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1962/06/06 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第5号
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1962/06/06 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第5号

#1
第043回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第5号
昭和三十八年六月六日(木曜日)
   午後一時二十七分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     青柳 秀夫君
   理事
           成瀬 幡治君
           中尾 辰義君
   委員
           石原幹市郎君
           後藤 義隆君
           郡  祐一君
           西郷吉之助君
           斎藤  昇君
           長谷川 仁君
           増原 恵吉君
           吉江 勝保君
           秋山 長造君
           小酒井義男君
           市川 房枝君
  国務大臣
   自 治 大 臣 篠田 弘作君
  政府委員
   警察庁刑事局長 宮地 直邦君
   法務省刑事局長 竹内 寿平君
   自治省選挙局長 松村 清之君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法改正に関する調査(昭和
 三十八年四月に行なわれた地方公共
 団体の議会の議員及び長の選挙の執
 行状況等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(青柳秀夫君) これより公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 公職選挙法改正に関する調査を議題といたします。昭和三十八年四月に行なわれました地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の執行状況等に関する件について調査を行ないます。
 まず、当局の説明を求めます。自治省選挙局長松村清之君。
#3
○政府委員(松村清之君) 去る四月に行なわれました統一地方選挙の概要について御説明申し上げます。
 お手元に厚いプリントと薄いプリントとお配り申してございますが、薄いほうの分を参照しながら簡単に御説明いたしたいと存じます。
 今度の統一地方選挙は、昨年一二月の臨時国会で成立いたしました選挙期日等の臨時特例法に基づく選挙でございまして、第五回目の統一選挙でございます。
 その選挙の執行件数につきましては、お手元の表の一ページの上欄にございますように、全国の都道府県議会議員、二十都道府県知事を含めまして、全国で三千二百十三件の件数でございました。これは、全部の地方選挙から申しまして、四六%に当たる件数でございます。その選ばれた人数も、下の欄にございますように、四万七千人に及んだのでございます。
 次に、今度の統一地方選挙は、昨年選挙の公明化をはかりますために大幅に改正をせられました選挙法に基づいて行なわれました初めての統一地方選挙であったのでございます。また、今度の統一地方選挙に際しましては、公明選挙への機運というものが全国的に盛り上がっておりまして、公明選挙の宣言を行ないました地方団体も、高知、岐阜、福島の三県を含めまして全国で百九十九地方団体が公明選挙の宣言をいたしております。また、宣言まで至らない、公明選挙の決議が議会で行なわれました地方団体もそのほかに多数に上っております。また、昨年十二月には、国でも、地方選挙としては例のない予備費の支出を選挙の公明化のために行なったのでございます。このような公明選挙への気運、各方面の公明選挙への努力にもかかわりませず、後ほど警察のほうからお述べになると思いますが、たくさんの違反事件が起きましたことは、まことに遺憾に存ずるところでございます。
 次に、ページの下の欄にございます競争率の問題でございますが、これは、この表でごらんのように、知事選挙につきましては、前回の三十四年に比べまして、競争率が少し高くなっておりますが、他の選挙はおしなべて若干下回っておるのでございます。
 この競争率に関連しまして、今度の選挙の一つの特徴は、無投票の当選が非常に多かったことでございます。二ページの上欄に数字が上がっておりますが、都道府県議会議員について九%、知事につきましては二十人のうち四人が、それから市長は二一%、町村長に至っては、四一%が無投票当選ということであったのでございます。
 次に、投票率の問題でございますが、二ページの下欄にありますが、これにつきましては、ごらんのように、特別市の選挙につきましては前回より少し上回っておりますが、その他につきましては、若干前回より下回っております。これは推測でございますけれども、無投票当選者が多かったように、一部では非常に激しかったかと思いますけれども、競争がそれほど激しくなかった所が多かったよではなかろうか。そういうことが投票率が下回ったということの一つの原因ではなかろうかと、こういうふうに考えられるのでございます。その他にも原因があるかと思いますが、そういうふうに考えられます。投票率につきまして今度の選挙で注目すべきことは、この表でごらんになればおわかりのことと存じますが、婦人の投票率が男子の投票をすべての選挙を通じて上回ったということでございます。都道府県議会議員と知事の選挙につきましては、今度初めてそういうことになったのでございます。その他の選挙につきましても、前回の婦人の投票率は上回っておりましたが、その傾向を今回は強めておるようにうかがわれます。これは、一つの今度の統一地方選挙の特徴であろうかと思います。
 それから、次の三ページの表でございますが、この表から、無所属の当選者ということが一応注目されるのでございますが、今度の選挙は、政党化ということが非常に議論されたわけでございます。何をもって政党化というかということについては、いろいろ見る基準がございましょうが、当選者の政党所属の状況ということもその一つではなかろうかと思います。その意味でこの無所属の状況をながめてみますといずれの選挙におきましても、前回に比べまして、無所属の全体を占めるパーセントというものが減っております。それは、とりもなおさず、いずれかの政党へ所属しておる当選がふえたということでございますが、しかし、無所属のパーセントが減ったと申しましても、これを詳細に見てみますると、知事選挙と一般の市、東京都の区の議会議員を除きましては、せいぜい一%ないし三%程度の減少でございます。そうしてみると、それほど無所属が減ったというわけにも参らないのではないかと思われます。また、無所属のパーセントを見ましても、都道府県議会議員と特別市の議会議員は、一〇%程度が無所属で、その他九〇%近い人がいずれかの政党に属しているわけでございますが、その他の当選者について見ますというと、半分以上が無所属である。特に町村に至っては、九五%以上の者が無所属当選である、こういう状況が現われています。これから見ましても、無所属から見た政党化ということにつきましては、さほど問題があるとも見えないように考えられるのでございます。
 それから次は、最後の四ページの「新人の状況」という表がございますが、選挙では現職者が非常に強い。特に今度の知事選挙におきましては、二十都道府県のうち十八人が現職として立候補したのでございますが、全部当選して、新しい人は知事としては二人であった、こういうことでございますが、これは、必ずしも現職者が当選の結果非常に出ておるというわけでもないのでございます。すでに事前に現職で退いた人等もありまして、選挙に出れば現職者というものは強いのでございますけれども、新人も現職者と交代を相当しておるのでございます。その表が四ページでございますが、都道府県議につきましては、これは新人と元とをひっくるめて、広い意味の新人として全体に占めるパーセントとして申し上げますと、三五%現職と入れかわっておるのでございます。それから、特別市の議会議員も三一%入れかわっておる。それから、一般の市議会議員、区議会議員を合わせたものを見ますと、四二%現職者と新しい人が入れかわっておる。それから、市長につきましては三九%入れかわっておる。それから、町村議会議員につきましては四八%、町村長については四四%、こういうふうに、相当新しい人と現職者というものの交代が見られるのでございます。
 以上、大体表について申し上げたのでございますが、最後に、選挙の管理、執行の面におきましては、昨年の選挙法の改正によりまして、若干改正の面もあったのでございますが、ほとんど全国的には、管理、執行に関する限りは、問題らしい問題というものは起きていないのでございます。特に新しい制度である市町村長あるいは知事について、記号式投票という制度が採用された所が相当多数に上っておるのでございますが、いずれも、新しい制度でありましたけれども、予期どおりの非常な成果をあげて、記号式投票というものへの自信というものを深めておるような状況でございます。
 大体以上が今回の統一地方選挙のあらましでございます。
#4
○委員長(青柳秀夫君) それでは次に、警察庁刑事局長宮地直邦君より説明を求めます。
#5
○政府委員(宮地直邦君) 昭和三十八年四月に行なわれました統一地方選挙違反の概況につきまして、お手元のほうに一枚の印刷物を差し上げておるわけであります。それについて概略申し上げますというと、五月二十日現在におきまして検挙いたしました件数は二万三千三百二十三件でございます。人員は四万四千八百三十八名でございます。これを前回の三十四年の地方選挙と比較いたしますということは、期日の関係、これが中間報告であります関係で、厳格な意味においてはできないのでございますが、大体見ましたところ、検挙件数におきまして約一・二倍、人員におきまして約一・二五倍に当たっておるのでございます。この検挙件数におきましては、総数のうちにおきまして、買収、利害誘導等が総検挙件数の八四%を占めております。人員におきまして、買収、利害誘導等は八八%でございまして、従来の選挙と現在の時点において比較いたしましたときに、比較的買収、利害誘導というものが多く検挙されておる。したがって、他の罪種につきましてはあまり変化がないというふうに現在考えておる次第でございます。
#6
○委員長(青柳秀夫君) 御質疑のある方は、順次御発言願います。
#7
○成瀬幡治君 今説明を承ったわけですが、記号式の採用等をやったと、そういうところには問題がなかった、相当数あったが問題がなかったと、こうおっしゃいましたが、もう少しその点について御説明願えますか。
#8
○政府委員(松村清之君) 私は、この管理、執行の面について全国的に問題らしい問題はなかったと、こういうことを申し上げましたのは、たとえば、前同等におきましては、投票用紙を選挙当日紛失して非常に困ったとか、あるいは選挙公報の配付を間違えたとか、そういう事件が三十四年のころには若干あったわけですが、そういう事件らしい事件が今回は、それは、小さいことを申し上げれば、ないこともありませんが、ほとんど問題らしい問題はなかったと、こういう意味で申し上げたのでございます。
#9
○成瀬幡治君 それから、選挙違反の件数等はわかりましたが、現在係争中になっておる件数ですね。たとえば、四年前に地方議会統一選挙が行なわれて、そうしてまだ結論が出ずに、係争中になっておる事件は、件数はどのくらいあるか、わかりませんか。
#10
○政府委員(宮地直邦君) 警察では、これはちょっと判明いたしかねるわけですが……。
#11
○委員長(青柳秀夫君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#12
○委員長(青柳秀夫君) 速記をつけて。
#13
