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1962/06/13 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 地方行政委員会 第28号
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1962/06/13 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 地方行政委員会 第28号

#1
第043回国会 地方行政委員会 第28号
昭和三十八年六月十三日(木曜日)
   午前十時五十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十二日
  辞任      補欠選任
   占部 秀男君  山本伊三郎君
   野々山一三君  小柳  勇君
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     石谷 憲男君
   理事
           小林 武治君
           西郷吉之助君
           林  虎雄君
           市川 房枝君
   委員
           上林 忠次君
           沢田 一精君
           館  哲二君
           西田 信一君
           安井  謙君
           鈴木  壽君
           松本 賢一君
           山本伊三郎君
           鈴木 一弘君
  国務大臣
   自 治 大 臣 篠田 弘作君
  政府委員
   厚生省医務局次
   長       鈴村 信吾君
   自治省財政局長 奧野 誠亮君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       鈴木  武君
  説明員
   運輸省自動車局
   業務部長    坪井 為次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方公営企業法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(石谷憲男君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。自治省当局のほか、鈴村厚生省医務局次長、坪井運輸省自動車局業務部長、井筒民営鉄道監理課長が出席いたしております。それでは御質疑の方は順次御発言を願います。
#3
○山本伊三郎君 それじゃ地方公営企業法の一部改正の法律案につきまして、私から若干ひとつ問題を出して質問したいと思います。質問の順序を最初にちょっと答弁する側の方々に申しておきますが、まず最初に公営企業、それからそれが終わりましてから皆さん方が言われる準公営企業について触れていきたいと思います。それから私が発言の中で公営交通と言う場合は、地方鉄道事業、それから軌道事業、並びに自動車運送事業というものを含めた意味で私申しますので、そのつもりで受け取っていただきたいと思います。
 そこで質問に入る第一として、一体自治省なり運輸省あたりは、地方公営企業というものが、地方自治法第二条の第二項に規定してある普通地方公共団体の事務を三つのグループに分けておりますが、どこに大体当てはまるものか、ちょっと最初聞いておきます。
#4
○政府委員(奧野誠亮君) 公共事務と考えています。
#5
○山本伊三郎君 第一段の普通地方公共団体の、その公共事務と、こういうことですね。
#6
○政府委員(奧野誠亮君) そのとおりであります。
#7
○山本伊三郎君 運輸省のほうの見解をひとつ。
#8
○説明員(坪井為次君) 同様な解釈をしております。
#9
○山本伊三郎君 そういうことではっきりされたのですが、そこでまず交通事業についてお伺いいたしますが、交通事業は、地方公営企業としては最も中心になる問題ですが、交通事業に対しまして政府の考え方が、戦前と相当変貌といいますか、形を変えたような考え方になりつつあると私は思うのです。そこで、はなはだ失礼な問い方かしりませんが、東京、大阪あたりで古く明治時代に初めて市街電車が市有――今の言葉でいいますと公営企業ということになっておるのです。その当時、交通事業が市有として、公営企業として会社から買収もされておりますが、その当時の東京市会なり大阪市会あたりで交通事業を市営にするという場合に、相当論議をされておると思うのです。これが公営交通事業のできた一つの概念と申しますか、必要性と申しますか、そういうものを規定するには重要な私は一つの要素になると思いますので、その当時の東京、大阪あたりの交通事業が市有にされた場合のいきさつというものについて、もしおわかりであればひとつお知らせ願います。
#10
○政府委員(奧野誠亮君) 私は交通事業そのものについて詳しくございませんけれども、たまたま東京の場合には私営の三交通事業が料金値上げをしようとしたときに、それに反対をして、最後には市営でやりたい、買収をするということになったように伺っておるわけであります。
#11
○山本伊三郎君 形はそうなんですが、それを東京市の経営にするという場合に、いろいろ市会で検討されているのですが、これを公営にするという当時の考え方が、あの市会の論議の中に相当出ておったと思うのです。これは尾崎行雄さんが市長のときでございますから、古い話ですから、そういうところまで聞くのはどうかと思いますが、その際、市営にする場合に、公営にする場合に相当問題があったのですが、これは大阪も同様でございます。なぜそれを公営――東京市営にしなきゃならなかったかということは、私は今日公営企業法の問題を解明するためには必要だと思いますが、一番重要なポイントはどこですか。あの場合、三つの会社が一つの会社に合同され、それがまた東京市営に変わった場合には相当市民の間にも論議をされておりますが、なぜそれを押し切って公営にしなくちゃならなかったかという、そのポイントは――重要な理由というものはどこにあったのですか。
#12
○政府委員(奧野誠亮君) 私からお答えをするのが適当かどうかわかりませんが、一般に公営を適当としている理由に、都市の経営と一体的に行なえるというようなことを申しておるわけであります。したがいまして、どこに路線を設けるか、採算のとれないものでありましても都市経営上必要な場合には、そこに路線を設けるということが、公営でやる場合にはできるわけであります。そういうこともございましょうし、また料金のきめ方を政策的に行なっていく、たとえば早朝割引きを行なうとか、あるいは旧東京市営の電気事業については生活保護家庭には定額と一灯までは無料にするというような料金の課し方もしておったのであります。そういうようなことも可能になって参りますので、そういう意味の特性を経営の上に発揮させることができるというようなこともあったのじゃなかろうかと、そのように推測をいたしておるわけであります。
#13
○山本伊三郎君 最近、公営交通事業に対して、運輸省は、いろいろと制約という言葉を使うと変でございますが、いろいろの認許可その他について相当運輸省は権限を持っておられますが、私が先ほど自治省に尋ねましたその問題について、運輸省はどう考えておられますか。
#14
○説明員(坪井為次君) 東京、大阪について、私有から公営に移ったといういきさつについては、私はよく存じませんが、現行のもとにおいては、バス事業につきましては道路運送法、それから軌道につきましては軌道法、こういう監督法規がございまして、公営、民営を問わず、共通の立場から企業としてやる、そういう格好になっております。
#15
○山本伊三郎君 運輸省、まあ、あなたは業務部長さんですが、そういう高度な政治性について質問してはどうかと思いますが、運輸省の公営交通事業に対する見方というものは、今ちょっとはしなくも触れられましたが、一般民営交通企業と同様な考え方で扱っておるといわれておるんですが、これは、私内閣委員会で自動車局長にも若干その意味の質問をいたしましたが、最初は自動車局長もそういう意味のことを言われましたが、論議が進むにつれて、先ほど自治省が言われましたように、きわめて公共性の強いものであるということを強調されてきたのです。今あなたの言われたことになれば、その当時のことは知らないけれども、公営交通事業については別に何も差別をしておらないのだということに理解していいんですか。
#16
○説明員(坪井為次君) けっこうでございます。
#17
○山本伊三郎君 そこに実は問題があるんですよ。御存じのように、民営の交通事業、俗にこれは私鉄といっておきましょう。私鉄の場合と公営交通の場合とはあらゆる受ける制約が違うんですね。たとえば一つの例をあげましても、建設費にいたしましても、私営の場合には、会社ですから、ほとんど自由とは言いませんけれども、その資本金の入手というやつはあまり規制を受けない。しかし公営企業については、たとえば起債の問題にいたしましても、あとで触れますけれども、法律によって非常に制肘を受けておる。その他先ほどちょっと奥野財政局長が触れられましたけれども、私営とは違ったいわゆる公共の便宜をはからなくちゃいけない、そうなると同じような考え方で政府がそれを規制してくると、当然公営交通事業というものは、その経営というものが行き詰まってくることは、これは火を見るよりも明らかであると思うんです。そういうことでは、私は、この地方公営企業に関係して質問しておるんですが、政府の運輸省という一方の省が、そういう考え方であり、一方の自治省は若干公共性というものに対して相当ウエートをおいた考え方をしておる際に、非常に私は問題があると思うんです。それについてもう一度ひとつ業務部長から御答弁願いたいと思います。
#18
○説明員(坪井為次君) 運輸省の立場から申しますと、交通機関として監督しておりますのは、まず国有鉄道、まあ国の幹線というものについては国有で行なわれる。それから地方鉄道におきましては、幹線以外のものについて、地方鉄道法で、私人に免許することができるという建前で、地方鉄道の免許ということで行なっております。また軌道関係につきましては、例としては、公営、民営両方あるわけでございますが、そういったような国営あるいは公営あるいは民営といったいろいろな経営主体の交通事業がございますが、これらを地方鉄道法あるいは道路運送法、そういった見地から同じように監督しておる、そういった立場にあるわけでございます。
#19
○山本伊三郎君 まあ、あなたにこれ以上言っても、法律の建前がこうだということしかあなたは答弁されないのですが、それはまあ、あなたの立場としてこれ以上追及いたしません。この問題については基本的な都市交通の問題ですから、いずれまた、大臣なり企画庁長官にも機会があればお尋ねすることとします。
 そういう考え方で運営されると、都市の公営交通事業というものは、たとえ今度こういう地方公営企業法を改正されても、ますます私は行き詰まっていくと思っているのです。今日も地方公営企業の中で交通事業というものは非常にもう行き詰まっておるということは、もう認識のとおりだと思いますが、この点について奥野局長はどう思われますか、財政局長。――もう一ぺん聞きましょうか。――それじゃよく聞いていて下さい、だれに言うかわからぬから、僕のは。それじゃ、ひとつもっと具体的に言いますが、交通事業について、現在の経営状態、それを、数字で言えと言いませんが、大体全国的に見てどういう状態になっていますか、経営状態は。
