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1962/03/27 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 文教委員会 第13号
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1962/03/27 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 文教委員会 第13号

#1
第043回国会 文教委員会 第13号
昭和三十八年三月二十七日(水曜日)
   午後二時九分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     北畠 教真君
   理事
           吉江 勝保君
           豊瀬 禎一君
   委員
           木村篤太郎君
           久保 勘一君
           笹森 順造君
           斎藤  昇君
           野本 品吉君
           森田 タマ君
           辻  武寿君
   発議者     豊瀬 禎一君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  政府委員
   文部政務次官  田中 啓一君
   文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
   文部省初等中等
   教育局長    福田  繁君
   文部省大学学術
   局長      小林 行雄君
   文部省体育局長 前田 充明君
   文部省管理局長 杉江  清君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   文部省体育局学
   校給食課長   臼井 亨一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本学校給食会法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、参議院送付)
○へき地教育振興法の一部を改正する
 法律案(豊瀬禎一君外四名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(北畠教真君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
 本日の委員長理事打合会について御報告いたします。
 本日の委員会は、最初に、日本学校給食会法の一部を改正する法律案の質疑を行ない、その後、国立学校設置法の一部を改正する法律案、へき地教育振興法の一部を改正する法律案の質疑を行なうことに決定いたしました。
 以上御報告いたします。
 まず、日本学校給食会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本法案については、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言を願います。
#3
○豊瀬禎一君 まず最初に局長に尋ねますが、現在の給食会の主たる事業内容について要点の説明をお願いしたいと思います。
#4
○政府委員(前田充明君) 現在の日本学校給食会の主たる事業は、現在、学校給食において使用しております脱脂粉乳をアメリカから買いまして、そしてこれを国内に配付することが主たる事業でございます。
#5
○豊瀬禎一君 あまりにそっけなさ過ぎますから、もう少し事業内容と予算、補助、それから学校等についてまず説明をして下さい。
#6
○政府委員(前田充明君) 事業内容の主たる仕事は、ただいま申しました脱脂粉乳の買い入れをいたしまして、これを地方に送り、配給することが第一でございまして、そのほか学校給食で使用いたします水産カン詰類、ビタミンC、そういうようなものも一部取り扱っておりますが、これは全体から申しますと非常に小さい仕事でございます。それから次にいたしましておる仕事は、学校給食の普及ということの事業でございます。で、その事業の内容は、学校給食の研究協議会を開催いたしましたり、あるいは栄養管理のための講習会をいたしましたり、あるいはこれから学校給食をやろうというような地域に対しまして講演会をいたしましたり、その他パンフレット等の刊行ということが仕事でございまして、その予算額は、学校給食会では業務経理と実は申しておるのでございますが、事務運営に要する経費として三千百万円でございまして、これは国からの補助金によってまかなっております。そのほか、先ほど申しました物資を買い、これを配給するわけでございますので、そのための経理があるわけでございますが、それは運営に要する業務経理と全く切り離しまして、物資経理と称しております。その総額が三十七年度おおむね三十二億円程度でございます。おもな点を申し上げますと大体以上のようでございます。
#7
○豊瀬禎一君 都道府県に存置されておる学校給食会と中央との関係はどうなっておりますか。
#8
○政府委員(前田充明君) ただいま申しました学校給食用の物資、脱脂粉乳をアメリカから買いました場合に、これを地方にございます県学校給食会に売り渡すわけでございまして、そして県学校給食会は教育委員会の指導のもとにこれを各校へ配付をする、普通は物資の流れはそういうようなわけでございますので、県学校給食会に日本学校給食会からミルクを県ごとに売るわけでございます。この場合、売るときには文部省が各県の需要申請に基づきまして、そして数量をきめまして、文部省の指示に基づきまして各県でそれを売ります。その場合の日本学校給食会と県の、何と申しますか、引き渡しの場所は各府県のオン・レールということにいたしております。鹿児島から北海道までの間、各県のそのオン・レールに渡すところまでの費用につきましては、すべて全体をプール計算いたしまして同額で売っております。なおその他の物資につきましても、大体そういうようなやり方でやっております。したがって、日本学校給食会と県学校給食会とは売り方と買い方になりますので、平素から連絡を十分とっておりまして、途中で事故のないようにやっておるわけでございます。
#9
○豊瀬禎一君 日本給食会が県の給食会に物資を売り渡す際並びに県が市町村の給食会に物資を渡す際に利潤をとっていますか。
#10
○政府委員(前田充明君) 日本学校給食会におきましては、これはただいまも申しましたように、運営に要する経費は全額国で補助金を出しておりますので、これは全然物資経理の関係ございませんので、したがって、その間の利潤というものは全然ございません。物資経理の中での利潤というものはあるかないか、こういう問題になってくるわけでございますが、その点はあらかじめ大体どのくらい倉庫料がかかり、どのくらい輸送料がかかるというのは経験を持っておりますので、予算を立てましてやりますから、特に利潤というものはございません。ただ実際の問題といたしましては、脱脂ミルクをアメリカから買いました際に、買って参りますと、日本へ参りましてから、あるいはその途中におきまして不良品が出て参ります。その不良品を売らなくちゃならないわけでございます。これは農林省の指示のもとに、農林省の指示のある業者に入札でもって学校給食会が売ります。したがいまして、そこからそれの売り上げ代金というものは必然に物資経理へ入って参ります。そこで買った値段より高く売れた場合には自然にそこに利潤というものが生まれてくるわけでございます。その経費は、これは脱脂粉乳を買いましてから、これから県学校給食会に売りますまでの間に相当の時間もかかり、また不良品が出ましてから、それから農林省が全体の国内の――大体飼料に売っておるわけでございますが、飼料の需給状況を勘案いたしまして売る時期を指定して参りますので、相当時間がかかり、たいていは翌年度になって参ります。したがいまして、その翌年度になって参って出てきたお金については、これは翌年の子供に売るもの、売るミルクを安くする、そういう方法のほうに使うような用意と申しますか、余剰金としてたくわえられているわけであります。
#11
○豊瀬禎一君 県から市町村の場合は。
#12
○政府委員(前田充明君) 県学校給食会におきましては、やり方としてはそういうわけでございますが、県学校給食会に対しては文部省から補助金を出しておらないので、その運営費というものは、いわゆる業務経理は物資経理の中から出すわけでございますが、しかし、それにつきましては文部省から限度額というものを示しまして、そうしてその限度額の範囲内だけは取って毛よろしいということにいたしております。したがいまして、その限度額を計算いたしますのに、いわゆる利潤となるような経費は見積らないように限度額をきめておりますので、ちょうど文部省で示したとおりの、大体示したとおりの程度で各県給食会は、子供からと申しますか、学校から取ったお金で運営をいたしておるのが現状でございます。
#13
○豊瀬禎一君 限度額というのは、具体的に言ったらどういうことですか。
#14
○政府委員(前田充明君) 限度額は、文部省で算定をいたしておるのでございますが、一番小さい場合で五万人と一応考えております。それで一年間二百万円でございます。それから五万人以上十万人までが二百万円にプラスする生徒一人当たり、その五万人の超過の部分については一人当たり三十円を、割増しと申しますか、それにプラスいたしまして、そうして計算し、同様に、五万人、十万人、二十万人と、十万人ずつで切っておりまして、おおむね限度額を申しますと、北海道で九百四十二万円でございます。給食人員が北海道におきましては三十九万六千人でございます。そういうふうにして、各県すべて計算をいたしましてこれを示しまして、その範囲内だけは取ってもよろしいということでやっております。
