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1962/06/13 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第26号
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1962/06/13 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第26号

#1
第043回国会 逓信委員会 第26号
昭和三十八年六月十三日(木曜日)
   午後一時二十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤 顕道君
   理事
           鈴木 恭一君
           寺尾  豊君
           松平 勇雄君
           光村 甚助君
   委員
           臼井  勇君
           新谷寅三郎君
           最上 英子君
           鈴木  強君
           野上  元君
           白木義一郎君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣 田中 角榮君
   郵 政 大 臣 小沢久太郎君
  政府委員
   大蔵省理財局長 吉岡 英一君
   大蔵省銀行局長 高橋 俊英君
   郵政政務次官  保岡 武久君
   郵政大臣官房長 武田  功君
   郵政省簡易保険
   局長      田中 鎭雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       倉沢 岩雄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○簡易生命保険及び郵便年金の積立金
 の運用に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤顕道君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 本日は、前回に引き続き、簡易保険等運用法改正案の質疑を行ないます。
 簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、田中大蔵大臣より発言を求めておられますので、これを許します。
#3
○国務大臣(田中角榮君) この機会をお借りいたしまして、先日の参議院本会議における郵便貯金法改正案の質疑に対しまして、光村さんにお答えしましたことが、誤まった個所がありましたので、訂正をいたしたいと存じます。
 光村さんの御質問に対して「資金運用審議会の構成は、会長が総理大臣であり、郵政大臣及び大蔵大臣が副会長」という答弁をいたしましたが、それは、私が昭和三十二年から三年におきまして郵政大臣当時のことをそのまま引用いたしたわけでありますが、つまびらかに調査をいたしました結果、三十六年に法律が改正をせられまして、現在は、学識経験者七人であり、その会長は中山伊知郎さんでありますので、誤った答弁をいたしましたことをおわびしながら訂正をいたします。
#4
○委員長(伊藤顕道君) それでは、本案につきまして、前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○鈴木強君 きょうは、大蔵大臣と大蔵省の理財局長にもおいでをいただいておりますが、最初に私は、今大臣からも御訂正の御発言がございました資金運用審議会の運営についてまず最初にお尋ねをしたいことがございます。
 御指摘のとおり、資金運用部資金法は三十六年三月三十一日に改正されまして、七人の学識経験者によって審議会が構成されることになりました。そこで私は、その光村委員のあのときの御質問も、やはり郵政大臣なり大蔵大臣が直接審議会に入っておったほうが、より郵政省なりの意見というものが審議会の中に反映できるんじゃないか、こういうふうな、貯金を含めた運用部資金の運用について私は質問があったと思うのですね。確かに三十六年の改正以前はそういうシステムでしたが、新しい制度になりまして、その辺がどうなのか、私どもとしては、ちょっと前の委員会よりも多少運営上郵政省側の意見というものはなかなか入りにくいのじゃないかという実は判断を持っておりますから、従来の委員会制度と今度の審議会の新しい制度になってからの得失というものがはっきりわかりますか。
#6
○国務大臣(田中角榮君) 三十六年に法改正をいたしましたのは、より合理的に、より高い立場で、公平な判断を求めるということを目標にして法改正が行なわれたと存じます。それは、総理大臣が会長であり、郵政、大蔵両大臣が副会長であるということでありますが、実際は総理大臣が毎回出るかというと出ないしというような問題もありまして、そういうものよりも、学識経験者だけの厳正中立な第三者構成が望ましいということで法改正になったわけでありますから、理論的には、関係者だけが寄って資金運用審議会を構成しているよりも、より合理的であるということが言えると思います。
 それから、郵政省や大蔵省の意向が一体どのように反映ずるかということは、事前に、大蔵省としては、案を作りますときに郵政省の意見も十分聞いておりますし、それから大蔵省は、その原案を作ったり諮問したりいたしておりますから、大蔵省の意見も十分述べられますし、しかも専門委員として貯金局長や簡易保険局長が会議に出席をしておるのでありますし、その意味では、郵政、大蔵両省とも意見は十分に述べられるわけでありまして、審議会の体裁から言いましても、理論的に言っても、うちの中だけでもってやるというような、政府関係機関が主になっているよりも、第三者の公正なメンバーによるほろが、より合理的だというふうに考えております。
#7
○鈴木強君 少し、大蔵大臣ね。論理的にちょっと私は伺いたいんですが、改正前の委員会におきましても、運用計画そのものの案というものは大蔵省で作ったのではないでしょうか。郵政省とも十分連絡してお出しになったと私は思うのです。ですから、今度の審議会は七名、従来は学識経験者は五名、それにあなたが郵政大臣当時入ったわけですね・そういう審議会に参画し、直接意見を述べ、採決するというか、議決権を持つ委員になっておったわけですね。今度は専門委員になっているわけです。専門委員は、法律上、多少、私は前回の委員会でも申しましたが、疑義があるんです。要するに、十一条の二の専門委員の任命の法文を見ますというと、専門委員というのは、ある事項を調査するときに専門委員を置いて調べさしていいんだというふうにとれるようになっているわけです。なぜならば、その専門委員の任期のところに「二年とする。ただし、その者に係る専門の事項に関する調査審議を終了したときは、解任されるものとする。」というふうにあるものですから、私は、専門委員というのは、何か付託された一つの問題に対してのみ専門的な調査をするのであって、あくまでもその構成からはずされているわけですから、そういろ意味で、審議会の重要な金融政策、運用政策というものを論ずる場所に直接意見が入らない。だから、どうしても前回の改正から見て、私たちとしては多少後退しているように思うのだが、皆さんは、この法改正をするときに、よりベターにするということで、今大蔵大臣の言われたような趣旨でお変えになったことは事実ですげれども、実際に約二年間運用してみて、従来より以上に有効な運営ができるかどうか、そういうことを私は伺うのです。これは実は、中山伊知郎さんに、会長ですからおいでいただきたいと思ったのですけれども、何か学校のほうの御都合で出られぬそうですから、今回は、時間の関係もあって、私もやむを得ぬと思いますけれども、いずれ機会をみてぜひおいでいただきたいと思うのです。ですから、審議会がそういうものですから、直接あなたに聞くのも、ぴたりとした的を得た質問であるかどうか疑問を持つのですけれども、しかし重大な立場に立つ大蔵当局、しかも大臣として、その運営に対する評価というものがもしあったら私は聞かしてもらいたいと思って質問しているわけでか。
#8
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、資金運用部資金の運用の方針や、その条件や、その他資金運用部資金の運用に関する重要事項の諮問をいたしまして、答申を求めて、それを施策の面に表わすのでありますから、これはやはり諮問する中に諮問者まで入っておるということは、法制上の建前からいっても少しおかしいのじゃないか。そういうものもあります。内閣総理大臣が諮問して内閣総理大臣あてに答申をしているというような審議会も、調査会もありますし、また、大蔵大臣や郵政大臣にも答申をするというような形式上の問題はございますが、すなおに考えてみると、いわゆる重要事項に対して諮問をして答申を得て、その運用に誤りなきを期す、こういうことでありますので、公正な第三者が構成メンバーであるということが常識的には正しいというふうに考えられます。
 それからもう一つ、「随時意見を述べることができる。」ということが法九条の第二項に明らかになっておりますので、問題は、その権限の問題ではなく、資金運用部の資金の運用に対して随時意見を述べていただいて誤りなきを期したいという審議会の建前でありますので、三十六年以前のものよりも新法のほうが、より法体系からいっても、実情からいっても、望ましい姿であるというふうには考えられるわけであります。
#9
○鈴木強君 いずれ、法の運営については、もう少し時間を置いたほうがいいと思うのです。ですから、きょうはこれ以上これは質問をしませんが、ただ、資金運用部資金法の第十二条に定められている、毎年度資金運用部資金の運用に関する必要計画を諮問しますね、あなたは。その中に、実は、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の第四条によって、その分に対するものは郵政大臣が審議会にやっぱり付議しなければならぬ、諮問しなければならぬと、こうあるわけですよ。ですから、大きな国家財政としての運用部資金というものをあなたのほうでやるわけだが、特に審議会のほうには二つがいくわけですね。ですから、全体の統合運営というものと、年金なり預金の特殊性に対する運用というものは、同じところへいくのだけれども、そこに郵政大臣と大蔵大臣の意見の相違というか、運用に対するやり力の相違がやっぱりあると思う。そういうものを一体だれが調整し、円満にやっていくのか。僕が審議会の中山さんに聞きたいところはそこだったのだ。こういう運営になっているときに、簡保のほうのやつは郵政大臣の諮問に応ずるのだが、矛盾を生じないか。どう調整するかということを聞きたい。
#10
○国務大臣(田中角榮君) 鈴木さんの言うことは非常によくわかりますけれども、これは御承知のとおり、この資金運用部資金に対する最終責任は法律上大蔵大臣でありますから、私に関する所管の事項に対しては、誤りなきを期すために審議会に諮問をしておるわけであります。今のお説のように、年金等の運用は、これは郵政大臣が運用することになっておりますので、大蔵大臣が諮問すると同じような立場において、郵政大臣もその運用に誤りなきを期すために審議会に諮問をするということであって、法制の建前上は当然のことである。でありますから、この資金運用審議会は大蔵大臣及び郵政大臣の諮問に応じて答申を出し、また、随時意見を申し述べるように法制ができておりますので、所管事項が分けられておる現在、両大臣に答申をする、両大臣が諮問をするということは、法の体系上これはやむを得ざることというか、当然のことであるというふうに考えて、そこに何ら問題はないというふうに考えます。
#11
○鈴木強君 法律上、簡易生命保険と他の一般運用部資金との運営について別にすることはいいですよ。これはいいですけれども、審議会は同じ審議会にかかってくる。しかも、あなたのほうの権限を持っている国家財政全般の財政投融資計画の中に、簡易保険、郵便年金というものが入っている。だから、そこに、郵政の考え方あるいはあなたの全般的な立場に立っての考え方の中に、かりに違った諮問が出てくるかもしれない。郵政大臣からは、簡易生命保険、郵便年金に対する運用についてこうしたいという付議をする場合、計画について、そういうときに、最終的にはあなたが握っているということなのだが、そうなってくると、審議会がかなりいろんな論議をするでしょう。あなたと毛相談をするだろうし、郵政大臣とあなたと相談するかもしれませんが、そういう運営上においてうまくいくかというのです。意見の食い違いを調整することができない問題もあると思うが、そういう点はどうかと聞いておるのです。
#12
○国務大臣(田中角榮君) それはうまくいきます。これは、御承知のとおり、内閣が連帯して国会に対して責任を持っておるのでありますし、行政すべての問題に対して最終的には内閣の責任で行なっておるわけでありますから、その過程においていろいろな議論があることは当然のことでありますが、結局問題は、郵政、大蔵両大臣とも意見は合意に達して内閣の決定として行政権が行使をされるわけでありますので、問題はないと思います。ただ、その過程におきまして、あなたの言われるのは、その内閣の意見が決定をされて、国会に対しては両大臣が連帯して責任を負うのでありますけれども、案がきまるまでの間、一方的に大蔵省の意見だけできまるのじゃないか、これじゃ困るということは、私も三十二年、三年ごろあなたと同じような考えを申し述べておったのでありますが、その後私は、郵政、大蔵両大臣をやりますと、非常に円満にやっておるというふうに理解をしておるわけでありますし、この問題に対して、お隣りには郵政大臣がおりますから、支障があるかとお問いになっていただければ、現在のところ支障はないし、将来も円満にやっていける、こういうふうに御答弁になると存じます。
#13
○鈴木強君 これは田中さん、あなたのような頭の回転のいい、しかも努力家の勉強家の人が、私は本会議における御発言も、たしか原稿を見ないでやったと思うのですよ。しかし、あなたが一年間大臣として、しかも三十八年度の財政投融資計画について、一体運用審議会にどういう態度をとったかということについて、あの発言を聞いたときにちょっと淋しかったですよ。私はあえてこの前の委員会で、この発言はどうかということをただしたわけですけれども、ですから、あなたのような努力家であり、勉強家であっても、まだ自分が副会長で出て委員会をやっておった錯覚を起こしておったと思うのですよ。そういう点から考えてみても、まあ、少し形式論議だけじゃなしに、実際に私は、審議会というものに付議される場合の、郵政当局は郵政当局としての、簡易生命保険、郵便年金に対する大正五年以来長い歴史の中で培ってきた保険の運営について意見があると思うのです。そういう場合に、あなたが郵政大臣をおやりになって、郵政事業に理解があるということは知っておるのです。そういう点は認めますけれども、だれが大臣になるか、それはわからない。そういう場合に、最終的にはいいでしょうが、それまでの間、保険を守り、郵便年金を守ってやろうという立場に立って法律を考えるときに、これは意見が違ってくると思うのだが、そういう点の調整というものを審議会においてどうおやりになっておるのか、これは具体的に聞けばよかったのだけれども。そういう点については、やはり簡易生命保険は簡易生命保険としての特殊性というものを認めつつ、法律的な運営をするようにやってもらいたい。そういうように審議会を動かしてもらうべきだということを申し上げたわけです。これはいいです。これ以上私は言いません。
 ただ、技術的に、資金運用審議会というものは総理府の付属機関になっている。ところが、審議会令によって資金運用審議会の庶務は大蔵省の理財局のほうにゆだねられている。これは一体どういうわけだ。このほうがいいからやっているのだと思うけれども、そういうものも、付属機関であったら、総理府のほうでおやりになったらいいと思うのですが、これは理財局長でも
 いいけれども、ちょっと、どうなんですか。
#14
○国務大臣(田中角榮君) これは、御承知のとおり、今、審議会や調査会の整理統合というような問題も検討いたしておりますが、その方向でも、総理府が非常に煩瑣な機構になっておりますので、これをできるだけ簡素化したいということで、その方向としては、総理府の中にある審議会、調査会等は入れていいけれども、その事務は現業省、担当省に持たせるという、方向としてもそういう方向であります。同時に、資金運用部の資金の管理は大蔵大臣がやっておりますし、また、これが原案その他に対しましても、財政全般に対して大蔵省の所管でありますので、在来どおり大蔵省が事務を預かっておるわけでありまして、総理府設置法に基づいて総理府に設けられた審議会であるから、総理府に事務局を置かなければならないということにはならぬと私は思います。
