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1962/03/19 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第15号
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1962/03/19 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第15号

#1
第043回国会 逓信委員会 第15号
昭和三十八年三月十九日(火曜日)
   午前十時三十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 三月十五日
  辞任      補欠選任
   浅井  亨君  白木義一郎君
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤 顕道君
   理事
           鈴木 恭一君
           寺尾  豊君
           光村 甚助君
   委員
           植竹 春彦君
           郡  祐一君
           白井  勇君
           新谷寅三郎君
           最上 英子君
           鈴木  強君
           野上  元君
           横川 正市君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   郵 政 大 臣 小沢久太郎君
  政府委員
   郵政大臣官房長 武田  功君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       倉沢 岩雄君
  参考人
   日本放送協会会
   長       阿部真之助君
   日本放送協会専
   務理事     前田 義徳君
   日本放送協会専
   務理事     田辺 義敏君
   日本放送協会専
   務理事     小野 吉郎君
   日本放送協会理
   事       赤城 正武君
   日本放送協会計
   理局長     広川 義和君
   日本放送協会主
   計部長     志賀 正信君
   日本放送協会経
   営第一部長   野村 秀夫君
   日本放送協会経
   営第二部長   吉田 行範君
   日本放送協会放
   送業務局長   吉田 良直君
   日本放送協会教
   育局長     長浜 道夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法第三十七条第二項の規定に基
 づき、国会の承認を求めるの件(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤顕道君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 初めに、委員の異動について御報告いたします。
 三月十五日浅井亨君が委員を辞任せられまして、その補欠に白木義一郎君が選任せられました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(伊藤顕道君) 次に、参考人の件についてお諮りします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件の審査等のため、今期国会開会中、日本放送協会教育局長長浜道夫君及び経営第二部長吉田行範君を参考人に決定いたしておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(伊藤顕道君) 御異議ないと認め、さよう決定いしました。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(伊藤顕道君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○新谷寅三郎君 ただいま配付せられました資料についてちょっと伺いたいのですが、NHKの方に伺います。
 一番最後に「助成団体および助成額」とありますが、これは何年の分ですか。このほかにこまかいようなものがたくさんあるように聞いておったのですが、そういったものはないのですか。助成という言葉、あるいは協力という言葉、これは非常にあいまいでありますけれども、きわめて常識的に考えて、ちょっとした寄付なんかは助成ではないと思いますが、毎年継続して放送を発達させるために協会が財政的な援助を与えるというような意味で助成をしておられる団体は、これ以外にはないでしょうか。これは何年の金額ですか。
#7
○参考人(小野吉郎君) これは三十七年度における金額でございます。御指摘のその他の団体においてこのような助成と称すべき団体があるかという御質問でございますが、恒久的に助成をいたしておりますのは、ここにあります三件でございまして、そのほかにはいろいろ金額のあれがございますが、ある一定の業務を、NHKが本来今までやっておったような仕事を他へ移したようなのがございます。その仕事をいたします代償といたしまして、それに必要な経費を交付をいたしている、こういう種類のものは他にございますけれども、助成として、ある種の仕事の遂行に対する対価としてでなくして出しておりますのは、ここに計上してございます三つの団体でございます。
#8
○新谷寅三郎君 三十八年度では、たとえば学校法人日本放送協会学園に対しては、三千万円がどのくらいになりますか。たしかこれは一億何千万円というふうに聞いておりましたが。
#9
○参考人(小野吉郎君) これは三十七年度中に支払いました額になっておりますので、三千万円と非常に少ない経費になっております。このほかに、土地、建物、学校の校舎等につきまして、これを建設し終えますと、NHKから現物の関係、金銭ではなく現物で助成することになるわけでございます。これは、まだ工事が完了いたしておりませんので、三十八年の五月ころには引き渡せるようになろうかと思いますが、この関係のものは三十八年度中におきまして出すものでございます。しかし、これはおよそ三十七年度に予定をいたしました金額でございますが、この関係といたしましては、土地代金一億二千万円、建物の関係を含めまして約二億四千万円くらいになりましょうが、そういったものは、前年度からの引き継ぎとして、まだ工事が完了いたしませんので、完了を待って学園のほうに移すことにいたしたいと思います。
 そのほか、三十八年度中におきまして、この学校法人の運営に関する助成といたしましては、三十八年度の予算に一億三千八百万円計上いたしてございます。
#10
○新谷寅三郎君 今のお答えで、適当か不適当かは別として、大体御意思はわかったのですが、ここでもう一歩掘り下げて質問をしておきますが、この学校法人のほうは、これはどうなんですか。この間の郵政省の答弁によりますと、九条二項の十号に該当する業務であるというふうに考えられて郵政大臣の認可を受けたもの、これはやはり日本放送協会の業務なんでしょうね。そういうふうに考えていくのか、何か土地、建物というものに出資するでしょう、そういったものを現物で給付するか何かして、別にとにかくそういう寄付行為をやって学校法人を作ったので、教育という業務自身はNHKの業務ではないというふうに考えるのか、どっちなんですか。
#11
○参考人(小野吉郎君) 学校を設立するに至りますまでにおきましては、九条の該当の条項によって措置すべきものと考えております。第九条の二項十号によりまして設立の関係につきまして郵政大臣の御認可をいただき、さらに法人の設立につきましては文部省の所管でございますから、学校法人の設立は文部省所管でございますので、文部大臣の認可が必要でございますが、一たんそういった学校ができ上がりますと、この学校の運営につきましては、NHKの業務ではございません。学校法人の業務でございますので、この関係につきましては、放送の関係を通じてこれを利用するという関係にはございますが、NHKの業務とは考えておりません。そういう関係で、NHKの業務でなく、そういった放送の関係の進歩発展に役立ち、また受信のそういった教育面における効果を上げる団体に対しまして助成をいたしていくというふうに考えております。
#12
