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1962/02/19 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 文教委員会 第4号
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1962/02/19 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 文教委員会 第4号

#1
第043回国会 文教委員会 第4号
昭和三十八年二月十九日(火曜日)
   午前十一時二十七分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     北畠 教真君
   理事
           二木 謙吾君
           吉江 勝保君
           豊瀬 禎一君
   委員
           木村篤太郎君
           久保 勘一君
           森田 タマ君
           小林  武君
           千葉千代世君
           米田  勲君
           辻  武寿君
           高山 恒雄君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  政府委員
   文部政務次官  田中 啓一君
   文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
   文部省初等中等
   教育局長    福田  繁君
   文部省大学学術
   局長      小林 行雄君
   文部省管理局長 杉江  清君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (当面の文教政策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(北畠教真君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
 当面の文教政策に関する調査を進めます。
 質疑の通告がございます。これを許します。千葉君。
#3
○千葉千代世君 私は教育の基本政策と、政府の唱えているいわゆる人つくりに関連して荒木文相に質問いたします。
 一月二十六日の本会議における政府の答弁の中で、ふにおちない点が多々ございますが、時間の余裕がございませんでしたために、その点を含めて詳細に質問したいと思います。
 きのうの朝日新聞に次のようなことが載っておりました。その内容は、自民党は、次の総選挙を当面の目標として、青年層に対する働きを強化する、そういう方針である。その内容はどんなことかと思って見てみましたところが、自民党全国組織委員会の推定によると、「自民党の支持者は中年層以上に多く、青年層、とくに二十歳から二十五歳の層は、その七割前後が社会党、共産党などの革新政党を支持している。自民党はいま各都道府県連の青年部を中心に青年層への働きかけをしているが、この青年部も民青同、社青同などにくらべて行動力の点で劣り、また、青年部の中心が三十歳前後の人たちで占められているため、二十歳から二十五歳の若い層への働きかけが十分でないと判断している。このため自民党は今後の組織活動の重点を青年対策に置くこととし、さる一月の党大会で、青年対策要綱を決めた。これは人つくり政策の推進、勤労青少年教育の拡充、青年憲章の制定、スポーツの振興などを内容とし、これらの施策を政府を通じて実現してゆくこととしている。」と、このように述べてありますが、大臣はこれをごらんになりましたか。
#4
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まだ見ておりません。
#5
○千葉千代世君 それでは荒木文相は、この自民党の総選挙対策が青年対策に重きを置いて、特に人つくりの推進とか、青年憲章の制定というようなやり方についてどのように考えていらっしゃいますか。
#6
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは党のほうでございますから、直接、党でそんなふうなことを考えているということに即して申し上げる立場に私はないと思います。さっき申し上げましたように、これは拝見しておりませんので、なおさらのことでございますが、しかし一般論としまして、このごろ青少年犯罪がふえたとか、非行事件が多いとかいうことで、社会問題的に一般に懸念されていることは事実でございまして、その点は私も同様に懸念するものの一人でございます。したがって、その原因がどういうところにあるかを究明しながら、党としても、それに国民的立場でこれを是正する、あるいは未然に防止する方策を講ずるという考え方は当然のことだと思うのであります。さりとて、今読み上げられました事柄が、直ちに文部省としてなさねばならぬすべてのことであるとは思いません。
#7
○千葉千代世君 荒木大臣は、いつかの文教委員会で、教育の中立の問題について質問いたしましたときに、文部大臣としてはそうであるけれども、自分は自民党から出された文部大臣であるから、党の政策というものは重視して、当然、文教政策の中へも入れるような心がけは必要じゃないか、そういう観点から、いいところはとる、悪いところはとらないというような、言葉は濁しておられたけれども、そうおっしゃっておったのですけれども、そういう考えと今とは違っていらっしゃいますでしょうか。
#8
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 違っておりません。本会議でもお答え申し上げたように、憲法なり教育基本法なり、学校教育法以下の法律制度に基づいてわれわれは行動せねばならない責任があると思います。したがって、そういう立場に立って党がいかなることを定めましょうとも、今申し上げた趣旨に沿わないものはやるべきじゃない、そうでない合致したものならばやることは当然でもありますし、さらに与党の支持を受ければやりやすいでしょうから、そういう意味で、いいことならばやるべきだと、考えは変わっておりません。
#9
○千葉千代世君 そうしますと、今、一般論としてお述べになりました、たとえば青年憲章、そういうものについてはいいことだと思っている、こうおっしゃっていましたですね。そうすると、この青年憲章の制定について文部省としてはどういうタッチをしておりますか。
#10
○国務大臣(荒木萬壽夫君) タッチしておりません。
#11
○千葉千代世君 タッチしていらっしゃらなくても、その構想なり、その他についてお知りになっている範囲はどの程度なんでございましょうか。
#12
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 事務当局で接触を持って、そのことをとる、とらぬにかかわらず、知っておるかどうかは私も存じません。私だけとして申せば存じません。
#13
○千葉千代世君 それでは、池田総理が人つくり懇談会というものを作って、個人的な会合であると、こうおっしゃって、そうして自民党に縁の深い文化人とか学者とかを集めて懇談をする、特に組織委員長のほうから、たしか一月の七日のラジオ・ニュースで聞いたのですけれども、首相に向かって、自民党の全国組織委員長がこういう要望をしているわけです。人つくりの懇談会のメンバーをもっとふやして、自民党に縁の深い学者、文化人をもっと入れるようにと申し入れた。池田さんはそのとおりに努力するということを言われた。そうすると、個人の懇談会であるから、何をしてもいいということでは問題があるのです。個人の懇談会として、自分の好きな、あるいは言葉をかえて言うと、自民党に縁の深い学者、文化人を集めて話し合われた結論を、現実の政治路線、あるいは教育の中に持ち込んでくると、そうなってきますというと、非常に問題があるのではないかと思うのですが、その点について荒木文部大臣は、文教の担当者としてどのようにお考えになりますか。
#14
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の人つくり懇談会は二回開かれまして、私も人つくりの定義ははっきりしませんけれども、文教に関係ありという見地からだろうと思いますが、私にも出席を慫慂されましたので二回とも出ました。人つくり懇談会というのは、総理が、総理大臣として、もしくは党の総裁としての気持もあろうかと想像しますが、行政と政治の責任者としての心がまえを持ちたい、その意味でもくろまれた懇談会だと推察いたしますが、そういうことでありますがゆえにと思いますけれども、各人が人つくりという、それぞれ思い思いの受け取り方をしておられたと私は推測しますけれども、そういう気持で、率直に自分の考えを述べっぱなし、速記もとっておりません。という、読んで字のごとく懇談会でありまして、いろんな意見が出たやつを総合して、具体的にそれを、たとえば文部省が担当すべきことに関連しているならばどうするというためのものではないのでございます。そういう意味で、懇談会の結論的な旨を受けて指示を受けたことも一回もありません。
#15
○千葉千代世君 個人的な懇談会だとおっしゃったのですが、少なくとも一党の総裁とし、あるいは現存は内閣の責任者であります池田さんが、しかも自民党に縁の深い学者と文化人だけの意見を聞いて、そして日本の国全体の人つくり政策の資料にするという、普通お互いに研究する場合には、日本の中に幾つの研究団体があろうが、サークルがあろうが、みんなお互いにいい教育とか、あるいは人間の幸福を求めてされているというこの研究会とか、そういう問題については、私はそういういろいろの角度からの意見というものを総合して、それが国の政策の中に反映されていくということについては私はけっこうだと思いますが、一党の総裁として、そういうやり方について文部大臣はどのようにお考えになりますか。
#16
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それはけっこうなことの一つだと思って私も出席したわけであります。お話しのように、今、自民党に特に縁の深いということを断定的におっしゃいますが、あの人選は内閣でやりまして、文部省としてはタッチしておりませんが、たとえば私の常識からいけば、松下さんも来ておられたと記憶しますけれども、立教大学の、ああいう方は何も特に自民党に縁が深いという方でもないと私は思うのです。その他文士の方もおられたようですが、ああいう人々の一人一人のお立場は私も知らないほうでございまして、あの顔ぶれもそれぞれりっぱな人々であるなあと思って謹聴しておったわけでありまして、そういうことをすることは私は悪いことではないと思います。ことさらへんぱなものばかりを集めて、そういう人たちのへんぱな考えだけで政治を行なう、行政を行なうということだったら、これは批判さるべき余地があろうと思うのですけれども、さっきも申し上げましたように、あくまでも懇談会であり、いろんな人のいろんな意見を聞きながら、なるほどと思う、そうかと思う、あるいはそんなばかなことはあるまいと考える、その中に、自分自身の聞いたものも参考になるであろうということを期待した懇談会であると、さっき申し上げたとおりに思うわけでありまして、その限りにおいて少なくとも悪いことではない、いいことの一つであると、こう思います。
#17
○千葉千代世君 今人つくり懇談会のメンバーは内閣がきめたとおっしゃったのですが、どうして私的な会合に内閣がそういうことをきめるのですか。
#18
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 内閣がきめたという言葉をあまり厳粛におとりになると、少し私の表現がまずかったのですけれども、おそらく官房長官あたりの思いつきで、電話でもかけて、承諾を得て、お集まりを願ったということではないかと思うのです。
#19
○千葉千代世君 それでは、この構成メンバーですね、これについて、大臣の知る範囲でここで答えていだきたいのですが、もし知らなかったらば、ちょっと連絡してメンバーを明らかにしてほしいと思います。
#20
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 茅さんがいらっしゃったり、……二、三の方は覚えておりますが、全部の方を正確に記憶しませんから、後ほどお知らせ申します。
#21
○千葉千代世君 今至急知らせていただけませんか。――学者、文化人、それから経済界、どういう方面の方かということを聞いてから質問を続けたいと思いますけれども、まあ、悪いことではないし、へんぱな者ばかり集めてもいないからいいじゃないか、こういうことなのですけれども、いやしくも池田さんが昨年から日本の国づくりということを言われ、その国づくりの本は人づくりだと、そうすると、経済の成長に見合って日本の国が発展していくために人づくり政策ということが一番大事だと、こういうことを述べられているし、特に問題になりますことは、施政方針演説の中で、これは前略いたしまして要点だけを抜きますというと、「新聞、ラジオ、テレビ等は、家庭、学校、社会の三つを通じ、人つくりの環境を整える最も強力な手段となりつつあります。最近におけるテレビの普及は、このことを決定的にしたものといっても過言ではありません。私は、これら言論機関の責任者が社会教育の先達者であるとの誇りと責任をもって、人つくりに一そうの力を尽くされるよう期待してやまないものであります。」、こう出ているわけです。言論機関の責任者が社会教育の先達者であるとおっしゃったり、それから、私的な懇談会で出た結論は政治ルートに載せて、そして政策の上に表わしていくということになり、そういうことが積もり積もって自民党の選挙の百年対策の一つとして重点的に青年憲章等があげられているわけです。そうすると、一連のつながりを持った、こういう政策遂行の中で、ほんとうに日本の国全体の国づくりのための人づくりであるのか、あるいは一党の政策に奉仕させると言いますか、宣伝させると言いますか、そういう方面のとらえ方について、これは池田前相のおっしゃった政治方針についてではございますが、しかし、政府の連帯責任でございますから、荒木大臣から、その点について答えて下さい。
#22
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは新聞なんかでも、よく人つくりの輪郭がはっきりしないということを言い続けておりますが、私もそう思います。また、そうあるべき本質を特っているものだとも思うわけであります。しかし、通俗に、人つくりと言うならば、知能の開発の問題、徳性の涵養の問題、及び健康管理の問題、昔から言われる知育、徳育、体育と、まあ簡潔に言えば、そうも言えるかと思うのですが、そういう課題を通じて、りっぱな人を育成したいという一つの願いを表現しておることであって、今おっしゃった、その青年憲章ですか、そういうことに結びつけて、自民党という一党一派のためになるものなどという、けちな考えで自由民主党の政調を始め組織委員会が考えているとは私は思いません。総理が施政方針演説で申しましたことは、舌足らずではありますが、私が今申しましたような気持を抽象的に表現しておるので、それに関連してマスコミの代表者が人つくりの責任者であるという、その表現そのものの正確な意味はちょっと言い表わしにくいのですけれども、想像しますに、マスコミというもの、新聞、ラジオ、テレビというものの持つ影響力、その影響力の偉大であることを念頭に置いて、十分にいわゆる最もいい意味における人つくりに御協力願いたい、そういう願いを総理は表現したものと私は思います。
#23
