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1962/03/19 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
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1962/03/19 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号

#1
第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
昭和三十八年三月十九日(火曜日)
   午後一時二十二分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 三月十九日
  辞任      補欠選任
   岡  三郎君  亀田 得治君
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     田上 松衞君
   理事
           大谷藤之助君
           松澤 兼人君
   委員
           上原 正吉君
           源田  実君
           平島 敏夫君
           丸茂 重貞君
           山本  杉君
           亀田 得治君
           光村 甚助君
  国務大臣
   国 務 大 臣 近藤 鶴代君
  政府委員
   科学技術庁長官
   官房長     森崎 久寿君
   科学技術庁振興
   局長      杠  文吉君
   科学技術庁原子
   力局長     島村 武久君
   科学技術庁資源
   局長      井上啓次郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   大蔵省理財局証
   券部長     有吉  正君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (民間企業の科学技術助成に関する
 件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田上松衞君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。本日、岡三郎君が辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(田上松衞君) 次に、先ほどの理事会における協議の結果を報告いたします。
 本日は、最初に民間企業の科学技術助成に関する件について調査を行ないまして、次いで日本原子力船開発事業団法案の審査を行ないます。さらに、次の委員会につきましては、定例日となっておりまする二十八日午後一時から開会するということにいたしました。御了承願います。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(田上松衞君) それでは民間企業の科学技術助成に関する件を議題にいたします。
 本件について質疑がおありの方は御発言願います。
#5
○亀田得治君 私はこの際、太平電子株式会社社長榎本雅道君が持っておるゲルマニウムダイオードに関する問題につきまして若干質疑をしたいと思います。
 これは榎本氏が昭和二十八年以来研究を続けて、ようやく発明の域に達したものでありますが、専門家筋では非常に特色のある発明として高く評価されておるのであります。私はそういう科学技術のことに関しては十分な知識はないわけですが、聞くところによりますと、アメリカのベル研究所の電子工学に関する発明といったようなものに匹敵するものだというふうな評価がされておるようであります。そういうことから、すでに内外の特許も多数おりておるわけですが、科学技術庁初めあるいは東京都あるいは通産省、そういったようなところでもこの発明に対していろんな奨励措置がとられたというふうな実績も実はあるわけであります。これは振興局のほうでは十分御存じのことだと思いますが、そういう奨励措置の中に、その一つとして昭和三十四年八月三十一日付でもって科学技術庁より発明実施化試験費補助金というものが九十万円出されているわけです。この点に関しましてまずお尋ねをしていきたいと思うわけです。そういう補助金がこの発明の実施に関して出ておるということにつきましては、これは大臣御存じでしょうか。
#6
○国務大臣(近藤鶴代君) ただいまお話のございましたように、昭和三十四年の八月に発明実施化試験費補助金として九十万円を交付した。そうして三十六年三月三十一日にこの試験が終了したという報告は承知いたしております。
#7
○亀田得治君 この九十万円というのは、こういう補助金の例といたしましては非常に高いほうだと聞いているわけですが、この点はどうでしょう。これは局長でもいいです。
#8
○政府委員(杠文吉君) 仰せのとおりその年度においては最高の額を交付しております。
#9
○亀田得治君 そういう最高の額を出されたということは、この発明を非常に重視されていたものだと思いますが、その点の当時における考え方をひとつ承っておきたい。これは大臣はその後ですから、局長から……。
#10
○政府委員(杠文吉君) 実は私も昨年の六月振興局長を拝命いたしまして、これが出されたのは三十四年でございますから、私が直接この関係にタッチしたわけではございませんが、担当官もおることでございますから、私の前任の、その当時出された局長等にもお聞きしまして調べたところによりまするというと、当時この発明が注目発明ということになっておりまして、注目発明という制度は御承知かとも思いますが、発明の中でも特にすぐれたものに注目発明という名称と申しましょうか、そういうものを与えまして、その選定書――注目発明の選定書というものを相手方に交付して、世間一般にいわゆる注目してもらうということでございますが、それにもなっておりまして、ただいま御指摘になりましたように英米仏伊、ベルギー等の特許を取っております。
 そこで、どういう点かと申しますと、従来のゲルマニウムダイオードを作る方法は、世界的にもゲルマニウムを溶融いたしまして、その中からいいものを切り取って極につなぐというような方法であったわけでございますが、この人の発明は、溶融するというような手続を省略すると申しましょうか、真空のかまの中でこれを加熱しまして、その中から不純物を吹き飛ばしてしまって純粋なものをそこへ置いて、そしてそこに格子じまになったところのあらかじめダイオードの型を作ったところのものに定着させまして、そして一挙にゲルマニウムダイオードを作ろうという非常に方法論的に全く世界的にないような変わった方法をとっておられる、御承知のとおり日本におけるこのダイオードというものは、世界的にも注目されている仕事でございますし、これから伸びていく事業でもございますので、その方法を用いるならばロスが少なくて大量生産ができるのではなかろうかということに注目したわけでございます。それが補助金を交付する理由であったわけでございますが、現実にどうなったかと申しますと、大量生産的には向かない、不向きであるということ。非常にばらつきのある製品ができまして、わずかの個数であった場合にはばらつきの少ないものが試験的にはできますけれども、大量的に生産しようとすると、非常にばらつき、あるいは不純物がたくさんその中に混入されて、質も落ちてくるという結果になっておりまして、そこで、先ほど大臣から試験結果の終了報告が出されておるということがございましたが、これは本年の一月に出されておりまして、その終了した日付はさかのぼった日付になっております。それで、近くこの点を確定に係官を派遣しようと考えているところでございます。
#11
○亀田得治君 あとのほうは逐次お尋ねいたします。
