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1962/06/06 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第24号
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1962/06/06 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第24号

#1
第043回国会 逓信委員会 第24号
昭和三十八年六月六日(木曜日)
   午後一時十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤 顕道君
   理事
           鈴木 恭一君
           寺尾  豊君
           松平 勇雄君
           光村 甚助君
   委員
           植竹 春彦君
           郡  祐一君
           白井  勇君
           新谷寅三郎君
           最上 英子君
           鈴木  強君
           野上  元君
           横川 正市君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   郵 政 大 臣 小沢久太郎君
  政府委員
   郵政大臣官房長 武田  功君
   郵政省電波監理
   局長      西崎 太郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       倉沢 岩雄君
  説明員
   文部省初等中等
   教育局中等教育
   課長      渋谷 敬三君
   文部省社会教育
   局視聴覚教育課
   長       小川 修三君
   文部省社会教育
   局著作権課長  佐野文一郎君
  参考人
   日本放送協会会
   長       阿部真之助君
   日本放送協会副
   会長      前田 義徳君
   日本放送協会専
   務理事     田辺 義敏君
   日本放送協会専
   務理事     小野 吉郎君
   日本放送協会専
   務理事     春日 由三君
   日本放送協会専
   務理事     栃沢 助造君
   日本放送協会主
   計部長     志賀 正信君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本放送協会昭和三十六年度財産目
 録、貸借対照表及び損益計算書並び
 にこれに関する説明書(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤顕道君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 本日は、前回に引き続きNHK昭和三十六年度決算の質疑を行なった後、討論採決を行ないます。
 日本放送協会昭和三十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○新谷寅三郎君 お尋ねをしたいと思いますが、きょうの議題は三十六年度の決算に関する問題でありますから、実は放送の政策各般にわたりましていろいろお聞きしたいこともあるのですけれども、きょうはこの決算に特に関係が深いと思われます二、三の事柄についてお尋ねをして、その他はまた後日に譲ることにしたいと思います。
 第一にお尋ねしたいと思いますことは、この三十六年度の決算書にも載っておるのですが、この年はテレビの聴視者が非常にふえた年でありまして、したがって、一方でラジオの受信料がある程度減収になったかもしれませんが、総体としてはNHKの収入は予算以上にふえたんじゃないかと考えられるのであります。で、NHKの予算は、法律に若干の規定がありますけれども、他はNHKの予算総則によって処理せられておるのでありますが、この予算総則というものは、NHKにほとんど自由に、経営委員会の議を経てある程度自由にやれるような仕組みになっておるのですが、したがって、かりに三十六年度で幾らか増収があった、その増収をどういうふうに使うかというようなことにつては、もちろん経営委員会が責任を持って処理されることでありましょうが、郵政大臣は、そういう場合に何らかの連絡を受けたり、あるいは意見を述べたりというような機会を実際上お持ちになっておりますかどうですか。あとで内容をNHKから説明してもらいますが、郵政大臣としては、そういった問題に対して、NHKとの関係はどういうふうになっておるのですか。
#4
○国務大臣(小沢久太郎君) この問題は、予算総則によりまして、NHKの経営委員会にまかしてあるということでございます。
#5
○新谷寅三郎君 そうすると、現在においても、郵政大臣としては、法律に書いてあるように、提出された書類に意見書をつける、予算、決算に対して意見書をつけるということ以上には郵政大臣は関与してないということでございますか。
#6
○国務大臣(小沢久太郎君) それ以上の権限もございませんし、今新谷先生のおっしゃったとおりにやっているのでございまして、ただいまにおいては、そういうことでございます。
#7
○新谷寅三郎君 それではNHKのほうにお伺いをいたします。
 先ほどもちょっと申しましたが、三十六年度の予算と比較しての増収がどのくらいあったか、その増収額がどういうふうに――もちろん経営委員会等の議を経てでありましょうが、どういうふうに実際は使用されましたか、それを少し詳細にお答え願いたい。
#8
○参考人(小野吉郎君) 三十六年度中に、予算に比較いたしまして現実に増加を見ました増収額は、三十五億余でございます。そのうちで、予算総則に従いまして、経営委員会の審議、御承認を得まして使いましたものと、使わないで金を残しまして翌年度に繰り越しましたものがございます。増収総額三十五億のうちで、五億六千八百万円は、使わないままで予備金の中に繰り入れをいたしまして、結果としましては後年度へ繰り越しましたものが五億六千八百万円でございます。残額の二十九億四千万円は、現実に経営委員会の審議、御承徳を経まして使っております。
 その内訳を申し上げますと、そういった増収のもとになります件数がラジオのほうは減少するわけでございますが、この増収の原因の大部分はテレビの件数の伸びでございます。その伸びに従いまして、実際には予算で予定いたしませんでした増加に伴う加入関係の経費がこれは必然に必要になって参るのでありまして、この関係は、予算総則の関係の条項に従いまして、この増収の中から振り充て得るようになっております。また、これは内規として義務的に出さなければならない関係のものでございますので、使っておりますが、その額が四億九千三百万円余でございまして、その他のものにつきましては、いろいろ必要に応じましてこういった面に使ったほうがいいということを検討いたしました結果割り振りをいたしたものでございまして、受信者の維持増加対策の経費といたしまして二億九千六百万円余でございます。これは、テレビの共同受信施設に対しまして助成をいたしているわけでございますが、三十六年度予算に計上いたしましたものよりも実際には地元の御要望が非常に強うございまして、件数も予算のワクではおさまらなくなりました。そういう関係のものが主でございます。その他、この年度の中間におきまして、郵政省のほうで、NHKあるいは民放を通じて行なわれました周波数変更の措置がございました。この変更の措置に伴いまして所要な金が幾分か入っております。両者を合わせまして二億九千六百万円余でございます。
 放送番組の関係の経費といたしましては四億ほど使っております。これは、番組を十月に全面的に改定をいたしたわけでございますが、この改定に伴いまして、在来よりも増加を要する経費の関係、舞台装置等の技術関係の経費等に増高を来たしました等の関係を総合いたしまして四億円番組関係に使っております。
 それからラジオ、テレビ放送局その他の設備の改善の経費といたしまして九億六千八百万円余を使用いたしております。この内訳は、若松等のラジオ放送所の整備をはかりますとか、厳原などのテレビ放送局の整備、その他必要な放送設備等の経費に充てたものでございます。
 それから施設の増加及び業務量の増加に伴いまして必要な経費といたしましてこの方面に使いましたものが二億八千五百万円余でございます。それと、総則の条項に従いまして、こういった業務量が予算の規模を越えて増大いたしました結果、人件費として使用をいたしましたものが四億九千九百万円でございます。
 以上を総計いたしまして、増収の中から現実に三十六年度中に使いましたものが二十九億四千万円余でございまして、総体の額との差額、これは五億六千八百万円でございますが、予備金の中にそのまま組み入れまして、後年度に繰り越しをいたしたというようなことに相なっております。
#9
○新谷寅三郎君 今の御説明に関連して一つだけ伺いますが、それは人件費の関係のものですが、予算総則の七条の二項によりますと「前項に定めるもののほか、職員の能率向上による企業経営の改善によって、収入が予算額に比し増加し」云々ということが書いてあるのですね。そうすると、三十六年度のその受信料の増額は、職員の能率向上による企業経営の改善によるものであるということをお考えになっておったのですか。そういう意味で、この何といいますか、業務量の増加による人件費の増というものをお考えになっておったのか。あるいは聴視者の数がふえたから、勢いいろいろな事務がふえ、その事務の増加になった分量に応じた職員の増員をはかったということなんですか、どっちなんですか。
#10
○参考人(小野吉郎君) この全額が従業員の能率の向上によるもののみとは申せませんが、能率の向上によりますものと、件数の増加に伴いまして予算で予定いたしましたものよりロードが重なったという面と、二重の関係がございますので、その辺のところを根拠といたしまして、関係の予算総則によって人件費に充当いたしたわけでございます。
#11
○新谷寅三郎君 時間があまりないので、こまかいことに入るのは避けますが、そうすると、結局、今のような説明をされると、予算に比して収入がふえた場合は、必ず七条の第二項に関連をしてくるというふうにあなた方は扱ってこられたように思うのです。しかし、それならば、三十六年度は――これは一例としてあげて下さい。三十六年度は、職員の能率向上によって企業経営のどの部分がどういうふうに改善せられたか、御説明できますか。
#12
○参考人(小野吉郎君) これを具体的に、どの項目がどうというようなことは非常に御説明申し上げるのも困難だと思いますが、NHKといたしましては、常にあらゆる部門について能率の向上、増進をはかって、そのような面から人員の訓練もいたしておりますし、また、職場々々におきましても常にそのような指導をいたしておりますので、そういった能率の年々の向上は、全般にわたって現われつつある、このように考えております。
#13
○新谷寅三郎君 今の御回答では、私は、この七条の二項の適用にあたっては非常に不満足です。七条の第二項は、そういう趣旨を書いているのじゃないのです。NHKが、職員の能率向上を全般的にいつでもはかっていくのだ、企業の合理化をやっていくんだということは当然のことであって、ここに書いてあることは、私はそういう意味じゃないと思うのです。だから増収は、私は、NHKの職員に対しては、いろいろの角度から考えて、あとで御質問しますが、適当な、何といいますか、給与を支給すべきだと思いますし、毎年国会でも両院でそういう趣旨の決議をしておるのです。それはけっこうです。しかし、増収があった場合に、それが非常に明瞭に職員の能率の向上によって企業の経営が改善された、そのための増収というものは、これはもちろんその職員に還元するのが当然だと思いますけれどもね。増収があった場合に、いつでもこれに関連してくるのだ、それは絶えずNHKとしては全般的に能率の向上を考えているのだから、増収があった部分はいつでも必ず職員の能率向上による改善だということで給与に関連をさしてくるんだという建前をおとりになることは、第七条の第二項の適用上私は非常に疑義があると思う。しかし、これは予算総則の問題ですから、今この決算でここでさらに問題にすることは避けましょう。避けますが、次の予算のときには、必ずこの問題について、もう少し徹底した御見解を求めますから、よく御研究しておいていただきたい。
 それからもう一点は、こういった受信料が予算以上にふえた場合に、つまり収入が予想以上にふえた場合にはどうしたらいいか。これは、NHKの長い将来にわたって、私は、経営の何といいますか、国民のために、経営をうまく持っていくために、いろいろの角度から考えてもらわなければならぬと思うわけです。この第七条の第一項には、その一部または全部を事業のために直接必要とする経費の支出も認めておりますし、借入金の返還も認めておるし、設備の新設、改善も認めておるということは事実ですから、このとおりにおやりになっているのだと思いますけれども、しかし、ここで私は注意を喚起したいと思いますのは、NHKが非常にテレビを全国的に急速に普及するために、経営的にも資金的にも無理をしている。非常に多くの借入金をして無理をして普及していった。普通の民放であれば、そういう仕方をしなかったかもしれません。もっと受像機の普及の工合を見ながら、それを追っかけるように追っかけるようにというので、むしろ営利主義からいいますと、そういうふうなことをやったかもしれませんが、公共機関ですからね。そういう収支の採算がとれるとれないは別として、とにかく法律の命ずるがままに、全国に早く普及するのだということでやられたに違いないと思うのです。そういう関係から、普通の企業から見ると、私は、多少無理をしてでも借入金をやったり、放送債券を出したり、ということをやっておられると思う。
 しかし、料金の問題に関連いたしますが、テレビの伸びというものは大体八〇何%にきておって、これから先はもっと苦しくなる、あとの二〇%を伸ばそうと思うと、非常に経費をかけてもそう多くの収入を期待できないというような部分がたくさん残っていると思うのです。これからは、今までのようにウナギ登りに収入がふえていくということは考えられない。したがって、経営上も、そういう点を考えると、ある程度余裕が出た場合には、返還金に相当部分充当するというような堅実な経営方針をとっていかないと、増収があるからといって、それをどんどん使っていくということばかり考えていると、先をどうするかと思うのです。七条第一項にも、「借入金の返還または設備の新設、改善に充てることができる。」とあるのですが、不幸にして三十六年度には借入金の返還ということは全然考慮されていない。私は、この点は、それはあまり経営の内容に干渉するようで、強く主張することは避けますけれども、しかし、NHKの将来の経営ということを考えると、設備の改善もけっこうだし、あるいは給与の支給もある程度はやむを得ない。しかし、それよりも大事なのは、将来の経営をどうするかということを、もっと十年、十五年先を見てお考えになる必要がある。借入金の返還について全然考慮を払われなかった理由はどこにあるのですか。その理由を聞かして下さい。
#14
○参考人(小野吉郎君) 御指摘ごもっともでございますが、財政的な将来の趨勢を見きわめました上での措置といたしましては、予算総則にも、こういった増収は、設備の改善あるいは関係の業務の増高に必然に伴ってくる経費に充てること、また関連する面で参ります労務過重の増大に伴って、人員に対する、職員に対する報奨に向けることができるという以外に、重要な借入金の返還にも充てることが明記してございます。そのような措置は、健全財政の立場から、大いに総別を活用してとって参らなければならないわけでございますが、この年度におきましても、そういった面も考慮いたしまして、増収からではございませんが、当該年度の受信料収入から、十六億の金は、外部資金のみに依存いたしませんで、自己資金として建設の財源に充当をしてございます。これも、将来向けの財政の運営の面から、すべて外部資金に依存という面は、その程度におきまして避けておるわけでございます。
 しかも、三十五億の増収があれば、これから総則のその関係に従って、借入金の返還にも充てるべきではないかということも、これもしごくもっともな当然のことでございますが、この年度におきましては、一方予算上、新規に借り入れを、長期借り入れ並びに放送債券発行によって予定をしておったわけでございますが、もうぼつぼつ金融関係の逼迫の面が出始めた年でございまして、予定のとおりに新規借り入れを予算どおりに消化できないような趨勢が出て参りました。具体的な数字で申しますと、放送債券四十億発行を予算上予定をいたしておったわけでございますが、現実にはこの増収の振り当てをいろいろ考えました時期におきましては、十億ぐらいは内輪になって発行未済に終わる結果というような見通しも秋ごろまでにはあったわけでございます。その後いろいろ努力をいたしました結果、多少そのようなきびしい面は緩和はできましたが、それでもなおかつ現実には三十七億の発行にとどまったのでありまして、三値は消化できないというような事態に逢着をいたしました。長期借入金のほうにいたしましても、十三億六千万円の新規借り入れを予定いたしておりましたが、これまた、当初の額のような調達が民間金融市場の事情からできませんので、かなりの借り残しというようなものができたわけでございます。そういう面も考慮いたしまして、実際には、こういう新規の借り入れが順当に参りますれば、年々やはり将来向けの債務の負担を軽くいたしました上、増収の中からまっ先に返還に充当すべきものと考えるのでございます。
