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1962/05/23 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第14号
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1962/05/23 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第14号

#1
第043回国会 法務委員会 第14号
昭和三十八年五月二十三日(木曜日)
  午前十時五十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     鳥畠徳次郎君
   理事
           後藤 義隆君
           松野 孝一君
           稲葉 誠一君
   委員
           大谷 贇雄君
           杉浦 武雄君
           中山 福藏君
           小宮市太郎君
           柏原 ヤス君
           山高しげり君
           岩間 正男君
  国務大臣
   法 務 大 臣 中垣 國男君
  政府委員
   法務政務次官  野本 品吉君
   法務省民事局長 平賀 健太君
   法務省刑事局長 竹内 壽平君
   法務省矯正局長 大澤 一郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○商業登記法案(内閣提出)
○商業登記法の施行に伴う関係法令の
 整理等に関する法律案(内閣提出)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (行刑に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、ただいまから法務委員会を開会いたします。
 商業登記法案及び商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案を一括して議題に供します。
 両案に対して御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○岩間正男君 この前に続いて簡単にお伺いしたいと思いますが、外国会社の問題があるわけですが、外国会社の数は現在何社ぐらいあるわけですか。今後自由化が進むのにつれてふえると思うのですが、こういう点についてどういうふうに把握しておられますか。
#4
○政府委員(平賀健太君) 外国会社の数字が何社ということは、ちょっと今のところ把握いたしておりませんが、外国会社関係の登記の件数につきましては、お手先に提出してございます「商業登記法制定に関する資料」の二百八十六ページの「商業登記件数表」に外国会社関係の件数をあげております。この表で一番最近の例で申し上げますと、昭和三十六年度に六百七件という数字が出ておるわけでございます。
#5
○岩間正男君 これは、今後外国会社はふえるというふうに考えられるのですね。登記の件数もしたがって今後増加するというふうに考えるのですが、どういうふうにお考えになるのですか。
#6
○政府委員(平賀健太君) その点につきましては、この表にもございますように、たとえば三十四年度でございますと四百七十五件、三十五年度は五百五十四件、三十六年度は六百七件というふうに、過去におきましても次第に増加する傾向がございますので、今後も仰せのようにふえていくのではないかと予想いたしております。
#7
○岩間正男君 次に、日本の会社がアメリカでどういう待遇を受けておるか。これは日本でアメリカの会社が待遇を受けているその問題と平等の関係になっていますか。国際平等の立場に立っていますか、こういう登記手続なんか。この点について検討されましたですか、どうでしょうか。
#8
○政府委員(平賀健太君) 日本の会社がアメリカに進出いたします場合、私どもアメリカの取り扱いの詳細を存じておりませんが、アメリカでは各州で会社の設立に関する、日本でいえば会社法に相当するものを各州で持っておるわけでありまして、各州でもってその州の定める手続に従うわけでございます。アメリカでは、御承知のとおり、会社の設立については許可主義がとられております。アメリカの内国の会社につきましても許可主義がとられております。日本の会社が進出をいたしましてそこに支店を設けるというようなことになりますと、やはり州の政府の許可を得て支店を設置するということになっておるわけでございます。日本では、御承知のとおり、いわゆる準則主義で、商法の規定に従いまして設立行為が行なわれますとその会社が設立するわけで、国の許可というものが要らぬわけでございます。この点、アメリカと日本の法制が違っておるように私ども大体承知いたしております。
#9
○岩間正男君 これは外交上の問題にもなると思うんですが、私は、このたびの法改正をするにあたって、こういう国際的な関係についてもやっぱり調査されて、その上に立ってあくまでも国際平等の原則を貫くという立場でこういう問題を処理するということが日本の立場じゃないかと考えるわけですが、今の御説明によりますというと、許可主義になっておる。それから日本の場合は、設立すれば、それをあとは登記すればいい、こういうことになっておるわけですから、そこのところは平等な関係になっていないと思うんですが、日本の商社の場合だって向こうではいろいろ選択をし、さらにそれに対して許可を与える権限を持っておる、こういうことになるわけですから、非常に制限されてくるわけです。これは明らかだと思うんですね。そうすると、こういう問題をこういうような法律改正にあたって同時にやはり問題にあけて、そうして日本の不利な立場というものについてはあくまで国際平等の立場を貫くように努力してほしいと思うんですが、法務大臣はどうお考えになりますか。これは外交上の問題でもありますから、ここで外務大臣にむしろお聞きすればいい問題かもしれませんが、きょうは法務省としての立場として、こういう立法にあたってそれだけの心がまえがほしい、こういうふうに思うんです。
#10
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。
 前後の質問の内容等につきまして私が十分把握していない点等から、あるいは見当違いのお答えになるかもしれませんが、今民事局長から私いろいろ聞いてみましたところ、アメリカと日本は、法人会社等の設立に対するそれぞれ国内法が根拠が違っておる。そういう点から、アメリカにおきましては、アメリカ人の会社設立そのものが許可事項になっておる。そういう点が日本と違うので、日本がアメリカと同じような、条約の双務協定のような、そういう内容の中で公平に行なわれるべきじゃないかという御意見のようでございますが、まあ、アメリカだけでなくて、各国との問題等も考慮に入れまして、経済事情や諸制度の違う国とのことでありますから、やはり今すぐ平等ということでなくて、慎重に検討をすべきものではなかろうかと、さように考えております。
#11
○岩間正男君 それは外交上の問題で、主として外務大臣にお聞きすればいい問題だと思いますから、あまり深入りしませんが、私が特に心配していますのは、自由化がどんどん進められる、そしてこれに伴って日米友好通商航海条約なんかも改定される。これとからんで、外資法だけ改正しても押え切れなくなるんじゃないか。つまり、外資導入がどんどんされて、そしてアメリカの金融支配というものが非常に強化されてくる。これは私がくどくど申し上げる必要はないと思うんですね。そういう問題ともからんで、大蔵省などが商法を改正しようとしておる、こういう動きがあるのでありますけれども、こういうものとの関連で、この登記法を立法趣旨に基づいてその観点から貫くという点が必要じゃないかと、こういうふうに考えるわけです。で、アメリカの、ことに外資の支配というやつは、やはり日本の独立の問題とも深い関係を持つ問題ですから、しかもそれが登記にあたっては向こうには非常に有利な条件を与えている、日本の商社はアメリカでは許可制になって制限されるということになりますと、国際平等と友好を貫くという立場からはこれはまずいんじゃないか、こういうふうに考えられるのであります。この点について、これはどういうふうに把握しておられますか。今の商法の改正の問題、それから最近の自由化に伴う問題、それから日米友好通商航海条約改定との関連、こういう点でやはりこの登記法の問題は明らかにしておく必要がある、こう思いますが、いかがでしょうか。
