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1962/05/21 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 文教委員会 第18号
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1962/05/21 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 文教委員会 第18号

#1
第043回国会 文教委員会 第18号
昭和三十八年五月二十一日(火曜日)
   午前十時四十四分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     北畠 教真君
   理事
           二木 謙吾君
           吉江 勝保君
           豊瀬 禎一君
   委員
           佐藤 芳男君
           笹森 順造君
           中上川アキ君
           小林  武君
           千葉千代世君
           成瀬 幡治君
           高山 恒雄君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  政府委員
   文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
   文部省初等中等
   教育局長    福田  繁君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   文部省大学学術
   局学生課長   笠木 三郎君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (日本育英会の問題等当面の文教政
 策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(北畠教真君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
 まず、本日の委員長及び理事打合会について御報告いたします。本日は法案の審査を行なわず、育英会に関する問題等当面の文教政策について質疑を行なうことに決定いたしました。以上、御報告いたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(北畠教真君) それでは、これより育英会に関する問題等当面の文教政策に関し調査を進めます。
 御質疑のおありの方は御発言願います。
#4
○豊瀬禎一君 文部大臣にお尋ねいたしますが、育英会の趣旨については今さら私が論ずるまでもなく、十分御承知のことと思います。大学を出て教職員の免許状を正式のものを取得して教員希望をした者が、地方教育委員会の定数の関係によって免許状取得の学校種別に奉職することができず、免許状を持たない他の学校に勤務した場合は、現行の文部省の定めている政令では、仮免ということで、これに対しては教職員になった者に対する免除規定を適用しないということになっているわけです。ところが具体的には本人は仮免のままではいやなので、自分が正式に持っておる免許状の学校に勤務したい、こういう異動希望を出しても、今申し上げました定数の関係で依然として仮免しか持たない小学校へ勤務している。こういう場合を、育英会の趣旨からすると、大学に二年在学し、一年ないし二年の間に教職員になり、二カ年以上奉職をしておる、こういう法の建前からいたしますと、仮免だから教員とみなさない、教職にあるとみなさないという考え方は、若干、育英会法の趣旨からすると窮屈に過ぎると思うのですが、どうお考えですか。
#5
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっとお尋ねの点を、政令まで全部通暁しておりませんので、正確にお答えできるかどうか疑問でございますが、御質問を通じて知り得ますことは、奨学、育英の制度からいけば、学校の先生、正式の先生について免除措置を講ずるというのが建前であるから、正式の教員という地位のない人には、いずれ正式な地位を獲得するであろうから、そのときに考えればよろしいと、そういう建前を貫いておることと推察するわけでございます。したがって、これは定数の関係で余儀なくそうなるという具体的なケースはそういうことであろうかとお尋ねの点は思いますが、それはそれなりに定数そのものが考えらるべき事柄であって、仮免であっても育英奨学金の免除制度は当然適用さるべしとする考え方そのことが適当でないという判断のもとに現在の運用になっておろうかと推察するわけであります。したがって、御指摘のような一面からの批判はあり得ましょうとも、全体総合して見れば運用上は正しいのではなかろうか、こういうふうに思います。
