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1962/06/21 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 石炭対策特別委員会 第11号
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1962/06/21 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 石炭対策特別委員会 第11号

#1
第043回国会 石炭対策特別委員会 第11号
昭和三十八年六月二十一日(金曜日)
   午前十時三十一分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堀  末治君
   理事
           鹿島 俊雄君
           亀井  光君
           大矢  正君
           大竹平八郎君
   委員
           剱木 亨弘君
           高野 一夫君
           徳永 正利君
           二木 謙吾君
           松野 孝一君
           吉武 恵市君
           阿具根 登君
           阿部 竹松君
           小宮市太郎君
           小柳  勇君
           柳岡 秋夫君
           田畑 金光君
  国務大臣
   通商産業大臣  福田  一君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       上林 忠次君
   通商産業省石炭
   局長      中野 正一君
   通商産業省鉱山
   保安局長    八谷 芳裕君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   通商産業省石炭
   局計画課長   久良知章悟君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(堀末治君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○大竹平八郎君 私は不勉強で、あまり詳しいことはわからないんで、あるいはとんちんかんな質問をするかもしれませんが、ごく手短に二、三の点について伺いたいんですが、この法律は昭和三十六年の十二月から二年間、保安を確保することが困難な保安不良炭鉱を廃止させる予定であったはずでありますが、本法施行後すでに一年半近くを経過しておるわけでありますが、本法の有効期間を一年延長しようとしておるのがこのねらいなんですが、しからば、現在までの本法の実施状況でございますが、これを順次、三、四点について伺いたいのであります。
 まず第一に、廃止勧告をした炭鉱数というものは一体どのくらいあるんですか。
#4
○政府委員(八谷芳裕君) 昭和三十六年、三十七年、それから三十八年と、三十八年はわずかでございますが、現在三カ年間にわたりまして廃止の勧告をやったわけでございますが、昭和三十六年には十炭鉱でございまして、年生産額に引き直しまして二十万一千トンでございます。それから三十七年度が三十九炭鉱の、五十三万六千トンでございます。これを合計いたしまして四十九炭鉱の七十三万七千トンでございます。本年度に入りまして、この四月、五月のうちに廃止勧告をいたしましたのが四炭鉱の、十三万八千トンでございます。全部合計いたしまして、三十六年度から現在までの間に五十三炭鉱の、年産額に直しまして八十七万五千トン、廃止勧告をいたしました。
#5
○大竹平八郎君 決定はそういう数字ですが、なお、本年度勧告を予定しておる数字というものはあなたのほうで今おわかりになりますか。
#6
○政府委員(八谷芳裕君) 本年度は、私ども考えておりますのは、ただいま申し上げましたように、すでに十三万八千トンをやったわけでございますが、全体といたしまして三十万トンの廃止勧告を考えておるわけでございまして、あと約半数がまだ残っておるわけでございます。
#7
○大竹平八郎君 それはいつごろおやりになるつもりですか。
#8
○政府委員(八谷芳裕君) ただいま総合調査を実施いたしておりますが、これはまあ総合調査を実施いたしまして、この法律が求めておりますように、経理的な基礎、あるいは技術的な能力、これはまあ立地条件等がからみ合うわけでありますが、そういう状況を見まして廃止勧告に移りますけれども、それ以前の段階におきまして、まあこの法律自体としましては廃止の勧告というような形で持って参りますけれども、保安全体の考え方といたしましては、なるべく直させて仕事を続けさせていくということが基本でございますので、改善をいろいろ向こうとも相談をし、また、指導も与えまして、改善をさせていくという方向で強い指導をやって参るわけでございますが、そういう段階におきまして、どうしても経理的基礎もないというような認定がつきますれば、そのものは順次移っていく。大体の見通しといたしましては、十二月ぐらいまでには廃止勧告を終わらせたい。しかし、十二月と申しましても、相当数が上半期あたりに勧告という事実が現われてくるのじゃないかとも考えます。
#9
○大竹平八郎君 そうすると、今の御答弁の中の数字というものは、そのときに至って多少数字に狂いも出るということも一応頭に置いていいわけですね。
#10
○政府委員(八谷芳裕君) さようでございます。
#11
○大竹平八郎君 その次に、交付金の交付を申請した炭鉱はどのくらいありますか。これは交付したものは別に質問しますから。
#12
○政府委員(八谷芳裕君) 申請いたしましたのは四十八炭鉱でございます。
#13
○大竹平八郎君 それから、交付した炭鉱はどのくらいありますか。
#14
○政府委員(八谷芳裕君) 事務的に事業団に対してまず交付金を交付するわけでございますが、それは四十一炭鉱でございます。
#15
○大竹平八郎君 この金額について、全部でなくてもいいのですが、一番大きい金額と、それから一番小さい金額、大体でいいです。
#16
○政府委員(八谷芳裕君) それはちょっと炭鉱別の交付金は、手元に資料を持っておりませんから、正確なお答えできませんが、かように御理解願いたいと思います。採掘権では、年産トン当たり六百円、それから租鉱権は四百円でございます。それで、一番大きいのは、租鉱権は約六万トンというのが一番大きいわけでございまして、すると二千四百万円でございますか。それから、小さいのが百万円をちょっと欠けるような数字のものがございます。さような程度でございます。
#17
○大竹平八郎君 それで、両方を合計して四十一炭鉱について全額どのくらいになっているんですか。
#18
○政府委員(八谷芳裕君) ちょっと四十一炭鉱につきます合計はございませんが、昭和三十六年と三十七年のすでに四十九炭鉱につきまして勧告をいたしましたものの総合計は三億九千二百万でございます。このほかに、先ほど申し上げました四炭鉱が加わるわけでございまして、これは最近やりましたので、生産額等を決定いたしまして定めていく、かようになるわけです。
#19
○大竹平八郎君 その次に、保安不良のいわゆる要注意炭鉱ですね、これがこの法案に非常な重要な関係があるのですが、それは一体あなたのほうでお調べになって、今どのくらいあるのですか。
#20
○政府委員(八谷芳裕君) 三十六年と三十七年度に、ただいま申しましたように、約七十五万トン程度廃止勧告したわけでございますが、そういう状態を経まして、この三十八年度の当初に想定されますところは、年産額にいたしまして百二十五万トンと、かように推定しておるわけでございます。これは要注意炭鉱でございます。
#21
○大竹平八郎君 これはむろん全体ですね。
#22
○政府委員(八谷芳裕君) 全体でございます。
#23
○大竹平八郎君 今お話のとおり、保安不良の要注意炭鉱が百二十五万トン程度もあり、また、廃止勧告が七十何万というのですか、まあ七十万程度ある、こういうような相当多い数だと思うのですが、これだけの要注意炭鉱を解消させるために一年の期間延長のこの法案なんですが、こんなことで一体できるのですか。そのひとつ見通しを大臣からもしあれでしたら伺いたいのですが。
#24
○国務大臣(福田一君) いろいろ研究、検討した結果、大体できるものという想定のもとにこの法案は提出をいたしておるわけでございます。
#25