#20
○政府委員(奧野誠亮君) 交通事業が全体としてかなり悪化して参ってきております。ただ、最近において料金改定がかなり多くの企業について認められて参ってきておりますので、そういうところは立ち直ってくるだろうと、こう考えているわけであります。ただ三十六年度の決算についてだけ見て参りますと、過半数をこえるものが赤字経営に陥っているということでございます。ただしかし、今申し上げましたような事情がございますので、相当数は今後好転してくると、こういうふうに考えております。
#21
○山本伊三郎君 過半数と言われますが、相当まあこの都市の公営交通を持っておる市がありますが、特に代表的に言って、六大都市、それからその他仙台、札幌、まあ中都市といいますか、そういう都市の――わけて、まず六大都市の状態はどうですか。
#22
○政府委員(奧野誠亮君) 名古屋の交通事業は黒字経営ではなかったかと思いますが、あとは大多数赤字経営に陥っている。ただ、分けて考えて参りますと、路面電車、地下鉄、バス事業、従来比較的バス事業の経営がよくって、これが他の部門の赤字を補ってきておった。しかし今日においては、それがむずかしくなってしまいました。また路面電車等につきましては、すでに料金改定の認可が行なわれたわけでございます。バス事業につきましては、採算が今日悪化して参ってきておるわけでございますので、料金改定の問題が起こっておるわけでございます。
#23
○山本伊三郎君 中都市の公営企業、交通公営企業は、どういう状態になっておりますか。
#24
○政府委員(奧野誠亮君) 総体的には、先ほど申し上げたとおりでございます。ただその中でも、たとえば一番悪い例に鹿児島などを取り上げておったのでございますけれども、三十七年度単年度で見ますと、黒字経営になってきたというように聞いているわけでございます。要するに料金改定の問題が大きくからんでいるのじゃないだろうか、こう判断をいたしておるわけでございます。
#25
○山本伊三郎君 料金改定の問題はいろいろ政治的に複難な要素を含むのですが、自治省では、地方公営企業年鑑というものを出されて、私もこれを今拝見しつつあるのですが、この赤字経営に転落というとおかしいのですが、変わってきたという原因は、今の言葉を少し考えますと、やはり料金の問題にまあ限定はされておりませんけれども、それが大きい要素のように言われておりますが、もっと深くこの公営交通事業について自治省としては原因の追及をされたことがありますかどうか。あればその結果をひとつお知らせ願いたいと思います。
#26
○政府委員(奧野誠亮君) 公営交通事業でも今申し上げましたように、三つによって事情はかなり違うと、こう判断をいたしておるわけでございます。バス事業に関しまする限りは料金の問題で赤字になることがございましょうけれども、公営なるが故に収支が非常にむずかしいということはないと、こう考えております。
 路面電車の問題につきましては、これは道路が自動車で非常に輻湊している結果、運行が困難になってきている。したがって、回転率が非常に悪いというような問題もございますので、地域的にいわゆる斜陽に属するのではないだろうかと、こういう判断をいたしておるわけでございます。
 地下鉄事業につきましては、建設費が非常にかかる。一メーターで三百万円をこえるというような格好になって参ってきておりますので、これは道路を拡張する経費を一部地下鉄事業に出資その他の形において援助しなければならないのじゃないだろうかというような判断をしておるわけでございます。そういたしません限りには、料金をうんと引き上げなければならない。そういうことは公営交通の料金政策の面からいって問題があるのじゃないだろうかという判断をいたしておるわけでございます。
#27
○山本伊三郎君 その点については、またあとで触れるときがありますが、それじゃまあ具体的な問題にひとつ触れていきたいと思いますが、先ほど冒頭で私が尋ねましたら、これはもう普通地方公共団体のいわゆるその公共事務である、その弔う文言によって一応公営交通事業の性格も出ておると思います。ところが、地方公営企業法、昭和二十七年八月にできておりますが、その三条に、「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」、こういう文言があるのですが、これはこの改正について問題を提起するのはどうかと思うのですが、やはりこれがこの改正にも影響してきますので聞いておきますが、「常に企業の経済性」という言葉を使っておるのですが、私、この法律のできるときには不幸にしてこの国会には出ておりませんでしたが、院外からいつもこれ見ておったんですが、「経済性」ということは非常に幅の広い、いい言葉でありますが、一体この「経済性」というものは具体的にいってどういうことをいっておるのですか。
#28
○政府委員(奧野誠亮君) この地方公営企業法において「経済性」という表現を使いましたのは、いわゆる企業の経営に当たっては特にお役所仕事の弊に陥ってはならない。お役所仕事というものはとかく能率の悪いものだ、それを防いでいかなければならない、こういう考え方が中心において使われて参ってきていると、こう考えておるわけでございます。
#29
○山本伊三郎君 お役所仕事、まあこれもまた概念のはっきりしない仕事ですが、お役所仕事は能率が上がらないということは、私は長らく市営交通の場合によく見ておりますが、交通の場合にはそんなお役所仕事でやり得るという現場の実情は、私なかったと見るのですね。一般行政事務については、なるほどお役所仕事で能率が悪いということを言われますが、それももっと私は分析しなけりゃならぬ問題があると思うのです。一般の会社とか私企業のような場合と違って、やはり一般行政事務というものは住民に対するいろいろ厄介な問題があるのです。したがって、能率が上がらないといわれますが、そこにはそこに一つの原因があると思うのです。特に交通公営企業について、私はそういうものが散見すらしなかったと思うのですが、その当時そういう認識に立っておったんですか。
#30
○政府委員(奧野誠亮君) よけいなことを申し上げて恐縮でございますけれども、たとえば官公庁の会計、これは一般納税者の負担をできる限り低くしていかなければならない、こういうことから始まっているのだろうと思います。したがいまして、何か金を使う場合には、予算で一たん承認を受けておかなければ金は使えない。予算をこえて金を使う、それは厳禁する。そうすることによって、納税者の負担をこれ以上にさせまい、こういうことが中心になっているわけでございます。しかし、企業ということになって参りますと、むしろ、収入がふえてくる限りは予算がなくても金を使っていくべきじゃないか。したがって、弾力条項というものがあるわけでございます。道路を直すのに、道路の金を全部使ってしまったけれども、やはり、こわれているからどんどん道路を直すのだ。これはやはり、とめるべきであろうと思うのです。同様にガソリンがなくなった、予算がなくなったからもう買えない、自動車はもう走らせられない。官公庁会計でありますと、それが建前でございます。しかし、企業である以上は、お客さんがあるのに予算がなくなったからといって、油を買わない。これは穏当でないわけでございまして、これは収入が見込めるのですから、予算がなくても油を買うことは認めるべきであると思います。そういうことがございまして、官公庁の会計でなしに、企業会計をこういう企業についてはとらせようというようなことも、この地方公営企業法を作った一つの理由であったわけでございます。言いかえればお役所仕事の弊に陥らないで、むしろ能率を重んじてやらせようじゃないか、弾力ある運営を認めていこうじゃないかというようなことも、この際の一つの眼目であったわけでございます。
#31
○山本伊三郎君 非常によい分だけ言われまして、私はそれであれば賛成でありますが、この第三条の「経済性」というものは、地方公営企業法に出てくる、特に今度の改正で出てきた独立採算制、いわゆるこの経済性というウエートは、収支をその企業によってまかなうのだ、こういう思想がここにあったのではないかと思うのですが、そういうものは全然なかったのですか。今、言われたことだけでいいですか。
#32
○政府委員(奧野誠亮君) 独立採算制の考え方を強化するということは、今回の法律改正には全然取り上げられておりません。悪く言えば、独立採算制を弱化しておるじゃないか、こういう御指摘を受ける個所がございましても、独立採算制を全体について強化していくのだというような式のものは全然ないわけでございます。ことに新しく、この公営企業経理を適用しようとしています部分については、わざわざ独立採算の規定をはずして適用するようにいたしているわけでございます。
#33
○山本伊三郎君 私が尋ねているのは、そういう考え方がこの第三条の「経済性」の中にはないのだという意味であるかどうか。私は、今度の改正に独立採算制という一つの用語が出てきましたから、例に引いたのですが、今、奥野局長が言われたように、地方公営企業法全般についての中には、そういうものを、この経済性という意味の中にはないのだ、こういうことを言われるならば、私はこれで納得するのですが、その点を聞いているのですが。
#34
○政府委員(奧野誠亮君) 経済性の観念と独立採算ということは、別個の観念に属すると、こう私たちは考えているわけでございます。
#35
○山本伊三郎君 そうすると、この独立採算制とは別な考え方だと言われるならば、しからば独立採算制――あとで聞こうと思ったのですが、ついでに言っておきますが、独立採算制と言ったらどういう概念ですか――定義になるのですか。
#36
○政府委員(奧野誠亮君) 企業の経営に伴う経費は、全部当該企業からの収入でまかなっていくということが、独立採算だと思うのでございます。しかし、一般会計で、一部を負担してもらいましても、そういうような運営を前提にしながら、経済性を重んじて経営をしていくということは、こういう企業的なものについては非常に必要だ、こう考えているわけでございます。企業的なものにつきましては経済性にのっとって運営をしてもらわなければならないが、それが全部独立採算でなければならないか、あるいは一定の責任は一般会計で持ってもらって運営をしていくか。これは別個の問題ではなかろうかと考えておるわけでございます。
#37
○山本伊三郎君 その点、どうも私には理解できないのですが、われわれ経済性ということについては、これはここは学校でないから、そんな講義を聞いたりするのではないのですが、やはり企業の経済性ということは、ある一部では独立採算といいますか、そういうものに私は通じておったものだと思いますが、そういうことではない。別の問題である。こういうことでございますが、それならばそれでけっこうです。質問を前に進めますが、そういうことでいいんですね。もう一ぺんこれを確認して――あとで問題になると困るから。
#38
○政府委員(奧野誠亮君) 今回の改正におきまして、下水道事業や病院事業につきまして、やはり企業経営をやつてもらおう。その場合には経済性にのっとって経理をしてもらわなければならない、運営をしてもらわなければならない。そういうふうに考えておるわけでございますが、しかしそういう点については、一般会計において相当の部分を負担してもらおうという考えで、指導もいたしておるわけでございます。したがいまして、独立採算の規定の適用ははずしておるというようなことにもなっておるわけでございます。御指摘のように考えておるわけであります。
#39
○山本伊三郎君 それじゃ経済性については、私は私なりに理解しておきます。
