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1962/03/08 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第15号
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1962/03/08 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第15号

#1
第043回国会 大蔵委員会 第15号
昭和三十八年三月八日(金曜日)
   午前十時二十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐野  廣君
   理事
           柴田  栄君
           西川甚五郎君
           柴谷  要君
           渋谷 邦彦君
           永末 英一君
   委員
           太田 正孝君
           川野 三暁君
           高橋  衛君
           津島 壽一君
           日高 広為君
           堀  末治君
           野溝  勝君
           原島 宏治君
           大竹平八郎君
           鈴木 市藏君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣 田中 角榮君
  政府委員
   大蔵政務次官  池田 清志君
   大蔵省主計局法
   規課長     上林 英男君
   大蔵省銀行局長 大月  高君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       坂入長太郎君
  説明員
   農林省農林経済
   局参事官    酒折 武弘君
   農林省園芸局経
   済課長     小暮 光美君
   通商産業省通商
   局次長     宮本  惇君
  参考人
   日本銀行総裁  山際 正道君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特定物資納付金処理特別会計法を廃
 止する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○参考人の出席要求に関する件
○租税及び金融等に関する調査
 (金融に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 特定物資納付金処理特別会計法を廃止する法律案を議題とし、前回に続き、本案の質疑を行ないます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#3
○柴谷要君 きょうは農林省の方、どなたかおいでになっておりますか。――農林省が、関係者が見えるまで、ほかの質問をしていきます。
#4
○委員長(佐野廣君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#5
○委員長(佐野廣君) 速記を起こして。
#6
○柴谷要君 まず、最初にお尋ねをいたしたいのは、昭和三十七年指定品目は、バナナにパイカン、コンニャクイモと思うけれども、この三品目以外に何かおありでございますか。
#7
○説明員(宮本惇君) 指定品目はバナナ、パイナップル、それからコンニャクィモ、それから腕時計、スジコ、こ
 の五品目でございます。
#8
○柴谷要君 コンニャクイモは昭和三十二年度一回外貨の割当を見ただけで、その後何ら外貨割当が行なわれておらない。そのような観点から、最近コンニャクイモの異常な値上がりを来たしておる。まあ戦後最高値を記録したといっても過言でないほど値上がりをしておる。その理由として、国内生産者保護の見地から外貨割当はしないんだ、こう言っておられるようでありますが、今日のコンニャクイモの最高値を記録しておるこの実情をやはり生産者保護の建前から持続する、こういう考え方に立っておられるかどうか、これをお尋ねをしてみたいと思います。
#9
○説明員(酒折武弘君) コンニャクにつきましては、お説のとおり、できるだけ国内の生産者の保護のために必要やむを得ない場合以外輸入しないという考えでありまして、現在のところ輸入につきまして特に考慮しておりません。
#10
○柴谷要君 まあ今日の実情から参りまするというと、非常にコンニャクイモの値がいいということで、農家においては今まで野菜その他必需品をかなり作っておったのがコンニャクに転換をして、この高値にひとつ生産を上げていこう、こういう傾向があって、特に群馬県下等におきましてはその実情が顕著に現われておるわけです。農村でも野菜の不足を来たしておるというこの現実を、農林省は十分御承知でありますか。この点をひとつお尋ねいたします。
#11
○説明員(酒折武弘君) 現在、特に消費者物価等の問題に関連いたしまして、野菜不足等問題になっておりますけれども、これにつきましては、農林省といたしまして、生産のほうの奨励はもちろん、出荷指導といった面につきましてできるだけの手を打とうという考えでおります。
#12
○柴谷要君 三十七年特定物資輸入臨時措置法が失効したあと、バナナについては一回の外貨の割当をしておる。しかも、その措置法が失効したので五〇%の関税はかけておりますけれども、ジェトロに三〇%の寄付金を徴収しておる、こういう結果が出ておりますが、一体輸入価格と適正利潤と、それから諸掛りというのは一体どのように見積もっておられるか。それから、国内販売価格の差額の見積もりというものを農林省は行なっておるけれども、この見積もりは一体どのように見積もりをしておるのか、それから市販をした価格は一体幾らなのか、こういう問題についてお答えをしていただきたいと思います。一体輸入価格は幾ら、適正なる利潤とは幾らに見積もっておるか、それから諸掛りというのは大体どのくらいに見積もっておるのか、国内販売価格との差額の見積もり、これをひとつお教えをいただきたいと思います。
#13
○説明員(宮本惇君) 差益を幾ら取るということを前提といたしまして、一応浜相場と申しますか、横浜におきます、つまり一般にいわれる価格をまず想定いたします。それと輸入された価格に運賃、諸掛りを加えました金額との差額を埋めていくという考えでございます。で、このたび算定の基礎といたしましては、FOB価格、これは一かごでございますが、これを二千百六十円と計算いたしまして、それに運賃が三百四十二円、それから保険料が十八円ということで、CIF価格が二千五百二十円となります。で、これにそのほか港湾荷役料が約九十七円、輸入諸掛り三百二円、それから口銭を二百五十二円、寄付金の金利が約二十一円、関税が五〇%で千二百六十円で、この合計が四千四百五十二円となります。そこで、浜相場を五千二百八円と想定いたしまして、その差額の七百五十六円というものを寄付金とするという考え方でございます。したがいまして、くどいようでございますが、もう一ぺん申し上げますと、浜相場からCIF価格、それからいろいろな港湾荷役料、輸入諸掛り、それに関税というものを差っ引きまして、その差額を寄付金という形で取ったわけでございます。
#14
○柴谷要君 国内販売価格はやはりその見積もりをされて、国内で販売する価格から差し引いたものがつまり利潤ということで、ジェトロに三〇%の寄付を仰せつけた、こういうことになるわけですね。そうしますというと、市場の販売価格というのは一体どれくらいに見積もっておられるか。
#15
○説明員(宮本惇君) これは実は、特定物資の法律ができましてから、大体過去の実績等そういうもので浜相場というものが一応立ちます。それには輸入外割量の量が多くなりますと、それだけ下がるわけでございまして、そこで一種の過去の浜相場と輸入外割量の関係から、今回輸入する場合に一応相関係数みたいなものを掛けまして、そうして一定の浜相場のようなものを想定いたしまして、それから今申し上げましたようなことで諸掛りその他を差し引きまして、その差額を大体寄付――今回限りでございますが、御承知のように、特定物資法が最後のときは関税が二〇%で差益を八〇%取っておったわけでございます。昨年の十月一日に自由化になるという前提で特定物資法も廃止になり、また関税も五〇%に上げるということで、結局そういうことでおったわけでございますが、十月にバナナの自由化が半年延びたということになりますと、もしここで差益を取らないとするならば、今までは関税プラス差益で一〇〇%のものを取っておったものが、急に五〇になる。そうなると、農林省のお立場からされますと、国産のいろいろな果樹に与える影響というような点から、関税を今度は七〇%にしたいということになりますと、一〇〇と七〇の間に五〇ということになりますと、非常に段落が大きくて、それが国内の果樹生産に影響を与えるという御見解から、その間に割当量をふやしますかわりに、スムーズに自由化に移行するという見地でいろいろ御相談の結果、三〇%の寄付金をいただくということになったわけでございます。
