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1962/03/29 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第23号
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1962/03/29 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第23号

#1
第043回国会 大蔵委員会 第23号
昭和三十八年三月二十九日(金曜日)
   午前十一時二十八分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 三月二十九日
  辞任      補欠選任
   森部 隆輔君  川野 三暁君
   草葉 隆圓君  丸茂 重貞君
   平井 太郎君  後藤 義隆君
   田中 茂穂君  松野 孝一君
   小酒井義男君  永岡 光治君
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐野  廣君
   理事
           柴田  栄君
           西川甚五郎君
           柴谷  要君
           渋谷 邦彦君
           永末 英一君
   委員
           太田 正孝君
           川野 三暁君
           後藤 義隆君
           高橋  衛君
           津島 壽一君
           西田 信一君
           林屋亀次郎君
           堀  末治君
           松野 孝一君
           丸茂 重貞君
           佐野 芳雄君
           戸叶  武君
           永岡 光治君
           野々山一三君
           大竹平八郎君
           鈴木 市藏君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣 田中 角榮君
  政府委員
   大蔵政務次官  池田 清志君
   大蔵省主税局長 村山 達雄君
   大蔵省理財局長 稻益  繁君
   大蔵省銀行局長 大月  高君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       坂入長太郎君
  説明員
   国税庁次長   泉 美之松君
    ―――――――――――――
   本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 小酒井義男君が辞任、その補欠として永岡光治君が選任せられました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐野廣君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#4
○渋谷邦彦君 まず最初にお伺いしたいことは、先般も大ざっぱに予算委員会で大蔵大臣に質問いたしたのでありますが、本日は当局のこまかい部分にわたっての御回答をいただきたいためにあえて質問をいたすわけでありますが、まず基本的な問題といたしまして、わが国の今日の税制というものはまことに複雑怪奇である。本来、納税者の側から申しましても、納得のいく税金というものが納められてこそ、納税の本来の精神があるのではないかと、かように考えられます。しかるに、まことにその内容は複雑怪奇をきわめ、大蔵大臣の答弁にも、専門家ですらも時によっては現在のわが国の税法が難解である、自分自身もわからない点もたくさんあるというような、まことに遺憾きわまりない回答があったわけでありますが、それではまるで何も知らない国民は理解がないままに、だまされてといえば極論かもしれませんけれども、税金を納めさせられている。なかんずく、今日の所得税は決して軽いといわれてはおりませんし、そうした点についても、やはり理解もできる、また納得のいくそうしたあり方によって税金というものが納められることが本来の理想ではないか、かように考えるわけでありますが、当局として今申し上げました日本の税制についてどのような見解をお持ちになっていらっしゃるのか、そしてまた今後において今申し上げた内容を通じてどのように改善をしていかなければならないのかという点を、できるだけ具体的にこまかく御回答いただきたいと思います。
#5
○政府委員(池田清志君) 御指摘のように、税法が多岐多様でありますることは事実でございます。政府といたしましては、年々歳々その整備改善を期しておるのでございますが、各税法についての沿革等もありまして、現状といたしましては御指摘のとおりになっておると思います。もっとも、専門的な問題でございますから、以下専門の担当しておりまする政府委員からお答えさせます。
#6
○政府委員(村山達雄君) 御指摘のように、日本の税法は必ずしも簡明だとは申しがたいと思います。ただ、その内容、その複雑さという場合に、二つの問題を分けて考えなければならぬと思っておりますが、一つは、内容がこまかくなっているという問題と、それから法文の形あるいは形式的な体系がむずかしくなっておる、この二つの問題があるわけでございます。
 内容の問題につきましては、これはだんだんやはり社会経済が日進月歩をして参りますと、そこで課税の公平とかいろんな問題がございますので、それらの納税者側の要望を入れて規定して参りますと、漸次やはり、どちらかと申しますと、規定すべき内容の事柄は多くなると思います。ですから、そういう意味で、これを簡明にするということはなかなかむずかしいことであろうかと思うわけでございます。
 ただ、それにいたしましても、税の形式的体系、あるいは全体の章の配列の問題、あるいは文章の書き方の問題、こういった点にもっと腐心すべき点があるのではないかということで検討しているわけでございます。実は、この問題は昭和三十五年から検討をずっと続けて参っております。昨年は、その形式的体系に関しまして一つの大きな改正を加えたわけでございます。すなわち、各税に共通する部分を、国税通則法としてこれをカッコにくくりまして、各税に共通する事柄はすべてこれに書いてしまうということ、それからあと徴収問題は国税徴収法で一本にまとめております。結局、各税の実体法だけを各税で書いておる、こういうふうに形式的な体系につきましては、昨年の改正で御審議を得た国税通則法によってやや形を整えたかと思うわけでございます。
 今問題になっておりますのは、今度は各税の中で非常にわかりにくい、内容が複雑になるのはやむを得ないにしても、できるだけわかりやすくする配慮が必要だということでございまして、政府の税制調査会の中に税法整備小委員会というものを設けまして、そこで鋭意検討しているわけでございます。そこの委員会で検討されました事項を中間的に申し上げますと、
 第一に、編別、章別について相当考慮したらどうかという点が第一点。
 それから、第二点としましては、今の書き方等で見てみますと、一つの事項を規定するときに、ある事項についてはそれを法律に全部書き切ってしまう、他の事項ではその点が政令に譲られあるいは省令に譲られる、こういう点があるから、すべての事項を通じて、いかなる事項を法律に規定し、いかなるものを政令に規定し、あるいは省令に規定するか、それから通達にはどの辺まで譲るか、
 〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
 こういうひとつ根拠法についての配分の基準を立てたらどんなものであろうか、この点が指摘されております。
 それから、もう一つ第三点といたしましては、一つの条文であまり長いものがある、こういうものは適宜やはり短くしてはどうであろうか、こういう点も言われております。それから、表現の問題としまして、特にわかりにくいのは、盛んに準用の条文を至るところに使っている。さらに準用のまた準用をやっている。これでは非常にわかりにくい。この点は特に注意すべきではなかろうか。それから、カッコの使い方が非常に問題だ。しかも、二重カッコが至るところに出てくる。法律の件名を引くときに、何々法として他の法律を引きまして、そこへ法律番号を入れる。ここでカッコが入るのはやむを得ないにしても、それ以外の部分について盛んに二重カッコを使っているが、こういうことは原則として廃止すべきではないか。それからなお、表現の問題として、ただし書きがいろいろのところに出てきますが、ただし書きのときに、ただしこれこれの場合はこの限りではない、こういうような表現が盛んに用いられているが、この限りではないというような表現は非常にあいまいであるから、この点も注意したらどうか。
 それから、内容の複雑さと形式と両方の問題がございますが、まあこれは法制局と検討しなくちゃならぬが、場合によっては、計算が主でございますので、計算をする場合に事項でずっと書くと同時に、算式を導入することができないかどうか、法律の中にいろいろな税額なり課税標準なりの計算に関する算式を入れられるかどうか、これをひとつ検討しようじゃないか。それからさらに、これに関連する条文があったときに、参照条文というものをあげることができるかどうか。税は、御案内のように、各条文ほとんど、極端に申しますと、一つの建築物みたいなものでございまして、すべてが結び合っているわけでございますが、ある事項を規定したときに、すぐ関連してどうしても必要な事項の条文があるわけでございますが、その条文の参照条文として、すぐそこの条文のあとに参照条文を掲げるという配慮はどんなものであろう。もしこういう形ができますと、日本の法律の形としては新しい型を導入することになりますが、税法は非常にむずかしいから、そういう配慮も必要ではなかろうか、こういう点が検討されております。
 それから、特にむずかしいといわれるのは、所得税、法人税の問題、特に課税標準に関する問題、あるいは所得の発生時期に関するいろいろな問題がございます。これらを通観いたしまして、その中で所得税と法人税はおのずから規定の内容が違うということもございますが、よく考えてみて、統一できるものがありはしないか。もしそれを統一できるということになれば、その限りにおいて簡単になってくるであろう。
 こういう点が大体今までの審議の過程では指摘されているところでございます。政府といたしましては、この税法整備小委員会の結論はおそらくことしの夏ぐらいまでには一応の結論が出るのじゃないかと思いますので、できるだけ早い機会に、できれば来国会ぐらいに、最もむずかしいといわれる所得税、法人税の全文改正を、以上のような角度から提案したらどうかというふうに考えているわけでございます。おっしゃるように、日本の税法は非常にむずかしいわけでございまして、おそらくアメリカの税法に次いでむずかしい税法ではないかと思っておりますが、先ほど申しましたように、内容の点は合理化を進めて参りますと、だんだん事柄がこまかくなりますが、せめてできるだけ納税者の方々に理解していただくという意味で、今言ったような点を心がけてみたい、かように考えておるわけであります。
#7
○渋谷邦彦君 ただいまの御回答によれば、相当委員会等の意見もしんしゃくしながら検討を加えていらっしゃると、こういう様子でございますが、今御質問申し上げましたように、また今の御回答のように、できるだけ早い機会に全面的にそうした方向、いわゆる簡略化された、国民大衆が喜んで納得のいく、そうした税制改正に持っていくと、それに踏み切ると、このように解釈してよろしゅうございますか。
#8
○政府委員(村山達雄君) さようでございます。
#9
○渋谷邦彦君 次に申し上げたいことは、きょうは国税庁関係の方がいらっしゃっておりませんのでどうかと思いますが、徴税の方法について御回答いただけますか。
#10
○政府委員(村山達雄君) 私で答弁できる限りやります。
#11
○理事(柴田栄君) 国税庁の所得税課長が見えております。
#12
○渋谷邦彦君 私の質問で答えて下さる面でけっこうだと思いますから…。私自身も特に中小企業の方々なんかに苦情を訴えられることがあるのです。御承知かと思いますが、日本の大半の中小企業に従事されていらっしゃる方々は、精密な帳簿を用意して、そうして収支決算を明らかにしているという習慣がついておれば、あるいはこうした問題も避けられると思いますが、何せ非常に専門的な内容等が多うございますので、したがって、仕事の多忙にも追われながら、ついどんぶり勘定になってしまうと。そうしているうちに期末が参りますと、納税をしなければならない。ところが、せっかく一生懸命働いたけれども、出た利益というものはきわめて少額である。しかし、税務署のほうではそうしたことを見ないというような傾向がしばしばありまして、青色申告やなんかの制度もございますけれども、借金までして税金を払わなければならない。あるいは営々としてせっかく築いてきた営業が、税金を納めることによって、あるいは何らの相談もなく、とかく税務署に行くということ自体が、何かきわめて恐怖感を持つような、警察に次いで、そういう国民感情があるのじゃないかと思うのですよ。常におそらく方針としては愛される税務署なんという標語のもとにそういう事務もやっておられると思いますけれども、やはり末端のそういう実際に仕事を扱う係官と納税者の関係を見ました場合に、とかくトラブルが生じやすい。だれのために一体働いているのか、何のために利益をあげるのか、そういう点で非常に苦しんでいるような方々が多いということを聞きますし、また事実私はそういう人たちの話を見聞しております。いろいろ指導教育等についても心を配っていらっしゃるであろうと思いますが、こうした徴税事務、しかもこの徴税事務も、聞くところによりますと、いろいろ繁雑な面もあるやに聞いておりますが、これをやはり簡略化される問題であるとか、あるいはそういうようなトラブルを避けて、ほんとうにむしろ懇切丁寧に指導し、またその期間に払えない場合には払えないような適切な処置をとってできるだけその業務を助けていく、こういうやはり方向というものは一番望ましい姿ではないか。こうした隘路、欠点について、当局として将来におけるその方向をどのようにお考えになっていらっしゃるか。また、実際にそういう欠点があった場合にはどのような指導監督を行なっていらっしゃるか、こうした点についてお伺いしたいと思います。
#13
○政府委員(村山達雄君) ただいま御指摘の点も、税法が非常にむずかしいということと関連しつつ、同時に、税務執行をやっております税務機関の態度の問題でございます。この点につきましては、実は国税庁発足以来非常に意を用いておりまして、私の知っておる降りでも、大きく打った手といたしましては。大体三つぐらいあるかと思うのでございます。
 一つは、それ以前では税のいろいろな解釈に関するいわゆる通達、これは部外秘とされておったわけでございますが、昭和二十四年国税庁発足と同時に、全部解釈通達を天下に公表するという措置をとって、今日まで各税について行政官庁の解釈をそのつど公表しておるわけでございます。
 それから、第二点といたしましては、納税者の方々がいろいろ御相談なさりたい場合がありますので、二つの機関を設けた。一つは、いわゆる協議団制度というものを設けまして、具体的に争いになった場合にはその協議団制度によって解決していく。ここでは税務官庁と納税者の立場を両方一緒に見まして、第三者的立場でものを解決していくという基本的な構成になっておりますし、またそれにふさわしい人たちをそこに配置してあるわけでございます。のみならず、今度は正式な争いにならなくても、あとでいろいろな苦情があるわけでございます。また、事前に相談したいことがあるわけでございます。で、その苦情の処理につきましては、苦情処理機関というものを設けまして、これはいつでもその納税者の御相談に応ずる。かりにたとえば更正決定を受けまして、その再調査の請求期間、これは実は一カ月以内にすることになっておりますが、その期間を経過いたしまして、実際問題として自分は手続を知らなかったのだ、実はこうであるというようなことがございましたら、これはもう苦情処理機関のほうに申し入れていただいて、そこで御相談願う、こういうシステムをとっておるわけでございます。
 それから、第三には、先ほど御指摘のように、一つの原因は納税者側の記帳がはっきりしない、ここに由来しておるわけでございまして、おそらく、日本の税務行政のうち最も困難な問題は、やはり全般的に先進国に比べますと民度がまだそこまで行っていないと申しますか、あるいは企業規模が小さいというせいも原因しておるかもしれませんが、帳簿システムが発達していないというところにあるわけでございます。この点につきましては、昭和二十五年からいわゆる青色申告制度というものを設けまして、それでいろいろな記帳の方法あるいはモデル的な帳簿、これは国税庁のほうでも作りまして公表すると同時に、業界から、われわれの業界としてはこういうものを用いたいという御要望がございますと、それを見て、それでけっこうですとかなんとかいう相談に乗って、漸次納税者の方々の記帳の意欲、あるいは記帳の実際の知識を普及していくというやり方をとっておるわけでございます。今日、営業でございますと、大体六割近くまでは個人では青色申告になってきた、法人につきましても、実際活動しておる法人のほとんど一〇〇%近くまでは青色申告になってきたというような点は、これはやはりこの制度がもたらした一つのあれだろうと思っておりますが、しかし、まだまだこの青色申告者、白色申告者を通じまして、法人個人を通じて、全体がまだ民度が低いという点、あるいは規模が零細であるということ、それから人手が足りないというような問題、いろいろな点からいたしまして、帳簿については十分でないと思います。単にこれらの制度だけではなくて、税務署あるいは国税局そのものがいつでも納税者のよき相談相手になる、こういう立場を堅持しているわけでございます。