#12
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。
 商業登記法は、岩間さん御承知のとおりに、手続等の問題に対する規制でありまして、別に経済政策、外交政策といったような大局的立場からの問題はほとんどこれには考慮されていないと私も実は率直に認めます。それらの問題については、やはり国の政策といたしまして外交政策、経済政策等の上から検討してみるということが必要であろうかと思います。
#13
○岩間正男君 先ほど申しましたように、これは外交のところで根本はきまる問題ですから、あまりここで論議しようとは思わないのでありますが、ただ、その方針がはっきりしないために、商業登記法の中にも、手続上とはいいながら、この手続ではアメリカの場合と日本の場合と平等でないものがある。その点は、やはり一つ大きな問題として今後追究してほしいと思います。
 もう一つ最後にお聞きしますが、第四章の雑則によりますと、審査請求について規定されているのですね。これは登記官に提出することになっているわけですが、審査請求は、登記官自身がミスをやった場合、その場合の審査になっているので、こういう場合に、審査請求を自分自身のミスが明らかになるのはまずいというので握りつぶしをする場合が起こるのじゃないか。こういう場合に救済規定があるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#14
○政府委員(平賀健太君) ただいまの御質問の趣旨は、この法案の第四章の雑則の百十五条におきまして、「審査請求をするには、登記官に審査請求書を提出しなければならない。」ことになっているのでありますが、登記官が審査請求を握りつぶすというようなおそれはないかという御質問の趣旨のようにお伺いいたしますが、従来の取り扱いにおきまして、そういう事例は絶無でございます。
 なぜその処分をしました登記官に審査請求書は提出しておるかと申しますと、審査請求が出ました登記官は、もう一度自分のやりました処分について再考をすることができるわけであります。審査請求が出まして、なるほどこれは自分の処分が間違っておった、たとえば、申請が不適当であるというので却下処分をしたけれども、審査請求が出ました資料を見てみますと、自分の考えが間違っておった、これは受理すべきものであったというので受理をするということもあり得るわけでございまして、訴訟法などでは再度の考案などということを申しておりますが、そういう機会を与える要があるわけであります。
 それから、もしかりに仰せのように審査請求をしたのに握りつぶして、法務局長、地方法務局長のほうにそれを送付しないということがありますれば、審査請求をした人は、法務局長、地方法務局長に監督権の発動を促しまして、こういう事例があるということで直接法務局長、地方法務局長に申し出るといことが可能であるわけでありまして、監督権の発動を促すということによって救済ができると思うのでございます。
 現実の問題としましては、先ほども申し上げましたように、そういう握りつぶすというような事例は従来ございません。
#15
○後藤義隆君 ちょっと関連してお伺いしますが、外国法人の登記は主としてどういう国が登記をしておりますか。アメリカだけですか、それとも、アメリカ以外にどういう国が登記しておりますか。
#16
○政府委員(平賀健太君) これはいろいろございまして、統計表を持ち合わせませんので非常に残念でございますが、アメリカが多いようでございます。そのほかに、イギリスでございますとか、ドイツでございますとか、オランダでございますとか、ヨーロッパの国々もかなりあるようでございます。
#17
○後藤義隆君 先ほど、アメリカの例は法人の設立について許可制をとっておるということであるが、今のお話のイギリスとかあるいはフランスとかドイツとかそういうようなヨーロッパのほうはどうですか。日本と同じふうな届出になっておるのですか、それとも許可制になっておるのですか。
#18
○政府委員(平賀健太君) 私も詳細勉強をいたしておりませんが、大体ヨーロッパの大陸諸国は日本と同じように準則主義の国が多いのでございます。ドイツでございますとか、ただいま申しましたオランダでございますとか、大陸の国には準則主義が多いと思いますが、イギリスは、アメリカなんかと同じに、やはり会社の設立につきましては政府のライセンスをもらう、政府の許可制をとられておると私は承知いたしております。
#19
○岩間正男君 今の問題は、まあきょう法案がかりに上がったとしても、これはやはり明らかにしておく必要があると思うのですね。これは単に手続上の問題といって済まされない問題があると思うのです。この背後にやはり外交方針の問題があるわけですから、もう少し検討して、件数なんかの内容を出していただけますか。つまり、外国の、さっき六百幾らですか、そのうちアメリカ幾ら、イギリス幾ら、西ドイツ幾ら、そしてそれの国内法の今言ったように許可制の場合とそうでない場合、そういうことの概略を……。
#20
○政府委員(平賀健太君) 内国の会社につきましては会社数を一応調べたものがございますが、外国会社は数も非常に少ないことでございますし、登記所の事務量としてもこれは非常にわずかな量しか占めておりません関係で、どこの国の会社が幾ら申請しまして登記をしているという統計表は実は作ってないのでございます。私どものほうでとります統計表は、不動産登記、商業登記、両方通じましてとっておるのでございますが、非常に調査項目が多い関係で、なるたけ法務局に負担をかけない、現実にそう需要のない調査項目につきましては煩瑣な統計報告を要求しないという建前をとっております関係で、外国会社につきましては、実は詳しい統計をとってないのでございます。もしそれが必要であるということでございますれば、各法務局にその調査を命じまして数字を取り寄せるということになりますが、それは若干時間がかかることになると思うのでございます。
#21
○岩間正男君 きょうでなくていいのですけれども、あとで出していただけますか、調査をして。
#22
○政府委員(平賀健太君) 外国会社の登記というのは、すぐわかりますとおり、いなかの小さい登記所の管轄範囲にないわけでございまして、やはり東京でございますとか、大阪でございますとか、非常に登記件数が多くて多忙をきわめておる登記所が多いわけでございます。サンプル的に、そういう東京でございますとか、大阪でございますとか、あるいは横浜、神戸、そういう登記所に照会すれば、これはもちろんわかるわけでございます。アメリカ系の会社が幾つ、英国系の会社が幾つということが。ただ、現実の問題としまして、これらの登記所は非常に多忙な登記所でございますので、一々登記簿を調査しまして数字を調べるということになりますと、相当の時間をいただきませんと現場に非常に負担をかけるということになりますので、ある程度の時間のお許しをいただければ調査をいたさせたいと思います。
#23
○岩間正男君 それでけっこうです。ただ、そういう統計をお持ちになっても、私は法務省として差しつかえないのではないか、持っているのがほんとうだと思うのです。そういうことからいいましても、私は今すぐということではありませんから、そのうちでけっこうですから、参考までにお願いしたいと思います。
#24
○松野孝一君 私は、ちょっと事務的なことで、二、三お尋ねしたいのですが、この商業登記法案の二十四条の第十号ですが、「登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき。」、こういう場合には「申請を却下しなければならない。」と、こういうふうになっておりますが、法務省で出しておられる「商業登記法案条文説明」によりますと、「第十号は実体上の却下事由」というふうになっておりますが、これを具体的にどういう内容の審査をなさるものか、ちょっとそれをわかりやすく説明していただきたい。