#16
○柴谷要君 措置法がなくなってから実績を見てくるというと、関税は五〇%、それからジェトロに三〇%の寄付金を徴収する、これだけ見ても八〇%。ところが、自由化に伴って関税一本でいく場合には七〇%に切り下げられる。そうなると、国内市場に出回る価格というものも相当下がってくる。そういう見地に立つというと、今御説明になりましたように、国内果樹の保護ということにはならぬじゃないか、こう思うわけです。政府で考えておるのは、現在市場に出ておりますバナナの価格というものは非常に高い、だから、関税で七〇%にして適正な価格にさせよう、こういうねらいなのか、それとも国内果樹生産の保護のために関税七〇%ということにしたのか、ここをひとつ、われわれしろうとにわかりませんので、明確にわかるようなお答えを願いたいと思います。
#17
○説明員(酒折武弘君) バナナの自由化が国内果樹にどの程度影響するかということにつきましては、いろいろ意見があるわけでございまして、われわれといたしましては、現在のような価格の水準、あるいはそれに近い価格の水準でバナナが入ってくる限り、それほど大きな果樹に対する影響はなかろうということで、自由化に踏み切ったわけでございます。ただし、御存じのとおり、特定税率が三〇%でありますが、従前一〇〇%取っておった差益あるいは関税を一挙に三〇%にするということは、非常に急激な価格の流れを起こすということで、それが場合によっては若干国内果樹も悪影響があるのじゃなかろうかということを心配いたしまして、いわば安全のために漸次価格を、七〇%あるいは五〇%という中間段階を置きまして、漸次下げたということで、急激な影響を与えないという考えでやっておるわけです。
#18
○柴谷要君 国内果樹の生産等保護のためには何ら影響がない、こういう御見解でありますから、そこでつけ加えておきたいと思うことは、今日までの、関税はかける、寄付金は仰せつけるというようなことを業者自体にやらせておったために、ある程度甘えて、市場価格等をつり上げて特段の暴利をむさぼっておった傾向なしとしない。ところが、今回は関税一本ということに規定をして、そして価格維持に努めさせようという政府の方針は、自由化に伴って正常化したと思うのです。でありますから、不当利得を得るような処置をとらせないように、国内果樹生産に影響を与えないと言われておるのですから、適正な価格を推し進めるように、十分な指導をしてもらいたい、これを要望しておきます。
 それから、その次は、農林省にきのうお尋ねしたのでありますが、パイカンの琉球の生産との関係で自由化がおくれておる、こういうことでありますが、もう少しく琉球の生産状態についてお聞かせを願いたいと思いますが。大体どういう計画を立てて、たとえば三十八年度はこういう計画だ、三十九年度はこういう計画で増産に拍車をかけている、こういう具体的なものがございましたら、お聞かせ願いたい。
#19
○説明員(小暮光美君) 特産課長がお答えするのが筋でございますが、私、経済課で貿易を担当しておりますので、かわってお答えいたします。
 沖繩のパイナップルの合理化のための計画の進捗状況でございますが、まず優良種苗の育成とその移植につきまして、一九六三年の計画といたしましては、約三万七千本の優良種苗の育成を指導いたしております。さらに、海外より優良な種苗の輸入をはかるということで、約五万本の優良種苗の導入をいたしております。また、増殖計画でございますが、一九六六年を一応の目標年度といたしまして、ただいま申しましたような優良種苗の育成を中心として増産の計画を立てております。
#20
○柴谷要君 一九六六年を目当てに増産を計画されておるというが、その増産の量、現状と、それから一九六六年にはどのくらい増産の面で違いができておるか、それをちょっとお聞かせ願いたい。
#21
○説明員(小暮光美君) 六六年から六七年にかけての年度に、一応カン詰生産量にいたしまして、百万ケースという計画を立てております。これは計画の基準となっております六一年から六二年にかけての年度――基準年度でございますが、基準年度六十五万ケースに対して、目標年次に百万ケースという計画でございます。
#22
○柴谷要君 そうなってくると、今度は自由化の問題でちょっとお尋ねしたいと思いますが、昨日の答弁では、大体来年の十月ごろをめどとする、こういうようなお話でございましたが、琉球の生産状態を見ながら、関連を持たせながら自由化をしようというには、あまりにも数字的に琉球の生産のほうが追いついていかない、こう思いますので、これらの問題を関連を持たせないで自由化をやるということになりそうな気配がするのですが、この点いかがですか。
#23
○説明員(宮本惇君) 私が昨日申し上げました趣旨は、もちろんパイナップルの自由化をいつやるかということは、一次的には農林者の御判断になるわけでございます。ただ、私が来年の十月ごろまでにはある程度のめどをつけなければいけないと申し上げましたのは、大体これは、むしろ全体の自由化の流れの面からある程度めどをつけるというふうに申し上げただけでございまして、正式には農林省のお考えに従わざるを得ない、こういう意味でございます。
#24
○説明員(酒折武弘君) パイカンの自由化につきましては、農林省といたしましては、お説のとおり、琉球のほうの合理化計画なり増産計画と見合って検討していきたいということでございまして、決して来年の十月を自由化の予定日としておるというととはございません。
#25
○柴谷要君 わかりました。
 それでは、ちょっとこまかい質問でおそれ入りますが、「特定物資納付金処理特別会計収支実績表」というのがここにあるわけです。この中に雑入といたしまして、昭和三十七年度は五千円という雑入がある。バナナにいたしますならば三十億七千七百六十九万四千円という金額が明記されておりますが、この雑入の五千円というのは一体何ですか、これをひとつ聞かせてもらいたい、収入の部ですよ。
#26
○政府委員(上林英男君) この雑入は、納付金を期日までに納めていただくわけでございまするが、その納付金の実際の納入がおくれました場合に、延滞利子といたしまして六分徴収いたしております。その金額でございます。
#27
○柴谷要君 その延滞利子六分を取るというのは、どこに規定されておるのですか。
#28
○政府委員(上林英男君) 特に規定はございませんが、延滞でございますると、規定がございません場合には、商事債権として商法により六分の利子を取ることになっておりますので、それによりまして取っておるということでございます。
#29
○柴谷要君 商法にはあっても、これは寄付金ですよ。寄付金から利子が取れるのですか。
#30
○政府委員(上林英男君) この納付金は、特定物資輸入臨時措置法に基づきまして徴収するものでございます。したがいまして、寄付金ではないわけでございます。かつては、先日、昨日私が寄付金を特別会計に入れたことがあると申しましたのは、経過的に、特定物資輸入臨時措置法が制定されます以前の分につきまして、同様のものを寄付金として受け入れたことがあるというわけでございますが、特定物資輸入臨時措置法が制定されました後は、その法律に基づきまして適正な価格との差額を特定物資輸入臨時措置法の規定に基づきまして徴収をいたして参ったわけでございまするので、したがって、それ以降の分につきましては寄付金ではないわけでございます。
#31
○柴谷要君 いや、五千円くらいで論争しようとは思いませんよ。大体あまりにも正確に何十億という数字の中に五千円という収入が掲げてありますので、ちょっとお尋ねしただけで、まあむだな時間は避けるといたしまして、支出の分で伺いたいと思うのでございますが、事務取り扱い費は昭和三十一年度においては五百六十五万二千円、ところが、三十七年度は相当取り扱い数量が増大をしておるのにかかわらず、この事務取り扱い費というのが非常に少なくなっておる。この経緯をひとつお聞かせを願いたいと思います。
#32
○説明員(宮本惇君) 最初の年が割に多くてあとは少ないという御指摘でございますが、これは最初の場合はいろんな調度とか備品とかそういうものを入れまして、それからあとは大体出張旅費、そういうふうなことできまっておる、こういうようにお考えいただいていいのじゃないかと思います。
#33
○柴谷要君 事務処理費が多かったけれども、最近は、三十七年度は出張旅費だけで百二十六万六千円使っておるという今の説明でございますね。そうなるというと、決算委員会じゃないから、あまりこまかいことを追及したくないのですが、一体何名で、何日間の出張で、どういう方面に出かけていかれるのか、これまでひとつ聞かしてもらいたい。
#34
○説明員(宮本惇君) 出張旅費と申し上げましたが、出張旅費本その一つでございますが、あとはいろんな庁費その他でございます。たとえば印刷、紙代とか、そういうふうなものも入っております。ちょっとその内訳は、今調べまして御報告申し上げます。
#35
○柴谷要君 昭和三十一年から三十七年度までに資金運用部に預託した金額というのがあるそうですが、一体その金額はどのくらいになりますか。
#36
