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1962/03/26 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 農林水産委員会 第23号
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1962/03/26 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 農林水産委員会 第23号

#1
第043回国会 農林水産委員会 第23号
昭和三十八年三月二十六日(火曜日)
  午前十時五十六分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻井 志郎君
   理事
           仲原 善一君
           渡辺 勘吉君
           北條 雋八君
           森 八三一君
   委員
           井川 伊平君
           植垣弥一郎君
           梶原 茂嘉君
           木島 義夫君
           野知 浩之君
           中野 文門君
           温水 三郎君
           藤野 繁雄君
           堀本 宜実君
           山崎  斉君
           北村  暢君
           安田 敏雄君
  国務大臣
   農 林 大 臣 重政 誠之君
  政府委員
   農林政務次官  大谷 贇雄君
   農林大臣官房長 林田悠紀夫君
   農林省農林経済
   局長      松岡  亮君
   農林省農政局長 齋藤  誠君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  法制局側
   法制局長    今枝 常男君
  説明員
   農林省農林経済
   局金融課長   立川  基君
   農林省農地
   局管理部長   桧垣徳太郎君
   農林省畜産局参
   事官      丹羽雅次郎君
   水産庁漁政部長 和田 正明君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林漁業金融公庫法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農業近代化資金助成法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査
 (畜産物価格に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻井志郎君) ただいまから委員会を開きます。
 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○安田敏雄君 この法案を見ますと、今度は「第四条第一項中「千二億七百万円」を「千二百二十二億七百万円」に改める。」という、こういう項があるわけですが、これに関連いたしまして、今後農林漁業の構造改善を年次的計画をもって推し進めんとするならば、資金量はますます増加してくる、こういうことが予想せられるわけです。したがいますというと、この法案は、その資金量を毎年増加するために一々この法案の改正を毎国会提出しなければならない、こういうような問題が出てくるわけです。これについてどういう考え方を持っておりますか。局長ひとつ答弁願いたいと思います。
#4
○政府委員(松岡亮君) 確かに従来から毎国会ごとに政府の出資を改正いたしまして、そのつど増加するという措置をとって参ったわけでございます。これは何分にも出資が非常に大きな額に上りますので、一度に出資して、ちょうど株式会社の払込資本金のようになかなか参らないということでございますが、今後ますますこの出資額を大きくしなければならぬという面がありまするのと同時に、従来すでに千二百億から出資して参ったわけでありますが、それをすでに貸付に運用いたしまして、漸次回収されるものがふえて参り、農林公庫の資金は十一くらいの回転をいたしておりますけれども、農林公庫になりましてからもすでに十年たっております。特別会計時代を加えますと十数年になっております。回収されるものが非常にふえて参っております。それらもございますので、今後さらにどのくらいの出資が必要であるかということは、事業量の増加とも相待ってなかなか確定いたしがたいわけでございます。やはり今後も当分の間は毎年度出資額を改正していくという方式をとらざるを得ないのではないか、かように考えております。
#5
○安田敏雄君 確かに現行法ではただいまの答弁で了承しますが、この毎年飛躍的に資金壁が増加していく、こういう面を見ますと、何かほかに、一々法改正しなくても資金だけで考え方があるようですがね。そういうような考え方についてまあ一応所信を述べてもらいたいと思うのですが。
#6
○政府委員(松岡亮君) 確かに一般の常識から申しますと、毎年度政府の出資あるいは資本金の額を変えるということは妙なことである、これは私どもも痛感しているのでございます。で、できればちょうど会社における授権資本のような形で、二千億円なら二千億円というものを農林公庫の授権資本といいますか、法定の資本金にしまして、それに対して毎年度出資を予算面だけでしていくというような形が考えられるかとも思うのでありますが、それは私どもも検討したわけでございますが、それならば、かりに二千億円という額を定めるには、一体今後の事業見通しをどうするか、また漸次長期に運転して参り、今回の改正によってもさらに長期に運転するようになって参りまするので、はたして二千億円というような額でいいのかどうかということもかなり問題でございますし、その辺については、どうも確かに御疑問を持たれることはごもっともなんですけれども、私どももどうもまだ結論を出し得ない、こういうような状況であります。
#7
○安田敏雄君 ただいま二千億、仮定の数字として二千億円というものが出たわけですが、まあ、その額に達しなくとも、大体二、三年の先を見通して、特に農業構造改善事業あるいはその他の一般の林業、水産業に対する構造改善事業は、年次的に推進をしなければならぬ、計画を立てなければならない、こういうように考えますというと、一応何か大ワクをもって法案化しておいて、そうしてその中で十分間に合う範囲内における資金量を、毎年予算面で裏づけていくというようなことを行政の措置上できるものかどうかという疑問が私これを見て出てきたわけですよ。ですから一応聞いたわけでございますけれども、まあ、これは研究課題として、ひとつ農林省のほうで検討してもらいたいと、こういうことでございます。
 それからその次にお伺いしたいのは、実は農薬構造改善事業を推し進めるために、その裏づけの法案として近代化資金を設定したように思うわけです。で、当初は政府におきましても、まあ国会の答弁では、近代化資金によって農業構造改善事業を推進していくのだ、こういう方針でいました。昨年あたりの現実の問題として、農村へ行って見ますと、近代化資金では、系統資金の金が融資がきわめて不自由だ、こういうようなことで今度は切りかえたわけでございますけれども、そういうことによって、今度この公庫のほうへ構造改善事業全般を切りかえたことになる理由として考えていいですか。
#8
○政府委員(松岡亮君) 経過的に申しますと、御指摘のような点があったわけでございます。ただ、基本法の規定にもございますように、構造改善というものにつきましては、まあ広義に解釈する場合と、狭義に考える場合という両面があるように思われるのでございます。で、基本法が、一般的に農業の構造の改善といっております場合には、たとえば自立経営の育成でありますとか、あるいは相続に関する規定とか、いろいろな面が出て参りますが、同時に、農業改善事業というものを基本法ではまた定めております。それに対して、総合的な助成をするという規定があるわけでございますが、これに該当するものとして、具体的に現在やっておる農業構造改善事業が最近に問題になっております。予算面だけの措置でやっております構造改善事業でございますが、その広い意味における構造改善というものにつきましては、いろいろな施策が土地改良も入りましょうし、近代化資金によりますいろいろな投資への助成というものも含まれて参るかと思います。狭義のものにつきましては、いわゆる農業構造改善事業につきましては、確かに近代化資金でその補助残の融資、融資単独事業について近代化資金助成法による資金の融通をすることになっておりますが、この血につきましては、さらに計画性を増すのと、強力にこれを推進するという意味で、財政資金でより長期により低利に貸し付けていくということが望ましい。また一般の要望でもございますので、この部分、つまり最も狭義の構造改善事業につきましてだけ財政資金に移した、こういうふうに御理解いただいてはどうかと思うのでございます。
#9
○安田敏雄君 そこで、私は、今度はばかに金融関係についての法案がたくさん出ておりますね。これを見まして、とにかく農林漁業は他産業に比べて立ちおくれが非常にあるということは、過去におけるこれらの産業に対する国家投資が少なかったんだ、資本の投下が少なかったんだというところに、一つの大きな原因があるわけですよ。これは一般的にも指摘されておるところでございますが、そういう意味合いにおいて、農林漁業に対する制度金融というふうなものが非常に手続が繁雑であるという問題、それからその他まあいろいろありまして、きわめて複雑多岐であるということが一つの原因になっておるかと思うのです。したがって、こういう制度金融に対する整理統合というような問題がどうしても早晩考えられてこなければならない、こういうふうに思うわけですが、局長の一つ考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
#10
○政府委員(松岡亮君) まことにごもっともな質問でございまして、特に、今回農林公庫のほうに新しい制度を設けることによりまして、一面において制度が一そう複雑化するというきらいがあることは、私どもいなめないと思うのであります。衆議院におかれましてもその点を指摘されておりますし、参議院におきましてもしばしば御指摘になられておりまするので、少なくとも簡素化の方向で、金利体系にいたしましても、事務の手続にいたしましても簡素化するという方向で、この改正法律が施行されて後におきまして、省内に研究会あるいは連絡会というようなものでも設けてもらいまして、直ちに研究に着手したい、かように考えておる次第でございます。
#11
○安田敏雄君 実は、今度のあの構造改善事業の問題一つ考えましても、近代化資金でも借りられる面があるのだ、あるいはこちらの公庫の面でもあるということになりますとね、農村では、金利の安いほうと、その償還が長期のほうにどうしても飛びつきたがる。しかし、県の指導その他によりますと、公庫のほうじゃ借りられないから近代化資金で借りなさい、こういうような問題も出てくるかと思うのですよ。そうしますと、それだけ農村の構造改善というものが戸惑うわけですね、農民自体としては。そういうようなことがあるので、できるだけそういう点がないように、やはり整備簡素化していくことが必要であろう、こういうような立場からして、考え方からして、お聞きしたわけでございますが、ただいま簡素化について研究会を開いて何とか結論を得たい、こういうことでございますから、一応その点については了承いたします。
 それから次にお伺いしたいのは、振興局来てないようですがね、農林漁業金融公庫について、総調達資金、資金の総ワクに対して、借入金は大体どのくらいのパーセントを占めていますか。
#12
○政府委員(松岡亮君) 農林公庫の来年度の、まず運用資金の全体が八百六億円でございますが、このうち自己資金、つまり自分の今まで貸し付けたものの回収金などが二百二十億円ございますので、残り五寸八十六億円が新しく調達される資金でございます。その中で借入金が三百六十六億円でございますから、パーセンテージで申し上げますと、新しく調達される資金のうちの六〇%弱ぐらいが借入金でございます。
#13
○安田敏雄君 その借り入れの、何ですか、場所はどこになるのですか。運用部資金になるのか。
#14
○政府委員(松岡亮君) 資金運用部資金でございます。
#15
○安田敏雄君 運用部資金、全部。
#16
○政府委員(松岡亮君) そうです。
#17
○安田敏雄君 利息はどのくらいですか。
#18
○政府委員(松岡亮君) 六分五厘でございます。
#19
○安田敏雄君 私の調べでは、昭和三十五年度までに借入金は千二百三十二億七百万円ばかりになっているわけですがね。三十七年度になって累計どのくらいになっているのですか。
#20
○政府委員(松岡亮君) 三十七年度末の残高の見込みでございますが、差し引き借り入れ残高が千七百十三億四千三百万円でございます。
#21
○安田敏雄君 この借入金が、これは年々増加しているわけです。そうすると、先にいきますと非常に多くなるわけです。この処理てんまつはどういうように考えているわけですか。
#22
○政府委員(松岡亮君) これは借入金でございますから、資金運用部へ償還していくことが必要でございますが、今までの回収は、実は予定よりも回収が若干上回っているわけでございます。したがって、順調に償還できているわけでございます。新しい借り入れは、それにかわりまして必要な額は確保される、こういう状況でございます。
#23
○安田敏雄君 三十五年度に千二百三十二億、三十七年度までに累計が千七百十三億ということになると、だんだんふえていくわけですね。そうするとそれだけ、借入金の回収がついても、ふえていく。ということになると、公庫の借金がふえるということになるわけです、これは。ですから、そういうように借金が累増していって、それを結局政府の予算措置で、財政投融資で将来穴埋めができるかどうか。そのときになると、たくさんの金を返さなければならんでしょう。そういう点の見通しは、どういうようになるわけですか。
#24
○政府委員(松岡亮君) それは償還の財源は、回収金で償還するわけでございますが、資金運用部から借り入れて、それを今度は農業協同組合とか農業者とかに貸し付けていくわけですから、それが年々償還され、償還されたものがさらに資金運用部へまた償還される。こういう循環をたどっているわけですが、問題は一面において、これだけ借入金の残高がふえていくにつれまして、政府の出資もあわせてふえていかなければ、全体としての運用コストが非常に高くなる。したがって、貸付金利を低利に維持できないという問題が出てくる。この点は今のところ、だんだんむしろ運用コストを引き下げて、全体としては貸し出しの金利は下げている、下げることができている、こういう状況でございます。
#25
○安田敏雄君 借入金が年々累増していくということになりますと、この累増の額を低めていくというのには、政府出資を大幅に飛躍的にたくさんにしなければならないですよ。むろん、農林漁業金融公庫の金が低利で長期だというところに魅力があるわけです。したがって、その他の会計のほうから借りていけば、これは勢いどうしても借入金が累増していくということになる。したがって、これは公庫としては健全な運営じゃないと思うのです。しからばその健全な運営化するためには、さっきも言うように、農林漁業金融が非常に立ちおくれているわけです。その大きな原因としては、国家資本の投下が過去の時代においてきわめて少なかったということになれば、これはむしろ借入金というような方法じゃなくて、これはもう大幅に政府の投資をしなければならんという、こういう問題が出てくるわけです。ですから、私はその点をお聞きするわけです。借入金がふえるということは、これはいいことじゃありません。むしろ、政府の投資が多くていいのだ、このように考えているわけです。そういう点についてお考え方を聞きたいと思うのです。
#26
○政府委員(松岡亮君) その点につきましては、政府の出資額とあわせてふえて参っております。たとえば三十五度における政府の出資額、これは償還を要しない金でございますから、ふえる一方でございますが、八百七十一億円でございましたが、三十七年度の今申し上げた数字に見合う出資額は千九十三億円、非常にふえておるわけでございます。さらに今回新制度を設けるにつきましては、従来のような出資と借入金の割合では、低利にすることができませんので、三十八年度におきましては三十七年度に対しまして大幅に出資を増加しております。借入金はその割りにはふえない、こういう形をとっておるわけでございます。具体的に数字で申し上げますと、三十八年度の政府出資額は二百二十億円、前年度の出資額が百三十三億円でございますから、その伸びは六五・四%、六割九分増加しております。逆に借入金のほうは、三十八年度が三百六十六億円でございまして、前年度が三百二十三億円でございますから、一三%しか増加してない。つまり出資の増加は借入金の増加の五倍の増加になっております。こういう構成でございます。
#27
○安田敏雄君 そんな、公庫から見たらそういうことでこれは了解できますよ。しかしことしふえたのは、もう構造改善事業を推進するために非常に農林漁業の事業量がふえている、したがって金が要るわけです。ですから、今度はことし構造改善事業を新しくこちらで、公庫で取り扱わないというなら、あなたのおっゃるとおり政府資金がふえたからいい。ところが事業量がふえておるんだから、政府の出資がふえたとしても、それは少ないということなんです。私に言わせれば、もっとむしろ借入金を減らして政府出資を多くすべきだ。しかも政府から出資するお金は、これは借入金であっても、これは政府から借りるやつは無利子なんです、予算措置でないほかの借入金は。ですから、そういうものを借りて、むしろそれをふやしていくべきがほんとうであろうと思うのです。そこで、今の公庫の借入金はどこから借りるかというと資金運用部資金から借りているでしょう。これは年六分ですね、それから産業投資特別会計から借りていますね。これは年五分五厘、その他簡易生命保険及び郵便年金特別会計、これが六分五厘、こういうようなものを借りているわけです。その他日本開発銀行は借りるかどうか知りませんけれども、大体この三つから借りているわけです。これらみんな利子が年六分以上つくわけです、五分五厘から六分以上。そうしますと、今度の構造改善事業を推進するために三分五厘だとか四分とかいう長期の金を貸した場合、これは明らかに農村へ貸しても安いのはけっこう、農村へ貸す場合いいですよ。いいけれども、資金運用部資金その他については、これは利息が向こうのほうが高いから引き合わないですよ。これは赤字が出るにきまっている、この金を当てにしてやっていったら。だからそういうことであってはならない。むしろこの際、そういう資金運用部資金だとか、産投の会計、そのほうは極度に少なくして、これは政府出資を大幅にしなきゃおかしいですよ。ここらあたりに政府の農政に対する金融的なごまかしがある。ほんとうに農村を見てやるというならば、当然農村だって税金納めている。農村、中小企業の税金のほうがはるかに大産業なんかの税金よりも、個人々々では少なくたって、頭数では多いのだから、これは額にしては大きいわけですよ。そういうような、むしろ政府出資のお金をふやして、そしてこれを低利で貸すということでなきやならぬはずです。ところが利息の高いほうから借りてやっていったら、これは公庫が赤字になる。しかもこれは資金運用部資金だって、産投だって返さなきゃならぬでしょう。借入金はどんどんふえていきます。政府の中のたらい回し的な赤字だから、それはそれでやむを得ないかもしれないけれども、農林漁業金融公庫として、農村のためにほんとうに金融の道を開いていこうというならば、こういうようなことであっては再検討しなければならぬというように私は考えるわけです。ほんとうに農村のためを思うなら、政府が農林漁業金融公庫なんというこんな会計はやめても、政府の出資を、予算措置を大幅にすれば、これはできることなんです。あるいはむしろそういう金融機関を設けるとするならば、もっと政府の借入金を大幅に増加して、そしてそれは利子がつかないわけですから、さらに三分でも二分でもいいから、長期でもって低利な金でもって農村を見てやる、こういうことでなければほんとうの農業行政にはならない。農業基本法の趣旨に沿って、この農業基本法の第幾条かには、農業構造改善事業を推進促進するためには、今後農村を合理化するためには、円滑な金融措置をするのだということが書いてある。そういう点で、これでいったら借入金が多くなって、公庫は破産をしてしまう。高い金を借りて、安く貸している。それで政府出資は少しもふえていない。あなたふえていると言ったけれども、事業量がふえたからふえただけの話で、そういう点はどうも私は納得がいかないわけです。
#28
○政府委員(松岡亮君) 政府出資は、とにかく従来に比較いたしますと、大幅に増額いたしております。今申し上げましたように前年度は百三十三億円でございますが、来年度は二百二十億円でございます。今お話を伺っておりまして、ちょっと申し上げておかなければなりませんのは、産投会計からの借り入れは現在やっておりませんです。政府出資と申しておりますもののうちに、産投会計からの出資がございます。一般会計の出資と産投会計からの出資でございます。これはいずれも政府の出資で無利子で、償還を要しないいわゆる出資でございます。その点が非常な違いでございますので、念のため申し上げておきますが、産投会計からの出資が、非常に大きくふえているわけでございます。
#29
○安田敏雄君 産投会計はことしからやめたのですか。
#30
○政府委員(松岡亮君) 産投会計からの借り入れは、二十七年度に一回だけ三十億円借りているわけです。
#31
○安田敏雄君 そうすると今の資金運用部資金とそれから郵便年金特別会計のは借りてないのですか。
#32
○政府委員(松岡亮君) 簡易生命保険及び郵便年金特別会計からは借り入れております。これはもう資金運用部と同じ六分五厘で借りています。
#33
○安田敏雄君 いずれにしても産投会計は、ただいま局長の説明のとおり了承しますが、その資金運用部及び簡易生命保険から借りてるお金はいずれも六分五厘ですよね。ですからこういうお金を借りていくことよりも、政府の出資をもっと大幅にしなければいかぬというわけです。特に農業基本法が制定されて、構造改善事業を推進するにおいては、こういう無理なお金でなくても、大幅に政府の出資をしなければならぬ。そしてその金を運用することによって、農林漁業金融公庫の台所をまかなっていくということでなければならぬわけですよ。これじゃ、片方は六分五厘、片方は三分五厘で貸すということになると、六分五厘で借りて、三分五厘で貸すということになると、やはり政府の無利子は除いて、勢いそこに、これは公布は赤字がふえてくる、これは国民の税金でもってまかなうという、こういう仕事は、私は政府機関の仕事というものは、よく言うわけですがね、それはもうけなくてもいいんですよ。あえて利益を得る必要はない。しかし赤字であってはならないというところの原則的なものはあるわけですよ、赤字であってはならないというところに。そういうような基本的な問題を考えますと、どうしてもこれは政府出資をもっと大幅に多くしなければならない。これではやはり農業に対するあるいは農林業その他の、漁業にまで対して、おくれた産業に対する政府の投資というものは、構造改善事業をやるのだという、そういうその旗上げはしても、財政的な裏づけというものはきわめて少ない、こういうことが言えると思うので聞いたわけでございます。だから局長、どうです、局長自体とすればですよ、借入金がふえていくという傾向はよろしくないという、しからばそれは穴埋めするには、もっと農林漁業に対して、特に構造改善をうたっている今日の中におきましては、政府の予算措置なり、あるいはその無利子の出資というものをもっとたくさんにふやさなければならぬ、こういうように私は思うのですが、あなたのお考え方を聞きたいと思います。
#34
○政府委員(松岡亮君) お話しのとおりでございまして、政府の出資は大幅に増額して参る必要があるわけであります。それで特に三十八年度から三分五厘というような長期低利の資金を貸し付けますので、来年度におきましては従来にない政府出資の増額をはかった次第でございます。今後とも出資の確保につきましては、農林省としては万全を期して参りたい、かように考えます。大幅に増額いたします。
#35