#15
○豊瀬禎一君 今の限度額というのは、いわゆる給食会の利潤であり、それによって運営されておる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
#16
○政府委員(前田充明君) 私どもは利潤というふうに考えておらないで、限度額の範囲内はいわゆる物資については利潤を全然取らないように売り、そうして限度額の範囲内はそれにプラスして取る、こういうことになりますので、言い方によっては利潤とも申すことができるかもしれませんが、私ども金額をはっきり出しておりますものですから、それで利潤というふうな、何掛というふうな意味での利潤というふうには考えておりません。
#17
○豊瀬禎一君 生徒一人当たり、五万人以下の場合は二百万円はよろしい。それは利潤ではない。そうすると何ですか、これは。
#18
○政府委員(前田充明君) 県学校給食会の運営費として、学校からと申しますか、父兄から徴収する、そういうふうに考えてけっこうだと思います。
#19
○豊瀬禎一君 負担金ですか。
#20
○政府委員(前田充明君) むしろ利潤というよりは負担金のほうが当たっておるかと思います。
#21
○豊瀬禎一君 物資を購入するその実費というのはきちんと出てきますね。その実費を父兄が負担するのでなくして、実費以上、五万人までは二百万円、十万人までは五万人をこえる一人について三十円、これを取っていますね。そういう意味でしょう。
#22
○政府委員(前田充明君) 実費の考え方でございますが、これは商業的に申しますれば、あるいは実費といってもいいかもしれませんが、輸送費、保管費、そういうのを一応実費と考えれば、実費プラス今の負担金と申しますか、運営費を負担するのでございますから負担金といったらいいかと思いますが、そういうものに私ども考えまして、実際に県の給食会で配給専務をいたしますれば、どうしても人が要るわけでございます。それで人が要るわけでございますから、その人の費用はどうしても必要で、したがって、それを実費だということに考えれば、私、実費といっても差しつかえないと今申しましたのですが、ただ、そういう人間の費用は実費からはずすべきだとお考えになれば、負担金だということにもなるかと思うのですが、いずれにいたしましても、このために県の給食会が利潤として蓄積されるとか、あるいはほかのものに利用されるとかいうような意味には取り扱われておらないわけでございます。
#23
○豊瀬禎一君 先まで勘ぐって答弁せぬでもよろしいです。私は事実を明確にしたいと思ったのです。限度額と言おうが、負担金と言おうが、たとえばアメリカから脱脂ミルクを購入する、その実費はきちんと出ていますね。それから輸送費も出ておる。その輸送費は距離にかかわらず日本学校給食会が均一に持つ、こうおっしゃっていますね。だから、地方に行った場合には、ミルクを例にとると、実費でいわゆるアメリカから購入したときの値段外渡されておるわけですね。まあそれに日本給食会がある程度のマージンを取っておるとしても、それはよろしいです。しかし、県から市町村に品物を渡すときに、生徒の人数を区切りとして金を取っておるということは、学校給食の実費負担ではなくして、運営の経費を負担しておる、あるいは商法的にいうならば、実費にプラス五万人という商品の個々に対する利潤ではないけれども、生徒数の総星に対する二百万円あるいはそれプラス一人掛け三十円という費用が徴収されておる。したがって、それは利潤というか、あるいは何というか、手数料という品物の実費以外に生徒から金額が徴収されておる。五万人の場合は二百万円ですから、二百万円の金の支出は生徒一人当たり幾らということになっているのじゃないですか。
#24
○政府委員(前田充明君) 四十円になります。一年間四十円でございます。
#25
○豊瀬禎一君 だから、五万人までは二百万の経費が要る。したがって、県あるいは市町村自治体が持つということならば、あなたがおっしゃるとおり利潤でもなければ何でもない。しかし給食会の運営費を生徒一人々々が負担をしておるということですから、負担金として出すにしろ、名目は何とつけようとも、生徒一人当たり均一した金額が徴収されておるとすれば、その物資に対する一定の計数として利潤がとられておる、こういう判断をしてよろしいんじゃないですか。
#26
○政府委員(前田充明君) まあ利潤ということになりますと、どうしても何掛けということで参るわけでございますので、この場合は人件費、事務費でございます。まあしたがって、これを利潤というふうには私どもなかなか考えにくいんじゃないかと思っております。
#27
○豊瀬禎一君 まあ利潤じゃなくても、運営費が生徒父兄の負担になっておるということを認められればそれでよろしいです。別に用語の問題について理屈を言っているわけじゃないんです。中央から地方に流す物資の以外に、地方購入のものがあると思うのですが、地方で購入するものがあるとすれば、それは実費で生徒に支給されていますか、それとも給食会が一括購入して若干のマージンをとって学校に配給するという形をとっておりますか。
#28
○政府委員(前田充明君) 学校給食会の事業は利益の追求は全然いたしておるわけではございませんので、利潤的なものは含まれておらないものと思っております。なお、この地方で行なわれますそういう配給業務というものについては、県教育委員会において十分間違いのないように指導をいたすように、私どもとしては県教育委員会に対して指導をいたしております。
#29
○豊瀬禎一君 副食物を購入する際に、市町村給食会、あるいはこれは少ないと思うのですが、県が一括購入する場合があるとすれば、業者から購入した実費に対して実費で給食されるのでなくて、若干のそれに何というのか、実費以上の金額で生徒に給食されているということは全然ないですか。
#30
○政府委員(前田充明君) 利潤として取っておるということは私はないと思っております。ただ私そういう場合、まあ実際問題として起こり得ると推定されますことは、そういう物資を扱いますにはどうしても資本がなければならないわけであります。したがって、運転資金というものも何らかの意味で必要な場合があるかもしれない、そういう場合に学校と了解の上で、今回は非常に安く買えたんだから少し、その何と言いますか、運転資金の必要上、話し合いの上で取るということは私推察をいたしております。
#31
○豊瀬禎一君 先にそうおっしゃると質問が短くて済む。実際問題としては、あなたが言われた五万人以内の場合には二百万円で給食会の経費がすべて運営されておるのでなくて、副食物等当該給食会が物資を購入した際には、業者講入の実費でなくて、それに一定の計数がかかる、高い価格で生徒に給食されておるという事実は皆無でない、むしろ私としてはその事態のほうが多い、こういう判断をしておるのですが、そのことに対するあなたの実情把握、なるほどあなたの答弁のように、給食会は営業団体であってはなりませんが、私の知っている県の給食会あるいは市町村の給食会では、これだけ資金――資金とは言っておりませんが、用語はいろいろありますが、だんだんと運営費が多くなってきて、これだけたまりましたとか、そういう事態が全国の何百の市町村に至るまでの給食会の中に起こっているということは認められますか。
#32
○政府委員(前田充明君) 私は決してふえつつあるとは思っておりません。県によりましては、その運転資金を県から貸付をしているような県もございます。しかし貸付をしていない県もございます。したがって、私が推察をいたしますのは、そういう例は一部であって、全般的ではないんじゃないかというふうに思っております。
#33
○豊瀬禎一君 各都道府県並びに特に市町村給食会において、購入価格よりも高額で支給し、それが児童の負担になっているという実態の調査表がありますか。
#34
○政府委員(前田充明君) 全部、県給食会から市町村給食会のそういう実態については私ども資料を持っておりません。ただ、そういう今の資金の問題でございますが、運転資金を、集まったという場合に、それを一般的に商業利潤という考え方からいいますならば、もうかったからさらにもうけるという考え方だと思うのですが、しかしこの場合は、それが運転資金になって、少しでもそういう資金貸付によって安く買える、現実にお金を持っておりますから、百円のものは九十円で買えるというようなことになれば、これは利子計算の比較というような問題にもなるかもしれませんが、いずれにしましても、そこから上がってくる、またこの資金から上がってきます利潤といいますか、そういうものは、やはり子供に返ってくるものではないか、これを何らか別の方面に使って、消費してしまったり、あるいはほかのものに投資したりということならば、これはもちろんいかないのでございますが、ただその場合に、公共団体から資金が貸し出されることが最も望ましいと私は思っておりますけれども、どうしてもそういうことができなかった場合には、とにかく子供に返るということは一応言えるんじゃないかと私は考えております。
#35
○豊瀬禎一君 給食会の運転と言うか、運営と言うか――運転と言ったほうがいいでしょうが、物資購入等の運転資金が地方自治体等から貸し付けられるということは好ましいことである、そうしてそのことに対しては、いろいろと行政指導している、このように考えていいのですか。