○千葉千代世君 そんなけちな考えはないとおっしゃったのですが、これは私も想像で言っているのでなくて、ちゃんと自民党の発表した中に総選挙を当面の目標としての青年対策だ、この中の青年憲章だ、人づくりだと、そういう政策を推進していくというからには、人づくりというものがどのような観点でとらえられているかということがはっきりしていなければ、これは非常に矛盾しているのではないかと思うのです。特に繰り返していいますけれども、現実に懇談会の結論というものを国民教育の中に持ち込んでいくということ、そういうことがレールに敷かれている以上は、ここでやはり人づくりというものに対して荒木大臣がどのように考えていらっしゃるか、特に教育基本法と関連してどう考えていらっしゃるか、具体的に答えていただきたい。というのは、本会議のときには、教育基本法は守る、別に教育の中立性も侵さないし、そういう点についてはあれだということを答えているわけです。そうしていきますと、人づくりはけっこうなことだ、では、その人づくりは、どういうけっこうな人づくりの基本というものが文部大臣の頭の中に描かれているかということをお示しいただきたいと思います。
#24
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今の青年憲章にしぼったような意味で、自由民主党が総選挙を控えて人つくりという課題と取っ組んでいるようなお話しでございますが、そのことそれ自体は私はけっこうなことだと思います。問題は中身だということだろうと思います。総選挙に備えて全国民に人つくりと言われる課題にどう取っ組んでいるかということを公開の席で訴えて批判を乞うという意味においては正しい態度たと思います。それは社会党さんであれ、民社党さんであれ、人つくりということをかりにお考えになるとすれば、同じように総選挙を控えて国民に訴えるという気がまえであることも想像にかたくないところであって、当然の私は天下の公党としてなすべき態度だ、問題は中身だ、こういうことだと思います。そこで、一体どういう人つくりを考えるかというお尋ねが二、三年来ございまして思い悩むわけでございますけれども、一番端的に無難に申し上げれば、憲法の趣旨に従い、教育基本法の趣旨を守り、法治国日本における主権者の意思である法律に従って教育に取っ組んでいくのだ、その中から生まれるよき人つくりを心頭に置いていると申し上げることが一番しゃくし定木な抽象的なお答えになるかと思います。そこで、それでははっきりしないではないかというお尋ねもありまして、かつて私は本委員会であったと記憶しますけれども、憲法、教育基本法その他の法令の趣旨に従ってということを、もう少し通俗的に敷衍して言うならばという前提で申し上げた記憶をたどりますと、国土と氏族的文化を愛して、高い人格と識見を身につけた、国際的にも信頼と敬愛をかち得るに値いするような日本人を育成したい、学校教育、社会教育を通じて育成したいという意味のことをお答えしたと記憶しておりますが、今日申し上げるとすれば、やはり同じことを繰り返して申し上げるほかには、むずかしい問題でございますから、ないように思うのであります。
#25
○千葉千代世君 憲法、教育基本法に沿った人づくりというならば、今さら事新しく人づくりということを急に唱え出して宣伝をして、しかも報道機関を先達者として行なうというようなことはわざわざ言う必要はないのではないか。で、まあ各自民党も社会党もそうしているだろうということをおっしゃったのですが、私どもとしても、やはり自分の国は非常に大半だし、人間の完成というものについては、これはやはり政治の責任として、あるいはおとなの責任としてお互い考えておるわけなんです。それは後ほど申し上げたいと思うのですけれども、それについて、同じ憲法、教育基本法を理念として、そうして人つくりをやっていくというそういう心がまえであるならば、わざわざ自分が私的の懇談会を開いて、そうしてそのできた結論を政策の上に乗せるということは、これはおかしいと思うのですが、矛盾を感じませんか。国民全体の中から、やはりあらゆる人々から、いろいろな職業、あらゆる年令、それから今までお仕事をしていらした経歴とか、いろいろな方からの御意見を聞いてやる、しかもそれは今おっしゃったような教育基本法とか、憲法とか、そういうものを具体化していくにはどうするか、こういうお話ならわかるのですけれども、今伺っていると、ただ自分は理想像としてこういうものを持っているというだけで、それをわざわざ青年対策の中に盛っていかなければならないということはどうも了解に苦しむのですけれども、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。
#26
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は一つも矛盾はないと思います。お話のように、たとえば人つくり懇談会のメンバーがあらゆる階層、あらゆる関係の方を網羅していないという批評はあり得ると思います。ですけれども、一応思いついた人々とまず懇談をして、意見を聞いて、そうして教えてもらう、そういう態度そのものは非常にけっこうなことであって非難さるべきことじゃないと思う。したがって、御指摘のように、もっと広い階層等の方々から、さらに何回も聞くという努力は積み重ねられてしかるべき課題とは思いますけれども、今までやりましたことそれ自体が悪いことだとは、一つも私は矛盾を感じないで素直に受け取れると思うのであります。で、にわかに人つくりと言うたということですけれども、これは人つくりという、言葉が一見新しそうに見えるだけであって、人つくりの意図する内容というものは、これは明治以来行なわれ続け、終戦によってまた新しい角度から考えられ続け、努力され続けておること、そのことを人つくりという言葉で表現したから、何かしらことさららしく一見見えるだけであって、教育は建国の基礎なりということはもう昔から言われておること、これまた古今東西に通じても、これこそもとらない一つの概念だと思います。それを人つくりと表現したにとどまる、またそういうことを特に人つくりという角度から、総理の立場で言いますゆえんは、私はいろいろあろうと思うのですけれども、少なくとも現実問題として、統計上も明らかなごとく、青少年の犯罪、非行事件が続出しておる、しかもティーン・エージャーにそれが移りつつあり、ロー・ティーンにまで移り始めておるというのは事実が雄弁に物語って、世人が心配しておる事柄そのことは間違いないと思います。したがって、そういうことを念頭に置いて、その原因がどこにあるだろう、またその対策はどうしたらいいだろうということは、衆知を集めながら、やり方は憲法と教育基本法の趣旨に従って、教育に関する限りはやっていくという考え方に立った人つくり談議というものは歓迎されてしかるべきものと私は思います。
#27
○千葉千代世君 私は、総理が個人的な人を集めて話し合う、そのことについては、懇談会ですからとやこう言いませんけれども、ただ問題になるのは、自分たちに縁の深い者だけ集めたものを政治のレールに乗せている、それは自分の利用するもののひとつの判断の資料としてそれを聞く、何もむやみに懇談会を開くわけじゃないでしょうけれども、そうしていくという一方的な考えがいけないということを言っておるわけであります。ただ自分で集めた個人的なものを非難するのでなくて、そういうものがそこで終わるのでなくて、そうして国の政策として盛られていくというところに問題があるのじゃなかろうかと思う。それだから、さっきの青年対策には選挙対策で重視する、これを中心に進めていくということが出てくるわけなんです。憶測とか、感情とか、いいとか悪いとか、好きとかきらいとかの問題ではなくて、やはり日本の教育とか、人つくりというものが国民全体の要望の中で行なわれていくし、特に人つくりは昔からやっておった、今珍しいことではないと、こう言う。それで新しい時代の変遷に伴っていろんな角度でやる、新しい角度から考えたのだと、新しい角度とは何だかということです。
#28
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 新しい角度と言いますか、人つくりという言葉で表現された気持で衆知を集め、できればあらゆる職名の意見を聞いて誤りなきを期したいというための懇談会でこそあれ、それ以外の、何かしらんこんなふうに持っていってやろう、その持っていくであろう方向、内容は、憲法ないしは教育基本法以下の法律に反することまでもやろうなどということはむろんあるはずがありません。たとえば党が青年憲章というようなことを考えているとして、その憲章の中に盛り込まれた事柄が、憲法なり、教育基本法なり、その他に反していることを実現したいという課題があるとすれば、それはやるべきではない、そういうことなんで、ただし実質的にいいことがあるならば、これこそ立法論として法律を改正したり何かして、その手続を国会を通じてとられた後に、そういうことが義務づけられ、あるいは要請されるということは、それはないとは言えませんでしょうけれども、単に自民党が青年憲章を書いた、あるいは人つくり懇談会でだれがどう言うた、それならそれがよかろうというので憲法と法律を無視してやろうという大それた考えは、だれだって持っているはずがないという理解を前提にしてお考えいただけば、矛盾もなければ不当なことでもない。社会党さんがお考えになる人つくりの対策について、ほんとうにごもっともだということがあるならざ、むろんそれを、現在の政局を担当しているものとして、それを取り上げて実行するということにやぶさかであってはいけない、そういうことであろうと私は理解しております。
#29
○千葉千代世君 もう少し私、中身を伺いたいわけなんです。というのは、この間の本会議のときに、やはり一定のワクにはめての人つくりではなくてという内容の中で、経済の成長力に伴っていく労働力とか、あるいは能力主義とか、いろんな問題が含まれているのでそれを伺った。そうすると、大臣は、日教組や何とかの全体主義国ならばいざ知らずと、こういうことを言われた。私はたいへん失礼ですけれども、国民の皆さんから票をちょうだいして、そうして教育の問題については公約した。教育基本法、それから憲法を守る、こういうこと、戦争はいやだという公約をしたわけです。そうして来たわけです。日教組に確かに席もございましたし、日教組の問題については私は最も関心を持っているし、そのお仕事もさせていただいておりますけれども、やはり国会議員として質問して、日教組や何かならいざ知らず、全体主義の国ならいざ知らず、自分のほらはワクにはめる考えはないという、そういう答弁でございましたら、それじゃ人間像は何だかということを聞いているわけです。私は文相のおっしゃった憲法とか、あるいは教育基本法に沿っていくというならば、やはり憲法、教育基本法の持っている原則、それを基調とした上に立った人つくりであり、国づくりであるということを重ねておっしゃっています。そうすると、日本国憲法の国家理想というもの、そういうものはもう私が述べるまでもなく、やはり国民の主権、これを軸とした民主主義、 あるいは戦争放棄を軸とした平和主義とか、それから生活権と自由を柱とした人権主義、こういう三つの中でこれを守っていくために、教育の中にはあらゆる権力が入ってはいけない、権力の介入を排除して、そうしてそれを柱とした国民自体の、国民の教育に持っていくという、これが願いであろうと思う。そうすると、その上に立った人つくりということに私は考えているわけなんです。そうすると、大臣のおっしゃったことも憲法に沿い、教育基本法に沿っていくということ、それならば経済を優先して、経済に属して――従属という言葉はいけないが、属していくという。何が先か、人間の持っている性能とか、そういうものをフルに、十二分に引き出した教育、そういう中で、自主的な判断が自由にできて、さっき申し上げた外郭として、憲法のこの内容の中で、どうして自分たちが具体的に生きていくか、そういう予算と政治的責任とそれと国民の要求と、こういうものが合致した中で人づくりができていくのではなかろうか、そうしていきますというと、具体的な人つくりの理想像と申しますか、あんなにおっしゃっているのですから、施政方針の中でも非常に人間の指導的なものについて述べて――幾多伺いたいことがございます、認証官制度を設けるとか、学術振興のにない手である大学ではどうこうとか、大へん言葉としてもよろしいし、そのままいっていいけれども、さっきおっしゃった憲法、教育基本法の理想像の底であって、それは表面であって、実際的にはそれを合理化していく人づくりの懇談会も、それも合理化していく一つの手段である、こういうようなものが、私ども具体的につかみたいと、大へんしつこくお伺いするわけです。そうしていきますというと、大臣がさっきおっしゃった理想像というものを、もう少しはっきりした形で出していただきたいと思います。何もないでこう言う、だけれども、新しい角度からとらえるというのでは、全然何もないものをとらえていくということになるのですが、そういう点、いかがでしょうか。
#30
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 全体主義の国や日教組ならいざ知らずと申しまして、今もそう思います。共産圏においては一定の人間像を予定して、それに合わないものは裁かれるというのが現実だと私は承知しておるのであります。日教組もまた倫理綱領を通じて、一定の人間像を予定しておると解釈される。憲法、教育基本法の趣旨に基づいての人間像というのは、はっきり何かしらん人形みたような人間の形を、いろいろな属性を、これ以外にはないのだというものとして示す方法がないと思います。方法のないところがこれまたいいところなんでして、万人ことごとく全人格の方向に向かって、心がまえにおいても、あるいは知能の点についても、全努力を傾けていくという姿そのものが人間像だと思います。今生きておるおとながこう思うから、それが理想的であるとは思わない。今法律や何かに書いてあることだけが終着駅だと思わない、無限の広がりを持つ理想の全人格に向かっての歩みをし続けようというのが、私は人間像だと思うのであります。かくあらねばならぬということは、言おうとしても言い得ない、言うたとすれば、その瞬間においてうそだと、私はこう思います。したがって、何かしらん総理や私どもが言ったりしていることの裏に、表面のきれい事の表現以外に、何か底意があるであろう、こういうふうに御想像なさるのは御自由だとしましても、ないのであります。ないところがいいところだと思っております。
#31
○千葉千代世君 今、倫理綱領云々ということをおっしゃったのですけれども、倫理綱領によって日本の教育をどうしようじゃなくて、あれは教師の心がまえとして倫理綱領というものがあるわけです、組合員の。しかも倫理綱領というものを非常にあなたは誤解して、独善的に解釈して、それをどこへ行っても吹聴しているわけですね。あれは大へん間違ったことをおっしゃっておる、何かやはり証拠を出していただいてお話しないと、具体的にお話し合いしても、大臣の考えはこうだ、私はそうじゃないといっても、行き違いになりますから、やはりちょっと……。この間、私聞いたテープ・レコーダーの中に、そういう点、非常に具体的に大臣おっしゃっているのです。私がなぜこうしつこく言うかというと、大臣はそういうふうにおっしゃるけれども、あなたはよそへ行って、方々に行っておっしゃることは、もっと具体的におっしゃっておるのですよ。具体的なことをおっしゃった覚えはございませんか、人づくりとかいろいろな面について。はっきりあれは荒木先生の声だと思いますけれども、テープ・レコーダーをかけて皆さんに聞いていただいて、あれは自分の声でないとおっしゃれば、それはまた別ですが、私は今おっしゃっておるお声とそっくりで、内容はとにかく、大へん長いテープ・レコーダーを、方々でおっしゃったのを私どもちょうだいしているものですから、そのかけた中で、もし何なら具体的なものをおっしゃっていただいたほうがいいのじゃないでしょうか。じゃないと、これを続けておりましても、お互いに、いやそう思う、こう思う、教育基本法、憲法を守ると百ぺん言われたって、あすこにおっしゃっておることは、あなたが何をおっしゃったかということなんです。ですから、それは具体的な資料を出して、そこで話を進めたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
#32