#25
○政府委員(平賀健太君) この登記法案全体の趣旨といたしましては、申請書に添附書類が付きまして登記の申請があるわけでございます。そして、申請書の記載事項の内容、それから各種の登記につきまして添附すべき添附書類というものをずっとあちこちで規定いたしておるわけでございます。それから、登記所に登記簿があるわけでございます。登記官としましては、そういう申請書、添附書類、それから登記簿、これを資料にいたしまして調査をいたすわけでございます。それだけの資料で調査した結果、この申請には無効の原因があるというふうに認められる場合には却下をするということなのでございます。
#26
○松野孝一君 具体的に、たとえば無効の原因というのは、どういう場合に、その添附書類とか申請書がどういう場合にそうなりますか。
#27
○政府委員(平賀健太君) たとえば、取締役の変更があって、総会で取締役を選任しまして、取締役が変更したというので役員の変更登記の申請が出てくるわけでございます。それには総会の議事録が添附書類に付いてくるわけでございますが、その議事録を見ますと、総会に出席すべき株主の定足数が欠けておるとか、あるいは、出席株主の過半数の決議で役員を選任するわけでありますが、過半数に達していないというようなことがわかる、まあそういう場合、これは取消しの事由になるわけでございます。一例を申し上げますと、まあそういう場合でございます。
#28
○松野孝一君 そうしますと、登記官は、申請書類に記載された事項あるいは法定の添附書類に記載された事項でなお疑いがあるといってさらに別個な書面の提出を要求するということはないわけですか。
#29
○政府委員(平賀健太君) それは原則としてできないわけでございます。
#30
○松野孝一君 この商業登記法案の百二十条に「この法律に定めるもののほか、登記簿の調整、登記申請書の様式及び添附書面その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。」とありますが、この省令によって新たに添附書面以外の書面の添附を要求するということはないのですか。
#31
○政府委員(平賀健太君) この百二十条におきましては、添附書面につきましても必要な事項は法務省令で定めることができるということになっておりまして、この法律で具体的に定めてございます添附書面以外の新しい添附書面というものが省令で定められる可能性があるわけでございます。しかしながら、ここで言っておりますのは、おもに考えられますのは、会社の定款なのでございます。御承知のとおり、株主総会の通常の決議の場合でございますと、議決権の過半数を有する株主が出席して議事を開くというのが商法の原則なのでございます。ところが、定款の定めによりまして、この定足数を下げることができることになっておるわけでございます。そういう関係で、もし定款に特別のそういう定めがございまして、商法の規定に定めておりますところの定足数以下の定足数でいいということになっているとすれば、この定款をやはり出してもらいませんと、はたして総会の決議が定款の規定に基づいて適法に定足数を満たしておるのかどうかということが判断できない場合があるわけでございます。たとえば、出席株主の議決権を調べてみますと、総株主の議決権の三分の一しか出席していないことになっておる。商法では、過半数の議決権を有する株主が出席しなくちゃならんということが原則でございますので、はたして定款にそういう定めがあることによって適法に総会というものが成立しているのかどうかということがこれは疑念が出ますので、そういう場合には定款を出させる。まあおもなねらいはそれにあります。でありますから、これはいわば総会の議事の添付書類――添付書類の添付書類というような関係にあるものでございまして、そういうようなごく特殊なものだけをこの省令で規定しようということなのでございます。そのほかの各種の登記について常に必要な、大体それがあれば間に合うというような添付書類、これは全部法律の中で列挙いたしてございます。
#32
○松野孝一君 この商業登記法案は、附則で「昭和三十九年四月一日から施行する。」ということになっているから、まだ相当の余裕期間を持っているわけですけれども、これに伴っての法案の百二十条に規定する法務省令案ですが、この具体的の内容なんかは御検討になってできておるものですか。
#33
○政府委員(平賀健太君) これは目下検討いたしております。それから現行法の非訟事件手続法のもとにおきましても商業登記規則という省令ができておりまして、これは手続の細目を規定いたしておりますが、規定それ自体といたしましては現行の商業登記規則とそう違わないと思います。問題は、ただ登記簿の様式につきまして私ども今非常に苦心をいたしておりまして、在来の登記簿の様式のままでございますと非常に登記が見にくいわけでございますが、これを何とかもっと合理的なものにしたい。それからこの委員会でも御発言がございましたが、ファイリング・システムのようなのを取り入れることができないかという御発言もございました。その点も私ども考えまして、これは登記簿の様式と直接関連する問題でございますので、そういう点も考慮に入れまして、様式を非常に近代的な理想的なものにしたいということで目下努力をいたしておる次第でございます。
#34
○松野孝一君 この商業登記法案ができるといたしますと、残ったのは、非訟事件手続法には、民法法人ですか、そのほか若干残るわけですが、これはそのままにしておくおつもりですか、あるいはまた、何か別個にお考えになる御予定でありますか。
#35
○政府委員(平賀健太君) 民法法人その他の各種の法人につきましては、今回はさしあたりこの商業登記法の改正に伴いまして、あるいはまたこれに関連いたしまして同様に合理化すべき点がございますので、その点は関係法令の整理等に関する法律案で実は措置をいたしたのでございます。たとえば、法人の登記の申請人をどうするか、主たる事務所を移転した場合の手続、あるいは合併の手続その他におきまして、この商業登記法案の趣旨にならいまして同じく合理化を行なったのでございます。ところが、民法法人その他の法人につきましても、法人登記の通則法的なものがやはり必要なのではないかということで、これも数年前から検討いたしておるのであります。ところが、それをやりますと、どうしてもやはり民法その他の実体法の関係で検討しなくちゃならんものが多々出て参りまして、そうなりますと、法務省のほうにおきましても法制審議会でやはり慎重に検討していただかなくちゃならんというようなことになりますので、さしあたりまして今回は商業登記に主たる眼目を置きまして、法人登記の根本的な改正ということはなお検討をさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
#36
○松野孝一君 もう一、二点お伺いしたいのですが、今回の商業登記法案には閉鎖登記簿について規定していないようでありますが、これはどういうふうになさろうとするのですか。
#37
○政府委員(平賀健太君) 現行法には、ただいま仰せのとおりの閉鎖登記簿の規定があるのでございますが、現行法も、これは不動産登記法のほうで閉鎖登記簿というのができまして、それにならいまして閉鎖登記簿という規定が入ったのでございます。不動産登記法とは違いまして、非訟事件手続法ではその閉鎖登記簿が一体何なのかということが全然明らかになっていないのでございます。で、この法律案におきましては閉鎖登記簿というのを法律の表に出すことはやめましたのは、閉鎖登記簿というのは、要するに、商号にしましても会社の登記につきましても同じでありますが、消滅の登記をした場合に、全部抹消しました場合に、その登記用紙をはずしまして、いわば、死んだ登記をし、これを一冊の簿冊におさめるということなのでございまして、なるほど全部抹消はしてございますけれども、これもやはり登記用紙は登記用紙なんであります。それも登記簿の一部であるわけでございますので、この法律案のもとにおきましては、現行制度のもとで閉鎖登記簿と申しておりますものもこれは登記簿だというふうに観念いたしまして、特に閉鎖登記簿という規定はおかない。ただ、実際の取り扱いにおきましては、全部を抹消しました登記用紙はこれは別冊にいたしまして、現行法の手続と同じように閉鎖登記簿式のものが実はできるわけでございます。理論的にそれでそう不都合はございませんので、いきなり閉鎖登記簿というようなわけのわからないものを法律の上に出すよりも、これは全部を抹消した登記用紙は別に別冊にすることができるというような規定を省令の中へ置けばそれでいいのじゃないかというように考えているわけでございます。
