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1962/03/12 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 文教委員会 第9号
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1962/03/12 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 文教委員会 第9号

#1
第043回国会 文教委員会 第9号
昭和三十八年三月十二日(火曜日)
   午前十時四十五分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     北畠 教真君
   理事
           二木 謙吾君
           吉江 勝保君
           豊瀬 禎一君
   委員
           久保 勘一君
           斎藤  昇君
           笹森 順造君
           野本 品吉君
           小林  武君
           千葉千代世君
   発  議  者 千葉千代世君
   発  議  者 豊瀬 禎一君
   発  議  者 小林  武君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  政府委員
   文部政務次官  田中 啓一君
   文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
   文部省初等中等
   教育局長    福田  繁君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国立学校設置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○国立養護教諭養成所の設置等に関す
 る臨時措置法案(千葉千代世君外四
 名発議)
○日本育英会法の一部を改正する法律
 案(千葉千代世君外四名発議)
○教育、文化及び学術に関する調査
 (学問の自由等、当面の文教政策に
 関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(北畠教真君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
 本日の理事打合会について御報告いたします。
 本日の委員会は、最初に国立学校設置法の一部を改正する法律案(閣法第七五号)(衆議院送付)について文部大臣より提案理由の説明を聴取、次いで、国立養護教諭養成所の設置等に関する臨時措置法案(参第一五号)及び日本育英会法の一部を改正する法律案(参第一八号)について発議者より提案理由の説明を聴取した後、前回に引き続き、学問の自由等当面の文教政策に関し質疑を行なうことにいたしました。なお、本日は午後一時終了といたします。
 以上御報告いたします。
 それではまず、国立学校設置法の一部を改正する法律案(閣法第七五号)(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、政府より提案理由の説明を聴取いたします。荒木文部大臣。
#3
○国務大臣(荒木萬壽夫君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申しあげます。
 この法律案は、昭和三十八年度における国立大学の学部、大学院及び付置研究所の新設並びに昭和三十八年度及び昭和三十九年度における国立高等専門学校の新設について規定するとともに、国立大学の内部組織に関する規定を整備しようとするものであります。
 まず第一は、国立大学の学部の新設についてでありまして、科学技術者養成計画の一環として理工系学生の増員を行なうため、埼玉大学に工学部を設置することといたしました。第二は、国立大学の大学院の新設についてでありまして、これまで大学院を置かなかった大学のうち、学術振興の観点から特に重要な分野について充実した内容を有する学部を持つ大学に大学院を設置することといたしました。すなわち、東京芸術大学に美術研究科及び音楽研究科を、お茶の水女子大学に家政学研究科を、横浜国立大学に工学研究科を、富山大学に薬学研究科を、それぞれ設置しようとするものであります。第三は、国立大学付置の研究所の新設についてでありまして、群馬大学に内分泌研究所を、京都大学に大準関係者の共同利用に供する研究所として、数理解析研究所及び原子炉実験所を、それぞれ付置することといたしました。内分泌研究所は、内分泌に関する学理及びその応用の研究を目的とするものであり、数理解析研究所は、数理解析に関する総合研究を、原子炉実験所は、原子炉による実験及びこれに関連する研究を、それぞれその目的とするものであります。第四は、国立大学の内部組織に関する規定の整備についてでありまして、各学部に共通する一般教養に関する教育を一括して行なうための組織としてこれまで実際上運営されてきたもののうち、体制の整ったものを教養部として制度上認めるとともに、学部に置かれる学科または課程、大学付置の研究所に置かれる研究部門等を法令上明確に定めることといたしたのであります。なお、このたび東京商船大学に包括される海務学院を廃止することによって、国立の学校に包括される旧制の学校はすべて廃止されることになりますので、これに関する規定を削除することといたしました。第五は、国立高等専門学校の新設についてであります。前年度に引き続き、このたびは、八戸、宮城、秋田、鶴岡、富山、長野、岐阜、豊田、米子、松江、津山、呉、阿南、高知、有明、大分及び鹿児島の計十七校の国立工業高等専門学校を設置し、科学技術教育振興の一環として、中堅技術者の育成をさらに強化しようとするものであります。なお、これらの十七校のうち、秋田、富山、米子、松江及び呉の計五校の国立工業高等専門学校については、予算その他の都合により昭和三十八年度中に準備を行ない、昭和三十九年度から開設することといたしたのであります。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、御賛成下さるようお願い申しあげます。
#4
○委員長(北畠教真君) 以上で本案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(北畠教真君) 次に、国立養護教諭養成所の設置等に関する臨時措置法案(参第一五号)及び日本育英会法の一部を改正する法律案(参第一六号)を一括して議題といたします。
 まず、発議者より、それぞれその提案理由の説明を聴取いたします。千葉君。
#6
○千葉千代世君 ただいま議題となりました国立養護教諭養成所の設置等に関する臨時措置法案について提案の理由と内容の概略を御説別申し上げます。