○安田敏雄君 来年度は大体見込としては、おそらくことし構造改善に関係する仕事を公庫で拡充して扱ういうならばですよ。少なくともこれはせつな的なものでないのですよ、来年、再来年、ずっと十年先を見通しているのですよ。しからば資金量の問題等については、ことしの予算折衝のときから、来年度はさらに増額するのだ、その翌年はまたそれに対して増額、していく、こういう見通しをもって計画を立てて、そうして大蔵省なり、そういうところへ交渉してきているわけですか。
#36
○政府委員(松岡亮君) 再来年度はさらに来年度より増額しなければならぬ、その次の年はさらにまたふえるであろうという私どもは見通しは持っているのでございまして、大蔵省にも、今後この増額するであろうということは、説明の際には申しているわけでございますが、二年度、三年度以降がどのくらいの需要になるかということは、構造改善事業だけでございますと、これは来年度三百、その次の年四百、その次は五百というような指定をいたす予定を立てれば、それに見合った需要というものは出せるわけでございますが、ほかの土地改良でありますとか、土地取得資金でありますとか、これは明確な先の計画というものはないわけであります。一方において財政投融資の伸びの問題もございますし、今後三年後、五年後どれだけになるというはっきりした明確な計画というものは、構造改善事業のようなものは立つわけでございますが、その他の資金がございます。漁船は幾らになるというようなことは、なかなか一時的にきめることはむずかしいわけでございます。で、年々増額しなければならぬということは私どもは常に考えておるわけでございまして、今までも増額して参ったのでございますが、さらに新制度を設けました関係から、来年度から一そうその努力をしなければならぬということは、もちろん私ども十分覚悟の上でやっておるわけでございます。
#37
○安田敏雄君 そうしますと、来年度以降というのは、飛躍的にという言葉を使ってはどうかと思いますけれども、政府出資及び無利子の政府借入金というものは飛躍的にふえていく見通しである、こういうふうに理解していいですか。
#38
○政府委員(松岡亮君) 従来とはよほど大きくふやしていかなければならぬと考えております。
#39
○安田敏雄君 そういう運営でいきますというと、結局借入金というものは、今度は政府の農業投資がふえていくということによって借入金というものはあるときにきますと、ある年次にきますというと、今度は上昇カーブが下降のカーブをとっていくのだ、こういうことにも通ずるわけですね。
#40
○政府委員(松岡亮君) これはどう考えますか、むろん事業量が根本で、事業量そのものがふえて参りますと、政府出資の伸びの割合が借入金の伸びよりも大きく、すでに今現在そういう形をとっておりますが、借入金の伸びが大きくなる。で、借入金が減少するかどうかという問題は、事業量があまり伸びなければ、また、回収金の回収が急ピッチにふえて参りますと、今度は借入金がそんなに要らないということもありますので、いろいろなファクターがございますが、確実に申し上げられることは、政府出資の伸びが、借入金の伸びよりも上回る、こういうことでございます。
#41
○安田敏雄君 先ほど局長の答弁の中で、三百六十五億の借入金を三十八年度ですか、するわけですな。
#42
○政府委員(松岡亮君) そうです。
#43
○安田敏雄君 これの内訳ですね。資金運用部が幾らそれから簡易生命保険が幾ら、政府借入が幾ら、おわかりになりますか。
#44
○説明員(立川基君) 資金運用部資金の借入金が三百三十八億円でございまして、簡易生命保険及び郵便年金の借入金が二十八億の借り入れをしております。
#45
○安田敏雄君 二十八億。
#46
○政府委員(松岡亮君) さようでございます。
#47
○安田敏雄君 政府借入金。
#48
○政府委員(松岡亮君) 政府出資でございますか。政府借入金は資金運用部と今の簡易生命……。
#49
○安田敏雄君 ああわかりました。それで、まあ、この点はこのくらいにしておきます。
 今度の農林漁業金融関係の法案を見ますと、地方銀行のほかに信用金甲をその取り扱いの金融の店として政令で指定するようですね。ところが、農林漁業金融公庫は信用金庫で扱っていますか。
#50
○政府委員(松岡亮君) 農林漁業金融公庫の資金は、地方銀行だけでございます。あとは農林中金と農信連、これだけ扱っております。
#51
○安田敏雄君 地方銀行大体五十ばかり指定してあるようですが、あと公営企業の金融公庫だけですかね。やはりその信用金庫もこれは相当最近は堅実な動きをしておる。で、農村方面におきましては、かなり地方におきましては地方銀行と同等くらいにやっている店もあるわけですな。したがいますというと、銀行のほうがどうも取り扱いその他の話し合いがむずかしいと思うのですよね。大体そういう意味において、ほかのほうの林業もその他のこの間の近代化資金も、林業基金も、今度信用金庫に窓口を開いておるわけですね。ですからこの受託店としてやはり取り扱い店として信用金庫も、そこへ一つのワクの中へ入れる必要もあるのではないかというふうにこの間の法案の経過から言えば考えられるわけです。お考えを聞きたいと思います。
#52
○政府委員(松岡亮君) 今のところ漁業協同組合の信用連合会、これを加えることを検討いたしておりますが、信用金庫につきましては、目下のところそういう考えを持っていないのでございます。なおこれは研究を要する問題じゃないかと思っております。
#53
○安田敏雄君 この間の近代化資金は、信用金庫へ窓口を開いているのですよ。で、今度は林業関係も窓口を開いている。ところがそういうやはりそちらの金だって農業の構造改善に通ずるものが入っているわけですよね、近代化資金の中には。ところが、そちらのほうは一方信用金庫で扱わせるけれども、農林漁業金融公庫に金は扱わせないということは、片手落ちの気がするのです。しかも信用金庫というものは、何も中小企業者だけがこれは出資しているわけじゃないのですよね。農業従事者も、あるいは俸給生活者も、または中小企業の人も出資しているわけです、地域的には。で、しかも信用金庫は住宅金融公庫から中小企業金融公庫あるいは商工組合の商工中金の金もこれは扱っているわけですよね。そうしたらば、やはり農林漁業金融公庫の窓口にしても私は差しつかえないと思うわけですがね。金融機関というのは、結局預貯金、出資等における信用度合いのものですから、そういう意味合いにおいてどうも少しそこまで法改正をして、幅広く今度は農業のために金融の措置を講じてやろうというなら、そこまで広げてもよかりそうなものだ、こう思うわけですがね。
#54
○政府委員(松岡亮君) 今後研究しなければならぬと存じますが、ちょっと違う点を申し上げておきますと、農林漁業金融公庫の資金というものは、政府の計画で一応きまっておる。原資は政府が調達している。で、政府の出資であるとか、あるいは資金運用部の資金とか全部財政資金でございます、政府資金でございます。したがって量的には原資はきまっておるわけです。ところが、近代化資金の場合には農家が銀行などにも預金をしている。そういうこともあるわけです。いずれにしましても、今のところ信用金庫等を加えてほしいというような声も聞いておりませんし、研究さしていただきたいと思います。
#55
○安田敏雄君 住宅金融公庫の金も中小企業金融公庫の金も商工中央金庫のやつも、みなこれは政府資金ですよね。でも信用金庫で扱っている。しかも信用金庫というものは、そういう中小企業や俸給生活者を相手にしているだけではない。みな出資すれば、その地域に行きますと、農民の諸君もみな出資しているわけですよね。林業者も出資している。そういう点を考えれば、別に政府の金であっても、片一方のほうは扱わして、今度はこのほうはより以上農業者について利便を、まあ近代化のためにこれを推進しようということであれば、私はこの信用金庫までもこの際入れてもいいと思うのですよ、特に同じ金融的な問題から考えれば。この間も新聞を見ますというと、今度は二百億円以上預貯金がある信用金庫は、まあ全国で四つですかある。これは準備預金をさせなければならぬ。こういう段階までもきているわけです。したがって、やはり信用金庫はそういういろいろ金融面においてやはりこの際は入れていくべきではないかという考え方をこの法案を見て思ったわけですがね。ただ検討中でなくて、入れるべく努力するために検討中というなら、これは話もわかるわけですけれども、そこら辺のところどうなっておりますか。
#56
○政府委員(松岡亮君) 先般来の御審議の際に、近代化資金の場合におきましても農協系統を主として考える。信用金庫あるいは銀行等を従といいますか、補完的に考えるというような強い御意見がございまして、私どもも心を入れかえてと申しますか、そういう考えをとりつつあるわけでございます。信用金庫と商工中金、あるいは中小企業金融公庫との関係は、ちょうど今の場合と逆の関係であるかと思います。つまり信用金庫とか、そういうものが主であって、ほかのものがむしろ従になる、そういうこともございますし、この問題はまあここで即答申し上げることもいたしかねますので、今後の研究問題にさせていただきたいと思います。
#57
○安田敏雄君 まあ、来年もこれはおそらく法改正しなければならぬと思うのですよ。ですからこの一年間の間にそこまで拡充することのほうが私は妥当だと思います。信用金庫にそれなら住宅金融の問題も中小企業金融も引き上げてしまえばいいのですよ。それは引き上げることはできないわけですからね。むしろそのほうへ拡充していくということのほうがこれは適切ではないか。こういうふうに思うわけでございますので、そういう意味合いにおいて要望しておきます。
 それから最後にお聞きしたいわけですが、今度新しく九州支店を設けるようですが、その理由ですね。九州支店を設けるという理由。まあたとえば大きな銀行なら、これは民間ですから違いますけれども、銀行を設けるときは大体数がきまっておって、それから不振の地方活はこれは減らして整理して、そしてそうでない金融の激しいところに建てると、こういうようなことになっていますが、公庫というものはその必要があればどんどんどんどん支店をふやしていくことになっているのですか。
#58
○政府委員(松岡亮君) これは主務大臣の承認を要するのでございます。予算面におきましても設置を認めなければ新しく支店、出張所を設けられないということになっておりますが、南九州に支店を設けるのは、従来福岡に支店がございますけれども、事業量が非常に増加しておるので、ことに噴き貸しの関係が増加しておりますので、南九州は何といっても交通の便がこちらのほうよりは不便でございますので、借りる人の便利も考えまして、熊本に南九州支店を置くことにいたしたのでございます。
#59
○安田敏雄君 今後、この公庫の取り扱いは非常に重要になってくるという、こういう趨勢から見まして、私ども知らないのですが、全国にどことどこに支店があって、そこの構成職員が大体どのくらい、取扱高がどのくらいというふうなものの資料がありましたら、一応参考までに見せていただきたいとお願いいたしておきます。
#60
○政府委員(松岡亮君) 午後にでもお届けいたします。
#61
○安田敏雄君 農政局にちょっとお伺いいたします。これは経済局でもいいかもしれないが、農地を担保にするわけですな。そうしますと、大体農地の評価、それから担保、こういうようなものを定める基準というものはおありになるのですか。
#62
○政府委員(松岡亮君) 現在農林公庫が自作農創設維持資金等を貸し付けております場合の評価額は、農地の特価の大体一割から二割くらいでございます。これではせっかくの財産の担保力を十分に発揮できませんので、大体一般に行なわれております農地担保の評価の例は、特価の五割から六割くらいでございます。これは戦前勧銀などが土地担保金融を扱っておりました例を調べましても、大体、そういう程度でございますので、今後公庫において行なわれる場合、大体そういう基準をとりまして、時価の五、六割というところできめていただこうと考える次第でございます。
#63
○安田敏雄君 そこで農政局にお伺いしますが、現在、大体農地の価格は十アール当たり平均どのくらいに見ているのですか。
#64
○委員長(櫻井志郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#65
○委員長(櫻井志郎君) 速記をつけて。
#66
○説明員(桧垣徳太郎君) 農地の価格につきましては、われわれの信用すべき調査といたしましては、日本不動産研究所の田畑価格調査というものによっておるわけでございますが、それによりますと、三十七年三月末現在の普通田畑価格、これは中庸程度の田畑の価格でございますが、それをとりますと田十アール当たり十九万四千円、畑十一万五千七百円というような水準になっておるようでございます。
#67
○安田敏雄君 全国農業会議所の調べでは、水田が二十四万円、畑十七万円くらいになっているのですね、大体において平均が。そうしますとこのような高い価格のものを実際農民や農業従事者が買って手に入れて、はたして農業をやって、採算がとれるかどうかという問題が出てくるわけですね。はたしてそういう見通しが、今日農業生産物に対する価格が保証されていない中では非常にむずかしい問題になっているのですよ。そういうむずかしい問題を前に控えておいて、農地の取得資金だけを非常に大幅に、この表で見ますると、かなり一番高い額を出しているようですね。三十八年度農地群五十億円ですか、構造改善推進事業資金よりもずっと多い。これを実際、農地から他の工業用地か住宅団地とかに転用するならば、相当高いものを買ってもいいですけれども、農業を実際やらせるという血において、このような高い価格のもので、はたして再生産が償えるかどうかという問題を考えましたときに、いたずらに金融的なワクを広げても、これはなかなか容易じゃないと思うのですね。もし、ことしそういう農地の取得、農地の移動ですね、移動をしようとするならば、この金を、これだけの大ワクを用意したというならば、はたしてどのくらいの面積の移動が可能であるという見通しの上に立って計画したかということが問題になるのじゃないかと思うのです。その点についておわかりですか。
#68
○政府委員(松岡亮君) 数字につきましては別に申し上げますが、考え方といたしましては、現在は御承知のごとく農地価格の売買価格を統制いたしておりませんので、全く自由でございますので、時価が相当高値であることは御指摘のとおりでございます。ただ、傾向といたしましては、都市近傍におきましてはともかく、純農村地帯においては、農地価格もどうやら停滞ぎみになっておるのでございますが、これは一面におきまして農業就業人口が減る傾向と非常に相関関係が高いと思うわけでありますが、同時に、土地の売買事例も、それと相関関係を持ってふえてきておる、こういう状況でございますので、現在御指摘のように、あまり土地取得資金を大幅に出し過ぎますと、あるいは農地価格に悪影響があることも考えられますが、来年度のワクにつきましては、従来からとっておりましたような方式で、売買事例の増加する傾向、そういうものと相関関係にある計数をとりまして、それによって大体農地の――移動権利の移動が、どのくらい行なわれたか。そのうちで政府資金に依存するものがどのくらいあるだろうか。従来の経験値を使いまして出しておるのでございます。したがいまして、相当増額いたしておりますけれども、それが農地価格に悪影響を及ぼすということは、そのファクターだけでは起こり得ないと、かように考えておるのでございます。
#69
○安田敏雄君 農地取得に対する融資ワクはどのくらいですか。百五十億ですか。
#70
○政府委員(松岡亮君) さようでございます。
#71
○安田敏雄君 そうですね。そうしますと、それを時価相場で見て算術的に出したその数字から、大体取得面積というものの予定は出てくるわけでしょう。
#72
○説明員(桧垣徳太郎君) お話のように、大体、私どもとしましては、この百五十億の農地収得賞金のワクにつきまして、必ずしも厳密な意味の積算によって予算の編成がなされておるという御説明を申しかねるのでございますが、大体の見通しとしましては、現に自作地である者の移動の面積と、移動のための手当として約百三十四億円、それから小作地の取得のための資金量として約十六億円程度ということを考えておりますので、したがいまして、これを反当の時価で換算すれば、ほぼその面積が出るわけでございますが、大ざっぱに申しまして、自作地について約七千八百町歩程度になろうと思います。小作地については約千三百町歩前後の面積についての手当ができるものというふうに考えておるわけであります。
#73
○安田敏雄君 今も、小作の問題が出たわけですが、今の小作料は、統制の小作料値段でいきますというと、十アール当たり千五百円くらいですね。こういうようなことでは非常にこれは安いわけなんで、こういう面からいきますと、なかなか小作地は、借りていた人は得だから手放すなんということはしない。そこをほとんど草ぼうぼうにしておいたって、極端に言えば手放す人はいないわけですね。またさっき言うような自作地にしても、水田がとにかく二十万円前後しているときには、これも農用地に転用するんだといって買っても、農作をやったんじゃこれは引き合いませんよ。そういうような、いろいろな問題を考慮しますというと、特にこの農地法が改正せられて、それから信託事業をやるについて、これは総合農協でなければ扱えないのですから、総合農協はまだ、目下みんな整備中なんです。定款をこれは変更していかなければならぬという問題で、いつ開店するのだかわからない、こういう情勢にあるときに、やはり相当この点については、何か慎重なかまえをしていかなければならぬのですが、どうも私は、この農地の取得だけに大幅な金を出して農業経営をやっていくのだということについては、どうもそこのところが、少し合点がいかないわけです、これはへたしますというと、これは農業従事者と名乗っても、一応ある資本が農地だけ手に入れれば、ある経過年度の中で、これはまた転用しないとも限らない。自分のものになるのだから、買ってしまえば。どうもそういうような気がしてならないのです。最初は農用地に転用するのだといって買います。しかし、経過年度の中で、新しい環境の中で、新しい条件の中で、これは他に転用したらということがもう考えられてくる。そういうような問題を含めて考えましたときに、もし、かりにそういうような問題が出てきたときには、これは農林漁業金融公庫の本来の使命というものが、これは果たせないことになるわけです。したがって、こういうような問題につきましては、やはり国の責任で、何か独立の受託機関というようなものを農地については、考えていくことのほうがより適切ではないか、こういうように思うわけです。国の責任でやる場合においては、地方公共団体がその出先になってやる場合もあり得るのです。そういうようなことを、ちょっと考えてみたわけですけれども、そういう意味合いにおいて、いきなりこれから未知数の農地について、農地の覊束というものを――しかもこれから農地を、どういうように転用するかという、はたして農地として使うかどうかという、そういう非常に幾多の疑点があるときに、国で大幅な取得金を出すといったって、こんなものでは貧農では買えませんよ、中農や貧農じゃこんな大きな金を出して、幾ら農地がほしくったって、とてもそれは、農業生産やったって引き合わないのですから、そういう点のやはりこのワクをきめるときに論議があったわけですか。
#74
○政府委員(松岡亮君) 土地取得資金を借り受けて農地を買って、またそれを転売するというような事例の起きることは、私どもも最も憂慮しておるところであります。受託金融機関は、現在農協系統信連が貸し付けの受託金融機関でございますが、今後もその受託金融機関については、これは農業の事情に明るい受託機関でございますから、十分指導を加えて参りたいと存じますし、県の監督も加わわっておる資金でございますので、それらを通じまして、そういう事例が起きないように適切な措置をとって参りたいと考えておるものでございます。
 それから、こういうふうに資金量が増額するのは問題ではないかというお話でございますが、つまり中農層とか貧農層あたりは、こういうものを借りて買わないだろうという御意見でございますけれども、私どもといたしましては、できるだけ土地取得資金の条件を緩和しまして、中農層でも借りて買えるようにいたしたいという趣旨から、従来の金利を引き下げ、さらに償還期限を五年延長しまして二十五年にして借りて返しやすいようにした、こう申し上げたわけでございます。
#75
○安田敏雄君 政府の農業基本法は、自立経営農家の育成を主眼点に置いておるわけですよ。これは極端に言えば、大農中心主義なんですよ。ところが、中農層が農地を取得する場合、しかもそれが非常に農地が安い価格ならば、これは取得できるでしょう。融資を受けて取得できる。しかしながら非常にその農地の価格が、時価相場ということになって高くなってくると、これは個人々々では借金しても、幾ら低利で長期であっても取得できないですよ、実際問題として。これは取得する方法はどうかといいますと、これは共同の責任で共同経営という立場に立って、これを行政的に相当指導してやるという手厚い保証を見てやるという立場でなければ、これはとても中貧農層には、これは農地の取得なんて、これはとても及びもつかないことです。ですから、そういう意味において、やはりそういう点について、一体今後の農政の指導をどうしていくか、そういう中で金融の裏づけというものを考えていくという形でないと、これはもうおそらく、この農地の取得は、これは大農中心主義か、あるいは将来転用をたくみに考えている人たちの取得資金で終わってしまうわけです。ですから、そういう点について、私は中貧農層を中心に農地を収得させるというならば、これはもっと低利でもいいんですよ。もっと低利で、そしてそれはしかも共同の責任で主産地形成をするならば、あるいはその他の共同的な仕事をしていくという面の中で、これを重点的に考えていくという農地の取得資金という方向へ、これは本来の姿はあるべきだ、こういうふうに思うわけです。現実に、われわれいなかに行きますというと、みんな実際のこというと、農業をやるのだということでみんな土地を取得しております。しかし、二、三年たちますというと、これは農業委員会をみんな悪く言うわけじゃないけれども、ちょっとおつかい物をして、あるいはその他の方法によって、懇意になって、実際は知事認可を得て、農業委員会が承認している。知事認可を得て、どんどん住宅用地なり工場用地になっておる。はなはだしいのは最近はゴルフの練習場に皆なっておる。そういうような現実があるのですよ、現実が。で、中農層や貧農層は、それをただ見ているだけです。最初は、やっぱし農地に使用するのだということでみんな入手していますよ。経過年度の中でもって、みなそれ転用されている。それがほとんどです。ですから、幾ら高い値段出したって、これは取得できるわけですよ。また、そこに農地価格のつり上がりが出てくるわけです。そういうようなことを考えましたときに、この取得資金というものが、そういうような方向へ、まあ将来利用をされる向きが非常に憂慮せられるので、私は先ほど、まあ共同経営の問題やら、そういうものを出して申し上げたわけです。できるだけ経過年度の中で、どのような性格で、これは取り扱われるかということは、今後の問題ですけれども、できるだけ農用地に絶対に使うということでひとつ、その取り扱いをしてもらいたいということを希望しておきます。じゃあこの辺で。
#76
○委員長(櫻井志郎君) ここでしばらく休憩し、午後一瞬半から再開いたします。
   午後零時十二分休息
     ―――――・―――――
   午後一時五十三分開会
#77
○委員長(櫻井志郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林漁業金融公印法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。質疑のある方は、順次御発言願います。
#78
○渡辺勘吉君 まず、この公庫法改正案に関連して伺う第一点は、自作農維持創設資金融通法、これが実施されてから最近年次までの融資の用途別内訳をまず伺いたい。
#79
○説明員(桧垣徳太郎君) 昭和三十七年度末までの貸付の累計額は六百四十五億三千万円でございまして、その内訳は、取得資金が百八十八億円、維持資金が四百五十七億円、らち災害資金が百八十一億七千九百万円ということになっておりまして、償還がございますので残高は五百十四億八千万円でございます。それに三十七年度の百九十五億円の貸付が現在なお貸付進行中でございます。
#80
○渡辺勘吉君 そうすると六百四十五億というのは、三十六年度末の累計ですな。
#81
○説明員(桧垣徳太郎君) そのとおりでございます。
