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1962/05/16 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 運輸委員会 第21号
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1962/05/16 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 運輸委員会 第21号

#1
第043回国会 運輸委員会 第21号
昭和三十八年五月十六日(木曜日)
   午後二時五分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     金丸 冨夫君
   理事
           天埜 良吉君
           谷口 慶吉君
           天坊 裕彦君
           岡  三郎君
   委員
           江藤  智君
           野上  進君
           平島 敏夫君
           相澤 重明君
           大倉 精一君
           小酒井義男君
           吉田忠三郎君
           浅井  亨君
           加賀山之雄君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 綾部健太郎君
  政府委員
   運輸大臣官房長 広瀬 真一君
   運輸省海運局長 辻  章男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       吉田善次郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○海運業の再建整備に関する臨時措置
 法案(内閣提出、衆議院送付)
○外航船舶建造融資利子補給及び損失
 補償法及び日本開発銀行に関する外
 航船舶建造融資利子補給臨時措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(金丸冨夫君) ただいまより運輸委員会を開会いたします。
 海運業の再建整備に関する臨時措置法案及び外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、以上二法案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。
#3
○相澤重明君 海運局長にお尋ねをするわけですが、今回の利子補給を行なうのに対して、前回御答弁をいただいた中で、現在までの計画造船の総貸付は二千三百二十億と言いましたかね、それで現在千七百億ほど残っておると、利子補給としては大体百十億ぐらいですね、そのうち返ってきたのが五億ぐらい、こういう前回御答弁をいただいたと思うのです。そこで、今回のこの法律が実施された場合、毎年どのくらいずつの利子補給というものになるのか、いま一度ひとつ聞いておきたいと思います。
#4
○政府委員(辻章男君) 利子補給は、今回の法案改正によりまして、開発銀行が今後結びますものは十年、それから市中の金融機関に関しますものは七年でございまして、それからまた補給率が、開発銀行については二分五厘、それから市中金融機関に対しましては三分一厘というふうに厚くなるわけでございます。で、これは利子の補給の支払いは、半カ年後払いというふうなことになっております。そういうことで、今後の利子補給の財政負担でございますが、これはいろいろな仮定を置きませんと出てこないのであります。大体五十万総トン程度の船を年々作っていくとして参りますと、昭和四十七、八年には年間約十七億近い負担になるという算定になっております。
#5
○相澤重明君 そうしますと、具体的にひとつ――何かやはり資料を作ってあると思うのです、三十八年度の予算、それから三十九年度の目標があると思うのですね、それをひとつ、四十五年度までに対して一応の計画を御説明いただけませんか。
#6
○政府委員(辻章男君) これは、先ほど申し上げましたように、三十八年度では五十万総トンの建造を予定いたしておりますし、三十九年度以降も大体五十万総トンということを前提にしての試算でございますが、三十八年度は予算要求いたしておりますように十三億九千万円でございます。三十九年度になりますと、これが二十三億ということで、約十億足らずふえるわけでございます。それから四十年は、概数で申しますと三十二億でございます。それから四十一年度が約四十億、それから四十二年度が四十五億、四十三年が五十億、四十四年が約五十七億、それから四十五年が六十二億、四十六年が六十六億、四十七年が六十九億、四十八年が大体約六十九億――五十万トンというものをずっと今後続けていくとしますれば、これは六十九億台というのが最高になりまして、これが大体横ばいにいくというふうな試算をいたしておる次第でございます。
#7
○相澤重明君 そうしますと、現在までの考え方で利子補給についての考えはわかったのですが、前回補足説明をいただいたように、四十五年度を目標に千三百三十五万総トンの外航船舶ということになると、今のたとえば四十八年というのか、五十年というのか、この十カ年計画というのか、そういうものに対してはどのくらいの総トン数を目標にしておるのか。四十五年度はわかりましたが――四十五年度には所要外航船舶は千三百三十五万総トンである、こういう御説明をいただいておるわけです。したがって、それ以降本やはり五十万総トンずっという計画造船の考え方である、こういうふうに受け取ってよろしいかどうか。
#8
○政府委員(辻章男君) 先ほど申し上げました五十万総トンという、各年五十万総トンずつ計画造船をやるといいます数字は、いわば腰だめでございまして、これはそのときの日本の経済状態、それからまた財政事情等を勘案しまして、今までも年々の建造量というものをきめてきたわけでございますが、将来におきましてもやはりそういう考え方でいかざるを得ないのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。で、言葉をかえて申しますと、一応所得倍増計画の終わります四十五年に千三百三十五万総トンの外航船舶を持つことを目標にしまして年々のことを考えておるわけでございますが、それ以降の問題につきましては、今のところ具体的なプランはないということでございます。
#9
○相澤重明君 それからいま一つは、できるだけ合理化をするために五十万総トンくらいの手持ちというものは会社として持ってもいいだろう、あるいは系列を含む場合には百万総トンくらい、こういう考えですね。そうしますと、四十五年度千三百三十五万総トンというと、算術平均でいけば十二、三のいわゆる会社になる、グループになる、こういうふうに行政指導をしていくという考えなんですか、これはどうですか。
#10
○政府委員(辻章男君) 保有船舶五十万重量トン、それから扱い船を含めまして百万重量トンといういわゆる集約の基準は、整備計画を出します際でございますので、おそらく本年度の秋から冬にかけての期間に締め切りをいたしたいと考えておりますが、その時点におきまする最低限の考え、基準でございます。したがいまして、今お話がございましたように、それらのグループが出されましたものが四十五年におきましてはどうなるか、それらのグループがどういうふうにでき上がっていくか、それが今後どういうふうにできていくか、どういう船を作っていくかという見通しの問題になるわけでございますが、ごく大ざっぱな見通しといたしましては、現在約総トンにいたしまして七百万トン程度の外航船があるわけでございます。千三百三十五万総トンと申しますと倍近い数字になるわけでございますから、現在の集約されました規模のものが平均的な建造をやっていくとしますれば、百万重量トンで出発したものならば四十五年度には二百万重量トンくらいの単位になるだろう、そういうふうに私どもとしては今想定している次第でございます。
#11
○相澤重明君 現在の業者ですね、この運航業者とか、あるいはタンカー業者とか、貸船業者、これが政府の資料によると、百四十四社あるわけですね。それで、前回大体いいところということで出してもらったのが、外航船舶について五十四社――五十七社か八社あるのだけれども、その内容について不十分の点もあるので、五十四社を資料としてお出しをいただいた。そこで、もちろん、オペレーターとオーナーとの関係というものは、衆議院の段階においてもずいぶん議論をされたようでありますが、今言った百四十四社あるものが結局集約を行なうということがこの法律の建前なんだから、それが特に外航船舶については国が利子補給までして育成をするということであるから、これはやはりグループをどうしても大きくして、そうして国際競争力というものを培養していくというのが私は建前だと思う。そうすると、どうしても今たくさんあるものをできるだけ圧縮していく。しかし、その間の政府の説明によれば、五年ですか、この期間というものを見て、それで再建のできないものは、これはまた別に考えなければならぬ。当面五カ年間のうちにできるだけそういう集約をして国際競争力を培養する、こういう建前だと私は思う。そうすると、やはり青写真というか、スケジュールというか、そういうものがなければ、私は実際に政府の行政指導の面で身が入らないと思う。法律だけは通った――利子補給だけは、再建整備計画を出さして、出されたものには利子補給できるけれども、結局はそういうことができないような形に残されるものがあるのではないかという心配がある。で、極端な議論をすれば、もうどうせ採算がとれない、あるいはこういう国会での議論、立法府での議論にそぐわないものはこの際つぶしてしまえ――悪口を言えば、つぶしてしまえ、切り捨ててしまえ、一面においてはこういうことも言えるわけです。けれども、われわれの考えているのは、今総トン数にして、四十五年度を目標に、とにかく千三百三十五万総トンなければ、国際競争力の中でも決して優位性を持つわけにいかない、こういうところに政府のねらいがあると思う。それをやはりやるには、悪いから、あれは政府の意向になかなか沿わないからという、単に通り一ぺんだけでは、私は決してトン数をそういうふうに維持できないという心配をするわけです。そういう点についてどうお考えなのか、大事なところですからひとつ聞かしていただきたい。
