くにさくロゴ
1947/07/29 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会決算委員会連合審査会 第2号
姉妹サイト
 
1947/07/29 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会決算委員会連合審査会 第2号

#1
第001回国会 労働委員会決算委員会連合審査会 第2号
昭和二十二年七月二十九日(火曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
   勞働委員長 加藤 勘十君
   理事 辻井民之助君 理事 山下 榮二君
   理事 川崎 秀二君 理事 橘  直治君
   理事 原   侑君 理事 三浦寅之助君
   理事 相馬 助治君
      島上善五郎君    田中 稔男君
      館  俊三君    土井 直作君
      前田 種男君    山花 秀雄君
      小川 半次君    尾崎 末吉君
      寺本  齋君    松本 一郎君
      山下 春江君    伊藤 郷一君
      江崎 真澄君    倉石 忠雄君
      吉川 久衛君    河野 金昇君
      綱島 正興君
   決算委員長 竹山祐太郎君
   理事 島村 一郎君
      片島  港君    高津 正道君
      玉井 祐吉君    辻井民之助君
      戸叶 里子君    馬越  晃君
      大上  司君    中曽根康弘君
      長尾 達生君    西田 隆男君
      松本 一郎君    岩本 信行君
      冨田  照君    平井 義一君
      水田三喜男君    受田 新吉君
      齋藤  晃君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 米窪 滿亮君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 勞働者設置法案(内閣提出)(第一二號)
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 それでは前會に引續き會議を開きます。
 この際ちよつとお諮りいたします。それは先ほど理事會を開きました、理事會の申合せとしまして御承知のように本案の審査は決算委員會と連合審査ということになつておりますので、決算委員會の關與しまする範圍は、行政機構の問題に關する點でありまする關係上、この連合審査委員會におきましては、主として勞働省設置という、行政機構に關する範圍に限定をしまして、それから生れてくるいろいろな勞働問題の方面に關しましては、他の機會に勞働委員會だけの場合に審査していただくということで、連合審査委員會が經續されますることは、勞働省設置という點だけに限定したい、こういう申合せが行われました。これは決して皆さんの質疑なる御意見なりを制限する意味ではなくして、連合審査の性質に鑑みまして、ただいま申し上げましたような理事會の申合せを、ひとつ御諒承願いたいと思うのであります。そして時間も質疑、御意見の申出の方が相當ありますので、できるならば質疑、應答、意見を加えて、全體で一人一時間の限度で進めていただきたいということと、それから順序としましてはいろいろ方法がございましようが、やはり各黨の質疑者に普遍的に及ぶためには、從來の慣例によりまして多數黨順位、すなわち社會黨、民主黨、自由黨、これが繰返されて小會派に、こういう段取になつておりますから、この點もあらかじめ御了承おきを願いたいと存じます。
 それでは質疑者としまして山花秀雄君の發言を許します。
#3
○山花委員 勞働省の設置は急速にやつてもらいたいというのが、一般國民の要望であると私どもは信じております。早晩勞働省が設置されようとしておりますが、當然今度の勞働省の擔當責任者は、米窪國務大臣がなられるものであろうというふうに私どもはみているのでございます。そこで新しい勞働大臣に就任される豫定をもつていられる米窪國務大臣は、勞働省が行おうとしている根本目的は、勞働行政の圓滿なる運營によつてわが國産業の復興を急速にはかる、このことが當面の勞働者の重要なる責任と任務であるというふうに私どもは考えているのであります。そこで米窪國務大臣はいろいろ構想されていられようと思いますが、特に重要なる問題について二、三年若干の時間を拜借して質問いたしいたと思うものであります。第一番には、日本産業の復興再建ということは、いわずとも知れたことで、日本のインフレ經濟をいかにして抑え、そして經濟を安定させ、この經濟安定の基盤に立つて初めて、わが國の民主國家の再建という道に通ずるというふうに、私どもは考えているのであります。