#6
○豊瀬禎一君 政令を御存じなくても、御答弁は問題点に対して正確でありますが、現行の免許法の建前によりますと、免許状を持たないものは教壇に立てない、こういうわけですね。したがって、教壇に立っている者を教職員にみなさない、こういう考え方に問題がありはしないでしょうか。正規の教職員とみなさなければ免許法の建前からして教壇に立てないはずです。だから、仮免といえども免許法の中に特例が設けられておって、それは仮免であるけれども、現在の状況の中では、好ましいか好ましくないかは別問題として、正規の教職員だから教壇に立てているわけです。ただ、それがいわゆる教諭ではないということであります。しかし、教諭だけしか正規の教職員とみなさないということであれば、仮免を持っている者は教壇に立てないわけですね、免許法からいって。そこに、あなたがおっしゃる意味は当たらないではないけれども、一貫性に欠けるところがないですか、お答え願いたい。
#7
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 免状の制度も安定した制度としてその中心点が考えられねばならないと思います。また、育英奨学制度も安定した状態で把握さるべきであると思います。仮免の場合は、いわば臨時応急の事態であって、臨時応急の事態に恒久的な安定した姿を対照させて処理さるべき育英奨学制度が適用されるべきことは、法の趣旨からいって適切ではなかろう、こういう考え方かと思いますが、どうもそのほうが、一面の御批判は先刻申し上げましたようにあり得ましょうけれども、総合判断の上からいえば、それがほんとうじゃないかと思います。
#8
○豊瀬禎一君 それがほんとうでなかろうかとおっしゃるのは、仮免を持っている者は育英会法でいうところの教職員ではない、こういう判断が正しいとおっしゃるのですか。
#9
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そうでございます。
#10
○豊瀬禎一君 仮免は教職員ではないという判断でしたら、仮免は教壇に立てないじゃないですか。免許法ではそれも教職員として取り扱っているのに、育英会法の実際の適用の際にだけどうしてそんなにきびしくなさるのですか。それも大臣、全然他の種の免許状も持たないということであれば若干の問題はあるでしょう。しかし、高等学校、中学校の免許状は大学卒業の際に正式に取得しておる。で、高等学校、中学校を希望したけれども、教育委員会の都合によって、あいてないから小学校に採用される。こういう場合に、実際には免許状という立場からすると正規の教諭になる資格を持っている。ただ採用された学校が免許状に該当しない学校だったから仮免の扱いになっている。これを、仮免はあなたからしたら正規の教職員でないとおっしゃるなら、第一、教壇に立てないじゃないですか。違法を認めていることになりはしませんか。
#11
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 仮免は、読んで字のごとくかりのものでございましょうから、安定した状態にはない、こう理解さるべきものと思います。育英奨学金の免除というのは、定数の関係でもぴたっと当てはまって、正規の教職員であるということが確認される、その基礎に立って適用さるべき問題ではなかろうかと思います。仮免のときに適用したと仮定した場合、それが本物にならなかったときに、あるいは他の職場に変わることも正規の立場のときよりもそのケースが多かろうとも想像されるわけでありますが、冒頭に申し上げたように、臨時的なものになると、制度上初めから予定している仮免の立場に立っておる人を恒久的な対策として法規のあらゆる面において満足された姿の人に対して免除するというのが趣旨であるとするならば、仮免なるがゆえに仮免の間だけは適用しない、本物になってからにしてもおそくはないという考え方は、さっき申した総合的な判断からすれば妥当なように思います。
#12
○千葉千代世君 ちょっと関連して。大臣は仮免のできた由来ということを御存じないように思うのです。というのは、昭和二十四年に免許法が改正になりました。そのときに、臨時免許状というのは一年ごとに更新してその県だけに適用し、それから仮免は五年に一回更新して十年続けられる、こういうふうにいたしました。そのときに、恩給の対象にちゃんとなっているわけです。だから、いわゆる教壇に立てる教職員は臨免であろうとも仮免であろうとも、二級免、一級免変わりないわけです。ですから、同じように学級を受け持ってそうして授業をやっていくわけなのです。職員構成の中では正式な職員として認められておるわけなのです。ただ仮免制度の問題が中学校三十八年とか、小学校三十六年とかいうわけで、それで効力なくなりますから、早く普通免になるような更新を行なったり、既得権が侵害されないように本人の身分を守る、こういうように講習その他が行なわれておったわけです。そういう観点から考えますというと、返還免除の対象にならないというのは、豊瀬委員の指摘しているとおり、おかしいと思う。育英会のほうはその点どのようにお考えになっていますか。
#13
○説明員(笠木三郎君) 育英会法関係の返還免除制度の基本的な考え方は、やはり優秀な教職員をできるだけ有効なポストに招致するという建前でできていると考えられます。したがいまして、ただいま大臣のお答えしましたように、臨時的ないしは経過的にやがては正式の教職員として吸収され得るようなものにつきましては、原則としてはやはり制度の建前上、この中に入れることは非常に困難だという考え方でございます。したがって、ただいまお尋ねございました仮免許状所有者につきましても、これは暫定的な措置として、遠からずこの制度が全部既存の正式の制度が吸収されるということになっておると承知いたしておりますので、したがいまして、この育英奨学制度本来の趣旨から申します返還免除の適用につきましては、やはりただいますぐに助教諭等を入れるということにつきましては考えていないわけであります。
#14
○千葉千代世君 それはおかしいと思うのです。奨学金を貸し付けるときの審査対象の中に、あなたのおっしゃったたとえば優秀云々ということは、かりにあったとしましても、奨学金をすでにもらって勉強して卒業して勤めているわけなのです。ですから、その条件というのは初めからあるわけなのですね。そうでしょう。
#15
○説明員(笠木三郎君) これは免許状の取得の有無ないしは教員としての資格の有無という問題ではございませんで、育英奨学金制度関係の考え方といたしましては、原則としては借りたものは返すという建前でございます。ただ、これが特に公共のために必要な部面に人材を誘致するという必要があるその範囲におきまして返還免除の制度が認められているわけです。したがいまして、その範囲と申しますのは、私どもといたしましては比較的にきびしく考えるべきだという考え方をとっているわけです。そこで、これは教員としての資格の有無という問題ではございませんで、育英奨学制度の返還免除という考え方が、さような考え方に立っているということを申し上げているわけなのです。
#16
○千葉千代世君 それではたいへん矛盾していると思うのですよ。返還免除した人たちですね、それからそうでない人たちからお金を取り立てますね。貸したお金を早く返せといって夢中になって、各ブロックに督促の場所を設けて、そうしてその取り立てた額によってリベートを出しましょうといったり、それほどしてやっています。そうしますと、借りた人はやはり借りたものを返したいわけですね。しかし免除の規定が適用されなければその人は返さなければならないわけです。ところがこのままでいては、何といいますか、身分が不安定で、やはり宙ぶらりんにいるわけです。それで特に仮免の場合ですね、恩給の対象になっておったということ、そうすれば正式に認められているわけでしょう、身分上は。臨免、いわゆる代用教員であった人たちが引き続き仮免になった場合には、その期間だけ二分の一通算するとか、そういういろいろな規定があるわけです。そういう規定の中にちゃんと身分が格付けされているわけなんです。してみますれば、やはり免除のほうも適用すべきじゃないかと思うのですが、そういう関連について研究なさったことございましょうか。
#17
○説明員(笠木三郎君) 助教諭を返還免除の該当者に入れるか、入れないかということにつきましては……。
#18
○千葉千代世君 助教諭じゃないですよ、仮免相当者です。
#19