 現行の学校制度、特に義務教育諸学校並びに高等学校においては、児童生徒に対する健康管理並びに保健指導がことのほか重視され、その任に当たるものとして養護教諭が置かれておることは御承知のとおりであります。この養護教諭の制度は昭和十六年勅令として制度化され、戦後の新学制においてさらに整備拡充されたものでありますが、制度発足の当初においては、その養成が緊急には間に合わないという見地から、学校教育法の本則では、義務教育諸学校の場合必置制とされながら、附則で当分の間任意設置制とされたのであります。この養護教諭の養成と設置の推進は、職務の重要性の認識の不徹底に加えて、地方財政の貧困という条件が重なり、その後、今日に至るまで遅々として進まなかったことはまことに遺憾であります。これらの点について、最近、国会ではしばしば問題として取り上げられ、ついに第四十国会の参議院文教委員会で、養護教諭の設置の推進とこれに即応する養成計画の拡充についての決議が全会一致で行なわれましたことはまことに喜びにたえないところであります。この決議に対して、政府は、昭和三十八年度から向こう五カ年間に約五千名の増員を行なう旨言明いたしました。これによって、少なくとも養護教諭の標準定数は、中学校千二百人に一人、小学校九百人に一人という割合にまで充足されるとともに、現在の市町村支弁職員の相当数を正規の養護教諭に切りかえられる見通しを得たのであります。しかしながら、この五カ年計画が理想のものでないことは当然で、少なくとも一校一名必置という線にまですみやかに持ってゆき、学校教育法の本則の姿にかえすことこそ重要であることは申すまでもございません。それにいたしましても、これら養護教諭の充足の根底となるべき養成の問題は、現在どのような状態にありましょうか。これまた大いに検討を要するところでございます。今日、養護教諭の養成機関は、国公私立の大学、短大十四、文部大臣の指定する公私立の養成所約二十、昭和三十七年度予算措置によって国立大学に付置された養成所五等であり、全体の養成定員は千二百名前後となっております。しかしながら、その中には看護婦資格を入所基礎資格とする短期の養成所が数多くあり、また卒業資格として、養護教諭のほかに保健婦その他の免許状を同時に与えておりますために、全国的な看護婦不足を反映して、入所生徒が養成定員を大きく下回ったり、卒業者の相当数が保健婦として就職する等の事情があり、養護教諭として確保できる数は、養成定員の三〇%前後、約四百名程度にすぎないのであります。それゆえ、文部省の現在企図している約五千人の増員計画を推進するためにも、またその後の充実を期するためにも、この際、養成機関を拡充整備することはどうしても必要なことであります。ちなみに、文部省は昭和三十九年度から昭和四十二年度にわたる四年間において年々七百五十名ずつの増員を考えておられますが、実情から申せば約三百五十人の不足を来たすわけで、かりに昭和三十八年度の予算措置で、新たに国立大学付置の三つの養成所での養成数を考慮したとしても、なお年に約三百人の不足を生ずることとなるのであります。そこで、私どもはこの際、養成計画を万全に実行できるよう、新たに国立大学付置の養護教諭養成所を全国に十カ所臨時に設置し、年間三百人の養成を確保することを適切と考え、ここに本法律案を提出した次第でございます。
 本法律案の内容といたしましては、第一に、北海道大学外九大学に国立養護教諭養成所を臨時に付置し、修業年限二年、入学資格は高校卒程度とし、卒業の際は、養護教諭二級普通免許状を与えることとしております。本養成所設置の場所としては、医学部の活用が期待できることとともに、全国的な視野からの配置を考えたのであります。これによって、不足状況にある看護婦の再教育という方法をやめるとともに、卒業生には養護教諭免許状のみを与えて完全にこれを確保することを期しておるわけでございます。なお、この制度はあくまで臨時措置であり、将来は本養成所を拡充強化して、正規の大学の四年課程として発展せしめることを期待しております。内容の第二点は、今日、養護教諭の職務はその重要性の割合には一般に理解されていないうらみがありますので、若い人々に魅力ある職業として迎えられるように、その職務の意義、内容を周知せしめるとともに、他方で、授業料その他の費用の免除及び猶予並びに育英資金の貸与に対する返還免除のことを規定いたしております。これにより有為な人材を多数本養成所に迎え入れることを期待いたしております。内容の第三点は、附則で、本法の施行期日を昭和三十九年四月一日としていること、また一つの養成所には所長外二名の常勤職員を置くこととして、合計三十名の増員を文部省設置法の一部改正によって行なっていること、さらにまた、法案施行に要する経費については、養成所の運営費、人件費等合わせて八千五百万円を計上いたしております。
 何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 続いて、日本育英会法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
 ただいま議題となりました日本育英会法の一部を改正する法律案について、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 日本育英会法は、戦時中の昭和十九年に制定され、戦後の学制改革、経済事情の変動等により幾たびか改正されましたが、なお根本的に改正を要する点が多いと思います。すなわち、学資の貸与を受ける者の範囲、貸与額の内容及び貸与金の返還業務等、現在政令にゆだねられている事項は、むしろ本法の骨格をなすきわめて重要な部分でありますから、当然法律事項に移さるべきものであると考えられます。しかしながら、さしあたってこれらの点は、政府において十分な考慮をめぐらし、新しい時代における人材の養成に着目した貸与金の増額と対象人員の拡大をはかるべく最善の努力を払うことに期待をかけるものであります。したがって、この際私どもは、これらの点を除いた、当面特に急務と考えられる二点について改正を加えようとするものであります。
 その第一は、幼稚園において教育の職にある者の奨学金返還免除に関する問題であります。近年、幼児教育の重要性が次第に認識され、幼稚園教育の効果は高く評価されるにつれ、その就学率は年を追って上昇しております。それに伴い、施設及び教職員も充実増加しつつありますが、その教員の待遇は、国立を除く公、私立の大部分が義務教育諸学校の給与と比較して、なおはるかに低く、しかも、これらの教員のうち、大学において日本育英会から学資の貸与を受け、幼稚園における教育の職についた者は、貸与金の返還免除の対象となっていないために、その返還も困難であり、転職を希望するものがあとを絶たないのであります。参議院文教委員会は、第三十九回国会において、日本育英会法の一部を改正する法律案を審議いたしました際、このような事態に対処する方策として、幼稚園の教育の職についた者に対する貸与金の返還を免除すべきことの附帯決議を行なって政府に要望したのでありますが、いまだその実現を見ないことはまことに遺憾と申さねばなりません。幼児期の教育の重要性と困難性を考えますときに、優秀な教員を確保するためには待遇の改善が根本ではありますが、この際は、まず日本育英会からの貸与金の返還免除をはかることが緊要であると考えるものであります。