○新谷寅三郎君 助成の関係まで言われると、非常にまた問題が複雑になってくるのです。助成は二項の一号でということを従来郵政省では答弁しているのですよ。十号と関連はないのです。今のように答弁をされると、だんだんこんがらがってくるのですから、私は今、事柄のいい悪いよりも、この法律の運用について……。NHKはやはり一般の民放と違うのです。国民から税金のようにして取っている聴視料で維持されている。そのかわりに、法律の規範を受けて、法律の範囲内において日本の放送事業の発達のために尽くされるというのがNHKの使命なんです。だから、法律をもっと厳重に守ってもらいたいというのが私の趣旨なんです。ですから、これは少し法律にこだわり過ぎるのかもしれませんが、最近、放送法を作りましてから、ほとんど法律論について国会で問題にしないものだから、ゆるんでいるのじゃないか、もっとしっかり法律を読んでもらいたいということから私は言っているのですから、法律というものをもっと厳粛に考えて、今の御答弁をそういう趣旨で御訂正いただいたほうがいいと思います。
 そうしますと、小野君の言われるようだと、二項の十号で「特に必要と認められる業務」というのは何ですか。学校を作るについて「業務」というのは何ですか。NHKの業務というのは何ですか。それを明瞭にしていただきたい。
#13
○参考人(小野吉郎君) 先ほど申し上げましたように、学校の運営につきましては、NHKの業務そのものではございません。ただ、これの設立の関係につきましては、いろいろNHKとしてめんどうをみないと完了をするに至りませんので、そういう関係につきまして、放送法第九条に根拠を持たなければ、そのようなことも不可能でございます。この九条に根拠を求めれば、第二項の十号によって大臣の認可を要するところである、このように考えまして設立の認可を受けたわけでございます。
#14
○新谷寅三郎君 私のお尋ねしているのにそのままお答えいただきたいと思うのです。NHKがこういう考えを持っているのだとか、こういう意図を持っているとかいうことは、もうよく知っているのです。あとで郵政省にも聞きたいのですが、あなた方が十号によって放送及び受信の進歩発達のために特に必要であると認められたNHKの業務というのは、学校法人を作ることですか。学校法人を作るという事柄がNHKの業務である、それは放送及び受信の進歩発達に特に必要である、こういうふうな考え方であるということを言っておられるのですか。
#15
○参考人(小野吉郎君) そのとおりでございます。
#16
○新谷寅三郎君 郵政大臣にお伺いしますが、今お聞きのとおりのNHKの解釈だそうです。NHKはそういうふうな考え方で、学校法人を作るというのが放送及び受信の進歩発達のために特に必要な業務であるということを言っておられるのです。郵政省もやはりそのようにお考えなんでしょうか。郵政大臣はこの前の委員会に出ておられないので、あるいは局長あたりから質疑の模様はお聞きになっているかと思いますけれども、私は、今申し上げる前にも、この前にもこういうことを申し上げておったのです。これについては、郵政大臣のほうで十分研究しておかれるようにということを局長にも頼んでおいたのですが、この放送法の九条の第二項に書いてあります業務というものは、これは、この法律に書いてある範囲においてNHKはこういう仕事が行ない得るというものですね。第一項のほうは、これは必要業務、ぜひやらなければならぬ、これはNHKの使命です。七条の目的と裏表をなすものなんです。それに付随して、第二項のほうでは、こういう仕事は行なってもいいのだという、何といいますか、制限をせられた範囲内において、こういった業務を行なってもいいという仕事を掲げてあるわけです。今度は、その中の一番最後の十号というもので学校法人の設立の申請をされたというのです。で、いろいろ土地、建物を法人に寄付をされたと、こういうのです。今のそれに関連して、NHKの担当者は、先ほどお聞きのような答弁をしておられるのですが、郵政大臣はどうお考えですか。
#17
○国務大臣(小沢久太郎君) 郵政省といたしまして、NHKの学校法人を認可いたしましたときは、ただいまのようなわけでございます。
#18
○新谷寅三郎君 それでは郵政大臣に伺いますが、放送及び受信のどういう進歩発達をはかろうとされたのですか。学校法人の設立に対して寄付をするということは、放送及びその受信の進歩発達の上にどういう効果を期待されたのですか。またはその結果として――結果は出ておりませんが、こういう結果になるということを予見しておられるのですか、放送及び受信の進歩発達のために。
#19
○国務大臣(小沢久太郎君) 通信制高等学校の問題につきましては、毎年相当数の勤労青少年が社会に出て活躍しておる現状でありますので、これら青少年の勉学心にこたえ、教育の場を与えるとともに、教育番組編集上必要な資料を得て放送番組の充実をはかって参りますことは必要なことじゃないかというような意味から、こうしたわけでございます。
#20
○新谷寅三郎君 放送を聞きましてそれで何らか役に立てる、それに必要な学校はこの十号の規定によってどんどん設立してもいいという考えですか。今、放送に、番組に組まれておる問題は、中央、地方を通じまして、多少、教育番組もあるし、教養番組もあるでしょうし、そのほかにたくさんいろいろな番組がありますね。それを利用する勤労青少年のためだということは、これはここでは、NHKは社会教育機関じゃないのですから、それは問題にならないと思いますがね。結果として非常に喜ばれるか喜ばれないかということの判断にはなりますけれども、ここでは、対象がだれであるとか、そういったことは問題にならないので、つまり、放送という手段を利用して教育に便宜が与えられるというような場合は、それに関する学校のようなものを、教育機関をどんどん作って、それにNHKが寄付をしていくというようなことは、すべてこの十号の規定から出てくるというふうにお考えなんですか。
#21
○国務大臣(小沢久太郎君) 結論といたしまして、教育番組の内容の向上ということを主眼にして認可したわけでございます。
#22
○新谷寅三郎君 学園を作らないと教育番組の向上はできないのですか。教育番組の向上はどんどんおやりになればいいじゃないですか。娯楽番組も、報道番組もそうです。教育機関を作らないと番組の向上はできないのですか。
#23
○国務大臣(小沢久太郎君) 学園を作らなくても、教育番組の向上ということは、これは十分できるわけでございまして、それはまたNHKの一つの大なる使命だと、そういうふうに思います。
#24
○新谷寅三郎君 ですから私は申し上げておるのです。教育番組、教養番組、娯楽番組、いずれの番組でも、毎年々々工夫をこらして、国民全体のために番組の内容を向上していくということは、これは当然のことです。教育機関を作らないと教育番組の向上ができないというような理由で、この学校法人の設立をあなた方が認可をされたということになると、これは、私は他にずいぶん将来波及していくと思うのです。そういうルーズな――私から言えばですよ。端的に言えば、ルーズな解釈をして、十号というものを運用されることは非常に危険だと、私はそういうふうに思っているのですが、郵政大臣、どうですか。
#25
○国務大臣(小沢久太郎君) 先生の御指摘の点は、まことにごもっともでございまして、NHKの業務の範囲の点につきましては、今後も十分な関心を払いまして、必要な範囲を逸脱しないようにわれわれは留意をしていきたい、そういうふうに考えております。
#26
○新谷寅三郎君 私は、何も、初めに申し上げておいたのですけれども、放送をよくすることについて努力を惜しむことはよくないと思いますし、非常に力を入れてやっていただいていいのです。勤労青少年はもちろんのことです。もっと広くいえば、たとえば婦人の時間なんかでも、婦人の番組とかあるいは婦人の社会的な地位を高めるためのいろいろ問題について取り上げられて、それを懇切に指導していかれるというような立場から婦人番組をふやしていただくということも、今の日本の社会にとっては必要だと思います。それから中小企業とか農山村の青少年、そういった人たちを対象としまして、これはあなた方が言われたような勤労青少年でないでしょうが、そういった者を対象にしての特別の時間に特別の番組をふやしていかれるということは、これも必要だと思います。そういったことは、当然NHKが本来やるべき仕事なんでしょう。どうして学校を作らないと番組の向上ができないのか。そういったことについて、あまりに端的に一方的な考え方から割り切っておられるので、私は将来のために注意をしておるのです。これは、今あなたが、将来郵政省としてもそういったことのないように注意をするというなら、その問題についてのこれ以上の追及は控えますけれども、とにかく、十号の考え方というものは、私は、郵政省のとられた態度に、それからNHKがこれをもとにして申請されたとすれば、それについてもあまりに法律の精神から離れておる。もしそういうことをやりたいのならば、法律を改正したらいいでしょう。法律を改正してからやればいいのです。現在は、そういったところまでNHKにやってもらうつもりで法律は書いてないのです。私はそう思っておるのです。この点は十分御留意を願いたいと思います。ことに、先ほどちょっと問題にしましたが、助成を毎年々々しなければならぬ、それは、学園は助成なしにはやっていけないでしょう。ここで、学校教育法とか、あるいは場合によってはそういう議論も出るだろうと思って用意をしてきたのです。私立学校法というようなものの規定を見ますると、学校を一応設置した場合には、その寄付者――寄付行為をした者は、相当の責任があると思うのです。非常にたくさんの子供たちをかかえて、それをもとにして、教育を受けようとしているわけですから、勝手気ままにいつやめるというわけにいかないのです。学校を維持するために非常にいろいろの義務を持たせているわけです。そういったものは、これは教育行政に関する問題でございまして、私はNHKの本来の――七条、八条、九条等をお読みになって、ここから、そういう教育機関を自分で持って、――教育を自分でやるのだ、そのためには相当の金を毎年々々出していってもいいのだということは、ここからは出てきにくいと思うのです。七条、八条、九条あたりからですね。これから毎年続くのです、助成金の問題は。そういったことに対しては、私は、現在の放送法がある間、ある以上は、やはりNHKに対して相当にあなた方注意をされまして、法律の本来所期していること以外に助成というようなことで聴視者から集めた金がどんどん出ていかないような工夫をしてもらわなければいかぬと思うんです、その点についてはどうですか。
