に招致いたしまして、まあ何といいますか、争議を早期に解決するという意味で、これは全く非公式なことなんだけれども、会社側はそういう者を雇わないようにする、そして組合側もその問題を後の団交に移して争議態勢を解くというようなことにはならないかということを、会社側には雇わないようにする、組合の幹部の方々にはそういうことで解決の方向に進んでくれるわけにいくまいかというようなことを申したそうでございます。これは最初のころでございませんで、私はおとつい現場に行ってみましたが、そのときの話で、それを言いましたのはその数日前のようでございますから、そう古いことではございません。
#326
○稲葉誠一君 そうすると、一月二十三日に参議院議員の椿さんたちが行って抗議をしておる。それから約一月以上警察としてはそういう状態を黙認していた、あるいは放置していたと、こういうことになるわけですか。
#327
○政府委員(三輪良雄君) それは抗議の際にお答えいたしましたように、警察としてこれを雇うべきでないということを権限として言うわけにいかないということはその際にもお答えをし、しかしながら、そういう者が犯罪を起こすということであれば、後にお尋ねがあろうかと思いますけれども、現にそういう者を検挙をいたしておるわけでございますが、そういうことはこれはもう警察として努力をいたすということを申しております。しかし、先ほどのお答えで申しましたように、構内から外に出て第一組合とのトラブルを起こすようなことはさせないという警告は、これはもう一月二十四日でございますか、社長、副社長に対して言っております。自来、署長あるいは第七方面本部長から繰り返し会社側には警告をいたしておるということでございます。
#328
○稲葉誠一君 文書でやる筋合いのものではない。これはなるほど労働争議の中に経営者がだれを雇うかということは経営権の範囲なんだ、警察の関知することではない、だから文書ですべき筋合いのものではないと、こういうふうに聞こえるわけですね。経営権の問題を言ってるんじゃなくて、現実にそうやって暴力行為を行ない、事件を惹起しておる、しかもなおかつ惹起するおそれがうんとあるということになれば、これは警察としては、要望の見地から言っても、当然文書でやっても、こういうようなことはやっちゃいけないじゃないか、こういう人を雇わないようにしたほうがいいじゃないか、こういうことを言うのは、かえって公安の警察という意味からいってもむしろ当然なんじゃないでしょうか。そういう点について何もそう憶病になる必要はないんじゃないでしょうか。
#329
○政府委員(三輪良雄君) 文書でやる筋でないというのは、必ずしも文書にこだわったわけじゃございませんが、要するに警察の権限としてやる筋じゃないということを申し上げたのでございます。しかしながら、文書でやるやらないは別として、一月二十四日には小松川署長が社長、副社長に対して言っております。二月六日に第七方面本部長が工場長並びに青木専務に言っておるということでございます。したがいまして、それからなお、二月四日に工場長に対して場外には出さないようにということを言うということで、最高責任者に署長あるいは方面本部長が言っておるのでございますから、そういう意味で、結果として相手がまだそういうことをやめていないということになっておりまするけれども、警察としてはできる限りそういう努力をいたしておる点を御了承いただけるかと思います。
#330
○稲葉誠一君 そうすると、現在はそうして警察が何回も勧告しているわけですね。一月二十四日、二月四日、二月六日、二月二十日と四回くらい社長、副社長などを呼んで勧告をしている、それはきき目がないんですか。
#331
○政府委員(三輪良雄君) 要するに、きき目がないというとおかしゅうございますけれども、そういう者を雇うことをやめろということを先ほど申したことは、ごく最近のことでございます。それまでの警告というものは、そういう者が組合員に対して乱暴を働くということは絶対にさせないように会社側は責任を持って、もしくは、先ほど申しましたように、構外といいますか、道路と会社の正門の間にピケを張っておるわけでありますが、その会社の門の外に出てそういうピケとトラブルを起こすということは絶対にさせないようにということを言っているのであります。会社側は、それは構外における問題が起こったときにすぐ警察がやって下さるということであるならば、私のほうはもちろんそうさせるというようなことで言っておるようでございます。その後幾つか事件が起こりましたのははなはだ残念でございますけれども、そのつど検挙し、あるいは一部捜査中の者もございます。したがって、結果からそういうことが完全に守られていないという意味においてははなはだ残念てございますけれども、そういう努力は何回か会社側もやっておるのではないかというふうには考えるのでございます。