 そういうような情勢も勘案をいたしまして、実はこの年度中には返還をしないで、増収のうち五億六千余万円のそれを使わないで、翌年度へ延ばしまして、翌年度の金融事情等を見た上で、さらにこれをそういった総則の趣旨に沿うような措置にしようというようなことで、実は三十六年度中には増収額の中から返済に充てなかったような次第でございます。
#15
○新谷寅三郎君 御説明の趣旨はわからぬことはないのです。ある程度そういうことも考慮されて、年度途中においてはすぐに返還に充てるというようなことは避けられたということはもっともです。しかし、決算を見ると、とにかく予備金として最終的には五億六千何百万円というものを残しております。これを残しておられるということは、これは三十七年度にいろいろ使われておると思いますけれども、まあ端的に言うと、それだけでも、何がしかでも、三億でも四億でも返還しておいたら、経営的に言っても金利ぐらい助かるだろうと思う。私は、NHKの経営というものが、これは数年前、テレビの普及が今のようにはかばかしくない時代、テレビの初めのころはラジオに依存しておったわけでしょう。テレビの受信料があまり伸びない、経費がかかるというので、経常的には非常な苦境に立ったことをあなた方知っておられる。そういうような時期が、テレビを普及すれば、なくなるとお考えになっているんじゃないだろうと思うんです。これからあなた方の一番の目的といいますか、使命は、とにかく放送法第七条によって、早く今日ではテレビを今のラジオ程度に普及すること、それには、先ほども申し上げましたように、非常に経費がかかる。経費がかかっても、それをやり遂げなければ困る。それが第一なんです。そうなると、経営の方面からいっても、今よりも楽になることはあり得ない。そういう点をお考えになると、NHKは非常にこのごろ予算が大きいですから、三億や五億だというお考えがあるかもしらぬけれども、私は、普通の会社の人なら、こういった問題については、もっとこまかく、慎重に考えて処理せられるだろうと思うんです。そういう配意が足りないんじゃないかという気がしてしようがない。
 ここに明瞭に、予算総則の第七条の一項には、そういう場合には借入金の返済に充てなさい、また設備の新設、改善に充ててもよろしいとこう書いてある。その精神を、もっとあなた方はそれを厳重に解釈し、それを守っていくという気持がないと困ると思うんです。今はもう済んだことですから、言ってもしようがありませんが、今後の問題としてはそういう方向でおやりにならないと、経営上また困って泣かなければならぬ時代がくるんじゃないかという気がしてしようがない、その点についていかがですか。
#16
○参考人(小野吉郎君) 御指摘の点、逐一ごもっともでございます。従来といえども、その方面につきまして、決して予算額の規模の増大に伴いまして、その面を軽視いたしておるわけではございません。あくまで有効に使用いたしますように努めておるわけでございますが、将来の財政の進む向きがまさに御指摘のとおりでございますことも、私ども十分に承知をいたしております。そういう面に対する財政上破綻のないように運営をして参らなければならないこと、これまた当然のことでございますので、将来は、そのような意味合いにおきまして善処いたして参りたいと思いますが、実は、ただいまの関係につきましては、額は非常に少のうございますが、翌年度におきまして、さっそく二億数千万円の金は借入金返還の経費に充ててございます。もちろん、この年は、さらに前年よりも金融が逼迫いたしまして、放送債券の発行等も所定のそれからはかなり下回るような状況になったわけでございますが、そのような措置もいたしてございますし、将来も、予算総則のその条項の関係の趣旨につきましては、十分にこれを尊重して参りたいと思います。
#17
○新谷寅三郎君 今のお話のような精神でぜひ運用をしていただきたい。そして将来収入の伸びがとまっても、NHKがまた値上げだとかいうことで苦労をしないような態勢を今からとっておかなければならぬということを考えまして、強く希望しておきます。
 それから次の問題に移りますが、あまり私に充てられた時間がありませんから、少し時間をいただいてもう一つだけ伺います。
 それは、先ほどもちょっと申し上げましたが、NHKの職員に対する待遇の改善のことでございます。これは、予算総則にも若干の規定があり、先般の予算審議にあたって、NHKのほうから、放送協会と新聞放送事業社との給与の比較という一覧表を提出されておりますので、これについてはそのとおりだと思いますから、あまりお聞きをしません。しませんが、一つだけ聞きたいのは、ここで基準内賃金幾ら、基準外賃金幾らという数字が載っておりますが、このほかに、賃金として計上せられるもの以外に、何か、たとえば交通費とか住宅費とか、そういった実質的な給与はないのですか、あるんですか、その点伺いたい。もしあるとすれば、どういう給与があるのか。それからついでに、そういう職員の給与に関して何かやはりおそらく内規のようなものがあるんだろうと思うんです。NHKの中で、こういうふうになったらば昇給させるとか、このくらいの幅で昇給させるとか、何かやはり給与に附して内規のようなものがあるんでしょう。それは経営委員会の議を経ているのでしょうが、公表はできないんですか。その概要でも、これは必ずしも今とは言いませんけれども、予算を審議する場合にも実はこれは必要なんです。この程度のものは知っていないと、待遇改善しろとかなんとかいっても、これはナンセンスなんです。そういったものは、適当な機会にお出しになっていただけますか。
#18
○参考人(栃沢助造君) ただいま新谷先生からのご指摘のとおりに、基準賃金のほかに、交通費の補助、それから食費の補助という、大体世間に一般的に支給されておる範囲内の程度のものは出してございますが、別にこれは外に出していけないというようなものではございませんで、御趣旨のように、支給の内規につきましては、後ほどまた御提出いたしたいと思います。
#19
○新谷寅三郎君 別にこれは急ぎませんが、次のまた予算を審議するときの参考にもしたいし、いろいろ考慮したいと思いますので、資料としてお出し願いたい。
 それから今お話のこのほかに、実質的な賃金というか、給与ですね。なお、たとえば食糧費とか、あるいは交通費の大部分とかあるようですが、住宅費はどうですかね。そういったものがあるということですが、それはどのくらいになるのですか。ここに書いてあるのは平均で書いて出してありますがね。平均でどのくらいになるのですか。
 それからもう一つ。これは民間では非常にまちまちだと思いますけれども、公務員でいうと、いわゆる期末手当といいますかね。そういう古い観念のボーナスですね。そういうものはどのくらい出して、何カ月分出しておられますか。
#20
○参考人(栃沢助造君) 先ほど小野専務から話がございましたように、予算総則の七条二項の適用で、職員に一部還元をしてございますが、今、三十六年度のなにを持ってございませんが、新谷先生の御指摘の期末手当的なものでございますが、七条二項の適用によりまして、〇・三一程度のものが出てございます。
#21
○新谷寅三郎君 その七条二項だけじゃなしに、七条二項がない場合に、公務員であると、三・何カ月分とかいいますね、それに見合うものです。それに見合うものとして、私の聞くところによると、半期で大体四カ月分くらい出しているというような話、それはどのくらいの、つまり期末手当といいますかね、そういったものを出しておられるのですか。
#22
○参考人(栃沢助造君) 予算で御承認になっております賞与以外に、公務員に支給されておりましたような、ああいうときに協会自身としまして別に別途のものというものは出ておらないわけでございます。七条二項適用以外の賞与というようなものは支出されてございません。
#23
○新谷寅三郎君 その特別のものでないのです、私が尋ねているのは。何も、特別なものがない場合にでも、予算で承認をされておるといってもいいですがね。それによって、職員に対してはどのくらいの期末手当を何カ月分くらい出しておられますかということを聞いているのです。
#24
○参考人(小野吉郎君) いわゆる夏の手当並びに暮れに出します手当は、三十六年度に関しましては四・二カ月でございます。
#25
○新谷寅三郎君 それは一年で四・二カ月ですか。
#26
○参考人(小野吉郎君) そのとおりでございます。
#27
○新谷寅三郎君 私は、それが半期で四カ月分くらいじゃないかということを聞いておったんですけれども、そうでないようでありますから、この点はさらに私も研究をしたいと思いますが、郵政大臣がおられるので、郵政大臣に、これはまあ全体のそういった問題に対する態度を聞きたいと思うのですがね。かって私は、矢野一郎さんが経営委員長をしておられた終戦直後でございましたが、非常にこれは問題としては、尋ねにくい問題でありましたが、職員の給与の問題、それから理事の給与の問題についてお聞きしたことがあるのです。当時、NHKの給与が非常に行き過ぎているという一般の評判であったものですから、経営委員長を呼んで、そういうことを聞いたことがあるのです。私の考え方からいきますと、一方には、似たような仕事として民間放送事業があったり、あるいは新聞事業があったりするものですから、いい職員を得ようとすれば、あるいは重役もそうかもしれませんが、ある程度給与を高めないと、いい人が来てくれないということがあるのです。また
 一方からいうと、こういう、営利事業じゃない、これは公共的な仕事なんです。収入源というのは、収入の源は、もう一に法律に基づいて税金と同じような形で取っている受信料なんです。そういう性質なものですから、やはり公務員の給与とか、あるいは公共企業体の給与とか、そういったものとあまりけたはずれの給与をすることは、これは考えるべきじゃないかという見方も出てくるわけです。私は、そういう意味で、職員が事業の意慾を失わないような範囲において、できるだけ自制してやっていくというようなことが望ましいのじゃないかということを矢野さんに言ったことがあるのです。それから矢野さんがいろいろ注意をされまして、今申し上げたような方向で、給与について非常に自制をされたことがあるのです。今も、その点について多少心配になっているのですが、郵政大臣が、NHKの重役はもちろんのこと、職員についても、大体給与というものについて、どういうふうな考え方でやるのが妥当だとお考えになっておりますか。これは、いわゆる監督官庁でないから、あなたは、ただまあ意見があっても、意見をつけて国会に出すだけの仕事ですが、郵政大臣としてはどういうふうなお考えを持っておられますか。
#28
○国務大臣(小沢久太郎君) この問題につきましては、他のいろいろ経営委員の関係もございます。それからまた、放送につきましては民放などもございます。まあいい人物を集めるという意味におきましては、やはりある程度高いということも必要でございますけれども、しかし、また先ほど言われましたこの財源というものは、みな国民から集めるところの受信料でございますから、そういう点からも考えまして、他のそしりを受けないような額にしなければならぬ、そういうふうに考えている次第であります。
#29
○新谷寅三郎君 それは常識だろうと思うのです。だれもそういうふうな考え方で、両方の要求を満たすのにはどこに線を引っ張ったらいいかというようなことが常識的に考えられると思うのです。で、今お聞きした職員の給与についても、大体そういう趣旨で、私は、非常に数多く人を集めるよりも、むしろ能率の高い、いい人物をある程度給与を出しても集められたほうがいいのじゃないかという気がするのですが、これはあくまでも私見にとどまりますから、大臣として参考にしていただきたい。しかし、これに関して、まあ、こういう委員会でも公にされない問題は、考えようによっては、品の悪い質問になるかもしれませんが、NHKの理事者の給与――郵政大臣は、以下理事者の給与というものについて報告を受けたり、相談を受けたりしておられますか。知っておられますか。
#30
○国務大臣(小沢久太郎君) 大体どのくらいの金額ということは承知はしておりますけれども、相談を受けてはおりません。
#31
○新谷寅三郎君 知っておられるならば、あなたにお聞きしてもいいのですが、この問題は、先ほども申し上げたように、矢野一郎さんが経営委員長のときにいろいろ問題があって、そういう声が世間に高かったものですから、私は勇気を出してそういう質問をしたことがあるのです。で、今度も、いろいろな方面からして、どこが高い、あそこが高いというようなことを言っておる人がありまして、たとえば、この間国鉄の総裁の談話も、まあ辞退をしたとかなんとかいうことも新聞に載っていたのですが、国鉄はどうだとか、電電公社はどうだとかいうことに比べて、NHKのそういう役員の待遇についていろいろ言われる向きがあるのです。ですから、知っておられるなら、あなたがお答え下さってけっこうなんですが、NHK当局からじゃなく、あなたからでけっこうですが、それは何ですか、秘密の事項なんですか。あるいは内規できまっておるのじゃないかと思うのですが、NHKの内規で。阿部さんがおられるけれども、会長さん幾ら、副会長幾ら、ということは大体きまっているのじゃないかと思いますが、それはお答えになれますか。
#32
○国務大臣(小沢久太郎君) その問題につきましては、まだ実は報告を受けておりませんので、大体金額はどれくらいということは承知はしておりますけれども、内規できめておるのかどうかということは承知しておりません。
#33
○新谷寅三郎君 金額でいいです、金額では報告を受けているとおっしゃるが、金額でいいです。規則はあなたに聞かなくても、必要があればNHKに聞くのですから、金額は知っていますか。
#34
○国務大臣(小沢久太郎君) 大体のところは知っておりますけれども、こまかいところまでいきますと間違いが生ずるといけませんから、NHKから答えていただくのが一番正確だと思います。
#35
○新谷寅三郎君 私も尋ねながら、いやな気がしていたのですが、あなたがこの程度しか知らないとすれば、おそらくNHK当局者以外はだれも知らないと思うのですよ。だから、公共企業体のようなこういう企業体で、しかも法律によってでき上がっておる団体について、どういうふうな内容かということは、あなたが、郵政大臣がこれはぜひ秘密にしてもらいたいとおっしゃるならば私は尋ねませんけれども、そうでないないらば、まあいろいろなことを言っておる人があるとすれば、むしろ国民の前にある程度それを知らしておいたほうがいいのじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
#36
○国務大臣(小沢久太郎君) 先ほども申し上げましたように、はっきりした数字はやはりNHKから言っていただいたほうが間違いがなくていいのじゃないかと私は思っております。
#37
○新谷寅三郎君 それでは、NHKの担当の方はどなたですか、そういうことを端的にお間かせ願えれば、大体の概要はわかると思うのですが、もしそういった重役の給与について、これは一人々々経営委員会か何かできめる、あるいは会長が専断できめるということになっているなら、そういう標準はないでしょうが、そうではないように思われるので、もし何か内部規定のようなものがあれば、それによって、甲という人、乙という人はどうだということをお聞きすることはしたくありませんが、会長、副会長、専務理事、理事、監事と、こうあるわけですね。それについて、大体これはほかの会社か何かと同じように、毎月どういうふうな給与をしているか。それから何か、聞くところによると、何といいますか、何か手当のようなものがあるということですね。これは、会社でいうと交際費というか、そういった種類のもの……。どういうふうにしているか。それからこのごろは、会社でもそうですけれども、公務員の給与なにかにならって期末手当のようなものを出している、会社でいうと重役賞与みたいなものでありますが、NHKに関しては、これも階級によって違うかもしれませんが、大体どのくらいを標準にしておられるかというようなことを一応御説明を願ったらどうかと思うのです。
#38
○参考人(前田義徳君) 協会の会長以下役員の給与につきましては、放送法第十四条の第九によりまして、経営委員会がこれを議決して決定することになっております。その個々の金額につきましては、主計部長から説明させて
 いただきたいと思います。
#39
○参考人(志賀正信君) 予算に載せました役員の報酬について御説明いたします。
 報酬額につきましては、会長が月額二十九万円でございます。それから副会長が二十四万円でございます。それから専務理事が二十一万円でございます。理事が二十万円でございます。監事の常勤の監事につきましては十八万円でございます。それから非常勤の監事につきましては十六万円でございます。