從つて、産業再建ということは國家の至上命令でもあり、國の運命を左右するものであるというふうに考えておりますが、産業再建は一に勞働階級の積極的なる産業再建に協力するということ、これがなくては本格的な産業再建はできないというふうに考えております。當然政府といたしましてもこれ勞働階級の積極的なる産業再建に對する意慾の向上のために、一般國民とは別個にいろいろなる對策を講じておられる。特に勞務加配は、あらゆる食糧その他の物資において、いろいろなる差別的な待遇をやつているわけでありますが、これは私は當然だというふうに考えております。最近の食糧事情を通じて、一般國民に食糧の制約を規正するような政府の政策が行われておりますが、これが勞働階級に對する勞務加配について、ずいぶん影響を及ぼしているのでございます。もちろん勞働者がその特權に甘んずるというような氣持は、今日の勞働者は毫ももつておりませんが、特に勞働者に特別加配を行うということは、一般國民より勞働者は體力的に多くの體力を要する、この體力を維持するという意味で、特別の食糧加配、あいるは日常物資の消耗率におきましても、勞働者は一般國民から比べると、多數の量を消耗するということが常識的に考えられますので、その意味でいろいろなる加配が行われているのでございますが、最近食糧の問題につきましては、勞働加配は一率にひとつ行つて貰いたいと私どもは考えておりますが、新聞紙上の傳えるところによりますと、特に鐵道と逓信局關係の從業員、のみに別個の米を前渡したというような政策が政府でとられておりますが、これに對して、所管せらるべき米窪大臣の見解は、妥當と認めるかどうかという、この意見をひとつ明確にしていただきたい。私どもはこの點につきましては、そういうように、なんだか差別されるような處置をとられますと、特に鐵道と逓信の從業員だけが、産業再建に非常に必要度の高い職業というふうには私どもは考えていないのであります。なほ一般の多くの勞働につきましても、むしろ鐵道や逓信より、より以上必要なる、日本の産業に貢獻する職業があるというふうに私どもは考えておりますが、特に逓信鐵道だけに、いわゆる食糧の面だけで差別的待遇をしたのはどういう考えを大臣はもつておられるのか、この點を一應前もつてお伺いいたしまして、さらにほかの點に質問を續けていきたいと思います。
#4
○米窪國務大臣 お答えします。勞働者に對するいわゆる勞務加配米については、すでに山花さん御承知の通り、從來は經濟安定本部でそのプランを立てまして、いわゆる基礎産業に對して、基礎産業の中でも、特に重要なるものに對してはこれを直配する。その他のものに對しては、重勞働に對しては各關係府縣廳を通じてこれを配給するという方針をとつている。最近全逓及び國鐵の一部の人たちに對して、從來遲配であつたものを埋めるという意味において特別の加配をしたことは、あくまでも一時的の處置でございまして、しかもそれは全部の全逓信及び國鐵の勞務者にやつたのでなくして、これは二つの面において制約がある。一つは深夜業及び重勞働をしておる部面に働いておる人、もう一つは、東京を標準として物價の指數等を比較したときに、非常に配給が悪い區、あるいは流通秩序が悪くて物價が非常に高いところの地方、たとえば京濱及び京阪神、あるいは九州、北海道、そういう地方で働いておる人、到底現在の給料ではどこの勞働者も食えないのですが、特にそういう點で非常に因つておる、また給料の少いところを補う、いわゆる配給面におれる裏づけが、非常に困難である地方の全逓及び國鐡の人達に對して、あのとき一時的のおさえとしてやつたということで、決してこれは標準にしない、こういうことで閣議が決定した、あくまでも臨時一時的な緊急な處置である。こういうように御承知願います。
#5
○山花委員 勞務加配につきましては、ただいま大臣御答辯によりますると、特に物價に高い面、またはその業種によつて深夜業なんかを行う面についてのみ特別の考處を拂う、こういうような御答辯でございましたが、それは單に全逓とか國鐡の從業員だけというふうには私どもは了解ができないのでございます。もし物價の特に異例なる高騰を示した土地というように局限せられますならば、その地域における全般の産業再建に挺身しておる勞働階級を同一に扱つていただきたい。そうでなくては勞働者の感情がびつこになり、一面には非常にその制度を喜んで協力する面がございましても、一面にはなんだか差別待遇を受けたいというような、豫期せざる感情が作業の上に手傳いまして、勞働意欲向上のための特別なる配給が、むしろ勞働意欲減退というような傾向を示さないかということを私どもは憂うるものであります。これは食糧の面だけでございますが、物資その他の配給、たとえば作業に必要なるいろいろな品物の配給につきましても、特に最近の傾向は、食糧問題解決のみに焦るという傾向が非常に強く見受れられるのであります。農家に對しましては、非常に豊富というふうには私どもは考えておりません。現在日本で配給さるべき特別物資の中でも、大半は農家の方へ送られるというような感じを今日の一般勞務者がもつておるのであります。この點につきまして、供出米報償用として農家に送られますところの作業に關係する物資と、生産意欲向上のために一般勞務者に配給される物資とのパーセンテージが、一體どんなふうになつておるか、勞働人口と農家人口とは、そう大して開きはないと思うのでありますが、この點につきましてもしおわかりでございましたならば、びとつ御答辯願いたいと思うものであります。