#332
○稲葉誠一君 二月十五日に会社側が厚生課の名をもって組合員のいる寮に、これらの連中を使って通達の掲示を行ないましたね。この通達は警察当局ではどういうものだかキャッチしておりますか。
#333
○政府委員(三輪良雄君) それは私今までのところ聞いておりませんので、お示し下さればありがたいと思います。
#334
○稲葉誠一君 この通達は、私どもが写してきたんですが、こういうんですよ。「寮の現状をみると雷寮第一第二寮は通路上にてピケを張り夜間の出入が激しい等寮の秩序を維持するのに困難な状態である。よって会社は寮の管理及び秩序を維持するために警察権を発動する。昭和三十八年二月十四日、厚生課・寄宿舎管理委員会」、これは何ですか、警察権を発動するというわけです。会社はまるで警察を自分の味方のように私物視しているとしか考えられません。自分たちの都合のいいように警察権を発動する、こういうのはおかしいじゃないですか。常識はずれじゃないですか。これではまるで警察が会社側の味方のように会社側は考えているとしか考えられませんね。どういうんですか、この通達は。
#335
○政府委員(三輪良雄君) 警察権というのは、広くいいますと、これは実力をもって阻止するというような意味であるいは使ったのではないかと思いますし、あるいは警察を頼むという意味かもしれませんが、寮内で警察を思うままに使ってやることを今稲葉委員の言われたような趣旨で言ったとすると、まことに非常識であり、全く同感でございます。
#336
○稲葉誠一君 それから二月の五日に、組合員が解雇されたというけれども、解雇を認めることができないので、全員が就労のために入構しようとしましたね。そうしたときに、会社側では今の臨時の連中を百名ぐらい集めたり、警察官はこれは二百名ぐらい行ったのですか、何名ぐらいですか、組合員が就労しようとしたときに第五機動隊かなんかがここにかけつけたんですか。
#337
○政府委員(三輪良雄君) 二月五日には最大二百二十名ほどの警察官が出たということを聞いております。
#338
○稲葉誠一君 これは何しに行ったんです。
#339
○政府委員(三輪良雄君) これは少しくその事情を聞いたことで申し上げますと、午前六時五十分ごろ、第一組合員百五十名くらいが工場正門前でピケを張っていたが、その際会社にきた乗用車を門内に入れるために守衛が門扉の片方をあけたところ、第一組合員はスクラムを組んで門内に入ろうとして押しかけ、これを阻止しようとする会社側の臨時守衛約七十名ともみ合ったということで、結果からいいますと、組合側四名、会社側七名、計十一名が全治一週間から三日間程度の傷を負った、こういうことがあるわけでございます。これは、最初に労働争議と警察の関係ということで申し上げましたように、第一組合、第二組合というものが分かれまして、つまり第二組合が就労をする、第一組合がそれをとめるというような事柄が起こりますと、遺憾ながらえてして双方の間に大きなトラブルが起こるというようなことがあるのでございます。これはまた臨時守衛等を含めまして七十名になるような者が行ったということで、こういう事態は予測にかたくなかったと思うのであります。そういう意味で、行ってごらんになりますとわかりますように、非常に地域も離れまして、小松川署から自動車で二十五分ぐらいかかるほんとうの千葉境でございます。そういうことで、いざといっても急に警察力を集める時間的なゆとりもございませんので、そういう警察官をあらかじめ持っていったといいますか、現地に持っていったというふうに聞いておるのでございます。
#340
○稲葉誠一君 このときにも、臨時守衛、これは七十名いたと言いましたね。これが入ろうとした組合員に襲いかかって、組合員がけがをしたのでしょう。この事件はどうなったのですか。
#341
○政府委員(三輪良雄君) 二月の十四日に組合側から被害届がございます。非常に大ぜいのぶつかり合いでございますので、これは鋭意今捜査をいたしておるわけでございます。現場の措置といたしましては、その現場におりました警察官四十五名が直ちにそれに入って制止をいたしまして、それ以上に問題が大きくならないようにとめたのでございます。事件の捜査は、ただいま鋭意現地において捜査中でございます。
#342
○稲葉誠一君 二月十一日にいわゆる臨時守衛というのが一人逮捕されましたね、現行犯で。これはどういうふうなことから逮捕されたのですか。
#343
○政府委員(三輪良雄君) この日は、午後の一時五十分ごろに、工場の西門――実は西門というのは、正門がピケでとめられるということで、横のほうのブロックのへいをこわして門を新たに作ったようでございますが、そこの前で第一組合員約五十名がピケを張っておって、入門をしようとした会社側のトラック五台の前に立ちふさがって阻止をした。そこで、臨時守衛十数名が排除してもみ合いになり、この際臨時守衛一名と組合員一名とが取っ組み合いになりまして、双方全治一週間ほどのけがをしたわけでございます。その現場を見ておりました警察官として、その臨時守衛がなぐったところを見た警察官が、これをそこでつかまえまして現行犯で逮捕して措置をしたのでございます。
#344
○稲葉誠一君 これは見ていた警察官がつかまえたんじゃなくて、そういう事実があったため組合員が抗議して、あれをつかまえろ、こう言ったのでつかまえたんじゃないですか。
#345
○政府委員(三輪良雄君) 私が聞いておりますところでは、現行犯逮捕したということを聞いておるのでございます。つまり、その場でつかまえたということを聞いておるのでございます。
#346
○稲葉誠一君 これは現行犯で逮捕したということで、その場でつかまえたということですけれども、そのつかまえるまでは警察は目の前で見ていた、こっちのほうでああいうことをやっているからこれをとつつかまえろ、こういうことを言ったので初めてとつつかまえたというふうに私どもは調べておるわけです。そのときに先にどっちがなぐりかかったんですか。
#347
○政府委員(三輪良雄君) 今のところでは、この臨時守衛、検挙いたしました木村その他の供述によると、先に彼がなぐられた、そこで今度は彼がなぐったということで、実際の現場としては取っ組み合いになり、両方がなぐり合ったということのようでございます。両者の供述が必ずしも一致いたしておりませんけれども、第一組合員が手出しをしたと申す者もおるわけでございます。
#348
○稲葉誠一君 じゃ、そのときに見ていた人たちは、臨時守衛のほうが先に手を出したと言う人もいるし、それから第一組合のほうが手を出したと言う人と両方いる。しかし、そのときに逮捕したのは、臨時守衛のほうを逮捕したわけですね。これは加害者として逮捕したわけでしょう。
#349
○政府委員(三輪良雄君) そのとおりでございます。
#350
○稲葉誠一君 そうすれば、そのときにだれが見ていても、その現場で現行犯として逮捕するときには、常識的に言っても臨時守衛のほうが先に手を出した加害者である、こういうことから現行犯逮捕した、これはもうだれが見てもそう思われるんじゃないですか。
#351
○政府委員(三輪良雄君) そのとおりでありますので、逮捕したのでございます。
#352
○稲葉誠一君 いや、私の言うのは、臨時守衛のほうが先に手を出したと、こう見るのが普通の常識ではないかと、こう言っているわけですね。今あなたの言われるところでは、何か第一組合のほうが先に手を出したように見ている者があるとか――どっちが信憑力があるとあなたお考えになっておるんですか。
#353
○政府委員(三輪良雄君) これは、その現場におきます判断では臨時守衛のほうが加害者であるということで現行犯逮捕したのでございます。しかし、後にお触れになることがあろうかと思いますけれども、その後臨時守衛並びに二、三の者が第一組合員も手を出した、あるいはそれが先になぐったということもありまして、双方これは事件として立てるということに相なったわけでございます。
#354