第二点は、各種学校である養護教諭養成機関によって養成された養護教諭に関する問題であります。現在、教育職員免許法第五条第一項により、文部大臣の指定する養護教諭養成機関で規定の単位を修得した者に対しては、養護教諭の免許状を授与されておりますが、ここで養成された養護教諭は、大学において教育された養護教諭とは異なり、日本育英会から学資の貸与を受ける対象になっておりません。免許法によって同一の資格を与えられるものが、その就学した教育機関の差異によって差別的取り扱いを受けることは、まことに遺憾なことであります。なお、昨年から国立大学の教員養成学部に養護教員養成課程が付置されましたが、この養成課程もまた文部大臣の指定する養護教諭養成機関であり、ここに学ぶ学生もまた現在のところ学資貸与の対象とはなっていないことを申し添えなければなりません。最初に述べましたように、学資の貸与対象の決定は政令事項でありますので、私どもはここで、政府がすみやかに施行令を改正して、養護教諭養成機関に在学する者への学資貸与の道を開くことを前提として、それらの養成機関において、学資の貸与を受けた者が養護教諭として勤務した場合について、その貸与金の返還免除の規定を設ける必要があると思うのであります。
 以上申し述べましたように、本改正案は第一に、貸与金の返還免除を受けることができる教育の職の範囲に幼稚園における教育の職を加えること、第二に、返還免除を受けることができる者の範囲に、教育職員免許法第五条第一項に規定する養護教諭養成機関において学資の貸与を受けた者を加えるものとすることの二点をその内容とするものであります。なお、この法律は昭和三十八年四月一日から施行することといたしております。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同下さいますようお願い申し上げます。
 なお、お手元の法案第七ページの理由をちょっとごらん下さいませ。その三行目に、「新たに学資を貸与することとすることに伴い、その貸与を受けた者が」云々とございますが、その趣旨は、「新たに学資を貸与すること、またその貸与を受けた者が修業後教育の職に」云々と、こういう内容でございますので、御了承いただきたいと思います。
 以上でございます。
#7
○委員長(北畠教真君) 以上で両案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#8
○豊瀬禎一君 政府提出の国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして資料要求をいたしておきたいと思います。
 第一は、国立大学の付置研究所、実験所等ですが、現在、大学に付置されておるもの並びに独立しておるものがあれば、もちろん文部省所管です。それもあげて、目的、すでに数年にわたっておるものは、その目的の成果と、その利用の実態について、職員構成、教授何名、助手何名、講師何名、それから年度別予算、この中には運営費、研究費を別個にして、従前からあるもの全部についての一覧表の提出をお願いいたしたいと思います。
 次に、国立高等専門学校ですが、資料要求の際にちょっと実態がわからないので困るのですが、三十八年度発足のものについて、すでに試験が行なわれておる、合否の決定が行なわれておるという実態に立って資料要求をいたしておきます。まず、昨年の分についても同様ですが、地元負担の内容、土地の提供をしたとすれば、その敷地の広さ、買収の費用総額、施設の提供をしたとすれば、その施設の内容並びに予算の総額、それから受験者総数、合格者数、これは後にいうところの定員と関連してきますが、構成の中で、要するに学校定員のほうで出てくれば、それでけっこうです。それからそれぞれの学校の構成、学科名、収容定員、学級数、職員については教授、助教授、講師、事務職員その他の総数、各校別の年度予算。それから特に調査をお願いいたしたいのは、高専受験希望者のうち、高等専門学校の試験の時期が早目に行なわれるために、落ちた者があとで高等学校等を受けられるような仕組みになっておるところもあるやに聞いておるのですが、高専希望者のうち、特に調査していただきたいのは、他の高等学校の受験を行なわないで、高専のみ希望した数、受験者総数と高専のみを希望した実数、本年度がわからなければ三十七年度のもの、各公立専門学校別にお願いいたします。昨年設置されたものについて各学校別。そのことによって高専に対する国民並びに青少年の関心といいますか、意欲といいますか、設置の目的との対比を行ないたいと思っています。
 以上の資料要求を委員長のほうにお願いいたしておきます。
#9
○委員長(北畠教真君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#10
○委員長(北畠教真君) 速記を始めて。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(北畠教真君) それでは、これより前回に引き続き、学問の自由等当面の文教政策について質疑を行ないます。
 御質疑のおありの方は御発言願います。
#12
○小林武君 文部大臣にお尋ねいたしますが、確認をいたしますが、日教組の倫理綱領を作った場合に、学者の意見を徴した、その手続は、文部省がいろいろな教育上の問題で中教審に対して意見を具申さしたと同じであるということは、これはこの間、認めましたね。
#13
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ大体同じであろうという意味のことを申し上げたのであります。大体と申し上げましたのは、中教審の場合は、法律に基づいて中央教育審議会ができておって、その委員には任命形式をとります。むろん承諾を得た方について任命という形をとるわけであります。さらに、中教審の審議の態度は、一般的な、たとえば大学のもろもろの課題について、一般的な立場においての意見を聴取する、それを一つの意見にまとめて答申という形でちょうだいする、こういうことでありますが、日教組の場合は、現実に存在している日教組という集団のための原案作成に協力するということで、いささかの相違はありますが、学者が意見を述べるというその姿は大体同じことであろうと、まあこう申し上げたわけであります。
#14
○小林武君 大体という言葉を挿入した理由を述べたと思うのだが、これはあれですか、手続的に、たとえば片っ方は、これは文部省という役所だから法律でもって、日教組という場合には、日教組という組合が、学者の方々に組織として依頼をした、これは法律でもってやるわけじゃない、組織の意思として御依頼を申し上げている。このことは、法律で任命したことと組織が組織の意思として学者に依頼をしたということとは全く同じだと私は考えるのですが、この点はどうですか。
#15
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 依頼をして意見を述べてもらうという概念論からいけば同じことだろうと思います。ただ組織とおっしゃいますが、日教組というのは民間の一法人格を持つ団体にすぎない。文部省の場合は全国民に奉仕すべき立場において、制度として認められている官庁に対する意見を述べてもらうという意味において違うと思います。さっきも申し上げましたように、あくまでも一般的な、普遍的な課題について意見を述べてもらうということであり、日教組の場合は、具体的に、現に存在している一民間法人格を持つ団体に対する意見を述べる意味合いにおける一種の契約に基づく意見の発表だろうと思います。
#16
○小林武君 そうしますと、私はこう理解するわけです。法律によって任命をされた場合、政府機関が法律をもって任命をしたその場合と、日教組という一つの労働組合が組織の決定として依頼をしたということからいえば、これは大体同じではあるけれども、どうですか、あなたの考えとしては、むしろ意見を述べたということの影響力といいますか、重大性というか、そういうような意味では、日教組の場合よりかも中教審のほうが大きいのじゃないですか。その責任なり、あるいはそういう果たす使命なりの点においてですね、日教組の場合よりかも重大だとお考えになりませんか。
#17
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その軽重の差をどういう意味でお尋ねであるかが完全に理解できませんが、学者が意見を述べるという意味においては同じようなことだろうと思います。問題は、普遍的な課題について普遍的な立論の立場において意見を言うか、具体的な実存しておる日教組という民間団体のその具体的な目的に向かっての協力者であるという意味において、本質的にも違う部分があろうかと思うのであります。との国と学者の一種の、委員会の委員になる契約、任命という形式はとりましょうけれども、一種の契約に基づく行為だろうと思いますが、それと日教組という法人格を持つ組合との、いわば契約に基づいて鷲見を述べるということだけならば、概念的には同じようなことだと思います。それだけに関する限りにおいての軽重という問題は出てこないのじゃないかと思います。
#18
○小林武君 軽重はない、同じだ、こういうことですね。わかりました。同様に私も思うわけです。日教組が依頼をしたからといって、その依頼に応じて自分の意見を述べたということが、学者の風上にも置けないようなくらいに誹謗されるという理由も特別ないことだと思うし、それほど日教組全体に責任を感じなければならない理由もないし、文部大臣から誹謗される理由もないと思うわけです。あなたと私の意見と、その点では一致をいたしました。
 それから原案を作成したと言うが、あなたはやはり日教組の委員長でも、日教組の執行委員でもない、組合員でもない。やはり事実に反したことはおっしゃらないほうがよろしい。この間、前回の委員会において、あなたとやりとりした中で申し上げたとおり、あなたのお考えになっておる倫理綱領のあれは討論資料で――この間あなたと話し合いをしたとおり、あれは討論資料として出して、それが今度原案として出される場合には、これは違う原案として出すのは、これは日教組中央執行部がやることである。そうすると、原案作成したということは、これは違いましょう。あなたのほうで中教審に具申さして、答申さして、そのことを何らかの場合、提案する場合には、文部省の提案だって修正の自由もあれば、いろいろの意見の採否も自由があるわけです。だから原案作成というのは、これはお取り消しを願います。組織のほうから言うものを、組織以外の者がそういうことを言うのは間違いです、どうですか。
#19
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 十項目にわたる倫理綱領、それに簡単な解説が加えられた印刷物、それも日教組の名において印刷されたことは現物を見れば明瞭であります。そのとびらに協力者という表示のもとに学者の名前が列記されております。この前の委員会でのお話によれば、今も言われましたように、それが日教組からそういう印刷物の姿で大会に配られ、討論資料と今おっしゃったわけでしょうが、正式に討論資料として提案せられ、一年間の検討の結果、実質的にはそれに基づいて内容が理解された姿で日教組として翌年採択されたということも、この前の委員会で概略承っておると私は記憶しております、その前提において見ました場合、なるほど原案という最終的な形がどうなっておるかは、むろん組織内に私がおるわけじゃございませんから、知る由もありませんけれども、倫理綱領の審議過程において討論の資料ということは、言いかえれば、的な原案、内容の説明のついた原案の実質を形成しておると推察されるわけであります。そういう意味合いから、私は原案という言葉を使いましたが、最終的にどういう課題で提案されたか、その形式は存じません。しかし、実質はまさしく私の申し上げるようなものであろう、外部から推察しないほうがおかしいぐらいじゃないかと、こう思います。
#20
○小林武君 文部大臣にお尋ねいたしますが、そうすると、文部省の場合には、中教審に諮問をしたその答申の内容が原案と実質的に同じものであった場合には、中教審は原案の作成をした、こう言いますか、それをお尋ねします。
#21
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 原案の作成に協力してもらった姿だと思います。
#22
○小林武君 原案の作成に協力したと、その場合言うわけですね。その意味で日教組の場合も大体同じだと、こういうわけですか。
#23
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 全国大会の現場を知りませんから、当たっていないかもしれませんが、先刻から申し上げておる理由から私が理解する前提で申し上げておりますが、中教審の答申とほとんど同じような原案が、たとえば法律案として国会に提案されたとしまして、その考慮の実質的な背景には、中教審の意見が大部分取り入れられておる意味において実質上原案の作成には中教審に協力してもらったということは公に言える事柄だと思います。
#24
○小林武君 その場合、あなたの使っている言葉で合作という言葉になりますか、文部省と中教審の合作。
#25
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 実質上は合作といっても間違いではないと思います。形式的には法律案の提案は、提案の責任は政府にありますから、政府の提案であることには間違いありませんけれども、実質的には合作されたものが実体をなして提案されておるという表現は事実と反しないことだと、そう申しても差しつかえはなかろう、こう思います。
#26
○小林武君 それではもう一点お尋ねいたしますが、今まであなたが申されたような角度で中教審に対する答申を求めるその手続と、日教組の倫理綱領を作ったときのあれとは大体同じ手続によるものだと、こういうふうに認めたと考えてよろしいですか。
#27
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 手続は、形式を申せば、先刻も申し上げるように違います。ただ、概念的にだけ分析して言うならば大体似たようなものであろう、ただ違うところありせば、中教審の場合は普遍的な課題に対して普遍的な立場から意見が述べられるということが期待される、日教組の場合には、具体的な現に存在しておる日教組という民間団体のために目的を指向して意見が述べられるという角度からの協力者であるという違いはあろうと思いますが、ただ単に概念的に言います場合には、おおむね似たようなことであろう、こういうことであります。