#6
○米窪國務大臣 勞働者と食糧との關係はまことにお説の通りで、最近に行われたあの時だけのあの非常の處置について、これと同じような勞働をしておる人、あるいは同じ地域におる人から、相當の不平の出ておることもまことにもつともだと考えております。ただ政府としては、山花さんすでに御承知の通り、食糧が非常に逼迫して、その絶對量が非常に限られておる今日においては、緊急やむを得ない處置として、乏しきをさらに割いてああいう處置に出たのでございまして、重要産業における重勞働、あるいは深夜業に從事しておる人々に對しては、從來とも勞務加配米ということで優先配給をしておることは、これまた御承知の通りと思うのであります。そこで勞働人口と全人口の割合、あるいは農村人口と勞働人口との割合というようなことについては、今ここではつきりとそのパーセンテージということについてお答えする資料がないのでありまして、これはごく近い他日の機會においてお答えできると考えております。ただいまの大臣の御答辯では、詳細な資料が手もとにないから、はつきりした點がわからぬといふような御答辯でございましたが、特に最近の勞働階級の問には、一つの怨嗟の聲として現われておりますのは、なんだか農家のみを優遇するというような一般的な氣持が、勞働階級に滲透しつつあるのであります。こういうような傾向は決して喜ぶべき傾向でなく、殊に産業再建が國家再建の至合命令という今日においては、むしろ憂慮すべき事柄ではなからうか、これは小さい問題でないというふうに私どもは考えております。そこで農家の食糧を要請するというふとも、非常に大きな問題でございますが、また勞働者を奮起きして日本の産業を再建せしめるということも――食糧問題も重要でございますが、この問題もまた非常に重要な問題でございまして、この問において差別のないように、非常に少い物資を配給せられる政府の苦心は、われわれもよくわかりますが、公平に、適當に、不合理のないような配給を確保していただいて、農家の供米の増進と、勞働者の生産意欲の増強に萬全の措置をとつていただきたいと思うものであります。
 昨日、三浦議員の方針から、失業問題についてのいろいろな質疑、またそれに對する大臣からの答辯を拜聽しました。私は失業問題について別にこみいつた質問をしようとは考えておりませんが、ただ一つだけ、失業保險は來年の四月から實施する、當面の應急措置として、失業手當は十月ごろからこれを實施したいという大臣の答辯でございましたが、失業手當の額について、大體政府しとては一定のわくをきめて、そうして豫想されるべき失業人口にそれを均等化し、半分化してお配りになるのかどうか。それとも失業者一人に對して、大體どの程度の額を支給するかということによつて總額をきめられるのかどうか、この點について質問したいのであります。失業者が大體どの程度出るかという點につきましては、明確なる御答辯がなかつたように考えるのでございます。從つて失業手當のわくをきめて、出るべき失業者に振り當てるというようなことになりますと、たとえば失業者がうんと出ますと、個人々々の手當を支給されるべき額が非常に少くなつてくると思うのでありまして、そういうふうな事態が生じますと結局、佛つくつて魂入れずの結果になりますので、大體失業者一人についてどの程度支給するかという方が、より一層この手當の制度としてははつきりするのではなかろうかと私どもは考えております。この點につきましては、わくをきめて失業人口總數をその中に繰りこんでしまうのかどうか。それとも失業者一人について大體どの程度の額を支給しようとするのかどうか、これについて御答辯を願いたいと思います。
#7
○加藤委員長 山花君、ちよつと申し上げますが、先ほど申し上げましたように、勞働問題一般についてはいずれ後に失業手當法なり失業保險法なりが出るわけなんです。そういうときに十分審議していただいて、今日は連合審査の趣旨に基いて、主として行政機構の點に關して審議を進めていく、こういうことになつておりますので、山花君の御質疑は、そういう點からちよつと離れているように思われますから、そういう點は他日勞働委員會だけでそういう問題を審議する場合に十分に質疑していただくということにして、今日は行政機構、勞働省設置という、主として機構上の問題についてだけ、できれば限定したいと思うのですが、その點一つお含みおきくださつて、今のあなたの御質問は次のときにもう一遍繰返していただくことにして、主として行政機構に關する點があつたら質問していただく、こういうことにしたいと思いますが、よろしうございますか。
#8