○稲葉誠一君 今局長は私が聞かない先から言われたわけですが、そのときの臨時守衛にやられた人も、これは最初は参考人として警察へ来てくれということで任意同行を求めておるわけですか。
#355
○政府委員(三輪良雄君) そのとおりでございます。
#356
○稲葉誠一君 片一方を現行犯として逮捕しておる。第一組合員のほうは、最初は被害者という形で任意同行を求め、そこで警察へ行ってからこれは緊急逮捕をやったわけですか。
#357
○政府委員(三輪良雄君) そこで参考人として話を聞いておりまして、あるいは加害者として逮捕した者を調べておりまして、そういう過程で今のように第一組合員も手を出しておるということが推定されるに至りましたので、その日の夕方逮捕いたしたわけでございます。
#358
○稲葉誠一君 それは、現行犯としてつかまったこの臨時守衛、これは加害者である。これの被害者として連れて行かれてそしてそれを逮捕したというのは、これは単に被害者も手を出したというだけで逮捕したのは筋が通らないんじゃないですか。片一方のほうを逮捕しておる。それだけを逮捕しておるというと、警察としては何だかんだ言われてねじ込まれたりすると工合が悪い。片一方のほうもあれもやったんだからというので結局それも逮捕して形をつくろう。よくある手ですが、こういう形がとられたんじゃないですか。このときは第一組合員のほうは逮捕する必要はない、むしろ被害者だったんじゃないですか。
#359
○政府委員(三輪良雄君) 少しくそれでは詳しくなりまするけれども、聞いたところを申し上げてみたいと思います。もみ合いになりましたことは先ほど申したとおりでありますけれども、重複するようになりますが、もう一度お聞き取り願いたいと思います。
 二月十一日の午後一時五十分ごろに、この工場の西門前の道路におきまして、第一組合員の五十名くらいが、会社に資材を納入して参りましたトラック五台に対しまして、これを取り囲み、ラジエーターを押え、またはそのステップに上るなどしてこれを阻止いたしました。会社側の臨時守衛十数名がこれをやめさせようとしたところから、双方がもみ合いになった際の事案であるのであります。
 この事案の概要は、このもみ合いの際に、第一組合員の一人が臨時守衛の一人に対して「ひっぱたくぞ、ばかやろう、どけ、」と言いながらげんこつで臨時守衛の顔面を殴打し、それと同時に、他の組合員も何人かこれを取り囲んでなぐったということでございます。その直後の一時五十五分ごろに、今度なぐられました腹いせと申しますか、その臨時守衛が門内から飛び出していってさきの組合員に襲いかかり、左顔面をなぐり、また、下腹部を二回けり上げた、そうして取っ組み合いになった、こういうことでございます。そこで、現認した警察官がすぐこれを制止をすると同時に、その際における暴力をふるっていた臨時守衛を傷害現行犯人として逮捕し、そうしてそのときの組合員を参考人として警察署に任意同行したのでございます。二時二十二分ごろに本署へ到着をいたしまして、臨時守衛を調べたのでございますが、本人の自供から、先ほどのような事態があったということを本人が言うのでございます。しかも、その臨時守衛のほうも右手の背部、顔面、右足等に打撲がありまして、全治一週間の傷を負っておるということでございます。さらに、目撃参考人として取り調べた他の臨時守衛もそういう事態を現認をいたしております。また、署員のうち二名も現認しておるというような事実から、被害者であると同時に臨時守衛に対する傷害の加害者であるということも明らかになったというので、午後六時ごろこれを逮捕するに至った、こういうことでございます。
#360
○稲葉誠一君 その前に、第一組合員が臨時守衛を暴行したというときには、署員が二名見ていたというのですか。署員というのは警察署員ですか。
#361
○政府委員(三輪良雄君) その現場といいますか、要するにその間が非常にたったわけでございませんので、その一連の事態として目撃をしておったというのでございますが、最初になぐったその事態のときから見ておったのかどうか、その点はここでは明らかでございませんので、正確には、間違えるといけませんから、今の点はその最初の事柄について目撃したかどうかという点については留保いたしたいと思います。
#362