 ただ、なかなか、先ほども話にありましたように、役所のほうではそう思っても、納税者の方のほうからは近づきにくいという問題がありまして、いかにしてその敷居を低くするかという点についても、国税庁は毎年その点についての改善、工夫を加えておるという現状でございます。ただ、何分にも事柄がむずかしいのと、個人の利害関係に関する問題でありますので、一挙に理想どおりにいくということは参りませんが、一歩々々そういう努力を積み重ねることによりまして、今後も漸次改善を加えて参りたい。かなりしんぼう強い努力の要る仕事かと、かように思っているわけでございます。
#14
○渋谷邦彦君 次にお伺いしたいことは、税金の種類というものはたくさんあるわけですが、先般ある人の相談を受けたことがあるのですが、この人は先祖伝来と申しましょうか、父親の代から土地を持っておりまして、それが父親がなくなったことによって遺産を相続したというような形になるわけですが、本人はそういう税金のあることを知らなかったとみえまして、そうしてその土地に家を建てた。ところが、生計が苦しいものですから、それをカタに入れて借金をした、そういういきさつがあったようであります。ところが、間もなくその税金を納めろ、こういう通知が参りました。本人としてはがく然としたわけです。こうした点を考えてみますと、今もお話にございましたように、PRと申しますか、実際に納めるほうが安心して、税金にはこういう種類があるのだということの啓蒙と申しますか、こうした点がはなはだ欠けているきらいがあるのではないか。確かに税務署の役所の前あたりに行くと、掲示板等にはそれらしきポスターなどが張られていることを見かけることがございますけれども、それじゃなかなか周知徹底を欠くきらいがあるのではないか。やはり何らかの方法をもって、あるいは日刊紙等を通じるなり、あるいはテレビ、ラジオ等を通じるなりして、できるだけ簡明に理解を与えていくような、そういう啓蒙といいますか、教育といいましょうか、ということが非常に大事である、かように考えているのですが、当局としてはそういう点についてどういうような方法を用意されているか、また今後においてどういう方向でもってそうした面の是正をはかっていかれるかという点について、お伺いしたいと思います。
 〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
#15
○説明員(泉美之松君) お話のとおり、納税者の方は、どういう経済行動をとった場合にいかなる税金がどの程度かかるかということについて、必ずしも十分な認識を持っていない場合が多いわけでございます。そこで、あとになりまして、確定申告の時期になりまして、そんな税金がかかることは知らなかったというようなことで、このときになってあわてるというような事例が多いわけでございます。私どもといたしましては、平素から、たとえば土地収用が行なわれます場合でございますれば収用機関のほうを通じまして、そういう場合には税金はどうなるということをお知らせするように、またお話のように、日刊紙あるいはラジオ、テレビ等を通じまして広報に努めておるわけでございますが、何分にも対象者が大ぜいでございますので、必ずしも十分に周知徹底ができておりませんことははなはだ遺憾に存じておりまして、今後ともそういう努力を続けて参りたいと思っております。
 当面、三十八年度といたしましては、従来からそういう努力を続けておりますのをさらに努力いたしますほかに、特に月三回税の相談日というのを設けまして、あらかじめ納税者の方がどういうことをしようとすればどういうふうな税金がどういうふうになるかということを匿名で相談に来れるようにということで、これは実はもう通達を出しておるのでございますが、五月から毎月五の日に、五の日が、休日とか祭日に当たりますればその翌日になるわけでございますが、署の係長以上の幹部が在庁いたしておりまして、そういう相談に来られた方にていねいに親切にお教えするという態勢をとるようにいたしまして、納税者の方が、自分がある特定の行動をとったために思いがけない税金を払わなければならぬというような事態が起きないように、あらかじめそういうことをなさる場合に御相談に応じたい、そういうときの税金がどういうふうになるかということをお知らせするという態勢を整えるようにいたしておるわけです。
#16
○渋谷邦彦君 今のお話でございますと、実際にはおやりになっていらっしゃる、こういうお話のようでございますが、私といたしましては、まだまだ不十分であるということを申し上げたいのでございまして、国民の一人一人に至るまで周知徹底をはかるように努力していただきたい、かように御要望申し上げておく次第でございます。
 次に申し上げたいことは、所得税の問題でありますが、戦前、すなわち昭和九年から十一年ごろまでの国民一人当たりの税負担率というのは一二%でございます。現在はたしか二二・二%だと記憶しております。しかも、戦前の場合には約七〇%が軍備の費用に用いられていろ。今日ではいわゆる防衛庁関係の費用を見ましても、きわめて少ないわけであります。二割もあるかどうかという内容でありまして、その差がきわめて開き過ぎているわけでございます。こうした点考えてみますと、じゃ、戦前の生活と今日の生活というものとは、もちろん社会的な変化、経済的な推移によっていろいろと早急に結論を下すことは無理かと思いますが、ただ、実感として、戦前のほうが暮らしよかったのではあるまいか、こういう感じがいたします。そうしてみると、少なくとも、戦前においてはそれだけの少ない税負担でもって、しかもどうやら生活ができた。今日ではそれが非常に負担になって、いろいろな面で税金が重い、税金が重いというような声がささやかれているわけでございますが、こうした比較の上に立って、専門的な点より当局として、現在の所得税というものが重いということを今申し上げたわけでありますが、どのような考えを持っていらっしゃるんでしょうか。そうして、そうした所得税に対して、また当局は当局なりの考え方をいかように考えていらっしゃるか、こうした点について伺っておきたいと思います。
#17
○政府委員(村山達雄君) 御指摘のとおり、負担率、これは国税、地方税を含めての国民所得に対する負担率を見てみますと、昭和九年−十一年の平均は一二・九%、三十八年度では二丁五%程度でございまして、この間相当の負担増の形が出ているわけでございます、ただ。戦前のこの九年−十一年と申しますのが、御案内のように、公債収入で約四割くらいまかなっておった。今日ほとんどそのことはない。ここの違いが大きくありますのと、それから何と申しましても、一人当たりの実質的な所得水準が相当上回っていろということがございます。それから、歳出の内容を見てみましても、なるほど軍備のほうに要する経費は非常に少なくなっておりますが、御案内のように、公共投資、社会保障、文教とか、こういう戦後のいわば新しい時代の要請によりまして国が支出しなければならない歳出が非常にふえております。そういったことから、大体見ますと、この一二・九%と二一・五%というものの実際の負担感というものは、この数字のとおりではないということは御了承いただけるかと思うわけでございますが、こういう時代の進歩とともにこの負担率がこういう形になってくると、この国民一人当たりがふえ、また所得水準がふえる、それから国の財政に負託された使命がだんだん大きくなるということになりますと、だんだん数字が上がって参るという点は、これはおそらく世界共通の問題でございまして、各国とも同じような傾向が見られるわけでございます。
 日本の負担率現在の二一・五という数字が、はたして外国に比べてどんなものであるかということを見る場合に、率どおりには参りませんが、たとえば最近のところを見てみますと、アメリカでは約二八%、それから英国では三二%、ドイツも三二%、フランスは三〇%、イタリーは二五%ぐらいの調子になっています。これらの国も負担率は漸次上がって参っております。ただ、日本の二一・五というのは、これらから見ますと数字は低いですが、内容的に見てそれなら各国よりもよほど軽いのかといえば、これはまたそうは言えないのだということは当然考えられるのでありまして、国民所得の高さが違うわけでございます。そういう意味で、われわれはどっちかと申せば、総体的にはなお日本のほうが、これらの国より特に中小のところで重いのではなかろうか、こう考えておりまして、この経済の進展とともにこの負担の合理化を極力はかって参りたい、こういう考えで進んでおるわけでございます。
#18
○渋谷邦彦君 問題を次に移したいと思いますが、これは今までもしばしば論争の焦点になっておった問題でありますが、今回の減税案につきましては、利子、あるいは配当課税、そのほうを優先したといういささつがあるわけです。ところが、一種類五十万円以下という基準を考えてみました場合に、わが国において五十万円のそうした預貯金を持っている人がはたして一体何%あるかということになれば、これはもう大体の想像がつくわけでありますが、そうしますと、平たくいえば、一部金持に非常に利益を与える、一般のそういうぎりぎりの生活をしているような中小の所得者に対しては何ら恩恵を与えられていない、こういう感じを受けるわけであります。こうした一つの行き方というものは、自民党の税制調査会でございますか、ここで大体練られた案を大蔵省においてはそのままうのみにされたと申しますか、それを採用されて、そうしていわゆる政策減税に踏み切られた、こういういきさつがあったのではないかと思うのでございますが、今も回答があった中に、中小のところはやはり重いというお答えであったように思いますが、そうした点を考えてみますと、これはゆゆしき大問題である。したがいまして、三十八年度の減税案等も今ちらほら新聞等を通じて示されておるようでございますけれども、ここにおいて大きな所得税に対する減税案というものを考慮すべきではないか、また考慮してしかるべきではないか、かように考えております。当局の専門的な分野に立っての見解を伺っておきたいと思います。
#19
○政府委員(村山達雄君) 御指摘のように、今度は利子、配当につきまして一種の特別措置を提案いたしているわけでございます。これは政府の税制調査会では、御案内のように、主として所得税の減税、それから法人税の減税を中心に考えておったわけでございますが、利子、配当につきまして最近の経済情勢から何らかの手を打つ必要がある、しかし同時に、課税の公平をできるだけ阻害しないような方策を講じつつやる必要があるというところで、今度の提案になったわけでございます。
 で、案にありますように、利子につきましては、一面におきまして現在の分離課税の一〇%の税率を五%にすると同時に、従来の国民貯蓄組合、この制度を廃止いたしまして、少額預金の制度にいたしたわけでございます。で、これで増減収を見てみますと、実は預金の利子関係では、一方におきまして国民貯蓄組合から少額貯蓄組合への移行によって新たに六十一億程度の増収が生ずるわけでございます。しかし、今度は他方において、一〇%を五%に下げることによりまして八十九億程度の減収が生ずる。差引平年度において二十八億程度の減収になる。三十八年度の初年度はそのうち二十五億くらいの減収になる、こういうことでございます。
 それで、内容的に見てみますと、むしろどちらかと申しますと、現状に比べれば大所得者よりは小所得者のほうが若干有利になるということでございます。と申しますのは、今まで国民貯蓄組合の乱用が高額所得者にはなはだしかったということだろうと思うわけでございますが、総体的に見ますと、そういう答えが大体推計できるわけでございます。ただ、現在の分離五%という税率このものには将来問題を残しているというふうに考えておりますが、現状から見てどうか、現状と改正後で所得階級別にどうかということになれば、やはり課税の公平という問題でもやや前進しているということは言えるかと思うわけでございます。
 配当につきましては、これは利子とのバランスの問題でございます。御案内のように、配当に対する税率というのは、これは源泉徴収、前取りの税率でございまして、最終負担の税率ではございません。利子について五%にするときに配当についてそれ以上にするという理由はないと思います。ただ、税務執行上の限界等がございまして、ある程度の減収は生じておりますが、これはむしろ減税というよりは事実上の減収が出て参る、こういう性質のものだと思います。
 これと同時に、しかし、この利子、配当の改正によりまして、初年度減税額は約百億でございますが、減収額は二百億程度出て参るという計算になりまして、その関係で所得税につきまして若干ことしはその減税の規模を縮めざるを得なかったという点は事実でございます。しかし、これらのいわゆる一般減税と政策減税を通じまして、その比率は一般減税が初年度におきまして六七%、平年一度において六五%でございます。ですから、答申、政府の税調案よりはやや政策減税、一般減税の比率は、一般減税が後退しておりますが、この案全体を通観いたしますと、なお一般減税を中心にやっているということは数字的に申し上げられると思います。
 われわれが特に強調申し上げたいのは、この利子課税の問題につきまして、従来いわば国民貯蓄組合の制度がありましたために、これがだれの罪というわけではございませんが、その制度そのものがあるために、いわば乱用を自然に誘発してきた。その乱用をだれがやっているかということは納税者以外には知りようがないわけでございまして、金融機関もわからず、税務署もわからない、そういう制度であるために、納税者の方々はややもすると誘惑に陥ってこれを乱用された。これが今度の制度で根本的に改まるという点を高く実は評価しているわけでございます。そうすることによりまして、税務署も無用の源泉監査をする必要もなくなりますし、それから銀行のほうも仕事を能率的に進めることができる。源泉監査等をいたしますと、初めは源泉徴収の監査にとどまっておったものが、その監査をしておりますと、実は利子の問題ではなくて、その元本が課税されていないという問題さえ誘発いたしまして、非常に税務上トラブルが多かったわけであります。銀行側から申しますと、単に手数がかかるだけでなくて、預金の機密性が侵される、こういう苦情もあったわけであります。こういう点は一にかかってこれは制度の問題だと、こう思いまして、それでこういうトラブルのもととなる制度を今度は廃止いたしまして、はっきりしたものとしたい、かように考えているわけでございます。
#20
○渋谷邦彦君 きょうのところは時間もありませんので、この程度にしておきたいと思うのですが、最後に一点、政務次官に一つだけお伺いしておきたいと思います。
 国民の嗜好として、酒、たばこというものが広範囲にわたって愛用されているわけであります。この酒、たばこの税金がばかにならないほど高い。これはもう実際そうであります。しかし、われわれはその中に税金が含まれているなんということの計算を一々考えたことはありませんけれども、この税金を差っ引きますと――差っ引くといいましょうか、軽減いたしますというと、現在の価格よりも相当安いものが手に入って、国民生活を一そう豊かにしていくということが考えられるのじゃあるまいかという問題でございます。こうした点について、将来、この酒あるいはたばこ等の減税でございますが、用意する考えがおありかどうかを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#21
○政府委員(池田清志君) 酒類にいたしましても、たばこにいたしましても、その生産者と販売者と、これを消費する側と、そしてまた国家の立場、すなわち税金をちょうだいする国家の立場、その三つのものがからみ合って現在の価格が織り出されておるわけです。でありまするから、一般消費者にしてみれば、安くて内容のいいものがよろしいですし、生産者、販売者にしてみれば、その収益がふえるようにしたほうがよろしいんだし、国の立場といたしましてもある程度の税金を確保したい、こういうような気持があるわけで、この三者の利益というものが必ずしも一致しない立場にあることは、もう説明するまでもございません。
 ところで、その税が国の一般歳入の大きな柱になっておりまするところから、直ちにもって減じますということも言いかねるのでございますが、幸いにいたしまして、酒類につきましては国税庁、そしてまたたばこにつきましては専売公社、そういうところで将来におきまして合理的な価格を生み出そうという努力をいたしまして、現在調査研究いたしておるところでございます。