#82
○渡辺勘吉君 そうすると、三十七年度の百九十五億の維持と創設の内訳をちょっと……。
#83
○説明員(桧垣徳太郎君) 現在まで総額用途別の割り当てを完了いたしておりまして、そのとおり消化されるものと考えられますので、そういう前提で御説明を申し上げますと、取得資金が百十八億六千万円、一般の維持資金が三十六億円、災害のための維持資金が四十億四千万円、合計百九十五億円でございます。
#84
○渡辺勘吉君 取得が百八億ですか。
#85
○説明員(桧垣徳太郎君) 百十八億六千万円でございます。
#86
○渡辺勘吉君 それでは局長に伺いますが、この法律が三十六年の臨時国会で改正された際に、国会で附帯決議をつけておる。この附帯決議は、「政府は、昭和三十七年度より、自作農維持創設資金について、その貸付条件を、利率年三分五厘、償還期間三十年以上、据置期間五年以内に、その限度額を百万円に、それぞれ改訂するとともに大巾に融資枠の拡大をはかるよう自作農維持創設資金融通法の改正を行なうべきである。」こういう決議をつけて国会を通過しておる。このことは局長御存じでしょうね。
#87
○政府委員(松岡亮君) 存じております。
#88
○渡辺勘吉君 わかっておってなぜこういう点を今度の金融二法に関連して決議を尊重する取り扱いをしなかったのですか。
#89
○政府委員(松岡亮君) 今回は新しく基本法の制定の方向に即しまして新しい制度を考えたわけでございますが、その中で従来自作農維持創設資金の中にありました土地取得資金は、基本法の自立経営の育成の方向に即してく後肢も拡充し、条件をよくしていかなければならぬ性格の資金であるということから、従来自制資金に入っておりました土地取得金につきまして、従前の条件であります五分を四分五厘、また構造改善地区におきましては四分引き下げまして、それから償還年限も従来二十年でありましたのを二十五年に変更をいたしました。貸付限度は現在四十万円でございますが、参議院の御決議は、百万円にせよということでございますが、これを八十万円まで、現在の倍額に増額いたしました。相当に大幅に改善いたしまして、御決議の御趣旨にもできるだけ沿うようにいたした次第でございます。
#90
○渡辺勘吉君 この公庫法改正に関連して今局長が答弁されたように、取得資金というものをこの単独法からはずして、そうして公庫の融資の中に取り入れて、その取り入れた場合に、今の答弁では従来の融資ワク、取得の場合はこれを八十万の限度に、倍額に引き上げた。償還期限等も実態に即して従来の自創資金に合った条件、二十年以内あるいは据置期間三年以内というものをもっと実態に即するような償還条件を考慮して取得資金を考えた。これは従来自作農を維持し、なおさらに、その拡大をはかるために創設の要素まで入れて運用されてきておるのですから、従来の実績を伺いますと、三十七年度累計としてはおおよそ八百億の融資というものが考えられるわけですね、今の部長の答弁では。その中の五百億が維持資金に使われておる、八分の五が維持資金である。問題は取得資金もさることながら、維持資金というものに重点を置いて衆議院の農林水産委員会の附帯決議にも現われている。これは論議の過程で、はっきりとその問題点が浮き彫りになっておるわけですが、そうしますと、従来この自作農維持創設資金というのは大きな二本の柱で、従来の自作農主義的なものが貫かれておったわけですけれども、それを今度の公庫法ではその中の一本の柱を取っ払って、これを残った自作農維持資金というものに従来の自作農維持創設資金を整理をしておる、これは非常に問題があると思うのであります。この点は衆議院のこの国会の審議にも詳細に出ておりますから、私は参議院でまた同じ問題点を重複してここで質疑をかわすことを避けます。問題は残された自作農維持資金というものは、三十六年のこの決議は全然無視されておる、こういうことを指摘せざるを得ない、なぜこの決議の三分五厘に利率を下げる、据置期間あるいは償還期間を実態に即してもっと延長するというこの決議、さらに限度額は維持創設を含めて百万円でありますが、この維持の部分に相当する融資の実態は、非常に県当たり、あるいは郡からさらに末端におろした場合の融資のワクが僅少であって、需要額にはきわめてほど遠い資金ワクの割り当てである。そこで末端の委員会等では、それを配分するのに苦慮まかりあっておる、こういう実態です。そういう実態を見つめた場合に、この維持のための資金を融資ワクの従来どおりの三十万にこれを押えつける、金利も五分に従来どおり据え置きをする、償還、据え置きその他の諸条件も従来どおりにこれをおいて、そして一方農地の取得というものに対しては、この維持資金の条件よりもかなり実態に即した条件緩和等が内容に出ておる。これは非常に問題だと思うのです。私は重ねて局長に附帯決議を知っているなら、なぜその附帯決議をあまねく今回の金融二法に関連して当無自作礎維持創設資金融通法まで、これは改正するのでありますから、どうしてそういう院議を尊重しなかったかということを、重ねて質問せざるを得ない。
#91
○政府委員(松岡亮君) 自創資金につきましては、まず最初に申し上げなければなりませんのは、自創資金はたしか創設以来維持資金に中心が置かれまして、この制度の本来的な性格が農地改革における自作農の転落防止あるいは維持ということにも、こういう関係で維持資金が主体となりまして運用されて参りました。最初のうちは、ほとんど維持資金ばかりに使われておったということでございますが、この二、三年に至りまして特に基本法の制定と軌を一にしまして創設資金のほうが非常に需要がふえて参りました。それに対応して融資のワクも増大して参ったわけでございますが、われわれといたしましては、まあ、もちろん農業金融全般にわたって金利の引き下げが望ましいのでございますが、何と申しましても、それを一度に達成することは非常に困難でございますので、来年度におきましては、新しく考えました経営構造改善資金を中心にいたしまして条件の緩和、金利の引き下げに努力したのでございます。これなども、相当困難なことであったわけでございますが、かなりの程度まで金利その他のあらゆる貸付条件にわたりまして改善できたと考えておるのでございますが、そういった関係で維持資金まで及ばなかった点は御指摘のとおりでございますが、まあ言わせていただけば、維持資金といいますか、自創資金は、従来におきましてもかなり他の資金に比べまして条件はいいほうでございます。そういうことも考えまして、今後も改善に努力はいたしまするが、今回は三百億の新しい制度の条件緩和に集中したという点を御了承いただきたいと思うのであります。
#92
○渡辺勘吉君 そうすると、これはやはり新しく条件を設定した取得資金と、少なくとも同じように改善しなければならぬ。だけれども体系的にはそれをささえる財政的なものがなければならぬので、急速に維持資金まで取得資金と同様の緩和をするわけには参らなかったが、次の国会あたりまでには、それらをはっきりと財政的にも整理をした上で、融資ワクの限度も融資の金利も、償還の条件も、取得資金と同等の整理をされると、今の局長の御答弁をそう前向きに理解してよろしゅうございますか。
#93
○政府委員(松岡亮君) 来年度におきまして、どういう点に重点を置くかということを今直ちに申し上げることが、なかなか困難でございますが、われわれとしましては、農業金融のいろいろな面でもっともっと改憲しなきゃならぬ点が少なくないと考えておるのでございます。また同時に、従来のいろいろの制度金融につきまして若干の簡素化もやらなきゃならぬであろうということも考えておりまるすので、それぞれの資金の性格に即して、今後はやはり改善の努力を続けなければならぬ、かように考えておるわけでございます。自創資金につきましても、直ちに土地取得資金と同じ性質のものでもございませんので、それらの点も十分考え合わせまして改善の努力をいたしたいと、かように考えております。
#94
○渡辺勘吉君 この維持資金は、私からかれこれ申し上げるまでもないことでありますけれども、特に「共同相続人のうち遺産に属する農地又は採草放牧地について耕作又は養畜の事業を行おうとする考に対し、その老が、他の共同相続人からその農地又は採草放牧地に係る相続分の譲渡を受けるのに必要な資金」ほか、あるいは第四号に掲げておるような、農家が病気にかかったりけがをしたり、災害を受けたり、その他、省令で定めるやむを得ない理由によって資金を必要とする農業者で、自分の自作地なり、それを売り放すことのないようにということが目的で維持資金が使われておるわけですね。私は具体的に例をいつも申し上げるんでありますが、昨年の早害を受けた地帯では、明らかに維持をするためにこれらの相当額の資金の投入がなければ転落を阻止することができないという危機に立たされた際に、これらの資金のワクの規制なり、従来の借り入れの実績等からして、その維持の目的を果たし得なかった幾多の事例を私は持っておるわけです。でありますから、何というても零細な農家であれ、あるいは大農規模の農家であれ、みずから農業に精魂を打ち込めて働いておる、今後も農業従事者たらんとしている者が、いろいろな事情で転落を余儀なくされる外的な要因を受けた際には、積極果敢にこれらの融資をもって救済に充てなければならぬという場合に、従来もこの融通法の第三条等が大きな制約をしておる。そこで、三十六年のこの法律改正の際にも附帯決議をあげておったはずであります。今、局長は、その他の資金あるいは金融機関の交通整理等々ともからんでというお話しでありますけれども、私は少なくとも国会のこれらの審議を尊重されるならば、取得資金に八十万なり、あるいは融資の期間の延長なり金利の軽減なりということを考えた際には、他の制度金融の、用途別の資金は別といたしましても、二つの大きな柱になっている自作農維持創設資金融通法の中の一つだけをやや現実に即したような方向に内容を改正することのみに終わって、維持資金については従来の現実からいっては、きわめて不合理な現状というものを附帯決議が上げられ、審議の過程でそれが中心に審議されたにもかかわらず据え置かれているということは、きわめてこれは重大な問題点であると私は考える。少なくともこれらの自作農を維持していくという基本方針に大きな変化がない限りは、これはあるかどうか農地担保の際に伺いますけれども、それが自作農主義がとにもかくにも貫かれているという限りにおいては、これらの農家の実態から出された国会の附帯決議というものは、取得資金に先んじてむしろ二つに分けるならば――もう分けてしまったわけですから、分けた内容においては、特に残された自作農維持資金というものの融資条件は、融資ワクなり、あるいは利率なり、期限というものを取得資金と同じように扱わぬことは、一体どこに理由があったかを、もっと詳しく御説明を受けたいわけです。
#95
○政府委員(松岡亮君) 先ほど来申し上げておりますように、自作農維持創設資金を含めまして、できるだけ条件を緩和いたしたいということは私も同感に思います。ただいろいろな面におきましてたくさんの制度がございまして、また制度金融にいたしましても、やはり時代の変化に即応してある程度変化いたさなければならないと考えまして、来年度におきましては、新しい制度に重点を置いて考えたようなわけでございますが、現在の維持資金の五分、二十年という条件はそれなりに相当いい条件でございますが、それらを勘案いたしまして、まず自創資金のうちの土地取得資金につきまして新制度を作るに当たりまして、特にその条件の改善に努力した、こう申し上げるのが適当だと思うのでございます。もちろん今後におきましても、維持資金につきましてその条件の緩和について努力いたしたいと考えております。
#96
○渡辺勘吉君 すみやかにそれらの緩和の措置をとっていただきませんと、政府が実施されておりますところの農業基本法、これは零細農をいびり出すともいわれております。また所得倍増計画の中でも、おおむね自立経堂百万戸の農家二・五ヘクタールというものを想定して、労働三人として年間農業粗収入百万円というものを農業基本法、あるいは所得倍増計画の中に見受けられるわけです。その二・五ヘクタールの自立経営可能な農家の育成というものを促進するために、維持資金はあまり重点を置かずに、取得資金に重点を置いた、こういう露骨な貧農いびり出しに通ずるものでなければ率いでありますけれども、今のこの融資の条件のアンバランスというものは、どうしてもそういう基本的な政策につながる金融政策であるとこれは言わざるを得ない。そうでないと、零細な農家でもこれまた農業基本法にうたっているように零細なりに共同化を助長していくという方向であるならば、維持自体についてはもっと積極的な金融の政策をとる、そうして共同化に積極的に金融等を通じての促進の役割を果たすというならば、私はこの前の委員会で申し上げましたように、むしろ共同化に対する融資条件というものは、個人に対する融資条件よりもさらに有利な条件で共同化を促進する刺激としての融資というものを政策の上でとらないと、協業化の助長という基本法は、これは看板に偽わりがあるということになってくる。そういう点まできょうここで質問するつもりはございませんけれども、少なくとも転落を防止し、みずから農業経営をやろうとする意欲のある農家に対してはもっとこの維持資金の効率を発掘させるようなことは、繰り返して申し上げますけれども、取得資金以上にこれは十分なる条件を整備していかなければならぬと思いますのに、それが附帯決議は一方にはかなり取り上げられておるけれども、維持資金については全然無視されておる。私は国会に出て経験は浅いのでありますけれども、非常に国会の審議というものは、行政措置には反映する点が少ないのではないかという感じがしてならぬのであります。これは大臣が参りました際に、時間があれば乳価の問題に関連して質問いたしますけれども、そういう感じがしてならない。もしも、この附帯決議はなされたけれども、それを尊重しないというふうにはっきりおっしゃるなら、それなりにわかるのでありますが、決議はわかっておる、わかっておればこれは取り上げられる方向でしょう。なぜ二年もたって自作農維持創設資金融通法というものの大幅な変革が公庫法改正に伴って出た際に取り上げられなかったのか、私はどうしてもこれはすっきりと納得はいたしかねるわけであります。その他の、たとえば果樹植栽の資金なり、あるいは畜産の経営規模の拡大資金なり、これらを一度に三分五厘に整理するということは、これは直ちには至難であったでありましょう。大臣も、かなり御努力された経過に敬意を表するのでありますけれども、しかし少なくとも一つの法律の両面になっておったものの片方は年五分で据え置くということは、自立経営可能な農家育成という方向を転落する農家の前提に立つといえば悪いのでありますけれども、この金融条件では、そう受け取らざるを得ない本質的なものを含んでおるのではないか、このことをくどいようでありますが、繰り返してお尋ねいたしますが、そういう意図があったのかなかったのか。なかったとすれば、今の御答弁では他の融資よりも有利だといいますけれども、他の条件はきわめて不利なんです。不利なものと比べて有利であるということは、これは望ましい条件であるということには一致しない。少なくとも企業としてなかなか成り立ちがたい現在の多くの農業経営の実態から見ますならば、金融利潤を生むに至らない、そういう現状からして、維持資金というものは、もっと条件を大幅に緩和しなければならない。意図がなければなぜ取り上げなかったか、これをもう一度お伺いいたしたい。
#97
○政府委員(松岡亮君) 先ほど来申し上げておりますように、維持資金を含めまして条件の緩和には努めなければならない。その際いろいろな金利体系もあわせて考慮いたしまして、できるだけ条件の改称に努力しなければならないということは、私どもも同じように感じておるのでございます。ただ、新制度を作るということも合わせて考えまして、その際には、これは言葉の問題になるかもしれませんが、同じ制度の中にありまして、自作農の維持ということを共通の目的としてあった制度ではございまするが、土地取得資金、創設資金のほうは基本法の制定以後の実際の農業の情勢からいたしますると、同じような自作農の維持を目的にするにいたしましても、積極的に前向きにむしろ経営の拡大を促進して、より大きな経営を育成することによって、積極的な形で転落を阻止するということもいえるのではないか。むしろ、そういう形で自作農、あるいはさらに進んで自立経営農家を維持育成するということができて参りまするならば、むしろ、維持資金よりも土地取得資金が今後大幅にふえ、そうしてそれが活用されることが望ましいということも合わせて感じたのでございます。いずれにいたしましても、条件の緩和には今後も努力いたしたいと考えるのであります。
#98
○渡辺勘吉君 いずれにしても条件緩和については、今後特段の配慮を加えるということでありますから、これ以上は、大臣も見えたからさらに大臣から大局的に御答弁を願うことにいたします。で、私はこの取得資金のこの程度のものに目くじらを立てて申し上げるわけではございません。それは午前の安田委員の質問にも答弁がありましたように、百五十億という融資ワクで収得される農地は四千九百ヘクタールということでありますから、それはそれなりに現実に動く形の中で出てくるケースでございましょう。ただ問題は、その農地を取得するという場合、既耕地を取得するということで、これだけの四千九百ヘクタールを対象として百五十億の資金ワクを設定されたのでありますけれども、たとえば選択的拡大と称する畜産なり、あるいは果樹なりというものを目途にして経営規模を拡大するという場合、その前提として開墾地というものが出てくるわけでありましょう。放牧採草地の取得という従来の国有林野の造成という問題も出てくるでありましょう。それが同じ土地取得の中でも、きわめてみみっちい位地づけに終わっている。融資ワクはわずか十億である。これはまだ本院をあげておらぬのでありますけれども、開拓老資金融通法における審議にも明らかなように、開拓営農振興審議会は、今後の開拓行政のあり方として、農耕適地である国有林についてはこれは開放することを政府に答申している。そういう前向きな土地取得というものが答申に出ておりながら、政府の方針はほとんどこれを受けておらない。今の農業構造改善資金の融資ワクについても、既耕地に対しては百五十億という融資ワクを持ちながら、開墾地に対してはわずか十億ということでは、私は国内の自給度の向上ということは期せられない。それだけではなくして、ますますアメリカからたとえば乳製品等は国内生産の四割四分に当たるものもどんどん輸入をするという計画が三十八年度に現われておる。そのアンバランスの点は非常に問題だと思うのですが、その点についても原案で出ておる。この点は一体いかがにお考えになりますか。
#99
○政府委員(松岡亮君) 土地取得資金のうち、既耕地につきまして百五十億、未墾地に十億のワクを設けたのは、ただいま御指摘のとおりでございますが、未墾地は従来の離村資金は取得資金では認めていなかったのでございます。で、今回積極的な意味を持たせて、新しく未墾地に対してもこの長期低利資金を同様に貸し出すという制度を設けた点をまず御了承いただきたいと思います。ところで、それならば未墾地に対して個人あるいは協業体が取得して開発し、そこに果樹園を作るとか、桑園を作るというようなために、どれだけの資金の需要があるかということは、これはわれわれもいろいろ検討いたしたのでございますが、実を言うと的確なデータがなくて、なかなかそれがどのくらいの需要額であるかということを測定することは、困難であったのでございます。従来の実態等から考えますと、むしろ十億より低いのではないかということも予想されたのでございますが、積極的にそういった新しい果樹園の造成とか、そういうことを促進する意味で十億円のワクを設定してみた、こう御理解をいただければいいのではないか、かように考えているのであります。
#100
○渡辺勘吉君 これは農業構造改善事業に対する基本的な体制自体からきておる問題でありますから、融資のワクがこういうきわめてアンバランスであることも当然想像されるわけであります。でありますから、農業構造改善の生産基盤の整備というだけではなしに、整備開発ということが構造改善事業の基本的な姿勢でないから、こういうふうなためしに十億出してみたというくらいでお茶をにごすということになるわけです。ですが、現実に山手地帯の農村では農業構造改善事業の主産地形成ですか、われわれから言えば営農団地の形成でありますが、そういう立体的な経済構造を新たに作っていこうという場合においては、何としても生産基盤の開発というものが、先決的に解決されなければ、その地域の構造改善事業というものが出てこない。ところが、そういうものはケース・バイ・ケースで地方にまかして、計画の中で上がってきたものを多少チェックしてまあ認可してやるというようなかまえ方であるから、土地取得についても既耕地については百五十億、未墾地に対しては十億というようないいかげんなことになってくる。これは繰り返して言いますけれども、山手地帯に行けば、こんなことではとうてい構造改善の事業にはならないわけです。そういうものをもっと基本的な姿勢から融資の内容まで整備をしていきませんと、その地帯における構造改善は真に農民の解放の線にはつながらないということになるわけです。
 次に、これはこの構造改善資金のワクの中で出ておる問題でございますが、沿岸漁業の構造改善、これが十億予定されております。これも衆議院における楢崎委員の質問と重複を避けて一点だけ伺いますが、この沿岸漁業の構造改善というものは三十七年から、三十六年は調査時期で三十七年からこれが宮城県、京都府、愛知、山口、長崎、この五県に対して実施をしておる。それに対して補助事業四億で進めているのだ、こういう御答弁であったのでありますが、その三十七年度のこれらの五県に対する構造改善の実施のもっと具体的な内容をお伺いいたしたい。ということは、お聞きしたいのは、この三十七年度に沿岸漁業の構造改善をやったこれらの宮城県以下長崎県に至る五県の漁業構造改善の融資なり、その他の条件がどういう条件で出ているかどうかがお聞きしたい中心であります。その点をまずお聞かせ願いたいと思います。
#101
○説明員(立川基君) 三十七年度の構造改善事業につきましては、その進捗状況その他につきましては、後ほど水産庁の次長なり、あるいは漁政部長が参ると思います。現実に貸し出しがおそらく三十七年度につきましては、十二月末までにはおそらくないのではないかというふうに推定されます。
#102
○渡辺勘吉君 いつからこれは実施しておるのですかとお聞きしたら、三十七年度はこの五県がやっている。私は前に水産庁のほうから出てもらうことをお願いするのを忘れておったので、それじゃ見えてからにいたしますが、それではこれと関連あると思うのですが、実際この沿岸漁業の構造改善は、契約をし事業がスタートしているのでしょうね。その大まかな点はわからぬのですか。そうして四割補助事業に対して融資残借り入れなり、あるいは単独融資事業なりというものが、それぞれスタートを切っていると思うのですが、そのおおよそはおわかりじゃないのですか。それがわかれば、水産庁は見えなくてもいいのです。
#103
○説明員(立川基君) 私の了解している限りにおきましては、三十七年度から実施する予定で計画を立て、本省で認定なり認証を出しておりますが、その認定なり認証なりの事業につきまして具体的な貸し出しというものは先ほど申し上げましたように、十二月までには、国庫からの貸し出しはないというふうに伺っております。後ほど参りますので……。
#104
○渡辺勘吉君 後ほど水産庁長官なりが見えたらその点を具体的にお伺いしますが、問題は三十七年度に事業に着手をしなければならぬことでしょう。十二月まででスタートしなくても、三月までにはこれは進まなければならぬものでしょうね。それから農業構造改善だってかなり無理がありますね。末端に行ってみると。これは私が参りました村は、三月二十二日に指定がおりて今月末までに三省協定をして事業開始をしなければならない、こういうことできており、八日間にこれを格好をつけるために、たいへん心労しているのが実態である。だけどここまで押し迫って今さらどうこうということを言えないので、無理につじつまを合わせるために、お互いがやっさもっさしているというのが実態ですね。その場合にそれらの構造改善の指定団体、事業実施団体というものが、従来の条件で融資を受けるというような場合があるわけです。これが、新しい法律になって、新しい条件で融資されるというのが四月一日以降になる。なお、今、松岡局長が言うたように、維持資金についても近い機会にアンバランスをバランスして、金利も取得資金と同じように適正化をするし、ワクも実態に即応するように拡大するし、融資の機関ももっと実態に即するように延長するということが、三十九年度から実施されるものと期待します。そうした場合に、早く維持資金を借りたために、きわめて不利な借り受け人と、新しく条件が緩和された立場で融資を受ける農家とでは、今後二十数年にわたって大きな差等が出てくることが心配されるわけであります。これも衆議院でかなり論議をし尽くした経過がありますから、結論だけ伺いますが、そういう場合には、同じ条件で借り入れてあった既存の融資条件というものは、新しく設定され、改善された条件に遡及してこれを緩和するというふうに理解してよろしゅうございますか、どうですか。