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日教組の倫理綱領を中心に、なるべく全国を、できれば津々浦々に回って、直接国民や教員大衆にも訴えて批判を請いたいと思ってやっております。それは私の見解であります。問題は、そういう見解であるとして、現実に、しからば文部省という役所を通じて何をやっているか、そのことが憲法に違反しておるか、教育基本法に違反しておるか、あるいは学校教育法その他の法規に違反しておるかいないかということにつきましては、私は責任を持たなければならぬとむろん思います。しかし、立法論を含めて、私の見解を国民大衆に述べるということは、当然、政治家としての範囲においての責任は負わなければならぬ、言うたことは、当然に自分の意思として言ったのですから、それはむろんそう受け取りますけれども、問題の焦点は、私が今申し上げたとおり、文部省という行政機構を通じて、文部大臣という立場において、具体的に社会教育なり、学校教育なりについて何をなしつつあるか、そのことの誤りを指摘して啓蒙していただけば、私はありがたいとむろん思いますけれども、そういう心がまえで述べておることだけはこの際申し上げておきたいと思います。
#33
○千葉千代世君 私の見解だから、全国どこへ行ってもかれこれ言うのは自由だとおっしゃったのですが、あなたは今、文部大臣なんです。一国の文部大臣なんです。文部大臣というのは、御承知のように、私が申し述べるまでもなく、立法府できめたものを行政府としてそれを忠実に守って、それぞれ行政の面で最大限の効果をあげていくという、こういう重大な任務を帯びていらっしゃるのです。ですから、たとえば立法したものだとか、いろいろなものの権限に基づいて、行政府で検討して、そうしてそれに沿っていくための努力の一つとして、あなたが中心になって、そういう点を指導し、あるいは広めていくということについては当然の任務だと思うのです。やはり一国の文部大臣の職にあるものが、各県の指導主事とか、あるいは教育委員会のメンバーだとか、あるいは全国父母会議とか、いろいろな面のところに行っておっしゃることは、どういう影響を与えるかということを御考慮になっての上でしょうね。
#34
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日教組の倫理綱領が今の憲法なり、教育基本法のもろもろの趣旨に立って見た場合、間違っていることだけをわかってもらいたい、こういうつもりで演説をいたしておるのであります。
#35
○千葉千代世君 これは、倫理綱領についてあなたの誤りを後日十分に指摘する用意を持っておりますので、ここに倫理綱領の争いをいたしません。十分、時間を取らしていただいてします。一カ条一カ条についてしますけれども、きょう伺いたいのは、大臣が誤りを指摘して、みんなにわかってもらいたいためにという、それはあなたの行政指導面の仕事の一つですか。
#36
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そう思っております。
#37
○千葉千代世君 あなたはそうすると、職員団体なり、組合なりについてのそういう干渉をする権限をいつどこから与えられましたか。
#38
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 組合行動そのものに文部大臣がどうするという権限は持っておりません。しかし、教師の心がまえと言われるところの倫理綱領そのものが、憲法の趣旨なり、教育基本法の趣旨に反しているとするならば、その誤まりを指摘しながら反省を求めるという事柄は、私の立場上当然やるべき一種の行政指導の機能だと思います。
#39
○千葉千代世君 その倫理綱領については、憲法や教育基本法に違っていないと私ども考えておりますけれども、大臣が違うとお考えになったその考えの根拠というものは、どういう話し合いの中で、どういう方々の進言で、そういう考えを、結論をお持ちになったのですか。
#40
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは大体、人様がかれこれ言われたということよりも、私自身が倫理綱領を読み、解説を読み「新しく教師になった人々に」を読んで、そう信ずるから申しておるのであります。
#41
○千葉千代世君 あの綱領というのは、日本の教職員組合の組合員自体の、こういう綱領にしよう、やろうではないかという話し合いなわけなんです。もしそれがいけないとなれば組合自体がそれを直していく、こういう点がまずいじゃないか、こういう点がこうじゃないかと、いろいろな御意見も聞いて直すにやぶさかではないわけです。しかし、あれはこれこれこういう事態の中で一番欠けているものはどうであろう。教育基本法と憲法を最大限に守っていこうという意欲をあすこに盛られたわけなんです。そうすると、それを大臣のほうでは違っている。違っているからこれを直せという言う場所が違っていやしませんか。
#42
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点は、千葉さんが今おっしゃったように、組合綱領というものは、組合員みずからのものですから、外部のものがかれこれ言ったってどうできるものではない。しかし、せっかく作っておられる組合綱領である倫理綱領も、趣旨において間違っているじゃないかということを指摘して反省を求め、反省の上に立ってよきものを作っていただきたいという願いを込めて批判をしておるわけであります。
#43
○千葉千代世君 組合に干渉する権利がないとあなたはおっしゃる。そうならば、組合できめて、そして組合員がそれを守っていこう、いけないといえば直そう、こういう中でよいものを作り上げていく姿勢、特に国民の皆さんから、これはこうだからという御意見は、それは皆さんの御意見は聞くわけです。しかし、文部大臣という職にあるものが、自分たちの話し合いとか、あるいは各教育委員会の話し合いとか、交渉とか、そういう相手方であるものに対して、自分の権限をもって、そしていわゆる組合の干渉を行なっていくということ、それがやはり、まあ後ほどILOの問題もございますが、そういう問題にからんで、非常にあなたはILOでも組合のことでも、全部自分が私して、自分の命令であるとか、私の言うことを聞かない者については、これこれの法律を作っていこうか、こうしようとかいうことを至るところで言われているわけなんです。ここでお答えになっているあなたのまことにごりっぱな人格、識見豊かなる御答弁とはまるっきり違った、まるで何かきたないものをどこでもかまわずくっつけていくような、ものすごいテープがある。それを聞いて、ああ私は大臣にぜひ聞いておかなければと思ったのは、組合に絶対に干渉しないというそのことと、それから今おっしゃっていることでたいへんな違いがあると思うのです。
#44
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 組合行動に干渉する資格はない。これはもう厳然たる事実であります。しかし、その組合が教育上好ましからざる理念を持っておるということがはっきりしておるならば、忠告することもまたこれは当然なしていい範囲のことである。一種の行政指導と言えないことはない。私がそうやらしたからといって、私の力、権限で、いやというものを綱領を変えさせるという権限はむろんございません。こういう見方があるがどうだ、間違っているじゃないかということを言うことは私の自由であり、それが教育上いい効果が現われると期待し得るものならば、それは私は国民のための言動であると信じております。
#45
○小林武君 関連。ただいま文部大臣は、倫理綱領に誤りがあるからこれに忠告するのは当然ではないか、こういう御答弁があったわけです。その忠告する仕方の問題ですな。あなたは文部大臣としてそれほどの教育に対する熱意を持ち、それから教師の集団である日教組に対し関心を持つならば、あなたは直接日教組の責任者とその問題について討論すべきであるのに、なぜあなたはそれを拒否するのですか。
#46
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 討論することによって何が期待されるかということを考えた場合、無意味だと思います。そう信じ切って一応作っておる、それを全国大会で一再ならず再確認しておるという性格を持った幹部の人たちに会って、そのことについて討論してみても意味をなさない、事柄それ自体の客観的な誤りを指摘するということによって、組合員たる教師、もしくは組合員でない教師諸君にそのことを知ってもらう。知ってもらって、そうだとも自分の自主的な判断において考えられるならば、みずからの見識で組合員の総意によって改正されるであろうということを期待して申しておるということであります。
#47
○小林武君 あなたは、しかしきわめて非常識なものの言い方をおっしゃるのですね。日教組という集団が、この集団には責任者というものがあるわけですね。そういうことは認められますか。集団があり、その責任者があるということ、それは認められますか。
#48
○国務大臣(荒木萬壽夫君) むろん、およそあらゆる団体に責任者というものはあるのと同じ意味においてあると思います。
#49
○小林武君 その集団の責任者があり、一つの集団が認められている場合、あなたのような、無謀なものの言い方からすれば、その集団についてもあまり認めてないようなことをやられるわけですけれども、そういう集団があり、集団の首脳部があるという場合には、お互いがそれを認め合っていく場合には、その責任者と話し合うというのが、これは民主的な社会においては当然行なわれることではないですか。
#50
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 話し合うとおっしゃるのですけれども、話し合うという課題でもないし、またお互いの相互関係でもない。定めておること……。
#51
○小林武君 そんなこと聞いているんじゃない。
#52
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その物語っていることについての批判をするということは、そのこと自身別個の問題であって、それは私の自由であり、私の責任において啓蒙するという責任を感じておるからやっているわけです。
#53
○小林武君 あなたよく聞いてやってもらいたい。あなたの前提は、あなたが日教組に忠告を行なうと、こう言っている。それが文部大臣としての職責だとあなたは考えておるということも言われている。私の目の前でも言っている。あなたは忠告をしようとするならば、その集団に対して、非常にあなたの所管の教育という問題と関連があるから、あなたはそれに対して忠告をしたい、こういうのですが、私はその点についてはごもっともだと思う。あなたがそういう考えを持つということ、当たっているか当たっていないかは、これはまた別ですけれども、ごもっともだと思います、あなたが忠告をしようとするならば、なぜ一体その忠告をまともな形でやらないかということなんです。自民党と話し合いをしたいという場合には、自民党の一人々々の党員にそんなことを言うよりかは、まともな考え方ならば、自民党の党の首脳部に対して、一体あなたのほうの政策に対して、こういう考えを持ちますがどうですかというのはあたりまえです。あなたはそういう常識的なやり方をなぜとらないかというのです。それを聞いているんです。あなたに日教組が会ってくれないかどうかということを今やっているんではない。
#54
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 団体というものは、国にとれば主権者のようなものだと思います。その総意によって存在しているそのメンバーに対して、面接公開の席で忠告を発することは一つの方法だと思います。同時に、国会を通じてものを申し上げることが最終的な私の責任ある発言だと思うのであります。そういう心がまえで今日まで批判をし続けております。
#55
○小林武君 忠告……。
#56
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 批判が即忠告であります。
#57
○小林武君 文部大臣、あなたは先ほど忠告ということを言ったね、忠告をするには、少なくともわれわれの常識では、まともな人間なら、まともな頭脳の働きを持っている人間ならば、その団体に対して、団体の責任をとっておるものに対してこれをやるのが当然なんです。その当然さはあなたは認めますか。そういう一般的なやり方ですね。
#58
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ一つの方法だと思います。同時にまた、組合員なら組合員全体に公開の席で批判を通じて反省を求め、忠告をするというのもまた一つの方法だと思います。その方法をとっておる、こういうことであります。
#59
○小林武君 少なくともですね、あなたは日教組という組織が存在していることを認めないとは、先ほどから言っておらない。あなたはよく言われる、法的に日教組、話し合う筋合いがないとか何とか。これは勝手です。そのことの議論は後ほどまたやろうと思いますがね。それは別として、そういう団体が存在している。その団体の持っている考え方についてあなたの意見と一致しない。しかも意見の一致しないということは、あなたが文部大臣として教育的な行政をやっていかなければならぬ、こういう点から重大なことだからあなたが忠告をしよう、こういうふうにあれしたならば、あなたは一つの方法だなどというようなことを言うのは筋が違いませんか。あなたは少なくともそれほどの熱意をお持ちになったならば、私は日教組の当面の責任者、それに対して話し合うということがまず第一ではないかと思うのだけれども、あなたはそういう場合には、一つの方法として、それは最も大事な一つの方法として考えるあれはないのですか。
#60
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今申し上げましたような考え方で、一つの方法をとっているわけですが、その公開の席で大衆に訴えるやり方でやるほうがベターだと思っているからやったわけです。かつて私は、日教組の代表者と文部大臣が話し合いか、会見をされた場面をテレビで見たことがある。それはほんとうのまじめな話し合いの場ではないということを印象づけられております。そういう性格を持ち、そういう方法をとると考えられる小林さんの言われる代表者という人との話し合いというものは、これを意味をなさない。それよりも、むしろ教員大衆、国民大衆に直接その誤りを指摘し、反省を求めるやり方こそベターだ、こう考えましてやっておるのであります。
#61
○小林武君 そうすると、あなたは組織というものが代表者を全体の意思でもって決定しておいて、一切のいろいろな運営執行は団体としてこのものにまかせる、そういう決定がなされて運営がなされているにもかかわらず、いわゆる組合員大衆並びにそれ以外のものに日教組を攻撃する言動をしているということは、日教組という団体を破壊するという意図でやっておるのかどうか、この点を明らかにしてほしい。
#62
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 破壊するなどということを考えること自体が私は違法だと思います。そうでなくて、その適法に手続上存在しておる日教組という集団の心がまえに誤りがあるから、考え直したらどうですかということをいっておるのであります。考え直したならもっとりっぱなものになるということを期待しております。
#63
○小林武君 あなたはものの実効を上げるということについて、あまりはっきりしたお考えをお持ちにならない方のように先ほどから聞いております。あなたが忠告し、ものの考え方を一切改めてもらう、まああなたの立場からいえば、あなたのほうに歩み寄ってもらうということのためには最も適切な方法がある。それは私が先ほどから言っておるとおり。それをあなたがあえてしないということは、私はあなたの意図は、組織の破壊、労働組合に対する不当なる行為、こういうことをねらいとしてやっている、こう思うが、どうですか。
#64
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは私はそうは思いません。代表者という人と会って話をするのも一つの方法だと思います。忠告をするのも一つの方法でしょう。大衆に訴えるのも一つの方法です。それはあくまでも私の権限でつぶすとか、つぶさないとかということを言える立場でない、そういうことは言えないのであります。その性根をひとつ直してもらいたいということを要望しておるのであります。
#65