○山花委員 今失業問題についてちよつと質問いたしましたが、これに關係いたしまして次の質問をしたい。これはこれで打切りにしたいと思いますから、もしこれで御答辯が願えなければ、次のこれに關係した質問に移りたいと思います。
#9
○米窪國務大臣 失業者の大體の見込數というものは、昨日三浦さんの御質問に對してお答えしたのであります。どうもはなはだ言いにくいことですけれども、日本では正確な勞働統計がまだ確立されておらないのであります。歴代の内閣において、濳在失業者に對しての確實なる見込數が立たない。昨日申し上げた通り顯在を含めて約八百萬人が大體の推定でございます。それで大體政府としては、失業保險及び失業手當についてA案、B案、あるいは場合によつてはC案というような工合に、二種あるいは三種の見込數を立てておる。そこでかりに手當を支給する場合においても、一般のいわゆる日傭勞働者というところまで含めた場合においては、かりに千萬人の失業者がある、あるいはこれを除いた場合には五百萬人くらいの失業者と推定する方がよくはないか、こういう工合に二つあるいは三つの案を立てておるのでありまして、その見込數のうち、さらにいろいろの條件がついて、たとえば離職者の見込數であるとか、あるいは資格條件だとか、そういつた工合に一段、二段と段をつけてきますと、政府が失業保險なり失業手當を支給するものがぐつと減つてくる。すなわち失業者の見込數に對してたとえば一割――そういうふうに實際支給するいろいろの條件、待期であるとか、あるいは一年間に六箇月間雇傭したというような條件が要るとか、そういつた資格がどうしても必要である。これは各國の例をもつてみてもそういう資格をつけなければならぬ。こういうことからみますと、大體においてこれは目下關係筋と意見を交換しているので、推定したものではございません。この正確なことは、いずれ失業保險法及び失業手當法を、この勞働委員會で御審議を願う場合において、はつきりとお答えいたしますが、大體において見込數が今のところ二十五萬人程度か、あるいは五十萬人程度というA案、B案という兩案をもつております。これで第一の枠をきめる。その次には、これに對していろいろその人の今までの給料等を基準としまして、最近五百圓最高千三百圓の平均約千圓くらいまで失業手當をやりたい、大體こういうぐあいに考えております。こういう觀點から、目下大蔵省とこの豫算について交渉捗をしておるような現状にあるのであります。
#10
○山花委員 ただいまの失業手當の大體の金額は五百圓乃至千三百圓、それは當時の收入に應じてというふうに御答辯を願つたのであリまするが、そこで問題になりますのは、これは永久支給というわけには、國の經驗からいつてもまた今後の産業興隆からいつても、短期間でなるべく打切るような政策が望ましいと私どもは考えておる。そこで問題になりますのは、從來の産業のうちで、これから衰微する産業と、これから勃興する産業とがございますが、衰微する産業に從事していた勞働者が、勃興する産業に轉換するための職業補導、職業指導というような機關を設置して、これらの問題を解決せられるような機構を勞働省にもたせるかどうか。そしてその機構は大體どの程度の規模の機構であるかという點につきまして、ひとつ御答辯を願いたいと思います。
#11
○米窪國務大臣 お手もとにお配りした法案の中に職業安定局というものがありまして、その職業安定局の事業の一つとして職業補導所というものがあります。これは中央、地方を通じて約三百何箇所あるが、さらにわれわれとしてはこれを擴充して、そうしてここにおいて、山花さんの言葉を借りて言えば、衰減して行く職業から興隆していく職業に轉換する。さらに言いかえれば、消費的な産業から建設的、産業的な産業へこれを振り向ける。あるいは一つの企業で當然餘剩勞働力となるものを、勞務の配置轉換を行うという前提のもとに、他の職業へ轉換していくためのいわゆる基礎的訓練、そういうものを與えるそういう職業補導の任務はきわめて重大でありまして、政府といたしましては、現在職業補導所の機構をさらに擴充して、そしてこの産業の合理化といいますか、そういう見透しに對して備えたい。こういうぐあいに考えております。
#12
○山花委員 積極的に職業補導の機關をもつていただくことはわれわれとしても非常に賛成でございますが、從來の經驗から見ますと、なんだか失業者を乞食扱いにするという弊風が多々見られたのでございます。今度の失業者は國策の犠牲というような點で、十分考慮を拂つて、この職業補導機關に當面從事せられる人々の心構えというものを、はつきり所管の大臣から誤りのないように滲透していただきたいという希望を申し上げて置きたい。