 そこで問題は、今度の改正の問題に若干入りますが、この独立採算性について今いろいろ言われましたが、この改正において、先ほど言われましたが、そういうきびしい前と変わったようなことは考えておらない。むしろもっとこの交通事業の運営に便利になるような形で、財務規定を適用するんだという意思で言われましたが、前とこれはちっとも変わっておりませんが、よくなっておるところはどこでしょう。
#40
○政府委員(奧野誠亮君) 従来の考え方でいいますと、一般会計から特別会計に繰り入れをするのは全く例外だ。繰り入れたものは原則として特別会計から一般会計に返していかなければならないのだ。こういうふうな規定になっておったわけでございます。今回は一般会計から特別会計への繰り入れをその性質によってはっきり区分をしよう。出資金として繰り入れていくのか、補助金として繰り入れていくのか、貸付金として繰り入れていくのか。補助金の場合は返す必要はないじゃないか。貸付金のような場合は当然返す必要があるだろう。だから一般会計と特別会計の関係を閉鎖的に考えない。事情によって補助をしたり貸付をしたり積極的にやっていいじゃないか。こういう判断に立ちまして、繰り入れ、繰り出しの関係をその性質に基づいて明確にいたそう。こう判断いたしておるわけでございます。
#41
○山本伊三郎君 そこで、今言われました第十七条の二並びに第十八条、これは改正案ですよ。第十八条の二について一括して説明されたんですが、十七条の二の二項の「地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合」、「災害の復旧」これははっきりしたものがわかりますが、補助金を出すという「その他特別の理由」は、具体的にどういう場合がありますか、例示をして下さい。
#42
○政府委員(奧野誠亮君) たとえばバス事業と学校とをからみまして、スクール・バスを運営する路線を、そういう意味において拡張していく、そういう点について、かりに無料で学童を乗っけるという場合は、一般会計からその交通事業会計に補助をすることが適当だろうと考えるわけでございます。そういうような例もあろうかと考えております。
#43
○山本伊三郎君 これは重要な問題ですから、もう一ぺん確認しておきますが、これは一つの例と申されましたが、学校が建てられたが、その間に交通機関がない。特に通学のために必要であるから路線を作る、そういう場合にはいわゆる一般会計から補助金として出すことができる、こういうことですか。
#44
○政府委員(奧野誠亮君) そういう例もあると考えています。
#45
○山本伊三郎君 それは、そういう一つの例を言われましたが、それを公営企業と私冒頭に申しましたが、公営企業という立場からいくと単に学校だけではないと思うのですね、民営、いわゆる私鉄の場合なんかになりますと、たとえば市域が拡張されたような場合でも採算のとれるところまで――人口、住宅がふえるまでは通さないけれども、やはり公営企業の場合にはそういうものを待っておることができず、やはり住民、市民の要求によっては通さなければならぬ、そういう場合にも補助の対象になりますか。
#46
○政府委員(奧野誠亮君) 補助金を交付するということは、一般納税者の負担においてそういう仕事をやっていくということだろうと思います。また料金で吸収させる場合には事業の利用者全体からそういうものを吸収していくということだろうと思うのでございます。それらはすべて当該団体が住民全体の立場から考えて判断をして決定をしていけばよろしいことだ、こう考えているわけでございます。
#47
○山本伊三郎君 だいぶ明らかになったのですが、そこでもう一つ、これは法律の文言の問題ですが、公営企業というものはその地方公共団体が経営するということについては自治法にもありますし、地方公営企業法でもきめているのですが、ただ特別の管理者をおいておりまして、それに間違いないと思いますが、同じ地方公共団体が自分の経営するその公営交通事業に補助するというのはどういう意味になるのですか。今までの表現ではこの繰り入れ、そういう言葉で、一般のわかりやすい言葉でやっておったのですが、今度は補助というのですが、それはどういうことを意味するのですか。一般会計から特別会計へその資金を移すということが補助ということになるのですか。その点をひとつ明らかにしておかぬと、今後問題があるといけませんので、その点をひとつ……。
#48
○政府委員(奧野誠亮君) 一般会計から特別会計へおっしゃるように資金を移す、繰り出し、繰り入れの関係でございますけれども、その理由のいかんによって補助をする場合もあれば、貸付をする場合もあれば、出資をする場合もあれば、いろいろの事情があるだろうと思います。それがその部分については一般会計の負担においてやらせるのだということでありますならば補助でございますので、そういう言葉を使わせようというようなことで、立法いたしているわけでございます。
#49
○山本伊三郎君 今まで、あなたも実情を調査して御存じですが、何といいますか、理由もないのに一般会計から特別会計へ、いわゆる交通会計へ黙って出すというようなことはないでしょう。一定の理由がなければそれは市会でも認めないのですが、この点は私、現行の繰り戻しと改正案の補助との間に、どういう差異があるか、法律上の理由というものがどうなっておるのか、ちょっとこの点わからないのですが、もしそれが同じだと言えば、別に繰り戻しを補助とかえても同じことになると思うのですが、その点どうなんですか。
#50
○政府委員(奧野誠亮君) 先ほどもちょっと触れたわけでございますが、一般会計から特別会計に繰り入れた場合にはみんな繰り戻さなければならないのだ、こういう原則を現行の十八条に書いているわけでございます。それを繰り入れた理由のいかんによっては繰り戻さないでもよろしいのじゃないか、したがって、繰り戻さないでもよろしいというようなものは、そういう名前を使ってもらおう、補助金というような式の名前を使ってもらえば繰り戻す必要はないのじゃないか、こういうことを明らかにしようとしているわけでございます。現行の十八条の二項では「繰りもどさなければならない。」と書いておりまして、ただし書きがございまして、特定の場合には繰り戻さないでもよろしいのですけれども、その場合にやはり議会の議決を経なければならないという条件をつけているわけでございます。そういうことをもっとはっきり、繰り入れ、繰り戻しの性質によって規定をしていこうじゃないかということが、今回の改正の一つのねらいでございます。
#51
○山本伊三郎君 そうすると、旧法の第十八条の第二項の繰り戻しをせずともいいやつは補助金だ、それから繰り戻しをしなければならない性格のものは長期貸付という改正案の十八条の二を適用しよう、こういうことですか。
#52
○政府委員(奧野誠亮君) 現在改正をしようとしております十八条の二の規定は、一般会計から長期の貸付をすることができるというふうに改めるわけでございます。貸付金でありますから当然これは返さなければならぬわけでございます。しかし十七条の二を書いているわけでございますけれども、そこで「補助をすることができる」という規定を置いているわけでございまして、補助ですから、これは当然返す必要がないわけでございます。その振り分けをいたしたわけでございます。
#53
○山本伊三郎君 そうすると、私先ほど尋ねたように、現行法の第十八条第二項にはこれこれの理由のものは一般会計に繰り戻さなければならないという規定がありますが、しかし、ただし書きで末尾のほうで、「議会の議決を経て、当該繰入金を繰り入れた一般会計又は他の特別会計に繰りもどさないことができる。」、この部分が補助金であり、前の条項は長期貸付という考え方で、今度この条章を分けて補助金と長期貸付金とに分けられたのか、これを聞いているのですが、そのとおりですね。
#54
○政府委員(奧野誠亮君) そのとおり
 であります。
#55
○山本伊三郎君 そこで、実際問題の運営から見て、今けられることがはっきりしていいといいますが、現行でもそういう今言われたようなとおりの運営をされているのですが、先ほど冒頭に財政局長は、このほうがむしろ公営企業についてはいいのだ、有利なのだということでありますが、私としてはその判断に立たないのですが、実際の運営でこう分けたほうが有利だということはどういうことですか。この点の理解が一つの問題点の焦点ですから、はっきりと答弁していただきたいと思います。
#56
○政府委員(奧野誠亮君) 今回の改正法が成立いたしました場合には、一般会計から特別会計に繰り入れをいたします場合に、補助金として繰り入れておきます限りは、もちろん繰り戻しの必要はないわけでございます。そうでございませんと、現行法によれば繰り戻さないことができるわけですけれども、繰り戻さないということについて議会の議決を経ておかなければならぬわけでございます。改正法が通れば繰り戻さないことについてあえて特別の議会の議決は要らないということになるわけでございます。
#57
○山本伊三郎君 そこで前に少し返りますが、実際問題で補助ということになりますと、なかなか問題が出てくるのじゃないかと思うのです。これは実際の問題でも先ほど言われたように、補助といえども一般会計から特別会計に金を、会計を移すだけである。しかし、これはもう返さぬでもいいという意味に補助ということを使っておるのだと、こういうことでありますが、そういうものを初めから規定すると、一般会計から特別会計へやってしまうんだということになると、先ほど例をあげられましたけれども、なかなか実際問題で議会でも問題が出てくるのだろうし、実際問題においてはこの補助というものが明文にはあっても、なかなか実際にそれが実現するのにはむずかしい問題になるんじゃないかという、そういう考え方といいますか、この法律・を作るときにそういうことを検討されましたか。
#58
○政府委員(奧野誠亮君) 私たちは、現実に一般会計から特別会計へ繰り入れします場合には、どういう意味で繰り入れをするのか十分論議を尽されると、こう考えています。補助するつもりで繰り入れるのか、貸し付けるつもりで繰り入れるのか、繰り入れするときにちゃんときまっているのに、わざわざ補助のものまで議会の議決を求めなければ認められないというようなことも穏当でない。ただ財政一般が非常に苦しかった時代がございますので、できる限り一般会計に迷惑をかけないという建前で地方財政法ができたり、公営企業法の制定の当時にもそういう気持があったものですから、今のような規定になっておるわけでございます。それを漸次改正しようとしての今回の改正になるわけでございますし、また、それ以前には出資の規定をほうり込んだわけでございます。現に一般会計から特別会計へそういう意味で繰り入れをしている例で申し上げますと、地下鉄事業を行なっている場合に、その使っている資金についての利子補給を一般会計がやっている場合がございます。これは明らかに補助でございます。しかし現行法ではその振り分けをしていませんので、繰り入れにしているでしょう。これはもう返さぬでいいつもりで予算をきめているわけでございます。計算も利子補給の計算でできているわけでございます。しかし、それをまた議会の議決を経て返さぬでよろしいんだと、こうしなければならぬわけでございます。これは明らかに穏当でございませんので、ちゃんと補助金として、その計算は利子の何%を見てやるんだというようなことを説明としてつけていけばよろしいんじゃないかと、こう考えておるわけでございます。
#59
