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1962/05/29 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 石炭対策特別委員会 第9号
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1962/05/29 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 石炭対策特別委員会 第9号

#1
第043回国会 石炭対策特別委員会 第9号
昭和三十八年五月二十九日(水曜日)
   午後一時五十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堀  末治君
   理事
           剱木 亨弘君
           徳永 正利君
           大矢  正君
           大竹平八郎君
   委員
           鹿島 俊雄君
           川上 為治君
           岸田 幸雄君
           高野 一夫君
           松野 孝一君
           武藤 常介君
           阿具根 登君
           大河原一次君
           森 元治郎君
           二宮 文造君
  国務大臣
   通商産業大臣  福田  一君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       上林 忠次君
   通商産業省石炭
   局長      中野 正一君
   通商産業省鉱山
   保安局長    八谷 芳裕君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞壽君
  説明員
   通商産業省石炭
   局鉱害課長   矢野俊比古君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○当面の石炭対策樹立に関する調査
 (大浜炭鉱の出水災害に関する件)
○石炭鉱害賠償担保等臨時措置法案
 (内閣提出、衆議院送付)
○臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(堀末治君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 最初に、当面の石炭対策樹立に関する調査の一環として、大浜炭鉱の出水災害に関する件を議題といたします。
 本件の概況について説明を聞くことといたします。通産当局から御説明を願います。
#3
○政府委員(八谷芳裕君) 去る七日に発生いたしました大浜炭鉱の出水災害について御報告を申し上げますが、報告に移ります前に、監督責任者といたしまして、かかる重大災害を起こしましたことを、心から深くおわび申し上げます。
 まず、大浜炭鉱の出水災害でございますが、お手元に図面をお届けいたしておりますので、非常におわかりにくいかと思いますが、これをごらんになりつつお聞き取り願いたいと思います。
 初めに、この炭鉱の概況でございますが、所在地は、山口県の小町田市で、宇部市の隣でございます。鉱業権者は大浜炭鉱株式会社、この炭鉱は、図面にも見られますように、坑口付近を除きまして、すべて海底下にありますいわゆる海底炭鉱でございまして、鉱山労働者は、直轄夫が六百七十六人、請負夫が二百六十四人、合計九百四十人四月末現在でおったわけでございます。出炭は、昭和三十七年度で十六万二千トン、能率は十九・五トンの月能率でございます。発熱量は四千六百五十カロリーでございます。埋蔵量は、会社の調べでは二千九百万トンと称しておりますが、そういうふうに、今後また大いに期待されている炭鉱であったわけでございます。中小炭鉱といたしましても右翼に属する炭鉱ではないかと、かように考えるわけでございます。
 災害の概況でございますが、災害を発生いたしましたのは、先ほど申しましたように、今からちょうど三週間前になりますか、五月の七日の九時三十分ごろでございまして、災害は出水による災害でございまして、出水個所は坑口より二千八百メートルの位置にあります左一坑道、右七片小仏と称する場所でございます。ちょっと図面をごらんになっていただきたいと思いますが、この坑口、これは陸上でございますが、この坑口から本線斜坑というのをおりて参りまして、それから中央幹線というところを通りまして、途中で左大通というのがございます。左大通のずっと延長した先に掛けじるしをつけて出水個所と、こういう所があるわけでございますが、この出水個所がただいま申しました小さな払になっておりまして、ここから出たわけでございますが、この払の状況、この採炭場の状況を申し上げますと、災害の前々日の五月の五日でございますが、この五日の一番方よりここは採炭を始めたばかりでございまして、払面の長さが二十一メートルという小さな採炭場でございまして、いわゆる小仏と称しておったわけでございます。この払は図面でははっきり見にくいのでございますが、この左大通をずっと先に行きました所が右七片坑道と言っておりますが、この右七片坑道は、ここは岩石坑道でございまして、炭鉱でいわゆる下盤坑道と称しているやつでございます。この下盤坑道から五十五度の傾斜で、水平距離二十メートル上りますとこの出水個所になります。炭層に着炭いたしまして、そこの所に採炭場が設けられておる。掘りました石炭は、そこの縦坑を通りましてこの下盤坑道へ流し込まれる。いわゆるこの縦坑と申しますのはシュートと申しておりますやつでございます。ここに書いてあります坑道はいずれも炭石坑道でございまして、この岩石坑道の上に炭層が乗っかっている、こういう状態になるわけでございます。この採炭場は、先ほど申しましたように、五日より採炭を開始したのでございますが、採炭場におきます重圧が非常に大きかった。そうして採炭作業が非常は困難になってきましたやさき、たまたま災害前日の五月六日の一番方でございますが、この採炭場内に小さな崩落がございまして、そこから一分間に三、四立方フィート程度の水が出るようになってきました。また重圧もだんだんひどくなってくるような状態になったわけでございますので、五月の六日、災害前日の六日の三番方でございますが、夜中の三番方で、保安管理者とも協議の上、この採炭を中止して、機材を撤収してしまうということになりまして、災害が起きました五月七日の一番方では、この機材の撤収にかかっていたわけでございます。ちょうどその機材の撤収にかかっておりました五月七日の九時十分ごろになりまして、先ほど申し上げましたような出水個所より泥土を伴いました水が急激に増加した模様でございまして、これが採炭場の下に設けられております、先ほど申しましたいわゆる下盤坑道でございますが、この下盤坑道の右七片坑道に、シュート口を通って落ちてきたわけでございます。この下盤坑道の掘進作業に従事しておりました九名、これは図面で三人、三人、三人と書いてありますが、この掘進作業に従事しておりました九人と、それから、小仏の撤収作業に従事しておりました二名と、それから、もうあと四名、罹災したわけでございますが、これはずっと手前のほうに、横に左一坑道というのが書いてありますが、この左一坑道のところに、右五片、右六片という坑道が延びていっておるわけでございます。この右六片の払の、やっぱりこれも撤収にかかっておったわけでございますが、その四名、計十五名が罹災をしたわけでございます。なお、この当時にはこの付近に三十八名働いておったわけでございまして、その大部分は、一昇、二昇と書いてございますこの方面に集中しておったわけでございます。しかし、これは幸い発見者の急報によりまして、係員の誘導よろしきを得まして、十五名を除きます三十八名は無事に脱出をいたしたわけでございます。
 この災害の原因でございますが、災害の原因につきましては、目下全力をあげまして被災者の救出作業に努めておる段階でございますけれども、また、今後の精密な調査を待たなければ断定することのできない部分も若干ございますけれども、現段階におきまして調査をいたしてみますと、まず第一点といたしましては、出水したものは海水ではないということが第一点でざざいます。これは炭層の上部にあります非常にやわらかな地層に水が含まれておるわけでございますが、この水が、重圧によって生じました崩落個所を通じて、泥土を伴って出てきたのではないか、かように推定している次第でございます。
 それから、罹災者の救出作業の状況でございますが、災害後の罹災者の救出作業は、大浜炭鉱の労使だけでなく、隣接鉱、特に最近やめました木山炭鉱等より機材を応援いたしまして、五月十八日までに百九十メートル取り明けを完了したわけでございます。これはこの図面で、左大通というところを先ほど御説明いたしまして、防水ダムがございますが、この防水ダムは一時閉鎖したわけでございます。この防水ダムを取り明けまして、まず右六片払の撤収にかかっております四人のほうに早くつくということで、防水ダムを突破して、取り明けを開始したことと、もう一つずっと左から回り込んでおります一卸というところに防水ダムがございますが、この防水ダムの五十メートル上まで水がきたわけでございますが、この水を排水し、一卸から左一坑道のほうに取り明けにかかっていったわけでございます。そうして十八日までに延べ十九メートル、これは被災者を出すための要取り明け坑道の約二割に当たるわけでございますが、その取り明けを続けていったわけでございます。しかし、この間も泥水と、それから坑道の崩落、あるいは炭酸ガス等によりまして、作業は非常に難渋をきわめたわけでございます。ところが、五月の十八日の午後になりまして、作業中の坑道の肩部にございますシュート口より泥土が流出して参ったということと、それから、この図面で一卸と書いてある方向から水がまた出てきたというような騒ぎがございまして、この事態につきましては、検討すればそれぞれの原因のあることでございますけれども、そういう二回にわたりましてこの作業員が非常ベルを鳴らして避難を行なうというようなできごとがありまして、作業員の作業に対する不安感と申しますか、こういう不安感を強めまして、就業を拒否するというような事態も発生したりいたしまして、作業が停頓して参ったわけでございます。