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1962/02/28 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1962/02/28 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和三十八年二月二十八日(木曜日)
   午後一時四十分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     田上 松衞君
   理事
           古池 信三君
           松澤 兼人君
   委員
           上原 正吉君
           江藤  智君
           源田  実君
           平島 敏夫君
           丸茂 重貞君
           山本  杉君
           牛田  寛君
  国務大臣
   国 務 大 臣 近藤 鶴代君
  政府委員
   科学技術庁長官
   官房長     森崎 久寿君
   科学技術庁長官
   官房会計課長  松田 寿郎君
   科学技術庁計画
   局長      杉本 正雄君
   科学技術庁研究
   調整局長    芥川 輝孝君
   科学技術庁振興
   局長      杠  文吉君
   科学技術庁原子
   力局長     島村 武久君
   科学技術庁資原
   局長      井上啓次郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   科学技術庁原子
   力局次長    村田  浩君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本原子力船開発事業団法案(内閣
 送付、予備審査)
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (昭和三十八年度科学技術庁の施策
 及び予算に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田上松衞君) ただいまから科学振興対策特別委員会を開会いたします。
 議案の審議に入る前に、先ほどの理事会で協議を遂げました事柄について御報告申し上げて御了承を得たいと存じます。
 提案されまする日本原子力船開発事業団法案が目下衆議院の委員会において審議中のようでありまするが、これらの審議過程を見てみますると、先般きめられました次の定例日、すなわち三月七日までの間には、まだ十分にこっちのほうで取り組む段階になっていないようでございます。そういうような関係から、三月七月の定例日は開会を取りやめまして、三月十四日の午後一時から開会したいということ。なお、その次の三月二十一日は祭日に該当いたしまする関係から、一日繰り下げまして、三月二十二日午後一時から開会したいということに理事会で協議されましたので、さようにひとつ御承知願いたいと考えます。御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(田上松衞君) それでは御異議もないようですから、そのように取り計らわせていただきます。
 さらに本日の運営につきましては、日本原子力船開発事業団法案の提案理由の説明を聴取いたしまして、次に、前回御説明のありました昭和三十八年度科学技術庁の施策及び予算についての質疑を行なうということにきょうはやる。こういうことも申し合わせましたので、格別の御異議がございませんでしたら、そのように取り計らわさせていただきたいと存じます。よろしゅうございますね。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(田上松衞君) それでは御了承を得たものと考えます。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(田上松衞君) では ただいまから、日本原子力船開発事業団法案を議題にいたします。
 これから、提案理由の説明を聴取いたします。近藤科学技術庁長官。
#6
○国務大臣(近藤鶴代君) ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法案につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国が原子力を人類社会の福祉と国民生活の水準向上のために利用する目的でその研究開発に着手してより、すでに七年余りの歳月をけみしております。その間、関係者の努力の結果、すでに国産第一号炉の完成を見、また発電第一号炉の建設が着々と進められているなど、その成果はまことに見るべきものがございます。
 この間、原子力を船舶の動力として利用することにつきましては、わが国は、世界第一の造船国として、また有数の海運国として、ことに深い関心を持ち、昭和三十二年以降研究を進めて参りましたが、ようやくその成果を実際に適用してみる自信を得るに至りました。
 一方、眼を世界に転じますと、船舶に対する原子力の平和利用は、米国のサバンナ号、ソ連のレーニン号の二隻の成功を契機として、とみに促進され、その他の国においても、西独を初め次々に原子力船の開発計画が進められております。
 原子力委員会におきましては、これら内外の事情にかんがみ、来たるべき原子力船時代に備えて、その研究の飛躍的な促進をはかるための効果的な方策について慎重に検討した結果、この際、研究開発を目的として原子力第一船を建造することが必要であるという結論に達しました。すなわち、わが国産業界に実際に原子力船を建造し、これを運航する体験を得させることが、わが国における原子力船に関する技術を飛躍的に高め、その実用化をはかる最善の道であると考えた次第であります。このために建造する原子力第一船としては、総トン数約六千トンの海洋観測船が適当とされ、その設計、建造、運航及び乗組員の養成訓練のためには、九年の日子と約六十億円の資金とが必要と見込まれております。
 政府といたしましては、原子力委員会のこの方策をきわめて妥当なものと考え、昭和三十八年度より原子力第一船の開発に着手することを決定した次第であります。このため必要な経費につきましては、別途昭和三十八年度予算案に計上いたしましたが、この開発を行なう機関といたしましては、人材、資金の両面において、政府及び民間のきわめて緊密なる協力を必要とすること並びにその国家的事業たる意義から見て、政府の監督のもとに置く必要のあること等の理由により、日本原子力船開発事業団を設立することといたしました。
 以上が、本法案を提案するに至りました趣旨でございますが、本事業団の事業は、平和の目的に限られることはもちろん、本事業団の運営にあたりましては、原子力基本法の精神にのっとりこれを行なうことは申すまでもございません。
 次に、本法案の概要を御説明いたします。
 第一に、本事業団の設立の目的は、原子力基本法の精神にのっとり、原子力船の開発を行ない、もってわが国における原子力の利用の促進並びに造船及び海運の発達に寄与することにあります。
 第二に、本事業団は、政府及び民間の共同出資の法人でありまして、その当初資本金は三十八年度に予定されている政府出資一億円と民間出資予定額約五千万円の合計約一億五千万円であります。
 第三に、本事業団の役員は、理事長、専務理事各一人、理事三人以内及び監事一人であります。理事長及び監事は、主務大臣が原子力委員会の意見を聞いて任命し、専務理事及び理事は、理事長が主務大臣の認可を受けて任命することとしております。
 第四に、本事業団に、業務の運営に関する重要事項に参画させるため、顧問を置くこととしております。顧問は、学識経験者のうちから、主務大臣の認可を受けて、理事長が任命いたします。
 第五に、本事業団の業務は、原子力船の設計、建造及び運航を行なうこと、乗組員の養成訓練を行なうこと、これらの業務に関する調査研究、成果の普及を行なうこと等であります。
 第六に、本事業団の業務の運営は、原子力委員会の決定を尊重して主務大臣が定める基本計画に基づいて行ないます。
 第七に、本事業団は、主務大臣として、内閣総理大臣及び運輸大臣が監督いたします。
 第八に、本法は、昭和四十七年三月三十一日までに廃止するものとしております。
