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1962/03/07 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第14号
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1962/03/07 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第14号

#1
第043回国会 大蔵委員会 第14号
昭和三十八年三月七日(木曜日)
   午前十時三十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐野  廣君
   理事
           柴田  栄君
           西川甚五郎君
           柴谷  要君
           渋谷 邦彦君
           永末 英一君
   委員
           太田 正孝君
           田中 茂穂君
           高橋  衛君
           津島 壽一君
           林屋亀次郎君
           堀  末治君
           佐野 芳雄君
           野溝  勝君
           原島 宏治君
           大竹平八郎君
           鈴木 市藏君
  政府委員
   大蔵政務次官  池田 清志君
   大蔵省主税局長 村山 達雄君
   大蔵省主計局法
   規課長     上林 英男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       坂入長太郎君
  説明員
   大蔵省主税局総
   務課長     吉国 二郎君
   国税庁次長   泉 美之松君
   国税庁間税部長 谷川  宏君
   通商産業省通商
   局次長     宮本  惇君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○酒税法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○特定物資納付金処理特別会計法を廃
 止する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避のための日本国とオーストリ
 ア共和国との間の条約の実施に伴う
 所得税法の特例等に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国政府とグレート・ブリテン及び北
 部アイルランド連合国政府との間の
 条約の実施に伴う所得税法の特例等
 に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国とニュー・ジーランドとの間の条
 約の実施に伴う所得税法の特例等に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 酒税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に続き、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
#3
○柴谷要君 大蔵省にお尋ねをいたしたいと思いますが、衆議院の審議の過程、あるいは今日まで参議院の審議の過程で、私の認識が誤っていれば訂正をいたしますが、私の得て参りました感情から申し上げますと、酒造業者に対して何か片手落ちのような政府の方針である、もっともっと業界に対して救済の手を差し延べなければならぬ、と言わんばかりの発言が多くあったように私は見ておるのであります。今日の情勢の中でこれらの状態を検討してみますると、他産業と比較して何ら手落ちがない、かように見るわけです。その観点から、二、三の質問をいたしたいと思うのであります。
 清酒業者に対して政府が統合なりあるいは合理化を進めるために統合施策というものが行なわれていると思う。ところが、長い先祖譲りの財産を持ち、酒造業者として君臨をしてきておるために、なかなか統合などということはいと簡単にできない。そのような情勢の中で、政府が一体これを強行してやらせようとするのか、それには一体何石造りぐらいの酒造業者を対象と考えているのか、こういう点が明白になっておりますならばお聞かせを願いたいと思うのです。私も親戚に大きな酒屋を持っておりますので、多少の実情については知っておりますけれども、他の産業と比較をして、決して悪い状態にないということは私はこの経験の中から申し上げられると思う。そういう意味から、ことに自由化ということになりますると、洋酒の国内に入ってくる量もふえて参りますから、当然これに対する処置を考えなければならぬと思いますけれども、政府が弱小酒造業者、特に清酒の酒造業者に対して、何石以下の業者を対象に統合させるような方針をお持ちになっておられるか、その点からお尋ねをいたしたいのであります。
#4
○説明員(谷川宏君) お答え申し上げます。酒類産業、特に清酒の製造業につきまして、企業のあり方が現状のとおりでいいのか、あるいはこれを合理化いたしましてもっと経営の基礎を強固にするためにどういう考え方を持っておるかという御質問でございますが、その前に現状を御説明申し上げますると、清酒の製造業の中で五十キロ未満のものが約七%、それから五十キロから百キロのものが四八%――まあ五十キロとか百キロと申しましたが、年間の生産量でございます。それから、百キロから百五十キロまでのものが約二〇%。で、百五十キロ未満のものが七五%程度になるわけでございます。大きいところを申しますと、千キロリッター以上のものが全体の一・二%でございます。業数といたしますと、四十四業者ということに相なっております。かようにいたしまして、清酒の製造業といたしましては、非常に年間の生産量の少ない業者が圧倒的に多いわけでございます。
 これでいいかどうかという問題でございまするが、御承知のとおり、清酒の販売の方法といたしましては、普通の形態は、生産者が卸売業者を通じて小売業者に販売するというのが普通でございますが、清酒につきましては、それと同時に、地方の小さい清酒の生産者が、限られたその地方の小売業者に直接販売をする、あるいはまた直接大口消費者に販売をするというような売り方があるわけでございます。生産規模の小さい清酒製造者は、多くはその地域において直接小売業者に販売をするということによりまして、清酒生産者が卸業者が取るべき利益の一部を手に入れておる、それによって収入の増大をはかっておるということが現状でございます。