 当初はそういうわけで非常にこれはいい発明だと、こういう立場で当局が取り上げられたことは、これは今の御説明によりましても明白であるわけです。ところが、その補助金をいただきまして榎本氏のほうが、だんだんと研究を続けておったわけですが、いろいろな内部事情が起きて参りまして、なかなか研究に没頭するということが妨げられてきたわけなんです。そういう事情からいたしまして、この研究期間というものを何とかもう少し延ばしてくれないか、まだ研究は終わっておらないんだ、こういうことを再三科学技術庁のほうにお願いを実はしたわけなんです。研究の終了が昭和三十六年三月三十一日になっておりますが、三十六年、三十七年とずっとそのお願いをしてきたわけですが、その結果、三十七年の八月四日に、延ばすことは承認できないと、こういう不承認通知というものが参っておるわけなんです。そのときの発明者の榎本氏からの科学技術庁に対する申請は昭和三十八年三月三十一日まで延ばしてくれぬか、いろいろな内部の紛争もだんだん片づく傾向にもあるし、ぜひ昭和三十八年の三月三十一日、三十七年度の終わりですね、そういうお願いをしていたわけなんです。ところが今申し上げましたように八月四日にそれはまかりならぬ、こういう通知に接しておるわけですが、なぜそれが待ってやれないのか、この点が私理解に苦しむわけなんです。今、局長は結論的なことをおっしゃいましたが、それは研究者がそういうことを申し上げておるわけじゃない。研究はまだ終わらぬわけであります。今局長がおっしゃったような問題も含めてこれは研究しつつあるわけなんです。その点は、なぜそういう性急な形で結論を出さなければならぬものなのか、これはふに落ちないわけです。発明なんというような仕事は、きょうはだめだと思っておっても、明日ばっとうまくいく場合もある、そんな単純なものじゃ私はなかろうと思うんです、常識的に言って。発明者自身がそう確信してやっているわけですから。そうして国のほうもせっかく出発当初においては今おっしゃったような立場で取っ組みながら、わずかな期間が待てない、そんなことはちょっと理屈が通らぬと思いますが、なぜこういう不承認通知をお出しになったのか、これを承りたいわけです。これは近藤長官の名前で出ておるわけですが、長官はそういう通知を一体ごらんになっておるんですかどうですか。長官からまずそこをお聞きします。
  〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕
#12
○国務大臣(近藤鶴代君) 書類は判をつきます限り一応目を通すことは通すわけでございますけれども、何分まだ就任早々のことでございましたし、仕事になれておりませんので、どういう文言で、どういうことを書かれてあったかということまで私記憶いたしておりませんけれども、判こをついた書類は必ず目を通していることだけは事実でございます。
#13
○亀田得治君 まあ科学技術庁の長官にしろうとの方がおなりになるということは、私はいろいろな事情から、あっていいと思うんです。しかし、国が注目発明だというふうな認定までして出発しておるものであれば、その発明者がもうちょっと延ばしてくれと、そういうことなら、こまかい科学上のことはわからぬでも、そこは長官として政治的な配慮をやっぱり私はしてやってほしいと思うんです。だから中身はわからぬでも、そういう趣旨のものなら、もうちょっと待ってやったらどうかというふうに局長に注意してもらえば、これは当然待ってもらえるものと私たち思うんです。だから私は、ほかの事務的な書類と同じようにどうも長官のところは素通りしたような感じを今受けたわけでありますが、すべての書類を近藤さんが一々注意するということはとてもできないでしょうが、ともかく注目発明といったようなことで何か問題が起きておるようなものだけは、やはり頭に入れておいてもらいませんと、不都合な結果が起こりかねないと私は思うのです。むしろそういうところの判断は、しろうとのほうが私はまだいいかもしれぬと思うのです。私は技術の中身はわかりません。ただ人柄を信じているだけなんです。発明者がそこまで言うものを、何も国が延ばしたことによって損するわけじゃないでしょう。九十万円はもうすでに補助金を出してしまっておる。それをとにかくもう六カ月ほど待ってくれというものを、待てない。そんなことはちょっとこれは……。しろうと判断のほうがむしろ正しいと思うのです、そういう場合の処理の仕方は。だから、今後もあることと思いますので、何と何だけは注目発明になっておるということだけは頭に入れておいていただきたいと思います。お願いしておきます。
 そこで局長に聞きますが、なぜ六カ月や七カ月待てないわけですか。
#14
○政府委員(杠文吉君) お答え申し上げます。実は私のほうの発明の交付規則によりますと、その発明は年度内に完了するということを前提として交付するということになっておるわけであります。したがいまして、発明者といたしましては、それをすべて承知の上で申請をしておられる。この方だけじゃございませんが。この方は、当初の計画は三十四年の八月三十一日に九十万円の交付決定を受けておられます。その年の九月一日から翌三十五年の三月三十一日、すなわちその年度でございます。年度内に完了するという、そういう計画で交付決定を受けていらっしゃるわけであります。ところが、それがなかなか完了したということで報告が出ないものでございますから催促をいたしましたところが、期間を延長してもらいたい、試験研究の期間をもうちょっと延ばしてもらいたいということが出まして、三十五年の四月二十七日付の文書でございますが、三十五年七月三十一日まで延ばしてやっているわけでございます。本来は三十五年三月三十一日で終わるべきものを七月三十一日まで第一回には延ばしました。それからまだ試験の結果が出ないということで、また督促いたしましたが、再度期間の延長をいたしまして、三十六年三月三十一日まで期間を延長してやるということにいたしております。そしてさらにまたその後も、いろいろ折衝の経過がございますが、三十六年十二月十九日には現場に係官を派遣いたしまして事情を調査させております。そして三十七年十月十六日、それから約一年近くたちますが、三十七年十月十六日に補助事業者である今の榎本さんの出頭を求めまして、係官との間に打ち合わせを行ないまして、試験終了ということについての了解を得たということになっております。そこで、ただいま大臣からもお答えがございましたし、私も再度御説明申し上げましたように、試験は一応終了したという形になっております。形になっておりますと申しますのは、本年の一月十九日に報告書が出て参っております。そこで、私が先ほど御説明しましたように、それでは試験の終了の状況の確定に係官を派遣しましょうという段階に至っておるということでございます。
#15
○亀田得治君 試験は終了しておらぬわけです。本人がそう言うている。ただ、終了したものとして書類を出せというふうに振興局のほうから言われたから、役所というのはそういう書類がそろわぬと、補助金を出した手前からいって工合が悪いのかということでもって、いやいやで終了報告書というものを出しているわけです。その写しがここにあります。おっしゃったとおり出ていることは間違いない、そこを私申し上げたわけです。そういう発明者がもう少しやらしてくれと言っているものを、何も法律でも何でもないわけですから、そういう交付規則なんというのは。むしろ国が九十万なら九十万という金を出した趣旨というものを考えるならば、もう少しそこの気持をくんでやってもいいのじゃないかという点が、私としてこの委員会でも実はどうしてもこういうことは少し検討を願いたいと思った動機であるわけなんです。で、科学技術庁のほうで延期を認めないという態度が出て参ったものですから、八月の十八日かに、本人からさらに近藤長官に、そう言わずに何とかもう一ぺん考えてくれという再審といいますか、お願いを出しているわけです。これは事務的な処理じゃいかぬわけでありまして、長官はこの書類はごらんになっているでしょう。これは長官に直接訴えている文書です、八月十八日付のは。
#16
○国務大臣(近藤鶴代君) たいへんうろんなお話で申しわけないと思いますが、私もう一度それを見ますと、ああ見たという記憶が出てくるかもしれませんけれども、何分たくさんの書類を処理いたしましたので、しかとそれらしいものを拝見したかどうかという記憶が実ははっきりいたしませんけれども、おそらく私に来た書類でございましたら、目は通していると思います。いつも自分がよく目を通しても忘れているものもありますから、多分その一つじゃないかと思います。
#17
○亀田得治君 近藤さんは記憶のいい方でありますから、そうお忘れになるとは思いませんが、ここに写しがあるから、それをちょっとごらん願いたいのです。
#18