#38
○松野孝一君 そうすると、今の御説明ですと、閉鎖登記簿という名前はつけないけれども、従来どおりやはり消滅した登記を別個に編綴して、二十年なら二十年――今はそうですね、二十年保存させておく、そういうことでございますか。
#39
○政府委員(平賀健太君) 結局そういうことになります。その保存期間なんかもやはり省令で――現行法で本採用しております省令で定めることになりますので、そういうことになるわけでございます。
#40
○松野孝一君 それから商号の仮登記ですが、法案の三十五条の四項に、「商号の仮登記をするには、政令で定める額の金銭を供託しなければならない。」とありますが、いずれこの額は政令で定められることと思いますけれども、どういうお見込みでございますか、この額についてちょっとお伺いしたいと思います。
#41
○政府委員(平賀健太君) この供託の額でございますが、そもそも金銭の供託をさせます趣旨は、商号の仮登記というものがあまり乱用されますと、これはかえって弊害をもたらします。また、この額があまり高うございますと、商号の仮登記をすることが非常に困難になるという関係もございまして、私どもの現在の考えでは、最高十万円ぐらいではどうだろうかというふうに考えるわけでございます。で、この仮登記の予定期間というのは「三年をこえることができない。」ということになっております関係で、三年の場合だったら幾ら、二年の場合だったら幾ら、一年の場合だったら幾らという工合に差等を設けたほうがよくないか、そうして最高十万円くらいにしたらどうか。たとえば、一例を申し上げますと、予定期間が一年の場合には五万円、二年になれば八万円、三年一ぱいの猶予期間をとろうという場合だったら十万円、こういうふうにしたらどうであろうかというふうに考えておるわけでございます。
#42
○委員長(鳥畠徳次郎君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#43
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて下さい。
 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#45
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、商業登記法案外一件について反対するものであります。
 反対理由は、本法案が一見何のへんてつもない商業登記の手続を定めたものであるといいながら、昨年の会社の計算規定に関する商法の一部改正、あるいは予想される商法改正の動きなどとあわせ考えれば、池田内閣のいわゆる新産業体制確立の一環として整備されてきたものであることは明らかであります。経団連の要望が本法改正の動機であり、それに即応して本法が作られたことも、このことをはっきり物語っております。
 これを実際の運用面について見ると、その対象は大企業や独占資本を主とした株式会社の会社登記に関するものがその大部分を占めております。手続規定を定めたものであるから、むろん中小企業も若干の便益を受けることは事実でありましょう。しかしながら、自由化、外国資本の進出等とともに、企業の合併、販売網の拡大、地方進出などが大独占の手で進められているとき、特に大企業がその利益を受けることは明白であります。鉄鋼、海運など戦略廃業全般にわたって目下進められようとしている企業合併は、今後さらに特定産業振興臨時措置法などによって国家権力の発動あるいは手厚い幾多の保護を受け、一方、中小企業の犠牲と抑えつけによって遂行されるでありましょう。
 このような事情を考えに入れるとき、年々増加の傾向をたどっている登記の事務量は、本法によって軽減されるどころか、ますます増加するでありましょう。それにもかかわらず、法務局の登記事務を担当している職員の待遇は一向に改善されず、設備の充実も予算不足を理由に拒否されていることをあわせ考えますると、抜本的な登記事務の体制を確立することなしに本法の施行は非常にゆがめられたものになることは明らかです。日本共産党は、かかる独占大資本本位の労働過重を労働者に押しつける法案には反対せざるを得ないのであります。
#46
○稲葉誠一君 この二つの法案について要望すべき点を申し上げます。
 一つは、商業登記制度は、今回の法案にもかかわらずなお諸外国の例に比しても改善すべき点が多々ありますので、この点については十分留意を願いたいということが第一点です。
 第二点は、法務局、特に登記関係に従事する人員がはなはだしく不足をいたしておりますし、そのために利用者にいろいろ不便を与えておる点が多いのであります。なおかつ、その待遇もきわめて不十分でありますから、こういう点について十分留意をされたい。
 このことを要望として申し上げます。
 本法案に対しては、特に申し上げることもありませんので、賛成をするわけです。
#47
○委員長(鳥畠徳次郎君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。商業登記法案及び商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案を一括して問題に供します。両案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#49
○委員長(鳥畠徳次郎君) 多数でございます。よって、両案は、多数をもってそれぞれ原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたします。
  ―――――――――――――
#51
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 まず、小宮君から、刑務所における被収容者の処遇に関する件につきまして質疑の御要求がありましたので、これを許します。
#52
○小宮市太郎君 これは、昭和二十二年の五月二十日、福岡市内で発生した事件でございますが、当時やみ屋殺しとしてたいへん騒がれた問題でございます。十六年前のことでございますから、もう忘れかけていたのですが、昨年の十一月ごろからある新聞が取り上げましてこれを報道いたしましたし、また、今年になっていろいろの新聞が数回にわたって書きました。また、週刊誌もこれを取り扱っていたようです。法務省は多分御存じと思いますが、この事件で西武雄、石井健治郎という二人の死刑囚があるようです。この事件の概要をお聞かせ願いたいと思います。
#53
○政府委員(竹内壽平君) お尋ねの死刑確定囚西武雄同じく石井健治郎両名にかかる事件でございますが、昭和三十一年四月十七日最高裁判所の上告棄却の判決によりまして確定しております。
 犯罪事実のあらましを申し上げますと、次のとおりでございます。西と石井の両名は、黒田利明外三名と共謀いたしまして、軍服などを売り渡すようにうそを言って被害者をおびき出してこれを拳銃で殺害してその所持金を強奪しようということを考えまして、博は昭和二十二年五月二十日、福岡市内の福岡工業試験場付近の路上におきまして、西らの話を信じて軍服などを買い受けるつもりで同所に参りました中国人の翁祖金と、この取引の仲介をいたしました熊本文造両名を順次射殺いたしまして、翁からは十万円を強奪した、こういう事実でございます。なお、ほかに西につきましては約三十万円の横領、また、石井につきましては拳銃一丁の不法所持等の事実が合わせて認定されております。これが本件の事実のあらましでございます。