○説明員(宮本惇君) 事務取り扱い費の点でございますが、三十七年度の予算を申し上げますと、職員旅費が六十八万五千円、庁費五十八万二千円、資料作成事務委託費四万二千円、賠償償還及び払い戻し金十万円というようなことになっておるわけでございます。
#37
○柴谷要君 資金運用部に預託した総金額並びに利子……。
#38
○説明員(宮本惇君) 資金運用部には入れませんで、直接すぐ産業投資特別会計のほうへ入れるわけでございます。
#39
○柴谷要君 入れてないですか。
#40
○説明員(宮本惇君) 入れてございません。
#41
○柴谷要君 特定物資特別会計法の五条に、歳入歳出予定計算書というものを作成して、大蔵大臣に提出するとなっている。一体どんなものを出されたのか。これはちょっと資料でもらいたいと思うのです。後日の参考にしたいと思う。もらいたいと思う。それがここに出ている実績表であるならば必要ありませんが、実績表でなくて、実際の大蔵大臣に出す予定計算書というものをひとつもらいたい。いただけますか。
#42
○政府委員(上林英男君) 特別会計法に規定のございます歳入歳出予定計算書といいますのは、一般会計でございますと、予定経費要求書に該当するものでございまして、これは予算を国会に御提出いたしますときに参照書といたしまして添付してございます。ただいま予算書を持っておりませんが、その予算書をごらんいただければ、その中に入っております。
#43
○柴谷要君 そういうことでなしに、こちらから出してくれというのだから、大蔵大臣に出す原本を私はもらいたい。まだまだ時間があれば御質問したいのでありますが、それだけお願いをして、質疑を打ち切りたいと思います。
#44
○説明員(宮本惇君) 即刻、今ここにちょっと資料ございますが、後ほど差し上げたいと思います。
#45
○野溝勝君 簡単ですが、先ほど酒折参事官が、自由化しても果樹には影響ないというお話でしたが、それは非常に危険で、私は問題が残ると思うのです。バナナやパイナップル等が自由化になれば、非常に格安に入ってくる。それにバナナなどは時期をきらわずというわけだ。年間通して、どこからでもどんどん入ってくるわけだ。そういう点では、日本の果樹園芸というものは季節的なものですから、そこに非常に不安があるわけなんです。そこで、全国の果樹園芸者は、それぞれ大会を開いて、農林省にも陳情したわけだ。これはすでに御承知のとおり。そういう問題がある。ですから、私は、先ほど柴谷委員から、関税、ジェトロの点についていろいろ御意見があり、さらに自由化に対しての御意見があったわけですが、そういう点を非常に心配しての意見だと思うのです。ところが、あなたのお答えがそういうととであったから、私はその点は、ただ心配ないという決定的なことでなくて、決定的であっちゃいかぬと思うのです。その点に対してあなたはどういう見解を持っているか。あなたでなければ、農林省の見解をひとつ。
#46
○説明員(酒折武弘君) われわれといたしましても、バナナの自由化が果樹に対して全然影響がないとは実は考えておらないわけでございまして、ある程度の、やはりこれは同じくだものでございます、影響はあるとは考えております。ただし、それがどの程度のことであるかという問題だろうと思います。その点に関しまして、おっしゃるとおりわれわれといたしましても、実はこれは客観的な数字でもって証明するわけにいかない問題でございまして、判断の問題でございますので、できるだけ慎重を期するという意味におきまして、関税の率を漸次引き下げていくという方針をとっているわけでございまして、決してわれわれも心配しておらないわけではございません。
#47
○野溝勝君 それと、私はこれは御答弁をいただかないでもけっこうですが、大体国会がよほど注意しなければいかぬと思うのです。私は社会党でありながらも、特定の業者の利潤追求のために動くようなことに対しては、私は断固反対いたします。いいことはいいことで、だれでも賛成する。また、その問題にはだれでも賛成する。しかし、承知のできないことは賛成できない。ところが、このバナナのごときものにおきましては、業者の諸君が猛烈な反対をする、そのために動く。大体政府でも認めておるじゃないですか。輸入外貨の割当の制限のとき以来、ぼろいもうけをしている業者、このぼろいもうけをしているところのこの業者に対して、税制の面から、あるいはその他の政策の面から、これとうらはらに関係しているところの産業の関係の面から手を打ったかというんだな。そのことについては私はきょうは聞かない。聞かないけれども、ばかにしていると思う。大体数字においてもそうじゃないですか。どうですか、諸君、委員の諸君。三十一年度に一億九千万円の実績もまあ特別会計の収支実績ですね、それが三十七年におきましては三十億。こんなものは所得倍増どころか、何倍増になっている。こういうようなものがまた運動するというと、数量を多くするとかなんとか、そんなものは私は門前払いにすべきですよ。大義名分は、日本の果樹園芸に影響いたしますと。何言っておるんだ、自分たちの利潤追求で百姓を利用しておきながら。百姓の農林省、しっかりしてもらいたい。まあそれだけです。
#48
○渋谷邦彦君 バナナの問題ですけれども、これが自由化されますと関税率は七〇%になる、これは大体決定ですか。
#49
○政府委員(上林英男君) 今国会に関税暫定措置法の改正をお願いいたしておりまして、それには御指摘のように来年まで七〇%ということで御審議をお願いいたしておるわけでございます。
#50
○渋谷邦彦君 そうしますと、ガット十一条の関係は、どんなふうに解釈なさっていますか。不当に関税を上げないというたしか条項があったように記憶しておりますが。
#51
○政府委員(池田清志君) 自由化の問題のお尋ねがいろいろ重なっておるのでありますが、御承知のように、自由化するということは世界の国々のお互いのつき合いと申しましょうか、世界の関係がそういうあらしに吹きまくられておるわけでございます。わが国といたしましても、国際的な関係におきまして自由化の線に沿って進ましていただいておるわけです。すでに御承知のように、八八%の自由化をいたしておりますし、今後におきましてもそれを強化して参ろうと、こういうわけです。ただいま御指摘のIMF八条国となりましてから後ガットの十一条国になると、こういうわけでございまして、したがいまして、輸入制限をしてはならない国であると、こういうことに進んでいくわけです。まことにそのとおりでありますが、一方私どもといたしましては、国内の産業を保護助長するということを自由化の根本に置いて進まなければならないと、こう考えておるわけでございまして、ただいま御指摘のバナナの問題につきましても、自由化するにつきましては、関税というものを引き上げまして、国内の果樹園芸を保護していこうと、こういう立場でおりますことを申し上げておきます。
#52
○委員長(佐野廣君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。
 これより採択に入ります。特定物資納付金処理特別会計法を廃止する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#55
○委員長(佐野廣君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#57
○委員長(佐野廣君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
  ―――――――――――――
#58
○委員長(佐野廣君) この際、お諮りいたします。
 山際日本銀行総裁を参考人として出席を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#60
○委員長(佐野廣君) 金融に関する件につきまして質疑の要求がございます。これを許します。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#61
○委員長(佐野廣君) 速記を起こして。野溝勝君。
#62
○野溝勝君 金融一般につきまして少し聞いておきたいことがございますので、お伺いしたいと思います。いわゆる金融の正常化、低金利政策について、物情騒然といいましょうか、非常に意見が出ておるのでございますが、金融正常化、低金利政策は要するところ金融秩序の確立だと思うのです。金融秩序の確立をするために、この正常化並びに低金利政策をとっていこうということだと思うのでございますが、その点、どういうお考えですか。これは銀行局長並びに日銀当局のほうにおいても大体の意見は同じ見解だと思うのでございますが、この際私はあらためてお伺いしておきたいと思う。
#63
○政府委員(大月高君) 昨年の秋以降、日本銀行の公定歩合の引き下げが二回実施され、かつ、新しく通貨供給の方式といたしましてオペレーション政策を弾力的に実施する、かつ、日本銀行から市中に対する貸し出しにつきましては、一定の限度を設けまして市中銀行が日本銀行の信用に過度に依存するということをやめていこう、というような政策をとって参っておるわけでございまして、一般的に金融が緩和いたして参っておりますことを背景にいたしまして、逐次そのような方策をとりながら金融の正常化を進めて参っておるというのが現状でございます。
 結局、金融の今の課題といたしましては、一つは、市中銀行が日本銀行に非常に多額の信用依存をいたしておる。また、企業といたしましては、自己資本に比較いたしまして非常に借り入れが多い。また、金利につきましては、国際金利水準に比較いたしまして相当割高である。貿易・為替の自由化が進展いたしますと、この金利水準の問題が非常に大きな問題になってくる。かつ、金利の体系といたしまして、長期の金利、短期の金利にそれぞれバランスがある。そういうことから、また社債市場、起債市場等におきましてもなかなか円滑に動かないような事情がある。そういうような金融上の問題がからみますと、どうしても経済の運行というものがいろいろ障害を来たすわけでございまして、われわれの目的といたしております安定成長と申しますか、そういうような経済政策の円滑な運用というような面にいろいろ支障が生ずるわけでございますので、今申し上げましたような問題を逐次解消して参る、そのために各種の方策をとっておるというのが、正常化の問題であろうと思います。
#64
○野溝勝君 私は、体系的に一貫した質問につきましては、後刻委員長の了解を得まして、総理並びに大臣より、特に国際的にも非常に重大な問題でございますから、この系統的なことはその際にお聞きすることといたしまして、ここではあるいはその中でピックアップをいたしましてお伺いをいたしますから、さよう御了承願いたいと思います。
 そこで、ただいま銀行局長の正常化に関する簡単なる御説明もございましたが、まあ漸次ということでございます。もちろん、抜本的、即時的にやるというのは、一つの自由主義経済を変えるかどうかという根本理念の問題にもなって参りますから、勢いそのようにたる理論的、抽象論的な論争をここでしょうとは思いません。私は現時点において御質問をしていくのでございますから、さような意味においてお答えを願いたいと思います。
 そこで、お伺いするのでございますが、今のお話だと、結局金利調整という問題にも入っておるわけなんでございますが、この金利調整についてのお話も幾分あったと思いますけれども、この金利調整を考える場合に、臨時金利調整法に対しましては何とか手を打つというような考えは持っておられるのですか。
#65
○政府委員(大月高君) 現在、市中の金利につきましては、臨時金利調整法によりましてこれを規制いたしておるというのが現状でございます。つまり、貸し出しの面と預金の面について規制をいたしておるわけでございますが、貸し出し、預金ともに最高限度をきめておる。金利調整審議会に諮りまして、日本銀行の政策委員においておきめ願っておるわけでございますが、それを大蔵大臣が告示するという方式をとっておるわけでございます。ただ、具体的な運用といたしましては、貸し出し金利につきましては、法律上の最高限度以内におきまして、銀行の間の申し合わせによりましてさらに低いところを最高限度として運用いたしておるというのが実情でございまして、運用上ある程度の幅を持たしてある。それから、預金金利につきましては、厳格に法律で定められました方式によって最高限度がきめられてあるというのが現段階でございます。そういうような金利のきめ方につきましていろいろ御意見があるわけでございまして、金利がこういうような法律で法定されておるということは、金融政策の弾力性という点から非常に支障がある。したがって、この臨時金利調整法を廃止いたしまして、金融界の自主的な申し合わせにゆだねたらどうか、こういう意見があるわけでございます。また、現在この金利を動かすにつきましては、大蔵大臣が発議をしなければ動かせない制度になっておりますが、この発議権を日本銀行なりあるいは市中金融機関にさらに与えてはどうか、こういうような御意見もあるのでございます。
 それで、現在こういうような法律によって規制いたしておりますのは、戦後インフレーションが進行をいたしまして、かつ、資本の蓄積がなかなか進まない、そういうことから、金利がとかく高くなるという趨勢にあったことは御承知のとおりでございまして、それをそのまま放置いたしますと、異常な金利高を招来する、産業界の秩序を害する、こういうことできめられております。かつ、現在独占禁止法の規定がございまして、金利を民間の協定にゆだねるということは独禁法の精神に反するので、政府及び日本銀行がこの問題に関与する必要がある、こういう点が二点になっておるわけでございます。そういう意味から申しますと、金融政策をさらに弾力的に運用する見地から申しますれば、この臨時金利調整法の金利のきめ方についてはさらに検討を要する点があると思っております。ただ、金融情勢の推移いかんということと関連があります。また、現在のように市中の金融機関の間において過当競争がございまして、いろいろきめられたことを百パーセント厳格に守り得るような情勢にないということでは、市中の自主的な協定だけにまかすわけにもいかないだろう。いろいろな具体的な問題がございますので、これをどうするかということは慎重に考究すべき問題であると、こういうふうに考えております。
#66
○野溝勝君 なかなか、私どもの観点から見る金融の正常化、それからあなた方が考えておる金融の正常化、基本的には意見の相違があるのでございますが、先ほど申したとおり、私はこの時点から申すのでございますが、こういうように国際的に自由主義経済国が非常に混乱といいますか、混乱しておるときには、なかなか一国だけで金融の正常化といっても、それは容易なことではないと思います。それは私どもにもわかります。けれども、今の程度のことだけでは、とても正常化ははかれぬし、さらに為替・貿易等の自由化をやるということに踏み切ったといいますか、考えておる政府の方針としては、特に大事なことは、この金融の問題だと思うのです。そこで、国際的に割高な日本の金利に対しまして、日銀といたしましては公定歩合の引責下げをやられております。そして国際的にさや寄せといいますか、歩調を合わせるように努力されております。しかし、実際に国際的に比較してみると、なかなか問題にならぬほどの差等があるのでございまして、とてもそれはこの貿易の自由化などにも、金融政策の上におきまして非常に矛盾を来たしてくると思うのでございますが、この点は、私は単なる産業別に見て、貿易自由化一〇〇%いけばこれだけの産業はひどい目にあうというようなことだけでなくて、総体的に、金融と産業との間における、自由化後における政府と日銀なりあるいは関係当局なり、系統的に具体的にこういう一つの問題に対して打ち合わせし、並びに具体的な対策などを総合的に立てられたというようなことはあるのでございますか。ただ思いつきで、金融は金融でちょいと対策をとっていくというだけなんですか。
#67
○政府委員(大月高君) ただいまお話のございましたように、金融の正常化を進め、産業の国際競争力を進めるという問題につきましては、一定の考え方にのっとって進めていくべきものだと思います。ただ、そのときどきの経済情勢の変化がございます。国際経済の面においてもいろいろ波動があると思いますし、国内経済におきましても、戦後幾たびかいろいろの変動がございましたように、国内的な事情もあると思います。そういう面で、そのときどきの情勢を十分勘案いたしまして善処をいたすべきものだと思うわけでございます。
 ただ、全体の産業と金融の態勢といたしましては、現在設備投資につきましては通産省におきまして産業合理化審議会という機構がございまして、毎年の各業種の設備投資の計画全体の設備投資の計画、そういうものをいろいろ御審議になって、大体どの辺がいいというようなことを御相談になっておるわけでございまして、金融の面におきましては、現在金融機関資金審議会という機構が大蔵省の付属機関として存在いたしておるわけでございます。ここで各界の方にお集まり願いまして、通産省のそういう合理化審議会等とも連携をとりまして、設備資金の供給につきましていろいろ御審議を願っておる。その実行の段階におきましては、銀行協会にございます資金調整委員会というもので、やはり各業種ごとの設備の調整を実施いたしておるわけでございます。これは、銀行協会の機構は、必ずしも法律に基づいたものではございません。しかし、通産省の機構、大蔵省の資金審議会という公の機関において大綱の定められましたものにつきまして、金融界がこれに協力するというための自主的な機構でございます。
 そういう産業と金融との調整をはかりながら、かつ、全体の金融につきましては、日本銀行を中心といたしまして、そのときどきの情勢に応じた金融政策を弾力的に実施する、これが今後大まかに考えられる方式かと思います。ただ、現在特定産業の基盤整備に関する法律というものが各方面で今案として練られておりまして、それによりますれば、また今申し上げましたような機構には若干の修正が加えられるかと思いますが、その精神におきましては、ただいま私が申し上げましたのと同じような精神にのっとって運営されるべきものだと考えております。
#68
