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1962/06/11 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 建設委員会 第21号
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1962/06/11 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 建設委員会 第21号

#1
第043回国会 建設委員会 第21号
昭和三十八年六月十一日(火曜日)
   午前十時三十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木村禧八郎君
   理事
           石井  桂君
           稲浦 鹿藏君
           増原 恵吉君
   委員
           岩沢 忠恭君
           熊谷太三郎君
           小山邦太郎君
           田中 清一君
           三木與吉郎君
           米田 正文君
           瀬谷 英行君
           田中  一君
           藤田  進君
           中尾 辰義君
           田上 松衞君
  政府委員
   建設政務次官  松澤 雄藏君
   建設省計画局長 町田  充君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       武井  篤君
  説明員
   建設省計画局総
   務課長     小林 忠雄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○不動産の鑑定評価に関する法律案
 (内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木村禧八郎君) ただいまより建設委員会を開会いたします。
 さきの理事会の結果を御報告いたします。
 本日は、不動産の鑑定評価に関する法律案の質疑を行ない、次回十三日に河川法案の提案理由の説明及びこれに対する補足説明を聴取することにいたします。
 では、本日の議事に入ります。不動産の鑑定評価に関する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
#3
○田中一君 きょうは、逐条的に問題点を質問して参りますが、第一の問題として、定義の件についてでありますが、第二条の「この法律において「不動産の鑑定評価」とは、土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、」、所有権以外の権利の経済価値というものを、われわれ今日の社会において通常認められておるもののうち、物権的な存在として慣行上扱われているもの、それから精神的に価値づけられているもの等を分類して説明をしていただきたい。
#4
○政府委員(町田充君) 土地もしくは建物に関します所有権以外の権利といたしまして、私どもが通常の形といたしまして、地上権、永小作権、地役権、採石権、質権、抵当権その他のまあ使用貸借、または賃貸借による権利、そういうものが包含されるものと考えております。
#5
○田中一君 その他というような表現でなくして、永代小作権というものは、法律にも明らかになっているように、これは物権として扱われると思います。しかし、そうでない通常われわれ社会において慣例として認められているものを分類して説明してくれというのです。永代小作権だけはたしか物権的な権利を法律上認められておると思います。その他のというような抽象的では困るのであって、これこれこれこれである、物権的なものとしてはこれこれこれこれである、通常の権利と称するわれわれ社会において認められているものはこれこれであるということなんです。また、もう一つ言えば、銀行、金融機関等では、この抽象的な所有権以外の権利というものに対してどういう扱いをしているかという点も聞きたいと思うのです。これは非常に重大なものであって、こういうものが常に国が土地等の収用を行なう場合には、非常に極限した権利のものでそれを取得しようとする、今、国並びに公共団体が行なっていることのうちでもって一番明らかにしているのは、首都高速道路公団が他のものと比較して非常にこまかく分類して諸権利というものを表示しております。だから、今のようなことはむろん入りますが、もっと明らかにしていただきたいと思う。はっきりとこれとこれとこれとこれはこういうものだ、これとこれとこれはこうなっていて、こういうものはその権利として通常認められておるというようなことに分類していただきたいのです。あなたの説明しようとするものと、僕の質問しようとするものとが食い違っては困るのです。また、この質疑応答が、即社会における権利、いわゆる所有権以外の権利ということにきめつけられるわけなんだ。もう少し詳しく親切に具体的に説明してもらいたい、ゆっくりでいいから。
#6
○政府委員(町田充君) 土地収用法の場合も、土地あるいは建物に関します所有権以外の権利としてある程度書いておるわけでございますが、それが先ほど申し上げましたように物権的なものといたしましては地上権、永小作権、地役権、留置権、質権、抵当権、こういうものが物権的なものでございます。債権的なものといたしましては、使用貸借なりあるいは賃貸借に基づきます使用権、こういうものが入ってこようかと思います。それ以外に限定的に話をしろと、こういうお話でございますが、明らかに法律上の権利として民法なりその他の関係法律に書かれておりますのは、そういったたぐいの権利でございますが、そのほかに、慣行的なものとしていろんな形態のものが考えられるわけでございまして、そういうものを総括的に的確な表現の方法がないものですから、法律では、その他使用貸借、もしくは賃貸借に基づく権利というふうな表現をとっておるわけでございまして、そのほかに何か具体的なものがあるかとおっしゃられますと、今さしあたって思い浮かぶものはございませんが、こういう法律的にはっきり権利としてうたわれておるようなもの以外で、長年の慣行あたりに基づく権利として習熟しているようなものが考えられるわけでございます。
#7
○田中一君 自分の資産を自分で鑑定人に依頼して評価をするという場合もむろんあるだろうと思います。これはもう社会的には何ら影響のないものなんです。少なくともその不動産が移動する場合に、売る場合、買う場合、お互いの評価をして妥当なる価値を求めようとする。そうすると、売買の場合は別としよう、少なくとも公共用地等でもって取られる場合、取られるほうはいろいろな権利をここに織り込まうとする。取るほうはなるべくそういう法律で明らかになっているものは、これは当然のこと、そうでないものもなるべく社会の慣行というものを無視して局限していこう、縮めていこうというようなことになるのは当然なんです。売り方、買い方というものは当然そういう立場に立つわけなんですから。そこで、不動産に関する所有権以外の権利というものを明らかにここで明示していただきたいのです。われわれは法律を作るときに、そこまでの審議を経ないと国民に対して申しわけないわけなんです。法律というものは条文で動くものじゃございません。法律を作るときのその精神です。立法の精神というものが社会の一つの解釈として成り立つのです。そういうものがあいまいであるからこそ訴訟が起きるわけなんです。訴訟が起きた場合には、必ず国民のほうが負けるのです。権力に立ち向かっては必ず負けているのです。