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1962/06/28 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号
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1962/06/28 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号

#1
第043回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号
昭和三十八年六月二十八日(金曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     青柳 秀夫君
   理事
           小林 武治君
           館  哲二君
           成瀬 幡治君
           中尾 辰義君
   委員
           後藤 義隆君
           郡  祐一君
           斎藤  昇君
           長谷川 仁君
           増原 恵吉君
           吉江 勝保君
           小酒井義男君
           市川 房枝君
   発  議  者 中尾 辰義君
  委員以外の議員
   発  議  者 渋谷 邦彦君
   発  議  者 辻  武寿君
  政府委員
   警察庁刑事局長
   宮       地  直邦君
   自治省選挙局長
   事務局側    松村 清之君
   常任委員会専門
   員       鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法等の一部を改正する法律
 案(辻武寿君外四名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(青柳秀夫君) これより公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 公職選挙法等の一部を改正する法律案(参第一八号)を議題といたします。
 本案は、去る三月二十六日提案理由の説明を聴取いたしております。御質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#3
○成瀬幡治君 最初に、松村選挙局長にお尋ねしたいのですが、今、選挙制度審議会が発足をして動いておると思いますが、主としてどういう点の答申を求められておるのか、進行状態を最初に御説明いただきたい。
#4
○政府委員(松村清之君) 選挙制度審議会は、昨年来選挙制度の改正について調査審議中でありますが、特に地方選挙後におきましては、委員会を三つ設けまして、現在具体的問題について調査審議中でございます。第一の委員会は、選挙区制の問題で、これにつきましては、現在自由討議の段階でございまして、特にこれをどうするという具体論には入っておりません。それから第二の委員会は、選挙区別の定数の不均衡を是正する問題を扱っておりますが、これにつきましても、現在いろいろな資料について検討中でございまして、今のところ方法も出ておりません。それから第三の委員会は、区制と定数以外の全般にわたりまして審議することにいたしておりますが、この委員会では、最近の会合で、政治資金と選挙公営の問題、この選挙公営の問題にからみまして、選挙運動の問題等をあわせて調査審議していこう、こういうことで、さしあたって取り上げるべき題目を決定した段階でございまして、これも、内容についてはこれからの段階でございます。
#5
○成瀬幡治君 これは、月に何回というか、週に何回というのですか。
#6
○政府委員(松村清之君) これは、第一、第二、第三委員会全部を通じまして、各委員会月に二回、したがって月に六回、これが原則になっております。ただ、委員会によりましては、必要に応じてこれを増加することもございます。なお、総会は必要に応じて開くことになっておりまして、今のところは、七月に一度開く予定にいたしております。
#7
○成瀬幡治君 そうして答申案は、最終的にはいつごろ出してほしいというような期限を切っての話ですか。
#8
○政府委員(松村清之君) 政府と選挙制度審議会との関係になると思いますが、政府としましては、第一次審議会の際に、選挙の公明化をはかるための具体的な方策について示してもらいたい、こういう諮問がしてあるだけでございまして、それをどのように扱うか、いつまでに答申するか、こういうことにつきましては、一切審議会のほうにおまかせしてあるというのが現状でございます。
#9
○成瀬幡治君 提案者のほうにお伺いするわけですが、選挙制度審議会が設けられて、それぞれ調査あるいは研究等をしておみえになることは十分御承知の上で、なおかつ、四点あるいは五点にわたるほどの修正案をお出しになっておるわけですが、そういう点について、どういうふうにお考えになって、この際五点を特に提案をしなければならないとお考えになったのか、いわゆるこれをやらねばならぬという必要に迫られたということはわれわれもわかるのですけれども、しかし、片一方では、そういう制度調査会等があって、そういうことをやっておるということも十分御承知の上で、なおかつ提案をされたという、そういう点について御意見を承りたいと思います。
#10
○委員以外の議員(辻武寿君) 選挙制度審議会が設けられて検討されておることは、私どももよく承知しておりましたが、去る四月の地方選挙を控えまして、今まで私ども痛感しておった自由な選挙に対する圧追、迫害、なお買収等が非常に予想されましたので、でき得ればこれを提案いたしまして、国会で通してもらえれば非常に幸いである。なお、もし途中であっても、こんなことが提案され、当局のほらに強く印象されることによって、そういったことに注意され、選挙犯罪等が減り、なお、公正な選挙が小しでもでき得るようになれば、私たちの心が幾分でも通ずるのではないか、そういうような考えを持って提案した次第であります。
#11
○成瀬幡治君 地方議会選挙が終わってといいましょうか、あるいは、この間のたとえば東京都知事選挙におけるようないろんな問題が出てきて、国会の中でも若干いろんな動き等があるわけでございますが、今、辻さんの御答弁を聞いておりますと、地方議会と、こうおっしゃいますが、その後これを提案して、なおかつ、もう少しこんな点にも修正をしたほうがいいじゃないだろうかというような点について御検討されたことはございましょうか。
#12
○中尾辰義君 選挙制度審議会は、現在第二回目でございまして、第一回の選挙制度審議会の答申が、昨年のいわゆる参議院選挙に問に合わせるように急いで作ったものでございまして、その答申の対象になっておりますのは、いわゆる選挙運動に主眼を置いております。あと残った問題が選挙区制の問題その他、今選挙局長からお答えがありましたように、残された問題を今回の第二次選挙制度審議会で答申をする。したがいまして、選挙運動に関する答申はおおよそ出尽くしているのじゃないか。この答申の中に、われわれが常に主張しておりますところの言論活動の自由、文書、図画の自由というのがまだまだ問題点が残っておる、そういうことで提案をいたした次第でございます。要するに、第二回の選挙制度審議会の答申は、選挙区制の問題と、それから定数の問題、政党法の問題、そういうものがおもな答申じゃなかろうか、こう思いまして出した次第でございます。