○野溝勝君 そのやり方等に対しましては意見もありますが、それはあとに譲るといたしまして、一応日銀の総裁からもお伺いしたいのですが、国際的な、何といいますかな、日本の割高金利ですね、それの是正について、公定歩合、コール・レートの問題、預金金利の問題、こういうのが考えられて、それぞれ手を打たれておると思うのでございますけれども、これから先順次考えていかれるというようには新聞で心得ておるのでございますが、この程度で、この手を打っていけば国際的な金利水準に太刀打ちできるといいますか、これで、この三つの柱をそれぞれ進めていけばできるというふうにお思いですか。あるいは、他にこういうことも考えてやらなければならぬと思うとか、あるいはこういうふうにしたほうがいいと思うとか、そういうことは政府にひとつまた相談をしてみようとかいうお考えがありましたら、この際、総裁から聞いておきたいと思うのです。
#69
○参考人(山際正道君) ただいまお話のございました内外金利の割高な問題、ことにそれが公定歩合とか、コール・レートとか、金利レートとかにおいて差がはなはだしいという問題は、御指摘のとおりでございまして、これをしからばいかなる経過において国際水準にさや寄せするかということになりますると、このよって起こっておる原因がいろいろあろうと思います。いろんな特徴がございますが、おもな点を申し上げますならば、一つは金融機関の資金の運営の仕方に大きな問題がございます。俗にオーバー・ローンだといわれておりまするが、金融機関が預かりました預金を腹一ぱいに使っておる。足らぬところは外部からコールをとり、日本銀行から資金を借り入れ、さらに貸し付けるということでありますので、いわば預金と貸付金の割合でございますね、預貸率と申しておりますが、これが極度に日本は高いのであります。日本に比べますると、おそらく欧米一流金融機関は半分ぐらいのものだろうと思います。すなわち、そんなに腹一ぱい預かって、預金を使いませんで、五割程度預金に回して、あとは万一の準備にとっておく、あるいはきわめて流動的な資金の運営をする、そういうことで、いわゆる短期金融市場ができ上がっておるのでございまして、それがつまりコール・レートに影響したり、あるいは公定歩合に影響したりすると思うのでございます。
 また、次に、産業の育成に関しまして、むろん国民の蓄積は相当日本は蓄積はいいのでありますけれども、俗にいう直接方式と間接方式と申しましょうか、産業自体に直接国民が株券なり社債なりを通じて投資する場合と、金融機関に一たん金を預けておいて、今度金融機関が産業に貸し付けて投資の結果を生むというルートがあるわけでありますが、日本は遺憾ながら今日までの場合、いわゆる間接投資方式が多いのでありまして、直接に社債、株券等で民衆が産業に投資をするという部分が割に少ないのでございます。これはすなわち、企業の側から申しますと、日本語で俗にいういわばオーバー・ボローイングで、会社の経理構成がよろしくないと。流動比率ということをいろいろ言われておりまするが、会社の流動比率が悪いという結果になってきておるんだと思います。
 でございまするから、単に金利だけのほうを極力いろいろの方策でさや寄せいたしましても、この基本のほうが伴って直って参りませんと、なかなか欧米並みの水準まで下がらぬということになりますので、私どものほうは、どちらかと申しますと、やはり基本の原因のほうをだんだんとさや寄せをいたしまして、その結果として自然金利の方をさや寄せしてくるという状態を作りたいという考えでやっております。そういたしますと、その結果を非常に短期間のうちに実現するということは相当な困難を伴うと思うのでございますけれども、やはり問題は、そこまでさかのぼって是正するのでなくては、落ちついた均衡のとれた内外金利の是正ということはできないと思います。両々相待ちまして、なるべく短期間にそのことを実現いたしたいということで、せっかく努力をいたしております。
#70
○野溝勝君 山際さんの御意見は、今の金融財政のやり方に対しての御意見として、実に筋が通っておると思います。また、それでなくてはいかぬと思います。しかし、その点を山際さん、もう少し強くなって、ちょいと、先輩でございますから、大蔵大臣あたりにうんと話をされて、あやまちなきを期してもらいたいと思うのです。と申すのは、日本の経済は底が浅いものですから、勢いこのオーバー・ローンの政策をとらざるを得ないようなふうに私は見ております。政策的にインフレ、インフレと、こうやっていかなければ、やっていけなかったのが今日までの日本経済の特徴だと思っております。そういうような傾向がずっと戦後続いておるのでございます。
 そこで、最近における特徴は、特にオーバー・ローンの動きが強いことだと思うんです。あなたのおっしゃるとおり、この金利の問題で考えても、金融機関それ自体があるいは反省をしなければならぬ。そういう点については、ただ金融機関が、協会がどうした、こうしたというだけでなく、またその意見を聞くもいいだろうけれども、やはりこういうせっぱ詰まった情勢のときには、金融機関も自由経済を金科玉条に、さらにまた容喙を許さずというような従来の金融資本家の考えておるようなことで、私は政策を後退させてはいかぬと思うんです。これは今総裁が話されたとおりでございまして、特にこの貸し出し限度の設定などについては重大な問題だと思うのです。証券購入限度の設定もあり、あるいは証券会社による思惑の規制、資本市場の育成といいますか、これらの点が大切なところでしょう。これはただ野放しにしておいたのでは、オーバー・ローンの解消もできず、ずるずると続いていくと思うのです。これらの点は、銀行局長、君一人でどうということもできないだろうが、ひとつここら辺は真剣に考えてもらわなきゃならぬところと思うのです。あなたを責めてもいかぬが、でき得る限りの程度の範囲でよろしいから、考えを述べてもらいたい。
#71
○政府委員(大月高君) ただいまのお話の中にございます貸し出し限度の設定でございますとか、あるいは証券購入に対する規制でございますとか、あるいは預貸率の規制、これは従来からも行政指導及び銀行検査に際しまして厳重に指導いたしておるところでございます。特に貸し出し限度の問題につきましては、大口の銀行からの貸し出しが特に銀行の健全性という点に影響がございますので、従来から銀行法の一つの大きな柱になっておるわけでございます。法定はされておりませんが、現在監査書を取りまして、資本金の十分の一以上にわたります貸し出しにつきましては全部書き出して、銀行検査の際に見ておるわけでございますが、ただ、客観的な情勢がなかなか行政指導をもってしては直らないということになっておる点が問題だろうと思いますので、現在金融制度調査会におきまして、金融制度、金融の正常化問題について御論議をいただいておるわけでございます。いずれ四月、五月のころには全体の結論を出していただけると思うわけでございますが、その中におきましてもこの問題が取り上げられるはずでございまして、そういう御答申を待ちまして、さらに強力な指導を実施いたしたらどうかと考えて、目下検討中でございます。
 なお、銀行の資産構成を健全にいたしますために有価証券の保有をさらに増加するというととは、これもまたお説のとおりでございまして、われわれといたしましても、銀行並びに相互銀行、信用金庫を通じまして、そういう方向に努力さしておるわけでございますが、この問題は、一つは証券市場が発達いたしまして自由に有価証券が売買できる、それからコール・レートが下がりまして有価証券の購入に向けるほうがコールに出すよりも条件がいいというような状態になるということがまず大切だと思いますので、そういうことも頭に置きながら行政指導をいたしておるわけでございます。
 それから、預貸率の問題につきましては、これは基本的にオーバー・ローンの現象でございまして、最もわれわれとしては戒心すべきことでございます。常時強力な指導をいたしておりますが、これも客観的な総合的な情勢の変化と相待ちまして逐次改善していく。預貸率の問題は、結局いろんな方式を実行して金融の正常化を進めていきますその結果として出てくるものだと思いますので、直接預貸率の指導と並行いたしまして客観的な条件の改善に努力いたしたいと考えております。
#72
○野溝勝君 これは、静かに意見をお聞きしたいと思うところですから、そのつもりでひとつお答えいただきたい。特に総裁は御年配ですから、すわってお答えを願いたいと思います、私もすわってやりますから。
 先ほどお話がありましたように、日本の金融情勢全般が考えられねばならぬのですけれども、大体、日本の企業は資本構成が悪く、自己資本がきわめて少ない。しかも、中小企業が圧倒的に多いのが特徴である。そうして戦前も戦後も一貫して、政府のインフレ的政策のもとで勢いオーバー・ローンが誘導されてきたというふうに私は見ておるのです。自己資本の少ない日本の企業ではも初めからオーバー・ボローイングのようなことになる。しかも、政府、日銀、企業間では、機械的な金利調整で景気対策なり国際収支の是正がなされてきた。したがって、こういう経済では、これまた日銀は銀行に対して貸し越しにならざるを得ない。ところが、総裁がさように考えておって、どうも市中銀行なりにずいぶん日銀自身がオーバー・ローンをやっておるようでございますが、そういう点はどうなんですか。オーバー・ローンというよりは、銀行に多く融資をしておるのでございますが、そういう点は総裁の意見と少しく矛盾してくるように思うのでございますが、いかがですか。市中銀行に貸し出す場合に、注意か何か与えておるのでございますか。それは政府の何か見解あるいは采配によって、日銀が心にもないようなことをしなければならないようなことになるのですか。総裁は金融人としては位人臣をきわめておられるわけで、もう後顧の憂いがないと思いますから、ひとつ日本のために忌憚なくお話を願いたいと思います。