○説明員(笠木三郎君) 仮免相当者でございますか。結局、今、教諭は入っておりますから、したがって、はずれておりますのは助教諭でございます。したがいまして、今、助教諭ということで申し上げているわけですが、助教諭を免除者の中に入れるかどうかにつきましては、これは今までもずいぶん検討されたようでございます。私が現在、学生課長になりましてからも、その問題につきましては検討しておるわけでありますが、やはりこの返還免除の制度の趣旨から申しまして、本来的には、そのあるべき制度としての、優秀な教員を招致するという建前ということでございますので、現在までのところ、その助教諭を加えるということにつきましては、私どもはそういう取り扱いはしていないわけであります。これは繰り返して申し上げて恐縮でございますが、この教員の資格の有無云々というわけではございませんで……。
#20
○千葉千代世君 任用の問題。
#21
○説明員(笠木三郎君) 要するに、奨学制度の建前としては、さような、特に優秀な教員を招致するという建前から来ているということでございます。
#22
○豊瀬禎一君 大臣、先ほど言った高等学校、中学の一級免許状を持っているが、教育委員会の都合で小学校に採用されたために仮免扱いになっておる。そうして実際に免許法に基づいて教壇に立っている。それが正規の教職員でないというのはどういう法的な根拠ですか。正規の教職員でないということであれば、それは教壇に立てないでしょう、免許法からいうと。なぜそれを、高等学校、中学校の一級免許状を持っている者が小学校に勤務した場合に、これは正規の教職員でない。そうしたらそれは何ですか。
#23
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 正式の教諭でないという意味で申し上げたわけであります。仮免、かりに免状を与えられた状態、これは読んで字のごとく理解するのであります。したがって、その意味で先刻から申し上げているのであります。説明員から申し上げましたように、今また引例されましたような場合において、正式の免状を活用されて教員という立場にある、その人を対象として育英奨学金の免除制度を完全に適用するという建前にして、仮免の時期においてはまだ正式の免状を活用した姿でない状態であるから、対象にしないという考え方は、考え方としては私は一応妥当じゃなかろうかと思うわけであります。全然問題がないとも言いかねる意味もあるように承りますけれども、現行の法律及び政令によって運営されておる状態を合理化する意味でお答えするとするならば、以上お答えしたような趣旨じゃなかろうか、かように思って申し上げているわけであります。説明員の段階におきましても、寄り寄り検討はしているらしゅうございますから、おそらく御指摘のような点じゃなかろうかと思います。そういう点は将来のことに譲らしていただきまして、当面の運用されておる姿は一応妥当であろう、こういう考え方に立って運用されておる、こう理解するわけであります。
#24
○豊瀬禎一君 私が聞いているのは、教職員とは何ぞやということを聞いておるわけですが、正式の教諭でない、正式の教諭だけが教職員というようなことはどこに定められておりますか。政令のことになりますから、ちょっと内容がごちゃごちゃすると思うのですが、あなたがおっしゃった、途中から逃げていくということですね、これは私どももちょっと腰かけて逃げていくということで免除を適用されて、その期間だけのがれておいて、あとまたしばらく逃げていけば徴収されることになるでしょうが、そういうことでは困ると思うのですよ、事務上も。しかし、そのためにはちゃんと一年ないし二年持続するものというワクが含まれているのですからね。在職年限というものはそちらで抑えられておるのですから、私が言っている、育英会法でいっている教職員とはという概念の中には、政令で一級の学校の教員免許状を持っているのに教育委員会の都合でほかの学校へ行ったために仮免としての扱いをされている。これは育英会法の趣旨からすると、やはり本人が教員になりたいと思って高等学校、小学校の免許証を取った。そうして一級免許状の適用を受けていないために、給与その他についても低いにもかかわらず教員をやっていこう、これを課長のように優秀な教員を招致するために、仮免を持っているやつは不優秀だ、こういう断定の仕方においては国会で論議する余地はないのです。こういう頭の使い方については。このことについては私は言及しませんけれども、本人は現にあなた不利益であることを承知しながらも再々希望を出し、高等学校なり中学校へ行きたい、ほとんど大多数がそういう状態ですよ。ただ委員会の都合によってそれができない、この者を教職員と見なさない全体のワクづけをするというところに若干の理屈がないでもないけれども、育英会の趣旨に対してきびし過ぎやしませんか。もう一度、大臣、正規の教諭でないから教職員と見なさないという法的な根拠を大臣説明して下さい。
#25
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教職員という総合的な表現の中には、仮免の場合もむろん含むだろうと思います。ただ、育英会法に基づいての奨学金の免除については、本来持っておる免状がそのまま活用されて教職員にあるその姿を対象としたほうが安定するであろうという考え方に立っておると推察されるわけであります。で、仮免の状態は、御指摘のように、本人としては不利益であるけれども一時腰かけというのは語弊があるでしょうが、やむを得ずいる職場でございますから、いずれは本来の免状が完全に活用される職場に移る希望を持ち、そのチャンスを期待しておるという状態であろうかと思います。その意味においては一応不安定な状態にある。だから、正式の免状が活用される職場に立ったときに、初めてすべての条件が満足される姿だから、その機会をとらえて育英奨学金の免除規定を適用する、そういう建前をとっておると思うのであります。検討する価値なしと私も申し上げるわけではむろんございません。現行の政令が御指摘のようなことであり、説明員が述べるような趣旨で制定されて運用されておることを総合判断しますれば、以上の考え方に立っておるという考え方も一つの妥当な判断じゃなかろうかと今としては思います。
#26
○豊瀬禎一君 だから、あなた方の判断については、あなた並びに説明員の判断の根拠についてはわかったんですよ。そこが狂ってやしませんかと、こう聞いているのです。狂っているという言葉が強ければ、育英会法の趣旨をあまりにきびしく解釈し過ぎて、しかも具体的には該当者に対して不利益な取扱いをしておる、こういうことです。だから、育英会法に教職員と書いてあれば、教職員の中に助教諭だって入っているのだから、講師も入っているし、教諭だけじゃないでしょう。そうすると、助教諭まで適用するというのは、恩典を与えていくという育英会法の趣旨からすると非常にルーズだとか、それによって不優秀な教員が学校に招致されるなどという本末転倒の危惧を抱くことが、そもそも育英会法の精神に反する考え方じゃないですか。教職員という適用の中になぜ助教諭だけを除くのですか、助教諭というのは一般的な概念じゃないですか、教職員の中に明確に助教諭というのは入っておる。それを育英会法の具体的な適用の制限に限って、それだけを除くということがきびし過ぎやしませんかと、こう言っておるのですよ。大臣もっともだと思いますか。
#27
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一応もっともであると判断して政令も出ていますから、そのことを弁護する意味では以上で尽きると思います。そこで今の引例されました高等学校の先生の免状は持っているが、小、中学校の免状は持ってないというときに仮免というものが行なわれるという事態を、それだけを取り出して考えました場合、育英奨学金の免除というのが、教職員であるがゆえに免除するということであるならば、本来の免状の建前を尊重する姿がそこに現われたときに適用されるということは一つの判断だと思います。高等学校の免状を持っている人は高等学校に就職してもらうということになったときが最も望ましい姿であるにきまっておるわけですから、そのときをとらえて免除規定を適用する、それ以前に便宜、小、中学校に仮免の姿で就職しておることは、実質的には教職員ではありましょうけれども、免状という制度を第一義的に尊重して考え、安定した姿をとらえることが育英奨学金を免除する特典を与える一番典型的な姿であるとするならば、その典型的な姿をとらえることによってスタートさせるという考え方は、それ自体は私は是認できると思うのであります。
#28
○豊瀬禎一君 もうだいぶ前の委員会になりますが、私が僻地の学校の教職員について審査をし、調査をさせておるのがありますね、あなたのように仮免を持っている者は正規の教職員じゃないと。最後にもう一度この見解をただしますが、そうおっしゃいますと、僻地の教壇に立てない先生がかなり出てきますよ、文部省の調査によると。そうしたらその人たちは、当該教育委員会も、高等学校にあるいは中学校に返す余地がないと考えておる場合には、通信教育あるいは認定講習会等の措置によってさらに小学校等の免許を取得させるような措置を講じてやっておるし、そういう努力をしておる教職員も僻地やその他においてもかなり多いのです。だから免許法どおり学校にいくように、あなたが教員配置を免許法取得の人数によってそれだけの定員を配当して下されば何も問題ない。文部省はそれができないでしょう、実際には。そうすると、何も全然免許状を持たないで、ただいきなり仮免として入った者と、先ほど言いましたように小学校の免許状を持っているけれども中、高は持たないとか、高等学校、中学校は持っているけれども小学校は持たない、そうして本人がずっと教員になる意思がある、こういう場合は、教職員という育英会法の適用の中に当然そうした君も含むのがすなおな法の解釈でしょう。そうして育英会にわざわざ教職員その他について特別なワクを設けて免除規定を設けたその立法の趣旨に立っても、そういう者は適用さしていくというのが実際の行政としてはむしろいいことでしょうが、ただ免許法をそのままの形で生かして使っていないからお前は正規の教職員でない、これは大臣の言い方としてはいささか粗雑に過ぎますね。そういう採用をせざるを得ない、そういう任用によって現場を運用していかざるを得ないという実態に立って、しかも育英会法に教諭と限定してあれば別ですよ。教諭だけではなくして、講師も、助教諭も教職員の中に当然入るべき法概念でしょう。それを育英会法だけに限ってその規定を排除するというのは、これはきびし過ぎます。法の解釈は。だから先ほどから言うように、まるまるどこの免許状も持たないで仮免として採用され、しかるべき二級免を取得する、そういう機会を持つような人たちについては、あなたの言う理屈も若干の理がある。しかし正規に免許状は持っておる、教職員としての資格は持っておる。ただその資格のところにいかないで、しかも法では教職員というきめ方をしている。この立場から考えると、正規の教職員でないという言い方も不穏当ですし、正規の教諭でないからという言い方も、教職員という法が定めている範囲からしても、ちょっと先走り過ぎた解釈でしょう。当然私は免許状を取得しておる、このものが都合によって一時その免許状をそのまま生かされない学校に勤務する、そうして、しかも現在の定めの中のようにちゃんと所定の年限在職する、この場合には免除規定を適用するのが当然じゃないですか。これはやはり今までがきびし過ぎたと、当然再検討なさるべき課題だと思いますが、どうですか。
#29
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点はさっきも説明員から申し上げましたように、検討はしているようでございます。また、検討する課題の一つでもあろうと私も思います。ただ、それに関連して申し上げれば、少なくとも小中学校の先生は免状を持っておって就職を希望するならば必ず職場があるというふうなことが本来必要じゃないかと、一種の計画養成といいますか、義務づけといいますか、いろいろ考えらるべき課題がそれは内包されておると思いますけれども、その根本は、基本となることがまずなさるべきことであって、国民側には義務として義務教育をいわば制度上しいながら、受入態勢の先生については義務として養成するにふさわしい計画的配置ができない、あるいは教員たらんと欲して免状を持った人が希望しながら職場がない、というふうなことがないようにすることが基本的には必要じゃないか、こういう問題を含んでおると思います。高等学校の場合には幾分話が違うかと思いますが、いずれにしましても、私自身が政令その他の法令の末端まで通暁していないので、実態把握が十分でない前提においてそれは申しておるものですから、非常に舌足らずであるということを承知しながら申し上げておることを御勘弁願いたいと思いますが、いずれにしろ事務当局段階においても検討すべき課題であるように受け取って御指摘以前から検討しておるようでございますから、今後の検討に待ちたいと思います。
#30
○豊瀬禎一君 現在政令で定められた判断については前に課長からも聞きましたし、現行政令を定められた理由というのは先ほどあなたが仰せのとおりです。だけれども、先ほどから何回も繰り返してくどくなりましたが、育英会法の教職員というのは、免許法の中で当然助教諭も含んでおるから、助教諭まですなおに適用するのが当然です。だから、現在の政令を定められた根拠についての判断はわかりましたが、当然そのことについては不利益をこうむっておるものがいるのだから是正さるべきだと思う。ただ、あなたがおっしゃるように、義務教育に関しては、免許状を取得したものが就職を希望すれば受け入れが必ずあるように、これは言い得てきわめて至難なことです。
 初中局長に質問しますが、よろしいですか、初中局長。
#31
○政府委員(福田繁君) はい。
#32
○豊瀬禎一君 ここ三カ年間、教員養成期間――もっと詳しく申し上げましょう。単に教育学部とか、学芸大学ではなくて、免許状を取得したもので実際に就職できなかった数が把握できていますか、小中学校の免許状を取得しておって。それが全国で何人くらい就職できていなかったか、わかっていますか。これは大学学術局の所管ですが。
#33
○政府委員(福田繁君) ただいま私、手元に資料は持っておりませんけれども、小中学校あるいは高等学校に就職できてなかったというのでなくて、免許状は取得しましたけれども、他のほうに、会社その他に行った、こういうような数は、大体わかっております。
#34
○豊瀬禎一君 課長でわかりますか。
#35
○政府委員(福田繁君) ただいま資料持っていないかと思いますが……。
#36
○豊瀬禎一君 これは大臣、今局長が言ったように、本人が希望しない場合もある。万一の場合に教員免許状だけは持っておくという考え方の人もあるわけですが、希望しても入れないというのはずいぶんいますよ。そしてそれが現在の段階で、将来、一部で言っていられるように、定員定額制を非常にきびしく全国で統制をして、そうして必要教員を算出して、それだけしか養成措置をしないと、その養成機関に入ったあと、教員になりたくないと思おうが思うまいが、教員に適するような適応性があろうがなかろうが、無条件で教員に採用していくという、こういうむちゃな考え方を大臣がやられるのなら別問題として、現行制度の上からすると、資格は持っておっても、また希望はしても、それが全部教壇に吸収できないというのが現状です。だからその免許状を持っておる者が、希望するところに従って、義務教育には最小限度吸収される問題と、そういう問題の検討と、資格は持っておるけれども、別の種類の学校に行ったために、暫時免許法によるところの助教諭扱いされている。それを育英会法に言う教職員とみなすかみなさないか、こういう問題は切り離して考えられるべきです。
 最後に、同じことばかり繰り返すのもいやですから、もう一度大臣の見解をただしておきますが、有資格者で、異種の学校に行ったために助教諭の扱いにされている者は、教職員という免許法の規定から当然助教諭も含まれるのですが、その者にも当然適用さすべきだという観点に立って、早急に再検討する意思がありますか。
#37
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の点を、当然そうあるべきものとしてと、断定して検討するということを今直ちに申し上げる自信がございません。とにかくお説のようなこともあり得るわけだから、それを含めて検討をするということはやるべきだと思います。
#38
○豊瀬禎一君 それでわかりましたが、会議録に載っておりますので、再度確認しておきますが、助教諭を正規の教職員でないという言い方は不穏当である、こうお考えになりませんか。
#39
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 正規の教職員でないという表現は、一般的にすべてを含んで申し上げる意味では穏当でない、こう思います。ただ、現行の政令――育英奨学制度に関連する政令においては、現行政令が、免状どおりに活用しておる状態の人を対象として適用されるということになっている限りにおいては、仮免の教師は、その意味においては、正規とは言い得ない姿になっている、そういう意見でございまして、現に教壇に立っている姿、それ自体が違法であるという考え方で一般的に申したのではございません。
#40
○豊瀬禎一君 助教諭を正規の教職員でないかのごとく扱ったのが誤りであって、免許法に言うところの助教諭は教職員である、こういう考え方をきちんと持っていただかないと、助教諭は正規の教職員でない――これは免許法から言うとあやまちですよ。ただ育英会法を受けた政令の中に教職員としての扱いをしてない。このことのほうが現行免許法の建前からするとおかしいのであって、あなたがおっしゃる正規の教職員でないとおっしゃる言い方が間違いで、正規の教職員でないかのごとく扱っている現行政令はあやまちである、こういう理解をしていただかないと、免許法で言うところの教職員の範囲というのが、政令によって狭められてくるということは問題です。
 だから政令というのは、法の実施の細則ですから、いろいろの具体的な措置の際には、範囲のきめ方の際には問題が生じてくるでしょうけれども、少なくとも政令制定の際には、立法の精神が狭められていくという定め方は私は好ましくないと思う。立法の精神が、できるだけ活用されていくというか、適用されていく――恩典を受けるものについては、恩典を受けるものの範囲が広められていく。制限されるものについては、その制限の精神が生きていくように制限されていく。これが立法に対する政令制定の基本的態度でなければならないと思うのですよ。免許法にはちゃんと教職員として扱っているものを、政令だけで教職員でないと切って捨てることは、これは若干文部省の解釈の態度としては行き過ぎの傾向があると思う。早急に検討していただいて、しかるべき時期に、その検討の結果を本国会中にお尋ねしたいと思いますので、結論を出していただきたいと思います。
 それから次にお尋ねしますが、これは初中局長にお尋ねしたいのですが、女子教職員の産休の法案が通過した経緯については、局長が責任者として措置されましたので、十分御承知のことと思うのです。三十六年ないし三十七年度において、文部省の産休補助教員で組んだ予算定員と、各都道府県の産休補助教員の予算定員と、その実績数の比較と言いますか、それをそれぞれ説明していただきたい。
#41
○政府委員(福田繁君) ただいまその数字を持ち合わせておりませんけれども、御承知のように産休の場合の補助教員の財源措置として組みます場合には、教員の一%を組むことになっております。したがいまして一%ずつ毎年この法律以後におきましては組んでいるわけでございます。
#42
○豊瀬禎一君 一%組むのは、あなたに聞かなくてもわかっている。だからその数が幾らですかと聞いている。パーセンテージを聞いているのじゃないですよ。予算で組まれた数字をおっしゃい。それから各都道府県が、そのとおりに組んだかどうか。総数でいいのです。各県別でなくても。それで実績総数を答えなさいと、こう言っている。
#43
○政府委員(福田繁君) ただいま実績の資料を持ちあわせておりませんので、これは後ほど調べましてお答え申し上げたいと思います。
#44
○豊瀬禎一君 三十六年度においては、途中からでしたから不正確と思うのですが、三十七年度分ですね、これは少なくとも、文部省の予算上の六千なんぼか五千なんぼかの、五、六千前後の数と、それから三十七年三月三十一日を一応の目安として組まれた予算定員については把握できておるでしょう。それと、きょうそれがお答えできなければ、前回と同じように、三十七年度に限ってもよろしいですから、各県別の予算定数と、それから実績を調べていただきたい。
 これは私がここで、その質問の理由を申し上げなくとも、非常に悪い県、たとえば石川県のごときも、六千数百の教職員の中に三千程度の女子教職員がおって、三十七年度については四十五名の補助教員が組まれたけれども、実際に執行されたのは十人程度しかないですね。特に衆議院については与野党一致の共同提案として産休職員の確保の必要性を認めたんですから、それが、どういう状況で実施されておるか。それが予算定員が少ないというところに、まず第一の問題がある。同時に、予算どおりの補助教員が配当されていないところに第二の問題がある。第三には、そのことによって、たとえばまくら元に分べん見舞と称して校長がやって来て、補助教員がいないから、あなたは二、三日うちには出てくれませんか、受け持ちの子供がけがでもするとたいへんですよと。そのために産後のいろいろな状況が生じておることも御承知のとおりだと思うのです。こういう問題については、私どもがどうなっていますか、資料を調べて出しなさいと、こういうことがなくても、こうした特殊の問題については、この前の事務職員、養護教諭の配置状況と同様に、きちんと数を調べて、しかもその隘路がどこにある、隘路解決のためには、どういう行政措置をしておる、こういう点を、もう少し的確に処理してもらいたいと思う。およそいつごろまでに、その数がわかりますか。
#45
○政府委員(福田繁君) きょうはその実績の資料を持っておりませんので、これは三十七年度の実績は、できる限りすみやかに調査いたしましてお答えを申し上げたいと思います。
#46
○成瀬幡治君 関連して。補充が困難だというより、実際行なわれていないわけです。それに対して文部省は、どういう対策を立ったかということについても資料を出していただきたい。
#47
○政府委員(福田繁君) できるだけ御要望に沿いたいと思います。
#48
○委員長(北畠教真君) 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時三十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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