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1962/05/28 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第15号
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1962/05/28 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第15号

#1
第043回国会 法務委員会 第15号
昭和三十八年五月二十八日(火曜日)
   午前十時三十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 五月二十七日
  辞任      補欠選任
   山口 重彦君  亀田 得治君
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   理事
           後藤 義隆君
           松野 孝一君
           稲葉 誠一君
           和泉  覚君
   委員
           杉浦 武雄君
           田中 啓一君
           中山 福藏君
           大矢  正君
           亀田 得治君
           大和 与一君
  国務大臣
   法 務 大 臣 中垣 國男君
  政府委員
   法務政務次官  野本 品吉君
   法務省民事局長 平賀 健太君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  説明員
   法務省入国管理
   局次長     富田 正典君
   大蔵省管財局国
   有財産第二課長 宮川 国生君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○宇都宮地方法務局坂西出張所存置に
 関する請願(第七九六号)
○長野地方法務局牟礼出張所存続に関
 する請願(第二三二八号)
○水戸地方法務局出島出張所存置に関
 する請願(第二六六五号)
○福岡法務局小倉支局西谷出張所存置
 に関する請願(第二六八二号)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (公証に関する件)
 (難民に関する件)
 (不動産登記等に関する件)
  ―――――――――――――
  〔理事後藤義隆君委員長席に着く〕
#2
○理事(後藤義隆君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 昨二十七日、山口重彦君が辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。
 以上でございます。
  ―――――――――――――
#3
○理事(後藤義隆君) それでは、本日は、まず、請願の審査を行ないます。
 去る五月二十四日までに当委員会へ付託されました地方法務局出張所の存置または存続に関する請願、第七九六号外三件の請願を一括して議題といたします。
 速記をちょっととめて。
  〔速記中止〕
#4
○理事(後藤義隆君) 速記をつけて下さい。
 ただいま速記を中止して御協議いただきましたとおり、第七九六号、第二三二八号、第二六六五号及び第二六八二号、計四件の請願は、議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと決定して御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○理事(後藤義隆君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
 なお、報告書については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○理事(後藤義隆君) 御異議ないと認め、さように取り計らいます。
  ―――――――――――――
#7
○理事(後藤義隆君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 亀田君から発言を求められておりますので、これを許します。亀田君。
#8
○亀田得治君 それでは、民事局のほうにまず公証人役場の問題につきまして若干お聞きしたいと思うのです。
 問題点の質疑に入ります前に、現在の公証人の数なり、あるいは公証人のいわゆる合同役場、こういうものの設置状況、あるいはいまそこで使われておる書記の数、あるいはその給与の状態といったようなことにつきましてまずお尋ねをいたします。
#9
○政府委員(平賀健太君) 本日現在におきまするところの公証人の総数は三百四十名でございます。それから公証人の事務員の数でございますが、事務員と申しましても、公証人は、事務の補佐をさせるために、法務局、地方法務局の長の認可を得まして書記を置くことができるということになっております。この書記の数は、全国で約七百名でございます。書記のほかに雑務を手伝わせるための事務員というのがいるわけでございます。この事務員の数字は、私ども把握いたしておりません。
 それから書記並びに事務員を含めまして一体どの程度の給与を受けておるかという点につきましても、これは私どものほうでは把握をいたしておりません。ただ、各地の例を口頭で私ども耳にするところによりますと、大体法務局の職員の待遇に準じて待遇をきめておられるところが少なくないように見受けております。しかし、これは都会地と地方ではやはりかなり差があるんじゃないかと思うのでございますが、正確なところはどうも私どもよく承知いたしておりません。
#10
○亀田得治君 合同役場はどういうふうな状況ですか。
#11
○政府委員(平賀健太君) 合同役場というのは、公証人法の施行規則で、二人以上の公証人がいられるところでは事務所あるいは収支を合同にすることができるということになっておりまして、公証人の間で法務大臣の認可を得て合同規約ができるわけでございますので、大体全国的に見まして二人あるいは三人以上の公証人がいられるところには若干の例外を除きまして合同役場の規約ができておる現状でございます。その合同役場の規約の数が今幾つあるかはちょっと記憶いたしておりませんが、かなりの数に上っております。
#12
○亀田得治君 きのうそれは調べておいてくれと言うておいたのだが、まだわかりませんか。
#13
○政府委員(平賀健太君) 概数で申しまして約五十カ所くらいじゃないかと思います。
#14
○亀田得治君 先ほど公証人の数が三百四十名と言われたわけですが、どうですか、半分くらいは合同役場で仕事をしておるという見当になるのでしょうか。あるいは、もっと多いのですか、少ないのですか。
#15
○政府委員(平賀健太君) 仰せのとおり、公証人の半数くらいは合同役場で仕事をしておられるという計算になっております。
#16
○亀田得治君 そこで、合同役場の書記の立場の問題なんですが、これは形式的には一人々々の公証人が当局の認可を得て雇い入れる、こうなっておるわけですが、実際の合同役場における勤務の状態というものは、やはりその合同役場として数名の書記の方が使われておるというふうな実態であるところが相当多いようなんです。特に大都会の非常にたくさんの公証人のおられるようなところでは、どうもそういう形態が多いのじゃないかというふうに思っておるわけなんでして、あるいはこれは個々の合同役場によって多少のしきたりというかその違いがあるかもしれぬと私は思うのですが、大阪から提出されました陳情書を拝見しますと、これは大阪公証人合同役場ですが、この陳情書を拝見しますと、ほとんど一つの企業体、雇われておるほうの立場から見たら、そういうふうに断定していいような状況のようなんですね。たとえば、社会保険の関係でも、合同役場として加入しておる。あるいは、いろんな税金の源泉徴収等についても、合同役場として扱っておる。あるいは、一人の公証人が死んだ場合においても、後任の公証人が来るまでの間、その死んだ公証人に形式上くっついておる人がそこで仕事を中断するということなしにやはり役場でずっと仕事をしていっておる。いろんな具体的なことが書かれておるわけですが、あるいはそういうふうになっておらないでただ場所だけが一緒になっておるというふうなところもあるかもしれませんが、だんだんやはり最初指摘したように、一つの企業体として運営されていくというふうな傾向も強くなるんじゃないかと思うんですね。そうなりますと、一人の公証人が一人の書記を雇っておるんだと、こういう建前を貫くことは、はなはだ現実と合わないような気がするわけですね。それで、公証人と書記との間が何事も紛争も起こらないでうまくいっているときはどちらの形でもいいかもしれませんが、しかし、その間が待遇問題なりいろんなことでうまくいかぬような事態になった場合に、私はこういう事態をほっておいたんではやはり問題が起こるのではないかという感じがするし、そして書記の方々が心配しておるのもそういう点が御心配で、何とかこういう不自然な関係は直してもらいたい、こういう希望を持っておるんだと思います。で、これは当然民事局におきましても御検討はされておると思うんですが、どういうふうな考え方で今後とも扱っていかれるつもりですか、お聞きをしたいんです。
#17
○政府委員(平賀健太君) 合同役場における書記あるいはその他の事務員の雇用の実態というものは、ただいま亀田委員のおっしゃったような実情だと思います。対外的な関係においてはそうであると思うんです。ただ、これは法律的にどういうふうになるのかと申しますと、いろいろ議論もできるところであると思います。私どもの関係でこれが問題になりますのは、公証人が書記をお雇いになって法務局、地方法務局の長の認可を得られる場合には、その合同役場として雇用したから認可してもらいたいということでは、責任の所在というものがはっきりいたしませんので困るわけでございます。書記に職務上何か間違いがありまして、そのために証書の作成その他公証事務の処理を誤ったという場合には、公証人がやはり責任を持っていただかなくちゃなりませんから、そのために法務大臣には公証人に対する懲戒権もあるわけでございますから、その場合に合同役場ということでは、これは責任の所在がはっきりしないわけでございます。そういう関係で、書記の認可を得られる場合には、ある特定の公証人から認可を申請してもらうということで処理いたしておるわけでございます。しかしながら、実際の雇用の実態を見ますと、これは亀田委員の仰せられるように、名義上雇用主となって法務局に認可を申請した公証人の事務の補助だけをやるのではなくて、その役場に働いておられる公証人の事務を手伝うわけでございます。そういう実態からいいますと、形式はともあれ、実体は、全公証人と申しますか、あるいは合同役場として採用されたんだと、合同役場とほかの書記、事務員との間に雇用契約が成立しているんだと、こういうふうにこれは見ることができると思います。私どもといたしましては、そういう実情があるのでございますが、この雇用関係はどうでなければならぬということ――法務局に対する認可の申請の関係は別といたしまして、その実質がどういう雇用関係でなくちゃいかぬという指示は別にいたしておりません。各合同役場の適当と思われる方法で大体処理をされるようにまかしておるようなわけでございます。
#18
○亀田得治君 そういたしますと、認可を得る関係とは別個に、書記との間の雇用関係の立て方については、数名の公証人が集まってそうして数名の書記を使って共同で給与も支払っておるという関係にしても差しつかえないんだと、こういうわけですね。
#19
○政府委員(平賀健太君) 実態は、亀田委員の仰せのような実情だと思います。そういうことにしても別に差しつかえないと思っております。ただ、ぜひそうしなければならぬというふうにも考えておりませんけれども、それでも差しつかえないと考えております。
#20
○亀田得治君 公証人が書記の認可を申請する場合に、書記を許可する要件といいますか、何かそういうものはあるわけでしょう。
#21
○政府委員(平賀健太君) 要件として今まで法務省の通達なり回答なんかではっきりいたしております点は、書記は未成年者であっちゃいかぬ、未成年者を避けるようにということは一本はっきり出ております。その他の点につきましては、公証事務はかなりむずかしい事務で、もちろん法律的な問題は公証人みずから処理されるわけでありますが、浄書をするとかその他書記の仕事も重要な仕事でございます。公証事務のほうの補助者としてふさわしい資格――現在でいいますと、少なくとも新制高校卒業程度の学歴が必要であるというようなことで、法務局、地方法務局で能力を適当かどうかということを調査いたしまして認可をいたしておる実情でございます。こまかい厳密な要件というものは別に定めておりません。
#22
○亀田得治君 そうすると、未成年者でないこと、これは当然なことだと思いますし、第二番目の高校以上の学歴というようなことも、これは当然なことだろうと思うんです。そういうことは規則か何かきちんとした、いわゆる資格要件というようなことできめられておるものなんでしょうか。
#23
○政府委員(平賀健太君) この認可というのは、法務局、地方法務局の長の裁量でございますので、一応の基準として未成年者でないこと、現在で言えば新制高校卒業程度以上の学歴があることというような抽象的な基準があるだけでございまして、あとは法務局、地方法務局の長の裁量にまかせておると言っていいだろうと思うのでございます。
#24
○亀田得治君 そうすると、いわゆる認可をするについて特別な資格要件が要るというようなそういうきちんとしたものではないように思うわけです。こういう仕事をやるにつきまして、おそらく公証人自体が、自分の助けをするわけですから、それにふさわしい者を選ぶでしょうから、今おっしゃったような要件に該当せぬような者を出してくること自身おそらくなかろうと私たち想像するわけです。そうしますと、これはまあ何といいますか一種の届出みたいなものですね、言うてみれば。最後の責任は公証人が持ってやるわけですから、いっそのことそういうことなら、認可というような大げさなことじゃなしに、ちゃんと届出をさせる、そういうことで事が足るように思うのですが、これはどうなんでしょう。
#25
○政府委員(平賀健太君) 実情は、仰せのとおり、厳格な資格要件というものはなく、一応の基準という程度のものでございますので、しかもまた、それぞれ公証人が良識をもって相当の人物を雇われて法務局に持っておいでになるわけでありますから、実際問題としてはあるいは届出ということで済むかもしれぬと思うのでございますが、やはり公証事務の補助という重大な仕事でございますので、万一ということがやはりあり得るわけで、それには認可の取消という道も万一の場合に備えてあげておく必要がやはりあろうかと思うのでございます。実際の処理としてはまあ届出と同じようなことにあるいはなっておるかとも言えると思うのでございますけれども、制度としましては認可制度ということのほうが万一の場合を考慮いたしますとより適当ではないか。法律ではそのようになっておりますのは、まさしくその趣旨だと思うのでございます。
#26
○亀田得治君 公証人法は、明治四十一年ですかにできたものなんです。非常に古い法律なわけでして、その当時はやはり公証人の補助者といえば公の仕事にタッチしていくというふうな関係等があって、認可という制度になってきた気持はわかるわけですが、どうも私は自分の補助者を選ぶのに役所の認可を得るというこういう制度自体が何か検討の余地があるような気がするわけです。今平賀さんから、万が一間違いがあったような場合には認可の取消というようなこともやはり必要になるかもしれぬからというふうなことも言われましたが、しかし、間違いがあればこれは私はやはり公証人が責任を持つべきものだと思うのです。で、補助者なんですから。これは法律上明確になっているわけです。だから、そういうふうな理解に立てば、この書記の雇用について認可を得るという点もはずしてもらったほうが、最初申し上げたような問題の処理もより近代的に実態に即したものに進みやすくなるのじゃないかという感じがしているわけですがね。どうもいろいろ両者の話を聞いてみますと、公証人のほうは、書記に対して、これは普通の雇用と違うのだ、一対一でちゃんと認可を得て雇うのだというようなそういう点に非常に頭の置きどころが行き過ぎているような感じがするわけですね。だから、間違いがあればこれは公証人が責任を持てばいいわけですから、その補助者を雇うのに認可を得るというのは、ちょっとこれは制度そのものとしても古いんじゃないかという感じがしているわけですけれどもね。検討する余地はないものですか。
#27
○政府委員(平賀健太君) 仰せのようなことも十分に考えられるとは思いますが、そもそも公証人というのは、資格要件がありまして法務大臣が任命するわけでございます。手数料の収入を得るという点は、いかにも司法書士なんかと似ている点もございますけれども、やはり作成した証書というものは公文書としての効力があるのでありますし、それから執行受諾約款のつきました一定の金額を支払うという内容の条項を含んだ証書でありますと、債務名義を持っている裁判所の判決と同じなのでありまして、公証人はあくまで広い意味の公務員であり、その公証事務もやはり広い意味では国の事務なのでございます。そういう関係からいいまして、その重要な仕事を補助させる者、これは単なる私的な雇用契約であるとか使用人でいいかということになりますと、先ほど申しましたような万一の場合のことのほかに、やはり公証制度そのものに対する社会の信頼信用というものを維持する上におきましても、私的な雇用人、使用人ということでは、やはりふさわしくないのではないかというふうに私どもは考えております。
 それから、なお、先ほども私申し上げましたように、書記の認可を申請する場合の形式とそれから実際の公証人と書記との雇用関係、これは別個に考えてもいいと思っているのでございまして、公証人合同役場等の書記あるいは事務員の雇用契約、これは、もっと厳密に言えば、その合同役場にいられる全公証人とそこの書記あるいは事務員との雇用契約ということになろうかと思うのでございますが、そういう雇用契約を締結せられることは、これは別に差しつかえはないだろう、これは先ほど申し上げたとおりに思っているわけでございます。
 ただ、私、先日大阪の公証人役場の書記の労働組合の方とお会いしたことがあるのでございますが、書記の労働組合のほうでは、役場と書記との間の雇用契約という形に改めるべきであるという意見を持っておられ、私にもその見解を聞かれたことがございます。私、ただいま申し上げましたような趣旨のことをお答えをしたのでございますが、実は労働組合のほうで言っておられる趣旨は、合同役場との契約ということになれば、公証人の更迭がある場合にも、後任の公証人が当然その雇用関係を引き継ぐことになるから、それによって書記その他の事務員の身分が安定するからという意見のようでございます。しかし、これは、御承知のとおり、雇用契約の承継ということはあり得ないことなんでありまして、前任の公証人が雇っておられた書記と、その前任者が更迭して後任者が任命されたという場合、これは当然新任の公証人とその書記との間の雇用契約というものにならなくちゃならないわけですから、前任者との間の契約をもって、後任者が任命されたら雇用契約は承継されるということは、これはおかしい、非常におかしい。また、実質的に見ましても、公証人のほうでも、そういう書記は使いたくないということもありますし、また、書記のほうでは、ああいう公証人に自分は使われたくないということもありましょう。雇用契約の承継ということは、これは不可能なことでありまして、役場との雇用契約ということにしたからといって、当然引き継がれる筋合いのものではないわけであります。
 ただ、実際問題としましては、書記なり事務員は、その役場で相当期間実際仕事をやっていられるし、事務にもたんのうであるわけでありますから、後任の公証人としても、その書記、事務員を引き続いて使用されることは便利であるわけであります。また、役場にいられるその書記、事務員としても、後任の公証人のもとでやはり働かれるということのほうが身分が安定するわけであります。そこは、公証人の更迭があった場合には、その雇用関係ができる限り続いていくように、前任の公証人もまた後任の公証人も、それから書記、事務員のほうでも、そういうふうに持っていくように努力をされること、これは必要であろうと私は思っておるのでございます。そういう趣旨を書記の労働組合の方にも私は申し上げた次第でございます。これは合同役場との契約というふうにするということとは別問題であるというふうに私は考えておるのでございます。
#28
○亀田得治君 合同役場との契約にしたからといって、必ずしも契約が受け継がれるわけではないんだというふうに今局長はお答えになっているわけですが、それならまた書記のほうで主張しておることもたいして意味がなくなるわけでして、そうじゃなしに、やはり実態はそういうふうになっているわけだから、何とかそういうふうになるようにはっきりしてほしい、それが公証人の意思だけでできないものであれば法律を変えてでもやはりそれが引き継がれていくようにしてもらいたい、端的にいえばそういうことなんです。だから、私はこれはその書記の立場とすれば非常に当然な気持だと思うわけでして、公証人制度ができた当時はほとんど一対一の関係でやってきたものが、だんだん社会の変化に応じてこういう合同制度というものが発達してきたわけで、法律制度がそういう事態に即応しておらぬような気がするわけなんですね。で、先ほどお聞きしましても、書記というものは公務員ではないけれども、公証人の仕事が一種のやはり公務なんで、それにタッチするので認可制度も要るんだというふうに言われるような気持から見るならば、なおさらやはり書記の立場というものを守る面でも同じような気持でやはり考えるべきじゃないか。一種のやはり役所のような性格も持っているわけなんです。どこの役所へ行ったって、上のほうのポストの人がかわるからといって下の者の雇用関係が変わるわけじゃないですから、だから、そこを実情に即したように、現行法での処理がむずかしいのであればきちんとしてもらいたい。ここに働いておる書記の諸君は、これはもうほとんどが、やはり特殊な仕事でありますから、終生その場所で仕事をするつもりでやっている人が多いわけです。むしろ公証人のほうが、これはまあ裁判官とかいうようなことをおやりになった方がなってくることが多いわけでして、年限が短いのじゃないか。書記のほうがむしろ勤務年限等が長いのじゃないかというふうな感じを持っておるわけですが、それなら事実上書記の諸君がその役場を守っておるわけなんですから、そうして、実際上も、おれは甲から雇われたんだから甲だけの仕事をしているという仕組みにはなっておらぬわけですから、何かのはずみに話がこじれて、お前とおれとは、前任者とは無関係だからおれはもうあしたからお前のめんどうはみない、こういうようなことでは、だれが聞いてもやはり工合が悪いと思う。そういうふうに制度上何とかできるように工夫してやってもらいたいわけなんです。私はまあ自分の見解としては、施行規則の四十九条あたりを活用して、合同役場を認可するにあたってそういうふうなきちんとした指導をして、関係者が自主的にそうやっていくというようなことでやれるのではないかとも思ったんだが、しかし、まああとから入ってくる人にその効力が及ぶかどうかということになると、局長が言われるように多少問題がやっぱりあるのじゃないかと思います。そこまで拘束するには、やはり公証役場というものの特殊性を考えて、何か公証人法の中に特別な規定というものが置かれて、それを基礎にしてそういう拘束もしていくということにならなければやっぱりだめなんだなと思っているわけなんですが、もう一度ひとつあなたのざっくばらんなお考えを聞かしてほしい。
#29
○政府委員(平賀健太君) どうも法律の専門家である亀田委員にこういうことを申し上げては失礼なんでございますが、雇用契約が承継されるというような場合は、相続の場合であるとか会社の合併というような場合にはこれはまさしく雇用関係は承継されると思うのでありますが、その他の場合に雇用関係の承継ということを特に法律の中で規定することは非常な行き過ぎで、そういう立法はすべきものじゃないだろうと私は考えるのでございますので、たとえば、法務省におきまして大臣がおかわりになる、あるいは次官がおかわりになる、あるいは局長がかわるという場合にも、下の者がかわらぬではないか。これは、国が雇用主であります関係でそういうことになるわけでありますが、合同役場の場合には、合同役場が一つの人格でありますれば、まさしく法律に別段の規定をしなくても雇用関係が当然承継される。合同役場を構成する公証人の一部の異動がございましても、合同役場という人格は変わらぬわけでございますから、雇用関係は当然承継されることになるわけでございますが、合同役場というものはそういうものじゃございません関係で、何人かの公証人のただ集合にすぎないわけでございまするので、どうも法律なりあるいは省令なんかで当然雇用関係が承継されるということはちょっとできないだろうと思うのでございます。ただ、しかし、亀田委員の仰せられるように、実情はまさしくこれは実情でございますので、私どもとしましては、合同役場の公証人の方々と書記の間で自主的な話し合いによっておきめになってしかるべきではないか。合同役場の公証人としては、できる限り雇用関係を継続するように努力をする、特別の事情がない限りは公証人の人も引き継いでもらうように努力をするという趣旨の取りきめをして、労働協約でもできることでございましょうし、そういう自主的な交渉をされるのがいいのではないかと思うのでございます。ただ、私どもとしましては、これは公証人と書記との間の内部のことでございまして、公証人もそれぞれ良識を持たれた方であるし、書記の諸君もとにかく書記として法務局から認可を受けられた人々でございまして、それぞれ良識の持ち主であるわけでございますので、私どもとしましては、その点細部について干渉をすることは好ましくない、むしろ自主的にお話しになるべきであろうということで私どもは処理をいたしておる次第でございます。
#30
○亀田得治君 何かこの公証人役場というものを一つの法人といいますか組織体にしていくようなことのほうが実情にふさわしいように思うのですがね。そこで仕事をする公証人はそこの役員になっていく、したがって、書記は当然その組織体に使われていく、そうなれば、当然雇用関係が続いていくわけですから、外部から来るお客さんにしても、そういう組織体という目でもってやはり来る人が多いのじゃないですか、現在では。そうしたからといって、公証事務が非常に粗雑になるとか、そういうものじゃなかろうと思うのです。個々の公証人の責任がぼやけないように考慮する必要があればしたらいいけれども、ただ単にお互いの努力によってできるだけ雇用関係を引き継いでいくようにしたらいいのだということではふさわしくないと思っておるのですが、そういう一つの組織体にしたらどうですか。しても差しつかえないわけでしょう。
#31
○政府委員(平賀健太君) 御承知のとおり、公証人の職務というのは、公正証書を作成しますとか、私署証書に認証をしますとか、その他公証事務というものがあるわけでございますが、これはあくまでも個々の公証人が職務としておやりになることでございまして、公証人の団体と申しますか、として処理するというものではないわけでございます。公証人の合同役場というものを一つの法人格とするということは、どうも公証人法の趣旨に沿わない。ただ雇用関係のためだけにこれを一つの団体に構成するということは、私どもとしては毛頭考えていないのでございます。
 それから事柄は労働関係なのでございますので、法務省が公証人と書記との間の内部について干渉するということは、労働関係一般の問題としましては私どもとしては避けるべきだろうと考えておるのでございます。あくまで両者の自主的な話し合い、折衝に待つべきものだという方針でいるわけでございます。
  ―――――――――――――
#32
○亀田得治君 この問題はこの程度にしておきましょう。大臣がお見えになりましたので、問題を入管の問題に移すことにいたします。民事局関係は午後にいたします、大臣が時間があまりないようでありますから。
 最初に、総括的な点について若干お聞きをいたします。それはいわゆる政治的難民の問題ですが、特に韓国の人について問題が多く起きているわけですが、これに対する基本的な大臣の考え方ですね、扱いについての基本的な考え、どういうところにおいておやりになっているのか、まずお聞きしたい。
#33
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。
 難民という言葉自体の定義についてでありますが、法務省といたしましては難民とは何を言うかということのほうが一番これは先だろうと思うのでございますが、今やっております韓国人に対しまする基本的な考え方といたしましては、日韓交渉が今継続交渉中であるというこれが一番基本に立っておるわけでありまして、日本に在住している韓国人につきまして、これは、ただいまのところ、一年おきに在留許可を繰り返して許可を発行しているのでありますから、別に何ら問題はないわけであります。その後、密入国等による韓国人の中で、たとえば、自分は政治亡命であるとか、あるいは避難民であるとか、そういうことを主張する者もあるようであります。法務省といたしましては、現行法のワクの中でこれらのものを適切に処置しているわけでありまして、密入国者の中でも大学等に入って勉学をしたいというような者について特に許可をしているものもありますし、また、これはもう純粋の不法入国者であるから強制送還をすべきものであるという判断をして韓国へ送還している者もあります。同じ難民の中でも、亀田先生が御指摘なさいましたような政治難民というようなことになりますと、これは非常に判断がむずかしいのでありまして、でき得る限りの資料を集めまして、そういう中で判断していくわけでありますが、たとえば、本人を韓国へ送還することによって本人の生命等があぶないとかそういう問題が明らかになっておれば、これは今までの例で見ましても強制送還をしないというような措置をとったところもありますし、本人が自分では政治亡命者、政治難民であるということを主張しましても、どうも本人の主張が真実ではないと判断された者に対しましては強制送還をしたというそういう事実もあるわけでありまして、個々のケースによりまして慎重に取り扱っておる。特に、こういう問題は人道上の見地から特に慎重に扱わなければならないという性質のものでありますから、今までは、事務的に処置のできるもの、あるいは大臣が直接真剣にこれをよく聴取いたしまして直接措置するもの、そういうふうに基本的には分けてやっておるというのが実情でございます。
#34
○亀田得治君 私のお尋ねするのは、政治亡命者ですね、これについてだけきょうはお尋ねしたいと思っているのです。で、政治亡命者という点が明らかである以上は、これに対する当局の態度というものは、これはきちっとはっきりしておるものだと思うのですが、その点にしぼってひとつお答えをお願いいたします。
#35
○国務大臣(中垣國男君) 政治亡命ということが非常に明確な場合には、やはりそういう迫害の待っている国に強制送還はしないと、こういう考え方を今日はとっておるわけであります。まあみずから政治亡命と本人が主張いたしましても、それを裏づけるものもなければ、年令その他等から考えてもどうも政治亡命であるとは本人の主張にもかかわらずこちらではそういう判断はつけがたいと、そういう場合もありますので、政治亡命というのが、いわゆる名実ともに政治亡命であれば、ただいまのように、迫害の待っておる国には送還しないということに簡単に措置するのでありますけれども、今まで取り扱った事件の中には、政治亡命という主張をしておりましてもそうでない場合等もありますので、なかなかこの問題は取り扱いはむずかしいようであります。しかし、いずれにいたしましても、非常に慎重に取り扱っておるということはこれはもう事実であります。
#36
○亀田得治君 基本的な態度が一応はっきりいたしましたから、それでいいわけですが、そうすると、あとは事実の判断ですね。これはなるほどおっしゃるようになかなかわかりにくい場合もあるわけでして、それはひとつ明らかにしてやってもらいたいわけですが、そこで、今言われました政治亡命であることが明らかであれば迫害を受ける国に返すことはしないという措置は、これは出入国管理令の五十条の規定でおやりになるわけでしょうね、法的な根拠としては。
#37
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。
 ただいま御指摘どおりに、五十条並びに五十三条の適用でさように取り扱うわけでございます。
#38
○亀田得治君 そこで、この五十条を適用する場合に、第一項の第三号に「法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。」となっていて、第二項には、「前項の場合には、法務大臣は、法務省令で定めるところにより、在留期間その他必要と認める条件を附することができる。」と、こういうふうに特別在留を許可するについての制約条項があるわけですが、ここで規定しておる法務省令というのはどういうふうに現行法上なっておるわけですか。細かいことですが、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
#39
○説明員(富田正典君) 出入国管理令施行規則の三十七条にその手続的な規定が規定してございます。「令第五十条第二項の規定による在留期間その他の条件は、左の各号によるものとする。」ということで期間の規定が規定してございます。
#40
○亀田得治君 期間だけですか、規定してあるのは。
#41
○説明員(富田正典君) そうです。
#42
○亀田得治君 そうすると、基本原則は政治亡命者なら送り返さないと、こういうわけですが、政治亡命者の認定の基準ですね、これはどういうふうにお考えになっておるのか。事実関係がはっきりしてきても、そのどの範囲をそう認めるのかということは、また一つの基準なりが要るのじゃないかというふうな感じがするわけです。といいますのは、私がその点をお聞きしますのは、あまりその基準をやかましく言いますと、やはり実情に沿わぬことになりゃせぬか。たとえば逃亡犯罪人引渡法ですか、こういう法律がありますね。で、これは、たとえば日本とアメリカとの間では犯罪人引渡条約ができておりまして、そういう条約のできておるところだけにこの法律が適用になるわけでしょうが、この引渡法を見ても、「逃亡犯罪人の犯した引渡犯罪が政治犯罪であるとき。」には渡さない、こうはっきり書いておるわけです。それからその次には、それよりも多少不明確と思われる場合を予想して書かれたような場合にも引渡を拒むというふうになっておる。で、この引渡法の場合は、現実に相手国から引渡を求めてきておる場合なんですね。それでも、これこれこういう場合には渡しませんと条約でも確認し、また、国内法でもはっきりしているわけです。ところが、よく問題になる韓国との場合は、そこまでは私は言っていないのだろうと思うのです。韓国政府からこれとこれについて渡してくれというようなことは、まあ言うてきているなら言うてきているとお答え願っていいわけですが、そういうケースはほとんどないのじゃないかと思っているわけですが、したがって、言うてみれば、相手国の政府が黙っておる状態でこちらの出入国管理令の立場だけからの措置と、こうなるわけなんですから、相当そこは幅を持った解釈をしていいように思うのですがね。そこら辺は、引渡法ですらこういうふうになっておるわけですから、請求もされておらぬということなんですから、多少幅というものがあっていいように思うのですが、その辺のところを大臣に聞きたいわけですが……。
#43
○国務大臣(中垣國男君) 韓国から政治亡命者あるいはその他の犯罪人についての引渡要求があったかどうか、私まだ存じませんけれども、一般論で申しますと、引渡の要求がかりにありましても、そういう政治亡命者というものにつきましては、保護すべき条項がそろっておれば引き渡すべきものではないと、私はさように考えております。それから一般の犯罪人の引渡につきましては、これは政治犯罪以外の犯罪でありますが、これにつきましては、韓国とはまだそういう条約はできていないと思いますけれども、もし引渡条項の条約でも締結されれば、これはやはり引き渡すということが当然であろうかと考えております。
#44
○説明員(富田正典君) 政治亡命者の取り扱い問題について、事務的な立場から若干御説明申し上げたいと思います。
 政治犯罪という定義――政治犯罪人を引き渡さないということは、これは国際慣習的に確立されておりますが、それでも、政治犯罪とは何かということにつきましては、必ずしも一致した見解が出ておりません。その動機によるのか、あるいは行為の客観的な要素によるものかという点でも、いろいろ一致しておらないような状況でございまして、何を目して政治犯罪と見るかということ自体も相当困難な問題がございます。
 それから韓国からのいわゆる政治亡命を主張するものについてでございますが、これはいろいろなケースがございまして、政治亡命の定義というものがかりにきまったといたしましても、具体的な場合についてこれをどう当てはめるか、どう認定するかということは、必ずしも容易ではございません。政治亡命に名を借りて本邦に永久に住みつきたいというようなものもございますし、帰せば迫害が待ちかまえているということがおおむね認められるというようなものもございます。そこで、実際上の運用上の問題として、そういう困難な問題がございますので、こちらといたしましては、何が政治亡命であるかという定義を考えますより、その者の申し立て、それを裏付ける資料、在留状況、いろいろなものを判断いたしまして、これを人道的な配慮から本国に送還するということが不適当であると考えた場合には、しからば法務大臣の特別裁量で本邦に在留を認めるか、あるいは、その他の事情によりまして迫害の待っていると主張する本国には送還できないにしても、日本には置いておけない、しからば本人の好むところに出国させるために一時の便宜を認めることにするかというような、いろいろなことを考慮するわけでございます。したがいまして、政治亡命というものが認定された場合に、一定の基準というものはございませんが、大臣が先ほどお答えいたしましたように、人道的な配慮に従って迫害の待っているところには送還しないという線を基本にいたしまして人道的に配慮しておる、こういう状況でございます。
#45
○亀田得治君 まあ政治亡命の定義などをうっかり下してしまうと、かえってそのことが実際問題としては人道に反するようなことになる場合もあるかもしれぬと思うから、今おっしゃったような立場で運用してもらうことがあるいは適切かもしれぬと私も思うわけですが、そこで、もう一つ総括的な問題としてお聞きしておきますが、難民の地位に関する条約ですね、たびたび衆参の委員会で質疑の対象になったはずですが、こういう条約には、私も早く日本も加入をしていくべきものだと思うのですが、むつかしいわけですか。難民の定義についていろいろ難点があるとかといったようなことも聞くわけですが、まあある程度そういうことは日本の政府が実際の適用になれば有権的な解釈をできる余地もあるわけでしょうし、ともかくこういう政治亡命人を無理やりに追い返すようなことはよくないということは世界的な常識になっているわけですから、そういう立場に立ってのこういう条約ができてすでに三十九カ国も加盟しているわけですから、加盟せぬこと自体が何かそういう問題について消極的な印象を与えてまずいと思うのです。日本政府としてみても、先ほど私が指摘しましたように、ちゃんと日米間であればああいう引渡条約もできておるし、また、実際の措置としては、今お答えのように、人道の立場に立って具体的に妥当にやっていきたいとおっしゃるわけですから、これに加入したからといって困るというふうなことはちょっと考えられぬわけですが、どうですか。
#46
○説明員(富田正典君) 問題は、外務省の所管にもわたるかと存じますが、一応従来この条約に加盟しなかった理由について承知している限りでお答えしたいと思います。
 この難民条約の発生の背景と申しますものは、御承知のように、今次大戦中の戦火を避けて逃げて来た者の取り扱いでございまして、戦火を避けて逃げて来た者はまたもとの所へ戻るというのがその当時の処理の考え方であったようでございますが、その後、東欧諸国における政治的変動から、政治的な迫害等の理由で逃げて来た者をその国において居住を認めるなり、さらに別の国への再定住というようなことを各国が協力してやっていくというようなことで、大体西欧を中心にこの問題が発展して参りまして、そして難民条約になってきた。それで、当初の加盟国も大体において西欧の諸国が中心であったように承知しております。
 そういう点と、それからわが国につきましては、この難民条約に加入して積極的に難民を多量に受け入れるということにつきましては、いろいろ人口上あるいは労働事情その他の問題がございまして、なかなか容易に踏み切れない。また、若干の白系ロシア人を中共その他から戦後引き受けておりますが、こういう問題も国内法上の処理で十分に処遇がされておる。また、少ない若干のケースにつきましては、ただいま申し上げましたように、入管令の範囲内で一応まかなえる。そういうような状況から、現在この条約に加盟しておらないものと承知しております。
 ただし、将来の問題としては、さらにこれが広い大きな規模で国際的な全世界的なものに発展していくということになりますれば、その段階に至れば、日本としても当然考慮しなければならないのではないかと、こう考えております。
#47
○亀田得治君 まあきょうは条約そのものの審議をするわけじゃないのですから、ちょっと関連して聞いた程度にとどめておきますが、最近出入国管理令等の改正ということが法務省のほうで準備されておるようですが、その中には、現在法務大臣の特別在留許可の対象というふうな扱いでされておる政治亡命人の問題ですね、こういう問題は、引渡法のようにきちっと何か明文化していく予定でしょうか。
#48
○説明員(富田正典君) はっきり政治亡命というものを取り上げてこれを明文の上で処置するということは、現在のところは考慮しておりません。
#49
○亀田得治君 これはやっぱりああいう難民条約等が世界的にも注目を浴びておるし、また、日本政府としても難民条約自体について反対しているわけでもないわけなんでして、せっかく管理令を改正されるのであれば、こういう世界的に常識的になっておる問題については、きちんと明文化したほうがいいように思うのです。といいますのは、政治亡命人が日本に行ってもどうなるかわからぬと、これじゃやはりもぐってしまうことになるのでして、おれは政治亡命人だということがはっきりしている人が、日本の法律ではちゃんとこういうふうに出入国の法律では扱ってくれるんだとなれば、ちゃんと手続もできてくるわけです。そのほうがスムーズのように思うわけでして、この五十条の運用の中に含まれておるんだというのでは、どうも形態として古いような感じがするわけですが、これはどうですか。
#50
○国務大臣(中垣國男君) 今入管の次長がいろいろお答えしたようでありますが、非常に重要な問題だと思いますので、検討をすることにいたしたいと思います。
#51
○亀田得治君 大臣に対する質問は、ぜひ必要なところはこれで終わりますから、もし御時間の都合がありましたら中座してもらって。
#52
○中山福藏君 関連してちょっとお尋ねしておきますが、大村収容所長のような地位にある人は、自分の自由裁量によって保証金を積んで仮釈放してもいいという規定になっておりますが、ところが、おととしの二月でしたか、二月以後、この自由裁量というものは全然剥奪してしまって、そして入管の本庁でそれをきめるというので、せっかく大村まで行って、汽車賃を使ってまたとこへ帰ってこなければいかぬという結果になっているのですが、これは入管令というものを無視した行動のように考えるのですが、どうでしょう。
#53
○説明員(富田正典君) 仮放免の権限は依然としてあるわけでございます、大村の所長に。ただ、強制退去が決定いたしまして大村まで送られているという者につきまして、現地限りの判断でいろいろ処して参ります場合に多少問題もある場合もございますので、本庁に請訓さしておるということになっておるわけであります。
#54
○中山福藏君 それは全然間違っていますよ。そういうことはありません。これは私が体験したのですから、間違いないのです。必ず本庁でやることになりましたからどうか東京へ行って下さいといって、みんなはねつけられる。それはあなたが実際所長に当たっておられぬからそう言うのじゃないかと思うのです。これは政令を無視した態度だと考えるのです。これは行政処分だから自由にやっていいんだということを言っておられるらしいのですが。
#55
○国務大臣(中垣國男君) その問題は、送還決定者については、やはり保証金等を積む場合、そうして釈放するというときには、私は本庁の許可が必要だと考えます。しかし、送還の決定していない者に対する権限は、収容所長のほうにゆだねられていると、こういうことだと思います。
#56
○中山福藏君 管理令を見ますと、そういう条件はついていないのです。それは任意にそういう条件をおつけになるのでしょうか。
#57
○国務大臣(中垣國男君) 法務大臣の手元におきまして送還が決定しました場合には、すでにその措置が決定したということになるのでございますから、保証金等を積んで釈放するという場合はあり得ないわけであります。もしあるとするならば、もう一ぺん本庁へそういう手続をとりましてそうして保証金を積んで釈放ということになりますと、送還一時延期というような形でなければ保証金を積ませるという措置はできないわけでございまして、私が今まで取り扱いました事件の中にそういうのが二つばかりあったような記憶がありますが、決定者の場合と未決定者の場合とに分けて、未決定者の場合には、収容所長の手元におきまして、ただいま中山先生御指摘のとおりの処置を今でもとっております。決定者の場合は本庁でやる、こういうふうになっておると思います。
#58
○中山福藏君 だいぶよくわかりましたが、しかし、どうも管理令の表向きから見た解釈によると、そういう区別はないわけですから、これは任意に、慣習と申しますか、そういうことになっているのじゃないかという考えを持つのですが、それならそれのように、もう少し一般がよくわかるように何らかの処置を講ぜられないと、汽車賃を使って東京から大村まで行ったり来たりしておって、これは私はほんとうの行政の姿じゃないと思うのです。ですから、これは特に私からお願いしておきたいと思うのですが、どうかひとつ、もしそういう法令の解釈であれば、それはそれなりにわかるように、もう少し何と申しますか、処置を講じていただきたいと、こう思うのです。
 それからもう一点だけ念のためにお尋ねしておきたいのは、日本で生まれたとか、あるいは労働者として朝鮮からこっちに入ってきた人間、それがたまたま登録関係の法律を知らなんだという場合に、未登録のまま日本におる人間が相当あるんですね、朝鮮の人で。それが未登録のために密入国したんじゃないかという疑いを受けて、非常に何と申しますか、困っておる人間も相当あるわけです。それで、密入国者と、日本に生まれながらいて未登録というような人間と区別をして御処置をなさるということが必要じゃないかと私はふだんから考えておるわけですが、未登録について、何かもう一回相当の期間を定めて催告をして、日本に労働者として来たか、あるいは日本で生まれたかというようなことを十分お調べになって、もう一回救済をするというような方法を考えておられないかどうか。そのところを念のために一点だけ聞いておきます。
#59
○説明員(富田正典君) 現在外国人登録が無登録のままで在住している者の救済の方法についての御質問かと思いますが、これは、三年に一回くらいの割合で、現在もう第七回目の登録をいたしておりまして、戦前から引き続き居住しておる者であれば、登録を怠ったということで若干の処罰は受けるにいたしましても、そのことのために日本に在留できなくなるということはないわけでございます。ただ、要するに、第三回目の登録あたりから登録があるということになりますと、こちらといたしましては、前の登録経歴がございませんと、一応そのころ密入国してきたのではないかという疑いを持って調査いたします。これは、登録をしておらなかった以上、当然甘受していただかなければならないと思うわけでございますが、その調査の結果、戦前から引き続き居住しておるということが判明すれば、当然これは居住が認められるわけでございます。問題は、実は、途中で密入国して来ながらそういうことを主張する者と、登録を怠って戦前からおった者というもののふるい分けと申しますか、その辺が、なかなかほんとうのことを言わない方がたくさんおるので非常にむずかしい、こういう実情でございます。
#60
○中山福藏君 最後に、一つお願いを兼ねて申し上げておきたいのは、先ほどの管理令の問題ですが、これは決定・未決定によって処分が東京でやる、あるいは大村収容所でやるということになりますれば、それはそういうことを管理令の中に盛り込んで一般にわかるような改正をしておかれることが必要じゃないかと思うんですが、どうでしょう。大臣、その点をお考えおき願えませんか。
#61
○国務大臣(中垣國男君) 強制送還が決定した場合におきましては、送還以外の何ものもないという建前になっておりますから、管理令にそういうことは明らかにしなかったと思うんですが、御説のとおりに、やはりわかりやすくしておくことも必要ではないかと思いますので、管理令の改正のときに御説のようなことも十分考慮に入れまして検討いたします。
#62
○中山福藏君 けっこうです。
#63
○稲葉誠一君 大臣、去年の十二月五日に、大村収容所に入れられた人が待遇改善を要求してデモをやって、そして長崎の警察の機動隊が出動してこれを鎮圧したという事件があったというんですが、それは大臣は御存じですか。内容はいいです。
#64
○国務大臣(中垣國男君) そういう報告は受けましたけれども、こまかい内容につきましては、実は今記憶がありませんです。
#65
○稲葉誠一君 それはあとから亀田さんからお聞きになるそうですから、私は聞きません。
 もう一つですが、逃亡犯罪人引渡法、これは現在どことどこが締結をしておるわけですか。
#66
○説明員(富田正典君) 日米間だけでございます。
#67
○稲葉誠一君 それは将来韓国との間にも締結をするというふうなことは考えられておるわけですか。
#68
○説明員(富田正典君) 現在のところは、まだおそらく検討されておらないと思います。
#69
○稲葉誠一君 しかし、逃亡犯罪人引渡法の精神、それは、韓国だけでなくて、ほかの国との間にも当然日本としては尊重しなければならない、こう考えてよろしいですか。大臣、どうでしょう。
#70
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。
 稲葉さんのお説のとおりに、もしアメリカ以外の他の国と同じような条約を結ぶことであれば、おそらく同じような考え方で締結することになろうかと思います。
 それから、この問題は、御承知のとおりに、外務省の所管にかかわることでありますので、今後他国との条約に発展するかどうかということもここでは差し控えさしていただきたいと思います。
#71
○亀田得治君 それでは、あと二、三点具体的な問題で若干お聞きします。
 それは、まず、韓国人で政治亡命をされてきた孫性祖という方ですね。現在問題になっておるわけですが、これは結局どういう取り扱いに進むわけでしょうか。
#72
○説明員(富田正典君) 孫性祖につきましては、これは昭和二十九年に密入国して参りまして、昭和三十五年に退去で自費出国しておるわけでございます。そういう関係で本人の陳述をいろいろ東京入管で聴取いたしまして、迫害を主張する十分な根拠という点について十分でないという判断で退去の裁決にまでなったと思うのでありますが、その後いろいろ各方面から資料の提出や再審の嘆願の提出などがございましたので、再審するかどうか、その検討をするまで仮放免ということで、昨日仮放免してございます。将来の問題につきましては、そういう資料を全部検討いたしました上で、先ほど申し上げましたいろいろな考え方に沿って善処していきたいと思っております。
#73
○亀田得治君 そういたしますと、仮放免されていろいろな資料を見て再審するかどうかをきめる、こういうことになるわけですね。
#74
○説明員(富田正典君) そのとおりであります。
#75
○亀田得治君 その場合に、政治亡命人であるかないかという立場から検討なさるわけですね。
#76
○説明員(富田正典君) 政治亡命の定義につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろ疑義がございますので、本国へ送還すれば迫害が待っていると主張する十分な根拠があるかどうかという点についてまず第一段階としては調査をいたすわけでございます。
#77
○亀田得治君 今富田さんから言われたその点がはっきりすれば、これは当然正式に在留許可がおりるものだ、そういう希望を持っていいわけですね。
#78
○説明員(富田正典君) 本国に送還すれば迫害が待っているという点の、何と申しますか、十分な根拠、あるいはその点について十分と言えるかどうか。必ずしも十分ではないかもわからないという段階に立ち至りますと、これに在留を直ちに許可するというわけには参らないかと存じます。在留を許可するか、許可する場合にいろいろな条件を考慮するか、あるいは、その当時における国と国との国交関係その他いろいろの点を考慮いたしまして、正式に在留を認めないで、何らかの便宜的な処置を講ずるか、あるいは、韓国以外の他の国への出国を勧奨するか、いろいろなことが考慮されるわけでございまして、その段階に立ち至りませんと、今すぐ在留を許可することに相なるとは申し上げられないかと存じます。
#79
○亀田得治君 それからもう一つ、これは前から問題になっている李栄根、この取り扱いは法律上どういうことになっているわけですか。現状をまずちょっとお聞きします。
#80
○説明員(富田正典君) 現在、病気のために退令仮放免中でございます。
#81
○亀田得治君 これは、退去命令が出されて、そうして病気だということで仮放免されておる、こういうことのようですが、しかし、これは政治亡命であることが非常にはっきりしておる事案じゃないかと私たち思うわけですが、これは古いことですから、資料等も十分集まっておるはずだと思うのですが、李栄根の場合は、李承晩時代に内部の政争のとばっちりですでに裁判にかけられておるわけですね。二審裁判まで行って、その裁判が本人がいないために中断されたままになっているわけですね。この李栄根の場合は南北の平和統一の主張者なんですから、その当時と政権はかわっているかもしれぬが、しかし、李承晩時代以上に圧力がむしろかかるのじゃないかというふうな軍事政権下の情勢なわけなんです。だから、こういう人についてどうして政治亡命者としてのきちっとした扱いをしてやれないのだろうかということでちょっと私たちも奇異に感ずるわけなんですが、そういう事情が明確でないことはないと思うのですが、どうなんですか。
#82
○説明員(富田正典君) 政治亡命ということをはっきりまっ正面に打ち出しましてそれに対する取り扱い方針というものをきめますと、非常にいろいろ微妙な問題があるわけでございます。韓国に対する関係だけではなくて、中国政府の関係におきましても、亡命問題というものについてはっきりした見解を打ち出すにはまだまだいろいろ検討しなければならない材料が現在ある。そこで、ケース・バイ・ケースで処理していくということで処理しているわけでございます、今御質問の李栄根の問題についてもその他のいろいろ問題につきましても。しかし、何らか結論を出さなければならないとは考えております。
#83
○亀田得治君 李栄根の場合は、当時入国した直後自首をして、そうして仮放免になっていて、ところが、韓国で軍事クーデターが起こって、間もなく退去命令が出されたわけですね、病院にいるときに。それから病気だということで病気を理由に毎月切りかえをしてもらっている、こういう事情のようですが、そういう病気で切りかえるというようなことでなしに、政治亡命がはっきりしておるのであれば、やはり政治亡命者としてきちんとその立場を認めてやるということがどうしてできぬのだろうか。何かこう表の扱いと裏の扱いが違うような感じを与えるのは、これは本人にとっても非常につらいと思うのですね。政治亡命者に対してはそういう扱いをするということは世界じゅうどこでも常識になっているわけなんですから、そのことによって非常に韓国側から文句を言われたりといったようなことは私はないと思うのですが、これなどはきちんとしてやれぬものですかね。非常に気の毒だと思うのですよ。やはりこういう状態ですと、たまには温泉に保養にでも行きたいというふうなことがあっても、なかなか行けないでしょうしね。どういうわけでしょう。
#84
○説明員(富田正典君) 一般論といたしましては、先ほど申し上げたような趣旨でございますが、個人的なケースについてはそれぞれ十分検討してみたいと思っております。
#85
○亀田得治君 先ほど稲葉さんからちょっと昨年の十二月五日の大村収容所の紛争事件についてお尋ねがあったわけですが、いろいろお聞きしたいことがあるわけですが、あのときに、収容されている人たちから二十二項目にわたって待遇改善の要求が出されたということを聞いているわけですが、それはどういう項目であったのか、まず御報告を願いたいわけです。
#86
○説明員(富田正典君) この点につきましては、前に入管局長も御説明申し上げたと思いますが、二十二項目ございまして、中にはかなり誠意を欠くと申しますか、あまりまじめでないと思われるようなものもございます。これは、所長の当収容所に対する運営方針はどうであるかとかいうことから始まりまして、いろいろございますが、おもな点を申し上げますと、バリケードの撤去、それから食事の改善、毛布の増配、入浴時の蒸気を送る時間を長くしてほしいというようなこと、売店購入について直ちに卸業者から購入さしてくれ、それから運動場を使用させてくれというようなことでございます。そして、二十一、二十二項目等になりますと、所長は面接しないが無能な人間ではないかというようなことであるとか、三十分以内に回答しろというようなことも含まれております。
#87
○亀田得治君 中にはあるいは行き過ぎた要求項目もあるかもしれぬと思うのですが、参考までにそれを資料として委員会に出してほしいと思うのですが、中におる人の具体的な要求というものを見るということは、これはやはり抽象論をやっているよりも一番参考になると思うので、よろしいですね。
 で、その中で食事の改善ということが一つあると今言われたわけですが、川崎の収容所ですね、あれに比較すると、だいぶ大村の場合は悪いようですが、一日当たりの経費ですね、川崎と大村とどういうふうになっておるのでしょう。
#88
○説明員(富田正典君) 昭和三十七年度におきましては、大村収容所が一日一人当たり七十三円、川崎が九十円となっております。これは本年度からは大村も川崎も同一単価になったわけでございますが、その理由は、昨年までは川崎は業者に委託しておりましたので、普通の一般の東京、大阪の収容場の単価と同じ九十円ということに川崎もよっていたわけでございます。したがいまして、本年度からは七十三円が若干増額になりまして七十七円八十六銭という単価になりましたが、川崎もこれによっておるわけでございます。
#89
○亀田得治君 川崎の場合は、欧米人の場合にはもっと高いのじゃないですか。
#90
○説明員(富田正典君) 欧米人は百三十四円となっております。
#91
○亀田得治君 それから、現在の一般の刑務所は幾らになっておりましたか。
#92
○説明員(富田正典君) これは被告、被疑者の未決の場合だけしか調べてございませんが、五十五円八十二銭というふうに聞いております。
#93
○亀田得治君 既決囚はちょっとわかりませんか。もっと高いのじゃないですか。
#94
○説明員(富田正典君) 若干高いと思いますが、あいにく資料を持ち合わしておりません。
#95
○亀田得治君 欧米人とアジア人というのを区別するというのは、何か差別扱いしているようなことで、こういう予算を作る場合にすらすらとこういう、ことが出たわけでしょうか。ともかく、川崎収容所におる諸君は差し入れでもずいぶん多いようなことを聞くわけでして、大村ではなかなか遠いものですから、そういうことも自然に少なくなるといったような面等を考えても、非常に差別扱いしているような感じを受けるわけですが、どうでしょう。
#96
○説明員(富田正典君) 当初のいきさつは、食生活の相違ということでこういう差ができたものと思いますが、われわれといたしましてもできるだけその差を縮めていきたいというふうに考えておりまして、欧米人は発足以来そのままの単価で据え置かれておるわけですが、極力東洋人について単価の値上げを従来努力して参ったわけであります。それにしても、まだ相当の開きがございますし、この問題については今後も真剣に検討していかなければならない問題だと考えております。
#97
○亀田得治君 まあアジア人は安うてもいいというようなこういうことをされるのは、はなはだ困ると思うのですよ。やはり国としてはあくまでも同じように扱っていく。どうせこのほかに差し入れ等があるわけですから、それは御自由にやったらいい。そういうところは別に変わった差別ということにならないのですから。これはひとつ検討してほしいと思うのですね。
 それで、この昨年の十二月五日の事件につきまして、任宗宰という人ですね、これは中心人物なのかもしれませんが、その任君外四、五名の方が諫早の拘置所に送られる。何か聞くところによると起訴されておるのじゃないかというふうなことも聞くわけですが、何かそういう処置にでもなっておるわけですか。
#98
○説明員(富田正典君) 暴力行為等処罰ニ関スル法律であったと思いますが、それで起訴されまして、諫早の刑務所の未決監に勾留中でございます。昨日一審判決があって、それぞれ実刑の言い渡しがあったということを聞いております。
#99
○亀田得治君 そうすると、これは単にうわさだけじゃなかったわけですね。
 それは何名ですか。何名で、そうして刑罰はどれくらいの判決だったわけですか。
#100
○説明員(富田正典君) 起訴されましたのは五人で、五月ないし四月の言い渡しであったと思います。三人が五月で、二人が四月であります。
#101
○亀田得治君 五人というのは、今全部名前はおわかりでしょうか。わかっていたら報告してほしいと思います。
#102
○説明員(富田正典君) 任宗宰、金東千、金明洛、南再碩、それから李永燦、この五人でございます。
#103
○亀田得治君 結局、そうしたら、十二月五日にこの五人の者が暴力行為等処罰法に該当する行為をしたということになっておるようですが、具体的にはどういうことをしたということになっておるわけですか。
#104
○説明員(富田正典君) 概要を申し上げますと、任宗宰が十二月一日に各棟の連絡委員に選ばれまして、十二月三日に所長に面会を求め、所長から、どういう理由で会いたいのか、わからなければ会えないと言ったのに対しまして、所長に会ってその人柄その他を見た上でなければ何も言えないということで、その日はそのままになっておりましたが、十二月四日に二十二項目の要求書を出してきたわけであります。そういたしまして、その間にいろいろ諸般の事情から若干不穏な空気が見えましたので、この収容所内の検索をいたしました結果、はち巻等が百数十本、いろいろ決議文などが発見されましたので、これは相当不穏な空気があるというので、いろいろ警備体制を固めておりましたところ、十二月五日の午前十一時ごろから房のとびらを排して外に出まして、三棟と五棟の収容者が合流して第一棟の婦女子の棟に押しかけた。そうして、マンホールのふたとか板切れなどでそこの女子の収容所のとびらを破ったのですが、中からいろいろ配慮しましたために・とびらをこわしたりなどして中に侵入するには至らなかった。そのほか若干あちらこちらでそういったとびらとかないしはバリケードの破壊とかというようなことがあったと、大体これがごく大ざっぱでございますが事件のあらましでございます。
#105
○亀田得治君 そうしたら、所長とか看守とか、そういう人に対する人的なものじゃなしに、毀棄罪というような中身のものなんですね。
#106
○説明員(富田正典君) 大体さようでございます。
#107
○亀田得治君 もう一つ、これも確かめたいわけですが、任宗宰というのは、もと東亜日報の記者をしていたということを聞くわけですが、それはどうでしょうか。
#108
○説明員(富田正典君) 任宗宰の退去強制の裁決当時の本人の供述等を見ますると、レスリングでございましたか拳闘でございましたか、何かそういう興行で一旗上げようとして失敗して借金に追われて日本にやってきたというのが密入国の動機であるように承知しておりますが、その他のただいま御質問の点につきましては、ちょっとただいま記憶しておりません。
#109
○亀田得治君 政治的な関係のものであるかないかという点はどうなんでしょう。
#110
○説明員(富田正典君) 何か統一社会党に関係したようなことをその後申しておるということは聞いております。
#111
○亀田得治君 まあその程度にいたしておきます。
 それから、韓国の関係でこちらに入ってきている人の中で、いわゆる政治亡命者としてきちんと判定を受けてそうして正々堂々と生活をしておる、そういう方はあるんでしょうか。
#112
○説明員(富田正典君) 李承晩政権から張勉政権になった時代に入ってきた方で、現在仮放免がそのまま継続している方もありますし、一時の在留を認めておる者もありますが、政治亡命だからということが唯一の理由でそのようになっておるのではなくて、ほかにも特に在留を認めるに値する理由があるかのように聞いております。
#113
○亀田得治君 そうすると、政治亡命者だけできちんとその点を法務省が認めてそうして在留を許しておるというのは、韓国の関係ではないわけですか。
#114
○説明員(富田正典君) はっきり政治亡命だけを唯一の理由として認めたケースは、私の知っておる限りでは現在まではないと思います。
#115
○亀田得治君 そうすると、政治亡命であるかもしれぬが、ほかの理由もつけてそして在留を許しておるというふうなケースは、何件くらいあるのです。
#116
○説明員(富田正典君) そう数は多くないと存じます。
#117
○亀田得治君 十人程度なんですか、多くないというのは。
#118
○説明員(富田正典君) その前後ではないかと思います。
#119
○亀田得治君 それから、これは台湾の関係ですが、台湾の臨時政府の看板を出して活動しておる諸君がおりますね、あの扱いというのは管理令の立場からはどういうふうに扱われているのですか。
#120
○説明員(富田正典君) あの台湾の独立運動に関係しておる者の中には、戦前から引き続き居住しておる者もおります。これは法律百二十六号によりまして正式にその在留資格がきまるまで在留できるということになっておりますので、その法律によって処理されております。そのほかに、商用その他の名目で入国して参りまして引き続きこちらに特殊な縁故関係とかその他の理由で特別に在留を許されておる者もおりますし、また、仮放免のままでおるという者もございます。
#121
○亀田得治君 商用その他の名目でこちらへ来てずっと引き続いておるといったような者もあるし、また、仮放免のままでずっとおる者もある。そういう場合に、それは政治亡命としての扱いということがきちっと明確にされておるわけなんですか、どうなんですか。
#122
○説明員(富田正典君) はっきり申し上げますと、政治亡命としてこれを取り扱ってはおらないわけでございます、先ほど申し上げたような意味では。ただ、迫害の待っているところには帰すことはできないというような考え方では処理しておりますが、これは政治亡命だから置いてやるのだということではっきり置いておるというのではないわけでございます。従来も、この取り扱いにつきましては、その取り扱いいかんによりましては非常に大きな国際問題にまで発展するというような問題もございまして、なるべく正面切って政治亡命だから置いてやるというような取り扱いはしておらないわけでございます。
#123
○亀田得治君 しかし、本日最初にお聞きしたのでは、やはり基本としては人道上の立場で考えていくというわけですが、こういう亡命者について、そういう政治的な考慮というものが入ってきますと、今度は政治的な圧刀等が加わってきた場合には、その便宜的な扱い自身もくずさなければならぬというふうなジレンマに陥っていくような感じもするわけですが、私は、だから、こういう意見の違いによってその国におれないというふうな人については、まあどっち側の立場の人であっても、ともかく安心しておれるように扱っていくとはっきり割り切ってしまったほうがかえって入管のほうで取り扱う人の立場としても楽なんじゃないかと思うのですね。ことさらにいろんなほかの理屈をつけたりしておりますと、どうもつけるほうも工合が悪いし、つけられておるほうも何かさっぱりせぬ。はなはだおもしろくないというのですが、どうしてはっきりできないのですかね。
#124
○説明員(富田正典君) 本国に迫害が待っておる場合に、そこに送り返さないということは、これははっきりしておるわけでございます。この点については、もう入管といたしましては、いろいろ国際的な問題に発展いたすといたしましても、その線はあくまで堅持していきたいと思っております。ただ、難民条約にも現われておりますように、その国の事情によって難民条約に協力してその者を他の国に送るのに協力したり、その他いろいろ協力の内容がございますが、亡命者であるからその国に必ず居住を認めなければならないというふうにはまだ踏み切っておらない。しかし、迫害の待っておるところには絶対送還しない、この線だけは堅持していきたい、こう思っております。
#125
○亀田得治君 まあいろいろのことを聞きましたが、一応この程度で終わります。
#126
○稲葉誠一君 大村の収容所と川崎の収容所と二つ設けたのは、何か理由があるのですか。
#127
○説明員(富田正典君) これは、中国人と朝鮮人と非常に感情的にうまくいかない面がございまして、同じ収容所に収容しておきますと、食生活とか、いろいろ風俗、習慣も違いますし、お互いに非常なあつれき、紛争が起こりやすいので、別々に収容しておるわけでございます。
#128
○稲葉誠一君 この収容所は、これは法律的な性質はどういうものですか。監獄とかなんとかいろいろ法律的な性質がありますね、何なんでしょう。
#129
○説明員(富田正典君) 法律的な性格と申しますと、ただいま正確なお答えはできないかもわかりませんが、要するに、密入国してきた者ないしは不法残留してきた者をそれぞれの本国に強制送還するという場合に、国内に居住を認めるわけには参りませんので、その送還までの間、社会から隔離して送還を確保するというためのまあ送還の確保と、船待ちのための滞留所ということになるのじゃないかと思います。正確な表現でなくてまことに恐縮に存じます。
#130
○稲葉誠一君 そうすると、刑法上の被疑者とか被告人とか、あるいは受刑囚とか、そういうようなものを入れておく所ではないわけですね。
#131
○説明員(富田正典君) そのとおりであります。
#132
○稲葉誠一君 そうすると、刑務所なり拘置所などと比べて、待遇などあるいは処遇の問題は相当違いがなければならないと、こう考えてよろしいですか。
#133
○説明員(富田正典君) 刑務所等の一つの性格といたしましてこれを逃亡させない、社会から隔離するという作用がございますが、その面におきましては、送還を確保するために逃亡等をさせないためにという性格からいきますと、この点は共通しておると思います。その面から発するところの処遇上の問題は共通点があると思いますが、その他の点におきましては、これは刑務所とはおのずから違った待遇をすべきであることは言うまでもないと思います。
#134
○稲葉誠一君 逃亡の場合でも、片方は犯罪を犯して既決囚になっている人、片方はいわば行政上の必要からそこに収容されておる人ですから、逃亡の諸点からいってもこれは相当違いが基本的な考え方になくてはならぬと思うのですがね。そこはどうでしょうか。
#135
○説明員(富田正典君) はるばる海を越えて密入国してきたわけでありますから、これが本国に送還されるということになりますと、刑務所の中に収容されておる者が社会に復帰したいというより以上に強烈な欲望があるわけでございまして、これを普通のホテルのような所に収容しておきますと、これは全く強制送還のための収容所としての性格あるいは存在意義というものは、失われるわけでございまして、最小限度その面の手当と配慮というものはどうしても必要かと存じます。
#136
○稲葉誠一君 今のお答えはちょっと私の質問と食い違っておるし、私自身も今の答えではまだ納得できない点がありますが、これは時間があれですから、別の機会にもう少し質問したいと思うのです。
 現在入っている人はどのくらいいますか。国籍別もわかれば……。一番新しい統計がいいですが。
#137
○説明員(富田正典君) 五月二十日現在で百五十一人でございます。これは、その内訳はちょっとわかりかねます。
#138
○稲葉誠一君 その大村と川崎との人数の区別、それと入っている人の国籍別のものがわかれば、きょうでなくてもいいですから、お調べを願いたいと思います。
#139
○説明員(富田正典君) 大ざっぱなおおよその数字ならば従来の増減状況から見てわかると思いますが、川崎は収容定員が五十名でございまして、ここに大体いつも定員一ぱい近くのものが入っております。欧米人と中国人でございます。内訳は変動しておりますが、中国人が約三十五、六人、その他が欧米人というふうになっております。それから大村のほうは、三百名くらいになりますと送還いたしますので、百二、三十名から三百名くらい常時入っておるわけでございますが、従来は中国人は一名もこの中には入っておらずに、韓国人だけでございます。現在のところ、中国人の退去強制者がたまりまして、各事務所の収容易に収容を余儀なくされておる事情がございますので、約十数人くらいだったかと思いますが、これを一時大村に入れております。これは四月から臨時的に処置しておりますが、これは川崎があき次第引き取るという臨時的な処置でございます。
#140
○稲葉誠一君 川崎にしろ大村にしろ、収容所が設置されておるのは、どういう法律によって設置されておるのですか。
#141
○説明員(富田正典君) 法務省設置法でございます。
#142
○稲葉誠一君 法務省設置法によって設置されておるのはこれはわかりますが、そうすると、内部のいろいろな処遇規定だとかいろいろなものがあると思うのですが、それはどういうふうになっているんでしょうか。
#143
○説明員(富田正典君) 出入国管理令の六十一条の七に被収容者の処遇の規定がございまして、この委任を受けて省令が出ているわけでございます。その省令は、被収容者処遇規制〔昭和二十六年外務省令第二十一号〕でございます。
#144
○稲葉誠一君 その省令というのは、川崎収容所と大村収容所一本にした省令ですか。その省令をタイプか何かして配っていただきたいと思うのですが。
#145
○説明員(富田正典君) 一本でございます。
#146
○理事(後藤義隆君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#147
○理事(後藤義隆君) 速記をつけて。
#148
○稲葉誠一君 大村の収容所なり川崎の収容所、これを入管の責任的な立場にある人が近年視察に行ったりしたことはあるのですか。
#149
○説明員(富田正典君) これは一番われわれも重要視しておりますので、局長、次長、担当課長は見に行っております。そして、担当の警備課長は二、三回見に行っていると思いますし、局長もごく最近見に行っております。
#150
○理事(後藤義隆君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#151
○理事(後藤義隆君) 速記をつけて。
 それではここで暫時休憩いたします。
   午後零時五十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十四分開会
  〔理事後藤義隆君委員長席に着く〕
#152
○理事(後藤義隆君) 委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、調査を行ないます。
#153
○亀田得治君 不動産に関する権利変動の登記等が法務局で行なわれた際に、法務局のほうと税務署との関係ですね、法務局から通知をしたり、あるいは税務署から調べに来たり、そういう関係があるわけですが、その点につきまして若干お尋ねをしてみたいわけです。
 まず、いろいろ意見も申し上げるわけですが、その前に、現在までのしきたりですね、それは一体どうなっておるのか。せんだって、法務当局と大蔵当局との間で、一応ことしはこういう方式でやろうという話し合いをつけたようでありますが、それはまた後ほど聞きますが、今までは一体各法務局においてどういう扱い方をやってきたのか、その現状を、まずせんだってまでの現状をお聞きしたいわけです。
#154
○政府委員(平賀健太君) 法務局、地方法務局におきましては、昭和三十六年の七月から・土地または建物の所有権移転の登記をしました場合には、その旨を税務署に通知をするという取り扱いになっております。それからなお、市町村の固定資産税の関係におきまして、これは地方税法の施行当初からでございますが、法務局のほうで、土地建物に関しまして登記をいたした場合には、やはり市町村にその旨を通知するという取り扱いになっております。
#155
○亀田得治君 固定資産税の場合には、地方税法のほうで何か規定があったはずですね。市町村役場に法務局から通知する、それは規定に基づいてやっているはずなんですが、税務署に通知をするというのは、これは何も法的にそういう根拠規定というものがないはずで、その点が根本的に違うはずなんですが、それはどうでしょう。
#156
○政府委員(平賀健太君) 市町村に対する通知につきましては、ただいま仰せのとおり、地方税法の三百八十二条という規定がございまして、法律にはっきり規定があるのでございます。これは何ぶん国と地方公共団体という別個の機関である関係で、法律でこの点が明示されておると思うのでございますが、登記所と税務署との関係は、同じく国家機関相互の問題でございまして、国の機関相互の間に互い協力しなければならない、行政事務を能率的に執行していく上において必要に応じて互いに協力すべきことは、これは当然の事理であろうと思われるのでございます。そういう関係で、特に法律に明文の規定がございませんけれども、国税庁のほうにおきましても、私どものほうにおきましても、そういう一般的な協力の義務という見地で国税庁のほうもわれわれに協力を求め、また、われわれも国税庁の要請に対して協力をいたしておる、そういうことだろうと思っているわけであります。
#157
○亀田得治君 先ほどのお答えですと、昭和三十六年七月からそのような措置をとっているというお答えであったようですが、それまではどういう実情であったわけですか。
#158
○政府委員(平賀健太君) それまでは、税務署のほうから随時調査に参っておったという実情でございます。
#159
○亀田得治君 三十六年七月には、そういたしますと、だれの名前でどういう趣旨の指示というものがなされたわけですか、もう少しそこを具体的にお話しを願いたいわけです。
#160
○政府委員(平賀健太君) その経過を申し上げますと、昭和三十六年の四月でありますが、国税庁の長官から法務省に対して協力方の依頼がございまして、法務省の民事局におきましてこれを検討いたしました結果、協力をいたしましょうということで、同年の五月に回答をいたしまして、法務局、地方法務局の長にもその趣旨に従って協力するようにということで通達を出した次第でございます。
#161
○亀田得治君 それは、通達は出しましても、きちんとその通達どおりに事が運んでいなかったんじゃないですか。
#162
○政府委員(平賀健太君) おおむね通達どおりに事が運んでおるのでございますが、ただ、一部の登記所におきましては、非常に多忙をきわめておるところがあるわけでございます。ことに、年末などになりますと、本来の登記事務が非常に殺到いたしまして多忙をきわめます関係で、そういう場合には通達どおりの協力が必ずしもできない。そういう場合には、個々的に当該の登記所と税務署と話し合いをいたしまして、税務署から以前のとおりに調査に来てもらうとか、あるいは年末の非常に忙しい時期に通知をしないで、忙しい時期が過ぎてから従来の分も一緒に通知するという、いろいろな方法でもってそういう繁忙期を過ごしたという例はございますが、大体全体としましては通達の趣旨に従って通知が行なわれておるというふうに考えております。
#163
○亀田得治君 法務当局に対して大蔵省からそういう協力要請があって、それに対しては何か財政上の裏づけというものは当時なされたわけですか。
#164
○政府委員(平賀健太君) この協力に対する裏づけといたしましては、昭和三十六年度におきまして税務署に通知する場合の用紙代約百七十万円ほどが入っております。ところが、これのみではどうしても十分でございませんので、三十七年度におきまして、法務省のほうにおきまして大蔵省と折衝いたしました結果、用紙代が約四百万円足らず入ったという経過でございます。それからなお、三十八年度におきましては、用紙代だけではどうしてもやはり不足いたしますので、用紙代のほかに人をも要求いたしたのでございます。従来は、予算の面はそういうことになっております。
#165
○亀田得治君 そうすると、三十六年度と三十七年度は紙代だけということのようですが、紙代そのものは百七十万と四百万でちゃんと間に合っているわけなんですか、紙代自身が足らないということになるわけなんですか、それはどうなんですか。
#166
○政府委員(平賀健太君) 紙代はそうたいして不足はないように思っておりますが、問題はやっぱり人手が要るものですから・三十八年度におきましては賃金を実は要求いたしたのでございます。しかし、この点、大蔵省と国税庁と私どもの三者が話がうまくいきませんで、予算折衝の過程においてうまく調整がとれませんで、結局、従来の税務署通知に要する経費につきましては、法務省には予算がつかないで予算案ができ、それから予算も成立したという経過になっております。しかしながら、国税庁におきましては、どうしてもやはり法務局の協力を得ることが能率的でもあり確実でもあり、また、登記所といたしましても、常時税務署から職員が登記所のただでさえ広くない事務室に入られまして登記の申請書なりあるいは登記簿なりを閲覧されましたのでは、こちらのほうとしてもかなりの不便を感ずるわけであります。そういう点も考慮いたしまして、やはり従来どおり国税庁に対して協力をすることのほうが相互のためにいいのではないかということになりまして、さらに国税庁と私どものほうとの間で折衝をいたしまして、先ほども亀田委員ちょっと仰せのように、国税庁のほうにつきました予算の執行を法務省に委任をするという形で、この賃金並びに用紙代合わせまして、約一千万円前後の予算を法務省のほうで執行するということで、そういう方向で現在国税庁となお折衝をしておる状況でございます。
#167
○亀田得治君 三十八年度のことに話が入ったわけですが、ただいまおっしゃった一千万円というのは、もう結論が出た数字でしょうか。
#168
○政府委員(平賀健太君) 最終的にはまだきまっておりませんが、大体そういう方向で結論が得られるというふうに考えております。
#169
○亀田得治君 この一千万円の内訳は、一体どういうことになるんでしょうか。用紙代と手間代ということになるだろうと思うんですが、そこの積算基礎を明らかにしてほしいと思います。
#170
○政府委員(平賀健太君) 大体、賃金分が約九百万円でございます。それから用紙代が国税庁のほうで負担していただく分が約百五、六十万円になろうかと思っております。
#171
○亀田得治君 そうすると、またさかのぼるわけですが、昭和三十七年度が四百万円というのは、これは用紙代だけじゃなしに、そういう賃金の補いというふうなものも入っていたわけですか。
#172
○政府委員(平賀健太君) 三十七年度――三十六年度もそうでございますが、これはもっぱら用紙代だけでございます。
 それから、ただいま国税庁のほうから私のほうに執行委任を受けましたものは用紙代百五十万円ほどと申し上げましたが、これは間違いでございまして、これは三百万円でございます。
#173
○亀田得治君 そうすると、七百万円程度が賃金の補いということになるわけですが、これはどういうふうに配分されることになるわけでしょう。
#174
○政府委員(平賀健太君) 賃金分が約九百万円近くでございますが……。
#175
○亀田得治君 七百万円でございましょう、全部で一千万だから。
#176
○政府委員(平賀健太君) 概数一千万と申し上げましたが、もっと正確に申し上げますと、賃金が約九百万、用紙代が三百万でございますから、千二百万でございます。
#177
○亀田得治君 千二百万円ですな、そうすると。
#178
○政府委員(平賀健太君) この九百万円の賃金を賃金職員の数に直しますと、大体六十名前後の数になるわけでございますが、六十名の賃金職員をどういうふうに配置するかという具体策までまだ立てておりませんけれども、結局、事務の繁忙庁に重点的に割り当てるということになろうかと思っております。
#179
○亀田得治君 事務繁忙庁というのは幾つぐらいあるわけでしょうか。
#180
○政府委員(平賀健太君) 事務繁忙庁の分け方もいろいろございまして、私ども、年間甲号事件一万件以上の庁、あるいは二万件以上の庁、あるいは三万件以上の庁というふうにいろいろ分類いたしております。ただいまのところちょっとこの資料を持ってきておりませんので、正確なお答えはできませんが、税務署通知のために特に賃金職員を置かなければほんとうにどうにもならないという庁というのは、そう数は多くないと考えております。
#181
○亀田得治君 しかし、たとえば不動産登記を出張所に持っていく、そういう場合に、すぐその登記がされないで何日か残る、ずっと順々にずれていくというふうな現象というものが相当あちこちにあるわけでしょう。そういう現象になっておるものは、これはやはり全部事務繁忙庁だと私は思うのですね。国民の立場からいえば、登記所に持っていった、すぐそれが登記されるということでなければ、いろいろな法律行為に支障がやっぱりあるわけなんです。それはなるほど二、三日延びても支障のない人もあるかもしれぬ。しかし、支障があるものという前提でお役所は世話しなければならぬと思うんですね。そういう観点に立ちますと、そういうきちんとした状態になっておらないいわゆる繁忙庁といいますか、そういうものは相当私は多いと思うわけなんですが、東京都内とか大阪だけを数えても一体幾つくらいになるのですか。今私が申し上げたような標準で、とにかく持っていったものをすぐその日のうちに処理できないというやつですね。なぜそんなこまかいことを聞くかというと、なるほど国の機関同士がお互いに協力し合うということは、これは別に否定する必要のないことかもしれぬ。しかし、その本来の仕事がおくれておるのに、しかも司法書士などに手伝いをさせたりしてやっていてもなおかつ翌日回しとかあるいは四日おくれる、五日おくれる、そういうものがある現状で、簡単にほかの仕事を持ち込むということは、やはり国の政策からいってもちょっと問題があるというふうに感ずるわけで、一体そこの現状はどうなっているのか、おくれというのは。それをお聞きするわけです。
#182
○政府委員(平賀健太君) 東京でございますとか大阪でございますとかその他の大きい都市が特に著しゅうございますが、遺憾ながら登記所の現状は亀田委員仰せのとおりでございまして、本来の登記というものは、午前中に申請が出れば午後には登記ができなければならない、それが本来の建前なのでございますが、遺憾ながら現状は必ずしもそのようになっておりませんで、翌日になり、あるいは二日おくれ、三日おくれる、場合によりましては一週間あるいはそれ以上もおくれるというのが非常に残念ながら現状なのでございます。そのおもな原因は、これには人手の不足ということももちろんございまして、 これが一つの大きな原因にはなっておりますが、そのほかになお庁舎が非常に古い、非合理的な庁舎が多いということ、これが非常に事務能率を阻害いたしております。それから特に登記簿を入れております書庫が非常に狭隘である。また、事務室が狭隘でありますためにごった返しまして非常に大きな事務の障害をなしておる。それからまた、これは登記簿を格納します書庫が狭いということと関連いたしておるのでございますが、登記簿をずっと薄い登記簿にいたしますと非常にいいのでございますが、そういたしますと登記簿の冊数が非常にふえましてスペースをとります関係で、どうしても分厚い登記簿にしなければいけない。そのために登記簿がかち合いまして事務の処理がおくれる。いろいろな要素が重なり合いまして登記事務が遅延するという結果を招いておるようでございます。
 ただ、この税務署通知につきましては、これが本来の登記事務の処理の流れの中でどの程度の事務量を占めておるかという正確な計算はなかなかむずかしいのでございますが、全体の登記の事務量の中において占める比重を見ますと、これは比較的小さいもの、時間を要するわけじゃございませんし、登記事務の処理の過程においてこの記入をやっていきますとそう時間がかかるものでもないのでございますので、この税務署通知があるためにそれが登記事務の処理の遅延の非常に大きな障害をなしておるというふうには私ども考えていないのでございます。登記所の登記事務が非常におくれるというなら、もっと根本的な手当を考えなければならないのでございまして、税務署通知をすることのためにさらに登記事務の遅延に非常に大きな拍車をかけておるというふうには私ども考えていないのでございます。
#183
○亀田得治君 それは、中心の仕事が登記簿自身を作る仕事なんですから、だから、その通知事務のために先ほど申し上げたような行き詰まった状態が出ておるとは私は申し上げてないのです。しかし、その本来の仕事がこう詰まっておるところへもってきてそういう通知事務というものをプラスするわけですから、これは非常なやはり負担になるわけです。気分的にも、ちょうど水が満ぱいになっているところに――普通なら七分目か八分目のところならば、ちょっと水を落としても何らの障害が起こらない。満ぱいになっているところに落とせば、ほんの一滴でもこれは下をぬらすわけでしょう。そういう状態だと思うのです。満ぱいでないときにそういうことをされても、それはあまり人を刺激しないけれども、満ぱいのところに基本的な問題の処理を片づけないでそのまま持ってこられるというところに、気持の上からいってもはなはだすっきりしないものが出るわけなんです。それは民事局長も実情はおわかりだから、わかっておることと思いますが、したがって、今の御答弁からいうと、もう少し基本的な問題の処理を考えてほしいんだというふうな意味のことをちょっと指摘されたようでありますが、それはまあ基本的にはそのとおりだと思うのです。それは役所の仕事がともかく一ぱい一ぱいである、ちょっと余分なことがあってもあとは翌日回しになるんだ、これではほんとうじゃない。こういう国民のサービスを目的とする庁舎というものは、多少手がすいているということであってはじめてスムーズにいくわけなんです。それはぜひそういうふうに早く持っていってもらいたいわけですが、しかし、それが片づかない満ぱいのところにさらに通知事務をやって、今度はよけい予算をもらうんだから、よけい何か義理を感じますよ。今までなら、こんな忙しい場合にはお前のほうから来てくれと、こう言うておった。さっき局長も言うわけですから。ところが、それがだんだん言えないようになってくる。金はほしいけれども、そういう金はもらうべきものじゃないんじゃないか。もうちょっと慎重にやはりやりませんと……。そういう意味で聞いておるわけですが、そこで、先ほどちょっとお聞きしました六十名の配置というものがまだよくはっきりしないようですが、全国で登記所が約二千カ所あるわけですけれども、私の感じでは、半分くらいは、少なくとも三分の一は、当日受け付けたものを当日中に処理できるというふうになっていないんじゃないかと思うのですが、大まかにいってどうなんですか。
#184
○政府委員(平賀健太君) ただいまのコップに水が一ぱい入っておって、一滴でも水を入れるとこぼれるのではないかというお話でございまして、これは全く仰せのとおりだと私も思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、現在の登記所の事務室というものが、全般的に申しまして非常に狭いところが多いわけでございます。書庫もまた非常に狭隘を告げている。そこへ常時税務署から来られまして帳簿を広げられては、こちらの事務の障害にもなるわけでございます。そういう点から考え、また、国全体の財政と申しますか、行政事務の効率的な処理と申しますか、そういう見地から見まして、税務署の職員が一々出張しまして登記所に行って調査をするよりも、登記所のほうにおきまして登記をするつど所要事項を書き抜きまして税務署に通知をするということのほうが、より合理的であるということになりますれば、われわれとしては、協力をするのが筋ではなかろうかと思うのでございます。仰せのとおり、なるほどたとえそう大きな事務量を占めないとはいえ、登記所にとってはこれはかなりの負担になるわけでありますから、その負担軽減の方法、あるいは予算的な裏づけにつきましては、私どもとしましてはあらゆる努力をいたしたいと考えているわけでございます。現に、本年度からは、通知書の様式なんかにも、現場の意見も十分に取り入れまして、合理的な様式をとりたいということで、つい先ごろ国税庁との間でもその点について話し合いをしたような次第でございます。
 それから予算の点につきましては、国税庁からの申し出に基づきまして、先ほど申し上げましたように、国税庁につきました予算の執行委任ということで話を進めているわけでございますが、私どもとしましては、あくまでこれは協力ということなのであって、千二百万円ほどの予算のために喜んでこれを引き受けるという筋合いのものではございません。あくまで協力でございまして、三十八年度におきましても、はたしてそれだけで私どものほうの需要が満たされるかどうか、これは疑問でございます。まず、本年度一応そういうことで予算を執行いたしまして、その上で三十九年度以降のことはまた考えたいというふうに私どもとしては考えている次第でございます。
 それから登記事務の処理が全国の登記所を通じてどういうふうになっているかということでございますが、私どもの知っております範囲におきましては、全国の登記所の大多数は、その日の午前中に登記の申請が出ますれば、普通の事件でございますと、午後には登記が済む、おそくとも翌日までには済むというのが大半の状況ではなかろうかと思うのでございます。しかし、東京でございますとか、大阪でございますとか、その他五大都市の登記所、特に都市周辺の郊外地の登記所におきましては、都市の異常な発展に伴いまして、登記事件が殺到しているところが少なくないわけでございます。そういうところにおきましては、ややともすれば登記がおくれがちであることは仰せのとおりでございます。
 なお、登記所の現状を申し上げますと、地方法務局の本局まで入れまして登記所の数は約二千足らずということになるわけでございますが、この二千足らずの登記所のうち、半数前後を職員がたった一人あるいは二人という実に小規模の登記所が占めているわけでございます。そういうところも、特殊の登記事件が出ますと非常に繁忙をきわめることがあるわけでございますが、概していいますと、それほど登記所が繁忙をきわめているわけではございませんので、そういうところでは大体即日処理の原則が行なわれているというふうに私どもは考えております。
#185
○亀田得治君 登記のおくれの現況につきましてのはっきりとした調査といいますか、そういうものは出ていないわけですか。
#186
○政府委員(平賀健太君) 本省におきましては、登記事務の処理状況を常時把握しているというわけではございませんが、各法務局、地方法務局におきましては、管内の人員配置を適正にするためには、常時、事件数、その処理状況を把握しておく必要がございますので、各法務局、地方法務局におきましては、おおむねその状況を把握いたしております。もし御要望がございますれば、どの登記所についてはどうだということは、調査をいたしますればすぐわかることでございます。
#187
○亀田得治君 ひとつこれはしょっちゅう問題になることなんでして、実際にどの程度になっているのかという点を、あなたのほうで集計して、資料としていただきたいと思います。集計の仕方にいろいろあろうかと思いますので、できるだけわかりやすくお願いしておきます。
#188
○政府委員(平賀健太君) 全国の登記所につきましてということになりますと、相当時間もかかりますので、サンプル的に非常に事件数の多いところ、中程度のところ、小規模のところというふうに、幾つかの段階に分けまして、サンプル的に調査をいたしまして御報告申し上げます。
#189
○亀田得治君 そういう際でも、たとえばいなかなどで普通は忙しくない場所であっても、このごろはいろいろな地方の開発というものがあるわけで、そういうことに関連した登記等が来ると、一ぺんで繁忙になるわけですね。そういうふうな場合には、一体どういうふうなことになっておるのか。それを一年間にならしてしまうとわからんようになってしまうと思いますね。こういうサービス機関である以上は、年間においてそういうことが何回ぐらい起こるとか、そういったようなこともやはり把握してみる必要があるのじゃないかと私は思うわけです。そういうことがたびたびあっては、たいへんやはり不親切になるわけだし、相当数そういうことがあるということなら、そういう場合には、ほかの法務局から応援に行くということを考えるとか、何かやはり対策を考える必要があるわけですね。そういうことにも関連するわけですが、忙しいということはいつも聞くわけですが、その現況をはっきりわかるように出してほしいと思います。
 それで、こういうふうに予算が増額されて三十八年度はお手伝いしようということになったわけですが、こちらの本職が忙しい場合には、向こうの仕事はあと回しにすると、そういうことでもいいわけですね。
#190
○政府委員(平賀健太君) ない袖は振れぬと申しますが、こちらのほうの本務が忙しくてどうしてもできないという場合には、やむを得ないと思っております。現に、昨年の暮れなんかにおきましても、一部事務繁忙期を指定いたしまして、その月は税務署通知はしなくてもよろしいと、これは国税庁のほうとも相談をいたしまして、そういう指示も現にいたしております。本年度におきましては、必要に応じてそういう措置は講じなければならぬと考えております。
#191
○亀田得治君 この仕事は、法務局の職員が不動産登記を扱ったそのつど通知書類を書いていくということのようですから、本来の職務とくっついておるわけですね。引き離さぬわけでしょう。そうすると、あと回しにするということになると、あとからまた書類を引っ張り出して書くということにもなるわけですが、ともかく、忙しいところでは仕事が引き離されるおそれもあるので、よけい負担になるわけですね。そういうことは、ちゃんと計算の中に入っておるわけですか。
#192
○政府委員(平賀健太君) 現在の取り扱いは、毎月一カ月分を取りまとめて通知するという取り扱いにいたしておりますが、その事務の処理を最もスムーズに合理的にやるには、一カ月たってまた申請書を出して拾い出して書くという方法もございましょうけれども、むしろ個々の事件を処理するつど所要事項を通知書に書き取っていくということのほうが、より能率的ではないか。多くの登記所においてはそういう取り扱いをしております。
 さらに、従来は通知書の様式を連記式にいたしておりましたけれども、この連記式というのは必ずしも効率的でございませんので、今後は不動産一件ごとにカード式の用紙を使って通知書を作ることのほうがより能率が上がるのではないか、また、負担もより少なくなるのではないかということで、国税庁のほうとも協議いたしまして、新しい様式をきめようと考えている次第でございます。
#193
○亀田得治君 従来のものに比較して、今回のやつは、一件片々別々な様式になるというわけですね。そういう意味ですか、連記式を改めたというのは。従来は一枚の紙に何件も書き込んでいくというのを、今度は一件ずつ別別にすると、こういう意味ですか。
#194
○政府委員(平賀健太君) 大体そういうことでございます。従来はたくさんのものを連記いたしておりましたが、今後は所有権移転の当事者ごとにやっていこうということで様式を考えております。
#195
○亀田得治君 新しい方式のほうが字数はよけい書かなければならないのじゃないですか。一枚の紙にどんどん書き込んでいくのよりも、新しく一件ごとに別々の用紙を使うということになれば、どうしても字数は私は多くなると思うのですね。共通部分というのは、連記式であれば省けるわけですから。そういうことにならんですか。
#196
○政府委員(平賀健太君) 記載する事項は同じでございますので、たとえば所有権移転登記の申請が出る。その移転登記の申請が不動産が一個でございますれば、その一個につきまして、不動産登記簿の記入をする際に記入係のものが通知書の中に書き込んでいく。もし三筆の土地なら土地、二個の建物なら建物という工合に、一件の申請で幾つかの不動産が一緒に申請がございますと、その三筆なら三筆、あるいは二個の建物なら建物ごとに通知書を作っていく。むしろこちらのほうが能率的ではないかというふうに考えられます。連記式でございますと、一カ月分をずっとこれに続いて書いていくのでございますので、同じ用紙を一カ月持っておりまして、それに書き込んでいくというふうに、どうしてもやはり整理、保管のためにうまくいかぬのではないか。いろいろ検討の結果、当事者ごとに通知書を、そのつどいたしていくということのほうが合理的であるように考えられるのでございます。
#197
○亀田得治君 それは、やはり扱う紙の数が第一多くなるわけですし、それから紙が何枚にもなってくるわけですから、数えてもみなければならぬわけでしょう、一カ月ごとに送るにしても。だから、いろいろな余分な仕事が出てくる。おそらく、そういうふうにしたのは、その通知を受け取った税務署側の仕事の便宜のためにそういう様式が考えられたのじゃないかと思うのですね。受け取ったほうからすれば、おそらく係官は何人もいるでしょうから、受け取ったものを地区別にでもさっさっと分けてやれば非常に便利なんです。だから、向こう側の便利さなんです、少なくとも。だから、こっち側としてはやっぱり負担増になると私は思う。今度のやつをお聞きしますと、複写でやるわけです。市町村に送るのと同じものをやるわけでしょう。複写というのは相当これは力が入るわけですから、とにかく力を出し尽くしているわけだから、そこにもう一筆書いてくれというのだから、これは非常な負担増になる。だから、そういう意味からしても今度のやつは相当重い負担がかかってくるというふうに感ずるわけですが、そんなことにならぬですか。税務署の都合でしょう、ばらばらにしたのは。こっちのほうとしては、紙一枚持ってきてメモにちゃんと書いてぽんとおけばいいのだから。
#198
○政府委員(平賀健太君) 税務署のほうも、確かに新しい様式になりますと便宜であります。われわれのほうにとっても便宜でございまして、登記の記入係は一人ではございませんで、二名、三名、四名、五名、まあたくさんいるわけでありまして、一カ月まとめて連記式ということになりますと、まずメモをとってさらに通知書の用紙に書き込まなければならないという二重手間になるわけでございますが、カード式といいますか、こういうふうにやっておりますと、登記簿に記入をする際に、あるいは調査係がやるのだから、調査の際に、普通は記入係でやるのが合理的だと思いますが、記入係がやる際にこの表に書き込んでおきますと、さらに書き直しせずにそれをまとめて税務署に送れるわけだから、一ぺんの手間で済むというふうになるわけでございます。その点は私ども十分検討いたしまして、税務署のみならず、法務局としましても、私は今回のほうがより合理的であるということで新しい様式を採用したいと思うわけでございます。いろいろ御懸念もございましょうけれども、御意見の点はなお検討いたしまして、これでなお不十分ということであればさらに検討いたしたいと考えておる次第でございます。
#199
○亀田得治君 それから、先ほども局長からちょっとお答えがあったわけですが、三十八年度の予算要求の際に、法務省としてはこの通知に関する経費の要求をしたが認められなかった、こういうふうなお話でしたね。それで、その段階では法務省としては非常に良心を発揮してそういうことをやられたのだと思うのですが、法務省はそこまで乗り気になってやる必要がないことなんですが、しかし、おやりになったわけだ。なったのをけられたわけですね。それほどこの仕事というものはちゃんと税務署のものだ、だからお前のほうには予算をつける必要がないのだというふうなことを言われるならば、もうこれはほっておいていいものだと思うのです、その経過から言っても。そのときは予算を法務省のほうにつけないでおいて、そうして大蔵省、国税庁のほうでそれを取って、今度はまたそこから持ってきてひとつ頼む、はなはだ私はその点も筋が通らぬように思うのです。だから、そういう経過等があれば、なおさらこれはもう予算作成の過程からいったって、国税庁の仕事なんだから、お前のほうでちゃんとやれ、ともかく出てくれば書類だけは見せてあげましょう、それで割り切られたほうが私は筋が通ると思うのですが、そしてやはり本格的に登記の一般の事務が進展するように、あるいは負担過重の問題等もあるわけだから、そういうことのためにもっと取り組んでいくという立場をはっきりとられたほうがいいように思う。そうでないと、法務省は忙しい忙しいと言っているが、結局はそうでもないのだというふうな印象を大蔵省にも私は与えはせぬかと思う。だから、今度の三十八年度の経過から見ても、こんなものは当然断わってしかるべきだったのじゃないか。向こうは税金を取るのが商売なんですから、断わったからといって引き下がっているわけじゃない。どうしてもあなたのほうにやってもらいたいというなら、今度はもっときちんとした本格的な予算措置をしてまた頼みにくるかもしれぬし、その際はその際でまたよく検討したらいいわけなんで、どうも法務省のほうが少し気が弱いのじゃないかと思うわけですが、どうなんですか、断わって悪いものですか。
#200
○政府委員(平賀健太君) 先ほどの私のお答えの仕方があるいは間違っておったかもしれぬと思うのでございますが、大蔵省のほうでは予算をけったわけじゃございません。大蔵省、国税庁、私どもとの間で話し合いがつかなかったということで、大蔵省としましては、これは税務署がやるべきもので登記所がやるべきでもない、そんなものは予算をつけない、そういうふうに大蔵省が言ったというわけのものではございません。三者の調整が十分につかなかったために、概算要求書の中に私ども要求はいたしましたけれども、結局大蔵省のほうではなお今後国税庁とわれわれとの間で話し合いをするということでもって予算をつけなかったというのが実情なんでございます。
 それから、これは税務署のやるべきことなんだから、法務局としては断わるべきではないかという仰せでございます。一応私どももごもっともだと思うのでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、国の機関相互としてはやはり協力をするのが国家機関の建前である、その協力をすることが国全体の行政を能率的に動かしていく上においていいということになれば、私どもとしましては一応の予算措置が講ぜられます限りは協力するのが筋であると考えます。それからなお、先ほども申し上げましたように、常時税務署の職員が狭い登記所の事務室に入りまして登記の申請書あるいは登記簿なんかをひろげられまして事務室の一部を占拠されるということになりますと、登記所によりましては非常にそれが事務の支障になるというようなこともあり得るわけでございますので、そういういろいろな事情を考慮いたしまして本年度も協力をしようということに踏み切ったのでございます。
#201
○亀田得治君 税務署から来て場所を一部使われると困るというふうなこともおっしゃるわけですが、それはそれとして大蔵省のほうで措置をさせたらいいわけですね。どうしても税務署のほうがときどき法務局のほうへ来るということなら、それだけのスペースというものはちゃんと確保できるように庁舎等の問題を整備せいという要求を逆に出していったらいいわけですね。そのことのために本来の仕事でないことをこちらがやらなければならぬというのは、多少筋が通らぬ。それから、現実に法務局の場所によっては、税務署から来てもらっても差しつかえないような庁舎もあるわけですね、新庁舎などできたりしているところでは。だから、そういうところは税務署に来てもらっていいわけですね。こちらが書類をそこにそろえて出しておいて見てもらったらいいわけですから。そういうところは差しつかえないでしょう。何も統一的に必ずやらなければならぬことはない。どういうふうにお考えですか。
#202
○政府委員(平賀健太君) 仰せのような登記所もございます。しかし、先ほど繰り返し申し上げましたように、根本は国の機関相互間の協力ということなんでございます。
#203
○亀田得治君 それでは、最後にもう一つ念を押しておきますが、ともかく本来の仕事が忙しくて困る、とてもこういう通知事務までやれないというふうなことになった場合に、それをしないという職員がいるような場合に、これは法律的にどういうことになるんですか。あなたのほうではそういうことはやはり職員としての義務違反というふうな解釈ができるんですか、どうなんでしょう。
#204
○政府委員(平賀健太君) 職員としての義務違反になると思います。
#205
○亀田得治君 それはどこから来るわけですか、そういう義務違反というのは。職員は登記の仕事をするために雇われている。通知事務なんというのは法律上何も書いてあるわけじゃない。単なる協力関係として上から付加されているだけのことです。義務違反というようなことが言えますか。
#206
○政府委員(平賀健太君) 法務局の職員は、法務局の事務を処理するのが任務でございまして、われわれとしては、法務局の事務として税務署通知の仕事をやることを引き受けたわけであります。職員としては当然その職務に従事すべき義務があると思うのでございます。
#207
○亀田得治君 しかし、三十八年度の予算折衝の過程でも、多少言葉つかいは違うかもしれませんが、ともかくこの仕事は税務署の仕事だというふうにやはり筋としてはなっているわけですね。だから、どうしてもその仕事を法務局としてやりたいということであれば、そういうことに賛成する臨時の人を使うなりしておやりになればいいわけなんです。そういうことにならぬでしょうかね、本来の仕事じゃないんですから。それでは、このほかに法務省の人がこれは関係があるからといってまた何か余分の仕事を職員に命ずる、そういうことが義務になっていきますか。おそらく詳細に検討すれば、もっとほかのことも考えられると私は思うんです。それから、そういう税務署の仕事に協力するにいたしましても、見せることまではそれは協力しなければならぬだろう、書類を出してやることだけは。しかし、こっちが書くことまでは、そこまでは義務の範囲に入るかどうか、こまかく検討をしてみなければならぬわけでしょう。簡単にこれは一方的に国の仕事だからあたりまえだというふうにいかぬのじゃないかと思う。
#208
○政府委員(平賀健太君) なるほど、仰せのとおり、税務署に通知するという仕事は、不動産登記法で規定されている事務自体でないことは仰せのとおりでございます。しかし、法務局の仕事ではない、法務局がやるべきことではないということには必ずしも相ならぬだろうと私どもは考えております。
#209
○亀田得治君 それは根本があなた違っていますよ。あなたはその地位にいて大体こういうふうに進んでおるから言われますけれども、これは税務署が不動産の移動についての税金をどうして取るか、その資料の収集なんです。だから、資料の収集についてほかの国の機関が全然隠すということは私はできないと思う。だから、見せるとか、あるいは聞きに来れば答えるとか、これは私は常識的な協力の範囲だと思う。だけれども、自分で書いていかなければならぬことをお前が書け、その範囲は私はちょっと行き過ぎじゃないか、そういう点をお聞きしておるわけです。
 じゃ、この仕事をやらなかったら義務違反だということで、一体、どういう処分をされるわけですか。
#210
○政府委員(平賀健太君) 私どもはそう考えていないのでございます。法務省設置法あるいは法務局及び地方法務局組織規程を見ますと、「登記に関する事項」は法務省の所管になっております。それから法務局の所管としましては、やはり「登記に関する事項」というのが法務局の民事行政部あるいは登記課の所管になっておるわけでございます。これは不動産登記事務それ自体だけではなしに、登記に関連する事項、そういう広い意味であろうと私どもは解釈いたしております。でありますから、たとえば不動産登記につきまして統計を作りますための資料を法務局に命じて作らせておるわけでございます。これなんかも法律には全然規定がないことであります。不動産登記法には明文の規定はございません。しかし、これはやはり不動産登記に関する事項として当然法務局の職務としてやるべきことであると私は考えております。税務署の通知も、それとは若干違いますけれども、やはり広い意味の登記に関する事項として法務省におきまして国税庁に協力するという建前をとりました以上は、これは当然法務局としてはそれをやるべきである、職員はその方針に従って事務を処理すべきものと私は考えます。
#211
○亀田得治君 統計なんかの場合とだいぶ違いますよ。統計というのは、これはやはり内部の人しかわからぬ仕事なんです。したがって、統計を整備するということになれば、内部の人が協力する、これは私は当然物事の本質から出てくる仕事の範囲だと思うんです。外部じゃわからないわけですから。ただいま問題になっておるのは、そういうことじゃなしに、やはりこれは税務署の仕事であることは間違いがない。税務署の課税のための資料収集なんです。だから、その資料を全然隠すということはいけない。いけないが、仕事が過重で困っておるところに対してきちんとこれだけの書類を作らなければいかぬのだというふうな点については問題がある。局長が言うように、命令さえすればそれでよい、それに反したやつは職務に反した、そう簡単に私はいかぬと思うのです。一方で自分の仕事の範囲内だというちゃんと役所があるのですから。その仕事をだれもやる者がどこにもおらぬというのじゃない。ちゃんとこっちにあるのですから、予算も持って。統計の作成に協力するというようなことと事がだいぶ違う。
 まあ、このぐらいにしておきましょう。ともかく、事の起こりは、法務局が仕事がオーバーになっておるのに、さらに今度は今までよりも一そう何か強い義務づけを受けるような形態で、しかも書類の作成も、いろいろ御意見はありましたが、今までよりもやはり過重になるような格好で押しつけられるのじゃないかというところに問題があるわけですから、こまかい点の処理につきましては十分ひとつそういう点を検討の上でやってもらいたい。来年どうせまた問題になることでしょうが、ことしの経験をやはり生かしてもらって、よりよいやはり方法というものを考えてもらうようにしてほしいと思います。まあ、ほんとうはこちらが実際やいやい言うべき問題じゃないわけなんで、向こうから投げかけられたような問題であるわけでして、あまり内輪でもめるよりも、向こう側に対してもっと開き直るというぐらいの姿勢でこの問題を扱っていってほしい。どうしても、話がつきますと、内側を押えようとしますからね。やっぱり多少無理ですよ。
 それじゃ、この問題は一応この程度にいたしておきます。
#212
○理事(後藤義隆君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#213
○理事(後藤義隆君) 速記をつけて。
#214
○亀田得治君 これは、新宿の法務局の出張所ですね、ここでの具体的な問題をお聞きするわけですが、その前に、ちょっと問題点がどこにあるかということについて申し上げます。
 旧戸山ケ原ですね、あすこは国有地であるわけですが、終戦直後、昭和二十年に住宅営団があすこへ約四百五十戸というものを建てまして、そうしてこれはまあ非常に質の悪い家ですが、当時焼け出されたりして住宅に困っている人に入ってもらったわけです。それで、その後昭和二十二年に住宅営団が解散することになりまして、そこでこの住宅営団が入っている人にこの家を全部買い取らしたわけです。買い取るのは最初きちっと入った借家人組合の人だけということでみんなが買い取ったわけです。まあ、中にはお金の足らぬ人等があって、少しずつ出し合ってみんなが買い取るということになったようです。したがって、その後は国とその住宅を買い取った人との間で賃貸借契約がずっと続けられてきまして、昭和三十年にそのことを確認して、二十三年にさかのぼってみんなが地代を払ったわけですね。だから、国との賃貸借契約はそれできちっとなったわけです。ところが、さらに事態が進みまして、この敷地を家の所有者に払い下げるという話が進みまして、昭和三十五年にそういう話が総合的にまとまったようです。で、現在各家の所有者と大蔵省、具体的には関東財務局ですね、それとの間でいろいろな値段等について折衝が持たれておる過程にあるわけです。
 問題は、どういうところから私が今聞きたいと思っておるのが出てきたかといいますと、その組合員の一人に丹道彦というのがおるわけです。この人のお母さんは丹あや子という人でして、例の山谷の福祉センターにずっと勤めておりまして、東京都の婦人相談員にもなっておるお年寄りです。そういう方が住んでおるわけでして、初めから昭和二十年からずっとここに住んでおる。ところが、問題は、その途中で、これはこの人の家だけじゃないようですが、いろいろな人が、おまえがそこにおるのならおれもちょっと置かしてくれといったような格好でこぶがたくさんできたようですね。あんまりそのこぶがふくれ上がって、道がずっとふさがるというようなことになって、これでは火事になった場合に非常に困るからということで、昭和三十五年に、きちっと区画整理もしよう、そうして払い下げもしよう、こういうことになったわけです。その払い下げは家屋の所有者だと、こういうことが大蔵省として前提にしての話のようです。これは私は筋が通っていると思うのです。それ以外の者といったら、こぶまで考えたら、ハチの巣をつついたようになるおそれがあるもんですから、最初の借家人組合員の者というふうに限定してずっときているわけですね。ところが、その丹あや子、丹道彦のこの家に、これはまあこまかい話を今する必要はないわけですが、山平という人が、初めは押しかけてきたような格好なんですが、結論としては、ともかく建て増しをしたような格好でくっついた格好になっておるわけですね、家が。そこで、この土地の払い下げに関して、これは当然丹のほうでは自分のほうが払い下げてもらう、こういうつもりでやっておるわけです。ところが、もう一方のほうも、おれにも半分ほどくれというようなことで関東財務局のほうに働きかけをなさったようです。ところが、関東財務局は、そういうことを一つしたらほかにもいろいろな問題が出てたいへんだということで、正規に認めた者以外はだめだということで了承しない。そこで、この登記という問題が起きてきたわけです。何とか山平が自分があとから付け加えたその土地の登記をしよう。登記された家屋のない者はだめだと、こう言われるものだから、そのことを考えたわけですね。そうして新宿出張所のほうへ再三行ったようですが、うまくいかない。で、昭和三十六年の三月三日に、ああでもないこうでもないといって、結局山平の家屋の不動産の登記ができたわけなんです、受け付けられて、当日。ところが、この中に、家屋の建築の申告をする場合に、敷地の所有者または管理人がこれを証明する欄があるわけですね。そこを、敷地の所有者はこれは大蔵省なわけですが、大蔵省はなかなかそういう紛争のある土地であるものですから、証明を渋っておったのだと思うのですが、結果としては大蔵省が証明したような体裁になってこの申請書が出されたわけなんです。
 で、大蔵省にお聞きしたいのは、一体こういう「大蔵省」というような証明の仕方というものは一体あるのかどうかということですね。それからまた、こういう異例な証明の書面ですね、これは法務局の人は見ればすぐわかると思うのですが、これをそのまま受け付けられてそうして家屋の登記をしたようですが、だから、関係者からお聞きしますと、非常に不明朗なものがあるということで、どういう不明朗な事実かということについては若干お聞きもしているわけですが、ただその書類に現われた形式自体から言っても、一体法務局としてこんなものを簡単に認めて受け付けていいのかどうかということをお聞きしたいわけです。現物をちょっと見て下さい、大蔵省と両方で。大蔵省にはこういう「大蔵省」というような、判こも何も押してない、ただ字で書いてあるだけのこんな証明の仕方をすることがあるのかどうか。それから法務局としても、しょっちゅう人の書類を見ておる人ですから、こんな証明はおかしいというふうに感ぜられるのが普通なんですが、それをだまって受け付けられて、そうしてこう家屋登記もやってしまっている。
#215
○説明員(宮川国生君) ただいま拝見しました書類を見ますと、ただ「大蔵省」と書いてございますが、普通証明をする場合には「大蔵省」というような証明は私今まで一度も見たこともございません。おそらくそういう証明はないのじゃないかと思います。署名するとしますれば、大蔵大臣が署名しますから、あるいは、この場合でしたら、関東財務局長名義の何とかというのを署名いたしまして、そこに「関東財務局」の判こを押すというのが証明の仕方でございます。こういう証明は今まで見たことがございません。判このない証明というものはおそらくないだろうと思います。
#216
○亀田得治君 まあこちらの関係者に言うと、山平の筆跡とよく似ている、こういうことを言う人もおるわけですが、それは鑑定でもしなければわからぬと思うのですが、とにかくそういう形式の証明というものは、今お答えのとおり、なかろうと思います。
 そこで、平賀さんにお聞きするわけですが、この問題についてはそういう国有地をめぐって争いのあることは法務局も知っているのですよ。知っているものだから、さらに何とかそこに上申書をつけてあるでしょう。ごたごたがあれば自分が責任を持ちますというようなものをも付けさしているわけでして、うっかりこういう証明を見過ごしたというふうには私は言えぬと思う。大蔵省が書いてくれぬから、まあお前書け、そのかわりお前こういう上申書を付けておけといったような何か不明朗なことがなされたような感じがするわけなんです。
#217
○政府委員(平賀健太君) これは、昨日亀田委員からお話がございましたので、さっそく新宿の私どものほうの出張所に照会をいたしました。新宿出張所からの回答でございますが、これによりますと、昭和三十六年の三月六日に家屋新築登録の申告がございまして、登記所のほうでこれを受理いたしております。家屋台帳の申告でございますが、通常、家屋台帳の申告をします場合には、建物の所有権を証する書面を添附することになっておりまして、この所有権を証明する書面も、ある場合は地主の証明ということもございます。その他の書面が出ることもございますが、法務局の取り扱いといたしましては、地主の証明のほかに、あるいは建築基準法による確認書であるとか、建築検査書であるとか、その他なお建築請負人の証明であるとか、固定資産税の納付証明書、その他申請人の取得を証するに足る証明ということで取り扱っております。本件では、なるほど仰せのとおりに、申告書の用紙の署名欄に「大蔵省」という文字だけ書いてございましたが、登記所としましては、この「大蔵省」という署名欄を信用して申告を受けたのではなくて、その書面にも付いておりますところの固定資産課税台帳登録証明申請書、これは新宿区の税務事務所で出したものでございますが、この固定資産課税台帳登録証明書――固定資産課税台帳に登録されているというこの証明に基づきまして申請を受理したものと考えられます。
 なお、新宿区の税務事務所におきまして三十六年の三月三日付をもってこういう証明を出した事実の有無につきまして新宿出張所のほうに照会いたしましたところ、三月三日付でさような証明を出しているという回答が参っておるようでございます。でありますから、登記所といたしましては、新宿税務事務所のこの証明書に基づきまして所有権の証明があったとして受理したものと考えます。ですから、この申告書の末尾の「右の通り証明します、大蔵省」という文字を信頼したわけではないと思うのであります。よけいなことが書いてあるというだけのことではないかと思うのであります。
#218
○亀田得治君 三枚目に上申書が付いておりますね。その上申書の終わりのほうに、大蔵省も認めておるが、証明は出してくれないという意味のことがちょっと書いてありますね。だから、登記所としては、そういう上申書も出さして、そうして大蔵省もこう認めておるということに一つのやはりよりどころを求めて登記に踏み切っているのじゃないですか。せっかく付いておるものが、一番初めの書類だけだということなら、それはよけいなことです。これはなかなか新宿の出張所では受け付けなかったのですよ、初め。これを受け付けて登記をすれば今度は当然国有地の払い下げの問題に関連していくのだということは、あの辺ではみな知っているわけなんです。そういういきさつがあるわけなんです。そういういきさつの中で出てきた書類としては、はなはだそういうものを受け取って登記をするのは軽率だと思うのです。しかも、それは偽造文書になるのじゃないですか。その二枚目の文書は、明らかに、何といいますかもつと調べればだれがそういうふうなことを書いたかということはわかってくると思うのですが、偽造文書でしょう。そんなものを一緒に受け取って、見ればわかるわけですね、普通の人なら、役所の人なら。何も疑問を持たないで初めのほうの書類だけで登記をする、これはちょっとへ理屈ですよ。実際にそういう登記を扱った人に私はだから聞いてみたいと思います。あとのほうが要らぬ書類なら、要らぬ書類で、受け取らなければいいわけです。受け取った以上は、それが正規の書類であるかないか、それは役人として判断するのはあたりまえですよ。一見偽造であるということがわかるのに、それが問題になってくると、その点で判断したのじゃないのだ、そんなことはあなた通りませんよ。だから、あなたは自分の部下のやったことなら何でもかばうということじゃなしに、もっと究明してもらわぬと困る。いやしくも公務員が、大蔵省の名前をかたっている偽造文書、そんなものを受け取ってそのまま見過ごしてやっておるというのは、何といったって私はふに落ちない。だから、きょうは私も予定の時間を過ぎておりますから、いずれもう少しこれははっきりさせたいわけです。裏の動きがあるわけなんです。某国会議員が来て早うやれとか、関東財務局に行って山平のほうにも土地を分けてやれとか、そういう圧力をかけているわけです。そういう結果が出てきておるから、私としてはよけいそれはけしからん。単なる過失であってこの書類を扱った人がやったというなら、それは仕方がないでしょう。そういう場合もあり得るかもしれぬ。そういうふうに見れぬわけです。きょうは大蔵省のほうから来ていただいて、正規の書類でない署名の仕方、これだけははっきりしましたから、いずれもう少し中身に入ってきちっとしたいと思います。
#219
○政府委員(平賀健太君) ただいま亀田委員から山平繁馬という者が家屋の新築の登録の申請をしたいきさつについて詳しいお話がございまして、私どもそういういきさつを全然承知をしないで新宿の出張所に照会したものでございますから、はたして登記所のほうでその間の事情を詳細に知っていたのかどうかということまで調査をいたしておりませんが、登記所の取り扱いといたしましては、要するに、新宿税務事務所の証明がございますし、それからなお、不動産の所有権の証明というものは、これは厳密に申しますと非常にむずかしいものでありまして、直接の証明などということは実際問題としては不可能に近いと思うのでございますが、登記所としましては、念を入れまして、土地所有者の証明書が出せない理由があるのならばそれも出せということでこの上申書も出させたものと思うのでございますが、この書面だけから言いますと、なるほど「大蔵省」というふうなうしろ書きの文字がついております。で、これが文書偽造になるかどうか、これはむずかしい問題かと思うのでございますが、こういう「大蔵省」という文字が記入してあるということのいかんにかかわらず、添附書類としては一応完備しておるということで登記所としては受理したものと私は考えます。
 それからなお、建物の新築の申告の問題でありますが、極端な場合を考えますと、他人の土地を不法占拠いたしまして建物を造った。いやしくもそこに建物ができた以上、家屋台帳法の一元化後の今日から申しますと、不動産登記法の建前から申しますと、この建物の所有者は建物新築の申告なりあるいは表示の登記の申請の義務があるわけでございます。登記所としては、現にその建物があり、その建物の所有者と称する者が一応その所有権を証明しました以上、台帳に登録あるいは登記簿に表示の登記をしなくちゃならぬ義務があるわけであります。本法の関係はそういう関係なのでございます。ただ、登記所が、何か不正があってその不正の事実を知りながらこういう申請を受理したというような事実があるかどうかにつきましては、さらに調査をいたしてみたいと思っております。
#220
○亀田得治君 この建物の所有の証明は、やはり土地所有者がここにちゃんとこの人の土地に建っておるということを言うのが一番はっきりした証明です。土地の所有者からその裏づけがないというようなのは、何かやはり問題がある。それは不法建築の場合にはなるほど土地の所有者は証明せぬかもしれぬ。しかし、それでも、建物を造ったら、今あなたがおっしゃったような意味で、固定資産税の関係の手続とか登記はそれはできぬことはないと思う。ないと思いますが、普通の状態は土地の所有者でしょう、証明してくれる者は。これがあれば一番登記所としては安心してやれるわけです。しかも、その所有者が役所だ。役所がちゃんとそこへ裏書きをしてくれておる。これはあなた最大の登記官にとっては強い証明でしょう。その証明が一見うそっぱちなものが付いておるのに、いや必ずしもそんなものはなくてもいいんだというふうな局長のようなものの言い方で一体いいのかどうか。はなはだおかしいですよそんな言い方は。書類を受け取っておって、その変な部分はこれは見ておらぬのだと言うのと一緒ですよ。だが、いずれにします。いずれにしますが、いろいろ問題のあるやつなんですから、そんな法律論だけにとらわれないで、私はおそらく多少共謀してやっているのじゃないかという感じもしておる。この問題は、先ほど申し上げたように、丹あや子さんというて、そういう社会福祉的なことで非常に働いている人なんです。ここしかないわけなんです、よりどころが。小さな家とその敷地が約二十坪。それだけを楽しみにしている人なんです。藤原道子さんのところへ相談に来られたわけなんです。そういう専門的な問題だからということで、私のほうへまた回ってきているわけなんです。いろいろ話を聞いてみますと、はなはだけしからぬ事情があるわけなんです。だから、あなたのほうでもっと積極的に調べて下さい。そんな書類を、一見だれでもむちゃくちゃだとわかるものを受け付けておいて、涼しい顔をして通るわけには絶対いかぬですよ。その複本でも、こちらから一年間請求してようやく一年目に渡したようですね、その写しを。何でそんな一年間もかかるのです。関係者がその写しをほしいと、あんな家屋が登記されたのは何か策略があってやっておるのだろうということで、その写しを出張所に要求したわけなんです。一年かかっているわけです。その一年間もかかった理由も次回にひとつ明らかにしてほしいわけなんです。
#221
○政府委員(平賀健太君) ただいま亀田委員からいろいろ新しい御指摘がございましたが、なお調査をいたしてみます。
#222
○理事(後藤義隆君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#223
○理事(後藤義隆君) 速記を始めて。
 他に御発言もないようですから、本件はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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