#28
○小林武君 そうすると、たとえば大学の問題について文部省が中教審に答申を求めた場合には、それは具体的な内容というものは一つもないということですか。
#29
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういうことを申し上げておるのじゃありません。大学という最近の事例から申せば、国立大学に関する答申が行なわれたわけでありますが、日本の学校教育法にいうところの大学、国立大学一般について意見を述べるという立場であります。日教組の場合には、日教組という民間法人格を持つ組合団体のために局限された具体的目的を持ったその目的意識に協力する意味における協力者、その点が違うと思います。
#30
○小林武君 何を言っておるのだかはっきりわからぬけれども、日教組の場合に、民間の団体であろうと何の団体であろうと、あなたが考えておるように、見られておるように、日教組というのは教員のほとんどを占めておる組合団体です。その場合、日教組が教師全体の倫理綱領――倫理というものはどうなければならぬか、新しい時代の教師の倫理はどうなければならぬか、それをきめたものですね、一体どこが違うのですか。あなたの言っておることは少し分裂的なあれを持っておるのじゃないですか。そのことは別として、それからもう一つ、あなたは手続的には大体同じだと言った、いろいろ何だか四の五の言ったけれども。結局そこまでは言わず、そこであなたは学者の名前をあげて誹謗された。この誹謗はどうですか。今のような中教審の手続と日教組の倫理綱領の手続が大体同じだといった場合に、その責任の所在からいって、文部省に答申をした中教審が非難されるべきものでもなければ、日教組に意見を述べた学者が、たとえばその自分の協力した倫理綱領というようなものによって直接非難の対象になるべきものでないということは、これは明らかだ。今後、一体こういう学者の名前をあげて誹謗するということはやめる意思はありませんか。
#31
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 中教審のメンバーといえども、その意見が間違っておる場合には誹謗されるのは当然であります。誹謗ということが少し適切でないかもしれませんが、批判されることは当然であります。日教組の倫理綱領の実質的原案作成に協力した学者、その学者たちの意見にほとんど全部が基づいて、いわば最終決定された倫理綱領が間違っておる限り、その間違った部分に関するその学者の意見というものは批判の対象になることは当然だと思います。間違っていることは間違っている。間違っていることしかその部分についての意見がないならば、その部分に関する限り学者の意見というものが、私は国民全体から、文部大臣はもちろんのこと、だれからでも批判されることは当然のことだと思います。言論は自由であり、表現は自由でありましょうとも、それに対する批判もまた自由、そういう意味合いのものでございますから、今後といえども誤りの点は指摘することは私は当然のことだと、こう心得ます。
#32
○千葉千代世君 関連。大臣にお尋ねいたしますけれども、今、政府の各省の中に審議会、調査会等がたくさんございますね。その審議会の中でいろいろな意見が出ます。出たものは、それは審議会自体として取り入れて最終的にきまったものが答申されます。答申されたものを受けて、各省では政府の政策、その他関連して全面的に取り入れるか、あるいは半分か、あるいは参考程度に聞くか、こういうふうな自由があるわけですね。たとえば選挙制度調査会の例でございますように、あの選挙制度調査会の委員の中にはいろいろの意見を持った方がございます。そういう場合に、個人々々をあげて、一人々々をあげて、そしてそれを外部から誹謗したり、あるいは衝に当たる責任者が誹謗したり、そういうことをなさいますか。
#33
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあしないのが一般でしょうけれども、してもかまわないことだと思います。
#34
○千葉千代世君 どちらにウエートがあるのでしょうか。しないのが当たりまえで、してもかまわないことが十分の一とか二の比率を占めますか。
#35
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういう問題では私はないと思います。内容がりっぱだから、みんながほめこそすれ、誹謗するような意味で批判しないだけである。批判することは自由だと、私はそう思います。
#36
○千葉千代世君 そういう観念的なことではなくて、やはり日本の国に生きている以上は、学閥、思想の自由もあれば、言論の自由も憲法で保障されていますから、それも当然のことなんです。ただ私が言いたいのは、一つの省の長として、あるいは国務大臣として、誹謗のほうを九にしているというそのウエートの置き方が問題だと思うんです。それはいろんな意見を持っています。私どもも文部省に対してはこうしてほしい、ああしてほしいという批判はたくさん持っています。しかし、私は公式の会場とか、そういう場に行った場合に、そんなに口ぎたなく朝から晩まで、口を開けば特定の人をあげて悪口を言うなんということは私はできません。たとえば、日本の教育の民主化なら民主化に沿ってこうしていきたいなあと思う、だけれども、文部省の意見と私どもの意見とここが違うから、ここをどう埋め合っていったらいいかという、やはりそういう絶えず中で問題を出します。で、私は地方へ行きましても、どこへ行っても――今選挙の応援でずいぶん行っていますけれども、荒木文部大臣があんなとほうもないことを文教委員会で言ったことなど私は言っておりません。たとえば、初中局長さんでも一生懸命、とにかく予算を取ることに一生懸命やってくれます。だけれども、ここは足りないから、もっとみんな一生懸命やって大蔵省に向かって一緒に予算を取ろうじゃありませんかと、私はいつも建設的な意見の中で終始しています。だけれども、文部大臣はそうではなくて、たとえば、倫理綱領にしても、一つの結社の自由を認められた、団結権を持った教職員組合、その一つの中で、今、小林委員が述べられたように、やはりこの日教組の組合の目的というものが教育の民主化にあるとか、あるいは教員の資質の向上だとか、労働条件の改善だとかとありますから、そういうほうに向かっていくためにどうしたらいいかというので、いろいろな人の御意見を聞くのは当然のことだと思います。日教組が独善に陥らないために、組合員自体が一人々々の意見を持ち寄ってやるのが会議でございますが、その中でも、用意周到にいろいろな人の意見、父兄の一人の御意見でも十分尊重し、組合員の意見はもちろんのこと、学者の意見ももちろんのこと、あらゆる人の御意見を伺って、そうしてよいが上にもよかれというふうに進めているわけなのでございます。そういう中で出された一人の意見というもの、それをそこにだけ重点――たまたま何かひとつ自分の今までの既成概念と違ったことがあった、よし、これを攻撃の材料にしてやろうというので、文部大臣が血道をあげて、軽率にもそれに飛びついて全国に言って歩いて、言論の自由だから当たりまえだとか、批判はだれでもあるのだから当然だ、こういうようなやはり一国の教育行政というものに対しては、私はこれは間違っているのじゃないか。そういう意味で、倫理綱領に参画した特定の個人をあげて至るところで誹謗しているということ、これは当然とお思いになりますか。
#37
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は当然と思っております。倫理綱領が目ざすところが間違っておりますから、教育基本法の趣旨に反しておりますから、そのことを声を大にして指摘することは私の職責だと思いますから申しております。
#38
○千葉千代世君 教育基本法の精神に反しているからというわけですね。それで具体的に、まあきょうは時間がございませんけれども、いずれかの機会に具体的に条文と教育基本法とを参照して説明したいと思いますけれども、教育基本法とは間違っていないわけです。それは解釈の仕方、自分が特定の何か主観を持って、特定の既成概念の中で自分が縛られて、文部大臣が今まで御自分の経てきた経歴、あるいは教育に対する考え方、既成概念というものが何かに縛られておった場合、それから自分だけの主観でこり固まっていた場合、そういう場合に、それと照し合わせてみてどうかなあと、自分が解釈不十分、消化しきれない場合、不消化の場合、ああこれは少しおかしい、ここは違っているのだなあということで、それに取りついて違っているとおっしゃる点が私は多分にあると思うのです。そういう点で非常に問題があることと、それからもう一つは、日教組なら日教組自体が、団結権を持つ組合員がちゃんとこれを討論して、そうしてきまっていったそのことに対して、間違っているとかいないとかいうことは外部から言うべきではないと思います。たとえば倫理綱領はあやまちだ、あれは革命思想だ、共産党のお先棒をかついでいると、だれでも、何というか、飛びつきやすいような言葉を連らねてやっていくという、そういうふうなことは、私はこれはお互いに戒むべきことではないか。だから、間違っているかいないかということの判定をし、直していこうかいくまいか、いやこれについてはこれでよろしい、あるいはこの次にはどういうふうで解釈をしていくかとかいう、やはり時代の准展の中で組合員が真剣に謙虚に考えて、みんなの意見を取り入れて直していくとか、これは組合員の中で自由にできるわけなんです。外から、たとえば国鉄なら国鉄さんが団体協約とかいろいろなものをきめたとします。あれは間違っていると、かりにですよ、私どもがあれは間違っていると外からほえ立てる、私はそれはどうかと思う。組合の中に持ち込んで、組合員に直させるという姿勢を持っていくならわかりますけれども、結局、文部大臣の言うのは、一つの権力を持った、つまり悪口を言うて弾圧していくという、こういうふうな道に直結していると思うのですが、いかがでしょうか。
#39
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私が何か縛られてものを言っているようにおっしゃいますが、縛られておるとするならば、憲法と教育基本法と学校教育法以下の法律に縛られております。縛られるのが当然であり、その立場に立って冷静に、いわば国民にかわって判断してみて、間違っておると、こう思いますから、その点を指摘して、組合員たる先生方の見識に訴えて、時の流れに従って、みずから改めるものは改めるのが当然だと千葉さんもおっしゃいましたが、そういう意味で、もっとりっぱなものに作りかえられたらどうだろうということを御忠言申し上げ、その時期の早からんことを国民とともに欲するがゆえに申し上げておるのであります。
#40
○千葉千代世君 それじゃ、日教組の目的というのをどのように把握していらっしゃいますか。
#41
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これはもうきわめて明瞭なように、地方公務員法ないしは国家公務員法にも関係しましょうけれども、教職員組合を作ることは自由であり、そしてその行動半径は法律できまっておる。そのことが中心に書かれておるならば、これは何をかいわんやだと思います。また教師の心がまえを綱領として定められるのも御自由でございましょう。何人もそれに文句言うわけにいかぬと思います。ですけれども、それならばそれなりに、教師というものの本来の使命観を直接法でお書きになったらどうだろうと私は思います。ただ労働者だという前提において、そして示されておるところにも、私はあまりにも素朴というか、教師の集団である組合の倫理綱領の目ざすところとしては私は不十分だとも考えます。ことに目的意識が、先ほど来申し上げますように、教師の心がまえ、目的意識を、教育基本法八条にまっこうからぶつかるようなことを書かれておると私はお見受けいたします。そのことを指摘して反省を求めておるわけであります。
#42
○千葉千代世君 日本教職員組合の一番基礎になっております教育の民主化ですが、この点についてどのように思いますか。たとえば教育の民主化ということが中心になって結集された団結権を持った団体であると、そのことをお認めになりますね。
#43
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教育の民主化とおっしゃいますことは、一言にしていえば、憲法と教育基本法の趣旨に従って教育が行なわれるということであります。そのこと以外にありようがないと思います。
#44
○千葉千代世君 としますと、憲法と教育基本法を最も忠実に実践して、これからも続けていくという、こういう日本教職員組合の考え、そういう中で日々の行動をしているわけなんです。その実績をお認めになりますか。
#45
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういうふうには、私は集団としての日教組の今までのあり方からは、おっしゃるとおりのものとは思われないと考えております。現実の言動は、もろもろの法律違反の事柄となって現われて、行政処分、司法処分も行なわれておるということが雄弁に物語っており、毎年毎年教研大会を開かれるようですが、これは毎年の運動方針にも明記されておるように、教育課程の自主編成などといわれるそのことの注釈によれば、文部大臣が定めねばならないと責任を負わされておる教育課程、教科に関すること、あるいは学習指導要領ないしはそれに基づいて検定されておる教科書以外には使うべからずとなっているという一連の教育課程及びその内容を骨抜きにする目的をもって教研大会が開かれる、そういう現実を見ました場合に、言葉では、なるほど教育の民主化その他といわれているようですけれども、現実の行動が集団としては必ずしもしからず、その根源をさかのぼれば、教師の倫理綱領の目ざすところのあやまちに端を発しておると私は思いますから、その根本をもうちょっとりっぱなものに仕立て直しをされたらいかがであろうという、いい言葉でいえば忠告、悪くいえば反省を求めておるわけであります。
#46
○千葉千代世君 全国の先生方が、毎日毎日現場で実践した、そういう研究の成果を持ちよってお互いに批判検討して、よりよいものを作っていこうという、こういう中で毎年盛大に行なわれる全国の研修集会に対して、文部大臣の今の言葉、非常に冒涜であります。ほんとうに真剣に考えて、教育基本法に沿って憲法を忠実に守っていこうと、その一点に集中されているということを御存じないのです。あなたはごらんになったことないのです、いらっしゃらないから。ですから、そのことについて今論議は避けます。時間もございませんし、小林委員の関連質問でございますので、避けます。それから日本の教職員組合の使命というものについてもまだ御存じないようです。もう一つは、大臣は最近、大臣になって、教育の問題に取り組んでいらっしゃるようですけれども、終戦直後から日本教職員組合の果たした使命、これについては第三十何国会でしたか失念いたしましたが、当時、文部大臣、それから内藤局長等にもただしたのです、具体的な例をあげて。日本教職員組合の教育の民主化に果たした使命について述べたときに、そういう点については認める、ただ、自分たちの考えと違うところがあるけれどもという意見を一部おっしゃったことがありますが、果たした使命について具体的に認めていらっしゃるわけなんです。私は文部大臣が認めようと認めまいと、実際全国の五十万の教師たちが果たした役割については自信を持っておりますし、その業績については十分に確信をいたしておりますので、あなたが何とおっしゃろうとも、そのことは消すことができない事実となっておりますので、ここで論議は避けますが、とにかく一国の文部大臣ともあろうものが、団結権を持った、自由な民主的な討議が行なわれる日教組の内容について御存じなくて、自分が忠告をするとか、反省を促すとかいうその域をこえて、あらゆる誹謗を加えて、てんとして、この前でございましたか、ばかやろう呼ばわりをしなければ気が済まないと、こういうやり方がこれから行なわれていくとすれば、非常な日本の民主化を大臣自身がこわしていくという結果になるということを私は心配する。そういうわけで関連質問いたしました。答弁は要りません。
#47
○小林武君 文部大臣のひとつ意見をもう一ぺんお尋ねしますが、あなた、また倫理綱領の中に間違いがあるという場合でも、あるいはあなたの招集なさるところの中教審の場合でも、間違いがあれば大いにこれを誹謗してもかまわぬという御意見であります。あなたの間違いの判定というのは、あれですね、先生ほどからの意見を伺っていると、教育基本法並びに憲法に照らしてと、こうおっしゃるわけですね。
#48
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 趣旨においてそう思います。
#49
○小林武君 趣旨においてというのはどういうわけですか。
#50
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教育基本法は、前文に、憲法の趣旨に従ってこれを制定すると宣言をいたしております。その教育基本法に反するがゆえに私は非難をしておると申し上げており、その意味で憲法及び教育基本法をその趣旨に反した目的、意識を持ち、現実行動もそれを立証しておると、こう判断しております。
#51
○小林武君 そこでお尋ねいたしますが、文部大臣は教育の政治的中立ということをどのようにお考えになっていますか。
#52
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 特定の政党を支持し、もしくは支持しないがごとき具体的な政治的偏向を許さない、教育の場はあくまでも政治的には中正でなければならぬと、そういうことを要求しておると私は承知しております。
#53
○小林武君 その支持し、支持しないという具体的な事例な具体的に説明してもらいたい。
#54
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日教組は以前は共産党と社会党支持であったと承知します。革新政党を中心とする政党支持であることを全国大会で常に意思を表明をしておられる、最近は社会党支持と一本にきめたと新聞は報道しております。そのこと自体がすでにして職員団体にあるまじきことだと思います。そのこと自体が具体的に教育基本法第八条にまっこうから挑戦するおそれを感ずる、こういうことであります。
#55
○小林武君 その政治的中立というのは教師だけに要求されると考えますか。
#56
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 全国民に要求されておると思います。
#57
○小林武君 文部大臣は何党を支持しておられますか。
#58
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は自由民主党を支持し、自由党の党員でございます。
#59
○小林武君 その場合は、文部大臣は政治的中立の立場からいってどういうことになりますか。
#60
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 自由民主党に党籍を持っておりますが、むろん、だから党員として党に忠誠を尽くすことは当然のことであります。しかし、自由民主党が憲法とあらゆる法律に従って行動せねばならぬということを当然のこととして、言うまでもないことですが、党是の基本といたしております。したがって、党員でありましょうとも、文部大臣という立場においては憲法、教育基本法、学校教育法、以下ことごとくの法律に従って、そのらちを越えない心がまえをもって対処すべきことは当然だと心得ております。
#61
○小林武君 教員組合に加盟する者は、あなたと同じ立場でみんな教育基本法、憲法に従ってやろうと、こう考えておる場合に、何ら政治的中立に違反しないと思いませんか、あなたが反しない限りですよ。あなたが反しない限り、日本教職員組合に所属する教員がなぜ特別にそう教育の政治的中立に反したと言われなければならぬのですか。
#62
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 組合というのは、組合が機関を通じて決定しましたことには忠誠を誓わされておる立場だと思います。全国大会で社会党、共産党支持ときめる、あるいは社会党支持ときめる、よしんば自由民主党支持ときめましょうとも、それは本来、職員団体が団体として取り扱うべき課題外のことと私は理解します。すでにしてそこに職員団体としての脱線がある、団結権の乱用があると私は思います。政治結社ならば別でございます。この地方公務員、国家公務員法に定めるところの目的を果たすためにこそ団結権が認められておるはずでありまして、政治結社でない限り団体の意思をある政党支持にしぼって具体的に決定して、組合員にそれを要求するという形は私は間違っておる、そのことそれ自体が、教師の勤労内容が、勤労者というならば、労働者という言葉を使いましょうとも、その勤労内容が教育者としての教育活動にあると思いますが、その教育活動そのものが勤労内容である組合員に、政治結社にあらざる職員団体たる日教組が、団体意思を決定して、それをメンバーに順法させるということ、そのことは間違いである。その間違いそのものが教育の場に、教育基本法第八条が要求する政治的な、中正な姿であらねばならない教育の場に波及することを私はおそれる、その意味において考え直されたらどうでしょう、そのもとは倫理綱領に端を発するようにお見受けするから考え直されたらいかがでしょうということを指摘しておるのであります。
#63
○小林武君 組合が政党支持のことをきめないほうがよろしい。まあそのことの是非は別として、政党というものは、政党に忠誠を要求しないのですか。特に自由民主党というのは忠誠を要求しないのですか、念のために聞いておきます。
#64
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 天下の公党である限り、その党員は、党の決定に従うべきことは言うまでもございません。
#65
○小林武君 その場合、文部大臣は、天下の公党日中民主党に忠誠を誓われるんですね。党の政策を実施するために文部大臣になっておる。その場合、教育基本法第八条の趣旨にどういうことになりますか。
#66
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 党の決定に党員として従うということは政治結社内部の問題であります。文部大臣になりまして、かりに党の決定が教育基本法に矛盾する、その他の法律に反するという決定をして要求しましょうとも、そういうものに従わねばならぬということは絶対にあり得ない。憲法が、法律が根本であって、党の決定にもたまには誤りがあるかもしれない。その誤りを踏襲して党の決定の間に間に法律違反なすべからず、こいつは政治家としてのイロハのイだろうと思っております。
#67
○小林武君 政治家のイロハのイであるか、イロハのハであるかよくわからないけれども、あなたの議論というのは実に支離滅裂です。あなたは文部大臣として、自由民主党の党員として、党の教育政策がないとはおっしゃらない、教育町策が自由民主党にないとしたら、政党としてどう考えるか。その政策をあなたは実施するだけの忠誠心はないわけですか。
#68
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 党の政策を中心に、政府側と協議をしながらよりよき政策を樹立し実施するということをやっております。
#69
○小林武君 そうするならば、党の政策を持ち込むことは、これは教育の政治的中立ということからどういうことになりますか。
#70
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは政策内容が物語ることだと思います。幸いにして、わが自由民主党が法律違反の政策は打ち出しませんから、ほとんど矛盾を感じないで今日に参っております。
#71
○小林武君 文部省から出した新教育指針というのは、これは無効であるという何か宣言をいつかお出しになったことはございますか。昭和二十一年五月だったと思いますがね、新教育指針というのは。これに盛られている内容については自今無効であると、こういうことをお出しになったことはございませんか。
#72
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと私今指摘されましたことを存じませんのですが、説明員か政府委員からその間の事情は答弁させたいと思います。
#73
○小林武君 政府委員やその他の方々から説明を受ける必要はないのです。昭和二十七年に作られた日教組の倫理綱領についてさまざまな誹謗を加えておる。その後、日教組が明らかにしたものをも無視するような態度であなたはさまざまなことを言っているんですね。そのくらいによく勉強された方だから、文部省の出されたものを、ずっと戦後、自由民主党の党員であり、その党の方針に従ってやられた、文教政策を取り扱っているあなたが、昭和二十一年であろうが何であろうが、戦後の問題について、教育基本法、憲法という問題に抵触しないように、そういうふうに忠誠を誓ってやっておられるあなたが、一体、文部省の今まで出されたものについて存じませんと言うことは、これは許されないですよ。日教組の組合員が知りませんと言うのと、倫理綱領を知りませんと言ったってなかなかそれはあなたが承知しないだろうと同じことですよ。これがこまかい問題ならとにかく、新教育に対する指針ですよ。知らないと言うのは何ですか。無責任なことを言わないで下さい。
#74
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私の頭の中にはっきりないということであります。文部省は知っております。資料もございましょうし、政府委員もそのためにおりますから、私が生身の人間として頭の中にはっきり持っておりませんのを正直に申し上げただけでございます。要すれば、政府委員等から申し上げさしていただきます。
#75
○小林武君 あなたは、とにかくいつの演説会の場合においても、日本が新教育を採用したことについていつでも言及している。そのぐらいよく戦後の教育についてさまざま調べておられるんだから、文部省の重要な問題を知らないというような話はないでしょう。新教育の指針ですよ。知らないと言うのはおかしいですよ。新教育というのは新らしい教育ですよ、戦前の教育に比較して。それと違う教育だ、その中には詳細にわたっていろいろなことが書かれている。読んだことも何もないわけですか。
#76
○委員長(北畠教真君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#77
○委員長(北畠教真君) 速記を始めて。
#78
○小林武君 日教組の倫理綱領を憲法や教育基本法に違反した非合法の文書であるというようなことを言われているでしょう、大臣は。そういう文書であるということになると、文部省の意向というようなものを、今までも一方的に日本の教師は認めないでやってきたというようなことを言っておられる。憲法や教育基本法に忠実になろうというために倫理綱領というものを作ったのですよ。しかもそのことは、文部省の新教育指針に従って書いたと言ってもいい、昭和二十一年の。これに日本の教師は共鳴している、文部省の意思に従っている。倫理綱領の中に書かれてあることは、この教育指針に書かれている内容とまあ同じといってもいいくらいだ。いつ改められたかということを聞いているのですよ。希望するからには、相当の根拠がなければならないと思う。
#79
○委員長(北畠教真君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#80
○委員長(北畠教真君) 速記を起こして。
 本日はこれをもって散会いたします。
    午後零時十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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