○政府委員(八谷芳裕君) これは事務的に詳細に申し上げないとおわかりにくいかと思いますけれども、まず、数字の面から申しまして百二十五万トン程度あるということを申し上げたわけでございますが、ただいま廃止勧告のこの保安臨時措置法のほかに、合理化法でいわゆる買い上げと申しておりますものが進行いたしておるわけでございます。それが本年度、来年度において、御承知のように、まあ進んで参るわけでごさいますが、私どもがこの百二十五万トンが一体どういうふうになっていくかということを一応想定いたしてみますと、約七十五万トン程度がこのうち廃山になっていくであろう、七十五万トン程度が廃山であろう。それから、十万トン程度はこの要注意炭鉱の中から改善されていくであろう。そうすると、最後に残るのは四十万トン程度が来年度に残っていくわけでございます。廃山されるものと考えられております七十五万トンにつきましては、廃止勧告が先ほど申し上げました三十万トンという数字でございます。それから、事業団にいわゆる買収というような、整理交付金の形で進んで参りますのが百二十五万トン中、四十万トンあるであろう。それから、非常に零細なのが年々自然消滅というような形で、事実上廃止されていっているのがあるわけでございますが、これは過去の例から申しまして約五万トン程度と、かように考えまして、そうすれば廃止勧告というような事務面からしますと、三十万トンを処理していけばいいのじゃないかというのが当初考えた数字でございます。それから、この三十万トンを本年度やりますが、これは来年度一年さらに延びますとこれは十分にやれるわけでございますが、そのほかに、この要注意炭鉱の四十万トンから、さらに来年度におきましてその約半数程度は廃止勧告に持っていきたい、かように考えておりまして、本年度の作業といたしましては問題でないわけでございますが、これは本年の十二月の二十四日までしか施行期間がございませんので、それ以後の措置につきましては、来年度の十二月二十四日まで一年間延長いたしますと施行ができまして、しかも、この事務ベースは廃止勧告ベースでございまして、廃止勧告さえしておけば、事後措置はずっと予算を繰り越して参りましての措置でございますので、十分にできる、このように考えておりきす。
#26
○大竹平八郎君 私は全くしろうとでわからないのですが、まあ石炭鉱業の問題というのは、これは日一日きびしさを加えていると思うのですね。そういう意味において、今後この保安不良な炭鉱がいよいよますます出てくる。そういう点から考えて、一年の延長だけではこれは絶対にできないと、こういう私見を持っているわけですが、そういうわけで合理化の問題が、あれはたしか四十二年までになっておると思うのですが、大臣に伺いたいのですが、この合理化の四十二年に合わせるように延長するというようなお考えは大臣にはないでしょうか。
#27
○国務大臣(福田一君) まあ御心配をいただいている点は非常にありがたいのでありますが、われわれといたしましては、一応これでできるのではないかという考え方で一年延長をお願いをいたしておるわけでございます。
#28
○大竹平八郎君 それから、この法律によって整理される炭鉱は、保安を確保することが困難な炭鉱が対象になっていることは言うまでもないのですが、したがって、この廃止勧告を受けた炭鉱は事業をやめることになることは当然考えられる。そこで、そこに働く労務者ですね、この人たちは失業状態に置かれる。しかし、この廃止勧告を受けてから交付金の交付を受けるまでに相当の期間を要するわけで、したがって、労務者の生活が困窮するばかりでなく、再就職運動にも非常な支障を来たすという問題があるわけで、これは衆議院でも、たしかこの期間を短縮するように附帯決議か何かやっているように思うのですが、こういう点について政府はこれをどういうふうに考えておられるか、その点を具体的にひとつ聞きたい。
#29
○政府委員(八谷芳裕君) ただいま、過去におきまして廃止勧告をやりまして、交付金が完全に離職者の手に渡り、鉱害者の手に渡り、さらに残額がございます場合には鉱業権者の手に渡るという、最終段階までに一年間ぐらいを要しているわけであります。この点が非常に努力不足の点で申しわけございませんが、これに対しましては、かねてからいろいろ研究をいたしておるわけでございますが、何と申しましても、ネックになる面が、大きく分けまして、一つは、この鉱業権を抹消する過程においての問題でございます。鉱業権を抹消いたしまして初めて交付金が渡っていくという段階のこの法律では経過をたどるようにやっているわけでございますが、鉱業権を抹消するということになりますと、差し押え、あるいは抵当権というようなものが設定されているわけでございます。少なくとも、この法律では差し押えは解除してもらわなければならない。ところが、合理化法のような場合には、まあ金額もありまして、債権債務に回します原資というものがございますが、この法律は、政府が廃止勧告をするというような形で、賃金債務にウエイトを置いた、賃金債務と鉱害債務の二つだけの債務に交付金は充当していく。しかし、四百円、六百円と、先ほど申しましたトン当たりの金額に計算されましたものから、賃金債務と鉱害債務の余剰金が出た場合に、初めて鉱業権者に、いわゆるこの法律で読んでおります廃止業者に渡される。こういうふうに非常に賃金債務、鉱害債務というだけに、まず百パーセントを必要な場合にはとっていくというような形になっておりますので、差し押えを解除してもらう原資というものが、廃止業者の立場からしますと非常にむずかしくなっておるわけでございまして、こういう点に非常に時間がかかっている。これは話し合いによりまして、また、現地の機関等によりまして、差し押えをした人等との話し合いを進めまして、一日も早く差し押えが解除されまして鉱業権の抹消に持っていく、こういう形を今後進めていかなければならないと思うわけでございます。これが問題の一つの解決方法でございます。
 その次に、事務面の簡素化、この面が一つ考えられるわけでございますが、これは非常にこまかくなって恐縮でございますけれども、生産額が過去三年間にどれだけ出ているかということで、年産額を三で割りましてやるわけでございますが、過去三年間の出炭量を――私どもがやっておりますのは零細炭鉱が非常に多いわけでございます。そうすると、過去三年間、いろいろな統計というようなものが政府にも出されていないところも見受けられますし、また、出されていても、これを確認するのに、あとで会計検査等を受けて確認しますときに、非常にいろいろ問題を後日に残してはいけないということで、出炭額の確定をやるわけでございますが、この面が非常に時間がかかってきておるわけでございます。少なくとも、こういう事務面におきまして時間を短縮をするということが非常に必要なことでございますので、ある場合には、ただいま対策として考えておりますのは、勧告前にこういう事務的な面を完了させておきたい、かように考えておるわけでございます。ただし、これは非常にむずかしい面がございまして、あまりいろいろ政府におきまして、まだ相手が廃止勧告を聞かないという炭鉱も出てくるかもしれませんし、また、労働組合との話し合いも済んでもいない段階になるわけでございまして、廃止勧告前でございますので、そういうときにいろいろ出炭量が幾らあったというこまかい事務的な調査というもの、事前調査をやると、非常に、労働者に対しまして、また、債権者に対しまして悪影響を及ぼすおそれもあるわけでございます。たとえば生産が、そういう事前行為によりましてスロー・ダウンされて参りますと、過去三カ月間の平均賃金に対して離職金が幾ら、あるいは失業保険が幾らというような、もとのベースになります賃金がややもすればスロー・ダウンされるということが過去においていろいろあったわけでございます、政府があまりにも廃止勧告というような形を如実に示しまして事務を進めますと。そういう点がいろいろ考えられますので、こういう点につきましては十分配慮しながらやらなければならない。しかし、いずれにいたしましても、相当数の炭鉱につきまして年生産量の認定を勧告前にやることができると、こういうふうな推測もいたしておりますので、ぜひこういう面で進めて参りたい。これが第二番目のネックとその解消の方針でございます。
 三番目は、鉱害の賠償計画でございまして、鉱害の賠償が幾らということが決定しないと、未払い賃金との振り合いが幾らになるという比率が出てこないわけでございまして、ところが、鉱害は、基本は被害者と加害者の間の協定になっておるわけでございます。原資とします交付金も必ずしも多いわけではない。一方におきましては、連年にわたる累積鉱害がある、この累積鉱害の算定をできるだけ早目にやっていかなければならぬ。ところが、これは鉱業権者が一生懸命にやってくれないことには、両者の話し合いで協定をしていくわけでございますので、非常に時間がかかっておる。そのために最終的な金額査定ができない、こういうことになっておるわけでございます。この鉱害の面につきましても、政府のほうにおきまして相当査定を加えていくというような――査定を加えるというのは少し行き過ぎでございますが、鉱害の賠償計画につきまして通産局の協力態勢を強化していく、こういう形でこの面は解決して参りたい、かように考えております。
#30