多少勝ったとしても、費用のいかんにかかわらず、二十年、三十年、その部局のものは継承して訴訟を起こせばたいていのものは国民が負けるのです。この鑑定制度を持つ以上、その間違いを犯してはならないということです。でありますから、ここではっきりとそれらの諸権利というものを明らかにして、今後国民が安心して公共用地に土地を提供し得るような認識を持たすというところに、私がこういうしつこい質問をするねらいがあるわけなんです。えてして法律を作った後において勝手な解釈をいたして、なるほど、法律そのものについては行政官のほうが詳しいから負けてくるわけです。その間違いを犯してはならない。こういう制度を作る以上、第三者が正しい公正なる鑑定をするという前提に立って、また、鑑定人にさせるという前提に立って、それらの諸権利というものを明らかにしていただきたい。どういうこまかいものも、どういうこまかい問題でも、所有権以外の権利というものは明らかに分類して、物権と慣行権と二つに分けて明示していただきたい。法律にそれを求めるのは無理だから、政府委員としての答弁で、将来訴訟が起きようと、何しようと、当委員会で、こうして国会議員と政府とが質疑応答の中で、一つの結論を出しておくということが、将来のまた紛争をなくするもとでありますし、ことに、国民が喜んで公共のために自分の不動産を提供するという正しい認識が持たされると思う。今ここでできなければ、すぐ、十八日までにそれらの権利を明らかに資料としてお出し願いたいと思う。委員長、これを要求して下さい。
#8
○政府委員(町田充君) 損失補償の基準あたりでも、先生御承知のように、民法上の権利として明記されてあるようなものに対する補償の項目ははっきり書いてございます。そのほかに、権利という程度までに、権利といわれるまでに習熟したものに対しては、やはり権利として扱って補償するというふうなことが書いてあるわけでございますが、そういう考え方で、たとえば民法上には別に入会権の規定はございませんけれども、入会権というふうな問題も、長年の慣行で権利として扱っていいほどに習熟しておる、こういうような実態があるものについては、当然考えていかなければならぬというふうに考えております。次回までにはっきり私たちの考え方を御回答申し上げたいと存じます。
#9
○田中一君 それを資料として出してくれますか。
#10
○政府委員(町田充君) はい。
#11
○田中一君 公認会計士または税理士連合会等から出ているこの要望、大体会計学の学科を免除しろということなんですが。これは大体そういうことはあり得ると思うのです。そこで、公認会計士の試験科目はどんなものがあるのですか。これはまあ大蔵省のほうで詳しくやっておられたら、大蔵省のほうで説明してもいいんですがね。
#12
○説明員(小林忠雄君) 公認会計士法第六条によりますと、第一次試験の試験科目は、国語、数学及び論文ということになっております。第二次試験の試験科目は、会計学、経営学、経済学並びに商法ということになっております。第三次試験につきましては、財務に関する監査、分析その他の実務ということになっております。
#13
○田中一君 そうすると、この会計学の試験を免除してくれということは、妥当と考えておりますか。もし会計士が受ける場合、また、その他建築士がこれを受けようとする場合には、建築学の問題はここにありませんけれども、おしまいのほうというか、この中にありましたね。
#14
○説明員(小林忠雄君) この法案の五十五条三号にございます。
#15
○田中一君 建築士が試験を受けようという場合に、建物の鑑定というもの、これは建築士がやってもよろしいということになっておりますね。受ける場合には、何かそれも学科に試験科目として免除しようというようなものもありますか。
#16
○説明員(小林忠雄君) 公認会計士につきましては、第八条に書いてございますとおり、公認会計士の第二次試験に合格しております者につきましては、「その試験において受験した科目」――会計学を試験いたしておりますから、当然免除になります。建築士につきましては、お尋ねのような意味での科目免除、特に科目免除の制度は実は考えておらないわけでございます。
#17
○田中一君 そうすると、そういう建築士の持っておる職分などは鑑定士法には入っておらぬということですか。
#18
○政府委員(町田充君) それは前回も多少お答えしたかと存じますが、構造物の経済価値、こういうものを判定いたします場合には、当然設計であるとか、構造であるとか、工法であるとか、そういうことに関します知識が必要でございますので、不動産の鑑定評価に関する理論という中でそういった要素を十分包含をして考えていきたい、こういうふうに考えております。
#19
○田中一君 次の問題、これはせんだって政務次官にも御質問しておいたのですが、十条の、「第五十二条の規定による届出をした社団又は財団その他の建設大臣の認定する機関において行なう。」ということ、五十二条には、不動産鑑定士等の団体、ここで「社団又は財団」というものをきめている。これは建設大臣の許可、認可事項になるのか。今日のようにいろいろな団体がたくさんある、これに類似した団体がたくさんある。その中で社団または財団として認めておるものもあるんじゃないかと思うのです。建設大臣が認可したもの、あるいは都道府県知事が認可したものがあるんじゃないかと思うのです。そこで、十条の趣旨としてはどんなものを考えておるか。望ましいのは、単一な団体が一番望ましいのです。たとえば宅地建物取引業法にしても、取引団体が全国にあります。そういうものは、業者をほんとうに育成するのは政治家の力ではないのです。業者は業者自体でもって規制し合ってりっぱな団体にするのが望ましいのであって、それで、一体どういうものを考えたのか。現在あるところの都道府県知事が認可したところの団体等は法人ですよ。これらを一ぺん御破算にさせて、そうしてあらためて全国組織を作らせるというのか、あるいはそのままばらばらでいいというのか。われわれはにがい経験をなめておりますから、国会議員なんかがそこに入って、それでもってそれを引っぱり回してどうする、こうするということがあってはならないのです。宅建業界が今日でもこういうような紛糾をしているのはそういうところなんです。そういうものを政治的に扱ってはならないのです、業者の団体は。そこで、どういうものを考えているか。十条並びに五十二条の団体というものは何か。それで、現在都道府県知事が認可しておるものの団体、これらの鑑定に類似した業務を営んでおる団体、少なくとも評価鑑定というものを一つの事業目的にしておる業者等の団体ですね、これが全国にどのくらいあって、そうして財団または社団の、認可して法人格を持たした数がどのくらいあって、そうしてそれを今後どうするかという点について聞いておきたいと思います。
#20
○政府委員(町田充君) 第十条の実務補習としての機関でございますが、これにつきましては、不動産鑑定士補に対して、不動産鑑定士となるために必要な技能を修得させるという、こういうことが目的でございますので、そういう不動産鑑定士となるのに必要な技能を教授するに足る指導要員としての鑑定士が置かれておる、それから、そういう技能を修得するのに必要な図書なり資料なりそういうものが整備されております鑑定業者の事務所あるいは研究機関、こういうものを実務補習の機関としては考えておるわけでございます。
 それから第五十二条の不動産鑑定士等の団体のことでございますが、これは先生御指摘のとおり、すでに鑑定協会というふうな名前をもちまして設立の認可の申請がございまして、建設大臣として、社団または財団としての設立を認可したという件数も若干はあるわけでございます。もちろんそういう認可をいたします場合に、はたして地域的に適当なまとまりを持っておるかどうか、構成員としてしかるべき資格者が入っておるかどうかというふうなことを審査をいたして認可をいたしたわけでございますが、今後といたしましても、そういう方向で地域的にかなりの広がりを持っておる、構成員としても鑑定士補ないしは鑑定士という資格者がいて、一定数割合以上含まれているというふうなことを重点に置きまして審査をいたして参りたいと思います。現在、そういう意味合いで設立を認可をいたしておりますのは三件ございまして、私たちが承知いたしております範囲では、社団法人として設立を準備中というふうなものがそのほかに数件あり、そのほかこういう法人格を持たない、いわゆる人格なき社団というふうな形で各地に鑑定協会というようなものがあるようでございます。その数は全国でおおむね私たちが把握しておりますのは約十数件ございます。
#21
○田中一君 そこでどういうものをねらっておるのか。たとえば、今日弁護士会でも二つ、三つございます。しかし、これはまあ法律というものを中心にした立場に立っているから、その弁護士会同士の法廷における勢力争い的な悪い面は出てこない。この評価鑑定という制度は、抽象的な見方によっていろいろ変わるのです。そろばんをはじくように数を示しておらないものだから、認定の仕方によって変わってくるわけです。私はその団体がやはり単一団体のほうが望ましいと思う。ことに、そこに政治家でも入ろうものなら、これはまたたいへんなことになってしまうのです。売り物と買い物の場合には、どうしても評価鑑定というものが、やはり自分に有利に見ようという動きが出て参りますから、単一な団体が望ましい。前回の委員会でも政務次官に、土地家屋調査士会その他のように一つの強制力を持たしたらどうか。――それも成熟した段階にはそういうこともけっこうだろうという答弁がありました。それはけっこうだと思う。しかし、ここで少なくとも実務補習というものを――実務補習というものは何も国が一つの教科書を与えてどうこうというのじゃございません。その団体が二つも三つも、あるいは数多く幾つでもいいのだという考え方は、かえって売り方、買い方の利益というか、得になるほうに走ろうという間違った評価鑑定が行なわれる機運になると思うのです。やっぱりこれは避けなければならぬと思うのです。だから、ねらうほうは何かということです。五十二条並びに十条のこの実務補習をさせるという場合にも単一なものが望ましい。それで、この法律によってどういう形のものを望んでおるか。今、現在許可したものはしようがありません、というようなことじゃ賛成できないのです。
#22
○政府委員(町田充君) この問題は、宅地制度審議会の答申の中でも不動産鑑定協会、こういうものは都道府県の区域ごとに一つ単一なものを作るように、それをさらに全国的にまとめまして、鑑定協会の連合会というふうな組織を作るということが答申の中にうたわれておるのでございます。そういう形ができますれば、先生の御趣旨にも全く沿うものだと私たちも考えまして、原案を作成いたします段階では、そういうものを考えたわけでございますけれども、何分にも民間の団体のことでもございますので、いきなりそういう形に法律でワクをはめてしまうということが適当だろうかどうだろうか、漸次そういう方向に指導して参りたい、そういう方向に持っていきたいということは、私たちも重々考えておるわけでございますけれども、何分にも初めての制度でございますので、最初から法律でそういうワクをはめてしまうということはいかがなものだろうかという多少の懸念もございますために、せっかく答申にあったことではございますが、そういう形をいきなりはとらないで、漸次答申の方向なり先生の御趣旨のような方向に、民間の団体が自主的にまとまっていくということをわれわれも行政的に指導して参りたい、現在ではさような考えを持っておるわけであります。
#23
○田中一君 弱いけれども、それが答弁かもしれぬけれども、少なくともこの法律を制定した場合には、積極的に行政指導によってそうした評価鑑定に対する、鑑定業務に対する各種団体の相剋のないように積極的に動いていく、指導していくということの発言が望ましいのです。松澤政務次官からお伺いします。
#24
○政府委員(松澤雄藏君) ただいま御質問にありましたように、第十条のほうは、今局長から御説明申し上げましたように、鑑定士補というような方面の者を教育するという法律的規定を設けてやったわけですが、これらを事務所または各種団体で大臣が認めたものでさしていこうじゃないかというような精神で規定いたしましたが、ただいまの御質問の主体性をなすのは、政治家やそういうふうな者が入るべきではないというような御意見だと思いますが、これはごもっともでございます。あくまでも中立を保持して、公正妥当な鑑定をしてもらわなければなりませんので、それは当然なことで、そのような方向に行政指導としてもやっていかなくてはならない。しかも、できるだけ現在弁護士会方面でやっておられますように、ある程度のその団体等に権限を将来与えて、自主的な粛正的な面なり、あるいは規則的な面等をみずから考えていくのだ、そうして国民の期待に沿うような鉱定をしていくんだというふうなことに持っていかなくちゃならぬと、かように考えております。そのような方向に全力を尽くして指導せしめるような方向に持っていきたい、かように考えます。
#25
○田中一君 それから、僕は学問がないものですからちょっとわからないんですが、十九条の「後見人又は保佐人」という、こういう字は民法にあるのですか。どういう解釈になっているのかな。民法上、「保ち佐ける」というのかな、どうなっているのですか。たとえば、われわれが社会において慣行として用いている文字が一番理解しやすいんです。法律がもしそうなっていたって、それを砕いて書くことが望ましいのです。何も法律を作るほうの側でもって自分だけの知識をひらめかすことは必要ないんですよ。もっと具体的に、もっとわれわれ国民がじかにはだにすぐに吸いつくような言葉がほしいのです、これはどういうのですか、説明して下さい。
#26
○政府委員(町田充君) 確かに常識的にはなじみの少ない言葉でございますが、実は民法の第十一条に、心神耗弱者、聾者、唖者、盲者もしくは浪費者、これは準禁治産者ということで、これには「保佐人」――「保ち佐ける人」、これをつけなければいかぬ、こういう法律上の用語になっておりますので、この場合もそれを使わしていただいたわけです。
#27
○田中一君 だれか学者をひとつ呼んできてもらって、これと同じ意味の表現の文字があれば、それにかえてほしいと思うのです。内容はちっとも変わらないという言葉、われわれが通常用いている言葉があれば、かえてほしいと思う。あえてこういう文字を使う必要はない。たとえばわれわれが通常感じている「補佐人」という文字と、民法上の文字の解釈が非常に違うのだというならこれはやむを得ませんけれども……。それをひとつ明らかにしてほしいと思うのだな、解釈を。われわれが常に使っている補佐人の解釈とこれとがどう違うか。違うからこそ特にこういう表現をしたのだと思う。説明して下さい。
#28
○政府委員(町田充君) 常識的にはおそらく今の課長補佐なんという場合に使いますような補佐人と同じような意味だろうと思います。しかし、民法でこういう準禁治産者には保佐人をつける、その場合の「保佐人」という用語はこういう字を用いているわけでございます。そこで、この字と違った、今常識的に使っている文字を用いたらどうかということでございますが、そういう字を使いますと、何か民法上の資格者と違うのではないかという疑念も出てくると思いますし、先生御指摘の問題は、民法そのものから変えていかなければならないかと思いますので、私どもの法案ではこの字を使わしていただくより仕方がないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