○国務大臣(近藤鶴代君) 今聞いてみますと、この文書の決裁は内部規程で、局長決裁の段階で事が運ぶということになっているそうでございますから、私、見たような見ないような、わからないと申し上げたのは、見ておらないのでございます。
#19
○政府委員(杠文吉君) 私もただいま初めて拝見いたしましたが、私どものほうの係官がここに書類をとじて持ってきておりますが、その中を調べましたが、そのような書類は見当たりません。
#20
○亀田得治君 そういうことになると、ますます発明者を全くばかにしているようなことになるわけでありまして、ひとつ書類を探して下さい。そんなばかげたことはないですよ。局長あたりのところで見て、処理しているのかなと思っておりましたが、局長も見ておらぬ……。これはほんとうに自分の気持をここで吐露して、お願いの言葉を簡単に書いてあるわけなんです。そんなことが、そういう発明なんかやっておる方々に知れたら、はなはだ科学技術庁というものは不親切なところだという感じを持ちます。いやしくも出した人は、長官に見てもらいたいというつもりで出しておるわけなんです。長官は非常に忙しいから、局長などは見てくれるだろうというふうな気持でおる。こんなものは規定の上にない書類だから、どこかへやっておけというような、そういうことにでもなったのか。私は、実は長官が見ておるだろうと思いまして、そして長官のお気持を聞きたいと思って、今これを出しておるわけですがね。
#21
○政府委員(杠文吉君) ただいまの書類は、後ほど詳しく調査いたしますが、今おっしゃったように、いいかげんな取り扱いをしておるというようなことがない証拠には、三十七年十月二十九日の榎本さんからの長官宛の書類が、ここにちゃんととじてございます。ですから、おそらく、郵便物関係でどうかなったのは別といたしまして、私どものほうにそれが参って、それをいいかげんに扱うと、そういうような不親切な態度は、私は少なくともとった覚えはございませんし、今後もとる気持はございません。
#22
○亀田得治君 三十七年十月二十九日付の長官宛の書類は、近藤長官に見せてありますか。
#23
○政府委員(杠文吉君) これは局長決裁に内部規程でなっておりますので、局長限りでとどめております。
#24
○亀田得治君 ともかく、三十七年十月二十九日分書類は、これは半ば本人があきらめてしまって、そして、もうおっしゃるとおりにしましょうという趣旨の書類ですね。あきらめる前のものが八月十八日なんです。幾ら言ってもだめだということで、あきらめてしまって、御趣旨に沿いましょうというのが十月二十九日なんです。ただ、御趣旨には沿いますが、なお自分の気持には未練があるのだということがここににじみ出ておる書類です。しかしこれは、結論としては、あなたのほうの御希望に合うから、その書類だけはちゃんと保存しておると、そういうことははなはだ心外ですね。そんなふうに見ておらないのであれば、私はここで読み上げて、ひとつ長官の気持を聞きたいと思う、短いですから……。「この試験の遂行については再三、再四提出しました計画変更承認申請の理由の中でも申述べておりますように切角尊い国費を補助してもらひながらその理由の如何に拘らず目的の試験研究が充分遂行出来なかったことに対しては充分責任を感じ又その為に担当官に種々御手数を煩しておりますことは書類を提出する都度遺憾の意を表して参りましたように大変申訳なく存じますこの試験遂行者と致しましては如上の補助金の立前からも多少の日数はかかっても完全な結論を出すことが至当であり義務と確信して居ります。」自分の手落ちは認め、その点はおわびしている。しかし結論を完全に出さすようにしてくれというので、「この意味からもこの試験を中途半端の状態で打切ることは誠に遺憾であります。この試験の遂行が全く万止なき事情で遅れて来た理由は再三に亘って提出した計画変更承認申請の理由の中で累々説明して参った通りであります。然も今回この試験を遂行する可能性が立ちつつある際でもあります。この時に当って事業遂行者の切なる願ひにも拘らず御庁三十七振第一二七三号の文書を以って不承認の御通知に接しましたことは誠に遺憾であります。是非今一度御審議願って補助金の主旨にも添ふようにこの試験の遂行が出来ますよう特段の取計ひに接し度く重ねて御願い致します。」まあ、こまかいくどくどした理由は書いておりませんが、いろいろな内部のいざこざも処理の方法がついて、これからやれるのだという気持で書いているわけなんです。
 私は、この発明者が、まあ残りの清算の関係はどうなるのかわかりませんが、わずかの金がなければどうにもならないというのじゃなかろうと思うのです。しかし、国からせっかく注目発明として九十万という補助金を出してもらった、そこに非常に一つの意義を感じているわけなんですね。だからぜひ最終までそれをやらしてくれと、こう言っているわけなんだ。自分のおくれたことは、はっきりあやまっているわけなんです。こういう書類は、これは直接やはり長官に見せてもらいたいと私たちは思う。局長決裁だとかそんなこと、それは内部のことですよ、そんな書類の取り扱いは。国民はだれでも重大なことがあれば、直接その責任者にものを申していいわけだし、また、そういう権利もあるわけだ。途中で何かはばんでしまったような格好になっているわけですね。
 そうして十月二十九日の書類をちょっと読んでみましょう。これは一部ですが、「当局としては絶体に延期は承認しない方針であるから速に結了報告書を提出するようとの申渡しを受けました、そこで私と致しましては更に何とか御承認願へる方法はないかと懇請致しましたが、認めないとのことでありましたので止なく結了報告提出に関する回答を二週間丈御猶予願い熟考して参りましたがこれ以上御手数を煩すことも本意ないと考へますのでこの試験が中途で私としては極めて不万足の結果で真に残念に思ひますが同技官殿の御指示通り」云々と、こういうふうに非常に未練を持ちながら、この十月二十九日の書類を出しているわけなんです。あなたのほうで、もう承認しないと言っても、そのことを即座にはそこで回答しないで、しばらく考えさしてくれ、回答すること自身について二週間だけ考えさしてくれ、こういうような気持でずっと経過しているわけなんです。
 それから次にお尋ねいたしますが、ちょっと質問に入る前に、これは近藤長官どうなんですかね、これはほんとうに発明者としての良心的な立場で訴えているわけなんですから、そんなものが一体はばまれていいことでしょうか。これはだめだと思っておったって、翌日ぱっと道が開ける場合もあるわけなんです。このことはどうなるか、私はそんなことわかりませんけれども、しかし発明者にそれだけの猶予を与えたからといって少しも――多少内規からいうとルーズだというふうなことがありましても、それはもう次元が違うと思うんですね、問題の。どうなんですか、長官の率直な気持は。
#25
○国務大臣(近藤鶴代君) 科学技術庁というところは、御承知のとおり発明発見というようなものを非常に重要視し、大事に育てていかなければならないという性格を持っておりますので、私はその限りにおいて手落ちがあるとは考えられないわけでございます。ただ、先ほど杠局長の説明をちょっと聞いておりましたときにも、二回ほど延期をしたと言われましたが、その延期をしたという性格と事情を十分把握はいたしませんでしたけれども、おそらく役所には役所としての一つの仕事のけじめというものもあり、その際、まあできるだけの考慮はしたのではないか、そしてなおかつそういう処置をしなければならなかったのではないかと思いますけれども、具体的にこまかい事情を私ははっきり承知いたしておりませんので、ここで断定はいたしかねます。しかし、先ほど申しましたように、役所の性格はあくまで発明発見を尊重しなければならない、育てていかなければならないという建前のもとに仕事をいたしておりますので、その間には何かの事情があったのかもしれません。私そう考えるのでございますので、この程度のお答えしかいたしかねます。
#26
○亀田得治君 もう一つ、その間の事情で、こういう私、ふに落ちないことがあるわけです。それは、先ほど読み上げました三十七年八月十八日付再審査のお願いですね、これが出まして、若干私は、科学技術庁の内部で、少し検討しようじゃないかというふうな意見もあったのじゃないかと想像するわけですが、といいますのは、昭和三十七年九月二十六日付で榎本あてに、十月十六日に実地調査をするという通知が参っておるわけなんです。で、榎本のほうとしては、前に近藤長官にあてた再審査のお願いが、あるいはここで聞かれるのではないかというふうな期待を実は持ったわけなんです。持つのは私は当然だと思うのです。振興局長のちゃんと判こを押して、それから調査の概要などもちゃんと示してきておるわけなんです。ところが、その十六日の現場へ行って調査するということが、今度は突然取りやめになって、逆に十六日に出頭を命ぜられまして、そこでさっきから申し上げたように、もうお前はあきらめろと、こういうふうに逆に言い渡されているわけなんです。これは全くそういう発明家をばかにしたような話でしてね。で、私の想像するのでは、これはいろいろな裏の事情がからんでおりますから、何かそういうところからの圧力というものが加わって、せっかく実地調査に行くというこのことを、取りやめさしているのではないかというふうに実は感じておるわけなんです。このいきさつは一体どうなんです。
#27
○政府委員(杠文吉君) 私が報告を受けたところによりますと、榎本さんが三十七年の十月十六日においでになった。そのとき試験期間の延長の申し出をなされた。そのとき立ち会いましたのは、私のほうでは柏倉という課長補佐事務官と、ここに参っております布施田技官、弘中技官であったそうでありますが、そこで懇談いたしましたところが、榎本さんが、これにはいろいろ複雑な事情があるから、報告書の提出を決意するまでまだなお十日か二週間ばかり期間をくれないかということをおっしゃったそうであります。そこでそれを了承しまして、それじゃ報告書をひとつ文書で下さいということで話を終わったということでございます。実地調査に行こうとしていたのが急に取りやめたというようなことについての、何らかの裏の話がないかというようなお尋ねかと思いますが、私自身全然どなたからもそのような話を受けたことはございません。それと同時に、そのことにつきましては、本件が御質問になるというので、昨晩もいろいろ担当の者に当たって聞きましたところが、だれも、どこからもそのような話を聞いたことがないということでございます。
#28
○亀田得治君 それはしかしふに落ちない話ですな。昭和三十七年九月二十六日付、振興局長の判こを押した榎本あての文書ですね、この文書には調査項目を書いて、調査期日は三十七年十月十六日、調査場所は太平電子と、こういうふうにちゃんと明記されて、こちらへ来ておるわけですよ、局長、知らぬのですか、この文書。
#29
○政府委員(杠文吉君) ただいま御質問の件でございますが、その点につきましては、御本人に電話で連絡をしまして、行くはずであったところが、こちらへ来ていただけないかということを話をしまして、その御了解の上でお出でをいただいて、先ほどお答えをいたしたような結果になったということでございます。
#30
○亀田得治君 だから、そういうことがけしからぬというわけなんです。実地調査をやるといって、調査項目をここに七つ書いてあるわけなんです。これは現場へ行かなければわからぬことが多いわけなんです。これほどまでに熱心に陳情してきたら、たとえ結果は非であっても、一度、では現場でよく見てみようというふうにもこれはとれるわけなんです。あるいは、もっと希望的に観測すれば、これは相当聞いてもらえるんじゃないかというふうな意味にもとれるわけなんです。本人はそうとったわけです。それを、いやしくも公文書を出しておきながら、電話で、それは取りやめる、お前こっちへ来い。行ってみたら、お前あかん。そんな扱いがあるもんですかね。だからそれの理由をはっきりして下さい。この文書あるんでしょう、控えは。何か局長は見ておらぬような今感じを受ける話ですが、見ておるんですか。
#31
○政府委員(杠文吉君) 私は確かに見ていると思います。見ていると思いますが、このような件については、先ほど申しましたように、たくさんございまして、それで先ほど大臣からもおっしゃったように、それの何日付のやつはいついつと、ここで直ちにお答えできるようには至っていない。この点は、まことに申しわけないといえば申しわけないと思いますが、そのような事情でございます。
#32
○亀田得治君 しかしこういう発明、特に注目発明の問題で、これはもめておる問題でしょう。そういうことについては、そのもめごとの処理というものも含まってこういうものが出ているわけでしょう、現場を見てみようと……。内部の経理問題を私は申し上げるわけじゃないのですよ。扱いについてもめていることは事実なんです。それを局長が知らぬうちにこんな文書が出たり、取り消しになったり……。科学技術庁というのは、一体そういうたよりないところですか。
#33
○政府委員(杠文吉君) 私は、もめておるとかもめていないとかいうことは、正式には承知しておりません。ただ、いわゆる道聴塗説と申しましょうか、そのようなことで、うわさとしては聞いた記憶はございます。しかし、もめておるとかもめていないとかいうことと、本件が補助の対象として選ばれ、その補助の試験がどういうふうな進行をしておるかということを調査しますということとは、私は関係づけては考えておりません。やはり一般の試験研究補助金と同様に考えておるわけでございます。
#34
○亀田得治君 私がもめていると言うのは、会社のもめごとを言っているのじゃないのですよ。そんなことはもっと後にゆっくり聞きます。これはそうじゃなしに、科学者としてこれを完成させてくれと、こういうお願いをしている。それをあなたは聞かぬのでしょう。それはもめておるわけでしょう。そういうものがたくさんあるのですか。
#35
○政府委員(杠文吉君) それほどたくさんにはございませんが、やはりこのような発明の事業につきましては、先生もたびたびおっしゃったように、これは必ずしも成功するというふうには保証できません。したがいまして、特許は取っても、それは、実施化してみて、実施化は成功をした、しかし、それがはたして事業として成功するか成功しないかは、またいろいろな要素もあろう。したがいまして、そのような実施化の補助金を出したけれども、なかなか試験の終了報告書が出ないというのは、やはり数件はございます。そうたくさんあるというような性質のものではございません。
#36
○亀田得治君 数件の程度なら、もっと丁寧に扱ってもらわぬと困るです。そういう少し理屈っぽいことをあなた答弁されますが、そういうことを言うなら、一体この文書は、だれが起案して、どういう経過で出して、どうしてこれが取り消しになったのですか。それをもっとはっきり言って下さい、こっちも少し意地悪く聞くから。いやしくもこういうものを出して、電話一本で取り消すなんというようなばかげたことがあるものですか。これをはっきりして下さい。この公文書、そこにあるのでしょう。
#37
○政府委員(杠文吉君) 今手元に持ってきておりません。
#38
○亀田得治君 自分の都合の悪いやつだけはみんな見ておらぬとか、持っておらぬとか……。一連の書類を持ってきたなら、当然そこになきゃいかぬでしょう。じゃ、次に持ってきたときにひとつよく聞きます。何で実地調査をやると公文書を出しながら、これを取り消したか。お答えの仕方によっては、私もいろいろさらにこれは十分聞きますから……。
 そこで次に、問題を少し先に進めますが、もめておるという問題ですが、もめておるというのは、太平電子と東京電気化学とのもめごとです、これは。これはどういうふうに聞いておりますか。
#39
○政府委員(杠文吉君) 私には、先ほど申しましたように、責任のあるお答えにはならないと思います。と申しますのは、本件と、今の太平電子と東京電気化学との紛争関係とは、私は関係はないというふうに割り切っておりますので、正式のお答えにはならないと思いますが、いわゆる道聴塗説的に聞いておりますところによりますというと、東京電気化学が太平電子のほうに投資をいたしまして、そうしてこのゲルマニウムダイオードをたくさん作ろうとなさったけれども、現実には先ほど申しましたように、大量生産はできないというような状況になっておるというので、その投資金の回収にからみまして、いろいろ両者の間に争いがあるというふうに承知いたしております。
#40
○亀田得治君 それはだれからそういうふうに聞いているのです。
#41
○政府委員(杠文吉君) だれからか――私は、道聴塗説で、はっきり覚えておりません。
#42
○亀田得治君 道聴塗説といいましても、あなたの役所で延期するかどうかで問題になっておる案件についての事柄ですから……。それと、私もう一つふに落ちないのは、そういうもめごとと研究を延期するかどうかということは別のような意味のことを言われますが、そういうことには私はならぬと思うのです。非常に気の毒な事情で延びておる場合には、当然これは延ばすのが行政であり政治だと私は思うのであります。
  〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕
 たとえば、本人が病気になったとか、そういうことだって事故の一つでしょう、そういう場合には許す、ところがほかのいろいろな紛争のために研究者がなかなかそれに没頭できないといったような事態だって、純粋にその紛争に対して中立的な立場を役所がとっておられるのであれば、これは病気と同じように解釈していいわけなんです、病気と同じように解釈をされておらぬのです、今までの経過が……。これは東京電化のほうからいろいろな話をあなたのほうは聞き、それを信じ、そうしてそういう立場に有利なようにこの問題を処理しているわけなんです、結論的に言うと、だからだれからそういうことをお聞きになっているのか、これも非常に重要なことでして、あの太平電子はあかんのだという意味ですね、あなたの今おっしゃったのは……。だれからそういう意味のことを聞いているのかということなのです。
#43
○政府委員(杠文吉君) 私は、先ほどから何度も申し上げておりますが、この発明の実施化が成功した暁に、事業化ができるかできないかというようなことまでは、われわれは追及しない建前でございます。それですから、そのことの事業化に関していろいろな争いがあったとしましても、私のほうは何ら関心を持ちません。
#44
○亀田得治君 じゃ、だれから聞いているか、その話は道聴塗説なんというような簡単なものではないでしょう。
#45
○政府委員(杠文吉君) 私は、東京電気化学から聞いていないことは確かに言えます。どこへ出ましても私はそちらで聞いたということは申し上げません。だれか、私のたしか役所の内部の人か何か、それがはっきり覚えていない、その程度にしか私は関心を持っていないということを申し上げております。
#46
○亀田得治君 太平電子からは聞いていませんか、逆に今度は。
#47
○政府委員(杠文吉君) 私は、太平電子の榎本さんにお会いしたこともございませんので、太平電子のどなたともお会いしたことはございません。それですから、どなたからも聞いておりません。
#48
○亀田得治君 太平電子の書類には、るるその間の事情が書かれておりますね、これに対して関心はお持ちにならなかったわけですか。
#49
○政府委員(杠文吉君) 私は、私の仕事の範囲内のことだけしか関心を持っておりません。そのほかのことについていろいろ私が関心を示すということは、そもそもおかしいのではないかと考えます。
#50
○亀田得治君 長官、そういうことになりますか。研究者が自分はその投資された会社からこういうひどい目にあっているのだ、そのために研究がおくれているのだ、待ってもらいたい、待つか待たぬかを判断する場合に、一体その真相はどうなんだろうか、これに対して一体関心を示さないでいいのかどうか。関心を示してどちらかの立場を経済的に擁護するとか政治的に、そういうことはやってもらう必要はない。こういう事情で延びておるのだということを再三にわたって書いて出しておるものに対して関心を示さぬということは、一体どういうことなんですか。そんなことで正しい判断ができるのですか。関心を示さぬと言いながら、あれはだめだということは東京電化から言われておる、それだけじゃないですか、あなたの関心を示して取り上げておるのは……。近藤さん、そういうことでいいものでしょうか。こういう事情でなっているのだと、これは病気だったといったら、それはあなたは了承するでしょう。ところが、こういう社会的な渦の中に実ははまっていておくれておる、同じことじゃないですか。公平であれば、同じように考えてやるべきでしょう。ほんとうにそうかどうか、関心を示さぬでいいものでしょうかね、どうでしょう、長官。
#51
○国務大臣(近藤鶴代君) ちょっとどう申し上げていいのでしょうか、雲をつかむような話で、委員会というような非常にめんどうなところで、一言半句もゆるがせにできないようなところで応答しておるということになりますと、なかなか真相はつかみにくいのではないかという感じがいたすわけでございますし、私先ほども申し上げましたように、この件に対しての長い間の行きがかりやいろんな点がございますので、今ここですぐ局長が関心を持たないといったその言葉をとらえて、それは発明を育てる立場に立つ者の態度でない、考え方でないと一蹴してしまう気にもなれないわけでございまして、この間についての事情は、また後ほどゆっくりと聞いてみたいと思っております。
#52
○亀田得治君 たとえば、まあここに書類が一つありますがね。三十六年九月十五日に提出した延期申請書の写しがあります。これを拝見しても、なぜ試験がおくれておるかということについて、きわめて詳細に書いて、今後はこういうふうにやりたいというふうに書いておるわけなんです。それに対して関心を示さないなんてばかげたことがあるものですか。
#53
○光村甚助君 関連。科学技術振興局長というのは大体どういう仕事をするのですか。
#54
○政府委員(杠文吉君) ただいま議題になっております発明の振興ということも私のほうの一つの仕事でございます。そのほか理化学研究所の監督、工業技術研究所の監督あるいは情報センターの監督等ございます。それからまた国際交流の関係の仕事もやっております。
#55
○光村甚助君 そのくらいでいい。振興局長だったらこういう問題が出てきたら関心を示さないどころじゃなくて、うんと関心を示してやるのが商売柄でしょう。関心がありませんというのは、自分の一体職務に忠実ですか。私は今ちょっとここで聞いたことだけで、内容は知らないのですけれども、関心がありませんと、商売柄それは不熱心じゃありませんか。
#56
○政府委員(杠文吉君) いろいろおしかりを受けておりますが、私が申し上げておるのは、会社の関係の紛争に関心を持って、どちらのほうの言い分が正しいとか正しくないとかいうような、そういうような関心を私は持っておりません。これは何と不忠実と申されても私は持つ意思はございません。しかしこの発明者の試験がうまくいくのかいかないのかということについて関心を持っておることは、これは十分に持っておると申し上げることができると思います。
#57
○亀田得治君 だから申し上げるのです。この発明者の研究がうまくいっておるのかいかぬのかということに、そういう紛争というものは関連してきておるわけですよ。発明者といっても、何も飯も食わずにやっておるわけではありはせぬのだ。そんな、関心がない、認識不足であれば、ちょっと私はまあここで真相というものを申し上げておきましょう。近藤長官にも聞いておいてもらいたい。しかし、これは私が今申し上げるまでもなく、書類に本人がたびたび書いて出しておる問題なんです。しかし本人としては直接書きにくい問題もある。しかし私のほうでは全部それをひとつさらけ出していきますから、大いに関心を示してもらわないといかぬ。それはこういうことになっておるのです。
 問題は、昭和三十四年十月ごろから太平電子と東京電化というものが関係ができるわけです。当時は東京電化は中身はよくない。たとえば埼玉銀行あたりから二十四億くらい特別融資を受けたりして、非常にやりくりをしておるような状態だったのです。何とかそれをひとつ盛り上げたいということが東京電化のほうでその前から画策されていたわけです。その際に出てきたのが太平電子のゲルマニウムダイオードの発明並びにたくさんの内外の特許がおりる、それからそれに対して科学技術庁も特別発明として最高の補助金を出すといったようなことで、太平電子のこの研究というものは、ぐっと業界で注目を始めてきたわけなんです。東京電化はそれを利用しにかかったわけなんです。そしてその結果、三十四年の十月の一日に東京電化が、当時は四億の資本金でありましたが、これを十億に増資する、その増資の理由の中に、太平電子というものを傘下に収めてやるんだ、こういうふれ込みでやったわけです。これは山一証券と相談の結果そういう計画を進めたわけです。それで、当時は太平電子のこの発明というものは非常に注目を浴びておりましたから、東京電化の設備なり技術なり資本に太平電子のそういう注目されておる発明というものが加わるということで、東京電化の株がぐっと上がったわけなんです。株のなにが出ておりますが、十月一日現在では東京電化の株が千三百四十五円でありましたが、六日には千七百十円、こういうべらぼうな値上がりがあったわけなんです。それで、これによって少なくともそういう株の操作をもくろみ実行した諸君は、最低十五億のもうけをしている、こういうふうに言われておるわけなのです。千七百十円というものを標準にすれば四十四、五億になります。しかし、それが最高の線でありますから、まあその三分の一見当といたしまして、最低十五億くらいはこの株の操作でもうけたのではないか、こういうふうにもっぱらいわれておるわけなのです。これは当然数字的にそういうものが私は出てくると思うのです。ところが十月一日には、東京電化と太平電子との間では、何もそんな契約も何もないわけなのです。東京電化と太平電子が結びつこうという契約ができましたのは、その後の十月十九日なんです。したがって、だからまあ東京電化としてはいいかげんな宣伝を人の名前を利用して株をつり上げ、関係者がもうけた。そうして今度は十月の十九日に東京電化と太平電子が契約をしまして、今後東京電化が太平電子のめんどうを見てやろうというわけです。そういう趣旨の契約書が六通できるわけだ。しかし、これもほとんど東京電化が全部書類を用意しておいて、太平電子がぽんぽん判を押していったといった種類の契約書でありますが、ともかく契約ができたのはそのときなんです。増資をやるときには、そういう契約はできておらぬのです。ここに一つの問題がある。そこで、十月十九日に契約ができまして、あと、出資をする等の話ができたわけですが、まあ契約内容を一々ここで御披露申し上げる必要もないと思うのですが、その結果、東京電化が太平電子に資金的な援助をしたのは、合計一億二千八百万円です。金を出してやったのは。まあそこまではいいでしょう。その金ももちろん先ほどの十五億もうけたという中から出ておるわけなのです。それを貸している。ところが今度は、ただでは貸さない。特許権を担保に取る、そういったようなやり方で貸している。ところがそのあとが悪いわけですね。今度は太平電子がどんどん発展するように東京電化がやるのじゃなしに、太平電子を明らかにつぶすという方向で出てきたわけです。これはもう研究の結果がいいとか悪いとかの問題じゃないのです。そういうふうにちゃんと書類ができ上がりますと、すぐ方向転換をやってきているわけなのです。昭和三十五年に入りますと。太平電子がつぶれれば自分のほうはちゃんと担保に取ったり貸し金があるわけですから、この太平電子の財産を取れるわけなのです。そのためにいろいろな画策をやりまして、そういうこまかい画策は、また追って参考人等に来ていただいたときに、私から直接聞きたいと思うわけですが、その結果どうなったかといいますと、その一億二千八百万円のうちの六千八百万円の貸し金を理由にして、資金援助によって太平電子が甲府工場を建てていたわけですが、その甲府工場を自分の名義に書きかえてしまった。取り上げてしまったわけです。この甲府工場というのは、そういう科学技術庁なり通産省等も認めておる特許を企業化しようという工場であれば、これは非常に有意義だというので、山梨県では土地を無償でくれておるのです。一億二千万円借りまして太平電子がそこに工場を建設したわけです。非常な近代的な工場です。ところが、今度はもうけていかぬようにして、そうしてそれを取り上げてしまったのです。ひどいことですよ。それから特許は、抵当に入れていたわけですが、これも所有権を取ってしまう。三つ取られておる。残りまだ六千万円くらい貸しがあるから、ぎゅうぎゅう今締めつけておるわけですね。ともかく人の発明を理由にして株をもうけて、もうけた株をいかにも好意的に援助をするかのごとく見せかけて投資をして、投資をした後その会社をつぶせば、今度はこれを担保に取ってあるから、自分のほうにみんなくる。発明者がこういう状態にほうり込まれたときに、一体どういうふうな気持になるでしょうか。甲府工場というのは、まあ大ざっぱに時価を聞いてみますと、現在では二億数千万円からの工場のようです。非常に近代的な、柱を一つも使っていない、そういう工場なんです。結果は、こういうことになっているのですよ。
 しかし、太平電子としては、東京電化といつまでもこんな争いをしても仕方がないということで、別な方向でこのメドというものを今つけつつあるわけです。大体ついた。そこで気持もおさまったから、前々からお世話になっておるあの九十万円についての処理は、ぜひここでつけたいのだ、これは科学者の意地なんです。そういう状態になっておるわけですが、東京電化としては、この太平電子がつぶれることを希望しておる。科学技術庁も太平電子に対する補助金などは出さぬことを希望しているのです、内心は。はっきりこれは申し上げておきます。具体的な事例は、いずれ参考人で逐次明らかになります。東京電化のその仕事を推進しておりますのは、初代の科学技術庁の政務次官をされました現在の衆議院議員の齋藤憲三君なんです。齋藤憲三君は、そういう立場で動いておるわけなんです。齋藤憲三君に遠慮してか、あるいはどういうことかわかりませんが、科学技術庁の皆さんは、筋から言うならば、もう少し発明家の気持をくんでやるべきところを、むざんにも振り切っておるわけなんです。このゲルマニウムダイオードの研究を延ばすか延ばさぬかということにつきまして、齋藤憲三君が科学技術庁の振興局の担当者と数回お会いになっておるはずですが、それはどうですか。
#58
○政府委員(杠文吉君) 私自身齋藤さんからこのことについて何ら聞いたことはございません。それから今ここに担当官がおりますが、担当官に聞いてみますと、担当官は齋藤さんと会ったことはない、その他の人は会ったような記憶があるのかと言うと、そういうことは知りませんという話でございます。
#59
○亀田得治君 担当官とおっしゃるのはだれですか。
#60
○政府委員(杠文吉君) 布施田という技官でございまして、今のゲルマニウムダイオードの関係を担当しておる者でございます。
#61
○亀田得治君 たとえば三十六年の八月、本件のことに関して当時課長補佐をされておりました柏倉、これは斎藤憲三君の会館の部屋で榎本と一緒に会っているはずですがね。あるいは昭和三十六年の十二月、東京電化の丸の内の分室でも斎藤憲三君にあなたの部下の人が会うておる。これは振興局の奨励課長、当時の松本、それから課長補佐の浦山、こういう諸君が会っておりますよ。そういう人はおりませんか。
#62
○政府委員(杠文吉君) 先ほど最初にあげられました柏倉というのは、現在も課長補佐をしております。それから今の松本とおっしゃいましたが、おそらくは現在特許庁へ行っております松木という課長だろうと思います。それから浦山という課長補佐も現在おります。課は違います。奨励課ではなく振興課というのにおりますが、私のほうの局におります。
#63
○亀田得治君 ともかく、松本はあるいは松木で、私の資料の間違いかもしれませんが、局長は会っていないかもしれぬが、ほかの人は会っておるのです、たびたび。そうして今私が一つ二つの例としてこれはちょっと申し上げただけでして、そのときのその会合の模様でも、結論的に申し上げますと、榎本のほうは何とか期間を延長してくれ、こう振興局の人に言うわけだ。そうすると振興局のほうは、それはあかん、だめじゃと、こう言うわけだ。で、斎藤憲三君は、これは黙っておるわけです。本来ならば、何とかもう少しそこを考えてやる方法はないのかと、発明家がこれだけ苦心しているんだからと言うべきところを、逆にあなたの部下と、おそらくこれは連携をとり、事前に打ち合わせをやって、榎本に、結局お前もう早くあきらめろと言わんばかりの物腰なんです。発言も何もしないで黙っておられたようです、この二回の場合は。あなたの部下が齋藤君と会ったことがないとかあるとか、そんなことは論外ですよ。会ったことは当然会っているんで、会った内容が実は問題なんです。それは調べて下さい。私、名前はちゃんとあげて場所まで申し上げたわけですから。
#64
○政府委員(杠文吉君) 調査いたします。
#65
○亀田得治君 まあそういうふうな事情は、太平電子側の書類に何べんもるる書いておるんです。長官、これはあとからでもこの一件書類を調べてほしいと思う。非常に気の毒なことになっておるわけなんです。それにあなたのほうの延期の許可というものがからんでおるわけでして、延期してもらって、こっちの立場が立って、ぐんぐんとこっちが進むようになることを向こうは好まないわけです。非常な関係があるんですよ。あなたは中立だとおっしゃったって、決して振興局はこの問題については中立ではないんです。齋藤憲三君と会わぬと言ったって部下は会っておるんですから。会ってそうしてこちらを押えるような発言を振興局の人がしておるわけです。昭和三十六年ですよ、今私一部申し上げたのは。その当時に何も再三延期されたわけではない、その時点では。そういう発言をするなんというようなことはもってのほかです。これはあなたが東京電化なり齋藤君から頼まれてやっているに私はもう違いないと思っている。これはいずれ全部参考人として出てもらって直接私聞きます。そのときにもう少し詳しいことも申し上げます。この程度にしておかないと、すぐいろいろまた画策をされても困るから……。あなたのほうは調べておきなさい。ばかにしている、会ってもいないということは断じてない。
 そこで、証券部長来ておりますか。昭和三十八年二月二十日付で、榎本のほうから証券部長あてに告発状を出しておるわけですね、東京電化に対する告発状を。これは科学技術庁振興局みたいに、書類を見ていないというようなことは私はなかろうと思うのですが、これはどうですか。
#66
○説明員(有吉正君) 見ております。
#67
○亀田得治君 これに対しまして証券部長はどういうふうに扱っておられますか。
#68
○説明員(有吉正君) 二月二十日付の書面をお持ちいただきましたのは榎本さん御自身でございまして、当日は私どものほうの証券第二課の課長補佐がお目にかかったのでございます。この中の項目の中で私どもに関係のございますのは、増資株式発行の際に趣意書に虚疑の事項を記載し大衆投資家を欺瞞して多額の不当利得をしたということに集中するのでございますが、問題は、この趣意書に虚疑の事実が記載されてあるかどうかという点が問題になるわけでございます。ところがこの書類にそれぞれ証拠の品、証拠の文書をつけておられるのでございますが、残念ながらただいまのお話の趣意書の点につきまして、その点が抜けておるのでございまして、私どもはこの趣意書がどういうものであるか、これをとくと拝見したいということで、この書面には抜けておるから早速御提出のほどをお願いするということを申したのでございますが、現在のところ、まだその御提出を見ないのでございます。したがいまして、私どもとしては不本意ながら、まず問題になっております山一証券株式会社につきまして再三これを呼びまして、この点についてどういうような趣意書が出ておるのか確かめてみたのでございますが、山一証券の言うところによりますと、この増資の場合におきまして趣意書を特に出した覚えはないと、その当時におきまして各方面にこういったような増資に関係するところの記事というものが出ておりますので、それを二、三私どものほうも目を通したのでございますが、しかし、訴えられた方の内容のごときものは一つも出てなかったような事実でございました。さらに本日におきましても、山一証券を呼んでさらにその趣意書の点につきまして回答を求めたのでございますが、現在になりましてもなおそういった覚えがないということでございます。私どもは、榎本さんから趣意書がどういうものが出ておるかということをお見せ願いますならば、その内容に基づいてさらに検討してみたい、かように思っている次第でございます。
#69
○亀田得治君 大臣はほかへ行かれるそうですから、ちょっと希望いたしておきますが、まあ先ほど来いろいろ問題点を指摘したわけでありますが、これはやはり相当そういう発明家の仲間でもやはり注目をしておるわけでして、十分今までの経過などもお調べ願って、よくこれは検討してほしいと思うのです。私の希望としては、ぜひこの前の指示を取り消してほしいと思っているのです。結了報告が出ておると言うけれども、あれはほんとうのものじゃない、強制されて、また形式はこういうふうにして出そうということで出ているだけで、こんな書類を科学技術庁に置いておくということは、これはもう恥辱ですよ。しかもそれに、ちょっとさっき触れましたが、いろいろな背後の圧力が加わっているのです。そんな圧力に屈して、そうして発明家をいじめた、そういう書類を残しておくなんていうのは、もう全くよくないことだと私は思うのですよ。これは調べて下さい。まあ私がきょう初めて申し上げて、初めてお聞きになったような点もたくさんあろうかと思いますが、これは希望いたしておきます。
 それで、この告発状は東京電化が太平電子を利用して増資をしてもうけたと、こういうことが一つと、もう一つは税金の問題があるわけですね。この部分は国税庁の所管かもしれぬが、一緒に書類としては書いてあるわけですが、これはどういうふうな扱いをあなたのほうでされておりますか。
#70
○説明員(有吉正君) 私どもこの二十日に本人から受け取りました場合に、私どものほうの関係につきまして特にお話を申し上げた次第でございます。またこれは一つの私どもに対する御連絡の文書とかように承知してもらいたいということを申し上げた次第でございます。私どもの範囲外のことを二、三さらに聞かれておりますが、その点につきましては、今お話の国税庁へ連絡をするということもいたしておりません。
#71
○亀田得治君 国税庁への連絡はもうしたわけですね、したならば……
#72
○説明員(有吉正君) いたしておりません。
#73
○亀田得治君 これは当然やはり連絡を早くしてもらうべき問題ではないですか。
#74
○説明員(有吉正君) 私のほうといたしましては、私どもの所管の範囲内のことにつきましてお話をするということで、そのほかの点につきましては、それぞれの監督官庁なり関係省もございますので、そのほうと打ち合わせ、応答が当然あるものと、かように存じた次第であります。
#75
○亀田得治君 それは一般的なことになるかもしれませんが、こういう書類を官庁に出す立場のものから見れば、一つの書類に書いてあれば、みんな大蔵省だから、同じそこで適当に扱ってもらえると、こういうふうに思っているわけです。しかし、それはあなたのほうでやらないというしきたりになっておるというならば、これはあらためて国税庁のほうへ税金脱税の疑いのあるものについては出してもいいわけです。それは国税庁に連絡はしませんか、結局。
#76
○説明員(有吉正君) 私どものほうに本人がおいでになりまして、この文書につきまして御説明を受けましたので、できるならば御本人が直接文書によりまして国税庁に御説明願ったほうがあとの誤りもなかろうと、かように存じた次第でございます。
#77
○亀田得治君 役所にとって都合のいいようなことだと、おそらく関係筋のほうへすぐ連絡するだろうと思う。この告発状には衆議院議員の齋藤憲三君というような名前があるものであるから、あなたのほうでは何か遠慮されておるのと違いますか。ほかのことでしたら、関係の方からあっちのものだからあっちへやれと。国民はそう思っておりますよ。それはそういうところにいろいろな疑惑が出てくるわけですよ。振興局の問題にしたって同じことですよ。それが何となく向こう側のことについては取り組みが消極的だ、税金が入る種があったら何だって国税庁としてはあなた探すべき問題でしょう。連絡して下さいよ、あらためて。おそくてもいいから。できますか。
#78
○説明員(有吉正君) この件につきましては、その前においでになりましたときに口頭においてお話がございました。その際におきましては株の問題だけであるということでございました、書面でお出し願うということになりました際に、ほかのものもつけ加えられた次第でございます。特に御本人がおいでになりまして、私どもが証券部であるということを御存じの上お話を承っているので、当然国税庁のほうには税金のほうはお話があるものと、かように存じた次第でございます。先生のお言葉につきましては、帰りましたら国税庁のほうに伝えることにいたします。
#79
○亀田得治君 伝えて下さい。
 資料が、ちょっと告発人の出し方が不足だという点の御指摘があったわけですが、これはさらに検討させますが、三十四年の十月一日現在で、さっきちょっと申し上げたように千三百四十五円、これが六日に千七百十円に暴騰しておるわけなんです。あなたがそちらのほうの御専門のようだが、普通のことではこういうことはないでしょう。新しい材料というものが何かそこに加わらなきゃ、ただ太平電子を利用した物的の証拠がちょっと不足のようにおっしゃったわけですが、当時の太平電子と東京電化との関係等から見ると、結局太平電子のその当時における成果というものがここへ見込まれたものだというふうに私たちは理解するわけですが、あなたはどういうふうに見ますか。
#80
○説明員(有吉正君) 三十四年の当時におきましては、東京電気化学工業株式会社の株は取引所に上場されておりませんでした。いわゆる東京の店頭におきまして集団的な売買を行なっておったのでございます。したがいまして、その売買の値動き等に対しましては、取引所に対する株式の価格の形成の管理ということには及んでおりません。その点は取引所における価格の形成ということとは違うということをまず申し上げておきたいと思いますが、しかしいずれにしましても、店頭取引におきまして気配の相場が立っておったことは事実でございます。この会社の増資のもくろみ書によりまして、三十四年の六月に初めて店頭のそういった取引の価格が形成されて参ったのでございます。それ以後の値動きを見ますと、たとえて申しますと、七月におきまして最高が千六百二十五円、最低で千二百円というようなこともございますし、八月は千六百円が最高で、最低が千四百四十円というようなことになっておりまして、先ほど先生のおっしゃるように十月におきまして千七百十円という高値をつけて、安値千三百四十円ということもあったのでございます。しかし、私が申し上げましたとおり、前の七月におきましても相当の値動きを示しておるのでございます。と申しますのは、その当時、三十四年のことでございますので、相当年月がたっておりますが、当時私この職におりませんので、正確なことを申し上げることができないのは残念でございますが、やはり当時株式におきまして相当の波乱もございまして、特にこういったように取引所に出ておりません株式につきまして、その後の増資等の含みを買っていったりあるいはその他の景況の判断あるいはこの会社の内容の問題、前途の問題等によりまして、相当値動きがあったように、このもくろみ書によるところの六月の数字だけについても言えるかと、かように思うのでございます。ただ先生御指摘のとおり、この十月におきまして増資の含みを買っての上昇が相当にあった、かように言えるかと思う次第でございます。
#81
○亀田得治君 証券部長の関係は、結局東京電化が太平電子とのでき上っておらぬ提携関係を、あたかもでき上がったかのごとく錯覚をさせて株の操作をやったというところに問題があるわけですが、これはもう少しあなたのほうでも調べておいてほしいと思います。私のほうでも、今御指摘のような点、もう少し関係資料などを当たらせることにいたしまして、その上でまた御質問をいたしたいと思いますから、きょうはこの程度にいたしておきたいと思います。
 委員長にお願いをしたいわけですが、ぜひこの件はひとつ発明家の立場というものをもっと世間が尊重していく、こういうふうな観点から取り上げてほしいわけです。ひとり太平電子だけじゃなしに、同じような話がずいぶん私はあろうと思うのです。せっかく発明家が発明した、いよいよ企業段階になると取られてしまった、最後にほうり出されてしまう、こういうことがよくあるわけでして、現在の制度上の欠陥等もやはりあろうかと思うのです。たとえば、中小企業庁等の仕事の中においても、発明は奨励するが、じゃそれを企業化する場合に、どれだけの援助をするのかといったようなことは、制度上はないわけですね、原則的に……。したがって、どういう大会社の世話になるかならぬか、そういうことはすべて自由というふうなことに相なっておるわけなんです。だから特定のそういう企業を国が非常な優遇をするというようなこと自身は、これまた制度の作り方として問題もあろうかと思うのですが、現状のようなことでは、やはり非常に大きな弊害があるのではないかというふうなことも感ずるわけです。そういう立場から、本件の真相をもっと深めてひとつ明らかにしてもらいたいと思うわけです。そういう立場から申し上げるわけですが、一つはゲルマニウム・ダイオードの価値、製品化していく、工業化していくという立場からの価値、これは振興局のほうはおそらく東京電化からのお話だろうと思うのだが、あれはだめだ、だめだ、こういったようなふうに先入観を持っているようですが、真相はそうじゃない。私の聞くところでは、この特許を外国からもう買いにきているわけなんです。そんな工業化できないようなものなら、そんなものを買いにくるわけがありません。しかし発明家としては、やはりせっかく自分が作り上げたものだから、自分たちの仲間でやりたい、これが気持であるわけです。そういう点で、ひとつ、一体どれだけの価値があるのか、こういう専門的なことになると、私たちもよくわかりません。関係者に聞きますと、たとえば大阪大学の北村教授、こういったような人たちは、一つの参考人として意見を聞くのに適当ではないかといったようなことを聞いております。そのほかにあるだろうと思いますが、そういう面の参考人。それからもう一つは、本件の経過ですね、これをやはり明らかにしてほしいわけです。これはたくさんの人がいるわけですが、さしあたり陳情人の榎本雅道、それから相手方の東京電化の社長の山崎貞一、それからさらにその間いろいろ奔走いたしました齋藤憲三君、いろいろ会ったりいたしておりまする課長補佐の柏倉君、その前にも会っている人もおりますが、とにかく、さしあたり柏倉君が一名、それから次は参考人ではないわけですが、脱税の関係では国税庁の長官なり、あるいはこういう事業の保護という問題で中小企業庁長官なり、あるいは偽って公募したということが明確になれば、これは当然商法なり証券取引法の違反にもなるわけでして、刑事局長なりそういう人たちも、これは政府委員として御出席を願う、適当なときに。まあ、こういうふうに考えておりますので、ひとつこれは理事会等で御検討願いたいと思います。
 以上で本日のところは一応の質問をこれでやめます。
#82
○委員長(田上松衞君) 御意見もございましたので、一応私の感じを軽い意味で申し上げたいと思います。
 科学技術振興対策委員会は、その名が示すごとく、科学技術をどう振興させるか、そのためにどう対策すべきかというところに大きな使命がなければならぬと考えます。お説の中にもありましたように、ただ一つの角度から見ましても、発明を奨励する、そのことのためにいろいろな表彰であるとか、あるいは補助であるとかというもろもろのあれをしますけれども、ただそれだけでもってあとは野となれ山となれ式のことであっては、それはほんとうの行き方ではない。そのなされた発明がいかに企業化されていくか、国民生活とどういう工合に結びつき、どういう工合に日本の進展をはかるべきかというところに重点を置かなければならぬと私は認識しているわけであります。したがって、御意見にありましたようなゲルマニウム及びシリコン等の価値に関するようなところまで本委員会はやはり深く突っ込んでみる必要があるだろうと考えます。なお、たまたま出されておりまするこの陳情に基づく事柄なんですが、この事のためにこの経過を明らかにする、これは必要があるだろうと考えます。さらに、ひいてはいろいろなこれに関連する参考人の出席をお願いするというようなことも必要であろうかと私自身としては考えておるわけであります。いずれにいたしましても、これらの問題について、後刻理事の方々といろいろ御相談いたしまして、その時期、範囲、方法等については協議申し上げたいと、こう考えておるわけであります。御趣旨の点、十分よくわかっておりますので、御趣旨に沿うように私としては運びたいと、こう考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
 このことについては他に御発言はございませんか。――御発言もないようですから、本件に関しましては本日はこの程度にいたします。
 時間等の関係もございますから、日本原子力船開発事業団法案に関しまする問題は、本日はこれをやめまして、次の機会にいたしたいと思います。
 本日はこれで散会いたします。
   午後三時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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