 そこで、将来の問題といたしまして、企業を合同する場合に、どういう規模で計画を立てていくかということになるわけでございますが、生産規模の小さい業者、必ずしも合同合併という必要があるかどうか、この点については現在の販売の仕方が将来ももし続くといたしますならば、それによって経営の基礎が確立されるならば、そのままの形でもよろしいのではないかという見方もございます。それから、今お話し申しましたように、七五%が百五十キロリッター未満でございますので、それ以上のところにおいて、販売の方法等において問題が起こっておる業者もあるわけでございますが、どの程度の生産規模が清酒の製造業として適正な規模であるかにつきましては、業界の内部におきましてもいろいろ検討を加えておるわけでございます。常識的に申しますると、七五%が百五十キロリッター未満でございまするので、それよりも相当多いところということになりますると、二百キロないし三百キロというところであれば、大体うまくやっていけるんじゃないかという見方もございますが、さらに千キロリッター以上のものが全体の一・二%、四十四業者しかないわけでございますが、まあそういうようなところをめどに考えたらいいのではないかという意見も業界の一部にございますので、いずれにいたしましても、清酒の製造業者の適正規模につきましては、業界の内部においてもいろいろ検討を加えておりまするし、私どもも今後全体の生産販売の動向を見ながら、清酒業全体がどういう姿でいけば、生産販売を通じて合理的な経営がなされ、ひいては消費者にも満足を与えるような業態が作られるかということについて、さらに慎重に検討を加えて参りたいと考えております。
#5
○柴谷要君 私の質問に対してずばりというお答えはないようでありますけれども、ただいま谷川さんの御説明のとおりではなかろうかと私も思っておったんであります。そこで、今日の日本の国内におきまする酒造業者というのは、大体三千八百八十余軒と聞いております。これに対していろいろの、一軒々々実情が違うと思うのでありますが、この実情調査を国税庁が最近おやりになっておられるということを聞きましたが、その調査状況というのがもうすでにまとまったのでございますか、それともまだまとまる段階に至っておらないものでしょうか、これをひとつお聞かせを願いたいと思います。
#6
○説明員(谷川宏君) 清酒酒造業者の実態調査につきましては、いろいろな角度からの調査が必要でございます。第一に、経営の内容の実態調査、これは毎年、企業者についてではございませんが、業者の格づけをいたしまして、それぞれ適当な数を選びまして、経営の実態が企業の格差ごとに判明するような調査をやっております。それから、最近やっておりますのは、基準価格の問題を取り上げる場合におきまして、御案内のとおり、基準価格は標準的原価と適正利潤が主要な要素でございまするので、清酒製造業界の個々の企業の標準的原価を調査いたしまして、それをもとにして標準的原価を算定することが適当でございますので、清酒製造業者の製造原価を最近の数字によって調査をしているわけでございます。それは私どもといたしましては、全部の業者につきまして調査をいたしますわけでございますが、時間の関係もございまして、なかなか全部がそろうには相当時間もかかりますので、現在半数程度は集まっておりますので、それを適正に補正を加えながら、清酒業界の格差によって全貌がわかるような形で今取りまとめ中でございます。
#7
○柴谷要君 その調査はほんとうに信用のできる調査になっているでありましょうか。率直に申し上げまして、自分の商売の実態というものを人に知られるということは、非常にきらうわけでございます。そこで、これこれの状況について報告しろというと、一体正直に全部書くものであるかどうか、それは長い経験から多少予定よりも少なく報告されている、あるいはいろいろなことがあると思うのですが、そういうものは国税庁のほうで修正をされて確たるものにする、こういうような扱いをされているのか、それとも、なまの報告をそのまま信に受けて、その上に立って行政をとられようとするのか、この点をお聞かせ願いたい。
#8
○説明員(谷川宏君) 清酒製造業者から出されました調査資料の中には、業者の思い違いであるとかあるいは記入の仕方がわからないというような関係で、私どもの目から見まするとおかしいというのも若干ございます。こういうものにつきましては、さらにその業者につきまして再調査をいたす必要もあろうかと思いますけれども、今回の場合におきましては、時間の関係もございますので、そういうものは一応たな上げしまして、それ以外の、私どもの目で見てこれは大体適正な数字が記入されているであろうと見られるものについて、これを総合勘案して集計するという考えでございます。
#9
○柴谷要君 今伺いますと、実態調査はまだ半数しか出ておらない。これは全体を対象に調査を続けておられると思いますが、全体の調査が完了して、そうして国税庁の方針が打ち出されるのは、大体いつごろになる見当でございますか。
#10
○説明員(谷川宏君) 私ども当初は全体の数字をつかみたかったわけでございますが、先ほども申し上げましたが、経営規模別の原価、グールプ別の原価が把握されるならば、それをもとにいたしまして、標準的な原価を算定する方法もあるわけでございますので、現在集まっております資料を中心にいたしまして、作業をすでに始めているわけでございます。いろいろな角度から原価項目も非常に数も多いわけでございますし、また標準的原価を算定するにあたりましていろいろ問題になる点もございますので、いろいろな角度からこれを分析しておりますので、三月の末までに一応のめどをつけたいという目途で、現に努力しておる最中でございます。
#11
○柴谷要君 その調査がまとまった結論は、大体考えておられるのは、かつて酒類行政懇談会でございますか、この結論によりまするというと、できるだけ早い機会に自由化をせよと。この自由化に備えるために、つまり国税庁としては実態というものを早く把握しておいて、適切な手を打とうという資料のために、お集めいただいておると思うのです。そう私は思うのでありますが、それに間違いございませんか。
#12
○説明員(谷川宏君) ことしの一月二十三日に開きました酒類行政懇談会におきまして、大勢を占めました意見といたしましては、清酒の二級の製造業者の基準販売価格とビールの製造業者の販売価格などのようなものにつきましては、これを現段階におきましては基準価格として残しておく必要があると考えられますけれども、その他のものにつきましては基準価格をなくしたほうがよろしいのではないかという意見でございました。で、私どももできるだけこの大勢を占めた意見を尊重するという方向で、現在関係の官庁あるいは関係の方面と折衝を続けておるような状況でございます。そこで、現在集めていろいろ検討しております資料は。もしかりに基準価格を残すものと、それから廃止をするものという区別ができることになりますならば、基準価格として残すものについて、今集めております資料を活用するという考え方でございます。
#13
○柴谷要君 あまり時間をとりますと数が減って参りますから、急いでやりたいと思います。中を抜いて結論に行きます。
 谷川さんにお尋ねするんですが、ビールは今百十五円で売っていますね。その中で税金は六十円。たいへん税金が高いんですけれども、ビールはだいぶ売れる。これに並行して、ウイスキーというものが最近だいぶ売れ出してきた。この影響が清酒並びに二級酒、合成酒のほうにどのように影響が進んでいくものでありましょうか、これからの見通しについて少しお尋ねをしたいと思います。