#22
○渋谷邦彦君 きょうのところはこれで終わります。
#23
○委員長(佐野廣君) 午前はこの程度とし、午後一時再開いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十二分開会
#24
○委員長(佐野廣君) 委員会を再開いたします。
 午前に引き続いて、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、質疑を続行いたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言願います。
#25
○鈴木市藏君 大臣がおられないのを非常に残念に思います。この租税三法に関する基本的な考え方について質問をしたいと思いますが、政務次官おられますから、ひとつかわってお答え願いたいと思うのです。
 まず、私が第一に質問したい点は、今の財政的なあるいは金融的な情勢の変化に伴う新しい準備を整えている今日、当然次に来るものは税率の根本的な変化というか、それはもう必至の方向ではないかというふうに考えておるわけなんです。したがって、その必至と思われる税制の改革、どういう基本的な構想を持っておられるか、御説明願いたいと思うのです。
#26
○政府委員(池田清志君) ただいまの御指摘は、現在の税制が多岐多様にわたっておることを御指摘いただいたものだと思います。今日のこの実情は、従来やって参っておりまする沿革等もありまして、この実情になっておると思うのでありますが、政府といたしましては、税制調査会等に毎年々々諮問をいたしまして、税制の改良整備に努力をいたしておるわけです。なお、今後におきましても、その努力を続けて参りたいと思います。なお、専門的なことでございまするから、専門の政府委員からお答えをいたします。
#27
○政府委員(村山達雄君) 今政務次官がお答えになったとおりでございまして、現在の税制調査会に対しまして内閣総理大臣の名前で諮問が出ております。その諮問の内容は、今後の日本の安定的経済成長に即応した中央地方を通ずる税制の体系はどうしたらいいかと、こういう諮問が出ております。鋭意、この観点で現在なお検討中でございます。任期は大体来年度一ぱい程度でございますので、そのころまでには大体この答申が出ると、かように存じます。
#28
○鈴木市藏君 税制調査会に諮問を発していると言いますけれども、つまり基本的な構想についてまさか白紙で調査を依頼しておるわけじゃないのだから、当然そこに政府の基本的な構想があってしかるべきだと思います。特に最近における経済情勢の変化はきわめて著しいものがあるし、税の面における改革はほとんど必至であると考えられておるので、ただ今の税制が多岐多様にわたるというような形式的な問題だけにとどまらず、かなり根本的な変化を目ざして改革が行なわれるんじゃないかというふうに考えられておるので、そういうことについての基本的な構想があったら、いささか具体的にわたるかもしれませんけれども、次の三つの点についてひとつお答え願いたい。
 一つは所得税、間接税、地方税を含、むつまり大減税を中心にして一体組むのか、それともさらに大衆収奪を税の面で強めるような方向において組むのか。もし所得税、間接税、地方税を中心とするところの減税の方向、基本構想を大減税の方向に進めるとするならば、具体的にどのようなことが考えられておるのか、これをひとつお答え願いたいと思います。
#29
○政府委員(池田清志君) 減税をするということは政府の従来とって参っておる方針でございまして、過去におきましてすでに一兆二、三千億円の減税をいたしておりまするし、ただいま御審議中のこの国会におきましても、減税のことをお願い申し上げております。したがいまして、われわれ政府といたしましては、なるべく税を少なくするようにという方向で整理をいたしておるものと御理解いただきます。
#30
○鈴木市藏君 主税局長、どうです。その具体的な構想を少し……。
#31
○政府委員(村山達雄君) 諮問の内容は先ほど言ったとおりでございますが……。
#32
○鈴木市藏君 内容じゃない。
#33
○政府委員(村山達雄君) そこで、問題点としてどんな点があるかということは、政府のほうから参考資料に出しておりまして、それがスケジュールに組まれながら、現に審議を進めておるという段階でございます。今申し上げました減税の問題につきましては、日本の負担率というものが一体どうであるかという問題として取り上げておるわけでございます。その場合に、直接税、間接税の配分の問題、それから地方税と国税の税源配分の問題、これは財政問題もからみますが、そういう問題として全般的にいっております。それから、所得税につきましては、なお外国に比べて特に中小のあたりが重いように思われるが、この点はもしそうであるとすれば、どの点について改正を加えるべきであるか。それから、企業課税の問題といたしましては、現在の法人税の税率は諸国に比べると一応実効税率の面では軽いという答えが出ておるが、その実際の担税力に比べてはたしてそうであるかどうかという、こういう問題。あるいは配当課税の問題といたしまして、主として現在受け取り株主側で調整しておる。この二重課税の排除の方法を、やや支払い段階で、支払い法人側で調整する方向に動かすことについてどう考えるか。その場合に、現在と同じように配当軽課の方法によるか、あるいは配当をある程度益金不算入という制度を導入するか、こういう問題。あるいは地方税におきましても、たとえば事業税、固定資産税の地位をどう考えるか、あるいは事業税の中に売り上げ基準あるいは付加価値基準を入れることについてはどう考えるか。それから、直間の問題と関連する問題でございますが、もし直接税が重くて減税するということになるとすると、ラテン諸国と同じように・具体的には売り上げ税の導入というような方法によらないと不可能と思われるが、その売り上げ税の導入という問題はどんなものであろうか、こういう問題。それから、基本的に、本来その経済の動きとか成長と税制というものはどういう関係に立つのか、将来の景気変動の調整という観点からどのような考慮が加えらるべきであるか、こういういろいろな経済政策と税制との関係、こういった事項を、これはまあごく大きな問題のうちの一部を申し上げたわけでございますが、そういう問題意識を出しながら、逐次検討して参りたい。
 それから、同時に、もう一つ忘れましたが、租税特別措置のあり方というものは今後どのように検討すべき問題であるか、並びに具体的な問題。個々の租税特別措置についていかなる改善を加えていくか、このうち基本税制の中に織り込むべきものがあるかないか、こういう問題が出ております。
#34
○鈴木市藏君 二十五日の予算委員会の第二分科会で、うちの須藤議員の質問に対して、あなたが、所得の月収二万円の場合は間接税の負担が幾らになるかということから、月収十万円に至るまでの負担率を説明しておりますね。この負担率の説明によって明らかなように、月収二万円以下の間接税の負担率ですね、低額所得者の。この点について、この間の分科会でも明らかにしておりませんでしたが、一体主税局はどのくらいにこれを見積もっているのですか。
#35
○政府委員(村山達雄君) この前持っていた資料は、月俸でいっているわけですが、今手元にありますのは、これは年所得でございます。同じものを別に調理したものと思いますが、この前たしか三十万円までの階級のところを、七・六八、それから言ったと思います。十万から三十万の……
#36
○鈴木市藏君 それはあなたが答えたのでわかっているのです。低額所得者の二万円以下の……。
#37
○政府委員(村山達雄君) 二万円以下というのは、月俸で申し上げましたが、今ここでは年俸で出ておりますから。資料は同じデータから作ったのですが、一番下の階級では、年間所得十万円ですから、大体十五で割っていただければいいのです。三カ月賞与ですから。これで言いますと、十万円ということは六千円というあたりでございましょう。これは一七・六%。それから、十万円から二十万円まで、これも十五で割っていただければよろしいわけですが、その辺で一〇・九八というあたり。それから、ついでに申しますと、三十万円までが七・六八、四十万円までが六・二四、五十万円までが五・四二、七十万円までが四・七三、百万までが三・九四ですね。百万円超が三であります。ただ、データの関係で一番下と一番上のランクにはかなり誤差率があり得るだろう、こういう統計処理上の問題があります。誤差率はあり得るだろうということを申し上げておきます。
#38
○鈴木市藏君 まあ今のあなたの説明でも、間接税は低額所得者に至るほど負担率が増大するわけですね。ですから、減税を行なう場合に、一番中心になって意を用いなければならないのは、そういう層に対する配慮だと思うのです。今あなたのおっしゃった税制調査会に政府が諮問している中に、この低額所得者に対する間接税の大幅な引き下げということを具体的な諮問事項にしているかどうか、お答え願いたいと思います。
#39
○政府委員(村山達雄君) 先ほども申しましたように、諮問事項全体としては、個々の税目ではございません。大きな項目としまして、将来の安定的な成長に即する税制改善、今はこういう問題でございますが、間接税はもちろんその中に入っているわけでございます。
#40
○鈴木市藏君 大蔵大臣は、十分検討すべき問題であるというお答えをしておられます。税が、間接税の形で、下にいけばいくほどやっぱり負担が増大していくということは、これは許されないことだと思う。したがって、今言ったように、年十万円の所得者が実に間接税一七・六%を負担させられる、上にいけばいくほどその負担率が少なくなっていくという、こういう下にべらぼうに厚く、上にいくに従って少なくなっていくというこう体系は、当然改めなければならないと考えるわけです。ですから、一体、大蔵大臣も十分に検討すべき問題であると答えておる観点から見ても、大蔵当局として、税制調査会に諮問されるまでもなく、これについてはっきりとそのような検討を加えて、しかるべき措置をとるように指導をするという、責任ある言明はこの際できませんか。
#41
○政府委員(村山達雄君) まあ非常にむずかしい問題でございまして、間接税が逆進的になるということは、まず間接税の性質上通例あり得ることでございます。ただ、間接税の税目によって、その間接税の逆進の度合いが非常に違うことは御案内のとおりでございます。日本のような間接税体系をとっている国では、おそらくラテン諸国よりはまだ逆進性がおそらく低いであろうというふうに考えるわけであります。その点が、一方において直間の比率を考えるときに、どう考えるかという考慮要素の一つでございます。それから、同時に、また納税者に与える苦痛感からいいますと、直接税のほうが通常強いといわれております。ということは、間接税は、それは課税物品の選択の仕方にもよりますが、生活必需品を選択いたしますと、これはまさに、何と申しますか、その逆進性は半ば強制的に来るわけでございます。たとえば日本の物品税のようなかなり高級な課税物品を選択いたしますと、これはその苦痛の度合いは非常に少ない。それから同時に、高級の物品をとっておりますので、同じ間接税が逆進的であるといいながら、物品税はほぼ比例的になる、こういうこともございます。
 まあそういう点を考えまして、これは世界各国の直間の割合、あるいは個々の内容をどうするかという問題を検討しているわけでございまして、間接税が逆進的であるから、これは改めなければならぬということには直ちにはならない。全体の租税体系として、その負担をどういうふうに配分するのが最も合理的であるかという観点から検討さるべきものである。もちろん、逆進的であるという事実、それから個々の税目にわたってその程度、それから個々の税の内容、それがどこから出てきているかという問題については、配意を怠ってはならないと考えております。
#42
○鈴木市藏君 そこで、間接税の一つとしての入場税の問題、これはかなり須藤議員が長きにわたって政府に要求し、追及してきた問題ですが、昨今における情勢の変化を考えて、入場税の撤廃に踏み切る意思があるかどうか、この点をお伺いします。
#43
○政府委員(村山達雄君) これも調査会で検討すべきあれでございますが、今われわれの時点でいいますと、去年実は一割、二割、三割という税率を一挙に一割まで持って、いったことは、御案内のとおりでございます。で、間接税の減税につきましては、去年実は大掃除をした直後の段階でございます。この時点に立ちまして、ほかの税とのバランスを見て、この入場税を今直ちに撤廃すべきであるという結論に到達しておるというところではございません。今後のやはり検討問題であろうと、こういうふうに考えております。
#44
○鈴木市藏君 次に問題を移して、基礎控除、あるいは扶養控除、専従者控除といったような控除というものがございます。特に私はまあ基礎控除ですね、基礎控除とは一体何かというこの概念を、この際ひとつ主税局長に明らかにしてもらいたいと思うのですよ。で、私どもの考えでは、この基礎控除というのは労働力の再生産に必要な経費、そういうふうに考えているが、あなたはどういう考えですか。
#45
○政府委員(村山達雄君) これは課税最低限の全般に関する問題、そのうちの基礎控除の問題でございますが、基礎控除によりますと、所得者本人について幾ら控除するという税制を組み立てることが、その時点において合理的であるかという問題であろうと思います。で、われわれ、さしずめまあ見ておりますのは、最低生計費とは申し上げませんが、かなり切り詰めた生計、質素な生計でございますが、そういう生計費にできるだけ、それが課税標準となって、結果としてそこから税を払うというようなことがない、その限度を所得者本人についてどの程度に定めることが妥当か、こういうものとして計算しているわけでございます。
#46
○鈴木市藏君 その最低生計費とは言わないけれども云々といった、その基準は一体何を根拠に持ち出したものですか。
#47
○政府委員(村山達雄君) 現在のやり方はこういうやり方だと思っております。それぞれの家族構成を見まして、そこでまず食料費計算を理論計算するわけでございます。所要カロリーが大体性別、年令別に分かれております。それにつきまして、現在の消費者物価を基準にすると、一定の献立を前提にいたしますが、比較的まあ栄養はあるけれども、ぜいたくではない献立を考えまして、これで食料費としてはそれでまかなえる。あとは実際の家計調査から得られましたエンゲル係数等でもって逆算しております。で、まあこういうふうにいたしまして出しますと、かなり切り詰めた生活であるが栄養には事を欠かないというあたりの生計費が、まあ結果的に得られるわけでございます。それをまあ毎年考えている。同時に、また一方、その食料費の内容におきましても、やはり日進月歩、内容が向上していることは当然でございます。その辺を見合いながら、専門家の意見を徴しながら、どんな献立表を作るかということで食料費の内容にも漸次改訂を加えておる、そういう立場で作っております。
#48
○鈴木市藏君 この租税三法が大蔵委員会に上程されたときに、たしかあなただったと思いますね、説明の中にエンゲル係数を引き、さらにこのマーケット・バスケット方式によって云々というようなことを言われたと思うのですね。あなたでしたね。で、私たちはその根本になるマーケット・バスケット方式とそれからエンゲル係数を、どういうふうに概念として今とらまえているかという、その主税局の見解を聞きたいのです。マーケット・バスケット方式というのは一体、どういう位置を占めるのか、どういうものとして理解しているか、お答え願いたいと思うのです。
#49
○政府委員(村山達雄君) あるいは設明の仕方が悪かったのかもしれませんが、これはそのほうの専門家に、所要カロリーが出ておりますので、献立を作っていただくわけです。大体この献立ならやっていける、栄養には事欠かないという献立が出て参ります。そのために、その所要材料、費用を、そのときの消費者物価ではじいて参るわけでございます。光熱費であるとかその他のものは、すべてエンゲル係数によって表わされるわけでございますが、そのエンゲル係数のとらえ方は、実際の家計調査から得られました年令別あるいは世帯構成別の実際のエンゲル係数をとっているわけでございます。もちろん、エンゲル係数は、消費生活の水準が向上するに従って毎年逐次下がりつつあります。したがいまして、下がりつつあるエンゲル係数を使いますので、消費はもちろん食料費は上がるのみならず、生活費もエンゲル係数が下がっているだけ、それ以上に上がって参る。今の基準生計費としては、それ以上に上がって参る、こういう答えになるわけでございます。
#50
○鈴木市藏君 あなたのこの前の説明によれば、マーケット・バスケット方式によってとられた一応の、つまりカロリー計算をもととして最低生活を営み得る限度をはじき出して、それを基礎に云々ということを言われたと思うのだけれども、今でもあれですか、マーケット・バスケット方式によるところの献立方式というものは、これからも採用し、今後もやっていく考え方ですか。
#51
○政府委員(村山達雄君) 現在のところでは、その方法が最もいい方法だと思っております。
#52