#54
○小宮市太郎君 その後、事件発生が二十二年五月二十日で、第一審判決、第二審判決、上告棄却、その他順を追っていろいろな請求をやっておりますが、その順序を追うてひとつお願いしたいと思います。
#55
○政府委員(竹内壽平君) ただいま述べましたのは最高裁で最終的に確定した事実でございまして、この事実関係については変化はございませんのでありますが、一審、二審、三審の経過を日を追って御説明申し上げますと、次のとおりでございます。
 まず、第一審の福岡地方裁判所におきましては、昭和二十三年二月二十七日判決がございました。両名に対して死刑の判決でございます。
 この判決に対して両名から控訴をいたしましたが、昭和二十六年四月三十日、福岡高等裁判所は第一審と同様の事実を認定いたしまして、それぞれ死刑の判決を言い渡しました。
 次いで両名から上告の申し立てをいたしまして、最高裁判所におきましてはいずれも上告棄却となっておりまして、西につきましては昭和三十一年四月二十八日確定し、石井につきましては同年五月四日死刑の判決が確定したわけでございます。この両名が日時を異にして確定いたしましたのは、西については、自然確定と申しますか、上告棄却の判決がありましてから一定の日がたちますと確定してしまうわけでございます。石井につきましては、さらに判決に対する異議の申し立てをいたしまして、その異議の申し立てが棄却になりまして確定をしたわけであります。そのために確定の日が違っているのであります。
 それから後のことでございますが、石井はこの事件につきましてこれまで二回再審の申し立てをいたしております。この再審申し立てばいずれも棄却されておりますが、その経過を申し上げますと、まず第一の再審申し立ては、昭和三十一年七月二十七日福岡高等裁判所に対して請求をし、同年十二月三日棄却になっております。さらに、同年十二月三十一日最高裁に異議の申し立てが出されておりますが、翌三十二年三月八日右異議の申し立てを最高裁は棄却いたしております。第二の再審は、三十二年六月三日同じく福岡高等裁判所に対して請求を出しておりますが、三十二年十月七日請求棄却、次いで、三十二年十月十九日最高裁に対し特別抗告を申し立てておりまして、それが同年十二月十七日棄却になっておるのであります。御質問があればその再審の請求の理由等をお答え申し上げるつもりでございますが、ただいまは省略いたします。
 なお、同人らにつきましては恩赦の申請をいたしておりまして、石井につきましては、昭和三十四年八月十日本人から出願をいたしておりますが、この恩赦は三十六年十一月二十七日不詮議ということで処理されております。また、西につきましては、三十六年十一月二十四日本人から恩赦の出願が――これは減刑出願でございますが、出願が出ておりまして、これは昨年の二月一日不詮議の決定になっております。
 なお、石井につきましては民事訴訟がございまして、昭和三十一年十月二日福岡地裁に提訴されておりますが、これは三十四年二月二十七日請求棄却になっております。さらに、三月十七日高裁に控訴の申し立てがあり、本年の二月二十五日控訴棄却の判決が出ております。
#56
○小宮市太郎君 死刑が確定してから相当古いほうに属すると思うのですが、こういうように十年以上いまだに執行されないというのは、大体何件くらいありますか。
#57
○政府委員(竹内壽平君) 死刑の執行がかなり御指摘のようにおくれておるケースがございますが、昭和二十六年中に確定いたしましたもので現在未執行になっておりますものが一名、二十七年が二名、三十年が三名、三十一年が二名、三十二年が一名、三十三年が一名、まあ古いところではそういうふうになっております。
#58
○小宮市太郎君 事件発生は二十二年の五月の二十日といいますから、まだ敗戦の混乱時でもあったと思います。旧刑事訴訟法でさばかれたでもありましょうし、また、占領下という特殊な条件もあったと思います。たいへん複雑なものであったように思われるわけです。すでにその仲間では服役をしてもう出所した当時の共犯者もおるわけです。その共犯者たちが、この西それから石井の二人の罪の不当を訴えておりますし、また、教誨師や大学の教授などの同情者も現われてきて再審請求の準備が進められているということも聞いておりますが、こういう点は御存じでしょうか。
#59
○政府委員(竹内壽平君) 今お話しのような救命運動と申しますか、そういうものを外部の方々が考えられておるという話は承知いたしております。
#60
○小宮市太郎君 昨年の十一月十八日の読売新聞の報道ですが、それによりますと、「法務省が異例の再調査にのりだし、十七日、法務省刑事局伊藤栄樹参事官が福岡に出張、関係者の事情聴取をはじめた。」、これはそういうことがあったのですか。
#61
○政府委員(竹内壽平君) そういう事実がございます。伊藤栄樹参事官は私の所属しております刑事局の参事官でございますが、伊藤参事官を福岡に派遣いたしまして、教誨師であります古川泰龍師に会って古川泰龍師からいろいろ事情を聞いたことがございます。
#62
○小宮市太郎君 「異例の再調査」と特に書いてあるのですが、その異例というのはどういうことなのでしょう。
#63
○政府委員(竹内壽平君) 新聞報道にはそういうふうに書いてございましたので、新聞報道者が異例というふうにお考えになったのかと思いますが、当局といたしましては、異例では決してなくて、大臣の死刑執行命令を補佐いたします者といたしましては、あやまちなからんことを期するためにあらゆる努力をいたしまして、精密なる審査をしておるわけでございます。その一つの現われでございます。
#64
○小宮市太郎君 その後その参事官の事情聴取その他が報告されたと思うのですが、その報告というのは一体どういうふうになったのでしょう。
#65
○政府委員(竹内壽平君) これは、古川教誨師は、教誨師として死刑囚の勾留中長く接触をしておった人でございますが、この方から、この事件についてはいろいろ疑問があるように思うという趣旨の上申が出されて参りましたので、その内容自体にはどういう点が疑問であるかというようなことは具体的に何ら書いてございません。おそらく教誨師としての感じを述べたものと思われるのでございますが、それにいたしましても、そういう長く接触しておりました特殊な地位の方からの上申でございましたので、どういう点でそういうふうに感じられておるのか、あるいは、何か私どもとして見落としてはならないような事情でもあるのかどうか、そういう点を確かめてみたいように思いまして差し向けたわけでございます。しかしながら、その結果につきましては、やはりその古川教誨師の感じという域を出ておらないのでございますけれども、なお、古川師はこまかく書いたものにしてまとめたい、こういうことでございましたので、そのまとめたものができたならば、なおさらに私どもとしては拝見いたしまして審査の資料にしたい、かように考えているわけでございます。
#66
○小宮市太郎君 その古川泰龍さんという教誨師さんは、福岡刑務所の死刑囚の教誨師で、昭和二十七年の十月ごろから推薦されて週に一度くらい熊本県の玉名市立願寺から福岡刑務所に教誨に出ておるのですが、教誨師というのはどういう手続でなるのでしょうか。
#67
○政府委員(大澤一郎君) 刑務所あるいは少年院等の矯正施設におきます宗教教誨に従事していただきます教誨師――布教師とわれわれ呼んでおるわけでありますが、これは施設の長が選ぶわけでございます。ただ、われわれとして、職員じゃございませんので、いわゆる民間篤志家としてお越し願うわけでございますので、どなたが適当であるかということは、われわれのほうではわかりかねますので、施設におきましては、財団法人日本宗教連盟のもとに都道府県の宗教連盟の支部というのがございまして、その中に設置されております宗教教誨地方委員会というものがございまして、それにお願いいたしまして、そこで各宗派の適当な方を御推薦願いまして、それらの中で適任者に宗教教誨を依頼しておる次第でございます。
#68
○小宮市太郎君 財団法人日本宗教連盟内に宗教教誨地方委員会というのがあるのですか。
#69