○小林武君 それではあなたは日教組をつぶすとか、日教組に対して日教組の組織破壊を明らかにはかったというような言動が全然ないということを、そうしたらここで約束しますか。
#66
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は元来、今申し上げたとおり、日本教職員組合という、地方公務員法が認めておる全国組織を作ることを妨げないという規定に基づいて存在していることを否定した覚えはいまだかってない。ただその倫理綱領の誤りは改めてほしい、改めればもっといいものになるであろうということを期待しておることを私の言動を通じて今まで申し続けておる。
#67
○小林武君 日教組を破壊し、あるいは日教組を破壊する意図を持った言動はないということだね、そのことだけ言ってくれ。
#68
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今申し上げたとおりの心がまえでこの問題に対処しております。
#69
○小林武君 言動はないということか。
#70
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ぶっつぶすなどということを考えたことはありません。性根を直してほしいということのみを申し続けております。
#71
○豊瀬禎一君 あなたがたびたび公開の席上でやっている日教組批判は、荒木萬壽夫という一国会議員の立場で終始しているのか、それとも文部大臣荒木萬壽夫としてやっておるのか、どちらですか。
#72
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 両方でございます。
#73
○豊瀬禎一君 両方でございますというのは、あるときは荒木萬壽夫であり、あるときは文部大臣である、その会場によって違うという風味か。それとも同一会場において、都合のいいときは荒木萬壽夫になり、都合の悪いときは文部大臣になる。同じ会場の中でも、同じ演説の中でも、両性格が共存してやっておるという意味か、どちらですか。
#74
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私の心理的な立場からいえば、全然別個であるということもあり得ますが、現実問題は一人二役ですから、両方の立場に立って私は言っておる、こう申し上げるほかはないと思っております。
#75
○豊瀬禎一君 荒木萬壽夫自身は、文部大臣という立場でものを言っておるという印象を聴衆に与えることを期待してやっておるか、それとも文部大臣でなくて、全く個人という立場で話をしておるのだという理解を与えようという意思でやっておるか、いずれですか。
#76
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 両方でございます。
#77
○豊瀬禎一君 日教組の組織を認めていこうということを先ほど言ったと思いますが、間違いないですか。
#78
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私はしゃべりますときに必ずそのことは言っております。日教組という団体、集団そのものの存在をどうするという権限は私にはない、ただ私の願いは、地方公務員法に基づいて存在している日教組の倫理綱領、掲げる倫理綱領の意図するものが私は間違っておるということを訴えて今日に来ております。
#79
○豊瀬禎一君 荒木大臣に、質問に対してすなおに答えるように注意をして下さい。
#80
○委員長(北畠教真君) すなおに言って下さい。
#81
○豊瀬禎一君 これから荒木萬壽夫氏もすなおになることと思いますので、私もすなおに質問します。
 組織を認めるということは、存在を否定し得ないという概念とは全く異ななると思いますが、あなたは同一概念だと思っていますか。
#82
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと済みません、もう一ぺんおっしゃって下さい。
#83
○豊瀬禎一君 文部大戸が、行政機関が職員団体を認めますということは、存在を否定しませんという意味とは全く違うことだと私は考えるのですが、あなたの見解はどうですかと聞いているのです。
#84
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは先刻来申し上げておりますように、地方公務員法に基づいて公務員法の規定に従って存在しておるものですから、そこでその存在を否定するかどうかという立場、権限というものは文部大臣にない。その基本線に立って常にものを申しております。
#85
○豊瀬禎一君 共産党のお先棒かつぎの倫理綱領を作ったと、あなたは本会議で答弁したが、あなたのいう共産党はどこの共産党か。
#86
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日本の共産党もソ連の共産党もツウツウだと私は解しております。そのことは先年、この文教委員会でのお尋ねに対しましてお答えを申し上げました根拠に立って申し上げております。
#87
○豊瀬禎一君 ツウツウとは何ですか。ツウツウとはどういう意味ですかと聞いているのです。僕はわからぬ。
#88
○国務大臣(荒木萬壽夫君) いわば一心同体のような動きだと、こういうことであります。
#89
○豊瀬禎一君 そういうまじめな言葉で表現して下さい。そうすると、私の質問に対する答えはどちらなんですか。
#90
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 共産主義を奉ずる者でないならば言わないであろうような内容が私は倫理綱領とその解説書を通じてつかみとれると、こう思っております。
#91
○豊瀬禎一君 本会議で答弁した共産党というのはどこの共産党かと聞いているのです。
#92
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大体、共産党というのは各国にあるようでありますが、どこの共産党などと特別にいう必要のない共通なものだと思っております。
#93
○豊瀬禎一君 世界各国の共産党を指しておる、そのとおりですか。
#94
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 国際共産主義とも言っていいかもしれません。共産主義のものの考え方をする人々、こういう意味において御理解いただきたいと思います。
#95
○豊瀬禎一君 共産主義即世界の共産党である、こういう御理解ですか。
#96
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私の理解に従えば、世界各国の共産党というものはほとんど一体をなしたような性格及び動きをしておる。こういう理解であります。
#97
○豊瀬禎一君 あなたのいう共産主義というのはどの共産主義ですか、あるいはだれの共産主義ですか、または何党のいつの大会、綱領あるいは大会の決定ないしは党の綱領、それぞれ世界各国の共産党に綱領がありますね、イタリアはイタリアあり、そのどの党の綱領、性格ですか。どの共産主義か、だれの共産主義か、どの政党の綱領か。
#98
○国務大臣(荒木萬壽夫君) コミュニズムということであります。
#99
○豊瀬禎一君 あなたときどき外で、おれはサンキューという英語だけしか知らぬと言っていばって演説しておるようですが、サンキューしか知らぬ人から、共産主義というものをコミュニズムと訳してもらう必要はない。あなた国会の席上で人をばかにしたような答弁はしなさんな。委員長、先ほどの僕の委員長に対する注意を守っていないじゃないですか。どこの共産主義かという質問に対してコミュニズムだと、そんなばかな答弁はどこにありますか。委員長、今の答弁を取り消させて下さい。――委員長今の大臣の答弁わかりますか。
#100
○委員長(北畠教真君) 私は両方ともわからないのです。
#101
○豊瀬禎一君 それでは委員長に理解してもらえないとなるとたいへんだから、努力いたしましょう。私の聞いたのは、本会議で答弁しているのです、共産党のお先棒かつぎと、こう言っている。それならばどの共産党かと、こう聞いたら、世界各国のすべての共産党を大体指します、共産主義と言ってもよろしい。私のわずかな勉強では、共産主義というものに対しても幾つもの学説がある、主義というものに対しては。また、ソ連の共産党の綱領、中国の共産党の綱領、日本共産党の綱領あるいはその他。あるいはソ連にしてもそれぞれの大会で打ち出していく運動方針なり、共産主義革命の一つの方向というものに対しては必ずしも固定していないと私は自分で判断しています。だから、主義というならばどの主義の共産主義か、あるいはだれの唱えておる共産主義か、党というならばどの国の共産党の綱領を主として指しておるかと、こう聞いている。そうしたら、これはコミュニズムです。ばかと思いませんか、答弁が。委員長。
#102
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私の常識によれば、共産主義も社会主義の一種だと言う人もあると承知しますが、しからば社会主義とはいかなるものか。何十種類、はなはだしいものは何百種類あると識者は指摘しているようであります。しかし、私の言うところの共産党もしくは共産主義というものは、どこの何党がどうだこうだということにあらずして、倫理綱領それ自身が物語ることが共産主義の物の考え方じゃないか、こういうことであります。それは労働者を階級闘争の理念に立って規定し、プロレタリアとして団結の上に立って、まあいわば今までの資本主義ないしは自由主義の物の考え方によって存在している社会の組織、制度、いわばかなめを取りかえるということでなければ教師の使命が果たせない。そういうふうなことを倫理綱領及び解説書においてうたっておる。そのことは、私は識者が共産党宣言の日教組版だという言葉できわめて端的に一般常識として受け入れられておる内容だと、こういうふうに思います。
#103
○豊瀬禎一君 今の大臣の答弁では、ばくたる共産主義というものを把握して、社会の変革を行なっていくのは共産党のお先棒かつぎである、こういう抽象的な判断のように理解するのですが、大臣が本会議で共産党のお先棒かつぎと言ったその根底には、共産主義あるいは共産党の主張のイズムのこの点と合致するんだという根拠をお持ちですか。それとも前段の共産党というものは暴力革命をする政党だ。だから、それに似ておるようなことを言っているのだと、こういう幼稚園学的な認識で言っているのですか、どちらですか。
#104
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ常識として、共産党ないしは共産主義というものが、社会党も一線を画しておられるであろう共産党、共産主義というものと同じだと、こう申し上げていいと思います。学者的な定義づけは私にはできないことですけれども、これは要するに教師に政治的中立など求むべくもないという物の考え方で教師の集団が動いてもらっちゃ国民が迷惑する、こう判断しますから、そういう考えはお捨てになったらいかがであろう、こういうことを言っておるのであります。
#105
○豊瀬禎一君 後日、あなたは倫理綱領の本委員会に提出した資料に基づいて、理論的に、これは共産主義で共産党の綱領とこの点が一致しているから共産党ばりである、こういう御答弁ができますか。
#106
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それはすでに一昨年でございましたか、求めに応じて、お答え申し上げたとおりでございます。
#107
○豊瀬禎一君 もう一つ、関連質問ですからこれで終わりますが、答弁を取り消してもらいたいのです。小林委員が追及したところですが、だれが考えたって、忠告という私ども日本人が使う国語は、それを決定し、まかせた代表、これを全く無視して、お前たちの幹部はかなり多く赤がかっているぞとか、下部にいって直接組合の批判を言うということは、あなたが日教組という団体を認める――認めるということは、認識ということではないですね、行政機関が職員団体を認めるということは、それを行政機関の一つの対象として考えているということです。あるからあるんだということではない。話し合いをする用件があれば会う、そういう関係が初めて認めるという、日本語では。この観点に立つときは、忠告するということは、荒木萬壽夫に私が忠告するときは、あなたに言うのが一番正当にして、かつ教育的なあり方です。あなたは、忠告でなくして、決定されたものの実行が不可能になるような、あるいは決定そのものものがあやまちであるようなものの言い方を直接組合員にしていくということは、現行法の中では明らかに組合干渉であり、組合の切りくずしです。このことについてもあなたは明確に、小林委員の質問に対して、答弁していない。それは後ほどやりますが、私はあなたの言う忠告という日本語を、全然理解することができない。私は倫理綱領が共産党ばりだから、日教組を誹誇したいと思っています、こういう趣旨に忠告という答弁を取りかえて下さい。
#108
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先刻来も申し上げておりますように、倫理綱領の誤りを指摘して反省を求めております。そのことが忠告であると思います。
#109
○豊瀬禎一君 忠告するということは、当人に言うことが最も忠告の本質に合うと思いませんか。
#110
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は組合員たる、もしくは組合員たらんとする、あるいは組合員でない教師一般にその誤りを指摘して、忠告する形をとって忠告をしております。
#111
○豊瀬禎一君 そうすると、荒木萬壽夫に恋人ができた、ところが荒木萬壽夫が不品行なことをした。その恋人に会って、あなたは妻たらんとしておるが、かかるやつと結婚することは、あなたの一生の不覚ですぞと、これが親切なやり方だと言うんですね。私であれば、不品行をしておる当人に、あんたそれはやめたほうがよろしいと言う。これが教育の最も常道ですよ。それをしもあなたは歪曲して、やはり妻たらんとする者に相手の誹謗をすることが忠告だ、こう言い通しますか。
#112
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これはいろんな場合があろうかと思います。いい人だと信じ込んでいる彼女ならば、家族に言ったほうがきき目があるかもしれない。いろいろな方法があるだろうと思います。目的は、批判−、反省を求め、忠告するという、その気持が伝われば私はそれでけっこうだと思います。
#113
○豊瀬禎一君 忠告するということを、あなたはそういうふうに考えておる。取り消さないのですか。
#114
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 取り消すす、取り消さないという問題じゃないと思います。現にそうし続けておることなんですから、そのことが私は最も素直に忠告しつつある姿だと私は信じております。
#115
○豊瀬禎一君 それではあなたのやっている言動は、常識で言う忠告であって、日教組の組織に対して弱体化あるいは脱退あるいは方針決定に対して事前の影響を与える、こういった言動は一切意図的にはやっていない。あなたは小林委員の質問に対して的はずれの答弁をしているのですが、一切やっていない、それはあなたの今言った趣旨の忠告行為である、このように断言することができますか。
#116
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 少なくとも私の考えは、再三申し上げているような考えに立って忠告し続けている。忠告どおりやってくれればもっと強固になりゃせぬかということを念願しているのであります。
#117
○豊瀬禎一君 あなたはときどき新造語を作るから確認して置きますが、あなたの言う用語は、普通常識で通っている用語だと、こういう自信がおありですか。
#118
○国務大臣(荒木萬壽夫君) およそ団体というものは団体のメンバーが基本だと思います。団体のメンバーに対して常に公開の場を通じて忠告することは、私はりっぱな忠告の形だと信じております。
#119