#73
○参考人(山際正道君) 最後のお尋ねの政府の何か指示なりあるいは慫慂を受けておりはせぬかというお尋ねにつきましては、これは全くございません。全部私どもの判断、私どもの責任でやっておりますことでございます。
 しからば、その実行の際に、総裁はなるべくそういうことを是正するように心がけておるらしいけれども、現実のオーバー・ローンがやまぬところを見ると、その意が必ずしも徹底しておらぬじゃないかという御疑問でございまするが、これも実は逐一私どもは全部寄りまして協議をいたして実行いたしておる点でございまするから、全部起こっておりますことは私は承知いたしておりますのです。ただ、何分にも、お話のございましたとおり、蓄積が乏しいものでありまするから、急速な展開をいたします際に、蓄積資金のみを待っていられないという状況でございます。そういたしますと、なるほど日本銀行から資金を供給することによって、まだ眠っておる経済的要因を呼び起こして、これによって経済の規模を拡大するという余地がございましても、従来の方式によりますと、日本銀行貸し出しを通じて金融機関からさらに貸すというルートがなかったわけでございまして、その結果として勢いオーバー・ローンが出たと私は思っておるのでございます。
 しかし、これは正当ではございませんので、先ほど銀行局長ちょっと触れられましたけれども、昨年の秋から制度を改めまして、銀行経営上当該銀行として必要な限度の資金は、それは貸し出しの形で依然継続いたしますけれども、そうじゃなく、経済拡大、取引拡大等に伴うところの経済全体の要因による資金の増加、通貨の増勢に対しましては、いわゆる証券売買の方式によりまして、銀行貸し出しという経理によらずして供給をしようと、通貨供給方式を二様に改めまして、改めましたものは、銀行貸し出しはどこでもその銀行の経営方針の範囲でまかなってもらう。しかし、それについては相当厳格な態度をもって今後は臨む。一方において、経済界全般のとしての問題は、必ずしも銀行の責任ということよりも、経済界全体の要請に応じて調節をするという観点から、その二つを区分することにいたしました。
 これは昨年十月の末から実行をいたしましたのでございまするが、まあ数カ月をたっておりまするけれども、その成績は大体私は所期の目的を達しつつあるように思うのでございまして、銀行に対する日本銀行の貸し出しは漸減いたしております。反面において、金融市場において必要な資金は、いわゆるオペレーションを通じて供給をいたしておりますので、これもまあまあ需給の調節は円滑に参っておると考えております。
 しかし、おっしゃるとおり、まだ創始いたしまして数カ月の問題でございます。今後さらにその趣旨を徹底いたしまして、銀行は銀行として、どこまでもオーバー・ローンを避けてもらいますと同時に、経済界に必要な資金は別途日本銀行が配慮する、こうはっきり区分けいたしまして実行いたしたいと考えております。
#74
○野溝勝君 お考えの点はよくわかりましたが、確かに総裁の言われるとおり、日本の公社債市場も非常に弱いのでございます。これを育成するといってみたところで、なかなかそう簡単に育成のできるものじゃない。結局、産業界の金融ということになれば、そうするよりやむを得ないというような処置をとったというのですが、その点も今度明らかにして、オーバー・ローンをなるべく防いでいく、こういう御意見。
 私は、日東化学にしても、丸善石油の問題にしても、単なる資本家とか経営者が倒れたということではない。それが労働者にも影響してくるのでございますから、これはやはり資本家とか経営者の問題だけじゃない。また、経営者が倒れればいいやというような考えを持っておるならば、とれまた労働者もおかしい。ですから、やはりそういう点は私どもも非常に心配をしておるのです。特にこうしたことは、一つのオーバー・ローン、オーバー・ボローイング、こういう点に問題があると思う。今後こういうことが、単に丸善とか、日東化学だけでなく、現われてくる心配がある。こういう傾向にあるのが、私の調査で知った範囲にも三、四あるわけですね。ですから、私はその点を当局並びに総裁のほうにもひとつ御留意願いたい。
 きょう、お聞きしておきたいことが多いのですが、次に私がお伺いしておきたいことは国際収支との関係ですが、これは大蔵大臣が来たときにお伺いいたしますけれども、送金の制限廃止の問題やユーロダラーの問題ですね。大体、短期資金の形であったやつを、送金を自由にすれば、それが長期的になるというのですけれども、私はそんな簡単なものじゃないと思うのですがね。昨日図書館へ行って、一日かかって欧州の金融状態を私なりに検討してみたが、なかなかそんなものじゃないのですな、われわれしろうとから見ても。ですから、特に国際収支の状態は、自由化の中では国の経済状態のバロメーターになる。国民生活の安定にピンと響いてくる。
 国民生活の安定の問題だが、俗に政府は景気というが、景気という言葉はあまり適当ではないと思うのです。私は国民生活の安定ということにねらいを置かなければならぬと思う。あの景気という言葉を使っちゃいかぬと思う。あれは景気がよくなったって、労働者のほうは鼻くそほどしか回ってこない。ですから、国民生活の安定のためには、何としても貿易の好転といいますか、成果をあげること、次には物価を安定せしむること、それからいま一つは生産力を拡充することです。私個人なりでの考えとしては。今の経済評論家はそう書いてないですが、私はそう考えておる。
 そこで、最近の国際収支を見ると、経常収支も赤字だ。特に一番大事な貿易収支の点について赤字ということで、今後の動向が心配されます。国際収支、ドル準備について楽観する向きも多いが、私はなかなかそう楽観できる状態でないと思う。特に総裁も常に御心配をされておるように、今次日米綿製品交渉で見るように、わが国輸出の主柱の一つである綿製品でさえも、ああいう不当な扱いを受けるんです。私は想像して余りあるものがあると思うんです。ですから、一人の憂国の志士として私は質問している。私が特に総裁をお招きしたのも、政府のほうからだと腹からのことも言えないようなこともあるので、あなたならば、腹全部を打ち明けるわけじゃないかもしれないが、相当の御意見を出されると思うので、お答え願っている。
 そこで、国際収支ですが、三十八年の一月が八千六百万ドルの赤字、三十八年の二月が九千五百万ドルの赤字です。こういう状態なんですね。これには資本収支で、ユーロダラーの流入とか外銀への支払い等があるが、これでは先々が思いやられる。こういう情勢の中で、政府はさらにああいう手を打ったんですから、これは一応日本の国際収支並びに金融、産業全般に対して少しくエネルギーを入れようという考えでやられたと思うんです。私は悪いとは申しませんが、あまりいいとも申されぬ。ほかに何か打つべき手はないかと、私はこう思っている。ほかに打つべき手というのは、一応この際思い切って、計画経済と言ってはまた言い過ぎるかしれませんが、私は過剰の設備に対して、まだ何とかそれをゆるめるような印象を与えるということは非常に危険だと思うのでございます。こういう点では、ただ、その特殊な業種が貿易上におけるところの収入といいますか、そういう情勢の見通しも立たないうちに、去年やったからことしまたその継続の設備はやらなければならぬというようなことだけやられては、非常に不安が伴うと思うのでございます。こういう点をひとつ含んで、お答を願いたいと思うのです。
#75
○参考人(山際正道君) ただいまお尋ねのございました国際収支の問題は、私どもが最も留意いたして運営をいたしておる問題でございます。お話のように、最近短期資金がだいぶ入ってきております。どの程度この短期資金を当てにしていいかという点につきましては、私どもはもうこの限度においてはやや警戒的に考えております。多々ますます弁ずといっていい性質のものとは思っておりません。もうこの辺で、あるいは短期資金に関しては金利を引き上げるなり、あるいは他の準備率を設けるなりいたしまして、必ずしもこうずるずるいつまでも短期資金が膨大になってくるという情勢は、消極的措置をとったほうがよくはないかということで、実は考えており、現にその一部はすでに実行済みでございます。これがどんどん参りますと、御指摘の点もございましたが、国際収支全体の内容を、あまり健全でないものをも健全化して見誤るような危険を生ずるおそれもあると思いますので、私どもといたしましては、いわゆる国際短期資金は大体この限度でまずいいのではないかというふうに考えておりまして、多々ますます弁ずるような考え方はとらないほうがよろしいと思っております。
