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1962/03/07 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 地方行政委員会 第11号
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1962/03/07 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 地方行政委員会 第11号

#1
第043回国会 地方行政委員会 第11号
昭和三十八年三月七日(木曜日)
   午前十時三十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     石谷 憲男君
   理事
           小林 武治君
           林  虎雄君
           市川 房枝君
   委員
           上林 忠次君
           北口 龍徳君
           西郷吉之助君
           鍋島 直紹君
           秋山 長造君
           鈴木  壽君
           松本 賢一君
           鈴木 一弘君
           基  政七君
  国務大臣
   自 治 大 臣 篠田 弘作君
  政府委員
   自治省財政局長 奧野 誠亮君
   消防庁長官   藤井 貞夫君
   消防庁次長   川合  武君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       鈴木  武君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十七年度分として交付すべき
 地方交付税の総額の特例に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○消防組織法及び消防団員等公務災害
 補償責任共済基金法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
○消防法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(石谷憲男君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 初めに、昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
#3
○鈴木壽君 大臣、この機会にいわゆる地方交付税というものについての考え方をお互いにはっきりしなければならぬじゃないかと思いますので、お尋ねをしたいのです。先日はいろいろ申し上げましたが、私は端的に言って、地方交付税というものは、国税三税の一定率で地方へ交付される金なのでありますが、それは地方団体のいわば固有の金だと、国が何か恩恵的に地方へやるのだとか、あるいは補助金みたいな考え方でやる金でないと、こういうふうに思っておるのですが、法律の中にも私が今言ったような趣旨でこれは考えられておるものだと思うのでありますが、その点ですね、私はお互いにこの際はっきりしておかないと、いろいろな問題が出てくるのじゃないか、たとえば、大蔵省あたりの考え方ですが、これは大蔵省全体として――あるいは政府としてということではないのですが、大蔵省の関係の主計官かなんかの書いたものの中には、これはやっぱり国が地方へ分けてやる――分けてやるという意味は、何といいますか、めんどうを見てやる金なんだという考え、思想的にはそういうような考え方じゃないかと思われる書きものなんかありますね。そこら辺一体どう考えるべきか、私、今言ったように大事な問題だと思いますので、特に大臣から政府の国務大臣として、政府の考え方というものをお聞きしておきたいと思うのです。
#4
○国務大臣(篠田弘作君) 御承知のとおり、平衡交付金の時代には、今鈴木さんがおっしゃったような大蔵省の考え方があったと思いますが、それで平衡交付金をきめる場合に常に自治庁と大蔵省の間に相当のやりとりがあったわけであります。それが今回三税の二八・九%という割合がきまりまして、地方交付税となってからはそういう論争もなくなりましたし、同時にまた、そういう国の恩恵でやるのだという思想もなくなったと私は思います。あるいは少しは残っているかもしれませんが、少なくもわれわれの頭の中にはそういう考えはありません。鈴木さんがおっしゃったように、当然地方にいくべき、固有というか――固有という言葉はどうかわかりませんけれども、そういう意味の金である、こういうふうに解釈しております。
#5
○鈴木壽君 地方公共団体が当然やっていかなければならない仕事、そういうものの裏付けとなる財源として、形は国税として一たんは国でとるのだけれども、しかし、その一定割合を、何といいますか、今言ったように、当然の権利として地方団体の取り前としてあとで配付するのだと、私どもはそういうふうに考えております。大臣も今そういうふうにおっしゃったと思うのです。しかしなお、あれです。この地方交付税法ができてからは、大蔵省にもそんな考え方はないのじゃないかと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、二、三年前に大蔵省の主計官が書いた、私きょうそれを持ってまておりませんが、その中にはっきり今言ったような考え方と違った、国がめんどうを見てやるのだというようなことで――言葉はそのとおりじゃございませんが、そういう考え方で書いたものが出ているわけですね。ですから、やはりこれはそうでないと、この点はっきりしておかないと、私今の繰り越し使用というような問題も、これは一昨日奥野さんは、いや大蔵省の考え方じゃないのだ、私どもがそういうふうに考えるのだとおっしゃっておりましたけれども、昭和三十五年にこういう問題が出てきた場合には大蔵省がこれは強く主張したことであり、大蔵省は百二十二億繰り越すといっているのだが、そのうちの二十二億を地方財政に回したと、こういうことで閣議で了解がついた。こういうようなお話でございますが、そこにやはり問題があると思うのです。大蔵省はやはりそういう考え方でやってきますし、あなたはそのうちの二十二億を今回の雪害対策として特交に繰り入れて使用するようにすべきだということの主張で来ましたが、こういう問題はやはり私はお互いにはっきりしておかなければいけないことだと思うのですが。
#6
○国務大臣(篠田弘作君) 御承知のとおり、予算折衝の過程におきましても、大蔵省といろいろな各官庁というものは立場が違っておるという言葉は過ぎるかもしれませんが、やはり各官庁のほうは、できるだけ事業にしろ、何にしろ、予算を取りたいという考えを持ちますし、大蔵省のほうはできるだけ締めていきたいという考えを持っておる、これは自分のやっている仕事の関係上、やむを得ないことであると思います。しかし、国に必要な、国民に必要のあるものは、決して大蔵省も何でも締めるというのじゃありませんので、御承知のとおり、相当出しておるわけであります。この問題にしましても、一番最初大蔵省は百二十二億を繰り越すという案を持っておったのでありますが、しかし、自治省といたしましても、大蔵省とまあ大体相談をいたしまして、二十二億はひとつ特別交付税という、豪雪地帯に対しまして今年中の手当として残そうじゃないかという下話があったところへ、私も閣議においてそういうような発言をしたというのが真相でありまして、それに対して大蔵省も気持よく賛成したわけでありますし、常に大蔵省とわれわれとの考え方が違っているということもいえません。しかし、今申しましたように、ある場合におきましては、考え方と申しますか、やり方と申しますか、そういうことで折衝をしなきゃならぬし、また相当その折衝も何と申しますか、長引いたり、あるいはまた、もつれたりするということは、これは現実の問題としてあるわけであります。
#7
○鈴木壽君 お話はね、確かにいろいろまあ予算折衝の過程において、大蔵省との間の、ときには意見が食い違ったりすることもあると思いますが、ただ、その扱いについていろいろな問題があったにしても、基本的な今いった私がお尋ねしておる地方交付税そのものの性格なり、本質なりというものは、私はこれは双方ともきっちりやっておかなければならぬ問題じゃないかと、こう思うのですよ。私どもは、正直にこの地方交付税法を見て、たとえば第二条なり、第三条なり、あるいは第六条を見ますと、どうしても大蔵省が百二十二億をよこすべきだと、こんなことはいうべき筋合いのものじゃないと思うのですよ。私はですから、そういう点、率がたとえば今の二八・九%が大きいとか、あるいは小さいとかいう、そういうことを大蔵省が国の財政の関係から、あるいは地方団体の今の財政需要の状況からして、そのことについていろいろな、あるいは意見はあってもいいと思うのですが、一たんきまった率の配分なり、交付その毛のについて大蔵省が何だかんだというふうにやることは、私は間違っておると思うのですがね、その点についてどうです。
#8
○国務大臣(篠田弘作君) これはお説のとおり、国民からの負託に基づく事務に要する地方団体の所要経費でありますから、その裏づけとして交付される財源が、いわゆる地方交付税でありますから、あなたのおっしゃるとおり、この問題について恩恵的に大蔵省がこれをきめておるのであるとか、そういうふうなことはわれわれも考えておらない、また大蔵省としても考えておらないと思いますが、たまたま何主計官でありますか、そういうことを書いているとすれば、大蔵省全体の意見というよりは、私はその人の個人的な意見じゃないかと思うのです。その本を私は見ておりませんから、大蔵省の事努当局の意見として出されたものであるか、主計官個人の意見として出されたものであるか、私もわかりませんが、そういう考え方は今日では通用しない、こういうふうに考えます。
#9
○鈴木壽君 ですから、そういうふうにおっしゃるならば、これから交付税の交付の仕方なり配分の仕方なり等について、たとえば今問題となっているこういう繰り越しの問題とか、あるいはこのような配分の仕方をすべきだというようなことを、大蔵省からいわば干渉がましいことを言い出してもらいたくないと思う。私は、率直に言って、させるべきじゃないと思うんですよ。その点について私申し上げているわけです。
#10
○国務大臣(篠田弘作君) 私、ちょっとしゃべり過ぎたかもしれませんが、最初に大蔵省の案は、百二十二億を明年度に繰り越しするという案であったということを申しましたが、その後、事務当局からもよく聞いてみますと、繰り越しをするということは、大蔵省からの別に圧力でも何でもなくて、自治省の事務当局としましてもこれを繰り越そう、繰り越したほうがいいというふうに考えておった。たまたま豪雪がございましたので、その繰り越し量について、先ほど申しましたように二十二億は、もし特交が足らなくなると豪雪地帯に迷惑をかけますから、ひとつ今年の豪雪対策として残そうじゃないか、こういうふうになったのでありまして、その繰り越しということ自身は、必ずしも大蔵省の指図、あるいはまた、そういう方面の何といいますか、干渉といいますか、そういうことによってやったんではないということを御了承願いたいと思います。
#11
○鈴木壽君 私、大臣は正直だから、先に言ったことがほんとうだと思う。それからこの三十年以来の経緯を見てもそのとおりだと思っておりますが、まあこの点よろしゅうございます。まあ、私は、今後の問題としてやはりはっきりしておいてもらいたい。そうしますと、この交付税法にきめられたような、たとえば今回のように、いわば補正によってちょっと余ったような格好になっても、今のような特例法を作ってどうのこうのというようなことは、簡単にはできっこないと思うんです。そのことを私申し上げたいんです。ただ、せんだって奥野さんは、計画的な非常にいい使い方のためには、そういう繰り越すこともいいと考えた、こういうふうな御説明もありまして、その考え方もわからなくはない。ただ、やはりこういう一つの建前に立った運用というものを、私、考えていかなければならぬじゃないか、こういうことを強く思っているものですから申し上げたわけです。
 それからもう一つ、一昨日もいろいろ私、何だかんだ申し上げましたが、結局、現在の交付税法によってきめなければならぬ単位費用の問題、したがって、出てくる具体的な財政需要の問題、これをこのままにしておいたのではいけない。これは私、今一々この項目の、この金は少ないじゃないかというようなことはよしますけれども、これは十分、それこそ事務当局のほうでもわかっておられると思いますので、これはぜひ、こういう機会に単位費用の引き上げ――引き上げというのは、単に何でもかんでも大きくしておけばいいという意味ではございません。ほんとうに地方団体がなすべき行政をやっていけるような、また、実際にかかっている金をみてやれるような、そういうところまで引上げておかなければならないと思うのであります。その結果、あるいは交付税が足りないという結果が出てくるかもしれない。これも私は場合によってはやむを得ないと思います。ともかく、この機会に、これは昭和三十八年度で私どももやってもらいたいと思うのですが、かりに、それが全面的にできなくても、できるだけ早くやってもらわなければならぬと思うのであります。まあ私どもは、そういう点で、自治省がほんとうにその点について取っ組んでやっていただけるとすれば、今回のこの問題については、私自身としては、まあ一つのやむを得ない措置だ、こういうふうに考えておるのですが、いかがですか。
#12
○国務大臣(篠田弘作君) 単位費用の引き上げにつきましては全く同感でございます。実情に通したように、また合理的にやっていかなければならないということ、もとより当然でありまして、でき得る限り積極的にそういう方向に努力したいと、こう考えております。
#13
○鈴木壽君 たとえば三十八年度の単位費用の引き上げ、今度の交付税法の一部改正案を見ますと、これによってどの程度の財政.需要の増加ができるか、私は数字はまだ聞いておりませんが、三十七年度に比べて、大体千八百億程度の増になるのじゃないかというようなことも、ちょっと聞いております。それはともかくとして、交付税のワクがあるのですから、そのワクの中でだけ操作するというようなことだけを考えますと、いつまでたってもうまくないと思う。今度の三十八年度の五千五百億でしたか、その程度のワクの中で不足額を埋めよう、こういうふうに考えていきますといけないと思うので、この点、私は、さっきもちょっと申し上げましたように、場合によっては、交付税の額が足りなくて減額調整をしなければならぬというようなことも出てくると思いますが、それは私は一つのやむを得ない措置として認めていかなければならぬと思いますし、そういう意味で、私はほんとうに本格的に取っ組んでいただきたいということを最後に望み、また、それに対する大臣の決意のほどを私、お聞きしておきたいと思うのであります。
#14
○国務大臣(篠田弘作君) 先ほど来申し上げましたように、将来に向かって積極的に財源措置をいろいろ考えて、御趣旨に沿った方向に向かって努力したい。まあ一例をあげますと、電気ガス税の減税などというようなことも、その一つの何といいますか例でありますが、まじめにひとつこの問題と取っ組んでみたい、こう考えております。
#15
○秋山長造君 今の鈴木君の御質問ですが、交付税の性格については、これはもう今、鈴木君がおっしゃった大蔵省的な解釈は間違いだ。やはり今ここで大臣の確認されたような性格のものとして、これも一応疑う余地はないと思うのです、交付税の性格は。それからまた、この交付税の配分方法等についても、行政上は、これはもう何ら疑問の余地はないと思うのです。きわめて明確な基準に従って公明に配分されておると思うし、また、そうあるべきだと思うのです。ところが、それを妙な恩恵的な解釈をするのは、実は大蔵省ばかりじゃないので、行政的、理論的にははっきりしておることではあるけれども、特に地方選挙なんかにからんできますと、何か、いかにも交付税というものが政府あるいは与党の裁量で、ある程度、たとえばその自治体の首長が自民党であるか、社会党であるか、一番極端な場合――というようなことによって、いかにもはっきり、それは篠田さんはそういうようなことはおっしゃらぬけれども、たとえば、ほかでよく、そういうようなことを明確にのみ込んでおられぬからおっしゃるのかもしれませんが、ほかの大臣の方とか、与党の幹部の方が地方選挙の応援演説なんかに行って、まあ選挙演説だから多少口がゆるむ点もあるのだろうと思うけれども、いかにもこれはもう交付税一つをとってみても、時の天下につながっておるのと、つながっておらぬのとでは、大いに違うのだと言わんばかりの演説をやっている。それがまた地方民には、こう非常にぐっとくる。そこらをこれから統一地方選挙があるのですが、大臣なんかもここでは非常にまっとうな解釈をして、きわめて妥当な答弁をしておられるのですけれども、自治大臣がまさかどんなことがあっても、そういうことについていやしくも政治的な発言をされるというようなことは、私はまああり得ないだろうと思う。けれども、たとえばほかの大臣の方にしても、この国会の、こういう公の席においてわれわれが聞くと、そういうばかなことはない。たとえば前の安井自治大臣のときに、私はそのことをあらためて尋ねたことがある。そのときに、安井さんは、そんなばかなことは絶対にありません。これは交付税の配分なんかというものは、法律に従ってきわめて公平厳正に、しかも合理的、理論的に配分しておるのであって、時の天下がどうだとか、こうだとかというようなことによって、曲げられるべき筋合いのものじゃない。かつて、京都の地方選挙のときに、池田さんが京都に行って、やはりそれ的なことをおっしゃったことがある。そのことを安井さんに聞いたら、それは池田さんが交付税というものの性格の正確なことをよくお知りにならぬ個人的な発言だったのだろうということを、安井さんがおっしゃったと思うのです。ところが、そう言いながらも、選挙になりますと、どうも前大臣だとか、現大臣だとかいうような人が、いかに本思わせぶりな発言をしきりになさる。早い話が、交付税一つをとってみても、言わんばかりの発言をなさる。これはやはり、その場のがれの方便論としておっしゃることだということは、われわれも政党人だからわからぬことはありません。わからぬことはありませんが、しかし、わかるわからぬということと、そういうことが一体いいのか悪いのかということとは別ですから、どうですか。その点ひとつ、この際地方選挙を前にして明確にしておいてほしいと思います。
#16
○国務大臣(篠田弘作君) これは、選挙の際にはみんなオーバーになる。たとえば野党の諸君でも自民党というのは国賊だというようなことを言います。それでは野党の諸君が国賊だと思っているかというと、思っていない。この間も――衆議院の予算委員会の速記録々見ればわかりますけれども、サル回しのサルだということをある野党の代議士が予算委員会で述べられました。まさか幾ら自民党があれだからといって――池田総理はサル回しのサルだということを言われましたが、これは速記録に載っておりますけれども、そう思っているのじゃない。けれども、つい野党質問がエキサイトしてくると、あるいは選挙がエキサイトしてくるというと、そういうことを言う人が出てきます。現実に与野党を問わずあると思います。私はそういうことを申しません。それはなぜかというと、野党の存在というものが立憲政治、民主主義の発達のためにどうしてもなければならぬという信念を持っておりますから、そういうくだらぬことは私は言いません。しかしただ、御承知のとおり、交付税という問題を、そういうふうに安井さんが勘違いしたのじゃないかということをおっしゃることは、私は十分わかります。私は、えらそうな顔をしているけれども、新聞記者を二十年しましたが、税金なんというものは納めたことはあるけれども、とったこともありません。研究したことはございます。はっきり言いますと、交付税とか、特別交付税とかいろいろありますけれども、自治大臣になってから研究を始めた。幾ら研究してみましても、まだ半年か一年くらいで研究しきれない。そこで専門家のあなた方からずいぶんやっつけられるわけだけれども、結局、代議士の中で地方行政委員をやった人あるいは前に知事とか市長とか県会議員をやった人は、交付税や特別交付税はわかります。そうでない代議士で交付税や特別交付税のわかる人はほとんど百人のうち三人か五人くらいしかいない、そういうふうに実際思っておる。そういうふうに思っておると、うそをついておるのじゃない。やはり政府の考え方で交付税なんかどうにでもできると考えておる人が多いのじゃないですか。そういうのがたまたま誤って発言をして御迷惑をかけておるかもしれませんが、私はそういう考え方は持っておりませんし、知事、市長等々で自民党であるか、社会党であるかということによって交付税を区別できるはずもないし、できもしないし、やりもしない、これだけはひとつはっきり申し上げておきます。
#17
○秋山長造君 それはもう大臣の御答弁はきわめて私は満足ですけれども、満足する満足せぬというよりも、それはそうなるのですから、それを妙に思わせぶりなような説明をつけるのが間違いなんですけれども、ただ野党、与党は選挙のときにはどっちもオーバーだというのが例だとおっしゃるけれども、それはしかしやはりだいぶ違う面があるのですね。野党だって無責任なことを何でも言いっぱなしに言っていいわけじゃありません。やはり無責任なことを言うてはいけませんが、それが与党の場合、特に政府の責任者――大臣とか官房長官とかいうような政府の責任者が、そういうことをたとえ誤解であるにしてもおっしゃるということは、その影響は大きいですよ。それはそうでなくても、地方自治、地方自治というても、やはり中央集権的な要素がずいぶん多いですね、強い。そういうわけですから、したがって何か政府につながりがあると、何か交付税なんかでめんどうを特別見てもらえるのじゃなかろうかと言わんばかりの潜在意識があるのですね、地方民には。地方民だけではなくて、地方の行政をやっておる人でも、法律の建前はわかっておるけれども何か財政的な苦しみがある、そこへ持ってきて自治大臣がおっしゃらなくてもほかの大臣、いわんや総理大臣なんかが冗談にも言えば飛びつく気にもなるのですよ。これはやはり国家的規模においての利益誘導だと思う、そういう発言をされることは。ですから百人のうち三人か五人しかこの交付税の建前というものを正確に知らぬだろうというようなことならば、ひとつ大臣、この際勇気をふるって閣議でも、そういう無責任な発言をしちゃならぬ、それから与党の会合でも与党の立場において、特にそういう点は影響が大きいから間違ったオーバーなことを言わぬように、あくまで正確な発言をするようにというくらいのことは、ひとつ一本くぎをさしておいてもらいたいと思う。われわれも、そのかわりにまた、逆な面での間違った解釈だとか、オーバーなことはそれは慎みますけれども、それは与党の場合は行政に直接つながっておるだけに、そのほうが影響は大きいですよ。どうですか、自治大臣。
#18
○国務大臣(篠田弘作君) 本来、選挙というものは政策と政策の争いであり、いわば君子の争いでありますから、そういうお互いに匹夫下郎のごとき、何といいますか言葉で相手を誹謗するとか、あるいはまた非常な利益な誘導するような形で選挙演説をやるということは、これは好ましくないことであります。幸いにして、野党のほうでも慎んでいただくということでありますから、与党のほうでも大いに慎むように皆さんに御注意申し上げたいと思います。
#19
○委員長(石谷憲男君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認め、これより本案についての討論を行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#20
○小林武治君 私は、ただいまの昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案につき、次に朗読する各派共同の附帯決議案を付して賛成いたします。
   附帯決議(案)
 地方交付税は最近三箇年度に亘り、毎年度一〇〇億円以上を翌年度に繰越使用している。予算補正の時期との関連において特別の事情は認めるが、地方行政水準、地方財政の実情あるいは地方交付税制度の性質にかんがみ、政府は次の点を検討し、努めてその年度内において交付し、地方財政運営に支障を生ずることのないよう特段の配慮をなすべきである。
 一、基準財政需要額は必要額を充分に算定し、急激に進展する社会状勢の変化に対応する行政水準の維持向上に遺憾なきを期すること。
 右決議する。
 以上であります。
#21
○委員長(石谷憲男君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認め、本案について採決を行ないます。
 昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案全部を問題に供します。
 本案を、原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#22
○委員長(石谷憲男君) 全会一致であります。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 次に、討論中に述べられました小林君提出の附帯決議案を問題に供します。
 小林君提出の附帯決議案を、本法律案について本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#23
○委員長(石谷憲男君) 全会一致であります。よって小林君提出の附帯決議案は、本法律案について本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 それでは、ただいまの附帯決議につきまして篠田自治大臣から所信をお述べ願います。
#24
○国務大臣(篠田弘作君) 本委員会におきます附帯決議の御趣旨は十分に尊重いたしまして、御意思に沿うように善処いたしたいと思います。
#25
○委員長(石谷憲男君) なお、本案の審査報告書につきましては委員長に御一任願います。
  ―――――――――――――
#26
○委員長(石谷憲男君) 次に、消防法の一部を改正する法律案並びに消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案、両案を議題といたします。
 まず、両案について逐条的に補足説明を願います。
#27
○政府委員(川合武君) まず、消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案の御説明を申し上げます。
 この法律案は、ごらんいただきますように、消防組織法と消防団員等公務災害補償費任共済基金法のそれぞれ一部を改正する、その改正を行なう法律案として、二つの法律案を一まとめにして御審議いただきたい、こういうことでございます。
 消防組織法の第一条でございますが、元来消防組織法の第一条におきまして消防の任務を規定いたしております。その任務は……。
#28
○鈴木壽君 何か刷り物かなんかありますか。それともただ口頭でだけ……。
#29
○政府委員(川合武君) それでは新旧対照表がございますから、対照表で御説明することにいたします。
 現行法では、消防の任務を火災とその他の災害、すなわち風水害または地震等の災害、この二つに区別と申しますか、ニュアンスを異にさせております。すなわち火災の場合におきましては、まあ専売特許と申しますと語弊がございますが、ほとんど独占に準ずるような役割を消防が火災について持っており、しかも最近科学消防になりましたことともあわせまして、予防から火災の鎮圧まで、いわば一貫的に行なっております。これに対しまして、風水害または地震等の災害におきましては、消防の役割ではございますけれども、しかしまた他の行政機関の役割でもございまして、火災における場合とこれらの災害における場合と、消防の役割は趣を異にしておることはお察しのとおりでございます。そこで現行法におきましては、繰り返しますが、火災につきましては一貫作業的に、ほとんどすべて消防の任務でありますが、風水害または地震等の災害による場合においては、被害を軽減する、こういうことをもって消防の任務とする。こういうふうに現行法で規定をされております。ところが、昨今におきまして、私どもの消防、この場合の消防はいわば現地機関と申しますか、実際あの動く姿の消防でございまして、申し上げるまでもなく、その施設及び人員を活用して、こういう動きを示す消防の任務でございます。その場合におきまして、被害を軽減するという表現をもっては、現在の消防機関の活動の姿を表わすのに不十分であるというふうに私どもは考えざるを得ないのでございます。もとより、予防あるいは未然の防止といっても、他の行政官庁の行ないますところの予防とか、あるいは未然の防止というような権限を促したり、あるいは管理主体といたしまして、そこまで消防機関が入っていくということにはならないと思いますが、しかし現地の活動を見ましても、被害を軽減するというような消極的な言葉をもっては必ずしも適当でなくて、進んでこれを防ぎとめるというような意気込み――申しますと、まあ精神論みたいになりますが、さような活動を期待されてもおりますし、現実にも行なっておるというふうに私どもは考えております。ことに、昨今防災に関します一般の世論、またわれわれに対します激励もございまして、でき得る範囲であろうけれども、災害を防ぎとめるという考え方で、前向きの考え方でいくべきであるというふうな要請もされておると思います。また、実際を見ましても、現行の消防法におきましても、被害の軽減という言葉、この言葉の中に含めるのには、必ずしも適当でないと思われるような条文が現行法でもございます。消防法におきましても、これを警戒し、あるいはこれを鎮圧するというような規定もございますし、いわば予防的な予警法の規定もあるわけでございます。私は全国的に見ました場合に、災害を防ぎとめるということは、大災害の場合は不可能かも存じませんけれども、市町村単位に見ました場合において、その市町村におきましていわば被害を防ぎとめたというような場面もあるわけでございます。現にまた事実問題といたしまして少しくどくなって恐縮でございますが、がけくずれの防止の場合に、あるいはなだれの防止の場合に、消防機関が事前に現地をパトロールいたしまして、危険区域を発見し、これに対しましてある程度の事前的な保全措置もやっておる、こういうことでございます。要しまするに、現行の防災の問題の重要性にかんがみまして、消防の役割をもう少し前向きにしていただくという意味で、被害の軽減という言葉の中に含まれておりましたと従来解されておりました災害を防ぐという観念を抜き出しまして、今回の改正案におきましては「災害を防除し、」という言葉を付け加えさしていただきまして、私どもの現地消防機関に対します前向きの努力を認めさしていただくと同時に、今後がんばらさしていただきたい。こういう意味におきまして第一条に「防除し、及びこれらの災害」という文字を加えさしていただきたい、こういうことでございます。繰り返しますが、「その施設及び人員を活用して、」とありますから、いわば消防的な防除でありまして、他の行政機関の権限を直ちに侵すという意味合いではございません。第一条の改正をお願いしております考え方は以上でございます。
 次に、第四条でございますが、第四条は消防庁の所掌事務が書いてございます。三のところに「防火査察」、カッコして「失火犯の捜査」、それから四のところに「失火犯の捜査技術」「捜査員」という、この「捜査」をいずれも「調査」と改めるということでございます。これは従来の法律におきましては、警察の捜査とまぎらわしいのでございまして、私どもの場合におきましては「調査」という言葉を消防法において使っておりますので、これは「調査」と改めるべきが当然であり、正しいということで、かような改正をいたしたいということでございます。
 その次の五は、これは技術的な修正でございます。
 それから次の十五、十六でございますが、今般消防法のほうで、救急業務を消防法の改正で消防の仕事に付け加えさしていただきたいということを改正案として出しておりますので、それに伴いまして新しい十六でかようなことを消防庁の所掌に加えさしていただく、こういうことでございます。
 新しい二十でございます。二十は災害対策基本法ができまして、私どもの防災機関としての消防もこの施行に伴いまして努力をいたさなければなりませんので、特にその点につきまして消防庁の所掌事務として消防にかかるものについて国と地方団体との連絡、地方団体相互間の連絡につきまして特に努力をいたしたい、こういうことでございます。
 次は第十条でございます。第十条は、御承知のように、従来は現行法の第九条で、私どもの消防機関は消防本部及び消防署――いわゆる役所の消防と、それから消防団と、どちらを置いてもいいということになっております。その市町村の実情でどちらを置いてもいいということになっておりますが、現行は四百四十一の市町村が消防本部、消防署を持ち、おおむね消防団もあわせ持っております。で、だんだんと火災現象が複雑にもなりましたし、またこの消防力がこれに対応して火災を防ぎとめますためにも、少なくとも都市におきましては消防本部、消防署を持ちまして、そして消防力の充実をはからねばならぬ実情に至っておると思います。そこで今般新しい十条で特定の市町村、すなわち現在考えておりますところでは密集地域一万の市街地を持っておるような市町村、これを政令でもう少しきめ細かく規定いたすつもりでございますが、大体の考え方は密集地域、連〇地域一万の市街地を有する市町村、これにつきましては消防本部、消防署を置かなければならないと、かような規定を新しい第十条で義務づけをいたしたい、こういうことでございます。第九条の原則は残しつつ、第十条で密集地域の市町村にはかような義務づけをいたしたい、こういうことでございます。これに上りまして現在大ざっぱに予想いたしまして現行の四百四十に加わる百二十六の市町村が消防本部、消防署を置くことになると思います。それに対しまして、これは来年、政令ができましてから四年間という猶予の規定を後に設けておりますけれども、それに対します財源措置につきましては十分考慮をいたすつもりでございます。
 第十条、第十一条、第十二条、第十三条、第十四条、第十五条、第十五条の二、三、四、五、六、それから第十七条等は、これは技術的な条文の整理と申しますか、修正でございまして、特に新しい内容がこれによって盛られたわけではございません。この機会に何分にも年月を経過しました法律でもございますので、最近のスタイルその他に合わせまして字句、条文の修正をいたしたい、こういう技術的な見地からただいま申しましたような条文の整頓をいたしたいということでございます。
 飛びまして第十八条の二でございます。第十八条の二は、従来、現行法でも都道府県の消防に関しましての事務を書いておるわけでございます。この十八条の二の中に、現行法の十八条の二の三に「消防に関する市町村相互の連絡に関する事項」というのがございます。ごらんいただきますように、都道府県の消防に関する事務は、教養訓練とか、消防統計、情報とか、ただいま申しました市町村相互の連絡等々ございます。私どもは、だんだんと消防が発達−発達と申しますか、近代消防になっていかなければならない、かような見地から、都道府県が、市町村の消防に対しましてこれの連絡の役割、都道府県元来の地方自治法上持つところの、その連絡の機能その他を十分に発揮してもらって、市町村消防が伸びていくということを期待いたすわけでございます。ことにお察しのように、昨今は火を消すということとあわせまして、予防行政等が緻密になって参りまして、全国三千ぐらいの市町村が消防団地区でもありますし、この複雑なる予防行政をこなすにつきましては、市町村間の連絡等を十分必要といたします。でないと、あまり予防行政の面でアンバランスでございますと、住民にも――国民にも御迷惑をかけるという点もなきにしもあらずでございます。さような点から、この市町村の消防が十分に行なわれるように、県と市町村との連絡、市町村相互間の連絡というものを、特に県としてがんばってやってほしい、こういう気持で十八条の二の三を、最初に――前のほうに持ってきましたわけでございます。私どもの考えは、県も消防に関しまして、もう少ししっかりやってもらわなければならない、こういうふうに正直のところ思っております。ただし、住民に接する場面におきましては市町村がやるべきであって、それは国民、住民と溶け合った姿であるべき消防の本質である、こういうふうに考えております。したがいまして、市町村消防を強くし、それを盛り立てるべき都道府県もっとがんばってもらわなければならない、こういうことを期待いたしまして、十八条の二の文章を考えて、御審議をお願いしておるわけでございます。ここに新しい改正案の二で、「市町村相互間における消防職員の人事交流のあっせんに関する事項」というのを、特に入れさしていただきたいということでございますが、これはお察しのように、大都市の消防はさておきまして、中小の都市の消防におきましては、新しい消防の制度になりましてから十五年、ちょうど本日が、できまして十五周年になるわけでございますが、人事が率直に申しまして非常に行き詰まっております。小さいところでは三十人か四十人の全職員でございますので、まあ上に上がろうにも上がれないし、もう詰まり切っているということでございます。それから、これに対しまして何らかの措置を  交流をするべきであるということが消防界のほうの世論になっております。また、先ほど申しましたように、今回、義務づけで消防本部、消防署を百二十も作りますときには、やはり相当練摩した人に中核になってもらわなければなりませんので、むしろ大都市からまあ一級品に近い人を出してもらって、そうして消防界全体のレベル・アップをしなければならないという実情になっております。したがいまして、この「市町村相互間における消防職員の人事交流のあつせん」を特に規定をいたしたいということでございます。むろん、この場合におきまして、市町村の要請に応じまして人事交流のあっせん、お世話役を――仲人役を都道府県がやりますのでございまして、人事の干渉というようなことは考えてもおりませんし、厳に慎むべきであるというふうに思っております。この取り扱いにつきましては、念には念を入れて、現実に必要としております人事交流のお世話役ということをはっきりといたすように指導もし、運用もいたしたい、こういう気持でございます。
 次に、第二十条でございますが、第二十条は、私どもの長官の仕事でございますが、従来は都道府県……、ごらんいただきますと、一番最後のところに、「設備、機械器具及び資材の斡旋」という古い規定がございまして、これは統制時代の、と申しますか、物のなかった時代のなごりでございますが、今はもうこういうことは現実に一つも行なっておりませんので、この点はなくする。それに合わせまして都道府県知事、市町村長、市町村の消防長というものに対しまして、従来は、勧告はやり、それから指導、助言は「要求があった場合」というふうになっておりましたが、これを一本にし、助言、勧告、指導を行なうことができるというふうにさしていただきたい。と申しますのは、まあ、そう言うと口はばっとうございますが、私どもの消防庁も、いろいろ昨今は消防研究所その他に新しい施設も加わりまして、現実に技術的な指導というものを要請もされ、やっております。したがいまして、私どもの立場から主として――主としてと申しますか、技術的な指導、助言を与えて、消防界のレベル・アップをはかりたいということで、前向きにさしていただきたい、こういう気持でございます。
 それから第二十一条は、応援の規定でございますが、市町村長は、従来は、「相互応援に関して協定することができる。」という、いわば消極的な規定でございましたが、これを「努めなければならない。」というふうに、積極的に少し考えてもらおうということでございます。相互応援の必要は、風水害の場合にはむろんのこと、火災の場合におきましても特に必要に、昨今はなっております。したがいまして、新しい二十一条で応援に努めなければならないというふうにして、現状に合わしたい、こういうことでございます。
 次に、消防団員等公務災害補償責任共済基金法の改正でございますが、これは、災害対策基本法ができまして、災害対策基本法の八十四条の規定によりまして、応急措置の業務に従事した者に損害補償の規定が設けられました。この規定に基づきまして公務災害補償の問題を、どこの関係でこれを具体化するかということでございますが、私どもの消防団員等公務災害補償責任共済基金法、現在のこの基金法で、消防法、水防法等の場合におきましての共済制度をこれでまかなっておりますので、今度新しくできました災害対策基本法の八十四条の場合には、市町村長が市町村の住民に従事してもらった場合で、死んだり事故が起きましたときに、市町村の損害補償責任ということでございますが、これは私どもの消防団員等公務災害補償責任共済基金法で扱うことが一番実際に適し、便利であろうということで、各関係の向きとも了解をとりまして、この私どもの法律の中へこの問題を取り入れたい――取り入れて規定をいたしたい、こういうことでございます。
 以上簡単でございますが、組織法並びに基金法の一部改正案の御説明でございます。
#30
○政府委員(藤井貞夫君) それでは消防法の一部を改正する法律案につきまして、若干の補足説明をさしていただきたいと思います。順序に参ります。
 第一ページの所でございますが、第二条に一項を加える改正規定でございますが、これは定義の所に一項目をつけ加えようとするものでございまして、後に出て参りまする救急業務というのを今度は法律上の制度にしたい。現在事実上の行為としてやっておりまする救急業務というものを、法律上の制度に持って参りたいと考えておりますので、これに伴いまして救急業務とは何であるかということをまず定義をして、はっきりさせたいということであります。すなわち「救急業務とは、災害により生じた事故若しくは屋外若しくは公衆の出入する場所において生じた事故」、これはまあ普通の場合でございますが、それだけでは若干狭過ぎるわけでありまして、現在も場合によっては急病患者の方々も病院に運んでおります。この点、あまりまあ広きに過ぎても困りますけれども、非常に夜中の急患等で他に搬送の適当な機関もないという場合においては、むしろこれは、積極的に搬送業務に従事することが適当であろうということを予想いたしまして、そういうような事故につきましては、災害に準ずる事故としてこれを政令で明らかにして参りたい。それらの「傷病者で医療機関その他の場所へ緊急に搬送する必要があるものを、救急隊によって、医療機関その他の場所に搬送することをいう。」としておりまして、ここで救急業務とは何ぞやということを明らかにいたした次第でございます。
 それから二ページに参りまして、第四条の改正規定は、これは立ち入り検査権の規定でございますが、この中に実は関係者に対する質問権というものが抜けておるわけでございます。これは制定当時のいろんないきさつといいますか、むしろ抜けておったといいますか、そういう不備の点があったのでございますが、立ち入り検査権については、どの他の例を見ましても質問権というものが全部入っております。消防法自体についても後ほど追加になりました危険物行政の施行についてやはり質問権というものが入っているわけでございまして、事実上質問をしたほうが実情が把握できるという場合もございますので、ここにはっきりと質問権というものも新しく加えることにいたしたという点でございます。
 それから十四条は、これは条文の整理の関係でございます。
 十五条の関係は、これは現存映写室についていろいろな規制をやっておりまして、映写室は構造設備等についての規制をやり、なお映写の技術者というものを常設の映画館においては置かなければならんというような措置を講じておるわけでございます。ところが、その後いろいろ事情が変わって参りまして、実はまああまり危険なフィルムというものは最近少なくなってきております。要するに即燃性のフィルムというものがほとんど市場に出回らなくなって参りました。緩燃性ということに大部分がなってきておりますので、昔ほどに危険性はございません。それで要らざる規制はなるべくはずしていったほうがいいのではないかということで、規制の対象を、緩燃性でない、いわゆる即燃性のフィルムというものを対象にして規制をしてゆきたい、これが十五条、十六条等の関係でございます。
 それから十九条の改正は、これは現在任意の検定を消防研究所でやっておりますが、その根拠規定になっております。このたび提案理由の説明でも御説明申し上げましたような理由によりまして、消防用機械器具等の検定を強制検定――義務検定にいたしまするとともに、消防研究所でこれを片手間でやって参りますにはあまりにも業務量が多過ぎる、そのために消防研究所自体が本来の業務に専念できないというような事情になってきております。さらに消防用機械器具の設置義務制が動き出すことやらその他の事情でもって、非常に検定件数がふえてきております。そういうようなことでもございますので、ここに新しく特殊法人として消防用機械器具の検定協会というものを作りまして、これに型式承認の前提になりまする試験と、それから個別検定という業務をあわせて行なわせるようにいたしたいと思っておりますが、これに関連のある改正をいたしまするために、十九条を削除いたしたい、かように考えておる次第でございます。
 それから、第四章の二に、新しく「消防用機械器具等の検定」という章を設けたのでありますが、これは今申し上げました消防用機械器具等の検定に関する改正の問題を以下ずっと規定をいたしたような次第でございます。で、消防用機械器具等につきましては現在も任意検定で消防研究所でやっておりますが、これは型式検定――要するに具体的な機械器具の見本というものを取り寄せまして、その構造とか材質とか性能とかいうものが、われわれのほうで作っておりまする技術上の規格に適合しておるかどうかということをまず見ます。これがきまりますと、その見本に今度は個々の製品が具体的に適合しておるかどうかということを、個別に見るのが個別検定ということで、まあ二本立てになっておるわけであります。そのうらで、やはりこれは重要な行為でございますので、国家の公権力の行使ということが裏づけになって参りますので、最小限度のやはり国の責任というものは確保しておかなければならぬという建前から、型式承認自体は、これは国の権能として留保する。検定協会はその型式承認の前提になりまする具体的な試験というものと、それから型式承認があった見本にかかわる型式について個々の製品に関して個別検定をする業務、これを検定協会に行なわせる、こういう建前にいたしたいと考えておりまして、以下はその関係についての手続その他の事項を規定をいたしたような次第でございます。それが二十一条の十六までが手続その他の効力規定でございますが、第二節といたしまして、二十一条の十七――十三ページでございますが、十七以下に、その検定の仕事に携わりまする「日本消防検定協会」についての規定を掲げた次第でございます。これは大体今までも数多くございまする特殊法人の規定に大体例をとりまして、右にならえをいたしまして規定をいたしております。相当政府の監督権限が強く行使されることを予定をいたしまして、規定の整備をはかっておるのでございます。
 十四ページの二十一条の二十四にございますように、役員といたしましては理事長が一へ理事が三人以内、監事が一人ということでございまして、この協会は現在ございます三鷹の消防研究所、あそこの敷地に事務所を付置する予定でございます。なお業者の便宜をはかる等の必要もございまして、ただいまのところでは従たる事務所といたしまして、大阪に協会の支所というものを一カ所置きたい、かように考えておる次第でございます。出資金は三千万円で、これは全額国庫出資、国からの出資ということに相なりまするし、消防研究所に付置をいたしまする関係もございまして、土地等につきましては若干の業務運営に必要な限りにおきまする現物出資を期待いたしております。現物出資の規定は、必要な根拠規定を附則に置くことにいたしておるわけでございます。
 その他につきましては、一般の特殊法人と大体大同小異でございますので、内容の詳細な御説明は省略をさしていただきたいと存じます。
 それから二十四ページに参りまして、三十五条の三の改正規定がございます。これは現在火災の原因調査というのは、消防がやっておることは御承知のとおりでございます。しかしながら、火災の原因調査ということになりますと、これはかなり技術的な要素が入って参りまするので、常設消防本部を置いておらない市町村については、事実上原因調査といってもこれは無理がございます。したがいまして、そういうところでは現実に権能はあるけれども、実際に権能の行使ができないというような状況に相なっております。この間、天下の耳目を聳動せしめましたような山中湖畔の山荘事件、ああいう事件についてみますると、あれは消防団地区でございますので、地元の消防機関ではとうてい原因調査というようなところには手が及ばないことに相なっております。しかし、ああいうのはやはり社会的な影響だとか何とかということは別問題といたしまして、やはり大きな事件でございますし、今後における火災予防あるいは火災対策上の参考にもなることでございますからして、それらについては市町村長や知事が、必要な場合については原因調査ができるということにしたほうがよいのではなかろうか。このことが全国的にも参考になって、将来の火災対策にも寄与することにもなるのではないかというような考え方から、常設消防のない市町村の区域にありましては、当該市町村長から求めがあった場合及び特に知事が必要があると認めた場合に限って、火災の調査をやることができるという規定を置くことにいたしたというのが、この改正の趣旨でございます。
 二十五ページに参りまして、「第七章の次に次の一章を加える。」、改正規定でございます。第七章の二といたしまして、先刻ちょっと触れました救急業務に関する規定を挿入いたしたいということでございまして、三十五条の五は、「消防本部を置かなければならない市町村で政令で定める基準に該当するものは、救急業務を行なわなければならない。」ということにいたしております。消防本部を置かなければならない市町村は、先刻次長から組織法に関連して御説明申し上げましたように、大体市街地の人口一万程度の市町村というものについては消防本部というものの設置の義務を課したい、かように考えておるわけでございますが、その設置義務を課される、いわゆる消防本部を置かなければならない市町村全部に、ただいま直ちに救急業務というものを義務づけていくということもどうであろうか。常設消防自体の内容もまだ整わぬ先に、救急業務を義務づけるということもいかがかと存ぜられますので、消防本部を置かなければならない市町村の中で、特に政令で定める基準に該当するもの、今のところ大体人口十万程度のところと考えたいというふうに思っておりますが、その基準に該当するものは救急業務の施行を義務づける。なお、その他のところでも必要性はあるわけでありますので、その救急業務の施行を義務づけられまする市町村以外の市町村でも、それらの市町村に準ずるものは救急業務を行なうように努めなければならないというふうに努力義務を課すことにいたしました。救急業務の、その他の内容規定につきましてはあまり詳細にわたる規定はいたしておりません。ごく簡単に救急乗務に対する協力を求める規定、警察官との連絡をはかるべき点、あるいは救急隊の活動についての関係ということについて、最小必要限度の規定を設けることにいたしておる次第でございます。
 なお、救急業務の施行につきましては、救急医療制度ということと非常に密接な関係がございます。厚生省でもって今年一ばいかかって、いろいろと、それらについての根本的対策を研究するということに相なっておるようでございますが、私たちのほうは医療制度自体に、むろんとやかくいうことではなくて、事故現場からこういうような医療機関に搬送する、そこの関係についてはっきりと法的に整備をいたしたいということで、今度の改正案をお願い申し上げておる次第でございます。
 このあとは、ずっと罰則関係でございまして、これはそれぞれ新しい規定がつけ加わりましたり、関連をいたしまして関係条文についてそれぞれの手直しをいたしております。
 附則の関係は、協会の設立準備の規定、それから土地の現物出資の規定、また協会に対する非課税の規定というものを中心といたしまして、必要な規定を盛り込むことにいたしておる次第でございます。
 以上、ごく簡単でございますが、消防法の一部改正案についての補足説明にかえさしていただきます。
#31
○委員長(石谷憲男君) 両案についての本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。
 次回は三月十二日(火曜日)午前十時より消防関係二案について審査を行なう予定であります。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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