○山本伊三郎君 私が、これをしつこく尋ねるのは、現在実際、一般会計から特別会計へ――今話になっているのは公営交通のことですが、公営交通事業に一般会計からそういう資金の繰り入れということはなかなかやりにくい状態でなかろうかと思うんです、今現在ですね。自治省ではそういう問題、実際やったというものについてデータを持っておられますか。
#60
○政府委員(奧野誠亮君) 私たちは、基本的に、公営交通事業一般はあとう限り独立採算でやってもらいたいと、こういう考え方をいたしております。ただ地下鉄事業につきましてはちょっと違った考え方を持っておるわけでございます。したがいまして、交通事業会計にどんどん一般会計から補助をしていけというような指導もいたしていないわけでございまして、したがいまして、そういうような意味で今御指摘のような資料はとったことはございませんので、わからないわけでございます。ただ地下鉄については一般会計が相当に補助していきますし、今後もそういう方向が妥当だと、こういう判断をいたしておるわけでございます。
#61
○山本伊三郎君 そこで、私ちょっと問題が矛盾してきたんじゃないかと思うんです。確かに今までそういうことになっておるんですよ。ところが先ほど、あなたのほうの例をあげて言われましたことによると、自動車運送についても、たとえばこういう例の場合には補助を出してもいいんだ、それから新たに地域拡張なりその他の理由でその住民がバスの路線の拡張を要求した場合には、住民の要求に応じてその都度議会できめてもいいんだと、その場合、補助として出されるんだという例をあげられましたが、今までの指導なりを見てみますと、そういうことが私はあまりなかったと思うんです。そこで、この補助というものを作った場合には、そういうように公営交通事業については、今までよりも財政的な、要するに運営の余裕が、この法律によってできてきたという印象を受ける答弁をされましたから、一応納得したんですが、この法律ができても、先ほど言われた例の場合はもうほとんど実現性はないという、今の答弁では印象を受けるんですが、そういうことはないですか。
#62
○政府委員(奧野誠亮君) 公営交通事業一般を議論するのか、あるいは公営交通事業の中で特殊な事情にあるものについて議論をするのかということによって、非常に違ってくると思うのであります。特殊なものについて、たとえば地下鉄事業を取り上げたり、あるいは学校統合の場合のスクール・バスの路線を取り上げたりいたしますと、これは一般会計から積極的に援助すべきだと思うのであります。公営交通事業一般を取り上げますと、やはり独立採算でやってもらったほうがいい。そういうものまで一般納税者の税金を使っていくという理由はないのじゃないかという判断に立つものですから、あえて今のようなことをお話し申し上げたわけです。
#63
○山本伊三郎君 質問しているうちに、いろいろ明らかになってくるのですが、私は一般交通事業、先ほどいった地方鉄道事業、軌道事業、あるいはバス運送事業、三つを一括して質問するといったのですが、地下鉄についてはやはり別の、これは要素があります。主として、これは言いおくれましたが、路面電車、それから市内のバス、公営バス、こういうものの現在の経済状態は非常に悪い。それにまあ私は重点を置いて話をしておったのですが、そうすると、今の話では独立採算制、この補助――補助というものは、現在一番行き詰まりつつある路面電車なり、あるいは市内バス、公営バスについては補助の対象としてはきわめて望みが薄い、こういう感じがするのですが、そうでないですか。
#64
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業についての補助の場合というものは、やはり例外的であろうと、こう考えております。十七条の二も「特別の理由により必要がある場合においては、補助をすることができる。」、こう書いておるわけでございます。やはり準公営企業の場合と、一般公営企業の場合とでは違ってくると、こう思うのでございます。
#65
○山本伊三郎君 準公営企業にはあとで触れますから、それは言っておらない。今私は、公営企業のうちの交通事業についてお尋ねしておるのです。したがって、私はもう現実に立脚して、今都市交通公営企業で行き詰まっておるのは、路面電車とバス。これは非常に行き詰まってきておるのですが、それに対して補助とか、こういうものについて活用があるかということを尋ねておるのでです。
#66
○政府委員(奧野誠亮君) 先ほど来申し上げているとおりでございまして、地下鉄事業について補助をする、今までなら繰り入れの規定でやっておったのが、今度補助ということに変わるわけでございます。そのほかバス事業、こういう今例にあげました場合などについてはあり得ると考えております。
#67
○山本伊三郎君 私は、いろいろ法律案は過去何回か取り上げましたが、実は法律が成立してしまったあとの運用というものは、われわれが国会で言ったことと運用が逆のような場合が非常にあるので、私は執拗に言うのです。今言われましたが、これは例をいうよりも、むしろ今自治省では補助の対象というものは、こういうもの、こういうものだということを、実は今言ってもらいたいという気持がある。しかし、こういうものは現実の問題として、そう初めから全部出てこないから、一つの例を言ってもらったのですが、実際問題で、これは奥野財政局長は非常にまじめな、正直な方であると私は漏れ承っておりますけれども、この法律ができたあとの運用というものは、私は、おそらく、地下鉄についてはわかります、これはもう今の都市交通の問題から推して、自治省だけでなく相当政府は力を入れておるからわかりますが、運輸省の諸君もおられますけれども、路面電車なり、都営バスという交通公営事業というものには、ほとんどもう民営でもいいんじゃないかという思想が政府部内にあるのです。それで私は、最初に言ったように、東京市と大阪市が初めて交通事業を市営にするというときにどういう論議があったか。その一つの論議の重点は、東京市なり大阪市の発展ということに重点があったのですよ、どうしてこの都市を発展せしめるかというところに。反対の意見も相当市会にあったけれども、東京市の発展、大阪市の発展のために、どうしても公営交通事業が必要だということで、東京の場合明治四十四年、大阪の場合明治三十八年と思いますが、踏み切ってやったのです。したがって、そういう趣旨からいくと、今日そういうものがもう全部忘れられてしまって、運輸省の部長がいったように、もう私鉄なり、あるいはその他の交通機関と同じような考え方でこれをやっておるのだということについては、少なくとも公営交通事業というものを理解する場合には私は足らないのじゃないかと思う。そういう意味を十分私は自治省に考えてもらって、この問題だけで一時間もやっていると、また委員長から文句が出てはいけませんから、これでこの問題については一応終わりますけれども、どうかひとつ、補助については相当ウエートを考えて、これは三つのマルをつけているのですが、これの運用が相当交通事業に影響いたしますので、その例を十分広げるというわけではないが、実情に即した運用をしてもらいたいと思いますが、この点どうですか。
#68
○政府委員(奧野誠亮君) 御趣旨に沿ってよく考えていきたいと思います。
#69
○山本伊三郎君 それから次に、第十八条の「出資」ということについて――これは条文の数は変わっておりますが、前からあった条項でありますが、今まで「出資」という形はどういう例がありますか。
#70
○政府委員(奧野誠亮君) 東京都は、毎年地下鉄事業に二十億円ずつ出資をして参ってきております。
#71
○山本伊三郎君 主として、私は地下鉄の問題だと思ったのですが、地下鉄以外、先ほど申しました路面バスについての出資というものはありませんか。
#72
○政府委員(奧野誠亮君) 最近の事例としては承知しておりませんけれども、だんだんと公営企業につきましても、出発にあたっては一般会計からの出資を得て安定した経営ができるように持っていきたいという希望をいだいておるわけでございまして、そういうことが、二、三年前にこの規定を入れた一つの理由であったわけであります。
#73
○山本伊三郎君 この出資と次の第十八条の二の「長期貸付け」と、形式上名前は違うのですが、実際上どういう相違を持っているのですか。
#74
○政府委員(奧野誠亮君) 長期貸付金は、これはいずれ返さなければならないわけであります。出資金は、これを返す必要はないわけであります。なおまた、原価計算の場合には、貸付金についてかりに一定の利子を一般会計に支払う約束になっていますならば、それはコストになってくるだろうと思います。出資金の場合には、建設の場合などにその金が使われるわけでございましょうが、資本勘定に属するわけであって、しがってまた、取得したものについての減価償却費のほうは経費に入ってくるかもしれませんが、出資金については当然利息計算は出てこないわけであります。
#75
○山本伊三郎君 僕の問い方が悪かったかしれませんが、この出資というものは、地方公共団体が自分の経営する地方公営企業に出資するということですが、これは形式はどうなっているのですか。出資をすれば、そのままもう補助金と同じように、出資金の配当というものはあり得べきでないと思いますが、出しきりになるんじゃないですか。長期貸付は、これはある時期が来れば返してもらうというのでわかるのですが、出資の場合にはどういう相違があるのですか。
#76
○政府委員(奧野誠亮君) 今おっしゃったように、出しきりになるわけであります、出資金の場合は。
#77
○山本伊三郎君 その場合は、名前は違います、またその出す理由も違いますが、事実上は補助と出資は出しきりで、やりきりで、同じ効果ということに理解していいですか。
#78
○政府委員(奧野誠亮君) お考えになっておる範囲ですと、同じように考えていただいてもいいかもしれません。
#79
○山本伊三郎君 それでは違うところをちょっと……。
#80
○政府委員(奧野誠亮君) 出資金の場合には、これは資本勘定になるわけであります。資金として受け入れるわけであります。補助金というと、どういう意味の補助金なのか。建設費に対する補助金なのか、経営の赤字を補う補助金なのか、そういうことによって若干違って参ると思います。
#81
○山本伊三郎君 その点わかりました。
 それじゃ次に、この長期貸付の問題ですね、これについて前の質問で大体これも連鎖反応でわかってきたのですが、長期貸付を現在までやっておられる実績はどういうものであるか、ちょっと知らしていただきたい。
#82
○政府委員(奧野誠亮君) 長期貸付のほうはかなり広範にやっている、こう考えているわけでございます。一般会計に余裕金があります場合には、ことさら企業会計が高い利息を払って金を借りる必要はないわけでございます。同時にまた、金融力も一般会計のほうがずっと強いわけでございますので、かなり公営企業会計が詰まってきた場合には、一般会計のほうで金繰りをつけて企業会計のほうへ貸し付けていくという場合もあるわけでございます。
#83
○山本伊三郎君 これは起債でなくして、地方公共団体がその自己の経営する公営企業に出すんですが、その場合はどういう形式をとっておるんですか。
#84
○政府委員(奧野誠亮君) おっしゃるように、いわゆる起債じゃございませんので、行政庁の許可を必要といたしません。団体の会計内の資金移動に過ぎない、こう考えているわけであります。
#85
○山本伊三郎君 これは、先ほど申しましたが、公営交通事業のうち、どういう部門に多く貸し付けておりますか。
#86
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業の経理を援助するためでございますので、たとえば経営が非常に苦しいという場合には、欠損なども出てくる場合がございますが、そういう場合の資金繰りを援助するために一般会計のほうから貸付をするという例があろうかと思います。料金改定がおくれたりします場合には、その間はある程度資金繰りをつけていかなければならない、そういう場合も一般会計のほうで援助していく場合があるわけでございます。
#87
○山本伊三郎君 時間がだいぶ経過しましたが、実際問題で、私は短期融資の場合は聞いておるが、長期貸付というのは今まであまり実績を聞いておらないのですが、相当あるんですか。
#88
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業法を適用しております交通事業につきましては、三十七億円程度、全体で百七十億円程度になっているようでございます。
#89
○山本伊三郎君 これは長期というのは、どれくらいの期間になっておるんですか。
#90
○政府委員(奧野誠亮君) 今申し上げました数字は三十六年度末現在でとった資料でございます。長期というのは、年度を越えるものについてとったわけでございまして、何年度という区分はいたしておりませんので、ちょっと御質問のとおりの資料は今ないわけでございます。
#91
○山本伊三郎君 それじゃ、この項について総括的に伺って、あとで確認しておきますが、自治省当局は、御存じのように地下鉄については、これから建設されて事業の新しい形が出てくると思うのですが、今一番問題になっておるいわゆる路面電車あるいはバス、こういうものについては、もうすでに御存じだから私が言う必要はないのですが、きわめて経営が困難になっているわけです。そこで料金の引き上げの問題が起こっておるんですが、実際問題で、都市の公営交通事業についてはいろいろの、先ほどちょっと割引きの点だけ言われましたが、路線の道路の修築費についても負担さしておるんでしょう。そういうことで公共性ということから一般の民営企業と違って非常に変わった負担が相当なされておる。しかも料金は同じことである。それと、もう一つは、これは重大な要素であるけれども、俗に行政路線といわれておりますが、先ほどちょっと触れましたけれども、採算のとれない路線というものは、これはもう公営企業としては、どうしてもやらなくちゃならぬということがついてくるのですね。で、路線の拡張の場合のときだけではないのです。同じ路線でも、まあ今東京の例をとりましても、非常に採算のとれる路線に民営は全部集中いたします。いわゆる時間的に見ましても、一つの例を申しますと、私は前、駒沢から国会へ通っておりましたが、午前の七時半ごろから九時ちょっと過ぎまでは、都のバスは五台に一台しか来ない。その間はもう全部東急のバスでやっております。そして、もう十時過ぎて十一時ごろになると、もうがらりと状態が変わって、都のバスだけしか待っても来ない、こういう実情ですよ。ここに私は、公営企業とあるいは民営企業との――独立採算制をあなた方が強調されますけれども、独立採算のでき得ない要素がそういうととろにあるのですね。こういう点について、これはひとつ自治大臣にその所見を聞かしていただきたいと思うのですね。こういう運営の差があるということについて、どういう認識をされておるかということ。――まああまり無理を言うてはいかがかと思いますから、局長でもいいですが。
#92
○国務大臣(篠田弘作君) 時間的に、そういう差があるかどうかということは、私は知りません。朝の七時半から九時までのラッシュ・アワーの最も混雑するときだけ東急が走って、都営のバスは走らない。で、お客がなくなってから都営のバスばかり走っているというような実情につきましては、私はそういうことはよく知りませんし、また、そういう事実があるかどうかということも、初めてあなたのお話を聞いてわかった。それは、どういうわけでそういうことをやっておるか、その理由も私にはわからない。しかしながら、条件の悪い、民営の行かないところでも、地域住民の福祉のために、あるいはまた、その生活の環境をよくするというような意味合いから、採算を無視してバスの運行をするという場合もあります。あるいは地域住民の希望があって、そのためにやるということもあります。あるいはまた、地域開発のために、今はお客は少ないけれどもやらなきゃならぬという場合もあるでありましょう。そういう意味におきまして、やはり公営企業というものは民間企業よりも非常に不利益な立場に立つということは、これは事実であります。
#93
○山本伊三郎君 まあ、そういうことでありますので、この公共性を持つ公営交通事業については、運輸省の考え方については、私は異議があるのですが、そういう点はひとつ自治省では十分認識をして、この条項の適用については考えてもらいたいと思うのです。
 今理事の打ち合わせによって、また機会があるので、私は重要な点だけあとほんの二、三触れておきますが、その点私の意向に対してどうでございますか。
#94
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業が、住民の福祉という見地から採算に合わないところも積極的に経営をしていくというような面は、一そう強調していくべきだと、こう判断をしておるわけでございます。近来公営企業が、民営並みの企業がむしろ主になっている傾向のあることを、私たちとしては遺憾に思っておるわけでございまして、現在いろいろ調査検討を続けておる面におきましても、そういう点を論議いたしておるわけでございます。
#95
○山本伊三郎君 それじゃ水道の問題でひとつちょっとお願いしたいのですが、これはきわめて具体的な問題ですが、改正案二十八条ただし書きで、この、現金取扱員を置かないこともできるというような表現になっておったと思うのですが、これは私はもう時間ないから具体的に言いますが、現在水道なんかで料金の集金に回っておる、そういう人も置かないことができるという、こういう解釈になるのですか、その点ちょっと。
#96
○政府委員(奧野誠亮君) そういうところは、現金取扱員を置かなかったら動かないのじゃないかと、こう思うのでございます。そうじゃなくて、発電事業をやっている、そういうところは企業出納員さえあれば、集金に回ることはないわけでございます。にもかかわらず、この規定があるために現金取扱員を置かなければならない、そういうことを避けようということで改正しようとしているだけのことでございます。
#97
○山本伊三郎君 そうすると、今例を申し上げますと、これは私も聞いた話ですが、宇都宮市では銀行に集金を委託してやっておるということを聞いておるのですが、そういうことは法律上許されないと思うのですが、どうなんですか。
#98
○政府委員(奧野誠亮君) 現行法では、おっしゃるとおりでありますと、できないはずであります。
#99
○山本伊三郎君 もう一つ念のために聞いておきますが、この水道料金については、まあそれ以外に公営企業の料金でありますが、これは国税徴収法の準用の公金ですか。これはどうですか。
#100
○政府委員(奧野誠亮君) 今回の地方自治法の改正で、水道のようないわゆる使用料、そういうものについては税金の滞納処分の例による範囲を政令できめることになっておるわけでございます。――法律できめるようでありますが、その法律はまだ制定されていないわけでございまして、なお今後検討していくということでございます。
#101
○山本伊三郎君 それじゃ現在は、国税徴収法の対象にならないのですね。
#102
○政府委員(奧野誠亮君) 現行法では、使用料全体につきまして税金の滞納処分の例によってやられるわけでございます。したがいまして、いずれ法律ができます暁には、その振り分けがなされるわけでございます。
#103
○山本伊三郎君 そうだと思っておったが、今ちょっとこう答弁がおかしかったから。――そうすると、現在であれば、もちろん公金を一般の会社に請け負わして集めるというようなことはできないですね。なお今後法律で考えると言われますが、私はその点は慎重に扱ってもらいたいと思いますね。まあその点はひとつ言っておきます。
 なお先ほど、そういうことの例があれば違法だと言われましたが、もしそういう現実に具体例があったら、違法処分はできますか、自治省として。銀行へそれを請け負わして水道の料金を集めておる、そういうものは違法でありましょう。その事実があった場合にはどういう手を打たれますか。
#104
○政府委員(奧野誠亮君) 不適法な形において料金の徴収が行なわれている場合に、自治省としてはそれか改めるように助言するかしないかということと、こう考えます。
#105
○山本伊三郎君 現実に何でしょう、国税徴収法によると、あれは一定の資格のある者しか金を集めることができないのですね。それがですよ、主あかりにということを言っているのですけれども、現実にはあるのですが、そういうものがあれば違法じゃないですか。
#106
○政府委員(奧野誠亮君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、料金の徴収について委任をする場合には、限られた場合しかできないという今の地方公営企業法になっておるわけでございます。で、今御指摘になりました方法は、現行の地方公営企業法の中で許されていないわけでございますので、そういう意味で違法の扱いになっておると、こう申し上げているわけでございます。
#107
○山本伊三郎君 現にやっているところはあるのですから、そういう問題についてははっきりとしていただきたいと思うのです。
 なお、まあ将来の問題ですがね。これはまあ私は水道におったんですから、十分自分で体験しておるのだが、水道の集金というのは単に金が集まってきて金庫に納めるという役でなくして、御存じのように水道というのはいろいろ住民に利害の関係のあるものですから、一々相談のために係員を派遣することができないので、集金員が集金をするときにいろいろ住民の意向を聞いて、それで水道行政、水道事業にその声を反映するという一つの役目を持っているのですね。したがって、集金人が行って金さえ取ってきて、銀行にさえ納めて、能率さえよかったらいいという考え方で、この集金人というものを考えることは間違っておると思います。この点について今後法律を変えて、政令でどうするということは知りませんが、そのときにはそういうことのないように十分配慮してもらいたいと思いますが、その点どうですか。
#108
○政府委員(奧野誠亮君) 御趣旨同感でございます。
#109
○山本伊三郎君 それじゃ電気ガス事業があるのですが、それはまた次の機会に譲りまして、大事な点だけきょうは一応触れておきたいと思いますが、準公営企業今度初めて――準公営企業というのは、今まで地方財政法の中に準公営企業らしい意味の規定があったんですが、今度初めて、地方公営企業法というものの中に準公営企業というものが入ってきたのですが、これは立法上ちょっと無理があると思いますが、どうなんですか。第二条第三項の問題ですが、この点どう思われますか。
#110
○政府委員(奧野誠亮君) 現在一般会計の経理の仕方についても、会計学者等の間には議論が起こっておるわけであります。むしろ企業経理的に経理をすべきだという判断でございます。そうしますと、少なくとも公営企業に類するもの、いはゆる準公営企業でございますけれども、そういうものについては企業経理にのっとる経理をさせるべきじゃないか、こういう判断ができるわけでございまして、今回準公営企業でも特に規模の大きなものについては、企業経理をやらせようということで、この改正に踏み切ったわけでございます。
#111
○山本伊三郎君 準公営企業には病院とか、あるいはその他いろいろありますが、特に私はきょうは病院の問題に触れておきたいのですが、病院なんかの経営と申しますか、事務の遂行なんかを見ますると、準公営ということで、「準」はついておるけれども、公営企業という概念で運営することには非常に無理があるんじゃないかと思うのです。時間がないから、私のほうから一つ例を出します。これは東京都の例です。東京都の都立病院は現在普通病院が総合では七、精神病院が二つ、結核病院が三つ、それからそのうち、普通病院に伝染病を併置しておるもの四つ、伝染病院が一つ、こういう状態ですね。ところが、この場合、普通病院にいたしましても、厚生省の指導する診療報酬の点数からいくと、実際合わないような指導を厚生省はやっておる。そういうものを企業形態に持っていったら、収支が合わないということは、これは明らかに出てくるのですが、この点政府部内の問題ですが、どういう感じでおられますか、病院の場合について。
#112
○政府委員(鈴村信吾君) 今お尋ねの点でございますが、今度の病院事業に対する法の適用につきまして、いわゆる独立採算の規定はこれを適用しないことになっておりますので、その企業の収入だけをもって支出をまかなうということになっておりませんので、その病院の性格、経営規模、あるいは行ないます事業の種類等によりまして、一般会計から当然補助等ができるわけでありますので、この法律を適用すること自体が不合理であるというふうにわれわれ考えておりません。
#113
○山本伊三郎君 それは、先ほど奥野財政局長の言われたことと大きく予盾してくるのです。こういう工合に変えたほうが、公営企業としてはよりよくなるのだという趣旨なんですよ。一方、準公営については意欲のあるやつはとってしまうのだ、こういうふうに私は逆な判断をせざるを得ない。私は、そういうことで入れられたものでないと思って質問している。あなたの言われておることは非常に矛盾をしておるのですが、そういう経営状態の悪いところについては、むしろ一般会計から補助なんかやりやすいような形に運用していくことのほうが、私はこの法律の、先ほど説明された精神から言ったら、それが妥当でないかと思いますが、あなたの言われるのは逆じゃないかと思いますが、その点の食い違いはどうなんですか。
#114
○政府委員(鈴村信吾君) もう一度申し上げますと、今度の改正によりましていわゆる独立採算の規定は、これを適用されないことになっておりますので、病院の種類等によりまして、たとえば看護婦の養成事業をやっておりますような場合には、現在の社会保険の診療報酬の点数なり、単価の基礎には看護婦養成の事業が考えられておりませんので、たとえばそういう事業をやっております場合には、その事業に充てられるべき経費として一般会計から補助が考えられる。あるいはその他いわゆる診療報酬の基礎に入っておりませんような、たとえば僻地医療事業でありますとか災害救助の事業でありますとか、そういうような事業を都道府県病院等がやっております場合には、当然それに必要な経費は一般会計から補助等の形で繰り入れられるということが可能なわけであります。それから今度の法適用の趣旨は、要するに病院事業等の経理内容を明確にするということがねらいでありますので、これを明確にすることによりまして、今申し上げましたように補助等もきわめて適正に行なわれる。今までは必ずしもその点がはっきりいたしておりませんので、かえってそういう意味での不都合があったと思うのであります。その点明確になっていいのではないかというふうに考えております。
#115
○山本伊三郎君 今までの場合それが明確にならないというのは、どういう点がならないのですか。
#116
○政府委員(鈴村信吾君) いわゆる官庁会計でありますと、企業会計と異なりまして収入支出の関係におきまして、たとえば病院の建物あるいは器械等につきましても、これを発生主義でとらえまして、そうして建物の場合でありますと適正な評価をし、それに基づくいわゆる減価償却等を行ないまして、それによりまして経費の面がはっきり出て参るわけであります。それと収入との対比におきまして経理が明確になるわけでございますので、そういう点を明確にいたしませんと適正な経理内容が把握できない。その意味では今度のような改正をすることによりまして、明白に把握できるというように考えております。
#117
○山本伊三郎君 今言われたようなことは、この地方公営企業法の第二条の中に、何もこういうような三項を入れなくても、それはできるのじゃないですか。そういう単に独立採算の条項をはずしてしまうならば、そういう意味においては会計制度というものをそういうことにするのは、別の法律で――いわゆる公営企業というような概念を植えつけるような方法で、ここへ入れなくても、あなたの言われるようなことだったら、ほかの法律でやれるのじゃないですか、立法技術で。
#118
○政府委員(鈴村信吾君) 厚生省の立場から申し上げますと、もちろんそういうような改正は他の特別法を作るなりの形でももちろんできると思いますが、これは立法技術の問題であろうと思いますので、いわゆる公営企業法の一部改正という形で行なわれましても、絶対因るということではないと思います。
#119
○山本伊三郎君 まあ、あなたは厚生省の立場ですから、私は自治省に聞くのですが、やはりここにこういう準公営ということで、こういう病院とかあるいはその他相当いろいろな問題が入って――市場とかそれから、と畜場、観光施設あるいは宅地造成、下水事業、造林事業、簡易水道、港湾整備事業というようなものが入ってくるのですが、こういうものを準公営という形でここに入れてきて、独立採算制のいわゆる第十七条の二というもの以外の規定を適用するということで、それを除外してきめてきたのですが、どういう趣旨でこういうものはここへ入れてきたのですか。会計でやはり独立さそうという考えがあるのですか、その点どうなんですか。
#120
○政府委員(奧野誠亮君) 地方公共団体の会計の方法は地方自治法に規定いたしておるわけであります。その特例を定めるのが地方公営企業法であります。したがいまして、官公庁会計で経理させないほうがよろしいと考えられるものがあるといたしますならば、地方自治法の適用からはずしまして、地方公営企業法に持ってこなければならないわけでございます。準公営企業につきまして、地方公営企業法の中にそういうふうな規定を設けまして経理関係の事項だけを適用しようといたしましたのは、その趣旨でございます。
#121
○山本伊三郎君 私が先ほどから厚生省の人にお尋ねしておった理由というのは、準公営企業というものは、地方財政法の中にちょっとそれらしいものが出てくるが、そういうものの概念というものは私らつかめてないのですよ。独立採算制でないということを一応いっているが、独立採算性の問題はある。あるんだが一応ないということでいっている。それを公営企業法の中の第二条第三項へぽつりんと入れてくることは――第二条の別表にも何も出ておらないのですね。こういう点に私は問題があると思うのですがね。もし、この会計そのものの制度がいかないというならば地方自治法なり地方財政法なりの規定の改正をしてやる方法があるというんです。なぜ地方公営企業法の中にこれを入れてきたか疑問があるといっているのですが、その点どうなんですか。
#122
○政府委員(奧野誠亮君) 経理事務の特例を定めます場合に、事業の種類ごとに単行の法律にする立法技術もございましょうし、こういうように一括して規定をする立法技術もあるかと思うのでございます。地方公共団体の職員の立場から考えますと、たくさんな種類の法律ができるよりは、やはり一まとめに同じようなものは規定しておいたほうが習熟する場合には便利じゃなかろうか、こうわれわれは考えておるわけでありまして、地方公営事業の特例として地方公営企業法があるわけでございますので、その関係の経理を行なわせるものにつきましては、なるたけ一括して規定をしていきたい、こうわれわれは考えているわけでございます。
#123
○山本伊三郎君 私は、あなたの言うことを率直に受けてやればそれでいいのですが、少なくとも準公営企業というものを公営企業化しようというような方向に今指導されておるのじゃないかと思うのです。特に病院、市場その他ありますが、これらがこういう考え方で運営されたら、これは大きい困難な問題が私は出てくると思う。先ほど病院の例を出しましたけれども、これは伝染病についても同じような考え方でこれを適用されるのですか。
#124
○政府委員(奧野誠亮君) 病院事業は一般病院のことを考えておるわけでございます。伝染病院は全然別だと考えております。伝染病につきましてはむしろ一般会計の負担に属すべきものだと考えております。病院事業の中に包括されておるものの中に御指摘の伝染病もありましょうし、あるいは看護婦養成事業もあるわけでございます。むしろ、こういう経理を採用いたします際に、その辺の経理も明確化して参りたいと考えておるわけでございます。
#125
○山本伊三郎君 私は、考え方が根本的に違うのかわかりませんが、病院は独立採算制をとるといっておられますが、病院をそういう形で運営することは私は根本的に間違いだと思っておるのですよ。というのは、これは衛生行政の部面であって、企業ということの概念からはずさなければ運営はできていかないという考え方で今おるのです。今の現実の運用状態を見ますると、これも私は実際に見たことであり聞いたことである問題ですが、もう私立病院でどうしてももうからないというのは全部公立へほうり込んでくるのです。現実にそうなんです。今の厚生省が言われたような診療報酬の点数では、これはまかなえないことははっきりしておる。一例をあげると、看護婦の費用があの診療報酬点数表によると、看護婦で平均九千八百八十一円しかならない。それが准看護婦でもすでに初任給で一万三千四百円というものを、これは国家公務員の法律によって出しておるのですね。その他入院料にいたしましても非常に点数が低い。私は医療費の問題は今取り上げておらない。そういうことからいうと、今の公立病院はこれで採算をとれといっても、おそらくとれっこないのです。そのとれないことの実情をはっきりさすため、こうしたと、厚生省の方はそう言われるのですか。そういう趣旨でここへ入れたのですか。
#126
○政府委員(鈴村信吾君) 今診療報酬の問題が出ましたわけですが、現在の社会保険の診療報酬の点数なり単価は、単に国立とか公立の病院のみならず、一般の私的な医療機関にも同じく適用があるものでありまして、その意味では、診療報酬によりまして私的医療機関が成り立ち得るというものでなければならぬことは当然であります。その意味では公立病院は若干私立病院のできないようなことをやっているにいたしましても、一方免税等の恩典がありますので、公立病院は頭から成り立たぬというふうには、なかなか言えないと思います。ただ、そういう事態がありますれば、むしろこれは診療報酬の改訂等によって、ある程度解決しなければならぬということでありまして、公立病院も一応そういう社会保険の診療報酬の計算の基礎に入っていない事業以外のものにおいては、一応成り立ち得るものであるという考え方に立たざるを得ないと思います。そういう意味におきまして、先ほど申しましたような看護婦養成事業とか、その他の診療報酬に見られていない事業は、当然一般会計から見てもらわなければならぬというふうに考えております。その他私的医療機関では全然成り立ち得ないような地域、たとえば非常に人口が希少であって、そこに一定規模の病院を建てれば当然赤字になるという地域に県立なり市町村立病院を建てる場合には、赤字覚悟でやることがございますので、そういう場合には当然一般会計の補助を期待しなければならぬというふうに考えております。
#127
○山本伊三郎君 あなたが実情をよく調べておられるという立場から私は質問いたしますが、それは私立の病院と公立のとは、実際の運営上は、あなたの言われたのとは非常に差異がありますよ。私は点数が安いからどうこうという問題は、ここで取り上げているんじゃない。国立とか公立とかが運営上非常に問題があるというのは、公立の場合には住民である以上――その市民なり町村民である以上は、これを取り扱わないというわけにいかないのですね。私立の場合でも医療法によって、その規制はしておりますよ、医者に対して。しているけれども、それは私立だから、もうからぬものまで入れようということはしない。そういう差というものがこの経営の中に多く出てきているのが、今の公立病院の赤字の原因ですよ、これは極端にいえば。ある人は人件費が高いとか何とか言うけれども、それは皮相な見方で、公立病院の赤字のおもな原因はそこにあるのですね。そういうものを考えると、少なくとも公営企業法の中にこの準公営企業という形でここに入れられるということについては、たとい今言われたような説明をされても、やはり公営企業という一つの概念の中にこれを織り込んでいこうということは、きわめて将来に対する強い思想が入っていると見ていい。そういうものは全然ないのですか。ないならばなぜこういうところに入れたか。ただ立法技術の問題で入れたと言うけれども、そういう重要な問題を立法技術の問題で扱うということには私は異議がある、その点どうですか。
#128
○政府委員(奧野誠亮君) 病院事業でありましても、やはり単純な権力作用に基づくような行政活動とはかなり性格を異にしているわけでございます。その中で経済性を重んじて経営をしていただかなければならぬのじゃないかと、こう考えているわけでございます。しかしながら、独立採算をそれについて強要するというようなことは毛頭ないわけでございます。また、地方財政法におきまして、そういうような趣旨も明確にされているわけでございますので、今後の指導に当たりましても、そうした誤りを起こさないような明確な指導をやっていきたい、こう考えているわけであります。
#129
○山本伊三郎君 私は、この準公営企業の中で一応取り上げましたが、この中でも公営企業として扱っていいということは、公営企業そのものに問題があるのですが、一応それを認めるとしても、観光施設なり、その他一、二あると思うのですが、そのほかのと畜場あるいは市場、下水道、簡易水道、港湾整備事業というものが、そういう今奥野さんが言われた企業的なものであるという見方については、私は根本的に異議があるんです。そういうものを今度第二条第三項で独立採算制の条項だけは除外したけれども、やはり同じような思想の中へたたみ込んでいこうということについては、考え直していただきたいですね。これはもう率直な私の意見ですが、どう思われますか。
#130
○政府委員(奧野誠亮君) 独立採算を強要するという考えは毛頭ございません。地方公営企業法の中で経理規定だけを適用する、そういうような改正をした結果、今御心配になったような誤解が生じてくるおそれがありますならば、そういうことのないように特に指導に十全を期していきたいと、こう考えておるわけでございます。
#131
○山本伊三郎君 これはなかなか無理な問題かしりませんが、私は立法技術の問題であれば――今言われておる準公営企業という、まあ企業形態をとらしたいという希望が政府にあるかないかは別として、立法技術の問題であれば、皆さん方そういう専門家ばかりおられるのですから、第二条第三項というこれだけのものを、別にここへ持ってこなくても、今のような趣旨であれば、私はでき得ると思うんですがね。そういう再配慮はできませんか。
#132
○政府委員(奧野誠亮君) 今度の地方公営企業法の改正によって、二つの範疇に分けて、この関係の規定を適用しようとしておるわけでございます。二つの範疇に分けないで二つの法律にしたらいいじゃないかというのが山本さんの御質問の趣旨ではなかろうかと、こう考えるわけでございます。ただ幾つも法律を作っていくということになりますと、事務をとる面からいいましても、一つの法律なら習熟しやすくなるけれども、二つ三つに分けると、それが困難になってくるということもございますし、なぜ二つに分けて三つに分けないのか、四つに分けないのかという議論にも発展してくることでございますので、少なくとも地方自治法に規定している経理の特例を規定する、それが地方公営企業法なんだ、こう判断をしていただきますならば、今後さらにこの規定を適用するものがふえて参りましても、おのずからそういうことを明らかにすることによって御心配を避けていくことができるのじゃないか、こう考えておるわけでございます。あくまでも独立採算を強要するものでない。法律で明確になっているわけでございますけれども、御心配のないように、その点繰り返し申し上げますように、十分な指導を加えていきたいと思っております。
#133
○山本伊三郎君 奥野局長、実は先ほど冒頭に交通、水道の問題が出ましたときも繰り返し言ったのですが、地方公営企業、ここの欄に載っている七つの公営企業自体についても私は問題があるのです。なおかつ、そこに全く公営企業的な考え方を入れては運用のできないというような幾つかの問題、代表として私は病院を出しましたが、そういう問題をそういう考え方の中に入れてくるということは、単に私は立法技術の問題でなくして、そこにやはり将来に対するこの種事業に対しては公営企業的な運営に行くべきであるという思想が、私はここに盛られておるという――行き過ぎた邪推かもしれませんが、それを持っておるから私は言うのです。そうでなければおっしゃるとおりです。今法律があまりあり過ぎて実務者は困っておると思うんです。私らでも「法律は一体山本さん、幾らあるのか」と言われたら、その数もわからぬぐらいたくさんあるのですね。だからそれは少ないほうがいいのですが、こういう大事な問題についてのみ、立法技術の問題で答弁されることは、私は納得できないというのです。将来ふえていくなら、ふえていくように立法措置もとられると思うのですが、この点については私はこの機会に、どうもできないと言われるかもしれませんが、将来を考えると、この第二条三項というものは一つの大きい問題になっているということを、私は特に皆さん方に注意を喚起しておきたいと思うのです。たびたび答弁は同じ答弁ですが、単に私は立法技術の問題でない、将来を展望して、こういうものを入れておられると思っているのですが、この点については、もう一回ひとつ御答弁を願いたいと思います。
#134
○政府委員(奧野誠亮君) 準公営企業といわれているようなものの使用料のきめ方、これはやはり一応は企業的に考えてきめられるべきものだろうと、こう考えるのであります。同じ使用料でありましても、高等学校の授業料の場合と、病院のこれはまあ診療報酬できまっておりますけれども、その他倉庫、荷役機械なんかの使用料は、これはやはり減価償却費を算出いたしまして、そうして料金の算定の基礎を作っていくべきだろうと思うのであります。そういう意味においては、やはり一般の行政活動に属するものと相当大きな違いがあるのじゃないか、こう考えるわけでありまして、準公営企業という言葉で表現されていることでもございますし、民営の同種の事業もあるわけでございますので、経理としては地方公営企業法の経理を使うという、何もそれで不穏当なことはないじゃないか、こう考えるわけでございます。ただ繰り返し言われます独立採算の問題、それは決して強要する意思はないわけでございますので、法律の上でもことさらそれを明確にいたしました。従来は独立採算の規定は特に一条にまとまっておったわけじゃございませんが、それをことさら一つにまとめまして、そうして準公営企業についてはこの条文は適用しないのですということまで明らかにしたわけでございます。山本さんの御心配になるようなことが起こらないように、わざわざ独立採算の規定を特掲する、そうしてそれを排除するというような工夫まで加えているわけでございますので、こういうような方法をぜひ是認していただきたい、かように考えておるのであります。
#135
○山本伊三郎君 まあ幾ら言ったところで、ここでもうすでにこの法案の最後の段階に来ておるようでありますから、これを省いてもらいたいと言っても、なかなかそれは国会の意思としては通じないと思うのですが、これは私はまだ問題があると思いますので、この点については、私としてはこの地方公営企業法の中にこの条項を入れるということについては、将来の運営に相当私は規制を加えられてくるという判断のもとに立っておるのだが、そういうことはないのだ、今までどおりなんだ、経営状態については今までどおりなんだという自治省なり厚生省の言葉を、それはまあ、はっきりと私も記憶していきたいと思う。
 そこで具体的に聞きますが、この第十七条の二の、この独立採算制を省いて、あとの規定を適用するということになると、先ほど厚生省の次長が発言されましたが、そうすると地方財政法の第六条そのままが生きてくるということになるのですか、今までの。ちょっとこの点わからないのです。
#136
○政府委員(鈴村信吾君) 財政法の六条によりまして、財政法施行令の十二条の二項でありますが、主としてその収入をもって充てるけれども、一部は一般会計からの補助を期待するような条文がありますが、それはそのままだというふうに理解しております。
#137
○山本伊三郎君 そうすると、この地方公営企業法第十七条の二だけは適用されない、したがって二項の地方公営企業の補助というものも、これは当然ない、ないかわりに従来どおり一般会計からその不足分については組み入れていける、それは今までと変わらないのだ、こういうことですね。念を押しておきます。
#138
○政府委員(奧野誠亮君) そのとおりであります。
#139
○山本伊三郎君 そうすると、それ以外の条項というのは、第十八条、第十八条の二というものは、これはそのまま生きてくるのですね。
#140
○政府委員(奧野誠亮君) その点も、そのとおりであります。
#141
○山本伊三郎君 そうすると、こういうまあ、こまかいことを追及するのじゃないのですが、先ほど従来の繰り入れ、繰り戻しという制度を廃止して、第十七条の二、第十八条、それから第十八条の二というものができたと説明されたのですが、準公営企業については今まで出資とか、長期貸付というものがなかったと思うのですが、今までの繰り入れを自由に認め、その上、なおかつ、長期貸付なり、あるいはこの出資ということも認めるという法律上の結果になるのだと思うのですが、この点どうなのですか。
#142
○政府委員(奧野誠亮君) 地方自治法の規定がそのまま適用されてくるわけでございますので、出資というような形式をとることももちろんできるわけでございます。また補助をすることももちろんできるわけでございます。地方公営企業法において特例を定めておるわけでございますけれども、その特例の部分について、十七条の二のようなものは適用しないというだけのことでございます。
#143
○山本伊三郎君 そうすると、もう一ぺん確認しておきますが、従来の病院の経営、一般経済から特別経済と申しますか、そういうところに繰り入れる問題については、もう従来と何ら変わりはないのだと、こういうことでいいのですね。
#144
○政府委員(奧野誠亮君) そのとおりであります。
#145
○山本伊三郎君 もう一つ言っておきますが、ただ今までのような経理では、はっきりと収支のバランスを見ることができないので、その収支のバランスは、いわゆる償却資産であれば償却の点もはっきりさせて、病院なりあるいはその他準公営企業に入るものは、そういう企業会計で収支のバランスをはっきり見たいということによってのみ、この条項を入れたということでいいのですね。
#146
○政府委員(奧野誠亮君) そのとおりであります。
#147
○山本伊三郎君 その場合に、もしそういうことで、はっきりとバランスが出た上でどういう措置をされますか。
#148
○政府委員(奧野誠亮君) 当該団体が経理の分析を行ないまして、それによって、たとえば病院会計が赤字になっている。それは結局伝染病院の経費も、あるいはまた、看護婦養成事業の経費も全部病院の経費でまかなわれておった、ということが明確になりますならば、その部分は当然一般会計で見るという建前をとるべきだと思うのであります。いずれも、それは当該団体がきめればよろしいと思うのでありますが、病院事業についてはどういう経理が妥当であるかというようなことについては、国としても指導をして参ってきておるわけでございますので、そういう点についてもはっきりした指導をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#149
○山本伊三郎君 それらは、すべて今後政令できめられるのですか。
#150
○政府委員(奧野誠亮君) 今申し上げたようなものは、別に政令を作るということは考えていないわけでございます。従来からも病院経理のあり方については指導しておるわけでございますけれども、今後さらに必要な指導は加えて行なっていくようにしたいと考えておるわけでございます。
#151
○山本伊三郎君 私、それを聞きたかったのですが、今までもやはり、そういうことをやっておったと思うのですが、先ほどちょっと厚生省の方が言われましたが、減価償却は今までやっておらなかったのですか、経理の問題について。
#152
○政府委員(鈴村信吾君) 従来は、今度のように強制された規定がありませんでしたので、やっておるところとやっていないところがあったということでございます。
#153
○山本伊三郎君 まあ病院の減価償却となれば、いろいろ問題があるのですが、今まで減価償却をやっておらなかった場合には、それに今度やらすと相当また、そこにアンバランスが出てくると思うのです、収支についてですね。そういうところが出てきた場合には、どういう措置をとられるのですか。
#154
○政府委員(奧野誠亮君) その辺に今の病院経理の問題点があろうかと思うのであります。病院が赤字だ、赤字だといって騒いでいる。よく調べてみると、建設のときに借りた元金を返していく、それが全部支出に立っておった。したがって、その結果赤字になっておった。しかし病院の経営でまかなうべきものは、建物の食いつぶしをやっちゃいかんわけだから、減価償却費は積み出さなければならないだろうけれども、耐用年数よりももっと短い期間のうちに返してしまわなければならないような元金の部分まで、全部支出に立てておったのでは、それは赤字になるのは当たりまえじゃないか、こういう議論になるのであります。したがいまして、ちゃんと減価償却もやってもらう。そのかわり資本会計に属するような元金の償還まで、単なる経営上の支出に立ててしまっているというような振り分けをして参りますと、それでその部分は当然一般会計で何か考えなきゃならないんじゃないかというようなことがはっきりしてくると思うのでございます。また、はっきりした場合には、そういう部分は一般会計の責任でやるべきだということは、従来からも明確にしておりますが、今後さらに明らかにするようにしていきたいと思っております。
#155
○山本伊三郎君 もうちょっとお許し願いたいのですが、病院、その次にもう一つと畜場とか市場の問題は、従来からこういう経営、運営をやっておったと思うのですが、それにまで強制したものが必要ですか、市場と、と畜場。
#156
○政府委員(奧野誠亮君) 今度強制しようとしていますのは、それが準公営企業でありましても、常時職員の数が百人以上のものに適用するだけのことでございます。したがいまして、ほとんど今おあげになりましたような部分では、例が起きてこないだろう、こう考えております。ただ現行法のままでありますと、かりに企業経理を行なっているとしましても、別途官公庁の経理もいたしまして、そうして予算も決算も議会に出していかなければならないわけであります。もし、この法律ができました場合には、企業経理を行なうものでも、企業経理一本に徹していくことができるわけであります。
#157
○山本伊三郎君 これはなんですか、東京都なら東京都において、各公共団体で数カ所持っておっても、それは一事業所を単位に百人という基準があるのですか、これはどうです。
#158
○政府委員(奧野誠亮君) それは、きめようであるわけでございますが、なるべく一団体の同種の事業は一括して経理をしてもらったほうが、経理成績を見る場合においても穏当ではないだろうか、そのほうが便利ではないだろうか、こう考えておるわけであります。
#159
○山本伊三郎君 私の言うのは、任意選択――そういうことでやられるものか、一地方公共団体の中の三つ合わせれば百名以上になるとき、この法律規制を受けるのか、ということをお尋ねしているのです。
#160
○政府委員(奧野誠亮君) 基本的には団体の行なう事業は、全部合わせまして病院事業なら病院事業というふうに判断をしたい、こう考えております。しかし、いずれにいたしましても「政令で定める事業」となっているわけでございますので、政令の段階でさらによく検討して参りたいと思います。
#161
○山本伊三郎君 港湾整備事業というのは、これは地方財政法にもあるのですが、ここにも出てきておるのです。港湾整備事業というのは、そういう企業形態を現在とっているのですか、どういうことですか。
#162
○政府委員(奧野誠亮君) 港湾施設を整備するという意味で、倉庫を作ったり荷役機械を整備したりする傾向がかなり強まっているわけであります。港湾整備事業をここで規制すべきかどうか、現実問題として従業員百人をこえるもので、そういうものがあるだろうか、私は疑問に思っているわけであります。
#163
○山本伊三郎君 だいぶ時間が長くなりまして相済まぬと思っております。まだ実は相当残っておるのですが、最後にひとつ総括的に、私は希望、要望しておきたいのですが、私は冒頭に申しましたように、この地方公営企業法の考え方自体については、反対の考え方を実は持っておるのです。しかし、もうすでにこれが運用されて十年以上になります。今度の改正によって、また準公営企業というものが、そこにひとつクローズ・アップしてきた。また法律の中に独立採算という――先ほど自治省当局は、そんな独立採算と言っても、いわゆる私企業のようにすべてが企業でもうけた金をもって、そうして経営に当てよという意味じゃないのだ。相当公共性を勘案した上の独立採算で、むしろ補助、出資、長期貸付という制度が現実にかえってこの公営企業を助ける、発展のためにいい改正であるという趣旨の説明があったのですが、私はそのままネットに受け取っておきます。しかし私は、今までの経験からいって、法律が一つ出てくると、地方公共団体がこの法律によって相当私は運用上拘束されてくるのではないかと思います。そういうことがなければ万々歳です。しかし、私は過去何年かの間の地方公営企業の運営自体を見ておっても、そういう気持がするのです。きょうは水道の問題をあまり取り上げなかったのですが、今日東京都でも水道の水の問題で非常に苦しんでおります。大阪は幸いにまだ淀川という水源が近くにあるから比較的いいのですが、それでもすでにもう危機がくるという感じがするのです。そのためには、建設資金というものがきわめて、これは政府が見方が少ないと思うのです。そういうことをやっておきながら企業だ企業だ、こういう経営の方法についてきわめて過酷な方法で指導した法律を作ってくるということになれば、公営企業というものはだんだんと私営にかわってくる。私は、ある市の市長と会ったのですが、せっかく市民のためにバス事業をやったけれども、運輸省なりあるいは自治省なりはちっともめんどうを見てくれない、それがために私鉄に押されてしまって、これをいまさらつぶすこともできないし、非常に困っておるのだという声をずいぶん聞いておるわけです。こういう点は、政府の中でひとつ地方公営企業を何とか守っていってやろうという省は、私は自治省以外にないだろうと思う。私は、ここに運輸省の方々がおられますけれども、残念ながら運輸省には一片の地方公営企業に対する関心と申しますか、同情といいますか、そういうものの世話をしてやるという気持が私はないと思う。私鉄優先ですよ。私は私鉄を何もここでこきおろすわけではない。路線の選定についても非常に私は問題があると思う。こういう点は、私は公営企業だからといって民営企業を押えてしまえとは言わない。われわれは別の考えはあるけれども、今の自由主義経済を標榜される自民党政府であるから、そういう傾向というものは私はやむを得ないとしても、少なくとも同等に認めるところまで運輸省でも考えていかなくちゃならぬと思っておるのです。私は大臣のおらぬところですから、こういうことを言ったって仕方ないと思いますが、こういう点十分考えて、地方公営企業の発展のために、またこれは、ひいては地方住民の利益のためだと思いますから、きょうはだいぶ長いこと質問いたしましたが、なお、幸いにして地方行政委員会の理事、また委員長に御配慮願って、火曜日にまたということでございますので、まだ相当残っておりますが、きょうはこれで私の質問を終わります。
#164
○鈴木一弘君 関連。山本さんの質問の中に関連してくるのですけれども、十七条の二の2ですが、「特別の理由」の問題で、赤字路線の場合にも地方公共団体の判断でというか、もちろんこれは、地方公共団体がいろいろ判断して「特別の理由」がきめられると思うのですけれども、一番心配することは、それが国あたりからの制約を受けたような「特別の理由」になるというのがおそろしいわけです。その点について、かなりフリーな立場でできるように、というふうに考えていかなければならないのじゃないかと思うのですけれども、その点についての考え方だけ聞いておきたい。
#165
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業の場合には、特別の理由なしに一般会計からどんどん補助する――これは避けてもらいたい、こういうことであります。特別の理由の範囲がどうなるかということになれば、これは全く当該自治団体が住民の立場全体から考えてきめればよろしいことである、こう判断いたしておるわけであります。
#166
○鈴木一弘君 拘束されぬ、こういうことですか。
#167
○政府委員(奧野誠亮君) そうです。
#168
○委員長(石谷憲男君) 他に御質疑ございませんか。――他に御発言もなければ、本案についての質疑は終了することにいたしたいと存じますが、さよう決することに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#169
○委員長(石谷憲男君) 本案の質疑は終了することに決しました。
 それでは暫時休憩いたします。
   午後零時五十四分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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