 それから役員の手当につきましての御質問でありますが、会長につきましては、役員手当といたしまして八万円ございます。それから副会長が六万円でございます。専務理事が五万円、理事三万五千円、監事が二万七千円、非常勤監事が二万円でございます。
#40
○新谷寅三郎君 さっきお尋ねをした賞与も一緒にお答えいただきたい。
#41
○参考人(志賀正信君) 賞与額につきましては、予算の上では、一応八カ月分ということになっております。
#42
○新谷寅三郎君 きょうこれで明らかにされたところによりましても、世間で、NHKは給与がめちゃくちゃだとか言っておるうわさはだいぶ解消されて、私はけっこうだと思うのです。まあそういうこともありまして、私はあえて質問をしたのですが、少なくも、主計部長に、今の御説明に関してちょっと疑問があるので伺いますが、先ほどおっしゃった手当というものは、あなた方のいわゆる内部で部局手当といっているものですか。部局費とかなんとかいっているものになるのですか。結局、交際費のようなもので各役員にお渡しになる分と見ていいのですね。
#43
○参考人(志賀正信君) さようでございます。
#44
○新谷寅三郎君 これがまあ、非常にNHKの役員の手当として適当であるかどうかということは、先ほどの郵政大臣のお話によって、そういうものさしで国民も判断するでしょうし、われわれも判断をしたいと思うのです。しかし、郵政大臣としてお考えになってもらいたいと思いますことは、国鉄や電電公社の、似通った性格を持っている団体の役員の給与ですね、これのほうは相当に詳しい報告もきていると思うのですが、郵政大臣は知っておられますか。
#45
○国務大臣(小沢久太郎君) 今手元にございませんので、国鉄がどのくらいになっておるかということは存じません。それから公社のほうもちょっと今、手元にございませんので……。
#46
○新谷寅三郎君 いや、今手元にあるないというのじゃなしに、これはもっとNHKと違った意味で、あなた方監督官庁になっておるのですから、正式の監督官庁ですから、これはいろいろな内規をきめる場合にも、あなた方のほうに申請をするのじゃないですか。だから、知ってなければならないのですね。
#47
○国務大臣(小沢久太郎君) 私ども知っていなければならぬわけでございますが、ただいまちょっと材料の持ち合わせがございませんので、申し上げることができないのが残念でございます。
#48
○新谷寅三郎君 それでは、一つだけ私が教えてあげましょう。電電公社なんかの公共企業体では、大体公務員と同じなんです。期末手当なんかは三・七カ月分です、で、おそらく、いろいろ世間で、NHKはルーズだとか、監督官庁がないからだめだとか言っている人がありますが、そういう趣旨は、やはりこういう俸給や給与についてはそんなに違いがあるとは私も思いません。しかし、こういう期末手当というようなものですね、八カ月というような、ここらに問題があるのじゃないかと私は思うのですよ公社は三・七カ月分とすれば、だいぶ開きがありますね。倍以上になっておりますね。これは、仕事の性質上、非常に接する人も違うし、ある程度考慮しなければならぬ場合もあると思いますけれども、先ほども申し上げたような、非常に公益的な色彩の強い、しかも収入源というものが、これは電話料よりなおそういう色彩の強いものだと私は思います。税金に類するような聴視料というようなものが、もとになっておるのですから、ここらの点について――私、これを減らしてくれとかなんとかということを今ここで言うのじゃありませんけれども、十分慎重にお考えになる必要があるのじゃないかという気がするのです。
#49
○国務大臣(小沢久太郎君) 先ほど新谷先生から仰せられた公社のいろいろの給与の問題でございますけれども、私は、報酬がどのくらいかということかと思いまして、手元にないということを申し上げたのでございますけれども、期末手当のほうといたしましては、今新谷先生の申されたとおりだと私は思います。
 それから、ただいま申しました待遇の問題につきましては、これはもちろん経営委員会のほうで決定することでございますけれども、やはり私が先ほど申し上げましたような、受信料から払うというような、半ば税金的なものから払うような性質のものでございますから、世間のそしりを受けないように私は希望する次第でございます。
#50
○新谷寅三郎君 この待遇関係の問題を、職員については、再三国会でも決議をしておりますようないきさつもありますから、私もこれは今賛成をしておるのです。やはり能率の高い有能な人を、できるだけ民間に負けないような程度の給与で雇って、できるだけ仕事の能率を上げてもらうというふうにしないと、高いところに数ばかり多くなるというのでは、NHKもこれからますます仕事がしにくくなると思うので、そういうことを希望するわけです。理事以外の問題につきましては、これは別に私は考えなければならぬと思うのです。今申し上げたのは、単に一端にすぎません。世間の人たちは、いろんなことをNHKについて言っております。いろんな週刊誌に出したり、いろんな雑誌に書いたりしまして。われわれは、NHKを、先ほども申し上げましたように、法律の趣旨に従って、国民全体のために健全に育てていきたいという希望を持っておるわけです。ですから申し上げるのですが、今のこういう給与の問題、あるいは、きょうはもう申しませんが、NHKの重役の人たちの退職金の問題、そういった問題についていろいろなことを言っておりますから、公共企業体の経営者として適当な措置をとられるように、郵政大臣としては、会長と相談をされて、行き過ぎないような方法を考えていただくことを特に希望しておく次第です。時間がありませんから、私の一質問はこの程度にしますが、最後に、今の問題について郵政大臣からお答えを願いたいと思います。
#51
○国務大臣(小沢久太郎君) ただいま新谷先生の申されました御趣旨の点に十分かんがみまして善処していきたいとそういうふうに考えます。
#52
○鈴木強君 文部省から視聴覚教育課長さんと中等教育課長さんにお忙しいところをおいでいただきまして、ありがとうございました。
 最初に、視聴覚教育課長の小川さんにお尋ねいたしますが、あなたの、ほうで、視聴覚の教材の効果的利用を進める上の資料を得る目的で、先般、ラジオ、テレビ等の小学校あるいは中学校、僻地学校、それから青年婦人学級等における利用の調査をなさったように聞いておりますが、最初に、その結果をひとつ簡明にお知らせをいただきたいと思います。
#53
○説明員(小川修三君) 昭和三十六年度におきまして、視聴覚教材の利用状況を調査いたしたわけでございます。学校におきましては教科書を基本教材といたしておりますが、そのほかに有効適切な教材を用いまして学習を効果的にするようになっておりますが、その一つの教材といたしまして、視聴覚教材が最近におきまして全国的に広く利用されるようになってきております。そうした状況を把握いたしまして、視聴覚教材を有効に活用いたすために、全国から宮城、新潟、千葉、愛知、広島の五型を遊びまして、全国の小中学校につきまして、資材の状況あるいは利用の状況等を調査いたしました。そのほか、社会教育につきましても、青年学級、婦人学級につきまして、これは二一でございますが、調査いたしたわけでございます。
 そのうち、テレビにつきましては、設備の状況といたしましては、大体五尺とも八〇%以上の学校がこれを持っております。しかしながら、それは一校一台といったようなものも持っておる学校に数えられますので、実際に学習に十分使える状況にあると考えられます学校は、まあ八〇%とまではいきませんで、さらにもっと少ないのではないかと考えられます。次に、利用の状況につきましては、やはり全学級の八〇%程度が、いろいろの形ではございますけれども、とにかくテレビを利用して、これは継続的に利用している場合もございますし、ときどき先生が学習を進めるのに必要であると思う教材を選んで利用する場合もございますが、そういったものを含めまして、八〇%程度がともかく何らかの形で利用しておる、したことがあるという結果が出ております。なお、科目で申しますと、小学校では、理科、社会、道徳、音楽等は比較的利用されておりますし、中学校におきましては、小学校よりもだいぶ利用の程度が下がっておりまして、三、四〇%程度の利用という数字が出ております。
 次に、ラジオにつきましては、小学校、中学校とも九〇%以上がこれを持っておりますが、テレビに比べまして、小学校では利用の率は低い結果が出ております。中学校におきましては、テレビよりもラジオのほうが利用されておりまして、ほぼ五〇%程度の学級がラジオをともかく学習に利用したことがあるという結果が出ております。利用いたします教科は、道徳とか国語、社人会、音楽等が大いに利用されておるという結果が出ております。
 そのほか、映画につきましては、テレビ、ラジオに比べますと、非常にまだ利用の程度は少ないという結果が出ております。
 大体、簡単に申し上げますと、そういうようなことでございます。
#54
○鈴木強君 文部省として、テレビ、ラジオの教育放送をどういうふうに活用し、利用していくか、教材としてどう活用していくかというような、そういう基本的なお考え方はあるのでございますか。そして、それを全国的に画一的に指導しているという行き方でやっているのでございましょうか。
#55
○説明員(小川修三君) 先ほど申し上げましたような教材の利用は、教科書以外の教材を利用することになっておりますが、御承知のように、学習指導要領というものがございまして、これが教育課程の基準となっておりますけれども、その中におきまして、学校においては視聴覚教材については精選して活用するようにということが述べられております。これは、視聴覚教材いろいろございますけれども、すぐれた教材を先生方が十分選んで、これをほんとうに授業に効果的に利用するようにということを述べておりまして、全般的に視聴覚教材をそういった心がまえで利用することを勧めておるわけでございます。
 文部省におきましては、その学習指導要領の線に沿いまして、視聴覚教材の利用の方法等につきましては指導書等をも刊行いたしまして、一般の先生方の御参考に供しておるわけでございます。また、特に僻地等におきましては、テレビ等が非常に有効な教材として活用されますので、これにつきましては、テレビの半額国庫負担等の予算措置を講じまして、その利用を勧奨しておるわけでございます。
#56
○鈴木強君 あなたのほうで大体指導して、できるだけ活用するようにというような方針でおやりになっていることはわかりましたが、現在教育放送をやっているのはNHKの教育ですか、それからNETというのがあるのですね。それと、ラジオの第二放送あるいは第一放送の中の若干、そのほか民放の部門もあるかもしれませんが、おもにあれですか、あなたのほうで、指導要領というのですか、そういうものによって指導をしている中には、どれでもいいという見解なんですか。それとも、NHKとかと限定した放送を聞くようにというような、そういう制限はしておるのでございますか、してないのでございますか。
#57
○説明員(小川修三君) そういう制限はしておりませんけれども、具体的に学校教材として使われるものは、学校向けとして製作されました、ただいま御指摘のNHK、NETテレビ、NHKのラジオであろうと考えます。
#58
○鈴木強君 お話によりますと、テレビの視聴率は小学校のほうが高いのですね。それから中学に参りますと、やはりラジオのほうが非常に聞く率が多いというお話なんですが、今は、テレビも、NHKの教育放送の場合は、まだ全国あまねくどこでも通じるというカバレージになっていないですね。遺憾ながら、総合テレビ等と比べると、ずっとまだ教育テレビのほうがおくれているわけです。それからラジオのほうは、大体もう九九%以上カバレージしておりますから、これはどこでも聞けると思うのですけれども そういう意味で、何かあなたのほうは、特にNHKということに限定はしていないけれども、大体そこになるだろうというようなお話ですから、しからば、NHKに、あなたのほうでは教育放送について、テレビの番組等についてはどういう御連絡をとっておりますか。
#59
○説明員(小川修三君) テレビ学校放送につきましては、放送法によりまして、教育課程の基準に沿って製作されなければならないという規定がございますが、そういった一般的な規定のもとに、NHKなり、NETで製作されておるわけでございます。これに対しまして、これは全国的にも広がるものでございますし、NHKのほうが、放送されます場合にどういう種類の番組を出したらよいかとか、そういったことにつきましては文部省にも協力を求められておりまして、文部省から、関係の課長ないし各教科の専門の者が、そういった委員会に加わりまして、御相談にあずかっておるわけでございます。
#60
○鈴木強君 NHKにちょっとお伺いしますけれども、教育テレビについては、朝の九時から夜の十一町半まで大体放送していると思うのですね。教育放送の場合は、これは大体内容を見ると、その名のごとく、教育、教養的な番組にほとんどなっておりますのですからいいのですけれども、ラジオの第二のほうは、朝五時三十分から夜中の零時まで放送しておりますが、一体この放送時間のうち、ラジオによる教育放送は大体何時間ぐらいしておりますか。
#61
○参考人(春日由三君) 教育放送という甘栗を使います塩八口には、教育番組というのは、一定の計画を立て、計画的かつ継続的に放送をしてその効果を上げなければならないというふうな一つの考え方があるわけでございますので、そういうふうな考え方から参りますと、ラジオの第二放送の七〇%程度がいわゆる教育番組と申し上げられると思いますが、具体的に学校放送というふうな名前をつける、つまり学校で集団聴取をするという番組が、朝の九時から午後の三時ぐらいまでが学校で利用する、そのほかに現在は夜間の八時から十時ぐらいで通信高校的な番組を組んでおります。したがいまして、合計いたしますと、朝の九時から午後の三時ぐらいの六時間と夜間の二時間、八時間ぐらいが、学校放送と申しますか、狭義の教育番組ということが申し上げられると思います。
#62
○鈴木強君 もう少し、たとえば小学校、中学校――まあ昼間だけれども、こういうふうに限定して、中学校なんかの場合、特例として夜間なんかありますけれども、一応小学校、中学校の授業中に間に合うように放送している学校向けの放送番組は何時間ぐらいですか。
#63
○参考人(春日由三君) それは、今申し上げましたように、朝の九時から牛後の三時ぐらいでございますから、六時間ぐらいということは申し上げられます。
#64
○鈴木強君 小川さんのほうの視聴覚教育課のほうでお考えになっている学校向けの放送の聴視ということですね、これはテレビ、ラジオともそうですけれども、もっともっとこうしてもらいたいとか、ああしてもらいたいとかいうような御意見があると思うんですね。そういう意見を具体的に実施するためには、やはり協会とのタイアップが必要だと思うんですけれども、そのためには、ラジオやテレビで今やっております幼稚園や保育所向けの放送とか、あるいは小学校、中学校、高校あるいは教師に向けた放送とか、あるいは通信高校、それから教養特集、あらゆるこういう教育的な放送番組について、一体文部省は、小学校や中学校でこれをどう活用していくか、教材としてどう活用していくか、こういう問題は頭を悩まされていることだと思うのですけれども、ただ私の心配するのは、今の教育方針というのは、地方教育委員会にやはり自主性を持たした建前になっていると思うんですね。だから、そういうものと、この放送というものが、あなたのほうの文部省からの一括指導によってそれが教材として活用されるということは、一体今の教育基本法からいって、何かそごをするところがあるんじゃないかということを私たちは心配をするわけですね。だから、教材としてこれを活用する場合に、それとの関連において、やはり基本法に基づく精神を貫いていくというやはり一本の線だけは必要だと思うんですね。そういう線とどういうふうにマッチさせつつ、この教育放送を全国画一的に活用していくかということが問題になると思うんですよ。そういうふうな立場に立って考えるときに、私はもう少しお宅のほうの一せっかくこの調査をされた機会ですから、伺っておきたいのですけれども、先生方が、あなたのほうの指導要領によって、ラジオ、テレビの学校向けの放送を聞いたり見たりしておると思うのですが、それを協会として使う場合に、どういうふうに先生方は認識をしてやっておるかということ、これは一体文部省として把握されておりますか。この放送を教材としてどういうふうに認識しておるかということですよ、使う場合に。基本的な問題とも関連があると思うのですけれども。
#65
○説明員(小川修三君) 各学校でどのように認識しておるかということは非常にむずかしい問題であろうかと思いますが、元来、放送教育につきましては、各先生方が自主的にこれを利用しようという動きが強く、放送教育運動と申しますか、そういった形でだんだんと進歩、進展したものでございまして、各先生方がいろいろ研究をされて、その利用法についても研究会がございまして、そこでいろいろと研究されております。それからまた、その先生方の意向がNHKのほうの委員会に、これは私どもも伺っておりますが、反映されまして、私どももいろいろ意見を申しますが、そういったものを総合されて、NHKのほうで学習指導要領の基準に従って番組を編成しておる、こういうことでございます。