 最後に、本事業団に対しては、登録税、所得税、法人税及び地方税について税制上の優遇措置をとっております。
 以上、本法案の提案理由及びその内容に関する概要の御説明を申し上げました。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを切望する次第であります。
#7
○委員長(田上松衞君) 本件に関する質疑は後日に譲ることといたします。
  ―――――――――――――
#8
○委員長(田上松衞君) 次に、すでに説明を聴取いたしておりまする昭和三十八年度科学技術庁の施策及び予算についての質疑を行ないます。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#9
○松澤兼人君 先日、長官の所信表明をお聞きいたしたわけでございます。その重要な所信の柱について、今後、この委員会が開かれます間、長官にお尋ねいたしたいと考えておりますが、第一に、国際的な科学技術の交流という点で、現在、科学技術庁関係の、いわゆる科学アタッシェというようなものが、各国に、どの程度出ておりますか。その予算が、どのように計上されておりますか。その点からお伺いいたしたいと思います。
#10
○政府委員(森崎久寿君) 現在の科学アタッシェは、アメリカに二名、イギリスに一名、西独に一名、フランスに一名、ソ連に一名でございます。ただし、ちょっと注釈を加えさしていただきますと、フランスが一名というのは、予算定員上は、オーストリアのウィーンの定員を、今、便宜上、フランスに移しております。なお、三十八年度におきましては、フランスの定員を新しく一名とるということで、現在、予算の要求をいたしております。なお、アタッシェの問題につきましては、御承知のように、外務省の所管にはなりますけれども、定員は、われわれのほうから、移しかえて要求しておるということでございます。
#11
○松澤兼人君 そういたしますと、三十八年度では、フランスの一名が、正式に、フランス二名というふうになりますか。他の一名は、やはりオーストリアですか、そこに戻るわけですか。
#12
○政府委員(森崎久寿君) 本年度予算が認められますと、オーストリアが一名埋められることになります。
#13
○松澤兼人君 そして、その科学アタッシェの情報等は、外務省を通じて入ってくるということになるのですか。
#14
○政府委員(森崎久寿君) 公式には、そういう形をとっております。
#15
○松澤兼人君 外務省国際連合局科学課というのは、これは国際連合の関係であって、各国に出ております科学アタッシェは、ここではなくて、ほかのところにいるわけですか。
#16
○政府委員(森崎久寿君) 今、お手元にお持ちの資料につきましては、科学アタッシェの系統ではなくて、外務省が、在外公館を通じまして、全面的に検討しております資料の一部を、科学技術の点からまとめたものだと思っております。
#17
○松澤兼人君 今、こういう科学アタッシェというのは、外務省では、どういう地位にあるわけですか。
#18
○政府委員(森崎久寿君) 外務省は、現在は、在外公館における、一等書記官ないし二等書記官の資格で勤務いたしております。
#19
○松澤兼人君 聞きたいのは、そういう各国で得られた情報等は、どういう経路で外務省にきて、それが科学技術庁のほうにくるかという、そういう問題なんです。直接科学技術庁のほうに、そういう科学アタッシェの収集した情報、資料等がくるのかどうか、そういう点なんですけれども。
#20
○政府委員(杉本正雄君) 科学アタッシェは、駐在地におきまして、そこの在外公館の一員として仕事をいたします。そして科学技術的な情報収集またはいろいろな交渉の任に従事するわけでございます、そういうような動きから得られました科学技術的な情報は、在外公館で取りまとめまして、公式に外務省へ送ってくる。外務省では国連局の中に科学課がございまして、その科学課が事務の窓口になっておりますが、その事務の窓口の科学課を通しまして、科学技術庁のほうに、公式に送って参るのでございます。
#21
○松澤兼人君 それですから、さっきお聞きいたしましたこの国際連合局科学課のほうに、その資料が集まってきて、そうしてこういうふうに集約されて、それがまたわれわれにも、また科学技術庁にもくると、こういうことですか。
#22
○政府委員(杉本正雄君) 国連局の科学課でもって、こういう情報をもとにいたしまして作られたものというふうに想定いたします。それで、国連局のほうで、科学技術庁以外にも、必要な関連の部、たとえば文部省あるいは学術会議のほうへ配付されているものと考えております。
#23
○松澤兼人君 ですから、私、ちょっとふに落ちないのは、そういう科学アタッシェというようなふうに、特別な任務をもって各国の大使館に行っていらっしゃるのに、外務省では国際連合局というのはおかしいじゃないですかと、こういうことなんです。それよりほかに、そういう情報を収集する責任ある役所の部局といいますか、そういうものはないのですか。
#24
○政府委員(杉本正雄君) 私、担当でございませんのに、先ほどから御答弁申し上げておりますが、科学技術庁といたしましては、外務省で、国連局のほうではなしに、独立の局というような希望を持っているわけでございますが、ただいまのところ、外務省では国連局の中に科学課というのを設けまして、必ずしも国連の会議その他に関係のない一般的な科学技術情報も、それを窓口にしておりまして、外務省でも、必要性は認めているようでございますが、なかなか独立の局を作るまでに至ってないように聞いております。
#25
○松澤兼人君 そうしますと、現実に科学アタッシェというものはあるけれども、外務省本省に、総括して資料を収集したり、またそれを印刷したりするような適当なものがないから、幸いに国連局の中に科学課があるから、便宜上、そこで情報を収集して、そして印刷なら印刷する。あるいは横の連絡をとるものはとるということになっているということですか。
#26
○政府委員(杉本正雄君) 国連局の中に科学課ができました際のいきさつについては、私つまびらかにいたしませんが、現状におきましては、おっしゃるようなことになっております。
#27
○松澤兼人君 いろいろと国際会議をやっていらっしゃるようでありますけれども、新しく国際的な技術交流とかあるいは人的交流とかいうようなことで、特に科学技術庁としてお考えになっていらっしゃることは、どういうことでしょうか。
#28
○政府委員(杠文吉君) お答え申し上げます。ただいま三十八年度において計画いたしておりますのは、アジア電子技術会議でございます。これは一昨年エレクトロニクス協議会という民間の団体がございますが、あの主催をもちまして、初めてアジア地域におけるところの電子技術会議をやったのでございます。昨年は休みましたが、本年に至りましてこれは政府が主催するということに相なっておりまして、二百万の予算がついておりまして、目下予算の御審議と並行的に準備を進めているような状態でございます。
 それから本年、近く行なわれますのは、これは三十七年度予算でございますが、アジア原子力会議というものが開かれるということになっております。大体ただいまのところ、私のほうの関係しておりますわがほうが主催するところの会議というのは以上でございますが、そのほか研究者の交流といたしまして外国人を逆に招聘するというようなことをいたしておりまして、昭和三十七年度におきましては、オーストラリア、フランス、オランダの三カ国から、オーストラリアにつきましては二人でございますが、フランスは一名、オランダ一名、この三カ国から合計四名の研究者を受け入れております。昭和三十八年度におきましては、同じく四名の受け入れをしたい、これは西ドイツまで広げたい、したがいましてオーストラリアは一名にしぼりたいという計画をいたしております。それからまた、各研究所の研究職員を外国に派遣しておりますのが昭和三十七年度におきましては長期留学といたしまして二十六名、中。短期留学といたしまして、八名、交通費のみを支給いたしますところのものが六十一名。昭和三十八年度におきましては、計画といたしましては長期留学を三十名、これは四名ふやすということにいたしております。それから中短期留学を九名、これも同じく昨年より一名ふやす。交通費のみ支給が八十二名、これは相当大幅にふやすことになるのであります。そのような計画を持っております。以上でございます。