#105
○政府委員(松岡亮君) 通常融資制度の改正が行なわれました場合に、通常は改善された条件を遡及して適用するということはないわけでございます。これはそういうことをやっておりましたら、もういつまでもそういう状態で、繰り返し繰り返しもとにさかのぼらなければならないということで、とうていできることではないわけでございますが、構造改善事業計画に基づいてやっておりますことは、これはまあ政府といたしましても、一定の事業の認定をやりましてそれを推進するという立場にありまするし、補助の関係にいたしましても、全体の指定された条件の計画が公平な補助率で行なわれるように配慮をしておるわけでございまするが、同様に、融資の事業にいたしましても、その間に不均衡がないようにいたさなければならぬと考えるのでございます。で、幸か不幸か、農業構造改善事業にいたしましても、沿岸漁業構造改善にいたしましても、指定がおくれており、融資関係の事業はまだ始まらないのがほとんど全部と申してよろしい。補助事業関係が若干始まっているということで、農業のほうは三カ年間、漁業のほうは五カ年間に所定の計画を完遂するということで、三十七年度、昨年度には融資関係に着手してないのがほとんどのようでございます。そういうことでございますから、三十八年度の新条件による融資を行なうことができると考えておるのでございますが、もしも、その間に例外的なものがあるとしまするならば、その間の不均衡がないようにいたしたいと考えております。
#106
○安田敏雄君 関連。この沿岸漁業構造改善事業推進資金十億円、これは漁港の構造改善には、基本施設と機能施設というのと二つあるわけですね。これはどちらのほうに比重を置くのか。そしてまた同時に、節一種から第四種まで漁港があるわけですね。そのどの漁港を中心に考えているのか。その点をお尋ねしたいと思います。
#107
○政府委員(松岡亮君) 沿岸漁業構造改善は、漁港の改良とはまあ別な関係でございます。それから漁床設置事業とも関係いたしておりますが、まあ漁業経営の近代化施設を中心にいたしまして融資する、こういうものでございます。
#108
○安田敏雄君 そうしますと、機能施設といいますか、そういうもののために融資するわけですね。
#109
○政府委員(松岡亮君) ちょっと今聞き漏らしたのですが……。
#110
○安田敏雄君 機能施設、たとえば例をいうなら漁港の防波堤とか、岸壁とか、そういうものを改称する場合のやつは、これは基本施設、そうでなくてその他のものですね、たとえば何といいますか、漁業を推進するためにいろいろ機能があるわけですよ、そういうものを推進するための施設、どちらに重点を置くのか。
#111
○政府委員(松岡亮君) 先ほどの私の説明、ちょっと間違っておりましたので訂正いたしますが、漁床設置と申しましたけれども、漁港改善はこれ以外、漁床設置はここに入っております。
 それから今の御質問ですが、機能施設、たとえば漁港の無線通信施設というものはここへ入っております。漁港は別でございます。そういうように御了承いただきたいと思います。
#112
○安田敏雄君 その他この漁業労働者の生活環境をよくするような厚生施設というようなものは入らないのですか。
#113
○説明員(立川基君) 私が承っておる範囲内では入ってないと思います。
#114
○安田敏雄君 これはまた漁港法のところでやります。
#115
○渡辺勘吉君 そうしますと、私の質問に対しては、農業構造改善についてはレァー・ケースがあった場合には遡及等も考える、幸か不幸かといえばこの場合は幸でしょうね、マンマンデーのおかげで、融資をしなかったから、一気呵成に新しい制度にこれが乗ることになったから、これはたいへんまあ仕合わせなことでしょうね。ただ、私が非常にとらわれますのは、農業構造改善に関する限りはということではいかぬじゃないかと、少なくとも今言ったような、抽象的なことではなしに、具体的に維持資金というものがきわめて従来の国会の論議における点も反映されてない、どうしてもワクもふやしてもらわなければ、不時の災害のときに、いざ融資をする、天災法の対象にするといっても、もう借り入れられないという実態に陥っている。また、金利も非常に負担しがたい金利である、そういう維持のために……、災害を受けた農家です、また、条件もきわめて苛酷であるという実態が取り上げられないままに、取得資金だけがやや現実に即応した内容でまかり通るということになれば、いずれ近い機会に維持資金も考えるという御答弁でありますが、その考える一カ年の間に、維持資金を必要とするものが遡及しないということになれば、次の法律改正を待つまで維持資金の借り入れを仰がないために、いろいろな問題が惹起される。それを未然に防ぐためにも、少なくともこうしたような維持資金等については、取得資金と同等に、国会の決議を尊重して、できるだけ近い機会に整理をする、足並みをそろえるということが、遡及してさらに適用するという言明がなければ、末端では遡及しないことによる混乱、近い機会に改正されるという時点を中心としての混乱が起こるわけであります。一般について遡及などということを拡大して私は申し上げないにしても、少なくとも自作農維持創設資金という大きなワクの中で処置されておったものの、片一方のものが合理化を国会で決議をしているにかかわらず顧みられないという点、は手おくれであるけれども、次の機会には合理化をする、その手おくれの期間については遡及を何らかの方途で講じるということがなければ、私は行政的にも三十六年の十月臨時国会で附帯決議をされた趣旨を農林省は尊重しないというふうに考えざるを骨ない。もしもそういう点すら考えられないとなれば、これは国会における審議なり、また審議を通じて明らかにし、それが答弁の中に現われていることが、その場限りで弊履のごとく捨て去さられるとなれば、これは重大な問題でありますから、この点についてはさらに農林大臣なり、場合によっては総理にもこれはたださなければならない。具体的な問題を中心としてのこれは問題になるわけであります。拡大して取り上げておるわけではないのでありますが、今の維持資金について、すみやかなる措置を次の国会等で措置した場合に、手おくれになった期間の遡及ということは考えられないかということを、重ねてお尋ねをいたします。
#116
○政府委員(松岡亮君) たいへんむずかしい御質問でございますが、維持資金の条件の改善の努力をいたして参りたいと思いますが、どういう結果を得られるかということをまだ決定を見ない段階におきまして、そのことについて遡及して適用するということを申し上げるのは、私としてはとうていいたしがたいところでございます。特に金融制度のいろいろな条件というものは、何と申しましても、これをさかのぼるということはごく例外のものでございます。そういうことは私としてはちょっとここではっきり申し上げることはいたしかねる次第でございます。
#117
○委員長(櫻井志郎君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#118
○委員長(櫻井志郎君) 速記を始めて。
#119
○渡辺勘吉君 それではこの問題は後刻大臣が参ったら大臣にも少しお伺いをすることにして、次に進みます。
 次に進む前に、水産庁からお見えだそうでありますから、簡単にお答えを願いたいのは、この沿岸漁業の構造改善ですね、これが今度公庫資金として十億の三分五厘の融資ワクの設定があるわけです。この沿岸漁業の構造改善は三十七年度は宮城県から長崎県に至る五県が三十六年の調査を受けて設定されて、四億の補助事業としてスタートをいたしたと承っておるのでありますが、それが現実にどうなっておるか、私のお聞きいたしたいのは、万一早くこれがスタートして、この法律改正以前に融資等が設定された場合問題になるということを聞きたいので伺うのです。それらがすでに融資まで取引が出ておるのか、幸いにしておくれたために出ておらなければいいのでありますが、その点を含んでお答えを願いたい。
#120
○説明員(和田正明君) 三十七年度はただいまお話しのように宮城県以下五地区で構造改善事業を開始したわけでございますが、金融の面は補助事業と別に計画を提出させることにしております。つい数日前に県の計画を承認したばかりでございまして、まだ従前の金融措置は動いておりません。これから……。
#121
○渡辺勘吉君 それでは次に、時間がありませんから非常に浅い質問で恐縮でありますが、問題がかなりありますから次に進みます。
 大臣にお伺いするものと重複しないようになるべく整理してお伺いいたしますが、これは金融機関の交通整理という大きい問題の中の内容に入るわけですけれども、今度の公庫法改正によって、取り扱いの対象になる農業構造改善資金の融資の制度でございますが、農業構造改善事業については三十六億が三分五厘の資金である。しかも一つの基準としては例の一億一千万、そのうちの九千万が補助事業で、二千万が単独融資事業である。その九千万のうち土地の基盤整備事業の三千六百万は別として、経営近代化施設設置事業に五千四百万、これに対して十一億の三分五厘の融資をする、また融資単独事業二千万のうち土地基盤整備を約八百万と見て、残額の一千二百万について二十五億の三分五厘の融資をするということでございます。全体が三百億あるうちで、三分五厘はわずかに三十六億しかない。土地基盤整備事業の補助残融資なり、あるいは融資単独事業の土地基盤整備下葉は、これは何分でどういう条件になるわけですか。
#122
○政府委員(松岡亮君) 土地基盤整備のうち既補助が二億円でございまして、これが三分五厘。それから補助事業が十五億円でございまして六分五厘でございます。
#123
○渡辺勘吉君 たとえば私がこういう一点を伺っても、局長は課長からデータをすぐ見せてもらってしばらく読んでからでないと答弁ができないほど、非常に錯雑分岐した今度の制度である、私はここに問題があると思う。あなたのような頭脳優秀な局長ですら暗証をできないような、何が何だかわけのわからぬような、きわめて権威のあり過ぎる複雑多岐な融資条件であります。もっとそのものずばりに、償還期限もいろいろあります。二年刻み、五年刻み、融資にしても三分五厘から、四分から、四分五厘から、五分から、五分五厘から、六分から、六分五厘、しかも近代化資金あり、公庫融資あり、おまけに近代化資金に銀行や信用金雨というような異質の水に油をさすような無理なことを考えておる。交通機関の整理は、これは大臣から承りますが、この金利がまちまちで、条件がまちまちで、まあリンゴがは十年からなければもげないから、十年の据え置きとかいろいろありますけれども、もっと大ワクを設定して、金利は三分五厘に統一して、償還期限、据置期間等は、いかに政策金融といえども、ケース・バイ・ケースで一つの大きなワクの中で、同じ畜産にしても立地的な条件の相違というものがある。また償還時期というものも形式的に六月、十二月などということじゃなしに、その農家の農業経営の実態に即してもっと毎年の償還をきめるとか、そういう大きい立場からの条件というものを設定して、その大ワクの中で改良普及員なり農協の営農指導員なりが十分農家の、あるいは共同施設の経済効率というものをにらみながら、実態に即してその限度の範囲内で融資条件を設定するという交通整理ができないのかというのです。その点をまず基本的な態度としてお伺いをいたします。
#124
○政府委員(松岡亮君) 今のお尋ねの点はごもっともな点でございまして、どうもますます複雑化する傾向がありまして、貸し出す農林公庫の人もなかなか覚えられない、こういうような状況になって参っておりますので、これの簡素化については、早急に研究に着手いたしたいと考えております。
#125
○渡辺勘吉君 これは私から申しますと、この補助事業の基盤整備、これは考え方がかなり食い違いますから、すれ違いになるかもしれませんけれども、農道整備というような基盤整備一つを考えても、これはこの前の委員会でも取り上げたように、その性格は公道である。普通の乗用車も通れば、決してハンドトラクターだけが二車線道路として使うだけでない。五・五メートル幅の農道は、これは公道である。そういうものを普通交付金を上積みをして二割を県が助成するとしても、なお三割も農家が負担をするということは、これはきわめて過酷な条件である、そういうふうに考えます。それに対しても、あと県がさらにプロパーで一割を上積みするなり、なお当該市町村で二割の上積みをするなりして、そうして少なくとも再区画整理なり農道の整備というものは、農民には負担をかけないでこれを実施するということがなければ、農家としてはこれは経済効果という点からいってソロバンが出てこない。そこで、そこまでもしも実現しかねた場合には、借り入れあるいは自己資金でまかなわなければならぬのでありますが、そういうものについて、補助事業の基盤整備については三分五厘で少なくともいかないと、これは間尺に合わないということになる。また沿岸漁業の漁船整備にいたしましても、また協業促進にいたしましても、農業よりもさらに劣悪な客観条件のもとに締めつけられておる零細な沿岸漁民、これを前向きに解決していくためには、五分五厘なり六分五厘ということでは、とうていペイしない。したがって、こういう沿岸漁業の漁船整備にしても、協業促進にしても、これは三分五厘というような今農業構造改善事業の中心として新しく設定された条件というものに歩調をそろえさせないと特に、私は、沿岸漁業の改善にはならない。金額はしかも八億と二億であります。やってやれないことはない。やる気がなかなかないから出てこないわけです。構造改善三十六億に対してはわずかに十億であります。資金の総ワクもきわめて低いし、金利の条件もきわめて不利である。実態は農業構造改善以前に経済的に位置づけられておるようなこの零細な沿岸漁業の制度融資としては、非常に現実的に過酷であると思うのですが、こういう問題、あるいは畜産経営拡大資金でございますが、これも六分と五分五厘という設定になっております。島根県の大東町で調査をした酪農家の実態から見ましても、どうしても従来の融資条件というものをさらに大幅に緩和しなければ、今の与えられた条件の中では酪農が借金を返す力が出てこない。これは役場で調べたデータが雄弁にこれを物語っておる。そういう事態に即して、政府は真に畜産なり果樹というものを拡大していく意図があるなら、これこそ融資についても十分採算がとれるような条件を整備して、金利を三分五厘にやはり整理し、正しい融資の条件等はその作物なり立地条件なり、農家の営農の実態に即してそれを設定していくというような方向で、一々質問してもはっきりとお答え願えるように、末端農家もとにかく三分五厘というもので、条件は、据置なり償還というものは、それぞれの与えられた条件の中でこれを具体的に融資条件の中に設定されるというふうに、将来これは、今度の法律がそういうばらばらであるにつけても、内容は将来そういうふうな方向で整理をしていただきたいと思うのですが、そういう点について局長どうお考えですか。
#126
○政府委員(松岡亮君) 御指摘になりました点は、私ども感じておるところでございます。やや複雑化してなかなか借りるほうも貸すほうも不便である、覚えにくいし、いろいろそれぞれの理由はあるにいたしましても、複雑化しておるということについては、これは両検討すべき点が少なくないと感じておるのでございますが、同時になおできるだけ簡素化して、改善された条件で統一するようにというお話でございますが、一面農業の金利はどれくらいが妥当であるかということは、非常にむずかしい問題でございます。いろいろなファクターがございまして、それを一片のまあ連立方程式で解決するというような、なかなかそういうわけに参りませんので、私のほうとしましては、一昨年も実は学者や専門家の方々にお集まりいただきまして、どうやって適正な農業金利を定めていくかというものの考え方、及びその方法論につきまして、御相談したことがあるのでございます。結局、結論を得なかったようなわけでありまして、世間でも、何が適正金利であるかということについて明確な答えを出した方は、おそらくないと存じますが、そういうこともありまして、どのぐらいでできるだけ統一していくかということの目安は、はなはだ困難でございまするが、できるだけ整理して簡素化していくという方向で検討して参りたい、かように考えるのであります。
#127
○渡辺勘吉君 この私の要請というものは、かなり実現をしていただくには容易じゃない内容を含んでおると思います。つきましては、何といたしましても、公庫の資金吸収コストというものを低く押えていかなければ、解決ができない問題でございましょう。したがって、こういう私の希望に沿うていただくためにも、何としても公庫に対する政府出資というものが、かなり大幅に投入されるということがささえられないと、解決が出てこないとます。考えます。
 そこで、それとの関連でお伺いをいたしたいのでありますが、三十五年の十二月に所得倍増計画が出たわけであります。その際の行政投資、これが従来の実績をふまえて、三十六年から四十五年までの十カ年に対して、十六兆一千三百億というものが考えられ、この十六兆一千三百億の中で、農林漁業、農林水産に対する公共ベースの行政投資というものが、一千四十二億というものがはじき出され、その中に公庫資金等政府管掌の金融機関に政府資金の投入が考えられておるわけであります。これは午前の安田委員の質問に関連いたしますが、期待する公庫のそうした長期低利の融資をさらに徹底するためにも、こうした長期見通しに基づく農林水産の行政投資というもの、そういうものの中に、年次別にとやかくはむずかしいということは、衆議院の委員会でも御答弁になっておりますから、これは伺いませんが、今少なくとも再検討されておるように伝えられておりますが、とにもかくにも池田内閣の一枚看板である国民所得倍増計画というものの中で、一体昭和四十五年までの十カ年に、どれだけの財政投資を、特にきょう提案になっておる農林漁業金融公庫に政府が出資をするのかという長期の展望というものは、農業構造改善が十年で全部完了すると農政局長は言明しております。また、漁業構造も、十年を目途として四十地区を全部完了するということであれば、それらをふまえて、この公庫の長期低利の融資をするための政府の出資というものが、一体どれだけを考えておるのか。そういう構造改善事業の十カ年計画というものに対応する長期の政府出資の展望というものをお聞かせ願えませんと、こういう問題が今後さらに拡大して、期待する方向に解決されるということは納得がしにくいわけでありますが、その点をお伺いいたしたいと思います。
#128
○政府委員(松岡亮君) 所得倍増計画で産投として計上されました行政投資の見通しの中にも、農業関係があるのでございますが、これは御承知のごとく、あくまでも非常に大まかな見通しでございまして、その中には、いわゆる財政投資、つまり直接、政府資金を土地改良などに補助金として出す、あるいは国営事業で使うというような性格の金も含めました財政投資、いわゆる公庫から出しますような財政融資というようなものをいろいろと含んでおります。しかも農林漁業全般にわたりまして、それの伸びを経済の成長率というような角度から、あるいは貯蓄率というようなものから割り出してきた数字でございます。これを各年次にわたってブレーク・ダウンしていくということは、とうていいたしがたいわけでございますが、私どもといたしましては、今回の新制度を作るにあたりまして、相当大幅に政府の出資を増額したのでございます。したがいまして、この政府の出資を将来にわたって確保できるかということは、新制度を作ることの一つの眼目であったわけでございます。ただその場合に考慮をいたさなければなりませんのは、構造改善事業のような政府計画というものは、比較的明確な形ででき上がっているものは、割合に将来の見通しが立ちやすいわけでございますが、たとえば漁船でありますとか、あるいは共同利用施設といったようなものを、今後どういうふうに伸ばしていくかということは、なかなかこれは具体的な推定がむずかしいのでございます。結局、政府出資は、農林公庫全体の収支を見合わして考えなければならないわけでございまして、五カ年後、十カ年後にどれだけの政府出資が必要かということを考えますると、そういったいろいろな性質の異なった事業が多くございますので、全体として総合計画を立てるというところまではいかれなかったわけでございます。しかし何としても、今後大幅な政府出資の増加を必要とする、また、そのために大いに努力しなければならぬということは、私どもも御指摘のとおり考えておる次第でございます。
#129
○北村暢君 関連して。私突然であれですけれども、今の問題に関連して。政府出資のものは、従来も公庫の資金内容を低利に持っていく、資金コストを下げるためには、政府出資が一番いい、無利子でありますから。したがって、そういうことが要望されて、ことしは二百二十億ですか、くることになっておるようですけれども、これは実際は毎年定期的に必ずしも計画的にくるというのは実績においてもないわけですね。ゼロの年もあるし、くる年もある。まあこういうことなんで、今おっしゃったように、農業構造改善事業というものが非常に計画的に、しかも、内容のはっきりしたもので今後行なわれるのですから、そうであったとするならば、財政投融資計画というものは、一般会計とは違って、単年度ではなしに融通性を設けて、そして運用ができるというところに、この財政投融資計画ということで実は運用面をうまくやっていく、こういうことから、この財政投融資計画というものが、国会の議決案件ではなくして、報告案件ということになっておる。したがって、今、局長のおっしゃるようなことであれば、私は、この公庫の資金内容を充実する意味からいっても、ある程度の計画性と見通しというものがあっていいじゃないか、こう思うのです。したがって、まあ昨年とことしではだいぶ違うのですし、それ以前においては、ややしばらく政府出資金というものはなかった。そういうような点から今おっしゃった説明では、何だかわかるようなわからないような感じがいたします。それと同時に、政府出資だけでなしに、預金部資金から借りる金もないわけではないわけですね。それと、もう一つは、現在打ち出しております低金利政策ですね。公定歩合もこの間から一厘また下がったわけです。それで国際金利に持っていくと、まあこういうことなんですね。したがって、この低金利政策と農林金融の金利というものが、私はやはり関連して将来考えられていかなければならないじゃないかと、こう思うのです。したがって、そういう面の計画性というものは、どの程度見通しをもっておやりになるのか。この点をもう少しはっきり御答弁いただきたいと思うのです。それと同時に、そういう長い計画をやっておられるのかどうか、私はわかりませんけれども、当然私は、今後の問題としてやはり考えられなければならないじゃないか、こう思うのです。この点をまずひとつお伺いしたい。その御答弁によってもう一つお伺いしたいと思います。
#130
○政府委員(松岡亮君) 最初に、従来の政府の出資が浮動して多少起伏があったということは事実でありますが、これはやはり毎年度相当量の出資が行なわれておりまして、いまだかつてゼロであったというようなことはないのであります。毎年継続的に相当量が出資されて参っておるわけでございますが、今後については、確かに構造改善事業のようなものは、かなり明確な継続性をもって将来を想定できるわけでございますが、どうもその他の資金になりますと、特に漁船とか、そういうものにつきましては、これはなかなか見通しが立てられないというようなことで、非常に大ざっぱな従来の伸びをそのままトレンドして伸ばしていくというような程度の見通しにならざるを得ない。それで農林公庫全体としては、かなりの計画性をもって想定できるものと、想定できないものと、こう分かれてくるわけであります。全体の収支の状態は、回収金などは、相当ふえて参っておりますので、それらも考え合わせますと、明確な形で計画というような姿で出すことは、かなり実はそれが誤差を生ずる可能性が今後にあるというように私どもは思っておりまして、実はそういう計画というものは立てていないわけなんです。
 それから第二の点でございますが、低金利政策との関係でございますが、これはまあ私も専門家でありませんので、なかなか申し上げにくいことでございますが、今回の公定歩合の引き下げが、しばしば行なわれておるような公定歩合の上げ下げ、つまり、景気調整を目的とした公定歩合の引き下げや引き上げとは異なって、日本の産業の国際競争力を強化する上で最も大きなガンになっております高金利の是正というような趣旨で行なわれておるとしますならば、そういった意味の低金利政策については、農業も同様に考えて、国際競争力強化の上で、今後も同じように一そう金利引き下げの方向で措置していかなければならない、私どもはそう考えております。
#131
○北村暢君 この低金利政策の問題は、国際金利にさや寄せする、こういうことですが、一般金利と農業金融というものの金利のあり方の問題ですね、これは農林金融には、たまたま三分五厘という資金があるわけですね。そういうものがほかの産業にもざらにあるという問題ではないと思うんです。したがって、その一般金融の金利と農業金融というものの金利のあり方、それが一般の低金利政策というものとどういう関係にあるか、今、経済局長のおっしゃる、低金利政策で下げる方向へいきたいというけれども、その下げる方向へいくというあり方の問題が、そういうほかの産業の金融金利というものとどういう関連を持っていくか、こういうことが実は一つの聞きたいところです。
 それからもう一つは、今お話がありましたように、農業構造改善事業というものはある程度明確だ。しかしながら、ほかの農業金融全体からいえば、これは伸びたり縮んだり、その年々によって違う、これは確かにそうだ。したがって、私は、農業構造改善事業というものが、十カ年でやります三千百の指定地域というものは、農業全体から見て、面積的に一体どの程度の改善事業が実施できるのか、これは私はあまりそうべらぼうな地域にわたってできるとは考えられません。ごく一部分だろうと思うんですね。これは構造改善十年間の計画でどの程度の、これはばく然としたものでいいと思うんですけれども、構造改善事業として実施されるか。それじゃ、その大部分のものが、その差というものが非常に大きくなって、実施指定地域と、指定地域でないところと、非常に大きな格差になって出てくる。しかも、構造改善資金は金利においても有利でありますね、指定地域は。指定地域以外は不利であるわけです。したがって、そういう面からいくと、農業金融全体の中で計画性を持った農業構造改善事業、これはある程度の見通しもつくが、それ以外の大部分のものというのは、見通しがつかないということになる。したがって農業近代化資金なり、構造改善事業なり、いろいろな金融が組み合わさって実施されるのだろうと思うのですが、総体的にいって、私はやはり資金量というものは相当これは大幅に拡大しないというと、構造改善事業というものは、それだけにとどまって、ほんとうの意味における日本の農業の全体的な構造改善にはならないのではないかと、こう思うのです。そこで聞きたいのは、今、計画性はなかなか立たぬと、こうおっしゃられたのでありますけれども、計画性が立たないのでは、日本の農業は私は改善できないのではないか。金融の面で全然計画がないということになれば、私は、農業全体の構造改善というのですか、貿易自由化に対抗できるほんとうの意味の日本の農業の体質改善ということはできないのではないかと、こう思うのです。その点について、そういう計画性のないもので、国会でそういうふうな答弁をされて、それで済むのだろうかどうかということについて、非常に疑問を持たざるを得ない。これは農政局長と経済局長と、両方から、ひとつどんな考え方を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
#132
○政府委員(松岡亮君) 最初の一般金融との関係において、低金利政策との関係でございますが、この点については、外国の金利、国際金利と、それぞれの国の国内金利、しかも農業の金利というものとの関係をまず考える必要があると思うのでございます。どうも私どもの知る範囲では、外国ではかなり一般金利水準が低い、それ自体低い。したがって農業金利と一般金利とは、それほど差がない。これは低いことは低いようでありますけれども、一般金利よりも低いようでありますけれども、日本におけるような差がない。しかし、日本の場合に農業金利が低いのは、制度金融の面において、一般金利に比べてかなり低くなっている。これはまあ他の国の農業金利に比べても、そう著しく高いということではないと思うのでございますが、これは制度金融に限られた面で、農業金利一般としての水準は、やっぱり一般金利が高いように、今、かなり高いというように考えられますので、やはり一般の農業金融という面での引き下げの努力、それは系統金融を始め、その他の面で、いろいろ合理化の努力も必要でありましょうし、制度金融自体から、それに対して推進を加えていくということも必要ではないか、そういうように考えるのでございます。
 それから第二の点につきましては、農政局長からもお答えがあると思いますが、私どもとしても、これは特に制度金融については、できるだけ計画性を加味して運営して参ることが望ましいということは、御説のとおりでありますが、しかしながら、二画、その計画性というのは、継続費のようにがっちりした計画として立てていくことはなかなか困難である。特に農林公庫の関係は、それぞれの資金が他のいろいろな事業に従属しているということでございます。構造改善事業しかり、あるいは林道、造林しかり、これはすべて一般予算で決定される事業量に見合った金融をきめていくわけでございます。その方面の長期の計画性が立てられて参りますならば、農林公庫の金融の全体の計画性もかなり高まってくると、かように考えておるわけでございます。
#133
○政府委員(齋藤誠君) 構造改善事業における今後の計画性をどのように見ておるかと、こういう御質問だと了承しますが、私どもの今度の内容としましては、一応の計画を持っているわけでございまして、一町村二千万円を融資事業と考える。したがって三千百町村でございますから、六百二十億というものが、十年間における融資事業として考えておるわけであります。そういう意味ではどうもなさそうで、先生の御意見は、要するに全農業を構造改善するのには、どのような資金量が想定されるかということでございまして、これは、この前所得倍増計画で一応試算したような金額もございますけれども、今回の構造改善事業を全農業についてやった場合に、どのようになるべきかということにつきましては、遺憾ながらまだそれまでの計画性を持っておらないのでございます。将来だんだんこの事業が進展して参りました場合に、それを手がかりに、どのような計画を立てていくかということも若干可能であろうと思いますが、むしろ現段階におきましては、計画の先に立って、そのような事業が全面的に扇のように末広がりにどんどんと進んでいくということを、まず目安を立てることが必要ではないか。その上に、だんだんと事業の計画も立っていくと、こう思っております。
#134
○北村暢君 農政局長に。それでは構造改善指定地域の、一般地域のこれの年度、ここ一、二、年は初期ですから、これは標準にならないと思うのですけれども、標準にすれば、一年間に一体どの程度の地域というか面積的なものができるのか。それで十年間にほんとうの構造改善事業という形で計画されているものは、六百万町歩の農地のうちで、どの程度大体できるのか。それ以外のところはどんなものになるか、そこら辺のごく大ざっぱなところをお伺いしておきたい。
#135
○政府委員(齋藤誠君) 大ざっぱな見通しで御了承をいただきたいと思いますが、今一般的こ行われております実績が、必ずしも今後における見通しにはなりませんけれども、昨年度百七十四カ村について、面積的にみますと大体一地区が約二百一十町歩平均ぐらいになっております。それで一町村で大体三地区ぐらいになっておりますから、それを単純にやれば、七百五十ヘクタールぐらい。そうすると、今一町村の耕地面積が、平均しまして、これも大ざっぱでございますが、約千七百町歩と、こういうことになるわけでございます。しかし事業の中には、数町村にまたがるような事業も考えているわけでありまして、たとえばマンモス選果場というようなものを考えれば、その受益地は、ある意味においては、二カ村あるいは三カ村にまたがるというような場合もありますので、面積的に押えるということは、土地基盤整備事業のようなものについて考えました場合には、今申し上げたようなことになりますけれども、それ以外の、つまり選果場であるとか、あるいは集乳の処理施設であるとか、こういう施設の受益地域ということになると、これは一町村のこともありますし、あるいは大型のものもあるし、数カ村のこともある。ですからそれを面積でどうということについては、押えにくいものもあるということを御了承願いたいと思います。
#136
○北村暢君 そこで、そういう意味でいけば、地域は非常にとりにくいと思うのですけれども、一億一千万のうち四割は大体土地改良でしょう。したがって農道も入りますけれども、農地集団化なり何なりの実施せられる面積というものは、大体わかっているのですよ。その集乳地域のとんでもないところまで入れて構造改善できましたという、これではないと思うのですね。したがって大型機械を入れて機械化していくものが一億一千万のうち約四割程度の資金を使ってやるということになれば、構造改善のできる地域的な面積あるいは今後草地造成というようなことで山林もそういうふうに変わっていくという不確定要素は確かにあると思うのですよ。しかし大ざっぱに見て、土地改良事業というものが、どの程度の面積にわたってできるのか、大型機械を入れる。今指定地域のことを聞いているのですから、これくらいのものはあっていいんじゃないかと思うのです。六百万町歩のうちどの程度今年の十年間の千百の指定した中で、それじゃ集乳地域だとか何とかいうことでなしに、土地改良としての四割程度をやる、土地改良というものがどのくらいできるのか。これは計画の範囲ですから、平川部と傾斜地でだいぶ違うと思うのですけれども、確実な数字を聞いているのじゃないので、大体日本の農地面積の何分の一くらい程度が今度の構造改善事業で大型機械が入るような形になるのか、そういうことをお伺いしているんですよ。
#137
○政府委員(齋藤誠君) 今申し上げましたことしの実積で見ると、一地区が大体二百五十町歩ということを申し上げたわけですが、これが大体土地基盤整備と近代化施設を合わせて実施するような平均の面積になっているわけです。それが一町村で三地区くらいが大体平均になるということで御了承願いたいと思います。ただ、大型機械がどれだけ今後入るかというようなことになりますると、これはまたその部分としていろいろ検討しなければなりませんので、たとえば非常に深耕ができないような地域であるとか、あるいは非常な傾斜地であるとか、あるいは非常な湿田であるとかいうようなところがございまして、これはまたこれとしてどのような見込みであるかということになろうと思いますが、これはお尋ねの中には入らないかと思いますが、大型機械だけを考えれば、専門家は大体二百七十万ヘクタールぐらいだろうということを言っております。
#138
○安田敏雄君 私は農政局長に午前中に聞こうと思って時間がなかったので、ちょっと聞きたいのですが、この予算説明書を見ますと、十五ページの農業構造改善事業の推進という項に、別に農林漁業金融公庫融資五十三億とあるのですね、こちらのいただいた資料のほうでは農業構造改善事業推進資金三十六億、これは数字的に相当開きがあるわけですが、何か理由があるだろうと思いますけれども。
#139
○政府委員(齋藤誠君) 五十三億というのは、これは農業構造改善事業の中の土地基盤整備事業を含めた数字なんです。土地基盤整備事業が十七億、それから経営近代化施設が三十六億、合計して五十三億という数字になるわけでございます。それをあげたわけでございます。それから今あとからお話になりました三十六億というのは、経営近代化施設だけを公庫から特に融通するということに今回いたしたわけでありますので、その分を三十六億、こう計上いたしたわけでございます。
#140
○安田敏雄君 そういたしますと、今説明のあった十七億ですか、これは公庫でなくてどころから融資するのですか。
#141
○政府委員(齋藤誠君) これはもちろん公庫から融資するわけですが、これは従来からあったわけです。そのうち構造改善資金としてこの地区にいくものが十七億ある、こういうことなんです。
#142
○安田敏雄君 わかりました。そこで、実はちょっと予算的に聞きたいですが、今度指定になった地域で、パイロット地区が七十六ですね。それから一般指定地区が百七十四ですね。これは初年度の指定です。これが合計パイロット地区は三千万円の融資を受けなければならぬ。それから一般指定地区は四千五百万円の融資を受けなければならぬ。この二つを積数にいたしますと、パイロット地区が二十一億八千万円、それから一般指定地区が八十七億になるわけです。合計九十九億ばかりになるわけです。九十九億、約百億になる。これを三年に分けて三分の一ということになりますと、初年度と次年度によって六十六億になるわけですね。融資を受ける分が六十六億。そうすると、去年指定したものが第二年度でしょう。ですからこれは六割しなければならないわけですね。そういうような計算でいくというと、ちょっと融資額のほうが少ないのではないかという感じを受けるわけですよ。六十六億に対して三十六億、その上に新しくことしも四百カ町村を指定して、しかもそれが準備すべて整いますれば、ことしからでも事業を始めなければならぬ。こういうようなときに、今できないと七カ年で指定して十カ年でやり切るなんというわけにいきませんから、そうしますと、ことしの融資額というのは、非常に少ないという感じを受けるわけですが、その点についてはどういうようにお考えになっていますか。この間説明した何から見て推計してみるとそういうことになる。
#143
○政府委員(齋藤誠君) これは私のほうの計算でございますが、これは進度率の関係が一つありまして、つまり三カ年で事業をやるということになっておりますから、一年度目は三割、二年度目は三割、三年目が四割、こういうことで事業量を出すわけであります。したがって、たとえば来年度について言いますると、三百町村で一地区九千万円ということになりますと二百七十億になりますけれども、そのうち事業をやるのはその三割でございますから、八十一億ということになるわけでございます。八十一億のうちの五割が補助でございますから、四十億五千万円が地元の負担になる。その四十億五千万のうちで融資率を百パーセントというふうには必ずしも見る必要はございませんので、それに融資率を七割とか八割とか、従来の実績等も考えて融資率を出しますから、それに基づいて融資額を出しますと、大体ことし積算いたしました金額でまかなえると、こういう計算をいたしているわけでございます。
#144
○安田敏雄君 そこで去年指定した分はまだまだ全然着手していないわけでしょう。これからでしょう。去年指定した分、この間決定した分、七十四億、しかしあれは三十七年度の指定の分ですね。ところが、今度は近代化資金に切りかえましたから、ことしは公庫のでやるわけですね。ことし二年度目ですから、当然去年とことしの分を推進しなければならぬわけです。そうすると、三分の二を推進するという、こういう平面的な計算が出てくるわけですね。そうでしょう。したがって、パイロット地区と一般地区を合わせると、約百億になるわけですね、融資を受ける分の合計額が。そうすると、その三分の二というと、六十六億ということになるのです。したがって、それに対して七〇%とか、八〇%とかという融資率をかけても、どうも少ないような勘定になる、三十六億では。そのような気がしてならないのですが、これはどういうことに基づいておるか。だというと、私の言うのは、融資のほうで、補助のほうは抜いていますから、しかもこの補助のほうを見ますと、これは三十八年度予算が相当多いのです。一般指定地区は六十八億、それからパイロット地区が八億三千万ばかりあるわけですが、合計しますと、約八十億に近いものになるのですよ。八十億、予算のほうで。そうすると、こちらのほうの融資のが三十六億では、非常にかたちんばではないかという感じを受けるわけです。それで一体、既定の方針に沿って指定はしたけれども、はたしてことし中に第一次指定の分の去年分と今年分が推進されるかどうかということが、非常に疑問に思われるわけです。これは私の平面的な考え方かもしれませんけれども、この数字だけで見ますと、どうもそういうように受け取られてしようがないです。その点はどうですか。
#145
○政府委員(齋藤誠君) ごもっともな御質問でございますが、実は予算といたしましては、一応三十八年度の計画に基づいて算定いたしたわけでございます。ところが、三十六年度分を二年通産してやるという計算をやれば、御指摘のように融資の分については、計算上は不足するということにもなろうかと思います。しかし、ことしの予算におきましても、二百カ町村というものが百七十四になる、九十一のほうは七十三になるというようなことが一つと、それから今年の融資事業の各県の、各市町村の計画を見ますると、全部が必ずしも融資事業をやるという計画にもなっていないわけでございます。そこで、三十六年度の補助事業としては、大体テンポどおりいくだろうということでおりますが、融資事業については、それがおくれるだろうということと合わせ考えまして、団体の消化能力等から見まして、彼此融通すれば、この程度でまかなえるのじゃなかろうかという見込みで立てておるわけでございますが融資でございますので、実質上のそこに変動があれば、これは県間で調整し、あるいは中央における調整をするというようなことでやって参りたいとというふうに考えております。しかし、計画といたしましては、これは詳細資料を御説明してもいいのですが、大体まかなえるという見込みであるわけでございます。
#146
○委員長(櫻井志郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#147
○委員長(櫻井志郎君) 速記を起こして。
#148
○安田敏雄君 今の答弁は、私ちょっと不満足なんですよ。とにかく構造改善事業というのは、政府で高く掲げた農業基本法制定以来の唯一の柱ですよ。これは去年指定し終わって、まあそれは思うとおり指定がいかなかったかもしれないけれども、とにかく指定したのです。で、各地方公共団体その他も何とか納得してやったものですよ。それが予算だけはたくさんこっちへ用意しておいて、で片方の融資のほうは、金額を少なくしておいて、大体おくれるだろうというような見通しなんということは、これはちょっと私受け取れないんですがね。
#149
○政府委員(齋藤誠君) 三十八年度計画としては、ぴっしゃり予定どおりまかなえるわけです。ただ御質問の点は、三十七年度の事業が、ごっそり三十八年に回り込んだ場合においては、足らなくなるのじゃないか、こういう御質問だったものですから、先ほど申し上げたようなことを答弁いたしたわけです。しかし三十八年度に関する経費については、十分まかなえると考えております。
#150
○渡辺勘吉君 では大臣にまず、農業近代化資金助成法一部改正に関連してお伺いいたしますが、この法律が実施されましたのは三十六年の十一月、ただいままで一年半はたっていない今日、組合金融を中心とするこの法律を、なぜ異質な商業銀行を介入する改正をしなければならなかったか。大臣からその提案の理由を簡単にひとつ御説明を願いたいと思うのです。
#151
○国務大臣(重政誠之君) 組合系統金融機関の主体として農業近代化資金の供給をいたすことにつきましては、何ら変わりはございません。ただ今日までこの法律を実施した経過にかんがみまして、十分でない農協が相当に存在することも御承知のとおりであります。つまり貧弱と申しますか、その基礎が十分確立しておらない、経営が不振と申しますか、そういったような農協が存在をいたしておることは、これは御承知のとおりであります。それからまた、農協に入っておらないものが現に存在することも、これも事実でございます。しかも一方におきましては、農家の資金が、相当地方銀行等の金融機関に預金をせられておるという事実もまた、これは存在をいたしておるのであります。そこで、これらの金融機関に対して、農家の資金が預金をせられておるというようなものは、これもやはり農村に、その資金は還元すべき筋合いのものである。それからまた、一面におきましては、不振農協が存在をしておる、あるいは、農協の組合員になっておらないような者、そういう者に対してやはり近代化資金の恩典に浴せしめる必要性がある、こういうふうに考えまして、例外的にこの措置を講じたものであります。
#152
○渡辺勘吉君 私は今、大臣が提案の理由として指摘された根拠は、この法律が国会で成立した時点と何ら変わりのない事情を述べられたにすぎないと思うのです。三十六年十一月の時点とただいまとで、そういう指摘された情勢の変化はごうもありません。むしろ指摘された内容は、逐年改正されておることは、大臣も御承知のとおりである。そこで、指摘された不振組合云々ということでありますが、いろいろこの委員会で、審議を通じて明らかになったことは、取り扱いをしない農協が四割あるという最初のお話しであったのでありますが、それは限られたワクをどうしても消化できないという実態があるのです。三十七年度の一つの郡の実例を私は申し上げたのですが、岩手県の東磐井郡では、三十七年度の県からおろされた近代化資金のワクが一千万、それに対して農協が取りまとめた希望額が三千六百八十四万だ。そういうきわめて融資のワクが限定されておるために扱いかねている農協が四割であって、農協の機能がないために扱わないというのが四割ではないということも明らかになっておる。その点を混同して、あたかも四割の農協が近代化資金の融資の資格がないようにこの法律提案に理由づけられることは、これははなはだしく事実を曲解することであって、そういうことではないということを大臣も確認をしていただきたい。
 それから、政府から提出された近代化資金を取り扱わない理由調べというものを見ますと、これは二百六十六組合について出されたものでありますが、その取り扱わなかったというその調べの半分を占める理由は、借り入れ希望がないということ、これが四二・五%、また希望者の事業計画の不備、または信用不足が六・四%、その他一五・五%というふうに、借り入れをしかねたという理由の七割以上は、農協そのものの責任ということではないわけです。それから大臣が指摘された理由として、農協が業務上これらを扱いかねたというのが全体の九・六%であります。しかもこれは系統金融においても、または県なりあるいは農林省の立場から十分指導を加えて、なおかつ取り扱いができなかったかという、そういう行政指事の点を伺いましても、それは全然やっていない。ただ一回戦でも扱わないというだけのことである。これに対しては組合金融自体でも信連の直貸しという方途もあるわけでありますから、そういう直接の県信連の機能を発揮することによって、これも解決ができるわけであります。それから大臣が指摘された農家から銀行に預けているその資金を農村に還元するとおっしゃいますが、そういうひもつきの条件には置かれておらぬわけでありますし、一体この提案の理由を政務次官からこの委員会に出されたものを伺いましても、組合金融自体であたかももう近代化資金を扱いかねる、資金源を銀行融資等に求めるような取り上げ方もあるのでありますけれども、これは組合金融全体を通じてみてはなはだ見当違いの考え方であって、端的に申し上げますならば、中金と信連との間で近代化資金の転貸をしておる事実はまだない。したがって、中金の余裕金を県信連の近代化資金に転貸をするという道を開けば、まだ資金源としては二千億をこえる源泉があるわけです。ただそれを阻んでおるものは、私から見れば行政庁は中金に対して十分指導をしていない面がある。それがしておって、なお現状であればなお遺憾であります。それは農林省がこの近代化資金を組合金融系統に取り扱わせる際の指導的な点は、基準金利というものを打ち出しておる。信連が単協に流す基準金利は八分五厘、単協が組合員に近代化資金を融資する場合は九分九厘、こういう基準金利を指導しておられる。しかしながら、中金が信連に近代化資金を融資する場合の基準金利についてはノータッチである。今その金利はどういうふうになっているか、大臣はあるいは御承知ないかもしれませんが、八分五厘ということであります、中金が信連に出す場合の金利は。これが問題なんです。少なくとも中金から信連に近代化資金を流す場合の基準金利は三段階を通じて御指導をされなかった手抜かりがある。私は中金は全購連なり、全販連に設備資金に対しては七分五厘で融資しておるというきわめて勇断な措置を認めるにやぶさかではございませんが、七分三原なんということを私は基準金利として考えているのではない。少なくとも中金が近代化資金を信連に融資する場合には八分にする。五厘ざやを信連に与えるということによって系統を通じての資金の源泉は幾らでもまだある。そういうことが十分に組合金融の中でその使命を達成されない。一年半もたたない現在において、異質な商業銀行をここに介入させるという法律の提案の理由は、今の大臣の御答弁を伺っても納得いたしかねるのでありますが、そういう点を十分検討されてなおかつ一年半たった現在ネコの目の変わるようにまたここに提案をどうしてもしなければならなかったのか、私の問題点がまた間違っておるのか、もっと納得のできるような点があったらお知らせ願いたい。