#14
○説明員(谷川宏君) 仰せのとおり、ビールが相当の売れ行きを示しております。昨年の消費は一昨年に比べて約二割伸びております。ウイスキーを中心とする洋酒につきましても、一割程度伸びております。お尋ねの問題は、これが清酒二級あるいは合成、しょうちゅうに対してどのように影響するかということでございますが、御案内のとおり、酒類の消費は個人々々の好みによって、多くもなり少なくもなるものであろうと思います。国民の生活の様式がいろいろ変わって参りました。それから、国民の所得の分布状態もだんだん変わりつつございます。で、各人の嗜好もそれにつれましていろいろ変わって参っております。ビールがふえたから、しょうちゅうが減るという場合もございましょう。しかし、しょうちゅう、合成酒、あるいは清酒につきましては、それぞれ独得の味を持っておりまするし、また固有の消費層もあるわけでございまして、ビール、ウイスキーが相当ふえるから、それに従ってほかの酒類の消費がそれに同じような工合では伸びない、あるいはむしろ減退するという傾向もございますが、私どもといたしましては、将来の見通しとしては、合成酒、しょうちゅうにつきましても、それぞれ独自の味がございまするので、また必ずしも洋酒あるいはビールと劣っておるとは考えませんので、それぞれ新しい消費層を開拓するという方向で業界に呼びかけて、また業界におきましてもそういう方向で努力しておりますので、傾向としては、しょうちゅう、合成酒は若干減りぎみではございますが、今後の業界の販売の促進の仕方いかんによりましては、また伸びる可能性もないわけではないと思います。
#15
○柴谷要君 最後の一問になりますが、酒造業者から蔵出しをされます酒に対して税金がかかっているわけです。非常に厳格にやっておるようでありますけれども、さりとて私どもが見て課税をされない酒というものが全然ないかというと、そうではない。私はある場所で奇怪なことを附いたわけであります。これは税金のかからない酒だから安く売れるのだといって、レッテルをちゃんと張った酒が基準価格でなく非常に格安で取引された。私は酒を飲みませんから買いませんでしたが、そういう油が横行している。これは一体どういうところから出てくるものか、大体想定のつく範囲でお知らせをいただきたいと思います。これはもうかなり町に横行していることを、事実をつかんでおります。私の親戚が酒屋なんですが、千石ばかりずっと造っております酒屋ですけれども、これに聞いてみると、とにかくうちでも飲むことができない、税金がかかって。酒屋でも税金を払って飲んでいるのだ、こういう言い方をしておりますが、それほど厳格にかけられる税金がかからないで町に流れておるということは、こういうことは一体どこから来ているのか聞きたいと思います。(「密造だ」と呼ぶ者あり)これは密造じゃなくて、りっぱにレッテルを張ったいい酒です。こういうことがかりにあるとするならば、徴税の意味からいきましても完全とは言えないと思います。これに対して国税庁、そういう事実はないとお答えになっていただけますか、それともそういうものはあるらしいとお答えになりますか、御答弁願います。
#16
○説明員(谷川宏君) 今仰せのような酒がもしありとすれば、私ども法規によりまして調査をし、罰則の定めるところによりまして厳重な処分をすることになっております。今そういう酒があるかないかという点でございますが、私はないものと確信を持っております。ただ、密造酒等が場合によっては取引されておるのではなかろうか。特に密輸の酒でございますると、税金を免れておるわけでございますが、こういうものについては私どもは厳重な調査をし、また厳重な処分をするということによりまして、そういうことのないように努力をしておる最中でございます。
#17
○柴谷要君 そこで、つけ加えさしてもらうと、これは私の体験したことですから、お伝えをしておきたいのですが、清酒の二級をレッテルだけ一級にしましてもそうして市販をやっている、こういうものもやはり違法でございますね。厳密に二級酒で税金を払って蔵出しをした。ところが、これに一級酒でのレッテルを張って、一級酒で販売するということになると、これまた違法でしょうね。こういうものも非常にはんらんしておるということを申し上げたい。そこで、それらのことがあるということだけお伝えをして、徴税の上から十分御注意いただきたいと思います。
 そのほかに現実の問題として、蔵出しをして卸業者に手渡しする、そうして小売に行く。一体、卸業者と小売業者のマージンはどのくらい取っておるですか。これはビールでいきましょう。百十五円のビールで、六十円の税金を取ります。そうすると、卸業者は幾らのマージン、小売業者は幾らのマージン、これでひとつお答えいただきたいと思います。
#18
○説明員(谷川宏君) ビール一本の小売価格は百十五円でございます。そのうち小売業者のマージンは基準価格におきましては十一円でございます。それから、卸業者のマージンは、現在の基準価格におきましては、製造業者の販売価格と卸業者の販売価格とが、ビールにつきましては同額になっております。百四円でございます。百四円の中から製造業者が卸業者にマージン相当分を支出するということでございます。基準価格におきましては、これは三円十銭になっております。そのほか、卸業者は、本来ビールの製造業者が運搬をすべき部分を卸業者が運搬をするという場合におきまして、この運賃の実費の支払いを受けるという必要があるわけでございますが、そういう運賃の実費その他の経費として一円二十銭ほど支払いを受けておるわけでございます。一方小売業者におきましては、空びんの回収をやっておるわけでございます。空びんの取り扱い手数料といたしまして、ビールの製造業者から卸業者を通じまして一本について一円空びん取り扱い手数料というものの支払いを受けております。基準価格の内容としては以上のようなことで、小売業者は実質的に十二円、それから卸業者は実質的に四円三、四十銭ぐらいのものを受けておりますが、そのほかに、空びんを洗びんをするという関係上、小売業者の手取りといたしましては、そのほかに二円が加わります。卸業者はそのほかに一円が加わるということになっております。
#19
○柴谷要君 まだ酒のことはたくさん聞きたいことがあるのですけれども、専門家がたくさんいらっしゃるので、おかまかせして、終わりたいと思いますが、要望を最後に申し上げておきたいと思います。