○鈴木市藏君 それは私が先ほど聞いた基礎控除の概念を確定する上からいっても、マーケット・バスケット方式を今でも最もいいものと考えているという考え方に根本的に反対ですよ。なぜかといえば、マーケット・バスケット方式というのは、これはあなた、賃金論の一変種として日本で生まれたものであって、結局、理論生計費と実態生計費の二つのいずれをとるかという場合に、その変種として生まれたものであるということは、これは現在の日本の賃金論をやっていろ人たちはみんなそう言っているわけですが、一体マーケット・バスケット方式をなぜ今日に至るまでも方式として正しいと言っているか、その理論的な根拠を、また実際的な根拠を、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#53
○政府委員(村山達雄君) これは実は昭和三十二年には、課税最低限のやり方についていろいろなやり方をとったわけでございます。私はこの方法が一番いいと言っているのは、そのうち一番いい、こう言っているわけでございます。そのうちの一つのやり方は、一体貯蓄の発生する段階はどこであるか、こういうとらえ方をいたしまして、統計的に見まして、貯蓄は一体どこから発生してくるのだろうか。この人は生活の上で貯蓄している。こういうふうに見ますと、そこがその人にとって課税最低限だ、こういうとらえ方があるわけであります。実際生活費から見た課税最低限というもの、それでとりますというと、非常に低い金額になるわけであります。これはほんとうに節約する人、非常に個人差があるわけであります。われわれはそういうものをとりたくないということでございます。
 それから、もう一つのやり方といたしまして、食費というものがある程度限界線があるはずだ。所得が減るに従って食料費というものは減って参ります。しかし、ある限度まで来ますと、同じ世帯構成でも一直線を描く最低線があるわけでございます。そこがそうだというとり方もあります。これでとりますと、現在のわれわれがやっております課税最低限よりはるかに低下するわけで、これは少し無理ではなかろうかということでございます。
 そうかといって、実際の家計調査に現われた生計費をそのままとるということになりますと、これは税法の上で考える課税最低限とは、またこれに見合う金額としては適当でない。もちろん課税最低限は、もしできれば高ければ高きにこしたことはないと思いますが、その限界を求めるときに、その実際の生計費をとるということは適当でない。まあそれこれ考えますと、今われわれがとっておる方式のうちでマーケット・バスケット方式によるものがやはり最も常識的な答えが出るのではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#54
○鈴木市藏君 それで、まあかなりはっきりしたと思いますけれども、この課税最低限、つまりその限界をきめるべき、どこに求めるかというときに、最も常識的な立場でマーケット・バスケット方式が正しいということを大蔵省おとりになっているわけですね。主税局も。
 ところが、マーケット・バスケット方式が正しくないという問題ですが、これは古いんです。賃金論として一時とられた時期があったけれども、それももうすでに今日では古くなっている、日本ではもう。戦後の賃金論の中心になったものは、理論生計費と実態生計費、いずれでとるかという理論であった。ところが、実態生計費も理論生計費も、ある一定の段階に来たときに、むしろ何というか、双方で歩み寄った形でマーケット・バスケット方式でいこうということになったが、もうこれはすでに昭和二十六年ごろの段階であって、今日はもう労働運動の場合における賃金論としてさえも古い概念として、今はもうマーケット・バスケット方式を使っておらぬ。
 それで、なぜ一体これがマーケット・バスケット方式が古くなっているかというと、二つの点なんです。一つは、マーケット・バスケット方式の基礎になっているつまり低賃金がある。これを打破しようとして戦っていろ労働運動が、みずから低賃金の上に成り立っているマーケット・バスケット方式を理論的に支柱にするということは矛盾であるということが、実際の運動の中ではっきりしたということです。これが次第にベース賃金から最低賃金へ、さらに産業別最低賃金制へというふうに移行していく運動の過程が証明しているわけです。それから二つ目は、マーケット・バスケット方式には主婦の労働力というものは全然見込まれていないんです。つまり、かくかくのマーケットへ行って安いものを買ってくると、そして安い費用でまあ一応苦心をして献立を作ると、そういうものから成り立っているので、この主婦の家庭労働といったものはほとんど見込まれていない。安ければ、主婦は足を棒にしても安いものを買ってくるというようなもので献立が構成されているということで、もはやこれを採用するということは正しくないということになってきた。
 したがって、課税最低限をどこに求めるかという問題は、非常に大きな論争の中心になる問題だと思っているのです。われわれは、だから、この課税最低限を労働力の再生産に必要な経費――労働力の再生産といえば、私一人のことを言っているわけではないんです。次の代の労働力をも再生産しなければならない。そのようなものとして、そこに課税の最低限を置かなければ正しくないんじゃないかというふうに考えるわけです。これがなぜ日本でできないのか。できない理由、主税局長はどうお考えになっていますか。
#55
○政府委員(村山達雄君) 税の課税最低限を求める意味は、少なくともそこは課税標準に取り入れないという意味でございます。で、もとより税率は一〇〇%ではないわけでございまして、かりに取り入れられてもそこは全部取るわけじゃございません。そういう意味で、課税最低限というものをまずわれわれは考えておるわけでございます。その部分にはかからないという意味のものを作っているわけでございます。
 そこで、今おっしゃる点でございますが、やはり食生活でございますので、どこまで栄養をとることが必要なのかと、これがやっぱり根本問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味では、おのずからどういうカロリー計算が基礎になるか、そのカロリー計算をどの程度の献立、同じカロリーをとるにいたしましても、ずいぶんぜいたくな献立もございましょうし、それから質素な献立もあると思うわけでございます。それをある程度常識的に、税の課税最低限の持つ意味とにらみ合わせまして、ぜいたくではない、そうかといってカロリーを切るということのない底をとっておる。今おっしゃいましたわれわれエンゲル係数の問題でございますが、エンゲル係数は現実の家庭生活の中からとっているわけでございます。もちろん、エンゲル係数そのものが労賃によってきめられるという、労賃の高低によっておのずから違ってくるということはあり得ることでございましょう。ただ、税はあくまで現実の問題を取り扱っておるわけでございまして、現在の時点において、どの方向に幾ら進むかという、こういう実行問題を考えておりまして、将来あるべき、あるいは将来どういうことがあったら望ましいかという議論をしているわけではないわけでございます。
#56
○鈴木市藏君 だから、私は一審最初に、税制の根本的な改革を目ざして調査会に諮問をしている事項の中に、どういうことが入っているかということを聞いたのであり、当然これは何も今あなたとここで理論的な論争をしようと考えているのじゃないのですけれども、課税の最低限が、つまり常識としてマーケット・バスケット方式が今日正しいと言っておられる以上、それは正しくないのだという、そういうことについて、そうしてまた課税の最低限をどこに見出すべきかということについて、労働力の再生産に必要な経費がそうなんだよというようなことを、一度でも一体あなたたちが考えたことがあるかどうか、一度でもそこへ目を据えて問題を見つめたことがあるかどうかということを聞いているのです。考慮の余地はないというのか、そういうようなことはわれわれとしては全く考えたことがないというのか、その辺のところを聞いているのです。
#57
○政府委員(村山達雄君) つまり、同じことだろうと思うのでございます。所要カロリーということは労働に必要な、再生産に必要な所要カロリーを意味しておる。あとはエンゲル係数の問題でございます。エンゲル係数は時代によって変わりましょうとも、ただ、そのとき日本の現状を見ますと、毎年毎年上がっております。そのエンゲル係数をとって、そういう意味では労働力の再生産費はまかなわれておる、大づかみにいいますと、そういうふうに考えております。
#58
○鈴木市藏君 あなたが言った、つまりマーケット・バスケット方式より以上適切なる課税最低限をきめられるようなものがあるならば、それに移ってもよろしいとお考えなんですか。
#59
○政府委員(村山達雄君) もちろん、もっといい方法がありますれば、それによることにやぶさかではございません。
#60
○鈴木市藏君 それでは、だめ押しのようでたいへん申しわけないのですが、聞きますが、日本に真の意味の最低賃金制が実現していないということが、この課税最低限の問題について、いわゆる社会的な概念というものが確立していないということと深い関連があると考えますが、あなたは、より以上の正しい課税最低限のものが、一つは最低賃金制の真の確立であるというふうにお考えになったことはございましようか。
#61
○政府委員(村山達雄君) 賃金問題をどこにきめるかということと、それから税制上どこに課税最低限を求めるかという問題は、かりに賃金が最低賃金だといたしましても、別個の問題だと思います。
#62
○鈴木市藏君 それは、今私はここで最低賃金制の講義をするつもりはないのだけれども、主税局長ともあろうものがいささか困ったものだ。最低賃金制というのは、日本の国民生活についていうならば、ざるみたいなもので底がないわけです。だから、最低賃金制が確立されるということは、今ここでは額を言っておりません。それはひとりその労働者の賃金の最低限が法的に確立されるにとどまらず、国民生活全般について最低生活できる、つまりおけの底がしっかりとはまることになるわけだ。これが一番正しいんです。これがないから、そのときどきのあれによって、マーケット・バスケット方式といったような、そういうふうな、言うならば一つの便宜的な、あなたもさっき常識的と言ったが、そういうものにとっている。だから、社会的な概念というものを、課税最低限の概念を確立する場合には、真の最低賃金制の確立が最も必要なんだと。これが確立されることによって、労働力の再生産に必要な経費をはっきりし、これを非課税の最低限にするということが出てくると思うんです。おそらくあなたにはなかなか同意できない議論だと思いますけれども、これがないですよ、日本に。これがないために、私は、マーケット・バスケット方式云々といったような点が出てくるだろうと思う。それで、きわめて低い、生計費をまかなうに足りないような献立表で取りきめられて、それでエンゲル係数、今四〇ですか、四五ぐらいでしょうか、そういうものではじき出して、あとは課税の対象にするといったような形になってくるんだと思うんです。したがって、課税最低限をはっきりときしていくという意味からいっても、最低賃金制の確立が最も急務であり、必要である、われわれはそのように考えるわけです。時間の関係もありますので、これはその程度にして次に移ります。
 特に勤労者の給与所得に対する税金の負担というのは非常に過酷だと思うんですが、その中でも最も中心的な一つの方式として源泉課税方式というものがありますが、この源泉課税方式というのは、むしろ性格的には、私は、間接税的なものだ。これはもう自分たちが、要するに、何というか、名目賃金というもので、一度も自分の手に入れたことがなくて、もう全くそれは天引きされちゃって、日本では賃金の中に税込みとか税抜きという言葉があるくらいで、この源泉課税方式というのは、言うならば臨戦体制下の税法であったわけですが、日本の勤労者は新しい憲法のもとでも、いまだにこの失地回復に成功していないわけなんです。したがって、今後の税制改革の中でこの源泉課税方式というものを改める、あるいはこれを取りやめるつもりがあるかどうか。取りやめるつもりがないとすれば、なぜこれを固執するのか、その理由についてお聞きしたいと思います。
#63
○政府委員(村山達雄君) 給与所得の源泉課税の現行制度は合理的だと思っております。取りやめるという考えは持っておりません。これはもう御案内のように、今の税額表をごらんになってもわかるように、大体あるべき税額を税額表にしておって、最後に年末調整でやっているわけでございます。こういたしますと、われわれ自身の体験でもそうでございますが、一方において、納税者が納税の非常な手数を要する、あるいは納税資金をためにやならぬという苦痛がございます。一方、これは源泉徴収義務者のほうの側でいいますと、多少お手数をかけているわけでございますけれども、これは同時にまた、自分のところの従業員の納税について御助力願うおかげで、あとで従業員が納税にお困りになるということがないということでございます。苦痛感が非常に少ないということ、それから間違いのない税の徴収の仕方である、こういうことから申しまして、申告納税をとった場合に比べますと、その正確さ、あるいは公平さ、あるいは徴税費の高さ、苦痛感、こういう点から見まして、この点はやはり支持さるべきものと思っております。
 日本は昭和十五年以前はこの制度がなかったのでございますが、これになりましてから、非常な効果を上げておるということでございまして、外国等でもこれはいろいろな源泉徴収のやり方はございます。かなり技術的な問題でございますが、各国から来まして一番推賞する点は、日本の源泉課税の技術が進んでいるという点、この点はやはりかなり高く評価されているということでございます。
#64
○鈴木市藏君 その効果を上げている、非常に高い実績を示しているというのは、税収奪ということの裏返された言葉なんですよ。まことに税を収奪するにはうまいやり方かもしれませんけれども、労働者や勤労者にとっては、これほどつまり過酷な税収奪の方式はないと考えているわけです。名目賃金――自分の賃金というのは、一度たって自分のふところに入れたことはないのです。こういうようなやり方でやっていくところに、先ほど言った、課税最低限の問題をマーケット・バスケット方式でやり、今度は源泉課税でびしびし取り立てていくというふうなことで、まことに日本の税制は勤労者や労働者にとっては、これは苛酷なものになってきている。収奪のからくりの一つはここにあると考えるわけです。
 事実、見てごらんなさい。日本の勤労者の賃金なんて実に低いが、低い賃金の中で、やはり所得税は取られる、あるいは住民税を取られる。たくさんのデータが出ているのです。このデータの一つをここであげるいとまはありませんけれども、たとえば、十一年勤めているある独身者が一万九千五百十六円しか手取りがないのに、全体のあれがないのに、この中で取られる所得税は四百十円、住民税が三百五十円という。十一年も勤めている二十七才の独身者、これは裁判所に勤めている労働者ですけれども、こういうふうに取られている。例をあげれば切りがないほど取られていますが、この源泉課税方式というのは、諸外国の例をあなたあげましたけれども、アメリカにも、西ドイツにも、イギリスにも見られないほど徹底したところの、全く何というか、ざこ一尾逃がすことのないような、徹底した収奪の方式だというふうに私は考えているわけです。ですから、これを改める、源泉課税方式を改めるということを強く要求して、質問を次に移していきたいと思っているわけです。
 そこで、具体的にひとつ問題を出します。まあ今あなたが源泉課税方式というのは改める意思はないと言うけれども、少なくとも労働者や勤労者の、日曜、それから祭日の出勤、超過勤務、通勤費には税をかけるなというのが今圧倒的な声なんです。少なくともこれについてだけは減税をする考え方はありませんか。
#65
○政府委員(村山達雄君) 実はそういうふうに個別的にとらえませんで、その点は給与所得控除を幾らにするかというところで、実は税制上はその間のギャップを埋めることになっております。で、これはもう御案内のように、定額一万円、それから四十万まで二割八十万までが一割、最高が十二万円ということになっております。で、われわれの計算したところでは、給与所得者の、いわば通勤費その他職業上必要と思われる経費というのがどれくらいであろうか、こういう推計を持ったことがございますが、現在の給与所得控除額よりは下回っております。ですが今鈴木委員が御指摘のように、そこにははっきりつかまるという、何のごまかしもない。一〇〇%つかまるという事実、あるいは少し前納していただいているという金利の問題、こういう点もございます。そういった点からして、この給与の所得の控除額がやや高目ではあるが、これでややバランスがとれているのじゃなかろうか、こういうことでやっているわけでございます。
 で、給与所得の控除率を幾らにすべきかという点は、他の所得者との関係もございます。また、おっしゃるように、事実通勤費の値上がりとかいろいろございます。こういった点も見合わせながら、絶えず再検討して参らなければならないというふうには考えておりますが、今の超過勤務手当は、これは所得でないから課税しないとか、そういう考えはもとより持っておりません。給与所得上再検討するという角度で、この問題を検討して参りたいと思います。