○政府委員(大澤一郎君) つまり、全日本の宗教連盟の下に各都道府県の支部がございます。その中にまた宗教教誨地方委員会という組織ができておるのでございます。そこで適当な方を御推薦していただきまして、その中で施設の長が本人の希望する宗教宗派というものを選びましてお願いしておるわけでございます。
#70
○小宮市太郎君 そうしますと、教誨師には、身分の保障といいますか、何か報酬というようなのがあるのでしょうか。
#71
○政府委員(大澤一郎君) 旧憲法のもとにおきましては、宗教教誨は、監獄の職員でございます教誨師という官がございまして、これによりまして収容者に対する教化活動を行なってきたわけでございます。ところが、新憲法下におきまして国が直接的に宗教的活動を行なうことが禁じられましたために、国家公務員によりまする宗教教誨の実施ができないことになりまして、いわゆる教誨の制度というものは廃止せられることになったのであります。しかしながら、他面、憲法第二十条に規定いたします信教の自由の保障というような観点から、またあわせて収容者に対する精神的教化の必要という面から、宗教教誨を希望する収容者に対しまして施設の長が先ほど申しましたように教誨師の方々に教誨を依頼いたしまして御協力を願っておるわけでございます。したがいまして、この教誨師さんは、みんな篤志家としまして御協力をお願いしておるのでございまして、監獄職員としての地位を有するものでもございません。ただ施設内の宗教教誨を特に許可されて施設に入ってさような御協力を願っておるという民間人にすぎないのでありまして、特段の身分保障というものはないのでございます。
#72
○小宮市太郎君 これは本人から聞いたのですけれども、また、週刊誌にも載っておったのですが、年手当五百円というように書いてあったのですが、これは事実ですか。
#73
○政府委員(大澤一郎君) かように国の業務に御協力願っておる教誨師に対しまして、国といたしましては予算の許す範囲内で車馬賃程度の実費を弁償するという形で謝金の支出をしておるわけでありまして、その金額はきわめて僅少なものであります。その点は、予算に計上されました範囲内で各施設に分配いたしますので、金額はまことに軽少なものになることは御指摘のとおりでございます。
#74
○小宮市太郎君 非常に僅少々々とおっしゃいますけれども、年手当五百円というのは僅少にも度合いがございますが、これは一体どうなんですか。
#75
○政府委員(大澤一郎君) 予算額といたしまして計上されておりますのは、刑務所関係で二百十二万、少年院関係で四十四万、計約二百五十万でございます。教誨師さんの今推薦されております数が千四百八十五名であります。したがいまして、一人五百円ということはございませんが、金額としてまことに車馬賃の一部という程度にすぎないわけでございます。
#76
○小宮市太郎君 教誨師については、監獄法ですか、明治四十一年法律第二十八号、これに基づいてなされていると思うのですが、ずいぶん古い法律のようですが、今お話しのように車馬賃にしても、年間五百円では何もできないですね。こういう点は矛盾もはなはだしいと思うのですが、こういう法律は改正する必要といいますか、何か考慮するというか考える必要があるのじゃないのですか。大臣にちょっとお聞きしたいのですが。
#77
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。
 教誨師の手当というものは実はないわけでございまして、実費の一部を支弁しているという形でほんとうにわずかな経費が支払われていると聞いておるのでありますが、これは私もあまりにも少額過ぎるので、何とかこれを是正しなければならないということは、実はほんとうにまじめに考えております。また、事務局にもその検討を命じておりまして、三十九年度の予算には当然これが改正されるような準備をいたしているのでございます。
 それから監獄法の改正の問題でありますが、御指摘のとおりに、これはもうできまして五十年以上にもなっておりますから、当然改正しなければならないと考えております。法務省といたしましては、今、刑法の改正、それに刑事訴訟法の改正、監獄法の改正等、非常に大きな仕事を持っているわけでありますが、できるだけ改正をするような方向に準備を進めて参るように省内では意見が一致いたしているのであります。しかし、いつそれでは改正に着手するかということは、実はまだ結論に到達しておりませんけれども、改正の必要を認めているということは全くあなたと同じ考えでございます。
#78
○小宮市太郎君 教誨師のほかに、篤志面接委員というのもございますね。これは一体どういうふうになっているのですか。
#79
○政府委員(大澤一郎君) 刑務所に篤志面接委員という方々をお願いいたしまして、刑務所の収容者に対しまして、いろいろの家庭問題あるいは職業問題あるいはまた本人の将来の生活設計、かような点につきまして専門的な知識と経験の豊かな方々に助言、御指導を願っているわけでございます。
#80
○小宮市太郎君 この面接委員に対する処遇といいますか、それは一体どういうふうになっておりますか。
#81
○政府委員(大澤一郎君) 処遇と申しますか、これは結局篤志家の方々のほんとうの篤志にお願いをいたしているわけでございまして、これは現在まだ制度として大きく取り上げているわけではございません。ただ、刑務所といたしまして将来受刑者が刑を満了して社会に復帰いたします場合にいろいろな問題が現在のままでは解決がつかないというような点で始めたものでございまして、いずれこれも制度にのせていきたいとは考えている次第でございます。ただ、実際問題といたしまして、これらの方々は保護観察所の保護司さんのような形で御協力を願っている方々でございますので、刑務所のほうといたしましては、これらの方々に対して車馬賃実費程度は差し上げておりますが、特段の謝金等の支出はしておりません。
#82
○小宮市太郎君 たいへんどうも教誨師といい、篤志面接委員といい、篤志家としてとうとい仕事をやっておられると思うのですが、特に今の事件の古川泰龍さんが、石井並びに西が無実、罪状誤認ということで獄中から訴えておる。ところが、二人の受刑者を何とかして救おう、そういうわけで走り回っているという理由で、去る四月八日であったと思いますが、この事件の協力者である神戸大学の塩尻公明教授と一緒に福岡刑務所を訪れたところ、古川さんは、福岡刑務所の松本所長から、あなたがやっていることは教誨師としての立場を越えておる、この運動を続けるなら教誨師をやめてほしい、こういう勧告をされたというのですが、こういうことについて御存じであるか、それをひとつお聞きしたいと思います。
#83
○政府委員(大澤一郎君) 福岡刑務所におきまして古川泰龍師に昭和二十七年以来宗教教誨について御協力願っておることは事実でございまして、また、古川さんに対しまして、西武雄、石井健治郎の両名の担当をお断わり申し上げるように福岡刑務所長から申し上げたことも事実でございます。ただ、教誨師をやめてしまうという点につきましては、これは何らかの誤解ではないかと思います。われわれといたしましては、古川師はきわめて人格識見の高い方でありますので、他の収容者に対しては引き続き御尽力願うという所存でおるわけでございます。
 しからば、なぜこの両名の担当をお断わり申し上げたかと申しますと、いわゆる刑務所の施設が死刑確定者に対しまして宗教教誨を実施するゆえんのものは、死刑確定者の信教の自由の保障という面とともに、その者の心情の安定をはかろうというところに刑務行政の目標があるわけでございます。したがいまして、古川師にお願いします宗教教誨につきましても、この線に沿いまして、死刑確定者の罪の自覚を促して、もって安心立命の境地に至らしめようというのがその内容でなければならないと考えるわけでございます。ところが、古川さんは、彼らの無罪を信じ、その助命をはかるために再審のための活動をなされておるのでございます。これはわれわれ新聞等で承知したのでございますが、刑務所は、確定しました裁判を正当なものとしましてどこまでもこれを尊重しましてその執行に当たらなければならないのでございます。したがいまして、刑務所としましては、かような判決を尊重し執行する建前から、死刑確定者の心情の安定をはかるというところに刑務行政というものの目標があるわけでございまして、古川さんの今回の運動というものは、われわれの刑務行政にふさわしくないものと考えられるのでございます。さような意味合いで、この両名に対する担当をお断わり申し上げた次第でございます。