 それから政府の先だつて發表されました經濟實相でありますが、あの白書によりますと、いろいろ産業上の復興の點につきまして、物價と勞働賃金の關係で非常に開きを生じておるのであります。これは世界各國の經濟再建のやり方を見ても、われわれはうなずけるのであります。この場合國の産業再建を双肩に擔つて立つ勞働階級は、言いかえれば、國家を再建する重責を擔つておる、こういうふうに日本の勞働階級は自覺し、また誇りをもつておる。言いかえれば、國の主人であるというような誇りをもつておる。國の主人公である限り、來るべきいろいろなる困苦あるいは耐乏、そういうようなことを國民の眞先に引受けて頑張ろうという氣持をもつておりますが、經濟白書によりますと、たとえば當面諸物價が眞先に上つてしまつて、賃金の方の解決はそれから時間的に非常に遲れを來す、勞働階級の方ではいろいろ相談をして、二千六百圓なければ生活できないという案を出して政府の方に要請したのでありますが、政府は一方的處置として千八百圓出すことにした。もちろんこの千八百圓ではある程度足らないことはわかるけれども、それは名目賃金というよりも實質賃金の方で解決していきたい、言いかえれば、生産されるべきあらゆる物資を集中的に公正なる配給ルートに乘せて、勞働者が配給で生活できるという面、これさえ確立すれば賃金が名目的に少くても、實質的には解決できるのではなかろうか、その間の時間的ずれがあるのでありますが、このずれの期間中は、今日の日本の勞働階級は全く無一文になつて、裸一貫でありますから、どうにもこのずれの期間中の解決を求めることは、自分の力ではできないのであります。これに對して、このずれの期間中の責任を政府でもつかどうか、または政府としては、ずれの期間中の賃金問題に對して、あらゆる資本家に對して善處せよというような、一つの政府の見解を發表されるかどうかという點について、特に勞働關係の責任をこれから擔つて立たれる米窪大臣の考えを發表していただきたいと思います。
#13
○米窪國務大臣 先般政府から發表されました標準賃金と新しく設定された公定價とのギヤツプ、さらに名目賃金と實質賃金との間に差があるが、この名目賃金と勞働者の家計との間におけるギヤツプをどうして收拾するかといことですが、これは山花さん、先ほどお尋ねの通り、政府としては一應いわゆる流通秩序の確保、そしてそれによつてすなわち、家計費の重要なる部分を占めておつたやみ買というものを少くして、健全なる家庭生活ができるように政府として施策したい、もちろんそれには時間的ずれがあるので、そのずれを政府が保障するかということでございますが、政府としても、今日の國家財政からみて、今直ちに保障しますということをここで確約できないのはまことに殘念であります。もちろん政府としても、今後においてあらゆる手を打つつもりでありますが、今日山花さんを御滿足させるような、具體的これに對する對策をまだとつておらない、こう申し上げたいのであります。
#14
○山花委員 この問題は、特に産業再建に勞働階級の協力を仰ごうということを政府が眞面目にお考えなれば、いかなる問題を後回しにしても、この問題だけは明確に政府の對策を發表していただきたいということを私は希望するものでございます。政府より準備不足その他によつて滿足のいく囘答を得られなかつたことを遺憾とするものでございますが、勞働省が設置されましたならば、この問題は第一番に取上げて、勞働大臣の重要なる使命としてやつていただかんことを私は希望いたしまして、なおいろいろ質問がございますが、先ほど委員會の申合せもございますので、残餘の問題は全部今後開かれますところの勞働委員會を通じて質問したいと思います。私の質問はこれで打切ります。
#15
○加藤委員長 松本一郎君。
#16
○松本(一)委員 私はある會社の十三萬人の從業員、すなわち勞働組合員の一人であります。私ども勞働組合員の者といたしまして、政府の勞働行政の施策に關しましては、重大な關心をもつものであります。政府が勞働者の地位の向上、生活の安定のために、種々施策をお講じ願つておりますことは、衷心から感謝いたすものでありますが、このたび設置いたされます勞働者についてでありますが、勞働者をわれわれ勞働者のために設置いたしてくださる御誠意に對しましては感謝いたします。しかしながら、これまでの日本の行政のいき方を見まするに、官聽が非常に殖えておる、從つて官吏が殖える、國民急擔は輕減でなく、ますます過重しておる。御承知の通り、國民百人のうち十六人の役人がある。昭和十二年の事變前十一人であつた當時ですら、英、米におきましては七、八人であつた。それがわが國においては、今日では五人も殖えておる。しかもこれからこの勢をもつていたしますならば、あるいは國民百人のうち二十人にも、三十人にもなるのではないか。現在でも八十四人の國民が働いて、十六人の役人を失禮ながら養つておるという現状でありますが、ともかく役人だけいたずらに殖えて能率の向上しないことを、私ども遺憾に思うのであります。この勢をもつてしまするならば、おそらくこれから先は役人かあるいは官吏が増すという傾向が現われてきて、結局これまでの武士階級が國民大衆を支配した弊害を、またぞろ實現するのではないか、かように心配するのであります。