 最近経済的に多少よくなったので、高級酒がだいぶ売れるということでありますが、できることならば、大衆酒と一がいに言いますけれども、大衆酒的なものに対しては、これは大蔵省にお願いをしたいと思うのですが、できるだけ税金を軽く、安い酒を国民大衆に飲ませる、こういう方向でひとつ努力をしていただきたいと思うのです。それから、自由化に伴って入ってくるウイスキー、あるいは洋酒類がたくさん入ってくると思いますけれども、これによって国内産業に痛手をこうむるようなことのないような施策がまず必要ではないか。醸造業者にいたしましても、合成酒製造業者にいたしましても、真剣にその問題については取っ組んでいらっしゃると思いますけれども、何といっても政府自体があたたかい手を差し延べる対策を樹立してあげませんことには、安い洋酒がはんらんをしてくると、どうしても、どうも日本人のくせで、洋酒でも飲まないと一かどの酒飲みでないような顔をしている。私は大きらいですから、ああいうものは一滴も国内に入れなくてもいいと思う。ところが、そうはいかないらしい。ここにおいでの方はだいぶ洋酒党がおられるようですけれども、私は入れなくてもいいと思う。でき得るならば、同胞の仕事が安心してできるような体制を樹立してもらうために、政府は心をおいてこの問題に取っ組んでもらいたい。合成酒の問題等についてもいろいろありますけれども、まあ先輩の野溝先生からお話かございましたので、強い要望はいたしませんが、とにかくこの法律案を通すにあたって、討論をいたしません、省略しますために、この要望だけひとつお願いをいたしておきたいと思います。
 私の質問を終らしていただきます。
#20
○堀末治君 この間もちょっと私質問したのですが、この前申し上げたとおり、今になると合成酒と清酒との間に、いわゆる本質的に事実区別はないと思います。この間申し上げたとおりなんです。そこで、私申し上げたいのは、せっかく合成酒業者しきりと、品質を向上させるために五%の米を一〇%にしてほしいということをお願いしておることは、だれでも、泉さんも知っている。また、そんなわけで、どうしてもこれを五%で押えなければならないといっている根拠はどこにあるのですか。
#21
○説明員(泉美之松君) 合成酒業界が、お話のように、現在使用しております五%の米を一〇%にしてくれという要望があることは、よく承知いたしておるのでございます。ただ、私ども現在、この酒税の脱税取り締まり等をやっております際に、純粋の清酒と、清酒に合成酒を加えました場合を見分ける方法としまして、ある器械を、混合判定器というものを使って、その器械に出ておる色の工合によりまして、これは清酒である、これは清酒に合成酒を加えたものを清酒と偽って販売しているということの判定をいたしておるわけでございます。そこで、私どもいろいろ実験いたしたのでございますが、合成酒に米を一〇%加えましてこの判定器にかけますと、実は清酒と合成油の区別がつかなくなってしまうのであります。混合判定器が、現在の器械では役に立ちません。そこで、やむを得ず現在の段階では五%を一〇%にすることについてはむずかしい。それならば、何%くらいまでにしたら現在の混合判定器で判別できるか、あるいはこの混合判定器をもっと改良することによってその辺の区別をつけやすくすることができないか、こういった点を現在検討中なのでございます。そういう理由で現在のところ、五%を一〇%にすることについてはなお問題があるということでございます。
#22
○堀末治君 そうしますと、混合判定器の、要するに器械が成功すれば、一〇%入れてもいい、こういうわけですか。
#23
○説明員(泉美之松君) 脱税の取り締まりという面から見ますれば、技術的にその判定はできるということは言えるということでございます。だから、すぐそれでは一〇%にするのがいいかどうかという問題につきましては、そのほかの面等、事情も考えなければならぬと思います。
#24
○堀末治君 とにかく、私よりもあなたのほうがよくおわかりのとおり、米を何%か入れることを許したのは、たしか二十六年の年からだと思うのです。そのときは非常に米の少ないときでしたから、清酒業者も十分設備を持ちながら造れないで困っていたことを私はよくわかっているが、今になると米は十分になって、主として去年あたりだというと、清酒業者のほうではそれだけの米をやるからといっても、向こうのほうは全部引き受けられないというのが今の清酒の状況になっている。そこにもっていって、合成酒のほうにもやるということを聞いたけれども、合成酒のほうも五%だけでは売れ行きが悪いから、前からの米はたくさん余っているから、そんなに引き受けられないということも事実だ。
 一方、要するにこういうものは次々と進歩している。私、一昨年マドリッドに行きましたとき、国会へ行って昼食をごちそうになったところが、そのときそこのおやじさんがいろいろなことから、私が酒屋だということから、私のところにぜひ来いといって連れていった。なぜ連れていったかというと、そのおやじさんは全世界の酒のコレクションを持っている。二万数千点を地下室に置いてあるのですね。実にたいしたものを置いておる。これを見て、世界には酒類というものが多くあるけれども、その中に陳列されている日本の酒類といえば清酒だけ、菊正宗の一升びんと四合びんが陳列されている、古びたやつが。あとは全部よその酒ですね。こういうようなことで、今しきりと、貿易自由化になって、いろいろのものが貿易を盛んにするようにしなければならないというときにもつていって、日本の酒だけは何も輸出がきかないということになっている。これらのことについても、これは業者も真剣に考えなければならないけれども、やはり大蔵省もこれは日本の産業のためなら真剣に考えなければならないことだと思うのですが、そういう点からいうと、日本の酒税法というのは非常に窮屈なんですよ。それは、国内においては、取り扱っていくという面においては窮屈なのはけっこうですけれども、もう少し輸出のことなんかを考えたら、そういう点は十分フリーにしてもいいんじゃないかということを私は考える。
 それと、また言われたとおり、今しきりと柴谷さんからいろいろお話が出ましたけれども、今の合同の問題なんですよ。今のような製造方法でいくと、清酒業者も今のままでは、これはとてもいけないと思う。やがては四季醸造になっていくにきまっている。そうすると、今のような小規模ではできない。せっかく戦時中に、あれは無理でしたけれども、合同させられたのが、その後みんなばらばらに小さくなってしまった。その小さい酒屋が実は今日無事に工合よくいっているかというと、ことしのように清酒の売れ行きのいいとき、ようやく売れている。しかも、自分の手で売れているかというと、自分の手で売れていない。マークの届いた人の手を借りて、ようやく酒を売っているというのが現状です。北海道なんかは特にその弊害が多い。米の割当が、要するに古い古い基礎を基準にしてきめているから、北海道のように消費がうんと伸びているところにおいて、米の割当をどうかふやしてくれと言っても、ちっともふやさない。やむを得なくて、できた酒を買って、高い運賃をかけて水を入れたものを運んでやっているというのが実情でしょう。これは私よりあなたのほうがよくおわかりなんです。実際そういうようないろんな矛盾をはらんできているんですから、今のうちに、酒造行政というものを根本的に変えなければならないときじゃないかと私は思うのです。