○稲葉誠一君 非常にあいまいですよね。最初のことがあった、このときに警察署員が二名見ておったとすれば、あるいは警察署員がどんどん中へ入って警備していたわけでしょう、パトロールで。自動車でやっていたというわけではないとしても、歩いていたわけですから、二名見ていたということならば、そういう事件があったならば、そこで現行犯逮捕をすべき事件ですよ。それをやってないとすれば、それがきわめて軽微であったからやってないということはだれでも考えられる。あとのほうの臨時守衛がうんとやったやつは、ものすごいから、非常に傷害の程度が激しいというので現行犯逮捕をしたわけです。片っ方を現行犯逮捕してしまったから、今度は均衡上片っ方もやらないというと警察としても面子といっては悪いけれども、とにかく両方やったような形をとったほうがあとで説明するときにいいというふうな形でこちらのほうもさかのぼってやったということじゃないですか。もしほんとうならば、当然第一組合員も、要するにそのとき警察官二名いるならば、見ているのだから、当然逮捕すべきでしょう。やってなかったということは、軽微だからということじゃないですか。片っ方を逮捕したから、しょうがない片っ方もやった、均衡をとる、こういうことでしょう。常識的にそう考えられるじゃないですか。
#363
○政府委員(三輪良雄君) 今のお言葉でありますけれども、最初のときから二人見ておったということにつきましては、あとで私留保いたしましたように、正確な表現をここに承知いたしておりませんので、それを前提にしてお答えをいたすわけに参らないのでございます。また、一方やったから一方やはりやるという考え方も言いようでございますけれども、それはなぐり合いという事態から、何と申しますか、一方もけがをし、それに対して片方が原因を与えているという事柄になるということになると、誤解を受けてはいけませんけれども、そういう考え方もあると思いますけれども、しかし、一方だけやって一方やらないのはうるさいからというようなそういう判断でこれをやったということではなくて、そのこと自体がやはり独立して傷害になるというふうにそのときには判断をいたしましたので、緊逮をいたしまして、令状を即刻いただいたというふうに聞いておるのでございます。
#364
○稲葉誠一君 二月六日の、ちょっと前にさかのぼりますが、朝早く、機動隊が二百二十名行きましたね。そのときに機動隊はピケを張っておる組合員をピケからゴボウ抜きにしたのじゃないですか。
#365
○政府委員(三輪良雄君) そのときの状態を概略申し上げます。
 二月の六日は、第一組合員約百五十名が早朝から正門前にピケを張っておりまして、午前八時三十七分ごろから順次正門前にトラックが到着いたしましたわけですが、このトラックの前にすわり込んだのでございます。つまり、入門を阻止したのでございます。九時ごろに正門前の道路上には会社側トラックが十数台並びまして、あそこはごらんのように道路が狭いところでございますし、ほとんどほかのものが通れないような状態になっておったようであります。このため、警察部隊は再三警告をいたしております。つまりピケは――そんなことを稲葉委員に申すのも何かと思いますが、平和的説得というのが限度でございまして、実際にすわり込んで絶対に通さないということであり、さらに、これは会社の職員が出て参りましてその阻止を解くように、あるいは車を誘導して中に入れようということをいたしましたところが、ピケにおりました何人かがそのトラックの下に入り込んでしまうというようなことで、あくまで実力で阻止するということを示したのでございます。したがって、九時二十八分に機動隊が参りまして、警告を発して、二十八分ないし三十五分の間にこのピケを排除するということをいたしました。この際、機動隊員が一名負傷をいたしておるのでございます。
#366
○稲葉誠一君 そうするとここに写真あるのですが、見せていいですか。
#367
○委員長(鳥畠徳次郎君) ええ。
#368
○稲葉誠一君 このときの写真があるのですがね。これはもう警察官がゴボウ抜きで引っぱり出しているときじゃないですか。頭をつかんだり体を引っぱっていますね。これはどういう根拠でそういうことをやるのですか。ゴボウ抜きにするという根拠は何なんですか。
#369