○小林武君 一つだけ聞いておきます。あなたは全国の公民館の会合で、私の前で演説をやったですね、記念講演というなかなかりっぱな銘を打って。その記念講演というのは、皆さんにお聞かせしたいくらい、私としてはどうかと思うようなものです。あれは一体日教組のメンバーですか。ああいう公民館の関係者の中にも、日教組の組合員もいないとは言わないけれども、ほとんどこれは別の団体です。構成員の大部分は私は日教組関係じゃないと見ている。そういう団体に対してやったのも、これも忠告ですか。
#120
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教職員の団体がよりりっぱになってもらいたいと願うのは全国民の願いだと思います。同時に、公開の席以外では、私はほとんどしゃべったことがありません。日教組の組合員たる先生方が聞きに来て下さることは御自由でございますから、何人おられるかわからないけれども、常に何名かは聞きに来てもらっているものなりと、こういう気持で私はおしゃべりをしております。
#121
○豊瀬禎一君 あなたはそれでは、当日、記念講演という名前で、あの中に含まれている何名かの組合員に対して講演をなされたわけですか、忠告なされたわけですか。
#122
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういう意味もむろんございます。と同時に、教育というのは組合の占有物ではないはずです。組合にも、文部省、教育委員会等と一体をなして、よりよき教育への努力をしてもらっているわけです。同時に、主権者たる国民こそ教育の主人公のはずです。その教員の集団が誤った見当違いの倫理綱領を持っていると私は思うということを公開の席で言っているわけで、そのことを主権者たる国民に理解していただく、同時に、その中に聞きに来てもらっていると思うところの日教組の組合員に対しても、今おっしゃるような、そういう気持で私は話をしております。(「質問の趣旨と違うことを答弁しているじゃないか」と呼ぶ者あり)
#123
○小林武君 委員長、文部大臣は答えにならぬことを答えているから注意して下さい。先ほどから二度も三度も注意して下さいと言っているのです。
#124
○委員長(北畠教真君) 注意しております。
#125
○小林武君 今の私は全国の公民館の会合でもって、ああいう、終始公民館の問題には触れないで、社会教育の問題には触れないで、日教組に対する誹謗だけを一時間にわたってやった。その目的は、その公民館の中にいる一人か二人か何人か知らぬけれども、きわめて少数の人間がいるだろうということを予想して、それに対してあなたは記念講演をやったのかどうかということを聞いている。どうなんですか。
#126
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 聴衆全体に対してやりました。
#127
○小林武君 あなたは忠告だと言ったじゃないか、外部の者に忠告しているんですか。
#128
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 忠告する気持でしゃべっておることを外部の人が聞いてもらうことも悪いことではないと、こう思っておしゃべりをしました。
#129
○小林武君 実際頭がいささか――どういうことか、文部大臣ともあろう方が、どういうことをお考えになって一体教育行政をやっておられるかわからなくなっちゃうんですが、あなたあのときはあれですか、一体国の費用で行かれたわけですか、個人ですか、北海道の帯広へ……。
#130
○国務大臣(荒木萬壽夫君) あのときは国の費用で行ったかと思います。
#131
○小林武君 国の費用で行って、あなたの目的は全国の社会教育に従事している人たちに対する文部大臣のいろいろな所見を述べるための記念講演でしたね、この点は間違いありませんね。
#132
○国務大臣(荒木萬壽夫君) むろんそういうつもりであったと思いますが、今も申し上げたとおり、私は本来教育の諸条件の整備ということが本職であることはむろん承知いたしますが、同時に、教育施設がいかにりっぱであろうとも、先生の心がまえがまたりっぱであってほしいと念じておりますから、その角度から、私は日教組の倫理綱領を通じて見る限りにおいては考え方が間違っておると、こう思いますから、聴衆一般に対しても知っていただきたいと思っておしゃべりをしました。
#133
○小林武君 そういうことを聞いているのではないんです。あなたは国の費用をもって――一つの目的を持っているんでしょう、国の費用をもって――国の費用というものは目的に対して支出されるものです。公民館の会合のことについて一言も言わないで日教組の誹謗だけ言ったということはどういうことですか。これはわれわれが、教員の場合ならば、各自教育の視察に行くと称して温泉に行って寝ていたのと同じです。もっと悪質です、人の悪口を言うだけ。大体それと同断じゃないですか、あなたの場合は。文部大臣はどう考えて、おられますか。出張すれば、あとは行く先でどんなことをやってもよろしいということですか。
#134
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日教組の批判もむろん大部分いたしましたが、社会教育との関連において話をしたことも、小林さんもお聞きいただいたと思いますが、根源は、すべてが、先生に国民は期待しておる、そういう先生方の集団はよきが上にもよき心がまえでやっていただきたいと、こう念ずるから、聴衆の一般国民ともども、聞きに来てくれたであろうところの何名かわかりませんけれども、組合員がおったとすれば、ともに同じ認識に立って忠告をしておる、こういう心がまえであります。
#135
○小林武君 委員長にひとつ申し上げたいのですが、やはり荒木さんは事実に対して私はあまり正確に述べていない。社会教育のこともだいぶ述べられたようなことをおっしゃるが、その講演の内容は少なくとも社会教育については話していない。ただ体裁が悪いものだから、日教組ばかり言ったのではどうも工合が悪いけれども、まんざら縁のない話でもございませんというようなことを私は断ったことを覚えておる。小林さんも聞いていたなんと言うから、私も聞いている限りはっきりしておかなければならない。それで私は、これはひとつ荒木さんはどういうことを言ったか、やはりここで証拠物件を出して、荒木演説の内容は一体どういうものであったかということをやってもらいたいと思う。私はそうでなければ、これからの議論は幾らしたところで水かけ論になってしまうと思う。それを要望いたします。
#136
○委員長(北畠教真君) 委員長から申し上げますが、今の要望、わからぬことはございませんけれども、理事会の席でいろいろ相談をいたしましたので、豊瀬理事からひとつお聞きとり願いたいと思います。
#137
○豊瀬禎一君 以前に理事会で相談して、委員会には言わないということにいたしましたね。しかし、その際にも、私からでなくして与党の理事の方から、事実を認めなかった場合にはそれはやむを得ぬだろうと、こういうお話もあったように思う、私どもが聞いている範囲内では。先ほどから荒木大臣が答えておるように、聴衆の中の予想される少数の組合員に対して忠告する、ほんとうにりっぱになってもらいたいという気持で忠告する、こういう印象を受けるような演説内容あるいは語調ではないということ。それから今、小林委員が指摘したように、公民館活動家の集会の中で、文部大臣特別記念講演という形の中で、公民館教育、社会教育のあり方に対する国の施策あるいは責任、抱負といったものが主として語られる中で、日教組の誹謗がエキザンプルとして出てくるということはあり得ることでしょう。しかし私がテープ・レコーダーを聞いた範囲内では、小林委員が指摘したように、かなり多くの時間を日教組誹謗に使っておる。ところが大臣はそれを認めない。事実を認めない以上は、理事会の開会劈頭から言っておるように、ここでテープ・レコーダーを聞いていただきたいと思います。特に私が主張するのは、あのとき言いましたように、同じ忠告といっても、やゆ的に、「日教組のばかやろうどもに忠告してやろうという考えでございます」と胸を張って見えを切ると、ぱちぱちと手が鳴る。「ほんとうに日教組のために考えておる、何とか日教組がよくなればみんなと手を握っていきたい」、今私が言った、たった二つの言い方だけでも、前段と後段は全然違うでしょう。同じ文字化されたものでも、実際に言葉を聞きますと、大臣は私どもが四十数年間使ってきた忠告という言語の概念とは全く違った語調と内容でやっています。しかし大臣はこれを認めない。忠告の一方法だと言うのです。そうだとすれば、委員会の審査に便ならしめるためにもという私の当初からの主張からしても、ここで当然、まず帯広における録音を皆さんにお聞き取り願って、大臣が言っておるように、公民館活動に対し社会教育についてしゃべった中で、日教組の誹謗もした。あるいはそれが、しかもごく少数の出席が予想される組合員に対する忠告行為である、こういうふうに受けとれるかどうかを確認したいと思います。
#138
○委員長(北畠教真君) 委員長が申し上げます。ただいま小林君並びに豊瀬君からお話がありましたが、理事会で一応話し合いがあっておりますので、委員長として個人的にそうしましょうというわけには参りませんから、後刻、理事懇談会をやりまして、そういう面についての徹底をしてもらいたいと思っております。
#139
○米田勲君 後刻なんて言ってもだめだよ。文部大臣の先ほどからの答弁はきわめて不まじめだし、その言い方は事実に反しているとみんなが言っている。僕もそう思っている。彼はほんとうの気持を言わない。ほんとうの計画を言わない。そうして外側だけつくろおうとするからつじつまが合わない。だから録音を聞こうじゃないかということになる。自民党の委員の方たちは真実がわからないのだよ。委員長も知らないのだよ。大臣の答弁はまともに行なわれていると思っている。委員長も社会党の議員が無理を言っていると思っている。だから後刻と言わないで、直ちにそのことを相談をして、みんなの認識をとにかく一致さして下さい。いかにこの文部大臣がでたらめなごまかしを答えているかということを明らかにしなければ、この委員会の運営には協力できない。
#140
○委員長(北畠教真君) 委員長から申し上げますが、お言葉もありますが、先ほど申しましたように、一応、理事会で話し合いができておりますので、これを通さなければ、委員長自身が独断でやるわけにいかないのです。その点は良識のある米田委員もわかってもらえると思う。
#141
○米田勲君 これを通さなければとはどういうことですか。僕の言っているのは、後刻と言わないでやってくれと言っている。
#142
○豊瀬禎一君 今の委員長の取り扱いも一応もっともと思いますので、これでこの点についての話し合いがつかなければ、大臣は公民館教育のことを言ったのだという、私どもは、少なくとも帯広の話は日教組誹謗に終始して忠告行為でない、こういう認識の相違があるのですから、この差のままで論議をしてもおもしろくないと思う。それで直ちに委員会を休憩して、理事会を開いていただいて、今の件を議していただきたいと思います。
#143
○千葉千代世君 関連して。ちょうどお昼にもなりましたので、休憩ということは賛成ですが、私まだ少し詳しく質問したいと思っております。けれども、さっき申し上げたように、同じことを何べんも何べん繰り返さなければ質問のポイントが合っていかないというやり方では、これはお互いに迷惑いたしますので、これは荒木さん弾劾とか、そういう意味じゃなくて、日本の教育をほんとうによくしていくためには、与党も野党もやはり虚心たんかいになって、事実の上に立って、この事実をどうするのだろうか、こういうふうな観点の中から、いわゆる話し合いをしていかなければ、本委員会の任務を果たせないと思うのです。そういう観点から、ぜひテープ・レコーダーをかけて皆さんでお聞きいただいて、それが済まなければ私は質問に入れません。以上です。
#144
○委員長(北畠教真君) それでは休憩いたします。
   午後一時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時五十九分開会
#145
○委員長(北畠教真君) ただいまより文教委員会を再開いたします。
 休憩中に開かれました理事会について御報告いたします。
 大臣の帯広における発言問題について協議を行ないましたが、なお引き続き大臣に対し、事実について問いただし、事実の否定があれば、再度理事会を開いて協議することに意見が一致いたしました。御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(北畠教真君) 御異議ないと認めます。
 それでは午前の委員会に引き続き、質疑を続行いたします。御発言願います。
#147
○千葉千代世君 午前中に引き続いて、人づくりに関連して質問したいと思います。
 午前中の大臣の答弁を伺っておりますと、教育基本法、憲法に沿った人間像を作っていくという、そういうお答えだけで、具体的に、どういうふうだということは出ていなかったと思うのです。私は、そういう答弁の中から、それからいろいろな資料の中から見て参りますというと、どうも教育基本法がねらっているところの人間像とか、あるいは教育の門的といったものではなくしてもどこからか要請されている人づくり、たとえば経団連であるとか、まああと幾つかの方面もございますが、そういうところからの要請の教育目的の挿入とか、また、特に人づくりを大きくクローズ・アップしなければならないという理由が、そこにあるように思われるわけです。そこで、具体的に伺いますけれどもも池田総理が昨年の九月に人づくり政策の一つとして諮問しました経済審議会の人的能力部会というのがございますが、その答申案の内容に次のようなことが報ぜられておりますが、大臣御存じかどうか答えていただきたいと思います。その中には、今後の人づくりを経済、特に生産という立場でとらえて、技術革新と労働需給の変化に対応して、これからの教育訓練とか、企業経営のあり方が大きく変わっていかなければならない、こういうふうな指摘の仕方をされているわけです。私は、やはり技術の革新は必要でありましょうし、労働需給ということも、これは国の経済を進めていく上に非常に大事だと思う。生産を高める大きな要素ということも必要だと思っておりますけれども、ただ、そこで問題になることは、今、ILOも問題になっておりますが、労働者の権利がほんとうに保障されるという、こういう前提がなければ、労働の需給ということもあり得ないのじゃないかと、こういうふうに考えております。その中で、政府がこれからの経済成長の十年計画を発表した、これを満たしていくためには、たくさんの労働力というものが必要だ、特にその労働力というものが、あまり学問の要らない下級労働者、十年の経済成長を満たしていくための上級技術者はこれこれの人数、中級の技術者はこれこれの人数、下級労働者はこれこれが必要だというもこういう算定のもとに、能力主義というものが組み立てられていく、それに合った人的資源を確保していく、いわゆる生産に見合った人、経済の自立を先に立てて、その中の人的資源、経済に従属した人間を作っていくと、こういうふうな内容に聞いておったわけです、私の聞き方が間違いであれば直していただきたいし、それについて大臣が御存じかどうか答えていただきたい。
#148
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今おっしゃった経団連かなんかの人的能力開発云々という会合から生まれ出ましたものは新聞で瞥見いたしました。その程度のことは私も認識はございますが、それを文教政策の具体的な現年度、もしくは来年度の問題として取り上けるという形では、全然承知しておりません。
#149
○千葉千代世君 それでは新聞でごらんになって大臣がお考えになったことは、ああそれはたいへん間違っている、やっぱり教育基本法の理念とは少しかけ離れていると、そういうふうにお考えになったことはございますかどうか。
#150