#12
○政府委員(辻章男君) 先ほど申し上げましたように、グループの最低の基準を、保有船舶五十万重量トンを含めまして運航船舶百万重量トンというふうに基準を置いたわけでございますが、これは大体総トンで八百万トン足らず、重量トンでは千重量トンぐらいになるわけでございまして、そういたしますと、百万重量トンという最小の基準で集約が行なわれたと仮定いたしましても、最大限十ぐらいではないかというのが、百万重量トンというものを考えましたときの、私どもも、それからまたいろいろ学識経験者の方々も、そういうふうなことを頭に描いて百万重量トンということにされたわけでございます。現実の動きは、私どのいろいろ伺っているところによりますと、大体七、八、十以内の集約のことがいろいろと今努力されておる状況でございまして、集約の姿としてはそういう方向でいいんじゃなかろうかと考えておる次第でございます。
 それでなお、御質問の、自立体制の条件に合うことができなくて恩典が受けられない、そうなれば、集約の中に入らなくて、何といいますか、自分の道を行こうというふうな企業もあるんじゃないかというふうな御趣旨かと思うのでございますが、私は中にはそういうふうな企業が全然ないとは申し上げられぬと思うのでございますけれども、やはりこういうふうに日本の海運界が大きく集約化されまして、集約の単位として、営業活動をやり、対外的にも対抗していこうという情勢でございますので、海運界の全体の空気といたしましては、いずれかの集約の中に入って自分らの会社の今後の発展を期していきたいというのが圧倒的な空気でございますので、的確にどの程度にどうという数字的なことを申し上げる資料はないのでございますけれども、大勢的には、大多数の海運会社というものはこの集約の中に入っていくであろう、かように考えておる次第であります。
#13
○相澤重明君 そこで、まあ今の考え方は、私どももそう思うわけですね。まあそうしなければいけない。そうすると、前回の委員会で河野君からオーナーの問題が質問されましたね。そのときに、いわゆる現在の二〇%近いのですか、それを一八%なり一七%なりに将来は下げていくと、できるだけオーナーを少なくする、こういう質問だったと私は思うのですよ。そうすると、この貸船に対して、はたしてこれが系列という形に入るかどうかということが非常に心配をするわけです。やはり運航業者自身が、外航船舶として、政府の利子補給を受けながら、あるいは市中金融の融資を受けながら作っていくとすれば、貸船自体というものはそれだけ必要性はなくなってくるんじゃないか。むしろまた、それがほんとうの形ではないかという点が考えられるわけです。ですから、一方においてはそういう集約をして大きくなっていく業界が、今あるところの二〇%近い貸船業を、さらに今後もそれをふやしていくということがはたしていいのかどうか。むしろそれはなくなっていくという方向がいいのではないかという議論もあるわけですね。そういう点について、この間の河野君の質問に対して、私、最終的に――最後までいなかったので、どういうふうに政府がお考えになっておるかという答弁を聞きそこなったので、いま一度聞かしてもらいたい。今後はどういうふうにお考えになるか。
#14
○政府委員(辻章男君) 当委員会に資料を提出いたしました業態別の外航船舶の保有状況と将来の見通し、四十五年度における見通しでございますが、これは今お話がございましたように、現在は約六百六十万総トンの外航船舶の中で、貸船業者の占めておりまする比重が約二二%ということになっております。今後、四十五年度の千三百三十五万総トンのときには、これは推定でございますが、おそらく一六%ないし一九%というふうに、現在よりも貸船業者の保有する船舶は減るであろうということを資料として提出したわけでございますが、これの根拠は、最近の専用船及び船型が非常に大きくなったというふうな事情によりまして、建造の中に占めまする運航業者と貸船業者の比率が、運航業者が圧倒的に多くなってきたと、この傾向は今後も続くであろうということを考えまして、そういうふうな推定をしたわけでございます。先日河野委員からも御指摘がございましたが、貸船業者はむしろ少なくすべきじゃないかというふうな御意見があったわけでございますけれども、これに対しましては、われわれとしましては、特に貸船業者をふやす必要はないけれども、特に政策的に業者の数を少なくするという必要もないのではないか。これは各企業者の判断によりまして、合理化のために集約、合併、統合するということは非常にけっこうではございますけれども、政府としては特にこの貸船業というものを社数を少なくするという必要はないじゃないかという態度をとったというふうに御説明申し上げた次第でございます。まあ貸船業者と申しますのは、御承知のように、これは船員もつけまして、それからその船の修理というものも貸船業者の責任でございまして、船があと燃料を積めばすぐ稼働し得るという状況で運航業者に提供いたしまして、いわゆる定期用船契約というものを結んでおるわけであります。大体の現在の傾向からしまして、非常に経費の節減をはかっておりまして、船員の給与なんかにおきましても、いわゆる大手の運航業者と貸船業者との間には給与の差があるというような状態でございます。そういうことで、船員のコスト等船舶経費につきましては非常な節減をしてやっておるということでございまして、これを運航業者に合併しますれば、そういう面では、また船員費が同じ社になりますと上がるというふうな、まあマイナス面もあるわけでありまして、それらの点につきましては、各企業者の企業判断に待っていいのじゃなかろうかという態度をとっておるような次第でございます。
#15
○相澤重明君 今局長が説明をしたように、私ども実はオーナーの問題については非常に心配をしておるわけなんです。これは言葉を悪く言えば、運航業者が貸船を若干残しておくということは、今お話のあったように、船員自体についても、労働条件についても、あるいは賃金条件についても、差があるわけですよ。それが一つの標準になるわけです。こういうところに、日本の労働者階級のいわゆる生活賃金というものを引き上げない、押える一つの策とも考えられるわけです。まあしかし、それはそう悪くとればということであって、私は必ずしも船舶保有者がそういうふうだとは思っておりません。近いうちに船舶協会も総会を持つようでありますが、私はやはり、いろいろ船舶協会の首脳部の人たちの出しておるパンフレットを読んだり、あるいは意見を聞いてみるというと、必ずしも労働者階級に対する正しい判断というものをしてないのじゃないか。だから、何かそういうふうなものを作っておけば、それが一つのてこになって、そして押えることができるのではないかというような心配をするわけです。そういう点が、政府の今言う、ヘビのなま殺しみたいな、置けばまあとにかくじゃまではないと、無理に押える必要もない、こういうようなことだけれども、前回も意見のあったように、なるほど、船を作りたいという、自分が仕事をやりたいということについては、国民の固有の権利ですから、だれがやるということもいいことです。いいことだけれども、国民全体の税金というものを利子補給という形でその業を育成する、しかも国際収支の面で非常な大きな期待を寄せる、いわゆる基盤を強化をするための今回の集約なりあるいは利子補給ということから考えてくると、そういう点も何かちぐはぐな感じを受けるわけですよ。今局長の説明をいただいたように、運航業者が融資なり利子補給をしてもらって作れば、そのほうの重量トンがふえるから、確かにパーセンテージからいえば、御説明いただいたように、私は昭和四十五年になるほどそれは一六%なり一九%ということが言えると思う。言えると思うが、それだけでは行政指導というものがはたしていいだろうかという心配をするわけです。むしろ全体のレベルを上げるように、国際競争力にも、私どもはとにかく、まあよその国よりも絶対に負けないのだと言ったところで――よその国のこともあるから、その独善的なことは言えないと思うけれども、とにかく何とか日本の国際収支の改善の面でいい方向に出るようにしていかなきゃならぬというのが私は至上命令だと思う。その至上命令について、今の点について少しまだ私ども理解するのになかなか困難な点があるわけです。そういう点について、できればいま少し御説明いただきたいのですが、どうしたらいいか。
#16
○政府委員(辻章男君) 先ほど申し上げましたように、運航業者が現在はもう九割以上も実は船を作っておりまして、この傾向は今後ますます強くなっていくんじゃないかと思います。したがいまして、今御指摘ございましたように、非常に国民の税金を集めまして利子補給で作った船を運航業者に持たすほうが国際競争力の強化には役立つのだから、それに集中するようにという御趣旨かと思うのでございますけれども、現在の傾向がすでにそうなっておりまして、今後も集約したものに集中していこうというふうにわれわれも考えておるわけでございます。その集約されたグループの中にオーナーというものも一部入っておりますので、これを、何と申しますか、制度的に全然作らせないというふうな建前にすることは、またこれらの貸船業者というものの非常な感情的な反発を招くおそれもあります。現状がすでに運航業者中心になっておりまする傾向がだんだん強まるということならば、建前としては、しいて貸船業者には一切作らせないというような制度的なことをとる必要はないのではなかろうか、十分、今先生が御指摘ございましたように、運航業者に利子補給がついた船はほとんどが集中していくということになりまして、結果として支障がないのではないか、かように考えている次第であります。
#17
○相澤重明君 だから、いま一本突っ込んだところのものがほしいわけですね。私は、端的に言えば、貸船業者といえども、そういう親代々からやってきた人もあるだろうし、それからまた、朝鮮動乱やスエズ動乱によって、そしてやはりこれは国策にも沿うことだからといってやった方もあるだろうと思うのだ。ですから、そういう人を行政指導面でやはり何とかその仕事を伸ばしてやるというには、一つの私のざっくばらんな意見だけれども、そういう人たちにも運航業者になれるように指導はできないのか。今はオーナーとしての立場だけしかとってないけれども、これはあなたが説明されるように、船舶の保有者というものが普通の運航業者という立場で考えれば、自分よりも率をよく借りる必要はないでしょう。だから、さっきも言うように、労働条件にしても、賃金にしても、貸船業のほうが低いのです。運航業者の人から見れば、この市中金融なり開発銀行の金融で、そして利子補給までもらってできるならば、運航業者自身は自分でやります。そうでしょう。それがあたりまえです。幾らかそこに差ができる、あるいは荷物が非常に運航業者にたくさんとれるという目標があるときに、貸船業者からこれは借りるわけです。そうでしょう。そういうことからいけば、採算のとれないことを運航業者がやるはずはないのだから、採算のとれるようにしていく、それがまた企業合理化でもあるわけです。ところが、一面においては、貸船業そのものでやれば、今言ったやはり幾らか自分が今度は船を持っておるという面では経営者ですから、だから、船の修繕にしても、あるいは労働賃金にしても、運航業者が持っておる場合とはやはり違わなければならないものが出てくると思う。そういう面で、現在二二%という数字がここに出ておりますね、この人たちに対する育成というものを考えなくちゃいかないのじゃないか。それが政府の言うように系列に入ってくればいいけれども、どうも系列に入ると、自分のせっかく父祖伝来の仕事をしておって、それでもう大きい中に入るんですから、自分の意見というものは通らない、こういうことになれば、たとえ小さくても、サンショウは小粒でも自分はこの仕事をやりたいというのが人情じゃないか、私はそういう点を考えて、このオーナー問題について、まだ政府の行政指導をこれからやろうとするのに、何か一本歯が抜けたような、今一歩というところが足らないような気がするわけです。そういう点についてはどうお考えですか。
#18
○政府委員(辻章男君) 貸船業者が運航業者に転換できるようなことを考えてはどうかというふうなのがおもな御趣旨かと思うのでありますが、これは、貸船業者として海運業を続けていくか、あるいは運航業者に転ずるかということは、その各社の一つの大きな企業の根本方針でございまして、これをこう転ずべきだと私どもが指導するということはいかがかと考える次第でございますが、しかし、貸船業者の中に最近運航業者に転じてきた者も二、三例はございまして、結局これは、集荷力と申しますか、荷主との結びつきがどの程度あって、これによって、自分として貸船業というようなことで、運航業者にその船のものを積み、集荷を頼まなければ営業ができないか、あるいは自分みずから集荷をして自分の船を自分で運航できるかという判断の問題と申しますか、そういう力があるかないかという問題にかかるわけでございまして、貸船業者から運航業にそういうめどをつけまして移った者は、今申し上げましたように二、三ございます。今後もそういうことになっていくことにつきましては、私どもはけっこうなことだというふうに考えている次第でございます。
#19
○相澤重明君 今のような御説明をいただければ――たとえばこの幾つかの大きいグループにする場合、その系列に入りたいものは入ってもらう、どうしてもそれはいやだけれども、今局長の説明したような形で、とにかく父祖伝来あるいは自分が貸船業をやってきたけれども、政府のそういう考えであるならば、一つのグループにまた寄って、そうして運航業もやりたいという場合には、それも認める、こういうことになれば、船というものは確かに、切り捨てるとか、なくすということがなくて済むと思います。その点は、私は何もそれをやれというのじゃなくて、それを法律で規制をして、必ずそういうふうに作るのだ、こういうことでなくて、今言った原則論は、やはり集約ということでありますから、そういうふうに指導していく。しかし、それでもはみ出るもの、あるいはそういうふうにいかれないもの、こういうものについての救済策というものを私は聞いたわけです。その点についてはわかりました。
 それから、荷物の積み取りの比率の問題をこの前も御説明をいただいて、大体政府の考えとしては六三%程度に積み取り率をしたい、こういう御説明だったのですね。しかし、日本が戦前に保有しておった船舶、あるいは外国の積み取り比率というものから見れば、六三%でもまだ低いわけですね、そうですね、戦前に比較すれば。そこで、やはり六三%というのを最低の線にお考えになって――いわゆる平均といいますか、最低の線といいますか、そういうふうにお考えになってこれを出されたのか、それとも、できるならばやはり戦前の積み取り比率ぐらいはいけるように政府としては考えておって、そうして当面、現在の四〇%、五〇%というようなものを、とにかく六三%程度まで引き上げるのが第一の仕事なのだ、むしろこれからは、昭和四十五年以降千三百三十五万総トン以上はもっとこの積み取り比率はよく改定をするのだ、こういう考えに立っているのか、この点もちょっと聞かしていただきたいと思います。
#20
○政府委員(辻章男君) これはもちろん、日本の積み取り比率はできるだけ高いことが国際収支の面におきましても非常に望ましいことでございます。私どもとしましては、四十五年度におきまする平均六三%の比率というものを最小の目標として考えてみたい、かように考えておる次第でございます。ただ戦前は、御指摘がございましたように、非常に高いのでございますが、これは現在の中華民国及び朝鮮等は日本との特殊な関係がございまして、これらの地域では非常に日本海運が独占的な地位を保っておったのでございますけれども、戦後の世界の政治経済の情勢の変化によりまして現在のような姿になっておりますことを考えますと、戦前のところまでいくということはなかなか困難かとも思われるのでございます。できるだけ比率を上げていきたいということにつきましては、今申し上げたような考え方をいたしておるわけでございます。
#21
○相澤重明君 そこで、やはり問題になるのは、シップ・アメリカンの問題だと思うのです。そういうことについて政府の基本的な態度というものはどういうことですか。これは運輸大臣にひとつお答えをいただいたほうがいいと思います。
#22
○国務大臣(綾部健太郎君) 私どもはその点につきまして苦慮いたしておりまして、しばしば外務当局を通じまして強硬に申しておるのでございますが、御承知のように、アメリカも非常に船が余っているのです。実際係船が非常に多いのです。そこで、世界の貨物の動きと申しますか、アメリカが貿易の大部分――物資の供給、需要、輸出入とも大部分を占めておるからして、その船によるということによりまして自分のドル防衛もやり、それからまた経済の発展にも寄与するようにやりたいというアメリカの強い国内事情その他もございまして、なかなか日本の思うようにいかないのをはなはだ遺憾としておりますが、今後それは十分に努力いたしまして、事あるごとに政府としてはアメリカ政府に対しまして強く要望いたしておるのが現状でございます。
#23
○相澤重明君 いま一つ、これはほんとうは通産大臣の関係になると思うのですが、しかし、政府ですから、いろいろそういうことも相談をされておると思うのですが、今アメリカ航路といいますか、南米をも含むかもしれませんが、ここにおける外貨の収入と、それからその他の地域、欧州なり、あるいはアジアなり、そういう分類をした場合に、どういうふうなパーセンテージになっておりますか。
#24
○政府委員(辻章男君) 今の御質問は、日本の外航運賃収入の問題でございますか。
#25
○相澤重明君 そうです。
#26
○政府委員(辻章男君) 今御質問ございました地域別の全体の数字ではございませんが、大体外航船舶で運賃収入をいたしておりますものが約二千億余りでございます。その中で定期船の収入というものが五割程度でございます。でありますから、約一千億ということになるわけでございますが、その定期船の分だけでございますが、定期船によりまするアメリカの西岸、東岸――太平洋岸、大西洋岸でございますが、これらの運賃収入が大体五百五十億程度になるわけでございまして、アメリカ関係の運賃収入につきましては、非常に大きな比率を占めておるということでございます。
#27
○相澤重明君 そこで、もちろん、先ほどお話ししたように、貿易とか、あるいは各国との交渉ということについては、外務省なり通産省の関係もこれはできるわけですが、自国船による運賃収入、外航船舶による国際収支を改善をするという中に、これからアジアの地帯における問題についてどういうふうにお考えになっているのか。積極的な意思を池田総理自身が表明されておるように思うのだが、その具体的なことについてはなかなかわれわれにはよくわからないわけです。そこで、政府が今まで討議した中で、今アメリカのこの航路によるところの東西を含んで大体一千億の中の五五%ということがいわれるので、これだけでは私はやはり、積み取り率あるいはその収入からいって、これからもよくなるということじゃないと思うのですよ。やはり市場――マーケットを開拓することが大事なことだと思う。したがって、各国とのそういうことをできるだけ積極的に、私どもは前向きに進む必要があるのじゃないかと思うのですね。そこで、アジアの中でどういうふうに具体的にやろうとするのか。できればある程度国の名前をあげていただいて、三国間輸送の問題をも含んで出してもらえばなおいいと思うのだけれども、そういう点についてはどうですか、今まで御相談されたところは。
#28
○政府委員(辻章男君) これは、東南アジア諸国の傾向といたしましては、御承知のように、いわゆる新興国が多いわけでございまして、大体共通した政策としましては、非常に極端な自国の海運を育成したいというのが一般的な政策になっております。したがいまして、外国船を排除しても自国船に何とかして持っていきたいという非常に強い傾向があるわけでございまして、これらに対しましては、わがほうといたしましては、こういう国際的な海運については、そういうような排他的な政策をとることは望ましくないのだということで、事あるごとに各国に――エカフェ会議等でございますけれども、そういうところにおいて説得にかかっておるような次第でございます。
 それからもう一つ、東南アジア諸国は、やはり海運問題としては、そういうふうに、非常に海運の育成には熱心でございますけれども、そうたやすく海運というものは、船をふやすおけにも参りませんので、定期船等については、日本船でありますとか、あるいはその他の外国船による率が非常に多いわけであります。これらの運賃を下げたい、そうすれば自分らの輸出する原料の売り込みが非常に容易になるということから、海運の、特に定期船の運賃を安くしろというような動きが、これも共通した動きとしてございます。まあそれらに対しては、そういう国が一方的に、運賃を安くしろとか、そういうようなことで、私企業を相手にしてそういうことを言っても、なかなかスムースにいくものではない。また現に、定期船の経営からいって、現在の運賃というものが不当に高いというものでもないという事情を説明して今日までやってきておるというのが、東南アジア諸国に対しまする海運政策に対するわがほうの態度でございます。
#29
○相澤重明君 これはやっぱり外務大臣なり通産大臣の意見を聞かないとよくわからぬけれども、東南アジア地帯の貿易を改善する、拡大をする、マーケットを広くするということは、やはり中国問題というものを私は無視してはできないと思う。私も三十四年に、本院の代表として、御出席の加賀山委員なんかとともに東南アジア各国を回ってみた。ところが、たとえばインドに対するところの国内開発にしても、ソ連なり、アメリカなり、中国なりが、競争をして東南アジアの各国にやはり投資をしているわけです。そういう中で、アジアの中ではやはり中国問題というものは私は無視することはできないと、こう思うのです。まあ朝鮮問題とか中国問題というものは、隣接国であると同時に、アジアの中におけるマーケットについては、私はやはり十分政府も対処しなければならぬのじゃないかと思うのですが、今日まで池田内閣の方向を見ておりますと、あまりそういう点は積極性がないわけだ、実際。だから、それは政治的なものが多分にあるかもしれませんけれども、私は、貿易という、商売というものは、英国型のように、あまりそういうことを考える必要はないのじゃないか。別に商売をしたから、中国と貿易を促進したから、あるいはお互いにそういうことを盛んにしたから共産党がふえるとか、日本の国が赤くなってしまうということはない、事貿易については。そういう面で、一度これは総理にも聞いてみたいし、通産、外務にも聞いてみたいのだけれども、この間も新聞で拝見すると、韓国に米を輸出してくれ、つまり韓国では米をもらいたい、こういう話もあったけれども、その後どうなったか聞いておりませんけれども。制度とか、法律とかというものは、国内的にいろいろ作ってあるものはあっても、とにかく各国と友好関係を深めて、しかも日本の産業というものを発展をさせる、国際収支を改善をしていくということになれば、私はやはりこの貿易というものについては、自由往来と同じように、自由化を政府がやるというならば、むしろそれを積極的に推し進めるべきではないか、こう思うのだがね。この点については、今局長からは概括的な御答弁をいただいたけれども、私は内閣に対しては今少し前向きの姿勢というものはできないだろうかという考えを持つわけなんです。これはどうです、運輸大臣、そういうような話は閣議ではたびたびあったと思うのですが、どういうふうにお考えになっておるのでしょうね。
#30
○国務大臣(綾部健太郎君) 今日、御承知のように、日本に対しましては、日本の物を買いたいという要求は非常にあるのです。ところが、われわれの周囲、すなわち最も隣接区域である中共、朝鮮、インドネシア、インド、すべてドルが不足しているのです。それですから、その貿易を拡大するためには、どうしても長期にわたる金を貸しつけてやる。それから、裏から言えば、長期にわたる低金利の延べ払いを認めてくれという要求が非常に多いのです。しかも、何らの安心するような、延べ払いを可能ならしめるような状態に、ただいま申しましたような国々はないのです。それが日本の悩みでございまして、それについて今後どうするかということを根本的に政府では施策を考えております。物を売るのはいいが、金が取れなければ、結局元も子もなくなる。それに対して方法がないというのが私は現状ではないかと思います。そこで、見返りになるようなりっぱなものがあれはいいです。金がなくたって、物があればいいですけれども、向こうからは、低開発国からはたいした物がない、向こうから要求する物は非常に多いというので、今苦慮しておるのが現状と思います。そうして、それにつきましては、一昨日開きました貿易の最高会議におきましても、もう議論はすべてそこへ集まっておりまして、中共に対するいろいろの、主として鉄、非鉄金属、そういうような製品類、繊維類、またインドにつきましても繊維類、そういうものもずいぶん申し込みもあるのですが、あぶなくてやりたがらない。現に、朝鮮に対しましては、御承知のように、数千億のこげつき債権が出ておる。それをどういうふうにするかということも悩みの一つでございますが、そういう貿易を盛んにしようとすると、そういう問題が一方に出てきまして、その保証のない限り、なかなか困難であろうと政府は思っておりまして、それをどういうふうに打開するかということが、私は池田内閣に課せられた非常に重大な政策の問題であると思います。ソ連は、この点につきましては、支払能力がありますから、この問もようやく、御承知のように、一億三千万ドル――約四百四十億円の船の何が近々調印されるでありましょう。しかし、それは必ずソ連は払ってくれるのです。だけれども、中共はいまだそういうものはありませんし、一番近い朝鮮は数千億に達するこげつき債権が出ておるというような状態でございまして、なかなかむずかしいのでございます。私ども閣議で始終その話が出るが、なかなか思い切ってそういう商談に応ずるような機運はないように考えます。その商談ができるならば、何といいましても、日本が一番地理的にも近いのですから、海運につきましては、戦前と同じように大きな中国のマーケットができるならば、私は海運などというものもおのずから回復の曙光が認められるのではないかと思っているのです。
#31
○相澤重明君 まあ大臣の答弁は、うなずける点もあるわけですね。今のお話の朝鮮というのは韓国を指してのことだと思うのですが、私ども中国にも行ってみましたし、朝鮮にも行ってみたのですが、やはり中国問題というものも、私はもっと政府がほんとうに前向きの姿勢でやれば解決すると思うのです。現に、日中貿易の鈴木君が、専務の彼は、ときどき政府の意をくみつつ、しかも民間の業界のやむにやまれぬ要望によって、中国に渡っては相談をしていると思うのですよ。それは、なるほど、今の国のあり方が違うから、確かに日本の貿易のやり方と中国の貿易のやり方とは違うと思うのです。支払い条件だとか、金融の持ち方だとか、それはいろいろ違うと思うが、そういうことはお互いに話し合えばできることではないか。だから、むしろ、この際、どうせ今のところ、あるいは憎まれ口になるかもしれぬけれども、将来の日本のためには私は大きな足跡を残すことになると思うので、鳩山さんがソ連との国交回復なり、貿易、特に漁業問題なり、今日調印は終わったけれども、ああいう当時、むずかしかったことをやったのだから、この際、池田内閣としても、ほんとうに今のお話のようなことになれば、私は閣僚が積極的に中国側と話し合うということくらいの考えがやはりあっていいじゃないか。で、まあ現在の政府の中で、事海運の問題等になれば、私はやっぱり、運輸大臣が所管の大臣だから、貿易の問題はなるほど通産大臣ではあるけれども、そういう点、あなたはもう政界の元老でもあるんだし、池田内閣にちっとはいやなことを言ったって、そう気にする必要はないと思う。せめて将来の日本の国のために、あるいは両国の改善策ができるとすれば、役に立つ意味で、高碕さんがやはりああして御苦労をされて出かけるように、あなた自身も私は出かけてもらいたいくらいに思う、ほんとうは。だから、そういう点は、もちろん大事なことで、なかなかむずかしいと思うけれども、それくらいの積極性がなければ、さっき「六三%最低の線として考えております」と言ったところで、シップ・アメリカンの問題を考え、あるいはこれからのEECの攻勢を考えるとすれば、日本の国際収支改善策というものは必ずしも波おだやかではない、かなり前途には困難な問題がある。しかし、それをやっぱり乗り越えていく、船を出して、船が相手の国に着くようにしなければ、私は船を作っても意味がない、また積み取り率もよくならないと思うのです。そういう意味で、これはきょう御答弁をいただくということにはならないと思うけれども、せめて、あなたは閣僚の重要地位におるのですから、ひとつそういう点も相談をしてもらいたい、これは私の希望です。そういうことをやれないだろうかという点を考えてみたらどうですか、大臣。
#32
○国務大臣(綾部健太郎君) 相澤先生の御意見、私もしごく同感でございます。微力をそういう方面に尽くしたいと思います。
#33
○大倉精一君 関連。一点だけ関連してお伺いしたいと思うのですけれども、今、東南アジアあるいはソ連等の貿易について相澤君の質問、これに対して、最近ソ連との船の契約が一億何千万ドルというものが調印されたというお話がありましたが、おそらくこれは、去年の暮れでしたか、河合良成さんが行かれまして、約二億ドルの契約を行なった。その後において、政府は、どういう意図か知りませんけれども、ソ連並びにヨーロッパ共産圏に対する船の契約の条件というものを非常にきびしいワクをはめた。あの当時の一体ソ連との契約の条件は、頭金三割、延べ払いは六年でしたか、そういうような契約であったが、今年に入ってから急に政府のほうでは、頭金五割――主〇%、それから延べ払いが三年間ぐらい、こういうようなきびしい、実質的に契約できないような条件をつけたと聞いておりますけれども、これはどうなんですか、そういう事実はありませんか。
#34
○国務大臣(綾部健太郎君) 今の大倉さんの御質問の、頭金三〇%、あと残余延べ払い六カ年というのが向こうの要望であります。われわれといたしましては、そのいろいろな段階を経まして、結論的に、私どもとしても、造船業界その他非常な要望がございますので、政府に六年をのんだらどうかということを内面的にやったのでございますが、そうすることをせなくても、それはソ連のほうでイギリスへ一そうだけをそういういい条件でオーダーをして日本を牽制しているというようなことがわかりましたので、日本としては忍べるだけ忍んで、しかも、それはほしいのであるから、五年五カ月――半年延ばしまして、イギリスは三〇%、五年というやつを、わがほうは向こうのいう六年の半分の中をとりまして五年半ということで妥結したのでございます。五割だとか、三年だとか、そういうようなきびしいことは入れておりません。
#35
○大倉精一君 それで、ソ連とそういう契約ができましてからあとで、ヨーロッパのほうの共産圏との間の契約の進行状況、これは商談が成立しておりませんか、その後において。
#36
○国務大臣(綾部健太郎君) 的確な何はつまびらかにいたしておりませんが、イギリスとたしかソ連が一隻だけはやったかと思います。それは調べてあとでわかりましたら御報告しますが、なかなかわからぬだろうと思います。
#37
○大倉精一君 これは、あとで相澤君が通産大臣あたりを呼ぶというふうな話がありますから、そのとき詳しく聞きたいと思いますけれども、やはりこれは、貿易関係においても、あるいは海運関係においても、日本の自主性ということが大事だと思うのです。これはそのときにあらためて伺いたいと思います。きょうは保留しておきます。
#38
○相澤重明君 それからいま一つ聞いておきたいのだが、今時間の関係でしぼって聞きたいと思うのですが、それは荷役料金の問題なんです。つまり、船内荷役公示料金は、運輸大臣が公示するのでしょう。これはどういうことなんですか。そうだったね。
#39
○国務大臣(綾部健太郎君) そうです。
#40
○相澤重明君 この料金のきめ方ですね、これはどういうふうにしてやっておりますか。
#41
○国務大臣(綾部健太郎君) 所管は私どもの港湾局で、今港湾局の者を呼んでからお答えいたします。
#42
○相澤重明君 それじゃ、港湾関係の人がいないと無理な点もありますから、保留をしておきますが、実は荷物の積み取りをしても、今度は輸出の場合に――輸入の場合もありますが、この前も御説明いただいたように、外国船によるところの支払い、つまり外国船に運賃を支払いますね、これと、邦船による積み取り、これが私どもの国際収支の改善策になるわけですよ。それがまあおよそ二千億と、こう言っておるわけです。それについて、非常にウエートも私は多いと思うのです。この前資料を出していただいた中でも、一体船を動かすのにどういうものがどのくらいかかるかというこまかい資料をいただいたわけですね。その中で、管理費の問題であるとか、荷役料金の問題であるとかいうものは、やはり私どもとして無視するわけにいかないわけです。そこで、その船内なら船内の荷役をする場合の、船内荷役の料金というものは、あまり過当競争であっても困るし、ダンピングをされても因る、こういうことで、運輸大臣がこれは公示料金としてきめるわけですね、そうでしょう。ですから、これがまた、たとえば外国船が日本の港へ入ったときには、日本の人たちがどういうふうにこれを作業的に能率的に、しかも低廉で、つまり日本はなるほどいいとこだと、こういうようなことをやってくれるかということは、大きな問題。と同時に、それをあまりに安くしたり、また合理化政策だけを推し進めれば、日本の労働者の雇用料金というものはまた変わってくるね、そうでしょう。こういう点を、私はまあ実はいろいろ資料を持ってきたのだけれども、運輸大臣が公示料金をきめるには、少なくとも船を持っておる人は当然荷主のどのくらいの荷物を受けるということはきめるわけでしょう。今の法律上の解釈はどうなんですか。これはつまり、船舶の保有者が荷主から荷を受けた場合に、幾らの扱い料を出す、それから今度は直接扱う人、直接の仕事をする人ですね、いわゆるこれは全国でいえば全港振――この間も私が参考人として呼ぼうと言ったのがありますね、そういう人たち、取り扱い業者、これは違うわけですよね。船舶の保有者、それから荷主、そういう人たちと直接荷物を扱う人とは違うわけです。今の公示――たとえば船内の荷役料金というものは、荷物を扱う人もそれでやらなければならぬ、そうでしょう、公示料金だから。ところが、船を持っておって、じゃあお宅の荷物を私どもが引き受けました、このときにも船内荷役の料金でしょう、そういうことになっていないのですか、いるのですか、その点をちょっと聞いておきたいと思う。これは海運局長でわかるだろう。
#43
○政府委員(辻章男君) 現在、海上の運送におきまして荷役の関係の費用をどこが負担するかということにつきましては、大きく分けまして二とおりあるわけでございます。一つは、これは大体、鉄鉱石でありますとか、スクラップでありますとか、いわゆる大量貨物のものですが、これにつきまして船会社が契約いたしますのは、荷役料を含まない運賃で契約するわけでございます。したがいまして、アメリカから鉄鉱石を持ってくるとしますれば、それを船まで入れる積みの荷役料金は出荷主のほうで負担するわけであります。それから、日本へ持って参りまして、それを鉄鋼関係者の岸壁に揚げまする荷得費用というものは受荷主のほう――日本の鉄鋼会社が荷役会社と契約してやるというのが一つの建前であります。それから、いわゆる雑貨、これは定期船関係に積みまする雑貨類でございますが、この雑貨は非常に範囲が広うございまして、トランジスターのようなものから、綿製品、それから玩具、そういうようなものを一切含めました定期船積み貨物の雑貨につきましては、これは全部荷役料金を含めまして船会社が契約をいたしております。したがいまして、横浜から出ます際には、岸壁から荷を受けまして荷さばき料及び船に積みまする荷役につきましては船会社が荷役会社と契約をしてやっていく。また、アメリカならアメリカに持って参りましてニューヨークに揚げます際には、ニューヨークの荷縄会社と契約をしましてこれを揚げていくという、二つの建前があるわけでございます。
#44
○相澤重明君 その二つはわかりました。そこで、私は端的に言っておきたいと思う。たとえば、綾部運輸大臣が元請業者である、港運業者である。金丸委員長がいわゆる作業会社である、つまりその品物を扱う人である。元請業者と作業会社とは違うおけですね、そうでしょう。ところが公示料金というものは変わりはないわけでしょう、公示料金というものには変わりはないわけですね。こういう場合は、どうするんですか。つまり、綾部運輸大臣は元請だと、日本の船の積荷の料金というものは、すべて荷主から船に積むのをまかされた場合は、おれがそれできめるんだと、トン当たり幾ら。ところが、実際綾部運輸大臣は仕事をしないわけだ。綾部運輸大臣は実際に仕事をしないで、金丸委員長に、君のととろでひとつこれをやってくれと言う。そこで金丸委員長は――海運局長がたとえば今度は具体的な仕事をする人とする、作業会社に雇われておる人とする、その人が荷物を、ばら積みにしても、雑貨にしても、やるわけです、扱うわけです。そこに労務費というものが出てくる。だから、この荷役をする人は労務費をもらう。しかし、作業会社を持っておる金丸委員長は、そのほかの計算をする人、通訳の人、いろいろな人たちを雇わなければならぬ管理部門を持っておるわけです、そうでしょう。だから、そういう経費というものが全部含まれて、荷物を扱う場合にトン幾ら、それが公示料金というものになってくるんじゃないかと私は思うんです。そういうことじゃないんですか、どうなんですか。
#45
○委員長(金丸冨夫君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#46
○委員長(金丸冨夫君) 速記つけて。
#47
○政府委員(辻章男君) ただいまの相澤先生の御質問でございますが、所管が港湾局でございますので、港湾局長が参りまして御答弁申し上げるようにしたいと思います。
#48
○委員長(金丸冨夫君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#49
○委員長(金丸冨夫君) 速記つけて。
#50
○大倉精一君 冒頭にちょっとお断わりしておくのですけれども、しばらく委員会ごぶさたいたしておりましたので、あるいは質疑が重複するかもしれませんが、それは御了承願いたい。同時に、この問題非常に大事な問題で、またの機会に十分に質問したいと思いますけれども、きょうはとりあえずお尋ねしたいと思うのですが、この法律の趣旨によるところの、先ほどからのお話しの集約、合併ということですね、この目的の大きなものがやっぱり人件費の節約だろうと思うのですね。人間の問題だと思う。そこで、さっきは七社なり八社なりというお話がありましたが、あるいは六社ということも聞いております。おりますが、そういうことが実現した場合に、余剰人員は一体どのくらい出るという計算をしておられますか、これからまずひとつお伺いしたいと思います。
#51
○政府委員(辻章男君) これは非常に個々の会社の事情によりましてもいろいろと違う点があるのでございますが、まあ費用の点で申しますと、私ども一般管理費の一〇%ぐらいは節約できるのじゃないか、またそう望みたいというふうに考えておる次第でございます。
#52
○大倉精一君 金額で一〇%といいますると、人員にして何人ぐらいになりますか。
#53
○政府委員(辻章男君) これは、一般管理費は人件費だけではないのでございますが、大体海運会社の外航関係の陸員数は約一万名ぐらいというふうに考えております。
#54
○大倉精一君 あるいは一万名でおさまらぬかもしれぬと私は思うのですね。三万人という説も私はあると思うのですよ。いろいろ聞いております。おりまするが、これは専門的にいろいろ目算を立っておられると思うのですけれども、問題は、一万なり二万なりというその余った人員に対する救済策あるいは措置というものを政府はどういう工合にお考えになっておるか。
#55
○政府委員(辻章男君) これは、各会社におきましてこの問題が各経営者非常に頭を悩ましておる問題でありまして、会社によりましてはほかに関係の事業を子会社的にやっておるところもございますし、そういうところに一部配置転換を考えておるところもあります。それからまた、ある会社では、希望退職があれば、そういうふうなものも考えていきたい。各会社ごとにいろいろと考えておりまして、私ども今の企業者から伺っているところでございますとも何とか各会社ごとに解決いたしまして、いわゆる職員を路頭に迷わすようなことはしなくて、何とか切り抜け得るというふうに聞いておるわけでございます。私どももぜひそういうふうに円滑に配置転換等を行なうことによりましてこの問題を処理願いたいというふうに行政指導しておる次第でございます。
#56
○大倉精一君 あるいはこれは労働省の所管かもしれませんけれども、この問題を、まあそういう工合に聞いておるとか承知しておるというのじゃなくて、これをやれば何万人という人間が余る。これは政府の施策によって起こる現象ですからね。この人間の処置の問題については、政府も責任を持たねばいかぬと思うのですね。これはまたの機会に、私は場合によっては総理もおいでを願わなきゃならぬと思う。この前石炭の問題でもって非常に国会でも問題になったのですけれども、これはその縮図ですよ。石炭大騒ぎしましたけれども、海運のほうでは、政府の処置によって一万人、二万人の人が、たとえ路頭に迷わぬでも、食うや食わずの状態になって、これはたいへんなことだ。ですから、これはめどをつけなきゃならぬけれども、運輸大臣どうでしょう、こういう問題は関係閣僚の間に問題になったことありますか、あるいはまた政府のほうとしては特にお考えになったことがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
#57
○国務大臣(綾部健太郎君) 閣議ではさようなる問題はまだ起こったことはありません。と申しますのは、私どもは、これは政府の施策によって前進する――石炭と違いまして、前進する産業でございますから、今海運局長も言ったように、業者の間において適当に処理ができて、私どもはそうそれを、ことに海上勤務員はもう足らぬぐらいですからこれは十分と思いますが、陸上勤務員は、みな非常に優秀な人であるしするから、必ず一方において何しますが、いま一方において、非常に発展する会社ができるのですから、それに配置転換なり、それからその配置転換ができぬ人間に対しては別個の救済策が講ぜらるることを確信し、またそうあるべきであると考えて、閣議等には問題になったことはありませんが、われわれ運輸省当局としてはあらゆる方面からその検討をいたしておりまして、大倉委員の御心配になるようなことはないということを私はここで申し上げても差しつかえないと思います。
#58
○大倉精一君 たいへんどうも力強い御答弁ですけれども、やっぱり心配になるのですね。心配になる。ですから、石炭のようにつぶれる産業ではないとおっしゃいますけれども、現実に余るわけなんですよ、現実にね。余るということはですよ、おそらく企業の合併とかそういう問題は、人間の問題がやっぱり大きな問題だと思う。確かにそれは、優秀な人ですから、他に転業もできるかもしれませんけれども、現在の実情というものは、中年の人が仕事を失ったら、なかなかこれは再就職の機会ないですよ。ありませんよ、これは。ですから、少し運輸省の見方が甘いのじゃないかと思うのですけれども、まあきょうはこれは、私本もう少し検討してみますけれども、政府のほうとしてもちょっとやっぱり見方が甘い。業者のほうからこうだと聞いております、こう承知しておりますということだけでは、やはり心配になる。おそらく労働省のほうもそれが第一の心配になると思うのですね。その不安をやはりなくす責任があると思います。灘者のほうで自主的に措置ができればこれにこしたことはありませんが、必ずしもそうスムーズにはいかぬと思うのです。そういう点について、場合によれば労働大臣にも来てもらって、的確な見通しをつけてみたいと思うのです。そうでないというと、との法案の審議というのは一方的になってしまう。人間のほうも十分にこれはよってきたる現象について検討を加えなければならぬと思うが、きょうの御答弁では、少し楽観し過ぎはしないか。私は依然として心配になりますので、これはまたの機会にお尋ねすることにしましょう。
#59
○岡三郎君 今の問題でも、大臣の言っている言葉を裏づけする一つ具体的な政策をやっぱり出してもらわなければ困ると思う。実際にどういうふうになるのか――石炭と違うと言われているけれども、現実の問題として各会社がそれぞれ余裕があるわけではないのだから、それをどういうふうに適正に配置していくのかという点については、これはやはり重要な問題なので、具体的な資料を伴う御説明をお聞かせ願いたいと思います。この点が第一点。
 それからもう一つは、前回にも言ったのですが、普通の会社であるならば、赤字が年々累増していくということになれば、国が利子補給する前に、やはり借銭をたな上げするか何かして会社の更生策を考えるというふうにして、もっときびしい措置が段階的にとられて、そうして自立更生の方向へ指導されていかなければならぬ。それを、ここまで来て多額なる利子補給等をして再建させるということもわかるのだが、具体的に言って、そういう過程における一つの取り扱いというものが非常になまぬるいような気がしてしようがない。普通ならば、経営者が当然全面的にかわるとか、管理する人が入っていって、その再建策を練るとか、いろいろなことをやるんだが、これをやっていっても、オーナーはほとんど残るとか、やってきた人が一体どれだけの痛痒を感ずるのか、結局、まことに、何というのか、営利会社として国策という舞台に乗ってうのうとしておるというふうな感じにもとれるわけです。で、一般の船会社が人件費等に対してあるいは一般のその他の諸出費についてかなり合理化をしておるというが、そういう点の著しい改善を見たというのはいつごろなんです、真剣に取り組んで赤字をひとつ極力少なくして自主的に再建しようというふうになっていったのは。
#60
○政府委員(辻章男君) これは、利子補給を受けておりまする会社につきましては、利子補給法によりまして、毎年私どものほうと会計検査院と協力いたしまして厳重な経理監査をやっているわけでございます。それにつきまして、もちろん当を得ないものがありますれば、これを指摘いたしまして、改善をさしておる。それから、その後――これは利子補給法の成立してからでございますから、二十八年からやっているわけでございますが、その後も、特にスエズブームが過ぎまして非常に不況になった際に、特に各企業の再建策を出しまして、それについて冗費の節減を非常にきびしくした基準を作りまして、現在はそれにのっとりまして毎年常時日常業務として監査をやっているということでございます。
#61
○岡三郎君 それで、国際的な競合があるし、国際的に待遇というものも比較されると思うのですがね。一体この船会社の中の人件費はどういう経緯をたどっておるのか。つまりまあ、いろいろとあっちこっち支店もありますね。そういうふうな支店の運営費とか、いろいろな面について経費等も相当かかる。こういうふうな面について、具体的に数字として一体どういうふうになっておるのか。で、会社によれば、再建策ということになれば、部課長を減らすとか、それから重役のほうはいろいろ経費を切り詰めるとか、外へ出ているものについても、こういうような点については非常に厳重にやっておりますね、ほかの業種なんかについて見ると。こういう点についても、やっぱり納得されるような資料がほしいわけです。実質的に会社自体の自立更生政策というものを、利子補給された会社についてはこういうふうに監査しているといっても、具体的に内容的にいってどういうふうな――ほとんど人件費とかそういう経費の面ではもうこれ以上切り詰めるわけにはいかぬというところまで来ているんだろうと思うのですが、そういう点はどうなんですか。
#62
○政府委員(辻章男君) これは、私どもの先ほど申し上げましたような監査の結果を見た経緯から申しまして、いわゆる冗費的なものはほとんど一掃されたというふうに考えております。これはもちろん、一般管理費のことでございますので、私どもはもうそういう点について今後の努力は要らぬということではないのでございますけれども、今後も引き続きそういう冗費の節減ということにつきましては目を光らしていくつもりではおりますけれども、私どもの監査の結果を見ますれば大体限界に来ておるのではないかというふうに感じておるわけでございます。
#63
○岡三郎君 船会社にしても、いろいろと、ビルやいろいろなものを建ててやっておりますがね。なかなか苦しいので、そういうふうなことをなかなかできるはずはないと思うのだが、なかなかそういう点も活発にやっておるように見受けられるのですが、ああいう点はどうなっておるんですか。
#64
○政府委員(辻章男君) これは現在、一定額以上の設備投資につきましてはすべて事前に私どものほうの承認を受けさせる制度になっておりまして、一件々々厳重に審査をいたしまして、それが非常に企業の合理化に役立つとか、あるいは今までの経緯上やむを得ぬというもの以外は、すべてこれを押えておるという制度をとっておるわけでございます。
#65
○岡三郎君 スエズあたりの際の好景気ですね、ああいうときのいわゆる利潤の操作というか、やり方、こういうものは一体どういうふうに船会社はやってきたか。昔にさかのぼるわけだが、当時かなりもうかったという話を聞いておるわけだが、そういうものをあとのために十分取っておくというふだんの用意も必要だと思うのだが、なかなかあのときにはかなり景気よく使ったという話も聞いておる。景気がよいときにはぱっぱっと使って、あと困ったら国民の金で補助してもらう、どうもそこら辺が私ふに落ちないのですよ、どうしても。
#66
○政府委員(辻章男君) これは、あの当時におきましても、もちろん私ども非常にシビアな検査をしたわけでございます。と申しますのは、利子補給は、一定限度以上の利益が出ますれば、政令によりまして、これは現行では一割二分をこえた利益に対しましては――これは税引きでございます、そのこえた利益の半額は国庫に納付しなければならぬ。したがいまして、ああいうふうに非常に海運界全体が好況のときには、その利益がどれくらいかということは国庫に納付する金額に影響して参ります。それで、非常に厳格にやりたわけでございます。でございますから、船会社が景気がいいから少しルーズにやろうというふうなことは、私どもの立場から申し上げれば、そういうことは一切させていないつもりでございます。しかし、非常にもうかったことは事実でございまして、あのときには海運界全体で約一千億くらいの利益が上がったと私は記憶いたしております。これが全部船にかわっております。やはりそのときに一千億程度の新造船をした。その船が、この前の委員会でも申し上げたと思いますが、非常に船価が高うございまして、ひどいものは、現在の船価の二倍くらいの船価の船を、俗な言葉で言えば、つかんだ格好になっております。三十三年来不況になって、これが非常に海運界の困っておる大きな要素になっておるというふうなことでございます。
#67
○岡三郎君 それで、これも参考のために聞いておくわけですが、船会社も、十年に一ぺんとか、八年に一ぺんとかいうふうに、いかないということは、世界情勢がそうさしてきておるわけですが、多角経営なんという面について各船会社がどのくらいやっておるか、そういう資料もありますか。
#68
○政府委員(辻章男君) 今手元には持っておりませんが、そういう資料はございます。
#69
○岡三郎君 だんだんと経営状態が変わってくるということも世の常識だと思うのですが、船会社の上場されている株なんか見ても、国内の船会社は割合に景気がいいというか、配当もきちっとしているし、株価も相当なものだと思うのですが、こういう点について、外航船舶がなかなか思うようにいかぬという場合に、この国内のそういう船会社、こういったものについて、やはり新しくそういう方向へ転進するということについては、事実上はあるのかないのか、そういう関連はどうなっておりますか。
#70
○政府委員(辻章男君) これは、今、先生は、国内の海運業は割合いいのじゃないかというふうな印象を持っておられるような御発言でございますけれども、貨物船なりあるいは油を運ぶことに関します限り、内航海運というものも非常に悪いのでございます。おそらく、株式欄等でごらんになりますのは、関西汽船でありますとか東海汽船、これは御承知のように旅客船がおもでございまして、しかもこれらは、最近の観光ブームということで、観光事業もやっておるわけでございまして、それらがいいのでございまして、貨物船の会社といたしましては、内航も遺憾ながら外航に劣らず非常に悪いような状況でございます。今外航の関係と内航の関係はどうなっておるかということでございますが、これは、各会社によりまして程度の差はございますが、やはり外航をやっております運航業者は、大なり小なり内航海運のほうにも手を出しましてやっておる状況でございます。
#71
○岡三郎君 そうするというと、今の点について、外航のほうを助けてやれば、したがって内航のほうにも及んでいくと、こういうことになるのですか。
#72
○政府委員(辻章男君) これは、外航をやっておりまする会社が内航もやっておりますると、その会社におきまするシェアは内航部面は非常に少のうございます。しかし、内航の海運におきまする比重は相当大きなものがございます。しかし、それ以外に、内航だけをやっておる中小の運航業者、これらが相当あるわけでございます。それから、内航問題になりますと、御承知のように、特に瀬戸内海から九州方面にかけましては機帆船という業種がございまして、これらが相当の物資を内航輸送でやっておるわけであります。これらが現在、石炭の合理化によりまして、閉山計画等によって石炭の出荷がだんだん減ってくるということで、非常に苦境にあえいでおるということでございまして、外航海運が立ち直れば内航がそれで済むということではございませんので、実は私どもも一応外航のめどをつけまして、来年度の問題としましては内航の問題もあわせて解決したいということで、いろいろ今検討しておる最中でございます。
#73
○岡三郎君 そうすると、内航も容易でないということになると、内幕外患じゃないけれども、大体内航の船舶というのは小規模の会社が多いと思うのですが、これもやはり借入金をうんとかかえて青息吐息でやっておる、こういう状況ですか、どうなんですか。
#74
○政府委員(辻章男君) 一言にして言えば、やはり借入金が多くて、現在の運賃がなかなか採算に乗りがたいということで、苦境にあえいでおるということでございます。
#75
○岡三郎君 そうすると、やはり今言ったように、外ばかりやって内のほうをほっておくということは、国家的に見てもおかしいことですね。外航のほうの問題があるからこちらのほうが先だという意味もわかるけれども、どれくらい内航のほうをやる場合に積算しているかわからぬけれども、これはやっぱりかなりの手当をしなければならぬというふうに受け取れるのですが、やはりかなりなものですか。
#76
○政府委員(辻章男君) これは今どの程度の財政負担になるかという点につきまして、今後どういうふうな施策をやっていくかによって変わってくるわけでございまして、いましばらく数字的な問題につきましては御猶予願いとうございます。
#77
○岡三郎君 そこで、話しはちょっと変わりますが、同じ敗戦後において船腹関係に非常に打撃を受けた国は、イタリアとか、ドイツとか、そのほかの敗戦国においても、また戦勝国でもかなりあるわけですが、イタリアとかドイツの再建策について、これはどういうふうになっておるのか、ちょっと聞かしておいてもらいたいと思うのだが、現在における状況と……。
#78
○政府委員(辻章男君) イタリアの海運の再建の方策でございますが、これは非常に企業を集約いたしまして、これに財政資金を投入し、また非常に大きな助成をしてやっておるというのが、イタリアのやり方でございます。それからドイツのやり方は、これはやはり日本と同じように、財政資金の投入と、それから利子補給という制度をやっております。それからもう一つ、ドイツのやり方で、非常に成功いたしまして、国家の財政負担もほとんどなしにやったやり方があるのでございます。それはたしか、時期は何年でございましたかちょっと今つまびらかにいたしておりませんが、もう約十年近く昔でございますが、ある一般の会社が海運会社に無利子で金を貸せば、その金を貸したその金だけ損金扱いにして法人税をその期に免除するという制度をしたわけでございます。それが返済されたときにおきましては利益計算に算入するという制度なのでございますが、そういうことによりまして非常に多額の金が無利子で海運企業に入ったのでございます。それがどうして成功したかと申しますと、そのときには政府として、将来法人税を大幅に減税するということを決定したものでございます。非常に利益が出ておる会社でございますれば、今そういうふうに船会社に無利子の金を貸せば、その期の法人税も大幅に安くなる、将来それが大きくなったときに返してもらえば、法人税だけが非常に安くなる、差引企業としては長い目で見れば得だということで、そういう政策をいたしまして、これが非常に成功をいたしております。ドイツについては、そういうふうな非常にやり方の違った点がございますけれども、そういうことで現在までやってきておるわけであります。それから、よく言われますイギリスの海運でございますが、これは戦時補償を全部補償した。戦前、戦争中と戦後の物価の違いも換算いたしまして、たしか二割ないし三割の戦後の物価高というものを加味したものを補償した。それ以外については、償却制度について優遇しておるというふうな政策をとっております。
#79
○岡三郎君 いろいろとそういうふうな政策が諸外国においてかなり早目にとられて、そうして再建策というものが講じられてきた。日本の場合においては、ここまでずっと長く多額な借銭でどうにもならなくなって、こういう措置をとらなければならなくなってきた。その根本原因は一体どこにあるのですか。
#80
○政府委員(辻章男君) これは、根本原因としましては、日本においては、いわゆる戦時補償というものが、これは海運だけではございませんけれども、打ち切られまして、どの会社もほとんどの資産をなくしたわけでございます。そこから――無から出発したわけでございます。それから、占領中におきましては、日本の海運というものは非常に警戒された。あのときは、五千トン以上の船は賠償に取るというふうな一応の内定をしたりされまして、もう外航へ出るということについては全面的に一応の禁止を受けました。占領当局の許可なしには外航に出られないということが二十五年まで続いた。その間に、日本の航権を持っておりました外国船が日本近海にうんと進出してきた。そういうことで、やっと占領政策が終わりまして、日本が外航船を作るようになりましたときには、戦後の海運としては非常に立ちおくれである。そういうことで、何とか日本の海運としては、アメリカ方面も、欧州方面も、早く航権を回復したいということで、国としましても、船ができて外貨の節約、取得をするということで、とにかく船を作れということで、財政資金を投入して船を作ってきた。そういうふうな企業状態でございますので、財政資金を一〇〇%貸すわけでもございませんので、どうしても市中金融機関との協調融資になる。そうしますと・景気のいいときは金融がゆるむわけであります。ところが、景気のいいときは必ず船価が高い。そういうことで、景気のいいときにどうしても造船量が多くなるわけでございますが、それが不況になれば非常な船価高ということで悩まされてこざるを得なかった。そういうふうな事情、要素が重なり合いまして現在のような状況に相なっておるということでございます。
#81
○岡三郎君 そうすると、景気のまにまに船が多く作られたり作られなかったり――そういうふうな段階でやはり国家施策としてとられるべき方策があったような気がするのです。たとえば、今言ったように、占領政策が終わってある程度自由になった、弱小、そういったものが個々に景気にとらわれてやるということじゃなくて、やはり諸外国の情勢をながめて、そうしてやはり集約した形で出発する。まあ財政力がないので、それに対して国家が重点的にこれを見ていくというふうな形でなくして、野放しでずっとやってきて詰まって、こういう処置になってしまった。運輸省当局としてその間手をこまねいてきたわけじゃないけれども、なかなか船会社というものは荒っぽいし、なかなか景気のいいときには政治力を発揮するということで、つかまえにくい要素もあるような気がするのですがね。今の様子を見、話を聞いてみても、非常におくれて手術をするということになってきたわけで、結局、今後の展望というものもこの前にお聞きしたのですけれども、千三百三十五万総トンをこれから作っていくことにして、幾つか、十くらいの系列会社にするといっても、諸外国の情勢の変化によってはこれもまた変わってくるかもわからぬが、根本的にいって、戦時補償というものがなされなかったということで、今これがそれにかわるような形になってきておると思うのですがね。船会社自体というものについて、私に言わせるというと、監督というものが一体どの程度なされてきたものか。要するに、経理の状況について、補給するから、それについて会計検査院が内容を監査する。営利会社だからそう干渉はできないとしても、今後はその点について十分監督をして、そうして運営よろしきを得るように指導をすると言っておるのだが、私に言わせるというと、ドイツとかそういうところと違って、日本の国は政治的にものをあまり扱い過ぎてきたのじゃないかという気がするのですが、そういう点はどうなんでしょうかね。要するに、現状においても、よく言われるのだけれども、ドイツの経済再建と日本の経済再建とどっちがどうだという問題は、これは長所短所があるから、いずれにしても企業自体がほんとうにやっていくのだという自主的なかまえ方が非常に希薄であったのじゃないか。悪くなれば何とかなるんじゃないかというようなことの相違がかなり時期的におくらしてきたのじゃないかということも一、二聞くのですが、これはどうなんですかね。
#82
○政府委員(辻章男君) これはまあ、各企業者は営利会社でございますから、あとはどうにかなるだろうというような安易な気持じゃないと思いますが、少なくとも日本には国民経済上どんどん船の需要がふえてくるのだ、したがってできるだけシェアというものを広げられるチャンスにおいては多くのシェアを持つ、言葉をかえて言えば、金融情勢等をにらんで船が建造し得るときにはでき得るだけ船を作っておいたほうが長い目で見ればプラスになるのじゃないかという観念があって、あそこが一隻作るならば自分のほうも一隻ぜひ作るとか、そういう意味の建造を競争的にやったということは確かにあったと思います。それにつきましては、スエズ動乱後ずっと不況が続いておるわけでございまして、これではどうしてもいけないのだ、やはり船の建造というものも個々の各企業の体質というものを考えてやらなければならぬという考えが今非常に強まってきたというのが、現状と過去の経過でございます。
#83
○岡三郎君 運輸大臣にちょっと聞きたいのですがね。まあこの二法によってとにかく船会社は立ち直る、こういう目標に向かって今審議を急いでもらっておるということになると思うのですけれども、小笠原三九郎さんあたりなんかも最近船会社の社長になっておりますな。なかなか船会社から出た政治家もかなりおるわけですがね。今まではなかなか、何かというと政治献金とか何とか疑惑の目で見られて、これはそういうことが原因でおくれてきたというようなことも言えるのじゃないかというようなことを指摘する人もあるのだけれども、そのために憶病風に吹かれて、何かやるというと疑惑の目で見られているのじゃないかというようなことで、裏返しをするというと、船会社自体が本格的にきりりと締まってやるのだという心のかまえ方というものがなかなかできなかった、こういうふうなことも内部的に指摘されておる方もおるわけですが、そういう点について、運輸大臣として、国家目的に沿って再建するなら、今までの船会社自体の心がまえというか、そういうものが抜本的に直らないというと、今後やはり何グループかにまとめていっても、内部的に役員間における抗争などというものも出てくるのではないか。つまり、一体となって海運再建に向かうのが必要であるけれども、一応とにかく形はまとまっても、内容的にいってそれぞれいろいろと思惑が出てくるのではないかというふうなことが言われておるわけですが、そういう点についての運輸大臣のひとつ見通しとか見解をちょっと聞いておきたいと思います。
#84
○国務大臣(綾部健太郎君) 今、岡先生の指摘されたようなことを、私も運輸大臣に就任後間もなく聞きました。私はいろいろ運輸大臣になってから考えまして、これはこのままにしておいたのでは、どうしても海運を再建しなければ大きな意味において日本の再建はあり得ないというふうに考えまして、私はこの過去五、六年の間、海運造船合理化審議会の答申の出たままになっている案をさらに検討いたしまして、昨年末の臨時国会で流れた法案にさらに検討を加えまして、今回提出したような次第でございまして、もし御指摘のような、合理化され、集約化された内部において重役間に抗争があるというようなことがありとするならば、またあるようなことが現実に起こったならば、私は厳重な処置をとりまして、いやしくも国家の税金を使って、そうして国家の大きな目的のためにやるというようなことに、区々たる私情のために――そんな人はあるまいと思うが、もしそういう人があったとするならば、また将来あったならば、私は厳重に処置をとりまして、そうしてどうしても海運の再建にめどをつけて国家経済の発展のためにいきたいと考えております。私はそれにつきましては、かたい決意を持ちまして、そうして一生懸命やっているつもりでございます。
#85
○委員長(金丸冨夫君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#86
○委員長(金丸冨夫君) 速記をつけて。
 本日は、質疑はこの程度といたします。次回は、二十一日午前十時から参考人の意見を聴取いたすことになっております。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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