○政府委員(三輪良雄君) 警職法にございますように、犯罪がまさに行なわれようとする場合には、警告をするということもできるわけですが、さらに進みまして、犯罪がまさに行なわれようとする、それによって国民の生命身体に危害が及び、あるいは財産に重大な危害が及んでおるというような場合には、これは制止することができるというのでございます。そこで、制止というのは何かというと、何かそういう事態に入ろうとするものはそこで物理的にとめてその事態に入らないようにいたすことでございますけれども、現在のように実際に路上にすわり込んで入れない状態、これがしからば、さかのぼりますけれども、何の犯罪になるのかということでございますけれども、これは犯罪が直ちに成立すると申すわけではございませんけれども、しかしながら、先ほど申しましたように、ピケの限界というのは平和的な説得であるということは判例が幾多示すところでございます。したがいまして、今のようにトラックの下にもぐり、あくまでそれを体を張ってとめるという段になりますと、これは威力業務妨害というものが成立するという疑いが出てくるのでございます。したがいまして、そういう事態のために、今のまま放置いたしますと、会社側との間のなぐり合いも始まるかもしれませんし、さらにまた、自動車の下にもぐって動かすということで、そのためにけがを生ずるということもあり得るわけであります。したがって、そういう状態をまず警告によって自主的にやめてもらう。さらにどうしても聞かないという場合には実力をもってつまり制止をする。制止という際には、現場から実力をもってのけるということになるのであります。その程度のことが制止ということになることはこれは判決でも認められておるところでございます。
#370
○稲葉誠一君 そうすると、会社の所有権というものを保護するために警察がそのピケを排除するということになるのですか、結論的には。生命、身体、財産と言いましたね。
#371
○政府委員(三輪良雄君) 法律の法文によりますと、生命、身体に危害が及び、財産に重大な危害が及ぶということになっております。この際に、結果から申して会社側に資材が入るということは結局会社側に財産的な利益を与えることになりますけれども、警察側が考えますのはその前段でございまして、今のように自動車が突っ込む、けがをする、ここで会社側とのトラブルが起こる、そういう事態が防止できないということになるわけでございます。そこで、平和的説得を越えて、今申しましたように一時間余りにわたって絶対に入れないという構えでおりますことが、これは違法になるおそれがある。それによって両方の側にけが人が起こるおそれがあるというように判断するわけであります。
#372
○稲葉誠一君 今のあなたの論理が通るなら、この臨時守衛たちがいろいろなことをやって第一組合員のほうの生命、身体に危険を加えるような状態が行なわれておる、これをあなたのほうで実力で阻止するというなら話はわかるのですが、そのほうを阻止しないでおいて、このほうだけやるというのは、ピケを張っているのにトラックを突っ込むこと自身が無暴じゃないですか。組合員の生命、身体に危害を加えることになるのじゃないですか。しかも、それを搬入することによって会社側の財産状態がプラスされてくる、労働争議が有利になってくる、それを結果としては警察が助けておることになるのじゃないですか。意識するとしないは別として。これは警察の公正な行き方とは考えられないのじゃないですか。
#373
○政府委員(三輪良雄君) 今の御設例でございますが、暴力団と申しては……
#374
○稲葉誠一君 私は暴力団とは言っていませんですよ。
#375
○政府委員(三輪良雄君) 失礼いたしました。そういう臨時守衛がかりにピケの中におどりかかってくるというような御設例のようでございます。そういう際には、もちろん飛びかかってくる臨時守衛を制止する、これは当然のことでございます。これは要するに正当な平和的説得をする場合のピケというものを暴力によって突破しようといいますか、それをこわそうというのでございますから、それは臨時守衛側を制止する、これは当然のことであります。
#376
○委員長(鳥畠徳次郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#377
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。
#378
