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1962/03/14 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 石炭対策特別委員会 第4号
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1962/03/14 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 石炭対策特別委員会 第4号

#1
第043回国会 石炭対策特別委員会 第4号
昭和三十八年三月十四日(木曜日)
   午後一時二十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堀  末治君
   理 事     徳永 正利君
           石田 次男君
   委 員     鹿島 俊雄君
           川上 為治君
           岸田 幸雄君
           高野 一夫君
           二木 謙吾君
           松野 孝一君
           阿具根 登君
           阿部 竹松君
           大河原一次君
           森 元治郎君
           柳岡 秋夫君
           田畑 金光君
  国務大臣
   通商産業大臣  福田  一君
   労 働 大 臣 大橋 武夫君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       上林 忠次君
   通商産業省石炭
   局長      中野 正一君
   通商産業省鉱山
   保安局長    八谷 芳裕君
   労働省職業安定
   局長      三治 重信君
   労働職業訓練局
   長       村上 茂利君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増市 甲吉君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   労働省労働基準
   局監督課長   小鴨 光男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○産炭地域振興事業団法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(堀末治君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(閣法第一一号)、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案(閣法第一二号)、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#3
○柳岡秋夫君 私は、現在起きておるような石炭産業の危機というものは、もちろん調査団の答申の中にもいわれておりますけれども、世界的なエネルギー革命が大きな要因になっておる、まあこういうことでございます。しかし、単にそれのみでないと思います。と申しますのは、やはり当然そういう世界的な経済の動向というようなものにつきましては、十分経営者としてもあるいは政府としても、これを把握をして、そしてこれに対応する施策というものを立てていかなくちゃならぬ、こういうふうに思うんですが、こういう点についての配慮と申しますか、そういう世界的な経済の動向に目をおおってきたところに今日の危機というものが生まれたんではないか、こういうふうに思います。したがいまして、こういう点についての反省と申しますか十分な過去の経験の上に立った今後の抜本的な施策というものが実施されない限り、貿易の自由化等を控えて、あらゆる産業に同じような危機というものが及んでくる、こういうふうに思うわけでございますが、こういう点についてのまず通産大臣の所見というものをひとつお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(福田一君) お説のとおり私は、過去におきまして政府にしても経営者にしてても、そういう問題に目をおおっておったとは思いません。やはりいろいろ考えてはおったのでありますが、そこにいささかやはり見込みの相違が、世界経済の動きについて、あるいは、また、日本の経済自体の動きについても、予定のように動かなかったという面があったと思うのであります。そういうことに目を向けておらなかったのじゃなくて、目を向けていても、御承知のように、経済は生きものでありますから、なかなか的確に把握ができない場合がありまして、そういうことが今日の石炭産業の問題がこのような事態になった一つの原因であることはいなめないと思うのであります。しかしながら、そういう事態であるから、今後もほかの産業についても十分注意しなければ、石炭と同じような第二の石炭、第三の石炭を生むのではないか、十分注意をすべきであるというお考えについては、われわれは全然同感を申し上げたいところでございまして、したがって、まあ今度出しております中小企業基本法あたりでも、自由化に対処して、また、中小企業の姿というものから見て、やはり中小企業はこういう点は気をつけていかなければならないのだというようなことを、十分中小企業者自身にも知らせるというようなところにも工夫を法案でしておるようなわけでありますが、いずれにいたしましても、今回まだ提案はいたしておりませんが、特定産業振興に関する法案などというものも、自由化を控えてこういう状況も起きるかもしれないから、ひとつ十分注意をして考えてもらいたいというような意味を含めておるわけでありまして、お説のような考え方で、今後第二の石炭が起きないように、十分ひとつ注意して施薬をして参りたいと考えております。
#5
○柳岡秋夫君 そこで、この石炭産業の危機を脱して、石炭産業を自立化させていく、こういう体制のもとにいろいろな法律案も出され、また、調査団の意見等も出されているわけでございますが、調査団の答申によれば、昭和四十二年度をもって大体石炭産業の自立化をはかっていく、このような内容になっております。そこで、政府としては、もちろん答申を尊重するというような総理大臣の答弁もございましたし、答申以上の施策をやっていくんだというようなことも本会議において言明をされております。一体通産大臣としては、この石炭産業の自立達成の目標をいつの年度に置いておられるか、その点をお伺いしたい。
#6
○国務大臣(福田一君) われわれは、有沢調査団に依頼をいたしまして、答申を出していただいております。その答申は、今お説のとおり、四十二年をもって自立させるのだ、こういう考え方であるのでありますが、われわれとしては、やはりこの趣旨を尊重はして参りたいと思っておるわけであります。しかし、調査団の答申が出れば、すべてこれに一字一句従っていくのだというようなことになりますというと、やはりその間においていろいろの事態もあるのでございましょうから、おおむねこの趣旨を尊重して、これは答申でございますから、決定ではございませんから、十分これを尊重しつつ石炭産業の自立をはかるというところへ重点を置いて施策を進めて参りたい、かように考えております。
#7
○柳岡秋夫君 抽象的なんですが、具体的に三十七年度なり三十八年度の、特に三十八年度の予算の中で、この石炭産業の自立化の方向に向かって画期的な石炭対策だと政府では言っておりますけれども、私どもは決して画期的な対策、あるいは画期的な予算だということはできないと思っておりますけれども、少なくとも、答申の線に沿って自立化をはかっていくという第一年度のやはりこの施策であろうと思うのです。しからば、その第一年度の予算なり、あるいはその他の施策をやろうとするには、自立化をいつの年度においてやっていくかというような、一つのやはり目標というものがなければそういう計画は出てこない、予算も組まれない、こういうふうに思うのですが具体的に何年度を目標にして自立化をやっていこうという計画なのか、その点をひとつはっきりと……。
#8
○国務大臣(福田一君) 先ほども申し上げましたが、一応四十二年度を目途として自立化をはかっていくという考え方で処理をいたしておるわけでございます。
#9
○柳岡秋夫君 最近の報道によりますと、石炭大手、大企業等におきましては、合理化を非常に急テンポに推進をしていこう、こういうような動きがあるように見られます。特に石炭大手等の意見では、おそくとも昭和四十年度には、自立体制が確立できるような合理化をしていくんだ、そうして三十八年度、三十九年度に約九〇%の整備、合理化をしていく、こういうような方針というものを打ち立てているようでございます。そうしますと、当然政府の、今、大臣の言明された方針と、この石炭産業経営者の方針とは食い違ってくるわけでございますが、こういう点についてどういうふうにお考えでございますか。
#10
○国務大臣(福田一君) 大手の業者が自己の会社経営の内容につきましていろいろの意見を発表したり、あるいは相談をしておることは、われわれとしてとめる権利はございませんが、私たちのとしては、審議会におきまして、今後どういうふうにして自立が達成できるかということに関する審議をしていただきまして、もちろんその審議の基準になるものは、有沢調査団の報告を基礎とし、これに基づく閣議決定を基礎としてお諮りはするわけでありますけれども、その審議会の答申を待って今度は政府の責任で処理をしていく、そういう道筋といいますか、大綱をきめているわけであります。そこで、大手のほうでどういうようなことをされるのであるか知りませんが、たとい自分たちだけで物事をおきめになっても、私たちは、何もそれを認めていかなければならぬというわけではありません。しかし、自分たちだけで全部できるのだ、よけいなことをするなといっても、これだけの法案も出て、いわゆる雇用対策というような面について、はたして全部自分でやれるのかどうか。しかし、雇用の問題も全部おれが解決するのだ、政府は、ちっとも必要ないのだ、手をかけない、一人も厄介になるつもりもないからできるのだ、また、組合もそれで承知する、そういうことであれば、私はそれまで干渉して、やはりわれわれのほうにということはないと思いますが、そういうことはあり得ないと思います。そうすれば、やはり審議会の決定を待ってから、正式に組合と経営者の間で話をされ、そうして問題を処理していかれる、こういうことになると思いますので、その前にそういう話がいろいろ出たりするのはおかしいじゃないかという御質問はしばしば承っておるのですけれども、私たちはそれをまで禁止するほどのことはないのじゃないか。それは内々の話でありますから、うちの中で子供や奥さんとでいろいろな話をしておったからといって、今度は外でそれが有効になるというわけには参りません。それと同じようなものだと考えているわけでありまして、外向きへ出たときは、やはりだんなさんもうちの者ともう一ぺん再度話をしてから外へ行って何か発言しなければ、その発言する場所というものが、うちの中で幾ら話をきれておっても、それがすべての決定になる、こういうふうには見ておらないし、また、われわれは、その内輪の話で物事を処理していこうとは考えておりません。