#13
○成瀬幡治君 提案された時期等が、あるいはあなたのほうが研究されたいろいろな点はわかりますが、私は、ちょっとこの際伺っておきたい点は、この間の地方議会選挙がありまして、特に東京都知事選挙で、私はいろんな点で話題を投げたと思うわけです。したがいまして、この法律案ができる前にそういうことがあった。したがって、それ以後の情勢等を検討されて、もう少しこの際、あのときはああだったのだけれども、現時点に立てば、もう少しこの際こういうようなものも加えたほうがよかったのじゃないかというような点等々のいろいろな検討をされるような機会がありはしないだろうか。あるいは、あなたのほうの党として、公明会として討論をしておいでになりはしないか、こう思って実はお聞きしておるわけですが、いや、そういうことは何もしていないのだと、もう提案をしてしまったのだから、そのことについてのみで、それ以後の動き、いろいろなものがあるのだけれども、そういうものについては、プライベートなものはあるけれども、会としてまとまった討論はしてないとおっしゃればそれまでなんですが、その辺のところを伺っておるわけです。
#14
○中尾辰義君 今回の東京都の選挙におきまして、にせ証紙の問題あるいははがき等の横流し、こういう問題がございましたが、これは、やはりわれわれの観点と若干社会党の成瀬さんの見解と違うように思いますので、私どもは、どこまでも、言論活動は自由でいいじゃないか、はがき等の横流し等の問題も、制限があるがゆえにああいうのが起こったのであって、制限を撤廃した場合には、横流しというようなことは、これはもう絶対に振り向きもしないんじゃないか、こういうふうに考えるわけです。
#15
○成瀬幡治君 私は、考えを述べているわけじゃなくて、意見をどうというのじゃなくて、そういうことじゃなくて……。
#16
○中尾辰義君 そういうわけで、提案いたしました改正法案は、このままでよくはなかろうかと、こう思って、あえて修正もせずにいたしたような次等です。
#17
○成瀬幡治君 たとえば、にせ証紙の問題とか、はがきというような大きな問題は、実は予期しておらなかった、また考えてもいなかったのだと、したがって、こういうものは出したのだと、その後そういう問題が出てきて、この問題についてどうしたらいいかというようなことについては、実はもう法案を出してしまったのだと、したがって、そのことはそのこととして、そして新しく起きた問題については、また別途そういうものに対する対策は当然立てていくんだというような意味合いにおいて、この問題を提案をしておいでになるのだと、そういうふうに了解を私はして、次に進みたいと思います。
 第一に伺いたい点は、「戸別訪問」をやめたらいいじゃないかという点でございますが、そこで、これは勉強不足で、まことに悪いのですが、戸別訪問が自由なときもあり。それから禁止されたんですが、戦後の戸別訪問がどういうふうに変わってきたかというような点についてお聞かせ願うとともに、許したときにはなぜ許したのか、禁止しなかったのは何が原因で禁止しなければならなかったかというような点を、提案者でもし御答弁が願えれば、提案者に、そうでなければ、事務局で御答弁を願いたいと思います。
#18
○政府委員(松村清之君) この問題につきまして、ちょっと今手元に資料がございませんので、正確なことは申し上げにくいのですが、戦後二十五、六年ごろまでは、戸別訪問が認められておったのではなかろうかと記憶いたしておりますが、この点はちょっと正確でございませんので、御了承願いたいと思いますが、ただ、戸別訪問を禁止しました理由といたしましては、戸別訪問をする機会に買収等が行なわれるのではないか、そういうことが主たる理由で、この戸別訪問が禁止されたと、こういうふうに記憶しております。
#19
○中尾辰義君 私のほうから、少し長くなりますけれども、よろしゅうございますか。大体の経過等につきまして、また国会において戸別訪問の審議にあたりまして、ただいま成瀬さんのおっしゃった反対理由、あるいは賛成理由等も出ておりますので、少し長くなりますけれども、よろしゅうございますか。
#20
○成瀬幡治君 どうぞ。
#21
○中尾辰義君 ちょっと読みますから、長いですから。明治二十三年七月に……
#22
○成瀬幡治君 戦後でいいですから。
#23
○中尾辰義君 要するに、明治二十二年に憲法が制定されて、それから選挙が行なわれたわけです。それから大正十四年普通選挙が行なわれるまでは、戸別訪問は自由であった。それから、次のような理由でもって全面的に禁止になったわけですが、その理由は、「選挙の本質からみると、人物識見または主義政策の合致をもって、議員候補者を決定すべきであるのに、戸別訪問の如く情実に基き、感情によって当選を左右しようとするようなことは、候補者の側からみても品位を傷つけることであり、また選挙人の側からみても、公事を私情によって行なうの風をひきおこすこととなる。」それから二つ目は「戸別訪問に際して、双方の交渉は公然と行なわれるものでなく、隠密の間に行なわれるゆえ、往々にして買収金の不法、不正の行為を助長するおそれがある。」こういうふうになっております。それから昭和二十年の大改正に際しまして今度は、「個々面接、並びに、電話による選挙運動に関しては、著しく社会通念に反するような結果を招来するおそれがある」、このような理由でもちまして、個々面接あるいは電話等によるところの投票依頼、これは自由になったわけです。と同時に、「但し公職の候補者が親族、平素親交の間柄にある、知己その他密接な間柄にある者を訪問することはこの限りでない」、つまり候補者だけは戸別訪問してもよろしい、こういうふうに改正がなったわけです。それから、二十七年の改正におきまして、現行法のように禁止になった、こういうふうな経過になっておるわけでございます。ですから、過去におきましては、戸別訪問も許された時代が相当長い期間あった、こういうことが言えるわけであります。
#24
○成瀬幡治君 まことに勉強不足で、戸別訪問の歴史的なことはよくわかりませんでしたけれども、今お聞きしておりましても、これが禁止されたのは、一つは、情実だと、人間の、こうやったとかいうような、そういう、政策的なものではなくて、情のほうでいくから、戸別訪問はいかぬじゃないか。もう一つは、買収というようなことが隠密に行なわれるからいけないのではないかということが理由で禁止されているようですが、そういうことに対して、今度あなたのほうとしては戸別訪別はいいじゃないか、買収と結びつけるということは早計ではないか、そういうこともあり得るのではないかというようなことについての提案の御趣旨のようでございますが、たとえばイギリス等の選挙では、堂々と戸別訪問をしまして、政策を訴えて、納得をして、投票していくというようなこともやっているようでございます。もちろんそれは、候補者も、あるいは候補者以外の選挙運動員等が自由にやっておるようですし、それから、戸別訪問を受けるほうの側も、これに対して両方からお見えになるものについて門戸を開放して、両方の意見を、あるいは第三番目なら第三番目の人の意見も聞くという、非常にそういう点では、受けるほうもフェアですし、やるほうもフェアにやっておるようですが、そういう点について、日本の今の民意と申しましょうか、政治のセンスと申しましょうか、そういうような点についてはどのように評価しておいでになるか、そこらのポイント、そういう点についてどういうふうにお考えになりますか。
#25
○委員以外の議員(渋谷邦彦君) 今、成瀬先生の言われた点、まことにごもっともな点があると思いますが、戦前と戦後に分けて考えてみますと、戦前は、婦人の参政権が認められない、あるいは二十五才未満の者は選挙権を与えられないというような実情にございまして、実際に選挙する人はごく限られた一部分の人であった。そういうことから、あるいは政治意識、選挙に対する意識というものがきわめて低調ではなかったか。戦後民主主義の風潮が出て参りまして、そうして婦人参政権、あるいは満二十才以上の者が戦後与えられた。にわかに政治意識あるいは選挙に対する考え方というものが強まってきたと、このように考えられるわけでございます。しかし、長い間やはり今まで選挙というものに対しての認識が非常に薄かったということが、そういう歴史的な背景の上から考えられますので、これからの選挙運動を通じての政治に対する意識というものがむしろ今後に残されておるのじゃあるまいか。今、イギリスの例のお話がありましたけれども、イギリスにおきましても、十九世紀においては非常に買収、供応がはなはだしくて、むしろ今日の日本において見られるような状況よりももっとひどいのじゃないかという印象を受けておるわけです。二十世紀になって、初めてイギリスがいろいろな諸制度を改革した結果、まれに見る民主主義国家としての形態を整えた。こういうような観点からいたしましても、わが国においては、ある意味においては一つのそうした難関を、難関といいますか、政治意識を高揚するための山を乗り越えていかなければならないものだと、こういうような考え方をわれわれが持っておりまして、あながちに情実に左右されるとかどうとかということは、一応は考えられますけれども、政治意識あるいは今申し上げました選挙に対する考え方を強く訴えていくためには、何回かやはりそういう洗礼を受けてからでなければならないのじゃないかと、こういう趣旨のもとに、戸別訪問の禁止をこの際解いたほうが、かえってみんながそうした政治に対する関心を強めていくのじゃないか、こういうようなわけでございます。
#26
○成瀬幡治君 まあ趣旨は政治意識の高揚と、こういうところにあるように伺って、こういう点は同感でございますが、逆に見ると、いろいろな点で買収等がもしあれば、これはイギリスも認めていないことだし、また、あなたも認めていないことだが、こういうファウルをやった者に対しては、非常に罰則がきついわけです。公民権停止というものが非常に長いわけです。そういうような点は、どういうふうにお考えになっておりますか。これと少し、戸別訪問だけではなくて、いわゆる買収とからむ連座制の強化ということをしばしば私どものほうも言っておるわけでありますが、そういう、もし、戸別訪問はいい、しかし買収はいかぬよ、こういう点について、買収をしたような者については、現行法の罰則でよいとお考えになっておるのか、もっとこれを強化していくのか。片一方じゃ戸別訪問は自由にしてやる、しかし、不正があれば、それはぴしゃっと押えてやっていくのだ、こういうことなのか。片っ方だけは自由にしておいて、片方のほうは道徳的に、国民の政治意識というものがそれから高揚してくるから、そちらのほうはそれほど真剣にならなくてもいいという、こういうようなお考えなのか。その辺はどうでございましょうか。
#27
○委員以外の議員(辻武寿君) 現在では、戸別訪問に対する罰則というものが非常に強化されて参りまして、二、三軒知り合いのところに頼みにいったということで、公民権を四年も五年も停止されたり、あるいは八千円も一万円も罰金が来るというような状態でありまして、非常に国民も選挙に対しておそれと萎縮感があるわけです。逆に、買収等は陰で非常にたくさん行なわれているのでありますが、戸別訪問に対する罰則を強化しているのですね。買収に対する罰則がまだ軽いんじゃないか。いやしくも買収のごときは国民としても恥辱的な行為でありますから、もっともっと強化してもよろしい。連座制等も強化すべきである、このようにわれわれは考えしております。
#28
○成瀬幡治君 ちょっと宮地さんに伺いますが、戸別訪問が起訴されている例は、一軒やろうと、二軒やろうと、戸別確訪は戸別訪問。しかし、実際起訴されているのは九軒以上ですか。九軒未満は不起訴になっているか、あるいは十軒以上が起訴されているような、だけども、あなたのほうじやなくて、検察庁、法務省関係に伺わなければならぬと思いますが、実情はどういうふうになっているのか。法律では、たしか一軒でもいかぬことになっていますよ。しかし、実際罰せられているのはどうですか。実情ですね。
#29
○政府委員(宮地直邦君) 私のほうでは、違反がありました場合においては送致いたしますが、結果的にどういうふうに起訴になっているかということを見ますと、九軒という数字につきましては、そういう数字はないと思いますけれども、もう少し低いんじゃないかと思いますけれども、状況によってもう少し低い数字のところで事件を送致されているように結果的に判断いたします。これも、戸別訪問につきましても、単純なる戸別訪問あるいは他の件と併合してくるようなもの、そういうものによってまた状況も変わってきている。ただ、感覚的には、一軒回りましても、これは戸別訪問になりますけれども、そういうもの等の取り扱いにつきましては、実情等を十分勘案して、科罰において勘案している、こういう実情であろうかと存じます。
#30
○成瀬幡治君 僕は九軒未満ということを言いましたのは、あるいは間違っておるかもしれませんが、あるいはあなたが少ないと言うから、それじゃ五、六軒になるかどうか、そこのところはわからないが、大体私が今まで承知している範囲内では、選挙のつど、何か検事会同がありまして、そこで、何軒以上のものは今回は起訴するというようなことを申し合わせをやられているのが、だんだん数字が下がってきたのだ、そのことが逆に、戸別訪問に対して処罰を重くしていこうという考え方が現われているのじゃないだろうかということを、今提案者のほうからも言われておりますが、そういうところに現われている。そこで、二軒や三軒のものは起訴せずに、それじゃ五、六軒あったのだから起訴するという、そういう割り切り方ということについて、片一方じゃどうも二軒や三軒ほどやるのは、罪だけれども、これは検察庁が不起訴にするんだからやると、それ以上のものは起訴されるからたいへんなことになるからやめるんだということで、やるほうの側は、それの政治的な判断でやれることは私はできると思うのです。あんまりいいことだとは思えないのですが、しかし、そういうことをあなたのほうでも検察当局も納得しておられると思いますが、そういうことについては、どういう判断をしていますか。一軒でもぴしゃっとやってしまわなければいかぬ、こういうお考えなのか。いやいや、適当なところで、罪はあるけれども罰しないほうがいいから、なるべく適当なところで処置することがいいんだというようなお考えなのか。
#31
○政府委員(宮地直邦君) 検察庁に一定の起訴の判断の基準というものがあることは、結果的にわかりますが、そういうようなものも、必ずしも、私どもも、結果的にわかりますことでも画一的なものではないと思っております。たとえば現在でも、法の不知に基づきまして、結果的には戸別訪問をしたというようなものがございます。今度は逆に、法は百も承知していながら今申されたように、ある意識的な起訴基準なんというようなものを念頭に置いてやるというような場合に、取り扱い方というものは、おのずからこれは実態に即しての取り扱いになっておりまして、われわれのほうにおきましても、画一的な取り扱いはいたしていないのであります
#32
○中尾辰義君 それで、戸別訪問の選挙法における規定でありますが、これは、百三十八条に、「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって戸別訪問をすることができない。」この一項目しかないわけです。したがって、これに類似するような行為がたくさんあるわけですね。たとえば、友だちの所に社交の目的で行った。世間話が出まして、そのついでに選挙の話が出た場合に、たまたまそれを依頼した。こうなれば、これは戸別訪問じゃない、あるいは道ばたを通っておりまして、横っちょにたんぼがあった。そこに田植えをしておったので、たまたま向こうのほうから話しかけられたので、ちょっと頼んだ、こういうことは、これは戸別訪問にならない。このように。現行の戸別訪問規定というものがはなはだ不明確である。そういうところにも、今局長からおっしゃったような、戸別訪問のある軒数が不起訴になるというようなこともあるのじゃないかと、こういうふうに思うわけです。
#33
○小酒井義男君 選挙局長、戸別訪問を現在認めておる国というのは、どういう所ですか。
#34
○政府委員(松村清之君) 世界の国でどこどこという、その詳しい知識はございませんか、先ほどからお話が出ておりますように、英米等においては、これは認められておりまして、おそらく禁止されておるというのがほとんどないのじゃないか、そういうふうに思います。
#35
○小酒井義男君 それから提案者にお尋ねをするのですが、私、候補者になるようなものは、当事者は相当の政治的な、あるいは選挙運動に対する一つの常識を持っておると思いますが、運動をやる人も、無制限に戸別訪問を運動員がやるようになると、それが末端においては少し度が過ぎて、相手方の迷惑ということが、妥当かどうかわからぬのですが、時間的やあるいはいろいろな点で、相手方に非常にいろいろ影響をするような結果が出る心配がないか。そういうことを防止するような方法というものは考える必要がないかどうか。そういう点は、どうお考えになっておりますか。
#36
○委員以外の議員(渋谷邦彦君) 昭和二十五年に、候補者のあの戸別訪問が認められましたときにも、やはり今、小酒井さんがおっしゃったようなことが非常に問題になりました。確かにある一定の選挙人の家に入れかわり立ちかわり候補者もしくは運動員等が押しかけていくということは、十分に予想される問題ではないかと思います。そうしますと、心然的に起こる問題は、はなはだ迷惑である、自来、先ほども申し上げたのですが、わが国の選挙法が戸別訪問を禁止した。そういう経過から考えましても、そういうことが非常に言われるのでありますが、他面、そうしたことが、非常にうるさいということが、一つは政治に対する関心があまりないというようなことも言える。もう一つは、もしそういうふうに迷惑になるようなことが頻発すれば、それはむしろ候補者にとってマイナスではないかというようなことが一つ言えるわけであります。そうしますと、おのずからそこには、候補者自体も運動員自体も自粛した気持で、選挙に対する啓蒙あるいは運動、こうしたものが、一挙にとは申しませんけれども、何回かの選挙を重ねていくうちに、その方向にいくのではあるまいか、こんなふうに考えておりまして、やはり一つの新しい方向をここで打ち立てるためには、少々の障害があっても、これをやったほうが、むしろ将来の結果においては非常に効果的であるまいかというふうに考えている次第であります。
#37
○成瀬幡治君 最後にひとつお尋ねしておきたいと思いますが、第四点の改正点として、演説回数の制限を撤廃されて、たくさんやったほうがいいじゃないか、こういうような御趣旨の改正のように、御趣旨がそういうふうにとれるのですが、選挙は公営にもっていったほうがいい、こういう点については、提案者のほうにも御異論がないことだと思いますが、立会演説会の回数をうんとふやしていこうというような御意図はないものでしょうか。いわゆる個人演説の回数というもの、立会演説のほうをたくさんふやしていくということは、個人演説会のほうにその影響があるわけなんです。ですから、両立するということは、いろいろな点じゃできるかもしれないが、なお一方では、時間的な制限等があって、なかなか不可能なんですけれども、最終的に狙っておられる方向は、個人演説会のほうを主にしていこうとされておるのか、それとも、立会演説会というようなものの回数をうんとふやして、選挙公営のほうにいこうとされておるのか、ちょっとその点、了解に苦しむ点がございますから、そのことについて……。
#38
○中尾辰義君 選挙公営ということは、非常に選挙の平等という立場におきましていいような気もいたしまするが、反面におまして、あまり公営で束縛することは、選挙の官僚統制みたいな格好になりまして、十二分に候補者の意思というものが徹底しないのじゃないかということ、これを一つ考えております。
 それから、公営選挙、立会演説、それもけっこうだと思いますが、現在の実情は、大体においてさくらとか政党関係の人、もうすでに成瀬さんなら成瀬さんに、きまったような方が大かた行っておる。こういうような現状ではなかろうかと思う。ほんとうに聞きたい人は、ほんのあれは何割も入っていないです。ですから、それの運営をあまりにも縛るということはどうかと思うのですがね。ですから、やはり個人演説会もある程度平行して認めたほうがいいのじゃないかと、こういうふうに思っております。
#39
○成瀬幡治君 若干の意見を入れますと、片一方では、政治意識の高揚等から、非常に戸別訪問等はフリーにして、候補者がどんどん家庭訪問をして政策を訴える。個人演説会もそのために必要である。しかし、中尾さんが指摘されるような、むしろ個人演説会のほうが、ある特定な人のファンの方が多く集乗り、むしろ公営をやったほうが、大勢の人の意見がわずか限られた時間で聞けて、むしろ私たちは、政治意識と申しましょうか、いわゆる選挙するほうの側にとって便利じゃないだろうかと、むしろそうするほうが政治意識等も高揚してくるのじゃないかというような私は意見を持っておるわけです。ですから私は、個人演説会の回数をふやされるということもわかるのですよ。わかるのですが、むしろ立会演説の回数等をふやしていくという方向に促進していくほうが大筋じゃないだろうか。どちらがグレート・コースかとおっしゃるなら、立会演説会をうんとやっていくほうがむしろいいのじゃないかというような見解を持っておるわけであります。これは意見でありますから、そうじゃなくて、こういうことをやっていくのは官僚統制だとおっしゃれば、これは、われわれのほうとしては、何をか言わんやでありますが。
#40
○中尾辰義君 私の意見は、立会演説はだめだというわけじゃないのです。やはり両方ともに長所がありますから、平行してやったらいいじゃないか。立会演説会のみをやりますと、やはり自分があの方向で個人演説会をやりたいというようなことが相当制限されてきます。そういう意味におきまして、両方ともに平行してやってもいいのじゃないか、こういうような考えであります。
#41
○成瀬幡治君 これは参議院の特に全国区の問題と、それからいろいろの問題と、私は意味が違うと思います。そういう点で、参議院の全国区等においては、立会演説ということはなかなか容易じゃない。だから、そういう意味において、個人演説会等をふやしていくということはいいのじゃないか、こういう点については、私は異論はないわけです。ところが、ただ、たとえば衆参両院議員だとか、あるいは都道府県の知事、指定都市の長等まで入っておりますから、そういう点について若干疑点を申し上げたわけです。これは別段御答弁を承ることはないと思います。
 以上でございます。
#42
○小林武治君 二、三伺いますが、先ほどから戸別訪問の問題がありますが、私も、その後いろいろの人に尋ねてみたり、相談をしてみたりすると、どうもこの段階においては好ましくないというふうな意見が非常に強い。はっきり言えば、反対の意見が強い、こういうことになっておりまするが、よく選挙に人海戦術ということを言っておりますが、この人海戦術というものが非常な弊害を来たすし、事実上金が非常にたくさんかかる、こういうことになっておりまして、実際は、人海戦術で相当の戸別訪問を行なっていることは、まぎれもない事実でありますけれども、これを公認するということになると、ほんとうに日本人は、割合にそういうところに野放図に乗っていく、こういう傾向が必ず出てくるので、さっきからお話があったように、もう有権者は煩にたえない。それは、おのずからそういう者には票を投じないというようなことをおっしゃいまするが、しかし、もう実際問題になれば、何らそんなことは考えないで、むやみに戸別訪問をする。また有権者のほうも、中には、あれは一度しか来なかった、彼は二度来た、三度来た、こういうふうな問題が必ず出てきて、それによってまた投票に軽重をつけるということもありますが、しかし、戸別訪問するということも、ほんとうにこれが適正に行なわれれば、またこれはあまり捨てたものではないと思いまするので、無制限に認めるということよりか、場合によったら、候補者はいい、あるいは運動員を三、四人きめて、それはいいと、こんなような考え方はさっぱりありませんか、あなたのほうには。
#43
○委員以外の議員(渋谷邦彦君) ただいまのお話、私どもとしても一応考えた問題でございます。一つは、期間に制約があるとか、要するに、費用等において制約があるというようなことも考えますと、人海戦術ということも、ある意味においては避けられるのじゃないだろうか。特に費用の面でございます。労務者を使用するという形になれば、当然法定費用がございますので、その制約を受ける。また、期間中にそうしたような行為をして、はたして今度は、選挙人のほうに対する意識というものがどういうふうな反映をもって迎えられるであろうか。一つ考えられることは、非常に迷惑である、先ほどもそうしたような御趣旨の御質問があったわけでありますが、そうしたことから、選挙というものは非常にわずらわしいということも考えられます。しかし、ある意味におきましては、そういう段階を経て、やはり政治に対する意識というものを高揚するということも必要でありましょうし、また、選挙人が被選挙人にするいろんな評価、また推薦、これは本来民主主義の思想から申し上げましても、本来自由でなければならない。しかし、あくまで選挙の公正という面から考えれば、今までいろんな制限を受けてきたわけでありますけれども、この際、国の今後の行き方、方向というものも、民主主義政治化というような事態になっているわけでありますので、そうしたことを十分考慮して、選挙人という、まあ選ぶほうの立場というものの意思を十分に尊重すべきではないか。さすれば、その人海戦云々ということも、あるいはその本人がほんとうに有能な人を推薦するにあたって、自発的にやることは、この際制限を加えるべきではないのじゃないか。それがあるいは、今おっしゃられたように、非常に組織的な力を用いてやるというようなことも一応考えられますけれども、しかしそれも、ある一定の過程においてやむを得ないことではないかと、こんなふうに考えておる次第でございます。
#44
○中尾辰義君 今度は、選挙運動という立場から考えてみますると、まず選挙というのは、どうしても候補者を中心にして運動方針ができておるように思うわけです。候補者は、立会演説ができる。個人演説会もできる。あるいはラジオでもってあいさつ演説ができる。街頭演説もできる。ところが、選挙運動員というのはいかなる運動ができるか。ほんとうにあの人のために運動したい。こういう人がおりまして、さて、それならばどういうようにやるか、考えた場合に、演説会におきましてはまあ演説ができる。これは限られた人だけでありまして、あとはどうすればいいのだ。電話よろしい。それからあとは何だとなりますると、これはほかにあまりないのです。あるいは個々面接とか、あるいはふろ屋へ行ったときに、たまたま会ったので頼んだ。この程度しか実はできない。ですから、選挙の態様というものが、すでに大正十四年以前の制限選挙とは違っておりまして、まず二十才以上の有権者全部運動ができることになっておりまして、態様そのものが違っておる。しかも、得票そのものも、十四年以前と戦後とは、これは得票の数も違いますし、そんなにむちゃくちゃもできないのじゃないか。しかも、そうすることによって、その人の人格なり主張なり政策等の徹底もできるし、こういういい面もありますし、また、買収が非常に伴うということもありますが、私は、この買収という問題は、戸別訪問を自由にしたら買収がどうだろうということを考えてみたのですが、現在の法律におきましても、買収は相当ウナギ上がりに上っておるわけですが、戸別訪問するから買収が伴うのか、それともまた、買収をすることが、すでにねらいをつけて、あすことあすこをひとつ買収しようと、事前において計画をしているものが、そんな大勢の前で買収をするわけにいきませんので、これはどうしても一人で、個々に、個別的に会うということになるのでありまして、やはり戸別訪問と買収というのは切り離して、買収をした者は厳重に処罰すると、こういうふうにしたほうがよくはないかと、こういうふうに思っておるわけです。
#45
○小林武治君 私のお聞きしているのは、全面的に解除するということが、この際としては非常に行き過ぎになりはせぬか。したがって、候補者とか、人に制限をすると、こういうことがどうかと、漸進的な問題、まず初めにはそういうふうな制限的な戸別訪問と、こういうような考え方はないかと、こういうことを伺っておるわけです。
#46
○中尾辰義君 その点では、私はまだ考えておりませんが、制限いたしますると、いわゆるこれは、戸別訪問要員というものが職業的になりまして、ほんとうに民意というものが、有権者の意思というものが通じないのではないか。ただ頼まれて戸別訪問要員が何名か動くと、こういうふうになりまして、かえって選挙の平等といったようなものがおかしくなるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。
