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1962/03/27 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第18号
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1962/03/27 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第18号

#1
第043回国会 逓信委員会 第18号
昭和三十八年三月二十七日(水曜日)
   午後一時四十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤 顕道君
   理事
           鈴木 恭一君
           寺尾  豊君
           松平 勇雄君
           光村 甚助君
   委員
           新谷寅三郎君
           最上 英子君
           谷村 貞治君
           野上  元君
           横川 正市君
           須藤 五郎君
  衆議院議員
   委員長代理理事 岡田 修一君
   国 務 大 臣 小沢久太郎君
  政府委員
   郵政政務次官  保岡 武久君
   郵政大臣官房長 武田  功君
   郵政省電波監理
   局長      西崎 太郎君
   運輸省船員局長 若狭 得治君
   海上保安庁長官 和田  勇君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       倉沢 岩雄君
  説明員
   日本電信電話公
   社運用局長   山下  武君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○電波法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤顕道君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は、お手元に配付いたしましたように、衆議院において修正されております。まず、衆議院における修正点について、説明を聴取します。衆議院逓信委員会委員長代理理事岡田修一君。
#3
○衆議院議員(岡田修一君) きょうは衆議院の逓信委員長の本名が参りまして御説明すべきはずでございましたが、余儀なき事故がございましたので、私、逓信委員会の理事をしております岡田でございますが、かわりまして御説明さしていただきます。
 衆議院における政府原案に対する修正案は、お手元に配付されておるようでございまするので、その修正の趣旨だけを説明さしていただきます。
 まず、修正点の第一は、法第五十条第一項の表中、第二種局乙及び第三種局甲の通信長の資格に関し、原案では、第一級通信士については、経歴要件の定めがなく、また、第二級通信士については、通信長となる前十五年以内に船舶局もしくは海岸局で、二級通信士として一年以上の業務経歴を要するとされていましたのを、一級通信士については、前十五年以内に船舶局もしくは海岸局において一級または二級通信士として一年以上、二級通信士につきましては同じく前十五年以内に船舶局において二級通信士として一年以上と、それぞれ修正いたしたものでありますが、これは、二種局乙及び三種局甲の通信長の資格要件に関し、電波法と国際電気通信条約の規則との関係を明確にいたしまするとともに、通信長の資格要件を、法改正による船舶局の種別移動の実態に適合させようとするものであります。
 修正点の第二は、附則第二項の経過措置の対象を現存船の船舶局に限らないで、新造船をも含むことといたしまするとともに、その期間を四年間とすることとし、また、別表を第五十条第一項の修正に伴って、修正したのでありまして、その趣旨は、新体制への移行の万全を期しようというものであります。
 最後に、附則第三項の追加は、法施行の際、第二種局乙の通信長としての要件を備えながら、前述の資格要件の修正によって、要件を備えないこととなるものにす対る救済措置であります。
 以上をもって、修正趣旨の説明を終わらせていただきます。
#4
○委員長(伊藤顕道君) これより本案に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○新谷寅三郎君 ただいま衆議院の岡田議員から、衆議院における修正点及びそれに対する御説明があったのでありますが、私は、政府側に伺いたいのですが、衆議院の修正によりまして、初めから電波法の改正案を出しておられる郵政当局、及び実質的には非常に関係の深い運輸省当局として、修正の結果、多少変わってくる点があると見ているわけですが、これに対する政府の御見解を伺っておきたいのであります。
#6
○国務大臣(小沢久太郎君) 別に支障はないと私ども考える次第でございます。こまかいことにつきましては、政府委員より答弁いたします。
#7
○政府委員(西崎太郎君) 大臣の今の御答弁に補足さしていただきます。
 第一に、法第五十条第一項の表中第二種局乙及び第三種局甲の通信長の経歴要件が修正になりますと、これにつきましては、条約の規定との関係を明確にすることになりますので、けっこうだと存ずるものであります。なお、今回の修正で、条約の最小限の要求を若干上回るというふうになっておりますが、その加重の程度はごく軽微であり、今回の改正によって、従前第一種局または第二種局甲であったものの大半が第二種局乙及び第三種局甲になることを考えますと、電波監理上は支障がないと思います。
 第二に、附則第二項の経過措置の対象が全船舶に拡大されることになるわけであります。また、その期間が四年間となるのでありますが、これにつきましては、公衆通信に及ぼす影響の緩和その他いわゆる新体制への移行の準備に若干の余裕ができることになりますので、電波監理上は支障はない。
 第三に、別表の修正は、先ほど申し上げました法第五十条第一項の修正と同趣旨のものでございますが、新たに附則第三項が追加されたことによりまして、改正法が施行の際、第二種局乙の通信長の資格要件を備えていた者に対する救済措置がこれによって講ぜられますので、その無線通信士に対する既得権の保護にも欠けるところがない。かつ、前に申し上げましたように、加重の程度も軽微でありますので、無線通信士の需給にも影響を及ぼさないものと存じております。
 以上。
#8
○新谷寅三郎君 ここで、一つ問題になる点があるのですが、それは、この法律の書き方は別としまして、いわゆ今る新造船についても、やはり附則の修正によりまして、今度は現存船と同じように、今後――今後といいますか、施行後四年間は従来の例によって処理をするということになっております。その点が非常に変わっておると思うのです。この点は考え方の相違ですから、いずれがいいかということについては、今ここで言う必要はないのですけれども、ただ新造船について考えると、これからずっと設計をしたり、造船することを注文したりする船は、四年間の間に船ができ上がるという見込みのものは、やはり無線通信士の部屋をよけい用意しておかなければならぬということになると思うのです。その点は、政府の提案の施行期日のきめ方についても多少の問題があると思うのは、法律公布後四カ月をこえない日から施行するのだということになっていますね。その辺の期日が不確定なんですね。そうなると、ちょっと半月とか十日くらい前後がありましても、要求せられる部屋の数が違ってくるのですね、通信士に対する。今後四年間やはり従来どおりするということについて、政府提案は新造船は、これは法律公布後四カ月の間に施行されれば、そのときから船室の準備は必要ないということになっておったのが、こういうふうに変わってくると、相当これは造船方面では問題になるかと思うのですけれども、この点については、郵政省は運輸省とよくお打ち合わせになって、今のような見解を述べておられるのですが、運輸省もこれで実際問題としては差しつかえないという見解なんですか。
#9
○政府委員(西崎太郎君) 電波監理上は支障はないと申し上げたのでありまして、この問題につきましては、運輸省と一体的な考え方をとっておりますので、詳細につきましては、運輸省のほうからひとつ御説明を御聴取願いたいと思います。
#10
○政府委員(若狭得治君) 先ほど修正案についての運輸省の見解をというお話でございまして、ただいま新谷さんからもお話がございましたように、新造船に対する措置というものが、今度の修正で一番大きな問題であると思います。今度の法律改正の主眼というものは、国際水準に船舶無線局の運用義務時間を合わせるということでございますので、それが、本則におきましては、その趣旨が貫かれたわけでございますけれども、その経過期間をどういうふうにするかというような問題についてお話がされたわけであります。新造船につきましては、現在、御承知のように、各国とも非常に少ない人員の船を競争して作っておるような状態でございますので、われわれといたしましても、二、三年前の半数程度の乗組員で船を運用するような設計を現在行なっておりますし、現に、昨年度中にできました船舶につきましても、非常に少数の乗組員で運用されている船舶が多いわけであります。したがいまして、われわれといたしましては、新造船については理想的な形態でもって法律を実施していただきたいという希望を持っておったわけでございますけれども、実際の労働問題その他の観点から、こういうような修正というものは、われわれの単なる理論的な考え方よりも、むしろ実情に合っておるのではないかというような考え方もございますし、また、新造船につきましては、四年後には当然本則に戻った運用ができるわけでございますので、それに合うような設計というものを現在考えるように事務当局で検討いたしておる次第でございます。
#11
○新谷寅三郎君 船員局長ですから、船舶局長とか海運局長でないと、ほんとうのところはわからないかもしれませんけれども、運輸省によくお伝えいただきたいと思いますのは、現存船が、三年というのが四年になっても、これは実質的にそういう変化による影響というものはそうたいしたことはないので、郵政省の言われるように、ある意味においては、準備期間が長いのだから、移り変わりがよりスムースにいくだろうということは言えるだろうと思うのです。ただ、新造船に関しては、そういうふうに先の計画というものを勝手にきめて注文するのが悪いのかもしれませんが、やはり設計をするときには、大体船の建造期間が一隻について一年半なら一年半かかるとすれば、そのときには大体どういうふうになるだろうということを考えながら、政府の意思もよく見きわめて常識的に割り出していくのが普通だと思いますが、といって、こういった法律も出ていないんですから、政府との間に補償とかいう問題は起こらないと思いますが、実際問題としては、やがてできるであろう新造船については相当に影響があるだろうと思うのです。郵政省もそうですけれども、特に運輸省のほうでは、そういう問題について、さらに新造船の船室の構造をある程度変えていくとか何とかいうような問題が起こるので、そういうことについて、特に通信士との間にいろいろトラブルが起こらないように措置をされる必要があると思うのです。これらについては、運輸当局にも適当な指導をしていただくように希望しておく次第でございます。
 それから、少し質問をしたいのですが、郵政当局にお伺いしたいのは、先般三十八年二月十日というので、こういう資料をいただいております。この中に、いろいろ私の希望するような数字が入っておりますから、重ねてこれをお尋ねしようとは思いませんが、一言で申し上げると、先年の国会で電波法を審議いたしました際に、私から御披露したような海上の通信の状況、すなわち日本船舶一隻当たりの一日の送受信の通数というものは、ここにあるように、四・七二通とありますが、この状態はその後もずっと引き続いてあまり変動がないというふうに考えてよろしいでしょうか。
 それから、これは一隻当たりに直したと思うのですが、全体の海上通信、海上船舶と海岸局との間の通信の総数といいますか、トラフィックはどういうふうに増加してきておりますか、減っていると思いませんが、その増加率は年々どういうふうな傾向になっておるか。ここに出ておりませんけれども、わかればお知らせいただきたい。
 それからもう一つ、それは、あるいは運輸省のほうがいいのかもしれませんが、私が先年調べたところによりますと、国産のいわゆるオート・アラームについては、非常に信頼性がないということをいわれておりましたが、それにもかかわらず、日本から外国に輸出する船には、日本の国産のオート・アラームが相当たくさん装備されて、しかも、それに対しては、いまだかってコンプレイントを受けたことは一ぺんもないという状況であったのですが、今日までにはその点は変わったことがありますか、ありませんか。
 それから輸出船については、この前は輸出船の大体二割くらいは国産のオート・アラームをつけているということですが、このごろはどういうふうになっておりますか。その状況。
 それから国産のオート・アラームについて、電波監理局がその後技術的に何か特別の指導方針を持たれたのか、持たれないのか、そのままの、あるままの状態に放任しておられるのか、その点を両省からお答え願いたいと思います
#12
○政府委員(西崎太郎君) 先生お尋ねのまず第一点の、一日一隻当たりの公衆無線電報の取り扱い通数、これは、先生御指摘のように、われわれのほうで持ち合わせておる資料が多少古いのですけれども、三十六年の二月十五日現在で、一隻当たり四・七通という数字でございますが、多少の増減はあると思いますが、詳細につきましては、電電公社のほうから担当の方が見えておりますので、そちらからお答えさしていただいたらと思います。
 それから第二点の船舶局と本邦の海岸局との間の公衆無線電報の増加状況でございますが、これは、いずれあとで資料で提出させていただいたほうがいいのではなかろうかと思いますが、年度で申しまして、二十六年に年間七十七万八千二百四通、この指数を基準にいたしますと、三十六年度が二百二十七万七千六百八十通で、指数で申しますと、二九三、こういう状況でございます。
 それから第三のオート・アラームの輸出船への備え付け状況でございますが、三十六年の輸出船の数が五十一ぱい、これに対しまして国産のオート・アラームを備え付けたのが二十一台、こういう状況でございまして、三十六年終わりまでのトータルで申しますと、輸出船の総数が七百三十三隻のうち、国産のオート・アラームを備え付けたものが百四十七台、率にしまして、先ほど先生がおっしゃった二〇%という数字でございます。
 それから国産のオート・アラームの性能の向上につきまして、郵政省がどういうふうに指導しているか、こういうお尋ねでございますが、われわれのほうとしましては、この性能の向上というものにつきまして非常に関心を払っておるわけでありまして、御承知のように、二十八年に実地の調査をやりまして、そこである程度の欠陥というものもわかりましたので、その後、その結果をメーカーにも話しまして、指導して参ったわけでありますが、その結果を確認するということと同時に、一体、その外国の製品というものの水準がどの程度であるかということもあわせて調査したということで、これも先ほど先生が御指摘になりました資料の中に書いておきましたけれども、昨年の暮れに、飯野海運の真邦丸というタンカーに、日本製が一台、それから英国のマルコニー、それから米国のマッケー会社の製品をそれぞれ一台ずつ、合わせて三台を装備いたしまして、実地に調査いたしたわけでありますが、まあ、その結果によりますと、通常の使用状態におきましては、幸いにしまして誤動作も不動作もなかった。もっとも、このオート・アラームの現在の方式から出てくるわけでありますが、妨害波が事実上疑似信号を構成している場合には、当然に誤動作するわけでありますが、妨害波入力が信号波入力を上回った場合には不動作が起こり得る。こういった点は、日本の製品だけでなくして、先ほど申し上げました、最も進んでおると称せられる外国製品についても確認されたわけであります。もっとも、まだ日本の製品というのは、比較的まあ実績が、そういった外国製品に比べて少ないということもありまして、たとえば通風関係であるとか、そういった使用者側の立場を考慮した経験上の要素、こういった点に欠ける点がある。そういった点につきましても、今後なお十分指導して参りたい、こう考えております。
#13
○新谷寅三郎君 最後にございました国産オート・アラームの試験、実験の結果については、ここに報告書がありますから、一応これを拝見しますが、概して言うと、今お話しのように、国産であっても外国製であっても、とにかく普通の場合における作動には影響はあまり差を認められないということのようですね。多分そうだと思うのですが、しかし、私はまあ電子工学という点から言うと、関係の工業が非常に日本では最近著しい発達をしようとしている。しつつあるわけですが、ですから、外国製品に負けないというだけではなしに、たとえば電波の研究所、そういったところでは、こういう実用化されている――学理だけをやるのではなくて、こういう実用化されているようなものに対する実際の指導というようなものは対象にはならないのでしょうか。私は、あなたの御答弁を聞いて非常に残念に思うのは、あれだけ委員会でも、他の委員から、国産のオート・アラームについていろいろ意見が出されたり、あるいは不安の気持を持っておるというような発言があったわけですから、電波研究所なんかではもっとこういうものに力を入れて実際の指導をして、そして、むしろ外国に一みんな船がいるのですから、こういったものは外国製品に負けない、それ以上の性能のものが安くできるということがあれば、輸出にもなるわけでありますから、なぜそれにもっと積極的な熱意を示されないのか、 これは、経歴も短いとか何とかいうことでは口実にならない。あなたのほうで、もし指導しておられるとすれば、これは通産省の関係もありましょうが、もっと電波研究所あたりが、こういう問題については積極的な態度を示されることが必要ではないかと思うのですが、どうして今のような格好にしかなれないのですかね。
#14
○政府委員(西崎太郎君) 御承知のように、オート・アラームにつきましては、型式検定制度というものを採用しております。今先生が御指摘になりました郵政省の電波研究所におきまして、検定試験業務を担当しておるわけであります。そういった機会において、電波研究所としても、できるだけの指導はやっては参っておるわけでございますが、まあやはり、今まで需要が少なかったというようなこともありまして、メーカーの熱意と国産のオート・アラームの性能改善に対する熱意という点において多少欠ける点があったのではないかということは、これは認めざるを得ないと思います。しかし、だんだん、こういったような情勢にもなって参っておりますので、最近におきましては、メーカーとしても、相当本気になってこの性能の改善というものにつきまして積極的になって参っておるというふうに、われわれのほうでは承知いたしておりますし、われわれのほうといたしましても、そういった方向でいろいろ指導を特に積極化してきておる、こういうような状況でございまして、今後、もしこの法案が成立しました暁は、なおそういった点につきまして力を注ぎたい、こういうふうに考えております。
#15
○新谷寅三郎君 言葉じりをつかまえるつもりはないのですけれども、この法案が成立した暁にはとおっしゃるが、そうじゃなくて、この法律案を成立させるためには、やはり国産のオート・アラームというものについて、乗組員が信頼性を持てるような程度にレベルを上げてやらなければならないということが前提じゃないのですかね。ですから、この法律案が通ったらやるのだじゃなくて、通る前に――今からやってもおそいのですけれども、おやりになって、そうして早く、国産のオート・アラームをつけても外国品には負けないし、それ以上の性能を持っておるのだということになれば、乗組員もほんとうに安心するだろうと思うのですよ。そういうことがぜひ必要なんですね。消極的な態度は私はいけないと思うのです。しかし、これは私の意見を言うにとどめておきますが、そういうつもりでやってもらわないと、海上の無線の状態というものはよくならない。
 で、その次の問題でお尋ねしますが、新しい海上における人命の安全のための国際条約が締結せられて、ある程度無線装置を条約によって強制せられる船の範囲が広まったわけですね。で、これに伴って、国内法としては、船舶安全法の改正が先般行なわれたと思うのですが、これに関しては、電波法は影響はあまりないかと思うのですが、電波法自身に何か影響がありますか。
#16
○政府委員(西崎太郎君) 千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約、これの実施に伴いまして、電波法の改正の必要があるかというお尋ねだと思いますが、この点につきましては、実は多少あるわけでございます。今、われわれのほうとしまして、その準備をいたしておりますが、そのうちのおもなものについて申し上げますと、新条約によりますと、今、先生おっしゃったように、無線設備を強制される非旅客船の範囲が、従来の五百トン以上という線から三百トン以上という線に拡大されるわけでございまして、この関係の所要の改正、それからそれに伴いまして、無線通信士またはオート・アラームによる無休聴守の非旅客船の範囲が従来は千六百トン以上の――まあ当然、条約ですから外航船でございますが、それが、今度は、先ほど申し上げました三百トン以上ということに拡大されますので、そういった関係の改正が必要になって参ります。そのほか、多少設備の条件といったものにつきまして、改正が必要になってくるかと考えます。
#17
○新谷寅三郎君 改正が必要になってくるというのは主として設備関係で、条約の規定あるいは条約の精神によって、より国内法を整備するという意味で、法律以下のいろいろの細目について改正をしなければならぬかと思っておったのですけれども、今の義務船舶の範囲が広まったりすることのために電波法を改正する必要があるということになるのですから、それは、義務船舶の範囲が広くなるか、狭くなるかということは、船舶安全法の関係で、この電波法で言うと、第何種局になるかということだけが問題じゃないのですか。その意味では法律改正の必要はないのじゃないか、そういうふうに考えていいのじゃないかと思うのだが、どうなんですか。
#18
○政府委員(西崎太郎君) 今先生がおっしゃいましたように、やはり義務船舶の範囲は、これは船舶安全法の問題でありますが、これは二番目に申し上げました無休聴守の範囲というものが、三百トン以上の外国航海に従事する船舶というところへ拡大される結果、当然六十五条その他は改正せざるを得ない、こういうふうに考えます。
#19
○新谷寅三郎君 六十五条その他の関係規定の改正というものは、いつおやりになるのですか。
#20
○政府委員(西崎太郎君) まだ正式にきめたわけじゃございませんが、われわれの心組みとしては、次の通常国会にお願いしたい、こういうふうに考えます。
#21
○新谷寅三郎君 大体わかりましたが、運輸省関係では船舶安全法の改正がもうすでに行なわれているのですが、郵政省関係でも早く手続をされて、この条約の改正を十分に盛った国内法を早く整備されたほうがいいと思います。至急にその手続をされたほうがいいんじゃないかと私は考えます。
 それから運輸省当局に伺いたいのですが、一昨年でしたか、電波法の改正案を審議しました際に、海上無線通信士の需給状況が非常に悪かったのですね。非常に船のほうには乗る人が少なくて、船の運航にも支障を生ずる一歩手前にあったという記憶をしているのですが、今日、海上無線通信士の需給状況はどういうふうになっていますか。前よりも緩和されているのか、いないのか。依然として足りないのか、それを何かの方法で補おうと努力しているのか、そういったことを船員局長から伺いたいと思います。
#22
○政府委員(若狭得治君) 一昨年の電波法改正の当時は、御指摘のように、非常に通信士が不足いたしまして、そのために船舶が無線局を閉鎖する、あるいは停泊したまま動かない、あるいは航行資格を落としていくような、いろんな事態が起こっておったわけでございますけれども、最近におきましては、一昨年のような逼迫の状態ではないようでございます。
 その原因と申しますのは、新しく電波高校を卒業して、海運界に入って参ります人数というものは、ずっと変わりませんけれども、大体毎年六十名程度の新規採用しかできないという状況でございますけれども、一昨年の非常な窮迫状態の経験からいたしまして、海運各社間において相互融通というものを非常に幅広く全面的に行なっているということのために、現在は漸く停船等の事態を避けておるというような状態でございます。
 ただ、実際問題といたしまして、この通信士の不足の状態というのは決して緩和されておるということでございませんで、具体的な数字を申し上げますと、一般に、他の航海士、機関士という職種につきましいては、大体において予備員の数が二五%程度に上っておるわけであります。ところが、船舶通信士につきましては、大体これは全部を通じまして一〇%程度の予備員しか持っておらない。したがいまして、非常に窮迫いたしておるというような状態でございます。
#23
○新谷寅三郎君 もう一つお伺いしますが、私の意見を含めて申し上げますのは多少早いかもしれないのですけれども、私は、この電波法の改正案の本文に書いてあるところは、日本の海上無線通信士の執務状況なり、したがって定数というものを国際水準に持っていこうということでありまして、素質のいい日本の海上無線通信士であり、相当技術的に見ても高水準の技術を持っておるわが国としましては、機器の上においても、またその繰作についても、これは国際水準並みの扱いをしてしかるべきだと思いますし、この点については少しも私は不安を持っていないのですが、ただ問題は、附則の問題だと思うのです。われわれも、衆議院で三を四年にした、これについては
 いろいろ意見があるところですが、とにかく三年ないし四年という相当長い間、附則でもって経過規定をこしらえて、それから本格的にやろうということになっておるわけです。私は、問題は、郵政省も、それから運輸省も、電電公社も、関係の各機関が、こういうふうに船の問題としては画期的な問題でありますから、こういうふうな変革をしようとする際に、三年ないし四年の長い経過期間を置いて、これで準備を十分してやっていこうというのですが、さて、その準備をしようという内容は一体何かということです。これにどういうふうな考え方を持って、どんなことをしようとしているのか、これが一番の問題だと思うのです。それによって、海上の無線通信士の人たちがいろいろ訴えておられる事柄も解消するのでありましょうし、それから船主のほうの側が言っているような問題もこの三年ないし四年の間の準備期間に、やりようによって解消していくだろう、こういうふうに思うのですが、これは、郵政省、運輸省及び電電公社がそれぞれの立場においてどういうふうなことを、どんな方針を持ってしようとするかにかかっていると思うのです。その意味において、少し先のことを言って恐縮ですけれども、この点を明かにしておかれることが、この法律案を成立させた場合における今後の関係の機関のいろいろな問題に対する処理方を非常に明確にして、したがって、海上の不安をなくするというのに役立つと思いますから、これははっきりと、郵政省、運輸省、公社の当局から、ある程度責任のあるお答えをいただきたいと思います。
#24
○政府委員(西崎太郎君) われわれのほうに直接間接関係する、今の経過期間中における対策と申しますか、そういった点としましては、まず、何と申しましても、海岸局の整備を急ぐという問題が一つあると思います。それから第二点としましては、これは運用制度の問題でありますが、裏時間制度、これを最も実際に即したいき方を考える。それから第三点としまして、これは最後の手段だと思いますが、いろいろと、外国海岸局経由の問題であるとか、あるいは電報の自主規制の問題、こういったような問題があるわけでございます。
 そのうち、まず、海岸局の整備の問題でございますが、これは電電公社が担当されるわけでございますが、郵政省としましては、その整備に必要な周波数の確保ということが前提にもなるわけでございます。一番急ぐべき問題である、こういうふうに思っておりまして、もちろん、今までもある程度の波の割当増加をやって参っておりまして、電電公社の海岸局に現に試験的に使ってもらっておるものもございます。しかし、いずれにしましても、そういった海岸局の整備に見合うだけの周波数の確保というものを急いで積極的にやっていきたい、これが一つでございます。
 それから次に、裏時間の問題でございますが、この点につきましては、もちろん外国におきまして、そういう制度を採用しておる国も相当あるわけでありまするけれども、そういった状況もよく勘案しまして、それから日本の船舶の分布状況、そういったものも十分把握いたしまして、できるだけ早くその案を作っていく、こういうふうに考えております。
 郵政省として、特に経過期間中に、対策といたしまして研究を進めて参らなければならない問題は、そういう点にあると思います。
#25
○政府委員(若狭得治君) 運輸省の関係といたしましては、この問題は航行の安全に影響する問題でございますので、海上保安庁及び気象庁、その他各般の施策を講じているわけでございますけれども、まず、船員局の関係を申しますと、現在、国会において設置法の改正をお願いしておりまして、それによりまして、海技審議会を設置いたしまして、伝統的な船内の職制というものを根本的に改めていこうということを考えておるわけでございます。これは、通信士の減員に伴いまして、その職務をいろいろと分析いたしまして、現在通信士が行なっておるところのいろいろの他の作業を、いかに合理的に処理していくかというような問題も当然含まれるわけでありますが、船舶全体の新しい合理的な体制への移行ということも、通信士の問題も含めて、この中で検討していきたいというように考えておるわけでございます。
 また、安全の問題につきましては、先ほど国際条約の問題も出ましたけれども、現在、安全法の施行規則によりまして、SOSを発信するブイを各船に義務づけるということも同時に考えておるわけでございまして、また内航の無線電話の普及という点につきましては、関係の郵政省その他各団体とも連絡をとりながら、これを進めておるような状況でございます。また通信士の事務量の負担をできるだけ軽くするという点からみましても、先ほど電波監理局長から御説明のありました船主団体の通信の自主的な規制という問題についても今後指導して参りたいと考えておるわけでございます。
#26
○説明員(山下武君) 電電公社といたしましては、先ほど西崎電波監理局長がおっしゃられましたように、新しい周波数を割り当てていただきまして、それに応じた海岸局の施設の拡充整備をはかりまして、またそれの運用、補修、そういう要員措置も講じまして、この法律の実施に支障のないようにいたす予定にいたしております。
#27
○新谷寅三郎君 いろいろ問題はあると思います。ですから、この経過期間の間に、今お述べになったようなことももちろんですが、なお、そのほかにも、やったほうがいいが、今ここでは発表できないというような問題も、私は多分にあると思いますけれども、そういう問題を、今この法律案の審議のときに関係の各機関がこういうことをやりたいと思いますと、またやらねばならぬと思いますといった、その熱意でほんとうにそれをやれば、私は、こういう問題、この法律案についてのいろいろの不安というものが、ほとんど解消してしまうだろうと思うのです。国会で法律案審議のときにはいろいろ答弁をされるけれども、法律が通ってしまうと、どうもいろいろ実行の上で熱意を欠いたり、あるいは予算がとれなくて実行できなかったりというようなことから、当初皆さんが考えておられたような工合に結論がなかなか得にくいというのが実情だと思うのですけれども、これだけ、全体としてはそんなに大きな問題じゃないといっても、海上の無線の問題としては非常に画期的な改正をするわけですから、少なくとも、今言われたような事柄は、これはもう、関係の郵政大臣も、運輸大臣も、電電公社の総裁も、相当責任を持っておやりにならないと、これは言いっ放しじゃ私はいけないと思うのですよ。
 たとえば、これはもう内容に入って恐縮ですが、電波監理局長の言った、これは国際的な影響もありますけれども、裏時間のような問題やなんかも、私は、この前の国際無線電信の会議の前に、一体どういうことを政府が全権に訓令をしたのか、どういう主張をするのだというようなことを聞いてみたのですけれども、こういう問題が起こることがわかっておりながら、こういうことについては何らの指令も与えていないのです。やはり、この次の国際会議か何かで、こういった問題は、各国に対して日本の実情を訴えて承認をしてもらわないと、実行できないというような問題があるのです。だから、今ここで、ただ口先だけで答弁せられるのでなくて、また無線電信会議も近いうちにあるのですから、そのときには必ずこれを実行しますという熱意を失われないようにせられないと、これはもう言いっ放しになってしまうと思うのです。この裏時間の問題のごときは、ほかの国でもやっておるのだし、これをやれば非常に通信の実情に沿ったような執務時間というものが得られるのです。私はこれは適切だと思うのです。これは、私の意見になるから多くは言いませんが、よく御研究の上で、こういう問題がもし解決されれば、非常にこの問題の処理には役立つのだということを、ひとつこれはしっかり郵政省として決意をしておいていただきたい。やはり、次の無線電信会議にこういったことを持ち出して、日本の海上に割り当てられている短波の周波数が非常に少なくて困っているのだという実情も述べて、各国からこういう特例を承認してもらう措置を講じてもらいたいと思うのですね。
#28
○国務大臣(小沢久太郎君) この質疑を通じまして、政府委員のほうから申しましたいろんな点は、熱意を持って十分努力するつもりでございます。
#29
○新谷寅三郎君 それから、運輸省でもぜひやってもらいたいと思いますことはいろいろありますが、今、とにかく無線通信士が、ラジオやいろいろな海外放送を聞いて、船内新聞を発行したり、中にはガリ版まで刷らされたりして、とにかく本来の無線通信士の仕事でない仕事をやらされておる例が非常に多いと思うのです。私は、試みにですが、ほんの一、二ですが、外国の船の航海日誌を見ますと、無線通信士の書いておるのを見ましたら、こういう仕事をやっているところはまあないですね。ですから、これは甲板夫がやっていいのか、あるいは事務員がやっていいのかしりませんが、とにかく無線通信士の本来の仕事でないことはたしかなんです。これは、船員局長の言われたように、船内のそういった仕事があるとすれば、どの部門でだれがやるかということを、もう少し、これは放任するのじゃなくて、船主団体と海員の団体との協約でもいいし、あるいは運輸省がそれを指導してもいいのですが、とにかく、いたずらに雑務のために本来の仕事が妨げられることのないようにしなきゃならぬということは、これはもちろんのことで、港内における停泊時の無線機器の簡単な修理というようなことについても、いろいろ言われておりますが、そういう問題もやはり同様だと思います。
 それから、電電公社なんかについても、この波の問題と関連するのですが、しかし、波は何とかして、電波監理局長が言うように、いろいろ生み出して、あとからあとからこれを試験してみたらどうか、これを使ってみたらどうかというので、協力していろいろ使える波、その時間、方向というようなものについて、共同で研究されれば、ある程度の融通はだんだんついていくと思うのですけれども、しかし、問題は、海岸局の中をそれに応じて整備することです。このごろ、まあ海岸局ではありませんが、とにかく国内の電信電話にしましても、設備はできたけれども、たとえば電話についていいますと、座席が少ないために、呼び出し符号が出ておっても、なかなか人が出てこないというような例がたくさんあるわけです。外国通信を捉える海岸局でも、やはり座席の人員を倹約しようとするの余り、通信があるにかかわらず、なかなかきめられた座席ではさばけないというようなことが起こりがちだと思うのです。そういうことについては、機器類を整備すると同時に、座席を十分に確保して、通信が渋滞しないような措置を講ずるのが当然の責務だと思うのです。
 その他、私はいろいろ申し上げたいことがありますが、これらのことは、先ほどもお答えになりましたように、郵政省、運輸省及び電電公社とも、みなそれぞれ熱意を持って、この三、四年間の準備期間に、今お話しになったような事柄をできるだけ改善されて、そうして改正案によって新しい体制に移行しても事務に支障がないように、また不安のないようにするということを前提として、すべての問題を処理していくということを了解をして、そういう了解のもとに、私は、この法律案に対しましては、ひとつ大いに熱意を持って取り組んでもらいたいということを最後に希望しておきます。
 私の質問は、これで終わりました。
#30
○委員長(伊藤顕道君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
 本日はこれにて散会します。
   午後二時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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