#36
○政府委員(前田充明君) そう考えられてけっこうでございます。
#37
○豊瀬禎一君 県で、さらに市町村で、それぞれ地方公共団体が運転資金を貸し付けている件数を、県市町村別に説明して下さい。
#38
○政府委員(前田充明君) 県についてはわかっておりますが、ちょっと今資料ございませんので、もし必要であれば調べましてお答え申し上げますが、各県段階においては調べたものがございます。
#39
○豊瀬禎一君 好ましいことであると考えながら、市町村段階の調査がないということはどういうことですか、あるけれども手元にないという意味ですか。
#40
○政府委員(前田充明君) 県につきましては、先ほど来申しましているように、はっきりといたしております。市町村の段階で、特に小さい町とか、あるいは村とかということについては、一体、学校給食会を持つ必要は私ども問題があるのじゃないだろうか。その辺については、まだ私どものほうに決定的な態度を出しておりません。なぜかと申しますと、それは、その地域によりまして相当特殊性がございます。したがって、非常に小さいけれども作ったほうがいいというような場合もあるかと思いますので、その点のようなことで、画一的にだめだということもいえないし、といって、じゃこれを作ったほうがいいのだというような結論もそう簡単にいかない状況でございますので、現在としては、私ども結論的には、ちょっと町村等の給食会については疑問というところで検討中と申し上げたらよいかと思うのであります。
#41
○豊瀬禎一君 答弁は率直なほどよろしいのですよ。私が聞いているのは、運転資金を貸し付けたほうがよろしいと思っておる範囲内において、どれだけ行政指導はした、それがどこまで徹底しておるかの数字を出しなさいと、こう言っておる。だから、給食会を作ることがいいかどうかの判断がまだつかないで迷っておる問題については、別の問題。それじゃ、もっと具体的に聞きましょう。県で出しておるところは何県ありますか。
#42
○政府委員(前田充明君) 県段階で貸付いたしておりますのは、北海道、岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、千葉、東京、神奈川、富山、石川、福井、静岡、愛知、滋賀、京都、鳥取、島根、広島、徳島、愛媛、高知、それから大分でございます。大体半分程度でございます。
#43
○豊瀬禎一君 大体半数足らずじゃないか、今読まれたのは足らずじゃないかと思いますが、まあ半数でもよろしいですが、運転資金を貸し付けるように行政指導を一番最近にしたのはいつですか。
#44
○政府委員(前田充明君) これにつきましては、もう会議のたびごとに、私どもとしては、運転資金のないことが県給食会の希望でもございますので、できるだけそういうふうにするように、ほかの例等も申しまして指導をいたしております。
#45
○豊瀬禎一君 別に意地悪な質問をするわけじゃないから、何度も注意しておるように質問に率直に答えて下さい。一番最近にしたのはいつですかと、こう聞いておる。
#46
○政府委員(前田充明君) はっきり時間的にお話をするということになりますと、ことしの一月の会議のときにいたしたわけでございます。
#47
○豊瀬禎一君 一月の、地方から何を招集した会議ですか、それは。
#48
○政府委員(前田充明君) ミルク給食をやることになるであろうということが考えられたときであったと思っております。そういう記憶でございます。全国の課長を集めた会議でございます。
#49
○豊瀬禎一君 何課長会議ですか。
#50
○政府委員(前田充明君) 給食関係の課長でございます。
#51
○豊瀬禎一君 給食関係の課長会議というのは、そういう名称で集められましたかり主としてどういう課長が集まりましたか、そのときは。
#52
○政府委員(前田充明君) 県によりましていろいろ組織機構がございますが、体育課長、それから保健課長、大体それが主力でございます。
#53
○豊瀬禎一君 説明員に聞きますが、一月のおよそ何日ごろです。およその時日と場所。
#54
○説明員(臼井亨一君) 一月の二十一、二十二日、月、火、全国課長会議を招集いたしました。
#55
○豊瀬禎一君 文部省内で。
#56
○説明員(臼井亨一君) ええ、文部省で。
#57
○豊瀬禎一君 別に局長の答弁を非議するつもりはありませんが、私の知っておる範囲内では、あなた方の努力の内容については十分承知しませんが、運転資金の貸付の県の数ですね。これが、あなたがあらゆる会議を利用して努力しておるとおっしゃるほど前進をしていないように見受けるのです。私も自分の県の教育委員会の連中にこのことについても話をしたのですが、課長がおそらくあなた方の適切な指導に対して中座しておったか、報告し忘れたかしたのでしょうが、まあそのことは別にして、あなた方が御指摘のように、生徒からお金を徴収して、結果的にはそれが回っていくにしろ、好ましいあり方は地方公共団体が貸し付けることだという点については私も意見一致しますので、今後一そう努力して、全国、少なくとも県の給食会に対してはそれができるように、また市町村に対しても、早急の間に、給食会を持っておる県市町村については、どういう状況かを把握していただいて、今後の指導の適切化をお願いしておきたいと思います。
 大臣にお尋ねいたします。学校給食に対する大臣の基本的なかまえについて、前々国会で私がただした際に、大臣は非常に名答弁なさったんですが、昼食は、朝食があるから昼食というのでございまして、必ずしも昼食に力を入れぬでも、朝と夜うまいものを食えば、それで人間のからだは別に不健全に育つことはありませんと、用語は違いますけれども、そういう趣旨のお考えを述べられたんですが、学校給食の、憲法上あるいは学校教育関係諸法規上、その他の法律上の位置づけというものについて、どういう考え方を持っておられますか。
#58
○国務大臣(荒木萬壽夫君) どういうふうにお答えすべきでございましょうか、はっきり申しかねると思いますけれども、少なくとも教育活動の内容の一環である。具体的には児童生徒の体位の向上に役立たせるための教育目的からする一つの政策である、かように考えます。
#59
○豊瀬禎一君 憲法を例にとって見ると、学校給食を国が補助していく、あるいは拡充をしていくという立場で、憲法上の根拠法規をどこに求めておられますか。
#60
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 憲法第二十六条第一項に根拠を求むべきかと思います。
#61
○豊瀬禎一君 同感です。一つは、ただいま大臣御指摘のとおり、義務教育無償という概念について、本会議でも二、三、私、大臣にただしたところですが、単に教科用図書とか、あるいは授業料を徴収しないというのが義務教育無償の概念でなく、もっと実定法上も、国際的に見て広い範囲に適用されているということは御承知のとおりですが、私は憲法二十五条も、学校給食の問題ではきわめて重要な位置づけを持っていると思いますが、大臣の所感は。
#62
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 間接的には関係あろうかと思いますが、直接的には私は第二十六条第一項に関連すると理解します。
#63
○豊瀬禎一君 健康で文化的な生活を営む権利、国はすべての生活部門について、これこれの向上増進に努める、この精神は貧富によって、あるいは環境によって差別を受けてもやむを得ないとお考えですか。
#64
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 憲法第二十五条は、一般に国民という立場でとらえた課題だと思います。学校給食はその中で、学校という特定の生活環境の中における教育的観点からする給食の問題でありますから、実質的に第二十五条の趣旨が、無関係とはもちろん一章えないと思いますけれども、第一義的には第二十六条、第二十五条は一般国民という立場において、その趣旨が、学校給食の場合においても尊重さるべきだと、そういう観念のものと思います。
#65
○豊瀬禎一君 主管局長は、諸外国の学校給食等の実情がもっと詳しいと思いますが、学校給食と憲法二十五条の関係をどういうふうに理解しておりますか。
#66
○政府委員(前田充明君) 大臣がお答えになりましたとおり、義務教育無償論から出発しての考え方でございます。
#67
○豊瀬禎一君 主管局長としてのその認識は、はなはだ不見識だと私は指摘しておきます。国民が健康で文化的ということを、大臣は経済的な条件というか、いわゆる生活条件と限定しておられますか。意味がわからなければもう少し聞きましょう。健康で文化的な生活を営む、そのためには幼児からの食べ物というものが非常に大きく影響することは、これは国際的な通念です。そのために諸外国でもおやつをやってみたり、給食費を公共団体が負担してみたり、学校教育よりもう少しワクを広げた中で、幼児からの体質改善という意味でこれをやっていることは御承知のとおりです。したがって、健康で文化的な最低生活という意味を、おとなになった場合の生活条件だと見れば、ただいまのような答弁が出てくると思うのです。そうでなくて、そこまで到達するためには、少なくとも健康という、あるいはすべての生活部面についての向上増進という概念のとらえ方は、幼児からの健康管理というか、もっと範囲を給食と関係してきますと、食べ物というのが基底にならなければ、このことはその趣旨の全部を生かすものでないと私は考えているのですが、大臣の御見解は。
#68