そこで、一日も早く行きつくということで、私ども現場で指導監督をやっておりましたけれどもかような状態になりまして、何らかの形でこれを打開するということと、さらに、作業のより安全を期するということから、現地の監督機関、それから、宇部地方のこういう面に対する学職経験者とも協議をいたしまして、十分な検討を遂げまして、まん中の左大通の防水ダム、この手前のほうから、岩石坑道を取り明けないで、別に岩石坑道を掘っていく、こういう計画に切りかえたわけでございます。これは防水ダムの手前のほうから右六片と書いてございますここへ、この途中に、直接岩盤、水平坑道、一部分斜坑になりますけれども、百三十メートル切ると右六片に着くわけでございます。右六片の奥のほうはそれほど泥は流れ込んでいないのじゃないかというようなことで、その辺に着ければ案外早くいくの、じゃないか、こういう考え方から岩石坑道を掘る、こういうふうな面に切りかえたわけでございます。これは炭鉱側でも私どもの指示にこたえることができまして、五月二十二日からこの作業に着手いたしておりまして、二十七日現在で約十八メートル余岩石坑道を掘進いたしておるわけでございます。先ほど申しますように、百三十メートル掘進するということになりますと、この途中にも若干シュート口があったり、あるいは右六片の坑道に着ける際にいろいろな注意も、また、ある時期には待避するというような時期も起こるかと思いますので、一応当初は二十口と考えておりましたが、今の状況では、あるいは二十日が延びて一カ月近くかかるのじゃないかという見通しを立てておるわけでございます。しかし、この新しい坑道を掘進いたしましても、まずこの四人の被災者を探し出すということが一つ残っております。そのあとで、九人と二人の被災した場所にどうやって届くか、この裏側から回っていくか、あるいは表のほうから伝わっていくかという、こういう検討が残っておるわけでございますが、この検討は、この詰まりました泥を取り明けていった場合に、均衡が破れて、再び流出が起こるかどうかということをよく見きわめた上でないと決定できないのじゃないかと考えておりまして、まず第一段階としては、右六片に早く着く、こういうことを考えておるわけでございます。
 次に、この種の災害の防止対策でございますが、今回の災害は、ただいま申しましたように、含水層から多量の水と泥が一度に排出して起きた災害と考えられるわけでございますけれども、今まで宇部地方には、御承知のように、東見初炭鉱の二百三十五人の死亡者、長生炭鉱の百八十三人というような大きな災害を含めまして十六件、こういう災害が起きでいるわけでございますけれども、こういう含水層からの出水というのは、出水によります災害事故はいろいろあったわけでございますけれども、死亡者を伴うような災害というのは今までなかったわけでございます。これは従来ほとんど海水とつながりまして、一度に海水が押し寄せてくるというような災害であったわけでございます。こういうふうに含水層からの被害がなかったということは、一般にこの種の出水というのは、単位時間当りの水量が比較的少ない、そうして作業員が待避する程度の時間的余裕が残されていたというのが過去の経験でございます。そうしまして、この防水ダムを閉じまして、いわゆるパネル・システムと申しますが、区画採炭をやっておりまして、どうしても取り明けできないと認定されれば、それを放棄して次に移っていく、こういうような区画採炭をやっているというようなことから、過去におきましては逃げる時間があったということに基因いたしまして、含水層による災害というのはなかったわけでございます。しかし、ここでこういう災害が起きました状態からいろいろ判定いたしますと、私どもは現段階において三つ対策を考え、また、検討をしておるわけでございますけれども、一つは、含水層区域の採炭区画を定めるということでございます。これには地質調査を精密に行ないまして、含水層の位置と、含水層と合水層の岩盤の状態を確認して、どこにやわらかい層があるかというようなことをはっきり確認する。そうしまして、必要に応じまして、ある基準以下のところは採掘をさせないというような採掘制限の区域を設けるということが一つの基本的な考え方になるのじゃないかということが第一点でございます。
 それから、緊急避難体制の強化でございます。まず、退避時ということが非常に重要でございまして、ここでも水が出まして、澄んだ水の場合は亀裂だけでございまして、従来も再三出てきているわけでございます。それから、澄んだ水から、ある濁りを持ち始める、ここに退避のポイントがあるわけでございまして、そういうことが起きないように基本的には採掘計画を立てていくとともに、また、そういう事態になりましたときに、退避時間を確定しておって一斉に退避を始めるということ、それから、そのための警報施設、防水ダム、退避路、こういうものの整備をはかる。それから、退避訓練を常時行ないまして、習慣的に退避が行なわれるし、また、一カ所の退避が他のところに伝わっていくように、混乱期におきましても、習慣的に他に退避を促すような警報を発するというような退避訓練の徹底化が望ましいのじゃないか。それから、また、起きました災害に対しましては、救急器材を整備いたしまして、一刻も早く取り明けに移っていく、こういう点があげられるわけでございます。これにつきましては早急に結論を出しまして、いろいろな基準その他も定めて参りたいと考えておるわけでございます。
 なお、水害のあった部内では、約七割程度の出炭が行なわれておったわけでございます。これが宇部でいう、いわゆる五段層と申しまして、この付近で七甲と申しておりましたが、同じ炭層でございます。この炭層の上層の三億層をずっと手前のほうで掘っておる区域があるわかでございます。それで、本日の一番方からこの上層の区域に労働者の一部を向けて採炭をやつでいく。それから、ただいま申しました岩盤抗道の掘進等の作業に全力をおく、こういう二方面作戦で本日から進むようになりました。まだ出炭報告等はございませんけれども、現地からの報告によりますと、本日の一番方からこういう状態に入っておる、かように考えておるわけでございます。
 以上で御報告を終わります。
#4
○委員長(堀末治君) 本件に関する質疑がございますれば、御発言を願います。
#5
○阿具根登君 ちょっと質問しますが、従業員は何名でしたかね、先ほど聞き漏らしたですが。
#6
○政府委員(八谷芳裕君) 従業員は、四月末で九百四十名でございます。職一員を除きまして。
#7
○阿具根登君 石炭局長にお尋ねいたしますが、九百四十名といえば、これは中小炭鉱ではそう小さいほうじゃないと私は思うのです。九百四十名のうちに二百六十何名の請負夫がおった。これが実態であるならば、こういうことが許されるかどうか。
 それから、一九・五トンの個人能率だと、今日これほど合理化が進んで参りまして、四千六百カロリーの石炭を一九・五トン出して採算がとれるかどうか。とれるとするならば、この従業員の給与形態はどうなっているか、どのくらいの給与をもらっているか。この炭鉱は、合理化で買い上げる炭鉱の指定にはなっておらないはずなんですね。そういたしますと、調査団が出したあの三十数トンにははるかにほど遠い。しかも一、こういう中小炭鉱で相当な労働強化がやられておる。しかも、三分の一近い請負夫がおられる。こういうことになって参りますと、設備その他も非常に私は危惧される状態にあったのではないか、原因は幾多あると思うのです。しかし、現実問題として、ただいま聞いた問題だけで私どもが頭に浮かびますのはそういう点でございますが、一体、石炭局長として、こういう炭鉱が、この種の状態でいいのかどうか。また、この炭鉱は、この災害のあったあとに希望退職を募集しております。しかも、先ほどの報告にもございましたが、従業員の中では、この作業は危険があまりにも多過ぎるということで、これを拒否されておる現実もございます。そういう点についてどうお考えになるのか。
 それから、保安局長にお尋ねいたしますが、この種水害でいわれるように、これは海水じゃなかったということになれば非常に少ないのですが、今まであったものは海水か、川の水か、あるいは古洞の水でこういう災害が起きておるわけです。古洞の水でもなかった、海水でもなかった。川の水でもなかった。それに、こういう図面だからはっきりわかりませんが、二つのダムを閉鎖しなければならないほど急激に泥と水が押し流されてきたというような状態が今日まであったかどうか。
 それから、もう一つは、十数名の人がここにいかっておりまして、しかも、坑道を掘っていくとしても、百数十メートルの岩盤層を掘るとおっしゃるから、相当な日数もかかってくる。そうしますと、東中鶴でしたか、十八名、上清二十八名でしたか、この人たちが現在まだ死体も坑外に上がらずに、採鉱中止のやむなきに至っておる、こういう実態から考えてくる場合に、もう相当な日数もたっておるから、この十数名の方々が生存されておるということは、なかなか奇跡でもない限り、考えられない。こういう実態から考えてみます場合に、再びこの死体を地下に放置したまま、炭鉱が別な道を歩く、ほかの層を掘るか、あるいは先ほど私が質問しましたように、合理化が進んで、ある炭鉱では現在の能率の三倍に上がるというようなことまでいっておるときに、当然先細りになって、死体も坑外に上げ得ない状態になりはしないか。こういう点の御説明を願います。
#8
○政府委員(中野正一君) 今度災害のありました大浜炭鉱は、先ほど保安局長も御説明いたしましたが、宇部、小野田地方におきまする中小炭鉱のうちでは、比較的健全な経営をやっておりますし、また、鉱量も十年以上あるというような状況で、海底炭鉱ではありますが、能率は大体二十トン程度でありますが、最近少し情勢が悪くなったように考えておりますが、比較的恵まれた条件にあって、調査団当時も、大浜炭鉱は、将来増強維持の中に入るのじゃないかと、大体この宇部、小野田地区は、相当最近閉山が行なわれまして、どんどん炭鉱がなくなっておるのですが、これは何とかやっていける炭鉱であり、したがって、今後の合理化には開発銀行あたりも出したらいいじゃないかという考えを持って、会社も、そういう計画を持っておったわけです。ただ、ここ一、二年の事情としては、この津布田地区がだんだんと終掘に近づいて参りまして、今度の事故もそうですが、新しく中央幹線の奥のほう、坑区の西のほうを新地域に全面展開をやるという段階にきておって、そのために新しい坑道を掘進する、こういう情勢になったわけであります。そういう関係もございまして、今、先生が御指摘になりましたように、全体の労務者のうちで、三割近い請負夫が入っておるということは、やはり一つには、次期計画の坑道の掘さく、それから、坑道の維持が非常に困難であるために、その保持のための仕繰り作業というようなことで請負夫が相当入っておったのじゃないかというふうに考えております。われわれが調べたところでは、採炭は全部在籍坑夫でやっている状況になっているわけであります。
 それから、賃金がどうかという、これはちょっと今、私、手元に資料がございませんが、われわれが大体今まで聞いているところでは、宇部、小野田地方の中小炭鉱の平均貸金よりは幾分いいのじゃないかというくらいの情報は持っておりますが、詳細につきましては、また別途調べて御報告いたします。
#9
○政府委員(八谷芳裕君) 御質問の第一点でございますが、この隣接鉱区に本山炭鉱というのがございまして、最近閉山をいたしておりますが、この本山炭鉱では、この大浜炭鉱よりもっと出水事故がひんぴんとして続いていたわけでございまして、その出水に耐えかねてあれは閉山していった。水が坑道に回ったりいろいろしますと、盤ぶくれ等によりまして、坑道の保持がきわめて困難になる、こういう炭鉱でございまして、本山等の事例では、この図面で申しますと、五六片とか右五片、いろいろ別々に水門を置きまして、ここをシャット・アウトして放棄していく、こういう姿で進んでいるわけであります。この当該炭鉱につきましては、幸い、今までにこの右六片から若干の水が出てきている、こういう事例もあったわけでございます。しかし、水門を閉じるというところまでには至らなかったわけであります。いずれも四紀層の収縮によりまして、自然に自己充填と申しますか、そういうことによりまして水がとまっていく、こういう形であったわけでございます。
 それから、今後の作業関係でございますけれども、一応私どもは、まず、右六片、ここにつきましての四人を救出していくということが現段階の任務であろうと考えるわけでございます。その次に移りますのは、右七片坑道を取り明けていくというわけでございます。これにつきましては、右七片坑道を現在ほとんどフル・パッキングと申しますか、水は排水しているわけでございますから、泥で埋まっているわけでございますが、これがどういう動きを示すかということをよく見きわめなければ何とも申し上げかねますが、一案といたしましては、この右六片をずっと進みますと、奥のほうに非常に近接した坑道になるわけでございます。ここでこちらのほうから回り込み得るかどうか、これが早く進むかどうかの一つのキー・ポイントであると思うわけであります。ただし、この奥から参りましても、ここが自由面になっていない、行き詰まりになっているために、ここには奥の土砂は流れてきていないと考えられますけれども、回り込んでここに自由な面を作った場合に、現在安定された形になっているやつがどういうふうに流動を始めるかということが、今後九人並びに二名という十一名の被災者の取り出しに一番大きなポイントを占める点じゃないかと考えるわけでございます。
 いずれにしましても、まず第一段としては、この四人のところに行き着く、その間にこの流動状況その他をよく調べていく。現在海底の物理探査等もやっておりまして、どのくらいの沈下があるか等もやっているわけでございまして、もうおっつけ詳細な報告も参ると思いますが、そういうことと全体を詳細ににらみ合わせて次の段階に移って参りたい、かように考えるわけであります。
#10
○阿具根登君 この四人、三人、三人、三人、二人、この職種を教えてくれませんか。
#11
○政府委員(八谷芳裕君) 奥のほうにおります九人は請負夫でございまして、掘進、仕繰り、こういう関係の仕事でございます。それから、二人と四人、これは直轄夫でございまして、みんな採炭関係の人たちが、従来おったところの機材の撤収にかかっていたのでございます。
#12
○阿具根登君 そうすると、この三人、三人、三人は、これは抗道掘進ですか、またこっちに掘進するのですか。
#13
○政府委員(八谷芳裕君) これはただいま石炭局長も申しましたように、この左大通をずっと行きまして、この先が新しいフィールドになるわけでございます。それで、これは岩盤の大通という名前はメーンなわけでございまして、これを利用いたしまして奥のほうの採炭をやるという主要岩石坑道でございます。そこで、ここにありましたのは掘進と、それから掘りましたあとの仕繰り関係、こういう仕事でございます。
#14
○阿具根登君 そうすると、これだけおったわけでもないでしょうからね、これから出水して脱出できた人はどのくらいおるんですか。
#15
○政府委員(八谷芳裕君) この付近に請負夫が十一人おったわけでございます。そうして一番手前のこの九人とその二人が脱出したわけでございますが、安全道がもうすぐ近くに見える程度に九人がおったわけでございます。そこで、すぐ手前側のロト口からどっと水が流れ始めてきた。それで二人は手前の側からの通報によりまして、二人だけは流れを突っ切って行ったわけであります。そうしてほかの九人にも、早く出るようにということを連絡したわけですが、従来あまり出ない、とまっておったということと、この流れにちょっとちゅうちょしたようでございます。その九人だけは残った。その上から左斜めに落っこってきたので、空っ切ることができたら、この九人も明らかに助かった、このように思うわけであります。
#16
○阿具根登君 そうすると、ここが出水で詰まって、ここがだめだということになれば、この断層掘進ですね、この左大通というのはだめになるわけですね。
#17
○政府委員(八谷芳裕君) これがかりに取り明けができないということになりますと、もう一つの方法を考えなければならない。別に岩石坑道を掘っていくと、こういうことになるのじゃないかと思う。先のほうの掘採計画に対しましては、そういう方法をとらざるを得ないと、かように考えております。
#18
○阿具根登君 いずれにしても、相当な期間がかかるし、相当な危険があるし、しかも、現在やっておるいわゆる左大通から断層を掘進していくという方法をとりましても、相当な危険も伴うと思うのですが、前にこういう事故のあったときのことを連想してみますと、結局最後は会社側の金融難、もうこれ以上は全員退職しても退職金もありませんぞと、こういうことになってきまして、残った人たちが、これではもうたいへんだ、残っておる人が、死んでおる方には気の毒であるけれども、自分たちの退職金まで食いつぶして掘るわけにもいかぬということで、遺体を上げることをやめた例もあるんです。ここはどうですか。何カ月かかろうとも、大浜炭鉱は責任を持ってこの遺体を掘り出させますか、どうしますか。
#19
○政府委員(八谷芳裕君) 先ほどから再三御説明申し上げましたように、現段階においては、私どもはあくまでそうさせるべきだと考えておるわけでございます。ただ、この取り明けと申しますのが、特にこの二人でございますけれども、この二人が撤収にかかっていて、これは現実にはここにいなくて、右七片坑道の泥の中に流れとともに巻き込まれてきている公算も非常にあるわけでございます。そういたしますと、どうしても全員を出すためには、左大通、それから右七片、これの全部泥を排除していかなければ見つからないかもしれない、こういうことになるわけでございます。そういたしますと、今安定状態を保っているわけでございます。この安定状態が、新しく切りくずしていったときに、出水限度の安定が破られて再度押し寄せてくるかどうか、この認定にかかるわけでございます。これは先ほどから再三繰り返してくどいように申し上げておりますように、この右六片のまず四人に、かりに行き着いても、その間にどういう流動性を示すか、それから海水とのつながりその他との関係もございまして、水の分析等もやっておりますけれども、そういうものをよく見きわめて進むべきであろう。従来、宇部地方では、水門を締めまして放棄するというのが今までの採掘の方法だったわけです。今度は被災者が残っておるということになりますと、今までの考え方を改めて、あくまでこれは出させるという方向で進むべきであろう、かように考えます。
#20
○阿具根登君 まあ局長の説明で、考え方はわかりますけれども、私が懸念いたしておりますのは、いつもこの種災害が起こった場合に、万やむを得ないときには死体も放棄しますといって答弁された大臣も局長も一人もおらないわけです。そうして何カ月かたったら、結局死体はそのままであったと、こういうことが今まで、私が先ほど触れました二件の例をとってみてもそのとおり。その当時私は同じような質問を大臣、局長にしております。その場合に、大臣も局長も、万難を排して人間のからだだけは外に出しますということをここで再三再四念を押しておられたけれども、結局は会社側の経理の都合上その他で、ついに掘り出せないようになったからと――私は念を押しているのですが、今度はひとつそういうことのないように、会社側の経理の都合だといって、人間の死体がここに埋まっていることがわかっているのを、みすみす出さずに、そうしてこれを閉鎖する、そういうことがないように、ひとつ監督をお願いしておきます。