#153
○国務大臣(重政誠之君) 私も現在の五百億程度の金を組合系統機関でその金がないとは思わないのです。問題は、この原資がないということではないのでありまして、それがどういう方向に金の要るところに回るか回らぬかということが、私は問題であるのであります。かたがた私が先ほど申しましたのは、地方銀行にも農民が預けておるのであるから、そういうものもこれは農村に資金を動員をすべきものである、こういうふうに考えて申し上げたわけでありますが、これは一面におきましては、私は決して無理とは思わないのでありますが、それは組合の金でありますから、どうしても組合の農協の気にいった方面にしか金が流れないのであります。ほんとうに金を利用する方面に的確に流れておるかどうかというと、私は必ずしもそうはいえない。私の耳にもずいぶんいろいろなことが入っております。であるから、これはあくまで基本方針としては系統金融機関を動員をする、こういう方向でありますけれども、しかしせっかくの農業近代化資金でありますから、これは組合に入っておらぬ、たまたま不振農協がある。ただいまの渡辺さんのお話しでは、それは信連から直接貸しすればいいではないかというようなお話でありますが、それは一つの議論である。実際の問題としてそれなら渡辺さんがそのあなたの郷里で、かりにそういうことがあった場合に、いよいよ信連まで出かけていって金を借りる手引きをするかというと、実際私は農村の実情としてはむずかしかろうと思う。その際に、たまたまこの地方銀行において近代化資金をそのほうに融通してもいいというようなものがあれば、これは私が利子補給をしてしかるべきものじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。
#154
○渡辺勘吉君 抽象的な意見になるからどうかと思うのですけれども、今、大臣は、農協は自分の気にいる方向に融資をするということでありますが、数の中にはそういう例もありましょう。しかし農協は何ら組合員と違った存在ではない。組合員の共同体でありますから、その共同体が最も望ましい方向に効率的に資金を投入することは、これは当然であります。それをきわめて金融ベースに乗らないようなものを農協から断わられて、それをもって農協がけしからぬというふうにすぐ宣伝する向きもある。こういうことをここで抽象論議をしても始まりませんから、大臣の答弁に対してこれ以上この問題については触れませんけれども、まあ純理論であると申しますけれども、そういう道がある。たとえば定期あるいは当座預金についても、信連が支払いの保証をしたり、あるいは組合にかわって融資をしたりしておる事例があるわけです。そういう点を十分機能を発揮することをまずお互いに指導するということでこの近代化資金をより積極的に機能させることが大事ではないかというふうに思うのです。で、大臣も御承知だと思うのですが、今、地方銀行では支払い金融機関の登録をめぐって、新聞広告を出して、近代化資金を取り扱う予定であるというカッコ書きで地方新聞等に広告を出しておる。このことは中金やあるいはその他の機関は別としまして、末端の単協を扱っておる連中は非常に頭を悩めておる。こういう法律がなぜ必要なのかという疑問を持っておる。そういう中で、私が一例を申しましたように、約四千万もの近代化資金の需要が農協を通じてあるのに、こういうワクの制約で四分の一しか消化できないというのが今の実態だということです。これは現実の例ですよ。そういう例があるのに、何もここにあらためて、これは一年半前にそういうことが必要であるということが論議されればとにかく、今金融機関の交通整理が必要だと大臣みずからお認めになって、そういう方向に進められようとしているさ中に、むしろ取り上げられている諸施策は逆行の方向に入っている。これは公庫資金の扱いについても同様である。私はその点はたいへんどうも遺憾に思うのであります、がその点はどうですか。大臣が国会に報告されたグリーン・リポートもそのことをはっきり指摘しておられるでしょう。交通機関の整理が必要だということを。もう一回私が読んでみます。この「貸付金の種類・条件はしだいに細分・複雑化の傾向がみられ、また系統金融機関との融資分野の調整等農林公庫資金制度自体の問題も少なくない。
 しかし、農業近代化に必要な「長期・低利」の資金を「集中的」に投資するには系統金融機関の貸出態勢の整備、系統内部での資金需要の調整が必要であることはもちろんであるが、これを補完する財政資金の機能についても再検討する段階にきた」と、こういうことをリポートされておって、そういう方向にわれわれも期待しているときに、一年半もたたないのに、むしろこの報告で反省している点を、さらに非合理的な方向に進む何らの理由はないのではないかということをつくづくと考えるわけです。だから今おっしゃったような点は、それぞれの系統段階でも反省しなければならない点は反省して、なお一そうその機能を高めることによって十分機能が発揮できるのに、何しに一年半もたたないうちにまた異質な金融機関をここへ挿入する必要があるか、どうもすきっと納得できない。もう一回その点について御答弁を願います。
#155
○国務大臣(重政誠之君) これは意見の相違になるかもしれませんが、私はこういうふうな近代化資金、政府が利子補給をする、そうして農業の近代化を行なう資金の供給、しかもこれは政府が自分の金じゃない。まあ卑俗な言葉でいえば人のふんどしで相撲をとるようなことをやっておるのです。そこで私は、そういうことはいけないというので、今御審議をわずらわしております農林漁業金融公庫に、従来農業近代化資金でまかなっておったものを、三分五厘の低利で長期の資金を直接に政府資金をもって農業構造改善事業をやろうというのでやったわけであります。これも今の渡辺さんのお説のようにいけば、この近代化資金を三分五厘にして利子補給をふやしてやればいいじゃないかというお説も私は出てくると思う。しかしこれは預金金利の関係から不可能なことであります。ただ問題は、私の心持ちではそれだけではないのです。私の心持ちはそうではなしに、ほんとうに構造改善事業をやろうとすれば、必要な部面に的確に迅速にその資金が融通せられなければ、その目的は実現ができない。であるから、これは政府が直接にいくのが一番よろしいというのが、今回考えられた長期低利の資金なのです。そうしてまた一面においては、たとえば市中の地方銀行、その他の金融機関に一つの例外をここで農業近代化資金に設けたゆえんでもあるのです。これは今のお話しのように十分指導して全部的確にそれが行なわれるようにしたらいいじゃないかと、私もそれは賛成なんです。それはよくわかっているのです。ところが指導して、全国のものを指導してどうするとかこうするとかいっても、これはなかなかむずかしい。つまりこれは御承知のとおりに先ほども申しましたように、卑俗な言葉でいえば、やはり農協系統機関の金を利用して政府が目的を達しようというのでありますから、なかなか自分の金なんだから、それをどうしろと言ってみたところで、的確にそれはいくわけのものでは私はないと思う。やはり自分の金であるから、自分の気に入ったところに持っていくのは、これは人情のしからしむるところで、決して私は無理ではないと思う。けれども恩典といえばちょっと語弊がありますが、こういうような近代化資金というような金は、あまねく要るところに、それが系統機関に属しておろうが、あるいはその土地に不振組合があろうが、とにかくあまねく農家にこれが行き渡るような少なくとも制度を考えておかなければ手落ちがある、こういうふうに私は考えているのであります。たまたま、私就任以来、この問題につきましては、具体的の事例をもって、いろいろ陳情せられた向きもあるわけであります。そこで、私はこれはなるほどもっともなことである、こう考えましてこの改正案を提案いたしたような次第であります。ひとつ御了承を願いたいと思います。
#156
○渡辺勘吉君 大臣に直接問題を持っていったというのはどういうケースかわかりませんが、私はきわめてそれはレアーケースだと思う。そういうものを持ってきたからといって、法律を改正するなどという大それたことを考えられては、これはたいへん迷惑いたします。
 それからきわめて迅速的確に融資をするとおっしゃいましたが、それは十分やっていることであって、なおかつ不足な点を反省してやるという前向きの組合金融を激励するということは、行政の立場としてしかるべきものではないかというふうに考えます。どうも大臣の説明では納得しがたいのでありますが、大臣のお話しの中に今こういう点がございました。組合員になっていない農家、そういうものもあるからということでありますが、この法律が施行される場合にそういうケースですね、農業従事者であって、農業経学者であって、それが統計農地では九%というデータが資料で出されました、そういう農業者であって農業協同組合の組合員でないものが農業近代化資金を必要として、農業協同組合が融資ができないような場合に、銀行から融資せられるというふうな一つの場合をお考えになっているのか、そういう点をもう少しお聞きいたしたい。
#157
○国務大臣(重政誠之君) 御指摘のような場合ももちろん考えているのであります。が、これは私もそういうことは十分に具体的に調査せずに申し上げることはいかがかと思って、実は差し控えておったのでありますが、しかし、これは相当言われていることであるから、おそらく真実があるのじゃないかと思います。それであえてこの際問題をはっきりする意味において私は申し上げますが、たとえば農業用の大きな機械を全購連で買うならば金を貸してやろう。そうでなければ金を貸さぬと、こういうようなことがほうぼうに行なわれては、これではどうもいろいろなことを言われて苦情がきても、私はやりようがないのであります。そういうこともお考えを願いたい。それから地方の地方銀行をしてこれを取り扱わしめるということが逆になぜ悪いかということをひとつお考えを願いたいと思うのであります。法律的にほかは一切だめだ、この農業近代化資金は系統機関がモノポライズするのだという思想では、今後はいけないのじゃないか。ほかのほうもこれを平等という立場に立つならば、これを平等に扱う、こういうことでいかなければ私はちょっといけないのじゃないか、こういうふうに私は考えておるのです。
#158
○森八三一君 関連。どうも今の大臣の、意見の相違というのですが、私は意見の相違じゃない、認識の相違だと思うのです。全購連のものを買わなければというお話しですが、これは具体的に私はそういうものはないと思います。農業協同組合は金を貸せばいいという団体ではないはずなんです。あくまでもその金を使って経済効率を上げるためにいかなる方法を購じたらよろしいかという指導的な任務を持っておるのです。一般の銀行でございますれば、信用保証協会に保証してもらって、元金が取れればそれで済むということなんです。そこに問題があると思うのです。ですから意見の相違ではないので、認識の相違だと思うのです。どういうものを買わせることが、その農家のために一番いいかということの指導的な立場に立ってやるということですから、時によっては組合員のお気に入らぬことを申し上げなければならぬと思うのです。当然なことなんです。そういう任務を持っている機関に扱わせますことが、近代化資金の効率を上げるゆえんだと思うのです。それを考えれば今の大臣のお話しのように、どこでもだれでも借りることができるようにしておくほうがいいなどということは、筋違いだと思うのです。そういう考え方でこの近代化資金を扱うことは間違っておる。であればこそ、法律制定の当時にはお考えになったらしいけれども、それが省かれて、系統金融だけでやっていくというところに結論された方です。しかも一年半たちまして、そういうような事例があったかというと、僕はこれは感情的な問題で大臣のところへ行ったら、これはあると思います。けれどもほんとうにそれが正しい意見であったかどうかということは、具体的な事例をお伺いいたしませんければここで判断はできませんけれども、私はそういうような不心得な農協というものは存在していないと思う。もしそういう農協がありとすれば、これは改良普及員なり、さまざまな指導員がおるのですから、十分話をして、その反省を求めるべきであって、そのことがないからすぐ間口をよそのように広げていくという考え方は、少し飛躍し過ぎていて、かえって農業金融の混乱を招くゆえんだというふうに思うのです。それから渡辺委員のお話もありましたように、この制度の改正ということをめぐって、すでにいろいろな動きがあるのですね。この動きというものは、私は正常な動きではないと思うのです。利益を追求するために動いている非常にいやらしい動きである。そういう動きに便乗するようなことは厳に避くべきであるということを、強く私は大臣にもお考えをいただきたいと思うのです。そこでまあ、先日は私もそういう点を指摘いたしまして局長にお伺いいたしましたが、局長は同感だ、だから今度の制度の改正というものを銀行と、今大臣お話しのように農協と並べて同格で扱うなどということは考えておりません。組合員になっておらぬから、借りようとしても借りられぬ人がやらなければならぬことをこれでは処置ができませんから、そういう特例な場合だけに農業協同組合の機能を置くといえば、相当補完的なものとして改めた法律を適用していくんだというお話でございましたから、それならば一応まあ現時点では考えなきゃならぬかと思っておりますが、ただ並列してだれでもどこでも自由に借りられるのだということになりますと、これはもう非常に問題ですよ。といいますのは、協同組合で経営資金を百パーセント借りてしまっており、農協では申し込んでも信用力がないから貸してもらえぬという連中が横から行って借りてくる。その人の持っている信用力というものを、金融的には二重に評価してしまう。銀行のほうの追及が激しいから払ってしまう。農協のほうは払うことができませんで、結局極端な言葉をもってすれば、農協を食いつぶすということがある。個人の信用は一つですから、それを二つに使ってしまうという危険が、現在の農村にはあると思うのです。ですからどこまでも局長の御答弁のとおり、組合員でない者には及ばぬのですから、そういうところに補完的なものとして改正後の制度を活用していくという程度に制限をいたしませんと、たいへんな問題になる、こう思いますが、どうでしょうか。少し私が言い過ぎかどうか。
#159
○国務大臣(重政誠之君) 御言葉のようなこともあるいは出るおそれもあろうかと思いますが、そういう点も十分注意をいたしまして、そういういろいろの衝突の起こらないように実行いたしたいと考えております。なかなかそこら辺が実行上は私は非常にむずかしい点もあろうかと思うのであります。でありますが、なるほど御指摘のような点は、十分考えなければならぬと思います。実行上十分注意いたします。
#160
○温水三郎君 今森委員の発言があったのですけれども、全購連の農機具を買わなければ金を貸さない、そういうような農協はあり得るはずはない。われわれは系統におってよく知っておりますが、金融とそれから全購連の購買事業は別なんです。そういうような農協がもしあるとすれば、それこそ行政指導を行なって、そういう農協がそういう考え方を持たないように指導すべきであって、私はそういう農協は絶無であると思うのです。これは一種の宣伝ではないかと思う。その点はもう少し詳しく御研究をお願い申し上げたいと思うのですが、いまひとつの重大な点は、農地改革以来、農協は農家の経済を育成強化するという使命を負って誕生したように私は考えておるのです。そこで、農協経営の一番むずかしい点、農業金融の一番むずかしい点は、比較的中農以下の小農を一緒に、保護、育成していかなければならぬという点に非常にむずかしい点がある。それを今銀行と並列的にやって何が悪いかというようなお話のように承りますけれども、銀行は営農だけを扱っていけばもうかるのです。そうすると、そういうような農業金融が活発になって参りますと、今の農協の考え方では、これは中小農を一緒にかかえていかなければなりませんから、とても太刀打ちできない。そういうことになってきますと、結局大農には都合がいい金融が行なわれるようになるが、中小農の金融はいよいよ逼迫してしまう、農協そのものは、そのために非常に経営が苦しくなる。再び整備促進なり再建整備をやらなければならなくなる。こういうことになるので、私はこの制度は、銀行に参加させるということについては、これは機能の発揮が十分でない農協があり、また組合員でない農民があるから、補完的な意味で銀行を参加させるということならば、私はこれは当然だと思う。ただこの取り扱いによほど注意をして具体的措置を講じていただかないと、農協の受ける今問題になっているところの地域格差、所得格差をもろに受けておるところの比較的経済力の豊かでない県の農協は、たちまちこれは重大なる影響を受けることは、これは必至であると思うのです。であるから、この措置に対しては、格段の措置をお願い申し上げたいと思うのですが、その辺に対する大臣のお考えを承りたい。
#161
○国務大臣(重政誠之君) お話しのとおりに、あくまでも農業近代化資金は、系統金融機関を主体にして実行をする、地方の銀行その他の金融機関の補完的なものである、こういうことを冒頭に私は申し上げておるわけであります。これに変わりはございません。
#162
○渡辺勘吉君 それでこの法律を改正して運営するにあたっては、一つの例は今言ったように農業者であって農業協同組合員でない場合で農業協同組合がその近代化資金を融資することにきわめて困難であるというような場合とか、あるいは大臣は理論的だと仰せられましたが、それが実際に機能をされて、不振組合であっても信連が直き貸しをやるんだ、なおかつやれないような場合、そういう特殊なケースの場合に商業銀行等が近代化資金の担当をするというふうに、あくまでも組合金融を中心とした従来の法律の補完的な、きわめて例外的な機能をやるということで、これは交通整理を前もってやっていただけませんと、非常な大きな混乱が出て、私は大臣が第三点でなぜ銀行を入れて悪いかということは、少なくとも組合金融は組合員である農家の営農指導を指導的に取り上げて、そうしてハード・クレジットでもソフト・クレジットでも、組合員自体のプロパーで融資する場合と、あるいは公庫の代理業務なり近代化資金の実践なりを通じて、長期短期を合わせて組合指導的に金融がタッチしているわけです。そういうところへ富農を中心として抜き打ち的にしかも構造改善地区とか、そういう地区の中に異質なものが入りまじるということは、混乱のマイナスがあっても、プラスの面は出てこない。そういう点から私はこういう強い銀行の介入ということは最小限に押えるための政府自体の指導なり組合金融の当事者なりの切磋琢磨によって、この付託にこたえる姿で進むべきである。そういう姿勢をくずさすべきではないというふうに考えるわけです。で、そういう併列的にやるというんじゃなくて例外的な措置として運用の上でも混乱が出ないようなことを、大臣は考慮をするとおっしゃいますから、その考慮を現実に行政措置の上で実施をしていただきたいということを強くこれは御要請を申し上げます。
 それから時間がありませんから、近代化資金についてあと二点だけをお伺いをいたしますが、それは金融機関の交通整理の問題でございます。これは私から申しますと、現実は三段階ではなくて、六段階になっておる。中金の本所と具の支所があり、その県の段階を信連の木所と郡中心の支所とが統合し、農協では村の農協の木所と各支所があるということで、五段階にも六層にも重複して機能している点があるので、こういう点について今後近い将来に系統三段階の合理的な方向ということも考えながら、資金のコストをダウンするということがまた必要だと思いますが、これについて農林大臣のお考えはどういう御意見がおありですか、お聞かせ願います。
#163
○国務大臣(重政誠之君) これはもう渡辺さんのおっしゃるとおりであります。できるだけその中間の段階は最小限度にとどめなければ、資金コストはダウンしないと私は思うのであります。が、現在のところではいろいろそれぞれの必要に応じてできておるのであろうと思うのでありますが、それらの点は十分ひとつ調査をいたしまして、各方面の御意見も十分に承りまして、できるだけ合理的なものにして、資金の金利のダウンをいたしたい、こういうふうに考えております。
#164
○渡辺勘吉君 近代化資金に関連してもう一つお伺いいたしますのは、保証協会とこの例外の場合でありますが、銀行が近代化資金を扱う場合の保証要請の問題であります。端的に考えますと、この保証協会の会員ではないわけですね、銀行は。しかも融資を受ける農民の保証を、銀行がやはり融資する場合に、協会がしなければならないということがまあ問題が出るわけです。というのは、会員の相互機関として農協なり信連が協会の会員になっておるわけです。銀行はそういう会員にはなっていない。現実に利益を受けるのは、この融資機関が代弁済等を受けるというような便益を、協会の保証によって受けるわけです。弁済不能という場合は。そういう場合に銀行が何ら措置もせず、負担もせずにこの保証協会の保証を受けるということの不合理があるので、この点の法律改正なり、その他をやらないでこれを推し進めることの不合理、不均衡というものをいかがお考えになっておられるか、その点をお答えを願いたい。
#165
○国務大臣(重政誠之君) これは少し渡辺さんのお言葉ではありますが、私は少し考えを異にいたしておるのであります。保証をして利益を受けるのは、借金をする個人であります。でありますから問題は、銀行がその保証協会に入るか入らぬかという問題ではなくて、借入金をする農家自身が協会に加入するかどうかという問題であると私は心得るのであります。したがって、保証を、銀行から借らんとするものが信用協会の保証を受けんとするならば、そのものがこの信用協会に加入をすべきである。それならば差しつかえない。銀行は何も入る必要はないと私は思うのであります。ただ信用組合が保証協会に加入いたしておりますのは、これはその組合員にかわって加入をいたしておるのであります。したがって信用組合が加入いたしておれば、その組合員が加入をせぬでも保証を受けられるということになっておるのであろうと思うのであります。したがって、問題は信用組合であるとか、あるいはその他の団体が加入しておる、しとらぬの問題ではなくて、借り受けをする個人が協会に加入をするかしないかということに問題があると思うのであります。そう考えますと、何らこれは保証協会の法律を改正する必要もない、これは銀行から借りるものが保証協会に加入すればそれで事は足りる、こういうふうに私は考えております。
#166
○渡辺勘吉君 ではかなり意見の相違になるわけでありますが、現実に会員の団体がかわって加入して協会を構成しておるということでありますけれども、現実はそういう会員たる信用組合とおっしゃったが、これは農業協同組合ですね、農業協同組合が会員になって政府出資と、農業協同組合の出資とで現実は構成をしておる、そこへ異質な金融機関が保証だけを代位弁済をさせられて、なおかつ自分らだけが出資して構成をしているという現実の不均衡というものは、これはぬぐえない問題でありますのでお尋ねをしたわけです。それは現実にあるわけです、その不公平というものは。何ら労せずして銀行は保証の利益を受けるということをやっぱり合理的な措置で考えないと、運用上これは現実に問題が起こるということだけは、大臣よくひとつ留意をされて、その合理的な措置は今度は間に合いませんが、近い機会に善処をしていただきたい、こういうふうに思うのです。
 それから、どうも時間がなくて飛び飛びになりますが、これをやってからまた畜産のほうも伺わなければならぬので急ぎますが、公庫法の問題、それで公庫法の改正に関連して伝えられた問題は、今までこの委員会で私のほうから伺わなかったので大臣から伺いたい点は、公庫に債券発行をさせたいという構想が大臣の試案としてはございましたね。その考え方と、それが日の目を見るに至らなかった経過と、これからの構想をひとつお聞かせ願いたい。