○稲葉誠一君 あなたの論理は、会社側が自己の所有権に基づいて立ち入り禁止などの仮処分をして、ピケの平和的説得以外にやっちゃいけないというふうなことの立ち入り禁止の仮処分でもあるなら、これは私はその論理も立つと思うのですよ。ところが、そこまで行ってない段階じゃないですか。会社側が仮処分を申請しても取り下げちゃったのですよ。警察側は知っているかどうか。そういう段階で一方的に会社側にくみするような、危害を与える――危害を与えるといいますか、危害を与えることは私は慎むべきだというふうに考えるわけです。しかし、これは論議をしても同じですから、この程度で終わります。
 別の問題になりますが、実は二月二十一日に、宿舎に葛西寮というのがあるでしょう、葛西第三寮、ここで夜六時半ごろ小松川警察署の制服の巡査の人が会社の臨時守衛にえり首をつかまえられて振り回されているのですよ。第一組合の人が入っていこうとするでしょう。それを阻止するために出てきている臨時守衛がいる。それを警察官が見ていたわけですね。そうしたら、小松川警察署の制服の巡査がえり首をつかまえられて、その臨時守衛から、十人や二十人こわくないのだといって振り回されているのですね。こういう事実があるのですよ。調べていませんか。
#379
○政府委員(三輪良雄君) はなはだお恥ずかしいことでございますが、調べておりませんが、そういう事実がございましたら、これはもう警察としてまことにお恥ずかしいことと申すほかはございません。措置をいたさなければならない問題でございます。
#380
○稲葉誠一君 このことについては、見ている人もたくさんいますから、二月二十一日夜六時半ごろのできごとです。これは調べて下さい。
 その晩の八時ごろに、やっぱり組合の人が二人ばかり臨時守衛につかまって皮ぐつでけられたりなんかしてけがをしている、こういう事実があるのですよ。これは調べていますか。
#381
○政府委員(三輪良雄君) 時間がやや私の聞いているのと少し違うようでございますけれども、第一組合員の一人が全治二週間の傷、一方臨時守衛のほうも傷を負った者が二人おるそうでございますが、そういう者が出た。これは独身寮のあき部屋に厚生課員と臨時守衛でございますか、それを宿泊させる。会社側の言い分によると管理上ということのようでありますけれども、ふとんを運び込んでそれに寝させるということを言い、これを組合側が阻止をし、一たん引き揚げて、午後六時十分ごろに行ってみますと、その間にふとんが表にほうり出されておったというようなことから、そこでなぐり合いが始まったというふうに聞いております。これは組合から一一番がありまして、すぐ飛んで参りましたが、これはすぐ捜査をいたしております。
#382
○稲葉誠一君 一一〇番へかける前に、小松川のこの近所の巡査の駐在所へ行っているのですよ。駐在所へ行って本署へ電話かけてくれと言っている。駐在所のほうでは、何とかかんとかいってかけてくれない。しようがないから、近所の八百屋へ行って電話を借りてかけた。二十分ぐらいして警察から来たのですよ。これは駐在所へ行って調べて下さい。その他たくさんありますが、約束の時間が過ぎて恐縮でございますから、この程度でこの事件についてはやめますけれども、どうもこの事件を見ると、警察の介入というか、ちょっと激し過ぎるのじゃないか。むしろ臨時守衛なら臨時守衛というものを、現実にいろんな形で事件を惹起している者をまるで放置しているような状態だ。制服の巡査がえり首を持たれて振り回されている、見ていて。これはどうしても私どもには納得いかないわけですから、ひとつそういう問題については厳重に捜査をしてもらいたい。同時に、そういうふうな臨時守衛ですか、こういうふうな者が事件を起こさないように警察の人も十分注意をしてもらいたいということを要望しておきます。あるいは今後この問題について、私まだ現場へ行っておりませんですから、現場へ行きましたら、新しい事態があれば、これはまた別の形で質問するかもしれませんが、きょうはこの程度で終わります。
#383
○委員長(鳥畠徳次郎君) 他に御発言がなければ、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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