 それから、局長にもり一問お尋ねいたしますが、四千六百五十カロリーで十九・五トン出して、そして一般中小炭鉱よりも条件がいいというようになってくると、私の今聞いただけの範囲内ではどうしても数字が浮かばないのですがね、そんなにいいだろうかと。それだったら、調査団が出したあの調査の資料といりものはみんな間違っている。おそらく十九・五トンぐらいで四千六百カロリーの石炭を出しておったのでは、この炭鉱は合理化の波でやられますよ。これはとても今後やっていかれません。少なくとも一三十トン以上出さなければやっていけないでしょう。そのためにはどういう構想もあるのだ、資金も貸すのだというような構想があるならいいけれども、このままでは私はそんなにいいものとはどうしても思えない、こういう考えがするわけです。カロリーが四千六百カロリー、それで十九・五トンです。昔だったら十九・五トンだったらいいほうでしょうけれども、今だったら最低です。そうなると、おそかれ早かれ、これは合理化のあらしでやられていくのだ、そうなると、これは勤める人も業者も魅力を失いやしないか。どうせおれのところは長くないのだ、それならここの中に入っている人に金をたくさん使うということは、結局あなた方の退職金なり、あるいはその他が少なくなることですよと、また前者がやったことを繰り返しやしないか、こういう心配があるから念を押して聞いているわけなんですが、いかがでしょうか。
#21
○政府委員(中野正一君) 大浜炭鉱は、御承知のように、二十トン程度の能率でございまして、実績からいいますと、昨年は二十ミトンくらい能率があった。先ほど申し上げましたように、ただここの石炭がなくなって、この左大通ですか、ずっと地図の一番下の先のほうの、ここに有望な鉱区があって、それに掘り進んでいったわけです。それに見返り資金も出そうということで、実は三十七年度に通産省としては推薦済みなんです。ところが、いろいろな関係で工事がおくれて、しかも、今はそういうことで能率が少し下がっておるという状況なんですね。それで、その先にいけば、これは施業案で認可をしておりますが、この先の地域だけで七十一万トン、全体で百十七万トンは施業案で認可しております。そういう関係で、この先にいく金を出してやって、三十トン程度の能率もできるのじゃないかというのがわれわれの調査でございます。ただ、最近、今言ったように、だんだん津布田区域ですね、これが終掘にいっておるので、これはちょっと情勢が悪くなっておる。
 それから、二十トン程度の能率で、はたしてちゃんと賃金を払っておるかどうかという問題ですが、これはこういう海岸地区でございますから、非常に流通経費がうんと安い、ほかの陸地にある山より。で、地元でこれは大体さばいており、電力用として関西電力へ機帆船で送っていますが、そういうことで何とか今までやっていっておったのではないか。むしろ最近までの状況では、経理状況も比較的いいというふうにわれわれ見ておる次第であります。
#22
○阿具根登君 そうしますと、この出水、土砂によって掘進が一時これは頓挫したわけですね。それも今、局長がおっしゃったように、これに手をかけていけばまだ流れてくるかもしれない、これはたいへんな手数がかかってくる。そうすると、掘進に要する費用は融資あっせんされたかも一しれないけれども、それに対する費用は一体どうみて下さるのか、その点、自己資金だけ使い込んでしまったとか資金難になったとかいう場合には一体どうするかという問題なんです。
#23
○政府委員(中野正一君) 今そういう先生御指摘なさいましたような点も心配でございますので、今、会社のほうに資金状況、経理状況等も調べさせております。というのは、ここは今まで経理状況が比較的よくて、しかも、これは親会社というか、というものがはっきりしたものがなくて、大倉系の山でございますが、特にこういう事態になって、金融面で早く行き詰まるのではないかということをわれわれは心配しておりまして、今、会社のほうから資料を取り寄せて検討をいたしたいと思っております。そうして何とか金融のために直ぐやめてしまうという、そういうことが起こらないようにわれわれとしては努力したいと思います。
#24
○大矢正君 今、阿具根委員から質問があったのですが、この出水事故に限らず、たとえば自然発火とか坑内火災とかいう場合もそうです。おおよそ半年はかかりますね。特に出水なんかの場合には、ずっと以前に、同じく宇部で海水で陥没したことがありますが、十何年前ですが、私たちそこに行っておったので記憶があるのですが、あれなんかもかなりかかっておりますね。急いでやっても半年、まごまごしていると一年かかっても発見できない。半年、一年かかっても復旧するだけの資力は絶対にないですよ。だから、新たに坑道を掘進していって着炭するまでどのくらいかかるか知りませんけれども、結局開銀融資でやる以外にないということになって参りますと、これだけ出水のあった旧坑道を、再びまたそこで原形に復旧して採炭可能の状況に持っていくということは、経営者の頭ではとうてい考えられないことです、私たちの常識から言えば。結局そのままつぶしてしまうということになると、遺体があるので、そのために莫大な期間と金を注ぎ込んでその遺体の収容に当たるというようなことをやらないで、すぐそのまま閉鎖してしまって、新たに坑道開発をどんどんやっていくということになって、結局のところ、遺体の搬出は不可能であるというふうに過去の例から言えば私は考えざるを得ない。だから、局長が幾らそこで遺体の搬出――遺体と言わざるを得ないでしょうが、そのことをやるなどといっても、そんなことを経営者は絶対にやらないと思うのです。ほんとうにやらせる気がありますか。これはなかなか一週間や十日やっても取り明けができるようなしかけではない、へどろがすっかり中に一ぱいになってしまいますし、そういいものを全部坑外まで引き上げるということになるとたいへんなものですよ。事実上不可能に近い、水の量にもよりましょうし、どこまで実際水につかっているのかわかりませんけれども、たとえば坑内の自然発火なんかで水を入れて鎮火させた場合に、そのあとの補修なんかといってみても、相当長くかかっているわけです。だから、阿具根委員の、事実遺体収容ができるかということに対して、いや、そういうふうにさせますというお言葉のようですが、事実上できないということにならざるを得ないのじゃないのですか。
#25
○政府委員(八谷芳裕君) この事実上できるかできないかという問題は、一つは、純技術的に見て、再度二次災害が起こり得ない状態で取り明けができるかどうかということが一つだと思います。
 それから、あともう一点は、会社のほうが、この事態で考えますと、奥部のほうに新しいフィールドをやっていく、そこで資金繰りをつけていく、そういう過程において作業を一方においてこちらを継続していく、こういう二つの条件が満たされる場合とあると思うわけでございます。私どもは、現段階におきましては、経営者に非常に強く、あくまで現段階におきます岩盤、坑道を掘進して、まず四人を取り出すということを強く指示しておるわけでございますが、それから先の問題は、技術的な判断といたしまして、これが可能かどうか、すぐになかなかこういうものは動かし得ない、ある安定期間というものが出てきますと、その期間に、私どもが右六片を進んでいくうちに相当に判明してくるんじゃないかと考えておるわけでございまして、事実上これが出せないかどうかというお話でございますが、あくまでこれは出すようにし、また、したほうが、ただいま掘っております右六片と七片の凹凸のところになるわけでございますから、この岩盤坑道自体も決してむだでなく、これは必要でございます。こういう会社の災害という面を離れました将来の復旧という大きな観点からまたこの坑道が必要になってくるというようなことも考えあわせますと、現在の段階でのお答えといたしまして、それはとても一むずかしいというような感触でお話はできない状態にあるわけでございます。あくまでこれは技術的な判断で二次災害が起きないということを見きわめない限り、私ども一保安の担当者として、あくまで出させなければ、大きな観点から申しまして、遺体をそのままにして置くというような、現在はまだ遺体と称し得ませんけれども、そういうことがまた将来の保安確保という全般に対する影響も、御指摘のとおりに、いろいろあるわけでございます。そういうことからいたしますと、あくまで現段階においては取り明けを進捗させていく、こういう考えでおるわけでございます。
#26
○大竹平八郎君 被災当日から今までに、大きい小さいの別はあるが、相当出水というものが、断続的に行なわれておるのですか。
#27
○政府委員(八谷芳裕君) この災害の発生時から現在時まででございますね。私どもの認定では、出水源からのものはもうないと認定しております。ただ、従業員の方は、生き残り方面から水が出たということで、非常に恐怖を感じられましたけれども、これは、へどろ等で埋まったところの袋水と私らは考えておるわけでございまして、決してそれが出水源につながりを持った水ではないであろうと、かように考えるわけでございます。
#28
○大竹平八郎君 今後いろいろ学術的な調査を待たなければならないであろうが、再発のおそれがあるかないかということの断定は、今掘進をしておるときであろうけれども、大体そのめどはどのくらい日にちとしてかかるのですか、それを算定する基礎のあれは。
#29
○政府委員(八谷芳裕君) これは非常にむずかしい問題でございまして、炭層の上の岩盤がどの程度に口があいているか、そして、そこに四紀層あるいは三紀層のいわゆるへどろ、そういうものがうまく詰まってくれているかどうか、そういうものの下のほうをあけていった場合に、またこういうものが移動性を持つかどうか、こういう認定にあるわけでございまして、必ずしも時期だけではないと思うのでございます。やはり水の分析その他、それから、ある時期には若干ずつダムを先へ進めていくというような形で取り明けを進めていくとか、いろいろやってみまして、これなら安全だという時期にくるわけでございます。一番危い時期は、落ちましたシュート口のところにかかるころ、その辺がさらにむずかしい問題なわけでございます。非常にこの点は、ただいまお答えをはっきり申し上げかねるような事態にございます。
#30
○二宮文造君 先ほど阿具根委員から非常に御心配されておったのですが、大浜炭鉱は、その後希望退職を募集いたしましたところが、非常に大ぜいの方が希望退職の申し出をした。かえって会社側のほうでは慰留させるのに大わらわだったというような新聞の報道を見たように思うのです。このことは、現地で作業されている労務者の方は非常に危険性を感じておられる。先ほどの当局の説明では、中小炭鉱としては非常に希望のある炭鉱だというようにいわれていたわけですが、当局の見ためど、それから、現地で作業に従事される方の考え方と、その事故を契機に、大いに変わってきたと思うのですが、その面はいかがですか。
#31
○政府委員(八谷芳裕君) 二十六日でございましたか、希望退職について、従業員の代表と会社と話し合ったわけでございまして、私どもの情報では、当日は二百名の希望退職が出た、かように聞いておるわけでございます。六百七十名程度の労働者の、これは請負夫は別でありますが、直轄夫の中から二百名出ておる。この従業員との話し合いも、取り明けを行なうということと、これは今後おくらせないということと、それから、現在残っております採炭関係につかせる、この二つの条件で話し合いを進めたようでございまして、二百人というのは非常に多いようでございますけれども、二つの作業には支障のない程度じゃないかと考えるわけです。ただ、先生御指摘のように、非常に動揺しているのではないだろうかという点は、単に私は、これの作業が非常に困難だという面だけでなくて、採炭作業に現在までかかっていなかった、先はどうなるだろうという、こういう不安感のほうが多いのではなかろうかと、私はかように考えるわけです。
#32
○二宮文造君 そうしますと、石炭当局のほうとしては、やはりこれをウエージ・アップしていくという、今まで認可を与えたということには変更はないわけですね。
#33
○政府委員(中野正一君) それは変更ございません。
#34
○二宮文造君 それから、もう一点お伺いいたしますが、被害者の家族の問題でございますが、請負夫の場合と直轄夫の場合とで、この被災者の家族に対す考え方が違ってくるんじゃないかと思うのですが、その面はどうなりますか、これをお伺いしておきます。
#35
○政府委員(八谷芳裕君) それぞれの契約によりまして、あとの手当の問題等は、労使相互間、あるいは今度は請負組夫につきましては、会社と請負会社との契約等によって異なってくると思います。
#36
○二宮文造君 大体考え方として、その留守家族に与えられる補償という面は、どの限度ということで考えられますか。
#37
○政府委員(八谷芳裕君) これは当然会社といたしましては、家族はだれも就業する者がないわけでございまして、会社がめんどうをみておりますが、まだ今までのところ、どの程度家族にやるとか、そういう問題の話し合いを進める段階にはないように私どもも推定しておるわけでございまして、会社でもそういう話し合いはまだ行なわれていないわけでございます。まず作業を進めていくということに重点を置いておるわけでございます。
#38
○委員長(堀末治君) 本件に関して別に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議がございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#40
○委員長(堀末治君) 次に、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院送付)の二案を一括議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#41
○阿具根登君 石炭調査団の調査によりまして、千二百万トン買い上げについて、相当多数の炭鉱が閉山になりますが、今度の臨時石炭鉱害復旧法によりまして、無資力炭鉱に対する措置が考えられているようですが、無資力炭鉱と申しますか、千二百万トンの炭鉱の中でどれくらい見込まれておるのか、その点をまず第一に質問いたしたいと思います。
#42
○政府委員(中野正一君) 今後、今、先生が御指摘のように、相当石炭産業としてはスクラップ・アンド・ビルドをやっていかなければならないということは、調査団答申のとおりでございまして、これに伴いまして無資力鉱害というのがふえるのではないか、それの対策はどうか、こういう御質問だろうと思いますが、われわれも一その点は考えまして、大体従来は全体の鉱害復旧量の八%程度が無資力でございます。それを本年度につきましては、いろいろの調査の結果、これはふえるだろうとみまして、全体の鉱害復旧量の一五%程度が無資力鉱害になるのではないかということで、その分に対応する予算というものを計上してあるわけでございます。
#43
○阿具根登君 これは大臣にお尋ねいたしますが、従来私たちがいつも質問の一つの焦点として大臣の所見を伺い、通産省の考え方を伺っておったのですが、無資力炭鉱といって指定するような炭鉱は、いろいろそれは事由もあるかもしれませんよ。しかし、それを許可したのは一体だれか、これは通産省が許可している。私どもに言わせるなら、自分が石炭を掘って、それで営業をやるならば、その自分の仕事によって他の第三者に損害を与える、鉱害を与える、当然そういうことは当初から考えておかなければならない、私はこう思う。ところが、そういう資力もない人に、しかも、先ほど審議いたしましたように、いつ不慮の災難があるかわからない。そういう危険な作業を非常に安易に許可されている、これはもちろん法律の矛盾も一あります。先願順で許可することになっておりますから、そういうこともあるのでしょうが、今日の事態になってくれば、無資力というものに対して非常に経営者はすがりついてくる、こういう結果になってくると思うのです。そこで、合理化が始まってから通産省が許可した炭鉱で、今度閉山あるいは売山というような対象になったのはどれくらいか、おそらくその大部分は無資力炭鉱だと私は思うので、それを聞くわけです。
#44
○政府委員(中野正一君) 合理化法が昭和三十年に施行されまして、これはそのときに合理化法で、御承知のように、坑口開設というのは、一定の能率なり、技術的な条件をずっと見まして、許可制度になっているわけであります。その後の経過を見ますというと、現在までで坑口開設の許可が、これは一つの炭鉱でなくて、坑口の数でいっておりますが、百七十五でございます。これを見ますと、三十年が一件で、三十一年が二十七件、三十二年が六十八件、三十三年が四十件ということで、合理化法を作ったとたんに炭況がひどくなって、少し、この辺がルーズになってやったのではないかということもいわれておりますが、最近は非常に厳正にだんだん許可基準を上げまして、今、先生御指摘になったような、将来やっていけないような山は、ちょっと炭況がいいからといってどんどん許すということはいかんということで、許可基準を上げましたので、百七十五坑口があるわけですが、昭和三十五年以降は激減をいたしまして、三十五年が八件、三十六年が九件、三十七年以降はまだ許可をしておらない、こういうことでございまして、その坑口を開設許可したその後の状況を見ますと、途中でこれは仕事をやめたり何かしたものもありますが、一応計画どおり工事を完成したものについて見ますと、労働者一人当たりの出炭量は、月当たり大体三十トンをこしているという状況でございます。なお、その許可したものの中で、その後閉山になったものが幾らかというのは、今ちょっと担当課長に聞いてみたのですが、手元に資料がございませんので、これは調査した上でお答え申し上げます。
#45
○阿具根登君 大臣、お聞きのとおりですがね、私は、長い間、今日まで炭鉱問題を考えて参りましたのですが、今日のこの合理化後に起こってくる事態以前は、炭鉱は五年間不況でけっこうだ、一年好況になればよろしい、こういう場当たり的な、ばくち的なやり方をやってきたのです。その惰性が今日のこの状態を私は生んできておると思うのです。たとえば油がちょっと頓挫した、こなくなったというようになれば、ボタ山まで掘り起こして、そうして十三、四才の子供までかり出して水洗炭をやって、そのよごれた水はどんどん田畑に流して、そうしてやってきたものです。それも通産省はほおかむり、ずいぶん私は質問をいたしました。相当あっちこっちから問題も起きたんですが、そういうことがやられてきておった。そうしますと今度はまあ非常に油に依存して参りましたが、油に依存ということは外国依存ですから、もしもこれが少しでもおくれる、あるいは外国で事変等が起こって油の輸送が中止される、そういうことになって参りますと、また前のことを繰り返して、どんどん山が開発される、坑口があけられる、私はこういうことが繰り返されるのじゃないかという懸念をするわけなんです。だから、ここで、もう今日のような、無資力炭鉱に指定して一そして国がその三分の一を支払う、あるいは四分の一を支払うというようなことで、もうかるときだけはいやというほど業者にもうけさしておいて、そうしてその業者は、一部の人は特にいつも一問題になりますから、申し上げたくないのですが、ぜいたくの限りを尽くして、そうして富者番付面ではいつも一、二番を争ってきたのは炭鉱であるということまでいわれてきたのです。そして、今日こうなってくると、そういうのが無資力だといって、あとしりは政府と市町村が持たにゃいかぬ、こういうことを繰り返しておるわけなんです。だから、今後許可するものの基準というのは相当高度でなけらねばならぬと思うのですね。とすれば、どういう基準を考えておられるか。無資力だといって国がみなければならぬというならば、これは国民の税金でございますから、だから、こういうことがあり得ないためには、相当強い基準をきめておく、たとえば今、大浜炭鉱のような問題が起こった場合でも、どういう場合にはこういう金があるのだ、決して御心配じゃないというようなことでなければならぬ。鉱害にしても一そのとおり。だから、今後坑口を開くとか、あるいは石炭業をやるというような場合の許可基準というものについての考え方をひとつお聞きしておきたいと思います。政府委員(中野正一君) 今、阿久根先生が御指摘なさったとおりだと思います。われわれとしましても、今の坑口開設の許可につきましては、先ほど申し上げました一定の基準を設けまして、しかも、石炭鉱業審議会に一々かけまして処分するということにしております。特に非能率の炭鉱が新しく発生するのを阻止する、また、同時に、坑口炭鉱の造成ということを主とした厳正な運用をやっておるつもりでございます。特に昭和三十六年の十二月以降につきましては、従来の基準に加えまして、さらに経理的基礎並びに技術的能力というものにつきましても許可基準に加味をいたしましたので、将来ほんとうに中核的な骨格を有する炭鉱についてだけ許可をするという趣旨を徹底さしたいというふうに考えております。現在のところでは、これは省令できまっておりますが、能率基準につきましては、だんだんこれも一上げて参りまして、現在のところでは、全国的に見ますと、大体能率が約三十八トン以上のものでなければだめである、これは地区別に違いますが、大体そういうことになっております。なお、将来この鉱害賠償もできないような炭鉱が発生するのはまことに工合が悪いわけでありますが、先ほど先生御指摘になったように、現在は、鉱業権の付与につきましては先願主義になっておりますが、この点についてもいろいろ問、題がありましたので、昭和三十四年以来、鉱業法改正審議会におきまして慎重に審議をしていただきました結果、特に石炭と亜炭の鉱業権に限りまして、従来の先願主義に加えまして能力主義を採用する。したがって、一定の経理的基礎及び技術的能力を有しないものには鉱業権の権利を付与しない、このほうがいいじゃないかという答申が行なわれまして、その趣旨を盛りました鉱業法の改正を今国会に提出をする予定になっておるわけでございます。
#46
○阿具根登君 それじゃその問題は、その法案が出されてから少し質問をしたいと思います。
 今度の法案でまあ鉱害復旧を非常に急ぐ場合は、大臣の指定によって急ぐようにすると、まあこういうことを指定することができるようになっておるわけですね。しかし、指定はされても、被害者の総数の三分の二以上の同意は得なければならぬのですね。それから、それに対して同意書を添付して事業団に出さねばならぬ、こういう手続があるようですが、こういうことをやっておれば、非常に急いでおる復旧というのが相当おくれるのじゃないか。この法律の考え方としては、復旧を非常に急がねばならぬから、そういう緊要なものについては大臣が指定しまずよと、地区を指定しますよと、そこまではわかるのですけれども、指定されたあとの問題は、これでは私は緊急な復旧の用にたたないと思うのです。それは床どういうふうにお考えでしょうか。
#47
○説明員(矢野俊比古君) ただいまの阿具根先生の御指摘で、いわゆる指定はやるけれども、結局復旧事業団に申し出をさせてやるようなやり方では緊急性がなかなかとれぬじゃないかという御指摘だと思います。ただ、現在の鉱害復旧のまあ立て方が、復旧事業団―これはまあ九州初め、四地区にございますが、事業団が復旧基本計画を立てまして、それをまあ通産大臣、あるいはそれに関係します関係大臣と相談しましてでございますが、認可をするという建前でございます。その点で、そういう基本制度に結びつけるためにこういうやり方を考えたということなのでございます。
 なお、この指定をする際にどういう基準でなるだろうかということだろうと思いますが、大体私どもとしては、いわゆるほとんど無資力に近いような山別にこの指定をしたい。と申しますのは、鉱業権者が無資力のようになりますと、なかなかに基本計画の作成業務に協力するというのはむずかしくなります。そこで、ある程度の被害者にこの辺はよくその点を見てもらうといいますか、要するに意思をまとめてもらうということで進めたいという考えでこの三分の二以上という団地復旧的なものの考え方をいたしました。これは年々賠償とか、こういうものは無資力では払えないわけでございます。できるだけ事業促進をするということで基本計画の中に入れてもらうという形にしたわけでございます。
#48
○阿具根登君 いや、その無資力ということを認定するのに、また、認定するまでに相当の期間がかかるでしょう。終閉山になったとき、まあ売山その他の場合ですね。交付金が出て、その交付金の配分が終了して初めて資力があるのか無資力であるのかということがわかってくる。その期間は相当な期間がかかるわけなんです。そうすると、緊急に復旧を望んでおるところも緊急に復旧できないわけです。無資力認定するまでに相当かかるわけです。そういう点をどう考えているわけですか。
#49
○政府委員(中野正一君) 今御指摘のあったような問題は確かにあるわけでございますので、大体これは山が閉山になるということは予定がつきますから、それについて事前調査を――相当問題が起こりそうなところは大体わかりますので、これは九州の通産局にそういう特別の班を今こしらえまして事前調査をやって、そして無資力認定を迅速にやらせるようにやっているわけです。
#50
○阿具根登君 事前調査はいいんですけれども、それではこの千二百万トンに該当する山の調査は、もうほとんどできているはずですね、今一五%とおっしゃったけれども一。ところが、実際問題として一五%ぐらいだろうかということになってきますと、私はそんなものじゃないと思うんですよ。
#51
○政府委員(中野正一君) 今の全体の鉱害復旧量の一五%、これは昨年三百六十万トン、ニュー・スクラップ方式で買い上げをいたしましたが、それに相応する分のやつを大体調査をして、これは一五%でいけるじゃないかということを見たわけでございまして、さらに本年度も相当のスクラップが行なわれるわけでありますから、これにつきましては、事前にこれも現在調査をやらしておりますが、相当詳細な調査をやって、それの積み上げによって大蔵省へ予算を要求する、こういうことにいたしたいと思います。
#52
○阿具根登君 それから、飛び飛びになりますが、第二会社が――まあこれは調査団でも好ましくないというし、私たちも第二会社というものを作るべきじゃないという主張をしておりながら、現実問題としてつぶしてしまって、そうして従業員が失業するよりも会社と組合側で第二会社でもやって当分石炭を掘っていこうというところがあったならばいいではないかということになったわけですね。そうしますと、その第二会社の今度は鉱害の責任はだれが負うかということになるわけです。おそらく親会社は、第二会社に譲ったんだから、これは第二会社のものだというでしょうし、第二会社は鉱害まで責任は持たない、こういうことになってくると思うんですが、これは一体どういうお考えでしょうか。
#53
○政府委員(中野正一君) 第二会社に移行した場合に鉱害賠償責任はだれが持つかという御趣旨の御質問かと思いますが、これは第二会社になりましても、残った鉱害については両者の連帯責任ということになっておりまして、特に第二会社に移行する前に起こった鉱害というものは、これは当然第一会社が責任を持たなければならぬわけです。
#54
○阿具根登君 その第二会社に移行する前のやつは、それは親会社というか、第一会社が持つことは当然ですけれども、第二会社に移行したあとのやつですよ。
#55
○政府委員(中野正一君) 第二会社に移行したあとに掘ったも一の、それによる鉱害というものがはっきりいたしますれば、それは別途認定をして、これは第二会社に責任は持ってもらわなければならぬということになるわけです。
#56
○阿具根登君 持ってもらわなければというが、持てれば当然それは持つべきなんですよ。それは当然掘った人が持たなければいかぬけれども、今の場合、第二会社に第一会社が持てないような山を許可しておる。それもりっぱな会社が第二会社に受け継ぐわけはないんですよ、二流、三流の会社なんですよ。それが鉱害まで責任が持てるかということです。で、私は、そういうのを許可すれば、先ほど質問しましたように、国、市町村が責任を持って鉱害賠償しなければならぬということをわかっておりながら第二会社に移行するんじゃないかという懸念があるから質問しているわけなんです。第二会社が当然やる義務があるんですよ。義務があるけれども、それは経済的にそれだけの資力がない。そうしたら、もう無資力にならざるを得ないでしょう。そうすると、第二会社というものはほとんど無資力だということになる、だから、それも第二会社に移行する場合に、第二会社がやったあとの鉱害も第一会社が責任を持つというならわかりますよ。しかし、それは第一会社がみないと思うし、持たないと思う。そうなると、第二会社はそれだけの資力がない、残炭を細々と掘っていくわけですから。私はそうなってくると思うのですがね。
#57
○政府委員(中野正一君) 今先生の御指摘になるような場合も非常に懸念をされます。第一会社に、できるだけ過去の鉱害等の処理については、責任を持ってやらせるようにわれわれとしては行政指導をいたしたいと思います。ただ、第二会社が鉱害処理というものが全然できそうにないから全部許可しないかというふうにいわれると、これはやはり個々のケースについてよく実情を調べて処置をいたすよりほかないいと思います。
#58
○阿具根登君 これは積立金制度も考えておられるでしょう。まあ半額ですね、半額の積立金制度も一考えられておるし、その積立金にも応じないのに対しては、処分の方法も考えてあるようですね。そこまではわかるのです。しかし、往々にして中小炭鉱や第二会社というものは、労災保険の保険金も払わない悪徳業者が多いのです。そうして死人が出たり、けが人が出たときにあわてて労災保険金を払っている、こういう実情なんです。それも私が知っ
 ているが、文句を言えば、これは労災保険の適用を受けないようになるわけです。そうすると、一番困るのは、けがした人、死んだ人なんです。だから、そういうことを見て見ぬふりをしているし、督促をしてやっているのですが、そういう性質の人に第二会社というものを許可すれば、逆に、これはやめる場合は無資力で、国と県、市町村が持ってくれるのだから、おれは何も鉱害の責任を負わないでいいのだという考え方を与えはせぬかというのが私の心配なんです。そうすると、労災保険金も払わないような業者だったら、これは払いませんよ。払わなくても一国が払う、おれが払わないのは国がやるのだということに悪用されはしないか、その心配があるからこういう質問をしている。
#59
○政府委員(中野正一君) 御質問の趣旨はまことにごもっともでこざまして、われわれとしても一、その後第二会社の許可等の、これは坑口使用許可とか開設許可になるのですが、その際に十分に慎重に、今後問題が起こらないように気をつけて運用して参りたいと思います。
#60
○阿具根登君 それから、もう一つ、こういう事故が、先ほど大浜炭鉱の問題がありましたが、事故調査に私らが行った場合、鉱区は秘密になっておるのですね。私有財産の秘密ですか何かで、秘密になっておるわけですね。だから、どこの炭鉱がどれだけ石炭を持ってどう掘っておるかということは、皆さん施業案で許したほかはわからない。また、見せてもくれない。ああいう秘密主義はまだ行なわれているのかどうか。こういうものは国の資源だから、公開でやらなければ、私は不測の事態がまた起こってくると思うのですが、そういう点はどう考えておられますか。
#61
○政府委員(中野正一君) 鉱業権、すなわち鉱区がどういうふうになっているかということにつきましては、これは通産局に帳簿がございまして、これは閲覧制度になっておるわけでございます。ただ、施業案については、これは役所と業者とのあれで、これはほかの方には見せないことになっております。
#62
○阿具根登君 それが業者と通産局だけしか知らないから問題が起こるわけなんです。いつだれが掘ったのか。おれが掘ったんじゃない、昔の人が掘ったんだとか、これはいつごろ掘ったんだとかいうけれども、第三者にはわからぬわけです、目に見えるわけじゃないのですから、地下掘っているのですからね。地下掘っているのです。そういうのを明らかに明示することはできないのですか、どこを石炭を掘っているのだと。
#63
○政府委員(中野正一君) 御指摘のような場合は、これは通産局が許可をいたしますので、特別の利害関係人であるとか、そういう方の申し出があれば、通産局で今までは御説明をするということになっておるわけであります。したがって、通産局へ行っていただければ、大体の中身はわかるということになっております。
#64
○阿具根登君 局長そうおっしゃいますけれども、私らが行っても見せないのですよ。かりに見せても、その地図は見たまま一切書いても下さるな、写しても下さるなと言って、ぱたっと伏せられますよ、これは秘密だから。そうすると、その他の被害を受けた人なんか見に行っても絶対に見れないですよ。私らが通産局に行っても写しも何にもくれないのです。そういうことじゃ鉱害でも何でも、ほんとうのことが私はごまかされてくるというような危惧の念を持つわけなんです。だから、何も隠す必要ないでしょう。それは石炭の層が何段にもあって、上はだれの鉱区だ、これはだれの鉱区だ、これはだれの鉱区だということで、利害関係はあるかもしれません。しかし、業者の利害だけを考えて秘密を守るというのは、もう今の時代ではおそいのじゃないですか。それはもう昔の考え方じゃないですか。こういう法律案が出るとするならば、もうそういうのはいつも公示しておって、通産局にいけば、もう一目でどこを掘っているのだということがわかるくらいにしておくのがあたりまえじゃないですか。そういうことができないのですか。
#65
○政府委員(中野正一君) 今ちょっとはっきりした御返答は申し上げかねるわけですが、確かに先生が御指摘になったような最近の新しい情勢もございますので、この通産局の施業案等の中身をどの程度に外の人に――外の人といっても、これは関係のある方だけだと思うのですが、もうちょっと運用面でいい方法を私ども考えてみたいと思います。
#66
○阿具根登君 それは全然関係のない人が見てもわかるものじゃないのですけれども、しかし、あれだけ輻湊しておる鉱区の中で上を掘り下を掘りしておると、そうすると鉱害の問題でも非常にややこしくなってくるから、もう今後は当然どこの鉱区はだれが掘っておって、どこを今掘っておるということが、すぐだれが見てもわかるようにひとつ考え方を改めてもらいたい、そういうふうにしてもらいたいと思います。
 それから、これは鉱害家屋も含んでおるようですけれども、実際問題としては、鉱害家屋自体の復旧費は入っていないのですね。家屋の復旧はどういうふうに考えておられるか。
#67
○説明員(矢野俊比古君) 現行法におきましては、国土の保全と民生安定という面から、家屋につきましては地盤復旧という形に結びついて、補修という範囲で家屋の復旧費は見られているわけです。しかし、先生おっしゃいますように、家屋そのものの復旧費は補助対象になっておりません。この場合、これは実は鉱害対策審議会で昨年一年間審議をしていただきました答申でも一、これは検討する必要があるということでございまして、私どもも、この提案に対しては、いろいろな角度から検討したわけでございますが、一番根本的には、まあ鉱害というのは、被害者は無事の民だし、何かしてやらなければならぬという考え方はありますし、ちょうど家屋というのは、公共施設と違いまして、私有財産ということでございまして、したがって、家屋そのものということになりますと、災害があった場合でも、家屋は私有財産で、補助対象ができておりません。どうしてもその辺のバランスとの――これは補助体制の問題ですが、一つの公共性というものに着目した補助体系ができております。現在のところ、そこまで踏み切れない問題があって、いろいろ議論はしたのですが、なかなか政府のほうのまとまり方がそこまで進みませんので、まだこれは今後の研究課題ということで残しております。したがいまして、今のところは家屋の復旧費を補助対象にするという形になっておりません。
#68
○阿具根登君 私は、どうもそこがわからないのですが、私有財産は、風水害その他で倒壊した場合には、これは個人の責任でやるのだ、だから、こういう鉱害の場合もそれに準じてやるというのだけれども、鉱害の場合は人為的にこれはなっておるのですね。人為的になっておる、風水害は、いずれかといえば不可抗力で、これは皆の人が受けているわけです。ところが、この鉱害による家屋の損害というのは、一部の人の営利事業のためにこれは損害を受けているわけなんです。そうするならば、まあ今日まで大きな炭鉱では炭鉱自体がみておったのですね、炭鉱自体がみておったはずなんです。ところが、無資力になった場合に、これは不可抗力、これは風水害と同じ、だと私はみれないと思うのです。公共の建物じゃないから、私有財産だから、おまえたちが勝手にこれは修理しなさい、復旧しなさいといりのは、私は風水害の場合と違うと思うのです。なぜこれに復旧費が出せないか、こういうことなんですがね。
#69
○政府委員(中野正一君) 今、矢野鉱害課長も申し上げましたように、通産省としても、この問題は、相当本年度の予算のときにいろいろ研究をして参ったのですが、やはりこの鉱害復旧については、害を与えた鉱業権者が責任を持つという建前になっておって、有資力の場合には、当然これは鉱業権者がこれを復旧しているわけでありまして、また、鉱害の賠償責任もあるわけですから、今度無資力になった場合はだれもいないから、だれか何かしてやらなければいかぬじゃないかというので、その点はまことにごもっともなんですが、まあ今の段階としては、われわれもいろいろ考えてみたのですがなかなかいい知恵がなくてこういうことになったのですが、先般来そういう要望も非常にございますので、今われわれとして、どうするか、この問題については十分今後検討して参りたいと思っております。
#70
○阿具根登君 まあこの問題は衆議院でも相当論破されたようでございますから、私はこれ以上は質問いたしませんが、私は、先ほど申し上げましたように、これは不可抗力である風水害で損害を受けたの違って、損害を与えた人が現におって、その人が無資力になったから、おまえは泣き寝入りだというのは当たらない。無資力になって、公共の建物だけは国が見てやるけれども、私有財産まではみてやれぬぞ、これはちょっと私は無理だと思うのです。与えた加害者がおるのだから、それを許可したのは国だから、だから、自然による風水害の倒壊と違って、厳として加害者がおって、被害を受けたその人に対しては、当然こういう無資力ということを国が認定して、あなたは損害賠償しなくてよろしいということになるのなら、その許可した人がその賠償をしてやる責任が私はそのとき生まれてくると思うのです。だから、この点は十分ひとつ考慮に入れて今後措置してもらいたい、かように思います。
 それから、特別鉱害復旧臨時措置法によって灌漑排水施設のポンプを、まあ福岡県あたりでは五十三台ですか、準備しているわけですね。そういうものの管理は一体だれがするのか。それから、維持管理費が出ているようですが、管理費は予算面で出ておるが、予算が通らなかった場合には一体どうなるのか。こういうことを考えてくると、これは基金制度にしておかなければ、予算というものがいつも通るとは思われない、いつもそのままの姿であるとは思われない、いつ削られるかもわからない。そうした場合は、一体だれがこの管理費をみるのか。また、さらに、管理者はだれなのか、そのいう点が明確でないから、この点をひとつはっきりさしていただきたい。
#71
○説明員(矢野俊比古君) 特鉱ポンプの管理につきましては、これは本年度百二十万円ばかり、いわゆる終閉山いたしまして、維持管理費を出すのが非常に無理だという山に対しましてこれを出すということで予算措置を講ぜられました。ただ、お説のとおり、それじゃ不安定じゃないかという点は私どもごもっともと考えておりますが、その点私は、ことしの予算からは力足らずとおしかりを受けるかもしれませんが、維持管理費、いわゆる年間補助という形で管理経費をみてもらっておる。政府のほうとしては、確かに、そういうごもっともなあれがございまして、私ども一としては、今、来年の問題としまして、その辺十分そういう調整を考えて参りたい。なお、その場合に、当然管理主体をどうするかということをあわせて検討していきたいというふうに考えております。
#72
○阿具根登君 率直にお答え願っておりますので、私もこれ以上追及はいたしませんし、十分気づいておられるので、これ以上言う必要はございませんけれども、私が心配しておりますようなことが起こらぬように、次年度は特に注意して、基金を設置するなり管理者をきめるなり、はっきりした制度を作っていただきたい、かように思います。
 それから、これもよく議論されたところだと思いますけれども、飲料水の供給についてはどういうようにお考えになっておりますか。あるいはひょっとするともう一段飛躍した考え方になって参りますが、もう閉山になった山は買い上げた。そうして山は買い上げたけれども、人は残った。人が残る以上は家は残る。家は残ったが、水道料金は払ってくれない、電気料金は払ってくれない、電気屋が来て電気は切った、水道はとまった、こういう実例がありますので、一体こういう点についてはどういうお考えをお持ちになっておるか、お伺いいたします。
#73
○政府委員(中野正一君) 炭鉱がやまった場合の水道、飲料水の問題でございますが、これは相当最近深刻な問題になりつつありまして、現在は坑外水道あるいは専用水道ともに、直接は厚生省の所管になるわけでありますが、国の補助が四分の一ということになっておりまして、その国が、たとえば市町村に移管されたような場合に、非常に困った事態が起こるというようなことで、これは衆議院でも相当論議がございまして、附帯決議もついたのでありますが、この点については、国の予算措置をもう少し充実させるように、厚生省のほうとも十分相談して参りたい、こういうように考えております。それから、炭住に残った人に対する対策で、これもまことにお気の毒な状態になっていくわけでありますが、まず第一には、やはりいわゆる離職者対策というか、再就職対策というものを十分講じて、これが生活の安定をはからせるということを第一にやらなければならぬことだと思います。ただ、しかし、炭住に残っておられて電気を切られたり、水道をとめられるというようなことにつきましては、非常にお気の毒でございますが、これはもちろんその炭鉱が有資力の場合で、余裕がありますれば、これはもうちょっとそんなひどいことをせずに、従来そこで働いておった人に対する対策でございますので、もう少し人情味のあるやり方をやるように、われわれとしては、これは行政指導できると思います。そうでない場合の中小の炭鉱なんかで、もうやめていって、どこへ行ったかわからぬというような場合に非常に困った事態がありますので、この点も、先般来、実情ももう少しよく調べまして、何かいいひとつ対策を考えなければいかんのじゃないかということで、これは関係省とよく相談して措置をとりたいと思っております。
#74
○阿具根登君 御承知のことばかりですが、この水道施設を市町村に引き継ぐ場合、福岡だけを考えてみましても二億の財源が要るわけですね。そうしますと、その二五%、四分の一を国で持ってもらったのでは、これは市町村がやっていけないわけなんです。だから、これは厚生省所管でも一ございましょうが、元締めは大蔵省ですから、ひとつ通産省、厚生省と十分話し合って
 いただいて、そうして、少なくとも三分の二くらいは国でみてもらうようにひとつ努力をしていただきたいと思います。
 それから、これだけの法律案を作られるということは、今度の終閉山が非常に大きな問題を市町村に残したので、その対策として、何とか鉱害だけでもというお考えがこの二つの法案に盛られておると思うのですが、水道だけに限らず、この鉱害賠償に関する地方公共団体の負担額というものは四〇%近くになると思うのですね、全般の。そうしますと、地方公共団体があまりいい顔をしない、財源が非常につらい、こういうことで非常な陳情もきておるようでございます。そういたしますと、やはり国の施策がこういう結果になってきておるのに、一応この犠牲者になった方が少しでも喜ばれるように、農地が二十五万円が三十五万円に上がったとか、あるいはこういうことをするのだということはわかりますが、一番助かったのは加害者ですね、結果から見れば加害者は助かった。被害者はまだ満足じゃないけれども、被害者のためにやったのだから、まあ早くやってくれというこれは陳情の声にもなっておる。ところが、加害者の最たるものといえばしかられるかもわかりませんが、そうでなくて、最高の責任は国にあるわけです。その国が半分にも満たぬものを補助して、そうしてその他は市町村の君たちがやれよというのはちょっとひど過ぎはせぬかと私は思うのです。もっと国が市町村の立場も考えてやらなければ、せっかく法律案を作っても、市町村がついていき切れない。たとえば失業対策でも同じことです。失業対策でもやったけれども、市町村がついていき切れない。国がもっと持ってくれれば市町村は喜んでついてきます。ところが、やるものすべてについて国が四分の一なり三分の一なり、あるいは四分の三も持つことがありますね、失業対策等では持つことがありますけれども、しかし、その残るものすら持てないように市町村の財政といりものは私は苦しいと思っておる。だから、せっかく法律案を作っても、実際軌道にはなかなか乗らないといううらみが非常にあると思いますので、その点もっと国が積極的に責任の責めを負うというところにひとつ努力をしてもらいたい、かように思います。総括いたしまして、大臣に、今まで私が質問いたしましたこの問題につきまして、大臣の御答弁をお願いいたしまして、ちょっと休憩にして下さい。
#75
○国務大臣(福田一君) 先般来、阿具根委員からの御質問並びにこれに対して政府委のほうからいろいろと御答弁を申し上げておったのでありますが、私の承っておるところでは、ごもっともな御質問が多かった。多くあったというと一そうじゃないのもあるかという言葉じりを云々されることはないと思いますが、ごもっともな御質問でございましたので、傾聴いたしておったわけであります。御質問の御趣旨が今後とも十分生きていきますように、私たちとしては、今後とも大いに努力をして参りたい、かように考える次第でございます。
#76
○委員長(堀末治君) 暫時休憩いたします。
   午後三時四十分休憩
   ――――・――――
   午前四時一分開会
#77
○委員長(堀末治君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
 他に御発言もなければ、これにて両案に対する質疑を終局することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより両案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#79
○阿具根登君 私は、日本社会党を代表いたしまして、二法案に対する賛成の討論をいたすものでございます。討論に先だちまして、附帯決議案を付して賛成したいと思います。まず、附帯決議案を朗読いたします。
   臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
  政府は、石炭鉱業合理化の進展に伴い、鉱害特に無資力鉱害の激増が懸念され、地域社会の不安が増大している現状にかんがみ、民生安定の見地から今後の鉱害処理対策の充実及び迅速化をはかるとともに、終閉山後のかんがい排水施設の維持管理並びに上水道の地元市町村への引継ぎについては市町村の過重負担とならないよう適切な措置を講ずるよう検討すべきである。
 以上でございます。
 なお、質問中に述べましたように、本法案が成立いたしましても、市町村に対する過重負担、あるいは被害者に対する適切な措置が欠かれるおそれは多分にございます。しかし、合理化によりまして多数の終閉山が予定されておる地元の方々は、本法案の成立を非常に望んでおられます。陳情その他では、一日も早く法律案を通してもらいたいという非常な強い陳情も出ておりますので、質疑もまだまだ残っておりますが、実情を勘案いたしまして、早急に決議すべきだと、こういうことで賛成をするわけでございまして、木附帯決議案が満場一致通過されましたならば、政府においても、十分その附帯決議案が生きるように、今後の措置を強く希望いたしまして賛成いたします。
#80
○剱木亨弘君 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま提案になりました阿具根君の附帯決議案に対しまして賛成をし、なお、議題となりました二法案に賛成をいたします。
#81
○二宮文造君 私は、公明会を代表いたしまして、ただいま阿具根委員から提案になりましたこの本法案に対する附帯決議案に賛成し、この二法案にも賛成いたします。
#82
○委員長(堀末治君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 石炭鉱害賠償担保等臨時措置法案全部を問題に供します。
 本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#84
○委員長(堀末治君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案全部を問、題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#85
○委員長(堀末治君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、討論中に述べられました阿具根君提出の臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を議題といたします。
 阿具根君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#86
○委員長(堀末治君) 全会一致でございます。よって、阿具根君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条によりまして、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例によって、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(堀末治君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 次に、ただいま決定しました附帯決議につきまして、福田通産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
#88
○国務大臣(福田一君) ただいま臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案に関して附帯決議がございましたが、鉱害処理につきましては、その解決にいろいろと困難な問題もございまして、政府としても、その対策に腐心するところでございますが、今後この附帯決議の趣旨を尊重して、鉱害処理対策の充実に努める所存でございます。
#89
○委員長(堀末治君) 本日はこれをもって散会いたします。
   午後四時七分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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