#167
○国務大臣(重政誠之君) これは債券発行権を慰めたらどうかというふうに私が考えましたのは、広く資金を市場から吸収をしよう、そうして農業の投下資本が足らない、こういわれておる現在においては、単に政府資金だけでなく、広く市場から資金を仰いで、そうして豊富にこの資金を農村に流す必要があるのではないか、こういうふうに考えたわけでありますが、しかし、これは現、実の問題といたしますれば、債券を発行いたしますと、どうしても資金コストが高い関係もありますので、できるだけ政府で必要な資金を出さすという方向へ持っていきまして、その点をやめたわけであります。これは別にほかに深い私自身の理由、意図があったわけではございません。
#168
○渡辺勘吉君 次に、農地取得資金に関連して具体的にお伺いいたしますが、三十六年の十一月に、これも自作農維持創設資金融通法が出まして、これも一年半もたたぬうちにその創設の片方の柱がなくなって、公園融資という形に切りかえられたわけですけれども、そうして公庫融資は融資ワクが八十億になり、取得資金が八十億になり、据置期間あるいは償還期間も延長されて、大体五反歩程度を限度とした取得を考えて、反当十七万円ぐらいの担保融資ということが考えられておるようです。その問題と関連して、維持資金についてでありますが、自作農維持資金、これは創設がはずれちゃったから維持しか残らぬわけです。この維持資金については、依然として従来の五分の金利で、従来の据置期間で、償還期間でやるということは、いかんともどうもこれは納得しがたいわけです。従来の自創資金の融資の人々の内訳を伺いましても、八分の五は維持資金に投下されておりますね。現実に末端では災害があって非常に維持するのに困難だという場合でも、すでに借り入れ限度に抵触をして、この維持資金の四号に該当する融資を仰ぐことができない。みすみす転落せざるを得ないという事態まで惹起しておる。したがって、三十六年にこの法律が出たときには附帯決議をやっておる。当時大臣は農林水産委員会の委員じゃなかったですか。その衆議院の委員会で三十七年度から融資については三分五厘にして、償還期限は三十年にして、そうして融資ワクは百万円にしなさいという、衆議院の農林水産委員会の決議を、三十六年の十月の臨時国会でそういう決議を、あなたが当時農林委員としてあげられておるものが、維持資金については何ら附帯決議が尊重されていない。これは一体どういうことですか。
#169
○国務大臣(重政誠之君) 私は農林委員をやったことはないのです。
#170
○渡辺勘吉君 そうですか、失礼しました。それはともかくといたしまして、できるだけ長期で、できるだけ安い金利が望ましいことは、これはもう当然のことであります。でありますが、今回構造改善事業資金の融資制度を作るにあたりましては、この自作農維持資金というのはどうしてもこれに入りにくいというので、一応自作農創設資金の土地取得の問題だけを考えて、切り離して考えることにいたしたのであります。維持資金についても、できるだけひとつ今後におきまして、その貸付条件の緩和というようなものはひとつはかりたい、こういう考えにあることは間違いないわけであります。ただ、これが実現がなかなか土地取得資金というようなものと比べれば困難性があるということを申し上げておきたいと思います。維持資金のほうが、取得資金よりもそういう条件を整備することが困難だということは、一体どういうことでしょうか、どうしてこうなんですか。
#171
○国務大臣(重政誠之君) これは御承知のとおり、構造改善事業というのは、農業の体質改善をはかるための資金ということで、これは一般の金利水準に比べまして格段の差異がある融資条件で今回政府において新制度を設けたわけでありますから、そういうものに比べれば、これは若干の困難性はあるであろう、こう私は想像をいたしておるのでありまして、私が努力しないという意味じゃないのです。
#172
○渡辺勘吉君 ひとつこれはぜひ国会で強く要請した経過もあるわけですから、困難であっても、これを取得条件と同じように整備をすることを、大臣に御尽力を強くお願いしたいわけです。そうしませんと、維持は五分で取得は四分ないし四分五厘という金利の差、融資条件の不利というものは、自立経営可能な農家を育成するために、限られた既耕地の移動を零細農家に放擲させて、そうして自立経営可能な農家を育成するという金利政策につながるものと理解せざるを得ない。これはあなたの政府の農業基本法の骨格でもあるとすれば、この点は明らかにこういう金融政策の中にこういう本質が露呈されていると見ざるを得ない。困難ではありましょうが、そういう方向ではなく、農業経営に従事する意欲のある者は、いかに零細なる農家といえども、その意欲をバック・アップするような一つの金融政策でも対応策を講じていただきたい。それから、大臣今おっしゃった農業構造改善、農業の体質改善のためにこのほうを重点的に考えたとおっしゃいますが、その場合に、それではこの土地取得の開墾地の十億というものの金利は幾らですか、大臣、土地取得の、私は土地取得の中で既耕地の取得と農地の取得と開墾地の取得とあるわけですね。農地、その開墾地の取得は金利が幾らで融資条件はどうかということを大臣は暗記して御存じですかということです。
#173
○国務大臣(重政誠之君) 構造改善に直接関係をいたしておるものが四分、それからその他のものが四分五厘、これは農地でも未墾地でも同じことです。
#174
○渡辺勘吉君 いやこれは非常に敬意を表します。私もこれをときどき読まないとわからぬのです。さすがに大臣はこれに精力を傾注して実現されただけに、私のごときの及ぶところではない。よくその内容を知悉されておる。しかし、これは大臣だからできるので、余人をもってしてはこれはなかなかわからないのですよ。あまり銘柄が多くて、内容が複雑で、かすりもあればしまもあれば無地もあればということで、それで私は、これは大臣に今後お願いをかねた質問をするのですが、三分五厘で一つの突破口をお作り願ったわけですね。国際水準に匹敵する画期的な措置をおとりになったわけです。三分五厘というものを、これを一つの突破口として、なかなか大臣の言うように今の大かたの農家は企業的にペイしないような農業経営の実態なわけですから、構造改善、体質改善を意図するこれらの制度金融は、できるだけ三分五厘資金に統一するように御配慮を願いたいと思う。そうして、作物なり、立地条件なり、農家の実態なりを勘案して、償還条件等は実態に即して弾力的に運用するということにして、農家の生産意欲を金融制度でも確立していただくためには、三分五厘から四分、四分五厘から五分でしょう。それから五分五厘に六分五厘とくる。なお近代化資金では七分五厘まであるというようなことでは、ほんとうに受け取るほうでも、指導する末端の連中でも、これは苦労ばかりあるわけですから、これをひとつ整理する方向に御配慮をお願いいたしたい。そのためには何としてもこの扱う金融機関である農林漁業金融公庫に政府の大幅な出資を投入していただかなければ解決ができない、原資を切り下げるためには、そういうことで将来にわたって所得倍増計画の長期計画もあるわけですから、長期の展望に立って政府の出資を豊富に出すという大きな柱を打ち立てて、これを毎年具体的に解決できるような措置をおとり願いたいと思うんですが、この点の大臣のお考えはいかがなものでしょうか。
#175
○国務大臣(重政誠之君) 御指摘のとおりに、これはまあいろいろ融資の対象によりまして金利が異なっておるのでありまして、私もこれは決して好ましいことではないと考えております。考えておりますが、三分五厘という金利が、現在の日本における一般金利から見ますというと非常に低率であるというところが非常に困難であったのでありますが、結局、まあ私の主張のとおりに、これはやったわけであります。渡辺さんのいわれた突破口を設けたといわれれば、まさにそうであるかもわかりませんから、漸次農業の特性にかんがみまして金利は安くなければならぬ、償還期間は長期でなければならぬということは、もう全く同感であります。できるだけ今後におきましても、この金利低下の方向に向かって努力をいたしたい、こう考えておる次第であります。
#176
○森八三一君 最後になると思いますが、もう一点あらためて確認をさしていただきたいと思うんですが、近代化資金に関連いたしまして、補完的という言葉が出まして、その補完的という言葉は、今までの各委員諸君の質疑、政府当局の御答弁、大臣のただいまの御説明等からいたしまして、抽象的には了解いたしましたが、ここで確認をいたしたいと思いますることは、その補完的という意味は組合員でない、非組合員とごく特殊なものに限って行なうのであるというように私は了解をいたしております。これは前後の質疑の関連からいたしまして、御答弁の趣旨はそういうことであったと私は拝承いたしておりますが、そういうように了解をいたしてよろしいかどうか。
 そうであるといたしますならば、そのことが誤りなく実施されまするように、あるいは局長通牒、次官通牒等によりまして、その趣旨を地方庁等にも御通達をいただけるものと、こう理解をいたしますが、それでよろしいかどうか、イエスかノーだけでけっこうです。
#177
○国務大臣(重政誠之君) 大体において、補完的という趣旨は、非組合員であるとかあるいは協同組合の事業が不振で、それが優遇ができぬとかいうような、特殊なものであるということは、御質問のとおりであります。
#178
○森八三一君 その趣旨を通達するということはどうですか。
#179
○国務大臣(重政誠之君) これは、どういう扱いになりますかわかりませんが、できるだけそういうふうにいたします。
#180
○委員長(櫻井志郎君) 別に御発言もなければ、これにて両案に対する質疑は尽きたものと認め、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(櫻井志郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。両案について御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(櫻井志郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 両案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#183
○委員長(櫻井志郎君) 全会一致でございます。よって両案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、お諮りいたします。ただいま可決すべきものと決定いたしました両案に対し、委員長及び理事で協議の結果、附帯決議を付することに決定いたしました。附帯決議案の案文は、お手元に配付したとおりでございます。案文を朗読いたします。
  農林漁業金融公庫法一部改正法案に対する附帯決議(案)
 政府は、次の事項について万全を期すべきである。
一、農林漁業に関する金融制度のきわめて複雑な現況にかんがみ、速かにこれを簡素効率的ならしめるよう、抜本的改善措置を講ずること。
二、農林漁業資金について、可及的長期低利の資金が充分に確保されるよう、公庫に対する政府の出資を大巾に増額すること。
三、農林漁溝経営構造改善資金に関し、農業及び沿岸漁業構造改善事業推進資金以外の資金についても、これら事業推進資金に準じ、それぞれ、その貸付条件の緩和改善に努めること。
  右決議する。

  農業近代化資金助成法の一部改正法案に対する附帯決議(案)
政府は、この法律の施行に当り、特に次の事項に万全を期すべきである.
一、農業近代化資金の本質にかんがみ、農業近代化資金は、農協系統資金を遺憾なく活用するよう強力に推進し、銀行等の資金は、将来に亘り、常に、農協の補完的なものたらしめるよう適切な措置を講ずること。
二、農業近代化盗金の利率の引き下げに努めること、
  右決議する。
 両附帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#184
○委員長(櫻井志郎君) 全会一致でございます。
 よって本決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。
#185
○国務大臣(重政誠之君) ただいま御決議になりました附帯条項は、いずれもごもっともなことでございますので、農林大臣としては、将来にわたりまして、できるだけひとつ努力をいたしまして、御趣旨の実視をはかるようにいたしたいと考えます。
#186
○委員長(櫻井志郎君) なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#187
○委員長(櫻井志郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#188
○委員長(櫻井志郎君) 速記を起こして、
 畜産物価格に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は発言を願います。
#189
○渡辺勘吉君 大臣にお伺いいたしますが、畜産物価格の告示が四月一日に政府によってなされる前提としてお聞きいたしたいわけであります。この畜産物の価格安定等に関する法律の第三条でありますが、「(安定価格の決定)」、そしてこの法律の解釈をめぐって、きわめて告示価格に大きな問題を目下審議会等でも惹起をいたしておる事態にかんがみまして、この機会に国会で、この安定価格の決定内応について、大臣にその解釈の点を詳細にお尋ねをいたしたいわけであります。
 まあ、そもそもといえば何でありますけれども、この畜産物の価格安定等に関する法律は、提案された臨時国会で、かなり政府原案が修正をされたことは大臣御承知のとおりでございます。当初の政府原案の畜産物の価格安定に関する法律の価格の運用についての内容でも申しますのは、畜産物の異常な値下がりなり値上がりを、ある一定の幅、安定帯といいますか、そういう幅におさめるという純然たる価格調整法的なものが政府提出の原案の思想であったわけでございます。
 しかしながら、この法案の審議の経過の帰着した結論としては、こういう調整法的な原案では、価格安定には寄与することができないということで、これを修正をいたしまして、安定価格というものは、畜産物の再生産を確保するということを旨として定めるということが原案に挿入されまして、そうしてこの法律が価格支持的な要素に性格を変貌したということは、大臣はすでに御承知のところでございます。しかるにかかわらず、この法律が実施運用されるにあたりましては、政府のこの法律に対する見解とでもいうものは、安定帯の底値というものは、必ずしも再生産を確保しなくてもいいのだという解釈によって、この法律が行政的に運用されていることは、まことにこれは遺憾である。そこで、再生産を確保するということを、この安定価格というものに結びつけて私たちは国会の審議の経過にもかんがみて、この安定価格というものを理解しておるが、その点について大臣の御見解をまず総論としてお伺いをいたしたい。
#190
○国務大臣(重政誠之君) 第三条に、ただいまお述べになりました「再生産を確保することを旨とし、」というのが載っております。でありますから、再生産を旨として、この上位価格なりあるいは下位価格というものを定めて、この上位、下位というものの安定帯といいますか、そういうものを定めるにあたって、再生産を確保する、こういうふうに考えておるわけであります。
#191
○渡辺勘吉君 わかったようなわからないような御答弁でありますが、もっと具体的にお尋ねをいたします。一番わかりやすいのは、この法律の中で触れている原料乳である。したがって、範囲をそれでは原料乳にしぼって、もっと端的にお伺いをいたしますが、この法律の第二章第三条第四項には、「安定価格は、原料乳又は指定食肉については、これらの生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨とし、」云々とありますが、こういう場合の再生帝を確保するということは、この原料乳を生産するに投下した生産費、これは私は稲作の場合とは違って、平均の生産費ということが、最も生産費の数値をつかむには適正だと思いますが、生産費、それからその原料乳を生産するために投下した労働時間、これを都市並みの労賃に評価がえをするということで、真に再生産を確保するという内容になると思うのですが、この第三条第四項の「再生産を確保する」という、政府原案にはなかったものを審議を通じて挿入したこの要素を、そういうふうに理解して、安定価格というものを政府は告示をなさるべきであると理解をするのですが、その点について大臣の御答弁をまずお伺いいたしたい。原料乳について。
#192
○国務大臣(重政誠之君) これは、安定価格そのものが、今お話のように再生産を確保するようになっておれば、よろしいのではないかと思うのであります。
#193
○渡辺勘吉君 もう一度。
#194
○国務大臣(重政誠之君) 安定価格そのものが、再生産を確保するようなものになっておればいいのではないかと思うのですが、いかがなものですか。
#195
○渡辺勘吉君 非常に、だんだんはっきりして参りました。安定価格というものは、再生産を確保するというふうに理解して、それでいいのではないかという大臣の御答弁がありましたので、私もそういうふうに、この法律を解釈していただくことであれば、けっこうだと思うのであります。
 そこで、安定価格とは再生席を確保するという大臣の法律解釈をもっと具体的に、それでは再生産を確保するという内容の安定価格とは、どういう内容を持つものであるかということを、もう少しかみ砕いてお教えを願いたい。この再生産を確保するということが、第三条の安定価格だと大臣がおっしゃいましたので、その再生産を確保する安定価格とは、一体どういう価格形成を内応とするものであるかということを、もっと具体的にお聞かせを願いたい、こういうことでございます。
#196
○国務大臣(重政誠之君) 原料乳については、なかなかこれはめんどうのようでありますが、安定帯価格というのは、要するに上位価格と下位価格との間の、その間の価格を安定帯価格と、こういうふうに考えておるのでありますが、原料乳につきましては、上位価格を定める規定がございません。標準価格ということが言ってあるわけでございますが、思うに、この上位価格が設けられておりませんのは、原料乳でありますから、これは乳製品の価格によって、一応左右せられるものでありますから、乳製品の上位価格が定めてあれば、それによって原料乳自体の上位価格は定めなくても、それで目的を達する、こういうことで、そういうことになっておるのではないかと思うのであります。
 でありますから、私どもの考えでは、一応基準価格というのは、乳製品についていっておるところの下位価格に相当するところの価格である、こういうふうに考えておるわけであります。
#197
○渡辺勘吉君 どうも頭が悪いから、さっぱりわけがわからなくなってきたのです。安定価格は再生産を確保する価格である、ここまではわかった。だんだんお話をさらにこまく伺うと、安定帯価格が、この原料乳の場合は安定価格だ、こういうことですね。そうすれば安定帯価格が再生産を確保する価格、これは間違いないわけですから、下位価格は安定価格である、下位価格は再生産を確保する価格である、こういうことですね、それでいいのですね。
#198
○国務大臣(重政誠之君) そこがちょっと、渡辺さんの御理解が私の心持と違うわけです。私は標準価格が再生産を保障する価格であると言うのではないのです、解釈上。私は下位価格と上位価格との間に一つのここに幅があります。この幅が再生産を確保する価格になればよろしいのだ、こういうふうに考えておるわけでございまして、しからば再生産を確保する幅とは何ぞやということになりますと、これはなかなかそう簡単な問題ではございません。目下御承知の審議会に、この点を特に諮問をいたしまして、審議会の委員皆さんの御意見を今聴取しておるわけであります。
#199
○渡辺勘吉君 だんだんお話を伺っていると、私が冒頭に申し上げましたように、価格調整法的な性格に御理解をなされて御答弁をされておる。それはそばに審議官もおられますからでしょうが、これは農林省の役所の最初に出した思想なんです、今の大臣の答弁は。そうじゃなくて、こういう安定ベルトというものの調整的なものを払拭する、そうして価格支持的なものにこれを切りかえておるのですよ、国会審議で。切りかえておる。調整する機能から支持する機能にこれを切りかえておる。再生産を確保するということはそういうことなんです。再生産を確保するということは単なるこれはキャッチ・フレーズじゃない。これは非常に論議を重ねて、私も衆議院でこれが上程されたときに全中の農政部長として参考人として出て、午前十時から午後の六時まで私も参考意見を述べた一人であります。ですから、この審議の経過はよくわかっております。そういう経過の中で、政府原案では調整機能で、価格安定にはならないから、これはあくまでも支持価格的な性格に変えなければならないというので、これは国会で修正した案なんです。だから今の大臣の答弁は、その前のお役人たちが考えたあくまでも安定的、調整法的な思想を答弁されておる。そうじゃなくて、私は大臣が直接国務大臣として、この畜産物の価格安定に積極的に意欲的に取っ組んでいただく場合には、再生産を確保するというものが安定価格であるという前段の御答弁は、まことに法律解釈の上からいっても適合であると思うのです。それがまた、あとだんだん話をこまかく伺うと、あと戻りをして、安定帯的な調整的な話に変わってこられる。そこで私は森委員の関連質問もありますから、この問題では、もう一つ法制局長に、この解釈をどうされておるのかを伺って、次にまた、別な角度から質問いたしたいと思います。
#200
○法制局長(今枝常男君) それでは法律的見地のみから一応お答えいたします。この第三条第四項は、ただいまお話が出ましたように、安定価格が再生産を確保するようなものであることを要求しておるという規定に読めると思います。ただ、念のため申し添えますが、そういう意味でございますが、その場合の再生産を確保するような安定価格というものが、しからば何であるかということにつきましては、これはおのずから幅が出てくる。それはなぜかと申しますと、その前にありますように、これらの生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮して再生産を確保する、こういうことでございますので、その経済事情の動きに即応して、再生産確保の額が出て参りますので、その額には、おのずから幅があるだろう、こういうふうに解釈いたすのでございます。あるいはさらに、蛇足を加えることになるかもわかりませんが、そのあとから申しました意味を、きわめて極端な例にとりまして御理解しやすく申し上げるという意味で蛇足を加えますと、生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮して、その上で再生産確保に必要な額が何であるかということが出て参りますので、たとえば価格が、実際の経済の現場において、将来価格が非常に上がるという見通しがあるときには、そのときに定められる安定価格というものは、それは低いものになることがある。それはなぜかと申しますと、動く経済事情の中において、ある幅の中において、究極において再生産が確保されるような価格が要求されておるというふうに読まざるを得ませんので、したがって価格が上向きにあるという情勢が考慮されたときには、現実に定められる安定価格は低いものになる、こういうような意味において幅が出る、その意味の幅が出てくるのではないか、こういうふうに解釈をいたします。したがいまして、とにかく安定価格が再生産を確保するものであることが要求されているという意味においては、そのように読むべきではないか、こういうふうに理解いたします。
#201