#15
○鈴木強君 これは、実際にそうしたあり方だと私も思うけれども、ただ、ちょっとわれわれ見ましたときに、資金運用審議会というものが大蔵省所管あるいは郵政省所管の資金の運用をどうするかということをきめるわけだから、大蔵省と郵政省にまたがるような格好で置くよりも、当然総理府の付属機関として総理府設置法によって審議会を置いたほうがいいということで置いておると思うのです。ですから、そうであるならば、むしろ、そういう庶務的な問題についても総理府に置いて二つにまたがる問題はやったほうがいいのじゃないかという気持がありましたから聞いたのです。
 もう一つ、同時に、審議会というものは七名の委員によって構成されていて、それでアシスタントするような事務職的なものがないようですね。こういうものは、審議会からの要望はないのでしょうか。そういう必要性はないのでしょうか。そういう点はどうです。
#16
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、両省の局長が専門委員になっておりますので、専門委員があなたの言われるようなアシスタントになっており、調査やその他必要な事項に携わっておるという状況であります。
 引き続いて、先ほど申し上げました、検察官適格審査会は総理府にありますが、事務局は法務省であります。それから国土総合開発、東北開発、九州地方開発その他のものは企画庁にございますし、国土開発縦貫自動車道というようなものは建設、運輸の共管であるが、この事務局は建設省がやっております。台風常襲地帯対策審議会等は経済企画庁でやっておりますし、そのほか農政審議会は農林省が当然でありましょう。宇宙開発のように文部省に関係するようなもの弔事務局は科学技術庁にあるというふうに、今まで申し上げたように、できるだけ省に事務局をまかして、できるだけ協議を重ね、複雑多岐にわたらないようにとい方針で行なっているわけであります。
#17
○鈴木強君 この点はまだいろいろ疑義がありますけれども、時間も少ないですから、また、あらためてやることにしまして、次にお尋ねしたいのは、これはひとつ大蔵大臣、よく聞いてもらいたいのですけれども、私も少し勉強してみましたが、簡易生命保険が、さっき申し上げましたように、大正五年十月一日発足をした当時の歴史から見まして、やはり簡易生命保険というもの、あるいは郵便年金というものが、庶民大衆を対象にして、貯蓄的性格あるいは保険的な性格、二重の性格を持ってスタートしたと思うのですが、あくまでもこれはこういう立場に立って、できるだけ加入者に有利な点、有利な分配という思想に立ってやるべきだと思うのです。
 この間、いろいろ、大正八年の八月に積立金の運用制度ができたようですが、紆余曲折を経て、昭和二十一年、例のマーケットの覚書によって、契約者貸付以外全部停止されてしまって、二十八年に運用権が郵政省に戻ってきたのですが、このうちで、私は特に資料として求めていましたが、たとえば戦前における簡易生命保険、郵便年金の運用というものは相当に思い切った運用をしておりました。これは、郵政省が運用権を持っておやりになったからそういうことができたと思うけれども、たとえば、資料を見ますと、昭和五年の資料を私は作ってもらったのですが、これを見ますと、簡易保険の利回りは大体五分一厘七毛、当時は資金運用部資金が四分六厘七毛、こういうわけで、むしろ簡易保険のほうが利回りがよかった。民間保険は五分九厘八毛で、わずかに八厘一毛だけ利回りがよくなっている。昭和十一年をとってみますと、簡易保険が四分七厘二毛、運用部資金が四分三厘八毛、これも簡保のほうがいいんです。それから民保が五分二厘五毛で簡保、民保の差は五厘三毛で民保がいい。それから昭和二十年をとってみると、簡保が三分八厘九毛、運用部資金の基準利率というものが二分七厘九毛、長保が二分九厘一毛、ここでは簡保のほうがずっと、民保に比べても九厘八毛よくなってきております。こういう効率的な運用ができたということは、やはり、この郵政省の資料にもありますように、戦前は勧業債券、興業債券、北海道拓殖債券とか、あるいは日本無線、満州電電、台湾電力に至るまで、東洋拓殖債券とか、かなりこういう社債等に運用できたからこういういい利回りで運用できたと私は思うのです。ところが、昭和二十八年、戻って参りましても、今度は、ここにもありますように、三十六年現在を見ても、簡保が六分二厘大毛で、運用部資金が六分四厘三毛、民保が八分九厘、簡保と民保との差は二分六厘四毛民保がよくなりてきておりまして、この数字が示すように、運用のやり方がどうもうまくないと思うのです。そういう結果から、こういうような簡易保険の利回りが悪くなってきている、こう思うのです。
 私は、念のために、十年満期の養老保険と十五年満期の養老保険の資料を作ってもらいましたが、これを見ますと、十年間保険掛金四百四十円で五万円の保険金で契約したものが、結果的に、満期になって受け取った金が五万六千六百円、払い込んだ保険料が五万二千八百円で、差引利益金は三千八百円、利回りは一分三厘八毛で非常に安い簡保が六分二厘三毛で運用部資金として運用されておりますが、それから見て利回りはたいへん安くなっております。それから直接間接の経費を引いたものが一分三厘八毛の利回りにしかならない。保険的な性格があるから、二年たってみると全額払い戻すから、そういうときには得をしているのだという理屈があるかもしれませんが、これはあとで保険数理的に郵政省に聞きたいと思いますけれども、いずれにしても、結果的に見ると非常に安い利率で運用されているというのが出ているのです。そしてこれは郵政大臣に今後の問題としてお尋ねしたいのですけれども、何か今後電力債を新たにつけ加えられましたけれども、もっと思い切った、戦前に近いような資金の運用というものをお考えになっておりますでございましょうか。今のほうが大体適当だというふうに一お考えになっておりますか。その点、どうでございましょうか。
#18
○国務大臣(田中角榮君) もう鈴木さんすべて御存じでありますから、こまかいことを申し上げるつもりはございませんが、御承知のとおり、資金運用部資金の重要性というものが一体どの程度であるかということが非常に大きな問題だと思います。御承知のように、社会資本の立ちおくれの現状を考えますと、資金運用部資金というものが一般会計に次ぐ非常に重要な要素を持つものであるということでありますから、資金運用部資金から投資をしておる政府関係機関や、その他の農林漁業金融公庫や中小企業金融公庫等からの中小企業向けの貸出金利等もできるだけ下げろというような要請にこたえていかなければ、資金源でありますので、資金運用部の資金コストというものはできるだけ低めに押えていかなければならぬという一つの要請があります。同時に、今あなたが言われたとおり、簡保というものの利回りをよくして加入者の利益保護をはからなければならないという二つの問題の調和点を見出しつつ今日まで長い運用をやってきておるわけであります。でありますから、昭和元年か生二十八年の今日までを考えますと、昭和元年に簡保の利回りが五分二厘八毛であったものが、昭和三十五年は五分九厘三毛、三十六年は六分二厘大毛・三十七年は六分三厘、三十八年は六分四厘、こういうふうに、少なくともずっと利回りは相当よくなってきておるということだけは事実でございます。これが民保と比べてまだ差があるというような問題がございますが、民保に対しては、これから自由化というような問題を考えますと、今までのように鎖国的な状態に置いてあるときにおいては二分九厘一毛、三十六年において八分九厘の利回りになっておるという、これが永続的なものであるかどうかということは御承知のとおりであります。でありますから、現在のものが最上のものであるというふうに考えません。できるだけ利回りというものをよくするように考えなければなりませんが、あくまで資金運用部資金のワクの中にあるものであるという一つの条件の中で、できるだけの合理化をはかり、効率運用をはかるということで進めておるわけでありまして、現在の状態は、議論はあるでありましょうが、大蔵、郵政両省当局で考えて、まあまあというところであろうというふうに考えておるわけであります。
#19
○鈴木強君 私は、今も申し上げたように、十年満期なり、十五年満期なりの、結果的でありますが、払い込みした保険料と、満期に受領するときの受取金との差額を見たときに、これではひどいなという気がするのです。国家財政上、もちろん郵便貯金や簡易保険や年金が使命を果たしていくということについては私も否定しませんけれども、しかし実際には、六分何厘ととっておきながら、加入者にはこの程度しかいかぬということは、これは制度その他に対する問題はあるかもしれませんけれども、根本的には、必要経費というものはあるわけですから、せめてちょっと何とかできないだろうか、零細な人から集めた金ですから、それが電力にいき、国土開発のために使われていくということはいいことですけれども、金を使うことはいいですが、もう少し、使った金に対する報いが、いい意味の報いがあってしかるべきではないかという気持を持っているのです。
 そこで、もう少し具体的に伺いますけれども、そういう意味で、今国民年金というものが新しく出て参りまして、厚生省のほうでも何か二分の一は自主運用をさせろという意見があるように聞いておるのですが、それから簡易保険の場合でも、ある程度郵政省に自主運用をさせるということを、直接管理をさせるならば、運用をさせるということをやってみたら、もう少し効率的な運用ができるのではないかと思うのです。こういう点は、有価証券の場合でも非常に取得率が少ない。こういうものをもっとふやすような方法を考えるとか、そこいらの問題は、とりあえずできないものでしょうか。
#20
○国務大臣(田中角榮君) ただいまのような御質問の趣旨に沿って今度の改正案を出しておりまして、電力債の運用をやろうと、こういうことであります。これを長期にやるとか、無制限に郵政大臣にまかすべきだという議論は、私もかつてやったことがございますし、その議論は十分わかりますが、これは、先ほど申しましたとおり、資金運用部資金の中の原資であるという一つの制約があるわけでありまして、これとのバランスの問題でありますので、今度改正案をお願いいたしておりますのが、現時点においては最も合理的なものであるというふうに考えております。
 それから、先ほどから御意見がございましたように、簡保の利回りをもっとよくしなければならぬということは十分わかりますが、私もこの問題に対しては深刻に検討したのでありますが、民保が八分九厘、三十六年、であって、簡保が六分二厘六毛である、民保にさや寄せすべきだということは、理論的に、また現実問題として考えられますが、一体、世界的な情勢を見、貿易為替の自由化を前にして、その金利政策というものはどうなっていくのだ、しかも社会資本、特に資金運用部資金原資というものに対して一体コストを上げていけるような状態にあるのかということを考えますと、これは時期的に考えますと、簡保のほうを民保にさや寄せをしていくよりも、民保のほうが簡保のほうにさや寄せをしてこなければならないような状態であります。これはもう、好ましいことではありませんが、いずれにしてもそういうような時代でありますので、簡保に対しては、現在これは大蔵、郵政両省でお互いに考えて、この程度はひとつどうしても運用をしなければならないということを私は感じて改正案をお願いをしておるわけでございます。おっしゃることは非常によくわかります。将来の問題として十分検討しなければならないということもわかりますが、そのときにはひとつ、絶えず資金運用部資金に対するウエートというものも考えて、そのワク内において、可能な財源内において、具体的な合理化をはかるべきだということをひとつお考え願いたいと思います。
 国民年金に対しては、厚生省が半分とか一部を運用するというような要求は全然ありません。これは何かのお間違いだと思うのですが、これは私も一時は、資金を集めるほうに集めさせてばかりおって、大蔵省は使うほうだ、こういうことは不当じゃないかというふうに考えておったのですが、ほんとうに端的な考え方はそういう考え方でありますが、これは政府でありまして、政府というものが国民生活を守るために、ある人は外勤、ある人は経理、また会計をやる、またある人は、というように、やはり部署を分けてやっておるのでございまして、国民に対する最終責任は政府なのでありますので、私は、感情の上でも、また歴史の上でも、いろいろなことはよくわかりますが、これは、運用やその他いろいろな問題をやる過程において、郵政、大蔵両省が十分話し合いをし、特に集める人の苦労というものを大蔵省が考えないでいつでもやるようなことではいかぬということで、ずっと私大蔵省に参りましてからもこの点の話をしておるわけでございますが、大蔵省は、大臣に言われなくても、私のほうも、集めていただかなければ原資がふえないのでありますから、当然考えておりますと一また、どの程度考えておるかと、じっと見ておりましたらば、皆さんがお考えになるよりも、それはもう、積極的に集めていただく方々の気持になって努力をしておるということは事実認めていただきたいと思います。
#21
○鈴木強君 まあ、将来の簡保資金の運用については、かなり積極的にしなければならないだろうという御意見ですから、これはそれでいいのですが、ただ第一の突破口として電力債をやったとおっしゃるけれども、私はこの電力債についてちょっと伺いたいのですが、まあ大体利回りが七分二、三厘ではないかと思いますが、そこで、すでに電源開発会社のほうに三十八年三月末現在二百八十八億円運用されておるのですね。これをまた九電力に対して、百分の五ですから、おそらく五百億ぐらいですね、これは。そう思います、私は。この運用できる額は。したがって、この五百億の金を電力債に限ってどうして運用権の拡大をしたのか。ほかにももっと有利な公社債というものがあると思うのです。それをなぜ電力に限ってやられたのか。せんだっての新聞報告を見ますと、民間生命保険の決算がまとまって大蔵省で集計をしたその結論が発表されておるのを見ますと、民間の生命保険の資産の運用状況というのは、一般貸付六千四百億、株式投資が二千六百億、不動産が千億、こういうものがおもなものになっておりますが、そのうち一般貸付の六千四百億のうち千三百億がふえておるのは、その一千三百億貸付がふえておる中で、電力などの重要産業と住宅公団に約五百億貸し付けたと、こういうふうに大蔵省は発表しておるのですけれども、あらゆるところに――電源開発、電力開発の方向に金が使われて、これはおそらく原力子発電に至る、しかも戦後のエネルギー革命の一つの大きな政策として石炭から電力へと、非常に産業の発達に伴なって電力の需要が多くなってくるという点はわかりますけれども、もう少し私たちがなるほどと納得できるような姿が出てきて、それに対してこうしたというのならよくわかるのだけれども、私はよくわからぬから、私が言うなら、たとえば、電電公社が第三次五カ年計画を今やっている。これは与党野党を含めて四百億の財政投融資からの協力をお願いしたのだが、ことしは約百八十億程度、縁故債、外債などを含めてやっていただきました。これは勝手な言い方だと思いますけれども、しかし簡保の運営については一銭もない、この百八十億の中に。この電電の債券の利回りを見ると、利付債八分五厘、割引債になると八分九厘から九分になっている。第三次五カ年計画で電電は加入電話を五百万ふやしてもまだ足りないという段階にあり、しかも与党のほうも、第三次五カ年計画については大体四百億程度の財政投融資がなければだめだといって要求した。簡易保険のこういう運用資金を、こんな利回りのいい電電債については一銭も出さないで、七分三厘か四厘の電力債に対してさらに五百億融資するという、運用範囲を拡大してやるということは、一体どういうことなんですか。説明してもらわないとわからないけれども、あなたが言うように絶対的に有利なものだとは私は思わない。電力債をやったことについて悪いとは言いませんが、十分の一歩か二歩前進かしりませんけれども、いずれにしても、反対はしないのだが、もっと有利なものがあるのではないか。なぜそういうものに出さないか、こういうことです。
#22
○国務大臣(田中角榮君) 簡保の資金が、電電、NHKと、せめて気分の上だけでもそのような方面に運用せられることは好ましいことであるというお考えは全く同じであります。でありますから、去年までは、簡保資金は特に電電等に貸し付けておったわけでありますが、このたびはなくなったということでありますが、しかし電電に対する財政資金でめんどうを見なければならないものに対してはこれをもって足るというような考え方を持っておるわけではありませんが、電電も、御承知のように、料金改定も行ないましたし、金融引き締めその他国際収支改善ということでどのくらい影響があるか、事実数字がつかめておりませんので、今過程的な段階であることは御承知のとおりであります。電力債になぜ限ったかといいますと、電力というのは、これは民間企業、私企業とは言いながら、実際は全く公営企業という性格のものである。これがわれわれの生活また産業経済全般のもとになるものであって、現在のような九電力の形態でいいのか、私企業にウエートを置いていいのかということが真剣に議論をされておるのでありますので、電力債が公的使命を持つものであるということは御理解願えると思います。それから電力をやるならば、それよりも、同じようなウエートを持つ三公社のようなものにもやってもいいじゃないかということでありますが、これには、長期、短期という問題がございます。でありますから、簡保資金は効率運用をはからなければならないことはもちろんでございますが、しかし、あくまでも資金運用部資金の原資であるということを一つワクをはめまして、それで、現在の郵政省が直接運用するものはあくまでも余裕金である、こういうことを前提にいたしますと、特にまた、直接省が私企業やいろいろなものの株式を買ったりということもどうかと思いますので、日銀を窓口とした電力債に限ったわけでありますが、この趣旨から見ますと、短期運用という趣旨に合致し、しかも公的な性格を強く持ち、また短期の運用ということから見まして、電力債に運用するということが現在の段階においては一番理想的、合理的であるということで、大蔵、郵政両当局が合意に達したわけでありまして、今の段階においては、これ以上どのように広げられるのかというような問題は、先ほど申し上げた資金運用部資金の原資であることと、短期運用であるということ、特にことしは、御承知のように、集中満期という問題がありますので、そう長いこと拘束的な状態において投資が不可能であるという面もありますので、現段階においては電力債が一番適当であるというふうな結論が出たわけであります。
#23
○鈴木強君 電力債の場合、九電力で四千七百二十九億一千四百万円も社債を発行しておるようでありますけれども、今あなたの御説明のあったように、日銀の買いオペ的な性格の中にこれが入っておるものですか。直接の融資は、この運用審議会の答申の中にもあるように、やらないで、間接的な運用をやりなさい、こういう答申がありますから私もわかりますが、証券会社を通さない日銀の買いオペ的なもののの中で電力債を考えていくという、こういう考え方ですか。
#24
○国務大臣(田中角榮君) 先ほどから申し上げましたように、直接政府が民間の窓口から買うということになりますと、いろいろな問題もありますので、日銀の窓口を通じてということであります。
#25
○鈴木強君 そうしますと、この九電力の株は、それぞれ利回りは大体七分三厘くらいですけれども、一体九つの会社で、どことどことどこをどうするということはわからぬわけですね。要するに、電力債全体として、日銀が買いオペをやる場合、五百億なら五百億としての短期融資をやる、こういうふうに理解してよろしいかどうか。
#26
○国務大臣(田中角榮君) 日銀が現に運用しておるものの中から買い入れるということになります。
#27
○鈴木強君 そうすると、短期融資というけれども、電力債は、まさかきょう買ってすぐ三カ月後に償還になるというものでないわけでしょう。ですから、買いオペで調整していこうというのですか。短期融資をする場合に、これはどうなるのですか。
#28
○政府委員(吉岡英一君) 多少技術的な問題でありますから、私からお答え申し上げます。
 御承知のように、日銀が買いオペで政府保証債その他をやっておりましたが、最近電力債まで広げまして、電力債を現在すでに数百億持っておるわけであります。それを、簡保が運用する場合には、日銀から買い取りまして、その際にも、財政資金の一部投資でございまするので、私企業にあまり直接的な関連を持ってはいけないということがございますから、一つの会社に集中しないように配慮をいたしまして、相談いたしまして買い上げまして、簡保の資金繰りで必要があるときにはいつでも日銀が買い戻すということでございます。
#29
○鈴木強君 それでわかりました。けれども、短期々々というけれども、短期融資に僕はならぬと思っておった。ところが、そういう日銀をうまく使ってやるというなら、それは理屈はわかりますが、そういう意味において、集中満期等もここ三、四年あって、相当金が窮屈になってくる。そういう意味でコントロールしてみて、電電債までいけなかったという、こういうことなら私もわかりました。
 そこで、さっきの基本的な考え方の中にもう一歩押し込んで、将来とも、ただ単に電力債にとどまらず、さらに有利な方法をひとつ考えていただくように、これは私の強い希望としてこの際申し出ておきますが、その際今度の――大蔵大臣、さっきもあなたの金利政策が出ましたけれども、私はこの委員会で聞くのが妥当かどうかわかりませんけれども、たまたま運用部資金との関係がありますから、大蔵省の今の基準金利というものが六分五厘になっておるのですけれども、こういう六分五厘というものが一体どういうところから算定して今日六分五厘という金利を大蔵省がおとりになっておるのかよくわかりませんけれども、いずれにしても、市中の金利等に対する問題についても、今世上いろいろ言われておるわけでありますけれども、最近の新聞なんかとって見ましても、大阪で、佐藤さんは、低金利政策はどうも物価値上がりの要因を作っているとか、批判的な意見を出していますね。せんだって、十日の日の全国銀行大会での井上全銀協会長も、政府の低金利政策に対してかなり鋭い批判をしています。それに対して、佐藤さんのああいう発言があると、すかさず黒金官房長官は、あれはそういう意味じゃないと思うけれども、私どもは低金利政策がいい、こういうふうにおっしゃる。あなたもこの全国銀行大会に出ておられるようですけれども、あなたは池田内閣の閣僚ですから、政府の方針に基づいておやりになっていると思うのだが、多少低金利政策というものに対してのニュアンスが慎重になってきたというのが新聞等の批判です。山際総裁も多少慎重な態度をとっている、こういうふうに見られる。池田総理は相変わらず強気である、こういうことが世上話題に流れています。したがって、一体今の低金利政策というものは、池田内閣の高度経済成長政策との関連でですね、今のような姿で推し進めて行ったほうが、ほんとうの意味における高度成長政策に役立つのか、ある程度金利政策というものについては考える必要があるのじゃないか、公定歩合等は二回上がりましたね。しかし、金利については、あなたは、私の予算委員会等の質問でも、かなり慎重になったことは事実です。預金利子については簡単に下げません、こうおっしゃっているのですが、しかし、公定歩合がだんだん下がっていけば、悪循環が出てきますよ、いろんな意味で。そういう話が出てくる。今度の郵便貯金でも、あなたはやらないというなら、何もこういう法律案を出さなくてもと、こういうヤジがすかさず飛ぶと同じように、もし預金金利を当分の間いじらぬなら政令付託しなくてもいい、こういうふうにもなるので、低金利政策については、非常に最近いろんな角度から論じられている。大蔵大臣としては、一体この低金利政策についてどういうふうにお考えになっているか、それをひとつ伺っておきます。
#30
○国務大臣(田中角榮君) 私は新聞等で、低金利という問題に対して、どうも政府の中にも、また党の中にも、いろんな意見がある、どうも相反する議論がされているというように一部報道しているものもあるやに伺っておりますが、私はそう考えておりません。これは、ただ聞く人によって、またしゃべる人のアクセントのつけ方によって、いろいろなニュアンスがとられるのでありまして、考えることはもう同じだと思うのです。これは、御承知のとおり、政府は一貫して、貿易為替の自由化を前にいたしまして、国際競争力をつけなければならないときに、日本の現状を見るときに、国際金利に比べて非常に割高である、これは事実であります。でありますから、国際場裏で自由濶達な商売を続けていかなければならない、また、そうすることによって初めて日本国民の生活がよくなるのでありますから、唯一無二の道であります。そういうことである場合に、世界各国とのバランスの上に立って考えるときに、日本は一体どういう立場にあるかというと、原材料はまずありません。原材料を持っている国と、ない国でありますから、日本はもうそこで一つのハンデがあるわけであります。金利はどうかといったら、公定歩合は今度四回にわたって四厘の引き下げを行ないました。年率五分八厘四毛であります。アメリカでは年率三分、西ドイツは三分五厘ないし最高でも四分であります。でありますから、原材料のある国でもって、しかも利息が非常に安い、こういう国と、利息は高くて原材料のない日本人が、一体自由に競争できるであろうか、これはまじめにひとつ考えなくちゃいかぬ。そういうことを考えますと、せめて金利は、金利負担の重圧から解放されて、国際金利並みになることが好ましいのでありますから、政策の目標としては、できる限り早く――いわゆるできる限り早くというのは、自由化というものと平仄を合わせながら国際金利にさや寄せをしなければならぬというところまではだれも反対はないと思うのであります。でありますが、国際金利さや寄せということが、言いかえれば低金利じゃないか、しかも、それを一方的にスケジュール的に下げていくと、それが景気刺激になり、設備投資の過剰になり、ひいては国際収支悪化を来たすおそれがあるということになるわけでありまして、国際収支を長期に拡大的に安定をしていきながら、また正常な経済発展をせしめながら、しかも金利を国際水準にだんだんと近づけていかなければならぬということに対しては、だれも異論がないのであります。ただ、口ではそう言っておっても、政府が国際金利さや寄せさや寄せと言うても、本能的に自由化というものに対応して設備の拡張をしやすくなるから、そういうことを言わないほうがいいというような見方もありましょうし、どうせ国際金利にさや寄せすることは既定の事実でありますから、それよりも歩積み、両建とか、中小企業の金利をどうしても下げろとか、もっと預金吸収に声を大きくするとか、同じ冨士山に登山をしても、吉田口もあり、どこもあるのだから、ものの表現の仕方を、あまり国際金利さや寄せ即低金利というようなニュアンスを出さないほうがいいとか、いわゆる具体的方法論で、党内にも、閣内にもいろいろな問題があると思います。ありますが、これが全然違った政策である、こういうふうには考えておりませんし、違った政策であろうはずがないのであります。でありますから、私たちといたしましては、国際金利さや寄せということを言っておりましても、まず今一番高いのは、中小企業でも非常に高い金利でもってあえいでおります。その上に、歩積み、両建ということもありますので、皆さんの御注意がありましたので、まず、歩積み、両建をやめさせ、こういうことで実質金利の低下をはかるという具体的な政策を今推し進めておるわけでございますので、少なくとも三年前にコールが日歩六銭であったというものが翌日物で二銭になったということから考えましても、日本の経済力がそこまで伸びてきておるのでありますし、金融の正常化も行なわれてきておるのだということは、事実をもって御承知願えると思うのであります。
#31
○鈴木強君 これは、あなたとここで論議をしようと思いませんけれども、確かにこれは、そこらの新聞でなしに、相当のやはり日本の有力新聞の中で、たとえば銀行大会の経過を報道する中で、いろいろ政府の低金利政策に対する――それは確かにあなたのおっしゃるように、八条国移行、貿易の自由化、それに対応する金利を国際水準まで持っていきたいということに対する理想だとか、われわれはこういうことについては、理想であり、現実問題として一歩々々近づいていこうということについてはわかるのです。しかし、それのやり方です。積極的にやるか、消極的にやるか、日本の今日までの長い間の金利政策、あるいは金融政策というものがあるわけですから、それを一挙に明日から手のひらを返したようにやるというのは無理だと思うのです。そこに、長い伝統、歴史のあるものを、どうして徐々にその体制に持っていくかということが僕は問題だと思うのです。そういう意味において、多少消極論があり、積極論があるのは僕はわかる。
 そこで、最近の預金なんか見ましても、確かに個人の預金は全世界で一番くらいうまくいっておるそうです。しかし、物価が上がってきておるから、ごく最近の状態ですと、また個人の預金というものがだんだん下がってきておる。それは、要するに物価が上がって、そのために預金するものが幾らかそっちにいっておるという情勢なんです。だから、多少ダウンしてきておるということは統計で明らかになっておる。そういうわけで、簡易生命保険、あるいは郵便年金の利息の問題についても、そういう一つの大きな革命の中にあるわけですから、しかく簡単にいくとは私は思わない。しかし、低金利政策、それが即郵便貯金の利息を下げることになってぐるとか、あるいは簡易保険の運用利回りというものがもっと安くなるのじゃないかということが、かりそめにも表面に出てきた場合には、これから募集する立場にある郵政省側にしても、たいへんな話になると思う。
 そういう意味で、大体の話はわかりましたけれども、特に三十六年から資金運用部の預託の中で約定利息がありますけれども、期間と利息が、その中で特利制度がある。これは、あなたは、さっき言ったように、歩積みとか、そういうものはできるだけなくして、金利そのものの本筋でいくということは賛成だが、現実に特利というものがあらゆるところにある。簡易保険の場合は、三十六年度から、一年以上七年未満のものについては六分というふうに差を見てやっておる。こういうものまで特利だからといってなくしてしまうのかという疑問も出てくる。簡保の運用の中で、そういうことでありますから、特利の問題についてはどうですか。
#32
○国務大臣(田中角榮君) 特利というのは、特別の利息を付しているわけでありますが、今大蔵省として考えております特利預金というのは、いわゆる過当競争によりまして、民間の金融機関が特別の利息を付する、大口の預金者等に対しましては……。そうすると、そういうこと自体が非常に金利コストを上げることでありますから、資金コストを上げることでありますから、そういうものは排除しなければならぬ。幾ら裏利息を出しても借りる人がありますからということで、裏利息を貸出者が取るということになったら、これはむちゃくちゃでありますから、こういうものは、慣習上やむを得ず、今までも口ではそうこう言いながら、なかなかこれは改善できなかったのでありますが、こういうものはやめてくれ、こういうことを言っておるのでありまして、いわゆる民間会社が歩積み、両建をやめる。それから政府関係機関から中小企業に対して抱き合わせ融資をやりながら、自分で出す分だけは帳簿づらは貸し出しということにしておって、両建にしておる。こういうのは不届きな話でありますから、こういうものに対して勧告をしてもなお改めないものに対しては、政府指定を取り消すという在来にないきびしい態度をとっておるわけであります。
 また、歩積み、両建に対しましても、大多数の方々には標準金利しか払っておらないのでありまして、特別の人だけに特利を払うということで特利を払っておりますから、貸し出しは高くしなければなりません。ということは、中小企業に及ぼす影響甚大でありますので、こういう特利制度に対しては厳に自粛するように、そういう、まず日銀の公定歩合が下がるから標準金利がうんと下がっていくという問題の前に、特利の征伐とか、歩積み、両建とか、中小企業が大きな負担をしておるこういうものをまずやめさせれば、実質の上において相当大きな負担軽減になるわけであります。特に、百万円の定期預金があると、百万円限度しか貸せない、しかしこれは何年間銀行とつき合いをしていることは将来いいことですよ――こういうことは、これはもう私はその事実を知っておりますから、こういうものを直していくことによって、実質金利低下をはかっていく。あわせて、まあ目標である日銀の公定歩合が引き下がれば、だんだんと貸出金利も正常な姿になっていくということであります。
 政府関係の機関の中で特利をやっているということは、これは資金運用部の資金コストの問題で、どうしても特利をはずさなければならないというような周囲の情勢がそうなった場合には別ですが、現在は、集めてもらうためにも、また資金運用をやるためにも、特利が払えるという状態でお互いが政府部内で話し合いをやっている状態でありますから、これが特利征伐ということと軌を一にするものでないということだけは御承知のとおりであります。
#33
○鈴木強君 そうすると、預金部に預けている積立金については、どこまでも特利というのは残っていく、こう私は理解します。
 それから一般的な預貯金との関係、利子との関係でありますが、そうすると、何ですか、あなたは、預金金利については今直ちに下げるなんということは考えておらないということなんだが、しかし、どういう要素があったら下げるのですか。
#34
○国務大臣(田中角榮君) 私は、今度の公定歩合四厘引き下げたときの大臣談話で、「現在の段階において預金金利を引き下げる意思はありません」、こういうことを申し上げたのであります。これは、先ほど申し上げたとおり、どうも金融機関は、戦後非常に社会資本が苦しいときがありましたので、まあ金融機関も相当特権を与えられて、保護的な政策の中にあったということは事実であります。でありますから、今までの金融機関というものは、現時点におきましては、少なくとも内容は中小企業よりもいいはずであります。相当優位に立っておるのでありますから、自由化というものに対処してお互いが努力をしていくということになりますと、金融機関といえども、いつまでも甘い夢をむさぼっておられるわけではないし、特権の上にあぐらをかいていられるわけではない。例外ではないのでありまして、現在四厘引き下げました。これは、結局、国際収支改善という前に比べますと二厘であります。二厘の程度は、現在の歩積み、両建をやめたり、特利によっていろいろなものを集めたりしなくても、現在の資産運用の中で十分二厘はまかなっていける。これははっきり言うのはきょう初めてでありますが、まあ一方交通的な金融行政をやりませんということを声を大にして言っておりまして、自立をやる意味から、自立というのはみずから立つということで、みずから律せよということをやっておるわけでありますが、そういう行政方針をとっておるわけでありますので、今までは、私がこういうことを言わなくても、二厘引き下げで現在大蔵省に当然預金金利を下げなければ下げられませんよなどと言ったならば、銀行をもっと新しく作れば幾らでもやる人がいるという議論にも通ずるのであって、普通ですと、公定歩合を下げれば当然預金金利を下げるというのが在来でありましたが、現在は金融機関もそういうことを言ってこないわけであります。でありますから、とにかく今までの二厘ぐらいは合理化してやれるという自信を持っております。
 ただし、この次、毎月一厘づつ引き下げられるという状態になったり、少なくとも来年の四月、五月、IMFの八条国移行で、まあ五分八厘四毛が四分台に下がらなければならないということになれば、これは合理化でまかなえるものではないということになるわけでありまして、これから一厘下げるとかいうことがあっても、これは預金金利を引き下げなくてもやれるかもしれませんし、また、合理化をしてみたけれども、こういう中小の地方銀行等は、やはり預金金利を下げてもらわないと、どうしても金利を引き下げられないというような場合があるかもしれませんが、これは、各銀行の状態を十分検査をいたしまして、こういう状態であるから合理化をすれば一厘引き下げられるじゃないかというような場合があれば、私は預金金利というものはできるだけ引き下げたくないという考え方が、これは国民的な気持だろうと思いますし、いま一方においては、預金をしてもらわなければならない、貯蓄増強ということは一つの政策でありますから、また原資が確保されなければ銀行の営業が成り立たないのでありますから、そういうように、今までのように、特権的な考え方で、預金者金利を下げなければ貸出金利は下げませんよというような状態にはありませんので、十分内容調査をして、合理的な面において預金金利と貸出金利を弾力的に調整さるべきだという考え方を持ってるわけであります。でありますから、臨時金利調整法をはずせはずせというのですが、当分はずしません、こう言っておるのは、中には、はずせば、苦しい人は下げるというほうにウエイトを置かれますので、現在の段階では、あの法律があっても死文になることが好ましいのであって、いよいよの場合には、大蔵大臣が権限発動できるためにも残しておくべきだということを言っておるのは、この間の事情によるものであります。
#35
○鈴木強君 一時間というお約束でございましたが、大臣が三十分おくれてきたから、三十分自動的におくれたんですが、大体お約束の時間ですから、私はこれで大臣に対する質問は終わります。
 理財局長、さっき大臣に御質問しました生命保険の決算、民間の、この中の一般貸付純増分千三百億のうち、電力などの重点産業と住宅公団に約五百億を貸し付けたといいますが、これは、電力に貸し付けた金は幾らかということはわかりませんか。
#36
○政府委員(吉岡英一君) 実は保険の関係は銀行局の所管なものでございますから、ちょっと私承知いたしておりません。
#37
○鈴木強君 理財局のほうでわからなければやむを得ない。これは、後ほどあなたのほうで銀行局と相談なさって教えてくれますか。
#38
○政府委員(吉岡英一君) 生命保険のほうは電力に百三十二億だそうでございます。
#39
○鈴木強君 じゃ、理財局長、それでいいです。
 郵政省のほうにお尋ねしますが、今度の三十八年度の保険料の歳入歳出の中で分配金というのがございますね。その分配金というのは、幾ら予算的に見ておりますか。
#40
○政府委員(田中鎭雄君) 三十八年度の予定といたしまして百七十九億でございます。
#41
○鈴木強君 ちょっと、その保険金と、それから事業費、それから福祉事業団への出資金ですね。これをちょっと知らせてくれませんか。
#42
○政府委員(田中鎭雄君) 保険金は九百五十六億八千万円、それから事業費でございますが、これは三百六十八億、それから事業団に対する出資金が六億二千百万円、それから事業団に対する交付金が五億六千六百万円、以上でございます。
#43
○鈴木強君 それから、余裕金のうち、責任準備金と分配準備金に幾ら積み立てておりますか。
#44
○政府委員(田中鎭雄君) 責任準備金は五百五十一億、それから分配準備金が七十九億でございます。
#45
○鈴木強君 あなたのほうからいただいたこの資料によって、三十八年五月三十一日満期の、十年満期養老保険の払い込みの総額と満期受取金額との比較をいただきましたが、さっきも大蔵大臣に申し上げたように、利回りは一分三厘八毛になっているわけですね。これまで六分二厘三毛ですから、四分八厘五毛というものは事業費その他――今ここで直接的に歳出になるのは福祉事業団とかそういう出資金が幾らかありますけれども、そういうものを差し引いて、わずかに一分三厘八毛にしかならないのですけれども、これは、利回りの分配論から言うと、非常に加入者に対する還元が少ないわけですね。こういう点を、保険数理的にどういうふうに私は組み立てておるのか、よくわかりませんからお聞きするのですけれども、たとえば、二年以上たったら保険金の全額を払い戻す、一年以上ですと半分ですか、何かそういう約定があるようですが、そういうものに従って払うのですけれども、一体二年までに死んで保険金をもらったなんというのはどのくらいあるのですか。一体そういう死亡率というものをどの程度に見て、保険数理的に六分二厘三毛なら三毛というものを事業費その他のものに使って、加入者には幾ら還元するという数理を、予定数理を立てているのですか。これは、三十八年度の九百五十六億という保険金の歳出がありますけれども、二年未満で死んだ人を何名ぐらい想定しているのか。あるいは二年以上たって満額の金をもらう人たちはどの程度予定しているのですか。そういう根拠がなければ……。保険的な性格があるから、そういう人は二千円かけて五万円もらうかしらないが、そういう場合にはべらぼうな保険の性格を持っておるから、そういう面から利回りが少なくなるということも考えられるのですが、保険としての数理算定というのは一つの根拠がなければできないわけですね。その組み立て方はどういうふうにやっているのですか。簡易に説明してもらいたい。
#46
○政府委員(田中鎭雄君) 保険料のきめ方につきましては、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、貯蓄的の要素、これは純保険料でございますが、そのほかに、危険負担と申しまするか、早く死亡した者に対する保険金支払いの分担部分、そういうものが含まれ、それにさらに事業費に該当する附加保険料ということから成り立っておるわけでございます。この提出いたしました資料は、これは完全に満期までに保険料を払い込んだ人にとってどういう状態になるかという表でございまして、それまでには、先ほどお話に出ましたように、削減期間内の死亡、さらには削減期間を超過して、三年間というところもございましょうし、その時期々々によりまして利回りは変わってくるわけでございます。全体といたしましては、予定の利率としては四分を見まして、それに配当の分が一分五厘、五分五厘を確保するというのが現在の状態でございます。今回こういった法律改正案を提出いたしましたのは、せめて将来五厘増配に持っていって、六分まで持って参りたいというねらいの一つの方向として提案したわけでございまして、将来五厘増配ということになれば、この利回りもさらに向上する。結局、この表におきまする分配金額が増加して、全体の利回りが増加する、こういう建前になっております。
 ただいまの削減期間内の死亡がどのくらいであるかとかいう点につきましては、後ほど資料を提出いたしたいと思います。
#47
○鈴木強君 こういう資料を作ってもらいたいのです。昭和二十八年の六月一日に加入した保険ですから、三十八年度の五月三十一日に満期になったのは、この場合昭和二十八年六月一日から三十八年の五月三十一日までの間に利率の変動はあったと思いますね。最終的に六分二厘三毛というのが一応利回りになっているから、ですから、六分二厘三毛のうち、加入者還元が一分三厘八毛、残った四分八厘五毛のうち、事業費とか、いろいろあるでしょう、違った使途が。私の知りたいのは、一体この間に何人が二内以内に死んで、保険金をもらった、二年以上何年くらいで死んで全部もらった、そういうものに対して保険金を満額やりますから、そのために利益の中からいくわけです、金が。そういうものが何%になるのか。そういうことは、保険数理的にあなた方は十年間考えられたと思うのです。その考えられた計画とこれが合っているかどうか、ということもあわせ比較対象した資料をすぐできますか。
#48
○政府委員(田中鎭雄君) 後ほど提出をいたします。
#49
○鈴木強君 それでは、この点は後ほどいただくことにして、さっき大蔵大臣にお尋ねして、同時に郵政大臣にお尋ねしたいと思ったのですが、時間の関係で大蔵大臣には済ましたのですが、さっきの、審議会にあなたのほうから計画書を出して、審議会に付議する運用計画の内容ですね、それが大蔵省の運用部の中に入っていく場合に、郵政省のほうとしては有利な方法、計画で審議会に行くと、審議会のほうではもっと大きな袋がかぶさっているから、網の中であなたのほうでどういうふうに調整していくかということで苦労されると思いますが、具体的に、三十八年度なんかの場合は、どんなふうな、大して問題がなかったですか。お差しつかえがなかったら、ひとつ参考に伺いたいのです。
#50
○国務大臣(小沢久太郎君) 審議会に出します際には、事前に両方打ち合わせまして――われわれのほうはわれわれのほうの主張がございます。大蔵省には大蔵省の主張がございます。そこで、いろいろ打ち合わせをいたしました結果、審議会に出すというような問題でございまして、審議会に出したならば、問題はスムーズにいくというような結論でございます。
#51
○鈴木強君 それはそうです。大蔵省、郵政省が出す場合でも、政府としては統一見解をまとめなければならない。その前段なんですよ。審議会にはもうでき上がったものを直接持っていって、こうなりましたからどうでございましょうというのか、あるいは運用ですね、簡易保険とか郵便年金の運用については、内容的にやはり審議会と連絡をとりつつ、郵政省は郵政省としての考え方を有利にいくように審議会の諸君にも理解してもらわなければならない、そういう事前における行為の中できまってしまえば、最終的に意見が統一してきまるまでに至る間の郵政省側と大蔵省との見解というものに対しては、多少調整できるのではないかと思うのですけれども、そういう点は全然ないのですか。
#52
○政府委員(田中鎭雄君) 審議会に、たとえば三十八年度の運用計画を出すという段階に至りますまでには、郵政、大蔵両省間で十分打ち合わせを遂げるわけでございます。審議会に直接郵政省から、今度こういった資金の運用をやりたいとかというようなものを正式に諮るというようなことは実はございませんで、個々の委員の人にいろいろと説明して、こちらの考え方を理解してもらうというようなことは十分やっておりますが、形式的に審議会にその事前にいろいろやるというようなことはございません。
#53
○鈴木強君 審議会にやらないのはわかったが、郵政との話し合いの中で、たとえば、あなたのほうではできるだけ資金の効率的な運用をはかろうと思うでしょう。それで、有価証券等についてももっと高く認めなさい、こういう意見が出ると思うのです。大蔵省のほうでは、そうはいかぬ、といっていろいろとやられてしまうのだな。だから、資金運用部資金法によって国家全体の財政投融資計画というものは大蔵省が実権を持っている。しかし、その中の簡保、年金に関する限り、郵政大臣に管理運用がまかされている。しかし、そのものは大きい網をかぶされているから、実際郵政省がやろうと思っても、総合運営の中でもって消されていく面がたくさんあると思う。皆さんの御苦労の中にも、もっと有価証券の保有率を多くしてくれたらどうかという気持もあるだろうと思うのですけれども、そういう点はもう全部押えられてしまったということが、大蔵省との折衝の中であっただろうと思うのです。そういう点が全然大蔵省と郵政省との見解の中になくて、あなたのほうが言ったことを、全部大蔵省が、そうだそうだ、それがいい、といって認めるようになっているのか。かなり最初の計画というものがくずれているのではないかというふうに実は理解しているから、そこらは差しつかえなかったら、ひとつ委員会に言ってもらいたいということです。なければいいですが。
#54
○政府委員(田中鎭雄君) 大蔵省との間に、たとえば債券部門を、こちらの部分をふやしてもらいたいというようなことは、実際に論議の対象になりました。そのほかの部門もいろいろ問題はございますが、三十八年度に関しましては、大体まあ、こちらの要望が通ったと思います。ただ、債券部門につきましては、当初こちらが主張していたよりも若干金額の点で減少したというのが事実でございます。
#55
○鈴木強君 今度電力債が新しく範囲拡大されまして、その運用については、先ほど大蔵大臣からのお話で、日銀の買いオペ的な中に入っていくということですけれども、この資金の回転は、短期は三カ月でしたか、返済期間は。そうですね。ちょっとその点。一年ですか。
#56
○政府委員(田中鎭雄君) 短期は一年以内でございます。
#57
○鈴木強君 最高一年でございますか、それは。三カ月、六カ月という、そういうようなのはないのですか。
#58
○政府委員(田中鎭雄君) 三カ月でも六カ月でも別に支障は――支障と言いますか、とにかく一年以内でしたら何カ月でもかまわない、こういうことでございます。
#59
○鈴木強君 だから、その一年以内ということです。だから一年ということでありますが、一年以内ですから、できるだけ回転率をよくして、そして利率をかせぐということが、短期の場合には一番妙味が出るわけだ。もっとも、一年間の利率というものは、三カ月で回した場合と一年で回した場合と同じだったら、これは問題だけれども、そうではなくて、そこに多少色がつくならば、やはり資金の効率的な回転というものをスムーズにやることが、その利率をふやすことになると思うのですけれども、これは同じ利率であれば、同じことだと思いますけれども、そこで、約五百億というものが短期融資で電力債に入ってくるのだけれども、大蔵省はいとも簡単に、一年経ったらすぐ回転できるようなことを言っていますけれども、そういう点は、もっと具体的に、この法律案を提案するに際して、郵政省は取りつけがあると思うのですが、そういう具体的な方法で回転していくという、返済する方法なんかですね、回転する方法というか、そういうもの……。
#60
○政府委員(田中鎭雄君) 現在、短期で回すという場合に、一応、法の建前は、積立金総額の百分の五、現在では五百億が限度でございますが、実際に短期資金の余裕というものを見てみますと、大体百億から百五十億程度現在考えられるわけでございます。その範囲では、これは年間の利率がきまっておるわけでございますから、一年以内はそれを持っておる。年度が変わりますれば、さらに持続するためには買いかえということが出てくるわけでございますが、来年度は集中満期の関係で、来年度から資金が減少して参ります。そのために、短期資金に回す額も非常に苦しくなりまして、地方公共団体の財政資金、こういったものの要望は依然として強いわけでして、これを無視するわけには参りませんので、その残額あるいは短期国債に回っている分をこちらに回すというような操作も必要でありまして、来年度からは短期に回すということが非常にやりにくい時期にくるわけでございます。また一方、長期資金としてこれを持ちたいと申しましても、やはり資金のワクが減少する時期ですから、新たに、今までにない電力債に、少ない資金の中から回すということも、これまた非常に苦しいというようなことで、ここのところ、年度内に短期に回したものをそのまま持続できれば大体精一杯ではないかというようなことも考えられる状態でございます。
#61
○鈴木強君 短期運用では、この電力債がやはり利回りとしては一番いいわけですね。他の契約者貸付とか、財投上の地方公共団体、政府機関等に貸し付けるような場合、融資するような場合と比べてみると、電力債というものは相当に利率からみるといい。だから、五百億を運用するとすると、それに対する七分何厘かの利率というものは、従来より以上によくなりますと、こういうふうに言うわけですか。
#62
○政府委員(田中鎭雄君) さようでございます。
#63
○鈴木強君 今、短期で一体運用している額というのは、この五百億を含めて、総体的で何ぼになるでしょうか、これは。短期運用の資金は。
#64
○政府委員(田中鎭雄君) 短期の資金は、毎月々々金額が異なるわけでございまして、三十七年度の実績をまず申し上げますと、最高が、これは十一月に最高を示すのでございますが、これが八百九十七億でございます。それから四月が一番金が逼迫してくる最低の時期でございますが、これが四百六十三億、平均残高は六百三十七億ということが申せます。三十八年度は、これは見込みでございますが、やはり十一月が最高の月でございまして、これは千百億、それから三月が六百五十億、平均残高が八百億ということでございます。
#65
○鈴木強君 田中さん、もっとわかりやすく、一体一兆何千億かの簡易保険、郵便年金の――簡易保険だけでもいいですが、積立金のうち、短期に回っている金は幾らですか。回収してまたやりますから、運用額というのは、そのときによって違うだろうと思いますけれども、もうずばり、一体短期に回っている金は幾らかということを知りたいのですよ。今現在、短期に回っている金は。
#66
○政府委員(田中鎭雄君) 一兆円は全部長期に回っておるわけでございまして、たとえば、三十八年度の運用計画、これは契約者貸付を除きますと千六百億で、おのおの財投計画の中に入りまして貸付先が限定されておりますが、たとえば地方公共団体貸付が、これには七百二十五億とございますが、その年度内に入りましても、地方公共団体は起債の許可が得られないとか、いろいろ金をこちらに借りてくる間に若干時期的のズレが出てくるわけでありまして、それがいわゆる積立金の短期融資に回る原資と、こういうことになっておりますので、実際、その一兆円なら一兆円のうちに短期に回るのが現実に今幾らかというようなことは、なかなか計算しにくいのでございまして、ただはっきりいたしておりますのは、金融債、これは一昨年から昨年に短期で買ったものでございますが、これは二百億余り、ころがしでやっておりますから、短期資金がたえずこれに向けられておるということが言い得ると思いますが、地方公共団体の短期に千六百億のうちから幾ら回ったというような計算はちょっとできにくいのでございます。
#67
○鈴木強君 ちょっとこれはできにくいというのは、調べてもわからないというのですか。一体、今簡保の積立金は幾らでありますとか、それが長期のほうに大体この程度、短期のほうにこの程度と、各年度別に、短期資金というものはどの程度かということで、きまってくるのでしょうから、そういうことが積み重なって回転していくのですから、貸し付けて、また来たやつが順繰りに回っていくと思いますから、そういうことはわかるのだけれども、一体一兆何ぼという、あなたのほうで額が幾らあって、そのうち短期融資には何ぼ回っているというのがつかめぬのですか。時間を置けばつかめるのですか。それともつかもうとしてもつかめないのですか。
#68
○政府委員(田中鎭雄君) 何月何日現在どうだということになれば、つかめるわけでございます。
#69
○鈴木強君 だから、今、最近の、現在で幾らかということを聞いているのです。月によって何ぼで、残高幾ら、それはわかります、そのことは。だから、一体われわれは、幾ら短期に金が回っているかということを知りたいわけです、率直にいって。
#70
○政府委員(田中鎭雄君) 先ほどちょっと触れましたように、三十七年度は平均六百三十七億でございます。それから三十八年度は大体八百億を予定しております。
#71
○鈴木強君 そうしますと、今度電力債が五百億入って八百億ですか。そうすると、昨年は六百三十七億で、五百億ふえたにかかわらず、三十八年度八百億ということになると、短期資金というものは、何だかしらないけれども減っているじゃないですか。
#72
○政府委員(田中鎭雄君) 五百億は、これは最高の限度でございまして、今すぐに五百億全部をやるかと申しますと、なかなかこの短期資金のゆとりがございませんものですから、百億から百五十億程度をやりたいという、こういうように考えております。それじゃ一体この八百億は何だということでございますが、これは、地方公共団体に短期融資いたします、これはいわゆる財政調整資金でありまして、つなぎの融資でございますが、これが大体四百億くらいこれに振り向けられるわけでございます。そのほかに、短期の国債とか、それから金融債のいわゆる短期融資というようなものを合体いたしまして八百億程度を予定しておる、こういう計算でございます。
#73
○鈴木強君 三十八年度中にとにかく八百億から電力債を買うということなんですね。これは短期融資、そうでしょう。三十八年度中に。そうじゃないですか。そこのところ、はっきりしてもらいたい。いいですか、五百億電力債を買えるというワクが一応法律できまるのだけれども、その五百億というものは、一体三十八年度には幾ら電力債を持つか、これを先に聞けばわかる。
#74
○政府委員(田中鎭雄君) 大体百億から百五十億くらいでございます。
#75
○鈴木強君 そうすると、三十八年度は、五百億のワクはもらっても、実際には百億とか百億ちょっとくらいしか金が回らぬ、こういうことですね。
#76
○政府委員(田中鎭雄君) さようでございます。
#77
○鈴木強君 それでわかりました。これはせっかく多少なり前進をする法律改正がなされても、実際の効力を発生するのは来年あたりからであって、ことしは、地方公共団体とか、従来のいきさつ等からして、資金繰りからして、どうしても百億程度しか回せぬというのですか。せっかく法律改正をしても、その効果というものは五分の一しか発揮できないと、こういうことだね。
#78
○政府委員(田中鎭雄君) 法案が通過いたしますれば、すぐに私どものほうは短期資金を回すわけでございますが、先ほど申し上げましたように、短期資金のワクの現状から見て、年度内は百億ないし百五十億にとどまらざるを得ない、これが実情でございます。
#79
○鈴木強君 大臣、お聞き取りのような経過ですけれども、私は、短期資金というものをどこから持ってくるかということになると思うのですね。せっかく大蔵省も了解をし、審議会も了承して、それで五百億、積立総額の百分の五は電力債に回してもよいという、こういう法律が通って、それで実際の運用が百億しかできないというのはおかしいじゃないですかね。もう少し大蔵省と談判するとか、何か予算全体の中で、その有利な七分何厘ぐらいの利回りが回るほうに原資を確保するということは、郵政省として当然なことで、百億しかできないというのは、そんなことじゃ、法律改正をするわれわれのほうから見れば、つまらぬですよ。
#80
○国務大臣(小沢久太郎君) 実際は、その問題は、他の公共団体に対する短期との関係もあります。それからわれわれの資金繰りの関係でございます。主たる理由は資金繰りの関係で、大蔵省との関係ではありません。私どものほうは、早く資金繰りをうまくやりまして、法律に書いてある限度額まではいかないにしても、早く多くしたいと、そういうように考えております。
#81
○鈴木強君 そううすると、何か仏作って魂入れずという結果になっていると思うのですよ。私たちは、百分の五に相当する額を繰り入れられるということになっておるので、直ちにそうしてもらいたいわけであります。ところが、資金繰りでできないということになると、ちょっと法律改正をせっかくしようとする意図から見て、何か重みが足りないのじゃないですかね。大臣、何とか工夫できないですか。
#82
○国務大臣(小沢久太郎君) ですから、これは法律を作っていただく際には、百分の五というふうにしてそれを切りましたのは、結論として、今の利回りをよくしようというような意図が出たわけでありますけれども、資金繰りの関係で今のところではできないわけでありますが、その点に十分に注意いたしまして、将来もっと資金繰りをうまくやりまして、利回りをよくしていきたいとそういうように考えておる次第であります。
#83
○鈴木強君 そうすると、こういう約束はできますか。今考えておる三十八年度の募集目標というのがあると思うのです。それは、あとから私は時間があれば聞きたいと思ったのですけれども、これを従業員の人たちがずいぶん苦労して募集目標を達成してもらえるものと確信するのですけれども、かりに、その予定目標を何がしなり突破したような場合――これは想定ですけれども、そういうような場合に、保険金が当初の予定収入より上回る場合があると思うのですね。そうなると、そういうものは少なくともその法律の精神に基づいて電力債の購入のほうに振り向けてもらえるということは確約してもらえますか。
#84
○政府委員(田中鎭雄君) 今の募集目標よりも非常にオーバーしてそういう実績が出たということになると、それだけ年度内の保険料収入は増加いたしまして、それが来年度の積立金として増加の形に出てくるわけであります。ですから、来年度の積立金が増加する。本年度は余裕金でありますが、と同じことでございますが、来年度の積立金が非常に増加した、それで集中満期で、今の見込みですと、本年度よりもかなり来年度の積立金は下回る、それが、そういった点がなくて非常に上向きになったということになりますれば、おそらく今年度よりもさらに電力債に回す資金は増加する、こういうことは言えると思います。
#85
○鈴木強君 これは仮定の話ですから、お答えになれないとすればそれだけのことでありますが、ただ私は、法律の精神というものをあくまでもまじめに守ってもらうということから、今後そういう努力の結果、そういう事態の場合には、これは確かに来年度の剰余金になるのでしょうけれども、そこらは、審議会、大蔵関係とも十分了承してもらえばできないことはないと思うので、こういう法律が通っておるのだから、あらかじめそういうことくらいは事前に大蔵当局と話し合いをしておくとか、何かそういう方法をとって、資金の従来からのいろいろないきさつがあると思いますから、御苦心が要ることと思いますけれども、できるだけ工夫をこらしていただいて、電力債に大いに金を回すように努力してもらうとともに、今言った、もし幸いにして全従業員の御努力によって予想以上の成果が上がったような場合には、そういうような措置をとられて、できるだけこの法の精神に沿うように努力してもらいたいというのが僕の願いなんです。というのは、たとえば少しでもいいから利回りをよくして、その分だけ還元できたらどんなによいだろうかということを思うから、せっかく法律ができた以上、法律の精神を百パーセント順守するように努力してもらいたい。この点ひとつ大臣、心に銘記していただきたいと思います。
#86
○国務大臣(小沢久太郎君) その点につきましては、われわれのほうも十分留意いたしまして、利回りをよくするということが法律を作りましたもとでございますから、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
#87
○鈴木強君 その点よろしくお願いいたします。
 私もまだ少し質問がありますけれども、同僚の須藤委員も質問があるようでありますから、もう一、二にとどめたいと思います。
 一つは、家族保険の制度が発足をいたしまして、たいへん御苦労いただいておるようです。家族保険の募集については、かなり工夫をこらして地方郵政局のほうでも努力していただいておるようですが、一体、これは田中さん、当初国会でこの程度の加入が予想されますというデータをたしか国会にお出しになったと思うのですよ。ことしはどの程度募集できるかという見通しについて、ちょっと私資料を会館のほうに置いてきちゃって持ってこなかったから、その当初の予定目標から見て、家族保険というものはどういう成果を納めているか、この点をまず伺いたい。予想以上に募集され、加入していますか。
#88
○政府委員(田中鎭雄君) 家族保険の実績をまず申し上げますが、創設以来、三十八年三月末まで、三年十カ月たっております。この新契約募集の実績は、件数で六十五万八千件余り、保険料で五億七千二百七十万円、保険金で千百八十五億。これは、簡易保険の新契約全般に対する割合を見て参りますと、件数では六・一%、それから保険料で七・六%、保険金で九・三%、こういう実績でございます。それで、年間の目標を立てる場合、たとえば第一回の保険料二十四億と立てますと、そのうち二十二億というのが普通の保険、家族保険が二億、こういうような立て方をしております。
#89
○鈴木強君 当初創設の際に考えておったような成果をおさめて、順調に発展をしておる、こういうふうに理解をしていいものか、多少当初考えたよりも、加入の率、発達の率が鈍化しているのか、そういう点については、大ざっぱでいいですけれどもね、どういうふうに理解していいんですか。
#90
○政府委員(田中鎭雄君) 家族保険全般について申しますと、当初期待していたほどの実績は従来上がっておりません。本奨励年度は大体年度の募集目標は達成いたしましたので、その後、現在もそうですが、八月末まで家族保険に重点を置いてやっていく、こういう方針でただいま運動を実施中でございます。
#91
○鈴木強君 まあ、当初のお考えのようになかなかいかないということですが、これは、私たちも法案審議の際にも申し上げたことなんですけれども、なかなか苦心が要ると思うのですよ。ですから、そういうなかなか加入してもらえないという原因は、一体郵政省のPRが不足しておったものか、それとも、その制度に対する理解というか、それよりも年金のほうがいいとか、普通の養老保険がいいとか、そういうことで家族保険に入らないのか、そういう点はどういうふうに分析されておりますか。そして、その対策はどうやっておられますか。
#92
○政府委員(田中鎭雄君) 家族保険は、なかなか普通の保険よりも内容が複雑でございまして、一般の国民のこれに対する理解を深めるということがちょっとむずかしいということで、まず、普通の保険でとにかく募集目標を達成してしまおう、その中にもちろん家族保険もまじっておりますが、どうしても傾向としてはそういうようないき方になりますので、実績がどうも思わしくない、こういうふうに考えております。
#93
○鈴木強君 対策は。
#94
○政府委員(田中鎭雄君) 対策といたしましては、家族保険というものが簡保制度の性格にも非常にマッチしているんだということで、郵便局方面に対する指導啓発、それから一般のPR、そういう方面に努めますとともに、とにかく募集目標達成後の現在は、全力をあげて家族保険に向かってもらいたいということで、強力な運動を展開中でございます。
#95
○鈴木強君 これは私は、特に最近の簡易保険が、民保との競争関係にもなってくるし、それから何回か出て参りまする三十八年度以降の集中満期でも、三十八年度は九百七億、三十九年度は千六百十三億と、二千億になんなんとする支払いをしなければならぬような状態になってきている。そして四十年には千二百二十三億、それが四十五年までには毎年大体千億程度必要になってくるのですから、そういう面からの資金全体としての運用、これは相当私は困難が出てくると思うのですね。その利回りの点についても、なかなか現状のような状態だと、今の程度でいくことはできないと思うので、それだけに、募集する側の人たちの苦労というものも、私は想像に余りがあるのですね。そこで、いろいろこの募集については、地方のほうに行ってみると、仕事を終えてから、夜わざわざ行って話をして募集をしたり、自発的にいろいろ苦労して工夫をこらしてやっているようですよ。たいへんな苦労をして目標額を達成している。私はそういうような実情を見ているだけに、たとえば、努力をして募集をしていただく人たちの手当なんかの問題についても、一体どういうような支給をしているのか、よく私はわかりませんけれども、保険手当の支給率の改正ということは、これは労働組合との間の団体交渉できめるのですか。今の支給率というのは、いつきめて、どの程度やっているんですか。そしてこれはどういうように将来直していこうとするのか、おわかりですか。
#96
○政府委員(田中鎭雄君) この募集手当の支給率につきましては、これは団体交渉で決定される事項でございます。三十七年四年一日に改正になりまして、これは普通局と特定局と率を変えております。普通局は、保険料に対する四割、第一回保険料の四割、それから特定局は八割五分、そのほかに保険金手当がございまして、これは普通局、特定局区別はございませんで、保険金の千分の一、これは十年満期養老のものは千分の一、その他は千分の三、これにつきまして、現在改正するとか、したいとかという問題は出ておりません。
#97
○鈴木強君 これは、普通局の手当がばかに悪いですね。僕は特定局が多いとは言いませんよ。普通局の場合が四割、特定局の場合が八割五分というのは、どういう理屈かわからぬが、しかし私は、これは団体交渉事項だそうですから、ここでは言いません。その点は、募集手当についても、できるだけ第一線で苦労する人たちの立場を考えてやっていただきたい。そして、団体交渉でおきめになるのですから、労使間でよく話し合いをして、そういう面からも、これの奨励に拍車をかけるような態勢に、ぜひ協力していただけるように、それをせぬからといってやらぬこともないでしょうけれども、人間ですから、なお労苦に報いる道があれば、またがんばる気持が持てるわけですから、そういうような趣旨においてやっていただくことを希望を申し述べておきます。内容については触れません。団交であれば触れません。
 それからもう一つ。今、簡易保険法第五十四条によると、保険金を受領しない人に対しての時効は五年間になっていると思うのですが、この前も私は委員会でだいぶ、未払い保険金の額、それからそれに対する対策等について善処方を強く郵政省にお願いしておきましたが、その後いろんな機会をとらえて周知宣伝に努めて、気がつかないで満期になった保険金を取らないでおるようなことのないように、窓口掲示その他、集金される方々が努力されておると思うのですが、念のためにお聞きしたいのですが、なお今日幾らの未払い保険金というものが残っておりますでしょうか。そして従来よりどういうふうに努力をされておるか、具体的に何かあったら教えてもらいたいと思います。
#98
○政府委員(田中鎭雄君) 保険金の支払い未済となっております契約につきましては、その請求を促進させるために、いろいろの方法を講じております。郵便局の窓口等への周知、あるいは放送、NHKの放送でございますが、さらには市町村の広報掲載といったような方法をとって、いろいろ周知をはかっております。現在、三十六年の三月末の調査の結果でございますが、大体件数にして百二十万件ぐらいあるのじゃないか。それから金額で三億三千万、一件当たり二百七十四円になります。それから、すでに支払いの時期が来まして、支払通知書を発送いたしましたのに取りに来ないといったようなものが五万二千件余りございます。これに対する措置でございますが、大体こういった契約は、保険金額千円以下のいわゆる少額契約でございまして、これはだいぶ前、法律改正の結果、集金停止ということになっておりますので、なかなか、満期になった場合に郵便局方面でもわからないといったような点がございます。それで、なかなかこういった件数は残っておるのではないかと思うのでありますが、こういうものにつきましては、私どものほうの会計法上は発生主義をとっておりませんので、時効によって消滅させるような措置をとられたものはあまりないのじゃないか。相当年数たっておっても、わかって請求があれば支払うというような建前になっております。
#99
○鈴木強君 これは、原簿が郵政局にあるわけですね、簡易保険局に。ですから、確かにたいへんな仕事だと思いますけれども、従来のやつは、これは戦時、戦中、戦前のやつもあるでしょうし、額が非常に少ない昔のやつなんか、ついどうなったかわからないというやつもあるかもしれませんけれども、最近、民間生命保険なんか、多少入っておりましても、満期になると、集金の人が、お宅のやつは満期になりますよと言ってくれる。それから社のほうからも通知が来ます。お宅のやつは満期になるから請求して下さいという通知が来ます。そこらは、やっぱり民保らしい一つのサービスをしていると思う。ですから、従来の三億三千万円、百二十万件、こういうものについては、なかなかそれを確かめることはむずかしいと思いますけれども、今後の私は満期に対する措置として、郵政省が何がしか、人の問題とかいろいろあるでしょうけれども、にわかにこうせい、ああせいといってもできないと思いますけれども、少なくとも民保にならうようなサービスというものを私はしてもいいのじゃないかと思う。ですから、そういうふうなことは具体的に今おやりになっていないのですか。おやりになっていないとすれば、将来そういう方法をやろうとする意思があるかどうか。これをひとつ伺っておきたいのです。
#100
○政府委員(田中鎭雄君) 最近の契約につきましては、満期になればほとんど郵便局でもわかるわけでございまして、そういう場合には、保険金を局員が持ってその加入者のお宅まで伺って、お宅のこれは満期になりました、ということで保険金を置いてくるというような措置を講じております。
#101
○鈴木強君 それから、総括的に今まであなたのほうで運用した簡保年金の資金の中で、不幸にして焦げついたとか、返済できなかったとか、そういう金はございましたか。あったら幾らあったか。なければないと……。
#102
○政府委員(田中鎭雄君) 運用した金の行き先でございますか。
#103
○鈴木強君 貸し付けたり何かして返ってこないというような、焦げついたとか、貸し倒れになったりする、そういうものはないのですか。
#104
○政府委員(田中鎭雄君) 戦前の大きなものとしては、在外資産といったようなものは、これはございますが、個々の契約につきましては、たとえば契約者貸付の弁済がなされないというようなことは、これは当然それには担保がついておりまするから実害はないわけでございます。
#105
○鈴木強君 実害はないけれども、具体的に契約者が、自分のかけた金の中から何がしか金に困って借りた、ところが返せなくなって失効してしまう場合もあるでしょうし、どうなったか、うやむやになって、しかしかけた金があるから、それを担保で、見合いで損はしないようになっているけれども、そういうのがかなりあるのじゃないですか。そういうケースはつかんでおりませんか。
#106
○政府委員(田中鎭雄君) ちょっと今のケースについてはわかりかねます。
#107
○鈴木強君 じゃ、後ほどそれは教えて下さい。
 最後の質問ですが、簡易保険と郵便年金の福祉事業団が発足をしてすでに一年近くなると思うのですけれども、私はこのことについて伺います。
 今度の予算の中でも、福祉事業団に対する六億二千百万円ですか、の出資金、五億六千六百万円の交付金を出しているようですが、この事業団は、法律に基づく特殊事業団でありますが、私たちは国会で審議をいたしまして、大体どういう性格か、どういう運営をするか、わかっておりますが、まだ日も浅いし、いろんな点で、この成果がどうなっておるかということはおわかりにならないと思いますが、まず大臣にお伺いしますけれども、事業団法第二十三条によりまずと、当該年度終了後三カ月以内に、毎事業年度の財産目録、貸借対照表、損益計算書を作成し、これを郵政大臣に提出して承認を受けなければならないということに規定されておるのだが、三十七年度のこの報告書は、まだ三カ月以内ですね、これは出てきましたか。出てこなければ、どんなふうになっておりますか。
#108
○国務大臣(小沢久太郎君) 事業団の決算につきましては、まだ集計ができておりません。
#109
○鈴木強君 三カ月以内というと、いつまでですか。
#110
○政府委員(田中鎭雄君) 六月末でございます。
#111
○鈴木強君 今度六億と五億、十一億八千万円、約十二億近い出資金や交付金をしておるのだが、一体一年間に、事業団が設けられて、簡易保険の発展のために、あるいは郵便年金の発展のために、どういう成果をおさめたか、それはわかりますか。この金を融資するに対して、融資というか、出資し、あるいは交付金を出す場合、一体成果の測定なくしては、新しくこういう十二億近い金を出しているとは思わない。一体、法律の精神に基づいて、事業団は一つの目的を達成しておると思うのですね。だから、それを算定するのには、経営の内容についても多少はタッチしていないのですか。三カ月以内だからまだ報告が来ていない、間に合わぬということでいいのですか。
#112
○政府委員(田中鎭雄君) 事業団の事業遂行にあたりましては、大体大きなことは常に私どものほうに連絡がございまして、一々協議をいたしております。昨年事業団が発足いたしまして、何分にも、初年度のことでありますので、事業団内部の体制を整えるいろいろの法規の制定といったようなこともありまして、現実の仕事といたしましては、これは、こちらの政府出資と申しますか、事業団が発足前にすでに計画が決定しておったようなものもございますが、大体昨年五月に和倉の加入者ホームができたわけであります。これは第四次の加入者ホーム、それから現在工事中の施設といたしましては、第五次ホーム、これは白石でございますが、第六、白浜、第七次、柏崎、第八次皆生、これが現在工事進行中でございます。それから、保養センターとしては、第一次の有馬、それから第三次の伊野、これが現在進行中でございます。そのほかに土地買収を折衝しているものもあります。それからこちらの政府出資の第一次から第三次の加入者ホーム、これの管理あるいは診療所の管理、さらには昨年は診療船の建造といったようなことがおもな事業でございます。
#113
○鈴木強君 田中さん、こういうことばかりでなしに、私たちは、この事業団が発足する際に、かりに一つの資本金を見ましても、政府出資、これが四億三千七、八百万あるわけです、資本金は、当時。ゆくゆくは七億何がしか、もっとこれ以上の金額を出資をして事業団を作ろうということで大蔵省と折衝したはずです。ところが、途中で四億何がしにされて、細々ながら発足したわけです。そういうことをわれわれは知っておりますから、だから、せっかく作っても、事業団として、郵政省がやる以上にいいサービスを加入者に与えて、こういう面から、簡易保険、郵便年金のさらに効果的な発展を期していこう、こういう目的であった。郵政省がおやりになって足りるなら、何も事業団を作る必要はないから。よりいいサービスを提供するということで作られた事業団が、しょっぱなから出資金の問題でけちをつけられた。だからわれわれは、一年間たいへんな御苦労をしているのだろうという気持を持っているわけですが、それで、事業団の使命たるや、被保険者福祉施設、巡回診療とか、簡易保険・郵便年金加入者ホームとか、いろいろの仕事をやることになっている。こういう問題がはたして一年間の間に皆さんが期待していたような工合にいっているかどうかということは、われわれは大いに関心を持っているのですよ。しかも、今度の交付金五億六千六百万円についても、そういう事業団の内容を知っていれば知っているだけに、もっと出してもいいでしょうし、一体、一年間の経営実績がどうなっておるか、そういう点を、法律に基づいて、三ヵ月以内に出せばいいことになっているが、より積極的にあなたのほうでそういう点も緊密に連繋をとって、できれば、どういう点に今事業団の悩みがあるとか、こういう点をこうしてやらなければ、本来の目的を達成するために事業団の成果が上がらないとか、そういう批判検討を加えて、いい意味における発展を期するようにめんどうを見てやらなければうそだ。私は、そういう場合に、事業団はどうやっているのかという気がするからあえて質問をしたのです。この五億何ぼの金について、いろいろな施設を拡充するのに必要だと思いますが、実際半分くらいの資本金で発足して、それで十分成果が上がると思っているのですか。もう少し国会に対して責任のある説明ができるような工合にしておいていただきたかった。一体うまくいっているのですか。
#114
○政府委員(田中鎭雄君) 確かに、御指摘のとおり、事業団は、発足当初建設予算も削減され、それから三十八年度の予算におきましても、残念ながら当初の計画どおりの予算は認められなかったわけでございます。われわれとしては、せっかく事業団ができたのでありますから、事業団の発足の初期のうちに施設をできるだけ拡充して、加入者の要望にこたえるということが一番大事じゃないかという考え方で努力をいたしておったのでございます。事業団に対する出資金、交付金のワクは、それでは幾らかというような点も検討いたしまして、福祉施設に回せる金は、大体年間収入保険料の一%と、これが戦前の実績でもあり、まあいろいろの角度から検討した場合に、大体適当であろうというようなことで、そうしますと、大体今年度は十七億になる予定でございますが、そういう考え方に立って予算を組んだわけでございますが、現実にはそこまでいかなかったので、こういったことが毎年々々先細りでは、ほんとうに事業団設立の意義というものが失われるおそれもあるのではないかということで、一つの方法としては、事業団法を改正して、簡保の資金をそれに貸し付けるということも一つの方法ではないかというような意見も出ておるような状態でございまして、何とかして事業団が早いうちに施設を拡充して加入者の要望にこたえるという考え方で努力をしておるのでございます。
#115
○鈴木強君 これは大臣、あなたの御就任前だと思います、たしか御就任前でしょう。ですからそのいきさつは、今申し上げましたようないきさつがありまして、せっかく作ったのだけれども、その事業団がなかなか回転がにぶるだろうと私は思うのです。ですから、何とか活を入れる、油を差して本来の目的を達するように、まあ、できた以上は政府の施策よろしきを得ることだと思いますから、ぜひひとつ、従来もやっていただいておると思いますけれども、なお、事業団の育成強化については力を入れていただくように、そして全体として目的を達成するように、私はいい意味における指導をしていただきたいと思うのです。
 それから、たいへん恐縮ですけれども、そういう意味で、私たちも関心を持っていますから、事業団からいずれ財政諸表の報告があるだろうと思いますから、それについては、われわれにもひとつぜひ参考のために見せていただきたいと思いますが、これは間違いなく、後ほどあなたのところに提出されたときに、その写していいですから、見せてもらいたいと思います。ひとつ大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
#116
○国務大臣(小沢久太郎君) 事業団は、発足いたしましてからまだようやく一年というような状態でありまして、まあ、われわれといたしましては、なるべく早く軌道に乗るように、そして、事業団の所期の目的を早く達成するようにしたいと思っております。それにはいろいろな問題点がございます。その問題点につきましては、一つ一つ解決していきたいと思っております。
 それから、先ほどおっしゃいました財務諸表でございますが、それは三月でございますから、いずれもうわれわれのほうに出てくると思います。それは整理いたしましてお目にかけたいと思っております。
#117
○鈴木強君 それでは私はこれで終わります。
#118
○須藤五郎君 もう時間もだいぶたちましたから、私は少し質問をしたいと思っております。
 まず最初にお尋ねしたい点は、ここに積立金というのは、積立金総額八千八百二十九億円のことなのか。それとも資金運用部預託払戻金、つまり運用原資の中の新規編入積立金のことなのか、どちらですか。
#119
○政府委員(田中鎭雄君) 積立金と申しまするのは、余裕金として預け入れたものが翌年度になって積立金となりわれわれのほうの管理に戻ってくる、その積立金の総額でございます。それから、その積立金となったものでも、まだ資金運用部のほうに預託されておるというものも若干残っておるわけでございます。
#120
○須藤五郎君 そうすると、積立金の総額はどれだけなんですか。
#121
○政府委員(田中鎭雄君) このお手元の参考資料には、三十八年の三月末の状況が出ておりますが、この十八。ページの八千八百二十九億、これが積立金の総額でございます。
#122
○須藤五郎君 積立金総額は八千八百二十九億というのですから、これの百分の五を電力債に投資するということなんですね。そうしますと、四百四十億ぐらいになると思うのですが、現在電力債の発行現存額は四千七百二十九億円ですから、その約一割に当たるものを買うということになると思うのですが、それに間違いないですか。
#123
○政府委員(田中鎭雄君) 百分の五満ぱいということになればそのとおりでございます。
#124
○須藤五郎君 それはどういうことなんですか。もっと具体的に説明して下さい。
#125
○政府委員(田中鎭雄君) 百分の五は、これは電力債保有の最高の限度を規定したわけでございまするから、必ずしも今直ちに百分の五の電力債に到達するかどうかという点は将来の問題でございまして、百分の五のこの制限額一ぱいに電力債を保有したということになりますれば、この三十八年の三月末における積立金総額の百分の五という計算から見れば四百四十億ということになるわけでございます。ただ、この積立金の額は年々増加いたして参りまするから、百分の五と申しましても、絶対額は変化していくということになります。
#126
○須藤五郎君 年々積立金が増加してくるから、百分の五といっているけれども、絶対数は四百四十億というのではなしに、年々増加するものであるということが一点、それからそれを百分の五全部直ちに買うわけでもないからと、こういうことなんですか。
#127
○政府委員(田中鎭雄君) そのとおりでございます。
#128
○須藤五郎君 では、この電力債は新規発行債を買うのか、そして、それはどこから買うことになりますか。
#129
○政府委員(田中鎭雄君) 現在私どものほうで考えておるのは、日銀が買いオペで持っておりまする既発の電力債をわれわれのほうでまた買い入れる、こういう方法を考えております。
#130
○須藤五郎君 それでは日銀の保有している電力債を買う、電力会社から直接買うのではなく日銀の持っているものをこちらが買う、こういうことですね。それともう一つ伺いたいのは、今買う額というものはどのくらいを予定しているのですか。
#131
○政府委員(田中鎭雄君) 日銀の持っているものを私どもで買う、それから額は百億から百五十億程度の線できめたい、こういうふうに考えております。
#132
○須藤五郎君 そうすると、百分の五を買えるのだから、百億前後ではまだ買う余裕が相当残ると思うのですが、その場合は日銀以外からも買うことになるのですか、どうですか。
#133
○政府委員(田中鎭雄君) この百億乃至百五十億と申しますのは、現在私どものほうのこれは短期の方法でございまするから、短期融資の資金繰りの面から、その程度のところで、余裕がないわけであります。ですから、百億ないし百五十億買えばそれで一ぱい一ぱいで、日銀以外から買うということはございません。
#134
○須藤五郎君 この電力債は買っただけで、期限一ぱいとにかく持っているのか、それとも途中で値段が出たり、また下がるおそれがあるような場合は、それを売り渡すことも考えておるのか、どちらなんですか。
#135
○政府委員(田中鎭雄君) 私どものほうとしては、長期に、大体電力債は七年ものでございますが、七年間ずっと持っておるということにして、一定の利回りというものを確保したいという点が希望でございますが、差し向きは短期の買い入れというほかに道がございませんので、まあ将来は一定の――短期はこれは一年内に限定されておりまするので、年度を越えれば、また資金の模様を見てそれをころがしていくというような方法にならざるを得ぬと思います。
#136
○須藤五郎君 ころばしていくということは、私はしろうとで意味がわからないのですが、どういうことなのですか。
#137
○政府委員(田中鎭雄君) 売ってまたすぐ買う、形式的には売ってまた買うのだということで、実質的には続けて持っているような形をとるということでございます。
#138
○須藤五郎君 それじゃ、その買うたものを、絶対売らずに期限一ぱい持っているということではなく、その途中で売ったり買ったりもする、こういうふうに理解していいですか。
#139
○政府委員(田中鎭雄君) 今回まず始める短期資金による電力債、買い入れた電力債は将来は売って――売ってと申しますか、売るということは十分考えられます。ですから売ったり、買ったりということも十分将来あり得ることであると、こういうように考えております。
#140
○須藤五郎君 売ったり買ったりする場合をもっと具体的に言って下さい。どういう場合に売るのか、どういう場合に買うのか。
#141
○政府委員(田中鎭雄君) 現在の考えは、日銀の持っている、いわゆる日銀の買いオペで日銀が持っているものをこっちは肩がわりするような形でございますので、まあ将来日銀が売りオペというようなことになれば、それにならって売るということも一つの考え方でありましょうし、それから短期の資金が来年度になって逼迫したというような場合には、これを売って短期資金の補充に充てるということもやらなければならない、そういう時期が来るということも予想できるかと思います。
#142
○須藤五郎君 そうすると、現在は日銀の買いオペに協力する、歩調を合わして協力する、こういうことなんですね。
#143
○政府委員(田中鎭雄君) 結果的にはそういうことになるかと思います。
#144
○須藤五郎君 それじゃ、あなたは、今売ることもできる、買うこともできる、売り買いも途中でできるのだという、それじゃ、売ることもできるなら、買ったものをもう一度日銀に売ることもできるのですか、どうですか。
#145
○政府委員(田中鎭雄君) それは日銀との話し合いでできることでございます。
#146
○須藤五郎君 それじゃますます日銀の政策に簡易保険も加わった、こういうことになると思うのですが、大蔵省側が今度賛成したのは、こういうことがあるからではないでしょうか。
#147
○政府委員(田中鎭雄君) 大蔵側も日銀の政策に全く順応するということはどうかと思いますが、日銀の持っておるものを買い入れるようにするということは、大蔵省も要望いたしておりました。われわれのほうといたしましては、一般の証券市場から買い入れる方法もあるわけでございますが、特に証券市場から買わなければならないと、日銀から買うのは困るというほどの理由もございませんし、短期資金による買い入れということは、現在の時点においては、われわれとしては、資金その他の面からやむを得ないということで、そういう方法をとることにしたわけでございます。
#148
○須藤五郎君 日銀から今度百五十億ですか、買うということになると、日銀にそれだけの資金に余裕ができるということになると思うのですね。日銀の資金に余裕が百五十億ふえるということになる。したがって、その分だけほかに運用することができるということになると思うのです。だから、その分だけ政府の金融政策に役立つということは間違いないと思うのですが、これをお認めになりますか。
#149
○政府委員(田中鎭雄君) 私どもの立場といたしましては、その金がどういうふうになるか、全般の金融政策の上からどうなるかという点、そこまで考えてやったことではございませんで、まあいずれにしろ、われわれのほうとしては電力債を買い入れるという点に重点を置いたわけでございます。
#150
○須藤五郎君 しかし、その相手は日銀でしょう。日銀が唯一の相手なんです。だから結局、日銀を援助し日銀に協力するという結果的に言えばそうなるわけですね。そうすれば、日銀にそれだけの余裕ができる、政府にそれだけの余裕ができる、こういうことになるのじゃないですか。
#151
○政府委員(田中鎭雄君) そのわれわれの買い入れた金が日銀に入ることは事実でございますので、その金は日銀がまたそれを適当に使うということはこれは当然の成り行きでございます。日銀がそれをどういうふうに使うか、その他については、われわれとしてはあまり立ち入った関係はないわけでありますが、とにかくその金が日銀にいくということは当然の事実でございます。
#152
○須藤五郎君 今度の法改正で運用益はどのぐらい出るのですか。
#153
○政府委員(田中鎭雄君) 百億買ったといたしますと、これは電力債は七分四厘でございます。今われわれのこれに充てる金というものは遊んでいる金ではないのでございまして、短期国債に回しておる金でございますが、それが大体六分程度でございまするから、その差額の一億四千万ですか、それが一応の利益ということが言えるわけです。
#154
○須藤五郎君 今度百五十億買うのでしょう。今度はだからもっと大きいでしょう。
#155
○政府委員(田中鎭雄君) 今百億で計算いたしましたが、百五十億でしたら七億程度になるわけであります。
#156
○須藤五郎君 それは局長、違うのです。二億くらいじゃないですか。
#157
○政府委員(田中鎭雄君) 間違えました。二億一千万でございます。
#158
○須藤五郎君 そうすると、その運用益は一体何に回すのか。負担の軽減ということを言っておりますが、掛金を下げるほうにその金は回すのか、どこに回すのか。また、福祉の増進と言っておるが、どういうことに使われるのか。
#159
○政府委員(田中鎭雄君) 今百億なり百五十億なりを回して二億余りの収益が上がった、これだけではもうほんの微々たる金額でございまして、直ちに配当をふやすとかというようなことは問題にならないわけでございます。私どものほうとしては、これを積み重ねていきまして、剰余金の額を増加していくというようなことで、近い将来に配当に踏み切ろうという考えでございまして、そのためにはいわゆる短期融資に限定することなく、長期に電力債を保有するということも当然考えなければならないことでありますし、それからその額も、こういった電力債に限らず、債券部門に資金の運用額をふやしていく、より有利なものに回すというような方法を講じまして、一定の分配準備金と申しまするか、剰余金の配当に踏み切り得るような経理内容に持っていきたい。今回の電力債に出たということはそれの大きなささえになる、こういうふうに考えておるわけであります。
#160
○須藤五郎君 現在は百五十億だからだけれども、四百何十億というものを全部買う、また、将来もだんだん積立金がふえてくるから、四百億といわずに五百億でも買うことになってくると思うのです。そうすると、それが相当の金額になっていくと思うのです。だから、それはやはり加入者に還元するという方法を立てるべきじゃないか。掛金のほうを軽減するという方向にそれを持っていくべき性質のものじゃないかと思うのです。きょうもらったこの資料によりますと、十年満期養老年金で十年間かけて、そうして十年間にわずか三千八百円しかその利回りがつかぬ、差引利益金がそれだけしかない。十年間に大体一割三分八厘ですか、そうすると一年にすれば微々たる利率ですね。そういう安い金をあなたたちは集めて、そうしてそういうことをして、金をもうけていくわけなんですから、もっとこういう人たちの利益のためにこの金を回すようにしていかなければいけないのじゃないか、こう思うのです。
 ついでに伺っておきますが、今福祉の増進ということがうたわれておりますが、どういう福祉施設をやっていくか、この際伺っておきたいと思います。
#161
○政府委員(田中鎭雄君) 福祉施設は、昨年できました事業団のほうでやっておるわけでございますが、私どものほうともちろん密接な関係を持つ郵政省で監督しておるわけでございます。で、この福祉施設の中には、いわゆる老人ホーム、これは老人福祉施設でございますが、これが現在四カ所ございます。診療施設、いわゆる簡易保険診療所でございますが、これが全国に二十九カ所ございます。それからそのほかに診療船といったようなもの、あるいは診療自動車というようなものが付属しておるわけでございます。それから短期のいわゆるレクリエーション目的の保養センター、これはまだ完成したものはありませんが、近く完成し、また工事中のもの、それが現在六カ所ございます。以上がおもな福祉施設でございますが、まあ将来、老人病対策といたしまして、成人病センターとか、あるいは加入者の会館というようなものも考えておるところでございます。
#162
○須藤五郎君 今簡易保険全体からあがる利益ですね、それは年どのくらいになっているんですか。
#163
○政府委員(田中鎭雄君) 収入保険料は千七百億でございます。三十七年度の決算、これは大体終了いたしましたが、これによりますと、歳入総額は二千二百十四億でございます。歳出総額が九百五億、結局、差引歳入超過額が千三百億程度になるわけでございます。これは将来の保険金支払いのための責任準備金とか、あるいは剰余金分配のための分配準備金というものに積み立てる一わけでございまして、結局そういったものを引いた残りが純粋の剰余金、こういうことになるかと思います。
#164
○須藤五郎君 年に千何百億という金がとにかく収益としてある。それに比べて今の福祉施設なんというのは実に微々たるものじゃないですか。もっといわゆる福祉施設を大きく拡充すべき性質のものじゃないでしょうか。
#165
○政府委員(田中鎭雄君) 福祉施設に回すべき金、これは保険契約の契約内容にはなっておらないで、一種の剰余金の分配というふうに考えられるわけでございます。それで戦前の実績その他を見てみますると、大体年間の収入保険料の一%というのが実績でございます。私どもとしても、この一%をめどとして毎年の予算を組むというふうにやっておるわけでございます。
#166
○須藤五郎君 剰余金はどのくらいあるのですか。
#167
○政府委員(田中鎭雄君) 三十六年度末で、繰り越し剰余金が百五十億ございます。三十七年度は目下計算中でございまして、これはなかなか保険数理のほうで複雑な計算がございますものですから、ちょっとおくれておりますが、三十七年度も、実績というのはまだはっきりした数字は出ておりません。
#168
○須藤五郎君 百五十億も預金があれば、僕はもっとしっかりした福祉施設ができると思いますよ。今聞いただけでは、とても貧弱だと思うのですよ。だから、もっと拡充すべきだと思いますが。
#169
○政府委員(田中鎭雄君) 福祉施設に金を回すということは、やはり保険の予算の歳出に立てなければ出せないわけでございまして、結局、その予算の制約を受ける、事業団に対する出資金としての制約を受けるわけでございます。で、この百五十億の繰り越し剰余、これは将来加入者に分配するための剰余金といいますか、金でございまして、これがある一定の額に到達すれば、分配を実施して加入者の負担の軽減をはかることができる、こういうふうに考えております。
#170
○須藤五郎君 先ほど、相当な運用益が今度だけでも出る可能性があるわけですが、運用益が出てくるならば、契約者貸付をもっとふやすという意思はないのですか。
#171
○政府委員(田中鎭雄君) 契約者貸付は、もうこれは加入者の権利でございますので、申し出があれば必ずお貸しするということで、毎年運用計画としては百四十億計上しておりますが、大体実績よりややオーバーしておるだけでございまして、契約者貸付について契約者に迷惑をかけるという心配はございません。
#172
○須藤五郎君 契約者貸付は、この資料によると百四十億となってると思うのです。これは何ですか、希望者さえあれば百四十億オーバーしても無制限に貸すのですか。何で百四十億という数がここに出ておるのか。これは制限をしておるのか、それともこれだけしか借り手がないという意味ですか。
#173
○政府委員(田中鎭雄君) これは数年来の実績で計上したわけでございます。それをオーバーして借り手があるということではないということであります。
#174
○須藤五郎君 これは利子は六分五厘で貸すわけですか。
#175
○政府委員(田中鎭雄君) 六分でございます。
#176
○須藤五郎君 何かこういう点では、もっと金融で困ってる人がたくさんあるわけですが、だからもっと借りる人が出てきそうなもんだと思うのですが、貸付の条件、どういう条件なのか、過酷な条件があるから借りる人が少ないという結果になっておるのと違うのか。
#177
○政府委員(田中鎭雄君) これは特に、借りたいけれども条件がうるさくて借りられないというような条件はございません。郵便局の窓口に申し出れば、一定の額、これは額は個々人によって、契約の内容によって異なるわけでありますが、郵便局の窓口に申し出れば当然に貸し付けるということになっておるわけでございます。
#178
○須藤五郎君 重ねて聞きますが、そうすると、この百四十億という数字は、借り手がないから今こういう数字が出ておるので、借り手さえあればもっともっと増額すると、こういうことなんですか。僕は、六分で金が借りられれば、借りることを望んでおると思うのです。だから、担保のほうで、だれでも容易に借りられるように、可能な限り条件を緩和して、そうして、六分と言わず、加入者には十年で一割ぐらいの利子しかつけていないというような、こういう悪条件で返しているのですから、もっと加入者に金を貸す場合だって、利率を六分にしなくても、もっと下げることが可能ではないかと思うのです。だから、契約者貸付はもっと利率を下げて、そうして借り出しやすいようにすれば、私はみんなが喜んで金を借り出す、こういうふうになると思うのですが、それに対してどういうふうに……。
#179
○政府委員(田中鎭雄君) 契約者貸付は、一般の貸付と振替貸付――振替貸付というのは、保険料を払えないから借りてそれを保険料に振り向けるという制度でございます。いずれにいたしましても、貸付を受けるということになりますと、なかなか時期が来ても返済しない、借りっぱなしというようなことになりまして、その分は、将来保険金の支払いの際に、あるいは還付金支払いの際に、それから差し引くわけであります。そのために、せっかく保険に入られても、借りっぱなしというようなことで、保険の価値というものが全く消滅してしまうわけでございまして、そういう点で、一時の金融といいますか、金がほしいのだというようなこともあろうかと思いまするが、われわれとしては、まああまり奨励するというようなことはどうかと思っておるわけでございます。さればといって、そのために貸付を押えるというようなことをやっておるわけではございません。そういうような観点から、利率を下げて貸付を奨励するというようなことになりますと、せっかくの保険というものが何ら意味のないものに、価値のないものになってしまう、かえって契約者のためによい結果ではないというような考え方で、現在の利率を引き下げるというようなことは考えておらないわけでございます。
#180
○須藤五郎君 またあとで質問しますが、現在の状態では決して私は簡保というものが契約者にいい状態でないと思うのです。十年間預け切りで、そしてもらうときにはわずか年一分か、一分三厘か――そのくらいの利子しかつけないで、そうして返してもらうのだから、決していい条件ではないと思う。だから、もっと契約者にいい条件を私は考えなければいかぬ、こういうことで今そういう質問をしている。またあとで質問します。
 この際聞いておきたいことがありますが、簡保をなぜ五十万円ということで頭を押えておるのか。限度額を引き上げる必要があるのじゃないかと思うのですが、五十万円に押えておる根拠を説明してもらいたい。
#181
○政府委員(田中鎭雄君) 昨年の四月から五十万になったわけでございまして、これは無診査の保険でございまするので、まあ幾らでもふやすというようなことになりますると、逆選択というようなことで、事業にとっても好ましくない。民間の無診査保険も五十万というようなことで、あるいは当時五十万にきめられたときは、簡保の本質的なものである、つまり遺族の補償のためとか、あるいは死亡の際の葬祭費とか、いろいろの観点から決定されたわけでございまして、それでは今五十万でいいかどうか、将来これを引き上げる必要があるかというような点でございまするが、まあ五十万では非常に低いという要望はかなり出ております。われわれのほうとしても、これを七十万か百万か、一応上げるとすれば百万がめどだと思いまするが、適当な時期に百万円に引き上げの方向に進むべきであるということで、目下検討中でございます。
#182
○須藤五郎君 戦前は簡保は最高どのくらいだったのですか。
#183
○政府委員(田中鎭雄君) 戦前の一番近いところと申しますると十九年でありますが、このときは二千円であります。
#184
○須藤五郎君 二千円から、物価指数でずっといくというと、二千かける四百か五百倍ということだと思うのですが、二千円の五百倍というとどれだけになるのですか、百万円ですか。それならば、昔と比べて五十万円というのが低過ぎるので、やはり百万円なり二百万円にこの際する必要があるのと違いますか。
#185
○政府委員(田中鎭雄君) 百万くらいがまあ保険金の価値から考えて当然だということも言えると思います。
#186
○須藤五郎君 そうすると、五十万円に押えているのは、民間の保険会社との関係もあって、それで五十万円にしておる、こういうことなんですか。
#187
○政府委員(田中鎭雄君) 民間との関係ももちろんございます。それから、昨年四月に五十万になったばかりでありまして、いろいろの経営面から見た、たとえば新契約の内容とか、そういう面から、今直ちに百万円の引き上げ案を出すということもどうかと、まあ百万の必要性は認められますが、いつこれに踏み切るかという点にまだ十分の検討資料が整わないというのが現状です。
#188
○須藤五郎君 百万円にしようという計画は今持っているんですか、どうですか。
#189
○政府委員(田中鎭雄君) 局内としては計画を持っております。
#190
○須藤五郎君 いつごろをめどにしているのですか。
#191
○政府委員(田中鎭雄君) まだいつ出すかという点についてはきめておりません。
#192
○須藤五郎君 政府はこの際限度額をやはり大幅に引き上げる、それから、前に質問しましたように、契約者貸付金をふやすということ、条件をよくするということ、そういうように内容を改善したら、私は簡易保険はまだまだ伸びると考えるのです。簡保の伸びが今伸び悩んでおるということを聞くわけですが、それは私が今申し上げましたようなことをしないから伸び悩むのではないだろうか。民間々々というふうに気がねをしないで、私の言うとおり、保険契約料をもっと大きくするとか、それから契約者に対する貸し出しをもっと利子を下げて貸し出すとか、条件を緩和するとかいう、いろんな、契約者に対してもっと便利なようにはかっていったら、私はもっと簡保はどんどん伸びるだろうと思う。こういうふうにやっていく方針を立ててみたらどうですか。どうですか、郵政大臣、そういうように簡保はいくべき性質のものじゃないでしょうか、性格上。
#193
○国務大臣(小沢久太郎君) 五十万円につきましては、先ほど田中局長から御説明のありましたように、去年実は三十万円から五十万円に上げたわけであります。われわれといたしましては、やはり五十万円は、昔の二千円に比較いたしまして、物価指数から計算して少し低いのではないかというふうに思っております。そこで、百万円にしようというように、いろいろ郵政省の中で研究しております。おりますけれども、何分昨年上げたばかりでありますから、すぐことしというわけにはいきませんけれども、なるべく早い機会にそうしたいというような考えを持っております。
 それから貸付につきましては、これは先ほども局長から申し上げましたように、制限しておるわけでございませんで、窓口に来ればいつでも貸し付けられるというふうな考えをとっておる次第でございまして、決してこれを押えておるというようなわけではない次第でございます。
#194
○須藤五郎君 これは郵政大臣に伺いたいのですがね、要するに、私たちも、自分らも経験したことだと思うのですよ、戦争前に。給料の中から労働者はつめに火をともすようにしてためた金を貯金したり、また簡易保険にも加入したと思うのですね。そうしてやっていったら、戦争でインプレーシランが起こって、そうして簡易保険の金なんというものはたばこ代にもならなくなってしまったわけなんですね。そういう条件が今後起こらないという保証は私はないと思うのですよ。早い話が、十年間簡保を積み立てて、それから受ける利子はわずか十年間で一割なんですから、一年にしたらごくわずかですね。ところが、池田さんのように、十年間所得倍増という所得倍増論から見ましても、十年たってそれだけの利子しかつけてもらえないとすれば、所得倍増と全く相反した結果がくると思う。これはすべて国民の大きな犠牲によって簡保の金を集めて、そうしてその金を独占につぎ込んで、独占を太らしてしまう。そうして国民が受け取るものはごくわずかだ、損するのは国民だという結果が生まれてくると思うのです。それは戦争のときに私たちそのことは経験したですね、経験した。もっと、逆に言えば、今大きな企業がここから三十年とか二十五年という長期の期限で金を借りますよ、それで事業をする、それからどんどん利潤を上げる、三十年たったときは借りたときの金の十分の一ぐらいになっちまう、返すのは非常に簡単ですよ。しかし、加入者は、十年たって物価が何倍になったといったって、何倍の金を、掛金を返してもらうわけじゃない。やっぱり十年前の貨幣価値でわれわれは計算されるわけです。そうなると、これから簡易保険で利益するのは、大きな金持、独占事業、そういうものだけがここから低金利の金を借りてどんどん事業を発展さして肥え太っていく。そして、それが肥え太ったときは、われわれ加入者はしょうもない金を十年たってもらう、こういうことになると思うのですよ。そういうことに対して、政府は責任を感じておるのですか、どうですか。
#195
○国務大臣(小沢久太郎君) これは保険の問題でありまして、たとえば不時の災難などがありました場合には払い戻すというようなことで、保険の根本問題でございます。それから、この原資といたしましては、公共事業に投資するとか、あるいは地方公共団体に投資する等といたしまして、われわれの生活に密接するところのいろいろの施設のもとになっておるわけでございまして、独占を太らせるというような部分ばかりじゃございません。われわれの生活の向上のために投資しているというようなわけでございます。
#196
○須藤五郎君 大臣、あなたは自分で経験したろうと思うのです。戦前保険をかけておった人は、みんなそういう経験をなめておるんですよ。非常にばかなことをした、つまらぬことをしたと言っておりますよ、みんな。それが国民に決してプラスにならなかったのです。社会保障にもなんにもならぬのですよ。社会保障の施設に振り向けるべき性質の社会保険が、国民からしぼり取って、そうしてその金を独占に集中して投入して、今でもそうじゃないですか、ずっと貸し出しているところを見れば、みんな大きな独占ですよ。そこに、低金利の金をみんなから借りて、そしてどんどん設備投資をやって、設備投資は、十年たってインフレになっても、それだけの値打があるのですよ。しかし、われわれの受ける金は、依然として今日の金で受け取っている。だから、貨幣価値は五倍にも十倍にもなったって、そうなればわれわれの受ける金は十分の一、五分の一になってしまうということになるのですよ。だから、みんな保険をかけた人は、ばかなことをした、つまらぬことをした、私自身もそう思いましたよ。こういうことが今後でも起こるわけですよ。だから、そういうことのないように、やはり社会保障なら社会保障らしくちゃんと考えていかなければならない。社会保障だという名前で、やはり私はこれは、人民の零細な金をかき集める、そして大金持ちのところにつぎ込んでいるやり方だと思うのですよ。何も社会保障、社会保障といばった筋合いのものと違うと思いますよ。ずいぶん金貸しもえげつないところです。
#197
○国務大臣(小沢久太郎君) われわれ戦争中に金をかけまして、そしてそれが今になればただみたいな金になったというわけでございまして、今後そういうことのないように、たとえばインフレーションなどが起きないように、政府としては施策を講じておる次第でございます。不幸戦争に負けたがためにそういうような事態になりましたことは、まことにわれわれといたしましても遺憾でございますが、今後インフレの起こらないような政策を打ち立てていきたいと考えておる次第でございます。
 この簡保の性質でございますけれども、これは何と申しましても、先ほど申し上げました、われわれといたしまして、いざという場合、不時の事故が起きました場合にかけました金が返るというような事態におきまして、そしてわれわれの生活の安定を守るというものでございます。それから、その原資にいたしましても、この集めた金は、先ほども申し上げましたように、いろいろのわれわれの社会に必要な、地方公共団体とか、あるいはそういうところに貸付を行ないまして、われわれの生活を安定させようというようなことに向けておる次第でございます。
#198
○須藤五郎君 それは、戦前と今日とを比べて、戦前がそうだったから、再び戦争のないように、インフレーションの起こらないようにとあなたはおっしゃっておりますけれども、今日でも、もうことしだけでも物価は七%上がっているんでしょう、そういう状況ですよ。だから、やはりそういうことに対して考えていかなければならない――簡保なんというものはそういうことを考えていかなければならぬ。前は二千円――二千円あれば、葬式も出せたし、それから墓地も買うこともできたし、石碑を建てることができたと思うのです。しかし、今日五十万円の金では、葬式を出して、墓地を買うて、石碑を建てるということは、もうこれできないですよ。それだけのことをできないのです、実際五十万円では。そういうふうに、もう今日でもずっとインフレーションが続いているわけです。ところが、金を借りるほうからいえば、もう独占はかき集めた零細な金をうんとこさと借りて、そして設備投資にかけているのですから、一向に損しないんですよ。そして、金を返す場合は、三十年たって返す場合は、前の何十分の一ぐらいの負担で済むという結果が出てくるわけですよ。だから、どう見ても、簡保というものは日本の独占を太らせるために使われておって、われわれ加入者の立場に立ってないと思うのです。だから、加入者の立場に立ってもっと考えなくちゃならぬことがあるのではないか、私はこれを言いたいのです。それは、社会福祉の施設をもっとどんどん拡充するとか、それから安い利子で加入者に金を貸すとか、それから利益をもっとたくさんにするとか。だって、今度の電力債でも七分四厘くらいの利回りで買うんでしょう。そうしたら、もっと加入者に対してそれを返すという方法で、もっと利益をよけい、利子をよけいつけるようにしたっていいじゃないですか。利子は実に安い、そして金をもうけることばかり考えている。そして、インフレーションが起こったときには、それに対して何ら責任をとらない、そういうことは一向考えてない、こういうことでは、私は加入者たる者は実にばかを見ると思う。全く独占を太らせるための保険だと思うのです。
#199
○国務大臣(小沢久太郎君) 今度電力債を買うことになるわけでございまして、これも加入者に対する利益を増進するというふうな意味からしているわけでございます。それから、福祉施設につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、いろいろの、老人ホームとか、あるいは育英センターとか、あるいは診療所等々を作って、加入者に対してお報いするというようなことをやっているわけでございます。私たちは、加入者の利便のために一生懸命やっているというようなことでございまして、独占を太らせるというような意思はございません。
 それから、先ほど申し上げました五十万円の件でございますけれども、これはやはり、ある程度たちましたら、百万円に引上げるのは当然じゃないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
#200
○須藤五郎君 最後に、私の質問時間が、委員長一時間でやめろと言うから、私一時間くらいたったからやめますが、最後に意見だけひとつ述べておきたいと思うのです。実際政府のほうで早急に百万円くらいにしようという意見を持っていらっしゃるようですから、その点はその点として済ましましても、しかし百万円かけようと思うと今日はたいへんなんですよ。五万円で十年で月四百四十円ですね。そうすると、五十万円で四千何百円ですよ。百万円というと月一万円かけにゃいかぬですね。月一万円の掛金のできる人というのはそういないです。しかもそれが、十年たって百万円もらっても、貨幣価値を考えたら、今一万円ふところから出すことの苦痛のほうが実際大きいです。今一万円ふところから出すことは苦痛です。十年たって百万円もらうときの喜びよりもずっと苦痛なんです。もっと掛金を私はやはり下げることを考えなきゃいかぬと思うのです。そして、簡易保険のほんとうの使命とするところをやはり完全にやっていってもらいたい。大体生命保険というのは、本来社会保障の私は一環だと思います。これは意見になりますが。だから、生命保険業は国がやるべきことで、民間の独占資本がやるべきものではないというのが私たちの考えです。これが私たちの建前なんです。そして、庶民の積み立てた金は庶民に返すこと、庶民が直接利益になるように使うべきだ、こういうふうに考えております。ところが、この本来の趣旨をゆがめて、庶民を犠牲にして政府の財政金融政策のプール資金に私は今までしてきたと思うのです。簡易保険は、今度は法改正をして日銀の買いオペレーション政策の対象にこれをしようと、こういう考えだと思うのです。こういうやり方をやめて、先ほど申しましたように、生命保険業を国営にすること、庶民の積立金を庶民のために使うという原則を貫く、こういうふうに私はやっていっていただきたい、こういうふうに私は政府に要望しまして、きょうのところは質問を終わります。
#201
○委員長(伊藤顕道君) 本案についての質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
 これにて散会いたします。
   午後四時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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