#29
○田中一君 僕は実は民法わからぬものですから質問しているのですが、わからぬ人が多いと思うのです。従来のもと法にそういうものがあるからといって、それを変えた例はありませんか、そういうことは。
#30
○政府委員(町田充君) たとえば刑罰に「禁錮」というのがあるわけでございますが、これは「禁」はともかくとして、下の「錮」という字は当用漢字にないということで、一時ひらかなで書いたりしたこともあるわけでございますが、そういう別の字を使いますと、刑法に書いてある刑罰と違う刑罰ができたのではないかという誤解を招くおそれがございますので、依然として「禁錮」というむずかしい字を使って、実はひらかなを振っているというふうなのが立法例でございます。
#31
○田中一君 第三章以下の第一節登録その他ずっとここに手続法が書いてありますがね、これは大体何に、たとえば公認会計士法によって作られたものなんですか、それとも特に鑑定士法でこれがちょうどいいというので作ったのか、何かまねというのじゃないけれども、ならったのがあるのですか。
#32
○政府委員(町田充君) 大体、登録の手続関係は大同小異でございますので、しいて手本にいたしましたといいますならば、現在の建設業法あるいは測量法、こういうものを手本にいたしております。
#33
○田中一君 第四章「監督」のところですが、たとえばこのうちの四十条です。土地家屋調査士法では、引き続き二年以上業務を営まないときには、登録を抹消する、あるいは「身体又は精神の衰弱により業務を行うことができないとき」とか、そういうようなものは考えられておるのですが、実際規定されておるのです。そこで、この場合は、そういうものがないと思うけれども、どうですこの四十条。たとえば自分の体が全然病気で動きがとれない、長い間入院して、もうどうにもならぬ、それでも資格を持っている者が生きていればそれは差しつかえないのか、あるいは二年でも三年でも何もそういう仕事をしない、金さえあればそれを登録しておくのか、その点はどういう考え方に立っておるのですか。土地家屋調査士法では明らかにしてあるのは、「引き続き二年以上業務を行わない」もの、それから「身体又は精神の衰弱により業務を行うことができない」という場合には、抹消するということになっているのです。土地家屋調査士法の場合です。ほかの法令ではどうなっているのですか。
#34
○説明員(小林忠雄君) この鑑定士、鑑定士補の登録でございますが、これは第十六条のところで、一定の禁治産者、準禁治産者、破産者あるいは禁錮以上の刑に処せられた者、あるいは公務員で懲戒免職の処分を受けた場合には、登録が取り消される、登録ができませんので、そういうようなことに該当しました場合には、登録が消除されるわけでございますが、心神虚弱その他の者につきましては、特に規定を設けておりません。ただし、登録の有効――実際に業務をいたします場合には、業者のところに勤めなければならないわけでございます。土地家屋調査士のように、それ自身で業を営まないという一つの資格法でございますので、そういうような規定は鑑定士、鑑定士補には設けておらないわけでございます。
#35
○田中一君 鑑定士というのは本人が現場を見ないでもいいわけだ、書類の審査でいいわけだ、土地家屋調査士は自分で、ほんとうの士であって、その人間個人ずばりなんです。この場合でもその資格というものは個人ずばりのはずなんですよ。北海道の山の評価鑑定をしてくれと頼まれたときに、その鑑定士が東京にすわっておって、だれか自分の手元の者をやって調べさせて、間違いがあろうがなかろうが、あるいは不十分な調査をしても、それに対する鑑定ができるということか、私はそういうことでは、やはり国民の利益を守る場合、国の利益を守る場合に不十分だと思うのです。そういうことじゃならぬと思うのです。とにかく鑑定士の評価鑑定というものは、正しいものであるということを国民が理解するような方法をとらなければいかぬと思うのです。全然もう廃人になって、店にも、会社にも出て来なければ、どっかの別荘に行ってひっくり返っているという者も、これはその資格がある以上、何人がそれを使ってもいいんだ、その名前を使って商売してもいいということじゃ不十分と思う。たとえば薬剤師の場合は、大体薬局の奥さんが調合する場合もあるのです。少なくとも不動産という対象物は、すわっておってものができることはないです。環境なり、場合によれば降雨量なりあらゆるものを調べて、それでもって評価をするのです。雨がうんと多ければこういう仕事には適さない、その際にはこういうことだということを調べてこそ価値があるのです。それがただ単に名前さえあれば何でもできるというきめ方は、結局評価鑑定に対して不信な気持を持つようになるのではないかと思う。それを避けたいと思うからこういうことを聞いているのです。
#36
○政府委員(町田充君) 御指摘の問題は、十六条、十九条、二十条との関係かと思いますが、先生の御心配のような、途中で禁治産者になった、準禁治産者になったというふうな場合は、先ほどの後見人ないし保佐人が必ず届出をする、この届出がありますと登録が消除されるということになりますので、先生の御心配のような事態は起こらないというふうに考えます。
#37
○田中一君 私の言っているのは、身体精神ともに衰弱して動くこともできなくなった人に対してどうするかということを言っているのです。そういう法律に明記した問題に対して質問しているのではないです。だめですよ、すりかえて答弁しちゃ。
#38
○説明員(小林忠雄君) 三十六条におきまして「不動産鑑定士又は不動産鑑定士補でない者は、不動産鑑定業者の業務に関し、不動産の鑑定評価を行なってはならない。」ということになっております。二項におきまして、「不動産鑑定業者は、その業務に関し、不動産鑑定士若しくは不動産鑑定士補でない者」に「不動産の鑑定評価を行なわせてはならない。」ということになっておりますから、必ず鑑定評価という事実行為は、鑑定士または鑑定士補でなければやってはいけない。したがって、現場に全然行かないですわっていてできるということはまあ許されない。
#39
○田中一君 だから、土地家屋調査士法のように、心神ともに衰弱しちゃってどうにもならぬ者はどうするかということくらい入れたら、なおさらこの鑑定士の評価が高まると思う。現にそういう立法例がないのではない、あるから言っているのです。さっきの民法の保佐人じゃないけれども、現にそういう立法例があるから、そういう規定を入れたほうがその鑑定に対する評価が高まるのではないかと思う。
#40
○説明員(小林忠雄君) ただいま土地家屋調査士のお話がございまして、それは今条文が手元にございませんのでわかりませんが、医師法及び薬剤師法には、登録の欠格――絶対的欠格条項または相対的欠格条項としまして、未成年者、禁治産者、準禁治産者、――薬剤師法でございます。目が見えない、耳が聞こえない、口がきけない者は免許しない。そういう状態になると免許が取り消されるのです。さらに精神病者になりますとか、あるいはアヘンの中毒者というような者には、薬剤師の免許を与えないことがあるということになっておりますが、今の心神の、非常に頭はしっかりしているけれども、ただ体がきかなくなる、老衰したという者については、医師なり薬剤師というものは一つの資格法でございますので、免許を取り消すという制度はございませんので、この不動産鑑定士も一種の資格法でございますので、他の法律にならいまして規定を入れなかったということでございます。
#41
○田中一君 土地家屋調査士法を小林君に見せて下さい。
 入れないための答弁をしようとするからそういうことを引っぱり出してくるのです。こういうものも考慮いたしました、土地家屋調査士法のこの条文も考慮いたしました、検討いたしました、しかしながら、この場合にはこうこうでございます、という答弁が望ましいのですよ。実際にこういうものを調べなかったならば調べなかったとおっしゃい、言いなさい。そんなばかなことはありませんよ。いかにも自分の提案したところの法律の条文が最善なるものとして押しつけようと考えちゃいかぬのです。私がこういううるさいことを質問しておるのは、評価鑑定制度が確立したならば、それに多くの国民を従わさせよう、これによって公共事業等も非常に楽に進められていくのだ、また、国民間の紛争等も少なくなっていくのじゃなかろうか、それだけに単なる参考の鑑定であると言いながら、相当大きな価値づけをしなければいかぬというところに、今までもこの制度を作れということを要求したのです。
#42
○政府委員(町田充君) 土地家屋調査士のことは、法文について調査をいたしますが、たとえば弁護士なんかも大体同じでございまして、欠格事由の中に、こちらで書いておりますように、禁錮以上の刑に処せられたとか、あるいは懲戒の処分を受けたとか、あるいは禁治産者、準禁治産者あるいは破産して復権を得ない者ということが欠格になっておりまして……。
#43
○田中一君 そういうことは私も調べてありますからわかっております。土地家屋調査士法だけにこれがあるから聞いておるのです。そんなことはわかっております、調べてありますから。土地家屋調査士法だけにあるから、その問題はどうかと言っておるのです。
#44
○政府委員(町田充君) まず、鑑定士ないし鑑定士補の資格の登録の問題は、これは単に鑑定士ないしは鑑定士補としての資格があるということの登録をするだけでございまして、それ自体ではあまり意味がないわけでございまして、実際に鑑定業を営む場合の登録、これが意味があるわけでございます。で、鑑定業者として活動いたします場合につきまして、先ほど総務課長からお答えいたしましたように、鑑定士でない者、これは鑑定評価をやってはならないというふうなことでございまして、自分が動けないから、かわりの者をやらして見てこさすというふうなことは、業としてやる場合には、はっきり禁止がされておるわけでございます。まあ、それで先生の御心配のような、自分が動けないのに依然として業者の登録をそのまま続けていくということがおかしいじゃないかという御指摘に対しましては、業としてやる場合には、みずからやれないのに――登録そのものは三年ごとに更新されるわけでございますが、その間でもみずから動けない、鑑定評価に従事できないという状態にありながら、かわりの者にやらせるということは防げるわけでございます。
 それから鑑定士ないしは鑑定士補としての資格自体の登録は、先ほどから申し上げておりますとおり、それはあくまでも資格者としての登録でございますので、こういうはっきりした禁治産者であるとか、準禁治産者であるとか、あるいは禁錮以上の刑に処せられたとかといえ、ことがはっきりいたしますと、登録の消除という手続が行なわれるわけでございますが、単に病気になって体が動かないというふうな状態でもって直ちに資格そのものの剥脱にひとしい抹消ということは、まあ特別に考える必要はないんじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございます。
#45
○田中一君 おっしゃるとおり、資格の場合には、死ぬまで持っていっていいんです。しかし、業を営むという場合、それからそれが看板にあれば、業を営む者ということがある場合には、それに対する規定がなければ、一々調査したというもののデータを全部出せという場合に、自分が何月何日どこそこへ行って、どういう資格だというふうに書かせるんでしょう。あるいは、そういう要求がどこにもなければ、出す必要はありません、依頼者に出すきりなんです。そんなことはあり得ないなんてことじゃなくて、あり得ることなんです。本人が寝ておって、人に、自分の手元のだれかにやらせるということがあり得ることなんです。私が言っていることは、どこまでも正しい評価鑑定というものを求めようとするからこういうことを言っているのであって――それじゃ委員長、民事局長をひとつ呼んで、なぜ民事局では身体――これは登録の欠格条項ですよ。なぜ民事局はこれを入れたかということをひとつ聞いて見よう……。
#46
○説明員(小林忠雄君) 三十五条の一項の後段に、「不動産鑑定士である不動産鑑定業者がみずから実地に不動産の鑑定評価を行なわない事務所についても、同様とする。」ということになっておりますので、かりに資格がございましても、自分が実地に鑑定評価を行なわない場合には、別の鑑定士を雇わなければいかぬということになっておりますので、寝たきりで、かりに資格がございましても、みずから実地に不動産の鑑定評価を行なわない場合には、だれか専任の不動産鑑定士を雇わない以上は、登録が拒否されるということになっております。
#47
○田中一君 三十七条にはっきりと、「不動産鑑定士等の責務」というのがある。責務が全うできないような状態にあった場合にはどうするかということを考えなければならぬのですよ。土地家屋調査士法では、これは一応登録した者は、原則として二カ年間仕事をしない場合、これは抹消するということになっておる。心神消耗の場合には抹消するということになっておる。なぜこういうものが条文として出てきたかということを考えると、これはわかるはずなんです。
#48
○委員長(木村禧八郎君) 田中委員の御質問、これは非常に重要な御質問だと思うのですよ。ですから、土地家屋調査士法に、どうして欠格条項として鑑定士法にない条項が含まれておるか、その理由を説明されればこの問題ははっきりしてくるわけです。今直ちにその点が十分に御説明できなければ、まだこの次に質問時間があるのでございますから、その次に御答弁していただいてもいいですが、その点十分御調査の上、その場限りのただ御答弁でなく、はっきりしたやはり調査に基づいて答弁していただいたほうがいいのじゃないかと思うのです。ですから、田中君もまた次の質問の機会がございますから、この点については、十分に調査を願って、御答弁していただくということで、この問題については一応この程度にしておきまして、ただいまのようにいたしたいと思うのですが……。
#49
○政府委員(町田充君) 御趣旨ごもっともでございますが、先ほどから申し上げておりますとおり、鑑定士ないしは鑑定士補が業者として鑑定業を営みます場合については、自分がやれないような場合には、専任の不動産鑑定士を必ず置かなければいかぬとか、あるいは鑑定士でない、資格を持たない者に鑑定をさせてはいけないというふうな業法上の規制がございますので、先生の御心配のような事態に対しては、対処できるのじゃないか。
 それから鑑定士としての資格の問題につきましては、こういう法律上の禁治産者あるいは準禁治産者あるいは禁錮以上の刑に処されたというようなはっきりした事実があった場合に、登録を抹消する。土地家屋調査士の場合、「身体又は精神の衰弱により業務を行うことができないとき」というふうな規定も一面の理屈があると思うのでございますが、なかなか判定がむずかしいというふうな場合がございましょうし、そういったこともございます。なお、せっかくの御意見でございますので、十分私たちもこの土地家屋調査士の立法趣旨というふうなものを勉強いたしまして、次の機会にまとめてお答えをいたしたいと思います。
#50
○田中一君 せっかくの御意見じゃないよ。意見を言う権利があって意見を言っておるのだよ。失礼な言葉を使うな。
 そこで私は、この土地家屋調査士法の二つの欠格条項というか、その二つを中心に伺っているわけです。今鑑定士が、本人が鑑定しない場合には、もう一人他の鑑定人が必要だと言っているけれども、鑑定するのは鑑定人がやるのですよ。半身不随でも頭が明瞭ならばいいのです。調査その他の問題は必ず鑑定士がしなければならないという規定がどこにありますか。補助者にそれを調査させるということは自由ですよ。今の答弁が、ほんとうに本人が必ず北海道でも鹿児島でも、どこにでも本人が出張って実地調査をして、そうして鑑定しなければならないという規定があるならば、その条文を示して下さい。そういう条文はどこにあるのですか。そういうものはありませんよ。だれを使って調査をさせても一向差しつかえないのですよ。今日の建築事務所だって、事務所の所長が一ぺんだって鉛筆を持ったことのない建築事務所だってたくさんあるのです。たとい建築士の資格ということになっても、そうですよ。あるのです。調査や何かをするのに一々その鑑定人によって調査しなければならないというのは、条文のどこにありますか。ありませんよ。そういうことはここでもってやりとりになるから、十八日の日によく答弁をきめていらっしゃい。言葉をつつしみなさい。
#51
○委員長(木村禧八郎君) 委員長から申し上げますが、田中君の御質問は非常に重要だと思うのです。鑑定評価の信頼度、あるいは権威というそういうものに関する非常に重要な御質問だと思いますので、調査士法にあって、なぜこちらの鑑定士法にないかという点、はっきり調査されて、端的にこの次に御答弁していただければけっこうです。
#52
○田中一君 四十二条の不当な鑑定評価に対する措置の要求、これは、その鑑定の不当性というのは、だれが指摘し得るのです。鑑定を依頼した依頼者が不当性を指摘するのか、あるいは依頼もしないのによその人間が勝手に自分のところの財産を評価して、勝手に公示されても迷惑だろうし、そういう場合はどうなのか。それから第三者が評価の不当性というものを指摘して措置を要求することができるかどうかあいまいなんですよ。今度は依頼した者が、その評価鑑定人に対して、その不当性を、適当な措置を要求するのか。もう一つは、評価鑑定人は自由にどの物件でも評価鑑定し得る権限を与えられているのかどうか。その場合には、いやなことですよ。町田君の持っている土地を、あそこは世間じゃ坪五十万というのに、あそこは五万円程度だよ、ああいって、こういってということで公示されてはかなわぬ話だ、公示条項はないけれども。また、第三者がその評価は不当であるということを、資料を添えて要求する措置が適法なのかどうか。何を考えているのか、ここは明確じゃないですよ。ここのところ「何人も」という表現を使っています。「何人も」という何人というのは、特定な依頼者じゃない。依頼者も含まれるでしょうし、どういうことをねらっているのか。適当な措置を求めて、そしてその「適当な措置」というものは、次の四十三条にある懲戒処分をいっているのか何をいってるのか。その鑑定人が懲戒されようが、資格がなくたろうが、そんなことは依頼者には何にも痛痒を感じない、そんなことは問題じゃないのです。依頼した者の自分の財産というものの評価が正しくないということは重要な問題で、その人が処罰されようがされまいが、その正当性というものを求めたいという気持を持つわけなんです。その正当性を求めると思うのです。不当性に対する措置を要求するというのは、要求したくないけれども、ただ自分の正当性を求めたいところに、不当性を指摘して措置を要求することになるのです。非常にあいまいなんです、ここのところは。どういう考えを持ってるか、適当にひとつわかるように説明して下さい。これにこだわって、こればかりを、言い分だけを通そうという考えじゃなくて、私なんかもわからないところをほんとうにわからせるように説明して下さい。
#53
○政府委員(町田充君) この条文は、公認会計士法にも同様の趣旨の規定があるわけでございまして、できるだけ公正に鑑定評価というものを担保しようと、こういう趣旨からできた規定でございまして、法文上は一応「何人も」ということで書いてございますが、実際問題としては、何がしかその鑑定評価について利害関係を有する者、こういう者が中心になろうかと思います。そこで、御指摘のように、特に依頼者であるとか、そういう者に限定をされませんで、かりに第三者でございましても、何がしかそういう不当な鑑定評価がかりに行なわれたということについて、利害関係を持ってる者、こういう者でございますれば、こういう要求ができるわけでございます。ただし、第三者でも、だれでもできるからといって、むやみに不当であるというような乱訴乱訟の弊を招くことも考えられますので、必ずそういう要求をする際には、資料を添えて、はっきりした根拠に基づいて、不当であるからこういう措置をとってほしい、こういう要求を出させるように考えておるわけでございます。したがいまして、法文の書き方としては、「何人も」というふうには書いてございますが、私たちが期待しておりますのは、そういう不当な鑑定評価が行なわれたことについて、利害関係を有するような者がこの措置の要求をするということを実は期待をしておるわけでございまして、ねらいは要するに、単に依頼をした当事者というだけではなしに、広く一般民衆に鑑定評価の結果というものについて関心を持たせて、民衆監視的な意味合いで、そういう不当な鑑定評価が行なわれないように、できるだけ公正な鑑定評価が行なわれるように、こういう方向へ持っていきたい、こういう配慮から設けられた規定でございます。
#54
○田中一君 会計士法の会計士の場合は、これは考えられると思うのだが、しかしこれも、何人も、それに対して、資料を添えれば一種の訴願ができるなんていうことは、どういう考えで作られておるか、ちょっと僕はわからない。そして、今の答弁ならば、今の答弁どおりの条文に直しなさいよ。大体公認会計士法にこれはございますなんていう言葉は要りません。似て非なるものです、会計士の場合と評価鑑定の場合とは。今の説明そのものがそうならば、そのようにこれを直しなさい。これじゃわかりません。また、今局長が言っているように、ここに五軒店が並んでいる、それが道路拡張のために取られちゃう。そうして、その中の一軒に対する評価鑑定が行なわれた。そのために、それは不当だという資料を持って、五軒のうちの一軒が適当な措置をとってくれという要求をする、これは可能だろうと思う。これは第三者ですよ。しかし、利害関係があるかないかというと、これは全部あるのです。私は太子堂に住んでいるが、太子堂のどこを評価鑑定されても、不当なる鑑定をされれば、こちらの資産なり権利に影響するのだから、みんな関係があるわけなんです。こういうあいまいな表現は、公認会計士法にあるからここに使ったという説明は聞きたくないのです。手続その他の問題については、これはそういう作例があればそれにのっとったという答弁も聞きますけれども、こういう、重大な問題ですよ、これは。もし今の答弁の内容がこれを表現しているというなら、今の答弁のように直しなさい。利害関係があるものとかなんとかというものは、的確に――この四十二条の内容はどこにあって、どういうものをねらっているかということを、これは委員長、時間がないから、今の答弁は不十分ですから、私は納得できませんから、もう一ぺん具体的にどういうものをねらっているか、そういうものをねらっているならねらっているように直して下さい。いいかげんな答弁じゃ聞きませんから、これはひとつ委員長からも念を押して下さい。
#55
○委員長(木村禧八郎君) 田中君のただいまの質疑、意見に対して、計画局長答弁されますか。
#56
○政府委員(町田充君) 公認会計士法の立法趣旨もあわせて調べて参りますが、私どもの四十二条に対します考え方も、次回に十分先生の御了解をいただけるように説明いたしたいと存じます。
#57
○田中一君 ちょっと前に戻るのですが、三十八条の「秘密を守る義務」、これは守らぬ場合には懲戒事犯に入るのでしたかね。
 そこで、たとえば秘密というものの定義、範囲、規模、内容というものは、どういう限度のものを秘密と称するか。私が言わんとするのは、具体的に依頼を受けた評価鑑定のものを言う場合と、その評価鑑定を受けるために向こうからいろいろな意味の、いろいろな形の資料とか、いろいろな引き取りをする、その場合はからずも知り得た秘密を秘密というのか。その点秘密というものは何をさしているか。これも評価鑑定士にとっては重大な問題なんです。通常そんなことを、常に言われているようなことを、ひょっと言った場合、あいつが秘密を漏洩したということも秘密になるので、これは主観的なものです、秘密なんというものは。そういう点も、これはおそらくほかの法令にそういうものがございますからそれをやったのでございます、というようなことになると、会計士法については当然こういうことがあると思う。それから評価鑑定の場合にもあり得ると思うけれども、おのずから会計士法の内容とするところの秘密と、評価鑑定の場合の秘密とは異なっているのじゃないかと思う、秘密には相違ないけれども。それもひとつ時間がないから次の委員会までに明らかに、具体的に、だれもがああそうか、こういうことをいうのかとわかるように説明して下さい。できるなら原稿を書いてきて、読み上げて、議事録に残して下さい。委員長に要求します。
#58
○委員長(木村禧八郎君) よろしゅうございますか、ちょっとその点について御答弁願います。
#59
○政府委員(町田充君) 次回に秘密の定義をはっきり御説明申し上げたいと存じます。
#60
○田中一君 関連する四十五条の「報告及び検査」ですね、これは大体立ち入り検査というものは当然必要だと思うのですが、この場合には、立ち入り検査、いわゆる都道府県知事は、「その業務に関し必要な報告を求め、又はその職員にその業務に関係のある事務所その他の場所に立ち入り、その業務に関係のある帳簿書類を検査させることができる。
 2 前項の規定により立入検査をしようとする職員は、」云々、こうございます。そこで、この立ち入り検査報告を求めるという義務と、三十八条の鑑定士が秘密を守る義務というものとの限界をお示し願いたい。たとえば、むろん四十五条の三項には、「第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」と書いてありますけれども、評価鑑定の内容あるいはその評価鑑定という業務を営んでいる途中において知り得たところの事実というもの等が、報告及び検査の際に言われなければならぬという義務があるので、鑑定士は、問題によっては、どっちからか責められて、処分を受けなければならぬのです。秘密を守る義務、同時に報告の義務、帳簿書類等の検査を拒否するという場合に起きたところの処分等を考えると、これは過酷じゃないかと思う。しかし、こうした事態はあり得ると思うのです。あり得ると思うから、限界を明らかにして、場合によれば、その三十八条の秘密というものは、言う必要はないんだということくらいはどこかに明示されていいんじゃないかと思う。そういう点はどこかに出ていますか。どちらからか責められる――検査を拒んだという非離を受ける、片方じゃ秘密を漏洩したという非難を受ける、そういうものはそれじゃ救われないわけだ、結局。どこかで救われる道があるんですか。もし救われる道があるならば、救われる道を明らかに明文化していただきたいと思うのです。
#61
○説明員(小林忠雄君) 三十八条の「秘密を守る義務」でございますが、三十八条には「正当な理由がなく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」、「正当な理由」という場合に考えられますことは、裁判所において証人として喚問されて意見を述べる場合、あるいは四十五条で「建設大臣又は都道府県知事は、不動産鑑定業の適正な運営を確保するため必要がある」ものと認めて行なう報告、検査に応ずる場合には、これはまさに「正当な理由」でございますので、三十八条の秘密を守る義務の違反にはならないわけです。
#62
○田中一君 そういう答弁をすると思っていました。そうすると今度は、係員が漏洩した秘密はどうなりますか。だれも知るはずはないんです、自分は全然漏らしていない、その場合に、その検査官なり職員だね、立ち入りの職員が漏らした場合には、どういうことになりますか。
#63
○説明員(小林忠雄君) 立ち入りの職員が漏らしました場合は、国家公務員法第百条におきまして「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」ということになっておりますので、国家公務員法違反、地方公務員でございますれば地方公務員法違反になります。
#64
○田中一君 だれが漏らしたかを調べるために、その鑑定人はあらゆる知能を動員して――人間も知恵も動員して、その犯罪人を突きとめなければならないということになるのかね。それはちょっと過酷だと思うのだな、僕は。自分は絶対に漏らさない、にかかわらず、どっかから出てくる、この場合に、国家公務員法の処分だけで――それはもう公務員としては当然その処分を受けても、それを探すには一体どうすればいいのか、さっき言った正当性というものが……。じゃ、こうしましょう、十八日までにその正当な行為というものをずっとあげて下さい。この場合あの場合と、ずっとそれをあげて下さい。その場合には責任がないのだ、しかし、一ぺんでも立ち入り検査を受けた者は、自分が漏らした秘密も、おれは知らぬぞ、こういう人間には話してある、東京都の職員には話してある、こういうことになる危険も多分にあるわね。その場合には、しかし正当性というものをずっと、現象というか、行為を列記して下さい。それを十八日に願います。
 次、五十二条の「団体」、これは先ほども伺いましたから、一応、行政指導によって、単一にすっきりしたものにさせるということでよろしゅうございますが、五十四条の「名称の使用禁止」でございますが、これはむろん不動産鑑定士または不動産鑑定士補という名称を使っちゃならぬことは当然でございますが、まぎらわしき名称ということが他の法例にはたくさん出てくるのです。ことに団体――法律できめられている団体に対しては、団体の名称すらまぎらわしいものをつけてはならぬと書いてあります。この際、先ほども関連して質問しましたけれども、たとえば東京鑑定士協会とか、ある程度たくさんできています。十五、六できているのじゃないかと思う。そういうものの名称はやっぱり禁止するという方向にいくのか、あるいは当然今日の民法の上からいって、田中一でも、藤田進だって何だっていいのだということになるのか。こういう名称はやはり国民に対して非常にまぎらわしい印象を与えるのですよ。それで間違いを犯さず――やはり法律を作る以上間違いを犯しちゃいけないのだ。これも、どういう扱い方をして国民に誤認をさせないように持っていくか、不動産鑑定士でない者が、一応あとでもって出てきますけれども、経過措置は出ていますけれども、しかし、名称についてはない。五十四条の個人の名称、資格の名称は出してありますけれども、団体に対するものはない。誤認をします。そのために間違って不当な鑑定評価したとか、間違ったことをすると全鑑定士が不当なように印象づけられる、あなた方の行政指導が悪いのだ、そして不信感を抱くようになるのだ、これはここまで単独立法で国民のためにこの制度を設けようというならば、やはり勇気をもってやるべきですよ。えてして先ばしって、いろんな、ちょうど三菱というけれども、三菱がたいへんな信用があるけれども、三菱という名前をどんどん使って、三菱不動産もあれば、たくさんある。同じように、鑑定という言葉は非常に普遍的なものですよ。一つの行為を示すもので、それを使っていけないということはできないでしょう。しかし、それがあるために、たいへんな国民が誤認をして、損害を受ける場合もある。何かそれをぴたっときめた法令はほかにありますか。
#65
○説明員(小林忠雄君) 実は、鑑定士、鑑定士補のほかに、団体の鑑定協会または鑑定協会連合会というようなものを法律上やはり制度にいたします場合には、それに対してまぎらわしい名称を、これとそうでないものが、鑑定協会または鑑定協会連合会というような名前を使うことについての禁止規定が当然入れられると思いますけれども、五十二条の規定は、そういう特別な団体の名称というものを独占するような格好になっておりませんので、やむを得ない。しいてこれに該当するような条文を探しますと、軽犯罪法の第一条、第三十四号に、「公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者」というのが現在では該当する条文だと思います。
#66
○田中一君 田中一という名前は既得権じゃないのだ。電話帳には四、五人いるよ。これは米屋とか、たばこ屋とか書いてあるからわかるのだけれども、これは一面やむを得ないと思う。この場合には登録をすることになっておるけれども、登録をしない業者が全国に半分ぐらいある。それらが犯す犯罪は、全部登録をしている者の犯罪だというふうに誤認される。衆議院じゃ今妙な法律の改正案を自民党単独でお出しになっていらっしゃるようだけれども、ほんとうに間違いのないようにするには、そうした誤認される、軽犯罪法で取り締まればいいのだという、そういう軽犯罪法の処分なんというのは何だ、罰金か。
#67
○説明員(小林忠雄君) 拘留です。
#68
○田中一君 拘留くらいなら何べんでもするですよ、大きな利益があるというなら。そういう犯罪を国民に起こさせるのは法律の制定の精神じゃない。犯罪をいかになくするか、そういった機会をなくするほうが――それでも国民の中でも特異な知能を持っている人たちは、その盲点をくぐって犯罪を犯すのは、ほとんどわれわれの社会では常に見聞きしているところです。それをいかにして犯させないかということが法律の制定のほんとうの精神だと思う。この点もひとつ十八日に答弁して下さい、今の私の意味することはおわかりになると思いますから。
 それから次に第五十五条です。これはずいぶんいろいろな問題があるところであって、法律の第一条には、土地等の適正な価格の形成に資するいわゆる目的が明らかになっているわけですね。第二条の定義も明らかになっている。そうすると、ここにたとえば農地、採草放牧地云々というふうに一号、二号、三号ございますが、これを除外したということは、これはわからないわけでもないのです。これを不動産の鑑定評価に関する法律の主管省の建設大臣に持ってこようとすると、同じ土地であっても農地、採草地、放牧地などは農林大臣の所管であるから、これは農林省のほうで大きな抵抗があるからできないということなんです。しいて言うならば、こういう法律、国土に関するものは、今の機構からいうならば、内閣に持っていけばこれは包含されるのです。事実、農地と宅地、採草放牧地または荒れ地なんというものは、同じ土地なんです。そういうところになわ張り的なすっきしない行政の姿があるわけですね。国土というものはちっとも変わっていないのです。こういう点、宅地建物取引業法にもそういうふうに分類されておりますけれども、この点は、ひとつもうこの辺で農林大臣と話し合って、幸い建設大臣と農林大臣とは同じ派閥にあるそうだから、何か話し合って、しっかりした国民のための、国民が誤認しない制度というものに移していただきたいと思うのです。この点、建設大臣から答弁を求めたいと思うから、この点もうひとつ十八日でいいから答弁して下さい。
#69
○委員長(木村禧八郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#70
○委員長(木村禧八郎君) 速記を起こして下さい。
#71
○田中一君 五十八条の五号ですが、立ち入り検査を拒否した場合、これは鑑定人が拒否した場合の罰則になるのか。それから五十九条には、これは明らかに企業としてやった場合の――五のほうは、だれかがやった場合、この場合には、どこまでもこれは鑑定人だけが拒否した場合の罰則なのか、使用人が拒否するという場合には罰則を受けないものか。五十九条の場合の行為者のほかに、いろいろな人たちが罰則の適用を受けるということも過酷じゃないかと思うのですが、むろん、これもほかの法令があって、それをそのまま持ってきたものだと思うけれども、かりにこれは、一つは資格者の持っている問題と、団体というか業者の問題、両者がいろいろうらはらになって資格法と業法とが二つからまっているという立場です。鑑定業というものは、決して土地家屋調査士のように個人ではないということになっています、なっているんですからね、こっちは。その点がひとつ少し過酷な点があるのじゃないかという点もあるので、これもひとつ答弁して下さい、質問だけしておくから。いいですか。
 それから三十九年度の予算はどのくらい要求するつもりか。これは非常に重要なんです。いつも法律を作っちゃうっちゃりぱなしなんですよ。あとはおまかせしましょうということになるのです。しかし今度の場合には、これが全国業者というか、いわゆる大臣登録の業者もまじっているので、ほんとうの法の精神というものを徹底させ、信頼させるには、どうしても相当な予算を計上しけなればならぬ。これは見込みでいいんだから、これも十八日の日に、どのくらい……。予算も何もつけないならば、また同じような混乱が起きるのです。この点をひとつ十八日の日に、見込みでいいんですよ、これくらいは要求しようと思っています、ということでいいんですから、それをやっていただきたい。
 それから次に、答申にある工場財団、鉄道財団等の規定の削除の理由をひとつ明らかにしてほしいと思います。
 それから同じく答申にある地価の公示制度を見送った理由、これも一緒に明らかにして下さい。これは私も議論がありますから、一ぺん答弁を聞いてから伺います。
 それから附則の十四項、十五項、この二つだけはひとつ説明――あなたのほうで、こういうような考え方でおります、という含みだけを十八日の日に説明していただきたい。これだけお願いしておきます。
 以上できょうの質疑は終わります。
#72
○委員長(木村禧八郎君) 田中君は、項目別に質疑の要点をしましたが、この次の十八日にその御答弁を用意していただきたいと思います。
 他に御質問ございますか。
#73
○瀬谷英行君 私の質問したいことも、田中委員のほうから言われたことの中に入っておりますので、要約しますと、答申の中に、不動産の鑑定評価の対象の中で、「工場財団、鉄道財団等の財団及びこれらの組成物件」というものが第二条では除外をされているということの理由。それから地価の公示制度が除外されている理由を、これらの理由がどういうものであるかということを、建設省としての御回答をいただきたい。これが国有財産であるという、国有財産は除外をしなければならないという理由があるのかどうか。あるいは公示制度を除外したのは、固定資産税評価に支障があるのかどうかといったようなこともあわせてお聞きをしたいということであります。
 それからあとは、五十五条その他ありますけれども、これも田中委員が今おっしゃられたことに含まれておりますので、ほぼ田中さんから言われたことと重複をしておりますので、私の御質問いたしたいことは、以上のことだと思います。
#74
○委員長(木村禧八郎君) 以上の点につきましては、十八日に用意してお答えいただきたいと思います。
 他に御質疑もなければ、本日はこの程度にとどめて散会いたしたいと思います。
   午後零時十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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