#84
○小宮市太郎君 古川さんは、教誨師として、無実だと信じている囚人がいつ刑を執行されるかわからないと思うとたまらない、こういうふうに言っているわけです。私もそれに対して非常に同情を寄せているわけですが、さらに古川さんは、自分は宗教家だ、無実であれば晴らしてやりたい、それが真の教誨師ではなかろうか、こう叫んでいる。自分は辞表を出すことは考えておらぬ、こういうように私に強く申しました。私も全くその古川さんの心情は同感です。たとえ死刑囚であっても、生命を尊重して天寿を全うするというのが人間のあるべき姿である、こういうふうに私は思うのです。死刑囚に対して、刑の執行延期の嘆願をしたり再審を請求する、これは人間の生命の尊重の姿だと、こういうふうに思うのですが、そういう教誨師に対して、不適当だという考え方は、どうも私には納得いかないのですが、大臣のお考えを承りたいと思います。
#85
○国務大臣(中垣國男君) 教誨師がそれぞれ死刑確定者の信教の自由を保障するという建前に立ちまして、死刑執行までの間に本人の心情の安定と申しますか、安心立命と申しますか、そういう境地に教誨をしていただくことがその目的であるということ、これはもう一点の疑いのないところであろうと思います。ところが、そういう明らかな職務内容というものが確立しているにもかかわらず、本人がこれは無罪であるというふうに信じられて、それを救援するためにその目的以外のことをなさるということになりますと、今の刑務所の行政を扱っている責任者の立場から申し上げますと、それはやはり刑務所行政というものがそこに支障を来たすという、当然そういう観点に立たなければならないのでありまして、小宮さんのおっしゃる死刑確定者といえども生命は尊重すべきものではないかということは、御指摘のとおりだと思います。しかし、これは、死刑を執行するという現実の確定の問題に立ってのものとそうでない場合とで私は非常に違うと思うのでありまして、今のあなたのいう人間性的なお気持はよくわかるのでありますが、こういうふうに職務内容というものが明らかになっている人が、それ以外のことやられるということは、私は行き過ぎだろうと思います。でありますから、こういう際には、やはりこの人が書面にし、あるいはその他のものにして、当然担当している弁護士の人であるとかなんとふそういう人を通じて表現されることであれば、私もあえてどうというととはございませんけれども、御本人みずからがこれを公表をせられ、また、訴えられるというそういう直接的な手段等をとられるということになりますと、当然のこととして、教誨師そのものをおやめになっていただかなくても、そういう人間関係でありますから、ここに二人の人にとってこの人の考え方が適切でないということであれば、御辞任をいただくということが私は当然であろうかと思います。
#86
○小宮市太郎君 本人は、そういうように勧告を受けたけれども、やめる意思はない、こう言っているのですが、実際問題としては、その囚人に会う場合には、一般の面会人と同じように、現在は網越しに時間を制限して面会をしておると、こういうわけなんです。
 そこで、私は、特に考えましたことは、教誨師というものが実に献身的にやっておる。そういう献身的にやっておるものを、所長のほうで一方的にどうもこの教誨師は好ましくない、どうも都合が悪いというような考えのもとに、もうお前はその方面はやめてもらいたいというようなそういう勝手な措置がとられるということになると、これは非常に重大な問題であると、こういうふうに思うのですが、そういう点について特に考えられるのは、教誨師の身分というものが明確でないからじゃないかと、こういうふうに私は痛感するのですが、一体、その辺はいかがでしょうか。
#87
○国務大臣(中垣國男君) この場合におきましては、この二人の死刑確定者のたとえば再審要求等を担当弁護士がする場合に、それに教誨師が自分の考えと申しますか、意見と申しますか、そういう協力をされるということは、これは、私どもとしては当然干渉したりなんかする意思はないのでありますが、刑務所の行政を少なくともそのあずかっておる責任者ということになりますと、やはり教誨師は教誨師としてのほんとうの仕事をやっていただきたい、こういうことに私は尽きると思うのです。
 身分の問題が明らかでないという点は、確かに私もそういうことは言えるのじゃないかと思いますが、もともと、教誨師が置かれるようになりました根本の必要性、理由から申し上げましても、教誨師を公務員とか刑務所の正式な国家の職員としてやるというのでなくて、奉仕ということであらゆる宗教団体がここに宗教教誨というものを作りまして、そうして死刑確定者がみずから私にはこういう宗教の教誨師をよこして下さい、自分はこういう教誨師を希望するという、そういう自由な希望を申し述べまして、それに応ずる教誨師を派遣しておるということで、ここに職員として明らかにするということになりますと、はたして実際そういう確定者にそういう宗教の自由というような保障をしてあげるために一体確保できるかどうかという実際上の問題もあると思うのです。そういうこと等もありまして、宗教教誨に入っておられる方々の中で拘置所の近くにおられるそういう教誨師を確定判決を受けた囚人が自分が求めて選ぶのでありますから、そういうことに応ずるには、私はむしろ正式な国家公務員としての職員ではないほうがいい。そのことと、先ほど小宮さんが言われましたもう少し実費弁償等を真剣に考慮すべきではないか、年間五百円とか千円とかいうのは考えなければならぬじゃないかというそのことは全然別な問題ではないかと思いますので、今たとえば制度を変えて国家公務員のように分限を明らかにするというそういう考えは持っておりません。しかし、先ほど御指摘なさいました実費弁償等のそういうことに対する是正、そういう努力は、これは当然のこととしてしなければならないと思います。そういう意味からの身分関係というものは少し私どもも検討しておりますけれども、制度といたしまして教誨師を国家公務員の地位にまで持ってくるということは、ただいまのところは考えていないわけであります。
#88
○小宮市太郎君 確かに、教誨師を公務員のような形で身分を固定してやるということになれば、大きな弊害もあると思います。この点については大臣と同感であります。しかし、宗教家であるから全く奉仕的に仏様や神様みたいな生活をしているというものではありませんし、しかもまた、今大臣の言われるとおり、囚人が求めてそういうりっぱな教誨師に教誨をしてもらいたい、こういう求めに応じてやるという点もあるのですから、身分の保障という点については、公務員とは違った意味の保障の仕方でなければならぬと私は思うのです。しかし、さっき申し上げましたように、死刑囚を教誨している場合に、一ぺん確定したのだからお前は何が何でも死ぬんだ、死ぬことのみをお前は考えればいいという教誨でなければならぬのか。あるいは、死刑囚の中にも無実を訴える死刑囚も私はあると思うのです。そういう訴えにも教誨師という本のがやはり耳を傾けていく、そうして人間を救っていくという、これも一つの教誨師の務めじゃないかというように思うのですが、この点はなかなかよく私も納得のいかないところなんです。こんな点、どうなんですか。
#89
○国務大臣(中垣國男君) その点は、もうあなたのおっしゃるとおりに、たとい教誨師であっても、死刑囚であろうとなかろうと、寃罪を着ている者に対してそれを晴らしてやろうというそういうようなことを考えることは、これは私はもう決して行き過ぎでも何でもないと思うのです。問題は、それを宗教家が証拠であるとか事実であるとかいう問題を離れまして、精神面からこれは無罪なりということをきめてかかられましてそういう行動を特に拘置所の中でとられるようなことになりますと、他の拘置所に収監されている死刑確定者に対する影響等も非常に大きいものがあって、むしろ害をなす面も出てくる。それが先ほどから言うように刑務所行政上という言葉をたびたび使っているわけでありますが、やはり刑務所自体は特に秩序を維持するということには細心の注意を払っているわけでありますけれども、こういうことでは、逆に非常に刑務所内の秩序がとりにくいような状態にまで発展していくことは今までたびたびその例があるのでありまして、そういうことにならない方法で、先ほど申し上げましたように、たとえば再審の際のようなときにそういう弁護士等を通じて自分の意見を述べて協力をされるということは、ただいまおっしゃったように、たとい教誨師であろうとも寃罪を晴らすということは一番尊いことではないかということはお説のとおりでありまして、そういう問題の結局方法論と申しますか、やり方によりましては刑務所行政上から見てふさわしくないから、この二人についてはお断わりしようと。しかし、ほかの人をお断わりするのでなくて、ほかの人はやはりやっていただくわけなんであります。でありますから、そういうことは当然あり得る場合でありまして、この種のことは私が報告を受けたところによるとそうたくさんないそうでありますが、たまたまこの問題をいろいろ検討しました結果、それはやはり少し行き過ぎであるから担当をひとつかわってもらおうという意味で、二人の教誨師としての係をば御辞任を願う、こういうことをやりまして、この点は別に今の人道上の問題とかなんとかということは別に、もっぱら拘置所のほんとうに行政上の問題からそうするほうがいいということの結論でお断わりをした、こういうことです。
 そのほかに、別に教誨師が寃罪を晴らすために活動することは絶対にやっちゃならぬとか、そういう意味のこととはこれは全然違うわけです。また、協力する方法等は事実あるわけです、再審なんかが始まれば。
 これは、この人に限らず、最近、死刑確定者等に対しまして、たとえば直接の関係者でないような雑誌記者であるとかそういう人たちが、無罪だ無罪だというようなことを書く場合が非常にふえておりまして、そういうことがいつの間にか世論のような形を作る場合すらあります。でありますから、一そう最近におきましては私どもは注意深くこれらの人々の管理というものについては気を使っておる、こういう状態であります。
#90
○小宮市太郎君 時間の関係もあると思いますから、今の点についてはこのくらいにしておきまして、また次の機会に、少し調べることがありますから、その機会に譲りたいと思います。
 きょうはこれで終わります。
#91
○稲葉誠一君 二、三点関連して簡単にお尋ねをいたしますが、篤志面接委員が相当いるわけですが、これはどういうふうにして任命するわけですか。
#92
○政府委員(大澤一郎君) これは、各施設ごとで適当な方を御依頼する形をとっております。
#93
○稲葉誠一君 私も篤志面接委員をやっているから、そんなことはよく知っていますが、選考委員会を開くわけですね。選考委員会の権限はどういうふうなところにあるのでしょうか。質問の意味は、教誨師の場合やなんかは、そういう選考委員会みたいなものなしでやっているわけでしょう。篤志面接委員の場合は選考委員会を開く。選考委員会の権限はどういうところにあるのか。また、今の教誨師の場合と任命の仕方が違うようですから、どういうわけで違うのか、お聞きするわけです。
#94
○政府委員(大澤一郎君) 今お話のございました選考委員会は、部外の教育委員長とかそういう方々にお願いをしまして、どういう方が適当かというのを選んでいただきまして、その中で篤志面接委員をお願いするわけでございます。教誨師のほうは、これは各宗教各派がございまして、それぞれ教派につきましても御都合のあることでございますので、各地の宗教連盟にお願いをしまして、各派から適任者を御推薦を願い、その中から適当な方に具体的に各個人の宗教家にお願いするわけでございます。
#95
○稲葉誠一君 関連ですから、きょうはあまり聞きませんで、別の機会にいろいろ刑務所の中の被収容者の処遇に関連してお尋ねしたいと思いますが、私の聞いているのは、今の篤志面接委員の選考委員会の権限がどういうものかということを聞いているわけです。というのは、選考委員会で選考をするのか、あるいは、それは単に刑務所長の諮問的な意味しか持っておらないので、そこで別に選考するのじゃないのだというふうなのか、結局、選考委員会を設けているけれども、教誨師の場合とは実質的には違わないのだというのかどうか、そこら辺のところはどうなんですか。
#96
○政府委員(大澤一郎君) 結局、選考委員会で御推薦願った中で適当な方々をその問題に応じてお願いするということになりますので、教誨師をお願いする場合と実質的には同じでございます。選考委員会の決議できまった人に、きめられて御推薦願った方にはお願いいたしますが、必ずしもその方が必ず一回は来なければならぬという問題じゃなくて、それぞれの分野からの篤志家を御推薦願いまするし、その収容者に必要な問題のあるごとに最も適当な方の中からお願いするということになるわけであります。
#97
○稲葉誠一君 刑務所というのと監獄というのとは違うのですか。大臣、どうですか。
#98
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。
 これはもうほんとうに稲葉さんの専門の中の専門の話でありまして、私はしろうとでよくわからぬのでありますが、監獄法における監獄を通常刑務所と呼んでおるのだ争うであります。
#99
○稲葉誠一君 これで終わりますが、今、監獄法の中で、これは憲法違反の疑いがあるとか、憲法違反の問題点があるとか、こういうようなことでよく問題になりますが、私はそれが憲法違反だとかなんとか断定するのじゃなくて、そういうふうに問題とされておるのはどういう点とどういう点があるのでしょうか。
#100
○政府委員(大澤一郎君) われわれは、特に憲法違反として問題になる点はないと考えて現在執行しているわけでございます。
#101
○稲葉誠一君 法務当局が憲法違反として問題とならないとして執行しているのは、これは現行法ですから、現行法が憲法違反だという疑いがあるというので現行法を施行するのだったら、法務省としてえらい問題になるから、これは当然だと思うのですが、そうじゃなくて、いろいろな角度、いろいろな人から、こういう点が憲法違反じゃないかとかそういう問題があるのだといって指摘をされている点があるのじゃないですか。そういう点は、これは矯正局として常日ごろどういう点が問題になっているかという点を研究しているのじゃないでしょうか。これは、監獄法の中でこういう点が憲法違反だというので既決の囚人からいろいろな面から行政訴訟なんかが起きている例もあるのじゃないですか。そういう点は矯正局としては研究しているはずですよ。どうですか。きょうはそのことで質問を通告しているのじゃありませんから、これは別の機会にゆっくりやりますけれども、大体こういう点、こういう点が問題点だということはわかっていませんか。
#102
○政府委員(大澤一郎君) いろいろ行政訴訟等に現われますのは、文書図画の閲読の問題、あるいは頭髪剪除の問題等がございます。
#103
○稲葉誠一君 これはこれで終わりますけれども、今監獄法の改正問題が起きているはずですけれども、ことに憲法との関連においてどういう点とどういう点が問題となっており、それに対してはこういう訴訟が起きている、こういう見解がある、こういう点についてもう少し資料を整理しておいてくれませんか。これは拘置所の中における喫煙の問題、これも憲法違反だって訴えが起きているでしょう、選挙に関連して。そういうような点をもう少し整備してくれませんか。別の機会に私のほうでまとめて質問しますから。
 きょうは、これで終わります。
#104
○委員長(鳥畠徳次郎君) 他に御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
   ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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