#47
○委員以外の議員(辻武寿君) 小林先生が心配された先ほどの人海戦術でございますが、私どもも、これは先生のおっしゃっているようなおそれは非常にあると思います。それで、人海戦術というものは、考えてみれば、これは組織を持った組織体が行なう場合に、人海戦術というような形になって現われてくる場合がもうほとんどだと私は思うわけでありますが、それであれば、組織体であるならばそういうことは組織を通じても、過度になるようなことはとめなければならないし、また、それこそ国家の公明選挙のPRにおいても、先ほど問題になった、夜おそく行くとか、人が迷惑になるとき行くとかいうような非常識な線はやめようじゃないかというような、公明選挙のひとつスローガンでも掲げてPRしてもらう。人海戦術を行なうおそれのあるもし組織体であれば、これも組織を通じて、自粛するようにしなければならないと私は思うわけでありまして、ある一定の数ということは、制限してみても、結局はむだになるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。
#48
○小林武治君 私が心配するのは、組織のある方が組織を動かすということはそう金もかからぬが、組織のない者が人海戦術をやるのですよ。それが非常に金をかけ、迷惑をかける心配があつて、むしろ組織体のない者のほうのことを私は心配しておるのですが、それで、今でも実際、候補者がどこにもたずねてはいかぬというのは酷じやないかと思うのです。場合によっては、候補者の戸別訪問を認めたらどうか。こういうようなことも考えられるのです。それだけ解除しても一つの方法じゃないかというような気もするのだが、そんな程度じゃだめだ、こんなことですか。
#49
○委員以外の議員(辻武寿君) 候補者の戸別訪問は、もちろん私は許していいと思うわけであります。組織のない人が金を使って人海戦術をやるおそれがあるというお話でございますが、確かにそのおそれもあるかと思いますが、現在でも、禁止されているにかかわらず、そういったことは実際に行なわれているのじゃないかと私は思うのです。要するに国民の政治意識を高揚するためにも、過渡期にあっては、そういった今一つの心配されることもありますが、これをいつか、試練を経て脱皮していくうちには、英米あるいはドイツ以上の優秀な日本人でありますから、そこのところは、高度の政治意識になって、世界に模範的なオープンな選挙が行なわれるようになり得ると、私は確信するわけであります。
#50
○小林武治君 戸別訪問は今禁止されておるが、事実上行なわれておるということは公然の秘密でありますが、しかも、公然と行なっておる戸別訪問の類似行為、たとえば組合の者が労働運動のためにたずねる。あるいは教員がいわゆる家庭訪問をする。いろいろな。全く内容は戸別訪問であるのでありますが、他の名目をもって個々にたずねておる。こういうものが非常に横行しておる。戸別訪問を禁止する趣旨をなくしておるようなものがありますが、警察は、そういうものについてはどんな考え方を持っておるのですか。実際われわれ見ておって、これは明らかに個別訪問だ。それが白昼公然と行なわれておるという事実が至るところにあります。警察としてはどういうふうに考えておられるか。
#51
○政府委員(宮地直邦君) 労働組合等の行為につきましては、その労働行為の内部行為として許される範囲におきましては、これは是認さるべきものだ。それから、今お尋ねの教組の先生が行なう家庭訪問でございますが、これらにつきましても、家庭訪問ということ自体において、われわれは触れるべき問題ではございませんが、家庭訪問に籍口したいわゆる選挙運動ということになりましたら、これは、今の御質問の点、そういう点がかつて非常に多うございましたので、十分これは取り締まって参ったことでございます。しかしながら、いずれの場合におきましても、これらはそういう内部行為なりや、あるいは純然たる教職員の行なう職務行為なりや、こういうふうな点と選挙運動ということの立場というものにつきましては、非常に技術的にわれわれは苦労をいたしておるところでございます。
#52
○小林武治君 もう一つ模範的のことは、署名運動ですね。それが選挙運動期間中でなければいいが、選挙運動期間になっても、いろいろなことで署名運動というものをして戸別訪問をしておる。これはまあどう見てもいわゆる選挙の戸別訪問と実態的にわれわれ考えざるを得ないが、それも警察はあまり触れておらぬ、こういう傾向があるわけですが、客観的に見て選挙運動と認定できるようなものは、もう少し警察も注意をして見ておったらどうかと思うのですが。その点はどうですか。
#53
○政府委員(宮地直邦君) 小林委員御承知のとおり、選挙に関する署名運動は禁止されておるわけでございますが、他の名目、たとえばリコールや何かの署名運動それ自体もまた、これは禁止することができない。そういう他の許された名目の署名行為について、選挙運動が行なわれるかどうかという問題がこのお尋ねの点だと思います。われわれのほうにおきましても、そういう疑いのある場合におきましては、警告した場合も従来ございます。ただ、われわれのほうが、世間でそれは選挙運動だというふうに見られた場合におきましても、証拠がございませんというと、これまた反面におきまして、それ自体の選挙運動の干渉にもなりますので、そういう点の取り締まり技術的な面におきまして、非常にわれわれ困難であると同時に、今のような御質問が出てくるものだと思いますが、むしろそういうふうな、他の名目に籍口した戸別訪問等につきましては、われわれのほうは特に注意をいたしておるところでございます。
#54
○小林武治君 選挙局は、一つの立法論として、選挙運動期間中には、客観的に見て、選挙運動と思われる戸別訪問なんか規制するというふうな考え方はないものですか。選挙運動期間中に、他の名目に籍口して公然と戸別訪問をするというような事態が今あるのですが、これは、警察としては、なかなか取り締まりはむずかしいと思いまするが、立法的には考えようはありませんか。何か
#55
○政府委員(松村清之君) まあ方法は全くないわけでもないと思いますけれども、なかなか立法技術的にも非常にむずかしいものがあるのじゃなかろうか、そういうふうに考えておりまして、今のところ、特段そういうことを考えておるわけではございませんが、なお十分、そういう点につきましては、選挙制度審議会等でもひとつ御調査を願いたいと思います。
#56
○小林武治君 この法律案は、公明会が御提案になっておるわけですが、いろいろ今、選挙の問題で懸案になっておるものは、全国区の問題があるわけですが、こういうことについては、選挙制度審議会等でも、また世間でも、全国区というものは何か改善をしたい、こういうことを言っておりますが、公明会としては、これについては何かお考えがありますか。
#57
○中尾辰義君 全国区制につきましては、すでに新聞等にも、自民党の三木さんなんかの案も出ております。いわゆる全国区制を比例代表制にしようじゃないか、そういうように出ておりますが、全国区を始めました理由そのものが、やはり全国から優秀な学識経験者、あるいは職能代表、そういうものをもって、衆議院とは違った議員ですね、つまり衆議院はもちろん政党本位でございますが、参議院は、そういう有能なる人材をもって、また独自の立場において審議をしようということがねらいでありました。そこで、ああいったような比例代表制にいたしますると、どうしても衆議院と参議院というものが同じようなふうに政党化されて、まあきょうあたり、失対法なんかの問題をやっておりますが、ああいうことがますます盛んになるのじゃないか、こういうふうに思いまして、私どもといたしましては、全国区制は現状のままでよろしいのではないか、こういうふうに考えております。
#58
○小林武治君 政党化の問題もありまするが、公明会も政党になったわけですね。政党なんですね。だからして、政党にもいろいろな考え方がありまするが、衆議院と違った政党、衆議院と同じような政党化は困る、そのほかならばいいと、こういうことなんですか。
#59
○中尾辰義君 政党化の問題でありますが、現在は政党政治でございますから衆議院は当然でございます。しかしながら、参議院のほうは、やはり戦後におきましては緑風会等が出て参りましたが、ああいうような、衆議院とは別個の立場において審議をする、そういうような団体でなければならないのじゃないか。参議院そのものが、全部無所属にして、ばらばらでは、これはやりにくい。ですから、若干の会派等があることは、これはやむを得ない。そこで、その会派そのものが衆議院と参議院とが同じものである、こうなれば、何ら意味がないじゃないか、こういうことですね、そういうことで、全国区制は現状のままでいいのじゃないか、こういうふうに思います。
#60
○小林武治君 それからもう一つ、選挙運動について伺っておきますが、参議院の各派は、たいへん連呼をぜひ認めろということを言っておりますが、この点についての公明会としてのはっきりしたお考えがありますか。
#61
○中尾辰義君 連呼はここに書いてあります。
#62
○小林武治君 認める……。
#63
○中尾辰義君 衆参両議員と、それから都道府知事及び五大市の長の場合は、連呼をやってもいいじゃないか、こういうふうに考えております。いろいろな新聞等における批判もございまするが、新聞でああいうような批判をしていらっしゃる方で、前回の選挙にも二、三出た方もいらっしゃるようです。自分で実際やってみますと、なかなか選挙区域がありますので、私は、選挙する前は連呼というものには反対であったが、実際自分が出てみれば、これはどうしてもやらなければだめだ、こういうふうなことが新聞に出ておったように私は思っております。ですから、このように提案をしたような次第であります。
#64
○小林武治君 もう一つ、よく問題になりますが、今度は、前の選挙の経験にかんがみて、もうポスターなどは公営にしてしまおうというような、社会党も自民党もそういう意見を持っておりますが、それをやっても、事前運動としてのポスターももっとうんと出るだろうし、今でも、後援会活動とかということで、事前運動が非常に盛んですが、こういうものを今のような状態で放置してもいいかどうか、こういうようなことについてはどういうふうにお考えですか。
#65
○中尾辰義君 ポスターの問題は、今衆議院のほうで検討されておるようでございます。掲示場を公営にしようということが出ておりますが、あれもいろいろな考えがございましょうが、どうしても都会等は、それならば、適当な場所にポスターの掲示場というものがはたして見つかるかどうか。前回の参議院の選挙のときも、公営のポスター掲示場がございましたが、実際場所の問題で、とても人の目につかないような所に無理をして作ってあった。こういうようなことから考えまして、私どもは、それはそれでいいでしょうが、それじゃそれのみで、あとは全廃をしようということは少し検討の余地があるのじゃないか、こういうように考えておるわけです。
#66
○小酒井義男君 ちょっと関連して。政府のほうへ、選挙局長のほうへお尋ねしたいのですが、公営のポスターの掲示場ですね。あれは、たとえば候補者が非常に少ない場合でも、スペースだけ幾つか数があって、そうして一つのところと三のところと五のところと張るというふうで、あるいはもっと固まってしまうというような、非常に不体裁なものをよく見受けるのですがね。あれは何か直す必要があるのじゃないですか。
#67
○政府委員(松村清之君) お話のような状況、まことに遺憾でございますが、これは、実は、立候補届出を締め切って、そのあとでポスターの掲示場を設けるということにいたしますならば、そういうことはあり得ないのでございます。ただ、ポスターをなるべく早く張っていただくようにいたしますために、告示の日から掲示場を設けるように指導いたしております。これは、法律的にはどうということはないのですが、そこで、結局、ある予定を立ててやりますので、候補者数が思ったより少ない場合に、今のような状況が起こりますので、現に今回の東京都知事選では、十三名候補者が立ったわけですが、ポスターの掲示場は、もっとそれ以上に予定して作っておったのですが、現実に張った人は三名にすぎない。まあそういうことで、非常な空白、むだが起こる、こういう実情になっております。
#68
○小酒井義男君 そこで、たとえば八つなら八つとっておきますね。そこで、候補者が三名よりなかったという場合は、一、二、三ぐらいの場所にポスターを張るようなふうにきめれば、ああいう広い場所にばらばらと張るということは直せるのじゃないですか、そうすれば弊害がありますか。
#69
○政府委員(松村清之君) これは実は、今申しましたように、告示の日から張れるようにということで、余裕をもってポスターの掲示場をとってあります。そこで、たとえば二十名予定されるといたしますると、一から二十の場所を告示の日に届け出た候補者について抽選できめますものですから、どうしても、あとで候補者を締め切った場合に十名ぐらいになりますると、あちこちに空白ができる、こういうことになるわけでございます。
#70
○市川房枝君 公明会の中尾さん、ちょっとお伺いしますが、先ほどの小林委員の御質問に対して、衆議院は政党化でなくちゃならぬ、しかしまあ参議院は、政党でない、前の緑風会みたいな存在、そういうものがいいという御意見を伺ったのですが、政党というのと政治団体というのと少し違うかと思うのですが、今の公明会は政治団体でいらっしゃるのですね。そうしますと、公明会が参議院だけの政治団体でおいでになる間はいいけれども、もしこれ衆議院もということになると、これは御趣旨に反することになりますね。その点、ちょっとお伺いしたい。
#71
○中尾辰義君 私のほうは、現在衆議院に出ないというふうになっております。どこまでも参議院でもって批判し、検討していく、こういうことになっております。ただ、私が申し上げたいのは、それならば、参議院を無所属でばらばらでいいかと、こうなると、これはとてもできないことですから、やはり幾つかの会派というものがなければ、まとまりはつきません。
#72
○市川房枝君 選挙局長にちょっと伺いたいのですが、この間の地方選挙でも、これは、東京地区における選挙の実情といいますか、いろいろな点が問題になっておりますけれども、一つの点は、選挙管理委員会が、たとえば立会演説会なんかにおける非常なヤジの妨害なんていうことに対して、適切な措置を講じなかったということだとか、あるいは証紙が違反しているということで、社会党から摘発をなすったのですが、それに対して選挙管理委員会がすみやかにあれを取らなかったという批判もありますが、自治省のほうとしては、東京都の選挙管理委員会の地方選挙の執行についてのやり方としては、どういうふうにお感じですか。
#73
○政府委員(松村清之君) 選挙管理委員会としては、私は十分努力いたしたと思っていますが、今具体的に申されました例について申し上げますと、立会演説会につきましても、あらかじめ都の選挙管理委員会は警視庁と十分打ち合わせまして、この各立会演説会に、私服の警察官であったと思いますが、待機していただく、こういう措置をとって臨んでおったのでございますが、ただ、この立会演説会というものは、その性格上あまりこれを抑圧すると申しますか、ヤジ等についても、いかなる段階でこれを制止していくか。制止する場合に、警察官の力をいつの段階で借りるか、こういうことは非常にむずかしい問題で、立会演説会の性格上、むしろできるだけ自由にということが望ましいと思いますので、その辺の判断が非常にむずかしかったのだろうと思います。ただ、現実には、選挙管理委員会も、選挙法の規定に基づいてヤジを制止し、また退去を命じております。ただ、退去を命じましたけれども、なかなかああいう集団になりますると、また会場に入ってくる。こういうことであったようでございます。それだからといって、直ちに警察官の応援を求めて、これを排除するということも、これもなかなかむずかしいことであったのではないかと思っております。それから、証紙の問題につきましては、これは私は、選挙管側には少しも落度はなかったと思います。にせ証紙があったということを連絡を受けましたのが投票日の直前でありまして、しかし、このにせ証紙があったと言われても、これがはたしてほんとうににせなのかどうなのか。こういうことを確かめた上でなければ何ら措置をとるわけにいきませんから、そこで、証紙を印刷した会社と警察のほうに、本物であるかにせであるか、その依頼をしておるうちに投票日も過ぎてしまった。こういう状況になっております。
#74
○市川房枝君 今、東京都のことを特に伺ったのですが、都といわず、全国的に見て、選挙管理委員の人選の問題、あるいは選挙管理委員会の運営の問題について、今まで少なからぬ非難があったといいますか、これは、私どものほうにもそのあれが来ておりますが、それで、第一には、選挙制度審議会の答申に基づいて自治法が改正になりましたけれども、この間の地方選挙の行なわれた地方の選挙管理委員会について、自治省としては、どんなふうにお考えになっておるか、お伺いします。
#75
○政府委員(松村清之君) 私どもの役所からながめてみました場合におきましては、都知事選挙にいろいろ問題はありましたけれども、全国的に見ました場合に、全国的な観点でございますが、選挙管理執行の面に関する限りは、問題らしい問題は起きなかった、こういうふうに見ております。決して選挙管理委員会が今度の地方選挙で工合が悪かったというところは、それは中には若干あろうかと思いますけれども、大体としては、十分その努力を尽くしておる、こういうふうに考えております。
#76
○市川房枝君 今、選挙の管理執行に関する面においてはと、特におっしゃったようですが、そうでない面といえば、これは公明選挙運動といいますか、選挙啓発のほうといいすかそちらのほうはいかがですか。
#77
○政府委員(松村清之君) 私が管理執行の面に関する限りと申しましたのは、実は、管理執行の面以外においては、いろいろ選挙違反があったことは否定するつもりではなくて申し上げたのですが、選挙違反に関連して、公明選挙運動という面におきましては、私は、今度の地方選挙に、選挙管理委員会あるいは地方の公明選挙推進協議会が一生懸命に公明選挙運動に尽くしたということは、これは私は認めていいことだと思います。
#78
○市川房枝君 改正された自治法による選挙管理委員の任命と申しますか、改選といいますか、それは、地方によって違うかもしれませんけれども、大体いつですか。
#79
○政府委員(松村清之君) これは、たしか来年の暮れ、これはまちまちでございますが、来年の十二月が全国で改選になる時期になる所が多いのではないか、そういうふうに思います。
#80
○市川房枝君 それは、やっぱり今度は四年になりますね。そうしてやっぱり毎年かわっていく制度は同じことですね。そうでしたか。全部かわるのでしたか。
#81
○政府委員(松村清之君) 四年ごとに全部改選されるわけです。
#82
○斎藤昇君 先ほどから、戸訪別問禁止の撤廃について、いろいる御質問を他の委員からいたしましたが、私は、戸別訪問だけでなしに、先ほど戸別訪問についてお話があったように、日本のように選挙運動を非常にこまかく規制をしている国はあまりないように思うのです。他の国の例はどんなものであるか。私の知っている限りでは、普通選挙になる際に、非常にきびしくあらゆる面から取り締まり法規をきめたわけですが、必ずしもそれで実効が上がっているとは思えない。そうかといって、取り締まりを全部野放しにせいというわけじゃありませんけれども、他の先進国、あるいは後進国と言つちや語弊があるかもしらんが、日本よりまだ後進国とみなされる所においても、日本のこの取り締まりの規定というものは、これは他の国に比べて非常に進んだやり方だと思っておられるか。あるいはこれで外国並みであるのか。もしそうでないとすれば、こういうようにやっていかなければならぬという、何か日本に本質的な人情風俗というふうな由来があるのか。それらの点について、もし検討あるいは研究されたことがあれば、選挙局長からひとつお話しを願いたい。
#83
○政府委員(松村清之君) 今御指摘のように、選挙運動に関していろいろな制限が設けられておりますことについては、わが国の選挙法ほど複雑多岐にわたっておる所はおそらくないと思います。イギリスにしてもアメリカにしましても、買収供応というようなものに類するものにつきましては、これは厳重に制限しておりますが、その他の言論文書に関して、これほど制限していることはないと思いますし、また、西ドイツにおきましては、選挙違反というものがそもそもありませんように、選挙法では犯罪が起きないようになっております。ただ、ポスター等に関して、日本の広告物取締法に該当するような場合に犯罪になるのであって、選挙法からは犯罪が起きないような、そういうふうになっておるというふうにも聞いております。そこで、これが進んでおるのかどうかといいますと、これは、見方はいろいろあると思いますが、まあこれは、日本の国民の一つの政治的レベルから来る問題であろうと思いますけれども、現在政府の関係いたしております選挙制度審議会等におきましては、第一次審議会以来、選挙運動特に言論文書に関してはできるだけ自由にしていくこと、こういう方向を向いていろいろ検討をいたしておるような次第でございます。
#84
○委員長(青柳秀夫君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#85
○委員長(青柳秀夫君) 速記をつけて。
 本日はこの程度といたしまして散会いたします。
   午前十二時散会
ソース: 国立国会図書館
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