 そこで、私申し上げたいのは、しきりとさっき野溝さんもおっしゃったけれども、今度の改正なんかうしろに何かあるように思うと野溝さんが言う。そういうようなわけで、私は、今とりあえずこの際、せっかく合成酒業者が一〇%のことを望んでいるから、一〇%許して、何かいい基準を設けて、合成酒と清酒の間の基準をきめて、大蔵省が間に入って十カ年なら十カ年ぐらいの要するに紳士協定を結んで、その間に今言ったいろいろ酒造行政の行き方を両方一緒になって真剣に考えたらどうか、こういうことを私はしきりに考えている。去年わざわざこの席へ石川さんが見えた、減税の問題で見えたが、そのとき実に乱暴なことを言ったのです。なぜそんなことを言うか。とにかく合成酒は憎いということで、われわれのほうはアルコール添加、いろいろ酸を入れてのばすことをやめてもいいということを、はっきり言っている。そういう乱暴なことを言うので、私、実際驚いたけれども、清酒業者の組合長として妙なことを、しかも自分の単なる意見として言うことならともかくだけれども、こういう公式の席上で陳情に来てそういうことを言うから、何たることかと思ったのですが、そういうことを考えているより、現状のままで権利を擁護するよりも、国家の収入に伴うて、この技術の進歩したときだから、それに伴って自分らの権利を守るとともに、権利を広げて、それが国家の興隆のためになり、また自分らの商売の繁盛になると思う。あなた方の頭ではそういうことをお考えになるかどうかわからないけれども、私はそういうことを考えている。
 せっかく去年は米を何ぼやるといっても、合成酒のほうは五%より使えないから、それをよけいもらっても仕方がない。こういうふうに、現にことしはたくさん米が余っているから、そういうような実情ですから、それでも清酒が間に合えばけっこうですけれども、今の実情だと、現に去年大蔵省が米をやると言っても、取れないほど手一ぱいになっているのが清酒です。それを今のままふやそうとしても、これはなかなか資金的に容易ではない。そういう実情ですから、何か今ここで、要するに清酒というものをしきりに発達させることのために、大蔵省自体もその取り締まり行政の上から考えるべきではないかということを私はしきりと思うのです。どうかそういうわけですから、なるべくなら一〇%なら一〇%のものを許す。技術の問題は、失礼ですけれども、合成酒のほうは真剣にやっているのです。また技術者も多い。そういうわけですから、そういうふうにやらして、それはそれとして、こっちのほうに十分取り入れられるということで、今言ったとおり、今の情勢で一〇%なら一〇%許して、十カ年なら十カ年、それで大蔵省が間に立って紳士協定をして、吸収させて、その間にいろいろ技術の進歩もはかり、同時にまた日本の酒造というものの発展について考えたほうがいいのではないか。そうではなく、今いたずらに一方ばかり押えつけて、一〇%はやれないということを言っているということは、どうしても私は納得できない。今言ったとおり、二万数千点という世界の酒がある。その中に持っていって、日本のものはわずかしかないのです。何ぼでも、日本はこういうところで、今これは言うと長くなるけれども、そうだよ、日本の米はもうたくさんです、実際いうと。それですから、米を別のものに転換させるためには、何か今言ったとおり、そういうような原料のほうをたくさん作らせるというやり方が、日本の農業の上から非常に必要なことだと思うのです。
 どうかそういうわけですから、その辺真剣に考えて、今のあなたの答弁くらいでは納得できませんが、これは今私は何も法律改正をするのに反対するものではない。業者もそれでいいと言っている。何も文句言うことはないが、ただこれで、野溝さん言ったように、実際押えつけてしまって動かさないという底意があるなら、反対します。そういうことでなく、やはり日本の酒造行政を、せっかく進歩して、合成酒なんというのはわずかの間にこれほど進歩している。その技術を全部清酒が取り入れて今日やっているのですから、そういう実情だから、何も合成酒を目のかたきにする必要はない。どうかそういう意味において、ひとつよく方針をお考え下さい。なるべく近いうちに一〇%にしてやっていただくことを切に希望します。
#25
○委員長(佐野廣君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○委員長(佐野廣君) 別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。酒税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成老挙手〕
#29
○委員長(佐野廣君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#31
○委員長(佐野廣君) 次に、特定物資納付金処理特別会計法を廃止する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とニュー・ジーランドとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、以上四案を一括議題といたします。
 四案はいずれも去る五日衆議院から送付されました。また、これら四案の提案理由の説明はすでに聴取いたしております。
 それでは、この際、四案につきまして補足説明を順次聴取いたします。
#32
○政府委員(上林英男君) ただいま議題となりました特定物資納付金処理特別会計法を廃止する法律案につきまして、その提案の理由を補足して御説明申し上げます。
 この法律案は、特定物資納付金処理特別会計法を廃止いたしますとともに、その跡始末を行なうための法律でございます。
 御存じのとおり、特定物資納付金処理特別会計は、特定物資輸入臨時措置法に基づきまして、バナナ、パイカン等特定物資につき輸入制限により生ずる特別輸入利益を調整いたしまして、これを財源として産業投資特別会計へ繰り入れを行なって参ったのでございます。しかして、特定物資輸入臨時措置法は、同法附則第二項によりまして、昨年の六月四日限りをもちまして失効いたしましたし、同法に基づきまする特定物資の納付金処理特別会計の整理も終了するに至りましたので、この会計を本年度限りで廃止することといたしまして、同会計に属する現金は産業投資特別会計に、現金以外の資産及び負債は一般会計に、それぞれ帰属させる等の措置を講じようとするものであります。
 なお、この特別会計は昭和三十一年度に設けられたものでありまして、この設置以来、現在までの収入額は百九十六億円余でございますが、これをもちまして、産業投資特別会計へ繰り入れた額百九十億円余及び事務取り扱い費を支弁いたし、この会計廃止の際の現金剰余は五億六千六百万円余となる予定でございます。この現金剰余は、ただいま申し上げましたごとく、産業投資特別会計に帰属せしめることにいたしております。
 以上、この法律案の提案理由について、補足して御説明を申し上げました。何とぞよろしくお願い申し上げます。
#33
○説明員(吉国二郎君) ただいま議題に上ぼりましたグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びオーストリア共和国並びにニュー・ジーランド、この三国とわが国政府との間に結ばれました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための条約を実施いたしますための所得税法の特例等に関する法律案、この三件につきまして簡単に補足して御説明申し上げます。