#66
○鈴木市藏君 これは一つ西ドイツの例を見ますと、やはり西ドイツの場合は日曜出勤というのは税を取らないですね。日曜出勤の場合も、それから超過勤務については、超過勤務及び十二時までに至る深夜作業については二五%、十二時からの深夜業については五〇%、超過勤務については税をかけていないのですね。そこで、働けば働くほど税金で持っていかれるという今のやり方。だから、あなた毛頭考えておらぬとさっき言われたけれども、ずいぶん冷酷な言い方であると思うのですね。これは給与所得全般として考えるということであなたお逃げになったが、そうではなくて、こういう具体的な問題、日曜や祭日の出勤及び超過勤務の問題、こういうものについては、さっき通勤費の問題も出しましたが、こういう問題については税をかけてもらっては困る、課税の対象にしてもらっては困ると言っているのですから、これに、はっきりと、こういうような問題についてはこうなんだと、いわゆる給与所得の中で考えるというのではなくて、主税局のお考えをひとつここでしっかりとお話し願いたいと思います。
#67
○政府委員(村山達雄君) やはり税の体系といたしましては、所得のあるところには課税するというほうが税の仕組みとしては公平の体系になり得ると思っております。ただ、今御指摘のようなよ点がございまして、給与所得控除は一体現状でいいのか、あるいは事業所得とのバランスをもう少し考えるべきではないかという点がございますので、この点は絶えず検討して参らなければならぬと考えております。実は、今われわれが持っております考えで参りますと、昭和二十五年から今日までの所得種類別の所得者に対する納税者の比率をずっと見て参りますと、ほかのほうは非常に激減しているのに、給与のほうは、もちろん減ってはおります、当時は七〇%ぐらいでしたが今日五〇%ぐらいでありますが、ほかのほうの減り方に比べてこちらはそれは少ない。あるいは納税者の中で占める構成比で考えますと、当時よりも給与所得者の構成比は非常にふえている。これはもちろん単純に税制並びに税務執行の問題だけではなくて、だんだん賃金所得者がふえて参るという全般的の傾向はありますが、その点については十分税制並びに税務執行について再検討すべき段階ではなかろうかというようには実は感じておるわけでありまして、そういう意味で、もし改めるという必要がありますれば、これは改めるにやぶさかではありません。
 なお、通勤費については、御案内のとおりに、現在現物給付といたしまして、月七百五十円までの部分は、とりあえず税務執行上これは課税から除外しているという事実は、御承知のとおりでございます。
#68
○鈴木市藏君 もう一つ聞きます。今労働者、労働組合とかあるいは業者の団体などが要求しております、ともかく六十万円までは免税にしろと。これはかなり控え目な要求だと思いますがそういう要求を出しておりますが、これについて主税局としてはどういうお考えなんですか。これをやるつもりがあるかどうか。少なくとも来年度一ぱいに答申が示されると言っておる税制調査会に向かって、このような、少なくとも六十万円までの所得については免税をするといったような方向においての指導を行なうのかどうなのか、考え方を聞きたいと思います。
#69
○政府委員(村山達雄君) その六十万円という金額にこだわるわけではございませんが、課税最低限――全般的に申しまして、中小所得者の負担がなお重いと認められる今日、課税最低限をどこまで上げることができるか、どこまで上げても他の租税とのバランスをくずさないか、特に法人とのバランスの上でどこまでいけるか、こういう問題の一貫として検討を加えて参りたいと考えております。
#70
○鈴木市藏君 それから、次に、税に対するつまり団体交渉というものを認める意思があるかどうか。たとえば、税についてはほとんど今団体交渉を認めておらぬけれども、業者の団体あるいは労働組合その他の団体が、税について大蔵当局と、あるいは税務署と団体交渉するということについて、どのようにお考えになっておるか。そういうようなことはけしからぬと思っておるのか、それとも団体交渉は実情として認めるというお考えなのか、この点をひとつ聞きたい。
#71
○政府委員(村山達雄君) 税額を的確にきめますには、税の税額がきまるまでの諸要素がございます。売り上げがどうなっておるか、それから経費率がどうなっているか、それから個人的のいろいろの人的事情があります、こういうふうな点で税額がきまると思います。したがいまして、そういう経済の消長、そういうことについて業界の団体がデータを出し意見を述べることは、もとよりあり得ることだと思っております。ただ、個々の納税者の税金は、もとよりその人の税金でございます。おそらく個々の人の所得を知っておるということは、他人ではなかなかわからないだろうと思います。そういう意味で、やはり税は申告納税制度でございますので、本人が一人々々計算されてやられる。で、もし税務署側に間違いがあれば、それを直していくということが本筋であろうと思っております。
#72
○鈴木市藏君 最近こういう事実が一つあるわけです。ある地方へ行きましたところ、非常に税の査定が重くて、昨年に比べて倍もかかってくる、どういう理由なんだかということで、税務署に尋ねていったところが、ノーコメントで一切会ってくれない。たまりかねてある業者の団体に申し込んだところ、それでは行こうではないかということになって、その実情を聞きに行った。ところが、たまたま十人内外の人数であったために、それは団体交渉だからけしからぬということで、税務署長が会わなかった。しかし、個人ではなかなか、この莫大にかかってきた税金について、これを税務署長に一々面会して、その実情を言うなんということはできかねるといういろいろな諸事情があるわけなんです。そういうときに、当然納税者の利益を守るために作られているそうしたところの団体の何らかの形の交渉権というか、交渉の場というものを私は保障すべきであるというふうに考えていますが、この点いかがですか。
#73
○政府委員(村山達雄君) 先ほども申しましたように、所得税は各個人の所得の内容によってきまるわけでございます。したがいまして、本質的に納税者個人と、それからそれが税法に適合しているかどうかということを見ます税務署との間において、意見の交換がかわされるべきものと思っております。団体が、たまたま自分の参加しているところで、経済のデータを述べ合う、あるいは一般的な経済の消長等について意見を述べるということは、これはもちろんあり得ることだと思いますが、個々の人の、他人の税金を――これは甲の税金を乙がきめるというのと同じことでございまして、それが団体であろうが、他の個人であろうが、そこは言うような交渉権というようなものはあり得ない、かように考えております。
#74
○鈴木市藏君 税金は本人にかかるもんだということはわかりましたけれども、これはいいんですよ。つまり、あなたのおっしゃったことをだめ押しをするようですが、念のためもう一度聞いておきます。経済事情の変化、あるいはそういった同業者の所得の変化などについて、そういうことを説明する場合は、団体交渉というような、そういうしかめつらしいことでなくとも、数人数によって話し合いをする場というものは、これはあってないと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#75
○政府委員(村山達雄君) これはかなり具体的な問題だと思いますが、私が知っている限り、たとえば農協が、大体自分の地域できまっておりますので、そこの作柄について意見を述べる、それからそのデータをそろえていくとか、こういうことはもちろんでございます。そういうことは大いに助けになることだと思っておるわけでございまして、別にそれを拒否する理由がない。また、税務署の集めたデータとそれが違えば、違ったところが何かということの意見の交換ということは、当然あってしかるべきだと思います。しかし、それが交渉とかなんとか、まあ交渉というのはおそらく普通の常識語として言っているわけでございましょうが、議論のやりとりということはもちろんあり得ることでございましょう。しかし、最終的に責任を持っているのは本人だということでございます。
#76
○鈴木市藏君 次に、もう一つ聞きたいことがある。それは、消費者物価の値上がりは、働く者にとっては非常に生活の圧迫になるので、どうでしょうかね、ここは消費者物価の値上がり分というものだけを所得の中から控除するといったような、何らかのそういうつまりスライド制みたいなようなものは考慮されないものかどうか。考えられないものかどうか。そうしないと、結局、一部の減税をしても、総体的にはむしろやっぱり生活が一そう詰まってしまう、生活の苦しさは一そう増すといったような事実が起きてくるので、この消費者物価の値上がりを抑制するだけにとどまらず、税の上からそういった消費者物価の値上がり分だけを控除するといったような、そういうシステムといったようなことはお考えになったことはありませんか。
#77
○政府委員(村山達雄君) そういうことは考えたことはございません。ただ、その事実は、やはり先ほども申しましたような意味の課税最低限を定めるにあたっての基準生計費というものが上がってくるということになりましょうから、そういう要素としてとらえて、課税最低限をどこにするか、こういう一つの要素がございます。それからことし税制調査会でやっておりますのは、その角度もございますが、そうでなくて、消費者物価が値上がりいたしますと、もちろん所得がそれ以上に伸びれば、税引所得は、可処分所得はそれだけふえるわけでございます。しかし、それとは別に、あまりにも消費者物価が上がりますと、その値上がり前の実効税率に比べて値上がり後の実効税率がふえる。ここに着目して、それが極端な場合には、その意味の調整を要するのではなかろうか、こういうことで提案しておるわけでございます。おっしゃるような、消費者物価の値上がりがあるから、直ちに機械的にその分を所得から控除するということは、もとより考えておりません。
#78
○鈴木市藏君 次に問題を移します。あと少しで終わります。
 次に、租税特別措置、これが一定の勤労者あるいは中小商工業者に対する税と、一方における租税特別措置というものが持っている、非常にきわだった対象を示していると思うのですね。私たちは、租税特別措置というのは全く事実上の国庫の補助金ではないか、無利子の国庫融資ではないかというふうにさえ考えられているわけでありますが、特に三十八年度における租税特別措置による減税額というのは、ずっと前に言われておりますように、国税関係で約二千億円近くに上るだろう。地方税を合わせると、一体どのくらいになるだろうか。およそ地方税の分を合わせると三千億円程度に上るのではないかと考えておりまするが、この辺の数字について御説明願いたいと思います。
#79
○政府委員(村山達雄君) 租税特別措置による減収額、三十八年度予算ベースで、これは現在高でございますが、国税におきまして千九百九十八億、それから地方税がたしか千百四億だと覚えておりますが、したがいまして、合わせまして約三千億程度になるということでございます。
#80
○鈴木市藏君 それで、初年度二百四十六億の減税を行なうのですが、この減税にはきわめて特徴的な点が二つあると思う。一つは、期限のきた利子、配当を延長するわけですが、一体この租税特別措置法というのは既得権なんですか。一般の勤労者には全く税における既得権というものは何にもないのですけれども、この期限が来た、またそれで延長する。それだけでなくて、今度は割合も若干優遇処置を講ずる。今度の一つのきわだった特徴を示していると思いますが、なぜ一体こういうことが必要なんですか。政府の言明によれば、こういう減税によって貯蓄増強に役立つと言っておりますが、これは税制調査会の答申を見てもそういうことはないのだ。個人預金の増加には影響することが少ないように見受けられると言っているにもかかわらず、何かこういうふうなものが一種の既得権として、そして更新の時期にはさらに一そう優遇されているという、一体どうしてそういうことや許すのか。この辺のところについて御見解を承りたいと思うのです。
#81
○政府委員(村山達雄君) 租税特別措置を起こすときのあれでございますが、それは別に特定の納税者に有利にしたいとか、そういうことで起こしているのではなくて、日本の国民経済のそのときにおける時点から見て、税制上、ある基本税制とは別の政策的考慮から特別の措置が必要である、こういう観点から起こしているわけでございます。で、もとよりそういう意味で、ある期限をつけているわけでございまして、その期限が来ましたときにその事情が解消したかどうかということを見ているわけでございます。なお、続ける必要があるかどうか、こういう判断でいっているわけでございます。
 それで、ただいまおっしゃいました預金の利子の問題でございますが、これにつきまして、もとより預金が何によってふえるかというような問題はいろいろな見方がございますが、通常言われておりますのは、可処分所得の大きさの問題、同時に、そこで物価が安定しているというようなこと、あるいは預金の機密性が保たれるというようなこと、それから金融機関ができるだけその便宜をはかってサービスに努めるということ、それから負担も少なければそれだけ効果があるじないか、こういうふうなことが言われているわけでございます。で、今回とりました措置は、現状にかんがみまして、その負担を一〇を五にするというやり方をその面からとると同時に、他面におきまして、従来の国民貯蓄組合によって非常に弊害が大きいということがございますので、負担の公平、あるいは預金の機密性保持、それから納税者側、あるいは徴収側、税務執行側、これらの手数の便を考えまして、国民貯蓄組合を廃止して、原則として少額貯蓄組合に移す、こういう制度をあわせて考えるこういう次第でございます。
#82
○鈴木市藏君 この税制調査会の答申によれば、これはまあ九十五万円までの給与所得者、課税所得二十万円から五十万円までの所得者に対しては、わずかに五%の減税にとどまっているが、課税所得が六百万円の所得者にとっては四〇%の減税となる、六千万円以上の高額所得者において六五%もの減税となると言っていますね。これを見てもわかるように、利子所得課税の特例というのは、一番担税力の大きい階層に、高額所得者に対する減税措置になっているのです。
 で、これが一体どういう理由でこういうふうな優遇措置を講ずるのか。私は、一つには、今の政府のやっているこうしたやり方が、大金持、高額所得者の利益はどこまでも守る、さらにこれを優遇するけれども、低額所得者や勤労者、労働者、あるいは中小商工業者や農民にとっては、これはまた反対にどこまでも取るといったような、そういうつもりなのか、税に対する一種の独占本位というか、大金持ち本位といったようなものが、基本的な観念の中にずっと貫いているのではないかということが思われるほど、これは非常に露骨なやり方だと思うのです。こういうふうに大所得者と銀行に対して、二重にも優遇措置をなぜ一体講ずるのだろうか。また、田中大蔵大臣が、将来は利子、配当所得課税を廃止したいとまで言っておりますが、これは全く租税公平の原則とも相いれない筋だと思うが、どうしてこういうようなやり方をあえてとるのか。これはほんとは、主税局長のお答えではなかなか言いにくいかと思いますけれども、まことに、この租税負担公平の原則から見ても正しくない措置であると考えるが、これは世上いわれている政策減税といわれるものの性格を持ったものとして、われわれは理解しているのかどうか。この辺のところをひとつお答え願いたいと思う。
#83
○政府委員(村山達雄君) 利子課税の問題でございますが、これは問題が二つあると思うのでございます。今度の改正によってどうなるか、現状に比べてどうなるかという問題と、それから改正前の状態を含めて、今分離課税の税率というものは、一体課税公平という点からどういうふうに考えるべきか、それがどういう条件のもとに今後改めていくべきか、それからどんな条件が来たときにそういうことが考えられるのか、こういう二つの問題があると思うのでございます。
 今度の改正に関する限り、国民貯蓄組合の大幅な圧縮をやっております。これは主として大所得者、大預金者が大きな、何といいますか、負担増を来たすわけでございまして、一方において課税部分について一〇%から五%になりますが、その利益よりもはるかに大きな負担の増になるということは容易に想像されるところでございます。だから、両方の改正を通じて考えますと、現状に比べては所得階級の少ないところ、あるいは預金額の少ないところのほうが、相対的には有利になると思います。
 ただ、それにしても、本来の基本税制とどうかということになりますと、おっしゃるように、最高七五でございますから、最低は八%でございますから、そういうふうに、階級によってその利益の工合というものは、おっしゃるとおりでございましょう。この点につきまして、今度は先ほど申しました事情から、臨時的な措置としてとるわけでございますが、この問題の改正にあたりましては、同時に配当に対していかなる税制上の措置をとるか、この問題とあわせ検討いたしませんと、やはり同じ資金調達の一つの道でございますので、この両方をあわせて検討したいということで、今後税制調査会の主要なテーマとして研究して参りたいと、かように考えております。