○大竹平八郎君 交付金がおくれるということは、これは査定の金額がかりに百であっても、これがずっと一年も一年半もかかるということになると百で使えない、そこに非常な問題が起こるわけなのです。そこで、私も端的に伺いたいのですが、交付金を決定するための出炭量を確定するためのいわゆる期間ですね、今お話しの中に大体一年ぐらい、実績はどうなのですか、早いのは。
#31
○政府委員(八谷芳裕君) この廃止勧告いたしまして、それを引き継ぎまして、石炭局のほうで生産額等を算定し、交付金を出すような事務面を分担いたしておりますので、石炭局の計画課長からお答えいたします。
#32
○説明員(久良知章悟君) 交付までの期間でございますが、先ほど保安局長から御説明申し上げましたように、廃止勧告をいたしまして、事業者のほうから交付申請をするまでの期間、これにはこの間に業者のほうから抵当権者なり、それから差し押えを受けております場合には、その相手方に対しまして交渉をいたす期間を大体六十日みておるわけでございます。それから、いよいよ話しがつきまして申請を出してくるわけでございますが、この申請をいたしましてから、さらに実際に鉱業権が消滅するまでの間に約一カ月を要しております。それから、交付の登録をいたしましてから、実際に交付金を出すというまでのいわゆる事務的な期間といたしましては、現在までのところ、約一カ月ちょっと要しておるわけでございます。これにつきましては、先ほどから保安局長から話がございましたように、私どものほうといたしましても、差しつかえのない範囲で、事前にある程度の作業をするということによりまして、できるだけこの期間を短縮することに努力していきたい、そういう考え方でございます。
#33
○大竹平八郎君 いま二点端的に伺いますが、これに関連しまして、鉱業権を抹消するための業者と抵当権者との間の話し合いですね、これがなかなか時間がかかるのですね、これなんか実例はどうですか。今までおやりになって、これも期間の問題なんです。
#34
○説明員(久良知章悟君) ただいま御説明申し上げましたように、現在までに五十三炭鉱の勧告をいたしております。この中で四十一炭鉱につきましては、これは最近勧告をいたしたものでございまして、まだ六十日の期間を過ぎておりませんので、これがどのくらいかかるかということにつきましては未定の点があるわけでございますが、ただいま昨年の九月に勧告をいたしました炭鉱で、まだ相手方との話が煮詰まっていないということのために交付の申請ができないというのが一つあるわけでございます。
#35
○大竹平八郎君 いま一点さらに関連質問。鉱害の賠償請求権の申し出のための公示期間と、それから鉱害物件の調査の期間ですね、今まであなた方がお取り扱いになった期間ですね、長いのはどのくらいであったか、短いのはどのくらいであったということがおわかりになったら……。
#36
○説明員(久良知章悟君) 法律できめられております公示期間は六十日でございます。これは六十日以内に鉱害の求償権を持っている人から申し出があるわけでございますが、このほうは期間がきまっておりまして、そう時間をこれ以上要するということはないわけでございますが、この申し出のありました方々と、限られた鉱害の賠償に充てられます金額をどういうふうに公平に分けていくかという計画を作る段階でむつかしい問題があるわけでございます。これにつきましては、先ほど保安局長からも御説明がございましたが、大部分この鉱害が起きて問題があるという山は九州の山でございます。九州の通産局に、旧閉山炭鉱の鉱害処理だけを専門にやる機構を臨時的に新設いたしました。ここで積極的に処理のあっせんをやっていこうというふうにいたしたわけでございますが、現在十一炭鉱がこの段階でとどまっておるわけでございます。その中で一番古いのは、昨年の二月に勧告をいたしました炭鉱が一炭鉱この段階でとどまっております。そのほかのものは大部分ちょうど昨年の五月ないし六月に勧告をした山でございますが、これが全部で十一炭鉱ほどこの段階でとどまっておるというのが今の実情であります。
#37
○大竹平八郎君 これで質問を終わりますけれども、これらの問題は、いずれもいろいろの方面に連関をいたしますので、できるだけ短縮をする方法について万全のひとつ策を特にお考えいただきまして、私の質問は終わります。
#38
○阿具根登君 二点だけ質問をいたします。一点は、あるいはそれは労働省だとおっしゃるかもしれませんが、三十六年から今日まで、ただいまのお話では五十三炭鉱、八十七万五千トンの山をつぶした。そうしますと、それによって出ました失業者はどのくらいであるか。また、失業者のその後の就業状態はどうなっておるか、その点をひとつ御説明していただきたい。
#39
○政府委員(八谷芳裕君) まず、失業者の総数でございますが、三十六年度、三十七年度は四十九炭鉱で三千三百五十六人でございます。その後の四炭鉱で三百八十二人でございますので、約三千七百三十名程度でございます。こういうふうになるかと存じます。廃止勧告を受けまして、整理交付金をもらうことにして、廃山をすることにした炭鉱のただいま申し上げました労働者の人々の就職状況でございますが、これは私ども労働省のほうに再三、いろいろ気にかかるものですから、調べておりますけれども、労働省の整理のほうも、全部の合理化法でやりますものと一緒にこれが行なわれておりまして、これだけまる得というような形での整理が十分ついていないように見受けられまして、それだけ抜粋いたしまして何割がどうだということは、どうもまだ私どもも聞き出しておりませんから、大体全部合理化法によりますものと保安臨時措置法によりますものとは同じやり方をとっておりますので、今までいろいろ労働省からも答えられておりますような姿で、合理化法と同じテンポで就職されていると、かように考えております。
#40
○阿具根登君 そうしますと、合理化法で整理された方々に対しては、会社も相当責任を持って就職に当たっておる。保安法でつぶされた山は、もう経営者がおらぬわけです。しかも、これは一応先ほどの説明でもわかりますように、多いところで六万トンくらいのところだと、そうすれば中小でも、小、零細のほうですね、特に小さいほうなんだ。そうしますと、国が世話をしてやる以外に、だれも世話をしてやるものはおらない、こういう一番困った状態があると思うのです。何かこれに対しては優先的な取り扱いをしなければ、私は、非常な困った状態ができておるんじゃないかと思うのですが、そういう点は合理化法と同じに見なければならぬという今の考え方ですか。それとも、何かこれに対して優先的に就職のあっせんをするとか、あるいはその他の方法を考えておられるか。
#41
○政府委員(八谷芳裕君) これは労働省ともよく話し合わなければならぬ問題でございますが、私ども先ほど申し上げましたように、一体、廃止勧告というのは相当に――相当と申しますか、まず法律上の形が、政府の能動的なやり方、向こうの申し込みによってやるということでないということが一つと、それから、さらに、ただいま阿具根先生から御指摘がありましたように、非常に中小のうちの零細に近いような炭鉱でございまして、こういう炭鉱につきましての失業問題につきましては、大手炭鉱なんかよりさらにいろいろ深刻な面が多分にあろうかと考えまして、まあどの程度先ほど申しますように、失業状態から就職化されておるかということを考えて、いろいろ労働省とも打ち合わせ、話し合いを進めて参りますけれども、どうも今の状態でははっきりしたところがつかめない。しかし、労働省とは今後も十分にこういう点につきまして、ただいま申しましたような二つの点において合理化法と相当違っておるという点をよく認識いたしまして、特にただいま私からどういう方法があるかということは申し上げかねますけれども、今後労働省と十分打ち合わせをして、ただいまの二点だけの面から見ますマイナス面と申しますか、そういう面につきましてカバーができるような方向で検討を進めて参りたいと思います。
#42
○阿具根登君 非常にまだ疑問がありますが、労働省に質問をすることにいたしまして、次に、災害防止法、労災法との関連はどう考えておられますか。
#43
○政府委員(八谷芳裕君) ただいま国会に提出されております労災防止の法律とこれとは、法律上直接的な関連はございませんが、私ども、労災防止法によりまして、あれが成立をいたしました暁には、鉱業――石炭も非鉄金属等のメタル・マインもすべて含みました鉱業というものを指定業種にしてもらって、そうしていわゆる業種別の災害の防止協会というものを設置させたい、かように考えておるわけでございます。そういたしますと、ただいまも申しましたように、要注意炭鉱の中で改善されておるものもあるわけでございますが、さらにこれを労災防止法によります団体から積極的に指導員を派遣させまして指導してもらう。やはり御承知のような地下資源の中で、非常に大きな動きとしましては合理化の方向に進んでおりますが、やり方によってはさらにやっていけるようなこういう零細炭鉱には零細炭鉱なりのよさのあるところもあるわけでございますので、技術的な指導を行ないますならば、だめだというものもまだ十分にやっていける炭鉱も出てくるかと思います。こういう面におきまして結びつけて参りたい、かように考えております。
#44
○阿具根登君 労災法で業種指定にも入っておらないという点が一点。ところが、災害の一番大きいのは炭鉱であるというのが一点。その証拠には、その比率も四十数パーセントの災害に対する比率を出しておりますね。そういたしますと、鉱山保安法があって、さらにそれに基づく石炭鉱山保安臨時措置法ができておって、しかも、これは目的が二つになっておって、保安を確保し、保安の整備をするのが第一点です。それでも保安に対して責任が持てない、見通しがないというのはどうする。こういう二点になっておるわけですね。こういう法律があるにもかかわらず、労災法というものが出てくる。労災法というのは、御承知のように、何も官庁も入っておらず、労働者も入っておらずに、経営者だけが悪く言えばお茶飲み話をするところです。それに一億数千万円の金を労災保険のほうから出してやる。そういうことをしなければならないほどこの法は不備であるのか。官庁が責任を持って、しかも、保安委員会その他を作って労使とも協議してやっておる。それが完全に実施されておらないうらみがありますが、それでできないのを、業者間がそういう金を使って保安をやらねばならんということは、法の不備であるか、あるいはあなた方が法を守っておらないか、それ以外にないと私は思うのです。こんな労災法なんか作って何になる。こんな労災法は要らない。業者間が保安の話し合いをするのは当然のことなんです、そんなことは。そうすると、何かこの法に不備があるのか、あるいは官庁でできないためにそういうことをするのか、そういう点をはっきり聞かしていただきたいと思うのです。
#45
○政府委員(八谷芳裕君) この保安法並びに保安関連法規には、相当他の保安、安全に関します法令よりも私どもといたしましては整備されているつもりです。さらにこれを抜本的に改正するために、目下、保安規則の改正委員会を開催して、できるだけ早く保安規則を改正して、さらに必要ならば保安規則の改正に伴いまして、当然、保安法の改正まで発展してくるかと思いますけれども、さような方向で進めたいということで、中央鉱山保安協議会で、過去においても再三、今後におきましても至急にこれを進めたいと思うわけでございますけれども、国が直接関与いたします法律面におきましてかような整備を十分にやったといたしましても、どうしてもいろいろな面につきまして、自主保安というものを強力に進めていかなければならない面がいろいろあろうかと思うわけでございます。この自主保安の推進という役割を、私どもとしましては、労災防止法に基づいてできます業種別の防止協会で進めたい。しかし、私どもの鉱山関係以外のものにつきましては、さらにあの中には保安法で申します保安規程みたいなものをあそこでやるというような面もあるかと思いますが、これは私どもとしては、一応条文は適用除外になっておりまして、その面まで保安法は進めているわけでございますので、これは問題ない。ただ、自主保安の確立ということが、一方におきましては非常に重要である。自主保安の確立というような観念的な言葉ではおわかりにくいかとも思いますので、それは何をやるかということでございますが、非常に考えておりますのは、保安管理者、係員、労働者にわたります鉱山に働く従業員の、いわゆる鉱山労働者の保安教育の面を進めて参りたいと思っているわけでございます。本年も特別予算をもらいまして、保安教育の面は進めておりますけれども、これは私どもはいわゆる強制教育と呼んでおりますが、今まで特別な措置によって係員の免状を一時的に与えている、こういうものにつきまして教育をやっていく、こういう強制教育的な面を、私ども国で直接やる保安教育の面を受け持ち、さらに、それ以外の労働者の面までいきます保安教育というようなものをこの防止協会で十分にその実をあげて参りたい、かように考えるわけでございまして、くだくだしく申し上げましたが、大きく分けますと、直接監督の面と自主保安の面とあるわけでありまして、この自主保安の面は、今でももちろん御指摘のとおりに、当然やらなければならない。また、やっている面もあるわけでございますが、やはい推進役を果たす保安センターというようなものを国が助力して作り上げていくということも強力に進める一策ではないか、かように考えているわけでございます。
#46
○阿具根登君 大臣に御質問いたしますが、労働災害法というものが社労委に今かかっているわけですね。これは建設業を初め、一般産業の労働災害を防止する法律案ですが、一般のそういう労働災害は労働省が所管をしておるのに、なぜ炭鉱の災害だけ通産省が保管しなければならないか、なぜこの保安を通産省がやらなければいかんか。ほかの問題は、全部この労働災害、労働保安というものは労働省が責任を持っておるわけです。石炭だけは、鉱山だけは通産省にこの保安の責任がある。なぜ石炭だけ通産省がやらなきゃいかんか。ほかの建設その他は、全部これは労働省が所管して労働者の生命を守っていく、こういうことになっておるわけです。どうして通産省が炭鉱の保安だけは持っておらなければならんかということなんです。
#47
○国務大臣(福田一君) 私もあまり専門家じゃありませんから、御質問にぴったり合うかどうかはわかりませんけれども、大体、石炭鉱業というものは、石炭を生産するという仕事が非常に保安と密接な関係がある。坑道を掘って、しかも、今までは爆薬などを使ってやっておるというようなことで、いろいろ保安自体と生産ということが密接な関連性がありますので、石炭だけは保安と結びつけて通産省のほうで所管するほうが、通産行政で考えていくほうがいいんじゃないかという考え方からこういうような法制になっておるのである、こう理解しておるわけであります。
#48
○阿具根登君 この問題は基本的な問題ですから、まあ大臣にここでぽこっと質問いたしますから、なかなかお答えも出にくいと思うのですけれども、炭鉱を保安上の問題でつぶして買い上げた。買い上げて、今度は、出た労働者は労働省が世話する、こういうことにこの法律でもなっておるわけですね。そうすると、保安の問題だけは生産と直結しておるか、生産と直結しておらない保安はないですよ。みんな生産と直結しておるのが保安なんです。建設業者でも何でも、一つの家を建てるのでも、これは生産なんです。それから出てくる災害は労働省が責任を持っておるわけです。だから、都合のいいときは労働省が失業者やなんかやりなさい、保安はこちらがやるというのはどうしても私は通じないのです、これは。だから、労働者の災害とか賃金とか待遇とか、そういう問題は、これは労働省の所管であって、生産や営利や、そういう問題は通産省の所管であるから、ここで切り離さなければならないのですけれども、これは業者の圧力でやられておるのです、実際のところは。これは生産か保安かという問題で、池田さんは車の両輪でありませんということを二回も答えておる。保安第一、人命は金で買えません。そうするならば、当然これは労働省がやるべきだ。それを石炭に限って保安は通産省が握っておられるということについては、ただいまの答弁ではまだ疑問がございまして、これは基本の問題ですから、また場所を変えて十分御意見をお伺いいたしますが、約束の時間がありますので、私の意見を申し述べておきたいと思います。十分考えておいていただきたいと思います。
#49
○阿部竹松君 二、三点お尋ねいたします。お尋ねする前に、今、大竹委員がお尋ねしておったのに関連して、法文に直接関係ありませんけれども、一カ月ほど前に山口県で大災害が起きた。それから、茨城県の重内炭鉱で四、五日前に災害が起きておる。その実態を、簡単でけっこうですから、お知らせ願います。
#50