 まず、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約は、三十七年の九月四日に東京においてサインを了しております。それから、オーストリアとの間の条約は、三十六年十二月二十日ウイーンにおいて署名を終わったのであります。それからニュー・ジーランドとの条約は、三十八年一月三十日にウエリントンにおいて署名を了したものでございます。これらの条約はいずれも、現在国会においてその批准についての御審議を受けているわけでございます。
 御承知のように、これらの条約によりまして、所得税、法人科等に対する特例が定められておりますが、この特例が国内法と矛盾する場合には、条約が優先をいたしまして、条約が国内法としての効力を有しますので、原則としては法律を特に要しないわけでございますが、これらの条約のうちには、特定の所得につきまして課税の率の限界を制限しているものがございます。この限界を制限しているもの、たとえば利子所得につきまして、非居住者の取得いたします利子所得については一〇%をこえて課税してはならないということが規定してございますのに対しまして、わが国の国内法は原則として一・〇%ということになっておりますと、このわが国においては二〇%の国内法の適用はない。しかし、一〇%をこえて課税してはならないとなっておりますので、何%課税するか、ことに法律関係として穴があくわけでございます。それらの関係を補てんする意味で、この実施法が出ているわけでございます。
 で、簡単にグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との条約で申し上げますと、第二条に、配当に対する源泉徴収にかかる所得税の税率の特例がございます。一般に非居住者に対しましてわが国の所得税で配当に対して源泉徴収いたします場合には、二〇%の税率ということになっておりますが、イギリスとの条約におきましては、これを配当については一五%をこえて課税してはならない。さらに、五〇%をこえて株式を保有している子会社から配当を受け取る場合には、さらにその一五%という率を一〇%に制限いたしております。その関係で、第二条におきまして、これらの関係においてわが国の国内法を適用する場合には、「百分の二十」とあるのをそれぞれ「百分の十五」あるいは「百分の十」と、それぞれ場合に応じて適用するということを明かにしたのが第二条でございます。
 同じような意味で、第三条には、利子及び技術使用料等に対する税率の軽減の特例を定めております。利子及び使用料につきましては、これも国内法におきましては、原則として二〇%の税率を適用することになっておりますが、この条約におきましては、いずれもそれらを一〇%をこえてはならないという規定になっておりますので、これを「百分の十」として適用する旨を明かにいたしております。
 さらに、第四条におきましては、この辺が若干むずかしくなっておりますが、第四条は、配当、利子、使用料等に対する申告納税の際の所得税の軽減でございます。従来の条約におきましては、たとえばイギリスの国内法人がわが国に恒久的施設を持っておりました場合、この場合には、従来の法律及びわが国の国内法の原則におきましては、わが国に源泉のある所得はいずれも総合して課税をする、恒久的施設に総合して課税をするという建前をとっております。ですから、たとえばアメリカとの条約で申し上げますと、わが国に事業を持っているアメリカ法人がわが国の利子、配当、使用料の所得を取得いたしますと、この場合には、これらはすべてこの事業に合算されまして、事業の所得に合算されまして、普通の法人税三八%の法人税を課されるという建前になっておりますが、このイギリス、それからニュー・ジーランド、オーストリアの条約からは、最近の新しいタイプによりまして、恒久的施設に帰属する――恒久的施設がたとえば利子、配当についての、何と申しますか、取得権を持っておるという場合には、合算をいたしますけれども、本国の本店が直接貸付をしたり、あるいは株式を保有しておる、そのために利子、配当を取得する場合には、いわゆる恒久的施設とは全然関係がございませんので、一般非居住者が直接本国から取得をする場合と全く同じに考えようということで、恒久的施設に帰属しない利子、配当等につきましては、ただいま御説明申し上げましたような軽減税率で課税をするという建前にしたわけであります。そういたしますと、わが国の国内法ではその帰属主義をとっておりませんので、包括主義になっておりますから、国内法の建前では、恒久的施設を有する法人の場合は、わが国の国内で所得する一切の所得を合算して申告しなければならぬということになるわけです。ところが、その場合、三八%の税率を利子、配当に適用すれば、条約の規定を越えることになりますので、その場合に申告納税をしたその中から一〇%を、配当、利子、使用料にかかる部分の税額がかりに今申し上げたように三八%であれば、二八%だけ軽減してやらないと、条約の実施にならない。その関係を規定したのが第四条であります。
 あとこまかい規定がございますが、おもな点はそのようになっております。
 次に、オーストリアとの関係でございますが、これはグレート・ブリテンの場合よりも若干簡単になって、第一は、第二条の配当に対する源泉徴収でございますが、これにつきましては、オーストリアとの間には、一般の場合の配当は非居住者の取得が一般の場合の配当の二〇%をこえて課税してはならない、それから五〇%をこえて株式を保有する小会社から配当を受領する場合に限って一〇%という軽減税率となっております。イギリスの場合はこれに一五と一〇。したがいまして、この第二条に規定してございますのは、一般の法人の場合は、わが国内法の二〇%と同じでございますから、特に規定を要しない。小会社の場合の一〇%だけの読みかえをすればよいということになって、この点がグレート・ブリテンよりも若干簡単になっております。それから利子、使用料に対しましては、グレート・ブリテンの場合と全く同じでございます。百分の十にするということになります。第四条も、ただいま申し上げましたのと同じような理由で、申告納税をいたしました場合、これからこの利子、配当、使用料に対する部分についての超過税額を控除する規定となっております。
 さらに、ニュー・ジーランドの場合は簡単になっておりまして、配当に対しましては、一般にこれを一五%に軽減をする。小会社の場合をも差別しないで、一五%にいたしております。したがいまして、配当に関する軽減規定が第二条に規定してございまして、その使用料、利子につきましては特別の軽減税率を条約で規定しておりませんので、これだけがこの実施法の内容をなすわけでございます。
 以上、簡単でございますが、補足して説明を申し上げました。
#34
○委員長(佐野廣君) 以上で四案の補足説明は終わりました。
  ―――――――――――――
#35
○委員長(佐野廣君) それでは、物資納付金処理特別会計法を廃止する法律案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#36
○柴谷要君 通産省がいないと質問にならぬのですがね。まああなたがいらっしゃるから、一、二問聞いて、きょうは終わりたいと思います。
 特定物資輸入臨時措置法施行以前の特別の輸入差益はどういうふうに処置をされておりましたか、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。
#37
○政府委員(上林英男君) 特定物資輸入臨時措置法の制定されました前におきましても、やはりこの法律が制定されました趣旨と申しますか、輸入制限を行ないますることによりまして、反射的に輸入差益が出ておったわけでございますので、そういうものにつきましては、いろいろ議論もございまして、この法律が通ります前に、暫定的に国庫に寄付を受け入れるというようなことをいたしましたことがございまして、それにつきましては、この輸入臨時措置法のたしか附則によりまして、この特別会計へ入れた例があるように記憶いたしております。その金額につきましては、寄付金としてこの特別会計に十二億三千四百万円ほど受け入れております。
#38
○柴谷要君 一体その寄付金というのは、法的にどういう根拠をもってやられたのでしょうか。おかしいじゃないですか、それは法律ができる前のことですからね。法律ができてから法律によって処置されるというのなら、わかるのです。その前の寄付というのは何ですか、法的に何かあるんですか。
#39
○政府委員(上林英男君) 寄付金は別に法律的根拠に基づきまして徴収するというものではないわけでございまして、民間の自発的な意思によりまして国旗に寄付をするという行為に基づきまして、国庫が寄付を受けたわけでございます。それを行ないました当時の思想といたしましては、やはり輸入制限を行なっておりまするために、反射的に非常な輸入差益が出る。これを特定の人にもうけさせるということは必ずしも適当でない、というような御議論もござました。そういうような思想に基づきまして、特定物資輸入臨時措置法ができたわけでございますが、それが制定いたされます前におきましても、できるだけそういうようなことが行なわれないように、といって、輸入しなければそういう特別の利益も出ないわけでございますけれども、輸入もやっていきたい、かつ、あまりにその多額の利益を特定の人に得せしめることも適当でなかろうというようなことで、経過的には輸入業者等の自発的な御協力によりまして国庫に納付金として納めていただくという経緯があったわけでございます。
#40
○柴谷要君 寄付金だから、政府の方針と違って、もっと出さなければならないけれども、十二億三千四百万で打ち切っておこうという点で、思ったより少ない寄付が行なわれた、こういう結果ではないのですか。当時この法律ができる前は、非常に輸入品等をめぐってぼろいもうけをしたという事例を聞いておるのですが、そのためにこの臨時措置法が生まれた、こういうふうに考えていいのですか。
#41
○政府委員(上林英男君) 大体仰せのとおりでございまして、そういうようなものを契機といたしましてこの輸入臨時措置法が作られたわけでございまするが、それが制定されるまでの間の過渡的な措置といたしまして、民間の自発的な御協力による寄付金を受け入れたというふうに記憶いたしております。
#42
○柴谷要君 それならば、輸入臨時措置法廃止後は一体どうなるのでありますか、これについて。
#43
○政府委員(上林英男君) 特定物資輸入臨時措置法自体は、先ほど申し上げましたように、昨年の六月四日で失効いたしたわけでございます。これを延長いたしませなかった理由は、御存じのように、世界の大勢といたしまして、輸入貿易自由化という大方針があるわけでございます。したがいまして、またわが国もこの線に沿って進んでいかなければならない。と申しますると、輸入制限を前提といたしまする輸入差益の徴収ということは、これを行ないがたいということになるわけでございます。したがいまして、あえてこの輸入臨時措置法を延長しなかったわけでございます。
 今後の方針といたしましては、御存じのように、バナナにつきましては、今国会に七〇%の暫定関税率を、今後バナナにつきましては七〇%の関税率を定めていただくように審議をお願いいたしておりますし、またパイカンにつきましては、従来ガット税率によりまして二五%の譲許をいたしておりましたが、これもこの譲許を撤回いたしまして、キログラム七十二円、実質で。これはパイカンの値段によりまして率が違って参りますが、おおむね五五%という線に上げるということにアメリカとの話し合いがつきまして、譲許を撤回することを今国会に御審議を願うことにいたしております。したがいまして、関税率を引き上げることによりまして、実質的に差益が出ないように措置をする。これによりまして、このバナナ、パイカンにつきまして、輸入臨時措置法が廃止をされましても支障がないように措置をして参っていくつもりでございます。
#44
○柴谷要君 関税の引き上げに伴って措置法が要らなくなるということでございますが、こういうことはわかりました。
 じゃ、次の問題ですが、バナナの外割についてはいろいろ問題があったように聞いております。どんな基準でその外割をなしておったか、それから現在の割当方法は一体どうなっておるのか、これを関係者のほうからひとつお聞きしたい。
#45
○説明員(宮本惇君) 御指摘のように、バナナの外割につきましては、いろいろ過去におきまして問題があり、したがいまして、差益の徴収という事態も起こったのでございますが、外割の方法は、御承知のように、大体過去の実績割当でやっておるわけでございます。ただ、問題は、御承知のようにバナナというものが戦前に比べまして戦後は非常に数が少ないために、何と申しますか、非常な需要が出たということで、非常にそこに高値を呼ぶということで、差益金を取ったわけでございますが、昨年の十月一日をもって自由化をするという予定のもとに、バナナの臨時特定物資措置法が廃止になったわけでございますが、御承知のような情勢で、国産のくだものその他の競合問題からも半年延ばすということになりまして、結局この四月一日から実施するわけでございます。そうしますと、法律が六月でなくなって、しかも四月という期間、ブランクがございます。したがいまして、御承知のように、六月までは関税率が二〇%でございまして、したがいまして、差益金を八〇%取っておったわけでございますが、この四月からは七〇%の関税だけが残るということになりますと、その間に急に値段が下がるという事態があり、またそこに急に国内のくだものの相場に変動を与えるというようなことで、その間に業界の御協力によりまして三〇%という差益を取るわけでございます。
 ちょっと申し落としましたが、実は十月一日からはバナナの関税は五〇%になっております。したがいまして、われわれといたしましては、輸入量を、ちょっと今手元に、あとで資料が参りますが、相当ふやしまして、自由化への推移をなだらかにしようという見地から、今回に限り差益金の三〇%を業界からの御協力によりましていただくという形をとった次第でございます。
#46
○柴谷要君 大体四月からバナナの自由化を控えて、台湾バナナの輸入をねらって輸入業者間で大混乱を来たしておると、こういう新聞報道があるんですが、現状は一体どうなっているのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
#47
○説明員(宮本惇君) 私も詳細のことは承知いたしておりませんが、御承知のように、今後自由化になりますと、台湾あたりに、特に台湾のバナナというものが日本に対しまして非常に昔からなじまれておるというようなことで、台湾のバナナに関し一手販売と申しますか、一手に輸入権を獲得しようというような動きがあったようでございますが、現在は台湾政府のほうでそれは受け付けないということで、今までどおりにいけるというようなふうに聞いております。
#48
○柴谷要君 ただ、うわさ話だけであって、通産省としては何らこれに対して関与していないのか、指導しておらないのか、こういう点です。
#49
○説明員(宮本惇君) 現在通産省としては、別に指導と申しますか、そういうことは何もいたしておりません。
#50
○柴谷要君 パイカンは、琉球の生産の関係で自由化が検討されていると思うのでありますが、琉球の生産の伸び方と、将来の需給確保は琉球産だけでいいと考えておるのか、これらの点について。
#51
○説明員(宮本惇君) 急に参りましたので、ちょっと手元に資料がございませんが、おそらく琉球産のパイカンの育成というようなことから、自由化ということは今四月一日というようなわけに参りませんので、先ほど上林課長が言われたように、五五%の税率に上げまして、そして当分割当を続けていく。ただし、差益はもう取らないということでございますが、琉球産だけで日本のパイカンの需要をまかなえるとはちょっと思われないわけでございます。しかし、同時に、いずれの日か自由化をしなければならぬということで、現在は、むしろこれは農林省の御関係になると思いますが、琉球産のパイナップル産業というものを力をつけていって、将来は割当をしなくても自由にやれるという方向で農林省のほうで御指導をなさっていると伺っております。
#52
○柴谷要君 それならば、この問題については農林省に尋ねないと的確なお答えができない、こういうことになりますね。
#53
○説明員(宮本惇君) 御承知のように、バナナとかパイナップルというようなものは、一応農林物資でございますので、われわれのほうは輸入の関係だけでございます。その育成その他になりますと、農林省の御所管だろうと思います。
#54
○柴谷要君 それならば、パイカンの自由化というものは四月でないと考えているようですが、大体めどはいつごろになりますか。
#55
○説明員(宮本惇君) この四月でないわけでございますが、めどはいつかということになりますと、これまた農林省のお考えによることになると思いますが、ただ、御承知のように、すでに日本はIMFの八条移行勧告が出まして、ガットでは十一条国になりまして、いつまでもこれを制限するわけに参らないわけでございます。ただ、現在はアメリカはパイナップルの非常な産地でございますので、相当アメリカは日本に鋭く自由化を迫ってくると思います。現在は琉球のパイナップル産業の振興という意味で、アメリカはあまりやかましくは言っておりません。しかし、いつからということになりますと、これはちょっと今申し上げかねるのでございますが、永久というわけには参らない。
 日本におきますガット全体の自由化の状況というものは、もうすでに十一条国なので、ウエーバーをとらない限り、あるいは残存輸入制限をお互いの話し合いで残していくことについて、さらにどこまで延ばせるかという問題もございますが、これは相手の国の貿易の見合いでございます。いよいよウエーバーをとるべき物資というものは来年の十月以降には相当迫られると思いますが、一応のめどは、私、責任をもって申し上げられない立場でございますが、来年の十月ごろあるいはそれから先、その辺じゃないか、これは私見でございます。
#56
○柴谷要君 来年の十月ということになると、だいぶ先のことになるわけでございますが、それまでに琉球で十分生産を確保しておいて、そうして自由化をやろう、こういうねらいですか。
#57
○説明員(宮本惇君) 御指摘のとおりのねらいと思います。関税率を暫定的に五五%に引き上げておいて、その期間に競争力をつけて、だんだん自由化するというのが全体の流れでございます。
#58
○柴谷要君 最後に、現在パイカンは市場に出回っている、そして他の物と比較すると非常に高値を呼んでいる、こういうふうにわれわれは考えるわけです。これは自由化されたら値段は安くなるのですか、それとも高くなるのですか、その点の見通しを聞きたい。
#59
○説明員(宮本惇君) 御承知のように、相当高値を呼んでいるので、差益というものを取っておったわけでございますが、今後は関税一本になり、それも将来四五%に下げる。おそらく自由化になりますと、相当各国からいろいろなパイカンが出てくるということになると、競争上今よりは高くなることはないと思います。むしろ安くなるのではないかと考えております。
#60
○柴谷要君 まだたくさん質問がありまするが、きょうはこれで終わります。
#61
○鈴木市藏君 関連して一言聞きたい。琉球のパイカンの位置づけは、どういうふうに考えておりますか。
#62
○説明員(宮本惇君) 私も詳しいことは存じませんが、御承知のように、琉球のパイカンというものは、アメリカのたとえばハワイその他と比べますと、パイカンをごらんになるとわかりますように、要するに大きくない、こまかなピースになっているものが多い、味その他でも質がハワイその他に落ちるというようなことでございまして、まあこれを、新らしいハワイその他の種を、そういうものを持ってきて、今はたして琉球に向くかどうかというようなことを検討しておられるようでございます。ただ、これはだいぶ先のことになりますが、相当アメリカあたりがフィリピンその他にも大規模なパイカンをやるという話もございますし、そのままで競争力がつくかどうか、これは技術的によくわかりません。しかしながら、やはり琉球にとりましては一番大事な産業でございますので、これはおそらく政府全体といたしましても、琉球のパイナップル産業を育成するという意味で、いろいろな技術指導とか資金援助というものをやって、何とか盛り立てよう、ある程度見通しがつくまでは自由化はしない、琉球のものは自由に置く、ほかのほうを押えるということですから、いつまでもそれでいけるものではないと考えております。
#63
○委員長(佐野廣君) 本日はこれで散会いたします。
   午前十一時五十二分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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