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 第二十五条は、健康にして文化的な生活を営む権利と、国民の一般の立場でとらえていることを、先刻そう解釈することを申し上げた。赤ん坊から年寄りに至るまでのすべての国民の物心両面を指すものと思います。衣食住はもとより、精神生活の面におきましても健康的な姿を、文化的な姿を期待している。第二十六条はそれから抽出して、学校教育、特に二十六条の二項のごときは、義務教育というものを具体的にとらえている条文かと思います。したがって、先刻来お答えしておるような児童生徒もしくは学生というものを対象として、特定の学校という組織体の場における問題として二十六条が生きてくる、むろん基本的には児童生徒、学生といえども国民の一人でございますから、二十五条の一般的な国民としての立場からする、健康にして文化的な生活を営む権利というものを持っていることは当然でございますから、実質上は二十五条と関連を持ってくる、こう思うわけであります。
#69
○豊瀬禎一君 局長に伺いますが、法律では学校給食法の精神がうたわれておるのは、あなたはどこに根拠を求められますか。
#70
○政府委員(前田充明君) 学校給食の基本的な考え方というのは大臣と同じでございますが、二十六条に、義務教育を受ける権利や義務を負う、義務教育というのは教育でございますから、教育の本質はやはり知育、徳育、体育、そういうものを本質に持っていると思うのです。したがって、そういう体育と申しますか、からだの教育という立場から学校給食というのは法律的には考えるべきではないか。今お話の二十五条の問題でございますが、これは先ほど来、大臣もおっしゃっていますが、国民全体として考えた場合に、子供も国民でございますから、もちろん入らないということを申すわけではございませんが、それは国民という基礎的な立場の上での問題でございまして、これは学校として取り上げた場合には、これは教育の中のどこで取り上げるかという問題になるのじゃないか。そういたしますと、やはり義務教育そのものは知育、徳育、体育の中にある。その中の体育という面において学校給食をつかまえている。したがって、学校給食法におきましても教育的な立場を強く考えて法律の目的が書かれておるのではないかと私は考えております。
#71
○豊瀬禎一君 私は憲法論じゃなくて一般の法律論で言ったのですが、あなたの今の説明でははなはだ、憲法論の解釈はもう承らないでもいいのですが、憲法を除いた法律のどれを根拠精神としていますか、こう聞いている。学校給食法はもう当然ですよ。それの説明は、要りません。
#72
○政府委員(前田充明君) 教育基本法の終わりのほうにございますが、「心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」、教育基本法の第一条は基本であろうと思います。
#73
○豊瀬禎一君 それだけですか。――教育基本法第一条の教育目的は当然ですが、それだけですかと聞いているのです。学校給食法は当然そうですよ、それがそのものですから。それは説明要りませんよ。
#74
○政府委員(前田充明君) 学校教育法の十七条に、「小学校は、心身の発達に応じて、初等普通教育を施すことを目的とする。」とございますし、なおその十八条には、その内容につきまして分析的に書いてあるわけでございますが、もちろんこれも関係があるわけでございます。それから中学校におきましても、三十五条、三十六条、そういうところに基本の考え方――基本と申しますか、直接的な基礎がございます。
#75
○豊瀬禎一君 学校教育法関係法以外では。
#76
○政府委員(前田充明君) 学校給食法におきましては学校教育法に基礎を置いておると私は考えております。
#77
○豊瀬禎一君 学校教育関係法以外ではと聞いているのです。教育基本法から教育関係の諸法規以外ではと、こう聞いている。
#78
○政府委員(前田充明君) 精神的と申しますか、思想的と申しますか、そういうような意味合いから申しますならば、児童福祉法というようなことも考えられるかと思うのでございますが、これはやはり思想的な観点から考えた場合の考え方ではないかと思いますが、ともかくそういう意味から申すならば、児童福祉法等も考えられる問題であろうと思っております。
#79
○豊瀬禎一君 学校給食法の、何というか、基本精神の論議をしているのですが、児童福祉法の何条に主とした根拠を求めておられますか。
#80
○政府委員(前田充明君) 児童福祉法は、ただいま申しましたように、私は思想的な立場で考えた場合に根拠があるのであって、この何条かから学校給食の根拠を求めてはいない考え方でございます。
#81
○豊瀬禎一君 お手元に児童福祉法ありますか。
#82
○政府委員(前田充明君) ございます。
#83
○豊瀬禎一君 どうもあなたの給食行政というものが非常に、巨視的という言葉に対して微視的という言葉があるかどうか知りませんが、近視眼的な感じを受けるのです。少なくとも児童福祉法の第二条に、児童育成の責任ということが明確にされて、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」、国の責任として、児童に対して明確な規定を行なっている。この児童福祉法の精神をすなおに理解しない限りは、学校給食の基本的な理念というものに対して、現象解決主義的な政策に陥る弊害があると思う。もう少し眼を大にして、諸外国の例等を見ながら、四十億出してアメリカから余りものの脱脂ミルクをもらって安く配給すればそれで事足りるというのではなくして、義務教育無償の原則を受けた学校給食であるという立場であれば、国が、父兄とともに、心身の健全な育成の責任という観点から学校給食を求められているのであります。
 そこで、時間がありませんから次に進んでいきます。大胆にお尋ねいたしますが、今、義務教育無償の問題について一応の見解を承ったのですが、再度お尋ねいたしますが、義務教育無償というものが完全に実施されたというか、理想的な形態としては、現行制度の中でこれが努力されている問題、現行制度には採用されていないけれども、あるべき姿はここまでではなかろうか、という点についての御見解を承りたい。
#84
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど来、私は学校給食の憲法上の根拠をどこに求めるかというお話については、二十六条第一項と、ことさら申し上げたわけであります。ひとり小中学校のみならず、高等学校においても、学校給食というものが行なわれてしかるべき課題でもあろうかという意味において、そう申し上げたのであります。同時に、義務教育を無償とするという、無償の対象たるべきものをとらえての、限界線は何だというお尋ねに対しましては明確にお答えできません。ただ、きわめて明確に言えますことは、教育基本法に定めておりますように、義務教育の無償を、公立の学校においては授業料をとらないということだ、これは直接的に義務教育無償の現在の限界だと思うのであります。しかし、憲法二十六条第二項が、それだけに限って、それ以上のことはあり得ないと意図しておるものでないことも十分理解いたします。今後の、授業料が取られないということにプラスされていくべきものは、基本的なる要件として、私はそれが平等であり普遍的であるという要件が必要であろうかと思うわけであります。その意味において、義務教育課程で使います教科書、これが学校教育法上使用を義務づけられておるという特性もむろんございますが、今申し上げる普遍性と平等性ということで、授業料を取らないという次に位する、憲法二十六条第二項の趣旨を徹底する最も手近な課題であろうかと思うわけであります。その他、学用品あるいは学校給食も含めまして、二十六条第二項の趣旨に沿わすべき努力課題であろうかとは思いますが、必然的に無償にせなければならないものかどうかにつきましては、今申し上げた基本的な要件が満足され得るかどうかという現実問題にもからんでくる課題であろうかと思います。そういうことも含めまして、限界点がどこだということを今明確に申し上げるすべを知りません。
#85
○豊瀬禎一君 時間がないので急ぎますが、限界を示していただきたいと申し上げたのじゃないのです。現在やっておるこの趣旨に沿った政策は何ですか、それから、将来到達すべき内容は何ですかと、こういう質問をしたのですが、今回実施されようとしておる教科書無償も、やはり私はその精神を受けておるものだと思いますが、どうですか。
#86
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは今もお答え申し上げたように、私もそう思っております。
#87
○豊瀬禎一君 将来の展望について、もう少し詳しく述べていただけませんか。
#88
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 将来の展望は、抽象的には今お答えしたことをお答えにかえるほかないのでありまして、要は、具体的努力が積み重なって、憲法第二十六条第二項の趣旨に合致するところまでの現実的な努力の結論が、それを物語るというべきものじゃないかと思います。
#89
○豊瀬禎一君 大臣は、給食が無償で行なわれている諸外国の例を、係の人から聞いたことがありますか。
#90
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 聞いたことはあります。
#91
○豊瀬禎一君 どの国々でしょうか。
#92
○国務大臣(荒木萬壽夫君) スカンジナビア半島の諸国のことを聞いた記憶がありますが、アイルランド、エジプト、完全に無償としておりますのは、事務当局の調べた資料の限度内におきましては、その二つのようであります。むろん部分的な無償を実施している国は、ほかにもたくさんあるようであります。
#93
○豊瀬禎一君 御指摘のように、部分実施と拡大されておる国と、それぞれあるようですが、私も昨年出された資料の中で、約二十数カ国に近い資料を持っているのですが、全面実施か部分実施か、大体そういう大きな種類に分けて、諸外国の学校給食が無償の傾向をたどっているところを再度調査しておいて下さい。
 次に質問を進めます。
#94
○委員長(北畠教真君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#95
○委員長(北畠教真君) 速記を始めて。
#96
○豊瀬禎一君 準要保護児童について、今回の措置からしてどういうふうに処理しようと考えておられますか。
#97
○政府委員(前田充明君) 準要保護児童につきましては、昨年は五%でございましたが、本年度から七%の準要保護児童のために、町村に対して補助をいたす考えでございます。
#98
○豊瀬禎一君 二月二十日の衆議院の分科会に前田さんは出席していますね。この問題に対する大臣の答弁を受けて、担当事務当局としてはどういう検討を行なっておりますか。
#99
○政府委員(前田充明君) 二月二十日の分科会――多分準要保護児童の補助の問題につきまして、準要保護児童は予算算定の中にミルク給食の費用が算定されていないじゃないかというような御質問があったのに対しての問題だと思うのですが、実は、実際の問題として、予算の範囲内でミルク給食だけをやっております子供に対しては、従来は町村に対して補助をいたしておりませんでしたけれども、本年からは予算の範囲内でやりたいと思っております。実際問題として、それではできるかというような考え方として考えました場合に、学校給食の補助金は、これはいわゆる基準で補助金を出しております。したがって、多いところもあれば少ないところもあるということがございます。そういう点で従来の調査から考えまして、四%を補助しておったとき、すなわち三十六年のときが全体の子供の数の四%補助をいたしておりましたのですが、そのとき準要保護児童に対して、全体平均として、悉皆調査をしたわけではございませんが、私のほうの調査によりますと、四・七%程度補助をいたしております。したがいまして、今回これが、その当時また考えられておりましたのは、六%くらいまで参りますと、おおむね必要な額が必要な子供に配付できるだろう、こういうような調査がなされておりますが、今回七%でございますので、その辺の問題から考えますと、総額、ミルク給食だけの全体の七%で考えますと約三千万円になるのでございますが、その三千万円は何とか実際上まかなっていけるのではないかというふうに考えております。
#100
○豊瀬禎一君 ただいまの答弁では、まだ私のただしておる真意が不十分ですので、もう一度二十日の滝井委員の質問に対する大臣の答弁を再度勉強していただいて、準要保護児童でなくして生活保護者についても大臣の答弁の趣旨に沿うような検討を明日までにしておいて下さい。以上で終わります。
#101
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと政府委員の御答弁を補足をいたしますが、積算上は考え漏れをいたしております。そのことは手落ちだと思います。ただ御審議願います。決定していただく予算の範囲内において準要保護児童の対策には支障なからしめるあらゆる努力をいたします。もし不足しました場合には、補正予算を組んででも足らざるところは実行に移す、そういう建前で大蔵省とも折衝をいたしたのであります。要保護のほうは、法律上当然に政府側の国の義務としてやりますので一応問題ないかと思いますが、準要保護児童につきましては、積算上の手落ちがあったことを率直に申し上げざるを得ないと思います。しかし、今申し上げたとおりの考え方に立って支障なからしめたいと思います。
#102
○委員長(北畠教真君) 本法律案に対する本日の質疑は、この程度で終わります。
#103
○委員長(北畠教真君) 順序を変更いたしまして、次に、へき地教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本法律案については、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言を願います。
#104
○久保勘一君 ちょっと提案者にお尋ねをいたします。僻地学校の児童生徒の通学を容易にするために、これらの学校に寄宿舎を設置することの必要については、提案理由の趣旨説明のとおりであると私も思います。そこで、その実態について一、二お尋ねをいたしたいと思います。まず第一点は、僻地学校における現在までの寄宿舎の設置状況について、概括的に学校の数なりあるいは生徒数なり、それらがまたどういう経費負担によってなされておるかということについてお尋ねをいたします。第二点は、今後さらに寄宿舎の設置の必要と思われる対象がかなりあると私どもは思うのですが、それらの必要である学校の数なり生徒数、あるいは坪数、あるいは経費、そういうものについておわかりであれば、できるだけ詳しく御説明を願いたいと思います。
#105
○豊瀬禎一君 お答えいたします。大体私どものいろいろな手を通じて調べました数も、実際においては既設校並びに必要該当校というものは若干確実でありません。さらに文部省の現在までの資料によりましても、明確に既設の宿舎あるいはどこまでを全国の僻地の中で必要とするかという点についても、概数把握の段階になっております。そこで、私どもとしては大体僻地の実情からして、まず第一段階として対象学校を四級地、五級地に限定をいたしまして、およそ小中合わせて一千校程度と推定をいたしました。その中で大体三百五、六十から四百近い学校が、これは文部省の資料によりますが、既設のものであると推定できるわけです。現在一校当たりの坪数平均につきましても、いろいろ議論のあるところですけれども、私どもは千校近いところから大体四百校程度を既設と見まして、文部省が予算要求の際に算定しております一校当たりの坪数を六十一坪といたしまして、それに約五百五、六十から六百程度の学校をかけまして既設のものを差し引きますと、必要坪数というのは三万三千四十六坪、まあ三万三千坪程度であると考えておるわけです。なお、季節分校、いわゆる冬季に通勤ができない場合の冬季分校等もございますけれども、これらの学校の数字につきましても必ずしも正確な数字がございませんので、大体、一応対象学校九百六十校程度、既設を四百校程度、このように推定いたしまして、それに坪数の六十一坪をかけまして三万数千坪が必要である。このように推定をいたしておるわけです。もちろん離島、山間地等におきましては、全国的に見ますと、三級地等においても宿舎の設備の必要な学校が実態としてはあるのではないかと、このように考えておりますけれども、まず最も僻地度合いの高い五級地並びに四級地から初年度としては実施し、次第にそれを級地の低いところについても適用していきたいと、このように考えておるわけです。
#106
○久保勘一君 今後必要とする学校の数が大体千枚近いだろう、しかも四級地、五級地を対象としての数字のようでございますが、お話もありましたように、実際問題としましては、かりに四級地であっても五級地であっても、通学区域が固まって学校付近にありまする場合はその必要がないわけでありまして、もし文部省に、実際的に寄宿舎がほしいというような強い要望なり要求のありまするようなものについてお調べの資料があれば、実際に必要なものについての数字をお示し願いたい、かように思います。
#107
○政府委員(田中啓一君) 今実は至急事務当局を呼んでおりますが、私、具体的にどのような資料に基づいて寄宿舎等の増加、増設に対する予算を要求し、どの程度に実現しておるかという具体的の資料を持ち合わしておりませんので、しばらく御猶予を願います。
#108
○久保勘一君 係の局長がいませんので次のお尋ねにつきましてもどうかと思いますが、一応あとでもけっこうでございますから、資料ででもお示しを願いたいと思います。その三点は、現在すでに文部省においてはこの寄宿舎の設置についての助成をいたしておりまするので、おそらく年次的な計画というものは省案でも私はあるんじゃないかと思いますので、そういうものがありますならば、その年次計画の省案でもあとでお示しいただきたい。
#109
○政府委員(田中啓一君) かしこまりました。
#110
○委員長(北畠教真君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#111
○委員長(北畠教真君) 速記を起こして下さい。
#112
○久保勘一君 次に、補助率の引き上げについてのお尋ねをいたしたいと思います。僻地学校をかかえておりまする市町村は、その財源の基盤も非常に貧弱で、父兄の経済力も著しく乏しいので、したがって、これらの学校の教育振興をはかりまするためには、国の助成の必要であることは御指摘のとおりでございます。したがって、この法第三条に関係のありまする市町村の行なう事業について、その補助の額を引き上げようという考え方については私どもも同感を覚ゆるのでありますが、ここでお尋ねいたしたいと思いますることは、現在、国が行なっておりまする第三条に関係のある補助事業の内容について概略御説明をいただきたいと思います。
#113
○豊瀬禎一君 三十八年度の文部省の予算を見てみますと、僻地学校の設備に対しまして、たとえば自家発電施設、スクール・バス等を購入する、テレビ受像機、飲料水給水施設等、いわゆる設備費の補助につきまして三千三百六十七万三千円、総額ついております。さらに教員宿舎の建築費に対じましても一億三千二十六万八千円、さらに僻地集会室、これはへき地教育振興法に基づいて市町村が設置義務を持っておるわけでありますが、これが二億六千万円前後、さらに僻地学校の保健管理費として四百九十四万円、僻地学校給食振興費として一千三百八十六万円、大体総額にいたしまして四億四千六再九十二万三千円を本年度予算に組んでおるわけですが、これは御指摘のように二分の一の補助でございまして、僻地学校を持っておるところは財政的にも僻地性を帯びておりますので、これらの補助を地元が半額負担し得ないために、せっかくのこの補助金というものも実際に消化できない地域がずいぶん多いと思います。したがって、私どもとしては、僻地に限っては現行の二分の一を三分の二に補助率を高めたい、このように考えております。
#114
○久保勘一君 そこで次にお尋ねいたしますが、かりに三分の二に訂正されたといたしまして、さしあたり三十八年度の国の考えておりまする事業の分量において、どれくらいの負担増になるのか、御計算があれば御説明願いたい。
#115
○豊瀬禎一君 ただいま申し上げましたように、三十八年度の文部省予算が、今申し上げました設備等の補助総額が四億四千六百九十二万三千円でございます。私どもの案では、ただいま申し上げましたそれぞれに対して現行の予算の内容内、と申しますのは、たとえばスクール・バス等については、バス十台、ボート五台、こういう算定をしておるのですが、それを肯定して三分の二に補助率を切りかえていくという趣旨に立ちまして概算いたしますと、五億九千五百八十九万七千円でございます。したがって、増は約一億四千九百万程度でございます。
#116
○久保勘一君 文部省側にちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、ただいま三十八年度に計上されておりまする第三条関係の事業外に、文部省として将来こういう事業を僻地のためにやっていきたい、こういう御計画でもおありでしたら、この際御説明をいただきたいと思います。
#117
○政府委員(福田繁君) 従来、僻地学校の集会室の建築費とか、あるいは教員の住宅の建設費の補助、あるいは先ほど御指摘にありましたスクール・バス、ボートなどの購入費に対する補助というようなものも従来からやっておりますが、三十八年度におきまして給水施設の設置費についての補助、約三十校分でございますが、これは新しいものでございます。従来なかったものです。それから私どもとして特に僻地の教育を振興させる意味におきまして、各僻地の学校の教師が非常に渇望しておりますのは、複式学級の教科書の問題でございます。どうしてもこれは複式学級の教科書をある程度適当なものを作りませんと、よい効果を上げにくいという点がありますので、これの教科書を作成する準備費として調査費を三十八年度に要求いたしましたのでございます。これはごくわずかな経費でございますが、そういう研究調査費というものも新しく、六十九万円程度でございますが、そういうものを計上いたしております。それからまた、従来から研究指定校というのを設けております。そういう僻地の教育を振興させるために特に研究指定校を設けまして、そして教育計画あるいは教育方法等の向上という点から研究いたしております。これに関する経費も、これは前年度もございますが、約七十万を三十八年度計上しております。そういうものがそれ以外と申しますと当たると思っております。
#118
○久保勘一君 提案者にお尋ねいたしますが、補助率をかりに引き上げましても、単価なりあるいは構造比率の問題が従来非常に実態にそぐわないというような強い声もありますので、そういう点については提案者としてどのようにお考えになられておりますか、お尋ねいたします。
#119
○豊瀬禎一君 お尋ねの僻地だけでなくして、高等学校に至るまで、現在の文部省の補助率というものは実情に沿わない額であると考えております。したがって、私どもとしては単価というものは全面的に改正の必要があると思っておりますが、僻地をとりましても、たとえば宿舎の場合、坪当たり単価を木造として四万五百円に文部省としては見ておるようですが、実際に教員がそこに居住して家庭に近い条件のもとで生活をし、僻地教育に携わっていくためにはこの単位は少な過ぎると思っておりますし、単に教員住宅でなくして、全体の僻地集会所あるいは生徒寄宿舎等につきましても同様の見解を持っておるのですが、その修正を行なわなかったのは、私どもとしては現状を肯定したのでなくて、特に今回は単価不足もさることながら、教職員の給与の底上げをしていくという問題と、差し迫って寄宿舎がないために冬季等において通学ができないような情勢と、特に市町村が国の補助率が僅少のためにやりたいと考えておってもできない実情から、主としてこの三点に問題をしぼったわけでございまして、早急の間に、僻地はもとより全体的に単価は改正さるべき問題だと考えております。
#120
○久保勘一君 ただいまの点につきまして、文部省側の御見解がありましたら承りたいと思います。特に従来、僻地集会所、教員宿舎等の単価、構造比率についていろいろ要求があるようでございますので、その点を考慮に入れられて御説明願いたいと思います。
#121
○政府委員(福田繁君) 御承知のように、僻地の学校のございます町村は財政的に貧弱なところが一般的に申しまして多うございます。したがいまして、いろいろ国からの補助の場合におきましても、補助率を高めるということも、これは一面から申しますと望ましいわけでございますが、ただ補助率を高めるということでなく、私どもとしては、やはり僻地のその町村の財政力というものを一般的に総合的に考える必要があるのじゃなかろうか、こういうように思っておる次第でございます。したがって、そういう面から申しますというと、単に教育だけの問題でなく、町村の行政一般の問題にも関連がございますけれども、そういう僻地のいわゆる、別の言葉で申しますと、底上げというような問題から、十分そういう町村が、教員の住宅にいたしましても、あるいは集会室その他教育施設にいたしましても、自己負担にある程度たえるということには、やはり交付税の問題もございますし、その他起債の問題もあろうと思いますが、十分そういう財政力をつけるということが根本としては必要だと考えております。その上にまあ補助率を考慮するということになれば、またこれも考慮の余地はあろうかと思いますが、ただ僻地は主として、まあ今までの状態で申しますと、集会室にいたしましても、寄宿舎にいたしましても木造が多うございます。鉄筋、鉄骨はほとんどございません。したがって、この集会室等にいたしましても、三十八年度を見ますと、鉄骨が一〇%、あとは九〇%は木造ということになっております。したがって、まあ僻地等は割合に木材等は手に入りやすいというような関係もございまして木造が多いと思いますが、単価は三万九千二百円になっております。こういう木造の三万九千二百円というようなものは、これはまあ実情に合うように引き上げるほうがベターだと考えますが、この補助率はやはりほかにも全般に影響がございますので、できるだけ慎重に考慮したほうがいいのではないかというように考えます。
#122
○久保勘一君 補助率の引き上げに関連をいたしまして、多少話が飛ぶようでありますけれども、離島振興法との関係について、提案者と文部省側に御見解をただしておきたいと思います。御了承のように、離島振興法という特別の法律がありまして、離島の港湾、道路あるいは病院、水道等の公共事業に対して非常に大幅な高率の助成を行なわれております。このことによりまして、御了承のとおり非常に僻地の振興開発を見ておるのでありますが、私ども従来、学校関係の公共的な施設設備について、この離島法の精神によって当然入れるべきものである、離島振興法の中に入れて高率の助成を行なうべきものである、こういう考え方を地方にいて抱いておったのでございますが、特に校舎の建築、校地の取得というようなものについては、道路、港湾、病院等々と、あるいはそれ以上の公共的な意味があると思うのでありますが、僻地の学校建築について離島振興法のワクの中に入れることができないものであるかどうか、そういう点について提案者としてもし御見解がありましたら、この際承りたいと思いますし、なお、文部省側の御見解もあわせて承りたいと思います。
#123
○豊瀬禎一君 私どもは僻地というものが決して地理的条件だけではなくして、文化、経済、政治、すべてにわたって僻地性の是正が政治として抜本的に行なわれなければ、僻地教育の振興もあり得ないと考えておるわけです。その立場からいたしまして、離島振興法ができたということは、僻地教育の振興のためにも非常にプラスになっておると思いますが、御指摘のように、この法律に比べまして現在の僻地教育振興法の補助率というものは低過ぎるということは、私どもも全く同感でございまして、単に現行法で出されておるところの補助項目だけでなくして、校地並びに校舎等についての補助率も漸次高めていき、少なくとも最低三分の二以上の補助が行なわれないことには、僻地振興の基本をなすところの基礎的な教育諸条件の整備は行なわれない、このような考えに立っておるわけです。
#124
○政府委員(田中啓一君) 僻地教育振興法の第二条の「へき地学校」というものの定義は、御承知のように、「交通条件及び自然的、経済的、文化的諾条件に恵まれない山間地、離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校をいう。」ということで、おそらく離島というようなものの中にあるのは一応僻地という中へは入るのだろうと思います。が、そういうものは、それで離島振興法のほうの措置でそういうことをいっているのじゃないかと思いますが、しかし、はたして学校は向こうへ入っておるかどうか、実は私はよく承知をいたしておりません。そこで、離島もさることながら、山間地等の諸条件に恵まれない地帯というものを離島振興法の中へ入れてやるというのもおかしいと思いますが、むしろ僻地の義務教育の学校ということで、私は急速に振興措置を講ずるようなふうに、根本的に申しますれば、僻地教育振興法というものをもっと強力なものにしていくということでありますけれども、これがまたなかなか予算との関係で、今、文部省だけでこうやりたい、やりますというわけにはなかなかいかないので、どうしてもこれは盛り上げて、そこまで持っていかなければならないものだ、結局、内閣全体の問題になる、そういうふうに今御質問の問題は今後処理をいたし、対処していくべきものだというふうに考えております。
#125
○久保勘一君 ただいまの次官の御答弁でございますが、お説のように、なるほど山間地は離島振興法には入らないわけでございますので、僻地教育の対象にはなっておっても、離島振興法に入れましてもその部分は取り上げられないことになります。しかし私の申し上げたいと思いますことは、離島振興法で他の公共事業について非常に大幅な助成が行なわれているのに、学校施設だけが取り残されている、こういう感じを受けますので、御要望としてひとつ今後御努力をいただきたいということを申し添えておきたいと思います。
#126
○政府委員(田中啓一君) その点は全く同感でありまして、実はこちらのほうがむしろうかつであったというぐらいのことじゃないかと存じますので、やはりこれはもう公共施設として最もこれは重要なもので、ほかの公共施設同様に手厚い助成措置が講ぜられるように努力をいたして参ります。
#127
○久保勘一君 次に、僻地手当の増額につきましてお尋ねをいたしたいと思います。一級から五級までそれぞれ二%ないし五%の増額をいたしたいという御提案のようでございますが、現在支給されておりまする一級から五級までの手当の内容並びに増額いたしました場合の財政法上の負担増と申しますか、そういうものについて資料に基づいて御説明をいただきたいと思います。
#128
○豊瀬禎一君 そのお答えをいたします前に、先ほどの御質問について補足説明を申し上げておきたいと思います。現在の文部省の単価は教員宿舎につきましては三万六千二百円、僻地集会所につきましては鉄筋が五万四千一百円、木造は四万五百円、こういう状況でございます。今の時代に、僻地におきましても、いずれの地におきましても、たとえば鉄筋だけとりましても、ほとんど僻地集会所等は鉄筋化という傾向をたどっておると思いますが、鉄骨で五万四千一百円程度の単価ではできないのではないかと考えております。
 次に、お尋ねの内容ですが、大体一級地から五級地まで現在該当教員が三万一千人程度でございます。ただし、これは全体をおしなべた数字でございまして、一級地がそのうちの三分の二近く一万九千百二十七名程度の数を占めております。五級地は八百三十名程度でございます。それぞれ級地別になりますけれども、一級地につきましては、小学校教育の単価の場合には、文部省の三十八年度予算要求の単価が三万二千八百八十九円、中学校が三万一千三百二十一円になっております。これに扶養手当等を加えますと、三万三千円から三万二千円程度になるわけでございます。この所要経資が、大体総額にいたしまして私どもとしては二億四千八百九十九万円程度である、このように計算をいたしております。
#129
○久保勘一君 なお、調整額について、御提案のとおり改正されたといたしました場合の負担増について御説明を願います。
#130
○豊瀬禎一君 御承知のように、一、二級地につきまして一千円、三、四、五級地につきまして二千円、それぞれ増額したいと考えておるわけですが、負担増は約三億三千二百七十万と推定しております。
#131
○久保勘一君 次に小中学校、この法律によりますると、当然、小中学校だけが対象になるわけでありますが、教育職員としては、御承知のとおり高等学校の教職員もやはり僻地に勤務しておるわけでございまして、これらのもの並びに他の公務員が受けておりまする隔遠地手当との関係において、不均衡が生じやしないかということを考えますが、この点についてはどのようにお考えであるか承りたいと思います。
#132
○豊瀬禎一君 御承知のように、現在、公務員は隔遠地手当を支給されておるわけですが、この人々の生活実情を考えましても、灯台とか、僻地の駐在等についても、農林関係の人々についても、現在の隔遠地手当がその地域における調整額としては、勤務に対する手当としては、現状からいたしましてきわめて不足だと考えておるわけです。しかし、私どもが今回この手当の増を考えましたのは、御承知のように、僻地、離島の教育は条件の整備と同時に、僻地、離島の実情を十分理解すると同時に、僻地に追いやられたという考え方ではなくて、ほんとうに僻地の教育の重要性を考えて、熱心に教育をやってくれる教員の確保にあると考えておるわけです。他の隔遠地手当を支給されている人々は、直接的には学校教育という、いわゆる青少年の未来設計という立場から若干趣旨が違いますので、まず私どもとしては、僻地における教職員の手当を増額することによって優良な教員を確保する、そのことによって僻地の教育の振興をはかり、僻地の先ほど申し上げましたような政治、経済、文化の人的資源による開発、発展を期していく、やがてそのことが実現した暁には、当然、御指摘の隔遠地手当等につきましても、また職務の困難な度合いによるところの学校関係では、国立の盲聾学校に支給されておる職務給等につきましても、私どもとしても全面改正の必要がある、このように考えております。
#133
○久保勘一君 ただいまの問題に関連いたしまして、文部省にお尋ねいたしますが、高等学校においてもやはりこの僻地にありまする高等学校の場合は、教員の確保その他の点において小中学校と変わらない私は問題があると思うのですが、僻地教育振興法の中に高等学校を入れるということについてはどのようにお考えであるか、お尋ねをいたしたいと思います。
#134
○政府委員(福田繁君) 高等学校の問題でございますが、僻地にありますのは高等学校は割に少ないのじゃないかと思っております。したがいまして、義務教育である小中学校と高等学校の場合は若干事情が違うと思いますけれども、理論的に申しまして、高等学校も入れて悪いということはもちろんございません。したがって、扱いとしては両方考えるのが公平の理論には合うと思います。ただちょっとつけ加えさしていただきますと、僻地手当でございますが、この引き上げの問題を先ほどお尋ねでございましたが、僻地手当は僻地の一級から五級の級別指定に応じまして、毎月の給料及び扶養手当の合計額を基礎にいたしまして、最低八%から最高は二五%という他の手当と比較しますと、寒冷地手当を除きましてはおそらく最高であろうと思います。そういう最高の手当を支給しているわけでございます。教員一般の優遇について私ども別に反対するものではございません。また教員の優遇ということは常に考えなければならぬ問題でございますが、この定率で八%ないし二五%という割合に高い率で支給いたしておりますのが現状でございますが、これをさらに率を高めるというような問題になりますと、今後の教員の人事異動等についてどういう影響を与えるかということは、これはやはり相当慎重に考えなければならないのではないかというように思うのでございます。これはベースアップがなされますと、当然にその率に従って手当の額も上がるわけでございます。最近は御承知のように、この教員の人事異動の場合におきましては、単に一部分の地域に限らず、全県的にいわゆる僻地と平場というものを交流して、僻地の経験をした先生をやはり平場の学校にも当然に入れる。言いかえますと、僻地の経験なくしてはやはり平場の教員にはしないというような方針をとっておりますような県もだんだん出て参っております。そういたしますと、優遇することはけっこうでございましょうが、いろいろ交流の面でまたいろいろな支障が起きる、あるいはその面からのいろいろな影響があるということになりますと、これはやはり相当考えなければならぬ問題ではなかろうかということをつけ加えさせていただきたいと思います。
#135
○豊瀬禎一君 質問の最中でございますが、今、局長が言いました手当を増額すると教員の人事異動に支障を来たすという考え方、これは僻地の人事異動の実情を知らない全くの愚論であると思うのです。むしろ、現在では全国、約小学校において六千三百五十四、中学校において二千五百五十二の僻地学校については、教員を年度末にどうして確保するかということが最も緊急の課題として、当事者が頭を痛めておる問題でございまして、僻地から平地におりていく際には、手当が少なくなって、もう収入が減るから残念だという教員を寡聞ながら私は聞いたことありません。むしろ僻地に勤務しておるために、たとえば校長でも地元に家族を置いてきている、そうして教員住宅に住むか一般の下宿をさしてもらっておる。福岡県においては下宿先で食事を出しているところがありませんために、学校で自炊をしながら、泊るときだけは下宿に行っているという実情ですが、この経費だけを考えましても、最低下宿料だけでも福岡県の事例をとりますと四千四、五百円から五千円と要るわけです。その他通勤費の出費等を加えますと、バイク等につきましても、ひどいところになると、年間に一台消却するという現状でございまして、手当を増額することによって初めて僻地に優秀な教員が確保できるので、手当を減らしたために平地に下がる際に手当が少なくなるから異動が困難だという考え方は、全く実態を知らない考え方だと私どもは考えているわけです。
#136
○久保勘一君 次に、僻地手当に関連をいたしましてお尋ねをいたしますが、僻地手当の指定基準は、これは御了承のとおり、三十四年かに制定され今日に及んできておると思うのですが、だんだんと、この基準について改正をしてもらいたい、実情にそぐわない、右左眺めて不合理がある、こういうことが指摘されているように思いますが、その点についてどのように提案者はお考えであるか、お尋ねをいたします。
#137
○豊瀬禎一君 基準の制定の際には、三十四年の臨時国会等についても論議をいたしたところですが、あのときにも文部省としてはかなり地方の実情を調査して、それぞれの意向を入れて基準を設定してくれまして、当初としては従来から見ますとかなりの前進を見たと私どもも理解をいたしておったのですが、その後、地域の状況の変化によりまして、むしろ指定基準によると級地の実情と逆になる場合がありますし、それから現に一級地から漏れた等の地域につきましても、その後の状況変化によって、バス等が回数が少なくなってみたり、いろいろな実情によりまして坂道の現状が明確に理解できないとか、あるいは郵便局その他のいろいろの条件設定の場合と現段階においては、三十四年から今日までの間にかなり実情が変わってきておると思います。したがって、この際私どもとしては、文部省が僻地の実情を再調査して、指定基準については再改正の時期にきていると思っております。
#138
○久保勘一君 ただいまの問題につきまして文部省側のお考えを承りたいと思います。
#139
○政府委員(福田繁君) この問題につきましては、かつての委員会におきましても、豊瀬委員からもいろいろ御指摘のあったことを記憶いたしておりますが、私どもも、この三十四年にきめましたこの指定基準がまあ完全無欠なものだとはもちろん考えておりません。実情に合うような改正は加えるべきものだと常に考えておりますが、ただこの問題につきまして、いろいろ教育委員会の関係者の意見を聞いてみますと、いろいろな意見がございまして、まあこれでほんとうによろしいという統一的な意見がないのが現状でございます。で、まあいろいろな考え方もございますので、特にまあ工合の悪いようなところがございますれば、これは当然改正していくべきものだと考えております。したがって、そういう点から申しましても、まあ全般についても今後検討して参りたいと考えております。そのようなことをかつての委員会においても申し上げたつもりでございます。
#140
○久保勘一君 もう一点関連いたしましてお尋ねいたします。この僻地手当を期末手当計算の算定の基礎に入れるべきである、こういう声を私ども従来聞くのであります。この点について提案者としてどのように判断なされるか承りたいと思います。
#141
○豊瀬禎一君 私どもも期末手当に入れるべきであるという考え方を持っておりまして、実は立案の当初、改正法の中にそれを入れたいと考えておったわけですが、現行の法体系の中では、僻地教育振興法の改正に入れるべき問題でなくして、むしろ給与法、人事院規則等の改正に手をつけるべきが至当だと思いまして、残念ながら一応私どもとしては、両法案を同時に出したいと考えておりましたけれども、これを算定の基礎とするという問題につきましては、今回はできなかったわけでございます。ただ、先ほど御質問にございました調整額を支給していけば、若干不足はいたしますけれども、大体これと見合う金額になるのではないか、このように考えております。
#142
○久保勘一君 ただいまの問題につきまして文部省側の見解を承りたいと思います。
#143
○政府委員(福田繁君) 僻地手当といわず、教職員についております各種の手当がたくさんございますが、これらの諸手当につきましては、やはり給与制度の全般の問題といたしまして根本的に検討する必要があるのではないかと考えております。したがいまして、まあ今の御指摘のような場合の僻地手当の問題についても、十分今後検討していきたいと考えております。
#144
○久保勘一君 次に提案者にお尋ねいたしますが、今回改正を御提案になっておりまする僻地手当の増額、それに調整領の加算、この二つの関連について伺いますが、僻地手当を支給します上に、さらに調整額をそれぞれ一千円ないし二千円加算いたしまして、合わせて支給いたしますことは、二重手当のような感じを受けるのであります。したがって、給与体系で考えてはどうであろうかという疑問を持つのでありますが、この点については、提案者としてどのような解釈をされておるのか、お尋ねいたします。
#145
○豊瀬禎一君 私どもは給与法規上一つの体系と申しますか、一貫した理論を持つべきだとは考えております。しかし、僻地手当というものとして調整額を別にいたしましたのは、先ほども簡単にお答えいたしましたように、多い人では一万円近く、少ない人でも五千円、六千円の平地に住んでおります方よりも実際の生活費が負担増になっておるわけです。主として私どもが僻地手当を増額しましたり、僻地手当に対するその解釈は、現在の赤字補てん的な生活給与であるというふうに理解をいたしております。その上に調整額を加えましたのは、これまた先ほどお答えいたしましたように、現在の実情は、ある地域におきましては二カ年と限定し、ある地域におきましては三カ年間、それからある県におきましては一号俸の増という恩典を施しながら、何とかして僻地の教員を確保する、これのために汲々としておるわけです。したがって、赤字補てん的な僻地給のほかに、研究費あるいは僻地に住んだ場合の文化性の欠除を補うために教員としての別個の費用と申しますか、教員確保のための本務に対する教材あるいは全体の政治、経済、文化の度合いにおくれないための別個の給与、こういったものを、ある程度恩典的な傾向を持つと思いますけれども、これを支給することによって、一方においては手当によっては赤字補てんを補い、一方においては教員の優遇措置という観点に立って僻地の教員を確保したい。このような僻地のゆがめられた現事態を解消するために、若干御指摘のように、何といいますか、屋上屋的な傾向は持つと思いますけれども、現実情を解決していくためにやむを得ない措置と考えまして、手当のほかに調整額をつけ加えたわけであります。
#146
○久保勘一君 質問でございますので、別に議論したいとは思いませんけれども、理解を深めますために、多少重複を避けて申し上げてみたいと思いますが、僻地の教員を優遇しようという考え方については同感であります。しかし、建前から申しまして、先ほど申しますように、僻地の手当を支給して、それでまだ十分でないので調整額を別途加えるというようなことは、どうも体系上思わしくない。むしろ僻地手当の額が少額で、僻地勤務の実態から見て少ないという判断であるならば、むしろ御提案の額をもっと大幅に上げて、増額して御提案になるほうがいいのではないか。議論めいてたいへん失礼でございますが、そのように考えますのでここでお尋ねいたしますが、むしろ手当の額を上ぐべきじゃないか、給与体系上それがいいのじゃないか、こういうふうに判断いたしますが、もう一度御答弁願いたい。
#147
○豊瀬禎一君 御指摘の点も私どもよく理解できるのですが、第一、手当というのは給与に対する御承知のように。パーセンテージとしてきまっておるわけです。したがって、高額者は同じ一級地に住んでおりましても、八%の手当をもらいましても、かなりの額になるわけです。しかし、給与の低い人たちが千円程度の手当では、どうしても現状に合わない手当であると思います。したがって、一つの精神は、本俸の高低にかかわらず均等した給与を支給したい、これが一つのねらいでありますとともに、手当という性格から今回は最高三〇%に抑えたわけですが、この手当を調整額を加味して参りますと、大体給与の半額近い手当を増額しないとまかない切れないと思います。手当という性格から、あまりにそれが高率になるということは、先ほども申し上げましたように、給与体系上の問題から若干問題があるのではないか、このように考えまして、手当の性格が一つの問題であると同時に、給与の高低にかかわらず均等な額を支給することが現在の僻地教員に対する適切な処置ではないか、このように判断をいたしまして、手当の若干の増と同時に調整額を加えたわけでございます。
#148
○久保勘一君 以上で大体質問を終わるのでありますが、最後に文部省側に要望申し上げておきたいと思います。申し上げるまでもなく、先般行なわれました学力テストの結果等から判断をいたしましても、僻地、離島の教育が、私どもが頭で考えております以上に、現実は非常な格差を生じておる。体位の点におきましても、統計的に見ましてもまた実際に子供をながめましても、顕著な差があるようであります。したがって、文部省としましては、先般の学力テストの結果に基づいて、僻地の教育について、特にひとつ考慮を払っていただきたいということを要望申し上げまして質問を終わります。
#149
○委員長(北畠教真君) 本法律案に対する本日の質疑はこの程度で終わります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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