先般もこの議會におきまして、片山首相は封建制と官僚制を打破するのは、現内閣の重大な使命であると言われまして、私ども意を強うしたのであります。しかしながら今日行われておる行政のいき方を見ますると、この首相の方針とは正反對の結果を來しておるということを事質に見て、遺憾に思うものでありまして、なんとか國民の負擔を輕減する意味におきましても、能率を高めることに重點をおいて、役所を殖やすということは、なるべく考慮されなければならぬのではないか。たとえば勞働基準局のもとにおかれます監督所なども、昨日大臣は約五百箇所と言われましたが、三百二十六箇所の監督所が全國におかれるのであります。しかも各府縣には勞政があり、健康保險があり、衞生があるのであります。この上にまた監督所が設置いたされますと、一般國民は書類一つの手纜を履むにも、どちらの役所に行つていいのやら、事務はいたずらに煩瑣を招く。殊に現在府縣にある役人を、少々は監督所に配置替をいたすといたしましても、結局役人は全體を見れば殖えるのではいなか。かように考えますのと、また一面府縣の知事を公選いたしましても、その公選の趣旨を没却されて、むしろ日本の民主化に逆行する傾向を迫るのではないか、このことは前吉田内閣からの懸案であつて、現政府は踏襲されたものと思いまするが、もし前内閣の施策に悪いところがありますならば、現政府は大英斷をもつて、それをとりやめられるということができないのでありましようか。監督所のごときも、府縣に適當な連絡員を設置すれば事足りるのではないか。ことさらに新しく役所を府縣におこすと、府縣の間の摩擦なども想像いたされますので、こういうことはお考え直し願う餘地がないのかということをまず承りたい、かように考えるのであります。
 第二は、先ほどもちよつと質疑應答がありましたが、今日勤勞者が中心になつて、祖國の再建復興をはからなければなりません。その勤勞者が非常に熱意に欠けておるということは、私どもも事質當つておる者として遺憾に思つております。これは終戰以來思想がだんだん悪化してきて道義が頻發してきた。その原因は、衣食性の不足にある。しかしながら、いま一つの原因は、各職域の指導者が腐敗堕落しておるということであります。身をもつて實踐垂範すべき人が、配給物資を横取りしたり、あるいは先ほどもお話の出た勞務加配米なども、必ず末端までこれが正當に行きわたつておるかどうかということについて、政府はよく事實を認識されておるのかどうか。この點であります。運輸省あるいは通信省あたりは、官廰なるがゆえに、農林省から加配米を他の職域よりも多分に貰つておるという事實を私ども知つております。昨年は百六十萬石の加配米が、本年は三百萬石に増加されて、この端境期も重點的にそういう勞働方面に加配米が行きわたるということは、たいへん結構でありまするが、この加配米も均一化する。それといま一面は、末端までも正確に行きわたらすように、すなわち中間にある相當責任ある人々が、中間でこれを横取りはしないかということであります。このことはおそらく運輸省、あるいは通信省の實情をお調べ願つても、おわかりだと思いますが、中央から地方に派遣されてくる役人で、辯當を持つてくる人はおそらく少いのであります。それに見ならつてまた地方の役人は、その末端に調査出張をいたしますと、同様に辯當を持つていかなくて向うで食べる。その米はどこから出るか。すなわちこの勞務加配米などが相當食われておる。
この事實を私は指摘して政府當局の御反省を促したい。またこれからの御監督も願いたいと思いますが、事が公の問題になりますことは氣の毒でありますから、いずれかの機會に事實を指摘せよと仰せられますならば、私指摘させていただきますが、こういうことがすべて勤勞者の方の耳にはいる。働く勤勞大衆も近頃は中等教育、專門教育を受けておる者がたくさんあります。
農業學校、專門學校を出て鋤、鍬をとつておる者があります。
すなわち指導する官吏と指導される縣民との間に、學歴の上においても頭腦の上においても今日逕庭がないのである。しかるにかかわらず指導者は、自分が優越的地位にあるかのごとく考えて、こういう大衆を昔の氣持で指導せんとすることに、大きな誤りがあるのでありまして、こういう點をため直さなければ、多數の國民勤勞大衆をして、眞に祖國再建のために挺身さすことは、まずむづかしいと私は考えるのであります。
その次は、先ほどもお話がありました失業問題と人員の配置轉換のことであります。これは次の勞働委員會において私はお尋ねしようと思いましたが、先ほど議題として出ましたから伺いますけれども、おそらく祖國再建復興のために企業の整備をしなければならぬということも、ある程度はやむを得なかろうと思うのであります。しかしこれによつて、ことさらに失業者を多く出すということだけは、現在の日本の情勢におきましては、嚴に愼しまなければならぬのではないか。かように思うのであります。そうしてやむを得ず出るところの失業者は、職業補導所等の制度を設けて、人員の配置替をするという話でありましたが、かつて副業指導所とか、あるいは職業補導所というものは、しばしば設けられたる事實はありますが、その成果はあまり期待することができなかつたのであります。しかも今日におきましては、全國八十餘の都市は惨澹たる爆撃の被害を受け、四百萬戸あまりの住宅、工場は灰燼に歸しておる。この受入態勢のないときに、職業補導を姑息な手段でやつたとて、おそらく失業者をして職に就かしめることはまず困難ではないか、かように考えますときに、企業整備と人員の配置替ということについては、まず重大な考慮をこの際拂つて、媾和會議の成立、通商貿易が自由再開される頃、あるいはアメリカ等にお願いして、クレジツトを設定して海外から復興資材を仰いで、そうして日本の再建をここにボツボツでき上らした後、あるいは人員の配置替もよろしいでしようけれども、今日として、ことさらに機構いじりをし、企業再整備などをやつて、失業者を殖やすということは、むしろ時期をまつて行うべきものであつて、今日としては少し愚策ではないからと、かように私は考えます。今日におきましては、つとめて現状を保持し、なるべく失業者を出さないという方策を講ずること、強してそこに出る失業者につきましては、國が劃期的な事業をこの際起す。たとえば官有林を伐採し、これを輸送し、そうして戰災地の住宅、工場などを國家がどんどんと建設する。その資材をアメリカあたりから諭入によつてお願いをする。こういう方面に失業者の勞務を集團的に振り向ける。たとえば昭和七年農村不況のときには、農山漁村救濟土木事業を起しましたことは御承知の通りであります。あのときも橋梁道路等の修理は第二義的目的でありまして、第一は農民にわずかながらも賃銀收入を得さしめる、そうして農民の生活を救濟するということに重點がおかれたのであります。今日は企業整備によつて生ずるところの失業者は、こういう角度から眺めて、國家が當時の農村救濟土木事業を起した気持で、劃期的な事業をひとつ計畫して、それに失業者を吸收する。そうしてやむを得ずして生ずるところの失業者に對しましては、生活の安定を得さすだけの扶助をする。これは國において責任をもつて扶助をする、こういうふうに私は考えているのであります。すなわち人員の配置替、失業問題、職業補導ということにつきましては、先ほどの御答辯は、私は政府の所信が、はつきりと私どもの満足するように伺えなかつたことを遺憾に思いますので、この點お伺いをいたすのであります。先ほどお伺いしました三點につきまして、どうぞ確固たる御信念をお伺いいたします。失禮いたしました。
#17
○米窪國務大臣 お答えします。いわゆる官僚の民主化ということは片山内閣の重要政策の一つでありまして、これは單に官紀綱紀の肅正ということばかりでなく、能率を上げるということによつて、ゆくゆくは松本さん御指摘のような、國民百人のうち十六人までが官吏というような、そういつたたくさんな官吏を――――これは官吏ばかりということはいえませんが、いわゆる官の組織に對する行政整理ということは、これは必至な運命にあると私は考えます。そこで勞働省が新設されることは、その方針といささか矛盾するのではないかという意味のお尋ねであつたと思うのでありますが、勞働省を設置することは、昨日私が提案の趣旨を御説明したのによつて、大體御了解を得たと思うのでございますが、今日の日本のいわゆる經濟實情等から見て、どうしても經濟と勞働問題とを專管する省が必要であることは、松本さんといえども、これはお認めになることだと思う。それで、勞働省はこういう方針でいきたいと思つております。すなわち國民のサービス省になりねばいかぬ。それと同時に、能率を上げていきたい。現に英國では勞働省のことをミニストリ、・オブ・レーバー・アンド・ナシヨナル・サービスといつているのでありまして、勞働及び國家奉仕省とでもいう名前がついているわけでありまして、この點はわが國においても、やはり學ばねばならぬと考えるのであります。幸いにして、勞働省は五局のうち、三局は厚生省にあるものが移つてくるのでございますが、二局は新たにつくり局でございまして、私初代の勞働大臣としましては、サービスということと能率を上げるということ、この二點を特に中央において、その機構の上に反映したいと考えております。中央における問題としましては、松本さんが勞働基準局のことをお取り上げになつたのでございますが、これは勞働基準法というものを實施する上において劃一的になさなければならない。また勞働監督という仕事の恵からみまして、これはどうしても中央からダイレクトに命令を下すという必要があるのでございまして、今日のごとき地方機構となつたのでございます。これに對して公選された知事その他からして、いわゆる地方分權との關係で、今日いろいろの意見が出ているのは、これは實實でございます。しかし今後どういうぐあいに、地方分權との間にこれを解決していくかということは今後の問題でありますて、今日においては少くとも勞働基準法の關係においては、やはり現状においてやつていきたいと考えております。しかし、その他の地方における出店といいますか、勞働省關係の事業、たとえば職業紹介等のことについては、私は第一次的な事台については、從來のごとく地方官僚にお願いしていく。こういう點において、決して中央の政府機關の看板を地方に、どうしても競爭して上げていかなければならないというような考はもつておりません。この點は地方分權と必ずしも對立していく必要がないではないかと私は考えております。