○政府委員(八谷芳裕君) まず、当初の大浜炭鉱でございますが、これは御承知のとおりに、十五名の人がまだ海底に――海底と申しますか、その下に三、四紀層がございますが、それに埋まったまま、五月の七日の災害以来、ずっとこの救出にただいま努めておるところでございます。それで、災害の原因となりましたものは、ただいままでの認定では、炭層の上部に含水層を含んでおった。この含水層が、一番近いやつは約二十メーターと想定いたしますが、その含水層から水が出まして、さらに水と泥とが一緒に出てきて作業中にやられたと、そういう形になるわけでございますが、その問題につきましては、今後十分にその原因等を究明いたしまして、その対策を至急に打ち立てていくわけでございますが、まあ詳細につきましてはこの委員会等に御報告いたしましたので、その面を省略いたしまして、ただいまこの救出作業を継続しておる状況でございますが、これは当初埋まった坑道を取りあけまして進んで参っておったわけでございますが、労働者のほうにおきましても経営者のほうにおきましても、いろいろなその後小さな出水、あるいは土砂の流出というようなものがございまして、非常にまあ不安だったわけでございます。さような状態で、水門の手前から新たに坑道を取りあげることなく、岩盤坑道を掘さくすることに変更いたしまして、ただいま、きょう程度で約百十メーター程度進んでおるかと思いますけれども、四交代で坑道掘進させておるわけでございます。そういたしまして、十五名が、四人と九人と二人と、こういうふうに三分割されて罹災しておるわけでございまして、当初一番近い四名のところにこの岩盤坑道をつけようと、かように進めておったわけでございます。そして、四名をまず捜査いたしまして、それからさらに九名というふうに回っていくわけでございますが、この水没事故は海水との関係はないとただいま認定いたしておりますけれども、この水没事故後の状態は、まあ非常に復旧にむずかしい点がございまして、土砂、あるいは水によって一定のバランスがとれている。そこへこれを取りあげていって、再度災害を発生するということになりますと、いわゆる第二災害でございますか、こういうものの発生のおそれも非常にあるわけでございますので、この点に一番頭を悩ましておるところでございまして、また、岩盤坑道を掘進している間は問題はございませんが、さらにいわゆる先ほど申しました四名がおると推定される坑道に入る場合に、まあ今後あと約三十メーター程度でございますので、十日かそこいらかと思いますが、現在四メーター程度進んでおりますので、早ければ一週間、その入口において非常に先進ボーリング等によりまして慎重を期さないといけないのじゃないか、かように考えておりまして、そういう慎重を期しつつ十五名の取り出しにただいま努めておるところでございます。
 それから、もう一つは重内炭鉱でございますが、この重内炭鉱は、ただいままでの調査ではカンテラによります事故でございまして、六月の十二日でございますが、ガス爆発をいたしております。この状況につきましては、重内炭鉱は乙種炭鉱でございまして、いわゆる安全電燈を使用しなくても、カンテラでいいということで作業をさしておったわけでございまして、三名の掘進夫が死亡したわけでございます。この災害の発生の状況は、非常にこまかくなって図面がないとわかりにくいかと思いますけれども、、本層の沿層坑道から上層のほうに昇りを上げまして、そこでゲートをちょっととっておった個所で三名の掘進夫でガス爆発を起こしたわけでございます。このガスが、従来ほとんどなかったそういうガスがどうして出てきたかということが問題なわけでございます。いわゆる爆発と申しますか、ガス燃焼とも言える災害でございますが、これにつきましては、一つは、当時この日に非常に気圧が下がっていた。それから、この区域が一度比較的もめている地域で、その先に払をつけて進んでおって、退却するとき残炭を掘っておる。それから、肩のほうから掘ってきたために、そのガスが低気圧とともにこの肩部のほうに流れた、相当のガスが流れ込んできたのではないか、かように考えられておる災害でございます。
 簡単でございますが、以上でございます。
#51
○阿部竹松君 重内炭鉱は、局長さんの御答弁をいただいたとおりに、確かに乙種炭鉱で、カンテラで採掘をやっておるようですが、しかし、そういう爆発するということになっても、やはり乙種炭鉱でいくものかどうか。
 それから、もう一つ大浜炭鉱の件ですが、今御答弁をお伺いすると、これは近い将来に遺体が出るということですが、以前、小岩井さんが保安局長時代に、九州の筑豊で、豊州炭鉱というのがやはり水没しまして、六十数名遺体が上がらない。それから、また、その次に東長鶴炭鉱というのがございまして、これも遺体が上がらぬ。しかし、数回ここでお尋ねしたところが、いつも大丈夫ですという御答弁ですから、今回もそうだということは申し上げませんけれども、東長鶴炭鉱等には、当時の通産大臣は高碕達之助さんで、高碕さんは現地まで乗り込んで対策に当たられたわけです。高碕さんがやったから福田さんもどうですかという意味でなしに、次から次へとこういう災害が起き、保安当局は、これは大丈夫ですという答弁しかなかろうと思うのですが、最後に、だめでございましたというのが、今まで数回にわたる私どもがお伺いした答弁なんです。こういう点について通産大臣はどのような処置をおとりになるか、ひとつ確たる御答弁をいただいておきたいと思うのです。さいぜん阿具根同僚議員の質問に対しても、生産が伴うからというお話がございまして、阿具根同僚議員から発言があったので、その点は触れませんけれども、確かに阿具根委員の発言の中にございましたように、池田総理大臣が、総理大臣のお立場と、あるいは通産大臣のお立場と、数回予算委員会において、保安と生産とは全然別個でございます。生産を考えて保安があったとしたならば、それは直ちに災害が起きたら尊い人命が損傷されるから、それは当然そういうことは考えておりません。特に、なぜ保安法が通産省にあるのかという点については、鉱業法と密接な関係があるから通産省にあるのでございますという御答弁、あなたの御答弁と全然違う、同じ内閣で。ですから、そういう問題について次から次へと起きるわけですが、大丈夫だ大丈夫だという御答弁をいただいておるわけです。しかし、全然最後になったら大丈夫でないわけです。ここで水かけ論争をやろうとは思いませんけれども、それが今日までの実態ですよ。特にひとつ、これは例外かもしれませんけれども、こういう大災害の起きる山は、労働組合活動が活発でないわけです。したがって、労働組合活動が活発でないところは、あなたの配下である鉱山保安監督局長、地方の鉱山保安監督部、この部員が現地へ行っても、はなはだしいのは、暴力行為によって十分なる査察ができないというのが現状なんです。ですからこういう災害が起きるわけです。以後どうされるか、ひとつ確たる御心境をお示し願いたい。
#52
○国務大臣(福田一君) 実は、大浜炭鉱の事件が起きました直後におきましても、八谷局長から、すぐにいち早く私のところに報告がありまして、その後も新しい事態の進展に伴って、常に局長から私のところへは連絡がきております。私自体もこれは非常に遺憾なことであるので、ひとつ極力遺体を収容するような措置もとると同時に、復旧も急がなければいけないということを言うておるのでございまして、私としては、今申し上げたような気持でこの問題に対処しておるわけでございまして、これ以上に何と申し上げたらよろしいでしょうか、私としても言葉を知らないわけであります。
#53
○阿部竹松君 何と申しましょうかという御答弁ですと、それはそれでいいわけですが、その次に、同僚大竹委員のお尋ねは、最後はしり切れとんぼになったのですが、私どもは、この法案はないよりましだから賛成しますが、しかし、大臣がいつも御出席される商工委員会で、貿易の自由化に伴って、あらゆる産業が近代化しなければならぬ、合理化しなければならぬ、高度化しなければならぬということで、いつも論争するわけです。自民党さんが言うのは協業化で、社会党が言うのは共同化で、協業と共同は違うとか同じだとかいうことを常に論争しますが、しかし、皆で力をあわせてやらなければ対処できないということで、そのブロックを作るなり、共同化のほうへ整理統合して合理化なり高度化をやっているわけです。ところが、石炭産業だけは、これは逆なんです。逆ですよ。大臣御承知のとおり、今まで小さいものが集まって大きな力を出そうとしているのですが、石炭産業は、三井にしても三菱にしても、あるいは北海道炭礦汽船株式会社にしても、大手でやっていけませんということで、全部第二会社を作っているのです。この点は、大臣御承知のとおり、昨年の有沢広巳先生がやられた炭鉱調査団の結論によってもわかるんです。第二会社を作るという、これはけしからんということですが、それをどうするというまで答申案が出なかったわけです。ほかのものは、小さいものが力をあわせて、貿易の自由化なり、国内産業の中でひとつやっていこうではないかというのに、石炭産業はだんだん小さくしているのです。逆なんです。そうしますと、なぜ第二会社になるかということは、いろいろ理由がありましょうけれども、大体人員を整理するという問題もありましょう。しかし、賃金を下げるという問題もありましょう。それから、もう一つは、やはり保安に十分な処置を講じないわけです。第二会社になるわけですから、あらゆる面で企業整備をやるわけですから、保安にどんどん金をかけようという会社は、大臣御承知でしょうが、一つもない。そうすると、だんだんこの種の問題がふえて参ります。ですから、私は、これは一カ年延びたことに賛成しますが、この一年延びるということでなしに、大臣はこれでやっていけると思いますと、こういう御答弁でした、大竹委員の御質問に。しかし、一カ年では僕はだめだと思うのですが、臨時措置法、これは時限立法ではない、臨時措置法ですが、これを保安法の中にお入れになったらどうです、次から次へと出てくるから。私は、こういう問題はふえても減ることがないという心配を持っているわけです。私が言うのが当たらなければ幸いです。しかし、残念ながら当たるでしょう。ますますふえるわけです。そうすると、これはもしできることであれば、まあ今回はもう会期もないことですからやむを得ないとして、本文の保安法のほうに入れるというようなことができるものかできないものか、大臣に承っておきたい。この保安法ですね、臨時措置法がなくなってしまって、こちらのほうの保安法を改正して、そうして保安法の中に入れて、永久にこれがどんどんふえるわけですから、保安法の中で取り締まるというようなことはできませんか。
#54
○国務大臣(福田一君) 保安法の中に入れるがいいかどうかということについては、今後研究してみたいと思います。
#55
○阿部竹松君 検討するということになると、それ以上聞かれない。その次にお尋ねすることは、これは臨時措置法によって監督当局が勧告をしたのがなかなか聞かぬという事業所、鉱山がたくさんあるというように私ども承っておるのですが、そういう事実はございませんか。
#56
○政府委員(八谷芳裕君) 過去におきまして三炭鉱あったわけでございます。正確に申しますと、先ほど五十二炭鉱勧告しました、これはあといろいろ交付金なんかの説明の都合上そう申し上げましたが、それ以外に三炭鉱勧告をいたしましたが、聞かない炭鉱がございます。この炭鉱につきましては、勧告後にどういうふうな改善をしていくか、こういうことを、それでは勧告を聞かないとするならば、私どもとしては、経理的に見ましても、あるいはまた、技術的に見ましても、きわめて困難である、かような認定のもとに勧告をしたわけでございますが、向こうのほうはいろいろ債権者ともさらに話し合いを進め、あるいは労働組合とも話を進めていくからということであったわけなのでして、それで、結局この三炭鉱につきましては、勧告が聞かれなくて事業が一応継続される、こういう姿になったわけでございますが、この三炭鉱におきましても、その結果はほとんど廃止状態になっているわけでございまして、これはいずれも九州の炭鉱でございます。一つの炭鉱は、三十七年の二月の初めに勧告いたしましたが、四月の上旬に巡回検査をいたしましたところ、保安不良の個所は完全に放棄されまして、これは生産的には大部分を占めておったわけでございますが、放棄されまして、それ以外のところで細々とやっていくという状況でございます。三十七年の七月、十月と、去年はさらに再度調査をいたしておりますが、今のところ、保安上問題がなく進んでおります。
 それから、もう一つの炭鉱は、これは勧告は聞かなかったが、結局休止されたわけでございます。
 それから、もう一つの炭鉱、第三番目の炭鉱でありますが、これは作業個所が、ほとんどその後に、結局いろいろ勧告を聞かないでやっていったが、水没のやむなきに至ったわけでございます。そうしまして、ただいま一部を排水して稼行中でございます。これは条件のいい部分だけに切りかえたようでございますが、こういうふうにしまして、この三炭鉱で勧告をした点は解消されておりますけれども、ほとんど作業がごくわずかしか行なわれていない、こういう状況になっておるのであります。
#57
○阿部竹松君 三十八年度分の労働省のこの種の買い上げ、あるいは整備、廃止によって炭鉱労働者が山をやめなければならぬ、離職者になるというもとになる数字とあなた方の数字と一致しておりますか。たとえばことしの見通しは、あなたのほうでは、この延長によって何千何百名整理される、労働省のほうではその対策を立てなければならぬ。これは石炭合理化事業団で買い上げられる山の労働者と同じように措置されるわけでしょう。その数字が同じですか。
#58
○政府委員(八谷芳裕君) これは廃止勧告によりますものも、合理化法によりますものと同じように、数字を含めて計算されております。
#59
○阿部竹松君 そうしますと何名ですか。
#60
○説明員(久良知章悟君) 三十八年度の実施計画、御承知だと思いますが、この中で三十八年度の閉山規模を一応五百五十三万トンというふうに審議会できめられたわけでございます。この五百五十三万トンの中で、ことし保安の臨時措置法によります措置で閉山されるものの予算は、先ほど保安局長から申し上げましたように、三十万トンでございます。実際の予算といたしましては二十九万三千トンに相当するものがこれに該当するであろうというふうに一応見込んでおるわけでございます。この二十九万三千トンの保安措置による閉山で、合計いたしまして千三十六名の離職者が発生するというふうに見込んでおるわけでございますが、これは三十八年度労働省のほうで離職者対策といたしましていろいろな対策を講ずるわけでございますが、この中に、昨年の暮れに、やはり保安の措置によりまして閉山をいたしました結果出る離職者とも合わせまして、本年度の数といたしましては千三十六名を上回る千三百八十四名、この数が離職者対策の中に入れてあるわけでございます。
#61
○阿部竹松君 そうしますと、さいぜんも申し上げましたとおり、今年中でも相当第二会社、第三会社、系列会社になる炭鉱がたくさんある。これは十分御承知だと思うわけですが、その数字が労働省とあなたのほうで明確に一致しておった場合に、それ以上の勧告しなければならぬ不良炭鉱が出てきても処置できないということになるのですね。
#62
○政府委員(八谷芳裕君) この問題は、交付金の問題と、それから、ただいま御指摘の離職者対策の問題であろうかと思います。これから、これは三十万トンという予算規模ではじきまして、ただいま久良知計画課長が説明しました数字になるわけでございますが、さらに廃止勧告すべきもの、来年度に持っていくよりも、さらに本年度に持っていくほうがベターである、早くやったほうがいいというようなことになりますと、まず、一つは予備金なり予算折衝ということになる。それから、雇用計画というものが、御指摘のように、この数字が狂ってくるということにもなるわけでございます。その二点について検討を要するものと考えております。
#63
○阿部竹松君 そうしますと、今、久良知さんのおっしゃった五百五十三万トン、これは労働省が含まれておるとおっしゃる。あなたのほうは労働省へどういう話をなさっておるかわからぬが、五百五十三万トン、これはなかなか引き受けることがすきないと私どもは聞いておる。そこで、今の御答弁とあわせてお尋ねしたいのは、北海道は、五百五十三万トンで、ワク外で十八万トン残っておる。ですから、この十八万トンはどこに目的があるか。あとで合理化法の審議のときにお尋ねいたしますが、十八万トンのワク外にあるから操作ができるかもしれない。しかし、ワクがないところは操作ができないから、そうすると、この法に基づいて買い上げる、廃止させる山を優先的に取り扱って、よそのほうに食い込むことができるかどうか、この点はいかがでしょう。
#64
○政府委員(八谷芳裕君) ただいまのところ、計画に立てております三十万トンというものを考えているわけでございまして、この状態では、食い込むとかいうことは、当初から合理化審議会でも審議されておる数字でございますので、問題は起きないと思いますが、さらにこれを規模をふやしていくと、年間三十万トンの廃止勧告を、今年度においてさらに十万トンか二十万トンふやしていくといったときに問題になるんじゃないかと考えておるわけであります。これはただいま御説明いたしましたように、まず、予算の問題、それから雇用計画、就職計画の問題等について検討が行なわれなければならない、かように考えておるわけでございます。
#65
○阿部竹松君 確かにこの法は山をつぶすのが目的でございませんので、保安のほうを改善させるのがまず大仕事ですからね。しかし、どうしてもさいぜんも申し上げましたとおり、勧告をきかないところがありますから、そうすると、あなたの局のほうでお考えになっておる数字よりずっと出てくる場合がある。しかし、こっちはワクがないからといって、そのまま放任しなければならぬようなことに相なる危険性があるわけですが、特にそれに関連してお尋ねしたいことは、この法の資金確保を当局がおやりになるような文章がありますね。これはおそらく炭鉱として、中小企業金融公庫とか開銀と別個にあなたのほうでおやりになるということだと思うのですが、この対策について今までどういう措置をとってこられましたか。
#66
○政府委員(八谷芳裕君) これは合理化事業団で出しております近代化資金二億六千万がこれに該当するものでございまして、これはこの十二月が日限だと思いますが、それまでにただいま審査しておりますものを含めますと、二億六千万が消化されていくと、かように考えられるのであります。それから、一方、中小企業金融公庫につきましては、十億のワクがございます。それから、これは一般産業にも十億あるわけでございますが、これにつきましては、ただいままでほとんどまあ若干数の借り入れはございますが、きわめて借り入れが推進されていない。近代化資金になります面は、ただいま申しますように、当初の二億六千万というものを進めてその目的を達したわけでございますが、中小企業金融公庫のやつは、設定はいたしましたけれども、きわめて少ない数字になっているのでございます。これはどこに問題があるかと申しますと、保安が非常に悪い、しかも、いろいろ保安法によりまして改善の指示なり命令なりを行ないましても、これをやる場合に、いわゆる担保能力と申しますか、そういうふうに、いわゆる返済能力がないために、結局借り入れの制度があっても借り入れができない、こういう状態、二つの問題から両すくみの状態にあるのじゃないかと思います。近代化資金のほうは、相当に中小炭鉱のほうでも比較的大きな炭鉱でございまして、これは十分にその目的を達しておるように考えておるわけでございます。したがいまして、この保安につきまして融資制度というものは、かりにそう効果がなかったといたしましても、やはり借り入れが行なわれて改善されておるということは、その面においては改善が行なわれて効果があったという結果になるわけでございますが、いろいろだだいまさらにこの制度を延長してもらうかどうか、単なる融資ベースだけではこの保安の問題が解決しないような面が多分にあるわけでございまして、特定基金の補助金と申しますか、そういうものとの結びつきを何か考えてみたらどうかと、こういう面について、来年度の新政策面もございますので、ただいまいろいろ検討しておるわけでございます。
#67
○阿部竹松君 これは前に小岩井局長さん当時お伺いしたのですが、地方の石炭局に、法に基づいて届け出して、石炭事業をやらないために、監督部のほうでは、それは法に基づいて登録して採掘事業をやっているのではないから、私のほうでは監督する資格も必要もございませんという御答弁をいただいた。確かに筑豊で、トラック一台持って、三十人ぐらいでとにかくやっているそういう業者があるかもしれません。そういうのが今もあるかどうかということをお尋ねします。
 それから、さいぜんお伺いしました乙種炭鉱、甲種炭鉱、これは鉱業法に基づいて、乙種炭鉱とは、甲種炭鉱とはと、ちゃんと区別しておるわけですから、これは乙種炭鉱、甲種炭鉱ということに規格的に当てはまっておると思うのです。ああいう爆発してもそのままでいいのかどうかということをお尋ねして、私の質問を打ち切ります。
 最後に、さいぜん大臣から、検討しておきますという御答弁がございました、この臨時措置法を本法に入れたらどうかという点を、これはひとつ本法とこれとは、臨時措置法ですから、だいぶ精神が違っておるわけですから、簡単に繰り入れることができるかどうかわかりませんけれども、くどいようですが、十分御検討していただくことをお願いして終わります。
#68
○政府委員(八谷芳裕君) その最初は車内炭鉱の甲種、乙種の問題でございますが、これはカンテラを入れるにしましても、停止させることによりまして、甲種または乙種のうちでも、監督部長が指定いたしますカンテラを使用してはならないという乙種というところに持っていくようにただいま準備を進めております。これは現地の監督部長からもこのような報告を受けておるわけであります。
 それから、もう一つの、当初お尋ねになりましたのは盗掘の問題かと思います。これは鉱業法七条違反でございまして、通産局におきましても十分監督もいたしておりますし、私ども保安監督の面につきましても、こういう現場に出かける回数が非常に多いわけでございまして、露頭等につきましての盗掘というようなことが起こらないように、十分に通産局とも連絡をして、監督官にも配慮させているわけでございます。直接監督といたしましては、鉱業法七条違反としまして、鉱業権のないものの作業でございますので、通産局でやっているわけでございますが、まあ過去の事例を見ましても、非常に悪の温床と申しますか、そういうものが悪の温床になる点もございますので、今後も十分にその面は監督して参りたいと、かように考える次第でございます。
#69
○田畑金光君 関連というようなことになりますが、一、二点だけお尋ねしますけれども、今、阿部委員の質問の中にありました第二会社、第三会社の問題ですが、調査団の答申の中にも、特に租鉱権会社を作るについては、非常に制約というか、必ず労働組合の同意を得てそういうような場合は作らなければならない、こういう強い制限の答申が出ておるわけですが、あの答申が出たあと、先ほどお話のような第二会社とか、あるいは系列会社とが、こういうものがどの程度設立されておるのか、できているのか、これはむしろ石炭局からお答え願ったほうがいいと思いますけれども、それをひとつ説明願いたいと思います。
#70
○説明員(久良知章悟君) 答申以後にできました第二会社として今はっきりいたしておりますのは、九州に一件だけでございますが、そのほかに、あるいは記憶漏れがあるかもしれませんが、稼働しておりますのは一件だけでございます。
#71
○田畑金光君 それはどういう会社ですか。
#72
○説明員(久良知章悟君) 九州の地方大手の山で、一石炭鉱のスクラップの予定のものが、現在第二会社として稼働いたしております。
#73
○田畑金光君 もう公にこれは発表になっておるわけですから、名前を言われたらどうですか。同時に、私のお尋ねしたいことは、それとともに、第二会社に移るような場合にはどういう経営形態になっておるのか。従来の多くの場合も、今日できておるのは、大手から出てくる第二会社という形になっておるようですが、どういう経営形態になっておるのか。鉱業権と租鉱権との関係、あるいは人事の配置と労働条件の内容と、どういう内容になっておるのか、これをひとつ説明願いたいと、こう思うのです。
#74
○説明員(久良知章悟君) 九州の貝島炭鉱株式会社の大之浦炭鉱の第六坑と申しておりましたものが、現在、満之浦炭鉱という独立の第二会社となって操業いたしておるわけでございます。鉱業権の関係、それから労働条件がその前後においてどういうふうに変わったかというふうな問題につきましては、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、また後ほど御説明申し上げたいと思います。
#75
○田畑金光君 それはどうなんですか、租鉱権の山として新しい第二会社ができたのか、経営されておるのか、その点はどうなんですか。
#76
○説明員(久良知章悟君) たしか租鉱権であったと記憶しております。
#77
○田畑金光君 まあ、かりに租鉱権の山が第二会社としてできたという場合、これは保安局長にお尋ねしますけれども、この保安臨時措置法に基づいて、この第四条というのを見ますと、「この法律の施行の際現に鉱業を行なっている採掘権者又は租鉱権者」と、こういうことになってきますね。そうしますと、今のような事例は、この法律の施行の際、現に租鉱権の山として存在していないわけです。したがって、この臨時措置法の適用外ということに当然なってきようと思うのですが、どういうことになりましょうか。
#78
○政府委員(八谷芳裕君) 先生の仰せのとおりでございます。適用外になるわけでございます。
#79
○田畑金光君 そういたしますと、先ほどの阿部委員の質問にも関連しますが、だんだんこの第二会社には、またそれがうまく経営ができれば問題ないのですけれども、多くそういう山の見通しとしては、将来が明かるいというよりも、むしろ暗い。場合によってはお先まっ暗というふうな最悪の事態に突入するかもしれません。そういうことになってきますと、やはりそういう場合にこそこの臨時措置法が非常に必要になってきやせぬかと、私はこう思うのです。ところが、この臨時措置法は二年という限時法であり、今度は一年延長されるが、それでも限時法としての建前からいって、また、皆さんは、この三年あれば十分だと、こういう前提に立ってこの法律を見ておられますが、今後そういう第二会社――租鉱権の山がふえてくると、やはり当然私はこの法律に該当する、あるいはこの法律で取り上げなければならぬ事例が出てきやせぬかと、こう思う。
 それから、もう一つ、やっぱりこの法律施行にあたって、不備なというか、問題点は、この法律の施行以降に、まあ合理化法等によって認可を受けて新しい山が発足した、新しい坑口ができてきたというような場合等も含めて、この法律には、そういう矛盾というか、問題が看過されておるように私は見受けるわけですが、この点はどのように見られますか。
#80
○政府委員(八谷芳裕君) この問題につきましては、ただいまの条文では、現に鉱業を行なっておるというものにしか適用しないということで、鉱業権が、租鉱権貸し、あるいは他に継承されていったら適用されないわけでございます。しかし、その一方におきまして、鉱業権が移転する際、あるいは租鉱権を設定する際には、たといその坑口を継続して使用するという形になりましても、坑道の使用許可ということを与えるわけでございまして、これは附則のほうをごらんになりますと、附則によりまして合理化法を改正しておるわけでございまして、その使用許可を与える際には、保安の廃止勧告にふさわしいような――ふさわしいと申すと語弊がございますが、そのように陥るような炭鉱につきましては許可をしないと、こういう建前で、この法律によりまする総合調査と称しておりますけれども、経理能力、技術能力、それから立地条件等をその段階において調査するわけでございます。これは新しい炭鉱の坑口開設許可を受ける際にも同じでございまして、そういう面で、再びこの法律によって廃止勧告を行なわなければならないような炭鉱がそういう形で移転し、あるいは再発生するということを防ぐやり方になっておりまして、したがいまして、残ります、現に行なっているものというものだけを対象にすれば足りると、こういう法律的な観点に立っているわけでございます。しかし、この一年間、いろいろ皆様からも御意見が出、御心配もいただいておりますような状態で続いていくということになって、私どもとしましては三年間で十分だというふうに考えておるわけでございますが、さらに今後いろいろな問題が検討されるという時期になりますと、かつて三年前、あるいは五年前にそういう許可をしたけれども、その後の情勢が、あまりにも立地条件的にも、あるいは経済状態でも、大きな変革を来たしているというような場合に、こういう問題については再検討を必要とすると思うわけでございますけれども、今の段階ではいろいろ検討をして参ったわけでございますけれども、この法律体系でさしつかえないんじゃないかというふうに考えるわけでございまして、さらに今後も検討を続けて参りたいと考えております。
#81
○田畑金光君 今の点は、あなたの答弁の中にもありましたように、今後やはりいろんな事情の変更というのも考えられることだから、十分それに応じて、この法運用について弾力的にできるようなことも私は考えておく必要がありはせぬかと、こう思うんです。
 それから、もう一点お伺いしたいことは、先ほどのやはり質問の中に出ましたが、要注意炭鉱百二十五万トンと、こういうお話ですが、これはいつ現在時点における調査の結果百二十五万トンという数字になっておるのか。これはいつを起点として言われておるわけですか。
#82
○政府委員(八谷芳裕君) これはいつを起点と申しますか、起点は、過去におきまして保安の監督をいろいろやってきたわけでございます。そうしまして、さらにこの臨時措置法が施行されまして以来、保安勧告のための総合調査というものも実施してきたわけでございまして、過去にいろいろ調査をしてきました炭鉱が今までたどってきた道、さらに、今後立地条件等から進んで参りますと、要注意炭鉱として考えていかなければならないような炭鉱に陥るであろうと、かように推定したものでございまして、これは本年度以降においてこれだけ残ってくると、かようにお考え願いたいと思うわけでございます。
#83
○田畑金光君 そうしますと、先ほどのお話によれば、百二十五万トンについては、従来の廃止勧告等の措置と、これから十万トン程度は改善を期待し、残余については二十万トンと言われましたか知らぬが、さらに廃止勧告でこの法律で買いつぶしていくということで処理できると、こういう見方なんですか。
#84
○政府委員(八谷芳裕君) この百二十五万トンのものにつきましては、廃山と、それから改善されるものと、それから、さらに来年度の当初におきまして、言葉をかえてみますと、本年年度末でさらに要注意炭鉱の状態で残っていくと、こう考えられますものに三分類されるわけでございまして、廃山関係が七十五万トン、これは三十万トンの保安勧告と、それから事業団にすでに申し込んで、いろいろ進捗されているもの等を勘案いたしまして七十五万トンと、こう推定しておるわけでございます。それから十万トンは改善される。そういたしますと、四十万トン程度が三十九年度に要注意炭鉱のままで残っていきはしないか、これは現段階においての要注意としては、比較的軽いものなわけでございまして、しかし、この要注意炭鉱も、立地条件その他から、技術的にも経済力からも判定しますと、来年度に繰り越されていくであろう、かように考えまして、この四十万トンの要注意炭鉱の来年度につきまして、さらに廃止勧告でどれだけと、こういうことを検討して参りたい、かように考えております。
#85
○田畑金光君 予算の面から見ますと、三十七年度に二億九千万が保安不良炭鉱閉山対策費として計上され、三十七年度補正予算で一億三千万、さらに三十八年度予算には二億一千万、こういう予算の計上がされております。今お話の四十万トンのうち、まあ三十九年度の予算措置で処理しなければならぬという見通しですね、それは予算の面から見た場合には、これはどういうことになるわけですか。どの程度三十九年度予算として予測されておるわけですか。
#86
○政府委員(八谷芳裕君) この四十万トンのうちの半分の二十万トンを現段階では考えておりますが、予算折衝期までにはまだ時日もございますので、その間にさらにこの推移を見きわめて確定して参りたい、かように考えておるわけであります。
#87
○田畑金光君 まあそのように、数字のように算術計算的に万事うまくいけば、これは問題ないと、こう思いますけれども、しかし、先ほど来いろいろ質問が出ましたように、そう一年の延長で、はたしてこの法の使命が達成できるかどうか、これは私も強く疑問に思っておるわけです。お話のように、事務ベースでは、勧告すれば年度を越して処理できるということになるかもしれませんけれども、それにもやっぱり限度があると、こう思うのです。ことに例の合理化措置法そのものが四十二年度を目途として、生産構造――石炭企業の大きな体質改善を進めていっているわけで、今後の石炭界の動きを見た場合、どうもやっぱり私は、この法律の一年の延長だけでしかく容易に済まし得るかどうか、少なくとも、やはり四十二年度を目途としたあの合理化措置と並行的にこの問題は見ていったほうがよろしいんじゃないかという工合に私は見ておりますけれども、この点について大臣はどのようにお考えになっておられるか、承りたいと思うのです。
#88
○国務大臣(福田一君) 先ほどもお答えいたしたところでございますが、今の御質問の趣旨も十分に体して研究をいたしてみたいと存じます。
#89
○田畑金光君 まあ大臣の答弁はそれでけっこうかもしれませんが、この法律の適用で、買い上げて整理をした場合に、債務の弁済ですね、これは賃金債務が優先するようですが、それから鉱害債務が次いで支払われるようですが、今まで実際に整理交付金を交付して、そしてこの債務の弁済が実行されたその場合ですよ、そういう場合、たとえば労働者の賃金も一〇〇%払えないような事例があるのかないのかですね、この点はどうですか。
#90
○政府委員(八谷芳裕君) これは五月までで十九鉱山に交付金を最終的に渡していったわけでございますが、そのうち、七炭鉱につきましては手取りが入っているわけでございまして、逆算いたしますと、鉱害債務と、それから賃金債務は一〇〇%支払っている、こういうことになるわけでございます。で、残りの十二炭鉱でございますが、これがいわゆる賃金債務、鉱害債務があって、鉱業権者に渡っていないというものでございますが、今までの状況からいたしますと、退職金までを含みます未払い賃金がカットされたというものは、ほとんどこの措置ではないんではないかと、かように考えられておるわけでございます。一番カットされておりますのは鉱害、これは未払い賃金に優先的に三〇%まず引かれて渡すというようやり方をとりますので、現在までにはほとんどないように記憶いたしております。
#91
○田畑金光君 賃金債務の支払いが全額できなかった事例はないと、こういうふうな説明ですが、そうですね。
#92
○政府委員(八谷芳裕君) ただいまちょっと資料を個別のやつを持っておりませんけれども、私もいろいろ心配してこういう点見ておるわけでございますが、未払い賃金が相当膨大になっている二、三の炭鉱はございます。しかし、ほとんど全体といたしましてはないんじゃないかと、かように考えられます。
#93
○田畑金光君 私の質問はこれで終わりますが、今の点は、ひとつ資料を出してくれませんか、今までのケースについてね。ひとつ要求いたします。
#94
○政府委員(八谷芳裕君) これはあとで資料といたしまして、私の思い違いもあるかと思いますが、確実な資料で提出したいと思います。
#95
○委員長(堀末治君) 他に御発言もなければ、これにて本案に対する質疑を終局することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これにて討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認めす。
 これより採決に入ります。石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#98
○委員長(堀末治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例によって、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後雰時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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