 ところで、全体といたしまして、国民生活の安定、ただいま御指摘のございましたとおり、日本の国情から申しまして、貿易の増大、物価の安定、生産の増強等の要素につながりまして初めて実現し得るものでありますことは、私ども最も同感でございまして、これらの点に注意深くいつも注意を払っておるのでございます。それにつきまして、貿易の状況がこのところ経常収支において逆調を示しておるではないかという御指摘がございましたが、まさにそれはそうなっております。ただ、この点につきましては、その内容が、今ちょうど日本といたしましては輸入期でございますので、輸入期という季節的な変化が相当あるように思いまするので、全体としてはまだ経常収支の基調的な逆調が始まったというふうには考えておりません。いま少しく時の経過を待ちまして、この情勢も判断いたしたいと考えております。
 それから、なお、過剰設備の相当大量のものがあるにかかわらず、さらに新たに設備投資を増進するようなことはどうだろうかというふうなお話でございましたが、これも私どもは実は同様に考えております。ただ、これは業種によって違っておりまするから、一がいにそうは申せませんけれども、相当多数の業種につきまして過剰設備が現にあるということは、これまたもう事実として認めなければならぬし、かつ、それがあるがゆえに、俗にいういわゆる景気の上昇というものについても、そう私はV字型に立ち直っていくとは実は考えておりません。そのほか未稼働資産の増大等による資産コストの増大といようなものが企業の利潤を圧迫している現象も否定できないと思いますので、この際において、それらの要素を無視して、さらに設備投資を増進するような方法がいいとは必ずしも一がいには言い切れぬと考えております。これは業種ごとに非常に事情が違いますから、適時にそれらのものを加減いたしまして、しかし根本において生産を増強し、なるべく多くのものを貿易によって海外に輸出することによって、しかして国民生活が向上安定をするということが最も望ましい形でありまするから、それらを考えながら大きな目的を失わないようにして調節を加えて参りたいという心がまえでやっております。
#76
○野溝勝君 そこで、貿易の問題などについては、これをもっとよくするかどうするか、あるいはよくしようとするにはどうするのか、対米一辺倒でいいのか、こういうことについてはまた別の機会に総理などにお伺いするとして、もう一点お伺いしておきたいことはコールなどについてです。金融の問題として嘆かわしいことは、コールの問題です。どうも金融界はコールかせぎの度が過ぎておることですね。これは邪道だと思うのですね。金融の正常化から見るとこんな……。表面はそんなことはないというが、中小企業などは、やはり資金が回ってこないために、より一そう苦しむのです。情ないことには、農業協同組合、特にはなはだしいのは信用金庫で、市民から集められた金がどうもコールへ向かって奉仕をしている。これを何とか防いで正常化に持っていかなければならない。何か、銀行局長、当局は考えておられるのですか、これをひとつ聞いておきたい。
#77
○政府委員(大月高君) 現在のコール市場の状況におきましては、大体におきまして都市銀行が主たる取り手になっておりまして、お話のございました相互銀行、信用金庫もそれから投資信託、そういうようなところが出し手になっておるというのが実情でございます。それで、相互銀行、信用金庫から出しておりますコールの量は相当多いわけでございますが、それでは、これが中小企業金融に振り向けられるべきものがコールに行っておるかということになりますと、われわれはやはり預貸率の指導を実施いたしておりまして、中小企業金融には相当のものが向いておる。そういたしますと、相互銀行、信用金庫の資産の内容といたしまして、預金の支払い準備が要るわけでございまして、この支払い準備として、たとえば有価証券を持つ、あるいはコールに出す、こういうことをやっておるわけでございます。そういう意味で、支払い準備の中の構成がコールに偏しておる、こういうことだろうと思います。
 そういう形がはたしていいかどうかということでございますが、やはり本来の姿といたしましては、先ほどお話がございましたように、さらに有価証券の保有がふえる、そうしてコールの量はもう少し減りまして、有価証券に振りかわっていく、こういうほうがいい方法であろうと思っております。で、そういう方向に現実に指導もいたしておりますが、それが自然にそういう形になりますためには、やはりコール・レートが下がってくる。有価証券を保有するほうがコールに出すよりも有利である、ほんとうの意味の短期の余裕資金だけがコールに出ていく、こういう格好になるのが一番望ましいのではないか。そういう意味で、コール市場の対策も日本銀行といろいろ御相談いたしておりますし、相互銀行、信用金庫の指導もそういう方向で実施いたしておるわけでございます。
#78
○野溝勝君 指導はいいのですがね、なかなか水は低きに流れる、金利は高きに流れるで、実際はそうはいかないのですね。あなたのほうが指導をしておりましても、粉飾預金というのが盛んで、あなたたちのほうから監督に来るときにはそれでごまかす、こういうのが多いのですね。ですから、そういう点は、今あなたのお話のとおり、ただ金利のうんと高いほうに流れていくというような考え方、コールに動くという考え方は、これは金融機関としては間違っておるのでございますから、それを有価証券なりその他国の債券なりの方面へ回して、有効な投資をするという一つの誘導的な方向に向けるように、この上ともひとつ御注意を願いたい。きょうはこまかいいろいろの例をあげようと思ったが、皆さんの御答弁がなかなかまじめな御答弁でございますので、この点は後日にいたします。
 次に、両建・歩積みというやつを何とかできないものかと思うのです。これが一番産業界を毒しておるのじゃないか。銀行というものはおかしいんだな。預金をすれば預金をしたで、今度はその預金の金を一般預金金利でやり、金を借りるときになると、預金をしてあるから預金にしてあるやつを一応相殺してもらいたいというと、それは相ならぬ。そうしてはなはだしきに至ると、一〇%も取る。これはひどいと思うのです。こんなことは世界じゅうにないのでございますが、これはどういうものでしょうな。歩積みというのは何とか改まらぬものですかな。
#79
○政府委員(大月高君) 歩積み・両建の問題は、ここ数年来非常にやかましい問題でございまして、われわれといたしましても、検査、監督を通じまして極力その是正に努めておるわけでございますが、力及びませんで、なかなかその悪弊が根絶しがたい実情でございます。
 ただ、歩積み・両建と申しましても、やはり一般にいわれておるものの中で二つに区別しなくてはいけないのではないかと考えるわけでございまして、一般の取引の慣行によって認められておるものと、その慣行を越えまして、しかも債務者の意思に反して拘束をしておる歩積み・両建というようなもの、これは根絶しなくてはならない、こういうことだと思います。それでは、その慣行によって是認してもいいというものはどういうものかという問題につきましては、これはなかなか率直に申しましてむずかしい問題でございまして、ただいま金融界においても、この自粛措置な徹底したいということでございますし、われわれといたしましても、これはぜひ根絶したいということでございます。そういたしますと、その一般に認められております慣行はどの辺までかという、まず基準を作るととが大事だということで、関係の方面と目下具体的にその基準を作成する努力をいたしております。近くその基準もできますれば、一般に公表いたしまして、これを越えたものはよくないのだから、それは絶対にやらないように、この辺のところはやむを得ないもので正常な取引であるということをはっきりいたしまして、取り締まりを進めて参りたいと考えております。
#80
○野溝勝君 これは重大な問題で、実質金利の引き上げみたいなもので、私は先般銀行局長が来ましたときに申し上げましたが、高利貸しがばっこするのはとういうところにあるのですよ。高利貸しは取り締まってもらいたいとか言っても、自分たちが高利貸しみたいなことをやっている。三〇%から四〇%というのはざらですよ、私が調べたのでは。こんなことをしていれば、中小企業はどうにもこうにも立っていけない。ですから、今局長の御答弁で決意のほどを示されたのですが、これは政務次官もおられますから、私はこれ一つだけ思い切ってやっても、大月局長の功績歴然たるものがあると思う。これ一つだけでも、そうしてごらんなさい。中小企業の金融ということを幾ら言ってみたって、これでもってみんな取られてしまって、手も足も出ない。がんじがらめです。これを徹底的にやって下さい。今、近いうちにやる、こう言っておりますから、ひとつその答弁を信頼して、私は次に移ります。
 そこで、最後になるのでございますが、大体こういう歩積みなどを強くやらせるのは同族会社系に多いね、同族会社傾向のものに。同じ金融機関だって、同族会社傾向のものが、大体庶民庶民というけれども、信用金庫なども同族会社的なものはいかぬな。こういうものは陰に回ってちょこちょこやって、歩積みを取って庶民をいじめている。だから、全部とは言いませんけれども、同族会社的傾向にあるものは非常によくないと私は思うのです。
 そこで、この銀行の問題については後日にいたしますが、これは具体的な問題で、静岡県の相互銀行の問題ですが、静岡県の相互銀行の問題は金融新聞にもほかの新聞にも出ておりますし、さらに日銀が、取引関係の銀行ということである関係かどうか知りませんが、調査に乗り込んだということも聞いておるのでございますが、内容は大体一般に発表されておる程度なんでございますか。
#81
○政府委員(大月高君) ただいまのお話の件がどの問題であるか、私にははっきりわかりません。
#82
○野溝勝君 そんなことはない。新聞に出ている程度の問題であるかどうかということなんですよ。
#83
○政府委員(大月高君) 新聞を残念ながら私拝見いたしておりませんので、具体的に概略お話し願えれば、お答え申し上げます。
#84
○野溝勝君 そういうことは、大月君、白ばくれてはいけません。そんなことは、金融機関の衝にある者が知らぬというのはいかぬよ。僕の前でとぼけてはいかぬ、すなおに言えばいい。私はあなた方には好意的な質問をしている。こういうことは私はイデオロギーで質問しているのではない。ですから、そういう点はすなおに、そんなことはいかにも知らぬということではなくて、知っていたって、それはどうしようもできないことなんだ。だから、私はそれを責めようというんではないのですから、そんなことはちゅうちょ逡巡することなく、慎重にかまえなくてもいいことだ。同じ金融機関で乗っ取り策があるとか、あるいはそれが失敗したとかということはわかっている。まだそれがわからぬというんなら言いますが、これは御承知のように、中部相互銀行の会長でありまする石川博資氏が、丸善前社長の所有している静岡相互銀行の株三百十万株を引き受け、その結果として、石川氏は静岡相互銀行の株式の過半数を占めることになった。結局、これを中部相互銀行が乗っ取り、これを支配しようという動きになるのじゃないかということで、一時そこの経営者の諸君も従業員組合の諸君も心配して、これは独禁法違反の疑いがあるというようなことで、それで公取に申し入れた、これは後日取り下げられているが。あらましこういう事件で、この間のてんまつを聞きたい、こういうことだ。
#85
○政府委員(大月高君) 具体的なお名前が出ましたので、承知いたしておりますから、お答え申し上げます。
 静岡相互銀行の大株主は、従来丸善石油の和田さんその他関係の方の所有でございましたが、事情があってこれを手放すということで、お話にございましたように、石川博資氏が社長をやっておられると思いますが、帝産オートという会社に譲られたわけであります。そういう形で、現在の静岡相互の大株主は帝産オートの系統の会社になっているというのが実態でございます。そういうことから、従来の社長が退陣されまして、従来の副社長が社長になってやっておられる。そういうことでございまして、乗っ取りというような問題ではなしに、大株主の異動であるというようにわれわれは考えております。
 その後労働組合のほうといたしましては、静岡相互の株主の異動がほかのところに比べまして相当ひんぱんなものでございますので、自分たちは一生懸命に静岡相互のために働いているのだが、経営が安定しない。そういうわけで、その株の相当の部分を組合のほうに譲ってほしいという希望がございますが、なおそのほか、少なくとも経営陣の安定を期してほしいという強い要望がございまして、それが多分お耳に入ったのだろうと思うわけですが、問題は、そういうような特殊な事情がございまして、大株主が変動し、その結果経営陣の一部に人事の異動があった、そういう事件でございます。
#86
○野溝勝君 私は、あるいは本委員会におきましても、中小企業の金融機関として、相互銀行が非常に努力をされていることはよくわかっている、大体において。先般委員会におきまして、数年前のことですが、九州災害を視察したときに、あそこの住民が相互銀行の融資に対して非常に感謝していた。そういう点で私は相互銀行に対しては理解を持っておったわけであります。以来、相互銀行のいい点につきましては、私どもはいつでもこれを賞賛してきておりました。特に相互銀行におきましても、最近日本銀行の取扱店をしている。これは当然なことでございます。昔の普通銀行と今の相互銀行は違うと言ってみたところで、大衆の融資並びに支持がありさえすれば、それは発展すべきことは当然なんでございます。そういう関係で、いいところはいいとほめるのでございますが、悪い点までもかばうということはできないし、やはり間違っている点は改めてもらうというのが政治なんでございます。
 そこで、静岡相互などもやはり、石川君が、中部相互が過半を持っている、そういうような動きがこういう結果をもたらすのでございます。私は、同族的の金融機関というものには非常に危険がある。特に同族金融機関として一番多いのは信用金庫です。こういう点、私はこれ以上言いません。幸いに静岡相互問題は局長の言われたようにおさまりそうでございますが、しかし金融機関が誤解を起こしたり、問題を起こすようなことは、監督官庁としては十分ひとつ注意を願いたいと思うのです。
 それから、総裁にお伺いいたしますけれども、日銀が調査に行ったというのはどういうことで調査に行かれたか、これだけお伺いしておきたい。
#87
○参考人(山際正道君) 日本銀行が取引を開始している銀行には、必要に応じて随時調査をするという契約を結んでおります。その契約に基づきまして、ただいま御指摘のとおり、銀行関係の記事が新聞等に現われましたので、一体どういう事情であるか、またそれがどういうふうな影響々及ぼしておるかということを一応承知いたす必要もございますので、調査に人をつかわしましたのでございまして、それは実情の調査と申しますか、事情聴取と申しますか、その範囲をまだ出ておりません。
#88
○野溝勝君 この問題はいずれ、もうしばらくして、またお聞きする機会もあると思いますから、これで打ち切ることにしますが、今のような御注意の点はお願いしたいと思います。
 それから、昔は昼夜銀行というのがございまして、夜、営業をしたんですが、今、夜間営業をしているというのは平和相互ですが、あれだけどうしてそんな特殊な営業をしているのですか。営業は自由かもしれませんけれども、あれ一つだけぽつんと夜間営業をするというのはおかしい。金融の正常化についても私は関係があると思う。そういう点は、権力でどうのこうのというより、指導ということを私は考えなければいかぬものがあるように思われる。特に夜間営業というから、金を貸してくれるかと思って行くと、預金だけ取り扱うのだ。これはおかしいので、ちょっと白ばくれた所業ですね。こういうことは大衆を愚弄するものだと思う。そんなものは行政措置で何とか考えるようにさしたらいいと思う。権力でどうという意味ではないのですが、こういう金融機関の中にもそういう声がございますよ。特に労働問題がいろいろ出ておる際でございます。特に商店なども、夜間営業はなるべく何時までにやめるというようなことになっておる。そうすれば、営業をやって悪いというわけじゃないのですけれども、そういう誤解がたくさんありますから、この点、ひとつ局長から聞いておきたいと思います。
#89
○政府委員(大月高君) 銀行の営業時間につきましては、銀行法に規則がございまして、「銀行ノ営業時間ハ午前九時ヨリ午後三時三十分迄トス但シ土曜日二限リ之ヲ午前十二時迄短縮スルコトヲ得」ということでございますので、客の利便がございまして、勝手に休んではいけないという精神のもとに、必ずそこまでは店を開いておけということがあります。ただ、それではそれ以上の営業をやっちゃいけないかという問題につきましては、「前項ノ営業時間ハ営業ノ都合ニ依リ之ヲ伸長スルコトヲ妨ゲズ」ということでございまして、お客へのサービスの意味で営業時間を延ばしまして夜間営業をやるということはかまわないという建前でございます。ただ、お話がございましたように、労働問題もあり、それから客の少ないのにいたずらに電気をつけて人を残しておるという経費上のむだもございまして、大体の銀行はきちんと三時三十分でやめておる。平和相互、それからたぶん都民銀行も一時そういうことをやっておったか、あるいは今やっておるか、と思いますが、特殊な銀行が客へのサービスの意味で店を開いておるところがございます。ただ、今お話がございましたように、金を貸す建前になっておって、預金だけしか取らないというようなことは、これはもちろん自由でございますけれども、その開いております趣旨につきましては、やはり客へのサービスということを中心にして考えるべきものでございますので、どういうことになっておりますか、一度調査してみたいと思います。その他、銀行によりましては、ナイト・デポジットという、夜でも預金ができる、人のいない預金受けを作って客へのサービスをやっておるという例もあるわけでございます。
#90
○委員長(佐野廣君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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