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今申しましたようなことでございますから、今おっしゃるような意味で私自身が考えたことはございません。ただ、それ以前の問題として、ついでながら申し上げますが、昨年来御承知の所得倍増問題ということがクローズ・アップされてきまして、その面からもいわゆる高級の技術者が、あるいは中級の技術者というものが必要だ、あるいは技能者も必要だということは、これはいろいろな調査からも一応推定される、そこで、大学における科学技術教育というものを量も質も検討をすべきじゃないか。あるいは工業高等学校を中心とする中級の技能者養成ということも考えられなければ、今後に対処できないのじゃないかという角度から、一定の量を推定し、それに見合うような学校施設等を予算等を通じましてもも御審議願って決定しつつあるということは御承知のとおりであります。
 そういう角度からのことは、具体的にも日程に上っているわけですけれども、先ほど御指摘のことに対しては、お答えしたとおりでありまして、あれに見合う課題として、たとえば三十八年度予算に何を盛ったかということでは具体性を持ったものとしては取り入れておりません。したがって、責任のある立場で、今後あれを新聞記事であろうとも受けて、どう対処すべきかということは、私の念頭に今としてはない。今後検討して、どうなるかということはないとはむろん言えませんけれども、それすらもが、当然必要だという意識は、私はあまりないのであります。
#151
○千葉千代世君 一昨年から昨年にかけて、高等工業専門学校の新設それから増設等とからんで、六三三四の新学制がくずされていく、こういうふうな面からも、私ども意見を述べたことがございます。そのときに、科学技術が進歩して、それに対応していくための人が必要だという説明を述べられている。そこで、その上級技術者、大学あるいは大学院卒業者、中級のもの、高等工業専門学校、それから今度は高等学校においては、やはり普通高校よりも工業高校のためのお金も多く出しているわけですね。そういうふうな関連からさかのぼっていきますというと、この経済審議会の人的能力部会の出された内容と、そこでぴったり一致していると思うのですが、うわべでは別々に、文部省は文部省、池田さんは池田さんで言う、それから経済団体の答申は全く自主的に答申した。これを受け入れるか入れないかは、これはときの政府の問題だというふうに、まことに合理的に言われておりますけれども、そこで出された問題と文教政策、のちに述べます労働政策、そういうものと、やはり根が一連につながっていると、こういうふうに私ども把握しておりますのですけれども、いかがでしょうか、その点。
#152
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今おっしゃるほどの計画性を持ってピラミッドの頂点のようにきちっと合わせるために、いろいろな作業が行なわれ御指摘のようなことが出てきたというふうには、私は理解できないのであります。理解できないというのは、そういう角度からの審議に参加したこともありませんし、結果についても、特に文部省としてどうしなければならぬという形では、その接触はないと私は心得ております。
#153
○小林武君 関連。一言だけお伺いしておきます。なお、これから質問することは、次回に十分御質問したいと思いますけれども、教育白書というのは文部省から出したものですね。この教育白書は、いわゆるこのごろはやりの教育投資論と関連がないのですか。どういうふうに理解なすっておりますか。
#154
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは文部省内で申し上げますと、調査局が担当いたしまして、どのくらいの日子を費やしたか、私もさだかには申し上げかねますけれども、きわめて地道な検討を加えて、いわゆる教育白書という形で出る段階になったわけであります。出る段階になりまして、経済、財政面から見たいわゆる教育投資という形で、具体的な効果をもろもろの資料に照らし合わせて、その資料の物語る結論的なものを白書としてまとめて世に問うという姿で出てきたわけであります。そこで教育に関連する投資というか、経済、財政面のいろいろな措置を数字的に、そういう角度から見て教育を論ずるような白書みたいなことを出すのは初めてだとむろん聞きましたが、それについて、ともすれば今おっしゃるような批判があの得るだろう。それがすべてであると考えられることは、白書を出す立場からいえば不本意だから、扉に、試みに経済、財政の立場からの検討を加えるとするならば、そんなふうな見方ができるということであって、それが教育の目的といいますか、のすベてではない、試みにこういうことをしたのだという注釈を加えて、扉にそういう注釈をつけて発表すべきじゃなかろうかということを、私、当時所管局長にも言ったことがありますが、そんなことは蛇足みたいなことだから言うまい。結局そういうことになりまして、扉には書いていなかったと思います。一番最後に、ちょっとそれに類したことが触れられておるやに記憶しておりますけれども、もともと先ほど来申しまするような、きわめて何というか、特別に何かの意図を持ってどうする、ある意図に合わせるために、ことさらな調査をしてみるということではたかったわけであります。
#155
○小林武君 それでは趣味でやったわけですか。何のために調査をやったのですか。楽しみとか何とかということのためにやったのですか。
#156
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 趣味であるはずがありませんが、経済、財政の立場から、今までの教育につぎ込まれた姿を見て、それが日本の経済もしくはいわゆる国力の発展に、どういう関連性を持っておるであろうという角度からの検討をするためにやったわけであります。そのことが、また今後の教育の改善に何らかの価値があるであろうという資料として調査をし、取りまとめたものであります。
#157
○小林武君 それなら、なぜ先ほどから千葉委員が、さまざまな角度から質問しているのに対して、あなたはそれに対して答弁なさらないのですか。これは、私の質問は、いずれやりますけれども、そういう何というのですか、質問をはぐらかしたようなやり方でなしに、教育白書ですよ、教育白書として文部省が堂々と出されたものについて、責任を持たぬような発言はやめて下さい。
#158
○国務大臣(荒木萬壽夫君) この責任を持つ持たぬということと、私が先ほど申し上げましたことは関係ない。ありのままを申し上げておるのであります。白書が出て、それが物語る内容が客観性ありとすれば、それを教育改善のために活用していくという措置は、これは当然とらるべきものと思っております。
#159
○千葉千代世君 先ほど経団連の諮問した人的能力委員会とか何とか、そういうことについては無関係だということをおっしゃったのですが、文部省が自民党の政調会に対して、人づくりについての意見を述べたことがございますか。
#160
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私はありません。
#161
○千葉千代世君 この間の答弁の中に、教育基本法の八条に沿って教育の目的で人づくりが行なわれることは当たりまえだと心得ていると、こうおっしゃって、そしてそのあとから、科学技術教育の振興とか、教育の機会均等とか、道徳教育と教育内容の改善等々に関連して、そういうことについては与党に言ってあると、こういうことを述べてありますね。その与党に言われたということは、自民党の政調会に言われたことですか。
#162
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それも、私が言ったことはございません。ただ、どうせ議院内閣制でございますから、政府と与党の関係において、事務当局から、資料を要求されて提出したり、あるいは説明をしたりしたことはあったろうと思います。
#163
○千葉千代世君 一月三十六日には、さっき私が申し上げたようなこと、そういうことについて与党に説明したことはありますと、こうあります。それはだれが、あなたが答えたから、あなたが言ったことなんでしょう。あなたは人のことをおっしゃったのではないでしょう。あなたがお答えになって、本会議に答えて言ったことですが、その中には、事務当局が育ったではなくて、自分の責任として与党に説明したということはございませんですか。
#164
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私がそういうことを――おっしゃったことがはっきりよくわかりませんけれども、特別に説明してくれというふうな角度から、政調なんかに話したことはございません。
#165
○千葉千代世君 ございませんですか。それじゃあどこへおっしゃったのですか。与党に説明したということは、どこにいつも説明なさるのですか、池田さん個人にでしょうか。
#166
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと恐縮でございますが、何をでございましょうか。
#167
○千葉千代世君 憲法の趣旨、教育基本法の八条が示す態度、あるいは一条に示すような教育目的に沿って人づくりが行なわれてきているということは当然と心得ている。そういうふうなことをするために条件を整備するという、そういう角度から、道徳教育と教育内容の改善とか充実とか項目をあげて、そういうことについて与党に説明したことはございますと、こう書いてあるのです。次に、生徒数が減少するので云々と別の項目になっている。そのときあなたがおっしゃった、全体主義の国ならいざ知らずとか言って、その続きにおっしゃっているのです。ここにございますけれどもね。
#168
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それはこの三十八年度予算を全体的にとらえまして、いわばキャッチ・フレーズ的に言うならば、人づくり予算とでも言おうかというふうな趣旨で、三十八年度の文部省が大蔵省に要求しました予算項目を事務当局が説明したことはあります。
#169
○千葉千代世君 しかし、それはそれとしまして、それでその人的能力委員会の答申、そういう中で、極端に言えばこれは人的資源とか、あるいは人づくり構想というような人間投資論とか教育投資論、人間資質の向上、それは国民所得の倍増計画の中に一貫して流れていると、こういう内容の中でとられていきますというと、教育基本法に示しております人間像というものと、その政府の打ち出した人づくりの人間像ですか、いわゆる政府の言う人間像というものが教育基本法とは、かなり離れているのではないかと、こういう懸念をするわけです。具体的に伺いますというと、この人づくりというものが経済の成長に見合った人づくり、経済を第一に考えて、それに付属した人づくりと、こういう観点でいきますから、その経済を支えるためには、徹底してやはり能力主義というものが、そこにしかれているわけなのですね。
 そうすると、そういう人間を作っていく、作られた人間というのは、どういう人間かというと、教育基本法に示すほんとうに豊かな人間像で、白書が尊重され、生活の権利が守られていく、お互いが尊重し合っていく、平和に徹していく、真実を求めていくと、こういう姿とは逆に、人間の幸福というものを非常に狭い、短距離でつかんでいく。たとえば自分の立場が今どこにいるかという、そういうことを考える先に、まず、この能力を上げていって、当面の手に入るお金をふやしていく、このことに集中して、狭い範囲でものを考えていく人間、したがいまして、どうももう少し労働条件をよくするし、それから相手方も自分もともに栄えていくという、こういう観点に立って労働条件を改善して、そしていい働き場所を作って、労働者の権利を守ろうとする、そういうような人間ではない。ただ黙々として働いて、賃金を得て、そして最大限の自分の購買力を持って、自分の消費生活を営んでいく。こういうふうなきめられた人間が作られていくんじゃないか。そうすると、教育基本法の目ざす人間像とたいへん違ってくるんじゃないか。もっと極端に言えば、自分たちは、これでは因るから何とかして打開していく、お互いに団結権を持って、そしてお互いをいたわり合いながら、労使対等の関係の中で話をしていくという、どうしてもこれが話がつかない場合には、憲法に保障されている団結権、そういう中で労働争議――そうしたお互いの労使関係の中での対等な立場ということをまず考えるよりも、個々の能力の多い少ないによって評価されますから、人間の価値判断とか、働く環境とか、そういうものはまず二にして、第一に考えなければならないことを、そういうふうな目で見るというと、まことに近視眼的な幸福というものを描いた人間と言うと、これは極端にですよ、せんじ詰めれば、そういう人間が作られていく過程にあるわけです。というのは、人づくりをしていくために、たとえば育英資金の云々だとか、こういうふうな人間の持っている性能を十二分に生かした適性適職とか、そういうような背景もない、そういう中の人間像というものを、一体どういう人間だかということ々考えると、どうもその点が、私は不可解でしようがないのですが、それで教育基本法と合わせて、間違っているのかいないのか、それが当然であるのかないのか、その点について答えていただきたい。
#170
○国務大臣(荒木萬壽夫君) おっしゃること、私にはよくわからないのでございますが、教育基本法は、平和な社会、国家の構成員として、青少年が心身ともに健康な人間に育っていくことを期待していると私は思うのですが、そのために文教行政というものは、文教政策というものは、奉仕するような方向に充実されていかねばならぬ。その心身ともに健康だという場合に、学校教育だけをとりましても、それを通して、科学技術の知識、あるいは腕に覚えの技能、そういうものを持たせることも、また心身ともに健康な者を育てるための一部分だと思います。おっしゃるように経団連か独占資本か知らんが、注文をつけたから、それに合わせる規格品を作ろうなどという意図は全然ございません。想像したこともない。りっぱな日本人といつも申し上げるような者こそが、作られていくべきだ、作るという言葉すらが適切でないと思いますが、そういうふうに馴致する努力をわれわれはする責任がある。その責任の中身の一端としては、今申し上げるような内容を当然含むのでなければ、かすみ食って生きていくわけでもないですから、学校を出て――中学を出て、高等学校を出て、大学を出て、学者になる人もあるでしょうけれども、社会人として見れば、みずからの努力によって生きていくという社会的な必然性もあるわけですから、生きていけるための身に覚えの知識、技能というものも、また一つの心身とも健全な人間育成のための目的であり、また同時に手段である、そういうことを身につけさせる努力は、われわれはすべきだというふうにはとらえますけれども、経団連の何とか人づくり懇談会か何かから注文が出たから、おっ取り刀で、それに合わせるなどという考えは、文部省にはございません。
#171
○千葉千代世君 池田内閣の経済政策については、やはり所得倍増計画という看板を下ろしていないわけでしょう。そうすると、所得倍増をしていくための生産技術という面を考えている。これはおっしゃるとおり人間がやるわけなんですから、それに沿った人間を作っていくという、この構想には変わりございませんでしょう。
#172
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあそれを、そういう人間を作っていくのだとおっしゃると、少しわれわれの気持とは違うのでありまして……。
#173
○千葉千代世君 人づくりって、何でしょう。
#174
○国務大臣(荒木萬壽夫君) たとえばだんだんと生産過程もオートメーション化していく。オートメーションの機械の認識、そういうものすらも持たないで社会に出たらば、勤労者になろうと何になりましょうとも、非常識な人間として、もう時代おくれにならざるを得ないという不利な条件のままで送り出すべきじゃないから、所得倍増というのは、一つの経済政策としての目標を掲げたことと思いますが、それは単に池田内閣がどういうということよりも、世界的な技術革新の時代の流れにおくれちゃならない。また、貿易自由化が迫っている、これまた、その圏外にいるわけに参らないという大勢にある。そういう国内的、国際的な諸条件を念頭に置いて、今後この日本の経済がどういうふうにおもむくであろうかということは、一応のめどをつげて、そうして国内的にも国際的にも、そういう社会に生きていける能力を、あるいは知能を青少年に与えるということが、これは何か知らん経済団体の求めに応じて、使いやすいやつを作るということではなしに、そういう知能を身につけないならば、一人々々の青少年が、不幸であろうというふうなことにつながる意味において、教育と関連を持ってくる。そこで科学技術者教育を量的にも質的にも重視していこう、あるいは工業高等学校その他の産振法に基づく教育施設設備等も充実していこうということが現われてくるのでありまして、その学校教育を通じて、今申し上げた、くどいようですけれども、ある何か注文者の設計に応ずるような頭を持ったものの考え方をするやつを作ろうというのでなくて、本末は、逆に当然考えらるべき課題だと、こう受け取るわけであります。