#11
○柳岡秋夫君 大臣が、今合理化のこれからの方向について審議会に諮ってそうして大手がどう言おうと、審議会の決定に従って進んでいく、こういう決意でございますので、そのとおりにいけば私もいいと思いますけれども、しかし、問題は、バスに乗りおくれるとか何とかいう言葉もありますけれども、そういうような形で雇用対策の十分に考えられないままに赤字が増大してきたとか、そういうような理由をもって、ことさらにこの山に紛争を起こしておるということは、非常に私は遺憾なことだと思います。また自民党は、これは政府も同じだと思いますけれども、とかく圧力団体には弱いといわれております。地主補償の問題でもそうですし、おそらく石炭大手の経営者から強い突き上げがあったら、これは審議会にかけてやっていくんだといっても、ある程度その幅を広げた形の整備、合理化というものがなされるというようなことも私どもは懸念をするわけです。そうしますと、当然そこに労働者の雇用の安定あるいは生活の保障というものに大きな影響を及ぼしてくるわけでございますので、しからば、そういう企業の先行した計画に対して、今の決意で、ある程度は納得できるのですけれども、やはりもっと積極的な政府の指導、あるいは企業に対する――これは資本主義社会である以上、ちょっとむずかしいかもしれませんけれども、ある程度の監督、こういうものが必要じゃないか、こういうふうに思うのですけれども、そういう積極的な指導をやるお考えがございませんか。
#12
○国務大臣(福田一君) 先ほども申し上げたところでございますが、われわれとしては、経営者が将来の会社の方針等について内輪でいろいろ話をされておるということは、今あなたからもお話がありましたが、自由主義経済といいますか、資本主義経済のもとで自由にやらしておる姿でございます。しかも、この石炭産業を国管に持っていくというような方向でこれはやっておるのではございません。やはりいわゆる資本主義経済のもとにおいて、四十二年度を目途として、独立してちゃんとまあ経営もできるし、労務者に対しても適当な措置ができるというように処理をしていきたいという考えでこの方針ができておりますので、今そういうことをわれわれが言うことは、かえってそういういわゆる企業の自由とか、あるいはそういうようなことから見てみても適当ではない。しかし、内輪で話したことを持ってきて、すぐ政府にこのとおりやれと言われても、これはわれわれは認めませんという態度で進んでいきたいと思います。
#13
○阿部竹松君 関連して。今、柳岡委員の質問に御答弁なさった、経営者が労働者と交渉するのは何ら拘束しません、御自由です、こういう御答弁ですが、なるほど自由主義経済で私企業ですから、当然政府で干渉しないという建前をおとりになるのもよろしいと思います。しかしながら、昨年来、総理初め、あるいは今御答弁なさっておる福田通産大臣にお尋ねいたしましても、三十八年、つまり今年度になるのですが、有沢調査団の答申に基づいて鉱業審議会を設けて、そこでスクラップなりビルドなり、あるいは炭田別、地域別にスクラップにする山とビルドする山との計画を立てまして、そこでその石炭政策を行ないます。こういう御答弁をなさっているわけです。ですから、そうすると、そういうワク外の、政府の計画以外のワク外の整理が自由になされているかどうかという、こういう点について今までの方針と違った御答弁のように承れまするし、労働大臣に続いてお尋ねしたいのですが、労働省の雇用計画というものは、通産省の石炭合理化政策による離職者に対する対策が立てられておると思うのですが、しかし、今、通産大臣の御答弁のように、計画に基づいて離職される方もおるのだが、労使双方自主的に話し合いの結果離職される者もあるとすれば、計画では一万五千人でわかっているけれども、労使双方自主的に何万何千名やられるかということが労働省でおわかりにならない、出た結果について承知する、こういうことになりますので、ただいまの通産大臣の御答弁は、前回と同じでございますとおっしゃっておるようですけれども、ここに十一月二十七日に皆さん方の閣議で決定なさった閣議決定書を私は持っておりますが、この決定書の方針に基づいても、今の御答弁は了承できません。それと同時に、今の話に関連いたしまして、計画以外の余剰人員が、労働省の知らぬ間に、数はわかりませんけれども膨大な数字になったときに、はたして完全なる雇用対策ができるかどうかという点について、関連してお尋ねいたします。
#14
○国務大臣(福田一君) 私は、今、阿部さんのお話になりましたことにつきましては、もう何も前に申し上げておること、あるいはわれわれが政府で決定したこととそんなに違ったことを申し上げているつもりはないのでございまして、これはもう一応審議会が地域別、炭田別にこういうふうにやっていったらいいということをきめたときに、そのそれぞれの山において経営者が組合と相談をして、そうして、それではこうしましょう、ああしましょうということをそこで正式に話し合いをして、そうしてその結果きまったことに基づいて問題を処理していく、こういうことでございます。先ほどの柳岡さんのお話のあったことは、その前に経営者が組合と話をするのはけしからぬ、そういうのをやめたらいいじゃないかというお話でございますから、そういう内輪での話をなさることをわれわれはとめるわけにはいきません、とめることは無理だと思っておりますと、こういうことを申し上げておるのでございまして、今までは私は一貫してそういう答弁をさしていただいておると思うのでございます。
#15
○国務大臣(大橋武夫君) この石炭離職者につきましては、御承知のように、石炭合理化審議会におきまして石炭合理化計画を立てるにあたりまして、おおよそそれによって生ずるところの離職者の総数というものにメドをつけ、この対策につきましては、労働省が責任を持って具体的な計画を立て、この計画とにらみ合わせて合理化の計画を決定して参ることになっているのであります。したがいまして、労働省といたしましては、今後の合理化というものは、あくまでも合理化審議会で決定した計画のワク内で行なわれることが必要でございまして、もしこれをオーバーするようなことになりまするというと、離職者に対する対策に破綻を生ずることになるわけであります。したがいまして、かりにこの合理化進行の過程において当初の計画が狂うというような見込みが出て参りましたならば、その際において計画を変更させ、新たな事態に応じた雇用対策というものを立てた上で、もう一度合理化計画をあらためて決定して参るべきものだと思うのでございます。その場合において、どうしても雇用対策が立たないというような、大きな離職者の見込み数が出て参りましたならば、それは雇用計画の成り立つ範囲内において計画そのものを圧縮していかなければならないということは当然であると思います。
#16
○阿部竹松君 関連ですから、あと一問でやめますが、有沢調査団の答申を政府は大きく取り上げて政策に盛り込みました総理大臣初め皆さん方の御答弁をいただいておるわけですが、あの答申を私どもが承知しておる限りにおきましては、ビルド山にしてもスクラップ山にしても雇用問題にしても、やはり審議会を通じておやりなさいということが私どもの承知しておる点なんです。ですから、確かに通産大臣のおっしゃるように、私企業ですから、さいぜん申し上げましたとおり、政府が命令を出してやめなさいということはできないでしょう。しかしながら、今まで石炭政策の行政指導をやってきたのですから、したがって、合理化法を二度も改正して軌道に乗せようというやさきに、一例をあげると、三井が九千人とか、あるいは北海道炭礦汽船株式会社が六千人とか、合わせて一万五千人、小さい会社は数知れず、こういうものが自由に交渉をやってもよろしいということになると、合理化審議会で論議する以外のところで一万五千名も二万名も、これは組合が了承するとは思いませんけれども、相当数の審議会の議を経ないで離職昔が出てくるということになると、大橋労働大臣が今心配なさったようなことが起きてくるのではないかと私は憂慮するわけなんです。ですから、政府に、ひとつその命令によって石炭経営者に対してそういう交渉をやめなさいとか、こういうことはとても法的に見てもやれそうもありませんが、審議会が軌道に乗ってスクラップ、ビルド、こういう大方針がきまるまで一時ストップする方法等は全然ないものかどうかという点をお尋ねしているわけです。これが柳岡委員の質問の趣旨でもあり、労働省のほうで、全然計画に基づかぬ離職者が膨大に出てきた場合に、予備費の中から直ちに予算措置を講ずるということもこれは不可能でしょう。そういう点がきわめて憂慮されるので、関連質問ですからこれでやめますが、明確にしていただきたいと思います。
#17
○国務大臣(福田一君) 私は、そういう話し合いをしておるからといって、大手は勝手にもう話し合いでもって離職者を出すという段階まできておる、また、そういうことをするはずもないと思いますし、そういうことはないと思います。しかし、今あなたが三井のことをたとえば例に言われましたけれども、その九千人をいつやめさせるのか知りませんけれども、それはやはりだんだんと順を追ってやめるようなことを言ったらしいということを私は聞いておる。そういうようないわゆる会社の計画、将来こういうふうに持っていきたいという計画をいって、そして組合との間でも、どうだろう、そういうことをして諸君のほうはどうだという話し合いをしていることまでやめろというわけには私はいかぬと思う。そこで、今こういう計画だから、四月の一日には千人なら千人をもうやめさせるから、それで承知せよといって組合と話し合いをつけてさっさとやめさせるというようなことであったら、私は断じてそういうことはやめてもらいたいと思います。また、やめさせるつもりであります。聞いてみるというと、やはり私たちがはっきりそういう態度を打ち出しておりますから、審議会のあれが済むまではそういうふうなことはできないんだ、話し合いはしているけれども、正式なことはできないんだというふうに経営者のほうも理解しておると私は理解しておるのでありまして、経営者のほうがそういうことがわかっている以上は、その限度において話し合いをしたからといって、また、会社の経営方針を発表したからといって、私どもは、それはいけないということを言う必要はないのではないか、こう申しあげておるわけであります。
#18
○柳岡秋夫君 昭和四十二年度までに石炭産業の自立化をはかっていく、そういう目標でやっていくんだという答弁でございますが、しからば、当然これはエネルギー源としての総合的な政策というものの一環としてこの問題を考えていかなければならない問題でございますから、当然今後四十二年、あるいは四十七年度くらいまでの日本エネルギー需要というような面、あるいはそういう石油なり石炭、あるいは電力その他のエネルギー源の総合的な政策というものが、ある程度はっきりこの辺で見通しをつけておかなければならないんじゃないか、こういうふうに私は思うわけでございますが、先般通産省で発表された昭和四十七年度までの見通しによりますと、石油は六三%、石炭は割合にして一九%、こういうような見通しを立てているようでございます。当然昭和四十七年度になりますれば、おそらく日本の経済も今よりもっと成長いたしまして、このエネルギーの需要というものも拡大をしてくると思います。したがって、割合からのみ問題にすることはちょっとまずい点もあるかもしれませんけれども、私どもが先般から要求しております五千五百万トン以上、少なくとも六千万トンくらいの石炭の需要は、雇用の面、あるいは国際収支の面、あるいはまた石炭のエネルギーの安全保障というような面からもぜひ必要だ、こういう意見を出しておるわけです。この一九%というのは、大体数量にしてどの程度の数量になるのか、石炭の場合。われわれが要求をしておる六千万トン以上のそういうような需要量になるのかどうか、そういう点をひとつお伺いしたいと思います。
#19
○国務大臣(福田一君) ごもっともな御意見なんでございまして、石炭の問題を取り扱うときに、一応そのほかのエネルギーとも総合的にものを考えていかなければいけないのではないか、これはごもっともでございます。ただ、見通しを申せと仰せになりますと、石炭というものは、一応今の現段階のあり方では、需要がそうふえる見込みはないわけであります。しかし、需要はふえる見込みはないけれども、ふやす努力をする、需要をふやす、需要に応じただけでやっていったのではだんだん減るような形になりますから、そこで、われわれとしては、石炭に関する限りは、ほかの部門と切り離しまして、五千五百万トンというものだけは、ひとつ今言った国際収支の問題も考え、雇用の問題も考え、その他の問題を考えて、これだけは大体確保していくのだという方針のもとにスクラップ・アンド・ビルドをしていこうというのが有沢調査団の考えで、したがって、この五千五百万トンという数字が基礎になっておるわけであります。一方、石油とか、あるいは電力というものはどういうことかといいますと、これはどんどんふえていく。エネルギーの需要がふえるに従ってそのほうはふえるであろうという、こういう見通しです。そこで、石炭のほうは、絶対数は一緒であるが片一方は絶対数は上がりますから、パーセンテージはだんだん石炭が下がってくるというのが当然の理でございます。こういうような想定のもとにお手元に出しました資料を作成をいたしておるのであります。しかし、それだからといって、石炭が五千五百万トンであきらめたのか、こうおっしゃれば、そうではありません、何とかしてこれをふやすように需要を確保するように努力をしたいと思います。しかし、現在の状態から見るというと、五千五百万トンはなかなかむずかしい。現実では、ことしあたりも、とても五千五百万トンに及ばないことは御承知のとおりです。来年もなかなかむずかしい。しかし、むずかしくとも、五千五百万トンは何とかして確保するという政治的責任において問題の処理をはかっていこう、こういうことを申し上げておるわけでありまして、われわれとしては、石炭に関する限りにおきましては、確定数字をここで一応出していって申し上げて差しつかえないでしょう。しかし、ほかのエネルギーはどう伸びていくかということになりますと、これはかなり見通しになっていく、ある程度自由にしてあるのですから。石炭のほうは、それだけは何とかして需要が減っても確保しようという政策をとってやっていこう、こういうわけでございます。
#20
○柳岡秋夫君 次に、それでは労働大臣のほうにお伺いしたいわけですが、この石炭産業の危機が叫ばれ、また、社会的な大きな問題になった時期は、何といっても昭和三十四年の千二百円の引き下げ、あるいは合理化のある程度の強化というところにきっかけがあったのじゃないかと思いますけれども、昭和三十四年以来の石炭産業労働者の離職者の現在の状況、こういう点がもしおわかりでしたら、ちょっとお伺いしたいわけでございます。
#21
○国務大臣(大橋武夫君) 数字もあるようでございますから、局長から申し上げます。
#22
○政府委員(三治重信君) 三十四年の三月末の常用労働者数は二十八万三千二百人あったわけでございます。これが最近になりまして、約十八万切りまして、十七万九千八百人。これは昨年の九月末でございます。そうしますと、大体約十万人の減少になっておるわけでございます。この間に、安定所の紹介によって再就職された方、これはまあ一般の自己退職者を除きまして、合理化解雇者についての調査でございますが、四万三千五百人、これが安定所で紹介したものでございます。それから、会社あっせんや縁故その他で就職された方、これが約三万三千六百人というふうになっております。それから、そのほか帰農、自営ということでいなかに帰られたり、それから自営をされたり、それから安定所でつかめなくなり、また、隠退されたと推定される人、これが約一万人ほどであります。大体総計で、いろいろ離職後の片がついたとわれわれが推定している数が約八万七千五百人というようになっております。したがって、合理化退職者で、昨年の九月末のときに約一万六千人ほど滞留者があったというふうに考えております。
#23
○柳岡秋夫君 その一万六千人ほどの滞留者があるという今御説明でございましたが、その滞留者が出ておるという要因ですね、それをどういうふうに労働省としてはお考えでございますか。
#24
○政府委員(三治重信君) これは調査時期の近くの方、ことに失業保険受給者、これが必ずしも滞留といっては語弊があるかもしれませんが、常に失業保険の受給者というものがあるわけでございます。これが大体七千人から九千人、このときの調査では失業保険の受給者が七千六百人、それから緊就に就労されている方が四千四百人、結局求職されていて、そのほかの失業保険受給期間が切れて、まだ求職票で有効求職になっている方が四千三百人、こういうことでございます。
#25
○柳岡秋夫君 私は、この滞留者が非常に多い、しかも、就職が非常に困難になっておるという要因は、やはり大きく分けて住宅の問題、それから賃金の問題、それから訓練所が非常に遠くて通えない、こういうようなところにあるのじゃないかというふうに思うのです。で住宅につきましては、本年度の予算で大体八千戸ほど建つと、こういうことでございますが、賃金の問題については、やはり前職賃金を下回るということは大体の傾向のように見られるわけでございますが、やはり前職賃金を上回るような職場、そういうものの、あっせんなり指導と申しますか、そういう点にやはり力を入れていかなければ、この滞留者というものを解消することはできないというふうに思うわけでございますが、再就職した者の賃金、特に前職賃金を上回っているもの、あるいは下回っているもの、もしそういう数字がおわかりでしたらお知らせ願いたいと思います。
#26
○政府委員(三治重信君) 前職賃金と再就職賃金との比較は、調査しておりませんが、再就職された方の賃金について調査しているものがございますので、それでお答えしたいと思いますが、産炭県の自県内で再就職された方が三十七年度の調査では一万八千八百円程度であります。これが自県。それから広域紹介によって都会地、需要地へ移転して就職された方が約二万二千円平均でございます。それで、一番普通の三十五才から三十九才辺の方が、自県内で一万一千七百円、それから広域のほうで二万三千二百円。それから四十才から四十九才の方で、自県内が二万五百六十円、それから広域で二万三千五百円、六十才以上の方で、自県内になりますと一万六千円、これはもちもろんこういう方では広域はございません。こういうことでございます。
#27
○柳岡秋夫君 三十七年の四月からは、今後の法律案によりますと、当然手帳等の交付があって、ある程度離職者に対しては改善をされているわけでございますが、この三十七年四月以前のこういう離職者は、今説明がありましたように、まだ滞留者がたくさんいるわけです。こういう人たちに対しても、私は、やはり何らかの対策を立てていかなければいけないのじゃないか。もちろん自己の都合で職につかないでおる労働者もあろうかと思います。しかし、おそらく大半は、先ほど私が申し上げましたように、住宅の問題なり、あるいは賃金の問題、あるいはまた適当な訓練を受けることがどうしても困難だ、こういうことで就職のできない方であろうというふうに思いますので、この三十七年四月一日以前のこういうような離職者に対しても、私は、何らかの積極的な対策というものを立てるべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、そういう点は具体的にどういう対策をお持ちでございますか。
#28
○政府委員(三治重信君) 三十七年の四月一日以前の離職者の方につきましては、昨年の一月、この臨時措置法を改正いたしまして、雇用奨励金や、それから訓練手当金の増額の措置をとっております。それから、もちろん移転就職者用宿舎に入る権利はあるわけです。ただ、今度の改正のいわゆる求職手帳制度による援護は、法律の建前上できない、こういうことでございます。したがって、そういう四月一日以前の方で、さらに求職活動を続けられる方、これはやはりできるだけ訓練所に入っていただいて、そうして訓練手当も、今年よりは五割増しに訓練手当をしておりますので、そこでひとつ訓練をできるだけ受けていただきます。さらに、それから今度職安法、失業対策法の改正案が通りますれば、一般の就職指導過程に入っていただければ、そこに就職指導手当も措置がとれるんじゃないかというふうに思っております。そういう現地での特別の職業指導体制は今度の失対法の改正でやりたい。それから他に移住されるとか、それから訓練所へ入られるとか、移転就職者の宿舎に入られるとか、こういうものは昨年一月の石炭の改正案の援護の体系は同じように受けられる、こういう体制になっております。
#29
○柳岡秋夫君 最近、石炭合理化審議会ですか、それが開催されて、それで三十七年度の合理化計画というものが答申をされておるようでありますが、この中で、三十七年三月末の繰り越し分が一万六千三百人ある、さらに三十八年の三月末繰り越し分は一万八千四百人あると、こういう数字になっているわけです。少なくとも、雇用の安定、生活の保障ということを眼目にしてこの石炭産業の合理化をはかっていくということでこのいわゆる画期的といわれる政策を打ち出したわけですが、当然私は、三十七年度三月末の繰り越し人員よりも三十八年の三月末の繰り越し人員が多いというような計画は、これは雇用の安定という面から考えますと、ちょっと矛盾をしていると、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどうなんです。
#30
○政府委員(三治重信君) この三十七年度の雇用の見通しのやつで、三十七年の三月末、いわゆる今年度に繰り越された求職者数が一万六千三百人ほどございまして、この三月末で、来年度に繰り越し予定が一万八千、確かにふえております。しかし、これは今度の改正法の対象を予定いたしまして、職員を千五百人計画の中に入れておる。したがってふえておる。今までの繰り越し前の、昨年度から今年度に繰り越したときの一万六千一二百人というのは、職員が調査対象になっていなかった。今度これも見込んで職員を千五百人入れておりまして、そうしますと、大体前年度の繰り越しと明年度への繰り越しと、常用労務者としては大体同じ数になるということで、別に失業者が特別にふえたということでなくて、失業者の対象を、今度の新しい改正法で職員まで入れておりますので、その入れたために全体としてふえた、こういうふうにお考え願いたいと思います。
 なお、それにしても三十六年度から三十七年度に繰り越した数と、三十七年度から三十八年度に未就職で繰り越す数が同じでは非常にまずいんじゃないか、これはもうお説のとおりでございまして、これはわれわれのほうも、一つの原因は、三十七年度の景気調整の過程で、広域紹介のための再就職が割合に伸びなかったということが一つの大きな原因でありますとともに、やはり有沢調査団がずっと昨年活動期間中、ほとんどわれわれの本省のほうも調査団にかかりっきりで、その対策やいろいろの調査のほうにかかって、第一線の業務の指導なんかに手落ちのあったのが第一点。業務の指導体制が十分でなかったというのが第二点。それから、第三点として、やはり地元に残られる方も、何か今度新しい政策が出るので、そういうものを見て動向をきめようじゃないかというふうな、求職者側にも若干新政策待ちという気持があったのじゃないか、そういうふうなまあ二、三考えられます点を述べましたわけですが、そういうようなことで、現状維持的な部面が非常にあったということを反省できるのじゃないかと思います。したがって、今度われわれが、こういうふうに三十八年度におきましては、審議会の審議を得て、また、その得る前から現在まで、今この新しい法案による施行の準備をしておりまして、こういうことで、はっきり求職手帳というもので、求職者数も、また、それによって求職の内容も個々詳細に調査をし、相談に乗る、そのために、この法案でも定員百八十六名をふやしておるわけであります。そういうことでもっと親切な再就職が促進されるというふうに考えております。
#31
○柳岡秋夫君 この三十七年度の再就職計画、これの実践率というものがおわかりでございますか。大体おそらくこれは政府関係機関でございますから、そう計画と狂わない数字が出ておると思いますけれども、このその他の面で、やはり計画と実際がどのくらいの割合で出てきておるかという点がおわかりでしたら…。
#32
○政府委員(三治重信君) 本年度の四月から十二月までの実績を申し上げます。安定所の紹介によって再就職された方が十二月末までで一万一千九百七十人、それから会社あっせんが四千四百四十人、それから、それ以外に自己就職された方があります。会社あっせん、自己就職者数の今の一万一千五百人に対応するものが八千二百四十人でございます。そして、再就職された方が以上合計で二万二百十人、自営、帰農とか引退と推定される人が二千六百四十人、大体合計として二万二千八百五十人というのが十二月末までの実績でございます。
#33
○柳岡秋夫君 この会社あっせん並びに自己就職の二万一千五百人、合計してですね。自己就職の方が八千二百四十人で、会社あっせんが四千四百四十人、こういうことでございますが、非常に会社あっせんという数が私は少な過ぎるじゃないかというふうに思うのです。少なくとも炭鉱離職者は、自分の責任でやめるわけじゃないわけですね。炭鉱の危機というものが、一番最初に私が申し上げましたように、経営者なり、あるいは政府のやはり大きな政府の失敗といっても過言じゃないと思いますけれども、長期のそういうエネルギー政策というものに明確な対策を立てずに今日のような不況を呼び起こしたということから考えれば、当然離職者の立場から言わせれば、これは何も自己の責任ではなくして、会社なり、あるいは政府の責任だということになれば、会社側としては、その再就職について積極的にやはりもっとタッチしなければいけない、こういうふうに私は思うのですが、今の御説明によると、自己就職のほうが多くて、会社あっせんのほうが少ない、こういう点は私は非常に遺憾だと思います。そういう点について、労働省としてはどういうふうに会社に対する指導なり、会社の責任というものに対して考えておられるのか、その辺をお伺いしたい。
#34
○国務大臣(大橋武夫君) ちょっと先ほど局長が説明しました数字と御理解と食い違いがあったようでございまして、その点、後に修正いたしますが、仰せのとおりに、今度の離職者問題につきまして、会社側にできるだけ骨を折ってもらうということは、これは当然のことであると存じます。そこで、労働省といたしまして、昨年の十一月に、特に最近になりまして大手の山の整理が相次いで予想せられておりまするし、中小と違いまして、大手はまた一そう離職者の就職あっせんに手だてを持っているわけでございますので、大手十八社の社長をお招きいたしまして、少なくとも今後離職者の半数以上は会社で責任を持って就職のお世話をしてもらいたいということを要請いたしまして、全体としては了承して、その線で努力をするという回答を得ているようなわけでございます。むろん今日なかなか就職のあっせんは骨の折れる仕事でございまするから、実効がどの程度まで上がるか、これは今後よく注意しなければならぬと思いますが、その後、最近までのいろいろな話などを総合いたしますると、各会社とも、この約束をまじめに履行しようという相当誠意ある態度をもって協力してくれているように私は見受けているのであります。
#35
○政府委員(三治重信君) 先ほど御説明がちょっとこんがらかりまして失礼いたしましたが、八千二百四十名のうち、会社あっせんが四千四百四十名でありまして、したがって、それを引きますと、自己就職、縁故就職というのは三千八百人、この両者合わせたのが八千二百四十人というわけであります。
 なお、今、大臣が御説明になりましたのを補足させていただきますと、今まで離職者を相当出している大手のほうにつきましては、就職対策部を作ってもらいまして、これに今相当会社の職員を充ててもらっているわけであります。それと、安定所の活動との連携を今強力にして、したがって、そういう就職対策部におきましても、会社の出先や販売店、それとは別個に、独自に名古屋、大阪、そういう各地に出張員を置いてもらっておりまして、そこで再就職のめんどうをみてもらう。これにつきまして、われわれのほうも、いろいろ情報の提供ややり方についての業務連絡を定時に、一、二カ月置きに昨年からやっております。
#36
○柳岡秋夫君 その次の問題としてちょっとお伺いしたいのですが、訓練中の生活保障の問題ですが、失業保険の受給期間中は、技能手当ですか、そういうものは出さないわけですね。たとえば手帳に切りかわると失業保険の受給額よりも多くなる、こういうケースが出てくるんじゃないですか。たとえば失業保険の場合は、前職賃金の六割、最低が百八十円、こういうふうに今度なるわけですね。そうしますと、最低の、あるいは三百円なり四百円なりというような人は、その受給期間が切れてからの保障というか、給付よりも額が低い、こういうことが出て参りませんか。
#37
○政府委員(三治重信君) 現在、訓練手当だけを受け取られる方は、日曜日、祭日を除いて一日三百円、現在失業保険の受給者で、その三百円以下の受給者が訓練所に入った場合には、その差額を支給するように現在もなっております。今度失業保険の改正によりましても、失業保険の金額が来年度の予定の三百六十円未満の場合には、その差額を支給する、訓練所に入られた方には、三百六十円までその差額を支給する、これは現在もやっております。それから訓練所に入られた場合に、技能習得手当、別居手当、来年は寄宿手当というものがございますが、それは今年度と同じように、一日七十円。それから寄宿手当につきましては、月額三千六百円、これは失業保険の受給者にも、それから訓練手当のみの方々にも、みな加算になります。
#38
○柳岡秋夫君 通勤費はどうなっておりますか。
#39
○政府委員(三治重信君) 現在、技能習得手当の七十円の中に交通費は含まれて計算されておる、こういうことでございます。
#40
○柳岡秋夫君 具体的な問題については、またあとでお伺いするといたしましても、すべての生産というものが、労働者がなくては生産活動というものはできない。こういう立場から考えますと、当然この労働者の意見といいますか、労働者の生活保障を含めた労働者の問題について、労働者の意見を十分聞くということが非常に重要な問題じゃないかと、こういうふうに思います。したがいまして、石炭合理化審議会の構成、あるいは改組というものが打ち出されておるわけでございますけれども、当然答申案の中でも三者構成ということがいわれております。そういう観点からいって、私は、合理化審議会の中に労働者の代表を入れ、そうして労働者の意見を十分に取り入れる、満場一致的な形でもって、合理化審議会の運営がなされる、こういうことが必要ではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、この合理化審議会の強化という点についてどういうふうにお考えでございますか。これは通産大臣のほうですか。
#41
○国務大臣(福田一君) これは皆さんのほうでも、大体通産省の考え方はおわかりを願っておると思うのでございますけれども、合理化部会や雇用部会の構成は、使用者及び労働者についてはそれぞれ代表を出す、そして中立委員若干名をもって構成する。また、会議の運営のやり方は、議決の方法は多数決制でございますけれども、議事は極力民主的に運営するというようにして、できるだけ全員が了解を得るように努力する、こういうやり方でやって参りたいと、こういうわけでございます。
#42
○阿具根登君 関連して。柳岡君の質問は、それはわかっている。それはわかっているけれども、強化ということは多数決を先にうたっておられるということになれば、おそらく議事運営で議事は民主的にやるというけれども、おそらく最終の場合には力で押し切るような心配があるのじゃないか。だから、これを原則的には満場一致、運営の面においてやむを得ないときには多数決にするんだという、逆なようにすれば非常に強化できるじゃないか。数の問題を言っているわけじゃないんです。根本の問題を言っているわけです。その点を質問しているのだろうと私は思います。
#43
○国務大臣(福田一君) 多数決というのは力による決議だということになりますと、これはまあなかなか意見の相違ということに相なってしまうかと思うのでありますけれども、やはり民主主義のもとでは、すべて物事をきめていく場合に、お互いが自分たちの意見を十分述べる機会を与えるということが、これは当然なことであるけれども、意見が違った場合には多数決でやるということは、私はこんなことをあなたに申し上げてはなはだ失礼だと思って御答弁をいたしておる。十分阿具根さんもおわかりを願っておる、柳岡さんにしてもおわかり願っておることでございますけれども、やはりこの原則を欠いていくということになりますと、これは相当他に影響が大きいと思いますので、この原則を変更することはむずかしいと思います。ただ、しかし、仰せのとおり、この問題には労働問題もずいぶん深く関係のあることでございますから、できるだけひとつ民主的に運営をして、そして全部が意見が一致するところで議決するように努力をしたいということで御了承を願いたい、こう申し上げておるわけでございます。
#44
○阿具根登君 その考え方に一つだけ違うわけなんです。使用者側と被使用者側が同じ立場にある場合のあなたの考え方を、私は多数決が原則だということは、これは最初から認めるわけなんです。最初から出発は、これは被使用者側が非常な不利な問題を審議するのです。最初の出発が違うのです。どちらが反対するかというと、首切られてやめていく人が反対する、それがこの根本問題なんです。そういうハンディがついているのです、最初から。それを最初から多数決だといって持ってくるのは、一般平常な場合のあなた方の考え方とこの審議会を作った趣旨が違うと私は思う。それは普通の場合の民主主義だったら多数決はそのとおりです。しかし、こういう場合は、一方は加害者、一方は被害者、極端な言葉で言えば。一方は残る人、一方は去る人です。そうするなら、去る人の立場をもっと考えてもらうために、なるべくこの人たちが了解してやるためには、ひとつ原則としてはこれはもう満場一致でいくようにしようじゃないか。しかし、原則といっても、いつまでも一年も二年も、半年もきまらぬのじゃ困るから、その場合は多数決でも仕方ないけれども、まずその精神というものは、去る人、犠牲になる人をどう考えるかということがこの原則だと私は思う。その出発が大臣と私と違うようです。ただ、民主主義は多数決の原則だというふうな話なら小学校の生徒でも知っています。私が言っているのはそうじゃない。一方は職を追われていく人、自分が長年生活したところを、政策によって職を追われていく人、そうするなら、その人の立場を尊重するためにこのくらい強化してやっていいじゃないか、こういう意味なんです。
#45
○国務大臣(福田一君) 使用者の人と、いわゆる労務関係の方とだけの話ですと、そういうお説のような問題も考え得ないわけではないと思いますが、御承知のように、これには中立委員というものを入れて、むしろこれが多いわけであります。そういう中立委員というものも、そういう最初からひが目をもって見ているのだ、こういうことになるというと、私は、これはこういう仕組み自体ができないということになろうかと思うのでありまして、中立委員がたくさん入っておられて、そうして両方の意見を聞いた上で、どっちがいいだろうかということをきめる場合にあたっては、やはり多数決にいたしましてもそこに無理は起きないではないか。もちろんあなたのお言葉を借りて言えば、追われる立場というものには同情すべきであるということは、これは当然なんで、それだからこそ政府としてもいろいろの施策をできるだけしようというので、ほかの事業とは違った救済策をちゃんととっておるわけでありまして、そういう意味ではほかの事業と違い、非常に手厚い措置をいたしておると思うのであります。しかしながら、とは言っても、今あなたのおっしゃるような、いわゆる気の毒な人が出るという場合であるから、その意味がよくみんなにわかって、その上で採決をするようにしなければいけない。そういう意味では、できるならばみんな全員一致になるように努力をする。そうして努力をしてみてもどうしてもいかぬという場合には、やはり採決できめるということは、私はやはりこの場合においても適用されてあまりそう不合理ではない、そう不合理というか、私は不合理ではない、それでいいんだという感覚を持つのでありまして、この種の問題がほかにあった場合においても、これは石炭の問題でなくても、私はこの原則、こういうような構成で人を選んで審議をしていただくという立場なら、多数決というのを前へ出すというのは、これはやむを得ないところである。こういうふうに私たちは考えておるわけであります。
#46
○阿具根登君 その考え方が私は少しまずいと思う。あなたの考え方でいくなら賛成、反対は要らないのです。ただ中立の方がおりさえすればいいんです。双方の意見を聞いておって中立の方が意見をぽんと出せば、その方はあくまでも厳正中立だから、三者要らないわけです。中立の方だけきめて、その中立の方が責任を持って両方の意見を聞いて回ればいいんです。それでも民主主義だということは言えると思うのです。
 それから、あなたの考えの中に、炭鉱労働者を特別よくしてやっているじゃないか、ほかの産業よりもよくしてやっているぞというかまえのあることを私は非常に遺憾に思うのです。私はそうあるべきじゃないと思うのです。本来ならばもっとしてやりたいのだけれども、しかし、諸般の状況でそれはできないのだ、気の毒に思っているのだというくらいのことは為政者としての考え方があっていいんじゃないかというのが一つ。
 それからもう一つは、あなたがそうおっしゃると、何か失業された労働者は、どんないい条件があってもいやだいやだと、どんなことがあってもいやだといっているように、だからこういうことになるのだということにとれないわけでもない。私が言ったことを、中立委員まであなたは疑うかという反論になれば、中立委員まで疑うかということになってくると、何としてもおまえたち言うことを聞かぬから中立委員を持ってこなければならないということになる。ところが、今の炭鉱労働者はそうじゃないと思う。この静けさを見て下さい、去年に比べて。やむを得ない場合は、なるべくその妻子を連れて飯を食えるようにしてもらいたいという念願が先に立っていると思うのです。そうすると、これを納得させるということは、当然これは三者の中の二者が納得させるだけの力があってしかるべきだと思う。そう思っているのです。拒否権を持っているというのじゃないのです。拒否権と勘違いされぬようにしてもらわぬといけない。拒否権じゃない、何が何でもいやだというのじゃない。だから、その人たちを、より私はやはり気の毒な目で見てもらうわけにはいかないかと、こういうことなんです。ただ冷たい法の解釈でいけば、お前たちは石炭によって首を切られたものを政府がこれだけ世話しているのだから文句を言うなと、こういうような言葉にならぬとも限りません。しかし、私は、このよってきた立場を考えてくる場合に、ここまで政府も親切にしてくれたなら、これだけしておるぞという感覚じゃなくて、もっと何とかしたいのだというような私は親切があってしかるべきだと思うけれども、今の大臣の答弁は、あまり冷たく聞こえましたから、一応反論しておきます。
#47
○国務大臣(福田一君) 私の申し上げたことが、そう冷たく聞こえたとすれば、私の気持を十分にあなたに申し上げられなかったわけでありまして、その点はおわびをしてもよろしいのですが、私は、そういう気持ではございません。ただ言葉の上で、ほかの産業と比べた場合に、石炭は優遇してあるということと、石炭の人たちが非常にお気の毒である、これに対しては親切に物事を処理していかなければならないという考え方とは、決して両立しないものではないと思っております。私はやっぱりお気の毒だと思っている。お気の毒だから、何とかして差し上げなければいけないという気持は十分持っております。
 ただ、お話の出た、出発点がどこにあるかといえば、多数決がいいか悪いかという点から出たわけでありますが、そのときにまあ阿具根さんの言われるのは、とにかくこういうかわいそうなものがというか圧迫を受けた者が入った、そういう委員会においては、多数決の原則というものは前面に押し出すべきではない、多数決の原則はうしろのほうに引っ込めておいて、そしてその被圧迫者が納得することをまず努力してやるべきだと、そのほうを先行させるのだ、そういう書き方に改めろと、こうおっしゃるけれども、そういう書き方に私は改めることはむしろ誤解を生むおそれがある。中立の人たちだって愛情を持って考えているでしょう。また、経営者だって自分が今まで使った人がいなくなるということは、私はやっぱり涙をもって見ている。だれも喜んでやめてもらっているわけじゃない。こんなに産業が悪くなったので、経営者もずいぶんそれは苦労をしているわけです。また、株主あたりだって、どれだけみんな損しているかしれない。石炭の株を買った連中は、どれだけ損しているかわからない。
 そういうことを考えてみると、私はみんなが苦労しているのだと、こう見るべきだと思うのでありまして、そういう中において、被圧迫者だから、だから多数決は認めないで、その人の言うことがまず第一なんだと、あとのものは、その次に考えるという考え方で、この委員会を運営しなければいけないというのは、私は少し無理がかかってくるのではないか。そうなるというと、まかり間違うというと運営の仕方いかんでは、そこに被圧迫者の横暴という問題が出ないとは限りません。われわれが納得しないのになぜきめた。われわれはまだ二日では足りない、十日だ。十日じゃ足りない、一カ月だ。一カ月でもまだ足りない、三年だ、こう言われたところでどうも言い分としては、私は成り立ち得ることに相なるのではないか、こういう疑義も起きて、きます。だから、運営の仕方としては、愛情を持って、できるだけその人たちがみんな納得するようにする、こういうことでやったらいいと思います。そういうことにしなければならないと思います。しかし、最後にはやはり多数決できめるというこの原則を無視して、私は、この問題を処理していくということはむずかしいのではないか、こういうことを申し上げておるのでありまして、私は決して、労働者のほうに愛情を持たなかったり、あるいはまたお気の毒だという感じをもたないことではございませんから、ひとつ、その点は御理解をいただきたいと思うのであります。
#48
○阿具根登君 これでやめますが、言葉じゃ、そうおっしゃるけれども、私の言うことを解しておらない。あなたが今おっしゃったのは、きょうで終わるのが、一週間でどうだ、それがまた十日間だと、引き延ばしじゃないかというように、頭からそう考えておられるから、私はそうじゃないんですと、拒否権ではないんですよということを言っているわけです、最初から。そして、それはみんなが犠牲になっているのは事実ですけれども、一番犠牲になっているのは、だれかといえば、労働者です。会社は、犠牲になっておるといいながら、それはあなた、四十二年後には幾ら幾らあなた方はもうかるぞという、もうかるところまでちゃんと指示して、金も貸してもらっているのですよ。そして、たとえば労働者は半分になっても、重役が半分になったというところはどこにありますか。重役の数は減っておりませんよ。私は同じ対等に考えられては困るのです。私たちは現実知っています。労働者を半分切るならば、重役も自分たち半分になるというような気持が、まだわれわれが半分になるという気持があってしかるべきです。重役は減っておりません。これは日東化学かなんか見てごらんなさい、課長級は全部平社員にしてある。重役は三分の一にした、そういう愛情のあるところもある。しかし、炭鉱では、残念ながら重役が半分になったというところは知りません。だから、同じように気の毒だとおっしゃるのは当たりませんよ。同じように気の毒じゃないのです。私は会社も業者も気の毒だと思うのです。ほんとうに気の毒だと思います。しかし、切られていく者と同じ気の毒だとは思いません。この人たちは、たくわえ一銭も持たずに妻子連れて、どこかに出ていくのです。そのいうことを私は前提に申し上げているわけです。
#49
○大河原一次君 関連して。一言お聞きしたいというのですが、今の、審議会の構成と性格についての大臣の御意見については、私はいわゆる人権平等という立場から言うなら、労使同数であること、これは異論がない、よくわかるのです。ただ問題は、今後のこの会の運営の公正を、結論を出すための公正を期すという立場からいうと、労使同数はいいんですが、問題は中立委員ですね。学識経験者を選ぶ等の場合は、これを全部大臣が任命する、こういうことを言うと、大臣を信用しないという意味にとられたら困るのですが、そうではなくて、少なくともやはりこの学識経験者、いわば中立的な立場に立つ方の任命にあたっては、より公正のある機関によって決定さるべきではないかと、私はそのように考えておるのですが、こういう点については、どうお考えになりますか。
#50
○国務大臣(福田一君) そこまで問題がいきますというと、その行政官がすべて物事を処理する上に、その人が公平であるかないか、ほんとうに物事の真髄をつかんで行政をやっているかいないかということできまっていくと思うのでありまして、これはすべての行政、今あなたのおっしゃったことから言えば、すべての行政に相通じていく問題に相なるかと思います。これはやはり一応御信用を願って、ひとつそういうふうに処理をさしていただきたい、こういって今ここに提案をして御審議を願っておる、こういうわけでございまして、私は公式論を申し上げるのでありますが、私の気持からいえば、そんなようなえこひいきをしようとか、あるいは経営者の味方をして何とかしようとかという、そういう感じは、私はございまません。したがって、また、それでは労働者の味方をしようとか、そういう考えでもありません。やはりすべて私は良心の命ずるところに従って、自分がだれの前に出ても恥しくないというやり方をしたい、そういう立場において、こういう人たちを選ぶことにしても、すべて問題の処理をしていきたい。
 こういう感覚でおるので、これは、もしそれが認めていただけぬということになれば、やはりお前は不適任だということで処理をしていただくということは、あるいは仕方がないのじゃないかと思います。
#51
○柳岡秋夫君 いずれにいたしましても、この石炭の産業の整備あるいは合理化をはかっていく、増強をはかっていくというために、非常に重要な役割を果たすのが、この審議会だと思うのです。したがって、その運営あるいは計画の実施、そういう点につきましても、これは円滑にやっていかなければ、そういう四十二年度、あるいは企業者のほうで四十年度と、こうなっていますけれども、そういう短期間のうちに完全に石炭産業が自立化していくということは非常に困難だと、こういうふうに思うわけです。
 したがって、円滑な混乱のない実施をしていくためには、やはり労働者の代表の意見というものを十分取り入れるということが私は大事ではないかということを先ほど申し上げたわけでございます。今いろいろ御答弁を聞いておりますと、中立委員の任命の仕方をいろいろ申されましたけれども、非常に中立委員の任務というのは、今の御答弁の中から伺いますと、重要になってくるというふうに私は考えるわけです。したがって、中立委員の任命については、たとえば中労委なり公労委の中立委員のように、労使双方で了解を与えるというか、推薦した者が中立委員になると、こういうような方式はお考えになりませんか。
#52
○国務大臣(福田一君) 私たちは、今仰せになりました問題につきましては、ただいまわれわれが説明した方式でやらしていただきたい。もちろん皆さん方の御心配になっていられる点も、よく私自身はお気持はわかっておるつもりであります。しかし、われわれが申し上げたようなふうにしてやらしていただきたい。これは計画を、いわゆる答申案をきめるのでありまして、裁定とはちょっと違うわけであります。そして、その答申を基礎とし、責任を持って政府が実施をするのでございます。そこにいわゆる裁定等とは性格が違ったものがあるかと存ずるのでありまして、こういう意味から言って、ひとつ今申し上げたような方法でやらしていただきたいと、かように考えておるわけであります。
#53
○委員長(堀末治君) ちょと速記とめて。
   〔速記中止〕
#54
○委員長(堀末治君) 速記起こして。
#55
○柳岡秋夫君 今言われましたように、裁定ではないと、そういうような公労委なり中労委の裁定機関とは違う性格だと、こう言われておりますけれども、しかし、そこできめられたものは、やはり重要な影響力を持つものでございまして、実施が政府であるというだけで、公労委なり中労委と違うということについては、私はちょっと納得ができないところでございます。
 しかし、私どもとしては、この問題については、なお次回におきましても、それぞれ私どもの考え方を申し上げまして、大臣のお考えをひとつ直していただきたいと、こういうふうに思っておりますので、この問題ついては次回に譲りたいと思います。
 次に、労働大臣にお伺いしたいんですが、石炭産業が四十二年度で、大体自立化をしていくと、それまでに企業を近代化していくと、こういうような一応の構想でございますが、私は企業が近代化し合理化されていくということになりますれば、当然そこに働く労働者もいわゆる近代化されていかなけりゃならない。いわゆる雇用の近代化ということをよく言われておりますけれども、そういう労働者の労働条件を含めたすべての面で合理化され、そうして近代化されていく、このことが必要ではないかというふうに思います。しかも、能率の面におきましても、三十七年度で平均二十六トンではございますけれども、これが四十二年度には平均三十八・六トンにしていくというような調査団の答申もあるわけです。そうしますると、当然これに見合う労働条件というものも計画されていかなくちゃいかぬ、こういうふうに思います。
 ところが、答申の中にも、また政府の政策の中にも、この石炭産業労働者の雇用計画と申しますか、この労働条件に対しての具体的な計画というものが明らかにされていない、こういうふうに私は思うのでございますが、こういう点について、どういうふうにお考えになっておりますか。
#56
○国務大臣(大橋武夫君) 答申におきましては、石炭山から離職をして他の産業へ行かれる方々につきましては、安定した職場を保証するということは明らかに書いてありまするし、またそれと同時に、同じ答申書の中に、石炭山に残る人たちのためにも今後の石炭山の労働条件をよくして、そうして安定した労働者としての生活を保障すべきだ、こういうようなことが答申に言われておるわけでございます。そうして、これがためには石炭山の労務管理の近代化、また労働条件の維持改善のための諸方策が必要であることはもちろんでございまして、特に具体的に重点的に取り上げておりましたのは、石炭山における賃金水準の維持という意味において、特に最低賃金制の採用をうたっておられるわけでございます。この最低賃金につきましては、すでに昨年におきまして労働省といたしましては、この答申の趣旨に従いまして、雇用審議会、中央最低賃金審議会の議を経まして、石炭山の坑内夫について、全国一律月一万六千円という最低賃金を決定したことは御承知のとおりでございます。
 今後合理化の進展に即応いたしまして、労働省といたしましては、坑内労働の問題ばかりでなく、労働者の福祉、生活等の問題につきましても、積極的に指導をいたしたいと存じます。
#57
○石田次男君 通産大臣が時間にはお帰りになるそうですので、二、三点お伺いしたいんですが、暮れにお伺いした電力業界の石炭需要の問題でありますが、三千万トン程度に及ぶ大口の需要というものは、コスト高のものを引き受けてもらえば、不当損失問題が出てくる、そういうわけで、何らか電力業界のほうから、見返りの要求が出てくるのではないかということをお伺いしたわけであります。電力業界との話し合いは、今までなすっているんでしょうか。
#58
○国務大臣(福田一君) さしあたり三十八年度の分につきまして話がついております。その後の問題についても電力業界は、今、石田さんが言われたような何らかの措置をしてもらうということを条件にして協力します、こういうところまで話がついております。したがって三十八年度以降については、まだ具体的にきまっておりません。政府としても何とかしなきゃいけませんでしょうが、向こうも、今度の三十八年度の場合でも、全部が全部損失をカバーしておるわけではないのであります。
 これはどういうところからきているか、これは石田さんおわかりかと思いますけれども、電力は特に石炭をよけい使うようなところは、民需といいますか、電灯の需要がどんどんふえるところでありまして、ある程度利益が出る面があるのであります。そこで公益事業でもありますので、全部カバーしないでも、それはひとつ、めんどう見たらいいじゃないかというような意味で話し合いがついておる。そういうことも認識しながら、電力業者が協力しておる面もあるということは、御理解をしておいていただきたいと思いますが、しかし電力業者としては、エネルギーの問題であるから、われわれも何らかの措置はしてもらいたいけれども、これを協力して話し合いをつけるようにいたしましょうというところまでは約束ができておるわけでございます。
#59
○石田次男君 三十八年度までは話し合いができたそうですが、その以後については、大体、何トンくらいまで引き受けてもらうという予定でしょう。
#60
○政府委員(中野正一君) 大臣が御答弁になりましたように、昭和三十八年度につきましては、二千五十万トン、これをまあはっきり引き取るということを約束しております。それから四十二年度については二千五百五十万トン、これも引き取りに努力する、これはまあ私どもは、心ず引き取ってもらえるというように了解しております。それから四十五年度が三千万トンで、この問題については、まだ相当先の話ではあるし、技術的な問題なり、いろいろな経済情勢の変化等もありますので、できるだけ引き取りに協力はするという、これは文書でいただいておるわけでございます。したがって、電力業界としては、従来の重油専焼を相当ふやすような計画をしておりましたが、これを四十二年度から四十五年度にかけて計画変更、これを今から検討をしておる。これはもちろん役所のほうの指導のもとにやっておるわけでございます。
#61
○石田次男君 で、そういう大口需要に対して、コスト高からくる問題で、電力業界としては、何らかこの見返り的な条件を出しているのじゃないかと思いますが、三十八年の分についての話し合いの中で出てきた条件というものがあったら示して下さい。
#62
○政府委員(中野正一君) 電力業界の負担増に対する対策としては、政府で先般方針をきめまして、この原油関税の戻しで、この負担増をできるだけカバーするということで、戻しは従来は四%であったのでございますが、関税額の四%でございますね、を戻すということを、従来やっておりましたのを、昭和三十八年度から一〇%戻すということで、負担増の問題は解決をしたというふうにわれわれは了承しております。
 ただ問題は、今後石炭専焼火力を相当増強いたさなきゃいけませんので、これは建設費が重油専焼より高くつくという問題がございまして、それに対しては、財政投融資等で政府が所要の援助をいたさなきゃならぬというふうに考えております。
#63
○石田次男君 その問題は、まあ大体わかりましたけれども、産炭地に火力発電所を新設するというプランはお持ちじゃございませんか。
#64
○国務大臣(福田一君) 産炭地に火力発電所を作るにつきましては、まず送電線の問題を考えなければなりません。そこで送電線ということになりますと、たとえば産炭地といえば、まあ一応筑豊あるいはまた北海道というところでありますが、もちろん常磐もございますけれども、常磐には、すでに火力発電はできております。そういう場合においても、送電線というものが一番大きな隘路になるわけです。作っても、持ってこられなければ何にもなりません。送電線が幾らでできるか、また技術的にできるかどうか、こういうことでございまして、その点で、まあ三十万や四十万の火力でしたら、今のところでも筑豊地区に作りまして、そして今の送電線に、架線をもう一本別にかけます。これでも十五億前後要るかと思うのですが、そうなれば三十万やそこらの火力発電をやりましても、ペイするというか、そんなに損なくやれる。これはなんとかしてやらせようと努力しております。
 そこで、それ以上に、今度はもっと大きく百万、二百万も、あすこで火力発電を作るということになりますと、四十万キロの送電線を別に一本でも二本でも作らなければなりません。こうなりますと、三百億かかる予定になりますので、はたしてペイするかどうか。それなら、その金で直接補助するとか、なんかの方法がいいじゃないかという問題がありまして、われわれとしては、この際、火力発電をできるだけ作るという考え方で処置していきたいと思いますが、経済性という問題を無視するわけにいかないので、あわせて考慮にたしておるところでございます。
#65
○石田次男君 そのプランは、いつごろできて、いつごろ発電できますか。
#66
○国務大臣(福田一君) これは、そのプランとおっしゃるのは、三十万のほうをおっしゃったのだと思いますが、これは今、公益事業局のほうで、大体そういう考え方で電力のほうへ、いろいろ交渉をさしておるわけで、話し合いを進めさしております。ただしかし、電力業者としては、やはり自分のところで、今まで石炭をどれだけ使うという計画がある。それに基づいて、電力をどれだけ起こすという計画がある。それに合うようにしていかなければなりません。その計画自体をくずすわけにいかない。石炭を余計使う分を、そこで立ってもらうという考え方もあるし、また送電線は、電気自体は大阪で使うが、送電線は中国を通って、九州地区を通っていくということになると、各関係電力業者が、お互いに話し合いがつかないとできません。そういう話し合いをまとめなければできないわけです。そういう意味で、なんとかそういうふうにするように今話を進めさしておる段階であります。したがって、その話がまとまれば御報告できると思うのですが、今その話を進めている段階ですから、あしたとか一月とか、時間を切って、あなたに御返事するわけにいきませんが、できるだけ急いでやらせたいと思います。
#67
○石田次男君 あと通産大臣に一つだけですが、中小炭鉱の保安の問題でございますが、豊州炭鉱、上清炭鉱で事故が起こりまして、あれからあの方面の地方事務所の職員が相当ふえているのです。あの事故以来、何人くらいふえておりますか、その点わかっておりますか、大体でいいです。
#68
○政府委員(八谷芳裕君) 上清、大辻等の災害後に、監督官の人員増といたしまして、昭和三十六年度で四十名でございます。それから本年度、昭和三十七年度で二十名、計六十名を増員したのでございます。そうしまして、それを九北にほとんど配置いたしております。九北と申しますと、六十名のうち二名を除きまして五十八名を九州の炭田地帯、それから北海道の炭田地帯にございます監督局の現地駐在保安監督派遣班でございますが、これは別途監督署にお願いするように設置法の改正をお願いしておるわけでございますが、この五十八名を名監督署のほうに配置することにいたしておりまして、ちょっと的確な数字でございますれば、また別途申し上げますが、各筑豊の田川、直方飯塚、この三カ所のこの派遣班の職員は、この三月くらいまでに、大体十人から十四、五名くらいまでに増員して参りたい、かように考えております。
#69
○石田次男君 その増員した分についてですが、直方とか田川とか場所は言いませんが、私、その人たちと話をしてきましたが、事故が起こって、それから急にふえたわけですが、ふえたのはいいけれども、仕事がなくてぶらぶら遊んでいますがね。それはどうなんです。僕が現地へ行って本人たちと話をしてきたのだ、間違いない。
#70
○政府委員(八谷芳裕君) 私の監督署のほうには、筑豊のほうにも参りまして、よく現地の派遣班の監督官たちとも話して参ったわけでございますが、これは何か私どもの感覚からいたしますと、誤解ではないかと思います。まあ最近、大きな災害は幸いございませんけれども、全体の災害といたしましては、決して楽観を許さない状態になっておるわけでございます。ただ鉱山の、炭鉱の数からいたしますと、御承知のとおり、特に田川において顕著でございますけれども、筑豊におきましては減少いたしております。しかし、ここに三カ年くらいと考えましても、生産活動といたしましての出炭量は、ちょっと的確な数字を記憶いたしませんが、筑豊でも二割程度じゃないかと思っております。その程度の切羽の実際に作業が営まれている個所におけるここが一審災害も多いわけでございますが、こういう点につきましては、決して楽観を許さない状態にあるわけでございまして、その巡回、あるいはいろいろな検査、特別な監督その他につきましては、決して遊んでおってもいいような状態ではないわけでございまして、もし、そういうことがあるようでございますならば、昨日からきょう、あしたにかけまして、監督局長、監督部長の会議を聞いておりますので、厳重に、先生のお話も伝えまして、そういうことがないように努めたいと思います。
#71
○石田次男君 それで、実はそれを出したのは、人数がふえたから保安監督が行き届くというものでないけれども、あの辺には、やはり中小関係は暴力団を雇っておりまして穴の中へ入れないのですよ、監督官を。体裁よく事務所でごまかすごまかすわけでないですけれども、そこでストップさしてしまって中へ入れてない。だから人数をふやしても、監督が行き届くというような事情でない、あの辺の暴力団を雇っている経営者自体を、もう少し厳重に監督して、坑内全体に目を届かせるようにしていかないと、保安が私は保てないと思いますがね。その点はいかがですか。
#72
○国務大臣(福田一君) お説のようなことも、いささか耳にいたしますので、十分ひとつ注意をしていきたいと思います。
#73
○石田次男君 労働大臣のほうへお願いしますが、先だって暴力事件を引っ張り出して、そちらのほうへお預けしたのですが、この訴えてきている内容を見ていると、いろいろ問題点があるわけですね。不当労働の件もあれば、暴力自体の問題もあれば、人権問題もあれば、求職問題もあるというふうにいろいろこれを見ているとからみ合った問題が出てきているわけでございます。
 これらについて、これらの閉山間近いところ、あるいは当分続くとしても経営の苦しいところ、単に労働だけじゃなくて、いろいろからみ合った問題がたくさん起こっておるのが実情でございますので、そういった炭鉱地帯の実情というものを労働省として、もう少し正確に把握なさったほうがいいんじゃないかと思うのですが、最近の事情について、労働省のほうでは、どの程度に把握していらっしゃいますか。
#74
○説明員(小鴨光男君) ただいま、先生御指摘の件につきましては、特に筑豊とか長崎、この辺が、中小炭鉱の多いところでは耳にいたしております。
 で、石炭関係につきます労働条件の監督につきましては、三十六年の暮れから特別な監督方針を出しまして、特に数時間外の問題、あるいは賃金の未払いの問題、こういう点を重点的に監督を実施しておるところでございます。
 今、先生御指摘の暴力団云々の件につきましては、特に基準法におきまして、自然犯に類する非常に重要な条項であります。これについては、特に最重点に監督を実施しております。
#75
○石田次男君 その具体的な例は、そっちに差し上げたのですが、労働大臣の耳に入っておりますか。
#76
○説明員(小鴨光男君) 具体的な事例を先生からしていただきまして、さっそく現地の監督課長と連絡いたしまして、某炭鉱におきまして、相当暴力的な行為があるということでございますので、そこの課長に会いまして、いわゆるそういう一連の暴力行為の即時是正と、それから賃金未払いについての件、それからこれは直接基準法とは関係ございませんが、生活必需品の確保、その三点を重点といたしまして、数日前に、これらの早期解決について確約させたところでございます。
#77
○石田次男君 事件内容は、大臣の耳に入っておりますか。
#78
○国務大臣(大橋武夫君) ただいま石田委員のせっかくの御指摘の件につきまして、ここに書類がありますので、課長から受け取りました、さっそくもう少し事情を調べまして、適切な処置をとるようにいたします。なかなか事件もこまかく、現地に問い合わせた結果が、ただいま到着したところでございます。
#79
○石田次男君 さて、この事件の中の労務課長とか、いろいろ会社側の幹部なんですが、その幹部が、前科五犯だとか六犯だとか、これはそういう事例は、そこだけじゃないんですね、現場の労働者の諸君を監督し、動かす、そういうポストについておる幹部で、前科何犯という、まあこれはほとんど暴行傷害の前科ですがね、そういうのが、あっちにもこっちにもある。これを実際に暴力事件として警察へ持っていっても、警察のほうとしては、単純暴行というわけで、すぐ放してよこすのです。ですから、結局はつかまえたはいいけれども、豚箱に二、三日泊まって帰ってくるという状態では、結局何も罰したことにならぬのですね、だからこういう相当の人数を動かす責任職にある者の暴力行為というものは、特別な立法処置でもして厳罰にするようにせぬと、これは根絶しないと思いますけれども、その点御意見いかがですか。
#80
○説明員(小鴨光男君) 単純暴力事件につきましては、これは先生御承知のように、警察のほうで処理することになっておりますけれども、私のほうでは、いわゆる基準法の第五条に強制労働の規定がございます。これについては各中小炭鉱において、さっそく捜査いたしまして送致するわけですが、現在のところ、現地からの報告では、直ちに強制労働とは結びつかない純然たる暴力事件のようでもございます。現に警察におきましても、二、三回その点については送検しておるような状況でございます。そちらのほうの罰則関係については、私のほうからお答えする限りではございませんけれども、第五条の件につきましては、できるだけすみやかに調査いたしまして、そういうことが二度と起こらないように、行政措置もあわせて考えていきたいと、こういうふうに思います。
#81
○石田次男君 これ、今申し上げたのは、労働省としてできるかどうかわかりません。むしろ法務関係になるかと思いますが、そういった相当の人数を動かす立場で、しかも前科を重ねて暴力をふるっておる。これなんか見ますと、会社の暴力には、家族もおびえている。本人は特に無断欠勤したら事務所に呼び出されてなぐられている。電灯を消したり、カーテンを引いて暴力を加えているようなことがしばしばある、こういうふうなのは、ここだけじゃない。昔のタコ部屋の余残ですけれども、これは九州あっちこっちにある。そういうことで、はっきりした立法処置をとって厳罰規定でもせぬと、これは根絶しないと思うのですが、その点も、法務省あたりとも相談なすって、何らかのことは考えられるべきじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
#82
○国務大臣(大橋武夫君) まことにごもっともな御意見だと存じます。先般御指摘いただきました事件は、先ほど申し上げましたとおり、直ちに現地のほうに調査をやりまして、今その調査の回答があったばかりでございます。まだ、そのうち回答になったのは、一件だけでございまして、次々と、また回答があると思います。これらを十分に検討いたしまして、総合して今後の対策をきめたいと存じます。
#83
○石田次男君 その問題は、その程度にしておきますが、こういう中小炭鉱では労働時間がさっぱり守られておらぬ。これも常識的になっております。もちろん越過勤務等ということもあるんですが、それにしても、労働時間が少しひど過ぎやせぬかと、こう思うのです。十五、六時間なんというのが、普通ですから。特に請負組の中で働いておる場合がめちゃくちゃなんです。労働時間の点については、どういうふうにお考えになるか。
#84
○説明員(小鴨光男君) 先ほど申しましたように、連勤という形で労働時間の違反が、特に中小炭鉱においては相当多いように承知しております。
 したがいまして、三十六年から特にこの点については、厳重に監督しているわけでございますが、現在におきましても、なおかつ、監督した中での違反のパーセントというのは、労働時間について三〇%前後の違反がございます。近く行なわれますところの監督課長会議におきましても、特にこの点、今後も重点をおいて監督するように指示いたしたいというふうに考えております。
#85
○石田次男君 私がこういうふうに申し上げれば、そういうふうにおっしゃって下すって非常にけっこうなんですが、現地の監督がなっていないのですよ。というのは、まあ労働省の上層部では、そういうふうに一生懸命やっておられるわけですが、どうしても現地のほうは、会社となれ合いをやりますので、相当見て見ないふりをする事件が多い。こういう点については、よほど本省のほうから締めてもらわぬと、末端のほうがルーズになって、結局労働者が苦しむ、こういうことになりますがね。
#86
○説明員(小鴨光男君) 私ども、この間も長崎の監督課長が上京した場合においても、その点十分聞いたわけでございますが、別になれ合いというようなことは毛頭やっておりません。ただなかなか違反の効果、違反に対する是正の効果というのは非常に長うございますので、新年度から、特にこの点については重点を置いてやるように、近く産炭地の監督課長たちを集めまして指示をいたしたいと思っております。
 先ほど監督官の数の点が出ましたけれども、特に産炭地関係の監督署に対しましては、十名ばかり一昨年から増強して、石炭関係を受け持ちますところの監督署には特にこれを優先的に配置いたしまして、賃金時間を中心とする重点的な監督を、現にやっておるわけでございます。
#87
○石田次男君 なれ合いではないと言いますが、そうじゃないのです。それなら、私具体的な事例を引っぱり出してもいいのですが、宴会なんかに呼ばれているのですよ。ですから、業者と監督官との間の、そういう情実関係は断ち切る必要があると私は思うのです。ないないと言って突っぱるなら、私は事例を持ち出します。どうです。
#88
○国務大臣(大橋武夫君) これは監督の成果というばかりでなく、やっぱり官としての網紀問題でもございまして、労働省といたしまして、今後一そう注意をいたしまして、責任をもって改善いたしたいと存じます。また、実例等につきましては、いずれまた、お願いに上がることにいたします。
#89
○石田次男君 それじゃ問題を変えますが、まあそう言っちゃ悪いが、この炭鉱は非常に待遇が悪いのでして、貧乏しているものですから穴に入る御主人のために、家族が一日一食は絶食して暮らしているような家庭がたくさんあります。そんなことで、学童ですね、学童が非常に学校を休んだり、それも主として、めしが食えないからというようなことが多いのですよ。ですから、こういう窮迫している炭鉱地帯の学校給食だけは完全に無償というわけにはいかぬでしょうか。これは文部省等との連絡事項になるかもしれませんが、その点大臣いかがでしょう。
#90
○説明員(小鴨光男君) 御指摘の点については、文部省とも十分連絡を取りまして、処置いたしたいと存じます。
#91
○石田次男君 それから、こういうところは、大体転々として中小を回わって歩く炭鉱夫の諸君が多いのです。一カ所勤めていて、何か工合が悪くなりますと、また次に肩入金をもらっちゃ行くわけですね。それがいろいろ問題を生む原因にもなるかと思うのですが、こういうような前近代的な労働制度というものは、イギリスなど、その他外国に例がありますか。
#92
○説明員(小鴨光男君) イギリス等の点については、今直ちにお話しする資料を持っておりませんので、後刻調査いたしまして御報告したいと存じます。
#93
○石田次男君 この肩入金をもらうということは、現実問題として、労働者の諸君は、どうしてもこれをもらわなければやっていけないわけですからね。ですから、これにかわるに何らかの金融制度というようなことも考えてあげて、こういう古いことは、だんだん禁止する方向に持っていらっしゃるのがほんとうじゃないかと思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
#94
○国務大臣(大橋武夫君) まあ炭鉱におきましては、昔から、これは地下労働であるというような関係上、身分を隠すにも都合のいい点などございまするし、また労働者側もそういう点を考えて、そういう職場に就職した者もあるようですし、また逆に使用者のほうは、そういう点につけ込んで労働者を搾取するというようなこともあったと思うのでございますが、だんだんと労務管理も近代化し、また、日本の雇用問題も時代に即応して明るいものにしなければいけません。ことに石炭合理化に伴いまして、石炭山の労働者につきましては、雇用の安定、生活の向上、したがって労働環境の改善、明朗化ということを考えるべき時期であるのでございますから、今後十分に研究の上、さような方向に指導をいたしたいと思います。
#95
○石田次男君 その請負組のほうですがね、筑豊に、こういう例が相当あるんです。それは、こっちのほうを首になるわけです。離職して、こっちのほうで保険をもらっているんです。そうしておいて、ないしょでそっと、ちょっと飛んだところの請負組に行って、そっちのほうで働いているわけですよ。二重取りやっているんだ。労働者としてはかわいそうなものです。それで二重取りやったからといって、金持ちになるのじゃないんですから。問題は、それを見込んで安い賃金で買いたたいている組のやり方ですな、これがいけないと思うんです。それらの事例もあるんですが、これを何とか始末をする方法はありませんか。組だからといって、あまり世間相場より安い賃金で働かして、結局は、ピンはねになるわけですね。
#96
○国務大臣(大橋武夫君) 特に組夫等におきまして、そうした弊害が多いと聞いております。組夫の問題につきましては、今回合理化に伴いまして、特に合理化による整理人員を組夫に編成がえをするというようなことがあってはならないという点が動機になりまして、組夫使用の制限のための法的措置をとることに相なったのでございますが、さような状況でもございまするし、ことに今回の石炭対策といたしまして、石炭の関係労働の賃金につきましては、最低賃金の作業というような機運にもございまするので、低賃金の是正という面からも、今後基準局として十分に留意をいたして参るつもりでございます。
#97
○石田次男君 最後に一問。
 この炭鉱の閉山等に伴って、失対事業に出る人がたいへんふえております。この失対の職場の割当の問題でございますが、まあ職業安定所へ行って、そこへ集まって職場をもらうわけです。ところで場所によりますと、との職安へ集まってくるグループ、全自労ですけれども、このグループがこまかく分れておりまして、職安のほうで職場の割当等、それにあずけてしまうのがある。それで、そうすると、その幹部連中が、自分の気に入っておるのは、いいほうへ回し、自分の気に入らぬのは、つらいほうへ回すというのがありますし、これはちょっと言いにくいことですが、そういうのを利用して、集まってくる未亡人や何かみんな手をつけまして、二号、三号まではいかぬけれども、そういうふうになってしまっているのがずいぶんあるのです。非常にこの点遺憾と思うのです。そういったことで、この失対関係の風紀といいますか、そういったものが全般的に非常に乱れているわけです。こういう点については、労働省として手の及ぶ範囲、手の及ばない範囲はありましょうけれども、もう少し、これも何とかなりませんか。
#98
○国務大臣(大橋武夫君) 失対の就労者の間に、労働組合ができておることは御承知のとおりでございまして、この労働組合が労働組合本来の目的といたしまして、組合員のために、いろいろと世話をいたすということは、これはもとよりけっこうなことでございます。同時に、そういう意味の延長として、手不足をかこっておりまする職業安定所に対しましても、組合員を擁護するという立場から、職安の事務の協力をしてもらうということは、たいへんこれもけっこうなことであろうと存ずるのであります。しかしながら、これに伴いまして、御指摘のような、社会的な弊害が発生するということになりますと、これは本来の趣旨と全く異なるのでございまして、さような弊害を座視するということは、これは職業安定行政の上から、大きなマイナスになりますので、この点は、特に今後注意をいたします。
#99
○委員長(堀末治君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○委員長(堀末治君) 御異議ないものと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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