 それから第二の點については、一例を勞務加配米の點におとりになつて、そういうことに關係のある官吏が相當いわゆる不正をやつているではないかと、こういうような點で大いに官紀の肅正が必要ではないかという御意見だつたと拜聽いたしたのでありますが、私としてそういう事實というものに對しての具體的なことを聞いておりませんが、もしそういうものがあるとすれば、それははなはだ怪しからぬことでありまして、この片山内閣も特にその點を重視しまして、最近いわゆる行政監査制度を設けまして、中央はもちろんのこと、地方においてもこの行政監査委員會というものを設けて、そういうことのないように嚴重に官吏を監督して、そういう者があつたときには、いろいろの法規に照らしまして、嚴重に處斷するつもりであります。また最近おそらく發布されると思う國家公務員法においても、この點は官吏の職務については嚴重なる規當を設けているのでございまして、松本さん御心配のような點はだんだんと是正されていくものだと考えております。
 最後の點については、私の御説明があるいは不十分であつたかもしれまんが、私としてはやはり失業對策としましては公共事業を起す、あるいはその他の土木事業を起す。一例をあげますと、電源の開發であるとか、諭出産業を振興するとか、こういう事業を起すことによつて、いわゆる失業者を出さずに、そういう方面に餘剰勞働力を轉換し得るのである。しかし、だからといつて、決して職業補導というものが必要でないとは、政府としては考えておりません。どうしてもやはり職業補導によつて、從來の職務から他の職に轉換するのに、これに對する訓練知識等を與える機關が必要だと考えております。こういうわけで、政府はいわゆる新らしい事業を起すことによつて、それに就職の機會を與えると同時に、さらいこれと相竝んで、いわゆる勞務の配置轉換ということも必要と考えております。はなはだ簡單でございますが、以上お答え申し上げます。
#18
○松本(一)委員 御答辯いただきました中に、地方に中央直轄の出先官廳を設けるということにつきましては、これは中央から命令的に、系統的に仕事がしやすいためであるというような御答辯であつて考えるのであります。かつ地方分權を阻害するものではないというふうの御答辯であつたと考えますが、私どもは日本民主化の大きな立場から考えますのと、いま一つには、官吏をこれ以上殖やしたくない、そうして事務を能率化す、さらに簡易化して一般國民に煩瑣な迷惑をかけないというような立場から考えまして、先ほどの基準局の監督所のごときは、前内閣の計畫したことであつて、民主内閣として私どもが尊敬しておつくり申し上げた現内閣は、おとりやめ願うものだ、かように私は確信して質問をいたしたのであります。しかるに先ほど大臣は、依然としてこの制度を設けるがごとき御答辯であつたことを遺憾に思うのであります。これ以上はいずれかの機會に私は質問することとして、きようはとりやめますが、何とぞ御考慮願いまして、もつともだとお考え願いましたならば、府縣にあります現在の機構を有効に利用になさり、中央から一、二名の係官を派遣して地方と連絡をとり、また中央のお考えはこれらの係官と連絡をし、府縣と府縣の連絡にあたらせてこと足るのしやないか、かように考えます。御考慮を煩わしたいのであります。質問を終ります。
#19
○加藤委員長 倉石さん、どうでしようか、短かければきよう繼續しますが、もし長ければあしたにしたら……。
#20
○倉石委員 長くなりますから、明日やらせてもらうことにします。
#21
○米窪國務大臣 ちよつとこの機會に、昨日の質問のお答えいたしておきたいと思います。昨日三浦さんの御質問に住宅のことがあつて、私は大體記憶で二十萬戸とお答えしたのですが、正確な數字がわかりましたから、この機會に御説明いたします。大體二十二年度の住宅計整は、全體で二十六萬戸でございます。そのうち炭鑛勞務者用としては新設が二萬五千戸、改造一萬五千戸、計四萬戸、庶民住宅としてそのほかに大體三萬二千戸、分讓住宅として四萬戸、これらを合わせまして十一萬二千戸、これが二十六萬戸の一部である。このうちの大部分が勞務者用の住宅になつておる。こういうぐあいに考えております。
#22
○加藤委員長 それでは今日はこれをもつて散會いたします。明日は十時から正確に始めますから、ぜひ時間を嚴守してお集りを願いたいと思います。
   午前十一時四十五分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト