くにさくロゴ
1962/05/22 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号
姉妹サイト
 
1962/05/22 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号

#1
第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号
昭和三十八年五月二十二日(水曜日)
   午後一時四十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     田上 松衞君
   理事
           古池 信三君
           松澤 兼人君
   委員
           江藤  智君
           平島 敏夫君
           丸茂 重貞君
           山本  杉君
           横山 フク君
           野上  元君
           光村 甚助君
  政府委員
   科学技術政務次
   官       内田 常雄君
   科学技術庁長官
   官房長     森崎 久壽君
   科学技術庁原子
   力局長     島村 武久君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   科学技術庁原子
   力局次長    村田  浩君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本原子力船開発事業団法案(内閣
 提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田上松衞君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 日本原子力船開発事業団法案を議題にいたします。
 念のために申し上げますが、本法案は、去る十七日衆議院から送付されました。本日は、前回に引き続いて質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#3
○松澤兼人君 第一に、多少この法案の審議が手間取りまして、予定の三十八年度早々から実施ができないという結果になりました。正確にいいまして約二ヵ月ずれたわけでありますが、この二カ月のズレは、全体の原子力船開発の計画のスケジュールにどういう程度の影響を及ぼすかという点を御質問申し上げたいと思います。
#4
○政府委員(内田常雄君) 委員長並びに松澤委員に最初におわびをいたしておきたいのでありますが、近藤科学技術庁長官が病気のために、ことに最近梅雨空でリューマチが少し悪くなられておりまして、登院できません。その点を御了解いただきたいと思います。
 ただいまの御質問でございますが、御承知のように、この原子力船開発事業団のためには、昭和三十八年度におきまして、政府は一億円の出資を予定いたしまして、また特に初年度につきましては、民間の関係方面からも五千万円ぐらいの出資を集めることで私どもは計画をいたしておりました。しかるに、予算は成立をいたしましたけれども、この法律案の審議が、御指摘のように少しおくれて参りましたので、その進行に若干のそごを来たしておりますけれども、しかし、これは御承知のように、大体この船がほんとうに完全な運航を開始いたしますのには九年ぐらいかかることになっております。船ができ上がりまして、それに載せた原子炉が臨界に達しますまでに約七年近くの日子を要しまするし、そのあとの二年くらいは試験運航、それからその船を直接動かす乗員ばかりでなしに、他の乗員の養成をもあわせましてあと二年くらいと、こういう予定でございまして、今申し上げますように、七年なり九年なりのスケジュールでやって参っておりますので、二カ月くらいのおくれは、その間に十分取り戻しまして、ことに、この法律は廃止の期限がきめられておりますので、それまでにはこの船をもちろんつくって、そしてその試験運航並びに乗員の養成を完成しなければならないのでありますから、廃止の期日をそれだけ延ばして、ここで修正をしていただくという必要はないものと考えております。
#5
○松澤兼人君 第一に、この法律ができ上がりますと、開発事業団の発起人と申しますか、あるいは設立準備委員というようなものをつくって、それから役員の選考の手続を進めていくのではないかと思います。そういう人事の点につきましては、すでにどこかで選考の手続をとっていらっしゃるのですか。
#6
○政府委員(内田常雄君) 準備委員になられる方がおおむねこの事業団に引き続いて役員になられる仕組みになっておるはずでございまして、衆議院のほうはすでに可決をせられ、また参議院の御審議をお願いをしております段階でありますから、正式に内閣総理大臣のほうまで科学技術庁なりあるいは運輸大臣から相談を持って参ってはおりませんけれども、大体理事長はこういう方面から、あるいは専務理事以下の役員はこういう範囲から、職員はこういう範囲で、こういう方法でこの事業団に出向を求めるという考え方の大筋はできておるわけでございまして、理事長にいたしましても専務理事にいたしましても、たれだれをということまではきまっておりませんけれども、範囲はきめつつあるわけでございます。
#7
○松澤兼人君 そうすると、法案が両院を通過いたしまして成立いたしますと、準備委員会は即時に発足できるという段階でございますか。
#8
○政府委員(島村武久君) 参議院のもちろん御審議の御都合によるわけでございますけれども、私どもといたしましては、一応六月一日にもこの法律を公布施行せしめまして、附則にもございますような所定の手続を順次とっていくように、事務的な方面では一応準備をいたしております。
#9
○松澤兼人君 いただいた「原子力第一船開発計画について」伺います。
 これをいただいているのですけれども、三十八年度のところが全くブランクになっております。われわれとしましては、この日程がつかみにくいのですが、これをもっと詳細にお話しいただいたら参考になると思います。
#10
○政府委員(島村武久君) 御提出申し上げました「原子力第一船開発計画について」の第三表にタイム・スケジュールがございます。実はこの三十八年度のところは、途中から始まるように線を引いておるわけでございます。線の長さは、必ずしも正確ではございませんけれども、実際にこのタイム・スケジュールを一応作成いたしました段階におきまして、当然国会の御審議によりまして法律が通るということを前提にいたしておりましたので、大体七月からこの仕事にかかるつもりで、三十八年度のところの一番最初から棒を引くことなく、途中から棒を引いておるわけでございますが、言いかえますならば、原子炉、それから機関、船体につきまして、それぞれ概略設計あるいは予備設計というようなことを三十八年度にいたしたい。そういうような計画になっているわけでございます。
#11
○松澤兼人君 これは、しかし事業団ができなければならないわけなのですから、六月から七月までに準備委員会なり、あるいは事業団の設置が、まあ一カ月で終わるということになれば、七月から始まることになるが、それが多少ずれておりますから、計画に多少の支障があるのではないかと思ってお聞きしておるわけです。法律制定後の手続を、もう少し詳細にお話し願いたいと思います。
#12
○政府委員(島村武久君) ただいま申し上げましたとおり、このタイム・スケジュールは、実は国会の御審議が、先にお述べになりましたようなふうになりません前につくりましたもので、一応七月を予定してつくりましたものですが、御承知のように国会の御審議の御都合がございまして、これが若干影響を受けておることは、政務次官から申し上げたとおりでございます。ところで、この法案が通りまして以後の事業団の仕事の進め工合、どういうふうにして事業団が設立に至るかということにつきましては、法案の附則に書かれておるわけでございまして、附則の第三条「事業団の設立」というところにございますように、まず主務大臣は、事業団の理事長または監事となるべき者を指名することになるわけでございます。一方また主務大臣は、その第四条に基づきまして、事業団の設立に関する事務を処理いたしますための設立委員の任命をいたします。これは三条のほろが先に書いてございますが、必ずしも理事長たるべき者の任命のほうが何日先でなければならぬということではございません。並行してやれることでもございます。設立委員が任命されますと、設立委員会を開きます。設立委員は、事業団に対する出資の募集を政府以外の者からいたします。その募集に対しまして、法律上の募集は申し込みを受け付けるだけでございますけれども、事実上は申し込み証拠金というような形でお金自体も預っておくというのが通例でございます。いずれにいたしましても、募集が終わりましたときに、設立委員が主務大臣に対して設立の認可の申請をいたします。そして認可がございますれば、政府とそれから先ほど申しました出資の募集に応じました者から出資の払い込みを求めまして、払い込みが終わりました段階で理事長となるべき者に対しましてこれを引き継ぐわけでございます。そこで、引き継ぎが行なわれましたならば、遅滞なく設立の登記を理事長たるべき者がいたしまして、設立の登記をすることによって事業団が成立するということになるわけでございます。
 大体法律が通りましたあとの経過は、そのようなことになるわけでございます。
#13
○松澤兼人君 その間どのくらいの日数がかかりますか。いろいろ心当たりもあると思うのですけれども、何ヵ月ぐらい必要とお考えでしょうか。
#14
○政府委員(島村武久君) 大体二カ月程度を予定いたしております。
#15
○松澤兼人君 そういたしますと、主務大臣が事業団の理事長あるいは監事となる者を指名するということであって、そして設立委員をまた別に主務大臣が任命して、事業団の設立に関する事務を処理させるというふろになっているわけなんですが、その最初に指名、選任されました事業団の理事長あるいは監事となる者と、それからあとに――あとにといっても、これは時間的な前後ということでなく、あるいは同時ということもあると思うのですけれども――主務大臣は別に設立委員を任命するということなんですか。この間の関係はどういうことになるのですか。設立されない間に事業団の理事長と監事ができてしまう。それから、それとほとんど同時に設立委員というものができる。この両者の関係というものは、法律上はどういうことになるのですか。
#16
○政府委員(内田常雄君) ただいまお尋ねの点につきましては、まずこの事業団を設立いたしますためには設立委員を任命して、それが定款をつくったりあるいは設立認可を主務大臣から受けて民間の資金の募集もする。そして登記が済みますと、それで事業団は成立するわけでありますが、その際、お尋ねのように、法律の規定を平面的に見ますると、設立委員とは別に理事長または監事となるべき者を、まだこの事業団の成立以前において任命するわけであります。そこで、実際のやり方としましては、設立委員数名のほかに理事長一人、監事一人を別に指名をしておくか、あるいはその設立委員のうちから、あるいはその理事長または監事は、当然設立委員として二重発令をしまして、そうして理事長または監事たるべき方も設立委員として他の方と一緒に設立事務に参画してもらう、こういうことのほうが便利であると私は考えておりますので、との法律は別々にいくようになっておりますけれども、実際の運用におきましては、今申し上げたようにしたほうがよいと考えまして、そういうことで進む所存でおります。
#17
○松澤兼人君 先ほど政務次官は、普通の場合を想定しておりまして、最初準備委員とかあるいは設立委員とかいう者を任命する、その人たちの中で、将来事業団の理事長となる者あるいは監事なり理事になる者というものをもって、とりあえず手続上の発足をするというようなお話があったのです。法律の建前からいうと、明らかに事業団の理事長あるいは監事というものと設立委員というものは別個なものであって、一方では理事長というもの、一方では設立委員というものがあり、設立委員が全部の手続を済ました場合に初めて理事長−先に指名されている理事長となるべき者に事業を一切引き継ぐという形になっている。法律の建前は、あくまでも別個ということを本体にしておると思う。その点はどうなんですか。
#18
○政府委員(内田常雄君) この法律の他の部分にございますように、この事業団の役員に二種類ございまして、理事長及び監事は政府が任命することにいたし、また専務理事及び理事は、政府任命ではなしに、この事業団ができましてから理事長が自分の責任において理事となるべき人を指定して主務大臣の承認を受ける、こういう仕組みになっております。設立委員も政府任命でありますから、法律の書き方といたしましては、設立委員というものがあり、別に理事長、監事となるべき者があって、それぞれ任命をいたすわけでございますが、同一人に対して設立委員の任命と、またその同じ人をそれぞれ理事長または監事になるべき者としてあらかじめ指名しておくほうが実際設立事務はうまくいくのではないか、こういうことを申し上げたわけでありまして、かりにさようなことをした場合に、この法律の附則の設立事務に関する規定に違反することにもならないのではないかと私は考えておるわけでございます。
#19
○松澤兼人君 それはよくわかっておりますけれども、事業団の理事長あるいは監事として政府から指名を受けた者が設立委員となることを妨げているとは考えません。しかし、これを両建にしたということには、やはりそれだけの意味があるのじゃないかと思う。しいて法律の規定は理事長及び監事が設立委員になることを妨げておりませんから、いいと思うのです。法律の文面から、わざわざこれを普通の場合と違った方法をとったということには、意味があると思うのですね。その意味が何ですかということをお聞したいのです。
#20
○政府委員(内田常雄君) 正直に申し述べますと、法律が通りますと、松澤先生から先ほどからお話がありましたように、事業団の設立はどんどん進めたいと思います。進めなければなりません。そうなりますと、設立委員を任命をいたすわけでありますが、理事長のほうの人選は、実はさっき私が述べましたように、ある範囲はきまっておりますけれども、なかなかむずかしいわけでございます。簡単にだれでも、よく国会から御批判を受けますように、役人の天下り式にさっときめるということができない実は性格の理事長でございますために、設立委員の設立事務進行に間に合うように、その設立委員の中から理事長指名ということができない場合も想定されるので、書き分けてあるわけです。ところが、実際は設立委員の一番大きな仕事は、先ほども述べましたように、民間のお金を集めることであります。政府は一億円の出資予算を計上しておりますけれども、五千万円くらいは民間から出資を集めなければならないのでありますが、それは理事長になられる人の民間に対する信用なり器量なりによらなければ、その出資はなかなかむずかしい点がございますので、実際理事長になるべき人がきまらないで、附則第五条に「設立委員は、政府以外の者に対し事業団に対する出資を募集しなければならない。」と書いてありましても、理事長になるべき人がきまって、その人みずからが設立業務に参画して努力するにあらずば、民間資金の調達がむずかしいと、こういうことをも考えておりまして、実際でき得るならば、私が申し述べたようにするのが私はいいと、しかし、これは設立事務を進めますのにやはり一カ月か一カ月半くらいかかります。その間に理事長をきめますのが、これは内閣総理大臣及び科学技術庁の関係と、それから運輸大臣の関係と両方ございまして、それぞれの官庁の協議も必要なわけでございまするし、また、その人がたとえば造船業界、原子力産業界、海運業界などにもそれぞれ通ずる人をこの理事長に選ばなければなりませんので、さっと、こうすぐいくかどうかという点から、これは理事長と設立委員を一緒に指名し、任命する、同じ人を指名するし任命することになるか、あるいは別建に、ここに書いてありますように、多少ずれて別建にいくのではないかということも考えております。
#21
○松澤兼人君 今、政務次官がおっしゃったことは非常に常識的な、便宜的な考え方のようであります。何かやはりこういうふうに別建にしたことの意味があるのじゃないかというふうに考えるのですが、法制的に、何か従来の事業団なりあるいは原子力発電株式会社とか、そういったような公けの性格を持った事業団なりあるいは株式会社というものの実例をお示し願いたいと思います。
#22
○政府委員(島村武久君) 私が申し上げます。内容は、ただいま政務次官から御説明申し上げましたのとほとんど同じでございまして、政務次官は、もっぱら実体的な問題としてお話し申し上げましたわけでございますが、法律的に申しますならば、実はこのところでは、すべてのこの種の事業団等にほとんど例外のない、いわば例文的な規定になっております。松澤委員の御指摘のように設立委員と理事長たるべき者、監事たるべき者は、法律上は関係のない形で両建にいくのが通例でございます。なぜそのようにしたか、一般的にもそうなっているかということになりますと、ただいま政務次官から御説明申し上げましたように、本来ならば理事長たるべき者、あるいは監事たるべき者が設立委員になっていたほうが実体的にはいいと考えられるわけでございますけれども、何分にも理事長たるべき者、あるいは監事たるべき者の人事ということにつきましては、いろいろやはりデリケートな問題が起こることが通例でございますので、設立委員と別個の形で規定する、何と申しますか、法律的な理由が生まれてきたのであろうと考えたわけであります。と同時に、言いかえますならば、全然指名せずにおいて、引き継ぎの直前において理事長というようなものを考えてもいい性質のものかと申しますと、やはりできるだけ早く理事長たるべき者、監事たるべき者を指名しておきますほうが、すべての準備を整い終わりました際に、スムーズに事業団なり、公団なりというものを発足させやすいという配慮がございまして、その二つの要請、つまり、なるべく早く理事長たるべき者というのを指名しておきたいということ、それを設立委員という形で任命するということは、事実上実体にそぐわないというこの二つの点から、法律上、大ていの場合、このようなスタイルをとっておるわけでございます。ただ、実体的な要請として、できれば設立委員にもなってもらっておいたほうがいいものでございますから、今までの数多くの例を実体的に見まするならば、法律上は書き分けておりますけれども、その場合におきましては、理事長たるべきものの任命行為、監事たるべきものの任命行為がスムーズに行なわれますと同時に、その者が設立委員の中にも入って、設立委員として任命されるという例が多いようでございます。
 以上、法律的な面と実体的な面と、両方から御説明いたしましたつもりでございます。
#23
○松澤兼人君 そうしますと、法律的にいっても実体的にいっても、別々にこしらえる、まあどちらかといえば理事長のほうが先にきまっていたほうが、金を集めるのにも便利がいい、あるいはまた、受け継ぎをするのに、非常にスムーズにいくという当面の便宜の点から、そういうことを考えられたのだろうと、こうおっしゃるのでありますけれども、もしそうならば、法律の中で設立委員を兼ねることができるという規定を設けることはどうなんですか、その必要はないのでしょうか。
#24
○政府委員(島村武久君) もちろん理事長たるべき者、監事たるべき者として指名せられた者は、設立委員を兼ねることができるというような条項を入れましても、一向差しつかえないと私どもは考えますけれども、しかしながら、そういう規定がなければ、そういう行為ができないというものではございませず、松澤委員のおっしゃいましたように、これを抑制する意味での規定はどこにもございませんので、実はそういうことを書いてないわけでございます。
#25
○松澤兼人君 この初めのほうの役員の選任というところを見ますというと、理事長となる者は、「原子力委員会の意見をきいて、主務大臣が任命する。」こうあるわけであります。で、最後の附則のところにいきますというと、「第十三条第一項の例により、」ということを書いてあるのであります。これは、やはり事業団の理事長及び監事を任命する場合におきましては、原子力委員会の意見を聞いて任命するというふろに読むわけですね。
#26
○政府委員(内田常雄君) さようでございます。
#27
○松澤兼人君 そうしますと、一切の手続が終了いたしまして、その次に起こってくる問題は、原子力船開発事業国の理事長というものが、今度は理事を選任するわけです。その理事は、設立委員であった者も入るし、あるいは設立委員でない者も入るし、ということでして、そこのところはどうなんですか。設立委員であった人を委員に選ぶほうがいいのか、あるいは全然関係のない人を委員に選ぶのがよろしいのか、その辺のところを……。
#28
○政府委員(内田常雄君) これも法律的には、事業団が成立しましたあとから理事に任命される人、設立委員とは無関係でございますが、実際問題としては、設立委員である人が理事になる場合も断り得るわけでございます。ただ法律的には、この理事の任命権というものは政府になくて、理事長にあるわけでありますから、初めから理事になる人を予定して政府が設立委員を任命してしまうということになりますと、理事心得の設立委員ができて、その人があとから理事長によって理事として――これは政府の承認にかかるわけでありますが――発令されなかったというようなこともあるわけでありますから、法律的にはこれはまあ全然別でございますが、実際の運営を円滑ならしめるためには、理事長である人が早くきまりました場合には、その理事長となるべき方で、設立委員になる方とも打ち合わせができる場合には、設立委員のうちから理事が出る、こういう場合もあり得るし、場合によってはそのほうがよろしい場合もあり得るかと考えております。
#29
○松澤兼人君 そういたしますと、理事長がきまり、また別個に設立委員というものがきまる、設立委員は、もちろん複数のわけですが、そういう人たちと理事長との関係というものは、これは法律上協議しなければならないというようなことは何にも書いてないからして、全く非公式のものと思いますけれども、別に任命されております事業団の理事長あるいは監事というものと、設立委員の考え方というものとが相通ずる場がなければならないと思うのです。法律の建前として協議しなければならないとか、意見を聞かなければならないというようなことは、全然規定されていないわけです。しなくてもいいし、してもいいしというようですが、この関係はどうなんですか。
#30
○政府委員(内田常雄君) 法律的にはお尋ねのとおりであります。でありますから、設立委員となるべき人が、全く無関係で設立行為をどんどん進めてしまって、そのあと、理事長が受け継いだあと、自分が好ましくない方面から資金を集めて、好ましい方面から出資を求められなかったという変なことにもなるのでありますから、実際の運用といたしましては、先ほど来申し上げますように、理事長となる人を早くきめて、そしてその方をやはり設立委員として指名して、理事長にならない設立委員の方々と設立委員会議で常に打ち合わせながら設立行為を進めていくことが望ましいと、かように考えておるわけでございます。
#31
○松澤兼人君 そういたしますと、大体理事長と設立委員とは、ほとんど同時に任命されて、並行的に相談をしながら設立事務をやっていくということ一になるのだろうと思うのです。それについて、陣容を整えることが最終的にきまるのが約二カ月ぐらいと考えてよろしいですか。
#32
○政府委員(内田常雄君) 二カ月というのは、さような意味ではございませんで、参議院におけるこの法律案の審議と並行しまして、私どもは設立委員の人事また理事長、監事となるべき方の人事を考えておるわけでございます。それらの方がきまりまして、定款を作成し、民間からの出資の応募を求めまして、事業団が法人として成立するのに二カ月くらいかかる、こういうことを先ほど政府委員から申し述べたわけでございます。
#33
○松澤兼人君 それでは設立委員として適格な条件というものをあげていただきたい。
#34
○政府委員(内田常雄君) これはまあ政府が原子力委員会と打ち合わして任命をするわけでありまするが、正直に申しまして原子力船開発事業団の理事長となられる方の適格性は、なかなか複合的要素がありまして、むずかしいことと覚悟をいたしております。まず第一に、その候補者であるべき方は海運業界と申しますか、あるいは造船業界あるいは原子力産業界とも十分連絡をとれる方であり、また、原子力について深い知識と造詣を持っておる人で、しかも長年にわたっての第一船の建造を完遂し得るだけの気力のある人を選ばなければならないわけであります。また、これはお尋ねが出ることを覚悟いたしておりますけれども、この船はみんなでもってつくるわけでありますから、一方だけのメーカーに片寄る、こういうことを許されませんから、いかにベテランな原子力人、財界人でありましても、一方のみを代表するというような人であっても困るわけでありますので、この辺の要素をそれぞれ満足せしめ得る人を選びたい、かようなことで現在検討をいたしておるわけでございます。
#35
○松澤兼人君 今、主として理事長のことをお話しになったと思うのですが、私はその前の設立委員の適格条件というようなことをお聞きしたのです。と申しますことは、設立委員は、あるいは、将来理事になるかもしれないということを考えて、どういう人を設立委員として任命なさるかという点をお聞きしているわけなんです。
#36
○政府委員(島村武久君) ごらんになりますとおり、設立委員の資格等につきましては、法律に定められた資格要件というものはございません。しかしながら、一般的にこの種の事業団等におきましても、かようなやり方をとっておることでございますけれども、この場合には、特にやはり原子力関係、あるいは造船、海運等関連関係の有力な業界人及び関係官庁の職員等をもって構成するつもりでございます。
#37
○松澤兼人君 先ほど政務次官が、出向等の手続も考えなければならないということをおっしゃっていらしったと思うのですけれども、そうしますと、籍は、ある特定の造船会社なら造船会社、電機メーカーなら電機メーカーというところに置いたまま、一定の期間だけ事業団に出向してくるという場合も考えられるわけですか。
#38
○政府委員(内田常雄君) さようでございます。
#39
○松澤兼人君 こういう事業団をつくる場合においては、えてして官吏の古手が天下り的に任命されるというようなことをよく聞くわけですが、この事業団は非常に特殊な事業団でございまして、原子力で推進する第一の船舶をつくるということなんで、天下り的な人事というものをなさるという可能性は非常に少ないわけなんですが、そんなこともやはり考えていらっしゃるのかどうか。
#40
○政府委員(内田常雄君) まずこの事業団の理事長に人を得るかどうかということが、この事業団として、原子力第一船建造の使命を果たし得るかどうかということにかかりますので、この理事長は、単純に天下り人事で済むものではないようでございます。したがいまして、まず理事長につきましては、松澤先生がお尋ねのような事態は、私はこれは任命者ではございませんが、まず起こり得る客観性がないようでございます。ただ、専務理事でありますとか、あるいは理事でありますとか、理事長が任命される役職員につきましては、これは理事長の考えによりまして、理事長が非常なすぐれた能力は持っておられるけれども、事務のことまでやることは適当でない場合には、事務に堪能な理事を一人置くというようなことも出て参りましょうし、すべてそれは理事長と相談できめて参られることかと思います。ただ、私どもがこの機構をつくりましたのは、決して役人の古手を売り込む、そういう場所をつくろうということから出発しておることじゃ全くございませんで、どういう仕組みでいくことが日本における原子力船の平和開発に一番適するかということだけから出発をいたしましたので、ただいまの人事の問題につきましても、かれこれ国会から、国民から非難を受けるようなことは、できるだけ避けるような方向で参りたいと考えております。
#41
○松澤兼人君 もちろん事業団をこしらえる目的がそういうところにないことはよくわかっておりますけれども、今の政務次官のお話を聞きますというと、何かやはり事務の担当者には官僚の古手が行きそうな気がするのですけれども、この点は政務次官からもう一度はっきりと答弁して、できるだけそういうことのないようにとお答えになるほうが適当じゃないかと思うのですけれども……。
#42
○政府委員(内田常雄君) 松澤先生の御意見十分承って、総理大臣にも具申をいたすことにいたしたいと思います。
#43
○松澤兼人君 法文の問題につきましては、またあとで触れるところがあると思うのです。
 サバンナ号の問題ですけれども、その後順調に航海をしているというふうに考えるわけなんですけれども、実際上どんなことになっておりますか。お調べになりましたものがありましたら、ひとつお知らせ願いたいと思います。
#44
○政府委員(島村武久君) 先般委員会が開かれました際に、たしか資料として御提出申し上げましたことがあるのでございますが、その資料にサバンナ号が今までに実験航海をいたしました港あるいは訪問の月日を記載した資料をお出しいたしたわけでございます。その末尾に書いておきましたのでございますけれども、サバンナ号は現在ガルベストンというところにおりまして、予定によりますと、本年五月にアメリカ東海岸に参りまして、六月にはヨーロッパ諸国への航海が予定されております。ただ、最近新聞でちょっと見ましたところによりますと、労働組合との間に何か問題がちょっと起こっておるというようなことも報ぜられておりましたので、予定どおりきちんとヨーロッパ諸国を訪問するかどうか、その辺までは、まだ確認いたしておりませんが、少なくとも従来得ておりました情報によりますと、六月には出発してヨーロッパ諸国の訪問に上ぼるというように承知いたしております。
#45
○松澤兼人君 出力は八〇%が出ているというふうに書いてありますが、やはり現在でもその程度なんですか。
#46
○政府委員(島村武久君) サバンナ号が予定どおりの出力を出しておるかどうかということにつきましては、私自身確認しておりませんので、技術の次長から答弁いたさせます。
#47
○説明員(村田浩君) サバンナ号の原力炉出力は六万七千キロワットが定格出力になっておりますが、実際は試運転の際には一応定格出力で試運転したと承知しております。運航いたします際に必ずしも常時その六万七千で走るわけではございませんで、大体五万キロワットぐらいの出力で走れるようになっておるというふうに聞いておりますので、ただいま先生御質問の八〇%と申しますのは、大体最初から予想されておりました五万キロワットぐらいの出力で動かされておるということを意味しておるのではなかろうかと存じます。
#48
○松澤兼人君 試運転のときには八〇%出力で航行試験を行なったというふうに書いてある。まあ百パーセント出力が出たかどうか、ちょっと私もよくわかりませんので聞いたんですけれども、今のお話によれば、フルで試験を行なったということもあるのでございますか。
#49
○説明員(村田浩君) 本船がヨークタウンの港を出まして試運転を行ないましたときには、フルの試運転を行ないまして、その際には二十ノットぐらいの速度を出したと聞いております。本船の常時運転します速力は二十一ノットでございます。最大出力を出しますと、これより速いスピードが出るものと承知しております。
#50
○松澤兼人君 外務省から出ました国連局科学課の資料によりますと、八
〇%の出力でというふうに書いてありますが、そうしますと、フル一〇〇%の出力で二十七ノットの速度で航行したという実績があるわけですね。
#51
○説明員(村田浩君) そのように承知しております。
#52
○松澤兼人君 そういたしますと、今のところ順調にいっているということらしいんですけれども、レーニン号のほうはどうなんですか。そういう資料がございますか。
#53
○説明員(村田浩君) 設計、出力等の資料はあるようでございますけれども、具体的な、試運転等でどのくらいの出力を出し、かつまた、どのくらいの速度を出したかというような情報は入手いたしておりません。
#54
○松澤兼人君 その二国工船の問題は別としまして、将来完成される一番早い各国の原子力船の状況ということはどういうところでございますか。
#55
○説明員(村田浩君) 現在計画されております各国の原子力タンカーあるいは原子力貨物船等も、まだ計画ないし設計の段階でございまして、それ以上に将来にわたる進歩した原子力船の計画というのは出ておりませんけれども、原子力委員会の原子力船専門部会で、将来の見通しを立てます際に、いろいろ資料を集めまして試算いたしました結果によりますと、原子力船の場合に、大型化あるいは高速化するにつれまして、在来船に比べまして経済性が高まるわけでございまして、その目安としましては、速度で申しますと二十七ノット付近、それから二十七ノット以上の高速船において、非常に原子力船場合、経済性が有利になるというふうな結果が出ております。大体そういった方向で発展して参るのではなかろうかと考えております。
#56
○松澤兼人君 実際に計画中あるいは建造中といろ各国の原子力船の状況はどうですか。
#57
○政府委員(島村武久君) この点につきましては、当委員会でも御説明申し上げたわけでございますけれども、アメリカとソビエト以外に、現在原子力船の計画を持っておりますのは、まず最初にイギリスでございます。イギリスは、潜水艦はもうすでにアメリカと協力して自国の潜水艦を持っておりますけれども、いわゆる平和船というものにつきましては、最近になりまして計画を発表しておりますが、先ほどの松澤先生の御質問の、その具体的な点については、われわれ承知いたしておりません。発表もない、にもかかわらず、実はイギリスは日本よりも早くでき上がるだろうというようなことを言っておる状況でございます。次に西独でございますけれども、西独もまた昨年の秋にバラ積み貨物船の建造計画に着手いたしております。これは鉱石専用船として使用する予定ということで積載重量一万五千トンということで設計を開始いたしておるわけでございます。次にイタリアもまた、これはタンカーでございまして、五万二千トンのものをつくることを目的に研究計画を実施いたしております。そのほかフランス、スエーデン、オランダ、ノルウェー、従来海運あるいは造船のほうで相当な地位にあります国は、いずれもまだはっきりと造船所で建造に着手しているという段階ではございませんけれども、それぞれ建造の目的をもって計画を進めているように承知いたしております。
#58
○松澤兼人君 そこで、サバンナ号が実際貨客船として実用に供せられるというためには、もうどのくらい年数が必要でございますか。
#59
○政府委員(島村武久君) いわゆる実用の意味次第にもよることでございますけれども、サバンナ号自体は、すでにいわゆる建造を完了し、いわゆる試運転を終わっているわけでございまして、現在すでに貨客船として、貨物及び旅客の輸送を、料金を取って引き受けているわけであります。ただし、もちろん採算に乗るような意味においての運航をいたしているわけではございません。一般的に申しまして、原子力を船舶の推進動力として用いる、特にそれを商船というような形におきまして利用することの可能性ということにつきましては、これは採算の問題でございます。むしろ技術の問題よりも採算の問題として、実用性ということを考えなければならぬわけでございますが、この点につきましては、従来各国でいろいろな試算がなされているわけでございます。何分にもまだ現在の段階では、不確定な要素が多いものでございますから、サバンナ号はもちろんのことといたしまして、まだ在来船にまさるという意味におきましての実用性は持っていないというのが現状でございます。世界のこの方面に関係します人々が考えておりますのは、もう十年もたったならば、十分在来船に匹敵し得る実用性を持つものと考えておるわけでございます。
#60
○松澤兼人君 現在日本では、原子力発電の問題が相当重要性を帯びて参りましたし、日本の科学技術の実情から考えまして、一方では原子力発電のほうに勢力を取られ、一方では原子力船に勢力を取られるという二正面作戦みたいな、現在そういう段階に日本の科学技術というものがあるかどうか。勢力を分散することが得策であるかないかという点につきましては、いかがですか。
#61
○政府委員(内田常雄君) 私はしろうとでございますけれども、原子力を動力として使います方向として、おっしゃるように原子力発電は、日本ももう実施段階に入りましてやっておるわけで、それをさらに一歩進めて、船の推進力に使うわけでありますが、この陸上の発電用原子炉なり、あるいは海上の舶用炉なりをつくりますためには、非常に関連する分野がお互いに重なり合って、かつまた非常に広い。むしろ船もやったり、あるいは原子力発電もやったりということで、相互に研究のコンビネーションを総合的に発達させるところに原子力開発の発展があるということで、ただいま先生が御懸念されましたように、二面作戦、三面作戦は非常に原子力開発研究の上に不利ではないかということは、むしろないのだと、こういうことを私は技術者から聞かされておる一わけでございます。なお、技術関係の次長がおりますから、ちょっと補足させていただきたいと思います。
#62
○説明員(村田浩君) 一方で原子力発電の開発を行ない、まあそのためにはいろいろと研究を進めなくてはならないわけでございますが、原子力船と原子力発電と申しましても、原子炉そのもの、いわゆる動力炉と申しますか、動力を出します原子炉は、基本的には技術的に同じようなものでございまして、ただ船に載せるという観点から陸上の場合と違いまして若干の特性を付与するということはございますけれども、基本的な研究開発の面においては、ほとんど重複した部分があるといってよろしいかと思います。ただ、陸上の場合には、御案内のとおり場所の制約と申しましょうか、そういった点におきましては比較的楽でございますが、船の場合には、容積をできるだけ小さくしたいという要請、あるいは重きをなるべく軽くしたいということから、金がかかりましても特殊な材料をさらに開発するとか、あるいは原子炉の周辺を包みますいわゆる格納装置、こういったものにつきましても陸上の場合とやや違って、やはり狭い空間において効果的な格納方式を研究する。それと今度は運航に関連しましての船体構造についての研究開発はもちろんございますけれども、基本となります動力部分につきましては、かなりの部分が共通して研究開発し得るものというふうに見ておるわけでございます。したがいまして、これまで昭和三十一年以来、国内に原子力研究所その他の国の研究機関、それから民間の研究を助成して参りました現段階におきましては、一方で原子力発電の開発を進めつつ、他方で世界第一の造船国としましての実力の上に立ってのわが国の原子力船開発計画を進めることは、決して不可能なことではございませんし、また、それによって他のほうが非常に大きく阻害を受けるというようなことはないのではないかと考えております。
#63
○松澤兼人君 法律を読んでおりまして、法律の範囲内では了解できるのですけれども、実際原子力船開発事業団というものができまして、事業団それ自体でやる仕事、それから何か研究を委託してやる仕事、あるいはまた現在各方面に散らばっているそういう科学技術の専門家をさらに出向というような形で事業団に吸収して事業団の固有の仕事としてやる範囲、そういう点がどうもはっきりつかめないのですけれども、具体的にどんなふうにしてやるんだという仕事の分担なり、あるいは研究の委託なり、あるいは総合なり調整なりという実際の仕事のやり工合というととは、どういうことになるのですか。そこを専門的にひとつお話し願いたいと思うのです。
#64
○政府委員(島村武久君) 御審議の当初にも申し上げたのでございますが、同じ事業団と申しましても、この原子力船の事業団につきましては、従来のものと非常に私ども違うという気がするわけなんです。何しろ非常に目的というものがはっきりしている、一隻つくるということでございますから。したがって、期間を限ったりもいたしておりますが、一つの仕事を反復してやらない面があるわけでございます。同じ事業団の仕事と申しましても、一年目、二年目、三年目と、だんだんと変化していくという問題がございます。ただいまの御質問にお答えいたしまして具体的に申し上げますならば、先ほどごらんいただきましたタイム・スケジュールにもありますように、当初は設計でございますが、したがいまして、事業団に働きますものも設計の技術者というものが中心になるという関係になるわけでございます。設計が済みまして、その段階で国の安全上の審査を受けなければならぬわけでございますが、その審査をパスいたしますれば、今度は建造にかかる。この建造は、自分自身で事業団が工場を持ち、あるいはドックを持ちましてそこでつくるということでなくて、既存の事業者に発注をするという形をとります。したがいまして、原子力事業団が原子力船を建造すると申しましても、自分自身でいわゆる穴をあけ溶接しというようなことを直接やるわけではなくて、設計をつくりました上でこれを発注するという形になります。この間は、もちろん建造方面のエキスパートが必要でございます。これを監督していく、その建造を、まあ何と申しますか、発注者側に立って指導し監督していくというような仕事が出てくるわけでございます。必ずしもすべてきちんきちんと何月までいて、そこでさっと交代というわけには参りませず、オーバーラップする時期は、準備も含めまして当然あるわけではございますが、建造が済みますれば、今度は運航技術者というものが中心になっていくことは、これまた当然のことでございます。最終段階におきましては、ほとんど運航方面を担当する技術者によってこの事業団が構成されるというようなことになるわけで、したがいまして、責任ある役員等は別にいたしまして、いわゆる職員というものは漸次入れかわっていく部分も相当あるわけでございます。
 なおその間に、新しく実際にやってみた上で、ぶち当たった問題として研究をしてみるというようなことも出て参りましょう。全然予想されぬわけではございませんので、そういうような場合には、松澤委員がおっしゃいましたように、その方面でみずから研究する場合ももちろんございますけれども、適当な機関があれば、そこに研究を委託するというようなことも、仕事を進めて参ります場合に起こり得ることかとも思います。原子力研究所を初め運輸省の船舶技術研究所あるいはその他のいろいろな機関の協力が、そこで必要になってくるわけでございます。全然他と無関係に仕事を進めていくということは、実際問題としても不可能でありまして、各方面の協力体制ということも必要であるというふろに考えております。
#65
○松澤兼人君 そういたしますと、まあ三十八年度でいいますと、これで役員ができ、職員が採用されるということになりますと、三十八年度で大体おもな概略設計ということだろうと思うのですけれども、そういう設計技術者というものは、一応事業団の身分を持って事業団で働くという人は、何人ぐらいお考えなんですか。
#66
○政府委員(島村武久君) 三十八年度事業団が発足いたしまして、三十八年度中にと申しますか、仕事が始まりますれば、必要な人間として一応試算いたしております数は、役員六名、技術職員三十名、事務職員二十名というような大体の考え方を持っておるわけであります。
 なお、先ほどの御質問とも関連いたしますけれども、この方面の必要な技術者につきましては、昭和三十二年以来この原子力船の問題ということを取り上げておりますし、また国の予算等も投じまして原子力船に関する研究を今日まで進めて参ってきております。もちろん原子力のことでございますから、先ほど政務次官からも申し上げましたとおり、非常に広範な分野にまたがる問題ではございますけれども、この方面の設計技術者というものは、日本にもかなり関係方面に存在いたしておりまして、私どもは、優秀な技術者をこの事業団のために割愛してもらうということにつきましては、見通しを持っておるわけでございます。
#67
○松澤兼人君 割愛してもらうということは、身分関係でいうと、法律的にどういうことになるんですか。
#68
○政府委員(島村武久君) この事業団は、フルに勤めましても、九年の計画が終わりますと、おしまいになることでもございますし、また、先ほど私が申し上げましたように、その仕事の中身が変わっていくことでもございまして、専門の技術者が必ずしも九年間通しておるというわけではございませず、そういう関係で、個人的に申しますならば、事業団に人を迎えるということは非常にむずかしい問題があるわけでございます。そこで、私ども今まで考えておりますのは、それぞれ現在いるところにまた引き取ってもらう、帰っていただくという考え方で、政務次官から申し上げましたように、出向ということで解決したいと考えておるわけでございますが、ただ、それは事実上の問題でございまして、この事業団に職を奉じまして勤めております限りにおきましては、当然この事業団の職員であることに間違いございませんし、法律の第二十二条に、事業団の役員はもちろんのこと、職員も刑法その他罰則の適用につきましては、「法令により公務に従事する職員とみなす。」という規定を置きまして、公務員――罰則の適用につきましてはでございますけれども――公務に従事する職員としての取り扱いを受け、その義務もしょっておるという形にいたしている一わけでございます。
#69
○松澤兼人君 そういたしますと、短い方は一年くらいの出向ということもあるかと思いますけれども、長くっても二年くらいのものです。そうしますと、また身分はもとへ帰るということですか。
#70
○政府委員(島村武久君) 一年はちょっと短か過ぎると思いますし、また二年程度でもちょっと短か過ぎるのではないかという気もいたします。もちろん仕事の都合によりまして、あるいは二年くらいでもとへ帰る者もあるかと思いますけれども、まあ二、三年で帰る人が割に多いんじゃなかろうか、そういうふうな見通しを持っております。
#71
○松澤兼人君 そういたしますと、三十八年度では造船のほうの設計もそうだし、それから炉のほろの設計も始まるというふうにお考えなんですか。
#72
○政府委員(島村武久君) タイム・スケジュールにございますように、そのとおりでございまして、原子炉のほうも船体のほうも概略設計あるいは予備設計というものを開始する予定でございます。
#73
○松澤兼人君 そういたしますと、部分的でございますけれども、設計が完了したものは三十八年度でも、もう発注するということもあり得るわけですか。
#74
○政府委員(島村武久君) 設計完了いたしましても、すぐに発注ということは、特に三十八年度内に発注するということは考えておりません。と申しますのは、冒頭に政務次官から申し上げましたように、この事業団の予算自体が、政府の出資一億、民間五千万という中身が設計費用でございまして、発注に関します費用まで計上いたしておりませんのと、もう一つは、船体のほうはまあ割合に長期間を要せずできる見込みもございます。重点はむしろ炉のほうにあるわけでございます。炉のほうは事業団で設計を完了いたしましても、すぐつくってしまうということはできないわけでございまして、その間に法律によりますところの審査を経なければならない、安全上の審査を経なければいかぬという問題がございますので、三十八年度に発注するということは、そろいった面からも不可能で、要は予算的あるいは技術的な面で三十八年度に発注するということは考えていない、こういうことでございます。
#75
○松澤兼人君 そういたしますと、三十八年度ではいかなる部分的な設計もそれによって発注しないということと了解してよろしゅうございますか。
#76
○政府委員(島村武久君) そのとおりでございます。
#77
○松澤兼人君 それから、先ほど触れました事業団に出向している職員は、その出向している期間は公務員としてみなすということでありますけれども、給与はどうなるのですか。
#78
○政府委員(島村武久君) 給与の点につきましては、この事業団は独自の給与制度をつくるわけでございます。実体的に申しまして、あるいは相当大企業の民間等からの出向もあることと思いますけれども、他の政府関係機関とのバランスをそれほどくずすわけにも参りませんので、やはり他の政府機関とほぼ同程度の、なるべくよくいたしたいと考えてはおりますけれども、バランスを失しない程度の給与が、その職員に対して事業団から支払われる、これは当然のことでございます。
#79
○松澤兼人君 役職員の給与、労賃等の関係は、全然ここには出ていないように思うのですけれども、そういう他の公団、公社あるいは事業団との関係できめる。国家公務員の給与とは違うということはよく了解できますけれども、何か法律的に規定する必要があると思いますけれども、別段その必要はございませんですか。
#80
○政府委員(島村武久君) 実はこのような例はままあるわけでございまして、私どもといたしましては、このような事業団の性格にかんがみまして、できるだけ優秀な人材を集めますためにも、給与等につきましては、できる限りのいい待遇をいたしたいと考えておりますが、しかし、やはり政府関係の機関であるというようなある程度のワクというものを大きく越えるということも、事実問題としてはなかなかいきがたいじゃないかと考えております。法律的には、したがいまして、この事業団の役職員の給与は、特別によくするというような規定はございませんで、むしろ第三十三条に、給与及び退職手当の支給の基準を事業団できめようとするときには、「主務大臣の承認を受けなければならない。」ということになっております。この主務大臣が承認をいたします場合には、大蔵大臣との協議をいたさなければならないというような一般の事業団、公団等についてのルールに一応従っておるわけでございます。ただ、私どもの気持といたしましては、特にこういった性格の機関で、期限がきまっておるというような問題、あるいは差しさわりがあるかもしれませんけれども、やはり非常に優秀な人を迎えたいというような要請も、まあほかと比べてと申しますと語弊がございますけれども、そういう気持をできるだけ反映させて運用いたしたいと考えておるわけでございます。
#81
○松澤兼人君 そういたしますと、他の公団や事業団などの標準も参酌しながら、事業団が決定して、主務大臣の承認を得なければならないということになって、相当やはり優遇しなければ来ないし、優遇すれば他の事業団あるいは公団等とアンバランスになるということで、非常にむずかしいと思うのですけれども、実際あなた方がどこのどういう人に来てもらうというような、そういう目星は大体ついているんですか。
#82
○政府委員(島村武久君) まあこういうふうに目的のはっきりしたことでございますから、探す範囲はおのずからきまって参るわけでございますが、しかし、一人しかいないということでもございませんので、おっしゃいますお答えになるかどうか知りませんが、大体の見当の範囲はつくわけでございます。しかし、何分にも国会が通りませんことには、うかつに口にも出すわけにも参らぬことでございますので、現在のところ、おのずから何と申しますか、こういった見当だというくらいのところでございまして、それ以上のことは何もいたしておりませんので、何と申しますか、見当がついておると申し上げていいのか、ついておらぬと言うほうが正確なのか、ちょっとお答えがしにくいのでございますが、実情はそういうことでございまして、大体仕事の性質のほうから、範囲は大体見当がついておるというふうに申し上げたいと思います。
#83
○松澤兼人君 こちらのほしい人は向こうで放さないというような、やっぱりそういう関係もあると思うのですけれども、そういう点は大丈夫なんですか。その最も優秀な設計者なら設計者を、こちらへとるとなれば、向こうの会社でも非常に出しにくいという人があるんじゃないですか。
#84
○政府委員(島村武久君) 実は具体的な話をしておりませんものでございますから、そういうような空気も感じておらぬわけでございますが、一般的に申しますならば、先ほども申し上げましたように、三十二年以来研究をずっとやってきておるわけでございます。各企業側におきましても、将来ということを考えまして、原子力の分野には相当優秀な人を回しておられますが、現実の問題としては、そういつまでも研究ということだけでずっとやっていくということにもなかなかむずかしい問題もあるようでございます。今までやってきた研究を有効に生かして他日に備えるという意味におきましては、会社の都合からしましても、また、それを研究して今日までこられた技術者の方も、やはり実際に船をつくるという仕事に対して、これに携わりたいというようなお気持もかなり強いんじゃないかというふうな考えでおりますので、一般的に申しますならば、会社に重要な人物は、なかなかほかへ回すなんかということはきらわれるのが常だと思いますけれども、私どもは、本件のような場合には、必ずしも一般的な空気というものは当てはまらない、優秀な方を振り向けていただけるという見通しを持っておるわけでございます。
#85
○松澤兼人君 これは科学技術庁の方に聞いて竜見当違いかと思いますけれども、将来のこともありますので伺っておきたいと思うのですけれども、それは、先ほどもお話がありましたイギリスではアメリカと提携して原子力潜水艦が建造されているというようなお話、あるいは就航しているのかもしれませんけれども、防衛庁のあたりで原子力潜水艦というようなものを考えておるような、そういう空気がございますですか。
#86
○政府委員(内田常雄君) 現在のところ、そういう話は全く承っておりません。
#87
○松澤兼人君 そういたしますと、防衛庁のほうでは原子力の専門家という方位、今のところおらないということですか。
#88
○政府委員(島村武久君) 防衛庁に聞いたわけでもございませんし、検討したわけでもございませんけれども、防衛庁はやはり外国の原子力潜水艦というような問題につきましては、何と申しますか、情報的にいろいろな資料も集めておられるのじゃないかというふうに思います。それはいわゆる潜水艦問題がございまして以来の国会の答弁等で、防衛庁の職員が答弁しております状況から見まして、かなり勉強と申しますか、情報は集めておられるのじゃなかろうかというふうに感じた次第でございますけれども、少なくとも私どもが感触として受け取ります範囲内におきまして、原子力船をつくるとかいうような意味での勉強というものは、まだ全然やっておられないように受け取っております。
#89
○松澤兼人君 われわれの立場からいって心配なのは、せっかく原子力第一船で開発された技術あるいは炉というものを、そっくりそのまま防衛庁の原子力潜水艦に利用されるというようなことがありはしないかということを心配するのですけれども、そういうことのないという保証はどこかにあるのですか。
#90
○政府委員(内田常雄君) 松澤先生御承知のように、その最大の保証は、原子力基本法でございまして、わが国における原子力の研究はもちろんのこと、その開発、利用の面おきましても、これは平和の目的に限る、こういうことが基本法の冒頭にうたわれておりますし、また、特に私どもの考えといたしましても、その見地を特に強調いたしますために、この原子力船開発事業団法の冒頭第一条に「日本原子力船開発事業団は、原子力基本法の精神にのっとり、原子力船の開発を行ない、」ということで、わざわざ基本法を実は援用し、うたったわけでございまして、それはすなわち松澤先生のおっしゃる最大の保証である、かように考えていただいてよろしいと思います。
#91
○松澤兼人君 こちらのほうは公開ですし、資料は幾らでも外へ出すのですけれども、それがまあ原子力潜水艦に利用される――利用することはいけない、原子力委員会でブレーキをかけるわけですけれども、しかし、どの程度そのブレーキがきくかという問題になってくると思うのです。こちらのほうは資料は幾らでも公開するし、どんどんほしいところへはデータを出すのです。そうしますと、それをまるまる原子力潜水艦に利用されても事業団としては文句を言えない立場です。ブレーキをかけるのは原子力委員会で、その原子力委員会がそのときブレーキをかけられるかどうかということです。それがわれわれとしては心配なんです。事業団としてはそれをもう公開せざるを得ないでしょう。
#92
○政府委員(内田常雄君) その点についてはお説のとおりでありまして、今述べました原子力基本法におきましても、わが国における原子力の研究開発は、公開の原則ということをうたっておりますことはおっしゃるとおりであります。しかし、実際の問題としまして、もし日本の防衛庁が原子力潜水艦をつくるような事態になりました場合には、この一隻しかつくらない原子力船開発事業団における観測船、しかも上に浮かんでおる舶用炉の勉強の結果を、原子力潜水艦に活用するということはまずないと思うのであります。その場合には別の見地から、たとえば英国と同じように米国と原子力潜水艦建造についての特別の協定を結びまして、すでにアメリカのように何十隻か、あるいはソ連も同じでございますし、英国も始めておるわけでありますが、そういうような、むしろ原子力潜水艦の直接の本家のほうと何か特別の協定を結ぶ、そういうような問題、しかもそのためには、他の秘密保持法というようなことにもなるのでございましょうが、そういう面について、これは別の問題が起こらないことを、私ども今の段階においては考えておるわけでありますが、この法律の関係におきましては、私はまず懸念がないと考えるものでございます。
#93
○松澤兼人君 こちらのほうはあけっぱなしだし、潜水艦でも軍艦でも何でも御利用いただいてけっこうでございますといろ態度で公開を原則としてやっておられる。それが潜水艦は、今、政務次官のおっしゃるように、浮かんでいる船舶と多少技術的に違います。そういうことがありますから、ここで開発ざれたものをそっくりそのまま潜水艦に利用できるというものではないと思う。それは本家からそっくりそのままもらったほうがいいということになるかもわかりません。私どもとして、非常に原子力船建造ということについて心配になりますことは、先ほどもお話のありました原子力潜水艦の寄港の問題、それからこの開発された技術が将来軍事用に利用される心配はないかという二つの点であろうと思うわけです。その二つとも心配がないということであれば、純粋に技術的な問題として、われわれもこれに双手をあげて賛成しなければならぬ。しかし、まあ審議の過程でありますが、将来もそういうことのないようにというふうに心配する私たちの気持もまた一理があると考えますので、これは最終の段階で政府当局から何らかの言明をいただきたいと、こう考えているわけなんですが、現在の段階としては、こちらのほうを締めるというか、秘密を盗用されないということは、全然できないわけなんですね。
#94
○政府委員(島村武久君) おっしゃいますように、原子力船をつくってみるということによって得られますところの技術情報というものは公開でございます。しかし、お言葉じりをつかまえるわけじゃございませんけれども、潜水艦にでも何にでもお使い下さいといって公開するわけじゃございませんので、潜水艦には使ってもらいたくないという意味での公開でございます、しいて申しますれば。それから一隻つくってみましたその技術が、かりに潜水艦でなくても、これをつくれば軍艦にすぐ適用になるかどうかという点は、それは私どもも問題があるかと考えておりますが、しかし、こうやって得られましたところの技術の知識というもの、経験というもの、これは全然、防衛目的でありましょうが、軍艦というものに使いものにならぬというようなものでないことも一面真理でありましょうし、また、そういうものであっては、せっかくこれだけのお金をかけて研究する意味もない。確かに役に立ち得る場合もあろうかと思います。問題は、それを平和目的に使わないようにするという国の決意、あるいは場合によっては国会の決意、あるいは国民の決意の問題であろうかと思うのです。私どもといたしましては、世上ときどき誤解されるのでございますけれども、先ほども申し上げましたように、防衛庁側におきましても、今の段階で将来原子力船はもちろんのこと、他の艦艇にも原子力を利用するということを考えてはいないようでございますので、私どもは、その点につきましては安心をしておると申しますか、そのようなことにはならないものと思って、もっぱら平和目的の原子力船をつくるということに、まあ何と申しますか、努力をいたしておるわけでございます。――今ちょっと発言に抜けたところがあるようでございますので、つけ加えさして訂正さしていただきたいと思いますが、「平和目的以外に使わないという決意」の問題であると、そういうことでございますので、訂正させていただきます。
#95
○松澤兼人君 それでは、原子力の炉に関しては、防衛庁にもそれほどの専門家もいないし、また防衛庁自体としても現在の段階では、潜水艦にせよ、あるいは軍艦にせよ、建造するという考えがないということで了解ができたわけですけれども、この問題は、この法案審議の最終の段階において、政府当局にもう一度念を押して適当な決着をつけたいと思っております。
 造船の分野では相当の技術者も防衛庁にいると思うのですけれども、造船の点でも、そういう防衛庁の造船技術者という人たちの助けを借りない、あるいは出向を求めないということで、他の民間の方々によって間に合わせることができると、こういうふうに了解してもよろしゅうございますか。
#96
○政府委員(内田常雄君) お尋ねのとおりでございます。
#97
○松澤兼人君 それでは、その次の問題としまして、炉の問題ですけれども、私も炉のことについては専門家じゃないので、全くやみくもなんですけれども、三十二年からこの問題に取り組んでいらっしゃるということで、炉型の決定はなされておりますかどうですか。もちろん軽水冷却型が適当であるということは一応わかるわけですけれども、その中で沸騰水型にするとか、加圧水型にするとか、炉型の決定につきましては、もう内部で意見は固まっておられるのですか。
#98
○政府委員(島村武久君) お尋ねのとおり、原子力船を開発いたします場合に、とるべき炉型といたしましては、軽水型がいいという考え方につきましては、すでに原子力委員会でも長期計画に述べているところでございますが、加圧水型にするか沸騰水型にするかということにつきましては、まだ正式にきめておりません。
#99
○松澤兼人君 それは事業団が発足いたしましてから、技術者の間で十分討議をして決定するということですか。
#100
○政府委員(島村武久君) 原子力委員会の考え方といたしましては、型の決定そのものも、一切をあげて、従来委員会が考えました以外の点につきましては、実施の面と関連がございますので、事業団の責任においてやってもらったほうが、事業団のためにもよかろうという考え方で、原子力委員会として炉型を加圧水型、沸騰水型ということを示して仕事をやってもらうということでないほうがいいだろうという判断に基づいたわけでございますけれども、しかし、そうでない御意見もかなりあるわけでございます。実は衆議院で御審議の際に、それはこの法律にもございます基本計画の中で、原子力委員会の意見もいれて、そしてきめたらどうだ、むしろそういう問題こそ原子力委員会がみずからの責任できめたほうがよくはないかという御意見もございました。その点につきましては、まだ基本計画をきめますまでの間に時間的な余裕もあることでございますので、どちらの責任においてきめるかという点は、十分検討いたしましょうというふうにお答え申し上げた次第でございます。いずれにいたしましても、実体的には、現在の段階では事業団の理事長の判断というものに一番待ちたいと思っておりますが、しかし、原子力委員会の責任においてきめたほうがいいということでもありますれば、原子力委員会において理事長の意見も十分聞いた上で、原子力委員会の責任においてきめるというふうなことにいたしてもいいという考え方でおります。いずれにいたしましても、この計画がスムーズに参りますように今後考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
#101
○松澤兼人君 法文によりますというと、「事業団の業務は、主務大臣が定める原子力船の開発に関する基本計画に基づいて行なわれなければならない。」し、「主務大臣は、前項の基本計画を定めようとするときは、原子力委員会の決定を尊重しなければならない。」ということでありますから、原子力委員会の決定が、そっくりそのまま主務大臣の計画になるようにも考えられますが、そしてまた、事業団が業務を計画する、実施する場合において、基づいてするけれども、ある部分は自由裁量の余地もあるように考えられる。法文の読み方としては、今申し上げましたとおりじゃないかと思うのですけれども、今、局長のお話を聞きますというと、何かこうニュアンスがあるような御答弁だったのです。これはどういう意味なんですか。
#102
○政府委員(島村武久君) 御質問の御趣旨そのとおりでございまして、法律上は事業団の義務といたしまして、業務の遂行ということは主務大臣のきめますところの基本計画によってやらなければなりません。また、主務大臣はその計画を定めます場合に、原子力委員会の決定を尊重しなければならぬということになっている。したがいまして、お尋ねのとおり、また、法律に書かれたとおりの問題でございまして、つけ加える何ものもないわけでございますが、問題は、原子力委員会の決定ということと基本計画ということの範囲の問題、これは実は事業団の運営につきましても、もとになります考え方は、第一条の目的の中にもございましたように、「原子力基本法の精神にのっとり、」そうして原子力基本法におきましては、原子力委員会というものの、何と申しますか、位置を規定しておるわけでございます。これは、できます限り、もう総理大臣の尊重ということもそこにうたわれておりますし、その精神を盛り込んでこのような規定を置いておりますので、内容的には一致することが望ましいわけでございますが、形式的には必ずしも一致しない、原子力委員会がどの程度のことを決定するか、主務大臣がそれとそっくりそのままでいいと考えて基本計画をつくるか、あるいは、それにつけ加えて基本計画をつくるか、また、事業団は基本計画に書かれていないことについては、当然これは自由裁量。余地を持つわけでございます。その間の関係は、ただいま申し上げましたとおり、だんだんに詳しくなっていくと考えるのが一応の筋でございます。委員会と総理大臣あるいは運輸大臣、政府のきめます基本計画との間には、できれば
 一致したものであることが望ましいと考えているわけでございます。
#103
○松澤兼人君 原子力委員長なりあるいは科学技術庁の長官が両方のかなめになっているという点で、両者が食い違うことはまずなかろうと思います。先ほど御説明がありましたように、事業団が必要であれば原子力委員会の意見を聞くということ、法律的にはそういう筋合いになっておらないのであります。主務大臣の決定した開発基本計画というものに基づいて事業団が業務を実施する。その基本計画は主務大臣が原子力委員会の決定を尊重してきめるということになっているのでありますが、われわれが考えますことは、事業団が直接原子力委員会に相談をしながら業務の細目を実施していくことが必要ではないか。炉型の決定などにおきましても、絶えず連絡をとりながらやっていくほうが実効が上がるのじゃないかというふうに考えて、そういう質問をしたわけなんですけれども、実際上は、科学技術庁の長官なりあるいは原子力委員長の立場で両者に関連があるわけですから、実際にはスムーズにいくと思いますけれども、法律の建前が、全然別個のような形になっておりますので、心配をして申し上げたわけなんです。実際上の運営としては差しつかえないというふうに了解してもよろしゅうございますか。
#104
○政府委員(島村武久君) そのとおりでございます。
#105
○松澤兼人君 そうしますと、炉型の決定というのは、大体いつごろまでにでき上がる予定ですか。
#106
○政府委員(内田常雄君) 先ほどからの問答にございますように、この基本計画の中で炉型をどこまできめるかということにつきまして、これはきめ方なんでございまして、軽水冷却型ということだけにしておいて、加圧水型にするか沸騰水型にするかは、これは事業団の理事長を中心とするその後の検討にまかせることにするか、あるいは軽水炉の中でも二つのうちのいずれにするかまでも基本計画できめてしまうかという問題でございまして、これは一長一短のある型でございますので、その判断をつけることは必ずしも困難なことではありませんので、どこまできめるかということ、したがって、もう基本計画は、この事業団が発足をいたしましてすぐ仕事に着手するのでありますから、軽水炉までということできめるか、あるいはそれ以降の細目に踏み込むかということを、科学技術庁と原子力委員会と打ち合わせをつけまして、至急にきめるつもりでございます。
#107
○松澤兼人君 それから先がむずかしいのじゃないかと思うのですけれども、たとえば沸騰水型を推薦しているGEであるとか、あるいはその反対の立場に立つウエスティングハウスとかいうアメリカにおける大きな炉のメーカーが日本のそれぞれの系統の商社と関連いたしまして、相当まあ自薦他薦というようなことをやってくるのじゃないかと思いますが、こういう問題に対して、一切のそういう運動やあるいは陳情などをとり入れないで、純粋に技術的にこのどちらの炉がいいかということを決定できるようになっていればいいのですけれども、その点はいかがですか。
#108
○政府委員(内田常雄君) お説のとおり、たいへんむずかしいことでございます。でありますから、理事長の任命をいたします際に、一社一方面に偏するような、そういう人物を、理事長としていかに有能であっても、選ぶわけにはいかないということを先刻申したわけでございますが、いずれにいたしましても、重水冷却型にするとか、あるいは黒鉛を減速材に使うようなそういう炉にはなりませんので、軽水炉ということがきまっておって、軽水炉のうちの二つのどちらをとるかということは、理事長をも交えまして、もう一度総合的に、原子力委員会、科学技術庁と打ち合わせをしまして、きめて参るのがいいと私は思います。したがいまして、形式的にはもう基本計画の中に細目の炉まできめないで、私の考えでは、軽水冷却型、舶用炉というところまできめておいて、そのほかこの基本計画の中には、いろいろ機関計画でありますとかいろいろありますので、炉型だけにこだわらないで、今までここ数年間、原子力船事業団ができますまでに、他の機関がございまして、御承知のとおり原子力船研究協会というようなものがございまして、これやら、あるいは運輸省の運輸技術研究所、あるいは科学技術庁などが入りまして出た結論がございますので、それらを参酌してきめて参ることが私は可能であると思います。
#109
○松澤兼人君 その二つの炉の利害得失ということは、どういうことですか。
#110
○説明員(村田浩君) 沸騰水型と加圧水型と二通りあるわけでございますが、いずれも先生御指摘のとおり軽水冷却型原子炉に属しております。したがいまして、本質的には同じ系統に属する原子炉でございます。ただ違いますところは、原子炉の圧力容器の中で、燃料から出ます熱を除去する水、これの圧力を非常に高い圧力のもとに押えておくか、あるいは若干低い圧力で中で沸騰するのを許すか、この点の違いだけでございます。御承知のとおり、すでに陸上におきましては、この両方の型の原子炉が、いずれも相当大規模の容量の原子力発電所としましてアメリカで実現されておりますし、ヨーロッパでもすでに建設が進みまして、遠からず幾つかの同じような型の軽水冷却型の原子力発電所が稼働するところに参っております。なおまた、船舶用としましては、現在、原子力潜水艦、サバンナ、レーニン等を含めまして、合わせますと、およそ四十数隻、五十隻近くが稼働しておる模様でございますが、艦船並びに船舶は、いずれも軽水型の原子炉を使っておる、そういった点から見まして、軽水炉が適当であるというふうに原子力委員会では一応計画の中でおきめになったわけでありますが、このうちで加圧水型と沸騰水型というもののそれぞれの特色を、どのように見ていくかということが、最後に型をきめる際の判断を要する点であろうと思います。
 わが国の技術的な実力、それから信頼性、そのほか何といいましても、実験してではございますけれども、むやみに高くなるということでも困りますわけで、そういった点から見ての判断、そのようなものを加えまして加圧水型であるか沸騰水型であるかということをきめて参ればよろしいのではないかと思います。先ほど局長のほうからも説明がございましたように、昭和三十二年以来今日まで総額約五億円近い金を投下しまして、補助金及び委託費等を使いまして、研究、開発をやってきておりますが、その中でも加圧水型を使った場合の研究と相並びまして、沸騰水型の原子炉を使いました場合の研究も、いずれも並行してこれまで開発されて参っております。したがいまして、そういった研究、開発の成果、報告を十分に検討いたしまして、最終的にきめていくことになろうかと思います。
#111
○松澤兼人君 実際運航している船舶といえば、加圧水型というふうに聞いておりますけれども、それはそのとおりですか。
#112
○説明員(村田浩君) 私ども承知している範囲では、そのとおりでございます。
#113
○松澤兼人君 安全性ということからいいますと、加圧水型のほうが非常にすぐれているが、経済性ということからいうと、沸騰水型のほうがすぐれているというふうにも聞いておりますが、それはそのとおりですか。
#114
○説明員(村田浩君) 舶用炉につきましては、ただいまのところまだ沸騰水型の原子炉を使いました船舶はございませんようでございますけれども、陸上炉につきまして、先ほど申し上げますとおり両方の型の大型の原子力発電所が次々と建設され、運転されております。それらのデータ、あるいはそれらをもととしまして試算しましたコスト・データなどを見ますと、最近の情報は、必ずしも加圧水型のほうが高い、あるいは沸騰水型のほうが特に安いということではなく、ほぼ相似たコスト試算が出ておるようでございます。
#115
○委員長(田上松衞君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#116
○委員長(田上松衞君) 速記をつけて下さい。
 他に御発言もなければ、本日はこの程度にいたしたいと思います。
 これで散会いたします。
   午後三時四十分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト