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1962/06/20 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 建設委員会 第23号
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1962/06/20 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 建設委員会 第23号

#1
第043回国会 建設委員会 第23号
昭和三十八年六月二十日(木曜日)
   午前十一時十九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 六月十三日
  辞任      補欠選任
   瀬谷 英行君  北村  暢君
   田上 松衞君  村尾 重雄君
 六月十四日
  辞任      補欠選任
   木村禧八郎君  瀬谷 英行君
   村尾 重雄君  田上 松衞君
 六月二十日
  辞任      補欠選任
   黒川 武雄君  谷村 貞治君
  委員長の異動
六月十四日木村禧八郎君委員長辞任に
つき、その補欠として北村暢君を議院
において委員長に選任した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     北村  暢君
   理事
           石井  桂君
           稲浦 鹿藏君
           増原 恵吉君
           武内 五郎君
   委員
           岩沢 忠恭君
           熊谷太三郎君
           黒川 武雄君
           高橋進太郎君
           村上 春藏君
           米田 正文君
           瀬谷 英行君
           田中  一君
           藤田  進君
           中尾 辰義君
           村上 義一君
           田上 松衞君
  国務大臣
   建 設 大 臣 河野 一郎君
  政府委員
   法務省民事局長 平賀 健太君
   建設政務次官  松澤 雄藏君
   建設省計画局長 町田  充君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       武井  篤君
  説明員
   大蔵省主税局税
   制第三課長   宇佐美 勝君
   大蔵省管財局国
   有財産第一課長 宮川 国生君
   自治省税務局国
   定資産税課長  石川 一郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○不動産の鑑定評価に関する法律案
 (内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(北村暢君) ただいまから委員会を開会いたします。
 本日の議事に入ります前に、皆様に一言ごあいさつ申し上げます。
 去る十四日の本会議におきまして建設委員長に選任せられましたが、まことに浅学非才であり、かつ、この道におきましては、ずぶのしろうとでございますので、今後の本委員会の運営におきましては、皆様の格段の御支援と御鞭撻を賜わり、審議の公正、円滑を期して参りたいと考えておりますので、一そうの御配慮、御指導のほどをお願い申し上げまして、簡単でございますけれども、就任のごあいさつにいたします。(拍手)
  ―――――――――――――
#3
○委員長(北村暢君) 次に、委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、田上松衞君及び瀬谷英行君が辞任せられ、その後任として、村尾重雄君及び北村暢君が選任せられました。去る十四日、村尾重雄君及び木村禧八郎君が辞任せられ、その後任として、田上松衞君及び瀬谷英行君が選任せられました。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(北村暢君) 次に、委員長及び理事打合会の結果について御報告いたします。
 本日は、前回に引き続き、不動産の鑑定評価に関する法律案に対する質疑の後、討論採決を行ないます。
 それでは、これより本日の議事に入ります。
 不動産の鑑定評価に関する法律案を議題といたします。質疑のおありの方は順次発言を願います。
#5
○石井桂君 私は、ただいま議題となっておりまする鑑定士法案と建築士との関係につきまして二、三質問をいたしたいと存じます。
 建築士は、御承知のように従来からも都道府県の嘱託として、不動産鑑定評価に従事している方が相当の数に上っておりますし、また、裁判所から鑑定を求められている人も相当にございます。これらはその建築士の学識経験を認められておるからでありますが、本法案は、これらの人々が将来鑑定士として仕事をするためには、数年後には全部受験し、かつ、その試験に合格しなければ従来のような仕事を失うことになり、生活上の脅威ははなはだしいと存じます。これは既得権の侵害になると私は考えるのですが、立案の当時、政府委員におかれましては、どういうお考えであられましたか、お伺いいたします。
#6
○政府委員(町田充君) 不動産の鑑定評価を業として行なうという職業につきまして、新しく国家試験によります試験制度を採用いたしたわけでございますが、もちろん、こういう制度の創設にあたりましては、過去においてそういう業務を営んでおった方々に対します経過措置というものを十分考えなければならぬことは御指摘のとおりでございますので、私どもは、附則におきまて、本来なら第一次試験、第二次試験、第三次試験というふうな試験が行なわれるわけでございますが、経過的な措置といたしまして、特別不動産鑑定士試験あるいは特別不動産鑑定士補試験というふうな特別の試験制度を考えておりますし、さらに従来不動産の鑑定評価を業としておったという方々に対しましては、この法律の施行後一年間は登録を受けないでも従前どおり業務が行なえるというふうな経過措置をいろいろ配慮いたしますことによりまして、先生のお尋ねの、従来そういう業務を行なっておった人たちに対する既得権の云々という問題は、この程度の配慮を行なうことによって十分尊重され、確保されるというふうに考えておるわけでございます。
 なお、試験の問題につきましては、建築士の方々ばかりでなしに、従来そういう業をやっておった方全体がすべてこの法律の施行後は試験を受けていただかなければならぬということになるわけでございまして、その点では建築士であるとほかの資格を持ってやっておられる方とを問わず、すべてこういう業をやっておられた方について同じ制度を適用することを考えておるわけでございます。
#7
○石井桂君 ただいまの御答弁で大体相当に経過措置を考えられておることもわかりますし、また、建築士のみならず土地家屋調査士等も、そういう場合もあるだろうと存じます。しかし私は、ここに建築士法との関係を一応お考えになったかどうかをお尋ねしたいと思うのですが、御承知のごとく、建築士法が制定されて十三年になります。その建築士法の制定当初の経過期間は、建築士はすべて国家試験をやる前に選考制度というものを設けられて、そうして従来の経験を十分個人々々に徴しまして、そうして選考委員が適当と認られた者は、国家試験に合格した者と同じように扱う経過規定があったわけです。そういたしますと、こういう技術に関するものは経験が大事でありますから、大体誤りなくその効果を上げておると思うのですが、そういうやり方も前例としてあるのに、今度新しくできる法律は、そういう経過措置として選考ということは考えないで、全部国家試験をやり直すということは、経過規定を考えられてはおるけれども、建築士法の場合にとられた経過措置のようにそうおおらかでは私はなかったと思う。そういう点を十分検討して、今回のこういう全部試験をするという制度をとられたかどうか、そのときの御研究をどういうふうにされたか承りたいと思います。
#8
○政府委員(町田充君) 御指摘のとおり、こういう制度を創設いたします場合に、経過的な扱いといたしましては、特別な選考という方法も考えられないわけでもございませんし、そういう立法例もあるわけでございますが、審議会で答申をいただきます過程におきましても、できるだけ質の高い鑑定士ないしは鑑定士補を確保していこう、それがためには、まあ選考といいますと、とかくなかなか選考の基準というものがむずかしくて、個別的な裁量になりがちだ、したがって、選考という方法を避けて試験一本にしぼっていくのが適当だろうというふうな御意見がございましたので、そういう御答申に沿わしていただいたわけでございます。ただ先生のお尋ねのとおり、試験一本で参りますと、過去において貴重な長い経験を持っておられる方々というものに対する救済措置として十分でないというふうなことも考えられますので、その点も十分配慮いたしまして、実は附則の九項に書いてございまとすおり、この特別不動産鑑定士試験あるいは特別不動産鑑定士補試験−経過的な試験制度でございますが、この試験制度によって合格者を決定いたします場合には、ただ単に当該試験の成績によるばかりでなく、これらの試験を受けた者の過去におきます不動産の鑑定評価の実務の経験というものをしんしゃくをしてきめるんだというふうにいたしまして、そういう実務経験のある方々の過去の経験というものを十分反映させるように実は配慮をいたしておるわけでございます。
#9
○石井桂君 ただいまの御答弁の中に、選考制度をとられると、非常に重要なことを鑑定するんだから不備じゃないか、選考制度は適当でないんじゃないかという、こういう御説明がありましたが、建築士の制度を考えますと、建築士は、中へ人が入って生活する生活の容器なんで、ですから、人命にかかわるようなものの設計、現場監督でさえ選考制度なんです。鑑定が間違っても別に人命にも関係があるということでもない、だから、その重要さとか、あるいは軽さとかいうことは一がいに断定できないものじゃないか、にもかかわらず、今の御答弁だと、どうも鑑定士法のほうは選考制度をとると、だらしがなくなるという御発言ですが、だらしがなくなるのかどうか。建築士法などはあまりだらしがなくならなかった。ですから、そういう制度を十分御研究になったかどうかということなんですが、これはいかがですか。
#10
○政府委員(町田充君) 選考制度がだらしがなくなるという意味合いではございませんので、選考の基準というものがなかなかきめにくい、こういう趣旨で申し上げたのでございまして、なかなか基準が実際問題としてむずかしかろう、それよりも試験制度でやったほうが比較的公平に、実力のある方であれば、当然合格される程度の試験でございましょうし、そのほうがむしろ公平ではなかろうか、しかし、試験に片寄るということも、確かに先生の御指摘のような心配があるわけでございますから、それにつきましては、政令にゆだねてはございますが、実務経験年数というものを参酌しながら最終的に合格者を決定する、こういう何といいますか、折衷的な案を採用いたしたわけでございます。
#11
○石井桂君 大体そのお話のことは了承いたしますが、試験制度をとって将来、先ほど私が説明したように、実際に仕事をしている人がめしが食えなくなる人が相当に出てくる、そういう人が試験に落第したときには、五人とか十人とか落ちてもかまわない、こういうことであるのですか。仕事を完璧にやるためには、少しくらいの犠牲者が出てもかまわない、そういう態度であるか、あるいは経験年数を参酌すると書いてありますから――これは附則の九項に出ている。そういうのは、これから助かる見込みなのか、どんなふうな参酌の程度ですか、それをお漏らし願いたいと思います。
#12
○政府委員(町田充君) 最後は政令で規定いたす予定にいたしておりますが、ただいまのところでは、大体の構想といたしましては、試験を受けるための経験の年数は、一応十年とか、五年とかというふうに規定いたしておりますが、それ以上オーバーして経験をお持ちの方につきましては、それが超過の年数に二点とか、何点とかいう点数を乗じましたものを試験の結果に加えるというようなことで考えておりますが、そういう運用をいたしますと、二十点なり三十点なり自分が試験で獲得した点以上に加算されるということになりますので、大体専門にこういう仕事を長年やってこられた方々は、大体そういう合格点に達せられるんじゃないかというふうに考えております。
#13
○石井桂君 ただいまの御答弁で、私は了承いたしましたが、どうぞひとつこの法案が通りました暁には、その運用におきまして、ひとつ生活に困るような者が続出しないように、あたたかい御配慮を賜わりたいと存じます。
#14
○田上松衞君 この法案はたくさんの条項を盛り込んでいますが、究極するところ「土地等の適正な価格の形式に資する」ということが目的になるわけなんですね。この法案を提出する理由の中で明確にうたってある、これはもう言うまでもないことだと思うのです。そこで、そういうことを前提として申し上げておくのですが、せんだって来の幾多の質疑応答によって、大体の条項については、ほぼ了解しているわけです。問題は、さっき申し上げたような事項から考えてみますると、一番重要だと考えられるポイント、それは報告及び検査、第四十五条に関係する問題だと私考えておるわけなんです。ああだ、こうだといろいろやりますけれども、結局、まあ言葉は悪いけれども、これらの実務に携わっておった人々は、まあいわば悪く言ってしまうと、いろいろな裏からやっていく性格がたくさんあるのだと考えておかなければならぬと思うのです。そこで、この四十五条の規定というものは、すこぶる重大だと言える。すなわち「建設大臣にあってはすべての不動産鑑定業者について、都道府県知事にあってはその登録を受けた不動産鑑定業者について、その業務に関し必要な報告を求め、又はその職員にその業務に関係のある事務所その他の場所に立ち入り、その業務に関係のある帳簿書類を検査させることができる。」、誤解のないように申し上げておきますが、私はこれはきわめて必要だと信じているが、この問題については、同時にまたいろいろな見方があります。まあ大げさに言うならば、若干違憲の疑いがないかというようなことすら言う学者もあるわけですけれども、しかし、私は、ものをきめていくのにはこれがなければだめだ、こういう観点で見ております。これを前提として、あとのこれに関する罰則を見てみます。罰則は五十六条から以下になっておるわけですが、五十六条の中で書いてあるのは、次の一に該当する者は、一年以下の懲役または十万円以下の罰金――体刑までこれを加えているわけです。こまかいことは申し上げません。この一、二、三の問題を考えてみますると、これはまだ防ぐ道もあると思うのです。体刑というものが書いてあるけれども、実際にこれは害毒を流すまでに至らないうちにこれを防ぐことができることだと思う。しかし、このことが悪いと申し上げておるのではないのですよ。この問題を考えるとそうだ。五十七条について考えてみます。一、二、三、四、五、これもまた、これは体刑六カ月以下、それから五万円以下の罰金、これも五十六条とやや同じ程度に、これはまた運営のよろしきを得、十分警戒しておくならば、実害を流します前にこれは防ぐこともできる面がたくさん見出せる。問題は五十八条ですよ。この場合では、わずかに三万円以下の罰金だけで終ってしまっているわけです。体刑を除いてあります。そこで、一つ一つは申し上げませんけれども、さっき申し上げておいた四十五条の精神からいきますと、その中の五ですね、いわゆる報告と検査、こういう関連する問題ですが、この問題についてわずかに三万程度の罰金でおいて、一体前の五十七条、五十六、と比較して見る場合に、この程度が適当だとお考えになる根拠ですね、それをひとつお伺いしたい。もっとわかりやすく申し上げておきましょう。ともかく勢頭申し上げましたこの種の業者の人々は海千山千の人々で、使っていく問題はこれなんですよ。ろくにほんとうの報告をしないで偽りでいくということなんです。検査に至ってもこれを拒否するというのです。そこで四の五の、人権の侵害とか、何だかんだくだらぬことをやっているうちに、その間に大きな害毒を流してしまう。これに対する一体あなた方の感覚というものはどの程度か、私は怪しまざるを得ない。私は、一番罰則の中ではここがポイントでなければならない。私の意見をついでに申し上げますならば、これこそ体刑、最もひどいものをですね、五十六条に求むるこれらの厳罰がほしいと思うのですけれども、非常にこれを軽くやっていますことは、どこからそういうふうな考えが出たのか、これをお聞きしたい。
#15
○政府委員(町田充君) この法案の罰則の関係は、ごらんのとおり、罰量の重いものから比較的軽いものに順を追って書いてあるわけでございますが、体刑を課しておりますのは、偽りその他不正の手段によって鑑定業者としての登録を受けた、あるいは登録を受けないで不動産鑑定業を営んだというふうな、まあこの法案の骨格に触れるような規定に対する違反、こういうふうに実体的に重いと私どもは考えましたものから順番に書いておるわけでございますが、御指摘の第五十八条の五号、報告あるいは立ち入り検査の拒否の規定でございますが、この種の規定は、ほかの立法例にもたくさんあるわけでございますが、大体の扱いが、そういう実体的な規定に対する違反よりはやや軽く、罰量としては一番軽いものを考える規定をするというのが普通の立法例でございますし、さらに、立ち入り検査を拒む、あるいは妨げるというふうなことが、暴行あるいは脅迫を伴うというふうなことになりますれば、刑法の公務執行妨害罪というふうな規定の適用も出て参りましょうし、もちろん正当な理由があって立ち入り検査を拒む、妨げる、あるいは忌避するというようなことがあれば免責がされることも考えられますし、普通の状態としては、この法案の中における四十五条一項の規定のウエートというものは、まあ罰量としておおむねこの辺のところではなかろうかというふうに私どもは考えたわけでございますし、一番先に申し上げましたように、普通の立法例におきましても、こういう報告、検査の問題に関しましては、大体これと同様の扱い方をしているということでございます。
#16
○田上松衞君 御説明の中にあった、忌避する正当性のあるもの、これは先般田中委員等から秘密護持等に関する正当性というような観点でこのことをただされて、その点はよくわかるのです。私が言っているのは、その正当性を欠く場合、他の方法でいろいろあるというけれども、一つの法律を、これを使って、この前からいろいろ議論になっているのですが、もう一本の法律でこのものをずばりと始末ができるという格好にしてもらわなければ、あれを引っぱり、これを引っぱり、対照し、適用するというめんどうくさいことでは、どんどん時期が過ぎるのでだめなんだ、その間に害毒をどんどん流されてしまうんだ、こういうことをわれわれは考えているわけなんで、この法一本でやっていく、それならば今のような場合においては、さらにこれを拒否したという場合、正当性のない場合どうするかということを明確にしないと不完全じゃないかということを考えるわけです。
 それから今言われたその根拠というものは、いろいろなこういう関係の、何といいますか、他の法案との見合いを考えたようですけれども、これは性格が違う。だから私は要求しておるわけなんです。この一体法案の提出の理由というものは、土地等の適正な価格の形成に資する必要上やったんだと、精神はそこにあるはずなんです。これのほんとうの実効を期するためには、一番業者自体に対するあれですから、法案ですから、重要なポイントをつかんでもらわなければうそだ、このことでお聞きしておるわけなんです。ほかの、たとえば公共用地の取得等に関するような中で、立ち入りとか書類の検査等を拒むような場合については、これはまだ当てる手があるんです、防止する手が。しかし、このことはどんどん実害を来たしてしまうんですから、私どもはそれとこれとは別問題だという感覚なんです。もう一ぺん、これを、どうなんですか、この罰則を強化していく――今の他の問題はもう重い、軽いは言いません、私のあくまで明確にしておきたいことは、五十八条の五号だけについて、もう少しこれをどこか――あなたは順位を、やはり序列式な話をされるのでありますが、そうであるならば、これを五十六条の中へ持っていくような変更はできないものだろうか。
#17
○政府委員(町田充君) こういう報告徴取あるいは立ち入り検査の監督、いわゆる監督規定と申しますのは、各種の行政法規の中に、その法律の目的を達成するために、行政官庁側が監督手段としてこういう報告徴取をするとか、立ち入り検査をするとかいう規定がたくさんあるわけでございますが、これはあくまで行政監督は十分にやっていこう、そのための担保をするための規定でございまして、実体的に、あるいは登録を受けないで業務をやったとか、あるいは業務停止の命令に反して業務をやったとか、あるいは詐偽、不正の手段によって登録を受けたとかいうような、その法律の本体、骨格に触れるような違犯では実はないというふうな評価がなされておるわけでございます。そういう法規を執行していくために、行政官庁として必要最小限度の監督権を発動さしていこう、それがために報告を求める、あるいは立ち入り検査をするということがあるわけですが、その報告ないしは立ち入り検査について、ここに書いてございますような報告をしなかったとか、あるいは虚偽の報告をしたとか、あるいは立ち入り検査を拒んだとかいう違犯態様は、まあ各種行政目的を達成するための行政官庁側の監督手段に対するまあ抵抗だと、こういう考え方で、悪質な場合は、先ほど申し上げましたように、公務執行妨害罪というような刑法の規定でまかなっていく、普通の態様の違犯に対してはまずこの程度の罰則で適当ではなかろうかということで、各種立法例の中で罰量の均衡を実は考えまして、普通の立法例に従っておるわけでございまして、特にこの法律だけでこの五号を特に重く罰するということは、ややむずかしかろうという感じがするわけであります。
#18
○田上松衞君 くどいようですけれども、そこの感覚が非常に違うのですよ。官庁のほうで行政指導なり、行政監督だけの程度でうまくいくものならば、こんな一項をあげてこまかにしなくったっていいはずのものだと思うのです。四十五条の一項に触れる問題は、さっきから繰り返して申し上げたように、相手方の性格というと言い過ぎになるかもしれませんけれども、われわれ実態についてよく知っておる者からは、穴は実際ここなんです。しかも、それはいろいろな場合の強権を発動するような問題は、あとの立ち入り検査あるいは虚偽の報告についてはできるかもしれませんが、だけれども、前段の虚偽の報告なんかをやった場合、これはつらい目にしてあるわけです。第四十五条第一項の規定による報告を求められて、その報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、または立ち入り検査を拒み、もしくは忌避した者、これの性格が二つのものを一緒くたにして並べてある、非常に軽い程度のものが。一番おそれのあるのは虚偽の報告ですよ。それから始まるのですよ。今度はそれが一体虚偽であるか、そうでないかという問題を確証をつかむものが、この以下のことになってくるわけなんです。このつかむことの困難性があるわけです。常に上手にやっていく者に対して防ぐ手がなければいけないと思います。ずるい者に対して、たくみな者に対して、こういう場合においてはぴしっときめておかなければ空文にひとしいものになるんじゃないか。それを心配するので、しっこく聞いております。繰り返して申し上げますが、それを防ぐ意味において、これに対して私が申し上げておるのは、五十六条の中にこういうことを入れることはできないかということを申し上げた。非常にあなたはむずかしいような気持でおられるようですけれども、そうでなければもう一ぺんこれを再検討して善処するお気持はありませんか。
#19
○政府委員(町田充君) かりに業者が出しました報告が虚偽であった、あるいは立ち入り検査をする場合、理由がないのに拒んだり、妨害をしたというふうなことになりますと、行政監督権を持つ職員といたしましては、何か業務上の別の違反態様があるのではないかという心証を強くするわけでございます。そういう段階になりますと、犯罪に該当するおそれがある、犯罪があると思量されるということで、一般の司法手続について、したがいまして、裁判官の令状を取って、事務所を捜索するとかなんとかという司法手続によりまして、その結果、犯罪事実が明らかになりますと、五十六条、五十七条というふうな違反で十分取り締まりができる、こういうことになろうかと思いますので、単に、報告を求められたのに報告をしなかった、あるいは立ち入り検査を拒んだ、行政権の発動を妨害をしたという違反に関する限りにおいては、この程度の罰則で十分ではなかろうかということで、おそらく各種の立法例がそういう態様をとっておるものだろうと思います。確かにこういう虚偽の報告なり、あるいは立ち入り検査忌避の背後には、実は別の実体に触れる違反行為があるという場合が多いわけでありまして、そういう心証を得れば、先ほど申し上げたような司法手続で別に犯罪捜査をやっていく。これはあくまで四十五条に書いておりますとおり、犯罪捜査のための権限ではございませんで、単に行政監督上の手段でございますので、普通の立法例でもこの程度の扱いをしておる、こういうことではなかろうかと存じます。
#20
○田上松衞君 あなたが言われることもよくわかっておるのです。わかり切るほど実はわかっておるのです。私がくどくど申し上げたように、一番心配するのは犯罪捜査の問題終局にはこれはできるだろうと思うが、科刑上持ってくる、その他の罪を併科するようなこともできるとすれば……、だけれども、この点、この行為が実害を次の瞬間にどんどん流してしまうのだということなんですよ、問題は。それを言っておる。行政監督上の問題であることほどここにきめ手がほしい。ああだこうだ、最後にはできるでしょうけれども、その間にはどんどん害毒がしみ込んでしまう。問題は国民のために法はなされなければならぬわけですよ。これはどうしたらば実害をなくしていけるか。言われるような国民が求めておるものは、土地等の適正な価格の形成、こういうものがほしいわけなんです。ああだこうだといろいろなものをここで書いてみたところで、国民のはだに触れぬ、役に立たぬものだけ並べてみたってそれは何にもならぬということです。私は、この点報告をしないで、あるいはしたにしてもそれは偽わりの報告をしておいて、それがどうだとか確かめておっても、立ち入りを拒んで、あるいはそれを妨げ、あるいはそれを忌避していくというようなことをやっておる間にどんどん実害が流れてしまうのですから、ここが一番重要だ。ここでぴしっとしたきめ手がほしいのだ。他のいろいろなこれらのケースの法令等、こういう工合にみんな序列上この種の行政監督等の問題は軽く見ておるから、そのようにしたのだということとは、この法の性格というものが違うのじゃないか。それをひとつもう一ぺん考え直してもらえぬか。どうしてもこれで十分だということで、このままでやっていかなければならないということにしちゃうのですか、どうですか。私は前提として申し上げておきます。これの必要性を感じておる、けっこうだと思っております。しかし、この一点だけが気になってしようがないということなんです。ざる法みたいなことになって、ほんとうに実害の直接に及ぶ害毒を流すような行為をもたらされては困るのだ。ただそれだけのことです。そうかといって、今ここで修正の動議を出してみたってこれは始まらぬと思うので、何かあなた方のほうでこれに対処していくべき方法はないだろうか、この気持で申し上げておる。もう一ぺん明確にして下さい。
#21
○政府委員(町田充君) 法定刑はなるほど三万円以下の罰金ということになってございますが、これで処罰をされますと、欠格要件にももちろんなりますし、登録の抹消事由にもなりますし、そういう方面の行政監督上の処分というものが反射的に出てくるわけでございまして、そういう意味合いでは、かりに三万円以下でございましても、罰金刑が科せられておるということによってそういう違反をした業者についての自後の行政上の監督手段については欠けるところがないんじゃないかということも考えられますし、五十八条の五号の規定の趣旨は、先ほど来申し上げましたような意味合いで、この法律の実体的な規定に対する違反ではなしに、それを行政官庁は監督する、その監督手段に対する妨害というものに対する制裁としてはまあまあこの程度で十分だという認識に立って、各種の立法例がございますので、その趣旨に従ってこの法案を立案した次第でございます。
#22
○田上松衞君 あなた自分の説だけを固執して、私の言うことをのみ込んでおいて下さるかどうか、非常に不安に感ずるわけですがね、私が言っていることは、鑑定士に関するその者に対しての、あるいは取り消してみたりなんかするようなことは、それはできるわけですよ。それでいいんですよ。法はそれらのためにやっているのじゃないのだ、ほんとうは。今こういうことでどんどん次から次へ害毒はすぐその瞬間に流れてしまうわけですが、これによって受けて、この鑑定をもとにして取引をやった国民のほうは、それはうそっこだということにするわけにいかないでしょう。そのほうの実害のことを言っているわけですよ、私の申し上げておることは。鑑定士の業務のことの何といいますか、それらの職業上に関する問題じゃないのですよ、ねらっているところは。そこでなければならぬはずだということなんです。役所の人々に対して、こうこういうことがあったら、それは首にしてしまうとか減俸してしまうとか懲戒してしまうとか、その人に対してはそれで済んでも、その者がやった行為が国民に大きな迷惑をかけたら、それは取り返すことのできないことになってしまう。この場合こうなってくるのですから、そこで、あくまでこの法が国民向けのものでなければならぬじゃないかということです。その一点だけが一番……。大臣が来られたから一緒に聞いていただきたいのですが、私がさっき申し上げておるところは、第四十五条「報告及び検査」、この問題がこの法をほんとうに国民向けのものにして生かすのには、ほんとうに一番重要なポイントだと私どもは認識しているのです。ところが、それに対する罰則が非常に軽過ぎる。三万円程度、こんなものであっては国民の被害というものは救われないのじゃないか、極端に言ってしまうならば。それでこれをもっと強い罰を課すことはできないものかどうか。具体的に言いかえるならば、五十六条の罰則の場合では、一年以下の懲役、体刑までしてあるわけですよ。罰金も十万円以下としてあるわけですよ。そこで、この五十八条にあるところの五号を五十六条の中に具体的にはこれを置きかえてしまうことはできぬものだろうか。それができぬとするならば、もっと何かこれをひとつここらを御考慮願えないかと、こういうことを申し上げておるわけです。問題は、最終的には鑑定士を処罰する方法は幾らでもありますけれども、それはその人だけの問題……。
#23
○田中一君 関連。今、田上委員から四十五条の罰則の問題についていろいろお話がありましたけれども、私は、法律というものはこれは例外の犯罪事実があるのじゃなかろうかという前提でものを考えたくないわけであります。したがって、罰則等はなるべく軽微にして、間違って犯した場合はという、罰しないという形のほうが望ましいと私は思うのです。そこで、今どの法律でも裏をかくということはあります。しかし、裏をかかないように、行政面では法律をもとにした行政指導というものは当然並行して行なわれなければならぬものであるから、その点はひとつそういう犯罪事実等が醸成されないような行政指導を十分していくということぐらいの言明を政府はして、この田上君の強硬な主張に対して、ほこをかわすことが委員会をスムーズに持っていくもとではなかろうかと、こう思うので、一言申し上げるわけであります。
#24
○政府委員(町田充君) 田上先生の御心配の国民に対する関係という点で問題になりますのは、おそらくこういう虚偽の報告をしたとか、あるいは立ち入り検査を拒んだということの背後に、不当な鑑定をしたとか、あるいは正規な登録を受けていないのに業として鑑定業をやったとかいうふうな、国民に実害を及ぼすような別の違反がその背後にある、それのまあ追及が、こういう検査の拒否とか虚偽の報告とかいうことによって妨げられるじゃないかと、こういう御心配だと思います。その点の国民に対する関係でのそういう不当な鑑定評価であるとかいうふうな点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、別の一番この法律の中では重い罰則を規定いたしておるわけでございまして、五十八条の第五号と申しますのは、そういう直接国民に対する関係ではなしに、行政官庁の行政権限の発動を妨害をしたと、こういうことで、この法案の中におきますウエートからいいますと、直接国民に対する問題でなしに、もっぱら建設大臣なりあるいは都道府県知事の指定する職員のそういう行政権限の発動を妨害をしたと、こういうことに対するまあ罰条でございますので、行政監督上あるいは行政指導上、こういう事態が起こらないように私ども十分指導をして参りたいと思いますが、形式的な罰条の関係としては、そういうことでひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。
#25
○委員長(北村暢君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#26
○委員長(北村暢君) 速記を起こして。
#27
○国務大臣(河野一郎君) 田上委員からだんだん本法施行後弊害の起こるべきことを想定されていろいろ御意見がありましたが、これらにつきましては、なおよく十分検討いたしまして、その後の運営において注意をいたしますと同時に、万一そういう事態がありましたならば、今後これが改正についても十分検討することにいたしたいと思います。御了承願いたいと思います。
#28
○田中一君 平賀さんに先に伺いますが、これは鑑定士法、御承知のとおりです。大蔵省も聞いて下さいよ、自治省でも聞いてほしい。こういう法律は建設省がなぜ所管しなければならないかという疑問があるわけです。そうして五十五条には対象物を除外して考えているわけです。ちょうど宅地建物取引業法という法律がありますが、これはやはりこうしたものを除外して考えられている。山林、原野、農地等はその業者の取り扱うべき範囲ではない、こういうきめ方をしているわけです。下動産というのは、不動産というわれわれが通念で認識しておるところの物件というものは、山林、原野その他も入ります。農地も入ります。そこにして申しますならば、この法律制定の不純性というものがあるのじゃないか。これはいわゆる主務官庁のセクトです。これは私の意見です。そこで、平賀さんに伺いたいのは、土地家屋調査士法には、そのさむらいならさむらいというのは鑑定士ですよ。鑑定士の個人的な精神、身体等の欠格条項というものを盛り込んで資格を剥奪するのではございません。業務をとる。業務の権限を停止するという形のものがありますが、ほかの法令には、そういうものが今まで法務省関係のものにあったかどうか。それから事営業権の剥奪ですから、その個人に対しては非常に大きなショックだと思うのですが、そうしたことが人権擁護か、商権擁護か知らぬけれども、そういう形の面から見て妥当かどうか。まず最初に、なぜこの土地家屋調査士法にそれを織り込んだのかという点を説明してほしいと思う。
#29
○政府委員(平賀健太君) ただいま田中委員の仰せのように、土地家屋調査士法におきまして、調査士が身体または精神の衰弱のために業務を行なうことができない場合には登録を取り消すことができるということになっております。これと類似の規定は司法弁士法にございます。なお、私どもの法務省の所管の法律では、公証人法がございます。それから弁護士法なんかにも、少し違いますけれども、多少類似の規定があるようでございます。それからほかの法律を見ますと、医師法でございます。これは少し実態が違いますけれども、やはり類似している規定があるようでございます。ほかの法律には私あまりその例を知らぬのでございますが、事柄から申しますと当然のことであるようにも考えられるのでございます。精神、身体の衰弱によって業務を行なえないという人の登録を取り消すということは、当然のことのようにも思われるのでございます。特に土地家屋調査士法、司法書士法なんかにおいてこういう規定を置きましたのは、やはり民間の方々の登記の申請というものと非常に密接に関連がある、ことに地方の小さい登記所なんかに参りますと、調査士の方が一人しかいられない、どうしてもその人に頼まなくちゃならぬという場合がございますところが、非常に不適格であるというようなことになりますと、適正な登記の申請の代理ということが行なえない、その関係で、そういう場合にはやはり登録を取り消すという手段も最後には必要だという趣旨だろうと思うのでございます。
 なお、これは田中委員の御承知のことと思いますが、土地家屋調査士法は、大体司法書士法と歩調を合わせた法律でございまして、昭和二十五年にこの調査士法と司法書士法が制定されたのでございまして、いずれの法律も議員提出のこれは立法でございまして、司法書士法にこの規定がたしか入っておったのでございます。調査士法にはこの規定がございませんでしたが、これは昭和三十一年の改正の際、この改正もやはり議員提出の法律でおやりになったわけでございますが、そのときに、司法書士法に合わせまして八条の二という規定が入ったいきさつになっております。
 それから、なおこういうことでどんどん登録の取り消しをするということ、もしこれが乱用されますと人権の侵害というようなことにもなる危険がありはしないかという仰せでございます。これは、そういう懸念が全然ないとは申し上げられません。でありますから、これは法務局長、地方法務局長が登録取り消しの権限を持っておるわけでございますが、よほどこれは慎重にやるべきものだと思うのでございます。取り消しの権限を行使するにつきましては、現在の取り扱いにおきましては、法務省のほうで十分これは監督をいたしておりまして、場合によりましては事前に法務省に内議させるというようなこともやっております。これはよほど慎重にこの権限は行使すべきものだというふうに考えております。
#30
○田中一君 計画局長、今、民事局長が答弁された内容の職種、業種とこの鑑定士法とは、個人としての身体、今説明されたような心神の消耗、衰弱というような点では何にも懸念がない。あるいはそういう者には、さっき大臣がちょっと言っていたけれども、頼まない。あるいはその鑑定士自身が最後の判断を下せばいいんであって、あとの行動はだれがやってもいいんだ、鑑定士補がやってもいいんだというような考えでこれを抜いたのか。少なくともこの法の制定による評価鑑定というものの正当性というものを期待しようというわれわれ並びに国民はそのくらいの厳密な欠格条項があったっていいんだと思うのですが、その点はあとで答弁をもらいます。
 それから自治省のほうに伺いますが、この評価鑑定によって金が手に入ったときには、固定資産税はその価値によって課税をしようとするのか。それからもう一つ、固定資産税はここに示されておるような資格者が現在評価鑑定を行なっているかどうかという二点について伺います。
#31
○説明員(石川一郎君) 固定資産税の評価は、これはもう地方税法に根拠がございまして、現在は自治大臣の示す固定資産評価基準に準じて市町村の固定資産評価員が評価を行なうことになっております。その最終的な決定は市町村長がこれをきめる、こういうように法律で定められているわけでございます。ただ、現在の固定資産評価基準に準ずる評価は、必ずしも適正で均衡のとれたものでないという実情でございますので、昭和三十九年度からは新しい評価方法によって評価を行なっていこう、こういうことになっておるわけでございます。三十九年度の評価作業は今進められておりまして、われわれといたしましては、新評価制度のもとにおいてできる限り評価の適正と均衡をはかって参りたい、こういうように考えておるわけでございます。
 そこで第一の御質問でございますが、ただいま申しましたような法律の体系になっておりますので、不動産鑑定評価の結果をそのまま固定資産の評価に反映させる、こういうことは法律の建前からいって困難だろうと思うのでございます。ただ、宅地関係の審議会でいろいろ御議論を願いました際におきましては、われわれといたしましても、この鑑定評価制度の確立を見た後に固定資産の評価としてもできるだけ調整をはかり、その間に、まあ評価でございますからいろいろ問題があると思いますけれども、そごができないような努力は、今後評価制度の行方を見ながら検討いたして参りたい、こういうように考えております。
 それから鑑定士の資格を持っておる人にこの評価を願う、こういうことは現在の制度のもとではできないと思うのでございますけれども、都道府県に固定資産評価審議会というのが設置されております。それから自治省には中央固定資産評価審議会というのがございまして、この審議会では固定資産の評価の方法あるいは特定の土地の価格の決定等について調査御審議を願う、こういうことになっております。現在はまだ制度ができておりませんでございますが、将来はおそらく鑑定士の方々にもその中に入っていただいていろいろと御協力を願う、こういうことが出てくるのではなかろうかというふうに考えております。
#32
○田中一君 提案者である建設省のほうでは、大体あなたのほうで固定資産税の評価員的な人たちに対する資格に対しては、これは試験が三つもあるんですが、たとえば第一次試験を受けなくてもよろしいというような除外はないんですよ。しかしながら、大蔵省関係、財務局関係、国税局関係は、これは第一次試験ないし第二次試験等を免除するということになっておるわけです。これは建設省のほうの説明なんですよ。そうすると、自治省でやっている固定資産税に対する評価員等は、これは全然除外されているところを見ると、どういう人に固定資産税の評価員を頼んでいるか、あるいはその地方税関係の中にこれに該当するような人が全然いないのかという疑問を持つわけです。その点は実態はどうなっているんですか。
#33
○説明員(石川一郎君) 固定資産評価員と申しますのは、現在は市町村の職員に大体なっておるわけでございます。それで固定資産税は、御承知のように二十五年から制度ができておりまして、今申しました評価基準に準じて評価を行なっておるというのが実情でございます。ただ市町村の職員でございますので、従来の固定資産評価員は、評価を担当する者が必ずしも永続しているという状態ではございません。ただ、そのためにいろいろ問題が出てきておりますので、今後はわれわれといたしましても、できる限り評価員なり何なり永続させるような形のものに持っていきたい。また、それだけの機構と職員が整備されていかなければそういう形になってこないと思いますので、先ほど申しました固定資産評価基準は、実は一つのやり方を示しておりますけれども、それに準じてということで、市町村が必ずしも統一した評価を行なっておりません。そういうような関係で職員の質の問題と評価の方法が統一されていないということと関連いたしまして、まあ現在の段階では、それほど適格者というものは実は出てきていないのではなかろうかと思うのでございます。今後は、今度の評価制、度の改正で、相当職員もふえて参っておりますし、永続しなければ土地の評価等は行なえないと思いますので、そういう方向でわれわれ指導をいたして参りたい、かように考えております。
#34
○田中一君 もう一つあなたに伺っておきますが、この法律に示されておる評価鑑定という一つの行為は、大体において、その不動産が動く、移る、移動するということですね。移動するということを前提としてわれわれは理解しようとしているんです。租税面でその価値というものをどういう工合にきめていくかということは、非常な重要な問題だと思うんです。ことに、今の何というのですか、固定資産評価員ですかが、職員の中でもって選ばれていくという考え方は、法を都合のいいように曲解しているんじゃないかと思うのですがね。われわれは、通称、国家機関にある特定の一つの行為のための審議会なり何なりの委員というものは、大体において職員外のものを充てる、まあまれに事務的な仕事を扱うために職員も入っているということが往々にあるわけです。これには、はっきりと裁判所等でもやはり適当な――適当なというのは、職員の中から選んで評価員にするはずがないわけなんですね。そうすると、その評価員というのは職制の中にあるんですか。それともその固定資産税法の中に、必ず評価員というものを作らなければならないということでやっているんですか。
#35
○説明員(石川一郎君) ちょっと私の申し上げようが悪かったかと思いますけれども、租税の課税標準である価額を決定するということでございますので、法律上は市町村長がきめることになっております。ただ、固定資産の評価自体は技術的な問題でございますので、その技術的な問題については評価員が担当をして評価を行なう。今の組織といたしましては、この固定資産評価員というものを市町村に必ず設置する、具体的には、市町村の議会の同意を得て設置する、学識経験を有している者の中から選ぶ、補助員その他具体的にそれを執行するのは市町村の職員がこれをやっていく、こういうような建前になっておるわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、今までの評価の方法が必ずしも統一されておらない実情から申しまして、実はわずかの人数で、不動産鑑定評価の場合と違いまして、多数の固定資産の評価を行なわなければならない、こういうような実情にございますので、具体的に、今までのやり方は、一定の評価のめどを各市町村にある程度与えております。この方法でやるということになっておったわけでございます。今次の改正で初めて、まあ市町村の評価の積み上げによって評価を行なっていくという根本的なやり方を変えたわけでございます。それで、評価でございますので、市町村の職員におきましても、相当の期間を与えなければ、熟練の問題もございますし、それからいろいろな専門的な知識も必要でございましょうし、その点は今後の時間を待たなければなかなか達成できない、ただ、私どもの評価は、全体といたしまして全国の評価が一定の水準で均衡をとるということがきわめて重要な問題でございます。その点は自治省が中心になりまして、先ほど来申し上げました固定資産評価審議会というものがございます。ここにそういう専門家の方に入っていただき、そこで十分内容を検討していただいて均衡をはかる、こういう建前にいたしていきたいと考えております。
#36
○田中一君 まあ固定資産評価の問題について、いろいろまだ私も議論もありますけれども、それは別の問題ですからこの辺にしておきまして、財務局のほうにひとつ、宮川君のほうに……。
 この払い下げの場合の評価鑑定は、建設省に言わすと、全国で大体九十名くらいだったかな、各財務局ごとに四十五名程度、本省に九十名程度いるのじゃなかろうかと言っておりますので、これらの人は――これは払い下げの場合ですよ――本法が成立した暁には、鑑定士になれる資格を持っている人ですか。
#37
○説明員(宮川国生君) 鑑定士になれる資格と申しますか、私、不動産鑑定士は不案内でございますが……。
#38
○田中一君 ちょっと言葉が足らなかったのだが、この法律によるところの第一次試験とか第二次試験とかは、このままなにになれる人かと聞いているのです。
#39
○説明員(宮川国生君) この法律によりますと、すべて試験制度ということに一応なっておるわけでございます。そしてその中で第一次試験の免除規定は、それと同等の一般的学力を有する者という規定がございますが、これはきわめて常識的に申しますと、国有財産の鑑定官というのが全国でかなりおりますが、そういった人々は、相当長い間の鑑定の仕事をしておりますので、そういった鑑定の実力という点につきましては相当なものがございますので、鑑定士の、あるいは一次試験の一般的な学力を有する者とか、あるいは同等以上の学力を有する者、こういったものに該当する実力を持っておる鑑定官だと思っております。
#40
○田中一君 国税局のほう、宇佐美さんは国税局……。
#41
○説明員(宇佐美勝君) 主税局でございます。
#42
○田中一君 あなたに聞いていいかどうか……。
 国税局関係では、東京分でこれらの評価鑑定する人たちが千五百人くらいいるというけれども、そんなに多いのですか。
#43
○説明員(宇佐美勝君) お答え申し上げます。資産税関係の仕事に従事しております人間の数が、今おっしゃいました程度おるわけでございます。
#44
○田中一君 そうすると、その人たちは、不動産鑑定士試験の特別試験の特例に該当する人たちばかりだ、こういうわけですか。
#45
○説明員(宇佐美勝君) 大体千五百人ほど東京国税局の管内ではおるわけでございますが、しかし、中には新しく学校を出まして採用されてしばらくというような者もございまして、これが全部が全部ある程度試験免除を受けるという条件にかなうかどうかはまだはっきりいたしておりませんのですが、係長クラスとか、あるいは次席クラスくらいになりますと、これは相当の力を持っておる者と考えております。
#46
○田中一君 自治省、大蔵省に御答弁願いたいのは、この法律ができた場合には率先してこの試験を受けさす、そして将来はこの法律による不動産鑑定士という資格を持った者がそれらの評価をするという方向にいこうとしておりますか、それともそうでないのか、ひとつ答弁してもらいたい。
#47
○説明員(宮川国生君) 財務局関係についてだけ申し上げますと、現在財務局の評価にあたりましては、私ども官側で評価をしておる、まあ大体大ざっぱなことを申し上げますと、まず財務局側で一応の算定をいたします。それと民間の不動産のこういった鑑定業に精通しておられる方、そういう方の評価を聞きまして、両方を合わせてそして二で割りまして売り払い価格をきめておる、こういう段階でございます。したがいまして、将来この不動産鑑定士法というものが成立いたしまして、不動産鑑定士という方が出てきますと、私どもは当然、今までどおりの民間の精通者という方にお願いしておった評価は、これは当然そういった鑑定士にお願いすることになります。かつまた、部内で試験に通りまして鑑定士というような資格を持った人がございますれば、当然それにやらせる、こういうことになります。
#48
○説明員(宇佐美勝君) ただいま国有財産第一課長から話がありましたことと大体同様でございまして、ただ私どもとしましては、一応権限としましては、不動産鑑定士である必要はないわけでございます、資産税の仕事をしていく上におきましては。したがいまして、これを受験させるということを強制する、あるいは強く慫慂するということは、必ずしもそういうことにはならないのじゃないかと思いますが、これはちょうど例を見つけてみますと、税理士という職業がございますが、内部の職員で必ず受けさせるということにはいたしておりませんが、かなりみなが受けておるわけでございます。実力に自信のある者は、おそらく受けるようになるじゃないか、それにつきましては非常にけっこうだというふうに考えております。
#49
○説明員(石川一郎君) 市町村という段階でございますので、いろいろ事情があると思います。われわれといたしましては、この制度が確立した後におきましては、できるだけそういう資格を持った方が多くなっていくということは、これは望ましいことは当然だと思います。現在でも、たとえば家屋の評価を大都市等でなさいますときには、建築士なり、そういう資格を持った人をできるだけその中に入れております。おそらくそういう方向に向かっていくというふうに考えております。
#50
○田中一君 そこで、これは宮川さんに聞きますが、五十五条で、その対象物の除外をしております。たとえば国が持つ山林があった、この場合には普通の鑑定士では資格がないのです。私はおそらくこの鑑定士だって、この法律による鑑定士は、その評価鑑定をする能力があると思うのですが、これはこの法律によって、この条文によって除外されておる。そうすると、今度は農林省が農地、山林、原野鑑定士法というものを作ったほうが便利ですね、宮川さんのところで考えた場合には。ここに一応限定されて除外されておるものを、それぞれに即した意味の評価鑑定士が生まれれば、これまた都合がいいわけですね。これは同じように、宇佐美さんにも伺うわけですけれども、ちょっと変に思いませんか。これを除外されたということは、おそらくこれは農林省なり大蔵省がずいぶん反対したからこういうことになったのだろうと思うのですが、われわれが通念として考えている不動産というのは、農地とか原野、山林等は入っておるわけです、われわれの理解する不動産というものは。これはあなた方のほうじゃ相談はないかもしれませんけれども……。
#51
○瀬谷英行君 今の問題に関連して。今、田中さんから言われたことは、答申の中には、「鑑定評価の対象とする不動産は、土地及び建物その他土地に定着する物件、工場財団、鉄道財団等の財団及びこれらの組成物件」というふうになっているのですけれども、本法案の中には、工場財団、鉄道財団等の財団は入っていないようになっているわけですよ。今この除外したという理由は、今、田中さんから言われたように、大蔵省関係でどうも工合が悪いということで除外をされているものなのかどうか、それは建設省からもお答えを願ったほうがいいんじゃないかと思いますが、建設省のほうはあとで、いいですが、大蔵省関係で支障があるのかどうかという点についてですね。
#52
○説明員(宮川国生君) お答えいたします。田中先生のおっしゃいました農地、採草放牧地または森林の部分を除外した点につきましては、大蔵省は反対をしておりません。それから工場財団をはずしてございますが、これは国有財産の工場財団というものがございませんので、この点も別に反対したわけではございません。
#53
○田中一君 平賀さん、あなたに伺いますが、どうもこの法律はなぜ建設大臣が担当しなければならないかという疑問を持ちませんかな、どうです。なぜ建設大臣が持たなければならぬか、根本的な問題なんですがね。
#54
○政府委員(平賀健太君) 私どもの考えておりますところでは、従来の制度を見てみますと、不動産、土地建物に関する一般的な事項につきましては、建設省の所管になっている事項が多いように思うのでございます。たとえば宅地制度の調査企画であるとか、公共用地の取得に関する公共用地用のその土地の評価だとか、取得する場合の補償の適正化、宅地建物取引業に関する事項、地代家賃の統制に関する事項というような工合で、土地建物に関しましては、建設省が広範な権限を持っていられるように思います。それから、これは田中委員の御質問に対する適切なお答えにはならぬのでございますが、法務省もまた土地建物について関係はございませんけれども、これはもっぱら登記に関する面において関係があるのでございまして、どうしてもやはり不動産の評価の適正化というような問題になりますと、従来の制度からいきますと、建設省の所管ということが一番適当ではなかろうかと私どもは考えている次第でございます。
#55
○田中一君 あとは午後に譲ります。
#56
○瀬谷英行君 今の問題ですが、建設省所管が適当だと思いますというお答えでしたけれども、それならばそれで、土地関係で除外例を設けないで、一本でやっちゃったほうがいいじゃないか。これでは農地であろうと、宅地であろうと、採草放牧地であろうと、土地は土地だから、そういう点では土地は土地でもって一本にして、鑑定の対象にしてしまうというほうがはっきりしていいのではないかという気がするのですが、その点はどうなんですか。
#57
○政府委員(平賀健太君) 五十五条の規定を見ますと、三項目あがっておりますが、第三項目の事項につきましては、これは本法にいう不動産鑑定評価に含まれないということでございますが、従来はこの法律によって資格をとられました鑑定士の方が、こういう土地なんかの鑑定ができないという趣旨では私はないと思うのでございます。鑑定はもちろんできるのでありますが、この法律によりますと、不動産の鑑定評価ということを業として行なうには、この法律に基づきまして、登録を受けました不動産鑑定業者でなくてはならない。不動産鑑定業者は必ず鑑定士の資格を有し、その登録を受けた人にさせなくちゃならぬということになっております。農地なんがにつきましては、その鑑定士の資格を有しない人、あるいはここにいう不動産鑑定業者でない人も鑑定ができるというだけの意味だと思うのでございます。そういう趣旨でございますので、この五十五条の規定は、決してこの法律による鑑定士がこういう農地なんかの鑑定評価をしてはいけないという趣旨ではないと思うのでございます。
#58
○瀬谷英行君 固定資産税の関係の問題で自治省のほうにもちょっとお伺いしたいのですけれども、鑑定士の評価と固定資産税の評価が異なるという場合もあり得るのかどうかという問題ですね。地価の公示制度というのは、答申の中にあるのですけれども、不動産鑑定評価に関する制度の確立に関する答申及び参考資料としてその答申の中に、地価の公示制度というのが答申の中には載っておるのです。しかし、そういう場合に、評価の相違があっても差しつかえがないのかどうか、あっちゃ工合が悪いということになるのか。将来その鑑定士という制度ができた後において、評価をする場合には、ばらばらに市町村の職員がやっておった固定資産税の評価とまちまちにならないような方法を考えていくのか、そういうことはあってもかまわないのか。その点についてひとつお聞かせ願いたい。
#59
○説明員(石川一郎君) 先ほど申し上げましたように、固定資産税のほうでは、三十九年度から全面的な評価がえを実施に移して参ります。その結果を待たなければと思いますが、今私どもの考えておる段階では、評価でございますので、評価のやり方でございますね、どういうように評価をしていくかという評価のやり方が違うと、これは当然評価額が違ってくるだろうというように考えられます。それから、評価を担当する人の見方によって評価額は変わってくると思います。したがって、鑑定士のほうの評価額と固定資産税で評価をした額と一致させるためには、両者の意見をいろいろな組織を通じて調整をしていかなければ、なかなか困難ではなかろうか、こういうように考えておるわけでございます。何分にも三十九年度で私どものほうで全面的な評価がえを行ないますが、その結果を見、それから不動産鑑定士制度の確立を見て、その状況を見なければ、今の段階で両者の評価額が合うか合わないかということについて、的確な見通しを得ることはむずかしいというように考えております。私どもといたしましては、今お話のございました価格の公示制度というものが実施されるようなことが考えられるということにおいては、やはり両者の評価額が合うということが当然期待されなければならないというように考えております。
#60
○瀬谷英行君 それじゃ、三十九年度から実施しようとする新しい評価の方法というのは、建設省で今考えている不動産鑑定評価の法案の成り行き、鑑定士制度の実施の状況等を勘案をして考えるということであって、まだ具体的にはどうこうというところまではいっていないんですか。
#61
○説明員(石川一郎君) 三十九年度の具体的な評価額がどう出るかということは、これは実施してみなければつかめないと思いますが……。
#62
○瀬谷英行君 いや、評価額じゃなくて、評価の方法です。
#63
○説明員(石川一郎君) 評価の方法は、もうすでに固定資産評価制度調査会というのがございまして、この固定資産評価制度調査会の答申に基づいて、先ほど申し上げました中央固定資産評価審議会で御審議願った結果、大体方向が確立いたしておるのであります。その今私どもが考えておりますやり方は、固定資産評価制度調査会の答申に沿った考え方で評価をしていく、土地と家屋と償却資産でそれぞれ具体的に評価の方法をきめているわけでございます。その評価のやり方が基本的に合わないと不動産鑑定士の評価と一致するということはむずかしいのではないかと考えて、おります。
#64
○中尾辰義君 今現在の固定資産の評価の額というものは、標準の時価とどのくらい差があるか……。
#65
○説明員(石川一郎君) 具体的に的確な見通しをつけるということは、全市町村については困難でございますけれども、調査会の答申が出されました当時、昭和三十五年度においては、宅地が売買実例に対して一七%前後、農地が二五%程度、それから山林が二五%程度、こういうことになっております。それを是正しようというのが一つのねらいでございます。
#66
○中尾辰義君 じゃ、三十九年度の評価基準というものは、それは大体時価と同等な評価にしようというような方向になるわけですか。
#67
○説明員(石川一郎君) 三十九年度の評価がえに際しましては、今申しました時価との差をなくすということが目的でございます。
#68
○中尾辰義君 そうすると、三十九年度の評価基準というものは、大体時価と同じようなところに持っていこう、こういうことですね。
#69
○説明員(石川一郎君) 御趣旨のとおりでございます。
#70
○委員長(北村暢君) 暫時休憩いたします。
   午後零時五十七分休憩
   ――――・――――
   午後二時三十分開会
#71
○委員長(北村暢君) ただいまより建設委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、黒川武雄君が辞任せられ、谷村貞治君が選任せられました。
  ―――――――――――――
#72
○委員長(北村暢君) それでは、休憩前に引き続き、不動産の鑑定評価に関する法律案を議題といたします。
 質疑に入ります前に、去る十一日の田中委員に対する答弁が留保されて、おりまするので、政府側の答弁を求めます。町田計画局長。
#73
○政府委員(町田充君) 前回田中委員から御質問のございました点につきまして、順次お答えを申し上げたいと存じます。
 第一は、この法律の第二条で定義をいたしております「「不動産の鑑定評価」とは、土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、」云々と書いてあるわけでございますが、その「土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利」とは何か、具体的に説明をせよと、こういうことでございましたが、この点につきましては、前回も御説明いたしましたとおり、「土地若しくは建物に関する所有権以外の権利」と申しますのは、まず、物権といたしましては、地上権、永小作権、地役権、採石権、質権及び抵当権がこれに該当するわけでございます。次に、債権といたしましては、賃借権及び使用貸借に基づく使用権これがこれに該当するかと存じます。また、以上申し上げましたような法律上明確な物権ないしは債権のほか、慣行上認められておりますところの入会権、あるいは譲渡性を有する、あるいは私法上の使用収益権に類似いたしますような公物の使用権、たとえば日比谷公園にあります松本楼というふうなものは、公園の二部を使用する権利を認められておるわけでございますが、ああいった公物の使用権も、ここにいいます「土地若しくは建物に関する所有権以外の権利」に含まれるものと、こう考えておるわけでございます。
 それから第二点、けさほど法務省民事局長のほうからの回答のありました問題でございますが、土地家屋調査士法におきましては、心神衰弱の場合に、土地家屋調査士の登録取り消し処分が書かれておるが、この法案にはその規定がないのはどういう理由か、こういうお尋ねでございます。
 で、土地家屋調査士は、その職務にも明記されておりますとおり、不動産の表示に関する登記について必要な家屋に関する調査、測量または申請手続をすることを業といたしておるわけでございますが、これらの業務は、不動産の登記という国民の権利義務に直接関係するものであるわけでございます。したがいまして、土地家屋調査士法におきましては、一方において土地家屋調査士の業務独占を認めるとともに、一般民衆から土地家屋の調査について依頼がありますと、正当な理由がなくては拒んではならないという、依頼拒絶禁止についての明文を設けておりますとともに、他方におきまして、御指摘のような心神衰弱による登録取り消し処分というふうな規定を設けておるわけでございます。で、これは、心神衰弱者を不動産登記の手続に関与させることによって不動産に関する権利者に直接に不測の損害を生ずる危険があると、これを防止をしようという趣旨でございまして、以上に申し上げましたような土地家屋調査士の業務の直接な公務的な性格というものからいたしまして、こういう事由に基づく登録の取り消しという処分を認める必要性がうなずけるわけでございます。
 これに比較いたしまして、鑑定士ないしは鑑定士補の業務と申しますのは、なるほど重要な業務でございますが、以上申し上げましたような土地家屋調査士の業務に比べると、それほど直接的にまあ公務的な性格はない。売買取引の場合にその経済価値を判定をして意見をいうと、こういう性格のものでございまして、面接的に国民の権利義務にかかわるという性格のものでは必ずしもないわけでございます。それとともに、まあ心神衰弱という現象をとらえて登録の取り消し処分をするという点につきましては、民事局長からも答弁がございましたように、非常に重大な行政処分でございますので、まかり間違うと人権の侵犯というふうな事態も引き起こしかねないものでございますし、そういう行政庁の裁量の範囲のきわめて大きいまあ取り消し処分というふうなものをそういった理由から認めるということは、必ずしもこの場合適当ではないのではなかろうかというふうな考え方から、この法案では、ろう者、あ者、あるいは心神耗弱者というふうなものが準禁治産あるいは禁治産というふうな民法上の宣告を受けました場合に、事態がはっきりいたしました場合に、それを前提として登録の取り消し処分を行なうと、こういう建前にいたしたわけでございます。
 なお、この法案では、御指摘のように、心神衰弱によりまして不動産の鑑定評価の適正を期しがたいという場合も起ころうかと考えられますが、この点につきましては、まず第三十五条第一項後段におきまして、不動度鑑定士であっても、みずから実地に不動産の鑑定評価を行なわないというふうな事務所につきましては、必ず専任の不動産鑑定士を置かなきゃならぬというふうにいたしておるわけでございます。さらに四十条の第二項におきまして、もしもそういう心神の衰弱等が原因で不当な鑑定評価を行なうというふうなことがございますと、これに対して懲戒処分、登録の消除というふうな規定を設けまして、そういう御心配のような事態が起こることをあらかじめ防止することを考えておるわけでございます。
 それから第三点、条文が多少飛びますが、第四十二条で、「不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が不動産鑑定業者の業務に関し不当な不動産の鑑定評価を行なったことを疑うに足りる事実があるときは、何人も、建設大臣又は当該不動産鑑定業者が登録を受けた都道府県知事に対し、資料を添えてその事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。」、この条項に関しまして、「何人も、」と規定したのはどういうわけかと、「適当な措置をとるべきことを求めることができる。」というが、「適当な措置」とはどういうことかというお尋ねであったかと存じますが、鑑定評価の結果が不当であるか不当でないか、こういうことについて関心を持ちますのは、何と申しましても直接関接にその不動産の鑑定評価について関心を持っておる利害関係のある人々だろうと考えられます。したがいまして、この規定に基づきましてこの措置の要求をいたしますのも、おおむね不動産の鑑定評価について直接にあるいは間接に何ほどかの利害関係を持っている人、そういう人たちが大半であろうとは考えられます。しかしながら、できるだけ不動産の鑑定評価というものについて公正を担保すると、こういう意味合いにおきまして、必ずしもそういう利害関係者だけに限らず、一般民衆からもこういう措置の要求をすることができる道を開いておきますことが、不動産鑑定評価の公正の万全を期するという意味合いにおいて適当だろう、こう考えられるわけでございまして、そのような理由から「何人も」と広く門戸を開いたわけでございます。それから「適当な措置をとるべきことを求めることができる。」、この「適当な措置」でございますが、主としては、不当な鑑定評価を行なったことに対する懲戒処分としての取り消しであるとか、あるいは業務の停止であるとかいうふうな手続を発動することを求めることを考えておるわけでございますが、単にそういう懲戒処分のみならず、第四十六条に書いてございます建設大臣ないしは都道府県知事の鑑定業務に対する助言、勧告という権限があるわけでございますが、こういった助言、勧告権を発動するとか、あるいは第五十三条に書いてございますように団体に対しまして、当該鑑定士が所属しております団体に対しまして、必要な「助言若しくは勧告をする」と、こういう規定に基づきますところの助言、勧告権の発動を促すというふうなことも当然この「適当な措置をとるべきことを求める」という内容に入ってくると考えておるわけでございます。
 それから質問の第四点は、第三十八条に規定いたしております鑑定業者並びにその業務に従事する鑑定士、鑑定士補は「正当な理由がなく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」、こう規定いたしておりますが、「その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密」とは大体どんなことであるか、あるいは「正当な理由がなく」と書いてあるが、その「正当な理由」とはどういうことであるかと、こういうお尋ねであったかと思いますが、まず秘密の概念でございますが、ごく常識的に申し上げまして、通常何人も人に知られることを欲しないようなこと、また、本人が他人に知られることを欲しない旨を明らかにしたこと、こういった事柄がここにいう秘密に当たるものと考えておるわけでございます。したがいまして、鑑定士等が業務上取り扱ったことについて知り得た事柄で、客観的に常識的に考えまして、これは本人が他に知られることを欲していないというふうに考えられるもの、あるいは本人から特に秘密にしてくれ、こう言って告げられたもの、こういったことが当然ここにいう秘密になるわけでございます。ただ不動産の鑑定評価と申しますのは、客観的に存在する土地なり家屋なりについての経済価値の判断でございまするから、あるいは医師とか弁護士とかいうふうな職業とはやや趣を異にいたしまして、そういう業務上個人的な身分上の秘密事項について知り得る機会があることはあまり考えられないかと思います。しかし、かりにたまたま業務の遂行上そういうことを知る機会がありましたならば、これは当然ここにいう「秘密」に該当するわけでございます。
 次に、「正当な理由でございますが、まず第一に、法律上秘密に属する事項を告知する義務がある場合、これはもちろんここにいう「正当な理由」に該当するわけでございます。たとえば証人として裁判所に呼び出しを受けて、業務上知り得た秘密事項を陳述するような場合、あるいはこの法案の第四十五条第一項の規定によって報告をすべき場合、こういった場合は、当然ここにいう「正当な理由」になるわけでございます。それからこれは言わずものことかもしれませんが、これは本人から承諾なり許可があったという場合には、かりにそれが第三者から見れば当然秘密であろうと思われる事柄でありましても、本人の承諾や許可があった場合には秘密ではなくなる、ここにいう「正当な理由」に該当する、こういうふうに見てよかろうかと考えております。
 それから第五番目の問題は、不動産鑑定士等の団体について名称独占をさせない理由は何か、こういうお尋ねであったかと思います。第五十四条において「不動産鑑定士又は不動産鑑定士補でない者は、それぞれ不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の名称を用いてはならない。」ということで、鑑定士ないし鑑定士補に関しましては、名称独占の規定があるわけでございますが、その前の前の条文、五十二条に基づきます不動産鑑定士等の団体については、特別の名称使用の禁止の規定を設けておらないわけでございます。その理由は何か、こういうことでございますが、これは前回に申し上げましたとおり、この法案におきましては、不動産鑑定士等の団体につきましては、弁護士会等のような、いわゆる強制設立、強制加入の制度、あるいは建築士会等のような特定の団体の制度は採用いたしておりませんで、一定の基準に合致する団体は、建設大臣または都道府県知事に届け出るべき旨を規定するとともに、最小限度必要な建設大臣または都道府県知事の監督を受けるべき旨の規定を設けておるわけでございまして、かかる届け出団体に対して、名称を独占させるということはいささか困難であろうと考えまして、さような規定を設けておらないわけでございます。しかしながら、将来不動産鑑定士等の団体がだんだん発達をして参りまして全国的に統一される、登録等の事務もこの団体で行なうというふうなところまで成熟して参りました暁におきましては、この団体の形態なり名称等につきましても、再検討を加える必要が出て参ろうかと考えておるわけです。
 それから次のお尋ねは、第五十五条に関してでございますが、そこに「農地等に関すを適用除外」といたしまして、第一番目に「農地、採草放牧地又は森林の取引価格を評価するとき。」、ただし「農地、採草放牧地及び森林以外のものとするための取引に係るものを」除いておるわけでございますが、要するに農地が農地、あるいは採草放牧地が採草放牧地として取引されるというふうな場合については、その場合の評価というものは、この法律にいう不動産の中で評価には含まれないのだ、こういうふうにしておるわけでございますが、この立法理由はどういうことであるのか、こういうお尋ねであったかと存じます。この点に関しましては、後ほど大臣からもお答えがあろうかと存じますが、御承知のように、農地、採草放牧地の取引につきましては、農地法によりまして厳重な移動制限が行なわれておるわけでございます。特に宅地化目的――宅地化するという目的以外での取引、つまり農地は農地として取引される、採草放牧地は採草放牧地として取引されるというふうな事態に対しましては、農地法の第三条におきまして、その保有面積の上限、あるいは下限をきめておるとか、厳格な移動統制が行なわれているわけでございまして、農地、採草放牧地につきましては、宅地の場合に比べて、自由取引の範囲がきわめて限定されているわけでございます。したがいまして、そういう場合の価格形成というふうな場合も、宅地の場合に比べますと、問題にならないほど自由が制限をされているわけでございます。また、農地が農地として取引をされるというふうな場合にはもっぱら農地の収益力というふうなものを基礎におきまして評価がなされておりますので、比較的農地の価格も高水準にあるとはいいながら、総じて宅地価格の場合におけるような混乱というものは見受けられないような実情にあると考えるのでございます。また、森林につきましても、通常森林の取引と申しますのは、土地と立木とが一体として行なわれる、その取引に占める立木の比重が非常に高いというふうな事情もございまして、森林の価格というものは、その土地の価格よりもむしろ立木の価格によって決定されるという事情でございます。したがいまして、まあこの法案でねらっておりますような自由な流通市場における混乱した地価というものに、できるだけの斉一性を与えて、適正な地価の形成に資しようというこの法案の趣旨からいたしますと、そういう農地が農地として取引される、採草放牧地は採草放牧地として取引されるというふうな場合にまでこの不動産鑑定士の業務に含ましめるということは、必ずしも適当ではないし、その必要もなかろうということで、適用の除外をいたしたわけでございます。
 それからその次のお尋ねは、第五十九条に関してであったかと思いますが、不動産鑑定業者の事務所への立ち入り検査を拒んだ場合に、業者に対する両罰規定を適用するのは過酷ではないかというふうな御意見であったかと存じます。この点に関しましては、不動産鑑定業者は法人でありますと、あるいは人でありますとを問いませず、不動産鑑定業者というのは、その代理人、使用人、そのほかの従業者に対して、いやしくも違法の行為のないように、十分これらの者を指導監督すべき責務があることは当然でございます。したがいまして、御質問のような場合におきまして、業者に対して、両罰規定の適用を認めることといたしているのでございますが、この両罰規定の趣旨は、最近におきますいろいろな判例等に徴しましても、事業主体、鑑定業者が従業者のそういった違反行為を防止するために、相当の注意ないしは監督をしたということが証明される場合には、免責されるのだということに統一をされておりますので、適切な指導監督を加えております限りにおいては、免責をされるということでございますので、特段に業者に対して過酷であるというふうには必ずしも考えなくてもいいんではないかというふうに考えているわけでございます。
 それからその次のお尋ねは、本法案の施行に伴って昭和三十九年度においては、どの程度の予算を要求するつもりであるか、こういうお尋ねであったかと思いますが、この法律の施行によりまして、昭和三十九年度におきましては、特別不動産鑑定士試験、特別不動産鑑定士補試験と登録が行なわれることになるわけでございますが、これに要する経費といたしまして、ごくあらい概算でございますが、約六百万円、それからこの法律の施行のための増員に伴う必要な経費といたしまして約九百万円、両方合わせまして約千五百万円程度のものを予定いたしておるわけでございます。
 それから前に戻りまして恐縮でございますが、この定義のところで、不動産の鑑定評価ということで、「土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定」するのだというので、答申にございました工場財団、鉄道財団のような財団をはずしておるのはどういう理由か、こういうこともお尋ねの中にあったかと存じますが、この点につきましては、工場財団、鉄道財団等は、御案内のとおり、土地建物それから償却資産、それからいろいろな無体財産権、そういうものを包括的に評価をする、こういうことでございまして、もっぱら組成物件の評価の合計ではなくして企業の収益力というふうなものを基礎として総合的に判断されるということでございますし、かつ、目的が企業の担保価値というものを判定するために主として行なわれておるのが現状でございますので、不動産鑑定士等の業務としては、そういう機械器具等も入って参りますので、不動産鑑定士等の業務としては必ずしも適当ではないということが一つと、さらに、この法案が土地等の適正な価格の形成に資することということを目的といたしておりますような観点からいたしまして、必ずしも法律でもってこういう工場財団等の評価までも規制する社会的な要請もないのではないかというふうな考え方から、工場財団等のせっかくの答申ではございましたけれども、割愛をさせていただいたわけでございます。
 それからもう一点は、せっかく答申の中にあった地価の公示制度をこの法案で採用してないのはどういうわけか、こういうお尋ねであったかと存じますが、この点に関しましては、午前中、自治省あたりからも多少の答弁がございましたように、そもそも宅地制度審議会の答申の中におきまして、この地価の公示制度は必要であるけれども、不動産鑑定評価制度を確立して、権威ある鑑定人を確保したあとすみやかに、ということも申しまして、まずまず鑑定評価制度そのものを確立することが前提であるというふうにいっておりますので、さしあたりは、この鑑定評価制度を整備するということに当面努力を傾注するということにいたしたわけでございます。
 なお現在、自治省からお答えがありましたとおり、固定資産評価制度調査会の答申に基づきまして、固定資産税、相続税等におきます固定資産の評価方法を統一して、この評価を昭和三十九年度から実施をしよう、こういうことで準備を進めておるわけでございますが、そういった固定資産税の実施の成果をも見た上で、地価の公示制度をさらに検討していきたい、こう考えておるわけでございます。
 それから最後に、附則第十四項と十五項についてお尋ねがあったかと存じます。これは具体的などういう点ということははっきり申されませんでしたが、要するに、十四項と十五項の立法趣旨と、こういうことであろうかと存じますので、その趣旨でお答えをいたしたいと思いますが、この法律は昭和三十九年四月一日から施行することといたしておるわけでございますが、準備のため若干の日時を必要といたしますので、最初の不動産鑑定士が資格試験及び資格者の登録を経て実際に誕生して参りますのは、法の施行の日からさらに数カ月を要するというふうに考えられるのでございます。さらに不動産鑑定業者の登録の申請者におきましても、不動産鑑定士を確保――必ず業者は、みずから業務を行なわない事務所については、専任の不動産鑑定士を一人以上置かなければならぬというふうなことにもなっておりますので、所要の不動産鑑定士を確保する等開業の準備のために相当の時日を要するわけでございます。したがいまして、この法律にいう不動産鑑定業者の登録制による規制を法施行の当初から行ないますことにつきましては不動産の鑑定評価の需給関係、そういったものに混乱が生ずることが予想されますので、附則第十四項におきましては、法施行後の初年度、つまり三十九年四月一日から昭和四十年三月三十一日までの間におきましては、無登録業務に対する規制を行なわない、こういうことにいたしておるのでございます。
 さらに附則十五項におきましては、不動産鑑定業者は、事務所ごとに専任の不動産鑑定士を一人以上置がなければいかぬというふうなことになっておりますが、法施行の当初におきましては、不動産鑑定士の人数も限られるわけでございますし、不動産鑑定評価に対する一般の需要にも応じ得るだけの数の不動産鑑定士が直ちに生まれるということも困難であると考えられるわけでございます。したがいまして、経過的に、この法律の施行の日から引き続いて不動産鑑定業を営んでおって、かつ、法施行後の最初の年度において不動産鑑定士補となった者については、その者の実績を勘案いたしまして、不動産の鑑定評価に対する一般の需要に応じ得るだけの数の不動産鑑定士が確保されるまでの間、引き続いて不動産鑑定業を営んでおります限りにおきましては、それが不動産鑑定士補ではございますが不動産鑑定士とみなすと、こういうふうに経過的な措置を講じておるわけでございます。
 以上が、大体この前田中委員か御質疑のあった点かと考えますので、順次御説明を申し上げた次第でございます。
#74
○委員長(北村暢君) それでは質疑を続行いたします。質疑のある方は順次御発言を願ます。
#75
○瀬谷英行君 終わりのほうから聞いていきたいと思うのですけれども、地価の公示制度を見送った理由ということで、これは田中さんからも聞かれたし、私も聞こうと思ったところなんですけれども、理由としては、今お伺いすると、公示制度そのものは考えてはいるけれども、鑑定士法という制度が完全に実施をされたあとで考えるというふうにお聞き取りできるわけですけれども、将来は地価公示制度は具体的には考えるということなんですか、これは。
#76
○政府委員(町田充君) そのとおりでございます。
#77
○瀬谷英行君 では、どういう形でもって公示制度は実施をしていくという考え方なんですか。
#78
○政府委員(町田充君) 答申にも書いてございますとおり、大体「宅地問題が深刻化しているか又は深刻化するおそれのある市街地及び市街化の予想される区域」ということで、まあ私どもの気持といたしましては、六大都市あたりを中心にいたしましてそういう六大都市の中で標準的な標準地というものを選び出しまして、そこにつきまして信用のある鑑定士の鑑定評価を経て、その結果得られた価格というものを建設大臣が公示をする、さらに、都道府県知事なりあるいは市町村長なりに、その公示された価格を付近の住民に周知させるための必要な措置を講じてもらう、おおむねまあこういう内容の事柄を考えておるわけでございます。
#79
○瀬谷英行君 そうすると、六大都市以外のところは考えないということですか。
#80
○政府委員(町田充君) さしあたり六大都市を中心に考えております。しかし、まあ必要に応じて、たとえば新産業都市というふうなものが指定されまして、急速に宅地化が進んでいくというふうな都市がありますとすれば、そういった都市についても、必要な措置を講じていくというふうなことも考えられようかと思いますが、さしあたりは、まあ六大都市を中心に考えておるわけでございます。
#81
○瀬谷英行君 「宅地問題が深刻化しているか又は深刻化するおそれのある市街地」ということになると、これはとうてい六大都市だけじゃなくて、こういうおそれのない個所なんというのはほとんどないのじゃないかという気がするのですよ。日本国中どこに行っても今宅地問題は深刻化しているというふうに思われるのですけれども、それがさしあたり六大都市ということになると、高いところから順ぐりにきめてサンプルができていくという格好になっちまって、六大都市に比べて低いほうは野放しという状態になっちまうという気がするのですけれどもね、この点は、こういうようなやり方でいってよろしいのかどうか。
#82
○政府委員(町田充君) 六大都市中心と申し上げましだが、一つの例として新産業都市というふうなことを申し上げましたのも、単にそれだけに限定されるわけではなくて、新産業都市とか学園都市とか官庁都市とか、いろいろな新しい形態の都市づくりが考えられるわけでございますが、そういうところで一般に宅地の売買が頻繁に行なわれるというふうな状態になりますれば、一般に地価を周知させると、こういうことが適当であろうと思われるような地域については、順次標準地を選び出してこの公示制度を活用していくということも十分考えられるわけでございます。
#83
○瀬谷英行君 六大都市ということに執着するわけじゃありませんけれども、東京だけじゃなくて、東京周辺の各県だって全部宅地問題が深刻化しているという度合いは私は同じだと思うのですよ。そうすると、例外を探すほうがむしろむずかしいことになるのじゃないかという気がするのですね。むしろこれは全国的に、この宅地問題が深刻化するか、あるいは深刻化するおそれのあるところといえば、対象は広がってくるというより、現に広がっていると思うのですよ。そうすると対象は一体どういうところに置いてやるかということですけれども、様子を見てというわけにはいかぬだろうという気がするのですがね。これはもう初めから対象区域はどうというふうに見ていかなければならないような気がしますし、そうなると公示制度そのものも相当幅の広い大がかりなものになって、各府県いずれも適用をされるような、まあ法律なら法律ということになっていくのじゃないかという気がしますけれども、公示制度を実施をするとすれば、一体どういう形式でもって実施をしようとするかということも、あわせてお聞きしたいと思います。
#84
○政府委員(町田充君) かりにこの公示制度を実施いたします場合を想定いたしますと、別に直接その国民の権利義務に規制を加えるとかいうようなことはございません。ただ経験の豊富な鑑定士の鑑定評価を経た結果による価格を建設大臣が適当な方法で公示をする、こういうことでございますので、直接国民の権利義務に規制を加えるという事柄はあまり考えられませんので、そういう意味合いでは法律的な手当というものは必ずしも必要ではないんじゃないかというふうなことも考えられます。しかし、せっかくこういう制度を考えます以上、はっきり法律に根拠を置いて実施をしていくということが望ましいかと思います。したがいまして私どもの気持といたしましては、さしあたりこの法案の中に公示制度を盛り込むことは見合わせましたけれども、来年度あたりはひとつ予算的な裏づけを得まして、この公示制度の実施のための準備段階として必要なる地区についての地価の調査をやる、必要とあればそれを参考的に周知させる手段を講ずるというふうなことも、実行上の措置としては十分考えられるわけでございまして、将来法律の中にこういう制度が取り込まれる前におきましても、実行上、行政上の措置としてそういうことも考えてみたらどうかというふうに考えておるわけでございます。
#85
○瀬谷英行君 この対象区域が限定をされた場合には、今度は鑑定士そのものの数のバランスの問題が出てくるんじゃないかと思うのですよ。たとえば六大都市だとか限られた対象区域に、鑑定士ができてそのほかにできないということであれば別ですけれども、日本国じゅうでたくさん鑑定士ができた。しかし、対象となる区域は限定されるというと、それ以外の地域の人は仕事がなくなってしまう、極端な話が――ということも出てくるし、あるいはまた、鑑定士の数のほうが今度は足りなくなっちまうといったようなことだって、これは考えられるのじゃないですか。そのようなアンバランスというようなことは心配はないんですか。
#86
○政府委員(町田充君) そういう心配も多少ありましたために、宅地制度審議会での御議論も、不動産鑑定評価制度を確立して、権威ある鑑定人を確保した後すみやかに云々というようなことで、まず必要な量とそれから優秀な質の鑑定人が確保された後この制度を考えていくように、こういう趣旨の答申をいただいたわけでございまして、実施をいたしますに際しましても、そういう鑑定士の数の問題、それと地域とのバランスがとれているかどうかというふうな問題もにらみ合わせて考えていかなきゃならぬ問題かと考えております。
#87
○瀬谷英行君 その問題は、要するに一応この法律でもって制度をこしらえて鑑定士そのものが一応でき上って、どのくらいでき上がったか、その鑑定士の数やら何やら、でき上った模様を見てからあらためて公示制度というものを考えていく、こういうことになるわけですか。
#88
○政府委員(町田充君) 宅地制度審議会からの答申の段階での御議論は、大体今先生のおっしゃったような議論であったように考えておりますし、私どもも大体御指摘のような趣旨に持って参りたいと、こう考えておるわけであります。
#89
○田中一君 今の瀬谷委員の質問に関連するのですが、私は、この公示制度は突如としてここで提案されないことを幸いと思っているくらいなんです。なぜかというと、一体標準価格というものは、どこまでも標準価格であって、これに従おうが、従わなかろうが、だれかが――だれかというのは、多数の鑑定士の中のだれかがそれを発表するのであって、公示をするのであって、何の価値もないでしょう。われわれの社会には価値ないです。私は、この法律案は、公共用地取得のためにいかにこれを利用できるかというところが主眼であってでき上がったものと私は断定しているわけなんです。土地収用法の中に、あっせん委員会とか、あるいは知事のどうとかいうものでも、どうにもならない問題がたくさんある。しかしながら、だれかの評価というものが明らかになっておれば、それをよりどころにして売買の話し合いを進めていこうという考え方は、あなた方の根底にあるのです。これは間違いないと思うのです。そういう意図のもとに行なわれているというこの法律が制定された後において、国があまり物を買わないことが地価の高騰を抑制するもとなんです。それから物を買わないことが一番いいことなんであって、私は、今の段階では、公示なんかされたのでは、一番困るのはだれが困るかというと、国民が一番迷惑しております。大体不動産鑑定士法が最初にもいっているように、地価の高騰をとどめるための一つの方法なんだというようなことは、もうおかしな話であって、そういうことは言わぬほうがよろしいと思うのですが、ほんとうに五年たち、四年たち、三年たって、そうして鑑定士というものの業務が相当大幅に伸びてくる場合には、地価の公示はやるつもりですか。答申は、鑑定士法という評価鑑定制度というものと、地価の公示のものと二つの問題を大臣は諮問しているのであって、多少の関連はあるけれども、これは別個の諮問事項だと思うのですが、それは同じものなんですか。私は別個のものという理解をしているのです。それが関連があるのですか。
#90
○政府委員(町田充君) 鑑定評価制度の確立の問題と、それから地価の公示制度の問題とは密接な関連があるわけでございまして、要するに、この不動産鑑定評価制度の答申の出て参りましたゆえんのものは、地価の高騰の抑止、先生から大げさなことを言うなというおしかりを受けるかもしれませんが、そういう地価高騰の抑止のための施策としてどういうことが考えられるか、あるいは地価の安定のためにどういう施策をとったらいいか、こういう建設大臣からの諮問に応じて出て参りました問題でございまして、この鑑定評価制度そのものだけを取り上げてみますと、必ずしもこれが直ちに地価の抑制に効果があるというふうに私どもも実は期待をするわけには参らないわけでございますが、少なくとも適正な地価の形成に資するという効果は、期待をして差しつかえないものでしょうし、そういう意味合いにおいて、この法案の中にも、この法律の目的をうたい上げているわけでございますが、そういった適正な地価の形成、それから一般民衆におよその地価のありどころというものを周知させることによって、適正な地価というものが社会的に普遍をしていく、こういう一環として公示制度というものもあわせて考えられておるわけでございまして、大きな究極の目的においては相一致するものがあるので、答申の中でも、したがって、第一と第二というふうには分けてはございますけれども、同じ基盤の上に立った問題ではなかろうかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#91
○田中一君 鑑定士が評価鑑定した価値というものをどのくらいに見ているのですか、寸法で言って下さい。どのくらいに見ているのですか。その正当性なり正しさというものをこの法律のどこで証明していますか。すべて価値というものは、これは価値論から始めなきゃならぬけれども、価値というものは、今日の資本主義社会においては、買い得る条件、価格が売買ということになるわけです。それがその当事者の価値です。商取引は全部それなんですよ。認められる価値というものはお互いの間の問題なんです。しかしながら、固定資産税という地方税はございますが、これはいわゆる税金を取るための価値を一方的にきめているものなんです。これは税金を取るため。それと同じように、市井にあるところの不動産の価値というものは、今日の資本主義社会においては、自由経済の社会においては、買う者と売る者とが話を妥結したのが正しい価値なんです、と、社会は見ているのです。どこに鑑定人が評価鑑定したその価値というものが正しいということを証明する条文がございますか。何にもないですよ。また、まあわれわれが考えている社会主義社会で別の制度によって不動産の価値というものを制限するような場合には、固定するでしょう。しかし、自由経済の社会においては、そんなことはありようがないのです。あると思いますか。物理的な土の価値なんてことは、これは幾らになるか知らぬけれども、物理的には一つの存在として価値のようなものもあるでしょうが、すべて利用の価値です。今日の日本では利用の価値です。かつて、土地制度というものが生まれた。これは日本ならいつごろになるか、荘園時代になりますかね。そのときに初めて利用の価値というものが発見されてきているのですよ。どこまでも利用の価値です。そうすると、利用の価値というものを、それぞれの鑑定人がその利用の度合いによって価値づけているのです。思い上がりもはなはだしいですよ、提案者、政府は。正当性というのは、何を正当性というのですか。具体的に、私は、その正当性というのは、自由経済の中で、取引の両者の間で妥結した価格は正当だと思うのです。その両者の間の正当性があるのでないかと思うのです。それから、そういうものの正当性はここに何もうたっていない。ことに、今度道路の拡張のために土地を収用したいという場合に、土地収用法の特定公共用地の指定さえすれば、問題は、価値づけるのはあとにして土地が収用されるということに法律ができてますから、それでいいのでしょうが、何かの決定すべき機関において認められたものが、一応その求めようとする側の――求めようというのは、土地を収用する側においては正当なる価値だということを主張するでしょうが、一方取られるほうの側から見れば、不当なる価値で収用したということになるのが当然なんです。これはそういう事態があった場合には、それが不当だといいますか、少なくとも私はこの法律は不動産鑑定士という一つの業務の、あるいは資格の手続をきめているのであって、宅地の価値なんということをこの法律によって決定づけようなんということにはならないわけなんですよ。今のこの二つの地価の公示制度の問題と不動産鑑定士法の問題との関連は、私はないのがあたりまえだと思うのです。関連がございます、この制度が成熟したならば公示制度をとります、なんということは、どこから出てくるのですか。これはずっと町田局長の答弁を聞いていると、どの面に対しても、書かれた原稿か決定された意思というものをそのまま、反省もあるいは熟慮もなしに読んでいるような形がある。正当性というものはどこに求めるつもりなんですか。鑑定士が正当性というものを裏づけるだけの権限を持っていますか。田中一という鑑定士がこう評価したにすぎないでしょう。町田充という鑑定士がこう評価したということにすぎないのじゃないですか。正当性はどこにありますか。それによって評価したところの価格が公示されるなんということは、ありようがないと思うのですが、その点はどうですか。ほんとうにあなた言って下さい。速記とめてもいいから本心を言って下さい。
#92
○政府委員(町田充君) 鑑定評価の結果は、先生のおっしゃるとおり、あくまでAならAという鑑定人の意見であり個人的な意見でございます。したがって、これの正当性ということになりますと、これは鑑定評価の基準をどういう仕法でもって鑑定評価をやっていくか、その鑑定評価の基準そのものがまだ確定をしておらない情勢でございますから、この法律が施行になりますまでの間に、さらに宅地制度審議会におきまして鑑定評価の理論なり基準なり手順なりというものをしっかり検討をしていただく予定にいたしておるわけでございますが、そういう鑑定評価の基準がある程度確立いたしますと、鑑定士の鑑定評価の結果というものもおのずから帰一するものが出てくるであろう、そういう状態になればおのずから鑑定士の鑑定評価というものについて社会的な信頼性がだんだんと認められてくるようになるだろう、こういうことを私どもは期待をいたしておるわけでございます。したがいまして、あくまで鑑定評価の結果の正当性はだれが保証するのか、こうおっしゃられますと、公的に、公権的にこれを保証するものは何もないわけでございますが、そういう社会的な信頼性というものによって保証されるということを期待しているのだ、こう申し上げるよりほかにないと思います。
 それから、土地その他の不動産の価格が需要供給の関係によってきまるじゃないかという御意見でございますが、まことにその面もあるわけでございます。正当な需要と正当な供給とのバランスによって価格というものはおよそきまっていくというのは、そのとおりでございますが、土地不動産の場合は、特に最近の需給状態というものを見てみますると、仮の需要というものも相当にある。それから売手市場で供給を手控えるというようなものもありまして、正当な需要と供給の状態が必ずしもかみ合っていない。したがって、先生のおっしゃるような意味での需給の関係できまるというはずのものが、仮の需要とか、売手の売り惜しみとか、そういうような面で不当にゆがめられている現状があるのじゃなかろうかというふうに私ども見ておるわけでございますが、そういった場合に、およそ正当な需給関係で考えればどのくらいの価格が適当であるのかということもやはり考えてみる必要があるだろう、そういう場合に、こういう鑑定士がそういう事情にこだわらずに、仮の需要だとか、あるいは売り惜しみだとか、そういう現象にこだわらずに、客観的にできるだけ公正に不動産自体の経済価値を判断をする、そういう結果出た価格、経済価値というものが社会的な信頼を確保してだんだん鑑定士自体が尊重されていく、こういう地代になることを期待をしておるわけでございます。
#93
○田中一君 政府で期待している期待と同じように私も期待しているのです。しかし、仮需要に対する問題は、仮需要が地価の高騰を招来しているということは、私は、そういう要素もあろうけれども、それはあたりまえのことなのです。仮需要という需要が不当であるという判断を何の根拠でするのですか。今、不当だというような――不当だという言葉は使わなかったけれども、不当だという印象を受けたけれども、仮需要というものが不当だという判断というものは何の根拠によってするのですか。仮需要も一つの需要です、計画的な経済政策が立たなければ。これは自由です。これは思想の混乱があっちゃだめですよ。そういうことは言わないでいいの。そういうことは言わないで、しかし、少なくとも売ったり買ったりする場合の自分の所有している不動産の大体の価値というものを評価するためにある制度だということでいいのです。仮需要に対する不当性というものはどういうことを言っているのですか。不当性というのは今の社会で許されない現象ですか。そればかりじゃありませんか。たとえば、株式にしても、あれは正当な需要と言えますか、仮需要です。仮も仮、瞬間の需要です。朝上がったら午後には売る需要です。投機性というのです、あれは。それを奨励している、また、それによって政策的に莫大な利益を受けているという階層もある。もしもほんとうにそれを考えるならば、株式市場を閉鎖しなさい。それは決してその会社の、上場する会社の実績、実体とは何ら関係がないのです。同じように考えるならば、不動産鑑定士法なんてやめたって、これは国が公共用地として事業主体が国民の財産を収奪するために都合がいいからこの制度を作るのだということ、正しい価値というものは、不動産取引所を公認して、そこで一切の問題を、現在許されている株式取引所と同じような形でもって法制化しなさい。言葉が荒いけれども、こういう制度を作ったから地価の高騰が抑制されるというような思い上がりはよしなさいというのです。ありようがないのです。そんな考えを持つからわれわれ聞いているほうも困るのです。株式取引所、これも株価の高騰を抑制するために休場させなさい。あれこそ仮需要です。仮需要というより投機です。ばくちです。そういうへ理屈をいわないで、もっとすなおに、これは国民社会の中においてかかる制度があったほうが売るほうも買うほうもお互いに正当性が求められるのではないかというつもりでこの法案を提案したのでございます、ということでいいのですよ。手続法ですよ、これは。町田君、どうですか。
#94
○城府委員(町田充君) この法案に関します限りは、まことにそのとおりでございます。ただ、仮需要も需要であるということは、もちろんそういうのが取引の現実の実態であるということも十分……、それが不当であるとかなんとかいうことをもちろん申し上げているわけでございませんで、そういう実情にあるので、そういうことも勘案しながらこの法案を考えた、こういうことを申し上げたわけでございます。そういう事実を全く否定をするとか、それが不当だという趣旨では毛頭ございませんので、この法案自体に関します限りでは、売買、取引の場合において、できるだけ適正な価格というものについてよりどころが求められるように専門的な鑑定士という制度を確立をしよう、こういうだけのことでございます。
#95
○田中一君 早くそれをいえば、三日も四日も議論しないで済むのです。
 それで三十九年度の予算はどのくらい計上するのですか、これを行政指導その他をするために。
#96
○政府委員(町田充君) 三十九年度におきましては、さしあたり鑑定士の特別試験と登録が行なわれるわけでございまして、この費用として約六百万、それからこの法律を施行いたしますための増員、それに伴います必要な諸調弁費、こういうもので約九百万、合わせまして千五百万程度のものを考えております。
#97
○田中一君 せんだって質問したうち答弁したと思いますが、第三者の訴願的な処分か、処分要求はどの範囲までできるのですか。そうしてそれの法律的な根拠は、きのう質問したうちの、ちょっと、ここに商店街が二十軒並んでいる、一軒が評価されて買収の交渉に来た。ところが、十九軒目の家がどうもそれじゃ困るといって、その人は鑑定人に対する処分の要求ができるかどうか、利害関係者ですよ、これは直接利害関係者じゃございませんよ、間接利害関係者……。
#98
○政府委員(町田充君) 前回もお答えをいたしましたとおり、鑑定評価の結果が不当であったかどうかということについて関心を持ちますのは、その不動産の鑑定評価の結果について直接に、あるいは間接に利害関係を持つ人たちだろうと思われます。したがいまして、この法案の第四十二条に基づきます適当な措置の要求というものも、おおむねそういった直接、間接的に何がしかの利害関係を持っておる者から提出をされるということがまあ大半の場合だろうと思います。しかしながら、できるだけ公正な鑑定評価というものを確保しよう、鑑定士の業務の適正を期そうという意味合いから申しますと、必ずしもそういう直接ないし間接に利害関係を持っているものだけに限定するいわれもないので、できるだけ広く門戸を開放していくということもひとつの考え方であろうと思いますので、そういう考え方に基づきまして、法文としては、何人も措置の要求ができるというふうに規定をいたしておるわけでございます。
#99
○田中一君 あと政令にゆだねておる問題がありますが、これは質問しても、あなたのほうでもあまり質問をすると実態がわからないから、おそらくわかっていないので、これからまだあと七、八カ月間十分検討して実態調査をした上でと思うのですが、先ほど法務省の平賀民事局長が私の質問に答弁した欠格条項についてはどういう考えを持っておりますか。
#100
○政府委員(町田充君) 土地家屋調査士は、これは不動産の表示に関します登記につきまして必要な土地ないしは家屋の調査、測量をやるということが業務の内容になっておるわけでございます。不動産の登記という直接国民の権利義務に関係をする事柄を扱うわけでございます。したがいまして、土地家屋調査士による業務の独占と同時に、一般民衆から依頼があった場合に、正当な理由がなければ拒んではならないという依頼拒絶の特別の規定を置いておるわけでございます。他方、心神衰弱によって業務が遂行できないというふうな状態になったときには、登録の取り消しという処分が規定されておるわけでございますが、これは、そういう状態によって業務を行なうことが国民の権利義務に不測の損害を与えるということを未然に防止しようという趣旨でできたものと思われるのでございます。しかしながら、鑑定士の場合は、その鑑定評価の結果というものは、なるほど重要ではございますが、登記の場合のように国民の権利義務に直接に影響を及ぼすというものではございません。そういう意味で公務的な色彩が土地家屋調査士の場合に比べて非常に薄いわけでございます。したがいまして、そういう面からの理由と、それから心神の衰弱によって業務が遂行できないと認める場合に登録の取り消しをするという判断には、行政庁の非常に慎重な判断を要するわけでございます。この運用を誤ると、先ほど民事局長の申しておりましたように、人権の侵害であるとかいうような事態も起こりかねないというようなことが考えられますので、両面から、鑑定士の鑑定の評価の結果というものについては、土地家屋調査士の場合ほど直接に国民の権利義務に関係があるという事柄ではないということと、それから行政庁の恣意的判断ができるだけ介入しないという配慮から心神耗弱あるいはろう者、あ者というような状態になって準禁治産者、禁治産者となって、宣告を受けるという事態を前提にして初めて登録の取り消しをするという規定にいたしたわけでございます。
#101
○田中一君 最後に一つ、二条の2に、「他人の求めに応じ報酬を得て、」、この報酬ですが、この規定はどこにきめておりますか。
#102
○政府委員(町田充君) 特別に設けてございません。
#103
○田中一君 そうすると、特別に設けてないということは、特別に設けようとしないということだと思います。意識的に、こういう法律が事務的な一つの営業として行なう場合に自由でいいのだということの考え方ならば、たとえばお前の土地を道路拡張のために百坪取られる、東京都から買収に来た、それじゃ評価をうんと高くしてやる、たとえば八十万円ぐらいのところを百万にしてやるから、あとの二十万はおれにくれよ、こういうことを言える余地も残されている。何とかうまく交渉して百五十万円に売ってやるから、あとの百万円だけおれによこせ、そのくらい努力してやるからという道も残されている。この法律が一つの資格法であり、かつまた、業法であるはずなのに、報酬の規定だけは全然とっているということは、何を考えているかわからないのですが、これは何か野放しにしようというのか、どういうことなんですか。
#104
○政府委員(町田充君) 決して野放しにしようということではございませんで、将来宅地制度審議会で報酬基準のようなものを十分検討していただきまして、必要とあれば建設大臣または都道府県知事から助言をするとか勧告をするとかいうふうな措置を講じて参りたいと思っているわけでございます。ただ法律にはっきり報酬について触れませんでしたゆえんのものは、まあ不動産の鑑定評価というものが非常に主観的な価値判断の問題でございますし、調査の内容も非常に物件によりまして精粗いろいろございましょうから、なかなか画一的にきめがたいものがある。それから医者とか弁護士とか同じように、相当熟練した大先生とそれからかけ出しの先生とでは、やはり同じ仕事の内容でも、多少報酬額に差があってしかるべきじゃなかろうかというふうなことも考えられますし、現行では、不動産会社あるいは信託会社、こういうものがやっておりますのは、評価額の一定割合というふうなことでやっておりますが、評価額の一定割合というようなことで参りますと、高く評価すれば高く報酬がもらえるというふうな好ましからざる結果が出て参りますので、そういう結果の評価のやり方が適当であるかどうかということも十分宅地制度審議会で検討していただいて、しかるべき基準を出していただいて、それを助言をするなり勧告するなりして、できるだけ適正な報酬が行なわれるようにいたしていきたい、こう考えているのでございます。
#105
○田中一君 私は今までこういう法律見たことがないのです。弁護士法も報酬ということになっておりましたね。内容についての額は示しておりません。医者がそうでしたね、医者は医師会の協定価格によってきめていますね、地域々々の医師会の協定価格によって薬価とか診察料とかなんとかいうものは。そうすると、自主規制させようという腹なんですか。一々宅地制度審議会、宅地制度審議会、そういうものは建設大臣の諮問機関なんですよ、国会における答弁にならぬ。われわれは法律を作る立場なんですよ。何でも宅地制度審議会、宅地制度審議会というけれども、そういうものは建設大臣の諮問機関にすぎない。この法律というものが社会に出た以上は、それに従わなければならないという大きな責任を持っている国会議員なんです。そんなあいまいな法律など審議できませんよ、もう少し責任ある答弁をしたらどうですか。宅地制度審議会が何ですか。これは国会よりも優位に立っていると思っているというのですか。当然国民はこの法律によってこれに従わなければならないのです。たとえば、前回の委員会でも質問しているように、団体規制をさせよう、団体の自主規制をさせるように行政指導をとるというならば、これらの問題も、団体というものを非常に強く単一の団体を作らせます、これは団体に対して、こういう規制を行なおうといたします、というくらいの答弁をしないでは答弁になりませんよ。これは決して野党の私が言うばかりじゃございません。与党の諸君もたくさんおります。宅地制度審議会というものは、建設大臣の一諮問機関にすぎません。今後とも、どの問題もどの問題もすべて審議会に相談してきめるなんということはありません。あり得ませんよ、そんなことは。ちょっと声が荒いようだけれどもね、いけませんよ、そういうことは。だからこそ、最初から団体規制をしてやるならば、団体規制をするように、団体に対するウエートをかけてこれを強力に行政指導をして国民の期待に沿うようにいたします、というぐらいの答弁が出るならいいけれども、一つ一つ宅地制度審議会云々、私は同僚の議員がどういう考えを持っているか。私と同じだと思う。といって町田君をいじめているわけじゃないのだぜ、君。そんなことは答弁になりませんよ。まあ、もう局長の答弁は大臣が来たからいいです。
 大臣に伺います。前回に引き続いてこうしてこの法律案の審議をしておるものですが、最後に、今伺っている問題は、この法律の第二条の報酬の問題なんです。自分がしようと人がしようと、他人の求めに応じて報酬を得て行なう業種だと、こう言っているんですが、報酬というものはどういうものを考えておるかというと、宅地制度審議会に相談してきめるということらしいのですよ、今後とも。もちろんまだ実施が先になりますから、発動するのは先になりますから、そういうことを言っているのだろうと思うけれども、宅地制度審議会は大臣の諮問機関であって、われわれは国会以上のものとは考えておらないのです。この鑑定士法が動き出した場合に、報酬の限度額というものが、道路の拡張のために自分の土地を百坪取られる、これが一千万円になるけれども、おれのほうの鑑定は一千二百万円にするから二百万円をおれのほうによこせ、こういうような機会を与えてはいけないということです。それでは正しい評価鑑定はできなくなるということなんです。私は、前回ともに一貫してこの不動産鑑定士の正当性というものを高めよう、国民がほんとうに信頼するような業種に持っていきたいといって実にこまかいことも、いろいろ質問しているんですが、一番大事な報酬のことになりますと、これは野放しなんです。そうして宅地制度審議会あるいは地方庁等の意見も聞いて、何とか指導勧告をして料率をきめていきたい、こういうような答弁をしているのですが、それじゃ困るということを言っているのです。多くあるように、業法には大体実費調弁なり、あるいは一定の標準の、下を押えるか上を押さえるか、どちらにしても標準の比率をきめる。さもなければ医師会とか弁護士会と同じように、団体の規制をして団体を強化して単一の団体で自主規制をさして、これに対して――私は建設大臣にこれを承認させろとまでいかないでも、これは行政指導によって一定の報酬の基準というものをきめるべきだということを考えておるのですが、建設大臣、どう思いますか。
#106
○国務大臣(河野一郎君) たいへんごもっともな御意見でございまして、これは運用にあたりましていろいろ経過をたどると思います。しかし、なるべくすみやかにお説のように自主的に団体を結成さして、そこで自主的に自制させる、こういうことになりませんと、法律にこれを書くわけに参りませんし、行政指導で今、局長答弁いたしましたように勝手に役所がやるということもどうかと思うもんですから、おそらく諮問して、ということを答弁したと思いますけれども、方法はいろいろあると思います。社会の公益性を害さぬようにいたさなければならぬということは当然でございまして、今お話のような点十分考慮いたしまして、そして直ちにこの方法にするという結論を申し上げかねますけれども、最善を尽くして御了承の得られるように努力をいたしたいと考えております。
#107
○瀬谷英行君 今までの質問の中で、今、田中さんからも質問があったことだし、前回も質問があったところなんですけれども、土地家屋調査士法と鑑定士法とを比較した場合、その欠格条項といいますか、失格条項といいますか、若干、土地家屋調査士法にあって鑑定士法にない条項がある。これは一体どういう理由かという質問が前回あったわけです。今までの御答弁を聞いておりますと、これは一つの資格法であって、医師なり薬剤師といったようなものと大体同列に並べたものである、言うなれば、これは簡単にいえば、土地家屋調査士法に比べると、より高い権威を持たしているんだと、一口に言えばですね、そういうふうに聞こえるわけです。そんなふうに解釈をしてよろしいんですか。
#108
○政府委員(町田充君) 別にどちらが高いとか低いとかいうことではございませんで、この法案では、まず鑑定士あるいは鑑定士補としての単なる資格の登録と、それからそれが他人の依頼に応じて報酬を得て業務をやります場合の鑑定業者としての登録と、この二つの事項を盛り込んでおるわけでございますが、その鑑定士としての資格の単なる登録ということについては、別に心神の衰弱によって云々という条項を盛り込まなくても、準禁治産者あるいは禁治産者としての申告があるというふうな事態であればともかくとして、そういう明確の事態になればともかくとして、できるだけ行政庁の恣意の介入しやすい、するおそれのあるような、そういう判断による登録の取り消しという処分は設けないほうが適当だろうと、こう考えたわけでございます。単なる資格としての登録でございますので、できるだけこれを剥奪するというふうな場合を限定的に考える、実際に業務を行ないます場合に不都合が出て参りまする場合の手当としては、別に鑑定業の業者の規制のほうで手当がしてあると、こういうことでございます。
#109
○瀬谷英行君 結局は、まあ権威の高いとか低いとかいうことを言っておるのじゃないけれども、扱いとしては、医師なり薬剤士なり弁護士なり、こういったような職業と同じような扱いとしたというふうに聞き取れるわけです。しかし、まあそれはそれで一応この問題については終わりますが、先ほどの御答弁によると、農地ですね、農地、採草放牧地または森林等が、第五十五条の中で評価の対象から除外をされておる理由として、農地なり採草放牧地というものは、宅地ほど価格の混乱がない今日、要するにこの提案理由の中で、宅地はうんと上がっておるので何とかしなければならないということを言われておったわけです。しかし、農地なり採草放牧地、森林等は、宅地に比べればそんなに高騰の傾向もないから、だからこれは除外するのだ、こういうふうに聞き取れるわけです。しからば、宅地並みに上がるという可能性があるか、あるいは宅地並みに事実価格が上がっていったという場合には、やはりその除外例も取り除いて農地、採草放牧地も宅地並みにこの法案の中で評価鑑定の対象にしなければならぬというふうに考えられておるのかどうか、その点についてお伺いしたい。
#110
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたしますが、御承知のとおり、農地の場合、全国的にどこまでも農地としての評価でいっております。また、それにはいろいろな制約もありますし、しますが、これは宅地の、土地の周辺ということになると変わっております。したがって、今日では、農地は一部下落の傾向にあるものも事実あるわけであります。そういうことでわれわれは全然対象が違うというふうに考えられます。しかし、今お話のように、そういう点が混淆してきてそうしてそれが採草地であろうが、農地であろうが、名称は何とついておろうが、その付近がにわかに工場適地になり、住宅適地になるというようなことで、そういうふうなほうに入れなければならぬような地区になってきたときにはおのずから考えなければならぬと思っておりますが、一応現在はこれでいいのじゃないか、こういうつもりでおります。
#111
○委員長(北村暢君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#112
○委員長(北村暢君) 速記を起こして。
 他に御質疑はございませんか。――他に御質疑もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定します。
 これより討論に入ります。
 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#114
○武内五郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま審議いたしました不動産の鑑定評価に関する法律案につきまして、賛成の立場から討論を進める考えであります。
 本法案の提案されまするにあたりまして、その提案の理由に、「最近における宅地価格の高騰は、根本的には宅地の需要と供給との不均衡によるものと考えられますが、さらには、合理的な地価の形成をはかるための制度が欠除しているため、地価がいわゆる呼び値等によって安易に、しかも不合理に決定される傾向が見受けられ、このことが宅地価格の高騰を一そう著しいものとしている現状にあります。」というようにうたっております。これは、今日の住宅問題、特に宅地取得の問題のきわめて解決困難の状態を特にとらえたと存ずるのでありますが、いずれにしましても、今日の土地の市場というものは非常な混乱をしておることは事実であります。これにはいろいろな原因があります。特に社会的な原因というものは、土地には今きわめて精細な規制がございますけれども、それによって一面都市への人口の集中、人口の増加等に基づく非常な土地の取得の混乱が露呈されてきつつあることは事実でありますが、こういうような混乱は一日も早くこれを調整して解決しなければならない時代的な要請であると思いますが、これには、この解決方法というものは、私は今日の土地制度、土地の問題の基本的な解決のための国土に対する総合的な対策特に、場合によりましては土地の基本法というようなものの制定によってその解決を見なければならぬのでありまするが、ただそこまでいきますのに相当時間がかかると思います。この際土地取得に関して混乱が起き、同時に、価格の非常な不安定な状態になっておるものを、価格の面から、取引の面から、これは全般的な解決ではないが、一面一方的なほんの一部の線から入っていった解決の方法として、一応安定した価格の表示が必要じゃないかということは考えられております。その一環として今日私どもが審議して参りました不動産の鑑定評価に関する法律案として出されたものと考えるのであります。ただ私は、本法の審議の過程から特に把握いたしました問題は、それもきわめて重大でありまするが、しばしば当委員会において問題になっておりまする公共事業等に関連いたしまして、事業推進のための土地の取得というものの解決がこの法案の主たる目標ではないかと考えるのであります。私は、決して、だからといってそれがいかぬというのではなくて、この法案の趣旨は私はそこにあると考えて参りました。しかも、これが今日公共事業を遂行いたしまするに、何といっても大きな障害になっておるのは土地の取得であります。これを解決するために、土地収用法及び公共用地取得に関する特別措置法が現在施行されておるのでありまするが、その際この実施にあたって、できるだけこれを早目に解決しようとするために、その際における土地と不動産、その正当なる評価によって正当なる補償をするという建前から、私はこの鑑定士の制度の必要が出てきていると考えるのであります。私は、この法案の中にそういうような基本的な性格を持っておると考えます。そうなって参りますると、第一条に規定しておりまする本法の目的であります、一応定められた一定の必要な事項に基づいて「土地の適正な価格の形成に資する」という本法の目的は、非常に今日混乱しておりまする土地価格の調整、それから取得を円滑にし、安定した価格の評価を出すためには、どうしてもある程度の規制が必要になってくる。財産権の規制というものが私は生じてくるのではないかと考えます。財産権の規制となって参りますると、憲法二十九条に規定しておりまする財産権というものに考慮を向けなければならぬのでありますが、したがって、そこに公正な妥当な財産権に対する補償というものが必要になってくると思うのであります。だから、何人かが何らかの制度によってこの評価の妥当性を見出さなければならぬ、収用される者もまた売る者も、利害に関する重大な問題でありまするので、それに対する正当な補償というものが必要になってくると思います。私はそこにこの鑑定士の制度の必要性というものが出てくるのではないかと思うのでございます。
 御承知のとおり、何といいましても、今日はすべての商品、物品、財産、これは自由な価格で取引されるのが原則である。売るほうはできるだけ高価に売っていきたいという考え方に立つのは当然であります。買うほうはできるだけこれを安く買いたいというのはまた当然であります。ことに公共事業等になって参りますると、そうはいっても、必ずしもそれをたてにとって、そういう原則に基づいていくわけにもいかぬと考えますると、ある程度の規制というものが必要じゃないかと私は思う。したがって、鑑定士等の制度に関する法の制定ということは必要ではないかと考えておる次第であります。
 ただ、今回の鑑定士法の運用にあたりましても、先ほども申し上げましたように、何といいましても、これは個人の財産を評価するのである。しかも、これは人間によって評価されるものであります。したがって、人間によって評価されまするところに、いろいろその人の考え方、感情、また、そのほか基本的な問題でありまする社会的な状況等のいろいろな評価の素材が取り入れられていくものと考えまするが、不動産には御承知のとおり不動産としての性格、それからそれに付随いたしましたいろいろな権利、たとえば土地について、農地についてだけでも小作権、永小作権、さらに、その他の土地についても、あるいは使用権、賃借権、いろいろな権利がこれに付随しております。その権利は権利として動産的な性格を持っておる。したがって私は、不動産というものは二つの性格を持ったものであると考えるのでありまするが、非常な複雑な内容になってくるのでありまして、その評価が私はきわめて困難なものになってくるのではないかと考えます。ことに私は、鑑定する人によってあるいは数人の者が一つの動産、不動産を鑑定する場合には、そこに数人の評価が出てくるのではないかと考える。そういうようないろいろな現象が現われてくるのではないかと思うのであります。そういうところに、この法の運営について非常に考えていただかなければならぬことは、そこに私は冷静な公正な鑑定士の存在というものがどうしても要請されなければならない。ことに品位の高い、学識もあり、技術を持った、経験を積んだ鑑定士の存在というものが強く社会的に要請されるのではないかと考えまして、この運営上については、特に特段にこの鑑定士の品位、学識、経験の練摩のためのいろいろな考慮が必要ではないかと考えるのであります。
 次に私は、先ほど申し上げましたが、この法案の生命でありまする公共用地の取得に関してまた問題が出てくると考えます。それは、今日公共用地の取得の場合においては、何といいましても、農地に関する問題が一番多いと考えます。したがって私は、本法の第五十五条の二号に出ておりまする農地、採草牧草地または森林はこれを除外する、こういうようなことでは、不動産に関する鑑定の場合に、また、特に公共用地取得の場合、この部分だけが除外されて、妥当な評価ができないということになるとするならば、私は、きわめて不幸な事態になるんじゃないか。しかも、そういう場合にこれを除外するということは、本法の生命の大部分が削減されてくるのではないかと考えるのであります。こういう点を特に将来、今大臣が、将来においてその必要に応じて考えるべきだというお話ですが、十分その点は考えなければならぬと考えるのであります。
 以上をもちまして、私は本法の賛成の討論を終わるのでありまするが、つきましては、本法を本委員会で審議を終わるにあたりまして、附帯決議を付して政府の十分なる善処を要請したいと考えるのであります。
 案文を読みますから、皆さんの御賛同を得たいと思います。
 なお、この附帯決議案は、自由民主党の方々においても御賛成をいただいておりますし、民社も、本委員会全部の御賛成を得ておりますので、さよう御了承をお願い申し上げます。
   不動産の鑑定評価に関する法律
   案附帯決議(案)
 本法案における不動産鑑定士の評価
 業務の対象には、農地その他を除外
 しているのが、わが国の土地政策の
 綜合性より見て、将来その業務の対
 象を農地等に拡大して、その万全を
 期すべきである。
  右決議する。
 こういうのでありますので、御賛同をいただきたいと思う次第であります。
 討論を終わります。
#115
○委員長(北村暢君) 他に御発言もなければ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それでは、これより採決に入ります。
 不動産の鑑定評価に関する法律案を問題に供します。本案を原案のとおり可決することに賛成の諸君の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#117
○委員長(北村暢君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、討論中に述べられました武内君提出の附帯決議案を議題にいたします。
 武内君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#118
○委員長(北村暢君) 全会一致と認めます。よって武内君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 なお、本案の報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#119
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 大臣から発言を求められておりますので、これを許します。河野建設大臣。
#120
○国務大臣(河野一郎君) ただいま御決議になりました御趣旨、十分勉強いたしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと考えます。
#121
○委員長(北村暢君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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