○森八三一君 大臣、くどいようですが、この法律提案せられましたときには、第三条の第一項の第一号の原料乳及び指定食肉の下位価格という表現が政府の原案にはあったわけですね。その下位価格という表現でございますると、今大臣のお答えになりましたような内容のものになる。それでは、成長部門として畜産の仕事を進めていくためには不十分であろうということで、いろいろ国会で論議が行なわれました結果、下位価格という表現が安定基準価格という表現に修正されておるのですね。そうしてその安定基準価格とは、どういう内容のものであるかということを第四項で説明をいたしております。指定乳製品については修正がございませんから、下位価格という表現を使ったそのままでありますけれども、原料乳と指定食肉につきましては表現を変えた。変えたことについて、その内容というものを明らかにしておきませんというと、今後運営上いろいろ物議をかもす危険もあるということから、「これらの生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、」結論的には、再生産を確保することを旨としてきめなければならない、こういうように言い切ってしまったのですね。ですから、一定の幅があって、そのまん中のところの価格が再生産を確保するとか、あるいはその七分のところが確保するということがよろしいという法律の趣旨では私はなくなっていると思うのです。安定県準価格というものが、ずばり再生産を確保するものでなければならない。もし政府の原案のとおりに下位価格という表現といたしますれば、これは大臣、今のお話のとおりで私はよろしいかと思いますが、その辺どうも、やっぱり原案にこだわっていらっしゃるような感じを持つわけで、私はこの委員会で当時の畜産局長と質疑をいたしております。きょうここへ速記録を持ってきておりませんけれども、局長には、下位価格という表現が変わりましたね、変わって、その説明をこういうようにいたしておりますね、そういたしますると、今まで政府の御当局が事務的にお考えになっておりました考えというものは根本的に変わりますよ、そういう認識に立って、今後の運営をしていただきませんというと、行政府としてあやまちを犯すということになりますがというお尋ねをいたしまして、当時の局長も、そのとおりであります、今後は、そういう感覚で運営をして参りたいと思います、こういう御答弁をなさっておるのです。ですから、私は修正後の原案に忠実に措置がいただけるものという理解に立ちまして賛成をいたしておる一人であります。ですから、そういういきさつをずっと御考慮いただきますると、一定の幅の中で、ある時点の価格が再生産を確保すればよろしいのだということに、私は法律上はならぬと思うのです。きめる価格それ自体が再生産を確保するものでなければならない、こういうように私はこの法律を改正いたしまして当時の政府当局と質疑をいたしました過程からいたしまして結論をされておるですから、そういうふうに御措置を願いませんというと、立法府の行ないました行為が、行政府によって曲げられていく。これはまあ常識では考えられないことでございますので、どうも、そこのところがしっくりしない、こう思うのです。その点はどうなんですか。
 私の理解が間違っておるとすれば、これは速記録を持ってきて、また論議をしなければならぬのでございますが、修正したといういきさつは、そこにあったのです。下位価格という表現ではいけない、だから安定基準価格という表現に修正した。その安定基準価格というものは、どういう趣旨のものかというと、生産事情や需給事情を考慮することはけっこうですけれども、結論的には、その時点において再生産を確保し得るものでなければならないと、こういうふうにきめておる。今法制局長は、ちょっとくどいことを言われましたが、将来値段が上がっていくとすれば、それを見込んできめるんだから安くなるとか何とかいうお話でございますけれども、それは将来を見越して、えさの値段が下がっていくんだ、下がっていくから、こうきめても再生産は大丈夫という認識に立つということであるかもしれません。そういうことであれば、それぞれの理由があって明確になってくることでございます。生産事情とか需給事情とかを考慮することはけっこうですけれども、結論的には、その時点において考え得る再生産確保の数額というものが出てこなければ、法律違反であるというように私は極端に思い詰めておるのですがね。その辺の解釈をもう一ぺん、ひとつ承りたい。
#202
○説明員(丹羽雅次郎君) 法律の解釈に関する部分につきましてだけお答えいたします。実は国会で御修正のありました経緯等も十分速記録その他で研究をいたしました。ただ実定法の解釈を運用いたします立場でございますので、実は非常に厄介な問題がございまして、指定食肉、つまり豚肉に関しましては、基準価格と上位価格というものが定められており、そして第三項で、安定基準価格及び安定下位価格はその額を下って原料乳や豚肉が低落することは防止することを目的として定めるものとすると書いてある。したがって、安定基準価格と下位価格は、これ以上下げない線ということが法律の三項で定められておる。安定上位価格は、これ以上を越えて騰貴することを防止することを目的として止めるものとすると、こう法律に書いてございます。
 したがって、先ほどからいろいろ御趣旨の御説明がございましたのでございますが、実定法の解釈といたしましては、まず豚肉に関します限り、上下の幅の中で、これ以下には下げない、これ以上には上げない、そういうものを前のほうで安定価格と総称いたしておると、こういうふうに読んでおるわけでございます。そして四項で安定価格は再生産を確保することを旨として考えなければならない、こういうふうに法律で規定をされておりまするので、私どもといたしましては、原料乳について、一応安定価格と上位価格というものを想定いたしまして、帯で再生産を保障するという考え方でいかがでございましょうかという点が一点。しかし、それでは再生産の確保等の目的のほうで、必ずしも妥当でない、生産費その他を考えてやるべきだという御意見もあろうと存じまして、現在の諮問中の審議会におきましては、そういう考え方が一つと、それから再生産費をいかにこの問題との関係で考えたらよろしゅうございましょうか、並列的に、問題を今審議会で御審議を願っておるわけでございます。
#203
○森八三一君 それはあなたのおっしゃるのは、第三項で額を下ってはならない、上がってはならないと、これは書いてあります。ありますが、その下ってはならないという限界線は、原料乳と指定食肉については、再生産を確保する旨できめられた額なんです。そんな福のあるものを、ここでいっておるのではないのです。もしあなたが今おっしゃったように、第三項のほうが優先をして、第四項のほうはつけたりになるというような理解であるとすれば、これはこの法律を、われわれがほんとうに真剣に審議したときのいきさつを曲げて解釈をしていらっしゃるというようにしか、私は受け取れない。下ってはならない、上がってはならないということは、そのとおりですよ――そのとおりです。しかし、下ってはならないというその一線は、どこにあるかといえば、それは第四項にいう原料乳と指定食肉については、再生産を確保するということを旨としてきめた安定価格がそれであるということなんでしょう。
#204
○説明員(丹羽雅次郎君) 問題を非常に複雑にいたしておりますのは、実は四項が、安定基準価格は再生産を旨としなければならぬと書いてございますれば、御指摘のとおりだろうと思うのです。ところが四項は、先ほど来御説明もございましたように、「安定価格は、」と書いてあるのでございます。豚肉に関しまする限り、完全に安定価格というのは、上、下を意味することを一項で書いておるわけでございます。したがって、法律解釈としては幅で再生産を確保するという考え方も十分成り立ち得ると思います。ただ、それでなければ絶対いけないということを私どもは申しておるわけではなくて、そういう立場に立ちまして、こういう考え方で計算する方法がよろしいかどうか、あるいはそれ以外に生産費というものを考えて再生産の確保を考えるという方向がよろしゅうございましょうが、問題をいろいろと提起をいたしまして、審議会で各委員の御審議を承っている最中でございます。
#205
○森八三一君 あなた、おかしいことをおっしゃるのですね。第三条の第一項をごらんなさいよ。「原料乳及び指定食肉の安定基準価格」、その前文のところには、「次の安定価格を定めるものとする。」とあるでしょう。ですから、第四項のところに安定価格と言っておりましても、原料乳と指定食肉については、第三条の第一項の第一号に基づく安定基準価格が、ここに当てはまるものなんですよ。それ以外のものをもってきて、とやかく議論されることは、第三条第一項の第一号をごらんなされば、はっきりしてくる。
#206
○説明員(丹羽雅次郎君) 第一項には御指摘のとおり一号で、「安定基準価格」と響いてございますが、三号で同時に「指定食肉の安定上位価格」と書いてある。そして、それらを全体にまとめて次の安定価格というのが主文でございます。したがって、四項での安定価格というものは、これらを総称したものとして読むのが法律的には一応妥当ではなかろうか、こういう解釈も成り立ち得ますゆえに、そういう考え方もあるという意味において諮問をしているわけであります。
#207
○森八三一君 いよいよ私はわからなくなりますが、第三項は、第三条の第一項一、二、三号を受けて総括的に、ここで規定しておるでしょう。だから、上位価格とか下位価格とか使っております、第三項で。けれども、第一項の二号、三号のところに下位価格とか上位価格という字を使っておりますので、それを受けた場合が、ここに当てはまるのであって、第一号には、下位とも上位とも言っておりませんよ。だから、そういうようにあなたが曲げて解釈なさることは、この法律をわれわれが審議したときの趣旨を曲げていらっしゃるというようにしか私は受け取れないのです。もし第一号のところに下位価格とでも入っておれば、それは第三項のところで下位価格ということをおっしゃっても、私は異存ございませんけれども、「安定基準価格及び安定下位価格は、」と、この安定価格というものは何を表示しているかと言えば、第一項の第二号の下位価格という表現なんです。それから上位価格というのは、どっかにありますか。安定上位価格はというのは、第三号の上位価格という字を受けておるということである。だから安定基準価格というのは、どこまでも別個のものなんです。その安定基準価格ということを第四項ではうたっておらぬから云々とおっしゃいまするけれども、第一項に、「安定価格を定めるものとする。」ということで言い切って、そうして一号、二号、三号が出てきて、その一号には、「安定基準価格」という字を使っておるのですから、第四項の「安定価格」という内容は、原料乳と指定食肉については、第一項の一号を受けておるものと理解すべきであって、そうでないということを言うのは、これは強弁だと私は言わざるを得ないと思うのです。これは法制局どうですか、法制局の考えは。
#208
○法制局長(今枝常男君) 今御指摘のことに関します限りにおきましては、ここの「安定価格」は原料乳につきましては、安定基準価格ということになると思います。ただ、先ほど申しましたことがございますけれども、今、その問題に局限して申します限りは、そういうことになるかと思います。
#209
○森八三一君 法制局の見解は、私の見解と同様なんです。
 そこで私は、今ここでこのことをとやかく追い詰めようとか何とか申しません。申しませんが、ただ畜産が非常に成長部門として指向されまして、今度の金融問題につきましても非常に大臣にも御努力をいただきまして、特別の資金ワクも設定し、御努力を願っておるというときでございますので、それに関連いたしまして本法の、この安定法の運用につきましては、こういう場合はいかがでございましょうか、こういう場合はいかがでございましょうかというような、二様の解釈をしたものを審議会に御諮問なさるという態度はおかしい。やはり法律解釈は一本であるべきでありまして、二様に解釈の出てくるはずはないと思うのです。もし二様に解釈されるようなものでございますといたしますれば、それは法律が悪いので、これは直さなければならぬということになると思いますけれども、私どもは、そういうあいまいもこたる法律を作った考えはございませんので、まっ正面から理解をいたしますれば、二様の考えは出てこない。だとすれば、審議会にお諮りになります原案というものは、そういうものであってはならぬのであります。だから、大臣が御諮問なさるときに、物価安定とかいろいろのことがあるので、こういうことはどうでしょうと、法律を離れて別の政治論としてお考えをお聞きになることは、これは御自由でございますけれども、法律に基づく諮問としては、法律解釈は一本であって、二木の諮問案が出るということはおかしいのじゃないか、こら思うのです。その辺はどうなんでしょうか。
#210
○国務大臣(重政誠之君) 審議会に対する私の諮問案といたしましては、価格決定について留意すべき事項について諮問をいたしております。ただいま参事官が申しましたのは、この諮問案の説明にあたりまして、そういうような問題点も説明いたしまして、審議会の各員の御意見をお漏らしを願いたいということを言っておるわけであります。
#211
○法制局長(今枝常男君) ただいま言葉が足りませんでしたかもしれませんが、ちょっとだけ付加さしていただきます。
 それは、最初に申し上げましたことと同じことでございますが、先ほど森委員からお尋ねのございました点に局限してはと申しました意味は、あとのほうの問題といたしまして、あらゆる時点をとらえて、安定価格が再生産確保の価格を持っていなければならないかどうかという点につきまして、最初に申しましたように、一時点をとらえては、必ずしもそうならない場合があり得る、それはなぜかというと、経済事情を考慮してですから、動く経済事情を考慮するということには、そこには、ある時間的な幅を考慮することを考えているのではなかろうか、こういう意味で、常にあらゆる時点をとらえて再生産確保の価格にならなければならないかどうかということになりますと、最初申しましたようなふうに考えておりますということを念のためつけ加えさしていただくわけであります。
#212
○渡辺勘吉君 参事官の答弁で非常に混乱するのですが、あなたは審議の経過をよく読んだというけれども、少なくとも私が衆議院で、これが参考意見を述べて、その晩にこれが修正をして、再生産を確保するということを太い筋に、これを入れかえられるというその話し合いまで私は参考人の席で聞いておった経過もある。そういうことを十分知っておるならば、今の法制局長の解釈のように、すなおに解釈すればいい。大臣もすなおに解釈している。安定価格とは、再生産を確保するということである、それでいいでしょう、参事官。
#213
○説明員(丹羽雅次郎君) まさに四項には、安定価格は、再生産を確保することを旨とし、と書いてございますから、そのことについてはまさにそのとおりで、一言も違ったことを申し上げておるわけではございません。
 問題は、この「安定基準価格は」とあれば、一切の問題は解決するのですが、「安定価格は、」と書いてございますから、先ほど森委員が言われたように、この安定価格は、たとえば豚肉について安定基準価格と読むんだということに相なりますれば、豚肉の上位価格その他をきめる基準が、この法律にはどこにもないということになるのです、逆に。そこで、私どもの解釈といたしましては、どうしてもこれを読む上におきまして、全体に対する価格のきめ方についての留意事項である、法律上どうしてもそう読まざるを得ないのではないか。しからずんば豚と乳は違ってものを考えるんだということに相ならざるを得ないのではないか。したがって、私どもの行政解釈といたしましては、一応の幅を考えて、この法律に違法ではない、しかし再生産を確保する方法として、先生、先ほど来おっしゃっておりますように、生産費等を考えるという考え方を取り入れるほうがいいか悪いか、そういう問題については、十分審議会の御意見も承っておるわけでございます。以上でございます。
#214
○渡辺勘吉君 わかったようなわからないような返答ですが、問題は、少なくともその生産費というものを考慮しないで安定価格なんというものはあり得ない。さらに私は、生産費だけでなくて、所得まで保証しなければならない。そうでなければ農業従事者の地位というもの、生活水準を同じくするという基本法の第一条が泣くわけですよ。これは非常に現時点では金がかかるから、大臣は渋っているけれども、農民自体から見れば、そういうことを当然期待をしている。国会で審議をして第四条を入れたというのは、繰り返しますけれども、この法律の最初の考え方というものを価格支持的なものにこれを置きかえるためにこれを入れたわけです、原案にはなかったわけですから。だから、これを中心として再生産を確保するのが安定価格である。第三条の第一号に、安定価格とは、原料乳の場合を安定基準価格――原料乳の場合には上位価格も下位価格もないわけですから、私は原料乳に限って、きょうは質問しているわけです。したがって、少なくとも原料乳に関する限りは安定価格は安定基準価格であり、安定基準価格は再生産を確保することを旨としてきめなければならない。法制局長は、さらに生産事情、需給事情を云云されます。これはもちろん再生産を確保する要素の中に、それらを勘案して、そうして年に一回ずつ、そのようにいろいろな諸事情を考慮してきめるわけです。当然価格支持的なものにこれを諮問して、諮問の姿勢も、そういうふうな生産費を十分考慮して、所得も十分考慮して、そうしてそれを再生産を確保する価格として告示をするという姿勢に、これは出て参りませんと、今のような政府が出した試算等で五十二円十四銭とか、しかもこれは工場渡しでしょう。集乳場渡しが四十六円十四銭です。そんなばかな値段で、これは役に立つ価格の支持とはいえない。これはざる法です。だから、あくまでもこれは政府の諮問する姿勢というものは、こういう場合はどうか、こういう場合はどうかじゃなくて、行政府で、これを審議をしたその内容を、十分運用に勘案して、行政的に措置をしていただくということでなければ、これらの第四項というものも、さっぱり宙に浮いてしまう、そういうことになると思うのです。
 大臣、繰り返してお尋ねいたしますが、この原料乳に限って、きょうはお伺いをいたしておるのでございますが、原料乳の場合、この法律の第三条に基づいて各項をずっと読んで、そうして国会でこれが原案から、価格調整法的な性格から、価格支持法的な性格に法律を原案を修正して、そうして両院でこれを通過した、その審議の経過にかんがみて、あくまでも価格支持的なものとして安定価格を位置づける、これが、大臣が御答弁になった再生産を確保するという内容になる、こういうふうに解釈をして、これで運用していただくというように理解しているんですがね。その点を重ねて大臣から承りたいと思います。
#215
○国務大臣(重政誠之君) 渡辺さんも、そうのようでありますが、私も実は法律解釈は弱いのであります。でありますが、私が今まで法律を読み、いろいろ解釈を聞いておりますところによりますれば、今お話になりましたようなことでなしに、基準価格というのは、いわば最低価格である、こういうふうに読まざるを得ぬ。そうして安定価格というのは、やはりこの最低価格と最高上位価格との間の一つの幅を安定価格と言うておる、こういうふうに思われるわけであります。
#216
○渡辺勘吉君 どうも大臣の言うているのも、ときどき回ってくるメモに左右されるせいか、はっきりしないのです。安定価格とは再生産を確保するということ、これは間違いないですね。
#217
○国務大臣(重政誠之君) そういうことであります。
#218
○渡辺勘吉君 そうすれば、この告示する――原料乳は、再生産を確保する価格を告示する……。
#219
○国務大臣(重政誠之君) ――わけではないのです。
#220
○渡辺勘吉君 わけではない――何をするのです、どういう点をやる……。
#221
○国務大臣(重政誠之君) 告示する価格は、原料乳の最低価格を告示する、それ以下には下がらないように、政府は防止をいたしますという値段なんです。
#222
○渡辺勘吉君 その最低価格をさらに下回らないようにするということでは、繰り返していいますが、この畜産物の価格安定等に関する法律の趣旨は、完全に意味をなさないわけです、現実に、そうでしょう。今原料乳の取引は、どのくらいです、全国においては。大臣、どうそれを把握しておられますか。
#223
○国務大臣(重政誠之君) これは意味をなさないと一口におっしゃいますけれども、一升五十二円が今告示になっておりまして、五十二円以下は絶対に下がることを政府は防止をいたしております。それ以上の値段で原料乳が取引をせられておるのでありますから、これは地方によってもちろん違います。これは地方によって生産の事情も違いますし、いろいろ違いますから、一律にはいかないだろうと思うのでありますが、その地方々々のいろいろな条件によりまして、あるいは五十五円なりあるいは五十六円、あるいは五十三円、四円というようなところで取引になっておるのでありまして、でありますから、これが今、お話の再生産を確保しておらぬというわけでは私はないと思うのであります。
#224
○渡辺勘吉君 それでは、かなりこれは私の考え方から譲歩して、基準価格は最低価格であるという場合に、その最低価格というものの価格形成要素は何を使うわけですか。これは大臣に聞いているのです。
#225
○国務大臣(重政誠之君) 参事官にひとつ答弁さして下さい。
#226
○渡辺勘吉君 いや、これは大事な問題ですよ。
#227
○説明員(丹羽雅次郎君) 安定基準価格を決定するにあたりまして留意すべき事項は、どういうことであるかということは、ただいま大臣が審議会に御諮問をいたしております。で、その諮問の過程におきまして、私どもが一つの考えとしてお出ししておりますのは、過去七年間の乳価の変動のうちで、著しい下落期をはねました帯で価格を算定する方法はいかがでございましょうかというのが一点、それから生産費を補償する方式による方法はいかがでございましょうか、所得補償をする方法はいかがでございますか、この三つのものにつきまして、参考意見として出して、各御意見から、これを算定すべき方法のうちで、一番いい方法はいかがなものでございましょうかということを諮問いたしております。
#228
○委員長(櫻井志郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#229
○委員長(櫻井志郎君) 速記起こして。
#230
○渡辺勘吉君 基準価格を定める場合に、その下位価格としてやるという、その定め方に、三つのケースを考えて諮問するというのですが、その諮問の仕方が、私は、そもそも一そう混乱を巻き起こすことだと思うのです。で、あくまでも農業基本法を掌握する農林大臣が、自分の諮問機関である審議会に諮問するには、そういう前提を忘れてはいかぬ。今の参事官の態度というのは、通産官僚なり、大蔵官僚なりの立場と何ら変わりがない。少なくとも酪農を振興させるという方向で、現在の酪農家、農業経営の実態を直視した場合には、そんなへらへらしたケースを出すべきじゃないと思う。非常にこれは遺憾であります。もっと国会で審議をされた点を、行政当局としても内容として、この畜産物の価格安定を政府が十分はかって、そうしてこの生産拡大という方向に取り組ませるような、そういう価格指示的なものを告示する前提として諮問機関に諮問するということで、何もその解釈が、そう分かれておるわけではない。法制局長がその専門的な立場から答弁しておることでも明らかで、それをあくまでも、当初の原案の価格調整法的な思想にとらわれているから、幾らたっても、すっきりした行政的な姿勢というものが出てこない。こういうことで酪農の将来というものが期待できると思いますか。
 私の最後に、きょう御質問申し上げるのは、少なくともあなたが、素朴に法制局長がお答えになった、安定価格とは再生産を確保するのであると、そういうものを、今後、原料乳などの支持価格として、行政的に措置をしていくのだという方向でお考え願いたいと思うのですが、その点について再度大臣のお考えのほどを承わりたい。
#231
○国務大臣(重政誠之君) これは、先ほども申し上げましたように、基準価格というのは最低価格である、で、これ以上乳価が下っても、下げることはいたしません。法律の第三条第三項によれば、価格はこれ以下に低落することを防止することを目的として定められる額である、こういうふうに考えておるわけであります。
#232
○渡辺勘吉君 大臣の予定された時間も経過したようですから、これ以上、きょうお引きとめすることは、はなはだ失礼でありますから、きょうの質問は、これで終わりますが、いずれ次の委員会等で、大臣の御出席をいただいて、もう少しこれを納得ができるように、酪農家ばかりではなくて、全国民が納得できるような答弁をいただく機会をひとつ次の委員会まで保留して、私の質問は、きょうはこれで終わります。
#233
○委員長(櫻井志郎君) 本日は、これをもって散会いたします。
   午後五時五十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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