○秋山長造君 さっきの成瀬さんの御質問の記号式投票ですが、これはどれくらい件数があったか、わかりますか。それから、ついでにお尋ねしますが、非常に好成績をおさめたというお話ですけれども、私らが聞いているところでは、それはよかったところもあるだろうが、同時に、やはり記号式の場合、印刷の順序なんかによってやはり非常に有利不利の差が出てくるのじゃないかというような批判も聞くのですがね。そういうことは別にないですか。
#14
○政府委員(松村清之君) 記号式投票を選挙前の予定数では百六十数団体やる予定になっておりましたが、先ほど申しましたように、無投票地区が相当出ておりますので、現実に幾らやったかということは今調査中でございます。しかし、予定は百六十数団体ございました。
 それから、今お話の順序というものが問題だということ、確かに日本の現状では、そういうこともあるいはあろうかと思いますけれども、まあ私は、それに関連して、そういう人は、普通の自書式投票でも、やはりいいかげんなという言葉は適当でありませんが、いいかげんな投票をする人じゃなかろうか、そういうふうに考えておりまして、そう大した差異というものは、確かに現状ではあると思いますが。それほど大勢から見て問題視するようなことはないのじゃなかろうか、こういうふうに考えてすります。
#15
○秋山長造君 候補者が非常に少ない場合、候補者が二人とか三人とかいうような場合には、それはおっしゃるとおりだと思うのです、おそらく。しかし、たとえば都知事選挙に十何人も出ると、同じような名前を計画的に出したりするような場合は、不用意に採用すると、またその面から非常な問題が起こってくるようなことも予想されるのですが、あなた方としては、記号式というものは今後大いに奨励されるのですか。それとも、ただそういう記号式もやれるという道を法律で開いておく程度で終わるのですか、どちらなんですか。
#16
○政府委員(松村清之君) この記号式につきましては、ずっと以前から、選挙関係者の間で、今のような自書式でございますと、開票の際に疑問票がたくさん出まして、非常に決定に手間取り、決定した後も争訟になる。そういうことで、外国のような記号式の採用ということを非常に熱望してきておったわけでございます。しかし、これをすべての選挙に実施するということにも問題があるというふうに考えましたので、第一回の選挙制度審議会でもいろいろ御調査、審議されて、まず候補者数の比較的少ない知事、市町村長、これに実施する。しかも、それは地方団体で、やってもやらなくてもいい、任意でやってみて、そうしてそういう制度に国民がだんだんなれていく。そういうことから、将来その他の選挙にもできるだけこれを及ぼしていきたい、こういうようなことで、昨年の選挙法の改正で道を開いたのでございます。
#17
○小酒井義男君 今の続きですが、候補者のポスターを張ったり、あるいは氏名を出す場合には、投票区によって違う場合がありますね。違いますね、順序は。この記号の場合には、知事の選挙をやるという場合ですね。これは全県的に同じような順序でやっておるわけですか。
#18
○政府委員(松村清之君) ちょっと今の御趣旨、よく理解できませんので、私の答えが間違っていたらあとで……。
 今のは記号式の場合におきましては、投票用紙の氏名の順序は、これはくじで……知事は岩手県だけでございましたが、市町村長も、すべてその選挙区全部同じでございます。
#19
○成瀬幡治君 法務省の刑事局長にちょっとお尋ねしたいのですけれども、四年前の地方統一選挙のとき違反がありましたけれども、現在系争中になっておる件数というのは、どういう分け方がいいのか、ちょっと私にもわかりませんけれども、警察のほうでは、五つほどに区分して報告を出しておるようですが、内訳がありましたら、それもついでにお答え願いたいと思います。
#20
○政府委員(竹内寿平君) 四年前の統一地方選挙につきましては、調べておる統計がございませんので、お答えができないわけでございますが、国会の選挙のほうは、すべて統計ができておりますのですが……。
#21
○成瀬幡治君 それじゃ国会のほうを……。
#22
○政府委員(竹内寿平君) 三十四年六月施行の参議院議員通常選挙におきましては、検察庁の処理は全部済んでおりますが、第一番の判決言い渡しになりましたものが約八三%の三千百六十四人でございます。それから、上訴中のものが百六十六人で、現在未済になっておりますのが六百六十七人で、全体の一七%のものが未済でございます。それから、昭和三十五年十一月施行の衆議院議員総選挙につきましてこれを見ますると、起訴しましたのが一万五千二百五十五人でございますが、そのうちで第一審の判決言い渡しのあったのが一万一千四十九人、これは七二%に当たります。それから、上訴中の者が八百七十三でございまして、現在未済となって残っておりますのが四千二百六人、全体の二八%に相当するものが未済でございます。
#23
○成瀬幡治君 実は、私がお尋ねする趣旨は、起訴されて系争中になって、そして裁判が長引くわけですが、今まで長引いたもので、レコードと言ってはちょっとおかしいですが、普通何年くらいかかって結論が出てくるのでしょうか。
#24
○政府委員(竹内寿平君) どうもはっきり申し上げかねるのでございますが、被告人が非常に多い事件になりますと、一審の裁判だけで二年くらいかかっているのが相当ある、その程度かかるのはどうも常態のように思われるのでございます。もちろん、被告人の数が少ないケースでございますと、一年未満で片づいておるのでございます。それから、控訴審、上告審と参りますわけですが、上告審で割合長くかかっております。上告審の処理が非常におくれておるように思うのでございますが、一審の判決だけを見ましても、二年ぐらいかかるのもあります。
#25
○成瀬幡治君 これは、私は今どうこう言うわけではございませんが、この国会中くらいの間に、もしできたら資料として、一体一審で何年ぐらいかかるか、長いのはどうなっているのか。それから、今の御説明を承りましても、未済になっておるのが大体四年たつわけですね。この間の参議院選挙から約四年近くなっているわけですが、それにしても、一審の結論が出ないのが一七%ある。それから、衆議院のほうでは二八%ある。三年くらいたっておるのに、まだこういう進捗率です。裁判は、選挙違反の問題については早くやるのだということを私たちもたびたび承っておるわけですが、こういうふうに結論が出ないということが、逆にいえば、選挙違反というものとやり得にしておるというふうな、悪循環の大きな原因じゃないかと思っているわけです。ですから、そうい立場に立って実はお聞きしているのですから、もしこの国会中にでもけっこうでございますから、まとまれば、そういう資料をひとつお出し願えれば非常にいいと思うのですが、そういうことはなかなかあなた方としてはとることは困難でしょうか。資料を集めることは困難でしょうか。
#26
○政府委員(竹内寿平君) ただいまお尋ねのような点は、私どもとしても資料を作らなければならぬと思っておるのでございますが、非常に統計をとっておきませんとできないわけでございますけれども、一審、二審、三審という裁判所側の統計でございますので、私どもの法務省側ではこれはとれませんので、私どもは、「司法統計」という裁判所で発行しております統計資料をもとにしているのでございます。ところが、「司法統計」では、従来からずっと統計のとり方がきまっておりまして、三カ月以内が何人、六カ月以内が何人、一年以内が何人、一年を超えるものが何人、こういうような統計の出し方でございます。そこで、具体的な事件で、どの事件はどういう状況かということは、私のほうの検察庁でわかるわけでございますが、全般的に長いものはどういうものがあるだろうかということを調べますのには、検察庁側で全部の事件に当たってみて調べるほかはないわけでございまして、これは非常に困難ではないかというふうに思うわけでございます。できるだけのことをして、わかることができるかどうか、研究さしていただきたいと思いますが、ただいまの御希望に十分沿えるような資料は、ちょっとむずかしいのではないかという予想がいたしております。
#27
○成瀬幡治君 選挙局長のほうはどうなっているんですか。こういうことについては、いろいろなデータをお集めになっていますか。
#28
○政府委員(松村清之君) これは、やはり私のほうも、裁判所あるいは法務省のほうからの資料をいただいているという状況になっております。
#29
○成瀬幡治君 いや、選挙局長、いただいているというのじゃなくて、裁判が非常に長引くということは、何としてもよくないことなんです。ですから、こういうふうに長くなっているから、これは困るとかいうようなことは、たとえば選挙制度審議会のときや何かでも、私は絶えず議論されていると思う。したがって、そういうような資料をお持ちになっていないか、こういうことなんです。
#30
○政府委員(松村清之君) 私のほうも持っておらないわけなんです。
#31
○成瀬幡治君 それじゃ今法務省の竹内さんからお話のあったような方法で、ひとつできるだけのことをしていただきたい。
 それから、続いてお尋ねしたいんですが、今承りましたように、所得倍増というが、選挙違反も倍増になってしまったんですが、お話を承れば、公明選挙等の予算として、前回と比べて画期的に使ったというような御説明の中で、私らからいえば、こういうふうに件数が多くなってしまったんですが、そのよってくるところは、競争率も案外少なくなっているのに、非常に悪質犯といわれるものがふえてしまったわけですが、そういうことに対して、どこからそういうことになっているのかというようなことについての原因と申しましようか、よってくるもとは何であろうかというようなことについて、大臣あるいは選挙局長等から、どういうことだと判断されているのか、あるいは検討をされているのか、承りたいと思います。
#32
○政府委員(松村清之君) 私は、まず選挙違反が、先ほどの説明では、倍増とおっしゃったかどうか知りませんが、ふえているとおっしゃいましたか、これは実は、最終的に締め切ってみなければ厳密な比較はできないと思うのであります。実は、まだ何回の、三十四年の締め切りの件数から比べれば、これは非常に下回っているわけでございまして、その辺は、締め切って初めて比較ができるわけでございまして、おそらく先ほどの説明では、大体同じ時期に比べてふえているというような意味ではなかろうかと思いますが、これも、検挙のスピードアップということであれば、同じ時期にふえているのが当然でございまして、これは必ずしも最終的にいってみなければ、その判断はつきかねると私は思いますが、しかし、このような状況で推移しますと、おそらく前回を上回るようにも推測されます。先ほど申しましたように、今度は、確かに公明選挙への国民の間の機運というものは、私は、従来に見られないほど盛り上がっておったことは、これは否定できないのじゃないかと思いますけれども、しかし、現実の選挙が一部地域では非常に苛烈であった。選挙となれば、どうしても勝たなければならない。こういうことで、やはり候補者の陣営において非常に無理ないろいろな選挙運動をおやりになったのではなかろうか。こういうことと、それからなお、現在地方では、飲み食いというようなことが平素の慣習として行なわれております。そういった飲み食いということが平素の生活環境で行なわれておるわけですが、それが選挙に際してもそういう慣習が持ち込まれておる、そういうことも私は非常な原因になっておるのじゃなかろうかというふうにも考えております。
#33
○国務大臣(篠田弘作君) 公明選挙の標語等を作り、またこれを非常にうたいまして、自治省当局といたしましても、各選管といたしましても、公明選挙のために努力をし、また識者の協力を得たわけでありますけれども、ただいま選挙局長が申しました、最後の締め切りを待たなければわからないということも事実でございますが、しかし、現在の段階におきまして、検挙の数が非常に多く、また、その内容というまのも従来と違った、従来想像のできなかったような、にせ証紙といったような悪質なものも出ております。この原因は一体何であるかということにつきましては、私も自治大臣として、自分自身でもいろいろ考えているし、研究もし、いろいろしてみておるのでありますが、今選挙局長がら申しました、検挙のスピード・アップというような問題も、それは一因であるということは、これは否定できないと思います。それからまた、暮れから正月に引き続いて行なわれた四月選挙ということも、もたどこまでが正月で、どこまでが選挙かというようなことによりましてう区別のできないというようなこともまた一つの原因であろうと思っております。しかし、候補者自身に関係なく、私は、運動員がそういう悪質違反を犯しているという事例を非常に多く見るのであります。私自身は、この前も、市川房枝先生の、さっぱり公明運動というものは役に立たぬじゃないかという御質問に対しまして、参議院予算委員会において、そういうことをわれわれは言うべきことではなくて、努力をしなければならないということを申し上げたのでありますが、しかし、最近私のいろいろ考えておることは、いわゆる候補者個人の言論というもの以外の、文書であるとか、はがきであるとか、演説会場の設置であるといったようなものが、個人の運動員やあるいは候補者の自由に放任されておる、候補者がやらなくてもいい分まで候補者の自由にされておるというところに私は原因があるのじゃないか。こういうような問題をおもに言論と文書が選挙の中心となるわけでありますが、言論は、かわりの者がやるというわけにはもちろんいかないわけでございます。本人が個人演説なり立会演説なりあるいは街頭演説をやるということが建前でございますが、その他の問題につきましてあまりに各自まちまちになっておることが、たとえばポスターの問題でも、ポスターの印刷から張り出しまで全部各自にまかしておるというようなことが、一枚でもよけい張りたい、あるいはまた、にせ証紙を作るとか、そういうような、はがきであれば、立候補するだけで、自分自身で当選する意思がないのに、それをもらって売るとか、そういう手に、制度上の問題として、やりたくてもやれないようにするということが私は必要じゃないか。それには、やはりそういったような面はでき得る限り公営をやるというふうな方向で研究していかなければならない。たとえば、泡沫候補というものが一体どうして出るかということを考えてみますと、やはり五万円か十万円かの供託金さえ出せば、あとはもらったはがきを売ってももうかるというようなところから出ているのじゃないか。そうすると、はがきを売ってもうからないようないわゆる供託制度を考えて、しかも、その供託金そのものを値上げすると同時に、公営の部分というものを非常にふやして、候補者には損害をかけない、しかし、泡沫候補には、そんなはがきを売ったくらいのことでは供託金は弁償ができないのだというような、そういう方法を考え出すことによってこの原因というものは減っていくのじゃないか、私、現在までのところ、そういうふうに考えております。
#34
○成瀬幡治君 大臣のお話を承っておりますと、ひとつ公営をうんと広げていったらどうだ、こういうようなお考えのように承るのですが、そういうようなお考えがあるとするならば、たとえば、選挙制度調査審議会と申しましょうか、そういうものに対して自治省のほうから積極的に働きかけられる、そういう御用意があるという決意なんですか。ただ単に考えておるというだけのお話なんでしょうか。
#35
○国務大臣(篠田弘作君) この選挙の公営をやります場合に、一番の障害は何であるかと申しますと、結局、選挙費用の問題でございます。これも、私まだ計算をしておりませんが、おそらく何百億、普通の衆議院、参議院の場合でも相当、数百億以上の金はかかるだろう、そういうふうに私考えるわけであります。この予算措置というものを一体どういうふうな形でするか。もちろん、今申しましたように、私の試案でございますが、法定選挙費用というものがあります。そうしますと、法定選挙費用までお使いになる。お使いにならない方もまれにはあると思います。しかし、大部分の人は法定選挙費用まで使っておるし、また中には、それをオーバーしている人もあるだろう、これは想像にかたくない。そこで、法定選挙費用の五割なら五割、六割なら六割は供託金に出す、そうして公営の費用をそれによって補う、そうして今のようなルーズな、ルーズなと言ってはたいへん失言でございますけれども、やり方ではなしに、もっと厳重な方法で、たとえば次点なら次点から、候補者の数によりますが、三番目までは選挙費用は没収しない。しかし、四番目になったら没収してしまうというような方法を考えますと、もう初めから四番目になっている人は、たとえば選挙費用が三百万円のところだったら百五十万くらい納めなくちゃならぬ、中には二百万円も納めなくちゃならぬ、そういうものが全部取られてしまうということになりますと、これは私は本人がしないのじゃないかということが一つ。あるいはまた、その費用を、これは全く私の考えでありますが、立候補と同時に政党に責任を持たせる、公認候補については、中立候補は別でありますが、各政党が届出と同時に、そういうものは個人ではなかなかすぐには出せないでありましようが、責任を持つということになれば、政党自身が泡沫候補を立てない、言いかえれば、派閥によって落選することがわかっている者を立てるということはなくなるのではなかろうか、こういう考えが一つあります。
 そこで、今いきなり選挙制度審議会にそれを――選挙制度審議会はまだいろいろな面において、定員であるとかアンバランスであるとか、地区の問題でやっておられますから、今突如として私がそれに諮問をするという段階ではございませんが、むしろ私は、政府の内部においてそういう詩想を実現するという自治大臣の考え並びに熱意があった場合に、政府においては予算措置をどういうふうに考えるかという問題を政府部内の問題として検討をしてみたい。政府部内におきまして一公営の費用というものが何ぼかかっても、民主主義基盤の確立のための選挙公明化の手段としての公営でありますから、やろうという熱意をまず持てば、私は選挙制度審議会にいつでも諮問をいたしまして、そういう方法をひとつ検討して参りたい。しかしながらまた、公営化というものは、あまりにも強くやり過ぎますと個人の人権を侵害する問題もあるいは出てくる場合もあるかもしれません。そういう問題も含めまして、選挙制度審議会に私は研究をしてもらいたい。すなわち、選挙制度審議会の議題として私のほうからお願いをしてみたい、まあそこまで考えております。
#36
○秋山長造君 松村局長のさっきの御答弁で、公明選挙運動は非常に盛り上がったという点を強調しておられるのですが、大臣のおっしゃるとおり私は無意味だとか、もうやめてしまえとかとかいうことを決して申しません。それはもう、公明選挙運動は根気強くやってもらわなけたばいかぬと思います。思いますが、ただ、今の実態から言うとこの公明選挙運動というその運動は盛り上がったかもしれぬ。だけれども、本来の目標である選挙運動そのものの公明化というものは、これとはまた別な方向へ行っておるわけですね。むしろ、今の検挙件数なんかに端的に現われておるところを見れば、まるで逆な方向へ行っておるわけですね。そこらに、公明選挙運動は公明選挙運動自体としては盛り上がっておるが、現実の選挙運動にどれだけそれが響いておるか、プラスの影響を与えておるかということになると、少なくともこの数字から端的に考えれば、やはりまた論者の言うように公明選挙運動は何ら意味がないじゃないか。何も植えかかってないじゃないかという言い方もむげに否定できぬ面もあると思うのです。実は、あなたも聞かれたと思うのですけれども、せんだっての選挙制度審議会でも、ある委員から、どうも選挙の実態を見ておると、選挙制度審議会なんかで選挙法がどうだこうだということを目くじら立てて議論するのはばかばかしい。無味じゃないかという感じさえするというような述懐があったでしょう。私らは無意味だとは思いません。私は無意味だと思わぬが、ただ、先般の地方選挙なんかの実態をはだ身で感ずるところと、それから今、局長が空前の盛り上がりを見せたと言って、大いに自画自賛しているところとは何か別なことを言い合っておるような気がして、ちっとも表裏一体になっておらぬような気がするのです。それは、やはりものさしではかったような説明はできぬけれども、少なくもわれわれがはだ身に感じた実感から言うと、選挙のたびに選挙が悪くなってきておる。その結果がやはり買収、供応が倍増したというところに現われてきておると思うのですがね。これはやはり大臣のおっしゃるように、公営が不徹底のための制度上の欠陥ということもあるでしょう。それからまた、候補者は善意でやっておるのに運動員が、候補者の親心子知らず、勝手なことをやって、こういうつまらぬ事件にひっかかっているという事例もある。ないとは言いません。言いませんけれども、やはり買収、供応なんかというような悪質犯になると、候補者あるいは候補者の取り巻き参謀連中という者のものの考え方、選挙の取り組み方というところからそもそも出発している面が大きいのじゃないかと思うのですがね。どうもこの公明選挙運動という名のつく運動は盛り上がっておるかもしれぬけれども、しかし、それが現実の選挙運動にどれだけ響いておるかということになると、結果的にはむしろ逆行しておるような面が、公明選挙運動は公明選挙運動で大いにおやりなさい、熱を入れておやりなさい、選挙は選挙だ、こういうことで、全く平行線でちっともこれは表裏一体になっておらぬという面があるのじゃないか。そういう面については、やはり公明選挙運動のやり方ならやり方というものについても、ではどういうようにしたらいいかというと、私もよくわからぬですけれども、まああなた方はその推進をやる責任者として、もう少し考える余地はないか。たとえば、公明選挙都市宣言をやった松山なんか、新聞に大きく出ておりましたが、まっ先に公明選挙運動をやった所で一番大きな選挙違反を出して新聞で騒がれるというようなことになっている皮肉な例が多々あると思うのですが、そこらはどういうようにお考えになっておりますか。
#37
○国務大臣(篠田弘作君) ただいま秋山さんがおっしゃったように、確かに選挙公明運動は、公明化の運動そのものは盛り上がりましたし、また空前といわれるほどの公明選挙の都市宣言といったようなものがありしたが、実際の選挙において、この公明化の盛り上がりを裏切るような事件が非常に多くて、表裏一体をなしておらない。このお説は、私は同感でございます。また、現実にこれを直視していくならば、だれもこれを否定することはできません。選挙局長の申しましたのは公明化運動のほうでございまして、選挙局長は大体選挙を執行する側に立っておるのであって、選挙の取り締まりであるとか、あるいは犯罪の統計であるとかいうようなことは、次の選挙の執行の準備として、もちろんそういう研究をしなければならないことでございますけれども、とりあえずの仕事というものは、選挙局長の仕事は、選挙の公明化であり、選挙の執行でございますから、自分のほうの田に水を引きましておそらくそういう発言があったものと私は考えます。それほどの認識の相違もあるわけではないと私は思います。そこで、それならば、一体予算を取って公明化運動を続けても、日本の選挙をこのままの状態に置いている限り公明運動というものは役に立たないんじゃないかという結論を出してしまえば、もうあとこれは絶望と言ってもいいぐらいになりまして、そういう結論を出すということは、少なくとも民主主義を守ろうとする、あるいは選挙の公明化を至上の命令としてやろうとするものの立場からはやはり出せないんじゃないか。まあ私は、たとえ今無人島に漂流しても、最後の生きる希望というものをやはり持って、その生きる方法を考え、あるいはまた、やがて来るであろうそういう救いの手というものに希望をかけるということが生きている人間の務めでありますから、私自身は、このうらはらなる公明運動とその選挙実態というものとを非常に残念にい、心痛思はいたしますけれども、そうかといって、ここでノー・ホープというような考え方は持っておりません。しかし、そうかといって、やはり国民の税金というものを使っての公明運動でございますから、効果のないものにいつまでもつぎ込むわけにもいかない。そこでお互いに、秋山さんが今、自分自身にもあまりいい考えが浮がばないとおっしゃいましたが、これは人間というものは同じでありまして、私らもちっともいい考えは浮かびません。そういうことでございますから、そこでお互いが、そんなにいい知恵はないけれども、集まって相談をすれば、三人寄れば文殊の知恵というものもあるわけでありまして、この間脳は別に政党政派の問題でもないし、ほんとうに日本の民主化の達成のための選挙の浄化でございますから、ひとつ政党政派を離れまして、お互いに知恵を持ち出して、何とかしてその原因を突きとめ、病根を正すという方向にひとつ持っていっていただきたいと思うのであります。私はたいていのことで今まで驚いたことはありませけれども今度の選挙違反は、全く私はがっかりしているんです。そういうことでございますから、ひとつ御協力を願いまして、ぜひその病根を突きとめ、また最善の活療方法を考えていきたい、こういうようにお願いをするわけであります。
#38
○小酒井義男君 大臣は、何とかいい方法はないだろうかという発言なんですが、最近私も、政府で配布している資料、「国際情勢資料」というのを読んでみまして、日本の選挙について、「エコノミスト」がよごれた選挙だという記事をこちらに転載しているのを見たのですが、日本の選挙というのは国際的に有名になったですね。こういう点から考えると、どんな運動をやっても、法律を作っても、守らなければいかんわけなんですから、選挙をやる候補者と同時に、政党が真剣になって、選挙の浄化、きれいな選挙をやるということを考えなければ、法律を作っても、それが破られて、次々に無視されたのじゃ問題にならぬですから、政党がもう少し、公認なり推薦をする候補者に対する責任を持つようなことを考えなければいかんのじゃないかと、これは、悪意で、相手方の候補者を落選させるというような目的で、候補者の意に反した行為がやられるようなことがあれば、これはまた問題でしようけれども、そうでない、党の公認候補者に党の役員が違反になるようなことを犯した場合には、これに、何か関連を持たせるようなことを考えなければ、これは好ましいことではないですが、現段階では、そういうことも必要じゃないかという気もするのですがね。
#39
○国務大臣(篠田弘作君) 「エコノミスト」が日本の選挙はけがれた選挙だと書いたということは、「エコノミスト」はイギリスの雑誌でございますから、当然、イギリスの現在の選挙の実態というものから見ていけば、そういうふうに考えたことはもっともであろうと、私もそう考えます。政党が候補者を出しておりまして、政党が選挙をやっておらないのが今の実態ではないか。候補者の推薦あるいは公認はするけれども、しかし、選挙そのものは個人がやっておる。政党からは、連絡係とか何とか、そういうものは出ておりますけれども、それも選挙事務所の中に入って、渾然一体とした、いわゆる参謀格でやる選挙じゃなくて、政党から出している連絡係は、選挙事務の外側にいて、むしろアウト・サイダーとしての連絡あるいは情報の収集というようなものをやっておるというのが現在の選挙の実態でございます。でありますから、将来は、やはり政党公認の者については、必ず政党の幹部が事務長を引き受けるというような原則でもできてくれば、これは重大な問題でございますから一また、政党の相当の幹部であれば、そういう軽率なこともないであろうと思いますから、そういう今のようなことは起こらないのじゃないか。いろいろ研究すべき問題はありますが、それを一切含めまして、ひとつ選挙浄化のために研究して、御意見を伺っていきたい。これは、このままにしておきますと、与党とか野党とか、自民党とか社会党とかいう問題じゃなくて、政党そのものに対する不信が起こって参ります。多かれ少なかれ、どちらの政党にも選挙違反というものは皆無ではございませんので、そういう問題が起こってくると私は考えますから、この際はどうしても、今申し上げたような、今おっしゃったようなことを含めまして研究したい、こう考えるわけであります。
#40
○秋山長造君 その点は、もう自民党とか社会党とかいうことじゃなしに、およそ政治に携わるものみんなが、これは気持を一にして、衆知を集めて考えなければならぬような点は、私らも全然同感なんです。同感だけれども、ただしかし、たまたま大きな問題、たとえばにせ証紙のこの間の問題のような中でも特筆すべき大きな問題が起こって、しかも、それが直接にか間接にか、自民党に関係があるということは、これはもう否定できないのですからね。だから、そういう場合には、もうあまり四の五の言うて、言を左右にしないで、率直に、それは悪かった、遺憾だったというくらいのことを国民の前に、政治家がやはりわびるべきことは率直にわびるというようなところを示すようなことをきっかけにしてやはり改めていかなければ、それをあなた、池田さんがおられぬから、言うてもしようがないけれども、頭から突っぱねて、何ら反省とか、国民に対してわびるとか何とかいう、そういう態度は全然見えない。ああいう態度は、やはり政党の指導者として、特にこの公明選挙を推進していく、選挙を浄化していくという立場から言うと、これは私はとるべき態度じゃないかというようにも思うのですけれどもね。
#41
○国務大臣(篠田弘作君) これは選挙でありますから、総裁としての立場であろうと思いますが、池田総裁自身も、そういう問題が起こっているということについては、非常に遺憾の意を表し、また将来に向って、いろいろこの問題については、研究もしなければならぬということは考えてもおりますし、また国会の速記録にも、まことに遺憾でありますというこを言っております。ただしかし、事件がまだ捜査中であり、そうしてまた、にせ証紙事件におきましても、逮捕されたものが十七名で、起訴されたものがまだ八名であります。したがいまして、にせ証紙事件も、まだ裁判所まで行っているわけではありませんし、起訴されたのも、また逮捕されたものが全部起訴されているわけではないわけであります。事件は言いかえれば捜査中、係属中の問題でありますから、池田総理大臣――政府のいわゆる総理としては、捜査中の問題について、すべて既成事実として謝罪するというようなことはやはり行き過ぎである、そういう意味におきまして一こういう事件が起こっているということについては、まことに遺憾であるけれども、事件は捜査中であるから、その結果を待ちたいということを言っているので、総理大臣としては、その態度のほうが正しい、そういうふうに私は解釈します。ただ、同じ遺憾であると言いましても、人によりましては、ほんとうに腹から遺憾だと言いましても、そう取られない人も中にはいるわけだ。私なんかも、どっちかといいますと、そういうふうでありまして、ほんとうに腹の中でもって申しわけないと思って、夜中に目をさましても、選挙違反の問題はどうすればいいかと考えるくらいでありますけれども、国会に参りますと、どうもそういうふうな腹の中はなかなか表現できない。そういうことから、池田総裁も、遺憾である遺憾であるということは言っているけれども、何か口先だけの遺憾ではないかというふうに解釈されているかもしれませんけれども、僕らが見たところでは、池田総裁もわれわれも大体同じような性格の人間でありますが、そこまでやはり頭を下げるということは、相当遺憾であると思っているからだ、こういうふうに考えます。
#42
○秋山長造君 いや、そういうふうに言われてしまうとどうも、それをまた反発するのもおとなげないようになってしまって何だけれども、実際笑い話じゃなしに、それだけ腹の中で遺憾に思っておられる、また、自治大臣にしても、夜も寝られんくらいその心を悩ましておられるなら、本会議の答弁なんかでも、私はもう少しやはりそれは大臣の性格も私はよく知ってるんですよ。またよく理解しているだから、必ずしも大臣の本心だとは、そのまま本心と逆なことが現われたとも思いませんそれはその場の行き違いということもありますけれどもね。ただ、たとえばこれは選挙局長にも、ちょっと法律解釈の問題として、参考に聞いておきたいのですがね。選挙ポスターの掲示責任者というものを書かなければならぬことになっておりますね。あの掲示責任者という意味は、私の解釈では、およそ公衆の面に掲示されたそのポスターについては、何の何がしが一切責任を負うという意味で、掲示責任者何の何がしという名前が入っておるのだろうと思う。その点は、あとから正確な解釈を教えていただきたい。そういうことになると、それは掲示責任者として名前を出す、その掲示責任者は一々自分でポスターを張ってないことはわかり切ったことです。これは、大ぜいの人が張るにきまっておるのだけれども、だからそんなことは知ったことじゃないと言われたのでは、掲示責任者を法律で規定した意味がない。だから、やはり自分が張ったのであろうと人が張ったのであろうと、いやしくも公衆の面前へ選挙ポスターとして張られて、その責任者として名前が書かれている以上は、およそそのポスターについて問題が起こった場合は、掲示責任者が一切責任を負うのだという意味で名前が出ていると思う。だから僕は、そのいう意味で、本会議でも自治大臣に、掲示責任者として大野伴睦という名前が出ておるのに、その大野さんについては何も問題がないというのは納得できぬじゃないかということを聞いたにすぎぬのです。それに対して篠田さんは、こんなものをにせと知って張るばかがおるかと言わぬばかりの答弁をなさったのですが、まあ腹は、今の御発言でよくわかりました。腹は、夜も寝られぬぐらいに心配しておられるということで、それは了承しますが、ただこれは、今後も問題になり得ることなんですよ。掲示責任者というものは一体どの程度の責任があるのかということなんです。それをひとつ正確な解釈を教えていただきたい。
#43
○政府委員(松村清之君) およそ犯罪には、故意過失ということを要件とするのが普通でございます。したがって、ポスターについていろいろ刑事上の責任を問う場合には、やはりそれについて故意過失のあったものが責任を問われることは当然でございます。選挙法で掲示責任者あるいは印刷者の氏名、住所を記載することになっておりますのは、たとえば違法なポスターが張られておる、その場合に、撤去させることを命じなければならぬ、こういうような場合の連絡先の必要から、そういうものを記載さしておるのでございまして、まあ刑法上の犯罪になるかどうかということは、それとは別個の行為について責任のあるものが罪に問われる、こういうふうに解するのは当然のことだろうと思います。
#44
○秋山長造君 それは、刑法上の問題が起こった場合に、必ずしも掲示責任者そのものずばりで罪に問われないという場合があることは、これはわかります。わかりますけれども、今選挙局長のおっしゃるように、あの掲示責任者というのは、ただ何かあったときに連絡先をはっきりしておいてもらわなければ困るからという程度の気休めのものですか、あれは。どうですか。
#45
○政府委員(松村清之君) 法律の趣旨は、あくまでもそのとおりでございます。
#46
○秋山長造君 では、あれは連絡先だけのことですか。その点をはっきりしておいて下さい。
#47
○政府委員(松村清之君) ざっくばらんに言えば、連絡先という言葉が妥当かどうか知りませんが、ともかくいろいろポスターについて注意をしたり警告をしたり、その他連絡のために、書くことを要請しておるわけであります。
#48
○秋山長造君 では、あってもなくてもいいようなものですね。何も個人でなくても、会社の名前でも政党の名前でも何でも、突貫的にはかまわぬわけですね。
#49
○国務大臣(篠田弘作君) それは、今秋山さんの言われたとおり、ここにありますけれども、法人でもいい。「第一項のポスターには、その表面に掲示責任者及び印刷者の氏名(法人にあっては名称)及び住所を記載しなければならない。」と、会社の名前でもいいし、政党の名前でもいいということになっております。
#50
○秋山長造君 それは何ですか。掲示責任者が会社の名前でもいいのですか。
#51
○政府委員(松村清之君) 法人でもいい。
#52
○秋山長造君 法人でいいというのは、印刷所のほうではないのですか。
#53
○国務大臣(篠田弘作君) 印刷者です。
#54
○政府委員(松村清之君) とにかく連絡先という意味でございます。
#55
○秋山長造君 厳密に解釈すればそういうことになるのならば、それでいいです。そのつもりでおりますけれども、ただしかし、それにしても、広い意味で、やはり掲示責任者何の何がしという以上は、連絡先であろうと何であろうが、とにかくそのポスターについて問題が起こった場合に、一番先に浮かび上がってくるのは掲示責任者の名前でしょう。それは間違いないと思う。掲示責任者の名前がなければ、にせ証紙を張っておるポスターを見つけたときに、それはだれが張ったかということを探すには、手間ひまがかかって仕方がない。やはりずばりでその掲示責任者に連絡して、掲示責任者に尋ね、そうしてそのことを調査するのが一番早い。そうですね。だから、そのために掲示責任者というものが住所、氏名を書いておると思うが、だから、政府がそういう解釈をしているのは、政府の解釈のような掲示責任者というものの性格であるにしても、やはり大野伴睦という名前がそこに出ておれば、それはやはり大好さんに一音先に連絡するなり尋ねるなりなんかされるのは、当然常識として考えられるわけです。だから、私はごく常識的なお尋ねをしているにすぎない。だから、やはりああいう場合に、大臣は本心を言ってもらいたい。夜も寝られないという本心を披瀝してもらわなければ国民は納得できません、どこが悪いのだと言わぬばかりの言い方では。
#56
○国務大臣(篠田弘作君) 以後注意します。
#57
○成瀬幡治君 大臣が、がっかりしたとか、夜も寝られないとかこれくらいにがにがしく思ったことはないと、こうおっしゃる。そのことは私は、にせ証紙の問題あるいははがきの横流し等のことをさしておいでになると思う。確かに法律的な問題については、おっしゃるように、まだ起訴されるのかどうか、あるいはどこまでくるかということはわかりませんが、私は特筆大書すべき選挙違反だと思うわけです。大臣が寝れなかったはずだと思う。そういうことに対して、法律的責任をどうこうということよりも、道義的な責任というものをどういうふうにこれからやっていくかということが、私は公明選挙を推進していく上において一番大切だと思う。それは候補者自身であり、あるいは政党の総裁であり、いろいろな者だと思う。そういうことに対して、道義的な責任を一切ほおかむりでおっていいか悪いかという点については、どういうふうにお考えになるのですか。
#58
○国務大臣(篠田弘作君) 私は、道義的な責任も、もちろんこれは個人――道義的と申しますと、これは法律上の責任でございませんから、制度上の責任でございませんから、個人の要するに感覚なり認識なり、そういうものに待たなければならないと思います。そこで、私自身は政治家としての、自治大臣というものの責任を非常に痛感しているわけです。そこで、参議院の委員会におきまして、責任はだれにあるかというで、これは選挙の問題ではなかったのでありますが、吉展ちゃん事件と善枝さん殺しの事件でございますが、国家公安委員長として私は責任を感ずる。その場合、私が申し上げました意味は、もちろん責任を感ずると、口先で感ずるだけではございません。私自身に責任があるとすれば、大臣の出所進退を含めて一切の責任を感ずると、こういう意味で申し上げました。ところが、衆議院の本会議におきまして、社会党の猪俣浩三代議士が、一体お前の責任がどこにあるのかお前は一体規則を読んだことがあるのか、法律を知っておるのか、警察の第一線の責任というものは、本部長並びに警視総監にある。第二の責任は警察庁長官にある。第三の責任は公安委員会にある。第四の責任は総理大臣にある。どこを読んでも、お前の責任は出てきやせぬじゃないか、お前は、公安委員会の会議というものを主査する責任と、会議の結果を総理大臣に伝える連絡係、メッセンジャー・ボーイでしかない、それをお前、偉そうな顔をして、参議院の法務委員会において責任を感ずるなんということはおかしい、そういう意味のことを言われた。そこで私は、それほど責任のない公安委員長なら、国権の最高機関である衆参両院の本会議に呼ばれて追及されるのはおかしいじゃないかということを本会議で私話しましたが、そういう場合、私自身は、むしろ政治家としての道義的ないろいろな責任を感じております。しかし、国会におけるいろいろな責任というものは、私自身が感じておる道義的な責任でなくて、むしろ制度上、法律的な責任を追及されていると私は思いますので、そういう問題について、法律上、制度上の責任というものに重点を置いて答弁をされる閣僚等におきましては、あるいは何にも道義的な責任を感じていないのじゃないかというふうに取られる場合もありますし、道義的な責任にあまりに中心を置き過ぎて、私のようなことを言いますと、今度は衆議院本会議等において、お前のようなメッセンジャー・ボーイが何で責任を感ずるんだということで、反論も出てくるわけでございまして、国会の答弁というのは非常にむずかしいということでございます。
#59
○成瀬幡治君 いや大臣、わかりますがね。私は、国会答弁のテクニックを伺っているのでなくて一公明選挙をやっていく上において、どういう法律を作り、どういう規則を作るということよりも、一番道義的な責任が大切だということを主張するわけです。この点、大臣同感だと思うわけです。そこで、今申しましたように、空前絶後のような東京都知事選でそのことが行なわれた。私は、束さんは関係あるとは思いません。ないだろうと思う。しかし、そういうことに対して道義的な責任を感ぜられるということがいいか悪いか、感じてもらいたいと思う。あるいは一党の総裁が、自民党が推薦してみごと当選されたとするならば、総裁として、進んで道義的な責任というものを感じてもらいたい。それをどういうふうに表現するか。単に言葉の上で遺憾でございました、あやまりますということだけではしかぬと思う。身をもって示すということが、私は公明選挙を推進していく上において一番大切な点だと思いますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#60
○国務大臣(篠田弘作君) 私は、総理大臣も、東さんも候補者でありますし、総理大臣自身は政府の最も最高の立場におる方でありますので、言うまでもなく道義的な責任を感じておられると思います。ただ、この道義的な責任というものをどういうふうにして表現するかということになれば、これは私自身の認識の問題をおしゃべりするわけでありますけれども、選挙違反を起こした者はなるほど悪質ではございますけれども、投票いたしました約三百万という数からいいますと非常に少ない。そこで、責任をとってやめろというような説もありますが、三百万の投票者がほんとうに東を支持し、そう一して投票をしておる。そういうときに、不心得者が少数おって、それが悪質違反を起こして、そうしてその東さんというものが、その道義的な責任をとってやめろというような、そういうことになれば、数名の人間の不心得者のために、数百万の人間の政治に対する熱望というものを踏みにじってしまう。そこで私は、やはり少数の不心得者に対しては法律のさばきにまかせる、裁判所の公明な裁判にまかせることにいたしまして、総理大臣、あるいはまた、特に東知事という立場から言うならば、数百万の熱情に報いるために、それこそ齋戒沐浴、献身いたしまして、東京都政というものをりっぱな都政にしていくということが道義的責任に報いるゆえんだと、こう私は考えます。
#61
○成瀬幡治君 私は、とにかく日本の歴史と申しましょうか、おそらくこういう選挙違反というものは、今後行なわれてはたいへんだと思う。一番汚ない選挙だと思う。それで、あなたがおっしゃるように、三百万の人が投票したかもしれません。しかし、にせ証紙のために投票をした者が何人であるか、あるいははがきのために何人であるかというような問題は、やはりそれは作られたものだと思う。したがって、あなたがおっしゃるように、選挙違反のほうは刑事的な責任のほうでやってもらいたいのだ、当選した以上は、一生懸命努力すれば、それで道義的な責任は立ったのだから、これで今後も公明選挙というものが推進されるのだということは、少し独善じゃないか。あるいはロジックが違ってくるのじゃないか。それよりも、やはり出所進退を明らかにしてほしい。こういう気持が大臣のどこかにあなたはございませんか、心の中で。国会では、それは言いにくいかもしれませんが、どっかにあなたはございませんか。
#62
○国務大臣(篠田弘作君) 実は具体的な例を申し上げると、また問題になるかもしれませんが、遠慮して、目くそ鼻くそを笑うものではありませんが、私の性分に似合わず、だまっていたのですが、このにせ証紙事件というものは、実は自民党の専売特許でないのでありまして、社会党からも出ていることは御承知のとおりであります。社会党のほうもすでに検挙されておりますから、これは明らかでございます。そういうような場合におきまして、それでは、このにせ証紙というものが、かりに警察の調べによりますと千六百枚だそうでございますが、千六百枚のにせ証紙を張ったポスターによって東候補の票というものがはたして稼がれているかどうか。それほど東候補というものは無名であるかどうかということは、やはり私は、事実の判断の上に立って見ることが必要じゃないか、おそらく七十万開いた東の当選というものは、にせ証紙の千枚や千五百枚によって左右されておらないということは言い得るのではないか。そういうことから見ますと、にせ証紙というものが中央におきまして、あるいはまた知事選挙において、特に福岡のような非常な激甚な選挙において現われたということは、これはもう自民党にとっても非常に大きな問題でございますし、ただいまおっしゃるように、ほんとうに反省をし、それが現在自民党の幹部の息のかかった者ではもちろんないと信じますが、そういうものが自民党のたとえば職員の中から出たということは、これは大問題であると思います。しかし、それによって東さんが、先ほど申しましたように、やめなければならないということならば、やはり同じ論法をもっていけば、そういうものが現に出て当選されたような北九州の市長のような場合も、やめなければならないということになるわけであります。そういうことからいいますと、私は、にせ証紙そのものは、ほんとうにわれわれは、よくもよくもこんな知恵が出るものだというような悪いことでございますけれども、しかし、そういうことによって、第三者がそういうことをやった、それをにくむあまり、今度は、その実態というものを全体的に把握しないで、そのために三百万の選挙民の応援を受けた候補者もやめなければいけない、新しい時代の要請によってできた五大都市の市長もまたやめなければならぬというような実態の悪例を残すというようなことのほかが、民主主義のいわゆる建設の上において、もっと角をためて牛を殺すというような結果になるのではないか。角をためるのはいいが、牛を殺さぬようにしなければいかぬというのが私の考えです。
#63
○成瀬幡治君 大臣は、にせ証紙は千六百枚だというようなことの話ですが、私は、東京都知事の選挙において、立会演説がどういうようなことで行なわれたが、あるいは御指摘になりました泡沫候補がどうかというふうに出てきたか、あるいははがきがどうだというようなことで、総会的に私は東京都の知事選ぐらいきたない選挙はなかったと思う。だから大臣は寝れなかったし、がっかりされたと思う。だから、そういうことに対して、これもやはり個人的な意見になるわけですけれども、少なくとも道義的な責任というものをやはり明らかにすることが、私は公明選挙を今後やっていく上において非常にプラスになる。日本の民主主義を守っていく上において非常にプラスになる。あるいは、選挙がよごれたために、日本の政党がその権威を失墜して何になってきたかというようなことは、過去の歴史で大臣等がわれわれよりもよく御承知になり、にがい私は経験をなめてお見えになると思うわけですよ。したがって私は、大所高所から、そういう道義的な責任についての御意見が実は承りたいと思っておったんです。それなのに、今承りますと、何かこう一つのテクニック的な、棒引きのような話で実は終わっているわけですが、私はちょっとがっかりしているわけですよ、そういう意味で。
#64
○国務大臣(篠田弘作君) 成瀬さんの非常な真摯な御質問に対して、私の言ったことが、何かがっかりした印象を与えたということであれば申しわけないことでありますけれども、私自身もがっかりしております、実を言うと。その点はまあ同じなんです。あなたのお考えになっておるようなことは、私自身も考えています。全くその、フェア・プレーでいくべきだ。だから、個人の見解からいえば、そういうきたない選挙が与党といわず野党といわず行なわれた場合に、ほんとうに今検査役のようなものがいて、取り直しでもさせるという制度があれば、これはまあ当然取り直しさしたほうがいいと私は思うのですよ。だけれども、そういう制度は心ありません。そうである以上は、現在の選考法というものにのっとって、すなわち、一つの国の行事としてそれをやっていく以上は、自分たちの気持だけでもって取り直しをさせるということを、法律上の裏づけもないのにさせたほうがいいなんという、そういうできないことをただここでしゃべっても意味がないわけです。そこで、あなたと私は心持ちは同じですけれども、そういうことの制度もありませんし、同時にまた、これだけ大きな選挙というものを、選挙違反というものは現在の状態でなしに行なわれるというふうには考えられないですね。そうしますと、今度は取り直しをやったときにまた選挙違反、また取り直す、また何ぼやっても、これはそういう選挙違反のあるたんびに取り直しをやったんじゃ際限もないという現在の実情であります。そこで私は、自治大臣としては、むしろそういうことを考えられても、考えたってできないのですから、できることを考える。先ほど申し上げたような、選挙公営というような面をうんとふやしていくというような面で私は努力をしたいということを考えておるのでありまして、何も責任のがれのことを言って、あなたをがっかりさしているわけではないということを御了承願いたいと思います。
#65
○成瀬幡治君 実は大臣が、一つの私案として、公営をふやしながら選挙をフェアに持っていきたい。もう一つは、やはり選挙に対するお互いの道義的な責任を明確にして、この二本の上じゃないと、なかなか容易じゃないと私は思う。法律はどれだけ作ってみても、ちょうどどろぼうが絶えないと同じようなことであって、無意味で、やはり道義心の高揚と申しましょうか、選挙の公明化に対する心がまえが必要だと思うのです。そういうときに、一番いいことは何かというと、公営にしていくという一つの法律の改正も非常に必要であろうけれども、この際、まことに済まなかったと、これは、やめたんだというようなもし意思表示があって、いや、そうせんでもいいというような、とめたということになってもいいと思う。何らかの形で少なくともそういうようなことが行なわれたら、どんなにか私は今後いい影響が出たんであろうかと、実は災いを福に転ずるというのはそういうことだと思うのですよ。ここで、いやいそうじゃない、お前一生懸命やるほうがむしろいいのだという、そういう見解と私は逆な見解を実は持っておるわけですがね。
#66
○国務大臣(篠田弘作君) もちろん、いろいろな考え方がございまして、成瀬さんのような考え方もあります。私たちも、どっちかというと、そういう考え方に近いところの考え方でございます。しかし、そういういろいろな複雑な問題を明快に解釈して、そうしてこのむずかしい選挙というものを遂行していくための選挙法でございますから、それは、多くの人間の知恵を集め、時間をかけ、そうしてこの選挙法というものは、法律上国会の承認を受けてできておる、選挙に関する一つの憲法といってもいいようなものであろう。でありますから、いろいろな考え方はございましょうが、最終的に責任の問題ということになれば、やはり選挙法上の責任の問題がきまらないうちに、ただ自分の陣営から不心得者が出たからといって、何百万という人間の信頼を無にいたしまして、候補者がやめるという意思表示を単独でする。候補者自身もまた、候補者の好き勝手に出ておるものではありません。政党の公認なり、あるいはまたそれを取り巻く後援会なり、あるいはまた労働組合なり、いろいろな多くの団体の推薦を受けて出ておるのでありますから、そういう団体の意思あるいはまた法律というものを無視して、ただ自分一人が気持いいからこれでやめるのだ、そういうことは、私は公人としては許されないのじゃないかと思う。たとえ東さん自身が非常にもう迷惑である。別に自分は東京都知事になりたいわけでもないのだ。しいてやりたいわけでもない。ただきれいな、要望によってやれというならやるけれども、そうでないと考えましても、やはり公人という立場は私情を殺さなけりゃならぬという場合もありまして、必ずしもあなたのおっしゃるような政治行動に出るということだけがこれは責任を感ずる問題ではない。これは、あなた方も私どももそういう立場に立ったならば、おそらく自分の意思と違ったまた行動をしなけりゃならぬ場合もあると思う。そういうことで大体御了解願いたいと思います。
#67
○成瀬幡治君 まあ私も与党内のプライベートな話をされたときの、向こうの本心はしばしば出ておりますし、またあなたも、いろいろな個人的なプライベートな御意見等は伺っておられると思うのです。要は、国づくり、人づくりとか、いろいろなことを申しますが、法治国だとか申しますが、道義はやはり先行するということについては間違いのない話であるし、私は一番正しいことだと思う。間違いのない真理だと思う。したがって、道義に基づいての出所進退を明らかにするということが一番大切だと思いますけれども、今申しましたように、いろいろな取り巻きがあったり、いろいろなことがあるから、これ以上のことは云々とおっしゃいますから、私もこれ以上の議論を実はしようとは思いません。しかし、今申しましたように、本人がどうこうすることもございましょうし、それを推薦した有力団体の方々たちがどういう勧告をするというようなことがございまして、私は、こういうよごれた選挙というものに対して、二度とそういうことが繰り返されないように、あるいはこれが一つのきっかけになって、公明選挙が今後行なわれるというようないい意味の出発点にしてもらうことを期待をしまして、この議論をひとつやめたいと思います。
 次に、ちょっと伺いたいのですが、警察関係のほうに伺いたい。一体にせ札が出て参りますね。そうすると、にせ札だと一こう言ってきたものに対して、これはにせ札であるという認定をする上において、時間はどのくらいかかりますか。
#68
○政府委員(宮地直邦君) 従来出ておりますものにつきましては、割合に短時間で断定を下しております。しかし、新記号が出た場合においては、一応現地におきまして、にせ札であるというふうな疑いをもって捜査はいたしますけれども、最後の断定につきましては、警察庁のほうにおいて断定を下すということになっております。
#69
○成瀬幡治君 短時間とおっしゃいましたが、どのくらいでしょうか。
#70
○政府委員(宮地直邦君) 従来出て参りました、たとえばWRというようなものでございますというと、すべての特徴点は第一線に行っておりますから少なくとも署あるいは県本部で十分わかります。ところが、最近出ました静岡県のごとき場合におきましては、一応特徴点におきましてにせ札の疑いをもって活動いたしますが一これを新種の記号と決定いたしますのには、やはり一日以上かかっておると存じております。
#71
○成瀬幡治君 そうすると、従来出ておるものは、どこがにせであるかということが第一線に行っておるわけですね。したがって、出てきたものに対して、それがにせものであると断定をすることはどうやって断定するんです。たとえば拡大するとか、虫めがねで見るとかいうようなことをすればすぐわかるんですか。そういう意味ですか、短時間というのは。
#72
○政地委員(宮地直邦君) 従来出ております点につきましては、特徴点その他につきまして、鑑識上、透視拡大をすれば割合容易にわかるようになっております。しかしながら、今申しました新しいものにつきましては、データがございませんで、警察庁の研究所まで持ってくるようになっております。
#73
○成瀬幡治君 そうすると、警察の第一線には、今申しましたように透視ですね、そういうものがありますから、持っていくだけの時間であって、それにかければ、ここがにものだということはすぐわかるということですから、まあ持っていっただけの話であって、そこにかけるだけの時間を十分か十五分見ておけばいいわけで、それですぐにせということはわかるんですか。
#74
○政府委員(宮地直邦君) そのとおりでございます。
#75
○成瀬幡治君 東京都の今度の選挙のにせ証紙ですね。これは一体どこがにせだったんですか。
#76
○政府委員(宮地直邦君) にせの特徴点で一番わかりますのは、T、Sという隠し文字が印刷の場合逆であった。その他印刷――上下の平行線が確実でなかった。その他総合的に鑑定いたしまして、にせと断定したのでございます。
#77
○成瀬幡治君 そのTとSがさかさまになっておると、そういうことで、それだけでもにせだということはわかりますか。
#78
○政府委員(宮地直邦君) わかりませんでございます。
#79
○成瀬幡治君 わからない。TとSがさかさまだけではわからない。なぜですか、それは。
#80
○政府委員(宮地直邦君) これは印刷技術の問題でございますが、これは二度刷りになっております。で、T、Sの文字は紋様に入っております。東京都選管という文字は二回目の印刷、その文字に対して相対的に反対になっているということは、印刷過程においてもあり得るということなんであります。
#81
○成瀬幡治君 今ちょっとこちらで話がございましたから聞き漏らしたんですが、TとSが動いて反対になることがあり得るわけですか、印刷の上において。
#82
○政府委員(宮地直邦君) さようでございます。
#83
○成瀬幡治君 それは、あなたが調べられたらそうなったわけですか。これは第一版で、あれは三色刷りなんですね。東京都選管がやったのは三色刷りなんですね。その第一色で、第一版で刷るときに、もうTとSが動いていることがあるわけですか。
#84
○政府委員(宮地直邦君) 今申しましたのは、これを作りました凸版印刷でそう申しておるのでございます。
#85
○成瀬幡治君 私は、東京都選管が作ったその文字ですね。その文字版は、初めの地紋は、あれは三色刷りでやったことは承知しておるんです。あなたもお聞きになっておると思う。そのときにTとSが動くことがあり得るんですか。
#86
○政府委員(宮地直邦君) T、Sという文字がさかさまになっておるということは、東京都選管という文字に対してさかさまになっておるということです。そういうことでございますから、そうしてT、Sというのは地紋に入っておる。したがって、そういうことが印刷過程においてはあり得るということでございます。
#87
○成瀬幡治君 あり得るということとやったこととまた別なんですが、実は、東京都選管も、隠し文字を作っておることは一番大切な点ですから、十分東京都選管でも注意をしておやりになっているはずだったと私は思うんです。もちろん、印刷所に対して連絡等も行なって、厳重におやりになった。少なくとも六カ月も先から事前に準備をされておやりになっていることなんです。で、私が聞きたいのは、まあ大体あなたも気づいてお見えになると思いますが、なぜ発見がおくれたかという点を私はお聞きしようと思っているわけです。したがって、もうここがにせじゃないか、ここがにせだ、こう指摘をされて、なおかつ調査をするのに三日間も日にちをかけておいでになるが、これは私は、慈恵があって、十分意図を持っておやりになったというほかに言いようはないと思うんですよ。それを、いいえ、そうじゃございません。さかさまになることもあるんだから、それで発見がおくれましたという話で事は済むんですか。
#88
○政府委員(宮地直邦君) これはにせの証紙であるか、本物であるかということにつきまして、警察が判定するにつきましては、これは慎重でなければならぬ。警察におきましても、提出せられました、またわれわれのほうで発見いたしましたいわゆるにせと思われますものはさかさまになっている。したがって、警視庁におきましても、一たんは、このさかさまということにおいて、にせなりや本物なりやということを判定いたしたいと思いまして、これは凸版印刷に照会いたしましたら、単にT、Sの文字の東京都選管という文字に対する相対的位置のみによってこれを判定することは早計である、断定できないという回答がありましたので、警視庁におきましては、さらに、ただいま申し上げましたように、総合的に検査をいたしまして、そうしてにせというものの特徴点を出したわけでございます。
#89
○成瀬幡治君 まあ私は、警察がいろいろなことにおいて科学的捜査ということを最近やかましくお言いになり、相当スピードをあげておやりになっている、これは、犯罪捜査の上においてきめ手になると思うんです。ところが、にせ証紙かどうかというのを判定するのに三日もかかるような警察なら、これは、犯罪人はつかまらぬはずだと思っております。これが意識的におやりになったというのなら別ですよ。そうでなければ、凶悪犯なんというものをやるなんということはむちゃな話であり、科学警察というものはなくてもいいものだと私は思います。虫めがねでわれわれが見ても、にせものであるということはすぐわかる。のりがどうであるかということでも、溶かしてみて化学分析をやったらすぐわかる。それを二日も三日もかかって、いや、にせものでしたというころには、どろぼうはとっくに逃げちゃっている。飛行機で外国へ飛んでいる。それほどのろまなものか。
#90
○政府委員(宮地直邦君) 今申されるより時間がかかっていないのでございます。われわれのほうが現物を入手するにつきましても、警察は、任意提出以外におきましては、令状によって押収せざるを得ないのであります。私どものほうが現物を押収いたしましてから、にせときまりましたのが、おそらく二十時間とはかかっていないと思います。そのくらいにすみやかに措置をいたしております。
#91
○成瀬幡治君 あなたは二十時間かかっておらぬと言うが、いつ入手したのですか。それで、結論はいつ出したのですか。
#92
○政府委員(宮地直邦君) 第一回ににせの疑いありとして通知を受けましたのは、四月十五日の六時四十分でございます。その証紙は直ちに任意提出を受けまして、東京都選管が、持っていっております。警視庁におきましては、これを放置したわけではございませんで、現物を翌朝東京都選管から警視庁に提出を受けまして、それを鑑識いたしました結果、真正の証紙と異なるという結果報告を受けましたのは、四月十六日の午後九時三十分でございます。
#93
○秋山長造君 その点について、今成瀬委員が非常な疑問を出しておられるんですが、これは私らは、もうその点は非常に疑問に思っているんです。局長がぬけぬけとうそを言っていると思いませんけれども、とにかく非常に疑問です、その点。
 それから、先ほどの印刷の工合によっては、隠し文字がさかさまになることもあり得るということも、それはおそらく、警察で返答をしたという凸版印刷の専門家を呼んでみなければわからぬけれども、それは、多少印刷のズレということで、T、Sの位置が少しずれるということはあり得るという意味じゃないかと私は思う。あれの右と左とさかさになるということが、絶対そんなばかな証紙の印刷ということがあり得るのだろうかと思うのです。それから・今の時間のズレにしても、厳密な科学調査ということは別として、まず第一の見分けというのは、やはり、T、Sの位置が全然逆になっておるということで、まずこれはにせと九分九厘まで警察の常識としてにらむと思うのです。そうしたら、やはり選挙なんかの場合には、特に火急を要する場合でもあるし、短期決戦ですから、期限がきまっているから、だから、すぐやはり現物の押収なり何なり、捜査にすぐ着手するということが、これはやはり刑事警察として私は当然のことじゃないかと思うのですがね。そこらの点、ミッドウェー海戦は三分間のズレで勝つべきものを負けたいということになっているのだそうですが、これはもう選挙なんか、ミッドウェー海戦にまさるとも劣らぬくらい、一分一秒を争う、特に終盤になったら、これは大きいですよ。二十時間とか三十時間とかいうものは、ただの一時間でも大きい。あの佐野市で昭和二十八年の選挙のときに、全国区の平林さんの党名を、日本社会党を日本共産党と書き間違えて、五、六時間どこか投票所で掲示しておった。ただ五、六時間、一カ所で党名を間違えただけのものでも結局あれは当選無効になって、再選挙をやっている。そういうことから比較考量してみると、なかなかこの問題は、問題全体としても非常に重大だし、それから、今の警察の関与された面、数時間あるいは十数時間のズレだけでも、これは非常に大きいと思うのです。局長の御答弁がそんなにゆっくりしたものかという感じを受けるのです。
#94
○政府委員(宮地直邦君) 印刷の技術の問題になるのでございますが、中に地紋を印刷しまして、そうして紙を添えるというような過程において、一枚さかさに整理した場合においてはそういうことが起こり得るので、一ぺんに印刷するのでないために、そういうようなことが起こり得る。そういう意味において凸版も回答しておるのだと思いますから、なお、警視庁におきましても、真偽不明であるけれども、そういうものが出たということにつきましては、もう最終決定以前に内部措置といたしまして、そういう種類のものがどういうふうに出ておるかということの調査につきましては、すでに決定以前に指示を出しておる。そういう疑いのあるものについての調査方は指示いたしております。
#95
○成瀬幡治君 六時四十分ごろに、東京都選管から警察に連絡があった。そうして翌朝何時に科学捜査室へお届けになりましたですか。
#96
○政府委員(宮地直邦君) 十七日の午前十時に、東京都選管から、偽造の疑いのある証紙のポスター一枚と比較対照のために、真正のものの提出を受けたわけでございます。
#97
○成瀬幡治君 そうすると、いま一ぺんそこのところ、ちょっと話が違っておりますから、私のほうから確認の意味で申し上げますが、十五日の六時四十分東京都選管から連絡があったのは、こういうものがあるという口頭の連絡があっただけで、そうして現物をいろいろと添えられたのはその翌日の十時にあったと、こういうことですか。
#98
○政府委員(宮地直邦君) 警視庁にまず第一ににせではないかというふうに通知を受けましたのは、四月十五日の午後六時四十分ごろ、そうして警視庁が東京都選管から任意に偽造の疑いある証紙及び真正な証紙の提出を受けましたのは、その翌日、十六日の午前十時でございます。
#99
○成瀬幡治君 あなたのほうも立ち会って、これはにせのものじゃないかどうかということで二枚ほど押収されましたな。それは、選管の方が持っていっただけで、あなたのほうは全然関係なかったのですか。
#100
○政府委員(宮地直邦君) 私のほうに報告を受けておりますのは、これは、場所は原宿駅の北口でございます。これにつきましては、東京都選管のほうに候補者の承諾を得て持ってきておるわけであります。
#101
○成瀬幡治君 私は、選挙局長にちょっと聞きたいのですがね。選管の事務というのは、選挙期間中、大体日曜日は休みとか、あるいはまた夜も、時間が来たら、八時間勤務だから、五時になったらお帰りなさい、こういうような大体通牒を出しておられるのか。そうでなくて、選挙期間中は、午後十時ごろまで、選挙運動期間中くらいはおれという通達を出しておられるのか。各都道府県の選管については、何らかの指示をしておられますか。そういう勤務状態の何については、全然ノータッチなんですか。
#102
○政府委員(松村清之君) 選挙運動期間中は、土曜、日曜にかかわりませず、午前八時半から午後五時まで、休みにかかわらず勤務することになっております。その間に選挙の事務がとれ得る態勢にしております。それから、あとの夜の問題は、これは選管自体の判断で、いろいろそのほかに問題があるとか、ありそうだというときに交代で残るということで、たいていは夜おそくまで何人かの人は残っておるのが普通の状態でございます。
#103
○成瀬幡治君 ここで、にせ証紙で非常に問題になりますのは、発見が十四日の午後五時か五時半ごろだろうと思うのですが、そうして東京都選管から警察に連絡があったのは午後六時四十分ごろだ、こう言う。そうしますと、これは人がおらなかったとか、選管が、夜になりそうだったから次の日に持っていった、こういうことになると思うのだがね。それでいいのですかね。
#104
○政府委員(松村清之君) 私のほうが東京都の選管から聞いておりますところでは、四月十五日の午後六時ごろ、選挙人のどなたから、にせ証紙があるという申し出があった。それで、直ちに選管は職員を派遣して、現物を借り受けて、警視庁と凸版印刷に調査を依頼した、こういう報告になっております。
#105
○成瀬幡治君 違うね。違うでしょう。局長、お聞きになっていても違うでしょう、直ちに連絡をしたというのと。
#106
○政府委員(松村清之君) まず警察のほう、これはちょっと私もはっきり確認できないんですが、午後六時ごろ、選挙人からにせ証紙の申し出があったので、選管の職員を派遣して、その現物を借りて、警視庁と凸版印刷に調査をしてくれと、こうそのときに依頼した。そこまでは、選管のほうでそういう事情になっておると聞いております。
#107
○成瀬幡治君 依頼したということは、引物を、あるいはにせ物かどうかということの判断を仰がなくちゃなりませんから、あるいはそうした物的な証拠と申しましょうか、物を出したという意味じゃないでしょうかな。言葉だけですか。
#108
○政府委員(松村清之君) この報告の文面から見ますると、現物ですから、おそらくにせ証紙の張ったポスターを承諾を得て借りてきて、警視庁と凸版印刷に調査してくれと、こういうふうに依頼したというふうに受け取っております。
#109
○成瀬幡治君 そうですね。宮地さん、十五日の原宿の何とかいう旅館ですが、名前まで出ておりますが、そこに四枚張ってあったということはわかります。そういうことは、状況等を私はこまかく言う必要はないと思いますが、そのときに警察官の方も立ち会ってお見えになりますね。そして四枚のうち二枚を持っていった。そしてすぐ、これはおかしいじゃないか、その場で虫めがねでもって見ると、TとSがさかさまになっておったということを指摘して、どうもおかしい、これじゃいかんじゃないかということがあって、そして東選挙事務所のほうにも連絡があったから、そこから来てもらって、そして四枚のうち二枚を預かるよと、ここまでいったことは、そういうことは御承知ですね。そして今度捜査に動き出されて、いろいろなことがあったということは、十時ににせ物と本物が東京都選管から出てきたから、そこで、警察の何とかという科学室へお持ちになったのは十一時だとか、あるいは十二時になるだろうと思いますが、そういう順序なんてすか。
#110
○政府委員(宮地直邦君) もう少し詳細に申しますというと、警視庁に連絡がありましたのは六時四十分でありまして、それは、今私のほうに対しましては、社会党の選挙対策本部の伊藤という方から電話があったわけです。これが六時四十分でございますが、すぐに原宿署に係官を派遣したのでございますが、原宿署員が参りましたときには、すでにそこには東京都選管の職員が来ておられたという状況でございます。そういう状況のもとに参った。そうして東候補の選挙事務所の了解を得て職員が持ち帰った、こういうふうに私のほうは了解いたしておりますが、ただ・そのままにしたのではなくて、こういうものがあったということによって、同種類のものの発見については、直ちに原宿署においてはいたしておるのでございます。
#111
○成瀬幡治君 それからもう一つ。まああとで、時間がございませんから、私はこれについてのもっと総合的な順序立てたいろいろなことはまたお聞きしたいと思っておりますが、きょうは簡単なことをお聞きしたいのですが、あなたのほうが凸版印刷屋に問い合わされたのは、それはあなたのほうじゃなくて、東京都選管が問い合わせたのじゃないですか。あなたのほうもおやりになったんですか。もしおやりになったとすれば、それはいつで、どういうところの凸版で専門家にお尋ねになりましたか。会社、あるいは代表者、あるいは答えられた人ですね。
#112
○政府委員(宮地直邦君) 東京都選管が凸版印刷に照会したかどうかということは、私どもは存じておりません。しかし、私のほうに、警視庁としても、今申しましたように、翌日、十六日になりまして凸版印刷に照会しております。しかし、今凸版印刷のだれに照会したという名前を持っておりません。
#113
○成瀬幡治君 そうすると、あなたのほうは、凸版印刷に照会はする、あるいはどうもにせではないかといって、科学室というのですが、どこかにそういうにせ物と本物の見分けを依頼すると、そういうようなことをおやりになったんですか。
#114
○政府委員(宮地直邦君) これは、平行的に内部において、さかさまということはだれが見ても事実でございますから、すぐわかりますから、そういうことで、私のほうは、最初に、T、Sのさかさまだけということは認定いたしましたが、なお、ほんとうのものを作った所において、こういう鑑定を出してもいいかということについて照会をしたところ、これは困る、こういう回答を得たということで、広い意味におきましては、われわれの鑑定の内部の一つの過程ということになると……。
#115
○成瀬幡治君 選挙局長ね。普通この証紙を作るのに、私らは、六カ月聞くらい準備されて、三色刷りにこうおやりになってさかしまに文学がなったり、いろいろなことになったらたいへんだろうと思うので、いろいろな点で留意するという、これについて御指導になっておると思うのですが、
#116
○政府委員(松村清之君) この証紙は、いきさつをちょっと申し上げますと、昨年の選挙法の改正で、従来のスタンプあるいは打ち抜きの検印にかえて、証紙制度を採用してもいいという法律ができたわけでございますが、これを実施するまでに、私どもはいろいろ研究するのに六カ月かかったわけです、去年の参議院選挙で採用するのに。これは非常にむずかしい、のりその他の点について非常にむずかしい問題がありますので、六カ月かかって、去年参議院選挙でやりましてからは、もう十分実績がありますので、東京都も、参議院の地方区でこの証紙制度を採用しておりますから、今度の知事選には、私はそう六カ月はかけていないと思います。一カ月くらいで私は刷り上げておるのではないかと思っております。
#117
○成瀬幡治君 あなたは思っておるだけの話で、聞いてはおみえならぬわけですね。この次までに、どのくらい前に準備して、どういうところに選管が留意しておるかというような点について、ひとつお聞き願っておきたいと思います、私の聞いたのとちょっと違っておるようですから。
#118
○政府委員(松村清之君) 承知しました。
#119
○秋山長造君 最後に。今の成瀬さんの質問は、次回にさらに続けられるのだろうと思いますが、ちょっとただしておきたいのですがね。警察のほうで、全国的に五日三十一日付で選挙取締本部を解散されたですね。あの解散されたということは、もちろん今東京の問題とはこれは別個なことで、東京の問題はさらに引き続いてやられるのだろうと思うのですけれどもね。何か警視庁あたりが、片っ方では証紙の問題あるいははがきの横流しの問題なんかをとことんまで違反の捜査をやるということを声明しておられるのだが、片っ方では取締本部を三十一日限りで解散と、並んで新聞に出ると、一般に与える印象としては、ああ、もうこれもやはりうやむやだという印象を与えている面があると思う。その点は、やはり自明のことではあるが、念のためちょっと刑事局長の見解を聞いておきたいと思う。
#120
○政府委員(宮地直邦君) 秋山委員のお考えのとおりでございまして、選挙違反取り締まりというのは、同時多発しますために、ある一定期間につきまして捜査二課において手が足りませんので、ほかのところから手を借りてくる、こういう形をとっております。その捜査本部、取締本部を解散するということと事件捜査を打ち切るということは全く別のことでございます。
#121
○秋山長造君 それから、松村局長にちょっと御意見を聞いておきたいのですが、立会演説なんかで妨害がひどいのに、選管が何らなすところなかったということが実態ですね。これについて自治大臣も、せんだっての衆議院の特別委員会で、警察のほうも、両方だけれども、どうもやり方が遺憾だった、選管のあり方あるいは警察のもう少しやりようがあったのではないかというようなお話があったと思うのです。
 それからさらに、幽霊候補の問題ですね。籍も何もない者が堂々と最後まで候補者としてまかり通っている問題。それから、公民権を停止されているのが堂々と受け付けられて、当日まで選挙運動をやっていますね。ああいう問題を考えると、やっぱり選管の制度そのものに欠陥があるのではないかということに私は結論はなるだろうと思うのですね。そういう面で、今後あってはならぬことだけれども、しかし、これはないとは保証できないことなんですね。もっと悪質なことがあり得る。そうなると、やっぱり今の選管の権限あるいは陣容、俗にいえば、選管の力ではちょっとこなし切れない事態が起こってくるということが予想されるのですね。そうすると、当然選管制度を何とかしなければならぬということになるのでしょうが、あの経験にかんがみて選管制度を改正するとか、強化するというか、何か考えておられますか。
#122
○政府委員(松村清之君) 選管がいろいろな面で非力であることは、私も痛感しておりますので、特に今後公営の問題等が取り上げられますと、これはまあ選管の能力というものが一指問題になるかと思いますが、これはなかなか、選挙という際には、この選管の仕事がどっときますけれども、平常時は公明選挙運動程度で、程度と言うと何ですが、事務がそうない。その繁閑がはなはだしいので、平素からしっかりした陣容を整えておくわけにいきませんので、いざ選挙というときに、非常に困難に遭遇するのが現状でございます。
 そこで、さっきの具体的な問題で、立会演説会の秩序保持につきましては、これは警察でなくて、第一義的に選管に責任があるわけでございます。そこで、選管としても、今度はいろいろな事態をおもんぱかって、あらかじめ各立会演説会場には、いざというときに警察官の力を借りられるように、私服の警察官を場内に、警視庁と都の選管との話し合いで、十名程度待機していただいておったようでございます。しかし、立会演説会の性格から、警察力の応援を頼む時期というものは非常にむずかしいわけで、どうしてもできるだけ選管だけの力でやる、制止したい、場外等にも退去せしめたい、こういうように努力をしておったのが実情のようでございます。したがって、この立会演説会と警察力の行使というものとの関連問題になりますので、この点をどう考えるかということによって、警察の応援を最後に求めれば、秩序の保持という問題はある程度解決できるのではないかと思います。
 それから第二の幽霊候補、公民権停止中の者の問題、これは、選管の能力というよりも、むしろ選挙制度の問題で解決できるのではなかろうか。昨年の国会で、選挙法の改正が行なわれまして、犯罪等で公民権が停止されている者は立候補できないという、こういう明文ができましたために、公民権停止中の者の立候補を却下できることになりましたが、しかしこれも、立候補の届出がありました際に、はたしてその人が公民権停止中の者であるかどうかということは、本籍地等へ照会して、確実な市町村長の書面等によって判断しなければなりませんわけで、ですから、たとえば立候補の届出の際に、本籍の市町村長の犯罪があるかないかの証明書を必ずつけるというような制度にする、これは、ほかの一般の候補者にとっては手数がかかって迷惑かと思いますけれども、そういうことで、すぐにこれは公民権停止中だとかわかりますから、これを却下できますので、これは能力とは関係がないと思います。
 それから、幽霊候補等の問題もそうでございまして、これは戸籍が間違っておって、選挙当日までに戸籍が訂正されて、これが実際の橋本勝何がしであるということになれば、これはやはり立候補させて、選挙もさせなければなりませんわけで。この点も、何か戸籍謄本上もうそういうふうに、死亡で抹消されている者は立候補できないと、こういうようなことでも考えれば、選管の能力とは別に私は解決できるものではないかと、そういうふうに考えております。
#123
○秋山長造君 それは即席の御答弁ですがね。それで、そういう改正をやろうとなさっておるのですか。また解散も遠からずあるということですがね。
#124
○政府委員(松村清之君) これは実は、現在選挙制度審議会が開催されておりまして、今度の地方選挙の結果にかんがみての問題についても、一委員会で検討することになっておりますから、検討の対象になるかとは存じますけれども、まあ結論がどういうふうになりますかは、今のところ予想できないわけであります。
#125
○秋山長造君 審議会のほうは審議会のほうとして、あなたのほうでもその研究ぐらいはしているのですか。何とかしなければならぬということは、もうこれははっきりしておるのですがね。
#126
○政府委員(松村清之君) 第一の立会演説会の問題につきましては、私、警察権の行使問題と立会演説会というものとの関係、これは判断の問題で、今どうという案もございませんけれども、今の第二、第三の問題につきましては、これはまあ一般の人の御意見を伺わないと結論つきかねるのですが、ほかの候補者、いわば善良なたくさんの候補者に多少御迷惑をかけても、ほんのわずかの人のそういったことを押えるということが御賛成得られれば、これはもうやったほうがいいのではないかと、こういうふうに考えております。
#127
○成瀬幡治君 資料要求ですが、これは捜査の上において、あるいはいろいろな上において迷惑だとおっしゃるのでしたら、にせ物と本物との拡大写真なんかがあるだろうと思いますが、これをひとつお出し願いたい。それから二つ目に、選挙局長にお願いしたいのは、東京都選管はここで、選挙が済んでから何回ぐらい委員会をやっておるならば、その議題は何だということ。もしやっておらぬとするならば、どうしてやらぬのか。
 それから三つ目の資料は、今度、いわゆる本名はあって、それから別の名前で、通称何々というのが非常に多いと思うのです。本名と通称でやっておる人の一覧表ですね、東京都の候補者の。そんなのをもし東京都選管のほうからいただくことができるならば、ひとつ出していただきたいと思います。
#128
○政府委員(松村清之君) 承知いたしました。
#129
○政府委員(宮地直邦君) 検討いたします。
#130
○後藤義隆君 ちょっと伺います。日本人であることは間違いなくて、親が日本人であって、ところが出生届がしていない。そういうふうな者は選挙権があるのですか、ないのですか。
#131
○政府委員(松村清之君) これは、日本人であるということ、国籍法なり戸籍法なりでそういう手続がなされておられれば、これは差しつかえないわけですが、どういう……。
#132
○後藤義隆君 いや、親が日本人であることは間違いない。ほかの兄弟なんかはみんな届けをしてあるのだね。日本人で、それに生まれた子供だけれども、届けがしてなかった。
#133
○政府委員(松村清之君) 日本人である子供は日本人であることは間違いありません。それで問題は、戸籍がどういうふうになっているか。何も届けがしてないと……。
#134
○後藤義隆君 戸籍の届けがしてないわけです。いや、それはただ例としてお聞きするのですが、それは選挙権はあるのですかないですかと言うのです。ありますか、ないですか。戸籍の届けは、出生届をしてないが、日本人の子であることは間違いない。
#135
○政府委員(松村清之君) 日本人であれば選挙権はあるわけです。これは、年令要件を満たしておれば…。
#136
○後藤義隆君 そこでもって、戸籍謄本を提出さして、そして日本人であるかどうかというようなことを、それによって選挙権を認めるとか認めないとかいうこと自身が間違っているのですか、戸籍謄本を提出させるということが。戸籍になくても、日本人である以上は選挙権はあるのだから、戸籍謄本を出させるというようなことに将来改正するということ自身が、そういうお考えならば、間違っていないですかと、こうお聞きするわけです。
#137
○政府委員(松村清之君) これは法律の建て方で、一応原則をそういうふうにしておいて、何か反証か何かをあげさせることによって解決の道はあるのではないかと思いますが……。
#138
○郡祐一君 戸籍法の適用を受ける者というやつはありますか。
#139
○政府委員(松村清之君) あります。
#140
○郡祐一君 しかし日本人、戸籍法で適用を受ける者というとどうなんだ。戸籍に載っていない者というのはどうなんだ。これは、戸籍法の適用を受ける者というのは、法律の条文の読み方が……。
#141
○政府委員(松村清之君) これは、選挙法で戸籍法を適用するというのは、戸籍法という法律が適用される人であって、現実に戸籍に載っているかどうかというのは問わないわけなんです。
#142
○委員長(青柳秀夫君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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