#29
○松澤兼人君 この所信表明の中にあります国際原子力機関のシンポジウム、これも近く開催されることになっておりますか。
#30
○政府委員(島村武久君) これは来月早々に日本で開かれることになっております。
#31
○松澤兼人君 先ほどお話のありましたアジア原子力会議も、三十七年度予算ですから、近々開かれるわけですか。
#32
○政府委員(島村武久君) きょうでございます。三月十一日から三日間東京において開くことに予定しております。
#33
○松澤兼人君 それから先ほどの外国の技術者を年々四名招聘するということ、これも原子力関係ですか。
#34
○政府委員(杠文吉君) 原子力関係では一名だけ入っております。これはフランスからのものであります。これは三十七年度でございます。三十八年度は、これから外国と交渉することにしておりまして、未定でございます。
#35
○政府委員(島村武久君) 原子力関係につきましては、三十八年度から新たに二名だけ東南アジア地区から留学生を迎える予算を、ただいま要求中でございます。
#36
○松澤兼人君 今の二名というのは、たとえば所信表明で言えばどこに当たるわけですか。
#37
○政府委員(島村武久君) お配りしてございます第四十三回国会における科学技術庁長官所信表明と申します印刷物の五ページ、最後から五行目でございますが、ここに「三十八年度は、アジア電子技術会議の開催」というところに「東南アジア原子力研修生の受け入れを予定し、」とあるこれでございます。
#38
○松澤兼人君 先ほど海外留学を考えておるというお話でご、ざいますが、これは各研究所の研究員というようなことであろうと思うのですけれども、そうではなくて、あるいは大学の研究者ということになりますか、その辺のところはどういうことなんですか。
#39
○政府委員(杠文吉君) 大学の研究者につきましては、御存じのとおりに私のほうでは大学のみにはかるところの研究というものは所管いたしておりませんので含まれておりません。これは国立の研究の機関に限っております。
#40
○松澤兼人君 原子力船の問題はまた法案が出ておりますが、ごく概略に原子力発電の進捗状況というものをちょっとお伺いいたしたいと思いますけれども、第一は、原子力委員会の発表した原子力開発利用長期計画というものを基礎にして、どの程度進行しておりますか、そこからひとつお話を願いたい。
#41
○政府委員(島村武久君) 原子力委員会が決定発表いたしました原子力開発利用長期計画については、すでに御存じのことと思いますので、説明を省略いたしまして、その中に述べられました前期十年間、つまり昭和三十六年から昭和四十五年に至る間におよそ百万キロワットの原子力発電という目標、これに対しまして現在どのように進行中であるかという点だけをお答え申し上げます。第一号炉の建設は、これはイギリスから導入いたしまして、日本原子力発電株式会社が茨城県の東海村日本電子力研究所に隣設いたしました土地に建設を進めているわけでございまして、昭和四十年に完成、発電を開始する見込みでございます。工事はおおむね順調に進展しておりまして、現在のところ、特段の問題というものはございません。これに続きます第二号炉は、原子力委員会の計画にもございましたように、濃縮ウランを使用いたします原子炉を予定いたしまして、目下この受け入れのための準備をいたしているところでございます。すなわち日本原子力発電株式会社では、昨年の秋に福井県の敦賀半島に建設予定地をきめまして国内的に置く場所を予定いたしましたほか、アメリカ側に対しまして濃縮ウラン系統の炉を受け入れますための前提となりますいろいろの問題につきまして打ち合わせをいたしている段階でございます。おそらく本年中には一歩前進した形において第二号炉の建設計画が進められていくものと期待しているわけでございます。最初の第一号炉は、規模は十六万キロワットちょっとこす程度のものでございます。二号炉につきましては、その規模はまだ確実にきめていない状況でございますが、むしろこちらの都合で割り出しました規模よりは、いろいろと先方との交渉によってその大きさもまた幅を持たせて考えていくほうが有利ではないかという考えのもとに進めておりますので、百万キロに対しまして、この二基の炉でどのくらい足りなくなるかということは、正確に数字的には割り出せませんけれども、およその目途といたしましては、百万キロの目標を達成いたしますにはさらに大体三基ぐらいのものが建設されなければならないというふうに考えられているわけでございます。これらの分につきましては、在来のいわゆる九電力側でそれぞれ建設計画を持っておりまして、なかんずく昭和四十五年までに完成させたいという意図を表明しております電力会社といたしましては、関西電力、東京電力及び中部電力、この三つが数えられるわけでございます。このうち関西電力は、日本原子力発電株式会社の二号炉用地の決定と同時に、同じく場所は福井県の敦賀半島でございますけれども、その地点に一応の候補地を予定しておるという状況でございます。東京電力、中部電力につきましては、まだ候補地というところまでには至っておりません。いずれにいたしましても、二号炉のほうがこれら九電力会社が実施いたします発電所の建設よりも先行するわけではありますけれども、いずれも発電開始予定を四十五年を目途にいたしておりますので、冒頭の申し上げました原子力委員会の決定しております約百万キロを四十五年までに実現するという目標は、大体達成せられるのではないかという見通しを立てておるわけであります。
 以上簡単でございますけれども、現状を御説明申し上げました。
#42
○松澤兼人君 そうしますと。大体五基百万キロを十年間に完成させるということでございますか。
#43
○政府委員(島村武久君) 大体そのとおりであります。
#44
○松澤兼人君 そうすると、一基出力が一号炉では十六万キロワット、他はそうするとそれよりはどうしても大きくなる、そういう計算なんですか。
#45
○政府委員(島村武久君) もちろん、一号炉は十六万でございますので、その他の炉はそれよりも大きくなるということは考えられるわけでございますけれども、実は最近世界的に非常に大きな発電所の計画が続々と発表せられております。先ほど衆議院でも実は御指摘があったのでございますけれども、最近ではアメリカあたりは百万キロというユニットの原子力発電計画が発表せられておるような状況でございますので、一発電所当たりの能力というものは、将来どんどん大きくなる見通しもございます。したがいまして、私が五基で百万キロと申しましたのは、まあいわば最低でございまして、どちらかと申しますと、これがあるいは百二十、あるいは百三十というぐらいまで大きくなることも考えられるわけでございます。
#46
○松澤兼人君 それで、日本原子力発電会社が原子力発電をやる分と、それから他のたとえば関西電力であるとか、中部電力であるとか、東京電力であるとかというのは、この五基の関係からいいますとどういうことになるか。その五基の中に入るのか、あるいは五基以外に……。
#47
○政府委員(島村武久君) 日本原子力発電株式会社が最初の二基をやる。それからあと三基を九電力側の電力会社がやるという考え方でございます。
#48
○松澤兼人君 そういたしますと、これで一号はいい。二号は福井県の敦賀半島とする。それに隣接して三基目ができるわけですね、三号炉ですか。その他の原子炉、原子力発電所は、まだ全然土地とか何とかの見当がついておらない、こういうことですか。
#49
○政府委員(島村武久君) ただいまの現状で私どもが測定いたしまして、機運と申しますか、準備が一番進んでおりますのは二号炉、日本原子力発電株式会社の考えております二号炉でございますけれども、先ほど申し上げましたように、関西電力は隣接ではございませんが、それに近い所に地点を求めております。そのほかの東京、中部につきましては、現在まだ候補地がどこというところまで至っておりませんけれども、それは決して全然候補地も当たっていないというような意味ではございませんので、将来にわたりまして、原子力発電が何もこの十年間で済むわけではございませず、ますます大きな規模で実現されていくものという予想を持っております。土地につきましても、いろいろと会社で調査しておられるというふうに聞いております。
#50
○松澤兼人君 東海村ですか、あそこには一基できるわけですけれども、その隣接といいますか、その近所では、もう土地の余裕はございませんですか。
#51
○政府委員(島村武久君) 御承知のとおり茨城県の東海村に日本原子力発電株式会社が第一号の原子力発電所を建設中でございますが、その南側は日本原子力研究所が幾つも研究用の原子炉を持っておるわけでございます。その中には発電をいたします炉もございまして、おそらくはこの四、五月ころには発電を開始する予定のものもございます。そういった現状に対しまして、あの東海村という地点にさらに原子力発電所を置くことができるかどうかということになりますと、全然新しい原子力発電所をあそこの地点にさらに置くということに対しては、おそらくもうその余裕はないのじゃなかろうかと考えられるのでございますが、原子力発電株式会社が現在建設いたしております発電所は、実は二つ並びまして、ペアになりまして発電所を作ることができるように計画されておるわけでございます。したがいまして、これをペアにいつするかという問題があるわけでございまして、その意味におきまして、将来なおあそこの発電所が能力をふやすということは考えられるわけでございます、あの東海村自体にさらに別個の新しい発電所を計画するということは、現在のところあまり考えておりません。もう少し範囲を広げまして、東海村ということでなくて、あの茨城県下についてどうかというようなことになりますと、これは場所によると思いますけれども、私どもといたしまして、現在もうその余裕がないとは決して考えておりません。規模あるいはそのほかの条件によりまして、まだ置く場所もあるであろうというふうに考えております。
#52
○松澤兼人君 これはまあ大きな政策として、そういう原子力発電あるいは原子力関係のいろいろの研究所を一定の場所に集中的に置くことがいいのか、あるいは地方に分散させたほうがいいのかといういろいろな問題があると思うのですけれども、よくこれはほかの問題から議論になることですけれども、水戸に米軍の射撃場があるというのですが、その模擬爆弾がよく東海村の近所に落ちてくる。そういう意味であそこは危険だと、こういう議論もしたことがあるのですけれども、反対に、もし水戸のその爆撃練習場ですか、そういうものがなくなれば、可能性はあるわけですか。
#53
○政府委員(島村武久君) あまり簡単に申し上げにくいことでございます。と申しますのは、技術の進歩がどんどん進んでおりますということと、それからその土地自体がやはり年を追って変化して参るという問題がございます。したがいまして、あの米軍の爆撃場が、かりに返還になりましたといたしますと、あそこはたしか三百数十万坪もございまして、非常に望ましい土地であると考えますが、どのくらいの規模の発電所をいつ置くかということと、もう一つは、あそこの周辺地帯のいわば都市計画がどういうふうになるのかというような問題がからみ合っているわけでございます。したがいまして、一概に原子炉というサイドからだけ、あそこが返還されればまだ幾らでも置けるということも申し上げにくいわけでございますけれども、私どもといたしましては、仰せのとおり、やや長期的にそういう問題を考えて参らねばなりませんので、原子力委員会に、特にあの地帯を考慮に入れまして周辺地帯をいかに整備したらいいか、いわば都市計画あるいは地帯整備計画との関係をどのように調和していったらいいかということにつきましての専門の委員会を作りまして、地元の方にも入っていただくし、また原子力関係の専門家、あるいは都市計画関係の専門家の方にもお入りいただきまして、現在検討を進めておるわけであります。
#54
○松澤兼人君 その危険の可能性といいますか、そういうものを考えれば、あるいは分散したほうがいいじゃないかと、こういうことも考えられますが、電力需給の関係からいえば、各地方に分散して置くほうがいいようにも考えられますが、集中的な場合と、分散した場合との利害得失ということはどうでございますか。
#55
○政府委員(島村武久君) これはいろいろの角度から考えられることでございます。あまり集めてしまうということにつきましても問題があろうかと思いますが、また、非常な長所も考えられる。たとえば、そういうことはあっては困ることでございますから、十分注意して万全を尽くしておるつもりでございますが、なお万々一のためにはいろいろな措置を考えて参らなければなりません。たとえば、直接人命にどうこうということはございませんでも、万一の事故のときには、かりに人口が多くても、さっと退避できるような道を作るとか、あるいは周辺を非常にいい環境に整備しておくというようなことになりますと、一つの発電所のためにそういうようなことをするというよりは、むしろある程度まとめてしたほうがいいという場合もあるわけでございます。したがいまして、一概に、集めたほうがいいとか、分散したほうがいいということの結論は出ないというふうに思うわけでございます。一方、先ほども申し上げましたように、アメリカで大きなスケールの発電所の計画が発表されておるということを申し上げましたが、その百万キロのユニットの原子力発電所の計画と申しますものは、ニューヨークの町のもうすぐくっついた所で、タイム・スクエアから四キロメートルでございましたか、例の国連ビルからは数百メートルというくらいの所でございます。つまりは、そのような人口の稠密な所でも、もう置いても危険がないというような判断に立っておることでもございますので、この問題も、私どもといたしましてもできるだけそういうような日が早く来ることを願っておるわけでございますので長期的に見ました場合に 集中、分散というような問題が、いわば危険というようなサイドから考えられる要素が非常に薄くなっていくのじゃなかろうかという気もいたしておるわけでございます。もちろん電力の需給関係から申しますれば、いわば大都市に近くあったほうが送電ロスの軽減ということにも役立つということもございましょうし、適地という意味におきましては、実は人口がなるべく少ない所ということ以外に、土質の問題でありますとか風向きの問題でありますとか、いろいろな条件が現在のところは非常にきびしく要求されておるわけでございますので、そうやたらに適地があるわけでもございませんで、一カ所の適地が見出せますれば、あるいはかなりな規模のユニットまでそこに建設したほうがいいという問題も出てくるかと思います。要は、科学技術の進歩とそれからその土地の変化の状況、あるいは送電上の問題いろいろな角度から総合的に考えられていくべきものでありまして、集団的にあるいは個別的にというような考え方は、一律にはできないのじゃなかろうかということでございます。
#56
○松澤兼人君 その危険のことですけれども、先日の新聞に、原子力研究所で事故があった、これは放射能の危険あるいは汚染という問題とは別個の問題というふうに新聞は書いておるわけですけれども、その事故の実情というものはどういうものなんですか。
#57
○政府委員(島村武久君) 最近原子力研究所で事故を起こしましたことにつきましては、まことに遺憾だと考えておるわけでございますが、事故がどういうような状況であったかということを申しますと、二月の二十一日午後六時五十五分ごろ原子力研究所の中にございます再処理試験室の地下室で硝酸の入りましたステンレス製のドラムカンが一本爆発したわけでございます。そのドラムカンが爆発しただけでございますとまだよかったのでございますけれども、付近に十八リットル入りの石油カンがございまして、そのうちの二つに引火して火災が起こったわけでございます。すぐに手配をいたしまして、火事そのものは間もなくおさまったわけでございますけれども、再処理試験室と申しますのは、一度使用いたしました燃料要素を再び化学的に処理いたしましてプルトニウムを取り出す、あるいはまだ有効な、いわゆる燃え残りのウランを取り出すというような仕事を将来やらなければなりませんので、それに備えまして実験をいたす場所でございまして、現在のところ、使用済み燃料を使用して実験をやっておったということではございませんけれども、ウランをやはり使用しておる場所でございますので、非常に警戒をいたしまして、慎重な態度でこれの鎮火に当たったということでございます。この事故の原因は、現在はなお調査中でございますけれども、現在のところ、硝酸溶液中にTBPと申します溶剤が一部混入いたしまして、その希釈熱とニトロ化反応によって爆発を生じたのではないだろうかというふうに考えられておるわけでございます。御指摘のように測定いたしました結果では、特にウラン関係と申しますか、放射能関係の事故と申しますよりは、単なる爆発事故であって、放射能関係の汚染というものはなかったということが確かめられておりますことは、まあ不幸中の幸いであったと考えておるわけでございます。単に原研――原子力研究所自体の報告だけでなくて、原子力局といたしましても、すぐ水戸に置いてございます放射能測定車を差し向けまして調査もいたし、また係官も派遣いたしましたが、そのことが事実であるということが確認されておるわけでございます。
 なお、このような事故は、まあいわば結論的に申しますと、やはりそういったような資材の管理あるいは取り扱いの不十分という責めは免れませんことでございますが、今回は幸いに放射能事故に立ち至りませんでしたけれども、今後十分にこの事故の経験を生かしまして、取り扱い等にも注意をいたしますとともに、万一のための備えということにつきましても万全の措置を講じて参りたいと考えておるわけでございます。
#58
○松澤兼人君 どうもその詳細なことは、私もそういう知識がありませんのでわからないのですけれども、再処理試験室の、まあ地下にあって、ドラムカンか何かに入れてあったものが自然爆発したというふうに新聞は書いているわけなんですが、まあ技術的な不手ぎわであるとか、あるいは詰めかえの技術的なまずさということでなくて、そのカンの中に入れられたいろいろの薬物がまあ一定の時間たって自然に爆発するような状況になったというふうに新聞の記事からは読めるのですけれども、その点はどこかに技術的な欠陥があったのか、あるいはまあそういう状態に置いておけば、もう自然に爆発するという全く自然的な要素、理由でもって爆発したのか、その何というか直接の原因ですか、それはどういうところにあるのですか。
#59
○政府委員(島村武久君) 硝酸を入れましたドラムカンでございますので、そのまま置いておきましても自然に爆発するということは考えられないわけで、したがいまして、事故の原因についてはまだほんとうにこれが原因であったというところまでは確定に至っておりませんけれども、ただいまの判断では、硝酸を入れますドラムカンに少量の他の物質、先ほど申し上げましたTBPという溶剤でございますけれども、これは見たところあまり変わりないそうでございますので、それを誤って一部混入したんではなかろうか、それが数時間たつうちにだんだん熱を持ってきまして化学反応を起こして、間違えて若干のものを入れたために、そういうことが起こったんではなかろうかと想像されておるわけでございます。したがいまして、言いかえますれば、自然にそうなったと申しますよりは、やはり不手ぎわがそれに加わっておる、直接の原因としてはそういうことがあったのではなかろうか、そういうふうに見ておるわけでございます。
 なおこの点につきましては、さらに原子力研究所でも鋭意調査中でございますので、あるいはまた違った解釈が出てこないとも限りませんけれども、現在のところはそうではなかろうかということになっております。
#60
○牛田寛君 最初に宇宙開発の問題について若干お伺いしたいと思います。
 これまでわが国の宇宙開発の仕事は、東京大学の生産技術研究所の糸川教授の打ち上げられたロケットが主体であったように承知しておりますが、今度の科学技術庁の予算を拝見しますと、今までの航空技術研究所を航空宇宙技術研究所というような名前に変えられて、新たに宇宙開発予算等も組まれているのでございます。それに伴って、宇宙開発審議会等が、重点目標の一つとして人工衛星を打ち上げる、五カ年計画でやるというような話が出ているようでありますが、人工衛星を打ち上げる目的をどのような点に置かれているか、科学技術庁としての立場でひとつ明らかにしていただきたいと思うわけです。
#61
○政府委員(芥川輝孝君) 御承知のとおり、世界の宇宙開発が進みまして、ことに人工衛星を利用いたしまして、通信あるいは気象というふうなものの分野につきましては、新しい技術が着々開発されつつあるわけでございまして、そこでこういうふうな情勢に対応いたしまして、先ほどお話のございましたように、本年の一月二十八日に宇宙開発審議会に対しまして、今後わが国のとるべき重点開発目標、それを実現するための具体的方策いかんという諮問を出したわけでございます。そこで審議会といたしましては、総会を二度開きまして審議に入ったわけでございます。で、今お話のような人工衛星を打ち上げるという問題は、情勢から見ますと、自然この審議会で審議されるようになると、こう思うわけでございます。ただいまお尋ねのように、科学技術庁としてどういう人工衛星を考えておるかという点につきましては、まだきまっておらないのでございます。
#62
○牛田寛君 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、今宇宙開発審議会の一つの方針として、重点目標の一つに人工衛星を打ち上げると、こういうことが打ち出されているわけですね。わが国の宇宙開発の一つの方向が打ち出されてきているわけです。それに対して科学研究の推進の総元締である立場の科学技術庁としては、そういうふうな人工衛星打ち上げの目的がどの辺にあるのか、一体それが現在の段階としてどの程度の規模まで必要であるのか、あるいは五カ年計画であるならば、どの程度の規模までというような判断をお持ちだろうと思うのです。その点を伺いたい、こういうわけです。
#63
○政府委員(芥川輝孝君) 科学技術庁としての判断を言えとおっしゃる御質問と思うのでございますが、御承知のとおり宇宙開発は、国といたしましてもこれに着手いたしまして、その取り上げる規模によりましては非常に金もかかるものでございます。そこで宇宙開発審議会を内閣総理大臣の諮問機関として置きまして、広く衆知を集めて、どの程度でどういうふうに取り上げるのが日本として最も適当であるか、そういう道を明らかにするための審議会でございまして、今御指摘のお話になったような点につきましては、すべて審議会の御審議を経まして、その答申を受けましてから政府がこれをきめる。そういう立場になるわけでございますので、ただいまここで科学技術庁の意見を申し上げるということは、ちょっとできないかと思うわけでございます。
#64
○牛田寛君 ただいまの話は了解しますが、それでは宇宙開発審議会として、人工衛星を打ち上げるその目的なり意義なりをどの程度まで明瞭にされたか。その点をもう少し具体的に伺いたいのですが。
#65
○政府委員(芥川輝孝君) 宇宙開発審議会として人工衛星につきましてどういうふうに考えておるかということに関しましては、宇宙の開発が先ほど申し上げましたような気象とか、あるいは通信とか、そういうふうな直接国民経済の増進に役立つような方向ですべて考えるということでございますので、今後出て参りまする人工衛星その他も、そちらのほうに重点が置かれるのではないかと思うわけでございますが、一方単に科学の推進という面を重要視しなければなりませんので、現在のところでは、どちらともまだ言い切れない状態にあるかと思います。
#66
○牛田寛君 私はこの科学技術庁の人工衛星の打ち上げに対する一つの言明というような形で伺いたいというのじゃなくて、人工衛星そのものが具体的な問題として取り上げられてきたという段階になっておりますね。それで、今までの宇宙開発は、いわゆるカッパー・ロケット中心で、世界的な規模から見れば非常に小さい規模で進められてきたわけです。それで、いよいよ人工衛星の開発となりますと、まあ私どもしろうと考えといたしまして、これは非常に莫大な費用をかけなければその実際の効果が望まれないのではないかと、こう考えるわけです。そういたしますと、アメリカやソ連と違いまして、わが国のような現在の段階の経済力、また政治社会情勢のもとにおいて、はたしてどの程度までこの人工衛星の開発に力を入れるべきかということは、当然政治上の問題だと思うのです。先ほど申し上げましたように、航空技術研究所にも宇宙という名前をかぶせるということで、宇宙開発ということに重点を置かれてきた以上は、その点についての認識というものが明らかでなければ、やはり人工衛星の開発に非常にむだが出てくるのではないかと、こう思うわけです。
 それで、もう少し具体的にお尋ねしたいのですが、宇宙開発そのものの目的ですね、これは宇宙空間、いわゆる地球の表面のある程度の高さから宇宙へ広がっていくその空間、その中の現象の研究になる。それからもう一つは、実用化の問題があるわけですね。そういうように、あらゆる角度から考えられるわけなんですけれども、そういう点で人工衛星の開発の目標をどこに置かれるのかということは、まあ国民としては、そのほうに費用をつぎ込む以上は、明らかにされなければならないと思うのは当然だと思うのです。その点をもう少し具体的に伺いたいと思うのです。
#67
○政府委員(芥川輝孝君) 宇宙開発の目的と申しますか、それにつきまして宇宙開発推進に関する基本方策というのが、昨年の五月十一日に宇宙開発審議会から諮問第一号に対する答申として出ております。それで、その文章のままを申し上げるわけではなくて、その内容を申し上げますと、要するに、宇宙空間の真相を直接的な手段でとらえまして、そして科学の発達をはかると同時に、その成果に基づきまして通信、気象等の実用面についても新分野を開く、そういうことだというようなまあ御答申が出ておりますが、ここらが宇宙開発の目的ではないかと思うわけでございます。
 そこで、わが国におきまする宇宙開発につきましては、御指摘のとおり、大学を中心といたしましてロケットの打ち上げ等を取り上げておったわけでございますが、それは世界的に見ましても、ICSUと申しますか、何と申しますか学者の集まりを中心にしました一つの流れ、ICSUのもとに宇宙空間研究委員会がございまして、日本の学術会議にもこれに対応するような組織があり、学者を中心に進めて参ってきたわけでございます。
 一方、実用化の問題につきましては、御承知のとおり人工衛星その他がたくさん上がって参りまして、これが急速に日程に上って参りました。そこで実用開発が進むにつれまして、非常に工業水準というものは飛躍的に向上して参りました。したがいまして、わが国といたしましても、わが国の工業水準を引き上げるという必要上、またこの国連あたりにおきまする国際的な発言の立場を固めるというふうな意味で、従来の学術研究だけでは今後わが国としては不足するのではないかということで、この際、国としての重点目標を掲げて、世界の各国に比して劣らない地位を築く基礎を至急固める必要がある。そういう見地から一月の末に三号諮問を出して、あらためて宇宙開発の促進方策を開発審議会に諮問した次第でございます。
#68
○牛田寛君 そういたしますと、今までもたびたび報道されておるのですが、人工衛星の打ち上げ計画というものは、まだ実施の段階の方向もついていない、こういうことに考えてよろしゅうございますか。
#69
○政府委員(芥川輝孝君) そのとおりでございます。ただ、わが国として学術研究の段階だけではもの足りないのではないか、そういうふうに判断いたしました基礎としましては、たとえばアメリカとカナダが協力し、あるいはアメリカとイギリスが協力し、またその他の諸国も協力して、あるいは人工衛星を打ち上げたりあるいはロケットを打ち上げたりしておる。そこらの点を見まして、はたして学術の開発だけでいいのか、どうもそれではもの足りないではないかというふうに考えまして諮問を出したわけでございますので、そこで、初めに申し上げましたように、当然この審議会としては人工衛星そのものを取り上げるかどうかはまだわかっておりませんが、人工衛星なりその他の気象ロケットなり、そういう実用面の開発に力を入れるような審議に今後相なるのではないかと思うわけでございます。
#70
○牛田寛君 そうしますと、人工衛星の計画が具体化されていないということでありますから、これ以上伺う余地はないわけでありますが、従来のロケットの打ち上げは学術研究の範囲内であって、これからは学術研究の範囲を越えて、いわゆる実用化の段階に利用する目的のためにさらに人工衛星の開発という方向に向かうのだ、こういうふうな考え方でよろしゅうございますか。
#71
○政府委員(芥川輝孝君) そのとおりでございます。
#72
○牛田寛君 宇宙開発はこれだけにして、次に、防災の問題について若干お伺いしたいのです。衆議院でも若干取り上げられておりますが、本年度の予算を拝見しましても、防災に関係する科学技術庁の予算は非常に少ないですね。防災科学技術センターというのが新しくできる、こういうことになっているわけでありまして、その内容を拝見しますと、中に雪害対策などということもうたってありますが、このたびの裏日本の豪雪で、私どもも現地へ参りましたが災害時の対策が非常に立ちおくれている。除雪作業にいたしましても、融雪作業にいたしましても、人海戦術のような、あるいは雪を溶かすのに自衛隊が火災放射器を持ち出しているというような、専門的な立場で見る方でありましたらば、あるいは笑いものになるのじゃないかというような対策の様子さえ見られたのであります。宇宙開発もけっこうでありますが、私どもの足元には、もっと科学的に掘り下げて対策を講じなければならない問題が山積しているのではないか。一つの雪害というものを一例として私どもは考えるわけでありますが、これは何も雪害に限らず、水害についても同じことでありますし、たくさんの問題があると思うのでありますが、まずひとつ雪害に対する対策の研究についての現状ですね、これをお伺いしておきたい。現在雪の災害に対する対策を研究しておいでになる研究所並びにその組織というものは、大体どれくらいあるか、それに対してどのくらいの費用が使われるか、概略でけっこうでございますから、教えていただきたい。
#73
○政府委員(芥川輝孝君) 現在科学技術庁では、総合調整の見地から推進をはかっておりますが、実際には、ただいま仰せのとおり各行政官庁に属します試験所がおのおのの行政目的に従ってやっているわけでございます。そのうち雪害に関係いたします分を申し上げますと、国立研究所が七つ、それから財団法人の研究機関が一つでございます。それは、北海道開発庁土木試験場、農林省農林技術研究所、同じく農林省北陸農業試験場、林野庁林業試験場、気象庁気象研究所、建設省土木研究所、それから日本国有鉄道の塩沢雪害実験所、以上でございますが、雪害防災の科学技術庁関係研究予算といたしましては、三十七年度が二千七百七十三万一千円、三十八年度、現在国会に審議をお願いしております分が三千七百十八万七千円、この三千七百万円の中へは防災センターの予算を含んでおりませんが、以上申し上げましたような状況になっております。
#74
○牛田寛君 また少しこまかく問題を取り上げるようですが、国鉄の塩沢実験所ですが、これは大体どれくらいの人員で、どれくらいの予算でやっておるか、おわかりになりますか。国鉄でなければおわかりにならないですか。大体の見当でけっこうです。
#75
○政府委員(芥川輝孝君) 国鉄の塩沢雪害実験所の人員は、雪の関係だけで五名になっております。
#76
○牛田寛君 今度の被害は国鉄だけで数百億と推定されておりますが、それも毎年々々の雪の被害でございます。それに国鉄が不通になった場合の間接の被害を加えれば、これは膨大な被害である。私は国鉄の不通個所を視察いたしまして、その啓開作業を見たことがありますが、ほとんど人力にたよらざるを得ない。自衛隊が大挙出動して初めて目鼻がついたというような状況でございます。機械除雪の状況を拝見いたしましても、もう機械そのものが非常に古い。いろいろ思うようにいかない理由は伺いましたけれども、どうすれば能率よく除雪ができるかという点については、確信のある返事は国鉄の保線の専門の方々からも伺うことができなかったわけであります。結局結論としましては、人力を大量に投入するよりない、人海戦術でいくよりない、こういうことが結論になっておるのであります。そういたしますと、いわゆる鉄道の雪という問題一つとらえましても、非常に前近代的な人海戦術である。たまたま自衛隊というりっぱな組織がありましたから、たいへん助かったわけでありますけれども、これでは国家としては非常に重大な問題だ。特に科学技術庁として科学技術を担当する責任を持っておいでになる立場においては、やはりこの問題は簡単に見過ごされてはいけないのではないかと、こう考えるわけなんですが、そういう一つの雪害対策という問題をとらえて、科学技術庁としては、一体今後どの程度まで力をお入れになって根本的な解決のお考えをお持ちであるか、あるいは全くそういう点についてはまだ計画をお持ちでないのか。その点を伺っておきたいと、こう思うわけです。
#77
○政府委員(芥川輝孝君) 防災科学技術センターの予算を要求いたしまして、その中の三つの研究室のうちで一つを雪害研究室にいたしまして、雪害に対する防災につきましては恒久的にいろいろ考えて参りたいと思うわけでございますが、一つ具体的な考え方をちょっと申し上げますと、ただいまの状況では気象予報というものがございまして、それから先は何も科学技術的にわかっておらぬというのが実情ではないかと思うわけでございますが、そこを気象予報を土台にいたしまして、それを即時に災害予知、つまりどの程度の予報が出て、そして予報どおりの気象現象が起きましたら、災害としてはどの程度具体的な規模になるかというふうなあたりを、まずあらかじめ調査研究しておく。この防災センターには、とりあえずはそういう使命を与えまして、災害の規模を迅速に正確に予知する。そういたしますと、それによりまして相当範囲の防災が進み得るのではないかというふうな考えを持っておるわけでございます。なお、この北陸地方の豪雪に際しましては、私どものほうでも特別研究促進調整費をこれに充当いたしまして、各省と協同いたしまして、北陸地方等豪雪防災総合研究という研究テーマをはっきりいたしまして、ただいまその調査研究を進めておる最中でございます、簡単に申し上げますと、第一に航空写真を利用いたしまして、そして積雪地帯の積雪の実態把握をいたしまして、そしてその航空写真を見ることによりまして、なだれの早期発見、あるいは融雪時の出水の予告、それから融雪時の地すべり等につきましては、別に項目を設けまして、特定地区に関しまして、そこをモデル地区としまして、特別の調査研究を進めるというふうなことを進めている現状でございます。
#78
○牛田寛君 私、今一つ問題として取り上げましたのは、国鉄の除雪作業技術の問題なんです。この点については国鉄当局にお伺いするのが当然だと思いますが、ただいまその研究体制を伺いましても、塩沢実験所を見ましても五人だ。非常に私が承知しています点でも、そこに従事している方々の給与も低いということでありまして、なかなか研究費が少なくて、研究が進まないということも聞いているわけであります。この大世帯の国鉄、しかも毎年毎年雪が降っている中で 研究体制としては全くゼロといってもいいわけですね。そういう点で、まあこういう問題がたくさんあるわけです。ですから、もちろん今災害時において北陸地方の災害調査に対する費用を出されることもけっこうだと思いますが、国の防災体制を、広い視野から全体的にながめて、この実情の把握の上に非常に大きな穴が幾らもある。その穴を積極的に埋めていく、そういう体制は やはり科学技術庁でおとりにならなければ、やはり国の科学技術の振興、防災対策というものは、いつまでたってもでき上がらないのではないか、こう考えるわけです。その点でお伺いしたわけであります。国鉄内部の部局の問題であるからといって、はたしてそのままにしておけるかどうか、そういう点もで、科学技術庁が一つのイニシアチブをとって、そういう体制を確立するあるいは補助を与えるというような、もっと積極的な方向が打ち出されてもいいのではないか、こう思うわけです。
#79
○政府委員(芥川輝孝君) ただいま国鉄等の状況についてお話があったわけでございますが、先ほどちょっと申し上げました融雪時の出水、あるいは融雪時の地すべり、ここらのモデル地区につきましては、これは国鉄の塩沢実験所を中心にいたしまして、約百キロの範囲内をとりまして、そして洪水なり地すべりの研究を進めて参ろうと思うわけでございますが、私のほうでも国鉄から御要求があれば、特別研究促進調整費を出すにやぶさかでなかったわけでございますが、国鉄のほうからは具体的に費用の御要求がなかったので――これはちょっとまずいのでございますが――費用は別にもらわなくても国鉄は積極的に各省庁と協力をするからと、そういうお話でございますので、国鉄に費用を出しておらないわけでございます。
 なお申し落としまして恐縮でございますが、先ほど申しました北陸地方等豪雪防災総合研究の中には、テーマといたしまして 国鉄と防衛庁との協同研究によりまして、ジェットエンジンを利用いたしました除雪の研究、これは北海道で行なわれる模様でございますが、これもテーマの中に入れております。ただ、特別調整費は要らないというお話でございますが、総合研究のテーマとしては、科学技術庁でこれも含めて取り上げておるものでございます。
#80
○牛田寛君 いろいろお伺いしたいところもあるわけですが、特に防災に関する科学技術研究の促進は、非常に強力な総合性を持たなければ、なかなかその成果が期待できない、ところが、ただいま若干御質問申し上げました点からも 非常に研究体制がばらばらである。各省庁、各機関に分散されておりまして、それぞれの機関においてはそれぞれの立場で専門的な視野から研究なさっておるわけでありますけれども、その組織の機構であるとか、予算の関係であるとか、いろんな関係から非常に弱体な面がある、あるいはごく一部に限られておるということで、非常に研究体制がばらばらだ。そういうようなところから、除雪の問題にいたしましても、昔ながらの人海戦術でなければできないというような結果になっておる。で、私は科学技術庁にお願いしたい点は、そういう問題をもっと積極的に実態把握をなさって、何も災害の起こらないうちにそういうふうな弱い点を強化していくという強力な推進態勢をやっていただきたい。まあ長官は、御就任の当時の言明において、大いに予算を取るという言明でございましたので、非常に期待しておるわけでございますが、まだまだ科学技術関係の予算というものは非常に少ない。ソ連における予算を見ますというと、大体国家予算の五%近いものを科学研究に入れておる。まあこれは国柄でございます。軍事力も大きく持っておる国でありますから当然と思いますが、いわゆる宇宙開発もけっこうでございますが、そういう国民の生活に直結した多くの問題が山積している日本の実情でございますので、もっと科学技術庁が積極的にその辺に目を向けられて、大幅の予算を取って強力に進めていただきたい、こう私は考えておるものでございますが、これはひとつ長官からお伺いしたいと思います。
#81
○国務大臣(近藤鶴代君) 先ほど来の御質疑を伺っておりまして、科学技術庁の立場に立って、まことに赤面の思いでございます。原子力の開発も必要であり、宇宙開発も必要である。しかしながら、反面において私ども国民に密接したところの科学技術というものがもっともっと達成されなければならないという面におきましての牛田委員のお説に対しましては、私も全く同感でございます。防災センターを作るということも、科学技術庁といたしましては、日本の災害予防のために早くやりたいという希望を持って数年乗取りかかって参られましたけれども、なかなかその機が熟さなかっというのが実情であるかのように思っております。と申しますのは、災害に対しての処置が、今日までは、ばらばらではありましても、各省の所管の中にそれぞれの部門がございましたのと、それからまあ科学技術庁という役所が非常に新しい役所であるというための遠慮があったということもあると思いますが、防災センターというような、あるいは防災研究所というようなものを作って、日本で毎年繰り返されますところの災害を未然に防ぎたい、また、やむを得ないものであったとしても、きわめてその被害が少なくありたいというような願望のもとに、防災科学センターというような構想は、もうすでに長い間にわたって作って参られ、予算要求もされる気運もずいぶんあったと思うのでございますけれども、私率直に申しまして、今回の豪雪がもう少し時期が早かったら、あるいは予算の面にも好影響がきたのではないかと思うように、反面において災害が済んでしまいますと、また災害に関係のない立場の人になりますと、そんなことはあわててしなくてもというような、こういう空気がございましたりいたしまして、十分に効果を上げて参ることができなかったわけでございます。予算の要求にいたしましても、全くお恥しい次第でございますけれども、ともかくも、しかし三十八年度で総合的にもっと機動的な、効率的な防災をやらなければいけないということのための研究所として、芽ばえだけはいたしたわけでございますので、今後はこの方面に対しまして先生方のお力もいただきまして、十分の予算を獲得いたしまして、こういう災害のために苦しむ人たちの少ないように、できるだけの処置をしていきたいという気持を十分持っておる次第でございます。
#82
○牛田寛君 ただいまの長官のお答えに大きく期待をいたす次第でございます。災害が起こったときだけ問題になりまして、災害が終わりますと火の消えたようになってしまうのが確かに実情でございます。私どもは、災害が起こると起こらないにかかわらず、今後もこの問題については声を大にして参りたいと思います。科学技術庁においても、この点については積極的な推進を強く要望いします。
 次に、もう一つ緊急の問題でお伺いしたいのですが、先日東京都内で都市ガスのメイン・パイプの亀裂によって事故が起こりました。これはやはり足の下から火が出る問題でございます。この点の災害の原因が明瞭にされておらなければ、都民は非常に不安であると思う。特にガスの高圧管の亀裂などという問題は、最も科学技術的な問題でございまして、科学技術的にこの原因が明らかにされなければ、都民は絶えず足元から火に焼かれる不安をぬぐい去ることはできないと思うのであります。私はまだ寡聞にしてこの科学技術的な原因の追究ないし、解決の結果を伺っておりませんが、どのように科学技術庁のほうでは実態をつかんでおられるかどうか、これを伺っておきたい。
#83
○政府委員(杠文吉君) お答え申し上げます。本件につきましては警視庁がさっそく取り上げまして、これを通産省の機械試験場のほうに検査の依頼を目下いたしておるところでございます。それと同時に、通商産業省も公益事業局の中に保安対策検討会議というものを設けまして、そこに科学技術庁からは金属材料技術研究所の溶接部長が参加いたしておりまして、目下その資料につきまして――資料サンプルでございますが――検討を加えているところでございますが、その結果はまだ出ておりません。結果が出て参りまして、それがたとえば鋼材の欠陥によるものであるか、溶接の欠陥によるものであるか、そういうことが判明いたしました暁には、金属材料技術研究所といたしましてもその改善策について大いに研究を進めて参りたい、かように考えております。
#84
○牛田寛君 次に、原子燃料関係で、二、三お伺いをいたしたい。原子力の開発が進んで参りまして、原子力発電も採算ベースにのる時期がかなり早いというような見通しのような情勢であります。したがいまして、この核燃料の問題につきましては、大きなわが国で問題になってくるところであります。この点については時間がございませんので、また日をあらためてお伺いしたいと思うのでありますが、ただいまお伺いする点は、プルトニウム燃料について若干お伺いしたい。
 プルトニウム調査団が欧米に派遣されて、その報告が提出されたと伺っておりますが、その報告の内容を伺ったところでは、将来プルトニウムを国内で再処理するのが適当である。プルトニウムの国内再処理を積極的に進めるべきであるというような結論が出ているというふうに伺っておりますが、その内容を伺いたい。
#85
○政府委員(島村武久君) プルトニウム調査団の報告は、団長から原子力委員会に対してなされたのでございますが、印刷がおくれておりまして、まだ一般にお配り申し上げる段階に至っておりません。その概要でございますけれども、いわば先進諸国におきましては、非常にプルトニウムの平和利用と申しますか、発電に使いますことにつきまして非常に意欲的でございまして、たとえて申しますならば、高速炉の燃料として用いますのは、大体一九七五年くらいになるんじゃなかろうかという見通しではありますけれども、熱中性子炉として用いるほうは一九七〇年代にはもう実用になるのではなかろうかというような意味での結論が出されております。したがいまして、使用済み燃料の再処理ということにつきましても、相当巨額の経費を必要とするものであるので、国内の原子力発電所の建設のテンポその他ともにらみあわせて適当な時期に日本国内で再処理できるようにすることが望ましいというような御趣旨の内容になっておることは事実でございまます。
#86
○牛田寛君 今、核燃料の輸入は大体アメリカが大部分であると思いますが、使用済み燃料としてのプルトニウム、これは今国内の再処理の問題が取りあげられておりますが、現在はアメリカに送り返すという方法がとられておる。そのほかにワン・スルー方式という方式があるということを聞いております。これは再処理工程を省略するということで、非常に有利であるというふうに見られておると思うのでありますけれども、このような方式は、わが国では実用化され得ないのかどうか、これは技術的な問題があると思いますが、この辺についての見通しは、現在どのような状況になっておりますか。
#87
○政府委員(島村武久君) ちょっと何方式とおっしゃいましたか、聞き取れませんでございましたが、おそらく使用済み燃料を再処理してさらに使うということを考えないで、もう燃やしきりにするという行き方、つまり再処理の方法ではなくて、原子炉のタイプの問題じゃないかしらと思うのでございますが、その辺のことになりますと、かなり技術的なことでもございますので、技術の方面を担当いたします次長からお答えいたしたいと思います。
#88
○説明委員(村田浩君) ただいまの御質問は、主としてカナダが開発してきております重水型動力炉に関する御質問かと思いますが、御承知のとおり、カナダでは同国に豊富に産します天然ウランを燃料といたしまして、その燃料をできるだけ長く燃やす、といいますことは、天然ウランなんかに〇・七%入っております核分裂性物質でございますウラン二三五を燃やすだけでなくて、その核分裂の際にウラン二三八に中性子が当たってできて参ります他の人工核分裂性物質プルトニウムを、そのままの形において、特に取り出すということなく、前の燃料の形のままで炉の中でできるだけ燃やす、そういうことによりまして、燃料の燃焼する期間を十分長くする、そのように燃やしましたものも、最後には取り出して廃棄するなり貯蔵するなりしなくちゃならぬわけでございますが、そういう方法をとりますと、あとに残っておりますプルトニウム二三九の量もそう多くはございませんので、これをわざわざ再処理せずに置いておいても、経済計算の上では十分発電コストが安くできるのではないかというのがカナダの開発している一つの目標でご、ざいます、そう承知しております、このような、カナダが開発しております重水型動力炉は、わが国のような燃料事情、すなわち、国内に多量の天然ウランを産するわけでもございませず、また、非常にお金のかかります濃縮ウランの製造工場を持っているわけでもございませんので、一つの核燃料の有効利用の方法として技術的にもたいへん興味があり、関心を持たれるところでございますが、と同時に、カナダと違いますことも事実でございまして、たとえばカナダでは先ほど申しましたように、たくさんの天然ウランの鉱石を持っております。したがいまして、これを燃やしましてそのまま拾てていくといいますか、使用済み燃料を拾てていく、ワン・スルーといっておりますが、こういうことを比較的とり得るわけでございますが、わが国のような場合には、いずれにしましても燃料の大部分を外から持ってこなくちゃならぬという事情にございますので、こういう貴重な燃料はできるだけ有効に使うということを考えなくちゃならぬ要請もあるわけでございます。他面また、カナダ炉の場合には、使用済みの燃料はやはり非常な放射能を持っておりまして、これをそこらに勝手にほうり出すわけにも参りません。厳重な貯蔵装置を必要といたします。あるいは、廃業処分のためにいろいろと技術的な手間をかけなくてはなりません。カナダは国土広大でございまして、聞くところによりますと、そういう貯蔵等につきましてあまり不自由もないわけでございますが、わが国の場合は、そういった点でももっと厳重な配慮をいたさなければならぬという要請もございます。そのように、一方でいろいろな特色を持ちつつ、他方またわが国の事情に照らしますと、また別個の問題もあるわけでございますので、それら両方合めまして、現在原子力委員会の動力炉開発専門部会並びにそれに協力しております日本原子力研究所のほうで、重水型動力炉の技術的な問題点をいろいろと検討いたしておるところでございます。
#89
○委員長(田上松衞君) 他に御質疑の方はございませんか。――別に御発言もなければ、本件はこの程度にいたしたいと思います。
 本日はこれで散会いたします。
   午後三時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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