 なお、先生方に対します私どもの指導も、基本的な事項についていろいろ指導書等を参考資料として出しておるわけでございまして、実際に先生方がどういうふうに活用するかは、その個々の授業の場面によっても非常に異なりますが、大体教材として先生方が自分の授業の中にこれを取り入れて、どういうふうにしたら効果的であるかということを常に考えながらやっておられると思いますが、そういった基本線については、私どもの考えと矛盾するわけじゃございませんので、問題はないと考えております。
#66
○鈴木強君 まあ、先生方の自主性というものを相半尊重しておるから、教育基本法に基づく精神を生かしつつ、よりよい教材として活用しておる、こういうふうに言われると思うのですけれども、この放送が始まってもう相当たっておりますからね。ですから、何か教材として活用する場合、その効果について、あるいはこうしてもらいたいとか、ああしてもらいたいとか、そういう意見を集約するような、下からの文部省に対する、この問題に対する声というのはどういうふうに反映しておりますかね。全然ないわけでしょうかね。それとも、そういう意見があって、それによって毎年ある程度その内容も変えていくとか、そういうふうなことについては、何かございますか。
#67
○説明員(小川修三君) 直接文部省にこういうふうにということは言ってきませんけれども、やはり各研究会等には私どもも出席いたしまして、いろいろ御意見は聞いております。そういったことは、NHK等で編成されますときの審議会等におきまして、お互いに話し合っておる、こういう状況でございます。
#68
○鈴木強君 そのお互いに話し合っておるというのだけれども、何かその具体的に建設的な意見というものはなかったのでしょうかね。
#69
○説明員(小川修三君) それはいろいろございます。たとえば、時間の長さがどうであるとか、こういった番組はこういった形式で、説明の時間が短かったとか、そういう具体的な個々の番組につきましてはいろいろ出ております。
#70
○鈴木強君 放送教育研究会というのがございますが、これはどういうものですか。あなたのほうで知っていますか。
#71
○説明員(小川修三君) 各都道府県単位あるいは郡市単位に放送教育の研究会がございまして、それが全国で放送教育連盟という会を結成しておるわけでございますが、これがまあ放送教育についての先生方の研究団体でございます。これは任意団体でございますけれども、その大会その他には、文部省のほうでも後援をいたしております。
#72
○鈴木強君 これは、そうすると任意団体で、文部省は関与してないのだが、後援はしておるというお話ですけれども、これはやはり経済的な援助をしておるわけですか。
#73
○説明員(小川修三君) 現在のところは援助いたしておりません。
#74
○鈴木強君 そうすると、自主的に先生方がお集まりになって、学校放送に対する研究をしようという団体のように伺いますけれども、私はまあ、テレビをどういうふうに活用し、ラジオをどういうふうに活用していくかということは非常にむずかしい問題だと思います、一歩間違うといろいろな批判も出てくるでしょうし。ですから、今もあなたがおっしゃっておるような、教材として活用する場合の教師の自主性というものを十分に認めつつやらなければならぬということもお説のとおりだと思うのですね。ですから私は、ここで文部省が積極果敢に、こういう教育研究会に手を出してやれとは言いませんですけれどもね、しかしほんとうに学校向けの教育放送というものを生かしていくということになると、一体、それは全国的にどういうような状態になっておるかということをつかむことは、これは大事でしょう。そういう意味で、あなたのほうでも世論調査をしたのじゃないかと思います。しかし、これは限られた県ですから、もっと全国的に、一体どういう状態になっているかということをつかむことは必要だと思います。そうして、そういう成果の上にものを考えて作り上げていかないと、せっかくやりましても、そのことが無になることがあってはいかぬと思います。私が非常に心配するのは、これは渋谷さんのほうにもお尋ねをしておいて、最終的な私の希望を申し上げたいのですが、今小川課長さんのほうで言われたように、社会とか、理科とか、あるいは音楽とか、道徳というものが非常に活用されておる、こういうように伺いました。たとえば、道徳教育の問題、道徳教育的な放送についても、御指摘のように、指導要領によって今度新しく道徳教育というものを課していますね、あなたのほうでは。しかし、課してみたのだが、それに対する教科書というものはまだできていない。また教科書を作らぬということでやったそうでありますが、そういう場合に、一体この教育放送を通じて、学校向けの放送を通じて、道徳教育というものがどういうふうに反映していくかということは、これは僕は相当大きな問題になると思います。もちろん、基本的に文部当局の御指導を得るとい、うことは、各全国の教育委員会も考えておられるでしょう。しかしながら、やはりそこにはおのずから地方における自主性というものもあるでございましょうから、その自主性をどういうふうに認めつつやるかという、さっき私の申し上げたような点を一体どうするか、こういう点が実はちょっとじゃまになってくるわけです。この辺は、中等教育課長の渋谷さんのほうから伺いたい。
 一体、私は道徳教育に限りましたけれども、私も、道徳といっても、一概的に概念として言うと誤解を受けますから一たとえば、私どもが電車に乗ってみても、最近の若い人たちは、おじいさんやおばあさんが来ても、立って席を譲ろうとするような人たちがいない。私も若い人たちの寮長をしたことなんかありますけれども、学校を卒業してきても、まず向こうから頭を下げるようなことはない。私は一緒に頭を下げようじゃないかということを言いますが、そういう上長に対する尊敬の念なんていうものはない。こういうものは私は必ずしも学校教育において欠けているとは言いませんけれども、社会全体としての新しい戦後の一つのブランクがある。こういう欠陥は、将来民主主義が発展する過程におけるブランクだと思いますが、それにしても情ないです。国滅びてもそういう交通道徳的なものとか、上長に対する尊敬というものは、私は人間として当然あってほしいと思います。話し合ってみれば、案外、彼らは朝起きて廊下で会って「おはようございます」と言わないことがあたりまえだと思っているのです。そうでなくて、自分がこの家に住んでいる以上は家族なんだから、私は寮長だから、先に君たちに頭を下げろとは言わない、一緒に頭を下げようと言えばわかるので、人から「おはよう」と言われれば頭を下げてくる。
 ですから私は、そういう点を道徳というかどうかは別として、そういう点まで私はいかぬと言うんじゃないんですよ。ただ私は、もっと戦前のような思想、要するに天皇制中心的な思想に基づく道徳教育というものは、私たちはちょっとこれは考えなければならぬ。そういう点については反対でございますけれどもね。だから道徳といって一概的に概念で言うと誤解を受けますから、私はそういう意味においては、道徳というものをもし言うならば、そういう点は是正すべきところがあると思います。ですから、そういう面で、道徳教育というものが非常にやかましい時代ですから、世間の誤解を受けてもいかぬと思うので、私はあえてこの際文部当局に、ラジオ、テレビを通じての道徳のあり方というもの、教育というものはどうだということを聞いておきたかった。そういう意味で、さっき申し上げました全国画一的な教科書のない段階においての放送指導というものは一体どうなのかということを聞きたいのですがね。今ラジオでNHKがやっている道徳的な番組は「わたしたちは考える」というのが一つ、それから「信夫の日記」というのが一つ、それから「なかよしグループ」というのが一つ、大体三つくらいだと協会では言っているわけですがね。こういうものをおそらくさしておられると思いますけれども、これは一体どういうふうに理解をしておいたらいいのでしょうか。私たちは、ラジオ、テレビを通じての……。あなたのほうで道徳教育がよく言われているし、これからもそういう点に力を入れてやろうとする考え方があるのかどうかですね。これはどちらの方でもけっこうですから――中等教育局さんのほうの所管だとすれば、渋谷さんのほうじゃないですか。
#75
○説明員(渋谷敬三君) 道徳につきましては、御承知のとおり、昨年から小中学校の教育課程、新しい教育課程が全面実施になりました。そこで、従来−はあらゆる教科、あらゆる学校教育の活動の場を通じて道徳教育を行なっていくということでございましたが、新しい教育課程では、その従来の方針は変わりございませんが、さらに道徳の時間を特設いたしまして、あらゆる教科、あらゆる場所でやるというのに加えまして、道徳のかなめとなる時間を特設いたしたわけでございます。そこで、その道徳の基本的な考え方その他の大綱につきましては、学習指導要領に基準がきめてございまして、その基本的な考え方はあくまで人間尊重の精神を基本とするということになっております。そのねらいが、小学校、中学校それぞれ二十数項目あるいは三十数項目がきめられております。それを、道徳の時間で、その人間尊重の精神を基調といたしましてきめられました二十数項目か三十数項目を、どういうふうに指導していくかということにつきましても、一応指導書で示してございますが、読物資料を使ってやる、あるいは視聴覚の教材を使ってやる、あるいは話し合いでやる、あるいは生徒の作文を使ってやるとか、いろいろな指導方法でやるよう、そのどれかに片寄ることなく、読物資料も使いますし、視聴覚の教材も使いますし、話し合い等でもやる、いろいろな指導方法でやるということが示されておるわけでございます。
 ところで、新しく道徳の時間が設けられたようなこともございまして、その読物資料の選択等につきまして、先生方もいろいろ――小学校は結局あらゆる教科を受け持っておる先生がやるわけで、中学校は学級担任の先生がやるわけでございまするので、必ずしも道徳の専門ではございませんから、読物資料とか視聴覚教材とかの選択、選定には先生方も非常に御苦労されておることを聞いておるわけでございます。そこで、NHKにおかれましても、その方面にも非常に御配慮いただきまして、学習指導要領の基準に基づきまして、いろいろ生徒が興味を持ちながら、道徳的なものの見方、考え方というものを育てていくのに役立つような放送をいろいろ御工夫いただいておるわけでございますが、現場でいろいろ先生方が教材の選択に御苦労があるというふうなこともございまして、道徳の視聴率が最近非常に高まっておるようでございまして、その場合、先ほど来お話のように、学校におきますそういう教科なり道徳の、特に道徳の指導でございますが、そういう有効適切ないろいろな教材を使ってやるということで、それを先生がどういうふうに選択し、どういうふうに利用していくかということは、大体担任の先生におまかせしておるわけでございます。
#76
○鈴木強君 概念的にはよくわかるのですけれども、やはり今のお話のように、非常にむずかしいわけですね。一体本を読んで見てみたり、ラジオやテレビを聞いてみたり、子供の作文を読んでみたりしたって、じゃ一体どこをつかんで、どうやったらいいかというと、ばくたるものしかないじゃないかと私は思うのですがね。ですから、その中で、一体テレビ、ラジオの、今のお話にあるような三つぐらいしか放送してない、その放送がかなり聞かれているということは、先生方においてもずいぶん苦労していろいろな角度から教材を求めようとする努力が現われていると思うわけですね。ですから、これは今一概にここで言えないと思います。まあ、人間尊重という基本に立っての道徳教育というものを志向していられる。これは、言葉の上でも非常に私も反対することもないし、けっこうだと思うのですけれども、ただ、そのやり方がかなり幅のあるやり方ですから、先生方の考え方によっては、かなり違ったものが、全国の学校において道徳の面としての教育が出てくるような気がするわけですね。まあそれもいいでしょう。ですから、結局、これはNHKにも私は少し伺って同時におきたいのですけれども、今後テレビ、ラジオを通じて学校向けの放送というものを、同時に全般的に小学校、中学校あるいは幼稚園、保育、総合向けのものをやっていくということについては、もう一般と番組の中で、慎重に考えておられると思いますけれども、なお工夫をこらす段階に来ているのではないでしょうか。そういう気がしてならないのですね。
 聞くところによると、NHKとアメリカの教育テレビ放送局のNETRCIこれはイニシャルか何か知りませんけれども、こういうテレビ局との間に番組の交換をしようという話があるやに聞いております。私は内容はわかりませんけれども、すでに九月から十三本の契約をして放送を出そうという段階まで来ておるようですけれども、こういうものもアメリカと日本との文化の交流なり、教育の意味における交流というものに役立てばけっこうだと思いますけれども、こういうようなアメリカとの教育テレビの交換をやるのもけっこうですけれども、同時に、国内向けの学校向け、あるいは教育放送というものについての内容について、意味のあるものにする配慮をすべきではないかと思うのですがね。その点について何か構想ございませんでしょうか。
#77
○参考人(前田義徳君) お答え申し上げます。
 私のほうの考え方といたしましては、まあ、学校放送につきましては、できるだけこれを学年別に細分化すると同時に、学習指導要領によって科目ごとにもこれを掘り下げて参りたいという考え方を持っておりまして、したがって、先ほど文部当局の方々のお話の中にもありましたように、私どもといたしましては、全国の地域社会の学校教育をしておられる方々の会合、またその地域社会により関係の深い地域共同社会、それから全国的組織、それに対して、同時に並行的に学年別、学科別の特別の委員会を作っていただきまして、できるだけ学習とそれから指導要領の実際に即し、同時に、人間共同社会におけるその年令、あるいはその環境を基礎としての共同生活のための社会環境の中での生活態度の指導に共感を持てるようなもの、こういうことを実は道徳教育の当面の目標といたしまして、これを編集の基礎にいたして参りたいと、このように考えているわけでございます。
 先ほど御質問の中にありましたアメリカの教育放送局との番組交換は、これは社会教育に関するものでございまして、第一回の試みでございますが、したがって、アメリカと日本という形になっておりますが、今後これを各国に広げて参りたいという考え方を持っております。その目的は、社会生活の中で日本人がアメリカに対して、簡単に言えば疑問を持つ点をアメリカに回答してもらい、アメリカが日本に対して疑問を持つものをわれわれが回答しようという態度のものでございます。これは、漸次各国別に可能性があれば広げて参りまして、相互の社会単位としての各国民の相互理解を深めて参りたい、このように考えている番組でございます。
#78
○鈴木強君 それはわかりました。
 それからもう一つ小川さんにお尋ねしておきたいんですけれども、さきの調査の結果、施設の点で、テレビなんかもなかなか各学級に一つずっというわけにはいかぬと思うんですね。ラジオのほうは、一台で共同でスピーカーで回すようになりますから、これはいいですね。ところが、テレビの場そうはいかぬので、僻地の学校については施設の半額補助をしておるようですから、これはけっこうですけれども、もう一歩進めて、地方自治体とかPTAの寄付なんかでテレビを買ってもらったり、ある人に寄付してもらったりするということでなしに、やはり文部省がテレビ一台ぐらい各クラスに置けるような配意を考えておられるんですか、そういう点は。
#79
○説明員(小川修三君) 僻地につきましては、特にテレビの活用が有効だということで特別な補助をいたしておるわけでございますが、一般の小中学校につきましては、教材費というものを積算しておりまして、その教材費を年々増額するということに努力をいたしておりまして、それによってだんだんとテレビの台数もふえていくというふうに国の措置としては考えるわけでございますが、それと同時に、各市町村設置者におきましては、このごろだんだん公費でテレビを購入するという機運が盛り上がって参りまして、各市町村が各学校に必要なだけのテレビを備えるというところがだんだんと出て参ってきております。
#80
○鈴木強君 まあ、義務教育の場合は、半額を大体国が出しているようですね。それからあと半額は地方自治体で。先生方の寄付もやっておるようですけれども、こういうような施設はできるだけ国がめんどうを見て、せっかくあなたのほうで本気になってやろうとしているんですから、そこまでやはり配意をしてやる必要があるんじゃないでしょうか。その点ひとつ答えてもらえないですか。あなたでは無理ですか。近い将来予算的措置もしてやるということを全然考えていないかどうか、文部省として。そういう論議は出なかったですか。
#81
○説明員(小川修三君) 今のところ、そこまで私答えるだけのあれを持っておりません。
#82
○鈴木強君 それからちょっと私が心配をする点が一つあるんですけれども、NHKのほうの教育テレビが、残念ながらまだ全国的に通じていないんですね。したがって、ラジオの場合はいいんですけれども、テレビは特に小学校低学年の人にはこれのほうがいいんでしょうね、確かに。直接目で見るわけですから、非常に教えやすいので使うと思うんですね。そういう場合に、ある地域だけはテレビを持ってどんどんとそういうすぐれた施設の中で勉強もできるんですけれども、教育放送の見えないところは、依然として陥没していくわけですね。そうすると、そう長いことは続かぬと思うんですけれども、かりに二年、三年の間にでも――完全に百パーセント見えるということになるには、ここ二年、三年かかると思うんですね。そうなると、今でも地方の学校と都市の学校とは、学校差と俗に言うんですけれども、やはり同じような工夫をして教えてもらっているんですけれども、いなかの小学校で一番二番で卒業してきても、東京に来ると二十番三十番にも落ちてしまうような、残念ながら現実にはそういう学校差があるわけですね。それと同じような、やはりテレビを見る層の中に、見ない生徒と見る生徒の間に、そういう格差が、たとえ何年間の間でも出てくるんじゃないかということをおそれるわけです。だからといって、やめろと私は言いませんけれども、そういう点をどういうふうに調整していくかということも考えておかぬと、格差解消が格差を逆に拡大していくという格好にならないか、こういう実は心配が残るわけです。これはまあ、文部省に言うのも少しひどいかもしれません。これは、NHKにわれわれが向かってすみやかに全国的に教育テレビができるように今叱咤勉励しておるわけですけれども、予算その他チャンネルの割当等の点などもありまして、なかなか思うようにいかないところもあるんですけれども、いずれにしても、そういう中で過渡的にやられることに対して、何かあなた方のほうで心配している点があるんじゃないでしょうか。
#83
○説明員(小川修三君) お話のように、現在まだカバレージは七七%程度だと思うんですけれでも、来年あたりには九〇%ぐらいにまで教育テレビのカバレージが拡大するというふうに聞いておりますが、御指摘のような、そういうでこぼこはどうしてもその間はやむを得ないだろうと考えますが、これ
 はテレビを必ず使わなければよい授業ができないというわけでもございませ
 んので、そういうテレビのいってない地域につきましては、その先生独自の御工夫で、さらによい授業ができるようにお願いする以外はないと考えるわけです。
#84
○参考人(春日由三君) NHKの総合
 テレビジョンも、見えない地帯というのは先生のおっしゃるとおりだと思うんですが、現在では総合テレビジョンがいっておりまして、教育テレビジョンがまだ置局されないところでは、午前中の学校放送の。プログラムは総合テレビジョンの波を利用して電波を出しているわけです。ですから、一つのNHKの電波の総合のほうが届きますところは、学校放送に関する限りは、ほかの番組に優先してその地域に教育番組を総合テレビで出しているという措置を過渡的にとっているわけでございます。これは、来年一ばいたちまして、教育と総合がパラレルになりますと、今のやり方はなくなる。現在は、そういうふうな措置で、一波電波がいっておるところは、総合テレビの電波に教育番組を乗っけて出しているわけです。そういう措置をとっているわけです。
#85
○鈴木強君 それはわかりました。そういうふうにしていただくと、大体総合テレビと同じだけのカバレージの中において子供たちは聞けるという結果になるわけですな。それでは、時間も非常に少ないようですから、文部省の皆さんおいでいただきましたけれども、これで質問を終わりますけれども、どうかひとつ、今後とも放送を通じての学校向けの教育番組の編成その他内容等についても十分御研究をいただいて、より効果あらしめるように御努力いただくことをお願いしまして、私の質問を終わりにいたします。どうもありがとうございました。
 私は、放送時間のごとでちょっと協会にお尋ねをしておきたいんですが、今現在協会のラジオ第一放送は、午前五時から夜中の十二時まで、それからラジオの第二が午前五時半から夜中までですね。それからテレビのほうが、総合が午前六時から夜中の零時、それから教育テレビが朝の九時から夜の十一時半ぐらいまで、こういうことになっておりますが、一方民間放送のほうを見ますと、ラジオのほうでは、TBS、文化放送、ニッポン放送、ラジオ関東、それぞれ五時に開始をして、TBSは午前一時過ぎまでやっております。文化放送が午前一時過ぎまで、ニッポン放送は四六時中例の問題の何かやっておりますね。それからラジオ関東がやはり午前一時過ぎまでおやりになっている。テレビのほうは、大体日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビ、NETテレヒ、それぞれ――フジテレビが夜中の零時半ごろまででしょうか。大体これはNHKのほうと大同小異、むしろ放送開始はNHKが一番早いと思います。総合テレビの場合は、その終了時間ですけれども、これとの関係で、あなたのほうの放送文化研究所のほうで、国民生活時間調査というものをやっておられるようですけれども、それを見ると、わずか都内の男八百人、女四百人くらいの調査ですから、全部がそうとは思いませんが、大体午後十一時三十分現在で、寝ている人が男七六%、女が八〇%、残りは就業中の者とか、家事とか、それから交際、団らん、趣味、マス・メディアに接触している者が男四・七、女二・七ときわめて少ない数ではあると思うのですが、しかし、従業員の労働時間の点もありますから、私は一がいにここでふやしなさいとか何とかは言いませんけれども、そういう民間放送との比較から見まして、零時過ぎのたとい三十分間でも放送の必要性について論じられたことがあるでしょうか。この点どういうことになっておりますか。それを論じたことがあれば……、なければいいのです。
#86
○参考人(前田義徳君) お答え申し上げます。
 この放送終了時間あるいは一日間の放送時間の長さ等については、ここ十年来問題が放送協会内でも提起されておりまして、この点は毎回慎重に考えた結果、少なくとも午後十二時でNHKとしては打ち切るべきであるという考え方を持っております。特に都市生活者の場合、あるいは工場労働者の場合、あるいはこれと関連する労働者の場合には、ことに最近は深夜作業もかなりあるようでございますが、都市生活者の深夜生活というものは、やはり部分的現象でございますし、都市生活の最近の、表現が適当な表現かどうか知りませんが、無軌道、乱雑さという点から考えましても、普通の通常生活をしている方々に多少の悪影響を及ぼすような音その他を出すべきでないという考え方が一つと、それから全国的に見ますと、大よそ私どもの類推では、深夜作業を余儀なくされて働いている方々の総数は大体四百万内外と考えられますけれども、しかし、このために、深夜の労働状態というものを考えまして、その平均的な立場に立って考えますと、この場合においても特別に放送を継続するかどうかということは、心理的にも肉体的にも、まだかなりの問題があると私どもとしては考えられますので、問題の提起は十年以上にわたって検討されておりますけれども、現在のところ、また近い将来において真夜中以後に放送時間を延ばすという考えは原則的に持っておりません。ただ、気象関係あるいは災害関係、あるいは特別事件の発生については、ラジオ、テレビとも、その必要に応じて、その必要の際に放送を延長するか、もしくは特別放送を行なう、こういう建前をとっております。
#87
○鈴木強君 十年来の御研究で、現状における協会の考え方はわかりますけれども、ただ、民間放送等がどんどんと発達をして参りますし、テレビにおきましても、今後どういうふうな民放が体制をしくかわかりませんが、その場合、ある程度マッチしておかないと、またいろいろな批判が起きるのではないでしょうか。ですから、いろいろなアナウンサーの方々の健康状態とか、あるいはその保守にあたっていただくエンジニアの皆さんの健康状態とか、そういう点も十分に医学的科学的に私はやはり研究をされる必要があると思います。おそらく、日勤とか、夜勤とか、泊まりとかいうような勤務をやっておられると、健康にもかなり問題があると思いますから、そういう研究は、私は、労働科学研究所等もあるわけですし、宿直者の方々の疲労というものが一体どういうふうに蓄積され、あるいは解消されるかというようなことも十分御配慮いただくことも同時にやっていただいて、今お話しのように、非常事態、あるいは選挙の場合とか、ほとんど一時間置きくらいに放送されていることは事実です。ですから、必ずしも副会長の言われるように、今後の問題として全然考える余地がないとは、私は言えぬと思うのですね。まだ十分に諸般の、世の中の移りかわりがあるわけですから、そういうものも考えて、再検討する考え方だけは持っておいていただきたい、こう思います。ですから、これ以上ここで私も意見を述べるつもりはありませんけれども、ただ、ちょっと見た場合に、民放との関係上、何かこう、NHKが十二時にぴちっと終わってしまっているようなものに対して、何か弾力的なものが考えられないだろうかという、これは希望があるのです。この調査により、それから職業の分布とか、就眠の状態とか、いろいろ資料をとってみて――確かにあれでしょう、夜は寝ることがあれなんだから。しかし、やはり夜間働いておる人たちもおるし、そういう段階に、やはり産業の構造、文化の変遷によって順応するような体制を作ることだけは否定できないと思いますから、そういう意味で今後ひとつ御検討いただくように、これは強く要望しておきたいと思います。
 それから次に、今度の機構改革の一環かどうかしりませんが、従来、協会には建設委員会というものがありまして、たしか田辺専務がこの委員長を勤められておったと思うのですが、今回、放送センターの建設に伴って、特別に建設特別委員会というものを作ったようでございますね。これは溝上さんがなられておったわけでしょう。これは、従来の建設委員会でおやりになっておったものを、放送センターができることによって特別委員会を持ったというのは、どういう理由でございましょうか。それを伺いたい。
#88
○参考人(田辺義敏君) 御指摘のように、在来建設委員会で建設全般につきましていろいろ審議して参ったわけでございますが、今回放送センターの着工にあたりまして、これは非常に重要な建設でございますので、特別に、建設委員会からそれだけを引き離しまして、放送センターに関するものはより極力なメンバーで審議したいということで、新しい委員会を作ったわけでございまして、建設委員会は在来どおりございまして、その放送センター以外のものは在来どおりやっていくつもりでございます。
#89
○鈴木強君 いつ作ったのですか、建設特別委員会というのは。
#90
○参考人(田辺義敏君) お答え申し上げます。
 先月案を決定いたしまして、先月の経営委員会の承認を得まして、実際発足いたしますのは六月一日以降でございます。
#91
○鈴木強君 私は、どうもこういうところに、多少、優柔不断と言うとおしかりを受けるかもしれませんけれども、放送センターを作ることについては、もうあらかじめ前からのお話があったわけですし、建設委員会というものがあって、そこで全般的なNHKの建設計画に対して研究をし、いろいろな意見を出してきめていくところだと思うのですね。ですから、その中でできないということはないと思うのだが、今言うように、何か陣容を強化するとか何とかいうのだけれども、一体建設委員会というものはそんな弱体なものですか、今ある委員会というものは。その中でそういう放送関係のグループを作っておやりになったらいいじゃないですか。新しい放送センターだけの建設委員会を作らなければならぬということの必要性は、理由がもっとはっきりすればいいですけれども、今のお答えでは、私は今の理由では薄弱だと思います。特別委員会を作る理由としては、私は薄弱だと思いますね。
  〔委員長退席、理事松平勇雄君着
  席〕
#92
○参考人(前田義徳君) 放送センターの建設につきましては、私ども会長以下、また経営委員会の考え方としては、単に従来の置局のような技術的問題を中心にしてだけ検討すべきではなく、客観的な状態から、あるいはまた、多額の金を使って長期にわたって建設を続けるという点から、聴視者に対して責任ある体制を特に作る必要があるということと同時に、この建物がテレビ、ラジオの放送の中心になるという点でも、これが相当――放送建築界にも将来影響のある問題でありますので、単に内部の者のみならず、内外の衆知を集めてこの建設を完成いたしたいと、このような熱意に燃えて特別に放送センターについては特別委員会を設けたのでございます。
#93
○鈴木強君 若干わかりました。しかし、この建設委員会というものは、私はやっぱり機動的に使えるような形であったと思ったのです。ただ単に技術的なものだけをきめるということならば、たしか前田さんの言われるような点があると思うのですよ。だからわかりましたけれども、どうかひとつ、それだけの特別委員会もお作りになったのですから、オリンピックその他、国民の期待に沿うような会館を建設できるようにお願いしておきます。
 時間がもうなくなりまして、あと五分しか私の時間がないのです。だからもう一つ、二つで終わりますけれども、この事業報告の中を拝見しますと、役職員の海外派遣がございまして、BBCとVOAのほうに、日本語放送担当の職員を派遣しているように書いてあるのですけれども、これは一体、身分はNHKの職員としてNHKの仕事をするように雇っているわけですね。ところが、VOAやBBCに行ってお手伝いをしてやって、日本語放送の完璧を期するためにやるのだと思うのですけれども、これはどういう向こうとの契約になっておりますかそれから俸給なんかはどういうふうになるのですか。
  〔理事松平勇雄君退席、委員長席
  席〕
#94
○参考人(前田義徳君) BBCとの関係は終戦直後から始まりましたし、VOAとの関係は多少それよりおくれて始まっておりますが、この考え方は、各国放送局と、従来関係のある国との間には、それぞれの連合体の中で、職員の交換、技術の交換、番組の交換というような問題が毎年具体的に討議されるようになりまして、その結果の一つとして、BBCとの出向契約というものができたわけでございます。VOAもこれに準ずるものでございまして、NHKが出向させる人の身分は、出向決定と同時に休職になります。したがって、旅費、給与その他一切のものは相手局がこれを支払うことになります。その支払いの基準は、少なくとも相手国の放送局におけるその地位の重要度と、われわれが出向していただく方のNHKにおける地位の実態とを勘案して、これを下回らない給与を与えてもらうということを原則といたしております。VOAにおいても同様でございます。したがって、出向期間中はNHKは一切の給与を停止いたします。これに対して、ここ四年前にはBBCもNHKに対して同様の措置を要望して参りまして、現在帰国中でありますが、同じように、要員交換の原則に従いまして、NHKもBBCの人を約三年間来てもらったことがございます。この場合も、BBCは休職となり、NHKがその職員に相当した給与を出すという形をとりました。この仕事場は国際局でございます。
#95
○鈴木強君 今BBCとVOAには何名行っておられますか。
 それから出向川間中は給与は停止し、休職の扱いをするそうですが、その人の昇給なんかは、こっちに勤務しておったのと同じように考えて、帰ってきたときは、やるわけですか、その点ちょっと。
#96
○参考人(前田義徳君) 現在BBCには一名、VOAにも一名行っております。それからNHKの職員の出向に伴う休職は、事実上、休職期間は給与は出しませんけれども、それは普通の場合の一般的な休職と異なりますので、昇給その他については中断されないという建前をとっております。
#97
○鈴木強君 わかりました。
 もう一つ。放送文化賞というのを出していますね。三十六年の場合には小川さん以下六名ですか、受賞しているんですが、こういう人はあれですか、表彰状だけなんですか。中身はないのですか。賞品はどうなるのですか。失礼にならないようにやっているのですか。
#98
○参考人(前田義徳君) 放送文化賞は主として表彰状でございますが、これに伴いまして、NHKの放送文化賞受賞者の記章をきめております。これが第一の付属賞でございまして、第二の付属賞は記念品を差し上げることになっており、その記念品目録に沿うて、そのお金が出されるわけでございます。
#99
○鈴木強君 まあ勲章と表彰状だけでは、ちょっとどうかと思うのですが、もう少し、中身の金一封はだいじょうぶですか。失礼にならぬですか。
#100
○参考人(前田義徳君) 今御審議願っております三十六年度の決算の中で、項目は立ててないかもしれませんが、この放送文化費受賞者の記念品代は、大体一人当り二十万円でございます。しかし、その後の経済環境から見て、はなはだ少ないと考えまして、次回に審議お願い申し上げます一二十七年度の決算の中で、五割増しの三十万円という記念品代を差し上げることにいたしました。
#101
○鈴木強君 まあ、この程度で終わっておきましょう。私は、せっかく放送文化賞というのをお出しになるのだけれども、何か、聞くところによると、表彰状とメダルだけだというから、それではちょっと失礼だなと思っておったのですが、そういう範囲があればいいと思う。
 ではこれで終わります。
#102
○須藤五郎君 私は、二月二十一日と三月十四日に、放送料のことで質問したのですが、きょうもまた、続きといいますか、それを少し掘り下げて質問したいと思います。同じような質問で、同僚諸君にはお気の毒ですけれども、日本の芸術家が、いかに貧困な生活にたえて苦しんでいるかということを皆さんに知っていただきたいと思いますので、あえて質問いたしますので、お許しを願いたいと思います。
 薄謝協会NHKといわれている、そのNHKの放送料について私はこの前質問したわけですが、私の質問の結果、多少ともNHKの当同者は、薄謝協会について御反省が願えたのでしょうか、どうでしょうか。
#103
○参考人(春日由三君) 端的に申し上げますと、原稿料とか、出演謝金とか、それから作曲料とかいうものを、原則的に全般的に改定いたしますのは、過去において、唯一の収入である受信料改定のたびごとに改定したのであります。そのほかに、非常にお上手になる方もあれば、それから何と申しますか、技能が落ちていく方もありますので、毎年専門家の間で集まって、年に原則として二回、格付改訂委員会というものを開催いたしております。したがいまして、全般的の出演謝金、原稿料、作曲料というものの改定は、受信料の改定のたびごとにやっておりまして、そのほかに個々人の方につきましては、年間二度くらいを限度といたしまして、委員会で個々人の改定というものをあわせて行なっております。したがいまして、個々人の場合は、その方の過去の技量の進歩、実績とかに応じまして、いわゆる格付け改訂というものを年二回程度行なうわけであります。全般的に必ずしもそういう十分高くないということはわれわれ考えておりますので、ことに技能のあられる方々、そういう方々には、改定のたびごとにできるだけ技能に値するような格付をいたしたいと考えております。
#104
○須藤五郎君 最近物価の上昇も非常なスピードでどんどん上がっておるんですよ。それでありますから、私は、あなたの示された春日基準というものを、この際思い切って訂正いたします時期に来ておると思うのですね。放送局のほうであの基準を訂正する、改定するという意思は毛頭ないのですか。あの基準の中で、個々人について上げる必要もあるし、また下げる必要もある。こういう基準そのものを変えるという考えはないのですか。
#105
○参考人(春日由三君) 先ほどお答え申し上げましたように、具体的な例といたしまして、戦後受信料を改定していただくたびごとに、全般的の改定はいたしました。しかし、限られた収入の中でございますので、個々の方々については、年二回程度の改定をいたしますが、全般的な基準改定というものは非常に大きな予算の増を伴うわけでございますので、著しい物価変動があって、そのはね返りが方々に出てくると思いますので、なかなか簡単には参らないというのが実情でございます。
#106
○須藤五郎君 この間もちょっとこの委員会で問題になったと思いますが、三十六年度の剰余金が五十一億円あるというので、受信料を下げようという意見も、あるところで出た。私もこの前の委員会のときに、そういう意味のこと申し上げたと思うのですが、その受信料の改定のたびに考え直すというのは、何ですか、受信料を上げるときにのみ考えるんですか。受信料を下げるときも基準の改定をやろうというんですか。
#107
○参考人(春日由三君) 戦後今日まで、具体的に受信料全体を下げたというのは、実例がございませんですが、当然事業経営のもとは受信料収入でございますから、原則的には受信料改定のたびごとに改定するという建前をとっているわけでございます。具体的には、昨年三十七年度におきましては、甲契約、乙契約に変えたときに受信料の改定がございました。そのために、昨年は格付改定というものを全般的に行なっております。
#108
○須藤五郎君 そうすると、剰余金がどれだけ出ようとも、受信料の改定がなければこの基準は改定しないという意見なんですか。
#109
○参考人(春日由三君) 剰余金の問題との関係ではなくて、やはりNHKの受信料をきめます場合には、いわゆる放送にどれだけかかるか、そういうふうな客観情勢というものが基礎になるわけでございますから、著しい物価変動があり、出演謝金とか原稿料とかいうものも著しく変わってこなければならないというふうな事態が起きますれば、やはり受信料改定の大きなエレメントの一つにはなると思います。しかし、現実の事業経営の上で剰余金が出たから受信料を改定するんだというふうにつながっていかないのじゃないかと考えるわけであります。
#110
○須藤五郎君 私は、NHKの公共性から考えたら、受信料などというものはどんどん下げていくべき性質のものだと思うのです。上げていく方向はいけないと思うのですね。現在ちゃんとそれだけの利潤は上がっているんですから、だからできるだけ下げていかなければならない。しかし、受信料を下げると出演料が上がらないんだというようなことでは、これはどうも意見が食い違ってしまってどうにもならぬ。受信料を上げなければ出演料も上げないぞというようなことはおかしいと思うのです。やはり利潤があれば報酬もたくさん出すようにして、そして受信料も下げていくという方向が私は正しいんじゃないかと思うのですが、どうですか。あまり時間がないからくどくど聞きませんが、もう一ぺん答えて下さい、簡単に。
#111
○参考人(春日由三君) 御質問が二点ございまして、全般的な考え方と申しますか、格づけ改定をする場合と、それから個々の方々の改定をする場合と、二つあるわけでございますね。ですから、個々の改定につきましては、年二回ぐらい、それぞれの技量の伸びとか、そういったものに応じての改定は、個々人、何の何がしという方についてはいたしますが、全体の出演謝金とか原稿料の立て方においては、著しい物価変動とか、それは受信料改定の一つのエレメントになると思いますが、そういう場合に考え方を変えていくという考え方をとっている実情を申し上げたわけであります。
#112
○須藤五郎君 まだまだ意見がありますけれども、そればかりやっておると
 いうと時間がなくなってしまうので、少し急ぐことにしますが、しかし、その考え方はあなたたちの一方的なものの考え方で、世間では通用しないと思うのですよ。物価が上がってきたら出演料を上げるというのが、これはすなおな考え方だと思うのですよ。ところが、物価は上がった、しかも出演料は受信料を上げるときにしか上げない、こういうものの考え方は間違っている。しかも、個々には上げるけれども、基準を上げない、変えないということは、それはいかぬですよ。それは個々のある特定な人はそれでいいかもわからぬけれども、全般的にそれが及ぶような基準の立て方にしないというと芸術家全般には潤わない、こういうことになると思うのです。これは私の意見です、答弁はいいです。
 それから、その次に、三十六年度の決算項目の中でですね、出演料というのは芸能関係だけなのか、講師とか解説者、そういうものも出演料の中に含まれておるんですか、ちょっと聞いておきたい。
#113
○参考人(小野吉郎君) これは必ずしも芸能関係だけじゃなしに、全部の出演謝金が入っております。
#114
○須藤五郎君 作品委嘱料につきましても、これは作曲の委嘱料を私この間聞いたときに、委嘱料としての答弁があったのですが、この中に、音楽だけじゃなくて、作詩、それから演劇の台木なども全部含むのですか。
#115
○参考人(小野吉郎君) 前回御答弁を申し上げました金額は、作品委嘱費としまして七千六百五十六、万一千円、これは音楽のみに限っております。
#116
○須藤五郎君 それじゃ、すべての委嘱料はどのくらいになりますか。
#117
○参考人(小野吉郎君) 一切を包括いたしますと、三億一千万円でございます。
#118
○須藤五郎君 前田さんと春日さんにちょっと私はお尋ねしたいのですが、この前の二月と三月の両委員会における前田さんと春日さんの答弁には、少し食い違いがあるように思うのですよ。二月の二十一日の前田さんの御答弁によると、作曲料が純音楽で最低二万円から最高が二十二万円、そしてそれは五分を単位としての金額だというお答えだったわけです。ところが、そのあと春日さんが私の部屋へ来られて、それでいわゆる春日基準なるものを示されたわけなんです。それによりますと、前田さんのお話とは非常な開きがあるわけなんですね。春日基準によりますと、純音楽、大編成軽音楽の作曲が、最高が五分間二万二千五百円、最低が九千円、この範囲内だと、こういうふうな御答弁だった。それで私は前田さんに、前田さんの二月の答弁は間違いであって、春日さんが示された春日基準が正しいのか、前田さんは自分の答弁を訂正されるのかどうかという意味のことを質問したのです。そうしたら、前田さんは三月十四日にこういうふうに答えていらっしゃるのですね。「私どもが受けている報告では、間違いであったということを先生に申し上げたとは報告を聞いておりません。」こう前田さんはおっしゃっているのですが、だから前田さんの二月に話されたことは、前田さんは間違いでないと、こういうふうな理解だと思うのですね。それから吉田参考人はそのあと――前田さんが春日基準を読み上げられたあと、「なお、私から一言つけ加えさしていただきますが、前田参考人が申しましたのは、あくまでも純音楽の場合の現状の実態でございまして、その現状支払っております実績は、これは従来まで二万円が最低で、二十万円から三十万円の線が最高になっております。これが本年度現在までに支払われた純音楽に対するものであります。」、こう答えていらっしゃるのですね。そうすると、春日さんのおっしゃる基準と、この前田さん並びに吉田さんの答弁とは、非常に違いがあるのですね。一向に前田さんの答弁は訂正されていないし、どちらがほんとうなのか、今作曲界でこれが問題になっているのです。それで、私のところへあらためてどちらがほんとうなんだという質問が来ている。そこで、あらためてどちらがほんとうなのか、ここで明らかにしていただきたい。
#119
○参考人(前田義徳君) お答え申し上げます。どちらもほんとうでございます。と申しますのは、私が申し上げました金額は、実際上支払われている金額を申し上げました。このランクに属する方は非常に数の少ない方でございます。したがいまして、その当時私の答弁を補足しました吉田業務局長も、そのことを今お読みのとおり申し上げているわけでございます。春日基準と先生がおっしゃるのは、一般的な基準でございまして、したがいまして、私といたしましては、どちらもほんとうである、こうお答え申し上げたいと思います。
#120
○須藤五郎君 私考えると、春日基準というふうに明らかに言って、この基準によって最低から最高あらゆるランクについてずっとこういうふうにきめられている。その基準によってものが支払われているかと思うと、この基準を度外視して、基準によらないで払うのだということになると、いろいろ支払いを受ける芸術家は何を基準にして自分が払われているかということがわからなくなってしまうわけですよ。おかしいじゃないですか。基準がせっかく作られておって、その基準によらないということだったら、どうもおかしい。
#121
○参考人(春日由三君) お答え申し上げます。私が先生のお部屋に伺って御説明をいたしましたのは、格づけをいたしておりますものさしの限度を御説明申し上げて、言葉が足りなかったと思いますが、その上に、出演者の場合も、原稿を書かれる方々の場合も、作曲をされる方々の場合も、お話し合いによって、これまでなら書こう、これ以下ならいやだというふうな方々も、現実にはあるわけなんです。私どもはそれを格づけの上では、格づけした以外の特という階級を別に作っております。でございますから、前田専務が当時お答えいたしましたのは、過去において純音楽の場合に年間を通じて支払われた額の最高と最低を申し上げているわけです。決して格づけと矛看しているわけではないのです。一番下から一番上までランクがあって、その上で、現在の情勢でございますから、お話し合いによって、それじゃ何分ではなくて一曲幾らでいこうじゃないか、そこまで出しましょう、そういうふうな交渉をしてお礼のきまる方々というものがあるということも御承知願いたいと思います。
#122
○須藤五郎君 それなら、この基準の中にそのことも明らかに書いておく必要があると思うのですよ。基準はこれでございますからといって私たちに出して、この基準によってやっています。そしてやっぱり抜け穴が作ってある。特というのは、この基準の中に特なんてないですよ。特別にそういう話し合いによってなされるということも書いてないです。それでは基準であって基準でないと言わなくちゃならぬ。そしてまた、そこには感情、人情、情実、いろいろなものが入ってくるすきがちゃんとあるわけなんです。それをだれが特と認定するのか。それもやっぱりあなたたちの幹部の認定によってそれがなされるというなら、やっぱりそこに情実が起こってきて、基準が基準にならないと思うのですが、どうですか、同僚諸君は。そういうことがあって基準と言われるでしょうか、私は不思議でしようがない。
#123
○参考人(春日由三君) 現実に基準を作っておりまして、基準どおりに支払われておる川合というのは、出演謝金の場合でも、原稿料の場合でも、ございます。しかし、現実に言えば、売買と言っては失礼でございますけれども、契約でございますから、おれは一枚幾らであればこの台本を書くとか、おれは一曲幾らであればこの作曲を古くということであれば、放送局はどうしてもその作品をその人に書いてもらいたいという場合は、交渉によって値段をきめる場合があるということは、基準と決して矛盾するものではないと私は考えております。基準どおりに支払われる場合が現実にあって、その上でスペシャルなものを払わなければ仕事が成立しないという部分があるということは、どの社会においても私は現実にあると思います。ことに、NHKだけの時代ではなくて、商業放送の方々もおられますから、そういう場合に、その人にぜひこの作品を頼みたいという場合に、お話し合いによって出てくるという部門があります。ですから、作曲の方々でも、原稿を書かれる方々でも、格づけどおりに支払われる場合と、それ以上に一回々々のネゴシエートすることによってきまるものと、両方置いておかなければ、仕事というものができないというのが現実でございます。
#124
○須藤五郎君 そういうシステムにしておくと、非常に情実が生じるということ、これも事実だと思うのですよ。それじゃもう一つ逆に聞きますがね。今は最高は、最高以上に特というようなものがあって、それで話し合いでこの基準以上の料金を払う、こういう場合があります。そうすると、今度は逆に、最低を割るような安い料金で、この基準に示された最低よりももっと安い料金で、お前はだめじゃないか、失業救済のような気持で、やるんだったらもっと負けろ、もっと安い値でやれというような、基準を割ったような安い値で押しつける場合だって起こってくるんじゃないですか、話し合いによって。
#125
○参考人(春日由三君) 格づけを機械的に適用する場合には、それぞれの部門の副部長の方々によって通常行なわれております。それ以上特にこの人にこれをという場合には、それぞれの責任者が十分判断しておるのですから、単なる情実の生ずるというような問題はないと思います。
 それから第二点、格づけがありながら値切ってもっと安く頼むというようなことは現実にはございませんので、やはり代替性のあるたくさんいる方々が格づけとしては下のほうにあるわけでございますから、それでは出ないよと言ってお断わりになる自由もあるわけです。ですから、値切って出ていただくというようなことは現実には行なわれておりません。
#126
○須藤五郎君 そういうシステムをそのままにしておきますとね。そのプロデューサーと出演者との間に、決して正常な状態ばっかり続きませんよ。いろいろなことが放送局で今言われておるのですよ。プロデューサーのごきげんをとらなければだめだ、出演料をもらったら帰りにはそれを飲まさなければだめだとか、そういうことが世間で言われておる。私たちの耳にも入る。そういうことがどっから起こってくるかというと、そういうせっかく基準を作っておきながら、基準を無視するような、そういう感情とそういう事情で動かすような、状態があるということで、そういうことが起こってくる。そこにいろいろなことを言われる原因があると思うのです。だから、やっぱり基準を作ったら、あくまでも基準を守る。もしもそういう場合があるなら、そういう場合の基準を作ったらいいじゃないですか。何でこんな最高基準を作るのですか。最高を作ったら、最高はやっぱり守らなければならぬ。最高のまだ上があるなら、最高じゃないじゃないですか。その基準は、何でもっと基準を明らかにして、明朗な基準にして、明朗な扱い方にしないか。何でそういう不明朗な扱い方をしていかなければならぬのですか。
#127
○参考人(春日由三君) たびたびお答え申し上げますが、同じことを申し上げるわけでありますが、通常の場合は基準をそのままものさしとして適用して仕事が行なわれているということを前提といたしまして、特にある方を限ってあるものをやってもらわなければならぬというときに、その方の交渉余地を残しておくという建前でございますから、本体は基準でございます。
 もう一点、そういうことの行なわれることがいわゆる情実につながるというお話でございますが、そういったことはできるだけなくしたい、またあってはならないことでございますので、われわれ監督の責任にある者がやはり責任を持って、そういう特別の場合には、その額を認定するというふうなことが実際行なわれているわけでございます。
#128
○須藤五郎君 そうしたら、春日さんの示された春日基準に、そういうただし書きでもなんでもいいから、みんなが読んで納得のできるような条項をちゃんとこしらえなさい。そうしておかないというといけないですよ。おかしいですよ。基準はこれですと基準を示しておいて、基準に抜け穴があるということは、不明朗です。基準の中にちゃんと書き込んだらいいと思いますが、どうですか。
#129
○参考人(春日由三君) 非常にむずかしい問題でございまして、実は内部的には、先生にお見せいたしました基準の中に、具体的に何の何がしという方々がずっとリストされているわけです。ところが、これは、もしそれが出ました場合に、おれとあれと比較した場合に自分は――個人々々にそういうふうに思われるわけです。これは、ですから、外へ出さないという建前で、今のところ柱だけをお見せしておりますから、そういうことになると思いますが、そのほかの特としての格づけ以外の方方、こういう方々には、そのつどのお話し合いできめようという部分は、私どもの内規としてはもちろんあるわけです。しかし、これを外に出すわけにいかないのは、その中に具体的なお名前が入っているようなものができておるわけでございますから、私どものほうも、民放のほうも、それは外へ出さないで伏せておくという形をとって、よりどころだけを示しておるのです。
#130
○須藤五郎君 それなら、あなたが基準を持って来たときに、僕になぜそれを説明しないのですか。あなたは基準はこれによってやっておりますと言って僕に示したじゃないですか。何でそういう特別な扱いがあるなら、しかしこういう扱いもありますよと、なぜそのことを言わないのですか。
#131
○参考人(春日由三君) 御説明に上がりましたときに、基準の説明だけをいたしまして、そのほかの場合というものを詳しく申し上げなかったのは、私申しわけないと思います。しかし、事実を決して隠したりうそをついたりするつもりで申し上げているのじゃないということを御了承願いたいと思います。
#132
○須藤五郎君 これは日本人に対する基準ですが、外国人に対しても基準というものがあるのですか。
#133
○参考人(春日由三君) 御質問は、日本に常住して通常放送に出ている外国人の場合でございましょうか。
#134
○須藤五郎君 常住する外人も、また海外から来る人たちも、何か基準というものがあってやっておるのですか。
#135
○参考人(春日由三君) 海外からおいでになる場合は、そのつどの契約でございます。
#136
○須藤五郎君 日本に常住する外人は……。
#137
○参考人(春日由三君) 日本に常住して、常に普通の状態で放送に出演交渉に応じて出ておられる、作曲依頼に応じて出ておられるような方々はを適用いたします。
#138
○須藤五郎君 ランキングは極秘とおっしゃるのですが、一体どういう評価によってこのランキングをきめられるのですか。
#139
○参考人(春日由三君) 一番最初は、放送事業を始めたときは、完全にそのつど交渉でございましたが、おおよそそれを何年か続けておりますうちに、歌舞伎の世界ではこういうランクがある、新劇の世界ではこういうランクがあるというふうなものをわれわれは仕事の経験によって知るわけです。その集績されたものが一つのものさしになりまして、それを毎年々々、放送関係の専門家が集まりまして、この人は去年よりこれくらい伸びているからこっちの上のランクに上げる必要があるとかないとか、そういう議論をいたしまして、それを毎年々々修正していくという形でございまして、過去の経験と実績の集積の結果でございます。
#140
○須藤五郎君 春日さんのおっしゃる基準、これはまあ正しくこの基準によって支払われておるとするならば、もしもそうでない場合、基準に合わないような料金を受け取っておるような場合は、放送局に対して請求をしたら支払われるものか、正しく支払われるものかどうか。すなわち、もっと具体的に言うならば、この基準に示されたあなたの御説明の最低以下のものは絶対払っていない、基準がちゃんと最高は特というものがあるけれども、より低いものは絶対払っていないと先ほどおっしゃった。そこで、事実基準に示された最低よりも低い料金が支払われておるという現実が、事実があるならば、その差額は放送局に請求したら払いますか。
#141
○参考人(春日由三君) それは、具体的な場合に、どういうような話し合いによってそういう事態が起きたかということを十分調べてみなければ、簡単に差額をお払い申し上げますという御返事はいたしかねます。
#142
○須藤五郎君 おかしいじゃないですか、あなたは基準以下のものは絶対払っていないと言っておる、さっきの答弁で。ところがもしも基準以下の料金を受け取っている人があるならば、その差額を払うのは当然じゃないですか。そういうことがあっていかぬから、特というものはあるけれども、最低以下の特はないのかということを私は質問した。そういうことはないとあなたは言っておる。事実最低以下の支払いを受けておる人があるとするならば――これは仮定ですよ、あるとするならば、最低までの差額は払うべきが当然じゃないですか。
#143
○参考人(春日由三君) 仮定でございますから、お答えもなかなかむずかしい質問でありますけれども、原則としてその一つの格づけがあり、その格づけどおりに支払われるべき仕事をなさった方が、不当に格づけをはずれたような安いものがあるという事実があった場合には、なぜそうであるか、その場合のネゴシエートはどうであったかという実態を調べて返事するより以外にないと思います。
#144
○須藤五郎君 そんなことを言い出すから、さっきあなたにちゃんとだめを押してあるんですよ。そういうルーズな状態ならば、あなたたちはある場合にはこの最低の基準以下に値切る場合があるんじゃないですかと私は質問したのですよ。絶対ありませんとあなたは答えている。ところが、事実あるということを聞いている。私はこの基準の最低以下で出演をせられている人があるということを聞いている。だから、そう人に、ちゃんと証拠があるならば、最低の料金まではあなたたちは払わなきゃならない、そのための基準じゃないですか。だから払うかと私は質問しているのです。あなたは自信がないからはっきり答えられない。
#145
○参考人(春日由三君) 原則的には、基準どおりに支払うのが原則でございます。仮定としてもし先生のおっしゃるようなそういう場合があったらどうかということは、その実態をつかまえてみなければ御返事いたしかねるのでございます。原則としては、基準どおりに――出演された場合には、規定どおりの出演料を払うという建前をとっているわけであります。その仮定をされた場合が、どういう場合にそういうものが起きてくるか、その実態に応じて、原則としては格づけどおりにお支払いをいたします。
#146
○須藤五郎君 それじゃその最低の場合でも基準を割るようなそういう場合があり得るんですか、どうなんでしょうか。
#147
○参考人(春日由三君) 原則としては基準どおりにお支払いするわけでありますから、そういう場合があったとすれば、それはどういう実態から生じたかということを調べてみなければ御返事いたしかねる。原則的には、基準どおりお支払いしていくのが通常の形でございます。
#148
○須藤五郎君 だから、そういう場合があり得るとあなたも考えますかどうですか。私はあってはならぬものだと思うんですよ。ところが、あるということを聞くから、それはおかしいじゃないか。そんな場合があったら、せっかく基準を作って、その最低基準を割るようなことは絶対ないと谷口さんは言っておるんだから、下火あるなら放送局に請求して金取りなさいと――どうですか、払うのが当然じゃないですか。最低基準を割るような料金を払っておいて放送局大きな顔しているのは、おかしいじゃないですか。
#149
○参考人(春日由三君) 原則としては、基準どおりお支払いしておるのが普通の形でございます。しかし、先生のおっしゃる意味は、そのときにどういう状態においてそうなったのかという実態をつかまえて、それが御本人は基準どおりに支払わるべきだと考えていたのに、こちらからお願いしたのは、これはこういうわけだというような、そのときの納得ずくの話し合いというものがどういう形で行なわれたか、ケース・バイ・ケースで考えなければわからない。と申しますのは、これは私も仮定で申し上げます。たとえば、自分が原稿一編書くと、それは懸賞作家の場合、これは懸賞応募規定でもって、一編三万円なら三万円で、何十枚書いても三万円は三万円という一つのあれになるわけです。ところが、その方がやがて一人の職業作家となった場合に、格づけというものができてきたという場合と、懸賞応募一規定によって応じた場合は、一枚に割ってみたらおれは幾ら幾らというふうな、いろいろなケースがあるんじゃなかろうかと思います。仮定でございますからよくわかりませんが、もし規定どおりに御委嘱申し上げて規定どおりに支払われていないという実態がありましたら調べまして、原則としては規定どおりにお支払いするのが建前だということを重ねて申し上げます。
#150
○須藤五郎君 時間がないので、もっとしっかり話をしなければいけないと思うんですが……。
#151
○野上元君 関連していいですか。
#152
○須藤五郎君 どうぞ。
#153
○野上元君 今の話を聞いていますと、よくわからないところがあるんですが、要するにそれはタレント料のことですか、今お話しになっているのは。たとえば、賃金も一つの契約ですわね。タレント料もおそらく契約だと思います。しかし、賃金の場合、NHKに勤めておられる職員については、明らかに労働協約によって長期的な見通しの上に立って賃金表というものができて、それを両者が納得して払っているわけですね。したがって、それ以上に払うとか、あるいはそれ以下に払うということは、明らかにこれは協約違反になるわけです。したがって、そういうことはあり得ないと思う。ところが、今お話しになっているやつは、私にはよくわからないんだが、たとえば作曲家にしても、あるいはその他のタレントにしても、継続してNHKと契約をされているという場合には、一つのいわゆる基準があって、そのタレント料という基準がある。その基準のうちのあなたはこれですよと言って、将来何年か勤めて下さい、こういう契約が成立した上で初めて払うんでしょう。だから、その場合一つの契約が成り立っているわけですね。そういうことになれば、そこに、須藤さんの言われるように、たとえそれが最高であろうが、最高を突破しておろうが、あるいは最低を割っておろうが、その場合法律的な問題は起こらないんじゃないですか。その点をもう少しはっきり説明されればいいと思うし、先ほど来須藤さんが言っておられるように、せっかく基準があるけれども、どうも基準をオーバーしている老があるようだということですから、この際聞いておきたいんですが、この基準外に払われている契約は一体どれくらいあって、そういう契約のそれは何パーセントを占めておるのかということをお聞きできれば、特別の例外として、すべての原則に例外のない原則はないのですから、賃金協約と違うんですから――もしも賃金協約のような姿でやっておられるならば、最低と最高はもう完全にそれは守られなければならない、それが守られないのは違法ですから、そういうことはあり得ないと思うんですが、そういう点をもう少しはっきり説明されれば了解できると思うんですが、どうも私も聞いておって了解できないんですがね。
#154
○参考人(春日由三君) 野上先生の御指摘の点は、おわかりにならない点もあろうかと思いますから、具体的に申し上げますと、放送の実態は、たとえば出演交渉をいたします場合に、何月幾日の何時から何時まであなたに出演してもらう、かかるがゆえに幾ら幾らで出演願いたい、その値段なら承知するけれどもそれ以外では承知しないというふうな、事前にいわゆる個々の契約というものが成り立って初めて出てくるのがほんとうでございますけれども、現実の日本のいわゆる放送とか演劇とかの関係の場合は、出演していただきたい、承知いたしましたということで出ていくわけです。その限りにおいて、口頭の契約が成立しているわけです。タレントの一人々々、おれは一回出れば幾ら幾らということは、過去の経験から承知しておりますが、一回ごとに幾らお出しするから出演願いたいといういわば具体的な金額を提示した契約が成立しているのではなくて、事前の出演交渉、執筆依頼オーケー―大部分はその中に自分の通常支払われる対価というものは自分でお知りになっていて、普通金額を提示するという場合はなかなかないわけです。ところが、戦後の風潮でそういう場合のものがかなり出てきて、おれは従来のおれに格づけされておる出演料では出ない、そういうものが現実にある。現実におれは一本幾らでなければ書かないという場合もあるのです。それをある程度以上の方々については、そのつど交渉をして格づけされるということを申し上げておるのです。
#155
○野上元君 それで、長期に契約しておる人で、大体自分は今まで幾ら払われておるから、電話でも契約を結ぶことができるわけです。自分は大体幾らくれるもんだということがわかっている。最初の人は一体どうなるのです、最初に契約せんとする人は。
#156
○参考人(春日由三君) これはまた、たいがい最初ということは、つまりタレントならタレントを例にとりますと、最初NHKのタレントとして、たとえば通行人で出れば幾らぐらい、それから役がついてせりふを言えば幾らぐらいというふうな、タレント仲間では大よその見当はあるのです。最初から、幾ら幾ら、千円です、千円じゃいやだ、千二百円という交渉はなしに仕事の実態が運んでいる。いいとは思いませんが、現実にはそういうことです。長期の場合には、長期何回によって幾らというものが明確に文書で契約しているものもございます。
#157
○須藤五郎君 私がこんな質問をするのは、要するに、NHKは強い者には得というような例を作って、一回分百万円もかけるというような先例もあるわけです。それは前出さんがおっしゃっておられる。そのかわり、弱い者には基準の最低を割るような料金を押しつけて、そうして大きな顔をしているということがあるのですよ。だから、私は腹が立って、こういうことを言うのです。だから、これは基準があって、その最低の基準を割るような料金を払っているのはけしからぬから、基準の最低を割るような料金を払っているという事実が明らかになったら、放送局は最低の線まで金を払えということを私は言いたいのですよ。弱い者いじめをやめなさいと私は言うのです。ここにこういう資料が私のところに回ってきましたよ。音楽・舞踊文化会議という音楽家、舞踊家で作っている会議がある。そこの機関紙にこういう記事が出ているのです。皆さん参考に読むから聞いていただきたい。
  NHKの作曲料、出演料が不当にやすいということは、音楽家、舞踊家の間で、たえず指摘されてきた。しかしその実態についてはほとんど明らかにされなかったしそのことについて云々したり、批判することは勿論、少しでもせんさくすることさえ許されなかった。
  NHKの作曲料について、ある作曲家が、仕事を頼まれたとき、どのくらいの作曲料がもらえるかとたずねた、という。これに対して某プロデューサーは、 〃そんなことをきくのは、貴方がはじめてですよ〃と一蹴されたという。
  ことほど左様に、NHKは、自分たちの一方的な基準だけで、それが作曲料、出演料として適当であるかどうかは別として上から有無をいわさず押しつけるという方式をとっている。そしてこのことが、常識であり、そのことについて質問することは、非常識きわまりないこととされていたのである。しかも、このような質問を発する音楽家、舞踊家は異端者としてマークされ、NHKへの出演は、まず敬遠されるというのがいまでも〃常識〃のようである。
  これも実際あった話であるがある作曲家が、NHKで劇判を頼まれ、たまたま出逢ったプロデューサーから
  〃やあ、また、失業救済事業かね〃といわれたという。その作曲家は事実その通りであったかもしれない。
 〃薄謝協会〃の劇判という仕事が糊口をしのぐ手段だったとしても、こういう侮辱的なコトバを受けなければならないというのは芸術家としてやり切れないことであろう。
 作曲家の団伊玖磨氏は、昨年一月四日号の「電波新聞」に次のようなことを書いている。団伊玖磨君といえば、日本でも一流の作曲家ですよ。その一流の作曲家がNHKをどういう感じを持って去ったかというと、団伊玖磨君はこういうことを書いている。
  僕をこんなにまで放送ぎらいにさ
 せてしまった原因の一つはNHKで
 ある。戦後、六年の間、僕はNHK
 の契約作曲家として働いていた。芸
 術家の仕事の価値というものを金銭
 的には認めないNHKのことである
 から、今も無論そうだが、特にその頃は、信じられぬほど演奏料と作曲料が低く、生活をなり立たせてゆくためには毎週二、三本のラジオ・ドラマの付帯音楽や歌謡を作曲し、録音せねばならず、僕や友人の芥川也寸志など、
 これも一流の作曲家です。
  その当時契約作曲家だった皆は、それこそ夜も眠る暇のないほど疲れ果てながら、それらの放送用の音楽の作曲を続けていた。(中略)
 六年、それは決して短い間ではなかった。文字通り歯車のように働きながら、そのあい間に、芥川と僕は、交響曲や歌劇を書くことだけが生きている希望だった。ほとんどすべての時間を占領してしまう放送用の音楽の作曲に苦しみながら、一日
 のうちわずか十分でも三十分でも、
 自分の信ずる美のための仕事を続け
 る喜びがなかったら、僕等はただ働
 かされるだけですり減ってしまった
 に違いない。死んでしまったかもし
 れない。それ程、NHKは僕等を廉
 価な代償を天下り式に与えながらこ
 き使った。
  ある時、僕は人気のあった番組〃話
 の泉〃と〃二十の扉〃にゲストとし
 て出演した。そして、本当に心から憤
 慨したのである。何故かというと、苦
 心して作曲し、指揮し、放送する専門
 の仕事に対する謝礼より遥かに多
 かったのである。僕はいうにいわれ
 ぬ悲しさと寂しさを、作曲家として
 心に感じたし、また専門の仕事に対
 して全く同情もない冷たさをNHK
 に感じて心から怒った。問題は金銭
 のことではなかった。専門家として、
 これ以上ない屈辱を、感じたのであ
 る。そして長い間、やめようやめよ
 うと考えていたこの職場を悔なくや
 める決心がこの時ついたのである。
  NHKをやめた町、僕は六年間に
 書いた放送の音楽の総譜を整理して
 みた。総譜は五百六十冊、重ねると僕
 の背の高さの二倍あった。僕はそれ
 をみながら慄然とした。何という無
 駄な能力の消費をしたことだろう。こういうふうに団君が書いているのです。団君すらもこういうふうな扱いをしている。NHKは何晦ですか。芸術家に対する大きな侮辱じゃないですか。私は怒らずにおれないのです、芸術家の一員として。こういう扱いをしながらNHKはなぜ大きな顔をしているのか。そうして、物価はだんだん上がっているのに、もっともっと低い給料で、失業救済だというふうな侮辱の言葉を吐いて、そうして弱い者いじめをしているのがNHKじゃないですか。どうですか、春日さん、一言でもありますか、こういうことをしておきながら。もっと考えなければいかぬですよ。NHKは、わが国の文化を発展させていく、育てていかなければならない団体です。芸術家をこういう立場に置いて、どうして芸術が育ちますか。もっと考え直してもらわなければならぬ。だから私はこういうことを言っているのです。どうですか、団君のこういう文章に対して、あなた方何か意見がありますか。私は怒らずにはおれないのです。こういう扱いをNHKがしているのは、団君に限らないのです。多くの人がこういう気持を持っているのです。だから、私のこころにいろいろな訴えが来ているのです。何事ですか。あなたたちは高給をはんでいる、日本の芸術家をこんなにいじめている、だから反省しなさいというのです。NHKは考え直しなさい。冗談じゃないですよ。怒るのはそれだけにしておきましよう。
 その次に行きます。今度著作権の問題に移りたいと思うのです。著作権については、現在日本に著作権協会というものがあって、著作権の問題を扱っているわけですが、あなたは、この今日払われている著作権料というものは妥当であるかどうか、どういうふうに考えていますか。
#158
○説明員(佐野文一郎君) 御指摘のように、日本の場合、音楽の著作権に関しましては、著作権協会というのが、各作曲者あるいは作者の方から権利の信託、譲許を受けまして、そうしてかわって徴収しているわけです。それを徴収するにつきましては、大体最高限度、いろいろな著作物の使用形態に応じまして、いろいろ使用料規定として文部省が認可してきめているわけでございます。使用料というのは、結局作者の側の御要求と、それから使用者の側の御事情と、その間のいわば間をとった公共的な見地に立ってきめられるべきもので、今までの使用料のあり方というのは、今までの日本の著作権のいろいろな事情によって成り立っているものでございましょうし、各国と比較した場合に一がいにそれが非常に安いというふうにも言い切れない点があろうと旭います。ただ、機械的に比較をすれば、確かにわが国の著作権使用料は各国に比した場合には安いということは言えると思います。
#159
○須藤五郎君 今著作権審議会で著作権の年限の問題やいろいろなことを審議中でしょう。その中で、著作権を上げなくちゃならぬという意見になりそうですが。そういうふうに持っていこうと文部省は考えていますか。
#160
○説明員(佐野文一郎君) 著作権使用料の問題でございましょうか、著作権料の問題でございますか、お尋ねの点は。
#161
○須藤五郎君 使用料の問題。
#162
○説明員(佐野文一郎君) 現在審議会で審議いたしておりますのは、結局、著作権法を全面的に再検討いたしまして、著作権を保護する制度をどのように作るかということを検討しているところでございます。著作権の使用料になりますと、これは著作権法の問題よりも、むしろ仲介業務のほうの問題でありまして、仲介業務のほうの問題につきましては、ことしの秋ごろか審議していただきたい、私たちのほうはそのように予定しているわけでございます。それは仲介業務の内容の直接的な問題というよりも、むしろ仲介業務法に基づきまして定められる、文部大臣が認可をする使用料規程の内容いかんというふうな問題に現在はなっておるわけでございます。
#163
○須藤五郎君 今せっかく著作権審議会で審議しているのですから、だから、芸術家の生活を守る、権利を守るという立場から、今三十年の著作権の年限を、これを外国並みに五十年にするという方向に文部省も努力してもらいたいと思うのです。
 それから、著作権料なり、著作権の使用料ですね、これも現在のようなああいう安いことでは芸術家の生活というのは守れないから、だからそれも上げてもらいたいと思う。これに対しては、NHKを初め、民放、あらゆる面から反対があるかわからぬ。しかし、そういうことは考慮しないで、やはり芸術家を育てるという、守るという立場から、そういうふうに文部省としては考えていってもらいたい。文部省としては芸術家の立場に立ってものを考えるのが当然で、分業する人の、業者の立場に立つべきでないと思うので、そういう点よく考慮して審議会でやってもらいたいと思います。
 それからもう一つ、現在レコードの著作権というものはどういうふうになっていますか。
#164
○説明員(佐野文一郎君) レコードの著作権と申しますと、一枚のレコードの中には、結局、作詞、作曲の音楽著作権と、それから実演家の方々の、いわゆる演奏歌唱者の権利と、それからレコード製作者の権利と、この三つと申しますか、四つのものが一緒になっているわけでございます。そのうち作詞作曲の権利、これはいわゆる各国とも、また条約におきましても、音楽の著作権といたしまして考えている。それについては、現行の著作権法は、おなくなりになってから後三十三年という保護期間を考えているわけでございます。で、もう一つの演奏歌唱とレコード製作者の権利につきましては、これは条約の建前としましては、著作権法関係の条約というよりも、むしろいわゆる隣接権――著作権に隣合った権利としての隣接権のほうの条約で考えているようでございます。現在密蔵会では、それらをあわせましてどうするかということを検討しているわけでございますが、おそらくお尋ねの点は、わが国のレコードの関係では、非常に問題な点として、レコードをさらに二次的に使った場合、つまり店頭であるとかあるいはその他におきまして公開の席でレコードをかけた、レコードの二次使用をした場合に、特別な規定がございまして、いわゆる出所の明示をすればこれは自由に使ってよろしい、それについては料金は要らないということになっているわけでございます。この点については、いわゆる作詞作曲者のほうの方からは非常な不満が従来からございまして、現在著作権制度審議会において審議をいたしております音楽関係、著作権関係の方の中では、一つの大きな問題になっているわけでございます。これは目下各審議会におきまして非常に審議をしている最中でございますので、その点だけを申し上げておきます。
#165
○須藤五郎君 日本では、レコードを営業に使う場合、著作権というものが認められていないのですよ。これははなはだ不合理だと思う。なまの音楽は認められるけれども、レコードは認められない。それで、これは著作権法の第三十条の第八号によってそういうことになっておるわけです。ところが、著作権法の第三十条八号というものがどういういきさつで作られたかといいますと、プラーゲという世界の著作権の取り締まりをやる、著作権の代理人ですか、著作権協会の代理人が日本におって、いろいろな演奏の場合、演奏が方々でなされる場合に目を光らして、そこから著作権使用料を取る役をやったので、日本の興行者からは非常にきらわれた人なんだけれども、これは芸術家の生活を守るためには、プラーゲがやったことは正しいと思ったのです。そのときにレコードは、世界中でレコードの著作権が認められ、レコードを使った場合の使用料が払われておるにもかかわらず、日本でもそういうことをされちゃ困るというので、急いで作ったのが著作権法の第三十条の八号だと思うんです。そこに無理があると思うんですが、そのときに、こういう規定があったと思うんですね。レコード会社の名を放送しよう、こういうことになっているんです。ところが、これははなはだおかしいと思うんです。NHKでも、レコードを使う場合、レコード会社の名前だけ言いますよ。ところが、作曲者や歌手――芸術家の名前を発表しないんですよ。これははなはだ私は不当だと思う。著作権というものは、大体作詞者、作曲者、歌手、それにあるものだと思う。肝心の著作権の主体である人を度外視して、名前を放送しないで、レコード会社の名前だけ放送してすましているんですよ。これは三十条八号の精神を無視していると思う。そういうことで作られた三十条八号じゃないと思う。その点、三十条八号は間違いがあるから、これは審議会でこういう条項は訂正しなければならぬ。レコードの場合についても、演奏者に対して、それが営業で使われる場合は、著作権使用料を払うべきだ、これが私たちの意見です。日本の芸術家の意見です。皆そう言っているんです。それが支払われないところに問題があるんですが、しかも名前を言わないということは、人権無視ですよ。だから、そういうことは、NHKからまず範をたれて、放送する場合、だれだれの演奏でございます、作曲でございますということは放送すべき問題だ。それから、大体放送局がレコードを使う場合、レコードをそのままかけるのじゃなしに、テープに吹き込んで、そうしてやっている。これは疑義があると思うんですよ。レコードを使う場合と、レコードをテープに吹き込んでそれを放送する場合とでは、これは違うと思うんです。この三十条八号の精神にも反することだと思う。こういうことはどうです。放送局ではどういうふうに考えるか。テープでいいんですか。レコードとテープでは違いますよ。どうですか、春日さん。これは違法ですよ。よく考えて下さい――答えられなかったら。これは違法ですよ。
#166
○参考人(春日由三君) 御指摘のレコード会社、出所の明示をすればお金は払わなくてもいいというような規定というものが、現在それが議論の対象になるといたしましても、ありますものですから、私どものほうは、お聞きのように、出所の明示はレコード演奏の場合にはいたしております。今御指摘になりました、放送の便宜上レコードをテープにとるということは、原則としてはなるべくいたしたくないと考えておりますが、現実にそれが行なわれるということを考慮いたしまして、数年前の、蓄音機レコード協会というふうな、そういった業者との話し合いによって、それに若干の年間を通じてのグローバルな使用料を支払うことによって、そういう方法を便宜的にとらしてもらうということは、話し合いでいたしております。
#167
○須藤五郎君 それは何でしょう、著作権協会からの要求によって、三十七年度までの償金として金一封を出したんでしょう。それは聞いています。しかし、その金一封は、作詞者、作曲者にはおそらく渡っていないです。これは、しかし、実際は作詞者、作曲者、演奏家に渡るべき性質のものですよ、この金は。それから、民放からレコード協会を通じて日本音楽著作家組合人格権の代表として助成金が出されている。今日NHKから日本音楽著作家組合に助成金が払われている。これはあなたが今おっしゃったとおりです。しかし、こういう不徹底なことをしないで、やはりレコードに対する著作権も認めて、そうしてその著作権料、使用料は芸術家の手に渡るように、こういうふうにしなければいかぬと思うんです、私は。今日本の音楽家は全部希望してますよ。何で払わない、不合理ではないか、しかも放送するとき、われわれの名前を放送しないで、レコード会社の名前だけ――大きな不満を持っているんですよ。だから、文部省の著作権課長にも言いますが、今度著作権審議会でいろいろな審議をされておる改定の機会に、こういうことのないように、芸術家を守る立場から、生活、人格を守る立場からあらゆる問題を解決してもらいたい。それで、NHKはどうか僕はその先頭に立って、NHKから範をたれてもらいたいと思うんですよ。NHKはまあ大体賛成らしいということを私聞いているんです、レコードの著作権に対して。ところが、民放が反対をしておる。なぜなら、民放はこういうことを言っているそうじゃないですか。民放には民放としての代理人がたくさんあるんだ、だから国会にもしそういうものが出るなら、民放はその人たちによってにぎりつぶすぞということを言っておるということを私は耳にしたんです。ほんとうかうそか知りませんよ、私は。しかし、そういうことではいかぬと思う。やはりNHKが良心的に、芸術家を守るという立場から、レコードの著作権も認めて、使用料を払うと、そういう方向に私はNHKとして行ってもらいたいと思いますが、前田さん、それに対して御意見を伺わせていただきたいと思います。
#168
○参考人(前田義徳君) 著作権の問題については、ただいま須藤先生が御指摘の件を含めて、単に日本だけの問題でなく、国際的な問題となっております。このために、おそらく文部省も、著作権審議会を開きまして、著作権の根本的再検討を行なって、国際的なものの一環として、日本の著作権保護のあり方を決定する決意を固めておると思います。私どもといたしましても、各外国の放送協会その他の関係で、この問題については、過去約三年間にわたって、いろいろな会合に出席して、各国放送局の意向も聞いておりますが、やがてこの問題は、単に日本の問題としてでなく、国際的な見地から、著作権の全面的な、総合的な仕上げが行なわれるものと確信しまして、この再検討についてはNHKも積極的に協力申し上げたい、このように考えております。
#169
○須藤五郎君 最後に、もう時間がありませんからこれでやめますが、このレコードの著作権の問題も、外国からも抗議が来ているのですね。だから、国際的な見地に立って、やはり諸外国と同じような歩調を合わせていくように、日本としても文化国家日本ならばそういう方向に行ってもらいたいということが一点。それで、重ねて私は申し上げますが、どうか芸術家を大事にしてもらいたい。特に、営利を目的としないNHKならば、特に芸術家を大切にしてもらいたい。芸術家の人格を尊重するためには、生活の上にも芸術家を苦しめないように、団君をしてあのような文章を書かさないように――これは団君が代表しているのです、どうかNHKとして反省をしていただきたい。これを申し上げて、私は質問を終わります。
#170
○委員長(伊藤顕道君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#171
○委員長(伊藤顕道君) 御異議ないと認めます。よって、本件に対する質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言なければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#172
○委員長(伊藤顕道君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。
 日本放送協会昭和三十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては異議がないと決定することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#173
○委員長(伊藤顕道君) 多数でございます。よって、本件は多数をもって異議がないものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき審査報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#174
○委員長(伊藤顕道君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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