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1947/07/28 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会決算委員会連合審査会 第1号
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1947/07/28 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会決算委員会連合審査会 第1号

#1
第001回国会 労働委員会決算委員会連合審査会 第1号
昭和二十二年七月二十八日(月曜日)
    午後一時三十九分開議
 出席委員
   勞働委員長 加藤 勘十君
   理事 辻井民之助君 理事 山下 榮二君
   理事 川崎 秀二君 理事 橘  直治君
   理事 原   侑君 理事 三浦寅之助君
   理事 相馬 助治君
      荒畑 勝三君    菊川 忠雄君
      島上善五郎君    田中 稔男君
      館  俊三君    土井 直作君
      前田 種男君    山花 秀雄君
      小川 半次君    尾崎 末吉君
      小林 運美君    寺本  齋君
      橋本 金一君    松本 一郎君
      江崎 真澄君    小澤佐重喜君
      倉石 忠雄君    栗山長次郎君
      古島 義英君    河野 金昇君
   決算委員長 竹山祐太郎君
   理事 島村 一郎君
      片島  港君    戸叶 里子君
      西田 隆男君    冨田  照君
      水田三喜男君    齋藤  晃君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 米窪 滿亮君
 出席政府委員
        厚生事務官   吉武 惠市君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 勞働省設置法案(内閣提出)(第一二號)
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 それではこれから勞働委員會と決算委員會との連合審査會を開きます。
 議案の審査にはいるに先立ちまして、一言申し上げたいと存じます。勞働委員會に付託されました勞働省設置法案につきましては、決算委員會の所管のうち、行政機構に關する事項と關連をいたしますので、兩委員會で協議の結果、本日ここに連合審査會を開くことといたしたのであります。なお連合審査會の委員長の職務は、しばらく私がとることといたしますから、この點御了承願いたいと存じます。まず、本案について提案の説明を求めることといたします。米窪國務大臣
    ―――――――――――――
#3
○米窪國務大臣 勞働省設置法案の御審議をお願いするにあたりまして、同法案の提案理由を御説明申し上げたいと思います。
 勞働省の設置につきましては、諸外國にはすでに相當以前から勞働省の設置がございましたので、わが國においても、當然これはもつと早く設置されておらなければならなかつたのでございまするが、今日に至つたのでございまして、吉田内閣當時においても設置の考えはあつたのでございまするが、ついにその實現を見ずして、この片山内閣において初めてここにいよいよ設置することにきまりまして、この法案の提出をみるに至つたのでございます。
 この法案を皆さんに御審議を願ふ前に、内閣といたしましては、勞働省設置準備委員會というものを設けまして、關係官廳の官吏竝びに事業者側、勞働者側、その他の民間側の代表者から構成される委員によつて、愼重に勞働省の機構及びその目的等について審議をしたのでございます。この準備委員會の審議の結果を参考として、ここに提出したのが本法案でございます。
 勞働省設置の目的はこの法案第一條に明記いたしてある通り、勞働者の福祉と職業の確保とをはかつて、もつて經濟の與隆と國民生活の安定に寄與したいというのでございます。今日の日本の經濟状態は、私がくどくどここで皆さんに申し上げるまでもなく、資金の面において拘束著しいものがあり、また資材の面においてもようやく底をつくという状態でございまして、今日の日本の經濟の復興、生産の増強ということは、一にかかつて勞働の面からみた生産性の高揚ということが十分に達成されて、勤勞階級のもつておる勞働能率が百パーセントに發揮されなければ、とうてい今日の經濟界の危機は救われないということは、私が申し上げるまでもないと思うのでございます。しかしながらこういうぐあいに生産性の高揚と、勞働能力の發揮をわれわれが期待するためには、ここに強力なる勞働政策を實施しなければならないのでありまして、それがためには、勞働者の福祉と、職業の確保とをはかつて、勞働問題を圓滑に解決處理し、勞働者の生活を確保していくことが必要となつてくるのでございます。
わが國の今日の勞働政策として、あるいは勞働界の現状をみますると、御承知の通り、勞働組合法、勞働關係調整法、勞働基準法等、各種の立法がすでに行われまして、勞働組合運動の方もこれに對應して活發に發展はいたしておりまするが、經濟復興に關する積極的かつ自主的な勞働者の協力を促進すべきである。また勞働關係の健全な調整をしなければならぬ。あるいは勞働者の生活權の保障をもつと強化しなければならぬ。あるいは勞働者の失業對策等もしなければならぬというふうで、問題は山積しておる状態にあるのでございます。政府は、この際こういう現状に即しまして、獨立した勞働省と稱する省をつくることによつて、これらの重要かつ困難なる諸問題を、積極的に取上げてこれを解決していきたいと考えておるのでございます。
 こういう意味におきまして、勞働省をつくることにしたのでございまするが、しからば勞働大臣の所管する事務の範囲はどういうものであるかというと、お手もとに差上げた法案の第二條に書いてある通りでございまして、すなわち勞働組合、勞働關係の調整、勞働に關する啓蒙宣傳、勞働條件、あるいは勞働者災害補償、勞働者災害補償保險及び勞働者の「補護に關する事務、職業の」紹介、指導、補導、その他勞働需給の調整に關する事務、失業對策に關する事務、失業保險に關する事務、勞働統計調査に關する事務、その他、勞働に關する事務を一元的に所掌してまいるのであります。
 この際御参考に申し上げたいことは、船員勞働につきましては、あるいは理論的に言いますと、勞働者へこれを入れて、總括的にやつていくべきではないかという意見もあつたのでございますが、船員勞働の特種性に鑑みまして、また船員勞働は現在運輸省の海運總局でやつてきておる歴史的な事情等を考えまして、これを運輸省に設置することといたしました。但し一般勞働行政と船員勞働との調整統一連絡をはかる必要があるために、勞働省に船員勞働連絡會議――これは假稱でございますが、そういうものを置くことといたしたのでございます。
 勞働省に設置される部局につきましては、第三條、第四條にきめておりますが、大臣官房のほか、勞政局、勞働基準局、婦人少年局、職業安定局、勞働統計調査局の五局を設けたいと思つております。勞政局は、勞働組合法及び勞働關係調整法の施行に關する事務のほかに、勞働運動の健全なる發展のため勞働教育に關する事務等を掌るものでございます。勞働基準局におきましては、勞働基準法の施行事務のほかに、勞働者の災害補償保險、勞働者の福利厚生その他勞働條件及び勞働者の保護に關する事務を掌ることにいたしておるのでございます。婦人少年局、これは新たにできる局でございますが、この局の任務は婦人及び年少勞働者の特殊な勞働問題を所管するのほか、勞働者の家族問題に關する事項竝びに婦人の地位の向上、その他婦人問題の調査及び連絡調整に關する事務を所管することにいたしたいと思います。ただし勞働者の家族問題及び一般婦人問題については、他の各省において、たとえば厚生省、内務省、文部省、そういつた省がそれぞれその主管に屬しておる事務を現在行つておるのでありますが、これらの省に屬しない一般婦人問題もありますので、この勞働省の婦人少年局が中心になつて、これらの省との間の連絡をはかり、かつこれらの省で現在やつておらない問題については、これを勞働省の婦人少年局で處理していきたいと考えております。職業安定局につきましては、勞務の需給の調整、失業對策、失業保健、失業手當、その他職業安定に關する事務を所管することになつております。最後に勞働行政の合理的、科學的運營をはかるために、勞働統計調査局を設けまして、勞働統計調査に關する事務を一元的に所管せしめたいと思つております。これらの五局のほかに、さらに將來情勢の變化に伴つて部局の所掌事務の一部を變更し、または新しい部局を増置する必要が起ることが考えられますので、第三條の第二項において、その點を規定してあるのでございます。その場合においては、政令の定むるところによつて新部局を設けて、省内において部局の所掌事務の一部を變更することができるようにしたいと思つております。なお今まで申し上げた官房、五局のほかに、研究機關といたしまして、從來厚生省に所屬しておりましたところの産業安全研究所を勞働省に移官して、災害豫防に關する調査の研究、竝びにそれに關連のある技術者の養成訓練を行わしめたいと思つております。以上のほか勞働省の部局機關及び職員について必要なる事項は、政令でこれを定めることにいたしたいと思います。
 最後に本法律案の制定に伴いまして、當然起つてくる厚生省の官制竝びに勞働基準法の一部を改正する必要がありまするので、これを附則において改正する規定を設けたのであります。
 以上勞働省設立法案の大要を御説明申し上げたのでございますが、現下の勞働問題の重要性に鑑みまして、何とぞ慎重に御審議くださることは當然でございまするが、こういう事情のもとにございまするから、一日も早く審議を終えさせられんことを特にお願い申し上げる次第であります。はなはだ簡單でございますが、提案の理由を御説明申し上げました。
#4
○加藤委員長 質疑の通告がございますので、通告に從いまして、順次許すことにいたします。まず三浦實之助君にお許しいたします。
#5
○原(侑)委員 ちよつと議事進行について、……。今大臣から勞働省設置に關する重要なる御發言があつたのでありまするが、この民主政治の上におきまして、畫期的な勞働省が確立せられるにつきまして、特にわれわれはむろん愼重審議いたさなければならぬのであります。これにつきまして、質問順序その他について私の考えますることを、希望として申し述べたいと思うのでありますが、質問順序につきましては、各黨は、御存じの通り、勞働委員もおりまして、われわれの方では政務調査會と言つて勞働委員長も出ておるのであります。各黨におきまして質問順位をきめまして、同時に質問の内容につきましても、各黨が相重なることのないように、できるだけ區分をいたしまして、質問の要旨を明らかにするとともに、細を盡していきたいと思うのであります。重復いたしますことがずいぶんありまして、勞働調整法のときにおきましても、ただ社會黨一黨だけで、ほとんど時間を費されたようなことがあるのであります。今囘は各黨はもちろん決算委員の方からも、互いに公平平等にいたしまして、審議を進めていきたいと希望いたす次第であります。各黨で互いにその順位をきめまして、委員長の方へ報告しまして進めた方が、都合がよいではないかというふうに思うのでありますが、ひとつ委員長におきましては、この希望を容れていただきたいと思います。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#6
○加藤委員長 ただいま原君から議事の進行についての御注意がありましたが、いずれこの點につきましては、理事會を開いて、運營方式を決定いたしたいと存じます。今日のところは質疑の通告者として、三浦寅之助君一人が通告されておりますので、三浦君の質疑終りまして後に、どういう運營にしていくかということを理事會において決定いたしたいと思います。ただいまの原君の御意見は、理事會が開かれましたときに、私よりその旨を十分傳えまして、理事諸君の御参考にいたすことにいたします。
#7
○三浦委員 第一に、これは勞働行政の根本になるものでありますから、憲法の第二十七條の必有勞働權に對する政府の見解をお聽きいたしたいと思うのであります。憲法第二十七條の「すべての國民は、勤勞の權利を有し、義務を負ふ。」という解釋でありますが、この解釋につきましては、私の知る範圍において二様の解釋をとられているようであります。すなわち勞働の機會を享受し得るところの權利、いわゆる働こうと思つても働き口のない者は、當然國家から働き口を世話せられるというこの權利として解釋すべきか、あるいはまた單なる勤勞の自由すなわち一種の自由權の一つとして解釋すべきか。政府はこのいずれの解釋によつて、これから強力なる勞働行政を行わんとするのであるか。まずその點を明らかにしたいと思います。
#8
○米窪國務大臣 お答えいたします。憲法二十七條の解釋につきましては、政府はすべての國民に、それが働く意思をもち働く體力と能力のある者に對しては就職の機會を保障しよう。こういふ意味に解釋しております。從つてこの勞働省の設置の法案につきましても、先ほど御説明申し上げた通り、勞働紹介のあらゆる機關を擴充強化して、こういう者に對しては、あるいは紹介所を通じ、あるいは職業補導所等を通じて、また一方においては公共事業を起す、こういつたことによつて就職の權會を與える。こういうぐあいに考えております。
#9
○三浦委員 政府の考えは結局勤勞者、働く者に對する勞働の機會を、營然保障するところの見解をとられておるのでありますが、しからば、當然この解釋から生じてくることは、政府が勞働の機會を保障しなければならぬところの大きなる責任を負うておる以上は、私は憲法附属の法規として、殊に失業保險制度あるいは完全雇傭に關することは、當然解決しなければならないものであろうと思うのであります。であるから私は當然政府におきましては、やはり現在この失業保險制度についてどの程度に進行しておるか。否、私はただいま政府の見解から言うならば、今ごろは黨然この勞働省法案とともに、失業保險制度は提案されなければならない。また同時に勞働基準法案も、今まさに施行せられんとしておるのであるから、これは當然それまでに間に合うように、この法律が通過しておらなければならない。もう一つは、またこの機會に、政府の完全雇傭の問題に對するところの具體的な明確なる御説明を承つておきたいと思います。
#10
○米窪國務大臣 完全雇傭の問題からお答えいたしたいと思います。完全雇傭ということについては、いろいろ定義及び範圍等について學者の間にも説があるのでありますが、政府に關する限りにおいては、廣い意味におけるところの完全雇傭ということだと解釋するのであります。これは政府と國民との間においては、憲法の二十七條の解釋からいいましても、先ほど申し上げる通り、勞働の意思と能力と體力のあるものに對しては、なるべく就職の機會を與えなければならないという政府は義務を感じておるのでございまして、その意味では完全雇傭ということに努めたいと思つておるのでございます。しからばどうするかという具體的のことについては、政府は敗戰後の今日、財政的に非常に困難であるにかかわらず、財政の許す範圍において公共事業等を進行しまして、これによつて就職の機會を與える、こういうことで吸收されない人に對しては、先ほどちよつと申し上げた通り、職業補導所の施設を現在以上に擴張しまして、勞務の配置轉換をいたしたい。さらにそういうことでなおかつ失業者がある場合においては三浦さんのお話があつた通りに、失業手當等によつて、職業のあるまでこの人達の生活の一部を政府は補助したい、こういうぐあいに考える。この失業手當についても御質問がございましたから、この機會に申し上げたいのは、これについては相當の準備等の必要がある。かつこれは保險者の立場に立つ政府として當然財政の點に關連が起るのでありまして、いろいろの點を見まして、本年からこれが實施はとうてい困難でございまして、來年の四月から實施したいという考えであります。しかしこの間の間隙を埋めるために、大體この十月ごろから失業手當というものを交付したいと思うのでございまして、それがために失業保險法、失業手當法というものを本國會になるべく早く上程して御児協を得たいと思つておるのでございまして、目下關係者はほとんど徹夜のようにそれについて準備を進めておる次第でございます。
 それから勞働基準法についてお尋でございますが、これは本年7月から實施するつもりでその用意をしてまいつたのでございまするが、この勞働基準局の任務を遂行するために、各府縣に勞働基準部及びその下に約五百箇ばかりの監督所を設ける必要がありまするので、それが今日の時節柄財政の點もありまして、遲れておるのでございまして、この點はまことに相すまないと思つておるのでございますが、大體九月の一日ごろからこれが實施が行われるという見透しでございます。
#11
○三浦委員 政府の先般發表いたした危機突破の經濟緊急對策の中にも、第五の中に現われておる企業經營の健全化ということが取上げられております。この中に「過剰な從業員を抱えている企業については、その合理的な配置轉換を促進して企業經營の健全化に資する。政府事業においても、率先して右の措置を講ずる。」と發表しております。結局はこの趣旨からみますると、從業員の整理、合理化が中心項目であると考えるのでありますが、私はこの企業整備の進行あるいは賠償工業の撤去等の影響を考えます將來において、すなわち近き將來において、大量の馘首や失業者が豫想せられるのでありまするが、政府はこの失業者の豫想をどの程度に考えておられるか、その點を明らかにされたい。
#12
○米窪國務大臣 企業整備が當然必要であるだろうという觀點から、どのくらいの失業者が出るかというお尋ねだと思いますが、今日は、御承知の通り、國家の財政も、企業の財政もみな赤字でございまして、これが黒字に轉換しない限り、生業の増強あるいは經濟の復興ができないことはいうまでもない。しからば黒字に轉換するためには、いわゆる生産の合理化ということ、産業の合理化ということが必要でありまして、産業の合理化ということは、當然企業の面かにみて企業の合同あるいは經營の合理化ということも必要でありますが、一方やはり、いわゆる企業整備を生ずることが全部ではなくて、ある特定の企業内にこれが殖えてくることはやむを得ないことだと思う。しからばどのくらい出てくるかということは、今日の段階においてまだ確たる御返事を申し上げる總計というか、見透しがついておりません。ただ、この際御參考に申上げたいことは、本年の初めにおいてとつた統計によりますと、いわゆる顯在失業者というものが二百七十萬、それから濳在、これはもちろんいわゆる推定で、腰だめ式の推定でありますが、大體二百五十萬人くらいあるだらう、こういう工合に考えております。そこで問題は、この五百二十萬人がどのくらい顯在になつていくかということでございますが、これについては、はなはだ殘念ながら、このくらいの數字という見透しを立てるだけの、まだ統計その他の資料が整つておらないということを申し上げます。
#13
○三浦委員 政府がまだ間もないのであつて、完全なる統計のないということはやむを得ないと思うのでありますが、少くとも勞働行政を行う上におきまして、これに對する見透し、あるいは失業者の豫想に對するところの確乎たる見解がなければ、私は勞働省が設置されても本當の勞働行政ができないのじやなからぅかと思うのであります。その點につきましては、私は一日も早く完全なるこれらの統計をこしらえまして、そして政府の考えている失業對策として發表された中にも、あるいは先ほど米窪國務大臣の申されたような點に對しても、やはりこの統計が根本でありますから、基礎としてこれに對するところの失業對策をまず講じていただきたいということをひとつ希望しておきます。
 それから同時に、この緊急對策の中で、當然失業對策としましては積極的に産業計畫を拵えて、そして失業者を吸收しなければならないと考えているのでありますが、政府はそういうような失業者救濟の産業に對して積極的にいかなることを現在計畫されてありますか。その計畫されている事業の内容について御説明を願いたいと思います。
#14
○米窪國務大臣 三浦さんの先ほどのお尋ねについては、目下企業整備再建委員會もありますし、またその委員會と竝行して經濟安定本部で目下どのくらいなものがいわゆる企業整備として出てくるかという數字を檢討中でございまするから、あるいはこの委員會の進行中にも發表できるかと考えております。
 それから失業者を吸收する事業として、政府の考えておるものは大體どんなものであるかということですが、大體本年度の一般豫算におきまして、九十五億圓の公共事業費という豫算をとつておるのでございます。これはもちろんその九十五億圓が全部失業救濟にまわるのではないので、これについては資材の面、あるいはその他の計畫等に要する費用が含まれておるのでございまするが、大體これに對して最近の閣議で物價高その他を見越しまして、相當の追加豫算を決定して――その額を今日發表する自由をもちませんのは殘念ですが、公共事業を強く進めて行きたい。さらに公共事業にはないのでございますので、これはあるいは希望に過ぎなくなるかもしれませんが、電源の開發というようなこと、あるいは輸出産業を振興するというようなことによつて、失業者を吸收し得るのではないか。こういうぐあいに考へております。
#15
○三浦委員 私はもう少し突つ込んで聽きたいも思いましたのは、公共事業をやることに對する政府の努力はわかつておりますが、殊に輸出産業の振興に對しても努力すると發表されておりますが、私は輸出産業等の生産的な産業計畫について具體的に、たとえば、これだけの事業をやる。たとえで、發電の事業をやるとか、あるいは生絲に對するこういう積極的な産業計畫があるがというような、現在何か政府で計畫されておる點があるならば、そういう點をお伺いしたいと思うのであります、もしまだはつきりしておらなけれでよろしうございますが、いかがでありましようか。
#16
○米窪國務大臣 御承知の通りまだ諸外國とも間の正常なる貿易關係が許されておらない状態でございまして、もちろんその準備は貿易廳を中心としてやつておると思います。從つて貿易廳方面と、新しく生まれる勞働省方面との間においてどのくらいの失業者を吸すいるという正確な數字はまだ出ておらないのであります。
#17
○三浦委員 それから政府の危機突破について發表した中に、政府な勞務用物資の確保や、勤勞者の住宅の整備に努めておると發表してありますが、一體勞働者の住宅問題に對しては、それはあるいは勞働省の管轄であるかどうかは存じませんけれども、戰災者の住宅問題の解決に對して、米窪國務大臣はどういうような見解をもつておられまするか、この點を伺いたいと思います。
#18
○米窪國務大臣 私の記憶にあるいは誤りがあるかもしれませんが、大體これは經濟安定本部でまとめておるのでございますが、勞働者住宅といふ經濟緊急對策に記載計畫しておるあの關係においては、約二十萬戸の勞働者に對する住宅を提供したい。こういうのが政府の案であります。
#19
○三浦委員 こんな所管でないと思いまするからこれ以上は追究しませんが、現在そういうような二十萬戸の簡易住宅を建設することによつて、勞働者の、殊に戰災地の勞働者の住宅問題を解決するということは、とうてい現在の状況においては私はできないと思うのであります。これはいろいろ資材の面、あらゆる面において支障を來しておるのでなかなかできないと思います。要は手取早くこの問題を解決するためには、あるいは大邸宅、あるいは別莊等の問題についてまだ打つべき手が相當残つておると考えるのでありまして、この點に對するところの御考慮を願つておきたいと思います。
 次に私は先般突如として行われました料理飲食店の休業による失業者に對して、政府はいかなる處置を講じておりますか、少くとも先ほど私が冒頭にお伺いしたように、國民は當然政府から仕事を與へられなければならない保障をもつておるし、また生活を保障すべき責任をもつておる政府として、少くとも料理飲食店等を休業せしむるならば、當然そこに起きてくるところの從業員の失業に對しまして、これが失業對策というところの裏づけがなければならぬわけであります。しかもこれからの失業者に對するところの救濟方法、あるいはそれらの失業者に對するところの收容の方法、あるいはこれに對する失業の手當、そういうような問題に對して政府はいかなる處置を講じておられまするか、その點に對する具體的内容をお聽かせ願いたい。あるいはほんとうに生活のできないものに對して、今施行されておるわずかの生活保護法の適用ぐらいを考へておるに至つては、とんでもない的はずれであると思うのであります。今日の物價指數から見まして、また同時に生活保護法が實際の運用上において、非常なる支障を來しておる。ほとんどこれが適用に困難を來しておるという現状より見て、少くとも私はこの法を斷行します以上、當然起るべき失業者に對しましては、ただちにその處置と同時に、これらの失業者に對するところの救濟處置が行わるべきであろうと思うのでありますが、その點に對する御見解を承ります。
#20
○米窪國務大臣 ごもつともなお尋ねでございます。またこの七・七政令によつて出てくるところの失業者の諸君に對しては、政府としてもまことに同情にたえないのでございます。これは御承知の通り食糧問題の解決の一つの方法として、また國民に對する公平觀念を植えつける理論的な面から見て、必要と思つて政府として斷行するのでありますが、これによつて犠牲になる約五十萬人の勞働者に對しては、まことに同情しておるのでありまして、これには政府が特にこの飲食店、料理店の六箇月休業ということによつて出てくる失業者を救濟するという案は、別に立つていなかつたのでございます。これについては先ほどちよつと觸れました職業紹介所の協力のある活動と、職業輔導所の擴充強化、三浦さんもちよつとお觸れになつた生活保護法の内容を改善することによつて、一應その中の一部は救うことができるだろう。またこれらの人たちの自主的な處置によつて、すなわちたとえば旅行者用の外食券の店として申請すれば許可するという方針をとつておる。また喫茶店、旅館等はこれは申請によつて許すことになつておる。こういう方面に轉業し得るものを政府としては若干見込んでおる。また六箇月後において食糧問題が好轉した場合は、再申請すれば許可するということであるから、この點においても六箇月後においては、あるいは今までの營業に復歸できるのではないか、こういう政治的な考え方ももつておるのであります。從つておそらく三浦さんをして滿足せしむるようなお答えはできなかつたろうと思います。大體政府はそういう方面に向つて努力しております。
#21
○三浦委員 政府は六箇月間の期間によつて休業をきめて、具體的な對策をもたなかつたということはまことに遺憾に思うのであります。今御説明のあつたところの職業の紹介、補導の擴充というようなことではそう簡單にこれらの人々を救うわけにはまいりません。少くとも長い間の職業を奪われて、ただちにそれが他の職業に轉換というようなことは、ほとんど不可能に近いものといわざるを得ないわけであります。なお私はただいまの御説明によると、六箇月後においては、この周圍の情勢いかんによつては復活の見込みがあるような御説明でありますが、これは私は非常に困難なものではなかろうかと心配しておるのであります。ただいま米窪國務大臣の御説明では六箇月後においてこの復活の希望が相當あるようにうかがわれるのでありますが、そういうような相當の復活の希望をもつことに解釋しても差支えはないでしようか。
#22
○米窪國務大臣 政令の内容を御説明しますと、この政令は食糧問題の緊迫したその條件からして出てきておるのでございまして、食糧問題が六箇月後において好轉してきて、そうしてそういう所へ若干の米が行つてわれわれの食生活が許されるような状況になつたならば、これは、いわゆる復業できるということで、六箇月ということを規定し、またそのときには許可をし直すという條文があるので、法通りに行けばそれはできると、こう解釋しております。
#23
○三浦委員 今度は質問の方を變えまして、勞働省が強力なる勞働行政を行う上におきましては、當然これは世界の勞働運動の影響を受けるということは申すまでもないわけであります。それにつきましては御承知のことだからくどく内容を申し上げませんが、いわゆる世界勞働組合連合と日本の勞働運動との關係につきまして、政府はいかなる見解をもたれておるのでありますか。その點を御説明願いたいと思います。
#24
○米窪國務大臣 世界勞連は本年の初めにチエコスロヴアキヤのプラーグで大會を開いて、わが國にもオブザーバーを出してくれという勸誘があつたのであります。この世界勞連というものに加盟した者が六千萬とか七千萬とかいうのですが、これはその國の勞働運動が自主的にこれに對して加盟を決すべきであつて、たとえばアメリカのごときはG・I・〇はこれに加盟しておりますが、A・F・Lはこれに加盟しておらない、こういうことであくまでもこれは日本の勞働運動の自主性によつて決定すべきであつて、政府がこれを奬勵したり、あるいはこれを反對阻止するということはしないというのが、政府のこの問題に對する勞働政策の原則であります。しかしこれは私の意見としてお聽きとりを願いたいのですが、この世界勞連があのプラツトホームに掲げている通り、フアツシヨ反對、帝國主義反對、戰爭反對というあの看板と内實とにおいて何ら食い違いないということであるならば、そういう連合體へ日本の勞働者が行つて、見聞を廣め、目を大きく開いて知識を得てくるということは、勞働者のいわゆる啓蒙、あるいは勞働者の知識水準を上げるという點において望ましいことだと考えております。
#25
○三浦委員 加入の問題は、ただいまの御意見の通りとしまするならば、しからば、世界勞連が勞働者の根本原理に關するいろいろなる憲章を決定しておるようであります。一々説明は省略しますが、ああいう世界勞連の決定したような勞働問題の世界的根本問題に對しましても、日本の勞働行政を行う上におきまして相當とるべきものもあり、またある程度はその線に沿わなければならないようにも私は考えるのでありますが、その點に對する御見解を伺いたい。
#26
○米窪國務大臣 三浦さんのお尋ねは少し抽象的だつたと思いますが、こういう工合に解してお答えしたらよくはないかと思います。つまり世界勞連の掲げておるところのいろいろの問題で、あるいは、主義、主張等は、必ずしも日本の勞働組合がこれに一から十まで同調はできない。しかしとるべきものはとり、そしてとるべからざるものはとらない、こういう日本の勞働運動は自主性をもつべきものであるとの御意見と拜聽したのでありますが、その通りとしまするならば、お説の通りと私は考えております。
#27
○三浦委員 次に私は政府が勞働組合運動に對しましていかなる立場をとり、それからいかなる範圍の活動をなす方針であるか、それを承りたいのであります。もう少しわかりやすく申しまするならば、勞働組合運動に對しまして、國内におきましても、總同盟であるとか、あるいは産別であるとか、あるいはそのほかに中立組合で大きな組織もあり、またそのほかに關係をしないような勞働組合もあるわけであります。またそれらの勞働組合が各自自主的なる方針をもつてやつておることだとは思いますが、政府は、そういう個々の勞働組合に對しては、いかなる立場をもつて指導する、といえば語弊がありますが、あるいはそれらの各勞働組合に向つていかなる立場に立つて勞働行政を行われるのでありましようか、その點を御説明願いたいと思います。
#28
○米窪國務大臣 勞働省はわが國の勞働運動がいわゆる健全なる勞働組合主義の線に沿うていくことを希望しておるのでございます。令日總同盟、あるいは産業別組合會議、あるいはその他の日本勞働組合會議といつたいろいろなのがあるのでありまして、またこれらの團體はそれぞれそのイデオロギーといいますか、その勞働運動のやり方といいますか、違つておるようでございますが、ただここにわれわれとして見逃すことのできないのは、最近においてこれらの勞働組合の間に戰線統一の氣運が高まつてきつつあることでありまして、これがいわゆる勞働總同盟から提案しておるという點は、私は見逃すことのできない現象じやないかと考えております。またもう一つの點は、産業復興會議というものに對して勞働組合が相當のウエートをもつ、そして眞に日本の産業を復興するためには、健全な、かつ進歩的な事業者と提携していかなければならぬという點に、かれらの運動傾向が向いつつあることは、勞働省としてもまことに慶賀すべきことだと考えておりまして、生まれる勞働省の勞働政策は大體そういつた線に向つて指導していきたいと考えております。
#29
○三浦委員 ただいま國務大臣の健全なる勞働組合の進展ということを申されておりますが、まことに結構であります。そこで私はこの米窪さんのいわゆる健全なる勞働組合主義というものは、一體本質はどういうふうに解釋したらよろしゆうございましようか。ある指導者の書いたのなんかを見ますと、勞働組合はいわゆる階級團體である、すなわち階級闘爭を目的として、そうしてどこまでも階級的立場を堅持するということを書いておるようであります。でありますが、やはりこの勞働組合の本質は、どこまでも階級的團體として、階級闘爭を最後の目的として、組合というものがやるべきものであるか。またもう一つは憲法のいわゆる團結權の保障であり、あるいは團體交渉權の保障等によつて健全なる勞働組合を結成することは、すなわちこの企業家なり資本家と對等の地位に勞働組合というものを認めて、この對等の地位に認められて發達した勞働組合と企業家が對等の立場に立つて協力するということの建前においてやることが正しいのか。すなわちそれによつて勞資協力の立場に立つてやることが、眞に産業の興隆となり、復興となり、あるいは今後の勞働者の生活を解決する點において正しい行き方と考えるのが、その點に對するところの米窪さんの御見解を承りたいと思います。
#30
○米窪國務大臣 三浦さんから特に私を指名しての御意見でありますから、私の私見を交えてお答えいたします。階級鬪爭を目的とするかのごとき團體があるという認識を相當もたれておりますが、私をして言わしむれば、階級鬪爭というものが目的ではなしに、自分らの勞働條件を改善し、あるいは維持しようとするのが目的であつて、その目的に達するための手段が階級鬪爭に流れやすい、團體と、階級鬪爭をいきなりやる前に、あるいは團體交渉に力を注ぐ、あるいは勞資の間に經營協議會をもつて、そこで圓滿に話がつけば話をつけていくという戰術、あるいは戰略に重きをおく團體がある。そこで私の意見としては、今日の敗戰という現實、竝びに經濟的のいろいろのエレメントが非常に窮迫している今日の日本からみまして、私としては勞働者のみの犧牲によつて産業を復興するということはもちろんいけないのでございますけれども、しからばといつて勞働者だけが權利を獲得をして、他の企業者はうまくいかなくてよいというやり方でもいかぬ。そこで私はこの點は兩方が犧牲を拂つて、そうして方法としては經營協議會なり、あるいは團體交渉なり、そういつたことでこの點話し合つて、いよいよいけないときはこれをあげて勞働委員會の仲栽に任せる。そうしてその仲栽が成立つたときには、これに兩方とも服する。こういつた方向にもつていきたい、こういうぐあいに考えております。
#31
○三浦委員 私はもう少し踏み入つて聽きたいのですが、現在の情勢下においては、ただいまの御意見の通り、まことに結構でありますし、また私としてもそう考えております。ただ本質的に勞働組合は階級的團體であるということに解釋すべきものであるか、勞働組合は闘爭を目的とした階級團體ではなくして、勞働組合の健全なる發達は、同時に勞資平等の立場に立つて、そうしてただいま米窪さんの申されたような方向にやるべきものか、そういうやうな點に對する根本の性質について御見解を承りたいと思います。
#32
○米窪國務大臣 非常にむずかしい御質問ですが、勞働者は私は二つの社會的性格があると思う。一つはやはり階級人、働らく階級という一つの階級に生きている勞働者、一つは一般の社會人としての二つの面がある。そこで勞働者は階級的利害にのみ立つべきであるか、あるいは國民的利害に立つべきであるかということが、御質問の要點だと思うのでありますが、私はそれによつて勞働團體のいわゆる右とか左とかいう性格がはつきりそこに現われてくると思うのですが、敗戰後の今日の日本においては、やはりこれは階級的利害のみを固執する勞働組合運動では、その國がそれとの關係をなくしても困るし、あるいは結局その人たちも困る。そこでやはり階級的利害を主張するのは勞働者としては當然だと私としては思う。しかし同時に、國民的の利害ということも忘れてはいけない、こういうぐあいに思います。
#33
○三浦委員 私はもう少しその點をはつきりさしたいのですけれども、これははつきり言うと、この間讀書新聞に、書いている通り、山川さんの説などはつきりしているように思う。私はあれをみると――私は詳しく讀まないから、間違つていればいつでも訂正するのでありますが、私はやはりこれは勞働組合の本質であつて、この本質は階級的團體であり、階級闘爭の團體であり、階級の利害を根本として考えたのであるが、ただ現在の情勢下においては經營者と協力するのだという建前なのか、それともそうじやなくて、勞働者はやはりどこまでも企業家と平等の原則に立つものとして相協力する、いわゆる二元的立場、勞働者と資本家と平等の原則、二元の立場に立つて協力するというこの根本の原則に立つのか、その點をはつきりしていただきたいと思うのであります。
#34
○米窪國務大臣 お尋ねに對してこうお答えしたらいいと思います。勞働者も資本家も社會人としては同等の權利と義務がある、こういう大前提からして、今日のこの日本においては、兩者がほんとうに産業を救い國を救うという立場から、虚心坦懐にその企業について相談していく、言葉をかえて言えば、いわゆるあなたの勞資平等の立場をもつていくということが政府としても望ましい、こういう工合に考えます。
#35
○三浦委員 それは政府の望ましい點であつて、本質論ではどうもはつきりしないように思うのでありますが、私はこれ以上申し上げることはやめますが、最後に私の見解を申し上げておきます。私は、この勞働組合運動は、從來はなるほど階級的立場に立つて發達したと思うのでありますが、少くとも今後の勞働運動は、勞資平等の立場に立つて協力するということが、健全なる勞働組合運動と確信しております。あるいはそういうことを言いますると、いや資本家と勞働者は平等の立場に立たない、あるいはそれが資本主義的だとでありますが、平等の原則に立つ場合においては断じて搾取はない、不平等のある場合い、勞働者が資本家と平等でないという場合には搾取という議論が起きるけれども、平等な立場に立つて協調する場合には、搾取という觀念ははいらないものであるという見解をもつていることを御承知願いたいのであります。
 次に先ほどの米窪さんの御意見のごとく、一日も早く勞働省法案を審議して、そうして勞働省が設置されることについては同感であり、また私もかくしてもらいたいのでありますが、かくのごとく急がれている勞働省法案が、今日まで官廳のなわ張り争いによつて、この提案が遲れたように新聞は報道しております。勞働者災害補償保險の所管の問題について非常に時日を費やしているということは、まことに遺憾であります。またこの一事をもつてみますると、政府はこの勞働行政に對する熱意が欠けているというようにも考えるのであります。この勞災の性質からみましても、勞働基準法の土臺をなすベきものであつて、當然勞働行政の一元的立場からいうならば、いかに議論しても、私は勞働省が職能主管であることは全然議論の餘地がないと思うにかかわらず、長い間これが争われ、しかも最後には各方面の意見を聽いてきめて、これに對して政府が獨自の判断もできなかつたということでありますが、その點の經過を御説明を願うと同時に、こういう所管問題をきめるのに、政府は一部の代表者だけを呼んでこの問題をきめるということは、まことに非認識だと思うのであります。少くとも議會には勞働委員會もあるのだから、そういう重要な問題なら、私はこの國會の機關に當然非公式にでも御相談になつて、その意見を尊重して、この問題を決することが當然の處置でないかと思うのであります。この點に對する御見解を伺います。
#36
○米窪國務大臣 勞働省設置の法案が遅れたのは三浦さんの御指摘のそういつた點だけではなかつたのであります。その他に、たとえば設置に要する豫算について大蔵省との關係、あるいは關係筋の承認を得るというような點があつて遲れたのであります。しかし御指摘の點は、一つの原因と言えば原因であります。これはあくまでもジヤーナリズムが騒ぎ立てて書き立たてたので、實際はなわ張り争いとかなんとかでなかつた。それは具體的にいうと、厚生大臣と私の信念の間に喰い違いがある。厚生大臣は勞災保險は社會保險の一種である。他の健康保險とか、厚生年金ともとは同じである。從つて保險行政から言えば、一元的保險行政をするには、窓口を一つにした方がいいという固い信念から厚生大臣は移管を好まぬ。私としては勞災法、すなわち勞働基準法に基く災害補償法と表裏一體をなすものであつて、これを保險化していくことによつて、この二つは切離すことができないという觀點から、あくまでも主張した。それでこれを決するために勞働者及び事業關係方面の代表者の意見を聽くということで遲くなつた。もつと早くああいう方法をとれば新聞紙の上でとやかく言われないで濟んだと思います。
 第二の御意見であるなぜ勞働委員會があるのに諮らなかつたという點についてはまことにわれわれの注意が足りなかつたことで、今後そういう問題についてはお諮りいたします。
#37
○三浦委員 次に船員勞働者の管轄問題ですが、米窪さんの御意見では、運輸省の管轄になつたということでありますが、少くとも強力なる勞働行政を行う上において、殊に船員法等においても、根本趣旨はやはりこの勞働基準法と同じようなことからできている。むしろ主管は船員勞働の行政も勞働省の所管にして、運輸省には連絡機關を設けるというような、反對の立場に立つことが、強力なる勞働行政を行う上において最も重要だと思うのであります。この點に對する御所見を伺いたい。
#38
○米窪國務大臣 この點については、先ほどの提案説明の際にちよつと申し上げたが、實は船員勞働法については、運輸省に船員勞働行政は、他の勞働行政、たとえば船に乘る監督、あるいは船員の試驗免状をやるとか、そういつた一般海事行政とどうしても切離すことができない。すなわち船員は陸上勞働者と違つて、船の中が事業場であり、生活である。そういう特殊な生活をしている。そういう彼らの生活状態から見て、これを監督するいわゆる監督官聽である海運總局、そういうところでやつている他の一般海事行政とどうしても密接で切離すことができないから、これを勞働省へ移管することは、かえつてマイナスのみでプラスはない。船員のためにはなはだ不幸であるという見解であります。また外國の例を見ても、アメリカでもイギリスでも船員勞働に對する所轄省はいずれもみな獨立している。また過去の歴史においても、國際勞働會議においては、陸上勞働問題と、海上勞働問題とはいつも別々にやつていたという點を力説し、やはり今日の段階においては、分けることがむしろプラスの點が多いだろうという所見をもつたので、ああいう處置をとつたのであります。
#39
○三浦委員 次に勞働省所管の問題をいろいろ考えてみますと、組織勞働者を對象として勞働行政を主管としているように考えるのであります。しかしながら私は現在の日本の情勢下においては組織勞働者以外、殊に中小工場等においては、今未組織か、あるいは不完全な組織勞働者が多いことを考えた場合におきまして、その未組織勞働者の問題に對して、政府はこれらの未組織勞働者に對する組合の設置とか、あるいは將來起る失業保險の問題であるとかいう問題等につきまして、どういうふうに考えておられますか、御所見を承りたい。
#40
○米窪國務大臣 その點は勞政局長から……。
#41
○吉武政府委員 お答え申し上げます。われわれといたしましては組織勞働者ばかりでなく、未組織勞働者一切を含めての勞働保護の處置をとりたいと思つております。御承知のように、組合のありますところは組合の力によりまして自主的に自分の地位の向上ができますけれども、お話のように組織いたしません勞働者は力弱くして待遇の改善ができない。これはどこも同様な實情でございます。從いまして先般御通過いただきました勞働基準法等も實は組織されております勞働者にとりましては、常に勞働協約等におきまして相當基準法程度、もしくはそれ以上の地位條件を獲得したところもあるのであります。しかし未組織勞働者にとりましては、なかなか容易でありませんで、ああいう法律を設けて、一切の勞働者を保護するのであります。今お話のありました組織上の問題についても同様でありまして、組織されていると否とにかかわらず、勞働行政の部面においては同様な取扱いをいたしております。
#42
○三浦委員 この未組織勞働者の面において、たとえば團體交渉權、團體協約はできない。こういう點に對する未組織勞働者の問題について、何か考えていることがあるか。
 もう一つは從來の勞働組合に所屬している組合員も、失業した場合に、勞働組合と失業者との間の關連は一體どういうぐあいに指導されるか。その點を御説明願いたい。
#43
○吉武政府委員 御質問の中の未組織勞働者、小さい職場における勞働者の組織をどういうふうにするかというお尋ねだつたようであります。その點はごもつともでありまして、それはやはりわれわれといたしましてもできるだけ自主的にそういうものの相集まつて組合のできることを望んでおります。ただ、御承知のように、先ほど大臣からもお話がありましたように、組合はやはり自主的にできることが望ましいのでありまして、政府がつくるということよりも、御援助はいたしますけれども、やはり自主的にできることを望みます。それからその他の一般の取扱いにつきましては、先ほど申しましたように、組織されると否とにかかわらず勞働行政の部面としてはそういうような方針でいきたいと思います。
#44
○三浦委員 それから現在のような經濟界の状況から見ましても、勞働爭議の中止ということが強く考えられまするし、そういうような意味においてこの爭議を行わない、あるいは經營者は工場を閉鎖しないというようなことが當然望ましいわけでありますが、問題はそういうような勞働團體と經營者との間にどうしても意見の一致を見なかつた場合、あるいはそういう場合には勞働委員會なんかにかかるかもしれませんけれども、しかしそういうような第三者の機關によつてもこれが決定の一致を見ないというような場合があり得ると思うのでありますが、そういう場合にはどういうように處置されるのでありましようか。
#45
○米窪國務大臣 今日この敗戰日本の經濟状態において、なおかつ勞資の團體交渉あるいはその他の方法によつても意見の一致を見ずして、しかもそれが地方の勞働委員會、あるいは中央の勞働委員會の採決にもこれをどちらか一方が服さない、こういうことによつて不幸にして勞働爭議が起り得る可能性も必ずしや絶無ではないと思うのであります。しかしこういう場合においては、やはり勞働關係調整法によりまして、それが公共事業である場合においては當然三十日の豫告、いわゆる調停期間を經過しないと爭議をできないことになつている。公共事業以外のものについては、不幸にしてそういう事態が起つた場合においては、政府はその間に居中調停をして極力そういう爭議を速やかに解決するという方向にいきます。
#46
○三浦委員 ただいまの御答辯では速やかにそういう解決の方法を講ずるという御趣旨でありますが、大體の御趣旨は結構でありまするが、私の心配するのはどうしてもそういうことの處置のできなかつたことを心配するのであります。私はいつそそういう場合ならば最後の決定權をそういう勞働委員會なんかに付與することを法律の上においてはつきりしておくならば、そういうような心配も起らずにこの問題を解決するようにも考えられるし、また勞働委員會というものの性質からも、そのくらいの權限を付與してもいいのではないかと思います。その點に對する御答辯をお願いします。
#47
○米窪國務大臣 この點は重要でありまして、そういう意見をもつておる人もあるようです。たとえば少くとも中央勞働委員會くらいは特別な法規によつて規定された強大なる權力をもつものにしろ、こういう意見をもつ者もあるようです。勞働組合法を改正せよという意見もあるようであります。しかし政府は、この問題はきわめて重大な問題でありますから、愼重に目下研究中でございまして、そういう改正意見を法案として出そうという考えは今のところもつておりません。
#48
○三浦委員 それから勞働組合が經營者に向つていろいろ交渉を開始したような場合において、今まで新聞や何かによつてみましても、使用者側において交渉を開始するというような場合があつたようであります。こういうように經營者側において勞働組合法によれば勞働協約の締結その他の事項に關しては當然交渉する權限をもつておるわけでありますが、經營者側等においてこの交渉を開始して、交渉に應じないというような場合があると思うのであります。そういう場合にはどういうような處置をとられるのでありましようか。
#49
○吉武政府委員 ごもつともな御質問でございまして、團體交渉の際に事業主側がそれを受けつけないということはよくないことだと思います。現在のところ法律には規定はございませんけれども、團結權を保障し、團體交渉權を認めました以上はやはり事業主側には團體交渉に應ずる義務があるものと私は思います。
#50
○三浦委員 次に勞働教育の問題でありますが、つい最近と思つておりますが、新聞によれば厚生省で勞働教育諮問委員の任命をしたのであります。それには學識經驗者とか、あるいは勞働者の代表、資本家の代表者というような人に對して、勞働教育諮問委員を任命したようでありますが、私は勞働教育というものを考えた際において、政府はただこういうような實際の勞働者に對しての十分な認識のない、あるいは學識はあつても經驗もなし、あるいは勞働教育の本質ということについて十分に考えていない、政府が濁善的に役人の頭だけで、あれは學識經驗者である、あれは資本家の代表である、あるいは勞働者の代表だということで、官僚の濁善的な考えによつてこれらの委員を任命して、しかもその人々の意見が重要な働きをするように考えるのでありますが、その點に對する委員の任命について、私は政府においてもう少し考えてもらいたいと思うのであります。これは先般發表された教育諮問委員ばかりではありません。あらゆる勞働問題――基準法その他における委員の任命等においても、政府はただ勞働者の代表、あるいは資本家の代表、學識經驗者の代表という條文だけを盾にして官僚の役人だけの頭でそれを決定するということは、必ずしも私はそういうような眞の代表者を得るものとは考えられないのであります。私はそういう意味におきましてそういう委員の代表者を選任する場合において、私は先ほど申し上げましたように、將來においては勞働委員會の意見なり國會方面のしかるべき意見を徴して、これらの重要な委員を任命するというような方法をとるべきものと思いますが、それに對する御意見を伺いたいと思います。
#51
○米窪國務大臣 先日發表したのは、勞働教育諮問委員會の臨時勞働教育諮問委員會というまだ正式の委員會ではないのであります。從つてこれは若干變つていくだろうと思いますが、もし變える場合においては三浦さんの御趣旨によりたいと思います。またその他の從來の政府發表の委員が、仰せのごとく、パブリツク、オピニオンと言いますか、輿論というものに基いてきめて、折角國會があるから――これは一つの例でありますが、そういう所に諮るという御意見でありまして、從來當該御存じの通り國會議員からもそういう場合には委員にお願いしたのですが、今日國會の方の規定によつて、國會議員がそういう委員になれないのはまことに殘念でもあります。少くとも今後はそういう委員會を設定する場合においては、勞働省に關する限りにおいては勞働委員會等にお諮りしたいと思つております。また學識經驗者が必ずとも當つていないというようなお話だつたのですが、大體において從來委員會が、接觸しておる事務當局の方からみまして、この人は勞働教育についてはエキスパートであるということは、大體において間違つていないと私は思います。ただその中の一、二の委員については、御指摘のようなことがあるかもしれないが、大體において永年事務當局の方で接觸しておる點からみて、この人ならば適當だという人を選考した點においては誤りはなかろうと私は思つております。
#52
○三浦委員 さらに政府の勞働教育に對する具體的方法について御説明を願いたいと思います。
#53
○吉武政府委員 勞働教育につきましては、これは現下の情勢から見まし極めて重要なことでございましても愼重に考慮しつつあるのでありまするが、原則的に申すならば、やはり勞働者の勞働教育は組合の自主性にまつことがまず望ましいことだと思います。政府がいたずらに、こうがいい、ああがいいと言つてやることよりも、やはりそれぞれの組合が自主的に自分たちの勞働者の教育をやつていくということに主眼をおいていきたいと思います。それに對し政府はもちろんできるだけの御援助をいたすつもりであります。それから、政府が考えておりまする勞働教育というものは、先ほど大臣から申しましたように、健全なる勞働組合運動という點を考えておるわけでございます。今お話がありました委員會は、まだ正式なものとして發足しておりません。人選等につきましては實は組合等と相當お打合をしておるわけでありまして、決して私どもが勝手に人選をしておるわけでもございまん。多少御批判のようなきらいがないとは申しませんけれども、組合側とは十分數度にわたりまして折衝をしながら進んでおるわけであります。やり方につきましては組合もいろいろなパンフレット等を出されております。政府の方としては今までのところ、新聞のようなものを出すとか、あるいはパンフレットのようなものを出しますとか、あるいは御承知と思いまするが、各地に勞働者教育大會というようなものを設けまして、やつてはおるのであります。しかし、できるだけ私どもとしては組合の自主性にまつていきたい。自主的な運動にまつていきたい。こういうふうに考えております。
#54
○三浦委員 勞働教育の問題は組合の自主性にまつということは、この勞働教育においては結構でありますが、もしさらに進んで、一般の勞働教育は大體勞働者だけの教育ではないのであつて、あるいは、國民全部に勞働問題に對するところの認識を示すということになければならぬわけであります。そういうような點からいくならば、私はもう少し勞働教育というものを徹底しなければならない。殊に勞働教育の對象は申し上げるまでもなく晝間働いておる人々であろうと思うのであります。家庭において惠まれて、順序立つて組織立つて教育を受けるものではないのでありまして、一般の勞働者はこの立場からいくならば、一方においては働きながら教育を受けなければならぬ。
 また一般的にいうならば、たとえば國民全般が對象ということならば、私はこの勞働教育によつて、一つは學校教育の面にももう少し反映させなければならぬと思う。もう一つはこれは文部省が計畫しておるのでありますが、むしろ私は通信教育というものは、勞働者全部、國民全部に向つて、ほんとうに勞働教育を普遍的に行うという意味から言ならば、殊にその對象が勞働者、勤勞階級が主なんだということになれば、そういう通信教育というものは、文部省から勞働省に移管してもらつた方が、ほんとうのりつぱな教育になるのじやないかというように考えられるのでありますが、その點に對する御見解を承りたいのであります。
#55
○米窪國務大臣 お尋ねの點もごもつともでございまして、今日の日本の勤勞階級ばかりでなく、日本の國民にとつて、われわれから考えても一番大事なことは公民教育の徹底ということでなければならぬ。從つて、いわゆる立派な社會人として完成した人格をつくるために公民教育は必要であると思う。この點は將來文部省と協議しまして、一つ具體的な案を立てたいと思います。現に文部省の方にも勞働者教育諮問委員會というものをつくろうという計畫があつた。こちらでは勞働教育諮問委員會で、者という字がないだけのものでありますが、そこで文部省とも相談して文部省のそういつた教育諮問委員會はやめてもらつて、われわれの方で一本にしてもらつたのであります。しかしあなたの今のお尋ねの點は、將來勞働省にできる勞働教育諮問委員會のわくの中では少し大き過ぎる問題がありますから、この點はあらためてさらに文部省と交渉して、具體的な案をつくつて御趣旨に副いたいと思います。
#56
○三浦委員 私は勞働教育の重要性を考える場合におきまして、元來日本は申し上げるまでもなく、官尊民卑の幣風が非常に強いのであります。でありますから肉體勞働者よりも精神勞働の方に從事する方が偉いという觀念、これが國民全般にみなぎつておるのだと思う。少くともほんとうの勞働運動、ほんとうの民主國家を建設する場合においては、私はこういうような精神勞働者と肉體勞働者との間に差別をおくようなことではいかんと思いますから、むしろ肉體的勞働者の社會的地位がりつぱであつて、また肉體勞働に從事することに誇りをもつようなところにいかなければ、眞の民主國家の建設はできないということを考えますときにおいて、この勞働者教育というものは、決して勞働省内の片手間にやる簡單な仕事では絶對にない。根本の問題であるから、この勞働者教育に對して十分な處置をせられたいということを希望しておきます。途中でありますが、あと時間的に……。
#57
○加藤委員長 お尋ねしますが、まだあるのですか。
#58
○辻井委員 議事進行については從來の委員會におきましては理事會で議事の運營について協議してからやることになつていたのではありますが、今度は前にそういう打合せがなかつたわけで、せつかく三浦君の御發言がありますから、續けていただいておりましたけれども、一區切りを機會に、明朝理事會を開いて、今後の運營についての御協議をしまして、その上でひとつ再開してもらうようにして、今日はこの程度で散會してもらいたいと思います。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#59
○竹山委員 決算委員長として總括的なことだけを質問しておきたい。
#60
○加藤委員長 その前に議事進行の動議が出ましたので、辻井君の意見に對して、明日午前九時半に理事會を開いて、議事進行の方法を理事會できめて、十時から委員會を開くという段取になつておりますが、あなたのはその前に御質問なさる方がいいですか。それから後ではいけませんか。
#61
○竹山委員 どちらでもよろしゆうございます。
#62
○加藤委員長 それでは今日は、ただいまの辻井君の動議、御意見によりまして、この程度で打切つて、明日九時半から理事會を開きまして、この委員會運營の方法について協議をいたしました上で、十時から委員會を開くことにいたしたいと思います。今日はこの程度で散會することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
#63
○加藤委員長 それでは散會いたします。
   午後三時十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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