#84
○鈴木市藏君 時間が来ましたので、最後に一つだけ聞いておきたいと思いますが、今の政府の国づくり政策の一環としての税制の措置が、この租税特別法の中に組み入れられておるということが、私は第二の特徴だと思うのです。たとえば土地収用、公共事業などに関する場合の土地収用に対する譲渡の場合において、七百万円ですか、減免税の処置をとるといったようなやり方、これは道路を広くするとか、あるいは鉄道をどうするとかいったような場合に、農民やその他の土地を取り上げやすくする、そういう一種のいわゆる池田内閣の言っている国づくり政策を擁護するための、援護するための税制上の措置ではないか。それからまた、企業の合併、清算、こういったようなときに、清算所得に対する課税の特例などもありまするが、こういったようなことは、やはり税制が時の政府の政策を推進していく一つの物質的な裏づけとなって動いていっているという印象を強くするわけですが、これは同時に、特定産業振興臨時措置法などとの諸関係もあって、そういうふうな意図がこの税制上の保障として裏づけられているというふうにわれわれは考えるものですが、 こういった点について特定産業振興法との関係は、今回のこの租税特別措置法についてどういうふうに関係を持っているのか、あるいはまた振興法が通れば、この処置がさらに拡大されることになると思うが、一体どういうことを考えているのか、最後にひとつお答え願いたいと思います。
#85
○政府委員(村山達雄君) 特定公共事業の収用の場合の今回設けました七百万円は基礎控除いたしますという点は、まさにそういうことでございまして、その限度においては課税いたしませんということでございます。現在は、御案内のように、普通の強制収用でございますと、二分の一課税でございます。所得税法のほうで二分の一にいたしますので結局四分の一課税になっているわけでございます。その上にさらに特定公共事業、この事業を促進するということ、その公共性にかんがみまして、臨時的に今後三年間を限りまして、七百万円の基礎控除制度を設けようというのは、この政策を推進して参ろうというのに税制面から協力して参りたい、こういう考えからでございます。
 それから、さっきお話のありました合併の場合の清算所得の問題でございますが、これは実は永久免税ではございません。その機会に出てくる、いわば国の政策で出てくる課税所得、清算所得、それに対する課税を将来に繰り延べる、これだけの措置でございます。したがいまして、永久免税ではございませんで、将来それを売りましたときに、その所得を合わせて取ります。いつかはその課税の対象になる、こういう仕組みでございます。
#86
○鈴木市藏君 私の質問を終わります。
#87
○永末英一君 利子所得課税と配当所得課税がそれぞれ税率が下がりまして、この前予算委員会で池田総理に、主としてこれはそれぞれ高額所得者に対する減税部分が多いという私の見解を述べたところ、池田総理は、そうではない、配当においても利子においても、むしろ大衆負担がこれで軽減しているのだという答弁がありましたが、予算委員会のことですから、詳しくは聞く余裕がなかったので、もし主税局長が池田総理と同じ見解を持っておられるならば、数字的にそれをひとつ明らかにしていただきたい。
#88
○政府委員(村山達雄君) なかなか数字ではむずかしいのですが、こういうことでございます。配当につきましては、平年度八十八億、これは最終的に減収になる、その意味で減税になっているわけです。初年度が七十六億ぐらいでございます。
 それで、そのよって来たる原因を考えてみますと、本来これは源泉徴収ですから、現在全部税金が取れている。そのあとで精算がついておるならば、減収になるはずがないはずでございます。しかし、実際は申告納税で精算をつけ、あるいは法人税で精算をつけているものがございますが、そのうち法人税はほとんど全部あとで法人税でそれは控除を受けておるか、あるいは取り過ぎであれば還付しておるわけでございます。ですから、法人について今度の配当の源泉徴収税率の引き下げというのは何ら減税の要素になっていないことは明らかでございます。で、個人についてはどういうことかと申しますと、この一部――大体まあ現在税額で百四十億程度と思われますが、この分については実は精算をつけて参らないわけでございます。で、この人を考えてみますと、大所得者はもとより精算をつけざるを得ないわけでございまして、これは支払い調書は全部出ますから、精算をつけなければ損するだけの話でございます。したがいまして、これは全部あとで申告のときに精算し、もし還付があれば還付を受けているはずでございます。統計においてもそのことは明らかでございます。
 この源泉だけで済んでいる階級というのが一体どういうところから出てくるかを考えてみますと、まあ二つの要素がある。その一つは、投資信託の受益証券、これが税法上配当所得として扱っておりますが、これは御案内のように、ほとんど無記名である。したがって、税務署のほうでは総合がきかないから、源泉の一〇取りっぱなしになっております。これを五に下げることによって最終的に一〇が五になる、こういうことでございます。もしこの階級を考えてみますと、それほど大きな階級にだけ集中しているものではなかろうということは容易に想像されるわけでございます。それから、もう一つの要素は、現在支払い調書が年額で同一銘柄で一年で一万円以下のものは提出しなくてよろしい、小口のものはしなくてよろしいというやつがあります。それから、給与所得者で年のその他の所得、この場合は配当といたしますか、それが五万円以下のものについては申告納税義務がないわけでございます。この人たちが源泉の一〇%でいっているわけでございます。これを考えてみますと、これらの人たちは、明らかに大口所得者よりも小さな所得者に比重が多いはずだ、そう考えますと、やはりこれを分析していきますと、今度の減税というのは法人ではない。それから大口所得者ではない。少なくとも小口のほうに集中しているはすだ。これはまあ今の取り切りの分が主として小口のほうに固まっているということからくることでございます。
 それから、利子につきましては、これはいろんな推計がありますが、常識的に申しまして、一〇を単に五にしただけなら、もとよりそれは大口のほうが利益を受けるわけでございます、上積み税率が高いわけでございますから。しかし、同時に、今度やっておりますのは、国民貯蓄組合というものの乱用に歯どめをかけるという措置を講じたわけでございます。それによる影響は大口ほど大きいはずだ。これは今いろんな推計をもって見ましても、あるいは実際のサンプル調査でわれわれが考えてみましても、一千万円の預金を――まあ前の三十万円のときでございましたか、三十口以上に分けていろとか、こういうちょっと常識では想像のできないような国民貯蓄組合の利用の仕方があることを考えますと、こういう人こそまさに非常な打撃を受けるわけでございます。
 そういう実例を勘案し、あるいは各種の統計から増減割合を勘案いたしましても、この制度をあわせ持つことによって、現状に比べて大口のほうがやや不利になるのではなかろうか、こういう推計が立つと申し上げているわけです。
#89
○永末英一君 口数、つまり人の対象は低額のほうが多いと思うんです。しかし、経済的に考えれば、大口の配当所得なり利子所得というものが税率が分離であって、しかも税率が下がるという場合には、経済的に減額されれば歩合は大きいと考えられる。だといたしますと、今度の減税の方針というのは、今あなたいろいろ言われましたけれども、それは口数の話であって、経済量としてはやはり大口所得者から減税した、こういうことになるのじゃないですか。
#90
○政府委員(村山達雄君) この比較のやり方は三つばかり考えられるわけでございます。一つは、現行法をもとにいたしまして、所得階級別に減税額――今の利子の分離課税、国民貯蓄組合による減税額という総額はわかっているわけでございます。ただ、階級別の配分は、これは一つの推計でございますが。そこで、現在課税になっていろ額に比べて、今度利子二十八億ですね、平年度、これがその課税額に対して二十八億がどう配分されるか、現行負担している税額に比べて幾ら減税になるか、この割合で考える考え方が一つ。それから、現在基本税法に対して租税特別措置によって階級別に減収額になっていろ割合があるわけです。これも推計でわかるわけですね。この減税額になっているものに比べて、今度の二十八億は階級別にどれくらいの割合になるだろうか、こういう考え方が一つ。それから、もう一つの考え方は、もう根本的にさかのぼって、本来基本税法でいったならば各階級幾らであるべきでないか、今度改正後の税額はそれに比べて幾らのパーセテージになっておるか、差引減税割合はどうなるか、こういう三つぐらいのものの考え方があると思うわけでございます。
 そこで、その前の二つの考え方は、現状に対して階級別にどういう損益計算が立ちますか、こういう答えでございます。この観点で見ますと、まあ各種の推計が加わりますが、明らかに少額所得者のほうが有利になるのじゃなかろうか。ただ、おっしゃるように、本来あるべき税額に対して今度改正後の徴収税額を出して、その差税額を出してみますると、もとより大所得者に有利になると、これは否定できないと思います。ですから、そういう意味で、これがこの租税特別措置が必要であるといいながらその面の課税上の問題点を残していろというところは、われわれは将来検討せにゃならぬ。同時に、その問題は配当に対する課税の取り扱いと関連させながら、解決しないといかぬのではなかろうか、こう申し上げているわけでございます。
#91
○永末英一君 あなたのおっしゃったように、いろいろ考え方はあるかもしれませんが、とにかくそれぞれの所得者の可処分部分がどれだけ残るかというところに重点を置いてこの税率が適用される場合のことを考えると、分離課税で一〇%を五%にした場合、経済量として個人の手元に残る歩合は、低額所得者全体、たとえば三十万円以下の利子所得や配当所得というのは微々たるものだと思いますけれども、それ以上のものと区別した場合には、それ以上の所得者の手元に残り得る部分がより大きいと思う。そうなっておりますか。
#92
○政府委員(村山達雄君) これは所得に対してどうかということになると、これはもう当然でございまして、これは所得の大きいほうが軽減割合が多いわけでございます。そうでなくて、現在納めている税金に対して今度の二十八億という減税額はそれぞれの階級が現に納めているやつで見るとどうなるか。それで見ますと、平均われわれは一五%程度の軽減になると思いますが、下の階級では四〇から三〇ぐらいになる。
#93
○永末英一君 下の階級というのは幾らと幾らですか。
#94
○政府委員(村山達雄君) 二十万までのあたりで四〇%ぐらいになるのじゃないか、平均で。三十万のあたりで三二・三%、上の階級でたとえば百万超になりますと一五%ぐらいにしかならない。まあ金額のウエートは大きいですから、これはしようのないことでございまして、所得の大小に応じて減税額は多くなるということは、これはやむや得ないことだと思います。
#95
○永末英一君 率は同じでも絶対額が多ければ、それだけ手元に可処分部分が多く残る。同じ率でもですよ。ということが、その個人の所得を基準にして資本蓄積をはかるという意図にはこれは沿ってくるわけですな。そういう目的が税務当局自体の直接の目的ではなくて、経済的に見ればそう見られる余地があるとあなたはお考えになりませんか。
#96
○政府委員(村山達雄君) 現状に対してどうかという考え方をとれば、私が言うようなデータのとり方のほうがいいと思うのです。ただ、その可処分所得が幾ら残るかということになると、所得のでかいのが残りますし、それから全体の所得の構成比、たとえば減税額の構成比を見ますれば、これはもとより多いほうによけいいくということは言えることでございます。たとえば法人税を軽減したというときに、一律に軽減すれば、今の所得の大ききの割合でその分が減ってくるわけでございます。だから、そういうことは、これはやむを得ないことであろう。税が本来所得にスライドして課税していく限り、そういう結果になることはやむを得ない。あとは所得分布の問題でございます。かように考えます。
#97
○永末英一君 その所得分布が今のままとして、こういういわば比例税率とでも申しますか、同じ率の軽減をやっていく場合に起こる経済影響というものは、私は、今あなたがおっしゃったようなそれぞれの所得階層別の減税部分の比率であるよりは、むしろ今の場合、やはりどの階層に資本の負担力を持たして、そうしてそれを使おうかというところにはなはだどうも重点がかかっているように思うのです。そういう経済政策の一環としてこの税制が使われるということになると、少し警戒を要すると思うのですが、あなたが減税率をおきめになるにあたってそういうことをお考えになったことはございませんか。
#98
○政府委員(村山達雄君) そういうことは別に考えません。そういうことは当然予見されることでございまして、比例的に同じ率で減税をすれば、所得の大きいほうの人が減税額は多くなる。したがって、構成比も減税額のほうもよけいになる。これは当然のことであると思います。
#99
○永末英一君 私が言いましたような一つの見解と、それから所得課税に対する減税率の今度の適用によって、税制調査会の会長が申したように、去年行なったような減税の仕方ではないと、こういう意味合いのことを衆議院の大蔵委員会か予算委員会で言ったようですね。実質的に増税になる部分を少なくしようと思ったけれども、半分に割られたと、こういう意味合いのことを言われた。としますと、所得課税において普通の勤労所得税なり、申告所得税でも、その減税部分が値切られ、そうしてこの利子課税、配当所得に対する課税部分において処分し得る経済金額の量、これが多く残るということになると、やはり一連の資本蓄積政策が行なわれていると見る批評家がおりますが、あなたはその批評を受けた場合にどういう考えをお持ちですか。
#100
○政府委員(村山達雄君) 先ほどちょっと申し上げましたように、利子、配当の今度の改正を通じまして、少なくとも現状よりは軽減割合は中小所得者にそのものがよけい行っているということは、現状よりはよくなっていると認めざるを得ないわけでございまして、あとはそれによりまして、減税額は百億でございますが、初年度減収は百億出す、二百億程度初年度税収が税制調査会の案よりよけい出たわけでございます。あとは財政問題でございまして、なかなか財源が乏しいときでありますので、所得税の一部の控除につきまして圧縮せざるを得なかったということでございます。その点、税制調査会の言っておる実質的な負担増加はどの程度調整し切れなくなるかという問題が残るわけでございます。
 この点につきましてはいろいろなものの考え方がございまして、三十七年度の実績ベースを基礎にして三十八年度の消費者物価の値上がり、これを今度の減税が調整できるか、この立場に立ちますと、これは十分に調整できる。標準世帯でも百二十万程度までは十分に調整できるわけでございます。これはいわば、その限りにおいては十分である。前に税制調査会はもう一つの立場としてこういう考えを出したわけでございますが、これは三十七年度の予算ベース――所得の伸びも消費者物価の伸びも予算ベースまでいって、それと実績との違いが出ておるわけでございます。その分と三十八年度の消費物価の伸びがある。この二つをあわせ、今度の減税によって調整しようとした場合には幾らの控除を上げなければならぬか、こういうものとして一万円が組まれたわけでございます。そういう観点でいいますと、もとより今度圧縮されておりますので、当時の税制調査会の案よりも調整の限界の幅が圧縮されたということは言えるわけでございます。
 ただ、そういうものの見方に立って見ましても、特に問題になる点は、夫婦のところと、それから三人世帯あたりがやや調整に難点がある。それ以外のところはかなり調整ができる、こういうようなデータになるわけでございます。その辺は両方の立論があり得るというように考えておるわけでございます。
#101
○永末英一君 なかなか苦しい御弁明のようです。私どもは、なかなか今度の税制を公平という立場からだけ見ても、どうもあまりいい改正じゃないと思うのですが、この問題はその程度にしておきます。
 次に、国税庁の次長さんにちょっと伺いたいのですが、法人税に関してでございますが、法人で書籍を購入した場合に、どの程度が損金で落ち、どの程度が資本的出資として資産として残っていくかという基準を、国税庁はお立てになっておると思うのです。その点をまず第一にお伺いいたしたい。
#102
○説明員(泉美之松君) 法人が書籍を購入した場合に、まあ法人の性格にもよりましょうけれども、片一方に資産として書籍が上がってくるわけでございます。その対価が支払われたという形になるわけでございまして、資産に上ったものについて、これをどれは資本的支出だというような基準は別に設けておりません。
 〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
