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1962/06/11 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 地方行政委員会 第27号
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1962/06/11 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 地方行政委員会 第27号

#1
第043回国会 地方行政委員会 第27号
昭和三十八年六月十一日(火曜日)
   午前十時三十八分開会
    ―――――――――――――
委員の異動
 六月十一日
  辞任      補欠選任
   小柳  勇君  野々山一三君
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     石谷 憲男君
   理事
           小林 武治君
           西郷吉之助君
           林  虎雄君
           市川 房枝君
   委員
           沢田 一精君
           館  哲二君
           秋山 長造君
           鈴木  壽君
           野々山一三君
           松本 賢一君
           鈴木 一弘君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 綾部健太郎君
   自 治 大 臣 篠田 弘作君
   国 務 大 臣 宮澤 喜一君
  政府委員
   運輸省自動車局
   長       木村 睦男君
   自治省財政局長 奧野 誠亮君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方公営企業法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(石谷憲男君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 六月十一日付、小柳勇君が辞任、野々山一三君選任。以上であります。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(石谷憲男君) 地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。篠田自治大臣、自治省当局のほか、宮澤経済企画庁長官、綾部運輸大臣、木村自動車局長が出席しております。
 御質疑の方は順次御発言願います。
#4
○鈴木壽君 運輸大臣並びに経済企画庁長官に御出席をいただいておりますので、ただいま私ども審議しております地方公営企業法の一部改正案、これの関係から、特に現在問題となっております公営企業のいろいろなことのうち、交通関係の問題について若干お尋ねをいたします。
 まず最初に、運輸大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、交通関係の企業、特にバス事業に対しましては、大都市のこれらの事業が最近非常に経営上赤字が累積をいたしまして、それの経営がたいへんだというところに来ていることは御承知のとおりだと思います。そこで、その赤字の最大の問題は、バス料金が適正でないというところにあるというふうに、まあ多く言われているのであります。六大都市のうち、東京、大阪、横浜、名古屋、神戸、これらの都市からはすでに三十六年の七月にバス料金の改定の申請が行なわれておるのでありますが、現在までまだその認可を見るに至っておらないということなんでありますが、この間の事情について運輸大臣としてはどういうふうにお考えになっており、したがって現在まで認可されておらない、これらの経緯についてひとつお伺いをいたしたい、このように思うのであります。
#5
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま御指摘のように、大都市周辺の公営と言わず私営と言わず、バスが非常に人件費その他諸物価の高騰によりまして経営が困難になっておるというのは御指摘のとおりでございます。そこで、三十六年七月以来申請されましたバス業者が、たしか三百七つあります、公営その他を入れまして。そして認可になったのが二百六十四ありまして、残り四十三件はいまだ認可になっておりません。そうして、東京付近におきましては都を含めまして約十件あります。また、横浜付近に三件あります。大阪付近にも二、三件あります。いずれも経営の実態とそれから交通政策の観点から言えば、現状のままでは交通の混乱を来たすおそれがあると私どもは考えまして、目下、経済企画庁その他と交渉しておるという段階でございます。
#6
○鈴木壽君 そうすると、運輸大臣としては料金の改定が必要であると、こういう建前に立っておるというふうに了解してよろしゅうございますか。
#7
○国務大臣(綾部健太郎君) そのとおりでございます。
#8
○鈴木壽君 認可するしないは運輸大臣の権限でございますから、そういうかりに必要であるというふうにお認めになるとすれば、改定のあるいは引き上げの幅とか、それはまあともかくとして、おやりになるということが正しいんじゃないですか。
#9
○国務大臣(綾部健太郎君) お説のとおりでございますが、閣議の了解事項といたしまして、諸物価の高騰を防止するという内閣の基本方針に従いまして経済企画庁と合議をすることになっておりまして、さっき申しましたように経済企画庁と合議、折衝中でございます。これは池田内閣の物価対策上、世論が納得するような状態にならないと――閣議の了解の趣旨に従いまして経済企画庁の御同意を得なければやれないというのが実情でございまして、せっかく経済企画庁とあらゆる観点からこの池田内閣の物価騰貴抑制政策と関連いたしまして検討中でございます。
#10
○鈴木壽君 先ほど運輸大臣からのお話の中に、申請されたものはたくさんあったが、そのうち、大都市並びにその周辺の、公営だけでなしに私営のものについても別にしておるというようなお話でございましたが、中小の都市と大都市と区別をつけなきゃならぬのはどういう点からでありますか、運輸大臣として。
#11
○国務大臣(綾部健太郎君) 中小都市におきましては、どうしても値上げをしていかなければやっていけないという実情が非常に深刻でございまして、唯一の住民の足であるバスについてその必要性を痛感いたしたので、経済企画庁とも相談の上御同意を得て、運輸審議会を通して認可したような次第でございます。
#12
○鈴木壽君 中小都市の場合は、どうしても経営の実態から値上げをしなければならぬ。こういうことで値上げの認可をしたということでありますが、大都市の場合は、そうしますと、値上げをしなくてもやっていけるんだと、こういうことになるように聞こえるのですが、その点はいかがですか。
#13
○国務大臣(綾部健太郎君) 大都市といえども、近年特に悪化して参りましたので、もうじんぜん日を送るわけにはいかぬと、私は考えております。
#14
○鈴木壽君 これはいろいろ考え方があると思うんですが、私は何も今上げろとか、上げちゃならぬとか、そういうような前提を設けた上でお聞きしているわけじゃなくて、こういう実態からそれを政府としてはどう考えるのか、運輸大臣としてはどういうふうに御判断なさるのか、こういうのでお聞きしているんです。そこで大都市の場合、これは今あなたも容易でない段階に来ているということを言われましたが、なかなかたいへんな段階に来ていると思うんですね。三十六年度のこの決算を見ますと、バス事業一つとりましても、六大都市で十五億四千七百万円の赤字が出ているのであります。路面電車などは二十八億八千四百万円で、さらにバスの倍近くの赤字を出している、こういう実態であります。東京都のを一つとりましても、これは年々赤字が大きくなって、三十五年度では四億三千八百万円、三十六年度では八億三千九百万円、これらをいわゆる累計した赤字が、東京都の場合は、これはバス事業一つでございますよ、二十二億という大きな額になっているのであります。私どもしろうとですが、外から見ても、これはなかなかたいへんなことじゃないか、いかに東京都が大きくとも、あるいは財政力があるかもしれませんが、これぐらいの赤字になると、これはたいへんなことじゃないかと思うんです。私は、運輸大臣としては、ただ料金そのものというだけでなしに、たとえばあなたの所管である料金の認可権を持っているこういう交通関係の場合に、やはり経営というものも十分これは考えていかなければならぬ、そういう一つの私は責務があるのじゃないかと思うのでありますが、まあさっき、あなたのお答えでは容易でない段階に来ていると、こういうことでございましたから、まあさらに、あなたからその実態を聞かなくてもよろしゅうございますけれども、これはたいへんな段階になってきていますね。そこで私は、経済企画庁の長官にお伺いをしたいと思うのでありますが、先ほどからお聞きになっておりますように、運輸大臣としては、大都市の交通事業といえども容易でない段階に来ているんだ、経営上。料金の値上げの必要を認める。しかし、あなたのほうとの今話し合いをやっているために、政府の全体的な物価値上がり防止対策と申しますか、物価政策上というふうに私聞きましたが、そういう観点からなかなか結論が出ないのだ、こういうお話であったと思うのでありますが、あなたのほうで、この問題についてどういうふうにお考えになっておられるのか、ひとつ端的にお尋ねしたいと思うのであります。
#15
○国務大臣(宮澤喜一君) これは私ども、一番まあ頭の痛い問題でございます。率直に申しますと、非常に長いことこの料金は据え置かれておるわけでございますから、各部市が確かにお困りであろうと思いますし、また運輸省がこの際、料金改定を認めるべきだと言っておられるお立場もよくわかるわけでありまして、こういうもろもろの物価情勢でなければ、私どもとしてもごもっともなお話だという結論を出したいところであります。率直に申しましてそういうところなのではありますけれども、諸物価の情勢がこのような事態でございますので、いかにもここで大都市のバス料金の値上げを認めるということがやりづらい、全体の政策として決心をしかねるというのが、私どもの偽らざる気持でございます。で、私どもが指摘しておりますいろいろな点がございますけれども、一番大きな問題は、やはり実はこれらの公営バスの従業員の給与の問題でありまして、これはもう鈴木委員よく御承知でいらっしゃろうとは思いますけれども、たとえば東京都の場合と東京都の周辺の民営の各社の場合と給与を比較してみますと、これはまあ年令を大体同じ年令の層と比べなければならないと思いますが、運転手について見まして、東京都の場合が五万円であるときに、ある会社のそれは三万三千円である。事務員について、東京都の場合六万三千円であるのに他の会社の場合三万三千円である。これはこの民営の会社の中には、従業員が地方に住んでおるというようなこともございますから、これをそのまま額面で批判をしてもならない点もございますけれども、それにしても相当の格差があるわけでございます。で、これは交通事業の従業員の六大都市の場合に、給与がやはり地方公務員の給与の動きと同じに動くというところから来ておると考えるのでありますが、本来公営企業法の考え方からいえば、むろん他の公務員との権衡も考えるけれども、同時に同種の私企業、私の企業との権衡も考えて給与をきめろという、これが建前でございます。実際には他の同種の企業との権衡ということは考えられずに、同じ公共団体に勤めておるその他の地方公務員との権衡だけで給与が従来動いてきておる、こういうことに根本的な原因があるというふうに考えておるわけでございます。そこで、一方において独立採算制をとるという建前であり、しかし他方において給与がそういう動き方をするということであれば、一体今後こういう企業はどういうふうな行き方をしたらいいのかということが、当然問題になるわけでございまして、この点については、すでに数カ月前から関係各省集まりまして、こういう企業の経営のあり方について、実は協議をしたり検討をしたりしておるわけでございます。私ども何も給与がむやみに低いほうがいいというふうにはさらさら考えませんし、またこれだけの給与でも東京都などでも、ごらんのようにバスに常に車掌募集の広告がかかっておりますので、これだけの給与でもなかなか人が来ないということは事実のように思います。しかし他方で公営企業のあり方というものも一つ問題になるわけでございます。冒頭に申し上げましたように、非常に私は、これらの都市に対してはお気の毒だという感じは率直にしているわけでございますけれども、いかにもこういう時勢であり、かつ検討すべき問題もあるので、それらを検討しておるというのがただいまの現状でございます。
#16
○鈴木壽君 今のお答えから、一つにはバス料金の改定ということが、今の政府のいわゆる物価抑制政策の方向でやっているこの際、それと触れるからいけないという点、それから一つには、これらの公営企業の従業員の給与が、他の民間の同種の企業の従業員の給与と比べた場合に高いのだ、こういう点があるから、これらの点を勘案をし、さらに地方公営企業というものが一体どういう姿でなければならぬのかということが検討中であるから、まだ引き上げるということにはならぬと、こういうふうにまとめられると思うのですが、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#17
○国務大臣(宮澤喜一君) 端的にそういうふうにまとめてよろしいかとおっしゃれば、私の申し上げましたことと、そんなに異なっていないと思います。
#18
○鈴木壽君 この従業員の給与の問題でありますが、あなた今数字をあげておっしゃっておりますが、私も一、二そういう問題について見ました際に、若干他の民間の同種の企業の従業員の給与と比べた場合に、高いように数字的には見えます。ただしかし給与の問題が、たとえば運転する人たちの給与がこれくらい、事務をとる人たちの給与がこれくらいと、比べて見た場合に少し高いからと、こういう簡単な割り切り方で、若干高いからどうも問題がある。したがって料金の値上げについて考えなければならぬ、あるいは企業のあるべき姿が一体どうなければならぬのかということが、検討されなければ、にわかには料金改定の問題は問題にできないと、こういうそこに大きなウエートを置くというようなことになりますと、私は若干問題があるのじゃないかと思うのであります。確かに、私も見ましたが、若干高いようであります。しかし給与の問題は同一の年令と、こういうふうなことをおっしゃいますが、かりに年令がひとしくても勤続年数の点とか、あるいはその他の点でも条件がいろいろ違うのでありますから、そういうことまで立ち入って検討した上でないと、単に表われた数字だけで、これが高いからけしからぬとか、どうも公営企業そのものからいって問題があるとかということには、私はならぬと思うのであります。
 いま一つは、これはあなたもおっしゃっておりましたが、今の、こういう公営企業体の従業員の方の給与のきめ方、これは何といいますか、国家公務員のベース改定が行なわれた、給与の引き上げが行なわれたというような場合には、いわば地方公務員であるという身分の関係から自動的にそういうふうにならざるを得ない。こういう現実なんでありますね。いいとか悪いとかといっても、今言ったように法の建前なり、あるいは現在まで給与改定をやってきた実態からそういうふうになっておるのでありますから、こういう点で、あるいは他の私企業との比較ということが、あるいは若干あなたの言葉で言えば、なされなかったというようなことがあるかもしらぬけれども、しかし今の給与の、地方公務員としてのこれらの企業体の従業員の方々の給与のあり方、それを考える場合には、今私が言ったような、そしてあなたも言ったようなことを、これは否定、無視することもできないのであります。ですから給与の問題にひっかけてこの問題を解決しなければというような考え方に立つことは、少なくとも現実の、今のこういう問題を解決するという意味からしては、ちょっと私はおかしいのじゃないかと思うのですが、いかがでございます。
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) 地方公営企業法の三十八条に、これはもう御承知かと思いますが、御参考のために御紹介いたしますが、「企業職員の給与は、生計費並びに国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」、こういうことが書いてあるわけでございます。鈴木委員の御指摘のように、実情から申しますならば、この条文をそのまま直ちに適用しろということを地方公共団体に申しますことも、なかなかそれは簡単なことではないというふうには、確かに私も考えておりますが、他方でもしそうであるといたしましても、この条文そのものは、公営企業が独立採算制をとるという考え方と当然表裏一体をなしておるというふうに考えるわけでございます。それでございますから、片方でこの三十八条の規定が顧みられずに、他方で独立採算制というものでなければならないということになりますと、私どもとしてはその両者は相関関係が非常に深いわけでございますから、片方だけ尊重するということはやはり無理ではないかという感じがいたすわけでございます。にわかに三十八条の条文のとおりやってくれということも、また酷かもしれませんけれども、しかし料金改定をいたしまして、それがそのまま全部こういう形で給与に吸収されていく、将来ともそうであるということになりますと、たとえば東京都のような場合に、公営企業に携わっておる職員の給与の上がりというものを利用者だけが負担しなければならないものであろうか、どちらかといえば、こういうバスの利用者は勤労階級でございますから、その人たちだけが負担しなければならないものであろうか、あるいはそうでなかろうかということは、これは検討に値するというふうに思うわけでございます。公営企業法の建前を疑っているというよりは、そういう建前であるならば、やはり相関関係にあるこの三十八条の問題も、すぐにとは申しませんが、そういうふうに守っていってもらわないと困るということを、感じているわけでございます。
#20
○鈴木壽君 あなたのお話――私もあなたが今お読みになった三十八条のところには棒を引っ張ってありますが、しかし、この問題は、なかなか、あなたもおっしゃるように、今この法律にあるように、直ちにやれといっても、実際上これは不可能だと思うんでありますし、また、そう簡単に、今の給与のいわば既得権というようなものをむやみに剥奪するというようなことも、私は不可能なことだと思うのであります。ただ、あなたの話を聞いておって、こういうバス事業とか何とかいうものを独立採算制で持っていくことが、はたしていいのかどうかという問題も、あなたが考えておられるようでありますし、私も何かそういう感じを持つんであります。今の建前からすれば独立採算制でやれということなんであります。特別の場合は、あるいは補助金とかその他繰り入れとかいうことが認められますけれども、ともかく独立採算制だ。しかし、今言ったような点からいって、はたしてこれが独立採算制で堅持されていいものかどうか。特に、もう一つは、あなたが冒頭に答えられました、いわゆる政府の公共料金政策ですね。こういうものと今完全にからみ合ってきている関係ですから、場合によって政府がストップするというようなことになりますと、これは独立採算をやれといったって、なかなかこれはやれないところが出てくるんですね。
  〔委員長退席、理事西郷吉之助君着席〕
ですから、これは根本的な一つの公営企業というもののあり方、特に私今問題にしているバス等のこういうあり方ということに私なってきているんじゃないかと思うんです。そういう点もっと突っ込んだ何かあれですか――あなた方、どういうあり方がいいのかということを検討しているのだ、こういうお話でございましたが、方向としてどういうふうにしたいということなのか。もし、そういう点がおありでありましたならば、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう問題全体を関係各省が検討いたしている最中でございますので、結論が出ませんうちに、あまりあれこれ申し上げることは差し控えるべきであろうかと思うわけでございますが、少なくとも、繰り返すようでございますが、独立採算制という建前をとるのであれば、そのうらはらになります三十八条のような規定も尊重してもらわなければならない。私ども、そういう建前そのものを今問題にするまでに、みんなの検討が進んでおりませんけれども、そういう建前ならやはり、その関連したこういう規定は尊重されなければならない、この程度以上ただいま申し上げることは差し控えるべきであろうかと思うわけでございます。
#22
○鈴木壽君 独立採算制の場合、企業の問題だけじゃないので、むしろ私は、一体今の料金というものが、はたして採算のとれるような料金であるか、コストにちゃんと見合う料金であるのかどうか、あるいはサービスに見合う料金であるのかどうかという、これは一つの根本的な、より大きな問題が私はあると思う。いろいろな数字から、一キロ当たりどのくらいの経費が必要か、今の料金がどのくらいか、数字的にもあります。今、私こういうことを一々ここで申し上げることをやめますけれども、こういう点からいって、私はやはり料金の問題というものは何といったって最大の問題だと思う。ですから、それを政府が公共料金の引き上げはいけないんだ、物価政策上だめなんだと、こういうふうに押えておる。私は押えることについては賛成ですよ、これは時期的にいろいろな意味で。したがって、そんならば一体私は、企業のあり方というものをどう考えて、どう対処しなければならぬかという問題まで考えてもらわなければいけない。独立採算だといって、料金なり――あるいはあなたの言う賃金の問題、いろいろ問題はあると思いますが、そういうものは一方においてやっておいて、さて実際問題として料金の引き上げもしないし、その他何ら手を打たないで、企業そのものの経営が今危殆に瀕する、少し言葉がオーバーかもしれないが、そういう事態になってきておるということは、先ほど運輸大臣も認めている。こういう問題に対して、政府は一体どうするのか。したがって、当然私はこういう公営企業の本質まで考え、こういうものをどうするかということを考えないと、その場その場でただやっておっても、企業そのものはたいへんだと思う。ですから、あなたは検討中だからあまり言えないと、こういうお話ですが、そこまで私は、やはりひとつ考えておいてもらわないと、いけないんじゃないかと思うのであります。もっと端的に申しますと、料金の引き上げはしないのだ、政府の物価政策上これはやるべきでないのだ、世論も納得しないのだ、こういう建前でやるならば、一体ここに出ておるこういう赤字というものを、一体どうするのか、このままにしておくのか、これは企業体そのものの責任だということでは済まされない問題だと私は思う。そういう点で、もう少し突っ込んだお考え方があってしかるべきだと思う。もう一回お聞かせ願いたい。
  〔理事西郷吉之助君退席、委員長着席〕
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の点はごもっともだと考えますが、私がただいまあえて独立採算制の問題を申しませんのは、一つは検討中であるからでありますけれども、もう一つは、同種の民営の企業が、ともかくも現行の料金で利益をそう上げておるというととは申せませんけれども、しかし、長年あまり赤字を出さずにやってこれたということがあるわけでございます。これらの民営企業は公租公課を払っておりますし、公営企業は負担していないわけでございますから、税金だけでも相当な違いと思われますが、それだけのハンディキャップをしょいながら、とにかく民営企業というものは大きな赤字を出さずに、これはバス事業だけに限ってみましても、やってきておるわけでございます。もちろん、公営企業のほうは、公益性から不採算路線も走らなければならないという別のハンディキャップがありますけれども、それでも税金を払っていないということは、やはり相当な経営上の負担の軽減でございますので、現行の料金そのものが、これが採算を無視してきめられておるというふうには考えにくい。民営企業のほうもだんだん苦しくなってきておるということは認めますけれども、公営企業のようではないということがあると存じます。それならば、議論はともかくとして、山積する赤字を一体どうしていくのかという問題は確かにあるわけでございまして、たとえば、地下鉄なら地下鉄という事業を交通事業特別会計がいたしますようなときに、そういう資本的な支出まで、はたして交通事業が負担をしていかなければならないのかどうか、というような問題もあると考えるのであります。その辺に一般会計と交通事業特別会計との間の何かの調整、ルールをきめた調整というものは、これは考えられるのではないかということは思いますけれども、いずれにしても、各省の統一した研究の成果を待って結論を出すべきかと思っております。
#24
○鈴木壽君 ただいま検討中だということなんで、それの繰り返しのようですが、私は今、はしなくもあなたの口から言われましたし、私も申し上げましたように、公営企業というもの、そのものの検討の時期になっておるのじゃないか、考え方をどう持っていくかということになってきておるのじゃないかと思うのであります。私鉄のほう、あるいは私企業のバスのほうは間に合っているけれども、公営のほうが間に合わぬ、こういう例も私はあろうと思います。しかし、もともと公営企業の場合は私企業の場合とはねらいが違うのです。私企業の場合はあくまで採算のとれるように、もうかるようにすることが第一なんであって、公営でやっている場合は独立採算とはいいながら、実態は独立採算をとうてい堅持できない、そういういろいろな要素があるのですね。公共性、住民の福祉、こういうものにつながるものとして公営でやるのですから、それを独立採算というような形であくまで持っていこうというところに問題が私は一つあると思うのであります。そういう点で、やはりこれはものの性質による、たとえば今申し上げますような交通事業のうちのバスならバスでも、あるいは電車なら電車、あるいはまた、その他の病院、いろいろな問題があるのでありますが、これはもう検討して、もう一度政府部内でもすっきりした、統一した公営企業に対する考え方――したがって、公営企業として一体どう育成していくべきであるのか、必要であるのかないのか、私は、こういうことまで検討する時期にきていると思うのです。私は今までのところ、現在でもそうだと思いますが、公営企業は必要だという前提は政府でも持っているだろうと思う。とすれば、今前段で申し上げましたことは、将来の、これからの問題として私は考えなければならぬと思うのでありますが、必要であるとして、それを育成しなければならぬという一つの方向であるとすれば、政策として料金の引き上げはまずい、あるいはその他のいろいろな問題があるが、しかし、今は実態はこうだ。それに対して一体どうすべきか。国としてどうすべきか、あるいは地方公共団体としてどうすべきかということまで考えないといけない。それを私は申し上げているのです。あなたは今――たとえば、地下鉄なんかの大きな投資をする場合に、全部料金で埋め合わせようといったって、これはなかなかたいへんなことであります。同様にバスだって、そういうことが私は言えると思うのです。バス事業に対して一体どうすべきでであるのか。やはり私は、そこまで考えないといけないと思う。さらにまた、当面問題となっているこういう累積赤字は、このままで一体いいのかどうか。私は、少なくとも公営企業というものの必要性を認めて、さらにこれを育成していく、あるいは健全な発達をさしていく。こういう建前に立つならば、そこまでやっぱり考えないといけないと思うのです。私は、宮澤さん、まじめに公営企業のあり方というものを考えて申し上げているのでありますが、いかがでございましょう。
#25
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問の背景になっておりますような、そういう種類のことが、当然ただいま検討の対象になっておるわけでございます。
#26
○鈴木壽君 そうすると、そのいろいろ検討されておる結果はいつごろ出る予定でございますか。
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) もう実は、だいぶ時間がかかっておるわけでございまして、秋ごろには結論を出してもらわなければいけないと思っております。
#28
○鈴木壽君 秋ごろには結論が出るということになりますと、その中には、いわゆる公営企業のあり方そのものに対する検討が中心のようでございますが、そういう結論が出る、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねの意味は、独立採算制そのものの建前を変えるような結論が出るか、こういうお尋ねであるとすれば、そうなりますと、これは非常に広範に、いろいろなところに影響のある問題でございますから、結論を予断いたすわけではございませんけれども、そういう結論が出るであろうという予断もまたいたしかねると思います。
#30
○鈴木壽君 私は、独立採算を否定する結論が出ることを期待する、こういう意味で毛ないわけでありますが、しかし、そういう問題も含めて、公営企業というものは一体どうあるべきであるのか、単にバスあるいはその他の交通事業に限らず、今地方公共団体で行なっておる公営企業各般の問題がありますが、そういう問題をも含めて、公営企業のあり方はどうあるべきであるのか、そういう結論が出るのか、出ないのか、こういうことなんであります。
#31
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうお尋ねであれば、まさしくそういうことは研究の対象でございます。
#32
○鈴木壽君 今、私が問題にしております交通事業、あるいはバス事業に限ったことでなしに、公営企業全体の問題を検討しておるということなんでございますか。
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) 当面研究の契機になりましたのは、このバスの問題でございますけれども、議論の過程ではやはり公営企業そのもののあり方、これを当然問題にせざるを得ないわけでございますから、当然の関連事項としてそういうことがやはり議論の対象になっておるわけでございます。
#34
○鈴木壽君 そうすると、その結論が出れば、その結論に従って料金の改定ということも行なわれるというふうにお考えになっておりますか。
#35
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭に申し上げましたように、料金の改定そのものが純然たる経済的な、つまり企業採算の問題ばかりでなく、一般の物価との関連において私ども考えなければならないものでございますから、やはり、かりに改定をするといたしましても、どの時点においてそういうことを考えるかということは、別個の一つの政治の課題として考えなければならない問題だと思います。したがって、そういう結論が出ましたときに、すぐさま、それをそのとおり政治上の決断として行なうかどうかということは、もちろん非常に密接な関連はございますけれども、それが即そうであるということは申し上げにくいかと思います。
#36
○鈴木壽君 お話はわかりますが、そうなりますと、ますます公営企業のあり方というものについて、これはどういう結論が出るかわかりませんが、しかし、あなた方、政府としては一つのはっきりした考え方を持たねばならぬと思うのであります。今の公共料金の問題は、バスとか、それだけではなしに、いろいろな問題にあるわけですね。たとえば水道の問題にしろ、いろいろなものにあるのですね。一方には簡単に値上げが認められるというよりも、企業体でやって、それを届出さえすればいいという格好のものもある。一方には運輸大臣あるいはいわば政府の認可を必要とするものもある。認可を必要とするものは、国の政治的な一つの政策の問題としてブレーキをかけられることがあるし、改定を認可されないということももう現に起こっている。一体企業はどうすればいいのか、こういう問題なんですよ。秋まで――私は秋に上げろとか、冬になったら上げろとか、そんなことを今言っているのじゃなくて、そういう問題とからんできますから、公営企業のあり方、料金の問題等、特にこれは政府として、よほど考えないと企業そのものがやっていけない。必要だ、助成しなければならない、育成しなければならぬ、健全な発展を遂げるようにやらなければならぬ、こう言っても事実はやれない。こういうことが今の事態であり、これからも予想される事態なんですね。少し声が大きくなったようですが、私、まじめにそう考えているから少し声が大きくなってきましたが、そうじゃないですか。どうもわからぬ、政府全体の――私は、こういうたとえばバス料金ならバス料金を、上げなければ上げないでいいですよ。私も、物価政策の立場からいって簡単に上げるべき時期でないと思う。しかし、それならば一体どうするのか、さっきも言われたとおりに、こういうものを一体どうしてこのままほうっておくのか、ここまで私は考えなければいけない、こういうことなんです。端的にいうと、あなたもちょっと例を申されましたが、たとえば地下鉄なんかの場合の例をおっしゃっております。バス事業だって同じ規模、あるいは金高においては違っておっても投下資本というものは、これは相当大きなものが必要なんであります。そういうものに対して、一体政府は単に起債でみるとか何とかいうことでなしに、もっと突っ込んだ、もっと企業そのものにプラスになるような手当というものを、私は考えていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。少し話は、もたもたごちゃごちゃ言って参りましたけれども、端的にいって、たとえば東京とか大阪とか、こういうふうなバス事業がそのままほうっておけますか、どうですか。
#37
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のことは非常によくわかるわけでありまして、御指摘の点がもたもたしているのではなくて、実は問題がもたもたしているわけでございますから、御指摘になりますことは私には実に逐一よくわかるわけでございます。確かに東京都で二十億をこえる赤字があるということ、こういう状態をもちろんいつまでも放置しておくということは、これはできない状態なわけでございます。何かの形で措置をしなければならぬということは、そのとおりでありますし、また処置をしようとすれば、これはいろいろな方法があるということもお気づきだろうと考えます。いずれにいたしましても、関係各省いろいろな意味で、この公営企業のあり方には関心を持っておりますから、ともかく、その結論を待ちたい。同じことを何度も申し上げるようでございますけれども、それが私どもの立場でございます。
#38
○鈴木壽君 自治大臣、ちょっと今あなたもお聞きになったと思いますが、こういう状態なんです。これは一体どうすればいいのです。政府として、あなたは直接担当の自治省の大臣として、どうすべきであるというふうにお考えなんですか。
#39
○国務大臣(篠田弘作君) 私は、地方団体の財政問題として、やはり自治省の立場において考えなければいけない。バス料金が十二年間ほど上がっておらない。その間に諸物価がずっと上がって、もちろん賃金などはその間に上がっております。それを一体地方自治団体としては、このままでは赤字の累積で地方財政の破綻も――破綻というほどじゃないかもしらぬが、非常な困窮を来たしておる状態であるから、適当に合理的な料金に改定してもらいたいという地方団体の要望は、これは私はもっともだと思う。この点は宮澤長官も同感なわけであります。ただ、その物価政策の上から、ここでバス料金など公共料金の値上げをするということが物価にはね返るかどうかという、あるいは物価騰貴に非常な心理的な影響を与えるんじゃないかということを特に宮澤長官が心配しているようであります。私は自治大臣の立場から見ると、逆にそれでは、このバス料金を押えることによって、他の物価の高騰を押えることができるのかどうかということから、やっぱり考えなけりゃならない。バス料金を押えることによってほかの物価の高騰を押えるという、そのブレーキの役目をするならば、これは地方団体がどんなに苦しくても、あるいは何らか別な方法でそれを解決する、あるいは融資なり、あるいはまた、いろいろな面においてそれを解決することにして、そうしてここで断固として押えなきゃいけない。しかし、バス料金を押えることによって、押えることだけはできるけれども、ほかの物価は、それにはおかまいなしに、どんどん上がっていくということになれば、ここで不合理なバス料金というものを押えておくということ自体も、私は意味がないんじゃないか、そういうふうにまあ考える。それではこのバス料金というものを、五大都市ですか、かりにここで料金を二〇%程度上げたという場合に、全体の消費者物価指数に及ぼす影響は〇・〇六%、すなわち百分の六%である。物価はすでに六、七%高騰しておるときに百分の六%の公共料金を押えて他の物価の高騰に対する、いわゆるブレーキの役目を果たさせようということ自体が、すでに無理であるし、また、それによって、そういう印象を世間に植え付けても、それほどの効果はないんじゃないか、私は自治省の立場においてはそういうふうに考えております。しかし全体としても大きな政治問題でありますから、やはり先ほど宮澤長官が申されましたように、バス料金の値上げをする、今度は都電が赤字ができたから都電の、路面電車の値上げをする、今度はまた地下鉄の値上げをする、値上げの追っかけごっこでは、これは非常に、いかにもだらしがないというか、無能であるということで、私は、やはり都の交通問題は一本の姿において都市交通審議会がすでに答申しておるように、バス、地下鉄、路面電車――そのうち路面電車を廃止してバスにかえるところもあるでありましょうし、地下鉄とかバスの充実によって交通問題の関係から路面電車をどんどんはずしていかなきゃならぬ場合もあるでありましょうが、それを一体としてやはり私は研究をする、そうして料金はできるだけプールにしまして、そうして交通料金の値上げをするならば、何年かに一ぺん適当に交通料金の値上げをすれば、きょうはバス、あすは路面電車、あさっては地下鉄というような、そういう繁雑な秩序のないやり方というものはやめていったらどうか、こういうふうにも考えております。いずれにしましても、問題が非常に大きいのでありますから、私だけの、もちろん意見は吐く機会もなかったし、吐いてもおりません。今企画庁と運輸省において検討されておりますから、その検討の結果を待って私も適当の時期には意見を述べようと、こう思っておりましたが、ちょうどきょう、この機会がありましたので、私の考えを述べろといえば、そういう考えを持っておる、こういうことであります。
#40
○鈴木壽君 篠田さん、あなたの話を聞いていると、今の変ですね。政府の物価政策とはちょっと違うような印象を受けますね。
#41
○国務大臣(篠田弘作君) 物価の値上げというものを、全体的に押えようという意味じゃないかと私は思います。それは私も賛成です。しかし、今言う十二年間値上げをしなかった、それでは政府の力で押えられるものだけは押えるけれども、押えることができないものは、どんどん上がっていくというのでは、物価政策にはならないじゃないか。自分の言うことを聞く、押えられるところだけは押える。ちっちゃなところは圧迫する、大きなところは圧迫できない、兄貴のほうは野放し、弟のほうは押えるということでは親の責任ということは言えないでしょう。私は、物価政策として、すべての物価を上げない、低物価政策をとって、そうして国民生活を安定する、そういう考え方には基本的に賛成です。しかし、ほかの物価はどんどん上がっていくじゃないか、六、七%もどんどん上がっていく。片方は〇・〇六%値上げのバス料金を押えることによって他の物価が上がらないならいい。他の物価はどんどん上がっていくのに、こっちだけ押えて、地方団体に対して赤字を出さしておるという、そういう考え方には賛成しない。私は意見を求められれば率直に言います。場合によっては、それは企画庁とかあるいは運輸省の意見と違うかもしれませんが、全体の低物価政策には賛成だが、それがしかし、ある意味において不公平になったり、へんぱになったり、そういうことになるということになれば、それはよく考えなければ――弱い者を押えて、強い者を野放しにするということじゃ政策じゃありません。
#42
○鈴木壽君 あなたはなかなか正直ですが、しかしそれは私に言うべきじゃなくて、閣議でやはりそういうことを言わなければ……私に言うべき言葉じゃなかったようですが、ただ、物価政策全体としては低物価政策には賛成だ。ところが、政府の物価政策の中心をなしているものは、一貫して公共料金の引き上げを阻止するということなんですよ。これだけは、あなたは大臣としてはっきりしておかなければならない。閣議決定が何べんもなされている。三十六年の三月七日の閣議決定でも公共料金の値上げは当分一切行なわないのだ、こういうこともあり、去年の三十七年三月九日の閣議了解事項でも「公共料金の値上げ抑制措置は、引き続きこれを堅持する」と、これは政府の物価政策の根本なんですよ。それだから、あなたの話を聞いていると、私は正直でいいと思います。ばらばらな、いいかげんな物価政策をやっている今の政府のそれに対しては、あなたは大臣でありながら正直に、ずばりものを言っておられるのでいいと思いますが、しかし私、ちょっとまだおかしいと思うのですが、どうですか。
#43
○国務大臣(篠田弘作君) その後においてバスの料金を上げるべきものは上げておるのです。絶対に上げないわけではない。ただこれは、今上げるべき段階にあるか、そうでない段階にあるか、あるいは他の方法をもって解決するかという問題だけだと私は思う。あなたも先ほどずっと指摘しておられるように、じゃ、この問題をどうするか。これで三年も五年もほうっておけるものではない。実際問題としてほうっておけない。どこかで合理的な解決をしなければならない。だが、基本的な物価政策というものは、もちろん公共料金は上げないというところにあります。上げないところにあるけれども、その五十幾つのうち四十幾つか上がって、残るのは八つ、そういうことを考えたときに、この問題をどうしたらいいか。物価政策として、物価の値上がりに対する、先ほど言いましたような影響がどの程度あるのか。これを上げないことによって、他の物価の高騰を阻止することができるか、どうか。これはやはり解決しなければならない問題だから、どんな小さい問題でありましても――指に小さなとげが刺さっても、抜くべきときが来たら抜く、こうやくを張っておこうという考え方はよくない。
#44
○鈴木壽君 宮澤さん、どうです。やはり自治大臣としては上げなければならぬ、バス料金を上げなければならぬ、こういうことを言っておられる。料金を上げないことによって、他の物価の引き上げが阻止できそうにもない、上げるべきものは上げる、端的に言えばそうなるのですが、宮澤さんはどうですか。
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) 不正直という汚名を着たいわけではありませんけれども、やはり政府が統制し得るものを、政府みずからが、事情がいかにもあれ、上げるということをきめるということになりますと、これは今世の中で、ことにサービス料金あるいは環境衛生関係の料金の中には、いささか便乗と思われるものがあると思うわけでございますから、たださえそういう傾向に拍車をかけるということは、これはきわめて、ありそうなことに思うわけでございます。で、消費者物価指数から申せば、先ほど自治大臣の言われたその程度のことと考えますけれども、やはり政府としてのそういう政策についての基本的な考え方を疑われるということは、よろしくないことではないか。これはしかし、ただいま鈴木委員から各大臣、自分の思っていることを言ってみろというような御指摘でありましたから、違った考えを申すわけでございます。それは政府としては、やはり統一した立場を持たなきゃならぬということは申すまでもないことですが、まあ別々に考えを述べてみろと仰せられますので、私はそう考えるわけでございます。
#46
○鈴木壽君 私、今ここで、各大臣の考え方が違っている、それはあまり問題にすることは避けたいと思うのですが、それでは一体どうするんです、今のこういう実態を。そのうちに料金の値上げによってちゃんと経営ができるように、そして住民へのサービスができるようにしてやるというのか。しばらく国の物価政策の上で公共料金の抑制ということを当分堅持する、こうありますから、堅持するとすれば、今のこういう実態を地方団体でみろというのか、国は責任がないというのか、そこら辺どうなんです。そこら辺ですよ、私が端的に聞きたいのは。そういう意味で、これは宮澤さんにもお聞きしたいし、篠田さんにも、あなたは公営企業のあり方そのものについての担当大臣でございますから、私はそこをお聞きしたいのです。どうでしょう。やっぱり結論はまだ出ませんか。これは単に赤字が累積した、困ったということだけでなしに、いわゆる公共の福祉とか、あるいは住民へのサービスとかいう本来の目的がそこなわれてくるという、こういう実態になってきているのです。そこが私は大事な問題だと思うのであります。少なくともこういう種類の公営企業が必要であり、さっき言ったように、やはり住民へのサービスの仕事として、ぜひこういうものをもり立てていくという、こういう建前に立つならば、私はやっぱりそこまでいくべきだと思う。今の段階でお答えいただけませんか。これは私、経企長官と、それから自治大臣、両方に、最後にその点をお聞きしたいと思うのです。
#47
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、頭は押えるし、しっぽは出ちゃいかぬというふうなことは、しょせん言い切れない種類のことではあると思いますので、先ほど申し上げましたことを繰り返すようでございますが、各省の統一した見解をきめまして、それに従って一応処置をいたす。それがいかなるものであるかについてただいま申し上げることはできない、こういうふうに申し上げるしかないと思います。
#48
○国務大臣(篠田弘作君) この解決の方法は、考えてみますと、大体私の考えですが、三つしかない。一つは料金を上げることだと、いま一つは料金を上げさせないで、先ほど鈴木さんがおっしゃったように、一般会計から持ってくる、いま一つは、その差額を、はっきりいえば何らかの形で政府が助成してやる、この三つきりないだろう。そうすれば、地方のいわゆる公営企業に対して政府が特別にしりぬぐいをするということは、現在の段階ではおそらくできないんじゃないか。それからもう一つ、一般会計から持ってくるといいましても、利用者というものが限られておる。その利用者の限られておるバス料金というものに対して、一般が納税する税金の中から出すということは、これはやっぱり納税者のほうで納得しない、こういうふうに考えます。そうなると、残っている問題は、いいか悪いか知らないけれども、結局今の制度の中において――独立採算制の中において、制度を変えれば別でありますが、公営企業というものが独立採算制という建前をとっていて、それが十二年間も上がっておらないのだから、どういうように解決するかといえば、いろいろ理屈はあるだろうけれども、そういうふうに解決する以外にないのではないか、そのほかの解決の方法というものは、結局において二つきりというならば・その三つの中から選んでどの解決方法をとるかということになれば、それっきりないのではないか、こういうふうに考える。確かに長官の言われるとおり、政府が押え得るものから上げていくという、そういうことは、これはまずいにきまっているけれども、それなら、その政府の押え得るものを全部押えているかということになると、やはり国鉄の料金も上げている、いろいろなことがあります。だから私は、そういうものをどうして解決するのだと言われたら、解決の方法をあげてみたら二つか三つしかない。その中でどういう方法をとるか、これは常識の問題になってきている、議論をすればきりがありませんけれども。
#49
○鈴木壽君 篠田さん、あなたは明快ですが、これは公営企業そのものに対する根本的な一つの問題を私、あなたから提示されたと思う。こういう場合に、国も見てやるわけにいかぬだろう。地方団体だって、赤字が出たから、あるいは経営上にいろいろな問題があるからといってそこに補助なり、繰り入れをするということは、納税者の立場で許されないはずだ。経営はあくまでも料金をもって独立採算でいけ、いくべきだ、こうなると、これはさっきから私が指摘しているように、公営企業そのものに対する一つの根本的な問題になってきていると思います。
#50
○国務大臣(篠田弘作君) バス事業、公共事業を全部独立採算制でいくかいかないかということの根本問題については、私にもまた違った考えがありますけれども、現在の制度の中において、交通事業というものが独立採算制ということになっておる。独立採算制でなければ赤字は出ませんよ。どこからでも持って来れる。独立採算制であるから赤字が出る。だから独立採算制という建前を前提として、この問題の解決をはかるというためにはどうするかという方法は、幾らもありません。二つか三つです。だから、その場合において、政府がそれでは助成金を出してやる――その場合、六大都市だけ、あるいは五大都市だけに出せば足りるのか、あるいはその他の都市に対しても出してやらなければならないのか。料金値上げということも、六大都市だけではありません。小さな都市については値上げしておいて、六大都市だけ押えて、それで物価政策が満足だということになれば、いろいろ問題が出てくるわけです。一般会計から出すのが必ずしも悪いとは申しませんけれども、しかし限られた人間が利用するものであるから、一般納税者の考えは、少なくとも現在の独立採算制のもとにおいては、一般会計から出すということはできないはずです。それを出すようにするというなら、また、それは一つの見識であろうと思う。現在の与えられた組織、制度の中において、あるいは法律の中においてやるとすれば、そうである、こういうことなのです。物価問題に対する意見は、おそらく鈴木さんと違っておりません。だれも上げたいという人は一人もない。宮澤長官とも違っておりません。僕が企画庁長官の立場になれば、やはり宮澤君と同じ意見をこの委員会で述べます。たまたま自治省の大臣であるから、地方財政問題というものを身近に扱っておるから、私はそういう常識的な解決の方法が一番いいんじゃないか、こう言っているだけです。
#51
○鈴木壽君 独立採算制だといっても、私は今の法の建前からいって、一般会計から、たとえば赤字あるいは経営上の必要な経費のために繰り出しをする、あるいは補助をする。これは私否定しておらないのです。それから一方に、地方団体だけでなしに、国が何らかの措置をするということも、これは何も否定しておりませんよ。建前としては独立採算制だ、しかし今言ったように、地方団体があるいは政府が、それに対する何らかの財政措置をするということに対しては、私は否定しておらない。どうです。
#52
○国務大臣(篠田弘作君) この問題は、私はちょうど食管会計の問題と同じじゃないか、そういうふうにも考える。だから当然、食管会計というものができない以前においても、食糧関係の役人の給料は国で払っておったし、買い上げあるいは保管というようなものの費用も払っておった。だから純然たる交通そのもの、たとえばバスを買うとかガソリンを買うとか、あるいは電車であるならば軌道を敷くとかあるいは保守をするとか、そういったような交通独自のものだけを独立採算制にして、給料というようなものは、当然これは東京都なら東京都として交通事業をやらなければならないのだから、そういう給与というような当然払うべきものは別にして、それを一般会計でみる、こういうようなやり方――食管でいうならば戦争前からそういう制度はあった、食管会計というものはなかったけれども。農林省は買い上げも保管も、また食糧関係の役人もいたわけですが、そういう普通の部分として当然やるべきことは一般会計から出して、純然たる配給とか、そういうものだけを食管でやるというふうにすれば、赤字が少なくなる。それと同じように、このバスの問題にしてもそうである。純然たるバスの車両の購入であるとか、ガソリン代であるとか、修繕費であるとか、あるいは電車の軌道を敷く、地下鉄なら地下鉄の事業であるとか、そういうようなことだけは――ほんとうの交通の純粋なエキスだけは公営企業でやって、一般的な給料なんというものは、もう当然東京都としてかかえなければならない必要な人員であるのだから、その給料というものは一般の公務員並みに一般会計から出す。そういうふうな一つの組織立ったというか、僕の頭は粗雑で組織立っているかどうかわからないけれども、僕はそういうふうにしたら赤字だって解決するのじゃないか。だから必ずしも一般会計から出しちゃいけないという意見じゃありません。ただこのままの状態において、一般会計から赤字なのだから出していくというのでは、納税者は満足しない。だから、そういう意味において、根本的な改革を公営企業というものに向かって行なったあとにおいて、なお経営が悪くて赤字が出る、こういうなら別だけれども、そうでないならば、そういう方法も考えられるということは、これはあたりまえです。しかし現在の制度をそのまま堅持してやろうといっても、それは無理であります。そこに根本的な検討を加える必要がある、こういうふうに考えます。
#53
○鈴木壽君 お話わかりましたし、あなたのおっしゃる、今東京都のバスならバスの事業費の、人件費の問題、私も賛成です。私は、さっきからもたもたしたことを宮澤さんあたりにも申し上げておるのですが、根本的に公営企業のあり方というものを考え直さなければならないということは、そういうことも実は含めておる。一体ほんとうに住民のために必要であるということは、これは自治体の仕事ですから、言葉は少し妙な言葉かもしれませんが、自治体の住民に対する一つのサービスとして当然必要なのだ、こういうことをやるなら、私は今のこういう公営企業法の建前なり、それに対する考え方というものは、もっと変わってこなければならないということを考えでいます。その一つとして人件費の問題等については、あなたのおっしゃったのには、そういう意味では賛成します。しかし私ここで、どうのこうのと言っても、これは、あなたのいわば自治大臣として公営企業を見た場合の一つの個人的な――個人的といっては悪いかもしれないけれども、政府の統一した見解でもないんでしょうから、これのあり方について、もう一度ほんとうに検討してもらう。ただ料金の問題だけに限らず、公営企業というものは一体どういう性質のもので、どういう性格のものであるかということ、私、その点がはっきりしてくれば、問題は今のような格好で残されないで済むと思うんですね。ですから、そういう面――ところが今の時点で、あなたがおっしゃったことに私が賛成だといったような、そういう考え方もなかなかとれない。私、現に、とりあえずの一つの問題として、このくらいのことをやってもいいんじゃないかと思うことが一つある。たとえば従業員の給与の問題で、給与改定がしばしば行なわれて、他の民間企業とバランスを失するような、はっきり言うと、民間企業のそれと比べた場合、高いようになっている。これも一つの問題だということを宮澤さんは指摘しておられる。しかしこれは、今の地方公務員の給与のあり方は、国の公務員の給与のあり方からいって、いいとか悪いとか言っても、これは当然やらなければならない、やらなければいけない結果、高いとか何とかいわれるようなことになってきておる。しかも、それがまた、一つの企業の経営の上にも相当大きな影響があるかもしれませんけれども、そういう問題は、地方公務員に国の給与改定に準じて改定をする場合に、国が地方交付税の中で公務員の給与改定分をみてやりますね。こういう方法も公営企業の従業員に対してだって私はやってもいいと思う。というのは、あなたの言ったような考え方が私、根本にあるから。ところが、そう簡単でもないようです。それではどうも因るというのが建前のようですが、今それの困る困らないを、ここで長いことやっておっても、これはすぐ結論が出ないんでしょうが、一つ私政府に要望したいことは、政府部内に公営企業としての全体のあり方――どう規定づけ、どう性格づけるかという根本的なもの、それを立て直さないと、いつまでたってもこんな変な問題が残ってきますね。これは経済企画庁長官にも、私単に物価政策とか、賃金が安い高いということでなしに根本的なそういうことを、ひとつ政府部内ですっきりしたものの考え方を、きめていただきたいと思うんですね。そうすると、現在のこういう法なんかももっと変えなければならない。当然そういう面で、これからの公営企業法のあり方というものも見直されなければならないと思うんですよ。非常に矛盾だらけですね。公共の福祉といいながら独立採算制、独立採算制といいながら料金は引き上げてはいかぬ。矛盾だらけですよ。
#54
○国務大臣(篠田弘作君) 鈴木さんがおっしゃったように、今私がここで発言したことは、これは何も政府の統一した見解でも何でもありません。自治大臣としてこういう問題を解決するのには、どういう考え方があるかということの一端として申し上げました。今の公営企業のあり方というものが、非常にいろいろな矛盾を含んでおるというお話でありますが、これはまあ私は仕方がない。ということは、人間のやっていることですから、そう完全にどこもここも、うまくいくということは、これは考えられないわけで、こうやってみるうちに、いろいろな欠陥を暴露してくるわけです。ですからこの問題につきましては、先ほど運輸大臣並びに企画庁長官からも申しましたように、できるだけ早い機会において皆の意見の一致をみまして、そしてやはり、まずいところは率直に解決していくというのでないと、なかなかうまくいかない。問題はなかなか大きいのでありますから、すぐにここで解決の方法までだれも言えないと思いますが、そういうことにして、ひとつまじめに、しかも早くこの問題の結論を出していくように、閣内においても十分意見を聞いてやりたいと、こう考える次第であります。
#55
○鈴木壽君 私これで、きょうのこの問題についての質問は終わりますが、私もまじめに考えて大臣に申し上げているつもりです、お聞きしているつもりです。初めからこれは完全なものということは、いかなる場合にあっても、あり得ないと思うんですが、たまたまこういう段階になってきて、その矛盾がはっきり出てきているわけですね。ですから、さっきも言ったように、公営企業というものを認めるのか、認めないのか、どういう立場において認めるのか。やはり公共性と住民の福祉ということが重点であって、私は認めらるべきであると思うんだが、それと一体経済性、採算ということをどうするのか、こういうことをやはり太い線でやってもらわないと、いけないと思うんです。一方においては独立採算制、一方においては公共性を強調する、住民へのサービスだ。一体どうすればいいのか。いけない段階がもうここにはっきり結果として出てきてしまっているんですからね。そういう意味で私は、まじめにこれからの公営企業のあり方というものを考えなければならぬじゃないかと、こういうつもりで申し上げもし、お聞きしておるつもりなんですから、ひとつ真剣に私は、公営企業の問題は政府部内で検討していただきたいということを――特にあなたは公営企業の所管の大臣として、また同時に経済企画庁は国全体の経済を――そういう点からいって大きな問題であると思うし、あるいは私企業との関係、いろいろこれはあるのでございますから、そういう問題は宮澤さんにも特にお願いしているつもりなんでございまして、そういう意味でひとつほんとうに真剣に検討していただきたい。しかも早急――早急といっても一カ月や二カ月で結論の出る問題じゃないとは思いますけれども、できるだけ早い機会に結論を出さないと、これはいけないと思いますから、そういう意味で私としては要望として申し上げて、きょうの質問は終わりたいと思います。
#56
○野々山一三君 最初にお断わりしておきますけれども、私急にかわって参りましたから多少ダブる点があると思いますが、御了承をいただきたいと思います。
 先ほど鈴木委員から地方公営企業のあり方という根本問題に触れて、相当つまびらかに政府の考え方がわかったのですけれども、もう一回念のために伺いたいのでございますけれども、一体地方自治体が公営企業というものをやることの意味というのは何だというふうに根本的に考えられているのかということを、やはりもう一回あらためてはっきりしてもらわないと、どうも今の段階ではやりようがないじゃないかという大臣のお答えにならざるを得ないので、そこのところをひとつ、地方公営企業というものを自治体がやっていく意味合い、責任、意義というものをもう一回はっきりひとつお伺いをいたしたい。
#57
○国務大臣(篠田弘作君) やはり住民の福祉の向上のためにやっていると、こう思います。
#58
○野々山一三君 そこで、実際問題としてひとつ話を進めるため運輸大臣に一点お伺いしたいのですけれども、バスだとか軌道だとかというものですね、これを公営企業がやっていく場合に、かつての生まれた当時の状態を考えてみれば、まさに独占的なものであったと思う。そして今日もなお、その地域内に限られているという限りでは一歩も外へ出られない性格に今日はしばられてきておる。ところが事情が変わって参りまして、民営がどんどん入ってくる、競争が出てくる。したがって、かつての独占的な性格というものはもうなくなってきたわけですね。そういうような点が一つ。それから第二に料金、つまり経済の問題、料金。それから、やっていかなければならぬ路線などの問題、こういう面から見て私が結論的に伺いたいことは、今日、先ほど来議論されているように、赤字というものが問題になっておるんだけれども、その赤字の原因というのは一体何なのか。自治大臣の言われるような公共的あるいは住民の福祉のためにということでやっているんだから赤字だといえば、それも一つの議論かもしれませんが、実際に、この赤字というもののポイントというものを、どういうふうにあなた方はお考えになるのか。歴史的なもの、その経営のバック・グラウンド、そういうものから見て。
#59
○国務大臣(綾部健太郎君) 都市が、非常に御承知のように膨張いたしまして、往年の独占的な考え方ではやっていけない。そこで、これに対してサービスを提供する意味で市営のいろいろな公共事業が発達すると思います。
#60
○野々山一三君 その赤字の原因というものは、どういうことと、どういうことで、赤字の原因が起こってくるかということを――自治大臣の言われる公共の福祉ということを増進するために、公共事業をやっているとしても、どういうことと、どういうことということの認識がはっきり立たないと、解決策もはっきりしてこないから、そこを聞いている。具体的に一つ……。
#61
○国務大臣(綾部健太郎君) いろいろありますが、直接この企業をやっていく上における諸資材と申しますか、人件費ももちろん含んだ諸資材が、経済の発展に伴いまして高騰した結果、こういう、やっていけないような赤字が出たと私は考えております。
#62
○野々山一三君 料金の問題はいかがですか。
#63
○国務大臣(綾部健太郎君) 料金もそのとおり。私の考えでは、それにマッチした、それに付従した料金を制定せねば赤字が出ると思います。
#64
○野々山一三君 上がっていないから赤字の原因になっていると、そういうことですね。そうすると施設の維持のために――こういう問題について両大臣からひとつ伺いたいのです。たとえば、かつての時代は道路交通法によって軌道内を通ることを許さなかった、他の車両は。今般、道路交通法によって通ることを許すようになった。ところが、その管理費は全部公営企業が持たねばならぬということも、一つの要因じゃないですか。
#65
○国務大臣(綾部健太郎君) そのとおりでございます。
#66
○野々山一三君 あなたに、ひとつ時間の都合上ずっと並べてもらいたいのです。一つ一つ私が聞かなければ答えられぬはずはないので、あなたもひとつ御答弁に御注意願います。私から申し上げます。どうもおわかりになっていない。たとえば不採算路線といわれているような問題――あるいは都市合併を行なって、相当広域にわたって同一地域内を住民の要請によってバスを動かさなければならない、あるいは軌動を動かさなければならぬというような新しい輸送要請というものにこたえるという、そういうことでしょう、そうでしょう。私は、あなたにこんなめんどうくさい質問の仕方は恐縮ですけれども、つまり結論を申し上げれば、地方自治体は、住民の福祉を増進するための仕事は採算を離れて大きくやらねばならぬ。運賃原価にかかわらず割り引きをしなければならぬ。たとえば人の賃金は、先ほどの議論じゃないけども、一つの基準があって、上げねばならぬ、料金は押えねばならぬ。つまりこれだけじゃないのです。公共の福祉を増進するための政策意図があればこそ、そういう片びっこな結果になるようなやり方をしているから赤字が起こると、こういうことじゃないのですか。
#67
○国務大臣(綾部健太郎君) お説のとおりでございます。
#68
○野々山一三君 それは自治大臣、そういうことでよろしゅうございますか。
#69
○国務大臣(篠田弘作君) それでけっこうですが、もう一つ、そういう人件費とか、そういうものが上がっていく割合に生産性といいますか、そういう収入の面というものも上がれば十分に福祉に貢献できると思いますが、現在の東京、大阪のような場合には、もう今までかりに二十分で行ったところも一時間もかかるというふうなことになると、それだけ生産性が三分の一に下がる、人件費のほうはおかまいなしにどんどん上がっていく。生産性のほうはその割に上がっていかない。むしろ下がる傾向があるというようなことも一つの要素であります。
#70
○野々山一三君 今言われた点は、今日の社会事情という政策意図を離れた問題です。私は政策意図を離れた問題については、これはまた別に考えたらいいと思うのです。政府なり自治体が、住民の福祉、公共の福祉、そういう観点から、もともと赤字にならねばならぬ要因というものが――先ほど御確言なさった、その赤字というものがはっきりしておれば――にもかかわらずやっていかねばならぬのでしょう。やっていくわけでしょう。そこに公営企業の今日的特性があるというふうに私は理解しておる。その考え方は間違いでございましょうか。
#71
○国務大臣(篠田弘作君) ちっとも間違っておりません、そのとおりでございます。
#72
○野々山一三君 そこで、いま少し議論を進めたいのでありますけれども、一般論として、あなたは、国がめんどうを見てその赤字を見るとか、あるいは自治体自体の一般会計からそれを補てんするようなことで、この赤字を埋めるようなことはできぬ、こう言われるのですけれども、赤字の要因というものは、これだけ大胆にずばりお認めになるわけです。それならば、なぜその解決策というものを、それこそ政治じゃありませんか、つまり特定の人が利用するという極限した言い方は私は賛成しませんよ。自治大臣の言われるように、自治体がいつかは利用する住民のためにその事業を経営していくわけです。したがって、自治体の本来の事務、行政を進めていくという、こういう点から、国なり自治体がその赤字の解決策について積極的な処置をとるということは、私は全然間違いじゃないと思う。いかがでございましょうか、その点は。
#73
○国務大臣(篠田弘作君) あなたのおっしゃることは、公共性を持って、住民の福祉のためにやって、現実に赤字が出ておるのだから、それを料金値上げというようなものでカバーするということだけじゃなしに、国から助成金を出せという意味、そういう意味じゃないのですか。
#74
○野々山一三君 それだけに限定しているのじゃありません。大体政策意図を持って赤字部分を補てんしていく責任がありはしないか、こういうことを言っておる。
#75
○国務大臣(篠田弘作君) どこですか、国ですか。
#76
○野々山一三君 国または自治体が。
#77
○国務大臣(篠田弘作君) それは、もちろん住民の福祉のためにやっていくための赤字ですから、それは第一段階としては自治体に責任があるし、第二段階として国もまたその責任の一半を負うという考え方は間違っていないと思います。ただしかし、三十六年度ですかの、いわゆる公営企業全体で申しますと、全国で予算の額は五千億をこえておる。五千億をこした公営企業の、先ほど言われたように、経営の問題等もあります。そういう問題を抜きにして、赤字が出たのを全部国がかぶるというようなことになってきたら、これは際限がない。国の財政といいましても、これはもちろん国民の税金でございますから、やはりこれはそういう原則ではなしに、個々の公営企業について検討をして、そこにあるいは経営の不合理があったり、ルーズさがあったり、あるいは非近代的な経営をしていることになれば、それを直させていく。その他、そういう住民の福祉のためにやっていくのだから、赤字は国が当然負うべき義務があるのだということには直ちに賛成はいたしません。
#78
○野々山一三君 私も、赤字全部を理屈抜きにして国なり自治体が見ろと、そういうやぼなことを言うつもりはないのですが、しかし、今お互いに指摘したようなことは明々白々たる原因があっての赤字だ。その経営のミスだとか汚職をやったとか、そういうことまで見ろと、そんなやぼなことは言いません。そういう明々白々たるものについて国が料金を押える、あるいは地方自治体の議会がその路線をやらせる、あるいは新しい車を買わせる、あるいは地下鉄をやらせるというのもあるでしょう。それは、どんなに企業体が七転八倒したって負わされなければならない責任なんですよ。その責任を課しているのは一体だれか、国または自治体じゃありませんか。したがって、その国または自治体が課しておる企業責任でない責任というものは、あなた方なり、自治体が、あるいはわれわれが見るということ、国民が見るということは、これは無理な議論でないと思うのです。ところが、あなたはそこまではお認めになるのだけれども、実際は一体そういうことが、どの程度にやられておるかということを見てみましょう。たとえば東京都における地下鉄を作る、ごくわずかな利子補給ですね、全くわずかな利子補給、全部企業体自身の責任において借金しておる、しかもキロ当たり三十何億というものがかかる、ちっともそれに対する運輸政策というものに手が伸びているというふうには考えられない、自治体だって同じことがいえるわけです。ごくわずかな利子補給ぐらいしかしていない。それじゃ企業体の赤字というものが解消できるはずはないのです。そこで私は、財政局長などがほうぼうで書いたり、言ったりしておられるものを通して、政府の考え方を見るのでありますけれども、ただ一言、経済性という言葉で、この公共事業の本来の任務というものを消してしまっておる、それでその赤字は企業責任に負わさなきゃならぬ、こういう答えに導いておられる、これが私は根本的に間違っておりはしないかと、だから、交通政策なんてありゃしないのじゃないか、こういう言葉にはね返ってしまっておるような要素というものが多分にあるわけです。一般論で恐縮でありますけれども、そういうことに対するお考えをひとつ両大臣に伺いたいのでございます。このまま放っておいたら、そこの考え方がはっきり整理つかない限り、これは赤字論というものは、単に形式的な今度出されておるような公営企業法の改正というようなものによって糊塗されてしまうわけです。私はそう見る。そこのところを、ひとつはっきり組織立った大臣の頭で答弁をしていただきたい。
#79
○国務大臣(篠田弘作君) ただいまのおっしゃった責任論は同感です。ただ、実態を申しますと、地方によりまして事情が違う。それから同じ交通であってもバスとか、路面電車とか、地下鉄とかいうようなもの、また種類によっても違う。だから、全部が赤字を出しておるわけではもちろんないわけであります。ですから、赤字を出さないようなやり方もできるのじゃないかと、地方によっては。そういうところもあるわけです、現実に。だから、それは不可能ではない。それからやむを得ずどうしても赤字を出さなければならないような地方については、その問題についてやはり慎重に検討した結果でなければ結論はなかなか出ないのじゃないか、まあ一番簡単なのは料金値上げでありますけれども、これも影響するところきわめて大きいのでありますから、そこで先ほど宮澤長官も申しましたように、ひとつ慎重に結論を出したい、こういうことをいっているわけであります。そういう一般的な議論としての責任論は、僕とあなたと全く同感であります。
#80
○野々山一三君 責任論だけではなくて、いわゆる公共負担というものですね、いわゆる公共負担、それが企業にかぶさっておる。それはやはり言葉をかえていえば、政策的な意図に基づいてその負担を課しておるわけです、そうでしょう。それを最近の、私がこういろ角度からものをいうのは、やれ人件費が高いじゃないか、やれ何だという、そういう一面だけを取り上げるあまり、強調するのあまり、今度の場合も二条三項など新しくつけ加えて独立採算というようなことを強調する、この考え方が先行している限り、根本的な解決は得られないんじゃないかというところに、私の指摘の本質があるわけです。その点のお考えを伺いたい。私はどうしても、そこを改めてもらわない限り、どうにもならないと思うのでございます。
#81
○国務大臣(篠田弘作君) 東京都の人件費が、民間の交通事業の人件費よりも高いということは、先ほど経企長官が言いました。しかし人件費が高いということは、これは比較的に民間からは高いということは言えるかもしらぬけれども、東京都のような大都市に生活する交通労働者、従業員というものから見て高いかどうかということは別に検討しなくちゃいけない。それと同時に、民間の人件費というものが、それではそのままずっと安い状態で、今後続いていくのかどうかということも、また一つの私は問題だと思う。そういうふうに考えたときに、東京都の人件費が、地方公務員法によって国家公務員の給与のベース・アップがあったときには、自動的にそれにスライドしていくということがある以上は、この人件費の問題は議論しても仕方がない、今の法律の中において。だから、その人件費以外に赤字が出る要素があるかないかということが、私は問題だと思う。だからそれ以外にもう赤字が出る要素がないのだ、人件費だけ。問題は人件費で赤字が出ておるのだというならば、この人件費そのものに対して別個な考え方、すなわち住民の福祉というもののために、この事業が行なわれておる、地方がいやだといっても、住民の希望があれば、たとえば赤字路線であっても敷かないわけにいかないし、バスも全然走らせないというわけにいかない、やらざるを得ないということならば、先ほど言ったように人件費というものを、あるいは一般会計から出せないものだろうか、東京都庁の従業員である以上は、ほかの従業員と同じ待遇を受けているのだ、その従業員としての給与費というものは、私は別な一般会計から出したってちっとも不合理でもないし、何でもないじゃないか。これは私の私案ですが、あまりそういうことをするのは、よきことではないが、考えればそういう方法もあるのではないか。だからそうすれば何も物価騰貴を招いてまで、ここで料金値上げをする必要はない。解決の方法は幾らも私はあるのではないか、そういうことも含めまして研究したいと思います。ないようでいろいろあるわけですから、ひとつ、もう少し時間をかしていただきたい。
#82
○野々山一三君 そこで今度の改正法案の十七条ですかの趣旨から見まして、およそ災害復旧だとか特別の理由がある場合には補助をする、こういう考え方がありますね。それだけで始末してしまうには、今あなたがおっしゃるように、今検討中だから待ってくれやと、これが落ちなんですけれども、先ほど来言っているように、割引き運賃の問題、赤字路線の問題、料金の一般的な問題、公共負担、それから新線の開発の問題、それから道路交通法など、他の法律によってどうにも逃げようにも逃げられない負担がかかってきておるというような、政府の手で直接やったことの結果、赤字がかぶさっておる、あるいは自治体がやったことの結果、直接負担がかぶさってきているということが明々白々でございます。それを私が最初に質問をいたしました、公共の福祉、地域住民の福祉のために公営事業というものをやるのだということであるならば、一般的な地方行政の一環としていわゆる一般会計の中からも措置をするという、いわゆる公共負担的な責任処理というものが、この際とられることは、ちっともおかしくはないじゃないか。そういうことをやっておいて、その上でやはり今日独算制を失なってきた公共企業というものの性格を根本的に洗い直すというならば、私は、あなたのやってきたことであるだけに事の順序として了解できる、なぜその程度のことをされたかということが問題です。自治大臣、大事なところですから、よその話をしておられては私は質問する意欲を失うのです。
#83
○国務大臣(篠田弘作君) その問題を今打ち合わせていたのです。
#84
○野々山一三君 そういう処置をしないで逃げてしまうというのは、少し検討すると言われるのですけれども、ちょっとのがれ過ぎておられはしないか、こういうふうに思うのです。
 そこで実例的なことをちょっと申し上げて、そうして私の言ったことに踏み切ってもらえないかということをお伺いします。たとえば一級国道なんかへ軌道が走っている、道路交通法は、軌道敷内の通行を認めるということのため、国もそれから自治体も、そうして企業体自身、この三つが金を出し合って、この軌道補修の費用を分担している実績をあなた御存じでしょう。いかがですか。
#85
○政府委員(奧野誠亮君) 軌道が道路の上を走っております場合に、企業負担の割合をいろいろきめておるということでございます。よけいなことでありますけれども、最近軌道敷内に自動車が走りやすいようにする、そのためにアスファルト舗装などやっておるわけでありますけれども、むしろ一般会計から全額負担するということを、東京都の場合はいたしております。
#86
○野々山一三君 それが今あなたのお話のように、表玄関からの話ではない。つまり軌道の損耗というものに対する見方が問題です。今までは軌道をこわすのは電車だけだと、こういうことで法律的にも、行政的にもそれが通っておった。今は軌道をこわすのは、電車だけではないのだ、道交法上そこをこわすものが一ぱいいるようになった。その軌道の補修費に対しても、そこを通りやすくするだけではない、そういう金を見ている。これは費用の分担だということよりも、今日的な、法律的な条件から見れば、当然こわす道があるから公共的負担だという考え方、このこわしたものを代表して国なり自治体がその金を税金から見ている。それを実際にやっておりながら、法律的根拠は何もない。ただ予算でやっている、そういうようなこと、これはもう顕著な例です。こういうことをやっておきながら、なぜ法律的根拠を明らかにしないか、私はそういうところに、やはり今やっていること、理屈では君の言うことは認めるけれども、あとで検討するということでは、えらい食い違いがある。この点を根本的に、今政府提案のものについてもお考え直しになって、法律的に根拠を明らかにしておやりになることがいいんじゃないか。この事実を御存じないような顔つきで、これはどうも聞くのもおっくうになるけれども、そういう事実があるのです。それに対して負担をしない、あるいはそれに対して法律的な根拠も与えない、ということは少し無理です。お前はばかだから、もっとりこうになりなさいという温情があるわけではない。ばかだから死んでしまえというのと同じような話になってしまうので、そこをひとつお伺いしたい。
#87
○国務大臣(篠田弘作君) 率直に言いまして、今日まで僕は知らなかった。研究いたしまして、できるだけ合理的、合法的にやったほうがいいと思います。
#88
○野々山一三君 そこまで正直に言われれば何をかいわんやで、早急に調べて……。これもあえて申し上げておきますが、そういうような客観情勢の違い、法律の変更、それから公共的責任、運賃の割引、赤字路線の経営、それから認可、その他公共企業の立地条件の違い、そういうものに対してとりあえず手を打つ、少なくとも十七条、今政府案で出しておられるような災害とか天変地異による被害だけではなくて、公々然と法律で認知するという積極的な立場で検討されるということをお約束いただきたい。運輸大臣も、それは当然のこととしてそういうことをやらないで――運賃値上げなんという議論をするとしかられますから――考え方を伺いたい。
#89
○国務大臣(篠田弘作君) 私、今慎重に研究してと言いましたが、軌道法は運輸省の所管であるし、道路法は建設省の所管で、これは私の所管じゃない、そういうことです。
#90
○野々山一三君 それじゃ公営企業は、どなたの所管になりますか。公営企業に出てくる金のことでございます。公営企業の最終的責任はあなたでしょう。おれのところに関係ないとばかり言わないで、関係あるところははっきりおっしゃらなければ話になりませんよ。
#91
○国務大臣(篠田弘作君) 私が関係ないということは、そういうことを知っているか――そういう事実を、私はそういうことを知らない、知らないということは、僕の関係でなかったから知らなかったのだ、こういう意味です。
#92
○野々山一三君 そういう意味ならわかりました。それじゃ先ほど申し上げたように、そういうようなことは、結局情勢の違い、法律の条件の違いというものでそういう事態になってきた。先ほど来、幾つか並べましたことも当然政策意図に基づいて行なわれることでございますから、この十七条改正ということは、単に今の政府案だけでは足りないということがおわかりでしょうし、法律的裏づけのない金が、これに流れているという実情からみましても、一そう早急に手を打つ必要がある。そのお考えを、そういうふうに受け取っておいてよろしゅうございますか。
#93
○政府委員(奧野誠亮君) 野々山さんのお話、わからぬわけじゃないのですけれども、たとえばバス事業といいますと、昔は道路の受益者負担金とか、道路損傷負担金とかをバス事業が負担しておったわけであります。こういうものを廃止してきた。どちらかといいますと、だんだんと財政負担に切りかえるという大きな方向を私はたどっていくと思うのです。しかし、公営企業に限定して申し上げますと、料金で吸収するか、税金で吸収するか、それは住民全体の立場でいろいろ論議されてきめられるべきだと考えるわけでありますが、直ちにそれを税で吸収しなければならぬか、あるいはまた料金で吸収すべきであるか、簡単に結論は出ない、できる限り住民全体の立場から考えまして結論がきめられてきたと思います。自治省といたしまして、将来どう持っていくかということについては、大臣からお話し申し上げましたように、十分検討しながら実施に誤りないようにしていきたい、そう考えておるわけでございます。また、そういうこともございまして、現在、公営交通財政調査会というものが設置されまして、鋭意検討しておる最中でございます。
#94
○野々山一三君 そういうふうに言われるものだから、また文句を言わなければならぬのですけれどもね。私が言っているのは、たとえば顕著な例として路面軌道のことを申し上げたのですけれども、私もバスが赤字だ、トロが黒字だ、路面電車は赤字だ、その個々のものについてすぐ補給をしろなんということを言うのではないのです。市営交通が全体として一つの交通企業をやっているという総体的なものの考え方で、これを眺めていいと思います。どっか黒と赤を相殺して、なおかつ、これだけは赤字だというものについてやれと、こういうことを言っているわけです。将来検討する必要もない、もうすでに現にやっているのですから。やっていることだけは法律的に認知してやりなさい。この考え方は、私はその無理のない考え方じゃないかと思う。それから、えらく開き直った言い方をして、公営交通財政調査会というものをもって検討しているから……、これは一体、法律的にどういう根拠がありますか、全くこれは任意団体です。国がこれの答申を待って、どうのこうのなんという根拠がありますか。ありゃしません。そんなものを種にして、個々の意見を聞きますというなら、院外で幾らでもいろいろな団体があって、こうしろ、ああしろと言っておるのに、それをなぜ聞かない。そういうことを国会答弁の種にされるというところに、あなた方の根性の間違ったところがある。どこに法律的根拠がありますか。それに対して政府が、この審議会の答申の実行を負わなければならぬ根拠がありますか。ありもしないものを持ってきて、これで調査していますから、研究していますから、秋まで待って下さい、それでは、自治大臣いかがでしょうか、少し無理じゃございませんか。
#95
○政府委員(奧野誠亮君) ここまでまじめにわれわれは努力をしていますということを申し上げたことが、逆におしかりを受けることになって心外でございます。公営企業全般についていろいろ検討すべき問題があるじゃないかということが、すでにこの委員会で議論になっております。そういうこともございまして、すでに下水道財政調査会を設置して、そこで一つの結論が出ました。また、自治体病院財政研究会が設置されまして、それについても一つの結論が出まして、私どもは一方の意見だけを聞いておってはならないのだ、関係業者の意見も聞かなければならない、学者の意見も聞かなければならない。いろいろの人の意見を聞きながら、そこで全体としていい方向を見出していこうと努力しておるわけでございます。公営交通財政調査会というものもそういう趣旨で設けられておるわけでございます。私たちは、いろいろのものの聞きようとして、そういう調査会を設置することが一つの方法ではなかろうか、こう考えておるわけであります。この問題を片づければまた違った公営企業の問題を取り上げて研究していきたい、こう考えておるわけであります。
#96
○野々山一三君 この問題で、あなたとやりとりするつもりはないんですが、事実やっておることを認知するような積極策をとらないかと言ったんですが、法律的に何の根拠もない、政治的に何の根拠もない、行政的に何の根拠もないものを持ってきて、もう切り返しの答弁の材料にするところのあなたの考え方を指摘しておるんです。このことに触れなければ、あなたとやりとりするつもりは毛頭ない。積極的にやっておられて、大臣が知らなかったと言うが、知ってもらって、そういうことを積極的に法律上認知して――当面の赤字解決策だと思う、おやりなさい、そういう考え方はないかということを中心に聞いておるんですから、まじめに答えてもらいましょう。十七条の政府案の改正だけでは足りないので、そういう措置を事実やっておるわけですから、法律上認知する改正をおやりなさい、こういうことを申し上げておるんです。
#97
○国務大臣(篠田弘作君) どうも認知という問題が私はよくわからない、ほんとうのことを言うと。だから、財政局長をして答弁さしたわけです。もうちょっと研究というか、してみまして、そういう認知をする必要があるなら、もう当然すべきだ、こう思うのです。
#98
○野々山一三君 これはひとつ、委員長並びに理事の皆さんにお願いしておきたいんですが、今の大臣のそういう答弁ですから、ここまで明日になった問題ですから、ひとつ話し合って、具体的に解決策を委員会としてもお取り上げになっていただきたいし、政府側としてもお取り上げになって、ただきたいことを要望しておきます。
 それじゃ、次の問題に移りますけれども、公営企業そのものについては、各地域的にそれぞれの特殊な事情もあって、赤字の性質もまた違いがある。したがって一律にはいかない、運賃、料金の値上げということだけでは解決ができない。こういうのが自治大臣のお答えでございます。私はそのとおりだと思うんです。そこで、こういう公営企業そのものを健全に経営し、かつ住民の期待にこたえ、住民の福祉も増進するところの行政をやっていく、それをより的確に把握してやっていくということのために、私ども社会党としては、公営企業ごとに公営企業審議会というものを設けて、その地域々々に適合した条件を洗いざらい洗って、そうして政府案でも言っておるような補助をするにしても、あるいは長期借入金にしても、あるいは国に対して料金の値上げの申請をするにしても、そういった地域の実情に適合した、精通した、そういうところで、そういうものを審議をして、そうしてその地域における公営企業の健全経営と住民の福祉を増進するという目的に合致するような公営企業の運営をはかっていくようにしたらどうか、こういうために、それぞれの地域ごとに必要に応じて公営企業審議会というものを設けてやっていけ、そういう段階にきておりはしないか、こういうことを改正案として社会党は提案しておるわけでございます。もう時間が長くかかったから、ずばりお伺いいたしますけれども、そういった社会党の考え方というのは、私は今政府がいわれるような答弁の趣旨からいいましても、これと離れているものとは考えられない。むしろわれわれは積極的に今日の塗炭の状態に陥っている公営企業の健全化ということのために、社会党として積極的に提案をしているわけですが、そういうものについて、政府側としてどうお考えになっておられるのか、見解を承りたい。
#99
○国務大臣(篠田弘作君) 公営企業審議会を置くことを常例とするという提案でございますね。これに対しましては、常例とするというところに、いわゆる各自治体の議会には常任委員会制度がございます。ですから、そういう関係がありますので、審議会を公営企業のために別にそういう機構を常例的に作るということは、かえって機構を複雑化するだけでありますから、必要の限度において、そういうものを各自治体の議会が認める場合はそれを置くことができるということがいいのであって、議会の上に、またあるいは議会の外に特にそういう審議会などを設けるということは、地方としてはかえって事務の複雑を来たすのじゃないか、そういうふうに私は思います。
#100
○野々山一三君 これは与野党間の話し合いの中でも、この種のものについてはこれを設けて、そうして公営企業の健全化をはかっていくことがいいという付帯決議というものが議会で出ておるのでございますよ、自治大臣。議会でも与野党間の話し合いとしてそういうものが出ているのです。あなたの今引っかかりは、常例ということがいけないだけで、あとはいいんだ、こういうふうにうかがうのでありますが、私は何も議会の上に作れとかいうのではないのです。あなた方が先ほど来、再々鈴木委員の質問にもお答えになっておられるように、たいへん困った事態になっておる。これを国は国として総体的に検討しておる。それならば、それぞれの地域の事情に即応したそういうものを設けるということによっていくことは、あなた方の意思とは全然変わらないと思うのでございます。その塗炭の解決をしていくための手段としての――私は、あえてここで説明をするつもりはないのですけれども、ちょっと補足しておきますが、奥野さんが先ほど来問題になさった公営交通事業財政調査会の中で発言しておられることを引用するわけではないのですけれども、首長公選制になって以来というものは、公営企業というものに対する市民の要求も非常にふえてきておる。それを具体化するために、一つは公営企業の赤字的要素も出てきたという今日的事情の変化があるのだ、こういうことを言っておられる。私もまさに今日の各地域の事情から見まして、あそこへバス路線をふやしてくれ、あの電車はもっとふやしてくれ、あの水道はもっと、遠いけれどもパイプを入れてくれ――この要望にこたえるために、非常な経費負担になっていることは、もう間違いないのでございます。そういうように政治的に問題がながめられることも一つの要素になり、何やかやになっていることを考えれば、客観的に、しかも第三者的に公正に、公営企業を本来の公営企業法の趣旨に基づいて運営していくために、再建をしていくために、どうしたらいいかということを、まじめに議論してくれて、そうして必要なものについては補助もするし、措置もするでしょう、長期借り入れもするでしょうということに向かっていく。公営企業の今日を解決するための第一段の策として、それを提唱しておるわけです。だから与野党が衆議院の段階では一致して、附帯決議でもその種のものをやっていこうということになっておるわけですが、もう一歩進んで、これを実行段階に移される気持はないのかということを伺いたいのです。
#101
○国務大臣(篠田弘作君) この附帯決議にもありますように、「地方公営企業を経営する地方公共団体のうちとくに必要があると認められるものについては、」と、こう書いてありますが、特に必要があると認められるときに、その議会の承認を得てそういう審議会を作るということは、私はけっこうなことだと、こう思います。さき、ちょっと聞き方が間違っておって、常設的な審議会を作るということは――それを常設的に作るということは、各自治体における議会の審議権というものと重複する場合があるから、私はそれはどうかと思うが、この附帯決議のように、特に必要があると思われるところに置くということは、ちっとも差しつかえない。私はもうそういう解釈です。
#102
○野々山一三君 これは議論になりますから、ものの考え方を伺うということでいいんですけれども、ただ、まだ私どもの提案しておる趣旨というものがのみ込めておらない。四十条の四というものを見てもらえばわかるので、「審議会から答申又は意見の申出があったときは、これを尊重しなければならない。」、議会の審議権をとやかくしておるわけではございません。つまりワン・クッション入れて、冷静に客観性を持たせて、こういう処置をしていこうという考え方であって、あなたの言われるような、そんな議会の上に会議を作るとか、そういう考え方で、おっかぶせたような言い方をしておるわけではないのです、それはおわかりでございますか。
#103
○国務大臣(篠田弘作君) のみ込めないといえば、のみ込めない部分も確かにあるかもしれませんが、公営企業をやっておる自治体というものは、非常に大きなあらゆる公営企業をやっておるものから、地方の自治体等によっては、水道しかやっていないというところがたくさんあります。ですから、その地方の事情によって、その地方団体の議会が承認すればできることでありますから、特に私は法律でもってそういうことを定める必要はない、こう思います。
#104
○野々山一三君 極端に言えば、この種のものは時限立法でもあるいはいいかもしれません、時限立法では党の本旨からははずれますけれども。今のような公営企業の塗炭の状態になっておることを解決し、そうして、かつての時代の独占的公営企業でなくなった今日の公営企業というものを、持続させなければならぬという今日的責任と任務、あるいは意義がある。その役割りなり意義を追及するためにやっていこうというのです。これは一ぺんに、国民のあらゆる人に、あなたがどんなに聴明な人であっても、お前は胃かいようだ、お前は睡眠不足だというふうに診断ができるはずはないのですよ。やはり個々の事情に精通したものをもって今日の公営企業というものを改善していくというところに私どもの意図がある。あなたの言われるところでは、審議会を置くことを常例とすると、すべて全部置かなければならぬというふうに思いすごしておられる点があって、そこが問題で、私と対立するというなら、この部分は私、多少直してもいい。単に今日、衆議院で附帯決議をされたその気持は私はわかるわけですけれども、もう一歩前へ進めていく必要がありはしないか、こういう点から申し上げているんで、これはまあたいへん大きな問題ですから、すぐに答えられぬなら、あとでもいいんですけれども……。
#105
○国務大臣(篠田弘作君) 私のこの条文の受け取り方は、公営企業をやっておる自治体には常例として審議会を置くものとすると、そういうふうに解釈しております。ところが、公営企業をやっておっても、水道ぐらいしかやってない町村もたくさんあります。そうかと思うと非常にマンモスのようにあらゆる公営企業をやっているところもある。だから、それを一律に法律でもって、議会が当然あるのにそういう審議会を置くことを常例とすると、まあ言いかえれば普遍的にそういうものを置かなくちゃいけないというような考え方にこれは立っているんじゃないかと、そういう受け取り方をしておりますから、それは私は、何でも地方の事情におかまいなしに、そういうことを法律にきめるということは、議会の審議権と重複するんじゃないか、こう思っております。
#106
○野々山一三君 まあこれは時間がなくなりましたから、今あなたと私の意見の最大公約数をまとめれば、そんなちっぽけなところにまで何も置かなくてもいいという気持は私もありますからね、そこらで合わせてもいいと思います。そういう場合には法律で普通言うならば、「条例に基づいて審議会を置くことができるものとする。」と、こう改めてもいいです。それならばあなたの言われるとおりでございますから、意見は一致してくるんです。――これは大して経費なんかかかりゃしませんよ。経費がかかるほど、もっと根本的な――そんな経費よりももっと根本的な、公営企業の存命に関する問題のほうが大きいじゃございませんか、自治大臣の責任として。そこを寸分の金をとやかく言っておるところに大きな問題がある。これはひとつあなたがそこに引っかかる、それなら――常例という言葉が悪いなら、「置くことができるものとする。」というふうにしてもいい。私はそういう立場であなたのもう一歩進んだ御回答を願いたい。あなたは時間がないようですから、あと残っている問題があるんで簡単に……。
#107
○国務大臣(篠田弘作君) 地方自治法の百三十八条の四の3に、「普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争調停委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。但し、政令で定める執行機関については、この限りでない。」この地方自治法の条文を見ても明らかなように、地方の議会がそれを置こうと思えばいつでも置けるわけです。だから、特にここで法律で定める必要はないんじゃないか、そういうふうに私は考えることが一つ。――かりに法律で定めるということになれば、これは国会の問題であって、政府の問題じゃないんじゃないですか。国会で、委員会でもって、本会議で通されればそれでいいんであって、自治大臣の意思いかんにかかることじゃないじゃないですか。どうして僕を追及するんですか。おかしいじゃないですか。きめたらいい。
#108
○野々山一三君 そういうことを今ごろ言うなら、なぜ答弁したんですか。白っぱくれたことを……。あなたはこういうものを設けてやっていく意思はないのか、こう言っているんであって、まあこれ以上そのことについては申し上げませんから、あとは理事のほうで善処をしていただきたいと思うんです。
 時間がないので――あなたは一時から予算委員会に行かれるようですから、次の問題に入りますけれども、二十八条のただし書きで、今度の改正で、現金取扱員を置かなくてもいいというふうに改正をしようというのです。従前の法律によれば、この種のものは現金取扱員を置くということは、公共的金員を取り扱うのであるから粗雑にできない、したがって、こういうものを置くんだということで規定されておったものを、今度は現金取扱員を置かなくてもいいというような法律にしてしまうというのは、非常な冒険じゃないかと思うんですね。まあ話を進めるために、私ちょっと申し上げたのですけれども、何か今までそういう置かなければいかぬという法律があるにもかかわらず、銀行に現金の徴収事務を委託して、そうしてやってきたなんというような事例があるらしいのです。そういう今まで法律解釈というものをひん曲げてやってきた悪いようなことを、今度は逆に法律上認知しようというような考え方のようですから、これはどうも私はまずいと思うんです。この際、そういう公共の金員を他人に委託をしてやるというような、集金事務を委託してやるというようなことは、これはおやめになったらいかがかと思うんですが、どうしてそういうことをおやりになろうとするのですか。
#109
○政府委員(奧野誠亮君) ちょっと誤解があるのじゃないかと思うんですけれども、今度の改正の趣旨は、たとえば発電事業をやっている、そういうところでは企業出納員だけで十分間に合うわけであって、そういうところまでこの法律の規定どおりですと、わざわざ必要もない現金取扱員を別に置かなければならぬということになっているわけです。したがって、そういうところはもう企業出納員だけでよろしいわけですから、どの企業であっても必ず現金取扱員を置かなければいけないという規定は改めたらいいのじゃないか、そういう趣旨です。
#110
○野々山一三君 そうすると、実際にはどういうことになります。どういうことをお考えになっておられます。現金取扱員として今までやっておったものが、なくなるということになりますか。
#111
○政府委員(奧野誠亮君) 今現金取扱員を置いて、その人が現実に現金取扱員として働いているものは、それはもう当然そのまま現金取扱員として将来も継続していくべきものだと考えております。電気事業のように全く要らないのに名目だけこの法律上やむを得ず置いている、それはもう今度からやめていいのじゃないか、そう考えております。
#112
○野々山一三君 そうしますと、たとえば水道料金の徴収、ガス料金の徴収なんかを銀行に委託しているというような事例がありますけれども、それは今までどおりやっちゃいかぬという解釈はあるのですね。これは理財局長か何かの名前で出ている書籍にそういうことがちゃんと書いてある。それをしも大都市で水道料金の徴収事務を銀行に委託している、現金取扱員にやらしていない。あなたの今の答弁によれば逃げ道はあるのですね。今現金取り扱いをしている者は、それをはずすということはいたしませんというので、これではどうも逃げ道があるので、そういうことじゃないのでしょうね。どうなんでございますか。
#113
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業の料金の徴収を委託する場合には、自治大臣の認可を得させているわけでして、今おあげになったような事例については認可はいたさない考え方で今日来ているわけでございます。現実にそういう事例がおありでしたら教えていただきまして、よく研究さしていただきたいと思います。
#114
○野々山一三君 それじゃ申し上げておきますけれども、一ぺん調べてもらいたいのです。現にそういうことをやっているから、これはとめてもらいたい。宇都宮市なんかでは水道料金の徴収事務を銀行に委託して、全部銀行にやらしている。これをそのお役人さんが、これもなかなかおもしろい方法だからひとつやってみたらどうかというような考え方を持っておられるというふうに聞くのです。そういうことは一切やらないようにとめてもらいたいのです。そうしないと副産的なものがいろいろ起こるのです。時間がないから、私は副産物のことについていろいろ並べませんけれども、結論はやめてもらいさえすればいい。
#115
○政府委員(奧野誠亮君) 料金徴収事務を委任することのできる場合は、地方公営企業法施行令の十六条の二で制限列挙しているわけであります。今われわれの知らない事例をお教えいただいたわけでございますので、その点については十分調査をしていきたい、こう考えております。
#116
○野々山一三君 最後に、これは財政局長でけっこうでございます。今度二条三項に、新しく特別会計のシステムによってやっていく企業というものを政令で加えるということがある。何でですか。私は、あなたのその考え方に矛盾があると思うんですよ。公営企業そのもののあり方について根本的検討をしております、だからその根本的解決策については、これから適当な時期にその答えが出たならばこれを実行するから待って下さい。こういうのが、どうも先ほど来の首尾一貫した態度なんです。にもかかわらず、こういう準公営企業的なものをどんどんふやしている。しかも、その後で実際問題として起こっておるのが病院だとかなどなど、その種の、今日では経営的、経済的には料金の問題だとか何とかがありまして、なかなか成り立っていかないようなものを、あえて独立採算に持っていく。こういう考え方なんでありますけれども、これはやはり、先ほど来の議論のように、特に病院だとかそういうものである限り、地方行政は――公共の福祉、民生の安定、市民の厚生保護、こういう観点からは、あえてここで法律的にそういう処置を講じていかなければならぬものではなくて、本来的に遂行するためにこそ、法律はそのうしろだてをしてやるということが必要じゃないかと思うのだが、なぜああいう規定をわざわざこの段階でお入れになるかということなんでございますけれどもね。
#117
○政府委員(奧野誠亮君) この点も、ちょっと誤解をしておられるのじゃないかというふうに思うのです。病院事業や市場事業などにつきましても、地方公営企業法に書いています企業経理の規定を適用しようと考えているわけでございます。したがいまして、独立採算等の規定は適用いたしておりません。要するに、現金主義の会計をやっておったのじゃ、経営成績なり財政状態というものを明確にできないじゃないか、それは少なくとも明確にしておかなければならないのじゃないかという考え方でございます。会計学者の立場から言いますと、こういうものばかりじゃなしに、一般会計の経理の方法も根本的に改めるべきじゃないか。これがかなり今日強い議論になってきているわけでございます。それで、せめて規模の大きい準公営企業について企業経理の規定を適用しようじゃないか、財政状態なりあるいは経営成績なりを明確に把握できるようにしていこうじゃないかという趣旨にほかならないわけでございます。
#118
○野々山一三君 表からは、あなたの話はよくわかるのですが、それならなぜ、ことさらにこんな法律でやらなければならぬのか。そんなことは、それこそ会計取り扱いの根本ですから――地方の実態は、それこそ、そんなものは人から文句を言われて、こうしなければならぬというような、法律によってそれを強制して、そうしなければならぬようなものじゃないのですよ。そんなことは当然のことだ。そんなどんぶり勘定みたいなことをやっておるようなものを許しておいたことも悪いし、そんなことをやっておったようなものも悪い。それを直すことはあたりまえです。私さらに、あなた方の意図を伺いたいのは、今日、病院や診療所なんかも勘定が合わぬから、もうあそこはやめるのだ、看護婦も何人減らすのだ。必ず、そういうところに問題を持っていくために、この種の会計取り扱い規定というものが使われていることなんです。それは、言うならば、住民の福祉というものにこたえていないではないか、そこを指摘をしたい。もし、そのことがおわかりになるならば、この会計制度を適用するということだけをえらく強調するだけじゃなくて、そちらのほうの、私のほうが指摘するような心配というものを取り除く、こういうことをおやりにならなければいけないと思うのですね。そういう点の懸念があるから、私はあえて、あなたから誤解だと言われることを承知の上で、そういうことを指摘をしているのです。この点を、この心配を取り除く措置を講ぜられる意思はあるか。
#119
○政府委員(奧野誠亮君) 病院のことを例におあげになりましたので、私も病院のことを例にあげて御説明申し上げたいと思います。病院の経理がうまく行っていない。どこに原因があるのか。今のような大福帳経理をやっておったのじゃさっぱりわからないと思いますが、もし企業経理をやっていくといたしますならば、その原因をはっきりつかむことができる。たとえば、看護婦養成所を経営しているとします。これはわれわれは、一般会計の負担において行なうべきだという建前をとって指導するように今日まで参っておるわけでございます。看護婦養成所を経営しておって、その費用も病院会計で負担してもらったとするならば、それは企業経理をとることによって、その部分が明確になるわけでございますので、その部分は一般会計で繰り入れをしていくというような措置もとれると思うのでございます。要するに、病院がはっきりしなければ、それに対する措置のとりょうがない、病院を明確にするためには、やはり企業経理を採用せざるを得ないじゃないか、こういう考え方に立っておるわけでございます。
#120
○野々山一三君 その意図は、先ほどの議論に戻るようで恐縮なんですけれども、それを積極的に、ほんとうの意味の経営診断というものをやって、赤字の病院なりに、逆に前向きの福祉を――診療所をふやすとか、あるいは看護婦施設をふやすとかいう、前向きの意図でこういう計算を一ぺんやってみるというならば、なんで先ほどの審議会の問題やなんかでも、あるいはあなたが衆議院で答弁されているように、公営企業というものを特別会計制度に持っていくのは、経済性というものがなければ成り立たないからだ、経済性、経済性ということをなぜそんなに強調されるのか。きょうは、そういうことに全然あなたは触れられない。そこに非常な議論のおっかぶせ方の矛盾転倒があるのですよ。これは議論になりますから、私はもうこれ以上言いません。あなたが言われるようなものであるならば十分に――今どんどんと病院、診療所が廃止され、看護婦が減らされている、しかも利用度が少なくなっておる。なぜかといえば、大学病院やあるいは市中の病院に行ったほうが施設がいい。名古屋でもそうです、どこでもそうです。市民病院というのはとても悪くてどうにもならぬ。お医者さんもインターンみたいな人で、あんなととろへ行くならというので、どんどん減っている。それはなぜかというならば、企業経営という、採算という名前において常に圧迫されているから、住民がそういう公的医療機関なんかを利用しないという風潮が出ている。この風潮、それから住民の心配、あるいは自治体ごとの、そういう企業の内容というものから起こってくる、私どもの目に入る――私ども流の心配かもしれませんが、そういう心配を精一ぱい取り除くような行政指導を、一面においておやりになる必要がある。そのお約束がなければ、あなたの議論というものは、私はいただくことはどうも一お答えを、そのまま正直にいただくという気持になり切れないのですけれども、これはもうお考えだけを伺っておけばいいのですが。
#121
○政府委員(奧野誠亮君) 公立病院がどんどん減ってきているようなお話だったのですけれども、私たちは公立病院は年年充実してきている、こう考えているわけでございます。ベットの数もふえて参っておりましょうし、病院の数もそれ自体ふえて参っておる、こう考えておるわけでございます。その事実は別といたしまして、病院経営のあり方につきましては、先ほど看護婦養成所の例が出ましたが、それ以外におきましても、病院の建物を借金で建てた、その元利償還費を全部病院経営で支払わなければいかぬという考え方は間違っている――減価償却は生み出さなければならぬ、耐用年数よりも早い速度で返していかなければならぬ、元金まで病院経営で生み出さなければならぬという考え方は間違っているというような立場に立っての指導を、先年設けました自治体病院財政に関する研究委員会の答申に基づいて行なっておるわけでございまして、そういった意味の財政措置も今日ではするようになっておるわけでございます。
#122
○野々山一三君 もうこれで終わりますけれども、まあそういうふうにおっしゃりたいし、そうおっしゃらざるを得ないと思いますよ。しかし私どもは、私どもなりに実際の事情を知っておりますから、これは今のあなたのお答えを大事にしまして、これからよく話し合っていきたいと思います。と同時に、私とも全くこれは――僕はきょう、まるきり初めて、この地方行政委に出てきて、こういうことをお話しするわけです。僕らがお話をしなければならぬほど、僕らのところへさえも病院の経営の問題というものは、あらゆる自治体からどんどんと、今おっしゃるようなこととは違った意味の陳情が来ている。そういう点を、やはりあなた方も心して、事態をながめていただくように、ひとつ私は要望しておきたいと思います。数多くの点を問題として残しましたが、これはもうひとつ理事さんのほうで話し合って解決をしていただきたい。どうも長いこと……。
#123
○委員長(石谷憲男君) 本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。次会は、六月十三日(木曜日)午前十時開会の予定でございます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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