#175
○千葉千代世君 それならば、たとえば高等学校の例一つとって見ましても問題があるわけなんです。大臣のおっしゃったように、ほんとうに日本の国民一人々々が、特に青少年が、新しい時代に即応して科学技術の進歩の世の中に、それにちゃんと対応して、そうして生産に取り組んでいくという、そういうことが考えにあるならば、高等学校に入る子供たちについても、やはり希望した者は入れていって、一人一人の個性を伸ばしていく、そういう考えと、大臣の考えが一致していないというところに問題があると思うのです。
 いわゆる今の世の中では、御承知のように、大正のころは、尋常小学校卒業者が大体年産群であったし、それから昭和に入ってからは、高等小学卒業生が日本の生産を支える労働者であった。それから現在は、中学校から高等学校の卒業と、こういう者が要請されているわけです。実際に職場で私どもも工場の中など行って見ると、高等学校を卒業した者と中学校を卒業した者との取り組み方、理解、それから能力、能率、そういう点について、ずいぶん違うわけです。ですから今日では、高等学校卒業ということが普通に要請されている段階じゃないか。そうしたならば、やはり大臣がおっしゃるように、青年の一人々々がしあわせであって、それが国の発展と結合していくという、そういう教育政策であるならば、それを埋めていく手段としても、高等学校一つとっても考えられていくのじゃないか。そうすると、大臣がおっしゃった理想と現実とが非常に違ってくるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
#176
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その根本的な受け取り方、考え方は、千葉さんのおっしゃることに私は異存がないのです。その間に矛盾は自分でもないと、自分の考えが矛盾しているとは思っておりません。ただ、高校急増対策等を具体的に話題にとってのお話ですけれども、努力不足の跡があるんじゃないかという御批判はあり得ると思います。それはすなおに受けとめねばならないとむろん思いますけれども、だからといって、さっきお答えしたようなものの考え方と違っているじゃないかという証拠におっしゃるのは、少し私の気持とは違う断定を下されているような気がします。
#177
○千葉千代世君 どこが……。
#178
○国務大臣(荒木萬壽夫君) だから、批判的な立場に立って先ほど来おっしゃっておることは、努力が足りないから、もっとしっかりやれという意味での言葉ならわかる、物事の、教育というものの受け取り方が根本的に違って、なっていないじゃないかと、しかられるという理由はなかろうと私は思っております。
#179
○千葉千代世君 言葉じりをとらえてたいへん心もとないのですが、私が申し上げたというのは、たとえば高校全入に対しても、全国のお父さん、お母さんたちが、一生懸命に子供たちを入れたいというもそういう考えで、今一千万も署名して文部省に陳情に行って、なぜ会わないか、そういうふうに言ったならば、文部大臣は、そんな会う必要がないからけ散らしましたと言って答弁をしているでしょう。そうすると、ただ観念的ではなくて、そういう要望というものを受け入れていくという教育行政でなければならないのじゃないか。そういうものを全然抜きにして、自分の考えに同調するものだけの意見を聞いて、それを進めていくというところに問題があるのじゃないか、こういうわけなんです。そのときに会わない理由は、特定の人が先に立っているから、その人は倫理綱領を書いた何であるからだとか、それだから、気にいらないとか何だとかいう、こういう理由をつけて言っているのですね。それは大臣の午前中からの答弁の中で、大臣の感覚というものはわかりましたから、あえてそれに私は、ここで言い合うということじゃございませんけれども、やっぱり高校全入一つとっても、そうであれば、たとえば育英資金にしても、それは、ことしは増額しました。しかし、もっとやはり十分な処置をするという政策を出していただかなければ、この青少年一人々々が、ほんとうに持っている能力を生かし合って、そうして技術革新にマッチしていくというのにほど遠いと思うわけなんです。
#180
○豊瀬禎一君 関連。今、千葉さんの言っていることと関連するのですが、努力不足とおっしゃるが、努力不足じゃないのです。それはあなたの勝手な言葉であって、千葉さんの指摘のように、あなたのさっきからの議論を聞いていると、口では教育基本法の順守と言っている。あるいは人の持てる能力を最大限度に発揮していきたい、こういう口ではもっともらしいことを言っているが、実際はそうじゃない。たとえば高校急増対策は、努力不足じゃない。池田さんは人づくりと言っておるけれども、後期中等教育をどうしていくかということに対して予算を出さなかったということは、努力不足じゃない。特にあなたの答弁と、八月の臨時国会の予算委員会でやった際の池田総理大臣との答弁が食い違っているのですが、あなた、高等学校は能力のある者を選抜して入れたほうが正しいのだ、こういう言い方をしておりましょう。だから、後期中等教育というものに対しても、また人の能力を伸ばしていくという基本的な立場から論じても、できるだけ多くの教育の機会を与えて伸ばそうということでなくて、やはりマン・パワー委員会の思っているように、これだけの人間が要るから、これだけで押えましょう、その数は六一%ですよ、あなたが、観念的にどういう言葉を吐こうとも、池田内閣の文教政策というものは、あなたの言っている口頭禅とは全く逆行して、しかも文部省が、当初に急増対策として要求した予算さえも出していないじゃないですか。そういうのは、努力不足という詭弁でごまかすべき問題ではなくて、それは必要ないことだと池田内閣が判断した。あなたも、それに少なくとも池田内閣の閣僚として同調しておるのだ。こういう結論を出さないと、うそでしょう。その点も一緒に答えてもらいたい。
#181
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それが努力不足だと申し上げるのであります。当初は、御承知のとおりある程度の国も急増対策に都道府県が悩んでおる状態を見つめながら、国の立場からも責任をもって協力するという体制をしいたほうが適切じゃなかろうかという構想を立てまして、普通高校の施設につきましても、できれば補助金でいきたいという案を立て、二年越しやってみましたが、努力が足りませんで、私どもの構想そのままでは実現しなかった。しかし、実現しなかったことは、おっしゃるように本質的にも後期中等教育をどうでもいいと政府は考えているのだと断定されるのは、私は少し筋が違うと思います。今の制度を根拠に考えれば、現実には大蔵省なり自治省の一部にも意見があったかと思いますけれども、高校の設置責任者というものは都道府県だという建前である。その建前を前提として立論する場合、都道府県のみずからの財源、もしくは制度上認められている交付税等の財源でもって、その都道府県の住民に対して、その施設責任者としての義務を果たす態度で臨むという考え方も、方法としては当然、公然と認められたルートでございますから、そのルートに従って必要ならば資金を調達するという、分量の問題、それを獲得するための手段が違うというだけであって、高校急増なんかどうでもいいのだと思っているから、そうなったのだということではないと、こう考えておるのであります。
#182
○豊瀬禎一君 あなたの答弁、違いますよ。そういう勝手な答弁をしてもらっては困ります。文部省は補助金をもっと出すべきだという当初の方針、これは一応、了承できるのですよ、ところが、池田内閣は、補助金出さぬでもいいのだという決定をしたでしょう。その責任はあなたにもありますよ。だから、それは方針であって、当時はあなたとしては、大蔵省から予算をとるという文部省、大蔵省の関係においては、努力不足と言える。しかし、池田内閣が予算を組んだ段階では荒木文部大臣も、高校急増対策は都道府県にまかせては間に合わないという方針を捨てて、地方の責任でやりなさいという池田総理大臣の予算委員会における答弁として実を結んだのです。だから、今あなたが後段におっしゃったように、池田内閣の人づくりというのは、高校は希望者を全部入れぬでもよろしい。必要ならば六一%入れれば、それでよろしいのだ。あとは都道府県が勝手にやりなさい。試験地獄で自殺したり、お母さんが死んだり、いろいろな不祥事件が起きておることは、これはやむを得ぬ。本人が意思が弱いから勝手に死んでおるのだという政策でしょうが。そう思っていないと言っても、政策としてはそうでしょう、そう思いませんか。
#183
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政策として、自殺しても仕方がないのだということでは毛頭ないわけであります。もともと困難でありましょうとも、これは解消したいという立場で話を申し上げたと思いますが、起債及び自己財源でやっていくという財政措置がとられるならば、それも一つの方法であることは間違いないのでありまして、その目標を立てます場合に、現在義務制ではないわけですから、高校に入る者は、一応の適性を持った者を入れるという建前ですから、高校全入等で言われるように、全部例外なしに入れるということは、今の制度上私は現実問題として不可能という立場に立ってものを言っているにすぎないのであります。
 そこで、実際上それでは目標なしには、起債のワクもあるいは交付税の積算もできないわけでございますから、三十五年度の実績を見て、進学率六〇%というのが、従来数年間のいわば平均数値的なもの、特に代表的な数個としては三十五年度の実績が一番手近なものでありましたから、それを基礎に推計をいたしまして、六〇%の進学率を念頭に置きながら積算しました手当をした。ところが物価の変動もある。あるいは構造比率も当初の都道府県等との打ち合わせよりも、実際は鉄骨、鉄筋が比率が多くなってきた。あるいは進学率そのものも三十五年度の実績しか、いわば権威ある基礎数字はないものですから、それによったのだが、その後の各都道府県の実情が、進学率をもっと高めるという必要性を各都道府県ごとに感じて具体的計画を立て始めた。そこで都道府県と文部省と自治省が一緒になりまして相談した結論が、六〇%というあのままではいけない、六一・八%としないならば実情に合わないし、また実費的に三十五年度の実績を確保するわけにも参るまいということで、起債財源を補正をいたしましたり、三十八年度で、またその構想のもとに御審議を願う内容として提案もしておるということで、一〇〇%完全だとはむろん言いかねる事柄ではありますけれども、高等、中等教育に対しては、特に急増の時期に対しましては、通例のままにほっとけば混乱を来たすであろうことを未然に防止する角度から、できるだけの努力をしておる、こう考えておるのであります。
#184
○豊瀬禎一君 関連質問ですから、長くは追及いたしませんけれども、六一・八%に見ましたけれども、実際は東京都においても、どこにおいても、見込み違いだということは、現実として現われてきておる。それからあなたは口を開くと、青少年の犯罪のどうのこうのと言っておるけれども、中学浪人を出すということそのことが、やはり犯罪化の一つの原因になっておることもお認めのはずです。そのことを知りながら、結局当初の文部省の決意として補取金の高額補助金というのを池田内閣が放棄したということは、あなたが、起債を少し増したとか、何とか努力しておるとか、何と言おうとも、中学浪人の現出、高校進学率の読み違い、あるいは受験地獄による自殺、こういった現象に対して、適切な施策を放棄しておるということは事実でしょうが、池田内閣が。その責任者が、あなたでしょうが。そうして国費を使って、どこかに行っては、ばかの一つ覚えのように日教組の悪口ばかり言って、拍手されたら得々として、それが受け入れられたような顔をしている。そういうあなたの考え方が、高校急増対策にも顕著に現われておる。
 もう一つだけ聞いておきます。そのことは、もう触れません。文教委員会で文部省のある人が、あなたは、人的開発委員会は全然ノー・タッチのようなことを言っておるけれども、あの中に学力テストをやって学力の現状を把握し、そのデータによって中級技術者、下級技術者、高級技術者の確保がどの程度できるかということを見るためには、学力テストをやらなければならぬと、これとの関係を私が質問した際に、文部省当局が何と答えたか御記憶ですか。あなたは、全然ノー・タッチだとおっしゃっているけれども、あの中の幾つかの事項は、着々と文部省の施策の中に取り入れられておるじゃないですか。お忘れになったのですか。千葉委員に対して、ごまかして答弁なさったんですか。それだけお答え願いたい。
#185
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 人的の開発審議会でございますが、それにはノー・タッチであります。むしろ逆に、学力テストなり、あるいは文部省で調査しました学歴ごとの職場調査とでも申しますか、そういうものが、逆に経団連その他が資料として利用しておることはあるかもしれません。逆に向こうから注文され教えられて、ああする、こうするなどという意味においてはございません。
#186
○米田勲君 関連質問。関連質問だから、あまり長くはやりたくないのだが、今、千葉委員の質問に対して文部大臣は、いろいろの答弁をしておるが、そのつど勝手なことを言ってもらっちゃ困る。都合のいいようなことを言ってもらっては困る。先ほどから話題になっておるのは、経済の計画を達成するために人の教育を従属させてはならないということについては、あなたもそのとおりだと言っておる。そのとおりだと言っていないのであれば、あとから違うと言って下さい。そのとおりだと言っておるように聞こえる。
 それから高校急増対策が十分でなかった。努力が十分でなかったというなら話はわかるがということを言っておる。その限りにおいては、文句はない、そういう答弁なら。しかし文部大臣は、僕が前の国会で高校の急増対策の臨時措置法案を出したときに、私と、そこで並んでおって自民党の議員の同じ質問に、あなたはどう答えたか、そのとき。それを忘れて、きょうの答弁をしてもらっちゃ困る、私はこう言ったのです。国民の中に、子供をせめて高校にだけは学ばしたいという純真な気持がある。それが高校全入運動ということで、各地でいろいろな運動が起こっている。私は、この法案を提案したのは、それと方向においては同じである。許すならば将来の条件としては、高校へ希望する者全員を入れたいという方向で、この高校全入運動を肯定しておる。しかしこれを一挙に今やり遂げるということについては、いろいろ難点がある。しかし高校全入運動そのものを否定することは間違いだとという主張をしておる。そのときに文部大臣は何と言ったか。もしこの言葉を記憶していないのであれば、頭がどうかしているか、きわめて滑稽であると言える。高校全人運動をしておるのは知恵のない者のやり方だとあなたは言ったのです。知恵のない者のやり方だと。そう言ったことは速記録に残っている。私とその点で非常に意見が違って言い合いをしておる、そのときに。さっき豊瀬委員もちょっと触れたが、大体、高校に希望する者を全員入れてしまったら、高校教育は低下して、始末の悪いことになる。高校に入れる者は、激しい試験を受けて選抜した優れた能力のある者を入れていかなければならないという主張をした、そのときに。この、ものの考え方は、今、千葉委員と文部大臣が言っておる論争と同じだとあなたは考えていますか。人を教育するということが常に先行しておる。決して経済の成長計画、生産の増強計画が先行して、それに付随して人を育てる教育を計画すべきでないという立論とは、あなたは食い違っていないか。親が自分の子供を高校に入れたいということは、どの親も皆同じなんです。それをこの間、本会議で何と言ったか。その親の気持を名誉欲だと文部大臣は答えているじゃないか。一つの公立高校を受けさして、そのほかに二つも三つも私立高校を受けさしているのは、それは一体、何のためだか理解できますか、あなたに。そんな無理を子供にさしている親の気持というものが、素直に理解できるのか。高校に希望したら、みんな入れたいという観たもの真実の気持が理解できるのか、文部大臣は。高校全入運動などをやっている者は、知恵のないやつのやり方だと、明確にこの委員会で言っておる。そうしておいて事、今日になったら、急増対策は努力が足りなかったと言われるのは仕方がない。しかし、このことが三十八年度の計画でできなかったのは、経済の関係、財源の関係でできなかったのだということを今日になって言っても、われわれはどっちがほんとうだか信用できない。大体この厳選して選抜をして高校に入れる者を作るのだというものの考え方、高校にみんな入れるなんという、そんなものの考え方はけしからんという、そういう考え方が、文部大臣は先行しておるのだと私は理解しておる。
 それが先ほどからの千葉委員との論争になると、巧みにそちらの船に乗り移って、聞きよい話をしているのだが、一体、どっちがほんとうなんだ、あなたの言葉は。それをきょうはひとつ明確にしておかなければならぬ。もし、きょう言っていることが正しいのなら、前の委員会で言った、このことは取り消してもらう。
#187
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 両方ともほんとうであります。本会議での千葉さんの御質問は、何十人の競争があって激しいせり合いがある、そのことを遺憾千万だというお気持での引例をしたお尋ねがありましたから、そのことに答える意味で、当時も申し上げましたように、少なくとも全国的な計算上は、希望者の九六%は確保できるというめどを持って進んでおるのであります。三十五年度の実績も、ほぼそういう状況でございました。前向きに、いろんな条件を整備します場合、ある想定を下さざるを得ない。その想定を下します場合には、寄りどころというのは、最も手近かな事実に基づいて、それが行なわれるであろうと推定するほかに手がないわけであります。しかし、その推定と違った現実の働きがありますこととの食い違いが出てくる。それを分母的にいって貝通しが悪かったと批判されれば、あるいはまた、その後の変化に応ずるゆとりのある対策がなかったから、そごができたんだと言われれば、努力不足だとと、こういうことを千葉さんにお答えしておるのであります。
 また、高校全入が、私はあまり賢い運動じゃない、まさしくそういうふうなことを申し上げた記憶があります。それは日教組が主張する、いわゆる三原則について申し上げた。言うがごとくんば、男女共学なり、学区の小さい学区へ行くのだということは一応別といたしましても、少なくとも総合制の高等学校を全国的に作らないことにはできないんだという条件もついておる。それが現実にできるか、各普通高校、工業高校その他の科目ごとに年々歳々希望者の実際の結果は違うであろう、極端に考えれば、その学区内のすべての中学卒業者が、あるときは普通高校にすべて入って、ほかに一人も行かないこともあり得るであろうし、その逆のこともあり狩るであろうと想定される、そういうことに応ずるような全国的な施設設備をやるとすれば、莫大な経費が現に要るであろう、その年次計画も作らないままに、ただそういう三条件が、すでにでき上がったがごとく印象づけながら全入々々ということは、これは私は実際的な、足を地につけた考え方に立った主張じゃない。ただし、世の親が、全部入れるならさぞよかろうと思う気持はわかる。私も子供の親として、そういう気持はむろんわかります。わかりますが、親たちが、そう思うことと現実の行政政治というのは、理想と現実の食い違いと同じような意味において、多くは不可能であります。さっき申し上げたような意味において、三条件のもとにおいてやるとするならば、なおさら、直ちには不可能であります。運動すること、そのことを、かれこれ言う資格はむろん私にはない。そういう意味で、それとこれとは区別して申すべきことなりと考えて御答弁をした記憶はございます。もし、義務教育の年限々を三年延ばすという立法論の立場で検討すべき課題だというんなら、むろんわかります。しかしそれも、世界の実情を聞いてみましても、そういう事例はほとんどない。できることなら、そうしたいという願い、もしくは現実にその必要性が出てくる時期は、それはあろうかとは思いますけれども、現実に立ってものを考えます場合に、御指摘のような御答弁たらざるを得なかったから、御答弁申し上げ、かつまた、一面において進学希望者の九六%見当はせめて入れたい、しかし入れるについては、高等学校の現行制度に従うならば、本人の適性能力というものを全然無視して、だれでもいらっしゃいという制度にはなってないと私は承知します。中学と違って。義務制ならば、能力に甲乙がありましょうとも、それに応じた施設設備、教員組織等を備えて待ち構えるということがあり得るでしょうけれども、今の高等学校の制度からいうならば、それは制度上できない、そこで進学適性を先生が十分に見きわめていただいて、進学指導をしていただくということ、親もまた、自分のかわいい子供の適性能力というものを、先生と相談しながら見きわめつつ、ただ有名校に殺到するということを冷静に防ぎ得るなら、千葉さんの引例されましたような試験地獄の、特殊学校だけが、特に何十人に一人というがごとき競争激甚さを現わさないで済むであろうという気持ちを含めて、御答弁申し上げておるのでありまして、それぞれの前提条件が違っておるから、一見違うようにお聞き取りいただくおそれがあったかと思いいます。
 以上も繰り返し申し上げて御等分にかえます、
#188
○米田勲君 もう一つ、やらして下さい。
 今の答弁の中に、文部大臣はいつも得意になって使う数字があります。九十何パーセントの云々というやつ、あなたは、中学の三年に進級したときに、直ちに受け持ちの先生が高校進学希望を調査したときの数字と、一学期を経過して再び調査した数字と、だんだん三月に近くなるに従って、調査した数字が非常に違っていっておるという事実を知っていますか。どの高校でも言えることなんです。それ、知っていますか。
#189
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 事務当局から聞かされて知っております。
#190
○米田勲君 それは、どういうわけですか。どういうふうに違っていっているのですか。
#191
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 当初の遊学希望者が非常に多かったという事例もありますし、あとでそれが減ったということもある。それか逆の場合もあるというケースを、実際に即しまして調べまして、そしてさっき申し上げたような推定を下して、これだけの準備をすれば、大体大丈夫ということで、いろいろな措置をしておるわけであります。
#192
○米田勲君 文部大臣がよく使う、その九六%なり何なりという数字は、それは狭い門だからというので、先生も親も子供も四苦八苦の思いで、最後にしぼった数字なんですよ、それは。もっと高校がたくさんあれば、そこまでしぼり上げなくてもよかった数字なんです。そこにわれわれが高校の急増対策を大きく一歩飛躍的に力を入れて進めなければならぬという根拠があるのです。高校の遊学希望者は、最後的にしぼり上げて、親も子も先生も苦しんでしぼり上げた数字が現実なのではない。中学二年生、中学の三年生の当初に調査をしたときが、これが子供や親たちの進学希望のあらわな姿なんだ。それが高校の数が少ないために、どうしても狭い門で入ることができないということから、みんなが、私に言わせると泣きの涙で、だんだんしぼり上げていった数字が、最後的に入学志願書を出して試験を受ける、その子供たちになっている。そんな数字を持ち出してきて、希望者に対して入学者は九十何パーセントだなんという、そういう数字を振り回すのは、私に言わすと、不見識もはなはだしいと言いたい。そんな数字で高校急増対策、これでまあまあいけると考えているのは、事態の認識が根本的に間違っておる。それが一つ。間違っていないかという質問。
 それからもう一つは、さきの議論の中に補助金の政策は一応考えたが、取りやめて、池田内閣の方針がきまった。あくまでも都道府県の設立の責任者が責任を負えというやり方です。あなたは閣僚の一人として、都道府県の、現在の地方税法なり交付税法の範囲において、どれほど地方財政が困窮しているかという実態を知っているかどうか。その実態を文字どあり知っているなら、あなた例をあげてもわれわれに説明してごらんなさい。それは苦しいですというような抽象的なことでは、あなたはよくわからぬと言いたい。今この県民の声に対応して、理事者である知事が、どれくらい高校は設置者の責任で建てろという無責任な池田内閣の方針によって苦しんでいるか、その実態をあなたは理解していないのだ。だから力が、外力が足らぬと言われればそれまでだというようなうそぶき力をするのだ。ちっとも自分のなすべきことがなされなかったという反省がない。私はその点において、きわめて遺憾だと言いたい。そんなことで文部大臣を勤めておるのはどうかと思われる、これが第二点。
 第三点は、あなたの言う今の説明では、高校全入運動は知恵のない者の言うことだという答えにはならない。何です、その物の言い方は。あなたは人を侮辱することを平気で公式の席上で言うたちだ。知恵のない者のやり方だという言い方は、当人にとっては、もう痛烈な批判ですよ。それは、ばかだと言っていることなんですよ。あなたは、この全入運動の中に、あなたの一番きらいな日教組という組織の者が参加をしておることが、知恵のない者のやり方だと言っているように聞こえる。それは何だか今三つの条件だと言い出した。高校全入運動を唱えておる親たちは、あなたの考えておる、そういう不純な気持ではないのだ。今答弁したような文部大臣の気持であれば、高校全入運動、確かによろしいと、あなた方の気持もわかると、しかし、国家の財政がこういうのだから、ことしのところは、この程度でがまんをしてくれないかといって、真情を吐露して説得するのが文部大臣の立場であるはずだ。その自分の責任を投げて、高校全入運動など唱えるのは知恵のない者のやり方だという言い方は、あまりにも不見識ではないか。だから私は、取り消せというのだ。そういうことを放言して、高校全入運動、全国のこの運動に参加している者は、どのくらいあるか私は数は知らない。その数の中に、手前の気にくわない者が入っているからといって、運動全体をけなす。運動に参加している者の人格を頭から否定するようなものの言い方を公式の席上で文部大臣が言うとは何ごとだ。今日になったら、人を教育することが、まず第一だ、決して経済に従属させてはならないというような、まことしやかなことを言う文部大臣であるならば、あのときは言い過ぎたとか、あのときの言った言葉は取り消すとか、すなおに言うべきだ。どっちの考えも私の考えだという、何だ、その不見識な言い方は。私は、まずいことを言ったなら、まずいことを言ったと取り消すような人間を育てたいと思う。文部大臣の言ったような、一度自分の言ったことは強弁する。あとまずくても、それも自分のやっていることの力の足らなさや、努力の足らなさを棚に上げて、そのことを指摘されると、都合の悪い考え方や、運動をしている者を頭ごなしに誹謗するという言い方は、これはまともではない。そういう者から、道徳教育など聞きたくない。人づくりなんというのは、そういうことにあるのだ。自分の責任を痛感して、自分のなすべきことをできない場合には、すなおにその気持になるべきだ。高校全入運動をやっているのは知恵のない者のやり方だと言ってきめつけるのは、一国の文部大臣としてはけしからぬ言い方だ。だから私は、その言葉は取り消しなさいと、言っているのだ。あなたはそれをちっとも反省する気にならない。この三点について答弁を願いたい。
#193
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 都道府県の財政が実情どうであるかを正確にお答えする権力はありません。
 第三点の、今までの高校急増対策、大丈夫と思ってスタートしたが、あとから結果的に予測せざる自由のゆえにそごを来たした、そこまでも十分ゆとりを持って対策を立つべかりしことをあとで感じたということは、ほめたことではないと思います。しかし、神ならぬ身の不可能な意味もないわけじゃございません。したがって、それをわかったならば、できるだけの応急対策を立てて補正をしていくという態度がわれわれの当然なすべき態度だと思うのであります。都道府県が設置責任者だから、政府はもう全然知らぬ、政府としての責任はないのだとは考えません。制度としては、都道府県が設置責任者であることは間違いないということは、米田さんも御承知のとおりであります。そのことを申し上げているに過ぎないのであります。さりとて、都道府県にもピンからキリまで、財政力の相違がございまして、不交付団体のごときは、相当潤択なところもないではない。すでにして起債と交付税をもって、本来の立場でやっていくということに態度をきめました以後においても、今申し上げたように、都道府県が責任を負うのだから、政府は知らないのだと言うべきでないことは当然でございます。そのためになすべきことは、起債のワクなりあるいは交付税の積算なんというものを実情に合うように補正をしていく努力をすることによって責任を果たしていくということでなければならないと思い、かつ及ばずながら、やりつつあると存じております。
 高校全入については、先刻お答えしたとおりであります。日教組が言っておると伝えられる三原則を掲げた全入運動というものは、これは少なくとも教育に認識ある人々の集団の言うべきことではあるまい。しかし子供の親の願いという角度から、ぜひ入れるようにしたいものだと願うことそのこと自体を否定することはむろんいけない。それは、先刻申し上げましたとおり私も子供の親として、そういう願いを一面において持っておる。そのことと、政治行政を担当する者の立場において、日教組のいう全入運動と称するものに対しての見解を表明することは、これは当然の私の責任だと思って申しておるのであります。
#194
○千葉千代世君 資料要求二つしたいのですが、それは二月の五日か六日と思いますが、全国の教育長協議会ですかございましたですね、日比谷の図書館で。教育委員長会もあったのでしょうか、その中で、高校の問題について話し合われたこと、それから、まとめて要望がたしか文部省に出ているのじゃないかと思いますが、そのことの要望書の内容、それを配っていただきたい。
 二番目が、今私立学校あるいは公立学校で、高等学校の大学試験がございます。その中で入学金、受験料、それから合格した者の足どめ料として入学金を取っているわけなんです。それだけならまだ今までの例ですけれども、一年間の授業料を取るところと、それから一学期間の授業料を取るところと、学校があるわけです。その人たちが、幾つ学校を兼ねているか、小さい範囲を調べた範囲ですが、七つくらい入っている子供があるわけです。そうすると受け持ちの先生は、七つの内申書を書く。受け持ちの先生と、学校側の問題点、それから家庭のほうのつまり経費の問題点、お子さんからの問題点と、こういう点があるわけです。資料をいただきたいのは、今、入学試験を実施している公私立の学校で、知れる範囲でけっこうですから、定員と志願者数の比率と、それから受験料の額、入学金の額、授業料を一学期だけとっているところ、一年間先払いさしているところ、――一年間先払いさせられてしまって次の学校となると、たいへんなことになるそうです。二十万円ではきかないそうです。そういうこと、具体的にわかっているだけでけっこうですから、間に合うようにしていただきたいと思います。
 以上でございます。
#195
○委員長(北畠教真君) 本日の委員会の審議は、この程度にして、これで散会いたします。
   午後四時十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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