 ただ、法人の、たとえば研究機関であるというような場合に、その研究のために必要な書籍、これは研究が終われば不用になるというようなものであれば、減価償却すべきかどうかというような問題はあろうかと存じますけれども、資産として計上されておる限り、別にそれを資本的支出あるいはそうでないものというふうに分けた基準は設けておりません。
#103
○永末英一君 具体的に聞きますと、日本でも百科辞典なんかというようなものがある。これをひとつ、ある会社が自分の営業の用に供するために買い込む。その金額は数万に上ぼるというような場合に、その処置を税務署から見た場合に、それは損金で落とすべきものか、それともそうでなくて、そのまま土地と同じように資産として残っていくものとして考えるかという問題があるのですよ、現実に。そのことについてはあなたのほうでどういう指示をされておるかということです。
#104
○説明員(泉美之松君) これは備品として考えた場合に、一個または一組の価額が一万円未満でありますれば、それは固定資産として計上しなくてもいいということに法人税の細則でなっておるわけであります。そこで、その場合に、一個または一組という場合に、書籍であれば、全集というような場合に、一個または一組というのは、一冊ずつでなしに、その全集を一つの単位として一組と見るというような問題はございます。
#105
○永末英一君 全集が一組で考えられるとすれば、大体全集等のものは全部一万円以上するものなんです。そうすると、それは全部備品としてそのままずっと残っていく、資産になってしまうということになるのですが、それを資本金百億の大会社でも、小さな何十万円の会社でも、同じようにそのように処置をせいということをしておられますか。
#106
○説明員(泉美之松君) この法人税の細則の四条の取得価額または製作価額一万円という基準につきましては、お話のように、一万円をこえる場合には固定資産に計上すべきだ、こういう指導をいたしておるわけでございます。ただ、この政令が細則ができましてから相当年数たっておりますので、この一万円の価額についてはこれを引き上げるべきではばかろうかといったような問題がございますが、この細則の改正という問題は主税局の問題でありますので、現在主税局のほうと目下打ち合わせはいたしております。なお、ただ、私どものほうで法人の調査をいたしましたときに、まあ申告がありまして、それに対して更正をすべきかどうかという場合に、こういう種類の資産につきまして、更正すべき金額がごくわずかの場合につきましては、まああまり少額なものについてまで一々それを指定して是正させるのは適当でないから、今後の申告の場合におきましては、こういうものは資産に計上しなければなりませんよということを申し上げるぐらいの指導で、少額の更正をしないでおくというようなことはございますが、その金額はごく小さな金額でございます。
#107
○永末英一君 問題点を申し上げますと、ワン・セットで買う契約をした。したがって、ワン・セットで一時払いになった場合の金額はたとえば十万円になる。ところが、これを二十回払いにすれば一回五千円だ。あるいはそれがワン・セットとしても二十冊から構成されておるという場合には、一万円以下に、一部ずつなら一部ずつ支払いをやった場合には一万円以下であるから、いろんな種類が、三十点、四十点、五十点あっても、これは関係がない。たまたまそれがワン・セットで買う契約をしたために、一万円以上はるかにこえる金額になった。これはもう細則によって損金として落ちない。これでは片手落ちだと思う。したがって、特にまた備品は備品ですけれども、書籍というものの性格を一体事務当局はどう見るかというところに問題がある。
 〔理事 柴田栄君退席、委員長着席〕
 机やいろいろな事務用品と違って、書籍というものはもっと違った性格を持っていると思うのです。したがって、机やその他の器具、機械というものは償却ということが考えられるけれども、一体それなら書籍というものに償却はあり得るのか。たとえば二十年たっても生きている書籍があるかもしれませんが、たとえばこのごろの技術革新時代にならば、技術関係の書物については、もう一年たてば全然古くさくなって用をなさないような書籍もある。こういう点について、具体的なものに即して御指導をされるようにされないと、機械的にやればとんでもない問題が起こってくると思うのです。そういう点についてお考えがあればお聞かせを願いたい。
#108
○説明員(泉美之松君) この書籍の購入につきましては、御指摘のような問題と、いま一つこういう問題があるわけでございます。たとえば経済雑誌を継続して購入すれば、予約をして予約料を払うわけでございます。それを損金として落とす時期をいつにするか。まあきわめて厳格にいいますと、その事業年度内に書籍を入手した、それに対する対価分だけはその期に認めて、その期に入手しない分についての予約料はその期の損金ではない、その次の期の損金になるという厳格な考え方もあり得るわけでございます。まあそういう書籍のようなものについてそういうこまかいことをやるのはどうかということで、現在そうした期間の損益の点につきましては根本から見直して、いずれ当期に損金にならなくても翌期には損金になるというような性質のものにつきましては、しいて更正をしないでいこうという考え方をとろうとしておるわけでございますが、そうした期間の損益の問題に関連いたしまして、ただいまお話しのような全集などにつきましても、十万円のものを一回ずつ払っていくということは、私のほうは全集というような場合には一組というふうに考えておりますので、全体の金額が十万円であれば資産に計上しなければならぬという考えを持っておりますけれども、それらの点につきましては、税務の実務の上では、あるいはお話のように会社のほうで一巻ずっとして受領しておれば、全集という表題が出ておりませんので、場合によって損金に落とすことが認められたような場合もあろうかと思います。それらの点につきましては、今申し上げました期間損益の問題として、いずれにしても経費に落ちる問題でありますので、その期、支出した期の損金にするか、次の期の損金にするかだけの差のために、しいて更正することは避けたいという考えを持っております。
 なお、お話の、こういう現在のような技術革新の著しいときにおきましては、技術関係の書籍につきましては、すぐに価値がなくなるということはお話のとおりであります。まあこれを処分していただきますと、もちろん資産がなくなりまして簡単に済むわけでございますが、処分はされないで、すでに価値はなくなったけれども、書籍としては置いておるという場合に、これをどう扱うかということにつきましては、なお問題があろうかと思います。そうした点につきましては、今後検討して参りたいと存じます。
#109
○永末英一君 このごろの書籍というのはいろいろな経済的な問題に関する書籍でも、法律的な問題でも、技術関係でも、それぞれワン・セットにして作る傾向が非常に多いわけです。しかも、書籍の価格が上がってきたために、ワン・セットにして企画をすれば当然一万円以上になる。そこで、一万円という金額がいいか、それともそういう企画をそれぞれの法人が購入する場合にどういう工合に指導するか、十分実情に即するように御方針を定めて行なっていただきたい。要望しておきます。
#110
○委員長(佐野廣君) 暫時休憩いたします。
   〔午後三時二十七分休憩〕
     ―――――・―――――
   〔午後四時五十七分開会〕
#111
○委員長(佐野廣君) 委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 森部隆輔君、草葉隆圓君が辞任され、その補欠として川野三暁君、丸茂重貞君が選任せられました。
    ―――――――――――――
#112
○委員長(佐野廣君) 休憩前に引き続き、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、質疑を続行いたします。
#113
○佐野芳雄君 所得税法の一部改正に関連いたしまして、少額貯蓄に対して免税措置を行なうということについて、勤務先預け金をもその対象とするということにつき、昨日労働大臣に質問をいたしました。そしてさらによく検討するために資料の提出を求めました。ところで、労働省から提出された資料は、その実態も実情も内容も全く知ることのできない、まことに不見識なものであります。私はあらためて労働大臣に質問し、またこのような実態、実情、内容のわからないものを免税の対象とすることについて大蔵大臣に質問しようと思うのであります。
 ところで、この件について、委員会の運営につき、大蔵委員長から御発言があるようでございますので、その御発言と、それに対する大臣の御答弁を聞いた上で、あらためて質問をいたしたいと存じます。
#114
○委員長(佐野廣君) この際、委員長から申し上げます。
 所得税法の一部を改正する法律案の審議の過程におきまして、勤務先預け金について質議が行なわれたのでございますが、次の二つの問題点について大蔵大臣の一応見解をただしておきたいと存じます。
 一つは、勤務先預け金の受け入れに際し、違法な第三者の預金が多量に流入すること、その取り扱いが放漫に流れていると思われます点、またこれに対しまして、主務官庁は直ちにその実態を調査し、適法を欠いた取り扱いを厳重に規制する具体的措置を講ぜられたいという意見でございます。いま一つは、勤務先預け金は正規の金融機関の預金と異なり、債権保全に不安があり、高金利の公示によって金融正常化と低金利政策を阻害するおそれがあるので、可及的すみやかに所要の制度的是正をはかるべきであるという御意見でございますが、この二点につきまして大蔵大臣の御所見を伺っておきたいと存じます。
#115
○国務大臣(田中角榮君) 勤務先預け金の取り扱いにつきましては、直ちに実情を調査いたしまして、違法の行為につきましては是正するような措置を講ずることといたしたいと存じます。
 なお、本件につきましては、労働大臣とも相談の上、本制度につきましても可及的すみやかに抜本的な検討を加えることといたしたいと存じます。
#116
○佐野芳雄君 ただいま委員長から、私のきのう行ないました質問と、それに対する大蔵大臣の答弁がございました。私は、大蔵大臣が十分私たちの質問に対しまする趣旨に沿って善処するとの御答弁がありましたので、政府の今後の措置の期待をいたしまして、私の質問を一応これで終わりたいと思います。
#117
○委員長(佐野廣君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#118
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより三案の一括討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#119
○野々山一三君 私は、ただいま議題になっております三税法に対しまして、社会党を代表して反対の意見を表明するものであります。
 その第一は、この法案が提出される根拠になりましたものに、税制調査会からの三税法改正に対する答申があるのであります。この調査会は、非常に長期にわたり、かつ将来の税制そのもののあり方についてまで綿密かつ具体的に検討されて、その根本は、国民に対する税負担の公平というものの原則に立脚して、可能な負担をどういうふうにかけるかという点から答申をされたものでございます。もちろん、私どももこの答申そのものを全面的に賛成し得ないものもあるのでありますが、この答申そのものに対しまして、政府は大幅にこの答申内容を変えた法案を提出したのであります。しかも、その出されている法案の中で一番危惧を感ずるのは、低所得階層、大衆の税負担を非常に高める方向、つまり基礎控除など四控除に対して、一万円の控除額の引き上げを提唱しておるものに対して五千円にこれを削るということをいたしながら、租税特別措置に関しましては、つまり資本の側の税負担に対しては、これを大幅に減免の措置を講ずる、負担を軽くするというような法律案を出したのでありますが、二つの点で私は心配いたします。
 一つは、今後慎重に、かつ恒常的な税制を検討してもらいたいと求めておる税制調査会がほんとうに、こういうやり方を政府がとるならば、情熱を持ち誠意を持って一体今後仕事をしていくであろうか。
 これが今後各種の政府が持っておる調査会そのものに対しましても、調査会のメンバーそのものが情熱を失ってしまうというようなことになり、この種の国民の意見を客観的に聞く機関の本質がゆがめられてしまうということ。第二は、国民大衆の税負担が非常にふえる。一千五百万から一千七百万に及ぶ税負担者がふえる。しかも、低所得階層がふえる。国民は、今政府が口を開けば減税をするというその期待が、まさに税調を通してさえもやや受け入れられるかとの期待を持っておったのに、これが裏切られたのであります。国民の税負担に対する信頼は、まさに薄れて、言うならば、うまいことをやって脱税をするというような根性さえも生み起こしてしまうような結果に相なるのではないかという心配をいたします。その点がまず第一の税調の答申を無視した政府の態度に対する私の反対の理由であります。
 その第二は、根本的な政策であります。政府は本年度の予算を編成するにあたりまして、いわゆる金つくりということを強調し、その金つくりをしていく理由には、資本の蓄積と会社投資、このことを表看板にいたしておるのでありますけれども、そのもとになっておる経済成長は、名目において八・一%、実質において六・一%の経済成長を考えておるわけです。今日の日本経済は、政府が言っておるように、年間名目において八・一%、実質において六・一%成長するかどうかということは非常に危倶がある。予算を編成する当時から今日までの数カ月を見てみましても、経済はまさに横ばいである。このまま年間平均八%という経済成長を期待するとするならば、本年の後期においては少なくとも一五%くらいの経済成長がはかられなければ年間平均の成長は得られないという根本、一体これに対して政府の自信のある答弁はなかったのであります。
 国民はまさにこれに対して疑問を持っております。所得倍増、経済成長の政策に対しては、今日もはや危惧の念を抱いているわけであります。加えて、物価の面から見てみますと、二・八%の物価の上昇というものを前提にして、しかも片一方では八%の経済成長ということを前提にしてこの予算を組んだのであります。それを基礎にして税収を考えている。物価はおそらく今日二・八%でおさまるなんというような事情はないのであります。去年の暮れから今日までの物価の伸びというのは、きわめて、特に消費財においてその伸びがきびしいものがあるだけに、この二・八%というものは維持できるはずはない。予算委員会でわが党の議員議君がこれに対して政府に答弁を求めておりますけれども、これまた確信のある政策というものが見受けられないのであります。
 そこで、問題は、国民の税負担の度合いがどうなっていくかという観点から見てみますと、いわゆる低所得階層の税負担率は、五人世帯五十五万数千円の給与所得者においては、昨年に比べて税負担率は三%、本税法によりますとふえるのであります。物価は上がるのであります。三%税負担率が上がるのであります。国民生活はそれだけ実質的に圧迫される結果に相なることは言うまでもない。片方、資本の側の税負担率というものを見てみますと、わが国の国民所得に対する国民一人当たりの税負担率は二二%、外国の事例を見てみますと、イギリスにおいて三四、フランス三二、アメリカにおいて二九、以下相当税負担率は高いことに相なっているのでありますけれども、実はいわゆる低所得階層の税負担率というものを階層別に見てみますと、名目的に日本の二二%に比べまして、諸外国の国民低所得階層の人の税負担率は比較にならないほど低いのであります。にもかかわらず、高い税負担率を表面にあげているのは何かといえば、たとえば法人税というものを見てみますと、アメリカにおいて五二%法人の負担、イギリスは五四、フランス五一、一番低い西独が五〇%の法人税率というものがあるにもかかわらず、日本は三八%で、ギリシャその他の国の、つまり西欧の後進的水準にある国の税負担率であります。
 それで、一体二二%という税負担率の中で金を見出すとすれば、社会資本投資をしなければ、資本の蓄積をしなければならぬという政府の言い分は、しょせん――だからといって、高い税負担率に持っていくことはできないので、結局、資本側の租税特別措置による減免、国民大衆、つまり低所得階層に対しては高率の税負担をかけねばならぬ、こういう結果をもたらしていることであります。さらに加えて、資本の側の社会資本の投資、あるいは公共資本、公共投資の要求というものにこたえていくためには、片一方では金がないといいながら、それにこたえるために、申し上げたように、勤労所得階層の税率負担を上げねばならぬという結果を招来し、税の公平の原則というものは、完全に一そう、去年の税法に比べて今期の税法は公平を乱しているということになり、必要以上に資本の側の利益を擁護するための措置がとられている。こういう点から、つまり租税負担率の不公平というものを一そう助長しておるという観点から、私は第二に反対をいたすのであります。
 第三に、間接税を初め勤労所得階層に対する税の軽減ということの政府の約束、これを実行し得なかったことの理由に、政府当局は、財源がない、こういうように言っておるのであります。しかし、前に第二の点で申し上げたように、税負担率は不公平になるように、一方は高くし、一方は利子所得課税のごとく半分にしてしまう。そうして、金がないと言わなければ減税政策をやらない理由を裏づけすることができないということで、財源がないと、こういう言い方をしておるのでありますけれども、去年の予算に比べて今年の予算は、まさに両方で、片一方一七%、片一方二三%、財投等を含めまして膨大なふくらし方をしておる。そこに今後、不公平な税の建前が、一そう今度は徴税強化という格好に、この税法に基づく徴税執行業務が行なわれていくことは必然であります。額に汗をして働く勤労者階層というものが一そう税をしぼられ、徴税強化に追いまくられ、片一方は配当所得に見られるごとく、総理大臣は、先取り税を安くしただけで相対的には同じだと言いながら、平年度において九十億というものが帳面づらで税収減になる。まさにこれは配当所得者に対する脱税を認めたという結果にならない限り、税収減にならないわけであります。もし総理大臣が言われるように、一銭も大所得者に対しては減税しておらぬと言われるなら、なぜあの九十億になんなんとする配当所得税の収入減が生まれてくるのでありましょうか。何らこれに対して、本会議においても、大蔵委員会においても、政府の責任ある答弁ができていません。できないはずであります。そういうように財源がないという裏には、からくりがある、こういうふうに申し上げなければならぬのであります。
 第四に、租税特別措置そのものについてであります。今日では、租税特別措置というものは、もはや順次、資本においてもその力が増大してきた実情にかんがみれば、さらにこれを延長し、助長し、さらに減額をする、減税をするというようなことは、一体あり得るだろうか。こう考えてみる場合、さらにまた、第二の点で指摘をしたいのは、もうこの辺で租税特別措置というものはやめるべきであるという意見が、衆参両院における公聴会に出席された国民の代表は、ひとしくその口をそろえて、もうこの辺でやめるべきであるというのに、時代逆行もはなはだしく、さも既得権であるかのごとく資本にそれを奉仕する、こういう態度は、今回の租税特別措置法の一番の特徴的性格である。そういうことはもうこれ以上続ける必要はないという観点から、私は反対をするものであります。
 次に、間接税などについてであります。かりに所得税法、法人税法、租税特別措置法などによる私どもの言い分が受け入れられないといたしましても、昨年来の審議の過程を通しまして、政府は間接税を引き下げるということはこれを実行いたしますと、国会で国民に対して約束をいたして参りました。それもただ一言、銭がない、財源がないという言葉でもって、これをほおかぶりし、しかも衆議院で予算が上がったその瞬間に、来年度は、国税において、間接税において、地方税において減税をいたします、税外負担においてもこれを徹底的に取り締まって縮小をいたしますという見解を明らかにいたしております。まさに国会においては、そういうことの処置についての質問に対しては、具体的な態度表明を一切いたさずに、国会外においてさような公約をするという態度や、まさに国会軽視であり、国民を愚弄するもはなはだしい。言葉はきついようでありますけれども、言わざるを得ないのです。そこで、この間接税の減税に対する具体的な処置いかんという質問に対しても、何らこれを具体的に示さないというのが現状であります。私ども国民は、一体、寝ることと食べることのほかに、考えるのは税金の問題であります。出さなければならぬ税金は出しましょう。けれども、まともに取ってもらいたい、公平に取ってもらいたい、納得のいくように取ってもらいたい。同時にまけるならまけるとして、納得のいくようにまけてもらいたいというのが、これは国民の希望であり、政治に対する期待であります。この国民の税に対する期待、政治に対する期待を裏切ったのがこの三法であるということをいわなければならぬし、間接税の減税を一顧だもしなかったという私どもの批判でもあると申し上げざるを得ないのであります。
 時間がありませんから、以上簡単に申し上げました。私どもはあげて三法の改正に対しては反対をいたしまして、討論を終わります。
#120
○柴田栄君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました三法律案について、次のような理由から賛成するものであります。
 まず第一に、減税の規模についてであります。三案の改正によりまして、昭和三十八年度合計五百五十二億の減税が実施されることになりまして、自然増収も増加財源も、前年度に比して必ずしも大きくはないにもかかわりませず、国民所得に対する国税の割合は前年比〇・六%低くなっているのであります。減税額は多ければ多いほど好ましいということもいわれまするけれども、わが国の財政の現状から見て、最大の努力が払われたものと認められるのであります。
 第二には、中小所得者及び中小法人に対する税負担の軽減についてであります。所得税の諸控除が引き上げられることによりまして、たとえば夫婦と子供三人の家族の給与所得者が年間五十万円の所得でありますならば、実に三四・九%の軽減となり、また課税最低限は約四十四万円に引き上げられることとなります。中小所得者の税負担の軽減は、数字をもっていたしましても明白であります。また、中小法人に対する税負担の軽減についても、同族会社の留保所得に対する課税の控除額を引き上げることとなり、中小企業者の多年にわたりまする要望が実現されることとなるのでありまして、その軽減の効果は多大なものがあろうと推察されるのであります。
 第三といたしまして、利子所得及び配当所得に対する課税の特例を強化していることであります。わが国経済は、国際経済の流れに順応いたし、今やIMF八条国移行体制を作る重要課題に直面いたしております。すなわち、企業の国際競争力の強化、産業基盤の充実等を一刻も早く実現しなければなりません。これには、何をおいても資本の蓄積あるいは貯蓄の増強が必要であることは多言を要しないところであります。もっとも、貯蓄の増強のためには所得の増加によるという考え方も当然でございまするが、しかし、一段と貯蓄の増強をはかるためには、国民各位が貯蓄意欲の向上に努めることが肝要であります。
 このように見て参りますると、政府は今回税制上、利子所得並びに配当所得をさらに優遇することとしたのは妥当な措置であると考えられるのであります。
 第四の理由として、今回新たに諸種の租税特例措置が加えられたのでありまするが、これらはいずれも、最近の経済情勢に顧み、有効適切な措置であると考えるのであります。すなわち、特定公共事業の用地買収等について譲渡課税の特例を設けましたことや、事業用資産の買いかえ、居住用財産の買いかえについて特例措置を拡充したことなどは、社会資本の充実、国民生活環境の改善を迅速に進める上におきまして、国民各層の要請にこたえるものであると思うのであります。
 以上簡単に理由を申し述べまして、賛成の意を表し、討論を終わるものであります。
#121
○永末英一君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま上程せられております所得税、法人税、租税特別措置法、三つの法律の一部改正法案のすべてに対して反対をいたします。
 政府がとっております。経済の成長政策、この効果は国民の各社会層に異なった比重をもって影響を及ぼして参ります。こそで、政府といたしましては、その政治のやり方を考えます場合に、それが悪い影響を及ぼしているところには、この悪い影響を取り除くように努めて考えなければならぬ、これが重要な施策の根本であろうかと私どもは存じております。そういう観点から、上程されております三つの法案の趣旨を考えて参りますと、私どもは遺憾ながら今のような目的に沿っておるという判定をいたしかねるのであります。すなわち、政府のやります施策は、単に税法だけではございません、そのほかにいろいろな法がございます。しかし、税法もまたその一環として、今のような方向に向けてこれの方向づけを考えておるということが、国民の中に政府の施策に対する信頼感をわき起こす一番重要な点であろうと私どもは存ずるのであります。たとえば、アメリカのケネディ政権が大幅な所得税減税というものを打ち出してきましたのも、もちろん、国際経済に対するアメリカの置かれております地位から考えて、国内に有効需要を喚起しようという点に大きな目的がありますことは一つの理由ではございます。しかし、それとともに、そういう一つの施策が及ぼす心理的な影響、心理的な効果というものは、また見のがしてはならぬのでありまして、それはちょうど、現在まで池田内閣がとって参りました経済のやり方というものが、必ずしも当初見込みましたようなペースに乗ってどんどんと進んではいないというときには、他山の石としてやはり考え直し、これを参考とする意味合いが私はあるのではないかと考えます。
 そのときに及んで、今回提案されました所得税法におきます減税のものの考え方はいまだそこに至らず、やはり政府の財政需要によって税の総額をはかろうとする考え方が非常に強く出ておる。庶民の生活を非常に愛し、庶民の感覚を身につけているという田中角榮大蔵大臣にして、しかもなお政府の財政需要の点に重点を置いたことは、私にとりまして最も遺憾とする一つでございまして、願わくは、この庶民が今与えられておる税法に対してどういう感覚をもって臨んでおるかということを十分かみ砕いて、この庶民の期待にこたえていただきたいと思うわけであります。
 私どもは、そういう観点から所得税法をながめました場合に、現在の税法は、中堅所得階層が所得の伸びを一割あるという判定を下されました場合には、税の伸張率は一割ではなく二割、三割、四割にまで及ぶような税法でございまして、こういう点の手直しをするということでなくては、ただ単に課税最低限を少し引き上げたということだけではおおい切れない。特に中堅所得層あるいは低額所得層が、税法に対する信頼感というものを十分に持ち得ない原因を胚胎せしめるのではないかと思うのであります。
 さらにまた、租税特別措置法の問題にいたしましても、これが日本経済の再建のために必要であった時代もございます。しかし、現在ではこの租税特別措置法が、日本経済を成長発展せしめる上について経済的にいろいろな刺戟の用を果たしているよりは、むしろ、この措置法によって救われない企業から救われているものに対する心理的なアンバランスの感じというもののほうが強く残っているように私どもは感じております。したがって、先ほども申し上げましたように、税法上の公平――自然は飛躍するものではございませんから、政府当局としては一歩一歩手直しをされるでありましょう。しかしながら、税法上の公平よりは、むしろ納税という問題に対して国民が考えている心理的な実体上の公平に重点を置くということを考えるならば、租税特別措置法のごときはもっと大幅に是正をしていく考え方をとらるべきであったと私どもは存じます。残念ながら、この考え方が今回の改正にははっきりとその方向づけができているどころか、かえって反対の資本蓄積を強行しようとする方向すら出ておるということを私どもは非常に遺憾に存ずるわけでございます。
 法人税法につきましても、確かに中小企業の、特に同属会社を作っている人々の待望しておる点はかなえられようといたしております。しかし、先ほど申し上げましたような観点に立つならば、法人税について特に中小企業者が期待をいたしておりますところは、自分たちの小さな小規模事業というものがなぜ大法人と同じような角度から税を取られなくてはならないか。確かに税法は二段階に分けております。しかし、そういう点についてもっと具体的な公平を要望している。この要望が、現在政府が中小企業基本法案を提出することを決意せしめた一つの理由であったと思うのであります。であるならば、もし政府が今年中小企業基本法を成立せしめて、これによって中小企業者も、あるいはまた中小法人に対する施策をやっていこうとするならば、これに見合う何らかの方針が考えらるべきであったとわれわれは考えております。残念ながら、この点につきましては、政府の配慮はされたということには私どもは見ることができない。
 以上の点を、私は簡単に指摘をいたしまして、要するに、現在、政府の財政によって経済に刺戟を与えようとする政策は、特に日本の経済や社会の二重構造のもとにおる人々に、決していい影響を与えない。いい影響を与えないとするならば、これを上に引き上げるようなためには、税法もまたその一翼をかわなくてはならない。この任務を、今回の改正案は十分に果たしていない。
 以上の論点によって、この三法案に対して反対の意見を開陳するゆえんであります。
#122
○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、租税に関する三つの法案に一括反対をいたします。
 この三法案に反対する根本的な理由は、この法案自体、ますます露骨な独占資本本位への方向をはかるとともに、人民の生活を苦しめ、さらに予想される税制の根本的な改悪への道を開いたものであり、その性格が何であるかをはっきりと示しているものだと思うからであります。
 第一に、所得税についてであります。われわれは、勤労者に対する源泉所得課税方式そのものに強く反対し、この不当かつ狡猾な収奪税制の撤廃を重ねて要求をします。さて、今回二百七十七億円の一般減税ほどごまかしの産物はありません。税制調査会の答申をも無視しているばかりか、消費者物価の値上がりの推移を見ても、実質上の所得の低下は免れません。そして勤労者、労働者の税負担が過直となり、事実、勤労人民の最低生活費にさえ食い込んで課税されているということは、きわめて重大であり、許さるべきではありません。労働者、勤労者は、単に自己とその妻子の生存をはかるだけでなく、社会的生活を社会的進歩に応じて営む当然の権利を有しております。すなわち、自己と次代の労働力の再生産に必要な経費には、断じてこれを課税の対象としてはならないものだと考えております。したがって、政府は、当面労働者、勤労者の要求している、少なくとも所得六十万円までの免税措置をただちに講ずべきであると考えます。また、申告所得につきましても、政府は中小、零細企業、零細農民をますます破綻の状態に追い込みながら、しかも三十七年度当初予算の税収見込みに比べて、三十八年度の税収見込みは、実に四三%の増税を見込んでいるのであります。これほど所得税について過酷な税の収奪を行なっているのは、全く驚くべきものであると言わざるを得ません。これでは、減税どころか、実質的に大増税であり、反対すべきは当然のことであります。
 第二に、中小法人に対するこの法案の措置は、一方に中小企業の取りつぶしのむちを振るいながら、税の面でわずかの優遇措置を講ずることによって、その真の意図をごまかそうとするものにほかなりません。
 第三は、以上のように、勤労人民に対する税の収奪を一そう強めながら、他方では独占体に対する租税特別措置による優遇措置を行なってきたにもかかわらず、三十八年度はさらに二百四十六億円という減税を行ない、中央、地方聖通じて毎年三千億円に上る大減税を行なおうとするものであります。今回とられたこの租税特別措置の特長の一つは、利子所得、配当所得に対する減免でありまするが、明らかにこれは銀行、証券などの大資本と一部の高額所得者だけを優遇し、その利益に奉仕し、金融資本の育成強化をはかろうとするものであります。その特徴の二は、特定公共事業に関する土地譲渡所得の減税を名目にしておりまするが、事実は独占体の産業基盤を拡大するために、土地の取り上げを容易ならしめるためのねらいを持つものであり、さらに合併に伴う清算所得の特例などは、独占への集中を一そう容易ならしめるものであります。
 このような内容と特徴を持つ特別措置は、池田政府の経済政策の性格を示すものであり、財政金融政策と相待って、税制面から大衆収奪の強化を独占体への一大奉仕を行なおうとする意図の露骨な現われであります。
 したがって、われわれはこのような租税政策に反対するとともに、このような三法案には断固反対するものであります。
    ―――――――――――――
#123
○委員長(佐野廣君) 委員の異動について御報告いたします。
 平井太郎君及び田中茂穂君が辞任され、その補欠として後藤義隆君及び松野孝一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#124
○委員長(佐野廣君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#125
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括問題に供します。これら三案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
 〔賛成者挙手〕
#126
○委員長(佐野廣君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#127
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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