#27
○国務大臣(小沢久太郎君) NHKには経営委員会というものがありまして、そこで自主的にいろいろやっております。私は、そういうところで、今先生がおっしゃったような点を十分に意にとめまして、そして運営されることを望むわけでございます。
#28
○新谷寅三郎君 経営委員会に、あなた、まかしちゃいけないのですよ。これは郵政省の問題なんですね。郵政省の放送法の解釈なんというものをNHKの経営委員会に、あなた、まかしちゃうということでは困るのですよ。これは、だれもやらなかったら国会でやりますよ。少なくとも、郵政省としましては、この法律制定のときから、この条文はどういうことをいっているのだということは知っているはずです、郵政省は、その解釈の仕方がいろいろに変わっちゃ困るのです。これは、当然郵政大臣が監督官庁として有権的な解釈を考えなければならぬ。経営委員会において適当に解釈し、運営するであろうということを期待するというのじゃ困るですね。
#29
○国務大臣(小沢久太郎君) ただいま私の申し上げましたことは、NHK自体で運営する面を申し上げましたので、この法の解釈、運営ということにつきましては、最初きめました放送法の趣旨にのっとってやっていきたい、そういうふうに考えております。
#30
○新谷寅三郎君 NHKに伺いますが、ただいまのような郵政大臣の見解ですが、私は、学校教育にNHKが関係を持ったことについて、それを悪いというのじゃない。文部省なり、適当な機関が学校教育機関を持って、それに対して、放送、テレビというようなものを手段として持っておられるのだから、もうどんなに経費がかかってもそれに対して全面的な協力をしていくということは、NHK本来の使命であろうと思うのですけれども、自分で教育機関を持ったというところに私は問題があると思うのです、今の放送法の解釈からいたしまして。郵政省もその点は将来注意をすると言っておりますが、これに関してNHKはどういうふうなお考えをお持ちになっていますか。
#31
○参考人(阿部真之助君) ただいまの御質問にお答えいたします。
 NHKが学校を持つに至ったのは、広域通信教育というものが、昨年だったか一昨年だったかの法律の改正で行なわれ、広域通信教育というものはだれでもやれることなんですが、考えてみますというと、全国を対象にした通信教育なんで、広く全国的なネット・ワークを持つNHK以外には、これをやり得るほかの機関は、私はないだろうと思うのです。そうしますと、このことに取り組むことはNHKの使命だと、こう考えたことなのでありまして、このことは、同時に、先ほど大臣が御指摘になったように、教育放送というものは実際に学校の場において実験しながら進めていくというために非常に役立つことでありまして、同時にまた、私は法律はしろうとで、法律論は何とも申し上げることはできませんが、しかしながら、NHKの解釈においては、第九条というものは例示的なもので、そうきびしい制限を用いるものじゃないという解釈、その同じ解釈を郵政省でとっておられることなんで、そんなにルーズに、われわれが国民から取り上げた金を使うなどということは考えておりません。今後といえども、このNHKに課せられた大きな使命を果たするためには相当の犠牲を払うことは、これは私はわれわれの責務だろうと、かように考えておることなんであります。私どもの心持ちをひとつ御承知願いたいと思います。
#32
○新谷寅三郎君 阿部さんは、今法律論は下手だとおっしゃるから、あなたと法律論をやろうとは思いませんけれども、今のようなお答えだと――私はその趣旨は知らないことはないのです。通信教育というものについては、いろいろの制度ができて、NHKがラジオやテレビを通してそういう衝に当たることが一番便宜であるというようなことも、私は了承しておるのです。おるのですが、このこととNHKがみずから教育機関を持つということとは違う。私はそれを言っているのです。法律論は、あなた知らぬとおっしゃいますから、あまり言いませんけれども、私が問題にしているのは法律論なんです。
 われわれは、第五国会に放送法が提案されましたときに――第五国会です。そのときに、ずいぶん修正意見を出して、時のGHQとやり合った。それを、第七回国会にその修正意見を入れて、それが今日の放送法になっているのです。その当時からの問題なんです。NHKというのは、特別の特殊の法人でありまして、公共的な目的を持っているわけです。さっきも申し上げたように、第一項では必要な業務か書いてある。第二項では、これは制限せられた業務です。こういったことは法律の範囲内で行なうことができるということを書いてあるのです。したがって、これの解釈、運用にあたりましても、もうある程度法律を学んだ人であればすぐ感じることは、第二項に書いてある業務というものは、任意の業務といいますか、随意の業務といいますか、こういう業務については、法律の規定上、これは制限的に解釈をしなければならないのだということは当然なんです。これをどんどん拡張してもいいなんということは、おそらく、だれも考えないでしょう。私は、これは自分の意見として申し上げているのですが、これはむしろ法律の常識だと私は思っているのです。
 したがって、この十号のごとき、ここで放送、受信の進歩発達をはかるために特に必要と認められる業務という中に教育というようなものもお入れになる、それは関連は持ちますよ、みんなね。放送やテレビに関連はありますから、その意味では関連は持ちます。しかし、ここに書いてあるのは、特別にこうやれば放送受信の進歩発達がはかれるのだ、というようなものです。そういう業務に限定しているわけです。そこに学校教育というようなものをお入れになったことについて、私は法律上疑問があると言っているのです。郵政省も、その点はもっともだということを言っておりますが、NHKのそういう学校法人を作られた趣旨なり、文部省あたりとの交渉のいろいろの経過等については、私も了承をしておるのです。しておるのですけれども、こういう法律のつらから見ますと、真正面から見て参りますと、どうもこれは法律上は非常に行き過ぎがあった。だから、将来に対して、これはよほど厳重にあなた方自分で、法律の精神、法律の成文に従って業務の運営をしていかれないことには、この放送法というものは曲げて運用せられる結果になって、非常に遺憾であるということを申し上げておるのです。もしほんとうにあなたがおっしゃるように必要であれば、法律改正をしてやるべきだと私は思うのです。
 それから、阿部さんからこの法律上の問題についてさらにお答えをもらおうと思いません。思いませんが、担当のどなたでもいいです、専務理事の方から、今の問題についてさらに敷衍してお答えすることがあったらお答えして下さい。
#33
○参考人(前田義徳君) 先生の御趣旨は、私どもも完全に理解させていただいておると考えますが、第九条の援用について、これが無制限の拡大解釈であるという考え方は、私どもは実は持っておらなかったわけでございます。
 その第一の理由は、昭和三十七年度予算の審議に際しまして、学校法人としてのNHK学園の設立、これにつきましては、予算を計上し、御審議を詳細にいただきまして、御承認を得ているわけでございまして、この基本的な法律問題が、もし今日のように先生によって論じられるとしては、すでに一年間おそ過ぎたのではないかという印象を、私は率直にいって持っております。
 それからまた、放送法の制定にあたって、あるいはそれと関連しまして、新谷先生が非常に御苦心なさったことも、私どもは伺っております。私も法律の専門家ではございませんが、法律は、一般に起草者の全部もしくは一部の意向だけが、最高の有権解釈だとは私どもは教えられておりません。ことに、この第九条の前提は、第七条が目標でございまして、公共の福祉のために、あまねく全国に聞えるようにする、それに付随して、本来業務と、それから随意的な業務があって、その随意的な業務の例示をこの第九条二項でしておるのではないかと私どもは解釈させていただいて今日に至っているわけでございます。これが、私どもといたしましては、非常に厳粛な、何とも動きのとれない制限条項であると解釈するためには、「等」という文字が使われているところに、最大の混乱の原因があるのではないかと、私どもは実は考えさしていただいておったわけでございます。したがって、疑義のある問題については、少なくとも九条二項の十号によって、郵政大臣の御意見を伺うことが当然必要であると、このような考え方を持ったわけでございます。
 また同時に、これは私ども非常に幼稚な解釈でございますので、こういう意見の開陳が、現在のところまではNHK全体の解釈でございましたが、将来にわたっては、幸いに放送法制の改廃を、あるいは新しい制定を目標とする調査会も、郵政省の中にできておりまして、疑義のあるような条項は、将来おそらく改正されることになると考えております。
 ただし、先生の御趣旨につきましては、全く同感でございまして、この運営にあたっては、御趣旨のとおり、われわれ自身も深く反省し、戒めて、これがむだにならないように、また将来幾つもこのような学校を作らないように、戒心して参りたいと考えております。
#34
○新谷寅三郎君 前田専務理事の御答弁の中には、幾つかの疑問があるのです。また、私が、それにどうしても賛成できないものもたくさん入っているのです。しかし、時間がありませんから、この程度にしておきます。
 で、あなたが、この九条の問題及び七条の問題、関連した問題、いろいろ御意見をお述べになりましたが、その九条解釈については、九条の二項は例示したものじゃない。限定をしておる。これだけの業務は行なうことができる、と書いてある。これは例示じゃない。これ以上、これ以外のことはできないのです。これは、速記録ごらんになってもわかります。その当時の速記録をごらんになって下さい。われわれがさんざ議論したことが書いてあります。十号では、放送、受信の発達のために、九号までに書いてないことでも、郵政大臣の認可を受ければ、それが特に――「特に」ですよ、特に放送及び受信の進歩発達のために必要であると認めれば、それはやってもいい。したがって、私は、教育機関というものをここで取り上げておりますのは、これは普通教育だから特に問題になっている。これが、技術者の養成をやってですよ、学校でやっても、何でやっても、技術者の養成をやって、どうしてもNHKが将来テレビやラジオのほうに伸びていくのに、人が足りないのだ、そのためには、どうしても技術者が要るのだということで、そういう養成機関を作ろうというのであれば、これは、十号でまっこうからこれに入ってもいいだろうと思う。その番組をよりよくするために学校放送をやるのなら、――学校法人がてきなくても、番組の内容をよくしたらいいじゃないかというようなことで、これは当然考えられることなので、理由にならないのです。
 それから、助成の問題についていっても、一号の「劇団、音楽団等」、「等」に対する助成、これは例示です。あなたのおっしゃった例示は、そういうところだと思うのですが、特に例示です。これと学校法人とが、並ぶものとは考えられない。例示ですが、そこまでこれを拡張して「等」というものを考えていくのならば、「等」で何でも入ってしまうということです。どういう団体に対しても助成してもいいということにはならないと思う。そういうのは、私は拡張解釈だと言っているのです。だから、いろいろの問題について、世の中が変わっていくのですから、NHKの活動も勢い変わらざるを得ない。必要なことは、やはり私は、法律を改正した上でおやりなさいということを言いたいのです。あなた方やはりどこまでも、不自由であっても、何であっても、とにかく法律のきめておるところから逸脱するようなことがあってはならないということだけは、はっきり認識してもらわないと困るのです。これは、質問の形をとりませんでしたが、もう御回答も要りません。十分に将来注意をされるように希望しておきます。
 したがって私は、NHKの現在の仕事で一番大事なのは、何かというと、やはり七条なんです。七条で、特に現在は、あなた方の営業の成績にも現われているように、ラジオからだんだんとテレビに移行しつつあるわけです。このテレビの難視聴地域というのは、まだ相当にたくさんある。これを一日でも早くどうして解消するかということが、NHKの最大の仕事だと私は思うわけです。ですから、今日、テレビの受信機を持っている人たちが、聴視者が、予定よりもふえてきたといって、収入がふえたということを喜ばれると同時に、六ヵ年計画なんというものを根本的に改定して、テレビの全国普及に対して、もっとスピードを上げて計画をお立てになっていかないと、あなたがさつき言われたような七条の目的に沿わないということです。幾分の努力はしておられると思いますけれども、そういう御計画はないのですか。やはり、六ヵ年計画というものを書いてありますね。私は、テレビなどについては、今日のように聴視者もどんどんふえていく、収入も上がっているというのだから、第二義的なところに力を入れられるよりも、この七条に書いてある第一の目的に対して、もっと真剣に、もっと積極的に取っ組んでいくのが、今日NHKの一番の勤めだと思うのですが、その点はどうですか。NHKからお答えを願いたい。
#35
○参考人(小野吉郎君) ただいま御説のとおりに、私どもも解釈をいたしておりまして、第二次六ヵ年計画の当初の計画からいたしますと、ラジオの置局の数にいたましても、またテレビ関係の放送網の整備にいたしましても、御趣旨に沿い得るような線に沿って改定をいたして参っておるわけでございます。
#36
○新谷寅三郎君 それは、抽象論としては、そういうことしかいえないのでしょうが、もっと具体的に、六ヵ年計画を――これは、今のほかの産業の分野あるいは経済政策の分野でも、あるわけですよ。たとえば、道路の何ヵ年計画を作ったが、五年を三年に引き上げたとか、そんなのはたくさんあるわけです。だから、あなた方のほうは、やはり六年計画というものを言っておられる、この表を見ても。そうでなくて、今日のような状況から見ますと、何をおいてもとにかくテレビの全国普及ということについて、もっと経費をかけて、もっとスピードを上げてやる必要があると思うのだが、やはり六ヵ年計画というものを固執しておられるから、一生懸命やっておると言っても、それでは足りないのだ、もっと本格的に取り組んだらどうかというのが私の意見なんです。どうですか。
#37
○参考人(小野吉郎君) お説のとおりの趣旨に沿いまして、六ヵ年計画を見直しております。ただいまお手元にあります六ヵ年計画は、おそらく修正になりました六ヵ年計画と思いますが、建設関係の問題、これは、ラジオ、テレビを通じまして、全国普及の使命達成に沿い得るような計画内容につきましては、いろいろ検討いたしておりまして、これを概括的に金額で申しますと、当初の六ヵ年計画におけるそういった意味合いの建設の関係の総資金は七百七十億と見ておったわけでございますが、改定をいたしました計画では千二十億円、このように原資を投じまして、ラジオの置局にいたしましても、六ヵ年間に、当時は非常にカバレージも相当に高いという点から、わずか二局ぐらいの置局しか考えておらなかったわけでございますが、ラジオ関係につきましても十二局ばかりにふくらましております。また、テレビの関係につきましても、非常な促進をはかりまして、三十八年度のこの予算に計上しておりますものにつきましても、総合テレビの関係につきまして五十局の開設、教育関係の置局の関係につきましては七十七局で、当初、昨年考えました元の六ヵ年計画より置局数をかなりふやして、早期にそういった普及をいたそうというような計画にいたしておるわけでございます。
#38
○新谷寅三郎君 その御趣旨は了承しますが、そうすると、何ですか、六ヵ年計画というものは、根本的にもっと、今申し上げたような趣旨で改定を計画しておるので、近いうちにその改定計画ができるようなことなんですか。そうすると、改定計画ができた場合には、今出しておられる三十八年度の分は、予算を別としまして、三十九年度分からは、もっと難視聴地域に対する措置というものは本格的に講ぜられるというふうに了承してよろしいのですか。
#39
○参考人(小野吉郎君) ただいまお手元にお出ししております資料は、すでに改定をいたしました修正数字の計画と考えております。この六ヵ年の終末時におきましては、先生の御指摘のとおり、あとうべくはラジオ、テレビ一〇〇%のカバレージに持っていきたいわけでございますが、いろいろ財源的な関係もございますし、また、それまでにいろいろなチャンネル関係の精密なプラン等の関係の問題ができるかどうかの問題もございます。そういった点で、ラジオにつきましては、特に現在の難聴、夜間の混信、こういった方面の措置に重点を置いております。六ヵ年計画終了時におきましては、終末におきましては、ラジオにおきまして、現在の九九・七%のパーセンテージを、九九・九%まで、これは第一放送でございます。第二放送におきましては、現在九七・七%でございますが、これを九八・五%までカバレージを広げて参りたい。テレビにつきましては、現在八四%でございますが、これを九五%までにカバレージを広げて参りたい、というような計画でございまして、まだ六ヵ年終末におきましては、一〇〇%というわけには参りませんが、この計画に引き続きまして漸次そのような目標に到達するような計画を立てるように考えております。
#40
○新谷寅三郎君 まだ不満足ですが、今日のNHKの財政の基礎は、昨年来のああいう料金の制度の改定によってささえられているといってもいいのですが、そのもとになるのは、やはりテレビの聴視者が非常に伸びたということです。これが、NHKの今日の安定した財政を作り上げている。そういう状態にまで来ているのだから、番組の内容の問題もありますけれども、とにかくやはりここに書いてあるように、九条の第一項にも書いてありますが、テレビを七条の目的に従って全国に早く普及するというのが、あなた方の当面の一番の大きな問題なんです。ですからこれは一ぺんにいきませんから、今までは電電公社のマイクロ・ウエーブがなかなかいけなかったから伸びが悪い、そこまで伸ばせなかった、こういうことであったが、今日はそうではない。電電公社のほうは、 マイクロ・ウエーブの設備はいつでも出しますという格好であなた方と協議をしておられると思いますが、そういう状態であれば、NHKは、テレビの全国普及に対して、今の六ヵ年計画で、なお今改定したものでも九五・六%ということですが、早くラジオにかわるような、九八%、九%まで――これは非常に経費がかかると思う、非常に経費がかかると思うけれども、これを押してやるところに、公共機関としての唯一といってもいいくらいの使命があると思う。他は民放と同じことです。七条、八条、九条がNHKの本質だと私は思う。私は、ここで具体的に、この予算に関して、将来の計画までとやかく言いませんが、来年あなた方がどういう予算を出してこられるか、それを見ておりますから、今あなたがおっしゃった以上に私は大きな期待を持ち、それから国民に対するNHKの当然の責務として、もっとそれを積極的に推進する必要があると思うので、この問題についてはこの程度にいたしますが、来年以降の予算編成に対して、もっとあなた方は積極的な、親切な努力をされるように希望しておきます。
 それから、電波管理局長がいないので、郵政大臣はお答えにくいかもしれませんが、私が言うことだけ聞いておいて下さい。これは、何もきょうきめる必要のある問題ではない。
 私は、この前の委員会でも私の意見を申し上げ、それに関する資料を要求したんですが、きょうの資料を見ますと、ここに出ておるのですが、ローカル放送の問題です。私は、ローカル放送が、法律によっても、NHKの番組の中にそういう地方番組を入れなければならないということが書いてありますから、必要ないということは言ってないんです。言ってないのでありますけれども、きょう出された資料――これは郵政大臣お持ちですね、このローカルの放送時間をごらんになるとわかりますが、大体三時間半程度から、一番多いので五瞬間ぐらいのものでしょうね。それで、これに対しては、この放送をさせようと思えば、各ローカル局にみんな周波数の割当をしなきゃならぬわけでしょう。これは現在しておられると思うんです。それを、NHKのほうは、これはあまりはっきりした答弁じゃなかったですが、今度の事業計画にも書いてありますけれども、府県別にローカル放送の局を置いて、そしてこれからもどんどん地方番組を充実してふやしていくんだということを方針として考えておられるようです、私は、ローカルの番組は、先ほど申し上げたように、不必要だと思いません。これの内容をよくし、充実していかれることもけっこうだと思いますけれども、しかし、さっき御答弁もあったように、NHKの何といっても一番の大きな使命というものは第七条で、全国にあまねく電波を普及させるということなんでしょうね。そういう点から見ますと、ローカルのこの種の計画というものは、私は、さっき申し上げた、今日では、テレビを早く全国に普及するという計画と比べますと、第二義的なものだと思っているんです。しかも、これには一つ一つ周波数を割り当てていかなきゃならぬ。で、今日中波の周波数が非常に貧困で、日本に割り当てられた周波数の中から、こういったのを取っていくことは非常にむつかしい。さもなくっても混信が起こる、あちらこちらで混信を起こしているというような状態だと思います。こういった状況ですから、私はNHKがかりにそういう希望を持っておられても、郵政省は必ずしもそのとおりには実行できないんじゃないかと思いますがね。その周波数の割当及びNHKの本来の使命という点から見て、このローカルの放送を番組の中に入れていく問題は別として、各府県別に放送局を作っていくということにつきましては、郵政大臣としては、よほどこれは慎重に考えて、緩急そのよろしきを得た政策をとらせることが最も適当だと思っているんです。中には技術的な問題も入ってきますから、局長がいないとお答えにくいかもしらぬが、郵政大臣、何かそれについてのお考えでもあったらお述べ下さい。
#41
○国務大臣(小沢久太郎君) NHKからことしの予算が出まして、それに対してわれわれのほうで、おおむね妥当と思うけれどもというようなことで、あるいは周波数の関係上変更があるかもわからぬというようなことを書いてあります。それは、ただいま新谷先生の言われたようなことも考えているということでございます。慎重に検討していきたい、そういうふうに考えます。
#42
○新谷寅三郎君 その程度じゃ実は困るんですけれども、きょうは局長がいないから、またあなたには別の機会に申し上げますが、とにかく、一日に三時間や四時間のこういった番組を編成する局です。その他は、みんな中央局からの番組を流しているにすぎない。で、中央の放送を聞いても、ローカルの局のスイッチをひねっても、同じことをしゃべっているわけです、これ以外の時間はね。それがローカル局の性質でしょう。その三時間から四時間というものは、これは特殊の番組を流しているわけですね。だから、非常に一つの波の使い方から言いましても、ぜいたくなんです。私はもっと周波数というものを――なけなしの周波数なんですからね、これはもっと大事にしてもらいたいと思うんです。周波数を乱用しちゃいかぬと思うんです。で、この間は、思いつきではありましたけれども、こういうことならば、ローカル放送のために何も一県一局なんてことを考えるな、もっと数県で一つの周波数を有効に使うようなことを考えたらどうだということまでこの間は言っておいたんです。田辺専務理事からは、それについていろいろ技術的な面からの御意見が出ておりました。しかし、これも私は技術的に乗り越せないことはないと、私はそう思っております、時間を変えればいいのですから。各府県まとめるとすれば、時間を変えれば十分できることですから、これはいずれ将来の問題として御研究を願いたい。私もまた、それについてもっと具体的な意見を出すかもしれません。
 それからもう一つの問題として伺いたいと思いますことは、これはNHKにまず伺いましょう。NHKのオリンピック対策ですがね。非常に皆さんの御努力によって、といいますか、熱心な御要望によって、ワシントン・ハイツのある部分がNHKのほうに譲られることになった。これは、そのこと自身は、私もけっこうだと思います。別にこれには反対する気持も何もない。ただ、そこでまあ関係の予算も出ておりますから、一応明らかにしておいていただきたいと思いますことは、一つは、ワシントン・ハイツに建てられようとしている放送のこのセンター、一体これは、内容はどんなものなんです。たとえば、スタジオをどのくらい作るんだとか、どういうふうなものをここに持ってくるんだとか、今の放送会館、相当大きな設備があるわけですが、どうしてもこれじゃ足りないから、ここにこういったものを作るんだということなんですが、内容は私はまだ全然明らかにしていないのです。で、内容について、ここで資料はないでしょうが、可能な限り御説明いただきたいと思います。
#43
○参考人(田辺義敏君) ただいまの御質問に関しまして、主としてわれわれの構想につきまして御説明申し上げます。
 私どもは、放送センターを一応オリンピックまでに完成いたします第一期工事、つまり、第一期工事と申しますのは、オリンピックに必要な部分でございます。引き続きまして、将来も総合的に放送センターに追加工事をいたして完成いたしますのが第二期工事と申しております。
 まず、その第一期工事について簡単に申し上げますと、これは、現在はワシントン・ハイツの地域はまだアメリカ軍が接収しておりまして、米軍の住宅その他付属設備がございます。これにつきましては、政府との間のいろいろな話し合いで、本年の末、三十八年末にワシントン・ハイツから全部撤退するということになっておりますが、私どもの工事の関係上、それから以後着工いたしましたのでは、ただいま申し上げました第一期工事には間に合いませんので、いろいろ米軍のほうとも、あるいは政府のほうとも折衝いたしまして、私どもが譲渡をしていただける予定の二万五千坪のうちの一万八千坪につきましては、三月末に米軍があそこを撤退するというように大体の話し合いがつきました次第でございます。したがいまして、四月早々からは第一期工事の準備並びに本工事にかかる、そういう予定でございます。一応第一期工事として考えておりますのは、その一万八千坪の中に、建坪と申しますか、建物を建てます面積といたしまして約五千坪程度を考えております。
 これに、いろいろスタジオが中心でございますが、建物の構想といたしましては、地下三階、これは若干土地が斜面になっておりますので、一番地面の高い所から見て地下三階でございますが、建物といたしましては、地下三階、地上四階、延べ一万六千五百坪程度を考えております。その中には、おもなるものといたしましては、テレビのスタジオが八つでございます。ラジオのスタジオが七つでございます。これは、オリンピック放送の際にいろいろ必要なものと考えております。その他、これに附帯いたしますいろいろな番組製作関係の付属室がたくさんございます。中心は、テレビのスタジオ八つ、ラジオのスタジオ七つでございます。
 それから先ほど申し上げました第二期工事でございますが、これは、オリンピック終了後に、引き続きまして四十二年度までかかりまして放送センターを完成するわけでございますが、その最終の姿におきましては、現在の構想では、敷地といたしましては、そのときは二万五千坪が全部使えることになるのでございますが、建物を建てます建坪といたしましては約一万二千坪、そこに地下五階、地上五階、したがいまして、これは第一期工事のときより若干地下を深く掘る予定でございます。時間がございますので。第一期工事を含めまして、延べ約五万六千坪、それには、テレビ・スタジオ二十三、先ほど申し上げました八つを含めまして二十三でございます。ラジオ・スタジオも、先ほど申し上げました七つを含めまして十、そのほかにいろいろ附帯の映画関係、あるいはフイルム、録音関係、そういったような付属的なスタジオもございますが、中心になるのは、テレビ・スタジオ二十三、ラジオ・スタジオ十となります。これらのスタジオの数あるいは大きさ等につきましては、現在内幸町にスタジオがございますが、きわめて窮屈でございまして、その他いろいろたくさんの借りておりますものとか、あるいはかりのものとか、それらがたくさんございまして、これらを全部整理いたしまして、最終的には、そのテレビ・センターのものを中心にいたしますので、そのときにおける番組製作面からの必要の程度に合わせましたスタジオの数でございます。
 建物の構想につきましては、現在さような計画を持っておりますが、なお、もう少し詳しい資料がいろいろございますので、御必要ならば御提出できるかと思っております。
#44
○新谷寅三郎君 おさしつかえなかったら、資料を出して下さい。今まで、私は概要は知っておりますが、内容については全然知らないのです。今度予算が出ておりますから、大体どういう程度の構想かということは知らなくちゃならない。さしつかえなかったら、資料として出していただきたいと思います。
 それから、今の御説明で、これはどうなんですか。第一期はオリンピックにぜひ必要だということなんですが、オリンピック関係のものは、スタジオなんかそんなにたくさん要るのですか。スタジオを使ってオリンピック関係の放送をするというのは、特別に何か、たとえばお互いに選手同士が対談したり何とかというようなことで必要なのか、どういうことなんですか。そういったことならば、それはまた考えようがあるのですけれども、オリンピックまでにぜひテレビのスタジオが八つ、ラジオのスタジオが七つどうしても必要だということは、どういうふうに使われるのですか。
#45
○参考人(前田義徳君) 簡単に申し上げますと、大体私どもが予想しております各国の参加各局は、ラジオにおいて、ただいままでに参加したいという回答をNHKに寄せております国の数は四十二カ国、ラジオが四十九放送局、テレビが三十三放送局でございます。それからまた、フィルムでやりたいという放送局が大体合わせて六十五放送局がございます。
 私どもの構想といたしましては、ただいま田辺専務から御説明申し上げました七つのテレビの放送スタジオに、約二十三と考えられる各種競技場からここに特別の回線を集中いたしまして、各国から特派されてくるテレビ関係者に自由に画を選んでもらう。そうして、同等に、その国語で自由にコメントをつけてもらって、それを送信設備に乗せて処理するという考え方をとっております。予想されますところでは、テレビ関係の各国特派員の総数は、おそらく三百名をこえることになると思います。
 また、ラジオにつきましては、やはり同じような構想でございますが、その中に、テレビと異なります点は、各国の特派員の供用にまかせるばかりでなしに、参加各国に対しまして、国際放送を通じてNHK自体も全世界に放送する予定を立てております。各国の要望は、ただいまのところ、これはローマ大会においてもそうでございましたが、大体希望する地点は、主競技場と選手村のその両方に一番近い地点、ということでございまして、第一は、ただいま御説明申し上げましたように、各競技場からここに集中して、そうして選択分離にまかせるという点と、同時に、各国の選手の活躍ぶりを、各国の要望に従って、選手村との関連においてインタビューその他も同時にやっていただく、こういう構想でございます。
#46
○新谷寅三郎君 それでですね、海外にその声なり画なりを送るのですが、これは、実は私、国際電々について調べたのですが、先般衆議院でも、国際電々の関係者が委員会で説明をしたそうですから、ここではそれを繰り返して私は聞こうと思いませんけれども、大体なまでラジオで送られる場合も相当多いでしょうが、録音で取って送られるような、時間の関係等があって、そういう必要も生じてくるだろう。いずれにしても、これは一番需要の多いヨーロッパとか、アメリカなんかは、太平洋ケーブルでいくのだそうですね。太平洋ケーブルで、ということを育ってきております。それからテレビのほうは、宇宙通信の施設がまだできないので、これはおそらくテープに取って、それを空輸するということになるのじゃないかということを言っているのですけれどもね。今のあなたの御説明を聞いておりますと、ラジオについては、これはきわめて常識的に、まあこれはいずれになっても処理をしなければならぬし、できると思いますけれども、ある程度今おっしゃったようなことも必要だと思いますが、テレビのほうの関係については、なまでそのまま送るわけにいかないでしょう。結局、スタジオとか何とかいうものをオリンピック対策だとおっしゃるんだが、このスタジオをどういうふうにテレビに関して利用しようとするのか。何か、外国の放送局の事務所のようなことになるおそれもあるんですね、このスタジオが。そういうことは、向こうのほうと話し合っておられるんですか。どういうふうにこのスタジオをテレビに関して利用されるのか。具体的に何か話が進んでおるんですか。私はその点がよくわからないんです。
#47
○参考人(前田義徳君) これは、ただいま申し上げましたのは、純然たるスタジオとしての使用の方法でございます。簡単に申し上げますと、参加国の数にもよりますけれども、その七つのスタジオ内に、まあ私どもで申し上げますならば、モニター式の受像機を置きまして、そして付属室で、ビデオテープを希望する国に対してはビデオテープでとれるようにし、あるいはフイルムを利用したい国に対しては、フイルムでそれを録画できるような設備を全部いたしまして、そういう意味で事務所とはなりません。事務所については、組織委員会並びに私のほうとも協力いたしまして、特別の措置をとりたいと考えております。これは純然たるスタジオ使用でございます。
#48
○新谷寅三郎君 私は知識があまりないので、よくわかりませんけれども、またこれは別の機会に伺いましょう。
 ともかく、こういうことはどうでしょうか。外国の放送機関との関係ですが、これは、NHKが、まあ日本の公共機関としてある程度はそういう世話をしてあげるのは当然でありましょうが、たとえば、スタジオを使わせるについて使用料をとるとか、あるいはまた、参加をどうしてもできないというところには、ビデオテープを作って送ってくれというようなことがもしあるとすれば、そういったのは何か委託を受けておやりになるのか。何か、そういったことについては、外国の放送機関との関係についてはお考えをお持ちなんでしょうか。まだ具体的に、こういう契約でこういうふうな内容でやるんだということまではきまってないかもしれませんが、大体今の話だと、申し込みを受けて、あなた方それを受けて、建物まで建設しようというんだから、相当に考え方というものはきまってきておると思うのですが、どうですかね。
#49
○参考人(前田義徳君) 私どもがこの業務を行ないますのは、手続的には、オリンピック東京大会の組織委員会から、海外に関する限り、すでに委託を受けております。この委託に基づきまして、ただいま申し上げたような目的で、すでにおととし以来各国と交渉を始めております。この委託の原因になりますのは、オリンピック憲章の四十九条に基づくものでありまして、テレビの放送につきましては、国際組織委員会は放送権料を各国からとることになっております。前回のローマ大会の例を申し上げますと、 ローマ大会では、イタリア放送協会が国内組織委員会の委託を受けまして、一切の設備をいたしまして、これに対してオリンピック組織委員会は、イタリア放送協会を通じて、放送権料として約百四十三万ドルを世界各国の放送局から取っております。この委託の範囲内で、NHKは、ただいま申し上げましたような計画を立てているわけでございまして、この設備の使用料、もしくは、ただいま先生御質問の、参加しない放送局に対するサービスは、放送法の各条項に照らしまして、実費をちょうだいいたしたいという考え方を持っておりますが、この部分は、海外各局との交渉の手続をとることになると考えております。
#50
○新谷寅三郎君 そこで、気をつけてもらいたいのは、先ほども申し上げた、この放送法との関係なんです。あなた方の作られたビデオテープならビデオテープというものを売ることは、放送法では認められてないのです。放送法の条文の中に、「放送番組編集のため、ニュース及び情報を収集し、並びにこれを他人と交換すること。」というのはあるのです。こういう交換することというのは、初めに放送法の案が出ましたときには、他人に提供するというのが、これはGHQの案にあったのです。これは、委員会で非常に問題にしてそれは削除することにしたのです。ということは、新聞社や通信社ならば、お金を取って、対価を取って提供するということがあり得るのですけれども、放送機関、NHKはそういうことをすべきじゃない。対価を取って提供するというようなことは絶対に許されないのだということで、それは削ったのです。だから、私は、それは必要なことであるし、何とかやってもらいたいと思うのですけれども、あるいはそれこそ十号に該当するものかもしれません。ともかく、この放送法に書いてある条文にやはりのっとって、すべての仕事をおやりになるように、今からそれは注意しておいていただきたい。これは、内容はいいことですし、ある程度こちらも、お互いさまのことなんだから、やらなければならぬことなんだけれども、法律の建前上、こういうことはやっちゃいかぬ、こういうことはやってもいいということを、非常に明白に書いてあるものですから、放送法にどこまでも触れないようにおやりになる必要があるということを、今の御答弁の中から気がついたので申し上げておきます。
 本論に返りますが、このスタジオなり、いろいろな建物の中にあるいろいろの将来の計画というようなものについては、いずれ資料を見て判断をしたいと思うのですけれども、オリンピックが済みましても、日本の国内放送のために、そういう施設はぜひ必要だというようなことになるのですか。それとも、NHKとしては、遠い将来を考えて、お互いにこれから各国でも、文化の交流とか何とかいうようなことから、恒久的にそういったことが必要になってくるので、今のオリンピックに伴って施設されるような施設というものは、将来ともそのままで残して、各国との間で何か約束をして、それを自由に使えるようにして、維持しようというのか、どちらなんですか。将来は必要なくなるのですか。
#51
○参考人(前田義徳君) ただいま先生の御指摘の、一般放送事業者、もしくは外国放送局に、放送番組及びその編集上必要な資料を提供するというのは、御指摘の第九条の第二項七号にございます。したがって、これは一般の、六の番組交換とは別の意味があるという解釈を私どもはとっております。
 ただいまの放送センターは、将来オリンピックが終ったあとで、どのような措置をとるかという問題につきましては、これは、昭和三十三年度予算を御審議いただきました際に、われわれの第一次五ヵ年計画の構想の中で、とりあえず当時は、テレビ・センターを建設する必要があるということを申し上げまして、その御審議をいただいていたわけでごいますが、その後の業務の発展、その他を予見いたしますと、単にテレビ・センターの建設のみでは、NHKといたしましては、放送法の精神を発揮して参り、その責任を負うということが困難になってきたと感じられまして、さらにこの機会に、テレビ・センターに加えるにラジオをも入れまして、放送センターという構想を立てたわけでございまして、これはNHK本来の業務のために将来必要であるという考え方でございます。これにつきましては、これはよけいなことかもしれませんが、ちょっと付け加えさせていただきたいと思いますが、NHKの現在の本館は、これはもちろん放送業務の基幹となる点でございますが、第二次六ヵ年計画を、最初に、これは昭和三十七年度予算審議の際提出いたしましたが、これによりまして、NHKの業務全体の近代化、合理化を行なうという建前で、その中に非常に大きな柱として、当時約六十億円を予想いたしまして事務的処理に関する、あるいは調査、あるいは資料収集、資料蓄積という点で全国的な機械化をいたしたいという希望を述べさせていただきまして、その初年度として昭和三十七年度予算を審議していただいたわけでありますが、将来、現在の本館は、その必要部分が、この経営の近代化のための一つの方法としての、機械化の中心的なスペースになると実は考えておるわけでございます。
 もう一つ、将来放送センターができ上がった際に、一般放送事業者もしくは外国放送局との関係につきましては、ただいまるる申し述べましたように、NHKの本来業務のためにこれを絶対必要と考えた案でございますので、これをNHK以外の放送事業者もしくは外国放送局に特別に使わせるという意思は毛頭持っておりません。ただし、何かの関係で、そのような事態が、一般放送事業者からそのような事態についての臨時的な要求がある場合には、これまた放送法にのっとりまして、郵政大臣の特別の認可を経てこれを使用させる場合もあるかと考えますが、私どもといたしましては、ただいまのところ、そのような予想はいたしておりません。
#52
○新谷寅三郎君 町間があまりないので、簡単に申し上げておきますが、前田専務理事は、この七号を引用されたのですけれども、七号というのは、一般放送事業者とか外国の放送局に提供すると書いてあるのですね。提供というのは、これは対価がないということでしょうね。おそらくそういう意味だと私は思います。対価があっても提供という字を使っているのでありますか。
#53
○参考人(前田義徳君) これは、昭和三十四年に放送法が改正されましたときに、この問題について御検討が国会でございまして、私どもにも意向を求められたことがあったと記憶いたしておりますが、これは営利的対価ではいただくことにはしておりません。ただ、実費はいただけるという御了解を得ていると考えております。
#54
○新谷寅三郎君 局長がいないから、大臣いいですか。今の提供という意味は、ほんとうに実費を取って提供してもいいのだ、まあ委託のようなものですね、・それから、それを売ってくれという場合に、そのビデオ・テープならビデオ・テープというようなもの、録音なら録音のテープというようなものを売るということは、これはNHKの使命からいっておかしいと、こういうことになるということなんですけれども、その解釈は郵政省もそれでいいですね。
#55
○国務大臣(小沢久太郎君) 対価といいますか、実費をもらう、つまり営利的のものはならぬけれども、実費をもらうということでは、郵政省のほうもそういう方針でいい、だろうというふうに考えておる次第でございます。
#56
○新谷寅三郎君 その点は、非常に実際問題としてもむずかしいですがね。観念的には私もそれでいいかと思います。それで、放送法の規定というものは、今度の場合でも、非常にいろいろな場合でいろいろなケースが出てくると思いますけれども、そういう精神は守っていただきたい。
 それから、この問題に関して、こまかい問題で聞きたいのですが、時間がないので、きわめて簡単に申しますと、このワシントン・ハイツの前に、NHKのほうでは麻布の竜土町の土地を初め買い受けられましたね。九千坪か幾らかと思いましたが。で、これで何かしようかと思ったところが、実際になかなか土地が狭くて足りなかったということ。で、そのうちに、ワシントン・ハイツがあちらのほうで接収解除になるということで、森林公園にしようということで話が出ておったところへ、NHKのほうがここへ割り込んで、結局一万七千坪かを譲ってもらうということにしたということになっておるわけです。初めは竜土町のほうの土地を買い受けられた、譲り受けられたときに、ここにはいろいろな施設があったわけですね。これを、NHKのほうは、ほかのほうに、中には補償をして移転をしたり、させたりしたものがあったわけでしょう。そこで、私は竜土町よりもさらに広い理想的なものができる土地が手に入ったということについては、これはけっこうだと思います。要するに、その内容とその運用の問題ですから、将来の問題だと思いますけれども、そのことについてはいいのですが、こういうことを聞くのですがね、これは事実はどうなんでしょうか。この竜土町の土地は国有財産で、これなんか、何億か、九億ですか何かで払い下げを受けられた。一応今度またこれを返されるわけでしょう。返されるというか、もう一ぺんそれを売られるわけでしょう、要らなくなったのだから。その場合には、これは幾らで売られるのですか。何か九億しかくれないのだというような話も聞くのですが、それは事実はどうなんです。そうして、端的に申し上げると、スターズ・アンド・ストライプスの建物なんかをほかに移転させるについて、あなた方のほうじゃ、何億か知りませんけれども、それくらいの経費を必要としたわけでしょう。年限もたっているわけです、だいぶ。九億で買って九億で返すということになると、非常にこれはそろばんに合わないでしょうね。私は、NHKがいかに財政状態がよくなったからといっても、そういうふうな簡単に取引をしておられるとは思わないのですけれどもね。相手が大蔵省かもしれませんが、それらについては、どういう事情になっているのか、お伺いしたい。
#57
○参考人(小野吉郎君) 竜土町の土地につきましては、これはオリンピック時までに必要な施設にしよう、並びにその後の放送センター関係のものとして、新たにワシントン・ハイツの土地が確保せられましたので、これがNHKとしては不要になるわけでございます。したがって、これの処分につきましては、適正なる措置を講じなければならないと思いますが、もともと、大蔵省の立場といたしましても、竜土町の土地も、ただNHKの一般財産として払い下げを受けたわけでございません。われわれとしては、三十六年度の末でございましたか、全体の土地に対しまして支払いました額が九億余に上ったと思います。その中に、スターズ・アンド・ストライプスの占めております敷地が約二千五百坪近くございます。これには建物等もあるわけでございますが、この土地は一括いたしまして、オリンピックの放送施設並びにその後のテレビ・センター用地としての目的のために国有財産の払い下げをした、こういうのが大蔵省の立場でございます。
 それは、その後の事情によりまして、場所を変えたので不要になるわけでございますが、さて、これを大蔵省としては、取得する場合に、国有財産の処分を一たんしたものを、さらに今のような敷地が他にあったからということではありますが、これを国の財産にもう一度受け入れるためには、いろいろ法律上の制約があるようでございます。そういうような関係で、一般の国有財産としてこれを新たに買い上げるというようなことではなく、払い下げの目的を達せられないような土地になっておったので、もともと払い下げをすべきでなかったのだ、ワシントン・ハイツについては、その代替地として新たに実現可能な目的を付して払い下げをいたす、在来のものはその関係において国有財産としては払い下げすべきものではなかったということで、契約を解除するというような条項を基礎にいたしまして、そういう根拠で国有財産にもう一度編入替えをしようというようなことのようでございます。
 その点につきましては、まだ最終的な取りきめをいたしておりませんが、ただ、いずれの場合にいたしましても、スターズ・アンド・ストライプスの占めております地籍につきましては国有財産編入から除外するということになりますと、残余七千五百坪ぐらいの土地になりましょうが、これを国有財産のほうへさらに編入をするというような方式をとられるようでございます。したがって、その代金も当初の九千何百坪ではなく、七千五百坪の見合いの金額をもって国有財産に編入をされるというようなことになるわけでございます。
#58
○新谷寅三郎君 いろいろ聞いていれば、まだお聞きしたいことも出てくるかと思うのですが、時間がないから、最後に申し上げておきますが、なぜこういうことをお尋ねしたかというと、私がさっき申し上げたように、NHKというものは、やはり唯一の公共放送機関ではありますけれども、財源というものは国民全体が負担しているわけです。まあ税金じゃありませんけれども。手数料のようなものですけれども。そういった種類のものが積み重なって、今日のようなNHKが非常に安定した財政基礎を築いているわけで、その中の五千万円であっても、一億であっても、むだ使いをしてはいかぬと思うのです。したがって、少なくとも相手が国でありましても、そういう土地を買ったり、また買い戻したり、売ったりする場合にも、国民の利益を代表して、NHKが不当に損をしないようにしてもらいたい。いわれのないような支出を少しでもしてはいかぬと思うのです。スターズ・アンド・ストライプスのときに、一億何千万円か、二億か知りませんが出したと、そのためにその土地がそのまま利用できるようになって、土地の値段が上がってしかるべきなんですね。こんなものは、当然必要な経費だから、負担してもらわなければ困る。それを、九億で売ったから九億で買うのだ、スターズ・アンド・ストライプスのほうに払ったのは、この際は考えてもらえるのかもらえないのか、そういったことについて不明朗な問題が残ると困るから、国民の利益のために、やはり正当に主張すべきものは主張されてしかるべきだということを考えておったために申し上げたわけです。その方針で交渉されるなら、それで言うことはありません。
 それから郵政大臣が非常にお急ぎのようですから、もう一つだけでやめますから、それだけ答えて帰って下さい。
 それは、私はこの前も、放送協会の方々にもちょっとそれに触れて聞いたんですけれども、FMの放送について。放送協会は、これは全国の各地にそういうFMの放送局を置いて、またここでも、第一放送と第二放送と同じように、別の系統でFM放送というものを考えていこうというように見えるのです。私は、これも波が十分あれば、それでけっこうだと思う。しかし、そんなに十分あるはずがないから、ことに最後に残されたものは、非常に大切にしてもらいたいと思う。といって、これを民放に全部開放しろということを私は言っておらない。あなたにきょうはFMの問題について――この大電力放送の問題について、地域を解消するということをNHKは言っているが、当然のことであるけれども、そういうことのためにFMなんかは大いに活用されてしかるべきだ。それについては、私は積極的に郵政省が協力してもらっていいと思うけれども、しかし声のほうからいいましても、第一放送それから第二放送、それから今のFMというように、幾つもの全国放送ですから、そういうネット・ワークを持ってやろうということになると、それは私は日本全体の放送政策から見て適当かどうかということについては、よほど慎重に考えてもらわなければならないと思っている。一体、そういうふうにかりにした場合に、第一と第二とそれからFMの間で、どういうふうな基本的な方針で放送していこうとするのか、これらについてもあなた方は調べておると思いますけれども、基本的な将来計画というものを立てて、国民のためになるようなものにしていかなければならないと考えておりますが、これは半ば以上私の意見ですから、答えていただいてもいただかなくてもけっこうですが、そういう点をもっと慎重にやっていただきたい。公共機関ですから何でも優先だと・。これは各地でも、FMについてはNHKがパイオニアになって、どこでもやるから、それで受像機を普及してから、受信機を普及してから、そこに民放を乗せていくという単純な考え方は、私はいかぬと思っておりますので、その点は多少意見をつけ加えて申し上、同時に、何かお答えができればお答えいただいて、もう帰っていただいてけっこうです。
#59
○国務大臣(小沢久太郎君) FM放送につきましては、今新谷先生からいろいろ御意見も伺いましたけれども、それにつきましては、今FM放送の調査会において調査しておりまして、慎重にやりたい。しかし、慎重といいましても、なるべく早く解決しなければならない問題でございまして、いろいろむずかしい問題がございます。そういう点もいろいろ勘案いたしまして、ひとつ慎重に検討してやっていきたいと思います。
#60
○新谷寅三郎君 私は、大体この程度にしておきます。もし何かありましたら、時間が許せば、次の機会にちょっとぐらい質問さしてもらうかもしれませんが、大体このぐらいです。
#61
○委員長(伊藤顕道君) 暫時休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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